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旻天に鈴の音

#サムライエンパイア #戦後

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#戦後


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●秋旻に唄う
 長かった夏の名残も漸く過ぎ去り、空気は日々涼やかさを増して。
 青々と茂っていた葉もほろほろと色付き始め、紅に、黄にと美しく装いを変えていく。
 町の高台にある小さな神社では、どうやら祭りが催されているようだった。
 人々の楽しげな声で溢れる境内には、汁物や団子、甘酒といった軽食や、日用品等の屋台が並んでいる。
 最も多いのは、風鈴を扱う屋台で。さわさわと秋風で揺れる木々の音に混じり、賑やかに唄う風鈴達は、硝子の他、金属や石、陶器に竹と材質も音色も様々だ。

 ――ちりん、りぃん。
 ――からころ、からころ。
 ――がらん、がらん。

「……ん?」
 ふと、町人の1人が違和感に顔を上げた。
 軽やかな風鈴達の音の中に、どこか重く鈍い音が混じっていた気がしたのだ。
「あれか……?」
 きょろきょろと辺りを見回してみれば、目に入ってきたのは拝殿に吊り下げられた本坪鈴。
 確かに、神社で本坪鈴の音を聞くのは自然なことではあるが。
「誰も居ないし……それに、もっと遠くの方からだった、ような……?」
 気の所為だったのだろうか。
 そう、不思議そうに首を捻る彼を嘲笑うように。

 ――がらん、がらん。

 先程よりも近いところから。
 先程よりもはっきりと。
 風も無いのに鈴の音が聞こえた、気がした。

●風鳴りの鈴
「グリモアベースへようこそ。今回ビオーネがご案内致しますのは、サムライエンパイアの秋祭りに関するものになります」
 オブリビオーネ・オブザーバトリィ(忘れられた観測所・f24606)は集った猟兵達にそう告げながら、周囲の情景をサムライエンパイアのものへと変化させた。
 映し出されたのは、秋色に染まった神社の境内。
 何名かが興味を示したのを確認すると、電子の娘は情景を更に詳細なものへと変えていく。
 風鳴神社の秋旻祭――風を祀るその神社では、毎年この時期になると秋風に風鈴を唄わせる祭りを行うという。
「風鈴を買ったり、願いを込めて専用の棚に飾ったり……ああ、自分で絵付けを行うことも出来るそうですよ」
 風鈴以外を取り扱った屋台も勿論ある。
 敢えて掘り出し物を探し歩くのも良いかもしれない。
 軽食片手に、境内を彩る紅葉や銀杏を眺めるのも良いだろう。
「ただ――人が集まる場所ですので。気は抜き過ぎない方が宜しいかと」
 明確な情報は得られなかったが、良くないものの気配は感知出来たのだとオブリビオーネはグリモアを起動しながら語る。
 生者の匂いに惹かれた何かが現れないとも限らない。警戒しておくに越したことはなさそうだ。
「それでは、準備の出来た方から転送を開始致します。どうか、お忘れ物など無きように」


鱈梅
 こんにちは、鱈梅です。
 今回は秋のサムエンのお話です。
 精一杯努めさせていただきますので、どうぞ宜しくお願い致します。

 ゆったりのんびり進行となります。
 第一章:風を祀る神社で風鈴祭りを楽しむパートです。
 風鈴を買ったり、飾られたものを眺めたり、自分で絵付けしたり、食べ歩きや散策を楽しんだり。
 行動例はあくまで例ですので、自由にお楽しみいただければと思います。
 第二章:黄泉の国の扉を開かんとする、鈴の魑魅魍魎達との集団戦になります。
 第三章:魑魅魍魎達を操っていた存在とのボス戦になります。

 進行に関するお知らせは雑記に掲載致します。
 キャパ等に限りがある&遅筆のため、先着順ではなく、書けそうな範囲での採用になるかと思います。
 可能な期間内であれば、再送はいつでも歓迎しております。
 それでは皆様のプレイング、お待ちしております!
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第1章 日常 『秋空時雨の鈴の唄』

POW   :    食べたり飲んだりしながら祭りを楽しむ。

SPD   :    買ったり作ったりしながら祭りを楽しむ。

WIZ   :    涼んだり聴いたりしながら祭りを楽しむ。

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●社に集う
 秋晴れの空の下、社に柔らかな風が吹く。
 境内を行き交う人々の表情は皆穏やかで、今日という日を迎えられた喜びに満ちている。

 家に飾る風鈴を選ぶ、仲睦まじい老夫婦。
 願いを込めながら、真新しい風鈴を専用の棚へと吊るす娘。
 自分で絵付けした風鈴を大切そうに抱えた幼子。
 湯気立つ汁椀で暖を取り、紅葉を見上げる青年。
 楽しみ方は十人十色だ。

 厄災の影はまだ遠い。
 祭りを楽しむ時間は十分にありそうだ。
月藤・紫衣
秋風に風鈴、ですか
風情があっていいですね

ちょうど家を飾る物を探していたので、散策してみましょう

絵付けをすることも出来るみたいですが…絵心がある方ではないので、今回はやめておきます
さて、風鈴…そうですね
2つほど、秋にちなんだ草花の柄やトンボ…ああ、猫もいいですねぇ
ふふふ、これだけあると素敵な物がたくさんあって迷ってしまいます

……はぁ、少し寒いですし
身体を温めてくれるような、甘いものの屋台を探しましょうか
焼いたお団子、おしるこ…どれも魅力的ですね

(アドリブ等歓迎)



●楽しい悩み
「秋風に風鈴、ですか……風情があっていいですね」
 月藤・紫衣(悠々自適な花旅人・f03940)は、賑わう市をのんびりと散策しながら、耳を擽る風鈴の音に柔らかく目を細めた。
 ちょうど家を飾る物を探していたのだ。この機会にひとつ、気に入ったものを迎えるのも良いかもしれない。
「絵付けをすることも出来るみたいですが……」
 興味が無いわけではないが、そこまで絵心に自信があるわけでもない。
 何より、こんなに沢山の風鈴が並んでいるのだ。今日は新たな出会いを探したい。
「ふふふ、これだけあると、素敵な物がたくさんあって迷ってしまいます」
 折角だから、秋に因んだものが良いだろうか。
 萩に尾花、葛や撫子、女郎花、桔梗、藤袴といった秋の七草。
 華やかな菊に、凛と咲く竜胆。
 金木犀など、今にもあの甘い香りが漂ってきそうだ。
 ああ、草花も良いが、彼処の猫を描いたものも愛らしい。
 蜻蛉柄も捨てがたい。紅葉の下で揺れる様は絵になるだろう。
「なら、これなんかどうだい?」
 これが良いか、それともあれが良いか。時に手に取り、音色を楽しみながらじっくりと吟味する紫衣へ、屋台の店主が指したのは、咲き乱れた藤袴の中で遊ぶ猫の柄。
 その上でひらり舞う蝶は浅葱斑だろうか。細やかに、だが活き活きと描かれた秋の情景と落ち着いた音色が、紫衣の目を、耳を和ませる。
「これは……ええ、とても素敵です……」
「だろう? うちの取って置きの一品なんだ」
 思わず、ほぅ、と感嘆の吐息を洩らす紫衣に、店主も嬉しそうに笑みを返す。
 それから、もう少しだけ悩んだあと。包んでもらった藤袴の風鈴を供に、紫衣は屋台を後にしたのであった。

