Clash & Cycling!
澄んだ高い秋の空は、夕暮れに美しく染まっていた。
そんな山中に、壮健な大声が響きわたる。
「うーし、それじゃ今回のレースの全長は山3つ分だ! 退場しちまった奴は自力帰還が無理ならせめてビーコン点けとけ。後からレスキューカー出して回収するからな」
舗装された山道の、とある休憩所に集まっている自転車乗りたち。レーサー特有の肥大した筋肉が美しい。
しかし彼らの服装は、身軽さなどを追求した一般的なレーサーのものとはまるで異なっていた。全身をごつく防具で覆い……その姿はまるで『山賊たちが自転車に乗っている』という有り様。
「待って」
そんな彼らに対して、少女がひとり、声を掛ける。
「私も貴方たちと一緒に走りたい」
「そんな細い身体で俺たちとレースを? しかも得物は、バトロワ用の銃か。そんなんじゃ……いや、俺たちは勇気ある挑戦者を決して拒まない。歓迎しよう」
「一位を獲るわ」
彼等がいぶかしむのも無理はない。少女の細身の体は、一度でも周囲のレーサーから攻撃されたら落葉のように吹き飛んでしまうだろう。
そう、思われた。
「レーサー同士の妨害とか、そーいうのが何でもありのバトロワなレースってのは、色んな世界で結構誰もが考えつく競技なんちゃうかな?
今回はアスリートアースで、そんなレース競技に関わる襲撃事件を解決してもらいたいんや」
グリモアベースに集った猟兵たちに向けて、ウルスラ・ロザーノは(鈴振り燕・f35438)は快活な笑顔を向けた。
「実際に開催されとるのを見たことがある人は少ないかもしれんけど、大体どんな感じかはイメージできるやろ」
キマイラフューチャーではコースの方に趣向が凝っている印象がある。サイバーザナドゥでは高速道路上を走り屋が駆け、ブルーアルカディアでは飛空艇同士が競り、アポカリプスヘルでは……トゲトゲとかフルスロットルな感じ。
「アスアスなら当然、スポーツ競技として成熟しとるわけや。レギュレーションは色々とあるけど、今回参加してもらうのは、公道で自転車を使う『
闘輪』っちゅーてな」
自らの足で走るタイプでは選手同士の戦闘がメイン、マシンに乗るタイプだとメカの性能や操縦技能が大きくレースに影響する。闘輪は自分でペダルを漕ぎつつもバトルも行うわけで、双方の中間というイメージだろうか。
そして、その闘輪選手たちの中でも、今回はとある非合法なレーサーチームがレース中にダークリーガーに襲撃されるのだとウルスラは言う。
「しかも、そのチームを負かして丸ごとダーク化するってより、彼らを徹底的に潰してレーサーとして再起不能にすることが目的みたいでな。そんなことは絶対に見過ごせへん!」
しかし、非合法なチームということであれば、同情の余地などない悪人どもなのではないのだろうか?
「いや、そんな単純な話でもなくてな。今回被害者となるチームの名前は『ヴィーラ』。様々な意味でヤバいってか、一言では難しいけど、皆に畏敬の念を抱かれてる集団なんや」
彼らが標榜する理念は『最強にして最速』。
「最も厳しいルールでのレースをするのが、ヴィーラっちゅー集団でな」
ぴん、と人差し指を立てるウルスラ。その先は上、つまり高所を示している。
「……長距離の、山岳レース。自転車でやったら超しんどいので有名な! なおかつ装備……持ち込める武装はほぼ無制限で、レース中は殺し以外は何をしても基本OKって言えば、ヤバさは分かるかな?」
一つ一つの要素だけでも十分にハードなのに、それを統合させるとなるとたしかにヤバい。様々な意味で過激すぎる。
「もちろん普通の闘輪はもっと穏当やで。距離は普通の道路で10キロ走るとかトラック何周分とか、既定の武器防具があったり武器ナシでチャージのみ使用可だったり、レースごとに様々なルール区分があるよ。でも彼らはなるだけハードで究極なルールで走る。完走できる選手の方が少ないし、大怪我する可能性だって大いにある」
あまりにもエクストリームであり、闘輪の世界では異端。しかし力量は本物。だからこそ、嫌われ畏れられ、そして他の闘輪レーサーや観客から尊敬すらもされているのだ。
「でもまー例えば、武装は無制限とは言っとるけど、実際には選べる選択肢は限られてくるけどね。本質は自転車レースなわけやし」
あくまでもこれはレースである。勝者は最初にゴールに入った者でありそのチームだ。重武装を用意して敵チームを全員叩き潰したとしても、装備が重すぎて体力が尽きゴールできなければ途中棄権にしかならない。
また車体すらも大幅な改造は許されるが、自力走行をアシストするような補助装備類の搭載は禁忌。自分の足でペダルを漕いで進む(あるいは変則的だがハンドサイクル等でもOK)必要がある。
いわゆる戦闘に全振りするだけでなく、純粋な自転車レーサーとしての実力も問われるわけだ。
「で、ヴィーラが定期的に開催しとる仲間内でのレースに、ダークリーガーが現れてまってな」
チームメイト同士でも遠慮なしにバトルは行われるし、彼等は飛び入りの挑戦者もあっさりと迎えてくれるのだとか。
「念を押しておくけど、大前提として山ん中の自転車レースやでな? 登り坂に下り坂、急カーブ……普通に走るだけでも相当しんどい条件だから忘れんといてな。おまけに時間帯は夕暮れ時、ゴール前になる頃には夜になってまっとるやろう」
そんな厳しい環境の中、こちらに遠慮なく仕掛けてくるヴィーラのレーサーたちやダークリーガーに勝利しなければならない。
「ダークリーガーの方にKOされるとダーク化してまうから、ヴィーラの面々も遠慮なくボクらで叩いてまえばええよ」
それにダーク化してしまったレーサーは、無理矢理レースとへと戦線復帰してきてしまう。
「ダークレーサーに追い縋るにはどうしても邪魔になるから、彼らをもっかい退場させたってや」
なおすでに負傷してボロボロの状態なので、できるだけ穏当にレースから退場させる必要があるだろう。
そして肝心のダークリーガーの名前は『『リニア・アルジブラ』ベクトリーヌ』。バトロワのダークリーガーである。
「バトロワ用だから武器は実銃に比べて殺傷力が制限されてる、弾が当たったら即退場になるわけでもあらへんかな。闇討ちとかもせずにちゃんと相手の競技で戦うってとこはなんとも真面目やし、自分の実力に自信があるんやろね。
さて、そんじゃきっついレースになるけど、覚悟も準備も万端かな? なはは、みんなの勝利を信じとるよ!」
サッカーボール型のウルスラのグリモアが輝く。笑顔とともに猟兵たちは転送されていった。
雨森
OPをご覧いただきありがとうございます。雨森です。
今回の事件の舞台は夕暮れ時のアスリートアース。高低差が激しい秋の山道での、レーサー同士の走行妨害何でもありの激しい自転車レース、
闘輪で戦います。
武器防具の持ち込みは自由ですが、自転車レースにつき自力で漕いで走行してください。自転車の形状、サイズ等も自由です。
勝利条件は『レースでダークリーガーに勝利する』となります。アップダウンの激しい過酷な道のりを、うまく活用することもできるでしょう。
●第一章
ヴィーラのレーサーたちがバトルを仕掛けてくるので、走行しながら対処しましょう。
戦闘のためにと自転車から降りてしまうと、レースで後れを取ることになります。
●第二章
ダーク化したアスリートたちとの集団戦です。
ダークリーガーにKOされたレーサーが、ダーク化して襲い掛かってきます。
射撃が得意なようなので、うまく凌いでレースから退場させましょう。
●第三章
ボス戦です。
日が沈み暗闇の中、トップを独走するダークリーガーに追いつき追い越しレースに勝利しましょう。
それでは、皆様の素敵なプレイングをお待ちしております。
第1章 冒険
『バリバリマシン大乱闘!』
|
POW : 重量級のマシンで襲い来るライバルを弾き返す
SPD : 華麗なドリフトでライバルをかわす
WIZ : 策を弄し、ライバル同士を潰し合わせる
|
フリル・インレアン
ふええ、それにしてもキツイ山道です。
電動自転車だったら、ラクチンだったのに。
ふええ、それはルール違反って、分かってますよ。
それにしても、私達も少しは武装とかした方がよかったんじゃないですか?
