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恋と嵐とチョコレート

#アポカリプスヘル


●少女は荒野で恋をする
 アポカリプスヘルの片隅。元は学校だった建物。十数人ほどの人々が暮らす、小さな拠点(ベース)の一室に、四人の少女達がいた。
「あのね、相談したいことがあるの……」
 髪の長い少女が真剣な面持ちで言った。他の三人の少女は顔を見合わせる。
「何々? アイちゃんが相談なんて珍しいね」
 ユウという名前の、一番年上の少女が笑顔で言った。
「――実は、わたし……好きな人が、できたの」
「だれだれ!? あたしたちも知ってる人!?」
 躊躇いがちに告げたアイに、勢いよく食いついたのはチカだ。彼女は息がかかりそうなくらいに顔を近づけ、友人を質問攻めにする。
「チカ、ストップ。それで、本題の相談って何?」
 妹の束ねた後ろ髪を引っぱりつつ、チエが助け舟を出した。元気はあるが少々過熱しやすい所があるチカと、一歩引いた視点から冷静に物事を見るチエ。彼女らは正反対の姉妹だ。
「ありがと、チエ。実はね、その……どうやって告白したらいいか、迷ってて――」

●スイート・オア・ビター
「応援したいよね」
 アイの「相談」をきっかけに、あれやこれやと話は弾んで数時間後。話し疲れたのか眠りに落ちてしまったアイの肩に毛布をかけてやりながら、ユウが言った。
「うん、うまくいって欲しい!」
 チカが拳を握り、うんうんと頷く。声が大きいよ、とたしなめつつ、チエもまた首を縦に振った。
「そうね。でも、どうすればいいのかな……」
 切り揃えた髪をいじりながら、チエが呟いた。オブリビオン・ストームの発生から数年。彼女達が幼い頃にあった世界は、もうない。暗黒の竜巻に、人も物も、あまりに多くの存在が奪われ、消えてしまった。
「昔だったら……そろそろバレンタインだし――」
「……それだよ、チエちゃん!」
 ユウの声に、チエは顔を上げた。常に前を見て、彼女達を引っ張って生き残らせてきたリーダーは、いつもの笑顔で明るく言う。
「チョコレート、探してこよう。アイちゃんが彼に渡して、想いを伝えるためのプレゼント!」
「おー、それいいじゃん! お姉ちゃん、どこかチョコがありそうな所知らない?」
 瞳を輝かせたチカがチエを見る。彼女はしばらく考えこんだ後、二人に向かって力強く頷いてみせた。
「――うん。絶対じゃないけど、可能性が高い場所はひとつあるよ」
「さっすが! じゃあ、今から?」
「そうだね。アイちゃんが起きる前に。できそう、チエ?」
「大丈夫。私たちなら、できるよ」
 そうして、三人は眠るアイを置いて拠点を後にし――、
 二度と戻って来なかった。

●奪還者と猟兵とチョコレート
 神楽火・夢瑪(シャイニングナイト・f02079)が待つグリモアベースの一室から見える風景は、食い散らかされたケーキのようだった。
「こんにちは。今回皆さんに向かっていただくのは、アポカリプスヘルです。少し状況が複雑なんですが――」
 夢瑪が予知したところによれば、破壊を免れた物資食料を探し持ち帰ることを生業とする奪還者(ブリンガー)の少女が三人、オブリビオンに捕まり不幸な末路を辿ることになるのだという。
「彼女たちがオブリビオンの棲処に入りこんだ理由なんですが……バレンタインのチョコレートを作る材料を探しているそうなんです」
 文明が崩壊したアポカリプスヘルの情勢から見れば、チョコレートなどの菓子類はとてつもない贅沢品だ。だがそれでも、三人がチョコを手に入れようとするのは、想いを寄せる男性にどう好意を伝えればいいか悩む友人の力になりたいがためだ。
「三人とも、とても友達想いのいい子たちだと思います。ですから、彼女たちを危険な目に合わせないためにも皆さんが先回りして、チョコの材料をオブリビオンから奪還、拠点に届けてあげてほしいんです」

 目的地となるのは、かつてお菓子工場だった廃墟だ。地下にある貯蔵庫はいまだに機能しており、オブリビオンが各地から略奪してきた食料品を溜めこんでいる。また、地上部分では完全に壊れていない調理器具を見つけることも可能だろう。
 ただし、工場内にはオブリビオンの手先と化した警備ロボットがうろついている。猟兵の能力であれば破壊することは容易いが――。
「あまり大きな騒ぎを起こすのはおすすめできません。というのも、無事なチョコが残されている貯蔵庫に行くためにはオブリビオンとの戦闘が避けられないからです」
 つまり、その他の材料や調理器具を集めてから、オブリビオンを倒し肝心要のチョコレートを奪ってくる。そういう段取りの作戦である。
「もし、チョコレート貯蔵庫に行くまで敵に見つかることがなければ、オブリビオンを電撃的に襲撃することも可能になると思います」
 そうなれば、その後の作戦がぐっと楽になるだろう。工場にいるオブリビオンの数は多いが、知能がさほど高いわけではない。
「たとえ滅亡の危機に瀕していても、それでも恋をするって素敵なことだって、夢瑪は思います。……まあ、経験があるわけではないですけど」
 少しふて腐れたような一言をごまかすように、夢瑪は猟兵達に向かって頭を下げた。
「それでは、よろしくお願いします。皆さん、準備はいいですか?」


中村一梟
 猟兵の皆様ごきげんよう、中村一梟でございます。
 今回はアポカリプスヘルから、バイオレンスなバレンタイン準備のシナリオをお届けします。

●第1章
「冒険」フラグメントのシーンです。オブリビオンのねぐらとなった工場に潜入し、物資(3章で使うお菓子の材料や調理器具など)を奪ってくるという内容になります。
 この章で獲得した🔴が少ない場合、第2章がオブリビオンへの奇襲に成功したという出だしになり全てのプレイングにボーナスがつきますので奮ってご参加ください。

●第2章
「集団戦」フラグメントのシーンです。オブリビオンを倒し、最大の目標であるチョコレートを手に入れることが目標です。
 第1章の🔴が少なかった場合、この章の間全ての戦闘行為にボーナスが入ります。

●第3章
「日常」フラグメントのシーンです。奪還してきた物資を使って、バレンタインに贈るチョコレートを作ったり、アイ達に作り方を教えたりします。器具や材料が限られているため、凝った物を作ろうとすると難易度が上がりますのでご注意ください。
 また、このシーンでは例によってグリモア猟兵を同行させることができます。プレイングの冒頭に【神楽火・夢瑪を誘う】等と記載してください。

 それでは、今回も皆様と良い物語を作れることを楽しみにしております。
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第1章 冒険 『敵の補給線を叩け!』

POW   :    物資を力尽くで奪って逃げろ!

