迷宮新歓コンパは二人組!
●挨拶って大事
「皆さん、お集まりいただき、ありがとうございます」
目の前の猟兵たちに、慎ましやかな仕草で一礼する涼月・カティア(仮初のハーフムーン・f05628)。実はこう見えて女装系男子である。さておき本題。
「早速ですが……お付き合い願えますか?」
もちろん、グリモア猟兵としての言葉ですよ?
●ならわしなんですって
カティアが見た予知はアルダワ魔法学園の世界のものだ。
「ご存じかと思いますが、学園の地下に広がるアルダワの迷宮。そこに新たなオブリビオンの発生を予知しました」
幸いにしてすぐさま惨事になるようなことは無いようだが、アルダワ魔法学園では折しも新入生の入学があり、迷宮新歓コンパが行われている時期。
「幸か不幸か、コンパに使う迷宮部分の先にそのオブリビオンがいるようなのです」
その現象そのものには、アルダワ魔法学園の世界として大きな問題は無い。しかし。
「痛みも経験も明日に繋げられてこそ。命を落としては何の意味もありません」
ということで。
「皆さんには新入生と交流を深めつつ、彼らの護衛、のようなものをお願いしたいのです」
●迷宮の説明!
次にカティアは予知と集めてきた情報を提示する。
「迷宮はこういう構成になっているようです」
まず、入り口から1本道を進むと到着するフロア。
「そこは『伝説の桜の樹』があるフロア」
広いフロアの真ん中に、ぽつんと桜の樹が立っている奇妙な空間だが、本質は別にある。
「足を踏み入れると、『別の空間にある、桜の樹のもとに飛ばされる』ようです」
どうにも時空がねじ曲がっているらしく、同じタイミングでフロアに入っても、まったく別々に桜の樹のもとに送られる。下手をすると時間のズレさえ発生しているかもしれない。
「とにかくランダム性が高い転送なのですが、フロアに踏み入れる時に手を繋いでいると、一緒の場所と時間へ転送されるらしいですね」
ただし、もうひとつ注意事項がある。
「桜の樹のもとに転送されるのは『常に2人組』となります」
つまり、1人で踏み込んでも桜の樹のもとに出現する時は誰かと一緒になるし、3人以上で踏み込んでも、2人+1人の扱いになる。
そして、その桜の樹のフロアを抜けると、元のフロアの出口に繋がり、次の階層へ行ける。
「というわけで、これを利用して、2人組のペアを作って、行動するようにしましょう」
猟兵同士のペアでもいいし、新入生と組んでもいい。また、桜の樹のもとでは少し言葉を交わす時間がある。自己紹介やお話をすることでお互いの理解も深まるはずだ。
「ちなみに、学生たちの噂だと、『そこで誓った言葉は絶対のものとなるらしい』ですよ?」
そう、相手が親しい者ならば、誓いを立てるのもいいかもしれない。
「ペアを組んだら、次の階層へ向かってください」
次は蜜の匂い立つ細かい蜜蝋の霧で満たされたフロア。霧の粘度が高く、その場に長く留まると、ドロドロの蜜蝋人形と化すこと間違いなし。
「ここは何らかの対策を打って、どうにか切り抜けてください」
ちなみに、先に踏み込んだ誰かが蜜蝋塗れになっている可能性もあるが、救出はオブリビオンを倒した後で問題ないだろう。
「蜜蝋のフロアを抜ければ、次のフロアにオブリビオンがいます」
そこに巣食うオブリビオンの名は、『ヘルズ・クラウン』という。
「大量にいますし、集団で襲いかかってきますので。ペアの人と協力して、これらを撃退してください」
先輩として実力を行使するもよし、後輩を立ててサポートに回るもよし。あるいは2人して、周囲の応援やサポートに回ってもいい。最終的にオブリビオンが倒しきれれば、行動は何でもアリだ!
1点だけ注意するとすれば、これは『新歓コンパ』ということだ。
「猟兵の皆さんなら手こずる相手ではないはずなので。うまく立ちまわって、新入生の人たちに自信をつけさせてあげてくたさいね」
そうしてカティアは再び一礼をする。
「それでは、皆さんよろしくお願いします」
るちる
はじめまして、あるいはこんにちは、るちるです。
しばしのんびりしようかなぁと思っていたのですが、引いたフラグメントが結構ハマってまして。オープニングができちゃいました。
というわけでアルダワで迷宮新歓コンパしましょう。もしかしたら合コンかもしれませんが(←)
ゆるゆるっとした感じで、お気軽に参加ください。
『ペアを組む時のルールについて』
最初のフロアでペアを組む時のルールです。3パターンあります。
【1】猟兵同士で、特定の相手を指定して組む。
【2】猟兵同士で、特定の誰かではないが猟兵と組む。
【3】新入生(このシナリオ内だけのNPC)と組む。
【1】の場合は、お相手の名前かIDを、
【2】の場合は、【猟兵希望】と、
【3】の場合は、【新入生】と、
プレの中に書いておいてください。
【2】は【猟兵希望】と書いてある人の中から、るちるが感覚でマッチングします。人数が足りなかった場合、【3】と同じ扱いとします。
【2】【3】の場合は、組む相手の傾向(性別や種族など)に希望があればそれも記載ください。約束は出来ませんが、ご希望に沿うよう配慮します。特に新入生の場合は、物理/魔法の得意分野や前衛後衛など戦闘にかかわる部分もあると嬉しいです。
1章で組んだペアは2章以降も有効とします。そんな中で、るちるのマッチングがお気に召さない可能性も多々あるかと思います。
なので、2章以降は『1章のペアを継承してもいいし、しなくてもいい』ということにします。1章時点でのペアが再現できない場合、新入生が代わりにペアを組みます。
また、1章でペアを組んだからと言って相談や合わせを強要するものではありません。ペアを組むか否か、だけプレに書いていただけたら、後はるちるの方で何とかします。
マッチングの関係があるので、1章の執筆は31日夜~1日夜の間で一気に行くつもりです。2章以降も執筆のタイミングを指定する可能性がありますこと、ご了承ください。
以上です。ではでは、プレイングお待ちしております。
第1章 日常
『伝説の桜の樹の下で』
|
POW : 愛を誓う
SPD : 友情を誓う
WIZ : 永遠を誓う
|
ヘスティア・イクテュス
【猟兵希望】
※プレイングは前衛相手な感じだけどお互い後衛でも構わないわ
完全にお任せで
なんていうか、地下に桜が咲いてるって不思議な感覚…
依頼じゃなかったらお弁当持ってきてゆっくり食べたかったわね
あっ、挨拶が遅れたわね、ヘスティア・イクテュスよ。
よろしくお願いするわ
空を移動しながらの武器による中・遠距離機動戦が得意だから前衛はお願いするわよ
桜への誓いね…
何かわたし達も誓いを立ててみる?
わたしはじゃあ、他の世界も守ってみせるかしら?
