●
翼が欲しいと思った。
うっすらとだが、そんな歌詞の歌を知っているような気がする。
だがうろ覚えの記憶なんてどうでもいい。
俺に翼はなくて、俺に翼をくれるのはエナジードリンクくらいだ。
毎日毎日働いても仕事が終わらない。
必死に仕事をこなしているのに、何故か毎日ノルマは増えていく。
客はムカつく奴ばかりだ、同僚や上司もムカつく奴ばかりだ、「どうしてこの程度の仕事が出来ない?」だの「お前の顔が気にくわない」だの好き勝手言ってくる。
更に許せないのは社長た。
若くてイケメンで高学歴で金持ちで幼妻(?)持ちというパーフェクト人間だが、何故か俺にだけ異様に仕事を押し付けてくる。
そして毎日毎日「今日もノルマは達成出来なかったね、丹羽くん。もっと精進するように。あと早く結婚した方がいいんじゃないか?」とか言ってくる。
俺だって婚活したいわ! でもそんな暇すらないわ!
こんな風にイライラしてたら短い昼休みも終わってしまう。
ゼリー飲料とエナジードリンクをささっと流し込んだなら、またオフィスに戻らないと……。
●
「集合お疲れ様……えっと、今回はアリスラビリンスの事件を解決して欲しいんだ……けど……」
なんだか微妙な顔をしながらグリモア猟兵の花凪・陽(春告け狐・f11916)は話を切り出す。
「皆には不思議の国に囚われたアリスを救出してきて欲しいんだよ。そのアリスは既にとても疲弊しているの……パワハラが原因で」
おとぎの国とは結び付かなさそうな単語が出てきた。
「その不思議の国はオウガがアリスを弱らせるために作った場所なんだけど……弱らせる手段がパワハラなんだ。アリスは心が折れる寸前で危険が危ないんだよ。そうならないように、皆にはアリスを助けてあげて欲しいの」
一応アリスが危機的状況に陥っているのは間違いないらしい。
陽の説明は続く。
「不思議の国はUDCアースの日本みたいな世界で。そこには大きな会社があって、アリスはそこで働かされているみたい。でも、会社の職員や顧客はオウガやオウガが作った幻なんだ。そいつらがアリスにパワハラしてるの」
オウガ達はアリスを徹底的にいじめ抜き、完全に心が折れた瞬間に食べてしまう算段のようだ。
「アリスは『丹羽・トリヨシ』っていうサラリーマンさんだよ。毎日ノルマは増えるし顧客は酷い奴ばかりだし周りからは嫌味ばかり言われるし……とボロボロなんだ。もう、可哀想なくらいに」
そう言って陽は一枚の写真を取り出す。
そこにはやつれた成人男性の姿が写っていた。これが今回のアリスであるトリヨシだろう。
「皆にはトリヨシさんが折れないように、パワハラから守ってあげて欲しいんだ。幸いトリヨシさんもオウガ達も判断力はボロボロだから、それっぽい言い訳をすれば世界に紛れ込むのは簡単だよ」
例えば同僚だったり後輩だったり。
謎の妖精だったりぬいぐるみだったり。
不思議な家電だったりオブジェだったり。
そういう存在のフリをしながらさりげなくトリヨシを助けていけばいいようだ。
「あ、でも一つだけ気をつけて。ユーベルコードを使っている所を見られたら、皆が猟兵だとバレちゃってオウガが逃げるの。だからユーベルコードを使う時はこっそりね」
オウガはトリヨシの心を折ることを優先するため、彼の心身が弱っている状態なら猟兵達と戦う事よりも仕切り直しを優先するようだ。
トリヨシを守る際は出来るだけ現実的な手段を使った方が良いだろう。
「トリヨシさんの心が折れなければ、イライラしたオウガの方が先に仕掛けてくるよ。そしたらもうあとはボッコボコのバッキバキにしちゃってね」
最後はシンプルに殴り合いである。
「パワハラするような酷い奴らだもん。生まれてきた事を後悔するくらいベキベキのベコベコにしちゃっていいと思うよ!」
そう言いつつ拳をぐっと握りしめ、シュッシュッとシャドーボクシングする陽。
パワハラは悪である。そのような卑劣な手段でアリスを苦しめるオウガには徹底的に因果応報な目に遭ってもらわなければいけない。
戦闘になれば思い切りやっても大丈夫だろう。
「酷いオウガを倒すためにも、酷い国を潰すためにも、皆の力が必要だよ。それじゃあ今回もよろしくお願いするね!」
ささかまかまだ
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こんにちは、ささかまかまだです。
今回はアリスラビリンスでの事件です。多分。きっと。
頭の悪いシナリオです。少なくともNPCの頭は残念です。
今回のアリスは『丹羽・トリヨシ』という30代の独身サラリーマンです。
宝石関連の会社で働いていますが、オウガの嫌がらせによりとんでもないノルマを課せられたり、顧客から嫌がらせを受けたりしています。
一章は「『嫌な現実の国のアリスを助ける』冒険パート」です。
トリヨシは自分が不思議な世界にいるという事実すら忘れて会社勤めに没頭しています。
そこで心が折れる寸前のパワハラに苦しんでいるので助けてあげましょう。
同僚やら備品やら、会社にいそう・ありそうな存在のふりをしつつさりげなくアリスをサポートするといい感じです。
仕事を助ける、社長や顧客からの小言から庇う、心身の疲れを癒す……等現実的な手段なら大丈夫です。
「それっぽい言い訳をしようとする姿勢を見せている」「誰かの目の前で分かりやすいUCを使わない」の条件さえ満たせば、アリスの側にいても怪しまれる事はありません。
青丸が溜まりきればアリスはパワハラに打ち勝ち、それに怒ったオウガが襲いかかってきます。
二章は「『うさうさトランプ兵』との集団戦」
三章は「『貴石の狩人』ブルーノとのボス戦」となっております。
同僚やらなんやらとして紛れていたオウガと、若手イケメン社長の役としてアリスをいびっていたオウガです。
ボコにしましょう。
プレイングは【第一章の断章追加後から募集開始】とさせて頂きます。
どの章からでも参加していただいて大丈夫ですし、特定の章だけ参加していただくのも歓迎です。
進行状況や募集状況はマスターページに適宜記載していく予定です。
それでは今回もよろしくお願いします。
第1章 冒険
『嫌な現実の国』
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POW : 嫌な奴の嫌がらせに対して、「アリス」を正面から庇う
SPD : 素早く細工や手回しを行い、嫌な奴の嫌がらせをわかりやすく妨害する
WIZ : 親身になって「アリス」の話を聞き、慰めてあげる
👑11
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●
丹羽・トリヨシは今日も朝早くから出勤させられ、夜遅くまで残業させられている。
勤務中も不条理なクレームを受けたり、不条理な同僚・上司からの嫌みを受けたり……。
ついでに社長からの小言も忘れられていない。
「ほんとに、何やってんだろうなぁ……」
彼の心は折れる寸前、つまりとっても危ない!
一人の哀れなアリスを助けるべく、猟兵達の力を貸して欲しい!
