「我が国に、危機が迫っています……」
両目を閉じたまま、少女は囁いた。大きな布の真ん中に、頭を出す為の穴を開け、二つ折りにして腰元で紐を結ぶだけの、簡素な服に身を包んだ彼女は振り向いて。
「我らが故郷を食い殺そうと、飢えた獣が向かってくるようです……ですが、我々はこれを迎え撃ってはならないそうです」
その言葉に、集められた人々はどよめく。彼らの服装は少女と異なり、一目に上質と分かる厚手の生地で仕立てられ、ぶかぶかの布地を関節ごとに鮮やかな紐で結んで留められていた。
「しかしイヨ様!それでは我々は滅ぶしかないという事ですか!?」
「もしや、ラウンズに救援要請を
……!?」
イヨと呼ばれた少女は、小さく首を振り。
「ラウンズは動けません。便りを出した所で、より悪い結果となるでしょう……ですが、案ずる事はありません」
少女は両手を広げて、天を仰ぐ。
「次元の彼方より、救済あり……姉様はそうおっしゃっています……」
少女の言葉に、人々は既に救われたような顔で、ただ平伏するのみ。その有り様を、イヨの後ろから一機のキャバリアが見下ろしていた。
「みなさま、今回はラウンズ……ではなく、その近隣国家で事件が起こるようです」
人首・椿(傷と記憶は刻むモノ・f06124)はコロリと電子巻物を広げると、ラウンズ近辺の荒野を示し。
「地点はこちら、国家名を『アシハラ』といい、サムライエンパイアを基準にして、昔の日本を思わせる文化が根付いております」
稲作とかでアレコレしてそうな、古代の日本をイメージするとアレかもしれない。
「この国に謎のキャバリア集団が現れて、尽くを食い尽くしてしまうようなのです。しかも、どうやらこちらは、オブリビオンマシンに別の小国家、『トウゲン』の兵士が乗せられているようでして……」
つまり、高火力兵器で殲滅なんてしようものなら、国際問題になりかねない。後々の政治的にも、人道的にも、パイロットの救助をする必要があるだろう。猟兵達が厄介事の気配を感じ取った辺りで、椿は転移門を開く。
「それでは皆様、ご武運を。敵は捕食と自己進化を繰り返す特性があるようです……呑み込まれたりしたら……」
猟兵達は、敵の腹を掻っ捌くついでに叩き斬りそうな目をした椿から、逃げ出すように転移していくのだった。
久澄零太
ヒャッハー『ギャグ依頼』だァ!!
久澄です
まさかの新国家案件ですってよ!
ノリと勢いと深夜テンションで書いてるから色々おかしいが、細かい事は気にせずいきましょう
今回の敵さんは通常攻撃とは別に捕食攻撃をして、成功すると性能が強化されるようです
それに対策をしてもいいし、食われることを逆手に取って、なんか美味しくないものを用意してもいい(ただし、相手はキャバリアであるためそれなりの量が必要)
ではでは、皆様のグルメメカ、略してグルメカプレをお待ちしております
第1章 集団戦
『刑天機』
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POW : 刑天舞干戚
【RXキャバリアアックス】が命中した敵を【EPキャバリアシールド】で追撃する。また、敵のあらゆる攻撃を[EPキャバリアシールド]で受け止め[RXキャバリアアックス]で反撃する。
SPD : 刑天聯星陣
【一機目がRX-Sショルダースパイク】で装甲を破り、【二機目がEPキャバリアシールド】でダウンさせ、【三機目がRXキャバリアアックス】でとどめを刺す連続攻撃を行う。
WIZ : 刑天貪吃牙
【腹部の巨大な口による噛み付き攻撃】が命中した敵から剥ぎ取った部位を喰らう事で、敵の弱点に対応した形状の【新たな器官を生やした新型の刑天機】に変身する。
👑11
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御園・桜花
「…ネチョグロキモ案件は、ヤダ…」
「まさかの巨神拒否?!」
「うちの業突婆…ゲフンゲフン、大家さんが甘やかすから、花燕さんの引籠り度が跳ね上がりましたよ?」
人化時十代半ばの巨神に同行断られ御一人様参加
「いえ、私だって拾って貰った十数年前は可愛がってもら…もら…いえ、今よりは大分優しくして貰いましたけどっ」血涙
「花燕さんが着いてきてくれなかったのも余計な事を思い出したのも、全部貴方達のせいですっ!」八つ当たり
「転生せいやぁ、うわ〜〜ん!」
UC「桜花の宴」
敵が麻痺したら桜鋼扇でぺちぺちぶん殴る(駄々っ子パンチ並)
敵が動き出したらまたUCで麻痺させてぺちぺちする
「…泣き過ぎてきぼちわるい…」小並感
鳴上・冬季
何処とも知れぬ場所で四次元の壁の向こう側を見て
「これでも芸風は広い方だと自負しております。それに」
「ネタだと思えば、何でもネタとなるものです。そう思いませんか」
嗤う
「アシハラ、ですか。数千年前に豊葦原で生を受けた身としては、その符号が気になるところです」
嗤う
「おや、こんな所で刑天の干儛を見るとは。ますます以て楽しそうではないですか。…刑天如きが伐礼を嗜もうとは全く以て度し難い。悉く絶えるが良かろう。…八卦天雷陣・彩雲天網」
敵に食い千切られないよう味方の攻撃力と防御力を強化しつつ敵にダメージ
敵の攻撃は仙術+功夫で縮地(短距離転移)し回避
「刑天如きでネタに走るのはまだ早い、ということです」
嗤う
黒木・摩那
この世界にはいろいろな都市国家があるとは聞いてましたが、『アシハラ』は初めてですね。いったいどんなところでしょうか。
じっくり観光する前に、この土地を攻めてくるオブリビオンマシンを倒さないといけません。しかも、パイロットを救助しないと未来の禍根になるとのこと。
これは難問ですね。
捕食攻撃にはマイコレクションから、とっておきの一品を用意しておきます。
よい物だから、少ない量でも効果は絶大。
ただ、希少なんですよ。珍品。
なるべくなら、とっておきたいなー
キャバリア『エクアトゥール』で戦います。
ヨーヨー『エクリプス』の外周に刃を生やして高速回転。
UC【七星八極】で敵の手足を切断して、動けないようにします。
テティス・ウルカヌス
「今回はお料理番組ですね!
それなら歌って踊れて料理も得意な天才美少女アイドル、テティスちゃんにお任せです!」
相手は身体が大きい人ですから、きっといっぱい食べてくれるでしょう。
たくさんお料理作りますね♪
「さあ、お料理ができましたよー。皆さん、順番に並んでくださいね。
いっぱいありますから、焦らなくても大丈夫ですよ♪」
あ、もちろん、一緒に番組に出演してる役者さんたち(猟兵たちのことらしい)やプロデューサーさん(マスターのことらしい)の分の料理も作ってありますから、遠慮せずに食べてくださいね!
「私の料理を食べた大きい人が、あまりのおいしさに変形しましたね!
これがリアクション芸人さんですか!」
朱鷺透・小枝子
デモニック・ララバイ操縦
…奪え
〈禍葬鋼鱗〉で物理攻撃を無効化する鋼鱗で機体を覆い、捕食攻撃を受け止め、【怪力】で閉じようとする大口を逆に開かせる!
奪え奪え奪え!!こいつらの中に居る者達をぉおおおお!!!
敵への【闘争心】を燃やし戦闘力増強、バキィ!と強引に大口を引き裂き、
その後丁寧に丁寧に【斬撃波】を纏わせた
殺戮音叉で敵の体を細断。
…形状からして、腹部ではなく胸部…頭?にコックピットがあるか?
コックピットを傷つけないように見つけ抉り出します。
…コックピットの位置は割り出した。次からはもっと早く裁断するぞ!
全身から殺戮音叉を展開、敵キャバリアへ襲い掛かる!!
壊れろぉおおおおおお
涼風・穹
捕食と自己進化か…
地面や空気を捕食して進化まではしていないってのはある程度制限はあるんだろうな
自前のキャバリア『ズィルバーンヤークトフント』で出撃
捕食を警戒して《贋作者》謹製のレーザーやビームのような非実体系の飛び道具で遠距離から攻撃
近付かれれば刺又を作り出して押し返して兎に角離れます
刺又は捕食されるなら使い捨てます
一応コックピットは避けて攻撃して鎮圧を狙います
合わせて搭乗者に呼びかけて脱出手段または機体の停止方法はないか聞いてみます
刑天機同士で捕食はしないとしても撃破後の残骸は捕食対象になるかもしれないな
もしその兆候がありそうなら残骸は《贋作者》謹製のナパームや爆弾で徹底的に破壊しておきます
ナミエ・オイローパ
アドリブ/苦戦/連携可
「出撃前に皆から『ラウンズには気を付けろ』と言われたが、どういう意味なんだマスター」
「ヴァーユはこの辺初めてだからね、うん」(色々と複雑な顔)
UCを発動し、敵の進行方向に竜巻を発生させる。
1体目が竜巻で吹っ飛ばされ、2体目はヨーヨーで武器を捕縛、3体目に毒入りナノマシンペーストを注入。
「『デウスエクスには効果あったからオブリビオンマシンにもいける』という話は本当だったのね」
「いくら何でも力技過ぎないかそれ」
残り2機には『ガンダヴァハ』の弾丸に詰め込んだナノマシンペーストをお見舞い。
「最初の1機を踏み台にしたら攻撃全部回避できそうだ」
「それ以上はアウトよ、ヴァーユ」
カシム・ディーン
「むー…ご主人サマー…なんか嫌な予感がするぞ☆」
確かにやばそーだがな?
「うーん…この子達だけじゃなさそうだぞ☆」
取り合えず…ラウンズの周り今度は和風か…やっぱり和風の国多くね?
ジャパニアはなんか微妙だけどな!
「なんでー!?」
【情報収集・視力・戦闘知識】
敵機の陣形と動き…そして構造からパイロットの位置と機体の中枢を分析
割とガチでやべーじゃねぇか
【属性攻撃・迷彩】
光水属性を機体に付与
光学迷彩で存在を隠し水の障壁で熱源や匂いも隠蔽
【弾幕・スナイパー・念動力】
UC発動
同時に念動光弾展開
敵の手足を破壊して無力化
パイロットを救助してから破壊
【二回攻撃・切断・盗み攻撃・盗み】
鎌剣で切り刻み武装と搭乗者強奪!
皇・絶華
祝!TOP参上記念!
やったなさっちゃん!
「俺の美少女な勇姿を披露だぜ!」(きゃっきゃっ
それはそれとして…食に餓えてる者達がいると聞いて!
「え?ま、まさか…!」
さぁ!さっちゃんもこれを飲んで頑張るぞ!(UC発動
「ふぐげがぁぁあ!?」
【戦闘知識】
敵機の陣形と動きは冷静に観察するが
判っている!お前達は足りないものを求めてきたのだろう!
そう…それはパワーだ!安心するがいい…お前達に圧倒的なパワーを与えよう!
我がチョコを食し…喜びの叫びをあげるがいい!
という訳で真・ぜっちゃんチョコを存分に用意するぞ!
健康に良いハロウィンやメドゥーサ!最近はガチデビルも配合しているパワーあふれるチョコだ!今こそ永遠のバレンタインを楽しむがいい!(尚地獄の味もパワーアップ
どうした?遠慮はいらない!存分に捕食攻撃をするがいい!さぁ!さぁ!さぁ!
