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破壊に狂いて神は暴虐の身を求む

#ダークセイヴァー #第五の貴族 #異端の神々


●不幸は重なる
「厄介ごとというのは、次々に重なってきてくれる。欲しくない、と思う願いの強さに比例してね。皮肉だけれども」
 グリモア猟兵スフィーエ・シエルフィートは、溜息を交えて白銀の四枚翼を揺らしながら語り出した。
「……本当の最悪の最悪になる前に止めなければならないものがあるのも、また事実」
 全くやりきれない――黒の長い前髪で表情に陰りを作ってはスフィーエは改めてグリモアを手に語りを始めた。

「さぁ語ろうか。舞台は退廃と闇と享楽の世界ダークセイヴァー。君達には狂えるオブリビオンの企みを阻止して貰いたい」

 狂える神(オブリビオン)――異端の神々がオブリビオンの肉体を乗っ取り、強大な敵と化した存在は、地下都市の第五の貴族に目をつけ、その強大な肉体を奪いに来た。
 だが第五の貴族もそれを迎え撃つべく、地下都市に通ずる迷宮に死の罠を仕掛け、迎撃を目論んだのだが……。
「厄介な相手が潰し合ってくれる……とはならない。狂える神が迷宮を突破し、最終的には第五の貴族を乗っ取ってしまう」
 戦い自体は第五の貴族が勝利するらしいが、殺された狂える神は第五の貴族に憑依し、乗っ取ることで最終的には狂える神の勝利になる。
 よって狂える神が第五の貴族と相まみえる前に、第五の貴族が仕掛けた迷宮を突破し、第五の貴族も、そしてその後に襲い来る狂える神も倒して欲しいと語る。
「だが道中は当然、第五の貴族が仕掛けた罠が襲ってくる」
 第五の貴族が仕掛けた迷宮の中は、完全なランダムで予測もつかないタイミングで強力な炎――狂える神を追い詰める程の凄まじい威力の炎が吹き付けてくる。
 炎に耐えるか、上手く躱すか……或いは隠し通路などを探し、潜り抜けてみるか。
「具体的な方法は任せるが、無策で突っ切るのは消耗が多過ぎる、ということは覚えておいて欲しい」
 恐ろしく強い狂えるオブリビオンでさえも、消耗は免れない苛烈な罠――無策で行けば第五の貴族の餌食になりに行くようなものだと警告する。

「そして狂える神が来る前に、君達は第五の貴族を倒して欲しい。それがこいつだ」
 そう言って彼女は一つのオブリビオン――『呪氷の災姫』イナンナ・アスタルテと呼ばれる強大なオブリビオンの姿を映し出す。
 翼の飛行と近接・遠距離の武器を使いこなし、集団相手の戦いにも長ける強敵だ。
「第五の貴族は多分に漏れず、独自の紋章で強化されている。彼女の場合は……【天唾(てんだ)の紋章】と呼ばれている」
 そう言ってスフィーエは第五の貴族が手の甲に持つ紋章をグリモアで示した。
 天に唾すれば己に跳ね返る――自らを神と例えていると言わんばかりの傲慢さに辟易しながらも、紋章の力を彼女は語る。
 曰く、攻撃を受け止め、蓄積したダメージを矢の形にして放つ――受けたダメージそのものは無効にはならないが、傷つければ傷つける分だけ強化される矢は脅威だろう。
 わざと追い詰めたと思わせ、油断した相手に反撃として放ち絶望させることが多いらしく、彼女の性格の悪さを物語るとスフィーエは吐き捨てた。
「だが弱点もある。一つは放出の後に若干の隙が出来る。反撃を想定して対処するか……もう一つの方法としては、一度に一定以上の力は蓄えられない、ということだ」
 つまり、紋章の反撃を警戒し対処しつつ更に攻撃を加えるか、複数の猟兵で協力して攻撃を加え、オーバーフローを起こさせるか――弱点は必ずあるのだと語る。
 その上で、決して気の抜けない強敵であることを忘れないようにとも語って。

「そして……第五の貴族の後で大変だろうが、狂えるオブリビオンを討って欲しい」
 最後にスフィーエは今回の事件を目論んだ、狂えるオブリビオンの映像を映し出した。
 一見すると神々しい天使のようにも見える姿だが、中身は全ての滅びを願い狂い続けた哀れにして強大な敵だと苦々しく語る。
「真面に戦える相手じゃないが、罠を強引に突っ切ってきた所為で消耗している」
 迷宮に仕掛けられた罠の攻撃を受け続けており、強大な筈の敵は確実に消耗している。
 体中に罠で受けた傷があるので、そこを上手く突くことで連戦という不利を補いながら強大な敵とやりあえるだろう、と語った。

「……いつだって良いことは中々重ならないが、悪いことに限って重なる」
 一通りのことを語り終えて、スフィーエは悩ましく溜息を吐き出して改めて、と語っていった。
 ただでさえ強大な敵が、下手をすれば手の付けられない相手となる――それを阻止する戦いも一筋縄ではいかない現実に、暗雲の立ち込めるように暗く肩を落としつつも。
 気を取り直すようにスフィーエは己の頬を叩き、淡くグリモアを輝かせ、最後にこう締めた。
「それでもだ。マイナスをこれ以上マイナスに振り切らせる訳にもいかない……改めて力を貸して欲しい」
 ――グリモアの淡い輝きは、危険の待ち受ける迷宮への道を開いていった。


裏山薬草
 どうも、裏山薬草です。
 ただでさえ強い敵が強化されるって悪夢ですよね。
 でもやり込みの場合ですと、敢て強化させてから倒したいという人もいますよね。

 さて今回は地底都市に赴き、第五の貴族を討伐し、それを狙う狂えるオブリビオンも纏めて退治してしまおう、という話になっております。

●第一章『冒険』
 死の迷宮を突破して貰います。
 迷宮の中には不定期に非常に強力な炎を放つ罠が仕掛けられています。
 炎を避けるかトラップを解除するか、或いは耐え抜くかの工夫があればボーナスとなります。

●第二章『ボス戦』
 第五の貴族との決戦になります。
 このオブリビオンは【天唾(てんだ)の紋章】の力で、受けたダメージを蓄積して強化される矢を放ってきます。
 ただし放出の直後に隙があり、一度にあまりに多くの攻撃を受けると暴発し逆にダメージを負ってしまう弱点があります。
 なので反撃を想定して動くか、他の猟兵と息を合わせて攻撃するプレイングがあればボーナスとなります。

●第三章『ボス戦』
 迷宮を突破してきた狂えるオブリビオンとの決戦になります。
 消耗しているとはいえ強敵ですが、迷宮の罠で負った傷を狙えばプレイングボーナスとなります。

 プレイングの受付状況に関しては、タグにてお知らせします。

 それでは皆様のプレイングをお待ちしております。
 裏山薬草でした。
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第1章 冒険 『死の罠の迷宮』

POW   :    防御力を活かし、強引に罠を突破する

SPD   :    罠を解除しながら迷宮を踏破する

WIZ   :    迷宮の隠し通路や仕掛けを暴く

👑7
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シーザー・ゴールドマン
狂えるオブリビオン、異端の神々か。
第五の貴族も抗せないとなると厄介なのは寧ろ彼等なのかもしれないね。
とは言え彼等が第五の貴族の存在に何故、気付けたのかは興味深い。
まあ、考察は後にしようか、今は天唾の貴族と狂えるオブリビオンだね。
それにしても、天唾とは……ハハ、彼女自身が唾であり、後は落ちるだけでなければいいね。

オドの色を深めて迷宮へ。(『アイオーンの隔絶』の発動)
迷宮自体は直感(第六感×見切り)で正路選んで闊歩。
吹き荒ぶ炎は自己の魔力へと変換。



●赤き公爵炎を往く
 ゴゥっと激しく音を立てて炎が揺らめいた。
 ともすれば形の無い空気すらも“焼いて”しまいそうな熱の悍ましさは、それを向ける相手を思えば致し方ないことか。
 それでも、その中を躊躇いも無く威風堂々と肩で風を斬るかのように、長身の偉丈夫は熱の揺らめきに黒髪を流して呟いた。
「狂えるオブリビオン、異端の神々か……」
 男――シーザー・ゴールドマン(赤公爵・f00256)は全身に赤く揺らめく光のような、魔力の被膜で自らを覆いながら呟いた。
「寧ろ厄介なのは彼等なのかもしれないね」
 この罠を仕掛けた第五の貴族自体も相当な強敵ではあるが、ここまでの罠を仕掛けて直接の相対を避ける――狂えるオブリビオンの強大さを改めて彼は思い知る。
(興味深くはあるがね)
 そんな狂えるオブリビオンが、いったいどうして第五の貴族なる者を知り、襲撃をかけることとなったのか――気には掛かるものの、兎にも角にも今はこの死の迷宮を乗り越え、第五の貴族を討つことだ。考察など後で幾らでも叶うこと。
 躊躇いなくシーザーは足を踏み入れる――だが迷宮の中に仕掛けられた罠は不定期に炎を噴出する。
 タイミングを計ろうと殆どの場合において無意味な其れが、赤く彼の視界を覆いつくした。
 強大なオブリビオンが直接戦闘を避ける敵ですら、追い詰め得る業火がそのまま彼を灰に帰すか――否。
 彼が身体に纏う魔力の色がより濃さを増してゆけば、その色が更に濃くなっていくように、揺らめく炎をシーザーが纏う魔力は取り込み、彼を炎の中に突き進ませていく。
 その中で何の気なしにと言わんばかりに彼は言葉を不意に発した。
「それにしても、だ」
 晒されれば灰となる炎と、シーザーを隔てるのは彼自身が纏う真紅の魔力。
 纏うそれが剥がれれば待ち受けるは灰の末路に於いて尚、彼は平然と行く――身を無と帰してしまいかねぬ熱量はそのまま、彼が纏う魔力に変わりながら。
 悠然と涼風の中を往くように、膨大な熱量が吹き付けようと構わずに突き進み、シーザーはその先に待ち受ける第五の貴族のことをふと思うと。
「実に滑稽だ。こんな罠まで仕掛けて、紋章の名が……ハハハ」
 天に唾すれば己に跳ね返る――グリモアベースで聞いた時にも思ったが、何とも滑稽なものではないだろうか。
 いやしかし、とシーザーは自分の言を思い直すように顎に手を当てると。
「後は落ちるだけ、と考えれば……ふむ、納得だ。上手いネーミングだね」
 彼女自身が唾であるならば、その名前も傲慢どころか皮肉か――赤公爵は嗤いを響かせながら、死の迷宮を突破するのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

ハルア・ガーラント
F ●WIZ
絶望と悲しみに溢れる世界
それでも故郷だもの
焼き鳥にならないよう頑張ります

仕掛けはわたしを感知しているのかな
〈咎人の鎖〉を絡み合わせ人型にし、離れた位置から歩くような移動をさせて実験を
わたしは[火炎耐性]を付与した[オーラで防御]の態勢を維持し移動開始
一度なら耐えられる……はず

炎の噴射に合わせ仕掛けへ飛びUCを発動、炎を止めます
あなたのこと教えてください!

見た目や噴射口などの特徴
〈銀曜銃〉の聖霊が事前感知できる炎か等回避する為の[情報に絞って収集]
[第六感]による危機の察知も駆使し飛翔や障害物に身を隠す回避を行い進みます

回避不可能な炎には〈消禍器〉の出番
使い切る勢いで煙を噴射です!



●不死鳥のように在ろうと
 人型を取った金色の鎖が金属音を立てながら薄暗い迷宮の中を歩いていく。
 当然のように迷宮に仕掛けられた死の罠は、不意に業火を迸らせ、金の鎖で作られた人型を焼く――それで溶け落ちるほどにヤワな鎖ではないが、迸った熱量は凄まじい。
 その様をやや離れた所から見ていた天使、ハルア・ガーラント(宵啼鳥・f23517)は伝わってくる熱気を障壁で防ぎながら察する。
(仕掛けは……わたしを感知しているわけではない、と)
 タイミングを計ってゆくのは難しい、出来ることは的確に対処して潜り抜けること――迸る熱量は全力を以てしても一度防ぐのが関の山。
 そしてこの熱量ですら倒し切れない狂った神も、それが求める強大な肉体を持つ存在も――祓っても祓っても終わりのない、夜闇の世界の絶望は度し難い。
(それでも、故郷だもの)
 見捨てるなんて選択肢も、ここで退くなんて選択肢もありはしないと、ハルアは身体に光芒を揺らめかせながら一歩を踏み出す。
 不規則に噴き上がる炎が、噴出孔より赤く揺らめいたその時、意を決してハルアは其処へ飛び込む。
 次いで視界を覆う紅蓮の、激しい熱が纏う障壁と抗い続け、伝わってくる熱量が彼女の心に恐怖を齎す。
 それでも。
 全霊を傾けて障壁を維持しながら、彼女は分厚く長大な翼を大きく広げると炎の罠を一撫でし。
「――あなたのこと、教えてください!!」
 柔らかな羽の撫でる甘き感覚は、意志を持たぬ罠すらも魅了し、従僕となったかのように炎の勢いを止める。
 そしてハルアの問いかけに――炎を防ぐ為の情報を、銀曜銃の聖霊が察知できる炎か否かの問いに、肯定を罠は示し。
 なればとハルアは只管に翼を広げ、はためかせ自らを押すように翔け抜ける。加護が消えるまでの百秒あまり、無駄にせぬと。
 されど羽の魅了が及ばぬ罠が、死の炎を吹き付けようとした刹那、聖霊の警告がハルアを立ち止まらせ彼女に抗う行動を取らせる。
「っ、焼き鳥には、なりたくないので……!」
 炎が迫る。狂えるオブリビオンも焼く灼熱の気配が、障壁に阻まれたハルアの肌に熱量を色濃く伝えながら。
 揺らめく紅蓮が、その翼と肌を灼(や)いてしまおうとした瞬間――天使の、翠玉が気高く輝いた。
 そして次の瞬間、ハルアは赤く重たい鈍器としても使える、噴霧器のついた円筒を取り出すと、噴霧器を炎に向けて。
「全部、消えてくださいっ!!」
 災い全て消し去る勢いで、解き放たれた聖霧が、災厄の炎を呆気なく鎮めていき。
 立ち込める聖霧の中、ハルアは重厚な翼を強く花開かせ、聖霧を激しく舞い踊らす中を力強く翔け抜けていくのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

ベスティア・クローヴェル
ダンジョンを抜けるだけであれば、そう難しい事じゃない
よほど変な形をしていなければ、壁沿いに歩いていけば必ず出口に辿り着く
脅威となり得るのは、吹き付けてくる炎の方

炎の脅威とは何かと問われれば、純粋な熱量だと思う
周囲の熱によって体力と水分を奪われ、呼吸をすれば肺を焼かれる
炎に包まれば火傷を負うこともあるし、程度によっては死に至る
であれば、こちらがより高い熱量を纏って吹き付ける炎を呑み込んでしまえば、それは脅威とはなり得ない

とはいえ、流石に無傷とはいかないだろう
ある程度の熱は我慢出来るけど、それでも熱いものは熱い
それに、吹き付ける炎の熱量を超えるまで多少時間はかかる

それでも私は行かなければいけない



●ここが地獄の道程なれど
 地下迷宮というだけあって、その道程は十分に迷わせるに足るものだった。
 だがそれは壁にひたり、ひたり、と手をつけながら進む人狼にとって大したことではない――こうして壁に手をつき、進めば時間はかかってもいずれは出られるのだから。
「……」
 だが問題は“それ”ではない――人狼ベスティア・クローヴェル(太陽の残火・f05323)は不定期に吹き付ける炎の揺らぎに、狼耳を数度揺らし、この迷宮の本当の脅威を真っ直ぐに見据えると。
 ――彼の地を宿し、我が身を燃やせ。
 煉獄の園<ムスペルヘイム>――その名が示すように、ベスティアは自身の身体に激しく揺らめく業火を纏うと、炎吹き付ける迷宮へと一歩を踏み出した。
 薄暗い迷宮の中を煌々と照らす炎が、第五の貴族の下へ通ずる道を照らすように彼女を突き進ませながらも、仕掛けられた迷宮の罠は無情にも、それを阻むかのようにベスティアの身体を包む勢いで炎を噴き上げた。
「ッ、は、ぐっ……っふ……!」
 簡単に焼かれることはない。
 されど炎を纏い隔たりを得ても――否、ある意味では逆に炎だからこそ、溶け込んでしまうのだろうか。
 異端の神々が憑依した狂える亡霊すらも焼いてしまう炎の熱量は、身体に纏う炎が無ければ灰とその身を変えられてしまう。
 否。
 灰すらも残らないかもしれない――熱気の伝わるだけで身体の水分は活力と共に奪われて、突き進む足取りが重くなっていく。
 炎の恐ろしきは純粋な熱量。
 ある意味ではそのまま焼かれ灰も残らぬ方が楽であったとも思えるほどに、異端の神々をも焼く炎の熱量は恐ろしい。
 それでもベスティアは、決死の覚悟を胸に炎を纏ったまま力強く、一歩を踏み出していく。
「……行かなければ」
 ここで退く理由はベスティアにはない。
 一歩一歩を踏み出していく度に、過ぎる時間が彼女自身の炎をより昂らせ、その熱量を高めていく。
 恐ろしいのは炎の熱で果てることではない。このまま歩みを止めてしまうこと。
 確かに一歩を踏み出すごとに、昂るベスティアの炎の熱は、吹き付ける罠の炎の熱に確かに抗うことを始めていく。
 ――もう熱くも、苦しくも無い。
「通ってみせる」
 纏う炎の熱量が吹き付ける炎の熱量を上回るまで、時にして僅か。
 されど僅かの間に味わいたくも無い高熱の苦しみも、纏う炎が吹き付ける炎を喰らい尽し、逆に灼(や)いてしまう程に高まってしまえば。
 それは、味わった苦痛は最早、ベスティアという炎をより雄々しく、熱く滾らせる燃料に等しく。
 真っ直ぐに燃えて盛るように、赤い瞳を以て先を見据えた人狼は業火を纏いて死の迷宮を突破するのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

