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獣人世界大戦⑬〜混沌を抜けて一撃を入れよ

#獣人戦線 #獣人世界大戦 #第二戦線 #人民租界 #有頂天道人


●集結、サイバーマフィア!
「獣人戦線での戦いは、今のところは我々が押しているようだな。だが、中には何度退けられても、諦めずに戦いを続けるオブリビオンもいるようだ」
 その名は有頂天道人。サイバー化と混沌化による歪んだ肉体強化を経て、虎視眈々と抜け駆けを狙う百戦錬磨のコンキスタドールだと霧崎・紫苑(機械仕掛けの闇医者・f32327)は猟兵達に告げた。
「お前達の中には、既に有頂天道人と戦い勝利した者もいるだろう。だが、同じ戦い方で勝てるかどうかは、今回に限っては未知数だ」
 なぜなら、有頂天道人と猟兵の決戦を察知し、人民租界の各都市を支配していたオブリビオンマフィアの幇大人パンターレン達が続々と集結しているからだと紫苑は続けた。彼らは肉体を機械化義体サイバーザナドゥで武装しており、数の暴力に物を言わせて波状攻撃を仕掛けて来る。
「連中を叩きのめすだけであれば、そう難しい話でもない。俺のようなサイボーグを相手に戦うことをイメージすれば、戦い方はいくらでもあるだろう」
 問題なのは、その後だ。有頂天道人のユーベルコードは、その一部が『undefined』となっている。これは彼の混沌性を象徴するもので、『undefined』の内容は彼の自由に変えることができる。
 グリモア猟兵でさえ、その内容を予知するのは不可能だ。幇大人パンターレンの集団を蹴散らす際に手の内を見せ過ぎれば『undefined』によって対策を取られるだろうし、こちらが先に何らかの防御策を用意していたとしても、『undefined』の内容次第で容易に上を取られてしまう。
 唯一、彼の得意技である『サイバー渾沌拳』だけは『undefined』の力を持たないが、純粋に技量が高いため、猟兵側が何らかの技能だけで避けるのは不可能に近い。どちらにせよ、幇大人パンターレンの波状攻撃をやり過ごし、有頂天道人に一発攻撃を当てるのが精一杯だろう。
「地の利、戦力、そして技の利……全てが敵の側にある以上、深追いや長期戦は禁物だ。有頂天道人に攻撃されても問題ないように策を講じた上で、一撃を食らわせては離脱するの繰り返しを行う他にない」
 対策しようのない『undefined』ではなく、それ以外の部分でユーベルコードの穴を突くか、あるいは何らかの方法で有頂天道人の『サイバー渾沌拳』の技量を上回るか。どちらにせよ、波状攻撃には波状攻撃。猟兵による絶え間ない攻撃で、おかしなことをされる前に倒すしかない。
 難しい任務にはなるが、受けてくれる者はいるだろうか。そう言って、紫苑は頷いた猟兵達を、有頂天道人の待つ戦場へと転送した。


雷紋寺音弥
 こんにちは、雷紋寺音弥です。

 このシナリオは戦争シナリオです。
 1章で終了する特別なシナリオです。

 人民租界の各都市を支配していたオブリビオンマフィアの幇大人パンターレン達と、それを従える有頂天道人との戦いになります。
 幇大人パンターレン達の波状攻撃を潜り抜け、有頂天道人に強烈な一撃を食らわせましょう。

●プレイングボーナス 
 幇大人パンターレン達の波状攻撃をかわし、有頂天道人に攻撃する。
 双方の条件を満たさなければボーナスの対象にならないので、理不尽な『undefined』への対策などもしっかりと行ってください。
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第1章 ボス戦 『有頂天道人』