SPD   :    見つからない様に奪って逃げろ!

WIZ   :    敵の動きを把握し奪って逃げろ!

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🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​
菫宮・理緒
好きな人へのチョコレートは大事、一大イベントだよね。
ここはしっかり材料をげっとしてこないとだね。

うまくとってくれば、わたしも誰かに渡せるかもだしっ。
(渡す相手はまだいないけど、ね)

まずは事前の情報として、
情報検索して、工場の見取り図とか用意できるといいな。

工場内の通路とか警備状況とかわかれば、
オブリビオンとの戦いを避ける確率もあがりそうだよね。

潜入時は、油とかゴム底の靴とか用意して、
扉とか、足音とか、音をなるべく立てないよう気をつけていこう。

もし工場に見張りとかいるようなら
影の追跡者を召喚して、くっついていかせて
先に中を探れたらいいなーって思ってるよ。

材料の在処だけでも、先に知っておきたいな。



 オブリビオンの巣窟となっている廃工場の内部には、マシンウォーカーを人間大にサイズダウンしたような形状の警備ロボットが徘徊していた。
 かつてここに吹き荒れたオブリビオン・ストームの影響で変容し、動力の供給を受けることなく稼動し続けるそれらは、在りし日にプログラムされた通りのルートで巡回している。
 低い駆動音を響かせながら通路を進んでいく警備ロボ。その後方二メートルの位置を、菫宮・理緒(バーチャルダイバー・f06437)が召喚した影の追跡者が滑るように追いかける。
(機材の倉庫……ここにも使えるものがありそうですね)
 影の追跡者と共有する五感を通じ、理緒は部屋の配置や警備ロボの巡回ルートなど、工場内部の様子を次々と露わにしていく。入手した情報をゴーグル型コンピュータに入力すれば、独自に組んだツールが自動的に3Dモデルの見取り図を描き上げてくれる。
 半ばオブリビオンと化した工場内の電子情報ネットワークにハッキングを仕掛ければ侵入を察知されてしまう。それを避けるために講じた策が見事に功を奏した形だ。
「こんなところでしょうか……よし」
 立ち上がり、理緒は巡回ルートの隙間になっている搬入口へと向かう。潜入のために用意したゴム底の靴は、彼女の足音をうまく消してくれた。
(好きな人へのチョコレートは大事、一大イベントだよね。ここはしっかり材料をげっとしてこないとだね)
 直接顔を合わせたことがあるわけではないが、同じ年頃の女の子としてアイ達の気持ちは理緒にもよくわかる。
(――うまくとってくれば、わたしも誰かに渡せるかもだしっ)
 その「誰か」に具体的な名前が当てはまっているわけではない。今はまだ。
 まだ見ぬ想い人の背中を追うように、理緒は素早く廃工場の中へとその身を滑りこませた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アオイ・フジミヤ
りっちゃん(f01013)と

ちいさな、けれど大切な希望が消されないように
可愛い女の子達を守らなきゃ

ベースの人達に工場の様子を聞き込みしてみよう
昔働いていた人とかいないかな、工場内部を知っている人もいるはず
可能なら見取り図とかあればいいなぁ

スマホで情報取集もしつつ、最終的に目指す貯蔵庫を確認
りっちゃんは何処から行きたい?
最初は物資を探すのもいいね、彼女の恋の手助けをしたい

恋心が、どれだけ自分を支えてくれて
生きる希望になるかを知っているから

そういえばりっちゃんはそういう恋をしてないの?
ふふ、バイクさん今度紹介してね

UCでマッチョな筋肉天使を呼んで
使えそうな調理器具をどこかへ隠してもらう


硲・葎
アオイさん(f04633)と!
女の子たちのキラキラした素敵な願い、
守らなくちゃね。
逃走経路の確保と、アオイさんの護衛を。
情報収集を行いつつ、見つかりにくい道を探して物資を奪いたいね。
確かにアオイさんの言う通り、地図があれば1番良さそう。まずは手近な部屋から行く?
忍び足で近づいて、暗視、聞き耳を立てつつ、スキを見てダッシュで逃げよう。アオイさんがダッシュに着いて来れそうになかったら、スターダストライディングシューズのバイク形態、通称バイクさんに飛び乗って運転して逃げよう。
えっ、私の恋バナ?今そういうの、ない、かな?まあ、道場の先生に片思いはあったけど……。今は、バイクさんが恋人、かもしれないね!



