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桜ノ匣庭~蛍の迷ひ路

#サクラミラージュ #桜ノ匣庭


 ――ゆうらりゆらり。数多煌めく地上の星。
 こっちの水は甘いぞ、と。
 清らかな水の恵みが育むのは、この時期しか見られない蛍たちの輝き。
 今年もやって来た、菖蒲や紫陽花が花開く時。
 蛍の煌めきを愛でるためだけに作られた庭を、満天の光が埋め尽くす。

 どの場所どの部屋の窓からも、蛍舞い飛ぶ庭が見られる事が自慢の宿。
 期間限定のメニューが楽しめるカフェーからも。
 優雅なお茶の時間過ごせるラウンジからも。
 疲れ癒せる大浴場や露天風呂からも。
 思い思いに過ごせる個室から枕投げなんかもできる大部屋まである、客室からも。
 どの窓からも――地上と夜空が溶け合う様な、満天の庭の景色が楽しめる宿。
 そして此処は、サクラミラージュの世界。
 他の世界では叶わない、幻朧桜と蛍と星の共宴は、息を飲む程に美しい。

 用意されている蛍と紫陽花柄の浴衣を着て。
 庭へと出て、煌めきの世界に身を投じるのも良いし。
 用意された大部屋で、枕投げや、賑やかにお喋りを楽しむのも良いし。
 個室や少人数部屋でまったり過ごすのも良いだろう。
 各部屋へのルームサアビスも充実している。
 それに、大浴場や露天風呂から蛍の庭を眺めるのも、また風流。
 そして人気なのは、今の時期しか味わえないカフェーの限定メニュー。
 それは、蛍のような光煌めく紫色のかき氷、そして紫陽花や菖蒲をイメージしたカクテルだという。
 まるで氷が発光しているかの様に、器の中から光を放つそれらは、目でも舌でも十分に楽しめて。いわゆるフォトジェニック感も抜群。
 そんな蛍の如く光る、花のラムネ咲いた紫陽花の様なまんまるかき氷や、成人以上であればイメージカクテル、未成年であればノンアルコールの飲物の味は優しい甘さだという。普通の飲物やスイーツもあるので、甘い物が苦手でも大丈夫だ。
 蛍の庭を見ながら、贅沢な懐石料理をいただくのもなかなかオツ。
 そんな宿で過ごす時間はきっと、特別なひとときとなるだろう。

●蛍の迷ひ路
 そんな山間の宿――『蛍灯庵』。
 その名の由来は、ある日ふらりと宿泊に来た、気まぐれな作家の作品であった。
 清らかな水が美しく流れる山間の宿は、帝都からの交通の便は良いとはいえず。
 訪れた客には十分満足なサアビスを提供できるものの、知られる機会が少なく、客足は正直疎らであったが。
 訪れた人気作家がこの宿を気に入り、一時期別荘の如く利用した事から世間に知られ、瞬く間に予約が殺到して。経営も軌道に乗り、今が在るのだという。
 そしてその恩義も、勿論なのだが。
 親から継いだこの宿を切り盛りする独り身の女将・イセノは、好いていたのだ。
 容姿端麗で知的で、でもとても優しくフランクな彼――櫻居・四狼という作家の事を。
 彼自身だけではない。彼の書いた短編集『桜ノ匣庭』はイセノの愛読書で。
 その中でも『蛍の迷ひ路』という小説に惚れ、宿の名を作品に出て来る『蛍灯庵』と改名までしたのだという。
 そしてイセノは彼の創作活動を支援する為に。
 宿の何処かに、秘されし庭と離れを作ったという。
 けれど、結ばれたい想いはあくまで胸の中に――今度いつ来てくれるかもわからない彼を、イセノはいつも待っていた。
 そして、今……何時までも若いままの姿である作家は、『蛍灯庵』の離れに在った。
 そう、彼はもう人ではない……けれどそんな事は、彼女には些細な問題で。
 『蛍の迷ひ路』の小説の結びの様に、今でも、心中する事をただ夢見るのだ。
 ゆらり舞う蛍の光と、彼が居る時だけ燈るひとつの提灯の明かりを目にしながら。
 迷い込んだ蛍舞う宿の庭で――想い焦がれる彼と共に、美しく死にたいと。

●桜ノ匣庭
「……あの蛍の庭の景色は確かに、一見の価値があるほど見事だったな」
 筧・清史郎(ヤドリガミの剣豪・f00502)はそうふと言った後。
 集まってくれた猟兵達に礼を告げ、そして視えた予知を語り始める。
「『蛍灯庵』という、蛍の庭の美しさが自慢の宿の女将・イセノという女性が、影朧を匿っていることが分かった。その影朧は、櫻居・四狼という人気作家であったもの。宿の隠された離れに居るのだという」
 櫻居・四狼は、サクラミラージュの世界で売れっ子の人気作家で。
 作品の独特な世界観は勿論、整ったその容姿も相まり、絶大な人気を誇って。
 そして急に姿を消したというミステリアスさが、今でも熱烈な信者の心を掴んで離さないのだというが。
 イセノもどうやら、彼や彼の作品に心奪われたひとりであるようだ。
 さらにイセノは、大好きな彼の小説『蛍の迷ひ路』に影響を受けていて。
 小説のラストの様に、彼と心中したいと――そう願っているのだという。
「当の作家は彼女の事を一見大切にはしてはいるが、あくまで都合の良い女のひとりとしか思っていない。彼の素ではあるが、甘い言葉を囁き、思わせぶりな言動で、女性の心を離さないのだという」
 今は何事も起こっていないが、このまま放っておくわけにはいかない。
 宿に隠された庭や離れを見つけ、そこに居る作家の影朧を滅して欲しい。
「イセノは夜中に、作家の居る離れに足を向ける。宿は貸し切りにしてあるので、それまでは、蛍の庭が美しい宿で思い思いに怪しまれぬよう過ごして欲しい」
 宿の中であれば、蛍の庭でも、ラウンジやカフェーでも、大浴場や露天風呂でも、個室から大部屋まである客室ででも……好きな場所で自由に過ごして貰って構わない。
 そして夜中――イセノが動き出せば、気取られぬよう見つけた隠されし庭を通り、影朧のいる離れへと踏み込んで、作家の残影を躯の海へと還して欲しい。
「だが、離れに続く秘されし庭は、複雑な植物の迷路になっているのだという。通常の庭よりも一等蛍が舞い飛び、より美しい風景だというが。真っ暗な夜の庭をゆくのに頼りになるのはそんな数多の蛍の光と、離れの入口にひとつだけ燈り揺れる提灯の明かりのみ。下手に持参した灯りをつければ、イセノに気付かれてしまうからな」
 そんな蛍と提灯を頼りに進む、夜の庭であるが……罠が張り巡らされているという。
 その罠とは。
「各所に落とし穴や、木の枝にぶら下がったこんにゃく、転ばせるためのバナナの皮や張られたロープなどが仕掛けてあるようだ」
 心を抉られる現象とか、血塗れになるような罠なのかと構えていた猟兵は、その言葉に思わずきょとんとするけれど。清史郎はふっと小さく嘆息し、続ける。
「ただ子供染みた楽しいことが好きなのだ、あの人は」
 侵入者が、穴に落ちたり驚いたり転ぶ姿を、影朧はただ見たいだけのようである。
 そんな作家の居る離れへと向かい、彼を倒す事が今回の依頼。
 彼はもう人ではなく、影朧なのだから。
「季節の花と蛍と、そしてこの世界ならではの幻朧桜……まずはその共宴を楽しみつつ情報を集め、宿でのひとときを過ごしてきてくれ」
 そして清史郎はその掌に満開桜を咲かせる。
 蛍と花と星の世界へと、猟兵達を導くために。


志稲愛海
 志稲愛海です。
 よろしくお願いします!

 ※ご連絡※ 第1章は、5/31(日)朝8:31より受付開始します。
 それ以前に送信された分は流れる可能性があります。

 今回の依頼内容は以下となっています。

 第1章:旅篭の夜(日常)
 第2章:ゆらりゆらり舞う提灯(冒険)
 第3章:或る作家の残影(ボス戦)

 1章2章は、POW/SPD/WIZは参考程度に行動いただいてOKです!

 第1章は、蛍の庭が自慢の宿『蛍灯庵』内でご自由にお過ごし下さい。
 時間は、遅くないはない時間の夜です。
 猟兵貸切ですので、部屋など必要であればご用意できます。
 他、季節の花と桜咲く、自慢の蛍の庭を散策したり。
 カフェーで限定スイーツを堪能したり、ラウンジでお茶しつつのんびりしたり。
 客室でまったり食事や、大人数で枕投げ他賑やかにだったり。
 大浴場や露天風呂も楽しめます。
 ただし風呂は男女別、全年齢対象ではない内容のプレイングは返金となります。
 その他、宿内で過ごせることであればご自由にして頂いて大丈夫です。
 イセノは中年女性で、宿内で働いています。
 自然と宿で過ごしていれば情報入りますので、宿を楽しむ行動のみでOKです。

 第2章は、隠された庭を抜けて貰います。
 イセノに気取られぬよう、真っ暗な中。
 無数の蛍の光と庭の奥で揺れるひとつの提灯の光を頼りに進んで貰います。
 そして子ども染みた実害あまりない罠が迷路内に仕掛けられています。
 蛍の風景の中、暗く複雑な迷路をどきどきわくわく楽しく進んで下さい。

 第3章はボス戦です。
 櫻居・四狼の名は、当方の『桜ノ匣庭~』のタイトルの依頼に出ていますが。
 特に未読でも問題ありません。参考程度にと。

 公序良俗に反する事、他の人への迷惑行為、未成年の飲酒は厳禁です。
 第2章第3章の詳細は前章の結果を受け、追加OP記載します。
 締切等はMS個別ページやTwitterでお知らせします。

●お願い
 同行者がいる場合は【相手の名前(呼称可)と、fからはじまるID】又は【グループ名】のご記入お願いします。
 ご記入ない場合、相手と離れてしまうかもしれませんのでお忘れなく。

 グループ参加の人数制限はありません、お一人様~何人ででもどうぞ!
 ですが、ご指定の同行者が参加していない場合は返金となる可能性もあります。

 可能な限り皆様書かせていただきたく思っています。
 お気軽にご参加ください!
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第1章 日常 『旅篭の夜』

POW   :    布団の眠気に抗い、夜の一幕に浸る

SPD   :    そよぐ風に舞う夜闇の桜花弁を眺める

WIZ   :    いいや、枕投げだ!!

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●光と花の宿・蛍灯庵
 帝都から汽車を何度も乗り継いで、レトロバスに揺られること1時間。
 辺鄙な場所にあるとは聞いていたものの、少々骨が折れるものではあったが。
 それ以上にその道行きは楽しくもあり。
 そして宿へと到着した瞬間に、その疲れも吹き飛ぶ様な空間が広がっていた。

 大正レトロな趣きの、和洋混合な浪漫溢れる佇まい。
 帝都から離れた山間の景色は、優しく響く水のせせらぎと相俟って、ゆるりと時が流れている様で。
 仄かに灯るランプの暖かな灯火と幻朧桜に迎えられ、館内に足を踏み入れれば。
 窓から臨むのは、季節の花々や桜が咲き誇る蛍の庭。
 そんな蛍の庭を堪能して欲しいと、控えめな明るさで抑えられている照明が灯った雰囲気の良い館内。
 そして蛍灯庵はどの窓からも、この庭が眺められる様な造りになっているという。
 和と洋どちらのタイプも用意してある、個室から大部屋まである客室からも。
 ゆったりと珈琲や茶などいただきながら歓談できる、閲覧自由の本が並んだ落ち着いた空気漂うラウンジからも。
 蛍や季節の花をイメージした限定メニューは勿論、クリーム曹達やプリンアラモード等の定番スイーツや飲み物が用意されているカフェーからも。
 疲れを癒せる、広い大浴場や露天風呂からも……どこからも、数多輝く地上と夜空の星々を楽しめる。

 そんな館内でチェックインをしていれば。
「いらっしゃいませ、ようこそ蛍灯庵へ」
 そう微笑み丁寧に頭を下げるのは、穏やかな空気を纏った中年の女性。
 そして女性は、自分がこの宿の女将であるイセノだと名乗る。
 控えめな所作ながらも、どこか芯が通ってそうに見えるのは、女手ひとつでこの宿を切り盛りしてきたからであろうか。
「今が一番、蛍も菖蒲の紫陽花も見頃ですよ」
 それからイセノは、こう続ける。
「御存じですか? 櫻居・四狼先生の短編集『』。その中の小説『蛍の迷ひ路』から宿を名付けたんです」
 ラウンジにも櫻居先生の著書は沢山揃えてありますので読んでみて下さい、と。
 そう幸せそうに言った後、イセノはチェックインを済ませて。
「それでは、ごゆっくりお過ごしくださいね」
 また深々と丁寧にお辞儀し、猟兵達が快適に過ごしてもらうべく、忙しなく館内を行き来する。
 そんな彼女の姿をそっと窺いながらも。
 本格的に動くのは、彼女が秘されし庭や離れへと向かうと予知されている深夜。
 だからそれまで、彼女に気取られぬように。
 猟兵達は客として、思い思いの時間を暫し楽しむべく、館内を歩き出す。
逢坂・理彦
煙ちゃんと(f10765)
前にも煙ちゃんと一緒に紫陽花を見たよね。
場所は違うけれどまた煙ちゃんと一緒に見ることができて嬉しいよ。

紫陽花に蛍に菖蒲に桜。素敵なものが沢山あるからどこを見ていいか悩ましいけれど…一番見ていたいのは煙ちゃんかな。なんて言ったら困らせてしまうかな?
あの日の言葉通り今も側にいてくれてありがとう。
(重ねられた手を握り返して)

今回の影朧は心中を題材に作品を書く例の作家のようだね…心中に魅力を感じないと言えば嘘になるけれど…でもね今は楽しい思い出をたくさん残そうって思うんだ。煙ちゃんがいつか振り返る日々は優しいものに溢れていて欲しいから。


吉瀬・煙之助
理彦くん(f01492)と
もう雨の季節になるね…
この時期になると紫陽花を思い出すね
僕も理彦くんと嬉しい…♪

桜と紫陽花と蛍がいっぺんに見れるのは珍しいよね
理彦くんはどれが……え、僕…!?
え、えと……それは嬉しいけど…恥ずかしい…
でもその…僕も、理彦くんと過ごせればそれで…
(そっと手を重ねながら)

うーん…僕は悲しいお話はあまり得意じゃないかな
好きあった者同士は2人幸せに生きてほしい…
理彦くんとも、遠い未来ではお別れしてしまうかもしれないけど
今はまだ沢山思い出を作りたいな…



 しっとりと花咲く庭に先程まで降っていた霧の様な小雨も、今はもう止んでいて。
 梅雨を彩る花の景色の中、星の如き蛍の輝きが数多灯る。
「もう雨の季節になるね……」
 雨にはやはり、何かと縁があるのかもしれない。
 吉瀬・煙之助(煙管忍者・f10765)はそう、仄かに照った雨露に煌めく庭を眺めつつも続ける。
 ――この時期になると紫陽花を思い出すね、って。
 耳に届いたそんな声に、逢坂・理彦(守護者たる狐・f01492)もこくりと頷いて。
「前にも煙ちゃんと一緒に紫陽花を見たよね」
 巡ってきた季節を巻き戻すかの様に思い返してみるは、一緒に見た二藍のいろ。
 以前一緒に紫陽花を楽しんだのは、和の風情溢れた世界であったけれど。
 今度は同じ和を思わせる雰囲気でも、年中桜咲くレトロ浪漫の世界。
 そして再び訪れた、紫陽花咲く季節。
「場所は違うけれどまた煙ちゃんと一緒に見ることができて嬉しいよ」
「僕も理彦くんと嬉しい……♪」
 季節は巡っても……この彩を一緒に見ている人は、やっぱり一緒。
 だってあの時、約束したから。
 そんな思い出深い紫陽花や菖蒲の季節の花に、煌めき飛び交う蛍、そしてはらり花弁舞う幻朧桜。
「素敵なものが沢山あるからどこを見ていいか悩ましいけれど……」
 理彦はそう小さく首を傾けた後、巡らせていた金の視線をふと移して。
 こう言ったら困らせてしまうかな? なんて思いつつも、今心に在る想いを素直に続ける。
 ……一番見ていたいのは煙ちゃんかな、って。
「桜と紫陽花と蛍がいっぺんに見れるのは珍しいよね」
 そうこの世界だからこそ見る事のできる花と光の共宴を眺めていた煙之助であるが。
「理彦くんはどれが……え、僕……!?」
 不意に聞こえた言の葉に、大きく見開いた翡翠の瞳を思わずぱちくり。
 それから数度瞬いた後、ちらりと理彦を見つめ呟いて。
「え、えと……それは嬉しいけど……恥ずかしい……」
 伸ばしたその手を、そっと彼のものと重ねながら、続ける。
 ――でもその……僕も、理彦くんと過ごせればそれで……。
 掌が重なった刹那、ふわり伝わる煙之助の体温。
 それはいつも優しくて、何よりも安心するから。
「あの日の言葉通り今も側にいてくれてありがとう」
 理彦もぎゅっと、重ねられた手を握って返す。
 ずっと一緒にいるから、ね? って……あの時言ってくれたように、今もすぐ隣に在る彼の手を。
 それから理彦は聞いた予知を思い出す。
「今回の影朧は心中を題材に作品を書く例の作家のようだね……」
 蛍の庭が美しい宿の離れに潜むという、作家の影朧のことを。
 そんな理彦の言葉に、首を傾ける煙之助。
「うーん……僕は悲しいお話はあまり得意じゃないかな」
 理彦とは、遠い未来ではお別れしてしまうかもしれない。
 でもだからこそ、煙之助はこう思い、紡ぐのだ。
 ……好きあった者同士は2人幸せに生きてほしい、って。
 心中、それは想い通わせた者と共に死ぬこと。
(「心中に魅力を感じないと言えば嘘になるけれど……」)
 理彦はそうそっと、隣にいる煙之助を見つめるけれど。
 思う気持ちは、二人とも同じ。
 いつか来るかもしれない、別れの時。
(「……でもね今は楽しい思い出をたくさん残そうって思うんだ」)
 そして同じ様に、今はまだ沢山思い出を作りたいな……と。
 蛍の煌めき舞う中、そう呟きを落とした煙之助の姿を映した瞳を、理彦は優しく細める。
 ――煙ちゃんがいつか振り返る日々は優しいものに溢れていて欲しいから、と。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

国栖ヶ谷・鈴鹿
【ナハト・ダァトさん(f01760)と!】
※呼び方は「ナハトさん」ラフではあるものの敬語っぽく話します。

【カフェでのひととき】
今日は依頼でよく会うナハトさんをサクミラにご案内&お互いのことをお話するよ。

お医者さんって聞いてましたけど、主にやってる診療科とかあるんですか?
あと、聖者って気になってて!聖痕?それはどういうの?
うーん、ぼくもハイカラさんって種族で光るけど、そういうのはないかなぁ……。
あ、ハイカラさんはわかりやすく言えば、人間の突然変異で、後光がさしてたりします!
この世界のメイドさんは特級になると、給仕に加えて戦える……あ!見てみて!蛍と幻朧桜!コレはここしか見れないものなんです!


ナハト・ダァト
【国栖ヶ谷・鈴鹿(f23254)】クンと同行

初めの内は、国栖ヶ谷クンと呼ぼウ

面識ガあるとハ言エ、レディを下の名デ呼ぶにハ失礼だからネ

カフェで交流ヲ深めるヨ

私ニついテ、気ニなる事ガあるなラ答えよウ
礼ヲ尽くしてネ

職業ハ医者…専門ハ、異形。…簡単ニ言うト、人間でハ無イ者達だヨ。
無論、人間であってモ。治療ハすル。全テ修めてこソ、専門家と言えるからネ。

聖者ニついテ、カ。
私達ノ様ナ光ヲ持つ類ハ、聖痕かラ得ていル。
私にモ、あるヨ。
何処カ…?ソレハ秘密ダ。
必要ナ時ニ、見せルとモ。

君にハ、この世界ニついテ
尋ねるトしよウ
種族ヤ職業…メイドとハ、どういっタ者かネ?



 季節の花が咲き誇る庭を、暫し眺めてから。
 国栖ヶ谷クン、と紡ぐのは、ナハト・ダァト(聖泥・f01760)。
 いくら面識があるとはいえ、紳士として、レディを下の名で呼ぶには失礼だから。
 好きな花を眺め咲かせていた瞳を、ナハトは国栖ヶ谷・鈴鹿(未来派芸術家&天才パテシエイル・f23254)へと向けて。
 見事な景色広がる庭が臨めるカフェで、交流を深めるべく、彼女へと口を開く。
「私ニついテ、気ニなる事ガあるなラ答えよウ」
 ……礼ヲ尽くしてネ、と。
 鈴鹿も、依頼でよく会い一緒に戦っていたけれど、色々と彼のことが気になるし。
 出身であるこの世界のことも、知ってくれたらと思ったから。
 蛍舞い飛ぶ宿で過ごす時間は、幻朧桜咲く世界を案内しつつも互いのことを話すいい機会。
 だからお言葉に甘えて、ナハトに訊ねる鈴鹿。
「お医者さんって聞いてましたけど、主にやってる診療科とかあるんですか?」
「職業ハ医者……専門ハ、異形」
 ……簡単ニ言うト、人間でハ無イ者達だヨ。
 そう答えた後、続ける。
「無論、人間であってモ。治療ハすル」
 ――全テ修めてこソ、専門家と言えるからネ、って。
 それから、気になっていたノンアルコールの紫陽花カクテルが運ばれてくる中、鈴鹿はもうひとつ質問を。
「あと、聖者って気になってて! 聖痕? それはどういうの?」
「聖者ニついテ、カ。私達ノ様ナ光ヲ持つ類ハ、聖痕かラ得ていル。私にモ、あるヨ」
 けれど、人差し指を口元へとそっとあてて。
 自分に興味の瞳向ける彼女へと、ナハトは言の葉を向ける。
「何処カ……? ソレハ秘密ダ」
 ――必要ナ時ニ、見せルとモ、って。
 光を放つアイスキューブが入った紫陽花色のカクテルを手にする。
 今はまだ、その時ではないから。
 そんなカクテルの光に仄かに照るナハトの顔を見ながらも。
「うーん、ぼくもハイカラさんって種族で光るけど、そういうのはないかなぁ……」
 そう首を傾ける鈴鹿。
 次は、そんな彼女にナハトは問う。
「君にハ、この世界ニついテ尋ねるトしよウ。種族ヤ職業……メイドとハ、どういっタ者かネ?」
 初めて訪れたサクラミラージュの世界。
 そして此の地が世界出身である彼女には、興味が尽きないから。
「あ、ハイカラさんはわかりやすく言えば、人間の突然変異で、後光がさしてたりします!」
 ナハトに訊ねられ、この世界の種族のことなどを紡ぎ始めた鈴鹿であったが。
「この世界のメイドさんは特級になると、給仕に加えて戦える……」
 そこまで言った後、ふと何かを見つけて、一瞬だけ言葉を切るけれど。
 すぐに、――あ! 見てみて! って。
 彼女が差したその指先を辿れば、そこに在る景色は、満天に耀く蛍の光と桜花弁。
 コレハ美しイ景色だナ、と。言ったナハトに、コクコクと鈴鹿は頷く。
 ――蛍と幻朧桜! コレはここしか見れないものなんです! って。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

神代・凶津
(ラウンジで蛍の庭を眺めている巫女の少女の横で浮いている鬼面がラウンジに置かれた件の短編集『桜ノ匣庭』を読んでいる)

この手のヤツは余り読んだことはなかったが、中々に悪くない小説だなコレ。
「・・・そんなに面白かった?」
おう、相棒。
人気があるのも納得の作品だぜ。
読んだ直後だから誰かと語り合いたいが・・・。
そうだ、イセノって女将に情報収集がてら話しかけてみるかッ!
この作品のファンならきっと乗ってくるぜッ!
「・・・あんまりお仕事の邪魔しちゃだめだよ?」


【技能・情報収集】
【アドリブ歓迎】



 ランプが灯る、落ち着いた雰囲気のラウンジで。
 ぱらりとページが捲られるのは、櫻居・四狼の短編集『桜ノ匣庭』。
 それを読んでいるのは、神代・凶津(謎の仮面と旅する巫女・f11808)……巫女の少女の横に浮かんでいる鬼面。
 そして蛍の庭を眺めている巫女の少女へと、こう、どこかご満悦に紡がれる。
 ――この手のヤツは余り読んだことはなかったが、中々に悪くない小説だなコレ、と。
 その声に、巫女の少女はふと視線を、相棒であり兄妹のような存在へと向ける。
「……そんなに面白かった?」
 そう訊ねられれば、こくこくと頷く様に揺れる鬼面。
 ――おう、相棒。人気があるのも納得の作品だぜ。
 そして読み終わった興奮冷めやらぬ様子で、きょろりと周囲を窺う様に見回して。
 ――読んだ直後だから誰かと語り合いたいが……そうだ、イセノって女将に情報収集がてら話しかけてみるかッ!
 宿の仕事をテキパキとこなしている女将を姿を見つけ、そうウキウキと紡ぐ。
 彼女はこの作品のファン、きっと乗ってくるだろうと踏んで。
 そして、そんな相棒を見遣りながら。
「……あんまりお仕事の邪魔しちゃだめだよ?」
 元あった本棚に『桜ノ匣庭』をしまいながらも。
 蛍舞い飛ぶ庭を背に、巫女の少女はそう声をかけるのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

オズ・ケストナー
【蛍友】

わあ、わあっ
たくさんたくさんひかってるよっ
ふふ、きれい

ランゴ、どうしたの?
キーン?
アヤカは?アヤカもキーンてなる?
ふふふ
キーンこないっ

かきごおり、たべたら光らなくなっちゃうかな
じーっと様子見てたらほろっと溶け出すから
あわててシャクシャク

みずがきれいだと、ホタルがくるの?
うんうん、けしてみようっ

どこを見たらいいかわからなくて
きょろきょろ
かきごおりにも庭にも
空もホタルがいるみたいなんだもの

でもねえ、わたしわかるよ
うごいてるのがホタルっ

寄ってきたら静かにして
そっと指のばしたらその先にとまるかな

したいこと?
わぷっ
ランゴ、かっこういいっ
めんきょかいでんかいでんっ
わたしもアヤカにかいでんビームだっ


浮世・綾華
【蛍友】

ほんと、こんな趣ある宿でのんびりなんて贅沢ですねえ
あの時のかき氷はすごかった
うまかったですけどネ
ふふ。どうだったかな?

しっかしこのかき氷…中になんか仕掛けがあんのか?
じぃと観察しつつも少しずつ食べ進め

――すげ
嵐吾さんの作戦、大成功だ
蛍を驚かせないように何故か少し小声で紡いで
ふ、オズ。何きょろきょろしてんの

俺も分かるよー
今ねえ、嵐吾さんの髪にとまってるのが、蛍
そう対抗してみたり

暫し楽しみ灯りつけたなら

ねえねえ、嵐吾さん、オズ
俺、したいことあるんですケド――
枕投げ!(二人に向かい不意打ちえいっ

嵐吾さん、前は卓球で免許皆伝とか言ってなかったデス!?
ビームて…はは、オズ、わかってないだろっ


終夜・嵐吾
【蛍友】

一緒に美味しご飯たべて、まーったり遊べるんは楽しいの
部屋から蛍の庭を眺めカキ氷つき…最高じゃね
ぴかぴか光っておるのも、楽しいものよ
くっ、しかしアイスクラッシュ…!
そいえばあや君とはおっきなカキ氷たべてキーンしたの
オズ君はキーンこんの?

それにしても、蛍の見事なこと…
水がよっぽど綺麗なんじゃろうなぁ
部屋の灯りを消したらこっちに寄ってこんじゃろか
ちょっと消してみてええ?
カキ氷の光につられてくるかもしれん

しばし、蛍の訪れ楽しんで
オズ君の指にとまりそうじゃ…
え、わしの髪にもおる?
後で庭に帰してあげよね

したい事?
――ごふっ
…うけてたとう――狐尻尾流枕投げ免許皆伝のわしを侮るでないぞ!
流派今作った!



 ふわり、季節の花が咲く庭に灯るのは満天の蛍の光。
 けれどそれは、部屋の窓から眺める庭だけではなくて。
「わあ、わあっ。たくさんたくさんひかってるよっ」
 ……ふふ、きれい。
 そう笑み巡らせる、オズ・ケストナー(Ein Kinderspiel・f01136)のキトンブルーの色の中にも舞い遊んでいる。
 そんな視線で蛍と追いかけっこするオズの姿を微笑ましく眺めながら。
「一緒に美味しご飯たべて、まーったり遊べるんは楽しいの」
 部屋から蛍の庭を眺めカキ氷つき……最高じゃね、って。
 ゆらゆらご満悦な様子で灰青の尻尾を揺らし、終夜・嵐吾(灰青・f05366)はへらりといつもの様に笑む。
 ……ぴかぴか光っておるのも、楽しいものよ。
 そうやはり琥珀の瞳に仄かな煌めきを映して。
「ほんと、こんな趣ある宿でのんびりなんて贅沢ですねえ」
 浮世・綾華(千日紅・f01194)もランプ灯る蛍の宿のひとときを楽しみつつ、こくりと頷いてから。
 ルームサアビスで運ばれてきた食後のデザートへと視線を映す。
 それを見て、思わず頭を抱え呟く嵐吾。
「くっ、しかしアイスクラッシュ……!」
「ランゴ、どうしたの?」
 きょとりと首を傾けるオズに、嵐吾は耳をぴこりとさせつつも口にする。
 紫陽花のようにまんまるな、ピカピカ光るかき氷を前に。
「そいえばあや君とはおっきなカキ氷たべてキーンしたの」
 そう、運ばれてきたのは、蛍の様に光ったかき氷。
 嵐吾の声に、綾華も蘇ったひと夏の思い出を紡ぐ。
「あの時のかき氷はすごかった」
 うまかったですけどネ、と笑って。
 そんなふたりを交互に見つめ、瞳を瞬かせるオズ。
「キーン? アヤカは? アヤカもキーンてなる?」
 キーン、とは。
 かき氷を見た後、視線を向けて来るオズに悪戯っぽく笑んで返す綾華。
「ふふ。どうだったかな?」
 減らない、撃沈、口の感覚ない、そして瀕死――れいんぼーなこおりの山のキーンに屈したなんて、秘密です。
 そんな中、キーンとは何かと首を傾げているオズに、今度は嵐吾が訊ねる。
「オズ君はキーンこんの?」
「ふふふ、キーンこないっ」
 キーンとこないミレナリィドールのオズがいたら、あのカキ氷にも勝てていたかも……!?
 あの時みたいに、すごい色やボリュームではないけれど。
「しっかしこのかき氷……中になんか仕掛けがあんのか?」
 綾華はピカピカ光っているカキ氷をじぃと観察しつつも、シャクシャクと。
 氷をつんつん突きながら、少しずつ食べ進めて。
「かきごおり、たべたら光らなくなっちゃうかな」
 オズも同じ様に、紫陽花のようにまんまるな姿をじーっと見ていたら。
「……あっ」
 溶けだしてきて、ほろっ。
 だから綾華と一緒に、慌ててシャクシャク!
 そして、シャクシャクしていたら。
「あ、これが光ってたのか」
「たべてもひかってるね!」
 蛍みたいなかき氷の種明かしは、器の底に入っていた光るアイスキューブたち。
 そんな優しい甘さと量のかき氷を楽しみながらも。
「それにしても、蛍の見事なこと……水がよっぽど綺麗なんじゃろうなぁ」
「みずがきれいだと、ホタルがくるの?」
 そう訊ねるオズに、そうじゃよって、嵐吾はこくこく頷いてから。
「部屋の灯りを消したらこっちに寄ってこんじゃろか」
 ――ちょっと消してみてええ?
 ぱちりと暫し、ランプを消してみるべく手を伸ばして。
「うんうん、けしてみようっ」
「カキ氷の光につられてくるかもしれん」
 ……こっちの水は甘いぞ。
 光るカキ氷のことを仲間と思って、甘い水に寄ってくるかもしれないって。
 そして一瞬、視界が闇に包まれたけれど。
 ――すげ。
 思わず綾華の口から零れ落ちた声。
 だって。
「嵐吾さんの作戦、大成功だ」
 ふわりふわり……眼前を舞うのは、満天の光。
 蛍を驚かせないようにと、そう何故か少し小声で紡いでから。
 綾華は瞳に映ったその姿に、つい笑み宿す。
「ふ、オズ。何きょろきょろしてんの」
 どこを見たらいいかわからなくて、あっちにこっちにと、忙しくきょろきょろするオズに。
「かきごおりにも庭にも、空もホタルがいるみたいなんだもの」
 見渡す限り満ち溢れる煌めき。
 そんな景色の中、オズはちょっぴり得意げに続ける。
「でもねえ、わたしわかるよ。うごいてるのがホタルっ」
 そして、寄って来た光にそっと指を伸ばしてみれば。
「オズ君の指にとまりそうじゃ……」
 蛍の訪れを楽しんでいた嵐吾はそう、琥珀の瞳を細めるけれど。
 ふたりを交互に見ながら、綾華はオズに対抗するように楽し気にこう紡ぐ。
「俺も分かるよー。今ねえ、嵐吾さんの髪にとまってるのが、蛍」
「え、わしの髪にもおる?」
 ぴこりとさせようとした耳を動かさないよう、そわりとしながらも頑張ってじっとしつつ。
 自分の髪にとまった蛍は、どうきょろりとしても見えないけれど。
 嵐吾はオズの指にとまった光を見ながら、ふたりへと紡ぐ。
 ……後で庭に帰してあげよね、って。
 そして存分に数多の光と戯れ、再びランプに明かり灯せば。
「ねえねえ、嵐吾さん、オズ。俺、したいことあるんですケド――」
 綾華は自分の声に、一斉にふたりの顔が上がったそのタイミングを見計らって。
「したいこと? わぷっ」
「したい事? ――ごふっ」
「枕投げ!」
 二人に向かって、えいっと枕の不意打ち!
 けれどもふたりも、ぽふりとそれを受けっぱなしではありません!
「……うけてたとう――狐尻尾流枕投げ免許皆伝のわしを侮るでないぞ!」
 ゆうらり尻尾を揺らしながら嵐吾が放つのは、狐尻尾流枕投げ免許皆伝の技!?
「ランゴ、かっこういいっ。めんきょかいでんかいでんっ」
「嵐吾さん、前は卓球で免許皆伝とか言ってなかったデス!?」
 そんなオズにえっへん顔を向けつつ、綾華の声に嵐吾は言い放つ。
「流派今作った!」
 即席な狐尻尾流枕投げ免許皆伝です!
 そんな何となく格好良い感じがする免許皆伝をオズも真似っこして。
「わたしもアヤカにかいでんビームだっ」
 満を持して放つは、かいでんビーム!?
「ビームて……はは、オズ、わかってないだろっ」
 そしてそう楽しそうに笑う綾華に、同時に向けられるのは。
 先程のお返しの、免許皆伝なふたりの枕投げ合わせ技!?

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

真宮・響
【真宮家】で参加。

・・・・心中ね。夫と駆け落ちした身としては思う所あるが、まず、時間までゆっくり過ごそうかね。子供達とゆっくり過ごすのもいい。最近忙しかったから尚更だ。

家族で蛍と紫陽花柄の浴衣を着て、カフェーで子供達とゆっくり過ごすよ。サクラミラージュの甘味が大好きな子供達は限定かき氷はなによりのご馳走だろう。楽しく食べている子供達を微笑ましく思いながらカクテルを一口。庭を眺める。蛍は人の魂だというが・・今宵はどんな魂が天に昇るのかね。


真宮・奏
【真宮家】で参加。

女将さんのイセノさんの事も気になりますが、折角の貸し切りですからゆっくりしましょう。カフェ限定のスイーツ、楽しみですし!!

蛍と紫陽花柄の浴衣を着て、カフェへゴーです!!サクラミラージュの甘味大好きですからキラキラ輝くかき氷なんて目が無いに決まってるじゃないですか~!!口に付いた氷を瞬兄さんに取って貰いながら、かき氷を堪能します。食べている合間に花が咲き誇るなかで蛍飛び交う庭を眺めます。綺麗ですが、どこか物悲しいですね。


神城・瞬
【真宮家】で参加。

こういう女性を誑かす類の男はタチが悪いと決まってますが、まずは折角の温泉宿、ゆっくりしましょう。素敵な風景も見れる事ですし。

用意された蛍と紫陽花柄の浴衣を着て、髪は後ろで結んでおきます。はい、僕もサクラミラージュの甘味は大好きですので、限定かき氷は喜んで頂きます。奏の口に付いた氷を取ってあげながら蛍飛び交う庭を眺めます。蛍は人の魂とも言われますから、綺麗で、切ない風景ですね。



 ゆうらりと移動中の廊下から窓の外を見遣れば、舞い遊ぶ満天の光。
 訪れた宿の離れに潜むのは、予知によれば、作家であった影朧だというが。
 ……心中ね、と。
 そうぽつりと呟きを零すのは、真宮・響(赫灼の炎・f00434)。
 人気作家だという影朧の作品は、心中をテーマとしたものが多くあるようだが。
 響には、その言の葉に思う所があった。夫と駆け落ちした身としては。
 でもまずは時間までゆっくり過ごそうかね、と。
(「子供達とゆっくり過ごすのもいい。最近忙しかったから尚更だ」)
 見遣るのは、共に赴いた子供達の姿。
 戦争に何だかんだにと、慌ただしかったから……少し家族でのんびりするのも、悪くない。
 それに、宿を楽しみたいと思っているのは、子供達も勿論一緒。
 とはいえ、これは請け負った依頼でもあるから。
 神城・瞬(清光の月・f06558)も、聞いた影朧のことをふと思い出してみつつも。
「こういう女性を誑かす類の男はタチが悪いと決まってますが、まずは折角の温泉宿、ゆっくりしましょう」
 折角の温泉宿、ゆっくりしない手はない。
 素敵な風景も見れる事ですし、と。
 そう続ければ、真宮・奏(絢爛の星・f03210)もこくりと頷く。
 ……いや、蛍舞う景色も勿論なのだけれど。
「女将さんのイセノさんの事も気になりますが、折角の貸し切りですからゆっくりしましょう」
 奏はそう言った後、ぐっと気合十分で続ける。
「カフェ限定のスイーツ、楽しみですし!!」
 そんな家族お揃いで纏うのは、宿が用意した蛍と紫陽花柄の浴衣。
 そしてまず皆で向かうは、宿にあるカフェー。
 このカフェーには、期間限定の紫陽花のようにまんまるな光るかき氷があるというが。
「サクラミラージュの甘味大好きですからキラキラ輝くかき氷なんて目が無いに決まってるじゃないですか~!!」
「はい、僕もサクラミラージュの甘味は大好きですので、限定かき氷は喜んで頂きます」
 響は辿り着いたカフェーで、子供達のかき氷と自分の紫陽花カクテルを注文しながらも思う。
 ……サクラミラージュの甘味が大好きな子供達は限定かき氷はなによりのご馳走だろう、って。楽しみにしているその姿を見れば。
 髪を予め後ろで結んでおいた瞬は、さくりと光るかき氷にスプーンを入れてみるけれど。
 ふと顔を上げ見遣った視線を先に、手を伸ばして。
 妹の口に着いた氷を取ってあげる。
 そんな、楽しく仲良くかき氷を食べている子供達の様子を微笑ましく思いつつ、響は紫陽花色をしたカクテルを一口。
 家族揃ってカフェーでのんびりと過ごし、蛍飛び交う庭を眺め……そして、ふと紡ぐ。
「蛍は人の魂だというが……今宵はどんな魂が天に昇るのかね」
 そう聞こえた声に、奏はシャクシャクとかき氷を食べていた手をふと止めて。
 庭を見つめ、瞬と同時に、こう口を開くのだった。
「綺麗ですが、どこか物悲しいですね」
「綺麗で、切ない風景ですね」
 人の魂とも言われる、蛍の光。
 その数多の煌めきたちは、季節の花が咲き誇る庭をふわり、舞い遊ぶ。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

芥辺・有
ロカジ/f04128

はあ、次から次にね
売れっ子の作家先生って奴はすごいもんだ

ちびりと酒を一口呑んで、ちらりと部屋を一瞥して
……まあ、悪くないね
どこでも大体酒が飲めたら文句もないけどさ
静かな方が落ち着くのも確かだ
タバコ吸っても他人に煙たがられないなら尚更ね

しかし蛍なんて見たことなかったんだけど
光る虫ってのも不思議なもんだね
なんで光るんだろ
窓から見える光をじっと眺めて
桜に蛍に人影が入り交じるのを見下ろしてもう一口
豪勢すぎて目が痛い気もするけど
ま、酒でも見てるさ

あっそう
そりゃ良かったね ……なんだ、結局嫌ってるの
同族嫌悪ならさ、それじゃお前も無能も同然ってことなのかい
まあ何でもいいけど
は、そうかもね


ロカジ・ミナイ
有ちゃん/f00133

またいい場所用意してくれたねぇ
あの無駄にモテるイケすかねぇ作家さん

僕はワガママで欲張りだから
静かな部屋でまったり酒を呑みながら
蛍の舞う景色も堪能したくって
どうだい?静かに酒が呑めるよ

窓を開け放てばほの明るい夜闇が広がって
道ゆく迷い人の影も構図の多様性に一役買ってていいじゃないか
光の蘊蓄はあるけども
眩しけりゃ目を閉じればいいよ

モテる男は嫌いって言ったけど
有ちゃんが興味ないって言うから
別にどうでも良くなったのよ
万能じゃないなら無能も同然、ザマァみろってさ
でも嫌いなもんは嫌いよ
やっぱり同族嫌悪かね?そうかもね

何でもいい?
じゃあ無能でもいいってことだね
ふふ、あーあ、酒がうめぇや



 辿り着く迄の長かった道のりは少々骨は折れたものの。
 客人を導く様に仄かに灯されたランプに、和洋混在する大正浪漫の香り、そして何処からでも庭が見える造りが粋だ。
「またいい場所用意してくれたねぇ」
 ロカジ・ミナイ(薬処路橈・f04128)は、そうぐるりと青の視線を巡らせながらも続ける。
 あの無駄にモテるイケすかねぇ作家さん、と。
「はあ、次から次にね。売れっ子の作家先生って奴はすごいもんだ」
 その言葉に、芥辺・有(ストレイキャット・f00133)もそう小さく首を傾けるも。
 彼女の興味事が、この宿の離れにいる色男の作家ではないことを、ロカジは知っているから。
「僕はワガママで欲張りだから。静かな部屋でまったり酒を呑みながら、蛍の舞う景色も堪能したくって」
 ルームサアビスで運ばれてきた一等美味い酒を早速開けつつ、得意気に有を見遣る。
 ――どうだい? 静かに酒が呑めるよ、って。
 そんな、ゆうらりグラスに揺れる酒をちびりと一口呑んだ有は、部屋をちらりと一瞥して。
 ……まあ、悪くないね。
 そう呟きを落としつつ、満天の蛍の灯りを肴に、酒をもう一口。
「どこでも大体酒が飲めたら文句もないけどさ。静かな方が落ち着くのも確かだ。タバコ吸っても他人に煙たがられないなら尚更ね」
 取り出し咥えた煙草に火をつけ、ふっと煙を燻らせた。
 そしてロカジが窓を開け放てば――眼前に広がるのは、ほの明るい夜闇。
「道ゆく迷い人の影も構図の多様性に一役買ってていいじゃないか」
「しかし蛍なんて見たことなかったんだけど、光る虫ってのも不思議なもんだね」
 ……なんで光るんだろ、って。
 そう首を傾けながらも、有は窓から見える光をじっと眺めつつ。
 ロカジの言う様に、桜に蛍に人影が入り交じる様を見下ろし、酒を再び口に運べば。
 目の前には、蛍の光に季節の花、空に瞬く星、そしてこの世界に咲き誇る幻朧桜が。
「豪勢すぎて目が痛い気もするけど。ま、酒でも見てるさ」
「眩しけりゃ目を閉じればいいよ」
 光の蘊蓄はあるけども、と笑った後。
 ロカジはぐいっと酒を美味そうに口にしつつも、愉快気に笑う。
「モテる男は嫌いって言ったけど。有ちゃんが興味ないって言うから、別にどうでも良くなったのよ」
 ――万能じゃないなら無能も同然、ザマァみろってさ、って。
 そんな彼をちらりと見遣り、相変わらず気だるげに返す有だけど。
「あっそう。そりゃ良かったね」
「でも嫌いなもんは嫌いよ。やっぱり同族嫌悪かね? そうかもね」
「……なんだ、結局嫌ってるの」
 ふと顔を上げ、首を傾けながらも続ける。
「同族嫌悪ならさ、それじゃお前も無能も同然ってことなのかい」
 ――まあ何でもいいけど、と。
 モテる男はいけ好かなくて、それは多分同族嫌悪で。
 でも無駄にモテても有の興味を惹くことはない作家は無能で……ということは巡り巡って、同族のロカジも無能ということになるけれど。
「何でもいい? じゃあ無能でもいいってことだね」
「は、そうかもね」
 返ってきたその声に、ロカジはふふ、と笑む。
 ほの明るい花の宵闇に舞う満天の蛍と、つれない別嬪をご機嫌で眺めながら。
 ――あーあ、酒がうめぇや、って。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

草守・珂奈芽
【花蛍】
カデルちゃんと一緒に依頼を受けたのさ!
ロマンチックなお宿を素敵なお姉さんと楽しめる!うーん魅惑的。
わたしたちも行くよ、草化媛っ。

あ、オシャレなカフェー!いこいこ!
ほほう、季節の花の限定スイーツ?紫陽花のまんまるかき氷…見た目は勿論、味も楽しみ!
(頼んだスイーツを見て)ほほう、お宿みたいに素敵な見た目!思わずにやけちゃうね。
でも容赦なく一口…ひんやり、ほろ甘い、美味しい!上手くいえないけどおいしいのさ!
カデルちゃんのケーキも美味しそう、食べさせてー!わたしのもあげるから!
分けっこして楽しめるのは最高だねー!ありがとうね、カデルちゃん。
あっこれも美味しい。夜なのに食べ過ぎちゃいそう!


瀬名・カデル
【花蛍】
珂奈芽と一緒にこの依頼を受けるよ!
蛍がとっても綺麗みたいだよ、楽しみだね、アーシェ。

お部屋に荷物を置いたらお宿を探索してみよっか。

ここにはカフェーがあるんだって、メニューを見たらとっても美味しそうだよ!
ボクはケーキと、紫陽花イメージのノンアルコールカクテルにしようかな。
珂奈芽のかき氷もとっても綺麗で、美味しそうだね!
ボクのも食べる?
いいよー、珂奈芽のも一口頂戴ね。

分け合って食べるのっていいよね、美味しいがいっぱいだよ!
ごはんの心配?
大丈夫だよ、ボク知ってるんだ!
甘いものは別腹なんだよ!



 レトロな雰囲気満載の、浪漫溢れる蛍の宿。
(「ロマンチックなお宿を素敵なお姉さんと楽しめる! うーん魅惑的」)
 案内され歩く廊下の窓からも勿論、光輝く蛍の庭が臨めて。
 何せ、草守・珂奈芽(小さな要石・f24296)の隣には、共に宿のひとときを楽しむ瀬名・カデル(無垢なる聖者・f14401)がいるから。
 けれど心躍らせているのは、珂奈芽だけではない。
「蛍がとっても綺麗みたいだよ、楽しみだね、アーシェ」
 通された部屋で紫陽花と蛍の柄の浴衣に着替えて。
 黒髪揺らすアーシェの青い目と見つめ合い、そうカデルが口にすれば。
「わたしたちも行くよ、草化媛っ」
 珂奈芽も、蛍石煌めく草化媛と共に準備万端。
 皆で楽しい、お宿の探索へ!
 そしてふと、カデルの異なるふたつのいろの瞳が見つけたのは。
「ここにはカフェーがあるんだって、メニューを見たらとっても美味しそうだよ!」
 甘い香り漂う、お宿のカフェー。
 勿論、珂奈芽がすぐにした返事は。
「あ、オシャレなカフェー! いこいこ!」
 ということでいざ、オシャレなカフェーへ!
 ぱらり、メニュー表を見ては目移りするけれど。
「ほほう、季節の花の限定スイーツ? 紫陽花のまんまるかき氷……見た目は勿論、味も楽しみ!」
「ボクはケーキと、紫陽花イメージのノンアルコールカクテルにしようかな」
 やはり、季節限定ものは外せません……!
 そして暫し待てば、運ばれてきたそれに輝く瞳。
「ほほう、お宿みたいに素敵な見た目! 思わずにやけちゃうね」
 けれども珂奈芽はスプーンでシャクリ、容赦なく一口掬って食べてみれば。
「……ひんやり、ほろ甘い、美味しい!」
 口の中に広がる冷たさと優しい甘さに笑み零す。
 ――上手くいえないけどおいしいのさ! って。
 そんな語彙もすっかり溶けてしまった珂奈芽に、カデルがずいっとケーキを差し出せば。
「珂奈芽のかき氷もとっても綺麗で、美味しそうだね! ボクのも食べる?」
「カデルちゃんのケーキも美味しそう、食べさせてー! わたしのもあげるから!」
「いいよー、珂奈芽のも一口頂戴ね」
 交渉成立! 仲良くふたりで交換こ。
 はむりとカデルのケーキを口にして、幸せな笑みをさらに蕩けさせて。
「分けっこして楽しめるのは最高だねー! ありがとうね、カデルちゃん」
「分け合って食べるのっていいよね、美味しいがいっぱいだよ!」
 ピカピカ光るカキ氷にちょっぴりキーンとしながらも、同じく笑顔を咲かせるカデル。
 そんな甘味も幸せも、ふたりと二体で楽しんで、お裾分けし合いながら。
「あっこれも美味しい。夜なのに食べ過ぎちゃいそう!」
「ごはんの心配? 大丈夫だよ、ボク知ってるんだ!」
 珂奈芽の言葉にも、カデルはえっへん言い放つ。
 ――甘いものは別腹なんだよ! って。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

四王天・燦
《華恋》

蛍舞う夜。
幻朧桜の下にシホを呼び出す

顔が赤い。
鼓動が早い。
想いを伝えるんだ

好きだよ、と

はぐらかさないでよ。
アタシも誤魔化さない。
数々の冒険、見せあった互いの本質、募る恋心…想いがもう止まらない!

ハーレムじゃない。シホだけでいい。恋人になって欲しいんだ。
壁ドンならぬ桜ドンで告白する

「愛してる」

別れを切り出され呆然。
でも理由が宿命なら諦めない。
まるで好きを拒ませる呪い。
同時にアタシに課せられたシホを潰す宿命だ…そんな宿命に負けたくない、諦められない!

キツイことを言ったこともある。
ごめん…だけど。
一緒に宿命を越えたい。
一緒に生きたい

異世界同位体の皆にも宿命越えを見せなきゃ

返事は十年でも待つぜ


シホ・エーデルワイス
《華恋》

燦に誘われ参加
庭に呼び出され

私も好きですよ
燦も他の友達も皆好きです

呆れて

も~
私までハーレムに加える気?
どれだけ囲えば気が済むの?

のらりくらりとはぐらかし

桜ドンで誤魔化せないと感じ
燦と心が近づき過ぎた事を後悔

ごめん…
私達別れた方が良いと思う
嫌いじゃない
寧ろ私も燦に惹かれていると思う
だからこそなの

依頼≪“Memento mori”なぞ知ったことかよ≫の2章
親しい人に罵られ蔑まされて死ぬ予言を話す

信じ難いと思う
けど
私と異世界の私達全員
前世で似た目に遭い
現世も聖痕が宿命を暗示しています

燦が私を愛すればする程
予言の死は近づきます
燦に私を殺させたくない

諦めない燦に根負けし

少し考えさせてほしい

と返す



 ゆうらり満天の光が満ちた夜……蛍が光を放つのは、何の為か。
 そんな夜の庭に佇む幻朧桜の下に、四王天・燦(月夜の翼・f04448)は呼び出していた。シホ・エーデルワイス(捧げるもの・f03442)のことを。
 ……顔が赤い。鼓動が早い。
 燦の顔はカアッと熱を帯び、胸は異様なほどドキドキと早く刻んでいるけれど。
 でも、燦は心に決めて、今宵この場に立っている。
(「想いを伝えるんだ」)
 そして蛍の光に照らされ、舞い降る桜花弁に飾られているシホを真っ直ぐに見つめ、告げる。
 ――好きだよ、と。
 そんな告白の言の葉に。
「私も好きですよ。燦も他の友達も皆好きです」
 シホはそう返すけれど。
「はぐらかさないでよ」
 ……アタシも誤魔化さない。
 シホを金の瞳で捉えたまま、燦は気持ちのままに紡ぐ。
 数々の冒険、見せあった互いの本質、募る恋心……想いがもう止まらない! って。
 そんな燦の様子に、シホは瞳を瞬かせ呆れつつも。
「も~私までハーレムに加える気? どれだけ囲えば気が済むの?」
 のらりくらりと再び、そうはぐらかすけれども。
 刹那――幻朧桜が揺れ、はらはらと散った桜花弁が、より二人の上に降り注ぐ。
「ハーレムじゃない。シホだけでいい。恋人になって欲しいんだ」
 燦が、壁ドンならぬ桜ドンで想いを紡ぎ、告白したから。
「愛してる」
 そんな燦の真剣な言葉や表情、そしてされた桜ドンで、誤魔化せないと感じたシホは後悔する。
 燦と心が近づき過ぎた事を。
 そして、彼女へと告げる。
「ごめん……私達別れた方が良いと思う」
 それは、別れの言葉。
 別れを切り出され呆然とする燦に、シホは続ける。
「嫌いじゃない。寧ろ私も燦に惹かれていると思う」
 ……だからこそなの、って。
 シホは以前、自分の死に様を見せつけられた。
 縛り付けられている自分、そして――。
 シホはその時の事を燦へと話す。親しい人に罵られ蔑まされて死ぬ予言を。
「信じ難いと思う。けど、私と異世界の私達全員、前世で似た目に遭い、現世も聖痕が宿命を暗示しています」
 それが、別れの理由。
 けれど……理由が宿命なら、と。
 だってそれはまるで、好きを拒ませる呪いのようであって。
(「同時にアタシに課せられたシホを潰す宿命だ……そんな宿命に負けたくない、諦められない!」)
 けれどシホは、燦の想いに頷くことはできない。
「燦が私を愛すればする程、予言の死は近づきます」
 ――燦に私を殺させたくない、って。
 けれど燦は諦めず、溢れ出す想いを紡ぎ続ける。
「キツイことを言ったこともある。ごめん……だけど」
 ……一緒に宿命を越えたい。一緒に生きたい、と。
 異世界同位体の皆にも宿命越えを見せなきゃ、って。
 刹那、ふわりと視界に瞬く蛍の光。
 蛍が光を放つのは――想いを告げる、求愛の為だという。
 シホはそんな諦めない燦に根負けし、青い瞳を彼女にもう一度向けて。
 蛍舞う幻朧桜の下、こう返すのだった。
 ……少し考えさせてほしい、と。
 それに、燦はまた頷き返す――返事は十年でも待つぜ、って。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ザザ・クライスト
【狼鬼】

「フゥー! やっぱ露天風呂はサイコーだぜ」

手足を広げて満喫
尻尾をゆらゆらと揺らしてご機嫌

「櫻居先生に入れ込むフラウがまたひとりってか」

邪魔って、モテない野郎の僻みじゃあるめェし
ラブラブ三昧らしィジャスパー様の話を聞かせろよ?

やっこさんの様子に、

「ハァン。羨ましィね、イヤマジで」

おどけつつご馳走サンと笑って祝福
あやかりてェモンだが、普段はどんなコトをしてるンだ?

はぐらかすジャスパーにはわかってるわかってるともっともらしい顔で頷いて

オレのコトはともかく

これは興味本位じゃねェ
女将を助ける為のヒントをオレなりにだなとかテキトーぶっこいて後に続く

「やっぱ先生は死ンじまってるのかね、未練か……」


ジャスパー・ドゥルジー
【狼鬼】
露天風呂でのんびり地上と空の星を眺める
ザザと一緒に揺れる悪魔尻尾
それにしても俺らの「お節介」もここまでくりゃ立派だな
こうなりゃとことんあのいけすかねえ野郎の邪魔をしてやろうぜ

それにしてもいい眺めだ
蛍が光るのは求愛の為だっけ

……へ、俺?
(話題を振られるとは思っておらず、頬を赤らめ)

……最近一緒に住み始めた
前のアパートもまだ引き払ってはいねえけど、そろそろって感じ、かな
あんたこそどーなんだよザザ
どんなコトって…そんな変わったことはしてねーと思うけど
なんだよその顔は

俺の事はいーんだよ、問題はイセノってヤツだろうがよ
ざばんと音を立てて立ち上がる
のぼせちまった、なんて言い訳がましく付け加えつつ



 ゆうらりゆらりとご機嫌に揺れるのは、狼と悪魔のふたつの尻尾。
「フゥー! やっぱ露天風呂はサイコーだぜ」
 ザザ・クライスト(人狼騎士第六席・f07677)は手足を伸び伸びと広げ、完全にリラックスモード。
 そんな温泉を満喫しまくっている様子のザザと一緒に、のんびりと。
 ジャスパー・ドゥルジー("D"RIVE・f20695)は、地上にも夜空にも煌めく星々を眺めながら口を開く。
「それにしても俺らの「お節介」もここまでくりゃ立派だな」
 別に恨まれようが何しようがいい、興味はねえよ、ってそう呟きながらも。
 何だかんだ関わってきた、作家が引き起こす数々の案件。
 ジャスパーは作家の知らないところで、その美学を否定し続けてきた。
 そしてそれは、これからもきっと同じだから。
「こうなりゃとことんあのいけすかねえ野郎の邪魔をしてやろうぜ」
 そうふたつのいろが混ざり合う不思議な印象の瞳を、何処か楽し気に細めてみせながらも。
「それにしてもいい眺めだ」
 ……蛍が光るのは求愛の為だっけ、なんて、何処か誰かを想う様に呟けば。
「櫻居先生に入れ込むフラウがまたひとりってか」
 刹那、ザザに浮かぶのは、ニッと意味深な笑み。
 そして頭にタオルを乗せ直し、楽し気に続ける。
「邪魔って、モテない野郎の僻みじゃあるめェし」
 ――ラブラブ三昧らしィジャスパー様の話を聞かせろよ? って。
 そんなザザの言葉に、ジャスパーは瞳をぱちくりとさせて。
「……へ、俺?」
 完全なるザザの不意打ちに、思わず頬を赤らめるけれど。
 話題を振られるとは思っていなかったが……ちらりとザザを見つつも、口を開く。
「……最近一緒に住み始めた。前のアパートもまだ引き払ってはいねえけど、そろそろって感じ、かな」
「ハァン。羨ましィね、イヤマジで」
 ザザはそんなジャスパーの様子におどけつつも、笑って祝福を――ご馳走サン、と。
 それから再び、訊ねてみれば。
「あやかりてェモンだが、普段はどんなコトをしてるンだ?」
「どんなコトって……そんな変わったことはしてねーと思うけど。なんだよその顔は」
 はぐらかすように返ってきた言葉に、わかってるわかってる、って。
 そう、もっともらしい顔でザザは頷いて。
「あんたこそどーなんだよザザ」
 逆にそう訊かれても、オレのコトはともかく、と紡いだ後。
「これは興味本位じゃねェ。女将を助ける為のヒントをオレなりにだな」
 キリリと何だかそれらしい顔と言葉で、適当にぶっこいてから。
「やっぱ先生は死ンじまってるのかね、未練か……」
 蛍舞う空をふと見上げ、ぽつりとひとつ呟くも。
「俺の事はいーんだよ、問題はイセノってヤツだろうがよ」
 ……そろそろ上がってイチゴ牛乳飲まないとだろ、と。
 すっかり赤くなった顔を隠す様に、ざばんと音をたてて。
 ジャスパーは立ち上がると――のぼせちまった、なんて。
 言い訳がましく付け加えつつ、悪魔尻尾をゆらり、何処かそそくさと湯から出るのだった。
 微笑まし気なザザと、求愛の光を放つ蛍に見送られながら。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

マレーク・グランシャール
【石竜】石門(f24536)と

息子の石門と一緒に大浴場へ

なんだ、風呂が嫌いなのか? いつも砦で入っているのに……
ああ、そうか、大きい風呂に一人で入るのが怖いのだな
俺が一緒に入ってやろう

遠慮はするな、親子だし男同士だ
母親と一緒の方がいいのだろうが、ここでは幼児であっても男女一緒に入ることは出来ないからな

髪を洗って背中も流してやる(わしゃわしゃ丸洗い)
湯船は100数えるまでしっかり浸かるのだぞ(一緒に数える)

湯上がりにフルーツ牛乳(瓶入り)を飲むぞ
ここで大人ならビールだが、石門は子どもだからな
後で妻に砦で牛を飼ってフルーツ牛乳を自家生産出来ないか相談してみよう

たまには親子で風呂もいいものだな


照宮・石門
【石竜】竜(f09171)と

吾(われ)を外へ連れ出すは、何事か
湯浴みを忌みはしておらぬ
吾のみにて行うを望……聞け、竜
吾の話を聞け、聞かぬか
汝(なれ)の妹(いも)なる女神より生まれ出でし身なれど、汝の子に身を落としてはいな……(文句を言う間に丸洗いされ、結局一緒に湯船につかる)
……吾を汝の子と欲するならば竜よ、吾が言を聞け(でも聞いてくれない)
(……吾が心は巌(いわお)ゆえ……(諦めて一緒に浸かる))

美味なり(フルーツ牛乳)
吾が童(わらべ)たるは形(なり)のみにて
竜よ、いま少し吾が言に耳を傾けよ
……聞け
(最後まで聞いて貰えないが心は岩のように頑丈なので逆上はしない)



 ゆうらり夜空に揺れるのは、ほかほか立ちのぼる湯煙とちかちか瞬く蛍の光。
 そして季節の風景にひらりと舞い踊るのは、朧に咲く桜花弁。
 そんな蛍と星と桜の景色が臨める大浴場にやって来たのは、父に連れられた幼子。
 傍から見れば完全にそう見えるし、現に親子であるのだが。
「吾を外へ連れ出すは、何事か」
 そうちらりと自分を見上げる照宮・石門(岐なりしもの・f24536)に、マレーク・グランシャール(黒曜飢竜・f09171)は視線を返して。
「なんだ、風呂が嫌いなのか? いつも砦で入っているのに……」
 とてとてと小さな歩幅の息子と並び、その姿を見遣れば、何処か落ち着かぬ様子。
 だがその理由が思い当たらず、ふと首を傾けるも。
「湯浴みを忌みはしておらぬ。吾のみにて行うを望……」
「ああ、そうか、大きい風呂に一人で入るのが怖いのだな」
「……聞け、竜」
 何処か怪訝な面持ちの息子を意に介すことなく、すぐにそうひとり納得した様に頷くマレーク。
 となれば、父としてやってあげる事はひとつ。
「俺が一緒に入ってやろう」
「吾の話を聞け、聞かぬか」
 慣れぬ大きな風呂に父と入る事がきっと照れ臭いのだろう。そうに違いない。
 そんな息子を微笑ましく見つめ、ぽむりとマレークは息子の肩に手を添えて。
「遠慮はするな、親子だし男同士だ」
 安心させるように言った後、言って聞かせる様に目線にしゃがんで続ける。
「母親と一緒の方がいいのだろうが、ここでは幼児であっても男女一緒に入ることは出来ないからな」
「汝の妹なる女神より生まれ出でし身なれど、汝の子に身を落としてはいな……」
「だがまずは身体を洗い、それから湯船に入るのだぞ」
 父として、息子にそうマナーも確り教えてあげながら。
 何かぶつぶつと呟いている息子を、ちょこんと湯椅子に座らせて。
「髪を洗って背中も流してやる」
 わしゃわしゃと桜の香が漂う石鹸で、石門を丸洗いしてあげるマレーク。
 そしてすっきり身体を洗った後、湯船にざぶん。
「……吾を汝の子と欲するならば竜よ、吾が言を聞け」
「湯船は100数えるまでしっかり浸かるのだぞ」
 結局されるがまま、流れで一緒に湯船に浸かりつつも、父に言ってみる石門だが。
(「……吾が心は巌ゆえ……」)
 そう諦め、数をかぞえはじめた父に倣い、ひぃ、ふぅ、みぃ、よぉ……と共に100まで数え始めるのだった。
 そしてほかほか親子で、いい湯を満喫した後。
 湯上りには、やはりこれです!
「フルーツ牛乳を飲むぞ」
 マレークが手にしているのはそう、2本の瓶入りフルーツ牛乳。
 栓をあけてあげたものを息子に手渡しながら、マレークは腰に手を当てて。
「ここで大人ならビールだが、石門は子どもだからな」
「吾が童たるは形のみにて。竜よ、いま少し吾が言に耳を傾けよ」
「後で妻に砦で牛を飼ってフルーツ牛乳を自家生産出来ないか相談してみよう」
「……聞け」
 自分の分のフルーツ牛乳をごくごくと飲みながらも言った相変わらずなマレークをちらり見上げつつ、ちびりと石門も口を付けてみれば。
「美味なり」
 湯上りのフルーツ牛乳は、とても美味しいです。
 そんな息子の様子を見守るマレークはこくりと頷き、そして微笑む。
「美味しいか。やはり子どもは甘いものが好きなのだな」
「吾が言を聞かぬか。吾が童たるは形のみ……」
「たまには親子で風呂もいいものだな」
 案の定、最後まで聞いて貰えないが……でもその心は岩のように頑丈だから。
 ちびちびとフルーツ牛乳を飲みながら、石門は微笑まし気に自分を見つめる父に逆上することもなく、もう一度めげずに呟くのだった。
 ……竜よ、聞け、と。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ティル・レーヴェ
【翼】
浴衣は昨年初めて袖を通したが
もうそんな季節なのじゃなぁ

ほほ、有難う
クラウン殿もようお似合いじゃよ
うむ!甘味が我らを待っておる!