POW   :    サイバネ殺法 undefined cyberne
【機械化義体でカンフー技】を放ち、命中した敵を【undefined】に包み継続ダメージを与える。自身が【中国拳法の構えを】していると威力アップ。
SPD   :    サイバー渾沌拳 undefined kungfu
【サイバー化した肉体】と【渾沌化した肉体】を組み合わせた独自の技能「【サイバー渾沌拳】」を使用する。技能レベルは「自分のレベル×10」。
WIZ   :    渾沌波動弾 undefined aura
レベル秒間、毎秒1回づつ、着弾地点から半径1m以内の全てを消滅させる【undefined】を放つ。発動後は中止不能。
👑11
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禹・黄風
何とも厄介ですが倒さねばならぬ強敵。
逃げず立ち向かい、乗り越えてみせます。

幇大人の波状攻撃は殺気を感知しつつ自在三節棍を伸ばして薙ぎ払い対抗。
可能なら周囲の地形を利用して分断し、連携を見出しましょう。
UCは幇大人には逆風だけ使用、危険な攻撃の勢いを削いでその隙に回避、或いは波状攻撃の一部をわざと逆風を当てず陣を乱し、隙を突いて有頂天道人に射線取れる位置にダッシュ。
…そのundefinedは義体のカンフー技が命中した相手を包み込む。
ならそれが当たらなければ意味はない筈。
そして叩き込むのは伸ばした自在三節棍の薙ぎ払い。
UCの突風で加速して想定外の速度の一撃を叩き込みましょう。

※アドリブ絡み等お任せ


ベリル・モルガナイト
罪無き人々を。巻き込み。戦火を。広げんとする。行い。許すわけには。いきません
私は。盾の騎士
この世界の。人々を。守るために。この力を。振るいましょう

共に。戦場に。立つ。方々を。幇大人の。攻撃から。守ることに。集中
敵が。一人でないように。こちらも。一人で。戦っているのでは。ないのですから
私が。皆さんが。力を。振るう時を。生み出します

