幻朧桜の咲く大地
●アヤカシエンパイア
妖に滅ぼされた死の大地を「平安結界」で覆い隠す事によって存在する世界アヤカシエンパイア。
この世界の一般的な庶民はこの事実を知らず、それどころか妖の存在自体認知していない。
しかし、妖の災禍は結界を擦り抜けて庶民を襲う。時折生じる結界の裂け目から溢れ出した妖はその多くを貴族や武者により討滅されるものの、それが間に合わなかった場合、容易く村落を滅ぼす。
そんな滅ぼされた村落の生き残りは「放浪者」となる。
薄氷の上に存在しているこの世界には実のところ放浪者は多い。
放浪者達は生きる為に生きて行けそうな場所を目指す。
多くは首府である平安京を目指すが、別に信念を持って目指す訳ではない。
何となく都会であれば生活できるのではという微かな希望の為だ。
だから、安全に暮らせる場所が他にあればそこでも全く問題はない。
放浪者のネットワークの様なものに安全そうな場所、受け入れてくれそうな村落や荘園の情報が出回っており、その一つに摂津国の久我荘園があった。
あちらこちらに盗賊団(その多くは妖だが庶民の認知では盗賊である)が跳梁跋扈する世界においてこれらを精力的に討滅する武士団(実際には平安貴族が主力であるがそう思われない方が平安結界の維持に都合がいい為に真実は伏せられている)を抱えている。その上に取り立てて税が安い訳ではないが治安は良く放浪者を受け入れているということだ。
この為に久我荘園は急速に人口を増していた。
「人が増えるのは嬉しいですけど、そろそろ限界ですね」
「うむ、食糧がな」
久我荘園を治める領主久我雅隆とその後見人である皇族山原達義の会話である。
平安歌人を擁する土地は和歌により平穏な気候、豊潤な実りを手に入れられる為に不作、凶作となる事は稀だ。
この為に安定的な食糧が生産される。とは言え耕地には限界があり、それにより養える人数にも限りがある。
古代から中世に向かう文明レベルのこの世界において人の数はすなわち国力である。
人口が多い方が好ましいが食糧がなければ本末転倒。食糧を奪い合い、治安は悪化して国力も落ちる。
「ですが、寄る辺なき民を護るのも平安貴族たる私達の責務です」
「暁子の言う通りではあるね」
「むむむ――」
荘園の所有権を持つ雅隆の双子の妹、暁子が責務を口にすれば雅隆も同意して頷く。
達義も異議はないが実現する為の困難を考えれば即座に同意できない。
別に暁子も理想論を押し通すつもりはない。目指すべき方向性を確認しただけだ。
問題は食糧。
人手は多いくらいなので後は耕地面積を広げる事が出来れば良いが死の大地と隣り合わせの世界である。
「平安結界」を広げるのが王道。しかし、その為には優秀な陰陽師が団体で必要である。
引く手あまたの彼等を招致するのには時間も金も掛かるが、それしかないのならばするしかないだろう。
久我荘園の最高意思決定会議とも言える三人の会話はそういう結論で終わった。
その数日後にふらふらと荘園を離れ、それどころか「平安結界」の外側にまで向かう達義の姿が見られた。
●
「因果関係は不明だが――」
赤髪赤眼の龍人、グリモア猟兵のアッティラが告げる。
アヤカシエンパイアは摂津国の久我荘園。
その近郊にある平安結界の外側である滅びの大地に何故か幻朧桜が生えているという。
そしてこの幻朧桜、どうも皇族、今回は山原達義を自身の許へと誘っている様なのだという。
達義はふらふらと半分無意識にその誘いに乗るのだが、彼が幻朧桜に触れた瞬間に皇族の血が暴走する。
「幻朧帝を封印していた幻朧桜に触れた
皇族の血が暴走。
何らかの関連がある様な気もするが今はそれを考えても答えはでないだろう」
重要なのは暴走の結果、達義は自分自身の皇族特有の「妖滅の血」により前後不覚となり、それと同時に周囲に新たな「平安結界」が発生して「平安時代の風景」で覆ってしまうという事だ。
それだけなら良いのだが、直前まで滅びの大地であった周囲には当然に妖の群れが存在する。
放置すれば無防備な達義が妖に殺害される事は避けられない。それを防いで欲しいといのが今回の依頼だ。
「戦場一帯、
達義の周囲には微細な血の飛沫が舞い飛んでいるようだ」
皇族の血、これが何を意味するかというと近付く者を無差別に「妖滅の血」の効果に巻き込むということだ。
効果とは血に触れた者をそれを除去するまで全ての知覚が大量の神仏の幻影で埋め尽くされる、である。
戦いどころではない。まあ、それは当然、妖にも適応されており、幻影に囚われた敵は遮二無二暴れている。
技術という意味では赤子に等しくなっていると言えるが無分別に暴れているのは厄介と言えば厄介だろう。
特に守るべき対象がいる時は。
混乱した現場と言えるが妖を滅して達義の回復を待てば「平安結界」が広がったという事実だけが残る。
それは安全な領域の拡張を意味しており、あの世界にとっては慶事であろう。
「それでは転移を開始する」
説明を聞き終え、希望した猟兵達が妖が跋扈し、幻朧桜が待つ世界へと旅立っていく。
淵賀
初めまして。またはお久し振りです。
今回は久しぶりにアヤカシエンパイアが舞台となります。
戦争で見飽きたかもしれない幻朧桜が何故か此処にも咲いています。
過去のシナリオの人物が登場していますが知らなくても不利益はありません。
面識のある方は当然、なくても猟兵という存在が認知されているので友好的です。
全三章構成(👾 集団戦 → 👿 ボス戦 → 🏠日常)
第一章について。
皇族のオジさんが夢遊病みたいな感じで平安結界の外に出て滅びの大地に咲く幻朧桜の下にいます。
彼は現在、前後不覚状態。戦力になりません。
彼を襲おうと無数の妖が幻朧桜に向かっており、そのタイミングで猟兵の皆さんは転移します。
戦場には微細な妖滅の血の飛沫が舞い飛んでおり、何らかの対処をしていない場合は敵味方関係なく問答無用で大量の神仏の幻影に囚われます。
プレイングボーナスは「幻影に対処する」になります。
第二章について。
妖の第二陣。カテゴリはボス戦ですが、参加者の数だけ居ると思って下さい。一人一殺がノルマです。
この段階になると異変を察知した平安貴族が駆け付けますので耐えてるだけでもOKです。
第三章について。
周囲の妖が殲滅された頃、皇族のオジさんは目を覚まします。
状況を教えてあげましょう。
以上です。
プレイングは各章全て受付開始のタグを入れてからとなります。
締切もタグにてお知らせいたします。
それではお付き合いいただければ幸いです。よろしくお願いします。
第1章 集団戦
『オニ』
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POW : 狂乱大鎚
自身が愛する【狂乱を呼び起こす大鎚】を止まる事なく使役もしくは使用し続けている限り、決して死ぬ事はない。
SPD : 大鰐の顎門
術者の血液に触れたあらゆる対象は、血液が除去されるまで、全ての知覚が【巨大な口を開いて襲いかかるワニ】で埋め尽くされる。
WIZ : 爆音轟く遊戯施設
レベルm半径内を幻の【まばゆく輝き爆音が響く遊戯施設】で包む。これは遮蔽や攻撃効果を与え、術者より知恵の低い者には破壊されない。
👑11
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●山原達義
その日も山原達義は文をしたためていた。
久我荘園の方針として「平安結界」を広げる事を目指している現在、それを成す為には多くの優秀な陰陽師が必要となる。達義は皇族という尊き血脈であり、歌人としても有名な為、交友範囲は広く人脈も豊富だ。
それを活かして方々に手紙を出し、人材招致の為に動いている。
勿論、無報酬という訳にはいかないが、その工面は領主である久我雅隆が近隣領主達の要請に応え、妖を精力的に狩る事によって作り出す予定である。
雅隆殿は無理をせねば良いが。
彼の実力は隔絶していると言って良いが戦場では何があるか分からないのだ。
先日から短期の遠征に赴いている
雅隆の事を考えている達義だったが。
「―――、―――」
「――うん?」
『何か』に呼ばれた気がした。同時に意識に靄が掛かる。
その後、『何か』の方角へと歩き始める達義の姿が見られた。
「山原様、こんにちは!」
「―――」
「あれ?」
久我荘園の町並みをふらふらと歩む達義に庶民から声が掛かるが、それを無視する様に歩み去る。
荘園の人々にとって達義は皇族ではなく久我御殿に住んでる偉い人という認識。
しかし、普段は気さくな人柄で庶民とも分け隔てなく接しており、慕われていると言って良い。
少なくとも挨拶をして無視をする様な人物ではないのだ。
ふらふらと荘園から出て行く達義を見送った庶民はそのいつもと違う様子に不安を覚える。
そして踵を返すと久我御殿に向かう。一応、御殿の方達に報告しておこうと思ったのだ。
●幻朧桜
久我荘園を出ても歩みを止めない達義は遂には「平安結界」の外側にまで出ていた。
本人にその認識はない。ともかく『何か』の許へと行かねばという意識だ。
結界外の滅びの大地を歩く中で妖に遭遇しなかったのは偶然か必然か。
会えば今の達義では抵抗する事も出来ずに殺されていただろう。
そして、『何か』である幻朧桜に辿り着く。
「――おお、何と美しい」
滅んだ大地にただ一本、儚くも美しく咲き誇る幻朧桜。
その幻想的な光景に心を奪われた達義が木のみきに触れた瞬間――
達義は意識を完全に失い、同時に皇族の血『妖滅の血』が暴走を始める。
怪我を負っている訳でもないが微細な血の飛沫が周囲に舞い散り出したのだ。
それだけではない。幻朧桜を起点に滅びの大地が平和な光景、「平安時代の風景」に塗り替えられていく。
そう新たな『平安結界』の発動であった。
●ワニオニパニック!
それは『オニ』と呼ばれる妖。
外見はどう見てもワニよりのリザードマンと言った感じだが種族は『オニ』である。
幻朧桜周辺の滅びの大地にたまたまオニの集団がいた。
「何だこりゃー!! ワニ」
「風景があっという間に変わったな。ワニ」
突然、平安結界内部に放り込まれた彼等。絶賛混乱中である。
どうでも良いが語尾に雑にワニをつけるのは安易なキャラ付けではなかろうか。
「んん、あっちにニンゲンの臭いがする。ワニ」
「確かに。ワニ」
混乱の中、人間、達義の臭いを感じ取るオニ達。彼等の性質的に人間発見即デストロイである。
「細かいことを考える前に行くぞ。ワニ!」
「人間を殺してから考えればいい。ワニ!」
達義は未だ気絶中。危機が迫る――
「ギャー、何だこりゃー!! ワニ」
「うっお、イイ大仏。ワニ」
「あっちいけ! ワニ」
近付いた結果、「妖滅の血」の効果を受け神仏の幻影に囚われるオニ達。
幻惑された中、武器である大槌を無分別に振り回す混乱した戦場に猟兵達が到着する。
========================
幻朧桜(と山原達義)の周辺でオニの集団が大槌を振り回して暴れています。
このままでは何かの拍子に達義に炸裂してしまうでしょう。そうなる前に排除してください。
なお「妖滅の血」の飛沫が戦場を舞っており、プレイングで何の対策もしていない場合はその効果が発揮されます。具体的に言うと全ての知覚が大量の神仏の幻影で埋め尽くされます。
プレイングボーナスは「幻影に対処する」になります。
登場人物:
山原 達義 45歳 男性 皇族
和歌の名手として有名な皇族。「鹿島の太刀」の使い手でもある。
平安貴族久我雅隆の後見人として久我荘園に滞在中。現在、幻朧桜の根元で気絶中。
桐藤・紫詠
余は否定しましょう――『皇族の妖滅の血が、皇族に害を齎す事』を
UCで『皇族である余が妖滅の血の効果を受ける事』を『否定』し、幻影に対処していく
そして、否定しましょう――『オニが幻影によって同族以外を攻撃する』ことを
その『否定』の言葉により、オニは幻影によって『まばゆく輝き爆音が響く遊戯施設』を展開
否定しましょう――『爆音轟く遊戯施設を余が破壊できない事』を
知恵はこちらの方が上ですからね、どうみても
そうして勝手にオニ同士が自滅し合うのを確認し、達義殿の元へと赴く
否定しましょう――『達義殿に危害が加わる』ことを
そうして、護衛していきます
●
幻朧桜が咲き誇る滅びの大地。
そこに到着した桐藤・紫詠(黄泉詩の皇族・f42817)が見た光景は何とも混沌としたものだった。
荒れ果てた大地の中で幻朧桜の周辺だけが極楽の様にも見える。
根元で蹲っているのは救護の対象である皇族、山原達義であろう。
その少し離れた周辺では強靭な肉体を持つワニ人間『オニ』が複数おり、手にした大槌をむやみに振り回していた。戦場に飛沫しているという『妖滅の血』の影響で知覚全てが神仏の幻影に埋め尽くされ、それを振り払おうとした行動と思われる。
見ていれば何もない空間を振り抜くのは良い方で近くに居る仲間に命中して吹き飛ばしている者もいる。
狂騒としか言いようのない状況。彼等だけであれば放置しても良いが徐々に幻朧桜の方に近づいている。
それは即ち桜の根元に居る山原達義の危機でもあった。
紫詠は助けなければと一歩踏み出そうとして思い留まる。
オニ達を狂わせている『妖滅の血』は自身にも有効だ。
「余は否定しましょう――『皇族の妖滅の血が、皇族に害を齎す事』を」
勿論、有効なのは何も対処しなかった場合である。紫詠には幾つか対処方法があり、その一つを行う。
【
平安詩浄土変・否定を否定する詩】。
それは指定した事象を『否定』する事象を起こす詩。陰陽師であり平安歌人でもある紫詠の事象に干渉する奇跡の業だ。今、否定されたのは妖滅の血が皇族に影響を及ぼす事。これによりこの空間では限定的に皇族への影響が否定される。
こうしておいて改めて一歩を踏み出す。狙い通り、神仏の幻影は見えない。
それを確認して再び口を開く。
「そして、否定しましょう――『オニが幻影によって同族以外を攻撃する』ことを」
オニの同族以外への攻撃を否定。
これにより幻影の神仏を攻撃できなかったオニたちは大槌を振り回す手を止めてまごつく。
まごついた結果、状況を打開しようとユーベルコード【爆音轟く遊戯施設】を発動するオニたち。
これは幻のまばゆく輝き爆音が響く遊戯施設を出現させるものだが現状ではあまり意味がない。
爆音が煩いくらいか。射程範囲内に居た紫詠の前にもその施設が現れるが――
「否定しましょう――『爆音轟く遊戯施設を余が破壊できない事』を」
障害である施設が破壊できないことを否定する。
もっとも、このユーベルコードで現れた幻の施設は
術者より知恵の低い者には破壊されないという縛りがある。紫詠の知恵はオニより上であったので否定するまでもなく破壊できただろう。
ともあれ、障害をものともせずに進み、幻朧桜、山原達義の許へと辿り着く。
「否定しましょう――『達義殿に危害が加わる』ことを」
念を入れて達義への危害を予防した紫詠は彼の傍らで目覚めるまで護衛することにする。
大成功
🔵🔵🔵
ゼロ・ブランク
えっとぉ~今は皇族オジさん大ピンチ!な状況だけど、皇族オジさんを助けさえすれば平安結界が広がってみんなハッピー♪ってことだよね?
