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アースクライシス2019⑰〜戦神、剣振るいて

#ヒーローズアース #戦争 #アースクライシス2019 #戦神アシュラ #神の空間


●阿修羅城にて
 積み重なる人間の死体から、血や臓物が無造作に溢れている。そこへ、さらに一つの身体が重なろうとした。「もう終わりとはね! 予想以上につまらなくてガッカリだよ!」
 炎を背負う女はさもつまらなそうに呟いて、六つの剣を閃かせる。
 つい先ほどまで人の形を取っていたものは細切れになり、鮮血を散らしてその場に飛び散った。女は眉ひとつ動かさずにそれを眺め、剣を振って血を払う。
「アタシの相手ができる奴はいないのかい? せっかくの復讐の刻だっていうのに、怒りが募っていくばかりじゃないか! ああ、ムカツク! だから早く――」
 刃をゆっくりと舐める女の口角が上がる。
「早く来な、新種の侵略生命体『猟兵』! アタシのこの怒り、アンタらにぶちまけさせてくれよ!」
 凶暴な色を瞳に宿し、女は背の炎を燃え上がらせた。

●グリモアベースにて
 グリモアベースは、今日も賑わっている。それもそのはず、此度のヒーローズアースの窮地を救うべく、多くの猟兵が動いているのだ。
「ジェネシス・エイトのひとり、『戦神アシュラ』の拠点が判明したんだよ!」
 真っ直ぐに手上げて声を張り上げ、佐伯・キリカ(陽気に元気・f00963)は猟兵たちの目を惹いた。
 『戦神アシュラ』。かつては残虐さと邪悪さゆえに処刑された女神だ。
「戦神アシュラがいるのは、阿修羅城っていう場所だよ。パンゲア大空洞で見つかった石板を解析する事でしか到達できない神の空間の一つって話なんだけど……解析の結果、グリモアベースからの転移が可能になったんだよ!」
 それはつまり、と猟兵のひとりがほころび、口にする。キリカは大きく頷いた。
「そう! 阿修羅城に直接乗り込めるってことなんだよ!」
 けれど喜ばしいのは、そこまで。待ち受ける敵、戦神アシュラは一筋縄ではいかない相手なのだ。
 攻撃手段はどれも苛烈かつ厄介。
 無敵状態になった上で戦闘能力を増大させたり、相手の戦闘行動を封じた上でスピードと反応速度を増加させたり、攻撃を軽減させた上で六刀で攻撃してきたりするのだという。
「敵は必ず先に攻撃してくるんだよ。だから、戦神アシュラの攻撃をどう防御して――そこからどう反撃に繋げるか、っていう作戦が重要なんだよね。……おっ、そこの猟兵さん! その顔は『何か策がある』ってカンジだね? よし、それじゃさっそく頼んだんだよ!」
 六花のグリモアを煌めかせ、キリカは猟兵たちを送り出した。


雨音瑛
 戦神アシュラの支配する阿修羅城での戦闘となります。
 判定はちょっと厳しめになりますので、お気をつけください。

●プレイングボーナス発生条件
 敵のユーベルコードへの対処法を編みだすこと。
 戦神アシュラは必ず先制攻撃してきます。そのため、先制攻撃をいかに防御して反撃するかの作戦が重要になります。

●戦場について
 人間の死体で埋め尽くされています。そのどれもが残虐な方法で殺された状態です。
 というグロテスクな状況なので、ご希望がなければ明確に描写しません。
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第1章 ボス戦 『戦神アシュラ』

POW   :    戦女神光臨
【悪の『戦女神』としての神性】に覚醒して【戦いのためだけに造られた武器への無敵状態】に変身し、戦闘能力が爆発的に増大する。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。
SPD   :    阿修羅三眼装
【額の第三の眼を開く】事で【目にした者の戦闘行動を封じる『終戦神』】に変身し、スピードと反応速度が爆発的に増大する。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
WIZ   :    阿修羅破界撃
対象の攻撃を軽減する【神気を纏った『戦勝神』】に変身しつつ、【六刀本来の姿たる全てを断つ『破壊神』の刃】で攻撃する。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
👑11
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ウィルヘルム・スマラクトヴァルト
緑の騎士、ウィルヘルム・スマラクトヴァルト、推参!
その怒り、その復讐、ここで終わらせる!