そして。知りなさい
貴方たちが。奪い。傷付けることを。力と。言うのならば
慈しみ。守り抜くことが。私の。力なのだと

有頂天道人の。カンフーを。盾で。受け。その隙を。狙い。レイピアによる。一閃
残った力を。すべて。乗せた。カウンターを。放ちます



●這いよる渾沌の力
 渾沌。それは定義不能なる理不尽な力。それを操る有頂天道人の半身は、人の限界を超えし機械の身体。
「何とも厄介ですが倒さねばならぬ強敵。逃げず立ち向かい、乗り越えてみせましょう」
 正面からのぶつかり合いで勝ち目はないと知りつつも、禹・黄風(武の頂を・f40009)は棍を構えて敵の軍勢へと飛び込んだ。
 ただでさえ強敵の有頂天道人が、機械化義体を装備した幇大人パンターレン達に守られている。彼らは単なる武人や拳士ではなく、平たく言ってしまえばサイボーグ。その身体能力は有象無象でありながら並の人間や獣人を凌駕し、単体で都市を支配下に置けるほどに強力だ。
「――大気掌握」
 矢継ぎ早に攻撃を仕掛けてくる幇大人パンターレン達を、黄風は自在三節棍で薙ぎ払いつつ、逆風を浴びせて勢いを削いだ。とりあえず、これで好き放題にやられることはない。だが、問題なのは敵の数だ。どれだけ勢いを削いだところで、相手が倒れない以上、やがては取り囲まれてしまう。
「ヒャッハァァァァ!!」
「その程度の風で、倒れるものかよぉ!」
 中には脚力を強化している者もいるようで、ともすれば強引に風へ逆らってくるのが面倒だった。ならば、一部だけ風を送ることを止め、敵の陣を乱そうとする黄風だったが、それではどうしてもノーマークとなる敵が出てしまうわけで。
「どうやら、もう風は使えないようだなぁ!」
「ブッ殺してやるぜ! 覚悟しなぁ!」
 金属製の爪を振り上げ、数名の幇大人パンターレン達が襲い掛かって来た。それらを棍の一振りで一蹴する黄風だったが、それでも敵は次から次へとやって来る。
(「やはり、最低限の数だけでも無力化しなければ、先へは進めそうにありませんね」)
 ユーベルコードの半分しか見せず、取り巻きを無視して有頂天道人へ辿り着こうというのは甘かったか。
 最悪の場合、多少の不利も承知の上で、幇大人パンターレンを倒して回るしかないと黄風は覚悟を決めた。だが、そんな彼の背後から迫る幇大人パンターレンの攻撃を、強固な盾が受け止めた。
「護る。意志こそが。私の。力と。なるの。です」
 いつの間にか、ベリル・モルガナイト(宝石の守護騎士・f09325)が黄風の盾になっていたのだ。これで、攻撃は全て彼女が引き受けてくれる。いちいち幇大人パンターレンの相手をせずとも、一気に有頂天道人まで駆け抜けられる。
「罪無き人々を。巻き込み。戦火を。広げんとする。行い。許すわけには。いきません。私は。盾の騎士。この世界の。人々を。守るために。この力を。振るいましょう」
「助かりましたよ。ならば……早々に決着をつけねばなりませんね!」
 防御はベリルに任せ、黄風は最短距離で有頂天道人へと向かって行く。その脇を固めつつ、ベリルは幇大人パンターレンの機械化義体による攻撃を、強固な盾で受け止め確実にさばいて行く。
「敵が。一人でないように。こちらも。一人で。戦っているのでは。ないのですから。私が。皆さんが。力を。振るう時を。生み出します」
 戦況は一瞬にして黄風とベリルの優勢に変わった。だが、それでも有頂天道人は、ともすれば無防備を晒すかの如く、その場を動かず二人のことを待ち受けていた。
「そして。知りなさい。貴方たちが。奪い。傷付けることを。力と。言うのならば。慈しみ。守り抜くことが。私の。力なのだと」
 ならば遠慮は不要だと、先に仕掛けたのはベリルだった。
 有頂天道人が繰り出してくるカンフー技。それを見事に盾で受け止め、全身全霊を乗せたカウンターで迎え撃つ。
 作戦としては、これ以上にないものだ。しかし、確実に急所を貫いたとべリルが確信した瞬間、正体不明の何かに周囲を覆われていたのは彼女の方だった。
「……っ!? これは……」
 気が付けば、周りは常に変化を続ける謎の靄のようなもので囲まれている。それは彼女の盾から繰り出された魔道障壁をも飲み込んで、変幻自在に姿と性質を変えながら、障壁や空間さえも侵食して行く。
「残念だったな! 我がサイバネ殺法を防ぐことは不可能! 当たりさえすれば、その対象を渾沌で覆うことができるのだ!」
 有頂天道人が勝ち誇ったようにして笑っている間にも、渾沌は容赦なくベリルのことを飲み込もうとしてきた。それを見た黄風が一気に距離を詰めて三節棍による薙ぎ払いを放つも、有頂天道人はその一撃を食らいながら、しかし三節棍にサイバネ殺法を食らわせていた。
「その距離から攻撃してくるとは、まだ力を隠していたか! だが、無駄だ! この一撃を食らえば、何であろうと渾沌に……?」
 そこまで叫んで、有頂天道人は気が付いた。渾沌に包まれているのは、宙に浮いた三節棍だけだ。肝心の黄風は咄嗟に三節棍を手放して、有頂天道人の死角に回っており。
「長期戦は望みません。ですが……せめて、もう一撃は入れさせてもらいましょう!」
 死角からの強烈な一撃で、有頂天道人を吹き飛ばす。本来なら、そのまま追撃を浴びせたいところだったが、今はそれよりも退くのが先だ。
「さあ、撤退です。このまま渾沌に飲み込まれれば、どうなるか分かりません」
 渾沌に包まれた棍を拾い、黄風はベリルを渾沌の中から引きずり出すと、有頂天道人が体勢を立て直す前に身を退いた。その身を挺して守りを引き受けてくれたベリルのことを、ここで見捨てるわけにはいかなかったからだ。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