なら!張り切って皇族オジさん助けちゃうぞ~♪
妖滅の血の飛沫に触れないように、まずは肌の露出部をスプレー塗料でカバーしちゃおう!
ちょっと滲みるけど……この塗料はよく身体にかかったりするから、これぐらい慣れっこ♪
幻朧桜に着いたら、UC使用。
UCの『ゼロの指示に逆らえない』効果を利用して、暴れている敵の動きを鎮めるよ!
「
患者さんたち、じっとしないとダメだよぉ~!!」
こうして弱体化した敵を、【ラビット・ノコギリ】で1体ずつ確実に倒していくねぇ♪
●
筋骨隆々としたワニ人間とも言える妖『オニ』の集団が暴れているのが見える。
直撃すれば常人ならば一撃で致命傷を負わせるであろう大槌を狂った様に振り回しているのは戦場に飛沫する『妖滅の血』の影響で神仏の幻影に囚われている為であろう。
「うわぁ」
ちょっと引いた感じの声を出したのはゼロ・ブランク(スリーオーブラック・f42919)。
まあ、カオスな空間である。引きながらも状況を整理する。
『オニ』達の暴れる先に幻朧桜が見える。その根元に蹲っている男性が皇族のオジさん、山原達義であろう。
オニは無分別に暴れているのでいつ、そちらの方向に行くか分からない。オジさん大ピンチである。
しかし、周りを見回せば平和な光景が広がっている。
本来の此処は滅びの大地、地獄のような場所なのだが幻朧桜を起点に『平安結界』が広がった為だと聞く。
つまり、オニを排除してオジさんを助ける事が出来れば、『平安結界』が広がってみんなハッピー♪ってことだよね、とゼロは考える。それはその通りである。
「なら! 張り切って皇族オジさん助けちゃうぞ~♪」
やる気十分のゼロ。まずはオニ達が囚われている『妖滅の血』に自分も囚われない様に『うさぎ印のスプレー缶』を取り出す。ゼロの気分次第で様々な色の出る謎のスプレー缶だ。なお浴びるとまあまあ痛い。
しかし、神仏の幻影に知覚全てを埋め尽くされるよりはマシと肌の露出部に塗料をふりかけて行く。
防水コーティングの様なものだ。
「うっ」
肌が刺激され滲みるが、普段からよく掛かってもいるので慣れっこでもある。
『妖滅の血』への対策をしたゼロは暴れるオニ達を擦り抜けて幻朧桜の許へと無事に辿り着く。
皇族オジさんこと山原達義を背に庇って発動するは【
ゼロス・テンポラリー・クリニック】。
スプレー塗料が勢いよく周囲に降りかかり染まった場所をゼロの臨時診療所とするユーベルコードだ。
受診中の医師の指示に逆らえない様にこの範囲内に居る者達は
ゼロの指示には逆らえない。
また、ゼロが所有する『ラビット・ノコギリ』以外の攻撃手段を弱体化させる権能もある。
「
患者さんたち、じっとしないとダメだよぉ~!!」
まずは大きな声で勧告。身動きを取れずして楽々に撃破しようという目論見だ。しかし。
「あれ??」
オニたちがじっとしない。何故、と考えてすぐに思い至る。
現在、ワニたちの知覚は神仏に埋め尽くされている。ゼロの声が届いていないのだ。
「仕方ないなぁ」
『
ラビット・ノコギリ』を構えて僅かに歎息するとオニたちに向かって歩いて行く。
動きを止められないのは予想外だが弱体化していることに変わりはない。
暴れているのは厄介だが連携している訳でもない。十分に対処は可能。ゼロは一体ずつ確実に倒していくのであった。
大成功
🔵🔵🔵
寿乃葉・アタラ
坂東に戻っていた私だけど、久我荘園の噂は都の伝手経由でチラホラと
久我殿が覚えていたなら、坂東武者の渡りを付けに連絡がきているかも?
いずれにせよ、今は拙速が大事
出撃するわ、大庭開け!
方針:機甲式神で防衛対応する
〔桜刃武者〕に搭乗し〔鳳啼朱雀〕の空輸で現着
上空から山原様の無事を確認したら作戦開始!
【指定UC】で呼んだ瑞獣・青龍の式は上空待機させ、桜刃武者で投下着地!
妖滅の血が機甲にも効いたとしても、操縦室には届かない
冷静に、もにたー情報と照らし合わせ――
青龍、いま!
上空から高圧水流を機甲に浴びせ、視界を取り戻す
敵の血も同様に洗い流しつつ薙ぎ払い、山原様の壁となる
これよりは、この機甲が守護を承った!
●
皇族の寿乃葉・アタラ(言売ことうりの式神使い ~機甲式神操者~・f43106)。坂東で活躍している彼女は庶民からは「お
言様」、武士からは「機甲殿」と呼ばれて慕われる、或いは頼られる存在である。
そんな彼女が畿内摂津国の案件に関わろうと思ったのは知った名前を聞いたからだ。
久我荘園、その領主である久我雅隆はとある事件で面識がある。
また同じ事件で知り合った友人からの伝手で伸張著しい久我荘園の情報も得ていた。
まあ、これは友人の夫が気にかけているからこそ得られた情報の様であったが。
そんな感じでアタラとしては何となく他人事ではない様な気分があったのだ。
さて、
機甲式神と言うものがある。式神の一種であるがその外観は平安世界ナイズされた巨大ロボ。
アタラが新たに編み出した式神術だ。
その一つが空を自在に翔ける鳳型機甲式神『鳳啼朱雀』。彼女は今、その鳳啼朱雀に自らが搭乗している武者型機甲式神『桜刃武者』を運ばせて天空から現場を目指していた。
なお、彼女が機甲殿と呼ばれるのはこの桜刃武者を駆って坂東で活躍しているからに他ならない。
「見えた。あれは確かに幻朧桜!」
地上に幻朧桜とその周囲で暴れているオニの群れが見える。
オニと幻朧桜の間にはまだ僅かな距離があるが、何分オニは絶賛混乱中だ。予断を許さない。
アタラは言霊を紡いで【開帳・式神御殿の
従者たち】を発動させる。
幻獣や護法童女、護法女房といった様々な式神を召喚可能なこの業で今回呼び出されたのは瑞獣青龍。
四神の一角である竜神を模した式神だ。その権能もそれ由来のもの。
アタラは召喚した青龍に上空での大気を命じると軽やかに降下する。
ズシンと重量級の地響きと共に着地する『桜刃武者』。
戦場に飛沫する『妖滅の血』の効果はアタラの予想通り、機甲式神の内部までは影響していない。
ただ、『桜刃武者』には効いている。
操縦席で確認できる情報では周囲は神仏で埋め尽くされていることになっている。
アタラ自身に効いていなくてもこれでは戦闘どころではない。
だが、この状況は想定の範囲内であった。その為の青龍召喚である。
「青龍、いま!」
アタラの指示に従い天から機甲式神のみを狙い撃ちした高圧水流が降り注ぐ。
機体に纏わりついた血が除去され『もにたー情報』が正常のものとなる。
「これよりは、この機甲が守護を承った!」
その後は縦横無尽の活躍だ。幻朧桜、その根元に居る山原達義に近づきつつあるオニから順に薙ぎ払って行く。
東国の妖達に怖れられる機甲殿の活躍をこの畿内でも見せつけるアタラであった。
大成功
🔵🔵🔵

天光慈・暁凪
幻朧桜…先の大戦が終戦したばかりというのに、一難去ってまた一難とはこういうことでしょうか?
山原殿が心配です。急いでこのオニどもを一掃しなければ。
“寵姫の瞳”で空や周り一帯を見つめ、金飾る暁の扇子を扇ぎましょう。
ああ、わたくしに無暗に近づかないで?
暴走するオニもなるべく集め、そして吹き去る風が辺りの血も攫い共に扇子の指す方角…オニの集まる方へ。
せっかくです…密集したその場所に落雷でも落ち足止めになればよのですが。
護りや追撃は【霊的防護】をまとった久遠に曙光ノ霊血刀で頼みましょう。
久遠、頼りにしてますね。
もしご一緒する事があれば、あとは他の方達の後方支援をさせてもらいましょう。
・連携アドリブ◎
●
卯の花色の鱗を持つ龍を伴った少女が幻朧桜の許へと急いでいた。
少女の名前は天光慈・暁凪(麗しき夜明け・f44498)。
まだ幼いながらも絶世の美女になることが確信を持って予想できる容貌をした皇族の姫君だ。
伴う龍の名は久遠。まだ弱き頃から暁凪と絆を結び、その親愛と霊力により強壮な存在となった龍神である。
「幻朧桜……先の大戦が終戦したばかりというのに、一難去ってまた一難とはこういうことでしょうか?」
暁凪自身も参戦した幻朧帝イティハーサを葬り去った帝都櫻大戰の記憶はまだ新しい。
サクラミラージュに端を発した戦いは暁凪の故郷であるここアヤカシエンパイアにも危機を齎したものだ。
彼女や他の猟兵、異世界からの協力者の力で無事に退ける事が出来たところで今回の一件である。
まさに一難去ってまた一難と言えるだろう。ともあれ――
「山原殿が心配です。急いでこのオニどもを一掃しなければ」
暁凪の強い意思に彼女に従う久遠が同意を表する。現場へと到着して見れば成程、混沌とした状況であった。
オニ達は錯乱した様に暴れている。
それは辺りに飛沫する『妖滅の血』の影響であり、これ以上近付けば暁凪もその血の効果に囚われるだろう。
それを防ぐ為に彼女は周辺一帯の地形や空を見つめる。
森羅万象の全てを魅了して篭絡するという妖しく輝く【寵姫の瞳】を以て。
やがて暁凪は手ごたえを感じる。今、周囲一帯の自然は味方だ。
風は『妖滅の血』が彼女に触れぬ様に流れ、オニの方に集まって行く。
暁凪はそこに更に天候すら操る『金飾る暁の扇子』を取り出して扇ぐ。
すると彼女の意思に呼応して急速に暗雲が立ち込め――落雷。狙った様に混乱するオニたちに直撃する。
混乱の上に混乱が深まるオニたちだ。攻め時であろう。
「久遠、頼りにしてますね」
信頼の声を掛ければ久遠からは承知の意思が返ってくる。
暁凪の傍を離れオニの集団に向かう久遠。その後に見られたのは猛き龍神による妖の蹂躙劇であった。
大成功
🔵🔵🔵
神城・星羅
【星月の絆】で参加
サクラミラージュに幻朧桜が残っている以上、アヤカシエンパイアの皇族の方にも禍は相変わらず危険は及びますか。本当に朔兎様は特異な皇族だとわかりますね。サクラミラージュもまだまだおさまってませんし。
導きの使いを発動。90個と投擲武器、65個を幻影体に!!狛犬と狼を皇族の方の【護衛】に回し、妖滅の血の影響は【回復力】【結界術】で影響を軽減します。
下がった力は【限界突破】で補います。【残像】【幻影使い】で敵の攻撃に当たらないよう気をつけつつ、【全力魔法】【高速詠唱】で投擲武器と共に【音響弾】を撃ちます!!
久我様との縁もございます。達義様、御身、守らせてください。
源・朔兎
【星月の絆】で参加
馴染みがある久我殿の領地の危機となれば。アヤカシエンパイアとサクラミラージュは同時に大事な故郷である為、この事態には複雑な気持ちだが、達義殿、若輩ながら同じ皇族として助太刀する!!
妖滅の血の影響は【結界術】【回復力】でなんとかしたい。俺たち皇族が利用されてるようで気分悪いぜ、全く。式神2体を達義殿の【護衛】に回し、大槌攻撃に対応する。
【残像】【迷彩】【心眼】【幻影使い】で致命傷を避けながら、【限界っ突破】の彩光の輝き!!一気に祓う!!
考えることがあれど、皇族の人生の大いなる先輩が危機なんだ!!足を留めてられるか!!
