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温泉と山賊〜欲望を添えて〜

作者：七華

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●悩まされているグリモア猟兵
　グリモアベースの一角で１人のグリモア猟兵が頭を抱えていた。サムライエンパイアの世界にある温泉に関する事件を予知したようだ。
　温泉には湯治や観光目的で来る客が山賊に襲われて温泉から客が離れていっているという事件だ。疲労回復に万病退散、美肌で有名な温泉もある。
　地元の住民も気に入っている温泉でもあり住民のコミュニケーションの場となっている。それを山賊が邪魔をして廃れるのは許せないない、しかも山賊と言っても正体は『オブリビオン』なのだから質が悪い。
　しかし、予知したのは温泉の客を襲う山賊だけ、果たして山賊が温泉を廃れさせる意味があるのだろうか？グリモア猟兵は猟兵達に予知した内容を伝えるために動きだした。猟兵に事件を予知した事を伝えて解決する為に。

●集う猟兵
　グリモアベースでグリモア猟兵が資料を持って行き来していたり猟兵に予知した内容を説明している中で私も猟兵に予知した内容を説明している。
「集まってくれて、ありがとう。一応だが自己紹介だ、私は七星・桜華。今回の事件に関する予知した内容を説明させてもらう。」
　周りで忙しなく走っているグリモア猟兵や事件の現場に向かう前に準備をしている猟兵達の中で七星・桜華(緋色の天魔御剣流免許皆伝・f00653)が予知した事件に関する情報を地図を広げて話しだす。
「件の温泉はここ、比較的立地条件は良いけど温泉がある所までは地図に書かれている通りに一本道の街道だ。しかも道幅がかなり広いから山賊は近くに潜んで温泉に向かう客を襲撃している。」
　私は一度、間をとって説明を続ける。
「私が予知したのは山賊が温泉に向かう客を襲撃するという事だけ、別の『オブリビオン』が関わっている可能性もありえる。だがまずは温泉に向かう客を襲撃する山賊を全て倒しておくれ。」
　一度、話した内容に質問が無いかを確認してから説明を続ける。
「予知で見た限りは山賊の数は30〜40人ぐらいは居るようだ。山賊を倒した後に温泉に向かう客を襲う理由を聞き出してくれれば事件解決、黒幕が居るなら黒幕も倒してしまおう。」
　ここまで私は真面目に説明していたが表情を崩して猟兵達にもしかすると、と前置きをしてから話を最後までする。
「もしかすると、事件解決の謝礼に温泉でゆっくりと骨休めができるかもしれないねぇ。事件解決した後に直ぐに別の事件より骨休めしてからの方が体調が良くなっているだろうからね」
　私が知っている温泉の効能を説明したが先ずは山賊騒動からの解決が優先だと既に温泉を満喫しようとしている猟兵達に言い聞かせる。
「温泉を楽しむ為に山賊騒動を終わらせておくれ、そのあとに温泉を楽しむなら私も行きたいから声をかけてくれると嬉しいねぇ。私は猟兵達の力を信じている、だから山賊騒動を無事に終わらせてきておくれ。準備ができた猟兵から現場に転移されるから準備が出来次第、声をかけておくれ。頼んだよ！」

第1章 集団戦 『山賊』

POW   :    山賊斬り 【近接斬撃武器】が命中した対象を切断する。 SPD   :    つぶて投げ レベル分の1秒で【石つぶて】を発射できる。 WIZ   :    下賤の笑い 【下卑た笑い声】を聞いて共感した対象全てを治療する。 👑11 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