メニューを眺めれば
眼も心も奪う様な品の数々
季節限定は言うまでもなく
定番メニューも捨て難い

……む?全品制覇?
ほほ、確かにいけそうな気がする

なんて
戯れに交わす言葉も楽しくて
笑い声も重ねて響く

流石に全部は難しかろうが
取り皿を頂いて
シェアして色々食べるとしよう
分けっこは醍醐味よの

ならば妾はプリンアラモードと
ケーキプレートに致そうか
季節のトッピングなどされていれば素敵じゃな

あゝノンアルコールのイメージカクテルは
妾も是非試したい!
幻想的な蛍の明かりの中で
なんと楽しく夢の如きか


クラウン・メリー
【翼】

浴衣は何回か着たことあるけど
歩き方がぎこちない

わぁ、ティルとっても似合ってる!可愛いなっ!
俺も似合ってる?
よーしこのままカフェーに出発だー!

むむ……全部頼みたいね!
俺とティルならいけるかな?なんてからからと笑い

ちょこっと欲張っちゃおっか
俺はこのキラキラした紫色のかき氷!後餡蜜!
それと出来たらノンアルコールのイメージカクテルを

瞳を輝かせ
わ、綺麗!いただきまーす!
んー、冷たい!キラキラ、宝石みたいだっ
ティル、俺のどーぞ!ティルのも少し食べる!

餡蜜は半分こしてカクテルを見つめる
ティルは優しくて落ち着いてて、お花が好きなイメージがあるなっ
俺はやっぱりピエロかな?

一口飲んでにこにこ笑顔
美味しいね!



 蛍の庭が臨める大きな窓が続く廊下に灯るのは、仄かに舞う輝きを邪魔しない優しいランプの光。
 そんな雰囲気も抜群な宿の中、互いに着替えてみて。
「浴衣は昨年初めて袖を通したが、もうそんな季節なのじゃなぁ」
 蛍舞う紫陽花咲かせた浴衣の袖をひらり揺らし、ティル・レーヴェ(福音の蕾・f07995)がしみじみと口にすれば。
「わぁ、ティルとっても似合ってる! 可愛いなっ!」
 ……俺も似合ってる? って。
 そうぱっと笑顔咲かせるのは、同じく浴衣を着てみたクラウン・メリー(愉快なピエロ・f03642)。
 何度か浴衣は着たことはあるものの、何処かその歩き方がぎこちないけれど。
 でもきっとそれも、醍醐味。
「ほほ、有難う。クラウン殿もようお似合いじゃよ」
 そして彼の言葉にティルも、藤色の眸を柔く細めて。
「よーしこのままカフェーに出発だー!」
「うむ! 甘味が我らを待っておる!」
 ぐっと気合い十分、ふたりがいざ向かうのは、宿のカフェー。
 勿論、足を向けたカフェーも蛍の庭が存分に臨めて。
 ぱらりと逸る心のままメニューを開けば、蛍に負けないくらい輝く瞳。
 期間限定メニューは言うまでもなく、定番メニューも捨て難い。
 ふたりで暫し、うんうんと悩みつつメニューと睨めっこしていたけれど。
「むむ……全部頼みたいね!」
 ――俺とティルならいけるかな?
 なんて、クラウンがからからと笑えば。
「……む? 全品制覇?」
 ティルは一瞬瞳をぱちくりとさせた後、すぐに笑んで返す。
 ――ほほ、確かにいけそうな気がする、って。
 窓の外に飛び交う蛍たちの様に、そんな戯れに交わす言葉も楽しくて。
 重なり響く笑い声に、会話の花も咲き誇る。
 全品制覇、それも一緒ならばいけるかもしれないけれど。
「分けっこは醍醐味よの」
 流石に全部は難しいかもしれないから、取り皿を貰って、シェアして色々食べることに。
「ちょこっと欲張っちゃおっか」
 けれどやっぱり、あれもこれも美味しそうだから。
「俺はこのキラキラした紫色のかき氷! 後餡蜜!」
「ならば妾はプリンアラモードとケーキプレートに致そうか」
 ふたりは散々悩んだ後、限定と定番をそれぞれチョイス。
 注文し、そして運ばれてくれば……より一層キラキラと輝く瞳。
「わ、綺麗! いただきまーす!」
「紫陽花のトッピングも素敵じゃな」
 クラウンの前には、ピカピカと蛍の様に器の中が光るまんまる紫陽花かき氷に、紫陽花が一花飾られた餡蜜。
 ティルの前には、紫陽花のゼリーが添えられたプリンアラモードに、雨の様に金平糖を降らせたケーキプレート。
「んー、冷たい! キラキラ、宝石みたいだっ。ティル、俺のどーぞ! ティルのも少し食べる!」
「クラウン殿のも美味しそうじゃなぁ、では分けっこじゃな」
 はむりと食べあいこすれば、自然と笑みも零れて。
 そして次に運ばれてきたのは、試しに頼んでみたノンアルコールのイメージカクテル。
 餡蜜をティルと半分こしながら、クラウンはじっとカクテルを見つめて。
「ティルは優しくて落ち着いてて、お花が好きなイメージがあるなっ。俺はやっぱりピエロかな?」
 藤のような、紫陽花のような――そんな柔く落ち着いた優しい紫色の彼女のカクテルに笑んだ後。
 ピエロを思わせるように元気で華やかな印象の、薔薇が添えられたカクテルをひとくち飲んでみれば。
「美味しいね!」
「うむ、優しい甘さで美味しいの」
 そう顔を見合わせ、ふふっとふたり楽し気に零すのは満開の笑み。
 そんな甘味やカクテルを仲良く味わいながらも。
 ティルは満天の蛍の光を灯らせた藤色の瞳を、再びそっと細める。
 ――幻想的な蛍の明かりの中で、なんと楽しく夢の如きか、って。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

フリル・インレアン
ふぇ、えぐっ、どうしてこんな形で終わってしまうのでしょうか?
あ、アヒルさん、何をしているのかって、この前は櫻居先生の小説を読まないでお会いしてしまったので、今回はちゃんとお勉強してからと思って読んでいたんですよ。
ですけど、どうしてこんな結末になってしまうのでしょうか?
小説なのですから、もっと違う終わり方でもいいような気もします。

ふえ?アヒルさん、どうしたんですか?
急に散歩に付き合えって、ちょうど読み終わったところですから、私は大丈夫ですけど、いつもでしたら勝手に一人で出かけるのに、どうしたんですか?
恋は盲目、木乃伊取りが木乃伊になるなってどういうことですか?



 ずらりと宿のラウンジに並んだ本棚に多くみられるのは、櫻居・四狼の著作のもの。
 その中から、フリル・インレアン(大きな帽子の物語はまだ終わらない・f19557)が手に取ったのは、彼の代表作と謳われる短編集『桜ノ匣庭』。
 そして、ぱらぱらと読み進めてみれば。
「ふぇ、えぐっ、どうしてこんな形で終わってしまうのでしょうか?」
 思わずそう呟いた後、フリルはふと、自分に向けられたアヒルさんの視線に気付いて。
「あ、アヒルさん、何をしているのかって、この前は櫻居先生の小説を読まないでお会いしてしまったので、今回はちゃんとお勉強してからと思って読んでいたんですよ」
 前回会った時は、彼の作品は読んでいなかったから。
 今回は読んで予習してから臨もうと、そう思ったのだ。
 ……でも。
「ですけど、どうしてこんな結末になってしまうのでしょうか?」
 心中を美学とする作家の作品の結末に、ふるふると大きく首を横に振るフリル。
 そしてアヒルさんに力説する。
「小説なのですから、もっと違う終わり方でもいいような気もします」
 けれど、そんな彼の作品の世界にある意味嵌ってしまったフリルの大きな帽子を、くいくいと引いて。
「ふえ? アヒルさん、どうしたんですか?」
 首を傾げるフリルに、付き合えと。庭の散歩へと連れ出すアヒルさん。
 そんなアヒルさんの行動に、瞳をぱちくり瞬かせるフリルだけど。
「急に散歩に付き合えって、ちょうど読み終わったところですから、私は大丈夫ですけど、いつもでしたら勝手に一人で出かけるのに、どうしたんですか?」
 蛍と桜花弁舞う中、アヒルさんの言葉に、ますます大きく首を捻るのだった。
 ――恋は盲目、木乃伊取りが木乃伊になるなってどういうことですか? って。

大成功 🔵​🔵​🔵​

カノン・チェンバロ
桜の花が雪みたいに散ってる光景も
流れ星が遊ぶような蛍の光も見ていると心が躍るね。
わくわくする踊り方だから多分"初めて見た"んだと思う。

もちろん光る飲み物は始めてだよ!
こっちの水は……なんて歌を誰かが歌っていたのだけど
あれを聞いてからだと水に寄って来た蛍を一緒に飲んでしまうような気になるね。

ドリンクは私には少し甘さが強かったかも。
この甘さに慣れてしまったらまんまと溺れそうだ。
甘さに酔わないうちに夜風を浴びて来よう。
蛍の光も照らされている花の色もとても綺麗だからきっと目が覚める。

楽園のようなこの光景は誰かと見たかった気がする。
誰だったかな。誰でもいいや。
歌にして、聞いてもらって、つれてきたいんだ。



 仲良く戯れる様に夜空を舞うのは、桜花弁と蛍の光。
 そんな庭の風景を眺めながら、カノン・チェンバロ(ジェインドウ・f18356)は、そっと胸に手を当てつつ考えてみる。
「桜の花が雪みたいに散ってる光景も、流れ星が遊ぶような蛍の光も見ていると心が躍るね」
 けれどそれは、わくわくする踊り方だから――多分"初めて見た"んだと思う、って。
 それに、わくわく心踊る"初めて見た"ものは、この景色だけではなくて。
「もちろん光る飲み物は始めてだよ!」
 カフェーで頼んでみた、光るアイスキューブが浮かんだ紫陽花色のカクテルだって、そう。
 それを暫し、キラキラさせた瞳でじっと見つめてから。
「こっちの水は……なんて歌を誰かが歌っていたのだけど。あれを聞いてからだと水に寄って来た蛍を一緒に飲んでしまうような気になるね」
 そう、蛍まで飲んでしまわないよう気を付けながらも、そろりと。
 紫陽花カクテルへと口を付けてみれば……ふわり広がるのは、甘い味。
 けれどそれはちょっぴり、カノンにとっては甘さが強い気がして。
 ゆうらりとグラスに揺れる、光纏ういろを見つめつつも思うのだった。
 ――この甘さに慣れてしまったらまんまと溺れそうだ、って。
 それこそ、甘い水に誘われる蛍たちの様に。
 でも……その甘さに酔わないように、と。
 夜風を浴びて来よう、そう蛍の庭へと足を向けるカノン。
 そうすれば、きっと目が覚めるはず。蛍の光も照らされている花の色も、とても綺麗だから。
 さわりと吹く夜風が心地良い、地上にも夜空にも星が満ちる幻想的な世界。
 それはまるで、楽園の様で。
 カノンはふと足を止め、首を傾ける。
 ……楽園のようなこの光景は誰かと見たかった気がする、と。
 でもすぐに、再び蛍や桜舞う中、歩き出して。
「誰だったかな。誰でもいいや」
 そう呟きながらも、満天の光に満ちる瞳をそっと細める。
 ――歌にして、聞いてもらって、つれてきたいんだ、って。

大成功 🔵​🔵​🔵​

黒鵺・瑞樹
アドリブOK

戦争で伽羅も陸奥も…特に陸奥は来てくれたばっかりなのになぁ。いやそれを言ったら伽羅も来てくれてすぐにエンパイアでの戦争だったか。
とにかく、二人のおかげで何とかなったっていうのもあるから労いたい。
特に普段から伽羅は陸奥の世話というか、いい兄ちゃんっぷりだし今日ぐらいはゆっくりとさせたい。
部屋は陸奥が蛍を追いかけて飛び出さないよう、個室がいいな。…陸奥、いくら仔虎の姿とは言え、なんでこうまんま好奇心の赴くまま、猫の生態なのは俺のせいなのだろうか?好奇心の強さは確かに自覚してるけども…(伽羅からの肯定の眼差し)…やっぱりそうか。
飲み物食べ物適当につまみながら蛍を眺めよう。



 帝都から離れた場所にある宿は、何処か時間もゆっくり流れている様な気さえして。
 見事に設えられた蛍の庭は、自慢なだけあって見事なものだ。
 それにここ最近は、情勢も慌ただしかったから。
「戦争で伽羅も陸奥も……特に陸奥は来てくれたばっかりなのになぁ」
 ……いやそれを言ったら伽羅も来てくれてすぐにエンパイアでの戦争だったか、なんて思い直しながらも。
 黒鵺・瑞樹(境界渡・f17491)は、共に在る伽羅と陸奥へと向けた瞳を細める。
 ――とにかく、二人のおかげで何とかなったっていうのもあるから労いたい、って。
(「特に普段から伽羅は陸奥の世話というか、いい兄ちゃんっぷりだし今日ぐらいはゆっくりとさせたい」)
 そんな伽羅はやはり、無邪気な陸奥の世話を今日も焼いているけれど。
 陸奥が蛍を追いかけて風に乗り飛び出さないようにと、瑞樹がお願いしたのは個室。
 そして早速とてとてと部屋の中を駆け、興味津々な様子の陸奥。
 それから瑞樹は思わず、こう呟きを落とす。
「……陸奥、いくら仔虎の姿とは言え、なんでこうまんま好奇心の赴くまま、猫の生態なのは俺のせいなのだろうか?」
 ぶら下がったタオルに、てしてしっと肉球パンチしているその姿に。
 陸奥が生まれたのは、孵した者の心を映すという精霊のたまごからであったし。
「好奇心の強さは確かに自覚してるけども……」
 そうちらり、水神の竜へと目を遣れば。
 ……やっぱりそうか、と瑞樹は確信するのだった。
 伽羅から向けられた肯定の眼差しを見て。
 そんな伽羅と、陸奥も一緒に。
 瑞樹は適当に飲み物や食べ物をつまみながら、暫し楽しむことにする。
 蛍と桜と星が煌めく、眼前の庭を。

大成功 🔵​🔵​🔵​

レジー・スィニ
【爪痕】

ラウンジでまったりと茶を飲もうかな
今は酒の気分じゃないの
サクラミラージュの茶って美味いんだよね
部屋でのんびり飲む方が落ち着けるかもしれないけど
蛍を見ながらっていいじゃん

ジェイは蛍を知らないの?
意外だね。蛍を知らない奴がいるなんてさ。
メールは知ってるっしょ?

何で光ってるかは知らないけど、あいつらはすぐに死ぬよ
すぐに死ぬから光ってるんじゃない?
狙われるってさー、もう少しロマンチックな事とか考えなよ。
例えば、光につられて似たような蛍が集まるとかさ。

隠れてばっかだと嫁さんももらえないでしょ。
すぐに死ぬから子孫を残す為にとかさー。

ジェイもメールもあいつらは喰えないからね。
喰おうとしたら駄目だよ。


ジェイ・バグショット
【爪痕】

ラウンジでサクミラ特有のウヰスキー片手に
メールの発言をガキかよ。と鼻で笑う

蛍…、だっけか。初めて見た。
窓から見える暗闇の中
飛ぶ蛍の光が幻想的で、それを飽きもせず眺めていた
あぁ、話には聞いてたけど本物はな…。
UDCアース暮らしも随分と長いが
蛍を見に出歩く性分でもない

あいつらってなんで光ってんだろうな。
せっかくの暗闇なのに、光ってたら狙われないか?
捕食者的思考で捉えてしまうのは職業病のようなものだろう

…へぇ、すぐ死ぬの。
死ぬから光るって意味わかんねーけど、なるほど相手探しか。
ふぅん、必死な姿を余興にしてるのが俺たちってわけね。
浪漫もクソもない会話

誰が食うかっつーの。
悪態吐きつつ酒を煽る


メール・ラメール
【爪痕】
桜リキュールのカクテルを飲みながらのほほん
部屋だったらのんびりさせてあげないから、ラウンジで正解だと思うの!
ほら、ねえ、思わず枕とか投げつけたくなっちゃう
……なあに、ジェイちゃんなんか言った?

うん、蛍知ってるし見たこともあるのよ
きれいよね、最近は見れるところも少ないけれど
いちばん気になるのそれなの?ジェイちゃんに浪漫はないの?
命短しなんとやら。恋することのほうが大切なのよ
あら。恋の話を余興にするのは小説だって漫画だってオペラだって、ずうっとそうでしょう?
アタシは楽しいからスキよ

流石に食べないわよ、レジーちゃんったら失礼ね!
……いやあれがオブリビオンだったら話は変わるけれど、違うのよね?



 本棚と仄かな光灯すランプに囲まれた、雰囲気の良い宿のラウンジで。
「サクラミラージュの茶って美味いんだよね」
 ……今は酒の気分じゃないの、って。
 そう微かにふわり桜の香がする茶を口に運びながら、レジー・スィニ(夜降ち・f24074)は窓の外に目を向けて。
「部屋でのんびり飲む方が落ち着けるかもしれないけど、蛍を見ながらっていいじゃん」
 青い瞳にも数多の蛍の光を舞わせつつ、ご満悦な様子。
 そんなレジーの言葉にこくこくと頷くのは、桜リキュールのカクテルを飲んでのほほん気分なメール・ラメール(砂糖と香辛料・f05874)。
「部屋だったらのんびりさせてあげないから、ラウンジで正解だと思うの!」
 宿の部屋で、みんなでやることと言えば……あれだから。
「ほら、ねえ、思わず枕とか投げつけたくなっちゃう」
 そう――枕投げ!
 そこはある意味戦場、きっとお茶をしている余裕なんてありませんから。
 けれどそんなメールの発言を、ガキかよ、なんて鼻で笑って。
「……なあに、ジェイちゃんなんか言った?」
 ちらりメールが向けた視線の先――ジェイ・バグショット(幕引き・f01070)が片手にゆらり揺らすのは、深い琥珀色をしたサクラミラージュ特有のウヰスキー。
 そんな仄かに桜の気配がする酒を楽しみながらも、ジェイは窓の外を飽きもせず眺めていた。
 窓から見える暗闇の中――ゆうらり舞い踊る、幻想的な数多の光を。
「蛍……、だっけか。初めて見た」
「ジェイは蛍を知らないの?」
 ふと向けられたレジーの声と瞳に、ジェイは金の視線と共にこう返す。
「あぁ、話には聞いてたけど本物はな……」
 もう随分と長く暮らしているUDCアースでも、蛍を見る事の出来る場所はあるだろうが。
 何せ、蛍を見に出歩く性分でもないから。
 そんなジェイに、レジーは小さく首を傾けてみせて。
「意外だね。蛍を知らない奴がいるなんてさ。メールは知ってるっしょ?」
 今度はメールへと訊ねてみれば。
「うん、蛍知ってるし見たこともあるのよ」
 こくりと頷いた後、メールも改めて窓の外へと目を向けて。
「きれいよね、最近は見れるところも少ないけれど」
 まさに眼前に広がる世界は、きらきらステキがいっぱい。
 けれど今此処に在るメンツは、ロマンティックな雰囲気に酔いしれる性分でもなく。
「あいつらってなんで光ってんだろうな。せっかくの暗闇なのに、光ってたら狙われないか?」
「いちばん気になるのそれなの? ジェイちゃんに浪漫はないの?」
 浪漫の欠片もなかった。
 ……いや、もう職業病のようなものである。捕食者的思考で捉えてしまうのは。
 そしてさらにレジーも続いて。
「何で光ってるかは知らないけど、あいつらはすぐに死ぬよ。すぐに死ぬから光ってるんじゃない?」
「……へぇ、すぐ死ぬの」
 ジェイを見て少し大袈裟にふうっと息をつき、続ける。
「狙われるってさー、もう少しロマンチックな事とか考えなよ。例えば、光につられて似たような蛍が集まるとかさ。隠れてばっかだと嫁さんももらえないでしょ」
 すぐに死ぬから子孫を残す為にとかさー、って。
「死ぬから光るって意味わかんねーけど、なるほど相手探しか」
 意味分からないけど、分かったような。
 ジェイはもう一度改めて、窓の外に煌めく星の様な光を眺めて。
 それを肴に、ウヰスキーを一口。
「命短しなんとやら。恋することのほうが大切なのよ」
「ふぅん、必死な姿を余興にしてるのが俺たちってわけね」
 メールの言葉にそう返しつつも我ながら思う。浪漫もクソもない会話、と。
 けれど蛍の必死な姿のそれは、考えようによってはロマンチックかもしれない。
 だって、蛍が輝くのは求愛の為だって言うから。
 メールは眼前で繰り広げられているかもしれない恋模様を見つめ、ほんのり火照った表情で紡ぐ。
「あら。恋の話を余興にするのは小説だって漫画だってオペラだって、ずうっとそうでしょう?」
 すぐに死ぬというのもきっと、恋物語の彩を深める有効なフレーバー。
 そして桜リキュールのカクテルを飲みながらメールは続ける。
 ……アタシは楽しいからスキよ、って。
 レジーはそんな連れ達の会話を聞きつつ、茶をもう一口飲んだ後。
 ふかふかのソファーに踏ん反り返ったまま、ふっと口元に笑み宿して。
「ジェイもメールもあいつらは喰えないからね」
 ……喰おうとしたら駄目だよ、って。
 そう交互にふたりへと楽し気に視線を向ければ。
「誰が食うかっつーの」
「流石に食べないわよ、レジーちゃんったら失礼ね!」
 同時にすかさず返る言の葉。
 そして悪態吐きつつ酒を煽るジェイを後目に。
 メールは蛍の光を紫の瞳にも舞わせながら、こてんと首を傾けつつもふと呟く。
 ……いやあれがオブリビオンだったら話は変わるけれど、違うのよね? って。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

月舘・夜彦
【華禱】
和室の個室で過ごします
……お酒は飲みませんよ
お酒は弱くとも戦いを控えているのですからね
倫太郎殿も程々に
彼が何度蘇ろうともオブリビオンで在る限りは戦うのみ、です

……あれから一年ですか
季節が一周してしまうとは早いものですね
紫陽花の葉に灯る蛍の光を眺めて思う

私も友人だった貴方とこのような仲になるとは思いませんでした
他の世界を教えてくださり冒険する日々がとても楽しくて
倫太郎殿の友人になれて、とても嬉しく思っておりました

……あの日の蛍と紫陽花
焦がれる思い出だけで終わるはずでしたのにね
それを穏やかな気持ちで、貴方と寄り添い眺めていられる
私の世界は貴方によって鮮やかに変わっていく
今も、これからも……


篝・倫太郎
【華禱】
和室タイプの個室で庭を眺めて過ごす
俺は酒を少し
夜彦……あんた、酒は止めとけよ?
深夜にゃ、あの先生と再びの逢瀬だ
向こうは覚えちゃいねぇだろうけどさ

一年前はさ……エンパイアで見たよな
蛍と紫陽花

あの頃は……
あんたとの関係がこんな風に劇的に変わるなんて
これっぽっちも思ってなかったから……
なんか変な感じだ

でも多分、あの頃からあんたの事は
意味はどうであれ、特別だったんだろうなぁって
そんな気もしてて

蛍と紫陽花
隣にいるのはあんた
世界が異なってもふたり同じものを観てる

けど、関わり方が変わるだけで
見えるものが此処まで違うなんて
夜彦、あんたは知ってた?

来年も一緒に
どんな世界でこんな景色を観るんだろうか――



 仄かに灯るランプの廊下を、案内されるまま並んで歩いて。
 ふたり落ち着いたのは、蛍の庭が臨める和室。
 個室で庭を眺め、酒を少し嗜みながらも、篝・倫太郎(災禍狩り・f07291)は月舘・夜彦(宵待ノ簪・f01521)へと目を向け、言っておく。
「夜彦……あんた、酒は止めとけよ?」
「……お酒は飲みませんよ」
 お酒は弱くとも戦いを控えているのですからね、とノンアルコールの仄甘い紫陽花カクテルを口にしながらも。
 倫太郎殿も程々に、と声を掛け返せば。
「深夜にゃ、あの先生と再びの逢瀬だ」
 ……向こうは覚えちゃいねぇだろうけどさ、と倫太郎は続ける。
 予知された作家の影朧と対峙するのは、ふたりは初めてではないけれど。
「彼が何度蘇ろうともオブリビオンで在る限りは戦うのみ、です」
 自分たち猟兵がやるべきことを成すのみ。
 けれどその前に、暫しのんびりした時間を過ごしても良いだろうから。
「一年前はさ……エンパイアで見たよな」
 ――蛍と紫陽花、と。
 倫太郎がしみじみそう、窓の外へと琥珀色の視線を巡らせれば。
「……あれから一年ですか。季節が一周してしまうとは早いものですね」
 夜彦の緑色の瞳が映すのは、紫陽花の葉に灯る蛍の光。
 ふたりが思い出しているいろは、同じ。
 また巡ってきた季節を彩る、二藍のいろ。
 あの時も今と同じ様に、蛍と花を共に愛でていたけれど。
 あの頃と今では、大きく違っていることもあって。
「あの頃は……あんたとの関係がこんな風に劇的に変わるなんて、これっぽっちも思ってなかったから……」
 なんか変な感じだ、と。倫太郎が落とした呟きに、夜彦も頷いて。
「私も友人だった貴方とこのような仲になるとは思いませんでした。他の世界を教えてくださり冒険する日々がとても楽しくて、倫太郎殿の友人になれて、とても嬉しく思っておりました」
 再び咲いた同じいろを、以前共に見た時のことをそれぞれ思い返す。
 その頃と大きく変わったふたりの関係。
 ふたりを取り巻く環境も変わって、大切な家族も増えた。
 けれど、変わっていないって、そう思うこともあって。
「でも多分、あの頃からあんたの事は意味はどうであれ、特別だったんだろうなぁって。そんな気もしてて」
 ――蛍と紫陽花。隣にいるのはあんた。
 世界が異なってもふたり同じものを観てる、って。
 倫太郎は唯一無二の竜胆を己の琥珀に咲かせながら、改めてそう紡いで。
 掌で暫し遊ばせていた杯を、くいっと口へと運んだ後。
「けど、関わり方が変わるだけで見えるものが此処まで違うなんて……夜彦、あんたは知ってた?」
 そう夜彦を見つめ、問うてみる。
「……あの日の蛍と紫陽花。焦がれる思い出だけで終わるはずでしたのにね」
 あの時見た二藍は、夜彦にとって、焦がれる様な切なさが混じる色。
 けれど今は、それ以上に。
「それを穏やかな気持ちで、貴方と寄り添い眺めていられる」
 夜彦は柔く瞳細め、彼へと笑み返す。
 ――私の世界は貴方によって鮮やかに変わっていく、と。
 それは今も、これからも……。
 倫太郎も夜彦と共に、今年の蛍と紫陽花の景色を眺めながら、思う。
 ――来年も一緒に、と。
 そして……次はどんな世界でこんな景色を観るんだろうか――って。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ヴィオレッタ・エーデルシュタイン
どこかで飛び交っているかもしれない枕投げの音をスルーしつつ、カフェーで宵闇の桜花弁を眺めようかしら。

黒の背景に舞う桜色。
そしてプリンアラモード。うん、プリンアラモード。
「花より団子じゃなくって、両方よ」

もぐもぐしながら外の風景もしっかり楽しむわ。

視界の端で女将さんを捉えながら。

「お言葉通りゆっくりさせてもらうわね」

少なくとも今のところは。



 帝都から離れた宿で過ごす時間は、それぞれ様々。
 静かに本を読んだり庭で過ごす人もいれば、大部屋で賑やかに盛り上がっている人たちだっているだろう。
 ヴィオレッタ・エーデルシュタイン(幸福証明・f03706)は、どこかで飛び交っているかもしれない枕投げの音をスルーしつつも。
 足を向け訪れたのは、宿の自慢である蛍の庭が臨めるカフェー。
「カフェーで宵闇の桜花弁を眺めようかしら」
 そう案内された窓側の特等席で、黒纏った夜空を舞う桜色を暫し眺めるヴィオレッタだけれども。
 彼女の、色の違うふたつの宝珠を煌めかせるのは勿論。
「黒の背景に舞う桜色。そしてプリンアラモード。うん、プリンアラモード」
 そう、クリームやフルーツがたっぷりトッピングれた、プリンアラモードです!
 それからヴィオレッタは、しゃきんとスプーンを構え言い放つ。
「花より団子じゃなくって、両方よ」
 蛍や花も良いけれどプリンアラモード、でもやっぱりプリンアラモードもだけど蛍や花も……!
 そうなれば迷うことなく、花も団子も目一杯、両方楽しめばいい話。
 ヴィオレッタは、ぷるぷる甘ーいプリンをそっと掬い、口に運んで。
 もぐもぐと確り味わいながら、ちゃんと蛍舞う窓の外の風景も勿論楽しみます!
 それから、はむりとサクランボを口にした後。
 くるくると忙しそうに宿を駆けまわっている女将・イセノの姿を視界の端で捉えながら。
 彼女の背中に、そっと言の葉を投げる。
「お言葉通りゆっくりさせてもらうわね」
 此処に来た目的は忘れていないけれど、でも折角の機会だから。
 そしてヴィオレッタは、藍と紫の瞳をふっと細め続ける。
 ――少なくとも今のところは、って。

大成功 🔵​🔵​🔵​

鬼灯原・孤檻
橘・尊(f13751)と一緒。

蛍の庭の美しさに見惚れつつも、カフェの人気メニューを知れば途端にそちらに目を奪われる。

「蛍のように光り輝くかき氷…そしてカクテルか。美味そうだな…
 尊がよければ、一緒に行かないか?」

蛍と桜が見えるカフェの窓際の席に座り、幻想的な景色を肴にカフェのオリジナルカクテルを味わおう。
梅雨に映える紫陽花のような空色と藤色のグラデーションに、キラキラ光る氷が美しい。
そしてデザートにまんまるふわふわかき氷。
これで事件がなければ、とても充実した休息になったろうにと、少し残念に思いつつ。
周囲の噂話に耳を傾けつつ、尊との歓談に花を咲かせよう。


橘・尊
弧檻(f18243)と一緒に

勿論、行く行く。でも奇遇だよな。俺も弧檻誘いたかったから偶然でも嬉しい

桜と蛍と星の共演

この世界でしか見れない光景に見惚れて立ち止まる
一緒に見れて良かった

カフェの期間限定メニューにも心が踊る
オリジナルカクテルも
紫色のかき氷も
目で楽しみ、舌でも楽しむ
贅沢すぎるぐらいだ

そうだな、事件さえなければもっと楽しめたのに
でも、今はこの有限な時間を弧檻と楽しもう



 ふたり並んで歩くのは、雰囲気の良いランプが幾つも灯った宿の長い廊下。
 そしてそこからも臨める蛍の庭は、聞いた話通りに見事で。
 鬼灯原・孤檻(刀振るう神・f18243)は、光で満ち溢れるその美しさに見惚れつつも、ふと顔を上げる。
 そんな彼の、銀の瞳に飛び込んできたのは。
「蛍のように光り輝くかき氷……そしてカクテルか。美味そうだな……尊がよければ、一緒に行かないか?」
 案内板に紹介されている、宿のカフェーの人気メニュー。
 それを知ってしまえば、途端に其方に目を奪われてしまうけれど。
 でも、それは孤檻に限ったことではなくて。
「勿論、行く行く。でも奇遇だよな。俺も弧檻誘いたかったから偶然でも嬉しい」
 孤檻の隣を並んで歩く、橘・尊(浮雲・f13751)も一緒。
 尊は孤檻の誘いに、そう嬉し気に二つ返事で頷いて。
 ふたり並んで、いざカフェーへと進路を取る。
 けれどふと尊はその足を止め、思わず見惚れてしまう。
 眼前に広がる、桜と蛍と星の共演――この世界でしか見れない光景に。
 そして、……尊? と。自分を不思議そうに見つめる孤檻へと笑んで紡ぐ。
 ……一緒に見れて良かった、って。
 それに心躍るのは、蛍の庭の風景だけではない。
 舞い飛ぶ蛍と幻朧桜が見えるカフェの窓際の席に座って、ぺらりとメニューを捲れば。
 そこには、目移りしてしまう魅惑のメニューたち。
 幻想的な景色を肴に味わうのは、カフェのオリジナルカクテル。
 グラスに満ちるいろは、梅雨に映える紫陽花のような空色と藤色のグラデーション。
 キラキラ蛍の様に光るキューブアイスが、その美しさをより際立たせて。
 グラスをカチンと合わせ乾杯し、口にすれば……優しい甘さがふわり。
 そして目の前に運ばれてきたのは、デザートのまんまるふわふわ、紫陽花かき氷。
 キラキラ輝く期間限定メニューは目でも舌でも楽しめて。
 何よりも、特別な味や色を一緒に楽しめる今が、嬉しい。
 ……贅沢すぎるぐらいだ、って。
 満天の笑み咲かせ、尊がそう紡ぐくらいに。
 けれどこの宿を訪れた目的は、単なるお出掛けではないから。
「これで事件がなければ、とても充実した休息になったろうに」
「そうだな、事件さえなければもっと楽しめたのに」
 少しだけ、残念に思いつつ。
「……櫻居先生の小説は本当に素敵なの。それに、書いたご本人はもっと素敵」
 他の客と嬉々とそう話している女将・イセノの声に抜かりなく耳を傾けながらも。
「尊、期間限定メニューも美味しいが、こっちのパンケーキも気にならないか?」
「あ! 俺もそれ、気になってたんだ。じゃあ半分こしようか、孤檻」
 歓談に花を咲かせ、美味しいものも一緒に。
 有限なこのひとときをふたり、目一杯楽しむ。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

六道銭・千里
流石、サクラミラージュ。
こんな時期やけど満開な桜ってのも乙なもんやな

櫻居・四狼…まぁ罠の内容的にも悪い人では無いんやろうな
あの世への水先案内人としてしっかり輪廻に返したいところや


それはともかくとして折角やからな、まずは楽しませてもらおうか
用意されてた浴衣を借りて
庭の幻朧桜に蛍…相反する二つが並んでる様を楽しみながら懐石料理に舌鼓
これは美味いわ、風景も最高やし人気もでるわけやな

他の猟兵の楽しそうな様子も楽しみつつ
さぁ次はカフェで甘いものと珈琲を楽しもうか露天風呂で景色を楽しもうかと次は何を楽しもうかとぼんやりと思考



 他の世界ではもう見られない、けれど此処では一年中咲き誇る花のいろ。
 ……流石、サクラミラージュ、と。
 そうひらり舞い降ってきた桜のひとひらを、伸ばした指で掴まえて。
「こんな時期やけど満開な桜ってのも乙なもんやな」
 六道銭・千里(冥府への水先案内人・f05038)は、見事に咲いた幻朧桜を見上げる。
 そしてふと思い返してみるのは、聞いた予知のこと。
「櫻居・四狼……まぁ罠の内容的にも悪い人では無いんやろうな」
 その作家の行動原理は、ただ子供染みている性質だと。
 悪意というよりは悪戯といった方が近い気がする影朧の行動に、千里はそう思いはするけれど。
 だが……そんな作家はもう、ひとではないから。
 掴まえた花弁を空へと解き放ちながらも千里は思う。
 ――あの世への水先案内人としてしっかり輪廻に返したいところや、って。
 けれど、その前に。
(「それはともかくとして折角やからな、まずは楽しませてもらおうか」)
 宿に着いた千里が身に纏うは、蛍と紫陽花描かれた浴衣。
 そしてまずは、目でも舌でも楽しめる懐石料理に舌鼓を。
「これは美味いわ、風景も最高やし人気もでるわけやな」
 窓から臨める、幻朧桜に蛍……そんな相反する二つが並んでる様をのんびりと愛でながら。
 時間がゆっくりと流れている様な気さえする、静かな蛍のお宿。
 でも耳を澄ませば、楽しそうな声も聞こえてきて。
 今日は猟兵の貸切、他の仲間達の楽しそうな様子を見つめた瞳を柔く細めながら。
 ……さぁ次はカフェで甘いものと珈琲を楽しもうか。
 ……いや、露天風呂で景色を楽しもうか。
 ……はたまた、それとも――なんて。
 次は何を楽しもうかと、千里はぼんやりと思考を巡らせる。
 ふらり、甘い水に誘われる様に光り飛ぶ蛍たちを眺めながら。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ベイメリア・ミハイロフ
シチカさま(f21761)と


お相手の影朧は、イセノさまの事を
都合のいいお相手としか考えていないようでございますよ
イセノさまを悲しませる事には変わりないのではございますが…

まずは旅館にてゆっくりいたしましょう

浴衣姿で
シチカさま、お耳をお掃除申し上げましょうか
正座し膝上をぽんぽんと叩いて
膝枕へとお誘いいたします

お耳をお掃除しながら考えます
わたくしは、シチカさまが
本当に大事に思う方が現れるまで
母親代わりとなって、お見守りする存在でありたい、と

シチカさまの問いに
わたくしには、主、がおわしますから
そう答えてはみたものの
そういったお相手が出来ましたなら
わたくしも、悪事に手を染めてしまうのでございましょうか


シチカ・ダンテス
ベイメリア(f01781)さんと

他人の恋路を邪魔するようで仕事自体は気乗りしなかった
作家を倒した後の女将さんの気持ちを考えると辛いから
それでも…影朧は放っておけない
ベイメリアさんと泊まって戦いまではゆっくりするよ

前評判通り良い宿で目に映るもの全て新鮮だ

二人の部屋に入ったら浴衣に着替え

膝枕は恥ずかしいけど
部屋には他に人もいないから
誘われたらお願いしちゃう…かな

ベイメリアさんはお母さんみたいに優しい人
いつも温かく俺を迎えてくれる
底抜けに優しくて、俺はいつも良いのかなと考えながらも甘えてしまう

静かに桜を見ながら頭を膝に乗せて今回の依頼に関してどう思うか聞いてみる
…ベイメリアさんは恋をしたことある?



 蛍灯庵――まさにその名の通り、蛍の光が数多灯る庭が自慢の宿に着いて。
「お相手の影朧は、イセノさまの事を都合のいいお相手としか考えていないようでございますよ」
 そうそっと小声で紡ぐのは、ベイメリア・ミハイロフ(紅い羊・f01781)。
 この宿の離れに匿われているという、宿の名を付けたという作家の影朧。
 その作家自体は、この宿の女将であるイセノのことを、特別な存在だなんて思っていないようだが。
 ……でも。
「イセノさまを悲しませる事には変わりないのではございますが……」
 そう続いた彼女の言葉に、シチカ・ダンテス(オウガブラッドの殺人鬼・f21761)は複雑な思いを抱く。
(「他人の恋路を邪魔するようで仕事自体は気乗りしなかった」)
 影朧の気持ちは彼女にはなくても、イセノは彼のことを好いている。
 だから……作家を倒した後の女将さんの気持ちを考えると辛いから、と。
 なのに、シチカがベイメリアと共に此処に赴いたのは。
「それでも……影朧は放っておけない」
 彼はもう、ひとではないのだから。
 けれど、その時まで、まだ時間はあるから。
 まずは、雰囲気の良いこの山間の蛍の宿でゆっくりしようと。
 案内されるまま、仄かにランプ灯る廊下を歩いて。
(「前評判通り良い宿で目に映るもの全て新鮮だ」)
 聞きしに勝る見事な蛍の庭を臨みながら、部屋へ。
 そして揃いの紫陽花咲く浴衣に着替えてから。
 ベイメリアはおもむろに、すとんと正座して。
「シチカさま、お耳をお掃除申し上げましょうか」
 膝上をぽんぽん――膝枕のお誘いを。
 膝枕はやはり少し、何だか恥ずかしいのだけれど。
 彼女の誘いにそっと、お願いしちゃうシチカ。
 広い部屋には、自分達の他には誰もいないから。
 そして、こしょこしょと、シチカの耳を掃除しながらベイメリアは思考する。
(「わたくしは、シチカさまが本当に大事に思う方が現れるまで」)
 ――母親代わりとなって、お見守りする存在でありたい、と。
 シチカは耳にこそばゆく心地良い感覚を覚えながらも、膝から伝わる彼女の暖かな体温を感じ思う。
(「ベイメリアさんはお母さんみたいに優しい人。いつも温かく俺を迎えてくれる」)
 だからこそ、甘えてしまうのだ。
 底抜けに優しくて、俺はいつも良いのかなと……そう考えながらも。
 それからはらり桜舞う世界で、花弁の姿を見つめながら頭を膝に乗せて。
 シチカは、彼女に聞いてみる。
 頭を膝に乗せたまま、今回の依頼に関してどう思うか。
 ――そして。
「……ベイメリアさんは恋をしたことある?」
 そしてそんな彼の問いに、ベイメリアはこう答える。
「わたくしには、主、がおわしますから」
 けれど……そう答えてはみたものの。
 ベイメリアはこしょりとふわふわ梵天で耳をそっと擽るように仕上げてから。
 自分の膝上に居るシチカへと視線を向け、思うのだった。
 ――そういったお相手が出来ましたなら……わたくしも、悪事に手を染めてしまうのでございましょうか、って。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

木元・祭莉
【かんにき】で!

わーい、お泊りだー♪

カフェの新作スイーツのお知らせに、目を輝かせ。
露天風呂で存分にはしゃいで、お部屋に戻り。

お庭、ちらちら光ってるね。
蛍、ひとつふたつ、みっつよっつ……たくさん!

さてと。せっかく大きなお部屋だし。
コダちゃんに、ピーマン枕、てやー!
真琴にも、トマト枕、とやー!

他にも、ニンジンとかキノコとかいっぱい……メンドリ!?
だ、だいじょぶ、コケーとかシャーとか言わないもん!(震)

むう、形勢不利。
今こそ兄妹の絆が試されるとき!

アンちゃん手伝わない?
優勝賞品は、カフェのルームサアビスで手に入れた白桃ミルクプリンだよ♪

わわ、別陣営参入ー!? マジだ!
え、梅酒?
オトナはズルいなー。


木元・杏
【かんにき】6人
蛍の宿の部屋で浴衣でのんびりと

部屋から眺める庭には蛍が舞い灯って、きらきらよりふわふわ…そんな感じ
ふふ、幻想的
女将さんを魅せた蛍の小説も、きっとどこか幻想的な予想…(ぽす、と頭に枕が当たり

……うさぎ印の枕
まつりん(祭莉)、枕投げはお行儀悪…あ、シリンまで

ぽんぽんと枕の形を整え……む?白桃?(ぴくっ

手のひら返してやる気MAX!
てやーっ!と力一杯枕を投げて
ふふ、枕投げは正当なる宿の遊戯 
わたしが勝利をもぎ取らぬ理由がない
さあまつりん、枕ぎぶみー

大人組にも手加減はしない
ガーネット、隙あり!
ぶんと投げた枕はなぜか真琴に
…ん、何か不思議に曲がるけど(※ノーコン)誰かに当たれば無問題(こく


鈍・小太刀
【かんにき】

湯上りに浴衣姿で窓辺に座り
部屋からのんびり蛍を眺める
この優雅なひととき
何時になく大人っぽ…(ピーマン枕被弾

まーつーりーんー?(笑顔と怒りのオーラ
枕投げだなんていい度胸じゃないの
勿論、勝ったらカフェのスイーツとか驕ってくれるんでしょ?
いいわ、その勝負受けて立つ!
(ニワトリ枕で、ていやー♪

最早大人っぽさの欠片も無く、全力で枕投げを楽しんでたり
『コケ―!』『シャー!』
ニワトリの声マネしつつ
スナイパー技能で狙い撃ち!

やるわね杏
真琴、私達も連携よ
秘儀お布団返し!

わー、シリンも来た!?
わざとじゃないからー!
(ホタル枕被弾…これがホントの蛍狩り?

こうなったらガーネットにも…(てい!

※アドリブ歓迎


ガーネット・グレイローズ
【かんにき】

…ああ、いい湯だった。浴衣というのは
初めて着てみたんだが、軽いし過ごしやすくてスーツよりいいね。

窓の外は蛍がいっぱい。蛍は水が綺麗な場所にしか住まないそうだね。
よほどここは、水が綺麗なのだね。
事件の事はひとまず置いといて、今はこの時間を楽しもう…
って、子供たちは何をしてるんだ。…枕投げ?
あ、シリンがスイッチ入った。知らないぞ~私は。
おっ、やったな小太刀!…うさぎ印枕?
サッと身を屈めて躱し、<念動力>でぽいっと投擲
審判、今のはどうだ?(真琴の祖父ちゃんに判定求めて)

景品はカクテル…と言っちゃ微妙に違うんだけど、梅酒を頼もうか。
えっ、白桃ミルクプリン? むむ、そっちのほうも捨てがたい。


シリン・カービン
【かんにき】

浴衣姿で湯上がりの身をハタハタと団扇で扇ぎ、
夜の庭を眺めれば、そこここに緑の光が点いては消えて。
「風情、と言うものですか」
サクラミラージュはあまり来たことがないのですが、
不思議と落ち着く気分です。

背後の大騒ぎは我関せず。
子供たちには子供たちの楽しみ方があるのでしょう。
…流れ枕が当たるまでは。
(後頭部に一発。ゆらりと立ち上がり)
「…狩りを、始めましょうか」

大人げなく本気モードで鋭く枕を投げて行きます。
「祭莉、背中がお留守ですよ!」
それにしても色々な枕があるものですね…
(ニワトリ枕と見つめ合い)

景品のスイーツ、楽しみにしてますね。
ああ、梅酒も素敵かも。
(ガーネットにグラスを傾ける仕草)


琶咲・真琴
【かんにき】
本当に蛍がキレイだなー

寝る前だから
素に戻って男口調

せっかくだし
オレも色鉛筆でこの風景を描いてみようかな

そういえば限定スイーツも気になるな
描く前にサービスでちょっと頼も……
って、まつりん兄ちゃんっ?!(トマト枕避ける

オレ、トマトは食べないなら平気なんだけどっ(トマト枕をカウンターで投げ返す
兄ちゃんは
しっかりと枕でも反応するんね

てか、なし崩し的に枕投げ大会かな
杏姉ちゃんはちょっとは力加減してっ?!(念動力キャッチ

布団返しはいいけど
後でちゃんと自分で直してよ?
姉ちゃん

あ、流れ球がシリンさんにっ

祖父ちゃんは大会の審判
祖母ちゃんは蛍や大会の写真撮っておいてー!

後で絵にするからっ!



アドリブ歓迎



 蛍の庭が自慢なだけあり、窓の外に見える景色は一面満天の光の世界。
 そんな蛍たちにも負けず、キラキラと瞳輝かせているのは、木元・祭莉(とっとこまつさんぽ?・f16554)。
「わーい、お泊りだー♪」
 いい湯加減だった広い露天風呂で存分にはしゃいで、部屋に戻る途中のカフェーで見つけたのは新作スイーツのお知らせ。
 そんな祭莉と丁度同じタイミングで部屋に戻ってきた木元・杏(食い倒れますたーあんさんぽ・f16565)は、紫陽花咲く浴衣の袖をひらり揺らして。
 暖かみのあるランプが灯る蛍の宿で、のんびりと寛ぎのひとときを。
 そして杏と同じ様に。
「……ああ、いい湯だった。浴衣というのは初めて着てみたんだが、軽いし過ごしやすくてスーツよりいいね」
 湯上りに浴衣を纏ってみたガーネット・グレイローズ(灰色の薔薇の血族・f01964)は、軽いその着心地の良さにご満悦な様子で。
 さらに、赤い瞳に映る煌めきに目を細める。
 ――窓の外は蛍がいっぱい。
「蛍は水が綺麗な場所にしか住まないそうだね。よほどここは、水が綺麗なのだね」
 この宿に来た目的は、事件の予知を受けてでがあるが。
 けれど、ひとまずそれは置いておいて。
 今はこの時間を楽しもう……そうガーネットは、ふわり桜の石鹸の香を漂わせる長い髪を微かに夜風に躍らせて。
「風情、と言うものですか」
 ほんのり湯上りで火照った身をハタハタと団扇で扇ぎながら、シリン・カービン(緑の狩り人・f04146)も夜の庭へと視線向ければ。
 ちかちかと瞬く黄緑の光に、宵闇に浮かび上がり咲く季節の花、そして花弁舞い降らせる幻朧桜。
「サクラミラージュはあまり来たことがないのですが、不思議と落ち着く気分です」
 この世界でしか見られない風景に、暫し目を奪われる。
「本当に蛍がキレイだなー」
 お風呂上りの部屋には、綺麗に敷かれたお布団。
 そんな寝る前の時間、琶咲・真琴(今は幼き力の継承者・f08611)は素に戻った口調で、蛍舞う夜にそう呟いて。
「せっかくだし、オレも色鉛筆でこの風景を描いてみようかな」
 手にしたのは、蛍の光の如き黄色の色鉛筆。
 そして祭莉も窓際へとやって来て、指先で煌めきを追ってみる。
「お庭、ちらちら光ってるね」
 ……蛍、ひとつふたつ、みっつよっつ……たくさん! って。
「きらきらよりふわふわ……そんな感じ」
 ……ふふ、幻想的。
 その声に、そう杏も笑みながらこくりと頷いて。
 鈍・小太刀(ある雨の日の猟兵・f12224)もそんな蛍の庭が臨める窓辺に座れば。
 のんびりしっとり、満天の景色を眺める優雅なひととき。
 いや、それぞれそんなひとときを思い思いに……過ごしていた、のだけれど。
「さてと。せっかく大きなお部屋だし」
 そうおもむろに祭莉が窓から離れた、瞬間。
「この優雅なひととき、何時になく大人っぽ……」
「そういえば限定スイーツも気になるな。描く前にサービスでちょっと頼も……」
「女将さんを魅せた蛍の小説も、きっとどこか幻想的な予想……」
 ――ぼふっ。
 ――ぽすんっ。
 ――しゅばば!
 てやー! とやー! と大部屋を飛ぶのは、うさぎ印の枕にピーマン枕、トマト枕!?
「って、まつりん兄ちゃんっ!?」
「……うさぎ印の枕。まつりん、枕投げはお行儀悪……」
「まーつーりーんー? 枕投げだなんていい度胸じゃないの」
 ある意味的確に弱点を突いた祭莉の枕攻撃に、真琴と杏に続いて笑顔と怒りのオーラ漲らせながら。
 小太刀は、ぐっと足元にあった枕を手にしてから。
「勿論、勝ったらカフェのスイーツとか驕ってくれるんでしょ?」
 ――いいわ、その勝負受けて立つ!
 ていやー♪ とお返しに投げるのは、ニワトリ枕!
 先程の優雅な大人っぽさは何処へやら。
「コケ―! シャー!」
 スナイパーの技能を駆使し狙い撃ち! 全力でニワトリの声マネをしながら!
 祭莉は他にも、ニンジンとかキノコとか謎にいっぱいある枕にきょろりと視線を向けていたけれど。
「……メンドリ!? だ、だいじょぶ、コケーとかシャーとか言わないもん!」
 そう言いつつも、思わずぶるり。
 そんな祭莉に、真琴もトマト枕を掴んで。
「オレ、トマトは食べないなら平気なんだけどっ」
 トマト……特にミネストローネを食べろとかいうわけではないから、大丈夫!
 ぶんっとカウンターのトマトをお返しにぶん投げつつ。
「兄ちゃんはしっかりと枕でも反応するんね」
 ふるふる震えている祭莉に瞳をぱちくり。
 そう――まぁ仕掛けたのは自分だということはさておき……これは形勢不利です!
 むう、とひとつ唸ったけれど、祭莉はすぐに顔を上げて。
 ――今こそ兄妹の絆が試されるとき!
 うさぎ印の枕をもふもふしていた杏へと、こう持ち掛けてみる。
「アンちゃん手伝わない?」
 ――優勝賞品は、カフェのルームサアビスで手に入れた白桃ミルクプリンだよ♪ って。
「……む? 白桃?」
 刹那、ぴくっと反応をし、杏は顔を上げて。
 こくこくと頷いた祭莉を見遣りながら、ぽんぽんと枕の形を整えれば。
 ――てやーっ!
「ふふ、枕投げは正当なる宿の遊戯。わたしが勝利をもぎ取らぬ理由がない」
 あっさりくるりと手のひら返して、やる気MAX!
 そして勝利という名の白桃をもぎ取るために!
「さあまつりん、枕ぎぶみー」
 てやてやー! と、力一杯枕を投げまくります。だって白桃!
 そんな猛攻撃に、やるわね杏、と小太刀は襲い来るピーマンをニワトリで迎撃しつつ。
「真琴、私達も連携よ」
 満を持して豪快に繰り出すのは、そう!
「秘儀お布団返し!」
「布団返しはいいけど、後でちゃんと自分で直してよ? 姉ちゃん」
 真琴の言う様に、終わったらちゃんと直して下さいね!
 そんな、飛び交うピーマンやトマト、ニンジンにキノコに、うさぎ印にニワトリ。
 ちょっぴりカオスと化してきた気がしないでもない、そんな突然勃発した激しい攻防戦に。
 ガーネットは、ふと首を傾けるけれど。
「って、子供たちは何をしてるんだ。……枕投げ?」
「子供たちには子供たちの楽しみ方があるのでしょう」
 わーきゃー始まった大騒ぎには我関せずのシリン。
 ええ、大人には大人の楽しみ方が……。
 ――ぼふっ。
 刹那シリンの後頭部にヒットしたのは、ニワトリな流れ枕。
 ええ、子供たちには子供たちの、大人には大人の楽しみ方が確かにありました。
「あ、流れ球がシリンさんにっ」
 そう……シリンに、流れ球ならぬ流れ枕が当たるまでは。
 そして足元にあったホタル枕を両手に拾いつつ、シリンはゆらり立ち上がって。
「……狩りを、始めましょうか」
「あ、シリンがスイッチ入った。知らないぞ~私は」
 そう、ガーネットが肩を竦めた瞬間。
「祭莉、背中がお留守ですよ!」
 鋭く枕を投げていくシリンはまさに狩人の如く、大人げなく本気モード!
「……あ、シリンまで」 
「わわ、別陣営参入ー!? マジだ!」
「わー、シリンも来た!? わざとじゃないからー!」
 投げたニワトリのかわりに返ってきた鋭いホタル間くらい被弾しつつ、小太刀は思うのだった。
 ……これがホントの蛍狩り? って。
 蛍を狩るというよりも、蛍に狩られている……!?
 そんな、大人だけど大人げなく枕投げに参戦しながらも。
「それにしても色々な枕があるものですね……」
 シリンはふと、後頭部にぽふりとぶつけられたニワトリ枕と、じーっと見つめ合ってみる。
 そしてシリンも参戦したのなら!
「こうなったらガーネットにも……てい!」
「ガーネット、隙あり!」
 さっきの敵は今の味方?? 子供同士手を組むかのように。
 大人組にも手加減はしない、そう小太刀と共に杏はガーネットを狙い、ぶんっと力いっぱい枕を投げるけれど。
「……ん、何か不思議に曲がるけど誰かに当たれば無問題」
「杏姉ちゃんはちょっとは力加減してっ!?」
 実は、めっちゃノーコンです!
 そんな投げた本人でさえも予期しなかった一撃を、真琴は念動力キャッチしつつも。
 ……てか、なし崩し的に枕投げ大会かな。
 色んな枕が飛び交う部屋をぐるりと見回して。
「祖父ちゃんは大会の審判。祖母ちゃんは蛍や大会の写真撮っておいてー!」
 後で絵にするからっ! って、そうそれぞれお願いを!
「おっ、やったな小太刀! ……うさぎ印枕?」
 ガーネットは小太刀から投げられた枕をサッと身を屈めて躱した後、念動力でぽいっと投擲!
 それから、大会の審判を担う真琴の祖父ちゃんをちらり。
「審判、今のはどうだ?」
 そう判定を求めれば、ぐっと返ってくるのはサムズアップ!
 そんなOK判定に、大人な余裕を見せる様にガーネットは続ける。
「景品はカクテル……と言っちゃ微妙に違うんだけど、梅酒を頼もうか」
「ああ、梅酒も素敵かも」
 そう大人同士、ガーネットにグラスを傾ける仕草をするシリン。
「え、梅酒? オトナはズルいなー」
 そんな大人なふたりに、祭莉は枕を投げつつもそう羨まし気に言うけれど。
「白桃ミルクプリン……!」
 きりっとそう呟いた杏に、顔を上げるガーネット。
「えっ、白桃ミルクプリン? むむ、そっちのほうも捨てがたい」
 お酒も捨てがたいし、スイーツも心惹かれる……!
 そんな悩まし気な表情なガーネットと一緒に、子供組へと相変わらず大人げない鋭い枕の投擲をしながら。
 シリンはふっと、緑色の瞳を細める。
 ……景品のスイーツ、楽しみにしてますね、って。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

