エンパイアウォー⑦~竜を守る虎~
●超攻防一体なる陣
「全く流石は軍神の異名を持つものだ。見たまえよ」
異界の天使スフィーエ・シエルフィートは秘宝(グリモア)を輝かせながら、無数の敵が目まぐるしく回る防衛の陣を映し出した。
車懸かりの陣と呼ばれる攻防一体の理想的な一つの陣形であった。
「この陣を指揮しながら、猟兵諸君と互角以上に戦うなんざ感動すら覚えるね」
その中央に座す白衣の武将の勇猛に指揮する様を笑って見ながら、彼女は猟兵に語り掛けた。
「さぁ語ろうか。舞台はサムライエンパイア、戦争真っ盛り夏の陣だ。君達には上杉謙信公の指揮する陣を崩しに行って貰いたい」
信長六魔将が一人、軍神『上杉謙信』は車懸かりの陣と呼ばれる陣を指揮しながら戦っている。
謙信公を中心に目まぐるしく亡霊(オブリビオン)を風車のように旋回させて繰り広げ、最前線の兵士を巧みに交代させつつ攻めるという指揮難易度の限りなく高い陣だ。
その分だけ攻防一体に優れており、その陣にて時間を稼ぐことで、これまでの強敵であった『滅びるまで短時間で何度も倒す』という戦法が使えなくなってしまっている。
「肝心の謙信公自体との戦いは別の猟兵諸君が向かっている。君達は、陣を破ることに注力してくれたまえ」
折角強敵を倒しても復活の時間を稼がれては意味がない、等しく重要な任務だと語り。
「今回君達に倒して貰いたいのはこいつの群れだ」
そう言ってスフィーエが映し出すのは、首が取れてしまったかのような白い虎。
暴風の力を自在に操る強力な獣――越後の竜と呼ばれた存在を虎が守るという、なんとも奇妙な縁だと苦笑しつつ語る。
「だが一筋縄ではいかない。今回の相手は少数だが、実に強力だ」
数としては五体程度、一般的な集団戦とは違い大分少数の相手となるが、今回の相手は陣の恩恵により限りなく生存力を高められているのだそうだ。
攻撃力はそれほど強化されてはいないが、その防御力と回復力は途轍もないらしい。
「実に腹立たしい具合に強化されている。生半可な攻撃ではすぐに立て直されてしまうだろう」
故に一撃で倒す工夫や、立て直しの暇を与えないようにする工夫が必要なのだと語る。
場合によっては、複数人で連携し一体一体を確実に仕留めていく必要もあるのだとも語り。
「……厄介だ。実に厄介だ」
一頻りの語りを終えた彼女は、掌で目を覆い天を仰いで溜息を一つ漏らし。
改めて呼吸を整え、秘宝を輝かせ転移の結界を作り上げつつスフィーエは猟兵達に激励の言葉を掛けた。
「だが破らなければ謙信公の完全な撃破は叶わない。君達の連携を以て勝利を掴んでくれると信じている……では、準備が出来たら声を掛けてくれたまえ」
裏山薬草
●注意!!
このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
1フラグメントで完結し、「エンパイアウォー」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。
どうも、裏山薬草です。
幹部が続々と出でて戦争真っ盛りですね、今回も張り切っていきましょう!