月凪・ハルマ
おおぅ、ブラックofブラック……
◆SPD
それじゃ俺は『最近この会社に入ったバイト』の体で
トリヨシさんをサポートしよう
彼が雑用を押し付けられればその場に現れ代わりにこなし、
仕事でお疲れだったら【医術】の知識でマッサージを行い、
溜まったストレスを愚痴を聞く事で緩和させたり(【優しさ】)
基本、トリヨシさんに問題が発生した時にだけ現れる
(=オウガは手伝わない)ので、普段は【迷彩】で姿を消す
あと余裕があれば、この状況が意図的に作られているという証拠が欲しい
人目の無い場所で【ガジェットショータイム】を使用
ボイスレコーダーを召喚した後、そこらのオウガを
【忍び足】で追跡してそれっぽい会話を録音していくとしよう
●
トリヨシが務める部署にて、今日もオウガの怒号が響く。
「どうしてこんな事も出来ないの?」
「はい、すみません……」
月凪・ハルマ(天津甕星・f05346)は入り口からその様子を伺っていた。
トリヨリの仕事ぶりも観察していたが、彼の行動に問題はなさそうだ。
だとすればこの状況はブラックofブラック。オウガがやっている事は完全にただの嫌がらせである。
「はぁ、追加でこれもお願いね」
オウガ上司は更にトリヨシへと大量のコピー仕事を押し付けて去っていった。
しょんぼりするトリヨシの元へ、ハルマはこっそりと近付いていく。
「丹羽さん、コピーなら俺がしてきますよ」
「うわぁ!?」
突如現れた助っ人に驚いてトリヨシは腰を抜かしたようだ。その衝撃でコピー用紙がひらひらと宙に舞う。
「あ、俺は月凪・ハルマです。最近入ったバイトで……丹羽さん、大丈夫ですか?」
「う、うん……大丈夫……」
散らばったコピー用紙を二人で集めつつ、ハルマはトリヨシの様子を更に伺ったが……彼はなんとぽろぽろと涙を零していた。
「に、丹羽さん?」
「違うんだ、月凪さん。俺、こんな風に誰かに優しくしてもらったの久しぶりで……」
この程度の事で号泣するくらい彼の心はボロボロだったのだろう。
ハルマは優しい笑顔を浮かべ、トリヨシへと慰めの言葉をかけていく。
「お疲れ様です。あの上司、酷い奴でしたね。トリヨシさんはちゃんと仕事をしてたのに」
「そうなんだよぉ……俺だっていっぱいいっぱいなんだよぉ……」
トリヨシは堰を切ったように愚痴と涙を零し始めている様子。
ハルマはそれに優しく応え、さりげなく彼の後ろに回ってマッサージもしてあげていた。
「うう、バイトの子にごめんな……」
「いいですよ、俺ならいつでも話を聞きますから」
もう少し話を聞いてあげたかったが、このまま仕事を放置する訳にもいかない。
ハルマは一度コピー機の方へと向かう……フリをして、物陰へと身を隠した。
そして手元から小さなガジェット――ボイスレコーダーを取り出すと、周囲の会話を録音していく。
「なかなか折れないな、あのアリス」
「でもきっとあとちょっとだぜ!」
このオウガ達はバカである。トリヨシさえ側にいなければ正体を隠す気は微塵もないようだ。
今の状況は意図的に作られている。その証拠を集める事は難しくなさそうだ。
必ず証拠を集めきり、オウガ達に制裁を加えてやる。その決意を胸に、ハルマの侵入生活は続く。
大成功
🔵🔵🔵
フェルメア・ルインズ
◎アドリブ連携歓迎
この扱い、奴隷か囚人か……?
何か少し親近感が湧いてくるな……よし、助けてやるか
あと、ああやって上で踏ん反り返っているような奴らは
一番嫌いなタイプなんだ、絶対に吠え面をかかせてやるよ
■行動
会社の先輩として潜入、仕事を手伝いつつ愚痴を聞いてやる
「どうした、またクレームでも入れられたのか?
ほら、缶コーヒー。奢ってやるよ」
「ん?この拘束具?あー、細かい事は気にすんな。手伝ってやるから
さっさとその書類寄越せ」
後はトリヨシが説教とかを喰らっていたら【UC】を物陰や死角から発動
気力や活力を減退させる、精神のみを対象にした影のような矢を
元凶にこっそりと撃ち込んで説教でも何でも中断させてやるさ
●
「お前の顔が気に食わないんだよ!」
「すみません……」
今日も客オウガからトリヨシへと酷い罵声が浴びせられている。
会社に潜入していたフェルメア・ルインズ(拘束されし魔神・f21904)は、そんなトリヨシに対して妙な親近感を抱いていた。
何故なら彼女は囚人であったから。まるで奴隷か囚人のように扱われるトリヨシに、ついつい自分を重ねてしまう。
それからオウガも気に食わない。ああやって上で踏ん反り返っているような奴らは一番嫌いなタイプなんだ。
絶対に絶対に吠え面をかかせてやる。だがそのためにはトリヨシを助ける事から始めなければ。
「……よし、助けてやるか」
丁度トリヨシもデスクに戻っていったようだ。フェルメアもそちらへと向かっていく。
「どうした、またクレームでも入れられたのか?」
「え、えっと? どちら様で?」
「先輩のフェルメアだよ。こっちの部署に来るのは久しぶりだからな。元気にしては……なかったか」
トリヨシの隣に腰掛け、心配そうに声をかける。トリヨシもその言葉を信じている様子だ。
「はい……今日も大変で……」
「お疲れ様だな。ほら、缶コーヒー。奢ってやるよ」
魔道具で見たドラマを参考に、フェルメアが差し出したのは缶コーヒーだ。
トリヨシはそれをおずおずと受け取り、頭を下げてから飲み始めている。少し涙目なのは嬉しいからだろう。
フェルメアも同じように一本取り出し、プルタブを開けようとするが……手枷が邪魔である。
悪戦苦闘し始めると、髪の鎖も缶に当たって微妙にうるさい。
「先輩、そのロックなアクセサリーは何なんですか?」
「ん? この拘束具? あー、細かい事は気にすんな。これ飲んだら残りの仕事は手伝ってやるからな。そこの書類とかさっさと寄越せ」
誤魔化すように仕事の手伝いを申し出つつ、何とか缶も開けられた。
早速コーヒーをぐいっと飲めば、その味はすっごく甘い。
これで気力を回復し、いざ仕事を再開しようとするが……。
「おい、その仕事は丹羽君に任せたんだが」
早速別の上司オウガが邪魔しにやって来たようだ。
「しょうがない……またな、トリヨシ」
仕方なく席を立ち、別の部署へと行こうとするフェルメアだが……このままでは終われない。
オウガがトリヨシに再び小言を言い始めているのを確認すると、まずは棚の影へと身を潜めて。
「……今はこれで勘弁してやる」
放つのは『心殺しの矢雨』、気力だけを削る闇の矢だ。
矢に貫かれたオウガは大きくため息を吐き、小言を辞めて去っていく。
これで文字通り一矢報いた事にはなるが……いずれ物理的にもボコボコにしてやる。そう密かに考えるフェルメアであった。
大成功
🔵🔵🔵
高柳・零
WIZ
何と恐ろしい精神攻撃を…毎日14時間勤務を2カ月、休み無しで続けただけでも精神が壊れかけるというのに、更にパワハラまであるなんて…。
机の上に座ってパソコンのモニターのフリをします。
そして、トリヨシさんがキーボードをクリックする度に、転職や脱サラで成功した人の情報を映して行きます。
ある程度やったところで「自分の身より大事な会社なんてありません。壊れる前に辞めた方がいいですよ」と語りかけます。
ひとしきりトリヨシさんの話を黙って聞いた後、悩みに答えて行きます。
「会社はここだけではありません。自分に合う会社を探しましょう。あんな上司が野放しの会社なんて長くありませんよ」
アドリブ、絡み歓迎です。
●
今日も相変わらずトリヨシがパワハラ説教を受けている。
その様子を影から見守る高柳・零(テレビウムのパラディン・f03921)の胸には、オウガの卑劣な作戦への恐怖が募っていた。
「何と恐ろしい精神攻撃を……毎日14時間勤務を2カ月、休み無しで続けただけでも精神が壊れかけるというのに、更にパワハラまであるなんて……」
妙に数字が具体的なのが心配だが、とにかくオウガの魔の手からトリヨシを救い出さなければ。
彼が説教から戻る前に、零はこっそりとトリヨシのデスクに腰掛けた。
零はテレビウムだ。こうやって座っていればパソコンのモニターのフリだって出来るのだ。
「はぁ……また作業が増えたよ……」
自分の席へと戻ってきたトリヨシは、仕事を再開しようと面倒くさそうにマウスを手に取る。
そしていつものようにクリックするが……(零の)モニターに映し出される光景はいつもと別物だった。
『30代の転職成功談』
『私は脱サラで成功しました』
『起業だって夢じゃない!』
クリックする度に画面が切り替わり、映し出されるのは転職や脱サラに関するポジティブな情報だ。
「あれ……パソコン壊れたか?」
最初は慌ててカチカチとマウスを連打していたトリヨシだが、次第に映し出される情報が気になり始めてクリックの手が緩む。
彼がこの情報に食いついたのならば説得のチャンスだ。
「自分の身より大事な会社なんてありません。壊れる前に辞めた方がいいですよ」
不自然ではないように、サイトからの音声のように零は静かに語りかける。
「ううん……でも終わってない仕事が山積みだしなぁ」
トリヨシも精神状態が普通ではないため、零の語りかけを普通に受け入れているようだ。
それ自体は好都合だが、やはり今の彼には会社から逃げるという選択肢もない様子。
「では他に困っている事はありますか? 一度全部整理してみましょう」
「そうだなぁ……」
零から促された結果、トリヨシはつらつらと『会社を辞められない理由』を語り始めた。
次々と問題点を浮かび上がらせていけば、会社を辞められないのはトリヨシ本人ではなく会社に原因がある事も分かってくる。
「分かりました。会社はここだけではありません。自分に合う会社を探しましょう。一人にこれだけ仕事を押し付ける会社なんて長くありませんよ」
「……確かに。転職も真剣に考えてみようかな……ありがとよ」
問題点を整理した結果、トリヨシもいくらか冷静になれたようだ。
トリヨシの表情もデスクに腰掛けた時より明るくなっている。その様子に零も安堵するのであった。
大成功
🔵🔵🔵
コイスル・スズリズム
知り合いの誰かを思い出すわ
ランスですべて食い尽くしたいところだけど、今は我慢
POW
取引先の会社員として潜入
少し大人目のメイクで髪の毛はおろして参加。「変装」
上司から理不尽な説教を受けているところを通りがかる
「それはトリヨシさんのミスではないですよね?
