大祓百鬼夜行②〜Growth for Glory
「皆、カクリヨの最深部──『龍神親分』の居場所へ行けるようになったわ」
グリモア猟兵、川谷・茉莉(n番目の花子さん・f32951)が、集まった猟兵達にそう告げる。
「この地に眠っていた、龍神親分『碎輝』。彼と戦い──倒して頂戴」
親分衆の中では最弱と言われていた、龍神親分『碎輝』。そして本人もそれを認めている。だが、事実は異なると茉莉は言う。
「彼が本当に最弱なのは、戦闘が始まるその瞬間だけ。始まったら、彼は爆発的な勢いで『成長』を開始するわ」
時間が経てば経つ程、文字通り加速度的に碎輝の力は高まっていく。故に戦いが長引けば、どんどんと厳しい事になってゆく可能性が高い。
「だから今回は、皆で力を合わせて連携して、短期決戦を挑むことをお勧めするわ」
最初は弱いとは言え、戦闘開始直後に持てる最大火力を叩き込むだけで倒せる相手ではない。如何に他者の力を活かし、己の力を高め。以て碎輝の成長を超える勢いで攻撃を加えていくか。猟兵達の即興での連携能力が試される戦いだ。
「『昨日より今日、今日より明日』──それが碎輝の口癖みたいね。そのようにして時と共に経験を、力を積み重ねてゆく。皆も、そうして強くなってきたはず。そして、これからも」
己のグリモアを展開しながら、茉莉は語る。
「その成長の成果、そして更なる成長を続けるという意志。彼に示して、私達猟兵が大祓骸魂に勝利し得る存在であると。見せてあげて頂戴な」
そしてグリモアが輝き。猟兵達を、かの龍神のもとへと送り出してゆく。
五条新一郎
魂の輝きを今一度。
五条です。
大祓百鬼夜行、第三の親分戦。
龍神親分『碎輝』との戦いでございます。
此度は少々シナリオ運営方針が異なりますので、ご確認の方よろしくお願いします。
●このシナリオについて
このシナリオの難易度は『やや難』です。
通常より厳しい判定が出やすくなっておりますのでご注意ください。
●目的
龍神親分『碎輝』の撃破。
●戦場
カクリヨファンタズム最深部、最弱封印の祠。
空間は非常に広く、目立った障害はありません。
●プレイングについて
OP公開直後〜5/24(月)25:00頃までプレイングを受け付ける予定です。些細はタグにも掲示予定。
「他の猟兵と連携して戦う」ことでプレイングボーナスがつきます。ソロ参加の方は、他のPC様の動きをある程度想定してプレイングをかけられると良いかと思います。
●リプレイについて
プレイング〆切時点で集まったプレイングを元に、5/25(火)中に一括してリプレイを制作させて頂きます。
可能な限り多くの方を採用したいと思いますが、キャパシティの都合上、あまりにも参加者様が増えた場合は却下させて頂く可能性もあります。ご了承ください。
(少なくとも8名は採用できると思います)
それでは、皆様の滅びを超えるプレイングお待ちしております。
第1章 ボス戦
『竜神親分『碎輝』成長電流形態』
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POW : 成長電流放射
【黄金竜】に変身し、レベル×100km/hで飛翔しながら、戦場の敵全てに弱い【状態から次第に強くなっていく電流】を放ち続ける。
SPD : 黄金竜神
【体に雷を纏う】事で【無限に成長を続ける黄金竜の姿】に変身し、スピードと反応速度が爆発的に増大する。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
WIZ : 超電竜撃滅衝
自身が装備する【槍】から【無限に成長する巨竜型の雷電】を放ち、レベルm半径内の敵全員にダメージと【感電】の状態異常を与える。
👑11
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火土金水・明
「なるほど、戦闘中に成長していく存在ですか。」「これは協力して一気に倒すしかないですね。」
方針は、他の方の攻撃に合わせて魔法の【援護射撃】をします。
【WIZ】で攻撃です。
攻撃は、【鎧無視攻撃】と【貫通攻撃】を付け【フェイント】を絡めた【コキュートス・ブリザード】で、『竜神親分『碎輝』成長電流形態』を攻撃します。相手の攻撃に関しては【第六感】【残像】【オーラ防御】【雷撃耐性】で、ダメージの軽減を試みます。
「(攻撃を回避したら)残念、それは残像です。」「少しでもダメージを与えて次の方に繋げます。」
アドリブや他の方との絡み等はお任せします。
蛇塚・レモン
連携なら任せてっ!
あたいは、同行するみんなを信じてるっ!
しっかりサポートするね!
まず下準備っ!
鏡盾を媒介に、全力魔法・結界術・オーラ防御の三重防壁を展開!
一瞬でいいから、巨竜型の雷電を足止めするよっ!
デカいし無限に成長するし、そういうのズルいから禁止~っ!
嫉妬の心が蛇神様の破壊念動波となって(衝撃波+念動力+範囲攻撃)、
雷電ごと碎輝を吹き飛ばしちゃえっ!
あたいのUC効果は『対象の捕縛とUC封印』!
行使している間は毎秒寿命を削るけど
碎輝くんは完全に無力化するよっ!
みんなっ!
今のうちに総攻撃するよっ!
反動を継戦能力で堪えつつ
あたいも蛇腹剣で斬撃波弾幕を乱れ撃ち!
成長して勝つのは、あたい達だぁーっ!