●
幻朧桜が咲き誇る戦場に二人の年若い男女が辿り着く。
神城・星羅(黎明の希望・f42858)と源・朔兎(既望の彩光・f43270)である。
「馴染みがある久我殿の領地の危機となれば」
この依頼を聞いた時、朔兎はこう言って積極的に受ける事にした。
彼が言う通り、以前の妖絡みの事件で久我雅隆とは知り合いとなっている。
雅隆は朔兎と同じ様に武術の才人であった為に親近感を覚えていたのだ。
また朔兎にとってアヤカシエンパイアとサクラミラージュは二つとも大事な故郷と言える。
そして幻朧桜と言えばサクラミラージュの象徴だ。その象徴がアヤカシエンパイアで変事を巻き起こしたとなれば知った以上は解決に乗り出すのは朔兎にとっては当然の事であった。
朔兎と行動を共にする星羅もまたアヤカシエンパイアの出身。
朔兎と同じ事件で雅隆と知り合っているし、何より朔兎が行くと言えば星羅に否はなかった。
「サクラミラージュに幻朧桜が残っている以上、アヤカシエンパイアの皇族の方にも禍は相変わらず危険は及びますか」
「俺たち皇族が利用されてるようで気分悪いぜ、全く」
今回の件、どう考えても幻朧桜が皇族である山原達義を誘った様に思える。
サクラミラージュの皇族とアヤカシエンパイアの皇族。
何か関係があるのかとやはり皇族である朔兎を見ながら星羅が呟けば、朔兎は単純に憤慨して見せる。
そんな彼の真っ直ぐな様子に星羅の顔がほころぶがいつまでも見つめている訳には行かない。
二人はオニを退治して達義を保護する為に来たのだ。
まずは戦場に飛沫する『妖滅の血』への対策である。
星羅はその結界術で朔兎と自身の周囲に無形の結界を生じさせる。
結界自体に修復能力も持たせて何とかこれで血の効果を防ぎたいところだ。
次いで重要なのは意識を失っている皇族山原達義の保護である。
「久我様との縁もございます。達義様、御身、守らせてください」
そう言って星羅は式神の狼と狛犬を朔兎も狛犬と人型の式神をそれぞれ達義の護衛へと回す。
オニたちは幻影に囚われており、積極的に達義を狙う事は出来ない為に守りはこれで十分であろう。
達義の安全を確保してしまえば後はオニを殲滅するだけだ。
星羅が【導きの使い】で156体もの白虎を召喚したと思えば次の瞬間には投擲武器と幻影体へとその姿を変える。
幻影体にはオニが【大鰐の顎門】により放つ『オニの血』への囮とし、その隙を縫って投擲武器をオニに投じて行く。音律の陰陽師である星羅らしく音で強化した音響弾としてだ。これは強力な遠距離攻撃である。
距離を開けての攻撃を得意とする星羅。その一方の朔兎は接近戦を得意とする。
二振りの剣を両手に掲げて発動するは【
彩光の輝き】。
双剣に宿る月の光を解き放って、オニの行動を阻害すると一気に間合いを詰めて斬!
大槌を振るう腕を切り落とす。
これは【狂乱大鎚】の権能で大槌を振るっている間は不死となっているオニを殺せる存在とする為だ。
双剣の片方で腕を切り飛ばして不死を解除した次の瞬間には、もう片方の剣で首を狩り落とす。
流れる様な退魔の業。
しかし、オニを一体斃した程度では朔兎の脚は止まらない。
「皇族の人生の大いなる先輩が危機なんだ!!足を留めてられるか!!」
その宣言通り、脚を止める事無く次々とオニを斬り祓って行く。
朔兎と星羅、二人の息の合った遠近の猛攻に妖は瞬時に数を減らしていくのであった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ウルリック・イーゴン
(因果関係は見当もつかないが…幻朧桜は
皇帝を求めると言う事か?)
今すべきは考察を遊ばせる事では無く人命救助です
因果は後から調べれば良い事です
【ブラッド・ガイスト】を起動し、全ての装備武器を殺戮捕食形態へ
俺自身も【リミッター解除】し【限界突破】した【第六感】で敵の動きを【見切り】攻防に活用
視覚に頼らず立ち回り幻影に対抗します
【忍び足】で【目立たない】様に接敵
【武器落とし】で不死化を解き、【急所を見抜く】事で速攻戦を仕掛けます
山原達義の場所を正確に把握している場合のみStingerにて【誘導弾】を放ち【範囲攻撃】
敵の攻撃は【グラップル】技術と殺戮刃物で【受け流し】つつ【切断】
●
猟兵が幻朧桜と聞けばサクラミラージュを思い浮かべるだろう。
つい最近行われた帝都櫻大戰において幻朧桜は幻朧帝イティハーサを封じていたものと判明した。
そして、あの世界における皇族は密かに『幻朧封じの儀』を行って幻朧帝の封印を維持していたらしい。
当然、アヤカシエンパイアの皇族とあの世界の皇族が直接関わり合いがあるとは思えない。
しかし、今回の一件、明らかに幻朧桜はこの世界の皇族を誘っている。
因果関係は見当もつかないが……幻朧桜は
皇帝を求めると言う事か?
そんな考えがウルリック・イーゴン(Volker・f27829)の頭を過ぎる。
そのまま考察を深めようとして、彼は頭を振る。今すべきは考察を遊ばせる事では無く人命救助であるからだ。
考えるのはこの一件を無事に解決させてからでよい。
オニたちが錯乱する戦場に足を踏み入れる。
既に【ブラッド・ガイスト】は発動済みであり、ウルリックの全装備は殺戮捕食形態へと変じている。
「これは――思った以上ですね」
スルスルと静かに気配を感じさせない足取りでオニに近づくが、途中で突如、視界が神仏の幻影に埋め尽くされる。
視界だけではない。凡そあらゆる知覚、五感の全てが神仏の存在を訴えかけてくる。
予想以上の現実感だ。オニたちが混乱するのもよく分かる。
しかし、ウルリックの足は止まらない。
目を瞑っても他の五感から存在を訴えかけてくる神仏。であるならば頼るべきは第六感だ。
人造吸血鬼の肉体。その制限を解除して五感を閉ざし第六感を研ぎ澄ませる。
第六感頼りの動き。それは外側から見れば何不自由ない動きにみえた。
オニたちは【狂乱大鎚】の権能で大鎚を振るう間は不死である。
この為にまずウルリックが狙うのはオニの腕を狙う。
腕の腱をサクリと殺戮刃物で切り裂けば大鎚を持ち続ける事は出来ない。
そして、大鎚を取り落とせば不死は解除される。流水の動きでそのまま急所を切り裂く。
鮮血を撒き散らして倒れ伏すオニ。倒れた時には絶命している。
ウルリックはそのまま全く足を止めず、流れる様な動きで混乱して暴れるオニたちの間を擦り抜け――
彼が擦り抜けた後、オニたちは次々と倒れて行くのであった。
大成功
🔵🔵🔵
バルタン・ノーヴェ
アドリブ連携歓迎
雅隆殿と暁子殿は以前に面識がありマスネー。
OK!
達義殿の救助に参戦しマース!
ドーモ、ワニのエブリワン!
人間を殺したいデスカ?
なるほど、ならば仕方ないデスネー!
貴殿等をジェノサイドであります!
妖滅の血飛沫にワタシも幻惑されるというのであれば、触れないように対処しマース!
「六式武装展開、風の番!」
見えざる風の手で我が身をカバー!
触れずとも視覚的に収まったら囚われるパターンなら、風に触れなければ幻影、触れれば実体だと判別が効くというサブプランデース!
そしてオニたちの愛する狂乱大槌を掴んでポイッと没収すれば!
不死効果もなくなりマスネ!
さすれば後は重火器の出番! 内蔵式武装でヒャッハー!
●
「ドーモ、ワニのエブリワン! 人間を殺したいデスカ?」
幻朧桜のほど近くで狂乱状態で暴れているオニたち。
そんな彼等にバルタン・ノーヴェ(雇われバトルサイボーグメイド・f30809)が語り掛ける。
彼女は今回の舞台となっている久我荘園に縁があり、雅隆や暁子とも面識がある。それもあっての参戦だ。
そして、バルタンに声を掛けられたオニたちだが。
「ウオォォ、あっち行け! ワニ」
「こいつ等、オレッちの大鎚が効いてねえ! ワニ」
どうも聞こえていない様子だ。完全に『妖滅の血』に囚われて幻影の神仏を振り払おうと戦っている様である。
それでも耳を澄ましてみれば。
「クッソ、さっさとニンゲンを殺してえ! ワニ」
「これはニンゲンの仕業か? ぶっ殺してやる! ワニ」
などと物騒な声も聞こえて来る。これにはバルタンもにっこり。
手加減する理由がなくなる。まあ、最初から
殲滅するつもりであったが。
「なるほど、ならば仕方ないデスネー! 貴殿等をジェノサイドであります!」
さて、この場にはオニたちを見れば分かる様に『妖滅の血』が絶えず飛沫している。
それが付着すれば知覚全てを幻影の神仏に埋め尽くされる。
視覚が埋め尽くされるは想像できるが他の感覚がどうなっているのかは想像も難しい状況だ。
ちょっと興味があるバルタンだが、流石に今の状況で試す訳にもいかないので当然対処していた。
「妖滅の血飛沫にワタシも幻惑されるというのであれば、触れないように対処しマース!」
【
告風楼】。圧縮された空気で作られた手を操るユーベルコード。
現在、その見えざる手で自身を掴む様にして覆っている。
言わば空気の鎧。これにより『妖滅の血』が付着する事を防いでいた。
一応、サブプランも用意していたが今のところ完全に防げている為に出番はないようだ。
しかし、保険を考えている当たりバルタンが歴戦の戦士である事が窺えるだろう。
ともあれ、妖滅の血に囚われているオニたちと自由なバルタン。この時点で勝敗は決したようなものだ。
【狂乱大鎚】の権能により大鎚を振るっている間は不死のオニたち。
逆に言えば大鎚を取り上げてしまえば良いという事である。
暴れている彼等に近づくのは至極危険な事であるが、バルタンの実力であれば難しいという事はない。
ポイッ、ポイッ、とオニたちの手から大鎚を没収していく。
「大鎚が! どこだ!? ワニ」
「神仏だらけで落とした大鎚が見えねえ! ワニ」
没収された大鎚の位置を把握する事すらできないオニたち。この時点で彼等に不死の効果はない。
「さあ、後は重火器の出番デース! 内蔵式武装でヒャッハー!」
バルタンの全内蔵式武装が火を噴いて容赦なくオニたちを蹂躙していくのであった。
大成功
🔵🔵🔵

八秦・頼典
●SPD
サクラミラージュで起きた事件が解決しても妖滅の血に纏わる幻朧桜の事件はまだ終わらず、だね
果たしてどのような因果に依る物か…この推察をする前にまずは雅隆殿の後見人たる皇族の山原様の身の安全を図らねばだ
不幸中の幸いなんだろうけど、オニ達は妖滅の血由来である神仏の幻影に囚われている
ボクも例外ではないけど、このまやかしを払いつつ妖を殲滅しようか
形代より『倶利伽羅の黒龍』を放ち、燃え盛る身より放たれる浄炎の熱によって周囲に満ちる妖滅の血を蒸散させよう
これにより妖もボクの姿を視認して襲いかかろうとするだろうけど、その口の大きさが命取りとなるさ
倶利伽羅の黒竜が放つ迦楼羅炎が骨の髄まで焼き尽くしからね
●
幻朧桜に皇族が誘われ、新たな『平安結界』が生じた今回の一件。
八秦・頼典(平安探偵陰陽師ライデン・f42896)がグリモアベースでこの話を聞いた時、「まだ終わっていなかったのか」という思いがあった。類似の事件は何件か確認されており頼典自身も関わった事がある。
幻朧桜の本場とも言えるサクラミラージュで勃発した帝都櫻大戰が決着した今、終息するかと思っていたが。
果たしてどのような因果に依る物か……考察を深めようとしてそれは後で良いと切り替える。
まずは危機に瀕している皇族、山原達義の安全確保が優先だ。
「山原様は雅隆殿の後見人という話だしね」
久我荘園の主である久我雅隆とは親交がある。彼の為にも達義を護ろうという気持ちがあった。
そして現場である。
あらかじめ知らされていた通り『妖滅の血』の飛沫が飛んでいた様で頼典の知覚も神仏の幻影が埋め尽くす。
「――ノウマク、サンマンダバザラダン、カン!」
頼典の口から不動明王の真言が紡がれて【
倶利迦羅の黒龍】が発動する。
すると剣型の形代から黒龍『倶利伽羅龍王』が顕現すると、その燃え盛る身から浄化の炎が放たれる。
浄炎の熱。これによりことごとく蒸発して消え去る『妖滅の血』。
頼典の知覚を覆っていた神仏の幻影が消える。しかし、神仏の幻影が消えたのは頼典だけではなかった。
「あれ、消えたワニ」
「うん、ニンゲンの臭いワニ」
そうオニたちに付着していた『妖滅の血』も蒸発した結果、妖達も自由を取り戻したのだ。
そして、すぐに頼典の存在に気付くと大鎚を振り上げて襲い掛かる!
「倶利伽羅の黒竜は血を蒸発させる為だけに呼んだ訳ではないよ」
しかし、それは頼典の予定通りであった。この為に彼には僅かな焦りもない。
頼典の意思に従い黒龍から邪悪を滅する迦楼羅炎が放たれる。浄化の炎で焼き尽くされていくオニたち。
実のところオニたちは【大鰐の顎門】により、その血に触れさせれば知覚を奪う『妖滅の血』と類似した権能を発動させていたのだが、迦楼羅炎の前にはその血ごと焼却されたので意味がないのであった。
大成功
🔵🔵🔵
石田・咲希
アド◎
私とオニの知恵比べ…になりそうだね。
負けない…よ?
◇
まるで妖滅の血は、花弁の様。
まずは要注意よね?
UC発動までの間、身に着けた『束帯』で身を覆って飛沫をやり過ごさなくちゃ。
上手くやり過ごしながら、UCを発動して、私もみんなと一緒に戦うよ?
