獣人世界大戦⑲〜Infinite werewolf
●唱和
『すべては
祈りより始まった。弱き吾々は
罪深き刃に縋り、絶望の海に餮まれていった』
三つの狼の頭を持つ、大剣を手にした騎士――この騎士こそ、ダークセイヴァーの真なる支配者である「
五卿六眼」の一柱にして、ワルシャワ条約機構を大呪術「
五卿六眼」で監視・支配していた張本人「始祖人狼」だ。
その三つの頭が、同時に口を開き、同じ言葉を発する。それは、合唱のようにも聞こえた。
『全てを識った所で、変わるはずがない。その衝動こそが、猟兵の根源なのだから』
故に、はじまりの猟兵を、それを求める者達を排除すると、始祖人狼は言う。
『疾く蔓延れ、吾が『人狼病』。
五卿六眼照らす大地のあらゆるものを、吾が走狗と化してくれよう』
その言葉に応じるかのように、始祖人狼の周囲の大地が、大気が、無数の人狼へと変じていった。
●無限の人狼に対処せよ
「皆さん、この度はお集まり頂きありがとうございます」
グリモアベースの一室で、緑の板金鎧とマントに身を包んだエメラルドのクリスタリアン、ウィルヘルム・スマラクトヴァルト(緑の騎士・f15865)が、眼前に集まった猟兵達に頭を下げて感謝の意を示す。
「獣人世界大戦も第三戦線に入り、いよいよ今回の戦争の首魁と言うべき敵の予知も出てきました。ですが――」
依頼の話に入ったウィルヘルムが、早速言い淀む。
「如何したんだ? 遠慮は要らねえぜ」
猟兵の一人がそう告げて、ウィルヘルムに続きを促した。それに応えて、ウィルヘルムが続ける。
「始祖人狼は、その場の全てを人狼騎士へと変貌させます。動植物はおろか――大地や空気さえも」
ゴクリ、と続きを促した猟兵が固唾を飲んだ。その表情は、「冗談だろ?」と問うているようだった。
「……信じられないかも知れませんが、それが現実です。そして、もう一つ厄介な問題があります」
猟兵の表情での問いに、ウィルヘルムは否定の返事を返す。さらに、ウィルヘルムはその「もう一つ」の問題にも触れた。
「その特性もあってか、人狼騎士は無限に出現して皆さんを攻撃してきます。ですから、始祖人狼に攻撃するためには、まずその人狼騎士からの攻撃に対処しなくてはなりません」
自分で言っていて、無茶苦茶な話だなとウィルヘルムは思った。戦場のあらゆるもの、大地や空気さえもが無限に人狼騎士に変貌する中で、その人狼騎士からの攻撃に如何にか対処しなければ、始祖人狼に攻撃することさえままならないのだから。
だが、そこまで告げても退室しない猟兵達の姿に、ウィルヘルムはその覚悟を見て取った。
「わかりました……非常に厳しい戦いになるかと思いますが、皆さんに武運があることを願っています」
そう語りながら、ウィルヘルムは深々と頭を下げる。同時に、その掌の上の巨大なエメラルド――グリモア――を、眩く輝かせた。
その光に包まれた猟兵達は、次々と始祖人狼の前へと転移していった。
緑城雄山
こんにちは、緑城雄山です。獣人世界大戦も、いよいよ大詰めですね。
始祖人狼を討ち、獣人世界大戦を終結へと導いて下さい。
●このシナリオについて
このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
1フラグメントで完結し、「獣人世界大戦」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。
●プレイングボーナスについて
このシナリオでは、下記に基づく行動をとると、プレイングボーナスが入ります。
『無限に現れる人狼騎士をかわし、始祖人狼を攻撃する/大気や大地などなどの「人狼化」に対処する。』
●プレイングの採用について
基本的に、「プレイングボーナスの条件を満たしていると判断できるもの」「執筆しやすいもの」を優先して採用していく予定です。。
また、極力採用したいとは考えておりますが、当方のキャパシティを越えたプレイングが集まった場合、やむなく流してしまう可能性があります。予めご了承下さい。
●断章、プレイング受付期間
断章はありません。プレイングは、OP公開直後から受け付けます。
システム的に受付が可能である限りは、プレイングを受け付けます。
それでは、皆様からのプレイングを楽しみにお待ちしております。
第1章 ボス戦
『始祖人狼』
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POW : 天蓋鮮血斬
【巨大化した大剣の一撃】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
SPD : 血脈樹の脈動
戦場内に、見えない【「人狼病」感染】の流れを作り出す。下流にいる者は【凶暴なる衝動】に囚われ、回避率が激減する。
WIZ : 唱和
【3つの頭部】から、詠唱時間に応じて範囲が拡大する、【人狼化】の状態異常を与える【人狼化の強制共鳴】を放つ。
👑11
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ロラン・ヒュッテンブレナー
始祖人狼、何に祈ってるの?
なんでこんな破滅的で狂気的な病を撒くの?
あなたの祈りは、ぼくたち猟兵の志と同じじゃないの?
