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エンドブレイカーの戦い⑪〜巨神咆哮

#エンドブレイカー! #エンドブレイカーの戦い #骸殻工房ガルシェン

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●エリクシル
 謎めいた超巨大獣の骨の外殻。
 その内部に建設された巨人たちの都市国家。それが骸殻工房ガルシェンである。かつては『骸殻荒野』とも呼ばれた地底都市であったが、今や見る影もない。
 地底より進出した巨人たちが工房街を精霊建築によって積み上げ、発展を示していた。
 上へ、上へ。
 地上の光を求めるように巨人たちは地上を目指した。
 全ては発展のため。

 その太陽の光に魅せられたかのような強烈な発展への願いは、万能の魔神『エリクシル』にとって大いに求めるところのものであったことだろう。
「発展には願いが必要。乾いた大地に染み込む雨のように」
 万能の魔神『エリクシル』の一柱『戦女神ラーディス』は赤き宝石のごとき兜の奥で笑うでもなく、嘆くでもなく、怒るのでもなく、戦いを楽しむのでもなく、ゆっくりと足を踏み出す。
 しかし、その大きさは人のそれではなかった。
 その巨体、実に全長20メートルを超え、赤き六腕は全てを余さず破壊することだけの機能美めいたものを感じさせた。

『戦女神ラーディス』は『エリクシル』である。
 赤き宝石の兜、六腕が示す通りである。しかし、これだけの巨体を示すのは、あまりにも規格外であった。
 ただ一度巨腕の一振りを振るうだけで、超巨大獣の骨の骸殻が寸断され、大地に落ちては瓦礫と粉塵を巻き上げる。
「破壊の後に再生があるように。再生を願うために破壊を齎す。そして、破壊を齎す者を駆逐するためにより巨大なるを求める。願いは際限なく。そして、得た力はさらなる争いを呼び込む。争いが起これば破壊が再び起こるだろう」
 人は愚かである。
 故に願う。
 力を願った時点で、すでに囚われていることも知らずに願い続ける。

「故に願うがいい。『平和』を願うがいい。私は叶えよう。『平和』を――」

●骸殻工房ガルシェン
「お、おいおいおい! なんだぁ、ありゃぁ!?」
「ヒトか? それにしちゃ、目の錯覚を疑うほどにデカくはねぇか!?」
「見間違えなものか! あれは巨人だ!」
 骸殻工房ガルシェンの巨人たちは自分たちの体高8mを超える体躯を差し置いて、迫る20mはあろうかという巨大な六腕を持つ万能魔神『エリクシル』、『戦女神ラーディス』の姿を認める。
 だからといって彼らが退くことはなかった。
 ただの一撃で超巨大獣の骨格の一部を寸断する一撃を『戦女神ラーディス』が持っているのだとしても、だ。
 彼らはただの巨人ではない。
 獣の身体部位を持ち、勇猛果敢なる気質を携えた、生粋の『巨獣狩猟者』なのである。

「人型だろうがなんだろうが、やることには変わりはねぇ!」
「ああ、生きるためには糧が必要だ。他者の生命を食らって生きる以上、我等が生命もまた他者の生命の礎よ!」
「おうとも! 己の血潮は血族に連なっているのならば、この地が大地に染み込み、躯を晒すのだとしても、先祖伝来たる大地を潤すのみ」
 巨人たちは、その手に巨大なる武器を構える。
 奪われぬためには奪わなければならない。
 生きるということは、他者の命を奪って生きながらえるということだ。ならば、例え、明日己の身が奪われる側に廻るのだとしても構わない。
 それが摂理である。
 ならば、『今』、恐れるには値せず。
 巨人たちは迫る『戦女神ラーディス』の咆哮を迎え撃つように、雄叫びを上げる――。

●エンドブレイカーの戦い
 グリモアベースに集まってきた猟兵たちを迎えたのはナイアルテ・ブーゾヴァ(神月円明・f25860)であった。
「お集まり頂きありがとうございます。エンドブレイカー! 世界を嘗て窮地に陥れた『11の怪物』たちが一斉に押し寄せています」
 ナイアルテの言葉に猟兵達は頷く。
 あらゆる願いを叶える万能魔神『エリクシル』。
 それらを創造した『11の怪物』のちからの強大さは言うまでもない。彼らは眠れる大地たる『大地母神』を殺害することで世界と猟兵たちのつながりを絶とうとしているのだ。