「女の子たちのキラキラした素敵な願い、守らなくちゃね!」
「ちいさな、けれど大切な希望が消されないように」
 声と心を合わせた硲・葎(流星の旋律・f01013)とアオイ・フジミヤ(青碧海の欠片・f04633)が廃工場に潜入して、しばらく。
「見取り図とかあればいいなぁ……って思ってたけど」
 言って、アオイはスマートフォンをポケットに押しこんだ。情報源として恃んだネットワーク上に、この工場の図面は残っていなかった。最寄の拠点(ベース)で聞きこんで得られたのも「この工場が食料略奪者達のねぐらになっている」くらいのもので、緻密な情報を元にした潜入というプランは破棄せざるをえないようだった。
「そうだね。アオイさんの言う通り、地図があれば一番良かったけど。ないならないで、見つかりにくい道を探して進めばいいんじゃないかな」
 半分開いたシャッターの向こうを探っていた葎が振り返った。警備ロボの足音は聞こえない。より奥へと潜入するなら今がチャンスだ。
「そうね。最終的に目指す貯蔵庫を確認しておくのもいいかもしれないけど……りっちゃんは何処から行きたい?」
「うーん、まずは手近な部屋から行く?」
 いまいち自信が持てない様子の葎に、アオイは頷いてみせる。身体能力、感知能力共に優れた葎は、アオイにとって頼もしい護衛役だ。
「物資を探すのもいいね。それが彼女の恋の手助けになるなら」
 恋心というものがどれほど人を支え、生きる希望になるか。経験からそれを知るアオイは、情報が不足したくらいで諦める気はなかった。
 足音を殺して二人は通路を進み、最初に見つけた倉庫へと滑りこんだ。手つかずで放置されていた調理器具の山から、拠点の充実しているとはいいがたい設備でも扱えそうなものを見繕い、集めていく。
 それがひと段落した時、そういえば、とアオイが声を上げた。
「りっちゃんはそういう恋をしてないの?」
「えっ、私の恋バナ?」
 思ってもみなかった話題を振られ、葎は目を瞬かせてアオイに訊ね返した。勿忘草のオラトリオは何も言わず、微笑んでいるだけ。
「今そういうの、ない、かな? まあ、道場の先生に片思いはあったけど……」
 あったにはあったが、それを掘り下げられても困る。生身の頬を朱に染めつつ、葎は両手をひらひら振って誤魔化すことにした。
「今は、バイクさんが恋人、かもしれないね!」
「そうなの。ふふ、バイクさん今度紹介してね」
 幸いにも、微に入り細を穿つような追及はされなかった。友人のマイペースな性格に感謝しつつ、葎はドアノブに手をかけて、動きを止めた。
「どうしたの、りっちゃん?」
「――外に何かいる」
 警備ロボではない気配。たまたま通りがかったのか、あるいは侵入したことがバレたのか。ともあれ、これ以上はここに留まっていないほうがよさそうだった。
「逃げよう。そいつが通り過ぎたらダッシュ。いける?」
「ええ。集めた調理器具はどこかへ隠してもらうわね」
 無言のカウント。五、四、三、二、一。
 葎が扉を開け放つのと、アオイがユーベルコードを発動させるのは、同時。小さな鐘の音に呼ばれて現れた、筋骨隆々とした体躯の天使に調理器具をまとめた包みを託す。
「アオイさん、こっち!」
 確保しておいた逃走経路へ向けて、葎は駆け出した。アオイが遅れていないか確かめるため振り返り、ついでに追手の姿を視界に捉える。
 そいつは、先にアオイが召喚した天使と似たような体つきをしていた。だが、その印象は天使とは正反対だ。
 暴力的な装飾を施したジャケット。手にはチェーンソーとショットガン。眼光は尋常な人間のものではなく、そいつがオブリビオンであることを如実に示していた。
 であれば、その脚力も常軌を逸しているのが道理。葎は素早く決断し、ユーベルコードを発動させた。
「バイクさん!」
 重いエンジン音を響かせて、超大型バイクが主の下へと駆けつける。頼もしい相棒――あるいは恋人に飛び乗って、葎はアオイをタンデムシートに引っ張り上げた。
「飛ばして、バイクさん!」
『承知した、葎』
 搭載されたAIが制御する車体が急加速。オブリビオンの身体能力を持ってしても到底追いつけない速度へと瞬時に到達し、廃工場の通路を疾駆する。
「あら、あなたがバイクさん? お噂はかねがね」
『お初にお目にかかる。私はスターライドシューティングシューズのバイク形態、通称バイクさんだ』
 という、やや間の抜けたやり取りを乗せて。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ウドンチャン・ウドンチャン(サポート)
『パンチをー、します!』
 羅刹の聖者×ビーストマスター。
 普段の口調は「男性的(ぼく、ユー、だ、だね、だろう、だよね?)」、真剣な時は「丁寧(私、あんた、言い捨て)」です。

 ユーベルコードは何でも使用します。
大きな声で当たり前の事を言います。人の迷惑になることは基本的にしません。
パンチはします。
とても素直で、人の言うことは大体鵜呑みにしてしまいます。
戦闘時は、手足頭、大体の部位でパンチします。
まっすぐ進んで、ぶつかったらその時に考えるタイプです。
 あとはおまかせ。よろしくおねがいします!


鴨嘴・ケンゴ(サポート)
戦闘をメインに活躍させて欲しいっす。
戦闘での行動は変形する偽神兵器を使って、カッコいい剣撃と銃撃、捕食による敵のデータ収集と偽神兵器の強化を行うっす(メタ的に言うとゲームのゴットイーターな感じ)
敵は絶対殺す又はデータ収集すると言う意思で戦う為に戦闘中は性格が変わったように攻撃的になります。
(口調 少年(おいら、~くん、~さん、~っす、~っすよ、~っすね、~っすか?)
敵には 野生の感覚が蘇る(オレ、アンタ、言い捨て)っす。



 廃工場の各所で調理器具と材料の収集した猟兵達は、地下貯蔵庫に向かう前に最後の大仕事をこなすことにした。
 すなわち、警備ロボット群を壊滅させオブリビオンとの戦いに割りこまれないようにするという作戦である。
 地下への侵入に対する陽動も兼ねたこの戦いに参戦したのは、ウドンチャン・ウドンチャン(羅刹の聖者・f05256)と鴨嘴・ケンゴ(カモノハシのストームブレイド・f24488)であった。
「パンチをー、します!」
 宣言と共に放たれたウドンチャンの拳が、警備ロボを吹き飛ばした。羅刹という種族に持ち前の筋力は、たとえ徒手であったとしても十二分な威力を発揮する。
「オブリビオンじゃないと食い出がないっすけど……!」
 侵入者撃退用の低圧電気ショックをかわし、ケンゴが剣の形をした偽神兵器を警備ロボの機体に突き立てる。ユーベルコード発動、偽神細胞を強制活性化。
「負担が大きいけど、短時間ならいけるっす」
 くびきを解かれた【骸喰】がその本性を表す。猛獣の顎の如き形へと変貌した偽神兵器が、神をも喰らう牙でもって警備ロボを粉砕。続いて砲撃形態に変形、内部の蓄電池から吸収したエネルギーを転換した銃弾を連射、近づいてきた一群を薙ぎ倒す。
「それじゃあ、ぼくはー」
 ウドンチャンもまた、ユーベルコードを発動。獣使いとしての本分を発揮し、召喚するのは黄金の毛並みを持つ百獣の王。
「ライオンさんと一緒に、パンチします!」
 三メートルを超える獅子の巨体が突撃し、警備ロボを蹴散らす。パンチ以外も繰り出しているが気にしてはいけない。
「こいつらのデータも、何かの役に立つといいっすけど!」
 再び剣形態に変形させた偽神兵器で警備ロボを斬り伏せ、ケンゴが言う。動力の供給も保守点検も必要なく動き続けるこれらを安全に転用することができれば、この世界における人類の生活を改善することもできるだろう。今はまだ、いつかそうなればいいという願望でしかないが。
 それでも、目の前の敵を排除することがよりよい未来に繋がる一歩になることを信じて、彼らは戦い続けた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​