共鳴がぼくをより深く人狼化し、狂気に染めてくるなら…
ぼくも長年それと戦ってきた成果を見せないとね
UC発動、竜胆色の狼に変身
魔術陣の首輪と魔術回路の鎖で自らを縛って意識を保つの
封神武侠界の桃の精さんからの加護と香りも手助けしてくれるの
人狼病の罹患者だけど、この狼の力で、あなたに挑む
それがぼくの覚悟なの
狼の脚力で駆け、跳び、空中に一瞬だけ結界を張って足場にして跳ね回りながら接近を試みるの
満月の魔力も味方に付けたぼくの人狼魔術、受けてみて
一咆え、月光の魔槍を生み出して誘導弾射出なの
●狼の力で、挑む
「あなたは、何に祈ってるの……?」
三つの首によって紡ぎ出される始祖人狼の言を聞いたロラン・ヒュッテンブレナー(人狼の電脳魔術士・f04258)は、幼さの残る顔に不思議そうな表情を浮かべながら、問うた。
そして、さらにロランは続ける。如何して、こんな破滅的で狂気的な人狼病を撒くのか? 始祖人狼の祈りは、自分達猟兵の志と同じではないのかと。
だが、始祖人狼は答える必要はないと言わんばかりに、六つの眼でロランをギロリと睨み付けると、三つの口で同時に詠唱を行い、あらゆる存在を人狼へと変容させる共鳴を発生させた。
「その共鳴がぼくをより深く人狼化し、狂気に染めてくるのなら……!」
七歳の時に人狼病を煩い、八年間それと戦ってきたロランとしては、その共鳴に敢えなく流されるわけには行かない。
「夜の灯りを、呼びし遠吠え、大いなる円の下、静寂を尊ぶ」
ロランもまたユーベルコードを発動し、己の姿を満月のオーラを纏った竜胆色の狼へと変えた。
その身を縛り付ける魔術陣の首輪と魔術回路の鎖、それに何より封神武侠界の桃の精から授けられた花弁入りのサシェ「魔符桃香」から立ち昇る浄化と癒しの気と香りが、意識が共鳴に流されそうになるのを錨の如く防ぎ止める。
「ぼくは人狼病の罹患者だけど――この狼の力で、あなたに挑む」
それが自身の覚悟だと言わんばかりに、ロランは始祖人狼に告げる。そのロランに対し、始祖人狼はその目に映る空気と大地を人狼騎士へと変じてけしかけた。
ロランは狼としての脚力で駆け、跳び、あるいは一瞬だけ空中に結界を張りそれを足場にして複数回のジャンプを行うなどして、俊敏性をもって人狼騎士をかわしながら始祖人狼に接近せんとする。
だが、如何に俊敏であっても無数に出現する人狼騎士をかわしきるのは至難の業で、ロランは始祖人狼との距離を詰め切れないでいた。それでも、ロランは如何にか始祖人狼に仕掛けられる隙を見出す。
「ほぉぉぉぉぉぉぉぉ……ん!」
この機を逃すまいとしたロランが一咆えして人狼魔術を発動すると、その身に宿る満月の魔力が幾本もの月光の魔槍を創り出す。
月光の魔槍は僅かに出来た人狼騎士と人狼騎士の間を縫うように突き進むと、始祖人狼の鎧を貫き、その肉体を深々と穿った。浅からぬ傷を負わされた始祖人狼は、憎悪の篭もった視線をロランに向けた。
大成功
🔵🔵🔵
館野・敬輔
【SPD】
アドリブ連携大歓迎
大気や水が人狼騎士に変化する様は何度見ても驚くが
何度も見ていたらある程度対応はできる
無限に現れる人狼騎士を対処していては徒に消耗するから
ここは足に任せて突破しよう
指定UC発動
白の靄を纏いながら「ダッシュ、地形の利用」+UC効果の高速移動で人狼騎士の間を一気に駆け抜ける
行く手を遮る人狼騎士は挙動を「見切り」つつ避け
もし足元から現れたら「ジャンプ」で蹴り飛ばしつつ回避
回避困難な場合は黒剣から「衝撃波」を放ち吹き飛ばそう
血脈樹の脈動はあえて抵抗しない
裡から湧き上がる凶暴なる衝動を受け入れ
ありったけの憎悪を黒剣に籠めて
「2回攻撃、怪力」で叩き斬り…いや、叩き潰してやる!!