 包みを連れ歩きながら眺める祭りは、平穏に満ちていて。
 予兆の刻までは、もう少しありそうだ。
 このまま、何も起こらないのが一番なのではあるが。
「少し冷えてきましたね……」
 まだ息が白む程ではないとはいえ、それでも寒いものは寒い。
 身体を温めてくれるような――そう、例えば甘味の屋台は無いだろうか。
 ゆるりと辺りを見回した紫衣の目に飛び込んできたのは、芳しく香る焼き団子に、とろりと濃厚そうな汁粉。此方の甘酒も温かそうだ。
「……どれも魅力的ですね」
 再び訪れた楽しくも悩ましい時間に、紫衣は口元を綻ばせた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

御剣・刀也
POW行動

秋に風鈴ねぇ
風鈴は夏の風物詩だと思ってたが、これはこれで趣があって良いな
音を聴きながらのんびり酒を飲ませてもらおうか

祭りの屋台を巡って一通り食べ物を調達したら風鈴の音が聞こえる静かな場所を探す
見つけたら、酒を飲みながらのんびり食べ物をつまみに風鈴の音と秋の景色を肴に酒を飲む
「祭りは好きだが、たまにはこうして静かに飲むのも良い」
喧騒と風鈴の音を肴に、静かに酒を飲んで秋の夜長を楽しむ



●秋を肴に
「秋に風鈴、ねぇ」
 風鈴は夏の風物詩だと思っていたが、これはこれで趣があって良い。
 転送陣を抜け、神社の境内に踏み出した御剣・刀也(真紅の荒獅子・f00225)は、涼やかに唄う風鳴りの鈴の音に耳を傾けながら、燗酒を売る屋台へと目を向ける。
 冷え込みを増してきた今日この頃。暖を取るのにこれ以上のものはないだろう。音を肴に一杯やるのも一興か。

 ――とは言え、音で腹は膨れぬ故に。
 つまみ探して、屋台をぶらり一巡り。
「そこ行く兄さん、酒のアテ探しかい?」「それなら、ウチの湯豆腐なんてどうだ!」
「こっちには芋の煮ころばしなんてのもあるぞ!」
 耳に、鼻に訴えかける、威勢の良い呼び込みと食欲唆る香り達。
 煮しめに塩辛、味噌田楽。
 彼処に見える鍋は、から汁か。
 あの男が食っている魚の塩焼きも美味そうだ。あれは何処で売っているのだろう。
 思わず、食い倒れと洒落こみたくなるも、ぐっと堪え。持ちきれる分だけ買っていこうか。

 一通りつまめるものを調達したら、お次は紅葉酒に相応しい場所探しだ。
 風鈴の音が程良く聞こえる、静かな場所が好ましい。
 方方から聞こえてくる町人達の会話に耳を傾けてみれば、子供達の楽しげなお喋りの中に求むものの情報はあった。
 成程、子供は穴場を見つける天才だ。有り難く楽しませてもらうとしよう。

「ほぼ貸切だな」
 子供達の話の通り、その場所は相当な穴場のようで。
 紅葉に銀杏に秋空と、すべてがひとところに楽しめる中々の絶景にも関わらず、先客の姿は何処にも無く。
 先程買ってきたつまみを広げ、風鈴の音と秋の景色を肴に酒注ぎ。
 透き通った青から、夕暮れの赤へと仄かに移り変わり始めた空を見上げ。湯気立つ酒で口潤して。
「……祭りは好きだが、たまにはこうして静かに飲むのも良い」
 遠くに聞こえる喧騒もまた、良いものだ。
 刀也はゆるり、心行くまで秋のひとときを楽しむのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

真宮・響
【真宮家】で参加

秋風に吹かれて鳴る風鈴、いいねえ。え?奏と瞬は風鈴絵付けしてみたい?そうだね、いい記念になる。挑戦してみようか。

気軽に挑戦してみたが、小さい風鈴に柄を付けるのは案外難しい。書く絵柄は赤が映える彼岸花。手こずるがようやく完成。奏と瞬も出来たかい?

三人が作った風鈴を風に鳴らしながら、思う。ああ、いい風だ。特に風の力を扱う奏に取って心地よい場所だろう。絶対護って見せるさ。


真宮・奏
【真宮家】で参加

ん~・・・いい風です。母さん、折角だから風鈴絵付けしてみたいです!!細かい作業はちょっと苦手ですけど、三人でやれば!!

勢いで挑戦してみたものの、不器用なので、絵付けに悪戦苦闘。ようやくかけた柄は星らしきもの。歪んだ角ばったシロモノが書かれた風鈴に。

恥ずかしい出来になった風鈴を照れながら鳴らして見ますが、心地よい風に機嫌が良くなります。風は私の友です。この風がいつまでもこの街に穏やかに吹き抜ける事が出来るように。物騒な奴らは必ず退治しますよ。


神城・瞬
【真宮家】で参加

秋も深まり、風も冷たくなってきましたが、こういう時分の風鈴市も乙な物で。あ、家族で風鈴の絵付けですか?記念になりますし、やってみましょう。

細かい作業は得意ですので、苦戦する母さんと奏を横目に矢車菊の柄を風鈴に付けて行きます。(奏の風鈴の出来を見て)まあ、奏らしくていいんじゃないですかね。

三人で作った風鈴を鳴らしながら、風を感じます。精霊使いの僕にとって、この風がとてもいいものだという事が分かります。この風が吹く街。必ず護ってみせますとも。



●秋風に誓う
「ん~……いい風です」
 心地好い秋風がさらさらと髪を撫でていく。
 見上げた空は、どこまでも抜けるように澄み切った青。
 思い思いに祭りのひとときを過ごす人々は、皆一様に笑顔で。
 真宮・奏(絢爛の星・f03210)は小さく伸びをしながら、境内に広がる平穏な光景に頬を緩ませた。
 りぃん、りぃんと、賑やかさを彩るように唄う涼やかな風鈴の音に、真宮・響(赫灼の炎・f00434)と神城・瞬(清光の月・f06558)の顔にもまた、自然と笑みが浮かぶ。
「秋風に吹かれて鳴る風鈴、いいねえ」
「ええ。夏のイメージがありましたが……こういう時分の風鈴市も乙な物ですね」
 この時期の祭りだからだろうか、其処此処で揺れる風鈴は、秋を映した柄も多い。
 興味深そうに屋台を眺めていた瞬の目に、一際大きな人の集まりが映る。
 老いも若きも肩並べ、真剣な目で机へと向かう人々の傍らに置かれているのは、種類豊かな無地の風鈴と絵筆、色取り取りの塗料に短冊。図柄の手本も様々揃えられている。
 成程、そういえば説明では、自分で作ることも出来ると言っていた。「出来た!」と母を見ながら大きな声を上げて喜ぶ幼子が愛らしい。
「こっちでは絵付けも出来るんですね」
「母さん、折角だから絵付けしてみたいです!!」
 瞬の言葉に、奏は幼子のように目を輝かせ、響へと振り返る。
「手元に残る思い出にもなりますし……細かい作業は少し苦手ですけど、3人でやればきっと楽しいと思うんです!」
「良いですね、僕もやってみたいです」
「そうだね、いい記念になりそうだ。挑戦してみようか」
 家族の思い出の1頁にと。奏の楽しい提案に、2人も顔を綻ばせて頷いた。