第2章 集団戦 『レイダー』

POW   :    レイダーズウェポン
【手に持ったチェーンソーや銃火器】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
SPD   :    レイダーバイク
自身の身長の2倍の【全長を持つ大型武装バイク】を召喚し騎乗する。互いの戦闘力を強化し、生命力を共有する。
WIZ   :    レイダーズデザイア
【危険薬物によって身体機能】を一時的に増強し、全ての能力を6倍にする。ただし、レベル秒後に1分間の昏睡状態に陥る。
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●略奪者はスイーツがお好き?
 廃工場の地下フロア。その最深部にある貯蔵庫の前には、探索中に数人の猟兵が目撃したオブリビオン達がたむろしていた。
 危険で暴力的な雰囲気を全身から漂わせる男達である。全員が逞しい体躯に装飾過多の服を着こみ、思い思いの凶器を傍らに胡座を掻いて菓子と紅茶を飲み食いしている。
 ――そう、菓子と紅茶、である。
 お茶はティーバッグではなくポットで蒸らす天然茶葉。ミルクと砂糖もたっぷり。皿に盛られた菓子は既製品に混じって、手作りと思わしきケーキやクッキーが散見される。
 猟兵達は戦慄した。オブリビオン・ストームによってあらゆる文明の利器が失われていくこの時代において、このような宴を催すことが可能な量の菓子類が残っているとは。
 もしこれらの全てを無事持ち帰ることができたなら、アイ達の拠点(ベース)はずいぶんと潤うことだろう。それで救われる人も少なくないはずだ。
 幸い、彼らは菓子と紅茶とお喋りに興じていて侵入に気づいた様子はない。猟兵達は無言で視線を交わし、奇襲の準備にとりかかった。
ジェイクス・ライアー(サポート)
この先へ進みたいのなら
私が力になろう。

●探索等
「お嬢さん。少しお話をお聞かせいただいても?」
その場に相応しい人物を演じることに長ける

●戦闘スタイル
「さあ、仕事を始めよう。」
様々な武器を駆使して戦うスピード暗殺型
紳士的な所作で苛烈な攻撃を行う
さまざまな武器を状況に応じて使い分ける
銃の仕込まれた傘、靴の仕込み刃等
魔法や超能力は使えない

●性格
「紳士たるもの、いかなる時に於いても優雅たるべし」
クールな紳士、女性には慇懃な態度

●NG
フレンドリー、過度の笑顔(微笑み程度ならOK)、キャラの過去や私生活に関わる話、ギャグシナリオ、公序良俗に反する行為

●PLの好み
純戦、スタイリッシュ、怪我、泥臭さ、後味が悪い


リヴェンティア・モーヴェマーレ(サポート)
サポプレ

▼アドリブや他の方との絡みモリモリの盛り大ジョブです

▼性格
いつも笑顔でほわほわのぽやんで楽観的な元気っ子

▼口調
なのでス、でショウ、なのですカ?
等、文章の語尾や途中に1、2文字カタカナが入る
挿入箇所はお任せ
『~な気持ち』が口癖
敵に対しても「さん」付けする

▼武器、アイテム
戦闘時以外は動物の形をとっている子達が多く
会話や意思の疎通もします
動物達の方がしっかりしてる説があるやも…
(踏ん反り返る動物達)

▼得意
情報収集
ハッキング
支援

▼好き
家事全般
動物

▼戦闘
後衛に居る事が多く
後方から援護射撃やオーラ防御での防衛サポを好む

▼NG
過度なエロ
(尚、羞恥心がぶっ飛んでるので恥ずかしがると言うことは無いでス)


菫宮・理緒
食料品を溜めこんでいるって言ってたから、
食い散らかし系はあるかなって思ってたけど、
さすがにヒャッハーなお茶会は、想像しなかったな、

しかも天然茶葉に手作りお菓子とか、ミスマッチ感、すごい……。

戦闘は、みんなと連携して奇襲できるといいな

わたしは【E.C.O.M.S】を全力展開。
全機で一斉に突撃させる感じで奇襲をかけるね。
レイダー1人に対して、24機くらいはぶつけていきたいかな。

広範囲に攻撃をバラまくような武器、
特に炎や水みたいに、食料にダメージを与えそうな攻撃をしてきそうな相手は、
優先的に狙って行くね。

いざというときは、
【Octagonal Pyramid】を盾にして食料を守るよ。



「食料品を溜めこんでいるって言ってたから、食い散らかし系はあるかなって思ってたけど、さすがにこんなお茶会は、想像しなかったな……」
 オブリビオン・レイダー達の様子を窺いつつ、理緒は呟いた。しかし、漏れ聞こえてくる会話の切れ端は次に襲撃するのはどこにするだの、先日の略奪は楽しかっただのと物騒で暴力的なものばかり。
「しかも天然茶葉に手作りお菓子とか、ミスマッチ感、すごい……」
「食べ物に困っていル方が大勢いるのニ、けしからんでスネ」
 同じように貯蔵庫前の広間を覗きつつ、リヴェンティア・モーヴェマーレ(ポン子2 Ver.4・f00299)が言った。その表情こそ常と変わらない笑顔ではあるものの、貴重な食料を無為に浪費する略奪者の所業を許してはおけない、といった口ぶりである。
「全く、粗暴にして野卑を絵に描いたような連中だ。……さて、お嬢さん方。準備はいいかね? 気取られる前に仕掛けるとしよう」
 ジェイクス・ライアー(驟雨・f00584)が促す。オブリビオンが油断しきっている今こそ、急襲して撃滅するには千載一遇の機会。研ぎ澄まされた彼の眼は、略奪者達の士気が最も緩む瞬間を的確に見定めていた。
「では、仕事を始めよう」
 理緒とリヴェンティアが頷くのを確認して、ジェイクスはコートの裾を翻した。見えているのに見ていない、意識と視界の隙間を突いて音もなく接近。ティーカップを片手に下卑た笑声を上げる男の首筋に、素早く抜いた短剣を突き立てる。
「静かにしたまえ。紅茶はもっと紳士的に嗜むものだ」
 仲間の一人が突如血を噴いて倒れるのに、略奪者達が色めき立った。次々と狂気を向けられても、ジェイクスは静かに、しかし一分の隙も見せずに構えてみせる。
「困難の中に機会がある」
 旋風が吹いた。回避、攻撃、回避、攻撃、攻撃。戦火に鍛え上げられたその動きは精確無比な機械のようであり、ある種の舞踊のようでもあった。
 ユーベルコード『千軍万馬』がもたらす嵐に恐れをなして、略奪者達が一歩退く。
「光無き燈火・円環の理・小さくも大きな刃を持つ我が子よ。この世界にその姿を見せよ。……うちの子は皆賢いノデ一筋縄ではいきませんヨ?」
「作戦行動、開始」
 そこへ殺到する小動物と小型戦闘機械の群れ。可愛らしい外見に隠した野性の牙が、二十四機の編隊から放たれる銃弾がオブリビオン達を挟撃し、散々に追い立てる。
 と、一人の略奪者がバイクに据え付けられた大型の火砲を構えた。対戦車ロケット弾。その危険性をいち早く察したジェイクスが短剣を投擲、リヴェンティアも阻止するために射撃するが、被弾して倒れこんだ弾みで引き金が引かれてしまう。
 煙の尾を引いて飛翔する弾頭。その行く先は猟兵達ではなく、食料貯蔵庫!
「だめ……っ!」
 理緒は無人機を操り、貯蔵庫を守るべく翔けさせた。高速で飛んでいるはずのロケット弾と無人機の動きが、やけにゆっくりと動いて見える。
 着弾、爆裂。轟音と爆風が吹き抜けた。
 ゆっくりと晴れていく黒煙。床に散らばった残骸。貯蔵庫の扉は……無事だ。
「……よかった」
 ほっと胸を撫で下ろすのも束の間、理緒は残ったオブリビオンに決然と立ち向かった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