先制攻撃は緑の大盾を用いた「盾受け」で持ち堪えます。
「第六感」で攻撃を予測してその軌道を「見切り」、
確実に盾で受け止めることに専念しますが、
万一盾で受けきれなかった場合は「オーラ防御」で防御力を高め、
ダメージを受けても「激痛耐性」で持ち堪えます。

先制攻撃を耐えきったら、反撃です。
緑の斧槍を手放して「フェイント」をかけた上で懐に入り、
渾身の「怪力」で手刀を振り下ろし、【両断の一撃】。
さらに「2回攻撃」で追撃。手刀での「串刺し」を狙います。



「緑の騎士、ウィルヘルム・スマラクトヴァルト、推参!」
  エメラルドのクリスタリアン、ウィルヘルム・スマラクトヴァルト(緑の騎士・f15865)は緑の斧槍を掲げて高らかに宣言する。
「随分と礼儀正しい猟兵もいたもんだ。それじゃアタシは――残虐と邪悪の戦神アシュラ、とでも名乗ろうかね! さあ行くよ!」
 加速して同じ地点に向かう二人、先手を取ったのはアシュラ。不規則な六つの剣が閃くのを、ウィルヘルムは視線で追う。その全てを瞬時に読むのは並の者では不可能だろう。視認するよりも早い対応が――たとえば第六感での予測が――必要だ。
 読んだ通りの場所を通る銀閃を受けるのは、彼の持つ分厚い盾。アシュラが振り下ろす刃は、火花を散らしながら盾の上を滑ってゆく。
「へえ! 全部受けるなんてね! やるじゃないか、アンタ!」
「褒められたところで――」
 視線をアシュラから外さず、ウィルヘルムは緑の斧槍を手放した。
「はっ! なんだい、やられる覚悟でもできたのかい!」
 そこからウィルヘルムが踏み出した数歩分は、フェイント。釣られたアシュラの懐に躊躇無く踏み込んだところで、ウィルヘルムはやっと否定の意を示す。
「まさか。こうするんだ――私の渾身の一撃、食らうがいい!」
 いっとう力を籠めた手刀が、アシュラの肩に振り下ろされる。痛みに顔を歪ませる女に対し、ウィルヘルムの手刀は二度目の構えを取った。
「その怒り、その復讐……ここで終わらせる!」
 手刀が貫く、アシュラの脇腹。
 戦神と名乗った女は、信じられないというように瞠目した。

成功 🔵​🔵​🔴​

備傘・剱
こいつも、先手を打ってくる、ね
こうも多いと、またかって思えるな

とはいえ、強敵には間違いない
戦女神光臨は、戦いの為だけに作られた武器には無敵なんだから、そうでない武器、ワイヤーワークスと、フォトンガントレットで迎え撃つ

阿修羅三眼装は、俺自身の戦闘行動なんだよな?って事は、自動で動く生き人形一足りないに迎撃させよう
攻撃に対しては致命傷を受けない様、動きを見切り続ける

阿修羅破界撃は用は、こっちに動きの制約がないのなら、オーラ防御全開で迎え撃つ
ガントレットで攻撃を防ぎ、衝撃波、誘導弾、呪殺弾を零距離で放てば、それなりに効くだろうぜ

そして、接近できたら、黒魔弾発動してぶん殴る

アドリブ、好きにしてくれ



「何人でもかかってきな、猟兵! さあ、アタシから行くよ!」
 アシュラの気配が禍々しいものへと変じてゆく。備傘・剱(絶路・f01759)はまたか、と小さくため息をついた。先手を打ってくる者と戦うのは初めてではないのだが、こうも多いと辟易せざるを得ないというものだ。
 それにアシュラはジェネシス・エイトのひとり。強敵であることは間違いないのだ。
「今のアタシに武器は効かないよ! ――はっ、そんな道具で対処できると思ってるのかい!」
 アシュラは剱の手にするものを一瞥し、鼻で笑った。アシュラが『そんな道具』とのたまったのは、頭部がフック状に歪曲した鋼鉄製のハンマーとガントレットだ。
「もちろん。そうでなきゃ、持ち込んだり、しない」
 斬りかかってくるアシュラは、武器に対して無敵の状態を誇る。ただしそれは「戦いのためだけに造られた武器」に限って、の話だ。
 剱はまず、凄まじい力で振り下ろされる剣三本分の攻撃をガントレットで受けた。ガントレットは武器ではなく防具。つまりアシュラの剣を問題無く受けられる道具であるということ。
「! ちっ、なら――! ……!?」
 もう三本の剣を振るおうとしたアシュラは、目を見開いた。
 ハンマーに付随するワイヤーが、剣を絡め取っていたのだ。無論、このハンマーも戦いのためだけに作られたものではない。
 剱はワイヤーを引き、アシュラとの距離を詰めた。
「こっちの番だ、ね――黒の魔弾はいかな物も退ける。罠も、敵も、死の運命さえも!」
 直前でワイヤーを緩め、至近距離から漆黒の魔弾を叩き込む。剣で応戦速度すら与えずに。
 ワイヤーが全て剱の手元に戻った頃、アシュラは吹き飛ばされた先で膝を突いていた。

