白浪の庭
百海・胡麦 2021年5月2日
大きな傘を手に、雨の林を抜ける。
先刻まで綺麗な月が浮いていたというのに
気づけば、青、紅、灰の雲……空に流れる刻がおかしい。
花木だけが変わらずに土から伸びて咲き誇る。
此処だけの事かもしれない。
ただ、今この世界は“異常”に侵されている。
カクリヨファンタズム。
行く末は、わからない。
先に、古い病院の跡と、屋根のある広場が見えた。
赤い線をひとつ越えれば、雨は消える。
――結界の中、此処だけは静かだ。
♣︎ 「大祓百鬼夜行」戦争中を想定したRP。キリのよい処で〆
https://tw6.jp/html/world/event/020war/020_setumei.htm
♣︎ 結界の外から、有りのまま日々の戦況が伝わってくる。
中では、貴方の思う様に。
♣︎ 1週間言葉が無ければ、結界から弾かれる。
♣︎ もし恵まれたならば、話し相手が欲しい。
軽い雑談、気の向く間だけで構わない。
訪れる際は、できれば手紙をひとつくれると嬉しいよ。
必要とあらば合った術で、場所を見繕おう。
https://tw6.jp/club/thread?thread_id=64138
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百海・胡麦 2021年5月4日
(懐から取り出したるは、見窄らしい証文、一枚。『この土地、証として譲り渡す』ただそう書かれている。赤の線に守られた此処に来たのは、いつ振りであろう。遠くから唸り声をあげて走り来る、黒の二輪に声をかける。) “虎尾”や、そこは跳ねて超えるんだよ。……線を踏めば、力を取られるからね?
さて、戦が始まってもう幾日。アタシはどうしようね。(ぬかるみの土を払うように、爪先を数度、地面に突き立てる。傘を畳めば、虹色の空が見えた。)……まずは、あそこに椅子を置こうか。(後ろでは綺麗に跳ねた二輪が白の椅子を此方に放った。)
百海・胡麦 2021年5月4日
期間中、気の向くままに過ごすつもりだ。
仕事はするかもしれないし、しないかもしれない。
だがアタシの住まう世界の大事だ。見つめるつもりだよ。
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百海・胡麦 2021年5月8日
(宙を舞う影を追って、黒の筋が背後から走る。先日与力となってくれた深い海からの使いが、布に包まれた椅子を長い体で受け止める。)ああ静や、ありがとう。(ふわりと降り立つ其の頭を撫でると、包みをやおらに開く。絹の背もたれが眩しい——矢張り好い品だ。建物の近くまで浮かせて寄ると、解いた布を天幕のように。これで仮の居場所が出来た。)
さて、目を離した隙に、道が延びたね。アタシ好みの場所もあると聞いた。——うん、親分方も方々に在わすという。見える機会はあるかね。(合間に羽ばたきくる鳥の姿を見て、傘を立てかけると、まずはこの“基地”で寛ぐ事にした。)
百海・胡麦 2021年5月11日
(すこし、眠っていた。あの夜、誘いがあって別の処に足を運んだのだ。美味と美酒に酔って、深く休んでしまったようだ。空を見れば淡い夕焼け、風が心地好い。)……ああ、あれが噂に聞きし、“親分”かい?
どの妖怪も殊勝なことだ。なぜだろうね、アタシらは人の想いを糧とするというのに、忘れられて此処に来た。……まあ、今は此処と彼方の存亡がかかってる。共に、己の為でもあるんだろうね。
百海・胡麦 2021年5月12日
(近くの泉から水を引いて、役目を終えた“病院”の一室を借りる。前に寄った時、彼是手を入れたが、すでに端には煤がかかっていた。また辺りの生き物が使ったに違いない。湯浴みを済まし、整えながら空をまた見上げると、黄金のスジが増していた。)
……湿った土の匂いと、擦れ合う草の音。月に川か。
黄泉というのはどこにあるんだろうね。
百海・胡麦 2021年5月12日
(思いついて、懐から賽を出す。)そうだ、さいや。
前に話したことがあったね。……お前は見てみたいかね?
(庭に出た処で寝そべる二輪の背を撫でて、借り——)
百海・胡麦 2021年5月12日
……また半々、というところかい?
ふむ。如何しようかね。
百海・胡麦 2021年5月16日
(あれから数日。また少し遠くへと足を伸ばした。いま懐に眠る“賽”や其処に座る紙を吐く機械。彼らと前に交わした話を思い返し、これ以上の機会は無いと思えたのだ。)
……幽霊に逢うことが、このように心浮く事とは、知らなかったね。カクリヨ、此処に流れた甲斐があったものだ。巡り合わせとは面白いね。(既に酔いから醒めたはずであるのに、未だ夢の心地が残っている。だが、空を見れば黄金の筋が此方を見下ろす。まだ、この世界は戦いの中。)
此処のところ月がまた暗い。
あと半月、満ちる頃にはあれに届くのだろうか。
(己にできることは少ないが。闘う者の噂は多く届く。——武運を祈ろう。)
百海・胡麦 2021年5月23日
(……少しまた、眠っていた。随分と様々な土地を巡ったのだ。夢のような時に、まだ己の体は思い通りにならぬ。)……もう少しだけ。
(あの懐かしき空気、闇夜に消えた水音。生を喜び唄いあげるような炎。艶やかな桜と、愛らしい声。もう少しだけ身の内で。)
百海・胡麦 2021年5月30日
(認めかけた文を懐に。重い体を起こし、見上げ。)——斯様な姿で、あらせられたか。
とうに消えてもおかしくない、アタシらに此の世を与えたひとというのに……長く短いこの百鬼夜行。そろそろ笛の音も途切れるやもしれないね。
百海・胡麦 2021年6月3日
(すすき野の月の光に酔うて、また暫く。)とうとう無事に。
彼の人もまた御隠れになった。まぼろしの橋の先に亡き者も住まうようだが。名と姿は心に刻んだ。もう誰にも見えぬということはきっとあるまい。……ただ此処が残ることに感謝を。
また呑気な賑わいが戻ってくれるようだね。
百海・胡麦 2021年6月4日
これからは、親分殿と戯れることも叶うという。
やはり此処は愉しいところだね。——さて、危機も去った。
ひとたび屋敷に戻るとしよう。
……此処も憩い場だ。また訪れるときは揚々に。
♣︎♣︎♣︎♣︎ 【〆】