アオイ・フジミヤ
りっちゃん(f01013)と

恋と心を守るためには甘いお砂糖が必要
拠点の人たちの笑顔が見たい

UCで自由に大きさを変えられる守護天使を呼ぶ
ムキムキマッチョマンの羽が生えたいい笑顔の天使さん
はじめは身長1センチ程度
気づかれないように近づいてね

敵の傍に寄ったら天井ぎりぎりまで巨大化して敵を混乱させよう
混乱に乗じて菓子と茶葉をりっちゃんに隠してもらう

バイクさん、りっちゃんをお願いね
ふたりの動きを邪魔させないように
近づく敵は衝撃波で意識を逸らし、盾受けで身を守る
ちなみにこのケーキ、あなたたちが作ったの?

マッチョVSマッチョのガチバトルです
でも私にはりっちゃんがいるからこわくない
負けないよ、希望があるから


硲・葎
アオイさん(f04633)と。
大事なものが傷つかないように。集めたものは物を隠すでそっと隠しておこう。
全部、全部守るよ。
まずはダッシュで距離を詰めて彼岸花之葬で捨て身の一撃。敵が怯んだらUC発動。
「バイクさん!!」
アオイさんが危なかったら必ずかばうを。
敵からの攻撃は第六感と見切りで回避。
こんな素敵なケーキ、作れるならパティシエになればいいのにね。こんなことしないで。
「人の恋路を邪魔する奴はバイクさんに蹴られてしまえ!」



 猟兵達の襲撃に浮き足立つ襲撃者共の隙を突いて、アオイは走る。
 その狙いはオブリビオンではなく、封を開けられていない菓子や茶葉。荒事の最中に踏み砕かれてしまわぬよう、そっと拾い上げる。
「恋と心を守るためには甘いお砂糖が必要だもの」
 これらはきっと、拠点(ベース)にいくつかの笑顔を咲かせるだろう。そう遠くはない未来の光景に頬を緩め、アオイは回収した包みを葎に託す。
「りっちゃん、お願いね」
「うん。全部、全部守るよ」
 恋と笑顔の種を鉄火場から遠ざけるべく、葎は踵を返した。それを追うように轟く爆音。三メートル余りの大型武装バイクに乗った襲撃者が迫ってくる。
「負けないよ」
 獰猛なエンジン音を圧して、鐘の音が響いた。ユーベルコードの気配にも構わず、オブリビオンが突撃してくる。
「希望があるから」
 再び鐘が鳴り響くや、襲撃者の眼前に逞しい体躯の天使が出現した。否、体を縮小して忍び寄っていたものが巨大かしたのだ。天使はぐんぐんとその背丈を増し、襲撃者達の二メートルにならんとする身長を超え、天井に頭が擦りそうなほどの大きさとなる。
 巨人天使がその脚を振り上げた。武装バイクが玩具のように吹き飛び、オブリビオンが地に叩きつけられる。銃声が響く。天使が反撃の拳を繰り出す。天に唾した襲撃者は報いを受け、冷たい床に這いつくばった。
 その猛威と目を引く巨体に、襲撃者達が火線を集中させる。火花が弾け、衝撃波を放ち応戦を続けるアオイのすぐ傍にも跳弾が突き刺さる。
 だが、彼女は恐れない。なぜなら。
「バイクさん!!」
『承知!』
 滑りこんできた躯体が立ちはだかる。鋼鉄の恋人にまたがり、赤色の刃を携えた葎が振り返って笑顔を見せる。
「ギリギリだったかな?」
「ううん、余裕だよ。りっちゃんのほうは?」
「ばっちり」
 頷く二人。首尾は上々、後はオブリビオンを蹴散らすだけだ。
「ちなみにこのケーキ、あなたたちが作ったの?」
 流れ弾を受け無残にも砕けてしまったそれを見て、アオイは言った。
「こんな素敵なケーキ、作れるならパティシエになればいいのにね。こんなことしないで」
 葎も残念そうに首を振った。もし、この世界にオブリビオン・ストームが吹き荒れなければ、そういう現在もありえただろう。
 だが、全ては嵐に奪い去られ過去の彼方。もうやり直すことはできない。
『敵が来る。葎、まだ行けるか?』
「うん、まだまだ」
 AIの問いかけに答え、葎は押し寄せてくる襲撃者達を見据えた。
「人の恋路を邪魔する奴はバイクさんに蹴られてしまえ!」

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

真宮・響
【真宮家】で参加。

ここがアポカリプスヘルか。初めて来たけど大分荒れてるようで。駆けつけてみたらお茶会の用意をした荒くれがいた訳で。ようするにこいつらをぶっ飛ばしてこのお菓子類を本当に必要な人達に届ければいいんだね。任せな。

炎の戦乙女を発動、前からの抑えを任せ、【目立たない】【忍び足】で奴らの背後を取り、背後を取ったら【先制攻撃】【二回攻撃】【串刺し】【範囲攻撃】で攻撃。敵からの攻撃は【オーラ防御】【見切り】【残像】で対応するよ。


真宮・奏
【真宮家】で参加。

何か怖そうな人達がいますね・・・え?お菓子を略奪しようとしてるのですか?むむ、胃袋ブラックホールの私としては絶対許しません!!このお菓子、本当に必要とする人達の為、絶対奪還しますよ!!