私がお願いした仕事をトリヨシさんはしっかりとしてくれています。
ミスの原因は、そもそも上司であるあなたの仕事ではないですか?」
多少設定が危ういところは、強めに「言いくるめ」
「いつも誠実なお仕事を有難うございます。
あなたがいるからこの会社と取引したいと思うんです」
少し距離のある立場から
ひたすらかばう
ひたすら仕事をほめる、等で活力を取り戻してもらいましょ
●
オウガの会社の化粧室にて。
コイスル・スズリズム(人間のシンフォニア・f02317)はいつもと違ったメイクの真っ最中だ。
オウガにいびられるトリヨシの姿は知り合いの誰かを思い出す。
すごく嫌な光景だし、ランスですべて食い尽くしてやりたいくらい。
けれど今はそれをぐっと堪えて、彼女が行うのはいつもより大人なメイク。
髪を下ろして整えたのなら、鏡に映るのはいつもよりお姉さんなコイスルだ。
「……これで大丈夫、行こう!」
準備が整ったのならば早速トリヨシのいる部署を目指そう。
「ちょっと、ここの数字が間違っているんだけど。仕様の変更について聞いてないの?」
「すみません……」
部署の中ではいつものようにトリヨシが上司からパワハラを受けていた。
コイスルは二人の元へと颯爽と歩んでいき、トリヨシを庇うように上司の前に立つ。
「それはトリヨシさんのミスではないですよね? 私がお願いした仕事をトリヨシさんはしっかりとしてくれています」
「あ、あんたは誰だよ」
毅然とした態度でトリヨシを庇うコイスルに、上司は驚いたような顔を見せる。
その隙に持った書類を覗き見て、素早く内容を確認し……トリヨシが責められている原因を見つければ、事前に決めていた設定に内容を照らし合わせて。
「この取引を行っている会社の者です。仕様の変更は貴方を通じてトリヨシさんにお伝えする予定でしたよね」
痛い所を突かれたのか、上司は急に苦い顔をし始めた。
トリヨシも始めは呆然としていたが、コイスルが自分の味方だと分かったようで顔に安堵の色が浮かんでいる。
「ミスの原因は、そもそも上司であるあなたの仕事ではないですか?」
「チッ……分かったよ、今から修正するよ!」
上司は拗ねたような態度を取って二人の元を去っていく。これで一安心だろう。
「その……ありがとうございます」
「いいえ、トリヨシさんは悪くないんですから、このくらい当然ですよ」
ぺこぺこと頭を下げるトリヨシに、コイスルは優しい笑顔を返して言葉を続ける。
「いつも誠実なお仕事を有難うございます。あなたがいるからこの会社と取引したいと思うんです」
コイスルもしっかりと頭を下げて、トリヨシに述べるのは感謝の気持ちだ。
彼の自尊心はオウガによってボロボロにされている。それを少しでも支えてあげたい。そんな気持ちがコイスルの言葉からは溢れていた。
「そう言ってもらえると僕も助かります……。次の取引も、よろしくお願いしますね」
「ええ、その時は是非」
話はこう締めくくったが、恐らく次の取引はないだろう。
それまでにトリヨシはきっと立ち直り、この国を出る時が来るのだから。
大成功
🔵🔵🔵
伊坂・和良
アドリブ、連携OK
わしは中途採用の社員ということで潜入するでござる。
わしは元ダメダメ窓際リーマンだったので仕事の出来なさは天下一品。
失敗を繰り返して駄目さをアピールして嫌味やいじめの標的をわしに集中させて、アリスへのパワハラを軽減させるでござる。
●
「丹羽君、今日もここが間違っているんだが」
「はぁ……修正しておきます……」
相変わらずトリヨシがパワハラを行われている部署にて。
くどくどとした説教が始まる直前に、上司の肩を叩く者がいた。
「あの、上司さんや。困った事になっておるんだが……」
呼びかけたのは伊坂・和良(面の力を借りるオッサン猟兵・f22018)だ。彼はとても困ったような顔で上司を見つめている。
「何? 今忙しいんだけど」
「パソコンのデータが全部飛んでしまったでござる……!」
その報告に上司の口がぽかんと開いた。本来ならトリヨシいじめを継続すべきなのだろうが、流石にそれは放置出来ないようで。
「はぁ!? ちょっと今確認するから!」
「申し訳ないでござる……」
ぺこぺこ頭を下げて和良は一足先に自分の席へ。
戻る直前にこっそりトリヨシにアイコンタクトを取るも、まだ彼はその意味を理解出来ていない。
今回和良が買って出たのは『中途採用の社員』という役割だ。
彼が猟兵になるより前、窓際リーマンだった頃の経験を活かして潜入する作戦。
その実態は『自分がトリヨシよりもダメダメな部分をアピールし、彼を庇う作戦』である。
正直に言ってしまえば苦い思い出を再現する事になるし、相手もオウガといえど叱られるのは気分がよくない。
けれどこれで誰かを救う事が出来るなら。その一心で和良は作戦遂行に励んでいた。
幸いここはオウガの会社だ。元いた世界よりもド派手に失敗してしまっても、誰にも迷惑はかからない。
「書類を送る先を間違えてしまったでござる……!」
「取引の日付を間違えてすっぽかしたでござる……!」
「取引先の社長さんのカツラを見てしまったでござる……!」
次々に失敗を報告してくる和良に、ついつい上司は手を取られる。
その度にトリヨシにアイコンタクトを取っていけば、彼もその行動の真意に気付いたようだ。
一緒に休憩を取った時にこっそりとトリヨシが話しかけてきた。
「伊坂さん、いつもすみません……」
「いやいや、わしがミスをしているだけ。気にしなくてもいいでござる」
にこにこ笑う和良に対し、トリヨシは何かを決心したような顔を見せる。
「俺、色んな人に助けてもらってきてて。伊坂さんにも庇ってもらってて……このままじゃ駄目だと思うんです」
「……そろそろ立ち向かうつもりになってきたのでござるな。トリヨシさんならきっと大丈夫でござる」
二人は顔を見合わせ、共に部署へと戻っていく。
決戦の時は近い。和良もそれを感じ、席にこっそり置いておいた得物を確認するのであった。
大成功
🔵🔵🔵
第2章 集団戦
『うさうさトランプ兵』
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POW : 落雷II
無敵の【空飛ぶイボイノシシ型の対地攻撃機】を想像から創造し、戦闘に利用できる。強力だが、能力に疑念を感じると大幅に弱体化する。
SPD : そう、我々はやればできる!