●凶暴化の衝動を受容し、叩き潰す
(やはり、何度見てもこの様には驚くな……)
大地や空気さえ人狼に変貌する様を館野・敬輔(人間の黒騎士・f14505)が見たのは、これが初めてではない。だが、それでもやはり眼前の光景に驚愕は禁じ得なかった。
しかし、初見ではなく既知の光景である以上、ある程度は対応する目処が立つと言うものだ。敬輔は、無限に出現する人狼騎士を相手することによる消耗を避けるべく、速度に任せて突破することにした。
ユーベルコードを発動し、自身がかつて食らった魂を白い靄として纏った敬輔は、その速度に任せて人狼騎士の間を一息に駆け抜けようとする。が、人狼騎士も容易くそれをさせるつもりはない。敬輔の行く手を遮る壁となるように、立ちはだかった。
素早く方向転換してその人狼騎士達をかわそうとするが、無数にいる人狼騎士達は新たな敬輔の行く手を遮る壁となった。それを飛び越えようとしても、空気から変容した人狼騎士が跳躍を遮ろうとする。
「くっ、邪魔だ!」
速度だけでは突破は無理だと判断した敬輔は、目の前の壁に黒剣からの衝撃波を放ち、人狼騎士達を薙ぎ払って道を作る。
それを何度繰り返しただろうか。ついに敬輔は始祖人狼のすぐそこまで辿り着いた。だが、ここで始祖人狼はユーベルコードを発動し、不可視の人狼病に感染する流れを創り出す。
「ぐあああああっ!!」
その流れに触れた敬輔は、襲い来る凶暴化の衝動を敢えて抵抗せずに受容した。
「叩き潰してやる!! 徹底的に!!」
その身体に湧き起こる憎悪を込めながら、敬輔は黒剣を大上段に振りかぶると、渾身の力を込めて振り下ろした。始祖人狼は大剣で受け止めようとするが、敬輔の膂力に押し負け始めると、身体を横に逃がして避けようとする。
『ぐうっ!!』
だが、その判断は遅かった。始祖人狼は、黒剣の刀身から逃げ切る事は出来ず、騎士鎧諸共に左の肩口をグシャリと叩き潰された。ドクドクと紅い血が、破損した鎧の隙間から流れ出していく。
力任せに再度黒剣を振り上げた敬輔は、追撃の一閃を放とうとする。今度は始祖人狼も最初から回避しようとしたため一撃目ほどの傷を負わせることは出来なかったが、右の肩口に黒剣が深く食い込み、騎士鎧をひしゃげさせると共にその下にある肉を引き千切っていた。
大成功
🔵🔵🔵
ダーティ・ゲイズコレクター
私はダーティ!ダーティ・ゲイズコレクター!
凶悪で極悪で劣悪で最悪な魔王ダーティとは私のことです!
ダークセイヴァーと獣人戦線の2つの世界を苦しめている上に
なんだか意味深なこと言ってもやもやさせちゃって大ワルですね!
そんな大ワルな始祖人狼さんは私が倒しましょう!
だって私はワルにとってのワル
超ワルな存在ですから!
なんて言ったらすごい数の人狼騎士さんがやってきました!
視線ありがとうございます!{ゲイズ・パワー}ごっつあんです!
でも皆さんの相手をするのは大変なのでここは
UC【悪辣!滲染穢堕禁踏沼】で皆さんと同じ数の私を作ります!
視線を浴びて強くなる無限の私を作れる私!
これって超卑怯でワルくないですか!?
●無数 VS 無数
「私はダーティ! ダーティ・ゲイズコレクター! 凶悪で極悪で劣悪で最悪な魔王ダーティとは、私のことです!」
次いで始祖人狼の前に現れたダーティ・ゲイズコレクター(Look at me・f31927)は、それが私だと自己紹介をするかのように告げた。
『その様な、凶悪、極悪、劣悪、最悪の魔王が、吾を討ちに来たと言うのか』
そんな者に、自分を討つ資格があるのか――そう言わんばかりに、始祖人狼は問うた。だが、ダーティは意に介することなく続ける。
「ダークセイヴァーと獣人戦線の2つの世界を苦しめている上に、何だか意味深なこと言ってもやもやさせちゃって、大ワルですね!」
そんな大ワルな始祖人狼を、自分が倒すとダーティは告げる。
「だって、私はワルにとってのワル! 超ワルな存在ですから!」
『……そうか。何にせよ、猟兵ならば排除するまで』
ダーティの論旨が理解出来ないとばかりに、始祖人狼は三つの頭を横に振った。同時に、無数の人狼騎士を空気と大地から出現させた。人狼騎士達は、すぐさまダーティに襲い掛かろうとする――が。
「視線、ありがとうございます!」
視線を浴びて力を得る視線誘導の魔王としては、無数の人狼騎士からの視線はまさにご馳走と言えた。「ごっつあんです!」と言いたくなるほどに。
しかし、いくら強化されたとは言え、無数の人狼騎士を相手取るのは難儀なことだ。
「水面に映る虚像を喰らい、出でよ! 穢せよ! 堕としめよ!」
そこで、ダーティもユーベルコードを発動し、己の全身を沼へと変える。その沼の水面からは、人狼騎士と同じだけの無数のダーティが出現した。
数多の視線を受けたダーティの分身の実力は、人狼騎士よりも遥かに上である。そして、ダーティの分身と人狼騎士の数は同数。となれば、人狼騎士が押し負けるのは道理だ。
始祖人狼は追加で人狼騎士を出現させたり、大剣を巨大化させて天蓋鮮血斬のユーベルコードで迫り来るダーティの分身を薙ぎ払い消し飛ばしたが、その対処にも限界があった。
人狼騎士でもユーベルコードでもダーティの分身を防ぎきれなくなった始祖人狼の身体に、神々しい光を放つ聖なるエネルギー体の槍「ブライトホーリーランス」が何本も深々と突き刺さる。
「視線を浴びて強くなる無限の私を作れる私! これって超卑怯でワルくないですか!?」
(確かに、非常に卑怯で悪辣だ……)
(それよりも、あれだけ悪悪言っていた魔王がこんな槍を持っているのはおかしくないか?)