　木々が生い茂り陽が差す中、女一人で丁寧に作られた安全な街道を進む。女は豪華な祭礼服、おそらくは巫女装束を着こなし上から羽衣を一枚纏い、街道を歩き進む。
　途中までは歩く速度も一定で風景を楽しみながら歩いていたが突然、歩く速度が早くなったと思えば遅くなり目は周りの風景を見ているが、それが何故か違和感に感じる。
　不意に立ち止まると巫女装束の袖から本を取り出し付箋が貼ってあるページを確認して袖の中に片付ける。
「最近、体が鈍ってしまってなァ。この辺に温泉があると聞いたが知らんかな？ワシの後ろから着いて来る6人組の方々や。」
女、正しくは猟兵の御狐・稲美之守(モノノ怪神)が誰も見えない後ろに声をかけると木々の間から山賊らしき6人組で出てきた。手には抜き身の刀を持っている。
「ふふっ良い良い、下賤な笑いも一興よ。理由は知らぬが検討はつく。我を打ち負かした暁には好きなようにしても良いぞ？」
　御狐はゆらりと振り向き符を取り出し薙刀へと変えて流れるかの様にユーベルコード 【巫覡載霊の舞】で横に払い衝撃波で威嚇してから踏み込む、一歩二歩と加速してあっと言う6人組の中心に、その場で薙刀の重さを使い横回転をして薙刀から衝撃波を放つ。
　一瞬の早業で6人組の命を斬り裂いた。
「ふふっ各々方、女は優しく扱うがいい。でなければ…既に事切れておるか。さてさて、温泉まではどのくらいかのう。」
　木々や茂みを斬る事無く襲撃者達を斬り伏せて、悠々と街道を進んでいく。

成功 🔵​🔵​🔴​

　温泉に向かう道、木々が生い茂り落ち着いた雰囲気のはずの場所で葛乃葉・やすな(ガチャで大爆死した妖狐)が大人数の山賊に囲まれていた。
　葛乃葉の【存在感】に何かを感じる一部の山賊。葛乃葉を囲んでいる山賊達が動き出す。
「お嬢ちゃん、この先には何も無いから帰った方が良いぞ。暗くなる前に家に帰りな。」
　葛乃葉に目線の高さを合わせてしゃがみ込みながら声をかける山賊。葛乃葉は猟兵と思われずに子供と勘違いされたようだが都合が良いと語り出す山賊達の話を聞く。
「俺も昔は娘がいてな、お嬢ちゃんに負けず劣らずの可愛い娘だったんだがなぁ…貧困や飢えにはどうしようも無かったな。」
　何人かの山賊が同意して頷きながら、葛乃葉を温泉に行かせないように説得しようと話をしていると山賊が零した一言を葛乃葉の耳は逃さなかった。
「あの人に金で雇われた山賊だが…子供を手に掛ける程、落ちぶれたくない。」
　その時、葛乃葉を囲んでいる山賊達の後ろ側が大きな声が聞こえた。
「小さな子供を囲んで貴方達は何をしているの！待ってて今すぐ助けるからね！」
　ヒーローマスクのスーパーヒロイン、アテナ・カナメ(アテナマスク)が颯爽登場するが山賊達の反応がおかしい。
「なんだ、あの服装は！小さな子供に見せていい服装じゃねえ！壁を作って、お嬢ちゃんに見えないようにしながら袋叩きだ！！」
　山賊達は葛乃葉の前に並び壁になりアテナ・カナメを葛乃葉の視線から遮る。
アテナ・カナメはそれを人質と勘違いしたのか構えたまま動かないが山賊達は襲いかかってくる。
「貴方達、卑怯よ！子供を人質だなんて！」
アテナ・カナメは山賊達の攻撃を避けながら打開策を考える。切り掛かって来た山賊達を両掌からユーベルコード 【フレイムショット】で動きを止めながら数を減らす。
　だが、山賊達もアテナも忘れている。ずっと子供扱いされてストレスが溜まっている葛乃葉を。
「おぬし等、いい加減にせんか！わしをいつまで子供扱いしておるか！！」
　葛乃葉が怒りに任せた衝撃波を山賊達に向かって撃ち込むとスパッと山賊達を斬り裂いて山賊達を仕留める。
「ふん！わしを子供扱いした罰じゃ。」
スッキリしたのか葛乃葉はアテナに声をかける。
「同じ猟兵のわしを子供扱いとは酷いぞ？」
アテナが葛乃葉に謝っている中で山賊の１人の発言を思い出す。
「あの人に金で雇われたと確かに言っておったが…黒幕は何をしたいのじゃ？中々に深い事件のようじゃのう。」
葛乃葉が温泉に向かって歩き出すとアテナも横に並んで一緒に向かう。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