クロト・ラトキエ
こっちの水は甘いぞ…か。
何処の世界でも、蛍ってのは人気、と。

和の個室をひとつ借り、窓より庭を眺め見る。
お供に、ルームサアビスで冷酒を一本…
…は、仕事中なので諦め、サヰダアなど頂きつつ。

天に星。
地上には桜や紫陽花。
宙に舞い飛ぶ花弁と、蛍。
身分差や生まれの違いが呼ぶ不幸も、
戦争なんて望む酔狂も見ましたけど…
影朧こそあれ、700年の泰平。
目を遣るだけで方々に在る“うつくしきもの”。
豪勢な晩餐に、紅葉、桜、蛍…。
…あの男は。
一遍死んで、尚愉しみを追い掛け、
心中なんて、誰かと死ぬを好む…
あまりに考えが違い過ぎて、
どんな者かと、彼の雅やかな方に聞いてみたい所ですが。

一時の彩。儚い光。
今は唯、瞳に留めおこう



 和の個室の窓を眺めながら、手にした瓶一本をお供に。
「こっちの水は甘いぞ……か」
 ……何処の世界でも、蛍ってのは人気、と。
 クロト・ラトキエ(TTX・f00472)はルームサアビスで頼んだそれを、くいっと口に運ぶ。
 風情ある風景のお供は、やはり冷酒を一本……といきたいところだが。
 仕事中なので諦め頂くのは、しゅわり弾けるサヰダア。
 そしてふと窓の外の景色を改めて眺めてみる。
 天には星。地上には桜や紫陽花が咲き誇って。
 そして宙に舞い飛ぶ花弁と、光を放つ蛍たち。
「身分差や生まれの違いが呼ぶ不幸も、戦争なんて望む酔狂も見ましたけど……」
 この年中桜が咲き誇る世界は、影朧こそあれ、700年の泰平。
 ――目を遣るだけで方々に在る“うつくしきもの”。
 豪勢な晩餐に、見て来た景色に舞うのは、紅葉、桜、蛍……。
「……あの男は」
 ふいに零れ落ちる声。
 それをクロトに紡がせているのは、自分とは全くかけ離れた思考の持ち主。
(「一遍死んで、尚愉しみを追い掛け、心中なんて、誰かと死ぬを好む……」)
 それは、あまりにも考えが違い過ぎて。
 けれど、だからこそ、少しだけ知りたい気もするのだ。
 ……あれは一体、どんな者なのかと。
(「彼の雅やかな方に聞いてみたい所ですが」)
 知っていそうな気がする、彼に。
 そんなことを想いながら、クロトは暫し酔いしれてみる。
 一時の彩……儚い光の世界に。
 そして乾杯するようにサヰダアを掲げ口に運びつつ、耽る。
 ――今は唯、瞳に留めおこう、って。

大成功 🔵​🔵​🔵​

華折・黒羽
【迎櫻館】

灯る橙
惜しみなくぽうと夜の闇に線描く
遮る事さえしたくなくて
提灯も持たぬまま振り返れば
同じ様に蛍追う二人見てくすりと

綺麗な光景ですね
足元を照らす明かりすら要らないくらいです

開いた手の平
集う光に眸細めて

…そういえば
こうして光って飛ぶのは雄の蛍だけのようですよ
結婚の申し出をしているのだと
本に書いてありました

覚えた知識を聞いてほしくて
振り返り、知っていましたか?なんて

その視線の先見つけたのはゆらり揺れた光る尾
千織さんも、蛍だ
その身照らす様子に笑み咲かせ

美味しいスイーツもあるみたいですし
後で食べに行きましょう
前のめりな終夜さんと共に頷き眸輝かせ

それまではもう少し
蛍たちの恋路を見守るひとときを


空・終夜
【迎櫻館】

夢心地さえ覚える柔い燈
飛び交う燈に惹かれるように歩いてきた
眠気帯びる顔を上げると黒羽と千織の姿を見つける
微笑む2人に1つ頷き返すと静かに傍に行く

蛍は…こんなに綺麗で明るいんだな?
…初めて、見たんだ…蛍

黒羽の手の平に集う光をぼんやり眺め
そっと話に耳を傾ける

へぇ…それは初耳だ…
俺は本をあまり読まないから知らなかった
じゃ…こいつらは見合いの最中っていう事、だな?
蛍をまじまじ見つめる

スイーツという言葉には即答の如く頷く!
カフェ、限定スイーツ…あるらしいな
絶対に行こうと思っていた
眸輝かせる黒羽にほんのり柔く笑いかけた

…ただ、いまは
じっと目に焼き付けるようにこの綺麗な景色を眺めてみようか


橙樹・千織
【迎櫻館】

星が降りてきて遊んでいるよう…
ぼんやり庭に佇んで
あちこちで灯る蛍の灯をそっと見守る
黒羽さんと終夜さんに気付けばふわりとほほえみかける

二人も蛍と一緒にお散歩ですか?
ふふふ、ええ。とっても綺麗…
ゆらゆらと揺れる尻尾にもいつの間にかに灯が灯る

…あら、そうなのですか?
じゃあお邪魔しちゃ悪いかしら
ぱちりと瞬きひとつ

黒羽さんはもの知りですねぇ
本当は知識として知ってはいるけれど…
ほんの少し自慢げに見える黒羽さんが可愛らしくてほわり微笑んで誤魔化して

あらあら、スイーツですか
それは見逃せませんねぇ
どんなものがあるか、とても楽しみです

今しか見られない光景をゆったり心ゆくまで楽しみましょうか



 満天の光が満ちる、その只中で。
「星が降りてきて遊んでいるよう……」
 ぼんやり庭に佇んで、ゆらり揺れる尻尾の動きもそうっと控えめに。
 あちこちで灯る蛍の灯を見守っていた橙樹・千織(藍櫻を舞唄う面影草・f02428)であったが。
 ふと視線を止め、ふわりと微笑んだのは、知った姿を満天の如き世界で見つけたから。
 漆黒に惜しみなく尾を引くように灯る橙。それを、遮る事さえしたくなくて。
 華折・黒羽(掬折・f10471)は灯火ひとつも持たぬまま、ふと振り返れば。
 刹那、蒼の双眸に飛び込んできたのは、その指で、視線で……蛍追う見知ったふたりの姿。
 それにくすりと思わず笑み零してしまうのは、今の自分と、同じであったから。
 ふわふわと、まさに夢心地さえ覚える柔い数多の瞬き。
 夜に仄か光るその橙がゆうらり交わっては踊り、まるで自分を導いてくれているようで。
 ふらりと惹かれるように誘われ歩みを進めれば……眠気帯びる顔を上げた先には、己に向けられた微笑みがふたつ。
 空・終夜(Torturer・f22048)は見つけた千織と黒羽に、こくりひとつ頷き返して。
 今度は3人並んで、蛍の庭を静かに歩き始める。
「二人も蛍と一緒にお散歩ですか?」
 そっと、いつもの様にふわふわ笑みながら紡いだ千織に、黒羽は頷いてみせてから。
「綺麗な光景ですね。足元を照らす明かりすら要らないくらいです」
 ぱっと掌を広げ咲かせれば、眸細めてしまうほどに集う美しい光たち。
 終夜は宵闇の中、黒羽の掌に集い照らす仄かな光をぼんやり見つめながら、呟きを落とす。
「蛍は……こんなに綺麗で明るいんだな?」
 ……初めて、見たんだ……蛍、って。
 そんな、眠そうな緑色の瞳にも光舞わせる終夜に、千織は蛍の様に灯る双眸を細めて。
「ふふふ、ええ。とっても綺麗……」
 黒羽はふたりをちらりと交互に見てから……そういえば、と口を開く。
「こうして光って飛ぶのは雄の蛍だけのようですよ。結婚の申し出をしているのだと、本に書いてありました」
 覚えた知識を聞いて欲しくて。
 そして振り返り、ふたりに訊ねる――知っていましたか? なんて。
「へぇ……それは初耳だ……俺は本をあまり読まないから知らなかった」
 終夜は感心したようにそう言うと、改めてまじまじと蛍たちを見つめてみる。
 ――じゃ……こいつらは見合いの最中っていう事、だな? って。
「黒羽さんはもの知りですねぇ」
 千織もそう言って、共に歩く彼らへとほわり微笑む。
 本当は知識として知ってはいるのだけれど。
 でも……ほんの少し自慢げに見える黒羽が、可愛らしかったから。
 そして何処か満足気にゆうらり尻尾を揺らした後。黒羽は、一等大きく揺れる光を見つける。
 世界の空を眺めることが好きな青が捉えた、今宵の空に揺らめくいろ。
「千織さんも、蛍だ」
 それは、ゆらゆらと揺れる千織の尻尾にもいつの間にか灯る、蛍の煌めき。
 そんな言の葉に、ぱちりと瞬きひとつ。
「……あら、そうなのですか? じゃあお邪魔しちゃ悪いかしら」
 そんな身を照らす彼女の様子に、黒羽は笑み咲かせて。
 暫く3人で蛍の庭を歩き、存分に堪能すれば。
「美味しいスイーツもあるみたいですし、後で食べに行きましょう」
「あらあら、スイーツですか。それは見逃せませんねぇ。どんなものがあるか、とても楽しみです」
 やはり気になるのは、宿にあるカフェーの期間限定のスイーツ。
「カフェ、限定スイーツ……あるらしいな」
 ……絶対に行こうと思っていた、と。
 終夜も、蛍に負けじと眸輝かせる黒羽に、柔く笑いかける。眼前の優しい光のように、ほんのりと。
 そんな終夜も勿論、黒羽と同じように。
 即答の如く頷いてスイーツに賛成する程度には、前のめり。
 けれども――。
(「それまではもう少し」)
(「……ただ、いまは」)
 ――蛍たちの恋路を見守るひとときを。
 ――じっと目に焼き付けるようにこの綺麗な景色を眺めてみようか。
 そうふたり、再び光あふれる景色へと視線を戻せば。
 千織も光の行く先を追って、そっと蛍を映し遊ばせた瞳を細める。
 ……今しか見られない光景をゆったり心ゆくまで楽しみましょうか、って。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ティア・メル
りょーさん(f22508)と

黒地に沙羅双樹の浴衣を慣れないながら着て
おおお…りょーさん、大人でかっくいー
えへへへ、ありがと
エスコートはお酒でお願いするよ

カフェでまったり
吸っていいと思うよ
煙草って格好いいなー
ちょっぴし気になるよ

酔う感覚がよくわからないんだよね
んにに、わたしも同じの
…少し頭がぽやってするよ
りょーさん、お酒飲んでるよね?
変わらない貌をじとり

この後の懐石の為に甘いのは我慢して
りょーさんの裾をちょいちょい
お部屋に行こう

並ぶ豪華なご飯を一口
美味しいよ!高そうな味!
ふむん、日本酒も合うんだって
りょーさんは飲める?飲めるなら注ぐよん
杯へ甘美を蕩かして

にゃはは、蛍より団子になったねー


鏑木・寥
ティア(f26360)と

部屋で浴衣着てからカフェに出かける
なんか落ち着かねえな、一番地味な奴着てこ
お嬢さんは中々似合ってるじゃないか
エスコートは必要かい?

カフェでのんびり酒を楽しむ
此処禁煙?吸っていい?

お嬢さんは飲んだことねえの、お酒?
手解きも何も、好きに飲んで好きに酔ってくれりゃいいんだが…
じゃあ俺紫陽花の方のカクテルで

お酒をぐびぐび
あまり表情が変わらない
甘いもんもあるみたいだけど食うかい?
……そうか?じゃあ美味い飯とお酒の続きはお部屋で
楽しみだな懐石料理

ん、これは中々
飲める飲める、注いでくれるか?
俺も料理にお酒に可愛い女の子で贅沢な気分だ
もう一杯ください

つい花より団子になるなあ、これ



 宿から借りた浴衣に身を包み、仄かにランプ灯る廊下を並んで歩くふたり。
 ゆらりご機嫌に袖揺らすティア・メル(きゃんでぃぞるぶ・f26360)の夜の様な浴衣の漆黒に咲くのは沙羅双樹。
 そして男物でも、派手な色柄のものを纏うのは、なんか落ち着かないから。
 一番地味な奴着てこ、って。鏑木・寥(しあわせの売人・f22508)が選んだ浴衣は、遠めからだと無地に見える古典柄の渋い色味のもの。
 そして寥は、隣に並ぶ見目鮮やかな花に、桜咲かせた様なその瞳を細めて。
「お嬢さんは中々似合ってるじゃないか」
 ――エスコートは必要かい?
 そう、粋な一声を。
 そんな彼の言の葉に、ティアは窓から臨む蛍の様に瞳輝かせて。
「おおお……りょーさん、大人でかっくいー」
 えへへへ、ありがと、と笑んで紡ぐ。
 エスコートはお酒でお願いするよ、って。
 そんなふたりが足を向けるのは、蛍の庭が臨めるカフェー。
「此処禁煙? 吸っていい?」
 テーブルにレトロな灰皿が用意してあるのを目にしつつも、一応きょろり様子を窺う寥に。
 吸っていいと思うよ、とティアはこくり。
 そして火をつけ煙燻らせるその様をじっと見つめ、呟く。
「煙草って格好いいなー。ちょっぴし気になるよ」
 けれど、そんなティアは、煙草だけでなくて。
「お嬢さんは飲んだことねえの、お酒?」
「酔う感覚がよくわからないんだよね」
 お酒も実は、未体験。
「手解きも何も、好きに飲んで好きに酔ってくれりゃいいんだが……じゃあ俺紫陽花の方のカクテルで」
「んにに、わたしも同じの」
 ティアもそう、寥に倣って紫陽花色のカクテルを注文してみて。
 綺麗な色をした、仄かにキューブアイス光るそれを、ちょびっとだけまずは飲んでみれば。
「……少し頭がぽやってするよ」
 仄かに顔が火照るような、ふわふわした感覚。
 それから、絵の前でぐびびと呷る様に酒を口に運ぶ寥に、瞳を思わずぱちくり。
「りょーさん、お酒飲んでるよね?」
 少し飲んだだけで自分はほわんとしているのに、彼はほとんど見た感じ変わらないから。
 ちょっぴり据わりかけた瞳で、変わらない彼の貌をティアはじとり。
 そんな自分をじーっと見つめる彼女に、ふとメニューを差し出す寥だけれど。
「甘いもんもあるみたいだけど食うかい?」
 ちょいちょいと裾を引くティアは、首を微かにふるり振る。
 甘い物は我慢……この後の懐石の為に。
「お部屋に行こう」
「……そうか? じゃあ美味い飯とお酒の続きはお部屋で」
 ……楽しみだな懐石料理、と。
 カフェーを出た寥は、ちょっぴりふわふわしているティアに歩調を合わせながらもそう瞳を細めて。
「ん、これは中々」
 部屋に運ばれ並べられた豪華な食事に、ご満悦。
 勿論、ティアも甘味を我慢した甲斐があって。
「美味しいよ! 高そうな味!」
 はむりと一口食べてみた、上品でいて優しい山の幸の味わいに、瞳をキラキラ。
 そして配膳係の仲居さんの言葉を思い出して、ふと首を傾ける。
「ふむん、日本酒も合うんだって。りょーさんは飲める? 飲めるなら注ぐよん」
「飲める飲める、注いでくれるか?」
 とくとくと、差し出された杯へと注がれ蕩ける甘美。
 それをくいっと口に運び、美味な料理に舌鼓を打つ寥。
「俺も料理にお酒に可愛い女の子で贅沢な気分だ」
 それから、もう一杯ください、と空になった杯を差し出しつつも。
「にゃはは、蛍より団子になったねー」
 そう笑み、お酌するティアの言葉に大きく頷く。
 窓の外の蛍の庭も、とても美しく綺麗なのだけれど。
 ゆうらりゆれる酒を映した桜色の瞳をもう一度、寥は細める。
 ――つい花より団子になるなあ、これ、って。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

宵鍔・千鶴
【朔夜】

星空に負けないくらいの
瞬く蛍を追いかけて
涼やかな紫陽花浴衣に身を包みからころ小気味よい下駄のおとを鳴らして弾む
隣の彼も風流な装いに綺麗な顔立ちがよく映える
わあ、男前、
いつもの和服とも少し雰囲気が変わるよね、刻

そうと天へ指先伸ばして慈しむように光を求めて
羽を休めてはくれないだろうか、儚く美しいきみ

刻が口遊むうたにふうわり光が集まって、甘い水と称す誘いに

蛍まで酔わせようだなんて
わるい大人だね

代わりにきみの紫陽花色のカクテルに
はらはらと舞う桜の花びらを浮かべて月と灯を翳したなら
噫、なんと美しきこと
贅沢な肴の景色は如何?

倣うよう追い掛け重ね唄う
わらべうたがひかりへ
届きますように


飛白・刻
【朔夜】

この幻朧桜に誘われたは幾度目か
星を存分望める空、蛍の放つ柔い灯火
靜かに流れゆく一夜はまた格別の
下駄のおとがよく馴染む

浴衣で寛ぐは日常故に違いは分からぬが
煽てても何も出ないぞ
千鶴は千鶴で彩が合う
普段見慣れぬからこそ映えるというもの
化けるはお前のほうだろう?と言返す

千鶴の仕草に光で返す蛍たちをしばし眺めては

こっちの水は甘いぞ、

かの唄を口遊んでは花色のカクテルが入ったグラスを揺らし誘う
さて不謹慎な大人と小突かれるか

ほう…、これは贅沢な一杯だな
さぞや旨いことだろう
上の機嫌を口元浮かべ
いつかは千鶴に振る舞い返そうではないか

唄声重なれば
桜舞い草木もそよぐ
重奏合わせて蛍が星が
今ひととき、共にひかりを



 カランコロリと、歩む宵鍔・千鶴(nyx・f00683)の下駄のおとが小気味よく弾んで鳴るのは。
 星空に負けないくらい満天に瞬く蛍を、つい追いかけてしまうから。
 自慢だと言うだけあり、山間の宿に飛び交う輝きは柔く数多で。
 眼前の景色によく馴染む下駄のおとを聞きながら、靜かに流れゆく一夜はまた格別の――そう歩み進める飛白・刻(if・f06028)の掌にふと迷い込んだのは、薄紅のひとひら。
 ――この幻朧桜に誘われたは幾度目か。
 見上げれば、互いに戯れ合う様な、この世界でしかみられない蛍と桜花弁の共宴。
 星を存分望める空、蛍の放つ柔い灯火、そして舞う桜花弁の朧ないろ。
 そう暫し眼前の光の世界に揺蕩う連れを飾るのは、纏う浴衣に咲いた紫陽花の華。
 そんな隣をゆく刻に、わあ、男前、と。
 風流な装いに綺麗な顔立ちがよく映えるその姿に瞳細め、千鶴は続ける。
「いつもの和服とも少し雰囲気が変わるよね、刻」
「浴衣で寛ぐは日常故に違いは分からぬが。煽てても何も出ないぞ」
 刻はそう瞳細めてから、己とは逆に珍しい和装の彼へと返す。
「千鶴は千鶴で彩が合う。普段見慣れぬからこそ映えるというもの」
 ――化けるはお前のほうだろう? と。
 そんな彩に誘われるかの様に。
 ……羽を休めてはくれないだろうか、儚く美しいきみ。
 そう慈しむように光を求め、そうと天へと伸ばした千鶴の指先を、明滅する煌めきが仄かに飾れば。
 ――こっちの水は甘いぞ、
 ゆうらり刻が口遊み揺らすは、甘い花色。
 それに誘われてか、ふうわりふわりと集う煌めき。
 その様に、千鶴は思わず笑み零して。
「蛍まで酔わせようだなんて、わるい大人だね」
 甘い誘いに揺れる蛍を瞳の藍にも舞わせながら、刻は首をそっと傾ける。
 ……さて不謹慎な大人と小突かれるか、と。
 そんな甘い水を、今宵の彩りにと。
 代わりにはらり千鶴が彼の紫陽花色のカクテルに浮かべるは、はらはらと舞う桜の花びら。
 その紫陽花と薄紅の共宴を、月と灯へと翳したなら。
 ――噫、なんと美しきこと。
「贅沢な肴の景色は如何?」
「ほう……、これは贅沢な一杯だな。さぞや旨いことだろう」
 刻が口元に咲かせるは、上の機嫌。
 そしてくいっとご満悦な笑み宿す口へとそれを運んでから。
 刻はグラスを掲げ、こう約束を。
「いつかは千鶴に振る舞い返そうではないか」
 それからふともう一度口遊む――仄かな数多の光を酔わせる、甘い唄を。
 千鶴も倣うように重ね唄い、追い掛け誘って。
 さわりと吹く心地良い夜風が桜を舞わせ、草木そよがせ、そして重なった唄声を空へと運べば。
 蛍が星が、唄う様にちかちかと瞬き、さらにそのいろを重ね奏で合う。
 そして今ひととき……共にひかりを誘う様に唄い、満天の夜に馳せる。
 ――わらべうたがひかりへ届きますように、って。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

呉羽・伊織
【花守】
湯上がりに部屋でのんびり

や~、聞きしに勝る良い眺めだよな
温泉も良かったケド、この狐とだと浪漫も何もないし?
ウン、花があるって幸せだネ、最高の保養だネ
(しっとり映える庭の花や蛍は勿論、しとやかな浴衣美人も万歳と目を細めて見渡し――清明と目が合えば一瞬ばちりと火花まで咲き!)
そーだ春、良かったら後で一緒に散策…
ねぇちょっとぐらいオレにもあまい水もとい時間を味わわせて…すごいしょっぱい…!
泣いてないし要らない!
春はまた誰に変なコト吹き込まれたの!

…気を取り直して頂きマス!
どれもこれも絶品だし、庭の風情も相俟って一層華やかに見えるな

そーいや二人は部屋どーすんの?
…いやホント何持ってきてんの!


千家・菊里
【花守】
温泉にほくほく&湯上がり甘味にわくわくしつつお部屋へ

ふふふ、温泉も癒されましたが、此処にもまた一味違う心身の保養が広がってますねぇ――(ルームサービスメニューを広げ!)湯の後はやはりこれに浸るに限ります
いやぁ、実に良い醍醐味に溢れてますね
(余計な花を散らしている二人を横目に、春さん何食べます?とちゃっかりメニューに見入り)
しょっぱい水?あ、涙ふきます?(伊織にいつかのはに手拭いを渡し)

御品が届けばにこにこと至福の一時
お庭の花と煌めきも、甘味の花と輝きも楽しみ

あ、伊織が一人でも寂しくないように、抱枕もちゃんと連れてきてあげましたからね?
投げちゃ駄目ですよ?
(いつの間にか布団にセット済!)


永廻・春和
【花守】
清明ちゃんと揃って花の浴衣に身を包み、お部屋へ

静かに花やぐお庭の風情と同時に、愛らしく華やかな品々も味わえるとは――確かに潤いに満ちた、幸いな一時ですね
…実は噂のかき氷が気になるのですが、此処までお届け頂く事も出来るのでしょうか?
(右に同じく、メニューに興味津々で他は目に入らず)
?何か仰いましたか、呉羽様?
はい、私は暫くのんびり甘味を満喫しておりますので、呉羽様もどうぞお気遣いなくごゆるりと
甘い水…?呉羽様は寧ろ塩気が強い方がお好みと伺いましたが…

(話の途中で甘味が届き、また其方に心惹かれて)
見目も味わいも素敵で、本当に癒されますね

…寂しがり、なのですね?(また一つ何か色々誤解した顔)


千百秋・清明
【花守】
春ちゃんと温泉を楽しんだ後、お揃い浴衣で一休みに

温泉とはまた違う眺めを楽しめて――うん、おまけにサービスも充実してて、一際贅沢な気分になるね!
ね、お花の限定メニュー気になるよね!折角だし頼めるものは全部頂いてわけっこしよっか!
(言いつつ、一人だけ微妙に話が噛み合ってない伊織に白い目を向け――春ちゃんを妙な目で見るのはやめてくれる?と密かに火花)
はいはい、春ちゃんは暫く私と甘味祭で忙しいんだから邪魔しないの!
一人で気儘にゆっくりしてきたら?

(満面の笑みで甘味に向き直って!)
ふふ、お庭も甘味も見応え満点で本当最高の心地!

部屋は別で取ってるしご心配なく――貴方は貴方で抱枕とどうぞ楽しい夜を?



 ひらり揺れる袖に咲くのは、蛍戯れるまんまる手毬な紫陽花の華。
 永廻・春和(春和景明・f22608)と千百秋・清明(晴雲秋月・f22617)はゆったりほっかり、湯上りのその身に揃いの浴衣を纏って。
 部屋に足を運べば……次もまた、楽しみなひとときが。
 勿論それは千家・菊里(隠逸花・f02716)にとっても、ほくほくわくわく。
「ふふふ、温泉も癒されましたが、此処にもまた一味違う心身の保養が広がってますねぇ――湯の後はやはりこれに浸るに限ります」
 ……いやぁ、実に良い醍醐味に溢れてますね、と。
 早速、いつの間にかにこにこと広げているのはルームサービスのメニュー。
 そう、湯上りのデザート……お待ちかねの甘味タイム!
「や~、聞きしに勝る良い眺めだよな」
 呉羽・伊織(翳・f03578)も、いつになくゴキゲン。
 その理由は、言わずもがな。
「静かに花やぐお庭の風情と同時に、愛らしく華やかな品々も味わえるとは――確かに潤いに満ちた、幸いな一時ですね」
「温泉とはまた違う眺めを楽しめて――うん、おまけにサービスも充実してて、一際贅沢な気分になるね!」
 目の前できゃっきゃ咲く、赤のいろ。
 いつもの様に真っ白ではない、本日はとても嬉しめでたい紅白なのです。
「温泉も良かったケド、この狐とだと浪漫も何もないし?」
 ――ウン、花があるって幸せだネ、最高の保養だネ。
 しっとり止んだ小雨に濡れた艶やかな花々に、舞い遊ぶ蛍の光……そして、しとやかな浴衣美人も万歳!
 そう赤の瞳を細め、見回せば……また別の花が、ばちり。
 ――春ちゃんを妙な目で見るのはやめてくれる?
 一人だけ微妙に話が噛み合ってない伊織にそう白い目を向け、密かな火花を咲かせる清明。
 そんな余計な花を散らしている二人を横目に。
「春さん何食べます?」
 ちゃっかりメニューに見入りつつも菊里がそう訊ねれば。
「……実は噂のかき氷が気になるのですが、此処までお届け頂く事も出来るのでしょうか?」
 右に同じく、他は目に入らぬ様子でメニューに興味津々な春和。
 清明はそんな春和へとぱっと気を取り直した笑顔を咲かせ、こくこくと頷いて。
「ね、お花の限定メニュー気になるよね! 折角だし頼めるものは全部頂いてわけっこしよっか!」
 誰かさんは放っておいて、いざ甘味祭り!
 そして色々そわりと夢中でメニューを見つめる春和に、伊織はいざ誘いの声を――。
「そーだ春、良かったら後で一緒に散策……」
「? 何か仰いましたか、呉羽様?」
 ……掛けるけれど。
 返って来たのは、きょとりとした視線と。
「はい、私は暫くのんびり甘味を満喫しておりますので、呉羽様もどうぞお気遣いなくごゆるりと」
 花のような笑みと突き付けられる現実。
「ねぇちょっとぐらいオレにもあまい水もとい時間を味わわせて……すごいしょっぱい……!」
「しょっぱい水? あ、涙ふきます?」
 そうすかさず伊織へと菊里が差し出すのは、いつかのはに手拭い。
「泣いてないし要らない!」
 そんな、ぶんぶんと大きく首を横に振って、はに手拭いを拒否るその姿に、ますます首を傾ける春和。
「甘い水……? 呉羽様は寧ろ塩気が強い方がお好みと伺いましたが……」
「春はまた誰に変なコト吹き込まれたの!」
 そしてちらりと某狐を見遣るも。
 そこには、うきうき早速、あれもこれもと気付けばとっくに注文し終えている我関せずな姿が。
「はいはい、春ちゃんは暫く私と甘味祭で忙しいんだから邪魔しないの! 一人で気儘にゆっくりしてきたら?」
 清明はすかさずそう伊織に言い放ってから。
 頼んだ甘味が運ばれてくれば、満面の笑みで向き直って。
「ふふ、お庭も甘味も見応え満点で本当最高の心地!」
「見目も味わいも素敵で、本当に癒されますね」
 こくりと頷いた春和も、心はすっかり眼前の甘味へ。
 菊里もそんな至福の一時ににこにこ。
 庭の花と煌めきも甘味の花と輝きも……どちらも楽しみには違いないから。
 そして……気を取り直して頂きマス! と。
 伊織も並ぶ甘味を見回しいくつか選んで、はむりと口にすれば。
「どれもこれも絶品だし、庭の風情も相俟って一層華やかに見えるな」
 デザートくらいはせめてしょっぱくはない、美味で甘い味を。
 そんな甘味を堪能しながら、懲りずに伊織は少女たちへとふと訊ねてみる。
「そーいや二人は部屋どーすんの?」
 けれどそれに素早く言葉を還すのは、菊里。
「あ、伊織が一人でも寂しくないように、抱枕もちゃんと連れてきてあげましたからね?」
 ……投げちゃ駄目ですよ? って。
 菊里が取り出すのは、寝るところがないくらいいつも布団を占領している存在感放つ抱き枕たちと、ついでに、こけし目覚ましとはにわ貯金箱。
 そして、宿の土産屋にあったという、この世界仕様な限定の桜色はに抱枕。
 というか。
「……いやホント何持ってきてんの! てか何追加で買ってんの!?」
 そうある意味もっと賑やかになった自分の周囲を見回し、もう一度ぶんぶん首を振る伊織だが。
「部屋は別で取ってるしご心配なく――貴方は貴方で抱枕とどうぞ楽しい夜を?」
 さらにすかさず、清明が作った笑顔で紡げば。
 春和は、はに的なあれそれだったり某チンアナゴだったりする愉快な抱き枕たちを見遣りつつ。
 ……寂しがり、なのですね?
 そうまた一つ、何か色々誤解した顔をするのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

木常野・都月
【KOR】

蛍、ふわふわピカピカだ。
人馴れしてるのか、見てても逃げないな。
小さくても、敵じゃないって理解してるんだなぁ。

後ろの気配が怪しいから、そろそろ蛍鑑賞は終わりかな。

[野生の勘、第六感]を働かせて、後ろの枕投げに警戒しておきたい。

蛍達、ここは戦場になる。
少し離れていた方がいい。

風の精霊様に、それとなく蛍達を誘導して貰いたい。

部屋全体を[オーラ防御]で保護したい。

準備は整った。開戦だ!

先輩とはいえ相手は猟兵。
全力で挑まないと俺がやられる!

飛んできたトルネード枕を掴んで。
トルネードは、こうするんです!
風の精霊様に頼んで、高速回転カーブ枕を投げ返したい。

ミネルバさんみたいな防御技が無…(沈)


ミネルバ・レストー
【KOR】
ちゃんとした場所で風情ある蛍を見るのは初めてよ、楽しみね
…わあ、素敵
景色だけでもおみやげにできないかしらとカメラを向けるけど
夜景を撮るのはとっても難しくて

それはそうとわたしの「第六感」が教えてくれるんだけど
…この集まりがこんなしっとりしたまま終わらせるわけないって!
「念動力」で手近な枕を動かして飛んで来る枕を防ぎましょ
オッケー都月、手筈がいいわね
存分に戦り合いましょ、対戦ゲームなら任せなさい

両の手で足りないなら念動力で複数枕を飛ばしてあげる
これがわたしの「限界突破」よ、喰らいなさい!
立ち回りとしては、白熱してる所から一歩引いて
弱った相手を確実に仕留めに行くわ

最後に勝つのは誰かしらね?


城島・冬青
【KOR】

私の住んでる地区は自然が少ないんで蛍をリアルで見たことは殆ど無いんですよね
アヤネさんはどうです?
淡い光が綺麗だと思いませんか?

殺気!(枕を避ける)アヤネさん避けて!
うん、なんかうさぎ団で蛍を見てしんみり…というのは違和感あるなぁと思ってたんで
蛍をゆっくり見られないのは残念ではありますが
アヤネさんと蛍との平穏なひと時を守るため
この城島、容赦はしません!
UCを発動
見えないカラスくんを使役して
枕をキャッチしたり死角から投げてもらったりします
この戦い…勝った!
うぎゃっ?!(被弾)
今投げたのは誰ですかー!(ぽいぽい無差別投げ)
蛍?そんなことより今はこの仁義なき枕投げ戦争を生き抜かなくては…!


花屋敷・幽兵
【KOR】 ふ…隠れ里には蛍がいたからな。懐かしいという思いしかないぜ。 内輪で蛍狩りとか風流なのは…また今度にするか。 ふと思ったが枕投げは男女別じゃないんだな。と話しかけつつ喰らえ都月ィ!トルネード投法じゃ! そしてアヤネ…もう君しか見えない(的として)ネーリィ!これは祝福の枕だ!顔面で受け止めろ!(バックハンド投げ)何が第六感だ!俺のロック魂を見ろ!そしてサクラコの頭にダンクシュート(反則) ええい!マスクがあると良く見えん!真の姿開放!(マスク取る) 小童ども!月を見るたび思い出せぇ!(ポーズ決め)冬青は幸せになって下さい。 終わったら片づけじゃ。そうだろオクさん。猟兵は後を汚さない。


アヤネ・ラグランジェ
【KOR】
ホタルはニューヨークなら公園とかにいるけど
言われてみれば東京では見たことないネ
(種類が違います)
でもこんなに舞っているのは初めて見た
幻想的だネ

いきなりの枕投げは始まる前から不穏な空気を察知してたとも
UC発動
触手で受け止めてそのまま投げてきた相手に投げ返す
ソヨゴを狙ったら三倍返しだネ
やるからには本気出す

おっとユーヘイから挑戦状とはいい度胸だネ
当然やり返すとして
でも枕投げというゲームはバトルロイヤル
ソヨゴ以外は全員的だ!
触手でいくつもの枕をまとめてあちこちに投げつける
素知らぬ顔のネリーも
さり気なく連携してるサクラコも!

ソヨゴはがんばりすぎでは?
自分を棚に上げて笑う
蛍は逃げ出すだろうネ


鏡彌・サクラコ
【KOR】
みなさまは蛍鑑賞ですかねい
風情も大事ですが食い気には勝てません
光ってるかき氷!食べたい!
こっそり買ってお部屋で食べましょう
オクちゃんも一緒にいかがです?
くー!冷たくて美味しいでいす!
そして突然始まる枕投げ
あー!?かき氷がー!

食べ物の恨みは枕で晴らすでいす!
動き回るオクちゃんに枕をパスしては投げてもらい
またパス
UCをお盆代わりに大量の枕を乗せて
幽兵さまの真上にこっそりと運びます
頃合いを見計らって
さあとどめでいす!
どどどどどっと枕雪崩れを起こします

あーおもしろかった!
ちょっと枕多すぎでしたかねい
片付けますかー


日隠・オク
【KOR】
可愛い浴衣です、紫陽花柄…
蛍、光ってるの不思議です
電気じゃないのに光ってる……?
蛍は電気……。
サクラコさんとカキ氷こっそり
色が綺麗で、んん、冷たくて、おいしいです!

枕もふもふ持ち
知ってます枕投げ!

みなさんの本気が伝わってきます…!

素早い方なのでわりと避けられます
特にくぐれるくらいの高さならしゃがんで避けます
でも下向きに投げられたら当たりそうです

キャッチ&リリースです!(?
避けた枕拾って手近に投げ

サクラコさんとも協力プレイを
反対側からまわって攻めたり
枕パスしたりもらったり
色々動き回ってそう

は、はい幽兵さん!(枕もふもふして名残おしそう



 静かな宵闇にふわりふわりと舞い遊ぶのは、満天の煌めき。
 その柔い輝きは、今は止んだ小雨にしっとりと濡れた季節の花を、美しくも仄かに照らし出して。
 蛍灯庵――その名の通り、山間の宿に数多灯っているのは蛍の光。
「蛍、ふわふわピカピカだ」
 木常野・都月(妖狐の精霊術士・f21384)はそうっとその手を伸ばして。
「人馴れしてるのか、見てても逃げないな」
 ……小さくても、敵じゃないって理解してるんだなぁ、と。
 指先にじゃれつくかの様に飛ぶ蛍が放つ光を、夜の様な色をした瞳にも灯す。
「……わあ、素敵」
 楽しみにしていた、初めてちゃんとした場所で観る、風情ある蛍の風景。
 舞い飛ぶ光の乱舞に向けた金の瞳に、より煌めきを宿しながらも。
 ミネルバ・レストー(桜隠し・f23814)は、景色だけでもおみやげにできないかしらと、眼前の景色にカメラを向けてみるけれど。
「夜景を撮るのはやっぱり、とっても難しいわね……」
 なかなか思う様に撮れないけれど……もう一度めげず、真剣な表情でパシャリ、シャッターを切ってみる。
 そしてふたり隣同士並んで蛍の庭を眺めているのは、城島・冬青(六百六十九番目の宿木・f00669)とアヤネ・ラグランジェ(十二の結び目を解き放つ者・f00432)。
「私の住んでる地区は自然が少ないんで蛍をリアルで見たことは殆ど無いんですよね」
 ……アヤネさんはどうです?
 すぐ傍にある横顔へと冬青がそう視線を移せば。
「ホタルはニューヨークなら公園とかにいるけど、言われてみれば東京では見たことないネ」
 実は種類が違う……ということはともかく。
 アヤネも冬青へと、視線と共に言の葉を返して。
「でもこんなに舞っているのは初めて見た」
「淡い光が綺麗だと思いませんか?」
 舞い飛ぶ蛍の光に照らされたその顔を見つめながら、そっと瞳を細め頷く。
 ……幻想的だネ、って。
 そんな物珍し気に蛍たちを見つめる皆とは、また少し違った心持ちで。
「ふ……隠れ里には蛍がいたからな。懐かしいという思いしかないぜ」
 言ったのは、花屋敷・幽兵(粗忽なダークヒーロー・f20301)。
 そんな彼にとってこの輝きは、脳裏にふと蘇る懐古の光。
 そして眼前の幻想的な風景も勿論なのだけれど。
「みなさまは蛍鑑賞ですかねい」
 蛍をそれぞれ眺めている皆の姿に、鏡彌・サクラコ(鏡界に咲く花・f09974)は瞳細めて。
 その隣で、ふと首を傾げる日隠・オク(カラカラと音が鳴る・f10977)。
「蛍、光ってるの不思議です。電気じゃないのに光ってる……?」
 舞い飛ぶ光を追いかけながら、蛍は電気……って。
 けれど、ひらりと纏った浴衣の袖を揺らして。
「可愛い浴衣です、紫陽花柄……」
 庭に咲き誇る季節の花に負けないくらい、嬉し気に咲かせる笑顔。
 そして、さらにそんなオクの瞳を輝かせるのは。
「オクちゃんも一緒にいかがです?」
 ――光ってるかき氷! 食べたい!
 そうサクラコがこっそり買っておいた、アイスキューブが光るまんまる紫陽花かき氷。
「風情も大事ですが食い気には勝てません」
 そわそわふたりで、そーっとこっそり。
 シャクリとスプーンで掬って、ひとくちぱくりと食べてみれば。
「くー! 冷たくて美味しいでいす!」
「色が綺麗で、んん、冷たくて、おいしいです!」
 まさに……こっちの水は甘いぞ。
 優しくて美味しい甘さとキンとした冷たさに、ふたり思わず微笑み合う。
 そんな皆で過ごすひとときは、とても穏やかで風流――だけれど。
「内輪で蛍狩りとか風流なのは……また今度にするか」
 刹那、キランッとマスクの下で怪しく輝く、幽兵の瞳。
 いや、彼だけではない。
(「後ろの気配が怪しいから、そろそろ蛍鑑賞は終わりかな」)
(「それはそうとわたしの「第六感」が教えてくれるんだけど」)
 都月やミネルバも、本能的に察知していた。
 ……この集まりがこんなしっとりしたまま終わらせるわけないって!
 そして都月はすかさず部屋全体を守りの気で保護しながら、風の精霊様にお願いする。
 蛍達を誘導して貰いたい、と。
 ……何故って?
「蛍達、ここは戦場になる」
 そう――これから始まるのは、熱く激しい戦い。枕投げという名の!!
 ということで準備は整った。開戦だ!
「オッケー都月、手筈がいいわね」
 周囲の蛍たちが全て庭へと導かれたことを確認し、ミネルバはこくりとひとつ頷いて。
 ――存分に戦り合いましょ、対戦ゲームなら任せなさい。
 皆を見回し、そして飛んできた枕を、念動力を使って動かした手近な枕で相殺する。
 ……殺気!
 冬青もそう、ふいに投げられた枕をひょいっと躱して。
「アヤネさん避けて!」
 声を掛け、琥珀の視線を隣へと向ければ。
 ……いきなりの枕投げも、始まる前から不穏な空気は察知済。
 UDC形式名称【ウロボロス】術式起動――瞬間、伸びたアヤネの触手が枕を受け止め、投げた相手へとお返し!
「うん、なんかうさぎ団で蛍を見てしんみり…というのは違和感あるなぁと思ってたんで」
 ある意味、しっとり穏やか……よりも、これがとても自分達「らしい」のであるが。
「蛍をゆっくり見られないのは残念ではありますが」
 ――アヤネさんと蛍との平穏なひと時を守るため、この城島、容赦はしません!
「ソヨゴを狙ったら三倍返しだネ」
 ――やるからには本気出す。
 ふたりは視線を合わせ、こくりと頷き合って。
 枕を手に、いざ共に戦場へ!
 そして、突然始まった枕投げの枕が被弾したのは。
「あー!? かき氷がー!」
 サクラコが口に運ぼうとした、最後のひとくちだったかき氷!
 哀れ、口に運ばれる前にテーブルへと落ちたひとさじに声を上げたサクラコの隣で。
 さっと素早く、もふもふ枕をオクは構えて。
「知ってます枕投げ!」
 ――みなさんの本気が伝わってきます……!
 そう戦いに備え、ふるふるとショックに震えるサクラコにも、武器という名の枕をぽふりと手渡します!
 遊びといえど、手を抜かない――そう、それがうさぎ団!
(「先輩とはいえ相手は猟兵。全力で挑まないと俺がやられる!」)
 そうきりっと戦場を見据える都月にさり気なーく声を掛けるのは、幽兵。
「ふと思ったが枕投げは男女別じゃないんだな」
 その声に都月は一瞬、彼へと視線を向けるけれど。
「喰らえ都月ィ! トルネード投法じゃ!」
 話しかけ油断させた隙に、大きく体をひねって竜巻の如き一撃!
 けれど、そう簡単には喰らいません。
 都月は、がしりと飛んできたトルネード枕を受け止め掴んで。
「トルネードは、こうするんです!」
 投げ返すは、精霊様の巻き起こす風に乗せた高速回転カーブ枕!
 そんなトルネード返しにもめげずに。
「ネーリィ! これは祝福の枕だ! 顔面で受け止めろ!」
 ――何が第六感だ! 俺のロック魂を見ろ!
 そう懲りず、次に幽兵がロックにバックハンド投げで狙うは、ミネルバ。
 けれど、両の手と言わず。ふわりと念動力で彼女の周囲に浮かぶは、複数の枕。
 そして襲ってくる枕を吹き飛ばしながら、満を持してミネルバは繰り出す。
「これがわたしの「限界突破」よ、喰らいなさい!」
 防御もこなし、そして周囲に一斉攻撃を仕掛ける……そう、まさに限界突破!
 けれど、そう易々と枕に埋もれるわけにはいかないから。
 冬青がすかさず戦場に喚ぶは、見えないカラスくんことコルヴォ。
 そんなカラスくんが飛んできた攻撃をがっちりキャッチ!
 そして見えない利点を生かし、死角から枕をしゅばっ!
「この戦い……勝った!」
 そう、どやっと確信したのも束の間。
「うぎゃっ!? 今投げたのは誰ですかー!」
 ぼすんっと飛んできた枕に被弾して冬青は声を上げるも、負けじとカラスくんと一緒に、無差別にぽいぽいっ!
 そう――枕投げというゲームはバトルロイヤル。
 だから。
「ソヨゴ以外は全員的だ!」
 刹那、触手でいくつもの枕をゆうらり構えて。
「アヤネ……もう君しか見えない」
 ――的として。
 そう同じ様に自分を狙い枕を投擲してきた幽兵に。
「おっとユーヘイから挑戦状とはいい度胸だネ」 
 当然、やり返すアヤネ。
 いや、勿論、枕の海へと沈めんと狙うは彼だけではない。
「食べ物の恨みは枕で晴らすでいす!」
「サクラコさん、パスです!」
 さり気なく息の合った連携をしてくるサクラコもオクも。
「最後に勝つのは誰かしらね?」
 白熱している所から一歩引いて、しれっと素知らぬ顔で。でも弱った相手を確実に容赦なく仕留めにかかるミネルバも。
「いくら先輩でも、譲れない戦いがあるんです!」
 風の精霊様の力を借りて、強烈なトルネード枕を放つ都月も。
 みーんな、的です!
 そう冬青と一緒に、まとめてあちこちに投げつけるアヤネだけれど。
 ……キャッチ&リリース!
 持ち味の素早さを駆使し、オクは枕飛び交うその下を潜り抜け、すかさずしゃがんで襲い来る攻撃をさっと避けながら。
 たまーに、下向きに投げられたもふもふ枕にぼふっと当たったりもするけれど。
 負けずにサクラコの反対側からまわって、一緒に枕をしゅばばっ!
 所狭しと、戦場と化した大部屋の中を色々と動き立ち回って。
 ――そしてサクラコの頭にダンクシュート!
 そう、それ半ば反則では、という大技をサクラコ目掛け繰り出さんとした幽兵であったが。
「!?」
 ハッと頭上を見上げれば、いつの間にか、大量の枕を乗せたお盆代わりの銅鏡が……!?
「さあとどめでいす!」
 瞬間、どどどどどっと起こる、枕雪崩れ!
 けれど、不屈のマスクマンはここで終わる男ではない。
「ええい! マスクがあると良く見えん! 真の姿開放!」
 いや、むしろマスクを取っちゃいました!?
「小童ども! 月を見るたび思い出せぇ!」
 そうびしいっと真の姿的なポーズ決め、まだまだこれからが本番です!?
 そう、うさぎ団は、遊びでも戦いであれば全力だから!
「オクちゃん、パスでいす!」
「はい、サクラコさん!」
「無駄よ、当たらないわ」
「ミネルバさんみたいな防御技が無……うぷっ」
 投げては掴み、当たって埋もれてはお返しに投げつけ、また埋もれて。
 そう、此処は蛍の宿に在る戦場――楽し気な声がきゃっきゃとあがる、もっふもふな!
「蛍? そんなことより今はこの仁義なき枕投げ戦争を生き抜かなくては……!」
「ソヨゴはがんばりすぎでは?」
 きりっと全力で枕を投げ返す冬青に、そう自分を棚に上げ、アヤネは笑って。
 ばしりと冬青目掛け飛んできた枕を触手で叩き落としながらも、窓の外へと視線を向ける――蛍は逃げ出すだろうネ、って。
 そしてそんなふたりへと、幽兵は何時もの如く微笑まし気にうんうんと頷いて。
「冬青は幸せになって下さい」
 枕の山に埋もれながら、サムズアップ!
 けれど……ちゃんと心得ています。
「終わったら片づけじゃ。そうだろオクさん」
 ――猟兵は後を汚さない。
 そうきりりと言い放った幽兵に、オクは瞳をぱちりと瞬かせつつ。
「は、はい幽兵さん!」
 ふかふか枕を、ちょっぴり名残惜しそうにもふもふ。
 サクラコも、あーおもしろかった! って、そう満足気に笑んだ後。
「ちょっと枕多すぎでしたかねい」
 枕だらけになった大部屋を見回してから。
 もふもふ枕を手に、皆へとこう笑むのだった。
 ――片付けますかー、って。
 そう……うさぎ団は、片付けにも手を抜きませんから!

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 冒険 『ゆらりゆらり舞う提灯』

POW   :    進む先に障害物を置いて逃げ道を塞ぐ

SPD   :    愚直にまっすぐ追いかける

WIZ   :    地図を見ながら最短距離で先回り

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

※お知らせ※
 第2章プレイング送信の受付は、【6/8(月)朝8:31】より開始いたします。
 それ以前に送信された分は流れてしまう可能性が高いのでご注意ください。
 追加情報を記載したOPを受付前日までに掲載いたします。
 送信締切等のお知らせは、MS個別ページ等でご確認ください。
.

●秘されし迷ひ路
 イセノはよく知っている。
 蛍の庭が一等美しいのは、皆が寝静まったこの時間だということを。
 そして――。
 イセノはそうっと慎重に周囲を窺った後……庭の奥へと続く隠し扉を開く。
 ギイと軋む様な音を立て、開いた扉のその先に広がるのは――さらに広大な蛍の庭。
 むしろ川のせせらぎ美しい奥の庭は、宿から臨める庭よりも蛍の数も多く。
 季節の花々と幻朧桜咲き誇る山の美しさをそのままに、最低限しか手を加えていない景色は、整えられた庭とはまた趣きも違う。
 そして真っ暗な闇を照らすのは、数多舞い飛ぶ蛍の光と。
 ゆうらりゆらりと遠くで揺れる、提灯の明かりひとつ。
 それは、小説『蛍の迷ひ路』に出て来る、宿の離れを真似たもの。
 あの提灯の明かりがついている時だけ……愛しいあの人が、離れにいるのだ。
 けれどその提灯は、伸ばせば手が届きそうな気がする様な気がするけれど。
 辿り着くまでの路は、そう易いものではない。
 何せこの庭は、複雑な迷路になっているのだから。
 けれどイセノには、何度も行き来しした道順は頭に入っているから。
 小さなランプ片手に足早に向かう。
 大好きなあの人――人気作家である、櫻居・四狼の元へ。
 そしてふとイセノは思い出し微笑む。
 愛するその人との、過去の思い出を。

 ……あれは、もう何年前だろか。
「櫻居先生……? 何をされているのですか?」
 容姿端麗、人懐っこくはあるがどこか知的な雰囲気が漂う美形……のはずなのに。
 奥の庭で一生懸命何かをしている彼は、土塗れで。
 でもそれにも全く気にすることなく、にっこり子供の様に無邪気な顔で彼は言ったのだった。
「ん? あのね、執筆の気分転換も兼ねて、迷路に落とし穴掘ってるんだよー」
「落とし穴……?」
「うん。だって此処、僕とイセノだけの内緒の庭でしょ。僕たち以外に足を踏み入れて欲しくないし」
「……えっ」
 にこにこ柔い笑みを向けられ、仄かに頬を染めていたところに、不意打ちの甘い言の葉。
 先生と自分だけの、内緒の――。
 そう夢見心地にほうっとしてしまったイセノに、もう一度作家は笑んでから。
 よいしょよいしょ、と一生懸命穴を掘りながら楽し気に続ける。
「だからさ、もし勝手に入ってくる人いたら、落とし穴に落としてやろうーって。予期せぬ落とし穴に落ちてあわあわ慌てる姿とか、見たらめっちゃ面白いと思うんだよねー」
 結構作るの楽しいからいっぱい掘っとこ、と作家はそうざくざくと作業をしながら。
 何かを思いついたように顔を上げ、イセノに訊ねる。
「あ、そうそう、コンニャクとかある? 木の枝にいくつか下げとこうって。いきなりひやっとしたら、めっちゃびっくりするよねーあははっ」
「ふふ、じゃあコンニャクは私が用意して、吊るしておきますね」
 それから、ホント? ありがとーって、そう無邪気ににぱっと笑む彼に。
 この時――そっと、気になっていたことを訊いてみたのだ。
「先生。あの……先生のお話は、美しい心中が題材のものが多いですけれど。先生は……一緒に心中したいって思う女性って、いるんですか?」
 そんな問いに、櫻居・四狼は作業する手を止めずに、すんなりとこう答える。
「いるよー。僕の愛しの『桜の君』」
「……『桜の君』」
 その名を彼から聞いたのは、これが初めてではなかった。
 イセノはおそるおそる、彼へと重ねて問う。
「あの、先生。『桜の君』って、先生がご愛用されている、あの美しい桜模様の硯箱……ですよね?」
「うん。きっとあの子が人になったら、絶世の美女で一等の別嬪だと思うんだよねーっ。なにせ、この僕を一目で虜にしちゃったんだもん」
 そうにこにこと嬉しそうに語る作家を見て。
 この時……イセノは決めたのだ。
 いつも大切に、優しくしてくれているけれど――でも、先生の想い人は自分ではないと。
 けれどこうやって、ふたりっきりの時間を共有できるだけで、幸せで。
 だから――大好きな彼の紡ぎ出すお話の世界を、影ながら支え守りたい、って。

 イセノは用意した新しいコンニャクを、古いコンニャクと取り換えていきながらも。
 慣れた様に難なく迷路を抜け、提灯揺れる豪華な離れの前へとやってきて。
 きょろきょろともう一度、注意深く周囲を見回し……誰もいないことを確認すると。
「……櫻居先生」
 大好きな彼のいる離れの扉を、からりと開いたのだった。


●マスターより
 第2章は、落とし穴やコンニャクなど、子供染みた仕掛けが施されている広大な夜の蛍の迷路を抜けて貰います。
 罠は特に実害ないものばかりで、影朧が面白がるためだけに作られたものですので。
 美しい蛍や花の庭の風景の中、楽しく迷路を進んでいただければと。
 迷路から離れまでは距離があるので、多少の声でしたら気取られないかと。
 そしてイセノは用心深い性格なので。
 迷路に挑むのは、彼女が離れに入った後になります。
 なので、奥の庭でイセノの後を尾行する行動は、今回は取れません。
 そして持参した明かりをつけても、離れから見えて気付かれてしまうので。
 今回は、蛍の光や月と星などの自然の明かりと、離れの入り口で揺れるひとつの提灯の光だけを頼りに進んでください。
 細かいことには気づきにくいかもですが、ただ進む為の最低限の視界は十分に確保できます。
 上記に反する行動は大幅にマスタリングさせていただくか返金とさせていただきます。
 時間はかかっても、離れまではあれこれ進んでいる間に辿り着けますので。
 今回は、奥の庭に入ってから迷路を進むシーンがリプレイとなります。
 迷路をきゃっきゃ楽しく進むことが中心でもいいですし。
 川が流れるさらに美しい蛍と季節の花々と幻朧桜の景色を愛でていただく感じでも大丈夫です。
 イセノに気付かれるような行動でなければ、ご自由にしていただいて構いません。
 受付開始日時や締め切り日時は、MSページやTwitterでご確認ください。
神代・凶津
どうやらイセノの女将は離れに入ったようだな。
んじゃ、俺達も行動開始と行きますかッ!

「・・・凄い、とても綺麗。」
おう、相棒。
この庭、ラウンジで読んだ小説『蛍の迷ひ路』そのまんまだぜ。
こいつは凄えや。
っと、見とれてる場合じゃねえな。
この迷路を突破しねえと。

にしても何処を見ても壮観な風景だな。
「・・・仕事じゃなければ、もっとゆっくり観ていたい光景だね。」
だな、相棒。
だけど風景を見とれて落とし穴に嵌まったりするなよ、ぐぎゃッ!!!?
(おもいっきりコンニャクにぶつかる鬼面)
「・・・大きな声を出さないで。」
す、済まねえ相棒。
ちくしょー、これ結構厄介な罠なんじゃねえかコレ?

【アドリブ歓迎】



 そうっと秘されし庭へと続く扉の先を、窺う様に見遣るのは……謎の鬼面。
 ――どうやらイセノの女将は離れに入ったようだな。
 神代・凶津(謎の仮面と旅する巫女・f11808)はそう確りと確認した後。
 ――んじゃ、俺達も行動開始と行きますかッ!
 宿の庭とは比べ物にならないほどの光に溢れている、蛍の迷ひ路へ。
「……凄い、とても綺麗」
 夜の闇に溢れんばかりに飛び交うのは、仄かな蛍の光。
 そう桜の口から紡がれた言の葉に、こくこくと頷いて。
 ――おう、相棒。この庭、ラウンジで読んだ小説『蛍の迷ひ路』そのまんまだぜ。
 こいつは凄えや、と興奮気味に、蛍とともにくるりと宙に舞う鬼の面の彼。
 そんな小説のワンシーンのような風景に、暫し酔いしれていたけれど。
 ――っと、見とれてる場合じゃねえな。この迷路を突破しねえと。
 そうふたり、蛍の光と桜花弁の景色を再び歩き出す。
 ゆらりゆれる提灯は、近いようでまだ遠くて。
 きっと蛍も誘われるほど甘く綺麗な水が流れているのだろう川のせせらぎが、耳に心地良く。
 ――にしても何処を見ても壮観な風景だな。
「……仕事じゃなければ、もっとゆっくり観ていたい光景だね」
 ――だな、相棒。
 そんな会話を交わしつつ、幻想的な景色も楽しみながら、迷路を進んでいかんとするけれど。
 ――だけど風景を見とれて落とし穴に嵌まったりするなよ、ぐぎゃッ!!!?
 ……ぺちりっ。
 進みゆく鬼面が思い切りぶつかったのは、ひやり冷たいこんにゃく!
「……大きな声を出さないで」
 そうシーッと人差し指を口に当て、ふっと溜め息をつく相棒に、す、済まねえと詫びながらも。
 ――ちくしょー、これ結構厄介な罠なんじゃねえかコレ?
 凶津はそう、そろーっと、今度は慎重に迷ひ路を進んでいく。
 小説『蛍の迷ひ路』には、こんな子供染みた仕掛けなんて書かれていなかったし。
 何より……またこんにゃくに当たって驚かされるのは、御免だから。

大成功 🔵​🔵​🔵​

シホ・エーデルワイス
《華恋》

内心

どうして燦は私と別れようとしないの!?

燦が私を殺すかも?
と言われて怒らないのもあるけど

いつ死を迎えてもおかしくない私と一緒に生きたいだなんて…
まるで心中も良しとする様な…


「イセノさんと四狼さんに聞いてみたい…」と呟く

「え!あ!うん
そうね暗いし繋ぎましょう」

迷路は常時<空中浮遊しつつ第六感と暗視で罠を見切り>避け
燦が落ちそうになっても<手をつなぐ>で離さない

「ええ…親友ではありたいです」

ああ…そうか…私の心はもう燦に占められているのね


イセノさん達に逢えたら
「どうして恋の結末が心中という破滅に至ると知って
一緒に居ようとするのですか?」
「私は…大切な人には幸せになって欲しいと思います…」


四王天・燦
《華恋》

惹かれていると言われた―
宿命に負けられないね

絶景哉。
楽し気にシホを振り返る。
恋人じゃないけど手を繋いでいい?
暗いからね

シホの手が温かい。
フラれたくないな。
微かな震えが隠せない

囁き。何があっても親友の絆は繋なぎ続けようぜ、と。
シホに小指を出す。
指切りげんまん

直後に落とし穴に落ちるのが燦クオリティです。
動転バレバレ

独り言はアタシに関する悩みかな?
シホが恋に惑う女の子に映る。
「かわいい」

想われている事が嬉しい。
アタシの心はシホのもの

ただ姉妹には謝らなきゃ。
シホと同じ生を歩む―それは妖狐の寿命から離れる願いだから

心中も悪くないね。
でもそれは精一杯生きた上での想いの到達点。
憧れでやることじゃない



 一度ははっきりと、別れを告げたはずで。
 その理由だって、ちゃんと説明したのに。
 ――それでも。
(「どうして燦は私と別れようとしないの!?」)
 より多くの蛍の光に照らされているその横顔をそっと見つめながら、シホ・エーデルワイス(捧げるもの・f03442)は内心そう思わずにはいられない。
 いやむしろ、四王天・燦(月夜の翼・f04448)の決意は、より揺るぎないものになっている気さえするのだ。
 そんなシホの心内もいざ知らず。
 燦の耳に残っているのは、桜ドンした後に告げられたこの言葉。
 ――寧ろ私も燦に惹かれていると思う、って。
 だから、別れるなんて選択は毛頭もなく。
(「惹かれていると言われた――宿命に負けられないね」)
 よりその想いを強めるばかり。
 けれどシホもまた、そんな燦の様子に首を傾けてしまう。
(「燦が私を殺すかも? と言われて怒らないのもあるけど。いつ死を迎えてもおかしくない私と一緒に生きたいだなんて……」)
 ――まるで心中も良しとする様な……って。
 心中。それは宿の女将も人気作家も、心惹かれているもの。
 だから、そう想わせるその心が知りたくて。
「イセノさんと四狼さんに聞いてみたい……」
 シホはそうぽつりと呟きを落とすけれど。
 絶景哉……なんて。
 そう数歩先を歩いていた燦がふと、楽し気にくるり振り返れば。
「恋人じゃないけど手を繋いでいい?」
 暗いからね、って。そう腕を伸ばし差し出したのは掌。
 そんな思わぬ言の葉と掌に、シホは青い瞳を思わずぱちくりと瞬かせてから。
「え! あ! うん。そうね暗いし繋ぎましょう」
 そっとその手を取れば――じわりと混ざり合う、ふたりの体温。
(「シホの手が温かい」)
 燦は柔らかくて温かいその感触に、嬉しそうに微笑みながらも。
 だからこそ、やはり思ってしまう――フラれたくないな、って。
 そして隠せない微かな震えが伝わってしまうかもって、そう改めてシホを見つめるも。
 星の様な蛍の光と幻朧桜の花弁が舞う中、そっとその耳元で囁く。
 ――何があっても親友の絆は繋なぎ続けようぜ、と。
「ええ……親友ではありたいです」
 それから、そうこくりと頷いたシホに小指を出して。
 飛び交う蛍たちが見守る中――絡め合ったその指で、指切りげんまん。約束を。
 そして。
「……ッ、!?」
 直後、張り切って燦が前へと足を踏み出せば……そこには落とし穴が!?
 ええ、これが動転バレバレ、燦クオリティです。
 けれどシホが、落とし穴なんかに燦を落とさせやしない。
 だって今、ちゃんと確り手を繋いでいて。それを、決して離しはしないから。
 そして、ぎゅっと握るその手の温もりを感じながら、シホは気付くのだった。
 ――ああ……そうか……私の心はもう燦に占められているのね、って。
 そんなシホに礼を告げながらも、燦は再び彼女を見つめて。
 先程から、ぽつりぽつりと呟かれる声を思い返す。
(「独り言はアタシに関する悩みかな?」)
 まるで、ゆらりと揺蕩う蛍の光の様に、揺らいでは灯る様々な想い。
 その姿を見れば、シホが恋に惑う女の子に映って。
「かわいい」
 零れる言葉は、今、心にいっぱい満ちる気持ち。
 そして、舞う蛍の光も桜花弁も、もはや目に入らずに。
 燦は大好きな人だけを映した瞳を、そっと細める。
(「想われている事が嬉しい」)
 ――アタシの心はシホのもの、って。
 けれどこの想いに揺るぎはないのだけれど。
(「ただ姉妹には謝らなきゃ」)
 シホと同じ生を歩む――それは妖狐の寿命から離れる願いだから。
 だからある意味それは、シホと心中する決意のようなものかもしれない。
 そしてシホは、やはりその心を知りたいから。
 もしも言葉を交わすことが叶うのならば、イセノに訊いてみたいことがあるのだ。
 だって自分は、大切な人には幸せになって欲しいと……そう思うから。
 けれど、心中も悪くないね、なんて燦は思いながらも。
 でもそれは、ただ好きな人と共に死にたいということでは決してない。
 好きな人と……好きな人のために、生を全うするというのは、あくまで結果。
(「憧れでやることじゃない」)
 それは精一杯生きた上での想いの到達点だと――そう、燦は思うから。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

オズ・ケストナー
【蛍友】

しーちゃんっ
かわいい

ふふ、めいろたのしいね
ホタルと月明かり頼りにさくさく進む
あれ、ランゴどうしてさがるの?