マナ・シュテル
おーおー、こりゃあまた随分と数を揃えたもので。
ですが、敵が見えてりゃやりようはあります。

向かって来る幣大人達からはSAVER WINGの【推力移動】で距離を取りつつ、有頂天道人を視界に収め。
UC発動、敵の内部器官をKAMAITACHIの【斬撃波】で直接斬り裂いてやります。
直接殴りあったらまず勝てない敵ですが、それなら殴り合わなければ良いだけ。
体内を直接攻撃するなら、どれだけ防御や回避が上手かろうと無関係です。
後は、何らかの遠距離攻撃手段と幣大人達の攻撃に対応しつつ、適宜UCでの攻撃を重ねていきましょう。



●狙いは一点集中
 一騎当千の猛者達を退け、その果てに待つ強敵を討つ。
 普通に考えれば、単身で挑む任務ではない。だが、時としてそれを可能にするのが猟兵なのだ。
「おーおー、こりゃあまた随分と数を揃えたもので。ですが、敵が見えてりゃやりようはあります」
 続々と集まってくる幇大人パンターレン達を前に、マナ・シュテル(天|《X》上|《↑》天|《X》下|《↓》の猟兵神話・f18064)は、自ら近づくことなく距離を取った。
 一見して、敵前逃亡にしか見えない行為。しかし、彼女からすれば、これでいいのだ。
 あれだけの数、まともにやり合ったところで勝ち目はない。仮に勝利できたとしても、その後に控える有頂天道人には、こちらの手の内を全て見透かされてしまっていることだろう。
 ならば、敢えて敵を相手にすることなく、最終目標だけを攻撃する。そんな芸当が本当にできるのかと問われれば……今のマナには、できるのだ。
(「雑魚が多過ぎて有頂天道人が視界に入らねーですね……。地上戦では勝ち目無し、ですか」)
 横に逃げるだけでは勝機を見いだせず、マナは一気に垂直方向へ飛び上がった。それを見た幇大人パンターレン達は、それぞれ迎撃の構えを見せるが、しかしマナの狙いは彼らではない。
「そいつをちょいと頂きますよ!」
 自分の眼前に渦のようなワームホールを発生させ、マナはその中へありったけの斬撃波を叩き込んだ。一瞬、何が起きたのか分からず硬直する幇大人パンターレン達だったが、彼らよりも先に苦悶の表情を浮かべたのは有頂天道人の方だった。
「……ぐぁっ!? な、なんだ、これは!? 俺の……身体が……」
 機械化義体が火花を散らしながら悲鳴を上げ、渾沌化した半身が不規則に脈打つ。いったい、どこからの攻撃だろうか。まさか不可視の何かを飛ばして来たのではないかと身構える有頂天道人だったが、そんな彼を更なる攻撃が斬り裂いて行く。
「こ、これは……内部からの衝撃だと! まさか……あの女の技は……」
 胸元を抑えながら、有頂天道人はマナの狙いを理解したが、理解したところで今の彼には成す術がない。彼女の生成したワームホールは対象の体内へ直に通じているため、そこへあれこれと攻撃を放り込むだけで、相手を内部から破壊できてしまうのだ。
「どれだけ回避や防御が上手かろうと関係ありませんよ。中から解体してあげます」
 もはや、展開は完全に一方的なものだった。それでも、持ち前のタフさで強引に立ち上がり、有頂天道人は幇大人パンターレン達へと指示を飛ばす。
「やれ! あの女を殺せ!!」
 ユーベルコードを使用しているマナに対し、一斉に襲い掛かってくる幇大人パンターレン達。さすがに、これだけの数を相手にするのは面倒だ。手の内もバレてしまったことだし、これ以上の長居は無意味だろう。
「それでは、この辺りで失礼しますね」
 持ち前の火器で幇大人パンターレン達を適当にあしらい、マナは早々に撤退した。時間の関係から有頂天道人を倒すまでには至らなかったが、それでも彼女の攻撃は、有頂天道人にかなりの傷を負わせるのには十分過ぎるものだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