ふえ?そんなもの付けても使いこなせないだろって、そうですけど、ダークリーガーさんに襲われたらどうするんですか?
その時はお菓子の魔法を使えばいいって、そうですけど。
ふえ!?ダークリーガーさんです。
えっと、お菓子の魔法で攻撃を躱していきましょう。
この山道を重装備で行動速度を遅らせたら、簡単にバテるって、アヒルさん、前籠でお菓子ばかり食べてないで、少しは仕事をしてください。
闘輪のレースはとても静かな滑り出しで始まった。レーサーたちはまだ誰もバトルを開始していない。
緒戦の段階は、まだレースの中で『誰を狙うか』を見定める段階。単純に自転車レースとして考えた場合、自分よりも順位が悪くなりそうな相手をわざわざ攻撃する理由などない。
攻撃するのであれば、自分よりも順位が高くなりそうな相手を。熱くも冷徹な思惑が、選手間には満ちていた。
「ふう、ふう、ふう。ふええ、ふええ……」
そんな中、なんとも気の抜ける声を出しながらペダルを漕ぐ選手がひとり。フリル・インレアン(大きな
帽子の物語はまだ終わらない・f19557)である。
「ふええ、それに、しても、キツイ山道です。電動、自転車だったら、ラクチンだったのに」
傾斜のきついを坂を上る調子は、実は他のレーサーたちと比べても遜色がないくらい順調なのだが……ペダル一踏みのたびに漏れる声のせいで、どうにも速そうというイメージが出てこない。なお電動自転車を使用しても、おそらく長い道中でバッテリー切れになりそうである。
「それにしても、私たちも少しは、武装とかした方が、よかったんじゃないですか?」
そう、フリルは目に見える武装は持ち込んでいない。運動着だけを着用して、レーサーとしては真っ当な装いであった。その作戦は自転車の前籠に入っているアヒルさんの助言を採用したものだ。
「ふえ? そんなもの付けても、使いこなせないだろって……そうですけど、ダークリーガーさんに襲われたら、どうするんですか?
その時は、お菓子の魔法を、使えばいいって、そうですけど」
会話一つも酸素を余分に消費するのに、律儀にアヒルさんに応えているフリルであった。
「君は脅威となりうる」
――タタタタタッ!!
「ふええっ!?」
そんなこんなでレースが進む中、フリルに最初にバトルを仕掛けてきたのは、なんとダークリーガーの『リニア・アルジブラ』ベクトリーヌであった。
まさか初っ端から本命が現れるとは思わず悲鳴を上げるフリル。動揺の余波で車体が大きくよろけていなかったら、頭が早速銃弾の餌食となっていただろう。
「ふええ、えと。お菓子をひとついかがですか?」
「何を言っている……むっ」
前籠に入れていた自作のお菓子を渡そうとするも、すげなく断られる。
「……何をした?」
直後、速度が一気に落ちるベクトリーヌ。どうやってと問う言葉に答えず、フリルは先を急ぐ。ユーベルコードであることを一々説明してやる義理なんてない。
「他のレーサーさんたちの中に混じれば、攻撃されずに……いえ、今度はそのレーサーさんたちに攻撃されますか。どうしましょう?
……この山道を重装備で行動速度を遅らせたら、簡単にバテるって、アヒルさん、前籠でお菓子ばかり食べてないで、少しは仕事をしてください」
ひとまずダークリーガーとの交戦は回避できた。しかしレースはまだ序盤、これで終わりとはならないだろう。
軽快な勢いで減っていくお菓子を嘆きながら、フリルは薄暗い山道を勢いよく進んでいく。
大成功
🔵🔵🔵
オリヴィア・ローゼンタール
機械が苦手なのでモータースポーツには縁がないと思っていましたが……
己の脚が即ちモーターならば、私も戦えそうです
体操服とブルマを身に纏い、【騎乗】戦闘を前提とした頑丈な自転車を選択
普段から黄金の獅子を駆って戦っているので高機動戦闘にも自信あり
いざ、勝負!
持ち前の【怪力】で登り坂を駆けあがり、【落ち着いた】ハンドル捌きでコーナリングでも安定(悪路走破)
【優駿疾駆】による【騎乗突撃】で前を塞ぐライバルたちに吶喊、【吹き飛ばす】!