 気軽に挑戦してみたものの、小さな風鈴に柄を付けるのは存外難しく。
 なかなか頭に思い描いた通りとは行かぬ上に、一発書きという緊張感。知らず、掌には汗が滲む。
 響と不器用な奏は慣れぬ絵筆と格闘しつつ、ああでもない、こうでもないと試行錯誤しながら硝子に塗料を乗せていく。
 一方、細かい作業が得意な瞬は、苦戦する2人を横目に、手本を見ながら手際良く矢車菊の図柄を描いていく。
 深い青の塗料をたっぷり使い、繊細な筆遣いで仕上げられたそれは、本物にも負けず美しく咲き誇る。
「早いね、瞬。……よし、こっちも出来た」
 響が硝子に咲かせたのは、鮮やかな赤が印象に残る彼岸花。やや粗いタッチで描かれた花弁は、苛烈に燃え盛る炎にも似て。
「奏も出来たかい?」
「あと、もう少し……はい、出来ました!」
 奏がモチーフに選んだのは星だ。
 悪戦苦闘しつつ、とても丁寧に描かれたそれは、不格好ながらも愛らしく。
「奏らしくていいんじゃないですかね」
 奏の渾身の作を見た瞬は、くすりと笑みを零した。溢れ出している真っ直ぐさが、実に彼女らしい。
 それに顔を赤らめながら、奏は出来上がったばかりの風鈴を光に透かす。真昼の空に、星が浮かぶ。
 やや照れくさい出来となったが、それも味だ。ちょっとした歪みや角張りもまた愛おしい。
 はにかみ笑めば、まるで完成を祝うように。優しい風が、ちりん、と鈴を鳴らした。

 それから、少し日も暮れて。
 手元で揺れる手作り風鈴の音色を楽しみながら、3人並んで茜に染まり始めた小道を歩く。
 吹き抜ける風は、昼間に比べると少し冷たさを増してはいるが、それでも尚柔らかく。
「――ああ、いい風だ」
「そうですね。風を祀っている場所だから、というのもあるでしょうか」
 精霊使いの瞬だけでなく、響もそう感じているのだ。ならば、風を力とする奏に取っては特に心地好い場所であろう。
「風は、私の友です」
 だから、友へと誓おう。
 拝殿の方に視線を向け、奏は強い意志を瞳に宿す。
「物騒な奴らは必ず退治しますよ」
 平穏が続くように。
 人々の笑顔が絶えぬように。
 友が――この風が、いつまでもこの町に穏やかに吹き抜ける事が出来るように。
「勿論、絶対護って見せるさ」
「僕も誓います。必ず護ってみせますとも」
 決意を新たにする3人を包み込むように。どこか暖かな風が吹いた。

失敗 🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

花盛・乙女
秋祭り、か。
ふふ、楽しんでみるとしよう。
(全身図の浴衣を着て参加します)

風鈴の絵付けが出来ると聞いたな。
絵心はある方ではないが、なにかこう…秋らしいものを描き、一つ貰いたい。
他世界の者で、世話になってる人がいる。
いつかその人が帰ってきたら、見せてあげたいんだ。

出店の食べ物を食みながら、境内を回ろう。
困っている者があれば手を差し伸べよう。
泣いてる子供があれば、笑うまで一緒に遊んでやるのもいい。

エンパイアの平和は一度守られた。
これ以上、その平和を乱すようなことはさせない。
と、決意を新たにするとしようか。



●守るもの
 折角だから、と花盛・乙女(羅刹女・f00399)は装いもそれらしく変えて、秋の祭りに華を添える。
 緩く纏めた髪は肩に流し、白狐の面で頭を飾り。
 落ち着いた緑と黄の地に、紅の帯の浴衣姿は、境内の紅葉にも映えて。
「風鈴の絵付けが出来ると聞いたな……」
 巾着ゆらゆら探すのは、案内役に先程聞いた、風鈴の絵付けが出来る屋台。
 絵心がある方ではないが、己の手で秋らしい何かを描いたものが1つ欲しい。
 図柄より先に思い浮かべるのは、世話になっている人の顔。
(いつかその人が帰ってきたら、)
 見せたいな、と乙女は笑う。
 己が描いたと聞いたら、一体どんな顔をするだろうか。驚くだろうか。
 吟味の末に、乙女が選んだのは紅葉の下で楽しげに飛ぶ蜻蛉の図柄が載った手本。秋らしいし、そこまで難しくもなさそうだ。蜻蛉は縁起物でもあるし。
 汚さぬように、襷を借りて袂をたくし上げると、乙女は意気揚々と絵筆を取った。

 出来上がった風鈴を、割れぬよう大切に包んで。
 食みながら歩くは、この町の名物だという、風鈴饅頭とやら。一口大のそれは口当たり良く食べ易く。かつ、甘過ぎないからいくらでもいけてしまう。
 やっぱり、もう2〜3個程買い足して来ようか等と考えながら来た道を振り返ってみれば、今し方転んだのであろう、泣く幼子の姿が目に入った。
「どうした、大丈夫か」
 慌てて駆け寄り、助け起こす。どうやら盛大に転がったらしい。怪我は無さそうであるが、手も足も服も土塗れだ。
「泣くな、泣くな。……ああ、そうだ、これを食べると良い。甘くて美味いぞ」
 土を払ってやりながら、乙女は饅頭の最後の1つを幼子へと差し出した。
 ありがとう、と嬉しげに笑う幼子へ、乙女もまた笑みを返す。
(エンパイアの平和は一度守られた。……これ以上、その平和を乱すようなことはさせない)
 子の笑顔に、改めて決意を胸に灯して。
 それから暫く。この子の親が迎えに来るまで、乙女は幼子と遊んでやるのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

岩戸・御影
風鈴が見所のお祭りかぁ、行ってみたい!

【WIZ】
絵付けに心惹かれるのだけれど僕は絵心が全くないんだよね
だから気に入る一品を探して散策するよ
風鈴に似つかわしくない……例えば。地獄柄とか欲しい
そんな風鈴を探しつつ、祭の雰囲気と食べ歩きを楽しむことにするよ
人間って楽しいことを創り出すのが本当にうまいよねぇ

温かい汁物であったまりつつUC発動
「良くないもの」の気配が遠いうちに下準備はしておきたいな
夜鷹に空からの情報を貰いつつ
僕はさり気なく散策時に屋台付近に糸状に張り巡らせた[結界術]で良くないものの侵入を感知するよ
敵が僕の作った結界糸に触れたら、風もないのに一斉にその付近の風鈴が鳴る

※アドリブ・連携歓迎



●宵の気配
「風鈴が見所のお祭り、かぁ」
 世界違えど、東方の空気は己の身に良く馴染む。
 活気溢れる境内に、けらりと笑み浮かべ。岩戸・御影(赫鬼面・f28521)は祭りの喧騒の中へと飛び込んでいく。
 風鈴の絵付けとやらに心惹かれるが、己に絵心は全く無い。
 ならば、気に入る一品を探して散策するが吉だろう。
 どうせならば、風鈴に似つかわしくない――例えば。
「地獄柄とか?」
 これだけ種類も屋台もあるならば、そのような遊び心ある図柄を取り扱っているところだって、1軒くらいはあるはずだ。
 食べ物の屋台にしても、取り扱う品は軽食に甘味と様々で。どれも実に美味そうである。
 気になるもの全てに手を出していたら、腹がはち切れてしまうかもしれない。
「人間って、楽しいことを創り出すのが本当にうまいよねぇ」
 足向く場所に糸張りながら、風鈴の合唱に鼻唄で参加しつつ、饅頭片手に覗いた屋台。
 御影はついに目当てのものを引き当てる。
「ああ、あった」
 手に取ったのは、揺らめく鬼火に餓者髑髏の図柄。吊られた短冊も、血の池思わせる深みのある渋い紅。
「それにするのかい」
 しげしげと眺める御影に、店主の口元もにんまり弧を描き。
「これにするよ」
 風鈴にしては鈍めの音を響かせて。御影は小さな地獄を手の中で揺らした。