(おい、吾よ。しっかり意識を保て!)
二つの頭は薄れ往く意識の中でそんなツッコミを入れたが、残る最後の頭の呼びかけでハッと意識を取り戻した。
大成功
🔵🔵🔵
サーシャ・エーレンベルク
幾度となく始祖人狼との戦いを行っても、あらゆるものを人狼へと変質させるこの病は……本当に恐ろしいわね。
始祖人狼。あなたが生きていた頃、とてつもない絶望があったのでしょう。
でもオブリビオンとして蘇ったあなたは、それと同じ絶望を私たち獣人に振り撒いている。
それを見て見ぬふりはできないのよ!
【白闇】を発動して、戦場を吹雪で覆いましょう。
人狼騎士は、次々と生み出された者も吹雪による凍結攻撃でその思考すべてを手放す。
足場が人狼へと変わるのなら、瞬間思考力で判断し、見切り回避、始祖人狼へと疾走する!
極低温化で人狼病の病原体の活動が停滞するのを狙って……この竜騎兵サーベルを叩き込むわ!
●思考さえも凍てつかす白き闇
「幾度となく始祖人狼との戦いを行っても、あらゆるものを人狼へと変質させるこの病は……本当に恐ろしいわね」
あらゆるもの――空気や大地さえも――が人狼騎士へと変貌する様を目の当たりにして、サーシャ・エーレンベルク(白き剣・f39904)はポツリと独り言ちた。サーシャは既に「幾度」どころか、三十回を超えて始祖人狼と戦っている。だが、それでも始祖人狼がもたらすこの状況への恐ろしさは、全く拭えないでいた。
「始祖人狼……あなたが生きていた頃、とてつもない絶望があったのでしょう?」
『そうだ……故に吾々は祈り、
罪深き刃に縋り……そして、絶望の海に餮まれたのだ』
既に幾度かの猟兵との戦闘で浅からぬ傷を負っている始祖人狼は、過去を思い出すようにしながら、ゆったりとした調子でサーシャに応えた。そこまでは、サーシャの予想どおりでもあるし、理解出来るところでもある。
「でも、オブリビオンとして蘇ったあなたは、それと同じ絶望を私たち獣人に振り撒いている――それを、見て見ぬふりはできないのよ!」
そこまで言い放つと、サーシャは会話の時間は終わったとばかりに、「
白闇のユーベルコードを発動した。
竜騎兵サーベル「ヴァイス・シュヴェルト」から、猛烈な吹雪が吹き荒れる。ほんの数十センチ先の視界さえ閉ざす白き闇が、戦場全体を覆い尽くした。
空気や大地が人狼騎士へと変貌するが、変貌した側から吹雪によって凍てついた。しかも凍てついたのは身体だけではなく、サーシャを攻撃すると言うごくごく単純な思考もだ。
『く――!』
想像もしなかった事態に、始祖人狼は慌ててユーベルコードを発動し、不可視の人狼病への感染をもたらす流れを創り出す。だが、その流れさえも凍てついて停滞する。
(――今だ!)
停滞した流れは不可視であるため、直接目にすることは不可能ではあったが、始祖人狼のユーベルコードが狙いどおりに意味を成さなくなったと判断したサーシャは、すかさず大剣をかいくぐり始祖人狼の懐に入ると、ヴァイス・シュヴェルトを脇の下にズブリと深く突き立てた。
『ぐおお――っ!! ……よくも!』
その痛苦に、始祖人狼の三つの頭が咆え、ギロリと憎悪を込めた視線をサーシャに向ける。だが、サーシャはヴァイス・シュヴェルトの刀身全体を染める紅を確認すると、十分な傷を負わせたと満足して戦場を離脱した。
大成功
🔵🔵🔵
夜刀神・鏡介
随分と婉曲的な言い回しだが、要するに猟兵が悪って事か?
だが、俺達が戦うのは世界を破滅させんとするオブリビオンがあるからで……どうこう言われたくはないかな
神刀の封印を解除。神気によって身体能力を強化
まずは人狼騎士の対処から。ここは廻・肆の秘剣【黒衝閃】で
時折湧いてくる人狼騎士に斬りつけながら、ダッシュで移動しジャンプで飛び越えつつ戦場を広く移動
大地に傷跡をつけたとて、その大地が人狼になったら消えてしまうかもしれない
だが「人狼を人狼にする」って事は不可能だろう
始祖人狼のUCにあわせて【黒衝閃】を発動
範囲内の敵にダメージを与えると共に衝撃波で共鳴をかき消し、そのままの勢いで始祖人狼に斬り込んでいく
●始祖人狼には見抜けなかった仕込み
(……随分と婉曲的な言い回しだが、要するに猟兵が悪って事か?)