自分の世界を救ってもらったから、その恩を他の世界の人にも返したい…
海賊は受けた恩は絶対返す
イクテュス家としてもね
●海賊少女と静かな自由
アルダワ魔法学園の地下に広がる迷宮。
新歓コンパという名のオブリビオン退治へ、ヘスティア・イクテュス(SkyFish団船長(自称)・f04572)は桜の樹のあるフロアに足を踏み入れる。一瞬、視界に写る全てのモノが歪み、揺らぎ……。
再び視界の中に訪れたのは、先程の同じ形の桜の樹で。しかしそれは別の空間であった。
「なんていうか、地下に桜が咲いているって不思議な感覚……」
そう言いながら触れる桜の樹は確かに息づいている生命で、まさに不思議な光景と言えるのかもしれない。
「依頼じゃなかったら、お弁当持ってきてゆっくり食べたかったわね」
「そうですね」
後ろから不意に聞こえてきた言葉にヘスティアは振り返る。そこにあるのは驚愕でも警戒でもなく、もしかしたら興味。
ヘスティアの視線の先に居たのは物静かな、人間の少年。歳はヘスティアより少し上だろうか。
「シュティル・フライハイトです」
「あっ、挨拶が遅れたわね、ヘスティア・イクチュスよ。よろしくお願いするわ」
お互いに名を名乗りあい、挨拶をかわす二人。
自己紹介という名目で話すのは、やはりお互いの戦闘スタイル。
「空を移動しながらの武器による中・遠距離機動戦が得意だから前衛はお願いするわよ」
とヘスティアが伝えれば。
「お互い、得意なレンジで戦えそうですね」
とシュティルも応える。どうやら彼は近接戦闘を得意とするタイプらしい。
「さて、と……」
次のフロアへ向かおうとして、ふとヘスティアは桜の樹を見上げる。
「桜への誓いね……何かわたし達も誓いを立ててみる?」
悪戯っぽく微笑みながら、シュティルを見るヘスティア。それから、少し悩む仕草をして。
「そうね、わたしはじゃあ、『他の世界も守ってみせる』かしら?」
そう言うヘスティアの心の内にある想い。それは『自分の世界を救ってもらったから、その恩を他の世界の人にも返したい』というもの。
「あぁ、あなたは転校生なのですね」
ヘスティアの言葉でシュティルは理解し、そしてしばし目を瞑る。新入生である彼にはヘスティアのような壮大な考えも誓いもないけれども。
「今日の『あなたの世界を守れる』よう、尽力します」
よろしくお願いします、と手を差し出すシュティルにヘスティアは。
「もうひとつ、覚えておいて」
と釘を刺す。微笑みながら。
「『海賊は受けた恩は絶対返す』、イクテュス家としても、ね」
そう言って差し出された手を握り返すヘスティア。彼女の言葉は誓いではないけれども、彼女の信念にして生き様。
「いきましょう」
「はい」
海賊少女と静かな自由は肩を並べて次のフロアへ向かう。
大成功
🔵🔵🔵
泉・星流
希望【新入生】
星流君の得意分野&希望(こんな感じで参加届を出している)
後衛 射砲撃(特に魔法)
希望ペア
前衛/後衛 物理/魔法 希望無し
出来れば年下(猟兵の妹が二人いるので、同様の感覚)
背後的希望w
人型(人間・ブラックタール以外)の女の子(星流君よりも背は低い)
行動
「…っていうか、何でここ?」
今回の迷宮新歓コンパはペアで行う…と聞いて、事前の申し込み(仮称)に戦闘スタイルやら得意な事とか…希望するペアとか聞かれたと思ったら…と、状況に困惑(連携の関係と思っていた)
やり取り
お互いの得意や戦闘スタイルなどを話し合う
「しばらくの間だけど、君の事は絶対に守るから」
兄としての矜持
『妹(弟)は絶対に守る』
●マジックナイトと無邪気な鉤爪
泉・星流(人間のマジックナイト・f11303)が桜の樹のフロアに転送されてくる。
「……っていうか、何でここ?」
フロアに辿り着いてなお首を傾げる星流。
事前の説明――今回の迷宮新歓コンパはペアで行うとか、事前のアンケートっぽいものに戦闘スタイルやら得意な事とかを書いてきたものの、この状況に困惑を隠せない。
「あー、いたぁ! ペアの人!」
桜の樹のほうから走ってくる影は、どうやら新入生のドラゴニアン(人型)少女らしい。愛らしい尻尾など全身に竜の特徴を残しながら、しかし見た目は少女のそれだ。
「アタシはクラオエ・キントリヒ。10歳だよ!」
「泉・星流だよ。11歳」
お互いの名を告げて、自己紹介。そのままクラオエの調子に星流が合わせる形で会話が弾む。
「ん? あのアンケート? アタシもよくわかんない! 上級生の人が何か調べてるんじゃない?」
「連携の話じゃなかったんだ……」
戦闘スタイルとかあったから、そう思ってた星流は思わずそう零す。
「戦闘スタイル? ってなに?」
と首を傾げるクラオエに星流が説明すると。
「うーん、魔法とか苦手なんだー……どっちかっていうと、この鉤爪で引っ掻く方が得意かな?」
と言うクラオエの手には竜の特徴として残る鉤爪がある。ということで、魔法を得意とし、後衛から魔法や射撃で戦うスタイルの星流とは戦闘の連携において相性は問題ないかもしれない。
「まぁ、アタシあんまり戦うの得意じゃないし!」
おっと。話を聞くとどうやら『オールウェイズ、直感で動くタイプ』っぽい、この子。
さておき、星流とクラオエのペアが出来たわけで、次のフロアへ向かうべく、桜の樹の横を通り過ぎようとして、星流は足を止める。思い出すのはグリモア猟兵から聞いた『桜の樹の下でする誓い』のこと。
星流がクラオエに向き直る。
「しばらくの間だけど、君の事は絶対に守るから」
それは星流の兄としての矜持。妹を持つ彼としては、クラオエは年齢的にもこの場限りの妹といった感覚なのかもしれない。
「頼りにしてます!」
クラオエの返事に頷きを返して。二人は次のフロアへと向かう。
大成功
🔵🔵🔵
甲斐・ツカサ
【マリア・アリス】と手を繋いで足を踏み入れる
マリアはアルダワでの本格的な冒険初めてだし、ある意味新入生みたいなもんだよね!
はぐれないようにしっかり手を握っていこう!
桜、オレは冒険の中で何回か見た事あるけど、マリアはどうだっけ?
そういえば、この樹の下で約束したら、絶対破られないんだってね
それじゃあ、約束!
マリアの住んでる世界は平和になったけど、これからもずっと一緒に冒険しようね!
(この誓いが愛か友情か、永遠を誓うものか、判定能力値はお任せします)
そうだ、歓迎会終わったらもっとたくさん桜が咲いてる所に行こうか!
マリア・アリス
【甲斐・ツカサ】と手を繋いで足を踏み入れる
はじめてのアルダワだから今回はツカサにエスコートお願いするわね!え、手を繋ぐの?…(顔赤くしながら手を繋ぎ)
この花は桜って言うのね。ツカサ、やっぱり物知りだわ。今度他の所でも桜のある場所教えてちょうだいね!
約束…
今度こそずっと一緒に冒険しましょう!大人になっても!
