無比たるは天道歩むが故に
●【Q】
天授たるは、その才覚であったというのならば『韓信大将軍』は己の天運が此処に尽きたことを悟る。
儀式魔術【Q】『天地黎明大逆道』――『殲神封神大戦』において一敗地に塗れようとも、天の趨勢をこそ己こそが傾けて見せると信じて疑わなかったが、しかして、己が主君と見定めることのできる英傑を見出すことができなかったのは、如何なる不遇よりも口惜しいものであったことだろう。
「『渾沌氏』が『妲己』の調略に失敗なされたことは残念でしかたない。彼女は真の英傑であった。我が主君なり得る器であったことは言うまでもない」
己の下へと集った英傑たちは皆、己が戴く主君足り得る器を持っていなかった。
いや、見出すことができなかった、というの正しいだろう。
「全ての人仙を封印する究極神器『封人台』の起動叶わぬというのならば、これを猟兵に渡す訳にはいかぬ」
『韓信大将軍』は、声を発する。
それは儀式魔術【Q】の発動の瞬間であった。
「【Q】『南蛮来往道
』……!」
瞬間、彼の目の前には『南蛮門』が生み出され、その先が『南蛮仙界』であることを示すように巨大な魔獣の咆哮が轟く。
「この『封人台』は何処かの世界へと飛ばす! 私には扱えぬものであるが、何処かの世界のオブリビオン・フォーミュラであれば、これを有効に扱うこともできるだろう。この儀式の完遂までの刻限は次なる満月が昇りし時」
「その間、私達が猟兵を押し留めておきましょう」
『韓信大将軍』の前に膝をつくのは、彼とは趣を異なる装いに身をまとった……それこそ西部劇にでも出てきそうなほどに異邦の衣を纏った金髪の女性であった。
そのオブリビオンの姿を認め、『韓信大将軍』は頷く。
「左様。故に、汝に与えた神器が活きるというもの。異界のオブリビオン軍団を呼び寄せる兵団。鋼鉄の巨人……名を『イカルガ』と言ったか」
「はい。かの『哪吒』と同様に鋼鉄の体躯を持つ巨人であります。これなる軍団を用いて、猟兵共の足止めを行うと致しましょう」
面を上げた金髪の女性、『異界かぶれ馬鈞』は、その背後に立ち並ぶ無数の鋼鉄巨人『イカルガ』を振り返ることなく立ち上がり『韓信大将軍』と向き合う。
「しかして猟兵は強い。心して掛かることだ」
「敵の強弱など論ずるに値はしませぬ。まずはやってみせなければなりません」
「方策無くぶつかれば、程なくして解るというわけか」
「国士無双たる貴方様には言うまでもないことでした。出過ぎた真似を」
その言葉に『韓信大将軍』は否、と頭を振る。
「それでこそよ。その才覚、自覚なきとは言え、己が目指す頂きへと邁進する姿こそ美しい。此度の戦いが終わる時、其方を『異界かぶれ』と呼ぶ者はおるまいよ」
その言葉と共に『異界かぶれ馬鈞』は一礼し、鋼鉄の巨人『イカルガ』と共に迫る猟兵たちを迎え撃つために、その鋼鉄の手のひらに乗り飛び立つ。
彼女の出立を後押しするように『南蛮門』より魔獣『南蛮王』たちの咆哮が雷鳴のように轟いた――。
●国士無双
グリモアベースに集まってきた猟兵たちを迎えたのはナイアルテ・ブーゾヴァ(神月円明・f25860)だった。
「お集まり頂きありがとうございます。遂に封神武侠界にて蠢動していたオブリビオン『韓信大将軍』を追い詰めることができました。ですが、『韓信大将軍』は全ての人仙を封じる『封人台』を何処かの世界へと飛ばそうとしています」
それは世界の危機である。
もしも、『封人台』が他の世界のオブリビオンフォーミュラの手に渡ったのならば、一体何を仕出かすのかわらない。
故にこれをくいとめねばならないのだが……。
「問題が二つあります」
ナイアルテの表情が険しいものとなる。
猟兵たちは、敵を侮ることはなかったが、しかし『韓信大将軍』の所在が掴めたのならば、これを打倒することは十分可能であると考えていたのかもしれない。
だが、ナイアルテが告げる言葉は、その可能性を覆すものであった。
「まずひとつ……『韓信大将軍』配下の強力なオブリビオン『異界かぶれ馬鈞』は彼より神器を与えられています」
異世界のオブリビオン軍団を呼び寄せ、ユーベルコードと共に猟兵を撃退しようとしているのだ。
軍団と個として強大なオブリビオンとを同時に相手取らねばならない状況というのはこれまでも幾度もあったことだ。
「呼び出される異界のオブリビオンは『イカルガ』。鋼鉄の巨人…体高5m級の戦術兵器、即ちオブリビオンマシンです」
この『イカルガ』が空を自在に飛翔し、さらには軍団で迫り、『異界かぶれ馬鈞』のユーベルコードも猟兵を攻撃してくるのだ。
この困難な戦場をかいくぐってなお、人界に固定された超次元の渦『南蛮門』より現れるのは、『南蛮仙界』に封じられていた強力な魔獣『南蛮王』たちである。
「『南蛮門』からあふれようとしている魔獣が二つ目の問題です」
その力の一端を猟兵は知っているだろう。
そう、三皇『神農兀突骨』である。
『神農』の下半身と融合していた魔獣『兀突骨』。それと同格の力を持つ魔獣たちが『南蛮仙界』に満ちているのだ。
未だ『南蛮門』』から溢れ出してはいないのが不幸中の幸いである。
あまりにも強力な魔獣達が一気に人界に溢れかえれば、これを防ぐ手立てはなく、間違いなく人界は灰燼に帰すことだろう。
「この『南蛮門』よりあふれかえろうとしている魔獣たちを門の向こうに押し返さなければなりません」
つまり、と猟兵たちは気が付く。
これは国士無双『韓信大将軍』の方策の一つなのだ。
遅滞戦術。
そう、ありあまる物量と質。
これによって猟兵達が『韓信大将軍』を打ち倒す時間を稼ごうとしているのだ。
「『韓信大将軍』は神器を一つも装備していません。ですが、その軍略は冴え渡る事並ぶもの無し……『必ず先制攻撃してくる』上、封神武侠界のオブリビオン『濁業仙人』の大軍勢を率いています」
つまり、『韓信大将軍』を相手取るということは、『先制攻撃ユーベルコード』に加え、この大軍勢に寄る包囲攻撃に晒されるということである。
国士無双の渾名に違わぬ強力なオブリビオンであることが伺えるだろう。
「ですが、このままでは『韓信大将軍』の策略にまんまと踊らされてしまうことでしょう。己が死すとも計略は成功させてみせるという凄みすら感じさせます……」
その渾名。
伊達でも酔狂でもなければ、傲慢でも不遜でもない。
あるのはただの事実。
並ぶ者無し。
その一点において『韓信大将軍』は、その全てでもって猟兵たちを相手取ろうとしているのである――。
海鶴
マスターの海鶴です。どうぞよろしくお願いいたします。
今回は『封人台』によって全ての人仙を封印すべく策動していた『韓信大将軍』との対決するシナリオになります。
ですが、国士無双の名を持つ彼の策略は圧倒的です。
並み居る強敵を押しのけて、これを打倒さねばなりません。
●第一章
ボス戦です。
人界に固定された『南蛮門』。
これの守護についているのは『韓信大将軍』の配下『異界かぶれ馬鈞』です。
彼女は神器を用いて、『異界のオブリビオン軍団』、鋼鉄の巨人にしてオブリビオンマシン『イカルガ』の大軍勢を率いて皆さんを迎え撃とうとしています。
彼女のユーベルコードに加え、『イカルガ』による包囲攻撃が皆さんに迫ることでしょう。
●第二章
冒険です。
超次元の渦『南蛮門』の奥には『南蛮仙界』ごと封じられていた『南蛮王』と呼ばれる強力な魔獣達がひしめいています。
これがあふれかえろうとしており、また、一体一体が『神農』と融合していた『兀突骨』と同格の力を持っています。
溢れ出す前に門の奥へと押し返さなければ、人界は蹂躙されて破滅してしまうことでしょう。
●第三章
ボス戦です。
『韓信大将軍』との地決です。
彼は神器を扱いませんが、卓越した軍略でもって『必ず先制攻撃してくる』上に、集団戦オブリビオンである『濁業仙人』の大軍勢による包囲攻撃をしかけてきます。
その勢いは、第一章の異界のオブリビオン軍団による包囲攻撃の比ではありません。
これに対処しなければ、勝利は得られないでしょう。
それでは、己が主君を定められずとも、しかして国士無双であることには変わりない並びなき大将軍との戦いに挑む皆さんの物語の一片となれますよう、たくさんがんばります!
第1章 ボス戦
『🌗異界かぶれ馬鈞』
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POW : 絡繰り大軍勢『水天百戯』
【己が開発した四次元瓢箪、偽紫金紅葫蘆】から【劣化火尖鎗を装備した絡繰り水天百戯の軍勢】を召喚する。[劣化火尖鎗を装備した絡繰り水天百戯の軍勢]に触れた対象は、過去の【データを読み取られ其れを元に体内温度】をレベル倍に増幅される。
SPD : 農耕用改め戦闘用絡繰り水圧銃『翻車』改
【絡繰り水圧銃『翻車』改】から、戦場全体に「敵味方を識別する【血流を抑制する薬品の雨】」を放ち、ダメージと【血流停止】の状態異常を与える。
WIZ : 義手兼感覚攪乱兵器『指南車』
自身の【哪吒の再現の為に機械化を施した右腕】から極大威力の【重力異常を起こす電磁波】を放つ。使用後は【周辺は自身を含め全ての者の感覚が狂った】状態となり、一定時間行動できない。
👑11
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『異界かぶれ馬鈞』は己の背後に居並ぶ鋼鉄の巨人たちを振り返る。
「確かに精巧。それに緻密なる設計のもとに組み上げられていることがわかる。高い技術力も伺える。だが……」
そう、確かに鋼鉄の巨人『イカルガ』の軍団は強力なオブリビオンマシンとしての力を示している。
だが、である。
『異界かぶれ馬鈞』は納得が言っていなかった。
彼女が目指したのはオブリビオンマシン『哪吒』である。あの三面六臂のオブリビオンマシンの性能。その性能を十全に再現してみせることが彼女の最大の目的であり、またそれを越えることができるのは、自分しか居ないと思っていたのだ。
だが、未だそれは無し得ていない。
ならば、この猟兵との対決は彼女にとっての壁である。
「乗り越えなければならない壁として立ちはだかるか、猟兵」
彼女はこれまでも越えてきた。
できぬと言われたことを成し得て、存在するはずがないというものを存在させてみせた。
その来歴。その足跡。
全てが彼女の背を押し、また同時に『哪吒』と呼ばれるオブリビオンマシン、その三面六臂たる完璧をも越えろと叫んでいるのだ。
「私こそが成し得て見せるのだ。才覚とは、即ち他者にて認識されど定められぬのもの。そして、自覚なくとも嚢中の錐の如く、世に出るもの。ならばこそ、この私は世界という嚢より飛び出した者にほかならない」
故に越える。
あの赤き三面六臂を。
あの完璧を。
「お前たち猟兵をも越えて、私は必ずやあの『哪吒』を越える鋼鉄の巨人を作り上げて見せる――!」
風車・拳正
……これだけの数を揃えてきたって事は、マジで勝負を仕掛けてきたみてえだな
……とはいえ、こっちも素直にはいそうですかとテメェらの作戦を黙って見過ごす訳にはいかねえんだ
ーー吹っ飛ばして先行かせて貰うぞ!
最初から飛ばしてく!ぶっ飛べ!ショック・ザ・ビックバン!【限界突破、武器巨大化】
イカルガと馬鈞の召喚した軍勢の攻撃に耐えながら限界まで力を溜めた衝撃波で一気に吹き飛ばす!【激痛耐性、力溜め、衝撃波、吹き飛ばし】
どれだけ数が多かろうと、膝は折らねえ…!【覚悟、負けん気】
テメェらの大将と野望をぶっ飛ばすまではよーー!
そして吹き飛ばした敵の中に紛れて馬鈞に接近してUCを叩き込む!【空中機動】
次元の門。
その向こう側にあるのは『南蛮仙界』である。ひしめくように蠢くは巨大な魔獣。その姿を猟兵たちは知っていたことだろう。
『神農兀突骨』。
その下半身と融合した強力な魔獣は、その体躯と力でもって人界へと溢れれば瞬く間にこれを滅ぼすことだろう。猟兵であっても止めようのない滅び。
溢れんとする彼等を押し止めるためには、この『南蛮門』へと至らねばならない。
しかし、それを防ぐようにして居並ぶは鋼鉄の巨人『イカルガ』――キャバリア……いや、オブリビオンマシンである鋼鉄の巨人は軍勢となって『異界かぶれ馬鈞』と共に猟兵を迎え撃つ。
その数は言うでもない。
「来たか、猟兵。私が乗り越えるべき障壁。これまで如何なる敵をも打ち砕いてきた強固な意志。私の前にもまた示すか」
その言葉に風車・拳正(衝撃の鉄拳・f41386)は敵が本腰であり、また本気であることを悟るだろう。
「……これだけの数を揃えてきたって事は、マジで勝負を仕掛けてきたみてえだな」
「その通り。私達が望むは猟兵の打倒。そして『韓信大将軍』は言ってのけたのだ。全ての人仙を封じてみせると。私はあの方の求める覇王たる気質を持たぬもの。されど、お前たち猟兵に勝てぬ道理はない」
手にした瓢箪型の宝貝から溢れるは、さらなる軍勢。
劣化した炎宿す槍型宝貝を携えた絡繰り水天百戯の軍勢が、オブリビオンマシン『イカルガ』たちとも共に拳正へと殺到する。
「……その意気込みだけは買ってやるよ……とは言え、こっちも素直にはいそうですかとテメェらの作戦を黙って見過ごすわけにはいかねえんだ」
「ならばどうする猟兵。この軍勢を前にして如何にする!」
「簡単だよ!」
拳正は踏み出す。
その踏み込みは、軍勢を前にしても立ち止まることはないものであった。
そう、事は単純なのだ。
「――吹っ飛ばして、先行かせて貰うぞ!」
「やってみろ、猟兵!」
漲るユーベルコードの輝きが拳正の瞳に宿る。
最初から加減はない。余力など無い。残すつもりもない。最初からすでい終盤なのだ。
これだけの軍勢を前にして手を抜くことなど出来ない。
故に己の拳こそが最大の武器である。
「砕けるかよ、俺の拳が!」
振るう拳が衝撃波を生み出し、そのすさまじい一撃が絡繰りや『イカルガ』を吹き飛ばす。
だが、迫る炎と『イカルガ』から放たれるマイクロミサイルの爆風が拳正を襲う。
凄まじい攻勢である。
視界の何処を見ても炎で包まれている。
けれど、彼は拳を振るう。
闇雲ではなかった。自暴自棄でもなかった。
その拳は、爆風を切り裂きながら一気に彼を前に、前に進ませる。
「どれだけ数が多かろうと、膝は折らねぇ……!」
「その意志を支えるのは何だ!」
瓢箪型宝貝から飛び出し続ける絡繰りを拳正は吹き飛ばしながら突き進む。
「テメェらの大将と野望をぶっ飛ばすまではよ! 立ち止まらねぇ、折れねぇ! それが俺の拳だからだ!」
ユーベルコードの輝き宿す拳が振るい挙げられる。
眼前にあるのは『異界かぶれ馬鈞』の姿。
打ち下ろされた拳が彼女へと叩き込まれ、戦いの始まりを知らせるような轟音が戦場に響き渡るのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
厳・範
半人半獣形態なお爺。
数が多いな。しかして、怯むこともなし。
花雪「ええ、行きます!」
というわけでな、花雪を乗せて戦場へ。
軍勢であるということは、わしの前に展開するであろう。
であるならば…UCを使って行こう。花雪、雷公鞭は任せよう。
花雪「はい!」(ふんす!)
