バトル・オブ・オリンピア⑰〜全力! プロレスアスリート
●グリモアベースにて
「……っし、だいたいこんなもんっスか。先輩がた、本日はお集まり頂き感謝っス!」
グリモアベースの一角。集まった猟兵達を見回したプロレスラーにしてグリモア猟兵、焔・雷火(正義の闘魂ファイター・f39383)は、元気よく大きな声でそう叫び、勢いよく頭を下げた。
「今回も先輩がたに、『バトル・オブ・オリンピア』のお誘いっス。新生フィールド・オブ・ナインの一人、トライアスロン・フォーミュラ『時宮・朱鷺子』の待つプロレスのリングに向かってほしいっス!」
朱鷺子は『時間を遡り、過去の自分を特訓する能力』を持つ、極めて強力なダークリーガーだ。トライアスロンを司るフォーミュラではあるが、その本質は『万能』。
大昔から特訓を重ねて来た彼女は、トライアスロンに限らずありとあらゆる競技に精通していると言う。
今回はその能力を最大限に発揮し、プロレスリングで猟兵達を待ち構えているようだ。
「まああくまで相手がプロレスリングにいるってだけで、プロレスに付き合う必要はないんスけど……ただ、朱鷺子はすげぇ強いっス。その『時間遡行特訓能力』によって、こっちに完璧な対策を立ててくるっスよ」
朱鷺子との戦闘においてはこちらがどれほど強くとも、朱鷺子はそれを踏まえた上で過去に遡り、特訓を積んで挑んでくるのだ。
普通に考えれば、極めて勝ち目の薄い相手と言える。
「まあそんな勝ち目の薄さも、先輩がたなら覆せるとは思うっスけど。ただ今回の目的は『朱鷺子に勝つ事』ではなく、『朱鷺子に全力を出させる事』がメインっス」
もし朱鷺子が余力を残したままだと、勇者リリリリに取り憑いたガチデビルはKING宝珠によって時間遡行能力を使用出来てしまうらしい。
だが朱鷺子が時間遡行出来ないほど全力を出し尽くせば、ガチデビルもそれを使えなくなる、と言う事だそうだ。
「そしてプロレスは、互いに全力を振り絞るにぴったりの競技だ。そうだろう?」
後輩モードからプロレスラーモードに代わり、熱く語る雷火。実際、プロレスとは自分ひとりが強ければ良いのではなく、相手の強さを引き出して熱い試合をする事を目指す競技である。朱鷺子に全力を出させるのにピッタリと言えるだろう。
「とはいえ、絶対プロレスに付き合う必要はない。やりやすいように闘ってくれ」
ただしこちらがどのように戦おうとも、朱鷺子はプロレスによってこちらを叩き潰そうとしてくる。
「朱鷺子はその時間遡行特訓能力で『こちらの全力の攻撃を受けきれるだけのタフネス』と『こちらを絶対にリングに沈める事が出来るほどの強烈な技』を身に付けた上で、リングに上がってくる。基本的には、こちらの攻撃を全部受け止めた上でフィニッシュホールドで沈める事を目指してくるだろう」
そのフィニッシュホールドを引き出す事が出来れば、とりあえず今回の目的は達成される。必殺技を引き出す事なくあっさり負けないようにすれば、それで良い。
「だがまあレスラーなら、どうせなら勝ちたいと思うのも人情だよな。その場合は、時間遡行特訓能力を上回る強さを見せつける必要がある」
『ただ強いから倒せる』『こんな特殊能力だから耐えられる』『魂が肉体を凌駕するから倒れない』といった理論は、今回は通用しない。朱鷺子はそれも踏まえた上で特訓てリングに上がってくるからだ。
「どうやって朱鷺子を上回るかは皆次第だが。オレから言えるアドバイスとしては、そうだな……『リングの上で成長する』事を目指すのも良いと思う」
朱鷺子がこれまで何度の時間遡行を行っても経験した事がない、新しい強さ。それを見せつける事ができれば、朱鷺子をリングに沈める事が出来るかもしれない。
「まあ繰り返すようだが、絶対勝たなきゃいけない訳じゃないから、あんま気負わずにリングに上がってくれよ」
全ての説明を終えた雷火は、そう言って笑みを浮かべ、グッと拳を突き出した。
「せっかくの大舞台だ、盛り上がっていこう。観客を、世界を沸かせてやろうぜ!」
●全知万能プロレスラー、リングイン!