…そうか!食べさせて欲しいのだな!(捻じ込み捻じ込み
あ、乗ってる兵士にはぜっちゃんチョコ(鬼不味い)をちゃんと与えるぞ!パワーが足りないからオブビリオンマシンに洗脳されるのだ!
「……ネチョグロキモ案件は、ヤダ……」
「まさかの巨神拒否?!」
これが出撃二分前の会話である。
「うちの業突婆……ゲフンゲフン、大家さんが甘やかすから、花燕さんの引籠り度が跳ね上がりましたよ?」
というわけで、まさかの単独での出陣となった御園・桜花(桜の精のパーラーメイド・f23155)。そも、キャバリアってそういう生々しいの駄目なんや……。
自分と花燕に対する扱いの差に、桜花はギュッと拳を握って。
「いえ、私だって拾って貰った十数年前は可愛がってもら……もら……いえ、今よりは大分優しくして貰いましたけどっ」
特にそれらしき記憶が思い当たらなかったのか、唇を噛みすぎて出血しながら血涙を流し、握りしめた拳は切りそろえられた爪が掌に刺さって悔しさのあまり命の雫を溢す。
「花燕さんが着いてきてくれなかったのも余計な事を思い出したのも、全部貴方達のせいですっ!」
などと遠方に見える、キョンシーメカっぽい連中に畳んだ扇子と八つ当たりの意を示す桜花に対して。
「これでも芸風は広い方だと自負しております」
なんで鳴上・冬季(野狐上がりの妖仙・f32734)は『こっち』を見てるんだよ。敵軍が迫ってるんだからあっち向けや。
「それに……ネタだと思えば、何でもネタとなるものです。そう思いませんか」
アウトサイダー【外なる者共】の俺に同意を求めるんじゃねぇよ。
「はっは!然り!!」
むかつく笑い方しやがるなぁ……!
「この世界にはいろいろな都市国家があるとは聞いてましたが、『アシハラ』は初めてですね。いったいどんなところでしょうか」
登場人物三人目にして、ようやくキャバリアが参戦。黒い装甲に大型盾を二枚、両肩にマウントした機体に乗り込んだ黒木・摩那(冥界の迷い子・f06233)が自陣後方にある、国というより『村』と評するべきモノを遠方に見遣りつつ。
「アシハラ、ですか。数千年前に豊葦原で生を受けた身としては、その符号が気になるところです」
「え、何か知ってるんですか?」
冬季は幼子を憐れむような目で下から見下しながら。
「高天原と黄泉国を繋ぐ地にて、人の暮らす地の事……要はこの世の事です」
「ほへー……」
解説してもらった摩那は冬季に妙に尊大なイメージを抱くが、それもそのはず。あくまで自称に過ぎない為、真偽のほどは怪しいが冬季の根源は転生を繰り返した大妖怪。もしその話が真実であれば、彼は人の世の始まりの時代から歴史を見守って来た存在という事になる。ぶっちゃけ、成人前後の摩那など、無知蒙昧な幼女どころの話ではないのだろう。
「細かい事はよくわかりませんが、歴史的意味のある名前なんですね……じっくり観光する前に、この土地を攻めてくるオブリビオンマシンを倒さないといけません。しかも、パイロットを救助しないと未来の禍根になるとのこと。これは難問ですね」
徐々に猟兵が敷いた防衛ラインに近づいてくるオブリビオンマシンへの対策に唸っている摩那の傍ら、白騎士の機体に乗った涼風・穹(人間の探索者・f02404)は顎に手を添えて首を捻る。
「捕食と自己進化か……地面や空気を捕食して進化まではしていないってのは、ある程度制限はあるんだろうな」
もとはといえば、機体に搭載された『捕食した物を素材にして自己改造を行う機能』によって発現される特性であり、食った分だけ進化する異能というわけではない。地面を食ったところで土くれが装甲に貼りつくだけであり、空気などいうまでもない。幸い、敵機が向かってくるアシハラそのものは農産物が比較的豊富な土地であるが、その近辺は荒野に過ぎず、捕食するだけの岩石すらない為に戦闘無くして進化はないのだ。
「となると、ここはエネルギー兵器の方が向いてるか……」
ズィルバーンヤークトフントが両手にレーザーライフル、両肩にレーザーカノンを構築し始めた様を横目に見る機体がこちら、新規参戦のヴァーユ。
「出撃前に皆から『ラウンズには気を付けろ』と言われたが、どういう意味なんだマスター」
「ヴァーユはこの辺初めてだからね、うん」
搭乗者、ナミエ・オイローパ(魅惑の秘宝船・f41405)は実に複雑な顔をする。ついに(?)キャバリアを入手した彼女が駆る機体は名をヴァーユ。風の魔神然りとした機体は背に鳥を思わせる翼(無論、そこに並んでいるのは羽毛ではなく分離浮遊砲台であるが)を持ち、空戦を主戦場とすべく、装甲は流線形をしており、空気抵抗を軽減しながら揚力を確保するデザインになっている。
「なんていうか……本人達的には本気で危機的状況のはずなんだけど、傍から見てると、何やってるのかな?って気持ちになる事件が多かったから……」
「……そうか」
段々近づいていくる敵よりも、はるか遠くを見遣るナミエの有様に、ヴァーユはそれだけ言って、深くは聞かなかった。
不意に、アラートが響く。浮遊砲台を持つヴァーユと、レーザーカノンを搭載したズィルバーンヤークトフントの射程圏内に敵が踏み込んだのだ。ターゲットをロックし、ヴァーユが翼を広げて穹がトリガーに指をかけた辺りで。
「……奪え」
おや?
「奪え奪え奪え!!こいつらの中に居る者達をぉおおおお!!」
朱鷺透・小枝子(亡国の戦塵・f29924)が突っ込んだー!?
「おわっと!?」
「む……」
射線に飛び込んで来たデモニック・ララバイを見て、慌てて撃つのをやめた穹と武装を収容するヴァーユ……超遠距離戦闘なんてなかったんや……。
『奏者?あの、彼らも私も、遠距離兵装を搭載しているのだから、もう少し待っててもよかったんじゃ……』
デモニック・ララバイ……より正確には、その搭載武装が一つ、クレイドル・ララバイに備えられた人工知能が恐る恐る、といった体で声をかけると。
「目視できる距離に敵!そして今回の任務は搭乗者の救助!!ならば白兵戦闘一択ッ!!」
『だーめだ、いつもの暴走モードに入っちゃってる……』
小枝子は、元々は兵器として生み出されたクローンである。無論、生きる事よりも戦うことを最優先するように思考回路が組まれた、人造脳が詰め込まれている。敵とか任務とか、その手のキーワードを入力されるとこれこのように、目的の達成を第一にして余計な事は考えられなくなるのだ。
「……形状からして、腹部ではなく胸部……頭?にコックピットがあるか?」
胴体に口があるという異形の敵機に顔をしかめる小枝子。その搭乗機は黒鉄の鱗に覆われていき、装甲の全てが整列した六角形に覆いつくされると自ら敵の口内に飛び込んで。
「……どこだ」
閉ざされる牙を、掴んで止めるとこじ開けて。
「どこだどこだどこだ……」
ギ、ギ、ギ……可動限界まで押し広げられた胴体が軋み、小枝子はソレを見つけた。
「ジョイントパーツが……ない?」
『奏者、この機体、ジャイアントキャバリアなのにコックピット【脳】をつけてないんじゃないかな?』
「つまりコックピットは本来あるべき頭部には非ず……」
ギョロリ、デモニック・ララバイの頭部が急に正面を向き、のっぺりした壁という名の喉奥を見て。
「そ、こ、かぁああああああああ!!」
ついに限界を迎えた大顎を引き裂いて、閉まらなくなった上下の牙を掴んでいた十指の先に紫の棘が伸びた。爪のように指先を覆ったそこから微細な振動を放つ。両顎をカッ捌いたデモニック・ララバイは指先を揃えて喉奥に突き立てれば、ヌルリと刺し貫き、何かを引っ掴む。逆の手で邪魔な装甲を切り開いて、引きずり出したモノはコアユニット……即ち、コックピットであり。
「……位置は割り出した。次からはもっと速く裁断するぞ!」
中の人を傷つけないよう、そっと降ろしたデモニック・ララバイは全身から棘を生やし、震わせる。
「壊れろぉおおおおおお!!」
『奏者?目的は救助だからね?破壊じゃないからね!?』
人工知能の悲痛な声が届いているのかいないのか、刺々しい姿で吶喊する様を眺めて笑う男が一人。
「おや、こんな所で刑天の干儛を見るとは。ますます以て楽しそうではないですか」
えぇ、冬季です。丸呑みにしようとしたハリセンボンが急激に膨らんだ場合、みたいなことになってる敵機を尻目に、後続は構わず突き進んでくる。その様相に、冬季の顔から表情が消えた。
「……刑天如きが伐礼を嗜もうとは全く以て度し難い。悉く絶えるが良かろう」
頭上に投げるは一枚の札。紙切れ一枚のそれは空気に押し当てられる事もなく、彼の真上に飛ぶと八つに裂け、冬季を中心に八方に散り、地に落ちると燃え上がる。八つの灯は互いを繋ぎ、八角形を描く内に古代中華時代の八文字が浮かんだ。
「……八卦天雷陣・彩雲天網」
柏手一つ。同時に足元の陣は消え失せ、天を薄雲が覆った。灰色に染まっていた微細な氷水の集まりは、やがて色彩鮮やかに輝き始めて……雷が降り注ぐ。
「あばばばばばば!?」
……敵に当たってるけど、味方にも当たってますね?
「刑天如きでネタに走るのはまだ早い、ということです」
にへら。薄っぺらい、人を小馬鹿にした笑みが戻って来た冬季。この敵味方問わぬ誤射上等のUCがネタではないと……?
「めっちゃ痺れましたけど……なんか元気出てきました!」
開幕早々、違う意味で血みどろになっていた桜花が復活☆あの雷、一応バフ効果あったのか……。
「えぇ、えぇ、そうですよね、この悲しみすらも力に変えて、敵さんに叩き込めばいいんですよね!!」
あれー?元気になったのは体だけで、メンタルはボロボロのまま……?
「はっは!私の陣に味方を強化する力はあれど、心を癒す力はありませんよ」
という事は、桜花の内心は開幕のへこんだ時のまま……?
「転生せいやぁ、うわ〜〜ん!」
号泣しながら桜吹雪ばら撒いてるー!?吹き荒れる薄紅の嵐が敵を呑み込めば足を止めさせ、そこへ天より下る稲妻が直撃。焼け焦げて沈黙した装甲を、桜花が鉄扇でぺちぺち。
「私だって……私だって甘やかされてもいいと思いませんか!?ねぇ!?」
敵さんに向かって何を泣きついてるんだ……さーてそんな奴は置いといて。
「置いとかないでくださいよ!?」
うるせー仕事がつかえてるんだよさっさと進めんぞオラァ!
