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GGO内のとある街は、温泉で栄えた初心者に優しい街だった。だがしかし、ある日街中に置かれた石像がバグプロトコルに乗っ取られ、街の様相は一変した。
元より初心者の多い街だったが故に、プレイヤー、NPC共に、一掃されるのは一瞬だった。
それからというもの、街の石像は通りすがりのプレイヤー達を襲っては、石像達の勢力範囲を増やしていく。
襲われたプレイヤー達の末路は──推して知るべし。
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「温泉で栄えた街を侵略するバグプロトコルの撃退をお願いしたいのです」
グリモアベースに集まった猟兵達に、プルミエール・ラヴィンスはそう説明を始める。
「その街は、少し前までは初心者達が集う平和でのどかな街だったそうです。それが、バグプロトコルのせいで通りかかるだけで命の危険のあるような街に変わってしまいました。その温泉の街は、初心者達が集う街々の一角を担う地域だったそうです。温泉の街がバグプロトコルに侵略されたからと言って、初心者達の拠点がすぐに移動出来るわけではありません」
故に、バグプロトコル達は好き放題やっていると言うわけだ。この状況が続けば続くほど、バグプロトコル達は自身の勢力を拡大していくに違いない。そんな事態は避けなければならないし、何より初心者達が安心して実力と経験を積める場を無くすわけにはいかない。
「皆さんにはまずバグプロトコルを撃破して、街に戻って来た初心者達に冒険の基礎を教えてあげて欲しいのです」
そうやって、元の街の姿を取り戻す手伝いをして欲しいのだ。
「もちろん、せっかくの温泉街です。ひと段落したら、ゆっくり温泉に浸かって疲れを癒して来てくださって構いませんよ」
にっこりと笑うプルミエールに送り出され、猟兵達はバグプロトコルに侵略された温泉街へと向かうのだった。
秋野
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今回は全3章のシナリオになります。
●第1章
バグプロトコルである石像達を撃破していきます。数が多いので、ご注意ください。
●第2章
街の噂を聞きつけて立ち寄った初心者プレイヤー達に冒険のアドバイスをしていきます。周囲には初心者向けのスライムなどの雑魚敵が数多く生息しています。
●第3章
温泉でゆっくりと疲れを癒してみたり、料理や酒に舌鼓を打ったり。温泉街ならではの時間をお楽しみください。
第1章 集団戦
『ストーン・スタチュー』
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POW : ストーン・オーバーロード
【武器や盾】に【石化の呪い】を注ぎ込み変形させる。変形後の[武器や盾]による攻撃は、【即効性石化】又は【感染性石化】の状態異常を追加で与える。
SPD : ストーン・ブレイク
偽物の【彫像の悪魔】を創造し、戦場上空に浮かべることで、【超巨大化】による連続攻撃能力と超再生能力を得る。
WIZ : ストーン・ミスト
レベルm半径内に【敵の視界を遮る石化の霧】を放出し、味方に治癒を、敵に【遅効性石化】の状態異常、全員に興奮作用を与える。
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リュール・ディールーク
「幸運」は常に発動する
石像が動いていますね!どうしてでしょうか?不思議ですね…?
彼女はバグプロトコルの存在を知らない為不思議に思っているが敵が迫っていた
なっ…?!石像が大きくなった!ならこっちも負けてられませんね!
石像が巨大化して驚いたが「推力移動」で距離をとる
まずは敵の懐に入ります!
敵の連続攻撃に対策は「心眼」で石像の動きを見て「推力移動」で回避するか「シャドウパリィ」と「心眼」で何とか攻撃を逸らす
叩き壊します…セイクリッドスライサー・星!
石像に聖星連撃で攻撃して星型の斬撃で周りの敵に攻撃
この時に「回復阻害攻撃」を付与する
Zバスター…冥!
UCの効果でUCZバスター・冥を発動して敵に攻撃する。
ヌグエン・トラングタン
あー、これ。この地域の同族(ドラゴンプロトコル)の胃が痛くなりそうなやつじゃねえの?
初心者が安心して集える街ってのは、プレイヤーにとっても、ゲームを支える上でも大切な要素だろ。
というわけで、俺様も来たんだが。
数が多く石化させてくる…が、変形前はわりと近接だな?