だが、馬鈞自身が呼び出す軍勢には触れずに…八卦衣の錯誤を利用しつつ見切って空中機動で避けいこう。
間に合いそうにないならば、焦熱鎗で焼却していこう。
花雪「私は雷公鞭から雷撃しますね!私も頑張ります!」
人界に迫らんとしている大魔獣の群れ。
それこそが『南蛮門』の向こう側、『南蛮仙界』にひしめく脅威であった。
かつて猟兵達が『殲神封神大戦』にて相まみえた『神農兀突骨』の下半身。それこそが『南蛮仙界』ごと封じられた大魔獣の一体なのである。
あまりにも強大。
これを解き放つことはすなわち人界の滅亡を意味する。
「我が主君は覇王たる器を見つけ出すことは叶わなかった。しかし、その先にある次なる一手、その策動に託されたのだ。ならば、臣下はこれを実現するために邁進するのみ!」
『異界かぶれ馬鈞』は大地に叩きつけられながらも、転がるようにして身を翻し『異界のオブリビオン軍団』であるオブリビオンマシン『イカルガ』の掌に乗り、瓢箪型宝貝から絡繰りを出現させる。
神器たる『異界のオブリビオン軍団』を招来せしめる力と、瓢箪型宝貝から出現する絡繰り。
それは同じ神器を持つオブリビオンであったとしても数は倍にも勝る。
「なんたる数」
「恐れるか、猟兵!」
「答えは否である、『異界かぶれ馬鈞』よ。数は確かに恐ろしい。しかして、怯むこともなし」
厳・範(老當益壮・f32809)は半人半獣の姿となって戦場を駆ける。
背に宝貝人形『花雪』を乗せ、その瞳をユーベルコードに輝かせる。
相対するは、正しく大波の如き大量のオブリビオンマシンと絡繰り。想像を絶っする数で迫る彼等をかき分け、『異界かぶれ馬鈞』を打倒しなければならないことは、並大抵のことではなかった。
だがしかし、ここに数を食い物にする力がある。
「道をあけよ」
それは命令であった。
猟兵からの言葉。
それをオブリビオンがただ黙って聞くわけがなかった。例え、聞いたとしても、それを承けるかどうかなど問題にもならない。
「何を馬鹿なことを。敵対するものに対して武威でもなく、ただの命令が通るとでも思ったか」
「ああ、思ってはおらぬよ」
だから、と範は天を指差す。
仰ぎ見る『異界かぶれ馬鈞』は知る。それはユーベルコード。
声雷(セイライ)たる力は、その意味を知らしめるように範の命令を実行しなかったオブリビオンと絡繰りへと裁きの雷でもって打ち据える。
「これは……!」
「我が命令に従わぬモノは雷に打たれる。そして、従うものあれば、我が力は増す。単純なことよ」
大地を蹴る。
否、黒麒麟とて麒麟。
その足は大地より浮かび、大地を滑るようにして範は雷降りしきる大地を駆け抜けていく
手にした宝貝の雷放つ『花雪』。
「舐めてくれる。その程度で!」
迫るオブリビオンマシンたち。鋼鉄の巨人たちの腕を、マイクロミサイルの乱舞を駆け抜け範は『異界かぶれ馬鈞』へと迫る。
「任せたぞ『花雪』」
「はい、お爺さま!」
その言葉と共に打ち据えられる一撃。その一撃を受け止めながら『異界かぶれ馬鈞』は忌々しげにオブリビオンマシン『イカルガ』に庇われながら後退していく。
「戦いは確かに数である。だがしかし、それを覆すものがある。それが今、君の目の前に在る力の証明でもあるのだ」
範は雷と共に戦場を駆け抜け、溢れる大軍勢の一角を霧散させるのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
儀水・芽亜
オブリビオンマシンを並べてきましたか。気が抜けませんね。
とはいえ、やるべきことは同じ。全てを殲滅するだけ。
数に対しては、使える手札は多くありませんが、効果はありますよ。
「全力魔法」光の「属性攻撃」「範囲攻撃」「浄化」「矢弾の雨」で、光輝の雨。
『驟雨の弓』から直上へ向けて放った一射が、無数に分裂して光の雨として降り注ぎます。これで出来るだけ、敵の雑兵たちを破壊しましょう。
こちらの攻撃から立ち直られる前に、部区を拷問具に持ち替えて、馬鈞本人を狙います。水天百戯を薙ぎ払って進み、馬鈞に『鎖蛇』で「傷口をえぐる」攻撃を。
敵の攻撃は、「オーラ防御」を保険に、「見切り」「軽業」で軽やかに回避します。
『異界かぶれ馬鈞』の繰り出す軍勢の数は凄まじいものだった。
『南蛮門』の守りは鋼鉄の巨人、オブリビオンマシン『イカルガ』によって、文字通り鉄壁。しかし、如何に鉄壁の守りを有しているのだとしても、猟兵は止まらない。
彼等を立ち止まらせるための諦観は、未だ彼等の瞳には何一つ写っていなかったからだ。
例え、『南蛮門』の先……『南蛮仙界』にひしめく、巨大な魔獣たちの群れが開放されれば猟兵と言えどこれを止める手立てはなく、封神武侠界の人界は為す術もなく蹂躙されるであろう未来があるのだとしてもだ。
「オブリビオンマシンを並べてきましたか」
儀水・芽亜(共に見る希望の夢/『夢可有郷』・f35644)は『南蛮門』に迫るために、戦場を走る。
敵を倒すこと。
倒し殲すこと。
それだけが今の彼女を駆り立てるものであり、また使命でもあった。
鋼鉄の巨人めいたオブリビオンマシン『イカルガ』が迫っている。
その背に負ったフライトユニットから放たれるマイクロミサイルの爆風が芽亜に襲いかかる。
凄まじい火力だ。
さらには『異界かぶれ馬鈞』の手にした瓢箪型宝貝より繰り出される絡繰り達が手にした劣化版とは言え、火尖槍の炎は鋭い。
「これだけの数を前にしてひるまぬ意気こそ、猟兵の脅威たるものと私は心得ている。お前たちは何一つ止まることを知らない。まるで、障害を障害と認識していないかのように!」
「気が抜けない、という意味では確かに私達はそれを認識していますよ」
芽亜は、その瞳をユーベルコードに輝かせる。
手にした神器は、弓の形を取る。ユーベルコードの輝きは、その一射を無数に分裂させ、雨のようにオブリビオンマシン『イカルガ』や瓢箪型宝貝より出現した絡繰りたちの頭上より降り注ぐ。
「天上より光の雨降り注ぎ、地を這う不浄の一切を討ち滅ぼさん」
光輝の雨(コウキノアメ)たる一撃が『異界かぶれ馬鈞』を守るオブリビオンマシンたちを討ち滅ぼすも、塞ぐようにして芽亜の前に立ちふさがる。
「やるべきことは同じ。全てを殲滅するだけ」
「容易くこの陣形を抜けると思うな、猟兵。お前たちの力の強大さは理解しているとも!」
「ならばこそ、立ち直らせる隙は与えません!」
芽亜は踏み込む。
敵の陣形は確かに己のユーベルコードに寄って穿たれた。
だが、それは一時に過ぎないことであろう。すぐさま『異界かぶれ馬鈞』は陣形を整える。それだけの兵力を彼女は有しているからだ。
それにあの絡繰りに触れてはならない。触れてしまえば、体温を増幅させられ、己の体躯は内側から沸騰して爆ぜることだろう。
故に芽亜は下も警戒すべきはオブリビオンマシンではなく、瓢箪型宝貝から呼び出される絡繰り――すなわち、『異界かぶれ馬鈞』その人の持つユーベルコードであると知る。
「あなたのユーベルコードは致死に至るもの。無機物たる存在であれば耐えられるかもしれませんが、人体にその余裕はありません」
「然り。故に私の勝ちだ!」
敵の攻撃は弓型神器による射撃。故に『異界かぶれ馬鈞』は見誤る。
接近を許してしまったこと事態が、すでに芽亜の領域であることを示していた。持ち替えた拷問具の一撃が絡繰りを打ち砕き、彼女に放たれるはずだった致命の一撃を防ぐ。
棘のついた鞭が迸り、先行した猟兵が彼女に与えた傷痕に追い打ちを与えるように叩き込まれる。
「あなたの手勢は此処で消耗させる」
「自らの生命の危険を顧みずか」
「ええ、そうすることであとに続く猟兵達が必ずや貴女を打倒してくれることでしょう。そして、貴女の背後にある『南蛮門』をも必ず」
故に、と芽亜は己のユーベルコードが見せる光の雨の中、『異界かぶれ馬鈞』へと迫り、その一撃を叩き込むのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
紅月・スズ
えーと、相手は鋼の巨人アルね!
闘り甲斐がありそうアル!
って、そうだったネ……まだ次があるんだったアル……(がっかり)
……うー、名残惜しいあるけど、早々に頭を叩かせてもらうアルよー!
最初っから【護業転身・蒼天雷装】アル。全身を稲妻にして突っ込むアルよー!これなら血流関係ないネ!元々無いけど!僵尸だし!
色んな意味で時間を気にして通りやすい所…えーと、「金属」とか「水」とかを駆け抜けるアル
「ちけーのりよう」ってやつアルね!
通るときにちょっとビリビリさせる(《電撃+マヒ攻撃》)事になるケド、まあ敵アルしまあいっか!気にしないアルよ!
駆け抜けたらそのまま術師に雷の手足での格闘戦を挑むアルよー!
鋼鉄の巨人……神器によって異界より呼び出されたオブリビオン軍団『イカルガ』は、巨体と共に種子が大地に撒かれるようにしてマイクロミサイルを乱打している。
爆風が戦場に吹き荒れている。
その最中を紅月・スズ(路上格闘僵尸娘・f32726)は走る。
ただひたすらに走り抜け、僵尸としての体躯に宿る護業天象拳の宿業じみた一撃を鋼鉄の体躯へと叩き込むのだ。
己の体内に巡る気を制御し、照応させ己の気を介し天地巡る気もまた同様に制御する。
それこそが護業天象拳。
スズが如何にして、そのような拳法を伝承せしめたのかは誰も知る由のないことである。本人であるスズですら忘れてしまったことである。
僵尸となった経緯も。
本来の自分の名も。
すべて忘れて島て散る。けれど、己の体躯に染み込んだ拳法は、彼女の心に幾ばくかの楽しげな感情を生み出していた。
「鋼の巨人と
闘りあうなんて、そうそうない機会アル!」
炸裂する拳の一打が『イカルガ』の鋼鉄の体躯をひしゃげさせながら吹き飛ばす。
何たる膂力であろうか。
陣城ならざる拳の殴打によって砕ける鋼鉄の巨人をみやりながら、スズはしかして、それが膂力のみにあらざることを理解しているのだ。
「例え膂力で勝るとも、数で圧殺してくれる!」
『異界かぶれ馬鈞』の言葉とともに水圧銃より迸るは体内の血のめぐりを阻害する薬品の混ざった一撃。
どれだけスズが優れた猟兵であるのだとしても、僵尸であったとしても、その他行くに血液が巡っているのならば、それを阻害されることで体躯は動けなくなるはず――だった。
しかし、スズの瞳はユーベルコードに輝いている。
そう、彼女が手繰るは護業天象拳。
気を巡らせ、天地の気すらも己と同じであると認識することに寄って、天地の間にありながら、そこに合一する理。
故に、それを護業転身・蒼天雷装(ゼンシンビリビリアル)と言う。
「動く事雷の如く!」
如何なるものより伝授されたことかはわからない。
けれど、雷そのものとしたスズの体に水圧銃より放たれる薬品などは意味を成さない。
「っていうか、雷そのものだったアル!」
増大した速度でもってスズは一瞬で『イカルガ』の鋼鉄の体躯の内部へと一直線に走り抜ける。
体躯を雷と為した彼女は光速じみた速度で持って豪雷を立てながら戦場を疾駆し、「異界かぶれ馬鈞』へと肉薄するのだ。
「なっ
……!?」
「知らないあるか。雷は金属とか水とかを駆け抜けるアル! これが、ちけーのりようってやつアル!」
迸る雷が『異界かぶれ馬鈞』へ迸る。
水圧銃を手にした彼女の体へと叩き込まれるスズの拳、蹴撃。
その殴打の連続は、全てが雷の如き速度と熱量を持って放たれる。
「……まだ次があるんだったアル……鋼鉄の巨人たちとの闘いは楽しかったアルが……そうそうに頭を叩かせてもらうアルよ」
大地が割れる程の踏み込み。
その大地の気の流れを汲み取ったスズの拳の一撃が『異界かぶれ馬鈞』の胴を貫くように打ち込まれ、彼女を打ち上げるのであった――。
大成功
🔵🔵🔵

メンカル・プルモーサ
んー……『哪吒』、『哪吒』かぁ……
そのイカルガもまあ…強力なんだろうけど…そこじゃ無いんだよな…
…周囲に術式組紐【アリアドネ】を展開して結界構築…そして【災禍を映す水鏡】を発動…反射したら翻車と馬鈞のどっちに行くんだろうねこれ
…まあこれでその薬品は無効化された…そしてイカルガは…結界の紋様に潜ませた浸透破壊術式【ベルゼブブ】を使ってハッキングを仕掛けようか…
…命令権を奪って馬鈞に攻撃をさせるとしよう…
…ああ、『哪吒』の強みだけど…性能もあるけど…判断力と何より根性というか…執念が凄かったんだよね…
…そう言う意味ではそれらは『哪吒』にはまだ遠いね…
オブリビオンマシン『哪吒』――その性能は凄まじいものだった。
三面六臂。
六本の腕を手繰り、武装を自在に操る。三面は四方を見通し、死角など存在しない。
圧倒的な力。
それは時に人の理外にあるものとして崇拝の対象にさえなったことだろう。
けれど、それを超えんとした者がいる。
それこそが『異界かぶれ馬鈞』であったのだ。
「ご、ふっ……ぐっ……だが、私は!」
猟兵からの殴打の一撃で血反吐を撒き散らしながら、彼女の瞳には執念があった。
怒りじみた瞳の色。
だが、それは他者への怒りではない。
己への怒りであるように、同じくガジェットを作成するメンカル・プルモーサ(トリニティ・ウィッチ・f08301)には思えたことだろう。
「『哪吒』を越える……! そのためには!」
神器よりあふれるは異界のオブリビオンマシン『イカルガ』たち。
手にした水圧銃を握りしめた彼女は、メンカルを、猟兵を撃退せんと力を振り絞っている。
「んー……『哪吒』、『哪吒』かぁ……」
確かに、とメンカルは己に迫るオブリビオンマシン『イカルガ』たちを見やる。
確かに鋼鉄の巨人たちの性能は抜きん出たものであった。
けれど、メンカルにとって『哪吒』というオブリビオンマシンは、性能云々ではないものであった。
迫る『イカルガ』の前面へと張り巡らされる術式組紐の網。
結界のようにメンカルを守りながら、彼女の瞳がユーベルコードに輝く。
「その『イカルガ』もまあ……強力なんだろうけど……そこじゃないんだよな……」
「何が違う!」
「……『哪吒』の強みは、性能以前のところにある……」
「何……?」
メンカルのユーベルコードが煌めき、『イカルガ』へと『悪因転写術式』がホト場b知る。
それは浸透破壊術式『ベルゼブブ』。
敵がオブリビオンマシンであるというのならば機械である。その内部へと仕掛けられたハッキングにより『イカルガ』たちは動きを止める。
それのみならず、命令権を奪ったメンカルによって『イカルガ』たちは反転し『異界かぶれ馬鈞』へと襲いかかるのだ。
「どういう意味だ、それは! 猟兵! この私を前にして『哪吒』を語る貴様は!」
水圧銃でもって迫る『イカルガ』を打倒しながら『異界かぶれ馬鈞』は血反吐を撒き散らしながら叫ぶ。
「……性能の高さも在るのは認めるよ。けれど……判断力と何より根性……というのは憚られるかもしれないけれど……執念が凄かったんだよね……」
「執念!? 鋼鉄の巨人に執念があるというか!」
それは俄に信じがたい言葉であるように『異界かぶれ馬鈞』には思えたことだろう。
あくまで彼女が見たのはオブリビオンマシンとしての『哪吒』であったのだ。
そこに精神性を見出すことはなかったのだ。
だが、同じ技術者としてありながらメンカルの見出したオブリビオンマシン『哪吒』という存在は、そこに精神性があるという優位性を持つ存在だったのだ。
「……そういう意味では、それらは」
『イカルガ』たちはメンカルのハッキングによって操られ『異界かぶれ馬鈞』へと襲いかかる。
もしも、これらが『哪吒』と同様の精神性を持っていたのならば、術式に寄って操られることもなかっただろうと告げるようだった。
目指す先はまだ遠く。
そして、オブリビオンという停滞に落ちた者には無し得ぬことだというようにメンカルは『異界かぶれ馬鈞』を『イカルガ』の猛攻でもって追い詰めるのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
董・白
【心境】
「とうとう韓信将軍と決着付けれる機会が巡ってきたわけですね…。」
微力ながら、この封神武侠界の平和のため…死力を尽くしましょう。
【行動】
この世界でクロムキャバリアですか…。
わかりました。私も正面からお相手いたしましょう。
飛来椅を『操縦』して戦います。
宝貝「飛来椅」でワープしつつイカルガ包囲をぬけ、異界かぶれ馬鈞』に接近します。
ですが、しょせん私はにわか仕込み素人。若葉マークがとれていません。
『道術』で『霊的防護』と『破魔』の術をかけて強化しつつ、『武器巨大化』の術で飛来椅を巨大化して、『仙術』による電撃の『属性攻撃』を纏った飛来椅の拳で殴りかかります。
『功夫』が足りなかったようですね。
国士無双。
それこそが『韓信大将軍』の渾名である。
並ぶ者無し。
その異名とも言うべき二つ名こそが彼の偉業を知らしめるものであることは言うまでもない。その強大さはオブリビオンとなってなお、燦然と輝くものであったことだろう。
けれど、董・白(尸解仙・f33242)は、それを知りながらなお立ち向かう気概を示していた。
「とうとう『韓信大将軍』と決着をつけれる機会が巡ってきたわけですね……」
迫るオブリビオンマシン『イカルガ』の軍勢を見やる。
鋼鉄の巨人。
この封神武侠界にありて、クロムキャバリアの戦術兵器の姿を認めることになるとは白は思いもしなかったことである。
だが、彼女とて世界の平和のために死力を尽くす所存であるのだ。
「正面からお相手いたしましょう。『飛来椅』!」
宝貝「飛来椅」(パオペエヒライイ)。
それは異世界の技術と宝貝の融合たる可能性。
白は対Gスーツに身をまとい、オブリビオンマシン『イカルガ』の大軍勢を前に一気に『異界かぶれ馬鈞』の元へと空間歪曲……即ちワープに寄って包囲を抜けるのだ。
其の凄まじさは言うまでもない。
『異界かぶれ馬鈞』にとっては、突如として敵が目の前に現れたのだから。
「何処から……! いや、そもそも異界のオブリビオンマシン軍団をどうやって切り抜け……いや、それどころではない!」
彼女は迫る白が如何に危険な存在であるかを即座に認識する。
空間歪曲。
それによる距離を無にする方策。
これを用いられれば、己が守る『南蛮門』へと到達することも容易であったからだ。白が己を打倒するためにそれを用いたことこそ『異界かぶれ馬鈞』にとっては僥倖であった。
故に、ここで彼女を確実に抹殺すべく、彼女の義手が煌めく。
「 義手兼感覚攪乱兵器『指南車』!」
迸るユーベルコード。
それは重力異常を起こす電磁波。
あまりに強大過ぎるがゆえに、使用したが最後、自分自身も感覚が狂ってしまうが致し方ないことであった。
だが、『異界かぶれ馬鈞』は見ただろう。
白の操る『飛来椅』の姿が巨大化していることを。
感覚が狂ったせいか? いや、違う。
「しょせん私はにわかじこみ素人。若葉マークが取れていません。だから、油断も慢心もいたしません」
感覚が狂わされるほどの重力。電磁波。
けれど、それでもなお白は己の操る宝貝を巨大化し、其の圧倒的な質量たる拳で持って『異界かぶれ馬鈞』へと叩き込むのだ。
「馬鹿な……!」
「そちらが奥の手を持っていることなど百も承知です。ですから!」
己もまた出し惜しみはしないのだというように白は叫ぶ。
彼女の研鑽は白と似通った部分があるのかもしれない。
弛みなく。
練磨の果て。そこに目指す頂きがあるからこそ、道を進むのだ。白は、故に己を今だ未熟と定める。
それは己の未熟を嘆くのではなく。
今だ完成せずという可能性を示すように、拳の一撃を持って『異界かぶれ馬鈞』を打倒するのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
馬県・義透
四人で一人の複合型悪霊。生前は戦友
第一『疾き者』唯一忍者
一人称:私 のほほん
武器:漆黒風
さてー、ここが最終決戦となりましょう。
そのためにも、ここをどうにかしませんどねー?