「動きを止めてくれれば、後はこっちのもんだ」
合計四つのレーザー兵器を構えた穹は、ズィルバーンヤークトフントの重心を低く構えて、コンソールに浮かぶマルチロックオンのアラートを聞く。
「ファイアー、なんてな」
引金を引くと同時に、両肩両腕から一斉に高熱の光を照射。狙う先は敵機の上半身。既にデモニック・ララバイが敵の中心、背部側にコックピットがある事を確認している。ならばその上半身を消し飛ばせばいいだけのこと。しかし、正確にコックピットを避けて撃つために狙いは上方寄りになっている事に気づいた一機が射撃を掻い潜り、接近してくる。
咄嗟にライフルを捨てて刺又に変換、食いつかれる事を懸念して脇腹と肩を通すようにして引っ掛けて、口内に及ばないようにしながら押し返しつつ後退すると。
「降伏しろ。この戦況を見て勝敗が分からないほど馬鹿ではないはずだ。お前達だって、望んで機体に乗っているわけではないんだろう?」
「それは……できない……!」
後を追うように突っ込んでくる敵機の脚を撃ち抜き、機動力を奪った穹の眉間にしわが刻まれる。
「どういうことだ……?お前達はその機体に無理やり乗せられたんじゃないのか?」
「……我々が先行部隊としてアシハラを滅ぼせなければ、後発隊として、私達の子どもが乗せられた機体が出撃する手筈になっている。ロクに操縦なんてできない子ども達がだ!それに、我々の機体もユミルの子にコックピット……脳を与える代わりに捕食進化するフレームを貼り付けて、その背に最低限の制御をするために強引にコックピットを乗せた特殊仕様になっている。我々が機体を放棄したところで、機体は止まらずアシハラを目指し、我々は敵前逃亡した逆賊として家族諸共抹殺されるだろう……」
「つまり、機体をぶっ壊すしか救助方法はねぇって事か……!」
ズィルバーンヤークトフントが崩れかけた機体を蹴り飛ばしてトドメを刺し、背部のコックピットを引き剥がして救助すると同時に、一つの疑念が浮かぶ。しかし、戦場にあって余計な事を考える余裕はない。
「とにかく、まずは全機、破壊する!」
再び砲撃戦に移行したズィルバーンヤークトフントの横を、一陣の風が吹き抜けていく。
「マスター、用意はいいな?」
「いつでも行けるわよ!」
地面スレスレを高速低空飛行するヴァーユ。その全身を竜巻が覆い隠し、更に加速。真正面から迎え撃とうと、敵機は肩の棘を突き出し、吶喊してくるが刺し貫いた風の向こうにヴァーユの姿はなく、巻き上げられた機体は(頭部など存在しないが)頭から地面に突き刺さり、地面から下半身が生えた前衛オブジェと化した。後続が盾を構えて奇襲を警戒していると、頭上からヨーヨーが伸ばされて雁字搦めにされてしまい、ワイヤーを巻き取って急降下してきたヴァーユに蹴り倒されて身動きが取れなくなってしまう。着地直後のヴァーユを狙い、三機目が斧を振りかざすもヴァーユの方が動きは速い。刃が降りてくるより先に銃を向け、風の魔弾の代わりに込めた有毒ナノマシンペーストを射出。反射的にもぐもぐしてしまった敵さんは黄色から緑を通って真っ青にカラーリングを変えて、ゆっくりと倒れてしまった。
「『デウスエクスには効果あったからオブリビオンマシンにもいける』という話は本当だったのね」
「いくら何でも力技過ぎないかそれ」
正直、時と場合によるから使う相手は選べよ?何はともあれ、ヨーヨーがこんがらがって動けにない奴と、体が半分埋まってジタジタしてる奴の口にもちゅーっと注入。どちらもぐんにゃりと色が変わって動かなくなるのを確認してから、ヴァーユがハッとして。
「最初の一機を踏み台にしたら攻撃全部回避できそうだ」
「それ以上はアウトよ、ヴァーユ」
多分同じこと思った人はそれなりにいると思う。俺も思った。
「やはり、何かを食べさせるのは有効みたいですね……」
これを見ていた摩那、苦悩の表情で悩みに悩み。
「なるべくなら、とっておきたいなー……」
などと、一本の唐辛子を出した。それをエクアトゥールの指先に乗っけて。
「えいっ」
ぺいっ。雑に投げれば敵さんは反射的に口で受け取ってしまう。
「マイコレクションから、とっておきの一品を用意しておきました。よい物だから、少ない量でも効果は絶大……ただ、希少なんですよ。珍品」
いったいなんのこっちゃって思うかもしれないが、ここで摩那のステシを見てみよう。
特徴:絶望的な辛党
「ボハァ!?」
小爆発を起こして口を開けっぱなしにしたオブリビオンマシンが全身を真っ赤に染め上げる!!
「すり潰した果汁一滴で人が死……もとい、あまりの美味しさに昇天すると噂の唐辛子で、結構いいお値段するんですよね、アレ……」
今、死ぬって言いかけなかった?食ったらショック死する部類の奴じゃなかった!?しかもお前、それを丸まる一本いかなかった!?
「だから、報酬が言い値とされる猟兵でも『お高い』んじゃないですかー……」
不満げにむくれる摩那だが、もはやそれは調味料ではなく危険物の部類だと思うんだ……。
「さて、後は救助活動ですね」
既にひっくり返って痙攣するばかりの敵だが、刃を生やしたヨーヨーを飛ばし、四肢を斬り落として再起不能にしてからひっくり返し、背部のコックピットを切り取った所で、猟兵達は無事に第一陣を乗り切っ……。
「みなさーん!ご飯できましたよー!!」
うわぁあああああああああ!?
「今回はお料理番組ですね!それなら歌って踊れて料理も得意な天才美少女アイドル、テティスちゃんにお任せです!」
テティス・ウルカヌス(天然系自称アイドル・聖なる歌姫・f12406)だと!?ゴリッゴリのキャバリア戦に何故こいつが!?
「相手は身体が大きい人ですから、きっといっぱい食べてくれると思って、たくさんお料理作りましたよ♪皆さん、順番に並んでくださいね。いっぱいありますから、焦らなくても大丈夫ですよ♪」
テティスの正体(?)を知らないオブリビオンマシンは、機体にも乗らずに戦場に出て来た愚か者だと思い込み、食い殺そうと迫るのだが……。
「はい、あーん♪」
パクッと、テティスが一部地域のお祭りなんかで使うような馬鹿でかい鍋で作った料理をお玉で一杯、オブリビオンマシンの口に投げ込むと。
「俺、来世はキムチ職人になるんだ……」
脳を持たないはずのジャイアントキャバリア系オブリビオンマシンは唐突に自我を芽生えさせ、遺言を遺すと真っ白になってサラサラと崩れ落ちていった……巻き添えを食ったのか、パイロットが口を押えて丸まりビクンビクン……その様子に、残りの敵も後退るのだが。
「私の料理を食べた大きい人が、あまりのおいしさに変形しましたね!これがリアクション芸人さんですか!」
天然という名のぶっ飛んだ阿呆には、それが死への恐怖だということが伝わらない。いや仮にもロボットに恐怖を植え付けるって何者だよ。どこぞのチョコ魔神じゃないんだから……。
「さ、遠慮はいりませんよ?」
慌てて撤退に入るオブリビオンマシン……しかし、回り込まれてしまった!
「もー、テティスちゃんという美少女アイドルの『あーん』に、そんなに照れなくてもいいんですよ!!」
問答無用で口に投げ込まれる混沌の権化。持たざるはずの自我を芽生えさせるほどの生存本能を刺激する味覚は、一撃(一口)で敵を灰燼に帰す。何が質悪いって、テティスはシンプルなスペックならそれなりの猟兵だからそう簡単には敵を逃がしてはくれないところだよ……。
「あ、もちろん、一緒に番組に出演してる役者さんたちやプロデューサーさんの分の料理も作ってありますから、遠慮せずに食べてくださいね!」
敵軍がほぼ壊滅した辺りでテティスが振り返るが、猟兵達は一斉に目を逸らしたという……あ、俺はカップ麺で腹一杯なんでマジでいらんです。最前線のトゲトゲ暴れん坊とか、グルメ系泣き虫にあげればいいんじゃないかな!!
「むー……ご主人サマー……なんか嫌な予感がするぞ☆」
「確かにやばそーだがな?」
まさかの武力ではなく、料理で沈められていく敵を眺めるカシム・ディーン(小さな竜眼・f12217)……貴様、ある意味いいタイミング(書き終わって、これから校正するとこだった)で来たな……。
「うーん……邪神様に目をつけられた気もするけど、それはそれとして、この子達だけじゃなさそうだぞ☆」
「その前に、大丈夫なのか?僕はあんな末路は嫌だぞ!?」
真っ白になった敵『だった』モノを示すカシムに、愛機メルクリウスの補助AIにして少女(っぽい)人格こと、メルシーは、にこり。
「メルシーはどんな姿になってもご主人サマを愛してるゾ☆」
「そこは僕を庇えよ!?」
開幕早々漫才突っ込むんじゃねぇよ長引くだろうが。
「おっと……取り合えず……ラウンズの周り、今度は和風か……やっぱり和風の国多くね?ジャパニアはなんか微妙だけどな!」
「なんでー!?」
ちょっと冷静になったカシムが後方を見遣ると、一般的な和風とはかけ離れた藁ぶき屋根の数々が見える。まぁ、いわゆる和風の農村地帯に見えなくもない……のか?
「とりあえず、今回の敵は……割とガチでやべーじゃねぇか」
既に味方が引っ張り出した情報もあるが、通常敵の内部にあるはずのコックピットは背中側に配備されており、機体がどちらに向かうかの制御くらいしかできず、実質この機体は暴走済み。早い話、戦う以外の選択肢が残されていない機体なのだ。さーて、カシムには早い所敵を片付けてもらわないと……。
「祝!TOP参上記念!やったなさっちゃん!」
「俺の美少女な勇姿を披露だぜ!」
きゃっきゃと、見た目相応の少女のように喜ぶサートゥルヌスと、皇・絶華(影月・f40792)が参戦☆
って、ほらぁああああ!こいつ来ちゃったぁあああああ!!……まぁ、被害者は大体察しが付くからいいか。
「へ?」
きょとん、小首を傾げるサートゥルヌス。
「それはそれとして……食に餓えてる者達がいると聞いて!」
「え?ま、まさか……!」
嫌な予感がしたサートゥルヌスことさっちゃん。少女形態とはいえ、彼(意味深)もまた本来はキャバリア……絶華に腕力で負ける道理はないはずなのだが、肩に手を回されて抱き寄せられたさっちゃんの目の前に、謎の黒い液体が……。
「さぁ!さっちゃんもこれを飲んで頑張るぞ!」
「ふぐげがぁぁあ!?」
▼サートゥルヌス は ちからつきた !
「どうしたさっちゃん!パワーか?パワーが足りないのか!?」
追い打ちをかけようと追加のぜっちゃんチョコを構える絶華だが、カシムがメルクリウスのコックピットより。
「あれだろ、TOPに立つ緊張で疲れたんだろ、休ませてやれよ」
「成程、それなら後で疲労回復効果を強めたチョコをやらねばな!」
果たして、サートゥルヌスは第二章で復活するのだろうか……まぁそんなことはおいといて、戦闘開始だオラァ!
「って、言っても、あんまり数は残ってないからな」
「楽勝だよね☆」
フッと、メルクリウスの姿が消える。突如機体が消えた事で一瞬戸惑いを見せる敵機だが、その正面からズドドドドド……!
「判っている!お前達は足りないものを求めてきたのだろう!そう……それはパワーだ!安心するがいい……お前達に圧倒的なパワーを与えよう!我がチョコを食し……喜びの叫びをあげるがいい!」
絶華が禍々しい液体が入ったバケツと共に迫る!