なら、『硝子のギルドペン』で空中に大きく『三』を複数書いて。このUC使う。
そう、接している『空気』を武器と見なすんだよ!
そうすると、敵からしたら大きな空気の壁が襲いかかることになるからな。
接している、だから『三』という文字は空気に守られてる。
空気をどうやって石化させるんだって話。
俺様に近づかれたとして、その空気の壁が戻って来るだけだ。
この地域の
同族の胃が痛くなりそうな事件だな。
依頼の話を聞いた時、ヌグエン・トラングタン(欲望城主・f42331)が最初に思ったのはそれだった。
初心者が安心して集える街ってのは、プレイヤーにとっても、ゲームを支える上でも大切な要素だ。その街がバグプロトコルに乗っ取られるなんて、悪夢みたいなもんだろう。
「あ〜……やられてんなぁ……」
街中の路上などに放置されている石像は、元はきっとこの街に暮らすNPCやプレイヤー達だったもの……かもしれないし、そうじゃないかもしれない。だが、今となってはその違いなどはどこにもない、ただの石像だ。
そんな道の向こうにいる、動く石像。それが、ヌグエンに気付き、向きを変えた。標的となったヌグエンがちらりと視線を向ける先には、たまたま居合わせたリュール・ディールーク(時を駆ける邪龍〜皆の止まった時間を動かす為に〜・f42338)。バグプロトコルの存在を知らなかった彼女が石像で慌て始めるのを軽く宥め、軽く打ち合わせをし。
理解出来たかどうかは知らないが、どうやら腕は確からしいからな。
なんの偶然かは知らないが、ちょうど良い人材と会ったものだと思いつつ、ヌグエンは硝子のギルドペンで辺りに三をたくさん記していく。一時的にだが空中にも文字を書ける特別製。
その行為に意味を見出せないストーン・スタチュー達は、何の躊躇いもなくヌグエンへと距離を詰めていく。剣を振り上げ、そして────石化の効果を帯びたその一撃は、ヌグエンの書いた三──つまり、彼が『武器である』と見做した三を記した空気に阻まれ、弾かれていく。
「俺様に近付けたとして、その空気の壁が戻って来るだけだぜ?」
意味はわからずとも、このまま攻撃したとして意に沿う効果は得られないと気付いたストーン・スタチューの数体が、自分達の上空へと偽物の彫像の悪魔を召喚し、巨大化する。
巨大化し回復能力を得たストーン・スタチュー達は、ヌグエンを叩き潰すことしか考えていない。故に、推力移動で接近してきたリュールには、気が付かなかった。
「隙あり、ですよ……っ!!」
互いの距離の近さと射程から、相打ちに対する制御が働き、ストーン・スタチューの動きが一瞬止まる。その隙を見逃すリュールではない。
「叩き壊します……セイクリッドスライサー・星!」
振り下ろす神剣リベラシオンで叩き込んでいくのは聖星連撃と、星型の斬撃。回復阻害効果を付与した攻撃に、ストーン・スタチュー達は動揺したように崩れた身体を見やる。
「そのままトドメです……Zバスター…冥!」
そしてZの文字を描く様に吸収と無敵貫通の斬撃波は、巨大化したストーン・スタチューを粉々に砕いたのだった。
大成功
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真宮・響
夫の律(f 38364)と参加
安心して滞在できる街はどの世界でも重要だ。物騒な石像は叩き壊すに限る。律、行くよ。
合体による超強化か・・・なら創造する彫像ごと攻撃に巻き込んでしまおう。まずは攻撃を回避か。【オーラ防御】【残像】【迷彩】【心眼】をフル活用して連続攻撃を凌ぐ。
さあ攻撃を凌いだら攻撃だ!!律と【連携攻撃】で情熱の炎!!この炎は敵群のみを巻き込むから街を焼くことはない!!たとえ再生能力があっても燃え続ける炎にいつまで耐えられるかねえ?さあ、欠片も残さず燃え尽きな!!
真宮・律
妻の響(f00434)と参加
安心して逗留できる街は冒険する者として大事だ。さて物騒すぎる石像ぶっ壊して平和を取り戻そうか。行こう、響。
超巨大化による強化か。ちまちま彫像攻撃してられないな。いっそ、本体こど攻撃に巻き込むか。
まず【残像】【迷彩】【心眼】で手強い連続攻撃を回避し、【オーラ防御】でダメージを軽減。
さて攻撃を凌いだら反撃と行くか。響と【連携攻撃】で荒ぶる雷鳴を【部位破壊】を併せてぶっ放す!!超再生能力を響の炎と俺の雷で削り切る!!