　木々が生い茂る、自然豊かな街道を１人で歩くマリア・ホルガストロム(解き放たれたオラトリオ)は街道を歩きながらも複数の視線に気付きながら更に魅力的な体を使い、誘惑しながら街道を歩いて進む。
「この道を行けば温泉ですか、楽しみです♪」
視線に気づいていないフリをしながら街道を進んでいると突然、下賤な笑いを浮かべた山賊達に囲まれる。
「だ、誰ですか、貴方達！何ですか突然！」
　山賊達はニヤニヤしながらマリアを囲み距離を縮める。
「そちらがそんなにやる気なら…私にも考えがあります！」
マリアはそう言うと背中から美しい翼を全開に広げて構える。
　山賊達は驚き硬直しているのか動かずに構える事すら忘れている。マリアが動くには充分な隙だ。
　動かない山賊達を確認してマリアはユーベルコード 【鈴蘭の嵐】を使う。
　美しい鈴蘭の花が風に乗り猛烈な嵐の様に荒れ狂い山賊達を斬りつける。
　ユーベルコード 【鈴蘭の嵐】が静まると周りには山賊達が１人を残し倒れて事切れている。そんな中、辛うじて生き残った山賊が何かを言いながら倒れる。
「こんな…話は…きい…て…いない…ぞ…」
それだけを言って山賊達は絶命する。マリアは山賊の最後の言葉を考える。
「こんな話？誰かが山賊に何かの指示を出していた？」
　考えるが手ががりが無い状態でわからない事を考えてもしょうがないと切り替えて温泉に向かって進む。
「わからない事を考えるより先に進みましょう。さて温泉温泉♪」

