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光も弾も千々に乱れりゃみな花よ

#カクリヨファンタズム

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#カクリヨファンタズム


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●弾にビームにしっちゃかめっちゃか
 弾が飛ぶ。
 光線が迸る。
 轟音に、爆音に、爆発音が四方八方から。
 それが戦場ならいざ知らず、そこは神社の参道、辺りには屋台がずらりと並んで。
 否、戦場に似つかわしくない場所とは言え、そこら一帯が全部戦場と言えた。
 妖怪はとにかく死んではならぬと逃げ惑い。
 辺りを飛び回る骸魂に飲み込まれては新たなオブリビオンと化し。
 そんな阿鼻叫喚の地獄の只中、神社の境内に、一体の竜が座していた。
「グォォォォ! 足リヌ、足リヌ! モット砲ヲ、破壊ヲ!!」
 猛々しく吼える竜の背中に積まれた大砲から、閃光がピカリと放たれた。

●そのしっちゃかめっちゃかが日常とな
「新世界、なんだか、大変です……」
 グリモアベースにて。アスター・ファラデー(ルーンの繰り手・f02089)はいつも通りの無表情で言いながら、集った猟兵たちにそう言った。
 新しく発見された世界、カクリヨファンタズム。
 UDCアースに隣接し、UDCアースから移って隠れ住む妖怪や古い神々が暮らす、どことなく懐かしい雰囲気の世界。
 しかし同時に、日常的に世界崩壊の危機に瀕し、妖怪を飲み込んで生まれるオブリビオンが跋扈してはあらゆるものを失わせていく、不安定な世界でもある。
 世界発見と同時に世界崩壊に対処する。なかなかにアグレッシブだ。
「崩壊するのが、日常だからと言って、放置はできません……事件を予知しましたので、対応を、お願いします……」
 そう言って、ケットシーの少女は表情を動かさずにそう告げた。
 彼女が今回予知した事件が起こるのは、カクリヨファンタズムのとある神社周辺。その神社の周辺では「砲」が氾濫し、ひっきりなしに砲弾やらビームやらが放たれては周辺一帯を破壊しているのだという。
 恐ろしい話だ。オブリビオンによる破壊よりも、その砲撃で世界が破壊されかねない。
「砲撃と、オブリビオンの襲撃から、逃げるべく、妖怪たちが参道に殺到し、我先にと逃げようとしています……が、目的地の神社には、その参道を通らなくては、なりません」
 つまり、押し寄せてくる妖怪に何とか対処しながら進んでいかなくてはならない。
 力づくで押し通るのでも、なんとか知恵を巡らせて潜り抜けるのでも、素早く通り抜けるのでも、なんでもいいだろう。とにかく神社に辿り着くことが重要だ。
 しかして神社に辿り着いてからも、困難は待ち構えている。
「神社の中は、オブリビオンの力によって、迷宮と化しています……迷宮を攻略しないと元凶のオブリビオンのところには、行けません」
 そう話すアスターの尻尾が、心なしかへにょりと垂れた。
 迷宮の中には配下のオブリビオンの姿もある。童子姿のオブリビオンが迷宮内をパトロールしては、侵入者への対処に当たっているようだ。
 迷宮を的確に攻略したり、迷宮の構造をうまく利用することが出来れば、戦闘を有利に進めて手早く首魁の元に辿り着けるだろう。
「それと、この世界のオブリビオンは、骸魂が妖怪を飲み込んで、変身したもの、とされています……完全に飲み込まれてしまった妖怪は、助けられないですが、首魁のオブリビオンのように、力のある妖怪を飲み込んだ場合は、助けられます……」
 アスターが、キリッとした表情を見せながら言った。
 曰く、妖怪はあくまで骸魂、つまりカクリヨファンタズムに辿り着けずに死んでしまった妖怪の霊魂に飲み込まれただけなのだ。オブリビオンの骸魂だけをうまく倒すことが出来れば、飲み込まれた妖怪を救うことが出来るという。
 猟兵たちが頷いたところで、アスターが腰の革袋からルーンストーンを一つ取り出す。
「ティール、ですね。積極的に、目標に向かって、恐れずに突破する、勇気と覚悟が求められています……皆さん、無事に、帰ってきてくださいね」
 そう言って、ケットシーの少女はぺこりと頭を下げた。


屋守保英
 こんにちは、屋守保英です。
 新世界が来ましたね。毎日滅亡しかけている世界とは予想してなかった。
 これはヤバい。

●目標
 ・竜撃大砲×1体の撃破。

●特記事項
 この幽世には「砲」が大量発生しています。
 ありとあらゆるところに発生した「砲」から世界を破壊する砲弾やビームが飛び交い、無数の骸魂を発生させて妖怪たちを次々飲み込んでいます。

●場面・戦場
(第1章)
 幽世のとある場所にある神社に続く、屋台が並んだ道です。
 妖怪たちが砲撃やビーム、襲ってくるオブリビオンから逃げ惑い、大混乱に陥っています。
 妖怪たちが殺到する道を通り抜け、神社の境内に辿り着きましょう。

(第2章)
 迷宮と化した神社です。
 骸魂童子が10体ほど、迷宮を突破しようとする猟兵たちを邪魔しようと襲ってきます。

(第3章)
 迷宮と化した神社の最奥部です。
 竜撃大砲がある程度の広さのある空間の中で、皆さんを待ち構えています。
 骸魂だけをうまく倒すことが出来れば、飲み込まれた竜を助けることが出来ます。

 それでは、皆さんの力の籠もったプレイングをお待ちしています。
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第1章 冒険 『化物づくし妖怪道中』

POW   :    力ずくで押し通る。

SPD   :    素早く身軽に走り抜ける。

WIZ   :    知恵を巡らし通り抜ける。

👑7
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

山梨・玄信
………ヒロアスかAHではないのか?いきなりどうなっとるんじゃここは!

【SPDを使用】
先ずは褌一丁になるぞ。
ここは妖怪の世界じゃから、それで避けられる事も無いと思うが、こうしたのは理由があるぞい。

先ずは服が避難民に引っかからぬよう、そしてUCの効果を最大限にする為じゃ。

逃げて来る妖怪達の動きを第六感と見切りで読み、隙間を落ち着いてすり抜けて行くぞい。
ぶつかりそうになったり、転びそうな妖怪が居たら、オーラ防御で守ってやるのじゃ。それで落ち着いてくれれば、こちらも助かるしの。

無事に抜けたら、妖怪達の避難誘導をするぞい。
後の人のためにもな。

アドリブ歓迎じゃ。


高柳・零
WIZ
何処のオタクの妄想で出来た妖怪ですか!宇宙戦艦とか巨大ロボットの妖怪ですよねこれ!(大喜び)

「妖怪には飛べる方も居るでしょうが、数は多くないでしょう。それなら!」
先ずはUCを発動して空を飛びます。
そして、オーラを被せた盾でビームやオブリビオンの攻撃から妖怪さん達を守ります。
「自分が付いてますから、皆さん落ち着いて逃げてください!」

妖怪さん達を落ち着かせる事で、お互いがぶつかるリスクを下げます。

それでもぶつかりそうな時は相手をオーラで包んで、盾で受けます。連鎖してぶつかりそうなら、見切りで他の方に当たらないように押します。
「すいません、ちょっと道を開けてもらいます!」