反撃の機会を狙って並走されれば、強烈な蹴撃を繰り出して【体勢を崩させる】
攻撃力が強化されるが防御力が格段に弱体化するユーベルコード、故に不要な交戦は避けて【見切って】躱す
レースが進行すると、選手たちは空気抵抗を避けるために寄り集まって集団を形成するようになる。そうなるといよいよ本格的に集団内で戦いが発生し始める。
「吹っ飛べ!」
「ハッ、させるかよお!」
持ち込んだ武器で攻撃するもの、車体をぶつけるもの。集団の中でも良い位置をキープするため、強敵を早々と退場させるため。様々な方法、様々な思惑をもってそれぞれが動く。
そんな集団の中に混じり疾駆する銀の狼。オリヴィア・ローゼンタール(聖槍のクルースニク・f04296)だ。
シルバーフレームの自転車はスピード競技用としては相当に無骨。そしてとてつもなく頑丈に仕上げた逸品だ。たとえ別の世界に持ち込んだとしても十分に戦場を駆け回れるだろう。ましてや普段から黄金の獅子を駆って戦っているオリヴィアであれば、その様は人馬一体の如くに違いない。
「機械が苦手なので、モータースポーツには縁がないと思っていましたが……己の脚が即ちモーターならば、私も戦えそうです」
そう、本来モータースポーツとはモーターやエンジンなどを使用した乗り物を使うレース競技だ。
しかしアスリートアースの世界であれば、その鍛え上げられた己の脚こそが、最速を目指すための最も身近で原始的なツール。ともすれば機械のパワーすら超える。
高速の領域独特の高揚感の中、全身に受ける風圧すら快く感じつつもオリヴィアはペダルを踏む。力強く坂を駆け登るその様は周囲の選手を魅了していた。それに格好も体操服にブルマだし。
「飛び入り参加者とはいえ、体操服にブルマとは素晴らしい」
「ああ、これを見れただけでも、今日のレースに参加した価値がある……!」
周囲のレーサーがなんだか鼻息荒いのも無理はあるまい。体操服にブルマは、女子アスリートにとって最も格式がある礼装(※諸説あります)。それを豊満ながらも鍛え上げられた身体のオリヴィアが着用しレースに臨む。沸き立たないはずがないのである。
閑話休題。
「いざ、勝負!」
そしてオリヴィアは敢然と吶喊する。狙うは下り坂、急カーブ!
重心を傾けてコーナーを回りながら、セオリーに反して一気にペダルを踏み、前方を塞ぐレーサーたちへと突っ込む。
「なっ……!」
ここはバトルを仕掛けられる地点ではない――そんな彼らの意表を突き、瞬間的に強き風を纏ったオリヴィアの突進は数人のレーサーたちを大きく弾き飛ばした。
「マジかよ!」
さらに攻撃の当たらなかったレーサーに肉薄、並走する形に。振り下ろされてきた相手の木刀の軌道を見切り、上半身の僅かな捻りだけで躱す。
「攻撃だけを見れば、さほど脅威ではありませんね」
この高速の実戦下でそう判断できる者が、どれほどいることか。お返しのようにオリヴィアが繰り出した蹴撃は、直撃したレーサーをあっさりと自転車ごと高く浮かせて吹き飛ばし、崖下へと放り込むのだった。
「……大丈夫、なのですよね?」
痛めつけることが目的の攻撃でもないし問題はない、はず。
駆け引きを掴んだオリヴィアは、レースを続けながら次の攻撃機会を図るのだった。
大成功
🔵🔵🔵
音駆螺・鬱詐偽(サポート)
世界に蔓延る悪を懲らしめるネガティブアイドル鬱詐偽さん
ただいま参上。
・・・って、どうしてこんな恥ずかしいセリフを言わないといけないのよ。
うう、これも番組の為なのね。
自身の命綱である番組の為、多少の苦難や困難は仕方なく行います。
むしろ持ち前の不運によりおいしい場面を呼び込んでくれるかと思います。
ただし、ネガティブとはいえアイドルですのでマイナスイメージとなる仕事はすべて却下でお願いします。
ユーベルコードや技能はご自由に使わせてください。
どうぞ、当番組のネガティブアイドルをお役立てください。
プロデューサーより
怒号が舞い、選手が吹き飛ぶ。レース上はまるで戦場、しかも騎馬戦の様相を呈していた。
そんな中で、サイクルレースには似つかわしくない黒いドレス――いわゆるゴスロリ衣装だ――を着用して走るレーサー。
「さすがにこれはひどい。なんてことなの……」
ぶつぶつと嘆きながらペダルを踏むのは、音駆螺・鬱詐偽(帰ってきたネガティブアイドル・f25431)である。
「しんどい番組ロケは仕方ない。でもここまで物理的にしんどいのは……うう」
色々な意味でちょっと大変な番組を作る(作ってしまう)ことが多い鬱詐偽だが、さすがにここまで身体を張った企画は珍しい。
ただ、だからといって拒否も逃亡も選ばないし、自分のようなキャラがヒィヒィ言いながら自転車を漕ぐ、という絵面は割と良いコンセプトなのでは? と鬱詐偽も内心では思っていたりもするのであるが。
「そら!」
「ひゃあ!?」
登り坂での側面からヴィーラのレーサーからチャージを食らい、よろけて地に足を着けてしまう鬱詐偽。
実力を判断した敵レーサーは、もう鬱詐偽を無視して先を急ぐ。
「……えっ」
……が、その進みが急速に落ちる。
身体が重い。ペダルを漕ぐ足が重い。後ろから引っ張られるような感覚がする。
――何だ?
「……う、うわああぁぁぁぁっ!」
振り向いた先に見えたものは……茫洋とした影、影、影の群れ。
薄闇に暮れる夕闇の中、不気味な影たちが自分を追いかけてきている……!
「うう、リタイア者がちらほらと。退場はさせられていないだけ私は幸運ですね」
自身のユーベルコードがうまく機能したとは露知らず。鬱詐偽は道路脇で倒れている――妙に顔が引きつっているのが印象的だった――レーサーたちを横目に、呻きながらレース集団の最後尾付近を走るのであった。
成功
🔵🔵🔴
第2章 集団戦
『アーチャーガールズ』
|
POW : リンクショット
【上方から降り注ぐ矢の雨】【左右から挟み込む曲射】【正面から放つ鋭い矢】を組み合わせた、レベル回の連続攻撃を放つ。一撃は軽いが手数が多い。
SPD : クイックショット
【誇り】を宿した【矢】を射出する。[矢]は合計レベル回まで、加速・減速・軌道変更する。
WIZ : ホーミングショット
自身が発射した【矢】の軌道を、速度を落とさずレベル回まで曲げる事ができる。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
|
日が沈む。
街灯が僅かで見通しが悪い山道を走るレーサーたちは、混乱に陥っていた。
「お前ら、なんだその攻撃は……ぐあっ!」
遠くから飛来する矢の雨。参加者同士、バトル対策のために得物はある程度の把握はしている。だがこんな攻撃をしてくる選手はいなかったはず……!?