 楽しい祭りもそろそろ終わりの頃合い。
 宵の気配に、人々はぱらぱらと帰路へ着き始める。
 湯気立つ汁椀を手に、御影は宵闇纏う夜鷹を喚んだ。
「さ、行っておいで」
 羽音ひとつさせずに空へと舞い上がった夜鷹を見送り、目を細め。
 ついでに、散策時に張り巡らせた結界糸をぴん、と弾く。……大丈夫、術者が触れても音は無い。
「まだ来ないのかな――っ、と!」
 その時。
 風も無いのに、一斉にその付近一帯の風鈴が鳴り響く。
 同時に、空の夜鷹から送られてくる『良くないもの』の情報。
「噂をすれば、だ」
 呟いて。御影はもう一度、結界糸を弾いた。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『黄泉の本坪鈴』

POW   :    黄泉の門
【黄泉の門が開き飛び出してくる炎 】が命中した対象を燃やす。放たれた【地獄の】炎は、延焼分も含め自身が任意に消去可能。
SPD   :    人魂の炎
レベル×1個の【人魂 】の炎を放つ。全て個別に操作でき、複数合体で強化でき、延焼分も含めて任意に消せる。
WIZ   :    後悔の念
【本坪鈴本体 】から【後悔の念を強制的に呼び起こす念】を放ち、【自身が一番後悔している過去の幻を見せる事】により対象の動きを一時的に封じる。
👑7
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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


※1章時、誤操作により一部の方の判定が失敗となるミスが生じてしまいました。
 大変申し訳ありませんでした。この場を借りてお詫び申し上げます。

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●逢魔時に

 ――りぃん、りぃん、りぃん、りぃん、
 ――からからからからからからからから、

 宴も酣、誰そ彼と問う頃に。
 境内にけたたましく鳴り響くは、警鐘。
 この地に集ったひとりの手により、予め一帯へと張り巡らされていた結界糸が、厄災の影を捉えたのだ。


 ――がらん、がらん、


 風鈴の音に混じり、聞こえてくる重く禍々しき鈴の音。
 数瞬遅れて姿を表したのは、鈴のかたちをした妖の群れ。
 ――黄泉の本坪鈴。
 魔を祓い清め、神と繋がるためのものであるそれとは、似て非なるもの共。
 骸の海より出でて、生者を黄泉の国へと無理矢理に導く魑魅魍魎。

 1匹でも逃せば、その鈴の音は下の町に咲く笑顔をひとつ奪うだろう。
 幸い、境内には既に猟兵達以外の姿は無い。
 多少派手に暴れたとしても、被害は大して無いはずだ。

『幾らでもやってくれて良い、町を守るためならば』

 そう、後押しするように。
 柔らかな風が、そっと猟兵達の背を撫でた。
御剣・刀也
さて、飲み食いした分働くか
お前ら雑魚をいくら喰ったところで腹の足しにもならんが、大将前の前座としては十分か

黄泉の門の炎は、第六感、見切り、残像で避けて、ダッシュで一気に間合いを詰めて捨て身の一撃で斬り捨てる
敵は遠距離が得手なので一匹倒したら勇気で被弾を恐れず、ダッシュで一気に間合いを詰めて狙いをつけさせない
自分で決めて進んできた道。後悔なんて欠片もない、命を賭けて闘い、友となった者たちとの出会いは何にも変えられない宝物だから
「お前らごときじゃ俺は楽しめない。まぁ、俺の道の邪魔をするなら、斬り捨てるがな」



●瞬を駆ける
 茜の色に染まる境内、蔓延り始めた魔の気配。
 清々しさの欠片もない、がらりがらりと喧しいだけの鈴の音は、次第に此方へと近付いて。
「……お前ら雑魚をいくら喰ったところで腹の足しにもならんが、大将前の前座としては十分か」
 まぁ、肩慣らしにはなるだろう。そうでなくては退屈で困る。
 あまり期待はしていないが、精々酔いが覚める程度には踊ってくれ。
「――さて、飲み食いした分働くか」
 眼光に宿すは修羅。こきりと首をひとつ鳴らし、風鈴の音が掻き消える程に近くなった其れ等を見据え。
 御剣・刀也(真紅の荒獅子・f00225)は刀に手を掛け、魑魅魍魎を迎え討つ。

 ――がらん、がらん、がらん、がらん、

 人間風情が何を抜かす。そう言わんばかりに、本坪鈴の音が嗤う。
 次いで、黄泉の門より出でし地獄の炎が、獲物を焼かんと放たれる。
 だが、戦慣れした刀也にはその程度児戯にも等しく。
 軌道を見切り、残像で往なし。一気に間合いを詰めていく。
 焦った敵が慌てて新たな炎を放とうと、既に遅く。
 襲い来る炎を物ともせず、刀也は手近な本坪鈴を炎ごと一刀のもとに斬り捨てる。
「接近戦は不得手なようだな」
 それならばと、返す刀で別の一体を両断しながら、刀也は更に敵中深くへと斬り込んでいく。
 己の身を顧みぬ刀也の立ち回りに、本坪鈴達の動きが僅かに鈍る。
 無論、そのような好機を見逃すわけがない。
 見惚れる程に美しく、然れど苛烈な剣筋で。立て直す暇も、狙いを付ける隙も与えず、魑魅魍魎を屠って回る。
 苦し紛れに後悔の念で搦め捕ろうとしてくる本坪鈴を片っ端から叩き斬りつつ、刀也はちらりと己の歩みを思い起こす。
 ――ああ、考えるまでもない。これ以外の答えがあるものか。
「自分で決めて進んできた道だ、後悔なんて欠片もない」
 命を賭けて闘い、友となった者達との出会いは何にも変えられない宝物だ。
 それの何を後悔しろと言うのだ。
「お前らごときじゃ俺は楽しめない。まぁ、俺の道の邪魔をするなら、斬り捨てるがな」
 天武古砕流の神髄、一撃必殺の剛剣。
 その前では、如何なる防御も小細工も意味を成さず。
 獅子吼閃かせ、本坪鈴を数体纏めて両断しながら、刀也は未だ見ぬ強敵の訪れを待つのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ダンド・スフィダンテ
オッケーオッケー!任せておけ!一匹残らず、倒せば良いんだな!!

(ぐぅるりランスを緩く回して、灯すは焔。日輪の其れを。)

数が居るのは嫌いじゃないぞ?何せ多々一は得意なんでな!

(気負わず、けれど的確に。この手が届く範囲の敵は、全て綺麗に送ろうか。呪いなんてろくでもない物を、次は持たなくて良いように。)

っと!?
(飛び出して来た地獄の炎は、防壁で受け止め、自身への被害は最小限に。それでも尚燃えるのであれば、それはそのまま受け止める。)

この身は太陽。
敵の炎で動きを止める、なんて、笑われてしまうからな。

いやでも火達磨は勘弁だから!さーて!次だ次!さっさと片付けよう!!

(ご自由にお書きください!)