始祖人狼の言葉に、夜刀神・鏡介(道を探す者・f28122)は怪訝そうな表情を見せた。だが、そもそも鏡介達猟兵が戦うのは世界を破滅に導くオブリビオンがいるからであり、そのオブリビオンである始祖人狼にどうこう言われるような筋合いはなかった。
ともあれ、鏡介は神刀の封印を解除。すると、溢れる神気が鏡介の身体能力を強化した。その上で、次々と迫り来る人狼騎士をあるいは斬り、あるいは急なダッシュで回避し、あるいは跳んで越えながら、鏡介は戦場中を広く移動した。
『如何した、今度の猟兵は……今までとは違って、近付くこともままならない様子だが』
始祖人狼は、そんな鏡介を人狼騎士に妨げられて自分に近づけないものと判断した。時折斬ったりはしているが、傷を負った人狼騎士が増える一方でまともに倒せていないのも、始祖人狼がそう判断した一因だった。
ならば、もうこの場から鏡介を排除してしまおうと、ユーベルコードを発動する。
「今だ! 砕き散らせ、黒の剛撃――廻・肆の秘剣『黒衝閃』!」
それに合わせて、鏡介も機が来たと言わんばかりに神刀を地面に突き立て、ユーベルコードを発動する。すると、鏡介に斬りつけられた人狼騎士に囲まれた内部に、黒い神気が地を穿たんとする程の勢いで墜ちて来た。
『何――っ!?』
驚愕に囚われた始祖人狼は、墜ちてくる神気に強かに打ち据えられ、既に受けた傷からはさらなる血を噴き出させ、大きなダメージを負った。
始祖人狼が知る由はなかったが、人狼騎士を敢えて斃すことなく戦場中を移動したのは、鏡介の仕込みだった。鏡介のユーベルコードは神刀の刀傷によって囲まれたその内部に、黒の神気を墜とすと言うものだ。
だが、地面に刀傷を付けたのでは人狼騎士に変貌することで、その刀傷が消えてしまう恐れがあった。一方で、人狼騎士を人狼騎士に変貌させる事は不可能であろうと鏡介は判断しており、斃してしまわなければ人狼騎士は刀傷ごと戦場に残り続ける、と言うわけだ。
ともあれ、黒い神気は始祖人狼やその周囲の人狼騎士に大ダメージを与えるだけでなく、始祖人狼のユーベルコードによる共鳴すらも衝撃波によって相殺し、消し飛ばしている。周囲の人狼騎士も灰となって崩れ去った以上、始祖人狼まで鏡介を遮るものは何もない。
鏡介は一気に始祖人狼の前へと駆け寄ると、その鳩尾にあたる場所に神刀を深々と突き刺した。
がはっ、と始祖人狼の三つの頭が吐血する。少しずつ猟兵の方へと傾いていた戦況が、大きく傾いた瞬間だった。
大成功
🔵🔵🔵
ヴィゼア・パズル
【白岩】
連携重視アドリブ歓迎
「万物を人狼化か……精霊の変質だな。」
仲間と道中別行動に空高く飛び上がる。
水沫が地、私は空を
敵の射程内に入る前に此方から先制攻撃
声を届ける風、全ての大気の震えを縫い留める
『詠うは無声の調べ….その詠唱は届かない。』
属性の乗った全力魔法・範囲攻撃
たとえ当たらなくてもカウンターで2回攻撃がある
渦は敵を中心に周囲の樹々すら巻き上げる
人狼化した自然を軽蔑する様に睥睨
「…正しい機能を失わせ
クローン体を増やし、やがて環境すら潰して行く。……まるでガン細胞か厄病神だな。」
激怒するフロゥラと共に
ついでとばかり仲間の攻撃に合わせ口輪の様に風を嵌めよう
トドメはエスタに託す
水沫・牡丹
【白岩】
先刻、一合交えて理解した
人狼病に罹らぬもの、それは摂理
世の理には人狼病も干渉できぬとみた
妾の神剣は重力を操る真人の御剣
ヴィゼアが先制する間に、竜脈へ刃を突きたて、範囲攻撃の備えを済ませるのじゃ
人狼騎士のみを狙い、重力の属性攻撃で地面に釘づけ、超重力の圧で潰しにかかる
始祖人狼、そなたの大剣も重力には逆らえまい
「重力の鎖から逃れられると思うでないぞ
“冥府の女”として、地の底へ誘おう……潰えよ」
エスタシュの道を拓くついでに、血脈樹の枝葉も、妾の重力でへし折れれば御の字
凶暴な衝動? 妾にとって、荒ぶる情念があるなら…愛じゃろう。
愛する故に拒絶され、悲嘆する感情は、始祖人狼の精神を蝕むやもな
エスタシュ・ロックドア
【白岩】
さて、とんでもねぇ輩が出てきたもんだ
いつものことだがな
そんじゃ戦働き頑張るか
人狼への対処は牡丹とヴィゼアに任せて、
俺ぁ全力で攻撃することに集中する
人狼が動けなくなったとこでシンディーちゃんに【騎乗】【運転】
ブルーフレアドレスを点火
フリント【怪力】で構えてランスチャージよろしく【ダッシュ】で一直線に敵に突っ込む
地面に散らばった人狼どもは【悪路走破】でお構いなくその上を走っていく
敵のUCは仲間が対処してくれてるが、
もし俺に飛んできてもSPDだろうがWIZだろうが『大鴉飛翔』で反射
自由を尊ぶ俺にとっちゃどっちの効果も受け入れ難ぇんだわ
フリントの切っ先を真っすぐ敵の胴体にお見舞いするぜ
●全ては、この一撃のために――!
