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戀愛遊園地

#UDCアース


●とある遊園地の噂話
 それはいつから、どこから広まった噂かは誰も知らない。けれど、どこからともなく広まった噂――。
『遊園地で遊んだ後に観覧車に乗って、あるサイトにアクセスして動画を見ると恋が叶うんだって!』
『好きな人のハートが手に入るんだって!』
 最初は他愛もない、可愛らしい噂だった。
 けれど、いつしかそれは呪いにも似た効力を持つようになり、UDC職員達も無視できないほどのモノへと変貌を遂げていた。
 オカルト話の中でも可愛い部類、寧ろ害のなさそうなもの。そのはずだったのだけれど。
『あは、アハハ! ねぇ、殺したら、私だけのものだよね! 他の人のモノにはならないよねぇ!』
『ハート、あっは、あの人のハート!』
 遊園地のオカルト話には――本物のUDCが介入していた。

●グリモアベースにて
「遊園地に興味はないかい? 至って普通の遊園地だよ」
 そう言ったのは深山・鴇(黒花鳥・f22925)で、普通の遊園地? と疑いの目を向ける猟兵に目を細めて笑う。
「遊園地自体は本当に普通の……どちらかと言えば人気のあるところでね」
 花をテーマにした遊園地で、今の時期はチューリップやネモフィラ、マーガレットに牡丹など、春の花が多く見られるという。花をモチーフにしたアトラクションなども多くあり、花の形をしたコーヒーカップや花で彩られたメリーゴーラウンド……SNS映えすると若者にも人気なのだとか。
 問題は遊園地ではないのだと、鴇が話を続ける。
「この遊園地で遊んだ後に観覧車に乗って、とあるサイトの動画を見ると恋が叶うって噂話があるんだ」
 平和な噂だ、それが噂で終わるのならば。
「実際にそれを見ると、見た人間の認識や感覚を著しく狂わせるらしい」
 そして、いずれは深い狂気の中で残虐な猟奇事件を引き起こすことになる――。
「それが集団で起これば、大変な事件になるだろうね。それに狂気に侵された者はこの噂話を周囲の人間に広めるんだ」
 侵食する狂気を食い止める方法は、たったひとつ。
「予知によって判明したUDCを具現化する儀式を行うこと、だ」
 鴇の見たUDCを具現化する儀式とは、件のサイトに遊園地で楽しく遊んだ動画を上げる、という至極簡単なもの。
「機械の取り扱いが苦手な人にはね、現地のUDC職員が協力してくれるから安心してくれていいよ」
 動画の撮影からアップロードまで、手伝いをしてくれるのだという。
「儀式が成功すれば、この怪現象を引き起こしているUDCが姿を表す。それを倒してくるのが君達の仕事ってわけさ」
 観覧車付近ではスマホ等で動画が見られないように妨害電波を発生させる手筈になっているので、一般人が動画を見ることはできない。
 猟兵達が動画を上げるのも遊園地が閉園した後になるので、一般人の避難も考えなくていいだろう。
「まずは遊園地を楽しんでくるといい、それじゃ」
 いってらっしゃい、と鴇が笑ってグリモアに触れ、ゲートを開いた。


波多蜜花
 閲覧ありがとうございます、波多蜜花です。
 今回はUDC、現代地球へのお誘いとなっております。遊園地で思いっきり遊んできてください。
 一章のみの参加も歓迎です!

●プレイング受付期間について
 断章投下後にタグやMSページ記載のURLにてご案内しております、参照いただけますと助かります。
 また、参加人数やスケジュールの都合によっては再送をお願いする場合がございます。なるべく無いように努めますが、再送となった場合はご協力をお願いできればと思います(この場合も、タグとMSページ記載のURLにてお知らせ致します)
 オーバーロードについてはMSページに記載があります、ご利用をお考えの方がいらっしゃいましたらお手数ですが確認していただけると幸いです。

●できること
・一章
 花咲く遊園地で楽しく遊んできてください。アトラクションは大抵のものがありますし、花もこの時期に咲く花であれば大抵咲いていることと思います。
 アトラクションに乗るのも、ゆっくり園内の花を楽しむのもご自由にどうぞ! ケータリングなども豊富ですし、お弁当を持ち込んだりもいいかと思います。
 遊園地でできること、であれば大抵のプレイングは通るかと思います(公序良俗に反するものはダメです)
 動画撮影についてのプレイングはなくても大丈夫です、二章で触れる形になります。
 POW・SPD・WIZは気にしなくて大丈夫です。

・二章
 UDCを具現化させる為の儀式を行います、閉園後の遊園地で今日を楽しんだ記録をアップロードします。
 どの記録にするか眺めて悩んだり、こんな動画になったと楽しんだりするのもいいかと思います。
 遊園地の風景や花の動画などでも、あなたが楽しんだ記録であれば大丈夫です。
 機械類が苦手な方はUDC職員が何とかしてくれます、気軽にこういう感じ! としてください。
 閉園時間は夕方頃、黄昏時になります。
 POW・SPD・WIZは気にしなくて大丈夫です。

・三章
 敵との戦闘になります。

●同行者について
 同行者が三人以上の場合は【共通のグループ名か旅団名+人数】でお願いします。例:【遊3】同行者の人数制限は特にありません。
 プレイングの失効日を統一してください、失効日が同じであれば送信時刻は問いません。朝8:31~翌朝8:29迄は失効日が同じになります(プレイング受付締切日はこの限りではありません、受付時間内に送信してください)
 未成年者の飲酒喫煙、公序良俗に反するプレイングなどは一律不採用となりますのでご理解よろしくお願いいたします。

 それでは、皆様の素敵なプレイングをお待ちしております!
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第1章 日常 『楽しい遊園地』

POW   :    ジェットコースターに乗る

SPD   :    お化け屋敷やミラーハウスに入る

WIZ   :    メリーゴーランドや観覧車に乗る

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

●こいあい、通称、れんあい
 戀愛遊園地、こいあいと読むのだが本当は古井逢という地名から取ったもの。古井逢遊園地と名付けるよりも、戀愛と書いた方がロマンチックじゃないかというのが創始者の言。そして、いつしか訪れる人々から『こいあい』ではなく『れんあい』と呼ばれるようになるのに、そう時間は掛からなかった。
 だから、この遊園地の通称は『れんあい』遊園地なのだ――。
 そんな出だしで始まるパンフレットを手にし、人々は広い園内を目当てのアトラクションや綺麗な花景色を求めて歩き回る。アトラクションと花々が互いを邪魔することなく配置され、アトラクションよりも花を目当てに来る人もいるほどだ。
 お花見をしながらお弁当……なんて家族連れも多い為、飲食を行えるスペースもきっちり確保されているし、レストランやスナック系の出店も園内の各所に用意されている。スナック系の出店を制覇する人々の為にちょっとしたスタンプラリーもあるので、園内を隈なく歩き回りたい人にはお勧めだ。
 ジェットコースターにミラーハウス、お化け屋敷にメリーゴーラウンド、観覧車にゴーカート、子どもが楽しめるものから絶叫系までと幅広く、一日いたって飽きないだろう。
 さあ、あなたのお目当てはどちら?
灯篭城・燈子
鬼門・f36273と ◎

遊園地! 見たり聞いたりはするけど、あんまり自分じゃ行かない施設だわー
「掃は遊園地知ってる?」
知らないかー。まあそうよね。連れてきたこともないし
てかあれよね、儀式すっごい簡単じゃない?
どういうルーツ? 類感呪術?
時代が進んで本人が映っている動画を納めるように進化したの?
でも完全に感染呪術だし……
まあいっか!
考えるのは終わり。いまは重要じゃないしね
それよりせっかくだから楽しもうじゃん
「よーし、片っ端から乗ってこう!」
アトラクション乗って昼食つまんで花を見て
「掃ー、ポップコーンは飲むものじゃないんよ」
持って乗るわけにもいかないけどさ


鬼門・掃
魔女・f36229と ◎ しゃべりません

遊園地は初体験だ とても賑やかだと感じる
だが魔女が楽しそうなのでいいか、と思っている
とりあえず、買い食いをして生気をため込んでおくことにする
魔女の問いには無言で首を振って答えとする 知らない
何やら魔女がいろいろ考え始めたがいつものことなので何も言わない
と思ったら手を引かれて全部乗ることになった
ジェットコースターとかいう乗り物は狂気の産物だと思う
魔女に感想を求められたら頭の横で指を回す イカれてる
買い食いをしようにも、魔女がすぐ次の乗り物に連れていくから食う暇がない
ポップコーンは飲めるから楽だ
花は奇麗だった 腹には溜まらなそうだが



●初めて遊園地
 遊園地! と言葉にして灯篭城・燈子(魔女・f36229)は隣を歩く鬼門・掃(狩人・f36273)を見遣る。
「掃は遊園地って知ってる?」
 紫色の瞳を向けられた掃が同じ色のそれを返して首を横に振ると、燈子が知らないかー、まあそうよねと笑う。
「連れてきたこともないしね」
 見たり聞いたりはするけれど、自分から行こうと思うような施設ではない。こんな風変わりな依頼がなければ、この先も訪れる機会などなかったかもしれない。
「まあ、だからこそ来てみる気になったんだけど」
 実際に訪れてみれば、思っていたより何倍も広いし賑やかだ。燈子が感じていることは掃も同じように感じているのだろう、辺りを見回す彼の瞳がほんの少し楽しそうに見える。
 アトラクションに乗った人々の楽しそうな声、それを見て楽しそうにする人々の笑顔、負の感情を感じさせない場所。そんな平和な場所で動画を見るという行為だけで呪いを撒き散らすなんて、どういう呪術なのかと燈子は興味津々だ。
「てかあれよね、儀式すっごい簡単じゃない?」
 呪いに感染させる方法もそうだけれど、件のUDCを喚び出すという儀式もお手軽過ぎると燈子が言う。
「どういうルーツ? 類感呪術?」
 類感呪術だとしても、実際に観覧車に乗って見るという動画の内容がわからなければ如何に魔女たる燈子といえど、解析は不能だ。
「召喚儀式も不思議なのよね、自分達が楽しんだ動画だなんて……時代が進んで本人が映っている動画を納めるように進化したの?」
 でも完全に感染呪術だし……よくわかんないのよね、とぶつぶつ独り言を繰り返している燈子を眺め、掃はいつものことだなと思う。喋ることのない自分に相槌を求めるでもなく、ただ本当に自分の考えを纏める為だけに喋っているのだから。
「うーん、考えれば考えるほど現代ナイズドされてるね……」
 燈子からしたら、喋っているという意識もないかもしれない。こういう時の掃は魔女の邪魔をせず――常に邪魔はしていないのだけれど、ただ隣にいるだけだ。
「まあいっか!」
 だから、不意に燈子に手を取られたことに僅かばかり驚いて、掃が目を瞬かせる。
「考えるのは終わり、いまは重要じゃないしね」
 燈子が繋いだ手を引っ張るようにして歩き出す、せっかく来たのだから楽しもうと笑って、目指すは一番目立っている大型のジェットコースターだ。
「よーし、片っ端から乗ってこう! まずはここの花形からだよ、掃」
 思考を巡らせながらもパンフレットのチェックをしていた燈子が笑い、掃は引っ張られるままにジェットコースターの列に並ばせられる。上空から聞こえてくるのは悲鳴と歓声、相反する声が同時に聞こえてくることに思わず首を傾げてしまう。
「いいね、楽しそうだね」
 魔女の言葉に、そうか? と視線を向けると燈子が乗ればわかるさと笑った。
 順番がくると他の人の真似をしつつ乗り込み、安全バーでしっかりと固定されることに困惑しつつも、燈子が楽しそうにしているので、こういうものかと思うことにした。
 係員がいってらっしゃい! とお決まりの声をかけると発車ベルが鳴り、ジェットコースターが動き出す。ゆっくりとした速度で高い場所に到着したかと思えばそこからの急降下、その速度に乗って一気にトップスピードのまま縦横無尽に駆け巡る。
「…………ッ」
「あはは! これ、は、すごい、ね!」
 隣ではしゃぐ燈子にマジか、みたいな視線を向けつつ掃がわけのわからない速度と掛かる負荷に奥歯を噛み締め、ただこの乗り物が止まるのを待った。
「いやー、すごかったね!」
 ね? と同意を求める燈子に対し、掃が自分の頭の横で指をくるりと回す。確かにすごい、あれを考えたやつは完全に頭がイカれてる、狂気の産物だろうという意思表示だ。
「んっふ、んふ、あはは」
 その仕草に燈子がこれだけでも来た甲斐があったな、と楽しそうに笑った。
「さ、次だよ、次」
 そう促され、各種ジェットコースターにフライングカーペット、掃からすればマジで頭イカれてるな系の乗り物をハシゴし、掃が休憩を求めて買い食いを希望したところでいったん休憩が入る。
「こんなに面白いならもっと早く来るべきだったね」
 魔女が面白がっているのは遊園地じゃなく私だろう、と視線を向けると燈子がぺろりと舌を見せた。
 それもいつものことだと掃が手にしたポップコーンを飲む様に食べていると、燈子がひょいっと手を伸ばしてポップコーンを摘まみながら口を開く。
「掃ー、ポップコーンは飲むものじゃないんよ」
 飲み物だが? という視線を返す掃に、燈子が違うと首を横に振った。
「まあ、持って乗るわけにもいかないけどさ」
 持って乗れるような平和なアトラクションに乗ればいいのだが、そういう頭は燈子にはないようで、次に乗ると指さしたのはほぼ垂直に落ちるフリーフォールと呼ばれるもの。
「あれに乗ったら昼食にしようよ」
 昼食を取ってからでは胃に負担が掛かるような乗り物を先に乗っておこう、という考えで絶叫系をハシゴしていたのかと掃が燈子を見遣る。
「花を眺めながら食べるのも乙なものだよ」
 腹には溜まらないけれど、確かに咲き誇る花々は綺麗だ。
 あれに乗れば美味い昼食と花見が待っている、そう信じて掃は燈子に引っ張られるままに歩くのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ハルア・ガーラント

アキさんと(f17343)と一緒に
女子デート、思いっきり楽しみます!

時間は有限、しっかりと案を練り上げないと
アキさんの意見に頷きながらも
こいあいがれんあいに……素敵(早速脱線)
だって吊り橋効果で関係が進展したり、さり気なく手を繋いだり乗り物もふたりきりでキャー!

アキさんの指差す先を追っ……あんなに高いところから!?
あんなに回転するやつに!?
ももも勿論構いません
どんと恋です!
大絶叫した後はきっと「楽しかった」になる筈だもの!

いっぱい叫んで喉が渇いたし
わたしはアイスアップルティーを

スタンプラリー制覇の言葉に頷きます
ランチを兼ねて食べ歩きもいいかも
それじゃあ最初は――こっちから攻めてみませんか?


駒鳥・了

オレちゃんことアキで!
ガーちゃん(f23517)と女子デート!
パンフを二人で見ながら作戦会議
家族向けな風景で恋とか愛とかビミョー…
でもない?(お隣チラ見
まあいっか!
ところでガーちゃん、あーゆーのダイジョブ?
(絶叫系を指さし
めっちゃ高いトコから落下するヤツいいよね!
回転ループするのも飛空艇操縦のネタになりそー
両方イケそ?(真顔に尋ね
よしっ!じゃあ女子は度胸だーレッツゴー!

やー楽しかったー!!
(絶叫する場所で終始ケラケラ笑ってた

うん、喉乾いたし何か飲も!
タピオカはお腹にたまるから
ベリー系フローズンヨーグルトにしよっかなー

スタンプラリーって制覇したくなんない?
お店の現物確認しながらカンで行こっか!



●ガールズデート!
 春らしい装いに身を包み、女子デートだと楽しそうに遊園地のゲートを駒鳥・了(I, said the Rook・f17343)とハルア・ガーラント(宵啼鳥・f23517)が通り抜ける。
「いいお天気になって良かったです」
「だね! 遊園地日和ってやつ?」
 係員から渡されたパンフレットを二人で覗き込み、どれから乗るか作戦会議だと了が笑ってパンフレットの冒頭文を読む。
「しっかしファミリー向けな風景で恋とか愛とかビミョー……」
 じゃない? と言い掛けて、了が口を噤んだ。
「こいあいがれんあいに……素敵」
 ハルアがキラキラとした目で、了を見たからだ。
「ビミョーでもない?」
「だって吊り橋効果で関係が進展したり、さり気なく手を繋いだり乗り物もふたりきりでキャー!」
 言っている内に想像したのだろう、頬をほんのりとピンクに染めたハルアが頬を押さえている。
「吊り橋効果が本当だったら、ガーちゃんがオレちゃんにときめいたりするってこと?」
「アキさんがわたしにときめくかも? です!」
 なんて、と二人で顔を見合わせて笑うと、どれから乗ろうかとパンフレットを捲った。
「こういうとこって、朝から来たのにあっという間に夕方になってるから侮れないんだよね」
「時間は有限ですから、しっかり案を練り上げないとです!」
 ぐっと手を握ったハルアがそう言うと了が地図を指さして、こっちから回るのがいいかな、と提案する。
「ところでガーちゃん、あーゆーのダイジョブ?」
 あーゆーの、と絶叫系のアトラクションエリアを指すと、ハルアがその指の先を追う。
「……っ、あんなに高いところから!?」
「めっちゃ高いトコから落下するヤツいいよね! ジェットコースターの醍醐味ってカンジ!」
「あんなに回転するやつに!?」
「回転ループするのは飛空艇操縦のネタになりそー! 回転系はジェットコースターだけじゃなく、色々あるみたいだよ」
 横回転に縦回転、どれもスリル満点なこと間違いなしだ。
「でー、ガーちゃんは両方イケそ?」
 無理強いはしたくないから、真顔で了がそう訊ねる。
「も、ももも勿論構いません!」
「ホントに~?」
「どんと恋です! 大絶叫した後はきっと『楽しかった』になる筈だもの!」
 あっ、恋はダメです、わたしには婚約者が、なんてハルアが言いつつ了を見れば満面の笑顔で手を掴まれて。
「よしっ! じゃあ女子は度胸だーレッツゴー!」
「わっ、はい!」
 返事をする前に駆け出した了に引っ張られながら、ハルアも楽しそうな笑みを浮かべた。
 まずは小手調べだと、難易度が低めのジェットコースターに挑戦する。速度は出るが回転はなく、子どもでも乗れるそれはどちらかと言えば楽しいと思えるもの。これなら、夏に遊んだ浮き輪ボートレースの方がスリルがあったかもしれないとハルアが笑う。
「お、それじゃ次は急降下ジェットコースターに乗っちゃう?」
「望むところです!」
 心なしか翼をぶわりと膨らませて言うハルアに、了もよーし! と張り切り気味だ。
 そしていざ、と乗り込んだジェットコースターはスタートしたかと思うと、ゆっくりと坂を上っていく。それはまるで、もうすぐ落ちるぞ、と焦らされているような気分。
「お、思ったよりも、たか、高いです……!」
「この遊園地の全部が見渡せちゃうね!」
 一番上までくれば、後は下るだけ――。
「キャアアアア!」
「アハハハハハ!」
 対照的な声を上げながら、二人を乗せたコースターは急降下を決め、その後も猛スピードで上下左右に振り回す。出発地点に戻ってくる頃には、キャアキャアと叫んでいたハルアも笑顔でもう一回乗ろう! と言う了に、はい! と楽しそうな声だ。
「落ちる瞬間は怖かったんですけど、だんだん楽しくなってきちゃって……!」
「いいねいいね、この調子で回転ループも乗っちゃお!」
 三半規管強め女子な二人のこと、回転系ジェットコースターだってへっちゃら。ハルアは楽しそうな悲鳴を上げ、了はケラケラ笑って両手を上げて喜び、終わる頃にはもう一回乗りたいと二人で笑うのだ。
「やー楽しかったー!!」
「楽しかったですね! でも、叫びすぎてちょっと喉が渇いちゃいました」
「うん、オレちゃんも笑いすぎて喉乾いたし、何か飲も!」
 ドリンク系の屋台の前で、どれにしようかと二人でメニューを見上げる。
「んー、タピオカはお腹にたまるから……ベリー系フローズンヨーグルトにしよっかなー」
「わたしはアイスアップルティーを」
 注文した品を受け取って、スタンプラリーもやっているので良かったらと言う店員さんから用紙を受け取り二人で眺める。
「スタンプラリーかぁ……ね、ガーちゃん」
「はい?」
「こういうのって、制覇したくなんない?」
 制覇、という言葉にアップルティーを飲んでいたハルアが瞳を輝かせて頷く。
「ランチを兼ねて食べ歩きもいいかも」
「ナイスアイデア! そうしよっか!」
 スタンプラリーの用紙とパンフレットの地図を見比べ、ハルアがそれじゃあと地図を指さす。
「最初は――こっちから攻めてみませんか?」
「うんうん、あとはお店の現物確認しながらカンで行こっか!」
 こういう所の食べ物って、不思議といつもより美味しく感じたりするんだよね、と了が期待に満ちた声で言う。
 まだ見ぬ美味しい屋台料理を求め、二人は花見も兼ねて園内を歩き出すのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

日向・陽葵
大学卒って正職員になったこの身はアルバイト時代にもこうしてUDCの鎮圧に向かっていたワケで・す・があ……お上から洗礼受けてる感じ、改めてあるわ~っ
陽葵ちゃん頑張るぞってか? まあ今まで陽翔がやってくれていたし主人格も仕事なさいデスネ、はあい

ぼっちで遊園地とか何気初めてナンですけど! んーー。アトラクションにお乗りするよりは地上をお散歩派ですね……花でも見るかなあ? あらあ蝶々飛んでるし。満開じゃーん色々と
こうして見るとお、遊具がデカいだけの公園ね。ファミリーの方が比率多め?
やーん、仕事人モードでマコトに楽しめてるか不安になってきちゃったや。でも無垢な人間見てっと保護欲湧いちゃうの……わかるっ!



●春の一日
 穏やかな日差しが降り注ぐ中、日向・陽葵(ついんてーるこんぷれっくす・f24357)は家族連れや友達同士に恋人同士で賑わう遊園地を一人ぶらぶらと歩いていた。
「あれに見えるはUDC職員……あ、あっちにも」
 ちょいちょい見知った顔が見えて、日葵が思わず呟く。何故彼女がUDC職員の顔を知っているかと言えば、日葵自身もUDC職員だからである。
「大学卒って正職員になったこの身はアルバイト時代にもこうしてUDCの鎮圧に向かっていたワケで・す・があ……」
 UDCの鎮圧に向かうのはアルバイトであっても職員であっても変わらない、寧ろ――。
「お上から洗礼受けてる感じ、改めてあるわ~っ」
 おうお前正社員になったんだからな、アルバイトとは待遇も変わってくるんだぞ、もっとしっかりやれよ、みたいな?
「陽葵ちゃん頑張るぞってか?」
 社畜という言葉が過ぎった気もするけれど、危険手当もきちんと出るし福利厚生だってばっちり……だったはず。
「まあ今まで陽翔がやってくれていたし、主人格も仕事なさいデスネ、はあい」
 一人で納得し、これも仕事と割り切って改めて園内を見遣る。
「っていうか、ぼっちで遊園地とか、何気初めてナンですけど!」
 ぼっち遊園地、今風に言えばおひとり様遊園地だろうか。一人で来る人だっているだろうし、寧ろ気軽なのでは? なんて考えながら、日葵が数あるアトラクションを眺めてから軽く頬を掻く。
「んーー、アトラクションにお乗りするよりは地上をお散歩派ですね……」
 別に絶叫系が怖いとかじゃないですけどお、なんて言いつつ歩けば蝶々が飛んでいるのが見えた。
「あらあ、蝶々。よく見れば色々満開じゃーん」
 ならば花でも見るかと、大きな花壇や広場に足を向ける。
「こうして見るとお、遊具がデカいだけの公園ね。ファミリーの方が比率多め?」
 絶叫系も多いけれど、家族向けのアトラクションだって沢山あったし、と一人頷く。
「楽しそうにしてる人も多いしね」
 笑い声が何処からともなく聞こえてくるし、行き交う人々はみんな笑顔だ。
「やーん、仕事人モードでマコトに楽しめてるか不安になってきちゃったや」
 本当に楽しめてるのかな? なんて考えて、でも、と思う。
「無垢な人間見てっと保護欲湧いちゃうの……わかるっ!」
 どうしてかはわからないけれど、笑顔だって浮かんじゃう。
「ってことは~、楽しめてるってコトかな?」
 花は綺麗だし、みんな笑ってるし、うん、これってきっと。
 なんてことのない春の一日だけれど、幸せってことだと日葵が笑った。

大成功 🔵​🔵​🔵​

結・縁貴
◎トヲル帅哥(f18631)と

遊園地は初めてだな、お付き合い謝謝!
…うん?全部乗るって言った?全部食うじゃなくて?

最初はメリーゴーランド
煌びやかで女性が好きそうだね
応?もう撮ってんだ(手を振って笑う

コーヒーカップってどういう動き…
哎呀!回せんのか、回し過ぎ!?酔う、酔う!

飲み物買おう…トヲル帅哥は食べ物?
スタンプラリーってやつがあるから、食べ尽くすのは他客の御迷惑だよ
いや骨まで食えとは言ってねェわ

(船を見上げる
空中回転かァ
まァ俺も飛んだことはあるしイケるイケる
…ジェットコースターってコース決まってんのに高速で走るじゃん!?吃驚した!
全制覇した上もう一回は体力底なしか
面白かったけど!俺は疲れた!


茜崎・トヲル
やーさん(f33070)と

いえーい!全部のろーね、やーさん!

えーと最初はー……そう!メリーゴーランド!
子供も好きだよねえ、きらきら。はーいやーさん乗ってー!こっち向いてー!(動画とる!)
コーヒーカップ!そーそー、これ動くからね……いえーい!(ぐるぐるぐる!)
あっははは、遠心力かかってるー!やーさんげんきー?!

チュロスー♪ぽっこーん♪チキンー♪
はーあい、やーさん!だいじょーぶ、おれは空気がよめるキマイラ!
チキンは骨ごと食べるよ!

いえーいバイキングー!!飛んで回って!
締めのジェットコースター!あはははたーのしー!もっかい乗ろーよやーさん!!

満!喫!
最後は花畑でのんびりきゅーけーい!



●アトラクションだって全制覇!
 なるほどこれが遊園地……とばかりにきょろきょろしている結・縁貴(翠縁・f33070)の手を引っ張って、茜崎・トヲル(Life_goes_on・f18631)がキラキラした瞳で笑う。
「いえーい遊園地!」
「遊園地は初めてだな、お付き合い謝謝! トヲル帅哥」
「どーいたしまして! 全部のろーね、やーさん!」
「……うん? 全部乗るって言った?」
「うん!」
「全部食うじゃなくて?」
「それも魅力的だけどー、まずは全部のるのが先かなー!」
「那倒是、それじゃあトヲル帅哥のお勧めは何?」
 確かに遊園地という場所は食べるというよりは遊ぶという言葉の方が似合う。トヲルの言う言葉に頷いて、縁貴が問うた。
「えーと最初はー……そう! メリーゴーランド!」
「メリーゴーランド?」
「こう……馬とか馬車にのってー、ぐるぐる回る!」
「馬に馬車? ぐるぐる?」
「百分は一円にしかずだよ、やーさん!」
「うん、それ多分百闻不如一见、百聞は一見に如かずだね!」
 そうともいうー! なんてトヲルの声に笑って、引っ張られるままに縁貴がメリーゴーランドの前に立つ。
「啊、成程。確かにトヲル帅哥の言った通りだ。煌びやかで女性が好きそうだね」
「ね! 子供も好きだよねえ、きらきら。はーい、やーさん乗ってー!」
 さあさあ、と促されて花飾りが付いた馬に乗ると、隣の馬にトヲルも乗って携帯端末を構えた。
「こっち向いてー!」
 向いて、と言った瞬間には動画撮影のボタンを押したのだろう、ピッという軽い電子音が鳴る。
「応? もう撮ってんだ」
 ひらりと手を振れば発車のベルが鳴ってメリーゴーランドが動き出し、縁貴の表情がくるりと変わる様をトヲルが余すことなく動画に収めた。
 本当にただ回るだけの物だけれど、これが意外と楽しい。可愛い乗り物だし、遊園地って平和なんだなと縁貴がしみじみ思った所で木馬が止まる。下りて次は何処へ? と問う間もなくトヲルが次はこっちだとコーヒーカップを指さした。
「コーヒーカップ?」
「そー、コーヒーカップ!」
 優雅な花の模様が施されたカラフルなコーヒーカップに乗り込んで、どういう動きをするのかと聞いたところでコーヒーカップが動き出す。
「これも回る?」
「そーそー! ぶつかんないよーに回るんだけどー、これね、ここをこうして持ってー」
「嗯嗯」
「こう!」
 いえーい! という声と共にトヲルが中央にあるハンドルをぐるぐると回しだすと、それに呼応するように乗っているティーカップも回りだす。
「哎呀! 回せんのか!」
「あっははは、遠心力かかってるー!」
 ぐるんぐるん勢いよく回るティーカップ、試される三半規管!
「ちょ、トヲル帅哥、回し過ぎ!?」
「たのしーねー! やーさんげんきー?!」
「いや、酔う、酔う!」
 楽しいか楽しくないかと問われれば、どちらかと言えば楽しいがそれよりも酔うと縁貴が訴えるけれど、遠心力でぶん回されているコーヒーカップなのですぐには止まらない。コーヒーカップが停止するまで、トヲルと縁貴は笑い声と悲鳴に近い声を上げていた。……勿論、どちらの声がどちらなどと言うまでもない話である。
「ひっどいめにあった……」
「だいじょーぶ? 何か飲む?」
「飲み物買おう……トヲル帅哥は食べ物?」
 ちょっとばかりふら付くが休憩すれば大丈夫だと、一先ず屋台で何か買おうと立ち止まる。
「うん! チュロスー♪ ぽっこーん♪ チキンー♪」
 あとあとー、とトヲルが目を輝かす。
「あんだけぐるぐるした後によく食えるな……いや愚問だったわ」
 トヲル帅哥だもんな、としみじみ納得してドリンクを口にした。
「トヲル帅哥、スタンプラリーってやつがあるから、食べ尽くすのは他客の御迷惑だよ」
 一応念の為、とトヲルの底なしの胃袋を知る者として声を掛ける。
「はーあい、やーさん! だいじょーぶ、おれは空気がよめるキマイラ! チキンは骨ごと食べるよ! カルシウム!」
「いや、骨まで食えとは言ってねェわ」
 思わず真顔で突っ込んだけれど、骨はトヲルの胃袋に消えた後だった、エコだね。
「で? 次のおススメは何?」
「そーだなー、バイキングかなー! ここのはー……ぐるんするのもあるって!」
「ぐるん」
 ぐるん? と地図を見比べバイキングのある方を見れば、船がぐるんと一回転しているのが見えた。
「空中回転かァ」
 コーヒーカップみたいに延々回ってないなら平気では? と、縁貴が思う。
「まァ、俺も飛んだことはあるしイケるイケる」
「いけるー? よーし、じゃあいこー!」
 抱えられていたチュロスもポップコーンも骨付きチキンもぺろりと平らげ、準備運動はばっちり! とばかりにトヲルが縁貴を連れてバイキングへ。乗るならやっぱり一番スリルのある端っこだとトヲルに言われ、そういうものなのかと縁貴が船の端の座席に座った。
「これはあれかな、ブランコって感じ?」
「ぶらんこ! そー、ぶらんこみたいなもんだよー!」
 揺れ始めはデカいブランコみたいなものだと確かに思ったのだけれど、段々振り幅が大きくなるにつれて、ああなるほど百八十度で揺れるブランコ、と縁貴が真顔になった。
 最終的には百八十度どころか、三百六十度一回転するのだから、ブランコどころではなかったのだけれど。
「うん、まァイケた、これはイケた」
「たのしーねー! よーし次はジェットコースターだー!」
 行くよー、やーさん! とトヲルが張り切る、何せここのジェットコースターにひとつではないのだ。
 まずは肩慣らし、とスピードに特化したものに乗り込む。
「はっや!」
「あははー! すっげー! ばびゅーん!」
 それこそあっという間に終わったジェットコースター、その速さに縁貴が目を丸くしながらトヲルが次はあっちと指さすコースターに向かう。
「……ジェットコースターってコース決まってんのに高速で走るじゃん!? 吃驚した!」
「ねー! はやーい!」
 その後も急降下するものと連続回転するもの、ジェットコースターをハシゴして、この遊園地のジェットコースター? 全部乗ったぜ? を実行したトヲルが縁貴に眩しいばかりの笑顔で言い放つ。
「あははは、たーのしー! もっかい乗ろーよ、やーさん!」
「全制覇した上にもう一回は体力底なしか、底なしだったわ」
 でもちょっと待って、もう一回乗るのはいいけどちょっと休憩! と縁貴が訴え、暫しの休憩と相成ったのでありました。
「花畑でのんびりきゅーけいするのもいいね!」
「そうだね、花見も兼ねてね」
 気が付けばお昼ご飯の時間は少し過ぎていて、おやつに近い時間。
 あれこれと買い込んで、花を眺めて暫しの休息。勿論この後、もう一回全部乗ったのは言うまでもないこと――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

椚・一叶
友のトリス(f27131)と

たくさんの色溢れてる
春らしさ目に焼き付けて楽しむ

確かに良い練習場
どう撮っても上手く撮れる気しかしない
よく見かける花がたくさん咲いているところも
あまり見たことがない花も面白い
こいつ葡萄みたい…とムスカリ覗き込む

遊園地に来たからには、乗り物楽しまねば
メリーゴーラウンドの華やかさに圧倒されつつ向かう
馬乗りはお手の物
目つき強そうなやつ選ぶ
こいつ等はゆっくり上下するだけだから簡単
さてはトリス、儂に負けるのが怖くなって…
乗ってみて分かった、競争には向かない
まあ良いか
回る景色はやはりたくさんの色、見てて飽きない
思い出撮影勝負、乗った
動画を撮るのは初めてだが、負ける気しない
とにやり


鳥栖・エンデ
友人のイチカ君(f14515)と
今回は花をテーマにした遊園地だってねぇ
観覧車に乗る前に目一杯楽しも〜

綺麗な花景色を眺めながらのんびり歩いて
イチカ君がインスタなんとか目指すらしいから
此処で撮影練習もよさそうじゃない?
ボクは青とか紫の花って好きだなぁ
園内の景色も良いけどやっぱり乗り物も…!
指差した先のメリーゴーラウンドへ

なんとなく競争しよ〜って言ってみたけど
カッコいい馬とか最先端な乗り物に乗った方がとか
まぁ、どっちが勝ちでも良いか〜
一緒に乗ってみたかっただけ、だったりして
乗りながら眺める園内の様子も、楽しそうな光景も
キラキラした思い出を撮れた方が勝ちにする?
動画を見返すのは後でのお楽しみだねぇ



●楽しい記憶を君と一緒に
 花で彩られた遊園地のゲートを通り抜け、鳥栖・エンデ(悪喰・f27131)が隣を歩く椚・一叶(未熟者・f14515)を見て笑う。
「イチカ君、今回は花をテーマにした遊園地なんだって」
「花……たしかにたくさんの色、溢れてる」
 他の遊園地なんて、去年のハロウィンに訪れたサクラミラージュの遊園地しか知らないけれど、それと比べても色とりどりの花で溢れていると一叶が頷く。
「ハロウィンの遊園地は黒とオレンジと紫って感じのハロウィンカラーだったからねぇ」
 あれはあれで、とても雰囲気があって楽しかった。夜の遊園地は煌びやかだったけれど、昼間の遊園地も雰囲気が違ってまた楽しい。
「夕暮れになるまで、目一杯楽しも~」
 観覧車も乗ろうね、その前に他にも色々乗らなくっちゃねとパンフレットを手にし、どれにしようかとエンデが笑った。
 ゲートから園内へ向かうと、それは見事な花景色が広がっていて思わず目を奪われる。
「花がテーマって言うだけあって、花壇も綺麗だねぇ。アトラクションが無かったらフラワーパークって感じだよ」
「ふらわーぱーく」
「えっとね、花をテーマにした公園……って感じかなぁ?」
「ふむ」
 それくらい、遊園地にしては花が咲き乱れていて美しいのだ。のんびりと花々を眺めながら歩き、ふとエンデが思い付いたように口を開く。
「ねぇ、イチカ君」
「何だ?」
「イチカ君、インスタなんとか目指すんだっけ?」
「ああ、いんすたぐらまー」
 映える写真を撮って人気者になる仕事、と一叶が思っている職業である。
「それそれ、此処で撮影練習もよさそうじゃない?」
 そう言われ、一叶がハッとしたような表情を浮かべた。
 言われてみればそうだ、映える写真というのは自然や景色でもいいに決まっているし、何よりこんなに花が咲いているのだから、撮って然るべきである……そう、いんすたぐらまーならば!
「確かに良い練習場、どう撮っても上手く撮れる気しかしない」
「うんうん、ボクはインスタなんとかはいいけど、記念に写真を撮るのはいいかもねぇ」
 そうと決まれば二人でスマホを構え、気になる花を撮影していく。
「これもいい……む、あっちもいい」
 よく見掛ける花がたくさん咲いていると、一叶が花壇に寄ってシャッターを切る。
「虹に見立てたチューリップ、これは映える」
 赤、白、黄色、ピンクにオレンジ、紫に緑……正確には白い花弁に緑の縦縞だけれども、七色に見立てるには充分だ。
「うーん、ボクは青とか紫の花って好きだなぁ」
 花壇いっぱいに咲いたネモフィラを眺め、エンデがパチリと一枚。
「イチカ君は何撮ってるんだい?」
「あまり見たことがない花、面白い」
 葡萄みたいだ、と一叶が覗き込んだのはムスカリという名の花、葡萄の様に鈴生りになった花が可愛らしい。
「綺麗な紫だねぇ」
 これも撮っておこう、とエンデが一叶の顔と一緒にフレームに入れる。
「はい、笑って笑って~」
「む」
 こうか、と唇の端を持ち上げて、ピースサインをした一叶にばっちりだよ~と言ってエンデがシャッターを切った。
「園内の景色も良いけど、やっぱり乗り物も気になるよねぇ……!」
 ね、とエンデが指さした先にはメリーゴーラウンド。
「そうだな。遊園地に来たからには、乗り物楽しまねば」
 それにしてもちょっとばかり華やか過ぎる……と思いつつ、一叶がエンデの向かう先を眺め、その後を追った。
「馬か」
「馬だよ~、イチカ君勝負するかい?」
「任せろ、馬乗りはお手の物」
 絶対に勝つ、という気持ちで一叶が目付きの強そうな木馬を真剣な目で吟味する。一方エンデの方はと言えば、メリーゴーラウンドで勝負とは言ったものの、何はどうなったら勝ちとか考えてもいなかったので。
「カッコいい馬とか、最先端な乗り物に乗った方がとか……まぁ、どっちが勝ちでも良いか~」
 早々に勝負を放棄して、一叶の隣の木馬に決めた。
「それでいいのか」
「うんうん、ここでいいんだよ~」
 一緒に乗ってみたかっただけだからね、とは言わずにエンデが笑う。
 さてはトリス、儂に負けるのが怖くなって……とは思ったけれど、メリーゴーラウンドが動き出してから一叶も理解する。なるほど、これは競争には向いていない。何せゆっくりと上下し、回るだけなのだから。
「まあ良いか」
 ゆったりと揺られて回る景色は一叶にとってはたくさんの色が溢れていて、見ていて飽きない。楽しくなってきて、一叶の頬に思わず笑みが浮かぶ。
 そんな彼の様子を見るのも楽しいものだね、とエンデが目を細めながら園内の様子を眺め、一叶に声を掛けた。
「そうだ、イチカ君。キラキラした思い出を撮れた方が勝ちにする?」
「思い出撮影勝負、いいだろう乗った」
 折角だから動画にしよう、とエンデが提案する。
「動画を撮るのは初めてだが、負ける気しない」
 にやり、と一叶が笑う。
「動画を見返すのは後でのお楽しみだねぇ」
 どんな動画が撮れるか、想像も付かないけど――きっと素敵で楽しいものになるよ、とエンデが柔らかく微笑んだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

花房・英
寿(f18704)と◎

どこ行きたい?
いつも通りの会話をしながら
っぽいっていうか、デートだろ

高いとこ大丈夫?
…俺はちょっと緊張してる
思ってたより狭い
いや、そうじゃなくて
出られない部屋みたいなの仕事でならあったけど、それとは違うだろ
密室でしょ、降りるまで出られないんだから
そう、よかった
全く意識されてなかったらどうしようかと思った

お化け屋敷かな
嫌って言うと思った
別に無理しなくていいのに
いいよ、いつかみたいにしゃがみ込まないように支えてあげる
好きってわけでもないよ
人がどういうことに怖がるのか知りたかったから
俺はお化けより人の方が怖いよ
寿は平気、と微かに笑い

あぁ、それで遊び疲れたら花を見るのもいいかもな


太宰・寿
英(f18794)と◎

観覧車に乗りたいな
ふふ、デートっぽい
そうだね、じゃあ早速行こ!