ミント・キャラメル
カクリヨのためにも、これからも成長し続けるUDCアースのためにも、倒させてもらいましょお。
わたしは攻撃よりも皆さんの支援に徹しますぅ。
飛翔しながら電流を放つ、つまり雷雲から雷が落ちるのですねぇ。
ユーベルコード「グッド・キャット・ワーカーズ」で、避雷針を建設しますぅ。
これで皆さんに攻撃に集中してもらいますぅ☆
避雷針の建設は、わたしもキャバリアの「アロさん」でお手伝いしますよぉ。
クレーン代わりでも何でもやって、安全第一で、なるべくたくさん避雷針を造りたいですねぇ☆
「UDCアースは人も街も成長して、妖怪の皆さんが住める隙間も工事で埋まっちゃいましたけど、皆さんと過ごせた過去の輝きはきっと永遠ですぅ」
ユリウス・リウィウス
成長か。若者の特権だな。俺みたいに歳を食うと、縁が無くなる。
そういう成長株を潰すのが、今回のお勤めってわけだ。いよいよ自分が歳を食ったと思っちまうぜ、なあ、おい。
電撃使いに金属鎧は役に立たん。屍術師のローブを纏い戦いに臨もう。
力押しをする猟兵に『碎輝』の注意が向いている間に奴の死角に潜り込んで、名もなき暗殺術でこかして黒靴『ブラックハウンド』を履いた足で踏みつけ、「暗殺」を狙う。
音を立てる金属鎧を脱いできたのは、鎧の立てる音が背後を取るときの邪魔になるからでもある。
出来れば逆鱗を踏み潰したいな。あるんじゃねぇのか、なあ、おい?
どうにもつまらん戦いをしたもんさ。明日のあんたに会ってみたいもんだ。
ナイ・デス
成長しても、個の力ではあなたに届かないかもしれませんね
かも、ですが。そして
私達みんなが成長して、力をあわせれば、間違いなく、超えられます!
キャバリア擬きを構成する無数の彫像達を、分離
戦場に降らせ、領地のような、一時的なダイウルゴス化を
カクリヨの大地は無数の竜となり、戦う力を得て
【集団戦術】私は中枢となって、合議を
【継戦能力】聖者の光で、再生を
みんなの、力となりましょう!
竜は【かばう】皆の盾に
竜は【援護射撃、目潰し】視界を塞ぎ、隙をつくり
【生命力吸収】フロンティアラインは、碎輝さんの雷も取り込んで、無限に増え続け
世界(私達)は、過去に飲まれず、在り続けます!
竜の力を綯い、光として、叩きつける!
カイム・クローバー
無限の成長。…怖いモンだな。昨日より今日、今日より明日。
良い言葉だと思うぜ。だが、悪ぃな。俺達も此処で負けられねぇんだ。
雷を纏う黄金竜の姿には戦場にも関わらず思わず笑みが零れちまう。壮大で勇壮、戦う相手としては申し分ないってよ。
【見切り】で動きを読み、躱していく。必要なら【電撃耐性】と【オーラ防御】で被害を抑え、銃弾を撃ち込んでいく。
銃弾はブラフ。本命は【カウンター】で魔剣を顕現させて地に突き立ててのUC。無限の成長を封じて、オマケに鎖で動きを封じる事でスピードと反応速度も低下させる。
多少なりとも成長を封じてやれば後続の猟兵に繋げやすくなる。
そのまま魔剣を用いて【串刺し】を決めるぜ。
シャーリー・ネィド
【かまぼこ】
敵の特性から考えれば最適解は「初手で最大火力をぶつける」こと
きっとみんな考えは同じだろうからボクたちもそれに乗っかるよ
行くよ、ウィーリィくん!
チャンスは開戦直後
ボクたちのありったけの攻撃を、最大の効果を発揮するために同じ場所にピンポイントで撃ち込む!
【先制攻撃】で敵の右目を【スナイパー】+【部位破壊】で狙って【クイックドロウ】+【乱れ撃ち】で集中攻撃!
仕留めきれなくても敵の視力は落ちてるハズだから【ロープワーク】+【罠使い】で周囲にワイヤーを張り巡らせて動きが止まった隙に初撃と同じ手順で敵が負った一番大きな傷口を狙って攻撃を集中させる
最後に勝つのは、ボクたちの絆だよ!
ウィーリィ・チゥシャン
【かまぼこ】
短期決戦がベストなんだろうけど、親分の一角である以上それでも楽に倒せる相手じゃないだろうな。
俺とシャーリーだけじゃなく、みんなの力を合わせないと倒せないだろうな。
シャーリーと同時に「敵の右目」を狙って【厨火三昧】の炎全てを【部位破壊】で一点に集中させて叩き込み、ダメージを与えると共に敵の視力を奪い、その後の攻撃の精度を落とす。
そして仕留めきれなかったら「他の仲間が負わせた一番大きな傷」を【見切り】、シャーリーに知らせると同時に【部位破壊】でそこを狙って【厨火三昧】を【早業】で一点集中。
奴の放つ電流は鉄鍋を掲げて避雷針代わりにして仲間達を【かばう】。
こっちが倒れる前に奴を倒す!
オリヴィア・ローゼンタール
あなたの為したことを考えれば、槍を向けるのは筋違いと言えるでしょう
しかし課せられたこの試練を乗り越えるため――いざ、勝負ッ!