「来たか、『六番目の猟兵』達よ!」
競技場の中央に設置された、プロレスのリング。
トライアスロン・フォーミュラ『時宮・朱鷺子』は、その上で仁王立ちして猟兵達を出迎えた。
「トライアスロンとは、水泳・自転車・マラソンの3つの競技を組み合わせた物――ではない。その本質は全てのスポーツを内包する、究極の競技と言う事なのだ」
いや、実際そんな事実があるのかは知らないが。だが、自信満々にそう言われると、そうでないかと言う気もしてくる。
「無論、プロレスも例外ではない。ならばこの時宮がプロレスを修めていない事など、あろうはずもない。そうだろう?」
少なくともそれは――朱鷺子がプロレスを闘えると言う事は、紛れもない事実である。そして彼女が紛れもない強敵である、と言う事も。
「デスリング総統をもリングに沈めたお前達の実力、この私に見せてもらおう」
そう言って朱鷺子は堂々と構えを取り、猟兵達にリングに上がるように促す。時間遡行によって無限の特訓を重ねた彼女の全力を引き出す、そのためにも、彼女に食らいついていかなければ――。
「我が名は時宮。時宮・朱鷺子。最強のダークリーガーにして最強のアスリート……そして、最強のプロレスラーである!」
一二三四五六
デスリング総統出せなかった代わりと言う訳ではないですが。
ごきげんよう。実の所こっちのプレイングボーナスの方が、総統よりプロレスっぽい気はしてる。一二三四五六です。
と言う訳でプロレスです。ただし朱鷺子がプロレスしてくるだけで、こちらはプロレスをする必要はありません。その上で、こっちがどうやって挑もうと、朱鷺子はプロレスでこちらを沈めにかかります。
この依頼における朱鷺子は、基本的に【ユーベルコードを使用せず、プロレス技のみで戦います】。プロレス技が明らかに通用しなさそうな相手に対してのみ、ユーベルコードを使用します。
ただしオープニング本文中にあるように、朱鷺子はこちらの能力を踏まえた上で、それに絶対勝てるだけの特訓を積んでリングに上がっています。なのでユーベルコードがなくてもとても強いです。こっちの現在の強さとは関係なく、それを上回って来ます。
今回の目的は『朱鷺子に全力を出させる事』であり、必ずしも勝利する必要はありません。とはいえ、勝利を目指してももちろん構いません。
勝ちたい場合はそれを踏まえた上でのプレイングをお願いします。「勝ちたいプレイングだけどこれじゃあ勝てないよな……」と一二三が判定した場合は、不採用となる場合もあります。出来れば勝ちたいけど負けるとしても採用してほしい、と言う場合はそういう意図が分かるプレイングでお願いします。
ポイントは雷火が言うように、「今、この場で成長してみせたかどうか」です。もちろん他の方法でも、一二三が「説得力あるなぁ」と判定したら勝てます。
と、いろいろ言いましたが、繰り返し言うように、勝つ必要はないですので、お気軽にどうぞ。
今回も前の依頼同様、客席には超人プロレス団体『PoX』のレスラー達もいます。戦争なので基本的には不参戦ですが、呼びつけて乱入させたいのならご自由に。
それでは、皆様のプレイングを楽しみにお待ちしています。
第1章 ボス戦
『時宮・朱鷺子』
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POW : デッドヒート・マラソン
【果てしない特訓の成果】を纏いレベル×100km/hで疾走する。【自身の前方直線上】に誰かを乗せると轢殺ダメージ2倍。