あれ(封人台)、他の世界にやられるても厄介ですし。
UC(攻撃力)使いましてー。『馬県』認識は陰海月と霹靂がやってくれますがー。
体内温度…まあ、悪霊なんで関係ないですけど。
攻撃は受けつつ、突貫しましょう。
そうして、馬鈞殿が見えましたら、漆黒風を投擲。
投擲し尽くした…と見せかけて、隠し持っていた最後の一本で薙いだりね?
その壁は壁のまま存在するのです。
猟書家『韓信大将軍』との決戦。
それは最終決戦と呼ぶにふさわしいものであり、また国士無双たる異名を持つ彼と相対することの危険性をも示していた。
確かに彼の求める覇王の器たる英傑を見出すことはできず。
そして、『封人台』を起動し、人仙の全てを封じる機会もまた喪われている。だがしかし、国士無双。彼は次なる一手をすでに打っていた。
即ち、他の世界へと『封人台』を飛ばすことである。
彼が扱うことができずとも、何処かの世界のオブリビオン・フォーミュラが活用するのならば、それもまた良しとしたのである。
そして、此度の戦いは猟兵に時間を消耗させるための時間稼ぎでしかないのだ。
「『封人台』を他の世界にやられても厄介ですし」
最終決戦なれど、しかして、その実を知り馬県・義透(死天山彷徨う四悪霊・f28057)は今こそが畳み掛ける時であると知る。
『異界かぶれ馬鈞』は今だ『南蛮門』を守るために立ち退くことはしない。
いや、そもそもが逃げ出す理由などなかったのかもしれない。
「私は求められたことを為すのみ。そのためには!」
『異界かぶれ馬鈞』の手にした瓢箪型宝貝から噴出するようにして絡繰りが飛び出し、さらには異界のオブリビオンマシン軍団である『イカルガ』たちが飛翔し、『疾き者』へと迫るのだ。
その大軍勢は大波そのもの。
猟兵が『南蛮門』に近づくことを許さぬとばかりに彼女は攻勢によって傷ついた体を支えながら毅然とした態度を崩さなかった。
「なるほど。確かに気概は感じられましょう。ですが、こちらとて厄介事をどうにかしなければという意志はあるのですよー」
言葉とは裏腹に凶悪な呪詛が迸る。
迫る絡繰りも、『イカルガ』も、その苛烈なる攻勢を前にして『疾き者』は躱すことをしなかった。
必要性を感じなかったのかもしれない。
ユーベルコード、四悪霊・『戒』(シアクリョウ・イマシメ)。
それによって攻撃を受ける度に『四悪霊』の相違と認識補助に寄って体を再構築し、封じてきた呪詛でもって己の戦闘能力を底上げして行っているのだ。
故に攻撃を躱す必要はなく。
時が惜しいとばかりに吶喊しながら『イカルガ』たちを蹴散らし、絡繰りを破壊し、『異界かぶれ馬鈞』へと迫るのだ。
「何故だ、何故温度の上昇に耐えられる!」
「それは我等が悪霊ゆえ。体温はなく。そして、四悪霊は滅びず」
放たれる棒手裏剣が『異界かぶれ馬鈞』へと放たれる。
その一撃の尽くを絡繰りが盾になって防ぐ。
砕ける破片。
その最中に『疾き者』は踏み込む。
手にした棒手裏剣は最後の一投。
されど、それを投げ放つことはしなかった。隠し持ったそれを放ては最後。故に『疾き者』は切っ先を持って横薙ぎに『異界かぶれ馬鈞』の体を切り裂く。
「馬鹿な……この私が、『哪吒』を越える前に……!」
「その壁は壁のまま存在するのです」
乗り越えるべきものと規定するのならば、これは容易いものではないだろう。
『疾き者』は、彼女が越えようとしたものを否定しない。超えられないこともまた。
それ故に、放った一撃は彼女のオブリビオンとしての存在だけを否定するのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
ロニ・グィー
アドリブ・連携・絡み歓迎!
夢を願い追い求める姿勢いいじゃない
それは…素晴らしいことだよ
でもキミはなんでそれを目指したのかをちゃんと覚えているのかな?
まあ覚えていたとしたってはた迷惑な内容だと困るんだけれども!
●波と波
さあ過去の者と物は向こう側へと押し返してこう!
波のように押しかける相手に対してボクも波のように巨大な[球体]くんたちで押し返し
ボク自身もまた【第六感】の感じるままにその波の間を縫うように走って彼女を目指そう!
そしてじゅーぶんに距離を詰めたら…データを読み取られる間も無くUC『神パンチ』でみんなまとめてドーーーーンッ!!
キミたちを倒すのには顔は一つ、腕は二本でじゅーぶんなのさ!
切り裂かれた体躯から血潮が迸る。
機械化された義手は極大の一撃をすでに放っていた。奥の手はすでに切ってあり、また迫る猟兵を押し止めることができないことも理解していた。
だが、『異界かぶれ馬鈞』は今だ見果てぬ夢を捨てきれなかった。
そう、『哪吒』を越えること。
越える鋼鉄の巨人を生み出すこと。それだけが彼女にとっての最大の事柄であったのだ。故に、彼女はあふれる血潮を抑えることもせず、手にした瓢箪型宝貝より絡繰りを迸らせ、残る異界のオブリビオンマシン軍団『イカルガ』を操る。
「私の夢は潰えない。私は必ず超えてみせると言ったのだ。ならば、それは成さしめることのできるものである」
そう、できぬことはない。
できるできないを論じることこそ、時間の無駄である。論じている間にやれば良いのだ。
故に、と彼女と対峙するロニ・グィー(神のバーバリアン・f19016)は笑っていた。
「その姿勢、いいじゃない! 夢を追い求める姿勢いいじゃない。それは……すばらしいことだよ」
彼は『異界かぶれ馬鈞』の言葉にとても神妙に頷いていた。
敵ながら、とでもいうべきなのだろうか。
けれど、ロニは首をかしげる。
「でもキミはなんでそれを目指したのかをちゃんと覚えているのかな?」
「何?」
「どうして、そう思ったんだろうってこと。その理由ってやつさ。まあ、覚えていたとしたってはた迷惑な内容だと困るんだけれどもね!」
ロニは波のように押し入る大軍勢を見やる。
掲げた手より招来される球体たちが『イカルガ』たちと激突し、火花を散らす。
押し込まれるほどの数であるが、しかしロニは荒波の如き戦場を飛び跳ねるようにして駆け抜けていく。
第六感。
その理屈無く感覚を持ってして彼は走る。
一直線ではない。
ジグザグに。時にカーブ描いたり、回転したり。それはまあ、なんというか、とても理不尽な光景に思えたことだろう。
けれど、ロニは真剣そのものであった。
「過去の者と物は向こう側へと押し返させてもらおうね。なんたって、それが存在しているだけで今という世界が壊れてしまうんだから」
「知ったことか、私が越えるべきは『哪吒』、それ以外など」
ありようもない。
故に、と彼女はロニへと絡繰りを差し向ける。
だが、それよりも早くロニは空中にと跳ねる。
高く飛び上がった彼の拳はユーベルコードに輝いていた。
「これはきっと夢の続きなんだろうね。けれど、夢には終りがある。見果てぬ夢を見るのはオブリビオンだけだよ。人間は、人は、今を生きる生命は、夢から覚める。必ずね。だから」
ロニは神パンチ(カミパンチ)を放つ。
刹那にも満たぬ瞬間に放たれる無限の拳。
その殴打は『イカルガ』を含めた全ての軍勢を打倒しながら、『異界かぶれ馬鈞』をも捉えて吹き飛ばすのだ。
「キミたちを倒すのに顔は一つ、腕は二本でじゅーぶんなのさ――!」
大成功
🔵🔵🔵
アンゼリカ・レンブラント
さて相手は最後の猟書家か
ずっとエリクシルと戦ってきたお姉さんにとって
最初のオブリビオンだ
猟兵としてある意味初仕事かもな
そんな訳だから油断なく行かせてもらう
気合い充填!軍勢に真向から挑み
覇気全開のなぎ払いで軍勢を吹き飛ばす
一見蛮勇を振るっているようで隙のない動きを見せる
勝負勘を生かし触れらる前に武器受けで凌ぎ、
光剣の連続コンボで軍勢を1体また1体と倒していき
軍勢をかきわけて馬釣のもとへ
お前さん達は輪廻から外れた者
相対してよく分かったが、人の世に留まってはならないものだ
あるべき所へ返すのが、エンドブレイカーとしても務めだろう
最大まで力を溜めた《真・断罪閃光剣》で決着を狙うよ
さて、それでは第2幕かな
此度、アンゼリカ・レンブラント(黄金戦姫・f38980)は猟書家という存在を初めて知る。
猟兵に覚醒したとはいえ、彼女の敵は『エリクシル』――即ち万能の魔神たちであった。エンドブレイカーであった頃からの宿縁であったが故に、彼女は他の事件よりも『エリクシル』との対決を続けていたのだ。
「国士無双。最後の猟書家はなんとも大仰な異名を持つものだな。とは言え、お姉さんにとっては最初のオブリビオンであることには変わりない」
ある意味、猟兵としての本分。
その初仕事とも言える戦いを前にしてアンゼリカには気負いはなかった。
気合は十分である。
『11の怪物』との対決は終焉を迎えた。
されど、その終焉は破壊されたのだ。オブリビオンという世界の敵との対決。それは始まりにすぎなかったのだろうし、これからもまた新たな己の戦うべき敵がアンゼリカの目の前に現れるのだろう。
戦いの連鎖に組み込まれたことをアンゼリカは悔やまないし嘆かない。
誰かが嘆くのならば、誰かの瞳に悲しみがあるのならば。
それが戦う理由であると言うようにアンゼリカは迫る大波の如き大軍勢へと一歩を踏み出す。
「油断なく行かせてもらう!」
漲る覇気の迸りと共に彼女は迫る鋼鉄の巨人、オブリビオンマシン『イカルガ』を吹き飛ばす。
「鋼鉄の巨人か……メイガスとは別物のようだが!」
踏み込み、『イカルガ』の躯体を光剣で切り裂く。
爆散する機体を背にアンゼリカは戦場を駆け抜ける。更に迫りくるは『異界かぶれ馬鈞』が瓢箪型宝貝により呼び出した絡繰りたちであった。
触れてはならない、と直感的にアンゼリカは理解しただろう。
「獣のような戦い方をする割に……!」
たしかに彼女の戦い方は蛮勇を誇るようなものであった。
しかし、そこに隙はない。
獣が人に勝らないという理由がないように。彼女もまた、蛮勇故に隙が生まれるという理を示さない。
勝負勘とも言うべき圧倒的な戦闘センスに裏付けされた動きで持って軍勢を瞬く間にかき分けて『異界かぶれ馬鈞』へと肉薄するのだ。
「馬鹿な……猪突猛進ではないのか!」
「いいや、これは最短距離を見定めただけさ、オブリビオン」
アンゼリカの光剣が振るわれるも、瓢箪型宝貝から出現した絡繰りが盾となって『異界かぶれ馬鈞』を逃す。
「お前さんたちは輪廻から外れた者。相対してよくわかったが、人の世にとどまってはならないものだ」
「だったら、なんだというのだ。私には超えねばならぬものがある。それだけのために……」
「だからだよ、オブリビオン。お姉さんが引導を渡してやろう。あるべき所へ還すのが、エンドブレイカーとしての務めでもあるのだから」
膨れ上がるユーベルコードの輝き。
手にした光剣が峻烈なる裁きの光を迸らせる。
「裁きの光よ、我が身に集いて剣となり全てを切り裂け! 真・断罪閃光剣(シン・ジャッジメントセイバー)!」
その斬撃の一撃は過去から連なる因果を切り裂く斬撃。
エンドブレイカーとして砕いてきた終焉は数しれず。そして、これより切り開くは今より連なる未来であると示すように、その輝きをもってアンゼリカは過去の妄執とも言うべき執念に捕らわれた『異界かぶれ馬鈞』を切り裂くのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
朱鷺透・小枝子
哪吒か。奴は強かった!
貴様が奴を乗り越えるなら!
『黒焔双舞』発動。風火輪型抗体兵器で【推力移動】
人工魔眼の【動体視力】、【瞬間思考力】で敵軍勢の攻撃を【見切り】
【空中機動】斬撃、誘導弾を躱し抜け、劫火の【念動力】で弾丸をなぎ払い、水天百戯劣化火尖鎗の炎を呑み、火尖鎗型抗体兵器を突き立て【焼却】
溶かし、纏い、己が温度を増幅【肉体改造】
奴も、貴様も越えて、我らは穿とう!!
溶かしたイカルガと水天百戯を束ねて禍集壊腕発現。
【闘争心】増幅された熱を禍集焔業に転用、劫火搭載乾坤圏型抗体兵器を壊腕で掴み【怪力】で【投擲】念動力回転を加え、軍勢を切り裂き馬鈞へ【重量攻撃】
壊せ、この生命を、戦禍を、穿て!!!
ありったけ【呪詛】と劫火を双槍に込め【追撃】
二つの乾坤圏の攻撃を躱すだろう馬鈞、その機動を見切り、火尖鎗型抗体兵器投擲【貫通攻撃】敵陣を溶かし、貫き、馬鈞を穿ち、
【推力移動】風火輪型抗体兵器で自身を高速で吹き飛ばし、【早業】残る火尖鎗型抗体兵器で馬鈞を【切断】
劫火を凝縮した刃で、そのそっ首、刎ね殺す。
オブリビオンマシン『哪吒』――それは大いなる戦い『殲神封神大戦』の折に建業に現れた鋼鉄の巨人。
その三面六臂たる姿を朱鷺透・小枝子(亡国の戦塵・f29924)は覚えていた。
確かに強かった。
あの巨大なる体躯に見合わぬ俊敏性と迸る炎。
そして、何よりも暴走衛星を持って炎の破滅をもたらさんとした力。
止められるか、と言った『哪吒』の言葉が小枝子の胸の内側から問いかけるように反芻される。
「私こそがあの『哪吒』を超えて見せる。私の、この絡繰り水天百戯が!」
『異界かぶれ馬鈞』が叫ぶ。
手にした瓢箪型宝貝から水が溢れるようにして絡繰りが飛び出し、猟兵に寄って破壊されたオブリビオンマシン『イカルガ』たちの群れに加わる。
彼女のユーベルコードは大軍勢を形成するものであった。
圧倒的な数。
それでもって猟兵達が『南蛮門』へと至るのを阻止せんとしているのだろう。小枝子はわかっていた。
戦いとは数である。
そういう意味では確かに『異界かぶれ馬鈞』は己たちに勝る敵であろう。たとて神器がなくとも彼女は、その情熱という名の執着でもってオブリビオンマシン『哪吒』を越えたかもしれない。
「私は越える!」
「貴様が奴を越えるというのなら!」
小枝子の瞳が煌めく。
ユーベルコード。
壊せ、と叫ぶ彼女の手にあるのは二振りの火尖槍型抗体兵器であった。
生命を殺すためだけに生み出された兵器。
吹き荒れる炎が、脚部に備えられた風火輪にくべられる。
「『哪吒』と同じ宝貝だと……!」
「違う! これは!」
抗体兵器である。形を模したもの。いや、どちらが先かなど言うが論ずるに値しないことである。
故に小枝子は吹き荒れる炎とともに『イカルガ』、絡繰りの大軍勢へと飛び込む。
斬撃が繰り出され、炎が戦場に吹き荒れる。
迫るオブリビオンマシンも絡繰りも。すべてが小枝子にとっては等しきものであった。マイクロミサイルの爆風を乾坤圏が吹き飛ばすようにしながら飛翔し、『イカルガ』の動態を射抜く。
「何もかも『哪吒』に似せたところで!」
『異界かぶれ馬鈞』は苛立つようにしてユーベルコードを手繰る。
手にした瓢箪型宝貝から次々と体内の温度を弄るからくりが繰り出される。触れられてしまえば、小枝子の体内の温度は上昇させられ、水分という水分が沸騰させられてしまうだろう。
だが、小枝子は叫ぶ。
「奴も、貴様も越えて、我等は穿とう!!」
小枝子は『哪吒』以前の問題であるという。
そう、これは穿つための戦いである。『異界かぶれ馬鈞』の背後にある『南蛮門』。内部にひしめく魔獣たちを解き放たせはしないためにこそ、小枝子は踏み込む。
穿つ、と言ったのはそういうことだ。
吹き荒れる炎が撃破した『イカルガ』と絡繰りを溶かしながら束ねていく。
それは燃堂力に寄って強引に生み出されたものであり、巨大な腕のようであった。小枝子の闘争心に比例するようにして膨れ上がるそれは、巨大な質量となって振り下ろされる。
砕けて散る軍勢の破片を『異界かぶれ馬鈞』は見ただろう。
「なんという……!」
「壊せ、この生命を、戦禍を、穿て!!!」
炎が吹き荒れるつかみ上げた抗体兵器。
回転する輪。
呪詛が満ちる。戦場に戦いを憎しむ心が満たされていく。
戦いのなかにあって、戦い、壊すことのできぬ悪霊が叫ぶ。争いの全てが憎いと。己の存在意義でありながら、それを否定するように破壊を齎す巨腕を『異界かぶれ馬鈞』は見た。
「『哪吒』を模したのではない……これは! 破壊の化身そのもの!」
「そうだ! 自分は! 超えていくと言った!」
再度振り下ろされた一撃がオブリビオンマシン『イカルガ』の軍勢ごと絡繰りを叩き潰す。
叩き潰され、大地に激震走る最中『異界かぶれ馬鈞』は見た。
「越えた先を見据えぬ貴様には!」
小枝子の姿があった。
二振りの火尖槍型抗体兵器を握りしめ、踏み込んでくる小枝子の姿。それは確かに『??』に酷似していたもののように彼女には思えただろう。
小枝子は『異界かぶれ馬鈞』が己の一撃を躱すだろうと思っていた。
故にさらに踏み込んだのだ。
一歩前に踏み出すためには、いつだって前を向かねばならない。
過去の栄華も関係ない。あるのは暗がりの如き見通せぬ未来こそが、己の踏み込む場所であると示すように猛火あふれる風火輪の勢いに押されるようにして小枝子の槍の穂先が煌めく。
凝縮された炎が伸びるようにして刃となって『異界かぶれ馬鈞』の喉元へと走る。
「……――見事」
その一撃が『異界かぶれ馬鈞』の喉元を貫き、そして振り抜かれた瞬間、その首が刎ね飛ぶのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
第2章 冒険
『『南蛮王』を撃退せよ』
|
POW : 苛烈に攻め立て、南蛮王の軍勢を後退させる
SPD : 超強大な魔獣の僅かな隙や弱点を突く
WIZ : 計略で敵の動きを誘導する
|
『南蛮門』を守護していたオブリビオン『異界かぶれ馬鈞』を打倒した猟兵たちは、彼女が霧散した奥を見つめる。
そこにあったのは超次元の渦。
かつて『南蛮仙界』ごと封印された『南蛮王』と呼ばれる魔獣たちの咆哮が轟いている。
その咆哮だけで知ることができるのは、それらが圧倒的な力を持つことである。嘗て『神農兀突骨』と呼ばれたオブリビオンとの対決を知る猟兵は、あの強大なる魔獣が一体ではないことを知り、これを解き放てば人界が瞬く間に滅びることを予感する。
「オオオオオオ――
!!!!」
咆哮が轟き、『南蛮門』より『南蛮王』の一体が踏み出す。
巨体故に狭き門より這い出すのに時間が掛かるのだろう。複数であれば手の施しようがないものであったが、『南蛮門』が閉じるまでこれらを打倒し続け、留めることができれば、人界の滅びの憂き目を回避することができるだろう。
しかし、それが容易ではないことは言うまでもない。
封じられた怒りに満ちたかのような咆哮が今だ『南蛮門』の向こう側に満ちている。
這い出した『南蛮王』の一体は震える巨躯でもって、まるで岩山そのものが頭上より降りしきるかのような一撃をもって大地を震わせ、その圧倒的な力でもって相対する者全てを滅ぼさんと力を振るうのであった――。
儀水・芽亜
超次元の渦を越えて、南蛮王たちが渡ってくるというなら、ここで止めましょう。
長期戦です。少しでも長く戦うために。
「結界術」「全力魔法」深睡眠の「属性攻撃」「霊的防護」でサイコフィールドを展開。
私の領域に入り込んできたものから、眠らせて「切断」による「部位破壊」で首を落としてしまいましょう。
たとえ眠らずとも、この領域に入った以上は動きが鈍るは必至。その程度なら、「見切り」「軽業」で身をかわし、「早業」でアリスランスの「カウンター」を放ちましょう。
韓信大将軍もどこかにいるはずですが、今はまだ彼に気をとられている場合ではありませんね。
ここから先へは行かせませんよ、南蛮王!