短期決戦のため、他の方々が十全に力を発揮できるよう、矢面に立ちます(おびき寄せ)
元より槍の間合いでないと攻撃が届かないので、前に出るのが前提となりますし
身体に光輝を纏い(オーラ防御・電撃耐性)、【怪力】を以って聖槍を振るい、体勢が整うまでの【時間稼ぎ】
詠唱などの準備が整えば、皆さんとタイミングを合わせて全霊の一撃
【聖槍覚醒】を至近距離から叩き込む(全力魔法・貫通攻撃・ランスチャージ)
【串刺し】にして地に縫い留め、すべての攻撃を直撃させる
私自身は【気合い】と根性で耐える
御狐・稲見之守
[UC真姿変身]ふむ、無限に成長するユーベルコード…
未来に向かう希望に満ち溢れた力か、ふふっ眩しいな。
よろしい。その輝き、我に見せるがよい。
彼奴が成長して手を付けられなくなったらば我の出番というところ
[電撃耐性][結界術]にて霊符の結界を張り
我や他の猟兵をその強力な電撃から守ろうではないか。
機を見て雷除の守りと共に飛翔して間合いを詰めたらば
[生命力吸収][捕食]にて骸魂とその成長した力を喰らうてやる。
その後、霊符を用いて[呪詛][捕縛]による呪縛。
そうして彼奴の力を弱めれば他の猟兵も与し易くなるであろうさ。
ふふ、こういうやんちゃ坊主もなかなか悪かない。
黒玻璃・ミコ
※美少女形態
◆行動
成る程、竜神親分が只の最弱な訳が無いと思いましたが
やはり厄介な竜種でしたね、ならば鏖殺……は駄目っぽいので半殺しにし正気に戻しますよ?
さあさあ、此よりは魔女の本懐
共に戦う猟兵さん達の限界を解き放つべく
私謹製のドーピング薬を魔香として仲間に嗅がせ精神と肉体を最高潮に賦活させましょう
念動力で風さえも操っているのでわざわざ服薬する手間もありません
もしも感電したならば雷電を生命力に転換&吸収して傷を癒し戦線復帰すれば良いだけですしね
そして決め手は【黒竜の絶影】
斬殺、撲殺、刺殺、呪殺、etc.
数多の竜殺しの業を持ち百を越える影法師を連携させて突貫させましょう
※アドリブ歓迎
リーゼロッテ・ローデンヴァルト
【POW】
※アドリブ大歓迎
※『ナインス・ライン』搭乗
※別称を好む
「昨日より今日、今日より明日」?
流石はドラゴン、悠長だね
明日をも知れず、戦火や悪意に散る
そんな非力で有限の命こそ、戦の現実
ま、アタシらもムダに血は流さない
だから今『智神の魔槍』は竜の力を超える
何故なら、アンタは無限の象徴
そして何より、アンタが雷竜だからねっ
背部から右主腕にセットした巨大バンカー
DA32号【ヴォーダン】の電磁機構を起動
機を待ちつつ浴びた放電を筐体にチャージ
…コイツは脅威度算定に応じ際限なく加速
溜めた電気は、その原資にするのさ
だから一斉攻撃の大トリまで
左主腕『アーリー・バード』で皆の盾になり…
この一閃で、超えてやるよっ
カシム・ディーン
機神搭乗
共闘切望
成程…お前…帝竜ですね
ならばお前が未来も戦い続けられるように
その眼球…ではなく涙を貰います
「流石に親分相手は心が痛む?」
まぁ既に一つ手に入れましたからね
【情報収集・視力・戦闘知識】
冷徹にその動きと立ち回りと過去の戦闘記録から動きを分析
戦いは力だけじゃない
【属性攻撃・迷彩】
水光属性を機体に付与
光学迷彩と同時に透明な純水を機体周囲に展開
電撃耐性強化
UC発動
【念動力・スナイパー】
超高速で飛び回りながらの念動光弾を乱射してその動きを止める
其処から
【二回攻撃・切断・盗み攻撃・盗み】
超高速の連続斬撃から容赦なく槍や鱗とかを強奪!
倒した後は一緒に某バンプなチキンの黒猫の歌を一緒に聞く
共に泣く
カクリヨファンタズム最深層、大きな湖の畔にある小さな祠。
訪れた13名の猟兵達を、金色の髪と肌、角を持つ少年が迎える。その身より断続的に紫電迸らす姿、彼こそが龍神親分『碎輝』。
「よく来たな、猟兵達!」
笑みを浮かべる碎輝の姿は、成程、存在感こそ西洋・東方の両親分に劣らぬものの、感じられる力の程は随分と劣る。寧ろその場に集った猟兵の誰よりも劣る程。本人も認める『最弱』であるのは間違いない。オブリビオンと化していることは判るが、今ならばさしたる苦労もなく打ち倒せる、とさえ思えるくらいだ。
だが猟兵達は知る。彼の特性――戦闘が始まれば爆発的な勢いで『成長』することを。最弱であるのは今この瞬間の間だけの話に過ぎないことを。
「無限に成長するユーベルコード……未来に向かう希望に満ち溢れた力か。眩しいナ」
何処か憧憬じみた感覚を覚えつつ、御狐・稲見之守(モノノ怪神・f00307)は彼の在り方をそう評する。
「若者の特権だな。俺みたいに歳を食うと縁が無くなる」
応えるように、ユリウス・リウィウス(剣の墓標・f00045)が自嘲げに呟く。それらはどうやら碎輝の耳にも届いていたようで。
「なーに辛気臭いコト言ってんだよ、人間なら歳なんて関係無いだろ」
眉を顰めて肩を竦める碎輝。直後、稲見之守の方を見て「いやお前は寧ろ『こっち側』か?」などとちょっと驚いてみせたりもしたが。
「昨日より今日、今日より明日。そう願う限り成長はできるモンだ。誰だって、何処までだってな」