「……」
そこにいたのは、ダーク化させられたヴィーラのメンバーたち。
ダークアスリートによって一度退場させられたことで、すでに身体がボロボロなのが見て取れる。
ふらふらとした走行をしながらもなんとか弓を構える姿は、まるで生命を振り絞って矢へと変換しているかのうようだ。彼ら彼女らはレースも攻撃を止めないだろう。止められないのだ。
このままレースを続けていては彼らの命にも関わる。早急にノックアウトして退場させ、集団を抜け出して先を走っているダークリーガーに追いつこう。
全会原・タイガ(サポート)
『やってやらぁ!』
人間のゴッドハンド×バーバリアン
口調:ぶっきらぼう(オレ、アンタ、だ、だぜ、だな、だよな?)
呪いで女性の体になった不良男子です。荒々しい性格ですが曲がったことが嫌いで困っている人がいれば迷わず助け悪には怯まず立ち向かいます。
豊満な自分の体型を気にしており、からかわれたりすると怒ります。
戦闘は武器を持たず自らの肉体と呪いの力で発動するユーベルコードで戦います。
呪いの力によって発動する一部のUCは本人の意思とは無関係に発動してしまうことが多く、追い詰められてヤケクソになった時を除き肉体に変化が起きたら驚いたり恥ずかしがったりします。
シリアス、ギャグ、お色気、アドリブ連携何でもOK
「チャリに乗りながら弓撃ってくるとはすげえ芸当だ。だが遠慮はしねーぜ!」
急な坂をものともせずに勢いよく駆けるのは全会原・タイガ(男は度胸!女でも度胸!・f23916)だ。豊満な全身を駆使し、力強くペダルを漕ぐ。
義理人情に厚いタイガとしては、ダーク化させられたアスリートというのは何としても助けてやりたいと思っている。
何より、
「強制的に、ってのが気に入らねえ……!」
呪いにより女体化させられた身としては、そういうやり口が気に入らない。そしてだからこそ、彼らを止めてやるには退場させる必要がある。気合いを込め、タイガはハンドルを強く握った。
「悪く思うなよ!」
ハンドルから片手を離し、強く握る。すると発現するのは半透明の巨大な拳。自転車の走行に追随するように浮かぶその握り拳を、タイガは並走するレーサーへと向けた。
「軌道が曲げられるとかたしかにテクニカルかもしれねーが、逆に力押しには対応できるのかよ、その矢は!?」
捻りなどなくひたすらに真っすぐ。敵目掛けて勢いよく突き出されたタイガ自身の拳に合わせて、巨大な拳も飛ぶ。
「……!」
拳を撃ち落とさんと、レーサーは矢を放つ。が、あっさりと弾かれてしまった。
「へへ、だろうな! 安心しろ、ちゃんと手加減はしてやるよ」
勢いをほぼ殺されないまま、しかし殺意は込められていない拳はレーサーへと直撃する。そのままレーサーは道路側面の聳え立つ崖へと叩きつけられるのであった。
成功
🔵🔵🔴
ルドルフ・ヴァルザック(サポート)
「フゥーハハハ!(こ、この場は笑ってごまかすしか……)」
◆口調
・一人称は我輩、二人称はキサマ
・傲岸不遜にして大言壮語
◆性質・特技
・楽天家で虚栄心が強く、旗色次第で敵前逃亡も辞さない臆病な性格
・報復が怖いので他人を貶める発言は決してしない
◆行動傾向
・己の威信を世に広めるべく、無根拠の自信を頼りに戦地を渡り歩く無責任騎士(混沌/悪)
・何をやらせてもダメなヘタレ冒険者だが、類まれな「幸運」に恵まれている。矢が自ら彼を避け、剣先が届く前に毀れ、災難は紆余曲折で免れる
・臆病な性質も見方次第では生存本能と言えなくも……ないよね?
・コミックリリーフ役にお困りならば、彼が引き受けます(但し公序良俗の範囲内で)
「フ、フゥーハハハ! 我輩はこんな依頼でも容易くこなせるのだ!」
山道にルドルフ・ヴァルザック(自称・竜を屠る者・f35115)のテンション高い声が響く。そんなに叫ぶと体力の余計に消費するではないだろうか。
「ハハハハハ! ゼェ、ゼェ……!」
もちろんあまり大丈夫ではない。三十路も半ばの男性が、本人にとっては未知に近い全身運動を行えば、効率の良い身体の動かし方も分からず、すぐに息も絶え絶えになるのは当然の結果であった。
だが、ルドルフは決して足を止めない。
「ふんぬぬ……!」
ペダルの僅か一漕ぎすらも重すぎる。何故こんな苦行をしなくてはならないのか? その問い掛けへの返答は明確だ。
……
この世界にも、己の威信を広めるため!
「なあに、ちょっと攻撃は飛んでくるが、他の世界と違い割と安全! 命の危険度が低めなのはありがたい!」
まあたしかに、銃弾や矢も――結果的に殺人に発展する可能性はあるだろうが――あくまでのノックアウトの手段でしかない。その意味ではルドルフにとって多少なりとも気が楽なのだろう。実は臆病だから。
それに、まばらではあるが沿道から観客の歓声が掛かるのも嬉しい。
「頑張れー!」
「……うむ、実に良いぞ……!」
見知らぬ誰かから応援を受けるなんてのは、ルドルフにとってはとても嬉しいこと。
「今の我輩は誰よりも速い。キサマたちに後れを取りはせん!」
調子に乗って体力はまさに全快(のような気がする)、気力は無限に湧き上がり、高揚感とともに強くペダルを踏む。
襲い掛かる矢を掻い潜りながら、ルドルフは山道を走り抜けるのだった。
成功
🔵🔵🔴
フリル・インレアン
ふええ、あの人達はダーク化されたレーサーさん達ですよね。
ふええ!?弓矢で攻撃してきました。
ふええ、どんなに逃げても追いかけてきます。
えっと、それならガラスのラビリンスを使いましょう。
ガラスのラビリンスの中なら矢は何度も軌道を変えなければいけません。
それだけ矢に意識を向けなければいけないのですから、レーサーさん達は追ってこれませんよね。
ふえ?攻撃を止めれば追ってこれるって、
……そういえば、そうでした。
アヒルさん、どうしましょう?