SPD : ディープ・スイミング
【「爆走!オリンピアロード」の水中ステージ】を降らせる事で、戦場全体が【海中】と同じ環境に変化する。[海中]に適応した者の行動成功率が上昇する。
WIZ : ブレイン・バイシクル
自身が操縦する【時宮・朱鷺子専用ロードバイク】の【何物をも破壊する硬度】と【骸の海すら飛び越える速度】を増強する。
👑11
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エリー・マイヤー
時間遡行による完璧な対策ですか。
これまでの使い慣れた戦法は、通用しないと見た方がよさそうですね。
…では、今までやったことのない戦法で戦ってみますか。
私のサイキックエナジーの使い道は、
念動力です。
ですが、世の中にはそれで肉体を強化する人もいます。
光の武装を作って戦う人もいます。
私に足りないのは、それです。
試したことはないですが、大元は同じサイキックエナジー。
やってやれないことはないはずです。
折角なので、滅茶苦茶肉体を強化して殴る方向でやってみましょう。
プロレスは詳しくないですが、がんばって殴ります。
かなりボコボコにされそうな気もしますが…
まぁ、痛い方が覚えも早いでしょう。
「時間遡行による、完璧な対策ですか……」
これまでの使い慣れた戦法では通用しないと、思案しつつリングに上がるエリー・マイヤー(被造物・f29376)。
「……では、今までやったことのない戦法で戦ってみますか」
そうして彼女が考えたのは、自らのサイキックエナジーで自らを覆うことだ。本来は念動力として用いるそれを、肉体強化に用いてみる。
「世の中にはこうやって戦う人もいる。ならばやってやれないことはないはずです」
「成程、その挑戦を尊重しよう。この時宮に通用するかどうか、やってみるがいい!」
そんなエリーを見た朱鷺子は大きく頷くと、腰に手を当て、グッと胸を張る。打ってこいと言うその体勢を前にして、しっかりと拳を握りしめ。
「ええ、それではやってみます」
「――む、んっ!」
強い念動力を拳を通してぶつけるような、ゴリ押しの一撃。炸裂と同時に凄まじい衝撃の余波が広がり、リングロープがゆさゆさと揺れる。
だが朱鷺子はそれを堂々と、真っ向からそれを受け切って。
「悪くない拳だ。だが、私には届かん!」
「……ぐっ
……!?」
そして反撃とばかりの強烈な拳が、エリーの胸元に叩きつけられた。こちらもまた身に纏う念動力で受け切るが、あまりに重い衝撃がそれを貫き、肺が圧迫されて息が詰まる。
それでもなんとか踏み留まれば、朱鷺子はまた胸を張り。
「さあ、まだやれるか? 打ってくるがいい!」
「……こういうの、できれば遠慮させてほしいんですけど」
とはいえなんとか耐えられてしまった以上は、負けてリングを降りる事も出来ない。痛みと苦しさに呻きながらも、念動力をさらに練り直す。
「まぁ、痛い方が覚えも早いでしょう」
「その覚悟やよし。とことんまで付き合おう!」
一発殴れば一発殴り返される、朱鷺子との激しい打撃の打ち合い。プロレスらしい応酬の中で、身体強化を研ぎ澄ませていく。
大成功
🔵🔵🔵
朱鷺透・小枝子
■勝利は目指しますが勝ち負けはどちらでも大丈夫です。
プロレス……デスリング総統、覚えている。
……そうだ、覚えている…!!
『劫火焦霊』発動。劫火の【
念動力】を纏い吶喊!
人工魔眼の超動体【視力】と【瞬間思考力】で時宮殿の防御を【見切り】
あの戦いを、あの武威を!
劫火を推進力に換え【推力移動】高速回転!