あんまり乗ったことないけど、多分大丈夫
苦手だった?
英は背が高いから窮屈だよね、気付かなくてごめん
密室みたいな…?でもほら、今回は変な力は働いてないし
あ、あんまり言わないで意識しちゃうから…!
別に普段から意識してないとか、そんなことないからね?
も、もう!次は?どこに行きたい?

お化け屋敷(復唱)
い、いいよお化け屋敷行こう
その代わり歩くのが英頼みだからね、服の裾が伸びても怒らないでね
英はどうしてホラー系好きなの?
悪いとかじゃなくて、どうしてかなぁって
そっか…そうかもしれないね
私も英は怖くないよ

今日はいっぱい遊ぼうね



●君と穏やかな一日を
 花をテーマにした遊園地というだけあって、入場ゲート前にもプランターに植えられた花々が訪れる人々を歓迎していた。
「わ、チューリップだよ」
 よく見かける赤や黄色の他にピンクに紫もあると、ゲートを通り抜けようとする太宰・寿(パステルペインター・f18704)が花房・英(サイボーグのグールドライバー・f18794)に向かって笑い掛ける。
「園内にもたくさん咲いてるんじゃないか」
「そうだね、楽しみ!」
 アトラクションに乗るのも、花を見るのも、どちらも楽しみにしてきたのだと寿が係員に渡されたパンフレットを開く。英も寿の頭の上から覗き込み、簡易地図を軽く頭に叩き込んだ。
「寿はどこ行きたい?」
「うーんと、そうね……」
 一番最初に乗るなら何が良いだろうか、ジェットコースター? メリーゴーラウンド? 今日はいいお天気だからウォーターライドもいいかもしれない。悩みつつも、一番に目に付いたアトラクションの名を寿が告げる。
「私、観覧車に乗りたいな」
「観覧車? それならこっちだな、行こう」
「うん!」
 さり気なく手を繋いで、二人並んで観覧車に向かって歩き出す。
「ふふ、デートっぽい」
「っぽいっていうか、デートだろ」
 当たり前のことのように英が言うから、寿はなんだか嬉しくなって、そうだねと繋いだ手に少しだけ力を込めた。
「あ、英の言った通りチューリップ畑みたいな花壇があるよ」
 プランターに植えられていたよりも色数も多く、歩きながら眺めるだけでも見応えがある。
「観覧車から見たら、きっと綺麗なんだろうね」
「他の花も……あっちにネモフィラが見える」
 小さな青い花が幾つも咲いて、まるで花の絨毯の様にも見えた。
 観覧車の乗り場に到着するとまだ並んでいる人も少なく、待つことなく二人は観覧車のゴンドラに乗り込み、向かい合わせに座って外を眺める。
「そういや……寿、高いとこ大丈夫?」
「あんまり乗ったことないけど、多分大丈夫! 英は?」
 寧ろわくわくした顔で外を眺めていた寿が、英の顔に視線を向ける。その真っ直ぐな視線に少し躊躇う様に英が唇を開いた。
「……俺はちょっと緊張してる」
「高いところ、苦手だった?」
「思ってたより、狭い」
「あっそうだよね、英は背が高いから窮屈だよね、気付かなくてごめん」
 僅かに下がった寿の眉根に、英が首を横に振る。
「いや、そうじゃなくて」
 クエスチョンマークを浮かべた寿が、じゃあどうして? と首を傾げる。
「……出られない部屋みたいなの仕事でならあったけど、それとは違うだろ」
「う、うん。密室みたいな……? でもほら、今回は変な力は働いてないし」
 ああ、これはわかってないな、と英が小さく息を吐いて言葉を重ねる。
「密室でしょ、降りるまで出られないんだから」
 二人っきりだよ、と言外にそう言って、英が寿を見る。
 一拍置いて、寿の頬が桜のように甘く染まって。
「あ、あんまり言わないで、い、意識しちゃうから……!」
「そう、よかった」
「よ、よくないと思う!」
「よかったよ、全く意識されてなかったらどうしようかと思った」
 しれっとそう言ってのけた英が窓の外を眺め、あっちに来る時に見たチューリップが見えると指さす。
「別に普段から意識してないとか、そんなことないからね?」
「はいはい、ほら、チューリップの向こう側にネモフィラも見えるよ」
 もう! と頬を染めて唇を尖らせつつ、寿が窓の外を見ればいつのまにか一番上までもう少しという高さまで来ていた。
「わあ……! 綺麗ね!」
 唇を尖らせていたのは何処へやら、楽しそうに笑う寿に英が柔らかく目を細めた。
 ぐるりと一周してゴンドラから降りると、今度は寿が英の手を引っ張る番だ。
「次は? 英はどこに行きたい?」
「お化け屋敷かな」
「お化け屋敷」
 オウム返しの様に復唱し、寿が意を決した様な顔をする。
「い、いいよ、お化け屋敷! 行こう!」
「ほんとに? 嫌って言うと思った」
 脳裏に浮かぶのはアリスラビリンスでの依頼、お化け屋敷ではないけれど、それに相当するような夜の学校――。
「別に無理しなくていいのに」
「ううん、大丈夫」
 いや、やっぱりだいじょばない気がするけれど、一人じゃないしと寿が繋いでいない方の手で拳を握る。
「その代わり歩くのが英頼みだからね、服の裾が伸びても怒らないでね」
「いいよ、いつかみたいにしゃがみ込まないように支えてあげる」
 ふ、と笑ってお化け屋敷はこっちだと、迷いのない足取りで英が進む。
「ね、英はどうしてホラー系が好きなの? その、悪いとかじゃなくてどうしてかなぁって」
 純粋な疑問なのだと寿が問うと、英が何てことないように答える。
「好きってわけでもないよ。ただ、人がどういうことに怖がるのか知りたかったから」
 自分には、よくわからないから。
「でも、怖くはないんだよね?」
「俺はお化けより人の方が怖いよ」
「そっか……そうかもしれないね」
 一番怖いのは何よりも生きた人間――とはよく言ったものだ。
「ああ、でも」
 なぁに? と見上げてくる寿に英が微かに笑う。
「寿は平気」
 その言葉に、寿が満面の笑みを浮かべる。
「私も英は怖くないよ」
 きっと、何があっても怖くないよ、と胸の内だけで呟いて繋いだ手をぎゅっとして。
「今日はいっぱい遊ぼうね!」
「あぁ、それで遊び疲れたらゆっくり花を見るのもいいかもな」
 まずはお化け屋敷だと、春めく園内を二人並んで歩くのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

朱酉・逢真
【オセロ】
心情)遊園地。ひどく純粋な娯楽の結晶。あるいは非日常への憧憬か…いずれにせよどこか一般的でない雰囲気をまとう空間よなァ。坊と黒兄さんはいかがだね、こォいうとこは好みかい? アア坊はチョイと思い出がアレかもだが。俺は好きでもきらいでもないさァ。
行動)まず俺の軛をギッチギチにしてェ。ンでから黒兄さんに結界を張って。苦しかないかい? カチューシャは取り込んでからつけるよ。動画は職員サンにおまかせだ。そォいや俺、UDC登録されてたっけ。ヤ・クリーチャーのほう。基本おふたりが遊ぶのを見守る態勢で行くが…回るウマ人形くらいなら乗れっかな。カップは酔う。ほれ坊・黒兄さん。最強絶叫コースターあるぜ?


雨野・雲珠
【オセロ】◎

思いっきり濡れました…!
(急流すべりから帰還
スーくん!かみさま!次はどれに乗りましょう?

一度目はDKWの絶叫遊園地
二度目は死体が雨あられと降ってくる遊園地
三度目の正直、俺は満喫すると決めているのです!
(耳カチューシャ装着)
(お二人にもプレゼント。かみさまには捧げものとして)

激しめのやつはスーくんと、
揺れないやつは三人で。
今までの依頼で見て来たもののほうが絶対怖いのに
お化け屋敷ではびくっとするし、
すこし恥ずかしかったメリーゴーランドも
乗ってみると意外と高さがあって楽しいです
危なくない遊園地、楽しい…!

ひぇっ
いえかみさま、俺は積極的に好きというわけでは…
キャーーー…(通過する悲鳴)


スキアファール・イリャルギ
【オセロ】◎
ふふふ、雲珠さんは早速楽しんでいらっしゃいますねぇ(ハンカチ手渡し

遊園地は影人間には縁の無い場所だと思ってたんです
でも一昨年のクリスマスに行って楽しかったから
もう少し勇気を出して踏み込んでみようかなと
霊障対策に朱酉さんの結界
雲珠さんから戴いた耳カチューシャ装着して……
うむ、これはバッチリ楽しめそうです

お化け屋敷の怖さは本格的で
メリーゴーランドは意外とスピードがあって楽しい……!
カップの奴は悲鳴が凄いですがアレ絶叫系なんです?
えっUDC登録? 職員?
あ、クリーチャーの方。あぁ……(納得)

えっ。
わ、私も積極的に好きと言うわけでは……
いえ、でも勇気を出して乗りましょうか雲珠さん……!



●それは楽しい遊園地!
 遊園地とは、ヒトの言う日常から少しかけ離れた空間だと朱酉・逢真(朱ノ鳥・f16930)は思う。
「ひどく純粋な娯楽の結晶、あるいは非日常への憧憬か……」
 悲鳴に近い歓声や、楽しそうな笑い声。
 どのいのちも楽しそうに笑ってらァ、と水飛沫を上げて目の前を通り抜けていった、聞き覚えのある楽し気な声に逢真も笑みを浮かべた。
「思いっきり濡れました……!」
 丸太を模したゴンドラに乗り、水の流れるコースを走るアトラクションから戻って来た雨野・雲珠(慚愧・f22865)がキラッキラの瞳をして笑う。
「ふふふ、雲珠さんは早速楽しんでいらっしゃいますねぇ」
 水飛沫によって、頭と頬に雫を付けた雲珠にスキアファール・イリャルギ(抹月批風・f23882)がどうぞ、とハンカチを渡す。
「ありがとうございます、スーくん!」
 遠慮するのも野暮というもの、雲珠が受け取ったハンカチで濡れた頬と髪を拭う。
「あとはこのお天気ですから、すぐ乾くでしょう」
「はい! 晴れて良かったです」
「ちぃと晴れすぎってくらいだからな」
 夏のような陽射しではなく、ぽかぽかと暖かな春の陽射しなのが逢真にとっては救いだろうか。
「しかしまァ、遊園地ってのはいずれにせよどこか一般的でない雰囲気をまとう空間よなァ」
 だからこそ怪異が力を及ばすことが出来るのかもしれないけれど、負の感情とは縁遠い場所だろうに……いや、だからこそか? と逢真が目を細め、今はいいかと切り替えた。
「坊と黒兄さんはいかがだね、こォいうとこは好みかい?」
「そうですね……正直遊園地は影人間には縁の無い場所だと思ってたんです」
 怪奇人間となってしまったこの身には、少々過ぎた場所ではないか、なんて。
「でも、一昨年のクリスマスに行って楽しかったから、もう少し勇気を出して踏み込んでみようかなと」
 考えを改めたんです、とスキアファールが笑う。
「俺はですね、かみさま」
 雲珠が真剣な顔をして逢真を見遣り、ぴっと人差し指を立てる。
「一度目はデビルキングワールドの絶叫遊園地」
 デス・ヘル・ファナティック・インフェルノ・アゴニィ・ランド、略してデスティニィランドと呼ばれる遊園地、遊園地……? みたいな遊園地だったと雲珠は思う。楽しかったけれど、本当に楽しかったけれど、あれが一般的でないのだけはわかる、そんな遊園地。
「二度目は死体が雨あられと降ってくる遊園地」
 ちょっとゲーセンに行こう、という誘いで行ったはずなのに、いつの間にか迷いこんだあまりにも物騒で、思い出すとしわしわな顔になる遊園地。
「三度目の正直、俺はこの普通の遊園地を満喫すると決めているのです!」
「雲珠さんは随分とハードな遊園地を体験してるんですね……」
「アア、坊はチョイと思い出がアレか。マ、それも人生経験ってやつさァ」
 しなくてもいい人生経験では? とスキアファールは思ったけれど黙っておいた。
「それでですね、俺は遊園地というものを軽くリサーチしたんです」
 行き当たりばったりも楽しいけれど、何をするとより楽しめるかを調べるのは120%楽しむコツでもある。
「それがこちらです!」
 す……っと取り出した耳カチューシャ、それはこの戀愛遊園地のメインマスコットキャラクターであるコイちゃんとアイちゃんの耳を模したもの。
「……猫耳、ですね」
 赤い猫耳と黒い猫耳、そしてピンクの猫耳。他のキャラクターの耳もあったんですが、ここはやはりメインキャラクターかと! と語る雲珠にスキアファールが相槌を打ちつつ、おもむろにピンクの猫耳を装着した雲珠に目を瞬いた。
「お似合いですよ、雲珠さん」
「おや、可愛いねェ。で、その赤いのと黒いのは」
「お二人にもと思いまして!」
 だよな、と逢真が一度目を閉じてからちょっと待ってな、と自身の枷たる軛を締め上げる。
「もうちょい……ギッチギチにしてェ」
 もともと、こういう場所を訪れる時やヒトの近くにいる時などは、自身の病毒がなるべくヒトに害を成さぬよう限界まで締め上げるのだ。更にその上に結界を張れば、まぁヒトに触れるのは相変わらず無理だが多少の無理が効くというもの。
「ほれ、黒兄さんにも」
 怪奇が漏れ出ぬようにと霊障対策をしていたスキアファールにも、指を×の形にした逢真が結界を張り巡らせる。
「苦しかないかい?」
「ありがとうございます、大丈夫ですよ」
 さあ準備は整ったぜ、と逢真が雲珠を見遣ると黒いのをスキアファールへプレゼントだと渡し、逢真には赤いのを捧げものだと渡した。
「では早速!」
 雲珠に倣うように黒い猫耳カチューシャをスキアファールが付けると、そのままでは腐らせてしまうのでと一度《服》に取り込んでから逢真も赤いにを付けた。
「お似合いです!」
「うむ、これはバッチリ楽しめそうです」
「ひひ、付け耳捧げられたンは初めてだなァ」
 猫耳つけた男子三人が爆誕した瞬間である、おわかりだろうか……ここには猫耳に異を唱える者が一人もいないことに――!
 雲珠は猫耳カチューシャは可愛いし、こういう所ではこういったものを付けるのは普通だと学んでいる。スキアファールはなるほど遊園地という場所はこういうのが流行り……と思っていたし、逢真は面白ければそれでいいし何より使徒の捧げものなので受け取らない理由がない。
 そして、実際他にも猫耳カチューシャを付けた人々がいるので、違和感が仕事をしないのだ。かわいいね、猫耳。
「さて、動画は職員サンにおまかせしようかね」
「そういえば儀式に必要でしたねぇ」
「はっ、俺はすっかり忘れていました……」
 あとでデータを貰いましょう、と雲珠が職員に向かって律儀に頭を下げる。
「そォいや俺、UDC登録されてたっけ」
「えっUDC登録? 職員ですか?」
「ヤ、クリーチャーのほう」
 あぁ……とスキアファールが納得したように頷き、雲珠は何をなさったんですかと控えめに問う。
「なンもしとらんよォ」
 何もしてなかったら登録されないのでは……という言葉を飲み込んで、そうですかと雲珠が視線をアトラクションへと向け、では! と仕切り直す。
「スーくん! かみさま! 次はどれに乗りましょう?」
「俺はそうさな、回るウマ人形くらいなら乗れっかな」
「メリーゴーランドですね! コーヒーカップなどは如何でしょう?」
「カップは酔う」
 なんなら見ているだけでも酔う、と逢真が笑う。
「私は何でも……あ、お化け屋敷なら酔わないのでは?」
「お化け屋敷……! 行きましょう、それからメリーゴーランドも乗りましょう!」
 こう見えても猟兵だもの、お化け屋敷程度では……と思っていた時期が雲珠にもありました。
「ヒャッ」
「ほ、本格的ですねぇ」
「そうかい? かわいいもンじゃないか」
「依頼で見てきたもののほうが絶対怖いですのに……ヒッ」
 どうしても身体が身構えてびくっとしてしまう、と雲珠が零す。
「依頼は……そうですね、驚かせにくるのではなく殺意をもってくるからでしょうか」
「な、なるほど」
 スキアファールの言葉にそうかもしれません、と頷きつつ、雲珠が道の横から不意に現れた白い手に短い悲鳴を上げた。
「ひ、ひ、いや楽しいねェ」
 お化け屋敷という、ヒトが作り上げたおもちゃ箱よりも雲珠の反応が逢真には楽しくて仕方ない。なんたって、可愛いいのちが楽しんでいる証拠だから。
「ま、まさか最後に今まで出てきた幽霊達を殺してきた殺人鬼が出てくるとは思いませんでした……!」
「殺人鬼が幽霊達に憑りつかれるシーンは圧巻でした」
「俺はよく知らンが、お化け屋敷ってのはああいうモンなのかえ?」
 多分……? みたいな顔を雲珠がし、ストーリー仕立てのお化け屋敷なのでは、とスキアファールが纏める。
「楽しかったので、良いのではないでしょうか!」
 次はメリーゴーランドですよ、と雲珠が列に並びどの馬にしようかと悩む。並んでいる間は少しばかり恥ずかしさもあったのだけれど、いざ乗ってみると意外と楽しい。
「視界が高いのは楽しいですね!」
「思っていたよりもスピードがあって楽しい……!」
 逢真はと言えば、馬は上下に揺れるというので馬車に乗って雲珠とスキアファールが楽しんでいるのを眺めていた。孫を見守るお爺ちゃんみたいな立ち位置である。
「小さい子ばかりがいると思っていましたけど、大人の方も乗っていらっしゃる理由が分かった気がします!」
「ええ、童心に帰るような……とでも言うのでしょうか。ところで、コーヒーカップの方から悲鳴が聞こえるのですが、アレ絶叫系なんです??」
 しかもなんとなく聞き覚えのある声なのは気のせいだろうか……?
「えっと、あれは乗る人によっては絶叫系になるかと……」
 実際に乗ってみましょう! と乗りに行き、雲珠の言葉の意味を正しく理解してスキアファールが下りてくるのを逢真はケラケラ笑って見ていた。
「それにしても危なくない遊園地、楽しいですね……!」
「雲珠さん、危ない遊園地を引きすぎなのでは……」
 そしてこれから先も何回かに一回は危ない遊園地なのでは、と思ったがスキアファールはそっと胸に仕舞っておいた。
「ほれ坊、黒兄さん」
 ちょいちょい、と逢真が二人を呼び、ついっとジェットコースターを指さす。
「最強絶叫コースターあるぜ? 乗らンのかい?」
「ひぇっ」
「えっ」
 雲珠とスキアファールが顔を見合わせ、ヤバそうなジェットコースターを見上げる。
「いえかみさま、俺は積極的に好きというわけでは……」
「わ、私も積極的に好きと言うわけでは……」
 しかし折角の遊園地、ジェットコースターのひとつも乗っておくべきだろうかとスキアファールが意を決する。
「いえ、でも勇気を出して乗りましょうか、雲珠さん……!」
「スーくんがそう仰るなら、俺もお供します!」
 いっといでェ、と逢真に見送られ、二人がジェットコースターの列へと消えていく。
 見上げていると首が痛くなるので、逢真はでかい子猫を呼び出してその上に寝そべり、雲珠の悲鳴が『キャーーー……!』と通過していくのを聞いて噎せるほど笑っていた。
 何なら笑いすぎてあばらが折れたので、宿をこっそり編み直したりしていたのは内緒の話である。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

華匣・咲樂
🐧花鳥


あら、あらまあ!見てくださいまし、エルピス!
遊園地、ですわよ!
ぴょんと跳ねて大喜び
ぽてぽてと駆け出して──ああ、いけない……わたくしったらはじめての遊園地にはしたなくはしゃいでしまいましたわ…

うふふ、では……遠慮なく!
エルピス、先ずはクルクルまわるお花のカップに行きますわよ!
そしてメリーゴーランド……白馬に乗ったエルピスはかっこよくて美しいでしょうね…な、なんでもありませんわ!
…ジェットコースターはわたくし吹き飛ばられそうなので遠慮して
最後は、ゆったり観覧車がいいですの

わたくしは鳥ですが
穹は飛べぬ鳥ゆえに

あなたの故郷の空もこんな風だったのでしょうか
なんて
少しだけ近く感じて嬉しいですわ


エルピス・ラペルト
🕊花鳥


お、お嬢!そんな……走ったら転ぶっ……くっ……可愛い!
花咲く遊園地をぬいぐるみよろしくかけていく子ペンギン…危うく可愛いすぎて気絶するとこだったぜ
いい、思いっきりはしゃげよ
ここは遊園地
俺も初めてだが思いっきりはしゃいで遊ぶ場所だ

もちもちしためっちゃ可愛いお嬢にキリッとした笑顔を向ける
どこでも連れてってやるよ
あのコーヒーカップはどうだ?
メルヘンで可愛いと思うんだが
おうおう、馬に乗るのもいいな
お嬢は掴まれそうにないから俺が抱えてやる
ジェットコースターは─なにあれ怖い
やめとこうぜ
嵐に巻き込まれた時の事を思い出すからな

観覧車、か
空がこんなに近い
俺の?
なら今度連れてってやる
何処まででも飛んでな



●可愛いが大洪水
 あら、あらまあ……! と、可愛らしい声が園内に響く。それを聞きながら、うちのお嬢は声も可愛いんだよな、とエルピス・ラペルト(スワンソングは歌わない・f37011)は耳が幸せを噛み締めていた。
「見てくださいまし、エルピス!」
 興奮した様な声で名を呼ばれ、エルピスが我に返ってどうした? と声を掛ける。
「遊園地、ですわよ!」
 目の前に広がる楽しそうなアトラクションの数々に、咲樂がそのふわふわとした薄桜色の羽毛を持つ子ペンギンの手をパタパタと羽ばたかせ、ぴょんと跳ねて――声も高らかに『きゅ!』と鳴くのだ。
 この世の可愛いの全てを詰め込んだような仕草に、エルピスがうぐぅと呻く。そんな彼を置き去りにする様に、あっちにはお花が……! と、くりくりとした薔薇色の瞳を瞬かせ、ぽてぽてと駆け出した。
「お、お嬢!そんな……走ったら転ぶっ……くっ……可愛い!」
 俺のお嬢が! 死ぬほど可愛い! あまりの可愛さに気絶するところだったが、そこをぐっと堪えてエルピスがぬいぐるみよろしく駆けていく咲樂を追い掛ける。
「お嬢!」
「ああ、いけない……わたくしったら、はじめての遊園地にはしたなくはしゃいでしまいましたわ……」
 恥じらうような仕草でエルピスを見上げる咲樂の嘴は中紅花色をしていて、まるで春を具現化した様な子ペンギンにエルピスが首を横に振った。
「エルピス?」
「いい、思いっきりはしゃげよ」
 小さな咲樂に視線を合わせるように、エルピスがよいしょとしゃがむ。
「ここは遊園地だぜ? 俺も初めてだが、思いっきりはしゃいで遊ぶ場所だ」
 見てみろよ、と促されて咲樂が園内を目当てのアトラクションに向かって走っていく子どもを見遣る。
「……とっても楽しそうですわ」
「だろ? だから、お嬢だってはしゃいでいいんだ。俺がきちんと追い掛けてやる」
 迷子になんて絶対にさせないからと、もちもちしためっちゃくちゃ可愛い咲樂に向かって、エルピスがキリッとした笑顔を向けた。
「俺がお嬢をどこにでも連れてってやるよ」
 最初はそうだな、あのコーヒーカップはどうだ? とエルピスが指さす。
「うふふ、では……遠慮なく!」
 ぴょんっと跳びはねた咲樂が再びぽてぽてと駆け出す、向かう先はエルピスが提案したクルクルと回る花模様が綺麗なコーヒーカップだ。
「エルピス、先ずはお花のカップに乗りますわよ!」
「おう、きっとお嬢に似合うぜ」
 メルヘンで可愛い、間違いない。
 コーヒーカップの円形になった座席に座れば、内側にも花の模様があしらわれていて咲樂のテンションも駄々上がりだ。
「エルピス、エルピス、楽しいですわね!」
「そうだな、お嬢が楽しそうだと俺も嬉しい」
 くるり、くるりと回るコーヒーカップ、咲樂のお願いでエルピスが中央のハンドルを握ってくるくると回す。あんまり速く回し過ぎると咲樂がこてんと倒れるのでゆっくりと、それでも彼女がきゃあきゃあと喜んでくれるので、エルピスは幸せの真っただ中だ。
「とっても楽しかったですわ! エルピス、わたくし次はメリーゴーランドに乗りたいですの」
「おうおう、馬に乗るのもいいな」
 こっちですわ! と、とてとて歩く咲樂の後ろを見守るようにエルピスが付いていく。
「まあ……とっても煌びやかですわ」
 躍動感ある木馬は花で彩られ、まるで王子様が乗る白馬のよう。
「……白馬に乗ったエルピスはかっこよくて美しいでしょうね……」
 想像するだけでかっこいいと、咲樂の頬がふんわり色付く。
「お嬢? 順番だぜ」
「きゅっ! な、なんでもありませんわ!」
 とてて、と馬に向かっていく咲樂を追い掛け、さすがにお嬢の手では掴まれそうにないなとエルピスが判断する。
「お嬢一人じゃ難しそうだから、俺が抱えてやる」
「きゅぴ!?」
 これはもしかして、お姫様抱っこなのではないかしら――!? なんて咲樂が内心取り乱しつつ、エルピスに抱っこされた状態で木馬に乗る。
「まあ……! 素敵、とっても素敵ですわ」
 音楽に合わせて上下し、ゆったりと回るメリーゴーランドはくるくると変わる景色も含めて、何とも楽しい。音楽が終わり、木馬が止まるとエルピスが咲樂を抱っこしたまま下りて、そのまま次はどうしようかと問い掛けた。
「後は何がいい?」
 そうですわね、と言い掛けた咲樂の視線が、頭上をもの凄い勢いで駆けていくジェットコースターに奪われる。
「ジェットコースターは――」
 なにあれ怖い、とエルピスが真顔になって。
「……ジェットコースターはわたくし吹き飛ばされそうなので遠慮しておきますわ」
「うん、やめとこうぜ」
 嵐に巻き込まれた時の事を思い出すからな、と違う乗り物を探してエルピスが歩き出した。
 それから幾つかの乗り物に乗り、お腹が空いたと屋台の食べ物を食べ、そろそろ時間だとなった頃に咲樂があれ、と視線を向けたのは大きな観覧車。
「最後は、ゆったり観覧車がいいですの」
「観覧車、か」
 いいぜ、とエルピスに連れられて、咲樂が観覧車に乗り込む。少しずつ空に向かって上っていくゴンドラに、咲樂はほう、と小さく息を零した。
 咲樂は鳥だけれど、穹は飛べぬ鳥ゆえにエルピスの瞳にも似た蒼に憧れを抱く。
「空がこんなに近い、すごいな」
「人も花も、あんなに小さく見えますわ」
 地上に目を向け、それから再び空に目を向ける。
「あなたの故郷の空も、こんな風だったのでしょうか」
「俺の?」
「ええ。エルピスの……少しだけ近くに感じられて、嬉しいですわ」
 きっと綺麗なのでしょうね、と咲樂が瞳を煌めかせる。
「なら、今度連れてってやる」
「え?」
「俺がお嬢を連れてってやるよ、こんな狭い箱の中じゃなくって、何処まででも飛んでな」
 お嬢が望むのなら、どんな空だって、とエルピスが笑う。
「まあ……まあまあ、楽しみですわね!」
 きっとあなたと飛ぶ空は、どんな空よりも綺麗だわ。
 そう、地上に咲くどんな花よりも愛らしく微笑んだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

瀬古・戒
【箱2】◎
いやソレどこの世紀末遊園地よ
ちょわ、手…慣れてはきたけど恥ずい
ま、まぁそーゆー名前のトコだし、いいか気にしたら負けッ

ジェットコースターの懺悔タイムてなーんかそわそわすんよな…おわっ!いい風!カメラに向かってピースキメッ!…いやぁラファンてばホントいい声だったなぁはは!写真買って部屋に飾ろっと
さ、拗ねんなってほら、デカイ船の乗り物乗りたいんだろ?いこーぜ!