アドリブ歓迎です



●妖怪が駆けずり回っててんやわんや
「うわー逃げろー!!」
「邪魔するな、どけーっ!!」
 東方妖怪も西洋妖怪も新しい妖怪も、一緒になって神社の参道を駆けている。
 頭上では砲弾がひっきりなしに飛び交い、参道を挟んで並ぶ屋台に飛び込んでは粉々に砕き、ビームがその残骸を更に焼き尽くしていた。
 正しく、地獄絵図である。
 山梨・玄信(3-Eの迷宮主・f06912)は呆気に取られた表情で、目の前に広がる大惨事を見ていた。
「……ヒロアスかAHではないのか!? いきなりどうなっとるんじゃここは!」
「何処のオタクの妄想で出来た妖怪ですか! 宇宙戦艦とか巨大ロボットの妖怪ですよねこれ!」
「なにを喜んどるんじゃ零殿!」
 対して彼の頭上を飛翔する高柳・零(テレビウムのパラディン・f03921)は、いつも以上にわくわくとした表情を液晶画面に映しながら、盾を構えて砲弾を弾き返していた。
 どうやら神社の最奥部にいる妖怪に心が躍っているらしい。そんなにツボったか。玄信のツッコミもその通りである。
 とはいえ零も零で、旧知の玄信に批判的な視線を向けた。
「そういう玄信さんこそ、なに往来のど真ん中で褌一丁になってるんですか!」
 なぜなら、玄信は文字通り褌以外の一切を身につけていない状態だからである。ヌギ力が冒頭からマックスだ。
「ふっふっふ、これにはちゃんとした理由があるのじゃ」
 しかし玄信は自慢げに笑みを浮かべて零を見た。次の瞬間、彼はまっすぐに、全速力で妖怪の中へと突っ込んでいく。
「服を着ていなければ避難民に引っかかることもない!」
 その素早い動きと第六感で妖怪たちの集団の隙間を見つけてはそこに身体を滑りこませて前に進み。さらには転びそうになったり砲弾やビームの余波を受けそうになっている妖怪に手を貸し、飛んでくる残骸を切り捨てていた。
「加えて、シーブズ・ギャンビットの効果を最大限発揮できる!」
「なるほど、理にかなっていますね!」
 服を身につけていなければ他人に引っかかって動きを阻害することもない。加えて移動速度も上げられる。確かに、適切な対応だ。
 零も妖怪たちの上を飛びながら、次々に砲弾を盾で弾き、ビームを反らしている。その動きを見せつけながら、彼は声を張り上げた。
「自分と、そこの褌一丁の人が付いてますから、皆さん落ち着いて逃げてください!」
「焦れば焦るほど逃げづらくなる、慌てず騒がず逃げるんじゃ!」
 零の発言に続けるようにして、玄信も声を張り上げる。二人の姿に、妖怪たちは幾分か落ち着きを取り戻していた。
「あの小さい人、ビームを防いでる……すごい……!」
「よし、言われた通りに焦らず逃げるぞ!」
 安心した様子で、再び妖怪たちが駆けだす。しかし先程までの無秩序な逃走ではない、ある程度落ち着いた、秩序だった退却だ。
「なんとかなりそうじゃな」
「ですがまだ妖怪の人たちはいます。油断せず進みましょう」
 ほっと安堵の息を吐く玄信に発破をかけつつ、零は再び空を飛ぶ。逃げてくる妖怪はまだまだいるし、砲弾もビームも休まる時がない。油断する暇はちっとも無かった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

キング・ノーライフ
UDCは地球に居れても妖怪達は幽世か。
そして過去の遺物で出来たより骸の海に近い世界だからこそ、
このような事態が多いのかもしれん。

【狸塚の呼び鈴】で狸塚を呼び、状況確認。【威厳】を出し、【救助活動】や【誘惑】の誘導で事態を少しでも収束に向かわせれば通りやすくなるだろう。

それでもパニックが極まった妖怪はそれなりに居るだろう。それをヤる訳にはいかんからな、【従者転身】で狸塚に化けて疑似分身の術で驚かせたり、妖術で巨大従者ぬいぐるみで出してもふらせてみたりとショック療法で我に返して通るか。

さて、今の姿で同じ姿の狸塚に偉そうにするのは違和感があるな。
この姿の先輩だし、敬ってみるか…そんな口実でからかう。



●UDCも妖怪も入り乱れて大変
 神社の参道を駆けて、妖怪たちが大挙して押し寄せてくる中。
 キング・ノーライフ(不死なる物の神・f18503)は金の瞳を細めながら、迫り来る無辜の妖怪たちを見た。
「UDCは地球に居れても妖怪達は幽世か」
「過去の遺物で出来たより骸の海に近い世界だからこそ、このような事態が多いのかもしれないですね」
 彼の従者の一たる狸塚・泰人も、眼鏡を直しながら前方を見る。
 彼も彼で、元が元なだけに妖怪たちを他人事のようには思えないらしい。しかしこれだけ危機的な状況で、混乱のさなかに放り出されては、何を言うまでもなく。
「さて、狸塚。状況はどうだ」
「皆さん、ひどく混乱していますね……威厳を見せても指示を出しても、すぐに従ってはくれなさそうです」
 泰人の言葉に、キングは小さく肩をすくめた。確かに現状、言葉だけであの妖怪たちをスムーズに避難させるのは難しいだろう。
「よし、分かった。お前はお前で避難誘導をしておけ」
「かしこまりました」
 ある種ぞんざいなキングの指示に、泰人は淡々と応える。
 そして泰人は右に、キングは左に。それぞれ分かれながら妖怪たちを誘導するべく動き出した。
 それと同時に。
「さて……」
 そう、キングが呟いた瞬間に。キングの姿が泰人と寸分違わず同じ姿へと変じた。
 そのまま、迫ってくる妖怪たちの道行きを定めるように、参道に沿うようにずらりと分身を作ってみせる。
「わっ!?」
「はい、皆さんここから先へは進まないでくださいね。この道をまっすぐ、そのまま進んでください」
 口調も泰人のそれと全く同じ調子で、キングが妖怪へと呼びかける。その中で混乱のさなかに放り込まれて涙を目に浮かべる、新しい妖怪と思しき少年に向かって、泰人はそっと身をかがめた。
 ぽん、と音を立てて手の内に表すのは、たぬきのぬいぐるみ。
「怖かったですよね? 大丈夫ですよ、これを持っていっていいですから、ちゃんと逃げてくださいね」
「あうう……」
 キングから手渡されたぬいぐるみを抱きしめて、妖怪の少年は駆けていく。きっとどこかのタイミングで消えてしまうだろうが、無いよりは幾分ましだ。
 しっかりと狸塚・泰人同等の働きを見せるキングに、泰人本人がうっすら目を細めてそちらを見やる。
「ご主人様、うまく仕事をしていますね……」
 そう零した泰人の声を聞きつけたか、キングがふっと笑みを向ける。
「いえいえ、『先輩』には敵いませんよ」
「ちょっ!?」
 キングの発したからかいを含んだ言葉に、泰人がちらと困惑して。
 そのまま二人の泰人は、妖怪たちの避難誘導を続けていった。

成功 🔵​🔵​🔴​

太刀風・橘花
現場は敵襲により大混乱に陥っているな……下手に戦えば、一般の妖怪達を巻き込みかねん
ここは【騎兵突撃】で軍馬に乗って迅速に参道を突破するとしよう

砲撃や敵襲、逃げる妖怪達の動きを冷静に見定め、軍馬の機動力を活かしそれらの間隙を縫って前進だ(『見切り』『ダッシュ』)
逃げ惑う妖怪達で進路が塞がれていたり、敵の攻撃が集中したりしたとしても、跳躍して回避し足は止めん
場合によっては敵を足蹴にして跳び、そのまま後方に着地して走り抜けるぞ(『ジャンプ』『踏みつけ』)

蹴飛ばした衝撃でうまく骸魂から飲まれた妖怪を分離させて助けられれば、言うことなしだが、とにかく足を止めずに進み続けて敵の本拠である神社に突入するぞ!



