39
寝台特急シリウス号の執着(作者 ふじもりみきや
39


#サクラミラージュ  #24日23:00まで再送を受け付けております 


タグの編集

 現在は作者のみ編集可能です。
 🔒公式タグは編集できません。

🔒
#サクラミラージュ
#24日23:00まで再送を受け付けております


0



 ●月×日、一〇:二三分発○○行き列車……、
 八両編成のその車両に、朧影が現れた、と報告のあったは出発数分前のことであった。
 乗客はパニックになり、我先に列車から逃げ出し、当然のことながら運行は取りやめになったが、
 幸いなことに、朧影は今にも消えそうなほど力弱く人的な被害は避難途中に子供が転んでひざを擦りむいた、ぐらいのものであったという。
 ……ただ、その影朧。
 人のいなくなった車内でもいっこうに動くことなく。
 静かに窓の外をじっと見つめていたという。
 そうしてその手には、手紙のようなものがひとつ、握られていたという報告があった。

「今回は、列車旅だね」
 リュカ・エンキアンサス(蒼炎の・f02586)はそう言って、ほんの少し心が弾むと言いたげに口元をほころばせた。
「列車。見たことある? 今回乗る予定の列車は、黒くて大きくて、すごい強そうだった」
 もともと列車や機械には縁のない世界での活動が中心のリュカにとっては、大型の機械であるというだけで多少なりとも心躍るものであるらしい。話によると、どうやら石炭を使って動かすタイプの列車というのだから、サクラミラージュとしてはごくごく標準的な列車であろう。
「その列車の中で、影朧がみつかるんだ。今回は、その影朧退治の話。……と、いっても」
 リュカはそこで言葉を切る。少し考えこむような仕草をして、それから、自分の言いたいことを多少なりとも整理してから話をつづけた。
「この影朧、そこまで強くない。……というか、今までであってきた中では、格段に弱く感じられると思う」
 余程の辛い「過去」が具現化すれば、まれにそういうことが起こるのだと彼は言った。
「特に、何かをかなえられなかったとか、そういう、強い……執着、みたいなものがあって。人を傷つけるよりも、それを優先させているみたいなんだ」
 本来ならば、影朧は斃すべき敵である。そこを間違えてはいけないのだけれども、ここでもう一つ、この世界での約束事があるのだとリュカは言う。
「ある程度無害化された影朧は、救済すべき。これもまた、帝都桜學府の目的なんだ。だから、人を傷つけない影朧であれば、なるだけそれを助けるために、その執着を果たすことに協力しましょう、って。わけ」
 理解できない感情だと、言葉の端でリュカの考え方が滲み出ていた。
「……どうすれば無害化したと証明できるのか。絶対に人を傷つけないと言い切ることができるのか。俺は知らないしそんな曖昧な、感情に揺れる判断は嫌いだけれども、それがこの世界の掟ならしょうがない。確かに、あれは相当弱っていたからすぐに消えるのはもうわかりきってはいるけれど……」
 釈然としない。という顔をしながらも、リュカはそれはそれ、これはこれ。暫くして割り切ったらしい。一つ咳払いをして、
「……と、いうわけで。可能なら影朧の執着を晴らして、助けてあげてほしいんだ」
 と、いうのであった。
「で、その影朧の執着というのが……」
 それで話が元に戻ってきた。リュカはポケットから切符を一枚取り出す。これはサンプルなんだけどね、と前置きしながら、
「この列車に乗って、とある景色を見ることなんだ」
 切符には、発車時刻や駅名のほかに、「寝台特急:シリウス号」という文字が躍っていた……。





第2章 冒険 『はかない影朧、町を歩く』

POW何か事件があった場合は、壁になって影朧を守る
SPD先回りして町の人々に協力を要請するなど、移動が円滑に行えるように工夫する
WIZ影朧と楽しい会話をするなどして、影朧に生きる希望を持ち続けさせる
👑7