●プレヒティヒ・ヴェスト・ヴィント
迷宮の入り口にて。二人並んで立つ影は共に華麗なる西風号に乗る冒険者たち。甲斐・ツカサ(宵空翔ける冒険家・f04788)とマリア・アリス(歩き出したアリス・f04782)である。
「今回はツカサにエスコートをお願いするわね!」
マリアはアルダワ魔法学園には縁がなかったようで、経験のあるツカサにエスコートをお願いするのは至極当然の流れ……なのですが。
「えっ?! 手を繋ぐの?」
ツカサから差し出された手に思わず動揺するマリア。嬉しいような恥ずかしいような? しかし同じフロアに転送されるためにはこれは必須事項なわけでして。
「……ん」
赤面した顔を直視されないように逸らしつつ手を繋ぐマリア。
「よし、行こうか!」
ツカサの声に合わせて。幼馴染にして相棒である二人は、桜の樹のフロアへと足を踏み入れた。
転送された先の桜の樹の下にて。無事同じフロアに辿り着いた二人はほっとひと息つきながら、言葉を交わす。
「マリアはアルダワでの本格的な冒険初めてだし、ある意味新入生みたいなもんだよね!」
とツカサの言葉にマリアは同意をせざるを得ない状況だ。というわけで。
「はぐれないようにしっかり手を握っていこう!」
と実は面倒見のいいツカサはのたまう次第でして。
「そ、そうね……」
経験者がそう言うのだ、それを否定する経験はマリアには無く。しばし火照った自分の顔を戦うことを余儀なくされるマリアであった。
そんなマリアが視線も少し逸らし気味で歩いていたところ。
「桜、オレは冒険の中で何回か見た事あるけど、マリアはどうだっけ?」
と横からツカサが尋ねてくる。足を止めて、二人して見上げる。そこに広がるのは、薄い桃色の花弁を咲き誇らせる樹木。
「……この花は桜って言うのね」
言葉としては理解していても、目の前の花を『桜』とマリアが認識したのは『今』なのかもしれない。
「ツカサ、やっぱり物知りだわ」
そう言って笑みを浮かべつつ、ツカサに向き直るマリアはいつものマリアに戻っていた。その様子に思わず笑みを浮かべるツカサはこう続ける。
「そういえば、この樹の下で約束したら、絶対破られないんだってね」
「約束……」
ツカサの言葉を聞いてマリアの脳裏によぎる思い出。それは一時あった幼馴染との別離。そして、再びの邂逅。そこからの冒険。
約束という言葉がそれらを思い出させたのならば。マリアの口から零れ出る言葉はもう決まっている。
「今度こそずっと一緒に冒険しましょう! 大人になっても!」
マリアがツカサに告げる。
「それじゃあ、約束!」
ツカサもまたマリアに向き合って。二人はもう一度、約束の言葉を重ねる。
「マリアの住んでいる世界は平和になったけど、これからもずっと一緒に冒険しようね!」
「ええ!」
そして、二人は歩き出す。次のフロア……あるいは次の冒険の舞台へ。
「今度他の所でも桜のある場所教えてちょうだいね!」
「歓迎会終わったらもっとたくさん桜が咲いている所に行こうか!」
新たな約束を歩みに重ねながら。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ノエル・キャロル
【新入生】とペア希望
同じ年齢くらいの元気いっぱいの男の子がいいですが違っても大丈夫です
「ノエルです。はじめまして……きゃっ!?」
ぺこりとお辞儀をしたら重心が狂って前のめりに一回転しちゃいます
ペアの子に起こしてもらってしゅっぱーつ
実は二本足で立てないからずりずりと這うように、私を違和感なく見えているペアの子には足が遅くてどんくさいと思われちゃうかも
「ごめんね、私……」
一番に付きたいから焦ってる彼は口の悪い事もいうけれど、多分手を引いたり背負ってくれたりと根っこの優しさも見せてくれるかも
私の誓いは、にんげ…お姫様になりたい
彼の誓いを教えてもらってお友達(友情)の事を誓い合いたいな
※アドリブ歓迎です
●憧れ願う少女と力強き手
ノエル・キャロル(いつかお姫様になりたいの・f04794)が桜の樹のフロアに転送された時、ちょうど横に新入生もまた転送されてきた。
「ハント・シュテルケ。ハントでいいぞ」
身長はノエルが見上げるくらい。粗雑というかやんちゃというか、そんな人間の少年。
「ノエルです。はじめまして……きゃっ!?」
ハントの調子に合わせようとして、勢いよくお辞儀をしたノエルは重心が支えきれず、勢い余って一回転。
「どういうバランス感覚してんの……」
と呆れながらもハントは手を差し出して。ノエルを立たせる。改めて自己紹介をかわし、お互いの年齢(ハントは12歳、ノエルは11歳)もわかったところで。
「それじゃ、いくかー!」
「うん、しゅっぱーつ」
声を掛け合って二人は出発する。
「うんしょ、うんしょ」
声を掛けながら歩くノエル。その速度はお世辞にも早いとは言えず。
「こんなに足が遅い人、はじめてみた」
「ごめんね、私……」
項垂れるノエル。実のところ、ブラックタールである彼女の今の姿は人型への擬態にすぎず、また精密な変身ができない。上手く二足歩行ができず、ずりずり這って移動している。見た目は世界の加護で歩いているように見えているけども。
「あーもう、どんくさいな!」
「わっ、ご、ごめ……」
その歩行速度に耐え切れなくなったのか、ハントが彼女の手を掴む。その勢いに反射的に謝ろうとしたノエルだが、しかしハントはそのまま彼女を背負う。
「とりあえず次のフロアまで行くまでだし、これ貸しだかんな!」
ノエルの返事を待たずに、たったったったっと走り出すハント。
そして二人は桜の樹の横を通り過ぎようとする。伝説の桜の樹。背負われながらノエルはその樹を見上げ。
「私は……にんげ……お姫様になりたい」
突き動かされるように呟くノエル。その想いは彼女が今、人型に擬態している理由でもあり、そして猟兵として冒険を続けている原動力でもある、ノエルの原点。
「お姫様かー。今は全然そんな風にみえねーけど」
ハントの言葉は単なる感想だ。決して人の願いを笑うような、そんな性格ではない。ゆえに彼もお返しと語る。
「オレは一番になるんだ」
「何の?」
「……とにかく一番だ!」
細かいことは考えたくない性格らしい。今度はノエルが吹き出す。
「ほら、いくぞ。まずはこの迷宮を一番にクリアするんだ!」
「私もお姫様になる」
会話になっていないような、しかし誓いを言い合って。ノエルを背負ったままハントが駆け出す。
次のフロアまでもう少し。
大成功
🔵🔵🔵
高柳・零
SPD 【3】希望
相方はケットシー(性別問わず)の方希望です。それ以外の種族だと、手を繋ぐのが大変なので…。
伝説の桜の木…聞いた事があります。
確か幼馴染に告白すると心が折れるような罵倒を浴びせられるとか、ゴールキーパーという存在に守られていて目当ての女の子に告白出来ないとか…。
「では、行きましょう。くれぐれも手を離さないように」
指示通り手を繋いで入ります。
「最初は上手くいかなかったり失敗したりしますが、そうやって出来る事は増えて行きます」
「自分の最初の冒険もここだったんですが…酷いものでした。色々失敗して」
「だから大丈夫です。立派な冒険者になってくださいね。約束ですよ」
アドリブ歓迎です。
●パラディンと素直な大山猫
「伝説の桜の木……聞いた事があります」
そういって大きな桜の樹を見上げるのは高柳・零(テレビウムのパラディン・f03921)。桜の樹は人間種族にとっても見上げるほど大きいので、テレビウムの彼にとっては空を眺めているくらいの勢いかも知れない。
「確か……幼馴染に告白すると心が折れるような罵倒を浴びせられるとか、ゴールキーパーという存在に守られていて目当ての女の子に告白できないとか……」
どこのときめきを綴るメモリアルなのか。たぶん零の生まれ故郷の電子の海あたりでの噂に違いない、きっと。
「そ、そんなに怖いものなんですか、これ?」
しかし零の言葉にビクつく黒猫のケットシーがいた。名前をルクス・シュリヒトという。零より年下、10歳の女の子である。零の言葉を鵜呑みにしている辺り、純真というか素直なのかもしれない。
「これも噂ですし。きっと大丈夫でしょう」
と零は誤魔化して手を差し出す。このフロアに転送されてきた時と同じように手を繋ぎ、歩き出す。テレビウムとケットシー、サイズ感はばっちりだ。
迷宮に入る前。
(他の種族の方だと、手を繋ぐのが大変ですね……)
とか思いながら、さてどうしたものか的な表情を画面に出していた零。そこへ通りがったのがルクスだったのだ。これ幸いと、ルクスに了承を得て。
「では、行きましょう。くれぐれも手を離さないように」
と手を繋いで一緒に入ってきたわけなのです。
桜の樹の横を通り抜けて次のフロアへ向かおうとする二人の会話は、次第と零の経験談に。
「……酷いものでした。色々失敗して」
「そうなんですか……」
それは零の猟兵活動最初期、アルダワでの冒険の話。しかし、それがあるからこそ。
「最初は上手くいかなかったり失敗したりしますが、そうやって出来る事は増えて行きます」
零のこの言葉が説得力を持つし、活きる。その力強さにルクスはこくり頷く。
「だから大丈夫です。立派な冒険者になってくださいね」
「はい! 頑張ります!」
ルクスの返事に満足そうな微笑みを浮かべた零。二人は和気あいあいと次のフロアへ向かう。
大成功
🔵🔵🔵
第2章 冒険
『蜜蝋の霧立ち込めるドロドロ迷宮』
|
POW : ドロドロの蜜蝋なんて気合いで押しきる!
SPD : 蜜蝋で固まる前にスピード攻略!
WIZ : 甘~い香りの蜜蝋対策バッチリで攻略!
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴🔴
|
●蜜蝋のフロアへようこそ
桜の樹のフロアでペアを組んだ猟兵と生徒たちは次のフロアへ足を踏み入れる。
このフロアは、単純明快。特にトラップなどもなく、ただ単に『蜜蝋の霧が立ち込めている』だけ、ともいえる。ただし、普通に歩いていては蜜蝋が固まる方が早い。
何らかの対策を打つ必要があるのは、既にグリモア猟兵から伝えられたとおりだ。
ペアの相方と協力して、このフロアを乗り越えろ!