「という訳で真・ぜっちゃんチョコを存分に用意したぞ!健康に良いハロウィンやメドゥーサ!最近はガチデビルも配合しているパワーあふれるチョコだ!今こそ永遠のバレンタインを楽しむがいい!」
などと投げ出されたチョコを反射的にパクッといっちゃうオブリビオンマシン。その全身は膨れ上がり、存在しないはずの頭部に南瓜が生えてお札が張り付いて、脚部は戦場を選ばぬ蛇の様な形態に変化し、口しかなかった胴体には禍々しい顔が浮かぶと巨大な翼を広げて、次元昇華を果たした機体はゆっくりと上昇し……。
『あっ』
みんなの目の前で、暴走衛星に焼き尽された。落ちて来たパイロットを絶華が助け起こすと。
「安心しろ!もちろんぜっちゃんちょこは火傷にも骨折にも効くぞ!!」
問答無用でだばーっ!流し込まれたパイロットは全身を打ち上げられたお魚の如くびっくんびっくん跳ねさせて、荒ぶりながらパァン!皮膚と服が弾け飛ぶと、つやっつやのお肌で死んだ目をしていた……。
これを見た敵さん達、顔を見合わせると。
「……」くるっ
逃げたー!色んなものの危機を感じて全力で逃げたー!!
「ところがそうは……」
「いかないぞ☆」
不可視状態になっていたメルクリウスは念動弾を放ち、不意打ちで牽制をかけると大鎌を振るい、両脚を斬り飛ばしてまとめてスッ転ばせると、鎌本来の使い方を披露。
「メルシー!コックピットは!?」
「もちろんスキャン済み☆このラインに沿って刈れば助けられるゾ♪」
横薙ぎの一閃。背部に備えられていたコックピットだけを斬り飛ばしたメルクリウスが飛び退くと、ものすっごい笑顔の絶華がいた。
「どうした?遠慮はいらない!存分に捕食攻撃をするがいい!さぁ!さぁ!さぁ!」
迫りくる絶華に、絶対に口を向けてはならないとオブリビオンマシンが地を這って逃げようとするが。
「……そうか!食べさせて欲しいのだな!」
「オウコラ俺がこんな地獄を見たのに、お前らだけ逃げられると思うなよ……!」
あ、さっちゃん復帰してきた。神機サートゥルヌスの姿になったさっちゃんがオブリビオンマシンを蹴り飛ばし、ひっくり返すと絶華がチョコをダパァ……後は、分かるな。
「綺麗な花火だねーご主人サマ☆」
「あー、うん、そーだなー?」
キラキラおめめのメルシーと、虚ろ目のカシム。何が起こってるのかはお察しください。
「さて、次は救助されたパイロットの諸君だな!パワーが足りないからオブビリオンマシンに洗脳されるのだ!!」
カシムが回収したコックピットに向けて、絶華が迫る……後は、もう、はい。大惨事でした。この一言で察して……。
大成功
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第2章 集団戦
『『ロキ』の怪物達『巨人族』』
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POW : 機神喰い
【ハンマー】で装甲を破り、【力任せに掴ん】でダウンさせ、【何であろうと牙で食らいついて貪り食らう事】でとどめを刺す連続攻撃を行う。
SPD : キャバリア食らい
戦闘中に食べた【キャバリアや人肉や無機物】の量と質に応じて【ハンマーを強化し鎧を纏う事で】、戦闘力が増加する。戦闘終了後解除される。
WIZ : 巨人の不条理
【僅かな知性も捨てて唯の巨大な怪物】に変化し、超攻撃力と超耐久力を得る。ただし理性を失い、速く動く物を無差別攻撃し続ける。
👑11
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大惨事……もとい、大勝利を収めたのも束の間。後続の部隊が迫ってきている。その様は、異様の一言。見るからに人間臭いジャイアントキャバリアだが、その体躯はキャバリアの三倍はあろうかという体躯を誇り、その口の端から唾液の様なものを垂らしている……こいつもまた、捕食による自己進化機能を有しているのだろうが……先の戦いで、パイロットは操縦もままならない子ども達とされている。即ち、事実上の人質が乗せられている、暴走済みの、それも規格外の大型機体を相手にしなければならないのだ。
※なんか色々書いたけど、要は第一戦と同じノリでいけるよ!!人質を救おうとするなら、最大の武器でもある口……に、近い頭を斬り飛ばすしかないけど頑張ってね☆
鳴上・冬季
「キャバリアですから操縦士が居るのでした。偶に居ない機体があったものですから失念していました」
嗤う
「ご安心下さい、同じ轍は踏みません。要は頭部を毟れば良いのでしょう?15mの機体を握るなら、その10倍もあれば充分でしょう…合一・黄巾力士」
全長150mまで巨大化した黄巾力士に融けるように融合
高度40m位をゆっくり飛行
摘み上げた敵機の頭を毟り両足を掴んで裂いてコクピットを取り出す
コクピットは安全そうな場所に置き残骸は握り潰して地面に擦り付けたら次を掴まえ以下同文
「安全第一、これだけ猟兵の数がいれば、急いで皮を剥ぐ必要も無いでしょう」
嗤う
虚空の向こう見て
「一緒にカワハギデートなさいます?」
嗤う
黒木・摩那
さすがはジャイアントキャバリア。
大きいですね。
これだけ大きいと、パイロットが乗っている頭を狙うにしても、届きませんね。
今回の敵は無理やり一般市民をパイロットにしたり、その家族まで人質にしたりと、
やることがえげつないです。
首謀者にはあとできっちりと落とし前をつけましょう。
大きな機体ですから、足を中心に攻めて転倒させ、そこから頭を刎ねて、パイロットを救出します。
今回は機動力で勝負。
キャバリアの『エール・ノワール』で足の腱や関節部を集中攻撃。
UC【超重新星】も使って、足や周りの地面を潰して、転ばせます。
捕食対策には引き続き、コレクションを投入……
だんだんと減るのは精神衛生上よくないですね。
御園・桜花
「花燕さん、もしやエスパー…首を引っこ抜くとか本当にネチョグロ案件です…でもそうなると、大抵のオブリビオンマシンから操縦士を助けられ無いのでは…?」大困惑
「皆さんが食べ物で頑張ってらっしゃるので、私も巨人を唐揚げにしようかと思いましたけれど。戦闘後に巨人唐揚げを食べてくれる方を思いつきませんっ…トン単位のお残しなんて罪深過ぎて出来ません」地面連打
「全長15m…お口に突っ込むと丁度肩辺りで引っ掛かって頭噛み千切られるジャストサイズじゃないですか…」悩
UC「精霊覚醒・戒」
時速750km迄で緩急つけて飛行
敵機のハンマーや鎧、頭部を桜鋼扇でぶん殴る
「使用出来なくなれば他の方が引き抜き易くなりそうです」
ナミエ・オイローパ
アドリブ/苦戦/連携可
「解決策は一つ、相手の攻撃より早く動く!」
UC発動。怪物と化した敵が動きを止めた隙に神速のスピードで神剣を振るい、首を切断(身体部位封じ)。コックピットから念動力で子供を助け出す。助けた子供は保護のため既に助け出されたトウゲンの兵士に引き渡す。
「『色気に負ける巨人』という構図をいたいけな子供にお見せしていいのかという疑念は残る所ね」
「そこは気にするのかマスター」
「ところでアシハラとトウゲンが対立して得する陣営は誰かしら?」
「それは気になる所」
ぜっちゃんチョコらしきものを目撃。
「あれは関わったらダメ」(過去シナリオ参照)
「他所でも言ってなかったかそれ」
カシム・ディーン
「げぇぇぇ…!やっぱりロキ君の産み出した怪物達だー…!」
もしかして敵国とかアシハラとかもジャパニア関連じゃねーだろーなー!?
「そ、そんなことないよ、多分…☆」
…子供が乗せられてるか…大規模殲滅でぶっ潰しは…ちと厳しいか…
あーくそ…本来ならこんな奴ら相手に使いたくねーが
【情報収集・視力・戦闘知識】
敵の構造と動きと攻撃の方向性を分析
【属性攻撃・迷彩】
光水属性を機体に付与
光学迷彩で存在を隠し水の障壁で匂いや熱源を隠蔽
【念動力・弾幕・スナイパー・空中戦】
UC発動
超絶速度で飛び回りながら念動光弾を叩き込み動きを封じて
【二回攻撃・切断・盗み攻撃・盗み】
鎌剣で首を狩りハンマーや武装と搭乗者を強奪!
テティス・ウルカヌス
「これから来るのが子どもたちと聞いては、夢を与えるお仕事のアイドルとしてはやることはひとつですね!」
子どもたちを喜ばせるために、アイドルコンサートの開始です!
天才美少女アイドル、テティスちゃんのヒットソング【天使の歌】を子どもたちに披露しましょう!
「さあ、私の天使のような歌声を聞いてくださいね♪」
あれ、なんか皆さん倒れていますね。
私の歌を聞いてリラックスしてくれたのでしょうか。
きっと、長旅で子どもたちも疲れて眠くなってしまったのですね。
「さあ、仲間のみなさんも頑張ってくださいね!
まだコンサートは始まったばかりですよ!」
戦う仲間や、プロデューサーさんを励ますために、私、精一杯歌いますね!
皇・絶華
「ありゃロキの怪物達か…確かメルクリウスの野郎の息子の一人が産み出した怪物だな…!」
なんと…しかし随分と餓えている様子…これはパワー不足に困っているようだな!
UC継続中
(パイロット達は皆筋肉もりもりマッチョと化して…自分達をこんな目に合わせた原因たる巨神族達に対して怒りマックスだ!)
おお…パイロット達も皆元気にやる気の様だ!
「滅茶苦茶凄いオーラ放ってるぞ!?」
【戦闘知識】
敵の動きと攻撃方法を把握
更に構造から囚われた子供達の位置を把握して皆に共有
仲間や猟兵全員に我が
チョコドリンクを進呈だ!
「恨むなら俺らと共闘するように仕向けたMSを恨みなー!」
お前達がそのような捕食行動に走るのは…パワーが足りないだろう!
安心するがいい!我がチョコを食せば!体から溢れる圧倒的なパワーによってそのようなパワー不足に悩まされることはない!いずれデウスエクス達にも与えてグラビティチェイン不足を解決するつもりだとも!
(真・ぜっちゃんチョコ捻じ込み
パイロット達も襲い掛かる!
もう凄い勢いで食らい返す勢い!
朱鷺透・小枝子
亡国の主乗り換え操縦
メガスラスター【推力移動】ハンマーを躱し背後に回って戦塵縛鎖を伸ばして【捕縛串刺し生命力吸収】
竜骨爪と【怪力】でコックピットを抉り取り人質を回収し、
〈グリード・イーター〉残りを破壊霊物質で分解し啜り上げ【捕食】
キャバリアを、食べる!
相手が喰ってくるなら自分も喰らえば良い。
食物連鎖の頂点に立つのは、自分達だ!!
コピーした【キャバリア食らい】で戦闘力増強、竜骨装甲増加巨大化
食べ残しハンマーを手に、巨人どもへ襲い掛かる。やることはふたつ!
コックピットは壊さない。他は喰う!シンプルだ!実に分かりやすい!!
美味いか主よ、嫌でもたらふく食わせてやるからな!!