●この現場にもオブリビオンはいるわけで
 無辜の妖怪たちを追い立てるオブリビオンな妖怪たちを見やって。
 太刀風・橘花(軍人狐・f23328)はその腰にはいた軍刀をしっかと握りしめた。
「現場は敵襲により大混乱に陥っているな……下手に戦えば、一般の妖怪達を巻き込みかねん」
 このままでは追い立てられる妖怪たちが被害に遭いかねない。それは好ましくない話である。
 しかして、橘花は迷わず飛び出した。
「よし、行くぞ!」
 相棒の軍馬に飛び乗り、全速力で前へ、前へ。
 参道を疾駆する橘花の姿に、妖怪たちは明らかに困惑した。 
「わっ!?」
「前からも――!」
 前方からも駆けてくる、馬に乗った存在がある。それに戸惑う妖怪が、足を止めないはずもない。
 その、空隙を突くように。
「はっ!!」
 橘花の駆る軍馬が、高く高く跳躍した。着地する地点で、無辜の妖怪たちを追い立てていたオブリビオンを踏み潰す。
「ギャァァッ!!」
「よし、このまま行くぞ!」
 綺麗に敵方の妖怪だけを蹂躙した橘花の姿に、呆気にとられていた妖怪たちも再び走り出す。そのまま銃弾、砲弾、砲撃の下を潜るように前へ、前へ。
「とにかく足を止めるな、進み続けて敵の本拠である神社に突入するぞ!」
 その猛攻の下を潜りながら、橘花は駆けた。
 とにかく前へ、元凶のある神社へ向けて、前へ。その目に迷いは、一切無かった。

成功 🔵​🔵​🔴​

木常野・都月
いかにも世界が崩壊しそうですっていう状況だな!?
砲弾とかビームとか、当たったら絶対痛いやつだ。

ちょっとズルだけど、俺はチィに助けて貰おうかな。
チィ、頑張れ!

UC【精霊騎乗】で神社を目指したい。

チィは精霊様だから、空が飛べる。
俺を乗せて神社まで飛んで欲しい。

その代わり、俺は砲弾やビームを対処したい。

[高速詠唱、属性攻撃]の[カウンター]と、[オーラ防御]でチィを守りたい。

早く神社に辿り着く事が重要だって言ってた。

他の妖怪達を助けたいけれど、今は予知を信じて先に進みたい。
風の精霊様には、チィに追い風を頼みたい。



●荒れて乱れてしっちゃかめっちゃか
「いかにも世界が崩壊しそうですっていう状況だな!?」
 そう吐き出して参道に立つのは木常野・都月(妖狐の精霊術士・f21384)だ。
 妖怪が入り乱れて大混乱。空を見上げればひっきりなしに砲弾やらビームやらが飛び交って、とても耳にやかましい。
 これが終末の光景でなくてなんだろう。世界が崩壊しかかっている、という状況に、全くもって相違がない。
 参道を逃げ惑う妖怪たちを前に、都月はぺろ、と口元を舐めた。これはとても、正面突破は出来そうにない。
 ならば。彼は杖の先端に降り立つ小さな白い狐を見た。
「ちょっとズルだけど、俺はチィに助けて貰おうかな。チィ、頑張れ!」
「チィ!」
 都月が月の精霊、チィに声をかけると、一声鳴いたチィが杖の上から地面に降り立つ。と、その身体がむくむくと大きくなった。
 都月の身長の二倍ほどにまで巨大化したチィの背中に彼は飛び乗る。と、翼もないのにチィの身体が宙に浮いた。
 精霊騎乗。並の生き物ではない、精霊であるがゆえにの、並外れた移動法である。
 そのまま都月は妖怪たちの頭上を駆けた。頭上を飛ぶ様子を妖怪が驚いて見上げ、気を取り直してまた駆けていく中、文字通り飛びながら神社を目指す。
「他の妖怪たちを助けられれば一番いいけれど……あれだけの数は難しい。なら、まずは神社に向かわなきゃ」
 そう零して、都月とチィは空を走る。
 激しく行き交う砲弾とビームが夜空を彩る中、目指す神社はぐんぐんと近づいていった。

成功 🔵​🔵​🔴​




第2章 集団戦 『骸魂童子』

POW   :    怪力
レベル×1tまでの対象の【尻尾や足】を掴んで持ち上げる。振り回しや周囲の地面への叩きつけも可能。
SPD   :    霊障
見えない【念動力】を放ち、遠距離の対象を攻撃する。遠隔地の物を掴んで動かしたり、精密に操作する事も可能。
WIZ   :    鬼火
レベル×1個の【鬼火】の炎を放つ。全て個別に操作でき、複数合体で強化でき、延焼分も含めて任意に消せる。
👑11
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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●縦に横に斜めに、迷宮の通路は伸び往きて
 神社の鳥居をくぐると、そこは全く以ておかしな空間と化していた。
 時空がねじ曲がったかのように地面が切り離されて四方八方に伸びて、重力が無視されたように道が上に下に折れ曲がる。
 いくら『迷宮化』しているとはいえ、これはとんでもない。
 と、猟兵たちが目を見張るところに。
「かーごめかごめ」
「かーごのなーかのとーりーは」
 昔懐かしいかごめかごめを歌いながら、迷宮の中を進む和服姿の妖怪が二人、通路の向こうから現れた。
 目元は隠れていてよく見えない。が、その雰囲気が多だの妖怪ではないことは、この距離からも明白だった。
「いーついつ、でーやーる……」
「でーやるかいーなか」
 歌いながらこちらに向かってくる童子たち。口ずさむかごめかごめはだんだんと別の歌詞に変わり、怪しげな雰囲気を醸し出して。
 そうして猟兵たちの目の前に飛び込んできながら。
「いないな、でやらぬ、でやらーぬ」
「まよいご、ちのみご、いーずれーも、だーさーぬ」
 歌うように言葉を転がし、こちらに手を向けてくる童子たちの口元が、にぃっと吊り上がった。

●特記事項
 ・この戦場は内部が迷宮化しています。構造もだいぶしっちゃかめっちゃかです。
 ・骸魂童子は迷宮の中をうろつきながら、警備をしています。基本的に猟兵一人につき一体がいます。
キング・ノーライフ
歌いながら来るだけならまだ可愛げがあるが、
変な仕掛けの上で暴れられると不気味極まりないな。

さて、遠隔攻撃とはいえ範囲攻撃ではなさそうだからな。
狸塚と【狐塚招来】で狐塚を呼び、あちらの言うように「囲め囲め」と連携で仕留めていくか。例え複数相手でも妖怪の体を奪いたての奴らよりもそれなりに経験を積んだ我と従者の連携のが上だと証明するか。

