雪深い山村には、こんな言い伝えがある。
灯夜祭の日、小さな雪のほこら――かまくらに炎灯せば、馳せた願いが叶うという。
そのかわり、その日の夜は、村に灯る火を絶やしては決してならない。
かわるがわる、さまざまな火をともし、朝を迎えるべし。
とはいえ、炎灯る小さなかまくらの数は、数え切れぬほど。
雪室で暖を取り、甘く温かな汁や飲物片手に見張っていれば、途絶えはしないだろう。
だがもしも、全ての炎が消えてしまえば、その時は――。
「旅の御方ですか? ちょうど今、この村では灯夜祭をやっているんですよ」
「小さなかまくらを作って、その中に炎を灯せば、願いが叶うっていわれてるんです」
「白銀の夜、沢山の小さな雪のほこらに炎灯る光景は、ものすごく幻想的なんだよ!」
「ちょっとこわい謂われもあるけれど……綺麗なことには違いないね」
「おっきなかまくらもあってね、中はとってもあったかいんだ!」
「大きなかまくらの中で、ふるまわれる甘い餡子汁をいただきつつあたたまったり、火鉢で餅なども焼けますので、思いのほか寒くないんですよ」
「かまくらの火もいっぱいで綺麗だし、雪遊びもとっても楽しみ!」
そう村人達が次々と声を掛けるのは、ふらりとこの地を通りかかったふたりの旅人。
祭りで浮かれているということもあるのだろうが、村人達がやたら饒舌なのは、ふたりの旅人の装いがこの世界では珍しかったからというのもあるかもしれない。
他所の人にも、自分達の自慢の祭りを見て貰いたいって、村人達は思っているから。
そう――旅人のひとりは、土蜘蛛の女王『国見・眞由璃』。
もうひとりは、妖狐七星将『廉貞』。
そして、この日もそろそろ、夜を迎える刻。
それに、祭りの喧騒に紛れられるのならば好都合だと。
ふたりは今宵、この地に一夜の宿を求めるようだ。
幻想的な雪のほこらの炎が数多揺らめく、灯夜祭がおこなわれる雪深いこの山村に。
●白銀世界の灯夜祭
「先の戦――帝都櫻大戰の際に『きゃんぴーくん』様たる御人が、強力な共闘者を多数異世界に送り込んでくださったことは、皆様の記憶にも新しいかと思います。私達の在るアヤカシエンパイアも、猟兵の皆様とその共闘者の助太刀によって危機を脱しました」
その節は、赴いてくださった猟兵の皆様にも感謝しております、と。
冷泉・辰乃丞(青の鎮魂歌・f42891)は丁寧に頭を下げた後、今回の案件を語る。
「ですが、共闘者である彼らは戦争の後もそれぞれ参戦した世界に留まっており……きゃんぴーくん様自身も今はどこかへ姿を消してしまった為、世界移動能力を頼ることもできません」
つまりは、辰乃丞が普段在るアヤカシエンパイアの世界にも、戦争の際の共闘者――土蜘蛛の女王『国見・眞由璃』と妖狐七星将『廉貞』が取り残されているというわけだ。
「眞由璃殿と廉貞殿は互いに手を組み、越前国……皆様にわかりやすい地名でいえば、敦賀市という地域を目指し、「死の大地」を渡る旅を始めているようです」
そして、その目的は――ディアボロスランサーに類する『界渡りの宝物』。
シルバーレインと同じく地球型世界のひとつであるアヤカシエンパイアにならば、ディアボロスランサーと同じような存在が必ず存在する筈、というわけだ。
「共闘していただいておいて何ですが……国見・眞由璃殿は、銀の雨降る世界を脅かしうる強大なオブリビオン。そんな「土蜘蛛の女王」であるという彼女をアヤカシエンパイアに残しておけば、この地に跋扈する妖どもを支配下に組み入れ、アヤカシエンパイアの方でより大きな作戦に出始めることも考えられます。そのような未来を阻止する意味でも、先の戦いの借りを綺麗に返しておく意味でも、ここは彼女にも助力しておくべきだと」
それから辰乃丞は、端的に今回の依頼内容を改めて猟兵達に告げる。
「死の大地を旅する眞由璃殿と廉貞殿に追いつき、旅の手助けをしていただきたく」
まずは、ふたりに合流する必要があるのだが。
「旅の途中である御二人はこの日、雪深い山間の村で一夜の宿を求めるようです。丁度、この村では『灯夜祭』という祭りがおこなわれていて、人々で賑わいをみせております。私が皆様をこの村にお送りいたしますので、村人に不審に思われぬよう祭りを楽しみつつ、眞由璃殿と廉貞殿に合流してください。幸い祭り中ですので、他所者が村に多数やってきても不自然はなく、むしろ歓迎されるかと」
そして、無事にふたりと合流を果たせば。
夜明けと共に平安結界の外へ出立し、死の大地を渡る旅の再開となる。
「勿論死の大地には無数の妖が溢れ返っておりますので、妖どもを蹴散らしながら進むことになります。そして行く手に立ち塞がる、より強大な妖の大将の出現の予知もありますが……大将との交戦はどうやら避けられそうにありません。ですので、眞由璃殿と廉貞殿と協力し合い、大将を討って突破していただきたいと」
大将が現れれば、取り巻きの配下達は眞由璃と廉貞が相手取ってくれるだろう。
なので、猟兵の手で妖の大将を討ち取って欲しい。
そして辰乃丞の言うように、敦賀市相当地域に眞由璃と廉貞が到達すれば、『界渡りの宝物』と邂逅し、シルバーレインに帰還することができるというので。
今回はその旅の道中、彼らの手助けをして欲しいというわけだ。
そこまで説明を終えた後、改めて皆を見回してから。
「灯夜祭は、村人が自慢に思うのも頷けるほど、美しくも幻想的な祭りのようです。白銀に揺らめく数多の雪室の炎、さぞ見事なものでしょうね。大きなかまくらで暖を取ったり、雪遊びに興じるのもよろしいかと。成人されている方には、鍋の如き器具で日本酒を温めたものも振舞われるようですし、酒が飲めぬ皆様にも身体があたたまる麦湯なども提供されるようですし、皆様の世界のものを持ち込んでも良いかと」
相変わらずスンとした表情ではあるものの、辰乃丞はどこかそわりと続ける。
「それに、甘く煮た餡の汁……皆様の世界では、汁粉や善哉という料理に似たもののようですが、それらも振舞われるとのこと。かまくらの中には火鉢もありますので、餅なども焼けるようです」
……雪室の中で口にする温かな甘味、私も味わってみたいものです、なんて。
そう言いつつも、辰乃丞は水龍のグリモアを掌に喚んで、猟兵の皆を導く。
灯夜祭で賑わう、アヤカシエンパイアの雪深い夜の山村へと。
志稲愛海
志稲愛海です。
よろしくお願いいたします!
※ご連絡※ 受付開始日等はシナリオタグやMSページで連絡します。
各章詳細を記載した断章を受付開始前に各々掲載予定です。
今回の内容は以下です。
第1章:眠らずの灯(日常)
第2章:ウツツカサネ(集団戦)
第3章:魂喰の蓮華姫(ボス戦)
日常章はPOW/SPD/WIZは気にせずOKです。
どの章からでも、気になった章のみでも勿論歓迎です。
ありそうなもの、できそうな事は大抵OKです、お好きな様に!
第1章、灯夜祭が催されている雪深い村で過ごすひとときです。
時間帯は、夜です。
山の高い位置にある村なので、雪が降っていて十分に積もっています。
内容はOP通り、詳細は断章に記載いたします。
眞由璃と廉貞とは自然と合流できますので、雪の祭りを存分に楽しんでください!
村人達に不自然に思われぬためにも、自由に楽しんでいただければと!
第2章、第3章は、立ちふさがる妖の大軍との戦闘です。
第2章は心情系っぽい戦闘もできる雰囲気で、第3章は恐らく純戦寄りかと。
詳細は断章に記載いたします。
公序良俗に反する事、他人への迷惑行為、20歳以下の方の飲酒喫煙は厳禁です。
締切等はMS個別ページやTwitterでお知らせします。
●お願い等
同行者がいる場合は【相手の名前(呼称推奨)と、fからはじまるID】又は【グループ名】のご記入をお忘れなくお願いします。
グループ参加の人数制限はありません、お一人様~何人ででもどうぞ!
ですが、ご指定の同行者が参加していない場合は返金となる可能性もあります。
ご参加お待ちしております!
第1章 日常
『眠らずの灯』
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POW : 灯をともす
SPD : 灯をともす
WIZ : 灯をともす
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雪深い山村と聞けば、人も少ない鄙びた集落のように思うだろうけれど。
この村は、そんな印象を払拭するほど活気があり、人の姿も思いのほか多い。
それもそのはず、此処は都への道中、必ず越えねばならない山の途中にあり、ひっきりなしに通りかかる旅人達が一夜を求めるには最適の場所で。
宿場が軒を連ね、春夏秋冬移ろう景色が見事だと評判のこの村は、季節の祭りも盛んだ。
特に、雪が降り積もる冬――沢山の小さなかまくらに炎を灯す『灯夜祭』の時期は、ふもとの村や町から見物人がやってくるほど。
冬の寒さも厳しい時期であるにかかわらず……いや、寒い冬だからこそ、山の道中にあるこの村の宿場は大変重宝されているのである。
だから、余所者はこの村の人にとっては有難い客として歓迎されていて。
可愛い雪だるまがいくつも並ぶ広場へと足を向ければ駆け寄ってくる、村の子供たち。
「炎をともす、ちいさなかまくらの作り方、教えてあげるね」
「この村の広場に、いっぱいミニかまくらが並ぶんだよ!」
「まずは、雪を集めてこの器にぎゅっと固めつつ詰めて……ひっくり返して雪を器から出して、上に雪をかけながらまあるくするの」
「かまくらのカタチができたらね、へらで中をくり抜いて、ろうそくをたてて火をつければ完成だよ!」
「願いをこめながら炎をともせば、想いがかなうんだって!」
「キラキラお星さまとね、雪の上にいっぱいともる火がね、すごく綺麗なの!」
村の子供達も余所者に慣れている様子で、そう火を灯す小さなかまくらの作り方を教えてくれたりだとか。
「村の人がね、おっきなかまくらをいくつもいっぱい作ってるから、空いているかまくらは自由に使っていいんだよ」
「ちょっと大変だけど、自分達で好きに作ってもいいよ。ぼくも、雪だるまをもっといっぱい作るんだー」
「あったかくて甘い餡の汁も、ふるまわれてるよ! 大人のひとはお酒も飲めるみたい」
「かまくらの中で、火鉢でおもちとか焼けるよ。ほかのものを焼いてみてもいいかも!」
「さむいけど、綺麗な雪に甘い「あまずら」をかけて食べるのもおいしいんだ」
他にも、祭りでできることを親切に色々と説明してくれて。
でも楽しそうながらも、ふと皆で顔を見合わせれば……最後にこうも、教えてくれる。
「かまくらの願いの火はすごくたくさんだから、全部消えることって、多分ないんだけど……」
「朝まで、かまくらの火を絶やしちゃいけないって決まりがあるんだ」
「村人がかわるがわる、絶やさないよう火をつけていくから、旅人さんたちは心配しないでいいんだけど」
「もしも、朝を迎えるまでに、かまくらの火が全部消えちゃったら――」
「冬なのに牡丹の花が咲き乱れて、うっとり見惚れている間に、おそろしい妖の姫にみんな魂を喰われわれちゃうんだって!」
それはただの作り話か、それとも真実であるかは、わからないけれど。
かまくらの火は村人が夜通し交代で絶えぬよう見張っているようであるし、事件が起こるという予知もまだこの村ではないため、気にしなくても大丈夫だが。
宿場ではなく大きなかまくら内で念のため火の番をしながら夜を明かしても、それはそれで良いのではないか。
現に子供達も、村に伝わるこわいお話、程度にしか思ってはいないようで。
「よーし、雪合戦しよ!」
「僕は雪だるまを、もっといっぱい作るんだー」
一通り余所者の皆に説明した後、元気に遊び始める。
そんな姿を見送りながら視線をふと巡らせれば――宿場のひとつに入っていくのは、眞由璃と廉貞。
彼らも予知通り、今宵はこの村で一夜の宿を取るようで。
出発までは、ふたりのことはそっとしておいても良いだろう。
だから、再び眞由璃と廉貞が旅を再開する夜明けまでは、各々自由時間ということだ。
小さなかまくらに火を灯して願いを馳せるもよし、大きなかまくらや雪だるまなどを作ってもいいし、童心に返って雪合戦やそり遊びなどの雪遊びも楽しいだろうし。
大きなかまくらの中で使える火鉢も貸してくれるし、あたたかな汁粉や酒や飲み物も振舞われるというから。
かまくらの中でそれらをいただくのもいいし、持参したものを多少焼いたりあたためたりもできるであるし。
雪見酒と洒落込んでみたり、白銀世界の夜に数多の炎灯る幻想的な風景や満天の星月夜を眺めるのもまた、乙であろう。
とはいえ、寒い冬の夜。
ある程度の防寒はしておいたほうが凍えず楽しめそうであるし。
夜明けには出発するから、祭りを存分に満喫しつつも、夜更かしはほどほどに。
フリル・インレアン
ふわぁ、灯夜祭ですって、お祭りですよ、アヒルさん。
ふえ?明日は早いから羽目を外すなって、そういえばそうでした。
寝坊したら置いていくって、その時は起こしてくださいよ。
ところでアヒルさん、どうして帽子の上から降りて来ないんですか?
外は寒いから温まっているって、……なんだか頭が温かいというより熱くなってきているような?
まさか、アヒルさん帽子の上で火なんて使ってないですよね?
火は使ってないから大丈夫って、じゃあこの帽子の上から伝わる熱は何ですか?
ふえ?お汁粉を食べてるって、こぼれたらどうするんですか!
羽目を外してるの、アヒルさんじゃないですか!!
見上げる空は白く、舞い降る雪とは反対に吐く息が天へとのぼっていく。
麓はまだ雪など積もっているどころか、降ってさえもいなかったのに。
山を登るにつれ、そして村に着くころにはすっかり周囲も冬山の景色へと変わっていた。
とはいえ、フリル・インレアン(
大きな帽子の物語はまだ終わらない・f19557)たち猟兵が、そんな冬の雪山を登る必要などはなく。
「ふわぁ、灯夜祭ですって、お祭りですよ、アヒルさん」
導かれた先、つぶらな瞳に飛び込んできたのは、雪の夜に揺れる小さな雪洞の燈火たち。
そう、転送された村で今宵行なわれるのは、雪と炎の祭り『灯夜祭』。
雪山の村にしては賑やかな様子を見れば、それなりに知れ渡っている祭りのようで。
都への通り道でもあるため、偶然立ち寄った旅人の姿もある。
そんな楽し気な雰囲気に、わくわくそわりとそっと周囲を見回すフリルが。
アヒルさんに言われて、此処へと赴いた目的を思い出す。
「ふえ? 明日は早いから羽目を外すなって、そういえばそうでした」
この村で一夜の宿を求めるという眞由璃と廉貞と合流し、夜明けとともに、彼らの帰還のための旅に同道するという任務である。
とはいえ、出発は朝。
「寝坊したら置いていくって、その時は起こしてくださいよ」
寝坊してアヒルさんに置いて行かれない程度に、冬の祭りを楽しむのも良いだろう。
ということで、アヒルさんと早速祭りを堪能――しようとしたフリルだが。
「ところでアヒルさん、どうして帽子の上から降りて来ないんですか?」
一向に大きな帽子から降りてくる気配のないアヒルさん。
心なしか、頭の上でぷるぷる凍えている気もしなくはないが。
「外は寒いから温まっているって、……なんだか頭が温かいというより熱くなってきているような?」
吐く息が白いほど寒いはずなのに、何故か温かく、いや熱くなっている気さえも……?
瞬間、フリルはハッとする。
「まさか、アヒルさん帽子の上で火なんて使ってないですよね?」
いくら帽子が大きいとはいえ、その上でまさかの焚火……!?
けれどそれをアヒルさんは否定する。
「火は使ってないから大丈夫って、じゃあこの帽子の上から伝わる熱は何ですか?」
確かに火は使っていない。火は、使ってはいないのだけれど。
アヒルさんから告げられた、熱の正体は。
「ふえ? お汁粉を食べてるって、こぼれたらどうするんですか!」
あつあつほっかほかの、美味しいお汁粉です!
そんないつの間にかお汁粉を貰っているアヒルさんに、フリルはこう言わずにはいられないのだった。
……羽目を外してるの、アヒルさんじゃないですか!! って。
大成功
🔵🔵🔵
龍巳・咲花
灯夜祭でござるかあ、中々趣のあるお祭りでござるなあ!
廉貞殿と眞由璃殿がしっかり元の世界へ帰れるように願掛けがてら拙者も一つかまくらを作って願いの火を灯すでござろう!
作り終わった後は大きなかまくらの中で火鉢にあたりながら、かまくら作りで冷えた手を温かい汁粉の器で暖めながらのんびりするでござる!
持参したお餅を焼いて汁粉に入れるのも良いかもしれぬでござるなあ!
余ったお餅は近場の子供達に分けてあげるのも良いでござろう
なんかこうしていると一足先に正月気分でござる
火が全て消える事はないでござるぞ!
何故ならば、小っちゃいムシュマフの首達にもこっそり番を頼んでいるでござるからな!