お昼はシート引いて弁当
俺はおかず担当、内容はラファンのリクエストだ
料理技能1を甘くみるなよ?おいし?…なら良かった嬉し
おにぎりも可愛いし美味しいぞ?
家族連れを見るといつかああなれるといいな、とか、過る
こそばゆくて温かい…春だから、
かな


ラファン・クロウフォード
【箱2】◎2
すごい!どこも花だらけ、どこも壊れてない!
ニホンの遊園地は怪人や怪獣に壊されているイメージ
人が多いな。戒の手をしっかり握る
戒が希望する絶叫系ジェットコースターへ
絶叫が変だって笑わないでくれ。きゃああああ!!!
笑う戒にむくれ顔でドスドス肘鉄くらわす
桜から飛び出た巨大な船のブランコに目がまんまる
バイキング?乗ろう!
波しぶきみたいな桜吹雪。すげぇ、きれいだ。楽しくて大笑い
俺はおにぎり担当。まんまるで不恰好でも味は保証
沢山のおかず。作るのに時間かかったろ、戒、ありがとう
出汁巻き玉子、唐揚げ、蓮根のきんぴら
美味しい。味付けがすごい好きな感じ。口一杯に頬張る
次はどこへ行く?パンフを広げて相談だ



●麗らかな春の日
 冬の寒さも遠のいて、桜の花が綻び咲き乱れるほどに暖かくなってきた晴れの日。まさにお出掛け日和とも言えるような陽射しを受けながら、瀬古・戒(瓦灯・f19003)とラファン・クロウフォード(武闘神官・f18585)は戀愛遊園地へとやってきていた。
「すごい! どこも花だらけ!」
「花がテーマの遊園地つってたもんな」
 園内を歩きながら、あちこちに咲き乱れる花々を眺めてラファンが足を止める。
「どこも壊れてない!」
「なんで?? 普通の遊園地は壊れてないもんだけど?」
 同じように足を止めた戒がラファンを見遣って、何言ってんだ? と首を傾げる。
「ニホンの遊園地は怪人や怪獣に壊されているイメージ、あと爆破されて観覧車が」
「おう、それ以上はいけない。ってか、ソレどこの世紀末遊園地よ」
 ここはUDCアース、至って平和な……いや、怪異が出る辺り平和とは言い難いのかもしれないが、他の世界に比べればまあ平和な世界だ。
 遊園地だって普通の、至って普通の娯楽施設なのだから。
「壊されるのはナシ、爆破もナシだぞ」
「そうか……それにしても人が多いな」
 多くは家族連れだが、恋人同士であろう人々や友人同士で訪れた人々がお目当てのアトラクションに向かって歩いていくのが見える。
「迷子になるといけないからな」
 しっかりと戒の手を握り、然もそれっぽい理由を述べるけれど、ラファンが握りたいだけである。
「ちょわ、手……ッ」
 慣れてはきたけれど、恥ずかしいものは恥ずかしい。
「大丈夫、何度も繋いでたら慣れる」
 寧ろ慣れるまで繋ぐし、慣れても繋ぐし、一生繋ぐとラファンが笑う。
「うう……ま、まぁそーゆー名前のトコだし、いいか……気にしたら負けッ!」
 ぐぬぬ、と頬を赤くしつつ戒がラファンの手を握り返す。
 こんな初心なことをしてはいるが、ご存じだろうか。この二人は新婚だということを――!
「なんだか新婚っぽいな」
「バ、ババババ、ばか!」
 互いの左薬指に輝く白銀の指輪が、楽しそうなラファンと照れる戒を笑う様に瞬いた。
「戒は何に乗りたいんだ?」
「んー、そりゃジェットコースター一択じゃ? 絶叫系な!」
 遊園地に来たからには絶対に乗りたい、何を差し置いても乗りたい、と戒がこの遊園地で一二を争う絶叫系ジェットコースターを指さした。
「絶叫系ジェットコースター、よし行こう」
「お? ラファンって絶叫系平気だったっけ?」
「為せば成る」
 それはあんまり平気じゃないのでは? と思いはしたが、乗ると言うのならば一緒に乗って貰おうじゃないかと戒がジェットコースターの列へラファンと共に並ぶ。すぐに順番がやってきて、二人並んでシートに座りしっかりと安全バーが作動したのを確認したら、出発である。
「ジェットコースターの懺悔タイムてなーんかそわそわすんよな……」
 この、ゆっくりとコースターがレールを上っていくところなんか特に。
「高い高い高い」
「この遊園地見渡せるくらい高いもんな」
「戒、俺の絶叫が変でも笑わないでくれ」
 でもビルよりは低くないか? ってか変なの? と言おうとしたところで、コースターが急降下を開始する。
「おわっ! いい風!」
 ほぼ垂直に落ちるような感覚に戒が笑い、ラファンはと言えば――。
「きゃああああ!!!」
 絹を裂くような悲鳴を上げていた、その後も回転に次ぐ回転にきょええええええ!! という悲鳴を上げ、再び上昇し急降下をするカメラ位置でもいい声で叫んでいた。
「……いやぁ、ラファンてばホントいい声だったなぁはは!」
 戒がその瞬間を激写した写真を眺めて笑う、写真に写る戒はラファンの上げる悲鳴に満面の笑みで、しっかりとカメラに向かってピースを決めていた。
「むううう」
 写真を眺めては笑う戒にラファンがむくれ顔でドスドス肘鉄を喰らわせるのを、痛い痛いと笑って戒が写真を仕舞う。
「はー帰ったら部屋に飾ろっと」
「むぐううう
「うひひ、拗ねんなって」
 ほら、と手を握ればラファンの機嫌がコロッと良くなる、チョロい。そんな機嫌が上向いたラファンが、うわ、と声を上げる。
「どした?」
「あれ、桜から飛び出てるデカイ船」
 桜の木の向こうを見れば、バイキングの船が揺れているのが見えた。紫色の瞳をまんまるにして、パチパチと瞬くラファンに戒が笑う。
「ああ、バイキングか。乗りたいんだろ? 行こーぜ!」
「バイキングっていうのか? 乗ろう!」
 一番揺れを感じられる船の端っこに座り、船が揺れ出すとまるで桜の波飛沫を掻き分けて進んでいるようで、ラファンの機嫌はすっかり上向きだ。
「すげぇ、きれいだ!」
「桜吹雪もすげぇな!」
 二人で楽しくなって大笑いをして、下りる頃にはもう一回乗ろうと大はしゃぎするほど。結局もう一回乗って、二人でけらけら笑いながらお昼にしようと花見も出来るしお弁当も食べられる広場へと向かった。
 シートを引いて、二人で作ったお重を真ん中に置き、さあどうだとお披露目タイム。
 おかずを担当したのは戒で、ぎゅうぎゅうにお重に詰められた出汁巻き玉子に唐揚げ、蓮根のきんぴらにハンバーグにタコさんウィンナー、全てラファンのリクエストだ。
「すごい、作るのに時間かかったろ? 戒、ありがとう」
 沢山のおかずを前に、ラファンがお箸を握って戒に感謝の気持ちを込めて、そう伝える。
「料理技能1を甘くみるなよ?」
「大丈夫、絶対美味しい。俺のおにぎりはまんまるで不格好でも味は保証する」
 ラファンの担当はおにぎりで、どうしても三角にならなかったけれど何故か可愛いまんまるおにぎり。いざ実食と、二人でお互いが作った物を口に運ぶ。
「美味しい。味付けがすごい好きな感じ」
「おいし? ……なら良かった」
 嬉しい、と微笑んで戒もおにぎりを頬張る。
「ん、おにぎりも可愛いし美味しいぞ?」
 どこまでも平和な昼下がり、お弁当を食べながら戒がふと小さな子連れの、楽しそうな家族を見遣る。
 俺たちもいつかああなれるといいな、なんて想いが過ぎって、思わず照れたようにラファンを見れば同じような顔をしていたから、二人で笑い合う。こそばゆくて温かいのは、春だからだろうか、なんて戒がシートに舞い降りた花弁をそっと摘まんだ。
「全部食べたら、アトラクション巡り再開だからな」
「もちろんだ、次はどこへ行く?」
 パンフレットを広げ、二人でおにぎり片手に相談だ。麗らかな春の日は、まだまだこれからなのだから。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

灰神楽・綾
【不死蝶】◎
派手なアトラクションやレストランの美味しい食事など
ひとしきり楽しんだあとは
のんびりと花を眺めながら散歩

本当に見事な花畑だねぇ
色とりどりの花々を次々と撮影していく
そうだ、花の前に焔と零を並べたら
とっても可愛らしい写真が撮れるんじゃない?

あっ、あのチュロス美味しそう~
いい匂いに釣られ、撮影に熱中している梓を置いて出店へ
もっちりサクサクでついついおかわりも買っちゃった

…ん? 梓がいない?
普通の人より背が高い梓は遠目からでも見つけやすいのに
辺りを見回しても全然見当たらない
これは完全にはぐれちゃったかな?
あ、ちょうどいいところに迷子センター
梓を呼び出してもらえないかお願いしてみようーっと


乱獅子・梓
【不死蝶】◎
ああ、花目当てで来る人が多いというのも頷けるな
花の前に焔と零を…? 何だそれ最高じゃないか!
すかさず仔竜たちを花の前に降ろす
オレンジの花と零の組み合わせは補色関係でよく映えるし
赤い花と焔の組み合わせは完全に同化して間違い探しみたいで
これはこれで可愛らしい
写真撮影も捗る捗る

…あれ? 綾はどこだ?
まさかいい年して迷子か…!?
あいつは注意しておかないとすぐにフラフラ~っと
どこかに行ってしまう奴だと分かっていたのに
俺としたことが目を離してしまうとは…!

♪ピンポンパンポーン
「あずさくん、お連れ様がお待ちですので迷子センターまで…」
!!?
何やってんだあいつー!?
あとでがっつり説教してやる…!!



●春日和
 遊園地の花型アトラクションと言えばやはりジェットコースター、来たからには乗らないとだよ、と灰神楽・綾(廃戦場の揚羽・f02235)が乱獅子・梓(白き焔は誰が為に・f25851)に向かって笑う。
「こういうのって、一番に乗るか最後に乗るかで分かれるよね」
「好物を先に食べるか後に食べるかみたいだな……」
「似てるところはあるかもね、俺は混まない内に乗りたいかな」
 というわけで、先ずは一番乗りだとばかりに綾が梓を引き連れて、戀愛遊園地のジェットコースターの中でも一番スリルがあると言われているジェットコースターへと並ぶ。
 見上げればかなりの高さを駆け抜けていくジェットコースターと、人々の楽しそうな悲鳴が聞こえてきた。
「いいね、楽しそうだねぇ」
「竜の背に乗るのとはまた違う感覚なんだろうな」
 速度はどっちが速いんだ? なんて梓が言うのを笑って聞きながら、比べてみればいいよと綾が前へと進む。すぐに順番がやってきて、高身長の二人には少しばかり窮屈なシートに身を滑らせて発車の時を待った。
 安全確認が済むとベルが鳴り響き、ゆっくりとコースターが前進する。その速度は思っていたよりもゆっくりで、こんなものか? と思った瞬間にコースターが坂を上り始めた。
「わ、高い高い」
「どこまで上がるんだ、これ」
 そりゃあ、レールの一番高い所までじゃない? と綾が言おうとして、目の前に広がった空と風景、そして落下していくジェットコースターに歓声を上げた。
「あはは、すごいすごい、速い」
「舌噛む、ぞッ」
 もしかして竜より速いんじゃないか? なんて思いながら、トップスピードのまま宙返りに横回転と、縦横無尽に駆け巡るジェットコースターを堪能する。
「は~、楽しかった!」
「首が痛くなりそうだけどな……」
 こう見えても猟兵だ、このくらいのスピードには耐えられる自信がある。けれど、それとは話を別にしても猛スピードでレールの上を走る乗り物というのは面白いというものだ。
 それからも様々なアトラクションを楽しみ、お勧めのレストランで美味しい食事を堪能し尽くした後、二人はのんびりと花を眺めながら園内を散歩していた。
「本当に見事な花畑だねぇ」
「ああ、花目当てで来る人が多いというのも頷けるな」
 フラワーパーク程の規模ではないけれど、それに準ずるくらいには手入れされた花々が咲き誇っている。
「こっちの花も綺麗だし、あっちも綺麗だね」
 どれも春らしい色合いの花だと写真を撮りながら綾がそうだ、と梓に振り向く。
「ね、花の前に焔と零を並べたら、とっても可愛らしい写真が撮れるんじゃない?」
「花の前に焔と零を……? 何だそれ最高じゃないか!」
 いいアイデアだ! と綾を褒めつつ、梓が焔と零を肩から下ろして花の前に並ばせる。
「オレンジの花と零の組み合わせは補色関係でよく映える……!」
 連射機能でも使っているのかという程の速度でシャッターを切りつつ、次は焔だとピントを合わせる。
「赤い花と焔の組み合わせは完全に同化して間違い探しみたいで、これはこれで可愛らしい……」
 甲乙つけがたい、いやどっちもナンバーワンだ! と、梓の写真フォルダーが爆速で埋まっていくのに綾が笑いつつ、親ばかを発揮する梓をこっそりと写真に収めた。
「あっ、あのチュロス美味しそう~」
 未だ可愛い愛竜の撮影に熱中している梓を置いて、ふらりといい匂いのする出店に綾が向かう。取り敢えず一本、と買って食べてみれば、もっちりサクサクで甘くて美味しい。
「やっぱり揚げたてだよねぇ、もう一本買っちゃおう」
 ついでに梓と焔と零の分も~と合計四本買って、ほくほく顔だ。
「冷めないうちに食べさせてあげ……ん? 梓がいない?」
 あれー? と綾が首を傾げつつチュロスを齧る。
「梓は普通の人より背が高いから、遠目でも見つけやすいのに」
 しかも白いから、余計に目立つはずなのに辺りを見回しても見つかる気配がない。
「これは完全にはぐれちゃったかな?」
 さてどうしようか……と考えつつ、綾がもう一口チュロスを齧った。
 一方、梓はと言えば思う存分写真を撮り倒し、さて綾はと見渡すといないことに気が付いて溜息を零していた。
「まさかいい年して迷子か……!?」
 あいつは本当に俺が注意してみていないとすぐにフラフラ~っといなくなるな、と再確認だ。
「俺としたことが焔と零の可愛さにうっかり目を離してしまうとは……!」
 三歳児よりも勝手に動くからな、としみじみ口にして、どうしようかと考えた時だった。ピンポンパンポーン♪ と、こういった施設ではお馴染みのアナウンス音が鳴り響き――。
『らんじし・あずさくん、あずさくんのお連れ様がお待ちですので迷子センターまで……』
 と、朗らかで優しい声で呼び出しがかかったのは。
「!!?」
 は? である、思わず顎が外れそうなほど、口をあんぐりと開けてしまったじゃないか。
「何やってんだ、あいつー!?」
 これは確実に説教コース、間違いない。
 迷子のあずさくんじゃなく、迷子のあやくんがお待ちですだろ! と憤りつつ、怒るところそこでいいのかな、と首を傾げる仔竜たちを連れて梓は迷子センターへと向かうのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

呉羽・伊織
【白】◎
いや~華やかで良い眺めだな~ハハハ~…はぁ…
(入って早々に花園の綿毛見つめ、“わぁぴよこっぽ~いカワイイ~☆”等と現実逃避始め)
オレの算段では華と花に囲まれたお忍び遊園地タイムのハズだったのに…またお前か~!
(笑顔と弁当へ交互にジト目向け)

いや完全に弁当で餌付けされただけだよネ
んで出店の匂いにも誘われまくって頭お花畑状態の笑顔だよネ、ソレ!
あとRECやめろ!

くっ、こーなりゃやっぱナンパ…いやもうホント黙って!?
分かったから!早く飯食ってその減らず口を塞ぐが良いわ~!

(瞬く間に、周囲の花々もかくやという彩になった飲食物眺め)
嗚呼…ウン、豪華絢爛で映えるケドネ
ホント撮ってる側の華の無さ~!


千家・菊里
【白】◎
ええ、これは実に佳き光景で――御馳走も一層美味しく楽しく味わえそうです
(凄い重箱抱え
伊織を尻目にのほほんと花見渡し)
おや、またそんな儚い夢を?

俺はですね
『春と戀愛に色めく空気の中、伊織ちゃんを独りにするのは忍びないから御守りをヨロシクね(はぁと)』
――という依頼を受け、素行監視兼動画撮影役に来てあげたんですよ
ほら、花見弁当まで持たせて頂いたのですから、早く楽しみましょう
(伊織の様子を●RECしつつ
ちゃっかり出店ラリーの紙も手に!)

ナンパ?う~ん、あの難破船アトラクションの船長(窶れたお化け)みたいになるのがオチでは?

(という訳でどんどん出店巡り)
ふふふ、いやぁ、これが何とか映えですかね



●遊園地と花見弁当
 花より団子、遊園地より花見弁当……とはよく言ったものである、なんて思うのは少々引き攣った笑みを浮かべた呉羽・伊織(翳・f03578)だ。
「いや~、華やかで良い眺めだな~ハハハ~……はぁ……」
 遊園地のアトラクションに乗る人々からは楽しそうな笑い声が聞こえてくるし、目の前に広がる花園は色とりどりの春の花が咲き誇っていて美しい。
 素敵な風景に人々の楽しそうな声、平和そのものじゃないかと和む……和みたい……和めれば……良かったんだけどな~~~?? と、遠い目をしながら、花園に咲くタンポポの綿毛を見つめ『わぁ、ぴよこっぽ~い、カワイイ~☆』なんて考えながら、現実に戻りたくないとばかりに空を見上げた。
「いい天気だな~」
「ええ、これは実に佳き光景で――御馳走も一層美味しく楽しく味わえそうです」
 伊織の心を一気に現実に引き戻したのは、何段重ねか数えるのも恐ろしいお重を特大の風呂敷に包んで持った千家・菊里(隠逸花・f02716)である。
「ううう、オレの算段では華と花に囲まれたお忍び遊園地タイムのハズだったのに……またお前か~!」
 菊里の満面の笑みと、どっさりというかずっしりというか、総重量何キロだ? みたいなお弁当をジト目になりながら交互に見遣った。
 対する菊里はといえば、伊織を尻目に春という季節を詰め込んだような花園を眺め、気分良さげにシートを広げている。
「おや、伊織はまたそんな儚い夢を?」
「儚くないですケド!? 充分狙える現実ですケド!?」
 はぁ、と返事をした菊里に伊織がぐぬぬと唇を噛み締める。そんな彼に穏やかな笑みを向け、菊里が諭すようにお重を掲げる。その圧はどことなく印籠を翳すようにも見えて、伊織がうっと呻いた。
「俺はですね……『春と戀愛に色めく空気の中、伊織ちゃんを独りにするのは忍びないから御守りをヨロシクね』という依頼を受け、素行監視兼動画撮影役に来てあげたんですよ?」
「それ絶対姐サンの語尾にハートマーク付いてただろ!? ってそんな事はどうでもいいんだ、お前完全に弁当で餌付けされただけだよネ?」
「餌付けだなんてとんでもない……ご厚意です。ほら、花見弁当まで持たせて頂いたのですから、早く楽しみましょう」
 そう言った菊里のお重を持つ指先に挟まれているのは、遊園地の出店で配られているスタンプラリーの紙ではなかっただろうか。
「んで、出店の匂いにも誘われまくって頭お花畑状態の笑顔だよネ、ソレ!」
 そんなことないですよ、と微笑む笑顔はお弁当と出店の食べ物をしっかりと満喫するぞという気概に満ちていたし、しっかりと伊織の様子を撮影するべくビデオ撮影も可能なデジカメを『●REC』状態にしていた。
「あとRECやめろ!」
「おや、必要でしょう?」
 後で皆で見ますしね、と声には出さず菊里が微笑んだ。
「何かイヤ~な笑顔なんだよな……ああ、こんなにも穏やかな春の日だってのに! くっ、こーなりゃやっぱナンパ……」
「ナンパ? う~ん、お勧めはできませんね……あの難破船アトラクションの船長みたいになるのがオチでは?」
 菊里の視線の先には窶れたお化けとなった船長のマネキンがあり、伊織が思わず同じように窶れた自分を想像して自分で自分を抱き締める。
「窶れすぎてゾンビみたいになるかもしれませんね」
「いやもうホント黙って!?」
「ふふ、見えるようです」
「分かったから! 早く飯食ってその減らず口を塞ぐが良いわ~!」
 シートの上にドカッと座り、置かれたお重の包みを解く。
「……五段重ねが二つ?」
 合わせて十段じゃないか、と思いながら蓋を開ければ、ぎっしりと詰め込まれた色とりどりのおかずに綺麗に握られたおにぎりが顔を出す。
「こちらがおかずのお重で、こちらがおにぎりとサンドイッチのお重だそうです」
「二人前って量じゃないんだよな~~!」
 量は置いておくとして、彩りも栄養バランスも素晴らしい、文句のつけようもないお重を前にして伊織の心もほんのりと慰められる。
「さ、いただきましょうか!」
「ウン、ウン、それはいいんだケドネ」
 何でお前はお重を食べ切る前に屋台の料理を買い求め、あまつさえシートの上に並べてるの? と伊織が首を傾げた。
「その為の大きなシートですが?」
「嗚呼……ウン、ソウダネ」
「ふふふ、いやぁ、これが何とか映えというやつですかね」
「豪華絢爛で映えるケドネ」
 多分それよりも料理の量の方でバズるんじゃないかな、と伊織が渇いた笑みを浮かべ、渡された割り箸を握り締める。
「ホント、ホント撮ってる側の華の無さ~~!!」
「撮る側の華なんて誰も気にしないでしょう、ほら、いただきますよ」
 うっうっ、と泣きべそ交じりに伊織がいただきますと口にして、二人でお弁当をいただく。
「料理は文句なしに美味いんだよな……」
「文句なんて言ったら罰が当たります。ああ、このおにぎりの絶妙な握り加減……こちらの五目いなり寿司も絶品です」
「冷めてるのに唐揚げもカリッとしてるし、こっちのミニハンバーグも美味い」
 これでこの男と二人っきりじゃなければ最高だったのに、とちらりと菊里を見遣れば幸せそうにおにぎりを頬張っていた。
「幸せそうで何よりなこった」
「ええ、とても。屋台で買ったフライドポテトも熱々で……こういったジャンクフードとやらが屋台の醍醐味ですからね」
 お弁当も美味しい、屋台の食べ物も美味しい、景色は美しく春の陽気はぽかぽかと暖かい。華はないけれどこういうのも悪くないと、伊織がいなり寿司を摘まんで笑った。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

朱赫七・カムイ
⛩神櫻


花々が咲き、笑顔も咲いて実に楽しそうだ
サヨと訪れる場所は好きだ
愛しいきみの笑顔を咲かせてくれるなら

はしゃぐ巫女は愛らしい
頬が緩むのも致し方なし
それは私も同じ──ん?
このみょんみょん動く飾りは?

みらぁはうす……私も初めてだ
誘われるままに足を踏み入れて
一面の鏡の無限回廊に瞬くばかり

不思議な迷路──サヨ!
頭をぶつけたの?
優しく撫でてから決意する
私が先導すると

ん?こっちは行き止まり
では先程の通路…痛!ぶつかった
サヨ…気をつけて
私が出口まで案内する

ふぅ…もう出られないと思った…
安堵と一緒に
巫女があまりに可愛いことをいうものだから
…もう少し迷っていればよかったか、なんて
いっそう愛しくなるじゃないか


誘名・櫻宵
🌸神櫻


美しい花々に彩られた戀愛遊園地なんて素敵
カムイは遊園地はお好きかしら

早速遊びにいきましょう!
腕を搦めて咲って誘ってはやくと急かす
あなたと過ごす時間はあっという間に過ぎてしまうのだもの
カムイの頭にかぁいい飾りをつけてあげてから掌重ねて、いざ!

ミラーハウスにいってみましょ!
私はじめてなの
わぁあ、カムイも私もいっぱい居るわ!
まるで万華鏡の中に閉じ込められたよう─きゃ
こっちは鏡だったわ
私の神様に案内してもらいましょ

あっちへこっちへ
行き止まりだったりぶつかったりする神様の愛おしいこと
必死な様もかぁいらし

噫、やっと出れたわ
ふふ……でももう少し──あなたがたくさんな空間にいても
よかったかも、なんて



●楽しい時間は万華鏡のように煌めいて
 春の甘やかな陽射しに誘われるように、朱赫七・カムイ(禍福ノ禍津・f30062)は誘名・櫻宵(咲樂咲麗・f02768)と共に戀愛遊園地に訪れていた。
「美しい花々に彩られた戀愛遊園地、なんて素敵なのかしら!」
「花々が咲き、笑顔も咲いて実に楽しそうだ」
 ゲートから少し園内に向かって歩いただけでも、綺麗な花が所々に咲いているし人々の楽し気な声が耳に届く。自然と笑みが浮かんで、カムイが櫻宵へと微笑みかける。
 そんなカムイに蕩ける様な笑みを返し、櫻宵が花を目で追うようにきょろきょろと眺めながら問い掛ける。
「カムイは遊園地はお好き?」
「サヨと訪れる場所ならば、どんな場所も好きだよ」
 それがたとえ地獄の果てであろうとも、愛しいきみの笑顔を咲かせてくれるなら――。
「んもう、カムイったら」
 私のかぁいい神様、と照れたように笑って櫻宵がカムイの腕に自分の腕を絡める。
「ふふ、早速遊びにいきましょう!」
 咲って、誘って、はやくと急かして。
「ああ、いこう」
 はしゃぐ巫女はどうにも愛らしく、どんな願いでも聞いてしまいそうになるから困ったものだ……なんて、ひとつも困っていないような顔をしてカムイが頬を緩めた。
「あなたと過ごす時間はあっという間に過ぎてしまうのだもの」
 ぼんやりしているのは勿体ないわ、と櫻宵が少しばかり早足で歩き、ワゴンの前で止まる。
「それは私も同じ……ん? 何を買っているんだい?」
「ふふ、とってもかぁいいものよ」
 櫻宵がそう言うならば、と暫し待てば戻って来た彼がカムイに手にしたものを見せた。
「サヨ、このみょんみょん動く飾りは?」
「かぁいいでしょう?」
 はい、と櫻宵言う所のかぁいい飾りをカムイの頭に付けて、満足気に微笑む。
「かぁいいわ! とっても!」
「そうかい? サヨが言うなら付けておこう」
 ご機嫌な櫻宵がカムイの手に己の手を重ねて握り、いざ遊園地! と再び歩き出した。
「どれも楽しそうね、何が良いかしら……あら、ミラーハウスですって」
「みらぁはうす?」
「私もはじめてなのだけど、鏡が一面にあって色々な姿を映してくれる……のだったかしら」
「興味深い場所だね」
「そうね、ならミラーハウスにいってみましょ!」
 こっちよ、と櫻宵に手を引かれてカムイがミラーハウスへと足を踏み入れる。それはなんとも不思議な空間で、あちらこちらに張り巡らされた鏡がその場所を無限に広がる空間の様に見せていた。
「これは……聞くのと見るのとでは違うものだね」
 一面の鏡が広がる無限回廊に、カムイが瞳を瞬かせる。
「わぁあ、カムイも私もいっぱい居るわ!」
 櫻宵が驚けば鏡に映る櫻宵も驚くし、笑えば笑う。当たり前のことだけれど、それを沢山いる自分がと思うと、何とも不思議な気持ちになるというもの。
「不思議な迷路、といったところかな」
「ええ、まるで万華鏡の中に閉じ込められたよう――きゃっ」
 鏡に頭をぶつけた櫻宵が小さく悲鳴を上げる。
「サヨ!」
「大丈夫よ、カムイ。こっちも通路かと思ったら、鏡だったの」
 ふふ、と恥ずかし気に笑う櫻宵は可愛らしかったけれど、愛しい巫女にこれ以上怪我をさせるわけにはいかぬとカムイが決意すると、彼の手を離さぬように優しく握りしめる。
「サヨ、私が先導しよう」
「まあ、それじゃあお願いしようかしら」
 私の神様に案内してもらいましょ、と微笑んで櫻宵がカムイの少し後ろを歩く。
 キリッとした表情のカムイもかっこいいわ……なんて思っていたのも束の間、カムイが櫻宵の手を引いたまま立ち止まる。
「おや……こっちは行き止まりだ」
「向こうの方にも道があるように見えるのに、不思議ね」
「本当だね、では先程の通路……痛!」
 相槌を打ちながらカムイが元来た道を進もうとして鏡にぶつかる。
「大丈夫? カムイ」
「これくらい、なんということはないよ」
 心配する巫女も愛らしい……と口元を綻ばせながら、カムイが再び先導するように歩き出す。
「サヨ……こっちは鏡だからね、気を付けて」
「ええ」
「私が出口まで案内するから、安心しておいで」
「もちろんよ、カムイ」
 しっかり掴んだ手は温かく、思わず笑みが零れてしまう。
 それからも、あっちへこっち、行き止まりだったりぶつかったりと、カムイが奮闘しながら前へと進んでいく。その必死な様子も、櫻宵からすればなんてかぁいらしいのだろうか。愛おしさがこみ上げて、思わず後ろから抱き着いてしまったのはご愛敬だ。
「サヨ、どうやら出口のようだ」
「噫、やっと出れたわ! やったわね、カムイ!」
「ふぅ……もう出られないかと思った……」
 思わず安堵と共に出たカムイの言葉に櫻宵が笑い、でも――と言葉を続けて。
「もう少し、あなたがたくさんな空間にいてもよかったかも、なんて」
 ふふ、と悪戯っ子のようにカムイに向かって微笑んだ。
「……もう少し迷っていればよかったか」
 櫻宵があんまりにも可愛いことをいうものだから、そっと抱き締めてそう囁く。
「やぁね、本物のカムイが一番よ」
 ああ、なんといっそう愛しくなるようなことを言うのだろう! 思わず近付けそうになった唇を防がれて、ここは遊園地だったと思い出す。
「もう、カムイったら。次はどこにいきましょうか?」
 ほんのり頬を染めた巫女も愛くるしいと、そっと手を繋いで。
「サヨとならどこへでも」
 そう、幸せそうに微笑んだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

花菱・真紀

幸也さん(f13277)と
ふふ、遊園地デートってやつですね…!
(デートでいいですよ?と首を傾げながら)
あ!デートでよかったんですね!嬉しいです♪
もちろん、幸也さんだからいいんですよ?

依頼なのは分かってますけどこう言う王道な場所に来れるのは何だか嬉しくて。
それに幸也さんと行くのは水族館が多かったから少し新鮮な感じです。
ファンシー…確かに可愛いしカラフルですよね。
最後は観覧車として…せっかくだから目一杯楽しみましょう♪

春だから花がいっぱい咲いてますねー。あ、あれは俺も知ってますよ!ネモフィラ!綺麗な花ですよね…っとまた俺だけはしゃいじゃった。
(はしゃいでいいと言われれば嬉しそうに笑って)
はい♪はしゃいじゃいますね。
ネモフィラは…青いから好きです…あ、牡丹の花も綺麗ですね!

幸也さんは何か行きたいとこあります?
メリーゴーランド?
(小さな声を聞き逃さず照れた様子にクスリと笑い手を取って)
幸也さん乗りましょう!
俺が乗りたいってことで、ね?

俺の写真?もう…後で幸也さんの写真撮らせてくださいよ。


十朱・幸也


真紀(f06119)と

遊園地とか久々に――っ!?
(デート発言に思わず噎せた)

真紀、お前……
ああいや、否定はしねえけどな
改めて考えると、デートの相手が俺なんかでいいのか?
……ぷはっ、聞くまでもなかったか

依頼だって事は忘れんなよ?
あー、確かに水族館ばっかりだったな
遊園地とか久々に来たけど
こう、花モチーフでファンシーっつか
三十路過ぎが浮かれるには、可愛過ぎる場所だよな……?
まあ、真紀が楽しけりゃいいけどよ

おー、あの青色の花か?
向こうには牡丹や他の花も咲いてるし、絶景だな
気にせず、好きにはしゃいでろって(くつくつと笑う

行きたい所、か
……メリーゴーランド、乗ってみてえかも(ぽつり)
いや、こっ恥ずかしいからやめとくわ
真紀ちょっ、マジで乗る気か!?ノリノリだな!?
あー……あんまり俺を甘やかすなよ、ったく
わーった、わかったから、もうちょいゆっくり……!
個室っぽい形のやつに乗るか

真紀、ほら
こっち向けよ、撮るから
……なんとなく可愛かったから、撮りたくなった



●遊園地で見る景色
 柔らかくも暖かな陽射し、吹く風は心地良く春という季節の到来を改めて実感するような、正に行楽日和な本日――花菱・真紀(都市伝説蒐集家・f06119)と十朱・幸也(鏡映し・f13277)は戀愛遊園地へ訪れていた。
「遊園地とか久々に」
 来たな、と何気なく幸也が口にした瞬間、真紀がパァッとした晴れやかな笑みを浮かべて口を開く。
「ふふ、遊園地デートってやつですね……!」
「――っ!? ゲホ、ゴホッ」
 何の衒いもなく発せられたその言葉に、思わず幸也が噎せた。
「大丈夫ですか?」
「ぐ、何でもない、平気……ってか、真紀、お前……」
 デートって、というような難しいような照れくさいような表情を幸也が向ける。
「え? デートでいいですよね?」
 寧ろデートでなければ何だと言うのだ、というくらいの気持ちで真紀が首を傾げながら、まだ少し噎せている彼を見遣った。
「ああいや、否定はしねえけどな」
「あ! デートでよかったんですね! 嬉しいです♪」
 よかった、自分だけがそう思っていたのなら、ちょっと恥ずかしいなと思い始めた所だったので真紀がホッとしたように笑みを浮かべる。
「改めて考えると、デートの相手が俺なんかでいいのか?」
「もちろん、幸也さんだからいいんですよ?」
 他の人が相手だったら、デートじゃなくただのお出掛けですよ、と真紀がおかしそうに笑うので、幸也もつられて笑ってしまう。
「……ぷはっ、聞くまでもなかったか」
「そうですよ」
 だから目一杯楽しみましょう、と真紀が花で彩られたゲートを通り抜け、園内へと足を踏み入れる。それを追うように幸也もゲートを通り、係員に渡されたパンフレットに目を通した。
「さ、どこから回ります?」
「俺はどこからでもいいが……依頼だってことは忘れんなよ?」
 パンフレットの地図から顔を上げ、真紀がへにゃっと笑う。
「依頼なのは分かってますけど、こういう王道な場所に来れるのは何だか嬉しくて」
 こういった機会がなければ遊園地まで足を運ぶ、なんてのは中々ないような気がする。
「それに、幸也さんと行くのは水族館が多かったから、少し新鮮な感じです」
「あー、確かに水族館ばっかりだったな」
 真紀と出掛けるのであればどこだって構わないのだけれど、違う場所であればもっと違う顔が見れるだろうか。なんて考えて、幸也が改めて園内を見回す。
「遊園地とか久々に来たけど……」
 今までに訪れたことのある遊園地よりも、大分と――。
「こう、花モチーフでファンシーっつか」
 パッと目に飛び込んできたベンチでも、肘掛けの部分や背もたれに花がデザインされていて、全体的に可愛らしい色に仕上げられている。
「ファンシー……たしかに可愛いしカラフルですよね」
「だろ? 三十路過ぎが浮かれるには、可愛過ぎる場所だよな……?」
 あのベンチに座るのは多少勇気がいるのではないだろうか、と真紀も思うけれど、こういう場所だからこそ可愛いベンチに男二人で座っていても誰も気にしないんじゃ……? と笑った。
「それもそうか」
 確かに、この遊園地のマスコットキャラクターを模した頭飾りや耳カチューシャを付けて歩く男性も多い、友人連れでもいるのだから誰も他人の事など見てはいないかもしれない。
「まあ、俺は真紀が楽しけりゃいいけどよ」
「はい! すっごく楽しいです! あ、でも幸也さんも楽しんでくれたら嬉しいですよ?」
「……俺だってお前と出掛けるのは楽しいよ」
 その言葉に真紀が嬉しそうな顔をして、ほんのり染まった頬を隠すようにパンフレットの地図に視線を移す。
「それじゃあ、最後は観覧車として……せっかくだから一緒に目一杯楽しみましょう♪」
「おー、そんじゃ行くか」
 何に乗るかな、なんて話ながら園内を歩けばすぐに咲き誇る花々が目に飛び込んできた。
「春だから花がいっぱい咲いてますねー、さすが、花をテーマにした遊園地ってだけはありますね」
「半分フラワーパークみたいなもんだな」
 遊園地らしいアトラクションがなければフラワーパークで通りそうなくらい、しっかりと手入れされた花壇が人々の目を楽しませている。
「有名どころ以外の花の名前、わかんねーけどな」
 チューリップにツツジくらいはわかる、と幸也がチューリップ畑に目を向けた。
「あんなに色があるんだな」
 赤白黄色、それにピンクくらいしか意識してなかったけれど、オレンジに白に交じった緑に紫とカラフルだ。
「あ、あれは俺も知ってますよ! ネモフィラ!」
「おー、あの青色の花か?」
 小さな青い花が群生して、小さなネモフィラ畑を形成している。
「綺麗な花ですよね……っと、また俺だけはしゃいじゃった」
 へへ、と真紀が幸也を見遣る。
「気にせず、好きにはしゃいでろって」
 花も綺麗で楽しいけれど、それを見て楽しそうにはしゃぐ真紀を見ている方がずっと楽しいと、口には出さずくつくつと幸也が笑う。
「はい♪ はしゃいじゃいますね」
 はしゃいでいいと言われて、それなら遠慮なくと真紀が嬉しそうに笑みを返す。
「お、向こうの方には牡丹も見えるな。他の花も咲いてるし……絶景だな」
「あ、牡丹の花も綺麗ですね! ネモフィラの青に牡丹のピンクがまた映えるというか」
「真紀はネモフィラが好きなのか?」
「そうですね、ネモフィラは……青いから好きです」
 真紀がそう言って、幸也を見て笑う。
 ふうん、とその視線の意味に気付かぬまま、幸也が真紀が好きだというネモフィラを眺めた。
「幸也さん、幸也さんは何か行きたいとこあります?」
 花壇を抜け、アトラクションが多く見られるゾーンに入ると、真紀がパンフ片手に問い掛ける。
「行きたい所、か」
 うーん、と少しだけ考えてぽつりと呟いたのは。
「……メリーゴーランド、乗ってみてえかも」
「メリーゴーランド?」
 そう聞き返されて、我に返った幸也が慌てて否定する。
「いや、こっ恥ずかしいからやめとくわ」
 何でメリーゴーランドだなんて言ったのか、自分でもわからなかったけれど何となく惹かれてしまったのだ。
「やっぱジェットコースターでも……」
「幸也さん、乗りましょう! メリーゴーランド!」
 照れる幸也にくすりと笑い、そっと手を取る。それから、あっちですよと引っ張った。
「真紀、ちょっ、マジで乗る気か!?」
「当たり前です!」
「ノリノリだな!」
「そうですよ、だから俺が乗りたいってことで、ね?」
 一緒に乗ってくださいと、真紀が笑う。
「あー……あんまり俺を甘やかすなよ、ったく」
「いやです、だって俺がしたいんですもん」
 悪戯っ子のような笑みを浮かべた真紀に、幸也が敵わねぇな、と呟いて引っ張られていく。
「わーった、わかったから、もうちょいゆっくり……!」
 そんな風に笑いながらメリーゴーランドに辿り着くと、家族連れに交じって大人の姿だってちらほら。
「遊園地なんですから、普通ですよ」
「気にしてるのは自分だけってやつか……」
 それでも、やっぱり木馬に乗るのは抵抗があると馬車の形をした、ちょっとした個室のようなものに乗り込んだ。
「ここも花がモチーフなんだな」
 薔薇を模した馬車は何とも豪華だったし、木馬もそれぞれ違う花で彩られている。
「映えってやつですね」
「映えか……」
 女の子たちの楽し気な声とシャッターを切る音が聞こえる、記念にもなるしSNSに上げれば一石二鳥ってなものなのだろう。そんな話をしている内にメリーゴーランドが音楽と共に回りだす。
「木馬と違って上下に動かないですけど、これはこれで楽しいですね!」
「そうだな……真紀、ほら」
「え?」
「こっち向けよ、撮るから」
 こっち、と振り向いたところでスマホカメラのシャッターボタンを押す。
「あっ! 俺の写真?」
「……なんとなく可愛かったから、撮りたくなった」
「もう……後で幸也さんの写真も撮らせてくださいよ」
「おーおー」
 後でな、と幸也が少し照れたような真紀をもう一枚撮って。
「あっ、また!」
 ちょっと唇を尖らせたのも撮って、幸也があんまりにも楽しそうに笑うから真紀も同じように笑って、メリーゴーランドが止まるまで二人で笑い続けたのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ゼロ・クローフィ
【まる】

遊園地ねぇ
俺は此処で待ってるから円だけ楽しみな
あぁ?お前さんなら何の問題も無いだろうが
20代後半の男が遊園地で動画撮りながらなんて気持ち悪いだろと怪訝な顔
見せんでいい

あーー、はいはい
わかったよ付き合えばいいんだろ付き合えば
面倒そうにしつつも彼女の行動に付き合う
デートねぇ、今までのお前さんの
デートの相手は大変だったんだろうな
で、何乗るんだ?
やっぱりジェットコースターからか

ワクワクしてる彼女に
スリリングは嫌いじゃないが
俺まで手を上げないといけないんだ?