●特別ルール
1章で新入生とペアを組んだ人は、この章でもペアを組むかどうかを指定できます。姓名どちらでもいいので【】で記載ください。
ペアの相手の記載ない場合は、フロアに入る時にはぐれた、という扱いになり、『たまたまそこにいた新入生』と行動します。この新入生はるちるが勝手にキャラメイクしますのであしからず。
新入生の行動は基本的に猟兵の指示に従います。この章に限り、持ち込んだアイテムは二人分ある、としても可です。
ノエル・キャロル
アドリブ歓迎です
【ハント】君と引き続き参加
「うわぁ、すごいねぇ……」
視界の悪さに驚きながらも進もうとするハント君を呼び留めて
「そのまま行ったら固まっちゃう。さっきは助けてもらったから、今度は私が助けるよ……!」
まかせてっと胸を張って、今度は重心が後ろに行って倒れそうになりながらも
「お願い、ヒメ」
胸に抱いたお人形さんのガジェットを起動、UCで風の魔法のドレスを着せてあげるの
ヒメの風の魔力で私たちの周りの霧を引き飛ばすようにして、まとわりつかれないようにするわ。これなら歩きやすいし固まらないはず
「えへへ……いこっ?」
おずおず、ドキドキしながら、今度は私からハント君の手を取って先へ誘うね
●
蜜蝋の霧が立ち込めるフロアに足を踏み入れるノエル・キャロル(いつかお姫様になりたいの・f04794)とハント・シュテルケ。
「うわぁ、すごいねぇ……」
ノエルが思わず零す。二人が立っている入口辺りはまだ何とか立っていられる程度の霧の薄さだが、視界は1m先も怪しいくらい、濃密な霧が立ち込めている。
「どうにかなんだろ」
「そのまま行ったら固まっちゃう!」
策もなく前進しようとするハントの腕をぎゅっと握って押し留めるノエル。勢いに負けてずべっと転びかけるのをなんとか耐えて。
「さっきは助けてもらったから、今度は私が助けるよ……!」
ノエルはハントを見上げる。
「まかせてっ」
「お、おう……」
胸を張って自信満々に言うノエルに対してハントに不信はない。……だけれども。さっきから動作ごとに重心が前後にふらふらしているので、内心心配しているのは秘密である。
「お願い、ヒメ」
きゅっと胸に抱いたお人形に語りかけるように、ノエルはユーベルコード『機械姫礼装換装』を発動する。それはさながら、お姫様がメイクアップをするがごとく。
「ここならこのドレスが一番似合うわ!」
ヒメの身を包むのは風の魔法を纏うドレス。風の魔力がノエルの周囲に逆巻き、蜜蝋の霧を押しのけていく。蜜蝋の重さのためか、完全に除去しきれてないが、霧にまとわりつかれない程度には通り道を確保できそうだ。
「これなら歩きやすいし、固まらないはずよ」
ヒメを抱きかかえながらハントに振り向いたノエルが微笑む。
「えへへ……いこっ?」
おずおず、ドキドキ。今度はノエルから手を差し出して。ノエルがハントの手を取って。
「やるじゃねーか」
ハントからぶっきらぼうに言われた称賛に、ノエルはもう一度えへへと笑った。
成功
🔵🔵🔴
高柳・零
WIZ
引き続き【ルクス】さんと行動。
自分の服を脱いでルクスさんに渡します。
「これを頭から被って、露出部分をなるべく少なくしてください。毛に蜜蝋が付くと大変でしょうから」
脱いだのにはもう一つ理由があります。
「自分の皮膚は蜜蝋が付きにくいですから、この方が都合いいんですよ」
罠に気を付けながら、早足で進みます。が、「自分は罠発見の技能が無いので、少し離れて着いて来てください。迷子防止にこのロープの端を持っててくださいね」と全く安心出来ない事を言います。
「最初の冒険もそれで苦労したんですよね。え、全然成長してない?大丈夫です。自分には強力な防御技能と全ての耐性がありますから。どんな罠でも踏み潰します」
●
こちらは高柳・零(テレビウムのパラディン・f03921)とルクス・シュリヒトのペア。
「これを頭から被って、露出部分をなるべく少なくしてください」
零が自分の服を脱いでルクスに渡しながら伝える。
「毛に蜜蝋が付くと大変でしょうから」
「うん、それはまぁ……ぞっとします」
心なしかルクスの毛がぞわぞわと逆立っている模様。整った毛並みに粘着性の何かがくっついた時の絶望感は、もふもふ種族ならずともおわかりいただけるはずだ。
しかし当の零本人はどうするのか。そんなルクスの視線に気付いた零が朗らかに言う。
「自分の皮膚は蜜蝋が付きにくいですから、この方が都合いいんですよ」
「は、はぁ……そういうことなら」
それは見た目ゆえなのか別の根拠なのか。ともあれ、零がそういうからには大丈夫なのだろう、と信じる素直さがルクスの持ち味である。
そんなわけで零を先頭にして二人は足早に進む。二人の間をつなぐのは1本のロープ。この隊列にどういう意味があるかというと、零は罠を警戒しているのだ。しかしながら彼は。
「自分は罠発見の技能が無いので」
と全く安心できない言葉をのたまうので。二人まとめて罠にかかるよりは、とルクスは少し後ろを歩いている。ロープは迷子防止のためのもの。
「アルダワでの最初の冒険もそれで苦労したんですよね」
前から聞こえてくる零の話に耳を傾けていたルクスが思わずツッコむ。
「罠対策、しないんです?」
「え、大丈夫です」
またもや自信ありげな返答。くるっと振り向いた零はルクスに告げる。
「自分には強力な防御技能と全ての耐性がありますから。どんな罠でも踏み潰します」
「何でしょう? 零さんが知的派なのか突撃派なのか、わからなくなってきました!」
リスペクトは消えてないんだけども、零のスタイルを理解しきれない感じのルクスが叫ぶのでした。
成功
🔵🔵🔴
ヘスティア・イクテュス
【シュティル(前章ペア)】
よし、シュルティル行くわよ!
蜜蝋なら熱で溶けるはず最初に霧をミスティルテインで撃って蒸発させる
できた穴を急いで通っていくわよ!
道中、道しるべ的なビーカーを設置
ほら、帰りに回収すれば蜜蝋をいっぱいGET、何かに使えるかもしれないじゃない?
こういうので稼いでおくのが良い冒険者というものよ?(早口で作業し先に進みながら)
もう、流石に全部払えるわけじゃないわね、ちょっと肌がべたべたするわ
ウンディーネを召喚して水の癒しで体のべとべとを落として…
あっシュルティルも綺麗にする?
●
「よし、シュティル行くわよ!」
とヘスティア・イクテュス(SkyFish団船長・f04572)が声をかける相手は、もちろん先のフロアからペアで行動しているシュティル・フライハイトである。
蜜蝋が充満したフロアに対して、ヘスティアは自信ありげにビームライフル『ミスティルテイン』を構える。
「蜜蝋なら熱でとけるはず……だから、こうする!」
掛け声ととも一条のビームが蜜蝋の霧を穿ち、熱と風で大きな穴を作り出す。
「できた穴を急いで通っていくわよ!」
「なるほど。では遠慮なく」
「えっ!?」
ヘスティアが止める間もなく、移動を開始するシュティル。実は彼、ヒットアンドアウェイなナイフ使い。速度には自信があるらしい。
「ちょっと待って!?」
想定よりシュティルの思い切りが良かったので出遅れるヘスティア。こうなると足で追いつくよりは……。
「あーもう!」
妖精の羽を象ったジェットパック『ティターニア』を起動して、霧に出来た穴に突撃するヘスティア。高速移動の風圧もあり、霧を押しのけるように進む。
そんなわけで競争するように、霧の中を突破する二人。
「いやー、あぶないあぶない。もう少しで固まってしまいそうでした」
「当たり前でしょ!」
ははは、と笑うシュティルにヘスティアがツッコミを入れる。そりゃタイミングも合わせずに突っ込まれたらさもありなんというものだ。
「ちょっと肌がべたべたするわ」
とヘスティアは自分の体を確認する。風圧で押しのけていてもやはりまとわりつく蜜蝋はあったようで。
「ウンディーネ! 癒しなさい!」
と水の妖精型ドローンを呼び出して、水による癒しと同時に蜜蝋を洗い流していく。
「あっ、シュティルも綺麗にする?」
「出来れば……お願いしていいですか?」
次のフロアへ向かう前に、つかの間のオアシス(?)で蜜蝋を洗い流す二人。
「ところで、さっき置いていたビーカー、あれ何です?」
シュティルがヘスティアに尋ねる。霧の中、シュティルはヘスティアがビーカーのようなものを設置しているのを見たのだ。
「道しるべ的に使えるかなって」
帰りもこのフロアを通るならビーカーを目印にすれば安全かもしれない、と。
「ほら、帰りに回収すれば蜜蝋をいっぱいGET! 何かに使えるかも知れないし」
とのたまうヘスティア。こういうので稼いでおくのが良い冒険者の証だと彼女は笑いながら言う。
成功
🔵🔵🔴
甲斐・ツカサ
【マリア】と手を繋いだまま、ペア継続
何だか甘い匂いがするねー、蜂蜜っぽい?