降り立った冬の山村を彩るのは、しんしんと降り積もる白銀の雪と。
「灯夜祭でござるかあ、中々趣のあるお祭りでござるなあ!」
くるりと巡らせた龍巳・咲花(バビロニア忍者・f37117)の瞳にも灯る、数多の炎たち。
沢山並ぶミニかまくらの中で揺らめく願いの火は、夜の風景によりいっそう映えて幻想的で。
寒いのもなんのその、楽し気に雪と戯れている人たちを見れば、咲花も早速ひとつ。
ミニかまくらを作る道具を借りて、そっと積もりたての真白な雪を掬ってみる。
「拙者も一つかまくらを作って願いの火を灯すでござろう!」
願掛けがてら――廉貞殿と眞由璃殿がしっかり元の世界へ帰れるように、と。
彼らの旅の手助けをするのは、この世界にこのまま在られたら少々厄介事が起こるかもしれないという懸念を払拭するための、猟兵としての任務でもあるのだが。
先の戦争で助太刀してくれたその借りを返したいし、銀の雨降る世界へと帰還する旅の無事を純粋に祈る、そんな気持ちも勿論あるから。
そして集めた雪をぺちぺち確りと固めて、まあるい小さなかまくらを完成させれば。
咲花は願いを込めて、雪洞に火を灯す。
それが終われば、今度は大きなかまくらへと足を向けて。
中で火鉢にあたりながら、振舞われるお汁粉を貰うことにする。
ミニかまくら作りですっかり手も体も冷えてしまったから。
でもそれを受け取れば、温かい汁粉の器からじわりと熱が伝わって。
ぬくぬくと暖まりながら、暫しのんびり。
「お餅を焼いて汁粉に入れるのも良いかもしれぬでござるなあ!」
火鉢に網を乗せ、持参した餅も焼いてみれば。
「わぁ、おもち!」
「たくさん持参しているので、一緒に食べるでござるよ」
余った餅を近場の子供達にも分けてあげながら、焼き立ての餅を出来立ての汁粉に入れて、はふはふ。
そして一緒にほこほこと味わいつつも。
「そういえば、かまくらの火が全部消えちゃったら、こわいことが起こるっていわれてるんだぁ」
「なにが起るんだろうね、こわいね」
ちょっぴり不安そうに話す子供たちに、咲花はこう告げる。
「火が全て消える事はないでござるぞ!」
(「何故ならば、小っちゃいムシュマフの首達にもこっそり番を頼んでいるでござるからな!」)
村の謂われ自体、ただの作り話かもしれないけれど。
でも楽しい祭りの夜に不安などないに越したことはないし、灯された願いの火だって消したくないから。
だから、かまくらの火の番は小っちゃいムシュマフの首達にそっと任せて。
子供達にぷくりと焼けた餅を再び分けてあげながらも、咲花はほわりと思うのだった。
……なんかこうしていると一足先に正月気分でござる、なんて。
大成功
🔵🔵🔵
夏彦・星彩
【ココ彩】
いざ、カマクラ!
ロウソクの家のように並んだ
小さなかまくら達も良いが
星彩たちの目当ては美味しいものと〜
大きなかまくらで暖を取るとしよ〜
お汁粉風の食べものは
あったかいと甘いで体もぽかぽか気分だなぁ
中に入ってる餅以外も焼けるようにと
安全にも気を付けた火鉢も借りよ〜
焼いて膨らむ餅を眺めてるのも楽しいよなぁ
…は!ココも白いからあっためたら
大きくなるのだろうか…?
星彩が焼いてみたいなと思ったのも色々試すぞぅ
ミカンは焼いたら甘さが増すと聞いて〜
あとは小さいリンゴも焼いたらより甘く?
ココの干したおイモも良い香りで楽しみだ〜
甘いが沢山で塩っぱいも気になったなら
焼き餅の色んな味も食べ比べたいぞー
ココ・ロロ
【ココ彩】
わあ!小さなかまくらたくさ~んですね
ふふ、ロウソクのお家みたいでかわいいのですよ
作るのもたのしそですが…
ココ達のお目当てはあったかおいしいの…!
甘いアンの汁というのが気になってて…
サイさんは食べたことありますか?
あたたかくてほっとするあまさですね
はっ、おもち!おもちも焼きましょー!
…?
なんだかふくらんで…
わわ、ばくはつしちゃいませんか?
…えっ、ココにそんなひみつが
ぽかぽかしあわせ~でふわもこ大きく…?
ふふー、焼いたフルーツも
ほかほかあまあまでおいし~
ココは干したおイモ~!
香りもよくって…ふふ、お腹空いちゃいますね
わあ、ココも食べ比べした~い!
あまいもしょっぱいも
お腹も心もいっぱいに
確かに、夜を迎えた冬の山はとても寒いのだけれど。
でもそれ以上に楽しくて、降り積もったばかりの雪の上に、きゅっきゅと。
ふたりはしゃぎながら仲良く足跡をつけて、村に足を踏み入れれば、そう――いざ、カマクラ!
そわりと尾を揺らす夏彦・星彩(アルベード・f38088)と一緒に、ココ・ロロ(ひだまり・f40324)も自然と尻尾をゆらゆら。
「わあ! 小さなかまくらたくさ~んですね。ふふ、ロウソクのお家みたいでかわいいのですよ」
目に飛び込んできたのは、白銀の世界に作られた小さな雪洞たちと揺らめき灯る炎。
そんな光景は幻想的で、心もわくわくと踊るのだけれど。
でも、ふたりそんな景色を眺めて楽しみつつも、顔を見合わせて。
「ロウソクの家のように並んだ、小さなかまくら達も良いが」
「作るのもたのしそですが……」
こくりと頷き合って、続ける。
「ココ達のお目当てはあったかおいしいの……!」
「星彩たちの目当ては美味しいものと〜。大きなかまくらで暖を取るとしよ〜」
かまくら作りも気にはなるのだけれど、でももっと気になるのはやっぱり、あったかおいしいもの!
ということで早速、炎灯る雪の風景の中に作られた、大きなかまくらの中へ。
灯る蝋燭みたいに雪のおうちのようなその中に入れば冷たい風も凌げて、それに不思議と、ほわりあたたかくて。
「甘いアンの汁というのが気になってて……サイさんは食べたことありますか?」
「カクリヨの汁粉も美味しいぞぅ。だがカクリヨの汁粉は、喋る餅がヤキモチ焼きだからなぁ」
「喋るおもちさん、熱くないのでしょうか……?」
そう首を傾けるココの言葉に頷きつつも、汁粉風のふるまいを受け取った星彩は早速、はむり。
あつあつの餡が絡んだ餅をいただけば、また自然と尻尾がぱたぱた。
そしてココも倣ってそっと、はふはふ口にしてみれば。
「あたたかくてほっとするあまさですね」
「お汁粉風の食べものは、あったかいと甘いで体もぽかぽか気分だなぁ」
星彩の言う通り、ほわりと甘くて、ぽかぽか幸せ気分に。
でもあったかおいしいは、これだけでは勿論ありません。
「中に入ってる餅以外も焼けるようにと、安全にも気を付けた火鉢も借りよ〜」
「はっ、おもち! おもちも焼きましょー!」
借りた火鉢に網を乗せて、その上に餅を並べてみれば。
興味津々じいと餅を見ていたココは、思わず瞳を瞬かせてしまう。
「……? なんだかふくらんで……」
だって、ぷくーっと膨らみ始めたのだから。
そんな餅をココと一緒に見つめつつ、星彩は愉快に膨れる餅の様子に瞳を細めてから。
「焼いて膨らむ餅を眺めてるのも楽しいよなぁ」
「わわ、ばくはつしちゃいませんか?」
そうお耳をぴこんっと揺らすココへと目を向ければ、ハッとして。
餅と交互に見つめつつ、こう紡ぐのだった。
「……は! ココも白いからあっためたら、大きくなるのだろうか……?」
「……えっ、ココにそんなひみつが」
ココ自身も知らなかった秘密に、気づいてしまったから……?
そしてそんな星彩の言葉に、こてんと首を傾けて。
「ぽかぽかしあわせ~でふわもこ大きく……?」
確かに、寒いところに居た時より、尻尾もふわふわふっくら……な気が、しないでもないから。
試しにふりふりと、もふもふ尻尾を揺らしてみるココ。
それから、餅だけではなくて。
「星彩が焼いてみたいなと思ったのも色々試すぞぅ」
星彩が網の上に並べていくのは、そう。
「ミカンは焼いたら甘さが増すと聞いて〜。あとは小さいリンゴも焼いたらより甘く?」
ミカンやリンゴなどの果物類!
そんないつもとは違う食べ方にそわそわ、ココもそっと口にしてみれば。
「ふふー、焼いたフルーツも、ほかほかあまあまでおいし~」
あったかおいしいを、またひとつ発見!
そして今度はココが、網の上に並べる番。
「ココは干したおイモ~!」
「ココの干したおイモも良い香りで楽しみだ〜」
「香りもよくって……ふふ、お腹空いちゃいますね」
ほくほくほこほこ、漂ってくる香りに、食欲もより刺激されちゃいます。
そんなあったかおいしいも、色々な味が楽しめるから。
「甘いが沢山で塩っぱいも気になったなら、焼き餅の色んな味も食べ比べたいぞー」
「わあ、ココも食べ比べした~い!」
再びぷくりと餅が膨れるのを、そわそわふたり並んで見つめながらも。
今度は醤油や海苔などで味変しつつ、あったかおいしいをふたりで目一杯堪能すれば、ほわほわほっこり。
あまいもしょっぱいも――お腹も心も、いっぱいに。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
白矢羽・尭暁
送り出される時におひとりで?って言われたけど
僕が迷子にでもなると思っているのかな
ひとりでも大丈夫だというのに
なるほど、そのように作るのだね
かまくらは作るのは初めてなのだ、だから教えてほしいな
と、子供たちに混ざる
どうだい? 僕のかまくらも良い感じに…あっ、崩れてしまった…固め足りない?
もっとぎゅっ、ぎゅっ! とするのだね
……こう、かな? もっと?(ぎゅっぎゅ…)
わ、上手にできた!
君たちは優秀な先生だ、ありがとう
さて灯りをともして…
願いは…いつまでも――その先は僕の心の中に
絶えず、あれたらいいね
揺らめく灯りをしばし、見つめていよう
ああ、でも風邪をひかないようにしないと
ひいたらお小言もらうだろうから
冬に雪が降ることは、平安の都でもあることなのだけれど。
こんなに積もることはあまりなくて、そっと踏みしめれば、音が鳴って足が沈む感触が、なんだか楽しい。
白矢羽・尭暁(金烏・f42890)はわくわくと真白な雪に足跡をつけていきながらも。
ふと思い出すのは、この場所へと送り出す際の従者の様子。
(「送り出される時におひとりで? って言われたけど、僕が迷子にでもなると思っているのかな」)
いつものようにスンとはしているけれど、明らかに心配しているようで。
相変わらず過保護な従者に、尭暁は小さく首を傾ける……ひとりでも大丈夫だというのに、なんて。
おそらく今一緒にいれば、寒くありませんようにだとか、足元にお気をつけてだとか、あれこれ世話を焼くのだろうなと。
そう思えば笑みも漏れるけれど、ひとりで気侭に過ごすのもまた、新鮮で楽しくて。
「なるほど、そのように作るのだね」
ミニかまくらを作っている村の子供たちに声をかけてみる。
……かまくらは作るのは初めてなのだ、だから教えてほしいな、って。
まずはこうやって雪を集めてね……なんて快く教えてくれる子供たちに混ざりながら。
そして言われた通り、集めた雪を器に入れて。
「どうだい? 僕のかまくらも良い感じに……あっ、崩れてしまった」
かぱりと型から抜くも、ほろりと崩れてしまって。
「もっとね、いっぱい雪を集めて、ぎゅーっと固めるんだよ!」
「……固め足りない? もっとぎゅっ、ぎゅっ! とするのだね……こう、かな? もっと?」
「うん、もっと、ぎゅぎゅって」
子供たちの指導を受けつつ、ぎゅっぎゅ……!
そして再び、慎重にそうっと雪を型から抜いてみれば。
「わ、上手にできた! 君たちは優秀な先生だ、ありがとう」
今度は上手にできました!
そんな尭暁の言葉に、小さな先生達もえっへん得意気で。
「はいこれ、蝋燭! 願いごとしながらつけるんだよ」
そう蝋燭を手渡されれば、教えてもらったように雪洞へと添えて。
「さて灯りをともして……」
揺れる炎を金の瞳に映しながらも、尭暁はそっと紡ぎ落とす。
「願いは……いつまでも――」
でも、言の葉にするのは、ここまで。
……その先は僕の心の中に、と。
胸に灯る願いを、白銀の夜に密かに込めながら。
揺らめく灯りをしばし見つめつつも思う――絶えず、あれたらいいね、って。
数多の願いがどうか、叶うようにと。
そんな沢山の灯火たちは美しく、いつまでも眺めていられそうなほど幻想的だ。
でも、やはりどうしても思い浮かぶのは。
「ああ、でも風邪をひかないようにしないと」
……ひいたらお小言もらうだろうから、なんて。
自分の帰りをそわそわ待っているだろう従者のこと。
いや、彼は眉間に皺を寄せるかもしれないが……そんなお小言もまた、尭暁にとっては良いものなのだけれど。
大成功
🔵🔵🔵
真宮・奏
母の響(f00434)と祖父の陽輝(f44868)と参加
今日はお母さんとお爺ちゃんとお祭りにお出かけです!!とっても楽しみにしてました!!
お爺ちゃんとお祭りに出かけられるなんて夢のようです。もこもこコートにもこもこ手袋、もこもこマフラー、お母さんとお爺ちゃんのあったかい手!!最高です!!
かまくら作りましょう!!3人で入れるおっきいもの!!意外とお母さんとお爺ちゃんもはしゃいでますね?血筋だなあ。
できたかまくらにいそいそとはいり、火の晩をしながら火鉢でお餅やきましょう!!おじいちゃんはお汁粉やぜんざいははじめてかな?とてもおいしいんだよ!!
雪の夜は寒いけど、家族3人ならあったかい。幸せ!!
真宮・響
娘の奏(f03210)と父の陽輝(f44868)と参加
家族の気遣いで今夜は奏と父上と過ごすことになった。そういえば3人で出かけることは少なかったねえ。奏のはしゃぎっぷりといったら。まあ、成人してもこういう無邪気なところはかわらない。あ、父上が嬉しそうにしてる。笑顔のまぶしさはかわってなくて安心した。
もちろん、もこもこは重装備だ。かまくら作るんだね?父上、作り方は教えるから一緒に作るかい?お互い乗り気のようだね。まあ親子3代、はしゃぐとことは全力なところは受け継がれたようだ。
大きなかまくらでお餅をやく。父上は餅もぜんざいも汁粉もはじめてだから喉につまらせないようにね。ああ、幸せだねえ。
天野・陽輝
娘の響(f00434)と孫の奏(f03210)と参加
そういえば、響と奏と3人で出かける機会はなかったね。流石配慮ができる家族だ。好意に甘えさせてもらおうか。奏のはしゃぎっぷりが可愛らしくて思わず頬がゆるむ。響も嬉しそうだ。
家族が揃えてくれた防寒服で奏に誘われるがままにかまくらを作る。ふむ、雪でつくる芸術品で中で暖をとれるとは。はりきってつくらせてもらうよ。娘と孫と一緒なら何倍も力が出るというものだ。
おお、上手くできるものだね。この七輪というものでお餅を焼くのだね?ああ、これは気をつけないとのどにつまる。汁粉もぜんざいも美味だ。ああ、娘と孫とおいしいものを食べて温まる。すごく幸せだよ。
冬の雪山にある村と聞けば、寒さも環境も厳しいような印象を受けるし。
確かに雪が降る中、刺すように吹く風は冷たく、吐く息も白い。
けれど、訪れた村は思いのほか活気に溢れていて。
寒さが少し和らぐ気がするのは、白銀の世界に灯る炎たちの彩りのためかもしれない。
それに、何より。
「そういえば3人で出かけることは少なかったねえ」
真宮・響(赫灼の炎・f00434)の言葉に、天野・陽輝(眩耀の曙光・f44868)も同じように頷いて。
「そういえば、響と奏と3人で出かける機会はなかったね」
……流石配慮ができる家族だ。好意に甘えさせてもらおうか、と。
娘の響と孫の真宮・奏(絢爛の星・f03210)と共に、積もりたての雪の上を並んで歩く。
そう、今夜は家族の気遣いで、3人で過ごすことになったのだ。
そんな陽輝が思わず頬を緩めてしまうのは。
「今日はお母さんとお爺ちゃんとお祭りにお出かけです!! とっても楽しみにしてました!!」
……お爺ちゃんとお祭りに出かけられるなんて夢のようです、なんて。
うきうきしている孫の奏のはしゃぎっぷりが可愛らしくて。
そんな姿に、奏のはしゃぎっぷりといったら、なんて響も目を向けるけれど。
(「まあ、成人してもこういう無邪気なところはかわらない」)
年齢的に大人になっても、親にとっては娘はいつまでも可愛い子供。
特に性格的にも、無邪気にはしゃぐ様子はとても奏らしい。
それに、そんな奏の様子を隣で眺めている父の姿をふと見れば。
(「あ、父上が嬉しそうにしてる」)
微笑ましげに自然と瞳を細める響。
……笑顔のまぶしさはかわってなくて安心した、と。
そしてまた響も、陽輝にとっては娘。
そんな娘の笑み宿す表情に、さらに陽輝は頬を緩ませる……響も嬉しそうだ、なんて。
とはいえ、話に聞いていたように、雪山というだけあって寒いことには違いないから。
3人の夜の存分に楽しむためにも、準備はばっちり。
(「もちろん、もこもこは重装備だ」)
そう、皆できっちり揃えた、もこもこ装備も万全。
奏もぬくぬくもこもこを纏っているから、寒くないし。
それに、もこもこ装備もだけれど。
(「もこもこコートにもこもこ手袋、もこもこマフラー、お母さんとお爺ちゃんのあったかい手!! 最高です!!」)
母と祖父の手のぬくもりが、じわりと体の芯まで温めてくれるから。
雪が降る中でも何のその、奏はふたりを手招きして。
「かまくら作りましょう!! 3人で入れるおっきいもの!!」
皆で挑戦してみるのはそう、かまくら作り! しかもおっきいサイズ!