ふええ、気付かれる前に逃げきるしかないって、それしか手はないんですね。
「ふええ、あの人たちはダーク化されたレーサーさんたちですよね?」
相変わらずひいひい言いながらもリタイアせずレースを続けているフリル・インレアン(大きな
帽子の物語はまだ終わらない・f19557)。すでに限界のように見えるが、実は完走ができるよう体力の消費はちゃんと考えているし、ダークリーガーとの今後の再戦は想定している。
「ふええ!? 弓矢で攻撃してきました」
そんな彼女は、ダーク化したアスリートが飛ばしてくる矢の数々に悲鳴を上げた。明らかにユーベルコードである以上、対処をしないとまずい。
「ふええ、どんなに逃げても追いかけてきます。それなら……」
物理法則を無視して曲がる矢の軌道を前に、フリルは積極的な時間稼ぎを選ぶ。
――ガラスの
迷宮が、広がる。
カン!と矢が透明な『
何か』にぶつかる。勢いを削がれ地に落下するものもあれば、軌道を変えて別の方向へ飛ぶものもある。
矢を制御しているのはダーク化アスリートだ。もし平場の戦場であれば矢を
迷路の出口まで辿り着かせられたかもしれない。しかし、すでに暗い夜道でガラスの壁を見切るのは難しい。
「何度も軌道を変えるために矢に意識を向けなければいけないのですから、レーサーさんたちは追ってこれませんよね。これで安心して行けますね……ふえ?」
逃げ切りに入るフリルに、カゴのアヒルさんが話し掛けてくる。
「攻撃を止めれば追ってこれるって、……そういえば、そうでした」
そう、この作戦の唯一の懸念は、当たらない矢による攻撃という選択肢を捨てて、自身の迷宮の突破に専念される可能性だ。フリルが接近戦には弱めであることは十分に察せられる。ならば相手も作戦は変えてくるだろう。
「アヒルさん、どうしましょう?」
もちろんその場合の対応は、アヒルさんの回答はひとつしかない。
「ふええ、突破される前に逃げきるしかないって! それしか手はないんですね」
現に、迫る矢の数は減ってきている。
「が、頑張らなきゃ……!」
レーサーたちからも矢からも逃げるように、フリルはペダルを踏む足に力を込めるのだった。
大成功
🔵🔵🔵
風雷堂・顕吉(サポート)
アドリブ連携可
約100年前、ダークセイヴァーの人類敗北以来、ヴァンパイアとの死闘を細々と繰り広げてきたダンピール、それが俺だ。
ヴァンパイアを狩るため、あるいは次に狩るべきヴァンパイアの手掛かりを得るためにここにいる。
【世界知識】ダークセイヴァー世界の大抵のヴァンパイア相手ならそれがどのような血族かは知っているし、知らなくとも【情報収集】の伝手はある。
それ以外の世界については物珍しそうに振る舞うことになる。すぐに慣れるだろう。
ダークセイヴァーとスペースシップワールド以外の世界は日差しが強すぎるので、サングラスを着用する。
戦闘は剣士の動きだ。
次に参加する猟兵が戦いやすい状況を作ることも多い。
「自転車とやらを用いる競争か」
夜道に走る風雷堂・顕吉(
吸血鬼狩人・f03119)。
全身を吸血鬼狩人としての格好のまま、真顔で真剣に自転車を走らせる彼の姿は、コミカルなようでありながらも実に様になっている。
最初こそ不慣れな風に自転車を操縦していたものの、さすがの運動神経で乗り方のコツを掴み上手く運転している。それに日の沈んだ夜間のレースというのも顕吉にとってはありがたかった。
「ヴァンパイアは居なさそうではあるが、ここまで来て何もせず帰るというのもな」
乗り掛かった舟、ではなく自転車だ。眼前の脅威を打破しておくのも良いだろう。それにスピード感がなんとも心地よい……といえるほどの楽な競技ではないが、高揚感を覚えながら顕吉は走り続ける。
――キン!
「……む」
風切り音。
攻撃が来た、と察した次の瞬間には、顕吉は背に負っていた――腰に差すと運転の邪魔だったため――
刀を抜き、飛来する矢を斬り落としていた。
続けざまに飛んでくる矢の数々。ありえない軌道を取り、速度すらも定まらずに次々と襲い掛かってくるが。
「見事な技量ではあるな」
それでも、顕吉の抜刀術による迎撃を破れるほどではない。
「おとなしく退場していてもらうか」
矢を落としつつ、まさに獲物を狩る狩人のごとく敵レーサーに肉薄。
「今は眠っておくがいい」
その一閃は視認することなどできなかっただろう。まずは一人、峰打ちを急所に入れて昏倒させると、顕吉は矢を払いながら、さらに次々と敵レーサーたちを退場させていくのだった。
成功
🔵🔵🔴
オリヴィア・ローゼンタール
自転車を運転しながら弓とは……
馬に乗って弓を射る騎射は聞いたことがありますが、あれは馬が走ってくれるからこそ
自転車を漕ぎながらでは難易度も段違いでしょう
だからこそ、万全ならばともかく、満身創痍の状態なら強引に打ち破れる筈
射出された矢が、意志を持つかの如く変幻自在の軌道を描く
【落ち着いて】【集中力】を乱さず、己の直感――【天眼通】を信じてハンドルを切って躱す
【怪力】でペダルを踏み、次弾を番えるよりも速く【騎乗突撃】!
弓と矢、両手を攻撃に割いている分、踏ん張りが効かない筈
【ランスチャージ】のランス抜き……直截に表現すれば体当たりで【吹き飛ばす】!
「自転車を運転しながら弓とは……」
沿道に倒れ込んでいる、矢の攻撃を受けてリタイアしたヴィーラのメンバーたちを見て、オリヴィア・ローゼンタール(聖槍のクルースニク・f04296)は思わず感嘆の声を漏らした。
おおよそ一撃必倒。オリヴィアとて、騎乗しての戦いに長けた者だ。だからこそ彼らが放つ攻撃の難しさはある程度推し量れる。
「馬に乗って弓を射る騎射は聞いたことがありますが、あれは馬が走ってくれるからこそ。自転車を漕ぎながらでは難易度も段違いでしょう」
ある意味では曲芸かもしれない。しかし極まった技量だからこそ為せる技だ。
「……惜しむらくは、それがダーク化させられたレーサーが、無理矢理にやらされているということ」
元々の肉体強度的には射撃は可能である、というだけの話だ。極論を言えばオリヴィアにだって不可能ではないだろう。それをしたことによる、後々の影響などを一切度外視すれば、だが。
「万全ならばともかく、満身創痍の状態なら強引に打ち破れる筈」
覚悟を決め、オリヴィアはペダルを深く踏み込んだ。
先を走る敵レーサーから射出された矢が、まるで蛇のように地を這うありえない軌道でオリヴィアに迫る。
「落ち着いて……」
その噛み付く先はオリヴィアの身か、それとも車体か。
「……後ろ!」
決して集中を乱さぬまま、神通力にすら近づいた己の直感を信じ、迅速の牙を躱す!