●黄昏を照らす
「オッケーオッケー、状況は理解した!」
 元気に響く第一声。がちゃり、質量のある足音。
 仲間を屠られ、ぎゃらぎゃらと抗議の音を立てる本坪鈴達を尻目に、ダンド・スフィダンテ(挑む七面鳥・f14230)は勢い良く転送陣から躍り出る。
 これはアレだな、シンプルなやつだ。
「一匹残らず、倒せば良いんだな!!」
 人懐こい柔らかさで、任せておけと明るく笑んで。手にしたランスを、ぐぅるり回し。
 緩やかに弧を描きながら、灯すは焔。日輪の其れ。生命照らすひかり。

 ――がらん、がらん、がらがらがらがらがら、

 色濃い生の匂いに惹かれた鈴達が、ざわざわとダンドの周りを取り囲む。
 己のあまりの人気っぷりに、はは、と思わず笑いが零れる。
「……数が居るのは嫌いじゃないぞ? 何せ、多々一は得意なんでな!」
 賑やかなのは嫌いじゃない。
 遣り甲斐もあるし、集まってくれた方が効率も良い。ついでに威力も鰻登り。うんうん、良いこと尽くめじゃあないか。
「そういうわけで――せーの!!」
 ぐるぐる穂先を閃かせ。気負わず、けれど的確に。
 この手が届く敵すべて、ひとつの呪いも残さぬように。叫く鈴の音ごと呑み込んで。
 さぁさ、お帰りは此方だ諸君。
 呪いなんてろくでもないものを、次は持たなくて良いように。せめて綺麗に送ろうか。

 ――ぎゃ、ぎゃり、ぎゃりぎゃり、がらがら、

 然れど、此方がいくら心を砕いても。相手は所詮、ひとに仇なす魑魅魍魎。いのちの対極。死の国の使者。
「――っと!?」
 猛攻から逃れた個体により開かれた黄泉の門から飛び出るは、生命奪う地獄の炎。
 がらり、がらり。今度はお前の番だとでも言うように本坪鈴達が嗤う。 
 だが。
「そう簡単には喰らってやれないんだ――なぁッ!!」
 はいそうですか、とは行かぬのが世の常。
 放たれた炎は、瞬時に展開された防壁に余さず吸い込まれ、届くこと無く消えていく。
「敵の炎で動きを止める、なんて、笑われてしまうからな」
 慌てて逃げようとする本坪鈴達をひと薙ぎし、男は笑う。
 それに、火達磨とか勘弁願いたいし。ダンドの丸焼きとか字面がもう格好つかないし。
「……さーて! 次だ次! さっさと片付けよう!!」
 ぐるり、槍を一回し。よーし、まだまだ元気元気。
 ああ、そうとも。この身は太陽。
 落日にはまだ早い。

成功 🔵​🔵​🔴​

真宮・響
【真宮家】で参加

さて、いい思いさせてもらったし、この町の守護、頑張らないとね。何か不快な音だね・・・澄んだ音が鳴るこの地に不協和音はいらない。まとめてぶっ壊すよ!!

まず【忍び足】【目立たない】で敵の背後を取る。【オーラ防御】【見切り】【残像】で強引に炎の中を突っ切って【不意打ち】【範囲攻撃】【二回攻撃】で【重量攻撃】を込めた竜牙で薙ぎ払う。【戦闘知識】で敵の動きが読めたら、【気合い】【怪力】で敵の一体を掴み、敵の集団の中に放り込んで隊列を乱してやるか。

ここはアンタらが居ていい場所じゃない!!邪魔だから早く消えな!!


真宮・奏
【真宮家】で参加

むむ、何だか不穏な風が吹いています。この不吉な音、不快ですし、何よりこの町に相応しくない。早々に退場して貰いましょう。

敵の炎の攻撃は、【オーラ防御】【盾受け】【武器受け】【拠点防御】【ジャストガード】【受け流し】【火炎耐性】で耐えます!!不吉の象徴なんかに負けません!!我が身は大切な日々を護る為にある!!この町を侵すことは許しません!!強い意志で【二回攻撃】【範囲攻撃】で彗星の剣で攻撃します!!彗星よ、この町の平和を護る為に力を貸して!!


神城・瞬
【真宮家】で参加

(母さんと奏の言葉に)澄んだ音が響くこの地にこの鈴の不協和音は相応しくありません。被害を広めないように、即急に対処しますか。

まず【鎧無視攻撃】【マヒ攻撃】【目潰し】【部位破壊】を仕込んだ【範囲攻撃】化した【結界術】を【高速詠唱】で敵集団に向かって展開、追撃をしようとしたところ、敵の攻撃で「親の犠牲で自分だけが生き残った」過去が頭に浮かんで一瞬攻撃を躊躇します。

でも傍で戦っている家族の姿を見て奮起。助けられた命で、大事な人達を護る、ここで立ち止まってはいられません!!体を無理やり動かして【二回攻撃】を併せた氷晶の矢で攻撃!!人々の温かい気持ちが満ちたこの町、護ってみせます。



●心燃やして
「……さて、いい思いさせてもらったし、この町の守護、頑張らないとね」
 刻々と濃くなっていく宵の色。
 境内の其処此処で閃いているのは、魔のものの放つ黄泉の炎か、はたまた味方の灯す命繋ぐ焔か。
 視界の端でそれらを油断なく捉えながら、真宮・響(赫灼の炎・f00434)ら真宮家の面々もまた、この地を護らんと戦場に立つ。
「何だか、不穏な風が吹いています。……それに、この音……」
 がらがら、ぎゃりぎゃり、耳障りに叫く禍々しき鈴の音。
 幸いを祈る優しい音とは似ても似つかぬそれに、真宮・奏(絢爛の星・f03210)は眉を顰める。
「不快な音だね……」
「ええ、不快ですし……とても不吉な感じがします」
「……澄んだ音が響くこの地に、このような不協和音は相応しくありません」
 神城・瞬(清光の月・f06558)も2人の言葉に頷きながら、手早く術式を組み立て始める。
「被害が広まる前に、即急に対処していきましょう」
「そうだね。この地に、こんな音はいらない――まとめてぶっ壊すよ!!」
「はい、早々に退場して貰いましょう!」
 その声を合図に、3人は其々役割に合わせ動き出す。
「――さて、」
 視線の先の鈴達を冷静に見据えると、瞬は今し方構築を終えたばかりの結界術を素早く広範囲に展開していく。
 複数の呪を束ねて作り上げられたそれは、瞬く間に本坪鈴達を呑み込んで。その視界と自由を奪い、身体を脆く作り替えてしまう。

 ――ぎぎ、ぎゃら、がらがらがらがら、

 運良く結界を逃れた鈴達が、次は此方の番だとばかりに騒ぎ立てる。
 同時に、ぼぼぼぼ、と宙を埋め尽くすのは、夥しい数の人魂の群れ。
 だが、その異様な光景にも怯むことなく、奏は愛用の剣を手に前へと踊り出る。
「我が身は大切な日々を護る為にある!! 不吉の象徴なんかに負けません!!」
 飛んでくる攻撃にタイミングを合わせ、掲げた盾で、剣で受け止め、受け流し。
 それでも手が足りぬ時には、気の力で強化した己の身を盾にし耐え忍び、奏は被害を最小限に食い止めていく。
 一分の隙も無い、ふたりの防衛線。
 子供達の成長に口元を笑ませながらも、響は生まれた好機を逃さない。
 気配を殺し、足音ひとつ立てずに鈴達の背後に回った響は、槍をひと薙ぎ奇襲を仕掛け、五月蠅い鈴共を一息に黄泉の国へと叩き還す。
 不意を突かれた鈴達もまた、負けじと門から数多の炎を招来し、体勢を立て直そうとするが、その程度で止まる響ではない。
「――この一撃は竜の牙の如く!! 喰らいな!!」
 持てる技術を駆使して強引に炎の中を突っ切ると、先程よりも更に重さを増した一撃で思いっきり戦線を掻き乱す。
 そんな動きで退けられると思うなよ。気合いと力量が違うんだ。
 響は逃げ損ねた1体を掴むと、混乱する敵目掛けて全力で投げ込んだ。