今回はですね、謙信公を守る陣を崩しにいって貰います。
集団戦となりますが、敵は五体程度となります。
しかし超強化されており、生半可な攻撃ではすぐに立て直されてしまいますので、回復の隙を与えないように工夫するプレイングがあれば有利になります。
また人数によっては何人か纏めて一体の敵を倒す風な描写になるかもしれませんので、ご了承願います。
それでは皆様のプレイングをお待ちしております。
裏山薬草でした。
第1章 集団戦
『堕ちた白虎』
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POW : 旋風
自身の身長の2倍の【3つの竜巻】を召喚する。それは自身の動きをトレースし、自身の装備武器の巨大版で戦う。
SPD : 飄風
【触れるものを切り裂く暴風を纏った突進】による超高速かつ大威力の一撃を放つ。ただし、自身から30cm以内の対象にしか使えない。
WIZ : 凱風
自身に【相手の動きを読む風の鎧】をまとい、高速移動と【かまいたちによる遠距離斬撃】の放射を可能とする。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。
👑11
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キャサリン・エンスレイヴ
「自身のユーベルコードの描写の詳細を確認したい」
この事件に対してこう感じ、猟兵として参加します。
戦闘中、戦いながらも、戦場全体や仲間の状態に常に気を配ります。
「強者を蠱毒にかけよ! 殺し合いを観ながら喰う飯は甘露なり。我、勝者の生き胆を喰らいて天を征つ力と為さん!」
堕ちた白虎の「凱風(WIZ)」に対し、ユーベルコード「君の名は。(ベルゼブブ)」を使うことで、回復能力の減衰を試みます。
最大の目的は、いち早く敵の群れを殲滅することです。
その為なら、ある程度のダメージはやむを得ないものとします。
フェイルシア・インパーサ
【アドリブ・連携歓迎します】
朽ちて尚、主君を護り続ける虎ですか
陣の力も強大ですが彼らの力はそれだけではないのでしょうね
ですが人々を救いたいと願う私達の意志も決して負けません!
【トリニティ・エンハンス】で攻撃力を重視して強化
使う魔力は【炎】、風に煽られ炎はさらに勢いを増します
後は出来る限り回避に専念しつつ距離を詰めましょう
●旋風と●凱風を炎を纏った【属性攻撃】でいなし続ければ痺れを切らして接近戦に持ち込むはず
【フェイント】で隙を作り【カウンター】で【捨て身の一撃】を浴びせて差し上げますわ
もし攻撃を浴びてしまうようであれば【激痛耐性】で耐えきります
1体倒せれば上々、余裕があれば他の猟兵に加勢します
スカル・ソロモン
なるほど、風纏う虎とは厄介だ。
せめて動き回られないように、私は敵の動きを止めるとしよう。
「猛獣は檻に入れなければね」
『真なる贋作』で鉄製の檻を敵一体の足元から出現させ、閉じ込めよう。
すぐに破られるだろうが、少しでも足止め出来れば構わない。
「足を止めたぞ、今だ!」
そう周囲の猟兵達に呼びかけ、足止めした隙にその一体に集中攻撃して撃破しよう。
私もタクティカル・スパインで檻ごと敵を攻撃するよ。
もし攻撃の隙が無いほど足止め時間が短かった場合は、真なる贋作でさらに鉄製の杭を数本作り出し、敵の体を上方から貫きつつ地面に縫い止め、敵の動きを封じようか。
「実に面倒だな。素直に大人しくしていれば良いものを……」
テラ・ウィンディア
白虎…風…自然の精か
…シルが見たら悲しむな
だがここはおれが引導を渡す!
【属性攻撃】で剣と槍と太刀に炎を付与
【第六感・見切り・残像・空中戦】で舞いながら何度も刺突による【串刺し】や斬撃を繰り返し続け
更に敵のカマイタチや全てを切り裂く「斬撃」に等しい突進も撃たせ続ける
最悪致命だけは避け切る覚悟
そしてそれらの斬撃の軌跡を【戦闘知識】で常に把握して
己も無数の斬撃で切り結び
あえてダメージの有無さえ今は気にしない
…こいつはな
おれを叩き潰し尽くした騎士の技だ
無限に等しい凄い斬撃だった
一撃でお前達を倒せぬなら
何度も切り裂こう
消えざる過去の痛み発動!
白虎、己、他猟兵も刻んだ空間の斬撃を再現!
(斬斬斬斬斬斬斬斬!