さあ、この街を返して貰うぞ!!欠片も残さず砕け散れ!!
リチャード・ライナス
POW
「石は、やりにくいんだよなぁ。大概意思がないから(ダジャレてる場合か
本人の能力的に、殺る気満々の敵のほうが戦いやすい点からすれば、石像相手の戦闘は初心者だと言っても差し支えないだろう
【結界術】や【オーラ防御】で状態異常を防ぎつつ、初動でUC発動させ、敵が動けない所を攻撃
視聴嗅覚以外で俺を感知可能なら祭壇布で【空中浮遊】し、攻撃可能角度を増やして敵に近接
メイスの【死角攻撃】で倒す
「あっち(全体攻撃UC)のほうが良かったかも(汗
状態異常攻撃による消耗を防ぐため本UCを使ったが、敵多数で、力が戻ってない神はグッタリ
ガンガン攻撃可能な方の絡みがあると助かりますが…
在るべき方向へ導くため頑張る
巨大化したストーン・スタチュー一体と、その周囲を囲む普通サイズのストーン・スタチュー数体、そして上空に浮かぶ偽物の彫像の悪魔。
戦闘が始まって暫し。倒されたストーン・スタチューの数もかなりな量だが、まだ動ける数もそこそこにある。砕け散ったストーン・スタチューの欠片に、そこここに転がる元はプレイヤーだった石像達。街はまるで世紀末もかくや、といった様相へと様変わりしていた。
「石は、やりにくいんだよなぁ。大概意思がないから」
などと独り言ちつつ、リチャード・ライナス(merchant・f29694)はメイスを構え、祭壇布で敵集団の真ん中付近を目指して移動する。
どちらかといえば、敵意を向けてくれる相手の方がやりやすかったな、とリチャードは思う。
この石像達に全く意思や殺気がないかどうかは議論の余地がありそうだが、現在必要なのは石像のバグプロトコルの生態についての議論ではなく、奴等をこの地から一層する力。そして、彼らがある程度の自動的な動きで敵を襲っている事実。
生憎と今使おうとしているUCに、敵を屠るその力は不足していると言わざるを得ないが──それは攻撃を託した猟兵仲間に任せるとして。
「さぁ……いくよ」
オーラ防御と結界術との守備にて、現時点でリチャードに負傷はない。万全の状態で、彼は自身を中心とする断続的微圧力波を発したのだった。
冒険初心者にとって、安心して逗留できる街というのは貴重なものである。故に、あの石像はなるべく早く、この街から無くさなければならない。
それが、真宮・響(赫灼の炎・f00434)と真宮・律(黄昏の雷鳴・f38364)の夫婦共通の認識であった。
「さて、物騒すぎる石像をぶっ壊して平和を取り戻そうか。行こう、響」
「物騒な石像は叩き壊すに限る。律、行くよ」
2人が向かうは、リチャードのUCにより身動きに制限のかかった巨大なストーン・スタチューと彫像の悪魔。
「ちまちま攻撃していられないな……本体ごと巻き込むか」
律がそう思考をまとめている間に、もう既に響は動き出していた。
「たとえ再生能力があっても燃え続ける炎にいつまで耐えられるかねえ? さあ、欠片も残さず燃え尽きな!!」
響の情熱の炎は敵味方を識別する事が出来る。故に、建造物や生き残り、味方を巻き込む事はない。なので、何の容赦も遠慮もない、全力の炎での攻撃が可能である。そんな響に、律も彼女を援護するように動きだす。
「さあ、この街を返して貰うぞ!! 欠片も残さず砕け散れ!!」
同じく敵味方を識別する全力の雷は、炎と合わさり、ばちばちと空気が割れるような音を立てながら石像を包み、程なくして、再生能力を超えたダメージにより、彫像の悪魔と巨大なストーン・スタチューが粉々になる。
「よし、他のも片付けるよ!!」
その周りを囲むように立っているストーン・スタチュー達。リチャードや他の猟兵達が着々と片付けてはいるが、援護があれば尚良しであろう。何より、早く敵を一掃出来るに越したことはない。
「ああ。早くこの街に平和を取り戻そう」
頷く律に、響はにこりと微笑みかける。そして2人は、それぞれの武器を手に、ストーン・スタチュー達へと向かっていくのだった。
大成功