成功 🔵​🔵​🔴​

カイム・クローバー
お転婆のじゃじゃ馬だと聞いていたが、想像してた以上だな。次のダンスの相手は俺だ。宜しくな?

戦闘行動が何処までなのかハッキリは分からねぇが、身を躱すのぐらいは出来るか?基本的には背面に回るように第三の目から逃れるように動く。猟兵としての勘である【第六感】と【残像】で狙いを絞らせない。単純にスピード勝負じゃなく、俺の狙いは着ているコートを【早業】で頭に被せ、第三の眼を瞬間的に機能停止に落とす事。その際、【見切り】で六本の腕の隙間を縫うように投げるぜ。
その為に序盤は【フェイント】も交えて徹底して躱すのに徹する。
被せる事に成功すれば【属性攻撃】に【串刺し】を込めて、【二回攻撃】のUCを決めるぜ



 縦横無尽に繰り出される斬撃を、カイム・クローバー(UDCの便利屋・f08018)はひたすらに回避していた。
「ほらほらどうした! ――ああ、したくてもできないんだったね!」
 そう、アシュラの額にある「第三の眼」がカイムを捉え続ける限り、彼に攻撃は許されないのだ。カイムが動くたびに紺色のトレンチコート、その裾が翻る。
「その通り、お前の『第三の目』とやらのおかげでね! 戦えないのなら折角だ、ここはひとつダンスでもするか?」
 カイムがアシュラへと差し出す手。返答はその腕を切り落とさんばかりの閃きだと瞬時に察したカイムは、残像を残してアシュラの背後に回り込んだ。当然、アシュラも瞬時に反応し、振り返る。
「死の舞踏なら一人で踊るんだね!」
「つれない返答だな。そうだな、ダンスが気に食わないなら――スピード勝負としゃれこもうぜ!」
「そんな遠回しに『死にたい』っていう奴は初めてだよ、覚悟しな!」
 常に振るわれ続ける剣の軌道は、不規則で読みようがない。
 しかし、それでもカイムの方が主導権を握っている。フェイントをかけながら残像を作り出して動くことで、アシュラの攻撃を誘導しているのだ。
 アシュラの顔に苛立ちが見え始めたその時、カイムはコートを脱いだ。
 次の瞬間、アシュラの視界は紺色に覆われていた。剣の合間を縫って、カイムのコートがアシュラの頭に被せられたのだ。
「ッ!? このっ……!」
 カイムの狙いはひとつ、攻撃を阻害する第三の目。アシュラはコートに刃を走らせて切り裂き視界を確保しようとするが、カイムが紫雷を纏って踏み込む方が早い。
「遅ぇよ! さーて、痺れさせてやるぜ? 受け取りな!」
 アシュラの腹部を貫く一撃。それが二度に渡って行使されると、衝撃と共にアシュラが後退し、穴の空いたコートが浮く。
「スピード勝負は、どうやら俺の勝ちみたいだな?」
 カイムがコートを回収すると同時に、怒りに震えるアシュラの顔が見えた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ソラスティベル・グラスラン
…多くの死を重ねて尚、まだ足りないというのですか
ならば、ここからはわたしがお相手します
全ての怒りを受け止めてあげますッ!

構えるは二つの盾!
攻撃を押し返す蒸気機関の盾、小回りの利くバックラー
二つの【盾受け】に全身を覆う【オーラ防御】
更に【見切り】で受け流し、全ての刃を凌ぎます
尚足りぬならば【気合】で補うのみ!