仁科・恭介
※アドリブ、連携歓迎
戦場に降り立ち白虎を【学習力】で観察
ダメージを持続させて与える方法を検討
あの風では蟻を目立つように進軍させても風で薙がれるだけ
だが、一匹でも噛めば流れが変わるかもしれない
「やってみるか」
蟻の目標を白虎へ
【ダッシュ】と【残像】を使用しながら旋風に気を付けて斬りかかる
動作の合間に【目立たない】よう【蟻達】を振りまきながら
この中を白虎が通るなら一匹くらいは噛みつけるだろう
上手く蟻が噛んだが隙ができる
隙ができたら狙うだけ
「お前の白を黒く塗りつぶしてやる!」
【ダッシュ】の勢いを刺突し、流れるように体に纏っている蟻を直接進軍させる
それを振り払う隙をついて更に斬る
「悪いがこれも戦いでね」
●風纏う白虎その牙いづこに
数多の亡霊が目まぐるしく、円陣を為し回る――その光景だけでも、暴風が吹き付けてきそうな勢いであるが、ことこの五人の前に相対せし亡霊は猶更であった。
雄大にして屈強な肉体を持つ白き虎、それが纏う暴風の巻き起こす風の流れは五人の猟兵をそれだけでも圧倒している――ただ一つ異様なのは、それの首だけが無い、ということだった。
「なるほど、風纏う虎とは厄介だ」
「確かに……中途半端に攻めても逆に薙がれそうだね」
髑髏の面を纏う男スカル・ソロモン(目覚める本能・f04239)の言葉に、仁科・恭介(観察する人・f14065)はこの相手を冷静に見定める。
生半可な攻撃では倒せない、仕留めきれねばすぐに引かれて立て直される……如何に継続して損傷を与えるか。
「だが……それだけの相手なら、この技を試すに丁度良い」
低く掠れたような声でキャサリン・エンスレイヴ(ウィザード・f01442)は、今回用意した技を確かめるべく二、三度ほど手を握っては開いた。
その一方で吹き荒ぶ風に黒髪を揺らし、森の人は双子の妹を思い軽く目を伏せた。
「……シルが見たら悲しむな」
自然の暴力といっていい、白虎の無残な姿にテラ・ウィンディア(炎玉の竜騎士・f04499)は静かに太刀と剣を取り出した。
「朽ちて尚、主君を護り続ける虎ですか……陣の力も強大ですが彼らの力はそれだけではないのでしょうね」
その隣でフェイルシア・インパーサ(騎士姫の造花・f04276)は、首のもげて血の流れる断面を見やり、それでも主の為に戦う彼らに一定の敬意を表していた。
尤も――退けぬ理由は、猟兵達五人には紛れもなく在った。
「ですが人々を救いたいと願う私達の意志も決して負けません!」
「ああ……ここはおれが引導を渡す!」
フェイルシアの声にテラが強く頷き、その得物に熱く燃え盛る炎を宿せば。
それを皮切りに、仲間の猟兵達も顔を見合わせ力強く風纏う白虎へと強くその眼を向けて――戦いが、今始まった。
「さぁ、全力で来なさい! 私達を退けたいのならば!」
力強く術の刻まれた剣を突き出し、フェイルシアはその全身に炎を纏う。
白虎達の巻き起こす旋風の前に、纏うその炎は煽られ限りなく盛り、戦場にその炎と共に彼女の熱き闘志を伝播させていく。
首の無き虎に唸りを挙げることは敵わない――にも関わらず、かの者らの纏う風が、まるで真の唸りのようにも聞こえた。
力強きその前脚が戦場の地面を踏み砕けば、白虎は一斉に十二の竜巻を嗾ける――攻撃能力自体はそう強化されてはいない筈だったが、それでも十二分なほどの威力を感じる。
「やってみるか」
この暴風、中途半端に蟻を嗾けたところで吹き飛ばされるだけ……恭介は思考するも、それでも一つ……一つでも噛ませられれば、多少の流れは変わるかもしれない。
「貴方が数で来るのなら私も無慈悲に応えよう」