迫る敵の巨大さは、恐れすら抱かせるものであった。
『南蛮王』――魔獣とも言われる圧倒的な力の権化じみた存在。それは嘗て『神農兀突骨』の下半身に融合していた暴威を知るのならば、恐るべき敵であることは論ずるに値しないものであった。
しかし、その恐れで猟兵が立ち止まることはない。
死はいつだって隣り合わせだ。
青春の日々をそうして過ごしてきた儀水・芽亜(共に見る希望の夢/『夢可有郷』・f35644)にとって、現れた『南蛮王』の力の巨大さは、青春時代を想起させるものでしかなかったのだ。
「超次元の渦を越えて、『南蛮王』……貴方達が渡ってくるというなら、此処で止めましょう」
彼女の瞳には決意が在った。
純然たる決意。
長引く戦いであることはすでにわかり切っていたことだ。
国士無双『韓信大将軍』が何の策もなく己達を座して待つことなどありえない。この戦いの一秒一秒が時間稼ぎであることを芽亜は知っている。
「ですが、此処で私達が倒されても水泡に帰すというもの。ならば、長く戦うためには!」
きらめくユーベルコードの輝き。
彼女を中心にして、鴇色の陽炎を纏ったドーム状の結界が広がる。
それは『南蛮王』をも包み込むサイコフィールド。
陽炎揺れる光景に『南蛮王』の一体は、『南蛮門』より這い出した直後、一歩を踏み出しただけで膝を折るようにして崩れる。
そう、芽亜のは夏は強烈な睡魔。
それによって『南蛮王』は暴威を振るう以前に、その眠りに寄って膝を折ってしまったのだ。
「やはり魔獣とて生物……ならば眠りもまた存在するもの!」
芽亜は手にしたアリスランスの一撃を『南蛮門』に叩き込む。
其の一撃は巨象に蜂の針を突き立てるようなものであったが、しかし芽亜は『南蛮王』と戦える、という確信、その感触を得る。
「グオオオオ……!」
アリスランスの一突きによって目覚めた『南蛮王』であったが、再び睡魔に寄って眠りに落とされる。
消極的な戦い方であると言われるかもしれない。
けれど、芽亜にとってこれが最良であった。己の消耗無く、されど巨大な『南蛮王』が超次元の渦である『南蛮門』の前にかく座しているのならば、あとに続く『南蛮王』は出るに出られない状態であろう。
ならば、この門が閉じるその時まで、この戦場を維持するだけだ。
「ですが、この状況を『韓信大将軍』は必ず何処かで見ているはず……! 油断はなりませんが」
気を取られている場合ではない。
対する『南蛮王』である。気を抜いた一瞬で芽亜は己の生命がなくなることを理解している。
だからこそ彼女は宣言するのだ。
「此処から先へは行かせませんよ、『南蛮王』。私が此処にいる限り、あなたは一歩も前に進めぬと知りなさい――!」
大成功
🔵🔵🔵
アンゼリカ・レンブラント
この世界の過去の戦いについてざっくり学んだが
『神農兀突骨』並みの相手が続々とはね
人の世にしみ出す前にきっちり押し戻そうかな
震える巨躯の相手に真向から相対
おそらく蛮意を抑えられない相手だろうから、
攻撃を真向から受け、鉄拳と蹴りで
武器を落として反撃を加えようか
たいした膂力だが、お姉さんの体も頑丈でね
後の先を取り制する
これが《黄金戦姫式格闘術》というものだよ
超次元の渦の先に叩き戻してやろう
以後も勝負勘を生かし、
致命打を受けないようにしつつ腹筋を引き締め
自慢の体で受け、体術と功夫を生かして攻撃を入れ、
南蛮王達を叩き戻す
お姉さん1人の体を砕けないようでは、
人の世には来れないよ。渦の先で修練し直すといいさ
過去を知るということは『今』に連なる物事を知ることにも繋がる。
「『温故知新』というのだったか」
この世界の過去の戦い――猟兵たちが『殲神封神大戦』と呼ばれる大いなる戦いにおいて遭遇した未知なる敵『神農兀突骨』。
かの存在の下半身に融合していた魔獣。
それが『南蛮王』にして『兀突骨』と呼ばれる暴威であった。
確かにアンゼリカ・レンブラント(黄金戦姫・f38980)は、その魔獣達である『南蛮王』たちが脅威であることを知った。
だが、暴威を前にしてただ立ち竦むだけではないのだ。
知ったのならば、それを乗り越えるための方策に手を伸ばす。
動く。
己の手は恐怖にこわばることを知らない。
「人の世に染み出す前にきっちりと押し戻そう。それがお姉さんの役目だ」
アンゼリカは踏み込む。
他の猟兵のユーベルコードに寄って睡魔に落ちてはいるが、しかし眠りに落ちてなおその体躯に秘めたる力の強大さを知る。
睡魔より目覚めた『南蛮王』が咆哮する。
「グオオオオ!!!」
それは怒りなのか。それとも憎悪なのか。
アンゼリカには判然としなかったが、大気を震わせるほどの咆哮を前に、彼女は己のなかにある蛮意を抑える事ができなかった。
一歩踏み込むだけで、『南蛮王』の巨体は凄まじい圧力となってアンゼリカを轢殺せんと迫る。
「なるほど。たいした膂力だが、お姉さんの体も頑丈でね」
巨体を前にアンゼリカは真っ向から受け止める。骨身がきしむ。
されど、彼女の体は巨体にすり潰されない。『南蛮王』は困惑しただろう。
道に転がる小石に己の歩みが止められることなどない。あっていいはずがない。されど、その小石はただの小石ではない。
そう、それはアンゼリカという路傍の石ではないのだ。
「黄金戦姫式格闘術(アンゼリカ・スペシャル)――……おねーさんはそう名付けている」
黄金戦姫アンゼリカ、それが彼女の異名である。
鎧以上の硬度にまで鍛え上げられた肉体。
それによって『南蛮王』の突進を受け止めた彼女は、握りしめた拳を振りかぶる。
「超次元の渦の先へと叩き戻してやろう」
巨体を相手にするのは慣れている。
何せ、エンドブレイカー世界の荒野には巨獣が今でも闊歩しているのだ。故にアンゼリカは振りかぶった拳を『南蛮王』へと叩き込み、『南蛮門』へと押し戻すのだ。
「――
!?!?」
困惑する咆哮を上げる『南蛮王』を前にアンゼリカはさらに踏み出す。
己の腹に力を込める。
丹田。
それは体の中心である。
腰。
それは躰の要である。
ならばこそ鍛え上げられたアンゼリカの肉体は黄金率の如き洗練さでもって強靭なる脚部の蹴り上げでもって己の体躯を弾丸のように『南蛮王』へと走らせ、その鉄よりも固き拳を振り抜く。
「『南蛮王』、お姉さん一人の体を砕けないようでは、人の世には来れないと知るが良いよ。渦の先で修練しなおすといいさ」
放たれた拳は『南蛮王』の巨体を『南蛮門』へと叩き返し、凄まじい衝撃は風となって人界に波紋のように広がっていくのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
風車・拳正
さて、第2ラウンドだな。…話には聞いちゃいたが、さっき以上に数が多いな
(とはいえ、怖じ気づく訳にはいかない。何たってこっちは放っておいたらこの世界に大きな被害をもたらすからだ)
……先の事を考えてばかりいる奴に今を越えることは出来ない、か
……いいぜ、なら、全力でやるだけだ(何処からか、仮面を取り出してーー被る)
うおおおぉーー! ……それじゃ、ルール無し、最後まで立ってた奴が勝ちの、試合と行こうぜーー!
勝者の仮面を被って奴等と戦う。これを着けた自分で言うのも何だが……容赦ねえぜ!【バーサク、威圧】
元からないかもだけどな!
殴って、殴って、殴るだけだ!うおおおお!!【連続コンボ、捨て身の一撃、衝撃波】
『南蛮門』を巡る戦いは激化していく。
咆哮が轟いている。それは封ぜられた怒りか。それとも憎しみか。
いずれであったとしても、その咆哮の主を人界へと踏み出させるわけにはいかないことだけは確かだった。
魔獣。
『南蛮王』。それこそが咆哮の主にして、破壊と破滅を齎す存在である。
「……話には聞いちゃいたが、さっき以上に数が多いな」
風車・拳正(衝撃の鉄拳・f41386)は超次元の渦、『南蛮門』の奥にてひしめく魔獣たちの気配を感じ取る。
あれだけの数が溢れ出せば、自分たちにはどうしようもない状況になることだけは確かだった。
人界の滅亡。
今まさに猟兵たちの双肩にかかっているのだ。
怖気づいている暇などない。
世界の破滅。それを防ぐためにこそ己は猟兵として覚醒しているのだから。
「……先のことを考えてばかりいるやつに今を越えることは出来ない、か」
自らの生命のこと。未来のこと。
それを想像し、考えることができるからこそ、多くの可能性を見出すことができる。
けれど、それらをかなぐり捨てなければならないときが来ているのだ。
「それが今だってんなら……いいぜ、なら、全力でやるだけだ」
拳正は仮面を取り出す。
勝者でありながら最初から敗北している者。
運命が決定づけられているというのならば、その終着点までの経過こそ、己の本分であると示すように拳正は仮面をおもむろにかぶる。
「うおおおおぉ――!!」
咆哮する。
『南蛮王』の咆哮に相対するように、己のなかにある獣性めいた咆哮を迸らせる。
野生にルールは不要。
そこにあるのは最後に立っていたものが勝者であるという証明。
それだけだ。
単純なことだ。これは結局のところ生きるか死ぬかの二択でしかない。ならば、己は何をすべきか。
「……容赦しねぇぜ!」
踏み込む。
己の拳は最早、理の外にあるものだった。
叩き込み、打ち据える。単純な動作。けれど、単純であるということは最速であるということだ。
止まらない拳は『南蛮王』の巨体へと叩き込まれる。
吹き荒れるような巨大な質量が一撃で数多の連打を覆す。けれど、拳正は立ち止まらない。止まれば己の敗北が決定づけられると理解している。
それ以外は要らない。
理性など必要ない。
「殴って、殴って、殴るだけだ!」
血潮があふれる。
筋繊維が引きちぎれ、骨がきしむ。折れた、と理解しても塗りつぶす凶暴性が走る。
折れた拳で『南蛮王』の巨体を打ち続ける。
砕けたのならば、握り込めば良い。
ここに勝者はいない。敗者もいない。
あるのは純然たる生存本能のみ。その拳は示す――。
大成功
🔵🔵🔵
董・白
【心境】
「あの兀突骨と同格の魔獣…。」
これを世に解き放つわけにもいきません。
ここで殲滅いたします!!
【行動】
判定:WIZ
宝貝「十絶陣:紅水」を発動します。
南蛮門から解放された魔獣を新たな迷宮へ閉じ込めます。
これも時間稼ぎでしょうが、無作為に逃げられることはないでしょう。
さて、出口に陣取り、『龍脈使い』の術で地脈から迷宮内の魔獣の位置を『情報収集』
魔獣が出口へ現れるタイミングを計り、『破魔』の『道術』を込めた霊符を『投擲』あるいは、『武器巨大化』の術で長大化した化血神刀で現れた魔獣を撃破します。
『殲神封神大戦』――それが封神武侠界にて勃発した大いなる戦いであることを董・白(尸解仙・f33242)は知っている。
そして、必殺剣ユグドラシルブレイドを操る『神農兀突骨』の強大さも。
「あの『兀突骨』と同格の魔獣……」
それが超次元の渦、『南蛮門』の奥にてひしめいている。
『南蛮仙界』ごと封じられたという魔境と魔獣。
咆哮が轟いている。
「グオオオオ
!!!!」
門より這い出した一体を猟兵たちは、そのユーベルコードの輝きで持って押し止めた。巨体であったことが幸いしているおかげで、今だ数が溢れ出すことはなかったが、一体を打倒すれば、そのまま新たな魔獣『南蛮王』が這い出すだろう。
完全に『南蛮門』が閉じるまで、猟兵たちはこの場に留められているのだ。
「策略に乗ってしまった感は否めませんが、これを世に解き放つわけにもいきません。ここで、殲滅いたします!!」
白の瞳がユーベルコードに輝く。
手にした宝貝。
自身はあまりこれを使いたいとは思わない。
金鰲派の宝貝のものであるからだ。だが、今は己の好みを言っている場合ではない。
「宝貝「十絶陣:紅水」(パオペイジュウゼツジンコウスイ)!」
白の宝貝が展開する。
それは迷宮を生み出し、『南蛮王』を瞬く間に取り込んでいく。
戸惑いよりも先にまた封じられるのかという怒りが咆哮に乗り、白の体躯を震わせる。大気を震撼させるほどの感情の発露を感じ取り、白はしかしてたじろぐことはなかった。慄くこともなかった。
「ええ、恐れるに値しません。呆れるほどに強烈なのは理解していますから……さあ、この迷宮の中、紅水の霧の中で溶け落ちていくがよいでしょう」
白の言葉と共に迷宮に封じられた『南蛮王』の体躯にまとわりつくのは霧であった。
紅水。
血の色をしたそれは、『南蛮王』の体躯を溶かしていく。
苛立つように『南蛮王』は咆哮し、迷宮を破壊しようとするが、それができるほど白の宝貝はやわではない。
迷宮を生み出した時点で『南蛮王』は脱出が困難になっていた。
出口は確かにある。迷宮であるがゆえに。
けれど、白は出口に陣取り、竜脈をたどる。
「今だ迷宮の中心。どれだけ強大な力を持っていたとしても、破壊できぬ迷宮の中では『南蛮王』と言えど自由に移動することはできない」
白は己の道術でもって霊符を強化していく。
もしも、この出口へと『南蛮王』が現れたのならば、これを撃滅せねばならないからだ。
しかし、彼女の心配は杞憂でしかなかった。
『南蛮王』にこの迷宮を突破することはできない。出口を見出すこともできない。
何故ならば、酸性を帯びた霧は『南蛮王』の巨体であれど確実に溶かしていくからだ。
よしんば此処にたどり着けたとしても。
「私の化血神刀が切り倒してくれましょう」
巨大化した刀身を携えた白がいる。
人界の地を破滅で彩らせはしないと言わんばかりに白は、宝貝を維持しながら『南蛮王』を封じ続けるのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
厳・範
さて、逃がすわけにはいかぬな…。
花雪、しっかり捕まっておれ。
花雪「はい!」
というわけで、UCを使って轢いていくことにしよう。
そうして、あの南蛮王の軍勢を押し込んでいく。そうでなければ、人界が大混乱するであろうからな…。
花雪「そうですね…。あ、隙あらば私も雷公鞭で雷撃で痺れさせていきますね!」
頼む。だが、無理はせぬようにな。
本命は、この先であるからな…!