「かまくら作るんだね?」
響も奏と共に、かまくらを作ってみることにしながらも。
揃えて渡した防寒服を纏う陽輝を見て、再び瞳を細める。
「父上、作り方は教えるから一緒に作るかい?」
「ふむ、雪でつくる芸術品で中で暖をとれるとは。はりきってつくらせてもらうよ」
……娘と孫と一緒なら何倍も力が出るというものだ、なんて。
思いのほか乗り気な、その姿に。
けれど張り切っているのは何も、そんな父だけではないから。
「お互い乗り気のようだね。まあ親子3代、はしゃぐとことは全力なところは受け継がれたようだ」
(「意外とお母さんとお爺ちゃんもはしゃいでますね? 血筋だなあ」)
響だって勿論、ふたり同様、やるとなれば意欲満々なのです。
そして3人で張り切って取り組めば、作業だってお手の物。
「おお、上手くできるものだね」
完成したかまくらは陽輝の言うように、とても立派な出来です!
そして奏は、できたかまくらに早速いそいそと入って。
「火の番をしながら火鉢でお餅やきましょう!!」
小さなかまくらに灯る願いの炎を見守りつつも、わくわく。
「この七輪というものでお餅を焼くのだね?」
「おじいちゃんはお汁粉やぜんざいははじめてかな? とてもおいしいんだよ!!」
きっと初めてだろう陽輝に教えてあげつつ、並べてぷくりと膨れはじめた餅を見つめる瞳をキラキラ。
焼けた餅を、あったかいあんこの中に入れて――皆でいざ、いただきます!
……の、その前に。
響は念のためにこう、父に言っておく。
「父上は餅もぜんざいも汁粉もはじめてだから喉につまらせないようにね」
「ああ、これは気をつけないとのどにつまる」
陽輝も、びよんと伸びる餅を見遣りつつもそう頷いて。
気を付けつつも、口に運んでみれば。
「汁粉もぜんざいも美味だ」
その味わいに、満足げにこくりと頷く。
いや、その味もとても美味しいのだけれど。
思わず笑みを宿しながら、陽輝はしみじみと紡ぐのだった。
「ああ、娘と孫とおいしいものを食べて温まる。すごく幸せだよ」
そして、それは勿論。
「雪の夜は寒いけど、家族3人ならあったかい。幸せ!!」
「ああ、幸せだねえ」
白銀の夜を照らす願いの炎のようにほわりと――淡く笑み灯す奏や響だって、同じ気持ち。
大成功
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神城・瞬
生みの母の麗奈(f44908)と参加
家族の配慮で、お母さん・・・生みのお母さんと灯夜祭を楽しむことになりました。母さん、防寒はちゃんとしましたよね。雪深いですので、僕の腕に掴まってください。
ああ、綺麗ですね。ミニかまくらに小さいろうそくを立てて広場で灯りのようにならべるんですよ。火を守ることも兼ねて、雪見酒、どうですか?僕もお酒飲めるようになったんですよ。あ、お母さんはお汁粉も興味ありますか?座れるところをみつけて、お酒とお汁粉をいただきましょう。
ええ、このかまくらの灯火も守りの火ですね。こうして母さんとゆっくり冬の星月夜を眺められる。・・・幸せですね。(麗奈の微笑みに幸せそうに笑う)
神城・麗奈
息子の瞬(f06558)と参加
家族の配慮で生みの息子の瞬と灯夜祭を楽しむことになった。本当に気遣いができる家族だ。ああ、随分寒そうだから防寒着もちゃんとしてきた。うん、えんりょなく瞬に掴まらせてもらうよ。(いそいそ)
ふむ、ちいさいかまくらというものにろうそくをともして並べて守りの火とする。火は浄化の意味もある。いい風習だ。雪見酒?いいな。成人した瞬とお酒を楽しめるなんていいね。
お酒ともらえるならお汁粉をいただいて、と。座れるなら座ってたべようか。守りの火を見守りながら瞬が子供の頃にはみれなかった冬の星月夜。ああ、瞬が隣にいてみられる綺麗な空は最高だよ。幸せ。
月の光を浴びて煌めく美しい金の髪が、白銀の世界にはよく映える。
並んで降り積もる雪の中を歩くのは、生みの母と息子。
こうやってふたりで過ごせるのも、皆の配慮があったからで……本当に気遣いができる家族だ、と。
神城・麗奈(天籟の氷華・f44908)はそう瞳を細めつつも。
息子である神城・瞬(清光の月・f06558)と共に、今宵の灯夜祭を楽しむべく、雪深い山村を訪れる。
そして瞬も、お母さん……生みのお母さんとの時間を水入らずで過ごしながらも。
「母さん、防寒はちゃんとしましたよね」
隣を歩く母を気遣い、声を掛けて。
「ああ、随分寒そうだから防寒着もちゃんとしてきた」
「雪深いですので、僕の腕に掴まってください」
「うん、えんりょなく瞬に掴まらせてもらうよ」
そう腕が差し出されば、麗奈はいそいそと、その手を伸ばして息子に掴まらせてもらう。
そんな母をエスコートするように気遣いながらも……ああ、綺麗ですね、と。
瞬が声を漏らすのは、白銀世界に灯る数多の炎を目にしたから。
それから母に、こう教えてあげながらも。
「ミニかまくらに小さいろうそくを立てて広場で灯りのようにならべるんですよ」
続けるのは、こんなお誘い。
「火を守ることも兼ねて、雪見酒、どうですか?」
……僕もお酒飲めるようになったんですよ、と。
麗奈はその言葉に、すぐにこくりと頷いて返して。
「雪見酒? いいな。成人した瞬とお酒を楽しめるなんていいね」
村人から受け取るのは、鍋であたためられたお酒と、そしてお汁粉も。
「あ、お母さんはお汁粉も興味ありますか?」
瞬もそんな母と同じように、お酒と汁粉を受け取ってから。
落ち着いて座れるところを見つければ、早速あたたかいうちに、それらをいただくことに。
それから、ほわほわほっこりとあたたまりながらも、麗奈は改めて眼前の光景を眺めてみて。
「ふむ、ちいさいかまくらというものにろうそくをともして並べて守りの火とする。火は浄化の意味もある。いい風習だ」
「ええ、このかまくらの灯火も守りの火ですね」
こうやって沢山の炎見守っているだけでも、色々と浄化されるような心地を覚えて。
それからふと、雪が舞い降ってくる天を仰げば。
(「瞬が子供の頃にはみれなかった冬の星月夜」)
麗奈は改めて噛みしめつつも、紡ぐ。
「ああ、瞬が隣にいてみられる綺麗な空は最高だよ。幸せ」
そして届いた言葉を聞きながら、瞬も母と一緒に、冬空へと視線を巡らせてみた後。
(「こうして母さんとゆっくり冬の星月夜を眺められる」)
向けられる麗奈の微笑みに、幸せそうに返す――幸せですね、と。
親子で、同じように笑って。
大成功
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八坂・詩織
白夜さん(f37728)と。
大きなかまくらに入り少しお酒も頂いて雪見酒を。
私は今年の初めにかまくらキャンプやりましたよ、それこそキャンピーくんがサクラミラージュのシベリアに連れて行ってくれて…
前から聞きたかったんですけど、白夜さんは…眞由璃さんのことはどう思ってるんですか?
私は最初の土蜘蛛戦争を知らないから…白夜さんはその戦争にも参加してたんですよね。
そうですか、複雑な感情を抱く人もいると聞くので…本当は助けたくないとか言われたらどうしようかと。
そうですね、お二人とも味方なら頼もしい方ですから…できれば今後とも戦わずに済むといいんですけど。
さあ…声かけてみます?
(かまくら、気に入ったんですね)
鳥羽・白夜
八坂(f37720)と
かまくらで、持ち込んだトマトジュースで雪見。
かまくらって初めて入ったけど案外あったかいもんなんだな。
そのキャンピーくんのおかげで今国見と廉貞が大変な目にあってるわけなんだが。
どうって…正直よく分かんねーなぁ…あの頃は来訪者のこととか何も知らなかったし、お互い必死だったとしか。
まー、俺としちゃとりあえず悪さしなきゃそれでいい、って感じかな。
(銀誓館側にも犠牲が出たし、それ思うと複雑っていうのはたしかにあるけどな…)
いやそこは帰ってもらわねーと、野放しにしとく方が怖えーよ。
…まあ、そうだな。
しかしあいつら今頃二人で何して過ごしてんだろうな。
いや、まだかまくらから出たくねえし。
雪がしんしんと積もる山に降り立てば、流石に凍えるほど厳しい寒さではあるが。
冷たい冬の風を確りと凌げる大きなかまくらに入って七輪の火に当たれば、翳した手からじわりと熱が広がって。
振舞われる酒を少しいただけば、身体の芯からほわりとあったかくなる。
そんな八坂・詩織(銀誓館学園中学理科教師・f37720)の今宵の酒のお供は、かまくらの中から望む白銀の世界。
雪見酒と洒落込みながらも、冬の夜に数多灯るミニかまくらの炎たちを眺めれば、その光景は幻想的で。
鳥羽・白夜(夜に生きる紅い三日月・f37728)もかまくらで暖を取りつつ、満更でもない様子。
「かまくらって初めて入ったけど案外あったかいもんなんだな」
雪見酒ならぬ、持参した雪見トマトジュースを口にしながら。
そしてそんな白夜の言葉に、詩織が思い出すのは、今と同じようにかまくらの中で過ごした時のこと。
「私は今年の初めにかまくらキャンプやりましたよ、それこそキャンピーくんがサクラミラージュのシベリアに連れて行ってくれて……」
シベリアでかまくらキャンプなんて、そう簡単にできることでは本来ないのだけれど。
それを容易く可能にする能力を持っているのが、キャンプフォーミュラであるキャンピーくんで。
「そのキャンピーくんのおかげで今国見と廉貞が大変な目にあってるわけなんだが」
そう口にした白夜に、詩織はふと訊いてみる。
「前から聞きたかったんですけど、白夜さんは……眞由璃さんのことはどう思ってるんですか?」
先の戦争で、このアヤカシエンパイアの危機の際、猟兵に助太刀してくれた眞由璃と廉貞。
今回の任務は、そんなふたりがシルバーレイン世界に無事に帰還できるよう手助けをすること。
そしてそのシルバーレインの世界は、能力者であった詩織や白夜が在る世界でもあって。
「私は最初の土蜘蛛戦争を知らないから……白夜さんはその戦争にも参加してたんですよね」
「どうって……正直よく分かんねーなぁ…あの頃は来訪者のこととか何も知らなかったし、お互い必死だったとしか」
能力者と土蜘蛛達が、幾度となく戦った過去には。
(「銀誓館側にも犠牲が出たし、それ思うと複雑っていうのはたしかにあるけどな……」)
思い出せば複雑になるような、色々なことがあったのだ。
そして返ってきた白夜の言葉に、こう続ける詩織だけれど。
「そうですか、複雑な感情を抱く人もいると聞くので……本当は助けたくないとか言われたらどうしようかと」
「いやそこは帰ってもらわねーと、野放しにしとく方が怖えーよ」
助ける、というよりは、土蜘蛛の女王である彼女に、妖が跋扈するこの世界に在ることの懸念事項が大きいからで。
そのことを、能力者であったふたりは、よく分かっているから。
「そうですね、お二人とも味方なら頼もしい方ですから……できれば今後とも戦わずに済むといいんですけど」
「……まあ、そうだな」
手を貸してくれた借りを返しておくということも勿論であるし、事を必要以上に荒立てなくていいならそれに越したことはないし。
もう、過去の様な悲劇は、起きて欲しくはないから。
それから白夜はふと、小さく首を傾けて。
「しかしあいつら今頃二人で何して過ごしてんだろうな」
この村の宿で一夜を過ごしているふたりが今何をしているのかと思いはするのだけれど。
きっとそれぞれ、英気を養うべく休んでいるのだろうし。
それに、何より。
「さあ……声かけてみます?」
「いや、まだかまくらから出たくねえし」
トマトジュースを口にしながらも動く気がない白夜を見て、詩織は察するのだった。
……かまくら、気に入ったんですね、って。
大成功
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真宮・律
義理の娘の星羅(f42858)と弟子の朔兎(f43270)と参加
小さい星羅と朔兎が雪遊びしたいとはしゃいでいるのでお目付け役でついてきた。この子たち、任務覚えてるか?まあ、目の前の雪景色みれば無理ないな。
防寒着もこもこの子供たちがそりすべりしたいといってきた。怪我するなよ?まあ俺もそりすべりするが。雪合戦だと?こら星羅と朔兎二人組んで雪玉投げてくるな!!降参!!
つかれたのでかまくらにはいって汁粉とぜんざいをいただく。子供たちにあわせて麦湯をいただきながら子供たちの笑顔を幸せそうにみる。ああ、幸せだなあ。
神城・星羅
義父の律(f38364)と愛しの君の朔兎(f43270)と参加
我が故郷での雪景色のお祭り!!最高です!!もこもこの防寒着で朔兎様と手を繋いでそり取りにいきます!!あ、転ばないように気をつけます、お父様!!
そりってこんなに楽しいんですね!!朔兎様が背後で支えてくれますので安心。何気におとうさまもそりで滑ってますし。全然転んでませんね?流石。
雪合戦は朔兎様とくんでおとうさまに雪玉攻撃!!だって二人じゃないと敵いませんし!!何気にカウンター厳しいですね!?
寒いです。かまくらでおしること麦湯を。あったかい。はい、故郷のこういう楽しみを守るのも大切です。朔兎様もおとうさまも幸せそう。私もです。
源・朔兎
師匠の律(f38364)と愛しの姫の星羅(f42858)と参加
俺の故郷でこんな賑やかで楽しい祭り!!楽しまない理由はない!!ばっちり防寒してダッシュで星羅とそりを取りに行く!!ごめん律さん!!今夜俺たち全力で遊ぶ!!
おお、そり意外と早く滑るなあ。星羅の背後にしっかりついて転ばないようにするぞ!!何気に律さんも滑ってるんだけど。危なげないなあ。流石。
雪合戦は星羅と二人で雪玉を律さんに投げるぞ!!だって二人じゃないと師匠に敵わないし!!師匠!!カウンター手厳しくないか?
寒い!!かまくらで汁粉と麦湯をいただく。そうだな、故郷のこういう風景を守り抜かないと。星羅も律も楽しそうでよかった。
家族全員の大所帯で過ごすことも楽しいし、いつもならばそうしていたかもしれないが。
今宵は、それぞれが水入らずで過ごすのも良いかと。
そう気遣って、別々に行動することにした真宮・律(黄昏の雷鳴・f38364)だけれど。
今宵の律の役割は、というと。
「我が故郷での雪景色のお祭り!! 最高です!!」
「俺の故郷でこんな賑やかで楽しい祭り!! 楽しまない理由はない!!」
そうはやる気持ちを抑えきれずに、ばちりもこもこ防寒着を纏ってダッシュ!
神城・星羅(黎明の希望・f42858)と源・朔兎(既望の彩光・f43270)がまず楽しむのは、そり遊びです……!
そして、ふたりで手を繋いでうきうきと駆けるその姿を見遣りながら、思わず呟きを落とす律だけれど。
「この子たち、任務覚えてるか?」
「ごめん律さん!! 今夜俺たち全力で遊ぶ!!」
でも、そう返る朔兎の言葉を聞きつつ、こうも思うから。
(「まあ、目の前の雪景色みれば無理ないな」)
だから今宵の律は、はしゃいでいる小さい星羅と朔兎のお目付け役でついてきたというわけだ。
ということで、防寒着もこもこの子供たちがそりすべりしたいといってきたから。
「怪我するなよ?」
「あ、転ばないように気をつけます、お父様!!」
「まあ俺もそりすべりするが」
はしゃぐふたりに声を掛けながら、折角だし律も滑ってみることにして。
「おお、そり意外と早く滑るなあ」
「そりってこんなに楽しいんですね!!」
背後にしっかりついて転ばないようにしてくれている朔兎がいるから、星羅も安心して全力で楽しめるし。
真新しい雪が積もった上を滑れば、スピードもスリルも抜群!
声を上げて楽しくはしゃぐ、朔兎と星羅だけれど。
ふたりは同時に、感心したように同じことを紡ぐ。
「何気におとうさまもそりで滑ってますし。全然転んでませんね? 流石」
「何気に律さんも滑ってるんだけど。危なげないなあ。流石」
危なげなどなく見事なそり滑りを披露する律に。
だから、そり遊びの次に楽しむ雪合戦では。
「朔兎様とくんでおとうさまに雪玉攻撃!!」
「星羅と二人で雪玉を律さんに投げるぞ!!」
「雪合戦だと? こら星羅と朔兎二人組んで雪玉投げてくるな!!」
「だって二人じゃないと敵いませんし!!」
「だって二人じゃないと師匠に敵わないし!!」
ふたりがかりで、律へと雪玉を投擲!
流石の彼も、降参!! と声をあげているものの。
「師匠!! カウンター手厳しくないか?」
「何気にカウンター厳しいですね!?」
ふたりで集中攻撃してもなお、さすがは師匠、激しい反撃がかえってきます!?