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第2章 冒険
『初心者プレイヤーへのアドバイス』
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POW : 自分がモンスターと戦う様を見せる。
SPD : 自分の持っている技術を教える。
WIZ : 初心者プレイヤーに合った戦い方を考える。
👑7
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こうして、街を占拠していたバグプロトコルは一掃された。元より温泉で人気の街であるが故に、その情報が拡散されるのも早く、また、避難していた初心者プレイヤー達が戻ってくるのも早かった。
が、しかし。
「ひ、ひぃっ
……!!」
その街の周りには、雑魚モンスターであるスライムやゴブリンが逃げ惑う初心者プレイヤー達が多数。
彼らは総じて逃げているだけであったので、その間に得られていたかもしれない技術も経験値も得られなかった。何より初心者だというのに、規格外のバグプロトコルに襲われたが故に、その心には恐怖心が巣食ってしまっていた。
武器を手に右往左往する初心者プレイヤー達。彼らを庇い、導いてくれたベテランや中堅達は別の拠点に移ってしまっているか、または先のバグプロトコルにやられてしまったものが多かった。
「た、たすけて……っ!!」
彼らはなすすべなく、雑魚モンスター達に囲まれ、嬲られ。
ベテランや中堅達と多くの初心者プレイヤー達が肩を寄せ合い、支え合って過ごしていた、在りし日のこの街の姿は、まだ遠いようだった。
ヌグエン・トラングタン
もう少しだけ手を貸すか。
※以降、口調は『演技時は』
囲まれている初心者を見つけたら、UCを使ってモンスターを倒しつつ、回復のためのエネルギーを取得して。
それで、彼らを回復しましょう。
一息ついたら、本題ですね。あれら相手に逃げているだけでは、この先、不安ですから。
というわけで、ここで彼ら自身が倒せるようにしましょう。
大丈夫ですよ、失敗しても私を盾にしていいので。頑丈ですし(鉄壁+硬化)
ああ、いっそ私をタンク役と見なして、あなた達が攻撃していくのもいいかもしれませんね。己に何ができるのか、を把握するのも大切です。
そう、恐れずに戦うのです。大丈夫ですよ、この辺のは充分に相手できるものです。
仇死原・アンナ(サポート)
普段はぼんやりですが敵前では獄炎操る処刑人と化します
鉄塊剣『錆色の乙女』,妖刀『アサエモン・サーベル』、戦闘用処刑道具『赤錆びた拷問器具』、『鎖の鞭』等装備してる物を使います
UCは指定した物をどれでも使用
普段の口調は(私、あなた、呼び捨て、ね、よ、なの、なの?)
戦闘中は(ワタシ、お前、呼び捨て、言い捨て)
捜索・探索時はぼんやりですが真面目に仕事をします
敵の出現や危険が迫ると処刑人になります
同行者とは出来る限り協力をします
一般人や病人子供には優しく接しますが悪党には容赦なし
機械の操作は苦手ですがキャバリアの操縦はそこそこ(本職に比べたら劣る)
「ひぃいっ
!!!!」
「た、たすけ…………っ!!」
ばたばたと情けなく逃げ惑う初心者冒険者達、それを追いかけるのはスライムとゴブリンであった。
逃げる内に数を増し、群れになったそれらへと、仇死原・アンナ(処刑人、地獄の炎の花嫁、焔の騎士・f09978)はアサエモン・サーベルを振るった。
「た、助かりました……っ!!」
「あいつら、倒してくださいっ!!」
威嚇の為に剣を振るったが故にほぼ相手は無傷である。だが、少し余裕が出来た初心者達は、アンナの後ろに肩を寄せ合い、助けを乞う。
「助けて欲しいの?」
ならば、とアサエモン・サーベルを正眼に構えたアンナの肩を叩いたのはヌグエン・トラングタン(欲望城主・f42331)。
「手伝いましょう」
にこりと笑ったヌグエンに、アンナは頷く。そうして雑魚敵達はヌグエンのUCのエネルギーになりつつあっという間に一掃される。初心者達を回復したヌグエンは、こほんと一つ咳払いをして、口を開く。