自身の【ゴーグル】が輝く間、【軽量自動小銃】の攻撃回数が9倍になる。ただし、味方を1回も攻撃しないと寿命が減る。
WIZ : バーガータイム
【ハンバーガーとフライドチキン】を給仕している間、戦場にいるハンバーガーとフライドチキンを楽しんでいない対象全ての行動速度を5分の1にする。
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「あの、俺! 今日限りで会社を辞めさせて頂きます!」
部署の中にトリヨシのはっきりとした声が響く。
「色んな人に助けてもらって決心出来ました。俺、再就職します!」
その言葉を受けた上司は唖然とし……すぐに社長へと内線をかける。
走ってきたのは人形を抱えた金髪のイケメンだ。
「……丹羽くんがそのつもりなら、こちらにも考えがある」
社長が指をぱちんと鳴らすと……周囲にいた同僚や上司達が一斉にスーツを脱ぎ捨てた!
その下にあったのは兵士風の武装に大きなリボン。
彼らの正体はオウガ『うさうさトランプ兵』だったのだ!
「心が折れるのを待っていたが仕方がない……今ここで君を狩らせてもらう!」
「え、どういう事なんだよー!?」
オウガが正体を現した以上遠慮は全くもって必要ない。
猟兵達もこの状況に介入し、オウガをボッコボコにしてやればいいのだ!
伊坂・和良
連携、アドリブ歓迎
「戦いが始まったでござるな」と隠していた天狗面を取り出し装着すると意識が遠のき天狗の人格に変わる。
「わしの力を思い知れ!!」とUCを使い風を纏う。
敵達は天狗の言葉をよそにハンバーガーとチキンを食べて楽しんでいる。
天狗は初めて見る食べ物に困惑するが消えかかっていた伊坂の意識が「ハンバーガー懐かしい、美味いから天狗も一度食べてみるでござる」と天狗に語りかける。
天狗は敵からハンバーガーを奪い食べると「おぉ、美味いもっと寄越せ」と初めて体験する味に天にも登る様な気分になる。敵の行動制限が無くなり普段の力のまま敵を鎌鼬で切り裂く。伊坂は天狗と味覚を共有していて久々の味を堪能した。
●
「戦いが始まったでござるな」
窓際デスクからうさうさトランプ兵が集まりだすのを見ていた伊坂・和良(面の力を借りるオッサン猟兵・f22018)。
急いで取り出すは引き出しに隠していた天狗面。
一度被れば和良の意識は遠のいていき、代わりに天狗が姿を現す。
「トランプ兵達よ、止まれい! わしの力を思い知れ!!」
天狗もスーツを脱ぎ去れば、その下に着ていた天狗の衣装が風に揺らめく。
揺らめく風を嵐に変えて、天狗は一気にオフィスを駆け回ろうとしたが……何かがおかしい。
「おいしいUSA」
「やっぱこれだUSA」
なんとうさうさトランプ兵達はトリヨシの事も放置してお食事タイムに入っていたのだ!
後ろで社長がガミガミ言ってるが「食事をしないと戦えないUSA」とか言い訳している様子。
兵士達が食べているのはホッカホカのハンバーガーとフライドチキン。良い匂いがオフィスに充満していた。
「な、あの得体のしれない食べ物はなんでござるか
……!?」
天狗さんはハンバーガーとチキンを見るのは初めてだった。敵の行為もびっくりだが、あの不思議な食べ物は何だか興味も湧いている。
そこでふと脳裏に声が響いた。微かに残る和良の意識が天狗へと声をかけたのだ。
「ハンバーガー懐かしい、美味いから天狗も一度食べてみるでござる」
「美味しいのか? 確かに香りは良いが……」
物は試しだ。天狗は風の衣を身に纏い、改めて兵士達へと向かっていく!
「一つ頂くぞ!」
「あーっ! やめるUSA!」
天狗は勢いのまま兵士からハンバーガーを奪い取り、少し離れた位置へと着地する。
手に収まるのはふわふわのパンズ、初めて嗅ぐケチャップの香り、そして肉汁滴る美味しそうなパティ。
面をずらしてハンバーガーを一口食べれば……天にも登る様な美味しさだ!
「おぉ、美味い。もっと寄越せ!」
こんな美味しいもの、たった一個では気分が収まらない。
天狗は更に凄まじい勢いで風を纏い、兵士の元へ飛び込めば次々にハンバーガーを奪い取る!
巻き上がる風は鎌鼬へと姿を変えて、敵を次々と切り刻んでもくれていた。
「風よ、敵を斬り裂け! そしてはんばーがーをもっと寄越せ!」
「ひ、ひどいUSA~!」
切り裂かれた兵士達は無念そうに骸の海へと沈んでいく。
そして天狗はハンバーガーを堪能し、和良もまた懐かしい味を楽しむのであった。
成功
🔵🔵🔴
月凪・ハルマ
OK、また出番だな
それじゃサクッと終わらせようか
◆SPD
正直、攻撃回数増加は厄介だ。まずはそれを封じさせてもらおう
【魔導機兵連隊】を使用
召喚したゴーレム達の魔導蒸機関から蒸気を噴出させて
戦場一帯を蒸気で覆い隠してしまおう
ゴーレムは予め銃声に反応して攻撃させるように設定しておく
でもって5体程をトリヨシさんに護衛に充てて、
それ以外の機体は敵に向かわせるようにしよう
(【操縦】+【ハッキング】)
自身は【忍び足】【迷彩】で身を隠し、隙を見て
旋棍の殴打、もしくは手裏剣の【投擲】で攻撃
イケそうなら【暗殺】で一気に決める
敵の攻撃は【見切り】【武器受け】、ゴーレムや周囲の遮蔽物を
盾にするなどして回避を試みる
●
猟兵達とオウガの戦いが始まりてんやわんやしだしたオフィス内。
月凪・ハルマ(天津甕星・f05346)もまた自分のデスクから立ち上がり、戦いの準備をし始めていた。
「OK、また出番だな。それじゃサクッと終わらせようか……皆、出番だ!」
ハルマも指をぱちんと鳴らせば、次々に呼び出されるのは『魔導機兵連隊』のゴーレム達。
慣れた手付きでゴーレム達に指示を書き加えれば準備は万端だ。
「まずは全員銃声に反応する事。ここからここまでの5体はトリヨシさんを守る事。そして絶え間なく蒸気を噴出する事、いいな?」
ゴーレム達はハルマの指示に合わせるように魔導蒸機関を吹き鳴らし、一斉に準備に取り掛かった。
吹き出る蒸気はオフィス内に充満し、兵士達のゴーグルを曇らせていく。
相手のゴーグルが輝けば攻撃回数が増えてしまう。それならここが屋内だという事を活かしてその技を封じてしまえばいい。
ハルマの作戦は見事に功を奏して兵士達の動きを制限していく。
「わーっ、真っ白USA!」
どうやら兵士達はゴーレムをどうにかすべく、一斉に銃を乱射し始めている様子。
自動小銃の鋭い音の中にトリヨシの少々情けない叫び声も響く。
ハルマは5体のゴーレムと共にトリヨシの元へと走り、彼を安心させるべく声をかけた。
「トリヨシさんの事はこいつらが守るから絶対に離れないで下さい。あとは俺達に任せて!」
「え? あ、うん。分かった! ありがとう!」
5体のゴーレム達はおしくらまんじゅうのようにトリヨシを包囲して防御の姿勢を取り始めた。
トリヨシが無事ならあとはひたすら敵を倒すだけだ。
ハルマは魔導蒸気式旋棍を構えると、蒸気の中を静かに駆けていく。
帽子にかけた術式も上手く作動し、パニックに陥る兵士達はハルマの接近に気づく事はない。
旋棍に備え付けたガジェットを起動して、一気に重さと勢いを増して……。
「……食らえッ!」
「USAー!?」
勢いよく頭を殴り抜けば、兵士は一瞬で絶命だ!