私は貯蔵庫を死守する為、貯蔵庫の前に立って戦います。トリニティエンハンスで防御力を高め、【オーラ防御】【盾受け】【武器受け】【盾受け】【拠点防御】で敵の攻撃を防いで、貯蔵庫の扉を【かばう】攻撃は【属性攻撃】【二回攻撃】【衝撃波】で遠距離から行います。いざとなったら【シールドバッシュ】で敵を吹き飛ばすことも考えますね。


神城・瞬
【真宮家】で参加。

アポカリプスヘルでは、こういう略奪者が民を脅かしてると。お菓子は人を幸せにします。少しでも悲しい境遇にある皆さんの笑顔の為、貴方達には退場して頂きましょう。

時間を掛けられません。最初から全力で行きます。【オーラ防御】を展開してから、月読の同胞を発動。同胞の攻撃に【援護射撃】として【高速詠唱】【全力魔法】【二回攻撃】で【誘導弾】を【範囲攻撃】で撃ちます。【鎧無視攻撃】【マヒ攻撃】【目潰し】【部位破壊】【武器落とし】も乗せますね。貯蔵庫に接近する敵がいれば【吹き飛ばし】も使いますね。



 奇襲に対して陣形を整えるでもなく、ただ目の前の敵に反撃することしかできないレイダー達を突き崩し、猟兵達は貯蔵庫の扉の前に防衛線を敷いた。
「胃袋ブラックホールの私としては絶対許しません!!」
 信念の証たる長剣で空を裂いて、真宮・奏(絢爛の星・f03210)が気炎を吐く。気概を見せる娘の横顔に頼もしさを感じつつ、真宮・響(赫灼の炎・f00434)は奏の肩を叩いた。
「ようするにこいつらをぶっ飛ばしてこのお菓子類を本当に必要な人達に届ければいいってわけだ」
「では、時間は掛けられません。最初から全力で行きます」
 言って、神城・瞬(清光の月・f06558)は六花を象った杖を掲げた。義母と、義妹と、貯蔵庫を守るようにオーラの盾が立ちはだかる。
「月読の同胞、力を借ります!!」
 瞬がユーベルコード『月読の同胞』を発動させ戦士の霊を呼び出したのをきっかけに、奏と響も動いた。奏は前に、響は横に。
 母娘の移動に対応しようとしたオブリビオン達に、戦士の霊が射った半霊体の矢と瞬の放つ魔力弾が襲いかかる。月光の如き白色の弾幕に出鼻を挫かれ、暴漢共が怒声を上げた。
「この世界では、こういう略奪者が民を脅かしてると」
 ヒートアップする略奪者達を見据え、瞬はあくまでも冷静だった。
「少しでも悲しい境遇にある皆さんの笑顔の為、貴方達には退場して頂きましょう」
 彼の周囲に侍る精霊達が一斉に不可聴の歌を歌う。解き放たれた魔力が月光色の弾丸をさらに加速させる。機関銃よりも速く、狙撃銃よりも鋭い攻撃がオブリビオン達を次々と貫いていった。
 一人の暴漢が、銀の弾雨を潜り抜けた。肉体と精神を崩壊ぎりぎりまで昂らせる危険薬物によって痛覚を遮断し、超人的な瞬発力を発揮して疾走してきたのだ。
 血か油かも定かではないものに汚れたチェーンソーが耳障りな咆哮を上げる。振りかざされた暴虐の凶器の前に、奏が立ちはだかった。
「このお菓子、本当に必要とする人達の為、絶対奪還しますよ!!」
 掲げた盾に三つの魔力が宿る。精霊の加護が励起。輝きがチェーンソーを受け止めた。鋼鉄を噛んだかのように火花が散る。
 注がれた魔力と精霊が共鳴。守護の光が輝きを増し、二メートルを超える略奪者の体を押し返す。過負荷に耐えかねたチェーンソーが破砕され、オブリビオンがバランスを崩してよろめいた。
 白光一閃。筋肉も骨もものともせず、奏の長剣が略奪者の首を宙に舞わせる。
 いまや、レイダー達の意識は義兄妹との攻防に集中しきっていた。だから、どのオブリビオンも自分達の後背に猟兵が回りこんだことに気づかない。
「さあ、行くよ、燃え盛る炎の如く!!」
 略奪者共が響の強襲を認識したのは、響が拳大の魔法石を代償にユーベルコードを発動させ、青と赤の二色の炎槍が最後尾のオブリビオンを数人まとめて吹き飛ばした時だった。
(この世界、初めて来たけど大分荒れてるようで)
 あらゆる歴史がオブリビオン・ストームによって灰塵に帰してしまう世界。彼女の故郷である町の歴史ある佇まいとは比べるべくもない。
 いつか、この地獄がオブリビオンの脅威を振り切り、元のように歴史を刻んでいける未来が来るように。
 その行く先を照らし、一歩でも先に進めるように。炎の戦乙女達は槍を振るい、オブリビオンを蹴散らしていった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​




第3章 日常 『伝統文化を守れ』

POW   :    伝承者の生活を支える為の支援を行う

SPD   :    伝承者の技術を体得して文化の継承を行う

WIZ   :    伝承者の技術を文献などに残す事で文化の継承を行う

👑5
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●地獄のように黒く、天国のように甘い
 オブリビオンの略奪者達を壊滅させ、猟兵達は廃工場の食料貯蔵庫へと到達した。
 そこには噂と予知のとおり、崩壊を免れたものやオブリビオンが収集していたもの、既製品や業務用の材料など様々なお菓子が詰めこまれていた。
 その全てを持ち出すことはできなかったが、アイ達の拠点(ベース)に住む女性達にもうすぐバレンタインデーだということを思い出させるには十分な量を確保することができた。
 貴重な菓子類を持ち帰った奪還者として諸手を上げて歓迎された猟兵達は、そのまま流れでプレゼント作りにも参加することとなった。
 材料は限られており、お菓子作りの知識を持つ住人も多くはない。だがそれでも、この日はこの拠点にバレンタインデーという「日常」が取り戻された、記念すべき一日になるだろう。
アオイ・フジミヤ
りっちゃん(f01013)と