◇和歌◇
死せし花
秋の目覚めを
妨げど
山、原、立ちて
桜散るらむ
和歌を吟じて、カラクリ屋敷を発現させます。
鬼との知恵比べは、和歌の読み合いで。
上手く返歌を続けながら、相手を圧倒して智恵比べで相手を打ち破ります。最終的には敵の遊戯施設を私のカラクリ屋敷で無効化しつつ、敵を攻撃してゆきます。
※可能なら、山原 達義さんが目覚めるまでカラクリ屋敷内で保護します
●
幻朧桜の周囲に不可思議な状況が現出していた。
煌びやかに輝き、爆音を響かせる遊戯施設が現れたかと思うと幽玄の趣があるカラクリ屋敷に取って代わられる。かと思えば再び遊戯施設の姿となる。
何度も入れ替わるカラクリ屋敷と遊戯施設は現実のものとは思えない。
実際にこの二つは幻影の産物ではある。
遊戯施設はオニのユーベルコード【爆音轟く遊戯施設】で出現する幻の産物。
カラクリ屋敷の方も石田・咲希(平安貴族(従五位下)の平安歌人・f44163)のユーベルコード【まぼろしの歌詠み】で顕現する幻であった。
これは如何なる状況か。少しばかり時間を遡る。
咲希が現場へと到着した時、オニたちは混乱のしつつも幻朧桜へと距離を縮めていた。
桜の根元に蹲る皇族山原達義は未だ目覚めておらず猶予はない。
初めに咲希は達義の許までオニたちを迂回して近づき、そこでカラクリ屋敷を作り出して彼を保護するつもりであった。
その為の障害となるのはオニよりも辺り一帯に飛沫している『妖滅の血』だ。
咲希は当初それを身に着けた『束帯』でやり過ごすつもりであった。
束帯は露出部の殆どない装束であり、露出している部分と言えば顔と手くらい。
この個所を覆ってしまえば血は直接、肌には着かない筈だ。実際、最初の数歩は無事であった。
しかし、『束帯』は貴族の礼服であり、上質な素材を使っていると言っても水気の浸透を許さない様なものではない。
戦場に充満していると言って良い『妖滅の血』がじわりとしみ込んだ結果、咲希の知覚は神仏の幻影で埋め尽くされる。
「――! 仕方ない……ね」
こうなる事も予想の範囲内であった咲希は即座に次善の策へと切り替える。
即ち山原達義をカラクリ屋敷で保護するのではなく彼を害する可能性のあるオニたちを屋敷に閉じ込めるのだ。
達義とはまだ距離があるがオニたちとは殆どない。
今は神仏の幻影に埋め尽くされており、見えないが距離的に間違う事はないだろう。
オニたちを閉じ込めるべく【まぼろしの歌詠み】を吟じる。
死せし花
秋の目覚めを
妨げど
山、原、立ちて
桜散るらむ
臈長けた声音が辺りに響くと同時にオニたちを閉じ込める形で現われる幻のカラクリ屋敷。
しかし。
「ワニ!?」
「ワニ! ワニ!」
幻影に囚われながらもユーベルコードの発動を察知したのかオニたちも【爆音轟く遊戯施設】を発動させる。
カラクリ屋敷を掻き消す様に現れようとするまばゆく輝き爆音が響く遊戯施設。
実のところ咲希とオニたちのユーベルコードは極めて類似した権能のものだ。
それ故に現実への影響力が伯仲して冒頭の様な事態となった。しかし、それはごく短時間の話。
このユーベルコードには術者より知恵の低い者には破壊されないという制約がある。
もうお分かりだろう。同種の幻のぶつかり合いは咲希とオニたち、知恵の高い方が勝つ。
そして、ワニワニいって大鎚を振り回す事しか考えていないオニと和歌の教養を持つ咲希。
この短時間で確認できる範囲でも勝者は明らかであった。
現出して固定される幻のカラクリ屋敷。見事にオニたちを閉じ込めている。
咲希は手ごたえを感じて一息つく。
彼女自身の戦闘力は極めて低い。だが、この現場には他の猟兵達もいるだろう。
閉じ込められカラクリ屋敷から出る事の出来ないオニたちの命運は決まったも同然であった。
大成功
🔵🔵🔵
第2章 ボス戦
『鬼一口』
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POW : うわんッ
【人肉を喰らいたいという飢え】の感情を爆発させる事により、感情の強さに比例して、自身の身体サイズと戦闘能力が増大する。
SPD : わいらッ
自身の【人肉を喰らいたいという欲望】を解放し、物質透過能力と3回攻撃を得る。ただし毎秒加速する【飢えと乾き】を満たし続けないと餓死。
WIZ : おとろしッ
【口を大きく開いた】姿勢のまま、レベルkm/hで移動できる。移動中は、攻擊が命中した敵に【出血と肉体欠損】の状態異常を与える。
👑11
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●妖『鬼一口』
その妖にとって周囲が「平安結界」に覆われ、長閑な風景になった事は特に気になる事で無かった。
妖にとって気になる事はただ一つ。
「人間の――人肉の臭いがする」
この事だけである。妖の頭には人肉を貪り食う事しかない。
人間の臭いの発生源。
幻朧桜の根元に居る山原達義。そして彼を助けに来た猟兵達。
これ等の『餌』を求めて妖が飛翔する。
巨大な鬼の頭部のみの妖が音を超える速度で幻朧桜の方角へ飛んで行く。
●久我雅隆
「達義様が?」
「はい。荘園の者の話では様子がおかしかったと」
その頃、近隣の妖を討って久我御殿に帰還した久我雅隆が留守を預かっていた暁子の報告を受けていた。
山原達義が荘園の外に出て行ったままいまだに帰らないということ。
出て行く際の様子がおかしかったこと。
また彼の書院には書きかけの文が放置してあった。これは普段ない事である。
雅隆不在の中で留守番の防衛戦力を出して捜索隊を編成する事を考えている時に当主が帰還したのだ。
「分かった。僕が探しに行く」
雅隆の決断は早い。暁子としては遠征から帰還したばかりの兄に頼るのは忸怩たる想いがあるが久我荘園で最大戦力でありかつ速度が最も速いのも雅隆である事は明白である。
達義の身に不測の事態が起こっている場合、雅隆が対応するのが一番確実であるのだ。
「お気をつけて」
「うん、すぐに達義様を連れて帰って来るよ」
荘園の者から聞き取っていた達義が向かったという方角へと雷光を纏って飛翔した雅隆が向かう。
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現在、猟兵の皆さんはオニを殲滅して幻朧桜の根元にいると考えて下さい。
山原達義はまだ目が覚まさないので、彼を起こそうか、という時に妖『鬼一口』が襲来します。
『妖滅の血』は未だに健在で皆さんにも妖にも影響します。
ただし、『鬼一口』はオニと違い、人間を喰らうという本能によって神仏の幻影に囚われつつも割と正確に攻撃してきます。
プレイングボーナスは引き続き「幻影に対処する」になります。
なお、平安貴族の久我雅隆がこちらに向かっており、時間稼ぎが出来れば彼の助力を得られます。
勿論、到着前に倒してもまったく問題ありません。
登場人物:
久我 雅隆 18歳 男性 平安貴族(正三位上) 剣豪×刀剣士
源氏の名門久我家の現当主。国摩真人を始祖とする「鹿島の太刀」の達人。
ゼロ・ブランク
うわぁっ、何かでっかいアタマが沢山飛んできた~~!?!?
しかも……(鬼一口の攻撃を見定めつつ)……さっきと違ってなかなか正確に攻撃を当ててくるみたいだねぇ、厄介だぁ!?
敵に対処する前に、肌露出部をカバーした塗料が剥げていないか確認
剥げた部位には新たに塗料を塗り直しておくねぇ
さぁて、さっきはUCの効果が失敗しちゃったから、違うUCで戦うよぉ!
UC発動、黒い雷を描いて敵を攻撃するよ
でっかいアタマさん、ビリビリしちゃえー!!
もし味方や皇族オジさんが攻撃を受けてしまったら、カワイイうさぎちゃんや絆創膏、包帯を描いて治療するねぇ
アタシお医者さんだもん、必ず傷も治して無事にお家まで届けるからねぇ!
●
『ラビット・ノコギリ』を振り回しオニたちを退治して回っていたゼロ・ブランク。
それが無事に終わり、ほっと一息ついた彼女の耳に何とも奇妙で嫌な感じのする音が聞こえる。
「「うわんッ」」「「わいらッ」」「「おとろしッ」」
「……? 何だろ??」
遠くから聞こえて来るその音の方向を目を凝らして見てみれば。
「うわぁっ、何かでっかいアタマが沢山飛んできた~~
!?!?」
そこには高速でこちらに飛来してくる物体が複数あった。よく見ればそれは巨大な鬼の頭である事が分かる。
妖『鬼一口』の襲来であった。
見る見るうちに近づいてくる鬼一口。ゼロはさっと自身の体を確認する。
付着すれば神仏の幻影に埋め尽くされる『妖滅の血』は止んでいない筈だ。
先程、それを防いだ塗料が剥げていないかを確認したのだ。
見たところまだ大丈夫そうだがこれから激しい戦闘が予想される。
念の為にと塗料を重ね塗りする。
落とすのが大変そうだなぁ等とある種の余裕のある事を考えている内に『鬼一口』が到着した。
頭だけの大鬼はそ巨大な口を開けたままゼロへと一直線に向かってくる。
それを横跳びで回避するゼロ。直線的な動きの為に回避はそこまで難しくはない。
巨大な鬼の頭が大口を開けて迫って来るという圧力に負けなければ、であるが。
「……さっきと違ってなかなか正確に攻撃を当ててくるみたいだねぇ」
『妖滅の血』は鬼一口にも効いている筈。それにも関わらず今の一撃は正確であった。
効いていないのかな、と考えるゼロ。
正解はしっかりと幻覚に囚われつつも本能に従って行動した結果、正確な攻撃になる、である。
そんな事は勿論知らないゼロであるが、知ろうが知るまいが先程のオニたちと違って「厄介だぁ」という感想は変わらないだろう。
空中で方向転換してきた鬼一口の突撃を再び横跳びで躱したゼロは反撃に転じる。
「さぁ、ビリビリシビれるアート、描いちゃうよぉ♪」
【
ビリビリ!イラスト描写術】の発動だ。
これはゼロがスプレーアートを描いている間、半径150m程の範囲内の対象に攻撃か回復かを行うもの。
「でっかいアタマさん、ビリビリしちゃえー!!」
勿論、此処での狙いは鬼一口への攻撃だ。
ゼロが『うさぎ印のスプレー缶』で其処此処に黒い雷を描くとそのアートが輝きだし――雷鳴と共に三度、ゼロに向かって突進してきた鬼一口に向かって黒い雷が迸る!
「お”と”ろ”し”っ”!!」
黒雷の直撃を受けて汚い鳴き声を上げる鬼一口。
動きを止めたこの妖にゼロが次々と描いたアートから黒い雷が発生して続々と貫いて行く。
鬼一口が黒焦げになって落下するのはそのすぐ後の事だった。
大成功
🔵🔵🔵
神城・星羅
【星月の絆】で参加
雅降様がお強い事は確かですが、多数では不利でしょう。できるだけ数を減らしていきましょう。狙いが正確ですね・・・戦場に適応してきてるのでしょうか。厄介ですね。
引き続き妖滅の血には【結界術】【オーラ防御】【回復力】で対応。被弾すると不利になるので白虎の進撃発動!!投擲武器80個、私の幻影体76個作成!!神仏の幻影に投擲武器と幻影体何個か消されても少しは残るはず!!
私も【残像】【幻影使い】で回避を試みますよ!!きつい・・・。なるべく早く数を減らします!!【限界突破】で調律の弓で【一斉発射】!!【矢弾の雨】を減らしますよ!!
朔兎様!大丈夫ですか!!なんとか切り抜けましょう!!
源・朔兎
【星月の絆】で参加
確かに雅隆殿の太刀の技は俺が羨ましいほど見事だが、さすがに集団戦は不利だろうな。星羅、雅隆殿が楽になるように露払い頑張ろう。
前より敵の動きがいいな。戦場に適応してきてるってことか。そう簡単にはいかないか。【オーラ防御】【結界術】【回復力】で妖滅の血に対応。
幻影が邪魔だな・・・【幻影使い】【変わり身】で俺の幻影を攻撃させる。上手くいけば、いいな。それに敵の姿が大きすぎるんだが!!【限界突破】【瞬間強化】でしっかり【武器受け】【受け流し】しつつ彩光の輝き!!一気に薙ぎ払いながら【電撃】で攻撃するぞ!!
おお、俺は大丈夫だぞ、星羅!!しっかり数減らすぞ!!
●
浮遊する巨大な鬼の頭。妖『鬼一口』の群れが飛来する。
『妖滅の血』の効果は彼等にも確かに発揮されている。彼等の知覚には神仏の幻影がある。
それにも関わらず『人間』へと真っ直ぐに向けられる欲望。
それは幻影に囚われる前から人肉を喰らいたいという欲求に支配されている為か。
知覚を超えた欲望に従った彼等の攻撃はかなり正確である。
「うわんッ」
妙な鳴き声と共に妖のサイズが増大する。
人肉を喰らいたいという飢えの強さにより威力が変化するユーベルコードの発露だ。
一気に二倍以上の大きさになっているのは飢えの強さ故か。変わったのは大きさだけではない。
それに相応しい戦闘能力の増大化とそれに伴う速度の上昇。危険な敵だ。
「――ッ!」
突然の巨大化に驚いたものの源・朔兎は紙一重で回避する。
先程のオニたちと違い、こちらをはっきりと捉えている様に思える。
『妖滅の血』に対処しているのか?
そんな考えが浮かび、それならばと朔兎の身体がぶれる。
二人、三人と傍目から見れば朔兎が分裂した様にみえるだろう。勿論、分裂した訳ではなく精密な幻影だ。
これで敵の狙いを惑わせる。そんな意図であったが。
「うわんッ」
「おっと」
再び襲い掛かって来た鬼一口が狙うのは本物の朔兎。十人近い幻影に紛れている本物を正確に襲ってきた。
偶然か?