前輪のみブレーキ。慣性の法則に従い後輪だけが浮く、いわゆるジャックナイフ。同時に重心を調整しながらハンドルを動かし、そのまま吹きとばされてしまわないように車体を制御する。
「そんな!」
攻撃した側が、思わず悲鳴を上げることも仕方ないだろう。
だんっ!
後輪の接地と同時に、オリヴィアはその怪力で一気にペダルを踏みこむ。アスファルトが焼ける匂いを置き去りにして、敵が次弾を番えるよりも早く彼我の距離を詰める!
「弓と矢、両手を攻撃に割いている分、踏ん張りは効かないでしょう?」
オリヴィアが選んだ攻撃はランスチャージ。それのランス抜き……つまり直截に表現すれば体当たり。速度と質量の相乗で絶大な破壊力となった突撃は、ダーク化させられたアスリートを冗談のように吹き飛ばした。
「さあ、次は?」
危険そうな崖下ではなく、そそり立つ樹木の幹にぶつかったのを確認し、オリヴィアは次の標的へと挑みかかるのだった。
大成功
🔵🔵🔵
第3章 ボス戦
『『リニア・アルジブラ』ベクトリーヌ』
|
POW : ペネトレイト・ショット
自身の【モデルガンの弾】に【障害物を貫通するが殺傷能力のない貫通力】を宿し、攻撃力と吹き飛ばし力を最大9倍まで強化する(敗北や死の危機に比例する)。
SPD : ステアリング・ステップ
レベル分の1秒で【サイドステップを行い、カウンターショット】を発射できる。
WIZ : ウィンド・リフレクション
状態異常や行動制限を受けると自動的に【方向修正が行われる全反射の追い風】が発動し、その効果を反射する。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
|
ペダルを漕ぐ足が重い。息苦しい。酸素が足りない。
暗い。速い。事故が怖い。
……それでも、私は一番にゴールする。
――どちらが悪いのかと問われたら、それは私の方なのだろう。
その森を走る自転車のレースが開催されるという告知は、以前からされていた。なのに自主練で、その時その場所に入ってしまっていたのは私の過失だ。
……恨みはないといえば嘘になる。納得なんてできるはずがない。
だからこそ私は、アスリートとしてあらゆる面で彼らよりも強いと、優れているということを、彼らの戦場で証明してみせて――私の
試合場に戻るのだ。
陽環・柳火(サポート)
東方妖怪のグールドライバー×戦巫女です。
悪い奴らはぶっ潰す。そんな感じにシンプルに考えています。
戦闘では炎系の属性攻撃を交えた武器や護符による攻撃が多い。
正面からのぶつかり合いを好みますが、護符を化け術で変化させて操作したりなどの小技も使えます。
全力魔法使用後の魔力枯渇はにゃんジュール等の補給で補います
名刀『マタタビ丸』は量産品なので、もしも壊れても予備があります。
ユーベルコードは指定した物を使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動し他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。また例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。
あとはおまかせ。よろしくおねがいします!
「うおおおおおおおおっ!」
喉も破れんばかりに叫びながら、陽環・柳火(突撃爆砕火の玉キャット・f28629)は気合を込めてペダルを踏む。レースをする上では非効率かもしれないが、容赦なく体力を削ってくるこのコースでは勢いを失くしてしまったら再び走れないだろう。
「騒々しい」
――タタタタタッ!
一気に肉薄した柳火に対して、『『リニア・アルジブラ』ベクトリーヌ』は銃の連射を入れる。
しかし、
「至近距離なら当てられる、なんて考えてもらっちゃ困るぜ!」
「!?」
ベクトリーヌの射撃と同時に、ぱっと柳火がハンドルから手を放す。
その一瞬。柳火に着弾するまでの一瞬に、柳火は背に携えていた名刀『マタタビ丸』を抜刀。すべてを斬り落としていた。
「実弾でもないし、刀が折れる心配もねえな! ……おっとと」
さすがに鉛玉であれば何回もは難しかっただろうが、今回の攻撃はバトロワ用の銃と弾だ。何度でも迎撃は可能だろう。どちらかといえば、一瞬とはいえハンドルから手を離すことで転倒してしまう危険の方が大きい。
「ちぇっ、追いつくには少ししんどいかな」
柳火はハンドルに手を戻すと、揺れる車体を制御する。その後もベクトリーヌに迫るが、彼女へ刀が届く射程に入る前に射撃の妨害が入る。
「それでも、レースの妨害はできるだろ?」
互いに決定打を欠くが、そもそも彼女をノックアウトする必要はない。交戦することで走行速度が落ちるのであればそれでも十分。自分以外でも、誰かがベクトリーヌより先にゴールすれば良い。
「俺の体力が尽きるまで付き合ってもらうぜ! うおおおおっ!」
咥えたにゃんジュールの袋を握り潰し、一気に腹に流し込んで体力補給。柳火は勢いよくペダルを踏み続けた。
成功
🔵🔵🔴
シェリー・クサナギ(サポート)
「美しくない世界なんて、生きるに値しないわ」
◆口調
・一人称はワタシ、二人称はアナタ
・女性的な口調
◆性質・特技
・血液の形状を自在に操作する能力を保有する
・可愛いものには目がない
◆行動傾向
・暴力と砂嵐が支配する狂気の世界において、美しいものと可愛いものこそが人の心を救うと信じ、それらを護るために戦ってきた歴戦の奪還者です。社会通念や秩序に囚われることなく、独自の価値観を重んじます(混沌/中庸)
・彼にとって『美しさ』は外見だけでなく、義侠心や献身的な姿勢、逞しく生きようとする精神の高貴さも含まれます。これを持つものは敵であっても尊重します(が、世界を脅かす存在は『美しくない』ので結局戦います)
「なるほど、ただの無軌道な
襲撃者ってわけでもないようね?」
「なんだお前は」
後ろから迫る気配に振り返るベクトリーヌ。そこに居たのは、ベクトリーヌからしたら奇抜な格好をしたシェリー・クサナギ(荒野に咲く一輪の花・f35117)であった。
シェリーのこだわりのお洒落を、ベクトリーヌは理解できなかった。自動小銃を携えているのでバトロワ選手のように見えたが、服装のそこかしこがデコられていて機能性はあまり感じられない。彼女からすれば射撃手とは隠密行動が重要で、わざわざ己を飾り立てる必然性が見いだせないのだ。
「うーん、可愛らしいわね❤️」
そんなシェリーからの熱い視線を受け、息を上げながらも内心震えるベクトリーヌ。
シェリーの方からすれば、ベクトリーヌはなかなか好感が持てる相手であった。銃を活用するなら、例えば闇討ちで敵勢力を潰す……なんてのがアポカリプスヘルの常識だ。ベクトリーヌが
闘輪のレーサーを襲撃した理由は不明だが、相手のスポーツへ堂々参戦し、なおかつ実力で勝利しようとしていることにシェリーは『心の美しさ』を見出していた。