だがその騒ぎで他の兵士達はハルマの存在に気付いてしまう。
けれど発砲されても大丈夫。だってゴーレムには銃声に反応するように指示してあるのだから。
盾となるゴーレム達の合間を縫って、ハルマは更に蒸気の中を進んでいき……次々に兵士の頭をぶん殴る!
「USAー!」
「その叫び声、何なんだろうな!」
さりげなくツッコミの要領でも殴りつつ、次々に敵の数を減らしていくハルマであった。
大成功
🔵🔵🔵
コイスル・スズリズム
アドリブ大歓迎
トリヨシさん、
よくがんばった、ね
あとは、任せな
靴音をゆっくり鳴らしながら、ド正面を歩いていく「おびき寄せ」
囲んでるつもりだろうけど、囲ませてるのよ
「範囲攻撃」で「残像」をまいたら
袖口から取り出すは12のランス
面白いものを見たいのなら
すずを見るとイイ、
「全力魔法」を込めたUCで攻撃
対象は入る範囲内すべての敵
カワイイな、その攻撃機
想像力の対決よ。
この全力の魔法ごとドラゴンとどっちが残ると思う?
防御は基本的には「見切り」からのランスでの「武器受け」
バーガータイムは喜んで食べ
ドラゴンにも攻撃中それごとくらい尽くさせてやろう
すずはまだ食べ足りてない
全部の悪夢をもってきて。食らいつくしてやる
●
戦闘の最中、怯えるトリヨシの側に立つ者がいた。
「トリヨシさん、よくがんばった、ね」
はっきりと、だけど優しい靴の音と共に立つのはコイスル・スズリズム(人間のシンフォニア・f02317)。
「あ、取引先の方……ありがとう」
「こちらこそ。トリヨシさんはここで待ってて。あとは、任せな」
勇敢な笑みを浮かべたのなら、コイスルは真っ直ぐに兵士達の元へと進む。
ゆっくりと、だけど確実に。
兵士達も戸惑いは隠せない様子だが、敵がこちらへ向かってくる以上はセオリー通りに動くしかないようだ。
急いでコイスルを包囲して、兵士達は武器を構えた。
勿論彼女だって真っ直ぐ進めばこうなる事は分かっている。
でも大丈夫。囲んでるつもりだろうけど、囲ませてるのよ。
「面白いものを見たいのなら、すずを見るとイイ」
兵士達の輪の中心でくるりと舞えば、たちまち現れた12人のコイスルが袖口から槍を取り出す。
まるで時計のように伸びる槍――12体のドラゴンもコイスルと共にオフィスを飛び交い始めた。
「こないだの演奏の余韻がまだ残ってるみたい……こないだていつ? ――あ、現在、やつ」
その踊りは“袖から靴まで、ダンスする人と龍”。
12の少女と12の龍の舞いは次々にオフィスへと広がって、囲む兵士達も嵐のように巻き込んでいく。
騒々しくて、でも楽しくて。
だけど兵士達の力も中々のもの。彼らは急いでイボイノシシ型の攻撃機を取り出すと、一斉にコイスル達に向けて放ってきたのだ。
「カワイイな、その攻撃機……想像力の対決よ。この全力の魔法ごとドラゴンとどっちが残ると思う?」
無敵の想像力を前にしても踊りは止めない。
だってこちらは全力なのだ。全力ならば、無敵にだってきっと負けない。
飛び交うイノシシの間をくぐり抜け、コイスルと龍は踊り続ける。
「な、なんであの子は止まらないUSA!?」
自分達の能力に疑問を抱いてしまえばそこでおしまい。兵士達の戦闘機は次第に威力も弱まっていく。
「あ、それも食べるね」
コイスルは戸惑う兵士の前へと躍り出ると、彼の懐へドラゴンを潜り込ませた。
ドラゴンは兵士のハンバーガーを食べてご満悦だけど……でも全然、まだ足りない。
「すずはまだ食べ足りてない」
踊りはフィナーレへ向かうけれど、この世界を作る良くないものは消えていないから。
「全部の悪夢をもってきて。食らいつくしてやる」
フィナーレと共に、コイスルを囲んでいた兵士達は一気に骸の海へと還っていく。
残るはこの悪夢の主である社長だけ。歯噛みするその男に向かっても、コイスルは勇敢な笑みを浮かべていた。
大成功
🔵🔵🔵
フェルメア・ルインズ
◎アドリブ連携歓迎
やっと正体を現しやがったか、これで思う存分戦えるな
しかし、やってみると仕事ってのは面倒だったな……
手枷がついてるのに書類整理とか二度と御免だぞ
■戦闘
と思ったらなんだ?戦闘中に楽しくお食事か?
オレ達には食事も満足に取らせずに、良い御身分だなぁ?
業務でイラついてたんだ、覚悟しろよ……!
【UC】使用、腕の形の炎を大量に出し、食おうとしてる食べ物を握りつぶして
消し炭に変えてやる
その後は炎を合体、巨大化した炎腕で今度はトランプ兵共を同じ様にしてやるよ
(【属性攻撃】)
自分はトリヨシの前に出て、手枷等の【武器受け】【激痛耐性】で庇い
敵が近寄ってきたら【怪力】による手枷の叩き付けで倒していく
●
「やっと正体を現しやがったか、これで思う存分戦えるな」
戦いが激化するオフィスにて、フェルメア・ルインズ(拘束されし魔神・f21904)は楽しげに周囲を見回す。
ここには戦いに来たのだ。潜入工作のためとはいえ仕事はとても大変だった。
手枷がついてるのに書類整理とか二度と御免だ。
おまけに朝食や昼食はなかなか食べられず、疲労で夕食もいつもより控えめになっていて。
フェルメアはこの会社にとても怒っている!
しかし兵士達はそんな彼女の怒りもつゆ知らず、楽しげにハンバーガーの補給に勤しんでいた。
「美味しいUSA~」
ゴーグルとマスクで顔こそ見えないものの、声や雰囲気から彼らが和気藹々としているのは伝わってくる。
そんな兵士達の存在もフェルメアにとっては非常に許しがたい。
「オレ達には食事も満足に取らせずに、良い御身分だなぁ?」
怒りは地獄の炎へと姿を変えて、次々にフェルメアの周囲に漂い始めた。
更に炎は腕の形を取ると、怒りを表現するように拳の部分をパキパキ鳴らす。
「業務でイラついてたんだ、覚悟しろよ……!」
そしてフェルメアが手枷ごと腕を振り回せば『地獄の炎腕』は一斉に兵士達に襲いかかる!
だがその狙いは兵士達ではない。だってこのままぶっ飛ばしても怒りは決して収まりはしないから。
まずはその美味しそうなハンバーガーから台無しにしてやろう!
「ほら、消し炭に変えてやる!」
炎の腕は次々に兵士達のハンバーガーを掠め取り、一気に握りつぶして灰へと還す。
先程までは美味しそうな香りが漂っていたオフィス内は一瞬でハンバーガーの火葬場へと化した。
「な、何するUSA!」
兵士達にもこれにはビックリ。怒りに任せて銃を乱射し始めたようだ。
このままではトリヨシが危ない。フェルメアは足枷を物ともせずに彼の元へと躍り出て、迫りくる銃弾を手枷で叩き落としていく。
「せ、先輩!」
「いや、オレは本当は先輩じゃないが……とにかく危ないからオレ達から離れるなよ!」
迫りくる兵士も銃弾と同じく手枷でぶん殴りつつ、フェルメアは炎の腕を更に操る。
全ての炎を一つの塊へと纏め、再び練り直して生み出すのは巨大な拳だ。
「お前らも同じ様にしてやるよ」
獰猛な笑みを浮かべて敵を睨めば、炎の拳もぐっと握りこぶしを作る。
そしてフェルメアが腕を振りかぶるのと同時に凄まじい炎が兵士達へと襲いかかった!