多分、この霧がカティアちゃんが言ってた蜜蝋の霧なんだろうね
でも、こんなに良い匂いだし、ひょっとしたら美味しいんじゃないかな?
固まる前に舐め取っちゃえば蜜蝋対策にもなるし、試してみよう!
自分の手についてるのと、マリアの手についてるの、ぺろりと舐めて比べてみよう
甘いかな、味は違ったりするかな、こういうのを確かめるのも楽しいよね!
でも、流石に舐めるより固まる方が早いだろうし、他の蜜蝋塗れになってる人を見かけたら、流石に慌てて走ろう!
マリアの手を引っぱるより、抱えた方が速いよね!
でも、繋いだままの手は固まっちゃうかも……
マリア・アリス
【ツカサ】と手をつないで行動
蜂蜜みたいな匂いがする不思議な場所ね。ってあんまり長くいるとペタペタしてきたわ!?早めに抜けないと!
ペタペタとくっつく蜜蝋を気にしながらも早足でツカサといっしょに移動します。蜜蝋で固まりそうな場所や固まってる人を見つけたら出力弱めたブラスターで溶かして助けます。
ってツカサ!それ舐めて良いものなの!?って私のも舐めるの!?(とは言いつつもどきどき)
そんなんじゃ固まっちゃうって…だっこ!?(そのまま無言で顔を赤くしながら体をくっつけるのでした)
●
手を繋いだまま蜜蝋のフロアに辿り着いた甲斐・ツカサ(宵空翔ける冒険家・f04788)とマリア・アリス(歩き出したアリス・f04782)。
「なんだか甘い匂いがするねー」
「蜂蜜みたいな匂いがする不思議な場所ね」
二人は目の前に漂う甘い匂いに警戒しつつも足を進める。おそらくこの霧がグリモア猟兵の言っていた蜜蝋の霧なのだろう。
「……ってペタペタしてきたわ!?」
徐々に纏わりついてくる蜜蝋にマリアが声をあげる。
「早めに抜けないと!」
これもまたグリモア猟兵が言っていたように、蜜蝋の像になってしまいかねない、とマリアは相棒に訴えかけるのだが。
「でも、こんなに良い匂いだし、ひょっとしたら美味しいんじゃないかな?」
とのたまうツカサ。そのままマリアと手を繋いでいる方を口元まで持って行き、自分の手をぺろっと舐める。
「……はい?」
と予想外の行動に固まるマリア。
「固まる前に舐め取っちゃえば蜜蝋対策にもなるし、試してみようと思って!」
チャレンジャーなツカサの言葉に我を取り戻したマリアが叫ぶ。
「ってツカサ、それ舐めて良いものなの!?」
「それも確認してる」
と言いつつ、次に舐めたのは『マリアの指についている蜜蝋』だったりする。
「私のも舐めるの!?」
思わず大声をあげるマリア。しかし抗議のように見えて、内心どきどきしているのは秘密だ。
「舐めて比べてみようと思って」
どちらが甘いとか、味は違ったりするのかとか。こういうのを確かめるのも楽しいらしく、ツカサは指先だけではなく、手の甲まで舌を伸ばす。
マリアとしては、それを咎める気もないのだが、こう落ち着かないと言うか、どう反応していいかわからないというか。結果的に二人して足が止まってしまった結果。
固まり始めてきた。
はっとしたマリアが今度こそ声をあげる。
「そんなんじゃ固まっちゃうって……」
と言葉が尻すぼみになったのは、視界入ってきた固まりかけた何かを発見したから。もはや錆びついた機械のような動きをするソレを見て、ツカサとマリアは顔を見合わせる。
「これは流石にやばい気がする!」
「だから言ってるじゃない!」
慌てるツカサに、ブラスターを取り出すマリア。出力を弱めたブラスターで助けに入ろうとしたのだが、どうも『助け切るより自分が固まる方が早そう』だ。
それを察したツカサがマリアの手を改めて握り直し、走り出す。
「一気に抜けよう!」
ツカサの言葉に反論も必要なく、二人は全力でフロアを走り抜けようとする。
その時、ツカサははっと閃いた……!
「マリアの手を引っ張るより、抱えた方が速いよね!」
と言うが早いか、器用に手を繋いだまま、マリアを抱えるツカサ。
「だっこ!?」
その早業に抵抗する間もなく、抱きかかえられたマリアは一言発した後、無言になり……。
「……」
顔を赤くしながら体をくっつけるのでした。
「あ、でも繋いだままの手は固まっちゃうかも……」
いやいや、落ち着いて。そのまま走っていったら、『一番霧に当たりやすいところ』は抱きかかえている『部分』だから。
像になる前にフロアは抜けられたが、二人がどういう状態になっていたか、そしてマリアが『どんな顔をしていたか』は想像にお任せしましょう。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
泉・星流
【クラオエ】に質問
「クラオエちゃんは『オーラ防御』とか使える?」
こんな感じ(薄い魔力で自分の身を包む程度)…と実践してみせる
その後、この状況をどうにか出来る技能や案があるか質問
「…それじゃあ、僕もあえてオーラ防御は使わない」
『BBM』を使用…魔力弾を二人の周囲で旋回させて使用、霧から身を守り、BroomSterでこのエリアの出口まで飛んでいく
(有用な技能が無くても、今の自分の力で困難を超えていく方法はあるかもしれない…という事を教えたい)
技能『範囲攻撃』『掃除』『騎乗』『運転』
クラオエに(ドラゴニアンなので)自力で飛んでいくか、箒に二人乗りするか選ばせる
後者なら…
「…んじゃ、しっかり掴ってて」
●
蜜蝋の霧のフロアの入り口。その手前で泉・星流(人間のマジックナイト・f11303)とクラオエ・キントリヒは足を止める。
「クラオエちゃんに質問。『オーラ防御』とか使える?」
「……なにそれ?」
星流の言葉に首を傾げるクラオエ。
「えーっと、こんな感じ?」
「おー!」
薄い魔力で自分の身を包む様を実演してみる星流。その様子を見て感嘆の声をあげるクラオエ。オーラ防御を霧への対抗手段としたいのが星流の目的なのだろう。
「できそう?」
「そんな細かな芸当は出来ないっ」
しかし星流の問いかけには、ふんす、と何故か自信満々に出来ない宣言をするクラオエ。というか存在すら知らないっぽいので普通に出来ないと思う。となると、だ。
「うーん……クラオエちゃん、この霧をどうにかできるアイディアある?」
「『炎の吐息』なら蜜蝋の霧くらい吹っ飛ばせるかもしれないけど……」
簡単に言うと、竜が火を吐くあんな感じになるので、クラオエ自身が動けないという欠点がある。
「……それじゃあ、僕もあえてオーラ防御は使わない」
そういって、星流は『拘束魔力弾』を発動する。ロッドを振るって魔力で自分たちの周りに魔力団を旋回させる。さながら掃除するかのごとく、霧そのものを魔力団の粘着性で絡め取る作戦だ。
「これで霧を除去しながら、行こう」
有能な技能だけが策ではない、と。今の持てる力で困難を越えていく方法だってあるかもしれない、と星流は言う。
対策は出来た。後は突破のみ。星流は自身の空飛ぶ箒を取り出しながら、クラオエに問いかける。
「クラオエちゃんはどうする?」
ドラゴニアンであるクラオエなら飛行は可能だ。その点を加味してどう行動するか、それをクラオエに委ねる星流。
「うーん、はぐれると怖いし……お願いします」
「……んじゃ、しっかり掴ってて」
空飛ぶ箒に跨る星流、その後ろにクラオエを乗せて。
「行くよ!」
星流は掛け声とともに、霧の中を突き進んだ。
成功
🔵🔵🔴
高柳・零
WIZ
【ルクス】さんと行動
「え?自分が知的…初めて言われました。ありがとうございます!」
妙な所で喜びます。