凄まじき怒りと力、ですが恐れは不要!
防御重視の【勇者理論】で更に守りを固め、
【怪力】を籠め前へ、逆に押し返し!

怒りの嵐が弱まった瞬間一気に弾き返す!
【勇者理論】を攻撃に、全力の【勇気】を乗せた【鎧砕き】の拳を
これは貴方への!
そして無辜の民を守れなかった、わたし自身への『怒り』です―――ッ!!



 アシュラが死体を蹴り、ソラスティベル・グラスラン(暁と空の勇者・f05892)に向かって加速する。死体が浮き、跳ねるのを見て、勇者の少女は拳を握りしめた。
「……まだ、足りないというのですか。これほど多くの死を重ねているというのに」
「ああ、足りないねえ! 全然足りないよ!」
 アシュラの返答に、ソラスティベルは二つの盾を構える。
 右腕の振り下ろす剣を、まずは蒸気機関の盾で受けて。
「ならば――」
 息を吐いて押し返しながらも、ソラスティベルの視線と体は二撃目を捉えている。
「ここからはわたしがお相手します」
 バックラーで受けながらの返答に、アシュラの口角が上がる。
「へえ? そんな華奢な身体で、アタシの相手が務まるってのかい! 」
「見た目で判断してもらっては困りますね。さあ、どこからでもどうぞ! 全ての怒りを受け止めてあげますッ!」
 三、四、五、六。畳み掛けられる刃の連撃を、恐るべきことにソラスティベルは全て受け流した。受けた先で体を掠めそうになったものは、全身に纏わせておいたオーラが代わりになって弾ける。
(「予想以上に凄まじい怒りと力ですね……。ですが!」)
 ほんの一瞬の判断で窮地に陥りかねないこの戦いにおいて、ソラスティベルはまるで恐れを感じていなかった。
 いっそう防備を高めながら盾を押し返せば、アシュラの目に驚きが滲む。
 やがて二つの盾は剣を跳ね上げ、弾き返した。そう来ると思っていなかったアシュラの反応が、一瞬遅れる。瞬間、アシュラの胴体ががら空きになるのをソラスティベルは見逃さない。すかさず攻撃力を高め、拳を繰り出した。
「これは貴方への! そして――」
 勇気を乗せた拳は、剣が迫っても怯まない。切っ先が掠めたところでなお衰えず、ソラスティベルの拳はアシュラの腹部へと叩き込まれた。
「無辜の民を守れなかった、わたし自身への『怒り』です―――ッ!!」
「ぐっ……!」
 アシュラは血を吐き、後退する。
 それでも、勇者の拳は繰り出されたままの位置で静かに震えていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

月舘・夜彦
【華禱】
この世界には神の存在が居るのは知っていましたが
戦神とも戦う事になるとは
それでも相手がオブリビオンであるならば、ただ戦うのみ

先制攻撃は抜刀術『八重辻』
覚悟を以て正面から受け止めてみせましょう
視力にて攻撃を確認、攻撃が来るタイミングに合わせて発動
被弾は避けられないと考え激痛耐性にて耐える
如何に被弾する数を減らせるかの勝負

敵の攻撃が終わった瞬間が合図
倫太郎殿が使う拘束術に合わせて仕掛けます
拘束術で防げるのも一部の手であろうとも、僅かに手元を狂わせられるなら良し
ダッシュとジャンプにて接近し、早業の2回攻撃でカウンター

神であろうとも、我等の前に立ち塞がるのならば
ただ刃を向けるのみ


篝・倫太郎
【華禱】
侵略生命体とか好き勝手言ってくれンのは
オブリビオンだしな

さて、っと
んじゃ、いつも通りに行こうぜ

先制攻撃には見切りと残像
動きもフェイントを混ぜて対応
回避出来たら僥倖
出来ねぇ時はオーラ防御で防ぎ、激痛耐性で耐える
出来るだけ夜彦への先制攻撃も俺が肩代わり

拘束術使用
範囲内なのを確認して鎖で攻撃
四肢……じゃねぇな、八肢を拘束して動きを鈍らせる
同時に華焔刀でなぎ払い
拘束術にも俺自身の攻撃にも生命力吸収と衝撃波を乗せてく