炎は一瞬で敵を飲み込み、オフィスを兵士達の火葬場にも変えていく。
「やはりこういうのが一番楽しいな!」
ストレスも無事に解消出来てフェルメアはとても楽しそうだ。
全ての兵士が燃え尽きるまで、彼女はひたすらに炎の拳を振るい続けた。
成功
🔵🔵🔴
高柳・零
WIZ
成る程。体育会系の上司によるパワハラだったんですね。
先輩の言う事は絶対…どこかの国の悪しき伝統です。
ハンバーガータイムには普通に紛れ込んで一緒に楽しみます。
「いやあ、ハンバーガーはいいですよねえ。主食とおかずを一緒に食べられますから。ところで、あの社長って強いんですか?」
「ご馳走さまでした。それでは、やる事はきっちりやらせていただきますね」
食後にそう言うと、指10本全てを使って広範囲に光を落とします。慈悲はありません。
「いじめをして、ただで済むとは思わないことです」
アドリブ歓迎です。
●
「成る程。体育会系の上司によるパワハラだったんですね」
社長の姿を見て高柳・零(テレビウムのパラディン・f03921)はうんうんと頷いていた。
恐らくこの会社は彼によるワンマン経営で成り立っていたのだろう。
先輩の言う事は絶対……どこかの国の悪しき伝統を再現したような経営しか出来ないとは。情けないオウガ達だ。
そして肝心の部下達はあまりやる気はあるとは言えず、もさもさとハンバーガーを楽しんでいる。
「もう社長の言う事は聞きたくないUSA」
「っていうか猟兵強すぎUSA」
やる気がないのなら仕方がない。
零は彼らの元へとつかつか歩み寄り、その辺の椅子に腰掛ける。
そして懐からホカホカのハンバーガーを取り出せば、何事もなかったかのように世間話へ混ざり始めた。
「いやあ、ハンバーガーはいいですよねえ。主食とおかずを一緒に食べられますから」
「分かるUSA、炭水化物も肉も野菜も食べられる万能食USA~」
和やかな空気が流れ始めたが、後ろでは社長が呆れ顔をしているしトリヨシも困惑している。
「ところで、あの社長って強いんですか?」
「まあ俺達のボスだから強いUSA。でもそれよりもムカつくUSA」
社長がすぐ側にいるというのに兵士達は平然と社長の文句を零し始めた。
勿論社長本人は呆然としているが、兵士達は全く気にしていない様子。
「イケメンで強いからって調子乗ってるUSA」
「宝石魔術を使うからって成金みたいになってるUSA」
気がつくと始まる暴言大会。
だが一つ分かった事がある。社長は魔術師タイプのオウガらしい。
ならばどうやって対策を取ろうか……兵士達のお喋りをBGMに零は作戦を練っていく。
気がつけばハンバーガーも食べ終わり、兵士達も他に情報を吐く気配はなさそうだ。
「ご馳走さまでした。それでは、やる事はきっちりやらせていただきますね」
包み紙を片付けて、手を合わせてごちそうさま。そして零は全ての指で兵士達を指し示した。
「天よ邪なる力を封じたまえ」
天から放たれるのは慈悲などない『ジャッジメント・クルセイド改』!
「USA!? さっきまでの和気藹々はどうしたUSA!」
「いじめをして、ただで済むとは思わないことです。反省しなさい!」
零の放った天罰は兵士を次々に焼いていき、きちっとまるっと骸の海へ強制送還させていく。
光が消えて静かになったオフィスに残るは猟兵にトリヨシ、そして社長。
「……勿論社長もです。覚悟して下さいね」
今度は人差し指でびしっと社長を指し示す零。
最後の戦いはこれからだ!
大成功
🔵🔵🔵
第3章 ボス戦
『『貴石の狩人』ブルーノ』
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POW : 術式『魔導粒子法』
【ルビーを発振媒質とした拡散レーザー】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
SPD : 術式『頑火輝石』
【黒曜石の長刀と金剛石のバックラーを構える】事で【魔法抵抗の高い石鎧に身を固めた姿】に変身し、スピードと反応速度が爆発的に増大する。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
WIZ : 術式『三つ巴の矩形鱗』
【ロードナイトが生み出す炎の魔力】【サファイアが生み出す水の魔力】【エメラルドが生み出す風の魔力】で自身を強化する。攻撃力、防御力、状態異常力のどれを重視するか選べる。
👑11
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●
「ふん、使えない部下達だったな……」
兵士達は全て倒したが、大ボスである社長はまだこの場に残っている。
彼は懐から幾つもの宝石を取り出すと、その全てを輝かせながら猟兵達を睨みつける。
「まあいい。社長という役割も飽きてきた頃だ。まずは貴様達を倒し、その後丹羽くんも狩らせてもらう」
ここにいるのはもう既に社長ではない。
悪しきオウガ、『貴石の狩人』ブルーノである。
彼さえ倒せばこの国は崩壊し、トリヨシもパワハラ被害者から晴れて卒業出来るだろう。
トリヨシも先程の戦いを目の当たりにした事で「あ、隠れてた方がいいな……」とその辺のロッカーに隠れてくれた。
彼の事は気にせずに戦えばいいだろう。
「この若くてイケメンで賢くて宝石がいっぱい使えて可愛い妻(人形)もいる私が直々にお前達を倒すのだ! 光栄に思え!」
このオウガも正直頭は良くないぞ! 好きにボコボコにしよう!
コイスル・スズリズム
アドリブ大歓迎
宝石がいっぱいなんて羨ましいな!
すずはこの袖口からの12のランスしかないの。
12個ランスって扱ったことある?
初手に『範囲攻撃』をのせて『残像』をまく
『残像』の『おびき寄せ』をした後、
本体が続いて使うは『全力魔法』をのせた
【UC】攻撃
この全ての建物ごと、壊しつくす勢いで攻撃する
相手のSPDで逃げてくれるのならば
相手に逃げてる、っていうことを与えられることが嬉しいわ
防御は『残像』を中心に撒くが、本体へ攻撃が届く場合は、
『見切り』からランスの『武器受け』
ねえ、
光栄に思うから
悪夢が、まだ、足りてないから
あなたへ悪夢を与えて、あなたから生まれだすその悪夢を味わってしまいたい
私はただの人間よ
●
敵の手元に煌めく宝石達を見て、コイスル・スズリズム(人間のシンフォニア・f02317)の瞳もキラキラ輝く。
「宝石がいっぱいなんて羨ましいな!」
「君はなかなか見る目があるようだね。けれど倒させてもらう!」
ブルーノは宝石で出来た鎧を纏い、コイスルの方へと向かい始めた。
けれどコイスルは逃げたりしない。だって自分の手元にだって煌めくものがあるのだから。
「すずはこの袖口からの12のランスしかないの。12個ランスって扱ったことある?」
先の戦いと同じく呼び出されるのは12人のコイスルと12体のドラゴン達。
まずは残像のコイスルが前へと躍り出て、一気にブルーノへと迫る。
「数で圧倒しようというのか。それで私に敵うとでも?」
ブルーノは黒曜石の剣を振るい、少女達を切り伏せようとしてきたようだ。
だが彼女達も黙ってやられはしない。ひらりひらりと舞い踊り、次々に敵の攻撃を躱していく。
その間に本物のコイスルはこっそりと魔法をかけた。
この世界を、悪夢を、全部全部飲み込んでしまうとても欲張りな魔法を。
「ねえ、社長さん。あなたはさっき『光栄に思え』って言ってたよね。私もそう思うから」
「ほう? ならばそのまま私にやられる事を受け入れろ!」
残像の合間を縫って、ブルーノの剣が迫りくる。
だけどそれを受け入れる訳にはいかない。だって食らう側はこちらなのだから。
「でもね。悪夢が、まだ、足りてないから。あなたへ悪夢を与えて、あなたから生まれだすその悪夢を味わってしまいたい」
剣撃をランスで弾き、発動するのは『“袖から慎重キャンディー”』!
「一つ、二つ、そっから中略して、十二つぶん。―――女からの誘いよ。受けきってくれる?」
12のランスがコイスルの元へと集い、一斉にブルーノへと飛来する!