生きる為じゃない壊す為に喰え
涼風・穹
攻め込んできた機体の搭乗者達には情状酌量の余地はあるとしてもあまり同情する気にはなれないな
家族を守る為に戦うと言えば聞こえはいいけど、脅迫されたとはいえ要するに自分達の身代わりに他人を不幸にする加害者になっただけだろう
……まあある意味普通の軍事行動でしかないんだし、纏めて捕虜にしてアシハラに引き渡すとするさ
移動しながら《贋作者》謹製の非実体弾を撃つエネルギー兵器で遠距離から攻撃しつつ大型機体の足元に大量の地雷を敷設していきます
脚部を破壊するか、そこまでいかなくても体勢を崩せれば操縦席を切り離す好機になる
ついでに操縦席なら機体の制御機構に繋がっている筈だし、操縦席を切り離した個所を集中攻撃します
「げぇぇぇ……!やっぱりロキ君の産み出した怪物達だー……!」
「もしかして敵国とかアシハラとかもジャパニア関連じゃねーだろーなー!?」
「そ、そんなことないよ、多分……☆」
カシムの懸念に、メルシーは震え声だが、権利関係とか色んなもののリアル事情で本当に関係ないからご安心ください。『奴』とは趣味が近いらしく、どうも類似した案件になるだけだ。
「……子どもが乗せられてるか……大規模殲滅でぶっ潰しは……ちと厳しいか……あーくそ……本来ならこんな奴ら相手に使いたくねーが」
などと、カシムが視覚情報を隠蔽しながらサーマルセンサーに対してステルスを張る、そのメルクリウスの下方にて。
「キャバリアですから操縦士が居るのでした。偶に居ない機体があったものですから失念していました」
これはいけない、と自分のおでこをお札の束でぺちっとやっておく冬季が笑う。悪びれた様子の欠片もない、不敵なこの男だが、バッと札を広げて投げれば自前の転移門を開く。
「ご安心下さい、同じ轍は踏みません。要は頭部を毟れば良いのでしょう?十五メートルの機体を握るなら、その十倍もあれば充分でしょう……」
地面に開かれた転移門からせり上がって来たものは、頭部を旋回砲塔に置き換えて、両肩に副砲を備えた人型戦車。体が透き通っていく冬季が重なり、一体化すると同時に呼び出された兵器……黄巾力士は機体を黄金に輝かせて頭部主砲が強化される。腕部装甲が開き追加の副砲が姿を見せれば脚部関節の泥除けが畳まれて足と同化すると両端が外側に折れ、無限駆動を構築。そして……ドン、ドン!ドンッ!!ドドンッ☆
「合一・黄巾力士……此度は百五十メートルにてお相手いたしましょう……」
キャバリアよりも優に巨大な巨人どもを、それより遥か上空より見下ろす冬季の声。不意に、一体捕らえると首を引きちぎり、ずるり抜け落ちる脊椎に、はて。首を捻る。
「キャバリアとは少々異なるようですね?」
「そいつはキャバリアじゃない!」
カシムの声に、黄巾力士の主砲がメルクリウスへ向けられる。
「神機が生み出した怪物だから、キャバリアとはちょっと違ってて、コックピットが頭にあるんだぞ☆」
などと、敵の布陣、予測される戦術、搭載武装をスキャンしたメルシーからの声に冬季は引っこ抜いた頭を保護した兵士たちの前に置き。
「即ち、一々引き裂いて中身を出す必要がないということですね。これは手間が省けました」
グシャァ。いともあっけなく、巨人の体が握り潰される。首が引きちぎられて開いた体の穴から、人の臓腑に似た器官と、キャバリアらしいインゴットの燃焼機関と、生き物と無機物の中間の様な代物がひしゃげて飛び出して来ると自身の血で真っ赤に染まる。中身を捻りだされ、肉袋と化した死骸を汚れでも拭うように、地面に擦りつけて、すり潰した黄巾力士は次の獲物へ手を伸ばす。さながら、収穫に励む農民の如く……。
「安全第一、これだけ猟兵の数がいれば、急いで皮を剥ぐ必要も無いでしょう」
淡々と、命を摘み取り、捻り、潰す。そこに感情も倫理もありはしない、ただの『作業』であった。薄く笑みを浮かべた冬季は、不意に『こちら』を向いて。
「一緒にカワハギデートなさいます?」
だからこっち見んなって言ってんだるぉおおお!?そもそも俺はえっぐいのとかグッロイのは嫌いなんだよ!!
『えっ』
今、疑問なり驚きなりの声上げた奴、後で壁裏な。
「花燕さん、もしやエスパー……?首を引っこ抜くとか本当にネチョグロ案件です……でもそうなると、大抵のオブリビオンマシンから操縦士を助けられ無いのでは……?」
さて、一部猟兵のブラックリスト入り(?)が成されたところで桜花は大困惑。
「皆さんが食べ物で頑張ってらっしゃるので、私も巨人を唐揚げにしようかと思いましたけれど。戦闘後に巨人唐揚げを食べてくれる方を思いつきませんっ……トン単位のお残しなんて罪深過ぎて出来ません」
それこそ、全部終わってから花燕呼び出して何の説明もせずに食べさせればよかったんちゃう?世の中には、「聞かれなかったから答えなかった」とか「嘘は言ってない」っていう便利な言葉があってだな……。
「……そうですね、花燕さんやあの業突張り……もとい、大家さんに差し入れという形でうふふふふ……」
「さすがはジャイアントキャバリア。大きいですね。これだけ大きいと、パイロットが乗っている頭を狙うにしても、届きませんね」
「はっ!いけないいけない……」
桜花の瞳が深淵に染まりかけた所で、摩那が先ほどから収穫(意味深)されている敵を見上げる。
「目測にして、全長十五メートル……お口に突っ込むと丁度肩辺りで引っ掛かって頭噛み千切られるジャストサイズじゃないですか……」
どこぞの少年少女の勇気を描いた作品みたいな判断基準に見えること言いだす桜花だが、その横でエクアトゥールが巨大なヨーヨーを弄び始める。
「今回の敵は無理やり一般市民をパイロットにしたり、その家族まで人質にしたりと、やることがえげつないです。首謀者にはあとできっちりと落とし前をつけてもらいましょう」
投げ飛ばしたヨーヨーを足首に絡めて、エクアトゥールは自身の三倍の巨躯を持つ相手を引き倒して見せた!
「幸い、私の機体は近接戦闘を想定してしますからね……パワーについては負けません。そして!」
体勢を立て直す前に、転倒した巨人の体を蹴って、エクアトゥールが飛び上がれば撃墜しようと武器を振るう巨人。しかし、その一薙ぎを割って入った桜花が鉄扇で受け止めて。
「単純な力比べで勝てる道理はございませんが、単にその武器を封じるくらいならば!」
ぶつかり合った瞬間に、凄まじい重量に変化でもしたのか、武器を取り落した巨人目掛けてエクアトゥールが再び唐辛子を射出。咄嗟に呑み込んでしまった敵はわっかりやすく真っ赤に染まると、真上を向いてヒーヒー舌を伸ばして荒い呼吸を繰り返し。
「だんだんと減るのは精神衛生上よくないですね」
ちょっとしょんぼりした摩那の声と共にエクアトゥールが急降下。晒された喉笛を蹴り破って頭蓋を吹っ飛ばして見せたのだった……が。
「って、摩那さん!頭を飛ばしてしまったら中の人が!」
「あっ」
桜花に言われて、首を刎ね飛ばしてから気づいた摩那だったが、そこは黄巾力士がキャッチ。
「はっは、生かしておくのはもちろん、安全性も大事ですよ」
「大きいとこういう時助かりますね……」
とりあえず中の子どもは無事っぽい事を確認して、安堵する摩那なのだった。
「攻め込んできた機体の搭乗者達には情状酌量の余地はあるとしても、あまり同情する気にはなれないな……」
次々と倒れていく巨人を眺めつつ、ズィルバーンヤークトフントに地表をホバー移動させながら敵軍側面へ回り込む穹は、やや眉間にしわを寄せ。
「家族を守る為に戦うと言えば聞こえはいいけど、脅迫されたとはいえ、要するに自分達の身代わりに他人を不幸にする加害者になっただけだろう……まあある意味普通の軍事行動でしかないんだし、纏めて捕虜にしてアシハラに引き渡すとするさ」
良いも悪いもない。彼らに選択肢などなかったと言えばそれだけの事。各小国家間で小競り合いが続くクロムキャバリアにおいて、それはもはや『日常』の一幕に過ぎないのだ。
悩むだけ無駄と、考える事をやめた穹はズィルバーンヤークトフントの軌跡に地雷を構築。両肩の砲台を消滅させてライフルを顔面に撃ち込んで挑発すると、敵の注意が向くと同時に後退。
「ほらほら、鬼さんこちら、ってな」
地表スレスレを浮遊するズィルバーンヤークトフントはスルスルと逃げていくが、それを追う巨人はそうはいかない。キャバリアとの戦闘を想定した巨大生物兵器は飛行能力を持たず、秘された地雷原を盛大に踏み抜き、片脚を吹っ飛ばされて跳ね返されるように転倒。その真上にデモニック・ララバイが飛び上がると、コックピットを開いた。
『ちょっと奏者!?』
「機体を変える!後は任せた!!」
小枝子の眼下には漆黒の装甲に白い稲妻の中、翼を広げた鴉の意匠が施された輸送機が滑り込んできて、コンテナをパージしていくのが見えた。空を飛ぶことが自死に等しいこの世界において、輸送機が運ぶモノは現地猟兵の為に転移させられた『追加戦力』に他ならない。輸送機が再び転移門に飛び込んで消えると、コンテナが割れて内部から姿を見せたのは人竜の骸を思わせる機体……脳の代わりにコックピットを詰め込んだ頭が開けば、小枝子を取り込み翡翠のセンサーアイに光が灯る。
「起きろ、主……食事の時間だッ!」
デモニック・ララバイの戦線離脱と同時に、敵の顔面に拳を叩きつけ、鼻っ柱を粉砕した機体……亡国の主は白い吐息を吐きつける。それは皮膚を、肉を、骨を溶かし、ドロドロになった頭部に沈みゆく機体は背部から無数のコードを伸ばし、その先端を周囲に突き刺して分解された敵『だったモノ』を吸い上げて……。
「コックピットは……アレか!」
溶け落ちていく頭部の中、人が入っているカプセルを見つけた小枝子がそれをズィルバーンヤークトフントに投げ渡した。
「もっと丁寧に扱えよ!?」
「すまんがこちらは、それどころではないのでな!!」
穹が子どもが入ったコックピットを運んでいくと、亡国の主は溶け残った敵の肉に食らいつく。切り裂き、噛み砕き、嚥下する。返り血に塗れた亡国の主は不意に動きを止めて、震え始めると全身に亀裂を走らせた。己が機体を引き裂いて、内より出るは一回り体躯を膨れ上がらせて、骸の如き機体に西洋甲冑を思わせる装甲を貼り付けた新たなる亡国の主。
「相手が喰ってくるなら自分も喰らえば良い……食物連鎖の頂点に立つのは、自分達だ!!」
声なき咆哮を上げる亡国の主は、転がっていた敵の得物を拾い上げ、次なる獲物の首めがけて投げ飛ばす。
「コックピットは壊さない。他は喰う!シンプルだ!実に分かりやすい!!」
「はっは!そのフォローをする側の身にもなっていただきたい」
刎ね飛ばされた首を黄巾力士がキャッチ。巨大化したせいでフォローに回される羽目になった冬季が笑いつつ、新しい首を並べた。
亡国の主は残された死骸が崩れ落ちるより先に飛びついて、肩口に食らいつくと骨を噛み砕き、肉を引きちぎる。以前の外殻を脱ぎ捨てて、白に戻った真新しい装甲が再び赤黒く染め上げられて。
「美味いか主よ、嫌でもたらふく食わせてやるからな!!生きる為じゃない……壊す為に喰えッ!!」
何このバーサーカー、怖い。近寄らんとこ……というわけで他の奴の様子を見に行くと。
「解決策は一つ、相手の攻撃より速く動く!」
ナミエが脳筋な事言ってた。実際、ヴァーユの機動力ならそれくらいはできそうだなー、なんてハイスピードバトル展開かと思いきや。何故かコックピットを開いて立ち上がり。
「ん……チュッ♪」
やや前かがみになりながら両肘で胸を左右から寄せ上げて、谷間を強調しつつ両手で投げキッスしながらウィンク。視線と口づけを受け取ってしまった巨人がビクッと固まり、その隙にヴァーユが一閃。剣を振るって首を刎ね飛ばすと共に上昇気流をぶつけて滞空させると、ナミエが指を鳴らしてコックピットを強制解放して中から子どもを引っ張り出す。
「『色気に負ける巨人』という構図をいたいけな子供にお見せしていいのかという疑念は残る所ね」
「そこは気にするのかマスター」
現在進行形で、その子どもを安全第一と称して自分の谷間(意味深)に沈めて抱き留めて地上まで運んでいるナミエに、ヴァーユは実に不思議そうな声をしていたとか。
「それで、ご主人サマは何を見ているのカナ~……?」
「はっ!?いや、違うんだ、おっぱい……じゃなくて、やっぱりスピードが物を言うんだなって思っただけで……!」
ステルスモードのメルクリウスの中、カシムは頬を膨らませたメルシーに同じくらいの大きさになるまで頬を引っ張られており。
「とにかくやるぞ、メルシー!」
「あいあいさー……」
若干不機嫌なメルシーだが、仕事はキッチリやる。見えないのをいいことに相手の足元に念動弾をばら撒いて粉塵を巻き上げ、その中を高速飛行。当然、砂ぼこりはメルクリウスの軌道に沿って歪み、敵に位置がバレてしまうのだが、それこそが狙い。
巨人がメルクリウスが飛び回っている軌道上に武器を振るうが、実際のメルクリウスは見せていた軌道のやや内側に潜んでおり、振るわれる腕に鎌を引っ掛ける。自身の機体の出力ではなく、巨人の怪力そのものを用いて手首から先を斬り落として武装を無力化すると同時に、激痛に吼えたその首を刎ね飛ばしてしまった。
斬り落とした首が地上に落下する前にコックピットをくり抜き、パイロットを回収。地上へと降下していくと……。
「ところでアシハラとトウゲンが対立して得する陣営は誰かしら?」
「それは気になる所」
子どもを親に引き合わせたナミエが、ヴァーユと思案するところに遭遇。現状では何も分かっていない所だが……。
「こりゃロキの怪物達か……確かメルクリウスの野郎の息子の一人が産み出した怪物だな……!」
「なんと……しかし随分と餓えている様子……これはパワー不足に困っているようだな!」
シンキングタイムをさっちゃん&ぜっちゃんが強制終了させて、いつもの禍々しい飲むチョコレート(飲み物とは言ってない)を構えると。
『ヴォオオオ
……!!』
これまた禍々しい覇気を纏った筋骨隆々のパイロッ……待って、この人達さっきまでこんなんじゃなかったよね!?