次元の歪みのような地形の不利は【読心術】で【見切り】をしたり、霊障がある種呪いのような物であるならば【呪詛耐性】での抵抗で防御をしていけば何とかなるか。

終わって妖怪が元に戻ったら【救助活動】で多少はケアしておくか、また取り込まれてもかなわんしな。



●細道大通り、奥の道
「これは、また……」
「随分とややこしい状況ですね……」
 キングと泰人は神社の境内に突入した直後に、そのしっちゃかめっちゃかな空間にまさしく度肝を抜かれていた。
 道の向こう側、空に走るように伸びた細い道から、童子の声が聞こえてくる。
「とーおりゃんせーとおりゃんせー」
「こーこはどーこの、ほそみちじゃー」
 その童子はと言うと、まるで重力に逆らうように空に走る一本道をさかさまになって歩いてきていた。着物がはだける様子もない。重力の方向があっちこっちになっているとしか思えない。
「歌いながら来るだけならまだ可愛げがあるが、変な仕掛けの上で暴れられると不気味極まりないな」
 可愛らしいと言えば可愛らしいが、状況が状況だけに安易に可愛いとも言えない。キングが眉間にしわを寄せて零せば、泰人も複雑そうな表情で目線を上にやった。
「確かに、不気味ですね、見目が可愛らしいだけに」
「曲目も変わったようだが、片付けてしまおう。来い、狐塚」
「はいはい、新世界にも即参上。呼ばれましたっすよ」
 拳銃「ノーライフ」を構えたキングが後方に視線を向ければ、すぐさまそこに従者の一たる狐、狐塚・雅紀がやってくる。軽い風体で羽織の裾をはためかせながら雅紀が立ち上がれば、童子二人は道の地面を蹴って、自分達と同じ地面に足を降ろした。
「りゅうじんさーまの、ほそみちじゃー」
「ちょーっととおすも、とおさぬも、りゅうじんさーまのこころもちー」
 歌いながら、そこらにある岩やら石の祠やらを浮かび上がらせ、三人に向かって投げてくる童子たち。
 キングたちはそれを散って避けながら、自分たちを取り巻く環境を確認していた。
 急に重力が変わって身体が引かれるようなことはない。あくまでも立つ地面に従って重力が働き、ショートカットせずにそのまま歩けば道に沿って、ショートカットして飛べばその方向に、身体が引かれるらしい。
 原理が分かってしまえばなんということはない、シンプルな構造だ。
「ふん、次元が歪んでいるからどんな滅茶苦茶な空間かと思えば、多少は理屈が通る構造のようだな」
「地面があるところには地面がある、そこには立てる。分かりやすいですね」
「これなら、そんなめんどくさいことにはならなさそうっす! いくっすよ、ご主人様、狸塚君!」
 キングの言葉に泰人が頷いて、雅紀もしっかと前に立つ敵を見据える。遠距離攻撃とは言え複数を同時に相手取るには向かない構造、与しやすい。
 地面に着地した泰人が、鼓を取り出して打ち鳴らし始めた。響く音色が呪詛の気配を消し去っていく。
「呪詛は跳ね返します、二人は前へ!」
「オーケー、全力全開!」
 泰人の言葉を受けて、飛び出したのは雅紀だ。その手に狐火を浮かべ、ごうと燃え上がらせたそれを童子めがけて叩きつける。
 視界いっぱいに炎が映り、童子二人の顔色が僅かに陰った。
「ちょーっと、とおして……!?」
「ごようのないもの、とおしゃ……!?」
 その炎に身を竦め、動きを止めた瞬間。
「そこだ」
 即座に火を噴くキングの「ノーライフ」。そこから放たれた弾丸が、ほぼ同時に童子二人の額を穿った。
「が――」
「あ――」
 貫かれ、びくりと身を強張らせた童子たち。その身体から黒い煙が宙に立ち上って消えていくと、その身に纏う禍々しさが消え、元の愛らしい童子の姿に戻っていた。
「済んだか」
「この子たちは、元に戻ったんっすかね?」
「とりあえず、安全な場所に運びましょう。また骸魂に取り込まれてもかなわないです」
 短く息を吐くキングと、童子の身体を抱え上げる泰人と雅紀。元の姿に戻った妖怪を避難させてから、三人は再び、神社の最奥目指して歩き出した。

成功 🔵​🔵​🔴​

木常野・都月
迷路は、風の精霊様にお願いして、正しい出口に導いて貰いたい。

後は地の精霊様に頼んで、足の裏を電磁場で張り付かせて貰って、道を辿れるようにしたい。

これで迷路は進めるかな?

問題は、子供の妖怪か…。
骸魂を倒せば、元に戻ると聞いているけど、正直力加減が分からないんだよな。

とはいえ、手を抜いたら助かるものも、助からない。
元に戻してやらないと。

地の精霊様に頼んで、敵の足元に電磁場を利用した重力操作で動きを鈍らせたい。

[野生の勘、第六感]で、敵の攻撃に注意を払いたい。

敵の攻撃は、氷の精霊様の[範囲攻撃、高速詠唱]の[カウンター]で対処したい。

UCは【精霊の矢】を氷の精霊様の助力で使用したい。



●石畳も藪も分け入れば道
 T字路の突き当り。都月は左右の道を交互に見つめながら、傍らに浮かぶ精霊に声をかけた。
「風の精霊様、迷路の出口に導いてください」
 そう都月が囁けば、彼の方の上に浮かぶ風の精霊は風の流れを見極めて、迷路の出口がある方へいざなう。それは、彼が先程まで歩いてきた道の方だ。
「こっち……? ううん、反対方向だ。戻らなきゃ。で、その先は……あー」
 引き返した都月が精霊の導きに従って、脇に逸れる道に入ると、そこは空間がねじ曲がって道が螺旋を描いている場所。そのまま歩くのでも大丈夫ではあるが、やはり視覚に囚われて正しく歩けない気がして。
「地の精霊様」
 都月は次いで地の精霊を呼び出した。足の裏に電磁場を発生させ、地面に足をぴたりと吸い付けさせる。これでだいぶ、足元が安定するようになった。
「……よし、これで進める」
 螺旋の道をぐるぐる回るように進んでいけば、道の奥から幼子の声が聞こえてくる。
「ちゃちゃつーぼーちゃーつーぼ」
「……歌だ。近くにいる」
 手遊び歌が聞こえてきた都月は、足を止めて耳をそばだてた。声はどんどん接近してくる、場所は螺旋の向こう側。果たして。
「ちゃーつぼーにゃーふーたがない」
 螺旋の道を反対側からぐるぐると廻って来るようにして、童子が一人、姿を現した。
「骸魂を倒せば、元に戻ると聞いているけど……正直力加減が分からないんだよな」
 その姿を見て、僅かに都月が耳を伏せる。
 倒せば元に戻るとは聞いているが、勢い余って取りつかれた妖怪も殺してしまわないだろうか。骸魂だけを倒すというのは、なかなか難しい気がして。
「くーびとってーふたにしろー」
「……でも、加減なんて言ってられる状況じゃないな。手を抜いたら助かるものも、助からない」
 しかし相手は加減などしてくれない。手加減していたら殺されてしまう。
 ぎ、と都月はまなじりを決した。杖を向ければ、途端に童子の足が重くなる。
「ちゃちゃつーぼー……!?」
 歌う声が途切れた。やはり、急に動けなくなれば戸惑う様子。
「どうだ、動きにくいだろう。重力を増させてもらった」
 都月がそのまま氷の精霊を呼び出した時だ。動けないままに、童子の周囲に無数の鬼火が浮かぶ。
「ちゃーつぼーにゃーそーこがない……!」
「わ……っ」
 それが一挙に、多方面から都月に襲いかかって。炎を避け、杖で打ち据えて消しながら都月が声を張る。
「くっ、氷の精霊様!」
 お返しとばかりに放たれる氷の弾丸。鬼火より何倍も数の多いそれが、童子に殺到するや、その身体を吹き飛ばしていく。
 螺旋の道路の上に倒れ伏した童子からは、邪悪な気配は消えていた。
「ふぅ……状況もそうだが、油断できないな」
 無事に助け出せたことを把握した都月が、ふっと息を吐く。倒せば助けられるのは分かったが、この特殊な状況はなかなかに油断ならないものであるようだ。

成功 🔵​🔵​🔴​

早臣・煉夜(サポート)
わ、わ、敵がいっぱいです
どんな方だろうとも、容赦なんてしませんですよ
僕はそのために作られたんですからね

妖刀もしくはクランケヴァッフェを大鎌にかえて
どちらかもしくは両方を気分で使って攻撃です
妖剣解放を常時使用して突っ込みます
怪我なんて気にしません
この身は痛みには鈍いですから
死ななきゃいいんです
死んだらそれ以上倒せなくなるので困るです