その思いは次の攻撃も本物を襲ってきたことで消える。
方法は分からないが幻影に惑わされていない。そう回避しながら結論付ける。
朔兎が知る由もないが鬼一口は『妖滅の血』に囚われ、知覚の全てを神仏の幻影に埋め尽くされているのだ。
それでも正確に狙ってきたのは人を喰らうという本能に従った結果。
猟兵達の第六感や野生の勘が極めて冴えている状態と言えば良いか。
「朔兎様! 大丈夫ですか!!」
「おお、俺は大丈夫だぞ、星羅!! しかし、こいつ等に幻影は効かない! しっかりと避けろ!」
心配げな声を掛けてきた神城・星羅に答える。
星羅も幻影で以て妖を惑わせることを考えていたので「分かりました!」と気を引き締める。
ちなみに二人には『妖滅の血』の効果は及んでいない。
オニとの戦いの時からの防御策をそのまま継続しているからだ。
朔兎が目を細める。鬼一口は一体ではなく複数いる。
一対一ならば自分も星羅も後れを取る事はないが、数を減らさなければ万が一の事故もありえる。
「一気に数を減らすぞ! 星羅、合わせてくれ!」
「お任せください!」
自ら囮になる様に妖の集まる場所に突貫する朔兎。
当然、激しい攻撃にさらされるが、それらを躱し、あるいは受け流しつつ【
彩光の輝き】を発動させる。同時に眩い月の光が朔兎の持つ双剣から溢れ出る。
その月の光に触れた妖達の動きが止まる。とはいえ妖も力ある存在。足止めは一時的なものだ。
一時的な停止。その僅かな時間を朔兎と以心伝心で待ち受けていた星羅は逃さない。
鳴弦を連続で鳴らして『調律の弓』から破魔の光弾が流星群の様に放たれる。
それらは妖を滅する豪雨となって鬼一口たちに降り注ぐ。
「「わ”い”ら”ッ”」」
躱す事も出来ず矢の雨を受ける妖たち。ただし、星羅の本命はこれではない。
【白虎の進撃】を秘めた鳴弦ではなく実体のある矢が一本放たれる。
矢は鬼一口たちの至近距離で
ライトニングタイガーへと姿を変じ、その爪や牙、咆哮で蹴散らしていく。
「流石は星羅だ!」
雷獣の活躍に負けじと朔兎も雷を纏わせた双月の剣で迅速怒涛の攻撃を見せる。
猛き皇族と音律の陰陽師の使役する雷獣により、鬼一口たちはその数を減らしていくのであった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
桐藤・紫詠
幻影に対処……なら、次はこうしましょう
UCで詩の内容を具現化
桜舞う 五感捉える 清秋よ
秋の幻朧桜、それによって五感を正常化して幻影に対処
秋時雨 鬼一口を 妖滅す
妖滅の血の効果を強化する秋時雨を展開
秋時雨自体も妖を滅する効果が存在しており、そこに妖滅の血も合わさり的確に鬼一口を滅していく
菊の酒 大口に入り 酔い潰れ
更に鬼殺しの酒を具現化し鬼一口の口に出現
其れで鬼一口を酔い潰れさせて急性アルコール中毒に
紅葉と 季節外れの 刃かな
最後に紅葉と幻朧桜の花弁を刃にして鬼一口を切り刻んで滅していきます
●
オニたちを滅して幻朧桜の許に集まった猟兵達。
皇族山原達義の意識は未だに戻らないが彼の安全は確保できたといって良い。
妖『鬼一口』の群れが襲来したのはそう安心した矢先であった。
桜舞う 五感捉える 清秋よ
敵襲を察知して即座に平安歌人でもある桐藤・紫詠が和歌を吟じる。
【平安詩浄土変・黄泉詩の基礎】の権能により紫詠の口から紡がれる和歌、黄泉詩の歌詞は現実化する。
この詩ではまずは未だに影響を与えている『妖滅の血』が見せてくる幻影の消去、五感の正常化だ。
正常を確保して改めて敵を見る。
既に他の猟兵達が交戦しているがその様子を観察してみれば妖は先程のオニと違い幻影の影響を受けていない様に思える。実際は本能に従っているだけであるが結果は同じ。危険な存在だ。
動けない山原達義の事を考えれば一刻も早く討滅するべきだろう。
秋時雨 鬼一口を 妖滅す
紫詠の口から新たな黄泉詩が紡がれる。
直接的な意思表示だ。詩に応じて戦場に秋時雨が降り始める。
それも妖滅の歌詞を籠めた為に破邪の性質を持つ雨だ。
辺りに飛沫する『妖滅の血』とも混じり合い抜群の効果を発揮する。
「「お”と”ろ”し”ッ”」」
破魔の雨が妖を穿って苦しめる。しかし、まだ致命傷ではない。紫詠は更に黄泉詩を続ける。
菊の酒 大口に入り 酔い潰れ
すると今度は雨の性質が変わる。鬼一口に大口に降り注がれる雨が強い酒へと変わったのだ。
古来より様々な逸話で伝わる妖退治の定番。『酔わせて討つ』である。
果たして酔いにより動きの鈍った妖達に向けて紫詠の最後の黄泉詩が吟じられる。
紅葉と 季節外れの 刃かな
平安結界に覆われた事により出現していた紅葉や幻朧桜。その葉や花弁が鋭い刃と化して鬼一口を包んでいく。
大成功
🔵🔵🔵

天光慈・暁凪
…こちらの鬼は先ほどのオニと違いだいぶ動きが正確ですね。
わたくし達だけならともかくまだ起きぬ山原殿が襲われればひとたまりもないでしょう。こちらに来る前に食い止めましょう。
久遠と自分に【霊的防護】を二重にかけます。
そして漂う血の対策とあの本能のままに動いているであろう敵への誘導として、わたくし達人間の匂いと血を乗せた突風を扇子の【天候操作】で起こします。
久遠、わたくしの援護を頼みます。
【絆攻撃】で連携しつつ、UC発動により【妖魔殺しと血液攻撃】が高まった技で攻撃を。
汝らに喰わすほど余等は安くはないのだ。
●
「あの鬼達は先ほどのオニと違いだいぶ動きが正確ですね」
幻朧桜のほど近くで未だに目を覚まさぬ山原達義を護る位置に立つ天光慈・暁凪が傍らに控える龍神『久遠』に語り掛ける。実際にオニたちを滅ぼした後に現われた飛翔する鬼の頭『鬼一口』の動きは『妖滅の血』に囚われているとは思えないほど正確であった。
暁凪に先んじて交戦を始めている猟兵達への攻撃は直線的とは言え的確だ。
その様子を冷静に観察して直線的に過ぎる、とも暁凪は思う。
おそらくあの鬼達も『妖滅の血』の幻影に囚われてはいる。
だが、本能の様なモノに従う事であの動きを可能としているのであろう。暁凪のこの見立ては正解であった。
なお、暁凪と久遠は霊的防護により『妖滅の血』を防いでいる。
ともあれ。
「わたくし達だけならともかくまだ起きぬ山原殿が襲われればひとたまりもないでしょう。こちらに来る前に食い止めましょう」
暁凪と久遠も鬼退治の戦場に参戦する。
鬼一口たちは本能に従ってこちらの場所を把握している。それは多分正しいだろう。
では鬼の本能とは何かと言えば『人間を喰らう事』だ。
『妖滅の血』により知覚を神仏の幻影に埋め尽くされながらも微かな人間の気配を鋭く察知していると思われる。
そうであるならば。
暁凪は『金飾る暁の扇子』を扇ぐ。天候をも操作し得る扇子である。
今は人間の気配、匂いを風を吹かせて鬼の許へと送る。
案の定、匂いに誘われて鬼一口の一匹が向かってくる。
「久遠、わたくしの援護を頼みます――自然に御座す神性なる霊よ。深き縁をもって与え給え」
【霊光降ろし「妖滅姫神」】の発現。
暁凪は霊物愛ずる姫君である。森羅万象に宿る霊物を愛し、そして愛される。
このユーベルコードは深く縁で結ばれた神霊の力を己に降臨させる権能を持つものだ。
神霊と暁凪の融合。神聖な光を纏った『妖滅之姫神』の顕現である。
「おとろしッ!!」
その神々しいとも言える暁凪の姿も鬼一口にとっては喰らうべき対象でしかない。
元々大きな口を更に大きく開けて鋭い牙を剥き出しに飛来する。
「汝らに喰わすほど余等は安くはないのだ」
その様子を冷たく一瞥して暁凪が腕を振るう。すると陽光の力を秘めた『日輪血刃』が無数に出現。
舞う様な軌道で鬼一口を襲い、斬り裂いていく。
「――久遠」
血刃によってズタボロになった鬼一口は龍神・久遠の一撃を受けて絶命するのであった。
大成功
🔵🔵🔵

バルタン・ノーヴェ
アドリブ連携歓迎
オー、これが此度のボス妖! まさにビッグヘッド!
達義殿を守り、雅隆殿が到着する時間を稼ぎマショー!
本能でターゲッティングする鬼一口をかく乱するのは難しそうなので、シンプルに防御性能を上げるUCを展開!
「ブレイブメモリ、ロゴスイグニッション!」
リリリリ殿の盾からビームを放ち、後方LVmすなわち幻朧桜と達義殿をガード!
感情が爆発しているならフェイントなど小難しいことは無いと思うので、正面からしっかり受けて逸らして弾きマース!
雅隆殿が到着すると鬼一口の飢餓感情が彼にも向けられると思うので、ガトリングガンやグレネードランチャーの弾幕や爆撃による援護を行いマース!
太刀の一撃をレッツゴー!

八秦・頼典
●WIZ
山原様はご無事でございましたか
しかし、次から次へと熟れた柿が落ちてくるかのように襲い掛かって来るとはね
妖もまだ神仏の幻影に惑わされているが、あの貪欲さなら何れ山原様の気づくやも知れない
雅隆が参られれば後顧の憂いを断たせれるが、その為にもまずは時間稼ぎだね…『形代招来』!
あの鬼は人間を喰らう本能に駆られているが、果たして何が人間を人間と認知至らしめるのか?
その答えは…血
人の身体に流れる血が人間という認識に至らしめるとボクは考える
紙の形代らが自在に飛び交えば自然と妖滅の血を吸おう
それらが集まって人形となれば…まさしく人間
襲い掛かる大きな口に分離した形代らを送り、内部より破壊と至らしめよう
ウルリック・イーゴン
(飢えと言う名の盲目故に幻影には惑わされないと言う事か)
一点特化と言うのも莫迦に出来ませんね
【リミッター解除】し【限界突破】した【第六感】で敵の動きを【見切り】攻防に活用
引き続き五感に頼らず【索敵】します
山原達義の安全が確保出来るならStingerにて【誘導弾】を放ち【範囲攻撃】
【吹き飛ばし】て時間を稼ぎましょう
敵の攻撃は【グラップル】技術と殺戮刃物で【受け流し】つつ【切断】
正確に攻撃して来るならばそれを利用して攻撃機会に転換するだけです
機を見て【アルジャーノンエフェクト】を使用
【急所を見抜く】【捨て身の一撃】を見舞います
…久我雅隆氏と言う強力な後詰を活かさない手は無いでしょう
後は任せましたよ
●
ギョロリとした目玉を爛々と輝かせ、大きく開いた口に鋭い牙を剥き出しにした巨大な鬼の頭。
『鬼一口』と呼ばれる妖。それが群れて飛来する。
人肉を喰らう事を本能とするこの妖の目的は当然に山原達義であり、猟兵達であろう。
「オー、あれが此度のボス妖! まさにビッグヘッド!」
高速で向かってくる鬼一口の群れを見つけたバルタン・ノーヴェの声が響く。
声音は明るい。先程のオニたちよりは手強いだろうがそれでも負けるとは思わない。
そんな自信が彼女にはあった。
「――次から次へと熟れた柿が落ちてくるかのように襲い掛かって来るとはね」
バルタンの声に未だ意識の戻らない達義の容態を見ていた八秦・頼典が立ち上がる。
達義はいわば寝ているだけの状態。じきに目も覚ますだろう。
「やる事は先ほどと同じです。山原達義を護り、妖を討つ」
そう宣言したウルリック・イーゴンが射程範囲に入ったばかりの妖の群れに『
強襲兵器』による先制の一撃を放つ。
それを合図として猟兵達の戦いが始まる。
●
バルタンは交戦を始めてすぐに鬼一口たちが正確に思える確度で攻撃をして来る事に気付く。
どうやら人を喰らうという本能。それのみで『妖滅の血』の幻影に抗っている様だ。
一途に人に向かって猪突猛進の突撃を繰り返す鬼一口を攪乱するのは難しい。そう彼女は判断する。
何故かと言って彼等は既に神仏の幻影に攪乱されているのだ。それでいてこの動き。
「うわんッ!!」
人肉を喰らいたいという飢えをそのまま戦闘能力に変換。さらにはサイズすら増大化させて妖が迫る。
「ブレイブメモリ、ロゴスイグニッション! 真っ向勝負デース!!」
攪乱できないのであれば防御力を上げて正面から防ぐ。それがバルタンの選択だ。
その意思で発動させたのは【
模倣様式・第五悪魔王堕天勇者・剣&盾】。
かつて交戦した魔界の勇者リリリリ。5thKINGの武装を再現した装備を出現させるユーベルコードだ。
剣と盾。特にリリリリの盾は世界そのものの一撃すら耐え得る無敵の盾である。
その構えた盾に巨大化した鬼一口から正面からぶつかる。
凄まじい衝突音が周囲に響く。その結果、吹き飛んだのは妖の方であった。
盾の頑丈さに加えて防御力を高める権能もこのユーベルコードにはある。
バルタンも体勢こそ少し崩しているものの衝突によるダメージはない。盾は勿論、傷一つついていない。
「HAHAHA! いくらでも来なサーイ! 全部、弾き飛ばしマース!」
この一度の接触で完全に防げることを確信したバルタンの勝利宣言だった。
●
数多の妖を討伐した功により正一位まで上り詰めた頼典。
彼もまたその豊富な妖退治の経験から交戦してすぐに鬼一口の状態を看破していた。
神仏の幻影に惑わされつつも人間に迫る貪欲さ。それ故の正確な攻撃。
危険である。己一人ならば時間は掛かるが殲滅も可能であろう。
しかし、その間に鬼の凶牙が身動きの取れぬ山原達義を襲わないとも限らない。
ならば、まずは達義の安全確保である。また頼典の見立てではそろそろ猟兵とは別の援軍も来る筈であった。
「形代招来!」
【
形代招来】とは迦波羅の陰陽師たる頼典の秘技の一つ。
小型の戦闘用形代を召喚させるものだ。この技を選択したのは何故か。
頼典は鬼一口たちのことを考えた。
あの鬼達は人間を喰らう本能に駆り立てられた結果、正確な動きを可能としている。
では、鬼達が人間を人間と認知至らしめているのは何か、という話である。
頼典の出した答えは『血』だ。
人の身体に流れる血が人間という認識に至らしめると考えたのだ。
そこで形代である。紙を材料とする形代は当然に戦場一帯に漂う『妖滅の血』を吸収する。
その『血』を吸収した小型形代を集めて人形とすれば、幻影により知覚を封じられた鬼一口には人間と察知されるだろう。
その頼典の考えの正しさは人形が「おとろしッ」という鳴き声と共に一口に呑み込んだことで証明される。
「お”と”ろ”し”ッ”!?」
そして呑み込んだ鬼一口が苦悶の表情を浮かべる。
頼典はただ囮として人形を作った訳ではない。小型形代は耐久性に欠け、一撃で消滅する儚い存在ではある。
しかし、その集合体たる人形。
一口で呑み込まれたソレは外側の形代は消滅したもののある程度の数が生き残る。
それが鬼一口の体内で暴れているのだ。周囲を視れば何体かの鬼一口が同じ様に苦痛に悶えていた。
●
『Stinger』での一撃の後、ウルリックは人造吸血鬼たる己の身体能力を完全解放して一直線に鬼一口たちに向かって駆けていた。手にするは『殺戮刃物』ただ一振り。
実のところウルリックは『妖滅の血』の影響下にあり神仏の幻影に知覚を埋め尽くされている。
それを全く感じさせない動きは限界を超えて発揮させている第六感によるもの。
先程のオニ退治から維持しているので負担はかなりのもので正直に言えば戦闘後の反動が酷そうではある。
しかし、やるべきことを前に躊躇うウルリックではない。
こちらも知覚を奪われながら人肉を喰らうという執念のみで動く鬼一口の攻撃を紙一重で躱し、同時に斬る。
限界を超えた動きにより肉体を痛め、精神力を削りながらのウルリックの動きは圧倒的だ。
「――来そうですね。後は任せましたよ」
極限を超えて研ぎ澄ました第六感が強力な味方がもうすぐ到着すると囁く。
このタイミングならばもう一段階無茶をしても大丈夫だろう。
ウルリックの動きがこれまでの倍どころではない速度で加速する。速度だけではない。
筋力も増強されているのかカウンターで鬼一口を捉えた一撃は切り裂く、どころではなく両断する威力となっている。
【アルジャーノンエフェクト】。
脳の演算速度を増強する事で全ての能力を6倍にするという破格の力を持つユーベルコードの権能であった。
絶大な威力だけに代償も大きく効果時間は本人の実力によるがウルリックだと2分と少し。
しかもその後に1分間の昏睡状態になることを避けられないという戦場で使うには勇気のいるものだ。
それでもそれを使ったのは己の直感と丁度飛来した援軍の力を信じたからだ。
天空から雷が戦場に降り立つ。
●
「貴方は――ウルリックさん!?」
山原達義の姿を求めて飛翔していた久我雅隆は妖の気配、それと戦う者達を発見してすぐに降り立った。
降り立ってみれば見覚えのある顔である。
ウルリックは以前、久我荘園を襲った妖退治で共闘した仲であった。
丁度、鬼一口の一体を切り裂き滅ぼしたウルリックは雅隆を見て微笑むと糸が切れた様に倒れる。
慌てて駆け寄る雅隆。
「雅隆殿お久し振りデース! 鬼一口が向かってます。気をつけて下サーイ!」
「雅隆、山原様はご無事だ。まずは妖共を倒してしまおう」
「バルタンさんに頼典様も!」
そこにバルタン、頼典からも声が掛かる。二人とも面識のある雅隆。
猟兵の活動にも知見がある為にこれが予知された案件だと察する。
「分かりました。合わせます!」
元々優勢に戦局を進めていた猟兵達である。
そこに力ある平安貴族が加わった事で勝敗は急速に猟兵に傾くのであった。
大成功
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寿乃葉・アタラ
ふう…声を出せるというのは、やはりいいわ
意思疎通が容易だし、通訳での好奇の目もないし
…まあ、機甲の時だけだけど
さて、そろそろ次善策が着く頃かしら
これなら編成を急がなくても…ん?