「本来、冒険は複数の人でするものですからね。普段は罠を見つけられる人と組んで行動しているんですよ。で、自分は防御、回復を担当という風に役割分担しているんですよね。そういえば、ルクスさんは何が得意ですか?」
「成る程。では、それを伸ばして行くといいですよ。足りない所は出来る仲間を探して組めばいいんです。…おっと、あんまり無駄話をしてると大変な事になりますから急ぎましょう」
アドリブ歓迎です。
●
蜜蝋の霧の中を進む高柳・零(テレビウムのパラディン・f03921)とルクス・シュリヒト。
「え? 自分が知的……初めて言われました」
「そ、そうですか?」
霧の中から返ってきた零の言葉に、ルクスは自分の第六感に自信がなくなり、首を傾げる。
「ありがとうございます!」
そこお礼を言うところなのか、とか思いつつ、ロープをくいくい引っ張るルクス。手応えが返ってくる。零の迷子防止作戦は問題なく機能している。
「本来、冒険は複数の人でするものですからね」
と先を進む零曰く。普段は罠を見つけられる人と組んで行動しているらしい。なので、先に言った罠発見はそちらに任せているのだ、と。
「で、自分は防御、回復を担当という風に役割分担しているんですよね」
「あー……なるほど。なんかわかった気がします」
その言葉に勝手に納得するルクス。『知的』と感じた部分。それは今のルクスには無い、俯瞰や戦況を見る力によるものなのかもしれない、と。防御や回復といった役割は、自分の視野だけ考えていてはいけないのだから。
「そういえば、ルクスさんは何が得意ですか?」
「あたし、ですか? 得意……といえるかどうかわからないですけど、夢は魔法とガジェットを使いこなすことです」
零の言葉にルクスは少し悩んで言葉を返す。彼女はまだ新入生。可能性も得意もまだまだこれから。それでも夢はちゃんとある。
「成る程。では、それを伸ばして行くといいですよ」
零がルクスを振り返る。仮にもし、ひとりでできないことがあったとしても。
「足りない所は出来る仲間を探して組めばいいんです」
と零は言う。それが仲間という存在。この迷宮に封じられた災魔の脅威を凌ぐ術の大切なひとつ。
「ですね。がんばります!」
こくり、とルクスが頷く様に、零も笑顔を零す。
そうこうしている内に、フロアの端、出口にあたる部分に辿り着く二人。
「この先に災魔がいます。急ぎましょう」
急いで蜜蝋を体から落として。身嗜みと装備を整え。
二人は次のフロアへ急ぐ、災魔――オブリビオンを倒すために。
成功
🔵🔵🔴
第3章 集団戦
『『暗黒面』ヘルズ・クラウン』
|
POW : カースヴェノム
【身体】を【影】に沈め【死角 】から【口内に含んだ毒針】を放ち、【身体の末端から進行する石化の呪い】により対象の動きを一時的に封じる。
SPD : ディスペアフレイム
【負傷した身体から流れ出る黒泥じみた炎 】が命中した対象を燃やす。放たれた【粘性の高い触れると纏わりつく黒】炎は、延焼分も含め自身が任意に消去可能。
WIZ : デスジャグリング
【毒を塗り込んだ投擲用のナイフ 】【導火線に火のついた爆弾】【催涙効果のある粉末を仕込んだ煙玉】を対象に放ち、命中した対象の攻撃力を減らす。全て命中するとユーベルコードを封じる。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴
|
●
蜜蝋の霧を抜けて、新歓コンパはいよいよ佳境に入る。
迷宮の一番奥のフロアに辿り着いた新入生と転校生(猟兵)たち。彼らが目にしたのは、そこに数多く蠢く災魔(オブリビオン)。
今はまだ、このフロアに揺蕩うだけの存在だとしても、いずれこの軍勢は迷宮を抜けて、地上へ辿り着き、侵攻してくるのは、火を見るより明らかだ。
なので。
ここが新歓コンパのクライマックスだ。皆で、ペアで協力して、ばーんと倒しちゃってください!!
●特別ルール
この章でもペアを組むことができます。2章までの相手を指定する人は姓名どちらでもいいので【】で記載ください。
ペアの相手の記載ない場合は、フロアに入る時にはぐれた、という扱いになり、『たまたまそこにいた新入生』と行動します(この章から参加した人もこの扱いになります)
新入生の行動は自分の得意な戦闘スタイルで戦おうとします。猟兵は一緒に戦ってもいいし、指導に回ってもいいです。
高柳・零
POW
【ルクス】さんと行動
さて、いよいよ災魔が相手です。ルクスさんが出来る事は?
成る程。それでは自分が前に出ますので、後方から攻撃と支援をお願いします。
「ルクスさん、敵に隙が出来たら攻撃をお願いします。誤射を恐れずに」
後ろに攻撃が行かないよう敵に接近し、盾受け、武器受けで攻撃を受けます。
敵がこちらに気を取られれば、ルクスさんに狙撃してもらいます。
誤射があっても大丈夫なように、常にオーラ防御を展開しておきます。
敵が影に潜ったらルクスさんの所まで下がり、かばうを使いつつ攻撃して来るタイミングを見切り無敵城塞。
「ルクスさんには指一本触れさせませんよ!」
攻撃は鎧砕きを2回攻撃で防御力を下げに行きます。
●
今回の新歓コンパの会場(?)となった迷宮の最奥。その奥に蠢くのは。
「さて、いよいよ災魔が相手です」
高柳・零(テレビウムのパラディン・f03921)が後ろにいるルクス・シュリヒトを振り向く。まずは作戦会議、お互いの出来ることを伝えあう。
「成る程……それでは自分が前に出ますので、後方から攻撃と支援をお願いします」
ゆっくりとフロアの入り口に近づき……零が駆け出すのと、オブリビオンの意識が零たちに向くのが同時であった。
「ルクスさん! 敵に隙が出来たら攻撃をお願いします。誤射を恐れずに!」
そう言ってオブリビオン――『『暗黒面』ヘルズ・クラウン』に接近戦を仕掛ける零。投射されたナイフをメイスで弾き飛ばし、次いで突進してきたヘルズ・クラウンをナイフごと盾で受け止める。
「いきます!」
ルクスが右腕を前に出して構える。刹那の後、発射された魔力の矢がヘルズ・クラウンを撃ち抜く。
「ばんばんいきます!」
零のアドバイス通り、誤射を恐れず連射の態勢に入るルクス。その行動は、これまでの冒険で交わした言葉が、取ってきた行動が生んだ信頼関係の成せる業。
そしてヘルズ・クラウンたちの攻撃を一手に引き受ける零は。
「自分もいきますよ」
そう言ってメイスを腹へ叩き込む。鎧すら砕くその一撃を流れるように2回繰り出し、ヘルズ・クラウンの防御そのものを削っていく零。
「シュート!」
彼女の声と同時に魔力で形成した氷柱が矢となってヘルズ・クラウンを刺し貫き。胴体に大きな穴が開いたヘルズ・クラウンが塵のようになって崩れる。
「やりましたね」
と零がルクスの方を振り返ろうとした瞬間に。
周囲のヘルズ・クラウンたちが次々とその身を影に沈めていく。
「……!」
咄嗟にルクスの方へ駆け出す零。
「えっ? えっ?」
ヘルズ・クラウンたちを見失い、動揺しているルクスの『背後』まで駆け抜け、かばうように立ち塞がる零が叫ぶ。
「ルクスさんには指一本触れさせませんよ!」
同時にユーベルコード『無敵城塞』を発動させ。
直後、ルクスの死角を狙って放たれたヘルズ・クラウンたちの毒針のことごとくを弾き返す。
「助かりました!」
「ルクスさん、攻撃の手を休めないで」
「はい!」
零の防御とルクスの攻撃の連携で、周囲のヘルズ・クラウンたちは次々と倒されていくのであった。
成功
🔵🔵🔴
ヘスティア・イクテュス
【シュティル】
敵UCが近接型には厄介ね…
ナイフより刃の長いビームセイバー今だけ貸しましょうか?