「あれら相手に逃げているだけでは、この先不安です。皆さんもそのままで良いとは思っていないでしょう? いつまでも助けてもらえる訳ではないのですから」
じゃあ、どうすれば? と首を傾げる彼らに、ヌグエンは笑いながら歩き出す。その後ろを歩く初心者達が、意図が分からないままに首を傾げつつ、その後ろを歩く事暫し。
「ひっ!!」
辿り着いた先にいたのは、大量のスライム達だった。
「な、ななななな、何……っ?!」
慌てふためく彼らの気配に、スライム達はすぐに気が付き、襲いかかる。その攻撃を難なく受けながら、ヌグエンは言う。
「己に何ができるのか、を把握するのも大切です。私をタンク役と見なして、皆さんで倒してください」
「そういう事なら、手伝うよ」
アンナはそう言って、ヌグエンの後ろに炎獄の大地を敢えて外してスライム達が通れない道を作る。
「辛かったらその後ろに逃げると良いよ」
そう言って剣を鞘に納めたアンナに、本当に自分達が戦わなければならないらしいと初心者達は悟る。それに何より、自分達に代わって攻撃を受けてくれているヌグエンが、今まさに目の前にいるのだ。本人にとっては大した事ない攻撃だが、初心者達からすると自分達を屠れる程の攻撃だ。それを受けてもらっておいて、セーフエリアまで用意してもらって、知らぬ存ぜぬ、助けてくれと喚き立て続けるなんて──出来る事は出来るが、それで良いとは、決して思えなかった。
「い、いくぞっ
……!!」
一人の声を合図に、スライム達へと攻撃を仕掛けていく初心者達。その拙い攻撃は、しかし、スライム達にしっかりと通用している。
「効いてる……っ!!」
歓喜に目を輝かせる初心者達に、ヌグエンは攻撃を捌きながら頷く。
「そう、恐れずに戦うのです。大丈夫ですよ、この辺のは充分に相手できるものです」
「お、おおーーー!! 行くぞっ!!」
ヌグエンの励ましに気力を奮い立たせた初心者達は、アンナのサポートを受けながらスライムを順番に一体ずつ倒していく。
それからたっぷり時間をかけてスライムの群れを倒した初心者達。
「ひとまず及第点ですかね」
ヌグエンはそう呟く。
「まだ不安はあるけど、やられっぱなしではなくなっただろうね」
アンナの評価に、ヌグエンは頷く。これで一応、並の初心者程度には戦えるようになっただろう。
手を貸しただけの結果は出たな、とヌグエンは内心、満足そうに微笑むのだった。
成功
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真宮・響
夫の律(f00434)と参加
アタシも元々名家で蝶よ花よと育てられていたから律と一緒になって旅に出るまでは戦闘は素人同然だった。器用な事はできないから戦う姿を初心者に見せてやろう。
【心眼】【残像】でスライムの攻撃を捌きつつ、まず敵の動きをよく見て、単体に確実に複数で当たることを伝える。【連携攻撃】で初心者に竜牙を合わせ、確実に仕留めていく。
律が確実に初心者の手助けをしてるのに流石戦場のプロ、と微笑む。初心者が危なかったら【死角攻撃】でフォロー。ああ、経験も大事だ。ダメだと思っても確実に前に進んでる。頑張るんだよ。
真宮・律
妻の響(f00434)と参加
そうだな、誰も初めは初心者だ。俺も傭兵として戦いの経験を積んでいって強くなったんだ。ルーキーに戦いのコツを教えてやるか。
俺は単体に確実に集団で掛かることを教える。まず相手の動きをよく見ることだ。【残像】【心眼】で攻撃を回避。さあ、ついて来い。【遊撃】【陽動】傭兵の流儀で俺の方に攻撃を引きつけ、【衝撃波】で【牽制射撃】。さあ、俺が援護するから確実に仕留めろ。【援護射撃】【火力支援】で【電撃】で援護。
勉強になったか?どの戦場も連携が大事だ。これからの道行きが充実する事を願ってる。頑張れよ。
蛇喰・柊(サポート)
ひとまず弟より先には進みたいところで、成長しとかないとかぁ。
足【早業】と【アクセルコンボ】隙を見て手数押し