 真宮家の猛攻に押され、次々と屠られていく鈴達。
 しかし。
 猪突猛進に戦場を駆ける響と奏を援護しながら、この機に乗じて一気に片を付けんと追撃の準備を始めていた瞬の耳を、一際禍々しい鈴の音が襲う。
「!、……こ、れは……っ、」
 唇が、意思に反して勝手に詠唱を止める。

 ――がらん、がらん、がらん、がらん、

「――ッ、」
 再び響く音。
 鋭い頭の痛みと共に呼び起こされたのは、幼き日の記憶。
 瞬の奥底に深々と刻まれた、忘れ得ぬ光景。
 地を染める赤。鼻を突く鉄のにおい。生命の気配のない静寂。
 崩れ落ちる父、倒れ臥す母――重く伸し掛かる、生の代償。
 身体が凍り付いたように動かない。
 ああ、なんで、どうして、自分だけが、

「させないよ!!」
「――彗星よ、この町の平和を護る為に力を貸して!!」

 動きを止めた瞬を護るように、竜の牙が、彗星が、迫る敵達を薙ぎ払う。
「ここはアンタらが居ていい場所じゃない!! 邪魔だから早く消えな!!」
「この町を侵すことは許しません!!」
 耳朶を打つ力強い声が、追憶に沈んでいた意識を現実へと引き戻す。
 傍らで燦めくはふたつの光。何時かと変わらぬ、強き意志宿す瞳達。
 あの日、躊躇うこと無く己の手を取り笑った、家族の姿。
 ――そうだ、後悔などしている暇が何処にある。
「助けられた命で、大事な人達を護る……ここで立ち止まってはいられません!!」
 足に絡み付く過去を振り払い、凍り付いた身体を無理矢理に動かして。
 虚空に生み出すは氷晶の矢。反撃の一手。
「人々の温かい気持ちが満ちたこの町――護ってみせます!」
 境内に、氷晶の雨が降り注ぐ。
 籠めるは、この町の人々を――そして、寄り添うと決めたこのふたつの光を、絶対に護るのだという強き想い。
 もう決して歩みを止めまいと、瞬は固く心に誓うのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

岩戸・御影
●WIZ
ふふ、うまくいった
この地を守る為に使われて風鈴達も満足かな
良いもの買えたしお礼はしないとね

結界糸は風鈴を守りつつ敵を外へ出さない[結界術]として転用
[早業]で糸を繰り敵の攻撃を弾きつつ〈哭廻〉で反撃、敵の数を減らすよ
視界外の害意は[第六感]で感じ取り囲まれないように

――遠い昔
友を助けたい一心で彼に罪を犯させてしまった
獄卒である彼の個人意志で開けてはならない門を開けさせた
いずれ唯の傀儡と成り果てる友を見たくなかっただけなんだけど

だけどさ、後悔で胸が痛いからって動きを止めるのはかっこ悪いじゃん
方法としてはアリだけど僕はそんな幻ではへこまないよ

UCを発動し哭廻で[範囲攻撃]
纏めて腐らせよう



●いつかのまぼろし
 ――りぃん、りぃん、りぃん、りぃん、
 ――からからからからからからからから、

 境内にけたたましく鳴り響く、涼やかな警鐘。
 厄災の影を捉えた合図。まんまと彼方が己の仕掛けた網にかかった証拠。
「――ふふ、うまくいった」
 役目を終えて還っていく夜鷹を見送りながら、岩戸・御影(赫鬼面・f28521)はへらりと笑う。
 ああ、全く――首尾は上々。
 この地を守る為に使われて、風鈴達も満足していることだろう。
「良いもの買えたし、お礼はしないとね」
 思い起こすは昼間のひととき。うん、実に楽しい時間だった。
 蜘蛛の糸のように張り巡らせた警戒網を、文字通り包囲網へと転じ。御影は結界糸をぴぃんと弾く。
 さぁて、喰われるのはどちらの方か。
 知りたい者から来ると良い。

 夕暮れの境内に、本坪鈴と神器が舞う。
 体当たりをさらりと躱し、飛んでくる人魂は糸繰り弾き。囲まれぬよう立ち回り。
 ひとつ、ふたつ、みっつ、よっつ、
 一目で呪具と解る禍々しいそれが、散らした人魂と同じ数だけ本坪鈴を屠る。

 ――がらん、がらん、がらん、がらん、

 此処で終わってなるものか。
 始まりよりも大分その数を減らした本坪鈴が、そう言わんばかりに喧しく叫く。
 同時に、ぶわり、嫌な気配が御影の足へと纏わり付く。
「――、」
 呼び起こされるは、長い間生きている内に薄れた記憶。
 過去のまぼろし。遠い遠い、昔のはなし。
 脳裏に浮かぶ、ひとりの獄卒。

 君を助けたい。
 ただ、それだけだった。
 いずれ、唯の傀儡と成り果てるだろう君を、見たくなかった。
 だからあの日――彼個人の意志で開けてはならない門を開けさせた。
 彼に罪を犯させてしまった。
 それは確かに、奥底に深く刻まれた後悔の記憶で。

「……だけどさ、後悔で胸が痛いからって動きを止めるのはかっこ悪いじゃん」
 軽く肩を竦めると、御影は腕を一振り、見せた本坪鈴達ごと幻を斬り払う。
「方法としてはアリだけど、僕はそんな幻ではへこまないよ」
 次いで。じわり、じわりと蛇のかたちをした呪いが、本坪鈴達の傷から身の内へと入り込む。
 それは、無機物も有機物も関係なく、あらゆるものを蝕む猛毒の瘴気。
「へこまないけど――きっちりお返しはさせてもらうよ」
 御影の口元が、悪辣に弧を描く。
「纏めて腐れ」
 その言葉を合図に。
 境内には、暫くの間、ごとごとと重いものが落ちる音が響き続けた。

成功 🔵​🔵​🔴​

九十九折・在か
祭の匂いだ!
私もいっちょ噛ませてくれよ!

●心情
乱闘前の高揚
後始末を気にしないでいい、という家主(神)への好意
自分が生者と認識されるかの興味

●戦闘
散弾銃『嘶』を乱発しながら戦場に飛込む
「しへへ!楽しそうじゃん!私も混ぜろよ」

敵陣に突っ込んだらUC『絶息』を発動
以降はバス停『終点』と『嘶』を手に
撃って叩いての大騒ぎ

かかる炎は受け止める
コートは焼けちゃうしマニキュアも剥げちゃうけど
いちいち避ける方がオウジャらしくなくて癪だから
あと黄泉の門は可能なら蹴って閉める
邪魔だし
「こんな炎じゃ火葬(おく)れないぜ。私を倒したきゃエンマ大王つれてこーい!」

*アドリブ大歓迎



●さぁさ祭りだ殴れや騒げ
「――祭の匂いだ!」
 ぴょいっと、軽やかに転送陣から飛び出た九十九折・在か(デッドガールのゴッドハンド・f24757)は開口一番、そう言った。
 目を輝かせ、きょろきょろと辺りを見回すその姿は、戦場に来たとは思えない程に楽しげだ。
 これは乱闘だ。乱闘だよな。乱闘だろどう見ても!
 止まったはずの心臓が、どっくんどっくん暴れているような感じがする。高揚感でびりびりする。
 実際、ヴォルテックエンジンがびりびりしてるんだけど。
「私もいっちょ噛ませてくれよ!」
 後始末を気にしないでいい、だなんて太っ腹なカミサマだ。
 思う存分暴れていいってことだろ、そうだよな!
 愛用の散弾銃を乱発しながら、お待たせしましたとばかりに戦場へと飛び込んで。死者も飛び起きるような嘶を響かせて。
 適当に目があった敵にご挨拶。
「しへへ! 楽しそうじゃん! ――私も混ぜろよ!」
 返答代わりの黄泉の炎は、弾丸で相殺。
 よしよし、やる気だな。そう来なくっちゃ楽しくない!
 お礼に、特等席で聞かせてやるよ。