すごい、せなかに目があるのっ?
わかった、おねがいね
うしろからだれかおいかけてくるかもしれないものねっ

後ろ見ながら話していたら
ズッと足元が落ちる
ひょわっ
落とし穴に瞬きしばし固まる

ここ、ここだよ
びっくりしたっ
おとしあな、はじめておちた

ふたりの足
穴から見える景色が不思議で笑って
もぐらさんになったみたい

ありがとうっ
ランゴの手を借りてうんしょと穴から出て
どろだらけ?
わ、ほんとだっ
アヤカといっしょに泥を払って

わあ、ランゴっ
だいじょうぶ?
こんにゃく?
つんつんつついて
あまからに、わたしもたべたいっ


終夜・嵐吾
【蛍友】
この先におる櫻居四狼せんせ…呼びにくいの
さくらい…さっちゃん…いや、しーちゃん
しーちゃんと呼ぼう

しーちゃんに会うには迷路ぬけんとな
勘を頼りにいくか…わくわくするの
しかし、なんぞ出そうな…
(お化け苦手なのは黙っておこう。何も出ませんよーに)(尻尾を時折強気にふりふりするも下がり気味)
二人とも先進んでおくれ
えっ、おいかけ!? う、うむ、ちゃんと後ろみておる!(ちらちら)

蛍が道案内……!? あや君、オズ君がきえっ…あ、落とし穴か
モグラなオズ君に手を貸しておれば

ひぇあっ!?
い、いまなんぞ、なんぞ冷たいもんがぺちーんと

……こ、こんにゃく…!
驚かしおって…!(ぺちんぺちん)
美味しそう?確かに…


浮世・綾華
【蛍友】

ええ、また随分可愛いあだ名付けましたネ…?
嵐吾さんらしーケド

迷路、迷路ねえ
先?――はぁい(何かを察した
オズ、嵐吾さんは背中に目があるから…などと冗談を紡ごうとすれば
追いかけ…(何が?と思いながら二人の様子にくすくす

ふわふわ漂う蛍が綺麗だなぁなんて思いながら進めば
突然姿を消すオズ

――?
おーい、大丈夫か?
ふ…オズ。マジでモグラみたいだよ
だって泥だらけ。ほらと泥を払って

!?(驚いた声に驚いてピッと固まる
こんにゃく?おわー、マジだ
つーか勿体ないですねえ
これ、多分美味しいこんにゃくだ(観察
…回収、は流石にしないが
甘辛煮とかにして食べたい

よし、今日の夕飯はこんにゃくにしよう
なんてマイペースに



 隠し扉をそうっと開いてみれば、瞳いっぱいに瞬く仄かな光たち。
 そしてその先――ゆらりゆらりと夜風に揺れている、提灯の明かりがひとつ。
 蛍の庭の最奥に密やかに佇む豪勢な離れまでは、揺れる提灯の燈火を見れば、それほど遠そうには感じないけれど。
 それは、真っ直ぐ進めたらの話。
 終夜・嵐吾(灰青・f05366)は、近い様で遠い提灯揺れる離れの入口へと、琥珀色の視線を向けながら。
「この先におる櫻居四狼せんせ……呼びにくいの」
 ふと、ゆらり毛並みの良い尻尾を揺らし首を傾けて。
「さくらい……さっちゃん……いや、それも……」
 暫し思案するも……何だか、ちょっとピンとこない。
 けれどすぐに、閃いたように耳をぴこんとさせて。
「……いや、しーちゃん。しーちゃんと呼ぼう」
 四狼だから、しーちゃん。
 いちいち名前を言うのも面倒だから、これからはそう呼ぶことに。
 そんな嵐吾の決定に、浮世・綾華(千日紅・f01194)はつい紅の瞳を細めて。
「ええ、また随分可愛いあだ名付けましたネ……?」
 ……嵐吾さんらしーケド、とくすり。
「しーちゃんっ。かわいい」
 オズ・ケストナー(Ein Kinderspiel・f01136)もこくこくと、柔らかな白金の髪を微かに揺らしてから。
 いざ皆で、しーちゃんのいる離れへ!
 けれど、そこまでの道のりは単純ではなく。
「しーちゃんに会うには迷路ぬけんとな」
「迷路、迷路ねえ」
 右に左に、前に後ろに……なかなか提灯の明かりまで容易く辿り着けない、此処は罠だらけの迷路。
 けれど夜の迷路は、何だかちょっぴり心も踊って。
「勘を頼りにいくか……わくわくするの」
「ふふ、めいろたのしいね」
 ふわり、舞い飛ぶ蛍の光と月明かりを頼りに、並んで楽しく進んでゆく。
 でも……ぼうっと夜の闇に浮かび上がる光は、何処となくそわりとしてしまって。
「しかし、なんぞ出そうな……」
 そうぽつりと零した嵐吾の視線はどこか泳ぎ気味で。
 時折、もっふり尻尾を強気にふりふりしてみたりもするけれど。
(「お化け苦手なのは黙っておこう。何も出ませんよーに」)
 実はちょっぴりお化けが怖いだなんて……そんなこと、内緒です!
 けれど、ふたりに悟られぬようふんすと尻尾を振りつつも、そうっと周囲を窺う様に。
 つい無意識的にふたりに数歩遅れ、下がり気味になってしまう嵐吾だけれど。
「あれ、ランゴどうしてさがるの?」
 オズはそんな嵐吾に気が付いて、きょとり。
 そんなオズに、ちらり視線を向けながら。
「わしが殿をつとめるからの、二人とも先進んでおくれ」
「先? ――はぁい」
 言った嵐吾のその様子に、何かを察した綾華は。
「アヤカ、ランゴはたのもしいねっ」
 そうキラキラと瞳輝かせるオズに、そうっと耳打ちを。
「オズ、嵐吾さんは背中に目があるから……」
「すごい、せなかに目があるのっ?」
 そんな紡がれかけた冗談に、あや君!? と嵐吾は思わず声を出しそうになるも。
 わかった、おねがいね、とオズに笑み向けられれば、こくり頷いてみせて。
 再び尻尾をゆらゆら、強気に揺らしてみるけれど。
「うしろからだれかおいかけてくるかもしれないものねっ」
「えっ、おいかけ!?」
 オズの言葉に思わず、バッと一瞬振り返ってしまう。
 けれど、ハッと視線をそそくさと戻して。
「う、うむ、ちゃんと後ろみておる!」
 大きくもう一度、頷いてみせるのだった。
「追いかけ……」
 綾華は、何が? なんて思いながらも。
 キラキラ瞳を輝かせるオズと、ちらちら後ろを何気に気にする嵐吾のふたりの二人の様子にくすくす。
 そして掌をふと広げてみれば、ふわふわ漂う蛍が迷い込んできて。
 綺麗だなぁ、なんて思いながら進んでいれば。
「ひょわっ」
 ふいに耳に聞こえたそんな声。
 そして声の主の方へと視線映すも……突然姿を消したオズ!?
「――? おーい、大丈夫か?」
「あや君、オズ君がきえっ……あ、落とし穴か」
「ここ、ここだよ。びっくりしたっ」
 後ろを見ながら楽しく話していたら、落とし穴に落ちてしまいました!
 落ちた一瞬は、思わず瞬きしばし固まったオズだけれど。
「おとしあな、はじめておちた」
 目の前には、駆け寄ってくれたふたりの足。
 そんな穴から見える景色が不思議で、思わずふふって、笑ってしまって。
「もぐらさんになったみたい」
「ふ……オズ。マジでモグラみたいだよ」
 ――だって泥だらけ。
 そう、嵐吾の手を借りて、ありがとうっ、って。
 穴からうんしょっと抜け出したオズに手を伸ばした綾華は、ほらと泥を払ってやりつつもやはり笑って。
「どろだらけ? わ、ほんとだっ」
 オズもアヤカと一緒に、懸命に泥を払っていれば。
「ひぇあっ!?」
 再び上がった悲鳴……?
「!?」
 そんな驚いた声に驚いて、ピッと固まる綾華の隣で。
 土を一通り払い終わったオズも、瞳をぱちくり。
「わあ、ランゴっ。だいじょうぶ?」
「い、いまなんぞ、なんぞ冷たいもんがぺちーんと」
 ひやっとした頬を擦りつつ、そろり嵐吾が周囲を見回してみれば。
 急に襲ってきた、冷たいもんの正体は――。
 ……こ、こんにゃく……!
「驚かしおって……!」
 そう、嵐吾にぺちんぺちんされるこんにゃくに綾華も目を向けて。
「こんにゃく? おわー、マジだ」
「こんにゃく?」
 オズもゆうらり吊るされたそれを、つついてつんつん。
 そんなぷるぷる瑞々しいこんにゃくをじっと観察していた綾華は、ふとこう口にする。
「つーか勿体ないですねえ。これ、多分美味しいこんにゃくだ」
「美味しそう? 確かに……」
 じーっと同じく見つめてみた嵐吾も同意見。
 もしかしたら夕食に出されていた、あの美味しかったこんにゃくかもしれない……!?
 とはいえ、流石に回収はしないけれど。
 つんつんと綾華もオズに続き、こんにゃくをつっついてみながらも、思わずぽつり。
「甘辛煮とかにして食べたい」
「あまからに、わたしもたべたいっ」
 そう呟きを拾って頷いたオズに、だよな、って笑って。
 マイペースに綾華はこの時、決めたのだった。
 ――よし、今日の夕飯はこんにゃくにしよう、って。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

国栖ヶ谷・鈴鹿
【ナハト・ダァトさん(f01760)と!】

【蛍の庭を抜けて】
ナハトさんが先行してくれるみたいだから、安心して進めるね、ぼくもUCで暗視装置は持ってきたし、ナハトさんがうっかり罠にかからないようにサポートしよう、なんだか名助手って感じだよね!

【それでも光に誘われて】
……。(暗視装置を外す)
ナハトさん、蛍って見慣れてますか?
他の世界の桜と同じように、蛍も僅かな時間しか見られないんです。
……永遠に光る夜の精だったら……ナハトさんはどう思いますか?

……。(応えを聞いて)
在り方を受け容れること……。
そして、光を持った意味……。
……ありがとうございます、ぼく、探してみます、蛍火の消える日まで。


ナハト・ダァト
【国栖ヶ谷・鈴鹿(f23254)】クンと同行

・蛍迷路
「瞳」を用い、限られた光源で歩む夜闇にあっても確実に道順と罠の位置を把握
迷い、掛かる事もなく。迷わず進み続ける。

とハいエ、万全ヲ期す事ハ大切ダ。
助手ヲ名乗るなラ、お手並み拝見トいこウ。

冗談を言う程度には、互いを把握したようで

・導かれた先にある光の中、助手への質問に対し
「瞳」は変わらず、見通すための光を放ち続け

無論。あるとモ。此処でハ無イ、違う世界でネ。
生態モ知っていル。
……何モ。ソノ様な在り方デあるト、受け入れル迄ダ。
……唯。同じ光る者としテ、告げルならバ。
光ヲ持っタ意味ヲ、探しテ欲しいネ。



 蛍の庭のそのまた奥に広がっていたのは、より多くの光に満ちた迷ひ路。
 いや、ナハト・ダァト(聖泥・f01760)の「瞳」にかかれば、そこは迷ひ路などではなく。
 限られた光源で歩む夜闇にあっても、確実に道順と罠の位置を把握して。
 迷い、掛かる事もなく……迷わず進み続けるナハト。
「ナハトさんが先行してくれるみたいだから、安心して進めるね」
 国栖ヶ谷・鈴鹿(未来派芸術家&天才パテシエイル・f23254)はそう、数歩先をゆくその背中を頼もし気に見つめ、ついていきながらも。
 こんなこともあろうかと、と展開した超高精度近未来観測機構・甲によって、テクノロジヰの粋を結集した暗視装置を持ってきているから。
「ナハトさんがうっかり罠にかからないようにサポートしよう、なんだか名助手って感じだよね!」
 そうちょっとわくわくした様子で告げれば。
 「瞳」を用い順調に進んでいるとはいえ、万全を期す事は大切だからと。
 ナハトはくるりと鈴鹿を振り返り、そして彼女へとこう紡ぐ。
「助手ヲ名乗るなラ、お手並み拝見トいこウ」
 宿の庭で先程、いくつも言葉や問いを交わし合ったから。
 互いを把握したようであるとナハトは思う。そう、冗談を言う程度には。
 奥の庭に数多舞う蛍の光は、果たして迷ひ路の道標となるのか。
「…………」
 それでも光に誘われて――暗視装置を外した鈴鹿は、ナハトにふと訊ねてみる。
「ナハトさん、蛍って見慣れてますか?」
 ……他の世界の桜と同じように、蛍も僅かな時間しか見られないんです、って。
 この世界の桜は年中咲き誇っているけれど。
 他の世界では、春が過ぎると桜は散って。次の春まで、咲くのはまたお預け。
 蛍も同じで、今だから、こんなに沢山舞っている姿が見られるのだ。
 そんな鈴鹿の言葉に、ナハトは頷いて答えてみせる。
「無論。あるとモ。此処でハ無イ、違う世界でネ。生態モ知っていル」
 見通すための光を放ち続ける「瞳」は変わらずに、そう助手からの質問に対し返したナハトに。
 鈴鹿はもうひとつ――蛍の光が舞う紫の瞳で彼を見つめて。
 そっと蛍たちを招くかのように掌を広げ、再び訊ねてみる。
「……蛍が永遠に光る夜の精だったら……ナハトさんはどう思いますか?」
「……何モ。ソノ様な在り方デあるト、受け入れル迄ダ」
 ナハトは紡がれた問いに、すぐにそう返しつつも。
 鈴鹿の手の中に集まる輝きを見守るように見遣りながら、こうも続けるのだった。
「……唯。同じ光る者としテ、告げルならバ」
 ――光ヲ持っタ意味ヲ、探しテ欲しいネ、って。
「…………」
 鈴鹿は耳に聞こえてきたそんな言葉に、ふと呟く。
「在り方を受け容れること……。そして、光を持った意味……」
 それから……ありがとうございます、と。
 蛍と幻朧桜が舞う中、彼に礼を告げるのだった。
 ――ぼく、探してみます、蛍火の消える日まで……って。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

黒鵺・瑞樹
アドリブOK

これ、伽羅に乗って迷路の上飛び越えるってのは駄目だろうなぁ。低けりゃ見つかる可能性も高くなるだろうし。
まぁ普通に進むか。アルダワみたいな致命的な迷宮ではないらしいし。
一応視力暗視で罠チェックしながら進む。蒟蒻ぐらいならいいけど、縄やバナナは転ぶとかして危ないし。
でも蒟蒻って驚くのか?お化け屋敷で投げられたことあるけど、その時はそれほどではなかったけど…。

伽羅も陸奥も一緒に。
陸奥は一応ネコ科、でいいのかな。そういう精霊だしきっと夜目もきくと思う。足元注意で。
俺自身もだけど皆で騒がないように注意して進もう。



 奥の庭に足を踏み入れ、ぐるりと見回してみれば。
 そこには溢れんばかりの数多の蛍の光と、はらり舞い降る桜花弁。
 黒鵺・瑞樹(境界渡・f17491)はそんな景色の中、ゆらりゆらりと遠くで揺れる提灯の光を見遣った後。
 今度は、蛍たちと戯れるかのように夜空を飛ぶ水神の竜を見つつも思う。
(「これ、伽羅に乗って迷路の上飛び越えるってのは駄目だろうなぁ。低けりゃ見つかる可能性も高くなるだろうし」)
 伽羅に乗って、迷路を飛び越えることはできるかもしれない。
 けれどきっと、この奥の庭を埋め尽くす蛍たちの光が不自然に揺らいでしまうし。
 それで見つかってしまう可能性も否めないから。
「まぁ普通に進むか。アルダワみたいな致命的な迷宮ではないらしいし」
 蛍の光に興味津々な陸奥も一緒に、いざ迷ひ路へ。
 張られた罠は、子供染みたものであるとは言われているが。
 念のためにと、視力や暗視を駆使し、慎重に瑞樹は罠がないかチェックしながら進んでいく。
「蒟蒻ぐらいならいいけど、縄やバナナは転ぶとかして危ないし」
 自分だけでなく、伽羅や陸奥が引っかかっても危ないだろうから。
 けれど予知された仕掛けを思い返し、瑞樹はふと首を傾げ呟く。
「でも蒟蒻って驚くのか?」
 お化け屋敷で投げられたことはあるのだけれど。
 その時はそれほどではなかったけど……なんて思いつつ。
 でも当たるのも何だから、早速見つけたこんにゃくを難なくひょいっと避けて。
(「陸奥は一応ネコ科、でいいのかな。そういう精霊だしきっと夜目もきくと思う」)
 そう思いつつも、ぴょこぴょこ進む白虎の仔に声を掛けておく。足元注意で、って。
 そして、シーッと人差し指を口へと添える仕草をしつつ。
 蛍の迷ひ路を瑞樹は慎重に進んでゆく――俺自身もだけど皆で騒がないように注意して進もう、って。

大成功 🔵​🔵​🔵​

六道銭・千里
ほぉ…これまた見事な光景やな…

自然あふれる幻想的な庭に迷ってしまいたい気にもなりながら
管狐達を召喚、先行させることで数で迷路を攻略させ
その案内のもと迷路を進んでいく

罠はまぁこう暗いと危ないし落とし穴やら足元には警戒
こんにゃくみたいなんはまぁひゃっとするけどそれは無視してええやろ

影朧に心中と不穏ではあるし、急いだほうがええんやろうけど…
うん、これはゆっくりと歩きたくなってしまうなぁ…

心惜しいがそこは我慢しできるだけ早く迷路の走破を
景色は…全部終わった帰り道で楽しもうか



 秘されし奥の庭は、まさに小説のタイトルの様に、数多蛍が飛び交う迷ひ路。
 そんな光と桜花弁舞う迷路へと足を踏み入れれば。
「ほぉ……これまた見事な光景やな……」
 思わずそう呟いてしまう、六道銭・千里(冥府への水先案内人・f05038)。
 いや、千里だけでなく、この光の只中に立てば皆そう言わずにはいられないだろう。
 手入れされた宿の庭も、それはそれで風情溢れていたけれど。
 眼前に広がる自然あふれる幻想的な庭はまた、迷ってしまいたい気にもなってしまう。
 けれど、ゆらりゆれる提灯ひとつ――その光の元へと、辿り着かなくてはいけないから。
 ――頼むで、管狐!
 そっと囁くような小声で蛍の迷ひ路に喚んだのは、管狐達。
 そんな先行させた管狐達に迷路の攻略させて。
 星の様な蛍の光の間を縫うように、こっちこっちと。
 そう言っているかのように案内してくれる管狐達について、進んでゆく千里。
 遠くで揺れる提灯以外、自然の光しかない夜の闇に仕掛けられた罠は子供染みているとはいえ、危ないことには違いないから。
 足元に警戒しつつ、進んでいれば――。
 ……ぺちり。
 頬に、ひやっとする感触。
 まぁ、確かに吊るされたこんにゃくに当たれば冷たくはあるけれど、そう危険ではないから。
 無視してええやろ、なんて、さほど気にせず千里はその足を止めることこそしないけれど。
 ぐるり周囲見回す夜の様な色の瞳にも仄かな蛍の光を数多灯しながら、そっと思う。
(「影朧に心中と不穏ではあるし、急いだほうがええんやろうけど……」)
 ――うん、これはゆっくりと歩きたくなってしまうなぁ……と。
 でも心惜しいけれど、そこはぐっと我慢。
 ちらり少し急かすかのように振り返った管狐達に、再び追いついて。
 できるだけ早く迷路の走破を目指しながらも、千里は後の楽しみに取っておくことにする。
 ――景色は……全部終わった帰り道で楽しもうか、って。

成功 🔵​🔵​🔴​

ティル・レーヴェ
【翼】
ふわふわと宙舞う蛍の光は幻想的で
ほぅ、と吐息零しつ彼の声聞けば
あゝまこと
妾達を迎え誘う様じゃなぁ

小川のせせらぎが尚涼やかで
花々も光に浮かび上がるよう
確かに此れは
小説の中へと紛れ込んだかの心地

夢現となりそうな折
飛び込んだのは鼻光らす彼
思わず笑い声もからころと
あゝ確かに
明るい其方が居るならば

先にも進まねばなるまいと
彼に続けば上がる声
ひゃあ!と心身跳ねさせて
く、クラウン殿如何したっ?
……こん、にゃく?

やはり暗中の驚かしは少し苦手
気持ち奮い立たせる中
差し出された手に瞬き一つ
あゝあゝ!そうしよう!
これ幸いと握り返し

落ちた手首に突如失う足場
数多の仕掛けに
ぴぃぴぃ驚き囀り乍らも
どこか楽しいのは、きっと


クラウン・メリー
【翼】

飛んでる蛍を指差して
ティル、蛍とっても綺麗だね!
俺達のことまるで歓迎してるみたいだ

お花も小川も綺麗!えへへ、風が気持ち良いね!
鼻の天辺に蛍が止まれば
あはは、見て見て!これなら暗い道も安心だ!

左右の分かれ道に辿り着けば
んーと、こっち進んでみる?と右を差して
歩き進もうとしたらこんにゃくが頬に
わ、冷たい!……こんにゃく?

ティル、気を付けてね!いっぱい仕掛けがあるかも!
彼女に手を差し出して
ね、ティル転んだりしたら危ないから手、繋ごう!

わわ!手首(おもちゃ)が落ちてる!
それを手に取り触る
これ偽物だ!良かった!

他の仕掛けには笑いながら大丈夫だよと声掛けて

灯りも近くになって来たね!
このままレッツゴー!



 秘密の扉をそうっと開けば……その先に広がるのは、もっと数えきれないくらいの光。
「ティル、蛍とっても綺麗だね!」
 ……俺達のことまるで歓迎してるみたいだ。
 そう紡がれたクラウン・メリー(愉快なピエロ・f03642)の声を聞けば。
 ふわふわ闇夜に舞う幻想的な蛍たちの輝きに、ほぅ、と吐息零していたティル・レーヴェ(福音の蕾・f07995)もこくりと頷く。
「あゝまこと、妾達を迎え誘う様じゃなぁ」
 より夜に満ちる数多の蛍の光も勿論だけれど。
「お花も小川も綺麗! えへへ、風が気持ち良いね!」
 耳に響く涼やかな川のせせらぎに、さわりと吹き抜ける心地良い夜風、澄んだ綺麗な山の空気。
 そして仄かに照らされ浮かび上がり咲く、季節の花々。
 宿の名である蛍灯庵は、小説の作中に出て来る宿から付けられたと聞いたが。
 ――確かに此れは、小説の中へと紛れ込んだかの心地。
 宿の名だけでなく、この光景さえも小説の中のものではないかと、ティルは錯覚してしまいそうで。
 そんな美しい風景に、夢現と酔いしれていれば。
「あはは、見て見て! これなら暗い道も安心だ!」
 飛び込んできたのは、鼻の天辺を光らせるクラウンの姿。
 そんな鼻に止まった蛍に、ふたりで思わず笑み合って。
 からころと笑い声を転がしながら、ティルは頷く。
 あゝ確かに――明るい其方が居るならば、って。
 そしてふと再び笑み零す。
 甘い水に蛍が惹かれ集うというのならば。
「クラウン殿の鼻はどうやら一等甘いようじゃなぁ」
「えへへ、俺の鼻、そんなに甘いのかな?」
 そうもう一度ふたりで、くすくす。
 そして、右か左か。分かれ道に辿り着けば。
「んーと、こっち進んでみる?」
 右を差したクラウンに、緑色の髪を微か揺らしティルも頷いて。
 ……先にも進まねばなるまいと、と。
 右へと歩き進もうとする彼に続こうと――した瞬間。
「わ、冷たい!」
 急に上がった彼の声に、ひゃあ! と。
 思わずティルも声を上げ、心身跳ねさせて。
「く、クラウン殿如何したっ?」
 そう訊ねてみれば。
「……こんにゃく?」
「……こん、にゃく?」
 彼の頬にぺちりと当たったのは、不意打ちのこんにゃく!
 この迷路にはそういえば、そこかしこに罠があるって聞いていたから。
「ティル、気を付けてね! いっぱい仕掛けがあるかも!」
 クラウンはその手をそっと伸ばして続ける。
「ね、ティル転んだりしたら危ないから手、繋ごう!」
 暗闇の驚かしはやはり少し苦手だけど、懸命に気持ちを奮い立たせていたティルは。
 差し出された彼の手に、ぱちりと瞬き一つ。
「あゝあゝ! そうしよう!」
 ぎゅぎゅっと、これ幸いとクラウンの手を握り返して。
 ドキドキわくわく、蛍の迷ひ路を共に歩けば。
「わわ! 手首が落ちてる! ……これ偽物だ! 良かった!」
「其れは良か……っ、!?」
 無造作に路に置かれた玩具の手首に、突如ぽっかり足場失う落とし穴。
 そんな子供染みた仕掛けの数々に、驚いては囀って、ぴぃぴぃ。
 けれど、そんなティルの顔に咲くいろは、恐怖ではなくて。
 どこか楽しいのは、きっと――。
 舞う蛍の光や夜空から降る月光よりも……いや、何よりも明るい笑顔が、すぐ傍で咲いているから。
 大丈夫だよって、そう笑い、声をかけつつも。
 クラウンはそっと手を引いて、ティルと楽しく迷ひ路を一緒に進む。
「灯りも近くになって来たね!」
 ゆうらり揺れる提灯の光を目指して――このままレッツゴー! って。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

レジー・スィニ
【爪痕】

迷路じゃん。
夜目が効く方で良かったよ。
月明りと星だけじゃ心許無いもんね。
二人とも見える?

あ。ジェイ、その道は真っ直ぐだよ。
そのまま真っ直ぐ。
アハッ、こんにゃくがあるんだよね。
こんにゃくよりも面白い物が見れたよ

メールはそっちじゃなくてこっち。
あ!足元に何かいる!
気のせいだったみたい。
食べ物を粗末にしたらダメだよ。

この迷路、子供騙しで面白いね。
あれは落とし穴っぽい。
飛び越えよう……って、
はあ?!バナナの皮とか聞いてないんですけど?
まさか飛び越えた先にバナナの皮があるとは思わないじゃん!

何これ。やっぱ腹立つな。
ほんと、子供騙しだよね。
この迷路を作った奴、さっさと懲らしめよう。


ジェイ・バグショット
【爪痕】
常夜出身だからな…。
この程度の暗闇は何の問題もない。
陽の下より夜の方が得意なくらいだ。

そうやって俺のこと罠に嵌める気だろ。
分かってんだよお前の魂胆なんて。
レジーの誘導に、引っかかるかよ。とこんにゃくをドヤ顔で避けた途端
足元の地面がすっぽ抜けて盛大に穴に落ちた
…イッテェ…、落とし穴かよ…くそっ。
どこかであの気に食わない作家が笑っているのかと思うとじわり腹が立つ

連れの二人も笑っているから尚更ムカつくな。
メール早く助けろよ。
差し出された手を頼りに、穴から這い出てレジーがすっ転ぶ所でも見えたら笑ってやろう。愉快だ。

ったく、本当にガキみたいなことする先生だこと。
さっさとぶっ飛ばしに行こうぜ?


メール・ラメール
【爪痕】
眼帯を外して
ママがくれたサイバーアイのおかげで、アタシもそこそこ見えるよ
まあ道が見えても迷路じゃどうしようもないけど!

レジーちゃんの声にその場から飛び退いて
ちょっとお!?気のせいって何!?夜目きくんじゃなかったの!?
文句言いながらびたーんしてきたコンニャクを地面に叩き付ける
すっかり穴のなかのジェイちゃんには手を差し伸べつつ助けてほしい?とけらけら
あ。やーいレジーちゃんに天罰だー、してやられたからあのままにしましょ

笑っておいてなんだけど、とりあえず仲間なのに見事に足を引っ張っている
作家先生のいいネタにされそうね、やれやれなのだわ
……ま、仲良く頑張るなんてアタシたちの柄じゃないけどね!



 内緒の隠し扉を開けて、秘されし奥の庭へと足を踏み入れれば。
 そこに在るのは、数え切れぬほどの色々な光。
 自由に飛び回る蛍の光に、柔く降る月光。そしてひとつだけ揺れる、提灯の明かり。
 目指すは、ゆらり揺れる提灯が入り口に提げられた最奥の離れなのだけれど。
 その灯火までは……近いようで、道のりは遠そうだ。
 何故なら。
「迷路じゃん」
 まさにレジー・スィニ(夜降ち・f24074)が口にした通り。
 奥の庭は、迷路になっているのである。
 蛍や星や月光などの自然の光が照る中で持参した光を灯せば、目立ってしまう。
 気取られぬよう移動するには、仄かに灯る自然の光だけが頼りだけれども。
「夜目が効く方で良かったよ。月明りと星だけじゃ心許無いもんね」
 そしてレジーは、視線を連れ達へと移す。
 ……二人とも見える? って。
 そう問う声に、ジェイ・バグショット(幕引き・f01070)とメール・ラメール(砂糖と香辛料・f05874)は、同時にこくりと頷く。
「常夜出身だからな……。この程度の暗闇は何の問題もない」
「ママがくれたサイバーアイのおかげで、アタシもそこそこ見えるよ」
 夜と闇が常である世界出身のジェイにとっては、むしろ陽の光は眩しいくらいで。そんな陽の下よりも、闇に覆われた夜の方が得意であるし。
 眼帯を外したメールも、ママが綺麗だと言った虚像の瞳があれば、多少の暗さでも大丈夫。
 とはいえ、ただ道なりに進めば良いというものではないらしい。
「まあ道が見えても迷路じゃどうしようもないけど!」
 メールは早速分岐している目の前の道を、とりあえずふたりと共に進んでみることに。
 そんな迷ひ路だからこそ、お互いが助け合って……?
「あ。ジェイ、その道は真っ直ぐだよ」
 ……そのまま真っ直ぐ。
 こくりと力強く頷いて言ったレジーに、ジェイはちらりと視線を向けて。
「そうやって俺のこと罠に嵌める気だろ。分かってんだよお前の魂胆なんて」
 ――引っかかるかよ、と。
 ドヤ顔で仕掛けられたこんにゃくを華麗に回避……した、瞬間。
「!?」
 不意打ちですっぽ抜ける足元の地面。
 そしてずぼっと、盛大に穴に落ちるジェイ。
 アハッ、こんにゃくがあるんだよね……なんて、ジェイを嵌めようとしたレジーであったが。
「こんにゃくよりも面白い物が見れたよ」
 そんな予想外な連れの様に、一層愉快気に笑って。
「……イッテェ……、落とし穴かよ……くそっ」
 ――どこかであの気に食わない作家が笑っているのかと思うとじわり腹が立つ。
 そう、穴に嵌ったまま悪態をつくジェイをよそに、レジーはふと今度はメールへと視線を映して。
「メールはそっちじゃなくてこっち。……あ! 足元に何かいる!」
「!」
 バッとその声に反応して、その場からメールが飛び退いた刹那。
「気のせいだったみたい」
 笑いを堪えながら、レジーはしれっと言ってのける。
 飛び退いた先で、びたーんっとこんにゃくに見事直撃して。
「ちょっとお!? 気のせいって何!? 夜目きくんじゃなかったの!?」
「食べ物を粗末にしたらダメだよ」
 ぷるぷる揺れるそれを掴んで地面にバシッと叩きつけながら文句を言う、彼女のその様に。
 それからメールは気を取り直し、ふと視線を落として。
 すっかり穴のなかのジェイへと手を差し伸べつつ、けらけら。
「ジェイちゃん、助けてほしい?」
「この迷路、子供騙しで面白いね」
 作家だけでなく連れの二人も笑っているから、尚更ムカつくけれど。
「メール早く助けろよ」
 差し出された手を頼りに、ようやくジェイが穴から這い出たその時。
(「あれは落とし穴っぽい。飛び越えよう……」)
 自分はジェイみたいに穴に嵌らないようにと。
 そうそっとレジーが、ひょいっと落とし穴を跨いだ……かと思えば。
「……って、はあ!? バナナの皮とか聞いてないんですけど?」
 さり気に仕掛けられていた古典的でベタな罠に嵌って、すてんっ!
「あ。やーいレジーちゃんに天罰だー」
「何楽しそうに遊んでんだよ、レジー」
 さっきのお返しと言わんばかりに、愉快だ、と笑ってやるジェイと一緒に、メールもけらりと笑って。
「まさか飛び越えた先にバナナの皮があるとは思わないじゃん!」
「してやられたからあのままにしましょ」
 やっぱりさっきの仕返しで、手は貸してあげません!
「何これ。やっぱ腹立つな。ほんと、子供騙しだよね」
 レジーはぶつぶつ文句を言いながらも、土塗れになった服を払い立ち上がって。
 ……この迷路を作った奴、さっさと懲らしめよう。
 そう、蛍飛ぶ迷ひ路の先に目を遣れば。
 それには、ジェイも同感。
「ったく、本当にガキみたいなことする先生だこと」
 ……さっさとぶっ飛ばしに行こうぜ? って。
 いや、笑っておいてなんだけど……とりあえず仲間なのに、見事に足を引っ張りあっている自分達。
「作家先生のいいネタにされそうね、やれやれなのだわ」
 けれどメールは、そんな罠に嵌められ嵌め合う様にも、瞳を細める。
 ……ま、仲良く頑張るなんてアタシたちの柄じゃないけどね! って。
 悪態とか文句言いながらもけらけら笑って進むくらいが、自分達らしいから。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

真宮・響
【真宮家】で参加

悪意のない悪戯こそタチが悪いんだけどね。性格の悪さが感じられるよ。子供かね。全く。まあ、致命的な事にならないなら遠慮なく踏み込まさせて貰うよ。一応浴衣は着替えておくか。裾踏むといけないし。

まあ、僅かな灯りを頼りに進む蛍飛び交う庭も風流なものだ。あの女将の本当に見せたい風景はこれだろうしね。奏、瞬、暗いから足元気を付けるんだよ。(落とし穴落ちた奏助けつつ)声出さなかったのは偉い。(こんにゃくに驚く瞬を見て)全く、あの作家は何考えてんだが。まあ、先いって問い詰めればわかるだろう。おや、部屋の灯りが見えて来た。さあ、いくか。


真宮・奏
【真宮家】で参加

こういう地味に嫌な罠仕掛ける事で人の反応楽しむんですか・・・性格の悪さが感じられますね。まあ、致命的にならないなら進ませて貰いますね。あ、浴衣は着替えますね。元々気慣れてませんし、動き辛いです。

暗いですね・・・あ、身体の頑丈さには自信あるますし、私前進みま・・・(穴に落ちる)・・・・・(突然の事に絶句)あ、母さん、助けてくれてありがとうございます。むむ、妙にむかつきます。あ、離れのあかりが見えてきました。色々いいたいこと出来ましたので、早く行きましょう!!(速足)


神城・瞬
【真宮家】で参加

こういう悪戯をして反応楽しむタイプって性悪が多いんですよね。まあ、天才型の作家にありがちなタイプですが。まあ、進めるなら、行きますか。浴衣は裾踏んで転ぶといけないので、着替えて置きます。

母さんと奏の後ろに付いて歩きます。不要かもしれませんが、周囲を警戒しておきます。とはいえ、上への警戒が疎かになってこんにゃくの感触にぶるっとします。ふ、不覚。何考えてんでしょうあの作家・・・まあ、離れの灯りが見えてきたので、行ってから問い詰めましょうか。さあ、どんな出来事が待ち受けてんでしょうね。



 眼前に舞い遊ぶは、まるで光の洪水の様な。
 仄かに瞬いては飛ぶ蛍たちと、季節の花や幻朧桜咲いて浮かぶ幻想的な夜の風景。
 けれど奥の庭へと足を踏み入れた目的が、ただの蛍鑑賞であればだが。
(「一応浴衣は着替えておくか。裾踏むといけないし」)
(「元々気慣れてませんし、動き辛いです」)
 真宮・響(赫灼の炎・f00434)と真宮・奏(絢爛の星・f03210)は、着慣れたいつもの格好。
 それは勿論、神城・瞬(清光の月・f06558)にとっても同じで。
(「浴衣は裾踏んで転ぶといけないので」)
 いくら自然の光で進むことに関しては問題なさそうとはいえ、動きやすいに越した事はない。
 この秘された奥の庭へとやってきた目的は、最奥に匿われている影朧の元へと赴く為だから。
 そして、その最奥にいるという影朧だが。
(「悪意のない悪戯こそタチが悪いんだけどね。性格の悪さが感じられるよ」)
 ……子供かね。全く。
 呆れたようにそう小さく嘆息する響。
 奥の庭には、影朧である作家の仕掛けた罠が沢山あるというのだ。
 落とし穴やコンニャクなど……かなり子供染みた罠が。
(「こういう地味に嫌な罠仕掛ける事で人の反応楽しむんですか……性格の悪さが感じられますね」)
(「こういう悪戯をして反応楽しむタイプって性悪が多いんですよね。まあ、天才型の作家にありがちなタイプですが」)
 作家が罠を仕掛けたのは、侵入者の排除などではなく。
 罠に嵌った人の姿や反応を見るのが楽しいという、まさに子供のような理由。
 奏もそんな作家の性格の悪さに、ふるりと首を横に振って。
 人の反応を楽しむその性悪な悪戯心は、ある意味天才肌の作家らしい行動だと、瞬もそっと首を傾ける。
 けれども、呆れてはしまうものの、命の危険があるような罠でないことは幸い。
(「致命的にならないなら進ませて貰いますね」)
(「進めるなら、行きますか」)
 そう思いつつも進む子供達と共に、響も蛍飛ぶ迷ひ路を進んで。
(「まあ、致命的な事にならないなら遠慮なく踏み込まさせて貰うよ」)
 それからふと、広がる光の世界を眺めてみる。
 ――まあ、僅かな灯りを頼りに進む蛍飛び交う庭も風流なものだ、って。
 そして思うのだった。あの女将の本当に見せたい風景はこれだろうしね、と。
 けれど、いくら子供染みたものでも、一応は罠。
 目の前の景色に気を取られてばかりでは危ないから。
「奏、瞬、暗いから足元気を付けるんだよ」
 子供達へとそう、声を掛ければ。
 いくらその数が多いとはいえ、やはり仄かな蛍の光だけでは心許ないから。
「暗いですね……あ、身体の頑丈さには自信あるますし、私前進みま……」
 奏がそうふたりより数歩、先行――しようとした、瞬間。
「……っ!?」
 ――ずぼっ。
 掘られていた落とし穴に落ちる奏。
「…………」
 何とか声は出さなかったが、突然の事に唖然として暫し絶句してしまって。
 そんな奏を穴から救出するべく、手を伸ばす響。
「声出さなかったのは偉い」
「あ、母さん、助けてくれてありがとうございます」
 その手につかまり、よいしょっと穴から抜け出しつつ。
 奏はまんまと落とし穴に嵌ってしまったことに、そっと小さく唸る。
 ……むむ、妙にむかつきます、って。
 そして念の為周囲を警戒し、そんなふたりの後ろを歩いていた瞬だが。
 奏が嵌ったような落とし穴に警戒し、地面へと気を向けていた……刹那。
「……!」
 ――ぺちりっ。
 不意打ちで感じた何か冷ややかなものの感触に、ぶるっと震えてしまう。
 下の方に警戒が向いて、上への警戒が一瞬疎かになった瞬の方に。
 ふと当たったのは……そう、こんにゃく。
 ぷるんと揺れるそれを見遣り、思わず言葉を零す瞬。
「ふ、不覚。何考えてんでしょうあの作家……」
「全く、あの作家は何考えてんだが」
 そんなこんにゃくに驚く瞬を見つつ、響も同感と言ったように、もう一度溜息をついてから。
 もう落とし穴やこんにゃくの罠には嵌らないように、入り組んだ迷路の庭を進み行く。
 そして――蛍たちや月の光のような自然の明かりの中。
 悪戯心満載の子供染みた作家の頭の中は何考えているか、分からないけれど。
「まあ、先いって問い詰めればわかるだろう」
 ……おや、部屋の灯りが見えて来た、と。
 響の視線の先でゆらりゆらり揺れているのは、提灯ひとつ。
 そして誰かが居る事を物語る、離れから微か漏れる光。
「まあ、離れの灯りが見えてきたので、行ってから問い詰めましょうか」
「あ、離れのあかりが見えてきました。色々いいたいこと出来ましたので、早く行きましょう!!」
 罠に不覚にも嵌ってしまったふたりは、作家にも言いたいことがあるし。
 速足で離れへと向かわんとする奏と並んで、さあ、いくかと響も歩みを速めれば。
 瞬も蛍と桜舞う中、そんなふたりに続きつつ思うのだった。
 ――さあ、どんな出来事が待ち受けてんでしょうね、って。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ベイメリア・ミハイロフ
シチカさま(f21761)と


蛍の光と月明かりを頼りに
離れへと進んで参ります
お話をする場合は小声で

暗視・視力、第六感、野生の勘を活用し
落とし穴らしき道や罠を避けて参ります
罠があるという事は、その道を辿っているという証拠

それにしても、蛍に照らされたお花や桜
とても美しゅうございますね
特に無数の蛍の輝きがとてもとても綺麗で…
まるで蛍に道案内されているのかと
錯覚してしまいそうでございます

蛍の光は、なんだか
シチカさまの瞳の輝きに似てございますね

幻想的な蛍の輝きに酔ったように
少しばかり、ふらりと寄り道してみますのも、良うございましょうか
繋いだ手から伝わる温もりをきゅっと握り
それが夢ではないことを確かめながら


シチカ・ダンテス
ベイメリア(f01781)さんと

蛍の庭
初めて見たけどとても幻想的だね
蛍の光が伝える光景
これらが生き物の発する光だから不思議なものだ
蛍の光に照らされて薄っすらと浮かぶ夜の幻楼桜も
大層美しく見惚れてしまう
夜の静かさも相まって…風情を感じるよ
傍にいる女性も普段とは違って見えて
目を奪われてしまうやもしれない

俺の瞳よりベイメリアさんの瞳のほうが…

そういって手を握って一緒に進む
迷子にならないように注意してね
野生の勘を働かせて進む
でも、少しくらい迷うのも悪くはないかもしれない
こうやって二人で歩くのも楽しいから
こんな美しい景色を愛でる心があるのなら
今回の影朧はそこまで悪い相手ではないのかもしれない



 隠された奥の庭には、仄かに瞬く蛍の光が溢れんばかりに満ちているけれど。
 最奥の離れからこの庭を見れば、人工的な光を灯すと気付かれてしまうだろうから。
 ベイメリア・ミハイロフ(紅い羊・f01781)も、蛍の光と月明かりを頼りに。
 そして、暗闇の蛍の迷ひ路を進む為に有効な能力を駆使しつつ、進んでいく。
 ただ暗いだけであるならば、それほど用心しなくてもいいのだろうが。
(「罠があるという事は、その道を辿っているという証拠」)
 提灯揺れる離れまでの道のりは複雑な迷路になっている上に、罠まで仕掛けられているというから。
 けれど幸いその罠は子供染みていて、命を脅かしたり大怪我を負うようなものでは全くないという。
「それにしても、蛍に照らされたお花や桜。とても美しゅうございますね」
「蛍の庭、初めて見たけどとても幻想的だね」
 敵に気取られぬよう小声ながらも言ったベイメリアに、シチカ・ダンテス(オウガブラッドの殺人鬼・f21761)もこくりと頷けば。
「特に無数の蛍の輝きがとてもとても綺麗で……まるで蛍に道案内されているのかと、錯覚してしまいそうでございます」
 こっちだよ、って。そう言わんばかりに目の前を横切った光を、ベイメリアは見つめる視線で追いかけて。
「これらが生き物の発する光だから不思議なものだ」
 シチカもふと夜空を見上げてみる。
 瞬く仄かな蛍の光に照らされ、薄っすらと浮かぶ夜の幻楼桜。
 この世界でしか見られないそんな光景は、大層美しく見惚れてしまうし。
「夜の静かさも相まって……風情を感じるよ」
 そう口にし、ふと隣に視線映せば――また思わずシチカは、目を奪われてしまうような感覚を覚える。
 傍にいる女性も、普段とは違って見えて。
 そんなことを思いながら暫し彼女を見つめていれば。
 ふと刹那、その瞳に自分の姿が映し出されて。
「蛍の光は、なんだか、シチカさまの瞳の輝きに似てございますね」
 そう、自分の青を重ねた緑色の瞳を、彼女が細めるから。
「俺の瞳よりベイメリアさんの瞳のほうが……」
 ふいに手を伸ばし、そっと彼女の柔らかく繊細なその手と繋いで。
 シチカはベイメリアと並んで一緒に、蛍の迷ひ路を進んでゆく。
「迷子にならないように注意してね」
 迷って、逸れたくはないから。
 いや、野生の勘を働かせて、迷わぬようには進んでいるのだけれど。
「でも、少しくらい迷うのも悪くはないかもしれない」
 ――こうやって二人で歩くのも楽しいから。
 そう紡がれたシチカの言葉に、ベイメリアは小さく頷く。
「少しばかり、ふらりと寄り道してみますのも、良うございましょうか」
 幻想的な蛍の輝きに、まるで酔ったかのように。
 そしてきゅっと、繋いだ手から伝わる温もりをベイメリアは握る。
 伝わり溶け合う互いの熱を感じつつ……それが夢ではないことを確かめながら。
 シチカも、ベイメリアと共に美しい光景を眺め、その中を一緒に進んで行きながらも。
 ふと、遠くでひとつゆれる提灯の光へと視線を向け、そして思うのだった。
 ――今回の影朧はそこまで悪い相手ではないのかもしれない。
 こんな美しい景色を愛でる心があるのなら……って。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ロカジ・ミナイ
有ちゃん/f00133

仕掛け付きの迷路だなんて浮き足立っちゃうけどさ
シーッ
なんだって

先に行くかい?大丈夫よ、僕は君を見失わないって言ったでしょ
それともついてくるかい?
暗いからね、僕にしっかりついておいで
この日のためのピンク髪だもの
落とし穴に落っこちちゃったら話は別だけども

たまに蛍や景色に目を奪われたりしたら
うっかり道の方を見失ったりね
こっちは違った、そっちも違った、それならあっちが正解だ
なんて、囁き合いながら進むのは年甲斐もなく楽しい

こういう時って歩いた道に目印とか付けとくといいよね
…とは思ったけど
まだいいよ、迷路に飽きた頃にやればいいよ
だって効率よくしたら早く着いちゃうじゃないか


芥辺・有
ロカジ/f04128

めんどくさいだけだろ、迷路なんか
……シーね、はいはい

ん?ああ、お先にどうぞ
落とし穴に落ちるのはゴメンだし
何ならそっちの頭は見つけやすそうだし
罠見つけるなり道探すなり、面倒なことは引き受けといてよ
お前が落ちてもそのピンクならわかりやすい
道標にゃなるだろ

……とか言ってるそばから道見失うのはどうしたもんかな
うっかり蛍ばっか眺めてちゃこうもなるか
掴んでみようとしたら意外とすばしっこいんだから
つい気、とられたな
……まあ、最初から道筋なんか考えてもないけど
あっちじゃないのか、じゃあそこじゃない
なんて、全部適当
……何笑ってんの

早く着きたくないの?遊び好きかい
まあいいよ
どうぞお好きに



 隠された扉の先に広がる奥の庭は、仕掛け付きの迷路。
 そんな蛍の迷ひ路に、ロカジ・ミナイ(薬処路橈・f04128)はそわり浮き足立っちゃうけれど。
 ……シーッ、なんだって。
 こそこそ内緒話みたいな小声で言いつつも、片目を瞑り人差し指を己の唇に添えて。
「めんどくさいだけだろ、迷路なんか」
 離れの入り口で揺れる提灯までの道のりに、芥辺・有(ストレイキャット・f00133)はそう、けだるげに言うけれど。
 ……シーね、はいはい。
 こそり紡がれシーッするロカジの声に一応合わせて返す。
 そんな有に訊ねるロカジ。
 ……先に行くかい? って。
「大丈夫よ、僕は君を見失わないって言ったでしょ」
「ん? ああ、お先にどうぞ」
 ……落とし穴に落ちるのはゴメンだし、とロカジに先を譲る有。
 その言葉に、ぐっと胸を張って。
「暗いからね、僕にしっかりついておいで」
 蛍たちが自由に飛び回り明滅する中、いざ迷ひ路へ。
 真っ暗な夜の闇を進むのに頼りになるのは、そんな蛍の光や月明かり、そして。 
「何ならそっちの頭は見つけやすそうだし。罠見つけるなり道探すなり、面倒なことは引き受けといてよ」
 ロカジのピンク色の髪。
 その言葉に、クククと愉快気に笑むロカジ。
「この日のためのピンク髪だもの。落とし穴に落っこちちゃったら話は別だけども」
 けれど有は先を行く彼のピンク髪をじッと見てから、微かに首を振る。
「お前が落ちてもそのピンクならわかりやすい」
 ――道標にゃなるだろ、って。
 落とし穴に落ちるのはまぁ御免だが。
 そんな彼女の道標にはなるべく、迷路を歩むロカジだけれど。
 目の前を通りすぎる蛍の光をつい視線で追い、季節の花や幻朧桜が光に照るその景色に目を奪われたりしたら。
「うっかり道の方を見失ったりね」
 まんまと迷ってしまいました……?
 有はそんな声に、……とか言ってるそばから道見失うのはどうしたもんかな、と溜息交じりに呟くも。
「うっかり蛍ばっか眺めてちゃこうもなるか」
 瞬く光を掴んでみようとしても、するりと逃げられてばかりで意外とすばしっこくて。
 ――つい気、とられたな、って。
 そう思いはするけれど。
 ……まあ、最初から道筋なんか考えてもないけど、ってピンク髪を見失わないようついていく。
「こっちは違った」
「あっちじゃないのか」
 そしてまた行き止まりにくれば。
「そっちも違った」
「じゃあそこじゃない」
「それならあっちが正解だ」
 こっちが違えばそっち、それも違えばあっちにと歩みながらも、囁き合う。
 勿論それは、なんて言いつつ、全部適当。
 けれどうろうろ迷路の中をあっちじゃないこっちかもって進むのは、年甲斐もなく楽しいから。
 また元来た道に戻りながらも、思わずロカジは笑ってしまって。
「……何笑ってんの」
 有はそんな彼の様子に、首を傾ける。
 奥の庭に広がる、そんな複雑な迷路。
 それを真面目に攻略しようとすれば、きっと多分、ちょいちょいで出来るだろう。
「こういう時って歩いた道に目印とか付けとくといいよね」
 けれど……とは、思ったけど。
「まだいいよ、迷路に飽きた頃にやればいいよ」
 ロカジは敢えて何も目印などつけずに、まだ今は、蛍の迷ひ路を楽しむべく進む。
「だって効率よくしたら早く着いちゃうじゃないか」
 それにやはり、同族なのかもしれない。
 この庭に子供染みた仕掛けをする作家と、仕掛け迷路な庭を楽しむロカジは。
「早く着きたくないの? 遊び好きかい」
 有は蛍や桜花弁が舞う迷路を、ロカジの後について歩みを進めつつも。
 心なしかウキウキと揺れているような気がするピンク髪を見ながら、こう相変わらずけだるげに続ける。
 ――まあいいよ。どうぞお好きに、って。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ヴィオレッタ・エーデルシュタイン
迷路…ねえ、これって私が天敵になる感じじゃないかしら?
第六感やら暗視やらで問題なく進めちゃう気がするんだけど、それはそれで味気ないわよね。

せっかくだからトラップを全部見抜くように頑張ってみるわ。
「うん、これはなかなか手が込んでるわね、コンニャクだけど」
「ここはちょっと見え見えじゃないかしら?」

とかやっているうちに周囲の景色に気を取られて落とし穴とかすっぽりはまるかも。
ドジっ子じゃないわよ?
とユーベルコード【インヴィジブル・イグジスト】で透明化しつつ自分をごまかしましょう。

ゴールの離れが近づいてきたら…本格的に忍び足。
「お遊びはこの辺で終わり、ね」



 隠された扉の先にあるのは、蛍の光がより満ちる奥の庭。
 そしてその庭は、まさに迷ひ路――複雑な迷路になっているというが。
「迷路……ねえ、これって私が天敵になる感じじゃないかしら?」
 ヴィオレッタ・エーデルシュタイン(幸福証明・f03706)にとっては、何ら問題はない。
 彼女にとって普段から研ぎ澄ませている第六感やら暗視やらを用いれば、さくっと進める気がするけれど。
「それはそれで味気ないわよね」
 作家がこの庭に仕掛けたという、子供染みた罠。
 それは別に命にかかわったり、大怪我を負うようなものではないけれど。
 せっかくだからと、ヴィオレッタは色の異なる宝珠の瞳で、蛍飛ぶ庭をぐるりと見回す。
 ――トラップを全部見抜くように頑張ってみるわ、って。
 そして、そう言っていた矢先に。
 落とし穴をひょいっと超えた先、ヴィオレッタは闇に紛れさり気なくぶら下がっているそれに気づいて。
「うん、これはなかなか手が込んでるわね、コンニャクだけど」
 ぷるぷるのこんにゃくを避けて、つんつん。
 そして蛍の光を頼りに進めば、いかにも妖しそうな、色の違う地面。
「ここはちょっと見え見えじゃないかしら?」
 あからさまな落とし穴も勿論難なく、するりと躱して。
 ちかちか目の前で瞬き、道案内するように舞う蛍の光をふと、つい視線で追えば。
「……!」
 蛍舞う景色に気を取られて、落とし穴に嵌ってすっぽり。
 そしてヴィオレッタは、ふいにインヴィジブル・イグジストを展開して。
 ――ドジっ子じゃないわよ?
 透明化しつつ、自分を誤魔化しました……!?
 けれど、離れの入り口で揺れる提灯の明かりがいよいよ近づいてくれば。
「お遊びはこの辺で終わり、ね」
 もう、子供染みた罠に付き合うのは此処まで、って……本格的に、忍び足。

大成功 🔵​🔵​🔵​

逢坂・理彦
煙ちゃんと(f10765)
こんにゃくはあんまり危険はないけど落とし穴は危険だからね【第六感】で気を付けながら歩こう。
煙ちゃんが転ばないように手を繋いでおこうか…なんて俺が繋いでいたいってのもあるんだけどね。
(下ばかり気にしていた為こんにゃくに気付かず思わず声を上げてしまう)
ひゃあ!冷たっ…!
(自分の悲鳴に驚く煙ちゃんにあたふたとしながら)
ごめっ、落とし穴ばっかり気にしてたからこんにゃく気付かなくて…驚かせちゃったね。
うーん、次からはこんにゃくにも気を付けないと。
子供騙しみたいなものだけど意外とビックリするものだね。


吉瀬・煙之助
理彦くん(f01492)と

わ…まっくらだね
蛍の灯りがあるからうっすらとは見えるけど…
理彦くん、はぐれないように手を繋いでもいいかな…?
ふふっ、暗くて怖いけど月や蛍の光が綺麗だから
不思議な感じ…
どっちに行けば出口なのかな…
こっちに行ってみる?

(理彦くんの声に驚き固まり)
…っ!!
……え、こんにゃく…?
ううん、理彦くんが怪我なかったなら良かった…
僕を気遣ってくれるのは嬉しいけど
理彦くんが怪我するのは嫌だから
僕も周り気をつけるね…!



 隠された扉から秘密の奥の庭へと歩み進めば、そこは蛍の迷ひ路。
 そして此処は、ただ複雑な迷路になっているだけでなく。
 影朧である作家が、ただ面白そうだと仕掛けた、沢山の罠があるという。
 落とし穴とか吊るしたこんにゃくとか、そんな子供染みたものが。
(「こんにゃくはあんまり危険はないけど落とし穴は危険だからね。気を付けながら歩こう」)
 数えきれないほどの蛍の光の風景の中、逢坂・理彦(守護者たる狐・f01492)は第六感を研ぎ澄まし、慎重に進んで。
「わ……まっくらだね。蛍の灯りがあるからうっすらとは見えるけど……」
 ただ進むだけならば問題はないとはいえ、やはり吉瀬・煙之助(煙管忍者・f10765)も。
 蛍の仄かな光だけでは、迷路を進むには心許ないって思うから。
「理彦くん、はぐれないように手を繋いでもいいかな……?」
 そうそっと手を伸ばし、ふたり手を繋いで。
(「煙ちゃんが転ばないように手を繋いでおこうか……」)
 繋いだ手から伝わる優しい彼の温もりに、金の瞳を細める理彦。
 ……なんて、俺が繋いでいたいってのもあるんだけどね、って。
 そして煙之助は嬉々と手を繋いだまま、ぐるりと周囲を見回してみれば。
「ふふっ、暗くて怖いけど月や蛍の光が綺麗だから、不思議な感じ……」
 ふわりと眼前を飛ぶ蛍の光や降る月光に、思わず笑み零す。
 そんな美しい光たちは、仄かで優しくて、そして幻想的で。
「どっちに行けば出口なのかな……こっちに行ってみる?」
 そう瞬く数多の光を追いかけるように、理彦と手を繋いだまま、歩みを進めれば。
 川のせせらぎさえ聞こえるほど静かな庭に、刹那響いたのは。
「ひゃあ! 冷たっ……!」
 理彦の悲鳴……!?
「……っ!!」
 そんな突如上がった声に驚き、固まる煙之助。
 落とし穴が掘られているという、下にばかり気を取られていた理彦を襲ったもの。
 それは、ぷるぷるひやっとした感触の――。
「ごめっ、落とし穴ばっかり気にしてたからこんにゃく気付かなくて……驚かせちゃったね」
 そう――それは、ぶら下げられていた、こんにゃく!
 理彦は思わずあげてしまった自分の声に驚く煙之助に、あたふたしながらも言って。
「……え、こんにゃく……?」
 煙之助はきょとんとしつつ、ぶらり揺れているこんにゃくを見遣った後、そっと首を横に振る。
「ううん、理彦くんが怪我なかったなら良かった……」
 いきなりぶつかっちゃったら、ひんやりしてびっくりしてしまうけれど。
 驚かされただけで、怪我なんかは全くなかったとはいえ。
「僕を気遣ってくれるのは嬉しいけど、理彦くんが怪我するのは嫌だから。僕も周り気をつけるね……!」
 そうぐっと気合を入れ、探りを入れつつ進む煙之助。
 そんな彼の言の葉に、ありがとうって言いながらも、理彦は改めて周囲を見回す。
 命を脅かしたり、大きな怪我に至る様なものではないとはいえ……煙之助がまた驚いちゃうから。
「うーん、次からはこんにゃくにも気を付けないと」
 理彦はぶら下がったこんにゃくをそっとつんつん突いてみつつも、思うのだった。
 ――子供騙しみたいなものだけど意外とビックリするものだね、って。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

篝・倫太郎
【華禱】
夜彦と手を繋いでのんびり迷路を往く
月明り、星明り、蛍の光……
それらでも補えない闇は暗視も使って

あの作家先生はホント、子供みたいなトコあるよなぁ……

第六感と野生の勘も使いながら子供だましの罠は回避してく
え?だって、なんかちょっと悔しくないか?