『南蛮門』に魔獣の咆哮が轟く。
その咆哮を何処か懐かしむ厳・範(老當益壮・f32809)は、『神農兀突骨』のことを想起したのかもしれない。
『神農兀突骨』の下半身に融合していた魔獣。
ありあまる巨体。
あの強大さは鮮烈であったことだろう。強大過ぎるがゆえの力。
そして、それ故に『南蛮仙界』ごと封じられたこともまた彼には理解できることであったかもしれない。
自然という世界において人とは弱者だ。
だからこそ守らねばならない。けれど、守らねばならぬ弱者であれど、強者を追いやることができないわけではないことを示す事実が『南蛮王』たちの存在であった。
「人と仙人。人だけでは為し得ぬ。仙人だけでも為し得ぬ。強者だけでは立ち行かぬ。弱者の力もまた束ねるがゆえに生み出される変化という時流に乗れなかった獣たちよ」
範は駆ける。
此処において、戦場は限定される。
超次元の渦『南蛮門』より『南蛮王』たちを溢れ変えさせるわけにはいかない。
もしも、彼等が溢れ出せば人界は瞬く間に滅びるだろう。
「『花雪』、しっかり掴まっておれ」
「はい!」
背に追う『花雪』と共に黒麒麟へと変化し、雷雲を纏いながら一気に戦場を駆け抜ける。
雷鳴轟く間に踏み込む。
魔獣『南蛮王』の眼前に躍り出た範は迸る雷撃と共に『南蛮王』を打ち据える。
だが、浅い。
いや、範の放つ雷が弱いというわけではないのだ。『花雪』の打ち据える宝貝もまた強烈だった。
しかし、それでも『南蛮王』の巨体は雷を寄せ付けぬと言わんばかりに巨体を振るうのだ。
「なんたる」
「すごい力です! これが……!」
体を痺れさせようにも宝貝の雷では出力が足りないのだろう。しびれなどないに等しいというように『南蛮王』は咆哮する。
されど、諦めるわけにはいかない。
幸いにして『南蛮門』より『南蛮王』は一体ずつしか踏み出せないようだった。巨体が仇となっているのは言うまでもない。
これまでも数体の『南蛮王』を猟兵は打倒している。ならばこそ、超次元の渦が閉じるまでの間、これを『南蛮門』のそばで押し止めなければならないのだ。
「やれるか、『花雪』」
「はい! このために私は修業を重ねてきたですから」
「頼む。だが、無理はせぬようにな」
範は黒麒麟の姿で雷雲を生み出しながら駆け抜ける。止まらない。立ち止まっては居られない。
なぜなら、本当の戦いはこの先。
国士無双『韓信大将軍』との対決にあるのだから――。
大成功
🔵🔵🔵

メンカル・プルモーサ
…だいぶ大きいなあれ…しかもあれが1体だけじゃ無いと来た物だ…
…巨体過ぎて門に突っかかるのは幸いだね…
…さて…まずは現影投射術式【ファンタスマゴリア】で魔獣の前に巨大な怪物の幻影…スカドラさんで良いか…黙ってれば強大に見えるし…を作ろう…
魔獣が立ち向かおうとしたところで…遅発連動術式【クロノス】の印を刻んだ銃弾を術式装填銃【アヌエヌエ】で発射…
…着弾した魔獣に【想い転ずる妖硬貨】によるコインを貼り付けるよ…
…魔獣は無意識に逆の行動…つまり幻の怪物に立ち向かおうとして逆に後退する…
…これで後続の魔獣とぶつかって暫く進行は出来なくなる…あとはUCの効果をONOFFして良い感じに攪乱しよう
「……だいぶ大きなあれ……」
咆哮する巨大な魔獣『南蛮王』。その威容にメンカル・プルモーサ(トリニティ・ウィッチ・f08301)は、その瞳を見開く。
しかも、あの『南蛮王』は一体だけではない。
これまでに猟兵たちは数体の『南蛮王』を打倒していた。しかし、一体が倒れれば、その道を、『南蛮門』を塞いでいた巨体を押しのけて新たな『南蛮王』が踏み出してくるのだ。
一体だけではないのだ。
強大な力を振るう魔獣をやっとの思いで倒しても、新たに現れる。
超次元の渦である『南蛮門』が完全に閉じるまで猟兵たちは、この場から離れられない。
「……巨体過ぎて門に引っかかるのは幸いだね……けれど、『韓信大将軍』の時間稼ぎに付き合わされている……」
『韓信大将軍』の求めるは時間である。
『封人台』を他の世界に飛ばすための方策。それは時間稼ぎしかない。故に、こうして猟兵たちに人界と天秤に掛けさせたのだ。
「……そうはさせない」
メンカルの術式が展開する。
幻影を生み出す術式に寄って『南蛮王』の前に、彼等と同じように巨大なる怪物の現遺影を生み出すのだ。
如何に強大な魔獣とて、本能しかない。
そこに理性ないがゆえ、そして、同時『南蛮王』は封ぜられていた怒りと憎しみにかられている。強烈な感情は確かに力へと変わるだろう。
けれど、時に眼を曇らせる。
幻影を幻影として見ることができなくなってしまう。
「グオオオオ!!!」
怒り心頭という表現がしっくり来るほどに『南蛮王』は幻影へと突っ込む。
だが、それは幻影でしかない。
実体無き影に突っ込もうとした瞬間、メンカルはさらなる術式を展開する。
術式装填銃より放たれた弾丸は、術式を込められ『南蛮王』の体内へと埋め込まれる。
「儘ならぬ心よ、変われ、逆らえ。汝は反転、汝は心変。魔女が望むは思えど叶わぬ裏表」
瞬間、メンカルは妖怪メダルを投げ放つ。
それは妖怪『うらはら』の描かれたメダルである。
其の力は無意識に思考と逆の行動を取ってしまうというもの。
「グオオオオ
……!?」
『南蛮王』はおかしいと思っただろう。いや、おかしいと思っても己の行動を修正できない。目の前の幻影へと立ち向かおうとして、何故か自身が後退していることに気がついたのだ。
しかし、前進しようとすればするほどに何故か、『南蛮門』へと後退して行ってしまうのだ。
「……無駄だよ。前に進もうとすればするほどに、その想い転ずる妖硬貨(リバース・マインド)は、真逆の行動を取ろうとする。なまじ本能があるせいで、キミはもう前に進めない」
目の前に敵がいると理解している以上、後退など『南蛮王』にはないのだ。
故に、進めない。
一歩も前に進めず、『南蛮門』の奥へと後退していくしかないのだ。メンカルはたった一枚の妖怪メダルだけで強大な魔獣『南蛮王』を退けるのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
朱鷺透・小枝子
断て、壊せ、壊れろ』
『壊れろ!南蛮王!!』
『燎原の劫火』発動。人工魔眼を限界まで稼働させ、【念動力】を伸ばし、破壊された周囲の絡繰り、イカルガ達を更に集め、束ね、禍集壊腕再鋳造。
迫り来る南蛮王の巨体を禍集壊腕で受け止め、【怪力】で南蛮王を抑え、【カウンター】
二槍の火尖鎗型抗体兵器を振るい、防護無視【2回攻撃】【早業追撃2回攻撃】伸ばした炎の刃で【切断】肉を断ち、その躰を【焼却】燃やす。
『…壊せ!壊れろ!!南蛮仙界!!!』
【エネルギー充填】燃やした南蛮王の生命を薪に抗体兵器の呪殺力活性、火力増強!
【推力移動】己が【闘争心】の劫火を推力に、南蛮王目掛けて二槍を【投擲貫通攻撃】
『穿て!!!全て、壊れろォオオオ
!!!!!』
南蛮王を貫き、生命喰らう呪いの炎を放火。
南蛮門の奥、南蛮仙界まで炎と、その巨体を【吹き飛ばし】
燃やし、殺し、南蛮仙界へ【恐怖を与える】
奴らが怒りを向ける先にどんな者たちがいるか、心胆に知らしめてやる。
瞳の奥が赤熱する。
視界が真赤に染まる。それが炎の色であることを朱鷺透・小枝子(亡国の戦塵・f29924)は知っていただろう。
己の人工魔眼。
その限界性能まで稼働することによって出現するの熱。炎。それが立ち上る。それが如何にしても己の体躯への負担を強いるものであることは明らかであったし、避けようのない痛みが脳を引き裂くようであった。
だが、それでも。
「断て、壊せ、壊れろ」
念じるように小枝子はつぶやく。
いや、叫ぶ。
「壊れろ!『南蛮王』!!」
ユーベルコードが煌めく。
そこにあったのは、燎原の劫火(マージナル・ユースレス・レックレス)。
目の前に如何に巨大な魔獣が立ちふさがるのだとしても、小枝子は止まらない。
限界の天頂へと至った人工魔眼のちからの発露は、燃堂力で持ってこれまで戦ってきた『異界かぶれ馬鈞』の繰り出してきた絡繰りの残骸や、オブリビオンマシン『イカルガ』の残骸さえも束ねるようにして巨大な腕を生み出した。
天を衝くかのような巨腕。
それは『南蛮王』の巨体をも凌ぐ巨大さであった。
「グオオオオ
!!!!」
咆哮が轟く。
己よりも巨大なる腕を前にして『南蛮王』はひるまない。
わかっていたことだ。巨体が、その巨大な質量を笠に着るようにして小枝子へと突っ込んでくる。
激突する巨大な腕と『南蛮王』。
軋み、砕ける腕。だが、小枝子の瞳は燃える。燃えている。
「壊れろ」
壊れた端から念動力が巨腕を縛るようにして、添え木を生み出す。
「壊れろ!」
「グオオオオ!!!」
巨腕が砕けていく音がする。
だが、それでも小枝子は巨腕でもって『南蛮王』の巨体を押し止めるのだ。砕けた腕はもう構わなかった。
巨腕を勝ちあげるようにして巨体が小枝子へと迫る。
けれど、小枝子の瞳は輝いている。
念動力が光の渦を生み出すようにして、かち上げられた巨腕をつかみ上げ『南蛮王』の頭蓋を叩き割るようにして叩きつけられる。
「――ッ!?」
大地に叩き伏せられるようにして『南蛮王』が膝を折った瞬間、小枝子は踏み込む。
二振りの槍。
火尖槍を模した抗体兵器が炎を巻き上げながら小枝子は『南蛮王』の巨体、其の首元へと飛び上がる。
「壊れろ!!」
振り抜いた一撃が『南蛮王』の首を寸断し、其の巨体を炎で燃やす。
さらに抗体兵器たる火尖槍を模した槍は炎でもって遺骸を滅却しながら、炎へと変じていく。炉にくべるように。焚き火に薪をくべるように。
己のなかに渦巻く呪いに、呪詛に。
膨れ上がる熱量に己の体躯が灼熱に晒されても構わなかった。
己自身の皮膚を焼くほどの火力を手にした小枝子は、己の手にした火尖槍を振りかぶる。
「穿て!!! 全て、壊れろォオオオ!!!」
咆哮と共に『南蛮門』より新たに這い出そうとしていた『南蛮王』毎、火尖槍の極大にまで膨れ上がった炎の槍が投擲される。
巨体を吹き飛ばし、貫通し、さらには『南蛮仙界』の向こう側に未だひしめく『南蛮王』の巨体すらも貫きながら、その炎の槍は突き進んでいく。
燃やし、殺し、殲す。
それが己という恐怖の名であると知らしめるように小枝子は炎を手にしながら、人工魔眼の煌めきを示す。
「お前たちの怒りを向ける先にいるのは、自分だ。理解したか、『南蛮王』! その心胆に刻み、知るが良い。これがお前たちの怒りの矛先を受け止める者の姿。その炎だ」
怒りも憎しみも、その咆哮の如き叫びに、炎に塗りつぶされる。
それを示すように小枝子は、臨界を迎えようとする人工魔眼に灯した炎でもって『南蛮仙界』の先を睨めつけるのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
紅月・スズ
うずうず…!アナタ強そうアルね!
よーし、いざ勝負あるヨー!!
『風蹴爪』で空気の流れを掴んで風に乗り、空中を駆けて接近するアル
接近したら【千転万化拳】!
闘気を帯び、炎を纏わせた『轟炎掌』での正拳突き、
『風蹴爪』による疾風を共に放つ回転蹴り、
闘気を放出しての周囲に放つ衝撃波、や同じく気弾、
『掃天雷爪』化した腕で体のどこか掴んでマヒさせてからの壁や地面への叩き付け、
『大量の隠し武器』投擲による暗器攻撃、
おまけで噛みつき、
金的…できるアルかね?
…の複合連続攻撃アル!
モチロンどれか当たれば続けて怒涛の勢いでガンガン別の技につないで攻撃を続けるアル!相手の反撃の兆候は瞬間思考力と見切りで対応するアルね!
『南蛮王』――その強大なる魔獣の威容を前にして人は恐れおののくだろう。
巨大なものは、それだけで恐怖という存在を示す。
人の生存本能が告げているのだろう。
これには勝てない、と。
だが、紅月・スズ(路上格闘僵尸娘・f32726)の心は裏腹にうずいていた。
目の前に強者がいる。
強大なものがいる。
それはともすれば、巨山を前にして心躍るような感触であったのかもしれない。
「うずうず……! アナタ強そうアルね!」
超次元の渦『南蛮門』より這い出した巨獣『南蛮王』を前にしてスズは見上げ、己の胸が踊るのを止められなかった。
大地を叩くようにしてスズの靴のつま先が音を立てた瞬間、彼女の体は空中へと駆け上がっていた。
空気を蹴り上げる。
それは不可思議な技のように思えただろう。
けれど、彼女は護業天象拳の伝承者である。天と地の気と理合して手繰る拳。ならば、大気もまた気であることは言うまでもない。
故に彼女は空気を蹴るように、風に乗るようにして『南蛮王』の眼前へと踊りだすのだ。
「巨大であれど、その造りは獣と同じアルね!」
闘気が炎へと転じる。打ち込まれる正拳突きが『南蛮王』の眉間を穿つようにして叩き込まれる。
さらに襲撃が風を纏い、疾風の刃となって眼球を切り裂く。回転に寄って威力の上がった蹴撃はさながらカミソリのようであった。
「グルオオオ!!!」
其の痛みに怒り狂うように『南蛮王』の巨大な腕が振るわれる。
しかし、スズは放つ衝撃波でもって、其の一撃と真っ向から撃ち合う。吹き荒れる風。だが、その風すらスズは利用し、駆け上がっていく。
頭上を取る。
放つ気弾の一撃が『南蛮王』の頭蓋を打ち据え、その内部にあるであろう脳を揺らす。
たたらを踏むようにして『南蛮王』の巨体が揺れる。
「フッ……これぞ、変幻自在のワタシの拳」
空中から一気に『南蛮王』の背に乗ったスズは、その腕より伸びる雷の爪でもって、その強固な毛皮に覆われた皮膚へとアンカーのように突き立てる。
蜂にさされた程度にしか『南蛮王』には感じられないだろう。
だが、スズには十分だった。
「千転万化拳(ナンデモイイカラナグルアル)――即ち、巨体であれど、天地を合わせれば、即ち、逆転するも容易いアル!」
その言葉と共にスズは『南蛮王』の巨体の天地を入れ替える。
何が起こったのかわからなかっただろう。
そう、スズは今まさに『南蛮王』の巨体を掴んで転がして見せたのだ。
一瞬の回転。
それにより『南蛮王』は、その内臓が治められた腹部を天に晒す。
「おまけつきアル!」
大量に空よりばらまかれるは袖よりあふれる分銅。圧倒的な質量でもって降り注ぐそれは、『南蛮王』の腹部を圧迫し、痛烈なる殴打を与える。
「まだまだ行くアルよ! 金的……あるのかわからないアルが! アル! いや、ないアル!」
けれど、そんなことは些細なことだというように、急所たる腹部を晒した『南蛮王』へとスズは苛烈なる勢いで拳を叩きつけ、その衝撃でもって内部から『南蛮王』の内蔵を破裂させ、血の雨を降らせるのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
ロニ・グィー
アドリブ・連携・絡み歓迎!
いらっしゃーい!
歓迎するよ!盛大に!
でも玄関でお帰り願うけれど!
●ほいポンほいポン
南蛮王くんたちが門から出てこようとするところに[球体]くんをぎゅっとしていこう!
頭を出してきたところポン!頭を出してきたところでポン!
むむーーっけっこうハイパワー!
押し返す力に対抗すべくギャリギャリ回転する[ドリルボール]くんも投入して時間稼ぎだー!
まだまだーっ!と彼らが頑張る度に【第六感】でもろもろかいくぐって彼らの脳天にUC『神撃』でドーーーンッ!!ってしていこう!
これは…モグラ叩き!わーい楽しくなってきぞー!
さーまだまだいくぞーっ!!どんどんきなよーーーっ!!
超次元の渦『南蛮門』より溢れ出そうとしているのは巨大な魔獣『南蛮王』たちである。
彼等の咆哮は封じられた憎しみか、怒りか。
そのどちらであってもロニ・グィー(神のバーバリアン・f19016)にとっては関係のないことであった。
そう、なぜなら。
「いらっしゃーい! 歓迎するよ! 盛大に! でも玄関でお帰り願うけれど!」
彼は球体を操りながら『南蛮門』より這い出そうとする『南蛮王』の元へと叩きつける。
巨体であるが故に門からは一体ずつしか出てこない。
とは言え、『南蛮門』が閉じるまでの間、間断なく溢れ出すのだから、少しでも手を緩めれば人界に『南蛮王』たちが溢れ出してしまう。
そうなれば、もはや猟兵に止める手立てはない。
それほどまでに魔獣『南蛮王』たちの力は強大であったのだ。
「頭出してきたところをポン! 頭を出してきたところをポン!」
球体を投げ込むようにして叩きつけるが、しかし『南蛮王』は止まらない。
それどころか、球体を押しのけて門より這い出してくるのだ。
「グルオオオ――
!!!!」
咆哮が轟く。
忌々しげに睨みつけるような眼光がロニの体を貫く。
「むむ――っ、けっこうハイパワー!」
敵の強大なる力を前にロニは少し考える。
押し返す力が強いのはどうしようもない。
力で力に対抗しようっていうのは、あんまりにも芸がないことだとロニは頷く。なら、どうするべきか。
神の叡智はどのような解決策を見出すのか。
「簡単なことだよ! 力比べで勝てないのなら、技で勝つまでだよ! 人の歴史は技術の積み重ね! 失敗を積み重ねるからこそ、成功は頂に届くんだよ! じゃあ、がんばってドリルボールくん!」
ロニが放つは掘削球体であった。
表面に刃のついた溝が彫り込まれた球体が回転する。
それは『南蛮王』の体躯を削り取るようにして回転し、力で劣っていたとしても回転に寄るエネルギーの流動に寄って摩擦を生み出し、力押しではなく掘削する、という一点において『南蛮王』の強固な毛皮めいた体皮を削り取るのだ。
「グルオオオ!?」
痛みにあえぐ『南蛮王』がのけぞる。
それもそのはずだ。
如何に強大な力を持つ魔獣とて、刃が通るのならば痛みだってあるはずなのである。
そして、それで終わらないのがロニである。
「まだまだーっ!」
ロニは今だと飛び込む。
第六感が告げている。
今ならば、あの強固な毛皮めいた体皮も削れて脆くなっているはずだ。故に、と彼は飛び込む。
「もぐらたたきだー!」
振るうは神撃(ゴッドブロー)の一撃。
確かに彼の言う通り、もぐら叩きめいた様相であった。頭を出した『南蛮王』を掘削球体で削り、のけぞった所へと脳天の一撃で叩きのめすのだ。
だが、まだ『南蛮門』は閉じない。
「いいよいいよ! さーまだまだいくぞーっ!! どんどんきなよ――っ!! 高得点狙っちゃうぞー!」
ロニは戦うことより叩くことが楽しくなってしまって、テンションを爆上げしながら、『南蛮門』というもぐらたたきゲームに興じるように拳を振るい続けるのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
馬県・義透
交代『侵す者』武の天才
一人称:わし 豪快古風
武器:黒燭炎
はは、なるほど。わしに交代するは必定よな!