そんな意外とガチめの雪合戦が終われば、やはりクタクタになってしまったから。
つかれたのでと、律がふたりとともに入るのは、大きなかまくら。
いや、思い切り遊んでつかれたことも勿論なのだけれど。
「寒いです」
「寒い!!」
やはり、思わず肩を竦めてしまうほどに寒いから。
かまくらの中ではふはふといただくのは、村人が振舞ってくれている、あったかい汁粉やぜんざいや麦湯。
かまくらの中自体も風を凌げるし、それに振舞われたものを口にすれば。
身体の芯からほわりあたたまって、星羅は笑み零し紡ぐ。
「あったかい。はい、故郷のこういう楽しみを守るのも大切です」
「そうだな、故郷のこういう風景を守り抜かないと」
朔兎もそう大きくこくりと頷けば、律は改めて思うのだった。
子供たちにあわせて麦湯をいただきながら、子供たちの笑顔を幸せそうにみる――ああ、幸せだなあ、なんて。
でもそれは何も、今宵のお目付け役の律だけが思っているなんてことは当然なくて。
(「星羅も律も楽しそうでよかった」)
(「朔兎様もおとうさまも幸せそう」)
朔兎と同じことを思いながらも、ふわりと笑顔に……私もです、と。
そしてそれぞれが、お互い目一杯楽しんでいる様子に、ほこほこと3人頷き合うのだった。
大成功
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弓落・高寿
我が領地と比べて寒い、寒すぎる…こんな場所に来るとは蜘蛛の癖に「土蜘蛛」とやらは寒さに強いのか羨ましいずるい。
しかしこんな雅な雪の夜、折角の祭りであるし楽しみたいが【環境耐性】は何か風情に欠ける気がするという謎の意地に、着物を着込んで耐える…あと甘くて温かい汁粉などをいただく…さむい。あしがさむい。
どうにか暖まったら、幼少期以来に雪だるまでも拵えてみようか。
そのままだと面白くないので『お供』に似せて…こいつ意外と形が難しい。うーむ納得いかん、やり直し。もう一度。おい動くな、形が取れないだろ…ううむ、動物どころかだるまにすら見えん、やり直し…もう一回……くしゅん。さむい。汁粉一杯貰えるか?
雪深い山村であるのに、人の姿が思いのほかあるのは、今宵が祭りということもあるが。
都へと至る為の道が此処を通るしかないという理由もあるらしい。
そしてまた逆も然りで、京の都から越前国へと向かうためにも、この道を行くしかないという。
とはいえ、降り止まず積もり続ける冬の雪山は。
「我が領地と比べて寒い、寒すぎる……」
そう、とても寒すぎる。
旅人のように麓から山登りする必要はなく、転送された目の前が目的の山村であるとはいえ。
弓落・高寿(平安京異邦人・f44072)は吹き抜ける刺すような冬の夜風によりいっそう身を震わせながら、ふるりと首を振る。
「……こんな場所に来るとは蜘蛛の癖に「土蜘蛛」とやらは寒さに強いのか羨ましいずるい」
村の宿に入っていくのを見かけた土蜘蛛の女王の姿は、何だか寒さなんて気にも止めていないように見えたから。
いや、環境耐性などの技能を駆使すれば、寒さも平気になるのかもしれないが。
「しかしこんな雅な雪の夜、折角の祭りであるし楽しみたいが、何か風情に欠ける気がする」
けれど高寿は平安貴族であり、そして姫君でもあるのだから。
そのような技能に頼らず、着物を着込んで耐えているのは、雅を解する者としての謎の維持。
だって、夜だというのに、一面白銀の風景は雪灯りで仄かに明るくて。
祭りの風習で沢山作られていく小さなかまくらに灯る願いの炎たちは、幻想的で非常に美しい。
だからせめて、村人の厚意にあずかって、甘くて暖かい汁粉などをいただいて。
少しはぽかぽか、凍えていた身体も温かくはなった……ものの。
「……さむい。あしがさむい」
雪が積もっている足元は、やはりとても寒いのである。
けれど何とか、どうにか暖まれば。
周囲の雪をおもむろにかき集め始める高寿。
「幼少期以来に雪だるまでも拵えてみようか」
でも、ただころころ丸くした雪を上に乗せるような、そのままの雪だるまだと面白くないって思ったから。
「『お供』に似せて……こいつ意外と形が難しい」
ぱっと見は可愛い
貴族のお供妖精たちをモデルにしてみるも、たまに形状が安定しない妖精たちは思いのほか難易度が高くいぇ。
「うーむ納得いかん、やり直し。もう一度。おい動くな、形が取れないだろ……」
珍しい雪にわーいと妖精がはしゃぎ出せば尚、モデルどころではない。
だが何とか雪を集めて整えて、それっぽいカタチに――。
「……ううむ、動物どころかだるまにすら見えん、やり直し……」
――なかなか、できません。
でも……もう一回、と。
めげずに雪を集めてぎゅっと、今度は慎重にしっかりカタチを作る高寿であったが。
「……くしゅん。さむい」
やはり雪の山村の夜は、とても寒いから。
高寿は再び、村人にお願いを――汁粉一杯貰えるか? って。
大成功
🔵🔵🔵
レモン・セノサキ
MA☆TSU☆RI☆だー!!
(はふはふと御汁粉を堪能中)
やー、私お祭りって好きなのよね
学園祭とかもそうだけどさ、普段と違う雰囲気で活気があって……アガるじゃん?
なぁ眞由璃!
(屋台で買ったホカホカ餡団子を押し付けつつしれっと合流)
あ?
何故女王呼びじゃないのかって?
協力してサンサーラを倒した仲じゃないか、戦友☆
あ、れんちょは焼き蜜柑(特大)ね
(返事は聞かん、食え)
(だってキミ喋らすと頭痛くなるんだもん)
この世界の越前国目指してんの?
ふーん……私も着いて行こっかな、暇だし。
んじゃ、明日また合流なー!
私は折角だし、かまくらに火を灯しに行くよ☆
願いの内容は
眞由璃を含めた全てに、幸福な結末が有りますように
赴いたのは真冬の山村、寒さに震えている者もいれば。
――MA☆TSU☆RI☆だー!!
寒さもなんのその……?
いえ、はふはふとあつあつの御汁粉を早速堪能中のレモン・セノサキ(
Gun's Magus・f29870)は、雪深い山の村とは思えぬような人々の活気に改めて目を向けて。
「やー、私お祭りって好きなのよね。学園祭とかもそうだけどさ、普段と違う雰囲気で活気があって……アガるじゃん?」
……なぁ眞由璃! って。
屋台で買ったホカホカ餡団子を押し付けつつしれっと合流するのは、そう――国見・眞由璃。
暫くは宿の中にいたようだが、ふと外へと出てきた眞由璃と廉貞に、すかさず続けるレモン。
「あ? 何故女王呼びじゃないのかって? 協力してサンサーラを倒した仲じゃないか、戦友☆」
『……いただきますね』
「あ、れんちょは焼き蜜柑ね」
『汝差し出したる果実、冬の風物詩たるを知る所で有るが、焔を以て炙り食すは我も初たる試みで――』
それから、相変わらずな所謂廉貞を遮るように、彼には特大焼き蜜柑を押し付ける。
いや、このまま聞いていたら。
(「だってキミ喋らすと頭痛くなるんだもん」)
ちょっと気合入れて聞き取る必要があるし……正直、それでもきっとわからないから。
でも言葉を切ってもぐもぐ、思いのほか焼き蜜柑に尻尾をゆらりとさせている姿を見れば、作戦大成功??
改めてお汁粉であたたまりながらも、レモンはふたりへとこう切り出してみて。
「この世界の越前国目指してんの?」
『ええ。越前国……敦賀市に至れば、ディアボロスランサーに類する『界渡りの宝物』が必ず存在する筈ですから』
そして眞由璃のその言葉を聞けば、レモンはしれっとこうふたりへと告げる。
「ふーん……私も着いて行こっかな、暇だし」
今回の目的――ふたりをシルバーレイン世界へと帰す任務を遂行するために。
それは先の戦争での借りを返すためでもあり、そして妖が跋扈するこの世界に眞由璃を居座らせれば厄介なことになりかねないから。
だがふたりも、同道する戦力が多いほど旅がスムーズにいくことはわかっているから、同道することに頷いて返してきて。
レモンもそのような懸念などは一切垣間見せずに、ひらりと手を振って歩き出す。
「んじゃ、明日また合流なー! 私は折角だし、かまくらに火を灯しに行くよ☆」
何気にしっかりと、明日の約束をふたりに取り付けて。
それから口にした通り、炎揺らめくミニかまくらが数多灯る広場へと足を運べば。
真白の雪をかき集め、ぎゅっと小さな雪洞にして。
「願いの内容は――」
その中に立てた蝋燭に火を灯しながら、願いを馳せてみる。
それぞれの世界や人、様々な思いや懸念や思惑等々、色々あるかもしれないけれど。
でもレモンは純粋に、ただこう思うから。
……眞由璃を含めた全てに、幸福な結末が有りますように、と。
大成功
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第2章 集団戦
『ウツツカサネ』
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POW : 世の中は夢かうつつか
レベルm半径内を【平安結界を模した幻】で覆い、[平安結界を模した幻]に触れた敵から【生命力】を吸収する。
SPD : 幸ありぬべく
戦場内に「ルール:【平安結界の中と同じように暮らせ】」を宣言し、違反者を【生命力を奪う、中毒性のある幸せな幻覚】に閉じ込める。敵味方に公平なルールなら威力強化。
WIZ : 春の庭と思へば
レベルm半径内を幻の【貴族の屋敷や庭園】を生み出し内部を【毒霧】で包む。これは遮蔽や攻撃効果を与え、術者より知恵の低い者には破壊されない。
イラスト:日向まくら
👑11
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雪は相変わらず、しんしんと降っているけれど。
闇に覆われていた空が白み始めたかと思えば、徐々にその彩りを変化させて。
地平線から太陽が顔を出し、日の出の刻を迎えれば――夜が明ける。
小さなかまくらに灯った炎も無事に消えることなく、朝を迎えた広場にいまだ沢山揺らめいていて。
そんな数多の願いの火に見送られながら、猟兵達は山村を出発する。
昨晩合流を果たした、眞由璃と廉貞と共に。
そして雪山を歩みながらも、ふと祭りの最中、聞いた話を思い返す。
それは――もしも願いの炎が全て消えてしまえば、その時はどうなるのか、と。
興味本位で訊ねれば、村人はこう教えてくれた。
「村の謂われでは……『極楽』にいつの間にか迷い込んでしまうんだと」
「そして、二度と戻ってこられない、って話だ」
「……極楽?」
地獄ならまだしも、極楽ならば悪いものではないのでは……と。
そう思った矢先、こう続ける村人達。
「だがな、それは幻で……中毒性のある幸せな幻覚にうつつを抜かしている間に、生命力を吸われてしまうんだとか」
「あとは、美しい貴族の屋敷や庭園の春の風景を見る、とも聞いたことあるな。でもそこは気づかぬ間におかされてしまう毒霧に満ちている……って話だ」
けれど、小さなかまくらに火が灯されていれば、その幻が山村を侵すことはないと。
そう謂われているのだというが。
その話を思い返しつつも、ふと猟兵達は思う。
「…………」
では、幻を寄せ付けぬ願いの炎が灯っている村を出れば、どうなるのか。
越前国を目指し、平安結界の外――死の大地へと足を踏み入れた、その時であった。
「!」
突如、眼前に広がったのは、死の大地だといわれている結界外とは到底思えぬほど。
「……極楽?」
そこにあるはずのない、美しい屋敷や庭園の風景。
まさに、村人から聞いた話のような『極楽』であった。
そして咲き誇るのは、牡丹の花たち。
いや……牡丹の花のような妖『ウツツカサネ』であった。
貴族の庭園や屋敷を模した豪華な幻で人を誘い、命を啜る。
しかしそれは絵巻物の伝説、真偽は不明。
だが今、眞由璃や廉貞と共に旅する猟兵の前には、確かに『極楽』が広がっている。
そして中毒性のある幻で行く手を阻まんとしているのだけれど。
猟兵達は眞由璃や廉貞と協力し合い、妖の群れを祓うべく、得物を手にする。
偽りの幸せになど、浸っている場合ではないから。
●マスターより
今回の集団戦では、敵のユーベルコードの効力で幻覚をみせられます。
それは、皆様それぞれの心にある『中毒性のある幸せ』な風景です。
そんな幸せに溺れさせ、足を止めさせるような幻覚で惑わせてきますが。
それを振り払い、敵の群れを倒して先へと進んでください。
心情メインでも、戦闘メインでも、お好みでプレイングかけていただいて大丈夫です。
皆様にとっての『中毒性のある幸せ』な風景をプレイングにてご指定ください。
複数人で同じ光景を見ている、個人個人で違う風景を見ている、などもご自由に。
もしも特にない(指定のない)場合は、まるで極楽のような、美しくも豪華な屋敷や庭園の風景となります。
龍巳・咲花
(仲の良い友人達に囲まれて学校生活を送る様子を見ている。授業を受け、移動教室の合間に駄弁り、机を囲んで昼食を取り、放課後は皆でカラオケやファミレスへ。休日はおしゃれなカフェへ話題のスイーツを食べつつ恋バナに花を咲かせる)
なんて幻影を見ていた所でムシュマフの首にちょっと強めに頭を小突かれて、アイター!? となって、オートカウンターによる炎で幻影ごと敵を焼いている所で目を覚ます
くっ、なんて非道な幻覚でござるかあ!?
現実との落差に憤りを隠せないでござるー!
残ってる敵にも龍糸銕線を付けたクナイを投擲し絡ませ、一気に引っ張る事でバラバラにしていくでござる!
こんな危ない草花は除草でござるぞ!
雪深い山道を、眞由璃と廉貞、そして仲間達と共に歩いて。
平安結界の外――死の大地へと足を踏み入れた、はずであったのに。
世界がくらりと回ったかと思えば次の瞬間、龍巳・咲花(バビロニア忍者・f37117)の瞳に飛び込んできた人達の姿は、同道しているふたりや猟兵ではなく。
「次の授業何だっけ? あ、移動教室!?」
「ほら、咲花も遅れるよー。行こ?」
ありふれた、学校での風景であった。
友人達にそう声をかけられれば、慌てて頷いて、小脇に教科書を抱えながら。
移動教室の短い合間だって、きゃいきゃいと友達同士で楽しく駄弁って。
「あーおなかすいたぁ。咲花、お昼食べよ!」
「咲花のお弁当、美味しそう~!」
授業を受け、机を囲んで昼食を取り、午後の授業はちょっぴりうとうとしちゃう。
咲花が見ているのは、そう――そんな、仲の良い友人達に囲まれた学校生活の様子。
いや、それだけではない。
放課後は皆でカラオケやファミレスへ行って、また尽きることのない話で盛り上がって。
「わ、ほら咲花ここだよ、SNSでバズってた映えスイーツの店!」
休日はおしゃれなカフェへ話題のスイーツを食べに行って、映え写真もいっぱい撮ったら。
花を咲かせるのは、恋バナ。
そんな、ごく普通の少女の日常なのだけれど。
でも、これは――。
「アイター!?」
瞬間、思わず声を上げる咲花。
それと同時に、友達も、学校も、スイーツも、全てが焼かれていく。
ムシュマフの首にちょっと強めに小突かれた頭を押さえながらも目に映るのは、ムシュマフの加護――幻影ごと牡丹の花たちを焼いている、ムシュマフの首によるオートカウンターの炎。
そう、あの学校生活の光景は幻影。中毒性のある、幻なのだ。
そして目の前に広がるのは、現実という名の死の大地。
そんなあまりにもな変化に、咲花はふるりと首を振りつつも。
「くっ、なんて非道な幻覚でござるかあ!?」
……現実との落差に憤りを隠せないでござるー!
残っている牡丹の妖にも、手にしたクナイを投擲し絡ませれば。
クナイに付けた、龍脈の力が編み込まれた龍糸銕線を一気に引っ張って。
「こんな危ない草花は除草でござるぞ!」
現実を駆けながら、その妖艶な花も葉も茎も全て、バラバラに散らしていく。
大成功
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真宮・響
娘の奏(f03210)と父の陽輝(f44868)と参加
夜が明けた。祭りが終わり、眞由璃と廉貞とも合流できた。これからは猟兵の任務の時間だ。気をつけて、父上、奏。
村人から聞いていた極楽をみせる花。私たち家族に共通する「極楽」といえば・・・母上だろう。音楽一家のアタシ達にとっては、父上、母上、アタシ、奏。血縁のある家族で舞台をするのは二度と実現しないだけに「中毒性」のある幸せだろう。アタシもいつのまにかわかいころの長い髪にもどってるし。
ああ、わかってる。これは幻だ。今の家族8人でいることが本来。血縁がなくてもね。行こう、真紅の騎士団。幻をうちやぶり、先へ進もう。
父上、奏、無事かい?
真宮・奏
母の響(f00434)と祖父の陽輝(f44868)と参加
うん、十分楽しんだし、これからが大変ですね。あ、眞由璃さんと廉貞さんと合流できましたね。お二人は心配ないでしょうが、問題は私たちですね。
お母さんとお爺ちゃんと私に共通する「中毒性のある幸せ」といえば私が生まれる前になくなっておばあちゃんも含めた血縁のある4人での舞台でしょうね。お爺ちゃんが演奏し、おばあちゃんとおかあさんが歌い、私が踊る。そういえば、おかあさん、だいぶおんならしい格好してるような。
ええ、わかってます。今は血縁もこえた家族が一緒にいるんですから。力を貸して、風の妖精騎士!!幻の先へ進みます!!