あの、人生楽しい事しかしたくないでーすみたいなさ
ふざけた先生のくだらない仕掛けに掛かってやるの

掛かれば『掛かったんだ?あんな子供だましに?』とか言いそうだし
掛からなきゃ掛からないで『付き合い悪い』とか言いそうじゃん?
絶対言うぜ、ああいう奴は

だから、庭の景色を楽しむときは止まって
その場に留まって

まぁ、夜彦が言わなかった事は判るから
俺も触れないでおく


月舘・夜彦
【華禱】
倫太郎殿と手を繋いで迷路へ往きましょう
空の明かりと、地上の僅かな光にて歩む道は何処か幻想的で
歩く時の音程度、その空間は無音に等しい

彼は童心を忘れていないと言いますか
無邪気な方だったのかもしれませんね
だからこそ、他の方では考え付かない様な物を作り出す

暗視と視力を使い、確認出来る罠は回避していきましょう
倫太郎殿が随分気合が入っているようで
あぁ……なるほど、対抗意識のような
倫太郎殿も童心を忘れていないようで……

……

ぺちりと頬に触れる、ぷるんと弾力のある冷たい感触
まぁ……こういう事もありますよね
手で除けて歩き始め、景色を眺める

それにしても硯箱、ですか
もしやと思い当たるものの
それ以上は口に出さず



 秘密の扉を潜り抜け、足を踏み入れたそこは……光と静寂の世界。
 やはりその中で人工的な明かりをつければ、言われた通りきっと目立ってしまうから。
 月明り、星明り、蛍の光……頼りにするのは、空の明かりと地上の僅かな光。
 その光たちが教えてくれる路は幻想的で。
 耳に聞こえるのはただ、ふたりが歩み進める微かな音。
 そんな無音に等しい闇の中を、暗視しつつ慎重に進みながらも。
「あの作家先生はホント、子供みたいなトコあるよなぁ……」
 そう小声で呟いた篝・倫太郎(災禍狩り・f07291)に、月舘・夜彦(宵待ノ簪・f01521)も頷く。
「彼は童心を忘れていないと言いますか。無邪気な方だったのかもしれませんね」
 侵入者を排除するためではなく、自分が楽しむためにわざわざ仕掛けた子供染みた罠。
 けれど、作家を生業としていたという彼のことを思えば。
「だからこそ、他の方では考え付かない様な物を作り出す」
 夜彦はそれも、何処か納得がいく気がして。
 確認できる罠は回避していこうと目を凝らすけれど。
 ふと、第六感や野生の勘を駆使しながら罠にはかかるまいと。そう進んでいる気がする隣の倫太郎の様子に小さく首を傾ける。
 そんな夜彦の視線に気が付いて、こう返す倫太郎。
「え? だって、なんかちょっと悔しくないか?」
 命に関わったり、大怪我したりはしないけれど。
「あの、人生楽しい事しかしたくないでーすみたいなさ。ふざけた先生のくだらない仕掛けに掛かってやるの」
 あの作家の罠に、みすみす引っかかって楽しませるのは癪だから。
 その言葉に夜彦は、彼を見つめる翠の瞳を細める。
「あぁ……なるほど、対抗意識のような」
 倫太郎殿も童心を忘れていないようで……そう、納得したように。
 そんなほのぼのと視線を向ける夜彦とは逆に。
 倫太郎は、はあっと大きく溜息をつきつつも、続ける。
「掛かれば『掛かったんだ? あんな子供だましに?』とか言いそうだし。掛からなきゃ掛からないで『付き合い悪い』とか言いそうじゃん?」
 ――絶対言うぜ、ああいう奴は、って。
 今までの言動を思えば、そんな姿は容易に想像できるし。
 それもまた、なんかムカつく。
 そして、そんな倫太郎をにこにこ見ていた夜彦だけれど。
 ――ぺちり。
「…………」
 ふいに頬に触れたのは、ぷるんと弾力のある冷たい感触。
「まぁ……こういう事もありますよね」
 そう、ぷるぷると揺れるこんにゃくをそっと手で除けて。
 夜彦は特に気にせず歩き始め、暫く迷路を進めば。
 ふと足を止めた倫太郎と並んで、舞い遊ぶ光や桜花弁の風景を暫し眺めてみる。
 倫太郎がその場に留まったその理由。
 幻想的な景色を一緒に楽しむひとときを――子供染みた罠に邪魔されるのは、御免だから。
 それから夜彦はふと、呟きを落とす。
「それにしても硯箱、ですか」
 作家が大切にしているという硯箱。
 もしやと、そう思い当たるものがあるけれど……でもそれ以上は口に出さずに。
 倫太郎も、夜彦が言わなかった事は判るから。
 そっと蛍の光に照る彼の横顔を見つめつつも、敢えて触れないでおく。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ジャスパー・ドゥルジー
【狼鬼】
要するに気づかれねえように進めばいーんだろ?
ヨユーヨユー
ところで狼ってのは夜目は利くのか?
ヨユーといえどわざわざ罠にかかってやる必要はねェからな

それにしても、確かに…
ここの景色はまた一段と綺麗だな
蛍と桜ってェのはUDCアースじゃ見られねえコラボで…
(桜を見上げていて足元がお留守になる)
(踏み抜きかけた落とし穴から飛び退く)
あっぶねえあっぶねえ……、!?
(首筋にひんやりへばりつく蒟蒻)
(絶叫しかけてすんでのところで堪えるホラー嫌い)
「櫻居先生」、後でブン殴るわ、マジで

オラ笑ってんじゃねーぞザザ
罠を笑うやつは罠に泣くんだ


ザザ・クライスト
【狼鬼】

「余裕ってか監視態勢でもないからな。コソコソしてれば問題ねェ」

夜目は個体によるが、オレ様には"オーディンの目"がある
片目のサイバーはアイは暗視能力は勿論、通信・情報解析やAIまで搭載されてるわけで、便利すぎてオレ様義眼でパワーアップ

「罠っつっても遊び心に溢れた代物らしィからよ、本気で妨害を考えたというよりは……」

"目"が罠の存在にアラート
オレにしか聞こえちゃいないが、景色に酔うジャスパーの足元のそれを警告しようとして、

「まァイイか」

嵌るジャスパー指差し大笑い

「コンニャク、コンニャクだぜ! ブハハッ」

笑いすぎてバレたら困るが、抑えるのに一苦労
してたら新たにアラート
オレの足元に穴が開く



 隠された扉の向こう――奥の庭に乱舞しているのは、数え切れないほどの蛍の光と幻朧桜の花弁。
 遠くにひとつゆらりとゆれる提灯の明かりが、最奥の離れに作家が在る事を示していて。
 けれど、容易くは辿り着かせぬと……奥の庭は複雑な迷路になっていた。
 さらに作家が仕掛けた罠が、そこかしこに張り巡らされているのだというが。
「要するに気づかれねえように進めばいーんだろ?」
 ……ヨユーヨユー、と。
 夜の闇だけでなく、紫とピンク混じり合うその瞳にも、数多の光を灯しつつ。
 ジャスパー・ドゥルジー("D"RIVE・f20695)はふと連れを見遣り、首を傾け訊ねてみせる。
「ところで狼ってのは夜目は利くのか?」
 頼りになる明かりは、仄かな蛍たちの瞬きと空から降る星や月の光だけ。
 ただ進むだけならば、それだけでも何ら問題はないだろうが。
「ヨユーといえどわざわざ罠にかかってやる必要はねェからな」
 何より……罠に嵌って、仕掛けたあの作家を面白がらせるのは癪である。
 そんなジャスパーと共に、蛍舞い飛ぶ迷路を行きながら。
「余裕ってか監視態勢でもないからな。コソコソしてれば問題ねェ」 
 ザザ・クライスト(人狼騎士第六席・f07677)は続ける――夜目は個体によるが、オレ様には"オーディンの目"がある、と。
 暗闇で何よりも重宝する暗視能力は勿論。
 視覚情報を分析し解を導き出すという、通信・情報解析やAIまで搭載されている、便利すぎな仕様のサイバーアイ。
 そんなオレ様義眼でパワーアップしたザザに浮かぶのはやはり、ヨユーな笑み。
「罠っつっても遊び心に溢れた代物らしィからよ、本気で妨害を考えたというよりは……」
 そう言いつつもザザがその最強のオレ様義眼を以って、ぐるりと周囲を見遣れば。
「……!」
 "オーディンの目"が、罠の存在に早速アラート。
 それは、ザザにしか聞こえないものであるが。
「それにしても、確かに……ここの景色はまた一段と綺麗だな。蛍と桜ってェのはUDCアースじゃ見られねえコラボで……」
 義眼が反応を示したのは、そう咲き誇る幻朧桜を見上げ景色に酔う、ジャスパーの足元。
 そんな連れの足元のそれをザザは警告しようとしたけれど。
「まァイイか」
 刹那、足元がお留守になっているジャスパーの足が、地面にずっぽり。
「……!?」
 高いヒールの靴で落とし穴を踏み抜きかけた寸前、けれど咄嗟に飛び退いて。
 穴に嵌るのは、回避したのだけれど。
「あっぶねえあっぶねえ……、!?」
 ――ぺちり。
 刹那、悪魔尻尾がピンッと跳ね上がって。
 首筋に突如感じたひんやり感に危うく絶叫しかける、ホラー嫌いなジャスパーであったけれど。
 慌てて両手で口を押え、寸でのところで堪えて。
「……「櫻居先生」、後でブン殴るわ、マジで」
 首にへばりついている蒟蒻を剥がしぷるぷるさせながら、そうぽつり。
 そんな罠に嵌ったジャスパーを指差し、ザザは大笑い。
「コンニャク、コンニャクだぜ! ブハハッ」
 笑いすぎて敵に気取られ、バレるのは困るけれど。
「プッ、さっきのジャスパーの驚いた顔……クククッ」
 腹を抱え、笑いを抑えるのに一苦労なザザ。
 そんな爆笑する連れに、ちょっぴり顔を赤くしながらも。
「オラ笑ってんじゃねーぞザザ」
 悪魔尻尾をゆらり、ふいっと誤魔化すように視線を逸らすジャスパーであったが。
 瞬間、再び"オーディンの目"が新たな罠に反応してアラート。
 その罠の在り処は。
「……ッ、!?」
「罠を笑うやつは罠に泣くんだ」
 そう――誰でもない、ザザの足元。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

照宮・石門
【石竜】竜(f09171)と共に

蛍の迷い路を、月と星明かりのみにて往けと。
在りし日(大岩だった頃)を思い起こせしかな。

……汝(なれ)の肩は、小さき吾(われ)にいと高きなり。
乗るは難し。
……その肩を、物見の櫓とせよと申すか。
然らば、吾のみぞかなうものなり。
……吾を櫓より落とすことなかれ、竜よ。

(小さな手で竜の髪をツインテールになるほどしっかり握り)
蛍とは、その命儚きもの
砦までの路半ばにて果てるものあらば、是(これ)吾等が与えし禍なり
吾は求めず。

迷い路の夜は、今この時のみ。
今をたのしみ、今を覚えよ、竜。


マレーク・グランシャール
【石竜】石門(f24536)と

なかなか美しい風景だな
しかし油断は禁物
俺一人ならこの程度の子ども騙しのトラップは楽に回避出来るだろうが、今は子どもと一緒
可愛い我が子を父親としてしっかり守り、頼れるところを見せねばならんな

よし石門よ、俺の肩に乗れ
落とし穴に嵌まらぬよう肩車をしてやろう
しっかり捕まっているのだぞ?
そして俺が見えない周囲や遠くへ目を配り、何か見つけたら教えるのだ
……と言っておけば子がやる気を出すだろう
良い父親とは子どもの意欲を上手いこと引き出すものだ

いつも何だか小難しい口ぶりだがやはり子ども
俺の髪の毛をしっかり掴んでるところが可愛いものだ
ほら、蛍が飛んでいるぞ
捕まえて砦に持って帰ろうか



 足を踏み入れた秘されし奥の庭に数多灯る、満天の蛍の光。
 いや、夜の闇に踊るのは何も、仄かに瞬く蛍の光だけではない。
 蛍の光と戯れるかのように、はらりひらり、柔く降る月光に照る幻朧桜の花弁たち。
「蛍の迷い路を、月と星明かりのみにて往けと」
 そんな蛍舞う星月夜の光景をじっと見つめつつも、照宮・石門(岐なりしもの・f24536)が思い起こすのは、在りし日――大岩だった頃の事。
「なかなか美しい風景だな」
 マレーク・グランシャール(黒曜飢竜・f09171)も、蛍の光灯した紫の瞳を細めるけれど。
 ――しかし油断は禁物。
 そうきりっと気を引き締める。
 眼前の迷路に仕掛けられているのは、ただ面白がって張られた、子供染みた罠であるというが。
 自分一人であれば、そんな子ども騙しのトラップは楽に回避出来るだろう。
 けれど今は、まだ小さな子どもと一緒。
(「可愛い我が子を父親としてしっかり守り、頼れるところを見せねばならんな」)
 マレークはそう、こくりとひとつ頷いて。
「よし石門よ、俺の肩に乗れ」
 父親として、息子へと肩を貸してやることにする。
「……汝の肩は、小さき吾にいと高きなり。乗るは難し」
 石門は最初こそ、父を見上げ難色を示すけれど。
「落とし穴に嵌まらぬよう肩車をしてやろう」
「……その肩を、物見の櫓とせよと申すか」
 ……然らば、吾のみぞかなうものなり、と。
 自分の前に背を向け屈んだ父の肩の上に、んしょんしょとのぼって。
 ちょこんと、肩車される。
「しっかり捕まっているのだぞ?」
 それからマレークは、ゆっくりと立ち上がりながらもこう続ける。
「そして俺が見えない周囲や遠くへ目を配り、何か見つけたら教えるのだ」
 いや確かに、高い位置から周囲を警戒して欲しいということも、あるのだけれど。
(「……と言っておけば子がやる気を出すだろう」)
 満足気にそっと笑むマレーク。
 ――良い父親とは子どもの意欲を上手いこと引き出すものだ、と。
 そして、可愛いものだと思う。
「……吾を櫓より落とすことなかれ、竜よ」
(「いつも何だか小難しい口ぶりだがやはり子ども」)
 ぎゅう、とツインテールになるほどしっかりと。小さなその手で、自分の髪を握る息子に。
 そんなふたりの目の前を、ふわりと舞う仄かな光たち。
「ほら、蛍が飛んでいるぞ。捕まえて砦に持って帰ろうか」
 そう言ったマレークの髪を相変わらず掴んだまま、石門はふるりと首を横に振る。
「蛍とは、その命儚きもの。砦までの路半ばにて果てるものあらば、是、吾等が与えし禍なり」
 ――故に吾は求めず、と。
 そして父の肩の上から、光と花の景色を暫し見下ろし眺めつつ。
 視線で蛍たちと追いかけっこしながら石門は続ける。
「迷い路の夜は、今この時のみ」
 ――今をたのしみ、今を覚えよ、竜、と。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

草守・珂奈芽
【花蛍】
凄い綺麗な庭なのさ!まさに幻想的!
暗いからちょっと緊張もあるけど…うん、手を繋げば安心。さすがお姉さん。頼りになるー!(純真)
でもカデルちゃんも不安だよね…わたしもしっかりしなきゃ。(手をぎゅっと握り返して)

草化媛で後ろをガードしつつ進むよ。ケガは心配なくても…ふ、不安だし!
夢の中みたいな景色にちょっと気持ちは和んだけど。
えっカデルちゃんなにっ?大丈夫?
なーんだ、コンニャクじゃん。大丈夫だよー、痛くも痒くも――(油断した横から蒟蒻がぶつかり)ぴわっ!?しゃっこい!
えっこれもコンニャク!?どこから!?
ひええ痛くも痒くも無いけど怖いー!

はっ、怖がってる場合じゃない!そう、一緒に行かなきゃ!


瀬名・カデル
【花蛍】
蛍とお花がとっても綺麗だよ。
でも迷路なんだよね…夜だし迷わないように珂奈芽、一緒に手を繋いでいこう。
大丈夫だよ、ボク今まで迷ったことないから安心してね!(無自覚迷子属性)
(手を握られて)そうだよボクのほうがお姉さんだから珂奈芽はボクが守らないとね…頑張ろうね、アーシェ…!

道中は思ったよりも怖くないかな?
どちらかというと、蛍の光でとっても周囲が綺麗で楽しいかも!
…ひゃ!何かお顔にぶつかったよ何だろう…・!??(蒟蒻を知らない)
珂奈芽、気を付けてここに何かあるんだよ…ひゃうあっ!

これ、こんにゃくっていうんだ
なんだかよくわからなくて怖いけど、でもボクは珂奈芽を守るんだよ…!
先へ進まなきゃ…!



 隠されていた扉を見つけて、いざ奥の庭へと、そうっと足を踏み入れてみれば。
 眼前に広がる奥の庭を舞い遊ぶのは、数えきれないくらいの蛍の光と桜花弁。
「凄い綺麗な庭なのさ! まさに幻想的!」
 見開いた金の瞳に仄かな蛍の光を重ねながら、草守・珂奈芽(小さな要石・f24296)がそう声を上げれば。
「蛍とお花がとっても綺麗だよ」
 瀬名・カデル(無垢なる聖者・f14401)もこくり頷き、幻想的な景色を暫し眺めるも。
「でも迷路なんだよね……夜だし迷わないように珂奈芽、一緒に手を繋いでいこう」
 きょろり視線を巡らせてから、カデルは珂奈芽へとそう手を差し出す。
 奥の庭は、蛍の迷ひ路――複雑な迷路になっているという。
 しかも離れにいるイセノに気取られない様、持参した明かりは付けられないから。
 頼りになる光源は、舞い飛ぶ蛍の光や星や月といった、自然の光だけ。
 ただ進むだけならばそれでも大丈夫そうだけど。
 罠の張られた迷路を行かないといけないと思うと、ちょっぴりドキドキしてしまう。
 でも――差し出された手を取れば、ふんわり柔らかくて、あったかくて。
「暗いからちょっと緊張もあるけど……うん、手を繋げば安心」
 ほっとしたように言った珂奈芽に、カデルは胸を張ってえっへん。
「大丈夫だよ、ボク今まで迷ったことないから安心してね!」
「さすがお姉さん。頼りになるー!」
 心強いお姉さんの言葉に、純真な瞳をキラキラさせる珂奈芽。
 実はそのお姉さん、無自覚迷子属性ですけれど……!
 いえ、知らない方が幸せなことも、沢山ありますから。
 それから珂奈芽は伝わる温もりに瞳細めながらも、すぐ隣にいるカデルの顔をそっと見つめて。
(「でもカデルちゃんも不安だよね……わたしもしっかりしなきゃ」)
 繋いだその手を、ぎゅっと握り返せば。
(「そうだよボクのほうがお姉さんだから珂奈芽はボクが守らないとね……」)
 ……頑張ろうね、アーシェ……!
 カデルはそう、踊るように寄り添うアーシェと顔を見合わせてこくりと頷いて。
(「ケガは心配なくても……ふ、不安だし!」)
 珂奈芽も、胸に蛍石煌めく草化媛に後ろを任せ、そろりと進んでいく。
 皆で一緒に、蛍舞う夜の迷路を。
 けれど暫く一緒に、光溢れる景色の中を歩いてみれば。
 夢の中みたいな景色に、ちょっぴり珂奈芽も気持ちが和んで。
(「道中は思ったよりも怖くないかな?」)
 ……どちらかというと、蛍の光でとっても周囲が綺麗で楽しいかも!
 そうカデルが顔を上げた、瞬間。
 ――ぺちり。
「……ひゃ! 何かお顔にぶつかったよ何だろう……!??」
「えっカデルちゃんなにっ? 大丈夫?」
 急に当たった何かと、突然上がったその声に、二人揃ってびっくり。
「珂奈芽、気を付けてここに何かあるんだよ……ひゃうあっ!」
 そう、ひやりぺたりと顔についたそれをカデルが手にしてみれば。
 ぱちくりと瞳を瞬かせた後、珂奈芽はホッとしたように笑む。
「なーんだ、コンニャクじゃん」
「これ、こんにゃくっていうんだ」
 蒟蒻を知らないカデルは、ぶつかってきたこんにゃくを、ぷるぷるふにふに。
 そんな彼女の声に、珂奈芽はこくこく頷いて。
「大丈夫だよー、痛くも痒くも――ぴわっ!? しゃっこい!」
 ……ぺちっ。
 油断した横から、ぺちりひやりっ。
「えっこれもコンニャク!? どこから!? ひええ痛くも痒くも無いけど怖いー!」
 そうあわあわする珂奈芽に、カデルはきりりと気を引き締めて。
「なんだかよくわからなくて怖いけど、でもボクは珂奈芽を守るんだよ……!」
 アーシェと一緒に、珂奈芽を守ります! だってお姉さんだし!
 ――先へ進まなきゃ……!
 そう、襲い来るこんにゃくにも負けず口にすれば。
 そんなカデルの声に、珂奈芽も顔を上げて。
「はっ、怖がってる場合じゃない!」
 カデル達や草化媛と共に、蛍照る迷ひ路を、再び頑張って歩き始める。
 ――そう、一緒に行かなきゃ! って。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

鬼灯原・孤檻
橘・尊(f13751)と一緒。

桜と蛍が照らす、夜闇の迷路。
静かだがざわめくような気配に、【アイテム:双銀の孤月】を用いて仕掛けを見通そう。
尊とは小声で話す。

「この奥に影朧がいるようだが…どうもこの迷路は、仕掛けがあるようだな」

草木に紛れて空いた落とし穴を見やり、命の危機はなさそうなのを確認してから、足を進めよう。
木々の中に垂れ下がるこんにゃくに、食べ物なのに…と眉を下げ。
…この景色も、こうした仕掛けが無かったら、美しかったろうにと思うも。
こうした子供じみた悪戯さえも、彼らにとっては代えがたい思い出の欠片なのかもしれない。
音や大声を発しないように、静かに進んでいく。


橘・尊
弧檻(f18243)と一緒

暗闇の迷路だけど
月、星、蛍と自然の光が
これだけあれば充分
罠は孤檻にお任せしよう
俺も小声で返す

「この先にいるのか…迷路の仕掛けって敵を殲滅とかじゃなくて遊び心満載って感じが」

落とし穴は避けて通れたけど
言ってる側からこんにゃくに当たってしまった

何故にこんにゃく?

まあ、いっかと前に進む
きっと思い入れがあるんだろうなあ、と
この迷路には必要だったんかな、と思う
そんな思いを馳せながら
先に進むとしよう

(アレンジ大歓迎です)



 かき氷やカクテルをカフェで味わい、一緒に見た宿の庭も綺麗だったけれど。
 手入れされていたその風景とはまた全く違った、光と自然溢れる奥の庭。
 そしてそこは、桜と蛍が照らす、夜闇の迷路。
 鬼灯原・孤檻(刀振るう神・f18243)は、ただ光や花弁が舞い遊ぶ静寂の夜を見回して。
 静かだがざわめくような気配を感じながらも、宿す銀の孤月を闇へと凝らす。
 どんなに暗くても見通せる、その双眸を。
 だから橘・尊(浮雲・f13751)は充分だって、そう思うのだ。
 暗闇の迷路だけど……月、星、蛍と自然の光、そして孤檻がいれば、それで。
 それから蛍の迷ひ路を共に行きながら、囁くような小声で交わし合う。
「この奥に影朧がいるようだが……どうもこの迷路は、仕掛けがあるようだな」
「この先にいるのか……迷路の仕掛けって敵を殲滅とかじゃなくて遊び心満載って感じが」
 命にかかわるものでもなく、大怪我を負うわけでもない、子ども染みた罠。
 けれど、うっかり嵌っても危ないかもしれないから。
「尊、そこに落とし穴が」
「あ、本当だ。ありがとう、孤檻」
 双銀の孤月で仕掛けを見通す孤檻に罠はお任せしながら、尊は草木に紛れ空いた落とし穴を避けて。
 命の危機はなさそうなのを確認してから、孤檻も彼と共に足を進めていく。
 けれど、落とし穴は回避できたけれど。
「……!?」
 ――ぺちり、と。
 何かがひやり、頬に当たった感触がして。
 尊は自分の頬に当たったものの正体を確認してから、首を傾ける。
「何故にこんにゃく?」
 そう、それはぷるぷる揺れるこんにゃく。
「食べ物なのに……」
 孤檻も、木々の中に垂れ下がるこんにゃくに、そう眉を下げるけれど。
 ……まあ、いっか、と前に進む尊と共に先へと向かいながらも思う。
(「……この景色も、こうした仕掛けが無かったら、美しかったろうに」)
 けれど同時に、こうも考えるのだった。
 ――こうした子供じみた悪戯さえも、彼らにとっては代えがたい思い出の欠片なのかもしれない、と。
 そして、そう周囲を見通しつつ静かに進む孤檻と、尊も同じことを思う。
(「きっと思い入れがあるんだろうなあ」)
 他の人にはくだらないことかもしれないけれど、当人にとってはきっと大切なもの。
 そういうものがあることは、ふたりには少し、分かる気がするから。
 ――この迷路には必要だったんかな、と。
 尊はそう思いつつも孤檻を頼りに、彼と一緒に先へと進む。
 提灯の光が揺れる離れを目指して――光と花が溢れるこの蛍の迷ひ路に、そっと思いを馳せながら。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

クロト・ラトキエ
隠し扉なんて、普段から手入れしていませんと。
音に、ズレ、汚れ具合…結構容易く気付かれてしまうもの。
場合によっては命の危機ですよ?
…なぁんて。

暗視…夜目は、それなりに。
足元ばかり気にすれば頭上が、逆なら逆が疎かになる。
…成る程。筋、と。実に作家らしい。
蛍の光を頼りに広く進路を視、
枝葉の間、つやつやした蒟蒻を。道に落ちる影の陰影、土の散り様から落とし穴や、
道々に仕掛けられた悪戯を。
子供を追う様な気分で、見切り、避けつつ、
提灯を目指――しますけど。
先と異なる景色を楽しんでも良いですよね?
素面ですし!

…僕、見られて愉しまれる趣味は無いですし。
彼の方の、先日みたいな反応、寧ろ見て愉しみたい性質なもので♪



 性分と言うか、職業病というか。
「隠し扉なんて、普段から手入れしていませんと」
 キィ、と軽率に音を立てて開いた、奥の庭へと続く扉を数度軽く開け閉めしながらも。
 クロト・ラトキエ(TTX・f00472)は青い瞳をふっと細め、笑む。
「音に、ズレ、汚れ具合……結構容易く気付かれてしまうもの。場合によっては命の危機ですよ?」
 ……なぁんて、って。
 そして隠された扉を潜れば、数え切れない光が舞い飛ぶ秘密の庭。
 その数多の光は仄かで、そればかりに頼るには心許ないけれど。
(「暗視……夜目は、それなりに」)
 クロトは全く臆することもなく、迷路になっている庭を飄々と進み行く。
 ただ進むだけならば、自然の光だけでも容易いだろうけれど。
(「足元ばかり気にすれば頭上が、逆なら逆が疎かになる」)
 ……成る程。筋、と。
 ひょいっと落とし穴を避けた直後。
 絶妙な位置にぶらんと下がっていたのは、こんにゃく。
 それも難なく躱しながらクロトは思う。
 ――実に作家らしい、って。
 そして使えるものはフル活用。
 己の瞳とそして蛍の光を頼りに、広く進路を見通して。
 枝葉の間に潜む、つやつやぷるぷるしたこんにゃくを。
 道に落ちる影の陰影を見逃さず、土の散り様をよく観察して。
 掘られた落とし穴や、古典的なバナナの皮、あれやこれやと道々に仕掛けられた悪戯を。
 クロトはまるで子供を追う様な気分で、見切り避けつつも。
 自然の光の中にひとつだけ燈る、ゆうらりゆれる人工的な光――あの作家がいるだろう離れにさげられた提灯の光を、目指し見遣るけれど。
「先と異なる景色を楽しんでも良いですよね?」
 ……素面ですし!
 冷酒は諦め、サヰダアにした己へのささやかなご褒美にと……手入れされた宿の庭とはまた雰囲気の違った、自然溢れる幻想的な奥の庭の景色を暫し眺めつつも。
 人の事を驚かせたり反応を楽しんだりするような作家の気持ちは、何処か分かる気はするけれど。
 ――でも。
「……僕、見られて愉しまれる趣味は無いですし」
 クロトは再び落とし穴を避け飛び越えながらも、くすりと柔く笑みを零す。
 ――彼の方の、先日みたいな反応、寧ろ見て愉しみたい性質なもので♪ って。

大成功 🔵​🔵​🔵​

橙樹・千織
【迎櫻館】

お二人とも気をつけてくださいねぇ
慎重に進む二人を見て和み

ふふ、お化け屋敷みたいですねぇ
笑いつつ、音や気配を気にしつつ進む

ぁ、黒羽さ…
こんにゃくですねぇ
こんにゃくをつつき、黒羽さんと目が合えば
少し遅かったですかねぇとふわほわ

ふふふ、構ってさんなんですかねぇ?
なんて笑っていたら転がっていく終夜さん

はわ!?しゅ、終夜さん!?!?
慌てて二人で彼を引っ張り上げる

ですねぇ
くすくすと笑って返して
そのまま一緒に進んでいた筈が…

あら?ここは何処でしょう?
気付けば一人
迷路の突き当たり

…きっと大丈夫ですよねぇ
合流すべくのんびり歩き出す


華折・黒羽
【迎櫻館】

一歩進むごとに足とんとん
落とし穴は無いか確認しながらゆっくりと

自分だけなら飛んで回避できるから
そこまで気にはしないのだけれど

終夜さん
ここは大丈夫みたいです

翼のない彼に声かける
まったく落とし穴なんて
子供騙しにも程が…

─っ!?

下を向いていれば唐突にぴとり背にあたる冷たい感触
驚いて反射で叩き落としたそれを見れば
……こんにゃく?
子供騙しな罠ふたつめ
千織さんと目合わせぱちり瞬く
これは遊ばれている、と確信した

さっさと進みましょう
一言文句を言ってやります
ふんすと息巻くも

くーるだうん…
言われたなら深呼吸、
を終える前に転がるその姿に慌て手を伸ばし
千織さんとそれぞれで腕掴んで

油断大敵、ですね

くすり笑う


空・終夜
【迎櫻館】

黒羽が罠を確認しながら先を歩いていくのを見て
俺は念のため危ない物が飛んでこないか周囲に気を配る

…頼もしいな、黒羽
探索、慣れてるんだな…?

ふと前を見るとこんにゃくが黒羽にあたっている
……仕掛けた奴は、遊び心が豊富な奴みたいだな…?
これは…肝試しセットで逆に面白い

黒羽…クールダウン、だ…
そんな顔してると罠にはま――
言いかけてる所で、ずぼっと足が落とし穴にはまって転げていった

2人の手を借り
砂だらけの情けない格好しながら穴から上がる

む…
やっぱ文句言いに行くぞ
むー…と珍しく口を尖らせた表情しつつ2人にお礼を言う

ん…?…次は、千織がいないぞ…
…ま、道は繋がってるし…
大丈夫だろ…
のんびり歩いてく



 隠された扉の先に広がる奥の庭は、さらに蛍の光で満ち溢れているけれど。
 そろりと一歩進んでは、足でとんとん。
 華折・黒羽(掬折・f10471)は先行して落とし穴は無いか確認しながらも、ゆっくりと慎重に進んでゆく。
 そう、此処はただ美しいだけの秘されし庭ではなく……蛍の迷ひ路。
 そして複雑な迷路になっている庭には、子供染みた罠が張り巡らされているから。
 空・終夜(Torturer・f22048)は、地面に仕掛けられた罠を確認しながら先を歩く黒羽を見つつも。
 念のため危ない物が飛んでこないかと、きょろり周囲に気を配っておく。
 そんな慎重に進むふたりへと、ふわふわ微笑みを向けて。
「お二人とも気をつけてくださいねぇ」
 声を掛けつつもほんわか和む、橙樹・千織(藍櫻を舞唄う面影草・f02428)。
(「自分だけなら飛んで回避できるから、そこまで気にはしないのだけれど」)
 とんとん、と安全を確認してから、くるりと振り返った黒羽は。
「終夜さん、ここは大丈夫みたいです」
 翼のない彼に声を掛け、こくりとひとつ頷けば。
「……頼もしいな、黒羽。探索、慣れてるんだな……?」
 微睡んでいる様な視線に関心したような色を宿し、安心して歩みを進める終夜。
「ふふ、お化け屋敷みたいですねぇ」
 暗い中、仄かな光を頼りにドキドキと進む迷路は、まるでお化け屋敷のようで。
 笑みつつもお耳はピンと、さり気なく音や気配を気にしながら千織も進んで。
「まったく落とし穴なんて、子供騙しにも程が……」
 蛍舞う中、地面をとんとんしていきながらも、そう溜息交じりに黒羽が口にした――瞬間。
「ぁ、黒羽さ……」
「――っ!?」
 ――ぴとり。
 ひやりと、急に背中に感じた冷たさに、黒羽はぶるり耳も尻尾も振るわせてから。
 驚いてバシリと反射で叩き落したそれを、ふと見遣れば。
「……こんにゃく?」
「こんにゃくですねぇ」
 子供騙しな罠ふたつめ……そう、こんにゃくです!
 そして千織はぷるぷるなそれをつんつん突きながらも顔を上げれば。
 黒羽と目が合って、ふたり瞬いてぱちり。
「少し遅かったですかねぇ」
 そうふわほわ言った千織の隣で、むうっとする黒羽。
 これは遊ばれている、って……そう確信したから。
 そんな、ふと見ればこんにゃくに当たっていた黒羽から、終夜はぶらんとぶら下がっているこんにゃくに視線を映して。
「……仕掛けた奴は、遊び心が豊富な奴みたいだな……?」
 これは……肝試しセットで逆に面白い、なんて。
 千織に続き、そっとぷるぷる揺れるこんにゃくをつんつん。
 そう、ちょっぴりこの迷路を楽しむ終夜だが。
「ふふふ、構ってさんなんですかねぇ?」
「さっさと進みましょう。一言文句を言ってやります」
 相変わらずほわりと笑む千織の隣で、ふんすとそう息巻く黒羽に、眠そうな瞳を向けつつも声を掛ける。
「黒羽……クールダウン、だ……」
「くーるだうん……」
 ムキになればなるほど、きっとこの罠を仕掛けた張本人を喜ばせてしまうに違いない。
 終夜の言葉に、黒羽はすうっと深呼吸。
 そしてこくりと頷き、息を大きく吸い込む彼へと、終夜は続ける。
「そんな顔してると罠にはま――」
 ……けれども。
「はわ!? しゅ、終夜さん!?!?」
 ――ずぼっ。
 言いかけてる所で、ずぼっと足が落とし穴にはまって転げていく終夜。
 そんな姿に、二人揃って耳をピンッ。慌てて手を伸ばして。
 落とし穴に嵌った彼の腕を掴んで、よいしょっと引っ張り上げれば。
 ふたりの手を借りつつも、砂だらけの情けない格好をしながら穴から脱出した終夜は、ぼそりと呟く。
「む……やっぱ文句言いに行くぞ」
 珍しく、むー……と口を尖らせた表情をしながら。
 そして引き上げてくれた礼を告げる彼に、黒羽と千織はくすりと笑う。
「油断大敵、ですね」
「ですねぇ」
 それからふらり、千織は目の前を横切った蛍の光を、橙の視線で追いかけて。
 蛍と星と桜が織り成す景色を眺めた後、ふと瞳戻せば。
「……あら? ここは何処でしょう?」
 ふたりと一緒に進んでいた筈が……気付けば一人、迷路の突き当たり。
 けれど、一瞬ぱちくりと瞳瞬かせた後。
「……きっと大丈夫ですよねぇ」
 特に慌てる事もなく、いつも通りほわほわと。
 ふたりと合流すべくのんびり、舞う蛍たちと一緒に再び歩き出す千織。
 その頃、終夜と黒羽も。
「ここも大丈夫みたいです。終夜さん、千織さ――あれ、千織さん?」
「ん……? ……次は、千織がいないぞ……」
 千織の姿がないことに気が付くも。
「……ま、道は繋がってるし……大丈夫だろ……」
 遠くにゆらり揺れる提灯一つ。目指す場所は、同じだし。
 こんにゃくや落とし穴、そして迷ひ路を作った張本人に、揃って文句を言ってやらないとだから。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

フリル・インレアン
あの、アヒルさん、悪戯はよしてください。
私は『蛍の迷ひ路』を読むので忙しいんです。
もう、アヒルさん、私の先回りをして落とし穴を掘ったり変なものをぶつけるのはやめてください。
アヒルさんとのお散歩が長引いたせいで予習が遅れているんですよ。
こうして、離れに向かう最中も読まないといけないんですからね。
もう、こんな子供じみたことをしているんでしたら、櫻居先生を見習ったらどうですか。
アヒルさんももっと知的になれると思いますよ。



 奥の庭を歩み進めば、数えきれないくらいの蛍が舞い飛んでいるけれども。
 そんなちかちか瞬く光源だけではやはり、本を読むのはなかなか難儀。
 いや、ただでさえ暗くて、文字が読み辛いというのに。
「あの、アヒルさん、悪戯はよしてください。私は『蛍の迷ひ路』を読むので忙しいんです」
 そうちらりとアヒルさんを見遣り言うのは、フリル・インレアン(大きな帽子の物語はまだ終わらない・f19557)。
 今回こそ、櫻居先生の著書を読んでから、彼に会いに行こうと思っていたフリルだが。
「アヒルさんとのお散歩が長引いたせいで予習が遅れているんですよ。だからこうして、離れに向かう最中も読まないといけないんですからね」
 こんな環境でも何とか本を読まんとしているのは、彼の小説をまだ全然読み終わっていなかったから。
 そして、ぺちりと冷たいこんにゃくに当たったり、ずぼりと落とし穴に足を取られれば。
「もう、アヒルさん、私の先回りをして落とし穴を掘ったり変なものをぶつけるのはやめてください」
 何かを訴えるアヒルさんの声をスルーしつつも、フリルはそう抗議して。
 顔にあたったこんにゃくをぷるぷるさせながら大きな帽子を被り直し、溜息と共に紡ぐ。
「もう、こんな子供じみたことをしているんでしたら、櫻居先生を見習ったらどうですか」
 その手にしているこんにゃくも嵌った落とし穴も、見た目知的で素敵なあの櫻居先生が仕掛けたとは、露にも思わずに。
 それから、何かを懲りず主張するアヒルさんに構っていられないと、再びフリルは本へと視線を落としつつ。
 ふうっと大きく嘆息し、こう続けるのだった。
 ――先生を見習ったら、アヒルさんももっと知的になれると思いますよ、って。

大成功 🔵​🔵​🔵​

カノン・チェンバロ
影朧を探さなくちゃいけないんだったね。

といっても目指すべきものは限られている。
うん、私が深く考えてもしょうがないな。
見える所から進んでこう。

ここにはほとんど自然の光しかない。
夜風に揺れる景色と、空と地上のふたつの星明り。
真っ暗闇よりは明るいけど、はっきりは見えな、

……。
そうだ忘れてた。説明あったね、悪戯好きって。
不意に落とし穴に沈んだ足元と、その底に敷かれた
何だろう、むにゅんと不自然に柔らかい靴底の感触に肩を落としてたら
容赦なく振ってくる何かのおかげで帽子も肩もぺったぺただ

何だか呆れてしまって、それから面白くなってしまった
笑い声を出さないように耐えながら
やがて見つかる提灯の明かりへと進み出そう



 隠された扉を開けて、その先をそっと見遣りながら。
 カノン・チェンバロ(ジェインドウ・f18356)は暫し、蛍たちが舞い遊ぶ景色を眺めるけれど。
 ふと遠くでゆれるひとつの提灯を目にすれば、気を取り直して歩き出す。
「影朧を探さなくちゃいけないんだったね」
 此処――蛍の迷ひ路の先に潜む、作家の影朧の元へと赴く為に。
 けれど、複雑に分岐する道を進みゆきながらも、カノンは思う。
(「といっても目指すべきものは限られている」)
 ――うん、私が深く考えてもしょうがないな、って。
 だから、あれこれ思案するよりも、シンプルに。
 見える所から進んでこう、って……そう迷ひ路の先を見つめる。
 仄かな光は、確かに数多灯ってはいるけれど。
(「ここにはほとんど自然の光しかない。夜風に揺れる景色と、空と地上のふたつの星明り」)
 ただ進むだけならば、それでも充分かもしれない。
 ……でも。
「真っ暗闇よりは明るいけど、はっきりは見えな、」
 ――ずぼっ、むにゅん。
「…………」
 刹那、言葉を失い唖然とするカノン。
 急にガクンッと視界が下がり、靴底に感じるのは何か柔らかいものを踏んだ感触。
 それから、よいしょっと見事に嵌った穴から這い出しながら。
「そうだ忘れてた。説明あったね、悪戯好きって」
 服についた土を払いつつ、そう聞いた予知を思い返していれば。
「……!」
 ぷるぷるんっと再び落ちて来た、こんにゃくの雨……!?
 そんな容赦なく降ってくるぷるぷるな罠のおかげで、帽子も肩もぺったぺたになっちゃったけれど。
 ふふっと、カノンの口から小さく零れるのは、笑み。
 何だか呆れてしまって――それから、面白くなってしまったから。
 そして今度こそ、闇夜にぶら下がるこんにゃくをひらり避け、迷ひ路を進みながら。
 ふとカノンはその瞳にも、ゆらり揺れる明かりをひとつ灯す。
 そこまで辿り着くにはもう少し、子供染みた罠に付き合わなきゃいけないかもしれないけれど。
 影朧がそこにいるという目印……見つかった提灯の明かりを目指して。

大成功 🔵​🔵​🔵​

千家・菊里
【花守】
マイペースにゆるゆると川のせせらぎや舞い遊ぶ蛍を楽しみ――ふと蒟蒻を見て

ふふ、行く先々に腹拵えの品も準備してくれているなんて至れり尽くせりですねぇ
いえ、冗談ですよ?拾い食いなんてしませんからね、ほんとですよ?
ああでも、夏はひんやり蒟蒻甘味が恋しくなりますねぇ

それより伊織、余所見は禁物ですよ
今は情景を楽しみつつも、蒟蒻を楽…罠と迷い路を何とかする時ですからね、はい
ほら、早速その木陰にも――謎のこけしが潜んでますね(?)

――おや、序でに清宵までいたのですか(呑気に振り返り)
嫌だなぁ、俺はちゃんと放置せず相手してあげてましたよ

ではもう暫し色々と楽しみつつ――蒟蒻のお礼に参りましょうか、ふふ


永廻・春和
【花守】
清明ちゃんと蛍に誘われ迷い路へ
…迷子?そういえば千家様と呉羽様は、以前もはぐれておりましたね
蛍に見惚れる気持ちもわかりますが――また色々と翻弄されぬよう、気を付けて参りましょうね?(其方の手を取る気は皆無の模様)

蒟蒻は…ええ、確かに食物ですが、それは食べても大丈夫なのですか?
これが敵に塩を送る、ならぬ蒟蒻を送るというものなのでしょうか

(小首傾げつつ再び清明ちゃんに引かれて)
ええ、これはまた格別な――優しい明かりと彩りは、本当に心を潤してくれる様ですね
ええ、佳き情景を、実際に悲劇で染める訳には行きません
(完全に二人の世界)

…あら?奇遇ですね、佳月様

皆仲良く、そして静かにしないと駄目ですよ


佳月・清宵
【花守】
――件の女将にゃ、宛ら夢の通い路か
蛍に誘われ悠々と逍遙する様に、一人ふらりと闇に紛れ迷い路へ

忍ぶも避けるもお手の物
此程の自然光があれば視界は十分、そして風情も満点
夜闇に包まれながらもいっそ光彩を放つ佳景と、妙な罠すらも楽しむ様にゆるりと歩む

其も束の間――先行く気配察せば、一層喜色浮かべて仲間入りを

――よう、良い夜だな?(背後からそっと)

邪魔?寧ろ構ってもらえて嬉しいの間違いだろ?
どうせまた相手されてなかったんだろ
折角の好い光景を前に、あまりに哀れに映ったんでなぁ?
まぁ一緒に楽しんでやろうと思ってな――面白可笑しくまんまと罠に嵌まる伊織の面を

増えた愉しみに笑み深め、庭と連れを愛でつつ先へ


呉羽・伊織
【花守】
暗い迷い路か
転んだりはぐれたりしたら大変だし、春、今度こそ手を…ウン、ワカッテルヨ(すごすご)

しかし腐っても隠密、此処は腕の見せ所
こーなったらせめてさらりと罠避けて格好良くエスコヲトを…
いや何食って片そうとしてんのお前

んで女子は女子で違う意味でまた塩ー!
ああ女子は勿論だケド、ちゃんと庭にも罠にも気を向けてるし大丈――いや思考もツッコミも追い付かない
何か嫌な予感するしそんな露骨に怪しいモンにゃ引っ掛からな…

っっ!!
(今回は叫ばなかっただけ誉めてホシイ)

蛍もとい虫の知らせがすると思ったらまたかこのお邪魔虫!
それ以上口開いたら蒟蒻捩じ込んでやる

嗚呼…折角の光景の中でまたこんな悲喜劇なんて…!


千百秋・清明
【花守】
春ちゃんに余計な虫がつく前に手を引いて先へ
手出しは無用よ、私達そんなにそそっかしくないもの!
寧ろ貴方達といる方がある意味心配というかあぶないっていうか――
うん、折角だしお庭を楽しみつつも、色々と気を付けようね!

…って言った矢先に、狐が罠にかかってる…っていうかガン見してるっていうか、え、何?
春ちゃん、見ちゃ駄目、関わっちゃ駄目よ

(改めてそっと春ちゃんの手を引き、約二名と距離取り)
それよりほら見て、そこの花の上――仲良し蛍!可愛いね
本当に物語の舞台みたい、だけど――此処は現実、悲しい幕引にはしたくないよね
(しっとり二人の世界に入り込――んでたら)

もう、喧嘩するならほんとに置いてくからね!



 隠された扉の向こうに広がるのは、仄かな蛍の光に照らされた秘されし庭。
 けれど、いくら数多の輝きでも、明滅するその輝きは仄かなもので。
 ただ進むだけであれば自然の光だけでも事足りただろうが……此処は何せ、人を惑わす迷路の庭。
 ……暗い迷い路か、と。
 呉羽・伊織(翳・f03578)は赤の瞳を凝らし、周囲を窺いつつも。
「転んだりはぐれたりしたら大変だし、春、今度こそ手を……」
 永廻・春和(春和景明・f22608)へと、くるりと振り返るけれど。
「手出しは無用よ、私達そんなにそそっかしくないもの!」
 春和に余計な虫がつく前にと、先にその手を引きながら、千百秋・清明(晴雲秋月・f22617)はビシッと言い放って。
「寧ろ貴方達といる方がある意味心配というかあぶないっていうか――」
 そう、さり気なく警戒態勢。
 そんな清明の手と舞い飛ぶ蛍に誘われて。
 迷い路へと足を踏み入れた春和は、伊織を見てきょとり。
「……迷子? そういえば千家様と呉羽様は、以前もはぐれておりましたね」
 そしてふと、先日のことを思い返す。
 まさか大の男性が迷子になるという事態が起こった、中華街での一件を。
 春和はそれから、清明と手を繋いだまま、伊織へとこう声を掛ける。
「蛍に見惚れる気持ちもわかりますが――また色々と翻弄されぬよう、気を付けて参りましょうね?」
 ……彼の手を取る気? ええ、皆無な模様です。
 いえ、清明がそもそもそんなこと、させません。
 そっと牽制するように位置取りつつも、春和の言葉に続き、一等いい笑顔を作って。
「うん、折角だしお庭を楽しみつつも、色々と気を付けようね!」
 春ちゃん、行こ! と伊織を置いて、ふたりできゃっきゃ先へ。
 そんな華の後ろ姿を見遣りながら。
 ――ウン、ワカッテルヨ。
 すごすご一度は引き下がりつつ、伊織は遠い目をするけれど。
 気を取り直し、きりっと眼前の迷ひ路へと改めて視線を向けて。
「しかし腐っても隠密、此処は腕の見せ所。こーなったらせめてさらりと罠避けて格好良くエスコヲトを……」
 ……しようとしたんですけれど。
 伊織が安定の塩対応をされている間、マイペースにゆるゆると川のせせらぎや舞い遊ぶ蛍を楽しんでいた千家・菊里(隠逸花・f02716)は。
 ふと、ぶらんと闇夜にぶら下がっているソレを見つめて。
「ふふ、行く先々に腹拵えの品も準備してくれているなんて至れり尽くせりですねぇ」
 自分からすすんで罠にかかりにいっています!?
 そんな予想していたけれど、でも予想斜め上な菊里の言葉に、清明は瞳をぱちくりさせて。
「……って言った矢先に、狐が罠にかかってる……っていうかガン見してるっていうか、え、何?」
「いや何食って片そうとしてんのお前」
 いつもの菊里の旺盛すぎる食い意地に、伊織はさらに遠い目に。
 春和はそんな連れ達を交互に見てから、こてんと首を傾けて。
「蒟蒻は……ええ、確かに食物ですが、それは食べても大丈夫なのですか?」
 ……これが敵に塩を送る、ならぬ蒟蒻を送るというものなのでしょうか。
 そう、ぷるぷる揺れるこんにゃくを見遣りつつ、もう一度首を傾げてみる。
 そんな皆の様子に、菊里はにこにこと笑みながら。
「いえ、冗談ですよ? 拾い食いなんてしませんからね、ほんとですよ?」
 一応、そうは言うのだけれど。
「ああでも、夏はひんやり蒟蒻甘味が恋しくなりますねぇ」
「やっぱり食う気!?」
「確かに、夏には蒟蒻甘味はひんやりして美味しいですけれど……目の前のそれは普通の蒟蒻では?」
「春ちゃん、見ちゃ駄目、関わっちゃ駄目よ」
 ある意味、足を止められているという意味では、皆でこんにゃくの罠に掛かっています……?
 清明は改めてそっと、小首を傾げている春和の手を引いて。
 心配を通り越してやはりあぶない約二名と、距離をささっと取ってから。
「それよりほら見て、そこの花の上――仲良し蛍! 可愛いね」
 誰にも入れない、女子ふたりの世界を構築する。
 そんな清明の言葉に春和もこくりと頷き、微笑み咲かせて。
「ええ、これはまた格別な――優しい明かりと彩りは、本当に心を潤してくれる様ですね」
 そう暫し、花の上で寄り添い合う蛍の光を見つめるけれど。
「本当に物語の舞台みたい、だけど――此処は現実、悲しい幕引にはしたくないよね」
「ええ、佳き情景を、実際に悲劇で染める訳には行きません」
 此処に来た目的は忘れず……改めて、成すべきことを互いに心に思うふたり。
 そんなしっとり、完全に二人の世界を築き上げれば。
「んで女子は女子で違う意味でまた塩ー!」
 どう足掻いても塩な女子達に項垂れる伊織に、菊里はこう声を。
「それより伊織、余所見は禁物ですよ。今は情景を楽しみつつも、蒟蒻を楽……罠と迷い路を何とかする時ですからね、はい」
 全く蒟蒻を諦めていない本音が見え隠れしながらも紡がれた言葉に、伊織は返すも。
「ああ女子は勿論だケド、ちゃんと庭にも罠にも気を向けてるし大丈――」
「ほら、早速その木陰にも――謎のこけしが潜んでますね」
「……いや思考もツッコミも追い付かない」
 こんにゃくに並んで謎に吊るされているこけしの姿に、最早ツッコミを入れる気すら起こらない。
 いや、潜んでいるのがこけしや埴輪ならば、まぁともかくなのだが。
 奥の庭に落ちるのは、もう一匹の狐の影。
 ――件の女将にゃ、宛ら夢の通い路か。
 そう蛍に誘われ、悠々と逍遙する様に一人ふらりと。
 闇に紛れ、迷い路へと足を踏み入れた狐は、忍ぶも避けるもお手の物。
 舞い飛ぶ数多の蛍の光に、柔く降り注ぐ星や月の輝き。
 此程の自然光があれば視界は十分、それに風情も満点とくれば。
 夜闇に包まれながらもいっそ光彩を放つ佳景と、子供染みた妙な罠すらも楽しむ様にゆるりと歩んでいれば。
 察するは、先征く気配と……愉快になりそうな予感。
 そしてもう一匹の気侭な狐――佳月・清宵(霞・f14015)は、一層喜色浮かべて仲間入りを。
「何か嫌な予感するしそんな露骨に怪しいモンにゃ引っ掛からな……」
「――よう、良い夜だな?」
 そう気配をわざと断ち、背後からそっと伊織に囁けば。
「っっ!!」
 咄嗟に飛び退いて離れつつも、狐を喜ばせるような大きなリアクションは隠せない伊織。
 いや、叫ばなかっただけ、頑張りました……?
 そしてキッと現れた清宵を見遣り、言い放つも。
「蛍もとい虫の知らせがすると思ったらまたかこのお邪魔虫!」
「邪魔? 寧ろ構ってもらえて嬉しいの間違いだろ?」
 ……どうせまた相手されてなかったんだろ、と。
 図星をつかれ、ぐぬぬっ。
 そんな伊織の様子に、一層清宵は楽し気に笑んで。
「折角の好い光景を前に、あまりに哀れに映ったんでなぁ? まぁ一緒に楽しんでやろうと思ってな――面白可笑しくまんまと罠に嵌まる伊織の面を」
「それ以上口開いたら蒟蒻捩じ込んでやる」
「それよりもほら、手土産だ」
 有難く受け取れ、と。ぽいっと投じられたそれを反射的にキャッチすれば。
「いや、謎のこけしとか、いらないから!」
 謎のこけしは、ひとつじゃありませんでした!?
 それを地面に叩きつける伊織を後目に、春和はいつの間にか現れた清宵に気付いて。
「……あら? 奇遇ですね、佳月様」
「――おや、序でに清宵までいたのですか」
 呑気に振り返りつつも、こう続けるのだった。
 ……嫌だなぁ、俺はちゃんと放置せず相手してあげてましたよ、って。
 伊織が叩きつけたこけしを、面白そう……いや放置するのもと、何気に拾いつつ。
 そんなある意味賑やかな面々を、伊織はぐるりと見回して。
「嗚呼……折角の光景の中でまたこんな悲喜劇なんて……!」
 数多の蛍が舞う中、盛大に溜息を。
 だがそんな様子にも全く構わず、清宵は増えた愉しみに笑み深め、庭と連れを愛でつつも先へと歩みを進めて。
「皆仲良く、そして静かにしないと駄目ですよ」
「もう、喧嘩するならほんとに置いてくからね!」
 相変わらず男性陣には塩な女子達も、気を取り直して仲良く手を繋ぎ、蛍の迷ひ路の奥へ。
 そして菊里も、ゆらり遠くで揺れる提灯の明かりを見遣った後。
 ……ではもう暫し色々と楽しみつつ――蒟蒻のお礼に参りましょうか、と。
 ふふ、と笑みながら、様々な光溢れる夜を。皆と共に、ゆるり歩き出す。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

木常野・都月
【KOR】

迷路か!
とはいえ、何でこんなに。
なんかぶら下がってるし、穴もあるし。

光の精霊様やチィに頼ったら、離れにバレてしまう。
自力で進まないとだめみたいだ。

俺は狐だったから夜目が利くんです。

というわけで、[暗視]で罠を見ながら歩きたい。

夜目が効かない人がいたら、フォローしながら進みたい。

ん?花屋敷さん、俺が盾にならなくても、花屋敷さんも見えてるじゃないですか。
行きますよー。

蛍達、集まってきて綺麗だな。

蛍の光と、花々の匂いと、舞う桜を見ながら歩いていきたい。
ああ、いい匂いだな。
川の音も心地いい。
綺麗でついつい見とれてちゃいます。


城島・冬青
【KOR】

次は迷路ですか
確か迷路は手を壁につけて離れないようにしながら歩くと出口に辿り着くんですよ
この間読んだ漫画に書いてありました!
なのでこの壁…というか生け垣ですね…とにかく壁に手をついて進んでいけば時間はかかりますが必ず出口にたどり着けますよ
はい、手を繋ぎましょう
あの、生まれたての牛とか何ですか…プルプルしてませんよ?

アヤネさんのUCで落とし穴を回避
危なかった
あっ壁から手が離れちゃった…
思ったよりこの迷路は罠が多いみたいなので
手をついて迷路突破は難しいかも
仕方ない
地道に散策しながら進んでいきましょう

さっきは枕投げであまり見られませんでしたが
川のせせらぎと蛍が素敵ですね
のんびり行きましょう


アヤネ・ラグランジェ
【KOR】
なるほどこういう迷路か
用意した電脳ゴーグルをしまう
これに頼るのは風情に欠ける
致命的ではなさそうだし楽しんで行こう

張り切ってるソヨゴの説明に微笑み
さすがソヨゴ
じゃあ僕を連れてって
と手を繋ぐ
落とし穴はUC発動
触手で木にぶら下がって避けるよ
うんそうかもネ
じゃあユーヘイやツヅキの夜目に頼ってついて行くことにしよう
ゆっくり景色でも眺めながら進もうか
こんにゃくは気づいたらソヨゴを驚かせないために触手でそっと除ける
彼女がびっくりした顔を想像してくすりと笑いながら

せせらぎの音
蛍の朧げな光
うん本当に綺麗だネ

何もかもが夢幻の様
こんな幸せな日々が永遠のものであります様にと心の中で祈る


花屋敷・幽兵
【KOR】
ほう…迷路か。というか、殺傷能力は控えめだからアトラクションみたいなものか。
俺のあんしん暗視で安全に…うん、いくか。何故かマスクは付けた方が夜目が利く俺。
何か冬青が面白い動きしとるな。生まれたての牛みたいだ。おーい、そこ足元危ないぞ。
アヤネがまあいくわな…うむ、尊い。牛とか言ってすまなかった。しかしアヤネのアレ便利すぎるだろ。
…何か上から蒟蒻がぶら下がっているが、これはパン食い競争の様に飛びつけという事なのか。
どう思うサクラコ。公式に鍋蓋娘と言われた気分も聞かせてくれ(さり気無くぶつかりそうな物を避ける)
それにしても夜空が奇麗だな。そうは思わんかねオクさん。


日隠・オク
【KOR】
うまく出口までいけるでしょうか
蛍の光が綺麗です
えっと、ここを曲がったら……!
……行き止まりです……。

手をついて歩くと、そうか
いつか出口に、ですね

あ、あの、暗いのに落とし穴というのは……
危なく……
(勘を発揮しつつ避けつつ、蛍に気を取られてあまりつつ

……!
あ、こんにゃくですか……
冷たくて変な感触、です

み、みんなについていきたいと思います
サクラコさんと一緒に……!

空、つい下を見てしまってましたが、はい、とても綺麗な夜空です


鏡彌・サクラコ
【KOR】
迷路!
なんかお化け屋敷みたいでわくわくするでいす!
人魂とか飛んでそうじゃありませんか?
あっ!あれはっ?!
蛍でいす

わわ、大声を出さないように気をつけますねい
ここからは小声でひそひそしましょう

懐中電灯もだめなのですねい
暗くてよく見えませんー

ツヅキさまの後をオクちゃんと一緒について行くでいす

落とし穴に落ちそうになって
あーっ?!
こんにゃくが顔に当たって
ひぃぃっ!!