最初は盾と鎧で攻撃を受け止めたブルーノだが、ランスの連撃は次第に宝石達にヒビを入れ始めていた。
次第に後退するブルーノ。その様子を見てコイスルは笑う。
だって相手が逃げている、というのが嬉しくて。だからもっともっと悪夢を見せて。
「なんだこの攻撃は……貴様は何者だ!」
放たれる魔法がオフィスを舞い踊り、偽物のデスクや棚がどんどん砕かれ始めていた。
その様を見てブルーノが叫ぶ。声色に浮かぶのは恐怖の色だ。
「私はただの人間よ」
それに対するコイスルの答えはシンプルで。だからこそ、思い切り放たれた一撃がブルーノを穿つ。
宝石の鎧は砕け散り、崩れるオフィスの中で星のように瞬いた。
楽しかった悪夢も終わり。だって全部飲み込んでしまうもの。
大成功
🔵🔵🔵
高柳・零
POW
可愛い妻って…イマージナリーフレンドじゃないですか。この場合ワイフですが…。(物凄く可哀想なものを見る目)
「そうですか。世間の冷たい目に耐えられず、他人に当たってしまったんですね。では病院に行きましょう。治ったと主張しても出してもらえないかもしれませんが」
そう言いつつ前に出ます。
範囲攻撃は盾とオーラで味方を庇いつつ、無敵城塞で弾きます。
「やり切れない思いで暴力を振るってしまうんですね。可哀想に」
などと言いつつ、メイスで鎧砕き付きの2回攻撃を容赦なく振るいます。
「やはり…安寧の地は骸の海しか無いんですね。悲しい事ですが。あ、もう戻って来ないでくださいね」
アドリブ歓迎です。
●
鎧を砕かれふらつくブルーノは悔しそうな顔で猟兵達を睨む。
「おのれ……愛妻が見ている前だというのに……」
彼の手元には愛妻(人形)が抱きかかえられていた。
その様子を見て高柳・零(テレビウムのパラディン・f03921)は液晶に憐れみの色を映し出している。
「可愛い妻って……イマージナリーフレンドじゃないですか。この場合ワイフですが……」
イマジナリーワイフ。フレンドよりマズイ雰囲気が漂う言葉だ。
「イマジナリーだと。彼女はここにいるではないか!」
そう叫ぶブルーノだが人形は何も喋らない。
あれは特別な装備でも何でもないようで、彼は本当にただの人形を妻としているらしい。
「そうですか。世間の冷たい目に耐えられず、他人に当たってしまったんですね。では病院に行きましょう。治ったと主張しても出してもらえないかもしれませんが」
液晶だけでなく声にも憐憫の感情を乗せつつ零は一歩前に出る。
もちろん挑発も兼ねているのだが、この憐れみの感情は間違いなく本物であった。
「うるさいッ! 妻を馬鹿にするな!」
馬鹿にされているのは妻でなく自分自身だが、ブルーノは全く気付かずに魔法の準備を始めている。
取り出すのは幾つものルビー。その一つ一つを媒介とし、放たれるのは拡散レーザーだ。
「やり切れない思いで暴力を振るってしまうんですね。可哀想に」
だがそのレーザーは容易く防がれる。
零は自らの身体を『無敵城塞』へと変え、飛び交うレーザーを次々に跳ね除けたのだ。
「病院から出られないとしてもアサイラム……異世界へ行ってしまうかもしれません。これはよくないですね」
レーザーの切れ目に超防御モードを解除すれば、零はメイスを握りブルーノへと迫る。
「やはり……安寧の地は骸の海しか無いんですね。悲しい事ですが」
「えっ うわっ やめろ!」
咄嗟に人形を庇ったブルーノに、零は容赦なくメイスを叩きつけた。
何度も何度も全力で行われる叩きつけ。
一見こちらが悪役にすら見えそうであるが、先に非道な事をしてきたのは敵の方だ。
「これはトリヨシさんの分で、これは酷使された猟兵の皆さんの分です」
零はひたすらにメイスを振るう。それはもうボッコボコのバッキバキであった。
そして最後に一発、全力でメイスを振りかぶれば綺麗にホームランが決まる!
「あ、もう戻って来ないでくださいね」
崩れ始めたオフィスの壁へ、ブルーノの身体は思い切り叩きつけられた。
だけど彼はまだ生きている。戦意も衰えていなさそうだ。
「おっと、そのつもりなら何度でも骸の海へ送り返してあげましょう」
相手が倒れるまで、メイスの嵐はきっと止まない。
大成功
🔵🔵🔵
フェルメア・ルインズ
◎アドリブ連携歓迎
……なんか思ったより残念オーラが凄いな!
いや、まぁパワハラで苦しめられてたのは確かだしな
見てるとイライラしてくるし、好きにボコらせてもらうか
■戦闘
魔法が得意な奴の対処はこれに尽きる
そう、物理でゴリ押してぶっ潰せ、だ!
【UC】を使用して、周囲にある物をオウガに向かって
全力でぶん投げまくって攻撃していく
拡散レーザーじゃ対処しきれないだろうし、魔法抵抗も無意味だろ?
机にプリンター、書類棚にパソコン、ロッカー……は駄目だな
投げる度に数々の苦しい思い出が脳裏をよぎる……
隙が出来たら【武器受け】しつつ、【激痛耐性】で無理やり突っ込んで
オウガを掴んだら地面にびったんびったん叩き付けてやる!
●
猟兵にボコられブルーノは次第にメソメソし始めていた。
そんな敵にフェルメア・ルインズ(拘束されし魔神・f21904)は驚きの表情を見せる。
だってボスなのにすっごい情けないし。
「……なんか思ったより残念オーラが凄いな!」
だけど彼が非道なパワハラを行ってきた事に違いはない。
「見てるとイライラしてくるし、好きにボコらせてもらうか」
そう言いつつフェルメアは周囲を観察し始めた。
周りに散乱するオフィスの道具達。作り物とはいえ散々自分達を苦しめてきたその数々。今こそ利用してやる時だ。
「何をするつもりだ!」
フェルメアが何かを企んでいるのを感じたブルーノは、再びルビーの拡散レーザーを放とうとしているようだ。
相手の特技が魔法なら、対処はやっぱりこれしかない。
「何って……こうするんだよ!」
レーザーが放たれるより早く、フェルメアは器用にデスクの脚を握れば全力でブルーノへとぶん投げる!
彼女は見た目こそ年頃の少女だが、その身体に宿るのは『魔神の怪力』だ。
「やめろ! 私のオフィスが!」
「その設定はもう終わりだ!」
デスクはギリギリで避けられてしまったがフェルメアの大暴れは止まらない。
デスクが駄目なら書類棚、それが駄目ならパソコンに植木鉢。
一つ一つ手に取れば、蘇るのは自分も受けたパワハラの苦い思い出。
思い出す度に表情をより獰猛な笑顔に変えて、フェルメアは止めどなく物を投げ続ける!
「お前みたいな奴には物理でゴリ押してぶっ潰せ、だ!」
思わずロッカーも手に取りそうになったが、中にいるトリヨシが小さく悲鳴を上げたので投げるのはやめておいた。
代わりに投げるのは……半壊していたオフィスの壁だ。
「行くぞ! 覚悟しろ!」
「こ、この……!」
全力でぶん投げた壁は、ブルーノが放ったレーザーにより粉々に砕け散ってしまった。
舞い散る瓦礫に囲まれつつ彼は渾身のドヤ顔を見せる。
「ふっ、やはり脳筋では私に敵う訳が……」
「……やっぱりお前はバカだな!」
次の瞬間、ブルーノの顔が手枷を嵌めた腕に掴まれた。
手の主は勿論フェルメアだ。
その身体にレーザーが掠り、腕や足から血を流しているのにも関わらずその腕力は凄まじい。
「ハハハッ! やっと捕まえたぞ!」
そしてそのままの勢いで、フェルメアは全力でブルーノを床へと叩きつける!