必要に応じて攻撃には破魔も乗せてく
悪に寄った神性だってンなら……魔を寄せるものだ
そうなら破魔も多少は効果あるだろ

総ては夜彦の一撃に繋ぐため

拘束術は剥がされたら拘束するまで何度でも使う



 猟兵たちが行き来できる世界には『神』と呼ばれる者すら存在する。そうとは知っていても、まさか戦神と戦うことになるとは思っていなかった月舘・夜彦(宵待ノ簪・f01521)は、むしろ落ち着き払っていた。
 それは、いつものように隣に立つ羅刹の青年も同じようだ。薙刀を手に、篝・倫太郎(災禍狩り・f07291)は軽く笑う。
「猟兵が侵略生命体とはねえ。さっすがオブリビオン、好き勝手言ってくれンのな。んじゃ、いつも通りに行こうぜ」
「ええ。たとえ神であろうと、相手がオブリビオンならばただ戦うのみです」
 肩の高さで握った拳を軽く触れさせ、二人はアシュラと対峙する。
「さあ、どっちから斬られたいんだい? 両方一緒っていうリクエストも大歓迎だよ!」
「それはお断りだ。ってわけで、まずは俺から行かせてもらうぜ!」
 程よい緊張感で立ち向かう倫太郎は、アシュラの斬撃を見切って躱すことに腐心する。残像とフェイントを混ぜ、回避行動を読み切られないようにも気をつけながら。
「ちッ、面倒だね! なら――」
 アシュラの視線が、夜彦へと向けられる。
「構いませんよ。いつでもどうぞ」
 曇り無き刃を抜き、アシュラの先制攻撃を待ち受ける夜彦。それも一切の小細工は無し、真正面からだ。
「はっ、そういうのは嫌いじゃないよ!」
 視認したアシュラの閃きに合わせ、夜彦の刃が斬り返した。
 アシュラが振るう剣を受ける度、凄まじい衝撃が夜彦の手に伝わる。数十秒でゆうに百を超える斬撃ではあるが、夜彦は無心に斬り返す。
 夜彦にとって、今は斬り合いの勝負ではない。如何に被弾する数を減らせるか、それだけを念頭に凌ぎ続けるのには当然理由がある。
 とはいえ、夜彦は行使する技の特性ゆえに動けない。それに気付いてか、アシュラがいま夜彦の頭上からひとつの剣を振り下ろす。痛みへの耐性は備えていると、夜彦が覚悟を決める。
 すると、眼前に倫太郎が無理矢理割り込んで来た。アシュラの剣を受け止める彼の腕から、数滴の血が落ちる。
「こーいうのは俺の仕事。夜彦の仕事は――わかってンだろ?」
「ありがとうございます、倫太郎殿。……勿論、把握していますとも」
 二人うなずき合ったところで、倫太郎は片手を前へと突き出した。発生する衝撃波を剣で受けたアシュラは、鼻で笑う。
「お前の四肢……じゃねぇな、八肢、止めてやるよ!」
「ふん、そんな衝撃波ごときでアタシは止められ……何だ!?」
 アシュラが動揺するのも無理はない。目に見えぬ鎖が、彼女の腕と足――すなわち、倫太郎の言うところの八肢を絡め取ったのだ。同時に倫太郎の腕にある傷が消えてゆくのは、鎖が生命力を吸収するように仕込んでいたからだ。
 華焔刀に破魔の力を乗せ、倫太郎はアシュラを薙ぐ。刃がアシュラをかすめた時、彼女の表情に不快の色が滲むのを倫太郎は見逃さなかった。
「見立てどおり、悪に寄った神性は魔を寄せるものみたいだな」
「くっ! だからなんだって言うんだい!」
 前に出ていた倫太郎が数歩下がる。引き寄せられるように、アシュラが前に出る。
 夜彦の一撃に繋ぐための倫太郎の行動は、どうやら功を奏したらしい。
 夜彦が駆け、倫太郎を飛び越える形でアシュラへと接近する。合図など不要の連携だ。
「神であろうとも、我等の前に立ち塞がるのならば――」
「いつでも相手になってやるぜ、ってな!」
 倫太郎の言葉に不思議な安堵と頼もしさを覚えながら、夜彦は躊躇無く夜禱を振るった。
 直後に聞こえた、女の短い呻き声。それは、二度にわたる剣筋が確かな深手を負わせたことを証明していた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