影からの【シャドウパリィ】手足で受け流すスタイル
UC:どれを使ってもOK ※発動時の台詞等はお任せ
倒す敵がいるなら進んで突き進むけど、それ以外は採取や散策が好きかもな。
動物系にはちょっと…ほんのちょっと(相手にもよる)可愛いかもって戸惑うかもしれないが、敵なら容赦なく蹴りを叩き込む。
大怪我しない程度に、攻撃には参加するかなと。
仲間や味方には協力的、嫌なことはするなって精神。
なんで、良好な絡みやアドリブは大歓迎さ!公序良俗に反する行動は無しなー。
「ふぅん……まぁ、そうだな。誰も彼も初めての頃ってのはあるし……。こういうのも、経験になるかな」
蛇喰・柊(ゲームプレイヤー・f42313)は悪戦苦闘というか完全に逃げに出ている初心者達を見やって、呟く。その間にも初心者達は彼の眼前まで迫り、左右を駆け抜け。
「助けてーーーっ!!」
肩を竦め、柊はその後ろを追いかけるゴブリン3体を鋭く見据え、そして、振り上げられた棍棒を躱し、そのまま顔面を蹴り上げる。
「がふっ」
吹き飛ばされたゴブリンは後続の2体を巻き込み、倒れる。体勢を崩したゴブリンへと、柊はグラファイト・スピードを叩き込む。1体は完全に沈黙、残り2体も大ダメージだ。
「さ、武器を待って。君達の手にあるそれ、飾りじゃないんだろ? 無理に強敵に挑む必要はないだろうけど、このくらいは倒さないと後で困るだけだ」
そう語りかける柊に、初心者達は互いに顔を見合わせ、そして。
「……いくぞ」
意を決した初心者達は、決死の覚悟で武器を振り上げるのだった。
「アタシも元々名家で蝶よ花よと育てられていたから律と一緒になって旅に出るまでは戦闘は素人同然だったからね」
背後に初心者パーティーを庇いながら、スライム達を前に、響は笑う。
「そういえばそうだったな。そう考えれば、誰も初めは初心者だ。俺も傭兵として戦いの経験を積んでいって強くなったんだ。ルーキーに戦いのコツを教えてやるか」
それに頷く律。2人のただならぬ様子にやや引き気味だったスライム達だが、我慢出来なかったのか、それともリラックスした空気にいけると思ったのか。どちらかは判然としないが、とにかくスライム達は2人と初心者パーティーへ襲いかかる事に決めたらしい。
ぶるんぶるんと身体を震わせながら前進するスライム達の攻撃を、陽動で自身に集めた律は、そのまま心眼と残像で回避行動に移る。漏れた攻撃を引き受けた響も全てを避けた。
「す、すごい……」
感嘆する初心者達へと律は視線を向け、スライムを指差す。
「基本は単体に集団で挑む。そして、相手の動きをよく見ることだ。さあ、俺が援護するから確実に仕留めろ」
その律からの指示に戸惑う初心者達ではあるが、ひとまずは手本とばかりに響と連携攻撃を仕掛けていく律の2人に、彼らは次第に背中を押されているかのような気分になってきていた。そして何より、2人がいれば、きっと自分達でもどうにかなるだろうと思えてきたのだ。
「せ、せいっ!!」
力任せの大振りな斧の一撃に、狙いの定まらない魔法。しかし、敵に立ち向かう事が出来たのは、大きな一歩だ。
いけるかもしれない。積極的に仕掛けていく彼らが、そう思った時。
「うしろっ
!!!!」
援護役と未だ消極的な数人が叫ぶ。それに気付いて、彼らが振り返った時には、もう既にスライム達は至近距離に迫っていた。
やられる。
彼らが覚悟を決めた次の瞬間、スライム達がどろりと溶ける。何もなくなった空間には、響のブレイズフレイムが輝いていた。
「経験も大事だ。ダメだと思っても確実に前に進んでる。頑張るんだよ」
彼らに声を掛けつつも、その瞳は律の動きを追っている。傭兵の流儀で覚えた動きの癖を誘導し、自身に攻撃を集め、かつ初心者達が動きやすいように立ち回っている。
流石、戦場のプロだ。
華麗な身のこなしに、響は微笑む。そして、そんな2人に援護され、初心者達は気を取り直し、スライム達へと挑んでいく。
「勉強になったか? どの戦場も連携が大事だ。これからの道行きが充実する事を願ってる。頑張れよ」