鳴上・冬季
有頂天道人

幇大人

黄巾力士

と表記


「剥き出しの金属は火にも弱く金属疲労や埃詰まりでも呆気なく壊れます。強い分壊れやすい、それがサイバー義体です。そして、サイバー義体が壊れればサイバー混沌拳も使えないのですよ」
嗤う

「鏖殺せよ、真黄巾力士火行軍」
追加UC
式神(騒霊)の召喚
・金磚の制圧射撃で敵の行動阻害5体
・砲頭から徹甲炸裂焼夷弾で鎧無視・無差別攻撃して敵を蹂躙5体
・上記2班をオーラ防御で庇う5体
上記15体を1隊として計150体召喚
各Kに765体騒霊式神召喚させBとUの武装とサイバー義体を使用不能にさせ破壊
自分は上空から竜脈使い全Kの能力底上げ

Bの波状攻撃破ったら
縮地でUに接敵
雷属性纏い功夫で貫手



●電子に逢いて巫術で断つ
 本来であれば、サイバーザナドゥの技術であるサイバー義体。それらを入手し、自らの一部として駆る幇大人パンターレンは強敵だ。
 名無しの有象無象でありながら、彼らの波状攻撃は、時に猟兵をも退かせる力を持っている。だが、その力の源であるサイバー義体を無力化できれば、また話は違ってくる。
「剥き出しの金属は火にも弱く金属疲労や埃詰まりでも呆気なく壊れます。強い分壊れやすい、それがサイバー義体です。そして、サイバー義体が壊れればサイバー混沌拳も使えないのですよ」
 迫り来る幇大人パンターレン達を前に、鳴上・冬季(野狐上がりの妖仙・f32734)は余裕の表情で笑みを浮かべていた。数も質も相手に利がある状況だが、これをひっくり返すための策が彼にはあるのだ。
「鏖殺せよ、真黄巾力士火行軍」
 数には数をぶつけるのが戦の理とばかりに、冬季は150体もの黄巾力士を召喚した。仙術に特化していながら、機械兵としての性質も併せ持つ存在。サイボーグ拳士相手に不足はあるまい。
「ぬぉぉぉぉ! なんだ、これは!」
「一斉砲撃だと……小癪な真似を!」
 矢継ぎ早に放たれる砲弾を前に、幇大人パンターレン達は自慢の連携が取れないでいる。それでも、個々の戦闘力に差があるためか、砲撃が彼らの命を奪うことはないのだが。
「ふん……数だけを揃えたところで無駄なことよ! 火力だけが戦の勝敗を決めるものではないと、あの若造に教えてやれ!」
 有頂天道人の命を受け、残る幇大人パンターレン達が一斉に突っ込んで来た。個々の戦闘力で考えるならば、黄巾力士よりも彼らの方が上手だ。懐に入り込まれれば砲撃も使えず、後は蹂躙されるのみ。普通であれば、そう考えるところだが。
(「……甘いですね。戦闘力の差異に関係なく、敵を無力化する術もあるのですよ」)
 いつの間にか空中へと逃れていた冬季は、黄巾力士達へ新たなる指示を出す。彼らは冬季の使うユーベルコードを、一つだけ選択して使うことができる。その威力は冬季本人が使用する物に比べれば圧倒的に劣ってしまうが……裏を返せば、威力に関係ない搦め手であれば、絶大な効果を発揮するのだ。
「……っ! な、なんだ、今のは!?」
「新手か!? だが、所詮は小さな羽虫の如き存在! 我らがサイバー義体の前には……な、なにっ!?」
 それは、冬季の黄巾力士達が召喚した式神だった。彼らの真の力は戦闘力の高さではない。触れた相手の装備を破壊、あるいは使用不能にするという特殊効果にある。
 そんな存在を、黄巾力士がそれぞれ召喚してくるのだ。その総数は700体を優に超え、瞬く間に戦場を埋め尽くした。そして、彼らに触れられた敵のサイバー義体は、悉く破壊されてしまうのである。
「小賢しい真似を! だが、サイバー渾沌拳の奥義は打撃だけではないぞ!」
 自分の義体を破壊されては堪らないと、有頂天道人は主に混沌化した左半身から繰り出す、謎の攻撃で式神達を叩き落し始めた。
 それは気弾かもしれないし、あるいは魔術か、それともサイバー義体の力を借りた電子兵器の類だったかもしれない。だが、そんなことは冬季にとっては些細なことだ。有頂天道人が式神の対処に追われている隙に、彼は余裕で有頂天道人の背後を取ることができたのだから。
「ぬぅっ! しまった!!」
「背中がガラ空きですよ。そして……この攻撃であれば、いかに頑丈な機械の身体であれど関係ありません!」
 雷を纏った冬季の抜き手が、有頂天道人の身体を貫く。瞬間、凄まじい火花と共に電撃が身体を駆け巡り、有頂天道人のサイバー義体は黒煙を上げて暴発した。