アスを召喚してシュティルへの背後からの攻撃の盾
そして、近接で戦闘するシュティルへの炎を癒すのに頑張ってもらうわ
わたしは飛びながら外周のオブリビオンをミスティルテインで片付けながら
応援かしら?
余裕があるなら飛び道具的な敵攻撃は撃ち抜かせてもらって
ほらほら、背後がお留守よ?もう少し周囲を見なさい
近接なら相手と自身の立ち位置には気を付けて
終わったら、労いの言葉とああいう敵対策に少し遠くから攻撃できる手段はもってていいかもね?とアドバイスを
まぁひとまず、初めての戦闘お疲れさま!
●
『『暗黒面』ヘルズ・クラウン』がひしめくフロアを覗き込むヘスティア・イクテュス(SkyFish団船長・f04572)とシュティル・フライハイト。既に戦闘を始めている生徒がいるらしく、その様子をつぶさに観測する。
「相手の能力が近接型には厄介ね……」
ふむ、とヘスティアが呟くのはシュティルの戦闘スタイルを既に共有しているからだ。「ビームセイバー、今だけ貸しましょうか?」
伸縮自在の刀身を持つビームセイバーなら、近接しつつ距離を保てるかもしれない、というヘスティアの案にシュティルも頷きを返し。
二人もフロアへ突入した。
「プログラム再現……! アス、お願いするわ!」
ヘスティアの『ミシカルクリーチャー:アス』が発動し、シュティルの背後にロバの形をしたプログラム生命体――アスが現れる。
「アス! シュティルの護衛よろしく!」
とはいっても、役割は背後からの攻撃に対する盾とシュティルに対する癒し。
「振り落されないでくださいよ!」
とシュティルも速度を上げるが、プログラムという性質上、『背後』から外れることはなさそうだ。
その様子に満足したヘスティアはティターニアのスイッチを入れる。妖精の羽を象った上下2対の推進器がヘスティアの意思を受けて猛る。
「周辺は任せなさい!」
そう言って空中を駆けるヘスティア。低空飛行で敵の間を駆け抜けながら、高機動戦闘用に可変させたミスティルテインのトリガーを立て続けに引いて、ヘルズ・クラウンを次々と撃ち抜いていく。
「ほらほら、頑張って!」
「地力が違いすぎるのでは!?」
ヘスティアの実力を目の当たりにして、冷静が売りのシュティルも思わず抗議するレベル。さもありなん、シュティルに向かって投げつけられたナイフなんかも『ついで』と言わんばかりにミスティルテインで撃ち落としているのだから。
「ほらほら、背後がお留守よ? もう少し周囲を見なさい」
「背後に目はありませんよ!」
ヘスティアのビームセイバーを振るいながら、素早く周囲に視線を遣るシュティル。だがそれでも敵が囲い込んでくる方が早い。
「その戦闘スタイルなら、相手と自身の立ち位置には気を付けて」
上空からヘスティアがシュティルの死角にいたヘルズ・クラウンの一団を撃破する。
お互い口の割に、良いコンビネーションである。
周辺の敵を片付けた後、ヘスティアはシュティルの元へと降りてくる。
「こういう感じの敵対策に、少し遠くから攻撃できる手段はもってていいかもね?」
ミスティルテインを見せながら、ヘスティアからシュティルへのアドバイス。
「ですねぇ……」
他にも考えるところがあるのか、多くは語れないシュティルである。
「まぁひとまず、戦闘お疲れさま!」
労いの言葉をかけながらヘスティアはもう一度フロアの中央へ視線を遣る。そこには再び、押し寄せてきたヘルズ・クラウン。
「もう少し、やりましょうか」
ヘスティアの言葉にシュティルも頷きを返し、二人は再びフロアの中へ突撃した。
大成功
🔵🔵🔵
泉・星流
ここへ来るまでお互いの事について会話
【クラオエ】への指示
・鉤爪は使わず(トドメのみ)体術・打撃主体(ディスペアフレイム対策)
・離れすぎない
・あとは好きに戦って良い
放任っぽさに、不安や反感を感じさせたら
『素直な子だから指示を出して縛るより、自由に戦わせた方が良い』
…と思った
『信用してないなら、絶対に戦わせたりしない』
戦闘
クラオエの支援重視
属性攻撃
全力魔法
範囲攻撃
スナイパー
クイックドロウ&力溜め(魔力チャージ)
援護射撃
優しさ
・・・全力でクラオエを守り支援
魔力弾を生み出し、自分の周囲に配置
クラオエや自分の死角から襲ってくる敵に即座に対応する為
一番最初に言った
「~君の事は絶対に守るから」
…は絶対守る
●
フロアに来るまでの間、お互いのことについて会話を交わしていた泉・星流(人間のマジックナイト・f11303)とクラオエ・キントリヒはフロアに足を踏み入れる前に、もう一度作戦を確認する。
「離れすぎないようにね。あとは好きに戦って良いから」
と念押しする星流にクラオエは頷き返し。そして、ちょっと不満げな顔をする。
「鉤爪使わないということは脚としっぽしかないかー」
ぶんぶんとしっぽの素振りをするクラオエ。クラウンの黒泥対策として、斬り傷を避けようとする星流の作戦に乗るならば、鉤爪は確かに避けたほうがいい。ただ、クラオエの鉤爪は『竜の特徴として残る』もの、つまり着脱可能な武器の類ではないので、必然的に手が使えなくなるのだ。
「ま、なんとかなるよね!」
前向きに考え直してしっぽを振り回しながらフロアに突入するクラオエ。
(信用してないなら、絶対に戦わせたりしないって)
内心でそう告白しつつ、星流も後に続くのであった。
「いっくよー!」
と掛け声をあげつつ、自分の翼で低空飛行からのドロップキックを放つクラオエ。それに合わせて星流が水の力が込められた魔力弾をクラオエの周囲に降らす。クラオエを援護する雨の如く降り注ぐ魔力弾をかいくぐって、彼女はしっぽを振るってクラウンを吹っ飛ばす。
(このまま、全力でクラオエを守って支援する)
ユーベルコード『拘束魔力弾』を自身の周囲に展開する星流。いざという時や死角から襲ってきた敵に対して、これで以て即座に対応する為だ。
しかし、星流の策に対してクラウンの反応が変わる。全力の範囲攻撃、巻き込まれればやられるだけなら、取る策はひとつ。
「……っ?! ちょっとー?!」
周囲のクラウンたちが一斉にナイフと爆弾と煙玉を投擲してきた様を見て、思わずクラオエの足が止まる。
「……っ!」
星流が咄嗟に拘束魔力弾を解き放つ。クラオエの周辺を旋回させて投擲物を全て絡め取るが、次々と投げ込まれるナイフらに、おのずと集中力はクラオエの周辺に注がれる。
しかし、クラウンたちの狙いはクラオエだけではない。
「うわっ?!」
「星流?! 大丈夫!?」
集中することによって生まれる『意識の死角』を縫って投擲されたナイフが星流の体をかすめていく。ナイフに毒が塗られていたようで一瞬視界が揺らぎ、膝をついた星流にクラオエが駆け寄る。
「大丈夫。一番最初に言った」
ふらつく頭を押さえながらクラオエを手で制して星流が立つ。
「『君の事は絶対に守るから』」
誓いは必ず守る、とそう言う星流。
その後、何とか態勢を立て直した二人は周辺のクラウンを倒し、一度フロアから戦略的撤退をするのであった。
苦戦
🔵🔴🔴
ノエル・キャロル
敵に囲まれて、風の魔法やハント君の剣で防ぐけど手数が足りない
私を守る為にハント君が傷ついて……ダメ!!