【学習力】何度か喰らった、あの
技をこの瞬間に模倣し、デスリング総統への【闘争心】を、そして、今戦っている時宮殿への闘争心を以てして【限界突破】
出来損ないの模倣を越えて、自分だけのオリジナルラリアットへと昇華させる!!!
壊せ!!!朱鷺透小枝子オオオオオオオオオ
!!!!!
「プロレス……デスリング総統、覚えている」
狂心にその身を委ね、悪霊としての情動を呼び起こす朱鷺透・小枝子(
亡国の戦塵・f29924)。
「……そうだ、覚えている……あの戦いを、あの武威を!」
「ふむ。ならばそれをこの時宮にぶつけてくるがいい。受け止めてみせよう!」
そうして燃え盛る霊障に身を委ねれば、朱鷺子は頷き、堂々と胸を張る。その凛とした闘志に反応し、小枝子の情動もさらに燃え盛って。
「オォォォオオォォォォォッッ!!」
「その意気やよし! おぉぉぉおおぉぉぉぉぉっっ!!」
そして朱鷺子もそんな霊障は既知であるとばかりに、より一層に闘志を燃え盛らせた。物理的な炎は燃えずとも、こちらを上回るほどに心を燃やす。
互いが際限なく燃え盛る中、小枝子はその身体を回転させ始めた。それは、かのデスリング総統の必殺技、デスリングラリアット。
その身に受けた最強のプロレス技を、その身によって模倣して――そしてそれでは勝てないと、確信する。
「足りない! まだだ! オォォォォッッ!!」
「そうだ! まだだ! もっともっと、どこまでも燃え盛るがいい!」
朱鷺子もまたその身体を回転させ、ラリアットの体勢に入る。出発点は模倣なれど時を超えた特訓によって、すでに自分の技としている。
ならばこちらも同様に、自分の技としなければ勝ち目がない……!
「壊せ!!! 朱鷺透小枝子オオオオオオオオオ
!!!!!」
「この時宮を壊せるのなら! やってみるがいいッッッッ!!」
そうして2つのラリアットは、リング中央で激突する。拮抗する凄まじい力が会場中に熱波を広げ、どちらも一歩も引かず、ぶつかり合い。
「オオ――オォォォォッッ!!」
「ッ……見事ッ!!」
そんな相手への対抗心を闘志の炎に焚べて。小枝子の右腕は紙一重で、朱鷺子をリングに叩き伏せた。
大成功
🔵🔵🔵
アテナ・カナメ
【心情】なんにせよ本気で倒せばいいってことよね…?プロレスに関しては素人だから徒手空拳で戦うけど…そう簡単には倒れないわ!
【作戦】相手の攻撃を【見切り】や【受け流し】で回避したり【激痛耐性】で耐えたりしつつ【足払い】で体勢を崩した所をパンチやキックで攻撃するわ。不利になったらスーパーアテナになって【2回攻撃】のバーニングパンチを狙うわ!!負けるかもしれないけど最後まで抗って見せるわ!【絡み・アドリブOK】
「なんにせよ本気で倒せばいいってことよね……?」
「この時宮を倒せるものならな!」
堂々と仁王立ちする朱鷺子へと、ヒロインとして挑みかかるアテナ・カナメ(アテナマスク・f14759)。その拳を握り、踏み込んで殴りかかっていく。
「プロレスに関しては素人だけど……悪く思わないでね!」
「構わない。全力をぶつけてくるがいい!」
その打撃を朱鷺子は避けず、真っ向から受け止める。グッと呻きを漏らしつつも踏み止まり、力強いミドルキックで返してきて。
「代わりに、私の全力も受け止めてもらうぞ!」
「っ、ぐっ
……!!」
力強い衝撃に脇腹を打ち据えられ、呻きを溢れさせながらも踏み留まる。相手は間違いなく強いが、こちらも退くつもりはない。
「そう簡単には倒れないわ!」
「うむ、そうでなくてはなっ!」
激しい打撃技の応酬。時にはかわしたり体勢を崩したりを試みるアテナに対し、朱鷺子は全てを受けきり、返してくる。