スライム達が全て倒された頃、初心者達は肩で息をしていた。しかし、自分達も初心者向けの敵であれば十分通用するのだという自信と達成感で、疲労の度合いと同じだけ、その表情は達成感に満ち溢れていた。
それは、他の猟兵達に教わった初心者達も同様で、同じように達成感に満ちた表情をしていた。
そんな彼らを見て、猟兵達は思う。きっともう大丈夫だろう……無茶さえしなければ。あとは経験を積んで、自身の力量を見誤らないように真摯に向き合うのみである。きっと彼らは、それが出来るだろう。
成功
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第3章 日常
『温泉に行こう』
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POW : 温泉で疲れを癒やす
SPD : 酒や料理を楽しむ
WIZ : 観光を楽しむ
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初心者達を鍛えた後、猟兵達は彼らと共に街へと帰ってきた。そこは、幾らか元NPCやプレイヤー達が戻ってきて、本来の姿を取り戻しつつある温泉街が広がっていた。
「この度はこの街を助けていただいてありがとうございます!!」
そう猟兵達に礼を言うのは、温泉街の代表者でこの街で一番大きな温泉宿の店主であるNPC。彼は温泉の香りが漂う街を指し示し、笑う。
「折角です。皆さんこの平和になった温泉街を楽しんでいってください。温泉に、お料理、それから湯本と、小さな滝のある庭園もあるんです」
そこまでしてもらうのは、ちょっと。
やや遠慮気味だった猟兵達に、彼はへらりと苦笑する。
「正直、まだこの街を警戒するプレイヤーさん達も多いんです。でも、皆さんがここでゆっくりして行ってくれれば、他のプレイヤー達も安心して過ごせると思うんです。ご協力、お願いします!」
そこまで言われれば、断るのも無碍というものだ。
猟兵達は、それぞれに歩き出すのだった。
真宮・響
夫の律(f 38364)と参加
アタシも律も辛い戦場を潜り抜けてきたからね。初心者が少しずつ経験を積み、強くなるにはちゃんと安心して休める拠点が必要だ。冒険者の先輩として当然の事したまでさ。お言葉に甘えて温泉を楽しませてもらう。
律と別れて女湯でゆっくりと疲れを癒す。ああ、今日は存分に動いたねえ。初々しい初心者の顔見て笑みを浮かべる。
律、待たせたかい?まあ戦場暮らしだった律には温泉でゆっくりするのはまだ慣れないみたいだね。
小さな滝のある庭園もあるねえ。自慢なだけある。さあ、温まったし、ご飯にしよう。酒も飲むかい?ああ、疲れが癒やされるねえ。守れてよかったよ。できるだけゆっくりさせてもらうか、律。
真宮・律
響(f00434)と参加
危険な奴がいるフィールドで戦う冒険者にとって安心して滞在できる拠点は必要だからな。しっかり休息をとってまたフィールドで経験を積む。そうして強くなっていくんだ。温泉宿、楽しませてもらうな。
響と別れて男湯に入って温泉に入るが、戦場暮らしだった俺にとってゆっくり湯に浸かって休むというのにどうも慣れない。ある程度温まったら出る。
十分に湯を満喫してきた響の言葉に照れて頭をかきながら滝の流れた庭園に感心する。小規模だが良くできている。
響とご飯の膳を囲みながら酒を酌み交わす。ああ、いい所だな。俺達でも十分に休めたんだから、本当に守れて良かったと思う。
ヌグエン・トラングタン
『演技時は』の口調続行
なるほど、それは確かにその通りですね。
ならば、ゆっくり楽しむこととしましょう。
タンク役すると、たまに身体が硬い気がしますし…ほぐす意味も込めて。
というわけで、温泉に来ましたが…温かいとホッとするものですね。
(体型:さっきまで回復役してたわりにはマッチョ)
理由あって伊達である眼鏡したまま入ってますよ。曇るのは、想定の範囲内です。
(そうでないと、魔眼効果が封じれないため)
ところで、お土産ありますかね?