「おお……パイロット達も皆元気にやる気の様だ!」
「滅茶苦茶凄いオーラ放ってるぞ!?」
目を輝かせる絶華だが、さっちゃんの方は事態の異常性に気づいているらしく若干引いているが、その原因はほぼ確実に絶華であるため一旦置いといて。
「お前達がそのような捕食行動に走るのは……パワーが足りないからだろう!安心するがいい!我がチョコを食せば!体から溢れる圧倒的なパワーによってそのようなパワー不足に悩まされることはない!いずれデウスエクス達にも与えてグラビティチェイン不足を解決するつもりだとも!」
『ヴォオオオ!!』
モリモリモリッと筋肉を隆起させて全身が膨れ上がったトウゲンの皆さんがぜっちゃんチョコ(固形タイプ)を片手に突撃。普通なら踏みつぶされて全滅なのだが。
「行きますよ、合わせてください!」
「靴を使用不能にすればよろしいのですね!?」
桜花が巨人の足をひっぱたき、ブーツが裂けて破損すると同時にエクアトゥールがヨーヨーを絡めて引っ張ることで足を滑らせて転倒させると、そこにトウゲンの連中が殺到。なんかもう、アレだよ。象に襲い掛かって食い殺す物騒な蟻の群れみたいなことになってるよ。そして巨人の口に例のチョコを詰め込むもんだから、子どもだけ回収して花火再び。ナァニコレェ?
「さぁ調理担当さん!準備はよろしいか!?」
ここでクルっと絶華が振り向くと。
「もちろんOKです!!」
えぇ、水色エプロンのテティスがいるんですよ、ハァイ……。
「強敵と戦うには栄養補給が大事だからな!」
「そこにこの天才美少女アイドルテティスちゃんの愛情を込めれば……!」
グツグツと、煮えたぎる鍋の中身から吹きこぼれるおどろおどろしい瘴気を見てしまったさっちゃん。ヒュッと血の気が引き、真っ青になった彼(?)はぎこちなく敵が出て来た方角を見遣り。
「恨むなら、俺らと共闘するように仕向けたMSを恨みな……!」
大丈夫だよ、多分最初の犠牲者はさっちゃんだから、致死性がない事を確認してから使用される事でしょう。
「俺なら死んでもいいと!?」
実際、あのチョコ食って正気を保っていられる奴はさっちゃんかカシムくらいしか知らんし……ほら、兵器は試験運用が大切だから。
「あれは関わったらダメ」
「他所でも言ってなかったかそれ」
新商品のあまりのヤバさに、ナミエが一周回って真顔で言うものだからヴァーユが呆れた声を出してしまった。色々あったが、猟兵達は無事に第二波を乗り越え……。
「親子で遊びに来てくれたとあっては、夢を与えるお仕事のアイドルとしてはやることはひとつですね!」
てない!?
「子どもたちを喜ばせるために、アイドルコンサートの開始です!」
しまった、ここに来て最大の脅威は味方側にいただと……!?しかもテティスの音楽事情を知らないトウゲンの人々は何も知らずに座って聞きの構えに入り……。
「さあ、私の天使のような歌声を聞いてくださいね♪」
※しばらくお待ちください。
「あれ、なんか皆さん倒れていますね。私の歌を聞いてリラックスしてくれたのでしょうか。きっと、長旅で子どもたちも疲れて眠くなってしまったのですね」
現場には、記録に残すのもおぞましい惨状が広がっていた。とはいえ、何も書かなくては後世に伝える事も出来ないため、代表者としてさっちゃんの写真を残しておこう。
「み……み、が
……!?」
テティスに背を向ける形で両手を耳に押し当てて、必死に音を遮ろうとしたものの、抵抗虚しく聴覚とメンタルとやられた彼(?)は真っ白になって干からびており、自己保存に全エネルギーを消費しきった燃えカスになってしまっていた。仮にも神の名を冠する機体がこのザマなのだ。現場の実情はいかほどか……お察し頂きたい。
「さあ、みなさんも頑張ってくださいね!まだコンサートは始まったばかりですよ!」
「どうしたさっちゃん!感動のあまりエネルギー使い果たしたのか?喜べ!出来立てパワー満載のクロスぜっちゃんチョコができているぞ!!」
「や、やめ……誰か、助……け……」
サートゥルヌスのメモリーは、ここで途切れている。
大成功
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第3章 ボス戦
『時激装快タンサンダー』
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POW : 冥乱総打
【拳から衝撃波】を放ち、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。
SPD : 災弾
【右腕から放たれる強酸】が命中した箇所を破壊する。敵が体勢を崩していれば、より致命的な箇所に命中する。
WIZ : 光羅
【光り輝く左腕】で近接攻撃し、命中した部位ひとつをレベル秒間使用不能にする。
👑11
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「はーっはっはっは!これはやってくれたな!!」
猟兵達が巨人を片付け、トウゲンの人々をアシハラに向かわせた頃、メタリックグリーンの機体が現場に飛来する。
「先発隊も後発隊も連絡がないから何事かと思えば、全滅していたとは!致し方ない……この私が自らお相手しようではないかッ!!」
やったら溌剌とした敵が出てきてしまったが、とりあえず今回の黒幕はコイツらしい。人質も妙な機能もない以上、思いっきりぶん殴れるぞ!!
御園・桜花
「刺激爽快炭酸だ、メロンソーダ、サイダー、コーラ。成程、ボスを飾るに相応しい恐ろしい敵ですね?」真顔
「一寸西瓜っぽいかなと思ってしまった私の認識が間違っていました。彼は炭酸の王子様、故にメロンソーダ一択であると」
「ティーソーダは美味しいと思う私ですが、珈琲ソーダは美味しいと思いません。餡入珈琲も人を選ぶと思います。そして飲みたいとは欠片も思いませんが美しさで群を抜くのはメロンソーダだと思うのです」
「つまり…メロンソーダならトン単位の消費が可能かもしれないと言うことです!」
UC「食欲の権化」
第六感頼りに吶喊してぶん殴ってメロンシロップ等食材に
届かなければ誰かのキャバリアにぶん投げて貰う
朱鷺透・小枝子
破壊の籠った良き歌でありました。
バレンタインで頂きましたチョコも素敵なパワーでありましたし、
どちらもあまりの破壊的強さに聴覚味覚を通り越して己が
血肉と化した気がします。
思わず真の姿になってしまう程感動的でありました。そしてあれが敵か。
そうかあれが黒幕か…。
亡国の主と
融合。そして〈巨人の打刀〉発動。
戦場内の刑天機や巨人の残骸やらに残留する
破壊属性と
破壊属性等を【念動力】で吸収。
【狂気耐性激痛耐性継戦能力】その膨大混沌なパワーを己が【闘争心】で捻じ伏せ怪物化。
RX打刀を手に取る。人工魔眼の超能【視力】で周囲に被害を齎さない為に、緑色の敵機だけを見据えて
…壊れろ。壊れて泣いて土下座して詫びて壊れろ!!
貴様が齎したこの戦場に!!トウゲンとアシハラの人々に!!!
この戦いで被害を被った全てに壊れてお詫び申し上げろ貴様ぁああああああああああああああああああああああああああああああアアアアアアアアアアアア
!!!!!!!!!!!
終焉に至る大斬撃波を叩き込む!!
黒木・摩那
やっと黒幕が出てきましたね。
このまま収集したコレクションが無くなるかとヒヤヒヤしましたよ。
黒幕の方はパイロットを盾にすることはないようなので、普通に攻撃できそうですね。
ボコボコにする前に、一見ただの寒村に見えるアシハラにこれだけの犠牲を払って、執着する理由は聞いておきたいです。
オブリビオンの言う事ですから、話半分でしょうけど。
聞くこと聞いたら、戦闘です。
敵は近接型。ならば、こちらは距離を取って攻撃です。
ヨーヨー『エクリプス』で敵の行動を妨害するとともに、
UC【万散鏡花】でも攻撃します。
UCならば、キャバリアが動かなくとも攻撃できますからね。
ナミエ・オイローパ
アドリブ/苦戦/連携可
「黒幕のお出ましね」
「どこから来たのか吐き出させようか」
敵から飛んできた液体を回避するも、撃破した機体の残骸が液体に触れて溶けるのを目撃。
「キャバリアの装甲すら溶かす強酸、でもあれは自分の酸で溶けていない」
「胃袋が自分の胃液で溶けないのは、胃を粘液で守っていることと、胃液を中和する物質を体内で生成しているからだ。つまり、あれも似たような機構を保有している可能性が高い」
風の羽弾(ビット)で牽制しつつ、UCで接近を阻止。
「そこかしら?」
小銃ライフルで風属性弾を胸の白いところに叩きこむ。
(敵のWIZUCを見て)
「あの輝き、神の指の如し」
「それ以上は危ないわよ」
カシム・ディーン
「マスターお疲れ様だぞ☆ぜっちゃんチョコ食べる?」(と、何時ものところで労う少女)
よし、人質もいない!これは楽だ!