長い脚から繰り出される蹴りに、何度も膝をつかされる。だがその度に立ち上がり、不屈の闘志が黄金に輝いていく。
「いくわよっ! バァァニングッ!! パァァンチッ!!」
「ぐぅぅぅっっ
……!!」
繰り出すのは、アテナ最大最強の必殺パンチ。正義の闘志を燃え盛らせた拳が朱鷺子へめり込み、その身体を吹き飛ばす。
……だが、朱鷺子は倒れない。ロープに背を預けるとその反動で飛び出しながら、拳を強く握り締めて。
「良い一撃だ。だがそれはすでに……知っているッ!」
「っ……きゃあああっ!?」
朱鷺子の積み重ねた無限の鍛錬は、アテナの一撃を上回る。熱い闘志を燃やしたその拳に顔面を撃ち抜かれたアテナは、そのままリングへとねじ伏せられた。
「……くっ、私の負けね……」
「うむっ、良い勝負だったっ! また鍛錬を積んでくると良い!」
だが、朱鷺子に全力を出させる事は出来た。朱鷺子の差し出す握手に応じ、リベンジを誓うアテナだった。
大成功
🔵🔵🔵

和田町・いずみ
一二三四五六マスターにおまかせします。かっこいい和田町・いずみをお願いします!
電脳魔術士×ワールドハッカーです。
大人しい20歳の女性です。
天然クールで少々ポンコツ。
基本的口調は一人称は私、相手に対しては~さん付け、です、ます、でしょう、でしょうか?と穏やかで丁寧な話し方。
熱中すると猪突猛進します。
電脳魔術でハッキングするのが得意。
趣味は鉄道が好きな乗り鉄です。
アドリブ・連携は大歓迎。
ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動します。他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。
「うわ、ステータスがすごい事になってる……」
「当然だ。鍛錬は欠かしていないからな!」
腕組みして仁王立ちする朱鷺子を――電脳魔術によって開示された彼女のステータスを前に、息を呑む和田町・いずみ(人間の電脳魔術士・f07456)。
時間遡行によって無限の特訓を重ねた朱鷺子の力は、これまでに出会った多くのオブリビオンをも上回っている。
「それで、怖気づいたか?」
「いいえっ。たとえ相手が強くともっ!」
だがそれで怯む事なく、スタイルの良い身体を水着に包んでリングに上がる。正面から対峙すればデータ以上に相手の強さを感じるが、闘志を高めて突き進む。
「よろしくお願いします!」
待ち構える朱鷺子に対して一気に飛びかかると、打撃を叩き込んでいく。だが基本的には理系の極みである彼女にとって、肉弾戦は慣れているとは言い難い。
こちらが撃ち込む一発よりも朱鷺子から返る一発の方が遥かに重く、何度もリングに倒されて。
「っ、ぐぅっ……まだっ!」
「むっ……ぐぅぅうっっっ!?」
そんな身体能力を補うのは、やはりデータの力。朱鷺子の攻撃を事前に予測する事で、なんとか受け止めてみせて。
そのままなんとか組み付くと、身体を絡めてのコブラツイスト。計算され尽くしたサブミッションで、朱鷺子の身体を絞り上げた。
外れにくい角度や、相手の関節にダメージを与えやすい締め方。それらを巧みに計算する事で、最大限に朱鷺子を責め立てていく。
「見事……だ、がっ……ぬんっ!」
「きゃあっ!?」
最終的にはやはりデータでは足りず、技を引き剥がされ、リングに沈められる。だが、自身の全力を引き出したいずみに、称賛の声を送る朱鷺子。
「知力のみでこれほどとは。プロレスでなければ、また別の結果もあっただろうな」
「いたた……ありがとうございました」