なんでほかのみなさまは平気そうなのか納得できませんねい

でもアヤネさまの触手は気付いてしまいました
相変わらず仲がいいですねい

ユーヘイさまはどうぞどうぞ
パクッといっちゃってくださいませ!
鍋蓋娘なんて言われてませんから



 見つけた隠し扉をそっと開いて、皆で足を踏み入れた秘密の庭。
 そこに広がる景色は、蛍と桜と星の輝きに満ち溢れた幻想的な世界。
 そしてゆらりゆらりと揺れる提灯ひとつ。
 その灯火までは、一見それほど遠くはないように見えるけれど。
「迷路! なんかお化け屋敷みたいでわくわくするでいす!」
 そう――鏡彌・サクラコ(鏡界に咲く花・f09974)が言うように、奥の庭は迷路になっていて。
 ……人魂とか飛んでそうじゃありませんか? なんて、呟いた矢先。
「あっ! あれはっ!?」
 眼前に、ぼうっと仄か浮かび上がる光。もしかして本当に人魂!?
 いいえ、それは――。
「蛍でいす」
 たまたま一か所に集まった、蛍の光でした。
 それからサクラコは、ハッと周囲を窺う様に見回してから。
「わわ、大声を出さないように気をつけますねい。ここからは小声でひそひそしましょう」
 シーッと人差し指を口元に添えてから、一緒に歩く日隠・オク(カラカラと音が鳴る・f10977)と頷きあって、こくり。
 この秘された奥の庭にやってきたのは、蛍観賞の他に目的があるから。
 けれどそのためには、まずはこの蛍の迷ひ路を抜けなくてはならない。
「うまく出口までいけるでしょうか」
 オクはそうひそひそと小声で呟き、首をこてんと傾けるも。
 蛍の光が綺麗です、と、ゆうらり揺蕩う光を円らな緑色の瞳で追いかけて。
「えっと、ここを曲がったら……!」
 ふと、視線を前へと戻せば。
「……行き止まりです……」
 奥の庭はただ進むだけならば、蛍や星や月などの自然の光でも充分だろうが。
「懐中電灯もだめなのですねい。暗くてよく見えませんー」
 迷路となれば、少し心許ない。
 そんな奥の庭を皆と共に歩きながら、ぐるりと周囲を見回すのは、木常野・都月(妖狐の精霊術士・f21384)。
「迷路か! とはいえ、何でこんなに」
 そう、迷路になっているだけでなく、この奥の庭には、数多くの罠が仕掛けられているというのだ。
「なんかぶら下がってるし、穴もあるし」
 とても、子供染みた類の。
 けれどそれほど危険性は無さそうとはいえ、罠は罠。
 なるべく掛からないよう進みたいところだが、やはりそれを確認するには暗くて。
(「光の精霊様やチィに頼ったら、離れにバレてしまう。自力で進まないとだめみたいだ」)
 けれども、都月は進行方向に瞳を凝らしながらも口を開く。
「俺は狐だったから夜目が利くんです」
 確りと暗視し闇を見据えれば、確認できる罠の存在。
 そしてそんな都月の後について歩くサクラコとオク。
 いや、夜目がきくのは都月だけではない。
「ほう……迷路か」
 夜の闇と一体化しつつも、花屋敷・幽兵(粗忽なダークヒーロー・f20301)も迷路に目をやって。
「というか、殺傷能力は控えめだからアトラクションみたいなものか」
 とはいえ、罠には違いないから。
「俺のあんしん暗視で安全に……うん、いくか」
 確りといつものマスクを装着して臨む幽兵。
 何故かマスクは付けた方が夜目が利くらしい。
 そして、皆の目となって少し先を行く都月の肩をぽむりと叩く。
「都月が先を歩いて盾になってくれるのか。頼もしいな」
「ん? 花屋敷さん、俺が盾にならなくても、花屋敷さんも見えてるじゃないですか」
 そして都月は自分と同じく夜目が利くマスクマンを、行きますよーと促して。
 共に盾……いえ、あんしん暗視で一緒に皆を先導します!
 そんな蛍の光を頼りに進む迷ひ路を一通り観察してから。
「なるほどこういう迷路か」
 アヤネ・ラグランジェ(十二の結び目を解き放つ者・f00432)はそう口にしつつも。
 用意しておいた電脳ゴーグルをしまう。
 ――これに頼るのは風情に欠ける、と。
(「致命的ではなさそうだし楽しんで行こう」)
 アヤネが見つめるのは、何処かきりりと真剣な面持ちで隣を歩く、城島・冬青(六百六十九番目の宿木・f00669)。
「次は迷路ですか。確か迷路は手を壁につけて離れないようにしながら歩くと出口に辿り着くんですよ」
 そして、ちょっぴり得意気に冬青は続ける。
 ……この間読んだ漫画に書いてありました! って。
「手をついて歩くと、そうか。いつか出口に、ですね」
 なるほど、と納得するように頷いたオクに、こくりと頷いてから。
 それから冬青は、早速実践してみることに。
「なのでこの壁……というか生け垣ですね……とにかく壁に手をついて進んでいけば時間はかかりますが必ず出口にたどり着けますよ」
「さすがソヨゴ。じゃあ僕を連れてって」
 そう、張り切っている彼女の説明に微笑んだアヤネが差し出したのは、掌。
「はい、手を繋ぎましょう」
 冬青幽兵は生け垣を触っていない反対の手で、ぎゅっとアヤネと手を繋いで。
 慎重に壁に手を添え、歩んでみれば。
「何か冬青が面白い動きしとるな。生まれたての牛みたいだ」
「あの、生まれたての牛とか何ですか……プルプルしてませんよ?」
 聞こえた幽兵の声に、そう返した――瞬間。
「おーい、そこ足元危ないぞ」
「……!?」
 足元に仕掛けられているのは、落とし穴。
 けれど、同時にふわりと身体が宙に浮く感覚がして。
「アヤネがまあいくわな……うむ、尊い」
 牛とか言ってすまなかった、と幽兵は言いつつも、ふたりを改めて見て。
 そして続ける。
「しかしアヤネのアレ便利すぎるだろ」
 冬青が穴に落ちかけたその時、アヤネが発動させ伸ばしたのは異界の触手。
「危なかった。アヤネさん、ありがとうございます」
 アヤネの触手で一緒に木にぶら下がって落とし穴を避けた冬青はそう礼を言った後。
 ハッと気づくのだった。
「あっ壁から手が離れちゃった……」
 そして、そっと首を傾けつつも呟く。
「思ったよりこの迷路は罠が多いみたいなので、手をついて迷路突破は難しいかも」
「うんそうかもネ。じゃあユーヘイやツヅキの夜目に頼ってついて行くことにしよう」
 ……ゆっくり景色でも眺めながら進もうか、って。
 一緒に再びトンッと地面に降り立ち、冬青と手を繋いだまま、再び歩き出したアヤネだが。
「仕方ない。地道に散策しながら進んでいきましょう」
 そう、手を壁につけて進む作戦を諦めてちょっぴり残念そうな冬青の横顔を見つめて。
 思わず、くすりと笑んでしまう。
 冬青を驚かせないために、さり気にそっと触手でこんにゃくを除けつつも……彼女がびっくりした顔を想像して。
 そんな、子供染みた罠が沢山ある蛍の迷ひ路だけど。
「あーっ!?」
「あ、あの、暗いのに落とし穴というのは……危なく……」
 持ち前の勘を発揮し落とし穴をすかさず避けたオクは、落ちそうになって声を上げたサクラコに瞳をぱちくりさせて。
 今度は一緒に、舞い遊ぶ蛍に気を取られ眺めていれば。
「ひぃぃっ!!」
「……! あ、こんにゃくですか……」
 ――ぺちっ、ぺちり。
 仲良くふたり一緒に、こんにゃくが顔に被弾!
「冷たくて変な感触、です」
「なんでほかのみなさまは平気そうなのか納得できませんねい」
 ぷるんと揺れるこんにゃくをそっとつんつんしてみるオクの隣で、サクラコはそう呟くけれど。
 バシリ、と何気にこんにゃくを退けたアヤネの触手には気付いて。
「相変わらず仲がいいですねい」
 そう、ほっこり。
 それからまた、ぶらんと下がったこんにゃくに当たって、ひぃっ!
「み、みんなについていきたいと思います。サクラコさんと一緒に……!」
 オクはそんなサクラコと共に、頑張って皆について歩いて。
「……何か上から蒟蒻がぶら下がっているが、これはパン食い競争の様に飛びつけという事なのか」
 夜目が効く幽兵は、さり気無くぶつかりそうな物を避けながら、こうサクラコへと意見を求めてみる。
「どう思うサクラコ。鍋蓋娘と言われた気分も聞かせてくれ」
「ユーヘイさまはどうぞどうぞ。パクッといっちゃってくださいませ!」
 そしてふるりと首を横に振って続ける。
 ……鍋蓋娘なんて言われてませんから、って。
 そんな、小声でひそひそ話ながらも、でもやはり賑やかな皆と共に迷路を歩きながら。
「蛍達、集まってきて綺麗だな」
 仄かに照る数多の蛍の光と、咲き誇る花々の匂いと、舞う幻朧桜の花弁。
 それはこの世界の、この季節にしか、見られない景色。
「ああ、いい匂いだな。川の音も心地いい」
 都月は耳に聞こえる水の音に癒されながら、ついつい綺麗なその風景に見とれて。
「さっきは枕投げであまり見られませんでしたが、川のせせらぎと蛍が素敵ですね」
 冬青も澄んだ川のせせらぎに耳を傾け、目の前を横切っていく蛍の光を眺めながら。
 手を繋いでいるアヤネへと視線を向け笑む。
 のんびり行きましょう、って。
 そんな蛍の光に照らされた冬青を見つめながら、アヤネも瞳を細めて。
「うん本当に綺麗だネ」
 ぎゅっと優しくその手を握りしめながら思う。
 ――何もかもが夢幻の様、と。
 そして楽しそうな隣の彼女を見つめたまま、心の中で祈るのだった。
 こんな幸せな日々が永遠のものであります様に、って。
 けれど迷路を照らすのは、地上に瞬く蛍の光だけではなくて。
「それにしても夜空が奇麗だな。そうは思わんかねオクさん」
 ふと視線を上げた幽兵の、マスクの奥の瞳に映る満天の星。
 オクはそんな彼の声に、空、と顔を上げてみれば。
 落とし穴にドキドキ気を取られて、つい下を見てしまっていたけれど。
 蛍の光と混ざり合う様な、夜空いっぱいの星々に気が付いて。
 サクラコと顔を見合せ微笑みながらも、こくりと幽兵に頷く。
 ――はい、とても綺麗な夜空です、って。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

木元・杏
【かんにき】
仄かな灯りの庭にほう、と息をついて
(まつりん(祭莉)のしっぽ掴み)
ままままつりん想像以上に暗い…

でも、目が慣れてきたら
ふわふわする蛍に目を細め
ふふ、何処へ行くの?
灯りの後をついてふらふら迷路へ

ん、大丈夫、怖くない…
(古いこんにゃくふみっ)
…な、なんか柔らかいモノ踏んだ気がする
ぺたっとしてて、ふにふに…

□△○✕※!!!
ガーネット、ナマコがおいでになる!
真琴近づいちゃだめ
まつりん…まつりん?どこ?
も、もしや既になまこに食されて…

ぐるぐるしてたらまつりんの声も聞こえ、ほっとひと息

夜の帷に浮遊する灯、月光が見せた幻想に心が惑わされただけ
息を吸って落ち着いて、皆と一緒に迷路の先を進むね


シリン・カービン
【かんにき】

困ったことに。
夜目の利く私は、落とし穴もコンニャクも見えてしまうのでした。
まあ特に害も無いのなら、邪魔するのも無粋と言うものですね。
今回は皆の最後尾で何も手を出さず、見守りに徹します。

夜闇に融けるような静かな佇まいで皆の後を歩みつつ。
子どもたちの歓声に笑みながら、怪我の無いよう目配りを。
ナマコ… なるほどとその感触に納得。

その一方で目を楽しませるのは蛍の光と幻朧桜のほの明るさ。
闇の中の幻想的な色の競演はこの世界独特のものなのでしょうね。

離れの提灯が次第に大きく見えて来ました。
散策を楽しむのも、もうすぐ終わりですね。
皆との穏やかな時間を過ごさせてくれた、イセノと四狼には感謝を。


ガーネット・グレイローズ
【かんにき】
なるほど、庭はこうなっているのか。
私達がいた部屋は、あの辺だね。
杏、なまこなんてどこにもないぞ?
…そういえばこの子は暗い場所が苦手だったか。
ほら、蛍がいっぱい飛んでる。
綺麗だね。皆と一緒なら、怖くないだろう?

夜桜か…闇の中に咲いていると、日中とはまた違う美しさがあるね。
まるで私達を案内してくれる、道標のようだ。
じっと〈聞き耳〉を立てて川のせせらぎを確かめれば、
離れの場所がわかるかな?
シリンは子供見守り隊の、優しいお姉さん。
…おっと、足元にいるのは真琴のじいちゃんとばあちゃんかな?
案内お疲れ様。
小太刀、それは…こんにゃくにウサミミ!?
これはこれでかわいいの…かな。


木元・祭莉
【かんにき】!

離れがあるんだ?
離れ……土蔵みたいなトコかなあ?
(想像してみる)
……楽しそう?(ぐっ)

わあ、迷路になってるー♪
(尻尾引かれ)
お?
あ、うん。静かに、だね?(誤解の小声)

むにっとした?
どんなのどんなのー?(駆け寄り)
なまこ?
なまこは、きゅっきゅってしてるでしょー?
(歯触り)

落とし穴に落ちてきゃっきゃしたり。
蒟蒻を如意な棒で突き刺したりしながら。
そいえば、去年肝試しに行ったんだー♪
今回は血糊がないから、キレイなままでいけそうー♪

火垂る、ちらちらしてるねー。
金平糖好きかな?
こないだもらったの、お裾分け♪

離れはドッチ?(きいてみた)
ふんふん。アッチ。
あっちだって。行ってみよー♪(野性の勘)


琶咲・真琴
【かんにき】

いつの間かお祖父ちゃんが忍者の服を着てるっ

あ、お祖母ちゃんと一緒に先行してくれるの?
ボクも夜目(暗視)は聞く方だから
手伝うよー

杏姉さん、大丈夫かな?
UCで、いつでも風を起こして大きな声や音をかき消す準備しとこう
今回は炎は出さないよ
灯りでバレちゃうから

お祖父ちゃん達が見つけたこんにゃくトラップはUCのサイキックエナジー使って静かに外してタッパの中へ
落とし穴は皆に知らせて

杏姉さん
なまこは海にいるよ?

大丈夫、大丈夫(手をつなぐ・鼓舞

いや、落とし穴に落ちかけた姉さんに言われても……

まつりん兄さんは虫とも話せるんだ?

シリンさんは
さりげなく落とし穴もこんにゃくも避けてる
さすが猟師…


アドリブ歓迎


鈍・小太刀
【かんにき】

さてさてお仕事の時間だね
ひっそりこっそり迷路を抜け……お祖父ちゃん、ノリノリだね
忍者姿のお祖父ちゃんに思わず笑ってしまったり

庭園へと足を踏み出せば
静かに広がる光の海に思わず目を奪われる
地を空を舞う小さな光の一つ一つに生き物の力強さを感じて
「……綺麗だね」
だからうん
小さな落とし穴に片足突っ込んだのはキノセイキノセイ(そっと誤魔化し

ほらほら真琴も杏も祭莉んも、迷子注意だぞー!
(お姉ちゃんらしさも少しはね?

なまこ?
祭莉んは…食されるというか、食してるね(あはは

うん、なまこも海の仲間、怖くない怖くない
真琴に頷きつつ蒟蒻にそっとウサミミつけて
怖いを可愛いに変えるウサミミ万能説!

※アドリブ歓迎



 隠し扉や秘密の庭、と聞けば、やはりちょっぴりわくわくしてしまうし。
「離れがあるんだ? 離れ……土蔵みたいなトコかなあ?」
 木元・祭莉(とっとこまつさんぽ?・f16554)はそう呟きながらも、脳内でその想像図をふと思い描いてみれば。
「……楽しそう?」
 ぐっと大きく頷き、蛍に負けないくらい瞳をキラキラ。
 そして、皆と一緒に足を踏み入れた奥の庭――蛍の迷ひ路に、思わず声を上げる。
「わあ、迷路になってるー♪」
 けれどふいに、くいっと尻尾を引かれて。
「お? あ、うん。静かに、だね?」
 シーッと人差し指を口元に添え、小声でひそひそ。
 尻尾を握る木元・杏(食い倒れますたーあんさんぽ・f16565)に、こくこくと首を縦に振る祭莉。
 うん、わかってる! と言わんばかりに。
 ……いや確かに、猟兵のお仕事として此処にいる手前、賑やかに声を出すわけにはいかないのだけれど。
 仄かな蛍の光が灯る奥の庭に、ほう、と息をつきつつも。
「ままままつりん想像以上に暗い……」
 杏が双子の兄の尻尾をぎゅうっと握ったのは、思っていたよりもずっと、暗かったから。
 そんな誤解の小声ながらもきゃっきゃ楽しそうな祭莉と、彼の尻尾を握ってぷるぷるしながら進む杏に続いて。
 蛍舞う迷路の庭に入った琶咲・真琴(今は幼き力の継承者・f08611)は、瞳をぱちくり。
「いつの間かお祖父ちゃんが忍者の服を着てるっ」
「さてさてお仕事の時間だね。ひっそりこっそり迷路を抜け……お祖父ちゃん、ノリノリだね」
 ……うん、確かに今の状況に、忍者はぴったりです。
 そんな適応力抜群な忍者姿のお祖父ちゃんに、鈍・小太刀(ある雨の日の猟兵・f12224)も思わず笑ってしまって。
「あ、お祖母ちゃんと一緒に先行してくれるの? ボクも夜目は聞く方だから手伝うよー」
 忍者なお祖父ちゃんとお祖母ちゃんに先を任せ、仄暗い庭をぐるりと見回す真琴。
 そして、そんな子供達を見守りながらも。
「なるほど、庭はこうなっているのか」
 ……私達がいた部屋は、あの辺だね、なんて。
 蛍に照らされた庭の風景を確りと堪能するガーネット・グレイローズ(灰色の薔薇の血族・f01964)の数歩後ろ、最後尾につきながら。
 シリン・カービン(緑の狩り人・f04146)は、ふっとひとつ息をつく。
(「困ったことに。夜目の利く私は、落とし穴もコンニャクも見えてしまうのでした」)
 迷路に仕掛けられた罠も、全部お見通し。
 でもそれらは、命を脅かすようなものでも、大怪我を負う様なものでもないから。
(「まあ特に害も無いのなら、邪魔するのも無粋と言うものですね」)
 先程の枕投げの時の様子は、まぁ置いておいて。
 さすが大人、ちゃんと空気を読みつつも。
 シリンは今回は何も手を出さず、皆の最後尾で見守ることに。
 そんな大人組に見守られつつ、恐る恐る進んでいた杏であるが。
 次第に目も慣れてきて、数多瞬く蛍の光を見る余裕がほんの少しできて。
「ふふ、何処へ行くの?」
 ふわふわ飛ぶ蛍たちに目を細め、ふらふらと誘われるように迷路を進んで。
「杏姉さん、大丈夫かな?」
 そう呟きながらも真琴が発動するのは。ESP。
 敵に気取られぬよう今回は白炎は出さず、いつでも風を起こして大きな声や音をかき消す準備をしつつも。
 ちょいちょいっと手招きするお祖父ちゃん達が見つけたこんにゃくトラップを、サイキックエナジーを使って静かに外しては、タッパの中へ。
 そして見つけた落とし穴は出来る限り、皆に知らせて――は、いるのだけれど。
「……綺麗だね」
 川のせせらぎが耳に心地良く響く程の静寂。
 静けさの中に広がる光の海に思わず目を奪われれば、小太刀の瞳の中にも、仄かな光が溢れて。
 地を空を舞う小さな光の一つ一つ感じるのは、生き物の力強さ。
 ……だからうん。
「小さな落とし穴に片足突っ込んだのはキノセイキノセイ」
 見事に穴の中にずっぽりと嵌った片足を何とか取り戻し、何事もなかったかの様な顔をしてそっと誤魔化しつつも。
「ほらほら真琴も杏も祭莉んも、迷子注意だぞー!」
 そう、お姉ちゃんらしさも少しは見せちゃいます!
「いや、落とし穴に落ちかけた姉さんに言われても……」
 夜目の利く真琴には、しっかり落とし穴に落ちたの見られていましたけれど。
「ん、大丈夫、怖くない……」
 そして随分この暗闇にも慣れてきた杏が、ふとさらに一歩、足を踏み出せば。
 ――ふみっ。
「……な、なんか柔らかいモノ踏んだ気がする」
 そう――それは、ぺたっとしてて、ふにふにな……。
 刹那、瞳をこれでもかと大きく見開いて。
「□△○✕※!!!」
 声にならない謎の声を上げる杏。
「むにっとした? どんなのどんなのー?」
 祭莉はそうきょとりと杏を見つつ、妹へと駆け寄らんとして。
「ガーネット、ナマコがおいでになる!」
 杏がふにっと踏んだそれは――ナマコ!?
「杏、なまこなんてどこにもないぞ?」
「杏姉さん?」
 ガーネットと同時に首を傾げた真琴に、杏はぶんぶんと大きく首を横に振って。
「真琴近づいちゃだめ」
 そう必死に制していれば。
「なまこ? ……わわっ!?」
「まつりん……まつりん? どこ?」
 急に声が上がった瞬間、姿が見えなくなった祭莉に、さあっと血の気が引く杏。
 これは、もしかしたら、もしかして。
「も、もしや既になまこに食されて……」
 なまこに食べられてしまいました!?
 けれど、そうぐるぐるしてた杏の耳に聞こえたのは、なまこに食されたかと思った祭莉の声。
「なまこは、きゅっきゅってしてるでしょー?」
「なまこ? 祭莉んは……食されるというか、食してるね」
 小太刀はそう視線を足元へと向けてから、主になまこの歯触りのことを口にした祭莉に、あははっと笑む。
 なまこに食されたのではなく、駆け寄らんとして落とし穴に落ちてきゃっきゃしている、その姿を見ながら。
 杏はきょろきょろしつつも、とりあえず祭莉がなまこに食されていないことに、ひとまずホッと安堵して。
 ……そういえばこの子は暗い場所が苦手だったか、と。
「ほら、蛍がいっぱい飛んでる。綺麗だね。皆と一緒なら、怖くないだろう?」
 ガーネットがそう杏へと声を掛ければ。
「なまこは海にいるよ。大丈夫、大丈夫」
 真琴もそっと鼓舞しつつ、その手を取って繋いであげて。
「うん、なまこも海の仲間、怖くない怖くない」
「小太刀、それは……こんにゃくにウサミミ!?」
 真琴に頷きつつも、杏が踏んだものの正体――地に落ちていた古いこんにゃくに、そっとウサミミをつける小太刀。
 そう……怖いを可愛いに変えるウサミミ万能説! って。
「これはこれでかわいいの……かな」
 ガーネットはそう、ウサギさんになったなまこ……もとい、こんにゃくを見遣り呟いて。
 蛍が数多飛ぶ夜闇に融けるような。そんな静かな佇まいで皆の後を歩みつつも。
「ナマコ……なるほど」
 賑やかな子どもたちの歓声に笑みながら、シリンも、なるほどとその感触に納得。
 そして落とし穴から脱出した祭莉は、如意的な棒でこんにゃくをぷすりと突き刺したりしながら。
「そいえば、去年肝試しに行ったんだー♪ 今回は血糊がないから、キレイなままでいけそうー♪」
 そうきゃっきゃと、引き続き迷路を楽し気に歩んで。
 その後姿を引き続き見守りつつ、その一方でシリンも堪能する。
「闇の中の幻想的な色の競演はこの世界独特のものなのでしょうね」
 目を楽しませる、蛍の光と幻朧桜のほの明るさを。
 その声に、ガーネットも顔を上げて。
「夜桜か……闇の中に咲いていると、日中とはまた違う美しさがあるね」
 ――まるで私達を案内してくれる、道標のようだ、って。
 そしてひらり舞う夜桜や、仄かに光る蛍たちもそうだけど。
「離れの場所がわかるかな?」
 そうじっと聞き耳を立てて確かめるのは、川のせせらぎ。
 それからふとガーネットは、赤い瞳を下に向けて。
「……おっと、足元にいるのは真琴のじいちゃんとばあちゃんかな?」
 案内お疲れ様、そう真琴の忍者なお祖父ちゃんとお祖母ちゃんにも、労いの言葉を。
 そんな皆のおかげで、ようやく落ち着きを取り戻した杏は、すうっと澄んだ山の空気を吸い込んで。
 ――夜の帷に浮遊する灯、月光が見せた幻想に心が惑わされただけ。
 そう、ぎゅっと祭莉の尻尾を再び握りつつ、皆と一緒に迷路の先へ。
 祭莉はそんな杏や皆と自然の迷路を、あっちかなこっちかな、と歩いて。
「火垂る、ちらちらしてるねー。金平糖好きかな?」
 ……こないだもらったの、お裾分け♪
 こっちの水は甘いぞ、って歌があるくらいだから。
 蛍たちにも、甘い物をお裾分け。
 それから、ふと訊いてみる……離れはドッチ? って。
 そして。
「ふんふん。アッチ。あっちだって。行ってみよー♪」
「まつりん兄さんは虫とも話せるんだ?」
 野性の勘で進む祭莉に、真琴はきょとりとしながらも。
「離れの提灯が次第に大きく見えて来ましたね」
「シリンさんは、さりげなく落とし穴もこんにゃくも避けてる」
 さすが猟師……と、最後尾で難なくひらり罠を躱す様に呟けば。
 ガーネットもそんなシリンを振り返り、そっと笑みを宿す。
 ……シリンは子供見守り隊の、優しいお姉さん、って。
 そして、楽しそうな皆の様子を最後まで見守りつつも。
「散策を楽しむのも、もうすぐ終わりですね」
 シリンはゆれる提灯の明かりを見つめ、そっとこう思うのだった。
 ――皆との穏やかな時間を過ごさせてくれた、イセノと四狼には感謝を、と。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『或る作家の残影』

POW   :    蒼桜心中
【心中用に持ち出した桜の意匠が凝らされた刀】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
SPD   :    心中遊戯
【甘く蕩ける桜色の毒物】【切腹できる桜模様の短剣】【桜の木で首を吊る為の丈夫なロープ】を対象に放ち、命中した対象の攻撃力を減らす。全て命中するとユーベルコードを封じる。
WIZ   :    乱桜吹雪
自身の装備武器を無数の【原稿用紙と乱れ舞い散る桜】の花びらに変え、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

※お知らせ※
 第3章プレイング送信の受付は、【6/17(水)朝8:31】より開始いたします。
 それ以前に送信された分は流れてしまう可能性が高いのでご注意ください。
 追加情報を記載したOPを受付前日までに掲載いたします。
 送信締切等のお知らせは、MS個別ページ等でご確認ください。
●迷ひ路のおわり
 蛍の迷ひ路を抜けた先――明かりの灯った提灯が揺れる離れは、随分と贅沢で豪勢な造りであった。
 その屋上で、悠々と蛍と桜の舞う庭を見下ろし、眺めている作家の姿がひとつ。
「ぷっ、くくく……あははっ、めっちゃうける~っ」
 自分が仕掛けた罠に嵌る侵入者たちの様子を、その男――櫻居・四狼は楽し気に見つめていた。
 猟兵達が奥の庭に侵入していることを、この影朧は気付いていたようだが。
 逃亡するような気配は、今のところはない。
 侵入者を排除する罠よりも、侵入者が嵌った姿が愉快な罠。
 猟兵が此処を目指していると分かっていても、楽しそうに笑むばかりで逃げる素振りは今のところはない様子。
 そう――彼が取る行動原理は全て、これにつきるのだ。
「ふふっ、楽しーいっ」
 そう、今が楽しければ、それでいい。
 そして……この場所も確かに、お気に入りの場所のひとつではあるし。
 甲斐甲斐しく世話を焼いてくれるイセノも、好きではあるのだけれど。
 別に、此処だけに拘っているわけでもなく、他に別荘や隠れ家はいくらでもあるし。
 傍にいる相手も、数多くいるそこそこお気に入りの女のうちの、誰でもいいのだ。
 大切な桜模様の硯箱――『桜の君』さえ、一緒であれば。
「うーん、この蛍の庭の景色は気に入ってはいるし、此処でも、執筆中の大作が完結させられそうにないのは、まぁ残念だけど……でもそれはまた別の場所で書けばいっか」
 それにまだ、納得できる肝心の最終章の心中の演出が決まってないからね――そう作家がぽつりと呟いた、その時。
「櫻居先生。先生のお好きな甘いものをご用意しましたが……何だか先生、楽しそう」
 一通り作家の身の回りの世話を終え、屋上に姿を現したのは、イセノ。
 そんな彼女に、作家はにっこりと微笑んで。
 そっとその肩を慣れた様に抱きながら、甘い声で囁く。
「うん、今夜は特にすっごく楽しい気分だよー。僕とイセノのふたりだけの秘密の庭は、やっぱり最高だね。ふふ、こんにゃくもいつも変えてくれて有難う、おかげですごく面白かったー」
「ふたりだけの秘密の……」
 そう頬を赤らめ、四狼の整った顔をちらりと見上げるイセノ。
 そして……そんな彼女の頭を優しく撫でてあげながら。
 四狼はこう、続けるのだった。
「イセノは頑張り屋さんで、女将のお仕事も一生懸命してて、本当に偉い偉いっ。いつも有難うね。そして……これからも、この宿や庭のこと、よろしくお願いするね」
 そんな作家の言葉や大きくて優しい掌の感触に、ぱっと表情を明るくするイセノ。
「勿論です……! 先生がいついらしても大丈夫なように、いつも手入れしておきますから」
 ――偉い、だなんて。
 もう、いい年の中年である、しかも宿の責任者である自分に。
 そう言ってくれたり、その上、頭なんて撫でてくれるような人は――彼しかいないから。
 そんな彼女の瞳にはもう、美しい蛍の光や桜の花弁さえも映ってはいない。
 自分を見つめる彼の甘いマスクや囁かれる言葉に、イセノはすっかりと酔いしれている。
 けれど、ハッとすぐに我に返ったように瞳を瞬かせて。
「あっ、私……先生にお出しするお茶を持ってくるのを忘れていましたっ、取ってきますね」
 年甲斐もなくほうっとしてしまったことに恥ずかしくなってしまったのか、そう慌てて屋上から室内へと戻らんとするイセノ。
 そう屋上から室内に戻ろうとする彼女に、作家は咄嗟に声を掛けるけれど。
「あ、イセノ、ちょっと今は……」
 何か言いかけてから、少しだけ考える仕草をする作家。
 そして、彼女に聞こえない声で、ぽつりと呟く。
「……うーん、まぁでも、遊ぶ足手纏いになってもだしなぁ」
 そんな彼に、室内へ戻る扉の前で、不思議そうに首を傾げるイセノであったが。
「? 何か今、部屋の中で物音が……? きゃっ」
 彼女は大きく瞳を見開き、驚きの声を上げる。
 離れへと辿り着き、作家のいる屋上へとやってきた、猟兵達の存在にようやく気がついて。
 そんな驚いて固まってしまったイセノを後目に。
 ふと桜色の瞳を細め、作家は……いや、作家で在ったものの残影である影朧は。
 蛍舞い飛ぶ桜の世界の景色をふと見つめてから。
「いらっしゃーい。ふふ、『蛍の迷ひ路』は楽しかった?」
「! 貴方達は……!? いやっ」
 保護しようとする猟兵の手を拒絶し声を上げるイセノとは逆に、やはり愉快そうに。
 けれども、決してひとではもうない妖しいいろを秘めた瞳を細め、続けるのだった。
 ――今宵は色々と刺激的な夜になりそうだね、って。

●マスターより
 戦場となるのは、離れの屋上です。
 障害物は特になく、戦闘を行うに充分な広さもあります。
 蛍の光や月明かりなどの自然光や、ランプも一応灯っているので視界も問題ありません。
 そして、リプレイは屋上に着いたところからになりますので。
 離れへと侵入する手段や経緯は考える必要はありません。
 影朧との戦闘に集中していただいて大丈夫です。
 イセノは屋上に踏み込んだ皆様の傍にいて、屋上の奥に居る影朧から少し離れていますが。
 対応次第では抵抗したり、彼の元へと向かおうとする可能性はゼロではありません。
 影朧は戦闘がはじまれば、イセノにはそう関心はなく、危害を加える事もなければ守る気もありません。
 けれど場合によっては、イセノを唆したりはするかもしれません。
 そしてこの影朧は、まだこの世を楽しみたい、書きかけの作品を完結させたいと思っていますので。
 説得は現段階ではかなり難しいので、撃退する行動推奨です。
 今後のことを考え、イセノに何か声を掛けてあげるのは良いかもしれません。
 その他に関しましては、OPやOP公開時のマスターコメントをご確認ください。
吉瀬・煙之助
理彦くん(f01492)と
まだまだお話を書き足りない、書きたい気持ちは共感は出来るよ
けど……君はもう故人なんだ…
今の世は今を生きる人のものだよ
その人たちにちょっかいかけるのはもうやめよう…?
楽しみたいなら、また来世で…

理彦くんを後ろから援護するよ
銃で【スナイパー】【呪殺弾】【マヒ攻撃】で
作家の動きを妨害する
理彦くんが怪我をしたらUC【白檀の癒し】で回復して【鼓舞】するよ
「理彦くん、頑張って…!」

僕はモノだから…もしかしたら
理彦くんより先に壊れてしまうかもしれない
でも、僕も理彦くんには僕の分まで生きて欲しい…
一緒に死んでしまったら、そこですべて終わりだから


逢坂・理彦
煙ちゃんと(f10765)
貴方の小説が沢山の人に影響を与えてるのはしってるよ。けれどきっとそれは美しい物語だからだと思う。
心中は否定しないけれど現実にはそれ以外の選択肢だってあると思うんだ。

UC【守護者の気質】で煙ちゃんを攻撃から【かばう】
「俺の煙ちゃんに手を出さないでもらえるかな?」
能力が上昇したところで打刀で【早業】【なぎ払い】

俺はいつか煙ちゃんを置いて逝ってしまうけれどそれでもやっぱり煙ちゃんには生きていて欲しいから。君も一緒に死ぬ相手よりも生きる相手を探してみたらどうかな…少なくてもその人はその相手ではないよ。



 迷ひ路の終着点、提灯がゆらり揺れる離れへと足を踏み入れて。
 屋上へと続く扉を開けば……眼前に広がるのは、ふわりひらりと夜空に遊ぶ数多の光たち。
 そして、蛍と星と桜が静かに輝く風景の中、楽しそうな笑み宿す作家――櫻居・四狼の姿がそこには在った。
「僕とイセノの庭、『蛍の迷ひ路』は綺麗で楽しかったでしょ」
 そうくすりと笑む影朧の問いには答えずに、吉瀬・煙之助(煙管忍者・f10765)は口を開く。
「まだまだお話を書き足りない、書きたい気持ちは共感は出来るよ。けど……君はもう故人なんだ……今の世は今を生きる人のものだよ」
 それから横目で、作家へと心配気な表情を宿すイセノを見た後、続ける。
 ――その人たちにちょっかいかけるのはもうやめよう……? って。
「楽しみたいなら、また来世で……」
「生きてるかとか死んでるかとか、そんなの些細な事だよ。要は、楽しいか、楽しくないか」
 作家はそう桜色の瞳を細め、そしてくすりと笑んで返す。
「今、僕はすごーく楽しいよ。でも来世がまた、こんなに好きな事や楽しい事ができるかなんて分かりはしないでしょ。だから、やだ」
 もっと楽しみたいこといっぱいだしーと。
 まるで子供かの様に、聞き分けが悪い作家。
 そしてそんな彼が執着し綴り続け、多くの人の心をも掴んだ美しい死に方。
 理彦はそれを――心中を、否定はしない。
 ……でも。
「貴方の小説が沢山の人に影響を与えてるのはしってるよ。けれどきっとそれは美しい物語だからだと思う」
 ……現実にはそれ以外の選択肢だってあると思うんだ、って。
 愛する者と共に命を終える。それは確かに、魅力的な響きに聞こえるけれど。
 でも、それ以上に思う気持ちがあるのだ。
「俺の煙ちゃんに手を出さないでもらえるかな?」
 煙之助の前に庇う様に立ち、理彦が展開するのは守護者の気質。
 彼を護りたい……その気持ちを、力の糧にして。
 そして理彦が素早く抜き放つのは、使い手の命を縮める朱き月の刃ではなく、蒼き打刀。
「……!」
 そんな薙ぎ払う様に放たれた斬撃に、作家は瞳を見開いてから。
 ふっと妖艶な笑みを宿した刹那、桜の意匠が凝らされた蒼き刀を振るってくる。
 その蒼き桜の刃の斬撃は命中させる事を重視したもので、生じた傷自体は浅いが。
 再び、蒼き二刀が交わらんとする中。
「! わわっ」
 狙い定め、一見古ぼけた火縄銃の引き金を煙之助が引けば、狙い澄まされた痺れる様な呪殺弾が作家へと撃ち出されて。自分を庇う様に立ち続ける彼を、すかさず後ろから援護をする煙之助。
 そして作家が少し慌てたその隙に。
「理彦くん、頑張って……!」
 一生懸命鼓舞するように声を上げつつ、傷を負った理彦を、ふわりと香の匂いで包み込んで癒す煙之助。
 そしてふたりは、同時にその口を開く。
「僕はモノだから……もしかしたら、理彦くんより先に壊れてしまうかもしれない」
「俺はいつか煙ちゃんを置いて逝ってしまうけれど」
 ――でも、僕も理彦くんには僕の分まで生きて欲しい……。
 ――それでもやっぱり煙ちゃんには生きていて欲しいから。
 大切な人と共に死ぬのではなく。
 相手には、自分がたとえ死んでも生きて欲しいと、共にそう思うから。
「君も一緒に死ぬ相手よりも生きる相手を探してみたらどうかな……」
 理彦は煙之助の盾となり、彼の白檀の癒しを受けながらも。
 今度はイセノへとこう紡ぐのだった。
 ……少なくてもその人はその相手ではないよ、って。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

神代・凶津
よう、いい月の晩だな、色男。
あんたの作品は読ませてもらったぜ。
正直、かなり面白かった。
これがただの出会いならサインの一つでも貰いたいくらいだ。
が、悪いがこっちも仕事なんでね。
「・・・貴方をこのままにはしておけません。討滅します。」

イセノの女将の周りに『結界霊符』を貼り結界を展開して戦闘の余波から守るぜ。
悪いが女将、『桜ノ匣庭』の一ファンとしてあの作家先生がこれ以上暴走しないように止めさせてもらうぜ。

敵の攻撃を見切りつつ一気に距離を詰めて妖刀で叩き斬るぜ。
そのまま破魔の力を込めた千刃桜花で斬り刻んでやる。

作家先生、あんたの作品は悪いが『未完』で終わってもらうぜ。


【技能・破魔】
【アドリブ歓迎】


黒鵺・瑞樹
アドリブOK
右手に胡、左手に黒鵺の二刀流

いい歳になったら子供のように褒められる事はそうそうないからなぁ…。
男女の感情があろうとなかろうと嬉しいってのはまぁわかる。でもなぁ…正直こういう男は…理解できない。

イノセは伽羅と陸奥に任せて何も行動させない。

飛刀をできるだけ投擲し、その隙に存在感を消し目立たない様に死角に回り、可能な限りマヒ攻撃を乗せた暗殺のUC剣刃一閃で攻撃。
が、隠密が意味をなさない様なら正面切って斬りかかるのも構わない。
敵の攻撃は第六感で感知、見切りで回避。
回避しきれないものは黒鵺で武器受けで受け流し、カウンターを叩き込む。
それでも喰らってしまうものは激痛耐性、オーラ防御で耐える。


カノン・チェンバロ
攻撃の手段は持っていないので
基本は傷を受けた猟兵の癒しに力を費やして
戦いと影朧(四狼)の事は他の猟兵にお任せ。

イセノが何処にいるのかは見えるから
手があいてる時は様子をちょっと伺っておく。

イセノに声をかけられるタイミングがあったら
ここまで言いそびれていた「ありがとう」を伝えたいな。
蛍の光と月明かり、いたずら心でいっぱいの庭。
この旅館で出会ったものはきれいで楽しくて
心が弾むような歌が浮かんでくる。
女将が知ってるすてきなもので
この旅館ができているんじゃないかな?って。
もっとイセノの好きなものとかを
旅館を通して見聞きしたくなる。

どこまで伝えられるかはその時によるだろうけど…
言える時があればできるだけ。


ヴィオレッタ・エーデルシュタイン
「今まで何回か影朧とは戦ってきたけど…貴方は一番、性悪よ」
右手に拳銃、左手に短剣をもって踏み込むわ。

イセノさんが割り込んでこないように注意しつつ、拳銃で【2回攻撃】
後は敵のユーベルコードを回避したり、短剣で武器受けしつつ、最後の一つだけは拳銃で受け止める。
そしてユーベルコード【因果応報の鏡】

「これは貴方の罪」

【自分の銃】で受け止めたユーベルコードをコピー、72レベル秒後まで発動するわ。

終わった後はイセノさんに声をかけておきましょう。

「このお宿は本当に綺麗。沢山の人が来ていたわね」
「そう、沢山の人が楽しんでいた、”貴女が整えた宿”で。その意味を考えて頂戴」



 蛍が自由に飛び交う姿を、柔く優しく照らす月光。
 そして光満ちる夜空にふわり舞うのは、鬼の仮面――神代・凶津(謎の仮面と旅する巫女・f11808)。
 ……よう、いい月の晩だな、色男。
 そう作家へと声を掛けた後、凶津は続ける。
 ――あんたの作品は読ませてもらったぜ。正直、かなり面白かった、と。
「ふふ、そうでしょ。だって僕、天才な人気作家だもん」
 その子供っぽさやちゃらちゃらした見た目と違い、ラウンジで読んでみた彼の作品の世界は繊細で美しく。
 独自の感性で綴られたその筆力は読者を夢中にすると、確かにそう思ったけれど。
 ――これがただの出会いならサインの一つでも貰いたいくらいだ。
 そう……この蛍灯庵を、凶津や桜が訪れた真の目的は、慰安の為などではない。
 ――悪いがこっちも仕事なんでね。
「……貴方をこのままにはしておけません。討滅します」
 作家を、いや作家で在った残影を滅する為なのだ。
 刹那、イセノの周囲に退魔師御用達の霊符――結界霊符が貼られれば。
 構築されるのは、彼女を戦闘の余波から守る結界。
「!?」
 ――悪いが女将、『桜ノ匣庭』の一ファンとしてあの作家先生がこれ以上暴走しないように止めさせてもらうぜ。
「イセノは僕のだよ。ね?」
 作家はそうにっこりと彼女へと微笑めば。
「櫻居先生……!」
 その甘い言葉に、頬を赤らめるイセノ。
 だが、作家の桜色の瞳は決して彼女を見てはいない。それは口先だけの甘言。
 そして戦場へと解き放つのは、刃と化した原稿用紙と桜の花びらの乱舞。
 けれど、その鋭撃を見切りつつ地を蹴り、一気に距離を詰めれば。
 影朧を叩き斬るべく、破魔の力宿した、名のある銘刀や妖刀に勝るとも劣らない切れ味を持つ刃を振るって。
「……いけ、千刃桜花」
 ――細切れになっちまいなッ!
「……!」
 刹那、はらりと桜の握る無銘の妖刀が花弁と化し、作家を斬り刻むべく襲い掛かる。
 そんな蛍の光に照らされた数多の桜が乱れ飛ぶ中、凶津は四狼へと言い放つ。
 ――作家先生、あんたの作品は悪いが『未完』で終わってもらうぜ、って。
 そして、凶津と桜が影朧の相手をしている間。
 カノン・チェンバロ(ジェインドウ・f18356)は癒しの加護を秘める聖なる光を宿して。
 傷を負った仲間を癒す事に力を費やすべく、立ち回りながらも。
 そっと蛍の光舞い飛ぶ風景に視線を巡らせ、イセノの姿をその瞳に映す。
 今のところ、突然の事に足が竦んで動けないようで、仲間の成した結界に護られている彼女であるが。
 あざとく紡がれる作家の甘い言葉に酔ってしまっていて、いつ彼の元へ行こうとするか分からない。
 そんなイセノに、カノンは言いそびれていたこの言葉を紡ぐ――「ありがとう」って。
「……え?」
 告げられた思いがけない言葉に、驚いたように瞳をぱちくりとさせるイセノであったが。
 カノンは彼女へと笑み、そして続ける。
「蛍の光と月明かり、いたずら心でいっぱいの庭。この旅館で出会ったものはきれいで楽しくて、心が弾むような歌が浮かんでくる」
 そしてふと口遊むのは、わくわくしたりどきどきした楽しいひとときを思わせる、弾む歌声。
 イセノは思わず、聴こえるその響きに、暫し耳を傾けて。
 どこまで伝えられるかは分からないけれど……言える時があればできるだけ、と。
 カノンは自分の歌を聴いてくれた彼女へと、こう紡ぐのだった。
 ――女将が知ってるすてきなもので、この旅館ができているんじゃないかな? って。
 舞い飛ぶ美しい蛍や桜花弁たちも、仕掛け沢山の楽しい悪戯な庭も、美味しいカフェのスイーツも。
 この蛍灯庵で見て感じて来たものは全部、彼女の手で作られて。
 そしてこれまで守られてきた素敵なものだと、カノンはそう思うから。
 だから、尚知りたいって、そう思うのだ。
 ――もっとイセノの好きなものとかを、旅館を通して見聞きしたくなる、って。
 そうカノンが自分の思いを女将へと告げている時。
「今まで何回か影朧とは戦ってきたけど……貴方は一番、性悪よ」
 嘗て作家で在った影朧へと踏み込むのは、ヴィオレッタ・エーデルシュタイン(幸福証明・f03706)。
「性悪? ただ女の子には優しいだけだよ、僕」
 くすりとそう言う性悪な作家の言の葉になんて、当然耳を貸す気もなく。
 丈夫な首吊り用のロープを身を翻して躱し、桜模様の短剣を揺らぎ逸らす刃で受けて。
 最後の一つ――甘く蕩ける桜色の毒物を、敢えて握る拳銃で受け止めるヴィオレッタ。
 そして発動させるのは。
「これは貴方の罪」
「……!?」
 銃で受け止めた作家の心中道具をコピーする、まさに『因果応報の鏡』。
 作家が女性たちへと紡ぐ言葉はまさに、彼自身が放つ甘く蕩ける桜色の液体の様な毒でしかないのだ。
 ヴィオレッタは影朧へと心中道具を見舞いながら、ふと、色の違うふたつの宝珠の瞳をイセノへと向けて。
「このお宿は本当に綺麗。沢山の人が来ていたわね」
 そして何より……訪れた客はみんな楽しそうで、のんびりリラックスしていたから。
 ヴィオレッタはイセノへと、こう告げる。
 ――そう、沢山の人が楽しんでいた、”貴女が整えた宿”で。
 その意味を考えて頂戴、って。
 そんな影朧や女将に、仲間達が声や攻撃を向けている最中。
 黒鵺・瑞樹(境界渡・f17491)は、右手に胡、左手に黒鵺を携え、闇に紛れ立ち回りつつも思う。
(「いい歳になったら子供のように褒められる事はそうそうないからなぁ……」)
 そう褒めてくれるのが想いを寄せる人であれば、きっともっと嬉しいものなのかもしれないし。 
(「男女の感情があろうとなかろうと嬉しいってのはまぁわかる」)
 子供でも、いい大人でも、やはり褒められれば嬉しいことには変わらないというのは、瑞樹にも分かるのだけれど。
「イセノ、もうちょっといい子で待ってね。僕が迎えに行くから」
(「でもなぁ……直こういう男は……理解できない」)
 口先だけの甘い言葉を吐き続け、作った笑顔を宿す作家の姿を見れば、やはり首を傾げてしまう。
 そんな作家の声にこくりと頷いてしまっているイセノに何も行動をさせないように。
 彼女のことは、伽羅と陸奥に任せて。
「……!?」
 瑞樹は飛刀をできるだけ投擲し、作家がそちらに気を取られている隙に。
 存在感を消し目立たない様に死角に回ると、痺れる様な効果を乗せた暗殺の剣刃一閃を影朧へと繰り出して。
「くっ、痛ぁいっ!」
 そう抜かれた蒼き桜の意匠施された刀の斬撃を第六感で感知し、見切って回避するべく身を逸らして。
 追撃の刃も黒鵺で確りと受け止め受け長し、反撃の一撃を逆にお見舞いするべく胡を振るう。
 美しい蛍の光と桜吹雪がはらりと舞う、漆黒の夜闇に紛れながら。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

真宮・響
【真宮家】で参加

おやおや。あの影朧、全くイセノを想ってないね?普通は戦闘に巻き込まないようにその場から逃がすのが普通だろうに。まあ、アタシとイセノはどうやら同年代らしいから分かるが、独り身の立場の身に優しくされると心惹かれるのも分かる。

まあ、イセノの護衛は奏に任せて、アタシはあの影朧に一撃入れるのに専念する。【ダッシュ】で敵に接近、【オーラ防御】【残像】【見切り】で敵の攻撃を凌ぎ、【怪力】でその戯けた顔に炎の拳で一撃いれて、【二回攻撃】【グラップル】で容赦なく追撃で蹴り飛ばす。こういう屑のような男に容赦する必要はない。女の真心を弄んだ報いを受けな!!


真宮・奏
【真宮家】で参加

この状況では、明らかにイセノさんが戦闘に巻き込まれますね。あの影朧がイセノさんを便利な存在としか思ってない証です。猟兵が来るのが分かっている状況なら逃がすのが普通でしょう?・・・イセノさん、貴女は私が護ります。

トリニティエンハンスで防御力を高め、【オーラ防御】【盾受け】【武器受け】【拠点防御】でイセノさんを【かばう】のに専念しながら、イセノさんを諭します。イセノさんを大事に想うなら、明らかに危険な目に遭う戦場に来させませんよね?そして危険からイセノさんを護るのが普通でしょう・・・あの男はその素振りさえ見せません。最初から騙すつもりだったのですよ。その目で確かめてみて下さい。


神城・瞬
【真宮家】で参加

あの影朧、イセノさんを何とも思ってませんね。良く世話してくれたイセノさんを危険な場所に踏み込ませて、護ろうとしないとは。

男として、この影朧は許せません。男は、女性を護るべきです。しかも自分に良くしてくれた相手とならば。イセノさん、下がって下さい。

なるべく【オーラ防御】を展開してイセノさんの前に立って無差別攻撃から護ります。【高速詠唱】【全力魔法】【多重詠唱】【魔力溜め】を併せた氷晶の槍で攻撃した後、【誘導弾】【鎧無視攻撃】【マヒ攻撃】【目潰し】【部位破壊】【武器落とし】で追撃します。女性は弄んでいい存在ではありません。イセノさんの心を踏みにじった報い、受けて貰いましょうか。



 夜の闇を仄かに照らすのは、舞い飛ぶ蛍と柔く降り注ぐ月の光。
「さ、櫻居先生……!」
 突然の出来事に対する驚きでその場から動けないながらも。
 イセノはそう精一杯、想いを寄せる彼へと声を上げる。自分の身よりも、彼の身を案じるかのように。
 その声に、にっこりと整った顔に浮かべた微笑みを返して。
「大丈夫、僕を信じて……ね?」
 優し気な声色でそうイセノへと言った作家だけれど。
 彼の興味は、どう見ても彼女にはない。
「おやおや。あの影朧、全くイセノを想ってないね?」
 真宮・響(赫灼の炎・f00434)はその様子に、そう溜息をつきつつも思う。
 ……普通は戦闘に巻き込まないようにその場から逃がすのが普通だろうに、と。
 そんな、イセノを想っている振りをする作家には呆れてしまうけれども。
(「まあ、アタシとイセノはどうやら同年代らしいから分かるが、独り身の立場の身に優しくされると心惹かれるのも分かる」)
 このような状況下におかれても、いまだ彼へと懸命に視線を向けているイセノの気持ちは、分かる気はするのだ。
 普段、独り身で踏ん張って生きているからこそ。
 そして真宮・奏(絢爛の星・f03210)は戦場と化している周囲を見回してから。
「この状況では、明らかにイセノさんが戦闘に巻き込まれますね」
 そう呟き、小さく首を横に振る。
 ……あの影朧がイセノさんを便利な存在としか思ってない証です、と。
(「猟兵が来るのが分かっている状況なら逃がすのが普通でしょう?」)
 作家は、明らかに自分たちが奥の庭に侵入し、離れへ向かっていることを分かっていた。
 蛍の迷ひ路をゆく猟兵達の様子を、此処から楽しんでみていたのだから。
 そして何が目的で猟兵達が此処に赴いたのかも、気付いているはず。
 それでも作家は、彼女を逃がしたり護ったりする行動は起こさなかったのだから。
 響と同じ様に、奏も改めて思う。影朧はイセノの事を大切に想ってなんかはいないと。
「……イセノさん、貴女は私が護ります」
 だから、自分が護ると。イセノを庇う様に奏が位置取れば。
(「あの影朧、イセノさんを何とも思ってませんね。良く世話してくれたイセノさんを危険な場所に踏み込ませて、護ろうとしないとは」)
 男としてそんな作家の様子は許せないと、神城・瞬(清光の月・f06558)は思う。
 ――男は、女性を護るべきです。
 しかも自分に良くしてくれた相手とならば……と。
 紡ぐ言葉や声色や笑みは一見優しいものに思えるかもしれないが。
 イセノが抱いている自分への好意を分かっていて、あの作家は利用しているにすぎない。
「イセノさん、下がって下さい」
 瞬も守りの気をその身に纏い、イセノの前に立って影朧の無差別攻撃から彼女を護らんと動く。
 奏はトリニティエンハンスを展開し魔力を漲らせ、防御力を高めながらも。守りの気をその身に宿らせ、携える得物で影朧の攻撃に備えつつ、イセノを庇うことに専念しつつも、彼女を諭すように声を掛ける。
「イセノさんを大事に想うなら、明らかに危険な目に遭う戦場に来させませんよね? そして危険からイセノさんを護るのが普通でしょう……あの男はその素振りさえ見せません」
 ――最初から騙すつもりだったのですよ、と。
 そんな奏の言葉に、イセノは懸命に首を横に振る。
「そんなことない、櫻居先生はいつだって私の事を大切にしてくださっているもの」
「僕とイセノの庭に勝手に入り込んできたのは君たちでしょ? いきなり踏み込んでこの仕打ちとか、酷いなぁ」
 ふたりの邪魔をしないでよ、と。
 また甘い言葉でイセノを唆そうとする影朧。
 けれど、あの男の本質を見てくれれば、分かってくれると信じて。
「その目で確かめてみて下さい」
 奏はイセノへとそう言葉を投げて。
 そんな奏に彼女の護衛は任せ、作家へと攻撃を仕掛ける瞬と響。
 瞬が全力を込め、高速且つ多重詠唱し魔力を溜めれば。
「……!」
 ――逃がしませんよ!! 貫いて見せます!!
 氷の結晶の如く透き通った六花の杖を向けた瞬間、作家へと容赦なく襲い掛かるのは氷の槍。
「女性は弄んでいい存在ではありません。イセノさんの心を踏みにじった報い、受けて貰いましょうか」
「僕、別に弄んでなんかないんだけどなぁ」
 そうすっ呆けながらも、影朧は無数の原稿用紙と乱れ舞い散る桜の花びらで、氷の槍に応戦するけれど。
 瞬はさらに、様々な効果を乗せた追撃を放って。
(「まあ、イセノの護衛は奏に任せて、アタシはあの影朧に一撃入れるのに専念する」)
 そう地を蹴り接敵するのは、響。
 作家が放つ蒼き刀の斬撃を見切り、守りの気で防ぎながらも残像で凌ぎつつも。
 ――とっておきの一撃だ!! 存分に味わいな!!
 ぐっと握りしめ怪力と気力を込めた赤熱する拳を、その戯けた顔に叩き込まんと繰り出す。
「わわっ! 僕のイケてる顔にそれはないよ」
 作家はそう咄嗟に響の放った拳を何とか受け止めるも。
「あちちっ……ッ、!」
 ……こういう屑のような男に容赦する必要はない、と。
 受け止めた炎の拳の衝撃に顔を顰めた影朧へと、響は容赦なき追撃を繰り出して。
 思い切り蹴り飛ばし、そして言い放つ。
 ――女の真心を弄んだ報いを受けな!! と。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

オズ・ケストナー
【蛍友】
おとしあな、すごかったねっ
声を弾ませて
おふろ、たしかに
汚れた自分を見下ろして
またおんせん、入れるかなあ

きみがしーちゃんっ
にてる、と思う
とってもたのしかったよ
たおさなきゃいけない相手だとしってるから武器構え

ランゴたちは会ったことがあるんだね
彼に言葉をかけるか迷って、ただ頷く
おっけー、ちからわざっ

蒲公英の歌を歌う
みんながケガをしなくてすむように
原稿と桜は斧で武器受け

反撃は魔鍵に持ち替え
生命力吸収

彼女の嘆きにかなしくなる
イセノがもらった言葉はほんとうだものね
ほんとうのしーちゃんに言われたんじゃなくても
わたしも(そうだった)

うしなうことを責められてもいい

やさしいアヤカの言葉は、とどきますように


終夜・嵐吾
【蛍友】
…あんなに落とし穴があるとは思わんかった…
これはあとで風呂に入らんといかんな
そじゃね、ほっとしにいこ
楽しくはあったんじゃけど、それはあや君とオズ君が一緒だからというのもあるの
ふ、こんにゃくも犯人が分かれば怖いことなどなかったしの!

相変わらず不思議な感じよな
顔は似ておるのに全然違う
ああいうのチャラいと言うんじゃよ
さてしーちゃん、まだかわいい悪さのうちじゃがそろそろ大人しくならんか?