この南蛮王たちに立ち向かうは、わしが向いておるし!
霹靂に騎乗し、駆けるのは任せよう。
そして、わしはただひたすら!南蛮王相手にUC付きでを振るう!
まあ、具体的には横薙ぎしていくのだが。間合いある場合は突きもしよう。
うむうむ、当たればしばらく動けぬよな。
※
霹靂「クエッ!」
負けない!!その軌道を見切って避けて、義透おじーちゃんの攻撃が当たりやすいようにする!
超次元の渦『南蛮門』は漸くにして収束の兆しを見せていた。
とは言え、ここで気を抜くことはできない。
もし、一体でも取り逃がせば、それだけで災害級の被害が出ることは明白であった。それほどまでに魔獣『南蛮王』の力は強大であった。
「はは、なるほど」
馬県・義透(死天山彷徨う四悪霊・f28057)の一柱『侵す者』は頷く。
これは確かに自分でなければならないと理解する。
四柱の悪霊を束ねた存在である自分。
この己が表出する、ということは即ち、役割を分担した結果、己が適任である場であるということでもある。
それが目の前の巨獣めいた魔獣である。
「わしに交代するは必定よな!」
心が踊る。
強者との対峙に心が震えるのは、武士としての矜持か、それとも性であったか。
いずれにしてもやるべきことは変わらない。
炎纏う槍を構える。
立ち向かう、と考えたのはどれくらい振りであったことだろうか。
己よりも強者へと立ち向かうこと。
「『霹靂』! 往くぞ!」
その言葉に応えるようにヒポグリフが嘶く。
騎乗し、飛翔する『侵す者』をみさだめる『南蛮王』。
咆哮が迸る。
「グルオオオ!!!」
「おお、わしを強者と認めたか、名も知らぬ『南蛮王』よ! ならば、わしの一撃、受けきれるか!」
煌めくユーベルコードの輝き。
迸るは炎纏う槍の一撃。
それは単純で重い一撃であった。頭蓋、その眉間を狙った一撃は確かに『南蛮王』へと放たれた。避ける、という感覚すらないのだろう。
ただ受け止め、さばく。
それを示すように『南蛮王』は槍の一撃を受け止め、しかし、『南蛮門』へと吹き飛ばされる。
あの巨体を退けるほどの一撃。
まさしく、それは火のように(シンリャクスルコトヒノゴトク)苛烈なる一撃であったことだろう。
「ハハハッ! 受け切るかよっ!」
だが、それでも『南蛮王』は健在である。頭を振るように体を震わせると突進の一撃が迫る。
「クエッ!」
槍を放たれた頭蓋を鉄槌のように『南蛮王』は『侵す者』と『霹靂』へと圧倒的な質量で持って迫る。
凄まじい一撃だ。
障壁が砕ける。
大地に沈む体。割れた大地の破片が舞い散る中、しかして、『侵す者』の瞳は煌めく。
見据え続けるは、『南蛮王』であった。
「ッハハ! 此処までかよ! うむっ! ならばこそよ!」
高ぶる心があった。
腕の筋肉が断裂している。だが、それを霊障でもって握りしめ、固めるようにして槍を横薙ぎに振るう。
苛烈なる一撃は『南蛮王』を『南蛮門』へと叩き返す。
咆哮が轟く。
「猛っておるわ。だが、其方との決着は、またいずれであろうな」
『侵す者』は、『南蛮王』の咆哮を聞く。そして、そう告げるのだ。なぜならば、彼は見たのだ。
それは閉じていく『南蛮門』の光景であった。
刻限が来たのだ。
決着はつかず。
されど、人界の滅びは防がれた。
「先約を済ませるのでな」
そう告げ、『侵す者』は国士無双『韓信大将軍』との決戦に進むのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
第3章 ボス戦
『韓信大将軍』
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POW : 楽浪郡勇士集結
レベル×1体の【神器で武装した楽浪郡の勇士(異世界人)】を召喚する。[神器で武装した楽浪郡の勇士(異世界人)]は【他世界】属性の戦闘能力を持ち、十分な時間があれば城や街を築く。
SPD : 南蛮魔獣集結
自身の【召喚した、南蛮界の魔獣の軍勢】に【背水の陣】を宿し、攻撃力と吹き飛ばし力を最大9倍まで強化する(敗北や死の危機に比例する)。
WIZ : 三国武将集結
【偉大なる三国時代の武将達】の霊を召喚する。これは【生前に得意とした武器】や【韓信大将軍に与えられた『神器』】で攻撃する能力を持つ。
👑11
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「……神器持つオブリビオンを退け、『南蛮王』すらも退けるか。なるほど、確かに私の考えは正しかったようである」
国士無双『韓信大将軍』の背後には『封人台』がある。
他世界へと送り込むための儀式魔術【Q】を実行するには時を要する。
故に彼は時間稼ぎのための策を弄したのだ。
神器もつ大量の兵団を手繰る『異界かぶれ馬鈞』と『南蛮王』たち。
これら2つの術策をぶつけて猟兵達の力を削ぎ落としつつ、時間を稼ぐ。確かに己の天命は此処で尽きるのだろう。わかっている。だが、だからこそである。
「確かに猟兵、諸君らは傑物と呼ばれる類の戦士たちであろうよ。惜しむらくは、汝らがオブリビオンではないことであるが。しかし、時は十分に稼いだ。『濁業仙人』共よ、その力を示せ!」
『韓信大将軍』の周囲に現れるは、無数の『濁業仙人』たちであった。
大量のオブリビオンたち。
彼等に寄る包囲攻撃。一斉に放たれるユーベルコードの雨。
加えて、『韓信大将軍』は己のユーベルコードを『必ず先制攻撃』として放ってくるのだ。
二段構えの攻撃。
『異界かぶれ馬鈞』の手繰った異界オブリビオンマシン軍団の包囲攻撃以上の飽和攻撃に先制攻撃。
「この苛烈なる攻勢をどうしのぐ、猟兵! 国士無双たる我が力を前に膝を折るか。止められるか、六番目の猟兵――!」
風車・拳正
…普段なら言葉の一つでも返すんだが…流石にもう、言い返す体力もねえな(ビッグバン、仮面による消耗。そして敵の攻撃を受けてきた男の身体は当にーー限界だった。今立ってられるのは意地があるから、ただそれだけ)
(……とはいえ、此処までようやく来れたんだ。一発ぐらいはアイツに届かせたいもんだな。…もう少し動いてくれよ、俺の身体)
…一撃、一瞬に全て賭ける
敵の攻撃を【見切り、受け流し】でダメージを最小限で済ませ、体力の消耗を抑えつつ、敵の群れの隙間をすり抜けて韓信に接近する【視力、勝負勘】
最初に決めたんだ、アイツに、韓信をぶっ飛ばすってな、それまで倒れる訳にはいかねえんだよ…!【負けん気、気合い、限界突破】
「――止められるか、六番目の猟兵」
『韓信大将軍』のその言葉に風車・拳正(衝撃の鉄拳・f41386)は声を発することができなかった。
しなかった、というわけではない。
己の躰はどこもかしこもガタが来ている。
砕けた拳は、もしもこのまま握りしめることをやめたのならば二度と拳を作れないとさえ思えた。それほどまでに仮面による消耗は酷いものであった。
けれど彼の瞳は前を向いている。
砕けた拳も。
前身の肉という肉が悲鳴を上げているのだとしても。
それでも『止められるか』と問われた言葉に対して彼が取ったのはファイティングポーズだった。自然と出た構えだった。
愚直。
それもとびきり愚かな生き方だと笑う者だっているかもしれない。
「返す言葉もないか、猟兵。ならば、せめて楽浪郡に集う勇士によって生命散らすが良い」
その言葉と共に『韓信大将軍』は召喚せしめた武人に一振りの木剣を手渡す。
それはユグドラシルブレイド。
必殺剣と呼ばれた剣である。しかし、そこに必殺効果はない。
あるのは、ただ威力の高い武器であるということだけであった。
確かに拳正はボロボロである。
故に引導を渡そうというのだ。
「此処まで来たこと、その体で此処まで戦ったこと、称賛に値しよう。故に、これ以上醜態を晒すことを良しとはせぬ。せめて一太刀で切り捨てることこそ、勇士への手向け」
楽浪郡の勇士が走る。
同時に周囲を取り囲む『濁業仙人』たちの放つ雷が拳正へと迫る。
圧倒的な物量であった。
身を穿つ痛みは耐え難いものであった。
刹那たる最中に拳正はぼんやりと考えていた。
躰は動かない。限界である。
ここに在るのは己の意地でしかない。
自分でも解る。けれど、それでも。ぼんやりと。考えていた。
今わの際に。
いや、臨死に際して己の脳にある汎ゆる事柄が生存への道筋を探し始めている。そう、己の躰はまだ生きていたいと叫んでいる。
細胞のすべてが叫んでいるのを感じたことだろう。
迫る木剣の太刀筋を見やる。
流石は楽浪郡の勇士の太刀筋である狙い違わず己の首元を狙っている。
触れる首筋の感触に心が冷える。
けれど、それでも薄皮一枚掠めただけだった。
「何……?」
その姿を『韓信大将軍』は認めて眉根をひそめる。
だが、次の瞬間確信する。
「塗りつぶせ! やつの視界を全て!」
『濁業仙人』たちに告げる。けれど、それでも間に合わない。
今わの際に在って、極限の集中を見せた拳正は踏み込む。
雷が身を打つ。
痛みが走るが、関係ない。
「決めたんだよ。俺は、最初に。アイツに、『韓信大将軍』をぶっ飛ばすってな、それまで倒れるわけにはいかねえんだよ……!」
血反吐を撒き散らしながら拳正は数多のユーベルコードの最中をかいくぐる。
全てをかわせたわけではない。
だが、傷をいとわずに振るう拳。
その一撃は、ユーベルコードの輝きを宿し『韓信大将軍』の横っ面を捉える。
振り抜くは。
「意地故か!」
そうだ、と応えることは拳正には出来なかった。
けれど、確かな感触だけが、拳正のなかにあることだけが、真実であった――。
大成功
🔵🔵🔵
儀水・芽亜
お出ましですね、韓信大将軍。あなたの策謀、必ずや打ち砕いて見せます。
ナイトメアに「騎乗」し、アリスランスを構えて「騎乗突撃」「ランスチャージ」。
南蛮魔獣とは言え、韓信大将軍の直卒となれば付け入る隙を探すのは難しい。
しかし、アリアデバイスから「マヒ攻撃」の「歌唱」を流して、少しでも魔獣や濁業仙人たちの足を止めさせましょう。
その隙に魔獣たちの動きを「見切り」、その間を「軽業」dですり抜けて、韓信大将軍に迫ります。
抜けました!
大将軍、あなた自身は戦う術を持っておられないご様子。ここで討滅させていただきます!
韓信大将軍に向かって、最後の「ランスチャージ」をお見舞いします。
さあ、骸の海へ還ってください。
一人の猟兵の拳が『韓信大将軍』の頬を打ち据える。
吹き飛ばされながらも、オブリビオンとなっても国士無双である。彼は即座に体勢を整え、超次元の渦を掌に生み出すと同時に『南蛮門』より『南蛮王』を出現させる。
「やはりこの程度では止まらぬか、六番目の猟兵!」
「ええ、止まりません。この程度の軍勢を前にして後退を選ぶ猟兵は存在しません。『韓信大将軍』、あなたの策謀、必ずや打ち砕いてみせます」
儀水・芽亜(共に見る希望の夢/『夢可有郷』・f35644)は対峙する。
迫りくる大軍勢。
己をぐるりと取り囲む『濁業仙人』たちの瞳がユーベルコードに輝く。
降り注ぐは雷の雨。
凄まじいまでの物量。
さらに迫るは南蛮魔獣の群れ。後退の二字の無き背水の陣にて追い立てられるようにして芽亜へと迫る大波のような軍勢。
それらに付け入る隙はない。
あるのは決定的な事実のみ。
それは即ち、物量に寄るすりつぶし。ただ、それだけのために『韓信大将軍』は数多のオブリビオンを従え、猟兵を確実に抹殺するための選択をて取ったのだ。
「ただ一人の猟兵を前に大げさですね」
「いいや、諸君らを潰すのに大げさなことなど何一つあるまい。これは間違った選択ではないと私は言える」
故に、と慢心などなく。驕りなどなく。
ただ正しく時間を稼ぐためだけに放たれた攻撃が芽亜へと迫る。
走る。
ただひたすらにそれだけのことだった。
南蛮魔獣は圧倒的な質量で。『濁業仙人』たちの放つユーベルコードは物量で。
だが、芽亜は走る。止まれない。止まれば、即座に自身の生命はなくなるだろうと予見できたからだ。
だから、走る。
「歩みを止めぬか、これでも!」
「ええ、止まりません! ナイトメア・ランページ!」
ユーベルコードに輝き、芽亜は純白の白馬型来訪者『ナイトメア』を駆り、一気に迫りくる南蛮魔獣の群れを躱す。
空を駆け抜けるようにして一気に飛ぶ。
それは軽業のようなものであったが、しかし、芽亜と『ナイトメア』は一心同体である。故に人馬一体となった彼女は『韓信大将軍』へと迫る。
「抜けました! 大将軍、あなた自身は戦うすべを持っておられないご様子。ここで討滅させていただきます!」
「私は将だ。軍を率いてこそ将というもの。蛮勇は勇士に任せておけば良い」
「故に、此処で!」
躯の海へと還るが良いと告げるように芽亜のアリスランスの一撃が『韓信大将軍』へと放たれる。
彼のユーベルコードの全てが他者を指揮するものだった。
それゆえに、この囲いさえ抜けてしまえば芽亜は己のアリスランスが『韓信大将軍』に届くと判断したのだ。
それは正しいことだった。
国士無双とは、並ぶ者無しという軍略の天才たるを示す者。
ならばこそ、そこに無双たるは武の頂ではないことを示すものでもあったのだ。それ故に芽亜は渾身の力を込めてアリスランスの一撃を叩き込む。
「貫かせて頂きます――!」
大成功
🔵🔵🔵

メンカル・プルモーサ
…誰よりも早く先制してユーベルコードを放ってくる…
そのユーベルコードで軍団を作り出すのだから厄介と言うほか無いね…
…とは言えその厄介さを逆用するという手もある…
…ひとまず現影投影術式【ファンタズマゴリア】による濃霧の幻影とその中の自分の囮を出して時間稼ぎ…
…面制圧をしてくるなら一点を攻撃してくるよりは防御しやすいしね…
…そして【その符号、我が書中をあり】を発動して封魔の書で三国武将の攻撃を防御…武将軍団を吸収するよ…
…そして開放して軍団を制御下において攻勢に出るよ…
それでも軍略では敵うはずもないから…ここからは体勢を立て直される前に韓信を狙った一点突破で勝負を付けに行こう…
槍の一撃が『韓信大将軍』の体を貫く。
血潮が飛ぶ。されど、『韓信大将軍』の瞳がユーベルコードに輝く。
彼のユーベルコードはどれもが他者を呼び寄せるものであった。そして、その呼び寄せられる者たちの中には偉大なる三国時代の英霊の姿もあったのだ。
「『趙雲』! 長阪の戦いで見せた一騎駆けを見せよ!」
その言葉に召喚された英霊たる『趙雲』が白馬を駆りて『韓信大将軍』を抱えて、その場から逃れる。
逸話をもとにした力。
猟兵たちの元から逃れた『韓信大将軍』はさらに号令を放つ。
「『濁業仙人』よ! 猟兵を寄せ付けるな! 絶えずユーベルコードを浴びせよ!」
その号令と共に万雷の如きユーベルコードが降り注ぐ。
「……誰よりも早く先制するか……そして、そのユーベルコードで軍団を作り出すのだから厄介という他ないね」
メンカル・プルモーサ(トリニティ・ウィッチ・f08301)は息を吐き出す。
彼女は幻影によって濃霧の幻影と己の囮を生み出して時間を稼ぐ。
濃霧のなかに煌めくは『濁業仙人』たちのユーベルコードである。凄まじい勢いと数である。
特に『韓信大将軍』によって指揮される大軍というのは、正しく一個の怪物じみた力を持っていた。ひとかたまりであるということ。
そして、その一つ一つが群体へと変貌せしめることのできる力こそ、国士無双たる彼が如何に突出した戦略家であるかを示している。
「……妙だな。私を追わない猟兵がいる……いや、違うな。これは、この私に対して時間を稼ぐか! 僅かな一手を防ぐために!」
「……流石は国士無双。そこまで読み取られるとはね」
『韓信大将軍』はメンカルの方策を読み切り、『趙雲』をけしかける。
白馬は戦場を一気に駆け抜け、濃霧の中を切り裂く閃光のように、メンカルの囮すら切り裂いてみせたのだ。
「それは囮だ。確実に本体がいる。それを叩け!」
確実な指揮。
戦場の情報を全て読み解き、それを用いて理論を構築していく。千差万別たる情報をひとまとめにし、解決策を瞬時に打ち出す。
それが国士無双たる『韓信大将軍』の恐ろしさである。
確かに並の戦術家出会ったのならば、この時点で詰んでいたことだろう。
敗走は決定づけられていたはずだ。
だが、それは遅きに失する事柄であった。
「魔を掴む書よ、集め、封じよ、汝は封印、収奪。魔女が望むは写して記す封魔の書――三国時代の英傑を呼び出すユーベルコード、か。その符号、我が書中にあり(ユーベルコード・キャプチャード)」
次の瞬間、綿花類は手にした封魔の書を開放した瞬間、『趙雲』をそっくりまるごと吸収して見せ、次の瞬間、メンカルの傍らに白馬駆る『趙雲』を召喚してみせるのだ。
「……こちらのユーベルコードを吸収し、自身の手勢として手繰るか」
「……その通り……でも」
「我が軍略に叶うべくもないと理解している」
「……だから、一点突破を狙う」
互いの思考が合致する。
だが、『濁業仙人』では『趙雲』を止められない。此処に呼び出したのは三国時代における清廉なる勇士。
主君の子息を助けるために単騎で駆け抜け、なおそれを為し得た者。
軍中突破という点において、これに勝る英傑もまた存在し得ないだろう。故に。
「『趙雲』を呼び出した時点で、『韓信大将軍』、お前の軍略は天才であるが故にお前自身に降り注ぐものと決まっていたんだよ……」
その言葉を示すように『濁業仙人』の大軍を切り裂きながらメンカルの手繰る『趙雲』は駆け抜け、その槍の一撃を『韓信大将軍』へと叩き込むのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
紅月・スズ
おぉー、これまた随分揃えたアル!