しかしベクトリーヌに、シェリーの内心など理解できるはずもない。
「気持ち悪いな
。……?」
そして抱いた軽蔑の感情が、ベクトリーヌへの攻撃として返ってくる。
「なんだ、こいつらは」
ベクトリーヌと並走を始めた、血のように赤い人型?の何か。自分に向けて腕を伸ばしてくる様は、まるで亡者が地獄へと引き込もうとしているかのよう。
焦りつつも銃撃をするが、弾が当たっても走る速度が一瞬落ちるぐらいで効いているようには見えない。
「大変ねえ。それじゃ、ワタシは先に行っちゃおうかしらね?」
それが血球型偽神兵器である、などとはベクトリーヌに分からない。が、少なくともシェリーによって召喚され攻撃を仕掛けてきているのは理解できる。
「……負けはしないわ」
心乱されスピードは落としながらも、追跡者からベクトリーヌは逃げる。そんな彼女を追い抜くべく、シェリーも後を追うのであった。
成功
🔵🔵🔴
鈴乃宮・影華(サポート)
「どうも、銀誓館の方から助っ人に来ました」
銀誓館学園所属の能力者……もとい、猟兵の鈴乃宮です
かつての様にイグニッションカードを掲げ
「――
起動!」で各種装備を展開
友人から教わった剣術や
体内に棲む黒燐蟲を使役するユーベルコードを主に使用
TPO次第では
キャバリアの制御AIである『E.N.M.A』が主体となるユーベルコードを使用したり
『轟蘭華』や乗り物に搭載した重火器をブッ放したり
「
神機召喚――
起動!」からのキャバリア召喚で暴れます
例え依頼の成功の為でも、他の猟兵に迷惑をかける行為はしません
不明な点はお任せします
「超人アスリートに、ダークリーガーですか……」
ペダルを踏みしめつつ、鈴乃宮・影華(暗がりにて咲く影の華・f35699)が呟く。猟兵、ひいては能力者のような超人的な人々が、当然のように己の能力を活かしてスポーツを行う。死とは隣り合わせない青春が少しだけ眩しく感じる。
だからこそというわけでもないが、そのような世界を乱すダークリーガーの存在は認めがたいと影華は思うのだ。
競技用の自転車なので勝手が多少異なるが、当然ながら影華が操縦に戸惑うこともない。
起動を済ませ各種装備を展開した後であれば、傾斜の激しい坂道といえども走るのは難しくもない。
「……はあ、はあ……」
とはいえ決して楽というほどでもない。マフラーをたなびかせながら懸命に影華はベクトリーヌに近づく。背に負う
魔剣を使えば一撃で落とせるだろうか、などとも考えるが。
――タタタッ!
「……ぐ! そうもうまくはいきませんか……」
ベクトリーヌの射撃と同時に襲い来る強烈な向かい風。自転車の高速走行時のに受けるものとはまた異なる、更に強烈な風圧が影華を襲う。思わず速度を落としてしまったことで、ベクトリーヌとの距離は一旦開いた。
「しかし……」
今の風は明らかにユーベルコード。であるならば。
「それが超常であるならば、停止させられます」
影華は再び、ベクトリーヌへアタック。
銃弾とともに襲う風に、螺旋状のオーラを纏った右拳を叩きつける!
――パァン!!
すべてを押し返すはずの風は、影華の詠唱停止プログラムの前に呆気なく霧散した。
ただこの技はモーションが大きく、自転車の操縦中に放つと体勢が崩れてしまう。バランスを取り戻す間に彼我の距離は多少空いてしまうようだ。
「追い付くのは難しいかもしれませんが……付かず離れずを維持することはしましょう」
ならば徹底マークで体力を削る。そう方針を定めると、影華は再び仕掛ける瞬間を図るのだった。
成功
🔵🔵🔴
フリル・インレアン
ふえ?あのダークリーガーさん……。
いつの間に私を追い抜いたのでしょうか?
ふええ、私がガラスのラビリンスでもたもたしてる間だろって、しょうがないじゃないですかアヒルさん。
私だって暗いと迷いやすいんですから。
ふえ?それに気になる場所はそこじゃないって、どこなんですか?
ふえ?あのダークリーガーさんは元々この競技の選手じゃないって、それじゃあなんでこの競技に参加しているんでしょう?
ふええ、ベクトリーヌさんです。
速すぎて前籠からアヒルさんが私の持ち物を投げて攻撃しても当たりません。
こうなったら、美白の魔法です。
それだけ速ければ滑りやすいですよね。
走る、奔る。
夜闇に駆ける銀輪、ベクトリーヌの走行は、あまりの走路の険しさと体力の消費具合ゆえにそう決して速いものではない。だが確実に、誰よりも先に、ゴールへと向かっていた。
そんな彼女に追い縋るフリル・インレアン(大きな
帽子の物語はまだ終わらない・f19557)。
ダーク化したレーサーたちの襲撃をうまいこと撒きながら、まるで逃げるように先へ先へと進んでいたフリルは、前方にベクトリーヌを発見した。
「ふえ? あのダークリーガーさん……。いつの間に私を追い抜いたのでしょうか?」
レースの序盤で交戦した際以来ではあるが、とはいえそう驚くほどでもないだろう。
「ふええ、私がガラスのラビリンスでもたもたしてる間だろって、しょうがないじゃないですかアヒルさん」
前籠をすっかり定位置として収まっているアヒルさんに指摘されるのは仕方がない。中盤の視界が悪い中のひどい混戦状態では、自分以外の選手の位置関係までは把握できたものではなかった。
「私だって暗いと迷いやすいんですから。それとお菓子のお代わりはもうありませんから、あとはゴールしてからですよ。……ふえ? 気になる場所はそこじゃないって、どこなんですか?」
そして更なるアヒルさんの懸念を察した、……ように見えたフリルだが、どうやら読み違えたようだ。
「ふえ? あのダークリーガーさん……ベクトリーヌさんでしたっけ。元々この競技の選手じゃない、って。それじゃあなんでこの競技に参加しているんでしょう?」
……なるほど、見たところたしかに彼女の装備は自転車レーサーという感じではない。可愛らしくコーデにアレンジを入れているが、バトロワ系のアスリートのように見える。
「彼女には彼女なりの事情があるのかもしれませんね。でも……」
それを推し量る術をフリルは持ち合わせていない。
「アスリートの皆さんがダーク化させられてしまうのは、止めなくてはいけません」
今、為すべきことはレースでの勝利だ。フリルは残る体力をかき集め、ベクトリーヌへと攻勢に出る。
そのつもり、だったのだが。
「ふええ、攻撃しても当たりません」
自転車を操縦しながら攻撃を仕掛ける、というのはフリルにとってはとても難しかった。
「こんな急な下り坂でハンドルから手を放せとか無理ですよ! そのままカーブに突っ込んだらお星さまです!」
しかも真っ暗な中だ。猟兵なら事故ってもそう大きな怪我にはならないだろう、というのは気休めにならない。
ということでアヒルさんに、前籠からフリルの持ち物をぽいぽい投げてもらっているのだが。まあうまく当たらないものである。
――タタタタッ!