と言ってもそうはならんじゃろし
ここは力技
汝の原稿紙と桜より、わしの虚の方が綺麗なんよ
それに友の桜の方が

オズ君の歌は心に優しく響き
あや君の炎も柔らかく頼もしい
イセノとやらへ、あや君の言葉が響けばよいのじゃが


浮世・綾華
【蛍友】

蒟蒻。ちょっと怖かったのか?
そう思いつつ意外な一面を知れた気がして笑み

あー温泉
また入れるんじゃない
洗うのも、だケド
ほっと癒されるために、頑張ろーぜ

あの人に似てても、違うって分かるから
嵐吾さんの言葉に頷いて

鬼火柔く、向かう攻撃を打ち消すことに集中
オズも、嵐吾さんも。イセノさんも
誰も傷つけさせないように丁寧に炎を向かわせて

好きな人を悪く言われるのはつらいことだ
ぽっとでの俺たちが何を言ったところで言葉が届くとは思わない
それでも

あの人が今ここにいるのは、「おかしい」ことだ
ほんとは分かってるだろ

本物じゃないその人の為になんて死なないで
あんたが本当の櫻居センセーの物語を
大切に残していきなよ



 蛍舞い飛ぶ庭は、どきどきわくわくの迷ひ路。
 その迷路をようやく抜け、離れに辿り着いたオズ・ケストナー(Ein Kinderspiel・f01136)は、声弾ませ笑んで。
「おとしあな、すごかったねっ」
「……あんなに落とし穴があるとは思わんかった……」
 余程穴を掘るのが楽しかったのか。
 作家が掘った穴にうっかり油断しては落ち、土塗れになった終夜・嵐吾(灰青・f05366)は。
 衣についている土を改めて払いながらも続ける。
「これはあとで風呂に入らんといかんな」
 いや、それは嵐吾だけではない。
「おふろ、たしかに」
 オズも土で汚れた自分をキトンブルーの瞳で見下ろし、そして呟く。
 またおんせん、入れるかなあ、って。
「あー温泉、また入れるんじゃない」
 浮世・綾華(千日紅・f01194)はそうオズへとこくり頷きながらも。
 蛍舞う中、既に戦場と化している屋上の様子を見遣り続ける。
「洗うのも、だケド。ほっと癒されるために、頑張ろーぜ」
「そじゃね、ほっとしにいこ」
 嵐吾も綾華の言葉に首を縦に振り、琥珀の瞳で改めてふたりを見遣り思う。
「楽しくはあったんじゃけど、それはあや君とオズ君が一緒だからというのもあるの」
 蛍の迷ひ路を楽しくわいわい進めたのも、共に在ったのが彼らだったから。
 もしひとりでこんなに落とし穴に落ちまくっていたら、きっとうんざりしていただろう。
 それに。
「ふ、こんにゃくも犯人が分かれば怖いことなどなかったしの!」
 ふふん、とそう嵐吾は、灰青の尻尾を得意げにゆらり。
 そんな嵐吾を、綾華はちらりと見て。
(「蒟蒻。ちょっと怖かったのか?」)
 そういえば、声を上げてめっちゃ驚いていたその様子を思い出し、思わず笑んでしまう。
 意外な一面を知れた気がして。
 そう微笑まし気に見つめられていることも知らず。
 嵐吾の琥珀の視線が次に捉えるのは、眼前の影朧の姿。
「相変わらず不思議な感じよな」
 まじまじとその顔を見れば、やはり感じる既視感と違和感。
 そんな嵐吾の声に、オズも作家へと視線を向けて。
「ランゴたちは会ったことがあるんだね」
「僕さ、野郎の顔って覚えられないんだよねー。好みの子の顔なら忘れないんだけどー」
 ね、そこの狐ちゃん、と。
 にこにこと整っているが軽薄そうな笑みを向けられ、嵐吾は肩を竦めてみせる。
「ああいうのチャラいと言うんじゃよ」
「チャラい?」
 こてんとそう首を傾げ、笑み宿す作家を改めて見遣るオズに頷いてから。
 嵐吾は作家へと言葉を投げてみるけれど。
「さてしーちゃん、まだかわいい悪さのうちじゃがそろそろ大人しくならんか?」
「大人しく? やだー」
 そう子供っぽく言った作家を見て、改めて嵐吾は思う。
 ……顔は似ておるのに全然違う、と。
「きみがしーちゃんっ」
 オズは、先程の迷路の途中であだ名を付けていた嵐吾の様子を思い返しながらも。
 やはり目の当たりにすると、思わずにはいられない。
 ……にてる、と思う、と。
 けれど、倒さなきゃいけない相手だと知っているから。
「迷路や落とし穴、とってもたのしかったよ」
「ふふ、僕もめっちゃ楽しかったよー」
 言って得物を握るオズに、作家はそう返し笑む。
 自分の仕掛けた穴に落ちて土塗れな彼らの姿を見つつも。
 そして眼前の影朧の顔を見て思うところがあるのは、勿論綾華も同じ。
 けれどふたりと同じように、分かっているから。
 ――あの人に似てても、違うって。
「今度はどんな仕掛けをして遊ぼうかなー」
 大人しくならんかと言った矢先の、作家の言葉。
「と言ってもそうはならんじゃろし」
 前回会った時やこれまでの彼の言動を思えば、作家に改心する気なんてさらさらない事がわかるから。
 ここは力技、そう紡ぎ構えれば。
 彼に言葉をかけるか迷ったけれど……オズは嵐吾の声に、綾華と共にただ頷いて。
「おっけー、ちからわざっ」
 ぶんっと身の丈ほどもある『Hermes』を空に掲げた後。
 刹那歌うのは、勇気を手に入れたライオンのマーチ――蒲公英の歌。
 君が咲えば僕の胸には勇気の花が咲く……ほら咲いた 獅子の牙持つ春の花、って。
 みんなが、ケガをしなくて済むように。
 そんな春の陽だまりの様な、優しく鼓舞する歌声を聴きながら。
 作家が戦場に舞わせる原稿用紙と桜の乱舞を見据えて。
「汝の原稿用紙と桜より、わしの虚の方が綺麗なんよ」
 ――頽れよ。
 嵐吾が対抗する様に咲かせるのは、嘗て慈しんだ思い出の季節の花々。
 吹雪く数多の花弁と共に戦場へと撒かれるは美しき殺意。
 そして、似て非なる影朧の顔と舞わせる桜を見遣りながら、嵐吾は紡ぐ。
 それに友の桜の方が――と。
 いつも隣で咲くそのいろを、思い返しながら。
 同時に、戦場へと放たれた原稿用紙や桜が、柔い紅に包まれ燃え堕ちてゆく。
 ――ほら、喰らいな。
 戦場に咲いた、緋色の鬼火に焼かれて。
 綾華は襲いくる攻撃を打ち消すことに集中し、丁寧に炎を向かわせる。
(「オズも、嵐吾さんも。イセノさんも」)
 誰も、傷つけさせないように。
「って、大人気作家の僕の原稿燃やすとかーっ」
 そうぶーぶー文句を言っている作家を後目に。
 綾華が視線を向けるのは、作家をひたすら見つめるイセノの姿。
(「好きな人を悪く言われるのはつらいことだ」)
 彼と共に彼女が過ごしてきた時間や交わした言葉、それはきっと沢山で。
 ぽっとでの自分たちが何を言ったところで言葉が届くとは思わない。
 ――それでも。
「あの人が今ここにいるのは、「おかしい」ことだ。ほんとは分かってるだろ」
 綾華はイセノへと真摯に声を投げる――本物じゃないその人の為になんて死なないで、って。
「あんたが本当の櫻居センセーの物語を大切に残していきなよ」
「……本当の、櫻居先生」
 イセノも、本当は分かっているのだ。
 いつまでも若いままの、想い人の姿に。彼がもう、人ではないことに。
 そう黙ってしまったイセノへと、相変わらず作った笑みを向けながら。
 作家は、くすりと桜色の瞳を細め紡ぐ。
「そんなの些細な事にすぎないよ。僕は僕、だもん」
「そう……先生は、いつだって優しいもの。本当の、先生よ。……そうでしょ?」
 彼女を見れば、その声が震えているのを聴けば。
 投げた言葉は確実にその心に届いている。
 けれどイセノはやはり、それを認めたくないのだ。
 そんなイセノの嘆くような声に、オズはかなしくなる。
「イセノがもらった言葉はほんとうだものね。ほんとうのしーちゃんに言われたんじゃなくても」
 そしてぽろりと零れ落ちる――わたしも、と。
 けれどオズは、傷つけるためではない麗ららかな春の魔鍵を、作家へと振るう。
 ……うしなうことを責められてもいい。
(「やさしいアヤカの言葉は、とどきますように」)
 そして、心に優しく響くオズの歌を。
 柔らかく頼もしい綾華の緋色の鬼火を。
 嵐吾はその耳で聞き、その瞳でしかと見届けながら。
 愛しい虚と共に咲かせた花々で、戦場を舞う作家の桜を喰らう。
 ――イセノとやらへ、あや君の言葉が響けばよいのじゃが。
 そう、優しいふたりと、俯く彼女を見遣りながら。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ベイメリア・ミハイロフ
シチカさま(f21761)と

イセノさまのことは、やはり
都合よい何人もの中の一人、でしたのでございますか
イセノさまは、それでも良い、と仰られるやもしれませんが…
わたくし、この櫻居先生とやらのこと、あまり良くは思えません
むしろ、怒りすら覚えます
残念ですが、お退治申し上げさせていただきます

お相手の攻撃は第六感にて見切り
シチカさまもお守りしながらオーラ防御を展開
回避できますようであればお声がけしながら共に回避を
その過程でカウンターも狙い
早業・高速詠唱からの2回攻撃も狙って攻撃を

イセノさまが彼の者を庇うようであれば
気絶攻撃にて当て身を
お目が覚めます頃には、終わらせておきます
全ては夢…だったのでございます


シチカ・ダンテス
ベイメリア(f01781)さんと

ベイメリアさんと同感
庭は綺麗だったけどやっぱりこの人は…
作品と硯箱以外に執着していない
イセノさんを都合よく利用しているに過ぎない

ある意味、お前と一緒だな
コン「たわけ。ワシなら肉を所望する。あの赤い修道女の肉はさぞ美味かろう」
ふざけるな、ベイメリアさんに手を出したら許さないぞ

憎まれ口を互いに叩きながら
オウガ・ゴーストで攻撃を仕掛ける
オーラ防御をしてもらったらベイメリアさんに礼を述べて
残像を生じさせながら懐に入り込み
オウガ化した左手で捕食しにいく

大人の恋なんて分からない
でも硯箱の女性は他の女の人を利用しているアンタを見たらどう思うんだ?

此処で筆を折らせてもらう



 蛍と月の光が仄かに照る中、イセノの瞳には愛しい作家先生の姿しか映っていないけれど。
 影朧と成った彼の桜色の瞳には、彼女の姿は映ってなどいない。
 口から出る言葉や取り繕う様な微笑みは、一見イセノのことを大切に想っているかのように見えるけれど。
 作家の中で重要なのは、ただこれだけ。
 ――今が楽しければそれでいい。
 尽くしてくれて、世話をしてくれる女性が傍に居れば尚の事、好都合。
「イセノさまのことは、やはり都合よい何人もの中の一人、でしたのでございますか」
 ベイメリア・ミハイロフ(紅い羊・f01781)は作家の言動にそう確信し、口にするけれど。
 ちらりと、彼へと心配気な視線を向けるイセノを見て思う。
(「イセノさまは、それでも良い、と仰られるやもしれませんが……」)
 きっと甲斐甲斐しく奥ゆかしい彼女のことだから、見返りを求めてはないのかもしれないし。
 想い人の為になれば、それでいいと、そう言うかもしれないけれど。
「酷いなぁ、そんなに僕って信用ない? こーんなにイセノのこと、好きなのに」
「わたくし、この櫻居先生とやらのこと、あまり良くは思えません」
 ――むしろ、怒りすら覚えます、と。
 ぺらぺらと調子の良い事ばかりしか紡がない作家へと緑色の瞳を向け、そして紡ぐ。
 ……残念ですが、お退治申し上げさせていただきます、と。
 そう怒りのいろを滲ませるベイメリアの声に、シチカ・ダンテス(オウガブラッドの殺人鬼・f21761)も、同感だと頷いて。
「僕とイセノの庭はね、僕の小説の世界を再現したんだよ。美しいでしょ? ね、『桜の君』」
「庭は綺麗だったけどやっぱりこの人は……」
 作品と硯箱以外に執着していない、と。
 イセノではなく、手元の桜模様の硯箱を愛し気に見つめ言った作家の様子を見て、シチカもやはり思うのだった。
 ……この人はイセノさんを都合よく利用しているに過ぎない、と。
 それからふと、シチカは自身の肉を代償に戦場に喚んだオウガへと、青い瞳を向けて。
「ある意味、お前と一緒だな」
 その言葉に、シチカに憑依しているオウガ、コンは青白き炎を成しながらも、こう返す。
「たわけ。ワシなら肉を所望する。あの赤い修道女の肉はさぞ美味かろう」
 女の肉は、とても好きだから。
 けれど、そんなことシチカがさせない。
「ふざけるな、ベイメリアさんに手を出したら許さないぞ」
 そう憎まれ口を互いに叩きながらも、敵と見做す相手へとコンの青白き炎が繰り出されて。
 戦場へとばら撒かれる鋭利な原稿用紙や桜花弁を、第六感を駆使し攻撃を見切りながら、シチカを護るべく、守りの気を漲らせるベイメリア。
「ありがとう、ベイメリアさん」
 シチカはそう防御をしてくれた彼女へと礼を述べてから。
「シチカさま、また原稿用紙が飛んでくるようでございます」
 共に地を蹴り、作家が放つ攻撃を躱して。
 残像を成しながら一気に距離を詰め、その懐へとシチカが入り込めば。
「……!」
 放たれたオウガ化した左手が、敵の身を捕食しにいく。
 さらに素早く高速詠唱され編み出されたベイメリアの連撃が、反撃とばかりに影朧へと繰り出されて。
「おわっ、痛っ! てか、僕がいくら美男子だからって、美味しくないからっ」
 確かに、男のしかも影朧の肉など、コンの好みではないかもしれないけれど。
 好き放題するろくでもない影朧は、躯の海に還ってもらわなければならないから。
 ベイメリアは減らず口を叩く作家を後目に、イセノの様子も窺って。
 心配気でいまにも飛び出しそうな面持ちではあるが、仲間達の保護や妨害で動けぬ姿を見遣って。
 もしも作家を庇う行動を彼女が起こした時の対処も考えておく。
 そして意識を奪うことになれば、起きた時に言ってあげようと――全ては夢……だったのでございます、と。
 シチカも、イセノの姿を見た後、その視線を今度は作家へと向け、彼へと紡ぐ。
「大人の恋なんて分からない。でも硯箱の女性は他の女の人を利用しているアンタを見たらどう思うんだ?」
「『桜の君』と僕は相思相愛だよ。そして一緒に、大作を書き上げて心中するんだ」
 そう返ってきた言葉に、シチカは首を大きく横に振って。
 再び地を蹴り、作家へとオウガ化した左手を叩きつけ、コンの蒼白き炎でその身を燃やさんとする。
 ――此処で筆を折らせてもらう、と。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ジャスパー・ドゥルジー
【狼鬼】
へー、ザザが踏んだ落とし穴はコンニャクの絨毯が敷いてあったわけだ?
センスいいねェ、先生
おかげでひどい目に遭ったわ

偶にはザザと一緒に銃撃戦もいいな
自分をナイフで傷付けた血で【イーコールの匣】
リロードの必要がねェ二丁拳銃を生成しひたすら撃ちまくる
コンニャク弾に気を取られてっと脳天ブチ抜かれるぜ、先生!

なんて言ってたら自分が後頭部にコンニャクを喰らって素っ頓狂な悲鳴を上げちまう
おい、わざとか?わざとじゃなかったら腕なまってンじゃねーの?
意味わかんねーこと言いやがって
しかも痛くもねーしこんなん

ぼやきつついざとなったらイセノを【かばう】ように注意を払っておく
魔弾の射手はノーガードで受けてご満悦さ


ザザ・クライスト
【狼鬼】

「オレ様のカッケェブーツがコンニャクまみれとかありえねェ」

泥はイイのにコンニャクがダメというこだわりがわからねェ?
先生にはお仕置きが必要だなァ

バラライカをぶっ放して【先制攻撃】

「借りは返す主義でな!」

【呪殺弾】はコンニャクで作った手製品、しこたま喰らいやがれ!

手が滑ってジャスパーの後頭部にもヒット

「櫻がオレを惑わせる……」

すっとぼけつつ戦闘を継続
イセノに害が及ばないように注意

「……作品を完結させてェ気持ちは理解できるがな? ちと未練がましィってモンだろ。毎度周囲を巻き込みやがって!」

"牙"を抜く
ジャスパーの肩に傷を刻みながら櫻居先生に【魔弾の射手】

「アンタにゃ覚悟が足りねェンだよ!」



 蛍の光が舞い遊ぶ幽玄の世界をさらに彩る桜花弁。
 そんな幻想的な風景の中、迷い込んだ蛍の迷ひ路を進んで。
 灯るのは、ゆらり揺れる提灯ひとつ……離れへと辿り着いたザザ・クライスト(人狼騎士第六席・f07677)だけれど。
「オレ様のカッケェブーツがコンニャクまみれとかありえねェ」
 地に靴底を擦りつけつつも、ふるりと大きく首を振る。
 泥ならばいいのだ。でも、コンニャクは許せない。
「ぷっ、こんにゃくまみれも泥まみれの一緒でしょ」
 そう思わず笑う作家に、ザザはやれやれと言った様子で口にする。
「泥はイイのにコンニャクがダメというこだわりがわからねェ?」
 ――先生にはお仕置きが必要だなァ、って。
 けれど、そんなコンニャクブーツに顔を顰めるザザに笑むのは、作家だけではなかった。
「へー、ザザが踏んだ落とし穴はコンニャクの絨毯が敷いてあったわけだ?」
 ジャスパー・ドゥルジー("D"RIVE・f20695)はそう揶揄うように笑み宿し、言ってから。
「センスいいねェ、先生」
「いやあ、それほどでもー」
 でも僕って天才ー、なんて上機嫌な作家先生へと言い放つ。
 ――おかげでひどい目に遭ったわ、と。
 そして、カッケェブーツはコンニャク仕様になってしまったけれど。
「借りは返す主義でな!」
 ザザは作家が動くよりも早く、バラライカをぶっ放つ。
 その銃口から放たれる呪殺弾は、悪戯が過ぎる作家先生への特別仕様。
「そんなにコンニャクが好きなら、しこたま喰らいやがれ!」
 そう、コンニャクで作った手製品!
 同時に、ジャスパーの身を染めるのは、燃える様に鮮やかな赤の飛沫。
「偶にはザザと一緒に銃撃戦もいいな」
 握るナイフで躊躇なく己を傷付けたジャスパーが流れ伝い落ちる己の血を用い『イーコールの匣』で成したのは、リロードの必要がない二丁拳銃。
 生成したそれを、ジャスパーはひたすら撃ちまくりながら。
「コンニャク弾に気を取られてっと脳天ブチ抜かれるぜ、先生!」
 そう、ご機嫌にヒャッハー撃ちまくっていたのだけれど。
 ――ぺちんっ。
「ひゃあんっ!?」
 突然、再び悪魔尻尾が思わず跳ねてしまうような、ひやりとした感触が後頭部に!?
「おい、わざとか? わざとじゃなかったら腕なまってンじゃねーの?」
 うっかり手が滑ってヒットした呪殺弾……いや、コンニャク弾に、思わず素っ頓狂な悲鳴を上げてしまったジャスパーは、そう抗議の視線をザザに向けるけれど。
「櫻がオレを惑わせる……」
 そうしれっとすっとぼけつつ、戦闘を継続するザザ。
「意味わかんねーこと言いやがって」
「ぷぷっ……くくくっ、ナイスコンニャクッ」
「しかも痛くもねーしこんなん。先生も何笑ってんだ!?」
 ジャスパーはそう、ザザと作家のふたりにぼやきつつも。
 ちらりと不思議な色合いの瞳で見遣るのは、イセノの様子。
 目の前で怪我でもされたら困るから……一応、と。いつでも庇えるように、確りと。
 そして、ジャスパーに当てておいてなんだけど。
 でもコンニャクは、もうこりごりだから。
「……作品を完結させてェ気持ちは理解できるがな? ちと未練がましィってモンだろ。毎度周囲を巻き込みやがって!」
 ザザは赤き瞳に光を纏い、その"牙"を抜く――敢えてノーガードでご満悦にそれを受けるジャスパーの肩に傷を刻みながら。
「……ッ!」
「アンタにゃ覚悟が足りねェンだよ!」
 宣言通り、ふたりはコンニャクの借りを存分に返す。
 作家へと、9倍になった衝撃をたっぷりと。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

月舘・夜彦
【華禱】
彼は変わらないですね
無邪気さも、人の心を弄ぶような所も
同じ影朧ですから当然なのですが……今回も女性絡みですか

それでも彼は過去の存在、そして人々を脅かす存在
斬らねばなりません
彼女が望まなくとも、悲しもうとも

刀で来るのならば、私も同じ
夜禱にてお相手致しましょう
基本は2回攻撃、攻撃の隙を見て攻撃力重視の早業の抜刀術『風斬』
距離は離さずに打ち込みます

刀による攻撃は見切りにて軌道を確認
武器受け、または余裕があるのであれば残像・見切りより躱してカウンター

影朧は傷ついたり、虐げられた者とも言われています
……彼にもあったのでしょうか
それとも、純粋に書き終えたい思いなのか


篝・倫太郎
【華禱】
女将は保護行動取ってる奴が居るようなら任せる
居ない場合は立ち位置や状態に注意して立ち回り

この愉快犯め……色々仕掛けやがって
引っ掛かってあんたを喜ばす必要ねぇから
回避してきたさ、きっちりな?

ただの女好きって説もあると思うぜ?夜彦

拘束術使用
射程内なのを確認して鎖での先制攻撃と拘束
先制攻撃と同時に
衝撃波と吹き飛ばしを乗せた華焔刀で攻撃
夜彦の攻撃が通り易いように陽動も兼ねて立ち回る
敵の攻撃は見切りと残像で回避
但し、女将に被害が及ぶ可能性がある場合は
その場でオーラ防御で防いで凌ぐ

紫陽花も蛍も綺麗なのに風情がねぇぜ、作家の先生?

影朧に至る理由がなんであれ
還る気がねぇなら無理にでも還すさ、何度だって



 蛍と桜舞う風景の中、辿り着いた離れの屋上で。
 月明かりに照る想い人のことを、ひたすら見つめるイセノの姿。
 けれど想い人の元へ行きたくとも、猟兵達によってそれは叶わない。
 そんな彼女の様子を見遣り、保護を担う仲間に女将は任せながらも。
「この愉快犯め……色々仕掛けやがって」
 そう苦笑し、眼前の作家へと言い放つのは篝・倫太郎(災禍狩り・f07291)。
「ふふ、楽しかったー?」
「引っ掛かってあんたを喜ばす必要ねぇから、回避してきたさ、きっちりな?」
 作家はそう返してきた倫太郎に、むーっと子供の様に口を尖らせて。
「なんだよーノリが悪いなぁ」
 そう、文句を言うけれど。
 ……言うと思った、と取り合わない倫太郎。
 そんな負けじと言い合うふたりのやり取りを見ながら。
「彼は変わらないですね。無邪気さも、人の心を弄ぶような所も」
 前に相対した時とやはり同じような言動を取る作家の様子にそう紡げば。
「ただの女好きって説もあると思うぜ? 夜彦」
「同じ影朧ですから当然なのですが……今回も女性絡みですか」
 そう肩を大きく竦めてみせる倫太郎の様子にそっと笑んでから、夜彦は首を傾けるけれど。
「それでも彼は過去の存在、そして人々を脅かす存在。斬らねばなりません」
 はっきりと、そう口にする。
 彼に想い焦がれるイセノが望まなくとも、悲しもうとも――それが、成すべき事。
 そんなふたりの様子に楽しそうに笑みながらも。
 作家がすらりと抜くのは、蒼き桜の意匠が施された刀。
「刀で来るのならば、私も同じ夜禱にてお相手致しましょう」
 同時に夜彦も、夜天に移す銀の月――曇り無き刃の愛刀に手を掛けて。
「……!」
 刹那、倫太郎がふざけた作家へと繰り出すのは、災いを縛る見えない鎖。
 そして夜彦の攻撃が通り易いように陽動も兼ねて、衝撃波と吹き飛ばしを乗せた華焔刀を大きく振るえば。
 隙の生じた影朧へとすかさず放たれるは、流れる様な早業から繰り出される、抜刀術『風斬』。
 その名の通り風の如く、一気に踏み込んで連撃を見舞って。
「く……っ」
 距離を取らせることを許さず、斬撃を打ち込んでいく。
 そして作家も、狙い澄ました蒼桜の斬撃を繰り出してくるけれど。
 先程の庭の罠と同じ様に、食らって作家を喜ばせる気など決してないから。
「紫陽花も蛍も綺麗なのに風情がねぇぜ、作家の先生?」
 倫太郎はその軌道を見切り、残像を駆使して回避する。
 さらに連携をはかり、反撃の衝撃をふたり見舞うべく刃を放ちながらも。
 夜彦はふと眼前の作家を見据えつつも思う。
「影朧は傷ついたり、虐げられた者とも言われています。……彼にもあったのでしょうか」
 ……それとも、純粋に書き終えたい思いなのか、と。
 そんな夜彦らしい言の葉に、倫太郎は琥珀の瞳を細めてから。
 好き放題してきた作家へと改めて目を遣り、紡ぐ。
 影朧に至る理由がなんであったとしても。
 ――還る気がねぇなら無理にでも還すさ、何度だって、と。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

照宮・篝
【神竜】まる(f09171)と

石門とは楽しかったか?
(彼の頭に残る、握られて角のように残っている髪を見て)
ここからは私が助けるぞ

まるが攻撃に出たら、私は『楽園の土』で「しがらみの糸」を吐く蜘蛛を作ろう(アート)
触れたもの、特にしがらみが強いものを捉える糸を伸ばす蜘蛛だ
【ゴッド・クリエイション】で硬度を人間以上に、周囲にしがらみの蜘蛛の糸を張り巡らせて花弁や原稿用紙を捉えてしまおう
糸が切られても、蜘蛛はすぐに修復する
もし、イセノが何かの理由で糸を破って入ってくる事があろうとも、すぐに気付く事ができるだろう
しがらみの糸に絡まれているのは……誰だろう
影朧になるくらいなら、彼が一番絡まりそうだけれど


マレーク・グランシャール
【神竜】篝(f20484)と

(篝に髪の癖直された後……)

また会ったな、櫻居・四狼
お前は覚えていないだろうがな、こっちは山のように思うところがあるぞ

この原稿用紙と桜の花びらは武器か変化したものか
ならば今は奴の手に武器はないということ

敵の目を惹き付け、邪魔な花吹雪と紙吹雪を退けるのは篝に頼む

俺は左手の手袋の下に刻んだ『金月藤門』の効果(迷彩、残像、フェイント)で敵の目を欺き、気づかれぬ間に『黒華軍靴』(ダッシュ)で一気に間合いを詰める
気づかれたら【大地晩鐘】で下から無数に槍を生やして囲い、地竜の王の顎を食いつかせて足止め
『山祇紙槍』のランスチャージと破魔の力で穿つ

俺には蛍の光より篝の光だ



 蛍と月の光に照る、隣の彼を見上げて。
「石門とは楽しかったか?」
 照宮・篝(水鏡写しの泉照・f20484)はそう訊きながら手を伸ばすも、その答えは聞かずとも明白。
 ピンと立った、マレーク・グランシャール(黒曜飢竜・f09171)の頭に残る、握られて角のように残っている髪を見れば。
 そんな髪についていた癖を直してあげなら。
 ここからは私が助けるぞ――篝はそう彼へと紡いで。
 ようやく髪が元通り直ったマレークは、紫の視線を眼前の影朧へと投げる。
「また会ったな、櫻居・四狼」
「おにーさんとどっかで会ったっけ?」
 そんな彼の言葉に、作家はきょとんと首を傾げるけれど。
 マレークは構わず続ける。
「お前は覚えていないだろうがな、こっちは山のように思うところがあるぞ」
 これまで幾度となく、彼の小説が関わってきた案件を解決してきたふたり。
 他の者が引き起こした事件もあったが、それも全て元を辿ればこの作家が元凶で。
 影朧と成った作家の残影が、自分達のことを覚えていないのも無理はないが。
 現れ、事を起こすのならば――何度でも、倒すのみ。
「僕、野郎の顔は覚えられないんだよね」
 そうマレークへと言いながらも作家が戦場へと放つは、鋭利な原稿用紙と桜花弁。
 けれどそれを確り見遣って。
「この原稿用紙と桜の花びらは武器か変化したものか」
 ――ならば今は奴の手に武器はないということ。
 マレークは篝と視線を合わせ、頷き合う。
 ……敵の目を惹き付け、邪魔な花吹雪と紙吹雪を退けるのは篝に頼む、と。
 そして地を蹴るマレークの背を確りと守る様に。
 篝がその芸術性を駆使し作り出すのは、『楽園の土』で成した「しがらみの糸」を吐く蜘蛛。
 周囲に張り巡らせたしがらみの蜘蛛の糸の硬度を人間以上にして。
 戦場に撒かれる花弁や原稿用紙を捉えていく。
 鋭利なそれらに糸が切られても、すぐに修復可能であるし。
 もしもイセノが入ってくる事があっても、すぐに気付く事ができる。
 そんな万全の支援を受け、マレークは左手の手袋の下に刻んだ月と藤の意匠紋を発揮して。
 糸に気を取られている敵の目を欺き、気づかれぬ内に、空力を利用し機動性を高めた黒い軍用の長靴ももって再び地を蹴って跳躍し、一気に作家との間合いを詰めれば。
「……!!」
 反応を示した作家を地上に突き出る槍で囲い、地竜の王の顎を食いつかせて足止めをはかって。
 ランスチャージと破魔の力を込めた山祇神槍を容赦なく繰り出し、その身を穿つ。
 篝は作家の放つ原稿用紙や桜花弁を、成した糸で絡め取りながらも。
 マレークの大きな背と作家の姿を見つめ、思う。
(「しがらみの糸に絡まれているのは……誰だろう」)
 ふとその赤い瞳が映したのは、作家で在ったものの姿。
 ――影朧になるくらいなら、彼が一番絡まりそうだけれど、と。
 そしてマレークは再び影朧へと、大山祇神の繁茂の力を穂先に宿した槍の鋭撃を放って。
 蛍と桜舞い踊る夜の戦場を駆けながら、篝の支援を背に思う。
 自分を照らすのは、美しい蛍も月も星も霞む程の、神々しく愛しい輝き。
 ――俺には蛍の光より篝の光だ、と。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

クラウン・メリー
【翼】

『蛍の迷ひ路』とっても楽しかった!
俺もお返しにとっておきの芸を見せてあげるねっ!

四狼とイセノの間に立ち
何も入ってないポケットを叩いてスカーフをスルスル取り出し
手を覆い隠すように被せスカーフを取れば沢山の鳩さんが!

イセノ、ごめんね
イセノは四狼のことが大好きなんだよね
でも四狼は……
ううん、きっとイセノならこれからも沢山出会いがあると思うんだ!
――だから笑って!

うんうん!イセノが手入れした庭、とっても綺麗で素敵だったな!

四狼を見せないように鳩さんを爆発させ
少しだけ目を瞑ってて?とイセノに伝える

四狼!書きかけの物語があるのかもしれないけど
これで許してっ
迷路から出てきたら大玉を思い切り振り下ろした


ティル・レーヴェ
【翼】
あゝ、とても楽しき迷い路であったよ
其方も随分楽しそう
ならば此の儘
楽しい遊戯と洒落込もうか

イセノ殿
己を肯定し心地よく包む存在は
甘き世界は離れ難いものじゃろう
そう目の前の世界だけが、真である様に
その気持ち
飼われていた妾には……わかるよ

でも、だからこそ
気付いて欲しい
見て欲しい
少し広げた視界、世界の中に
真に其方を想う人もいる筈だと
数多の一人としてではなくて
貴女だけの人が、必ず

イセノ殿
其方の庭はほんに素晴らしい
蛍の灯りも花もせせらぎも
これは妾の我儘じゃが……
どうかこれからも守って欲しいよ

イセノ殿と四狼の間に立ち
こちらを向かないでと
願う彼の助力になればと

四狼殿
迷い路には迷い路を
其方も迷路を味わって?



 蛍舞う罠がいっぱいの夜の迷路は、どきどきわくわくして。
 ふたり一緒に抜ければ、ちょっとした達成感も。
「『蛍の迷ひ路』とっても楽しかった!」
「あゝ、とても楽しき迷い路であったよ」
 はしゃぐように言ったクラウン・メリー(愉快なピエロ・f03642)の声に、ティル・レーヴェ(福音の蕾・f07995)もこくりと頷いてから。
 ふと顔を上げ、こう紡ぐ。
 ――ならば此の儘、楽しい遊戯と洒落込もうか、って。
「楽しかった? 僕も楽しかったよー」
 くすりと子供の様に悪戯っぽく笑む影朧の姿を、その藤の彩咲く眸に映して。
 そしてクラウンも、楽しかった迷路のお礼に。
「俺もお返しにとっておきの芸を見せてあげるねっ!」
 ――さぁ、楽しいショーが始まるよ!
 四狼とイセノの間に立ち、何も入ってないポケットをぽんっと叩いて。
 スカーフをスルスルと取り出し、手を覆い隠すように被せスカーフを取れば……沢山の鳩さんが!
「わっ、すごいねー!」
 瞳をぱちくりさせながらも言った作家は、そうピエロとしてのパフォーマンスを披露するクラウンに、ぱちぱちと拍手して。
 その間にティルが声を掛けるのは、作家をひたすら一途に想い続けているイセノ。
「己を肯定し心地よく包む存在は、甘き世界は離れ難いものじゃろう。そう目の前の世界だけが、真である様に」
 そしてティルはそっと、彼女へと向けた藤のいろを細める。
 ――その気持ち、飼われていた妾には……わかるよ、って。
 でもだからこそ、ティルはイセノに気付いて欲しい、見て欲しいのだ。
「少し広げた視界、世界の中に、真に其方を想う人もいる筈だと」
 数多の一人としてではなくて。
 貴女だけの人が、必ず……と。
 そんなティルの言葉に複雑な表情を宿しながらも。
「でも……ううん、先生はいつだって優しいもの」
 イセノは自分に言い聞かせる様に、そう首を大きく横に振りながら紡ぐ。
 彼女も、薄々は分かってきているのだろう。大好きな彼が、自分をどう思っているかを。
 クラウンも思い悩むその姿を見つつ、彼女に声を届ける。
「イセノ、ごめんね。イセノは四狼のことが大好きなんだよね。でも四狼は……」
 そこまで言いかけて、言葉を切るクラウン。
 告げるその先は……彼女をきっと、悲しませてしまうから。
 だからクラウンは、イセノへとこう笑ってみせるのだ。
「ううん、きっとイセノならこれからも沢山出会いがあると思うんだ!」
 ――だから笑って! って。
 そんなクラウンの優しさに、ティルも微笑んで。
「イセノ殿、其方の庭はほんに素晴らしい。蛍の灯りも花もせせらぎも」
 そして彼女へと、お願いする。
「これは妾の我儘じゃが……どうかこれからも守って欲しいよ」
「うんうん! イセノが手入れした庭、とっても綺麗で素敵だったな!」
 数多の蛍が星の様に瞬き、季節の花とこの世界でしか見られない桜の花弁が彩る庭。
 そんな庭を守って欲しいと、その風景の只中を歩いたふたりは、心からそう思うし。
「僕からもお願いするよ、イセノ。ずっと僕達の庭、守ってね」
 これは彼の性格であるのだろう。作家もそう、イセノへと告げるけれど。
「勿論です、櫻居先生……!」
 彼がそれを告げてしまえば、その言葉は、彼女を縛る呪いになるかもしれない。
 もう二度と此処を訪れることがない想い人を待ち続けることになるから。
 悪意のない悪……子どもの様なその無邪気さはとても残酷だ。
 けれどやはり、クラウンはイセノには見せたくはない。彼女が悲しむかもしれないことは。
 だから――少しだけ目を瞑ってて? と、そう彼女に伝えれば。
「……きゃっ!」
 刹那、作家の姿を見せぬように鳩さんを爆発させて。
 こちらを向かないでと……そう願う彼の優しさの助力になればと、イセノと影朧の間に立つティル。
 そして、作家が原稿用紙と乱れ舞い散る桜を戦場へと躍らせる中、今度は彼を閉じ込める。
「四狼殿、迷い路には迷い路を。其方も迷路を味わって?」
「……!」
 彼が作った迷路が『蛍の迷ひ路』ならば。
 ティルが成すのは、彼の生命力を吸収し発光する白彼岸花咲く闇で出来た迷路――『彼岸への誘い』。
 そして迷い迷って、作家が出口へと辿り着いた瞬間。
「って! 折角出られた矢先にそれ!?」
 ぶんっと、クラウンは大玉を思い切り振り下ろす。
 ――四狼! 書きかけの物語があるのかもしれないけど、これで許してっ、と。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

四王天・燦
《華恋》

イセノが自身とダブって見える。
アタシもシホを失えない

オーラ防御と痺れの符でマヒ攻撃

イセノの自由意思に賭けるぜ。
彼女に背中を向けておく。
ペン等で刺される覚悟はしてるよ

イセノが事を起こしたら稲荷巫女のお説教。
安直な心中より、二人生き為の行動ならハナマル💮あげる。
憧れで死ぬものじゃない。
アタシもシホと最期まで生きたいからね

四狼よ。
お前の為に事を起こす気概ある女性だよ、向き合えよ。
何かしら感じる感性あるだろ?
小 説 家 な ら

次の猟兵まで二人で話しな。
転生を選んで欲しいとだけ言っておくよ

シホ、クリスマスに再び告白するぜ。
それと―『彼女』は咎人と共に破滅に抗うんだってさ。
死に二人は分かたせない


シホ・エーデルワイス
《華恋》


作品の結末が決まらず困っている四狼さんに閃きが起きるよう【輝喘】を願う

心中に心惹かれるお二人へ伺います

将来
破滅し処刑されるかもしれない咎人へ
女性が愛を告白しました

咎人は彼女の幸せを願い
破滅へ巻き込まない為に断りますが
彼女は心中してでも一緒にいたいと諦めません

どうして女性は他の全てを捨てて
破滅の恋を望むのでしょうか?


何か閃いたら書置きを残してもらい
新聞の広告に掲載させる
次に蘇った時
執筆の助けになれば幸い

何故?
私も…終われない身だから



さっきの告白だけど
今年の12月…私達が初めて言葉を交わしてから1年経つまで待って
それでも気持ちが変わらなければ改めて伝えて欲しい
私もそれまでに答えを出します



 眼前には美しい蛍の光や咲き誇る花々があるというのに。
 イセノが夢中で瞳を向けるのは、只ひとつ……想い人の姿だけ。
 そんな彼女の気持ちが、四王天・燦(月夜の翼・f04448)にはよく分かる気がする。
(「イセノが自身とダブって見える」)
 ――アタシもシホを失えない、って。
 星の様な蛍や桜花弁が踊る中、シホ・エーデルワイス(捧げるもの・f03442)に想いを告げた燦。
 だから、抑えきれないほど愛しい気持ちは否定するつもりはないから。
 イセノの自由意思に賭け、燦は彼女に背中を向けておく。
(「ペン等で刺される覚悟はしてるよ」)
 守りの気を宿しながら、痺れる様な衝撃を乗せた符を、彼女の想い人へと放ちながら。
「! やめて、先生に乱暴しないでっ」
 思わずそう声を上げ、何とかこれまで猟兵達が施してきた妨害の中、もがくイセノだけど。
 燦が刹那彼女へと紡ぐのは、許しと慈悲の精神に満ちたお説教。
 そして、ちゃんと話を聞くべく大人しくなったイセノに、笑んで燦は続ける。
 ――安直な心中より、二人生き為の行動ならハナマル💮あげる、って。
「憧れで死ぬものじゃない。アタシもシホと最期まで生きたいからね」
 それから、軽薄そうな笑み宿す作家へと視線を移す。
「四狼よ。お前の為に事を起こす気概ある女性だよ、向き合えよ」
 ――何かしら感じる感性あるだろ? 小 説 家 な ら。
 そう強調して言う燦に、くすりと作家は笑って紡ぐ。
「イセノのことも、ちゃんと好きだよ?」
 ……ね? って。そう彼女を唆す様な微笑み。
 けれどきっと、彼の言う好きと、イセノが想っている好きの種類は大きく異なるものだろう。
 燦はそれ以上は何も言わず、こう最後に影朧へと告げる。
「次の猟兵まで二人で話しな」
 ――転生を選んで欲しいとだけ言っておくよ、って。
 そしてそんな燦を見つめた後、作家へと青い瞳を向けたシホは願う。
 作品の結末が決まらず困っている彼に閃きが起きるよう、『輝喘』をもって後押しをしながら。
「心中に心惹かれるお二人へ伺います」
 作家とイセノの両方に、シホは訊ねる。
「将来、破滅し処刑されるかもしれない咎人へ女性が愛を告白しました。咎人は彼女の幸せを願い、破滅へ巻き込まない為に断りますが、彼女は心中してでも一緒にいたいと諦めません」
 ――どうして女性は他の全てを捨てて、破滅の恋を望むのでしょうか? と。
「それは、好きな人と一緒にいたいから。好きな人と、最期を迎えたいから」
 先に答えたのは、イセノであった。
 けれどそれはイセノが願っても叶わぬことであるのは……作家の言動をみれば、明白。
 そして作家も興味深そうに思案して、こう答える。
「単純なことじゃない? 破滅する未来がたとえ待っていたとしても、それ以上にその人は、その恋を諦めきれないんでしょ」
 ……燃え上がった想いって、そう簡単に抑えきれないからね、って。
 それから瞳を輝かせ、興奮するように作家は続ける。
「だから、美しい想いを抱いたまま共に死ねる……心中は何よりも美しい、人の最期だよ」
 そして作家はくすりと笑んで、興味深そうにシホに訊ねる。
 てか、何でそんなこと訊くの? と。
「何故? 私も……終われない身だから」
 それからシホは作家に告げる。何か閃いたら書置きを残して欲しいと。
 それを新聞の広告に掲載させて、次に蘇った時の執筆の助けになれば幸いって、そう思ったから。
 シホはそして作家から、燦へと視線を再び戻して。
 蛍と桜が舞う夜に告げられた彼女の想いへと、今できる精一杯の答えを告げる。
「さっきの告白だけど。今年の12月……私達が初めて言葉を交わしてから1年経つまで待って。それでも気持ちが変わらなければ改めて伝えて欲しい」
 ……私もそれまでに答えを出します、と。
 その言葉に、こくりと頷く燦。
 そして改めて、はっきりと今の想いを言の葉にする。
「シホ、クリスマスに再び告白するぜ。それと――『彼女』は咎人と共に破滅に抗うんだってさ」
 ――死に二人は分かたせない、って。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

レジー・スィニ
【爪痕】

えー、何?知り合い?
ジェイにこんな知り合いがいたんだ。趣味悪いね。
友達はきちんと選んだ方がいいよ。
はいはい、分かってるって。やれば良いんでしょ。
報酬はいつもの倍でよろしく。

妖剣解放。
この駒吉は普通の刀じゃないの。
こいつが斬ったヤツらの怨念を美味しくいただく刀。
執念深いでしょ。お前も駒吉の餌になる?

女?ああ、いたの。
怨念を纏わない女には興味ないな。
メール、適当にやっちゃってよ。邪魔なんだよね。
駒吉の餌になってくれるなら大歓迎だけど餌になるわけ?
ならないよね。
駒吉の衝撃波は色んなやつらを巻き込む。

二人とも適当に避けてよ。


メール・ラメール
【爪痕】
ジェイちゃん知り合いだったの?
やめてよ趣味が悪いなんて
一緒にいるアタシまでそう思われたら心外だわ!

殺る気満々ねと茶化して笑って
ふたりともイセノちゃんにまるで興味ないのね
ひどいわ、悲劇にも喜劇にも可哀想なヒロインは欠かせないのに
ねえそうでしょう、作家先生?

ま、アタシも彼女がどうなっても構わないのだけれど!
オトコ同士のお話にオンナが割り込むなんて無粋だとは思わない?
呼び出したダブルで騙し討ち、作家先生とイセノを引き剥がす

アタシが避けたらこの子どうするのよ
仕方ないなあ、傷のひとつふたつ覚悟するかあ
ごめんね、死なせてなんてあげない
恨めばいいわ、憎めばいいわ
それはきっと生きる理由になるでしょう?


ジェイ・バグショット
【爪痕】

よぉ〜、また会ったな作家先生。
目の前の男が覚えているのかなどどうでもいい。
以前会った時、酷い目に遭わされた事を未だに覚えている
俺は意外としつこいんだぜ。
前回も散々鬱憤を晴らしたというのにまだ足りないと言う

今回も好き勝手やってくれたなァ。
たっぷり礼してやるから受け取れや。
語尾にハートでもついてそうな調子だが目は全く笑っていない
おら、行くぞレジー、メール。
慈悲などかけない二人だと分かってるからこそ
敵の末路を想像して口角が上がる

そこの女邪魔だなァ…怪我したくなかったら引っ込んでろよ。
イセノには微塵も興味はなく
メールが抑えてくれんなら助かる

命拾いしたな、お前。
巻き込まれても知らねーから



 星の様に瞬く蛍たちの光の風景に在るのは、ひとりの作家で在ったモノ。
 そして端正なその顔に浮かぶ軽薄な笑みはやはり今回もいけ好かない。
「よぉ〜、また会ったな作家先生」
 ジェイ・バグショット(幕引き・f01070)の声に、一瞬きょとりとする作家であったが。
 わざとらしく大きく首を傾げてみせて、口を開く。
「どっかで会ったっけ? 僕、可愛い子ちゃんの顔しか覚えないから」
 けれど、ジェイにとっては別にどうでもいいのだ。作家が覚えているかどうかなんてことは。  
 作家は覚えていなくても……ジェイは、以前会った時のことを未だに覚えているから。
 散々な景色を見せられ、強烈なトラウマを穿り返され、酷い目に遭わされた事を。
 その後、散々鬱憤を晴らしてお礼参りしたのだけれど。
 ――俺は意外としつこいんだぜ。
 それでもまだ、足りないようである。
 そんな言葉に、メール・ラメール(砂糖と香辛料・f05874)はぱちくりと瞳瞬かせて。
「ジェイちゃん知り合いだったの?」
「えー、何? 知り合い?」
 レジー・スィニ(夜降ち・f24074)もジェイと作家を交互に見遣るも。
「ジェイにこんな知り合いがいたんだ。趣味悪いね」
 ……友達はきちんと選んだ方がいいよ。
 そう、踏んだバナナの皮のことを思い返しつつも、大きく溜息をついてみせれば。
「やめてよ趣味が悪いなんて。一緒にいるアタシまでそう思われたら心外だわ!」
 レジーの言葉に、ふるりと大きく首を横に振って声を上げるメール。
 けれど食えない作家も、黙ってなどおらず。
「ぷっ、いい落とし穴の落ちっぷりだったよね。こんにゃくもどうだった? それにまさか、バナナの皮ですっ転ぶとかー」
 うけるーっと上機嫌にくすくす笑う作家に、ジェイはにこやかな笑みで言い放つ。
「今回も好き勝手やってくれたなァ。たっぷり礼してやるから受け取れや」
 語尾にハートでもついてそうな調子だが……勿論、その目は全く笑っていない。
 そして連れのふたりへと視線を向ける。
「おら、行くぞレジー、メール」
 今回もたっぷり、子供染みた罠の礼をするために。
 それからジェイは、ふと口角を上げる。
「はいはい、分かってるって。やれば良いんでしょ。報酬はいつもの倍でよろしく」
「ま、今度こそ仲良く頑張りましょ!」
 慈悲などかけない二人だと分かってるからこそ……へらへらした作家の末路を想像して。
 刹那、レジーが纏うのは禍々しい妖刀の怨念。
 そして構えるは、斬られた者の怨嗟渦巻く呪われし刀・駒吉。
「この駒吉は普通の刀じゃないの。こいつが斬ったヤツらの怨念を美味しくいただく刀」
 ――執念深いでしょ。お前も駒吉の餌になる?
 そう首を傾けつつ刃向けるレジーの様子に、堪らず声を上げたのは。
「さ、櫻居先生……!」
 作家に恋い焦がれている宿の女将であるイセノ。
「そこの女邪魔だなァ……怪我したくなかったら引っ込んでろよ」
「女? ああ、いたの。怨念を纏わない女には興味ないな」
 けれど、そんなイセノには微塵も興味はない様子で。
 落とし穴とバナナの皮の礼を作家へとせんとするふたりに、殺る気満々ねとメールは茶化して笑ってから。
「ふたりともイセノちゃんにまるで興味ないのね。ひどいわ、悲劇にも喜劇にも可哀想なヒロインは欠かせないのに」
 ……ねえそうでしょう、作家先生?
 そうくすりとメールが視線向ければ。
「むしろ女の子ばっかりの方がいいよ、お嬢さん。野郎はだってほら、コワイしー」
 殺る気満々なジェイとレジーに、そうわざとらしく肩を竦める作家を後目に。
「メール、適当にやっちゃってよ。邪魔なんだよね」
 レジーはメールにイセノを押し付け、そして続ける。
「駒吉の餌になってくれるなら大歓迎だけど餌になるわけ? ならないよね」
 ――駒吉の衝撃波は色んなやつらを巻き込む、と。
 ジェイも、メールが抑えてくれんなら助かる、と。
 相変わらずイセノへの関心など全くない。
(「ま、アタシも彼女がどうなっても構わないのだけれど!」)
 メールはそう思いつつも、散々男どもからスルーされている彼女へと声を掛けて。
「オトコ同士のお話にオンナが割り込むなんて無粋だとは思わない?」
「……えっ!?」
 呼んだのは、色と姿が反転したもうひとりのメール
 そしてダブルで騙し討ち、彼女が作家の元へ行くのを遮り、作家を彼女へと近づかせない。
「野郎と遊ぶ趣味はないんだけどー」
 そう戦場へと影朧が撃ち出すのは、心中道具の数々。
 けれど――イイようにしてやるから大人しく、な? って。
 ジェイが作家の動きを拘束せんと放つは、五点一式の拘束特化型拷問具『従属のウュズミガ』。
「……!」
「二人とも適当に避けてよ」
 さらにそう言いつつも、レジーが駒吉を振るい、衝撃波を容赦なく繰り出せば。
「アタシが避けたらこの子どうするのよ」
 ……仕方ないなあ、傷のひとつふたつ覚悟するかあ、と。
 イセノの前で、放たれる衝撃を肩代わりしてあげるメール。
 そして背中の彼女へと紡ぐ――ごめんね、死なせてなんてあげない、って。
「命拾いしたな、お前。巻き込まれても知らねーから」
「……!」
 ――愛しの彼と共に、美しく死にたい。
 そう願うイセノは、メールやジェイの言葉に大きく目を見開いて。
 恨めばいいわ、憎めばいいわ、とメールは瞳細める。
 ――それはきっと生きる理由になるでしょう? って。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

華折・黒羽
【迎櫻館】

…途中で居なくなっているから
心配しましたよ、千織さん

無事合流出来たあなたへ僅か眉下げて
次いで見据えた先の顔

その姿を見るのは二度目
けれどそんな事はおくびにも出さず
影から屠を成して戦闘態勢をとる

楽しかったですか?
…今度は、俺達の番です

毒など洗い流して
短剣など薙ぎ弾いて
丈夫な縄など切り裂いてしまえ

屠手に駆ける傍らに紬を連れて
先行して敵の攻撃相殺しようと向かう水鉄砲の水玉
この水は蛍たちが集まっていたあの清らかな水だろうか
くるり振り返って得意気な紬にひとつ笑いかけ

さあ、紬
終夜さんと千織さんの駆ける道を作ろうか
いの一番に駆け出して
攻撃の只中へ

終夜さん、落とし穴の仕返しですよ
思い切りどうぞ


橙樹・千織
【迎櫻館】

あらあら、ふふふ
ご心配お掛けしました、合流できて良かったです
自分は迷子に慣れているけれど驚かせてしまったと

あら…へぇ、彼が
初めて対面する敵は見知った顔と瓜二つ

悪戯も程々に
限度を超えたならもう見過ごすことはできません
そうね、例えば…
女性の想いを弄ぶのは見過ごせませんね
ふわり、笑っていた表情が消え
橙に冷えた金の色彩が過ぎる

イセノさんが戦場に入ってこようとするならば催眠術で眠っていただきましょう

さぁ、仕返しと参りましょうか
破魔と祈りを込めて歌唱
共に駆ける彼らを護るように

何時までも遊んでいられると思わないで
毒・短剣・ロープは衝撃波でなぎ払い
麻痺の呪詛を込めた刃を傷を抉るように叩き込む


空・終夜
【迎櫻館】
千織、怪我ない…な?
よかったな…安心だ…

視線を移すは敵の顔
見知った奴によく似ている…
そいつと何か縁のある奴なのだろう
ぼんやり考える

…女心を掌で転がしたり、罠を仕掛けたり忙しい奴だ
だが
見過ごせないという事だから…
こっから先は仕置きの時間

首飾りの鋭い部分で掌を裂く
溢れる血が己の武器

イセノは千織に任せ
先駆ける黒羽の動きに合わせて動く
蜘蛛足刃を手足のように操り
敵の攻撃は武器受けで切り裂いてカウンター

ああ、愉快な戯れの礼だ
たっぷり、楽しめよ…?

黒羽の合図で飛び出し
敵を蹂躙するように豪快に刃を降らせた
それはまるで好戦的な蜘蛛のように容赦はしない

――遊びは、これで…終わりだ…



 そのうち合流できるとは、思ってはいたけれど。
 ゆうらり揺れる蛍の光の景色の中で見つけた顔に、やはりホッとしながら。
「……途中で居なくなっているから心配しましたよ、千織さん」
 華折・黒羽(掬折・f10471)は、普段と変わらぬふわりとした笑み宿しやって来た橙樹・千織(藍櫻を舞唄う面影草・f02428)に言って。
「千織、怪我ない……な? よかったな……安心だ……」
 空・終夜(Torturer・f22048)も、とろんとした緑色の瞳に彼女の無事な姿を映し、こくりと頷く。
 ……いや、自分は迷子に慣れているのだけれど。
「あらあら、ふふふ。ご心配お掛けしました、合流できて良かったです」
 ふたりを交互に見つつも、千織は思う。驚かせてしまったと。
 黒羽はそんな彼女へと僅か眉下げてから。
「ふふ、蛍の迷ひ路はどうだった? 楽しかったー?」
 次いで見据えたのは、そう愉快気に紡いだ先の顔。
 ……その姿を見るのは、初めてではない。黒羽にとっては二度目。
 そして、その容姿に思うところはあれど。
 そんな事はおくびにも出さず……影から成し構えるは、宿主に依存し共存する黒剣。
 屠を握り戦闘態勢を取る黒羽の視線を負い、千織も微か首を傾ける。
「あら……へぇ、彼が」
 千織は眼前の作家とは初めて対面するけれど。
 橙の瞳に映した影朧は、見知った顔と瓜二つ。
(「見知った奴によく似ている……」)
 終夜も、そうこてんと首を傾けるけれど。
 この世界へと導いた満開桜を思い返しながら、ぼんやり考える。
 ……眼前の敵はそいつと何か縁のある奴なのだろう、と。
 そんな自分のことをそれぞれ見つめる3人に、作家は桜色の瞳を細めて。
「もー、折角僕とイセノのふたりだけだったのに。もっと罠仕掛けておいた方がよかったかなー?」
 似た顔した見知った者とは全く印象の違う笑顔を宿す。
「面白かったでしょ、落とし穴とかこんにゃくとか」
「……女心を掌で転がしたり、罠を仕掛けたり忙しい奴だ」
「楽しかったですか? ……今度は、俺達の番です」
 そう言った黒羽に、終夜も同意する様に頷いて。そして、紡ぐ。
 見過ごせないという事だから……こっから先は仕置きの時間、と。
 そんな黒羽や終夜の言葉を後目に。
「悪戯も程々に、限度を超えたならもう見過ごすことはできません」
「貴女みたいな美人なお姉さんに見過ごされないのは僕、嬉しいなー。ねぇ、今度デートしない?」
 へらりと冗談めかして言った作家に、千織はこう続ける。
「そうね、例えば……女性の想いを弄ぶのは見過ごせませんね」
 折角ですけどお断りします、と。
 瞬間、ふわりと笑っていた表情が消え失せ、橙に冷えた金の色彩が過ぎる。
「僕、女性には優しいんだけどなぁ」
 ね、イセノ、と。作家がそう端正な顔に笑み宿し言えば。
「櫻居先生……!」
 想い焦がれる彼へと視線を向けるイセノ。
 他の猟兵が施した足止めで、今のところその様子はないものの。
 もしも彼女が割って入ってこようとするならば、催眠術で眠らせる手筈も用意しながら。
 千織は、破魔の力と祈りを込めて歌唱する。
「さぁ、仕返しと参りましょうか」
 共に駆ける彼らを護るように。
 刹那、戦場に放たれるは、心中という美学に執心する作家が放つ自殺道具の数々。
 それと同時に……流麗に綯え、と。黒羽が喚んだのは。
 ――出ておいで、紬。
 水羽衣揺蕩わせた、小さな勿忘草色の水の精霊。
 そんなあたたかな泡沫の調が甘い毒を流して。
 握る屠をもって、桜模様の短剣を薙ぎ弾いて、首吊り用の丈夫な縄さえも切り裂く。
 そして屠手に駆ける傍らに紬を連れて。
 先行し向かった水鉄砲の水玉が、敵が放つ衝撃を相殺する中、黒羽は思う。
(「この水は蛍たちが集まっていたあの清らかな水だろうか」)
 ……見て見て、って。
 そう、くるり振り返ってはえっへん得意気な紬に、ひとつ笑いかけながら。
 そして頼もしい精霊に、こう声を掛けた瞬間。
「さあ、紬。終夜さんと千織さんの駆ける道を作ろうか」
 いの一番に駆け出して、果敢に飛び込む攻撃の只中。
 イセノへの対応は千織に任せて。そして黒羽の動きに合わせ、動かんと。
 終夜が首飾りの鋭い部分で裂くは、己の掌。
 赤が滴り、赤に染まる……そんな溢れる血が、終夜の得物だから。
 ――啜れ、罪の血を……。
 血で創り上げた拷問具――蜘蛛の足の如き6本の刃を手足のように操り、終夜は飛んでくる心中道具を受け止め切り裂いて。
「……!」
 逆に、反撃の衝撃をお見舞いせんとする。
「何時までも遊んでいられると思わないで」
 千織もいつもは見せない、引き締めた様な表情で言ってから。
 衝撃波を繰り出し、心中道具を薙ぎ払って。傷を抉るように敵に叩き込むは、麻痺の呪詛を込めた刃。
 そして、満を持して。
「終夜さん、落とし穴の仕返しですよ」
 ――思い切りどうぞ。
「ああ、愉快な戯れの礼だ」
 ――たっぷり、楽しめよ……?
「! 全然それ楽しくないしっ」
 黒羽の合図で飛び出した終夜は、そう声を上げる作家へと先程の仕返しを。
 まるで好戦的な蜘蛛のように容赦なく、敵を蹂躙するように豪快に降らせた刃で。
「く……ッ」
 そして楽し気な笑みの消えた作家で在った残影に終夜は告げる。
 ――遊びは、これで……終わりだ……、って。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ロカジ・ミナイ
有ちゃん/f00133

出たなロクデナシ!
カーッ!めちゃくちゃ色男じゃねーか!ムカつく!
今度は年上の健気な別嬪かい
この節操なしのすっとこどっこい!

僕も惚れっぽい男ではあるけども
せめてその夜いっときでも
目の前の女だけは全力で愛する心意気でいる

…でもモテるのはああいう男なんだろ
女将さんも縋って庇うのかね?
溜息が出ちゃうな

女の敵は僕の敵
成敗してくれる
有ちゃん手伝っておくれ
僕の血が一滴二滴落ちりゃ、たちまち悪い子に雷が落ちるんだよ

ねぇ、女将さん
騙されてもいい相手じゃなくて
騙されてくれる相手を探しなよ
道化になれる男はホンモノよ

…ん?女将さんの気持ちが分かるだって?
ほらね、だからこういう男は嫌いなんだ!