幾度かの猟兵との交戦により、始祖人狼は既に浅からぬ傷を負っている。だが、
五卿六眼の一柱たるオブリビオン故か、その生命力はまだまだ尽きることがないように思われた。
その始祖人狼を討つべくこの場に現れたのは、旅団「ライダーズモーテル・ホワイトロック」に属する三人だ。
「万物を人狼化か……精霊の変質だな」
独り、仲間と離れ空を飛翔しているヴィゼア・パズル(風詠う猟犬・f00024)は、大地や空気さえ人狼騎士へと変貌させる始祖人狼の能力を、そのように捉えていた。
ヴィゼアはさらに始祖人狼との距離を詰め、生み出された人狼騎士と間もなく接敵するというところで、ユーベルコード「
声縫」を発動。
「詠うは無声の調べ……その詠唱は、届かない」
声を奪い去る風の渦が、始祖人狼も巻き込みながら戦場の空を吹き荒れる。特に空気から出現した人狼騎士は、その渦に巻き込まれてことごとくが消滅した。
『……、……!』
始祖人狼はヴィゼア目掛けてユーベルコードを発動しようとするが、既に風の渦に巻き込まれているため、ユーベルコードを封じられてしまい発動することが出来ない。仮にユーベルコードを封じられていなかったとしても、声を奪い去られている以上詠唱もまた不可能であり、どちらにしろ「唱和」のユーベルコードによって凶暴化をもたらす共鳴を発生させることは出来なかった。
ならばと、始祖人狼は周囲をあらん限りの眼力で睥睨する。すると、大地から、空気から、先程数を減らしたよりも多くの始祖人狼が出現した。
「正しい機能を失わせ
クローン体を増やし、やがて環境すら潰して行く……まるで、ガン細胞か厄病神だな」
その様を、ヴィゼアは軽蔑の念を込めながら見つめていた。ヴィゼアと共にいる風の精霊フロゥラは、この現象を許しておけないのであろう、目に見えて激怒している。
少しして、ヴィゼアは視線をやや後方の地面へと移した。そこには、水沫・牡丹(弥哭侘の地母神・f27943)の姿があった。
既に別の始祖人狼と一戦交えた牡丹には、一つの確信があった。空気や大地すら人狼騎士に変貌させる始祖人狼の能力ではあるが、摂理――すなわち、世界の法則には始祖人狼の能力も干渉することは出来ない、と。
「重力の鎖から逃れられると思うでないぞ。“冥府の女”として、地の底へ誘おう……潰えよ」
ヴィゼアが仕掛けていた間に、「神剣・五岳盤古」をこの地の龍脈に突き立てていた牡丹が、ユーベルコード「地母神の権能」を発動する。
牡丹の、地母神にして冥府の女としての権能が封印から解かれると、五岳盤古は始祖人狼や人狼騎士を超重力で大地に縛り付けた。人狼騎士は既に動く事がままならなくなっており、始祖人狼も大剣を振るうどころか持ち上げることさえ出来なくなっている。
始祖人狼は、一つの頭が憎々しげな視線を牡丹に向け、残る二つの頭はその視線によって空気や大気を次々と人狼騎士へと変容させていく。だが、新たに出現した人狼騎士も超重力の圧から逃れうることは出来ず、出現した側から大地に縛り付けられていった。
それだけでなく、超重力の尋常ではない圧をかけられ続けた人狼騎士は、やがてその不可に耐えきれず次々と崩れゆく灰と化して消滅していった。
ライダーズモーテル・ホワイトロックの三人が始祖人狼を相手に採った戦術は、ヴィゼアが空から、牡丹が地から、次々と出現する人狼騎士を排除し、エスタシュ・ロックドア(大鴉・f01818)が始祖人狼を攻撃する道を拓くと言うものだった。そして、その戦術は今まさに最終段階に入りつつある。
(さて――とんでもねぇ輩が出てきたもんだ。いつものことだがな)
始祖人狼も大概ではあるが、これまでの戦争で戦ってきたオブリビオンの首魁達も、それに負けず劣らず一癖も二癖もあった。それを考えれば、相手が始祖人狼だろうとエスタシュの言うように「いつものこと」ではある。
「そんじゃ、戦働き頑張るか――よろしく頼むぜ、シンディーちゃん」
人狼騎士が牡丹の重力に縛られて動けなくなったところで、エスタシュは愛車「シンディーちゃん」のシートに跨がり、声をかけた。
そして、専用ジェットエンジン「ブルーフレアドレス」を起動すると、その横で地面に突き刺してある鉄塊が如き大剣「フリント」の柄を手に取り、怪力で以て地面から引き抜いた。
エスタシュがブルーフレアアドレスを全開に噴かせば、ブルーフレアドレスはその名に相応しい優雅なドレスを思わせるような蒼い炎を排気口から吹き出しながら、あっという間に最高速まで加速して応えた。
さらにヴィゼアが風の渦で以てエスタシュから始祖人狼までの間の人狼騎士を掃除するが如くまとめて消滅させると、もうエスタシュと始祖人狼の間を阻むものは何も存在しなくなる。
「こいつを、お見舞いしてやる! 逝きな!」
フリントの切っ先を真っ直ぐ始祖人狼の胸板に向けて、エスタシュはただひたすら一直線に突撃した。それは、あたかも騎兵が馬上槍を構えて突撃するが如し。
ズドウッ!