沸き立つは蟻の群れ――離れても尚吹き荒ぶ嵐に、生み出す傍から次々と吹き飛んでいくが構わずに恭介は駆ける。
恭介とフェイルシア、そしてテラが一斉に得物を構え竜巻の中に斬り込まんとしている間、スカルは思いつく。
「猛獣は檻に入れなければね」
この暴風に乗じて突進されては敵わない――圧倒的な竜巻の群を相手に、スカルは竜巻の後ろに控える白虎達に目を向けて。
「理念、骨子、材質、技術、経験、年月──その全てを再現する」
強かに打ち合わせた両掌を地面に力強く置き。
迸る稲光じみた閃光が地面を走れば、竜巻に乗じて動き出さんとした白虎達の足元から、鋼の檻が生成されその動きが制される。
だがその檻はこの世に実在する物――故にこの邪法に於いては粗い造りとしかならず、屈強な白虎の爪と纏う風の刃がそれを切り刻み、内側より破られる羽目となる。
僅かですらない足止め――だが、それで十分だった。
何故ならば、全身に炎を纏いながらその竜巻を、同様に風を纏った剣で横薙ぎに逸らしつつ――正に斬り開くという言葉正しきか。
風を割って入るフェイルシアの前に、痺れを切らした白虎が一匹襲い掛かる。
それを、その勢いを逆に利用して力強く剣を突き出せば流石の白虎も盛大に吹き飛ばされてしまう……尤も、陣形の力で強化された毛皮の前に、致命傷を与えるには及ばなかったが。
そして続け様にやってくるのは、また別の白虎――颶風を身に纏い空間すらも切り刻まんほどの刃を以てその爪を振るってくる者を、大地の力を宿した剣で受け流し。
「ハアアアアア!!」
横殴りに逸らされた白虎に勇猛果敢に斬り込んできたのはテラだった。
右手に太刀、左手に宝剣――その二つに燃え盛る業火を纏い、白い身体に熱と斬撃の傷を刻み込んでいく。
白虎の纏う真空の刃諸共斬り伏せるように、空間そのものを切刻み纏う業火の熱は空中に熱の軌跡を残す――戦場に舞う風に吹き飛ばされることもなく。
反撃に振るわれる真空の刃を纏った白虎の爪を紙一重で跳躍して躱し、次は同じく業火を纏う槍を空中で構え、幾度となくその首の断面に高熱の刺突を放っていく。
また別の白虎が颶風を纏い飛び掛かってくれば、恭介の刀が背後から目立たぬように切り付けることでそれを制し。
爪を振るってきてもその横を駆け抜けて、残像だけを斬らせる形となりながら、身体から出でる軍隊蟻をばら撒く――全ては次なる布石の為に。
彼ら三人の奮戦により、四体の白虎と何とかやり合えているのではあるが。
「実に面倒だな。素直に大人しくしていれば良いものを……」
鉄の檻は動きを停めるに至らなかった。
動き回られて立て直されては厄介――スカルは再び手を合わせ、光迸る掌を両手に向けて大気中の金属元素を集約し。
空中にて生み出された鉄の楔が、不意打ちのように次々に白虎に突き刺さり一時、退く動きを封じ込めて。
「強者を蠱毒にかけよ! 殺し合いを観ながら喰う飯は甘露なり。我、勝者の生き胆を喰らいて天を征つ力と為さん!」
楔によって閉じ込められた今こそ邪法の効果を試す時――決意を一つ、キャサリンは高らかに詠唱を始める。
これまでの戦い、陣の恩恵により限りなく生存を高められた白虎は一つ仕留めるのにも苦労するばかり……例え攻撃能力が変わらぬとしても、生存と継戦に優れては総合して同じ。
であればここで確実に封じる――僅かによろめいたその隙に、全ての力を振り絞る勢いで発動する。
放つ邪法の力により、白虎が急激に身体を不規則に痙攣させていく。
とうにもげた首の断面から、湧き出るそれ――赤黒の中より出でる黒い何かと、白く蠢く何か。
暴食の大罪を象徴せし羽虫の蠢きと幼虫が体内を食い破る――獅子身中ならぬ、白虎身中とは言うたか。