アイアンクローの状態でブンブン振り回され、叩きつけられるブルーノの表情は尚も情けない。
最後に思い切りぶん投げれば、ブルーノは壁へと打ちのめされてストレスもスッキリ解消出来た。
「いい気味だ! 爽快だなッ!」
フェルメアもニッと笑顔を見せるが、それは完全に勝者の笑顔であった。
大成功
🔵🔵🔵
伊坂・和良
伊坂和良の主人格には戦闘能力が無いので主人格での戦闘は行わないのでござる。
アイテム【多種多様の面】を着ける事で別人格を呼び起こし戦闘できるのでござる。
使用ユーベルコードは着けている面に対応しているので秘密の設定に「○○面装着時に発動可能」と書いているのでお手数ですがユーベルコードのチェックをお願いするでござる。
口調は主人格(わし、お前さん、ござる、ござろう、〜でござろう?)
天狗面・豪快おやじ(わし、お主、じゃ、のう、じゃろう、じゃろうか?)です。
●
猟兵達にボコボコにされてもブルーノはまだ立ち上がる。
「私のイケメンフェイスに傷が……ええい! 許さん!」
顔についた傷やらなにやらを隠すように宝石の鎧を纏うブルーノ。
そんな彼の前に立ったのは、同じく顔を面で隠した伊坂・和良(面の力を借りるオッサン猟兵・f22018)だ。
「おぬしの顔なぞどうでも良い! 散々トリヨシやわしらを傷つけおって。成敗してくれる!」
和良は先程の戦闘と同じく天狗の面を付けていた。なので現在の人格は天狗のものだ。
天狗が直接姿を現したのは戦闘が始まってからではあるが、ブルーノの非道についてはよく知っている。
パワハラを受けてきたのは和良だったけれど、同じ肉体を共有する者としてその辛さも分かち合ってきたのだ。
だからこいつは絶対に許せない!
「おぬしのような外道は、わしらの最大の力で叩き潰すのが相応しい」
そう言いつつ取り出すのは『多種多様の面』達。これら全てが和良に力を与えてくれるが……それは束ねる事も出来るのだ。
「悪しき念を束ねてみるかのう」
面の念を束ねれば、和良の身体に凄まじい力が宿る。
憎しみ、破壊衝動、怨念――どれも恐ろしいものではあるが、他人を苦しめるような外道にぶつけるには最適だろう。
「邪悪な面の力を一つに……行くぞ!」
下駄でボロボロになった床を蹴り、天狗は一気にブルーノへと迫る!
あの鎧は魔法に対しては強力なようだが、物理で全力で叩き切るならそんなものは関係ない。
バックラーを構えたブルーノに振るわれるのは嵐のような薙刀の一閃だ。
その衝撃は外道な社長の身体を傾かせたが、彼の表情にはまだ余裕が見える。
「ぐっ……力こそ凄まじいが……その攻撃、貴様にも負担をかけているな?」
指摘の通り、面の力を一つにする事には代償も伴っている。
凄まじい怨念が和良の身体を蝕んで、彼の身体からは血も流れ始めているのだ。
けれど技に負担がかかるのはブルーノも同じ。滴り落ちる血が何よりの証拠だろう。
「おぬしこそ、鎧の隙間から血が流れておるぞ。条件が同じなら……勝つのはわしらだ!」
身体の節々が傷んでも、天狗はひたすらに薙刀を振るい続けた。
和良に負担をかけるのは申し訳ないが、きっと彼も気持ちは同じ。
「ここまでやって来た残虐な行為を……骸の海で反省しろ!」
怒りを乗せた一閃は、ブルーノの鎧を砕き彼の身体をも斬りつける!
こうして薙刀を振るう和良達の姿はまさに時代劇の英傑のようであった。
大成功
🔵🔵🔵
月凪・ハルマ
部下が部下なら社長も社長だな……
てかお人形が奥さんですか。そうですか
(ものっそい憐みの目)
◆SPD
正直まともに付き合ってると、こっちの精神が無駄に削れる
部下と同じく、早めに終わらせてもらうか
という訳で、さっさと【瞬身】発動
向こうの攻撃は【見切り】【残像】【武器受け】で躱し、
石鎧で覆われていない個所を狙って手裏剣の【投擲】か、
魔導蒸気式旋棍の【早業】の打撃で応戦する
ああ、向こうがUCを使っている状態なら【忍び足】【迷彩】で
【目立たない】様に身を隠してもいいかもしれないな
放っとけば、勝手に寿命を縮める訳だし
まぁ、流石に最後まで見てるだけとはいかない
隙を見て破砕錨・天墜で【捨て身の一撃】を叩き込む
●
「部下が部下なら社長も社長だな……」
「うるさい! 黙れ!」
息も絶え絶えながら宝石の鎧を再構築するブルーノに、月凪・ハルマ(天津甕星・f05346)は憐憫の視線を送っていた。
「妻が見ているのだ……」
「てかお人形が奥さんですか。そうですか」
彼の心の支えはもう愛妻(人形)くらいなようで。
いい年した男が人形に熱心に話しかける姿は完全に可哀想な人である。ハルマの視線は更に冷たくなった。
正直まともに付き合うのも嫌だ。こっちの心が保たないだろう。
さっさとこの悪夢を終わらせよう。ハルマは魔導蒸気式旋棍を構えてブルーノを睨んだ。
「……いくぞ!」
相手は弱っているとはいえ、鎧の守りは健在だ。
出来るだけ関節部分や装甲の薄そうな部分を狙い、ハルマは素早く旋棍を叩きつけていく。
ブルーノの剣撃も旋棍で受け止めつつ相手をしっかり観察すれば何かがおかしい。
こちらの攻撃でも向こうの攻撃でも鎧が砕けているのだ。そしてその隙間からは血が滴り落ちていた。
(もうボロボロみたいだし……別の作戦を試してみるか)
一度打ち合いをやめて、ハルマはブルーノから距離を取る。
「貴様! 逃げるのか!」
「お前みたいなヤツには付き合ってられないからな!」
次の瞬間、ブルーノの兜にいくつもの手裏剣が突き刺さった。
その衝撃で目を閉じてしまった一瞬で……ハルマの姿は消え去っている。
「ここまで来て卑怯な……!」
別にハルマはこの場から逃走した訳ではない。
忍者としての技術を活かし、崩れたオフィスの影に身を潜めただけ。
けれどブルーノは鎧を解除しない。一瞬で消えた相手ならば不意打ちも簡単に出来る事くらいは分かっているのだろう。
それは不用意の鎧を解除出来ないという事で。
ハルマを探そうと動けば動く程ブルーノの負担も大きくなるのだ。
「妻よ……不甲斐ない私を許しておくれ……」
悲しくなったブルーノはとうとう妻(人形)に泣きつき始めた。
すっごく哀れな状況である。
「演技とはいえここまで会社を大きくし……やってきたのだ……海外にも支社が欲しかったな……」
「海外ってどこだよ! あと目的と手段がごっちゃになってるからな!」
このまま放っておく訳にもいかない。
ハルマはツッコミを入れつつ天井スレスレまで飛び上がった!
「そして……手段がパワハラの時点でおかしいって気付け!!」
手に持った破砕錨・天墜のブーストエンジンを全力で起動、そのまま投げつければ流星のような一撃がブルーノを穿つ!
その勢いでブルーノの身体は爆発四散! ハルマの全力のツッコミに悪が勝てる道理はないのだ。
同時にオフィスや周りの風景もぐにゃりと溶けて……現れたのはアリスラビリンスらしい長閑な花畑だった。
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花畑の中央に何故か残っていたロッカーから、トリヨシが這い出てきた。
彼は猟兵の方を向き、頭を下げる。その表情はとても晴れやかだ。
「皆さんのおかげで助かりました。俺も自分がアリスだって思い出したし……本当にありがとうございました!」
こうして一人のアリスが猟兵達によって助け出された。
猟兵達も依頼を達成し、もうパワハラ地獄から解放されるんだという安堵感に包まれていく。
この国の本来の景色である花畑は、ここから飛び立つ彼らの事を優しく包み込んでいた。
大成功
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