成功 🔵​🔵​🔴​

　木々が生い茂り、陽が沈み始めで少し薄暗くなった頃に女二人が温泉までの街道を楽しく喋りながら進んでいる。
「レイと温泉〜♪温泉まで、どのくらいかな〜？」
藍色の髪に金の瞳のアルファ・ユニ(愛染のレコーディングエンジニア)と赤い髪と赤い瞳のレイ・キャスケット(一家に一台便利なレイちゃん)が温泉までの街道を楽しく喋りながら進んでいる。マニは周辺に精霊を偵察に出して万能型PCクローネで精霊と自身を繋ぎ周囲の警戒を怠らないし、念のための布石もしてある。
　そのまま街道を進んでいたがマニが不意にレイにクローネを繋いで情報を共有する。精霊達が前方にある深い茂みに山賊が隠れている事が判明した。レイがクローネで繋がったままユニに自分が先制攻撃で炙り出すことを伝える。楽しく喋っているように見せかけて高速詠唱でユーベルコード【アイスバレット】を深い茂みに連続で撃ち込む。隠れていた山賊達が茂みから飛び出してきた。
「どうして、俺たちが隠れていた事に気づいたんだ！ちっ！何人か仲間の足が凍って動けねえか…」
　凍っていない山賊達がユニとレイを囲もうと動き出すがユニがそれを防いだ。ユーベルコード【分散和音(アルペジオ)】で振動の大きい音波を囲もうと動いていた山賊の足元に撃ち動きを止める。
「今のは『ワザと』当てなかったのはわかるよね？それともわからないぐらいのお馬鹿さんなのかな？」
　マニが山賊に当たらない様に威嚇しながらユーベルコードで音波を乱雑に飛ばし、レイがアイスバレットで山賊達を動けないように凍らせていく。無事な山賊達は不利だと気づいたのか逃げ出そうとするが、既にユニが使ったユーベルコードの効果により地形を操り逃走ルートを無くしていた。
「逃げられると思ったのかな？甘いよ、女の子二人だからって甘く見たのが運の尽きじゃないだよ。能ある鷹は爪を隠すって知ってるかな？」
　ユニのユーベルコードで逃走できず、レイのユーベルコードで動きを止められる。前門の虎、後門の狼とはこの事。しかし山賊達は完全な諦めモードでは無い、二人は気づいているが知らないフリをしながら山賊達を追い詰める。
「今だ！やれっ！！」
首から下は凍っているが声を出すことができる山賊が別箇所の茂みに潜んでいる山賊に不意打ちの指示を出すが…何も起こらない。山賊達が呆然とまだ隠れているはず山賊が居る茂みを見ると尼僧服で全身を包んだ女が隠れていた山賊達を茂みから見た目からは考えられない怪力で引きづり出す。ただし山賊達は皆、気絶していて両手がモザイク処理が必要な程にぐちゃぐちゃに潰されていた、どうやら手を潰されたショックで気絶しているようだ。尼僧服の女、戦場外院・晶(強く握れば、彼女は笑う)はユーベルコード【きなこペロペロ、智慧もりもり(グッドナイス・キナコ)】で召喚したきなこをペロペロしながら山賊達に近づく。
「お二人は耳を塞いでこちらを見ないでいただけますか？少し山賊とお話しますので。」
ユニとレイは晶の凄みのある笑顔に負けて言われた通りにする。晶は山賊に近づいて手が凍っていない山賊から順番に手を繋ぎながら怪力で握り潰す。
ユニとレイはここで小さな失敗をした精霊達の視界がクローネで自分達に繋がっていた、ユニは慌てて接続を切る。その直前に晶の声が聞こえてしまった。
「私の本気が伝わらないのでしょうか？素直に教えてくださいますか？」
ユニとレイは震えながら山賊達の方を見ない様にしながら時間が過ぎるのを待つ。不意に肩を叩かれて過剰な反応で振り向くと笑顔の晶が山賊達の目的を聞き出したとの事だ。
「山賊達の黒幕がわかりましたよ。黒幕は所謂金貸し、この先にある温泉の主が借り入れをしていますが現状の通り山賊達を使って人払いをして借金を無理矢理に増やして温泉を潰して、売りに出し更に私腹を肥やそうと考えているようですね。金貸しは温泉の近くで山賊達から毎日、人払いの確認をしているようです。このまま向かい金貸しとは話をつけて温泉でゆっくりしましょうか。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

第2章 ボス戦 『悪徳商人』

POW   :    先生、お願いします！ 【オブリビオンの浪人の先生】が現れ、協力してくれる。それは、自身からレベルの二乗m半径の範囲を移動できる。 SPD   :    短筒での発砲 【短筒】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。 WIZ   :    か、金ならいくらでもやる！ 【懐】から【黄金の最中】を放ち、【魅了】により対象の動きを一時的に封じる。 👑11 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

　夜になり温泉の近くの木々が生い茂り、深い闇に包まれた林で一人でソワソワしながら何かを待つ存在がいた。
「まだか！まだなのか！！高い金で雇って今まで使ってやったのに今日になって報告が無いではないか！！…温泉の主に気づかれたか？…いや耄碌した爺と婆が馬鹿正直に私が融資の話をすれば泣きながら感謝して借金をするぐらいの馬鹿共だ、何処から話が漏れて…誰が気づいた？」
　暗闇の中で悪徳商人はブツブツと独り言を言いながら悪態をつき山賊達からの報告を待ち続ける。
「万が一でも『先生』を呼べば大丈夫だ、私は更に儲けるのだ。あの温泉を借金の担保に奪い取って、買いたい奴に高く売りつけて…そうだ、また山賊共を使って繰り返しせば…」
　血走って欲望で濁った目で温泉を睨みつけて下衆の笑みを浮かべる。
「私は終わらない、まだまだ儲けるのだ！こんな小さな事で失敗などしない！国だ！最後には私が国を支配するのだ！私の私だけが儲かる、最高の国を作るのだからな！ハッーハッハッハッ！！」