御狐・稲見之守
暇なのでダークセイヴァーのクソども相手に
ただただ暴力を振るいに来た。
さて――。

[UC火喰らし][火炎耐性][地形破壊][化術][式神使い]
これまで喰らうて来た炎に比べればこの程度の罠など。
喰らうた炎を依代に炎の龍を形作り
行く手の罠を尽く破壊しながら先へと進むとしようか。

迷宮ごと壊れるかもしらんがちまちま罠解除するよかいいじゃろ。
そういうのも嫌いではないがナ。

……瓦礫で道が塞がってしもうたの。
やれやれ、やはり無精をするのはよくないかナ。



●暴力的な……
 ――何を以てこの場に来たのかと問われれば、彼女はこう答えるだろう。
 ダークセイヴァーのクソ共を相手に暇つぶしに、ただただ暴力を振るいに来た、と。
 故に彼女は、御狐・稲見之守(モノノ怪神・f00307)は静かに唇を動かし祝詞を紡いでいく。
「火喰らしの」
 黄金と白銀の色相も鮮やかなヘテロクロミアを薄暗い迷宮の中、何処か妖しく輝かせれば、彼女の身体を炎が覆う。
「鳴きつるなへに火は紅れに」
 ぱちり、ぱちりと狐火の炎が火花を爆ぜさせる音を背後に、彼女は躊躇いなく迷宮へと足を踏み入れていく。
 其処へ当然というべきか、迷宮に仕掛けられた悪辣な罠は、不定期に噴出する異端の神々をも焼き払う業火は容赦なく彼女を襲う。
 されども稲見之守は身体に纏う狐火そのままに、その炎を焦るでもなく灼熱の中を悠然と歩いていく――無策ならば、彼女の身体は灰すらも残らなかったかもしれないが。
「ハッ」
 ――死の炎は狐火を突き破ること敵わず、稲見之守を傷一つなく炎の中を突き進ませていた。
「今まで喰ろうてきた炎に比べれば、この程度、この程度」
 この程度と称するには死の罠の炎は苛烈な熱量、狂える神々の身体を追い詰めるに足る力。
 だが、結局は狐火が喰らってしまえば、それは同じ事だ。
 効かないのだから、劫火も弱火も稲見之守の前には等しいこと――寧ろ吹き付ける炎が強ければ強い程に、彼女の纏う狐火はより一層に盛り。
 そして――迷宮の道の中を、紅蓮に熱を揺らめかせ盛る炎が、高らかに咆哮を挙げながら過ぎ去っていった。
 それは稲見之守が盛る狐火で象った龍であり、火の持つ破壊の相をそのままに顕現したかのように、荒れ狂う死の迷宮の劫火も捻じ伏せながら舞い、罠も、迷宮の壁も、何もかもを破壊していく。
「なぁーに、ちまちま解除するよかいいじゃろ。そういうのも嫌いではないがナ」
 炎龍の盛り、破壊によって齎される轟音に掻き消されながらも、コロコロと笑い、順当に死の迷宮を歩いていく稲見之守だったが。
「……けどちと、やり過ぎたナ」
 ちらりと振り返ってみれば、彼女の後ろに広がる見るも無残な瓦礫の崩れ落ちた道――迷宮の、幾つかあるであろうゴールへの道筋をほぼ完全に潰してしまった末路。
 自分は後はこのまま道なりに往けば良いだけだが、後進が居たら申し訳ないとばかりに後頭部を掻きながらも、彼女は息を吐き。
「やれやれ、無精をするのはよくないかナ」
 尤もこれはこれで狂えるオブリビオンを消耗させるかもしれない――後進がせめて別の道を往ってくれることを片隅に思いながら、稲見之守は出口を潜り抜けていくのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

四季乃・瑠璃
【破壊の姫君】で分身

瑠璃&緋瑪の二人掛かりで【高速詠唱、情報収集、ハッキング、罠使い】による探知術式+改造スマホで罠を探知+ハッキング。
罠のプログラム・術式を異端の神々にのみ反応する様に書き換えて無効化。
どうしても無効化できない箇所はボムで物理的に潰して進むよ。

ついでに、後から来る異端の神々の為に感知式ボム等による罠を追加で設置。
ここの罠の配置に追加してより悪辣に増加しておくよ。

緋瑪「施設の防衛・迎撃用でこういう大がかりな罠なら、術式系・仕掛け系問わず、大抵無効化する為の安全装置か安全に通行する為のルートを用意してるモノだからね~」
瑠璃「それを利用してしまえば無力化は容易いよ」



●悪辣な置き土産
 夜と闇の退廃なる世界にはそぐわない、未来的な文明の利器を鏡写しのようにそっくりな二人の少女たちが叩いていた。
 忙しなく踊る指が文明の利器――改造スマートフォンという――の液晶を叩く度に、迷宮の壁に光の条が駆け巡り、迷宮の情報を少女たちに伝えていく。
 炎の罠の位置を、そして炎の罠に仕掛けられた発動をする為のトリガーを、少女たちの脳裏へと伝えていく。
「完全な不定期ってところがいやらしいけれど」
「コントロールすればこっちのもの、だからね」
 四季乃・瑠璃("2人で1人"の殺人姫・f09675)と半身の緋瑪は、死の迷宮の罠を魔術によって探りながら、術式によって干渉し炎の発動条件を書き換えていた。
 炎が噴出するタイミングを不定期から、特定の条件下に反応し、それのみを攻められるように。
 即ち――狂えるオブリビオンにのみ反応し、その身を徹底的に攻撃する仕様へと変えていく。
「施設の防衛・迎撃用でこういう大がかりな罠なら、術式系・仕掛け系問わず、大抵無効化する為の安全装置か安全に通行する為のルートを用意してるモノだからね~」
「それを利用してしまえば無力化は容易いよ」
 スマートフォンの画面を手繰り、術式によって干渉を行いながら陽気に緋瑪が語り、瑠璃もまた同様に緋瑪と協力し合い、互いの及ばぬ範囲を補い合うように罠を書き換える。
 緋瑪の推察通り、火炎の罠には悉く――恐らくはメンテナンス時の為なのだろう――安全装置の役割を果たす術式が織り込まれていた。
 完全な不定期で吹き付ける罠は確かにタイミングを計って突破するという手段を取りにくくさせ、突入を躊躇わせる、という点においては有用かもしれない。
 だが何かしらの安全策は必ず仕掛けられている――今回彼女達が見つけた安全装置へと干渉し、発動条件を書き換えるという手段は逆にこの罠を仕掛けた側にとって仇となってしまったかもしれない。
 そうして一通りの罠を粗方無効化、否、通り越しての逆用の布石を置くと瑠璃と緋瑪は通路に密かに仕掛けたモノへと目を向けて。
「オマケもあるし」
「少しは削れてくれればいいけどね~」
 彼女達が仕掛けておいたものは、ここを通るであろう狂えるオブリビオンに反応する爆弾だった。
 炎の罠をピンポイントに反応させるだけに留まらず、更に残したものは悪辣な“置き土産”か。
 どうしても無力化の叶わなかった箇所を、強引に爆弾で無力化<破壊>して減じた部分を、補って余りあるだろう。
 かくして罠を逆用し更なる悪質な置き土産まで残した殺人姫達は、背に負った魔導と機械の混成方式の翼を広げ、迷宮を難なく潜り抜けるのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

幻武・極
へえ、ランダムに炎が噴き出るトラップね。
トリニティ・エンハンスの水の魔力でオーラ防御を行い、突破する感じかな。
あとは出だしは炎の勢いは強そうだけど、出終わりの頃は威力もだいぶ治まっているだろうからその辺を狙って飛び込むのがよさそうだね。
いつ出るか分からないランダムは終わり目を狙うのがいいんだよね。



●唯一の例外に等しきか
 急激に噴いたと思えば、すぐ様に収束し、そしてまた急激に噴く。
 更にそこから時間を置き、大丈夫かと足を踏み入れようとした瞬間、また新たに炎が噴き上がる。
「へえ……」
 一切合切、予測の出来ない死の罠の発動するタイミング。
 離れた箇所において尚伝わる、炎の苛烈な熱量で頬を照らしながら、羅刹の少女幻武・極(最高の武術?を追い求める羅刹・f00331)はどこか楽しそうに笑ってみせた。
「ランダムに噴き出てくる炎か。確かにこれじゃ、タイミングを計って突破……っていうのは、難しそうだね」
 トントン、と爪先で床を叩きながら、迷宮に仕掛けられた罠の悪辣さを前にし、極は冷静に推察する。
 アクションゲームのように見計らうにはリスキー、その場で対処を許すほどに都合の良い隙がある訳でなし。
 されど極は無策でこの場にいる訳ではなく、彼女は笑みを崩さぬまま力を籠めるように腕を交錯させると。
「だったら……耐える!」
 交錯させた腕を振りほどくように、力強く下ろしてみれば極の周囲を清廉な青い水の流れが渦を巻いた。
 水の魔力の清廉にして激しい流れが、死の罠によって残る熱の残滓すらも鮮やかに振り落とし、彼女の周囲の気温を下げていく。
 時期を見計らって無効化できないというのなら、炎を喰らう覚悟を以て、この水の流れを以て熱を下げ、その上で突破する――だがそれでも、踏み込むタイミングは今ではない。極は慎重に、死の罠が炎を噴き上げていく様をその眼に映し――
「――今だ!!」
 ――図ることの難しいタイミングに於いて、この不定期なトラップの唯一の「ベストタイミング」
 それは噴き上がった炎がピークを終え、ゆっくりと収束を始めたその瞬間。
 炎の勢いが弱まりを見せたその時に、極は水の流れ込むかのように、防護を纏いながら駆け出していった。
「いつ出るか分からないなら、終わり目を狙えばいいんだよね」
 少なくとも、炎が収束し再び出るまでの間は炎の勢いは弱まるし、盛ることはない。
 完全に無となるタイミングを狙うことが出来ないならば、まだマシといえるタイミングで消耗を抑える――ごり押しのように見えて、一つの最適解。
 後は身体が持つかどうか――纏う水の流れが音を立てて蒸発していき、熱の伝わりが肌に刺激を齎していきながらも。
 少なくともこの迷宮を突破するまでには、十二分に耐えうるための手段は持つ――いくつかのインターバルを経ながら、時折水の魔力を纏い直しては、また同様に炎の弱まる時期を見計らい突き進み。
 極は悠々と、流れ水のように鮮やかに迷宮を踏破するのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

レナータ・バルダーヌ
罠を壊せれば楽かもしれませんけど、後々を考えるとできませんね。
厄介事に限って重なるというのはその通りかもしれません。

聞いた限り罠を避けるのは難しそうですし、迷宮ですから道も単純ではないでしょう。
スピードで潜り抜けるにも五里霧中では限界があるので、【B.I.ライダー】にサイキック【オーラによる防御】を重ね、多少の負傷は覚悟で進みます。
体力の消耗はありますが、まともに受けるよりは増しなはずです。

確かに厄介な状況ではありますけど、悪いことばかりでもないですよ。
なぜなら、この世界に住む方々はまだ巻き込まれていないようですから。
災いの芽をふたつ摘み取れるならむしろ好機です。
なんとしても成功させましょう。



●逆転
 死の罠と称されるだけあって、定期的に噴き上がる炎の熱の残滓は、それだけで肌を焼いてしまいそうだった。
 時期を見計らい通り抜ける、という手段も難しい不定期な炎を受けずに突破するには、罠を塞いでしまう方法が考えられたが、レナータ・バルダーヌ(護望天・f13031)はそれを否定した。
「壊せれば楽なのですが、後々のことを考えると……できませんね」
 彼女のいう通り、そうすることが最も確実でリスクの低い行動だろう――後に続く仲間の為にもなるかもしれない。
 ただし、それは後に続く別の敵――狂えるオブリビオンを無傷で通してしまう、ということにも繋がる。
(厄介ごとに限って重なるとは言ってましたが、その通りかもしれませんね)
 溜息を交え、罠は悪辣、出来る限り残したい――突破しても強敵で、更にそれを倒してもまた強敵。
 積み重なる厄災の数々に、厄介ごとは重なるというグリモアベースでの言を思い返しながら心の中で同意しつつ、レナータはこの悪辣な罠に対し覚悟を決めて。
 迷宮と仕掛けられた死の罠を真っ直ぐにレナータは見据えると、彼女の傷跡から炎が揺らめいた。
「時間はかけません……すぐに終わらせてみせます!!」
 傷跡から揺らめき、そして勢いをつけて噴き出す炎が、宛ら鎧のように彼女の身を覆う。
 空を翔ける翼の力は代価として失われ、今も尚、纏う莫大な熱は彼女から体力を奪い続ける。
 然れども力強く、決意を固めれば纏う灼熱がより盛るように踊り、レナータは迷宮の道を闊歩する。
 当然、仕掛けられた罠が炎を勢いよく噴き上げれば、彼女の身を過ぎ去り――
「っ……!」
 身体に纏う炎の代価として払わされる体力の消耗と、炎の鎧を纏って尚、突き刺さってくる死の炎の熱に僅かに顔を顰める。
 多少の被弾は覚悟の上であるが、その上で尚、異端の神々を討つに足る業火の熱の恐ろしさを知りながらも、レナータは強気に顔へ笑みを張りつけた。
「まぁ、厄介な状況ではありますが……っ」
 考えようによっては、二つの脅威をここで一挙に打ち倒すことが出来る。
 この世界の民はまだ巻き込まれていない内に、大きな災いの芽を二つとも摘み取ることが叶うならば、それは素晴らしいことだろうと、レナータは思いながらも、一歩一歩を確実に踏み出し、炎の中を割り入って進んでいく。
「何としても成功させましょう」
 ハイリスク・ハイリターン。
 だがリターンはあまりにも大きい――勝利を信じ、纏う炎の熱量をより昂らせ、レナータはそれを掴みに炎の中を突破するのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