僕は平気なのですが、なんだかはたから見たら危なっかしいみたいですので
もし、誰かが助けてくださるならお礼を言います
ありがとーございますです

勝利を優先しますが、悲しそうな敵は少し寂しいです
今度は、別の形で出会いたいですね

なお、公序良俗に反する行動はしません
アドリブ歓迎です



●俵の鼠が米食ってちゅう
 しかして迷宮の只中、だだっ広い通路が真っ直ぐに伸びる中にて。
 早臣・煉夜(夜に飛ぶ鳥・f26032)はクランケヴァッフェを逆手に構えながら、視線の先に立つ童子たちを見据えていた。
「わ、わ、敵がいっぱいです」
 目の前の通路にいる童子は、一人、二人……三人まではいなさそうだが、少なくとも一人ではない。
 見目こそ幼子のようであるが、しかしそれは煉夜にとっては良心の呵責も一切起こさなかった。
「でも、どんな方だろうとも、容赦なんてしませんですよ。僕はそのために作られたんですからね」
 自分はオブリビオンを、世界に害するものを滅するが故に生み出されたもの。オブリビオンを狩るにあたり、相手がどうあるかは考慮に値しない。
 そんな様子で己の武器を構える煉夜に接近すべく、童子はわらべ歌を歌いながらふわりとうごめき距離を詰めてくる。
「ずーいずーいずっころばーし」
「ごーまみーそずい」
 ともすればその見た目のか弱さとわらべ歌の無邪気な様に、刃も鈍っただろう。しかし煉夜はそこまで甘さを持ち合わせてはいない。
「わらべ歌なんか歌って、親しみやすいように演出しても駄目ですよ!」
 クランケヴァッフェを大鎌に変化させて、すれ違いざまに一閃。鋭い刃が迸り、童子の着物と胴体に傷を走らせる。
 しかし、その一撃で彼奴らは落ちはしなかった。ゆらり身を捩っては、振り向いて煉夜に襲いかかる。
「ちゃーつぼーにおわれーて!」
「とーっぴんしゃーん!」
 再度、大鎌を構えて一振り。今度は捉えたか、と思いきや一体が盾になるように位置取った。崩れ落ちる一体の後ろからもう一体が迫り来る。
「ぬけたーら……」
「どんどこしょー!」
「くっ、しぶといですね!」
 前方から来ると思いきや、背後から鉄塊による一撃が襲い来る。それを大鎌でいなした煉夜だが、大質量に受け止めきることは叶わない。
 しかし、それでも。
「この身は痛みには鈍いですから、死ななきゃいいんです。死んだらそれ以上倒せなくなるので困るです」
 鉄塊にこめかみを打たれ、血を流しながらも煉夜は怯まなかった。しっかと大鎌を握り、迫る童子を一撃のもとに切り捨てる。
「たーわらーのねずみーが――!?」
 しかして刃を受けた童子は崩れ落ち、先に倒れた童子共々本来の妖怪の姿へと戻っていく。
 それを目にして、煉夜は安堵の息を吐いた。
「ふぅ……さて、これで先に進めますでしょうか」
 気を失った童子を安全な場所に移してから、煉夜は迷宮の先を目指す。この先にいる、首魁に刃を届かせるために。

成功 🔵​🔵​🔴​

太刀風・橘花
迷宮化しているとは聞いていたが、これはまたとんでもないな……
【歩兵の本領】で出動させる妖狐の歩兵隊には、斥候兵を多く配し備えなければな

歩兵隊から出した多数の斥候に元凶に辿り着くための進路を探らせながら進むぞ(『偵察』『集団戦術』)
斥候には哨戒中の敵の発見も命じておき、見つけ次第本隊へ報告させる

先手必勝、攻撃は最大の防御――斥候が発見した敵に対し、麾下の兵に命じ距離を取って猛射を浴びせる(『先制攻撃』『制圧射撃』)
こちらには数の利もある、集中射撃で敵に攻撃の隙を与えるな!

万が一敵が銃火を突破したとしても無傷ではすむまい
私も兵も手負いの敵に遅れは取らん、軍刀や銃剣を用いた白兵戦で止めを刺すまでだ!



●放つも撃つもつまりは華やかに
 迷宮と化した神社の中を進みながら、橘花はぺろりと舌を舐めずった。
「迷宮化しているとは聞いていたが、これはまたとんでもないな……」
 縦も横もしっちゃかめっちゃか、真っ直ぐ伸びたと思えれば急に落ちたり持ち上がったり。理屈が通じないことこの上ない。
 しかし、幸いなことに道は道。道が通じないところに敵も来ないゆえ、警戒はしやすい。
「油断せず進むぞ、歩兵、前へ!」
「「イエス、マム!」」
 しかして橘花が声を張れば、彼女の周囲に妖狐の歩兵たちが多数現れ。出現した歩兵を班分けしながら、橘花は次々指示を飛ばす。
「斥候兵は多方面に展開、元凶に辿り着くための道を発見しろ! 本隊は私の周辺で警戒!」
「「イエス、マム!」」
 一小隊を自分の周りに残した橘花、残りの斥候班を迷宮の各地へと散らせた。
 まずは迷宮の出口を見つけるのが先決だ。そうするうちに迷宮をうろつくオブリビオンとも出会うだろう。
 しかしてしばしの後に、橘花のトランシーバーに声が入る。
「ブラボー部隊、哨戒中の敵オブリビオンと遭遇、ただいま交戦中!」
「了解した、現在地点の情報を送れ!」
 オブリビオンとぶつかった部隊に声を飛ばせば、その現場に本体を引き連れ急行する。現場に姿を見せれば、確かに妖狐の一団が一人の童子を取り囲んで戦闘に持ち込んでいた。
「あーぶくたったーにえたったー……!」
「あそこか……狙撃班、構え!」
 敵の姿を認めて、橘花は引き連れる本体に声を飛ばす。敵は囲まれていて動けない、狙撃は容易だ。
 そこから。
「撃てーーっ!!」
 力強く発せれば、次々に長銃が火を吹いた。放たれた弾丸は一直線に、童子の頭へと向かい、命中していく。
「にえ――!?」
 童子は何が起こったか分からなかったろう。びしっと身をこわばらせて、そのままへなへなと崩れ落ちた。
「よし……進むべき方向はこちらでよさそうだな。他の斥候兵にも伝えろ」
「「イエス、マム!」」
 敵を無力化したことを確認した橘花が鋭く声を飛ばせば、その場の歩兵も声を張る。まだまだ、迷宮踏破には時間がかかりそうだ。

成功 🔵​🔵​🔴​

山梨・玄信
成る程。妖怪が作り出した迷宮か。普通の迷宮突破方は通用しないという事じゃな。

【POWを使用】
経験則が通用しないなら、第六感に頼るしかあるまい。罠と不意打ちには、罠知識や聞き耳、暗視も使って注意しつつ進むぞい。

敵と遭遇したら、目を瞑って立ち止まるぞ。
体の周り25cmの所にオーラ防御を張り、第六感と聞き耳で敵の位置を探るのじゃ。
敵がUC使用語のために手を伸ばしてオーラに触れた瞬間、目を開けてその方向に向き、見切りで敵の位置を確認して灰燼拳をぶちかましてやるぞい。