青龍からの警告?
――!皆、まだ終わりではない様子!
方針:「策が成る」まで時間を稼ぐ
飛び掛かってくる鬼一口を捕まえ押しとどめる!
ぐっ…首だけでなんて膂力
ならば引き続き青龍の水流で幻影対処しつつ【指定UC】を使用
【物真似・グラップル・怪力】で坂東者の相撲を見よ!
久我殿と“彼ら”が来るまで時間を稼ぐ!
私が機甲式神二機で来たのには理由がある
一つは拙速を重んじた事
そしてもう一つは、手勢を【運搬】する事
地を駆け現着した〔皇鋼獅子〕の背には、志願選抜された坂東武者
青龍の水を鳳啼朱雀の風で散らし、局所的な滋雨にして味方への幻影を対処
久我殿!お味方到着、斟酌無用!
獅子の機動力と武者の経験による【集団戦術・連携攻撃・破魔】で、妖よ、最前線で戦うヒトの姿を刮目せよ!
――彼らについて後で久我殿に話す事があるのだし、まずはここを乗り越える!
●
ワニの様なオニたちを退治した寿乃葉・アタラは搭乗した
機甲式神『桜刃武者』の中で一息つく。
「ふう……声を出せるというのは、やはりいいわ。意思疎通が容易だし、通訳での好奇の目もないし」
先程のオニたちとの戦いにおいてアタラは声を出し、他の猟兵達と連携を取って戦った。
それが普段は強過ぎる『言霊』故に式神の通訳を挟んで会話をしている彼女にとっては心地が良い。
もっとも「……まあ、機甲の時だけだけど」と自分にツッコミを入れるのも忘れないが。
ともあれ、危機は去った。後は山原達義の意識が戻るのを待つだけである。
「これなら編成を急がなくても……ん?」
妖の力が想定以上であった時の為に用意していた後詰。随分と急がせたものだがその必要もなかったか、と思った時に未だ空中で警戒を怠っていなかった瑞獣『青龍』から警告がなされる。
『もにたー情報』を確認すれば高速で飛来する敵影が見えた。
「――! 皆、まだ終わりではない様子!」
他の猟兵達に注意を促すと同時に『桜刃武者』が敵影、『鬼一口』目掛けて躍動する。
「うわんッ!」
人間を喰らいたい。その飢餓感情を爆発させて迫る鬼一口。
近づいている間にも巨大化していくその妖をアタラが操る機甲式神が真っ向から押しとどめる。
「ぐっ……首だけでなんて膂力」
鬼一口の怪力は巨大ロボとも言える『桜刃武者』の力に勝るとも劣らない。
いや、巨大化した分、妖の方に軍配があがる。
それを理解したアタラは押し切られる前に【
再現・坂東前線の戦闘技巧】を発動。
これは東国の激戦区で日夜妖と激闘を繰り広げる板東武者達の戦技を式神に再現させるというもの。
「坂東武者の相撲を見よ!」
力のみの戦いで不利であるならば技を以て制する、と坂東武者の相撲戦技を駆使してがっぷり四つの拮抗状態を生み出すと「えいやっ!」と上手投げ。鬼一口を地面へと叩きつける。
「う”わ”ん”ッ”!!」
叩きつけれた妖はダメージを受けるもすぐに浮き上がり再びアタラ目掛けて飛び掛かって来る。
妖の飢えの感情は痛みや損害を凌駕する、というか認識もしていないのかもしれない。
それをまた正面から受けとめる機甲式神。一進一退の戦いが続く。
有利とは言え互角に近い勝負となっていたがアタラに焦りはない。
時間が自分の味方であると認識していたからだ。そう急がせた『後詰』の存在である。
最初のオニたちとの戦闘。アタラは空を翔ける機甲式神に『桜刃武者』を運ばせて参戦した。
グリモア猟兵により近場に転移される筈なのにそれは何故か。
その答えが後詰の用意だ。
アタラは直接戦場ではなく自身の本拠地とも言える東国に転移して貰い、そこで坂東武者を募った。
アタラの要望に応えた武者達の中から地を駆る機甲式神『皇鋼獅子』に乗れるだけの人数を選抜。
『皇鋼獅子』に彼等を乗せて後を追う様に命じて、自身は空を翔けて先行して到着したのだった。
陸路とは言え『皇鋼獅子』の移動速度から考えてもういつ到着してもおかしくない。
「機甲殿!」
「遅参申し訳なく。これより身命を賭します!」
果たして戦場に獅子型の機甲式神が到着。その背より坂東武者達が降り立つ。
なお、彼等には天空より青龍の権能による慈雨が降り、それにより『妖滅の血』に囚われる事を防いでいる。
「よくぞ参った! 各人、力を尽くせ! 妖よ、最前線で戦うヒトの姿を刮目せよ!」
東国でアタラと共に戦う坂東武者の中でも精鋭と呼べる者達である。
彼等の参戦により、形勢は一気に猟兵側に傾く。
「――これは!?」
そこに更に雷光と共に久我雅隆が降り立ち参戦する。猟兵達に坂東武者、さらには平安貴族。
こうなると妖達に抗う術はなく瞬く間に鬼一口たちは滅ぼされるのであった。
大成功
🔵🔵🔵
石田・咲希
アド◎、連携◎、雅隆>咲希の描写◎
★幻影対策:
『緋桜』をさし、『妖滅の血の飛沫』をやり過ごして、幻影に対処します。
★心情
力のない私が優先するべきなのは、相手の足止め。
時間は私に味方をしてくれる。
福音を感じるんだ…。――光? ちがう…雷?
優しくも猛々しい武の雷光が、私たちをきっと守ってくれるから…。
◆行動
十分な距離を取って、敵と対峙。あらかじめ、束帯に香をしみ込ませて、自分の匂いを隠します。
上手く、相手と距離を取りながらUC発動。
◇和歌
鹿島灘(カシマナダ)
神なる音ぞ(カミナルオトゾ)
求むれば(モトムレバ)
一つ太刀にて(ヒトツタチニテ)
炬雅ぞ地を断つ(コガゾチヲタツ)
和歌を詠み、カラクリ屋敷で敵を包み込みます。屋敷内に敵を封じ込め、外界の匂いから遮断して、相手の嗅覚を少しでも鈍らせるように。
カラクリ屋敷で攻撃を続けながら、雅隆が到着するまでに相手を疲弊させます。
雅隆さんが到着されたら彼の援護に徹します。
●
ソメイヨシノの文様が施された唐傘。
『緋桜』と銘を付けられたそれをさした少女、石田・咲希が新たに現れた妖たちを見据える。
既に他の猟兵達と交戦状態にあるが、どうも先程のオニたちと違い『妖滅の血』に惑わされていない様だ。
少なくとも正確に猟兵を攻撃している様に見える。
何がそれを可能としているかを考えた時に咲希に浮かんだ可能性は『匂い』。見るからに飢えた様子の妖『鬼一口』を見るに知覚を神仏の幻影に埋め尽くされながらも微かな匂いを辿って襲っているのではないかという考えだ。
その正否は不明だが、可能性があるならばと身に纏う束帯に『香』を沁み込ませる。
なお、咲希自身は『緋桜』に施された防水の祝福により、『妖滅の血』の効果から逃れる事に成功している。
束帯の『香』が功を奏したのか鬼一口はまだ咲希には向かって来ていない。
この状況で自分に出来る最善手は何かと咲希は考える。
力を以て敵を討つのは咲希の役割ではない。武力に自信はない。
しかし、平安歌人として妖の足止めは出来る。その自信はある。
戦場に居る猟兵は咲希だけではない。
自分が足止めをしていれば彼等がじきに倒してくれるだろう。
そういう信頼が『猟兵』というものにあるが、今日この時はそれだけではなかった。
「福音を感じるんだ……。
――光? ちがう……雷?
優しくも猛々しい武の雷光が、私たちをきっと守ってくれるから……」
それは予感。猟兵以外の何かが護ってくれると何故か確信を持って思えた。
その心のままに歌を詠む。
鹿島灘
神なる音ぞ
求むれば
一つ太刀にて
炬雅ぞ地を断つ
咲希の言の葉に応じて、幻のからくり屋敷が出現して鬼一口をその内部に閉じ込める。
ガンガンと壁面へと突撃してからくり屋敷から脱出しようとする妖。
咲希はそれを感じながら屋敷を維持して、屋敷内に仕掛けられた罠により妖の疲弊を誘う。
そうしている間に予感の正体が現れる。
●
後見人たる山原達義を探す平安貴族、久我雅隆。
空を翔ける彼の視界の端に突如、先程まで存在しなかった『何か』が現れた。
目を凝らして見ればそれは『屋敷』。そして、その傍には季節外れの桜。
そこまで認識すれば周囲で戦闘が行われていることが分かる。
山原達義と関係があるかは分からないが、この世界で戦闘が行われているという事は十中八九、妖と人が戦っているという事である。雅隆が向かわない理由はなかった。
近付き降り立ってみれば桜の根元には山原達義の姿があった。その傍らには見知らぬ少女。
雅隆は桜を中心に広がる様に妖との戦闘が行われている事を俯瞰的に把握している。
その中で達義を護る様にいる少女に話しかけたのは彼女が戦闘中ではなかったからだ。
いや、屋敷の主は多分、この少女であろうから戦っていない訳ではないか――そんな事を考えながら。
「僕は久我雅隆。君は?」
誰何の声を掛ける。
●
雷光と共に降り立った青年から声を掛けられる。
秀麗な容貌の静謐な雰囲気の青年。しかし、内包する『力』をはっきりと感じる。
この男性こそ福音の正体であろう。
「私は――」
咲希は自分の名前と状況を手短に説明する。納得したと言った感じで頷く雅隆。
彼は礼を言った後に幻影の『からくり屋敷』の解除を頼んでくる。
「妖はまだ元気だよ?」
「うん、だけど他の皆はもう終わりそうだからね。此処も終わらせてしまおう」
群れで襲い掛かって来た鬼一口は猟兵達によって滅ぼされつつある。
改めて周囲を見回してそれを確認した咲希は雅隆の要望に従って幻を解除する。
そこに現われたのは閉じ込められ怒りに満ちた鬼一口。そのぎょろ目が雅隆を捉えた、そう見えた。
「――雅隆さん!」
「何かな?」
雅隆に向けて注意の声を掛けた咲希に穏やかな返答。
妖が、と言いかけて妖の方に再び注意を向けると鬼一口が真っ二つに分断され消滅していっている事に気付く。
いつの間に雅隆が太刀を抜き、斬ったのか全く気付かなかった。
というか太刀を抜いて斬ったのかどうかもよく分からない。だが、雅隆が斬ったのは確かであろう。
「――いえ」
「そう? 皆も終わった様だ。咲希さん、達義様を護ってくれてありがとう」
雅隆から掛けられる御礼の声。彼の言う通り、その時には全ての鬼一口が猟兵により討伐されていた。
幻朧桜の誘いに端を発した山原達義の危難は去ったのであった。
大成功
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第3章 日常
『時の間の休息』
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POW : 英気を養う
SPD : 周囲を散策してみる
WIZ : 書物を開いてみる
👑5
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●覚醒
目が覚める。十分な時間、快眠をした後の様な爽やかな目覚めだ。
そこで疑問を覚える。
目覚め?