「……ひゃっ! ふええ」
というよりベクトリーヌがうまく避けているのだ。後方のフリルたちを振り返りもしないが、投擲も射撃の一種だからか、命中する前にうまく走行ラインを変えて回避。そして銃だけを後ろに向けてカウンター射撃をしてくる。狙いが甘いためこちらも当たりはしなかったが、フリルの走りの勢いを削ぐには十分だ。
「こうなったら……」
「……えっ?」
ベクトリーヌが怪訝な声を漏らす。踏み込んだペダルが足に返してくる感触がおかしい。踏んだ分の力が速度に返ってこない。己の制御を外れて自転車が進んでしまう――!
「それだけ速ければ、滑りやすいですよね」
ベクトリーヌの自転車には蒸気――本来ならお肌のスキンケアに使うものだ――が纏わりついていた。タイヤと地面との摩擦が無い今、ベクトリーヌは氷の上をスリップしているのと似たようなものだ。
「転倒しないようにするだけで精一杯でしょう」
クラッシュまではさせられなくとも、これで相当に勢いは削がれるはず。
ゴールまでは近い。もうすぐベクトリーヌを追い抜ける……!
大成功
🔵🔵🔵
オリヴィア・ローゼンタール
背中が見えた――!!
力強くペダルを踏んで【追跡】
【第六感】で銃撃の予兆を感じ取り、ハンドルを切る
ペダルを踏む
急勾配や急カーブでも体幹はブレず(地形耐性)
ペダルを踏む
激闘を潜り抜けてもなお、トップスピードを維持する【継戦能力】
ペダルを踏んで、並ぶ!
突撃は――仕掛けない
そう驚くことでもないでしょう
バトルの要素があろうと、これはレース
決着は誰が最初にゴールするか
ならば本分に立ち返り……スピード勝負です!
より一層力強くペダルを踏む!
【気合い】と【根性】で【限界突破】! さらにその先へ――【因果超越・永劫の勇士】!
ゴール目掛けて全身全霊! ラストスパートッ!!
その様は、さながら獣が獲物を発見した瞬間のようであった。
「背中が、見えた――!!」
オリヴィア・ローゼンタール(聖槍のクルースニク・f04296)の、ブルマに包まれた身体が躍動する。激しい交戦含みの過酷なレースに、さすがのオリヴィアでも精神と、何より体力を大きく削られていた。
だがようやく倒すべき敵の影が小さく目に入ったのだ。ここに来て追い付けたのは、先にベクトリーヌと競った仲間たちのお陰もあるだろう。
「はあっ、はあっ」
万全の状態かと問われたら間違いなく否。それでもなお、オリヴィアは残る力を振り絞り力強くペダルを踏む。
当然、ベクトリーヌも追い縋る難敵を易々と許しはしない。
「!」
オリヴィアの第六感が働いたのは、生命の危機に近いものを察したからだろう。ここまで来て落車でもしたら二度と立ち上がることはできない。急激にハンドルを切り銃撃を回避すると、身を傾げながら急カーブに突入。体側面がちりりとアスファルトに擦れた。
決して速度は落とさない。必ず追い付く――!
「!?」
……交錯する視線。だが双方の感情は全く異なった。
銃弾を躱しつついよいよベクトリーヌの隣に並んだオリヴィアは、そのまま
突撃を……仕掛けない。
驚くベクトリーヌ。対するオリヴィアは何をか言わんやとばかりの表情をあえて見せ、その一瞬の驚愕で速度が緩んだベクトリーヌを突き放すようにペダルを踏み込んだ。
「そう驚くこともないでしょうに」
わずか頭一つ分ほど後ろになったベクトリーヌからの攻撃は、来ない。そうする場合ではないと、ベクトリーヌも察したのだろう。
――そう、バトルの要素があろうと、
闘輪は本質的に自転車レースなのだ。決着とは、誰が先にゴールするかで決めるもの。オリヴィアは本質に立ち返りスピード勝負を選んだのだ。
「く……いかせない!」
そしてベクトリーヌの本職はバトロワシューターだ。彼女の自転車操縦技術はそれなり以上ではあるかもしれないが、つまるところ攻撃特化のレーススタイルで得た首位。至近距離からの射撃を当てるのが難しい相手にレースで勝とうとするなら、攻撃に回せる余力はなかった。
――ああ、楽しいな。
ベクトリーヌは極限状態の霞む思考の片隅で、ふと思った。
そこには憎悪だとか、そんな余計は一切存在しなかった。ライバルと競う瞬間の空気が、苦しくもどれほどに尊いものか。それを今更に……本当に今更ながらに、
ベクトリーヌは痛感していた。
そして、レースは
終点を迎える。
「はああ、ああ、ああっ!」
「おおお、おおおっ!」
真っ暗な夜の山道に、意地と意地がぶつかり合う。絞り出される二人の声は、戦意の迸りの漏れ出たもの。
オリヴィアもベクトリーヌも、残された力でより一層強くペダルを漕ぐ。ゴール後のことなど一切考えない。今この瞬間にすべての力を注ぎ尽くす!
「……ラスト、スパートっ!」
気合いと根性で限界を超え、オリヴィアはさらにその先へ――!
レースが終わり、二人は疲労困憊で倒れ込んでいた。
「ああ……」
ベクトリーヌの身体が消えていく。首位はオリヴィア。ゴールには車体一台分ほど、オリヴィアが先着していた。
ベクトリーヌの顔はやはり悔しそうで……でも満足しきった表情であった。
「ナイスレース、でした」
隣に寝転がるオリヴィアが、拳を伸ばす。
「……ありがとう」
その拳に自分の拳を静かに合わせ、かすかに笑い、ベクトリーヌは消滅するのだった。
オリヴィアには確認できないが、ヴィーラの面々もダーク化が解除されているだろう。
後にはただ、熱いレースの余韻だけが残った。
オリヴィアは長いこと、空を見上げて火照った身体を冷ますのであった。
大成功
🔵🔵🔵