リーヴァルディ・カーライル
…第五の貴族に狂えるオブリビオン
どちらか片方だけでも厄介なのに、それらが合わさればどれ程の脅威になるか…

…この世界の未来の為にも、此処で必ず食い止めてみせるわ

事前に"精霊石の宝石飾り"に炎の精霊を降霊して魔力を溜め、
火の気配を暗視する熱感知能力を付与してUCを発動

超音波による反響定位を用いた第六感で情報を探り、
周囲に隠された罠の存在感を複合して見切り迷宮を進む

死の罠の炎ね、可能な限り避けるようにしないと…

避けられない罠は遠距離から超音波の斬擊波を撃ち放って破壊を試み、
罠が作動した場合は全身を超振動のオーラで防御して熱を遮断して受け流し離脱する

…っ、かなり威力が高い。やはり受けるのは最後の手段ね



●音に聞こえし脅威
 ――狩人からは逃げられない。
 見た目に可愛らしいと思っていても、近縁種の獰猛なることは百も承知だろう。
 かの種が持つ獲物を探る為の技法――音響を張り巡らせ、研ぎ澄まされ切った聴力を以て反響(エコー)を以て仔細を探る。
 死の迷宮に仕掛けられた、業火の罠の位置を、噴出孔の角度を、徹底的に探りながらリーヴァルディ・カーライル(ダンピールの黒騎士・f01841)は、待ち受ける状況へ僅かな焦りを抱いた。
(……第五の貴族と狂えるオブリビオン……一つだけでも厄介なのに……)
 それらが合わさってしまえば、一体どれほどの脅威になるのか。
 想像もつかないが、それでも行かなければならない――真っ直ぐに強い意志を瞳に降ろすと、彼女は静かに己の覚悟を口にした。
「……この世界の未来の為にも、此処で必ず食い止めてみせるわ」
 決意を籠めてリーヴァルディは一歩を踏み出した。
 既に罠の位置は手に取るように反響が教えてくれる――そして熱の気配は、宝石飾りに既に降ろしていた火の精霊が教えてくれる。
「……っ、……!」
 絶え間ない反響定位が教えてくれる位置と、精霊からの警告が炎の噴出を伝え、リーヴァルディはすぐに身を翻す。
 横を過ぎ去った炎の熱の残滓に危機感を覚えながら、新たに足を踏み入れた場所から炎が噴き上がろうとも、張り巡らせた警戒がすぐに彼女の身を動かして回避を行わせる。
「……そこ」
 無論、回避の間に合わぬと、幾つかの噴出口が炎の気配を放てばリーヴァルディは反響定位の為に発する音波の応用――超音波による大気の振動を以て遠く離れた罠へ刃を伸ばし。
 着弾した空気の振動が一瞬で罠の分子の結合を緩め、そのまま崩壊させる――そのまま、一気に突破を試みるかと足に力を籠めた、その刹那だった。
(不味いッ……!)
 不定期な炎は運否天賦に任せる形ではあるが、赤い蛇の目に睨まれて<ファンブル>しまえば、完全な奇襲となり得る。
 精霊石が幾度と鳴らす警告があって尚、避けるは不可能と呼べるほどに既に炎がリーヴァルディの背中へと迫る――が。
「ハァ、ハァ……!」
 咄嗟に全身に超振動を纏い、襲い来る炎を散らし、受け流すことでリーヴァルディは脅威を防ぐ――尤も、あまりにも突然のタイミングと熱量に息の乱れも見られるが。
 されど死の罠の威力、推して知るべし――防護して尚、伝わってくる熱量に、額へ浮かんだ汗を袖で拭い。
(……受けるのは最後の手段ね。尤も……)
 ちらりと目をやれば、そこはもう迷宮の出口。
 最後の手段は文字通り最後の手段となりて、これ以上の炎の脅威を受ける前にと彼女は迷宮を突破するのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

ウィーリィ・チゥシャン
【かまぼこ】
無茶振りは今に始まった話じゃないし、何度も切り抜けてきてる。
だから、今回もシャーリーと一緒にそれを乗り越えてやる。

罠探しはシャーリーに任せ、俺はその攻略を担当。
炎が噴き出すタイミングはランダムだろうけどその前兆はあるだろうからそれを【見切り】、シャーリーに合図して一緒に駆け抜ける。

もし予想外のタイミングで炎が噴き出したら鉄鍋の【盾受け】でシャーリーを【かばう】。
ダメージは【火炎耐性】と【気合】で耐えきる。

完全に通り抜けられない様に罠が配置してあったら近くの壁を叩いて【聞き耳】で向こう側に空間がある場所を探し、【料理の鉄刃】で【地形破壊】して抜け道を作る。


シャーリー・ネィド
【かまぼこ】
罠だらけの迷宮の奥にはお宝ザックザクっていうのがセオリーだけど、今回は期待できそうにないね
条件も無理ゲー気味だけど、だからこそ燃えてくるってね!
協力プレイでノーコンティニュークリアだよ!

【罠使い】で「自分だったらどこに罠を仕掛けるか」という視点で罠の場所を見抜き、【エクストリームミッション】を発動させてウィーリィくんの合図に従って猛スピードで突破する
もし間隙なく炎が噴き出してたら【視力】+【宝探し】で迂回できる隠し通路がないか探す
いくら狂える神を迎撃するためとはいえ自分まで出られなくなったら本末転倒だから、気づかれない様に抜け道は用意してあるはずだからね



●コンテニューは出来ないのさ!
 不定期に噴き上げる炎、それも無対策で浴びれば灰すらも残らぬ業火。
 耐えるにも少なくない消耗を強いられ、二つの相手と激戦に続く激戦を重ねなければならない――グリモア猟兵の説明に罪は無いが、やはり状況だけ見れば辟易するものだろう。
「無茶ぶりは今に始まったことじゃないし、慣れてるけどな」
 少年ウィーリィ・チゥシャン(鉄鍋のウィーリィ・f04298)は待ち受ける困難に溜息を吐きつつも、それでも切り抜けられることは確信していた。
 この――隣に立つ相棒の、少女シャーリー・ネィド(宇宙海賊シャークトルネード・f02673)の意気揚々とした顔を見れば尚更に思う。
 今回だって、彼女と一緒ならば困難は困難でなくなる――そう思う程に、彼女の姿は眩しく、闘志を顕にしシャーリーは拳をぐっと握り締めながら言葉を紡ぐ。
「だけど、だからこそ燃えてくるってね! ノーコンティニューで突破だよ!」
「ミスったら文字通り燃えるけどな」
「だから心だけは燃やすんだよ!」
「心を燃やしても身を焼くな……って?」
 ウィーリィの言葉にシャーリーはそう!と力強く頷けば、ウィーリィとシャーリーは微笑みを交わし合い。
 そんな彼らの闘志に呼応するかのように、迷宮の死の罠が吼える――やれるものなら、やってみろと言わんばかりに。
「じゃあ――作戦開始(ミッションオープン)だよ」
「応!」
 ウィーリィの前にシャーリーが一歩を踏み出し、彼女はサイバーアイを通して迷宮の壁を、床を、天井を見遣る。
(考えるんだ。ボクならどう仕掛ける?)
 精神を研ぎ澄ませ、サイバーアイの計測も合わせながら彼女は考える。
 もし自分がこの迷宮の主だったら?
 想定する敵になるべく多くの損傷を与えたい。出来る限りとなると――答えは、自ずと分かる。
「そこと、そこと、そこ!!」
 シャーリーの指し示す罠の位置――マスケット銃の熱線が罠を破壊しない寸での所にマーキングを行い、ウィーリィに明確に罠の位置を伝える。
 場所は示された。となればウィーリィは己の役目を、罠の発動を――例え完全なランダムといえど、兆候は必ずある。
 噴出孔のある個所が明確となったのならば、それを注視する。僅かな炎の揺らぎと橙色の輝きが点滅する。
 予想通り、その罠からは勢いよく炎が噴き上がり、兆候はこれで間違いが無いと確信する。
 なれば、とウィーリィは慎重に、突破を行う為の罠の兆候を、潜り抜けるに足る噴出を見切り――
「……今だ!!」
 彼の号令に従って鮫型の鎧を纏ったシャーリーが、ウィーリィを小脇に抱え背のバーニアを噴き上げて飛ぶ。
 炎の噴出まではごく僅か。
 だがそのごく僅かを一気に潜り抜ける加速を得たシャーリーは、ウィーリィを抱えながらも風を斬り裂き迷宮の通路を往く。
 だがそれでも、予測していたかのように噴き上げる炎が彼等の背へと迫っていくが。
「うおっと! っ……!」
 正に間一髪、ウィーリィが咄嗟に掲げた鉄鍋が吹き付けた炎の罠を受け止め、彼ら二人から炎を防ぎ切る。
 尤も、掠めた程度に関わらず赤く色づいた鉄の熱量に、直撃することの恐ろしさを改めて感じながらも、シャーリーはバーニアを強く噴き上げて。
「ありがと!」
「急げ! いつまた噴き出すか分からないぞ!!」
 ウィーリィの檄に従い、只管にバーニアを噴き上げ、彼の示す兆候を元に炎の軌道を見切りながらシャーリーは翔る。
 だが順当にこのまま、突破できるかと思われた矢先、彼等は【待った】をかけられることになってしまう。
「ここに来て、これかっ……!」
 ぎりぃ、と歯噛みするウィーリィとシャーリーの前には、目の前を完全に埋め尽くす炎という炎の罠。
 噴出が不定期であったとしても、細部を潜り抜けるには余りにも密集した炎――タイミングを見計らうことの難しさは推して知るべし、だからこそ、この密なる火炎が潜り抜けられぬことに歯噛みする。
 だが裏を返せば、出口には近いともいえる――罠の目的を考えれば、ここは特に念入りにするはずなのだから。
 だが自分まで通れなくなるのは避けたいはず、だとすればとシャーリーは周囲の壁を見渡し。
「……いや。必ず隠し通路みたいなの、あるはずだよ!」
「! そうか!!」
 シャーリーの決して諦めるなと言わんばかりの声に、ウィーリィは目を見開くと、シャーリーから降りる。
 そして壁に鉄鍋の底を打ち付け耳を研ぎ澄ます――煮込みや揚げ物の、僅かなタイミングを音で見計らう厨術のように。
 壁に鉄鍋を打ち付けた反響を探る――通路があるならば、反響は変わったものになる。そしてそれを、ウィーリィは聞き逃すことなく、その地点へとシャーリーに目配せをすると。
 まずウィーリィが探り当てた壁に大包丁で力強く斬り込み、分厚い壁を研ぎ澄まされた調理人の技を以て斬り裂き。
 次いでシャーリーが熱線銃を解き放ちそれを一気に打ち砕く――その中には、予測通りに迷宮の出口へと続く隠し通路が存在していた。
「こいつで――」
「――突破(ブレイクスルー)!」
 目を合わせ、新たな炎が吹き付けるその前に。最後の最後に存在していた隠し通路を通り、彼等は不屈(ノーコンティニュー)で迷宮を突破するのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

愛久山・清綱
此の世界に関わり始めて弐年が過ぎた。
戦いは終わる事を知らず、謎は次々と増えるばかりで、
兵(つわもの)達と交えた約束は、未だ果たせずにいる。
だが、俺は足を止めぬ。
■決
炎に当たった時に備え、全身に【オーラ防御】を纏う。
羽は一切使わず、燃え移りを防止するため畳む。

■行
【POW】
無茶は承知で、炎を避け進む。
移動の際は【野生の勘】と【聞き耳】を駆使し感覚を研ぎ澄まし、
少しでも異様な音が聞こえたら【ダッシュ】や【ジャンプ】を
駆使しその場からすぐ離れる。
炎が目の前に現れたら、【軽業】の要領で隙間を通るぞ。

万一炎に囲まれた際は【早業】の抜刀から【無刃・渾】を放ち、
炎を斬り伏せ道を拓く!

※アドリブ歓迎・不採用可



●深き闇夜にあろうとも
 此の世界に関わりもう二年――百年の支配の歴史に比べれば些末、されどあまりにも大きな二年の濃さを改めて思う。
 愛久山・清綱(鬼獣の巫・f16956)は目を伏せながら、これまでの戦いの数々を思う。
 数多くの夜闇の世の戦いを。思い返せば、疫病楽団の魔手から不眠に苦しむ村を守った日も、今は懐かしい。
 誉れ高き天使の兵と誓った約束も、未だ果たせない――戦えども戦えども、終わりの見えない闇に辟易することもある、が。
「行かねばならぬ。足は止めぬ」
 背の大鷲の翼をはためかせ決意を新たにすると、延焼を防ぐ為にそれを畳み。
 清綱は身体から激しい闘気を揺らめかせる――この迷宮に待ち受ける炎に勝るとも劣らぬ熱意を示すように、自らの身を護る被膜として。
 不定期に噴き上がる炎を前にして、清綱は躊躇いなく一歩を踏み出す――擦れ違った罠からは炎が噴き上がってこない。
 何とも心臓に悪い。
 だが次に足元に存在していた罠が入口に炎の兆候を煌めかせれば、清綱の角が鈍い痛みを訴えた。
 虫の知らせという奴だろうか――それに逆らわず、彼は咄嗟に後方へ跳躍し立ち昇った火柱を間一髪のところで避けた。
「ふぅぅぅ……」
 心臓が激しく脈打ち、息苦しさを覚える程に掠めた熱は凄まじい。
 オーラを纏い防護を行っていて尚、直撃は何としても避けたいと思わせる、生と死の境目に彷徨う感覚。
 そこへ更なる追い打ちをかけていくように、壁や、天井に仕掛けられた噴出口から業火が解き放たれた。
 だがまだ良い――次々と吹き付ける炎の中であっても、隙間は見えている。
 故に清綱は擦れ違う際に感じる熱の痛みを恐れることなく、炎の細かい隙間を巧みに潜り抜けながら闇深き道を進んでいく。
 されどもされど、業を煮やしたかのように、いよいよ迷宮の出口に差し掛かろうとした清綱の360度全てを、運悪くというべきか――不定期な筈の炎が折り重なって取り囲む。
 このままでは防護も虚しく清綱は灰となるか――否。
 立ち込める熱気の中に於いて尚、冷たく走るかのように武人の剛健な闘気は研ぎ澄まされ、清綱は刀の柄に手を掛けた。
「無駄なこと。いくさ場に道理の二字は無し……」
 ――全てを覆い尽す、異端の神々をも灼(や)き払う業火。
 取り囲まれてしまえばお終い――否、例え実体無き炎であろうと、武人の居合は、斬り伏せる。
「奥義、無刃」
 鞘から抜き放たれた鋭くも鮮やかな金属の煌めきが一つ、その一つで何処までも鋭い閃きが取り囲む炎を呆気なく斬り裂き。
 別たれた炎の中を、軽やかに――まるで炎に見送られるかのように清綱は抜けていくのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​




第2章 ボス戦 『『呪氷の災姫』イナンナ・アスタルテ』

POW   :    荒れ狂う忘却の大蛇(リスィ・ウロボロス)
【魔煌弓で射た、呪詛刻む黒き吹雪纏う呪氷剣】を巨大化し、自身からレベルm半径内の敵全員を攻撃する。敵味方の区別をしないなら3回攻撃できる。
SPD   :    甘い誘惑と呪詛痕(スウィート・カース)
【一瞬でもときめき】の感情を与える事に成功した対象に、召喚した【禍々しい形状のハート】から、高命中力の【下僕化を促す呪詛痕】を飛ばす。
WIZ   :    愛しき下僕達(ディア・マイ・サーヴァント)
召喚したレベル×1体の【呪詛痕刻まれた人型オブリビオン】に【黒き翼と魔導蒸気銃剣】を生やす事で、あらゆる環境での飛翔能力と戦闘能力を与える。

イラスト:山本 流

👑11
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●天唾の貴族
 死の罠が仕掛けられた迷宮を突破した猟兵達の前に、地底都市の入り口で待ち受けていたのは第五の貴族と呼ばれる存在だった。
 第五の貴族――『呪氷の災姫』イナンナ・アスタルテは二括りにした銀髪を躍らせ、やってきた猟兵達を心底楽しそうに見回した。
「あらぁ、狂える神々よりも先に来るなんて」
 背の蝙蝠めいた翼をはためかせてはあちらこちらを飛び回り、猟兵達の動きを弄ぶように彼女は動き。
 支配階級の嗜虐的な心を剥き出しに、艶美に舌を見せながら天を舞いつつ彼女は何処までも笑っていた。
「くすくすっ……♪ ああ、面白いこと。とても面白いこと」
 はふぅ、と陶酔に頬を染め、舌を覗かせ忙しなく小刻みに動かしながら、イナンナは弓と剣を構え。
 戦意を向け続ける猟兵達に、女王然として空中で脚を組みつつ見下ろすと。
「いいでしょう。少しだけ遊んでアゲル。間違っても勝てると思わないことね。あなた達が如何に強かろうと無駄なこと」
 そういうとイナンナは己の手の甲に刻まれた紋章――艶めかしい唇と、そこから垂れる唾の上に交錯した雷の描かれた、第五の貴族の紋章を輝かせた。
 あれこそがイナンナの誇る【天唾の紋章】だろう。
 紋章を妖しく輝かせ蠢かせながら、イナンナは猟兵達に艶めかしく視線と指先の動きを送ると。
「天に唾すれば己に跳ね返る――わたくしに逆らうことの愚かしさ、思い知りなさい。授業料はあなた達の屈辱に満ちた顔と血でいいわ」
 受けた損傷を蓄積し、矢の形として相手に返す――正に天に唾するものは己に跳ね返るという言の体現だろう。
 だが付け入る隙が無い訳ではない。
 発射直後の硬直を狙うべく反撃に対処するか、多くの種類の攻撃を一度に叩き込む――即ち仲間と協力して一斉攻撃を行うか。
 間違いなく強敵だが、第五の貴族の身体を乗っ取らせる訳にはいかない――そしてそれに苦しむ民を一人でも多く減らす為に。
 絶対者を気取る第五の貴族との、戦いが始まった――!
御狐・稲見之守
ふふ、天唾の紋章か。
その傲慢、その驕りを否定する気はない。
さあ遊ぼうじゃァないか。

金眼を輝かせ[呪詛][催眠術]による幻覚――
呪詛はお前の躰を蝕みとめどなく痛みを注いで来る。
さあ痛みに耳を傾けるが良い。
はてさて、『痛み』はどれだけ溜められるかな?