日常
この人達は日常が”当たり前”ではないと知っている
愛しい暮らしの中で
それが永遠に続くようにと願っていても

目を閉じた次の瞬間には
それが崩れてしまうかもしれないと知っている人達

わかるよ
でも生きなくては
少しでも一緒に笑えればいいね、りっちゃん

恋する乙女心は他人事じゃない
りっちゃんと女の子達のチョコレート作りを手伝いたい
私もずっと片思いしていた人がいるの
奇跡が起きて恋人になることができた
想いは通じるんだよ
このチョコレートにいっぱい想いを込めようね

りっちゃんの好きな人の好み、私の好きな人の好みと一緒!
バイクさんかな?(笑って)

日常を愛おしいものに変えるのは
日々を生きる人の心


硲・葎
アオイさん(f04633)と。
彼女がどんなことを思って、どんな風に作りたいか……
「大好きな人を思って、この人は、どんな物が好きか、味が好きか。大事な人と好きを共有できるの、とっても素敵だと思うの」
大事な人を思いながら作るチョコ作りはきっと特別。彼女から、彼の好みをコミュ力で聞き出して、世界知識を元に情報収集。
料理で彼の好きなお菓子を作っていこうかな。私の好きな人のチョコの好みを。
「私の好きな人のお菓子……?甘すぎないちょっと爽やかなチョコかな?」
オレンジの皮の砂糖漬けにチョコを掛けたら、オランジェットの完成!
アオイさんは?
「好きな人……うん!バイクさんだよ!……」
擬人化してる彼に笑いかけよう。



 湯煎にかけたチョコレートの具合に注意しながら、アオイは目だけを動かして周囲を見回した。
 拠点(ベース)となっている学校の調理実習室。居住者達が共用の炊事場として使っているそこは、甘い香りと楽しげな声に溢れていた。
(この人達は日常が『当たり前』ではないと知っている)
 アイ達が同年代の少女と一緒に悪戦苦闘し、もっと幼い女の子が母親と一緒に型へ溶かしたチョコレートを流しこみ、アオイと同年代と思わしき女性は限られた材料でプレゼントを飾り立てようと頑張っている。
(愛しい暮らしの中で、それが永遠に続くようにと願っていても、目を閉じた次の瞬間にはそれが崩れてしまうかもしれないと知っている人達)
 彼女達は皆、それぞれのバレンタインデーに向けて一生懸命だった。
(わかるよ。でも生きなくては)
 その胸の内には、恋する心が息づいているのだから。
「少しでも一緒に笑えればいいね、りっちゃん」
 同じように周りを眺めていた葎は、ささやくように声をかけられて隣を振り向いた。
「うん。大好きな人を思って、この人は、どんな物が好きか、味が好きか。大事な人と好きを共有できるの、とっても素敵だと思うの」
 その素敵な時間は、きっと笑顔をもたらすだろう。そして、今日笑い合えたことはきっといい記憶として、未来へと進んでいくきっかけになるだろう。
「だから、頑張らなきゃ!
「そうだね。想いは通じるんだよ。このチョコレートにいっぱい想いを込めようね」
 アオイに起きた奇跡が、葎にも起こるように。
 そうして話題は、意中の彼の好みへと移る。
「私の好きな人のお菓子……? 甘すぎないちょっと爽やかなチョコかな? アオイさんは?」
 問い返されて、アオイは笑顔で手を打った。
「りっちゃんの好きな人の好み、私の好きな人の好みと一緒! バイクさんかな?」
「……うん! バイクさんだよ!」
 答えて、葎はユーベルコードによって人の姿を取った彼を見る。力仕事を頼まれてあちこち動き回るその背を笑顔で追いつつ、調理を進めていく。
 オレンジの皮の砂糖漬けにチョコレートをかけて、冷やす。オランジェット。甘さの中に酸味とほろ苦さを閉じこめた、葎の想いのかたち。
 これを渡したら、彼は一体どんな顔を見せてくれるのだろう。考えながら、葎は完成したプレゼントに封をした。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

真宮・響
【真宮家】で参加。

やれやれ。何とか食料は護れたか。見事にお菓子ばっかりだねえ。バレンタイン?18で今の夫に会ってから随分ご無沙汰してるが、愛する人に想いを伝えられる日は大事にしなきゃいけない。いや、駆け落ちまでした身だし。

さて、女の子達には簡単なチョコレートのお菓子を教えようか。ボールを幾つかとへらがあれば簡単に出来る。お湯は沸かせるかい?なら大丈夫だ。いつの間にか女の子達に奏が混じってるが、まあ、不器用なたちだし、現在進行形で恋をしてるからねえ。

うん、初めてにしてはいい出来だね。後は渡すだけかい?ここからが大変だろうけど、上手くいくよう、祈ってるよ。


真宮・奏
【真宮家】で参加。

お菓子をゲット、です!!バレンタイン・・・(瞬の方を見て真っ赤)はい、大切な日ですよね?折角なので私も作りたいと思います!!え?もちろん作り方を教えて貰いながら!!私、不器用なタチですし。

優秀な先生がいますし、アイさん達と仲良く作ります!!はわわ、チョコが焦げた~!!(どったんばったん)な、なんとかチョコが出来ました。瞬兄さん、受け取ってください!!(頭撫でられて)ほわぁ~・・・幸せですぅ・・・


神城・瞬
【真宮家】で参加。

やれやれ、色々騒がしかったですが、物騒な奴らは退治できましたね。見事にバレンタインのチョコを作る材料と器具が揃ってますね。バレンタインの主役は女性だと思うので、お湯を沸かすとか、チョコを刻むとか、地味なお手伝いに徹しましょうか。

何か悲鳴が聞こえますが、仲良くチョコ作りをしている女の子達に微笑みます。奏に差し出されたチョコは喜んで受け取ります。ありがとう、嬉しいですよ。(奏の頭を撫でる)アイさん達の表情を見て、この世界の人々の笑顔を少しでも取り戻せてよかった、と思います。