まだ乗るのか?
お前さん全部制覇する気じゃないだろうな?
こいつならしそうだ…
確かに長い付き合いになったな…
検定って、3級って低くないか?
あーーわかったよ
ゴーカートでもお化け屋敷でも付き合ってやる
お化けに泣いても知らないからな
まぁお化け側の方が泣きそうだがとこれは心の中にしまって

これ以上は付き合いきれん
あっちで休憩しよう
甘いもん食わせてやるから
花見は良いが俺は甘いもんは要らないぞ

はいはい、彼女に引かれながら
全く仕方ない奴だなとくすりと笑って


百鳥・円
【まる】

な〜〜につまらないこと言ってるですかあ
もちろん、おにーさんも行きますよね?
動画を撮りながら一人遊園地!だって今どきアリですよ
動画サイトに上がったら一番に見てあげます

……なーんて。おふざけはこの程度にしておいて
さあ行きますよ!はやくはやく!

んふふ、気になったアトラクションは制覇しなきゃ
わたしとのデートはハードですよ?
今更でしたね?
諦めてジェットコースターから参りましょ!

このスリリングな感じにワクワクしちゃう
落下のタイミングで手を上げると更に、ですよう
ささ、おにーさんもご一緒に!

長年の付き合いになって分かるようになりましたね?
まどかちゃん検定3級くらいに合格ですん
もっちろん、まだまだ行きますよう
次はゴーカート、お化け屋敷だって!
……おやや?何か言いました?

わっ、甘いものですか!
やったあ〜嬉しい。おにーさんも食べましょ!
アイスを片手にお花見だって楽しそうです
まーた何を言ってるんですかあ
おにーさんも、ですよ!

時間は少ないですから、早く行きましょ!
あなたの手を引いて駆け足で向かっちゃいます



●本日はハードモードで!
 遊園地ねぇ、とゼロ・クローフィ(黒狼ノ影・f03934)が欠片も興味の無い声音で呟く。彼にとって、楽し気な声もジェットコースターが駆け巡る音と共に流れていく悲鳴交じりの歓声も、何一つ心動かされるものではないから。
 春の陽射しでさえも億劫そうに目を細め、隣であちこちに視線を向けて楽しそうにしている百鳥・円(華回帰・f10932)にこう告げた。
「俺は此処で待ってるから、円だけ楽しみな」
 此処、と花をモチーフにしたベンチにドカッと腰掛け、花を眺めるように――その実何も見ていないのだが、視線を遠くに向ける。
「な~~につまらないこと言ってるですかあ」
 呆れたような瞳で円がゼロの視界を塞ぐように立ち、ずずいと顔を近付けて言う。
「も・ち・ろ・ん、おにーさんも行きますよね?」
「あぁ? お前さんなら一人でも何の問題も無いだろうが」
「そりゃあ、動画を撮りながら一人遊園地! だって、今どきアリですよ?」
 確かに円であれば、一人でだって充分にこの遊園地を楽しんでみせるだろう。けれど、それとこれとは話が別だ。
「おにーさんの動画が動画サイトに上がったら一番に見てあげますけど」
「は? 二十代後半の男が遊園地で動画撮りながらなんて、気持ち悪いだろ」
 眉間に皴を寄せ、怪訝そうな顔でゼロが円を見遣る。
「二人で来ておいて、別行動をしようというおにーさんも実にあっぱれですが、そうはいきませんよ」
 そうなったら、一日中ゼロが何してるか動画にして見せて差し上げましょう、と円が笑う。
「見せんでいい」
 というか、一人で遊んでくればいいだろうと溜息を吐いた。
「……ふふ、なーんて。おふざけはこの程度にしておいて」
「俺はふざけてなんかいなかったんだけどな」
「さあ行きますよ! はやくはやく!」
 はーやーくー、と円がゼロの腕を引っ張った所で、ゼロが諦めたように天を仰ぐ。
「あーー、はいはい、わかったわかった」
「返事は一回、ですよ?」
「はー……わかったよ、付き合えばいいんだろ、付き合えば」
 至極面倒そうにしつつ、またその態度を隠しもせずゼロが立ち上がると、円が満足そうに微笑む。
「そうそう、覚悟を決めてくださいね!」
 今日この日、まどかちゃんと遊ぶという覚悟を! なんて言いながら、円がアトラクションが並ぶ方へと歩き出した。
「んふふ、気になったアトラクションは制覇しなきゃですね」
 楽しそうにパンフレットの地図を眺め、実物を眺め、円が笑う。
「はぁ……」
「わたしとのデートはハードですよ?」
 今からそんな調子じゃ最後まで持たないですよー、と円が胸を張った。
「デートねぇ、今までのお前さんのデートの相手は大変だったんだろうな」
「ふふ、今更でしたね?」
 否定も肯定もせず、魅惑的な笑みを浮かべた円にゼロが肩を竦める。
「で、何乗るんだ?」
「そうですね、やはり絶叫系は欠かせないかと」
「やっぱりジェットコースターからか」
「ええ! 諦めてジェットコースターから参りましょ!」
 善は急げですよ、なんてそれらしい事を言いながら円がゼロを引っ張って、絶叫系の中でも一二を争うスリルが味わえるという触れ込みのジェットコースターの列へと並んだ。
「いよいよですね!」
「そうだな」
 少しばかり狭いシートに身体を押し込み、ワクワクとした顔で前を見つめている円が動き出したジェットコースターに目を輝かせる。
「良い角度で上っていきますね」
「遠目からでも相当な急降下コースだったからな」
 別に怖いとかそういった感情は湧かないが、それでもこの高さはそれなりだなとゼロが思う。
「もうすぐ落下ですね、このスリリングな感じにワクワクしちゃう!」
「スリリングは嫌いじゃないがな」
「ふふふ、落下のタイミングで手を上げると更に、ですよう」
 刻一刻と近付く落下のタイミングに合わせ、円が隣のゼロに視線を向ける。
「ささ、おにーさんもご一緒に!」
「いや、どうして俺まで手を上げないといけないんだ?」
 クエスチョンマークが語尾に付いた辺りでコースターが急降下をはじめ、楽しそうな声を上げながら円が手を上げている。まぁいいか、と思いながら暫しスリリングな猛スピードの空の旅を体験するかとゼロも前を向いた。
 それからは、片っ端から絶叫マシーンに乗り、ふらふらするどころか艶々の笑顔で円が前を向いて歩きながら言う。
「楽しかったですねえ!」
「そうか……お前さん、まだ乗るのか?」
「おや、長年の付き合いになって分かるようになりましたね?」
「確かに長い付き合いになったな……」
 思いがけない出会いから、なんだかんだと二年は経っているのかと気が付いてゼロが口元に手を当てた。そんな彼を見上げつつ、ふっふっふ、と円が笑って、手の指を三本ビシッと立てる。
「まどかちゃん検定三級くらいに合格ですん」
「検定って、三級って低くないか?」
「二級へのハードルは高いですよ?」
 なんて笑って、円がパチンとウィンクを一つ。
「さあ、まだまだ行きますよう! 次はゴーカート、お化け屋敷だっていいですね!」
「あーーわかったよ、ゴーカートでもお化け屋敷でも付き合ってやる。その代わりお化けに泣いても知らないからな」
 そう言いつつ、まぁお化け側の方が泣きそうだが、と思ったのは口に出さずに心の中へと仕舞っておく。
「……おやや? 今何かいいました?」
「何にも。ほら、行くぞ」
 女の勘ってのは怖いな、と思いながら誤魔化すようにゼロが歩き出した。
 ゴーカートで接戦を繰り広げ、お化け屋敷では楽しそうな悲鳴を上げ、シューティングライドでは高得点を叩き出し、メリーゴーランドでは嫌がるゼロを引きずって木馬に乗り、散々アトラクションを楽しんで――。
「これ以上は付き合いきれん」
 と、とうとうゼロが両手を上げた。
「あっちで休憩しよう、甘いもん食わせてやるから」
「わっ甘いものですか! やったあ~嬉しい、おにーさんも食べましょ!」
 何がいいですかね、チュロスもいいし、クレープなんかも捨て難いですし、と円がくるりとゼロの方を向いた。
「アイスを片手にお花見だって楽しそうです」
「花見は良いが、俺は甘いもんは要らないぞ」
 どちらかと言えばしょっぱい物の方がいいくらいなんだが、とゼロが目を細める。
「まーた何を言ってるんですかあ、おにーさんも、ですよ!」
 こうと言い出した彼女に勝てたためしはなかったな、とゼロが諦めたように頷く。
「ふふ、まどかちゃんポイントを差し上げましょう!」
「何のポイントなんだか」
 何かの拍子にいい事があるポイントです、と笑いながら円がゼロの手を引く。
「時間は少ないですから、早く行きましょ!」
「はいはい」
 さあさあ、と駆け足になった彼女に引かれながらゼロも軽く走り出す。
「全く、仕方ない奴だな」
 そう小さく呟いて、ゼロがくすりと笑ったのを円は気配だけで感じ取り、更に足取りを軽くする。
「アイスはやっぱり三段重ねですかー?」
「……好きにしろ」
 どうせ俺のも半分以上お前さんが食べるんだろうと、ゼロが声に出さずに笑う。
「むむ、ソフトクリームもありますよ?」
 これは難問ですよ、ゼロのおにーさん! という円の声に、どっちも頼めとゼロが返す。
「どっちも! うーん贅沢の極みですね!」
 結局、遠慮なくどちらも買い求め、二人で花見をしながらアイスを食べるのはすぐあとの事――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 冒険 『電脳怪異降臨儀式』

POW   :    特殊な舞踊や寝ずの番を行う。

SPD   :    小道具の調達や奇怪なコードの打ち込みを行う。

WIZ   :    召喚術式の解読や魔術儀式の詠唱を行う。

👑7
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

●奇妙な儀式
 乗り損ねたアトラクションはない? もうすぐ日が暮れちゃうよ! なんて、可愛らしいマスコットキャラクター達が人々に声を掛けながら、園内を歩いているのが見えた。
 青い空がゆっくりとオレンジ色に染まっていくの中、観覧車から降りてきた少女達が口々に動画が見れなかった、あの噂ってガセだったんじゃないの? と残念そうにして、すぐにそんな事は忘れたように帰ろうかと笑顔でゲートへと駆けていった。
 同じように観覧車に乗っていた猟兵や、ベンチに腰掛けて花を眺めていた猟兵達が家路に就こうとする人々の背を目で追う。閉園時間を告げる音楽とアナウンスが流れ、係員の人々がアトラクションや園内に残っている人はいないかと確認しながらゲートを目指して歩いていく。
 きっと、猟兵達の事はきちんと言い含められているのだろう、園内に残る猟兵を気にする者はいなかった。
 さあ、楽しい時間はもうすぐ終わり。
 人々がすっかりいなくなって、UDC職員と猟兵だけになったのを確認すると、それぞれが思い思いの場所で動画を件のサイトへと上げ始めた。
 条件は唯一つ、それが楽しく遊んだ動画であること、それだけだ。
 さあ、あなたはどんな動画をサイトに上げるのだろうか?

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 薄っすらと暗くなっていく遊園地の好きな場所で動画をアップロードする形になりますが、プレイングにはどんな動画であるとか同行者さんとキャッキャしながら見ているとかで大丈夫です。
 こんなこと出来そう、等も動画さえアップロードしていれば雰囲気にそっていれば大体通ると思います。
 アトラクションは動きませんが、猟兵の皆様がいますので本格的に暗くなる前には外灯等が点きます。

 それでは、良いひと時を。
灯篭城・燈子
鬼門・f36273と ◎

自前のスマホでいーっぱい撮った!
見てよ掃、「あんたもちょっと笑ってんね」
ちっさい画面を並んで見る
歩いてみるのは面白くないし、魔法の雲に二人乗り
「掃もはやく乗りな~」
そのまんま遊園地見下ろせる位置に飛んでさ
見下ろすと電飾が消えたアトラクションが並んでて
これはこれでなかなか乙なものよね?
って、またなんか物思いにふけってる顔してさ
肘鉄して呼び戻すよ
どーせまたどうしようもないこと考えてただろ
どうしようもないことはどうしようもないんだから
考えたってどうしようもないんだよ
それよりあげる動画選ぼうぜ
「コースターのやつにしよ」
掃が面白い顔してるから


鬼門・掃
魔女・f36229と ◎ しゃべりません

スマートフォンを面妖と言うほど、文明に遅れてはいない
とはいえ生まれは集落、隠れ里
出て長く経った、遠くに来たと思えども、
どこか現代文明からは未知の気配が消えない
せかされながら雲に乗る
落ちるんじゃないか、など
いまさら魔女の行動を疑いはしない
光の消えた大きな機械が暗がりに並ぶ様は
どこか墓場じみている
見上げれば、地上が暗いからだろうか
月星の光はより強く見える
人間は空の明るさを地上に持ってきたがった
結果、空の光が届かなくなるとは皮肉なものだ
なんて考えていたら肘鉄を食らった
痛くはないが気は散る
そうだな、また暇なときに考えよう
魔女があげたがる動画に不満な顔をする



●二人乗り
 空はゆっくりと茜色から薄い紫へと姿を変えていく、まるで今日見たアイスの三段重ねみたいだと灯篭城・燈子(魔女・f36229)が笑う。その言葉に、鬼門・掃(狩人・f36273)は燈子をちらりと見遣って、それよりも魔女のようだなと視線を空へと戻した。
「さてさて、動画だね」
 どれにしようかな、と燈子がスマホを起動させる。
「なんたって、自前のこいつでいーっぱい撮った!」
 すいすいと器用にスマホを操る燈子が、画面にいくつも並ぶ動画のサムネイルを眺めて思案しているのをぼんやりと掃が眺めた。
 スマホと呼ばれる携帯端末を面妖だと言うほど文明に遅れてはいない、と思う。とはいえ、生まれは山に囲まれた集落であり、隠れ里だ。文明の利器とは縁遠かったから、里を出てから長く経った今でも現代文明から感じる未知の気配は拭えない。
 寧ろ、この魔女はよくもこう魔法と相反する科学の塊に慣れ親しんで使うものだと思う。
「あ、これなんかいいんじゃない?」
 そう言って燈子が掃に見せたのは、無表情な掃がほんの僅か口元を緩ませているもの。
「あんたもちょっと笑ってんね」
 スマホで撮影している燈子の笑い声も入った、そんな遊園地の一コマを切り取ったような動画だ。
「ちょっとちっさいよね、画面。もっと大きいので見たいな、やっぱパソコンで見るべきだよね」
 帰ったらデータをクラウドにあげて、と燈子が言いながら画面を切り替えた。
 燈子の言葉は魔法の言葉ではないのに、どこか呪文めいているな……と掃が呆れたように息を零す。
「うーん、歩いて見るのは面白くないし、どうしようかな」
 別にそこらのベンチにでも座って見ればよくないか、と掃がベンチを指さそうとした瞬間に燈子がどこからともなく魔法の雲を取り出した。
 よいしょ、とばかりに燈子が乗り込み、何してるのといわんばかりの顔で掃を見る。
「ほら、掃も早く乗りな~」
 急かされるように掃が雲に乗ると、ごく自然な動きで魔法の雲は空へと浮かび上がった。
 普通であれば落ちるのではないか? と心配するところだけれど、いまさら魔女の行動を疑うような掃ではない。万が一落ちたとしても、笑いながら助けてくれるだろうしな、と離れていく地上を眺めて思うくらいには……信頼、しているのだから。
 遊園地が見下ろせるくらいの高さまで来ると、燈子が魔法の雲をぽんぽん、と叩く。それを合図としたように、雲はその場所で止まった。
「これはまた絶景だね」
 見下ろせば電飾が消えたアトラクションが並んでいて、花々が絨毯の様に見える。燈子の言葉に掃も改めて地上を見下ろせば、光の消えた大きな機械が暗がりに並ぶ様子はともすれば墓場のようにも見えて、思わず目を細めた。
 視線を地上から空に向ければ、暮れていく中に見つけた月と星はより強い光を放っているようにも見える。地上が暗いから余計にそう思うのだろうか、なんて考えていれば――。
「これはこれで、なかなか乙なものよね? おーい、掃ー?」
 また何か物思いにふけってる顔をしてる、と燈子がえいっと肘鉄を喰らわせた。
 脇腹にぐりぐりと肘が押し込まれる感触に、掃の意識が引き戻される。痛くはないけれど、気が散るとばかりに燈子を見遣れば満足そうな顔をして笑うので思わず溜息をついて、降参とばかりに両手を上げた。
「どーせまたどうしようもないこと考えてたんだろ」
 どうしようもないこと、と言われれば確かにそうだな、と掃が頷く。
「どうしようもないことはどうしようもないんだから、考えたってどうしようもないんだよ」
 そんな、あたりまえでいてどこか難しいことを言う魔女に、また暇な時に考えればいいか、と掃がもう一度頷いて肯定を示す。
「……なんかわかってなさそうな気がするけど、まぁいいや」
 それよりも、と燈子がスマホの画面を掃へと向ける。
「儀式として上げる動画を選ぼうぜ」
 あれか、これか、それともこっち、と燈子の指が画面をスワイプするのを掃が眺め、頷いたり首を横に振ったりして、結局最終的には燈子がこれ! と選んだ動画になった。
「コースターのやつにしよ」
 理由は掃が面白い顔をしているから、である。
 めちゃくちゃ不満だと言う顔をして見せたが、そんな事を気にする魔女ではない。
「さあ、黄昏時に上げる動画は何を喚び起こすんだろうね?」
 今の空と同じような色の瞳を煌めかせ、燈子が楽しそうに動画をアップロードするボタンを押す。鬼が出るか蛇が出るか――楽しくなってきたね? と魔女が笑うのを、掃はただ黙ってアップロードの進捗状況を示すブログレスバーが増えていくのを見守った。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

椚・一叶
友のトリス(f27131)と
面白かったと腕伸ばし
見事なもの撮れた
観覧車近くのベンチで、お互い撮ったやつ見てアップしよう

画面いっぱいの花畑
風で揺れ爽やか…これは多分エモいという
あとメリーゴーラウンドでの視界
見ていて面白い
隣にいるトリスの姿や、手振る客たち
見ろ、貴様の良い顔も写っている
この動画で、いつでもこの日の楽しさが思い出せる
景色もぐるぐる回って…ずっと見てると気分が
手ぶれ酔いというやつか

しかし、それがあっても中々の出来映え
キラキラしていて、いんすたぐらまーらしい
トリスはどうだった
いつの間に儂の姿を…
貴様もいんすたぐらまーになれる出来
悩むから全部アップ
撮れない分、心の目にも焼き付けておくといい


鳥栖・エンデ
友人のイチカ君(f14515)と
賑やか楽しいのが遊園地だけど
閉園後も居られるのは何だかワクワクだねぇ
薄闇な観覧車近くのベンチに座って
動画の鑑賞会といこうか〜

春の日差しな花畑でいんすたぐらまー
頑張ってるイチカ君の絵も良いし、
観覧車から見下ろしてる遊園地の全景もエモいねぇ
でもやっぱりメリーゴーラウンド乗ってる時のが
一番面白かったかなぁ、いつまでもぐるぐる回ってる

どれかを選ぶのでも、どれも選べなくても
いっそのこと全部あげちゃう手もあると思うしーと
ポチッとアップロードしかけながら
ボクはそうだなぁ、このあと活躍してくれる
イチカ君のことも楽しみにしてるから
動画に撮れない分はなるべく覚えておくねぇ



●動画鑑賞会
 楽しい時間はあっという間で、椚・一叶(未熟者・f14515)と鳥栖・エンデ(悪喰・f27131)がもう一回観覧車に乗ろうと言った瞬間に閉演時間がもうすぐである事を告げる音楽が流れた。
「あれー、もうこんな時間?」
「む、なんだこの音楽」
「これはね~、もうすぐ遊園地を閉めますよって合図だね」
 一般的に閉園や閉店を告げる音楽として、よく掛かる音楽だ。
「サクラミラージュでも聞いたことない?」
「言われてみれば……?」
 気にしたことも無かったが、なるほどこれが。覚えておこうと一叶が言って、伸びをする様に腕を伸ばす。
「遊園地、面白かった」
「そうだね、ボクも楽しかったよ」
 まだ遊びたいと駄々をこねる子どもを連れて帰っていく家族連れに、また来ようねと囁き合う恋人同士を眺めつつ、エンデが笑う。
「賑やか楽しいのが遊園地だけど、閉園後も居られるっていうのは何だかワクワクだねぇ」
 ちょっとしたホラー映画にありそう、とは口に出さずに一叶を見遣る。
「丁度いい、そこのベンチに座って動画の鑑賞会といこうか~」
 そこ、と観覧車の近くにあったベンチを指さし、エンデが片手に持ったスマホを軽く振るようにして一叶に見せた。
「そうだな」
 この遊園地のベンチはどれも凝ったものばかりだな、と一叶が思いつつ、見知らぬ花の彫刻が美しいベンチに腰掛けてスマホを取り出す。その隣にエンデが座り、スマホの画面をタップしながらどれがいいかな、とサムネイルを確認していく。
「ボクはこれなんかいいと思うな~」
 指先でサムネイルをタップして、エンデが再生したのは春の陽射しの中でそよりと揺れる花畑。
「風で揺れ爽やか……儂知ってる、これは多分エモいという」
「そうだね~、確かにエモいかも。春の陽射しな花畑で、いんすたぐらまー頑張ってるイチカ君の絵も良いし」
「なんで儂……貴様、儂を映してたか」
「うん、そりゃ撮るよ~。これも映え? ってやつだよ」
 なるほど……映えか、と一叶が頷くのを見て、エンデがにこにこして、映えだよと頷いた。
「あとはね、観覧車から見下ろしてる遊園地の全景もエモいねぇ」
 どれ、と一叶が覗き込めば、地上からゆっくりと上がっていく観覧車に合わせて風景もゆっくりと上に向かっていき、やがて天辺に到着する頃には地平線が見える程の絶景が見えた。
「これ綺麗だった」
「ね、いい眺めだったね」
 エンデの撮った動画を見終わると、今度は一叶が自分のスマホ画面をタップする。
「儂はこれも好きだ」
「どれどれ」
 エンデが画面に映った画像を見て、ああ! と笑う。映し出されたのはメリーゴーラウンドに乗りながら撮った動画だ。
「見ていて面白い」
 隣に映っているエンデの姿に、それぞれ思い思いの人々に向けて手を振っている他のお客さん達。ピントを上手くずらしているので表情まではわからないが、笑顔であろうことは想像できる……そんな動画だ。
「見ろ、貴様の良い顔も映っている」
「ほんとだ、ボクってこういう顔で笑うんだねぇ」
 鏡の前で笑ってみるのとは違う、ごく自然な表情にエンデが目を瞬かせる。
「この動画で、いつでもこの日の楽しさが思い出せる」
 気がする、と一叶が唇の端を持ち上げた。
「そうだねぇ、色々見たけど」
 どれもとても綺麗で、楽しくて、いい動画だと思うけど。
「やっぱりメリーゴーラウンド乗ってる時のが一番面白かったかなぁ」
 ほら、いつまでもぐるぐる回ってる、と楽しそうにエンデが笑う。
「そうだな。景色もぐるぐる回って……う、ずっと見てると気分が」
「大丈夫?」
「これが手ぶれ酔いというやつか」
「映像酔いかな、大丈夫? ちょっと遠くを眺めるといいよ」
 ほら、と一叶の手からスマホを取り上げ、エンデがあっちと遠くの方を指さす。
「大丈夫だ、すぐ治る」
 そう言いつつ遠くに視線を向ければ一番星が薄っすら輝くのが見えて、本当に楽しい時間はあっという間なのだなと横目でスマホの画面を見遣った。
 自分はちょっと酔ってしまうけれど、それがあっても中々の出来映えだと思う。
「やはりそれが一番キラキラしていて、いんすたぐらまーらしい」
「そうだねぇ、ボクもこれがいいと思うけど」
 どれかを選ぶのでも、どれも選べなくても、いっそのこと全部上げちゃう手もあるよ、とエンデがにこにこと笑う。
「他にもイチカ君が映ってる動画もいいと思うし、悩んじゃうね」
「いつの間に儂の姿を……」
 さっきも思ったけれど、何気なく映すのが上手いと一叶がエンデが見せる動画を見て唸る。
「貴様もいんすたぐらまーになれる出来」
「そう? ありがとう」
 あれもこれも、と悩みに悩んで一叶がギブアップとばかりにエンデを見遣って。
「悩むから全部アップ」
「ふふ、了解~」
 ポチッとアップロードボタンをタップして、上げられるだけ上げていく。
「トリスはどうだった」
 どれが一番だったのかと問われ、次々に上がっていく動画を眺めながらエンデが一叶に視線を向けた。
「ボクはそうだなぁ、このあと活躍してくれるイチカ君のことも楽しみにしてるから」
 それを含めるとしたら、そっちかなとエンデが笑う。
「む、それなら撮れない分、心の目にも焼き付けておくといい」
「うん、動画に撮れない分はなるべく覚えておくねぇ」
 それはきっと、間違いなく大切な思い出になるはずだから――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

雨野・雲珠
【オセロ】◎

夕暮れ時の遊園地ってちょっと寂しい
ああでも、背の高いスーくんの影帽子が広場にながーく伸びて
これはなかなか絵になるのでは…
さてはぷろひゅーすするつもりですねかみさま。乗ります!
(舞台装置に花吹雪)

今日一日で何度も聞いて、
すっかり覚えてしまったテーマソング
お歌がうまい方って歌い始めた瞬間わかるからふしぎ
最初は俺に合わせてくれて控えめに、
本気で歌い出したら息を呑むほど!
声を張っている様子もないのによく響く声

かみさま、動画に映っちゃっていいんですか?
スーくんだけじゃなくて、
あの素敵な殿方は誰ーって話題になっちゃうかもしれませんよ

ふふふ、後でトヲルくんたちにも見せてあげなきゃ


朱酉・逢真
【オセロ】
心情)へェ、ならせっかくだ。ここで新たに撮りなおすかい? MVみたいな感じでさ。儀式で上げるだけじゃもったいない。そのまま動画サイトであげられるよにしよォぜ。ホレ・坊も入るンだよ。ぷろふーすすっから。俺? 俺は映らンぜ。心霊映像になる。ひひ、戀愛遊園地×新鋭ミュージシャン・イラルギのコラボだなァ。
行動)基本はさっきの動画のママ、兄さんが横から来て鼻歌交じりに歌うだろ。そこに坊がハミングで入ってきて、しっかり歌い直しだしたら俺が伴奏喚ぶから。そっからは遊んでたときの動画をシーンごとに差し込んで編集すればカンペキだろ。編集? 職員サン任せだが。プロだし出来ンだろ。


スキアファール・イリャルギ
【オセロ】◎
遊園地で駄々をこねる子の気持ちってこんな感じなんですね
遊び足りないなって思うくらい楽しかったです

えっMVみたいにして撮り直す!? 動画サイトにもあげる!?
(頭から煙ぼんっ
かみさまプロデュース……
(言えてないおふたりかわいいな、と密かに
い、いいですよやりましょう
イラルギ(※歌い手としての名)として尽力します……!

まずは小さな声で歌い、だんだんノッてきて声を大きくします
雲珠さんが一緒に歌っているのに気付いて笑って
そして朱酉さんの呼んだ楽団に驚きながら歌いきるのです
楽団、豪華すぎる……

これMVっていうか私の紹介動画というか遊園地のPR動画というか……?
いやぁ、照れるなこれ……(頬赤い



●イラルギMV制作委員会
 夕暮れ時というものは、どこか郷愁を誘うような不思議な時間だ。
「夕暮れ時の遊園地って、ちょっと寂しいものなのですね」
 赤子がこの時間によく泣き始めるのも、黄昏泣きや夕暮れ泣きと言うのでしたっけ、と雨野・雲珠(慚愧・f22865)がこの遊園地に幾つかある広場の一つで立ち止まり、朱酉・逢真(朱ノ鳥・f16930)とスキアファール・イリャルギ(抹月批風・f23882)に振り向きながら言う。
「遊園地で駄々をこねる子の気持ちってこんな感じなんですね」
 スキアファールが雲珠の言葉に頷きつつ、遊び足りなさを感じるほどに楽しかったと微笑んだ。
「ああでも、背の高いスーくんの影法師が広場にながーく伸びて……これはなかなか絵になるのでは?」
「三人並んだ影法師も乙なものですね」
「なんだいお前さん方、これからが本番だろォ?」
 陽が沈みかけ、影が伸びていくのを逢真が楽しそうに見遣って言う。
「確かにこれからが本番でした! ええと、動画を上げるのでしたっけ」
 どれにしましょうか、と雲珠がUDC職員から送ってもらったデータを少しばかり慣れない手付きで確認していく。
「坊、せっかくだ。ここで新たに撮りなおすかい?」
 そうすりゃ、もう一回遊べるぜ? と逢真が笑う。
「なんて言ったか……ミュージックビデオ、MVみたいな感じでさ」
 その一言で、雲珠はピンときた。青空に桜を映したような瞳をキラキラと輝かせ、逢真に向かって興奮気味に話す。
「さてはぷろひゅーすするつもりですね、かみさま。乗ります!」
「ぷろひゅーす……あ、プロデュースのことですね?」
「そう、それですスーくん!」
 ぷ、ぷろひゅーす! と雲珠が確かめるように間違ったまま呟いて、逢真とスキアファールを交互に見た。
「そそ、儀式で上げるだけじゃもったいない、そのまま動画サイトで上げられるよにしよォぜ」
「いいですね! 100万再生も夢じゃないです!」
 雲珠が逢真と楽し気に話しているのをにこにことスキアファールが眺めている。MVかぁ、何を撮るのかな、何か手伝える事があればお手伝いしよう、と呑気に考えているのだ。
 主役が自分であることに全く気が付いていない、ぽややん三十一歳である。
「では、俺は舞台装置として桜吹雪を出します」
「撮影はその辺の職員さんに頼めばいいよな」
「あ、私が撮りましょうか?」
「え?」
「え?」
「えっ?」
 三人が顔を見合わせて、雲珠と逢真が顔を見合わせて、同じタイミングでスキアファールを見た。
「いや、主役はお前さんだよ黒兄さん」
「スーくんのえむぶいを撮る、というお話だったのですが……あっ、スー君が嫌なら止めておきますが!」
 俺としたことが、本人の意思確認を忘れていました! と、雲珠が反省とばかりに頭を下げ、改めてスキアファールに申し入れる。
「スーくん! スーくんが主役のえむぶいを撮りませんか!」
 そう言われ、改めて先程の二人の会話がどういった意味だったのかを理解し、スキアファールが伏せがちな瞳を大きく開いた。
「えっMVみたいにして撮り直す!?  動画サイトにもあげる!?」
 頭から煙がぽんっと出そうなほど、頬が赤くなる。
「はい! かみさまぷろひゅーすで!」
「そうそ、俺がぷろふーすすっから」
「かみさまプロデュース……」
 何気におふたりとも言えてないな、かわいいな、と思いつつスキアファールがコホン、とひとつ咳払いをして二人を見た。
「い、いいですよ、やりましょう」
 なんたって、こんなチャンスは滅多にないこと。閉園後の遊園地というロケーション、かみさまが全力でプロデュース、雲珠の期待に満ちた瞳、断る理由は何ひとつとしてなかったのだ。
「イラルギとして、尽力します……!」
 スキアファールの歌い手としての名を出し、こくりと頷く。
「やったあ! スーくんの素敵えむぶいを撮りますよ!」
「よしよし、決まったなァ」
 まずはどんなものにするか、と言ったところで雲珠が手を上げた。
「はい、坊」
「俺はこれを撮り直すのがいいと思うんです」
 これ、と雲珠が見せたのはスキアファールが戀愛遊園地のテーマソングを鼻歌で歌っているもの。鼻歌ですら素敵に思ったのだから、きちんと歌えば如何ほどかと雲珠が力説する。
「夕焼けの広場をスー君が歩きながらてーまそんぐを鼻歌でお歌いになるところから始まって、そこから伴奏が入って鼻歌から歌へと変わっていくんです」
「よしよし、それじゃそうしようぜ」
 筋書きはこうだ、と逢真が雲珠の案に乗せて手短に話す。
「基本はさっきの動画のママ、黒兄さんが横からきて鼻歌交じりに歌うだろ」
 あの辺から、と指させばスキアファールが頷く。
「そこに坊がハミングで入ってきて」
「えっ俺もですか?」
「そ、二人纏めてぷろふーすだ」
 しっかり歌い直しだしたら、俺が伴奏を喚ぶからと締め括った。黄昏時は短いもの、今撮らなくては夜になる。
 流れはできた、後はアドリブだって構わない。その方がMVっぽく見えるというもの。いつの間にかUDC職員の有志の皆さんが集まって、あらゆる角度から動画を撮る準備もバッチリだ。
「それじゃ……よォい、すたーとォ」
 大きくはないが不思議と夕焼けの空気に響く逢真の声が始まりを告げると、スキアファールが鼻歌交じりに小さな声で歌いながら指示された場所から歩き出す。
 ホレ・坊も入るンだよ、と逢真の合図を受けて雲珠がスキアファールの隣に立って歩き、ハミングを重ねていく。
 今日一日で何度も聞いて、すっかり覚えてしまったテーマソングはどこか軽妙で思わず口遊んでしまう歌。それを二人で鼻歌で、時折少しだけ調子っぱずれになって、顔を見合わせて笑って。
 仕切り直すようにスキアファールが今度は鼻歌ではなくしっかりと歌い出した瞬間に、逢真の喚び出した死せる名音楽家たちのオーケストラがテーマソングを奏でだす。一瞬驚いたような顔をしたスキアファールがその伴奏に声を乗せ、次第に本気の歌声を暮れていく空の中に響き渡らせた。
 その頃には雲珠はもう聞き惚れるばかりで、スキアファールの隣を笑みを浮かべて歩くのみ。
 ああ、お歌がうまい方って歌い始めた瞬間でわかるからふしぎなのに、本気を出されてしまっては息を吞むしかないと雲珠が桜吹雪を舞わせながら思う。
 声を張っている様子もないのに、高く低く、よく響く声。きっと、他の猟兵さん達にも聞こえていますねとこっそり笑った。
 スキアファールが歌い終えると楽団も桜吹雪も消えて、残ったのは黄昏に照らされた二つの長い影ばかり――。
「ひひ、お疲れさん」
「わあ、わああ……! すごい、スーくん、すごかったです!」
「……ありがとうございます、いやぁもう何がなんだか……」
 歌っている時は無我夢中、イラルギとしての自分であったが終わってから改めて考えると、もしかしてこれって。
「MVっていうか私の紹介動画というか遊園地のPR動画というか……?」
「ひひ、戀愛遊園地×新鋭ミュージシャン・イラルギのコラボだなァ」
「いやぁ、照れるなこれ……」
 思わず白い頬も赤く染まるというもの、興奮冷めやらぬ気持ちを落ち着けるようにスキアファールが両手を頬に当てて深呼吸をひとつ。
「そういえばかみさま、動画に映っちゃっていいんですか? スーくんだけじゃなくて、あの素敵な殿方は誰ーって話題になっちゃうかもしれませんよ?」
「俺? 俺は映っとらンぜ」
「えっ、そうなんです?」
「俺が映ったら心霊映像になっちまうからなァ。遊んでた時の動画をシーンごとに差し込んで編集すればカンペキだろ」
 何せ楽団が死人ばかりだ、と逢真が笑う。
「編集してもらった最後のテロップに名前入ってりゃ充分だろうさ」
「編集……はどなたが?」
「ン? 職員サン任せだが。プロだし出来ンだろ」
 などという無茶振りを受けた職員さんであるが、今時はなんとスマホで編集も出来てしまう時代。任せろとばかりに職員達が自分が撮った動画を編集者に送り、あれよあれよという間に戀愛遊園地×イラルギのコラボ動画の完成である。
「わあ……ありがとうございます、職員さん達!」
 いいってことよ、とばかりに職員さん達がサムズアップすると後はお任せしますねとゲートの方へ歩いていく。
「送っていただいたデータがこれで……スーくんにも送りますね」
「ありがとうございます、雲珠さん」
 それから、と雲珠が動画をサイトに上げる。
 スマホの画面を三人で、逢真は少し離れたところから覗き込んで出来上がった動画を眺めながらアップロードされるのを待った。
「へェ、あの職員サン、中々の手練れだな」
「すごいです! 絶妙にお顔がわかるようなわからないような……あ、しかも顔がわかるバージョンもくださってますよ!」
「動画職人さんだったんですかね? ありがたい限りです……」
「ふふふ、後でトヲルくんたちにも見せてあげなきゃ」
 きっと喜びますよ! と雲珠が楽しそうに笑うのをスキアファールが同じように微笑んで頷き、逢真が愛いいのちばかりだねェと、陽が落ちるのを見て笑った。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

茜崎・トヲル
◎やーさん(f33070)と

やーさんは、ばえる?動画をとりたいんだって!
バエルってバトルの仲間?だとおもう!戦うどーがって言ってた!