大成功 🔵​🔵​🔵​

神酒坂・恭二郎
なるほど、こいつは厄介な手合いだね
良い策を練りやがる

「鮫五郎」
スペース絵馬でスペースシャークを口寄せし、背に乗る事で機動力とその牙による突破力を確保
大人達の包囲を突破し、奴を目指す
「スペース手拭い」に風桜子を纏わせ、鞭のようにしならせて蹴散らしたい【ロープワーク、衝撃波、吹き飛ばし】
剣の技と理合は温存し、派手な功夫技メインで行く

道人との対面は、極限まで動かぬ【覚悟】で脱力し、相手の拳法の型の【見切り】に徹する
後は、相手の攻勢に合わせ居合による「雲耀の一閃」で勝負だ【カウンター、居合、早業、切断】

「動くな……そうすりゃ、死なずにすむ」
技が通れば、納刀し背を向けて立ち去ろう



●その一撃に全てを賭ける
 各々がそれなりの強敵である幇大人パンターレン達を差し向け、彼らとの戦いにて全力を見せればそこから攻撃を見切り対処して来る。
 正に、勝つためには手段を選ばない布陣。時に幇大人を捨て駒にしてでも目的を達成しようと企む有頂天道人のやり方に、神酒坂・恭二郎(スペース剣豪・f09970)は攻めあぐねていた。
「なるほど、こいつは厄介な手合いだね。良い策を練りやがる……」
 普段であれば、何も考えず全力で斬り捨てて行けばよいが、今回ばかりはそうはいかない。下手にこちらの手の内を見せれば、いざ有頂天道人との戦いになった際、自慢の剣技も全て見切られてしまうかもしれない。
「仕方ないな……来い、鮫五郎!」
 まずは相棒のスペースシャークを口寄せし、その背に乗る事で恭二郎は一気に敵陣へと斬り込んでいった。ちょっとした騎馬代わりだ。サイバー義体を持つ幇大人パンターレンが相手では、これだけでは足りないくらいだが……それでも、自分の足で走るよりはマシだろう。
「愚かな……自ら死にに来るとは!」
「ならば、望みどおりにしてやろう!」
 刀さえ抜かずに突っ込んでくる恭二郎の姿は、幇大人パンターレン達からすれば丸腰に見えたかもしれない。
 だが、それは恭二郎の作戦だった。彼は手拭いに風桜子を纏わせ、鞭のように用いることで、次々と敵を薙ぎ倒し始めたのだ。
「なるほど、面妖な技を使うやつよ。さしずめ、南方由来の拳術か、あるいは古武術の動きか? だが……」
 自分へ向かってくる恭二郎の姿を見て、薄笑いを浮かべる有頂天道人。彼は既に、恭二郎の手拭いによる攻撃を見切っていた。もっとも、それを考慮した上で、恭二郎は奥の手を隠していたのだが。
「さあ、辿り着いたぜ。ここからが本気の勝負だ」
「笑止! 先刻の戦いで、貴様の動きは既に見切ったわ! それとも、にわか仕込みの剣術で、我がサイバー混沌拳と戦うつもりか?」
 未だ抜刀の素振りを見せない恭二郎へ、有頂天道人が先に仕掛ける。機械化義体より放たれる一撃。それを食らってしまったが最後、その相手は変幻自在の渾沌に蝕まれ、あらゆる対処が困難になる。
「……っ! 見えた!!」