天野・陽輝
娘の響(f00434)と孫の奏(f03210)と参加
眞由璃と廉貞の事情については私は家族に聞いただけだから、おとなしく響と奏についていくよ。極楽をみせて惑わせる華か。厄介だね。
響と奏と一緒にいると響が15歳の時亡くなった妻が共にいればと思う時がある。2人も同じ思いのようで4人で舞台をやっている「中毒性のある幸せ」が見える。案外、振り切ってないのは私なんだろう。覚醒して短い
からね。それに自ら断ち切った舞台の夢だから。
でも響と奏の声にはっとする。そうだ、今の家族が待っているところへ帰らなければ。頼むよ、黎明の音楽隊。ピクシーを飛び回らせ、先への道を開こう。
夜通し揺らめく数多の願いの炎は、消えることなく燃え続けた。
皆が作った小さな雪洞が冷たい風を遮り、皆が交代でずっと番をしていたから。
そして夜が明ければ、雪と灯りの祭りも無事に終わりを告げて。
「あ、眞由璃さんと廉貞さんと合流できましたね」
真宮・奏(絢爛の星・f03210)は、母である真宮・響(赫灼の炎・f00434)と祖父の天野・陽輝(眩耀の曙光・f44868)も共に、予定通り眞由璃と廉貞と改めて合流を果たす。
それから炎灯る沢山のかまくらたちに見送られつつ出発する。
「これからは猟兵の任務の時間だ。気をつけて、父上、奏」
「うん、十分楽しんだし、これからが大変ですね」
猟兵として、二人が在るべき世界に帰還する手助けをするための旅に。
とはいえ、陽輝にとっては、眞由璃と廉貞の事情については家族に話を聞いただけであるから。
(「おとなしく響と奏についていくよ」)
二人と、響と奏に続いて、一夜を過ごした山村を後にして歩み始めたのだけれど。
その道のりは、平安結界の外――死の大地。
妖が犇めく、地獄のような光景が広がる場所……のはずなのだけれど。
陽輝は突如眼前に咲き誇る妖艶な花たちを見て、すぐに察する。
「極楽をみせて惑わせる華か。厄介だね」
目の前に咲く牡丹の花たちはそう、妖。
奏と響も、現れた妖の群れを見遣りつつ、それぞれ紡ぐ。
「お二人は心配ないでしょうが、問題は私たちですね」
「村人から聞いていた極楽をみせる花」
奏の言うように、眞由璃と廉貞はともかく、家族3人に妖が見せる幻覚は同じものだろうから。
そう、その幻とは。
(「私たち家族に共通する「極楽」といえば……母上だろう」)
この牡丹の花の如き妖『ウツツカサネ』は、予知や村人から聞いた話によれば、中毒性のある極楽をみせてくるという。
そして、それは。
(「音楽一家のアタシ達にとっては、父上、母上、アタシ、奏。血縁のある家族で舞台をするのは二度と実現しないだけに「中毒性」のある幸せだろう」)
(「お母さんとお爺ちゃんと私に共通する「中毒性のある幸せ」といえば私が生まれる前になくなっておばあちゃんも含めた血縁のある4人での舞台でしょうね」)
思った通り、響の母であり、奏の祖母であり、陽輝の妻である、その人の存在以外考えられない。
いつものように、陽輝が演奏し、響が歌い、奏が躍る。
そしてそれに重なるのは、亡くなったはずの彼女の歌声。
もう叶わぬ4人のセッションは、確かに中毒性のある幻に違いなくて。
(「アタシもいつのまにかわかいころの長い髪にもどってるし」)
(「そういえば、おかあさん、だいぶおんならしい格好してるような」)
その影響か、いつの間にか若い頃の長い髪に戻っている響。
そして陽輝は、懐かしくも愛しいその歌声を聞きながら、そっと瞳を細める。
(「響と奏と一緒にいると響が15歳の時亡くなった妻が共にいればと思う時がある」)
ふたりも同じ思いのようなのは見ていてわかるし。
やはり陽輝が見ているのも、4人で舞台をやっている「中毒性のある幸せ」。
そして自分達が思い描くそんな幸せを、陽輝は無理に否定などしない。。
「案外、振り切ってないのは私なんだろう。覚醒して短いからね」
……それに自ら断ち切った舞台の夢だから、と。
けれど同時に、勿論分かってもいるのだ。
「ああ、わかってる。これは幻だ」
これは幻だということを。
それから響は、はっきりと口にする。
「今の家族8人でいることが本来。血縁がなくてもね」
「ええ、わかってます。今は血縁もこえた家族が一緒にいるんですから」
奏と共に、大切な今在る家族の存在を。
だから、幸せに溺れることなく、前へと進むために。
「行こう、真紅の騎士団。幻をうちやぶり、先へ進もう」
「力を貸して、風の妖精騎士!! 幻の先へ進みます!!」
――さあ、アンタ達、出番だよ!! 全力でやっていいよ!!
――風の妖精さん、力を貸して下さい!!
槍や剣で武装した真紅の鎧の騎士と風を纏う妖精騎士を喚んで、妖の花を散らしていけば。
陽輝は、そんな響と奏の声にはっとする。
(「そうだ、今の家族が待っているところへ帰らなければ」)
懐かしい妻の姿と歌声は、心を大きく揺さぶりはするけれど。
でも、今やらなければならないことを、陽輝も違えはしないから。
「頼むよ、黎明の音楽隊」
――さあ、皆、存分に歌い、踊ろうじゃないか!!
小妖精ピクシーを飛び回らせ、先への道を開こう、と。
娘や孫と一緒に、幸せな幻もろとも、行く手を阻む妖の花を全て排除する。
そして周囲のウツツカサネを散らしたことを確認した後、響はふたりへと声を掛けて。
「父上、奏、無事かい?」
色々な想いをそれぞれ心にそっと抱きながらも、家族一緒に。
眞由璃と廉貞の旅に同道するべく、再び死の大地へと一歩を踏み出すのだった。
大成功
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神城・瞬
生みの母の麗奈(f44908)と参加
お母さん、体は大丈夫ですか。夜通し過ごす事になりましたからね。え、徹夜で魔術の研究をしてたから平気、ですか。辛くなったらいってくださいね?
極楽を見せて堕とす、ですか。僕と麗奈母さんの「中毒性のある幸せ」は、やはりお父さんですか。ヴァンパイアなのに、種族の差別をしない変わり者でした。父の下には多くの人たちが集った。
目の前にはお父さんを中心に戦の後の宴が賑やかでしょう。故郷のみんなが生きている。
ええ、わかっていますよ。麗菜母さん。僕たちふたりがいるべき場所はわかってます。月下美人の花嵐。2人で、この幻を打ち砕きましょう。
神城・麗奈
生みの息子の瞬(f06558)と参加
風景にみとれてたら夜が明けてた。え?魔術の研究は徹夜もしょっちゅうだよ。瞬も大丈夫かい?ああ、遠慮なく頼らせてもらうよ。
植物は薬にも毒にもなる。今回のは幻を見せるタチの悪いタイプだね。
私と瞬にとってはヴァンパイアの夫は忘れ難い幸せだ。種別に関係なく手を差し伸べるタイプでね。戦の後の宴の楽しさは格別だった。瞬もみてるんだろう。あの時殺された村人が笑顔で存在している。ああ、確かに中毒性があるね。
大丈夫、瞬。私は今受け入れてくれる家族に満足してるよ。帰ろうか。氷界の女王!!2人の術で幻を破る!!
音もなく雪が降り積もる、静かな冬の夜。
そんな白銀の世界に数多の炎が灯る光景は、美しく幻想的で。
(「風景にみとれてたら夜が明けてた」)
神城・麗奈(天籟の氷華・f44908)は、いつの間にか迎えた朝に、瞳を細める。
そして一緒に、炎揺らめく一晩を過ごしたのは。
「お母さん、体は大丈夫ですか」
……夜通し過ごす事になりましたからね、なんて。
それは自分も同じなのに、心配するように声を掛けてくれる、麗奈にとっての生みの息子の神城・瞬(清光の月・f06558)である。
けれどそんな息子の言葉に、麗奈はこう返して。
「え? 魔術の研究は徹夜もしょっちゅうだよ。瞬も大丈夫かい?」
「え、徹夜で魔術の研究をしてたから平気、ですか。辛くなったらいってくださいね?」
「ああ、遠慮なく頼らせてもらう」
やはり気遣ってくれるような息子の声に、こくりと素直に頷く。
そうして眞由璃と廉貞に同行し、山村を後にし、越前国へ向かう旅を開始して。
穏やかな冬の景色を見せている、平安結界の外――死の大地へと足を踏み入れれば。
瞬は一瞬、突如咲き誇った花々に気づき、周囲を見遣って。
「極楽を見せて堕とす、ですか」
数多咲く牡丹の花……いや、人々を惑わせるべく咲く妖『ウツツカサネ』へと視線を向ける。
麗奈も、魔女としての知識から、眼前の花たちの性質を見極めて。
「植物は薬にも毒にもなる。今回のは幻を見せるタチの悪いタイプだね」
聞いていた予知や村人の話を改めて思い返す。
行く手を塞ぐように現れる花の妖が見せるというのは、そう。
「僕と麗奈母さんの「中毒性のある幸せ」は、やはりお父さんですか」
「私と瞬にとってはヴァンパイアの夫は忘れ難い幸せだ」
見る人にとっての「中毒性のある幸せ」。
そして麗奈と瞬にとって、夫であり父であった、彼の存在であるだろうと思ってはいて。
幻であることはわかってはいるのだけれど。
(「ヴァンパイアなのに、種族の差別をしない変わり者でした。父の下には多くの人たちが集った」)
(「種別に関係なく手を差し伸べるタイプでね。戦の後の宴の楽しさは格別だった」)
その姿を見ればやはり、懐かしく思うのだ。
目の前に広がる光景は、彼を中心とした戦の後の宴が賑やかで。
(「故郷のみんなが生きている」)
(「あの時殺された村人が笑顔で存在している。ああ、確かに中毒性があるね」)
麗奈は、隣にいる息子の様子を見つめて察する――瞬もみてるんだろう、と。
だが、ふいに息子の赤い瞳が自分の姿を映せば。
「ええ、わかっていますよ。麗菜母さん」
……僕たちふたりがいるべき場所はわかってます、と。
はっきりと紡がれるのはやはり、頼もしい言葉。
だから麗奈も、妖の幻などに惑わさることなく告げる。
「大丈夫、瞬。私は今受け入れてくれる家族に満足してるよ」
夫や父の姿、故郷の人達、宴の光景……確かにそれらは懐かしいし、決して忘れることなどない。
けれど、今自分達が在るのは、其処ではないとわかっているから。
「月下美人の花嵐。2人で、この幻を打ち砕きましょう」
「帰ろうか。氷界の女王!! 2人の術で幻を破る!!」
――花よ舞え!! 我が意志を乗せて!!
――この吹雪、存分に受けな!!
月下美人の花びらと猛烈な吹雪を以て、眼前の光景を打ち破る。
先へと進むために、今自分達が在るべく場所に帰るために――牡丹の妖を全てふたりで、散らして討って。
大成功
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真宮・律
義理の娘の星羅(f42858)と弟子の朔兎(f43270)と参加
一杯遊んで、一杯食べたな!!全く、子供たちは元気すぎるな。俺、少しつかれたんだが。いつの間にか夜が明けたな。よし、猟兵の仕事の時間だ。
俺は星羅と朔兎の「中毒性の幸せ」に巻き込まれる感じだが、幼い2人にとって故郷の家族はかけがえのない存在だ。生みの家族と恩のある人たちに囲まれて幸せそうな2人を見ると、ちょっと寂しくなる。まあ、このままではいけないな。
星羅、朔兎、聞こえるか!!迎えにきた、一緒に家族のところに帰ろう!!火雷の意志を発動して薙ぎ払い、走って歩み寄ってきた2人を抱き止める!!
神城・星羅
義父の律(f38364)と愛しの君の朔兎(f43270)と参加
一杯遊びましたし、おいしい物も食べました!!楽しい時間を過ごしてたら夜が明けてました。ああ、戦いの時間ですね。
私と朔兎様にとっての「中毒性の幸せ」は故郷の生みの家族との日々でしょう。特に朔兎様がきてからの一年は楽しかった。もう戻れない日々。ありえない幸せ。つい朔兎様とともに浸ってしまうかも。
でも聞こえるのは雷のように響く律お父様の声。ええ、今ある家族こそが現実。歯軋りして調律の風。戻るんだ。律お父様の元へ必死に走って、胸の中に飛び込みます。ああ、ここにいるんだね。
源・朔兎
師匠の律(f38364)と愛しの姫の星羅(f42858)と参加
一杯遊んで一杯食べた
!!・・・いつの間にか夜が明けてた。うん、行こう、これからが本番だ!!
話には聞いてたが、俺と星羅にとっての「中毒性の幸せ」はやっぱり星羅の生みの家族との生活だろうな。得体の知れない俺も家族のように可愛がってくれた。あの一年はとても幸せだった。二度と戻ってこれないからこそ思わず星羅とともに溺れそうになりそう。
でも気合いをいれるように師匠の律さんの声がする。戻るんだ。今の家族のところへ。疾風の陣!!消え去る幻を後にして、律さんの頼もしい腕に走って飛び込む。ごめん、もう少し、このままで。
白銀の世界を染める炎の彩りも、確かに美しく幻想的であったのだけれど。
「一杯遊んで、一杯食べたな!!」
真宮・律(黄昏の雷鳴・f38364)の声に、神城・星羅(黎明の希望・f42858)と源・朔兎(既望の彩光・f43270)も、大きくこくりと頷く。
「一杯遊びましたし、おいしい物も食べました!!」
「一杯遊んで一杯食べた!!」
(「全く、子供たちは元気すぎるな。俺、少しつかれたんだが」)
そんなまだまだ元気で無邪気なふたりの姿に、律はちょっぴり苦笑するも。
空を見上げれば、確りと気を取り直して。
「いつの間にか夜が明けたな。よし、猟兵の仕事の時間だ」
「楽しい時間を過ごしてたら夜が明けてました。ああ、戦いの時間ですね」
「……いつの間にか夜が明けてた。うん、行こう、これからが本番だ!!」
星羅と朔兎も、楽しく美味しく英気も養ったし、気合十分。
眞由璃と廉貞や他の猟兵達と共に、越前国を目指す旅へといざ出発!
さくりと雪を踏みしめ、楽しかった祭りの余韻に浸りながらも、雪山の道を歩んでいれば。
ふと3人はその足を止める。
いや3人だけではない、眞由璃と廉貞、他の猟兵達も同じように、周囲の変化に気が付く。
平安結界の外、死の大地へと差し掛かれば、地獄のような光景が広がっている……はずなのに。
刹那咲くのは、地獄に見合わぬ美しい牡丹の花たち。
けれど、朔兎と星羅はその花たち『ウツツカサネ』の正体を知っている。
数多咲き誇るそれらはそう、妖の群れ。
そして牡丹の妖どもは、この先はいかせぬと言うように、通る者の瞳に映る風景をがらりと変化させる。
朔兎と星羅が今見ているのは――「中毒性のある幸せ」な光景。
そして彼らと共に在るためか、巻き込まれるようなかたちになった律も、同じものを見ていた。
いや、この話を聞いた時から、朔兎と星羅は何を見せられるかの予想はついていたのだ。
(「話には聞いてたが、俺と星羅にとっての「中毒性の幸せ」はやっぱり星羅の生みの家族との生活だろうな」)
(「私と朔兎様にとっての「中毒性の幸せ」は故郷の生みの家族との日々でしょう」)
……得体の知れない俺も家族のように可愛がってくれた。あの一年はとても幸せだった。
……特に朔兎様がきてからの一年は楽しかった。
それはもう戻れない日々。ありえない幸せ。
二度と戻ってこない、でも、だからこそ――つい愛し君とともに浸ってしまうかもと思うし。
一緒に溺れそうになりそうだと、思ってしまうのだ。
そして同じ光景を見ている律も、よく分かっている。
(「幼い2人にとって故郷の家族はかけがえのない存在だ」)
でもそれでも、生みの家族と恩のある人たちに囲まれて幸せそうな2人を見ると、ちょっと寂しくなるというのが密かな本音ではあるのだけれど。
気を取り直して……まあ、このままではいけないな、と。
「星羅、朔兎、聞こえるか!!」
気合いを入れるように、ふたりへと声を向ける。
「迎えにきた、一緒に家族のところに帰ろう!!」
だって今のふたりは、かけがえのない自分たちの家族なのだから。
そしてそんな雷のように響く律の声が耳に届けば、星羅と朔兎は我に返って。
――ああ、俺は俺の意志で、この剣を振るうさ!!
向けた瞳に映るのは、火雷の意志を発動し、屈せぬ意志をもって。
燃え上がる雷の炎のオーラで妖の花を薙ぎ払う、律の姿。
そしてそんな彼を見れば、星羅と朔兎も、大きく頷いて続く。
「ええ、今ある家族こそが現実――音よ、力を!!」
「戻るんだ。今の家族のところへ。習った通りにやれば……疾風の陣!!」
猟兵として事を成すべく歯軋りしつつ、指揮棒を揮い、吹き付ける調律の風を星羅が放つ中。
疾風の如く双剣から無数の衝撃波を繰り出し、師である律と共に、朔兎も敵を蹴散らしていって。
――戻るんだ。
消え去る幻を後にして、ふたりが必死に走り寄って飛び込むのは。
律の頼もしい胸の中や腕。
そして律も、そんなふたりを確りと抱き止めてあげれば。
……ごめん、もう少し、このままで。
……ああ、ここにいるんだね。
ふたりは今だけ、年相応の子供に戻る。こうやって抱きとめてくれる、優しい温もりに甘えるように。
大成功
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鳥羽・白夜
八坂(f37720)と。
目の前に広がったのは…アヤカシエンパイアにはなさそうなトマトの山!冬だというのに日差しをたっぷり浴びてトマト畑に艷やかに実るたくさんのトマト、おまけに搾りたてのトマトジュース飲み放題の看板まで。
うわ、なんだこれ…極楽じゃん!
早速トマトジュース飲もうとしたら急に目の前が光に包まれ、気づいたら後輩が立っていて。
あれ、トマトジュースは…?