安全な場所にいどーしましょー!みんな帰っちゃってさびしーけど、安全だからよかったね!
やーさんは、虎になるそーです。チョコミント・カラーで、おいしそーだね!
せっかくなので、おれはあれになります!そう、ドラゴンだね!
にくたいかいぞー!(UCのほうだよ!)(質量的にアレなときはこっち!)

虎なやーさんと、おんなじくれーのサイズのドラゴンです!
ブレスとか出ません!爪もね、先が丸いです!マジで戦うわけじゃないので!
よーしっ、バエル動画をとろーね、やーさん!(結果おまかせ!)


結・縁貴
◎トヲル帅哥(f18631)と

(つけ耳を付けられて頭が耳で混雑した状態で動画を見る)
哎呀、楽しかったけど俺の阿呆面動画しかない…

…新しい動画撮ろう!
並んでる時に聞いた「映える」動画にしよう!
俺が虎になってトヲル帅哥も何かに化けて広場で猛獣対戦だ!(※特撮物を先日見た)
撮影役は近くに居たUDC職員を言いくるめたよ

(一尺の虎に転変。人語は話さない、知能指数↓)
…りゅうじゃん
やだー!しんかくたかーい!
(とは言え気遣われた仕様なのは気付く)
…よーしかかってこーい!
(威嚇の構え)

どこからか流れてきた見事な遊園地のテーマ曲をバックに特撮映画の如く対峙
本気で噛み付いたりはしない取っ組み合いの予定
結果はお任せ



●映え動画への飽くなき探求心
「楽しかったねー、やーさん!」
 ちょっとよくわかんない生きものの耳カチューシャ! と嬉々として購入したカチューシャを付けた茜崎・トヲル(Life_goes_on・f18631)が、猫耳のカチューシャを付けて頭部の耳が自前のものと合わさり大混雑した状態の結・縁貴(翠縁・f33070)に心底楽しそうに言って笑う。勿論、猫耳カチューシャもトヲルが買ったものである。
「嗯、それに異論はないね!」
 まさかアトラクション制覇二周するとは思わなかったけど、縁貴にとってどうだったかと問われれば楽しい、だ。
「あとはー、動画をあげればいいんだよねー?」
「どれにするか決めよう、トヲル帅哥」
 暮れていく光に照らされる花畑を前にして、二人でベンチに腰掛けるとトヲルがスマホをスワイプして動画を流し出す。これも楽しかったね、あれも楽しかったね、とトヲルが楽しそうに次々と動画を流して問い掛ける。
「どう? 気に入ったのあったー?」
「哎呀、楽しかったけど俺の阿呆面動画しかない……」
 高速でぶん回されるコーヒーカップの動画なんて、手振れも相まってえらいことになっている。こんなに回してるのによく動画撮影もできたな? と思いつつ、やはりここはトヲルと共に映った動画にするべきだと縁貴がスマホの画面から顔を上げた。
「トヲル帅哥」
「なーにー? 決めた?」
「……新しい動画撮ろう!」
 遊園地で楽しく遊んだ動画でいいなら、今から撮ったって問題ないはずだと縁貴が唇の端をにんまりと持ち上げる。
「あたらしいの? やーさんはどんな動画がいいの?」
「そうだな……うん、乗り物の列に並んでる時に聞いた『映える』動画にしよう!」
「ばえる? 動画……いーよ! バエルってバトルの仲間? だと思う! 戦うどーがって言ってた!!」
 誰が?? という確認をここで縁貴が怠ったのは痛かったのではないだろうか。いや、いつもの彼であれば聞いていただろう、では何故聞かなかったかと言うと、アトラクション全制覇二周した状態であることと、先日特撮ものを見ていたのがでかかった。
 そう、あっさり信じたのである。しかし、戦闘動画というのは映えるかどうかはわからないけれど、どっちかというとバズる。あながち勘違いでもない、多分。
「戦う動画……なら、俺が虎になってトヲル帅哥も何かに化けて猛獣対戦だ!」
 さては君が見た特撮、怪獣ものだったね??
 撮影役を近くにいたUDC職員を上手いこと言いくるめて頼み、何処で撮るかと場所を決める。
「やっぱー、安全な場所じゃないとだめだよねー!」
「そうすると広い場所か、じゃあ広場みたいになってるところにしよう」
「よーし、さっそくいどーしましょー! みんな帰っちゃってさびしーけど、安全だからよかったね!」
 安全の定義とは? とコーヒーカップの速度を思い出しつつ、縁貴が一丈――おおよそ三メートルほどの大きさをした、淡翠緑色の美しい虎へと変化する。
「わー、チョコミント・カラーでおいしそーだね!」
「!?」
 たべるの!? みたいな顔で後退った縁貴だが、ここで彼が虎になるデメリットを紹介しよう。一つ目は人語を話せなくなる、二つ目は……知能指数の低下である。どちらかと言えば本能に忠実になった三歳児みたいな……なるほどお前も幼女。
「食べないよ! やーさんは虎、虎といえばあれだよね!」
 あれ! と言いながらトヲルが己の身体に肉体改造を施す。よいしょー! と掛け声ひとつで体の内外を改造、変容、とにかくちょちょいのちょい、で弄った結果がこちら。
「がおー!」
 真っ白なドラゴンである、大きさも縁貴と同じくらいで、正に竜虎相搏つといったところだろうか。
 りゅうじゃん! やだー! しんかくたかーい! と縁貴が虎の姿で地面を尻尾でぺしぺし叩く。
「がおがおがおー」
 だいじょーぶだよ! ブレスとか出ないよ! 爪もほら見て! とばかりにトヲルが前足を出す。見ると爪の先が綺麗に丸くなっていて、殺傷能力が削ぎ落されている。何せガチンコバトルではないので、バエル動画なので!
 あっ、てかげんされてる! やったー! よーしかかってこーい! とばかりに縁貴が吠えた。
「がうう!」
「がおー!」
 見た目は竜虎対戦、中身は幼女。これにはUDC職員さんもにっこり。
 丁度良く、どこからか流れてきたオーケストラが奏でる見事な遊園地のテーマソングをバックに、トヲルと縁貴が対峙する!
「がおがおがおー!」
「がうがうがうー!」
 えっこれ俺知ってる歌声! テンションあがるー! よーしっ、バエル動画とろーね! やーさん! とばかりにトヲルが縁貴へと襲い……もとい、じゃれかかった。
 対する縁貴もアレンジの入ったテーマソングに特撮映画みたいじゃん! とテンションを上げて噛み付く! 猫が兄弟に向かって甘噛みするかのように!
 ごろごろごろ、どすーん! あっこれ以上いくと花畑が、とトヲルが縁貴の首根っこを噛んで中央に戻したり、あっこれ以上いくとアトラクションに当たる、という所で縁貴が見事な跳躍を見せて中央に戻ったり。見た目はド派手なのだけれど、どこか可愛い動画が撮影されていく。
「がおー!」
「がうー!」
 けっちゃくをつける! とばかりに互いが飛び掛かり――僅差で虎が竜の背中を制した。
「が、がおー……」
「がうがうがうー!」
 参った、とばかりに白竜が地面に伏せ、翠虎が勝利の雄叫びを上げる。決めポーズもバッチリだと、満足そうに竜から降りて人の姿に戻れば、トヲルも元の姿に戻りUDC職員から動画を撮影したスマホを受け取る。ありがとー、とお礼を言って、早速二人で覗き込めば、そこには大迫力の――!
「……なんかかわいいね?」
「これはこれで……受けると思うな」
 まあ楽しかったからよし! とばかりに、トヲルが動画を上げる為にスマホをタップするのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

灰神楽・綾
【不死蝶】◎
いやぁ、いっぱい撮ったねぇ
フォルダいっぱいの今日の思い出たちに顔が綻ぶ
そうだ、お互いに今日撮った中で一番のお気に入りを決めて
それを見せ合いっこしてからアップロードしようよ

俺のお気に入りは、悩んたけどこれかな
皆でコーヒーカップのアトラクションに乗っている時の動画
最初はゆっくりだけど、どんどん景色が回るスピードが早くなっていく
絶叫マシーン並にスリル満点だったよねー

わ、これは可愛いねぇ
梓ってば迷子中に写真だけじゃなくこういうのも撮ってたんだね
俺も生で見てみたかったな

梓が迷子センターに乗り込んでくる動画も撮っておけば良かったなぁ
迷子センターのお姉さんのリアクションとっても面白かったし


乱獅子・梓
【不死蝶】◎
今日の一番のお気に入り動画か…
それなら俺はあれに決まっている

あー、これはお前が調子に乗ってハンドル回しまくった時の…
危うく遠心力で焔と零が吹っ飛ばされるところだったぞ
これ視聴した人やUDCが酔わないか心配になるような動画だな

俺のベストオブ動画はこれだ!
花畑をバックにくるくると可愛らしく踊る焔と零だ!
この遊園地のマスコットと言われても違和感がないだろう
焔はとにかく元気いっぱいで文句なしに愛らしいし
零はキレのあるテクニカルなダンスで見る人々を魅了し(延々と親ばかトーク
言っておくが、あの時迷子になってたのはお前だからな??

おい、やめろやめろ!
そんなの撮っていたとしてもすぐに削除してやる!



●本日のベスト動画
 ゆっくりと暮れていく空と家路に就く人々を眺めながら、灰神楽・綾(廃戦場の揚羽・f02235)がスマホを手の中で遊ばせて、誰に言うでもなく言葉を零す。
「楽しかったねぇ」
「そうだな、堪能し尽くしたっつーか」
 綾の言葉を乱獅子・梓(白き焔は誰が為に・f25851)が拾って、おおよそ遊園地で出来ることは全部やったんじゃないかってくらい、遊び倒したなと笑う。
「写真も動画もいっぱい撮ったしね」
 スマホの画面に視線を向けて、今日の日付のフォルダを開けば画面いっぱいのサムネイル。スクロールしても途切れないんじゃないかってほどの思い出が詰まっていて、綾がふっと顔を綻ばせた。
「そうだ、お互いに今日撮った中で一番のお気に入りを決めて、それを見せ合いっこしてからアップロードしようよ」
「今日一番のお気に入り動画か……」
 それなら、俺はあれに決まっているなと梓が画面をスワイプし、お目当ての動画を探す。しかしまぁ、サムネイルの量が多いのと焔と零の写真を見ると思わず手が止まって見入ってしまうので、中々辿り着けずにいた。
「俺のお気に入りは……っと」
 綾はそんな梓の様子に笑いながら、同じように指先を滑らせて動画を探す。ジェットコースターに並んでいる時のものや、花畑を前にしている時のもの、それから――。
「あった、これこれ」
 ほら、と綾が梓に画面を向けると、自分のスマホ画面から顔を上げた梓がどれどれと覗き込んだ。
「悩んだけどやっぱりこれかな」
「あー、これはお前が調子に乗ってハンドル回しまくった時の……」
「そ、皆でコーヒーカップのアトラクションに乗っている時の動画」
 映し出されていたのは仲良くコーヒーカップに乗っている映像、映っているのは梓と焔と零で、綾は撮影しているから基本は声だが偶に自撮りよろしく自分にもカメラを向けている。
 聞こえてくる声は楽し気で、焔と零がはしゃいでいる鳴声もしっかり録音されていて梓の頬が緩む。そんな楽しそうな声が一変するのがコーヒーカップがスタートした後。
「最初はゆっくりだけど、どんどん景色が回るスピードが速くなっていくんだよね」
「いや、それはお前が片手でガンガン回したからだろ」
「え? そうだっけ。でも絶叫マシーン並にスリル満点だったよねー」
「危うく遠心力で焔と零が吹っ飛ばされるところだったぞ」
 呆れた声で梓がそのシーンらしき箇所を指さすと、綾があははと笑う。
「あ、これ梓が頑張って焔と零を抱えたとこだよね。それで自分が遠心力でフラフラになりそうになってた」
 動画はもはや何の映像なのか分からないくらいに目まぐるしく、酔いそうになった梓がそっと視線を外す。
「これ、視聴した人やUDCが酔わないか心配になるような動画だな」
「じゃあ、タイトルは『三半規管を試す動画』にしちゃおうかな」
「まんまだな」
「え、じゃあ『君の三半規管は耐えられるか?』とか?」
「三半規管から離れられないのか??」
 ちぇー、と唇を尖らせた綾に、梓が自分のスマホを見せる。
「俺のベストオブ動画はこれだ!」
「どれどれー? わ、これは可愛いねぇ」
 画面いっぱいに映るのは焔と零、徐々にカメラが引いていき、花畑がバックに映ったかと思うとくるくると可愛らしく踊りだす。思わず笑みが浮かんでしまう、花丸満点動画だ。
「どうだ? この遊園地のマスコットと言われても違和感が無いだろう」
「うんうん、焔と零を見慣れてる俺でも可愛い~ってなったから、知らない人が見たら間違いなくそう思うんじゃない?」
 綾の返事に我が意を得たり、とばかりに梓が喋り出す。
「そうだろう、そうだろう。焔はとにかく元気いっぱいで文句なしに愛らしいし」
 焔がパタパタと飛び回りながら、サービスとばかりに空に向けて口からぽわーっと炎を噴き出す。
「零はキレのあるテクニカルなダンスで見る人々を魅了し」
 くるり、くるりとターンを決めるように零が躍るように飛び、ビシッとかっこいいポーズ。
「これはもう焔と零でアイドルデュオならぬドラゴンデュオで動画デビューするしか……?」
「焔と零のことになると梓は絶好調だねぇ。それにしても、梓ってば迷子中に写真だけじゃなくこういうのも撮ってたんだね」
 生で見たかったなと綾が焔と零を見遣って、ねー? と笑う。
「言っておくが、あの時迷子になってたのはお前だからな?? 屋台を探してふらふらいなくなったのを忘れたとは言わさないぞ」
「えー、そうだっけ? 俺には梓が迷子になって悲しそうな顔をしている姿が浮かんでたんだけどな」
「……それであんな呼び出ししたのか? いや絶対面白がってただろ」
「迷子のお呼び出しは遊園地のお約束じゃない? 梓が迷子センターに乗り込んでくる動画も撮っておけば良かったなぁ」
 あれは面白かった、と綾が思わず笑いだす。
「迷子センターのお姉さんのリアクションも、とっても面白かったし」
 えっあずさくん、え? って顔をしていたのは面白かったと話を続ければ、梓が動画を止めて綾に向き直る。
「おい、やめろやめろ!」
 迎えに行くの恥ずかしかったんだぞ、と苦虫を噛み潰したような顔で言う。
「そんなの撮っていたとしてもだな、すぐに削除してやる!」
「ふ、あはは、大丈夫だよ~撮ってないってば」
「それならいいが」
 いや、よくないが! と言いながら動画をアップロードしようとする梓を眺め、綾が同じように自分のスマホからも動画を上げる。本当に撮ってはいないけれど、俺の心のフォルダにはしっかり保存したからね、とこっそり笑いながら――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

駒鳥・了

ガーちゃん(f23517)と!

動かないコーヒーカップの中から園内見てる
ガーちゃんはさみしーい?
オレちゃんの別人格のサトちゃんと気が合いそだね!
詳しくはまた今度、動画は編集していーかな?

タイトルは『Let's★戀愛遊園地!』
カメラ目線に二人でアトラクション紹介しながら歩いてるトコから!
相談したり、スイーツ選んだり、苺串頬張ったり!
エフェクト入れてー音楽は自動で入るので!
遊園地はハジけるトコだし、楽しんでるの分かっていいじゃん!
ってコトでアップロード!
他の猟兵(みんな)のも見ちゃお
つか、この手のマジナイって好きな相手のナニカは必須だろーに
要素ナシは作りが甘いねえ
…ってそれはコワいよ!(けらけら


ハルア・ガーラント

アキさん(f17343)と女子デート続行です

夕暮れ時に閉園のアナウンスで帰る人達の後ろ姿でふと寂しい気持ちに
でもアキさんと一緒だからそんな気持ちもとんでっちゃいそう
はいっ、サトさんのこと今度教えてくださいね
操作は詳しくないので編集はお任せしちゃっても?
画面を覗き込み様子を見守ります

ふふ、こうして見るとアキさん目一杯堪能してるなあ
あれっわたしいつこんなことを
わあっすごい変な顔してる!
もう少しお淑やかにしていれば良かった……無理ですけど!

他の猟兵さんの動画も見つつ
おまじないってお呪い(指で漢字を空中に書き)ですもんね
そのあまーいところを突きましょう!
ぐっとこぶしを握り締め恐怖心を吹き飛ばします



●二人の動画
 移動販売車による屋台のスタンプラリーを制し、乗りたいアトラクションには全部乗って、遊園地を目一杯堪能し尽くしたハルア・ガーラント(宵啼鳥・f23517)が閉園のアナウンスを聞きながら帰ろうとする人々の後ろ姿を眺めて小さく息を零す。
「なんだか寂しい気持ちになるのは夕暮れのせいなんでしょうか、それとも楽しい時間が終わってしまうからなんでしょうか?」
 そう、同じように今日という日を楽しんだ駒鳥・了(I, said the Rook・f17343)に、ハルアが答えを求めるでもなく言う。
「ガーちゃんはさみしーい?」
 了もまた、同じように引いていく人波を眺めて問い返す。
「そう、ですね……見知った場所が知らない世界になったような感じで……」
「詩人さんだ! オレちゃんの別人格のサトちゃんと気が合いそうだね!」
 オレちゃんはそういうのはさっぱりわかんないからねえ、と今の主人格である了――アキが笑った。
「ふふ、でもアキさんと一緒だからかな、そんな気持ちもとんでいっちゃいそう。サトさん、ですか?」
「オレちゃんとシリアスは対極の位置にあるからね! サトちゃんは……大人しくて気が弱……繊細? なんだ。詳しくはまた今度!」
 長くなっちゃうからね! と、了がコーヒーカップの前で立ち止まる。
「ガーちゃん、これ乗ろう! 椅子代わりにさ」
「はいっ! サトさんのこと、今度教えてくださいね」
 オッケーオッケー! と、軽く返事をしながら了が内緒だよとフェンスを飛び越えてコーヒーカップに座る。それに続くようにハルアも背中の翼を羽ばたかせて了の隣に座った。
「さっそくだけど、動画の編集していーかな?」
「はい、わたしは操作に詳しくないので、編集はお任せしちゃっても?」
「もっちろん、オレちゃんの腕が鳴るね!」
「よろしくお願いします!」
 隣から了のスマホを覗き込み、ハルアがその様子を見守る。忙しなく、それでいて繊細に動く指先に感心しているうちに、あっという間に了が編集した動画が完成する。
「すごい、何してるか全然わからなかったけど完成してます……!」
「難しい事は何もしてないんだなー、これが! 編集アプリが優秀なだけだね!」
 そうは言うけれど、間違いなく了のセンスと腕もあるのだろうとハルアは思う。
「よしよし、出来上がりはどうか確認してみよ」
「はい!」
「タイトルは『Let's★戀愛遊園地!』だよ」
 動画が始まるとまずは遊園地をバックにタイトルが現れ、軽快な音楽が流れだす。それから了とハルアがカメラ目線でアトラクションを紹介しつつ歩いているシーンが映し出された。
「わ、本当にわたしたちが映ってます!」
「まだまだここからだよ!」
 二人でどこへ行こうかと相談しているシーンに続き、屋台を映し出してどれがいいかと選んだり、互いに小さな苺のスイーツが串に刺さった苺串を頬張っているシーンが流れ、その都度エフェクトが入ったりしてなんとも楽しそうな出来栄えだ。
「ふふ、こうして見るとアキさん目一杯堪能してるなあ」
「ガーちゃんだって、ほら」
「あれっ、わたしいつこんなことを」
 してたっけ? と首を傾げつつ、その後に続いた自分の変な顔に慌てたような声を上げる。
「わぁっ、すごい変な顔してる!」
「遊園地はハジけるトコだし、楽しんでるの分かっていいじゃん!」
「うう、でももう少しお淑やかにしていれば……」
 できるの? という視線を了に向けられて、無理ですけど! とハルアが笑った。
「よし、ってコトで――」
 完成した動画を二人で見終えて、了が予め教えてもらっていたサイトのアップロードページにスマホの画面を移動させる。
「アップロード!」
 指先でポンッとアップロードボタンを押して、二人だけの動画がサイトにアップロードされていく。
「これでよしっと。待ってる間暇だし、他のみんなのも見ちゃお」
 続々と上げられている他の猟兵達の動画を適当にタップして、二人で画面を覗き込む。
「皆色々やってるね」
「楽しい動画がいっぱいですね」
 動画を眺めながら、了がそれにしても、と呟く。
「この手のマジナイって好きな相手のナニカは必須だろーに」
「動画なら、相手の姿が映っているとかです?」
 そーそー、と了が頷く。
「おまじないって、お呪いですもんね」
 空中に指で漢字を書き、響きは可愛いけれど実際は呪いだとハルアが思う。
「……って、それはコワいよ!」
 怖いとは思っていないような笑い声をあげながら、おまじないと呪いは紙一重だね、と了が言う。
「ま、何にせよ要素ナシは作りが甘いねえ」
「そのあまーいところを突きましょう!」
 こう! と、恐怖心を吹き飛ばすようにハルアが拳を握り締め、えいっと前に突き出した。
「いいね、その調子でいこ!」
 了もハルアを真似するようにパンチ! と拳を繰り出し、二人顔を見合わせて笑うのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

花菱・真紀

幸也さん(f13277)と
幸也さんとの遊園地デート楽しかったです。
また、何処か行きましょうね。約束ですよ?

次は依頼の時間ですね。
動画をアップロードしましょうか。
ふふ、写真も動画もたくさん撮ったから悩むなぁ。
よし…これにしよう。
どれも楽しいやつだから儀式の判定は合格じゃないですかね。
キレ…?なんでキレるんですか?

…何をアップしたかですか…?
(見ようとする幸也さんに焦る)
(スマホに残る動画はこっそり撮ったものが多く)
うう、だって…カッコよかったから。
(カメラを向けた時の笑顔も好きだが素の様子も好きだからと顔を赤くして)
…だから好きだって言ってるじゃないですか


十朱・幸也


真紀(f06119)と

久々の遊園地だったけど、楽しかった
……ったく。こんなおっさんで良ければ、な?
真紀が何か言いたそうだけど
一先はこのを解決してからにしようぜ

機械の扱いには慣れてるし
俺達だけで作業は出来そうか
色々見て回ったし、アトラクションも乗ったしな
真紀もまあ、楽しそうにはしゃいでて可愛いっつーか
(これをアップロードするかと思うと、胸がざわめく)

ま、判定には合格するだろ
寧ろ、合格じゃなかったらキレる
何にキレるのかって?あー……察してくれ、悪い

真紀は何をアップロードしたんだよ?
覗き込んで見ると、そこには自分が多く映っていて
ったく……顔、真っ赤になってんぞ?
どんだけ俺が好きなんだよ



●二人の時間をもう少しだけ
 ゆっくりと日が暮れる、青い空が沈みゆく光を受けて薄紫に染まっていくのを眺めながら、十朱・幸也(鏡映し・f13277)が隣に立つ花菱・真紀(都市伝説蒐集家・f06119)に向かって呟く。
「久々の遊園地だったけど、楽しかったな」
 その言葉に、家路に就こうとしている人々を見ていた真紀がパッと表情を明るくして俺も、と言葉を重ねる。
「俺も、幸也さんとの遊園地デート楽しかったです」
 へへ、と笑う真紀の顔がほんのりと赤いのは夕焼けの光のせいか、それとも。そう考えながら幸也がふっと笑うと、真紀が幸也さん、と名を呼ぶ。
「また、何処か行きましょうね。約束ですよ?」
「……ったく。こんなおっさんで良ければ、な?」
 おっさん、と言われて真紀が心底不思議そうに幸也を見る。あんまりにも、彼が言う所のおっさんと幸也が重ならなかったからだ。
「三十三歳って、おっさんなんですか?」
「真紀くらいの若者から見れば充分おっさんだろ?」
 そうかなぁ……? お腹も出ていなければ、加齢臭? みたいなのだってしない、寧ろ良い匂いがするくらいだなって思うのに。幸也さんだったら四十代になったって、きっとカッコいいに違いないのに。それに俺は幸也さんがおっさんになっても好きだと思う、と真紀が真剣な顔をして考えて、それを口にしようかと思った時だった。
「さて、件の儀式とやらでもするか」
「あっ、はい! 遊んだ後は依頼の時間ですね」
 真紀が何か言いたそうだなとは思ったけれど、一先はこの事件を解決してからだと幸也がスマホを弄る。
「どこで動画をアップロードしましょうか?」
 遊園地のどこでもいいと言っていたし、そこのベンチにでも座るかと幸也が真紀を促して座った。
「機械の扱いには慣れてるし、俺達だけで作業は出来そうだな」
「今はスマホからでも編集作業ができますからね」
 パソコンのようにはいかないけれど、素人が行う動画編集と思えば充分なほどだ。
「どれにしようかな……ふふ、写真も動画もたくさん撮ったから悩むなぁ」
 今日の日付のフォルダを開けば、写真も動画もたくさんあって真紀が悩みながらスワイプして厳選していく。
「色々見て回ったし、アトラクションも結構乗ったしな」
「そうなんですよ、そんなに撮ってないと思ってたんですけど意外と多くて……」
 真紀がどうしようかと適当にサムネイルをタップすると、二人でメリーゴーラウンドに乗ったものが再生される。これは自分だけの思い出にしたいかな、と再生を止めて違うものをタップして、漸くこれという動画を見つけて満足そうに笑みを浮かべた。
「よし……これにしよう」
 そうと決めたら動画を軽く編集し、顔がはっきりと映っているところは上手くぼかしてと一分に満たない動画を作り上げる。
「俺はどうするかな……」
 同じようにスワイプし、これか、こっちかと幸也も動画を選別していく。その中で、楽しそうにコーヒーカップを回す真紀が映っていて思わず手を止めた。
 真紀もまあ、楽しそうにはしゃいでて可愛いっつーか……ん? これをアップロードするってことは、自分以外の奴もこの笑顔を見るってことか? と、どうにも胸がざわめいて幸也が眉を顰める。
「幸也さん? 決めましたか?」
「あ、ああ」
 癪だがこれにするか、と難しい顔で動画を編集する幸也の横で、真紀が鼻歌交じりで動画を上げていく。
「どれも楽しいやつだから、儀式の判定は合格じゃないですかね」
「ま、判定には合格するだろ」
 なんとかぼかしたり、文字を入れたりして幸也基準で世に出してもいい、レベルにした動画を見ながら答える。
「寧ろ、合格じゃなかったらキレる」
 こんなに可愛いんだぞ、合格するに決まってる。
「キレ……? なんでキレるんですか?」
「何にキレるのかって? あー……うん、察してくれ、悪い」
 難易度高くないです?? という真紀の言葉を適度に濁し、幸也も動画を上げる。アップロードの進捗状況を示すブログレスバーを眺めつつ、既にアップロードが終わった真紀に幸也が何気なく問う。
「真紀は何をアップロードしたんだよ?」
「……何をアップしたかですか……?」
 えっと、と焦りながらスマホを隠そうとしたけれど、それよりも早く幸也がスマホの画面を覗き込む。
「……」
「……」
 覗き込んだスマホのサムネは上から下までずらりと自分がいて、幸也が思わず目を瞬いた。
「あああ、その、うう……だってカッコよかったから」
 言い訳にもなっていない言葉を口にして、カメラを向けた時の笑顔も好きだけれど、素の様子も好きだからつい、と自爆にもにた言葉を連ねて真紀が顔を赤くする。
「ったく……顔、真っ赤になってんぞ?」
 つられてこっちも赤くなりそうだ、と幸也がアップロードの済んだ自分のスマホを仕舞う。
「どんだけ俺が好きなんだよ、お前」
「……だから好きだって言ってるじゃないですか」
 もう、とちょっとばかり拗ねた気持ちと恥ずかしい気持ちで真紀がそっぽを向く。それがまた可愛くて、幸也はつい笑ってしまった。
 自分のスマホフォルダも似たようなものだった事は内緒にしておこうと思いながら、真紀の機嫌を直すべく手を伸ばすのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

花房・英
寿(f18704)と◎

歩きながら撮ったから、こんなもんじゃない?
アップするのは、乗ったアトラクションから見えた景色やのんびり歩いた花畑の動画
いいんじゃないか?
揺れてるけど、楽しかったし

風景以外はなんか撮ったの?
は?俺?
急に何言い出すんだよ…
呆れた声で言うけど、心臓は跳ねて
…小学生の頃と比べられてもな
外見はともかく中身変わってないだろ
いつまで経っても無愛想で捻くれ者
恥ずかしいから消して
珍しく素早い動きで避けるもんだから面白くない
…いつまで経っても子ども扱いして

なんで?
返る答えに未来を想像して、
じゃあ俺も撮る
楽しそうな寿撮るのは、なんか楽しそうだし
撮ったら今日みたいに見せてあげる


太宰・寿
英(f18794)と◎

動画って撮るの結構難しいんだね
あまり撮ることがないから画面がすごく揺れてる…
条件は満たしてるから、出来は気にしなくていいよね?
うん、楽しかったのは間違いないね

他?英をこっそり撮ってたよ
…昔は可愛いなぁって思ってたけど、カッコ良くなったよね
昔って10歳とかそのくらいの時だけど
本当にそう思う?
前よりずっと柔らかい空気で優しい表情してるのに
動画に映ってるの見る?
あ、こら!ダメダメ、これは私が撮ったのだから消さないよ
取り上げられそうになるのをすんででかわして

今まで写真も動画も積極的に撮らなかったけど、これからは撮ろうかな
見返した時に、思い出も鮮明に残せるのかなって



●今日の記憶
 閉園を告げる音楽が園内に響き渡る中、太宰・寿(パステルペインター・f18704)はまだ帰りたくないと駄々をこねる子どもを眺めて小さく笑う。
「楽しすぎて帰りたくないって気持ち、わかる気がするね」
 同意を求めるでもなくそう言うと、花房・英(サイボーグのグールドライバー・f18794)が抱き上げられてまた来ようねと約束して帰っていく親子連れから視線を外し、寿を見遣る。
「寿も帰りたくないんだろ」
「……実は」
 なんて笑って、でも今日はまだ帰らなくてもいいからとスマホを取り出した。
「正確には帰れない、だけどな」
「ふふ、沢山遊んだものね、お仕事もきちんとしなくちゃ」
 人々が帰るのを見届けながら、二人で近くのベンチに腰掛けた。空がゆっくりと茜色から薄紫色へと変わっていく、その綺麗な風景に寿が暫し見惚れて綺麗だねと呟く。
「誰そ彼……っていうほどまだ暗くはないね」
「すぐに暗くなる。その前に、寿」
 英に促され、寿がスマホをタップして今日撮った映像を収めたフォルダを呼び出した。
「えっと、これ全部そうなんだけど」
 写真を省いた、動画のみをサムネイルにして出して英に見せる。アトラクションだったり、花畑だったり、風景だったり、そういったものが幾つか並んでいるのを見て英が頷く。
「どれにするか決めたのか?」
「ううん、まだ」
 どれにしよう、と寿が取り敢えず最初に撮ったものをタップして再生する。映し出されたのは花畑で、最初に見たものだとすぐにわかった。
「ううん、動画って撮るの結構難しいんだね」
 画面を眺めながら寿が難しい顔をして、ちらりと英を見る。何故かといえば、映し出された映像がちょっと……いや、かなりぶれているからだ。
「あまり撮ることがないから画面がすごく揺れてる……」
「歩きながら撮ったから、こんなもんじゃない?」
 スマホで歩きながらともなれば、手ぶれしていても不思議ではない。
「こっちの方がまだマシかな?」
「どれ」
 こっち、と映し出されたのは観覧車から外の風景を撮ったもの。座っている状態で撮ったものだから、手ぶれは大分とマシといえよう。
「いいんじゃないか?」
「大丈夫かな? 条件は満たしてるから、出来は気にしなくていいよね?」
 提示された条件はたったひとつ、楽しく遊んだ動画であること。
「揺れてるけど、楽しかったし」
「うん、楽しかったのは間違いないね」
 ちょっとばかり、揺れてるけれども。
「風景以外はなんか撮ったの?」
「他に?」
「うん」
「他はね、英をこっそり撮ってたよ」
「は? 俺?」
 ほら、と寿が見せてくれたサムネイルには記憶にない自分ばかりが見えて、英が目を瞬かせた。
「オススメはね、これとこれかな」
「いや、オススメとか言われても……」
 だって自分だ、勧められてどうしろと? という視線を向ける。そんな視線にはお構いなしで、寿がしみじみと言葉を零す。
「……昔は可愛いなぁって思ってたけど、カッコ良くなったよね」
「急に何言い出すんだよ……」
 なるべく呆れたような声でそう言ったけれど、裏返ってはなかっただろうか。大丈夫だな、と思いながらも英の心臓は驚かされたように跳ねて。
「あ、昔って言っても十歳とかそのくらいの時だけど」
「……小学生の頃と比べられてもな」
「だって可愛かったんだもの」
 ふふ、とスマホの画面を覗き込んで、寿が笑う。
「外見はともかく中身変わってないだろ」
 いつまで経っても無愛想で捻くれ者――幼い頃から何にも変わってない、素っ気なくそう言って英が黙る。
「本当にそう思う?」
 寿の声が優しく響いて視線を向けると、愛おしいとでも言うように寿が自分を見ていて、英が言葉を詰まらせた。
「前よりずっと柔らかい空気で優しい表情してるのに、自分じゃわからないものなんだね」
「……鏡をずっと見てるわけじゃあるまいし」
 それに、きっと寿が言う表情は彼女だけに向けているものだから。
「あ、動画に映ってるの見る?」
 ほら、とタップしそうになったのを慌てて止める。
「恥ずかしいから消して」
「あ、こら! ダメダメ、これは私が撮ったのだから消さないよ?」
 直接消してやろうと寿のスマホに手を伸ばしたけれど、すんでのところで躱されて英が僅かに目を細める。いつもなら取り上げられるはずなのに、珍しく素早い動きで避けられて少し面白くないといった表情だ。
「………いつまで経っても子ども扱いして」
「そんなことないよ、知ってるくせに」
 くすくすと笑う寿に、どこか大人びた余裕が見えて英が小さく息をつく。
「今まで写真も動画も積極的に撮らなかったけど、これからは撮ろうかな」
「なんで?」
 あ、俺の写真と動画にロック掛けてる、と思いながら聞き返す。
「見返した時に、思い出も鮮明に残せるのかなって」
 しっかりロックを掛けて、寿が無難な動画をサイトにアップしながらそう答えた。
「じゃあ、俺も撮る」
「英も?」
 こくりと頷き、自分のスマホを弄りながら英が寿をちらりと見遣って。
「楽しそうな寿撮るのは、なんか楽しそうだし」
 くるくると変わる表情を撮るのも、自分にだけ向ける表情を撮るもの、きっと。
「撮ったら今日みたいに見せてあげる」
 そう英が言うと、寿が楽しみだね! と弾けるように微笑んだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

千家・菊里
【白】◎
いやぁ、今日も大満足な一日となりましたねぇ
(とてもやりきった感溢れる笑顔で
両手一杯にお土産袋抱え)

ふふふ、勿論動画も大収穫です
さぁ伊織、どれにします?
俺はどれもとっても楽しそうに思うのですが――

(伊織が結局例の難破船船長と並び
迫真の萎れっぷりを見せている――
要するに軟派が難破した場面やら

それをマスコットキャラ達によしよしされた場面やら

その後伊織が花眺めやけに良い笑顔――
もとい現実逃避している場面やら

それらを尻目に撮った自らのラリー制覇記念キラキラおやつタイム場面やら!)