自信を以て宣言してみせる。それこそが彼の信念、『成長』を権能とする龍神の在り方。
「……流石はドラゴン、悠長だね」
然しリーゼロッテ・ローデンヴァルト(リリー先生って呼んでよ・f30386)の反応は皮肉げ。明日をも知れず、戦火や悪意に散る非力で有限の命。故郷クロムキャバリアにてそんな戦の現実を幾度も見てきたが故に。成長など待てぬ、力は作り出すもの。
「俺は良い言葉だと思うぜ。だが」
一方、カイム・クローバー(UDCの便利屋・f08018)は好意的な印象を抱いた様子。然し――否、それ故に。
「無限の成長ってのは怖いモンだが……俺達も、此処で負けられねぇんだ」
双拳銃の片方を抜いて、龍神へと突き付け。己らが此処にある目的、其に対する意志を示してみせる。
「成長しても、個の力ではあなたに届かない、かもしれません」
かも、ですが。と言い足しつつナイ・デス(本体不明のヤドリガミ・f05727)。そして。
「私達みんなが成長して、力を合わせれば。間違いなく、あなたを超えられます!」
己はひとりではない。共に戦う仲間がいると。その意志に応えるかのように、背後の黒き宝石竜――帝竜ダイウルゴスの像が唸りを上げる。
「あなたの為したことを考えれば、槍を向けるのは筋違いと言えるでしょう」
聞けば、大祓骸魂にその名と『祝祭』とを与え、力を抑えんとしたのもまた、眼前の龍神であるものという。其が無くば、或いはかの大禍との戦はそもそも勝負にすらならないのかもしれない。
「しかし、これが課せられたる試練と言うならば――」
それでも、故にこそ。オリヴィア・ローゼンタール(聖槍のクルースニク・f04296)は槍を向ける。試練を乗り越えんとする意志を示すべく。
「ええ、カクリヨのためにも、これからも成長し続けるUDCアースのためにもぉ」
この戦は二つの世界の明日を賭けた戦。ミント・キャラメル(眠兎キャラメル・f25338)は、間延びした声音にも彼女なりの決意を籠めて告げる。
「そして、お前が未来も戦い続けられるように。その眼球――ではなく涙を貰います」
更には目の前に立ち塞がる龍神をも、生きて救われた世界へ至らしめる為に。カシム・ディーン(小さな竜眼・f12217)が続く。因みに眼球とは、かつて帝竜ワームよりそれを奪った経験に紐づくもの。『流石に親分相手は心が痛む?』などと相棒のツッコミが入ったりもしたが。
そんなやり取りの後、カシムは後方へと跳躍。その空間へと真なる姿を顕現させた相棒――機神と称されるキャバリア『メルクリウス』へと搭乗する。リーゼロッテとミントもまた、各々の乗機へと乗り込んで。
「うむうむ。お前の力、魂の輝き――我に、見せるがよい」
稲見之守はユーベルコードを行使。童女の姿から成人の姿へ。その真の姿を露わとする。
「いいだろう! 俺の成長と、お前達の未来を願う心。どっちが上回るか――」
猟兵達の全員が戦闘態勢に入ったのを確かめた碎輝、携えたる黄金の槍を構える。その身より迸る紫電が、一段と激しさを増し。
「――勝負だ、猟兵!!」
吼えると共に、碎輝と、猟兵達が一斉に動きだし――戦いの火蓋が、切って落とされた。
開戦直後、真っ先に動いたのは二人の猟兵。
「ボク達のありったけで行くよ、ウィーリィくん!」
呼びかけるはシャーリー・ネィド(宇宙海賊シャークトルネード・f02673)、マスケット銃型熱線銃を構え。
「おう! 楽に斃せる相手だとは思わないが……!」
応えるはウィーリィ・チゥシャン(鉄鍋のウィーリィ・f04298)、その周囲に無数の炎を巻き起こす。
彼らが狙ったのは初手の最大攻撃。時間が経てば経つ程に強くなる敵ならば、その前に可能な限りのダメージを叩き込むが上策。
「「行っけぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」」
シャーリーが超速でトリガーを引き、熱線を立て続けに撃ち放ち。ウィーリィが生み出した炎の全てを、碎輝目掛けて射出する。狙う先は、ただ一点。
「む、うおぉぉぉぉぉぉ!!?」
反応が遅れた碎輝は、その攻撃をまともに受ける。熱線が龍神の右目を撃ち抜き、炎が顔の右半面へと次々着弾し焼き焦がす。
もがく碎輝、なれど其を見据えるウィーリィの視線は厳しい。自他共に認める最弱と言えど親分の一角、斯様なまでに容易く倒せる相手とは思えぬ。
「ならば私が……いえ、これは……!」
得物たる聖槍を構え、オリヴィアが追撃をかけんと駆け出――そうとして『それ』に気付く。碎輝の周囲から、眩く激しい黄金のオーラが立ち昇る――!
「初っ端から派手な一撃、いいじゃないか……!」
両足で地を踏みしめ、顔を上げ猟兵達を見据える碎輝。その右目は潰れ、顔の右半分は焼け爛れ。ウィーリィとシャーリーの攻撃が確かに効いていることを明瞭に示す。だが、それでも倒れていないのは。
「なるほど、既に成長を開始している――ということですね」
即ち、攻撃を受けている時、既にそれに耐えられる範囲まで成長を果たした、と。火土金水・明(夜闇のウィザード・f01561)はそう分析する。この龍神、最早最弱ではない。感じる力の程、既にほかの親分にも引けを取らない……!