「自分が迷ったから、こんな迷宮を作ったのかのう。だとしたら哀れじゃ」
「また、立禅をこんな事に…罰当たりな破戒僧じゃのう」

アドリブ歓迎じゃ」



●迷えど迷えど迷い道
「妖怪が作り出した迷宮か。普通の迷宮突破方は通用しないという事じゃな」
 迷宮の中を慎重に進みながら、玄信はふんと鼻を鳴らした。
 並大抵の迷宮とは違う、物理法則も無視した骸魂の領域。並の迷宮とは訳が違う。
 既存の理論が通用しようがないことを感じ取りながら、玄信は前へ前へと進む。
「経験則が通用しないなら、第六感に頼るほかあるまい。罠と不意打ちがどれほどあるか、にもよるが……」
 ひん曲がった道を進みながら、玄信は小さくため息をついた。
 ここまでしっちゃかめっちゃかだと、構造を把握するのすら一苦労だ。
「ふむ、しかし、あっちこっちに道が伸びとるし、物理構造も無視しとる。面倒な迷宮じゃな」
 迷宮の面倒さに眉間にしわを寄せて、玄信は空にかかる道を逆さになりながら歩いていった。
 このひん曲がった道、骸魂の心の中も、こんなにひん曲がってしまっているのだろうか。 
「自分が迷ったから、こんな迷宮を作ったのかのう……だとしたら哀れじゃ」
 ほんのりと、哀れみの感情が去来したところで。
 道の向こうからわらべ歌が聞こえてきた。
「いーろーはーにーこんぺいとー」
「むっ、来たか」
 声が聞こえたことを察知するや、玄信はその場に立ち尽くした。目を閉じて、肩幅に足を開き、呼吸を整える。
 いわゆる、立禅の姿勢だ。その状態でオーラを身体の周辺に張り巡らせる。
 そしてふわりと、童子が一人やってきては、玄信の姿を見てにぃと笑う。
「こんぺいとうはーあーまーい」
 さーっと地を滑るように走り寄って。微動だにしない玄信に手を伸ばす。
 その手が、玄信の身体に触れようかというその時。
「あーまーい――」
「そこじゃっ!!」
「は……!?」
 カッと目を見開いた玄信の拳が、童子の身体を正確に打ち抜いた。
 打たれた身体は大きく吹き飛び、地面に叩きつけられてはがっくりと崩れ落ちる。
 オーラで相手の接近を察知して攻撃した玄信が、ようやく立禅の姿勢を解いた。
「ふぅ……また、立禅をこんな事に。罰当たりな破戒僧じゃのう」
 ふっと息を吐きだして零すが、それ以上に罰当たりなことをたくさんしている気もして。
「まぁ、今更か」
 そうして、玄信はまた肩をすくめるのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

高柳・零
POW
「困りましたねえ。マッピングが通用しないとは…」
方眼紙とにらめっこしながら途方に暮れてます。

「こうなったら…悪いPCになりましょう。こんな迷宮を作るGMが悪いんです!」
そう言うと、敵の接近に警戒しつつ天斬りで迷宮の壁を斬りながら進みます。
(音を立てて敵をおびき寄せる作戦です)

「出ましたね、悪辣GM!禁じ手のダイレクトアタックで粉砕させて頂きます」
敵と遭遇したら、掴まれないようオーラを被せた盾の中央で伸ばして来た手を防ぎつつ、衝撃波を撃ってダメージを重ねます。
敵が弱って来たら、足に衝撃波を撃ち、体勢を崩したところで天斬りで止めを刺します。
「接近戦で自分に勝とうなんて1年半早いですよ」



●こんな複雑な道に誰がした
「困りましたねえ。マッピングが通用しないとは……」
 零は手元の方眼紙を睨みながら、迷宮の中を進んでいた。
 平面的な、一般的な構造をした迷宮なら、二次元に書き起こしてのマッピングは有効だったはずだ。
 しかしこの迷宮は縦に横に斜めに、さらには表に裏にと三次元的。紙に書き起こすには、無理のある構造だ。
 ぐぬぬ、と悩ましい表情を画面に映した零が、方眼紙をくるくる巻いて懐にしまった。
「こうなったら……悪いプレイヤーキャラクターになりましょう」
 そう言って、彼は剣を抜き放ち。
「こんな迷宮を作ったゲームマスターが悪いんです!」
 迷宮を作り出した主に文句をつけ始めた。
 当初は壁を斬りつけるつもりだったが、残念ながら壁のない迷宮。地面をぎゃりぎゃり斬りつけて音を立て、オブリビオンをひきつけにかかる。
 しかして、迷宮を見張っていたらしい童子が一人、歌いながら零の前に姿を現した。
「かーってうれしいはーないーちもんめー」
「出ましたね、悪辣ゲームマスター! 禁じ手のダイレクトアタックで粉砕させて頂きます」
 びしりと剣を突きつけた零と、ゲームマスター呼ばわりされた童子が、互いに互いの攻撃をぶつけ合う。
 鬼火と剣の衝撃波がぶつかり合い、炎が散っては消えていく。
「まけーてくやしい」
「ふんっ、ふんっ!」
 しかしその手数は零の方が上だ。徐々に押されていく童子の身体に、傷が幾重にも刻まれていく。
 そうして童子の身体がよろめき、鬼火を操る手が一瞬止まったその時だ。
「はーないーちもんめー……!?」
「弱ってきましたね、そこですっ!」
 一気に距離を詰めた零が剣を一閃。鋭い一撃を以て童子の身体を両断した。
「接近戦で自分に勝とうなんて一年半早いですよ」
 そう言い残し、迷宮を進んでいく零。程なくして、歩みを進める彼の目の前に、大きな空間が現れる。
「おや……あそこは?」
 そちらに向かえば、そこにあるのは迷宮の終わり。だだっ広い空間の中に神社の境内が据えられた、迷宮の中心がそこにあった。

成功 🔵​🔵​🔴​




第3章 ボス戦 『竜撃大砲』

POW   :    有り余る生命力
自身の【飲み込んだ竜の生命力】を代償に、【大砲から竜の生命力】を籠めた一撃を放つ。自分にとって飲み込んだ竜の生命力を失う代償が大きい程、威力は上昇する。
SPD   :    強靭な肉体
【竜の肉体】を一時的に増強し、全ての能力を6倍にする。ただし、レベル秒後に1分間の昏睡状態に陥る。
WIZ   :    理解が及ばぬ精神
自身の【飲み込んだ竜の精神】を代償に、【理性を失った竜】を戦わせる。それは代償に比例した戦闘力を持ち、【牙や爪】で戦う。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はサフィリア・ラズワルドです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●竜も砲も破壊をもたらす故に同一だ
 神社の境内の周辺は、神社の外とは比較にならないほど多数の砲弾とビームが飛び交っていた。
 その弾とビームを放っているのは、境内の前に座す一体の竜だ。背に負った砲が、ひっきりなしにあれやこれやと放っている。
「グォォォォ!!」
 吠えた竜が、虚空をねめつけて叫んだ。
「足リヌ、足リヌ、破壊ガ、破滅ガ、足リヌ……!」
 破壊が足りない。崩壊が足りない。そう吠えて竜は、世界に崩壊をもたらしていた。
 猟兵たちが境内に踏み入った音を察知して、竜の眼がこちらを見つめる。
「貴様ラ、破滅ヲ留メントスル者共カ! 我ガ意ヲ阻ムコト、何人タリトモ叶ワヌ!!」
 猛々しく吠えて、竜は両手を地面にしっかとつける。背の砲が、猟兵たちに狙いをつけるべく、ぎぎ、と動いた。
木常野・都月
何で破壊したいか知らないけれど、世界を壊そうとするなら、アンタは猟兵の敵だ。
その竜の体と心を返して、骸の海にいくんだ!