「グルルゥアア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙゙!!!!!」

 敵陣のど真ん中、全力で咆哮する。
 どこまでも、どこまでも遠く飛べ。
 息を奪え。
 ここは森だ。私の領域だ。
 そしてお前らの終点だ。

 残った奴ら、お前ら根性あるな!
 なら、もっと遊ぼうぜ。お前らだって、まだまだ遊び足りないだろ?
 掠れた『極楽』の文字振り回し、好き勝手に嘶いて。撃って叩いての大騒ぎ。

 ――がらがらがらがら!

 生者として連れて行こうとしているのか。
 はたまた、死者として連れ戻そうとしているのか。
 本坪鈴のひとつが、いい加減にしろよと五月蝿く鳴きながら黄泉の門を開く。
 私に地獄の炎だなんて、いい度胸だな、おい。
 上等だ、全部受け止めてやろうじゃないか。
 お気に入りのコートは焼けちゃうし、折角キレイに塗れたマニキュアも剥げちゃうけど、いちいち避ける方がオウジャらしくなくて癪だもんな!
「邪魔!」
 炎の中を突っ切って、黄泉の門を蹴って閉め。ついでに開けた奴もぶっ飛ばす。
 人としての未来が絶たれても。
 緑の冠も祝福も、すでにこの身から遠くとも。
 それでも今は、今を楽しむので忙しい。
「こんな炎じゃ火葬(おく)れないぜ。私を倒したきゃエンマ大王つれてこーい!」
 そう簡単に倒されてやる気はないけどな!
 森に還るのは、まだ先で良い。

成功 🔵​🔵​🔴​




第3章 ボス戦 『餓蒐』

POW   :    屍山脈脈
全身を【掴み攻撃を行う数多の腕】で覆い、自身が敵から受けた【ダメージや、向けられた感情】に比例した戦闘力増強と、生命力吸収能力を得る。
SPD   :    定離斬
【刀を使った連撃と、それに伴う衝撃波】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
WIZ   :    凶夢の呪い
【右目に嵌まった鳴らない鈴】を向けた対象に、【動けなくなる程の深い悪夢】でダメージを与える。命中率が高い。
👑7
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は藏重・力子です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●鈴の音絶えて

 日が落ちる。
 夜が来る。

 ――ごとん、

 重いものが落ちる音。
 それを最後に、しん、と静まり返る境内。
 あんなにも煩かった、ぎゃらぎゃら喚く禍々しい鈴の音は、もう聞こえない。

 これでもう、心配はないはずだ。
 集った誰もがそう思っていた。


 ――ずるり、
 ――べたり、べたり、がり、がり、


 何かを引き摺るような、何かが這いずるような、悍ましい音。
 混じる、地面を引っ掻くような嫌な音。

 音と共に現れたその闇は、ひとのかたちをしていた。
 いつか取り込んだ骸のかたちをしていた。
 いつか殺してうばった男のかたちをしていた。

 男の足元からずるずると這い出てくるのは、赤黒い無数の腕。
 更なる力を求め、学習し、模索し、殺戮と吸収を続けるもの。

 男の右目に嵌まった音無しの鈴を見て、男の纏う血のにおいを感じ取って、誰かが呟く。 
 先程の魑魅魍魎も、もしかして、此奴が。

「――」

 男が嗤う。
 問いに答えたのか、それとも、単純に目の前に居る獲物の群れに喜んだのか。
 本当のところは、誰にも分からない。

 その妖に、ひとのことばは通じない。
 その屍に、ひとのこころは分からない。
 ただ、新たな死体を求めるのみ。

 逃せば、その先にあるのは誰かの死だ。
 飽きて新たな玩具を見つけるまで傀儡にされるであろう、誰かの死だ。

 風が吹く。
 風鈴が鳴る。
 まるで、貴方達に『どうかそれを止めてくれ』と叫ぶように。
 貴方達に、すべてを託すように。
ダンド・スフィダンテ
よーし!貴殿が親玉か!
だが困った。俺様そこまで素早く無いから、1対1はあまり得意ではないんだよな。
デカブツなら当たりやすいから別なんだけど……。

なんにしろやってみるか〜!
こちらの作戦としては初手で薙ぎ払い、怪力、属性攻撃を乗せた通常のパワー攻撃を試みるぞ!
そうして相手がUCによる反撃をしてきたら、その時初めてこちらのUCを使用する。

とは言え、最初も言った通り1対1はとくいじゃない。
他の者が攻撃しやすくなる様に、相手の体力や集中力を削るのを目的としよう。

……俺様、ミューズや子供の笑顔を奪う存在は、地雷なんだ。
申し訳ないが骸の海へと戻ってもらうぞ。



●夜を穿つ
「よーし! 貴殿が親玉か!」
 男が近付く度に段々と色濃くなっていく夜の気配を、血のにおいを物ともせず。
 闇を裂くような明るい声で、ダンド・スフィダンテ(挑む七面鳥・f14230)は再度ランスの柄を握る。
「だが困った。俺様そこまで素早く無いから、1対1はあまり得意ではないんだよな」
 ふむ、と空いている方の手で顎を撫でる。
 本当に1対1と言って良いのかは、よくわからないが。だって貴殿、足元に腕いっぱいあるしなぁ。
 けれど、どんなに腕が多くとも、全体的には人間サイズの域を出ない故、当たりやすいかと言われるとそうでもない。
「デカブツだったら別だったんだがなぁ……なんにしろ、やってみるかぁ!」
 たはは、と眉下げた困り笑いを、からりとした笑顔へ変えて。思考を瞬時に切り替える。
 そうだ、まずはやってみてから考えれば良い。駄目なら駄目で、その時だ。
 人並み外れた力で薙ぎ払うそれに宿すは、太陽の熱とひかり。闇を晴らすちから。
 相手の出方を見ながら、ダンドは適度な間合いを保ちつつ、ランスを振るう。

 ――ずぅるり、

 悍ましい音と共に、相対する男の全身が、足元から這い出た数多の腕で覆われる。
 ダンドから受けた攻撃を、裂傷を、感情を逆手に取り、己の力へと変えていく。
 生命のかがやきを奪い取らんと、目の前のひかりへとその手を伸ばす。

 然れど。

「ああ、たぶん、それは悪手だぞ」

 ダンドが構えるランスの穂先が、光を纏う。
 相手が強化された分に比例して、その輝きを増していく。
 1対1は得意ではない。
 得意ではないが、出来ないわけでは無い。
 それに、己の力が足りなくとも、それを補ってくれる仲間も居る。
 ならば今は、続く他の者が攻撃しやすくなる様、全力で相手の体力や集中力を削るのみ。

「――穿ち、貫く」

 放たれるは、闇を穿つ天の杭。
 伸ばされた数多の腕を纏めて穿ち、貫き、引き千切り、断ち切る、必殺の一撃。
「……俺様、ミューズや子供の笑顔を奪う存在は、地雷なんだ」
 すぅ、と目を細め、太陽は呟く。
 申し訳ないが。特に、死して尚、弄ばれているのであろう『貴殿』には。
 だから、せめて。
「骸の海へと戻ってもらうぞ」
 それしか己には出来ないのだから。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ルク・フッシー(サポート)
こ、こんにちは。ぼ、ボクは、ルクといいます

戦いは怖いですけど…誰かの大切な物を守るために…
大丈夫です。ボク、戦います…!