何だよ幻だったのかよ、トマトジュース飲み損ねたじゃん…
まあたしかにな、つーわけでトマトを喰らえ!
起動!し指定UC発動、【浄化】をのせたトマトジュースの雨で回復しつつ幻覚に対抗。トマトジュースが降る限り、もう惑わされねえぜ!
八坂・詩織
白夜さん(f37728)と
目の前に広がったのは、先ほどまで見ていたかまくらに願い火が灯り冬の夜空が広がる光景で。
あれ…?もう夜は明けたはずなのに…私寝ぼけてる?
たしかにいつまでも見てたい光景ではあったけど…でも夜が明けないのは困る、眞由璃さんと廉貞さんを帰してあげないといけないって白夜さんと話してたんだから。
幻を打ち破れば当の先輩はまだ幻の中にいるようで…
白夜さん!起きて!
光の子安貝で【武器から光線】、【浄化】の光を浴びせて起こす。
もう、どんな幻見てたんですか…
本物のトマトの方がいいでしょ!
起動!で青い瞳に白い着物の雪女の姿に変わり氷雪地獄発動。幻なんて凍らせてあげますよ。
炎揺らめく夜が明け、白銀世界を眩いほどに照らす太陽が昇って。
無事に火が消えることもなく、朝を迎えた……はずなのに。
越前国、銀の雨降る世界でいう敦賀市へと向けて、眞由璃や廉貞と共に、平安結界の外へと足を踏み入れたその時であった。
八坂・詩織(銀誓館学園中学理科教師・f37720)はふと、変化した目の前の光景に思わず瞳を瞬かせてしまう。
「あれ……? もう夜は明けたはずなのに……私寝ぼけてる?」
そう――詩織の目に今映るのは、先ほどまで見ていたはずの景色。
揺らめく炎と、煌めく数多の星々や月。
かまくらに願い火が灯る、冬の夜空が広がっているのだから。
澄んだ冬の夜空は確かに、天体観測には適していて。
「たしかにいつまでも見てたい光景ではあったけど……でも」
詩織は眼前の夜空を否定する。だって、これは偽物の空であるし。
それに何より……夜が明けないのは困る、と。
(「眞由璃さんと廉貞さんを帰してあげないといけないって白夜さんと話してたんだから」)
だから詩織は、妖艶な牡丹の妖が見せる幻想を打ち払って。
共に赴いている鳥羽・白夜(夜に生きる紅い三日月・f37728)の姿を見遣れば。
当の先輩はどうやらまだ幻の中にいるようだと察する。
そんな白夜が見ているのはそう、彼にとって、まさに極楽。
目の前に広がったのは……アヤカシエンパイアにはなさそうなトマトの山!
しかも冬だというのに、日差しをたっぷり浴びたたくさんのトマトたちが、トマト畑に艷やかに実っていて。
「うわ、なんだこれ……極楽じゃん!」
おまけに、何とも心惹かれる――『搾りたてのトマトジュース飲み放題!』の看板まで!
というわけで、早速トマトジュースを飲みまく……ろうとした白夜であったけれど。
トマトジュースを堪能するその前に、急に目の前が光に包まれたかと思えば。
「白夜さん! 起きて!」
気づいたら、トマト畑もトマトもトマトジュースも消え失せて。
耳に届いた声に顔を上げれば、後輩が立っていて。
「あれ、トマトジュースは……?」
「もう、どんな幻見てたんですか……」
白夜は向けられる言葉を聞きながら、現実をようやく把握する。
包まれた光は、詩織の光の子安貝から放たれた浄化の光線で。
「何だよ幻だったのかよ、トマトジュース飲み損ねたじゃん……」
あの艶やかなトマトたちは儚い幻、トマトジュースも飲めないということを。
そんな心底残念そうな先輩の言葉に。
「本物のトマトの方がいいでしょ!」
そうツッコまずにはいられない詩織だけれど。
まあたしかにな、と白夜は気を取り直した後、後輩とともに――
起動!
「つーわけでトマトを喰らえ!」
トマトだらけの極楽を見せてぬか喜びさせた牡丹の妖どもが咲く死の大地に、刹那降らせる。
「トマトジュースが降る限り、もう惑わされねえぜ!」
回復しつつ幻覚に対抗するべく、浄化をのせたトマトジュースの雨で!
そして、ブラッディ……じゃなくてトマトストームが展開される中。
降り注ぐトマトの嵐が発生し、熟れすぎたトマトが妖を散らしていけば。
起動した詩織も、青い瞳に白い着物の雪女の姿へと変じて。
死の大地に発生させるのは、極楽などではなく、猛烈な吹雪吹き荒れる氷雪地獄。
そして、幻で惑わし、行く手を阻まんと咲き誇るウツツカサネの花たちを。
「幻なんて凍らせてあげますよ」
容赦なく凍らせては砕いていく。
白夜と共に、眞由璃と廉貞を在るべき自分達の世界へと帰すために。
大成功
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白矢羽・尭暁
幸せな夢か
なるほど、僕の幸せには…
やはり君がいないといけないのだね
ここにいない従者が傍に控えている
ありふれた日常は、たしかに幸せなものだ
少しばかり、戯れに…
茶を飲まないか、なんて声かける
それに微笑み、はいと返るのは確かに幸せではあるが
でも君ではないのだ
君はここで、では準備しますとスンとした顔で僕のだけを用意する
そうでなければ、君ではない
僕の従者ではないのだ
共に飲めたらいいのだけど君は彼ではないから、切り捨てよう
きっとその向こうに、花がある
でも、わかっていてもやはり心は痛むなぁ
最後の表情は、
そのような顔をするなんて、僕のことをよくわかっている
君がいることが僕の幸せ
いないと僕は、だめになるからね
元々、自分達が在るこの世界の風景自体が、そうであるという事実はあるのだけれど。
白矢羽・尭暁(金烏・f42890)はふと口にする――幸せな夢か、と。
そして気付けば眼前にはいつの間にか、いつも在る屋敷の風景が広がっていて。
尭暁は刹那、金の瞳をそっと細める。
「なるほど、僕の幸せには……」
……やはり君がいないといけないのだね、と。
ここにいないはずの従者がいつものように、己の傍に控えているのを見れば。
けれど、その従者本人から聞いたのだ。妖が見せるという幻のことを。
それに尭暁自身、よくわかっている。
今見ているようなありふれた日常は、たしかに幸せなもので。
「れーくん、茶を飲まないか」
少しばかり、戯れに……なんて、そう声を掛けてみれば。
それに微笑み、はいと返す従者。
確かにそれは幸せだと思うことではある。
でもだからこそ、これは幻であると……でも君ではないのだ、と。
そう尭暁に確信させる。
だって、実際はそうはならないということを知っているから。
(「君はここで、では準備しますとスンとした顔で僕のだけを用意する」)
……そうでなければ、君ではない、と。
自分の誘いに頷き、茶をふたつ用意する幻の彼を見れば――僕の従者ではないのだ、と。
たとえそう在って欲しいと、尭暁がいくら密かに望んでいたとしても。
だから今、ふたつ用意された茶を、彼と共に飲めたらいいのだけど。
でも、それはもっと違うから。彼でないのならば、何の意味もない。
だから――君は彼ではないから、切り捨てよう、って。
そう刃を抜き放ちながらも、尭暁はちょっぴり苦笑してしまう。
(「きっとその向こうに、花がある」)
……でも、わかっていてもやはり心は痛むなぁ、なんて。
「そのような顔をするなんて、僕のことをよくわかっている」
閃きを放つとともに瞳に映った、最後のその表情に。
そして尭暁は戻ってきた地獄の光景の中、改めて紡ぐ。
そう思っているだなんて、きっと君は思ってもいないだろうけれど。
「いないと僕は、だめになるからね」
――君がいることが僕の幸せ、と。
大成功
🔵🔵🔵
フリル・インレアン
ふええ!!あれ?おかしいです。
私はたくさんの甘いお菓子に囲まれていた筈なのに。
ここはどこですか?
それよりも、このほっぺたの痛みは、まさか虫歯でしょうか?
ちゃんと歯磨きをしてきた筈なのに、どうしてでしょうか?
ふえ?アヒルさん?
私の肩に止まって、どうしたんですか?
ふえ?これはいいクッションだ。いくら突いても飽きないって。
そういえば、口の中というよりほっぺたの外側が痛むような?
ふええ、アヒルさん!
私を突かないでください。
こうなったら、美白の魔法でアヒルさんが肩に止まりにくくしている間に、あの妖さんを毟ってしまいましょう。
眞由璃や廉貞、猟兵の仲間と一緒に、山村を出発して。
平安結界の外側に足を踏み入れた途端、広がった光景。
でもそれは、フリル・インレアン(大きな
帽子の物語はまだ終わらない・f19557)にとっては、まさに極楽で。
さぁ今からその極楽を存分に堪能しようと、そう嬉々と思ったのに。
「ふええ!! あれ? おかしいです」
思わずそう声を上げて――ここはどこですか? と。
おたおたしながら、周囲をきょろりと見回すフリル。
……私はたくさんの甘いお菓子に囲まれていた筈なのに、って。
いやむしろ、瞬間ずきりとした頬を思わず押さえてしまう。
「それよりも、このほっぺたの痛みは、まさか虫歯でしょうか?」
……ちゃんと歯磨きをしてきた筈なのに、どうしてでしょうか? なんて。
こてりと不思議そうに首を傾げていれば。
「ふえ? アヒルさん? 私の肩に止まって、どうしたんですか?」
アヒルさんのその行動に、そう訊いてみるフリル。
そして、返ってきたその理由を聞けば。
「ふえ? これはいいクッションだ。いくら突いても飽きないって」
……そういえば、口の中というよりほっぺたの外側が痛むような? と。
ハッと刹那、ようやく気が付くのだった。
「ふええ、アヒルさん! 私を突かないでください」
でもその痛みのおかげか、現実へと容赦なく引き戻されたから。
……こうなったら、とフリルが展開するのは、しっとり艶々なお肌を守る美白の魔法!
「美白の魔法でアヒルさんが肩に止まりにくくしている間に、あの妖さんを毟ってしまいましょう」
有害な光から肌をケアする蒸気が立ち込める中、余計な極楽をみせるような妖の花は全て散らします!
大成功
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レモン・セノサキ
白い髪に赤いメッシュ。赤い目。色白の肌。
トゥルダクのような容姿だけど、身体はしっかり人間。
そんな私は体操着姿で白球を投げている。
――ああ、ソフトボール大会か。
おぉい眞由璃ー、フライ取り損ねるとか可愛いトコ有んじゃん。
突き抜けるような青空、暖かな陽光、皆とはしゃいで笑い合う時間。
胸の裡で何度繰り返したか分からない、幸せなIFの情景。
……で、咎負いの抗体如きが烏滸がましいって自虐するまでがワンセット。
もう齢700才に届こうかってヤドリガミ、夢見るお年頃はとっくに過ぎた。
溜息交じりにトリガーに指を掛け、【指定UC】発動。
燃えろ、潰れろ、砕け散れ。
私を足止めしたきゃ、極楽じゃなくて地獄を見せな。
目の前に今広がっている風景は、雪山のものでも、死の大地のものでもなくて。
そもそも、自分の……レモン・セノサキ(Gun's Magus魔砲使い・f29870)の姿さえ、先程までとは違っているのだ。
白い髪に赤いメッシュ。赤い目。色白の肌。
それはトゥルダクのような容姿なのだけど、でも身体はしっかり人間で。
(「――ああ、ソフトボール大会か」)
体操着姿で白球を投げながら、そうレモンはこの光景を認識しつつも。
くるりと巡らせた瞳に映ったその姿に、思わず笑ってしまう。
「私に任せてくださ……あっ」
「おぉい眞由璃ー、フライ取り損ねるとか可愛いトコ有んじゃん」
同じように体操服を着た眞由璃が、ぽてりとフライを取り損ねてエラーする姿に。
そして慌ててマウンドにやって来たものの、やっぱり何を言っているのかよくわからない廉貞コーチの指示をしれっとスルーしながらも。
レモンはこれが何なのか、知っている。
(「突き抜けるような青空、暖かな陽光、皆とはしゃいで笑い合う時間」)
胸の裡で何度繰り返したか分からない、幸せなIFの情景だということを。
そして、わかっていたけれど、案の定。
「……で、咎負いの抗体如きが烏滸がましいって自虐するまでがワンセット」
――もう齢700才に届こうかってヤドリガミ、夢見るお年頃はとっくに過ぎた、なんて。
ボールやバットのかわりに手にするのは、この幸せな夢幻をぶち抜くための得物。
溜息交じりにトリガーに指を掛ければ――裁きは星に委ねるとしよう、と。
「燃えろ、潰れろ、砕け散れ」
レモンが撃ち出すは、爆ぜる隕石の魔弾。
そしてその魔炎を以て、咲き乱れる妖どもを、IFの情景もろとも焼き尽くしてやる。
……私を足止めしたきゃ、極楽じゃなくて地獄を見せな、って。
大成功
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弓落・高寿
幸せ。いつかの夢。叶えるべき、しかし叶うことのない素晴らしき光景。
己のそれが何かと覚悟して挑めば見える景色は
古今東西の甘味食べ放題。
生くりいむ菓子にぷりん、ちょこ、饅頭。しょっぱいのや香ばしく焼いたの。色とりどりに誘惑する甘い香りの数々。
………そっちかぁ。少し安心した。
幸せな「今は亡き故郷の夢」など見たらどうしたものかと思っていたもので…でもそっちかぁ…記憶にもない肉親や生まれ故郷への憧憬、確かにどこかにはあるはずなのだが、所詮食欲には勝てぬかぁ…。
自分の情けなさに正気に戻ったのは良いやら悪いやら、このもやもやとした気持ちは敵にぶつけて晴らすに限る。草刈りの時間だこら!
祭りが終わった後もまだ降り止まぬ雪の中、山村を出発して。
足を踏み入れた地獄の如き死の大地の風景が刹那、一変する。
けれどそれは、予知で聞いていたことだから、想定内であって。
だから弓落・高寿(平安京異邦人・f44072)は覚悟を決めて挑む心積もりであったのだ。
(「幸せ。いつかの夢。叶えるべき、しかし叶うことのない素晴らしき光景」)
己のそれが何なのかと、思いながらも。
そしてふと、瞳に飛び込んできた景色。
それはまさに、聞いていた通りの『極楽』そのものであった。
そう――
古今東西の甘味食べ放題!
ずらりといつの間にか目の前に並ぶのは、それはもう様々なスイーツ。
(「生くりいむ菓子にぷりん、ちょこ、饅頭。しょっぱいのや香ばしく焼いたの」)
色とりどりに誘惑し、ふわり誘うように漂うは甘い香りの数々。
甘いものだけでない味変できるものが用意されているのもまた、飽きずに甘い物を食べ続けられるという、なんとも気の利いた幻である。
そんな
古今東西の甘味を目にすれば、高寿は思わず心の声を零す。
「………そっちかぁ」
……少し安心した、って。
だって、どうしたものかと実は思っていたのだから――幸せな「今は亡き故郷の夢」など見たら、と。
そしてもう一度、ぽつりと呟きを落とす。
「……でもそっちかぁ……」
いや、確かにどこかにはあるはず、なのだ。
記憶にもない肉親や生まれ故郷への憧憬が。
――けれど。
「所詮食欲には勝てぬかぁ……」
古今東西の甘味食べ放題は確かに、心揺さぶられるほど中毒性のある幸せな誘惑。
だがそんな魅惑のスイーツを前にしても正気に戻ったのは、良いやら悪いやら……情緒よりも食欲が勝ったという、自分の情けなさを感じたからで。
でも高寿は、大きくこくりと頷いて――くたばれ、と。
この極楽を見せる元凶、牡丹の妖・ウツツカサネどもへと複製した神器を解き放つ。
「草刈りの時間だこら!」
妖の花を片っ端から散らしていきつつ、このもやもやとした気持ちは敵にぶつけて晴らすに限る、って。
そして甘やかな極楽の光景が消え失せて、ちょっぴり気持ちもスッと晴れれば。
戻ってくるのは、地獄の如き死の大地の風景。
大成功
🔵🔵🔵
第3章 ボス戦
『魂喰の蓮華姫』
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POW : 真なる魂喰の衝動
自身の【魂喰の本質と共に暴食衝動 】を解放し、物質透過能力と3回攻撃を得る。ただし毎秒加速する【他者の魂や生命力への渇望】を満たし続けないと餓死。
SPD : 八千矛之舞台
【己の鋭い牙や爪 】が命中した敵から剥ぎ取った部位を喰らう事で、敵の弱点に対応した形状の【装束を身に纏い武器を手にした凶戦姫】に変身する。
WIZ : 奴延鳥乃翠爪
かつて喰らった「【雷獣・鵺 】」の魂を纏い、2倍ダメージ・2回攻撃・自動反撃を有した【伸縮自在の翡翠の鬼爪】を装備する。
イラスト:鳥季
👑11
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幸せな幻を見せる牡丹の妖の群れを、燃やし、刈り取り、容赦なく散らして。
先へと進む道が拓けた――そう思った、その時であった。
『なんとも愚かじゃの。幸せにうつつを抜かしている間に妾に喰われれば、幸せなまま死ねたというのにのう』
現れたのは、周囲に咲く牡丹の花の妖どもよりも強大な力を持つ妖。
神出鬼没で様々な妖術や幻術で人々を惑わし、その命を啜るという『魂喰の蓮華姫』。
たまくらひ――人や獣の精気や魂を喰らい糧とする鬼であった。
そして高飛車で傲慢な、人間を餌と見下すような視線を投げながらも。
蓮華姫は獲物の命を啜らんと、暴食衝動のままに地獄を駆け、凶戦姫と化す。
この鬼を倒さねば、先には進めそうにない。
だから、取り巻きの排除を引き受けるという眞由璃や廉貞に、有象無象は任せて。
猟兵達は妖の首領『魂喰の蓮華姫』を討つべくいざ、死の大地を大きく蹴りつける。
龍巳・咲花
お主があの厄介な花の元凶でござったか!