予知にある敵のユーベルコードを見る感じ、あまり竜自身を消耗させたくない。

骸魂だけを、上手く倒せるように努めたい。

UC【雷の足止め】で敵のUCの効果が切れるまで我慢したい。

敵の攻撃は[多重詠唱、高速詠唱、カウンター]で防ぎたい。
地の精霊様の助力で電磁場を作り、重力操作で動けなくしたい。
砲弾や光線は、雷の精霊様の助力で[オーラ防御]の電磁障壁を作って受け止めたい。

敵が眠りについたら、火の[属性攻撃]で骸魂を倒したい。

竜は、無事だといいんだけど…。


太刀風・橘花
砲が足りぬ、破壊が足りぬというのなら、両方ともくれてやろう
【火力支援】が必要だ、対戦車砲隊の出動を要請する!

現れた妖狐の兵士達に命じて境内の建物や木の陰などに複数の対戦車砲を配置させる
目標は敵背部砲塔、砲を破壊し奴を無力化、飲み込まれた妖怪を助けるぞ

味方の砲が準備を整えるまでの間にやられてしまわないよう、私が敵の注意を引きつける
拳銃で奴の顔、特に目の辺りを撃って砲撃の邪魔をする(『おびき寄せ』『時間稼ぎ』)
射撃しつつ境内の物陰から物陰へと全力で走り抜けながら、敵の反撃を躱すぞ(『ダッシュ』)

対戦車砲隊の射撃準備が完了次第、砲撃を開始する
直接照準射撃だ、外すんじゃないぞ、撃ち方始め!(『砲撃』)



●砲を止めるは弾丸か雷か
「ガォォォ! 破壊、破壊ヲ!」
 喚く竜の背に据えられた砲塔が、幾度となく轟音と火を放つ。
「くっ……」
 四方八方に砲撃を撒き散らす竜を前にして、都月はぎりと奥歯を噛んだ。
 何故かの竜が破壊を求めるのか、それは分からない。
 しかし世界を壊そうと言うなら、それはれっきとした敵対行為。
 何とかしなければ、と思いながら前を見据える都月の横に、拳銃を手にした橘花が並ぶ。
「砲が足りぬ、破壊が足りぬというのなら、両方ともくれてやろう」
「ああ、何で破壊したいか知らないけれど、世界を壊そうとするなら、アンタは猟兵の敵だ」
 橘花の言葉に頷いて、都月も愛用の杖を握った。
 骸魂に囚われた妖怪を助けるには、骸魂を倒す必要がある。なれば、少しの容赦もしてはいられない。
「その竜の体と心を返して、骸の海に行くんだ!」
「火力支援が必要だ、対戦車砲隊の出動を要請する!」
 都月が力強く告げれば、橘花が通信機器に声を張り。しかして神社の境内、拝殿の影や木々の影に、すたっと降り立つ影が複数あった。
 橘花の声を聞いた都月が、おそるおそる彼女の横顔を見やる。
「対戦車部隊……なんだか大掛かりそうだけど」
「この神社の境内や敷地内に隠れられる程度の規模だとも。目標、敵背部の砲塔!」
 都月の声に自信ありげな笑みを返して、橘花は拳銃を握る手を前方に向けた。四方八方から、対戦車砲の照準を合わせる駆動音が、静かに響く。
 その音を耳に聞きながら、都月も自身の杖を竜に向けて構えた。
「骸魂の砲だけを、うまく倒せるようにしないと……」
「無論だ、攻撃させて竜を消耗させるわけにはいかん、貴殿も攻撃を!」
 そう声を発しながら、橘花は前に飛び出した。拳銃の引き金を引き、照準を竜の目に向けながら、牽制の一撃を加えていく。
 対する竜も背の砲を撃っていくが、目で狙いをつけるのを邪魔されているが故に狙いが定まらない。神社の木の枝が一本、砲弾に撃たれて地面に落ちた。
「グォォォォ!!」
「よし……雷の精霊様!」
 忌々しげに吠え声を発する竜めがけて、都月は杖を握っていない左手を突き出す。そこから迸る電撃が、竜の身体に浴びせられた。
 その電流で身体の動きが阻害された竜が、硬直したようにその動きを止める。
「グッ!?」
「よし今だ、撃ち方、始めーーっ!!」
 竜も砲も、確かに動きを止めたそのタイミング。それを見逃さずに橘花は声を張った。
 散々動き回って牽制したところに、都月の電撃による援護射撃。この機を逃すわけにはいかない。
 しかして照準をピタリと合わせた砲撃部隊が、竜の背の砲に向けて一斉に弾丸を放つ。寸分違わず背の砲に殺到した砲弾が、次々に炸裂してはダメージを与えていった。
「ゴァァァ!!」
「次弾、急ぎ装填! この機を逃すな!」
「よし、このまま抑え込むぞ……!」
 苦悶の声を上げる竜を前に、橘花はすぐさま動き出す。第二撃の準備、その一撃をスムーズに届かせるために、都月も自身の仕事をするべく手を突き出す。
 再度、鮮烈な電光が彼の手から迸った。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

キング・ノーライフ
破壊を求めるだけあって強い上に取りつかれた者を使い潰すと来たか。仕方ない、中の竜の負担を減らす為こっちも少し傷を負うのを覚悟するか。

【鼬川の指輪】で鼬川を呼び、【従者転身】で我も鼬川になる。
さっきのように口調は変えると前に鼬川は怒ったし、また狸塚が混乱しそうだから止めておこう。

三人で散開して的を散らし【衝撃波】で牽制、疑似鼬川兄弟の連携による【見切り】や【空中浮遊】+【空中戦】を仕掛け、陸空の二面戦にして【時間を稼ぎ】。昏睡したら三人で一気に畳みかけるとしよう。

…そういえばこの状態で真の姿解放したらどうなるのだろう?
多分機械の飛行パーツが付くのだろうが、
試しに昏倒する直前にでもやってみるか。



●砲を防ぐは風か囃子か
 荒れ狂う竜と、その背中から放たれるビームの嵐。
 爆音が辺りから響く中で、キングは忌々し気に目を細めた。
「破壊を求めるだけあって強い上に、取りつかれた者を使い潰すと来たか」
 その悪辣さに、自然と眉間にしわも寄る。同行する泰人と、召喚された従者の一、イタチ耳の鼬川・瞬太も、その心中は穏やかではない様子で。
「悪辣だな、やーな感じ」
「なるべくなら、取り込まれた妖怪が使い潰されて消耗するのは避けたいですね」
 泰人の言葉に、瞬太が頷く。そしてキングも、その点について反論するつもりはない。
 竜の生命力や精神が消耗され、使い潰される前に、骸魂の支配から救ってやらねばなるまい。その為には、多少は大胆にならねばならないとキングは判断した。
「仕方ない、中の竜の負担を減らす為、こっちも少し傷を負うのを覚悟するか。行くぞ、狸塚、鼬川」
「はい」
「うっす」
 主人の言葉に、従者二人も返事を返しながら武器を握る。泰人は横笛、瞬太は風。
 そしてキングも戦うべく、瞬太と同じ姿に変身した。
「よし、これで行くか」
 瞬時に身長が短くなり、瞬太同様に手のうちに風を握るキング。変貌した主人に、瞬太本人がすんと鼻を鳴らした。
「姿を貸すのはいいけど、俺の口調まで真似すんじゃねーぞ、ご主人様!」
「どちらがどちらなのか、本当に分からなくなりますからね……」
 泰人も困ったような表情をして、二人の瞬太を見つめる。実際、口調まで真似をされると本気でどちらがどちらか分からなくなるのだ。
 能力だけでなく、性格も口調もしっかり把握している。主人の鑑である。
 そんな反応の従者たちを赤い瞳で一瞥しながら、キングは淡々と告げた。
「ふん、いいから行くぞ、固まるな」
「うっす! 行くぜ!」
「了解です、散開します!」
 その言葉を交わし合った瞬間に、三人は三方に散らばった。
 キングと瞬太が空中を舞ってはかまいたちの波状攻撃を加え、地上からは泰人が横笛の音波で魂を揺さぶりにかかる。
 三人が別々に移動するが故に、竜の背の砲も狙いがなかなか定まらない。あちらこちらに照準を向けてやみくもに砲弾とビームを放つが、三人の姿を捉えられはしなかった。
「……そういえばこの状態で真の姿解放したらどうなるのだろう?」
 ふと、空中を飛びながらキングは呟いた。そういえば従者転身した状態で、真の姿を解放したことは無かった気がする。
 興味を覚えて力を解き放つと、彼の背中と両肩に機械の飛行パーツが現れる。なるほど、姿が変わっても変化する内容は同じらしい。
「ふむ、こうなるのか。これはこれで使い勝手がいいな」
「あっ、ご主人様お前、俺の身体で何試してんだよ!」
 そのまま高速で飛び始め、これまで以上に高速でかく乱しにかかるキングに、瞬太がほんのり批判の目を向けた。
 そして声を上げる彼へと、地上から泰人の声が飛ぶ。見れば竜は動きを止めて蹲っていた。
「もう、ご主人様も鼬川君も、ちゃんと敵の状況を見てください! チャンスですよ!」
「おっと、昏倒していたか」
「やべっ、行くぜ!」
 泰人の声に状況を把握したキングと瞬太も、一転して全力で攻めたてにかかる。
 動けないでいる竜の身体に、幾本もの鋭い傷が、風によって刻まれた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