あ、花に向かって黄昏中の姿(再)も撮ってあげましょうか?
これをこの遊園地らしいお花フレームで加工して――ふふ、完璧です


呉羽・伊織
【白】◎
ウン、お前はホンッット楽しそーで良かったヨ!
(誰かに代わり重箱抱え――
ジェットコースターに乗った訳でもないのに
何か散々駆け巡った後の様な顔で
再び花の傍で夕陽と共に黄昏て)

そりゃ美味しいモノや綺麗なモノを楽しめて、オレも悪かなかったケドネ?
候補はほぼ飯テロ祭じゃ…
(若干イヤ~な予感がしつつも画面覗き――)

――いや何撮ってんだ~!!

もっとこうっ…映え甘味三昧とかあったデショ!?
折角の華やかな場所なのに何この萎れた絵面!ってか見てたのかよ!
(※飯に夢中な最中にこそっと抜けたつもり、だった)

やめろ花だけ撮りなさい!
また妙なコメントばっかつけられるだろ~!(違う意味で後からも楽しく遊ばれるヤツ)



●とある彼の行動記録
 茜色と薄紫の混じったような夕焼け空を眺めながら、千家・菊里(隠逸花・f02716)が至極満足そうな笑みを浮かべて呉羽・伊織(翳・f03578)を振り返る。
「いやぁ、今日も大満足な一日となりましたねぇ」
「ウン、そうだネ、お前はそうだネ」
 ジェットコースターに乗った訳でもないのに、何か散々駆け巡った後の様な疲れた顔をして、伊織が諦めにも似た笑みを浮かべて頷いた。
「お弁当は美味しかったですし」
「見事にカラッポだもんネ」
 ネ、と何故か重箱の入った風呂敷包みを両手に抱え、伊織が頬をひくつかせる。中身が無くなって軽いはずなのに、この容器だけでもなんだかずしりと重い。
「屋台の食べ物も美味しかったですし、デザートに頂いた冷たい甘味も良かった……もう少し食べておけばよかったですね」
「アレ以上食うのはどうかと思うヨ!?」
「ええ、他の方の分が無くなるのは本意ではありませんからね、やはり腹八分目で済ませてよかったと思うべきでした」
 ふふ、反省です、と両手一杯に提げたパンパンのお土産袋を持って菊里が微笑む。
「そう言う事じゃないんだよな~~! いや配慮は大事だケドネ!!」
 ほんっと、もうヤダ……とめそめそしながら、花壇の花に視線を落とし伊織が黄昏る。
「おや、伊織はお手製の愛情弁当が美味しくなかったと?」
「まるでお前が作ったみたいに言うな! そりゃ美味しいモノや綺麗なモノを楽しめて、オレも悪かなかったケドネ?」
 アトラクションに乗って楽しむ人々の声や、家族連れの楽しそうな姿はなんとなく和めたし。カップル? ちょっとオレの視界には入ってきませんでしたね、と伊織が遠い目をして笑う。
「ふふふ、そうでしょう、そうでしょう。勿論動画も大収穫です」
 スッと菊里が動画を撮影した端末を差し出し、どれにしましょうかと笑みを浮かべながらタップしていく。
「候補はほぼ飯テロ系じゃ……」
「勿論それもありますよ? さぁ伊織、どれにします?」
 なんとな~く、菊里のその笑顔にイヤ~な予感を覚えつつも伊織が画面を覗き込む。
「俺はどれもとっても楽しそうに思うのですが。あ、特にこちらなんかお勧めですね」
 こちら、と映し出されたのは――。
 見覚えしかない顔の男が難破船のアトラクションに乗り、窶れたお化けの船長の隣で同じような……いや、それ以上に萎れた顔をしている姿。
「――いや何撮ってんだ~~!! っていうか、いつの間に!?」
「そうですねぇ、伊織がこっそりと軟派しにいったところからですかね」
 要するに、予言通り軟派が難破したところ――最初からということだ。
「け、消せー!」
「嫌ですよ、面白いのは此処からですからね」
 ほら、と指さす画面のシーンは、ふらっふらになりながら降りてきたところで、なんとナンパ失敗シーンから見ていたマスコットキャラ達がかわるがわる伊織をよしよししている場面に!
「お、おま、お前ー!」
「これはもう永久保存版ですよ」
「ぐうう……もっとこうっ……映え甘味三昧とかあったデショ!?」
 なんでこれを出してきた!? と、伊織がわんわんと喚く。
「映え……と言えば花ですかね」
「そう、花の――」
「この後、伊織が花を眺めてやけに良い笑顔をしている場面もでてきますよ」
 良い笑顔、もとい現実逃避をしている場面である。お花、きれい……という音声まで聞こえてきて、菊里は笑いを堪えるように横を向いて袖で口元を抑えた。
「折角の華やかな場所なのに何この萎れた絵面! ってか見てたのかよ!」
「ええ、まぁ……偶然ですよ、偶然」
 菊里がお弁当に夢中になっている最中に、こっそりと抜け出したつもりだったのにと伊織が菊里に向かって目を細める。
「偶然にしては出来過ぎじゃないか?」
「いえ、本当に。ほら」
 ほら、と言われて画面を見れば、そんな伊織を尻目に菊里がスタンプラリーを制覇した記念のキラキラおやつタイム場面が映し出されているではないか。
「ほんとに……偶然だったのネ」
 がくーっと項垂れ、癒しを求めて花に視線を向けた伊織に、まあまあと菊里が笑う。
「折角ですから、花に向かって黄昏中の姿も撮ってあげましょうか?」
 再度、と笑う菊里に向かって、伊織が吼える。
「やめろ! 花だけ撮りなさい!」
「ええ、でもここは伊織もフレームに入れてこそ……ほら、これをこの遊園地らしいお花フレームで加工して、と」
 ぽちぽち、と画面をタップして、なんともファンシーな雰囲気に!
「ふふ、完璧です」
「わー、やめやめ、また妙なコメントばっかつけられるだろ~!」
 炎上したらどうしてくれるんだ! なんて伊織が言うものだから、菊里がおかしそうに笑って炎上なんかしませんよ、と優しく微笑む。
「だってこの動画は伊織もよく知っている人々にだけ送りますからね」
「わあ、じゃあ安心だねって言う訳あるかー!」
 ふふふ、と笑う菊里が結局どの動画を上げたのかわからないまま、いつものように楽しく遊ばれる伊織なのでありました。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

瀬古・戒
【箱2】◎
は、はは、……さんきゅ、へーき
お化け屋敷で叫びすぎて喉が…とは言えん
全制覇で意地で乗ったメリーゴーランド、なかなかヤバかったな…視線が、ハハ

あ、そか動画選ばなきゃか
ラファンのジェットコースター悲鳴特集で決まりじゃ、まッ!!!ソレお化け屋敷のォォオオ!!イヤベツにお化けが苦手な訳じゃなくて驚かされるのが苦手なだけ、でッッ!!やめッ消せばかぁぁぁ!!
ラファンの背中に張り付いてた記憶しかね、ねぇ……
…あ、これ弁当ん時の
ふふ、イイ笑顔
てか、どこまで撮ってたんだ?ま、まさか観覧車でキスしたの……あるじゃん!!!コレはハズイだだだダメ!!こ、コーヒーカップ回しすぎて怒られたヤツとかにしよ!ほらッ


ラファン・クロウフォード
【箱2】
全制覇したが、戒、疲れてない?
飲物と菓子を持って、昼食を食べた桜の下で休憩
戒と一日を振り返りキャッキャと動画選び
ジェットコースターな。俺の悲鳴がお気に召して光栄だ
悲鳴には悲鳴を、と悪戯心でお化け屋敷での動画を再生
ダミ声の悲鳴に変顔七変化。風呂を嫌がる猫のようにすごかった
お化け苦手?消去完了。戒が笑ってないと、俺も笑えない
バイキングとお弁当の動画は?今日一番二人で笑ったし
だって、戒のキスの誘い方、かっこよくて(真赤)
こうやって、いつまでも二人で笑って過ごしていきたいな
星のように輝いて落ちる花びらの中。今ならどんな願いも叶う気がする
やっぱ、戒のチョイスは天才だ。コーヒーカップの動画アップだ



●ある新婚夫婦の一日
 アトラクションの全制覇、それは遊園地やテーマパークに来た者が一度はやらねばと実行に移す行動。勿論、今日遊園地に訪れた人々の中にも、全制覇を目当てにやって来た者も少なくはない。
 そして、今ここにいるラファン・クロウフォード(武闘神官・f18585)と瀬古・戒(瓦灯・f19003)も、全制覇を目指しアトラクションを回り切った猛者たる二人である。
「全制覇したが、戒、疲れてない?」
「は、はは、……さんきゅ、へーき……」
 心配そうな顔をするラファンに、だいじょーぶだいじょーぶ、とは言うものの、お化け屋敷で叫びすぎて喉が……とは言い出せない。半ば意地で全部回る! とちょっと苦手なお化け屋敷にまで挑戦した戒が掠れた声で何とか笑った。
「ちょっと休憩しよう、動画も選ばないといけないからな」
「あ、そか。動画選ばなきゃか」
 売店が閉まる前に購入した飲み物とお菓子を持って、ラファンが昼食を食べた桜の下まで戒の手を引く。
「さんきゅ、ラファン」
 差し出された飲み物を受け取って、ガラガラの喉を潤せば声も多少マシになる。
「それにしても、人がいなくなった遊園地ってのは何となく物悲しい感じがするような……」
「遊園地の裏側を見れてワクワクするような?」
「お、わかってんじゃん」
 さっすがラファン、と戒が笑ってお菓子を摘まむ。
「中々ない機会だからな」
「そうだな、まあ他の猟兵やUDC職員の人はいるみたいだけど」
 それにしたって、ちょっとわくわくするよな、と戒が暮れていく空とアトラクションを眺める。
「楽しかったな、戒」
「うん、楽しかったな」
 また来たいな、と二人で笑ってお菓子を摘まみ、さあどの動画にしようかとスマホのフォルダを覗き込んだ。
「あ、全制覇で意地で乗ったメリーゴーランド……これ、ラファンが俺を撮って、俺がラファンを撮ってるからメリーゴーランド感がなかったんだよな」
「そりゃ撮るだろう、俺は戒だけ撮っていたかったくらいだぞ」
「お陰でな、なかなかヤバかったな……視線が、ハハ」
 ありゃ多分野郎二人だと思われたな、と戒が思いつつ次の動画は? とラファンに促しつつ、にんまりと笑う。
「ま、俺はラファンのジェットコースター悲鳴特集で決まりだと思うけど」
「ジェットコースターな。俺の悲鳴がお気に召して光栄だ」
 ならばこれだ、とラファンがタップしたのは――。
「まッ!!!!!」
 流れ始めたのは、悲鳴は悲鳴でもラファンのものではなく戒のややダミ声の悲鳴。
「ソレお化け屋敷のォォオオ!!!!」
「この時の戒は風呂を嫌がる猫のようにすごかった。お化け苦手?」
「イヤ、チガ、ベツにお化けが苦手な訳じゃなくて、驚かされるってのが苦手なだけ、でッッ!!!」
 苦手なだけ、と言った瞬間に映ったお化けのドアップに戒の声がダミ声交じりに裏返る。
「やめッ、消せばかぁぁぁ!!」
「お化け苦手?」
「ううう、ラファンの背中に張り付いてた記憶しか、ねぇ……」
 もう一回聞いたラファンに戒がしょんぼりした猫のように眉をさげたので、そっとラファンがお化け屋敷の動画を消去するボタンをタップした。
「消した?」
「消した、戒が笑ってないと、俺も笑えないからな」
 うっ、ラファンのこういうところ!! と、戒が心臓を押さえつつ、他の動画はと促す。
「そうだな、バイキングとお弁当の動画は? 今日一番二人で笑ったし」
「……あ、それなら弁当ん時のがいい」
 了解、とラファンが動画を再生すると、楽しそうに笑って、美味しい美味しいと弁当を食べるお互いが映っているのが見えた。
「ふふ、イイ笑顔」
「うん、これが一番だな」
「でも、ちょっとハズいか。他のは?」
「他の動画だとこの辺かな」
 並ぶサムネイルを見て、ん? と戒が首を傾げる。
「てか、どこまで撮ってたんだ?」
「え、全部」
「全部」
 全部……? と、戒が今日の記憶を脳裏に描く。
「ま、まさか観覧車でキスしたの……あるじゃん!!」
 しかも消せないようにロック掛けてやがる!! と戒がラファンを見る。
「……だって、戒のキスの誘い方、かっこよくて……」
 そっと視線を外し、顔を赤らめるラファンの姿に、おうおう可愛いなもっかいしてやろうか、と思ったがそうじゃない。
「だっ、お前が観覧車でキスはお約束って聞くけど、どうやるんだって言うから!」
「向かい合わせに座って、どうやるのかと思ったんだ」
 まさか向かい側から立ち上がり、壁ドンよろしく顎クイからキスを要求されるなんて――!
「わーーー! コレはハズイ、だだだだダメ!!」
「俺もこのカッコいい戒は俺だけのにしたいから上げない」
「ったく、油断も隙もないな……」
 あれは二人っきりだし調子に乗ってたんだ、と戒が赤い顔をしながらそっぽをむくから、ラファンが笑いながらその頬にキスをする。
「おわッ、おま、お前」
「こうやって、いつまでも二人で笑って過ごしていきたいな」
「……そりゃ、俺だってそう思ってるよ」
 星のように輝いて舞い落ちる花びらの中、今ならどんな願いだって叶う気がしてラファンが今度は戒の唇にそっと口付けて笑った。
「お、お前の方がかっこいいじゃん……」
「戒の夫だからな」
「ううう、あっ! こ、コーヒーカップ回し過ぎて怒られたヤツとかにしよ! ほらッ!」
「コーヒーカップがあったか。やっぱ戒のチョイスは天才だ」
 よし、とコーヒーカップの動画を上げるラファンの横で、顔を真っ赤にした戒がいたとかいなかったとか――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

百鳥・円
【まる】

ねーねーゼロのおにーさん
動画をアップするならどれが良さそうです?
ビシッとスマホ画面を見せますよう
……あ、やっぱりそのまま転送しますねっと
今って、とっても便利なんですよう
メアドなんて必要無いんですもん

と、まあ雑談はさておき
おにーさんに送る動画は三種類です
・ゼロのおにーさんの後ろ姿の隠し撮り
・一緒に食べたアイスの食レポ動画
・まどかちゃんの一人語りコーナー(withおにーさんの姿)
んふふ、どれも楽しそうでしょう!

あーでもでも、どっちも楽しんでいそうなのが良さげです
二つ目の食レポ動画をアップしても良いですか?
最終的にはおにーさんの意見は反映しないのですが

でしょうー?分かってくださって何よりです
と、いうことで!
早速例の動画サイトにアップをして見ますねっと
準備はオッケー?
それではでは、いってみましょー!ポチッ!

気怠げイケメンなおにーさんと可愛いわたしですし
もしかしなくても再生回数伸びちゃったりして
んふふ、もちろん戯れですけれど
そうなったら面白そうだなーって

楽しみでゾクゾクした!の間違いでは?


ゼロ・クローフィ
【まる】

動画ねぇ
俺的にはどうでも良いのだが
今回は仕方ないか
ほぅ、メアド必要無いね
まぁ確かに便利といえば便利なもんだな
俺はあまり使ったこと無いが

遊園地で遊びながら器用によく撮れるもんだな
若い奴らはこれが楽しいのか?良くわからん
ん?俺の所に3つ来たな
これがそうかと確認する
………おい、ツッコミ所満載なのだが??
いつ俺の動画撮った?
そう言えばアイス食いながら何か呟いてたのはそれか
お前さんの一人語りって
超ノリノリだな、語ってる最中にちょいちょい俺を入れるな
はぁ…一つ溜息をつきこめかみをおさえる

撮ったもんはしょうがない
おい、何処が楽しげに食レポしてる?
どう見てもルンルン食べてる円と嫌そうに食べる俺
駄目って言ってもやる…いや、嫌だと言った方が喜んでやる様な奴だ
あーはいはい。俺に拒否権はないんだろうが

まぁ二人が一緒の方が騙しやすいしな

ん?ちょっと待て!今の動画他の奴に見られるって事か!
今更気づいても、もう遅い
楽しげにポチッと押した後だった

……はぁ
これが全世界に観られるのか……
お前さんが楽しそうで何よりだ



●ハードモードの続きもハードに!
 あれも素敵、これも素敵、さあさあ、まだまだ乗りたいものも見たいものも、食べたいものだってあるんですよう! そう笑って己の手を引っ張る百鳥・円(華回帰・f10932)に付き合って半日、ゼロ・クローフィ(黒狼ノ影・f03934)は戦争に首を突っ込むよりも疲れたんじゃないか? と思いながら、灰皿が設置されたベンチに座り、やっとの思いで一服を味わっていた。
「ねーねー、ゼロのおにーさん」
「……なんだ」
 ゼロの座る場所からふたつ隣のベンチに座る円が掛けた声に、視線を向ける。
「動画をアップするなら、どれが良さそうです?」
 ビシッと円がスマホ画面をゼロに向け、やっぱりふたつ隣は遠いんじゃないです? と首をこてりと傾げて立ち上がり、ゼロの方へと足を向けた。
「待て待て、もう吸い終わる」
「律儀ですね」
 別に気にしませんのに、と円が笑い、それでも彼が煙草の火を消すまで待ってから近付く。
「で、動画だったか」
 動画ねぇ、俺的にはどうでも良いのだが今回は仕方ないか……と、ゼロが正面まできた円に席を譲るように身体一つ横へとずれた。
「そうです、どれに……あ、やっぱりそのまま転送しますねっと」
「メールか?」
「いいえ、今ってとっても便利なんですよう。メアドなんて必要無いんですもん」
「ほぅ、メアドが必要無い、ね」
 それでどうやって送るのか、とゼロが隣に座った円を見遣る。
「ええっと、確かこうして、と……はい、ここのところをオンにするんです」
「これか」
 言われた箇所をタップし、円が何やら操作するのを待てばデータが送信されてくる。
「まぁ確かに便利といえば便利なもんだな」
「そうでしょう、そうでしょう! 気軽にデータのやり取りができるというものですよう」
「俺はあまり使ったこと無いがね」
「全く使わないの間違いじゃないですん?」
 揶揄うような円の言葉に特に否定することなくゼロが唇の端を軽く持ち上げ、スマホの画面を見せた。
「これがそうか?」
「はい、それを受け取ってください」
 受信だかなんだか、そういった類のボタンを押せば円が見せようとしていたデータがゼロのスマホにダウンロードされていく。
「遊園地で遊びながら、器用によく撮れるもんだな」
「これくらいは若者の嗜みですからねっと、もうダウンロード完了したんじゃないですか?」
「若い奴らはこれが楽しいのか? 良くわからん……ん? 俺の所に三つ来たな。これがそうか?」
「それで合ってますよう、ささ、ご覧になってください!」
 雑談はここまでだと満面の笑みを浮かべた円に怪訝そうな顔をしつつ、ゼロが送られてきた動画をまずは一つタップする。そして始まったのは――。
「……おい、この見覚えのある後ろ姿……俺じゃないか」
「そーですとも! それはですねえ、ゼロのおにーさんの後ろ姿隠し撮り動画です!」
「いつ俺の動画撮った?」
「ふふふ、驚きましたか? そうっと後ろから歩いた甲斐があるというものです」
 ツッコミ所満載なのだが?? という顔をして、取り敢えず他の動画はと確認する。
「こっちは……そういやお前さん、アイス食いながらスマホに向かって何か呟いてたな」
「一緒に食べたアイスの食レポ動画ですよう!」
 はぁ、と出掛かった溜息を飲み込んで、最後の動画を開いた。
「……これは?」
「まどかちゃんの一人語りコーナーです!」
 時折フレームにゼロの姿がインするので、withおにーさんの姿と言ったところだろうか。
「それでか……何か好きに喋ってやがるなと思ってたら……」
 画面の中の円は楽しそうな顔をして、あのアトラクションは星五つでした! とか、遊園地の話をしていたかと思えば脱線して今日のファッションの話だとか、違う話をしながらさり気にゼロの姿も映すのだ。
「超ノリノリだな、語ってる最中にちょいちょい俺を入れるな」
 今度こそゼロが溜息をついて、こめかみを押さえる。
「んふふ、どれも楽しそうでしょう!」
 そうだな、お前さんが楽しそうだな、という気持ちを込めた視線で見遣れば、キラキラとした瞳で返されてゼロが押さえたこめかみを揉みながら唇を開く。
「まあいい、撮ったもんはしょうがない」
「まどかちゃん厳選の動画ですからね、どれにしようか迷うのはわかります」
 うんうん、と頷く円にどれでもいいが、と言う前に彼女がパッとスマホの画面から顔を上げた。
「あーでもでも、どっちも楽しんでいそうなのが良さげです」
「どっちも」
 どっちも? 俺も? 楽しんでいる動画があっただろうか。
「そうですね、ここは二つ目の食レポ動画をアップしても良いですか?」
「おい、ちょっと待て」
「なんです?」
「何処が楽し気に食レポしてる?」
 アイスを食べている動画は確かに円はルンルンで食べているが、対するゼロはどう見ても嫌そうに食べているのが丸わかりだ。
「え? わたしとゼロのおにーさんがですよう」
 当たり前じゃないですかと笑う円からは、最終的におにーさんの意見は反映しませんけれどという強い意志を感じ、ゼロは本日何度目かもわからない諦めの中で、そうかと頷いた。
「お前さんは駄目って言ってもやる……いや、嫌だと言った方が喜んでやる様な奴だったな」
 好きにしろ、と言えば円がにんまりと微笑んで。
「でしょうー? 分かってくださって何よりです。と、いうことで!」
 ささっとスマホの画面を切り替えて、予め教わっていたサイトへとつなげる。
「早速例の動画サイトにアップをしてみますねっと」
 ゼロにはよくわからないサイトの画面を開き、アップロードのボタンをぽちぽちと押す円が視線を彼へと向ける。
「準備はオッケー?」
「あーはいはい。俺に拒否権はないんだろうが」
「ふふ、まどかちゃん検定昇級への道をまたひとつ歩みましたね! それではでは、いってみましょー! ポチッ!」
 歩みたくて歩んでいるわけじゃないんだがな、と思いながら、それでも一人が映っている動画よりは二人一緒の方が召喚されるUDCも騙されるだろうとゼロが自分を納得させてブログレスバーが伸びているのを眺めた。
「んっふふー、アップロード完了です!」
「これであとはぶっ飛ばすだけか」
 面倒臭い手順で現れる敵もいたものだな、とゼロが息を吐く。
「この動画、何せ気怠げイケメンなおにーさんと可愛いわたしですし、もしかしなくても再生回数伸びちゃったりして」
 もちろん戯れですけれど、なんて笑う円に視線を向けて、ゼロが小さく笑う。
「こんなサイトの動画、誰が見に来るんだか……ん? ちょっと待て!」
「はい?」
「今お前さんが上げた動画、他の奴に見られるって事か!」
「ええ、そうですよう?」
 何を今更、と円がきょとんとしてゼロを見る。
 気付いたところで時すでに遅し、既に動画はアップロードが完了していたし、きちんと再生できるか円がサイトに上げた動画を楽し気にポチっと押したところ。
「ふふ、再生数が伸びたら面白そうだなーって思いません?」
「誰が思うか……はぁ、これが全世界に観られるのか……」
 なんてこった、と肩を落とすゼロに円が笑う。
「おやおやー? そんなこと言って、楽しみでゾクゾクした! の間違いでは?」
「お前さんが楽しそうで何よりだ」
「ええ、とっても! あっ見てください、アップしたばかりですけど、再生数が増えてますよう」
 ウキウキで指さす円に、本当に楽しそうで何よりだな、とゼロが盛大に溜息を零すのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

日向・陽葵
暗がりで闇に紛れそうな場所で潜伏しつつ、動画送信っとお。……あーあ、
(恋愛なんて。と正直にあたしは思っちゃう)(あたしが経験してきたケースはよくないものばかりだったから)(降りかかってくる非の呼は払っても払っても絶えず我が身に火をくべようと首を垂れた。燃えるワケないでしょ、美辞麗句だけの回転木馬……)(ああでも、)

ここの、戀愛遊園地のメリーゴーランドにはしゃぐ人達は、老若男女問わず可愛げがあったなー。家族とか恋人とかが笑い合ってるのを見るのは微笑ましく思えたし
こういう、国だったらなあ
お天気良くて、人に限らず植物の命も暖かでえ、みんなキラキラでふわふわにほわほわ〜っと、争いゼロ血の流れない空間っていいよね。割と理想的カモしれない

そっからカモがカモにならなきゃいいんだ。密猟とかマジ勘弁。だからUDCには引っ込んでて貰いたい鎮圧したい。嗚呼衰滅万歳! お帰り願うべく待ち伏せだ
別に牧畜犬みたく財産を管理したい訳じゃあない。ただ、過去が未来の希望の芽を摘む気なら、首に刃当てて撫で切るしかないっしょ



●ロクでもなくて、素敵な日
 遊園地の閉園時間を知らせる音楽を聴きながら、日向・陽葵(ついんてーるこんぷれっくす・f24357)はこっそりと見つかり難い場所を探し出し、適当な場所に腰掛けた。
「もう動画送信してもいいんだっけ……もうちょっと待つべき?」
 人の気配が無くなってからにしよう、と自分のスマホを弄りながら動画サイトに接続する。
「送る動画は……これでいいか」
 園内をふらふらと散歩しながら撮った動画、楽しかったかどうかと問われれば陽葵は楽しかった、かも? と答えるだろう。
「うん、楽しかった」
 そう思いながら茜色が濃くなっていく中でお散歩動画を選び、人の気配がほぼしなくなったのを確認してアップロードボタンを押した。
「動画送信っとお」
 ブログレスバーが少しずつ増えていくのを眺めながら、改めて遊園地を見回す。
「戀愛遊園地、か……あーあ」
 恋愛なんて、と陽葵が思う。
 正直なところを言ってしまえば、彼女にとって恋愛に良い感情はない。恋をしたことがないわけではないし、相手がいなかったわけではない。
 ただ――あたしが経験してきたケースはよくないものばかりだった、と思う。
「男を見る目が無い? 大きなお世話~~っと」
 あは、と笑ってから溜息が零れる。見上げた空には一番星が見えて、あたしには手に入らないものだと地上に目を遣れば回転木馬が見えた。
 非の呼は払っても払っても絶えず、我が身に火をくべようと首を垂れた。ああ、そんな事で、燃えるワケないでしょ、と陽葵が皮肉気に笑う。
 ふらり、と立ち上がって、陽葵がメリーゴーランドに向かってゆっくりと歩く。
 美辞麗句だけの回転木馬……ほら、これみたいに綺麗で綺麗な、きれいなだけの――ああ、でも。
 でも、と陽葵が灯りの消えたメリーゴーランドを眺める。
「ここの、戀愛遊園地のメリーゴーランドにはしゃぐ人達は、老若男女問わず可愛げがあったなー」
 あたしは乗らなかったけど、くるくる回るメリーゴーランドを見ていただけだったけれど。
「どうしてかな、皆楽しそうで可愛かった」
 家族連れ、恋人同士、楽しそうに笑い合っているのを見るのは微笑ましく思えたし、上下に揺れて回るメリーゴーランドの中は幸せに満ちていたように思う。
「こういう、国だったらなあ」
 柵に触れながら、回らぬメリーゴーランドの周囲を陽葵が回るように歩く。
「お天気良くて」
 暖かい日差しの中で。
「人に限らず植物の命も暖かでえ」
 日が暮れ往く中、花が風に揺れている。
「みんなキラキラでふわふわにほわほわ〜っと、争いゼロ血の流れない空間っていいよね」
 パッと柵から手を放すと、その代わりのように外灯がぽわりと明るくなった。
「うん、割と理想的カモしれない」
 ふふ、と陽葵が笑って、カモ、と口の中で言葉を転がす。
「そっから、カモがカモにならなきゃいいんだ」
 密漁なんてマジ勘弁! 保護条約って知ってる? 知らないかー、UDCだもんねと陽葵が笑い、すぐにその笑みを引っ込めた。
「だからUDCには引っ込んでて貰いたい鎮圧したい。嗚呼衰滅万歳!」
 万歳! と拳を振り上げて、空に向かって拳をパッと開く。
「さあ、お帰り願うべく待ち伏せだ」
 身を隠せ、隙を突け。
「別に牧畜犬みたく財産を管理したい訳じゃあない」
 犬みたくワンワンワンと吠えたてるのがお仕事だけど! 潜伏するのに丁度いい場所を見つけ、陽葵がそっと身を潜ませる。
「ただ、過去が未来の希望の芽を摘む気なら、首に刃当てて撫で切るしかないっしょ」
 幸いなことに、あたしはその刃になれるから。
「ん? 不幸なことにかな?」
 どっちでもいいか、と陽葵が首元を撫でた。
 だって、どっちだって変わりはないのだから――。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『瞬く蝶の白い夢』

POW   :    死に備えよ、翅の命。目醒めるならば、永らく生きろ
【井戸水に繰り返し撒かれた、遺灰なる鱗粉】を放ち、自身からレベルm半径内の指定した全対象を眠らせる。また、睡眠中の対象は負傷が回復する。
SPD   :    首の無い女が、理想を孵す為に貴方の夢を求めている
【薄く浮いては、軽く飄う蝶の群れ】が自身の元へ多く集まるほど、自身と[薄く浮いては、軽く飄う蝶の群れ]の能力が強化される。さらに意思を統一するほど強化。
WIZ   :    理想を求め、幸福に夢を見よ。貴方は素敵な存在です
【蝶を象る白銀の鱗粉が、淡く薄い桃色に輝る】と共に、同じ世界にいる任意の味方の元に出現(テレポート)する。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

●理想的な幸せは理不尽なまでに傲慢で
 次々とアップロードされていく動画が、UDCを喚び起こす。
 遊園地の大きな広場に、キラキラとした白銀の粉がやがて蝶の形を取り、更にはそれがひとつの身体となるかのように集まっていく。
 やがて、蝶は一人の首の無い女の姿となった、手にするのは幾重にも重なったレースのケージカバーが掛かった鳥籠。
 首の無い女、『瞬く蝶の白い夢』は声なき声で言葉を発する。
『楽しい記憶、楽しい、楽しい、楽しい、それは、あなたの理想ですか? 夢ですか?』
 理想を求めるならば、与えよう。
 対価は夢、長い幸福の眠りに沈むがいい。
 女が言葉を伝えきったあと一瞬の静寂と暗闇が遊園地を包み――世界が反転するように、遊園地の全てのアトラクションに明かりが灯り、楽しげな音を奏でだす。
 目の前にはあなたを誘惑するように、あなたが理想とする光景が浮かび上がるだろう。
 惑わされぬよう、強い意志や夢の力でUDCが見せる幻覚から抜け出し、目の前の敵を倒すのが猟兵たる君たちの役目――。
 夜の遊園地での戦いが幕を開けようとしていた。

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 明かりが点いた遊園地での戦闘となります、アトラクションはどれも動いています。
 UDCはあなたに、あなたが描く理想を見せてきます。それはこうなればいいと漠然と思う未来であったり、こうなりたい理想の自分であったりと様々。全員何かしらの幻覚を見せられます。
 出来そうなことはプレイングに盛り込んで大丈夫です。コメディでもシリアスでもプレイング次第でリプレイもそのように、いつものやつです。
灯篭城・燈子
鬼門・f36273と ◎

ふーん? 幻覚かしらね
あーでもいいね、悪くない景色よ
ま、どーでもいっか 所詮は幻だしね
お、掃の声 はいはい起きますよー
起きたら、ははっ もう動いてるじゃん
【反抗魔法】を掃にかけるよ
めちゃくちゃ環境で邪魔してきたしいけるっしょ
私は雷属性の攻撃魔法を大魔法の杖で威力増幅、ぶち当てて隙を作るよ
基本は掃に任せて、ちょこちょこ後ろから属性魔法入れてく感じかな
そうすればなんとかなると思うしね
まーあ? 戦うの私たちだけじゃないし平気でしょ
ほら、掃も落ち着きなよ
いらない力みは怪我のもとだよ
え、私の見た幻? 内緒!