先の村の方々への厄災を払う意味でも、(自分にとって)嫌がらせの様な幻覚を見せたお返しという意味でも、ここで討ち取ってくれるでござろう!
この鬼の能力自体も厄介なものであることに間違いはないでござるな!
ならば拙者は煙玉を投げ視界を塞ぎ、その間に立体映像化した鱗と、その周囲には時限爆弾化した鱗を仕掛けておくでござる!
そして自身は隠れつつ、煙が晴れるタイミングで立体映像側から投擲用の鱗で攻撃し、相手の攻撃を立体映像に向かって誘うでござるぞ!
上手く掛かれば喰らおうと立体映像を攻撃した所で爆発に巻き込まれるでござろう!
これが忍びの戦い方でござる!
美しくも妖しく咲き誇っていた妖の牡丹が全て散らされれば
『なんとも愚かじゃの。幸せにうつつを抜かしている間に妾に喰われれば、幸せなまま死ねたというのにのう』
現れるのはそう――
魂喰。
平安結界の外側、死の大地にあるのはやはり極楽などではなく、妖どもが跋扈する地獄。
妖の首領『魂喰の蓮華姫』が現れたのは、猟兵達の魂を食らうため。
けれど、当然ながらも。
「お主があの厄介な花の元凶でござったか!」
龍巳・咲花(バビロニア忍者・f37117)は魂を喰われる気など、さらさらない。
いや、むしろ。
「先の村の方々への厄災を払う意味でも、嫌がらせの様な幻覚を見せたお返しという意味でも、ここで討ち取ってくれるでござろう!」
村人に危害を加える前に、それに、咲花自身も嫌がらせの様な幻覚を見せられたのだから。
惑わした人々の魂を喰らい糧とする鬼をこの場で討つべく、いざ鬼退治。
とはいえ、蓮華姫がぎらつかせる八千矛の鋭い牙や爪は、ただの鋭利な得物というだけではない。
だが、敵がどのような攻撃を仕掛けてくるのか、それは予知で聞いているのだから。
(「この鬼の能力自体も厄介なものであることに間違いはないでござるな!」)
凶戦姫へと変じさせぬよう、咲花は動きをみせる。
『……!』
刹那、視界を塞ぐように戦場に広がるのは、突如発生した大量の煙。咲花が投じた煙玉によるものだ。
そして煙が立ち込める中、展開されるのは。
――龍陣忍法・バビロニアン・ムシュマフ・スケイル! の術でござる!
しかし、それで怯む『魂喰の蓮華姫』ではない。煙が晴れるタイミングを見計らい、襲いくる鱗を弾いて。
『今、そなたの命を啜って魂を喰ろうてやろう!』
蠢く気配を素早く察知し放つは、爪による鬼の鋭撃。
だが、煙が晴れたそこに在るのは。
『!?』
咲花本人ではなく、炎竜ムシュマフの鱗が投影した咲花の立体映像。
さらに、相手の攻撃を立体映像に向かって誘うことに成功すれば。
『! 何っ、ぐあッ』
瞬間、大きく爆ぜるのは、時限爆弾化した炎竜ムシュマフの鱗。
(「上手く掛かれば喰らおうと立体映像を攻撃した所で爆発に巻き込まれるでござろう!」)
そう、それは煙が充満していた際に周囲に仕掛けておいたもの。
そしてまんまと喰らいつき、魂のかわりにくらった爆発によろめく鬼に、咲花はその身をもって教えてやる。
――これが忍びの戦い方でござる! と。
大成功
🔵🔵🔵
真宮・奏
母の響(f00434)と祖父の陽輝(f44868)と参加
自動反撃と自動攻撃透過ですか・・・おじいちゃん、一緒に引き受けてくれると。そうですね、2人で一緒に攻撃すれば一気に回数なくなりますね。
お母さん、気をつけてくださいね?大怪我は無しですよ?トリニティ・エンハンス発動。【オーラ防御】【盾受け】【武器受け】【拠点防御】【受け流し】【ジャストガード】【鉄壁】発動!!【かばう】を駆使してお爺ちゃんの攻撃はなるべく引き受けます。
大丈夫、丈夫に育ったから!!おじいちゃんと一緒に【限界突破】の【衝撃波】だ!!家族と一緒なら勇気100倍!!
天野・陽輝
娘の響(f00434)と孫の奏(f03210)と参加
この妖と眞由璃を同時にみると色々錯覚してしまうね。相性が良すぎる。孫たちの世界に余計な災いを持ち込む前に帰還していただいた方がいい。
手数がおおいか。でも攻撃は連続で3回、透過能力も3回、までか。奏、回数減らしに協力するよ。奏の守りの硬さは聞いているが、できるだけ【残像】【オーラ防御】を駆使しながら【クィックドロウ】【ヘッドショット】【零距離射撃】【拳闘格闘術】を駆使して攻撃。ちまちました援護射撃は結構気が散るだろう?
奏の合図でケイロンの進軍!!最後に響の攻撃が刺さる。貴殿がどんなに強大でも力をあわせて絆の力はこえられないさあ。
真宮・響
娘の奏(f3210)と父の陽輝(f44868)と参加
父上も勘づいているようだが、眞由璃と目の前の妖の力の相性がよすぎるね。今は敵対関係だからいいが、年若い子供たちの苦労を減らすためにも帰還してもらった方がいいね。
奏、父上、気をつけて。牙や爪の攻撃は私が担当するよ。まあ、そう簡単に攻撃を喰らう気はない。【残像】【心眼】【迷彩】【瞬間思考力】を駆使して回避し、手ひとつだけはのこさないとね。
奏と父上の攻撃が炸裂したらダメ押しで情熱の炎!!蓮華姫とやら。あんたは強いんだろうが、大事な家族と共にいる魂の強さに勝てるかい?
美しい牡丹咲く風景が消え失せ、かわりに広がる光景は地獄。
そして、人間をただの餌だとしか思っていない鬼が、眼前に現れる。
『なんとも愚かじゃの。幸せにうつつを抜かしている間に妾に喰われれば、幸せなまま死ねたというのにのう』
たまくらひ――『魂喰の蓮華姫』が猟兵達の魂を喰らうために。
そんな妖の群れの首領である鬼を見遣り、天野・陽輝(眩耀の曙光・f44868)はこう口にする。
「この妖と眞由璃を同時にみると色々錯覚してしまうね。相性が良すぎる」
故に、思うのだ。
(「孫たちの世界に余計な災いを持ち込む前に帰還していただいた方がいい」)
そして父の言葉を聞いた真宮・響(赫灼の炎・f00434)も、蓮華姫を見遣りながら。
(「父上も勘づいているようだが、眞由璃と目の前の妖の力の相性がよすぎるね」)
同じように、やはり感じる。
今は眞由璃とは協力関係にあり、共闘してはいるものの。
彼女は土蜘蛛の女王、その力を思えば眼前の妖とは相性が良いと、陽輝も言っていたように。
それに、この世界に長く眞由璃に居て貰っては、何かと不安要素も多いから。
(「今は敵対関係だからいいが、年若い子供たちの苦労を減らすためにも帰還してもらった方がいいね」)
元在る世界、シルバーレインへと帰還して貰うに限る。
だからそのためにも、越前国――現代の地名でいう敦賀市へと向かう旅に同道しているわけだ。
彼女達が銀の雨降る世界に戻れる鍵になる、ディアボロスランサーに類する『界渡りの宝物』の元へと。
そんなふたりと共に戦場に並び立つ真宮・奏(絢爛の星・f03210)は、改めて立ち塞がる蓮華姫へと視線を投げて。
「自動反撃と自動攻撃透過ですか……」
聞いている相手の手の内を思い返し、呟きを落とせば。
陽輝も自分達の魂を喰らわんとする鬼へと瞳を映し、そして孫へと告げる。
「手数がおおいか。でも攻撃は連続で3回、透過能力も3回、までか」
……奏、回数減らしに協力するよ、と。
そして、魂喰の本質と共に暴食衝動を解放する蓮華姫の行動を注視しつつも。
『さあ、誰の魂から喰ろうてやろうか?』
「そうですね、2人で一緒に攻撃すれば一気に回数なくなりますね」
「奏、父上、気をつけて。牙や爪の攻撃は私が担当するよ」
皆で厄介な相手の攻撃を分散させる作戦を取るべく、それぞれが動きをみせて。
「お母さん、気をつけてくださいね? 大怪我は無しですよ?」
「まあ、そう簡単に攻撃を喰らう気はない」
奏は発動したトリニティ・エンハンスに、守りのオーラを纏わせ、盾や武器で敵の攻撃を拠点防御で受け流せるようにと。
妖の攻撃に合わせて、鉄壁のジャストガードを返すべく、様々な技能を駆使して。
『大人しく妾に魂を喰らわれるがよいのじゃ!』
一緒に攻撃を引き受けてくれるという祖父を庇うべく、盾となる奏。
そして同時に響も、残像を生み出して迷彩で身を隠しつつ、心眼と瞬間思考力を研ぎ澄ませ、大きく地を蹴って。
襲い来る攻撃を回避する……手ひとつだけはのこさないとね、と。
「大丈夫、丈夫に育ったから!!」
陽輝も、そう声を上げる奏の守りの硬さは聞いているものの。
できるだけ、残像やオーラ防御を駆使しながら、クィックドロウにヘッドショット、零距離射撃や拳闘格闘術も用いて、攻撃を仕掛けていく。
「ちまちました援護射撃は結構気が散るだろう?」
『くっ、餌の分際で小癪な……!』
そして、そう険しい表情を宿す蓮華姫へと。
「おじいちゃんと一緒に、限界突破の衝撃波だ!!」
「射手と芸術の神よ、力を借りますよ!!」
奏の合図で、孫と共に攻め込む陽輝が展開するは、ケイロンの進軍!!
奏の衝撃波とともに、拳銃と術の同時攻撃を妖へとお見舞いして。
『ぐっ、!』
ふたりの攻撃が炸裂し、敵が揺らいで生まれた隙を逃がさずに。
――これはアタシの情熱だ!! 熱いだけでは済まないよ!!
掲げた手から響が放つは、ダメ押しの情熱の炎!!
そして荒ぶる情熱の炎を叩きつけ、燃え続ける消えない炎を与えられて呻く鬼へと言い放つ。
「蓮華姫とやら。あんたは強いんだろうが、大事な家族と共にいる魂の強さに勝てるかい?」
「家族と一緒なら勇気100倍!!」
そう続いた奏に、陽輝も瞳を細め頷いて。
「貴殿がどんなに強大でも力をあわせて絆の力はこえられないさあ」
『ぐぬぅっ、何だと……くっ!』
家族の絆の強さをもって妖を討ち取るべく、連携をはかって妖を追い詰めていく。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
神城・瞬
生みの母の麗奈(f44908)と参加
確かにあれだけの強さの妖を配下にできるだけあって、妖力が強大ですね。
ですが。麗奈母さんが冷めた目でみてますね。魂喰いなど恐るるに足らず、ですか。一度死んだ人は違う。
ただ、部位を取られる訳にはいきませんので六花の舞発動。投擲武器89個、幻影体70個。多くの僕の幻影体を見せることでお母さんから僕に注意を向ける狙いがあります。お母さんに傷つけることは許せません。
もちろん【残像】【第六感】【オーラ防御】【回復術】で自分の安全を確保。
お母さん、準備はいいですか?親子同時の氷結攻撃喰らわせてやりましょう!!【全力魔法】+【凍結攻撃】!!
1人で勝てると思わないことですね!
神城・麗奈
息子の瞬(f06558)と参加
あれだけの幻惑ができるのを配下にしてるんだ。この蓮華姫とやらも相当な力持ってるんだろう。魂喰いね。1人で何ができると?
まあ、一度死んだからね。魂喰われるぐらいなんともないさ。ただ瞬の隣で二度と死にたくないんでね。精一杯抵抗させてもらうよ。
瞬が囮をつくってくれるが、自前でも【オーラ防御】【身かわし】【結界術】【魔力防御】でなるべく攻撃喰らわないようにするよ。まあ、単独でよかった。配下と一緒だと無効能力がすごく活きる。まだ対応できるレベルだ。
ああ、準備はできてるよ。【全力魔法】でニヴルヘイム・ストーム!!瞬と私で洗練してきた絆の氷結攻撃だ!!
見る者を惑わすほどに妖艶で、そして悪しき牡丹の花たちを、全て散らせば。
『大人しく幻に溺れて、妾に魂を喰らわれていれば、よかったものを……愚かじゃのう』
地獄の如き死の大地に姿を現したのは、悪食の鬼。
そんな傲慢な態度で見下すように煽ってくる『魂喰の蓮華姫』の言葉にも、冷静に。
「あれだけの幻惑ができるのを配下にしてるんだ。この蓮華姫とやらも相当な力持ってるんだろう」
「確かにあれだけの強さの妖を配下にできるだけあって、妖力が強大ですね」
神城・麗奈(天籟の氷華・f44908)と神城・瞬(清光の月・f06558)は、油断せずに眼前の妖の首領へと視線を向けて。
麗奈は声の響きをふと変えながらも、こう首を傾けてみせつつも続ける。
「魂喰いね。1人で何ができると?」
眼前の相手は、配下を率いるほどの強力な妖であることは、間違いないのだけれど。
「……ですが。麗奈母さんが冷めた目でみてますね」
瞬は生みの母の様子を、そう口にするも。
「まあ、一度死んだからね。魂喰われるぐらいなんともないさ」
「魂喰いなど恐るるに足らず、ですか」
……一度死んだ人は違う、なんて。母親の強さを目の当たりにする。
とはいえ、麗奈はそう簡単にまた死ぬわけにはいかないのだ。
「ただ瞬の隣で二度と死にたくないんでね。精一杯抵抗させてもらうよ」
生みの息子の隣で、二度と死にたくはないと思うから。
そして勿論、瞬だって思うのだ。
「ただ、部位を取られる訳にはいきませんので――さて、この氷の結晶は色んな事に使えるんですよ?」
『……!?』
刹那発動するは、数多の氷の結晶を召喚する六花の舞。
そして――投擲武器89個、幻影体70個。
(「多くの僕の幻影体を見せることでお母さんから僕に注意を向けられれば」)
そう狙いつつも動きながら、蓮華姫に自分を意識させる瞬。
――お母さんに傷つけることは許せません、と。
麗奈も、瞬が囮をつくってくれるけれど、自分でもオーラ防御を纏い、身をかわせるようしつつ、結界術や魔力防御でなるべく攻撃を喰らわないように立ち回って。
強気の姿勢や戦い方は変わらないが、気は決して緩めない。
(「まあ、単独でよかった。配下と一緒だと無効能力がすごく活きる。まだ対応できるレベルだ」)
確りと、敵の力を見誤らぬよう注視しつつも。
残像や第六感、防御の気を纏い、回復術も使って、自分の安全を瞬もきっちり確保しながら。
『このっ、
八千矛之舞台を喰らうのじゃ、!?』
「お母さん、準備はいいですか?」
喚く妖を後目にそう声を掛ければ、すぐに返ってくる。
「ああ、準備はできてるよ」
そして爪の鋭撃を放たんとする蓮華姫に、そうはさせないと。
「親子同時の氷結攻撃喰らわせてやりましょう!! 全力魔法の凍結攻撃!!」
「――生と死の女神の力、使わせてもらうよ。全力魔法でニヴルヘイム・ストーム!!」
『!? なっ……ぐぅっ!』
悪食が過ぎる鬼に、魂のかわりに。
「瞬と私で洗練してきた絆の氷結攻撃だ!!」
「1人で勝てると思わないことですね!」
氷と華の嵐と凍結させるほどの衝撃を、親子同時にお見舞いしてやるのだった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
レモン・セノサキ
お生憎様、死に場所はちゃぁんと心に決めてあんの
お前に喰われるなんざ御免だね
高飛車で傲慢なら、見下される人間に▲挑発されるのはきっと我慢ならないだろうね
攻撃が激化する危険性はあるけど、身代りの「奇術符」や目暗ましの「トラップダイス」で翻弄しつつ、二挺ガンナイフで応戦しよう
敵UC発動の隙を突き、ジャストのタイミングで【指定UC】をブチ込みたい
ダメージ半減、超ウスノロ攻撃、鬼爪は自動で無防備被弾ってトコかな?
アッハハハハ! 随分な嫌われようじゃないか、よほど【雷獣・鵺】の怨みを買うような酷い喰い方でもしたんじゃないの?
前半戦の意趣返しとばかりに銃撃&斬撃を雨霰とくれてやろう
戻ってきた現実は、死の大地という地獄。
けれど、見せられる極楽なんかよりも――地獄上等!