　街道を進んでいた猟兵のアテナ・カナメ(アテナマスク)と葛乃葉・やすな(子ども扱いされる事に定評がある妖狐)が街道の途中の無人の休憩所で休んでいる。
「やすな、早く悪徳商人を懲らしめに行かないと！休憩はもういいでしょ！」
　だが、やすなはやんわりとカナメの急かす言葉を流してゆっくりと休憩する。
「…今は焦る時ではないのじゃ、もう少し休むのが吉じゃよ。」
やすなに言われて渋々だが休憩するカナメ。だが休憩すると気が急いて冷静な判断がつかなくなるかもしれない状態だったと気づいた。精神状態を落ち着かせて休憩していると温泉とは逆側、つまり自分達が歩いて来た街道から誰かが歩いて来た。
「おや？私より先に居て暗い中で休憩していると言う事は温泉の山賊騒動の解決に動いた猟兵でしょうか？あぁ、警戒しないでください私も同じ目的の猟兵です。私も少し休憩して貴方達と一緒に温泉に行きませんか？」
　休憩所で休んでいた二人の猟兵に一人だが猟兵が合流した。ついでとばかりに三人は山賊達が漏らした情報を照らし合わせて黒幕が居る事を確信する。
　三人が休憩所で黒幕の事に関してあーでも無いこーでも無いと話し合いをしていると不意に声をかけられた。
「山賊達を雇っていたのは悪徳商人の金貸しのようですよ。」
　声に反応して構える三人の猟兵だが、声をかけた尼僧服の猟兵は慌てずに落ち着かせて三人に自身も猟兵で黒幕の悪徳商人の金貸しについて山賊から聞き出した話をする。
「………と、知っている話はこのぐらいですね。そろそろ時間の筈ですので私は先に悪徳商人が山賊達からの報告を待っている場所に向かいます、皆様はどうしますか？」
　全員が休憩所から立ち上がって自己紹介しながら悪徳商人が山賊達から報告を受ける待ち合わせ場所に向かう。
「私は戦場外院・晶(強く握れば、彼女は笑う)と申します。」
晶の自己紹介から始まりカナメ、やすなと自己紹介する。
「私はマリア・ホルガストロムです、名乗るのが遅くなりましたね。」
　悪徳商人が待っている林に近づくにつれ言葉数が少なくなる。緊張では無く悪徳商人に対する怒りを爆発させぬ様に静かに怒りを燃やす。
　そして林の中の拓けた場所で悪徳商人がイライラしているのか悪態をつきながら八つ当たりするかのように地面を蹴りつけていた。そこに猟兵達が飛び出した。
「悪徳商人！貴方の悪行もここまでよ！！」
飛び出した猟兵の中からカナメが啖呵を切る。
「貴方の悪行を止めて私達が懲らしめてあげる！！」
　悪徳商人は部が悪いと逃げ出そうとするが周辺に花弁が舞っている事に気づく。
「貴方はやり過ぎました。いや、商人としてやってはいけない事をやりました。逃げられるとは思わない様に。」
　マリアのユーベルコード【鈴蘭の嵐】で周囲を囲み悪徳商人が逃げられない様にした。
　「くっ！私は終わらない！こんな所で終わってたまるか！！先生、お願いします！」
　悪徳商人はユーベルコードで浪人の先生を呼び出した。
「先生！彼奴等を殺ってください！」
猟兵達は悪徳商人が浪人を呼び出すとアイコンタクトで示し合わせたかの様に動き出す。
　浪人に向かったのはカナメとやすなの二人だ。カナメは拳に炎を纏わせて浪人に向かう。カナメの後ろから、やすながユーベルコード【フォックスファイア】で浪人の動ける範囲を固定しながらカナメが近づきやすいように援護する。
「成敗するのじゃー！燃えるのじゃー！」
　やすなが【フォックスファイア】の狐火を合体させて浪人に打ち込む。が浪人は態勢を崩しながらも避けるが避けた先には構えて拳を打ち込む準備ができたカナメが居た。
「悪党は許さない！私のバーニングパンチを喰らいなさい！！」
カナメの怒りのバーニングパンチが浪人に直撃する。浪人は吹っ飛び、頭から地面に激突して動かなくなる。
あとは悪徳商人だけだ、そして悪徳商人は既に詰んでいた。
「………禁！…貴方はもう逃走は叶いません、貴方はもう術を使うことも叶いません。生き残るには私を殺すしかありませんが貴方にできますか？」
晶のユーベルコード【禁術・絶対接戦】によりユーベルコードを使わずに殴り合う事を強制されるが悪徳商人の戦闘技術では晶に当てる事も叶わず一方的に晶にボコボコにされる。
　悪徳商人は叶わない事を悟り、懐から金を取り出して晶に命乞いをする。が晶の返答は絶望しか無かった。
「はっ……金？でございますか？今更の命乞いなど見苦しい…要るか、そんな物」
晶は容赦なく悪徳商人に怪力を発揮して悪徳商人が動かなくなるまで殴り蹴る。
　動かなくなった悪徳商人にマリアが周囲を囲んでいたユーベルコード【鈴蘭の嵐】を打つける事で完全に仕留める。
「こんな小悪党には勿体ないですが、さよなら。」
　猟兵達の働きにより悪徳商人を倒すことができた。温泉を経営する老夫婦に、もう温泉経営を安心してできることを教えてあげよう。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