「それなら、俺からも一発、派手にいかせてもらうぜ!」
オーラは振りかぶった槍へと集束、紫電を伴い急速に膨れ上がる。
「――いけませぇん! 皆さん、防御をぉ!」
ミントが切迫した声を上げるのと、碎輝が動くのはほぼ同時。
「受けてみろ――超電竜撃滅衝(ライトニング・ドラゴン・ブラスター)ァァァァァァァ!!」
振り下ろされた槍から、黄金のオーラが雷電と化して撃ち出される。巨大な竜の形を取った雷電は、一瞬にして膨張し。戦場の猟兵達、その全てを呑み込まんばかりの巨竜と化して襲い掛かる――!
「防御なら任せてっ! あたいが食い止めてみせるから……っ!」
だが、巨竜雷電を前に自ら飛び出す猟兵がいた。蛇塚・レモン(蛇神憑きの金色巫女・f05152)、鏡の如く磨かれた白金の円盾を雷電へ向けて掲げると共に念を籠め。
「やらせる、もんか……っ!」
掲げた鏡盾を中心に、光輝く障壁が前面へ展開。更にその表面を、黄金の気流じみた霊力の流れが覆う。レモンの持ち前の霊能力を最大限に注いだ、結界の内側を絶対不可侵領域と化さしめる全力防御態勢。
そして、黄金の雷電と、黄金の障壁が激突する。
「っく、うぅ……っ!」
激突する雷電は、気を抜けば一瞬で彼女自身ごと吹き飛ばされかねぬ程の膨大な威力。全霊を籠めて結界を維持せんとするレモンの表情は焦燥に満ち、頬を汗が伝う。
膨大な霊力を持つレモンですら、その尽きる可能性が脳裏を過ぎった、その時。
「……あれ……?」
レモンは訝しむ。あれだけの圧力を齎していた黄金の雷電が、急速に力を衰えさせてゆく。
「……あれは」
そして雷電が完全に消え失せたその向こうに、明は見る。地に伏した碎輝と、その背を踏みしめるローブ姿の男の姿を。
「――ああ、すまんな」
ユリウスである。ここまでの攻防に紛れて碎輝の死角に潜り込んだ彼、超電竜撃滅衝を繰り出した碎輝の隙を突き足払いをかけて転ばせたのである。
「お前みたいな成長株を潰すのが、今回のお勤めってわけだ」
相変わらず自嘲じみて呟きながら、黒革のブーツで以て背面上部――鳩尾の裏辺りを抉るように踏み込む。
「どうにも、こういうつまらん戦いしかできんもんでな。いよいよ自分が歳を食ったと思っちまうぜ」
鞘から黒剣を抜く。狙うは足蹴とする龍神の、その首筋。
「明日のあんたに会ってみたいもんだったが――これで終いだ」
そして剣を振り上げた、その時。
「――そう言うな」
地に伏した碎輝から声。その身で弾ける紫電が、勢いを増す。
「ぐっ!?」
ユリウスは呻き、碎輝の背から足を離したじろぐ。立ち上がった碎輝は一気に跳躍。迸る紫電と溢れる黄金のオーラが全身を包み、眩き光を放つ。
「言ったはずだ――意思ある限り、誰だって成長は叶うんだと!」
オーラと光とが一気に膨張し――戦場たる空間を満たして。そして光が収まった時。
『昨日より今日! 今日より明日! 俺は、もっともっと強くなる……!』
其処に在ったのは――黄金の鱗に全身を鎧い、紫電迸る波紋を周囲の空間に広げ。天を覆わんばかりの双翼で以て上空に滞空する、キャバリアすらも小さく見える程の巨竜の姿であった。
「――成程、只の最弱な訳が無いと思ってはいましたが」
その威風、感じる威圧感と溢れる力。まさに厄介なる竜種そのもの、龍神親分と称されるに相応しき威容。得心いったかのように黒玻璃・ミコ(屠竜の魔女・f00148)は頷く。
『ついて来い、お前達も俺の強さに――そして、追い抜いてみせろ!』
咆哮めいた声と共に、巨竜と化した碎輝の周囲に生ずる波紋が、四方八方へと紫電を乱れ撃つ。紫電は広がるごとに輝きを増し、その威力を高めゆく。これ自体も成長していくのだ。
「ハッ、こいつは随分と壮大で勇壮じゃないか……!」
その身より迸るオーラで電流を凌ぐカイム、黄金竜を見上げる顔に思わず笑みが零れる。その威容、その在り方。戦う相手として申し分なし。そう感ずるが故に。
「脅威でもあります。なので鏖殺――は駄目ですか、そうですか」
ならば半殺しにして正気に戻そう。ミコが頷くと共に、その身から溢れ漏れ出るは魔性の香。嗅いだ者の肉体と精神を大幅に賦活し、限界を超えさせる、魔女の本懐とも称し得る業。
「―――」
溢れる香気に心身の高揚を感じつつ、ナイは上空を飛翔する黄金竜を見上げる。成長し、強くなってゆく彼。彼について行く為には、そして追い抜く為には、どうすれば良いか。答えは此処に。
「――昨日より今日、今日より明日」
碎輝の語るその言葉を復唱めいて呟く。背後で聳えるダイウルゴス像の瞳が輝く。
「明日に繋がる今日を守る力を。そして、世界の明日を守る力を……此処に!」
ナイが決然と声を上げると同時、ダイウルゴス像の全身に光が走り。複数体に分裂したそれら、一つ一つが小さなダイウルゴスへと変形し。戦場を囲むように落下、設置される。
発動するはかつてのダイウルゴスが有した力、ダイウルゴス文明への同化。なれど、それは侵略の為ではない。
「今この場所、あなた達は、文明を守護する竜、ダイウルゴスです……!」
宣言と共に、戦場の大地から何体もの竜が現れる。ひとたびダイウルゴスとなった竜達が、中枢たるナイの元へと続々と集結する。
そして戦場に、新たな竜が顕現する。新生ダイウルゴス、文明守護領域(フロンティア・ライン)を形作る竜。
「みんなの、力となりましょう……!」
ナイを中心とした『評決』に従い、竜達が飛翔する。その背に、翼を持たぬ猟兵達を乗せて。