内部よりの苦痛は、白虎の動きを封じ込めあまつさえ、弱り切っていた一体をそのまま死に追いやり。
「お前の白を黒く塗りつぶしてやる!」
漸く一体倒せた――だが、食い破るには内部からだけではない。
外からもだ……白虎目掛けて強く駆け出すと、その刀を思い切り横殴りのように突き立てると同時、流れるように纏う軍隊蟻を一斉に嗾けて。
内部からの苦痛に悶える白虎達に外側から食い破る蟻の牙を幾度となく突き立てさせていきつつ。
「足を止めたぞ、今だ!」
虫の内外より悶える今、より確実に動きを封じよう――スカルは再び手を合わせ、恭介が刀を引き抜くと同時、地面に置くと悶える白虎達をそのまま鉄の檻の中に閉じ込める。
造り粗くとも、今の状況ならば先ほどよりは持つ筈――猟兵達に攻撃の機を伝えれば、恭介が刀を突き立てていた個体目掛けて杖を振るう。
髑髏面の彼が振るうに相応しき杖の姿は、宛ら背骨――幾多にも連なる白い節の殴打が檻をひしゃげる勢いで白虎の体を打ち据える。
外側から圧し折れた鉄棒が白虎の体に次々と突き刺さるも、それを白虎は纏う風で振り払わんとするが。
「悪いがこれも戦いでね」
逃れる為に暴れ回ったが終焉か――内外を食い破られる苦痛に白虎の回避は間に合わず。
擦れ違いざまに振るわれる武骨ながらも美しき恭介の一閃が、横薙ぎに白虎の体を瞬断す――!
「やらせませんわ。……その忠義に敬意を表し」
そして檻の捕縛を颶風を纏い吹き飛ばし、何とか逃れた個体が決死の覚悟で向かわんとすれば。
攻撃を受け流しながら機を狙っていたフェイルシアが踊り込み、その爪が紙一重で肌を傷つける前に――例えこの爪を喰らっても構わない。
この朽ち果てた体となってまで、死してもおかしく無い重傷を負いつつ暴威を振るう猛獣への騎士道の弔いとして……捨て身の一刀が、白虎を両断していた。
「……こいつはな。おれを叩き潰し尽くした騎士の技だ。無限に等しい凄い斬撃だった」
これで残るはあと一つ――これまでの戦闘の軌跡。
自分と仲間、そして敵自身が斬撃のように放って来た攻撃の軌跡は、全てこの頭の中に記憶している。
再現するはかの黒騎士の妙技……僅かな集中も、この隙を作ってくれた仲間がいるから出来る。
「一撃でお前達を倒せぬなら、おれたちが何度も切り裂こう」
刀と宝剣を納める音が一つ鳴れば。
閃くのは、斬撃に続く斬撃、そしてまた閃く斬撃――命を削る覚悟で真空の刃を全身から解き放って檻を破った白虎の体を走る。
引き出したはテラ、しかしこの白虎を走る斬撃の全ては――白虎自身と、仲間の猟兵達の刻んだ戦い。
限りなき過去からの絆の連携が、遺物でしかない亡霊をこの世から塵一つ残さずに消し去るのだった。
大成功
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真宮・響
【真宮家】で参加。
車懸かりの陣、流石軍神と言われた上杉謙信、隙のない陣だ。
奏、瞬、家族3人で協力してこの陣を打ち破るよ!!気合いいれて行くよ!!
真紅の竜を呼び出して【騎乗】。奏を先頭にして強引に風を突っ切っていく。時間かけたら押し切られる、一気に行くよ!!【残像】も使って被弾を防ぎながら、奏と瞬とタイミングを併せて30cm以上離れた距離を維持して3人の攻撃を同時に当てる。アタシは【槍投げ】【串刺し】【二回攻撃】を使うよ。凱風での攻撃は家族3人でフォーメーションを組んで動く事で狙いを絞らせないようにする。
真宮・奏
【真宮家】で参加。
隙の無い陣ですが、破れない訳ではないですよね。やりようはあります。はい、響母さん、瞬兄さん、行きましょう!!