差し出された手を掴んで握手をすれば、2人に客席からの歓声が送られる。
大成功
🔵🔵🔵
印旛院・ラビニア
負けてもOK
「うええぇ……過去に戻ってあらかじめ対策ってズルくないかな」
ちょっと及び腰
「でも、練習時間の長さなら僕だって」
色々な格闘ゲームを【やり込み】してきた経験をゲームプレイヤーとしての自分に落とし込んで挑むよ
「いざ!よろしくお願いします!」
格闘ゲームのキャラみたいな動きで攻撃しつつ、他の猟兵戦での動きの観察や実戦での組み合いで相手の動きやクセを【学習力】で学び【見切り】、自分の動きに【チューニング】する
「初見の動きに対応できなきゃ、他のゲーマーに先を越されちゃうからね」
更にはリングのロープを【地形の利用】し、動きを加速させる
「まだ頑張れる、僕は頑張れる!」
罠かもしれなくても隙をついて攻撃
「うええぇ……過去に戻ってあらかじめ対策ってズルくないかな」
「どうした。怖気づいたか?」
若干及び腰でリングに上がる、印旛院・ラビニア(エタらない人(仮)・f42058)。数多のゲームをやり込んできた凄腕プレイヤーである彼女――いや彼にとっても、対峙した朱鷺子の風格は、さながらネット対戦でマッチングしたeスポーツのトッププロ以上に感じられる。
「でも、練習時間の長さなら僕だって……いざ! よろしくお願いします!」
「そうだ。かかってくるがいい!」
それでも勇気を奮い立たせ、朱鷺子めがけて飛びかかる。ゲームばかりしていたと言っても、彼の元々のホームはフルダイブ型のゲームだ。
格闘ゲームで学んだ動きを自身の身体にチューニングするのも、決して難しい事ではない。ロープを利用して勢いを付けると、ウサギのようなコスチュームに見合った派手な飛び技で畳み掛けていく。
「初見の動きに対応できなきゃ、他のゲーマーに先を越されちゃうからね!」
「っ、むぅっ……やる、じゃないかっ……だがっ!!」
強烈なヒップアタックで吹き飛ばせば、呻きを漏らして後退する朱鷺子。だが、相手もこちらに対抗し、ドロップキックで薙ぎ倒してきて。
「ぐぅぅっっ……まだ頑張れる、僕は頑張れる!」
「ならば、かかってくるがいいっ!」
それでも懸命に立ち上がれば、朱鷺子は堂々と仁王立ちしてくる。そんな相手に怯む事なく、コーナー最上段から飛びかかる。
「罠かもしれないけど……!」
「罠ではない、がっ……ぬぅぅぅぅっ……!」
その全力ボディアタックを……だが、朱鷺子は真っ向から受け止めて来る。それに驚き目を見開くラビニアだが、勢いは止まらず……そのままマットに叩きつけられて。
「か、はっ……くぅぅ……」
「ふぅぅ……良い試合、だったぞ!」
そのまま敗北はしてしまうが、朱鷺子はその健闘を讃え。観客からも、華麗な技を見せた彼へと、惜しみない歓声が浴びせられる。
大成功
🔵🔵🔵
東・御星
私の成長。実の所成長という点に関しては
このバトル・オブ・オリンピアで達成されている。
今この舞台もそうだ。
偉大な先達たちに様々学んだし、失敗だってあった。
事実上戦争の前線に出たことの無い「私」にとっては
今回見るもの触れるものは初めてだらけだったのだ。
だからこそ、得たものも大きい。
なんだかんだで、集大成とするにはこの舞台はぴったりじゃないかな。
「それじゃあ、よろしくお願いします。」
そう朱鷺子さんと挨拶を交わすのですが…。
あ、本人凄い嫌そう。
でも挑戦者がいる以上彼女はリングに上がらないといけない。
そこで想ヒ伝ヘテでキス…そう、キス。
投げキッスがせいぜいだろう。
確かにフィジカルでは彼女は強い。
だけどメンタルでは?