これまで喰ろうた[呪詛]を霊符に込め彼奴へと放つ。
無論、苦悶苦痛といったもんをたっぷりにな。

もし痛みの中でもまだ弓を引く根性があるならば良い。
その驕りもまた真と認め天唾の矢を受けてやろう。
もっとも、放出直後の隙に呪詛をさらに注いでやるが。

さあもっと遊ぼうぞ。
この我に幾つの矢を生やしてくれるか。

遊び終えたらば[UC精気略奪]にて彼奴を喰らうこととす。



●呪術開戦
 ――肌を突き刺すような冷たさと、呪氷姫の昂ぶりの熱が互いの嫌な感覚を同時に味わわすような、嫌な空気が漂っていた。
 その中で、漸くに口を開き噴き出した稲見之守は口元に手を当て隠すと。
「ふ、ふふふ……」
「くすくす……」
 ――天に唾するものは己に跳ね返る。この自らを天<絶対者>と信じて疑わぬ、この姿勢、何とも素晴らしいものではないか。
「その傲慢、その驕りを否定する気はない。さあ、遊ぼうじゃァないか」
「望むところよ。いらっしゃい、狐さん」
 小悪魔めいた指使いで稲見之守をイナンナが誘えば、稲見之守はそれと同時に眼を黄金に輝かせた。
 ――さあ痛みに耳を傾けるが良い。
「あぅっふ……!」
「はてさて、『痛み』はどれだけ溜められるかな?」
 イナンナは襲うは、呪詛と幻覚による耐え難い苦痛――何処か艶めかしく、苦痛に悶え身体を痙攣させる彼女を、稲見之守は何処か楽しそうに眺めながら。
 今も幻覚の檻に囚われ、呪いに身を刻まれ続けるイナンナへと、更に稲見之守は符を叩きつけた。
「ああああっ……!」
 籠められたる、稲見之守がこれまでに喰らってきた呪詛――苦悶苦痛をこれでもかと詰められたそれがイナンナの身を犯し。
 激しい苦痛が彼女の身体を駆け巡り、その肌から鮮血を噴き出させていった。
「く、ふぅふぅ……♪ やって、くれるじゃァないの」
 されど呪氷姫は嗤う――手の甲に輝く、天唾の紋章を掲げながら。
 受ける苦痛に顔を不快と快感の相反するものが混ざり合う、奇妙な表情を浮かべな、紋章から悍ましく濁った輝きを矢の形とし、魔弓に番えた。
 イナンナの舌なめずりに答えるように、稲見之守もまた同じくして舌を覗かせて嗤ってみせた。
「ほう……認めてやろう。その驕りとやら。正しく天唾とな」
 口角を釣り上げた妖狐の発した声と同時、呪氷姫が番えた矢を解き放った。
 それを逃げる素振りも見せず真っ向から受けてみれば、彼女がこれまでにイナンナへと与えた痛みが跳ね返る――常人ならば正気を幾度となく失っておかしくない苦痛を受けて尚、稲見之守は嗤い。
 矢を放った反動で無防備となったイナンナへと、大きな苦痛を与えた呪詛の符を更に叩き付け。
 それでも尚、嗤い天唾の矢を返されれば、それを敢えてまた受け止め――妖狐は嗤う。もっと遊ぼうぞ、と。
 やがてその身体に数多の天に唾した罰の矢を敢て受け、棘を生やした形となった彼女は満足そうに笑うと。
「――嗚呼、真に楽しかった。だが、遊びはここまでだ」
 せめて僅かなりともの経緯を表し、一欠片も残さぬように――呪詛をとくと孕んだ影がイナンナへと張り付き。
 その身体を黒く染め上げて、命を喰らっていくのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ベスティア・クローヴェル
私達が来なければ身体を奪われてしまうというのに、凄い自信
それだけ自分の得た力に信頼を置いているということか
私も同じような力を持っているからこそ、その手の効果は死ぬほど使い勝手が悪いという事を教えてあげよう

銃の咆哮を轟かせて牽制しつつ、ダメージの累積を狙おう
自信満々に弓を構えるまでは逃げの一手
余計なダメージを負って、カウンターに失敗したら笑えないもの

そして弓を放ってきた後が最大のチャンス
致命傷だけは避けつつ受けて、命中していた銃弾を黒槍へと変えて倍返しだ

傷を負わねば攻撃できないなんて、ほんと使い勝手が悪いな……
あとのことは他の猟兵達に任せるしかなさそうだ



●アヴェンジャー
 終末を齎す咆哮を彷彿させる、火薬の爆ぜる轟音が戦場を満たしていった。
 獰猛なる神殺しの狼が牙を剥くかのように、咆哮の元――散弾銃から撒き散らされた弾が体勢を立て直そうとしていたイナンナに突き刺さっていった。
 それでもイナンナは攻撃を受けても、すぐ様に表情に愉悦を取り戻し散弾銃を放ったベスティアに向き直る。
「凄い自信」
「事実だもの」
 くすくすと笑い突き出されるイナンナの剣を、機敏に後方へ跳躍して躱し。
 更にイナンナより矢を――これは普通の――放たれれば、そのまま壁を蹴って跳び、矢の突き刺さる場所を己から壁とすり替えて。
 お返しに散弾銃を撃ち込みながら、しなやかに床へ着地しながらベスティアは思う。
(私達が来なければ身体を奪われるというのにな)
 狼の耳を忙しなく条件反射的に動かさせる、嫌な笑い声とその驕りに辟易の様相を見せていると。
 途端にベスティアの耳と尾が急速に張り詰め、筆舌に尽くし難い気配を彼女に告げる――
「悠長にしていてよろしくて?」
 言葉が響くと同時、イナンナは悍ましく輝く矢を――これは剣ではない、紋章の力が齎した矢だということを察し。
 それに気づいた時には、天唾の矢の切っ先はベスティアの身体へと今にも突き刺さらんと――
「ぐ、うぅ……」
 だが咄嗟に身体をずらし、致命を避けて受けていて尚、筆舌に尽くし難い苦痛がベスティアの思考と身体を容赦なく蹂躙する。
 胸を抑え蹲る人狼へと、呪氷姫は舌なめずりと共に嗤い。
「くすっ……辛いでしょう? それがわたくしに逆らうものの末路。与えた痛みを、あなたが味わい、果てな、さ……!?」
 天唾の矢を放った代償に、身体の動きが思考に追いつかぬ状況に陥ったイナンナが、代わりに口を動かすが、勝ち誇った愉悦は突如として中断させられた。
 彼女の身に突き刺さり肉を抉り、焼く苦痛がイナンナの身を駆け巡り、激しい苦痛による脱水が目より迸る。
「星々が天から堕ち、大地は震え、黒き太陽が世界を焼き尽くす」
 イナンナの身を犯す肉を裂く棘と、灼熱の苦痛を齎す黒き業火はベスティアが撃ち込み続けた散弾が転じたモノ。
「倍返しだ」
 響く言葉は冷たく、されどもイナンナより噴き上がる黒炎は激しく噴き上がり何処までも熱く。
 ベスティアが受けた天唾の苦痛を、更に突き返す勢いで呪氷姫の身を蹂躙していく――!
「ほんと、使い勝手が悪いな……」
 自らの身を犯す苦痛に頭を掻き耳をへたらせて、自嘲気味に笑い。
 ともあれ自分にできることはやり尽くした――後は後続の猟兵達に任せようと、ベスティアは身体を伸ばし息を吐いた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

幻武・極
へえ、この地底都市の第五の貴族様ってことだね。
手厚い歓迎、痛み居るよ。
さて、貴族様への挨拶はこんなものでいいかな?
ボク達には後ろ(狂える神)も控えているから、早々に相手してもらえるとありがたいんだけど。

それが天唾の紋章の紋章か。
ボク達ごときじゃ、第五の貴族様の足元にも及ばないってことかな?
じゃあ、ボクのあがきを受け切って見せてよ。
幻武流超奥義、キミは耐えられるかな?

へえ、幻武流超奥義を耐えきるなんて、さすが第五の貴族様だね。
じゃあ、2回攻撃の2回目まで耐えられるかな?
ああ、ちなみにキミのユーベルコードだけど下僕化させられても、幻武流超奥義は途中で止められないんだよ。



●ノーフレーム
「へえ、この地底都市の第五の貴族様ってことだね。手厚い歓迎、痛み入るよ」
 入ると同時に手を横に広げる紳士の礼(ボウ・アンド・スクレープ)を示した少女へと、呪氷姫は僅かに目を丸くするとすぐ様に妖艶に笑って答えた。
 畏まった礼もそこそこに、極が紳士淑女の礼を払うと身体中より闘気を迸らせ、イナンナもまたそれに応えるように凍てつく空気を場に張り巡らせた。
「さて、挨拶はこれぐらいでいいかな? ボク達には後も控えているから、早々にお相手して貰えると助かるんだけど」
「あらあら、あらあら。焦るのは良くないわ? 心配せずとも……」
 遊んでアゲル――ふっくらとした唇に指先を当て、飛沫を飛ばすように、指を弾いてみせれば、放たれゆく妖しい何かを躱すように、極は大きく距離を取り。
 そのまま引き絞られた弓が解き放たれるように、勢いよく距離を詰めると手刀を突き出す――が、イナンナが手の甲と其処に輝く紋章を見せると、極は動きを止めた。
「覚悟がないのかしらぁ?」
「……じゃあ、ボクの足掻き、受け取って見せてよ。幻武流超奥義……キミは耐えられるかな?」
 イナンナの嘲笑に口角を釣り上げ、極は掲げられた天唾の紋章に覚悟を決めたように一歩を踏み出した。
 刹那。
 まるで地を縮めたかのように、一瞬でイナンナへと距離を詰めると極はイナンナの鳩尾へ拳の一撃を叩き込む。
 ヤワな相手ならば一撃で仕留められたであろう一撃も、難なく耐え切る姿に極は更に笑い。
 虚実の入り混じる無数の拳を遠慮なくイナンナの身体へと、次々と叩き付けていく――息もつかせぬ連続攻撃とは正にこのことか。
 ――だが莫大な攻撃はそのまま、呪氷姫の紋章の糧となる。
 連続攻撃の隙間を縫って解き放たれた天唾の矢と、隷属の呪いが極を貫き容赦なくその身を犯す――されど極は快活に笑う。
「流石、第五の御貴族様だね……けど!」
 ――天唾の痛みが身を痛めつけようと、下僕化の呪(まじない)が強敵への胸の高鳴りに呼応し、隷属の呪詛を刻み付けようと。
「悪いね、止められないんだッ……!」
 追い詰められた窮地に呼応し、彼女の背中に張り付いたコントローラーが追加で指令(コマンド)を送り。
 踏み込んだ時の一撃をより強化――瞬き一つ(数フレーム)から認知できぬ(ゼロフレーム)程に初速を強化し、その速度でイナンナの腹部に更なる一撃を叩き込み。
 追撃としてそのまま身を垂直に屈め、僅かに身を乗り出しては、神聖なる竜が上るかのように、錐もみ回転を行いながらのアッパーカットを以てイナンナへと華麗なる一撃を決めたのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

シーザー・ゴールドマン
イナンナ・アスタルテか。また大層な名前だね。
ハハハ、自分を天に見立てる者にはお似合いともいえる。
まあ、オードブルとしては上等の部類か。

敵WIZUCにより召喚されたオブリビオンの群れごと、イナンナを『ヤーヌスの双顔』による、破壊消滅の魔力で継続的に攻撃。
『天唾』により跳ね返されたダメージには平然として見せる。
(実際は負った瞬間、攻撃と共に発動している完全再生の治癒により回復)
そして、硬直している瞬間を見逃さず、間合いを詰めて、オーラセイバーによる大上段からの一撃を。

『天唾の紋章』か。どうやら、君は天ではなく唾の方だったようだね。



●遊戯
 第五の貴族が立つ戦場へと、赤い公爵は威風堂々と肩で風を斬りながら入っていった。
 弓と剣を手に持ち、戦場をパタパタと飛び回る様を見上げ、赤い公爵は――シーザーはふむ、と声を発すると。
「イナンナ・アステルテか。また大層なお名前だね」
「人の名を言う前にご自分の名はどうなのかしら?」
「これは失礼……シーザー・ゴールドマンだ。覚えておかなくても良いがね」
 わざとらしく紳士の礼を執ったシーザーに、イナンナは鼻を鳴らして随分とご立派な、と前置きをした上で。
「名前負けしないとよろしいけれど」
「ハハハ。君はブーメランが上手だね。弓矢よりそっちを使ってはどうかな?」
 シーザーの貴族めいた皮肉にイナンナは顔を歪めるでもなく、表情に艶美な笑みを張りつけたまま、両手を打ち合わせると。
「こちらの方がお帰りになるそうよ。送って差し上げなさい」
 愛しき下僕達(ディア・マイ・サーヴァント)――唇を艶やかに動かし、呼びつけるは百を超すであろう、数多の黒き翼と銃剣を備えた人型の亡霊だった。
 見送りとしてはあまりにも豪勢に過ぎる軍勢だったが、それを前にしてもシーザーは一切怯むことなく、悠然と一歩を踏み出した。
 亡霊達の熱烈な見送りの礼(銃剣からの一斉射撃と突撃)が、赤公爵を欠片も残さず黄泉送りとしようとしたその瞬間――シーザーが軽く腕を払えば、不可視の魔力が戦場を駆け巡り、イナンナの呼びつけた兵を一撃で消滅せしめていた。
「まあ、オードブルとしては上等な部類か」
 ――僅かに残す方をマナーと捉えるのならば、完膚なきまでに滅し終えた様は限りなき皮肉であろうか。
 口角を釣り上げ、片手間と言わんばかりに掌を突き出しては、兵を片付けた破滅の魔力で以て容赦なくイナンナの身を苛める。
 されど容赦ないその痛打は、天唾の紋章の糧となり――悍ましく火花迸らせた矢を、彼女のつがえさせていた。
「メインディッシュよ。デザートは要らないわよね?」
 返事は聞かないけれど――解き放たれた矢が、赤公爵の腹を穿ち抜いていた。
 しかし。
「ッ……」
 苦痛に顔を歪めるイナンナの目に映ったのは、一切の傷を作らずに目の前で光輝く刃を振り下ろしていたシーザーの姿だった。
 続いて身体に走る、振り下ろされた剣による斬撃の衝撃が、彼女の身体を、紋章の代償として無防備となっていた身体に致命的に刺さり膝を着かせる。
 矢がシーザーを貫いたのは事実、されど彼は纏う魔力によって貫かれる傍から自らの身を癒し、無傷のように見えていたのだ。
 頽れたイナンナを見下ろし、シーザーは鼻を鳴らすと静かに言い放った。
「唾は君の方だったようだね」

大成功 🔵​🔵​🔵​

リーヴァルディ・カーライル
…今のうちに油断していなさい
その慢心が命取りになると思い知らせてあげる

今までの戦闘知識で【愛しき下僕達】の空中機動を見切り、
"呪宝珠弾"を乱れ撃ち敵の闘争心を反転させて同士討ちを試み、
集団戦術が乱れた隙に怪力任せに"黄金の楔"を投擲
拷問具に武器改造して敵の生命力を吸収し捕縛する

…数で圧すのは悪手よ?特に、私みたいな者にはね

第六感が紋章の力や自身の危険を捉えたらUC発動
紋章の矢を魔法陣のオーラで防御して受け流しつつ吸収
紋章の力を上乗せし魔力を溜めた大鎌をなぎ払い、
限界突破した呪詛の斬擊波によるカウンターを放つ

来ると分かっているなら対処は容易いもの

…授業料を支払うのは、どうやらお前の方みたいね?