「ひゃっはー☆」
てかふざけんなよお前!
あんな食いしん坊共呼んだからこの世の地獄が発生しちまったじゃねーか!?(躍り狂いながら帰るむきむきな元人質達と兵士達から目をそらし)
【戦闘知識】
取り敢えず敵の動きと構造
攻撃パターンを分析
【属性攻撃・迷彩】
光水属性を機体に付与
光学迷彩で隠れ水の障壁で熱源や音を隠蔽
【念動力・空中戦・弾幕・スナイパー】
UC発動
幸運の神発動
超絶速度で飛び回り念動光弾を叩き込む!
【二回攻撃・切断・盗み攻撃・盗み】
鎌剣で切り刻み金目の物は根刮ぎいただきだあ!
皇・絶華
「…はっ!?何処だここは!?」(謎の喫茶店で目覚める少女)
「よし俺はここに残るぞ!ってやめろメルクリウス!?俺はここで吉報を待ち…いやぁぁぁ!?」
「はっ!?」
おお、目覚めたかさっちゃん
「もっと寝ていたかった…(現実にえぐえぐしてる)」
と言うわけでお前が黒幕だな!しかしあんなに食いしん坊さん達を寄越すとは…つまりお前は…パワーに飢えているのだな!
「やっぱりぃぃぃぃ!!」
【戦闘知識】
UC準備開始
敵の戦い方や動き
周辺状況を把握し
だが安心しろ!お前にも圧倒的なパワーを授ける準備はできている!
【念動力・第六感・空中機動】
念動障壁を展開し直感も働かせて飛び回り衝撃波を相殺し
【二回攻撃・切断・バーサーク】
さっちゃんと自分もチョコを食して強化
「ひぎゃぁぁぁ!?」
鎌剣で切り刻むぞ!
「うぇぇぇん!!全部てめーのせいだぁ!!」
【爆破】
準備完了!
UC発動!
またせたな!
このチョコは用意に時間がかかるからな!待ち遠しかっただろう!
存分に補食するが良い!
安心しろ!おかわり自由!しかも自分から口に入るサービス仕様だ!
鳴上・冬季
「あまり喚ばないと機嫌を損ねかねますから。
出でよ闘神アスラ」
「キャバリア同士なら引き裂いても鉄屑と化すだけです。安心して眺められるでしょう?」
虚空見て嗤う
仙術で飛行し接敵
敵と同じ速度で飛行しながら胡蝶双刀八斬刀振るい0距離乱打戦
右腕からの強酸モーション初回は仙術+功夫の縮地(短距離転移)で回避するも2回目以降は胡蝶双刀八斬刀で腕の進路をかち上げたり半身避けして肘と膝で腕を叩き潰したりする
「詠春拳は騎馬戦闘でも知られていますが特殊な組手や0距離からの肘打ちや蹴りでも知られています。重くて幅広な鈍器扱いの胡蝶双刀八斬刀も使います。この距離がアスラの間合いです」
嗤う
「遠慮なく消滅なさい」
嗤う
涼風・穹
偉く溌剌とした感じのが出てきたけど、さっきまでの人質やらを利用した作戦とは不似合いな雰囲気だな…
まあ表面上の性格と戦術は必ずしも似通るとは限らないし、黒幕とは言え作戦の発案者は別にいるのかもしれないけど…
形勢不利なら引き付けて
テティスの餌食にします
見方を巻き込む?
その辺で
チョコや唐辛子をまき散らしたりしているんだし今更だろう
ミンメイアタックばりのアイドルコンサートでアシハラに平和を取り戻す
おっと、何故か《起動》でコンサート会場用の器材を持ち込んでいたしキャバリアを使えば設営も速やかに行えるな
どうやら世界は歌を求めているらしい
届け、第四の壁の向こうまで☆
「……はっ!?何処だここは!?」
さっちゃんが目を覚ますとそこは……絶華の膝の上だった。
「目を覚ましたかさっちゃん!チョコに感動するあまり一周回って気絶してしまった時は何事かと思ったぞ!!」
などと、実ににこやかな絶華であるが、さっちゃんの方は目が点である。
「あ、あれ、おかしいな、こういう時って謎の喫茶店で目覚めて安全圏から高みの見物ができるのがお約束なんじゃ……?」
「ありり?もしかしてさっちゃん、夢の中でもチョコレート食べてたのかな?」
「そんなに食べたいならお代わりはまだまだあるぞ!!」
「ちょ、メルクリウス余計な事を言うんじゃ……ひっ!?」
絶華に膝枕されていたさっちゃんが、匙に掬われたぜっちゃんチョコを見るや否や跳ね起きようとするが、優しく抱き寄せているのであろう、肩に置かれた絶華の手がそれを許さない。
「あの、主様?いつも思うんだけどなんで片手で俺【機神】を押さえられるんですかね
……!?」
「無論、全てはパワーによる故に!!」
サートゥルヌスの断末魔をバックグラウンドミュージックに、メルクリウスは周囲をサーチ。敵機からの生体反応もない事を確認して、搭乗者が存在しない事をチェック。
「よし、人質もいない!これは楽だ!」
「ひゃっはー☆」
いつものステルスマジックにより不可視化したメルクリウスは高速で回り込み、背後から大鎌を振りかざして。
「てかふざけんなよお前!あんな食いしん坊共呼んだからこの世の地獄が発生しちまったじゃねーか!?」
見えざる断頭の一撃。これにて終幕……の、はずだった。
「はっはっは!彼らを斯様な人外に仕立て上げたのは君達ではないか!」
「なんツ
……!?」
振るった鎌の柄を蹴り飛ばされて、その余波で吹き飛んだメルクリウスが体勢を立て直しながら位置をごまかすために跳躍。上昇、通過、降下。敵を挟んで逆側の下方にて待機し、敵が自分を認識していない事を確認しながら。
『ちょこちょこマッソゥ☆ちょこちょこマッソゥ☆』
アシハラに向かって筋肉を隆起させて強調させるマッスルダンスで我が子達を取り囲み、移動していく一団から目を逸らした。これに関しては完全に(一部のとはいえ)猟兵側の責任であるため、閉口するカシム。
「ふぅむ、あちらはどうやら腕が立つご様子……これは好都合。あまり喚ばないと機嫌を損ねかねますから。出でよ闘神アスラ」
呼び出された機体のコックピットに転移する冬季。ここまでくるともう、仙術って何でもありだなって思えてくるが、このテレポートについては冬季が(詳細は他所のグリモア猟兵の案件であるため、言及は控えるが)巨神の大売り出しの際に遭遇した機体、闘神アスラにもとより備えられていたもの。
「キャバリア同士なら引き裂いても鉄屑と化すだけです。安心して眺められるでしょう?」
だからコッチ見んなって言ってんだろ!?
相変わらず人を小馬鹿にした薄っぺらい笑みを浮かべたままの冬季が操縦桿を握れば、アスラは腰元に備えていた八斬刀を構える。二振り一対の短双剣にして、幅広の刃に護手とは別に、鍔の代わりに返しが付いた得物。鞘を持たない事から察せる通り、切れ味よりも打撃力が物を言う鈍器に近い刃物であった。
「この私を引き裂くと出たか……面白い!って、言えればカッコいいんだが」
敵さんこと、タンサンダーは腕組みして一瞬、強者オーラを放つもののあっという間にしょんもりして。
「そんなに装甲厚くないしな……」
アスラが白兵戦に特化しているように、タンサンダーもまた格闘戦に秀でた機体。運動性を確保する為に装甲は犠牲になる。
「まぁ、とりあえず……一手、死合おうか」
二つ、機影が消える。
同じ速度で真正面からぶつかり合ったタンサンダーの蹴りとアスラの斬撃。一瞬の鍔迫り合いで互いを弾くとタンサンダーが反転、逆足で中段上段を織り交ぜて蹴り分け、『面』の蹴撃を叩き込んでくる。対するアスラは蹴りに合わせて八斬刀で受けつつ、時折拳を捻って撃ち出し脚部装甲をカチ割ろうとするが、攻めに転じる度にタンサンダーの引きが速く空振りに終わった。
両者共に決定打を持たぬ乱撃戦の果てにタンサンダーが不意に足払いをかける。飛行するタンサンダーと仙術にて滞空するアスラ。転倒などあり得ぬが、跳躍して避けたアスラ目掛けて拳を放てば泡立つ無色の液体が飛来。これを避けるのではなく、踏み込む形で縮地したアスラがすり抜け、刃を振り下ろせばその側面に裏拳を叩き込み、側転しながら再度右拳を構えたタンサンダー。再びの強酸の噴出が始まるより先に身を捻り、腕に叩き込むアッパーカット。軌道を逸らされた強酸が頭上に舞い、降り帰ってくるより先に両機、距離を取って対峙した。
「詠春拳は騎馬戦闘でも知られていますが、特殊な組手や零距離からの肘打ちや蹴りでも知られています。重くて幅広な鈍器扱いの胡蝶双刀八斬刀も使います。この距離がアスラの間合いです」
「それは奇遇だな。私もこんな液体を溜め込んではいるが基本は格闘戦のみ。このくらいの距離感が一番立ち回りやすいのだよ」
嗤い、笑い、声ばかりの笑顔を交わす。そんな二機を見上げて、摩那はほっと一息。
「やっと黒幕が出てきましたね。このまま収集したコレクションが無くなるかとヒヤヒヤしましたよ」
こんな状況で敵の脅威度よりも唐辛子の在庫を気に掛ける辺り、摩那はすっかりネタ堕ちしきってしまったと思われる。
「黒幕の方はパイロットを盾にすることはないようなので、普通に攻撃できそうですね。ボコボコにする前に、聞いておきたいことがあるんですが」
「勝利を確信しているとは……いや、それこそが君達が猟兵足りうる所以かな?」
バッチバチのインファイトを繰り広げながら、タンサンダーは頭部だけエクアトゥールに向けた。少なくとも、会話をするつもりはあるのだと確認はとれたが。
「一見、ただの寒村に見えるアシハラにこれだけの犠牲を払って、執着する理由は一体何だったんですか?」
「それ、君が気にする事かい?」
右腕を構えられればアスラは半身を逸らして肘と膝を同時に振り上げ振り下ろし、腕部装甲を圧壊させようとするが、闘神の装甲がぶつかり合って火花を散らす。潰される前に腕を引いたタンサンダーが蹴り飛ばしてアスラの体勢を崩させれば、不意にサマーソルトキックを放って頭上の空間にぶち当たる。甲高い音を上げて姿を現したメルクリウスは、頭上からマシンヘッドを刈り取ろうとしていたようだが、足首を蹴り飛ばされて空中で前転する羽目になった。
「さっきからどうなってんだ!?」
「うーん……敵さん、そもそもメルシー達の事認識できてないみたいなんだけど……」
グルングルンしていたメルクリウスが体勢を立て直すと、メルシーは電子コンソールを複数展開。
「めんどくさいからもう、因果律弄っちゃうね☆」
「それ、そんなサラッと使っていい機能なのか
……!?」
見えていないはずなのに吹っ飛ばされ、機体性能的なプライドを傷つけられた為に青筋浮かべたメルシーにツッコミを入れている一方で。
「この世界では他国を侵略する事に、一々理由なんかないだろう。生きるためには常識なんだから」
「資源不足でプラントを奪い合うのは分かりますが……これほどの軍勢を使ってはコストパフォーマンスが悪いのでは?」
タンサンダーと摩那が若干シリアス味の漂う会話をしていた。しかし、敵は人間臭い溜息をつくと。