でもワタシ、こういう経験欲しさに仙人やってるアルね!
いやホントの理由は忘れたけど!
風蹴爪で風に乗ってダッシュある!周囲の敵には気を読んで気配を感知、それを基に瞬間思考力で判断して動きを見切り、近くの相手なら『掃天雷爪』や『轟炎掌』で攻撃、囲まれたら『大量の隠し武器』の乱れ撃ちに紛らせて『焔天爆符』を放って気を送り込み爆破、と反撃しながら進むアルよー!
まあ多少の傷は負うだろうケド問題無いアル。この体が動かないなら別のモノを使えばいいだけアル!付近の無機物に封魂符をペタリ。仮の体で戦闘を続行、韓信まで無理やりにでも強行突破して、本人に一撃お見舞いするアルね!
視界を埋め尽くすは万の敵。
それはあまりにも想像を絶する光景であったことだろう。空には『濁業仙人』。地には楽浪郡より招来せしめられた勇士たち
その手にあるのは神器。
木剣の形をしたユグドラシルブレイド。必殺剣と呼ばれた当たれば必ず打倒する力はなくとも、その切れ味は言うに及ばず。
「おぉー、これまた随分揃えたアル!」
紅月・スズ(路上格闘僵尸娘・f32726)は、そのような光景を前にしてもなお、感嘆の声を上げる。
恐れではない。
胸が高鳴る。
己が求めていたのはこれであると言わんばかりであった。
「これだけの数を前にして恐れぬか、猟兵」
『韓信大将軍』の言葉にスズは頷く。
そのとおりだと。彼女の瞳に映るのは恐怖でもなければ絶望でもなかった。ましてや諦観ですら無かったのだ。
「ワタシ、こういう経験欲しさに仙人やってるアルね!」
苦難を前にして立ち向かうこと。
数多の英傑たちとの立ち合い。
そこに死という溝が横たわっているのだとしても、スズにとってそれはただ越えたものでしかない。
僵尸。
それが彼女。故に、死は彼女の前にあるものではなく、後ろにあるもの。
本当の理由はすでに忘れ果てた。
しかし、それが何の問題になるというのだろう。
大地を蹴る。否、風を蹴るようにしてスズは走る。迫りくる『韓信大将軍』の配下たる楽浪郡の勇士たちの木剣が迫る。
あれに触れてしまえば己は感嘆に寸断されてしまうであろうことは想像できた。
故に彼女は迫りくる勇士たちの必殺の一撃を流れる大気のゆらぎによって感知する。
一瞬の思考。
「流石は勇士たちネ! どれもこれも鋭いアル!」
だが、とスズは己の体躯をひねるようにして木剣の切っ先を躱す。
迫る彼等を雷手繰る爪の如き一層にて打ち据え、掌に集めた炎による空気の膨張に寄って吹き飛ばしてしまうのだ。
だが、空より天雷のごとく降り注ぐ『濁業仙人』たちのユーベルコードは雨粒を躱すことができなのと同じようにスズへと降り注ぐ。
「いったいアル! でも!」
天雷降り注ぐ中、手にした呪符が空へとばらまかれ、『濁業仙人』たちの躰の内にある気を操り爆散させる。
「やはり止まらぬか。猟兵。いや、僵尸たる娘よ。軍略を戦術で乗り越えんとする傑物よ!」
「いいえ、違うアル!」
『韓信大将軍』の言葉にスズは頭を振りながら踏み込む。
傷を追う。
血潮はすでにながれない。だが、身に刻まれた傷は、血を流さないだけで、確実に彼女の動きを阻害している。
「ならばなんとする!」
「ワタシを動かすは武術アル! 戦術でもなければ、軍略でもないアル!」
「動かぬ体でなんとする」
「動かぬのならば別のモノを仕えばいいアル!」
脱魂屍廻(マダマダヤレルアル)。それは手にした呪符でもって周囲に在る無機物……即ち、岩石であってもよいのだ。
巨大な岩に呪符を張った瞬間、それは仮のスズの体へと変貌せしめる。
「……己の体を……いや、魂魄を!」
「そうアル! 護業天象拳の使い手はそう簡単には死なんアル!」
岩石の体と共にスズは『韓信大将軍』へと踏み込む。
数多の敵の攻勢を受けきった彼女の体、それはこの囲いを強行突破するために必要なことだったのだ。
「前の躰の仇を討ってやるアルヨ!」
振るう拳の一撃が『韓信大将軍』の兜を叩き割るようにして鉄槌となるのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
アンゼリカ・レンブラント
傑物と評するか
真に強い者は相手を蔑むことなき者
油断出来ない相手だな
先制攻撃の楽浪郡勇士が集結するのは止められず
飽和攻撃はより勢いを増すだろう
けれどこのお姉さん、相手が強いほど燃えるんでね
真向から最短距離で韓信を目指す!
培った第六感と勝負勘を全開に降り注ぐ攻撃をなぎ払い、
あるいは武器受けし先へ進む
全ては凌げまい――だがこの体はどうかな
《クラッシュ成功!》攻撃を弾き先へ進む!
注がれる攻撃の衝撃と痛みは、
無敵の体の唯一の弱点、「疑念」を抱かせようとするだろう
だが後ろに守るべき人々がある限り心は揺れない
お姉さんの体はけして砕けないのさ!
無敵の体を維持したまま韓信の下へ辿り着き、
覇気全開の拳で粉砕するよ
猟兵の一撃が『韓信大将軍』の兜を割る。
砕けた兜の破片が飛び散り、血潮が舞い散る。すでに彼の躰は幾人かの猟兵に寄って傷が刻まれている。
それは圧倒的な軍略を手繰る将たる彼に猟兵のユーベルコードが届くという証明でもあったのだ。
「我が軍略の冴えは変わらぬ。だというのに、それでもなお迫るか、猟兵。やはり、惜しい。お前たちがオブリビオンではないことが。もしも、オブリビオンであったのならば、我が求める覇王の器たり得たであろうに。その傑物であるがことが今、私を追い詰めるか!」
彼の言葉と共に楽浪郡の勇士たちが木剣を携え、居並ぶ。
手にしているのは神器ユグドラシルブレイド。
必殺剣と呼ばれた効果は喪われておれど、しかし、勇士たちの技量を得れば、それは確かに必殺足らしめるものであったことだろう。
「我等のことを傑物と評するか」
敵を貶めるでもなく、ただ正しく評価する。
それが国士無双たる『韓信大将軍』の持ち得る最大であったのかもしれない。侮りなく、しかして驕りもなく。真を見据える力。それこそが軍略家として並ぶ者無しと言われた彼の才覚であったのだとアンゼリカ・レンブラント(黄金戦姫・f38980)と知る。
真の強者は他者を軽んずることはない。
故に油断できぬとアンゼリカの瞳が煌めく。
しかして、彼女の輝きを塗りつぶさんとするかのように空には『濁業仙人』たちの放つ万雷の如きユーベルコード。
そして、地には疾駆する楽浪郡の勇士たち。
飽和攻撃は、『異界かぶれ馬鈞』のそれを上回るものであった。
視界の全てに映るものは敵。
そのような状況にありてアンゼリカの心を占めるのは恐怖でも怯えでもなかった。
戦慄が走ったのは、果たしてアンゼリカか、それとも相対する『韓信大将軍』であったか。
「燃える……このお姉さんは、敵が強ければ強いほど燃えるものだ!『韓信大将軍』! その国士無双たる才覚に真っ向から当たらせて頂く!」
黄金が咆哮する。
流れる金の髪は一直線に楽浪郡の勇士、『濁業仙人』たちの放つユーベルコードの輝きへと突っ込む。
それはあまりにも無策たる行いであるように思えたのだろう。
だが、全てを躱すことはない。
いや、その必要性を彼女は考えていなかった。
全てを凌ぐなど、勇士たちを感じるつもりはない。どれだけの攻勢であっても傷を追わずに切り抜けることなどできないし、空よりは天雷の如きユーベルコードが降り注ぐのだ。
アンゼリカとて傷を追わぬ道理などない。
故に、彼女は受け止める。
「それは、砕く!」
己の体躯の内がきしむ。
アンゼリカは意識する。己の体躯。それを形成するものを。皮膚が泡立つ。そして、皮膚のしたの筋繊維が躍動する。筋繊維が包む骨が音を立てる。
それらの全てを認識しながらアンゼリカは己に迫るユーベルコード、神器の鋭さを受け止めて見せる。
それは即ち。
「無敵――!」
「このような烈士が存在したか! だが、如何な烈士と言えど、これだけの千の刃に耐えようとも万の刃を前に倒れるが必定! どこまで耐えるか、猟兵!」
受け止め続ける。
ただひたすらに受け止め、踏み出す。
必殺剣は此処に置いて必殺ではない。
「国士無双『韓信大将軍』よ、お前さんの方策、いや、術策は唯一つ。お姉さんが信じるお姉さんへの疑念を抱かせることのみ。だがな!」
アンゼリカは吠える。
「だが後ろに守るべき人々がある限り心は揺れない。お姉さんの躰は決して砕けないのさ!」
拳を握りしめる。
あらゆる攻勢を受け止めきったアンゼリカが『韓信大将軍』へと肉薄する。
無敵の躰。
自身を信じるということ。
他者から評されるのではなく、己を信じること。愚直めいたそれこそが、今まさに国士無双を乗り越える。
履き漲る拳の一撃が『韓信大将軍』を打ちのめすのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
朱鷺透・小枝子
【破壊工作】ディスポーザブル02招集
劫火の【念動力】で包囲攻撃を【なぎ払い】自身を禍集壊腕の巨腕で包み、サイキックシールドで覆い【オーラ防御】
【継戦能力】先制攻撃を耐えて、己が【闘争心】を燃やす。
人工魔眼限界稼働。奴を壊す為に、この軍勢を呑み込む為に、
燃えろ!
燃えろ!!
燃えろ!!!
【限界突破】
『カァ゛』
ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛
!!!!!!!!!
02融合真の姿化。『禍成贋』発動
【呪詛】劫火と壊腕に取り込んだ残骸たちを触媒に!
『大災害霊障』【焼却】溶鉄の濁流を戦場へと開放!!
武将達を灼熱濁流で【捕食】溶かし呑み、
【弾幕】溶鉄の弾雨で濁業仙人を穿ち、呪い溶かし、溶鉄の大津波を熾し
【狂気耐性】壊すべき敵を見据える。
こわれろ、カンシンンンン!!!!
火尖槍型抗体兵器を手に、噴き上げる水流に乗って【推力移動】
弾雨、大津波と共に敵陣を突破、韓信大将軍へ跳び掛かり【瞬間思考力】
【早業】で刃を突き込み大津波の【追撃重量攻撃】
沈み果てろ!大将軍!!
万軍が集結している。
ただ猟兵を討つために。いや、討つために、というのは語弊があった。これはただの時間稼ぎだ。ただの時間稼ぎのためだけに万軍を率いて『韓信大将軍』はことに当たる。
慢心はなく。
しかし、国士無双と呼ばれたがゆえの傲慢さはなく。
あるのはただひたすらに猟兵という存在にたいする己の才覚を頼みにしたものであった。
「我が軍略をも打ち砕いて進むか、猟兵。これが六番目の猟兵……! だが、この私も国士無双と呼ばれたもの。我が軍略は成し得て見せる。故に!」
招来せしめるは三国時代の英傑。
守りを固めるべきだと判断したのだ。
「『典韋』よ、その不倒たる戦いざまを持って、アレを止めよ!」
その言葉と共に招来された英傑『典韋』が大地を踏みしめ、『韓信大将軍』が示した存在をみさだめる。
それは天雷のごとき『濁業仙人』たちが放つユーベルコードの雨を受け止めながら『ディスポーザブル02』を集結させ、念動力で持って巨腕を手繰り寄せ己の身を包み込んだ朱鷺透・小枝子(亡国の戦塵・f29924)の姿であった。
サイキックシールドが砕けていく。
わかっている。
これで防げるほど万軍のユーベルコードは容易いものではない。
だが、それでも小枝子のなかには戦意がみなぎっていた。
あふれるほどの飽和攻撃のなかにあって、その雨のごときユーベルコードの輝きのなかにあってなお、消えぬ炎が彼女の瞳のなかにはあった。
「燃えろ!」
壊せ! と叫ぶ心が在る。
燃えろと念じる度に、壊せと叫ぶ何かがある。
人工魔眼が燃える。赤熱し、眼窩を焼き焦がす。血の涙が頬を伝う。それでもなお、小枝子のなかにあったのは怒りでもなんでもなく、ただ一つの意志。
破壊すること。
「
燃えろ!!!」
それは限界を越える駆動であった。
オーバーロード。
超克の輝きを解き放つ小枝子の咆哮が戦場に迸る。
否。
それは咆哮ではない。彼女の意志が発露しただけに過ぎないことであった。燃える体躯。燃える瞳。その燃える全ての源が破壊への意志であった。
停滞を是としない意志。
それによって小枝子は煌めくユーベルコードを宿し――。
「カァ゛」
禍成贋(ガゼイガン)。
すでに彼女の躰は異界。
死なず、狂える災害霊へと変貌しながら、全ての呪詛と炎、そしてこれまで集約してきた瓦礫の山を触媒に買えて霊障を迸らせる。
『濁業仙人』たちは慄くだろう。
おおよそ一個の器のなかに収まるものではない呪詛。
その煮詰めたかのような炎が濁流となって空に浮かぶ彼等さえも呑み込んでいくのだ。
放つ礫は、全てが溶鉄の塊。
炎が戦場を埋め尽くしていく最中、しかし濁流の中に立ちふさがる者の姿があった。
『典韋』――それは、悪来と呼ばれた怪力の持ち主。
だが、称賛すべきは其処ではない。
「流石は英傑。私を守るために一歩も退かぬか。その身を焼かれ、破壊の権化を前にしても!」
『韓信大将軍』の眼前で『典韋』は立ちふさがる。
守るべき者ではなくとも、語り継がれる物語は、そこに普遍性を顕にする。破壊の権化たる小枝子の炎を受け止めながら、しかし、一歩も退かぬのだ。
「――」
咆哮が轟く。
津波のごとき溶鉄の濁流と共に小枝子は携えた火尖槍型抗体兵器の切っ先を『典韋』へと叩き込む。
それでもなお倒れない。
倒れることを知らぬというかのように『典韋』は『韓信大将軍』を逃すようにして『小枝子』に組み付くのだ。
炎が吹き荒れる。
小枝子はさらに踏み込む。如何に不倒たる物語が目の前に立ちふさがるのだとしても。それを破壊してでも進む。
膨れ上がった火力が小枝子ごと『典韋』を溶断し、穿つ。
彼女の背には下半身だけとなりながらも倒れることなかった英傑の物語がある。
「不倒を貫くか!」
「こわれろ、カンシンンン
!!!!」
人には人の物語がある。獣には獣の理解がある。
そして、破壊の権現にあるのは破壊のみである。
故に、小枝子は己の手にした炎を『韓信大将軍』へと叩きつけ、叫ぶのだ。
「沈み果てろ! 大将軍――!!」
大成功
🔵🔵🔵
厳・範
国士無双、ゆえに抜かりなし…といったところか。
…花雪、全速力で駆ける故、決して離すな。
花雪「はいっ!!」(緊張)
悪路をも走破するこの足で、駆けていく。
仙術+道術にて霧の結界術…目眩しよ。
花雪「あっ。雷公鞭での雷撃で、さらに痺れさせます!」
…相手は軍団であるゆえ、このまま駆け抜けるしかあるまいに。
だが、抜ければ…UC使用可能になれば、即座に。
このUCはな、会話が成立するならば…確実に韓信へ攻撃が通る。
何故ならば、『鳴き声』であるからな。そして、韓信はオブリビオンであるから…必ず燃えるものだ。
そう、これは頭たる韓信を狙うものである。
炎が戦場に吹き荒れている。
凄まじいまでの戦い。万の軍と戦う猟兵達が放つユーベルコードの輝きは、三国時代における戦乱にて浮かんでは消えていく英傑たちの生命の迸りにもにているように思えたことだろう。
少なくとも厳・範(老當益壮・f32809)にはそう見えたことだろう。
多くの英傑たちが生まれては死んでいく。
その川の流れを止められぬような光景は、見飽きたものであったのかもしれない。
けれど、それでも人は生きている。
生きて、死んで。
生まれては、また死んでいく。
とめどないこと。故に、時は流れていく。止められなと知るから諦観にあるのではない。
そうであるべきと思うからこそ、停滞望むオブリビオンを許してはおけないのだ。
「国士無双、故に抜かり無し……といったところか」
万の軍は未だ健在。
国士無双『韓信大将軍』は猟兵たちに追いやられながらも、即座に体勢を整えている。どれだけ手傷を追うのだとしても、その兜を割られ、体躯を傷つけられてもなお、軍略の才覚は発露している。
周囲に浮かぶ『濁業仙人』たちのユーベルコードが煌めき、神器ユグドラシルブレイドを手にした楽浪郡の勇士たちが範に迫るのだ。
「いいや、国士無双であるからではない。私が、私であるからだ。その渾名は後からついてきたものでしかない。私は依然『韓信大将軍』! その名を持つが故に、私は私の為すべきことを為す。全ての人仙を封じる。この『封人台』を他世界へと転移させるのみよ!」
「させぬ」
範は己の本性たる黒麒麟へと変じ、一気に戦場を駆け抜ける。
「……『花雪』、全速力で駆ける故、決して離すな」
「はいっ!!」
己の体躯を掴む『花雪』の手から緊張が伝わってくる。
恐ろしいだろうか。
不安だろうか。
戦いているのだろうか。
どれであっても構わない。これだけの敵を前にして恐れの一つも抱かぬということ事態が異常なのだ。
故に、範は走る。
天雷のごときは迫るユーベルコードが己の身を穿ち、結界術であろうと必殺効果なくとも勇士たちの技量を持って必殺に至らしめる木剣ユグドラシルブレイドの斬撃が身より血潮を噴出させるのだとしても。
それでも走る。
己の声が『韓信大将軍』へと届くその時まで。
「お爺さま!」
「構うな。その手にした宝貝はなんのためにある。これはわしの役目よ。故に」
「私の役目を!」
全うするというように放たれる宝貝の雷撃。
迫りくるすべての敵の一撃が黒麒麟の体躯へと叩き込まれる。
血にまみれ、骨身に到達するかのような斬撃を受け、それでもなお範は走り抜ける。
「瑞獣、共持たぬ貴様が何処まで何に駆り立てられる」
その言葉に範は答える。
「瑞獣たる意味は、わしの姿を見やればわかるであろう。国士無双。否、『韓信大将軍』よ」
その瞬間その声は嘶き……即ち鳴き声となって『韓信大将軍』へと届く。
同時に、その体躯が燃えるのだ。
「……っ!?」
「これは、わしと親友の約束ごとよ」
声焔(セイエン)。
声届くだけで他者を燃やす炎。そのユーベルコードでもって範は示す。
かわした約束だけが瑞獣たる己を活かす。
そうあるべきではなく、そうあってほしいと願われたことに寄って今の己があるのだと示してみせたのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
荒珠・檬果
はい!お邪魔しますね!!韓信殿が出たと聞きつけて!