●利息不要(既に取り立て済)
 ふらり、ふらりと身体をよろめかせながらも二括りの銀髪を振り乱し、陶酔の混じる顔に強がりを張りつけて。
 呪氷姫イナンナ・アスタルテは新たな戦意を向ける対象に気が付くと、恋する少女のように染めた頬に手を添えて微笑む。
「嗚呼、懲りも懲りずによくいらっしゃること」
 来客――リーヴァルディに気付くと、イナンナは柏手を打った。
「お前達、遊んで差し上げなさい。……どうせ、ここまで来られると思わないけれど」
(……今の内に油断していなさい)
 その慢心が命取りになると教えてあげる――飛来する下僕達の軌道を見切り、突き出される銃剣を、解き放たれる魔導の弾を。
 最低限の動きで躱しながら逆襲としてリーヴァルディは呪宝珠弾を乱れ撃つと、孕む呪いによって闘争心を乱され、同士討ちの様相を呈されていった。
 目を軽く見開くイナンナへと、間髪を入れずにリーヴァルディは投擲する――その剛力に任せて放たれた黄金の楔は、拷問器具となってイナンナの身体を苛め、押さえつけていた。
「まあ」
「……“それ”は悪手よ? 特に、私みたいな者にはね」
 ――圧倒的な物量で押すのは、それを乱す手段があれば仇としかならないのだから。
 淡々と語るリーヴァルディとくすくすと弄ぶように笑うイナンナの間に、冷たい静寂と燃え盛る闘志が綯交ぜとなる、時を錯覚させる間が齎された後、イナンナは口を開いた。
「だったら――」
 赤々と輝く舌を覗かせ、唾液を滴らせながら、イナンナは手の甲の紋章を強く輝かせていった。
 この吸われた分だけ、痛めつけられた分だけ、天に唾する愚かさを教えてやるとでもいうように、強気に顔を歪めたイナンナは赤黒く火花を散らす矢を番えた。
「……血によりて生くる者、血によりて滅びぬ」
 ――来ると分かっているなら対処は容易い物。
 イナンナが矢をつがえると同時、リーヴァルディも又、掌を突き出し眼前に精緻な方陣を輝かせた。
 放たれた矢が今正に、展開された方陣に文字通り吸い込まれれば、其れを糧とするリーヴァルディは感じていた。
 ――豪語するだけあって、凄まじい力であると。しかしそれ故に、逆用してしまえば大きい。
 まさか返された“唾”を飲み込む所業に、驚愕と愉悦の入り混じる奇妙な顔をしたイナンナへと、リーヴァルディは冷たく言い捨てる。
「……授業料を支払うのは、どうやらお前の方みたいね?」
 イナンナの唇が何かしらの言葉を紡ぎあげようと開かれても、それよりも早く大鎌の刃は弧を描き。
 走る刃と其処に籠められた猛毒と呼ぶにも優し過ぎる呪詛は、深く、深く呪氷姫の身体へと沈んでいった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ウィーリィ・チゥシャン
【かまぼこ】
無茶振りには慣れてるけど流石にキツイな、これ。
それでも、この世界の危機を放っておく訳にはいかないからな。

俺達以外の他の猟兵達にも協力してもらい、同時攻撃を仕掛ける。
俺は【厨火三昧】の炎をシャーリーと反対側、奴の右目を狙って【部位破壊】で一点集中で叩き込む。
万が一仕留めきれなかったとしても奴の視界は遮られるはずだから、紋章の力で矢を放つのを阻止する事は出来る筈。
その隙に配下の攻撃を掻い潜って【ダッシュ】で接近し、矢を放つ前にダメ押しの大包丁での【二回攻撃】を【限界突破】させた多段攻撃を叩き込む!


シャーリー・ネィド
【かまぼこ】
いっそ狂える神々と共倒れしてくれたら楽なんだけど、そうならないからボクたちが呼ばれたんだよね
まずは一仕事、片付けよっか!

他の猟兵のみんなと連携して一斉攻撃!
狙いはボスの左目!
【スナイパー】+【クイックドロウ】+【部位破壊】+【目潰し】でピンポイントで熱線を集中させて撃ち込む
それでも倒しきれなかったら最後にもう一撃!
ウィーリィくんの攻撃に合わせて【リミッター解除】で銃身が焼けるのを承知でブラスターを最大出力で撃ち込むよ!

ときめきを【気合い】で乗り越えて敵UCを防ぐ
ボクをときめかせられるのはワクワクする冒険と大事なパートナーだけだよ!


四季乃・瑠璃
緋瑪が機巧大鎌による機巧【推力移動】からの連続攻撃【早業、切断】で敵に張り付き近接戦闘。
瑠璃が回り込む形でK100二丁で、それぞれ凍結と雷撃の属性を付与した射撃【早業、属性攻撃、ドロウ、弾幕】と感知式ボムで緋瑪の隙を補い、敵に反撃の隙を与えない様に中距離支援。
敵の小技や多少のダメージはUCによる不死再生で無視し、二人掛かりで絶え間なく攻撃を仕掛ける事で敵の大技及び紋章による反撃の隙を与えずに押し切る様に攻撃。
敵がオーバーフローにいけば良し、なければ時間操作で蓄積した力を無効化して追い詰めるよ

緋瑪「以前戦った碎輝と同じだね♪」
瑠璃「力を蓄えるなら、蓄える前に戻してしまえば良い。碎輝より簡単だよ」


ハルア・ガーラント
F ●WIZ
仲間と協力して立ち向かいます
ひとりでは無理なことも手を取り合えばできるもの

〈銀曜銃〉で殺傷力を削り麻痺効果を上乗せした魔弾を射出、継続した攻撃を [マヒ攻撃・誘導弾]

彼女の下僕が召喚されたらUCを発動
どうぞ上から抜けてください――白炎壁に一切触れずに羽ばたけるのなら!
彼女に対する牽制にもなりそう

弱そうなのに嫌らしい攻撃をちくちく続けるわたし
こういう相手って真っ先に狙いたくならないかな
膨れ上がる殺気を[第六感]で捉え、〈咎人の鎖〉を芯にし斜めに構えたオーラの盾で矢を空へ逃がしましょう [オーラ防御]
そこに生まれる隙を仲間に攻撃して貰えたら
わたしも動けるならば〈パニッシャー〉で攻撃を



●トモガ、イルカラ
 息を吐いたイナンナの横をプラズマの火花を迸らせた熱線が過ぎ去り、その頬へ傷を刻みつけていた。
 傷が走る度に高熱が焼いたことで、血は流れずとも十二分にイナンナの心を苛立たせるには十分であった。
「いっそのこと狂える神々と共倒れしてくれたら楽なんだけど」
 その熱線を放った海賊風の姿をした少女、シャーリーはマスケット銃で狙いを定め、イナンナへと追い打ちを掛けながらぼやいた。
 咄嗟に後方へと跳躍し、翼をはためかせて空へと逃げるイナンナであったが、更に其処へ雷と冷気を伴った銃弾が走り、彼女の翼を掠め空へ逃げる動きを牽制していた。
「行くよ、緋瑪」
「行こう、瑠璃!」
 二つの魂を二つの身体に受肉させ、イナンナよりの反撃が如何に身を刻もうと、即座に時を巻き戻し損傷を無と変えて。
 二人で一人の殺人姫、瑠璃と緋瑪はイナンナを追い立てる――瑠璃が拳銃から執拗に弾丸を撃ち込み、緋瑪が大鎌に仕込まれた炸薬を爆ぜさせ、その勢いで強かに刃を斬り込ませることで。
「あらあらあらあら。随分といらっしゃること……ッ」
 更に其処へ打ち込まれた魔弾――麻痺毒を仕込み、それだけで致命とはいえずとも、苛立たせるには十分なそれを撃ち込んでいた天使がいた。
「どうとでも。手を取り合えば、できます。ひとりでは無理なことでも」
 向ける瞳は真っ直ぐに、深緑の心洗われるような瞳を向けながら、ハルアは更に銀曜銃から次々と魔弾を撃ち込みイナンナを怯ませていき、彼女の意志を示していく。
「とはいうけど、キツイ相手だよなコレ」
 大いに同意するけど、と前を置いた上でウィーリィがハルアの言葉に続ける。
 何しろ相手は普通に戦うだけでも十二分にキツイものがある、第五の貴族――紋章の力を抜いたとしても、一筋縄でいかない強敵であることは確かなのだから。
「無茶ぶりは慣れてるけど……さっ!」
 何度だって超えてきたし、今もこうして共に戦う仲間がいる――決意を新たに目に闘志を籠めると、大包丁を振るいイナンナの目を狙いウィーリィは炎を盛らせた。
「さっさと一仕事片付けよっか!」
「応!!」
 シャーリーの言葉にウィーリィが強く頷き出した途端、イナンナは僅かに身体を震わせると。
「くすくす、ふふっ、あーっはっはっは……!!」
 弾かれたように大声を上げて嗤い出すイナンナは、自らの身から流れた血を掬い舐めとってみせた。
 その間も、絶え間なく彼女を襲う猛火と、熱線と銃弾と、大鎌の刃を互角に打ち合いながら嘲笑える余裕に猟兵達の背に嫌な汗が滲み出していた。
「あ~……ふふっ、ごめんなさい。おかしいわ。とてもおかしくて」
 目の端に浮かび出た雫を擦る彼女へ、猟兵達は何かが来る――そう察したか、弾かれたように動き出した。
「最高よあなた達。でもダンスの相手に一度に五人はきついの。だから少し遊んでいて頂戴な」
 その一番槍として放たれた、敢ての緋瑪よりの鎌の一撃による衝撃を受けては、その勢いで大きく後方へと逃げを選ぶ。
 さりとて他の猟兵達――特に銃を構えるシャーリー、瑠璃、ハルアの三人が逃がす筈もないが、それよりも一瞬早くイナンナは呼びつけていた。
 翼をはためかせ、武装していた圧倒的な死霊の大軍勢を――猟兵達の一気呵成の攻撃で反撃を許さないも目論見を、数の暴力で叩き潰すのか。そう思われたその時だった。
「――残念ですが、少しそこで迷っていてくださいね」
 呪氷姫の下僕達を封じたものは、白く燃えて盛る炎の迷宮だった。
 盛る炎の熱とは裏腹に、真っ直ぐな瞳の表情と放たれる言葉は冷たく、ハルアの生み出した迷宮に囚われ、イナンナの兵達は炎に身を包まれ灰と還っていく。
「どうぞ上から抜けるのならばご自由に――白炎壁に一切触れずに羽ばたけるのなら!」
 如何に翼を生やし飛行力を得た兵といえども、ハルアの生み出した迷宮の中では翼を広げれば、どうしても白炎の壁に当たってしまう。
 そして壁に当たったが最後、取り込み拘束の憂き目に逢うのは明白であり、数の暴力は意味を為せなくなる。しかしイナンナはコロコロと笑ってみせると。
「ふぅぅ……こんなに熱烈に迫られるのは久々。だ・け・ど……うんざりだわ。ほぅら、あなたのお相手は別の子……」
 数の暴力で対抗するのが難しいならば、仲間に引き入れるまで。
 躊躇わずにイナンナはシャーリーに目を向けると、熱っぽく息を吐き出し、艶やかな唇に指先をつけると、それを弾きシャーリーへと熱いラブコールを送る。
 確かに同性ですらともすれば魅了されかねない、堂に入った仕草であるが。
「ボクをときめかせられるのは……」
 ――そりゃ、いっぱい【ドッキドキ】なことはあったかもしれないけれど。
 だけど今のこの状況で、そんなのは全然ときめいたりなんかしない。
「ワクワクする冒険と大事なパートナーだけだよ!」
 強き意志を以てイナンナの魅了を捻じ伏せ、弾かれるように指を動かし熱線を解き放ち。
 更に其処へ緋瑪の舞い踊るような大鎌がイナンナの身を斬り裂き、瑠璃からの雷と氷の弾丸と、そしてハルアの麻痺毒を孕む魔弾がまた突き刺さっていく。
「ぬぐっ……!」
「……」
 ――この場で狙うは、苛立ちがやたらと強く煽られる麻痺毒の使い手か。呻きながらもイナンナは狙いを定めた。
「ああ、やってくれること。とても不愉快よ。ええ。不愉快――だぁかぁらっ」
 思うがままに行かない戦いに見せる表情は、不条理に苦しみ、そして楽しむ者の顔――イナンナの手の甲に紋章が強く輝いた。
 天に唾するものは己に跳ね返るという摂理を体現する、受け続けてきた損傷の蓄積を一気に返すと言わんばかりに、攻撃の合間を縫って瞬き一つにも満たぬ間に、弓に光り輝く矢を番え、それをハルアへと向けていた。
 だがそれこそ、正に待ってましたと言わんばかりに、二人で一人の殺人姫達はアイ・コンタクトを示すと。
「「(私/わたし)達をときめかせられるのも殺しの時だけ。さあ今こそ殺戮の『時』。我らが敵全てに死を与えよう!!」」
 瑠璃と緋瑪が掌を突き出せば、イナンナの周囲を光のラインが走り、その周囲で時計を空中に描く。宛らイナンナを時計を模した牢獄に閉じ込めるかのように。
 そして描いた時計型の方陣の中の、時の進みを示す針が音を立てて文字通りの反時計回りに廻って往けば――齎される結果に、イナンナは目を見開く。
「なっ……!」
 矢こそ番えたままであるが、迸っていた力の気配、即ちイナンナの蓄積し続けた力は鳴りを潜めていた。
 殺人姫達が行う限定的な時空操作によって、天唾の紋章は時を戻され、蓄えていた筈の力が消え去ってしまっていた。
「以前戦った碎輝と同じだね♪」
「力を蓄えるなら、蓄える前に戻してしまえば良い。碎輝より簡単だよ」
「だったら“もう一つの”攻略法も同じだよな――!」
 かの黄金の竜神と違って、上昇するのは飽く迄攻撃力のみ――裏を返せば他の能力は影響がないのだから当たらなければ如何様にも対処のしようはある。
 それこそ正に、かの竜神との戦いで魅せた対策が見事に当たったとし、ハイタッチを交わす瑠璃と緋瑪に続けるように、ウィーリィが大包丁を強く掲げ叫んだ。
 ――これ以上を蓄える前に、一気に仕留めると。
「うんっ!」
「だね」
「そうっ♪」
「はい!!」
「……ふ、ふ、ふ……あーっはっはっはぁっ!!」
 一早くシャーリー、続けて殺人姫達、最後にハルアと力強く言葉を返せば、矢を番えたままのイナンナが高々と笑ってみせた。
 ここに来て全てを覆されたことへの悔しさを誤魔化すか、それともまた別の昂揚か――その真偽の判断はつかずとも。
 代償を知りつつも破れかぶれのつもりなのだろうか、矢そのものを無とされた訳ではない故に、イナンナはすぐ様に引き続き定めていた狙いへと、矢を解き放つ。
「……! っく……はぁぁっ!!」
 だがハルアは咄嗟に、盛大な火花を散らし障壁を以て受け止めていた。
 金色の鎖を芯とし、斜めに構えた光の障壁は著しく弱体化した矢を傷一つなく受け止めると、軽々と、ハルアの腕に殆どの反動を残さずに天唾の矢を【意趣返しのように】天へと弾いていった。
「――今です!!」
 見開かれたハルアの目と、放たれた檄が耳へ届くよりも前に。
 ウィーリィとシャーリー、瑠璃と緋瑪の四人の猟兵達は既に行動を開始していた。
「極めた火工は、原初の炎さえも従える!!」
「最ッ高にワクワクする冒険だよね……これって!!」
 ウィーリィとシャーリーがまず先を行くかのように、彼等それぞれがイナンナの右目と左目を各々の攻撃で狙う。
 極めに極まった料理人の操る手足<火炎>がイナンナから見ての右半分を、呪氷の名諸共焼き尽くす勢いで踊り、彼女の半身を焼いていき。
 更に左半分を突き刺し続け、光熱で灼いていくのは、数瞬の間に何十発とトリガーが引かれ、マスケット銃の口から放たれる熱線。
 更に業火を更に躍らせ、煽り立てるように瑠璃から投げ放たれた爆弾が業火と衝撃を以てイナンナの身を更に追い立てて。
 シャーリーの放ち続ける熱線と合わせるように、雷撃と凍結の術式をふんだんに乗せた緋瑪よりの銃弾が撃ち込まれていく。
 一瞬の硬直はそのまま致命的に、情けも容赦もない熱量が呪氷姫の反撃の機会を容赦なく奪い去っていた。
「ハアアアアアアッ!!!」
 後は流れに乗せて、全てを押し切る――誰よりも一早く、紅衣を靡かせながら原初の炎を迸らせて、大包丁でウィーリィはイナンナへと斬り込んでいた。
 僅かな天唾の紋章が輝く間も与えずに、怒涛の攻勢で以てイナンナの身を斬り刻んでいく。
「まだ倒れないなら……焼き切れるほどに、シュートッ!!」
「――断罪(Punishment)の時間です」
 更に其処へ、ウィーリィの刻み付けた斬撃に重ねるように、銃身が焼け焦げることも厭わぬほどに、激しい熱線をシャーリーが撃ち込み続け。
 矢を弾き既に体勢を整え直していたハルアの構えたライフルより、これまでの罪を断つかのように楔の如き弾丸が撃ち込まれ。
「「今こそ我ら殺戮を終える『時』! 完全な滅びを与えよう!」」
 更に更に、二人で一人の殺人姫達からの出し惜しみ無しの爆弾と銃撃と、大鎌の乱れ斬りが次々とイナンナを襲う。
 熱線と、断罪の弾丸と、殺人のあらゆる手段と、二度燃えた大包丁の斬り上げが一斉にイナンナへと叩き込まれ。
 天唾の紋章はその全てを取り込むこと敵わず、眩い閃光を発しながら宿主の身を灼いてしまうのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

愛久山・清綱
第五の貴族、覚悟して頂く!……と、言いたい所だが。
其方達の『紋章』を見ていると、思うのだよ。
其方達は、何者かに利用されているだけかもしれぬとな。
■闘
俺の剣は【カウンター】重視、此の者とは相性がいい。
序盤は矢の回避に徹し、撃った後の隙を狙うとしよう。
しかし一騎打ち故、巨大な矢が3発来ることは想像に難くない。
矢が放たれる瞬間を目視しながら【見切り】つつ、ギリギリの
回避を狙うぞ。万一当たりかけたら【呪詛耐性】を纏った
【オーラ防御】で耐える!