「それこそ、君が気にすることではないだろう?必要な事だから、侵略する。むしろ、君達は既に、トウゲンの軍事行動に干渉しているという事実の方を気にするべきだと思うけどなぁ……」
「ッ!?」
摩那の背筋に、冷たいものが走った。この戦闘に参加した時点で、既に猟兵はトウゲンの敵とみなされていたのだ。
「ですが、そんなはずは……!」
グリモア猟兵は『トウゲンの兵士が詰め込まれた謎の機体』と言っていたはずだ。だが、目の前の機体は今回の侵略を『トウゲンの軍事行動』だと言う。混乱する摩那の目の前で。
「メルシープログラム起動!スーパーご都合主義ターイム☆」
「散々蹴り飛ばしてくれやがって、歯ぁ食いしばれやぁ!!」
「あだだだだだだだ!?」
ものすごい光の弾幕がタンサンダーを襲う!!念動弾の弾幕でボッコボコにされた機体を鎌でガリッガリに削り、傷だらけにするメルクリウス。そのけたたましい金属音に、摩那がプツッ☆
「えーい!考えるのはやめです!!とりあえず敵を倒しましょう!!」
敵頭上に光の刃を構築。無数の光で生み出されたシャンデリアは散らばり、舞い踊り、再収束してタンサンダーを光り輝くハリネズミに変えた。
「黒幕のお出ましね」
「どこから来たのか吐き出させようか」
キラキラしたトゲトゲボール状態の敵を眺めるナミエに、ヴァーユが提案するも彼女は首を振る。
「事実がどうあっても、トウゲンの機体だってしか名乗らないんじゃない?私達が戦ってしまった時点で、既に敵の目論見は果たされていたようなものでしょう?」
それよりも、と。ナミエは光の刃を弾き飛ばして再び姿を見せたタンサンダーを見つめて。
「まずは目の前の脅威を何とかしましょう。キャバリアの装甲すら溶かす強酸、でもあれは自分の酸で溶けていない」
「胃袋が自分の胃液で溶けないのは、胃を粘液で守っていることと、胃液を中和する物質を体内で生成しているからだ。つまり、あれも似たような機構を保有している可能性が高い」
「どこかに自己防衛のための装置があるって事ね」
ヴァーユのコンソールに、初手でアスラが打ち上げさせたタンサンダーの放った液体が落下してきた地上の残骸の末路が映されている。
翼を広げて、羽毛を模した浮遊砲台を一斉展開して単騎包囲網を展開したヴァーユはタンサンダーの回避運動の選択肢を絞らせて、割り出した複数の狙撃ポイントへ誘導。ナミエはその一つにターゲットマーカーをセットして船の操舵輪を模した、操縦輪のトリガーに指をかけた。
「そこかしら?」
撃ち出された風の魔弾は自身の纏った魔力で追い風を産み、加速しながら目標地点に飛び込んでいくが、甲高い音を残して弾かれてしまった。
「かった!?」
「防御姿勢も取らない所を見るに、あそこが最も硬いようだが……もしや、コックピットなのでは?」
本来ならバイタルパートどころの話ではないのだが、人が乗っていないのなら壊れたところでさした痛みはなく、しかし最も保護せねばならない部位である為に最も頑強に作られているのだろう。
「おのれー!!」
と、ここで敵が左腕を光らせると。
「あの輝き、神の指の如し」
「それ以上は危ないわよ」
ヴァーユが余計な事を言い切る前に、ナミエがストップをかけるのだった。
「偉く溌剌とした感じのが出てきたけど、さっきまでの人質やらを利用した作戦とは不似合いな雰囲気だな……まあ表面上の性格と戦術は必ずしも似通るとは限らないし、黒幕とは言え作戦の発案者は別にいるのかもしれないけど……」
空中で激しい戦闘が行われていた頃、その下方。地上にて穹は敵の言動に違和感を覚えつつ、何故か音楽機材をスタンバイしていた。
「まぁ、最悪味方を巻き込むかもしれんが……危険物【チョコや唐辛子】がまき散らされているんだから、今更だろう……ここからは、某宇宙戦記よろしく、アイドルコンサートでアシハラに平和を取り戻す」
本人が動いていない為、録音した音源を用いてセット。設置したカードは転移門の役割を果たし、内部の整備工場から音響設備をポンポコ吐き出しては、ズィルバーンヤークトフントがそれを繋いで大音量の発信に備えて……。
「どうやら世界は歌を求めているらしい。届け、第四の壁の向こうまで☆」
「ぐぁあああああああ!?」
穹が音楽を再生し始めると、何故か小枝子が絶叫。まぁ、聞き慣れていない例の音楽を聴いてしまって、発狂するのは分かるが……。
「破壊の籠った良き歌でありました……」
めっちゃ声震えてるけど大丈夫?コックピットの中でプルプルしてない?
「バレンタインで頂きましたチョコも素敵なパワーでありましたし、どちらもあまりの破壊的強さに、聴覚味覚を通り越して己が血肉と化した気がします」
亡国の主が動きを止めて、だらりと両手を下げる。首が折れ、蛇腹状の装甲が畳まれる。両腕の装甲は関節の可動域を無視して連結し、一枚の装甲板に圧縮。爪の様な手甲のみが残された指先が、一本ずつ握り込まれていく……。
両の手を拳に変えれば、首裏の装甲が開いて半分ほど露出していた、骨の黄色がかった物とは違う、薄く青みを帯びた白髪が完全に開放されて風に揺れる。背部から伸ばされていたケーブルは全て格納され、装甲が展開。甲冑とも外骨格ともつかぬ装甲は前後に割れて、連結されていた両腕の装甲がそれらを繋ぎ、胸元には局部を隠す程度の装甲のみを残して下半身を覆うドレスアーマーに姿を変えた。
「思わず真の姿になってしまう程感動的でありました」
最後に残った竜の兜を投げ捨てて、その肌を毒素と呪詛でおぞましく染め上げた小枝子がゆっくりを目蓋を開く。右目に緋色の瞳孔を、左は人工魔眼をアイパッチデバイスで覆い、更に髪で隠しながら、双眸の視線は緑色の装甲を捉える。
「そしてあれが敵か。そうかあれが黒幕か……」
キャバリアと同化した小枝子が手を翳せば、応えて現れる得物の柄。引き抜くそれは、かつて毒龍を屠るべく鍛えられたキャバリア用の一振り。毒を宿した血に濡れて、それが自身の手元に伝わらぬよう、刃の根元は鍔の外側まで伸ばされている独特の形状をしたそれを、機体と同化することで、己が手で握る小枝子が構える。
「……壊れろ。壊れて泣いて土下座して詫びて壊れろ!!」
とある昔話がある。「鳥の目を射よ」と、ある師が三人の弟子に命ずるが、射抜いた者は一人だけ。外した一人目に問うた。
「何が見える?」
「木が見えます」
逃げられた二人目に問うた。
「何が見える?」
「鳥が見えます」
そして、 射抜いた三人目に問うた。
「何が見える?」
「貴様が齎したこの戦場に!!トウゲンとアシハラの人々に!!」
「鳥の目が見えます」
「この戦いで被害を被った全てに壊れてお詫び申し上げろ貴様ぁああああああああああああああああああああああああああああああアアアアアアアアアアアア
!!!!!!!!!!!」
見上げれば、上空には敵も味方も入り乱れる乱戦の白兵戦。その渦中、閃くタンサンダーだけを捉えた、小枝子の視線。届くはずがないその一太刀は、虚空に剣閃を描き、敵を斬り捨てて……。
「またせたな!」
ぼちゃんっ!なんか茶色いウツボカズラの中に落っことした。
「このチョコは用意に時間がかかるからな!待ち遠しかっただろう!存分に補食するが良い!安心しろ!おかわり自由!しかも自分から口に入るサービス仕様だ!」
えぇ、はい、待ち構えていたのはぜっちゃんチョコです。本来は物凄い数のチョコ植物が現れるのだが、敵が一体しかいない為、これを溶接して巨大な一株にしたところ。
「ほぎゃぁあああああ!?」
対象を取り込んだ後、チョコで包み込んで全身から摂取させるっていう、食われてるんだか食ってるんだか分からない怪異植物と化していた……!
当然、敵さんが大人しく沈んでいるわけもなく、飛び出して来たところで。
「お前が黒幕だな!しかしあんなに食いしん坊さん達を寄越すとは……つまりお前は……パワーに飢えているのだろう!?遠慮せずに残さず食すがいい!!」
ガシッと、既に目が死んでいるさっちゃんを抱き寄せた絶華は自分でチョコを噛み砕きながら、さっちゃんの口には飲む用の方をだぱー……。
「さぁさっちゃん、変身だっ!」
「ひぎゃぁぁぁ!?」
突如襲い来る冒涜的味覚により、意識を強制覚醒させられたさっちゃんはサートゥルヌスの姿を取り戻し、絶華が搭乗。メルクリウスのソレに酷似した大鎌を振りかざす。
「安心しろ!あの圧倒的なパワーはお前専用だ!!」
「うぇぇぇん!全部てめーのせいだぁ!!」
「どう見ても私は関係ないじゃないか!?」
スカァン!凄まじい金属音を響かせて、再びタンサンダーがぜっちゃんチョコに沈んでいくと、空を飛べない桜花はこの巨大植物の表面をよじよじ……。
「刺激爽快炭酸だ、メロンソーダ、サイダー、コーラ。成程、ボスを飾るに相応しい恐ろしい敵ですね?」
登り切った桜花は無駄にキリッと真顔で、ゴポゴポ沈んでいる敵を見下ろし。
「一寸西瓜っぽいかなと思ってしまった私の認識が間違っていました。彼は炭酸の王子様、故にメロンソーダ一択であると……ティーソーダは美味しいと思う私ですが、珈琲ソーダは美味しいと思いません。餡入珈琲も人を選ぶと思います。そして飲みたいとは欠片も思いませんが美しさで群を抜くのはメロンソーダだと思うのです」
「シャァアアアアラァアアアアアップ!!」
混沌味覚のチョコフォンデュ状態の敵が、割とガチ目にブチギレて飛び出してきて、見てしまったものはキラキラおめめの桜花ちゃん☆
「つまり……メロンソーダならトン単位の消費が可能かもしれないと言うことです!」
ちょうど目の前に飛び出したもんだからマシンヘッドを扇子でぶん殴られて、再びチョコに沈むタンサンダー……すると、ゴゴゴゴゴ。
「あ、あら?何事ですか?なんだか嫌な予感が……」
急に響き始めた地響きに、桜花がおろおろしていると、足を滑らせてツルッとコロコロすってんころりん、ゴンッ!!
「ふぎゅうぅうう……」
チョコ植物から転がり落ちて、敵の残骸に頭を打ち付けてプルプル。丸まって震えている彼女の横で、チョコ植物は徐々に小さくなっていき……。
新発売!タンサンダーチョコ・メロンソーダ味!!
謎の駄菓子が出来上がってしまっていた。
「食材にするつもりが、チョコと混ざってお菓子になってしまいましたか……」
どうしたものかと、ちょっと困ってしまう桜花なのだった。
大成功
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