芥辺・有
ロカジ/f04128

よくそんなに悪口浮かぶな
……まあロクデナシってのはそう思うよ、ほんと
迷路だのガキじみた仕掛けだのばっかしてさ
めんどくさいったらなかったし
まあ、生憎、楽しませるようなことはしたかないんでね
さっさと退散しておいでよ、色男

なんだ、作家先生みたいのがモテんのかい
確かにコロコロと違う女連れてるもんね
……まあ、人のシュミに口出す気もないけど
庇うのはオススメしないかな
そこの奴が成敗する気みたいだし

手伝いね、はいはい
……烏でいいかい
とはいえロカジが気張ってくれりゃこっちは楽で助かるんでね
頑張ってよ

イセノだっけ
まあ、気持ちはわからないでもないけどね……
そっちの奴のアドバイスも聞いてあげたら



 蛍と桜舞う美しい夜の空に響くのは。
「出たなロクデナシ! カーッ! めちゃくちゃ色男じゃねーか! ムカつく!今度は年上の健気な別嬪かい」
 ――この節操なしのすっとこどっこい!
 そう捲し立てるように繰り出される、ロカジ・ミナイ(薬処路橈・f04128)の渾身の悪口!?
「よくそんなに悪口浮かぶな」
 そんな地団駄踏む勢いで紡がれる言葉に、芥辺・有(ストレイキャット・f00133)はそう言うけれど。
「……まあロクデナシってのはそう思うよ、ほんと。迷路だのガキじみた仕掛けだのばっかしてさ、めんどくさいったらなかったし」
 子供染みた罠の数々を思い返し、気だるげに溜息をついてから。
 改めて眼前の作家へと金の瞳を向け、続ける。
「まあ、生憎、楽しませるようなことはしたかないんでね」
 ……さっさと退散しておいでよ、色男、って。
「つれないなぁ。でもそんな別嬪さんも好きだよ、僕」
 そう明らかに自分に興味無さそうな有にも、隙あれば甘い言葉を投げんとするロクデナシに。
 ロカジ曰く同族ながらも、でも明らかに違うという気概を紡ぐ。
「僕も惚れっぽい男ではあるけども、せめてその夜いっときでも、目の前の女だけは全力で愛する心意気でいる」
 けれど、苦笑してこうも続ける……でもモテるのはああいう男なんだろ、って。
「なんだ、作家先生みたいのがモテんのかい。確かにコロコロと違う女連れてるもんね。……まあ、人のシュミに口出す気もないけど」
「女将さんも縋って庇うのかね? 溜息が出ちゃうな」
 けれどやはり、女将の瞳には色男でロクデナシな作家先生の姿しかないようだから。
 ――女の敵は僕の敵、成敗してくれる。
 そう盛大に息をついて見せた後言ったロカジを横目に見てから。
 有はイセノへと視線を向けて。
「庇うのはオススメしないかな、そこの奴が成敗する気みたいだし」
「有ちゃん手伝っておくれ」
「手伝いね、はいはい。……烏でいいかい」
 ――鳴け。
 刹那、有が戦場に喚んだ烏が黒き炎を繰り出せば。
「とはいえロカジが気張ってくれりゃこっちは楽で助かるんでね、頑張ってよ」
 そう言った有に、ニッと笑って見せて。
 ロカジは赤を獲物に赤を滴らせる。
「僕の血が一滴二滴落ちりゃ、たちまち悪い子に雷が落ちるんだよ」
 桜の意匠施された刀を振るってくる女の敵に、雷電でビリビリと仕置きするために。
「っ、もうー! 痛いんだけど……っ!」
 そして、そう情けない声を作家がだしている隙に。
 ロカジはイセノへと、こう恋の手ほどきを。
「ねぇ、女将さん。騙されてもいい相手じゃなくて、騙されてくれる相手を探しなよ」
 ――道化になれる男はホンモノよ、って。
「私は……騙されて、なんか……」
 少し自信なさそうながらも尚、そう呟くイセノに、有はちらりと視線を投げて。
「イセノだっけ。まあ、気持ちはわからないでもないけどね……」
 ……そっちの奴のアドバイスも聞いてあげたら。
 そう紡げば、ピクリと反応を示すロカジ。
「……ん? 女将さんの気持ちが分かるだって?」
 そして、さらに血を一滴二滴滴らせて。
「いやぁ、ほんと僕みたいなモテる男って辛いよねー……って!」 
「ほらね、だからこういう男は嫌いなんだ!」
 ロクデナシ野郎へと色々な感情を乗せて、再び雷電纏った刃を全力で叩きつけるのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

国栖ヶ谷・鈴鹿
【ナハトさん(f01760)と】

【決戦】
イセノさんをこのままにしておくわけにはいかないけれど……。
影朧がイセノさんを唆すようなことがあれば、これを使った方が良いかな。
(マガジンを取り替えて)

ナハトさんがイセノさんにあたっているなら、ぼくは影朧にあたっておくよ。
刀による近接攻撃なら、ぼくの戦術掃射で牽制も出来る、特に作家さんのような情念の力を基にするのなら、ぼくの弾丸は精神に効くからね。
(同時にそれは肉体を傷つけず、心に巣食う妄執にも有効な手だね……)

影朧に問いかけてみる。
「姿形は似てるけれど、あなたもイセノさんが見たいと思った幻なんでしょ?本当は、この蛍の宿の物語を演じる影法師じゃない?」


ナハト・ダァト
【国栖ヶ谷(f23254)】クンと同行

作家ハ助手クンに任せたヨ

接敵後、女将と共に自身は七ノ叡智で作り出した空間へ移動
戦場には通信機能を持ったへその緒を残し、外部との連絡経路を保つ

適材適所だネ

空間に保護した女将へ問いを投げかける

宿ハ何故
宿ト呼ばれル様ニなったのかネ
君だけガ、宿ト呼ぶなラ
好きニしたラ良イ

だガ、訪れタ者達ガ
君ガ営む場所ヲ、ソウ呼んでいル

初心ハ、大切ダ
だガ、先デ得た物モ
君ノ一部
捨てル事ハ、容易いガ
得ル苦しみモ知らずニ捨てル事ハ、異を唱えるヨ

投げかけた後、女将を空間に残して戦場の援護へ

待たせたネ、助手クン

原稿用紙や桜吹雪は、召喚した神樹で払いのける

過去ハ、過去ダ
ソレ以上モ以下モ無いヨ



 蛍の光と桜花弁が舞う迷路を抜けて。
 やって来た離れに在るのは、作家の影朧と彼に恋い焦がれる宿の女将。
「イセノさんをこのままにしておくわけにはいかないけれど……」
 国栖ヶ谷・鈴鹿(未来派芸術家&天才パテシエイル・f23254)は影朧をただひたすら見つめている彼女へと、ちらりと視線を向けてから。
(「影朧がイセノさんを唆すようなことがあれば、これを使った方が良いかな」)
 マガジンを取り替えた後、共にこの場へ赴いたナハト・ダァト(聖泥・f01760)へとその瞳を移す。
 そんな自分の姿を映す瞳に、言の葉を返すナハト。
「作家ハ助手クンに任せたヨ」
 刹那、外部との連絡経路を保ちながら、展開した七ノ叡智にてイセノを光のゲートへと吸い込まんとするけれど。
「! ……いやっ!」
 イセノに抵抗されて、作り出した空間へ移動は叶わなかったけれど。
 幸い、影朧はイセノには興味はない様子であるし。
 ナハトがイセノにあたっているならば、自分は影朧にあたっておく、と。
 敏腕助手らしく戦術掃射で牽制しながら、ナハトとイセノが話をすることを邪魔されないよう動く鈴鹿。
 それに。
「……!?」
「特に作家さんのような情念の力を基にするのなら、ぼくの弾丸は精神に効くからね」
 同時にそれは肉体を傷つけず、心に巣食う妄執にも有効な手だね……って。
 展開し、作家へと見舞うのは『超攻葬送掃射乱舞』の特級射撃術!
 肉体ではなくその心を攻撃する一撃は、感受性の強い作家で在ったには、まさにうってつけと言えよう。
 そんな助手の立ち回りを見届けてから。
 ナハトは彼女の身の安全に気を配りながらも、こうイセノへと問い掛ける。
「宿ハ何故、宿ト呼ばれル様ニなったのかネ」
「……え?」
「君だけガ、宿ト呼ぶなラ、好きニしたラ良イ。だガ、訪れタ者達ガ、君ガ営む場所ヲ、ソウ呼んでいル」
「……」
 女将であるイセノにとって、この宿を訪れた者……客は、何よりも大切な存在であるから。
 ナハトの声に言葉を切り、俯くイセノ。
 そんな彼女に、ナハトは続ける。
「初心ハ、大切ダ。だガ、先デ得た物モ、君ノ一部。捨てル事ハ、容易いガ」
 ――得ル苦しみモ知らずニ捨てル事ハ、異を唱えるヨ、と。
 そして大人しくなった彼女を、比較的安全な場所へと移動させて。
「待たせたネ、助手クン」
「ナハトさん!」
 影朧が撒き散らした鋭利な原稿用紙や桜吹雪を、召喚した神樹で払いのけて。
 鈴鹿はふと、影朧に問いかけてみる。
「姿形は似てるけれど、あなたもイセノさんが見たいと思った幻なんでしょ? 本当は、この蛍の宿の物語を演じる影法師じゃない?」
「んー? さぁ、どうだろうねー」
 そう楽し気にくすりと笑む、嘗ては作家であった残影に、ナハトは紡ぐ。
「過去ハ、過去ダ」
 ――ソレ以上モ以下モ無いヨ、と。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

橘・尊
弧檻(f18243)と一緒

WIZ

幻想的な景色をまだ見ていたかったけれど、そうもいかないらしい

目前の敵に集中しなくては
孤檻の攻撃と同時に【式鬼・召喚】を発動

請い願う…焔狐、沝狐…いけ

戦闘が始まれば女将さんが危ない。あの感じでは俺達の言葉には耳を貸さないだろうし
何かあった時の為に、いつでも動ける状態にしておく

敵の攻撃には【第六感】と【野生の勘】で対応

悪いけど先生、この場所から立ち去ってもらおう

(アレンジ大歓迎です)


鬼灯原・孤檻
【POW】

橘・尊(f13751)と一緒。

女将は…、自分では上手くたしなめられる気がしないから、出来る人に任せよう。
俺はただ、生者を誑かす影朧を斬るのみ。

「意匠…桜か。――美しい刀だ」

桜が好きなのだろうか。
だが、それを心中に使うなどとは、理解に苦しむ。それは桜を血に染めるような行為だ。
敵の攻撃に応じて斬り返す。いずれ自死をも招く刀に、負ける気はない。
太刀筋を読んで、懐に一太刀を浴びせる。

<改変アレンジ歓迎>



 作家とイセノのふたりが作り上げ、彼女が守ってきた庭を抜けて。
 やって来た屋上に在るのは、蛍と桜が舞い踊る風景に在る影朧の姿。
 そして、嘗ては作家であったという残影を、ただ愛し気に見つめる宿の女将・イセノの姿。
 そんな彼女へと一瞬、銀の視線を向けて。
 鬼灯原・孤檻(刀振るう神・f18243)はその心に思う。
(「女将は……、自分では上手くたしなめられる気がしないから、出来る人に任せよう」)
 実際、これまで沢山の猟兵達が彼女の保護や説得に当たっている。
 だから、そんな同じ猟兵である仲間にイセノのことは任せて。
 ――俺はただ、生者を誑かす影朧を斬るのみ。
 そう握るのは、愛刀にして半身とも言える霊刀・凍檻。
 そんな孤檻のすぐ隣で、橘・尊(浮雲・f13751)は蛍と桜花弁舞う景色をもう一度だけ、ぐるりと見回してみて。
 その美しさに改めて、見つめる光景と同じ様に蛍の光舞い飛ぶ瞳をそっと細めてから。
「幻想的な景色をまだ見ていたかったけれど、そうもいかないらしい」
 ふと顔を上げ、そう呟きを落とす。
 その視線の先には……スラリと蒼き刀を抜いた、影朧の姿が。
「意匠……桜か。――美しい刀だ」
 孤檻は作家が握る、桜の意匠施された刀を見遣りつつも想う。
 ――桜が好きなのだろうか、と。
 けれど、だからこそ理解に苦しむのだ。それを心中に使うなどいう行為に。
(「それは桜を血に染めるような行為だ」)
 そして、孤檻が握る刀を振るい、斬撃放つと同時に。
(「目前の敵に集中しなくては」)
 ――請い願う……焔狐、沝狐……いけ。
 戦場へと尊が喚ぶのは、大型犬並の大きさを誇る二体の狐。
「その狐ちゃんたち、人を襲わない様にちゃんと躾けてよね! ……わわっ」
 冗談っぽく言った作家が蒼き桜の刃を振り下ろせば、それに応じ斬り返す孤檻。
 そんな、作家と相対する孤檻のことを、信頼しているから。
 尊はイセノへと気を配っておく。
(「女将さんが危ない。あの感じでは俺達の言葉には耳を貸さないだろうし」)
 いきなりやって来た自分達よりも、きっと口先だけの作家の言葉を、彼女は信じるだろうから。
 ふたりを引き離すには、この方法しかないだろう。
 ――悪いけど先生、この場所から立ち去ってもらおう、と。
「く、そんな真剣になんないでさー。もっと楽しく遊ぼーよっ」
 そんな作家の言葉などには耳を貸さずに。
 孤檻は繰り出された桜の刀の太刀筋を読んで。
「……っ、!」
 その懐にすかさず、凍檻の一太刀を浴びせる。
 ――いずれ自死をも招く刀に、負ける気はない、と。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

草守・珂奈芽
【花蛍】
お、おっかなびっくりだったけど、ここまで来れば怖くないやい!
女将さんあればこその素敵なお宿、守るためいざ出陣さ!
草化媛、ゴー!カデルちゃんとアーシェちゃんと力を合わせていざっ!
「素敵な夢だったとしても、いつかは覚めちゃうから…だから前を向いて行くのさ!」

UCで近くの精霊達、特に火や風の子を〈鼓舞〉して力を分け与えるよ。
攻撃に向かうアーシェちゃんさ阻む花びらも原稿も、草化媛が指揮する精霊達の〈範囲攻撃〉で薙ぎ払うのさ!
自分達側は〈範囲攻撃〉の要領で、翠護鱗で〈盾受け〉して守るだけで十分。
人形達が一番力になってくれるって分かってるもんね!
「ガードはお任せ!さあ行っちゃえー!」


瀬名・カデル
【花蛍】
アドリブ歓迎
無事にこんにゃくに負けずに迷路を脱出できてよかったんだよ~。

さて、あれがボクたちが探していた影隴だね!
このままだとあの女将さんが影隴に殺されちゃうから、止めなきゃね。
新たな犠牲者を生まないように、珂奈芽と草化媛と一緒に影隴と戦うよ。
ね、アーシェ、頑張ろうね…!
4人でファイトだ、おー!

珂奈芽の援護がとっても心強いね!
舞い散る桜や原稿用紙から守ってくれるならボクはもう少し影隴に近づいてオーラ防御や全力魔法で攻撃に対処しつつ、UC【君がための光】を使用。
影隴への攻撃を叩き込むよ!
「素敵な物語を紡ぐ作家さんなのはわかるんだけど、だからって人の命を奪っていいわけじゃないんだよ!」



 蛍の光と桜花弁が舞う迷路の庭は、確かにすごく綺麗だったけれど。
 それだけじゃなくて……進むたびに、ドキドキして。
「お、おっかなびっくりだったけど、ここまで来れば怖くないやい!」
「無事にこんにゃくに負けずに迷路を脱出できてよかったんだよ~」
 あっちにこっちにと翻弄されながらも、こんにゃくにもめげず離れに辿り着けば、ちょっとした達成感。
 そして草守・珂奈芽(小さな要石・f24296)と瀬名・カデル(無垢なる聖者・f14401)は、こくりと顔を見合せ頷いてから。
「女将さんあればこその素敵なお宿、守るためいざ出陣さ!」
 影朧と宿の女将であるイセノがいるという、離れの中へ!
 いや、ふたりだけじゃなくて、勿論。
 ――草化媛、ゴー! カデルちゃんとアーシェちゃんと力を合わせていざっ!
 草化媛もアーシェも、一緒にゴー!
 そして屋上に出れば再び、ふわり舞う蛍たちの光が瞳にも舞い飛んで。
 それと、同時に。
「ん? また可愛い子ちゃんたちが僕に会いに来てくれたのかな? 嬉しいよー」
「さて、あれがボクたちが探していた影隴だね!」
 早速軽薄な笑みと言葉を投げて来る作家をカデルは見遣った後。
 ちらりと、彼から少し離れたところで、他の猟兵達に保護されているイセノへと目を移し思う。
(「このままだとあの女将さんが影隴に殺されちゃうから、止めなきゃね」)
 今は一見、甘い言葉を囁いて、大事にしている風かもしれないけれど。
 眼前の影朧は、心中という死に方に執心しているというから。
 イセノが唆されてしまう可能性も充分にある。
 だから、新たな犠牲者を生まないように。
 カデルは珂奈芽と草化媛と一緒に影隴と戦わんと、敵をぐっと見据えながら。
「ね、アーシェ、頑張ろうね……!」
「素敵な夢だったとしても、いつかは覚めちゃうから……だから前を向いて行くのさ!」
 ――4人でファイトだ、おー!
 そうやる気を漲らせ、いざ影朧を討たんと連携をはかり、立ち向かう。
「ふふ、ふたりとも僕といっぱい遊んでよ」
 作家はそう笑んでから、戦場に鋭利な原稿用紙と桜花弁をばら撒くけれど。
 ――草化媛、鎧装術式解除! 集いし群雄へ加護を与えん、其は輝ける天上の映し身!
 珂奈芽は近くの精霊達、特に火や風の子を鼓舞し、力を分け与えて。
 草化媛が指揮する、戦乙女を模し槍と盾で武装した精霊達の範囲攻撃で、ばっさばさと原稿用紙や桜花弁を薙ぎ払っていく。
 そして自分達には範囲攻撃の要領で、翠護鱗で身を守る。
 けれど、それだけで充分って、珂奈芽は知っている。
 だって――人形達が一番力になってくれるって、分かっているから。
「ガードはお任せ! さあ行っちゃえー!」
 そんな珂奈芽の援護をとても心強く感じながら。
 ばら撒かれた桜や原稿用紙を払ってくれるならばと、カデルはぐっと影朧へともう数歩近づいて。
 ――アーシェ……君に光を、ボクの祈りを。
 刹那、祈りを込めた聖なる光を宿して。
「……ッ!」
「素敵な物語を紡ぐ作家さんなのはわかるんだけど、だからって人の命を奪っていいわけじゃないんだよ!」
 ナンパお断り! と、そう言わんばかりに。
 珂奈芽の心強い護りを背に、カデルは影隴へと、思い切り衝撃を叩き込む。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

フリル・インレアン
ふわぁ、櫻居先生です。
今度こそは私もサインをもらうんです。
って、ふえぇ、アヒルさんいきなり何をするんですか?
あれ?これってもしかして、美白の魔法じゃないですか。
ということは、恋物語じゃないからサインじゃなくて心中に使う道具が飛んでくるじゃないですか。
私はまだ心中とかしたくないんですよ。
あれ?櫻居先生の視線がなんだか冷たくなったような気がします。
私が心中に対して理解ができなかったからでしょうか。



 蛍の光や桜花弁が舞う庭も、確かに目を奪われるように綺麗なのだろうけれど。
「ふわぁ、櫻居先生です」
 それ以上に、フリル・インレアン(大きな帽子の物語はまだ終わらない・f19557)の目を釘付けにしているのは、イケメンで何処か知的な人気作家先生の姿。
「ん? 君、僕のファンの子ー? あ、僕の『桜ノ匣庭』……その本にサインいる?」
 そんなちゃらちゃらした言動ながらも、ファンサービスに余念がない先生に。
 ――今度こそは私もサインをもらうんです。
 そう、フリルは固く決意するけれど。
「って、ふえぇ、アヒルさんいきなり何をするんですか?」
 アヒルさんが刹那、ぷしゅーっと繰り出したのは。
 紫外線等の有害な光から肌をケアする蒸気??
「あれ? これってもしかして、美白の魔法じゃないですか」
 それを浴びれば、ばっちり美白効果!
 やはりイケメン先生にサインを貰う前に、少しお肌の調子を整えて……なんて一瞬思うけれど。
 フリルは、あることに気づいてしまう。
「美白の魔法ということは、恋物語じゃないからサインじゃなくて心中に使う道具が飛んでくるじゃないですか」
 いくら摩擦抵抗を極限まで減らす美白の魔法とはいえ、心中道具ではなく、やっぱり欲しいのはサイン。
 それに。
「私はまだ心中とかしたくないんですよ」
「えー? 心中は美しくていいものだよー? お嬢ちゃん」
 そうちょっと、むうっと拗ねた様に言った作家を、おどおどと見上げて。
 大きな帽子のつばをぎゅっと掴みつつ、イケメンな先生の顔を見つめつつも思うのだった。
(「あれ? 櫻居先生の視線がなんだか冷たくなったような気がします」)
 ――私が心中に対して理解ができなかったからでしょうか、って。

大成功 🔵​🔵​🔵​

クロト・ラトキエ
はぁい、先生、今晩は。
…って、もうお忘れですかね?野郎の顔は覚えないーとか。
それはさて置き。
綺麗で楽しい夜でした様で。
『桜の君』も、実に――凛々しく雄々しく雅やかに、ご健勝そうで何よりです♪

彼の硯箱を頑として殿方(しかもヤドリガミの剣豪!)と視て、
意識は、女将を利用なんて事より、此方へ遣って貰って。


原稿用紙など大物は回避を試み。
腕や足の戦う為の神経、失血の大きい血管等がやられなければそれで良い。
動く気配、声、影…
吹雪の向こうの在り処を見切り、UC。
彼以外――無論、桜の君にも――一糸たりと当てはしませんとも。

…しっかし。
ご執心の割に、同性じゃ心中はナシなんです?
人様の色恋に野暮は言いませんけど~



 勿論、寸分も無駄な動きなどしないけれど。
 蛍の光と桜花弁が舞う屋上で、クロト・ラトキエ(TTX・f00472)は愉快そうに笑んで声を掛ける。
「はぁい、先生、今晩は」
 少し何処か興味を擽られている作家先生に……いや、嘗ては作家で在った残影に。
「てか、僕は……」
「……って、もうお忘れですかね? 野郎の顔は覚えないーとか」
 作家が言葉を紡ぐよりも先に、そうクロトはくすりと言ってから。
「それはさて置き。綺麗で楽しい夜でした様で」
 それから、ちらりと視線を映すのは。
「『桜の君』も、実に――凛々しく雄々しく雅やかに、ご健勝そうで何よりです♪」
「はぁっ? 雄々しいって……この麗しい別嬪さんな『桜の君』の何処をどう見たらそうなるの」
 何を言っているんだという抗議の言葉にも、勿論、一向に引く気配はないクロト。
 もう、クロトは完全に『桜の君』をこう視ているから。
 彼の硯箱を頑として殿方、しかもヤドリガミの剣豪! だと。
「『桜の君』は絶世の美女でしょ、意味わかんないしー」
 そうぶーぶー言う作家の意識を、女将を利用なんて事よりも自分へと遣って貰って。
 抗議するかのように戦場に放たれた原稿用紙や桜花弁のうち、特に威力の大きそうなものは回避を試みて。
(「腕や足の戦う為の神経、失血の大きい血管等がやられなければそれで良い」)
 浅く入る傷など全く気にも留めず、クロトはは意識を集中させる。
 動く気配、声、影……吹雪の向こうの在り処を見切って。
「……くっ、!」
 魔力で複製した寸刻の鋼糸で刺し突く。
 彼以外――無論、桜の君にも――一糸たりと当てはしませんとも、って。
 そして、大事そうに硯箱を抱える作家に、クロトはこう紡ぐ。
「……しっかし。ご執心の割に、同性じゃ心中はナシなんです?」
「僕はまぁとにかく可愛い子が好みかなー。って、『桜の君』は絶世の美女だってば!」
 そうよろけながらもムキになる作家に、くすりともう一度クロトは笑む。
 ――人様の色恋に野暮は言いませんけど~、って。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ガーネット・グレイローズ
かんにき】

心中とは…杏の質問、難しいね
そうだな…コップに入る水が、好きという気持ち。それが沢山入りすぎて、ワッと溢れてしまう…状態?

しっかりなさい女将。あなたには恋に浮かれる暇もないはず…はぁ、まるで乙女のように。うるさいな…今は彼女と話しているんだよ。シリン、彼の相手を頼む。
相手は言葉のプロフェッショナルだ。煙に巻かれるなよ。

毒はブラッドエーテルの<衝撃波>をぶつけ相殺
短剣は翼刃の<武器受け>で弾き
首吊りロープは鋼糸を<念動力>で操り切断。

蛍とは君自身のことかな? あっちの水こっちの水と気儘に飛び回るのが好きなのか?と挑発。
【闇夜の住人】で接近。
そしてアカツキと躯丸の二刀で<2回攻撃>だ。


木元・杏
【かんにき】
影朧を見て
…ん、イケメン、だけど
何かちょっと無理(顔をしかめ
楽しいはいい事、まつりんの楽しいはうれしいのに
この「楽しい」はどこか違和感

…あ
「自分が楽しい」だから
他の人の気持ちを顧みない楽しいは自分勝手ともいう

イセノはきっとそれでもいいと言う
でも、蔑ろにされた心は知らぬ内に澱み
疲れるよ、イセノ

未来を予知、第六感で心中道具達を避ける
唆されたイセノが割り込んで来たら、怪力で道具を受け止めイセノに当たらないよう庇う

…そも、心中とは?
シリンやガーネットなら知ってる?
愛したから一緒に死ぬ……何ゆえ?
大人はむずかしい……

皆の攻撃の隙に、うさみん☆は地面を蹴りジャンプ
そのまま硯箱を蹴り割って?


木元・祭莉
【かんにき】だよー!

あ、作家の兄ちゃん、いた。
……なんか清史郎兄ちゃんに似てるね、兄弟?

あ、うん、迷路、楽しかったー♪
兄ちゃんが作ったの?

おばちゃんもお手伝いしてたんだ。
喜んでもらえるの、嬉しいもんね♪

言いながら、おばちゃんに近付いて。

ただね。
あの兄ちゃん、影朧なんだよねー。
ね?(兄ちゃんに確認)

影朧、わかる?
もう死んじゃった人。
お名残惜しくて、戻ってきちゃったの。
ね?(再度)

心中とかいうの、やりたいの?
キレイな死に方?
おいらね、キレイなのは、一緒に死んでもいいって気持ちの方だと思うケドね!

だから、兄ちゃんより、おばちゃんの方がキレイ♪(にぱ)
生きてて欲しいから。
おばちゃん守るね!(舞い踊る)


シリン・カービン
【かんにき】

「女の心を弄ぶ輩は、どこの世界にもいるのですね」
作家先生の悪戯には毒気を抜かれてしまいますが、
それならそれで、女の敵としてそろそろご退場願いましょう。

仲間の攻撃を盾に【賢者の影】を発動。
本心を明らかにすべく四狼に問いかけます。

「イセノと心中するつもりがあるのですか」
答えは否でしょう。
「イセノより愛するモノが有るのですか」
大事なものは硯箱だけ。

イセノ、本当はわかっているのでしょう。
泡沫の夢はもう終わり。

夢は消えても、確かなことは有ります。
美しい蛍の庭と、宿を愛する客は現実。
あなたはまだ何も失ってはいない。

あまり詳しくは知らないのですが、
察するところ心中とは。

現実逃避です。(ズバリ)


琶咲・真琴
【かんにき】

ボクには大切な人がいなくなる辛さや恋とか
まだわからないけれど……

それをちゃんと受け止めて送ることも大事なんだと思う


お祖父ちゃんとお祖母ちゃんは
イセノさんをお願い

輝うさ構えて
最前線で作家と闘う
第六感・武器受け・オーラ防御・なぎ払いなどで攻撃を躱しつつ
学習力・グラップル・カウンターなどで着実に一撃を入れる

相手がUCを使う兆しが見られたら
高速詠唱・早業などでUC発動


散らせるかよ(キレて素の口調
花は自然に散るから綺麗なの
皆をそう簡単び傷付けれると思うなよ

それに作家の兄ちゃんは
イセノさんって言う
この旅館の華の気持ちを踏み付けねぇか?

アンタの為にって
頑張ってきた人の気持ちを遊ぶなよ

アドリブ歓迎


鈍・小太刀
【かんにき】

むむ、人を騙して愉快って
悪趣味な奴

桜雨の玉手箱を手に
かわいい海の仲間たちを召喚
ウサミミ付けて可愛さUP
ホタルイカの群れが空を舞い
勿論、ナマコさんもいるよ♪

彼らと共に
乱桜吹雪の原稿用紙と桜を
高波(海の属性攻撃)で押し流し
刀とウサミミで櫻居を斬る

イセノが飛び込んでこないよう
海の仲間たち数体で足止めも

ふうん、心中ね
互いの未来を奪って独り占め?
好きなのに?好きだから?
やっぱり分かんないよ
心中する人の心中なんて(ため息
(さらりと駄洒落が混ざるのはいつもの仕様です

でもさ
この宿が素敵だってとこだけは同意かな
イセノさんのおかげだし
だからその、言っておこうかなって
ありがとう、ね(ちょっと照れながら



 落とし穴やなまこ疑惑のあったこんにゃくなどの罠が満載の迷路を、キャッキャ楽しく突破して。
 やって来た離れの屋上に在る姿は、この宿『蛍灯庵』の女将・イセノと。
 嘗て人気作家であったものの残影。
「あ、作家の兄ちゃん、いた」
 木元・祭莉(とっとこまつさんぽ?・f16554)は蛍と桜花弁が舞う風景に立つ作家に目を向けてから。
 ふと、首を傾ける。
「……なんか似てるね、兄弟?」
 眼前の作家の顔が、この世界に送ってくれた知人のものに、とても良く似ていたから。
 それに作家が大事に持っているのは、その知人を何処か思わせる様な色柄の硯箱。
 けれどそんな祭莉の疑問にも構わず、整った容姿に軽薄そうな笑みを宿す影朧。
「今日はお客さんが多いなぁ。モテる男はツラいってやつー?」
「……ん、イケメン、だけど。何かちょっと無理」
 そう笑う作家をじっと見た後、思わず顔を顰める木元・杏(食い倒れますたーあんさんぽ・f16565)。
「むむ、人を騙して愉快って、悪趣味な奴」
「女の心を弄ぶ輩は、どこの世界にもいるのですね」
 鈍・小太刀(ある雨の日の猟兵・f12224)の言葉に続き、シリン・カービン(緑の狩り人・f04146)も作家へと目を向けて。
 先程の、落とし穴やこんにゃくやなまこ事件が起こった迷路を思い返しながらも紡ぐ。
「作家先生の悪戯には毒気を抜かれてしまいますが」
 それならそれで――女の敵としてそろそろご退場願いましょう、と。
「そんなコワイ顔しないでよー。『蛍の迷ひ路』、楽しかったでしょ?」 
「あ、うん、迷路、楽しかったー♪ 兄ちゃんが作ったの?」
「でしょ? うん、僕とイセノで作ったんだぁ」
 祭莉と一緒に、何だかきゃっきゃしている作家だけれど。
 やはり杏には、眼前の色男は何だか無理で。
「楽しいはいい事、まつりんの楽しいはうれしいのに」
 ――この「楽しい」はどこか違和感、と。
 それが何故なのか、ふと考えてみれば。
 ……あ、とふと顔を上げる。
 今が楽しければそれでいい、彼はそう言うけれど。
(「それは、「自分が楽しい」だから」)
 彼が無理な理由が、杏には分かった気がした。
 ……他の人の気持ちを顧みない楽しいは自分勝手ともいう、って。
 それから、ちらりと金の瞳を向けたのは、彼を見つめるイセノの姿。
(「イセノはきっとそれでもいいと言う」)
 大好きな彼が喜んでくれればそれでいいと。献身的な彼女は言うだろう。
 でも、と杏は首をふるふると横に振る。
「蔑ろにされた心は知らぬ内に澱み、疲れるよ、イセノ」
 そんな杏の言葉を聞きながら、琶咲・真琴(今は幼き力の継承者・f08611)は思う。
(「ボクには大切な人がいなくなる辛さや恋とか、まだわからないけれど……」)
 けれど、いくら恋をしているからといっても。
 今のイセノの状況が良くないことは、真琴にも分かるし。
 もう人ではない彼を想う彼女を見つめる。
 ――それをちゃんと受け止めて送ることも大事なんだと思う、って。
「ふふ、イセノが仕掛けてくれたこんにゃく、なかなかよかったよー」
「櫻居先生……」
 無邪気に笑む作家に、イセノは嬉し気に笑み返すも。
「おばちゃんもお手伝いしてたんだ。喜んでもらえるの、嬉しいもんね♪」
 祭莉はそう言いながら彼女へと近付いて。
 真実を、教えてあげる。
「ただね。あの兄ちゃん、影朧なんだよねー」
 ……ね? って。作家にも確認を。
「そうだよー。でも、それが何?」
 楽しければそんなの些細な問題でしょ、と。
 祭莉はそう笑う彼からイセノへと再び視線を戻し、彼女へ口を開く。
「影朧、わかる? もう死んじゃった人。お名残惜しくて、戻ってきちゃったの。ね?」
「まだ僕の集大成な作品が完結してないからねー。それに今、楽しいし」
 作家は再度確認するように言った祭莉の言葉に、慌てることも否定もしない。
 そして、影朧はこう続けるのだった。
「何より僕は、心中して死にたいしね」
 そんな作家の声に、杏は首を捻る。
「……そも、心中とは?」
 それから、大人組であるシリンやガーネットに目を向ける。
 ……ふたりなら知ってる? って。
 けれどそれに答えたのは、イセノであった。
「心中は愛した人と共に死ねる、美しい最期なの」
「愛したから一緒に死ぬ……何ゆえ?」
 さらに分からない様子で思わず呟く杏。
 ――大人はむずかしい……、って。
 いや、大人でも、その心を理解できるわけではない。
「心中とは……杏の質問、難しいね」
 ガーネットはそうふと首を傾けてから。
「そうだな……コップに入る水が、好きという気持ち。それが沢山入りすぎて、ワッと溢れてしまう……状態?」
 そして今度はイセノへと、声を投げる。
「しっかりなさい女将。あなたには恋に浮かれる暇もないはず」
 作家だけをひたすら想い、見つめる姿を見遣りながら。
 ……はぁ、まるで乙女のように、って。
 そんなガーネットの言葉に、ふるりと首を横に振る作家。
「女性はね、幾つになっても可愛い乙女だよ?」
「うるさいな……今は彼女と話しているんだよ」
 割って入ってきた影朧にそう言ってから。ガーネットはシリンへと目を向ける。
 ……シリン、彼の相手を頼む、と。
「相手は言葉のプロフェッショナルだ。煙に巻かれるなよ」
 そんなガーネットにこくりと頷いてから。
「あまり詳しくは知らないのですが、察するところ心中とは」
 ――現実逃避です。
 ズバリとそう核心を突くシリン。
「ふうん、心中ね。互いの未来を奪って独り占め? 好きなのに? 好きだから?」
 ……やっぱり分かんないよ。
 小太刀もその気持ちが分からずに首を横に振ってから。
 溜息と共に続ける。
「心中する人の心中なんて」
 さらりと駄洒落を混ぜながら。
 そんな何時もの仕様な小太刀の心中の呟きを耳にしつつも、祭莉はやはり首を傾ける。
「心中とかいうの、やりたいの? キレイな死に方? おいらね、キレイなのは、一緒に死んでもいいって気持ちの方だと思うケドね!」
 ――だから、兄ちゃんより、おばちゃんの方がキレイ♪
 そう、にぱっと笑んで告げる。
 ……生きてて欲しいから、って。
 だから祭莉はイセノを護るべく、戦場を舞い踊る。
 歌声を聞いて共感した人達を癒せるように。
「お祖父ちゃんとお祖母ちゃんは、イセノさんをお願い」
 真琴はふたりにそうお願いして、お面を背負うふさふさなたれ耳黒兎ぬいぐるみを薙刀に変え、構えて。
 一気に影朧へと距離を詰め、最前線へと躍り出る。
 そして持てる技能を駆使し着実に一撃を入れるべく、輝うさの薙刀を振るえば。
「おっとと、危ないなぁ」
 作家が刹那戦場に解き放つのは、心中道具。
 杏はその瞳を凝らし、絶望の福音を展開して未来を予知し、それらを避けながら。
 万一イセノが飛び出すようなことがあれば、彼女に当たらないよう庇える体勢を取って。
 甘い毒にはサイキックエナジーのエーテル体を、短剣には液体金属の翼刃を、首吊りロープには鋼糸を用い、相殺し弾き切断するガーネット。
 そして小太刀が桜雨の玉手箱を手にすれば。
 刹那、戦場へと召喚されたのは、かわいい海の仲間たち。
 さらにウサミミを付けて、可愛さUP!
「わあ、可愛い!」
 意外と可愛い物好きなのか、ふよりと空を舞うホタルイカさんの群れを見遣り、声を上げる作家。
 そんな彼に小太刀は続ける。
「勿論、ナマコさんもいるよ♪」
 今回はこんにゃくではありません、正真正銘のなまこさんです!
 そんなかわいいウサミミな海の仲間たちは、ただキュートなだけではありません。
 戦場にばら撒かれた鋭い原稿用紙と桜花弁の乱舞を、高波で押し流して。
「……!」
 手にするは、今の露の時期にぴったりな雨の日を思わせる一太刀。
 古びてはいるが切れ味鋭い片時雨の刃とウサミミで、作家を斬りつければ。
 今にも彼の元へ駆け寄りそうなイセノを、海の仲間たち数体が足止めを。
 そんな小太刀と共に、ぐっと踏み込んで。
「散らせるかよ」
 キレて素の口調で言い放ち、薙刀の斬撃を影朧目掛け繰り出す真琴。
 落とし穴やこんにゃくならば、まだ悪戯で済んだけれど。
「花は自然に散るから綺麗なの。皆をそう簡単に傷付けれると思うなよ」
 心中道具や原稿用紙は、明らかに皆を傷付けんと放たれたもの。
 さらに真琴は刃を振るう手を止めずに、作家へと紡ぐ。
「それに作家の兄ちゃんは、イセノさんって言う、この旅館の華の気持ちを踏み付けてねぇか?」
 ――アンタの為にって、頑張ってきた人の気持ちを遊ぶなよ、って。
 そんな猟兵達の猛攻に顔を顰めつつも、真琴の言葉に、作家は笑う。
「僕は彼女のこと好きだよ? ね、イセノ」
「櫻居先生は、いつだって私に優しくしてくださるわ」
 いや、確かに、作家は女将のことは好きなのだろう。
 都合の良い女のひとりとして。
 そしてシリンは皆の攻撃を盾に、賢者の影を展開する。
 調子の良いことばかり言ってイセノを唆す、女の敵である作家の本心を明らかにすべく。
「イセノと心中するつもりがあるのですか」
「んーないね。ふたりでいる今が楽しいからー」
 物は言いよう、しれっとそう答える作家に、さらに問いかけるシリン。
「イセノより愛するモノが有るのですか」
「『桜の君』だね。でも勿論、イセノも大事だよー」
 それはまぁ、嘘ではない。
 けれど、イセノが彼へと抱く想いと比べれば、あまりにも軽すぎるものだ。
 そんなどこまでも口だけは達者なろくでなしに、シリンは呆れたように嘆息しつつも。
 今度は恋する女将へと、言葉を向ける。
「イセノ、本当はわかっているのでしょう」
 ――泡沫の夢はもう終わり、と。
 そして作家の意識が、問いを投げるシリンへと向いている隙をついて。
 ひらり地面を蹴りジャンプした、杏が操るうさ耳付きメイドさんのうさみん☆が狙うのは。
「そのまま硯箱を蹴り割って?」
「!!」
 そう、彼が大事にしている桜模様の硯箱。
 作家は、はじめてその軽薄な表情を険しいものに変えて。
 身を挺し『桜の君』を守れば。
「蛍とは君自身のことかな? あっちの水こっちの水と気儘に飛び回るのが好きなのか?」
 そう挑発しながら、吸血コウモリの群れと共に彼へと接敵したガーネットが振るうのは、朱と白の二刀の連撃。
「ぐ……っ!」
 そんな、アカツキと躯丸の斬撃に揺らぐ影朧を後目に。
 イセノへと再び声を掛けるシリン。
「夢は消えても、確かなことは有ります。美しい蛍の庭と、宿を愛する客は現実」
 ――あなたはまだ何も失ってはいない、と。
 彼女が恋焦がれた想い人はもう、とっくにこの世にはいないのだから。 
 小太刀もガーネットに続き、刀やウサミミを放ちながらも口を開く。
「でもさ、この宿が素敵だってとこだけは同意かな」
 そしてふとイセノへと視線を向けて、小太刀は紡ぐ。
 ――ありがとう、ね、って。
「……!」
 それから、ハッと大きく瞳を見開き自分を見つめる彼女へと、照れながらも続ける。
 この宿が素敵なのは、ずっと此処を守ってきた、イセノのおかげだから。
 ……だからその、言っておこうかなって、と。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

木常野・都月
【KOR】

敵の顔が、今回の任務のグリモア猟兵に似てる事が気になるけれど、変にイセノさんに動かれると危ない。

イセノさんは冬青さんとアヤネさんにお任せします。
それに、俺、説得どうも苦手で…
女の子同士なら通じるものもあるはず。

まずは、影朧を取り抑えたい。

地の精霊様の属性攻撃で、影朧の足元に電磁場を作って、重力で押し潰したい。

押し潰したまま、UC【精霊の矢】を氷の精霊様の助力で使用したい。

敵の攻撃は[高速詠唱、範囲攻撃]を乗せた[カウンター]で対処したい。

必要があればイセノさんに闇の精霊様の目隠しをしたい。


花屋敷・幽兵
【KOR】
うん?何だ?清史郎が敵なのか?
違うみたいだが構わん、ボコボコにしてやんよ。
イノセ殿は…男がどうこう言わない方がよかろう。冬青とアヤネが回るなら俺の仕事は二人の援護だな。
任務は果たす…仲間も守る。
両方やらなくちゃいけないってのが猟兵の辛い所だが…そこの影朧、覚悟はいいか?俺は出来てる。
イノセ…いや、イセノを抑えてくれている間に奴を倒す。
やばくなったら次の所に行こう、等と言う奴に覚悟などある筈がない。
そんな奴に屈する膝など持っていない。そうだろサクラコさん。いくぜオクさん。やったれ都月。
ヘリオス(槍)でリーチを活かしつつ戦う。後方の仲間を狙おうものなら槍投げで仕留めるぜ。


アヤネ・ラグランジェ
【KOR】
セイシローに似た影朧ってどういう事?
彼はヤドリガミだからそういう事か
独り合点して切り替える

影朧にもイセノにも取り立てて感情は抱かないけど
ソヨゴがイセノを保護するというなら
イセノが巻き込まれる前に触手で捕まえる
ソヨゴ気にせずやっちゃって!

PhantomPainを構えて援護射撃しながら影朧に話しかける
知り合いに硯箱のヤドリガミがいてネ
見た目とても美しいのだけど
彼も桜に縁がある様子だった
その手に持った硯箱はきっとそうなのだろうネ

今回は残念ながら心中はお預けだ
物語は活劇で結びとしよう

容赦なく敵を撃ち抜く

いやサクラコ
僕がそう言ってたでしょ?


城島・冬青
【KOR】

清史郎さん?!
見知ったグリモア猟兵を思い起こさせる容姿の影朧を見て驚くも
彼が纏う空気
表情から
すぐに筧・清史郎ではなく影朧ということに気付く

イセノさん
突然驚かせてごめんなさい
彼は影朧なんです
人ではありません
このまま彼のそばにいるのは危険です
どうか此方へ
コミュ力を駆使つつ声をかける
影朧が何か言うかもしれないけど…
イケメンの作家先生はモテますもんねー
そうやって他の女の人にも甘く声をかけたんでしょう?
女性の敵は黙ってて下さい!

初対面同然の私達をイセノさんが信じるとは思わない
彼女の気持ちが頑ななら
戦闘に巻き込まれる前に保護
アヤネさんお願い!

保護が完了したら
ダッシュで影朧へ接近
容赦なく攻撃する


日隠・オク
【KOR】
その、外見は……。

イセノさん、あそこにいるのは心中なんてしそうにみえないです
小説は小説、現実は現実なんです、ひとときの夢だったとでも思ってください、あれは影朧、危ないから下がっていてください

イセノさんは冬青さんアヤネさん

私とも遊びましょう
ナイフをくるっと持ち構え
敵をこちらに惹きつけることでイセノさんに注意を向かせないよう
次はどんな作品を書くのですか!

浴衣を脱いで(下はTシャツ半ズボン着てた)シーブズギャンビットで斬り込み
注意を引き付ける意図が強く
攻撃には気を付けながら、都月さんの重力で重そうだったりで攻撃が当たりそうなら攻撃をする

はい、いきます!
幽兵さんに

サクラコさんとも協力しながら


鏡彌・サクラコ
【KOR】
そう言えばあの方にそっくりですねい
他人の空似?と小首傾げ
でも雰囲気違うのでいす
気にしないで参りましょう!

心中が好きなんて悪趣味でいす!(ずびしっ
ま、まあ迷路はちょっと楽しかったですけどねい!

戯れはここまで
イセノさまには気の毒でいすが 引導を渡しますねい!
アヤネさまはよろーしく

UC発動
冬青さまとオクちゃんついでに幽兵さまを守りつつ隙をみては攻撃します
オクちゃんの浴衣はキャッチ!

それにしても毒やらロープやら
心中セットでいすかっ?!
なんとか避けながらがんばります

終わってから
あっあの硯箱はまさか?!



 子供染みた敵の罠が張り巡らされた迷路を、皆でわいわい攻略して。
 影朧がいるという離れへと踏み込み、蛍と月の光に照る敵の姿を確認した、その瞬間。
「えっ!?」
 思わず驚きの声を上げたのは、城島・冬青(六百六十九番目の宿木・f00669)。
 眼前の影朧の容姿が、とてもよく似ていたから。見知ったグリモア猟兵と。
「彼に似た影朧ってどういう事?」
 冬青と同じ人物を思い浮かべたアヤネ・ラグランジェ(十二の結び目を解き放つ者・f00432)も、そう一瞬瞳を瞬かせるも。
(「彼はヤドリガミだからそういう事か」)
 影朧が大事に抱えている『桜の君』を見て、独り合点して切り替える。
 いや、冬青やアヤネだけではない。
「その、外見は……」
「うん? 何だ? 彼が敵なのか?」
 日隠・オク(カラカラと音が鳴る・f10977)と花屋敷・幽兵(粗忽なダークヒーロー・f20301)も。
「そう言えばあの方にそっくりですねい」
 ……他人の空似? と小首を傾げる鏡彌・サクラコ(鏡界に咲く花・f09974)も。
 自分達を此処に送った彼のことをすぐに思い浮かべるけれど。
「え、なになにー? 僕のこと知ってるの? まぁ僕、超絶人気作家だもんねー」
「でも雰囲気違うのでいす」
 へらりと軽薄に笑むその表情や言動は、思い浮かべた人物の雅やかさとは程遠い。
 冬青も、眼前の作家が纏う空気や表情からからすぐに、彼とは別人の影朧であることに気が付いて。
(「敵の顔が、今回の任務のグリモア猟兵に似てる事が気になるけれど、変にイセノさんに動かれると危ない」)
 木常野・都月(妖狐の精霊術士・f21384)も皆と同じ様に、気になることはあれど。
 今にも影朧の元へと赴かんとしかねない、イセノへと視線を向けて。
「気にしないで参りましょう!」
「違うみたいだが構わん、ボコボコにしてやんよ」
 サクラコに続き、幽兵も影朧を滅するべく影朧の前へと立ちはだかる。
(「イノセ殿は……男がどうこう言わない方がよかろう」)
 彼女の元へと動いた冬青とアヤネに、女将のことは任せて。
「冬青とアヤネが回るなら俺の仕事は二人の援護だな」
 ふたりがイセノのことに集中できるよう援護するべく、位置取れば。
 都月も、冬青とアヤネのふたりに彼女のことは任せることにする。
(「俺、説得どうも苦手で……女の子同士なら通じるものもあるはず」)
 そして仲間が影朧の相手を担ってくれている間に。
「イセノさん、突然驚かせてごめんなさい」
 冬青は彼女に、現実を教える。
「彼は影朧なんです、人ではありません。このまま彼のそばにいるのは危険です。どうか此方へ」
「影朧でもなんでも、別にいいでしょ? それに僕は女性には優しいしー。ね、イセノ」
 そうにっこりと端正な顔に柔い微笑みを宿す影朧。
 そして、こくりとイセノが頷くその前に、冬青はびしりと言い放つ。
「イケメンの作家先生はモテますもんねー。そうやって他の女の人にも甘く声をかけたんでしょう?」
 ――女性の敵は黙ってて下さい! って。
「酷いなぁ、僕は女性の味方だと思うけどなー」
「皆さん誤解されていますけど……櫻居先生は、誰よりも優しい方です」
 そう作家の甘言に唆されているイセノへと、冬青は改めて視線を向けて。
 彼を想うその表情を前に、思う。
(「初対面同然の私達をイセノさんが信じるとは思わない」)
 けれど、いくら彼女の気持ちが頑なでも。
 彼に近づかせるわけにはいかないから。
「アヤネさんお願い!」
「……きゃっ!?」
 そう声を掛けた刹那、しゅるりと伸びるのは、アヤネの影から放たれた異界の触手。
(「影朧にもイセノにも取り立てて感情は抱かないけど」)
 ソヨゴがイセノを保護するというなら、と。
「ソヨゴ気にせずやっちゃって!」
 戦闘に巻き込まれる前に、アヤネは伸ばした触手でイセノを捕まえて。
「イセノさん、あそこにいるのは心中なんてしそうにみえないです」
 オクも彼女へと紡ぐ。
「小説は小説、現実は現実なんです、ひとときの夢だったとでも思ってください」
 ――あれは影朧、危ないから下がっていてください、って。
「心中が好きなんて悪趣味でいす!」
 サクラコも隣のオクの言葉に頷きつつ、ずびしっと言い放つけれど。
「悪趣味なんて酷いなぁ。『蛍の迷ひ路』とか、最高に綺麗で面白かったでしょ?」
「ま、まあ迷路はちょっと楽しかったですけどねい!」
 サクラコは影朧に、そうこくりと思わず頷いてしまうけれど。
 ……戯れはここまで。
「イセノさまには気の毒でいすが 引導を渡しますねい!」
 そしてイセノを捕まえて保護したアヤネに、アヤネさまはよろーしく、と声を。
 任務は果たす……そして、仲間も守る。
 両方やらなくてはけないのが猟兵の辛い所だけれど。
「……そこの影朧、覚悟はいいか? 俺は出来てる」
 そう、眼前の敵へと幽兵が言い放てば。
 作家は逆に、大きく首を竦めてみせる。
「覚悟? そんなの楽しくないしー」
「だろうな。やばくなったら次の所に行こう、等と言う奴に覚悟などある筈がない」
 イノセ……いや、イセノを抑えてくれている間に奴を倒す、と改めて心に決めながら。
 良く磨き込んだ鋼鉄の槍を握りつつ、サクラコへとサムズアップ。
「そんな奴に屈する膝など持っていない。そうだろサクラコさん」
 刹那、サクラコが複製した数多の銅鏡が、冬青とオクとついでに幽兵を守りつつ。
 攻撃する隙を探り、蛍の光舞う中、浮かび上がれば。
 ――やったれ都月。
「……!?」
 幽兵が言った瞬間、影朧の身体に圧し掛かるのは、電磁場を作って成した重力。
 地の精霊様の属性攻撃で、まずは影朧を取り抑えたい、そう都月は動きをみせて。
 ――精霊様、ご助力下さい。
 作家を圧し潰したまま撃ち出すのは、氷の精霊様の力により成された、精霊の氷の矢。
「いくぜオクさん」
「はい、いきます!」
 さらに幽兵の声に合わせ、彼と共に素早く地を蹴って。
「私とも遊びましょう」
 ナイフをくるっと持ち構えたオクは、サクラコの銅鏡に護られながらも。
 敵の注意をイセノではなく自分へと向けるべく、こう言葉を投げてみる。
「次はどんな作品を書くのですか!」
 猟兵達の猛攻に顔を顰めながらも、オクのそんな問いに、作家は興奮気に語り始める。
「今書いているのはね、ある作家の一生を綴ったものだよ。サムライの世界にいたはずの男が、桜咲く世界に導かれて大人気作家になって。共に桜の世界にやってきた、超絶別嬪になった愛しの『桜の君』と、美しく心中する話だよ。でも肝心のラストの展開がさー、いい感じに思いつかなくてねー」
 そんな饒舌に喋る作家に、アヤネは構えた『PhantomPain』で援護射撃を行いながらも話しかける。
「知り合いに硯箱のヤドリガミがいてネ。見た目とても美しいのだけど、彼も桜に縁がある様子だった」
 そしてちらりと、影朧が大事に抱く『彼』に目を向けて思う。
 ――その手に持った硯箱はきっとそうなのだろうネ、って。
「へえ、それは興味深いねー。その話、もっと聞かせてよ。まぁ僕の『桜の君』は超絶別嬪だろうから、彼女、なんだけどー」
 そんなことを言いながらも、影朧が戦場へと放つのは、甘い毒に桜の短剣、首吊りロープといった、数多の心中道具。
 幽兵は敵との距離をはかりつつ、リーチを活かした槍で戦いつつも。後方の仲間を狙わせまいと、狙い澄まし鋼鉄の槍を投擲して。
「っ、さっきから痛いんだけど!?」
「それにしても毒やらロープやら、心中セットでいすかっ!?」
 文句を言う作家の放つ心中道具を、身を翻し頑張って避けるサクラコ。
 都月はすがさず高速詠唱し、広範囲に及ぶ反撃の衝撃で迫る心中道具を退けて。
「櫻居先……っ!?」
 闇の精霊様にお願いして、思わず声を上げたイセノの目隠しを。
 そして身体揺らぐ影朧へと、皆で攻撃をたたみかける。
 イセノが確り保護されたのを改めて確認した冬青が大きく地を蹴り駆け出し、握る花髑髏を思い切り振り下ろせば。
 見えないコルヴォたちも容赦なく敵目掛け襲い掛かる。
 そんな冬青が繰り出す斬撃と絶妙にタイミングを合わせ、引き金を引いたアヤネが容赦なく敵を撃ち抜いて。
「ぐ……うっ、いったぁ……!」
 端正な顔を歪める作家に、終幕を言い放つ。
「今回は残念ながら心中はお預けだ」
 ――物語は活劇で結びとしよう、と。
 そして浴衣を脱いで、Tシャツ半ズボンの身軽な格好になったオクも、素早くナイフを握りしめ直して。
 都月の重力で動きが鈍くなっている影朧へと、幽兵の槍の一撃と合わせ、影朧へと鋭撃をお見舞いする。
「……ッ!」
 そんな仲間の猛攻を受け、オクの脱いだ浴衣も確りキャッチしたサクラコは。
 よろりと大きく身体を揺らした影朧が、それでもまだ離さない桜模様の硯箱を見て。
 ハッと金の瞳を見開き、こう口にすれば。
「あっあの硯箱はまさか!?」
「いやサクラコ、僕がそう言ってたでしょ?」
 すかさず、そうツッこまずにはいられないアヤネ。
 確かに、めっちゃ言ってました……!

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

千家・菊里
【花守】
はいはい、お邪魔しますねぇ
道中では中々のおもてなしを有難う御座いました――ええ、お陰様でお腹一杯です
いえ今のは楽しくて大満足という比喩ですからね?

それはそうと、食物を粗末にするのはいけません
という訳でちゃんと食らってくださいね――お灸代わりに狐火をたんまりと
お礼も兼ねこけしと仲良く御焚上を

身はオーラ防御で補いつつ、花も原稿も炎で焼き払い対処
更に早業で麻痺霊符を当人へ向け2回攻撃も
お菓子の乱舞なら大歓迎なんですけどねぇ

ああ、そうだ
“楽しい今”なら、貴方の分も桜の君が謳歌していますよ――ふふ、どういう意味か、いつか分かると良いですねぇ

そしてイセノさん
貴方も過去に囚われたままではいけませんよ


佳月・清宵
【花守】
さて、身内に邪魔者扱いされたのは心外だが、今度は遠慮無く邪魔者と相成ろうか
悪ぃな、けったいな恋路にゃ茶々を入れたくなる性分でね――野暮な真似はしたかねぇが、良からぬ野郎が絡むなら話は別だろ

まぁ此処までの珍道中の礼は返すぜ
先制にこけし投げフェイント
一応(こけしに引かれ無性に気が散る)呪詛も込めるが、本命は影に紛れ放つ毒暗器
早業で上記不規則に織り交ぜつつ、残像でも目眩まし
攻撃は炎で相殺
何でまたてめぇまで引っ掛かってやがる(呪詛耐性はどうしたと面白げに伊織見て)

桜の君、なぁ?
事実は小説より奇なり、とだけ言ってやろうか

んで女将よ、夢の時間はもう終いだ
目を醒まし、迷路を抜け――違う道を探しに行け


呉羽・伊織
【花守】
人の恋路を邪魔すんのは何だが――今回ばかりは女心を弄ぶ奴は狐に焼かれて大火傷しちまえってな!

…くっ、巫山戯た狐トラップといいボケ倒しといい俺も色々と腹一杯だ!
UC使い先制で風切放ち武器落とし
烏羽で心外道具も叩き斬り遊戯は拒否

…おい気が散るの投げんな!
あーもう…そんじゃ先生にはオマケの餞別にコレもドーゾ
一緒に安らかに眠ってネ(例の抱枕を投げ遣りに!)

違う様で似てる様で、やっぱ違うな
――俺からもまた一言だけ
桜の君は楽しくやってるぜ
いつか自らが驚く日を――本当の終幕を迎える日を、楽しみにしてると良い

そんで女将サンは、優男との仄暗い迷ひ路じゃなく――ちゃんとした光のある、先のある道に戻ってくれ


永廻・春和
【花守】
この迷ひ路は、何処まで行けども茨の道
…ああいった方を、女殺しというのでしたか
文字通りそう成る前に――双方が踏み外し、取り返しがつかぬ所へと至る前に、終わらせましょう

私は一歩引いて(決して仲間の様相に引いている訳ではない筈――多分)、イセノ様の傍にて護衛と声掛けを
飛び交う攻撃は衝撃波でいなし、彼女が血迷わぬように注意

誰かを恋慕う心を否定など出来ません――それはきっと、とても尊い想いだから
ですが、このまま彼しか見えぬようになってはいけません、イセノ様

彼はもう、此処に在ってはならぬもの
貴方様と共には在れぬもの

過去は過去へと見送って――貴方様は貴方様の未来を見出しに、どうか歩み出してください



 蛍と桜が舞い遊ぶ、仄かな光溢れる夜。
 本来は静寂に包まれているであろうこの風景に今在るのは。
 作家と女将と、そしてふたりの仲をある意味引き裂きにきた猟兵達の姿。
 ――この迷ひ路は、何処まで行けども茨の道。
 そうふっと桜色の瞳を細め思う永廻・春和(春和景明・f22608)は。
「ねーそこの可愛いお嬢さんっ。僕と、流行りのオサレカフェーでデートしなーい?」
 猟兵達の攻撃を浴びてダメージを受けても尚、懲りずににこにこ声を掛けてきた作家先生を見遣り呟く。
「……こういった方を、女殺しというのでしたか」
 けれど、文字通りそう成る前に。
「双方が踏み外し、取り返しがつかぬ所へと至る前に、終わらせましょう」
 それから春和は、ちゃらい誘いを掛けてきた作家から視線を逸らして。
 愛しの彼を見つめるイセノの姿を瞳に移し、彼女へと紡ぐ。
「そしてイセノさん、貴方も過去に囚われたままではいけませんよ」
 いつまでも、過去の存在に囚われていれば……きっと待っているのは、哀しい結末だから。
 そんなイセノの心を虜にしておきながらも、春和にも抜かりなく声を掛けた影朧に。
「人の恋路を邪魔すんのは何だが――今回ばかりは女心を弄ぶ奴は狐に焼かれて大火傷しちまえってな!」
 そう叫ぶのは、呉羽・伊織(翳・f03578)。
 毎回自分がされるように、春和にあしらわれた姿はいい気味ではあるが。
 相手は別に異性に困ってなどいない、モテモテで羨まし……いや、女性の敵である。
 そしてリア充爆発ならぬ大火傷させるべく。
「はいはい、お邪魔しますねぇ。道中では中々のおもてなしを有難う御座いました――ええ、お陰様でお腹一杯です」
 作家へとそう笑む千家・菊里(隠逸花・f02716)は、道中のこんにゃくをまさか完食……!?
「いえ今のは楽しくて大満足という比喩ですからね?」
 比喩です、比喩……! 多分。
 そんな愉快な仲間達の様子に、ふっと笑み宿しつつも。
「さて、身内に邪魔者扱いされたのは心外だが、今度は遠慮無く邪魔者と相成ろうか」
 最近は毎回誰かを驚かせるのが楽しみになっている感じさえある佳月・清宵(霞・f14015)は、今度は心置きなく邪魔者として立ち回る。
「悪ぃな、けったいな恋路にゃ茶々を入れたくなる性分でね」
 ――野暮な真似はしたかねぇが、良からぬ野郎が絡むなら話は別だろ、って。
「……くっ、巫山戯た狐トラップといいボケ倒しといい俺も色々と腹一杯だ!」
 伊織は先程までの喜劇……いや悲劇というべきか、お腹一杯すぎるツッコミ要素満載な状況を思い返しながら。
 頑張って飄々と、先手を取るべく素早く動きをみせ、得物握る作家の手を狙い、闇に染む暗器を放って。
 放たれた心中道具を冷ややかなる黒刀で叩き斬り、作家の遊戯に付き合うのはお断り。
 そしてそんな伊織のご要望通りに。
「それはそうと、食物を粗末にするのはいけません」
 という訳でちゃんと食らってくださいね――そうお灸代わりに作家にすえるのは、たんまりと成した狐火。
 それでもまだ楽し気に、笑みを宿す作家に。
「でも僕達の庭、楽しかったでしょ?」 
「まぁ此処までの珍道中の礼は返すぜ」
 刹那、清宵がフェイントで投げ放つのは――こけし!?
 それに一応、呪詛を込めておく。こけしに引かれ無性に気が散るように……?
 けれど本命は、影に紛れ放つ毒暗器。
「って、こけし!? ……っ!」
 そしてまんまとこけしに引っかかって毒を受ける作家。
 けれど、そんなこけしにつられたのは、影朧だけではなく。
「……おい気が散るの投げんな!」
「何でまたてめぇまで引っ掛かってやがる」
 ちゃっかりこけしにツッこまずにはいられなかった伊織に、清宵は面白げに笑う。呪詛耐性はどうした、と。
 そんなつい引っかかってしまったこけしの罠に、伊織は苦笑しつつも。
「そういえば、こけしもついでに罠にぶら下げてたっけー?」
「どうせ下げるなら、次は美味しい物が沢山入った袋でお願いしたいですね」
「先生も、そんなのついでに下げないで!? って、ソコ、強請らないっ」
 ふと思い出したように言った作家と食道楽すぎる狐にツッコんでから。
「あーもう……そんじゃ先生にはオマケの餞別にコレもドーゾ」
 ……一緒に安らかに眠ってネ。
 そう投げ遣りに贈る餞は、例の抱枕!?
「なにこれ! ゆるかわいい」
 それを受け取り、何かちょっと嬉しそうな影朧は、じゃあ僕もお礼ーと。
 戦場へと鋭利な原稿用紙や桜花弁をばら撒くけれど。
「お菓子の乱舞なら大歓迎なんですけどねぇ」
 纏う守りの気は確りと、舞う花も原稿用紙もこけしも。
 菊里の成した狐火が、こんにゃくのお礼も兼ねて、全部仲良く御焚上。
 麻痺霊符のおまけまで付けて、作家へとたっぷりお礼を。
 そんな、仲間の様相に引いて――いや、皆から一歩引いたイセノの傍で。
 春和は彼女の護衛を担い、彼女が血迷わぬように注意ながらも、声を掛ける。
「誰かを恋慕う心を否定など出来ません――それはきっと、とても尊い想いだから」
 ……ですが、このまま彼しか見えぬようになってはいけません、イセノ様、と。
「でも私は、櫻居先生のことを……」
 そうぽつりと呟くイセノにも、きっと分かっているのだろう。
 彼が自分のことを、どう思っているかを。
 けれどそれでも、想いは止められない。それが、恋というもの。
 戦場に再び舞った原稿用紙と桜花弁を、今度は清宵が成した炎が全て焼き払って。
「……!」
 タイミングを合わせ、先程贈った霊符で動きが鈍っている影朧へと、皆で一気に仕掛ける。
 こう、それぞれ紡ぐ言の葉と共に。
「ああ、そうだ。“楽しい今”なら、貴方の分も桜の君が謳歌していますよ」
 ――ふふ、どういう意味か、いつか分かると良いですねぇ。
 そう笑む菊里に、清宵も続ける。
「桜の君、なぁ? 事実は小説より奇なり、とだけ言ってやろうか」
「……確かにね。それもまぁ面白いし。僕はただ、今が楽しければそれでいいんだよ」
 そんな作家の言葉に、伊織は友が良く口にしている言葉をふと思い返すけれど。
 でも、やはり。
「違う様で似てる様で、やっぱ違うな」
 そして――俺からもまた一言だけ、と。作家へと告げる。
「桜の君は俺達と楽しくやってるぜ」
「……ッ!」
 いつか自らが驚く日を――本当の終幕を迎える日を、楽しみにしてると良い、と。
 逆巻く数多の炎と閃く刃が、同時に作家の身を叩き斬り焦がして。
「さ、櫻居先生……っ!」
 消えゆく想い人に悲痛の声を上げたイセノに、言の葉を紡ぐ。
「夢の時間はもう終いだ。目を醒まし、迷路を抜け――違う道を探しに行け」
「女将サンは、優男との仄暗い迷ひ路じゃなく――ちゃんとした光のある、先のある道に戻ってくれ」
 そしてイセノを肩を抱きながら、春和は優しく諭すように声を掛ける。
「彼はもう、此処に在ってはならぬもの。貴方様と共には在れぬもの」
 静けさが戻ってきた、彼女がずっと守ってきた蛍と桜舞う庭で。
 ……過去は過去へと見送って――貴方様は貴方様の未来を見出しに、どうか歩み出してください、と。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年06月24日
宿敵 『或る作家の残影』 を撃破!


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#サクラミラージュ
#桜ノ匣庭


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種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠筧・清史郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


挿絵イラスト