(見えたのは見渡す限り火に包まれた地獄絵図)
(耐えない嫌悪も今は隠すよ)


鬼門・掃
魔女・f36229と ◎ 『』以外しゃべりません

明るくなったと思ったら、目の前に広がるこれは何だ?
昔の里だ……もう、滅んだはずなのに
皆が生きていて、私に声をかけてくる
「話さなくていいから、一緒に遊ぼうぜ」?
なんだ、夢か
自分と魔女に『起きろ』と呪言を叫ぶ
起きたら俺はすぐに踏み込み、斬りかかる
魔女が隙を作ってくれるからな
ある程度動きの予測がつけられたなら、
助走をつけて力一杯蹴り飛ばしてやる
……しまった、吹き飛ばしてしまった
追おうとするが魔女に止められる
まあ、そうだな あとは他の猟兵に任せよう
そういえば、魔女はどんな景色を見たのかと視線で伺う
私の見た景色など言わずともお見通しだろうから



●内緒
 ふわり、ふわふわと魔法の雲を降下させ、軽やかに地上に降り立った灯篭城・燈子(魔女・f36229)が突然動き出した遊園地のアトラクションの賑やかさに笑う。
「掃、夜の遊園地というのも乙なものだね?」
 見てご覧、煌びやかだ――と言おうとして、燈子は隣に鬼門・掃(狩人・f36273)が立っていない事に気が付く。それから、目の前の光景ががらりと変わっていることにも。
「ふーん? 幻覚かしらね」
 ちりちりと、己すら焼くような劫火に包まれた地獄絵図を前にして、魔女は、燈子はつまらなさそうに笑う。
「あーでもいいね、悪くない景色よ」
 悪くない、そう言った女の顔はどんな顔をしていただろうか。それすら見えぬほどの炎が魔女を照らす、幻覚であってもその熱は魔女の肌を炙るかのような痛みを伝えていた。
「……ま、どーでもいっか。所詮は幻だしね」
 それよりも、気になることがあると燈子が目を細める。
「掃はどうしているのかしらね」
 同じように幻覚を見ているのか、私だけが幻覚を見ているのか。
「ま、あの子なら平気でしょ」
 一人でだってなんとかするだろうし……なんとかするわよね? と、炎が吹き荒ぶ中で燈子が笑った。
 一方、心配されているのかいないのか、彼はといえば――。
 外灯だけが光っていた眼下の景色が明るくなり、燈子が操る魔法の雲から降りて地を踏みしめたはずだったのだが、これは何だ? と、掃は自分の周囲の風景に警戒の色を見せていた。
 そこは掃が昔に住んでいた里、時代錯誤と言われてもおかしくない場所。それでも、自然に満ち溢れた里は生きていくのに必要なものは揃っていたし、不自由はなかった。
 がさり、と葉が擦れる音がして振り向くと、生きている里の皆の姿が見えて掃の眉根が寄る。口々に話し掛けてくるその言葉に曖昧に頷いたり首を振り、燈子の姿を探すように辺りを見回す。
「だからさ、話さなくていいから一緒に遊ぼうぜ!」
 その言葉に掃が動きを止めて、今度こそはっきりと息を零した。
 なんだ、夢か。
 呪われた一族と忌み嫌われた己の一族の中においても、自分は最も呪われた子だったのだ。話さなくてもいいから? 笑わせる、とひとつも笑っていない表情で唇の端を僅かに持ち上げると、掃が唇を開く。
『起きろ』
 たったそれだけ、強い意思の力を込めて叫ぶ。
 呪言、呪われた言葉、強制的に従わせる力ある言葉とでもいうのだろうか。そしてそれは、確かに掃と燈子に響いた。
「お、掃の声」
 起きろ、とシンプルにそれだけだったが、燈子が笑って目を閉じる。
「はいはい、起きますよー」
 そう言って目を開ければ、視界に映ったのは首の無い白銀の女。それから、女に向かって踏み込み斬りかかる掃の姿だった。
「起きたらって思ってたけど、ははっ」
 楽しそうに笑って、もう動いてるじゃん、と燈子が掃を指さす。そして向けた指先から反抗魔法を掃に施して、めちゃくちゃ環境で邪魔してきたしいけるっしょ、と大魔法の杖を構える。
 杖の先からパリパリと音を立てる青白い光を発し、掃! と声を掛けて――ぶち放った。
「……ッ」
 白銀の女、『瞬く蝶の白い夢』へ刃を向けていた掃がすっと腰を落とせば、その頭上を電撃が迸る。その後を追い、併走するように掃が駆け、電撃が女に当たった直後に力一杯蹴り飛ばす!
「あ」
 そう、声に出した魔女のように、唇を『あ』の形にした掃が立ち止まった。
 ……しまった、吹き飛ばしてしまったと、ちらりと燈子を見遣れば、蝶となって羽ばたいた『瞬く蝶の白い夢』に属性魔法を放ってから杖を肩に乗せ、掃に向かって首を横に振った。
 追うか? と視線を蝶に向ければ、燈子が手でバツ印を作る。
「まーあ? 戦うの私たちだけじゃないし平気でしょ」
 燈子が今にも追い掛けそうな掃の元に歩きながら、落ち着きなよと笑う。
「いならい力みは怪我のもとだよ」
 そう言われてみればそうか、と掃が納刀して肩の力を抜く。あとは他の猟兵に任せてもいいだろう。
 隣に立った燈子に、魔女はどんな景色を見たのかと視線を向ける。
「何、え? 私の見た幻?」
 やだ、そんなの知りたいの? とにんまりと燈子が笑う。
 だって、魔女は私の見た景色など言わずともお見通しだろう? と、掃が目を細める。
「あっはっは、内緒!」
 教えてくれるとは思っていなかったから、そうかとだけ目で訴えて掃がキラキラと光りながら回る観覧車へと視線を遣る。
 そうそう、あんな地獄絵図、掃は知らなくていいんだよと耐えない嫌悪を僅かに瞳に滲ませて、燈子も眩い程の光りへ目を向けた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

椚・一叶
友のトリス(f27131)と戦う
昼間とはまるで違う遊園地
歪めるのは許さない
楽しませてもらった礼に刃振るおう

ああ、儂が追い出された森が見える
いつかは戻ってみせる、そう決めた場所
認められる程強くなったか
許してもらえる程学んだか
…否、未だ
親父、そんな生温くない
中途半端な幻は、苦無振るって壊す
森へは自分の力で戻る
そうでなければ意味ない

トリス!貴様も目は覚めてるか?
覚めてなかったら軽く叩いていいか
美味いものを嗅がせた方が早そうだが
あの厄介な蝶は全部叩き落とそう
儂の電撃お見舞いして
動き鈍らせたら一気に畳み掛ける

楽しい記憶、理想でも夢でもない
それは今の儂をつくる、過去
だからその幻、嘘、必要ない


鳥栖・エンデ
友人のイチカ君(f14515)と頑張ろ〜
夢や理想をみるのも良いけど
このキレイな遊園地に
まやかしだけの蝶がいるのは良くないってね

ボクの理想かぁ、なんだろうね
褒めてくれたら其れでよかったけれど
もう彼なら此の世に居ないからなぁ
蝶は魂の象徴とか言うらしいけど
所詮は幻想、満たされるなんて思ってないよ
ぐるりと竜の騎士槍で幻は掻き消して
反撃といこうじゃないか

イチカ君に殴られそうになってたような
気のせいだったか幻だったかは置いといて
ひらひら、ゆらゆら逃げ回る蝶は
影法師のトリで追跡して確実に倒さないとね

理想や未来を夢見るより
地に足ついてる現実を楽しむ方が
今のボクには丁度良いのさ



●必要ないもの
 夜の遊園地、本来であれば心ときめくような響きだけれど――今、椚・一叶(未熟者・f14515)と鳥栖・エンデ(悪喰・f27131)の目の前に広がるそれは、どこかその在り様を歪められている様にも見えた。
「昼間とはまるで違う」
「そうだね~、夜の遊園地で遊ぶのも楽しそうだけど」
 警戒心を露わにする一叶とは対照的に、エンデは変わらずのほほんと笑う。けれど、このキレイな遊園地に飛び交う白銀の蝶がよくないものだという事だけは本能的に理解していた。
「キレイな遊園地にまやかしだけの蝶がいるのは良くないってね」
 夢や理想をみるのも良いけどね、それは別の機会がいいなぁ、なんて。
「この遊園地歪めるのは許さない」
 一叶が今日の楽しい記憶を思い出し、眉を吊り上げる。
 友と二人で遊んだ遊園地は楽しかった、それを汚されるような気がして一叶が刀の柄に手を掛けた瞬間だった。
「……っ!?」
 一叶の目の前に広がっていたはずの煌びやかな遊園地は消え失せ、緑豊かな森が見えたのだ。
「ここ、は」
 見覚えのある……否、一叶がいつか必ず戻ってみせると決めた場所――故郷の森。
 思うがままに生き、自由だと獣の如く生きてきた。未熟も未熟、と親から追い出された森だ、それが目の前にある。
「儂は認められる程強くなったか」
 そうでなければ、森が目の前にある訳がない……一歩踏み出そうとした足が何故か止まって一叶は首を傾げた。
 何かがおかしいと獣の本能が告げる、警戒しろと警鐘を鳴らす。
「儂、は」
 許してもらえる程学んだか? 否、と心が叫ぶ。
「……否、未だ」
 知らねばならぬ事は多く、知りたいと思う事は尽きない。
 強さだって、まだまだ己よりも強い者がいる。それに――。
「親父、そんな生温くない」
 なんて中途半端な幻だろう、ギリ、と奥歯が鳴るほど噛み締めて、一叶が苦無を振るった。
 硝子細工のような脆さで壊れゆく森の幻を前に、一叶が呟く。
「森へは自分の力で戻る」
 そうでなければ、意味をなさないのだから。
 砕けた硝子が剥がれ落ちるかのように、幻が消えて遊園地へと引き戻される。
「そうだ、トリス!」
 一緒に居た彼は、と一叶が隣を見遣る。
「おい、トリス! 貴様も目は覚めているか?」
 どことなく遠い場所を見つめているような彼に舌打ちをし、軽く叩くべきかと一叶が逡巡しつつ彼の肩を掴んだ。
 肩を掴まれたエンデはといえば、絶賛幻覚の中で蝶が飛んでいくのを眺めていた。
「ボクの理想かぁ、なんだろうね」
 自分でもわからないのだから、幻覚でそれを見せるのは難しかろう。惑うように蝶がひらり、ひらひらと飛んでいる。
「そうだなぁ、褒めてくれたら其れでよかったけれど」
 本当にそれだけでよかったのだけれど。
「もう彼なら此の世に居ないからなぁ」
 穏やかに、もう居ないトモダチを思う。蝶がエンデを誘うように白銀の鱗粉を煌めかせながら、人影の方へと飛んだ。
「蝶は魂の象徴とか言うらしいけど」
 所詮は幻想だよ、とエンデが嘗ての友人が愛用していた竜の騎士槍を手にする。
「満たされるなんて思ってないよ」
 だから君も満たせるなんて思わないで、とぐるりと槍を振り回し蝶を掻き消して目を閉じて――再び開き、琥珀色の瞳を瞬かせた。
「あれ、どうしたのイチカ君」
「む、目が覚めたか」
 殴るか、美味いものの匂いを嗅がせるか、と悩んでいた一叶が肩から手を放す。
「あれ、なんかボク、イチカ君に殴られそうになってたような……」
「気のせいだ、殴ってない」
「そうかなぁ、まぁいいか」
 そろそろ反撃といこうじゃないか、とエンデが一叶に笑った。
「任せろ、あの厄介な蝶は全部叩き落とそう」
 一叶が首の無い白銀の女、『瞬く蝶の白い夢』からひらりと飛ぶ蝶に向けて、電撃を放つべく苦無を握る。
「痺れてろ」
 青白く美しくも激しさを伴った雷撃が白銀の女のみならず、蝶を捉えて迸る。
「お見事、じゃあボクは……空の先まで地の果てまで、おいで」
 腰の翼を羽ばたかせ、舞う羽根を媒介に影法師のトリを喚び出すと、電撃を喰らってもなおゆらゆらと逃げ回る蝶を追跡させた。
「確実に倒さないとね」
「その通りだ」
 首の無い女に迫り、一叶が苦無を振るい、エンデが騎士槍で蝶を蹴散らす。
「悪いけど、理想や未来を夢見るより地に足ついてる現実を楽しむ方が今のボクには丁度良いのさ」
「楽しい記憶、理想でも夢でもない。それは今の儂をつくる、過去」
 だから、その幻も嘘も必要ないのだと、二人は『瞬く蝶の白い夢』を否定するかのように切り裂いた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

駒鳥・了

ガーちゃん(f23517)と
蝶は個人的にすげー不吉ぅ

ってる間にみんな粉々の更地じゃん
音と灯りだけ楽し気でめっちゃシュール

全てへの期待値が高かったのはココかもだケド
オレちゃんは常に今この瞬間が楽しいし理想なんだかんねッ!

理想の地なら愛車も召喚できるよね
ってかガーちゃん何怒ってんの!
一緒に殴りに行こ!
乗れそーならタンデムしちゃって!

バイクで蝶の元へぶっ込みながら途中でナイフを放ってUC発動
臭い匂いは元から絶たなきゃって奴ね!

すれ違いざま戦果を見つつ
勢い付けてジャンプ&遊具のレールを後輪で蹴ってターン!

ダメだよガーちゃん、目ぇ開けて確り掴まってて!
次に突っ込むときはナイフ乱れ撃ちで蝶を減らしとこ!


ハルア・ガーラント

アキさん(f17343)と

浮かび上がる回転木馬の前に立つのは……わたし
真っ白なウェディングドレス姿の幸せそうなわたし

世界が嫌いで、自分の境遇を呪うばかりだったあの頃のわたしなら
この光景をただ羨み涙を流すだけだったかも
でも今は

――現実のわたしがまだ着ていないのに狡くないですか!?

え、アキさん、だってほら!
憧れを先取りされてすごい悔しいです、ゴンしに行きましょう!
勿論乗ります――ひえぇ速い!

銀曜銃や咎人の鎖で蝶を払いつつUDCの元へ
射程内に捉えたらUC発動
ペンギンさん達、道を切り拓いて!

その後もアキさんにしっかりしがみき耐え、たい
わっ、反射的に翼が開いちゃう
やややっぱり怖い!
目を開けるのも怖い!



●女の子は強気
 ベンチ代わりに寛いで座っていたコーヒーカップの中で、駒鳥・了(I, said the Rook・f17343)とハルア・ガーラント(宵啼鳥・f23517)は突然の眩しい光に瞳を瞬かせる。
「わ、電気点いた!?」
「遊園地の全部、灯りが点いて……!」
 くるくると回り出したコーヒーカップから脱出すべく、ハルアが了を抱き締めるようにして翼を羽ばたかせて広場へと舞い降りた。
「吃驚しましたね、アキさん」
「ガーちゃん、蝶だ」
「え?」
 蝶、と言われてハルアが辺りを見回せば、白銀の蝶がひらひらと飛び交うのが見えた。それは不自然なまでの数で、ハルアは思わず眉根を寄せる。
「これは……敵、ですよね」
「だろうねー、蝶は個人的にすげー不吉ぅ」
 むー、と唇を尖らせた了に、そうなんですか? と聞こうとした瞬間に白銀の蝶に視界を塞がれ、次に目を開けた時には――。
「……わたし?」
 浮かび上がるのは昼の遊園地で見た物よりも煌びやかに思える回転木馬、そしてその前に幸せそうに微笑んで佇むのは真っ白なウェディングドレスを身に纏ったハルア自身。
 背の大きく開いたドレスは翼の邪魔にもならず、二の腕から袖迄を覆う軽やかなスリーブが可愛らしい。ふわふわとしたチュールとレースが重ねられたスカート部分も、どこかふんわりとしたハルアらしさを感じさせる仕立て。ベールは翼の邪魔にならないよう短めの物だけれど、裾の部分に大振りな花の刺繍が入っていて存在感がある。
 どこからどう見ても幸せそうな花嫁で、ハルアは思わず息を呑んだ。
「これが、わたしの理想……?」
 世界が嫌いで、自分の事も好きではなくて、己の境遇を呪うばかりだったあの頃のわたしなら、きっとこの光景をただ羨んで涙を流すだけだったかもしれない。
「でも、今は」
 今は違う、わたしだって幸せになれることを知っている。そして、共に幸せになってくれる人のことだって。
「――現実のわたしがまだ着ていないのに、狡くないですか!?」
 それ、わたしが雑誌で見ていいなぁって思ってたドレスのひとつじゃないですか!! そう叫んだのと同時に、同じように幻覚を見ていた了も叫んでいた。
 ハルアが幻覚に攫われたのと同じく、了もまた視界が晴れたと同時に全てが粉々になった世界を目にし、あー……と声を零す。
「みんな粉々の世界じゃん」
 それなのに、音と灯りだけが楽し気で、なんともシュールな光景だ。
「ん-、まぁね、全てへの期待値が高かったのはココかもだケド」
 はは、と笑って了が更地に視線を向けて、それから腹の底から声を出すように、叫ぶ。
「オレちゃんは常に今この瞬間が楽しいし理想なんだかんねッ!」
 それはハルアの叫びと重なって、薄氷が割れるように世界が元へと戻る。
「あっ戻った! よーし、愛車を喚び出しちゃうか!」
「全くもう!」
「ってかガーちゃん何怒ってんの!」
 嫌なものでも見た? なんて了が笑うと、聞いてください! とハルアが前のめりになって了に訴えた。
「え、ええー、そんなもん?」
「え、アキさん、だってほら! 憧れを先取りされてすごい悔しいです、ゴンしに行きましょう!」
 ゴン、と言いながらハルアが拳を振るう真似をする。
「あははっ、そっかそっか。じゃあ一緒に殴りに行こ! ガーちゃんはバイク平気?」
 乗れそうなら後ろに乗って、と言う了に頷いて、ハルアが了の愛車たるオフロードバイク、Iron birdの後ろに乗った。
「よーっし、行っくよー!」
「わ、わ、ひえぇ速い!」
 エンジン音を響かせながら、了がバイクに乗って蝶の元へとかっ飛ばす。
 必死にしがみつきながら、ハルアが咎人の鎖で蝶を払いつつ首の無い女『瞬く蝶の白い夢』を射程内に捕えると、キングペンギンを召喚する。
「ペンギンさん達、道を切り拓いて!」
 きゅー! と鳴いた数多のキングペンギン達が女の元へと飛んでいく。
「ひゅー! 臭い匂いは元から絶たなきゃって奴ね!」
 了がナイフを放ちながら力を発動すると、ナイフが巨大化して蝶の群れを攻撃しつつ、女の元へと向かう。
 女とペンギンすれすれの場所を見極めてバイクで擦れ違い、ペンギンとナイフの戦果を確認しつつそのままアクセルを全開にして勢いをつけてジャンプし、アトラクションのレールを後輪で蹴ってターンを決める。
「わ、わわ、きゃー!」
 了にしっかりとしがみつき耐えていたハルアが、ジェットコースターにも匹敵するような了のバイクアクションに思わず開きそうになった翼を必死で抑え込む。
「やややっぱり怖い! 目を開けるのも怖い!」
「ダメだよガーちゃん、目ぇ開けて確り掴まってて!」
「ううう、はいぃ!」
 既に半泣きであるハルアがぶわりと膨らんだ翼をなんとか縮め、了の動きに合わせてキングペンギンを女に向かって飛ばす為に薄目を開けた。
「ひぇっ」
「もう一回突っ込むから、そこで蝶を減らすよ!」
「は、はい!」
 怖いけど、怖いけど、ウェディングドレスの恨みはらさでおくべきか……! とばかりにぎゅうとしがみつき、ナイフが投げられるタイミングと共にペンギンを飛ばすのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

茜崎・トヲル
◎やーさんと!(f33070)

みんながいい人で、みんなが笑ってて、みんなが幸せで
幸せなせかい。悪い人がいない世界。人類が完全に幸せな世界
おれの、理想

目の前で、やーさんが人を殺しました
それは殺したいと思われていたということ
つまり、完全ではないということ
あはは。まーねえ、そんな簡単にはいかないよねえ
うそつき。

やーさーん。おーい、げんきー?!おれ?おれはげんきだよお!
荒らすの?いーよ!ここは嘘だからねえ
おおー!なんかすごいのでたねー!がんばえー!
おれも……おれ、することないね?

やーさーん!シート引いたから座って待とー!(手をぶんぶん)
夢って、遠いねえ。
んい、応援してる。手伝いひつよーなら言ってね。


結・縁貴
◎トヲル帅哥(f18631)と

柔らかに笑い合う人々
幸いの地ってこういう場所かな
穏やかに笑う仙の身を手が貫く
弑した相手の目は暗く光はない
星が堕ちた
俺の本懐
なのに高揚しないのは、今の俺じゃ弑せないのを知ってるから
此の程度で為せるなら研鑽してないんだよな
精神に働きかけるってこういう類かァ
…はは、気に食わない

トヲル帅哥、無事?元気そうだね
何が出てくるか分からないけど、荒らしていいかな
俺に従え、魔の輩よ

応じたのは…饕餮じゃん…四凶かァ…
饕餮は肉も魔も術も全部喰らう悪食だって聞くね
幻覚見せるのはその蝶かな、ぜェんぶ平らげれば消えるよね!其れじゃあ、どうぞ召し上がれ!

…夢の実現は遠いね
でも、俺は手にしたいよ



●理想と夢と、現実と
 サイトに上げた動画を見たり、上がっている動画を見たり、送られてきた動画を見たり、と二人がスマホを覗き込み、夜の闇が辺りを包もうとする中でパンッ、と世界が弾けるように音と光が遊園地に戻る。
「わっ、あかるーい!」
「诶? 電気は外灯しか点かないって、ホラー現象?」
 無邪気に夜の遊園地だと笑う茜崎・トヲル(Life_goes_on・f18631)に対し、虎の姿から人の姿に戻り理性を取り戻した結・縁貴(翠縁・f33070)は訝し気に動き出したアトラクションを睨む。
「おばけ?」
「そっちじゃなくて、オブリビオン……この世界じゃUDCって言うんだっけ?」
「じゃー、あれがそうなのかなー」
 あれ、とトヲルが指さした先には不自然なまでに白銀に輝く蝶の群れ。
「トヲル帅哥、確実にあれだよ」
「やっぱりー? じゃあぶっとばして……あれ」
 あれ? とトヲルが首を傾げる。
 目の前には白銀に光る蝶はおらず、幸せそうに笑って暮らす人々がいる世界が広がっていた。
 争いなんてない世界で、オブリビオンの脅威もない、そんな世界だとトヲルは瞬時に理解する。
「みんながいい人で、みんなが笑ってて、みんなが幸せで」
 幸せなせかい、悪い人がいない世界。
「みんな幸せそうだ、へへーおれも幸せ!」
 人類が完全に幸せな世界、おれの理想とトヲルが満足そうに言う。
 その隣で、縁貴は同じ世界を見ていた。
 柔らかに笑い合う人々、知らない人達の笑顔だけれど、つられて笑いそうになるような幸せそうな顔。
「幸いの地ってこういう場所かな」
 ああ、そういや仙界もこんな風だったかな。俺は外に出たことが無かったからあんまり知らないけれど、そう思いながら穏やかに笑う人々の中に己の本懐を見つけて足を踏み出す。
 流れるような動きで、誰一人縁貴を警戒していない。
「はは」
 乾いた笑いが響いても、誰も笑顔をやめない。
 誰かにとっての理想の地、俺にとってもきっとそうだと嗤いながら、縁貴は目の前で穏やかに笑う仙人の心臓を鋭く尖らせた手で貫いた。
 殺した相手の眼孔は色を失くし、暗く昏く、光もなく。貫いたまま空を見上げれば星が堕ちたのが見えた。
「俺の本懐」
 ぽつりと呟くけれど、本懐を遂げたはずだけれど。
「唉」
 高揚しないのは今の己では殺せないのを知っているからだ、この程度で為せるのであれば研鑽などしていない。
「精神に働きかけるって、こういう類かァ」
 あーあ、と思う。理想まで如何に遠いか思い知らされた気分だ。
「……はは、気に食わない」
 縁貴は己の血に塗れた手を見ていたから、気がつかない。
 それを目の前で見ていたトヲルが、どんな顔をしていたかなんて。
 目の前で縁貴が人を殺した、幸せそうに笑っていた人だった。
「それは殺したいと思われていたということでー」
 つまり、完全ではないということ。トヲルの理想からは、どこまでも遠いということ。
「あはは。まーねえ、そんな簡単にはいかないよねえ」
 うそつき。
 だれが?
「だれがだろうね」
 さあ、この世界はもうお終い。
 どちらからともなく目を閉じて、燃えるような瞳が目を覚ますように開かれる。
「やーさーん。おーい、げんきー?」
「元気かどうかはちょっとわかんないけど、トヲル帅哥は無事? 元気そうだね」
「おれ? おれはげんきだよお!」
 こんなことは何でもない、よくあることだからね! なんて笑うトヲルに笑い返して、縁貴が白銀の蝶が集まって首の無い女となった敵を見遣る。
「トヲル帅哥、何が出てくるか分からないけど、荒らしていいかな」
「荒らすの? いーよ! ここは嘘だからねえ」
 どんなに幸せそうな人がいたって、嘘ならいらない。
「ほんと、何が出るかわかんないけどね! 俺に従え、魔の輩よ」
 呪輪盤賭を手にした縁貴の声が凛と響き、現れたのは体は牛で人の顔を持つ怪物――饕餮。
「おおー! なんかすごいのでたねー!」
「……饕餮じゃん……四凶かァ……」
 一回見たから縁ができたかな……と乾いた笑いを零しつつ、饕餮は肉も魔も術も全て喰らう悪食だと思い出す。
「焼きそばも喰らってたもんな……」
「え? やきそば? やーさんお腹すいた?」
「や、腹は減ってないから!」
 お気遣いなく! と答え、縁貴が饕餮に向かって命を下す。
「幻覚見せるのはその蝶かな、ぜェんぶ平らげれば消えるよね! 其れじゃあ、どうぞ召し上がれ!」
 それに従うように、饕餮が首の無い女『瞬く蝶の白い夢』へと駆けた。
「わー、がんばえー!」
 饕餮が女の元へ集う蝶を喰らい、敵の力を削がんと暴れているのをトヲルが応援する。
「あ、おれも……あれ? おれ、することないね?」
「嗯、この世界丸々喰らってるからね」
 脆い飴細工のように世界が崩れていき、やがて煌びやかな夜の遊園地へと戻れば首の無い女は蝶となって逃げたのか、他の贄を求めて移動したのか、姿が見えなくなっていた。
「ハー……疲れた」
 饕餮を戻し、縁貴が小さく息を零す。
「やーさーん! シート引いたから座って待とー!」
「いつの間に!?」
 そう言いつつも、トヲルの横にちょこんと座り、縁貴が頬杖を突いた。
「ねー、やーさん」
「啥?」
「夢って、遠いねえ」
「……夢の実現は遠いね」
 今日でよくわかったよ、と縁貴が唇の端を持ち上げる。
「でも、俺は手にしたいよ」
「んい、応援してる」
「……本当に?」
「うん、手伝いひつよーなら言ってね」
 それが、わるいことだって。
 おれがいい人だって思ったんだから、へいきだよ、と言葉にしないままトヲルが笑った。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

雨野・雲珠
【オセロ】◎

あれ、俺何してたんですっけ…

活気のある参道沿いのお店、
大きな鳥居。立派な社殿。
ああそうか、ぬしさまが権能を取り戻されたんだ…!
ご家族?と一緒のスーくんに手を振って、
隣を歩くかみさまをご案内します!
ね、かみさま。よい立地でしょう?
皆が気軽に遊びに来れる場所ですよ!
このご神体の掛け軸は、お願いして描いてもらったもの。
それでね、ほら…摂社もなかなか立派でしょう?
見てください、お賽銭も結構入ってますよ!

ああ、よかった…本当によかった
これであとは──



かみさまに呼ばれた気がして我に返ります
ああ…そうか、そうですね。知ってました
夢で済ませる気はないんです
でも……良い夢をありがとうございました


朱酉・逢真
【オセロ】◎
心情)夢は俺の領域。世界が変われば俺は気付くよ。夢憧れ目標幸福、総じて希望とされるもの。"いのち"に対する甘い毒だ。希望があるから立ち上がる。希望があるから諦めない。希望があるから苦難に立ち向かう。希望があるから絶望する。希望こそは毒、俺の管轄だよ。俺に夢を見せられると思うな、おちびちゃん。
行動)いつものようにぼんやり笑って、坊や黒兄さんの案内を受けよう。幸福そうな顔だ。やっとッて顔だ。よく似た3兄弟…ン? (フと白いのを見れば、笑っておらず) 幻想の中ですら、お前さんは"らしい"な。アア俺は優しい神じゃないからね、夢を終わらせる。幸福な毒沼に溺れるのは死んでからにおし。


スキアファール・イリャルギ
【オセロ】◎

…あれ、ここは
ふと気付けば幻朧桜
立派な鳥居に社殿
隣には両親や先生
コローロとラトナ、ラウルも

先生は嬉しそうに言う
怪奇人間の業病を治す手段を見つけられてよかったと
両親は微笑んで言う
業病が治ったから、これからは穏やかに暮らせるねと

雲珠さんが嬉しそうに笑ってる
朱酉さんは――いつも通りかな
周囲を見渡せば白の兄や友人も

そうか、ここは
争いが消えた平和な故郷
噫、よかった
これからは残り少ない人生を――


…かみさまの声

噫、理想は結局理想だ
雲珠さんの理想は叶うと思うけど
先生の理想は叶うと信じたいけど

私の業病は…きっと治ることはない

呪瘡包帯で敵を捕縛しUC
良き夢でしたが、私が生きるべきなのはこの現実なので



●夢は、夢のままではなく
 スマホを手にして、雨野・雲珠(慚愧・f22865)とスキアファール・イリャルギ(抹月批風・f23882)は増えていく再生数に頬を紅潮させながら、楽しげな声を響かせていた。
「すごい、すごいですよ、スーくん! かみさま!」
「わあ……なんだか照れくさいですね」
「ひ、ひ。明日になったらもっと増えてるさァ」
 少し後ろからそれを覗いて、朱酉・逢真(朱ノ鳥・f16930)が息を吸うようにして笑う。
「素敵ですねぇ。俺も映ってるなんて不思議です」
 そう言って、雲珠が顔を上げた瞬間に沈黙を貫いていた遊園地のアトラクションが動き出す。
「これは……!」
「敵サンのお出ましかねェ」
 スキアファールが警戒するように構え、逢真が表情一つ変えぬままひらりと飛んだ白銀の蝶を見つめる。眩い光の洪水と楽しげな音が辺りを包んで、雲珠が瞬間瞳を閉じて――開いた。
「……あれ? 俺、何してたんですっけ……」
 遊園地に居たんじゃなかったですっけ、と言い掛けて見慣れた幻朧桜が花弁を散らしているのを見上げ、夢だったのかなと首を傾げる。そのまま視線をあちらこちらへ向けると、活気のある参道沿いのお店が見えた。
「ああ、そうか」
 大きな赤い鳥居、その奥に見えるのは立派な社殿。
「ぬしさまが権能を取り戻されたんだ……!」
 ふわり、と雲珠の心が満たされて、浮き立つような気持ちになる。
 俺はこの為にずうっと、ずうっと頑張ってきたのだと頭の上の桜もぽん、ぽんと咲いて、雲珠の喜びを表しているかのようだった。
「……あれ、ここは」
 スキアファールが瞳をぱちりと瞬く。
「立派な鳥居に社殿……どこの神様のものでしょうか」
 その何気ない問いに答えたのは、隣にいる母だった。
「最近できた……ああ、そうでした、そうでしたね」
 雲珠さんの、と思わず笑みが浮かんで、それから改めてスキアファールが隣を見れば両親と先生の姿が見えて、どうしたんだろうと思うよりも先に一緒に来たんですよね、と自分の周囲を飛ぶコローロに微笑む。
「ラトナとラウルも、一緒に来ようって、ええ」
 そう、怪奇人間の業病が治ったから。肌を隠さずとも、表を歩けるようになったからと先生が嬉しそうに笑っている。
『本当に、治す手段を見つけられてよかった』
「はい、先生にはお世話になって」
『そうね、業病が治ったから、これからは穏やかに暮らせるわね』
 嬉しそうに微笑んで、両親がそう言って。
 どこまでも、どこまでも美しくて優しい世界だとスキアファールが穏やかな空を見上げた。
「夢は俺の領域さァ」
 嬉しそうに笑う人々を、雲珠を、スキアファールを眺めながら逢真はぽつりと零す。
「世界が変われば俺は気付くよ」
 何せヒトじゃない、こうみえてもかみさまでねと薄く笑う。
 夢、憧れ、目標、幸福――総じて希望とされるもの、それはいのちに対する甘い毒だと逢真は毒の香りをくん、と嗅ぎ付けて、それでも。
「でも……まァそうさな、少しばかり付き合おうか」
 笑ういのちは、なんとも愛いじゃないか。
 誰に向けるでもなく囁くように言い、自分に向かって手を振る雲珠の元へと足を踏み出した。
「かみさま!」
「はいよォ」
 いつものように、彼らに向ける笑みを浮かべて逢真が頷く。
「ご案内しますね! たくさん見て欲しいものがあるんです!」
 あ、スーくん! と、大きく手を振って、雲珠がご家族でしょうかと逢真に笑いながら活気溢れる店が並ぶ参道を歩く。
「色々なお店があるんですよ、鹿をモチーフにしたお土産なんかも沢山あって!」
 鹿の焼き印が押されたお饅頭やお煎餅、ゆるキャラみたいなぬいぐるみ、ひとつひとつ眺めながら参道を進んで雲珠が鳥居の前で立ち止まる。
「ね、かみさま。よい立地でしょう?」
「サクミラの一等地みたいなもんかィ?」
「ふふ、一等地というには少し駅が遠いかもですが、ええ、はい!」
 バスも通って、皆が気軽に遊びに来れる場所だと雲珠が楽しそうに笑って鳥居を潜った。
「本殿も立派な物を建てていただいて……このご神体の掛け軸は、お願いして描いてもらったものなんです」
「へェ、立派なもンだ」
 力強い筆運びは躍動感に満ちていて、さぞや名のある絵師なのだろうと逢真が笑う。
「おわかりになられますか? はい、俺のいっとう推しの絵師様にお願いしたんです」
 嬉しそうに笑う雲珠が今度はこっちですと逢真を手招き、本殿から少し離れた場所にある摂社を見せた。
「それでね、ほら……摂社もなかなか立派でしょう?」
 かみさまのですよ、と少しはにかむように雲珠が言う。
「……俺のかえ?」
「はい! お約束しましたでしょう」
 うきうきと弾むように雲珠が笑い、お賽銭箱を覗き込む。
「わ、見てください! お賽銭も結構入ってますよ!」
 くるん、と振り向けば逢真の向こうにスキアファールの姿が見えて、雲珠が大きく手を振った。
「スーくん!」
「雲珠さん、朱酉さん」
「ご家族……の方は?」
「参道の方のお店を見ています、それにしても本当に随分と立派な神社ですね」
「はい! これも皆様のお陰だと……」
 雲珠が嬉しそうに笑っているのを、自分のことのように嬉しくなってスキアファールも笑う。
「これが朱酉さんの?」
「そうらしいや」
 逢真がいつも通りの笑みを浮かべている、この人……かみさまはきっといつまでもお変わりないのだろうと、ふふっとスキアファールが小さく笑い声を零すと、いつの間にか周囲にはスキアファールが兄と呼び、雲珠が弟だという白い彼もいて。それから、友人だと思う人々も。
「争いが消えた平和な故郷……噫、よかった」
「はい、はい。よかった……本当によかった」
 スキアファールの言葉に雲珠も頷いて、ただひとり逢真だけがそれを見ていた。
 幸福そうな顔、やっとッて顔だとヒトの幸せを眺めている。
「よく似た3兄弟じゃ……ン?」
 ふっと逢真が白い彼を見れば、笑っていない事に気が付いて、ひひ、と笑う。
「幻想の中ですら、お前さんは『らしい』な」
『だってかみさまはやさしいだけじゃないでしょ』
「アア、俺は優しい神じゃないからね」
 夢を終わらせるサ、と逢真が煙管を何処からともなく取り出して、くるりと回すと口に咥える。
「これであとは――」
 そう呟いた雲珠がふっと逢真を見て、首を傾げる。
 かみさま? と名を呼ぼうとして、逢真の唇から吹かれた煙がふわりと白くけぶって、思わず二人が目を閉じ――。
「さァ、幸福な毒沼に溺れるのは死んでからにおし」
 静かに、低く、優しく響いたその声に、夢から醒めるように雲珠とスキアファールが目を開けた。
「ああ……そうか、そうですね」
 しっかりと目を開いた雲珠が、知ってましたと笑う。
 それはヒトの持つ強さを表したような笑みで、逢真が幻の中で見た笑みよりもこっちのがずっといいやと笑う。
「いいんです、夢で済ませる気はないんです」
 白銀の蝶が集まって、首の無い女の形を取る。
「でも……良い夢をありがとうございました」
「ひひ、そこで礼を言うのが坊だねェ」
「本当に、雲珠さんらしい」
 同じように幻から醒めたスキアファールが笑う。
「……かみさまの声、聞こえました」
 噫、理想は結局理想だとスキアファールが思いながら呪瘡包帯をはらりと操る。
 雲珠さんの理想は叶うと思うけど、先生の理想は叶うと信じたいけれど。
 けれど、私の業病は……きっと治ることはない。もしも治るとしたら、それこそ奇跡というものでしょうね、と首の無い女に向かって呪瘡包帯を放った。
「ヒトってなァ、希望があるから立ち上がる。希望があるから諦めない」
 逢真が『瞬く蝶の白い夢』に向かって、謡うように言葉を紡ぐ。
「希望があるから苦難に立ち向かう。希望があるから絶望する。希望こそは毒、俺の管轄だよ」
 つまりはお前さんも、そういうことさと神性を覗かせた。
「俺に夢をみせられると思うな、おちびちゃん」
 己の領域に許可なく触れたお前さんにはそれ相応のものをお返ししようと、スキアファールが縛り上げた女に告げた。
 それに合わせるように、スキアファールもまた力を解放する。
「良き夢でしたが、私が生きるべきなのはこの現実なので」
 差し上げることはできません、と首の無い女の感覚を狂わせ劫火を放った。
「あっ、女の方が蝶に……!」
 ぶわり、と女の形が崩れ、蝶が羽ばたく。
 白銀の鱗粉が淡く薄い桃色に輝いた、そう思った瞬間に霧散するように消え去って。
「あれっ、あ、倒し……」
「……てはないなァ」
「逃しちゃいましたか」
 ふう、と息を吐いて呪瘡包帯を戻したスキアファールが雲珠と逢真の元へと戻った。
「……良い夢、でした。夢のままにも、理想のままにもしませんけど!」
「……そうですね」
「そうかい、そンなら……」
 よかったんじゃないかねェ、と逢真が笑う代わりに煙管を口にする。
「あっ、俺何もしてなくないですか!? た、戦ってない……!!」
 ふと気が付いたように叫んだ雲珠をスキアファールが宥め、今度こそ逢真がヒィ、と笑ってしゃがみこんだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

千家・菊里
【白】◎
(再び動き始めた遊園地を見渡し――ぴくり)
おやおや――これはこれは、まさかおかわりタイムですか?
いやぁ、何というサービス精神でしょう
(空のポップコーンバケツを撫でつつ見つめる先には――勿論、ポップコーン屋台の幻覚)
ふふふ、先程のラリーもディナー仕様にバージョンアップとは、堪りませんね

あっ、でも…(ほいほいふらりと離れかけた約一名――に追加で預けたお土産袋を見て)
俺はアレに何かあっては困る(伊織が吹っ飛ばされる――つまりお土産が可哀想な事になると悲しい)ので――今日のところは我慢しますね
(えいっとUCで屋台を強制閉店させる序でに敵も燃やし)

伊織、起きてます?
儚い夢は程々にしましょうねぇ


呉羽・伊織
【白】◎
(遊園地に幻覚の賑わいが戻る――平和な日常の光景は確かに理想で――静かに願って止まぬものだ)
このままずっと、楽しい時間が続けばいいのに――って、な
でも、夢幻じゃ意味がない

…幻とはいえ、平和を終わらせるってのは心苦しいが…ん?んん??
(不意にイマジナリー美女と目が合った気がする)
あっ、えっ…嘘~!?
(そしてコレは――夢の、逆ナン的な??)

くっ…そう来たか…!
おのれ狐めっ…奴があんな動画を見せたからこんな幻覚に…!
(×平和な光景を終わらせる
○美女の手を振り解く
という試練)

うう…その内実現してみせるから良いし…って事で!
(早業で難破船長を変わり身にして敵へ一閃)

――醒めてるわ何が儚い夢だ~!