「色々騒がしかったですが、物騒な奴らは退治できましたね」
「何とか食料は護れたか。見事にお菓子ばっかりだねえ」
 そう言って『真宮家』の母と息子はやれやれと息を吐いた。そして娘のほうはと言えば――。
「お菓子をゲット、です!!」
 楽しそうに、奪還したお菓子達を品定めしていた。
「折角なので私も作りたいと思います!!」
 響と瞬は顔を一度見合わせる。完成したチョコレートを奪うためにオブリビオンが襲来するわけでもないし、本人もやる気に溢れている。まあ放っておいてもいいだろうと、二人はそれぞれ拠点(ベース)の住人達の手伝いに向かう。
(バレンタインか……)
 菓子の手作りなどしたことのない少女達にあれこれと指導してやりながら、響は心中で呟いた。
(十八で今の夫に会ってから随分ご無沙汰してるが、愛する人に想いを伝えられる日は大事にしなきゃいけない。いや、駆け落ちまでした身だし)
 オブリビオンに脅かされ続けるこの世界だからこそ、そんな風に自分の気持ちを貫いてほしい。かつて少女だった我が身を振り返りながら、彼女は簡単なレシピを実演してみせる。
「これならボールを幾つかとへらがあれば簡単に出来る。お湯は沸かせるかい? なら大丈夫だ」
 と、アイ達の中に見慣れた顔。いつの間にか奏が混ざっていた。
「何してるんだい」
 そう問う母に、
「え? もちろん作り方を教えて貰っています!! 私、不器用なタチですし」
 娘は胸を張って答えた。
(現在進行形で恋をしてるからねえ。それにしても、不器用なのは誰に似たんだか)
 娘の姿に誰かの面影を見て、響は唇を綻ばせる。
「はわわ、チョコが焦げた~!!」
「ヤバい! どーしたらいいのチエ!?」
「わ、私に言われても……どうしよう、ユウ」
「とりあえず火を止めて、それから……」
「大丈夫です、優秀な先生がいますから! お母さーん!!」
 そうして、バタバタと騒がしい娘達に手を貸してやるために歩いていくのだった。

「な、なんとかチョコが出来ました……」
「お二人ともありがとうございました。今度は、わたしたちだけで作ってみます」
「頑張りなよ」
 頭を下げて離れていくアイ達を見送って、響は奏に向き直った。
「多少トラブルはあったけど、初めてにしてはいい出来だね。後は渡すだけかい? ここからが大変だろうけど、上手くいくよう、祈ってるよ」
 さっきまでの騒がしさはどこへやら、奏は無言で頷いて踵を返し、想い人のほうへと駆けていく。
「瞬兄さん」
 声をかけられて、バレンタインの主役は女性だからと地味なお手伝いに徹していた瞬は顔を上げた。頬を桃色に染めた義妹が、小さな包みを差し出している。
「受け取ってください!!」
 オブリビオンと戦っている時くらいに真剣な表情の奏の手から包みを取って、瞬は彼女の頭に手を伸ばした。
「ありがとう、嬉しいですよ」
 そっと撫でてやれば、奏は顔を蕩けさせる。
「ほわぁ~……幸せですぅ……」
 そんな自分達の様子に注がれる視線を感じて、瞬はそちらをちらりと眺めやった。アイとユウが音を立てずに拍手し、チカははしゃぎ回ろうとしてチエに押さえられている。そんな彼女達は皆、笑っていた。
(この世界の人々の笑顔を少しでも取り戻せてよかった)
 安堵と達成感を感じながら、瞬は奏の笑顔に再び目を向けるのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

菫宮・理緒
さ、ここからがいよいよメインイベントだね。
大好きな人へ、想いをめいっぱい伝えちゃおう。

お菓子作りはわたしも得意ではないから、
【情報収集】を使ってしっかり検索。

味よりも想いだって思うけど、
なるべくならおいしいの作りたいし、
喜んでもらいたいよね。

思いきりお手伝いさせてもらっちゃうし、
わたしも気合い入れて作るよ-!

想いを込めれば込めるほど、
どこまでも甘くなっていきそうだよね。

わたしはまだ、渡す相手もいないから、
けっこうビターなチョコになるかな……って、あれ?

なぜか、ぽんっ、と浮かんだのは、
お世話になっている寮の管理人さん。

はややややや!? え、えと、えとえと、
……チョコ、甘くなってくれるかなぁ……



 自分達だけでやってみる、とは言ったものの、不慣れな材料と調理器具にアイ達のチョコレート作りは難航していた。
 思わずため息をついたアイに、理緒は声をかける。
「手伝おうか?」
 アイは困ったような顔をして、すぐに返事をしなかった。恩人の手を患わせたくないという気持ちと、自分だけでやり遂げたいという想いがあるのだろう。
「じゃあ、隣で作ってもいい? 誰かと一緒にやったほうが捗りそうだから」
 それを汲み取って言い換えた理緒に、アイは申し訳なさそうにしつつも頷いた。
「よーし。大好きな人へ、想いをめいっぱい伝えちゃおう!」
 自信ありげに拳を掲げる理緒だが、実はお菓子作りはあまり得意ではない。そんなわけで、ネットワークにアクセス。「チョコレート 作り方 失敗しない」で検索。
「わたしも気合い入れて作るよ-!」
 言って、理緒は電子の海から引き出したお菓子作りのコツを立体映像として投影してみせる。アイ達の感嘆の視線を浴びつつ、彼女はチョコレート作りに取りかかった。
 それからしばらくして。
「想いを込めれば込めるほど、どこまでも甘くなっていきそうだよね」
「おおー、詩人ですなー」
「ちょっと、チカ。でも、本当にそうだといいですね。砂糖は貴重だから……」
 温めたクリームとチョコレートを合わせて練りながら理緒は言った。茶々を入れるチカをチエがたしなめる。
「あはは。でもそうなると、一番甘くなるのはアイちゃんのだね」
「やめてよ、ユウ。――理緒さんのが一番だよ、きっと」
 ユウが笑う。顔を真っ赤にしたアイは理緒に同意を求めるような視線を投げた。
「いやぁ、わたしはまだ、渡す相手もいないから。けっこうビターなチョコになるかな……って、あれ?」
 言いかけて、理緒は次の台詞を見失った。脳裏を横切った誰かの影。その人の名前がうっかり口を突いて出そうになって、理緒の頭にかっと血が昇る。
「はややややや!? え、えと、えとえと……」
「――ほらね?」
 おたおたと言葉にならぬうめき声のようなものを上げる理緒。アイと友人達がくすくすと笑う。
「……チョコ、甘くなってくれるかなぁ……」
 好奇の視線を前髪で遮って俯いた理緒の呟きが、湯気を立てて完成を待つチョコレートの上に落ちた。

成功 🔵​🔵​🔴​



最終結果:成功

完成日:2020年02月19日


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🔒
#アポカリプスヘル


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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
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 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

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👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


挿絵イラスト