第3章 日常 『温泉で一休み』

POW   :    疲労回復の湯に入る SPD   :    万病退散の湯に入る WIZ   :    美肌美容の湯に入る 👑5 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

　温泉に着いた猟兵達は温泉を営む老夫婦に悪徳商人の事を伝えると猟兵達に大いに感謝して自由に温泉を楽しんでくださいと言って各温泉の効能と場所が書いてある地図で説明して道案内に温泉内を散策するための浴衣や手ぬぐいと色々な用意をして温泉を満喫してもらおうと湯上がりには簡単な食事も用意して、猟兵達を持て成しては感謝の気持ちを込めて不便無く温泉を楽しんでもらう為に老夫婦の知恵を絞って様々な温泉の楽しみ方を猟兵に伝える。
「皆様方、ありがとうございます。ワシらから温泉を奪おうとした方を懲らしめただけではなく、借用書が無効になる様にまで…何もできませんがワシらのできる事で精一杯の持て成しをさせていただきます。本当にありがとうございます。」
　猟兵達は当然の事をしたまでと老夫婦に言いながらも様々な温泉を楽しませてもらおうと其々が思い思いの温泉の脱衣所に向かう。
　さあ、色々な温泉を巡って制覇してもいいし、一つの温泉を長く楽しんでもいい。簡単な食事を楽しみながら足湯につかって寛いでもいい。老夫婦の感謝を無下にせずに寛がせてもらおう。