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


『あなたの子供が、産まれました。この子とともに、あなたの作ったオリオン号に乗りたいです』
 誰かが広げた手紙には、そう文字が書いてあった。
 それを伝えると、影朧はゆっくりと、ゆっくりと、首を傾げて、そして、
「ああ……思い出し、ました」
 そう、ぽつり、ぽつりとつぶやいた。
「あの列車に……オリオン号に……彼女たちが乗っているのです……」
 そんなはずはない。なぜなら彼が生きた時代は、もう何年、何十年、それこそもっと、遠い昔の話だ。けれども彼は、さもそれが当然のことのように語った。それが真実であるように告げた。……もうとうに、正気は風化し失われていた。
「シリウス号は……もう、じきに湖の傍を通過します……。その時、一瞬だけ、湖の向こう側を走るオリオン号と並走します……」
 真っ暗な湖を、己の灯りだけを頼りに列車は走る。満天の星空と、舞い散る桜。そして、それをまるっと逆しまに映し出した湖の姿は、まるで小説の一場面のようだと。この列車の職員たちも語っていた。
 天上にも地上にも咲く桜と星空の中を駆けていく列車。そこに、彼女たちが乗っているはずだと、影朧は言うのだ。
「だから……私は……みたいのです。私には……仕事がありますから。一緒には行けません。けれど……」
 なんの、仕事だというのか。
 それはもう、本人すら覚えていないけれども。
 彼はずっと、猟兵たちに丁寧に接していた。まるで「お客様」のように。
 そうして、その手紙の文面から、列車に携わる人間だったのであろう、ということは、察することができた。
 もしくは、断り切れぬ者からの頼みで今の仕事を離れた、という文面が手紙の中にあったというので、そちらの方の「仕事」なのかもしれない。
 真相は、わからない。本人すらもきっと覚えていない真相に、きっと意味はないだろう。
 ただ、彼は望んでいるのだ。「オリオン号を見たい」と。
 行きたいでも、会いたいでもない。ただ見ることができたなら、それでいいと。

 このまま列車に乗っていれば、彼はオリオン号を見ることができるだろう。
 何はともあれ、列車に乗った時点で……、彼の願いは、すでに叶っていたのだ。

 汽笛が鳴る。数度。
 森の木々が徐々に減っていく。
 これより、列車は市街地へと入り、そうしてもう一度森を抜けてから湖の傍を通るという。
 湖を走るオリオン号の姿は美しいが、同時に、このシリウス号も近しい場所を通過する。足元を見れば、星と桜の中を走る感覚に心躍らせることもできるだろう。
 それを見ながらゆっくりベッドに寝転がって過ごすのもいい。夕食をとりながらでも楽しめるだろうし、勿論、景色なんて構わずに、みんなで楽しく遊ぶのだっていいだろう。
 そうしてシリウス号は、オリオン号と暫く並走したのちに、海へと向かっていくだろう。
 列車とは、どこかへ行くためのものである。
 この列車もまた、何かに向かって、走り続けているのだ。

※マスターより
●運行スケジュール
二章:夜になると、列車の外から美しい景色が見えます。
この寝台列車の目玉の一つで、ちょうど並走して走る寝台特急オリオン号を見ることができます。夜間、湖のすぐ傍を走行する列車は桜と星空の中を駆け抜けていき、とても美しいと評判です。景色を眺めながら夕食を取るのが流行り。
ということは、必然自分たちの列車も、星と桜の中を通っていくことになるでしょう。
そういう景色を楽しんでもいいですし、全く気にせず好きにしていただいても、大丈夫です。お好きにどうぞ。

●影朧について
影朧は、その辺やっぱりうろうろして、オリオン号を見たら気が済んで勝手に消えていきます。
無理に構って下さらなくとも、大丈夫です。
また、彼は客室の中には入ってきません。
皆さんが楽しそうにしていると、やっぱり嬉しそうにします。
(作中には入るところがなかったので書きませんでしたが)
シリウス号は、彼が憧れた人たちが作った列車なので、そこからオリオン号を見ることができることにはとても喜びを感じています。
因みにシリウス号は、何度か本文中に書きましたが、老朽化のためもうすぐ廃車となる予定です。

●おひとり様参加の方について
一章で、「この人の隣~」とかなった方もいるでしょうが、
普通に、次回のプレイング次第でシャッフルしたり、いきなり隣でなかった人が隣に生えたりする可能性があります。
後はだいたいいつも通りです。
ご了承ください。

●大事なこと
オリオン号をどうこうするプレイングは採用できません。
メタな話、向こうのMSさんと相談・調整・変更・お願いが必要なことはできません。
シリウス号(うちのシナリオ)ではなんでももう、何でもしてくださっていいのですが、そこんとこ宜しくお願いします。
●途中参加について
二章から参加もOKです。その際は、最初から乗っていても、途中の停車駅で乗ってきたでも、どっちでもOKです。