温泉まんじゅうとか…12個以上入ったもの。
せっかくなので、(12人いる)妻たちに買っていこうかと思ったのですよ。
辛い戦場を潜り抜けてきたのだという響と律。初心者達へと経験を積む事で強くなれると言うことと、しっかりと休息を取ることの大切さを説き、細かく戦いのアドバイスをし。厚く礼を言う初心者達に、冒険者の先輩として当然の事をしたまで、と笑った響と、激励の言葉を贈る律が向かった先は、滝の流れる庭園が自慢の宿だった。
「私はこっちだね」
「ああ。せっかくだから、楽しませてもらおう」
律と別れて女湯へと向かった響は、そこで居合わせた初心者達の姿に、微笑ましい気持ちになる。初々しい顔つきではあるが、幾らか──本当に幾らかではあるが──逞しさや意気込みが感じられる。
「存分に動いたねえ……」
その変化こそ自分達の成果であり、彼らの未来こそが価値である。そう思いつつ、響は掛け湯をしてから、とろりとした温泉にゆっくり肩まで浸かって、ほっと息を吐いたのだった。
一方律はというと、元より戦場暮らしであったが故に、温泉でゆっくりというのはどうにも慣れず、さっと身体を洗い、少し温まったら脱衣所へ。習慣というのは簡単には抜けないものだった。
そのまま身支度を整え、待つ事しばし。
「律、待たせたかい? まあ戦場暮らしだった律には温泉でゆっくりするのはまだ慣れないみたいだね」
図星を突かれ、少し照れ臭く頭を掻きながら、2人は用意されな部屋へと戻っていく。そこに並べられていたのは美味しそうな御膳と、酒。部屋に面した大きな窓から見える庭園と、流れる滝と。
「小規模だが、よく出来ている」
素直な感想を口にしながら席につく律に、響は頷き、微笑む。
「自慢なだけある。温泉には初心者達もいたよ。みんな、この景色とご飯を楽しんでる……この平和な景色が守られて良かったよ」
「いい所だな。俺達でも十分に休めたんだから、ここは本当に、彼らにとっても良い街になるだろう。本当に守れて良かったと思う」
答える律の口元にも、笑みが浮かぶ。
こうして2人は美味しい料理に舌鼓を打ちながら、酒を飲み交わし、のんびりとした時間を過ごすのだった。
真宮夫婦とはまた別の宿で、ヌグエンは眼鏡を曇らせながら湯の花が舞う温泉に浸かり、一息吐いていた。
「タンク役すると、身体が硬い気がしますね……」
肩と首を回して、強張ったような気がする筋肉をほぐしていく。
「眼鏡、曇ってますよ……?」
途中、居合わせた初心者に、おずおずとそう声を掛けられたが、しかし。
「想定内です」
邪眼を発動する訳にはいかないヌグエンの有無を言わさぬ謎のプレッシャーを持つ笑顔に、彼も笑顔で頷き返す他なかった。
風呂上がり、売店の横を通り過ぎるヌグエンは、ふと並べられたお土産達に目が止まる。
そういえば、とお土産の内容量を数え始める。
「あぁ! この度はお世話になりました。何かお探しですか?」
店主が笑顔でヌグエンに礼を言い、たずねる。風呂の中まで眼鏡をつけていた甲斐あって、魔眼は防げているが為に、ただの組合員にしか見えていないらしい。その事に安心しつつ、ヌグエンは微笑む。
「ええ。温泉まんじゅうとかありません? 12個以上入ってるのが良いんですけど」
そう言うヌグエンに対して、店主が取り出したのは、12個入りの蒸し饅頭。
「それでしたらこれなんかどうでしょう。丁度12個入りですよ」
温泉の蒸気を使って蒸し上げた、自慢の逸品だ。
「いいですね。これにします」
1人ひとつずつなら、喧嘩にもならないだろう。
「どなたかにお土産でしたら、お包みしますよ」
「そうですね……妻にお土産なので、どうでしょう」
どうすべきかと首を傾げるヌグエンに、店主ら大きく頷く。
「ご自宅用かと思いますが、折角ですからお包しましょう。今度はぜひ、奥様といらしてくださいね」
そう言って包装紙で包んで紙袋に入れてくれた店主に手を振って、12人いる妻の全員を連れてきては大事になってしまうな、などとぼんやり思いつつ、ヌグエンは部屋へと戻っていく。
こうして、温泉の街に日常が戻り、ここを拠点とする初心者達は少しだけレベルアップをし、何よりもに勝る経験を得たのだった。
大成功
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