軍団に次ぐ軍団ですよね、これは。
ならば、七色竜珠の緑を緑玉鳥へ変換、それに乗っての回避を!
攻撃は、残りの七色竜珠で結界を武器として展開、受けしてからの受け流しですね!
そして、反撃するならば…最近、ようやっと契約した武将がいましてね。
これほどまでの軍団に将がいれば、納得もしてくれましょう!
カモン!!このために、私は赤兎馬に乗っていなかったのですよ!
思う存分、薙ぎ払っていってくださいね!
式神使いを利用した、威圧+切断+範囲攻撃のブーストもしていますから!
……これ私が手を出すと、機嫌損ねる気がしてるんです。
なら、好きに暴れてもらったほうが、ね?
「はい! お邪魔しますね!!」
荒珠・檬果(アーケードに突っ伏す鳥・f02802)は少々自分の気が荒ぶっている自覚があった。
何故ならば、国士無双『韓信大将軍』が猟書家として現れたからである。
そして、その彼が万に等しい軍を率いているのである。
これが心躍らずにいられようか。
確かに猟兵たる自身の窮地に自ら飛び込んだことになるのは言うまでもないことである。
けれど、それ以上に相対すること。そこに意味を見出す彼女は、その手にした竜珠を煌めかせる。
緑玉鳥へと変換し、迫る英傑たちの姿を見やる。
「『太史慈』よ、射掛けよ。あれなるは猟兵。汝の正確無比にして速射であれば」
身に傷を追い、兜を割られ、炎に巻かれながらも『韓信大将軍』は即座に招来せしめた英傑に指示を出す。
その言葉に頷くより早く、『太史慈』の弓が弦をかき鳴らすかのように矢を放つ。
檬果が共に飛ぶ緑玉鳥を撃ち落とさんとする弓矢の連射。
それは天より降り注ぐ『濁業仙人』たちのユーベルコードよりも早く、また多い。
「なるほど、確かに凄まじい技です! ですが!」
矢であるのならば結界で持って展開し、受け止める。だが、連射と言えど、その矢は英傑が放つ一射である。
結界がひび割れる音が響く。
凄まじいまでの威力。
正確さ、速射性、威力。
いずれをとっても三国において高い水準で纏められた弓。
その名手たる英傑の力に追いやられながらも、しかし檬果は、その瞳にユーベルコードを輝かせる。
例え、どれだけ三国時代の英傑が己の敵となるのだとしても。
「やっと、なんですよ!」
彼女のユーベルコードの輝きによって現れるは、『太史慈』をも上回る将。
その名を、飛将軍『呂布』。
「猛れ、その武をもって(アナタニフサワシキセンジョウヲ)……この軍勢ならば不足無しと言ってくださることでしょう!」
「……」
だが、招来された『呂布』は応えない。
まるで心震えぬと言わんばかりに万軍を睥睨すらしない。ただ、その眼には万軍がただの烏合の衆にしか見えぬものであった。
「敵は国士無双ですよ!」
「軍略を頼みにするなど」
赤兎馬を駆る『呂布』は、しかして彼女の求めに応えるのではなく、己が我欲を満たすために駆け抜ける。
でも、彼女は思った。
己のユーベルコードは確かに『呂布』を招来せしめるものである。
だが、それは絶対ではないのだ。
己が召喚されるにふさわしい戦場。それがなければ『呂布』は暴走する。
万軍を前にしても彼は不満そうであった。しかし、暴走していない。ということは、この戦場を彼は楽しんでいるということになる。
国士無双と三国無双。
軍略が勝つのか、それとも戦術が勝つのか。
「……私が手を出すと、機嫌を損ねる気がします」
英傑には英傑同士にしか伝わらぬものがあるように。
この戦場において『呂布』は飛ぶ。迫りくる軍略を薙ぎ払い、そして、『韓信大将軍』もまた無双たる武を受け止め続ける。
その荒ぶる戦いの渦は、戦乱の業を示すように檬果の前にて吹き荒れるのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
馬県・義透
引き続き『侵す者』にて
霹靂、休むが良い。
うむ、まあ…腕の筋肉が断裂しておろうが、わしはそのままいこう。
足が動きさえすればよいでな。
しかし、この軍勢にさらに追加で武将たちなぁ。
初撃はどうしても避けねばなるまいに…ダッシュしつつ戦闘知識からくる第六感で、その攻撃たちを四天霊障にて武器受け、そのまま受け流す!
で、UCが使えるようになれば、即座に使用する!
これ以降は、攻撃を受けても構わぬ。強化と回復にしかならんからな!
が、悠長なことは言ってられんでの。そのまま韓信へ向かってのダッシュは止めんぞ?
そしてその勢いのまま、黒燭炎を槍投げの要領で投げていこう。
邪魔しようにも、四天霊障で重量かけておるからな!
『南蛮王』との戦いは凄まじきものであった。
苛烈なる力。
相対するにはあまりにも強大なもの。そして、その戦いで終わりではない。
猟兵たちに迫るは万の軍。
国士無双『韓信大将軍』によって率いられた軍である。それに加え、三国時代の英傑たちが集っている。
それこそが彼のユーベルコードである。
しかし、それらの軍勢をも退けて猟兵たちは、『韓信大将軍』に迫っていたのだ。
「侮るつもりはない。例え、手負いの猟兵であろうと私は一切の油断はしない。これで良い、などということはない。一切の余力など遺さぬ」
彼のちからが漲るようにして次々と英傑たちを呼び寄せ、さらには空に浮かぶ『濁業仙人』たちのユーベルコードが万雷の如く煌めく。
「『霹靂』、休むが良い」
馬県・義透(死天山彷徨う四悪霊・f28057)の一柱『侵す者』は己の腕の筋が寸断していることを理解した。
動かしづらい。
霊障でもって無理矢理動かしている状態である。
だが、足は動く。
『霹靂』が己の足の代わりをしてくれていたからだ。故にまだ戦える。いや、戦わなければならない。
己が武人であると理解するのならば、滾らぬ理由がない。
今目の前にあるのは英傑たち。
其の力の迸りを受け止めずにして武人を名乗れようか。
弧を描くような刃のひらめきを見た。
美しさすら感じさせる斬撃の軌跡。容易く生命を屠るのみならず、相対するものに誉さえも感じさせる存在。
英傑の斬撃に『侵す者』は手にした槍で受け止め、火花散る最中に美しいものを見た。
「我が偃月刀の一撃を受け止めるか」
「初撃はどうしても避けねばと……だがしかし、受け止めさせられるとはの」
唯一無事であった足が潰れる。
振るわれた一撃。
偃月刀の一撃は、受け止められたが、衝撃だけで『侵す者』の足が損壊する。
いや、足だけで済んだこと事態が凄まじきことであった。
「その美しき髭……美髯公『関羽』か! 伝え聞く伝説の武将が!」
「然り。我が名を知るのならば!」
霊障がさらなる一撃を受け止める。
「面妖な。妖術の類を使うか」
「否、これは我等が呪詛。悪霊たる我等の!」
迫る天雷の如きユーベルコード。だが、そのユーベルコードを『関羽』は手にした偃月刀の一振りで振り払う。
「無粋なり」
戦なれど、しかして今此処にあるのは武人同士の共感。
故に、『濁業仙人』のユーベルコードは不要であるというように『関羽』の一撃がこれを防いだのだ。
「戦いの因果とはほとほとに……だが、めぐりまわるもの。どこまでもの!」
煌めくユーベルコード。
四悪霊・『回』(シアクリョウ・マワル)。
砕けた足を、使いものにならなくなった腕を再構築し、呪詛で覆う。
『関羽』の放った斬撃は凄まじい。
故に、『侵す者』の力が増強されていく。
この瞬間に、いや、この時だけ『侵す者』は『関羽』の武を越える。
振るう槍の一撃が『関羽』の胸を貫き、飛び越える。
「征くか、武人よ」
「悠長に構えてはおられぬのでな!」
背後で笑う声が聞こえた。
なるほど、と盛大に、しかして楽しげに。その声を受けながら『侵す者』は走る。
『韓信大将軍』との距離はまだある。
だが、しかし。
手にした槍を投げ放つ。
『韓信大将軍』を守らんとした英傑たち毎貫く槍の一撃が確かに届いたことを認め、『侵す者』は己の体躯が再び使い物にならなくなったことを悟るのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
ロニ・グィー
アドリブ・連携・絡み歓迎!
わぉ!またぞろ繰り出してきたね!
んもー
神器なんて出すんならパテント料払ってよね~
●軍勢?軍勢!
軍勢には軍勢で対抗だよー!
いっけー[球体]くんたち!と見上げるくらいの球体くんたちをずらっと並べてわーわー突っ込めー!
孔子曰く(言ってな…いや言ってるかも?)、戦場を見る目を乱しせしむればそれすなわち…やっちゃえー!
荒れ場を作って指揮を混乱させればゆーしゅーな戦力でも早々役には立たないものさ!
と球体くん達がゴロゴロ駆け抜ける混乱の中を【第六感】任せに駆け抜けよう
そしてUC『神撃』でドーーーンッ!!
天と地の間の生まれたからには大望を抱かずにはいられない
それも人の
性かー
万の軍勢が迫りくる。
猟兵たちを確実に此処に留めるために。
そう、倒すためではない。時間を稼ぐためだけに万軍を率いて『韓信大将軍』は術策を練り上げる。
例え、己の身が滅びるのだとしても、儀式魔術【Q】が成就されれば良い。
ただ、それだけのために彼は万の軍と己を捨て石にしてみせたのだ。時を稼ぐ。そのためだけに、全てを費やすなど軍略であると言えるだろうか。
「たしかにな。勝利するという意味では、なんとも消極的なことであると私も思う。だがしかし、それでよいのだ。『封人台』は必ずや他のオブリビオンフォーミュラが活用するだろうさ。ならば、それこそが我が勝利」
空を往く『濁業仙人』に地を走る楽浪郡の勇士たち。
万雷の如きユーベルコードが煌めき、勇士たちの手にした木剣、神器にしてユグドラシルブレイドと呼ばれた鋭き刃が猟兵に襲いかかる。
「わぉ! またぞろ繰り出してきたね! んもー神器なんて出すんならパテント料払ってよね~」
ロニ・グィー(神のバーバリアン・f19016)は迫る軍勢を前に球体を呼び寄せ、突っ込ませる。
とは言え、敵の数はさらに上回るものであった。
凄まじいまでの勢い。
さらには神器でもって楽浪郡の勇士たちの力は底上げされているのだ。
球体たちが押し返されていく。
「うわ~これはすごい。わーわー言ってて何言われてるのかさっぱりわからない!」
でもまあ、とロニは深く頷く。
「孔子曰く、戦場を見る目を乱しせしむればそれすなわち」
急にどうしたと言わんばかりの格言めいたことロニは告げようとしていた。
だが、続かない。
「……」
考えているのか。それとも、勢いで言葉にしたけれど、其の先が思いつかないのか。
どちらにせよ、ロニは目を見開く。
「やっちゃえー!」
結局それである。
兎にも角にもロニのやることはめちゃくちゃであった。戦場が『韓信大将軍』の凄まじき指揮と才覚でもって整然としているのならば、己は渾沌を持って乱すのみ。
ならばこそ、彼は球体を蹴り飛ばし、投げ飛ばし、散々にかき回すのだ。
「どれだけゆーしゅーな戦力でもそうそう役には立たないものさ。荒れ場なんていうのは、それだけ意思伝達が乱れるものだからね!」
戦場を駆け抜ける勇士たちの一撃が球体を切り裂き、また球体が勇士たちを押しつぶしていく。
何処を見ても危険地帯であることを言うまでもないだろう。
ロニはけれど、其の最中を走る。
渾沌の中を走るなんていうのはもう慣れたものである。
「其処だね、『韓信大将軍』くん!」
「止まらぬか、猟兵!」
「そりゃそうさ! 止まっていたらもったいないじゃない。淀んでいくだけさ! だからさ!」
振るう拳は、神撃(ゴッドブロー)。
地形すら破壊する一撃が『韓信大将軍』の体を捉え、吹き飛ばす。
「ぐっ……だが、時間は稼げたのだ、後は天命のみ!」
「だろうね。それはキミの大望だろう? それが天と地の間に生まれたからには抱かずには居られない人の
性だっていうんなら」
それは、とロニは己の拳に伝わった感触に思いを馳せる――。
大成功
🔵🔵🔵
董・白
【心境】
「国士無双…貴方の…私たちの時代はもう終わりました!今の時代は今生きる者たちが築き上げていってくれます!!」
【行動】
先制攻撃…三国時代の英霊たちの冒涜…。
これ以上彼らを冒涜させるわけにはいきません。
『道術』による『結界術』に『仙術』の『霊的防護』をプラスして、強度を『限界突破』させ武将たちの攻撃を受け止めます。
その隙に『武器巨大化』の術で長大化した化血神刀で『なぎ払い』、化血神刀に宿る『毒使い』の『呪詛』で動きを封じます。
さて、今度は私の番です。
宝貝「五火神焔扇」を発動し、韓信大将軍と三国武将もろとも『範囲攻撃』で焼き払います。
絶え間なく戦いの渦。
それが『韓信大将軍』のもたらした術策であった。
時間を稼ぐためだけに万軍を用いる軍略。確かに猟兵たちを打倒する必要はない。彼に必要だったのは儀式魔術【Q】を成功させるための時間だけであった。
だがしかし、猟兵はそれを乗り越えてくる。
万の軍すら止めるに値しない。
彼はそれを理解していたからこそ、己と万の軍を捨て石にしたのだ。
「それでもなお、止まらぬか」
「国士無双……貴方の……私達の時代はもう終わりました! 今の時代は今生きる者たちが築き上げていってくれます!!」
董・白(尸解仙・f33242)が迫る。
集結した三国時代の英傑たちが居並ぶ姿を白は見ただろう。
これを冒涜と感じるのは、彼女もまたその時代に生きたからなのかもしれない。停滞した存在。物語へと昇華した存在。
それが三国時代の英傑たちであった。
変わらぬこと。
変えられぬこと。
其の多くを白は知る。そして、同時に全てが移ろいゆくことも。
栄華を極めたものの衰退は必定。
故に、彼女は迫りくる弓矢と『濁業仙人』たちの放つユーベルコードの雷を前にして結界の限界を越える。
されど、しかし。
「流石は三国時代の英傑たち……!」
結界は砕かれ、白の体を貫く刃。
僵尸たる己にとって、その傷は厭うものではなかった。だが、しかし、それでも肉体が滅ぼされてしまえば、戦えなくなってしまう。
『韓信大将軍』が己たちを打倒する必要がなく、次巻を稼げば良いだけであったとしても、自分たちは彼を滅ぼさなければならない。
痛みは走らない。
多くを失い続けた自分であるからこそ、これ以上失うものはない。
あるのは栄華の残滓。
それすらも、もう己のなかにはないのかもしれない。けれど、その虚に注がれるは英傑たちの咆哮。
己はアレを知っている。
あの誇り高きものたちを知っている。戦乱の時代を生きるために鮮烈に燈火を輝かせた彼等の生命の煌めきを見たのだ。
「この炎は全てを焼き尽くし、この風は全てを吹き飛ばす。舞い散らんこの世の儚さよ…」
例え、其の全てが過去になるのだとしても。
それでも白は、手にした宝貝「五火神焔扇」(パオペエゴカシンエンセン)を振るう。
舞うようにして扇を振るい、また同時に化地神刀が振るわれる。
まるで炎が花弁のように戦場に吹き荒れる。
全ては塵に還る。
猛火と狂風。
これこそが三国時代を象徴するものであった。
「まるで、赤壁の再来……」
「どれだけ歴史が繰り返すのだとしても、それでも人は灰の中からでも生きていくのです。世界があり、先達という礎があるからこそ、歴史は紡がれていく。それを絶やすことこそ、世界を破壊するということ! ならば、私は!」
次代に絆ぐために。
己という存在。僵尸としてあることの意味にして意義。
生きることへの執着。
それ故に彼女が手繰る炎は、篝火のように人の次代を照らすのだ。
「お覚悟を、国士無双『韓信大将軍』。あなた達という存在があったからこそ、今があるのです。例え、それが貴方達にとって踏みつけられるかのような行いであったとしても」
それでも次に繋げられることは喜ばしいことだと言うように白の手にした扇が炎を舞い上げ『韓信大将軍』たちを呑み込んでいく。
「……己また過去になると知ってもか」
「それでも、です」
其の覚悟があるのだというように白は、炎に寄って過去を灰燼に帰さしめるのであった――。
大成功
🔵🔵🔵