敵の動きが止まったが好機。【残像】を伴う猛【ダッシュ】で
急接近、攻撃回数を重視した【件鬼・刀】で連続斬りを仕掛け、
一瞬にして【切断】せん。

※アドリブ歓迎・不採用可



●静かな返しの刃
 一切の言葉を発する気配もなく、ただ無言で佇んでいる姿でさえも、何かの機会で動き出せばと思わずにいられないそれへと、清綱は静かに声を掛けた。
「第五の貴族よ」
 邪を祓い封ずる大太刀を静かに構え、嵐の前の静けさへと清綱は厳かに戦意を告げた。
「覚悟して頂く! ……と、言いたい所だが」
 彼の言葉にイナンナもまた、笑い声を漏らすと弓と魔剣をその手に構え直し、ゆっくりと翼を揺らしながら剣を弓へ番えてみるが。
 清綱からの待ったをかける言葉に思わず肩を落としながらも、
「肩透かしのおつもりかしら? 趣味の悪いこと」
 嘲笑い斬り捨てるかのようにイナンナは清綱に向けて、弓に番えた魔剣を射る。
 空を斬り裂きつつ、暴れ狂うかのように巨大化し暴威を撒き散らす剣を、清綱は武士の歴戦の勘を以て見切り躱すと、そのままイナンナへ距離を詰め、その身体を大太刀で深く斬り裂いた。
「其方達の『紋章』を見ていると、思うのだよ。其方達は、何者かに利用されているだけかもしれぬとな」
 言葉を続け、イナンナの血が滴る大太刀をそのまま身を翻し振るえば、イナンナは解き放った剣を手に呼び戻す。
「…………」
 清綱の横薙ぎを魔剣の腹で受け止め火花を散らしながら、彼の問いかけに対し彼女は浮かべた笑みを崩さぬまま無言の時を経て。
 そのまま突き出した魔剣の切っ先と、咄嗟に横にされた大太刀の腹が更に火花を散らし、互いの身を後退させた。
「さぁ……どうなのかしらね?」
 未だに顔に笑みを浮かべたままに、魔剣を矢に番えて解き放ち。
 呪われた黒い吹雪を迸らせ、巨大化していくそれを紙一重で清綱は躱すと、魔剣の矢が纏う吹雪をも斬り捨てるかのように、大太刀を薙いだ。
「少なくとも、わたくしは気に入っているのだけれども」
 清綱の重く鋭い一撃を受け後退しつつ、イナンナは手の甲に輝く紋章で以て剣の矢よりも激しく痛みを与えるであろう、光迸る矢を番えた。
「……そうか。では」
 ――この矢はこれまで以上に慎重に。闘気を迸らせ自らの身を守りながら、解き放たれたそれを僅かな掠りも許さぬほどに大きく、されど恐れることなく適切な距離を保っては躱し。
「参る」
 横を過ぎ去って尚空恐ろしき呪詛を感じつつも、清綱は再度距離を詰めると――大太刀の重さを感じさせぬ程に、まるで小太刀を軽々と取り回すかのように残像すらも見えぬ程に手早い一撃を伴いながら擦れ違う。
 刹那。
 イナンナの身に花が咲き誇るかのように、閃き続けてきた鈍い銀の軌跡が走り――全てを連撃に振り切った大太刀の鮮やかな刃が、呪氷姫の身体に血を噴き上げさせていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

レナータ・バルダーヌ
自分を天だなんて思っていませんけど、意を決する意味で敢えていいます。
常にあなたが天とは限りませんよ。

敵の攻撃はサイキック【オーラで防ぎ】つつ、戦場にある物を【念動力】で操作して反撃します。
最初は瓦礫などだけかもしれませんけど、召喚された敵を倒し、その銃剣を混ぜていけば攻撃力を上げられるでしょう。
あとは相手が紋章を使うのが先か、わたしが【痛みに耐え】られなくなるかの勝負です。
紋章による矢が放たれたら防御して受けきり、意識だけでも全力で留めて【A.B.エンパシー】で【カウンター】、二度目は撃たせません!

どうやら地の底に天はなかったみたいですね。
……っとと、わたしも言えるほどの体じゃありませんか。



●天に唾した者……
 ――決して自らを天とは思わない。
 ただ敢て決着をつける為に彼女は佇むイナンナへと言葉を告げた。
「常にあなたが天とは限りませんよ」
「いいえ――私は常に、天でいるの。やりなさい」
 柏手を打ち、レナータの言葉に強気な笑みで返しつつ、イナンナは翼を生やした死霊の兵団を呼びつけた。
 それに対しレナータは自らの身をサイキックで守りながら、さもありなんといった風に返した。
「まあ、そういうだろうと思っていました」
「ご期待に沿えなくてごめんなさいね」
 隷属した死霊の兵団からの、魔導蒸気による銃の弾を念動力の障壁で受け止め空中で制止させ。
 続けてやってきた突き出される銃剣の刃も寸でのところで留めながら、戦場に転がった瓦礫を念力で掴むと、襲い来る死霊諸共強引にイナンナへと叩き付ける。
 当然、それを躱すイナンナだったが、瓦礫を叩きつけたことで昏倒させ、死霊から主導権を奪った銃剣を念力で掴み上げると、残った弾丸を一斉に撃ち込んだ。
 銃弾で身を刻まれながらもイナンナは嗤う。
「くす……このままイヂワルに削っていくのも乙だけれども」
 ――イナンナの兵団が尽きるか、レナータの念動力が尽きるか。
 延々と続くかと思われたダメージレースにやはり気まぐれな姫は飽きたのか、手に刻まれた紋章を輝かせた。
「やっぱり、誰が天なのか教えてアゲル」
 解き放たれた全ての痛みを凝縮した矢が、レナータの身体に突き刺さる――避ける気なんて更々無かった。ただ、覚悟して受けて尚。
「……ッ、が、ぁぁあああっ……!!」
 意識が混濁する、なんて生温いものじゃない。
 正気を保とうなんて考える時点で血迷ったと言われても可笑しくない、激しい呪詛の苦痛がレナータを襲っていた。
「この身に受けた痛み、すべてあなたにお返しします!」
 ――だからこそ、その狂気に全てを賭けて繋ぎ止める。
 魂すらも引き裂く苦痛に身体を震わせながら、全霊を以て掌を突き出せば。
「――ッ!!?!」
 突如としてイナンナの身を襲うは、今正にレナータの身体に刻み付けた苦痛。
 例え第五の貴族の実力が隔絶していようと、イナンナ自身の体感としてレナータが確かに味わっていた苦痛が呪氷姫の魂をも引き裂いていく。
 感覚はそのまま肉体をそうであったと齟齬を直させるように、イナンナの身体から血飛沫を内側より迸らせ、その身体を自壊させていく――!
「どうやら地の底に天はなかったみたいですね」
 天に唾する者は己に跳ね返る。
 奇しくもその道理の不利益を、否応なしに叩き付けられ声なき叫びを挙げながら果てたイナンナの、今やもう何も存在しない地点を見据え。
 漸くに倒した実感が彼女の心に湧くと同時、その身体がぐらついた。
「……っとと、わたしも言えるほどの体じゃありませんか」
 ぶり返してきた矢の痛みと身体から流れる血に苦笑いを浮かべながら。
 この痛みを感じられることも、勝利の誉れというべきか――限りない強敵を倒した一時の安らぎに、溜め込んだ緊張を息と共に吐き出すレナータであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『破壊神』

POW   :    光の救済
レベル×100km/hで飛翔しながら、自身の【光輝く三対六枚の翼】から【戦場全体に概念、事象、魂を灼く破壊の光線】を放つ。
SPD   :    あまねくすべてを救う破壊
自身が【うたを歌って 】いる間、レベルm半径内の対象全てに【対象が救いとするものが壊される絶望の幻覚】によるダメージか【精神だけに作用し堕落と多福感を与える救済】による治癒を与え続ける。
WIZ   :    天使のうた
攻撃が命中した対象に【うつくしい歌声に呼び起こされる絶望と悲哀】を付与し、レベルm半径内に対象がいる間、【救済を求めぬ限り続く狂気の付与と魂の破壊】による追加攻撃を与え続ける。

イラスト:縞祈花

👑11
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●破壊天使降臨
 ――第五の貴族は正に激戦だった。
 時に力を合わせ、時に隙を見出し、天唾の紋章の力を乗り越え、強大な敵を猟兵達は見事に打ち倒した。
 その戦いの激しさを物語るように、場の猟兵達の息は乱れ、明らかに激戦に依る消耗が見えていた。
 だがほんの一時の休息は、猟兵達の肌に走った嫌な感覚で終わりを告げさせられた。
「――……、…………♪」
 現れたのは、純白の翼をはためかせ祈りを捧げながら歌う天使だった。
 それだけならば神々しい救いの手にも見えるだろう――だが、放たれる悍ましく狂気に満ち溢れたその気配は、既にその身が異端の神々に支配されていることを示している。
 彼女から放たれる歌の音色は清らかにして、とても美しくはあったが、同時に猟兵達は感じていた――この天使は、天使は天使でも全てを破壊する死の天使である、と。
「……ぁ♪」
 一斉に戦いへと体勢を整える猟兵達だったが、放たれている気配は圧倒的――狂えるオブリビオンと化した存在の強大さがひしひしと感じられる。
 だが付け入る隙もある――体の所々に焼け焦げた傷跡が見えるのは、猟兵達ですら真面に受けることを避けた炎で、身を焼かれ続けたからだろうか。
 逆を言えば受け続けて尚、猟兵達ですら激戦となった第五の貴族を討てるという証かもしれないが――それでも刻まれた熱傷は決して少なくない。
 そして当然のことであるが、ここで戦いを避けたとしても、狂える神はまた別の第五の貴族を狙うだろう。
 これ以上の厄災を産み出させない為に、破壊をもたらす天使との最後の戦いが始まった――!
御狐・稲見之守
なるほど、相手が天使様とはまた面白い。

[UC傀儡符]驕れる者イナンナ
我が勅命により死せる命を以て陏身せよ。
さあ今少し玩具で遊ぶとしようか。
ああ、面白いこと。とても面白いこと。

傀儡のイナンナをぼろ雑巾になるまで盾にして戦わせておく。
なぁに、アレが塵芥になる前に天唾の矢を撃てればそれで良し。
天使様が憑依しようにもアレは既に死んでいる。

その間に我が金眼の神通力……[第六感]を以て
天使様が罠で負った傷とやらを見通そう。
撃ち易い場所がわかったならば、そこを狙わせる。

驕れる者よ、その紋章を以て天使様に弓引くが良い。



●巡る天の唾
 形容しがたいという他にない、邪念の一切ない、しかしそれ故の狂気と白痴の恐ろしきは場の空気を凍てつかせるに十二分であった。
 その中で、くっくと心底に楽しそうに笑う声が響く先にいたのは――黄金の目を輝かせていた稲見之守だった。
「なるほど、天使様が相手とは、また面白い」
「~~……♪」
 なればこの相手が相応しいだろう――稲見之守はある符を取り出すと。
「我が勅命により死せる命を以て陏身せよ」
 其れは戦場で意識を失うか死した存在を傀儡と化して操る技。
 それが呼びつける者は、当然考え得る最高の戦力――銀の二括りを揺らし、蝙蝠めいた翼を広げ、剣と弓を持つ者。即ち――
「…………!」
「ッ……!」
「我が言いは神の言い、此れは神命ぞ」
 呼びつけられた呪氷姫の姿に、求めていた者を見せられた天使が顔を輝かせ、呪氷姫が恨みを籠めた眼で稲見之守当人を睨みつけた。
 されども唇の端を釣り上げ、表層の意識の敵意はそのままに、深層を制御下に置いた絶対的優位に立った心の儘に呪氷姫の敵意を斬り捨てると、稲見之守はすっと指を天使に突き付けて。
「大人しく、行けい」
 そして言われるがままに傀儡と化したイナンナは、剣を以て破壊天使へと斬り込み立ち向かっていく。
 力は生前より劣るといえど、やはり第五の貴族だけあって狂えるオブリビオンともやりあえる――されども、無邪気に笑ったままの狂える神々から発せられる韻律は否応なしにイナンナの身を削っていく。
 ――ああ、愉快愉快、面白いこと、とても面白いこと。
 救済を求めぬ限り続くであろう苦痛と損傷は、絶え間なくイナンナを犯し続けるのは、骸の傀儡となって尚、堕ちぬ矜持か。
 それを知りながらも無邪気に形容しがたい歌声と韻律を以て、破滅という名の救済を与えようとする天使も、実に実に。
 イナンナが戦っている間に、稲見之守は金色の眼を細め破壊天使の傷跡を見遣り探っていく。考え得る【最高の一撃】を叩き込むのに相応しい場所を。
(……ふむ)
 ――弱点は見定めた。死の迷宮の罠で焼け付いた痕の、狙う先は複数ある翼の一つ。
「さて」
 そして傀儡<イナンナ>も見れば既に身体は崩壊寸前、紋章の威力も最高潮となるか。
 稲見之守は静かに手を挙げれば、歯ぎしりしながら傀儡は紋章より生み出した矢を番え、引き絞り。
「大儀であったぞ驕れる者よ。その紋章を以て天使様に弓引くが良い」
 解き放たれた天唾の矢は、そのまま破壊天使の火傷痕へと真っ直ぐに突き刺さり――それと同時、解き放った反動で傀儡は崩れ去り。
 求めていた肉体の消え去った絶望の元、突き刺さった矢は天使の翼を一つもぐのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

リーヴァルディ・カーライル
…傷口が再生していない。どうやら炎に対する耐性は高くないみたいね

…これが最後の戦い。全てを破壊する神なんて、この世界には不要よ

"炎の精霊結晶"を怪力任せに投擲する早業で時間を稼ぎ、
真の姿の吸血鬼化して血の魔力を溜めUCを発動

…我が身に宿れ、闇の理。光を呑み、全てを焼き尽くす焔となれ…!

"闇の炎"を自らの体に降霊して同化して武器改造を施し、
自身の体を闇炎の鳥に変化させて超高速の空中機動で突撃

…全魔解放。この一撃をもって手向けとする
この地の底で鎮まるがいい、狂える破壊神…!