「有難く使わせて頂きます……! さあ、行きますよ!」
背に乗ったオリヴィアの意志に応え、竜が真っ直ぐに黄金竜へと飛び込んでゆく。
『来い! 手加減は抜きだ、耐えてみせろ!』
立て続けに撃ち出される紫電を、その身より溢れる光輝で以て防ぐ。完全には防げず、纏う修道服が裂け四肢の装甲が弾けるが、未だ継戦に障りは無い。
尚も迫るオリヴィアへ向け、碎輝は前肢を振るう。その爪で以て竜諸共引き裂かんと――
『ぐ……っ!? 氷
……!?』
だが、前肢の動きが不意に止まる。見れば、前肢が何処からか生じた氷に覆われ、その挙動を阻害されていた。
「我、求めるは冷たき力――」
明である。竜の背よりユーベルコードを行使し、無数の氷の矢を連射。以て碎輝の太く逞しい脚をも凍結せしめてみせたのだ。
「恩に着ます! はぁぁぁぁぁぁ!!」
以て爪を逃れたオリヴィアが碎輝の巨躯へと肉薄、その肩へと聖槍にて斬りつける。膂力の限りを以て繰り出された斬撃が、硬質の鱗を砕き、強靭なる筋肉を裂いてみせる。
「熱いのも大いに結構だが、クールなのも時にはいいだろ?」
反対側を飛翔する竜の上からカイムの声。と同時にその手の内の双頭魔犬が吠える。双魔銃の放つ弾丸が、黄金の鱗へと食らいつき砕いてゆく。
「全く、其処まで熱くなれるのも羨ましいことだ」
側面からはユリウスが槍へと変形させた黒剣を振るい、その脇腹や下肢へと傷を重ねてゆく。同時、魂啜る黒剣の呪いを以て、かの龍神に融合した骸魂を削りにかかる。
「戦いは、力だけじゃない……!」
そして碎輝の更に上、空間から次々と撃ち下ろされてくる念動光弾。時折空間が滲み、白銀の機神――カシムの駆るメルクリウスの姿が垣間見える。
『おおお! 良いぞ猟兵! だが、まだまだだ……!』
その身が傷つく毎に上がる咆哮は、苦悶と共に何処か歓喜の色を帯び。応えるように、戦場を駆け巡る紫電が激しさを増し。守りのオーラをも貫いて、猟兵達の傷が増えてゆく――が。
「む、電撃が収まりましたね」
竜の上、弓に矢を番え碎輝を目掛けて射ち放ちながら、ミコは状況の変化に気付く。碎輝の直近、接近戦を挑む猟兵達の周囲で荒れ狂っていた紫電が収まり、空間が一時凪ぐ。
「火防雷除の御利益、お前達にも分けてやろう」
稲見之守である。己の騎乗する竜の背に貼った霊符を基点に結界を展開、以てその内側の紫電を霧散させているのだ。斯くあれかしと願われたが故にカミとして在る身なれど、求められるならば応えんと。雷の災禍を祓うべく力を振るう。
「猫さん達ぃー、どんどん建ててっちゃいましょうねぇー☆」
一方の地上では、ミントが己のユーベルコードで呼び出した猫の愉快な仲間達と共に避雷針の建設に走り回っていた。ダイウルゴスたる竜を素材として、地上に幾つも建てられてゆく避雷針。稲見之守の結界の範囲を逃れた紫電を引きつけ、空中の仲間の被雷を減らしてゆく。
ミント自身も、猫じみた姿のサイキックキャバリア『アロソイコット』を操り避雷針を立ててゆく。その出力は、建設作業においてクレーンじみた活躍を可能とするものだ。
「無限の象徴たる雷竜。コイツを使うにはうってつけじゃないか」
リーゼロッテはその乗機たるキャバリア『ナインス・ライン』の機内、コンソールを操作して武装を召喚する。DA32号『ヴォーダン』、ナインス・ラインの背部から右腕にかけてに装着される超巨大なパイルバンカーだ。
電磁機構に引き付けられるかのように、紫電が次々とナインス・ライン目掛けて降り注ぐ。絶縁処理は施されている故、ただちに機能停止とは至らないがダメージが無いわけではない。なれど、リーゼロッテにとってこれは想定内の展開。浴びる電撃を、電磁機構が蓄積してゆく。
『被害状況確認中……予測脅威度上昇、警戒を……』
AIが警告音声を飛ばすが、警告内容は寧ろ好都合。何故ならこの武装は、碎輝のような相手に対しては理論上無限に威力が上昇するが故。その威力を行使するべき時を待ち、ナインス・ラインは雷撃を耐え忍ぶ。
『オオオオオオオオオ!!』
碎輝の咆哮が戦場に轟く。応えるように紫電はその勢いを更に増し、嵐の如く猟兵達へと降り注ぐ。
ナイが差し向けた竜が盾となり、稲見之守の結界と併せて守る。ナイが展開したフロンティアラインにより紫電もまたドラゴンと化して、上空の戦力を補充してゆく。
「しかし、本当に際限の無い。厄介な」
浴びせられる雷に手を翳し吸収、以て傷を癒しながらミコが呟く。紫電の威力は変身当初より格段に強くなっている。現状の均衡を保てているうちに決着をつけたいところであるが。
「そーだねっ! デカい上に無限に成長するとか、そういうのズルいと思うっ!」
と、そこにレモンの賛意の声。振り向いたミコの目に、レモンの背後に聳え立つ白き巨大な蛇の姿が映る。彼女の友にして守護者たる蛇神。即ち、切り札を切るということか。
ならば仕掛け時、と前衛へ向かってゆくミコを見送り、レモンは更に前方、紫電撒き散らす黄金の竜をその指で指し示す。
「成長するのも! 雷撒き散らすのもっ! ズルいから反則っ! 使用禁止~っ!」
そして宣告するは、己の嫉妬心からなる一方的な宣告。応えるように、背後の巨白蛇が真紅の瞳を輝かせ――
「蛇神様っ! 雷電ごとあいつを吹き飛ばしちゃってっ!」
レモンの呼びかけると同時、放たれた念動波が嵐の如き破壊の力と化して紫電を吹き飛ばし、更には碎輝へと襲いかかる!