蒼の戦乙女を発動、響母さんと瞬兄さんの前に立って、【オーラ防御】【武器受け】【盾受け】【拠点防御】【激痛耐性】で積極的に敵の攻撃を引き受け、【かばう】凱風に対しては家族とフォーメションを組んで動くことで標的を絞らせないようにし、攻撃対象を一匹に絞って家族全員で力を併せて攻撃を当てます。攻撃は【属性攻撃】【二回攻撃】【衝撃波】で。
神城・瞬
【真宮家】で参加。
流石越後の竜。手堅い戦法ですね。でも戦争の常で破れない陣はありません。立ち向かわせて貰います。響母さん、奏、頑張りましょう。
僕は響母さんと奏の戦法に併せて月読の騎士を発動。2人の攻撃に【誘導弾】で【援護射撃】をして行きます。【マヒ攻撃】【目潰し】も乗せます。2人の邪魔をするものが居たら、【吹き飛ばし】していきますか。凱風に対してはフォーメーションを組んで移動することで対応し、最後は一匹に攻撃目標を絞って、家族で力を併せて攻撃を当てます。僕は【全力魔法】【二回攻撃】でありったけのリソースをつぎ込んで、【誘導弾】【鎧無視攻撃】【目潰し】【マヒ攻撃】【部位破壊】を撃ち込みます。
●竜を守る白虎、破るは赤竜の家族
数多の亡霊が強固な円陣を敷き、入れ替わり立ち替わることで体勢を立て直しつつ進軍する――車とはよく言うたか。
「車懸かりの陣、流石軍神と言われた上杉謙信、隙のない陣だ」
「流石越後の竜。手堅い戦法ですね」
真宮・響(赫灼の炎・f00434)はその陣を指揮し、その上で熟達した猟兵達の戦闘を繰り広げている謙信公に敬意を表し、彼女の義理の息子である神城・瞬(清光の月・f06558)はそれに同意を示した。
「ですが、破れない訳ではないですよね。やりようはあります」
だがさりとて、この強固な陣に立ち向かわず背を向けるという選択肢は存在しない――響の娘である、真宮・奏(絢爛の星・f03210)は攻防一体の陣形と、数多の亡霊の部隊を前に闘志を奮い立たせる。
「ええ。ですが戦争の常で破れない陣はありません。響母さん、奏、頑張りましょう」
“妹”の言葉に瞬は頷く。
破れぬ陣がこの世にあるならば、戦いの歴史など更新されることはない――力を合わせて頑張れば突破できぬ筈がない。
頼もしき子供達の声に、母は快活に笑いその背を豪快に叩き発破をかけた。
「良く言った! 家族3人で協力してこの陣を打ち破るよ!! 気合い入れて行くよ!!」
「はい、響母さん、瞬兄さん、行きましょう!!」
決意新たに一歩を歩み出せば彼ら三人の眼前に現れたのは白虎――それも、これまで猟兵が倒してきた四体とは違い、一回りほど大きいか。
流石に四体分の実力を持つ……という訳ではないだろうが、相応の強者の空気を匂わせる――今回の部隊の首領格といったところか。
この敵将を討ち取れば、部隊の一角を崩すことが叶う――集団戦にも関わらず敵は一体、しかしそれでも三人相手に引けを取りそうにない風の荒れ具合に、武者震いを起こしながらも響は激をかけた。
「さて、一緒に行くよ!! 気張りな!!」
「さあ、希望を持って、未来を切り拓こう!!」
「我が身は大切な者を護る為にある!!」
響が呼び出したのは竜――彼女の二倍はあろうかと思われる赤き竜、白き虎に抗うにはお誂え向きか。
そして母と兄の前に強く出でて、豪華絢爛な青い衣を身に纏い、その背に水色の煌びやかな翼を生やし、熱き信念の剣を構え。
その後ろを瞬は月光の如き白銀の甲冑を纏い、純白の翼を生やし、二つの杖の力を高め後方から援護を行う構えだった。