 そんな中、極限まで動かず相手の動きを見切ることに専念していた恭二郎は、ここぞというタイミングで太刀を抜いた。
 それはまさしく、居合の極意。相手の技に対し、より速い動きかつ完璧なタイミングで食らわせたカウンター。
 通常であれば、これで相手は吹っ飛ぶか、あるいはその場で倒れたはず。だが、何故か有頂天道人は止まらない。咄嗟に身を捻って避けようとする恭二郎だったが、それでも抜刀後の隙は隠しきれず、微かに腕を掠めてしまった。
「フハハハハ! 取ったぞ!」
 ほんの僅かに掠めただけなのに、恭二郎の腕は一瞬にして正体不明の靄に包まれた。それは時に凍れる炎へ、時に侵食する稲妻へと姿を変え、恭二郎の肉体を蝕んで行く。見た目と性質が噛み合わず、あらゆる法則を無視して恣意的に有利な性質を選択できる攻撃など、存在自体が反則だ。
「動くな……そうすりゃ、死なずにすむ」
 だが、そんな状況でありながらも、恭二郎は刀を納めて敵に背を向けた。
 それは有頂天道人からすれば、単なる強がりか、あるいは敵前逃亡に見えたかもしれない。だからこそ、彼は恭二郎に確実な止めを刺すべく、その言葉を無視して歩を踏み出した……そう、動いてしまったのだ。
「強がりも大概にしろ! その減らず口、今に叩けぬように……っ!?」
 次の瞬間、有頂天道人の身体が真っ二つに裂けた。サイバー義体と渾沌化した肉体がそれぞれ泣き別れとなり、制御を失った身体は暴走の果てに消滅して行く。彼は何が起きたのかも分からないまま骸の海へと送り返されてしまったのだ。
 恭二郎の繰り出した抜刀。その神髄は一撃を当てることに在らず、当てた後にあったのである。
 命中させた際は痛みさえ感じさせない程に鋭かったので、それは有頂天道人の攻撃の勢いを削ぐには至らなかった。飛んでくる豆腐に凄まじく切れる刀を突き立て、叩き落せるかと尋ねられれば答えは否だ。
 だが、それでも攻撃さえ命中してしまえば、後は『宣言』をするだけで彼のユーベルコードは効果を発揮する。居合の一撃がダメージとなるのは、相手がその『宣言』に反した行動を取った時。故に、恭二郎を一瞬で仕留められたかった時点で、有頂天道人の敗北は決まっていた。
「一撃でも当てれば勝てるのは、お前さんだけじゃなかったってことさ……」
 その身から渾沌化の効果が消えて行くのを感じながら、恭二郎は戦場を後にした。これも、数ある有頂天道人の内の一人を倒したに過ぎないが、それでも勝利を重ねて行けば、必ずやオブリビオン達よりも早く、始まりの猟兵に辿り着けるのだと信じて。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2024年05月17日


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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


挿絵イラスト