『うおぉぉぉぉぉ!? っぐ、これは……何、だ
……!?』
その猛威、黄金竜と化した碎輝の巨体さえも吹き飛ばしてしまいかねぬ程で。それでも耐えきった碎輝、しかし直後に異変に気付く。
身体が動かない。浮遊状態を維持することは可能なれど、それ以外の行動一切が取れぬ。そして何より――
「雷が止んだ……!」
その変化にウィーリィが声を上げる。あれ程に荒れ狂っていた紫電の嵐が止み、今、戦場はひととき凪となった。
「これは……チャンス、かなっ?」
ウィーリィと同じ竜の上、シャーリーが熱線銃を構え直してもがく碎輝を見据える。敵が無抵抗な状態となれば。
「チャンスもチャンス! 大チャンスだよ~っ! みんな、今のうちに総攻撃だよっ!」
用いた術式の反動に呻きつつも、上げる声音には微塵も滲ませず。レモンがその場の猟兵達、全員に呼びかける。
応え、一斉に飛翔を開始する13名の猟兵達。今こそ、決着の時と。
最初に接近を果たしたのは稲見之守であった。竜より跳び上がり、そのまま身に纏う羽衣の力にて飛翔する。
「ふふ、散々育ったその力、喰らわせてもらうぞ?」
跳び至る先は碎輝の眼前。その姿捉えられるより早く、霊符をその額へと貼りつければ。生ずるは凄まじいまでの力の簒奪。
『うあぁぁぁぁぁぁ!? ち、力が……!? お、俺の、成長が……!』
悲鳴にも似た苦鳴を上げる碎輝。成長という概念の化身と言っても良い彼にとり、その成長を奪われることは存在そのものを損ねられるに等しく。
更にその術は力のみならず、骸魂をも喰らう。碎輝の巨躯に宿る力が一気に失われつつあることを、全ての猟兵達が直感した。流石に変身直後までとはいかぬが、相当の力を失ったことが見て取れる。
「いあいあはすたあ、いあいあはすたあ――拘束制御術式、解放」
続いて動くはミコ。己が身より放つ魔香にて昂る精神のまま、名状しがたき呪文を詠唱。頭上の空がどろりと黒く染まり、滴るように落ちて来た混沌の影が人の形を成しては滞空を開始。
「第壱の竜よ、黒き混沌より目覚め、かの竜を絶殺せよ――半分だけ!」
詠唱を結ぶと共に、百を超える人型の影法師は一斉に碎輝を目掛け吶喊。その手に種々様々の凶器、或いは呪具。斬、殴、刺、射、絞、縊、呪、焼、爆――数多の殺。竜を殺す為の業を以て、黄金竜を半殺しにせんと心身を苛んでゆく。
「よし、シャーリー! あの傷を狙うぞ!」
「うん、さっきの要領だね! 行くよ……!」
先にオリヴィアがつけた肩の傷を、影法師の一体が斬り広げる。碎輝の全身に刻まれた傷のうち、最も深い傷。其処を狙い、ウィーリィとシャーリーを乗せた竜が飛ぶ。
ウィーリィが己の周囲に無数の炎を巻き起こし、シャーリーが熱線銃を構え、傷口へと狙いを定め――一斉攻撃。
『がぁぁぁぁぁぁぁっ!!』
熱線と炎。傷口に直接飛び込む苛烈なる熱の齎す痛みに黄金竜は悶絶する。
「全速で行くぞ、メルクリウス……!」
更に背中側ではカシムの乗機メルクリウスが超高速機動と共に鎌剣を振るい、その背を、翼を、斬り刻んでゆく。
『ぐ……っ、お、オオ……オオオオオオ
……!!!』
なれど碎輝は未だ倒れぬ。全身の力を振り絞り、レモンの齎す呪縛を咆哮と共に弾き飛ばし。再度紫電を撃ち放ち、接近していた猟兵達を吹き飛ばす。
「まだまだ倒れるには早い、か。いいぜ、もう一勝負といこうか……!」
碎輝の周囲を飛翔し攻撃を重ねていたカイムもまた、吹き飛ばされて竜より転落――と見えつつもその結果は敢えてのもの。地上への自由落下の間に、ブラフとして用いていた銃を収め、本命たる魔剣を抜き放つ。黒銀の炎を纏う、神殺しの魔剣。
「今度は、俺の鎖で縛らせてもらうぜ!」
そして空中で身を捻り、魔剣を下向け。着地と同時に地へと突き立てれば――碎輝の真下、影より伸び出るは無数の黒銀の鎖。地より空へと駆ける流星が如き速度で以て、上空の碎輝目掛けて飛翔する!