『は、どう足掻いたところで、そなたらはどのみち妾に魂を喰らわれるのじゃ!』
大きな態度でそう言い放ち、鼻で笑う鬼『魂喰の蓮華姫』の煽るような言葉も相手にせずに。
「お生憎様、死に場所はちゃぁんと心に決めてあんの」
レモン・セノサキ(
Gun's Magus・f29870)は逆にまずは軽く煽り返してやる。
――お前に喰われるなんざ御免だね、って。
『生意気な! 妾が引き裂いて黙らせてやろうぞ!』
そしてすでに自分の言葉に反応を示しまくっている蓮華姫をレモンは見遣って。
(「高飛車で傲慢なら、見下される人間に挑発されるのはきっと我慢ならないだろうね」)
激高したことにより、もしかしたら攻撃が激化する危険性はあるのだけれど。
レモンは、翡翠の鬼爪――
奴延鳥乃翠爪を、怒りのまま繰り出してくるその動きを冷静に見遣りながらも。
身代りの「奇術符」を用いて目暗ましの「トラップダイス」で相手を翻弄しつつも、構えた二挺ガンナイフで応戦して。
蓮華姫が翡翠の鬼爪を、今までよりも大きく振り上げて。
奴延鳥乃翠爪を発動させんとした刹那、生じる隙。
レモンはその隙を決して見逃さずに、まさにジャストのタイミングでブチ込んでやる。
『!! ぐぅっ!?』
すかさず展開させた逆刻の魔弾を、容赦なく。
それから、堪らずよろける悪食の鬼を、全力で揶揄してやる。
「ダメージ半減、超ウスノロ攻撃、鬼爪は自動で無防備被弾ってトコかな?」
『うぐっ、くッ……そなたはズタズタに身体を八つ裂きにしてから、魂を喰ろうてやるぞ!!』
「アッハハハハ! 随分な嫌われようじゃないか」
そしてレモンは、さらにこう続けるのだった。
「よほど『雷獣・鵺』の怨みを買うような酷い喰い方でもしたんじゃないの?」
『く、妾は美食家じゃ……ぐっ!?』
前半戦の意趣返しといわんばかりに、銃撃に斬撃にと、雨霰とくれてやりつつも。
妖が跋扈する地獄の只中で――烈火の如く怒る蓮華姫のさまに、楽し気に笑ってみせながら。
大成功
🔵🔵🔵
八坂・詩織
白夜さん(f37728)と
よかったですね白夜さん、私が起こさなかったら今頃トマト食べてるつもりで逆に食べられてましたよ。
…白夜さんってトマト以外に幸せなことないんですか?
…聞いてませんね…やる気みたいだからいいですけど。
なるほど、黒影剣で生命力を奪う作戦ですか。魂を喰らう相手にはふさわしいかもしれませんね…では私は赤い月の光で溶かしてあげましょう。
極月煌光発動、白夜さんの黒影剣との【連携攻撃】で継続ダメージによる駄目押しを狙います。
物質透過能力があっても、実体のないオーラや霊ならどうでしょうね?【オーラ防御】【霊的防護】でなんとか耐えられれば…
(姿見えないけど、もしかして今かばってくれた…?)
鳥羽・白夜
八坂(f37720)と。
それはまあ感謝してるけどよ…ったく、狩りの方法としちゃ効率的だろーけどほんと悪趣味な奴だぜ。あの宝の山のようなトマトが全部幻だったと思うと…!!
散々魂狩りしてきたんなら自分が狩られる覚悟もできてるんだろうな?
黒影剣発動、纏った闇のオーラで【オーラ防御】しつつ大鎌で【斬撃波】を放ち【貫通攻撃】。
ボスクラスともなれば視聴嗅覚を封じたくらいじゃ自分の存在を完全に隠すことはできねえかもだけど…狙いは姿を隠すことじゃなく生命力を奪うこと、あっちが魂喰らおうとして俺に触れれば逆に生命力奪われるからな。そのまま餓死させてやるよ。
後輩を狙ってくんなら【かばう】。お前の相手は俺だぜ?
極楽に咲いていた牡丹の花たちが、全て散らされば。
戻ってきた地獄に現れしは、たまくらひ――人や獣の精気や魂を喰らい糧とする鬼。
『愚かな者どもよ、幻を視たまま、魂を喰らわれておったら良かったものを』
そう、くっと気に食わぬ表情を宿しつつ言った妖の首領『魂喰の蓮華姫』の言葉を聞きながら。
八坂・詩織(銀誓館学園中学理科教師・f37720)は、隣をちらりと見遣って。
「よかったですね白夜さん、私が起こさなかったら今頃トマト食べてるつもりで逆に食べられてましたよ」
先程トマトいっぱいの極楽な幻惑に嬉々としていた先輩、鳥羽・白夜(夜に生きる紅い三日月・f37728)に言えば。
「それはまあ感謝してるけどよ……ったく、狩りの方法としちゃ効率的だろーけどほんと悪趣味な奴だぜ」
白夜は、それはもう力いっぱい、口惜しそうに続ける。
……あの宝の山のようなトマトが全部幻だったと思うと……!! と。
そんな幻影のトマトに未練たらたらな様子を見れば、改めて詩織はこう思わずにはいられない。
「……白夜さんってトマト以外に幸せなことないんですか?」
いや、トマトだけでも幸せなことがあるだけいいのか。
とはいえ、トマトにうつつを抜かして魂を喰われるのもどうかと思うし。
眼前の蓮華姫にとってはある意味、格好の獲物であったのかもしれないけれど。
『どのみち、そなたらは妾の餌じゃ』
「散々魂狩りしてきたんなら自分が狩られる覚悟もできてるんだろうな?」
「……聞いてませんね……やる気みたいだからいいですけど」
食べ物の……いや、トマトジュースの恨みは恐ろしい??
トマトな幸せを弄んだ敵を倒すべくやる気満々になっている彼を、そうもう一度見遣る詩織。
そして、魂喰の本質と共に暴食衝動を解放せんとしている敵へと視線を投げながら。
「ボスクラスともなれば視聴嗅覚を封じたくらいじゃ自分の存在を完全に隠すことはできねえかもだけど……」
己の身を闇のオーラで覆い、周囲に溶けるかのように視聴嗅覚での感知を不可能にする白夜。
いや、その狙いは闇のオーラで姿を隠すことではなく。
「あっちが魂喰らおうとして俺に触れれば逆に生命力奪われるからな」
「なるほど、黒影剣で生命力を奪う作戦ですか。魂を喰らう相手にはふさわしいかもしれませんね」
……そのまま餓死させてやるよ、と。
相手の生命力を奪う効果を狙うべく死の大地を蹴る彼に合わせ、詩織も発動させる。
「……では私は赤い月の光で溶かしてあげましょう」
刹那戦場に放たれるは、熱を伴わない赤い月光。
『! 何
……!?』
極月煌光の輝きが魂喰の鬼を包み溶かし尽くさんと衝撃を与え続けるべく、赤き光を迸らせる中。
纏った闇のオーラで身を守りつつ白夜が振るうは、学生時代にも使っていた、より赤に染まった三日月の刃。
詩織と連携をはかり、握る大鎌で斬撃波を放ち、貫くような斬撃を蓮華姫へとお見舞いして。
『ぐ、餌の分際で! 大人しく魂を喰われるのじゃ……くっ!』
白夜の攻撃と合わせ、継続ダメージによる駄目押しをという詩織の狙い通り、表情を歪める魂喰の鬼。
だが勿論、魂や生命力への渇望を満たさんと、敵が襲ってくることはわかっているし。
その攻撃手段だって、予め聞いているから把握済であるのだけれど。
(「物質透過能力があっても、実体のないオーラや霊ならどうでしょうね?」)
物質透過能を得て、連続攻撃を仕掛けてくる敵の攻撃に備えて。
オーラ防御や霊的防護でなんとか耐えられれば……なんて身構える詩織であったのだけれど。
『妾は腹が減って仕方がないのじゃ! 魂を、喰わせろ!』
瞬間、己を狙い向けられたはずの衝撃は、何故か無くて。
顔を上げれば耳に届くのは、白夜の声。
「お前の相手は俺だぜ?」
そして詩織は瞳を瞬かせつつも気付くのだった。
(「姿見えないけど、もしかして今かばってくれた
……?」)
闇のオーラに覆われたその姿こそ、見えないけれど――自分の前で繰り出される、赤き三日月の閃きを目にすれば。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
フリル・インレアン
ふええ、夢の続きが見られるなら、それはいいことなのですが食べられるのはごめんです。
ふえ?アヒルさんどうしたんですか?
ふええ!?これは突きがいがあるお餅って、まだ夢を見ているんですか?
私のほっぺたはクッションでもお餅でもありません。
いつまでも寝ぼけてるのは一体どっちなんですか。
そうこうしているうちに妖さんも強化されてしまいましたし、お洗濯の魔法で、その強化効果とアヒルさんの幻覚を落としてしまいましょう。
妖艶に咲いて惑わす牡丹がみせていた風景は。
フリル・インレアン(大きな
帽子の物語はまだ終わらない・f19557)にとっては、お菓子尽くしな極楽……というよりは、その幻影のせいで色々と痛い思いをしたと言ったほうが正しい気がしないでもないのだけれど。
『今からでも再び極楽を見るか? その間に、妾がそなたらの魂を喰ろうてやるのじゃ』
幻が解け、眼前に現れた横柄な態度の鬼――『魂喰の蓮華姫』の言葉を聞けば、大きな帽子をぐっと改めて深くかぶりつつ。
「ふええ、夢の続きが見られるなら、それはいいことなのですが食べられるのはごめんです」
ふるふると首を横に振る、フリルであったのだけれど。
ふと隣を見遣れば、つぶらな赤の瞳をぱちくり。
「ふえ? アヒルさんどうしたんですか?」
何だかちょっぴり様子がおかしいアヒルさんに気づいて。
そして、アヒルさんの視線が自分へと向けられたと思った、瞬間。
張り切ってアヒルさんが始めんとするその行動に、フリルは思わず声をあげてしまう。
「ふええ!? これは突きがいがあるお餅って、まだ夢を見ているんですか?」
……私のほっぺたはクッションでもお餅でもありません、と。
自分のほっぺでぺったんつんつん、餅つきをしようとするアヒルさんに。
そして、何を寝ぼけているんだ? みたいな目を向けられれば、その理不尽につっこまずにはいられないし。
「いつまでも寝ぼけてるのは一体どっちなんですか」
『餅よりも魂を喰わせるのじゃ! 妾は腹が減っておるのじゃ!』
「そうこうしているうちに妖さんも強化されてしまったじゃないですか!」
瞬間、魂喰の本質と共に暴食衝動を解放した蓮華姫。
だが、お餅と間違えられたほっぺも、もちろん魂も、喰われるわけにはいかないから。
……お洗濯の魔法で、その強化効果とアヒルさんの幻覚を落としてしまいましょう、と。
「じっとしていてくださいね。ぽんぽんぽんっと、はい、これで大丈夫です」
『……? ぎゃっ!?』
しつこい汚れと強化効果を洗い流すべく、お洗濯……!?
どんな頑固汚れや効果をもはたき落とす連撃で、魂喰の鬼さんを綺麗にしてあげます!
大成功
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弓落・高寿
おう、のこのこ出てくるとはそちらこそ愚か者よ、その言葉そっくり返してやるぜ。
しかし二人を送り届ける道中に妖も始末出来る、おそらくはここいら一体も平穏が訪れる。我が鬱憤も晴らせるとはいい事づくめに僥倖極まれり。
という訳でさっさと退治されるがよい。
しかし妖とはいえ空腹は辛かろう。どれひとつ珍味でもご馳走してやる。と、術を発動…ほら、勝手に口の中へ飛び込んでくれる活きの良い触手だぞ!
冗談はさておき、やつの気を逸らすくらいにはなるだろう、そこを太刀にて死角からアンブッシュ…厄介そうな爪やら武器を切断し、叩き割ってやる。その後どこまでやってくれるか、姫とやら、大口叩いてんだからすぐくたばる訳ねえよな?
ずらりとあれほど並んでいた
古今東西の甘味も、結局は全て幻であった上に。
食欲の方が、その他思い当っていた色々よりも極楽の光景として現れたことに対する、なんとも複雑な思い。
そんな、今日も行き場のない気持ちを抱く弓落・高寿(平安京異邦人・f44072)であるが。
『飛んで火にいる虫けらの如き餌、愚かな者どもよのう……大人しく妾に早う魂を喰らわれるのじゃ!』
「おう、のこのこ出てくるとはそちらこそ愚か者よ、その言葉そっくり返してやるぜ」
眼前に現れたのは、お誂え向きの八つ当たり相手――妖の群れの首領『魂喰の蓮華姫』。
それから、ちらりち横目で見遣れば、取り巻きの妖の相手を請け負い、叩き伏せていく眞由璃と廉貞の姿。
色々と複雑な気持ちになる出来事も起こってはいるものの。
「しかし二人を送り届ける道中に妖も始末出来る、おそらくはここいら一体も平穏が訪れる。我が鬱憤も晴らせるとは」
……いい事づくめに僥倖極まれり、と。
ひとつ大きくこくりと頷けば、魂を喰らうどころか仲間の攻撃を浴びてヒステリックになっている鬼姫とやらに、視線を移し紡いで。
「という訳でさっさと退治されるがよい」
『は、そなたらこそ、さっさと魂を喰われるがよい! 妾は腹が減って仕方ないのじゃ!』
そうふてぶてしい態度で返してくる蓮華姫を見れば。
「しかし妖とはいえ空腹は辛かろう。どれひとつ珍味でもご馳走してやる」
腹が減って仕方がないという鬼に、高寿は存分に喰らわせてやる。
……じゃあ、あとはよろしく、と。
『!? 何じゃこれは……ふぐっ!?』
術を発動させ、異次元の隙間から喚んだ、歓喜に咽ぶ悍ましき
触手を。
「……ほら、勝手に口の中へ飛び込んでくれる活きの良い触手だぞ!」
不可思議な術で、たっぷり味合わせてあげます!?
ということで、冗談はさておき……なんて、改めて妖を見遣ってから。
(「やつの気を逸らすくらいにはなるだろう」)
悍ましき
触手に気を取られている鬼へと目掛けて。
『く、面妖な触手め……、ッ!』
一気に距離を詰めて抜き放つは、邪を祓い、断ち斬る太刀。
死角からの伏撃をもって、
夕月夜暁闇剣たる神器で狙い閃かせる。
(「……厄介そうな爪やら武器を切断し、叩き割ってやる」)
『ガッ!! この……っ!』
そして繰り出された斬撃に得物を台無しにされ、忌々し気に視線を向けてくる鬼に。
高寿は、その後どこまでやってくれるか、と首を傾けてみせながら。
「姫とやら、大口叩いてんだからすぐくたばる訳ねえよな?」
『なっ、ぐ……餌の分際で……ッ』
眼前の悪食な姫とやらを煽りつつ、本物の
姫さまの力で鬼退治を。
大成功
🔵🔵🔵
白矢羽・尭暁
鬼、か
間違いなく祓わねばならぬ相手
お二人が取り巻きの相手をしてくださるなら、こちらもやるべきことを成すだけだね
疾く、倒してしまおう
命を啜らねばならぬとは難儀だな
今までどれほど――考えても戻るものではないか
けれど、君に与えるものは僕にはないのだよ
僕のすべては僕のためにあるのだから――妖にくれてやるものなどない
いや、あるか
終わりだけは与えられるね
怪我を負えば心配されてしまうから気を付けはするが
傷を負ったしまったなら、その時はお小言と共に治療されよう
けど、かすり傷程度でもお小言を貰うのはなぁ
我血、ほどほどにね
その飢えごと、斬ってしまおう
お二人を早く送る為にも、此処に居られては困るのだから
現れたこの妖はこれまでも、こうやって待ち伏せしては人々を惑わせ、飢えを凌ぎ腹を満たしてきたのだろう。
そしてまた、白矢羽・尭暁(金烏・f42890)も。
「……鬼、か」
皇族として民を守るため、同じような鬼を斬ってきた。
だから、尭暁にはわかるのだ――間違いなく祓わねばならぬ相手、と。
それに目を向ければ、先の戦争でも手を貸してくれて、今も配下の排除を請け負ってくれる二人の姿。
この世界に居られては困るということもあるが、今は協力関係にあるのだから。
「お二人が取り巻きの相手をしてくださるなら、こちらもやるべきことを成すだけだね」
周囲に蠢く有象無象は眞由璃と廉貞に任せて。
眼前のたまくらひ――『魂喰の蓮華姫』に意識を集中させつつも、やはり思ってしまう。
「命を啜らねばならぬとは難儀だな」
今までどれほど――と。
だが、ふるりと小さく一度だけ首を横に振って愛刀を握る。考えても戻るものではないか、と。
そして、これまで仲間がつけた傷によろめきつつも尚、魂を喰らわんとしてくる妖へと尭暁は告げる。
「けれど、君に与えるものは僕にはないのだよ」
『く、美味しそうな魂じゃのう! 妾に早う魂を喰らわせるのじゃ……!』
「僕のすべては僕のためにあるのだから」
――妖にくれてやるものなどない、と。
だがすぐにふと……いや、あるか、なんて、金の瞳を細めてみせる。
「終わりだけは与えられるね」
『腹が減って堪らぬのじゃ! 早う、早う喰わせろ!!』
そして、飢えも限界に近い様子の魂喰が、その鋭き爪や牙を振るわんとするのを迎えうちながらも。
怪我を負えばきっと心配されてしまうから、気を付けはするがと立ち回りつつ。
傷を負ったしまったなら、その時はお小言と共に治療されよう、と思うも。
もしも傷を負って帰った際の従者の反応は容易に想像できる。
「けど、かすり傷程度でもお小言を貰うのはなぁ」
どうとでもない程度の浅い傷でさえも、小言を言いながら過保護するだろうことを。
そんな小言や過保護も、尭暁にとっては密かに嬉しいことではあるのだけれど。
でも、あまり彼に心配させてしまうのは本意ではないから。
「我血、ほどほどにね」
『もう我慢できぬ! 今すぐそなたの美味しそうな魂を……、ッ!?』
「その身は斬らぬよ、汚れたくないからね」
――その飢えごと、斬ってしまおう、って。
己の神聖たる皇族の血を飲ませれば猛る刃をもって、尭暁は暴食の鬼を叩き斬る。
『!! ガッ、ハアッ!』
……お二人を早く送る為にも、此処に居られては困るのだから、と。
立ち塞がる妖どもを全て祓い――目指す越前国への道を今、切り開くのだった。
大成功
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