必至になった私は気が付くと姿が変わっていました
白い肌、金色の髪、大人(20代前半くらい)の女性らしい整った体と美しいドレス
まるで物語のお姫様のような、いつか成りたいと望んだ姿そのもので、今度は逆に倒れそうなハント君を抱き支え手をつなぎ、歌で彼を癒します
「ハントくん、ずっと守ってくれてありがとう。騎士様みたいでとってもかっこよかった。だから今度は私が支える番。遠慮せずにハントくんの一番凄いのを見せて」
今の姿なら出来る、湧き上がる尽きない魔力で彼の剣に何度でもリチャージしてあげられる!
アドリブOK
●
「だー! 数が多い!」
「ハント君! 大丈夫?!」
フロアの中で『『暗黒面』ヘルズ・クラウン』に囲まれているのは、とノエル・キャロル(いつかお姫様になりたいの・f04794)であった。
決して無策で無謀に突っ込んだわけではないのだが、二人の想定以上にヘルズ・クラウンたちの攻勢が激しかったのだ。
「んっく……手数が、足りない!」
『機械姫礼装換装』で風のドレスを着た人形のヒメを掲げるノエル。風が逆巻き、ヘルズ・クラウンたちを押し留めているが、数の暴力に風の防御が持ちそうにない。
「ノエル、伏せろ!」
ハントの声にノエルが伏せる。ノエルに手をかけようとしていたヘルズ・クラウンにハントの大剣が直撃、魔力が爆ぜ、その爆風で周囲のヘルズ・クラウンを吹き飛ばすが、それでも一掃するまでは至らない。
「ぜぇ、ぜぇ、これはヤバい……」
大技を使った上に仕留め切れなかった疲労感がハントの動きを鈍らせる。
(私を守る為にハント君が傷ついて……)
一気に防戦一方となったハントはそれでもノエルの前に立ってヘルズ・クラウンの攻撃を大剣とその身で防いでいる。だが、それも限界、ついにはハントが膝をつき、ヘルズ・クラウンのナイフが彼に迫る。
「……ダメ!」
ハントに向かってノエルが駆け、その小さな手を必死に伸ばし……その時、風が吹き荒れた。
それはまるで嵐の如く。ノエルを中心にして魔力の風が吹き狂う。それはハント以外の全てを吹き飛ばし、そして風が収まりし後にそこにいたのは……。
(あれ……?)
きっとハントからは『ちょっと身長が高くなった?』と思われる程度の違和感。それはノエルが猟兵ゆえの世界に対する緩衝だ。しかし、ノエル本人からすれば。
白い肌。金色の髪。体つきもまた20代前半の大人の女性のそれとなり、身に纏ったドレスも美しく。その全てが普段の黒いタール状ではなく、『色彩を放っている』。
(まるで……物語のお姫様のような……)
その後に続くのは、想いの余り、紡げない言葉。『いつか成りたいと望んだ姿そのもの』。
「お前……?」
不思議そうにこちらを見るハント。ふらりと倒れそうな彼を、桜の樹の下とは逆に、ノエルが手を差し出し、支える。
「ハントくん、ずっと守ってくれてありがとう」
お礼の言葉と共に、ノエルの口から零れ出るのは彼を癒す歌。
「騎士様みたいでとってもかっこよかった……だから今度は私が支える番」
すっと手を伸ばし、その白い指先で触れるのはハントの大剣。先の大技がもう一度、いや、何度でも使えれば。この戦況は必ず打破できる、とノエルは言う。この姿になってから、ずっと沸き上がってきている魔力を流用できれば、それも夢ではない、とも。
「遠慮せずにハントくんの一番凄いのを見せて」
ぐっと力を込めたノエルの言葉に……ハントは頬を掻きながら、申し訳なさそうに視線を逸らす。
「あー……悪い。これの仕組み、本当に分かってないんだ……」
「えっ」
ハントの告白に思わずノエルもびっくりする。なんていうか、『この台に何日か置いておいたらあの技もっかい使えるなー』くらいの感覚でこれまで過ごしてきたんだ、本当ごめん。
だが。
「でも、お前のその魔法があれば、大丈夫。疲れなけりゃ、倒れなけりゃ、絶対負けねぇ!」
希望の火は灯った。これならいける、とハントが大剣を構えながら立ち上がる。
「次に会う時までにこいつの使い方も勉強しておくからさ! とりあえず、ここ、抜けようぜ!」
「うん!」
ハントの言葉にノエルが頷く。そして胸の前でヒメを抱き。いまや姫となった自分の口から魔力を、癒しの歌を紡ぐ。
「いくぜ!」
ノエルの歌を背に受けて、ハントが駆ける。大剣の一閃が先ほどよりも鋭く、確実にヘルズ・クラウンを斬り裂いていく。
成功
🔵🔵🔴
高柳・零
WIZ
【ルクス】さんと行動
「ルクスさん、敵は影を渡れるので背後に気をつけてください」
自分は作戦を少し変えます。
前に出て盾受けとオーラ防御で守るのは変えませんが、今度は積極的に攻めます。
指10本をフルに使ってなるべく多くの敵を指差し、纏めてUCで片付けます。
「攻撃は最大の防御とも言いますからね。敵の数を減らします!」
キラージャグリングはナイフは盾で止め、爆弾はUCで破壊します。そして、煙玉は「ルクスさん、あの玉を狙撃してください!」ルクスさんにお任せます。
「ありがとうございます。助かりました。ルクスさんが後ろにいるので、安心して攻撃出来るんですよ」
アドリブ歓迎です。
●
依然、フロアの中で『『暗黒面』ヘルズ・クラウン』と戦い続けている高柳・零(テレビウムのパラディン・f03921)とルクス・シュリヒト。
「ルクスさん、敵は影を渡れます。背後に気をつけてください」
「はい!」
ルクスと背中合わせの状態で、ヘルズ・クラウンたちと間合いを測りながら、零が告げる。
(少し、作戦を変えましょう)
防御は最大の攻撃でもあるが、守り切れなくては意味が無い。そう判断した零は再び前に出ながら、今度は積極的に攻勢へ。オーラ防御を展開しつつ、小さな指先10本の全てを使って、ヘルズ・クラウンに狙いを付ける。
「攻撃は最大の防御とも言いますからね。敵の数を減らします!」
逆もまた真なり、と。零の『ジャッジメント・クルセイド改』が縦横無尽に迸る。
零の思惑通り、敵の数が減っていき、戦況は零とルクスに傾く。
「わー! すごいすごーい!」
「ありがとうございます。助かりました。ルクスさんが後ろにいるので、安心して攻撃出来るんですよ」
ルクスの称賛に零もまたお礼の言葉を述べ。
しかし、ヘルズ・クラウンもまたそのままやられているわけではない。4本の手にそれぞれナイフを、爆弾を、煙玉を構え、それを一斉に投擲する。
「ルクスさん、あの玉を狙撃してください!」
「わかりました! 拡散……シュート!」
ルクスの腕から風魔法の矢が散弾銃のごとく、それでいて1本1本が的確に煙玉を貫いて吹き飛ばす。
「ナイスです!」
そう言いながら零もまた『ジャッジメント・クルセイド改』で爆弾を貫いて爆破させる。ただ。
「きゃー!?」
一斉に爆発したものだから、その爆風でルクスが後ろへ飛ばされちゃったりしたけども。
「ルクスさん、大丈夫ですか!?」
残るナイフを盾で受け止めながら、零が後ろを振り返る。
「だ、だいじょうぶです。ちょっとびっくりしただけ」
ふるふるっと身震いして毛に着いた埃を振り落しつつ、ルクス本人は怪我もないようだ。
「よかった……では残りも油断せずに、いきましょう」
「はい!」
そうして、二人もまたフロアの中央へ駆けこんでいく。
そして新入生と転校生の災魔退治は程無く、無事に終わりを迎えた。
●
迷宮の奥に潜むオブリビオンは駆逐されたので、迷宮を使った新歓コンパも無事終了というわけで。
「大変だったね」
「でも面白かったね」
と新入生の誰かが呟き、それを受けて別の新入生が笑う。
新たな学生の門出に猟兵たちが差し伸べた手は、『学園の転校生』として助けや指導でもであり、『彼らと新たに紡いだ縁』でもある。
これからのアルダワ魔法学園で、その縁はきっと。
大成功
🔵🔵🔵