エイプリル・フール
あ、これまずいんじゃね?戦闘行動を封じられるということは攻撃だけでなく、防御行動や回避行動も出来ないということだ。アホ娘の背中にたらりと冷や汗が流れる。
だが、戦闘行動を封じられたということは『その時点で先制攻撃は成立した』ということだ。破滅的な生き方で破滅しない悪運の強さが発揮される。
『たまたま死体に足を取られて運良く回避した』『神様には間が悪いことにそれで死体の山が崩れて混ざりし武具がカウンターとなって串刺しに』。そんな感じで勝率0を運の良さだけでイーブンに。
「『ふ、計算通り。その動きは読んでいたよ』」
だがこのアホ娘、自分の実力だと勘違いして調子に乗って有頂天。
悪運尽きるまで破滅的な生き様を



 あっ、とエイプリル・フール(承認欲求の嘘破棄アホ娘・f18169)は口元を抑えた。
「――遅い!」
 わずか数秒の間に、アシュラが襲い来る。
「まずい、動けな――」
 背中に流れる冷や汗を感じながら、エイプリルはあることに気付いた。
「あれ、これ先制攻撃は既に成立してるじゃん? ……ふ、計算通り。その動きは読んでいたよ」
 紫の髪をファサァと払い、一転して得意気な笑みを浮かべるエルフの娘。
 直後、彼女が取った行動は『足を肩幅に開く』というもの。それは回避でも攻撃でもない。言うなればただの移動だ。
「!? だからなんだって言うんだい!」
 あまりにも無防備なエイプリルの懐に、アシュラが動揺しながら踏み込む。警戒も躊躇も無しに振るわれる剣は、エイプリルの首を跳ねようと水平に動く。
 娘は余裕めいた様子で、目を閉じる。正気かい、というアシュラの声が聞こえたところで、エイプリルは右足を取られた。何に? もちろん、積み上がる死体の一つに。もちろん、これは偶然だ。
「わ、わわっ!」
 余裕が消え、バランスを取るべくふらつくエイプリル。その動きは、結果として何度も繰り出されるアシュラの剣を回避した。これもまた、偶然だ。
「あ、危ない危ない……」
「運の良い奴だね! でも、そう何度も――ッ!?」
 言いかけたアシュラの背に、衝撃が走った。
 アシュラは眉根を寄せて振り返る。
 エイプリルが足を取られた死体がわずかに動いたことで死体の山が崩れ、その中の一体が手にしていた槍が、やはり偶然、アシュラを貫いたのだ。
「ここまで――計算していたっていうのかい?」
「……ふ、もちろん」
 エイプリルは再び髪をファサァする。
 破滅的な生き方で破滅しないエイプリルの悪運の強さは、阿修羅城においても遺憾なく発揮されたのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

木常野・都月


神様なのに…世界のルール破って骸の海から戻ってくるって…どうなんだ?

先制攻撃する相手は不慣れだけど、最善を尽くしたい。

UCは【精霊の矢】を氷の精霊様の助力で使用したい。

予知にあった先制攻撃の対処は…

[野生の感、第六感]を使用、敵の動きに対応出来るようにしたい。

その上で[高速詠唱、カウンター、全力魔法、雷の属性攻撃]で攻撃を[吹き飛ばし]たい。

刃は金属。
誘雷効果があれば当てやすいかも?

相殺が無理なら[逃げ足、ダッシュ]で回避行動を、それも無理なら[オーラ防御、激痛耐性]で凌ぎたい。

手負いの獣らしく足掻きたい。
敵が近付いてくるなら、逆に当てやすいはず。
[氷の属性攻撃(2回攻撃)]で追撃もしたい。


ナナシ・ナナイ
何やここ!?いくらなんでも血みどろ過ぎひん!?最後にここ掃除したのは何時なん?
わいの作戦は至ってシンプルや!擲弾発射器型アサルトウェポンで催涙弾を発射、第三の目を開けていられへんようにするで!そうしたらUC発動、擲弾発射器型アサルトウェポンを複製、榴弾の雨をお見舞いや!(【一斉発射】、【鎧砕き】)
戦の神か…わい傭兵やし一応拝んどこ。ご利益あるかな?