俺はいつの間に寝たのか。というかここは何処だ?
寝転がった状況の視界には見覚えのない風景が広がる。何故か季節外れの桜の花弁も見える。
極楽か?
「達義様、目が覚められましたか」
そこで良く知った声が聞こえる。声の方向を向いてみれば予想通り久我雅隆の姿。
いや、雅隆だけではなく複数の人影がいる。
その中には見知った姿もおり――そうすると彼等は猟兵か。
本当にどういう状況だ??
「雅隆殿、すまぬが状況が掴めぬ。教えて貰えるかな?」
「はい、勿論です。ただ、僕もよく分からないところがあるので詳しくは彼等から」
無事に覚醒を果たした山原達義。
幻朧桜の周囲に充満していた『妖滅の血』はいつの間にかその存在を消していた。
========================
皆さんの活躍で山原達義は無事で今回の件を終える事が出来ました。
第三章はよく状況が掴めていない達義(雅隆もあまりよく分かってません)に状況を教えて上げたり(新たに発生した『平安結界』や幻朧桜の事など)、その後、お礼の歓待に招かれますのでそこで料理を楽しんだり、会話をしたり。または久我荘園を散策したり、雅隆達に助言したり、まあ好きな事をして頂ければと思います。
バルタン・ノーヴェ
アドリブ連携歓迎
グッドモーニング、達義殿! ご無事で何より!
雅隆殿もお疲れ様デース! ナイスファイト!
さて、状況説明、デスカ。
……妖滅の血に誘われた妖たちの襲撃、皇族の方と幻朧桜の関連性……。
詳細なトークはシリアスなエブリワンに託して、ワタシは場を温めマショー!
せっかくの桜であります、花見と参りマショー!
それでは和風バルタン・クッキング!
敷物等も用意して、お茶や菓子などをセッティング!
利休スタイルは時代的にまだ早いかもしれマセンガ、味覚的には合うはずデース!
メイドの機能としてお茶を淹れるスキルも導入しマシタ。
粗茶デスガ、どうぞデース。
作法などは気にせず、気楽にリラックスしてもらいマショー!
桐藤・紫詠
ジュース、コーラ、ハンバーガー、サンドイッチ…
こういったアース系世界の娯楽を提供するのも慣れて来ましたね
平安結界…それがこの幻朧桜によって更に広がった様です
この前、平安結界の外に出現した神仏…神王サンサーラを名乗る存在、それを使役する幻朧帝イティハーサ…外の言葉で『歴史』を意味する存在が関与していたのかもしれません
最も、今月の1日に完全にイティハーサは滅されました
それが今回の事案にどう関わってくるかは分かりませんが…
いずれにせよ、あの桜は調査するべきで…人類の生存圏が広がった事は確かです
ゼロ・ブランク
連携・アドリブ大歓迎
はーい、みんな討伐お疲れ様なんだよぉ♪
え?今どういう状況かって?
えーと……そういう難しい説明はアタシ向いてないから、他の猟兵さんに聞いちゃってねぇ~~?
そんな事より皇族オジさん!せっかく平安結界が広がって平和な場所が増えたんだから、お祝いしようよ~~!
(お腹ぐぅ~~~)
……ええと、アタシお腹減っちゃったみたい?てへ。
そういえばアタシ、アヤカシエンパイアの人たちがどういうものを食べてるのか知らないなぁ~~ねぇ皇族オジさん、色々教えてよ!!
よーし、この際絵のモチーフとして、色々勉強して帰るぞぉ~~♪
ウルリック・イーゴン
(戦後処理は厄介だが重要だと思う)
だからこそ次に活かせる様な建設的な話をしておきたいですね
お久し振りです、久我雅隆氏
山原達義氏も御無事で何よりです
我々にも未知の出来事でしたが、どうも別世界の幻朧桜が此度の遠因である様です
皇家に連なる血に何かしらの作用を齎す様ですね
今回の一件で新たな平安結界も生まれたようですから怪我の功名とも言えます
しかし乍ら、暫くの間は山原達義氏は独りきりにならない方が安全かもしれません
尤も四六時中の監視と言うよりは外出時に門で止められる程度でしょう
対処療法に過ぎませんが人命が喪われるよりは遥かにマシです
今回は偶々被害無く安住の地を増やせましたが…
毎回この様な形は危険過ぎます
●
山原達義の覚醒。これで本当の意味で今回の件が落着したと言えるだろう。
その目覚めたばかりの達義は状況が分かっていない様子だ。傍らに立つ久我雅隆に状況説明を求めている。
「グッドモーニング、達義殿! ご無事で何より! 雅隆殿もお疲れ様デース! ナイスファイト!」
「う、うむ。其方は確かバルタン殿であったな」
「ありがとうございます。バルタンさんも素晴らしい活躍でしたね。
そして、すいません、バルタンさん。
皆さんは何故、此処に居るのか。また今回の件は何なのか、ご存知でしたら教えて頂けますか?」
そんな彼等にバルタン・ノーヴェの声が掛かる。
実のところ雅隆も状況を把握していない為に丁度いいとばかりに彼女に訊ねる。
「さて、状況説明、デスカ。妖滅の血に誘われた妖たちの襲撃、皇族の方と幻朧桜の関連性……」
キリっとした顔でここまで言って一息つき。
「詳細なトークはシリアスなエブリワンに託して、ワタシは場を温めマショー! ゼロ殿~!」
まさかのパス! 呼ばれたゼロ・ブランクがニコニコと機嫌良さげに近付いてくる。
「はーい、みんな討伐お疲れ様なんだよぉ♪ あっ、皇族オジさん、目が覚めたんだね! 良かった~♪
え? 今どういう状況かって?
えーと……そういう難しい説明はアタシ向いてないから、他の猟兵さんに聞いちゃってねぇ~~?」
しかし、ゼロもまさかのパス(2回目)。
結局、桐藤・紫詠とウルリック・イーゴンといった
シリアス面子に説明は託された。
ちなみに託したバルタンとゼロの二人は。
「そんな事よりせっかく平安結界が広がって平和な場所が増えたんだから、お祝いしようよ~~!」
「せっかくの桜であります、花見と参りマショー!」
実はお腹の空いているゼロの要望とノリノリのバルタンによって宴会の準備が始められていた。
●
「お久し振りです、久我雅隆氏。山原達義氏も御無事で何よりです。
さて、状況説明でしたね。
我々にも未知の出来事でしたが、どうも別世界の幻朧桜が此度の遠因である様です。
皇家に連なる血に何かしらの作用を齎す様ですね」
そうウルリックが語れば紫詠が引き継ぐ。
「幻朧桜はこの前、平安結界の外に出現した神仏……神王サンサーラを名乗る存在、それを使役する幻朧帝イティハーサ……外の言葉で『歴史』を意味する存在が関与していたのかもしれません。
もっともイティハーサは既に完全に滅されている為に今回の事案にどう関わってくるかは分かりませんが」
『幻朧桜』が今回の件の根幹である。それはウルリックにも紫詠にも分かっているが、では具体的に何故、サクラミラージュの幻朧桜がアヤカシエンパイアに咲いているのかと言われれば曖昧だ。予測はあってもそこに確信はない。しかし、分かっている事もある。
「ともあれ今回の一件で新たな平安結界も生まれたようですから怪我の功名とも言えます」
「そうですね。いずれにせよ、あの桜は調査するべきですが……人類の生存圏が広がった事は確かです」
新たな『平安結界』の出現。人類の生存圏が拡大したことは事実であった。
「しかし乍ら、暫くの間は山原達義氏は独りきりにならない方が安全かもしれません。
尤も四六時中の監視と言うよりは外出時に門で止められる程度でしょう。
対処療法に過ぎませんが人命が喪われるよりは遥かにマシです。
今回は偶々被害無く安住の地を増やせましたが……毎回この様な形は危険過ぎます」
慶事ではあったがそこに危険があった事の指摘をウルリックは行う。
今回も猟兵が駆け付けていなければ雅隆が来るより前に達義は命を落としていただろう。
この幻朧桜の誘いが今回だけである保証はないし、他の『滅びの地』に新たな幻朧桜が咲いている可能性もあるのだ。
「うむ。心しよう。ウルリック殿の忠言感謝する」
ウルリックの提案は至極真っ当なもの。達義は受け入れて頷く。雅隆もその手配をするという事だ。
その後も紫詠の幻朧桜の調査や経過観察の話や久我荘園と新たに増えた領域の防衛体制へのウルリックの意見など話は続く。そこにゼロの声が掛かる。
●
「はーい、難しい話は後にしよ~ お祝いの準備が出来たよ~♪」
紫詠やウルリック達が話し込んでいる内にバルタン驚異の【バルタン・クッキング】が炸裂していた。
これは10秒で159品の料理を作るという意味不明のもの。
「今回は和風デース!」
との言葉の通り、和風の料理が用意されている。
料理の他にも敷物やお茶、お菓子などばっちりセッティングされている。
なお、ゼロはセッティングを手伝っていた。
「利休スタイルは時代的にまだ早いかもしれマセンガ、味覚的には合うはずデース!」
千利休が生まれるまで平安が終ってから少なくとも三百年以上は待たないといけないがバルタンの言う通り基本的に料理は洗練されていくので味覚が合わないことはないだろう。さらに。
「メイドの機能としてお茶を淹れるスキルも導入しマシタ。粗茶デスガ、どうぞデース。
作法などは気にせず、気楽にリラックスしてもらいマショー!」
裏千家か表千家かは分からないが万能メイド振りを見せる。いやこれがメイドの仕事かは分からないが……。
お腹を可愛く鳴らしながら早く食べよ~と誘ってくるゼロに呼ばれて雅隆達も即席花見会場と化した幻朧桜の下に集う。
「余からも料理を提供しましょう」
紫詠もユーベルコードを用いてジュース、コーラ、ハンバーガー、サンドイッチと言ったアース系世界の行楽料理を出現させる。猟兵達と達義、雅隆達の花見の宴が此処に開催する。
舌鼓を打つ達義にゼロが話しかける。
「そういえばアタシ、アヤカシエンパイアの人たちがどういうものを食べてるのか知らないなぁ~~
ねぇ皇族オジさん、色々教えてよ!!」
「うん? そうだなぁ……」
達義の語る言葉に興味津々のゼロ。この際絵のモチーフとして、色々勉強して帰ろうなどと思い始めている。
その後も和やかな時間が過ぎて、やがて猟兵達はそれぞれの世界へと帰還していく。
大成功
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神城・星羅
【星月の絆】で参加
雅降様、最後の止めの一太刀、お見事でした。朔兎様が感動してました。まあ、一度見たら噛み砕いて復習できる朔兎様ですから、きっと今後に活かしてくれるでしょうね。
若輩者の私たちが出しゃばったら失礼にあたりますので、荘園の方にお願いして書物を見せていただきたいですね。武芸の事、術の事、荘園や領地の事、一杯学びたい。朔兎様も勉強熱心だし、許されるだけ読書したい。
朔兎様?雅降様がよければ指南受けたい?後、お父さんと奏姉様にもコツを伝えたい?いいんですかそういう事?
まあ、今日はとてもいい経験になりました。この生まれ故郷で、先人と力合わせる事ができて嬉しかったです。
源・朔兎
【星月の絆】で参加
これが雅降殿の鹿島の太刀・・・二刀流で手数重視の俺のとはまるっきり違うな。まあ、俺は一度みただけでも見事な技ははっきり覚えてられるし。どうしようか。
まあ、事情の説明は俺と星羅のような若輩者より大人の事情に詳しい方々に任せた方がいいだろう。俺は星羅と一緒に読書だ!!猪武者の自覚はあるがちゃんと勉強はするぞ!!将来の為に書物からできるだけ多く知識を得ねば。
できれば雅降殿の都合がつけば、指南をしていただければ。手数重視の俺は一撃が軽い。コツを掴みたいんだ。一つの剣を持つタイプの師匠と奏さんにもコツを伝えられれば。
うん、皇族としてこの世界の皆と力合わせられたのはいい経験になった!!
●
「あれが雅隆殿の鹿島の太刀……」
幻朧桜の周囲で行われた鬼一口と猟兵達の戦闘。
最後の一体を屠った久我雅隆の一撃を源・朔兎はしっかりと見ていた。
一太刀で決める必滅の一撃。
二刀を自在に使った手数重視の自分の『武』とはまた違った『武』の神髄である。
「どうしようか」
『武』への探求心そして向上心が旺盛な朔兎は悩む。
手数重視故に自分の一撃は軽い。
しかし先程の雅隆の『武』、鹿島の太刀を取り入れればより高みを目指せるのではないか、と。
武術に関しては天稟を持つ朔兎は一度見た技ならばはっきりと記憶できる。
当然、雅隆の一撃も目に焼き付いている。
その記憶を頼りに自身で試行錯誤をして取り入れても良いが……。
幸い雅隆は味方である。ならば直接指南して貰えれば話は早いのではないか?