彼女はどれだけ恋愛沙汰に縁があったのか?
もしこれで心の揺らぎに耐えきれなかったら
私に膝を屈することになるし。
もしこれを乗り越えて尚も全力を出すことが
できれば貴女は新たなステージに進める。
せっかくだから真の姿…冥界体でお相手しましょうか。
フィナーレを飾るには、格好の舞台だし!
「私の成長。実の所成長という点に関しては、すでに達成されている」
このバトル・オブ・オリンピアにおいて闘ってきた、様々なダークリーガー達。与えられた試練を思い出し、目を閉じる東・御星(紅塵の魔女・f41665)。
様々に学んだし、失敗もあった。だが、たとえスポーツとはいえ初めて戦争の前線に出た彼女にとっては、この上なく有意義な時間だった。
「この舞台を、その集大成にしてみせる……それじゃあ、よろしくお願いします!」
「……むっ」
そんな決意を篭めてリングに上がると、おもむろに朱鷺子に向けて投げキッスを放つ。寵姫のキスは強い想いが篭められ、相手の感情を揺らがして。
「ふむ、挑発のつもりか。だが、それだけでは私には勝てんっ!」
「でも朱鷺子さん、恋愛沙汰に縁とかあったの?」
それでも堂々と仁王立つ朱鷺子に対し、首を傾げて見せる御星。すると朱鷺子の方も若干考え込むように、唸り声を漏らして。
「むぅ……確かにな。この時宮に並び立ち得る男など、そういるものではない」
「……まあ、そうだよね」
朱鷺子と同格と言えば新生フィールド・オブ・ナインだろうが……まあだいたいスポーツ馬鹿ばかりだ。スポーツはトップでも、恋愛と言う意味では相手として大分不足している気がする。
「その点においては確かに、我が特訓を上回っていると認めよう。だがそれだけで私に勝てるとでも?」
「うん、膝を屈してもらうよっ!」
真の姿たる冥界体を晒すと、そうして朱鷺子とリングの上で激突する御星。全力を振り絞り、リングの上で激突していく。
「フィナーレを飾るには、格好の舞台……さあ、いくよっ!」
「来るがいい。この時宮にお前の力を見せてみろ!」
身体能力では、間違いなく相手の方が上。だがそれでも、真っ向からぶつかり、互角以上に打ち合っていく。
こちらが全力を尽くしている事もあるが、朱鷺子の動きが若干鈍い。先程の投げキッスで精神的に優位に立つ事で、主導権を握って責め立てる。
「確かにフィジカルでは貴女は強い。だけどメンタルでは?」
「むぅぅっ……認めよう。やはり恋愛において、お前は私を上回っている。がっ……」
だが相手も、全知万能のフォーミュラ。この展開も予期していたと、踏み留まってこちらを真っ直ぐに見据えて来る。
そのまま掴みかかってくる朱鷺子を迎え撃ち、どんな技でも受けきって見せると身構える御星――だが。
「いくぞっ――!」
「っ
……!!?」
繰り出された技は、リップロック。即ち唇を重ねてくる朱鷺子。まさかの技に驚いていると、さらにそのまま舌までねじ込んでくる。
「んむっ……お前のキスが私より上ならばっ……それに向けて特訓するのみっ!」
「流石だね、朱鷺子さん……む、ぅっ……貴女も新たなステージに進むんだねっ!」
こちらを超えるために特訓して来たキスの技巧は凄まじく、顔を真っ赤に染める御星。だが、こちらも寵姫のプライドに賭け、真っ向からそれを迎え撃つ。
リング中央で繰り広げられる、濃厚なリップロック合戦。それは激しさを増していき。
「ストップ! ストーップ!」
「え
?」「……む?」
そして流石に見過ごせないと、レフリーによって引き剥がされた。熱の入ったキスをこれ以上続けるのは、プロレスの域を超えている。
「むぅ、引き分けか……だが貴重な経験であった。礼を言うぞ!」
「流石は、朱鷺子さん。恋愛にも全力だったね」
とはいえ逆に言えば、ここまでなら十分にプロレスだ。これもまたお互いの全力を尽くした試合。互いに息を弾ませながら、固い握手で健闘を讃えていく。
大成功
🔵🔵🔵
オリヴィア・ローゼンタール
凄まじいプレッシャー……全治万能の看板に偽りなしですか
体操服に赤いブルマでリングイン
持ち前の【怪力】によるチョップやキックで攻め立てる
怒涛の攻撃も
全知の如く防がれるか
遥か高みにある体捌きを、極限の【集中力】からなる【心眼】で【学習】する
防御を掻い潜る打撃を【気合い】で堪え、的確に極めてくる関節技を【根性】で耐える
逆境にあってなお燃え盛る【闘争心】と【負けん気】で殴り返す!