敵の傷口から体内に切り込み闇炎のオーラで防御を無視して生命力を吸収し、
限界突破した闇炎を放射して闇属性攻撃の大爆発を行う



●黒き鳳凰
 紡がれる歌の音色と、それを紡ぐ唇の艶やかなことは邪気の無さを感じさせ。
 されど齎される破壊の様相と、それが導く最悪のヴィジョンは悪意無き邪悪という意味を強く思い知らせていた。
 リーヴァルディは翼を広げた天使を目にすると、改めて決意に顔を引き締めて。
「……これが最後の戦い。全てを破壊する神なんて、この世界には不要よ」
 無邪気な歌を紡ぐ破壊の天使が、翼より破壊の光を放つ前に、リーヴァルディは一つの結晶を取り出すと、それを備わった剛力に任せて投げつけた。
 反応するよりも早く、叩きつけられた結晶が割れては内側から巻き起こる紅蓮が、破壊天使の身を舐め回し、その身を焦がしていく。
(……やはり炎は効く……)
 元来、死の罠が強力無比であったこともあるが、それでも炎そのものはこの狂える神には相応に効いているようだった。
 であれば、後は強力無比な、より強き炎で焼き尽くす――リーヴァルディは内に眠る魔の部分を昂らせ、吸血鬼としての真の力を引き出すと。
「……我が身に宿れ、闇の理。光を呑み、全てを焼き尽くす焔となれ……!」
 闇の炎を自らの身に取り込み、その身を黒く闇色の燃え盛る大鳥と化し、リーヴァルディは舞い上がる――まさに闇炎の鳳凰が如く、死の罠に勝るとも劣らぬ業火を備え、天使の放つ光も物ともせぬ再生能力を宿す。
 されど強大な力を宿す代償としては、その身体と同じように――心もまた【化物】と化して、相対する天使と同様の破壊を齎す者と変わってしまうこと。彼女が【人】でいられる時間は――
(……10秒。決着をつけるには、充分)
 ――だが、それでいい。
 恐らく決着は一瞬でつくのだから――白と黒、相反する色の翼を広げた天使と鳳凰が空中で幾度となくぶつかり合い、文字通りの火花を散らす。
 最早目で追うことを考えることすらも馬鹿げた、秒数にして二つも数えぬ合間に幾度となく、白と黒のぶつかり合った回数は百を超えてた。
 そして無限にも続いたかと思われたせめぎ合いの果て、リーヴァルディが距離をとり、天使が負った損傷に片膝を着くと。
「……全魔解放」
 ばさりと翼を広げ、迸る黒い熱気が大気を揺らめかせていた。
 そして一瞬で――リーヴァルディは傷口より天使の身体に吸い込まれるように深く、そして苛烈に斬り込んでいく。
 纏う闇のオーラを以て狂える神の血肉を喰らい、命を啜り上げ――
「この一撃をもって手向けとする。この地の底で鎮まるがいい、狂える破壊神……!」
 解放された、限界を超えた力はそのまま闇の爆発となり、光無き闇夜の世に於いて尚鮮やかに、闇炎が駆け巡っていった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

幻武・極
さて、お出ましのようだね。
異端の神々、キミを倒してこのミッションを終わらせるよ。

レベル×100km/hなんて速度で飛ばれたら追いつくのも大変だし、先制攻撃で通信対戦を使わせてもらうよ。
通信ケーブルで繋がっていれば、逃げられる心配はないよね。
ロープワークでバランスを取り繋がり続けておくよ。

魂を灼く破壊の光線ね。
ボク達武術家やバトルゲーマーにとっては魂が灼かれるのは強化効果でしかないんだよ。
なんせ、魂に火がくべられるんだからね。
魂が燃えあがるに決まっているじゃないか。
通信ケーブル辿って登り、攻撃をしていくよ。



●チェーンデスマッチ
 これが最後のミッション――物語の最後を飾るラスト・ボスとの戦いなれば、ゲーマーとして心熱くなるものか。
 故に彼女、極は破壊神を目にするや否や、ゲーム機を取り出すと――
「せぇいっ!!」
 デバイスから照射された赤外線が狂える神の身体にポイントをつけた刹那、破壊神の身体へと盛大な爆発が叩き込まれていた。
 破壊神にとってさしたる痛打ではないが、それよりも大事なのは破壊神と極の間を、通信ケーブルが――宛ら両者の手首と手首を繋ぐチェーンデスマッチを繰り広げるかのように、繋がれていった。
「悪いけど空に逃げられちゃ堪らないからね――さて」
 外そうと思っても外れない、消えない繋がりを押し付けられ困惑する破壊天使へと、力強く極は指を突き付けた。
「ボクはキミは対戦を申し込むよ。ボクからの挑戦を逃げたりなんかしないよね?」
 純真無垢な赤い瞳の輝きに呼応するように、無垢なる笑顔の破壊神は翼を重厚に、鮮やかに羽搏かせ空を翔けていく。
 当然、ケーブルにぶら下がる形となっている極も振り回される形となるわけだが、飛び回る速度が速度なれば、彼女に襲う重圧も桁外れだ。
 ――まるで、ついてこれるのならばついてこい、と言うように。
「アハッ……いいよ! 徹底的に……!」
 しかし極は、この困難(ハードモード)にも臆さず、寧ろ楽しむかのように、身を襲う重圧に耐えながら。
 一つ、また一つと――破壊天使と自らを繋いだケーブルを手繰り寄せていくように、その距離を詰めていく。
 諦めない不屈の粘りを見せる極へと、破壊天使は流石に鬱陶しさを感じてきたのか――飛翔を止め、翼を広げると極を目掛けて光を放った。
 単なる破壊光線ではない、概念も、魂も灼き尽くし破壊する恐ろしき閃光を真っ向から極は浴びる結果となる。
 このまま魂を灼き尽くされ、物言わぬ廃人と化して潰えるか――否。
「――ダメなんだよ。そんなことをされたって、ボクは武術家で、バトルゲーマーなんだ」
 ――魂を灼いてしまうなんて、並々と注がれた燃料に火をつけるのと同じことなんだから。
 身を犯していた苦痛は一瞬で吹き飛ぶ程に、燃え上がる魂は極の身体を後押しさせて。
「魂が燃え上がるに、決まってるじゃあないかッ!!」
 駆ける。駆け上がる。
 只管に、強く、強く――二人を繋ぐケーブルを駆け抜け、硬直していた破壊神の傍へ辿り着き、繋ぐケーブルを引き寄せて。
 全力を籠めて握り締めた拳を振り上げ、突き出されるそれへと叩きつけさせにいくように――そして。
 肉がひしゃげ骨が罅入る鈍い音を立てては、ケーブルは引き千切れ。破壊の天使が叩き落され、戦を制したKOの勝鬨が何処からともなく響いていった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

シャーリー・ネィド
【かまぼこ】
あの炎を避けずに突っ切って来れたんだから無茶苦茶強いって事だよね?
でもさすがにノーダメージって訳にもいかないはずだからそこを狙うよ!
行くよ、ウィーリィくん!

【先制攻撃】+【咄嗟の一撃】+【部位破壊】で歌を歌われる前にその口をビーム銃で狙って歌を妨害してその僅かな隙に【クイックドロウ】+【スナイパー】で傷跡をピンポイントで狙ってブラスターで集中攻撃!
そうするウィーリィくんの攻撃のチャンスを作る
二人がかりで傷口を一斉に攻撃すればかなりのダメージは与えられるはず!

悪いけど、キミの救いはノーサンキューだからね!


ウィーリィ・チゥシャン
【かまぼこ】
そりゃこんなのが来るんだったらデストラップ仕掛けたくなるのも無理ないか。
その点についてだけはさっき倒した第五の貴族に感謝したいところだな。
そんな訳で、そこを狙わせてもらうぜ!

奴の攻撃を【見切り】で回避し、鉄鍋の【盾受け】と同時に【シールドバッシュ】で投棄して身代わりにして【カウンター】でその隙に炎の【属性攻撃】を付与した大包丁で【部位破壊】で奴の傷跡を狙って攻撃。
そしてシャーリーの攻撃に乗じ【厨火三昧】のありったけの炎を奴の身体中の傷跡を狙って【部位破壊】で一斉に攻撃。
灼かれる痛みをもう一度味わいやがれ!



●救済と堕落の境目
 ――炎と常に共に在り、その恩恵と脅威を良く知る者がいる。そしてその側にいるからこそ、彼女もまた分かっていた。
 あの死の罠の炎の、その脅威というものを。真っ向から受けることを避けた炎の強さを、故に目の前にした破壊神に生唾を飲み込み。
「……あの炎を避けずに突っ切って来れたんだから無茶苦茶強いって事だよね?」
「化け物かよ……」
 シャーリーの戦慄に対し、同じく生唾を飲み込むウィーリィ。
 ハナからアレを見て真っ当な存在だ、と言い切れるタマでもないが、あのデストラップに焼かれ続けて尚、強敵と思い知らされる覇気に辟易するのも無理からぬこと。
「そりゃこんなのが来るんだったら、デストラップ仕掛けたくなるのも無理ないか」
「でも流石にノーダメージって訳じゃない」
 見て、とシャーリーの導きに従い目線を映して見れば、破壊天使の身体には未だ癒えぬ赤い焼け焦げた痕や、これまでの戦に刻まれた傷跡が見える。
 それが無ければ、第五の貴族の戦いで消耗しきった自分達では、ほぼ為す術もなく倒されていたかもしれない、と改めてウィーリィは頷き。
「その点についてだけは、第五の貴族に感謝だな――行くぜ!」
「うんっ!!」
 破壊天使が彼等二人に狙いを定め、目を輝かせ微笑んだと同時。
 マスケット銃の切っ先を勢いよく突き出したシャーリーは、躊躇わずに引鉄を引き、銃口より光熱を迸らせた。
 正に電光石火――正確無比の射撃が破壊天使の口元を掠め、白い肌に新たな熱傷を刻み付ける。
 先んじて紡がれようとした歌をシャーリーの放つ熱線が強引に中断させながら、ウィーリィは鉄鍋と大包丁を手に勢いよく踏み出した。
 唇が歌を紡ぎだす前に、僅かなりとも早く、早く――必死に熱線の援護を背に、距離を詰め征くウィーリィだったが。
「~~~…………♪」
 されども破壊の天使は紡ぐ――無邪気に笑い唇を動かし、人の知識・思考では詳しくは聞き取れない、超言語での歌を。
 熱線によって刻まれた熱傷が、動かされる唇を阻害していて尚、破壊者の紡ぐ韻律はすんなりと澄み渡っていった。
「ッ……!」
 咄嗟に鉄鍋を掲げて顔を塞いだとしても、音の流れは容赦なく鉄鍋を響かせ、残響がウィーリィの耳を犯す。
 美しい音色とは裏腹に、彼の頭の裏に強引に呼び起こされる絶望、かつて望みを最悪の形で打ち砕かれる幻影の迷宮にも似た、彼女(シャーリー)との別れが朧気ながらに眼裏に張り付き始める――だが。
「これ以上、歌わせないよっ……!」
 音よりも光は尚速く。
 慌てず急ぎ、間髪を入れずに光線を解き放ったシャーリーの、幾重にも放たれた光が破壊天使の身体へと突き刺さっていた。
 そしてワンテンポ遅れて走る光熱の痛みが、死の罠によって刻まれた熱を更に抉り、常人なら心壊す苦痛が紡がれる歌を強引に閉じさせた。
「危ねぇ……」
 頭を包丁の峰で軽く叩き、残響を追い出すようにするウィーリィ――幸いにも本格的な心蝕が始まる前だったのが幸いしたのか、ウィーリィとシャーリーの精神はほぼ無傷だった。
 仕切り直すように、また絶望と狂気を齎すべく唇を開こうとする破壊天使だったが、シャーリーの眼はそれを見逃すわけもない。
 これ以上の歌も紡がせたりはしないと、弾かれるように指を動かし、瞬きの間に何十発もの光条を撃ち込み続け、シャーリーは破壊天使の歌を紡がせず。破壊天使から見れば一つ一つは小粒であっても、一度に何十発も、それが絶え間なく注げば決して無視はできない熱量となって肌を灼き――
「お返しに、くれてやる!!」
 駄目押しにウィーリィが破壊天使の顔面を目掛け、犠牲にする覚悟で鉄鍋を勢いよく投擲する。
 重厚に磨き抜かれた黒い輝きの曲面が、その質量と投擲の勢いを乗算し、破壊天使の顔面へと鈍くも盛大な音を響かせる――鉄を打ち付けた音は図らずとも、僅かに残っていた毒歌の響きを完全に滅し。
 そして打ち付けられた鍋によって鼻血を垂らし、足元を覚束ないものと変えた破壊天使へと、更にウィーリィは大包丁を手に斬り込んだ。
 鮮やかな熱き一閃、鋼鉄の重量と刃の鋭さに燃え盛る炎の熱を乗せた一撃が破壊天使の身体を過ぎ去った。
 熱傷の痕を、同じく熱と斬撃の痛みで更に抉られ、破壊天使が苦痛に分かりやすく顔を歪め、胸を抑えて膝を着くと。
「悪いけど、キミの救いはノーサンキューだからね!」
「灼かれる痛みをもう一度味わいやがれ!」
 今正にウィーリィが斬り裂いた箇所へと、シャーリーから放たれた、指を酷使して放たれる幾つもの熱線(ブラスター)が、容赦なく破壊天使の身体に突き刺さる。
 呻き声をあげる間も許さぬ熱線の嵐の中を、更にウィーリィが手繰る原初の炎が踊り、破壊天使の体中を、刻まれた熱傷という熱傷を喰らい尽すように踊っていく。
 光熱と炎熱、白熱と紅熱。絶妙なコントラストを魅せる二つの灼熱は、破壊天使に刻まれ続けた熱傷へと次々と、次々と幾度となく叩き込まれていき。
 破壊天使の口から発せられる絶望と狂気の韻律を、遂には灼かれる苦悶の雄叫びへと変えさせていくのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

シーザー・ゴールドマン
流石は狂えるオブリビオン。無策で焼かれ続けてきたのか……所詮は借り物の器なのか扱いが雑だね。
それとも策を弄する知性が残っていないのかな。
まあ、いずれにしても消えてもらおう。

オドを活性化して戦闘態勢へ。
敵POWUCの破壊の光線を『第六感』で何となく避けながら、迷宮の罠、これまでの戦いで負った損傷を観察して最適打を与えられる個所を把握。(見切り)
超音速で飛び回る天使のその個所を光の速度を以て魔弾が穿ちます。
『アララトの流星』

能力は強大だが、言葉を交わせない存在はやはり面白みに欠けるね。



●戯れ未満
 見上げるほどの天高きに自らの身を置き、神々しい翼を広げ、初雪のように白い羽根を舞い散らす様は救いの神の顕現が如く。
 救いは救いでも全てを滅ぼす、という何れにしろ笑うに笑えない救済であるが――その破壊の使徒が放つ、あらゆる全てを灼き払う光線が豪雨のように地に降り注いでいった。
「流石は狂えるオブリビオン。無策で焼かれ続けてきたのか……所詮は借り物の器なのか扱いが雑だね」
 それを一切の苦も無く、息の一つの乱れも見せぬまま、丁寧に揃えられた黒髪を揺らしシーザーは上空を見遣った。
 其処には無邪気に祈るように手を組み、微笑みを崩さぬま翼から光放ち続ける天使の、滑らかな衣や肌が赤く無惨に焼け爛れている様が見えた。
 あの死の迷宮の罠を無策で潜り抜けていったのは、体色通りの【白痴】というか――ギロチンの刃が落ちるかのように、勢いよく落とされた光をシーザーは横へ跳躍することで外させては彼は上空の破壊天使に問いかけた。
「それとも……策を弄する知性も無いのかな? おっと、だとしたら反論する知性も無いんだったね。悪かったよ、ハハハ」
 わざとらしく両手を広げ笑って見せるシーザーに、悪意というものは……見られても、何処か自然とした軽口と見えてしまうか。
 降り注ぎ続ける光を、まるで先を見ていたかのように自然と足を運び、硬い地面の削られて礫舞う様を払いのけて。
 隙間なく又注いでいく破壊の閃光を、後方への宙返りという軽業を見せつけてシーザーは破壊天使の祝福<破壊>を丁重にお断り<躱し>ていった。
 破壊の祝福を断り続ける貴公子に、上空の神は困ったように眉を下げる――どうして受け入れてくれないの、と無言で訴えるように。
 その間も容赦なく注ぐ祝福の嵐を平然と摺り抜けて、シーザーは手櫛で前髪を上げると上空を見上げる。
「君の能力は実に強大だ。しかしだ、君はやはり、第五の貴族に劣る」
 溜まった澱みを吐き出すように息を吐いたシーザーに、狂った悲哀を表情へ浮かべた破壊神がヤケを起こしたかのように光を注がせる。
 されどもシーザーはそれを涼し気に受け流しては、彼の金色の眼は既に赤く爛れた背を捕えていて。
「言葉を交わせない存在は、面白みに欠けるね」
 ――その点に限って言えば、あの驕りも楽しいものだった。
 そう考えればあの神やら天使やらはつまらない――掌の輝く魔力を球体の形に成すと、静かにそれを突き出して。
「いずれにしても消えて貰おう」
 見下ろす者がそれに気づき翼を動かそうとしても、それよりも尚早く、重く突き刺さる魔力の弾は。
 爛れた背中を痛烈に抉り狂える神へ、気の触れる程の激痛を齎す――天に向けられた唾は、今は跳ね返ることは無かった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