そして、自分がコツを会得出来れば同じ剣士である師匠や姉貴分である奏さんにも伝えて皆で戦闘力を上昇させることもできる。朔兎はこの思い付きが素晴らしい事の様に思えた。
そんな事を考えている朔兎から少し離れて神城・星羅は目覚めた山原達義と久我雅隆に挨拶を行っていた。
達義には無事のお祝いを。雅隆には戦働きの見事さを伝える。
「雅隆様、最後の止めの一太刀、お見事でした。朔兎様が感動してました」
と雅隆を褒めながらも「まあ、一度見たら噛み砕いて復習できる朔兎様ですから、きっと今後に活かしてくれるでしょうね」と朔兎への深い信頼を表明している様は雅隆と達義の微笑みを誘ったが。
●
達義への状況説明も終わり、その後に猟兵の主導により行われた花見の宴も終わった。
猟兵達はそれぞれそのまま帰還する者、久我御殿で休息する者と分かれる。
朔兎と星羅は久我御殿に行くグループであった。その理由は当然。
「雅隆様がよければ指南受けたい? 後、お父さんと奏姉様にもコツを伝えたい? いいんですかそういう事?」
という星羅の台詞通り朔兎が雅隆の指南を望んだからだ。それを雅隆に伝えれば時間を作ってくれるという。
ただ、雅隆も今回の件で『平安結界』が広がる等、色々と仕事が溜まっているので合間を見てという事になる。
しばしの間、客人として久我御殿に滞在した星羅と朔兎。
「武芸の事、術の事、荘園や領地の事、一杯学びたい」
「猪武者の自覚はあるがちゃんと勉強はするぞ!! 将来の為に書物からできるだけ多く知識を得ねば」
と待ち時間を無駄にする事なく久我御殿の蔵書を閲覧、また教養人でもある山原達義の教授を受けたりして充実した時を過ごす。朔兎は約束通り雅隆から『鹿島の太刀』のコツを学び、また一段、武の頂きへと近づいたようだ。
「うん、皇族としてこの世界の皆と力合わせられたのはいい経験になった!!」
「とてもいい経験になりました。この生まれ故郷で、先人と力合わせる事ができて嬉しかったです」
若い二人にとって今回の幻朧桜の一件は良い経験となったようだ。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
石田・咲希
アド〇
〇心境など
荘園の生産性を上向かせるためには、きっと久我さん達領主様、そしてこの土地で生きるみんなの努力が必要なのだと思う…。
でも…少しだけ、私にもお手伝いさせて? ねっ、雅隆さん。一緒にお付き合いしてくださる?
〇行動
宴を楽しんだ後で、雅隆さんと共に久我館を辞します。
時間帯は夜かしら。夜空にかかった月を眺めながら、五穀豊穣の願いをこめて一首、和歌を詠みます。
上の句:
秋立ちて(アキタチテ)
飽かず夜空を(アカズヨゾラヲ)
見送れば(ミオクレバ)
から紅に(カラクレナイニ)
空ぞ明らむ(ソラゾアカラム)
――この地に差し込む希望の光を信じて。
ねっ、雅隆さま、あなたの返歌を聞かせて?
●
幻朧桜による新たな『平安結界』の発生と桜に誘われた山原達義の危機。
終わりを迎えてみれば達義は無事であり、平安結界が広がった事で人類の生存領域が増えた結果だ。
場所は久我荘園にほど近く、久我家の勢力範囲に組み込まれるだろう。
生産力の限界を迎えつつあった久我荘園にとっては慶事であり、この事を知った荘園民の顔は明るい。
領主である久我雅隆も救援に赴いたものの達義が無事であるのは紛れもなく猟兵達の活躍によるものだ。
その為、久我御殿では猟兵達を歓待する宴が行われた。
その宴も宵の口を迎えた事で終わり、猟兵の一人である石田・咲希も久我御殿を辞する。
その傍らには久我雅隆の姿が見える。咲希が誘ったのだ。
咲希はグリモア猟兵の説明により、この久我荘園の生産力が頭打ちに近づきつつあることを知っていた。
そして、それが今回の件で打開の目途が立ったことも。
しかし、土地が増えたところで実際に生産性を向上させるには貴賤別なき不断の努力が必要である。
その手伝いを少しだけでもしたいと思ったのだ。
久我御殿を出れば月が煌々と夜空を照らしている。
それを眺めながら咲希は和歌を詠む。五穀豊穣の願い。
彼女は平安歌人であり、彼女の詠む和歌は現実に作用する。
秋立ちて
飽かず夜空を
見送れば
から紅に
空ぞ明らむ
この地に差し込む希望の光を信じ願って詠んだ歌だ。久我荘園にとっては吉兆となるだろう。
「感謝します」
「ねっ、雅隆さま、あなたの返歌を聞かせて?」
感謝を告げる雅隆に返歌が求められる。武人気質の雅隆は和歌が苦手だ。
やや難しい顔をするが咲希の志には応えるべきと想いを率直に詩にする。
花咲きて
平安増えし
久我の里
力尽くして
楽土求める
幻朧桜が咲いて久我荘園に平安結界が増えた。力を尽くして平和にするぞ。
という事実と決意表明のみという情緒のないものだ。
恥ずかしそうな笑う雅隆に優しく微笑む咲希であった。
大成功
🔵🔵🔵
八秦・頼典
夢、か…
確かに悪い夢だったのやもだ
まずは山原様のお体に障りないだけでも良かったとしながらも、久我荘園にある屋敷へと参ろう
まずは取り止めない雑談を交わしながらどんな状況あったかをお聞かせし、こちらもどのような夢を見ていたのか訪ねよう
それで何か手がかりが掴めれば良し
雲を掴むような話であっても、何れ点と点が結びついて答えを導き出すであろうから無駄ではないさ
ま、堅い話はここまでにしておこう
今は山原様がご無事に戻られ、なおかつ新たな平安結界が出来たのを祝すべきかと
ならば、ボクら平安貴族が執り行うべきは…平安結界をより確かな物とすべき儀を執り行う事さ
さて、歌会の題目は何が良いか…
夢、極楽、桜…迷うねぇ
●
「まずは山原様、お体に障りないだけでも良かった」
八秦・頼典の言葉は心からのものだった。
『平安結界』が広がり人類の生存領域が増えたと言ってもそこに犠牲があれば素直に喜べない。
山原達義が無事であるからこそ憂いなく祝福できるというものだ。
目覚めた達義に猟兵達が状況を説明。
それが一通り終わり、雑談に近くなったところで頼典は気になっていることを訊ねる。
「山原様はこの度の最中、何か夢でも見ましたでしょうか?」
「ふむ、夢か」
達義が考え込む。頼典としては今回、達義は明らかに幻朧桜の影響下にあったので、その中で夢を見ているのであれば何かの手掛かりになるかもしれない。また、今の時点では意味が分からなくとも何れ点と点が結びつく可能性はある、という考えだ。
「うーむ、すまぬ。何やら見た様な気もするが今となっては思い出せぬな」
達義は考えた末に覚えていないという。夢を見たか見ていないかも判然としていない様子だ。
それならそれで良いと頼典は思う。
「そうですか。いえ、お気になさらず。もともと雲を掴む様な話ですから」
そう達義に答えてから頼典はからりとした様子で久我雅隆に話しかける。
「ま、堅い話はここまでにしておこう。
今は山原様がご無事に戻られ、なおかつ新たな平安結界が出来たのを祝すべきだろう」
「そうですね。では?」
「ああ、ボクら平安貴族が執り行うべきは……平安結界をより確かな物とすべき儀を執り行う事さ」
平安結界を強固なものとする儀式、要するに歌会を開こう、という話だ。
久我荘園の領主である雅隆が主催するのも良いが、正一位にまで上り詰めた頼典が主宰するのも良い。
そこら辺は今後の展望、影響を少し考える必要があるだろう。それはさておき。
「さて、歌会の題目は何が良いか……夢、極楽、桜……迷うねぇ」
歌会は必要な儀式としても楽しめるものは楽しむのが頼典である。
どんな歌会にするべきか、考える彼はとても楽し気であった。
大成功
🔵🔵🔵

天光慈・暁凪
山原殿は無事に目を覚まされましたね。何事もなく良かったです。
雅隆殿も着き、ここには彼等と面識のある方々もいらっしゃるようなので現状説明はその方々にお任せした方がよいでしょう。
お料理ももてなしも楽しかったのですが、他の猟兵の方々とご一緒とはいえ、やはり殿方の屋敷にいるのは‥少し落ち着きませんね。
久我荘園を散策でもしましょうか…。
・淵賀マスターにおまかせします。アドリブ◎
●
摂津国久我荘園。久我暁子が所有し久我雅隆が治める荘園である。
その活気に満ちた表通りを表情こそ市女笠に隠されて見えないが気品に満ちた姫君が歩んでいた。
姫君の名前は天光慈・暁凪。
今回の幻朧桜の一件で山原達義の危機を救った猟兵の一人であり、この世界に生を受けた皇族の一人でもある。
暁凪は先程まで久我御殿で催されている猟兵への感謝の宴に参加していた。
宴はまだ続いているのに彼女が此処に居るのは別に久我家に不満があった訳ではない。
その料理ももてなしにも満足していた。
ただ少しだけ落ち着かない思いがあったのだ。
それは父母共に皇族とは言え最近まで隠れ里で暮らしていた為に平安貴族の宴に慣れていないというのもあるし、他の猟兵達と一緒とは言え男性を主とする屋敷にいるのに何となくの違和感があるということでもあった。
ともあれ暁凪は散策を希望して、それは快く受け入れられた。
幼いとはいえ猟兵である彼女を傷つけられる者は荘園内にはいないだろうし、そもそも荘園の治安は良い。
「なるほど、確かに活気がありますね」
放浪者の流入により人口が急速に増加しているとは聞いていたが確かに人が多い。
また、辺りを見回せば警備をしている武者らしき姿も見える。治安維持に力を入れている様だ。
人がいて治安も良ければ商人も集まる。
道を行き交う庶民の表情も明るく、良い雰囲気の荘園であった。
なお、暁凪に絡む者もいない。
幼いながらも絶世の美貌を市女笠で隠している事もあるし、身に纏う禁色御袍がやんごとなき存在である事を誇示している。庶民としては「多分余所の貴族様だろう。失礼して問題になったら怖い。久我様の迷惑になってもいけないし」といった感じだ。現在の住処である都では慮外者がたまにいるのでそういう意味でも高評価であった。
アヤカシエンパイア。滅びた大地を平安結界で隠蔽する事で辛うじて存在している世界。
この儚い世界にこの様な笑顔の溢れる町を増やしていきたい。
皇族としての誇りからそんな想いを抱きつつ暁凪は散策を続けるのであった。
大成功
🔵🔵🔵
寿乃葉・アタラ
山原様、積もる話もありましょうが、まずはご帰還なされませ
なに、我が機甲の上でも語らいはできます故
という感じで、帰還中の護衛を坂東武者達と請け負うわ
折を見て〔式操装衣〕姿で久我殿に密かに接触を図る
〔呪言濾過機構〕用の式を変化させた「へるめっと」なら、短時間会話も大丈夫なはず
…幻朧桜の暴走が私の血で起こったら大惨事だしキッチリと
無骨な物言いで写しの書状を渡し、参戦した坂東武者の派遣を相談
坂東としても精鋭は手放せない
でも、伸び盛りの若武者と、戦線は離れても知識経験豊富な老武者なら
戦力補充にも、兵はもちろん民への教練にも一役買える
これなら自営ができるようになっていくはず
彼らへの報酬希望は主に二つ
老武者には終の戦場として教育指導者の立場を
若武者には都の所作をはじめ様々な経験を
僭越ながら久我荘園の現状、我が親愛なる友から聞き及んでおります
一瞬、素顔を晒し、しーっ、と
そろそろ領内ですな
華子姫のご実家、千葉殿の署名も含めた本書状は後ほど届きましょう
宴には我が後見の姫が物資人員共々参る手はず
私はこれにて!
●
それは幻朧桜の一件が無事に終結して久我荘園へと帰途に就いていた時のこと。
案内する為に先頭を歩む久我雅隆の許に寿乃葉・アタラが近付く。もっともこの時のアタラ、顔を完全に覆い隠すヘルメットにアンダースーツ姿であり彼女を知る者でもアタラと判断する事は難しいだろう。
「何でしょう?」
「これを読んで貰えるかな」
「今でしょうか?」
「可能であれば」
無骨な物言いで書状を手渡す。雅隆は気にした風でもなく「分かりました」と歩みを止めずに読み始める。
なお、このまあまあ怪しい風体のアタラであるが、正体を隠すという意味以外にもちゃんとした理由がある。
顔を隠すヘルメット(アタラ曰く『へるめっと』)は『呪言濾過機構』の式を変化させたものであり、文字通り言霊使いであるアタラの『呪言』を濾過する事で無害なものへと変えるものだ。先程、雅隆との会話に通訳を必要としなかった理由である。
さて、書状の内容であるが今回参戦した坂東武者の派遣を相談したものであった。
アヤカシエンパイアには真の意味で安全、平和な場所はない。
しかし、比較すればやはり『禍津妖大戦』最大の激戦地であった東国の方が危険である。
それ故に東国に精鋭は幾ら居ても足りないので派遣という考えは浮かばない様に思える。
しかし、アタラの考えは違った。伸び盛りの若武者や全盛期を過ぎ去った老武者。
若武者には戦働きだけではなく都の所作など様々な経験を積んで大きく育って欲しいという想い。
老武者には妖との戦いに人生を捧げてくれた彼等に、その経験を後生に伝えると共に安らかに過ごして欲しいという願い。
この二つの想いと願いからの派遣相談である。
勿論、久我雅隆。久我家にも利益はある。
前途有望な若武者は治安維持の即戦力であるし、後に彼等が坂東に戻った際に伝手ともなろう。
老武者もその経験を活かして若い武者達は勿論、民への教練にも役立つだろう。
それらを考えれば受け入れても良いという方向に傾く。
推薦者である者が顔を隠した正体不明の人物である事が懸念点ではあるが。
そんな想いでちらりと雅隆がアタラを見ればそれを察したアタラが言葉を紡ぐ。
「僭越ながら久我荘園の現状、我が親愛なる友から聞き及んでおります」
そして、一瞬素顔を晒す。いたずらっぽくしーっ、とした挙動つきだ。
雅隆はアタラと面識があるのでそれで全て腑に落ちる。
「僕の一存では決められませんが、受け入れる方向でいます」
そう雅隆の返事を貰い、満足そうに頷く再び顔を隠したアタラ。
この姿の自分の役目はこれまでと別れの言葉を口にする。
「そろそろ領内ですな。
華子姫のご実家、千葉殿の署名も含めた本書状は後ほど届きましょう。
宴には我が後見の姫が物資人員共々参る手はず。私はこれにて!」
颯爽と去るアタラ。後見の姫という設定かぁ等と考えつつ雅隆はその後姿を見送るのであった。
大成功
🔵🔵🔵