鈍く、大きな音が辺りに響いた。フリントの刀身が、騎士鎧諸共に始祖人狼の胸板を貫き徹した音だ。ゴバッ! と、始祖人狼の三つの頭は勢いよく大量の血を吐いた。
エスタシュは手応えを感じていたし、ヴィゼアも牡丹も致命傷を負わせたと思った。だが、まだほんのわずかに始祖人狼の強靱な生命力が上回っており、始祖人狼が消滅することはなかった。
ギリ、と奥歯を噛み砕かんばかりに噛み締めて、エスタシュがその表情に口惜しさを滲ませる。
だが、いくら討ち損ねたとは言え始祖人狼の生命は風前の灯火であり、その胸板に開いた孔を見れば最早長くは無いのは明白だった。
そこで三人は、止めを続く猟兵達に任せて、互いの労を労い合いながらグリモアベースへと引き上げていった。
大成功
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リリエル・エルヴィータ
【ドヴェルグ】
あらゆるものを
ワンちゃんに変えるとか困った
大きなワンちゃんなんだよ💦
エミリオも言ってるけど、きちんとお話をして皆で協力すれば新たな道も開けるかもなんだよ?
無限に現れるワンちゃん達にキューピッド・クロスボウの超連射で【制圧射撃】。
更に今回の矢はUCで生成した特別製♪
みんな喧嘩なんてやめて良い子ちゃんになるんだよ~♥
シェリーに攻撃して来たら【かばう】んだよ!
我のお友達を傷付ける悪い子にはお仕置かな!かな!💢
大きなワンちゃんをガシッと掴んで【怪力】に任せた【ぶん回し】から……ポイッ(【投擲】)!
あ、あれ💦ちょっと凶暴なる衝動に囚われてたかも💦かも💦
エミリオ・カリベ
【ドヴェルグ】
弱き吾々は罪深き刃に縋り、絶望の海に餮まれていった。
言葉通りならば貴方は……ううん、聞いたところで何も話してはくれないのだろうね。
でもそれはみんなで力を合わせても絶対に変えられないのかな?
例えそうだとしも僕たちが変わらないというのはその通りだと思うけれど、ふふ。
まずは【世界知識+瞬間思考力+占星術+浄化+結界術】で人狼病を抑える結界を展開。
人狼化の遅延と人狼騎士の弱体化を図り、リリエルとシェリーの無力化攻撃を援護するよ。
無力化を免れた人狼は魔法で撃退し……
始祖人狼にUCで燦々と黄金色に輝く巨大な炎球を放つ。
人狼は満月の下では狂暴化し、太陽の下では力を失う……ただの伝承だけれどね?
シェリー・ロビンソン
【ドヴェルグ】
色々なものから人狼騎士の大群を生み出す能力……研究対象としては興味深いけど、そんな場合じゃないか。始祖人狼とのお話云々はこれを対処してからだ。
みんなと一緒に人狼騎士の攻撃を凌ぎつつLesathの”マヒ攻撃”をお見舞いしよう。これで少しは時間を稼げるかな?ボクはハズマットスーツで麻痺毒を無力化するよ。
リリエルさん、傷を負ってもシリンジピストルで手当て(”医術”+”回復力”)するね!
準備が出来たら≪Temenos≫ でこの戦場全体を実験場にしてしまおう。このUCでエミリオさんの結界と共に増殖を抑えつつ大群に打撃を与えて仲間達を強化、始祖人狼までの道を切り拓いて一気に畳み掛けよう!