●夢も理想も踏み越えて
 千家・菊里(隠逸花・f02716)がアップロードした動画に呉羽・伊織(翳・f03578)慌てたり、拗ねたり叫んだり、最終的には疲れ果ててがっくりと肩を落とし、もうやだ帰る……なんていつもの戯言を口にした瞬間、外灯と月明りに照らされていた二人を眩い光りが包む。
「おや、遊園地の明かりは点かないはずだと聞いていたのですけれど……」
 再び動き始めたアトラクションに、無人ながらも食べ物が並ぶ屋台。
 菊里がおやおや……と何やら考える素振りをしながら、首から下げた空の特大ポップコーンバケツを撫でた。
「これはこれは、まさか――もしかしなくてもおかわりタイムですか?」
 サービスの息届いた遊園地ですね、と菊里が満足そうに微笑んでバケツポップコーンのお代わりをしようか、それとももう一巡するべきかと考える。
「ふふふ、先程のラリーもディナー仕様にバージョンアップとは、堪りませんね……ここは俺の胃ももう一段階バージョンを上げなくては失礼というものです」
 ねえ、伊織? と、声を掛け、彼の反応がないことに菊里が首を傾げる。
「……伊織?」
 訝しむようにもう一度名を呼んで、彼が何事か呟く声に耳を澄ませた。
「……美女、こっちにも……あっちにも……!?」
 その内容に、なるほどと菊里が悲し気な溜息をつく。
「どうやらこれは幻覚のようですね……そして俺と伊織が見ているものは違う、と」
 そして、彼の呟く声から察するに――いつものやつなのだろう、とも。
 菊里の予想通り、違う幻覚を見る伊織の目には遊園地の賑わいが戻っていた。
 楽しそうに笑い合う人々、はしゃぐ子どもの声、平和な日常の光景――それは確かに伊織の理想そのもの、誰にも見せぬ心の内で静かに願って止まぬもの。
「このままずっと、楽しい時間が続けばいいのにな」
 そう言って、伊織が何処か儚げな笑みを浮かべて、言葉を続ける。
「――って、な。でも、夢幻じゃ意味がない」
 こんなものは間違いなくまやかしだと、伊織は察知していた。
 何より、隣に菊里の姿が見えないのがおかしいのだ。
「いや、屋台巡りしてたらいなくなるけどネ」
 もしかして、幻覚の中で屋台巡りしてるんじゃ……いやそんなまさか、まさかな、と伊織が渇いた笑いを浮かべつつ、幻とは言え平和を終わらせるってのはどうにも心苦しい気がするが、と考えた時だった。
 目の前に美女が数名現れたのだ、それは思わず見てしまうというもの。
「ん? んん??」
 常ならば、ここで美女が素っ気なく通り過ぎて行ったり菊里や他の面子から邪魔が入ったりするのだけれど。
「美女と目が合ったまま逸らされない……!」
 幻覚だということを一瞬忘れて、伊織がちょっとばかり恰好を付けた笑みを浮かべる。するとどうだ、美女達も微笑み返してくれたではないか――!
 しかもそのまま伊織の方へ寄ってきて、お一人ですか? なんて声を掛けてきたのだ。
「あっ、えっ……嘘~!?」
 まさしく、これぞまさしく夢の逆ナンである。
「くっ……」
 伊織が思わず呻くのも無理はない、これを終わらせるの? マジで? いい夢見てる最中に自分で目を覚まそうとするようなものだヨ!? ってなものだ。
「おのれ、そう来たか……!」
 菊里があんな動画を見せたから、こんな幻覚を見ているのだとちょっぴり責任転嫁をしつつ、伊織がギリギリと奥歯を噛み締める。
「つまりだ、平和なこの光景を終わらせるっていうのは……今オレの手を優しく握っている美女の手を振り解くってことで……」
 うう、と目尻に涙を浮かべつつ、伊織が決断する。
「そのうち実現してみせるから良いし……っ!!」
 断じて負け惜しみとかではないと言い聞かせ、美女の手をするりと抜け出し早業と共に難破船長を変わり身にし、美女達の後ろをひらひら飛ぶ蝶へと一閃――!
「おや、伊織がふらふらと……」
 どんな幻覚を見ているのやら、と思いつつ、彼がしっかりと握り締めている追加で預けたお土産袋を菊里が眺める。
「俺はアレに何かあっては困るので――」
 具体的に言うと、伊織がうっかり幻覚から抜け出せないまま敵に吹っ飛ばされでもしたら、お土産も木っ端微塵になる可能性が高い。菊里が厳選に厳選を重ねた珠玉のお土産なのだ、無くすのは惜しい、すごく惜しい。
「今日のところは、ディナー版屋台を我慢しますね」
 えいっとばかりに狐火を放ち、屋台を燃やし、ついでに怪しい蝶も燃やした。
「さて、伊織? 起きてます? 儚い夢は程々にしましょうねぇ」
「醒めてるし大きなお世話だ、何が儚い夢だ~!」
「おや良かった、お土産がどうなることかと」
「お前の心配そこだと思ってた!」
 クソ、と八つ当たり気味に伊織が蝶の集合体のような首の無い女『瞬く蝶の白い夢』へと風切を投げ付けると、菊里も狐火を合わせて放つ。霧散していく首の無い女に、伊織がハァ……と溜息をついて頭を振る。
「全く、ほんっと余計なお世話だよ」
「ええ、よく考えればディナー屋台タイムも魅力的ですけど、美味しいお店を食べ歩きがこの後のメインですからね」
 菊里の言葉に、えっという顔をして伊織が振り向く。
「聞いてないんだケド!?」
「言ってなかったですっけ? まぁそう言うことですから」
 そう言うことってどういうことだよ~~! と叫ぶ伊織を横目に、行きますよ! と菊里が歩き出す。
 夢も理想も踏み越えて、今を楽しむ為に――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

瀬古・戒
【箱2】◎
わ、急に明かりが!?
動くメリーゴーランドを見て思う
こーゆー乗り物は家族が出来たら楽しいんだって…
ん???めちゃかわな小さいラファンが、乗って、る?や、違う…女の子、か?それに彼のふわふわ綿飴な髪色だけど意固地に跳ねる髪質と青い目は俺のー… 子供がいたらって理想がこれを見せて………ってハズイんだが!!!うぉぉわぁぁ!!魔法少女ラファンを思い浮かべるんだ俺!スカート丈攻めてる魔法少女ラファるーとちゃん二期を!おし!魔法少女になった!ひゅーかわい
おっし抜け出した!

で、何見た? ……胸?ラファン、後でツラ貸せ
素敵な夢だったけど、夢で終わらせたくねぇんだわ
特大花火をドタマに落としてやんよ


ラファン・クロウフォード
【箱2】◎
夜のメリーゴーランド。花と光のサーカスを見ているようで綺麗だ
子供?黒髪の生意気そうな男の子。白タキシードでキメてて、かわいいなん?回って来るたんびに目が合うな。え、成長してる?
キラキラ眩しいイケメン。戒?戒は、男っ!?プチパニック!!
ぎゃ。なんで俺、花嫁ドレス姿に。見覚えあるし!?胸もある。本物だ(もみ)
彼に掴まれば逃げらないのに、うまく走れない。衣装が変わった!?
魔法少女、これなら、逃げきれる!お化け屋敷に駆け込み強制終了
戒に助けられた、ありがとう。理想のいい胸だったぜ
いい夢のお礼をたっぷりしないとな
ハンマーを死神の大鎌に変化させ理想や夢に絡め捕られた悲しい蝶達を斬り刻み浄化するぜ



●いつかの
 動画をアップロードしてから、ラファン・クロウフォード(武闘神官・f18585)が撮影した他の動画も全部チェックして、欲しいのは送ってもらって……と瀬古・戒(瓦灯・f19003)が赤くした頬をなんとか落ち着かせた頃に、世界が切り替わるかのように遊園地に明かりが灯る。
「わ、急に明かりが!?」
「この遊園地、夜の部とかあったのか?」
 聞いてないな、とラファンが辺りを見回すと無人のアトラクションがゆっくりと動き出すのが見えた。
「戒」
「どうした? 敵か?」
「いや、あれ」
 ラファンが指さしたのは煌びやかな光りを放ちながら回る、夜のメリーゴーランド。
「花と光のサーカスを見ているようで、綺麗だな」
「確かに綺麗だけど……」
 何かおかしくないか、と言おうとして戒はそれが何だったのかわからなくなる。
「いいいな、メリーゴーランド。こーゆー乗り物はさ、家族が出来たら楽しいんだって……」
 家族、そうだ俺はラファンと家族になったから。いやでも二人で乗るのはやっぱハズイじゃん、こう……ほら、その、子どもとかさ? なんて、心の中で考えていたらメリーゴーランドに誰かが乗っているのが見えた。
「ん???」
 こんな時間に、自分たちしかいないはずじゃなかったっけ? そう思いながら、戒がメリーゴーランドへと近付いて――。
「ふぁっ!?」
 乗っていたのは綺麗な銀髪をした、どうにも見覚えのある子ども。
「めちゃかわな小さいラファンが、乗って、る?」
 取り敢えず写真撮るべきか? 可愛いは正義じゃん? と、軽くパニくった戒がスマホを手にしつつ見つめると、子どもが男の子ではなく女の子であることに気が付く。
「あれ、ラファンだと思ったけど……違う? ふわふわ綿飴な髪色だけど、意固地に跳ねる髪質と青い目は俺の……」
 ってことは、あれはラファンとの間に子どもが出来たらっていう。
「う、うわーーーー!!!」
 思わず頭を抱えて叫んでしまったが、これが自分の理想なのかと思うと叫びたくなるくらい恥ずかしい。
「よかった……ここにラファンがいなくて……本当によかった……!」
 いたらいたで、きっと真顔で戒と俺の子どもなら何人いたって可愛い、頑張ろうって言うに違いない。
「ぐ……でもマジで可愛いんだよな……」
 チラっと見るだけでも可愛い、天使か? 天使だったわ。
「って、うぉぉわぁぁ!! 違う、そうじゃない!!」
 このままでは、夢の中に囚われてそのままになってしまう。
「そうだ、魔法少女ラファンを思い浮かべるんだ俺! スカート丈攻めてる魔法少女ラファるーとちゃん二期を!!」
 あの伝説のパンチラ神回避回を……!!!
 なんということでしょう、可愛い子どもはあっというまに魔法少女ラファるーとちゃん、しかもミニスカート丈になったではありませんか……!! というナレーションを脳内で流しながら、戒がガッツポーズを浮かべる。
「ひゅー! ラファるーとちゃんかわい!」
 脳内で何枚もナイスショットを保存しつつ、瞬きをすれば――。
「おっし、抜け出した!!」
 ありがとう、魔法少女ラファるーとちゃん! 三期にご期待ください!
「っと、ラファンは――」
 隣に立つラファンを見遣り、戒がまだ幻覚の中か? とラファンの意識を戻す為に手を握った。
 一方ラファンも、メリーゴーランドに乗る子どもの姿を見ていた。
「子ども……?」
 黒髪の生意気そうな男の子、白タキシード姿でキメてて、なんとも可愛らしいとラファンの頬が緩む。
「ひとり? 親御さんは……ん?」
 何故だろう、男の子がメリーゴーランドが回って姿が見える度に目が合うような。
「んん?」
 しかも、なんだか成長しているような……?
「え、成長してる!?」
 数回目にはキラキラ笑顔が眩しいイケメンに育っていた、しかも滅茶苦茶見覚えがある、というか見覚えしかない。
「戒? えっ、戒は、男っ!?」
 男?? 男だとしても俺は戒を愛してるけれど、女だったはずだよな? と、ラファンが軽いプチパニックに陥っているとメリーゴーランドから降りてきた男――戒がラファンを呼ぶ。
『さぁ、お姫様。式の時間だ』
「お、おひめさま??? ぎゃ、なんで俺、花嫁ドレス姿に!?」
 しかもこれ見覚えあるドレスだ、と思わず自分の胸元を見て――。
「胸もある、本物だ……しかも、しかも揉み心地がいい……」
 もみっ。
 三回くらい揉んで、ありがとう理想の胸、と思った所で近付いてきた戒に思わず距離を取った。
『どうして逃げるんだ、ラファン』
「俺の本能が捕まったらだめだと言っている!」
 踵を返して走り出すものの、花嫁衣裳のせいか上手く走れない。もう少しで捕るというところで、せめてミニスカドレスだったら……!! と思ったからだろうか。
「えっ? 衣装が変わった!? これは……魔法少女ラファるーとちゃん二期の衣装!」
 これなら逃げ切れる、とばかりにラファンが走り出す。
 そう――敵から逃げるラファるーとちゃんのミニスカがひらひらと跳ねる、けれど見えない! 神回避回の再現そのもの!! そんな事とは知らないラファンは必至で逃げて、お化け屋敷に駆け込んだ。
「ここなら戒は追ってこられないはず……!」
 しかしここからどうしようか、ラファるーとちゃんのエンディングダンスでも踊るべきか? そうしたらこの夢も終わるだろうかと思った時だった。
 誰かに手を掴まれたのだ、そして――。
「おい、ラファン!」
「戒?」
「目は醒めたか?」
「ありがとう、助かった」
 本物だ、と互いに笑って、それから戒が何気なく聞く。
「で、何見た?」
「理想のいい胸」
「胸????」
 詳しく聞けば、お互いに性別が変更されていて、尚且つ自身の胸が理想の胸だったと。なるほど。
「よーしラファン、後でツラ貸せ」
「戒は?」
「俺のはいいんだよ、それより敵だ!」
 勢いのままに誤魔化し、戒が『瞬く蝶の白い夢』に向かって特大花火をお見舞いするかのように蒼い炎の塊をぶちかます。
「素敵な夢だったけど、こちとら夢で終わらせたくねぇんだわ!」
「どんな夢だったんだ?」
 気になる、とラファンが言いながらハンマーを死神の大鎌へと変化させ、蝶を斬り刻み浄化させていく。
 俺の夢はいいの! と戒が叫びながら鬼火を放ち、気になる! と追及するラファンが大鎌を振るい蝶を消す。最終的に根負けした戒が教えたかどうかは、定かではない。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

花菱・真紀

幸也さん(f13277)と
動画の判定は大丈夫だったみたいですね。
楽しい…うん、今日は楽しい1日だった。
それが毎日続けば絶対幸せだろうなって思う。
こんな風にデートするだけじゃなくて当たり前の様に毎日を過ごす。
でも俺の理想はそれだけじゃなくて
その【日常】を守ることだ。
今度は…幸也さんは…絶対に奪わせない
こんな…幻に捕まってる場合じゃないんだよ…!

お前の理想に意見をあげる
UC【匿名の悪意】

って幸也さん血が出てますよ…!!
ユーベルコードの影響ですか…?
現実の俺?
…あんまり無理しちゃダメですよ…俺にとっても現実の幸也さんが一番なんですから。


十朱・幸也


真紀(f06119)と

後は、あのUDCを倒せば任務終了か
理想に夢とか、阿呆らしいと思っている内に
眼前に広がる光景に思わず嘲笑ってしまう

楽しそうな笑顔を浮かべる真紀
その隣で楽しげに笑う俺に、鋭い犬歯はない
憂いも迷いも何も無い
真紀の身体に牙を突き立てない
決して傷付けない確信があるからこそ
あんな風に呑気に笑って──

そんな日が来る訳ねぇのにな

UC:紅喰ノ白鬼
千薙の薙刀を手にして、幻を散らす
嗚呼、夢の俺が妬ましい忌々しい腹が立つ
真紀を危険な目に遭わせたクソUDCにもイラつく

頭からの流血を無視して
真紀のUCに続く様に、思い切り薙刀を振るった

真紀、無事か?
……やっぱり、現実のお前の方が良いな



●何よりも大切なのは
 拗ねた花菱・真紀(都市伝説蒐集家・f06119)の――正確に言えば、照れ隠しに拗ねたふりをした真紀の機嫌を『また一緒にどこか遊びに行く』という約束で十朱・幸也(鏡映し・f13277)が執り成して、顔を見合わせて笑い合った瞬間だった。
 一斉にブレーカーを入れたかのように、沈黙を守っていた遊園地のアトラクションに明かりが灯る。それと共に賑やかな音楽が流れだし、真紀と幸也が鋭く辺りを見回す。
「動画の判定は大丈夫だったみたいですね」
「だな……真紀!」
 幸也が不自然に飛ぶ白銀の蝶を見つけ、注意を促す。それに反応するように、真紀も警戒するように視線を鋭くする。
 ひらひら、ふわり、白銀の蝶がどこからともなく飛び交い、二人の視界を塞ぐように数を増やした。
「幸也さ……っ」
 反射的に目を閉じて、すぐに開く。見えたのは、楽しそうな自分の姿だった。
「楽しい……うん、今日は楽しい一日だった」
 幸也の隣で遊んで、笑って、彼の一日を独り占めして。好きな相手が自分だけを見ていてくれる、それはなんて――。
「それが毎日続けば絶対幸せだろうなって思う」
 こんな風にデートするだけじゃなくて、あんな風に。
 パッと目の前の光景が切り替わって、自分が幸也と一緒に部屋で過ごしている光景が見えた。
 一緒に住んでいるのか、食器は二人分あったしゲーム機も互いが持っている物が置いてある。
「こんな風に当たり前のように、一緒に毎日を過ごす……」
 そうなったら、どんなにか。
「でも、俺の理想はそれだけじゃない」
 楽しそうに笑って、互いだけ見つめて、そんな毎日を――幸也と自分の日常を。
「守ることだ」
 凛と響いた真紀の声に、世界が揺らぐ。
「こんな夢や幻なんかじゃない、幸せは自分の手で掴んで見せる」
 それに、と真紀が揺らいだ世界を睨む。
「今度は……幸也さんは……絶対に奪わせない」
 ゲーム画面にノイズが走るように、目の前の幸せな光景が消えていく。
「だから、こんな……こんな幻に捕まってる場合じゃないんだよ……!」
 心からの叫びが、夢の紗を切り裂くかのように偽りの世界を貫いた。
 一方、幸也は白銀の蝶を前にして、いつでも戦えるように千薙を傍らに呼び寄せていた。
「あのUDCを倒せば任務終了か」
 白銀の蝶が集い、首の無い女の姿を取る。
『楽しい記憶、楽しい、楽しい、楽しい、それは、あなたの理想ですか? 夢ですか?』
「はッ」
 理想に夢? 阿保らしい、そう吐き棄ててやろうとした瞬間、視界を白銀に攫われた。
 舌打ちしながら開いた瞳が映した光景に、思わず乾いた笑いが浮かぶ。
「く、はは」
 楽しそうな笑顔を浮かべる真紀がいて。その隣で同じくらい楽しそうに大口を開けて笑う自分には、鋭い犬歯はない。
「憂いも迷いもない顔で笑ってんのな」
 そりゃそうか、と幸也の唇が歪な笑みを浮かべる。
「真紀の身体に牙を突き立てるってことがないんだもんな」
 決して傷付けないという確信があるからこそ、あんな風に呑気に笑って、その手に触れて――。
「そんな日が」
 来る訳ねぇのにな。
 その言葉は音になることなく、幸也は舌先で自分の犬歯をなぞる。
 忌々しい吸血をする為の器官、無理やり抜いたところできっと生えてくるのだろう、それ。
「全く」
 手を差し出せば、千薙が確かに薙刀を己の手に握らせる。それをくるりと回し、幸也が幻の光景を切り裂いて。
「腹が立つ!」
 千薙に封ぜられた怨念、呪詛が幸也の身を取り巻き、抑えていた激情が膨れ上がる。それは幸也に血を流させ、髪色を白へと変えて。閉じて開いた瞳は黒から赤紫へ――吸血鬼のそれへと変貌させた。
「幸也さん!」
「真紀、無事か?」
「はい! って、幸也さん血が出てますよ……!」
「気にするな、それよりUDCだ」
 その言葉に、首の無い女に向けて真紀がすかさず力を解放する。
「お前の理想に意見をあげる」
 ネットで召喚できるくらいだ、ネット上の悪意で身を滅ぼせと囁くように悪意を放った。
「消えろ」
 真紀に続くように、幸也が首の無い女へ薙刀を力一杯振り抜いた。
 霧散するように、蝶がその形を残さず消えていく。
「幸也さん、それ……ユーベルコードの影響ですか……?」
 きゅっと唇を結ぶようにして、真紀がハンカチで幸也が頭から流す血を拭う。
「……やっぱり、現実のお前の方が良いな」
「現実の俺?」
 ここに居ますよ、と真紀がそっと幸也の手を握る。
「……あんまり無理しちゃダメですよ……俺にとっても現実の幸也さんが一番なんですから」
 他の誰でもない、今ここにいるあなたが。
 言葉よりも雄弁に語る真紀の瞳に、幸也が眉根を下げて――それでも確かな幸せを感じて笑った。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ゼロ・クローフィ
【まる】◎

アレが今回の原因か
仕事…そうだなぁ
コイツのせいで色々面倒な事があったしなぁ

遊園地が明るくなる
ん?ホラーシネマ?
あぁ、お前さんそういうの好きそうだなぁ
ふっ、俺たちがそんなB級作品に収まってると思うか?

風景が変わり、円の姿は見えない
多分近くにいる気配はするが、幻想か?

ベッドの上らしい
起きがあると何処かの家の中らしい
違う部屋から誰かの声が聴こえる
「早く起きなさい、遅れるわよ」
家族だろうか?何でも無い日常
ふと見上げれば鏡に映る自分の姿
誰かわからない違う自分
ほぅ、これが俺がねぇ

近くテーブルに置いてる煙草の箱を見てニヤリと笑い
煙草を口に咥えて
幸せな家庭?普通の日常?
興味もない
俺の知りたいモノでは無い

だったら要らない
煙草に火をつけて煙を吐く
躊躇無く黒狼煙は家族らしいモノへと牙を向く

円の声が聴こえてニヤリと笑う姿が見える
あぁ?お前さんの方が甘い物食う夢を見て寝坊してたんじゃないのか?
はぁ!?デートってまた付き合うのか?
あーはいはい。わかったよ
次は手加減しろよ?
はぁ、仕事より疲れそうだなと笑って


百鳥・円
【まる】◎

おんやあ、事の主催者さんのお出ましです
おにーさーん?お仕事ですよん
待ちに待っていたんじゃあないです?

メルヘンチックな遊園地
そこに佇む首の無い真っ白な女
わあ、んっふふ。何かのホラーシネマみたい
わたしたちも作品のひとつにされちゃったりして
……なんて戯れていれば、景色が一転しますね

拡がる景色はこの世界の、都会の景色
わたしは生まれた意味を――その使命を全うして
楽しくて賑やかな、当たり前を望むんです

友達との挨拶、他愛の無い会話
当たり前のように、またねってさようならをして
バイトに、趣味に――恋愛に。忙しなく勤しむんです
女子学生のような生活も、楽しいでしょうね

……ま、叶わない可能性の方が大きいんですけれど
そんな夢を望むのだから、此処には居られないんです
――ほら、さっさと退けよ
わたしの眼前を覆う靄は消えてしまえ

おにーさん?まさか寝惚けちゃあ居ませんよね?
このお仕事片付けて、アフターデートといきましょうよ
あは、エクストラハードに決まってるじゃあないですか!
思う存分振り回しますから覚悟して下さいね



●この後もどうぞご一緒に
 件のサイトに動画を上げて、少しの間再生回数が増えていくのや他の人の動画を百鳥・円(華回帰・f10932)は楽し気に、ゼロ・クローフィ(黒狼ノ影・f03934)は少々疲れた様子で眺めていた。
 そして、視界の端に白銀を捉える。僅かに円が先に気付き、自然な動作でスマホを仕舞うと白銀の蝶が人の形になるのを見て笑う。
「おんやあ、事の主催者さんのお出ましです」
「アレが今回の原因か」
 やっとか、とゼロが小さく息を吐き、首の無い女『瞬く蝶の白い夢』を片目だけで見遣る。
「おにーさーん? 仕事ですよん。待ちに待っていたんじゃあないです?」
 ベンチから立ち上がった円が座ったままのゼロを覗き込むようにして、早く早くとアトラクションを回っていた時と変わらぬ調子で急き立てた。
「仕事……そうだなぁ」
 女からは目を離さず、ゼロが円の言葉に返事をしつつ気だるそうに立ち上がる。
「コイツのせいで色々面倒な事があったしなぁ」
 なぁ、とゼロが円にちらりと視線を向けると、何のことでしょう? と円が首を傾げて笑う。
「面倒なのはここからではないです?」
「こっちの方が俺からすればよっぽど楽だな」
 軽口を叩き合いながらも、意識はしっかりと首の無い女に向けて二人が近付こうとした瞬間、下りたステージの幕が上がるかのように、遊園地の電灯が瞬く間に灯ったのだ。
「おやまあ、中々の演出ですね」
「演出?」
「ええ、メルヘンチックな夜の遊園地が煌びやかに輝いて」
 このように、と円が笑うと賑やかな音楽までも流れだす。
「そこに音楽と共に佇む、首の無い真っ白な女、舞飛ぶ蝶々」
 ひらひらと舞う蝶は女の一部となるかのようにドレスへと止まり、そのまま花の形になる。
「わあ、んっふふ」
「あの蝶が女なのか、ただの集合体なのか」
「何かのホラーシネマみたい」
「ん? ホラーシネマ?」
 円が機嫌良さげに頷いて口元を手で隠すようにして笑い、謡うように囁く。
「わたしたちも作品のひとつにされちゃったりして」
「あぁ、お前さんそういうの好きそうだなぁ」
「あら、今度します? B級ばかり集めた耐久ホラー」
「そいつは遠慮しておくが……ふっ、俺たちがそんなB級作品に収まってると思うか?」
 ここで抵抗虚しく餌食になる? そんな事はありえないだろうとゼロが唇の端を持ち上げた。
「それはそうですね」
 ころころと鈴の音が鳴るような笑い声を上げて、それでは倒すとしましょうか、なんて足を踏み出しかけ――。
 風景が、変わった。
「……これは」
 最初に目に飛び込んできたのは天井、どうやら自分はベッドの上に寝ているらしい。そう判断してから、ゼロが円の姿を探し、見えない事に眉根を寄せる。
「近くにいる気配はするが……」
 幻想か? と考えを纏めながら起き上がる。辺りを見回せば一般的な調度品が置かれていて、何処かの家の中だと窺えた。
 耳を澄ませば他の部屋から誰かの声が聴こえて、自分の他に誰かいるのだろうと辺りを付ける。少し探るか、とベッドから床に足をつけて立ち上がると、階下から女性の声が聴こえてきた。
「早く起きなさい、遅れるわよ!」
 家族だろうか? と、何気なく思う。何でも無い日常の一コマ、けれど自分には縁遠い――。
「ほぅ?」
 鏡に映った自分は姿形も全くゼロとは違う、知らない誰か。
「これが俺ねぇ」
 く、と唇が面白くもなさそうに笑みの形を作り、他に何かないかと辺りを探る。近くのテーブルに置かれていた煙草の箱を見て、唇の端を持ち上げてニヤリと笑う。
 煙草の箱を手に取り、一本取り出すとフィルター部分を口に咥えた。
「幸せな家庭? 普通の日常?」
 咥えた煙草が笑うように揺れる。
 そんな物に興味はない、俺の知りたいモノでは無いと、箱の横にあったライターを手に取って。
「だったら要らない」
 煙草の先に火を点けて、煙を吐き出す。それはたちまち『黒狼ケルベロス』の姿を取って、召喚者たるゼロの言葉を待つことなく扉を蹴破り、家族らしいモノへと牙を向けた。
 助けて、という悲鳴も、救いを求めるように伸ばされる手も、何もかもゼロの心を動かさない。
「言っただろう、要らないってな」
 深く煙を吸い込んでゼロが目を閉じ、まるで溜息のように紫煙を吐き出した。
 一方、円もまたゼロと同じように幻覚の中にいた。
 円の目の前に拡がっていたのはこの世界、UDCアース――現代地球と呼ばれる都会の景色。高層ビルとアスファルト、引っ切り無しに流れていく車、時折鳴らされるクラクションが円の意識を引く。
「ああ、そうでした」
 わたしは生まれた意味を――その使命を全うして、楽しくて賑やかな当たり前を望んで。
「そうしてここにいるって訳ですねえ」
 まるで他人事のように、円はそう言って笑う。
 円の知らない、円の友達がまた明日ね! と走って横断歩道を渡っていく。
「またね」
 さようなら、知らない友達。
「この後は、バイトがあるんでしたっけ? それに趣味の習い事に――好きな人とのデートまで」
 普通の女子学生のように学校に通って、バイトに趣味に、恋愛に、忙しなく勤しんで。
「そんな生活も、楽しいでしょうね」
 それこそまるで、恋愛シネマの中のような青春だ。
「……ま、叶わない可能性の方が大きいんですけれど」
 ふっと視線を舗装されたばかりのアスファルトの上に落とし、年相応の笑みをこぼして円が顔を真っ直ぐに上げて前を向く。
「ご理解いただけませんかもしれないですが、そんな夢を望むのだから、此処には居られないんです」
 叶わないとしたって、本気で望んでいるから。
 だから、お前は。
「――ほら、さっさと退けよ」
 わたしの眼前を覆う霧は消えてしまえと、円の黒翼が目の前の全てを斬り刻んだ。
「まったく、余計なお世話ってものですよう!」
 失礼しちゃいますねえ、と元の世界に戻った円がゼロを下から覗き込む。
「おにーさん? まさか寝惚けちゃあ居ませんよね?」
 ニヤリと笑う円の姿と声に、ゼロも唇の端を持ち上げて。
「あぁ? お前さんの方が甘い物食う夢を見て寝坊してたんじゃないのか?」
「ああ、甘い物食べてくればよかったですね、惜しいことしました」
 幻覚の中ですから幾らでも食べられましたのに、と円が唇を尖らせて、まぁいいですとゼロに向かってにーっこりと笑う。
「このお仕事片付けて、アフターデートといきましょうよ」
「はぁ!? デートってまだ付き合うのか?」
 今日は散々お前さんに付き合って、アトラクションに乗って食べたくもない甘い物を食べて、動画まで撮られたんだが、とゼロが嫌そうに眉根を寄せる。
「おやおや? 今日一日ってお話だったと思いますが?」
「あーはいはい、わかったよ」
 これはどう言っても逃げられない奴だと、早々にゼロが白旗を上げた。
「次は手加減しろよ?」
「あは、エクストラハードに決まってるじゃあないですか!」
 なーに甘っちょろい事を言っているんですか、と円が笑い飛ばす。
「思う存分振り回しますから、覚悟してくださいね」
「はぁ……仕事より疲れそうだな」
 それでも、きっと仕事よりは面白いのだろう。
「ではでは、お話が纏まった所であのお嬢さん? 蝶々をやっつけるとしましょうか!」
「そうだな、さっさと片付けるとするか」
 ゼロが煙草を懐から取り出して口に咥え火を点けると、円が鋭い爪先を煌めかせた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

日向・陽葵
ご機嫌いかがあ、顔も名も知らない頸無しの白いオマエ。口が備わってない癖に喋るなよ、そんなにあたしと縁起りたいの? あっは、縁切りたいホドに雑な羽音。お前、善く善く観ればガチョウの卵だ。金塊の替わりにヒトの子を詰めた悪い女
でも、お前が『何か』だなんて、あたしにとってはどーでもいいに分類される。意図も倒せば終いなら、利く忌も湧けなーい! 要するにい「王子様はお姫様に言いました、腹切って詫びろ。」と、あたし物語を引用します

あたしの個人的感情よりも優先するのは此の星に住まうヒトを護る事、未来を担う子たちを未来を潰さんとす怪異怪物の首にギロチンの刃を宛て処する……大層な名義抱えて何になるって? 理想だよコレが
白い女、お前が求めた幸福を夢見る素敵な存在はお前を染めたがっている。どの粉から撫で撫で根切しちゃおっか!!

地形を淡く染めて白々しい目立ちたがり屋を輝かせましょ。囲い囲ってチャカから火種発射の焼却だ。唾棄染めてやるから逃げるなよ
現実を見せろ。鳥籠の中身を見せろ。其れ、お前の死を以てかえせよ此方に



●だから、めでたしめでたしで終わる話
 息を潜め、一番大きな広場が見渡せる場所に身を隠していた日向・陽葵(ついんてーるこんぷれっくす・f24357)は嗚呼、と思う。漂う白銀の鱗粉が集まって蝶になり、更にその白銀の蝶がひらりひらりと集まって女の形を取る。女は白銀のドレスを身に纏い、レースを幾重にも重ねたケージカバーを被せた鳥籠を手にしていた。
 きっとあたしは知っている、身に覚えも頭の中に覚えもないけれど、あの頸の無い女が手にする鳥籠の中に何があるのか。
 そんな風に陽葵が感じ取る中、きっとこの遊園地の何処からか逃げてきたのだろう、翅をズタボロにした蝶が幾つも飛んできて首の無い女に同化していく。
『楽しい記憶、楽しい、楽しい、楽しい、それは、あなたの理想ですか? 夢ですか?』
 声なき声が響き、真っ暗な世界が人工的な光で満ちる。沈黙を貫いていたアトラクションの全てが、色とりどりの光りでピカピカと輝いて動き出したのだ。
「夜の静かな遊園地のムードが台無しだね」
 陽葵が眩い光りに目を細めながら、儀式によって召喚されたUDCに向かって立ち上がった。
「ご機嫌いかがあ、顔も名も知らない頸無しの白いオマエ」
 目も耳もないはずなのに正確に陽葵の方を向いた白い女――『瞬く蝶の白い夢』に向かって、陽葵が言葉を続ける。
「口が備わってない癖に喋るなよ、そんなにあたしと縁起りたいの?」
 縁を生起させて、何するつもりだと笑えば首無しの女から蝶の翅音が幾重にも重なって、まるで笑い声のようにさざめいた。
「あっは、縁切りたいホドに雑な翅音」
 赤いカーネリアンのような瞳に嫌悪を滲ませ、陽葵が首の無い女を見遣る。
「ハァ……お前、善く善く観ればガチョウの卵だ」
 無遠慮なまでに人差し指を突き付けて、首の無い女の本質を暴くかのように宣告する。
「金塊の替わりにヒトの子を詰めた悪い女」
 そのヒトの子、どこで喰ったの? と陽葵が唇の端を持ち上げた。
「でも、お前が『何か』だなんて、あたしにとってはどーでもいいに分類される」
 知っているような気がするのだって、気のせいだったで済む話。
「意図も倒せば終いなら、利く忌も湧けなーい!」
 だってそうでしょ? と女に向かって陽葵が大袈裟に肩を竦め、要するにい、と昔噺を騙るかのように紡ぐ。
「王子様はお姫様に言いました、腹切って詫びろ」
 これはあたし物語、あたしの中に在る、あたしの一文、あたしの一部。
「引用元、あたしだから著作権も関係ないの」
 あは、と笑った陽葵に向かい、白銀に煌めく鱗粉を纏った女が一歩踏み出す。
 それと同時に、陽葵が見ている目の前の世界ががらりと変わって――。
「ああ、そういうのはいいよ」
 いい、と彼女に言われた世界が歪み、捻じれて元の世界へと戻る。
「あたしの個人的感情よりも優先するのは此の星に住まうヒトを護る事」
 未来を担う子たちの未来を潰そうとする怪異怪物共の首に、ギロチンの刃を宛てて処する――それが陽葵が第一に優先すべきことだ。
 再びさざめくような翅音に、陽葵が煩いなとしかめっ面で睨みつける。
「……大層な名義抱えて何になるって? 理想だよコレが」
 あたしの理想だと、胸を張って彼女が答えた。
「だからさ、白い女」
 右手にポン刀、左手にチャカを持って陽葵が小さな風を起こすように息を吹く。
「お前が求めた幸福を夢見る素敵な存在はお前を染めたがっているってワケ」
 おわかり? つまりはこのあたしが。
「どの粉から撫で撫で根切しちゃおっか!!」
 お前を倒したいってこと!
 勢いよく刀を振って、拳銃の引鉄を引く。
 空振り空撃ち、期待外れだと思ったあ? でも残念、と陽葵が笑うと地形が色を変える。女の足元までも黒い水溜まりで染め上げて、陽葵がパンパンと手を叩く。
「いいじゃない、白々しい目立ちたがり屋のお前が一層輝いて見えるってもんだよ」
 黒の中に白、そこに赤を混ぜてやる。
 チャカから火種たる弾丸を撃ちだせば、思う通り黒い水溜まりが赤に染まった。
「逃げれると思うなよ」
 蝶を象る白銀の鱗粉が、淡く薄い桃色に輝けど端から燃えて消えていく。
「さあ、白い女」
 陽葵が煌々と燃える女に告げる。
「現実を見せろ。鳥籠の中身を見せろ」
 炎は踊るように白い女を焼き尽くし、ケージカバーを燃やして籠の中を露わにしていく。
「其れ、お前の死を以てかえせよ此方に」
 理想だ、誰の理想かなんて知らない。けれど、取り戻すべきものだ。
 もう女の形を取ることもできぬ白銀の蝶を撫で斬って、鱗粉になって逃げようとするモノを灰へと還す。残ったのは誰かの理想と、陽葵のみ――。
「なんていうんだっけ、こういうの」
 嗚呼、そうか。めでたしめでたし、だ。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2022年05月09日
宿敵 『瞬く蝶の白い夢』 を撃破!


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#UDCアース


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種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
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 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠日向・陽葵です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


挿絵イラスト