高柳・零
POW
さあ、玄信。脱衣だヌギ!
ヌギカル☆玄信に変身だヌギ!

「そのドラゴンを大人しく開放するヌギ!そうでないと…脱衣の国の戦士にスクラップにされるヌギよ」
全身をオーラで覆い、積極的に玄信さんを庇います。
体でもろに受けるのは危険なので、しっかり盾でのガードも行います。

攻撃を受けたら画面に眼鏡を映してUCを発動。竜の体は透過させ、しっかり「大砲に」お返しします。
「脱衣の国の妖精の力を思い知るといいヌギ!」

更に空中浮遊で大破に接近。鎧砕きでの防御低下も狙います。
「玄信、お膳立ては出来たヌギよ」

無事に竜を助けたら労いの言葉をかけます。
「大丈夫ですか?必要なら治療もしますよ」

アドリブ歓迎です。


山梨・玄信
零殿(f03912)と

どうも大砲に竜が取り憑かれているようじゃが…あれを壊せば竜が救えるんじゃな。

【POWを使用】
ビームの正体は竜の魂か。酷い事を…直ぐに止めさせるぞい。
褌一丁になって脱ぎ力を高めUCを発動。
防御はある程度零殿に任せるが、強化された能力での見切りや第六感で攻撃を躱すぞい。爆風はオーラ防御で受けるのじゃ。

攻撃を掻い潜りながら、大砲のみを気を込めた拳(鎧無視攻撃)で攻撃じゃ。
零殿が凹ませた箇所も利用させてもらうぞ。

「脱衣の国の戦士、ヌギカル…て、やらんわ!(ツッコミ)」
「寄生虫め!叩き壊してくれるわ!」

アドリブ歓迎じゃ。



●砲を砕くは拳か盾か
 零の顔から、賑やかでポップな音楽が流れ始める。
 それは聞く人が聞けば分かるであろう、「ヌギカル☆玄信」のテーマだ。
「さあ、玄信。脱衣だヌギ! ヌギカル☆玄信に変身だヌギ!」
「脱衣の国の戦士、ヌギカル……て、やらんわ!」
 そして零が玄信に呼び掛けるが、しかし当の本人は鋭いツッコミを零に入れた。あまり乗り気ではないらしい。
 首を傾げる零が、ヌギカルの妖精モードのままテーマの演奏を止めた。
「ヌギ?」
「零殿、そうするわけにはいかん。何故なら……」
 そんな彼にゆるゆると、玄信は目を閉じたまま頭を振った。
 そして、カッと目を見開く。
 何故なら。
「わしは既に! 脱いでおるからじゃ!!」
「ヌギー! そうだったヌギ!」
 そう、玄信の姿は既に褌一丁。これ以上脱衣のしようもないのだ。
 そしてその黒々とした肌は、煌びやかな輝きに覆われている。拒否していながらもしっかり、「ヌギカル☆玄信」への変身を済ませている玄信であった。
 まばゆい肌の輝きに、竜が忌々し気に顔を覆った。
「グォォォ!!」
「そのドラゴンを大人しく開放するヌギ! そうでないと……脱衣の国の戦士にスクラップにされるヌギよ」
「寄生虫め! 叩き壊してくれるわ!」
 零と玄信が力強く宣言する。その怖気づかない様子に、竜は両の前脚を地面にしっかとつけた。
「壊サセヌ、壊サセヌ! 壊スノハ、我ダ!!」
 地面を掴み、背の砲を二人の方に向ける。その砲塔に集まっていくエネルギー。どれほどの生命力が、竜から吸われていることだろう。
「ヌギ! 玄信、ボクの後ろに入るヌギ!」
「零殿も気を付けるのじゃ!」
 すぐさま零が盾を構え、玄信の前に立つ。
 そして。
「喰ラエ!!」
 零と玄信を二人まとめて飲み込んで余りあるほどの、極太の光線が放たれた。
 盾を構える零の手に力が篭もる。そしてオーラで覆われ、防御範囲を拡大した盾に、ビームが直撃する。
「ぬぐっ……!」
「零殿!」
 縦から伝わる衝撃の大きさに、零が苦しげな声を上げた。その威力、その攻撃範囲はかなりのものだ。後ろに立つ玄信が思わず声を上げる。
 しかし、零は挫けない。負けない。ぐっと盾に力を籠めれば、ビームが彼のテレビ画面の中に吸い込まれた。
「脱衣の国の妖精の力を思い知るといいヌギ! お返し……ヌギー!」
「ナヌッ!?」
 ビームが消失したことに驚愕した竜は、さらに目を見張った。
 テレビ画面にメガネを映した零の顔から、自分が放ったものと同じ太さのビームが、自分目掛けて放たれたのだ。
 そのビームは竜の身体を透過し、「大砲だけ」にダメージを与えていく。
 ぎしりときしむ音をたてた大砲に、零は一気に近づいた。
「もう一撃、喰らうヌギ!」
「ガァァァッ!」
 大砲の砲塔目掛けて、盾で一撃。強い衝撃に砲塔が歪む。
「玄信、お膳立ては出来たヌギよ」
「感謝するのじゃ!」
 ちらと零が後ろを振り返れば、玄信が既に向かってきている。ヌギカル☆玄信に変身した玄信は高速で空中を移動することも叶う。零が一撃を入れた場所に到達することなど、造作もない。
「ぬぉぉぉぉーっ、これで、トドメじゃぁぁぁーっ!!」
 そして、寸分たがわず同じ場所に、一挙に撃ち込まれる破壊の拳。
 ばきり、と音を立てて砲塔が折れて、砲が砕け散っていく。
「ガ……」
 バキバキと砕ける砲。それと一緒に竜が地面に倒れ込み、しばし。
 砲の支配から解放された竜が、うっすらと目を開けて身を起こした。
「……ハッ、コ、ココハ一体?」
「無事に、取り込まれた竜は助け出せたようじゃな」
「大丈夫ですか?必要なら治療もしますよ」
 戦闘態勢を解いた玄信と零が、竜の身体に手を添える。
 迷宮化も解除された神社の周辺にも、空にも静寂が訪れていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年07月17日


挿絵イラスト