『くそっ、今度は鎖か! だが捕まるわけには……っ!?』
回避を試みる碎輝だが、その時である。碎輝の翼の片方が突如凍結、その機動を一瞬、阻害する。
「繋ぎます。このまま一気に倒してしまいましょう」
明が放った氷の矢だ。500本以上のそれが全て翼へと命中すれば、碎輝の巨大なそれとても凍り付かせ、一時であれ動きを阻害することが叶う。そして静止した碎輝の身に絡みつく、黒銀の鎖。
『が……っ! こ、こんな連携が……うおぉぉぉぉぉ!?』
碎輝の身を確と拘束した鎖が、かの竜を地へと引き倒さんと絞られる。其に抗いもがく碎輝、なれどその上方から、彼にも負けぬ黄金の輝きを放つ流星が降り落ちてくる。
「覚醒せよ、我が聖槍。無窮の神威を、今ここに――!」
オリヴィアである。得物たる聖槍の封印を解き、無窮の極光と共に秘められたる力を解き放つ。迸る力は、扱いを誤ればオリヴィア自身をも滅ぼしかねぬ危険な代物。なれど彼女は恐れぬ。己の全てを籠めた一撃を、ここに。
そして――星が、竜を捉え。重力と膂力の全てと共に叩き込まれた一撃が、龍神の巨躯を揺らがせて。そのまま、地へと叩き落とす。
聖槍自体の反動、落下の衝撃。オリヴィアの全身、特に右腕周りは無残に裂け滂沱と流血するも、槍握る手は緩めぬ。鎖と共に、この場でこの龍神を縫い留め続ける覚悟だ。
「よぉ~し、わたし達もそろそろ攻撃ですよ、猫さん達~☆」
そして、地に縫い留められた碎輝を目掛け、アロソイコットに搭乗するミントの率いる猫の愉快な仲間達が襲い掛かる。ツルハシやスコップ等の現場仕事道具で殴る彼らに紛れ、ミントもまた魚の骨状のサイキックエナジーを飛ばし黄金の肉体を削ってゆく。
「あたいの呪縛を破るなんてっ! でも、成長して勝つのはあたい達なんだからぁーっ!」
「ああ、このままチェックメイトだ!」
前面からは、ユーベルコードを破られた後に体勢を立て直したレモン蛇腹剣を振るい斬撃波を乱れ撃ち。
其に紛れて接近したカイムの刃が、鱗の多くの剥がれた肉体を斬り裂き、穿つ。
「いい加減に、大人しく眠っておけ……!」
更に上空から降下したユリウスが、もがく碎輝の背中に着地。血と魂とを啜る黒剣二刀流を以て斬撃を刻み、その体力を削りにかかる。
「――頃合いだね。今こそ『智神の魔槍』は竜の力を超える……!」
そして、此処まで切り札を構え続けていたリーゼロッテが動く。その智神の名を冠する規格外武装、超大型の電磁式パイルバンカー。
ブーストを吹かし、加速。振りかぶったパイルバンカー、その射出速度は、敵の最大脅威度算定と、溜めた電気の量に比例する。そのどちらもが最大限に高まり、敵が動けぬ今こそ、好機。
「集え、新生ダイウルゴス! 私達の意志を、ここに……!」
更にナイが光を纏い飛翔する。呼びかける声に応えた竜達が集い、綯い合わさり、やがて一体の巨大なる竜の形を作り上げる。
金属質の肉体を持つ闇蒼の竜――それはかつて帝竜として在ったダイウルゴスそのもの。なれど性質は違う。文明の侵略者に非ず、文明の、世界の守護者なり。
「世界は――私達は! 過去に飲まれず、在り続けます!」
広げた口に、眩き光が集束する。竜の力と、人の意志。其の総体。
「そして――未来へと!」
「この一閃で、超えてやるよっ!」
ダイウルゴスが吐き出した光のブレスと、リーゼロッテが繰り出した電磁鋼杭の一撃が。ついに、碎輝の成長を超えるに至ったのである。
◆
やがて人の姿に戻った碎輝は、大の字となって地面に倒れていた。
全身は無残に裂け、大小数多の傷に塗れ。如何にも重傷といった体だが、その表情はやり切ったかのように晴れやかであった。
「――見事だ、猟兵達。お前達の力は……俺の成長を、超えてみせた」
満足げに笑む碎輝。期待した通り――否、それ以上とすら言えた彼らの戦いぶりを、讃えるかのように。
「昨日より今日、今日より明日――お前達は、どこまでも強くなれる。俺よりも、大祓骸魂よりも」
それだけを信じてきた俺が言うんだから間違いない、請け負うように碎輝は頷く。
「次に会う時は……大祓骸魂を倒した時の話、期待……してる、ぜ……」
そこまで言って、眠りへと落ちる龍神親分『碎輝』。
以て、猟兵達は彼との戦いにも勝利を収めたのである。
成功
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