できるだけ敵と中〜遠距離を保ち、相手の能力を考え、最適だと思うユーベルコードを使い戦います
塗料に属性や誘導弾などの性質を宿す事もあります

攻撃はよけるよりオーラ防御や武器で受けて軽減したり、激痛耐性で耐えたりする方が得意です

たとえ依頼達成のためでも、他の猟兵や一般人などに迷惑をかけるような事や公序良俗に反する事はしません

よ、よろしくお願いします…!(絵筆をきゅっと抱きしめる)


マヤ・ウェストウッド(サポート)
「アタシの助けが必要かい?」
◆口調
・一人称はアタシ、二人称はアンタ
・いかなる絶望的状況におちいろうとも希望と軽口をたたくことを忘れない。だけどちょっとキザすぎるのが玉にキズ
◆癖・習性
・獣人特有の鋭い野生の勘で、危機を察知できる
・紅茶中毒
◆行動傾向
・おとぼけな言動や態度とは裏腹に、困っている人を放っておけず、たとえ秩序や慣習に背こうとも、自身の正義を貫こうとする
・弱者の盾になることに存在意義を見出しており、戦場では最前線で豪放に戦う。その形相は、まさに地獄の番犬
・医学に心得があり、人体の構造を知悉している。言い換えれば、人を効率よく「壊す」方法の専門家でもある
・パンジャンドラムは淑女の嗜み



●旻天に鈴の音
 幾度も穿たれ、貫かれ、引き千切られ、断ち切られようと、その骸は止まらない。
 ああ、死を、死を、死を、死を、
 新たな死を、新たな身体を、新たな力を。
 果て無き欲求――ただ、それを満たすために、目の前のいのちを求め続ける。
「また随分と活きの良い『病魔』じゃないか――治療し甲斐があるってもんさ」
 その姿に、戦場に降り立ったマヤ・ウェストウッド(フューリアス・ヒーラー・f03710)の唇が弧を描く。
「た、戦いは怖いですけど……」
 隣に立つのは、愛用の大きな絵筆を大事そうに抱いたルク・フッシー(ドラゴニアンのゴッドペインター・f14346)だ。
 戦いは嫌いだ。本当は、こうして戦場に立っているのも怖い。
 でも、それよりも。
「……誰かの大切な物を守るためなら、」
 誰かが傷つく方が、苦しむ方がずっと嫌だ。
 目の前の敵を、覚悟を決めた顔で見据えて。恐怖も涙も力に変えて。ルクは絵筆を構え直す。
「アンタは一人じゃない。……前は任せな!」
 彼の覚悟に頷くと、マヤもまた、ざり、と地を踏み点滴スタンドを構えた。
 数多の人々のいのちを、世界を、そして己の誇りを架けて。
 ――お前は必ず、此処で討つ。
 
 戦況は、常に猟兵達が優勢を保っているように見えた。
 ルクの援護を受けながら、マヤは豪快にその力を最前線で振るう。
 次々と襲い来る腕を効率よく屠り、男の刀を受け流し、その身に強烈な一撃を叩き込む。
 人のかたちはアタシの専門、容易く壊せるに決まっているだろうよ。
「さぁ、次はどいつの番だ? まどろっこしいから纏めて来な!」
 地獄の番犬の如き獰猛な笑みを浮かべながら苛烈に咆える彼女の後方から、的確に飛ぶのは魔法の塗料。
「えっと……そ、それなら、これとか……!」
 可能な限り敵との間合いを最適に保ったまま、ルクは水晶玉から新たに生み出した塗料を敵へと放つ。
 ばしゃりと地を這う腕の群れに当たった塗料は、籠められた属性に応じて鮮やかに燃え盛り、凍て付き、敵を砕く。
「――」
 然れど、攻撃手段を削がれながらも、屍の男は依然不気味な笑みをその口元に湛えたまま、飽きもせず腕達をふたりへと差し向ける。
(重い……ッ!)
 刀による連撃を点滴スタンドで捌く中で、マヤは先程よりも男の一撃一撃の重さが増していることに気付く。
 今この瞬間も、この妖は自身が受けた裂傷や、向けられた感情を己の力と変換しているのだ。
 戦いが長引けばどうなるかなど――考えずとも分かる。
「……上等じゃないか」
 ならば、どうすれば良いか。答えは簡単だ。
 それを凌ぐほどの圧倒的な力を持って、殺られる前に殺るしかない。

 ――その時、唐突に。
 ぐりん、と男の顔が、目の前のマヤを無視してルクの方を向いた。

「っ、え、ぁ……!?」
 距離を置いているのにも関わらず、徒ならぬ気配に、びくり、とルクの身体が思わず震える。
「!、――させないよッ!」
 妖の右目に嵌まった鳴らない鈴が彼を捉えるようも速く。獣人特有の研ぎ澄まされた野生の勘が、マヤの身体を突き動かす。
 これは間違いなく良くないものだと警鐘を鳴らす。
 ルクを庇い眼前に再度躍り出たマヤを、妖の視線が真っ直ぐに射貫く。
 ――それは、痛みすら伴う、深い深い凶夢を誘う呪いの視線。
 心を折り、動く気力を奪わんと。その生命をも喰らわんと放たれる、悪意の塊。

 だが、

「……ははッ、」

 凶夢の呪いをまともに受けて尚、彼女は希望に満ちた顔で笑う。
 妖が、向けられた感情や痛みを己の力とするように。防弱武人のふるまいが、彼女を最強たらしめる力となる。
「別に、アンタの為なんかじゃないよ。アンタが嬉しそうにしていると、アタシの気分がいいからそうするのさ!」
 前を向いたまま、後方へとそう声を掛け。マヤは獲物を手術刀へと持ち替える。
 弱者の盾であることこそ、我が存在意義。
 この程度で膝を折れる等と思うなよ。
「は、はい……!」
 力強い彼女の言葉に、ルクもまた覚悟新たに体勢を立て直し、眼前の恐怖へと立ち向かう。
 そうだ、怯んでいる場合じゃない。
 この絵筆と意志で、すべての絶望を塗り潰す――そのために、此処に立っている。
 考えろ、考えろ、考えろ。
 今、この状況で最適な手は何だ。一気に勝負を決めるのに必要なこと。
「――ここは……これで!」
 考え抜いた末、ルクが水晶玉で生み出したのは石化の属性を持つ絵の具。
 大胆に振り撒かれたそれは、命中した物の材質を周りの地形ごと強制的に石へと変え、更にその上に立つルクの力を高めていく。
 這いずる腕を、屍の身体を石に変えられたそれは、自由を奪われて尚、ふたりの死を、町の人々の死を、すべてのいきものの死を求めて足掻くも、

「いい加減壊れな」
「これで……終わり、です!」
 
 その欲求が満たされることは、もう永久に無く。





 血のにおいを払うように秋風が吹く。
 厄災は去り、人々の平穏な日々はこれからも変わらずに続いていく。

 ――ちりん、

 静寂を取り戻した境内に、礼を告げるかのような風鈴の声がひとつ、響いた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​



最終結果:成功

完成日:2021年11月27日
宿敵 『餓蒐』 を撃破!


挿絵イラスト