それでも届かぬ高み――しかしPoXの方々の応援(鼓舞)で奮起!
まだだ! まだまだ、もっと! あなたの識る私よりも強くなる!(因果超越・永劫の勇士)
尽きせぬ【覇気】を総身に漲らせ、【限界を突破】した拳を叩き込む!
「凄まじいプレッシャー……全知万能の看板に偽りなしですか」
「当然だ。さあ、かかってくるがいい!」
体操服に赤いブルマでリングに上がり、朱鷺子と対峙するオリヴィア・ローゼンタール(聖槍のクルースニク・f04296)。
相手の風格を感じ取り汗を滲ませつつも、真っ向勝負で挑みかかっていくが。
「……くっ、これも防がれるかっ……!」
「どうしたっ、こんなものかっ!」
持ち前の怪力で何度技を叩き込んでも、朱鷺子は並外れた耐久力で立ち上がって来る。逆にあちらの攻撃は、何度もオリヴィアをマットに叩きつけてくる。
時間遡行によって無限の鍛錬を経た朱鷺子は、オリヴィアの身体能力をも上回るように鍛錬を積み重ねて来たのだ。食い下がる程に、相手の高みが感じ取れる。
「……いいえ、まだ、こんなものではっ!」
「っ、……ぐっ、そうだっ!! それでいいっ!」
それでも決して屈しまいと、闘争心を猛らせ食い下がるオリヴィア。熾烈な打撃戦は、明らかに朱鷺子の方が上回っている。そう理解してなお、尽きぬ闘志が滾っていく。
「まだだ! まだまだ、もっと! あなたの識る私よりも強くなる!」
「む……うっ!?」
自分ひとりでは、それでも勝てまい。だが、彼女の背を押すのは、客席からの声援。そして何より、朱鷺子自身の強さ。相手が強いからこそ、自分もさらに強くなる――!
「これで……どうっ……だぁぁっ!」
「っ、が、はっ
……!!?」
その渾身の拳が、朱鷺子をリングになぎ倒した。全てを出し尽くしたオリヴィアもそのまま倒れ込むが、相手の上に倒れ込む事で、フォールしていく。
カウントは……3。
「見事、だ……私の特訓を、超えて来るとは……」
「はぁ、はぁ……あなたが、強かったからですよ」
朱鷺子が、オリヴィアに勝てる程特訓を積んできたとして。その特訓を積んだ朱鷺子と闘ったオリヴィアは、きっとこれが初めてだ。
なればこそ。相手が強いからこそ燃やした闘志が、無限の特訓を上回ったのだ。
「うむ……だが次は負けぬ。今のお前に勝てる程に、特訓を積んでこよう」
「ならまた、それを迎え撃って成長するまでですね!」
なんとか立ち上がって握手する2人を、会場が歓声で祝福した。
このバトル・オブ・オリンピアも、クライマックスを迎えている。だがどんな結果であろうとも、人々はこの熱狂を忘れる事はないだろう――。
大成功
🔵🔵🔵