四季乃・瑠璃
緋瑪「罠を追加しておいた甲斐はあったかな?」
瑠璃「悪いけど、このまま神殺しをさせて貰うよ」

さぁ、私達の殺戮を始めよう

UCで分身&強化

敵の光線を【見切り、第六感】で回避。
瑠璃が追尾と凍結の魔術を付与し、K100二丁による銃撃【属性攻撃、誘導弾、ドロウ、早業】で【弾幕】を展開して飛び回る敵を撃墜。

敵の動きが止まった(鈍った)瞬間を狙って緋瑪が機巧大鎌の機巧【推力移動】を利用して高速で接近し、機巧を利用した渾身【力溜め】の【斬撃】で地上に叩き落とし、その隙に接近した瑠璃と共に、再び敵を空中に逃がさない様に 全力の感知式ボムによる【爆撃】で追撃。
神滅の力を持つ【インフィニティ・ブレイカー】で撃ち砕くよ



●破壊の神を壊す
 決して無駄ではなかったと思うのは、元来の迷宮の罠に加えて自らも罠を加えていたことだった。
 無論、死の罠の炎も大きいだろうが、彼女達が、二人で一人の殺人姫の瑠璃と緋瑪が仕掛けた罠による損傷も少なからず影響しているだろう。
「罠を追加しておいた甲斐はあったかな?」
「悪いけど、このまま神殺しをさせて貰うよ」
 ――行くよ、緋瑪。
 ――行こう、瑠璃。
「「さぁ、私達の殺戮を始めよう!!」」
 命を削ることも厭わぬ闘志が生み出した強大な力を纏い、二人で一人の殺人姫達は一斉に上空を翔る神へと攻撃を始めた。
 瑠璃から放たれる追尾と凍結の魔力を乗せた弾丸が、高速で飛翔する破壊天使の身に突き刺さり苦痛と凍結で怯ませて。
 されど弾丸の嵐は休むことなく、弾かれるように指が動き命削りの力が深く破壊天使の身へと突き刺さり、動きを鈍らせる。
 苦痛と凍結で高度をそのまま落とす形となれば、手早くに緋瑪が取り出した大鎌の、仕込まれた炸薬によって加速しては一瞬で距離を詰め。
 湧き上がる力を籠めた高速の大鎌の、それこそ大鉈にも劣らぬ重く鋭い一撃が破壊の天使を地へと叩き落す――!
 再度天に自らを置き、一旦殺しの魔手から逃れようと試みても時既に遅く、殺人姫達は迫り破壊天使の傍へいて。
 二人掛かりで一斉に押し付けられた感知式の爆弾が、衝撃と熱を以て余すところなく破壊天使の身を苛め、爛れた皮膚を、焼けた羽を抉り追い詰めていく。
「疲れてるから殺せると思った?」
「一人一人が第五の貴族より弱いと思った?」
 ――あり得ない。全く以て、あり得ない。
 驚愕と虚無の入り混じる奇怪な、人間の理解を超えた表情で膝を着く“神”に、勝利を掴む為の最初で最後のチャンス<後ろの禿げた前髪>に、殺人姫達は顔を突き合わせ頷いた。
「終わりにするよ、緋瑪」
「終わりにしよう、瑠璃」
 命を削ることも厭わぬ覚悟が生み出した、立ちはだかる全てを殺す力の全てを彼女達は収束していく。
 凝縮された莫大というのも生温い、溢れんばかりの強大な力が分かりやすく火花を散らし、ふらつく神を圧倒する――最早飛び立とうとしても、もう遅い。
「「今こそ破壊の神を殺戮する時!! 神も魔も滅する(私/わたし)達の切り札……」」
 そして彼女達は、解き放たれようとする力の名を力強く叫ぶ。破壊の神が翼を広げたと同時、突き出された掌より幾何学模様の方陣が広がり。
「「インフィニティ・ブレイカーーーッ!!」」
 放たれた五百を優に超える激しい閃光、魔を退け神をも滅する――正しく殺神姫としての力の究極が一瞬で破壊の神を包み込んでいた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

レナータ・バルダーヌ
もう少しゆっくり来てくれてもよかったんですけど、やはり都合よくはいきませんね。
さすがに満身創痍……しかし体はうまく動かなくても、まだ戦えます。
この世界を護るため、力尽きるわけにはいきません!

【真の姿】
【念動力】で敵の動きを止め、皆さんの援護をします。
攻撃がこちらに向くことがあればサイキック【オーラで防御】を。
僅かな時間ではありますけど、【∀.E.テトラコード】なら敵の力を抑えられるでしょう。

あなたの歌声が奏でるものは、もう充分過ぎるほどこの世界に溢れています。
失いたくはありません。
今までに出会い助けた方々の笑顔、そしてこれから出会う方々の笑顔。
わたしの心を織り成す希望を、この祈りに込めて……!


ハルア・ガーラント
F ●WIZ
翼ならわたしだってあるし!
歌だってうたえるし!
萎縮して普段通りの力を出せないのが一番怖い
だから……〈パニッシャー〉で派手な音を響かせ空砲を上へ向かって放ちます
竦んでなんかいられない

あんなに翼があれば攻撃も当たりやすそう
自分が狙われたら嫌な部位――そう、翼
風切羽や付け根付近を狙います
彼女の攻撃は膨れ上がる狂気を[第六感]と肌で察知、[狂気耐性]を混ぜ込んだ[オーラで防御]を

歌声が響き始めたら即座に頭の花を引っ張り痛みで自らを保ちつつその中の〈セイクリッドデバイス〉を最大出力に
UCを発動、彼女の歌声を相殺します
〈咎人の鎖〉を彼女の鎖と絡ませ[捕縛]したところを味方に攻撃して貰いたいです


愛久山・清綱
歌と共に見えてくるのは、人々が死んでいく様……
それはまるで「お前の往く道には『限界』がある。
全てを救う事など不可能だ!」と突き付けるよう。
■闘
あえて幻覚を直視し、攻撃の機会を伺うぞ。念押しで
【狂気耐性】を用いる事も忘れずに。
『全て』を救うのは限りなく不可能に近い……だが、
一度決めた道から外れるわけにはいかん。

好機が来たら刀に手をかけ一首詠み、【早業】の抜刀術から
【薙鎌・荒】を放ち、真空から生まれる【斬撃波】で天使の
全身を一気に斬り伏せるのだ!

破壊者よ……此処に宣誓する。俺は例え、世の理に叛逆
しようとも、目の前に『救える魂』達が存在するのなら……
全てッ!!救ってみせるさ。

※アドリブ歓迎・不採用可



●翼の羽搏く先にある物へ
 終わりの見えない破壊と暴虐、闇夜の世界に於いて永久(とこしえ)に続く害悪。
 強大な第五の貴族を退けた末に、消耗しているといえど恐ろしき破壊の神が滅びという救済を振り撒きにやってきた。
「はぁ~ぁ……」
 この襲来に限らない、と悪しき未来への憂いを吐き出すように溜息をレナータは吐き出した。
「もう少しゆっくり来てくれてもよかったんですけど、やはり都合よくはいきませんね」
「嫌なことに限って重なる。正にその通り」
 レナータのぼやきに清綱が厳粛に俯き、無邪気に周囲を翔け巡り、何時仕掛けてくるかも分からない、されど攻めるには遠き破壊神と絶妙な間を保つ。
 如何ともし難い距離感と、互いに攻めあぐねている状況の重たい空気に、翼を震わせたハルアが声を発した。
「で、でも、つ、翼ならわたしたちだってあるし!」
 白い重厚な翼をはためかせ、両拳を握りながら羽根を舞い散らせ、ハルアは強く訴える。
「歌だってうたえるし! だから……」
「ふっ……確かに」
「そうですね」
 不器用ながらに、そして何よりも己自身を鼓舞しているようにも見える、ハルアの声に清綱が静かに笑みを浮かべれば、レナータもまた揺らぐ身体に気合という名の芯を通した。
 ――確かに満身創痍。身体は思うように動いてはくれない。だけれども、頼もしい仲間二人がいるのに屈していられない。まだ、戦える。
「この世界を守る為、まだ力尽きるわけにはいきません! 行きましょう、お二人とも!!」
 ――決意を示したレナータの姿は痛ましい包帯の巻き付いた姿に非ず。
 薄衣を纏い神々しい黄金の冠を頂き、荘厳に輝く黄金の翼より放たれる威厳は仏法の守護者が如く。
「! ……はい!」
「うむ!!」
 真の姿を顕にしたレナータの声に背中を押され、ハルアと清綱が確かに頷けば、それを皮切りとして破壊神が広げた翼を揺らめかせる。
 旋回を続けている破壊神が、とうとう本格的にオブリビオンとしての害意を顕に三人の猟兵に手をつけようとした瞬間だった。
「……!」
 宙を舞う破壊神の動きが、突如として留まっていた。
 静かな慈悲の笑みを浮かべたレナータが、念動力による不可視の手を以て破壊神の動きを止めていた。
 そこをハルアは狙いを澄ます――あれだけの翼があるならば、当てるべきは、もちろんその翼。
 自らも持つが故に丸わかりになる、風切羽や付け根の位置を躊躇いなく狙い澄ませると其処へ銃弾を叩き込む。
 飛行の為の大事なパーツを銃で穿たれ、空中で体勢を崩す破壊神は、慌てて逃げようとしたが、背中を襲う急激な寒気めいたものに動きは強引に止めさせられる。
 見れば清綱が、攻め時を決して逃すまいと刀の柄に手を掛けながら、破壊神を静かに見据えていた。
 迂闊な隙を見せれば、この一太刀を以て一思いに――吹かしではない、確実に起こりうる未来を否応なしに破壊神へと想起させる気迫に、清綱は満ちていた。
「……~♪」
 なればと破壊神は逃げを諦め、無邪気な笑みを浮かべたまま、抗うべく、高度を落とされながらも狂気と絶望の歌を紡ぎだしていく。
「ッ……!」
 膨れ上がる気配に咄嗟にハルアとレナータは光り輝く障壁を産み出し、歌に乗せた魔力の流れを阻み、見せつけられる悲哀と絶望の影響を緩和していた。
(俺は……)
 その一方で、唯一幻覚を直視し、それと向き合っていた清綱の目に映るのは、守りたかった人々の死んでいく様だった。
 誓った盟約も果たされること無く、全てを救うことなど不可能だと非情な現実を突き付けられる悪夢を。
 そして清綱程で無きにしろ、この三人に見せられるは大なり小なり、破壊神の見せるは絶望と悲哀に満ち溢れた常夜の世の、残酷なまでの摂理。
 その中で、ハルアは身を犯す狂気より逃れるべく頭部に生えた花を強く引っ張った。
「怯んでなんか、いられない」
 頭部の鈍い痛みが絶望と狂気を呼び起こすよりも前に、ハルアの戦意と決意を確かなものと固めていた。
 響き渡る狂気の韻律を掻き消すように、断罪の名を冠する長銃を天に向けて放てば、火薬の弾ける爆音が破壊神の韻律を散らしていき。
 同時にハルアの花に仕込まれた聖なる拡声器の力が更に更にと高まりを見せた。
 銃声によりて意識を醒まし、傍で湧き上がる聖気を肌に感じた、もう一人の天使<レナータ>はハルアに向けて柔らかく手を差し伸べた。
「――ならば、共に歌いませんか?」
「……はい! 歌いましょう」
 そして二人の天使はそれぞれが手を組み合わせ、祈り、そして歌を同じタイミングで紡ぎあげていく。
 互いに音を合すことをせずとも、志は同じく――
「皆が目指すものが同じなら、きっと世界も応えてくれます」
「その音、世界に響かせる訳にはいきません」
 響き渡るものは、無音の旋律――実として一切の音が響くことのない、完全なる無音の聖歌。
 音として聞こえずとも、その歌を紡ぐ天使の祈る声は、戦場の全てに強く響く。
 ――あなたの歌声が奏でるものは、もう充分過ぎるほどこの世界に溢れています。
 ――絶望と悲しみに溢れた世界。
 ――もう失いたくはありません。
 ――それでも、故郷だから。わたしたちは、戦う。
 歌声として耳に響かずとも、魂に響き澄み渡る韻律が見せるは憎み争い合う、不毛な絶望と悲しみの世ではない。
 歓喜と希望に満ち溢れた、未だ見えぬ、されど望む朝日の輝ける世界――!
 紡がれゆく聖歌の最高潮の中、レナータは祈る両手をより強く組み合わせ。
「わたしの心を織り成す希望を、この祈りに込めて……!」
 過去から守り抜いたこれまでの人々の喜び、今と、そして未来に出会うかもしれない未知なる笑顔も。
 その全てを守り抜くと、強き意志にて紡がれた歌は破壊神の、無垢なる邪悪な韻律を全て無と化して。
 そして晴れ渡る輝きに溢れた地の中で、ハルアは金の鎖をすぐ様に、破壊神自身の鎖へ嗾けると、強く巻き付けてその動きを封じ込めた。
 がしゃがしゃと、金属のかき鳴らされる音の中に於いて尚、二人の天使は全霊を以て押さえつけると一斉に声を発した。
「「今です。全てに、決着を」」
 祈りの詩と咎人の鎖が機能している限り、この狂える神は動かせない――狂気の歌声も強靭な翼も何もかもと。
 動きを封じた二人の天使は、決めてくれるであろう異なる翼持つ者へ眼を向けると、その男は力強く頷いた。
「心得た。……ハルア殿、レナータ殿。真に、感謝致す」
 ――決して全てを救うことは出来やしない。それでも、一度誓った以上は決して逃げることはできない。
 それでもと心を蝕む狂気を振り払いながら、清綱は自身の刀に手を掛けると、囚われた破壊神に向けて一歩一歩を踏み出していく。
 少なくとも出来ると確信しているのは、今此処で共に戦う戦友二人の期待に応えることだからと。
「構太刀、息吹く刃風はいくさ場の……空直斬りし、荒れ薙鎌」
 ――戦場に身を斬られそうな、凄まじい剣気というべきか、清綱の放った一句に戦場の空気が鋭く張り詰めた。
「破壊者よ……此処に宣誓する。俺は例え、世の理に叛逆しようとも、目の前に『救える魂』達が存在するのなら……」
 腰を落し、足を僅かに引き。柄に置いた手を以てしっかりと握り締め、鯉口を切り。
「全てッ!! 救ってみせるッ!!」
 その放たれた閃きは目で追うことも出来ず。
 全てを決めるべく鞘の檻から解き放たれた、鋭き刀身の顕現は大気をも歪めいとも容易く斬り裂いていきつつ、破壊神の身へと迫り。
 真空より生ずる不可視の刃は、嵐の如く乱れ、破壊神の傷跡という傷跡を容易く呑み込んでは斬り刻む。
 そして――抜き放たれた刀を鞘に納め征く、その僅かな一時に。
 嵐過ぎ去った凪の、平穏の中には――全てを破壊<救済>する神の姿は、一欠片も存在しなかった。

●未だ続く夜にも希望を見出して
 全ての戦いは終わり、第五の貴族と狂えるオブリビオンという、二つの災厄は祓われた。
 地底都市に通ずる迷宮の死の罠を始めとして、天唾の紋章で以て苦痛を返す第五の貴族、そして最後に現れた強力無比な狂える神。
 いずれも間違いなく強敵であり、一つ一つが至上の困難だっただろう。

 だが猟兵達は、皆それぞれの全力を以てそれを潜り抜けてきた。
 時に炎を物ともせず、時に紋章の力を乗り越え、そしてまたある時には狂える神の傷に付け入り。
 猟兵達は見事に二つの災厄を乗り越え、更なる強大な災厄が産まれることを阻止できたのだ。

 されどこの闇夜が晴れるまで、まだまだ戦いは続くだろう。
 それでも、明けない夜は無く、新たな災厄が来ようともそれを祓えるということを信じて。
 災厄を二つ退けた猟兵達は、地底都市を後にするのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年07月01日
宿敵 『破壊神』 を撃破!


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#ダークセイヴァー
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#異端の神々


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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
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 苦戦🔵🔴🔴
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 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は薙沢・歌織です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はロキ・バロックヒートです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


挿絵イラスト