●始祖人狼は太陽に灼かれり
旅団「蒸気飛行船 -空中工房ドヴェルグ-」のメンバーが戦場に転移した時、始祖人狼は既に致命傷を負って虫の息となっていた。胸板には騎士鎧を貫通して縦に細長い孔が空いており、その他にも様々な傷が始祖人狼の身体には刻まれている。
まず一歩始祖人狼の方に歩み出たのは、エミリオ・カリベ(星空と本の魔法使い・f07684)だ。普段と変わらぬ穏やかな眼差しを向けながら、エミリオは始祖人狼に問い始めた。
「弱き吾々は
罪深き刃に縋り、絶望の海に餮まれていった。言葉通りならば貴方は……」
そこまで言って、エミリオは頭を振った。
「ううん。聞いたところで、何も話してはくれないのだろうね」
『……わかっているではないか。猟兵よ』
「でも、それはみんなで力を合わせても、絶対に変えられないのかな? 例えそうだとしても、僕たちが変わらないというのはその通りだと思うけれど」
『…………』
続けて為された問いに、始祖人狼の三つの首は押し黙る。それからどれほど、沈黙の時間が過ぎただろうか。やがて始祖人狼は、三つの首全てを横に振った。
それと同時に、その視線によって空気や大気を無数の人狼騎士へと変貌させていく。
「あらゆるものを
ワンちゃんに変えるとか、困った
大きなワンちゃんなんだよ💦 エミリオも言ってるけど、きちんとお話をして皆で協力すれば、新たな道も開けるかもなんだよ?」
リリエル・エルヴィータ(記憶喪失の彷徨う謎神・f32841)はそう呼びかけてみたが、始祖人狼はこれ以上会話に応じる気はないようだった。
(色々なものから人狼騎士の大群を生み出す能力……研究対象としては興味深いけど、そんな場合じゃないか)
シェリー・ロビンソン(深窓仮面の狂化学者・f40211)が始祖人狼の能力に関心を抱いたのは、如何にも狂科学者らしい。だが、自身も認識しているとおり、今はそんな場合ではなく、まずはこの事態に対処しなければならなかった。
すかさず、エミリオは福音書「Santuario」を左手に持って開き、右手に持った魔法の杖「Esfera celeste」の杖頭にある天球儀に魔力を込めた。天球儀からは、戦場全体を覆うように清浄なる結界が拡がっていく。
エミリオが展開したこの結界は、人狼病を抑えるためのものだ。と言うことは、当然、始祖人狼の能力による、空気や大地の人狼騎士への変貌も抑制されることになる。
「
実験場はボクの聖域だ。それを侵すなら、ボクの実験に付き合ってもらうよ?」
エミリオの結界に合わせるようにして、シェリーは「Temenos」のユーベルコードを発動し、戦場全体を自分の実験場に変えた。結果、この戦場は敵、すなわち始祖人狼の干渉を撥ね除ける場となった。その上、始祖人狼や人狼騎士はダメージを受け、シェリー達猟兵は雨の如く降り注ぐ強化薬剤によって強化される。
エミリオの結界、シェリーのユーベルコードによって、新たな人狼騎士の出現は止まった。あとは、既にいる人狼騎士への対処だ。
「みんな、喧嘩なんてやめて良い子ちゃんになるんだよ~♥」
ここで、リリエルがユーベルコード「
心変わりを誘う愛の女神」を発動。
愛の力で満ち溢れている、ハート型の黄金の矢を創り出すと、「キューピッド・クロスボウ」で連射して次々と人狼騎士を射貫いた。黄金の矢を受けた人狼騎士は、リリエルの側へ近寄るとあたかも眷属であるかのように侍る。そして、愛しいリリエル達に迫らんとする人狼騎士を迎え撃った。
それでもまだ数の上では猟兵達を攻撃せんとする人狼騎士の方が上回っていたが、シェリーがグレネードランチャー
Lesathから麻痺毒弾を撃って人狼騎士の動きを封じたり、エミリオが魔法で撃退したりしていくうちに、徐々に形勢は逆転して始祖人狼への道は拓けていった。
「エミリオ!」
「エミリオさん!」
リリエルとシェリーが自分の方を見て呼びかけた意味を、エミリオは理解していた。この中で未だユーベルコードを温存しているのはエミリオのみであり、そのユーベルコードで決着を着けて欲しいと言う、期待だ。
「La fuente de todo el poder……llama caliente……¡Sol brillante!」
二人の視線と声に、エミリオは深くコクリと頷くと、詠唱を行いユーベルコード「Sol brillante」を発動する。
空に、黄金色に輝き燃え盛る巨大な炎の球が出現した。それは、あたかも太陽が如き輝きと熱を以て、この一帯を照らし出す。
「人狼は満月の下では狂暴化し、太陽の下では力を失う……ただの伝承だけれどね?」
その声と共に、エミリオは炎の球を始祖人狼へと墜とした。
『――――!!』
断末魔の声すら上げることも出来ずに、始祖人狼は超高熱の炎に全身を灼かれ、灰すらも残さずに蒸発した。同時に、未だ残っていた人狼騎士も脆く崩れゆく灰となって消滅していく。
周囲を見回して、改めてもう敵がこの場にいないことを確認すると、リリエルとシェリーが笑顔でそれぞれ手を掲げた。それに応えるようにエミリオもまた笑顔を浮かべると、パン! と小気味よい音を響かせながら二人とハイタッチし、勝利を喜び合うのであった。
大成功
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