キング・ノーライフ
憤怒をまき散らす阿修羅か、まあ戦いの果てではない処刑は不満か。
まあ戯言はこの位にするか、新参とて我も神。先神にならって倒すとしよう。

【戦女神光臨】は転送時は【ヴァーハナ】に乗車、カースタント的な片輪やバック全速等【運転】で攻撃を避けまくろう。

そして攻勢に転じる時は【ビルドロボット】で【ヴァーハナ】と合体、そもそも車は兵器でも武器でも無い、つまりダメージは通る。後は【操縦】で上手く操作して攻撃を避けつつ車の冷却水を使った【属性攻撃】や刀剣を振るいにくい格闘戦の間合いで殴るなり投げ捨てるなりするか。
「戦いは機械によって変わった事を理解せん限り、我には勝てんっ!」



兎乃・零時
アドリブ絡み大歓迎


ひぃ!?(見える惨劇に思わず悲鳴を上げる

おま、お前お前!?
な、なにやってんだよこの馬鹿野郎!
怒ってるからって、復讐だからってそんなことするんじゃねぇよ!
(凄く震える
(―――けど!【勇気】を出して

力づくだって…止めてやるんだからな!!

【POW】対策

全世界最強の魔術師を目指す俺様に、諦めるという選択は、無いと知れ!

攻撃は基本
俺自身の手から光【属性攻撃】の魔力放射連射!
「紙兎パル」には【拠点防御・オーラ防御】での防御と【援護射撃】を頼む

UCは杖の代わりに…手でやる!

相手に肉薄する隙が出来たら【覚悟】を決め【ダッシュ】で近づき
【零距離射撃・全力魔法・属性攻撃・捨て身の一撃】のUCだ!



「ここが阿修羅じょ……ひぃ!?」
 グリモアベースで聞いていた以上の惨劇に、兎乃・零時(そして少年は断崖を駆けあがる・f00283)は悲鳴を上げた。
「はは、驚きすぎや零時ちゃん……って、何やここ!?」
 ナナシ・ナナイ(ナニワのマンハンター・f00913)が続いて驚く。何なら零時よりもオーバーリアクションで。
 重なる死体の山は、全てアシュラが築いたものだ。
「いくらなんでも血みどろ過ぎひん!? 最後にここ掃除したのは何時なん?」
 ナナシはちらっとアシュラを見るが、そこでボケてくれるような相手ではない。ちょっと期待したが、やっぱり無理だった。
「おま、お前お前!?」
 指先を縦に揺らしながら、零時はアシュラを指差す。
「な、なにやってんだよこの馬鹿野郎! 怒ってるからって、復讐だからってそんなことするんじゃねぇよ!」
 指先だけの震えは足にも及び、止まれと念じてもどうしようもないほどに震え始める。けれどここで引き下がるわけにはいかない。
「言いたいことはそれで終わりかい? なら――行くよ!」
 アシュラの額にある目が開かれる。ナナシがそう認識した時、戦神の姿は既に眼前へと迫っていた。
 剣の舞を防いだのは、二人を寸断するように流れた氷の矢たち。冷気の連なりに、アシュラは思わず数歩下がる。
「はー、助かったわ都月ちゃん!」
 ひらり手を振るナナシに、木常野・都月(妖狐の精霊術士・f21384)は静かに頷いた。
「間に合って良かった」
 そうしてアシュラへとむき直し、静かに続ける。
「骸の海から戻ってきた戦神アシュラ、か……神様が世界のルールを破るって、どうなんだ?」
「ルール? はっ、知ったこっちゃないね!」
「ほな、わいの番やな。どこにでもいるような腕が二本しかない気の良い青年のわいにできることといえば――これや!」
 ナナシが構えるは、擲弾発射器型アサルトウェポンだ。
「無駄だよ、今のアタシに武器の攻撃は――」
 アシュラの言葉を遮り、ナナシは引き金を引いて何かを発射した。弧を描いて射出された黒い筒状のものが、アシュラの前に落ちて転がる。
 とたん、噴き出す煙。アシュラは口や目を押さえ、咳き込む。
「よっしゃ、これで終わりや!」
 ナナシは擲弾発射器型アサルトウェポンを数十も複製し、自身の周囲に浮かび上がらせる。ナナシの念によって全ての銃口が持ち上がり、引き金が絞られた。
 発射から数秒、榴弾の破片が雨のように降り注ぐ。白煙の中に見えるアシュラのシルエットを見て、ナナシは思わず手を合わせた。
「そういや奴さん、戦の神やったっけ? ……わい傭兵やし一応拝んどこ、なむなむ。ご利益あるかな?」