●美肌美容の湯
　温泉に浸かりながら『きなこ』をこぼさないようにペロペロする猟兵が一人、戦場外院・晶(強く握れば、彼女は笑う)は先程までの戦が脳裏に浮かぶ。目論見通りに勝つことができた。
「血で血を洗う死闘も良いですが、一方的に倒してしまうのも面白い。」
　霞む湯気を見て思うのは、人の儚さ。
　……哀れにも執着していた金を投げてまで命乞いをした悪徳商人と私にどれほどの違いがあると言うのでしょう。
共に欲に狂った者同士……
違いがあるとするならば…私は命より戦を惜しみましょう。決して、この衝動を投げたりはしません。
　湯に浸かりながら思考の海にも浸っていると不意に声がかけられる。
「この度は本当にありがとうございますじゃ。貴女様方が居てくれなければ私達の温泉を奪われていました。本当にありがとうございますじゃ。ところで何かお悩みですか？私達は長い間、お客様方を見てきました。聞くだけならできますじゃ、人形に独り言を言っていると思って話してください。」
　晶は少し悩んだが温泉を経営しているお婆さんに先程、脳裏に浮かんだ事を話した。
「はぁ、欲に命に戦ですか…私のような年寄りに語れる事は少ない話ですじゃ。ですがの…『欲に負けて命を捨てる戦』よりは『欲を出しながら命を守る戦』の方が良いと思うのですじゃ。年寄りの戯言ですじゃ、ですが私達は貴女様方に救われた。これは間違いないですじゃ。」
　お婆さんは晶に悩みに言ったことが伝わっていると信じて、美肌美容の湯に浸かっている猟兵の元に向かう。
　髪を結い上げて温泉に浸かりながら時々、自分の肌を触ってはニマニマしている猟兵の一人、葛乃葉・やすな(子ども扱いされる事に定評のある妖狐)は温泉の湯の効果に満足しながら、この事件の依頼を受けて解決できた事に満足していた。そこに先程まで晶と喋っていた温泉を経営しているお婆さんがやってきた。
「いかがですか、私達の温泉の湯の具合は満足していただけていますか？」
　穏やかな声でやすなに感想を聞けばやすなは満足気に語る。
「わしを満足される温泉を救えて良かったのじゃ！女将！…でいいのかのう？今から温泉から上がるのじゃ、わしが身だしなみを整えている間に筆と墨に紙を用意してはくないじゃろうか？何、悪いようにはせんよ。では頼むのじゃ。」
　やすなに言われて筆と墨に紙を揃えに向かう、お婆さんの背中を見ていたやすなはニコリと笑みを浮かべる。
「こんなに良い温泉を営む老夫婦には、わし特製の健康長寿の護符を渡したい。肩入れしすぎかもしれんが、わしが気に入った温泉じゃ文句など言わせぬのじゃ！」
　やすなは身だしなみを整えてから女将のお婆さんがいる場所に女将が用意した筆に墨を付け紙に梵字を書き記し墨が乾くと封をして表側には大きく『健康長寿』と書き、裏側には陰陽道で使われる陰陽図を記す。やすなが護符を作り終わると食欲を刺激する良い香りがしてきた。
「どうぞ、食事を用意させていただきました。ワシらができるのは温泉や食事などを楽しんでもらうだけ、それ以外は知りません。ですが知っているからこそ本気になれます。ごゆっくりしてくだされ。」
温泉を営むお爺さんが用意したのは新鮮な野菜を豊富に使った数々の料理、肉や魚は少ないが一口食べると理解するのは新鮮な野菜で彩られた料理達が肉や魚と同じぐらいに味を主張してくる。当然、味も抜群。やすなは箸が止まらずパクパク食べる。そして思った事を口にする。
「…美味い、二人の優しさが染み込んだ料理じゃ。これは再び来たくなるのじゃ。」

●疲労回復の湯
　先程までの戦闘の疲れを癒すためにゆっくりと温泉に浸かり蕩けているアテナ・カナメ(アテナマスク)温泉を堪能しながら日々の疲れを癒していると眠気が来たが気にせずに温泉に浸かる。どのくらい温泉に浸かっていたのか起きると浴衣を着て、部屋に移動していて食事が用意されていた。
「あれ、私は一体いつの間に移動したのかしら？」
カナメが不思議に思いながら食事が用意された食卓を見ると書き置きがあった。
「本日は、本当にありがとうございました。日々の生活でお疲れなのでしょう、失礼かと思いましたが温泉で眠っていたので着替えをしてから部屋まで送らせていただきました。お目覚めしたら、ゆっくりと食事をどうぞ。食事は精進料理を用意しました、日々の疲れが少しでも休まれば幸いです。」
　綺麗に整った字で書かれた書き置きを読んでから、用意されていた食事に手を伸ばす。
「今日もまた一つ平和になって良かったわ…そうでしょ宛那…」

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

最終結果：成功 完成日:2019年03月21日