そして白虎の首領格は、真宮家の三人が一斉に邪法による準備を整えるや否や、全身に纏う激しき旋風をより高め、その風圧を以て三人を圧倒する。
繰り返すが攻撃能力自体は上昇はしていない……にも関わらず、三人がかりを圧倒する風圧。
そして風圧に乗じて、白虎は繰り出す――鋼すらも容易く切断するであろう風の刃を以て、真っ向から彼ら三人を斬り伏せんとしたのだ。
「ぐっ……!」
しかしその風が三人を斬り伏せるには及ばない――何故ならば、真正面から光の壁を広げた奏が、その刃を受け止めていたからだった。
だが白虎の反撃は速い。奏が真っ向からその攻撃を受け止めることを予測していたかのように、奏が真空の刃を受け止めている一瞬の内に跳躍し、風に乗って響と彼女が駆る竜へその爪を突き立てんとする。
それを一瞬で、白虎よりも速き竜の横跳びがそれを躱し、白虎は哀れに残像を纏う刃で切刻む結果となる。
そしてその隙を瞬の攻撃は見逃さない――柔らかな月光を思わせる白き翼を広げては輝かせ、右手に携えた水晶細工の杖を翳し、不可視の衝撃を以て白虎を吹き飛ばす。
流石の白虎もその攻撃は予測がつかなかったか、横殴りの攻撃に盛大にその身が吹き飛ばされば。
「良くやったよ瞬!」
響の操る赤竜が吠え、その剛拳を追い打ちにとうに落とされたであろう首の、その断面へと叩き付け。
更に吠える竜が下から掬い上げるように尾の一撃を以て打ち据え、舞い上げられた白虎に赤熱する槍の薙ぎ払いを見舞う。
地面に叩き付けられた白虎の纏う風が、首無き身の雄叫びに代わるが如く吹き荒び鳴る。
全てを切刻む旋風の刃を纏った突進も、至近距離にしか射程は及ばない――纏めて三人を巻き込む為に、白虎は威力は劣っても真空の刃を解き放たんとするも。
「二人には指一本触れさせませんよっ!」
それが届くことは無い――水色の翼はためかせ、割り込んできた奏の信念の剣が、真っ向からそれを受け止めて弾き、空間の揺らぎという形で可視を与えていた刃を砕き散らす。
例え弾く刃が間に合わなくとも、痛みに耐えて家族への攻撃を通さない――爆炎の如き熱き信念の刃は、真空の刃を弾くと同時に逆に衝撃の刃を放って白虎の右脚に傷を与え。
初めて揺らめいた白虎目掛け、瞬は左手に携えた虹色の杖を振るうと、無数の魔術による光の弾を解き放つ。
纏う風で軌道を見切り躱さんとしても、誘導の性質を持った魔力弾は吸い込まれるように白虎に突き刺さり、その神経を強制的に鈍らせて。
「響母さん、奏、今です!!」
今こそ好機――叫ぶように翼を広げ、母と妹に叫ぶ声を一つ。
母娘が頷くと同時、瞬が狙うは右脚――先ほど妹が付けた傷跡。
己が内にある魔力を全て込めて、両の杖を突き出しては激しい奔流が白虎の右脚を完全に斬り飛ばし、その機動を完全に殺し。
続き躍り出るは奏――機動を殺された白虎目掛けて、真っ向から斬り込み、その残った左足に強く燃え盛る刃を突き立てる。
そして――娘の刃が深く地面に白虎の体を縫い付けた今。
母が投げ放つ必殺の、赤熱する槍が首の断面へ吸い込まれるように突き刺さり、その昂り続けた熱と刺突の衝撃が虎の心臓を完膚なきまでに貫き。
「「「白虎隊が首領格、この真宮家が討ち取ったりぃぃぃぃ
!!」」」
がくん、と命を終えて崩れ落ちる虎へ近寄り、槍を引き抜き、娘の剣と息子の杖に切っ先を合わせ。
竜の家族は、車掛の陣の一角を叩き潰した勝鬨を力強く上げるのだった。
大成功
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