「くそっ、なめた真似してくれるじゃないか!」
 アシュラが踏み込み、斬りかかるのは、先ほど転送されたばかりのキング・ノーライフ(不死なる物の神・f18503)だ。しかし彼は既に鳥のような外観の改造装甲車に乗り込んでいた。キングがヴァーハナと呼ぶその車は室内を縦横無尽に行き来し、アシュラの攻撃をひたすらに回避する。
 後方へ下がったかと思えば、アシュラの傍を方輪装甲で駆け抜けて行く。振るう剣がことごとく宙を斬るのを、苛立ちを募らせながら繰り返しているアシュラだ。
 翻弄されるアシュラは痺れを切らし、ヴァーハナへと飛び乗った。
「……妙なもので移動しやがって! 正々堂々と勝負しな!」
「ふむ。――戦いの果てではない処刑は不満か?」
「ああ、不満に決まってるだろう!」
「良いだろう、ならば我も攻勢に出ようではないか」
 新参といえ、キングも神。先人ならぬ先神にならって、アシュラを倒すつもりでここを訪れたのだ。
 やがてアシュラの前に出現したのは、鳥のロボット。機械の鳥は、舞うように翼を動かす。すると風切り羽のような箇所、その一端がアシュラの足を抉った。
 自身から流れる血を見て、アシュラは舌打ちをした。
「!? こんな見た目をしておいて武器じゃないっていうのかい!」
「その通り。戦いは機械によって変わった事を理解せん限り、我には勝てんっ!」
 間合いを取ろうとするアシュラに迫り、剣を振るう隙を与えない。冷却水を浴びせた後は、持ち上げて後ろへと投げ飛ばす。視界の端に見えたのはクリスタリアンの少年だたから、キングは迷わず任せる。
「零時、任せたぞ」
「! あ、ああ!!」
 大きく頷く零時。勇気を振り絞り、前へと進む。
「力づくだって……止めてやるんだからな!!」
「やってみるがいいさ! 」
 アシュラの体が輝き始める。神性に覚醒したいま、戦いのためだけに造られた武器の攻撃は一切効かない。
 空を切る音すら暴力的なアシュラの剣を、オーラを纏った紙兎パルが受け止める。耐えきれるうちに援護射撃をすれば、アシュラがわずかに下がった。
「俺様は、全世界最強の魔術師を目指してるんだ。諦めるという選択は、無いと知れ!」
 光の魔力を手から放射し、零時は吼える。
「行くぞ、パル!」
 紙兎パルが少年の足元へと近付く。少年と紙兎は、ともにアシュラへと駆け出す。
「馬鹿め、」
「それは俺様のセリフだ、『バカめ!』今までのはただのビームだ!―――そして、これから撃つのが本気の本気!避けれるもんなら…避けてみやがれ!!!」
 絶叫とともに、零時から膨大な魔力が放出された。
 剣を体の前に構えて防御行動を取っていたアシュラであったが、魔力に灼かれた体からは煙が立ち上っていた。
 アシュラの気配が変わってゆく。どう足掻いても、アシュラが先手を打つ。不慣れな状況ではあるものの、都月はひとまず身構えた。
 床を蹴ったアシュラは剣を振り上げ、都月へと斬りかかる。
 全てを断つ刃を受ければ、無事では済まない。
 本来備わっている勘と、直感にも近い勘をフル稼働させ、刃が振り下ろされると踏んだ場所から飛び退く。
「やるじゃないか、それなら!」
 聞こえた舌打ちに重ねるは、高速の詠唱。
「……お返しだ」
 宙で生まれた稲妻が、アシュラの剣へと落ちて速度を低減させる。
 再び回避行動を取る都月。
 執念とも言うべき動きで剣が都月の頬を掠めるが、感じた痛みは僅かなものだ。
 だから冷静に判断できる。
 今ならアシュラとの距離が近いということを。精霊を喚ぶのなら今だということを。
「――氷の精霊様、ご助力下さい」
 先ほど仲間を救った矢は、今度はアシュラへと突き立った。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年11月23日


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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


挿絵イラスト