「これを阻止できなければ、私達はエンドブレイカー! 世界から放逐され干渉できなくなってしまうでしょう」
 つまり、敵の狙いは猟兵たちに邪魔されぬ世界を作り出すこと。
 そして今、嘗て『骸殻荒野』と呼ばれた『骸殻工房ガルシェン』へと隊長20mはあろうかという巨大な人型の『エリクシル』、『戦女神ラーディス』が迫っている。
 しかし、『骸殻工房ガルシェン』に存在する体長8mの体躯を持つ巨人たちは座して滅びを待つことはない。
 彼らは『巨獣狩猟者』でもあるのだ。
 人類にとって生存適さぬ巨獣闊歩する荒野にて、これを狩り生きてきた彼らは『エリクシル』であろうと立ち向かうだろう。

「彼らと協力し戦うのならば、如何に巨体たる『戦女神ラーディス』であっても打倒できぬ道理はありません」
 巨人たちは巨獣を狩猟するために巨大な武装を持って戦いに挑んでいる。
 だが、確かに彼らが如何に強くとも『エリクシル』を倒し切ることはできない。やはり『エリクシル』にトドメを刺せるのは猟兵たちだけなのだ。
 ナイアルテは猟兵たちを見送り、その武運長久を願うように一礼するのだった――。


海鶴
 マスターの海鶴です。

 ※これは1章構成の『エンドブレイカーの戦い』の戦争シナリオとなります。

 嘗ては『骸殻荒野』と呼ばれた超巨大獣の遺骸を中心に存在していた地底都市に迫る巨大『エリクシル』との決戦になります。
 体長20mを超える巨体です。
 ですが、『骸殻工房ガルシェン』より、巨人たちもまた戦いに参じてくれています。彼らは強いですが『エリクシル』にトドメをさせません。
 彼らと強力し、これを打倒しましょう。

 プレイングボーナス……巨人の狩猟者達と協力し、エリクシルの巨体に対処する。

 それでは、エンドブレイカー! 世界から猟兵たちを放逐せんとする『11の怪物』と対決する皆さんの物語の一片となれますよう、いっぱいがんばります!
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第1章 ボス戦 『戦女神ラーディス』

POW   :    願望実現武装
自身の装備武器を【願望実現武装】に変え、【必中】能力と【防御貫通】能力を追加する。ただし強すぎる追加能力は寿命を削る。
SPD   :    エリクシルウェポン
【願望宝石エリクシル】から、対象の【戦いに勝ちたい】という願いを叶える【エリクシルウェポン】を創造する。[エリクシルウェポン]をうまく使わないと願いは叶わない。
WIZ   :    戦女神の武器
レベル×1個の【願望宝石エリクシル】を召喚する。各々、「投擲武器、時限爆弾、自身の立体映像」のどれかに変形できる。

イラスト:そは

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

馬県・義透
四人で一人の複合型悪霊。生前は戦友

第三『侵す者』武の天才
一人称:わし 豪快古風
武器:灰遠雷

うむ、共に戦うに力強い存在よな!
というわけで…近接でともに戦う者を募集。できれば槍使い。

わしは陰海月に乗って、目線の高さを同じくしよう。
戦いに勝つは、こちらなのだからな…大きいおかげで、視認には困らぬ。
故に…UCにより矢を放つ。
協力者には当たらぬよ。当たり前であろう、悪霊は、呪う相手を間違わぬ。

ちなみに、麻痺呪詛つけた。
これで、協力者の攻撃も当たりやすくなろうて。


陰海月「ぷきゅ」
わー、大きい!!でも、ぼくも頑張るから!
念のために、海色結界を張ってる。



 巨人の一歩は大地にある者を激震させる。
 これまで幾度となく巨大なオブリビオンや鋼鉄の機動兵器との戦いを経験してきた猟兵においては慣れ親しむものであったかもしれない。
 少なくとも、馬県・義透(死天山彷徨う四悪霊・f28057)の一柱『侵す者』にとっては、巨人たちは心強い味方であった。
 手にした巨大な狩猟武器。 
 迫るは赤い宝石の如き甲冑と六腕にそれぞれ携えた武器。
「戦いに勝利することは願いだ。我等にそれはない。だが、我等が叶えてきた願いならばある。勝利を齎す『エリクシルウェポン』――顕現」
 六腕に握りしめられたるは、大太刀。
 その寸尺はゆうに巨大『エリクシル』である『戦女神ラーディス』の身の丈の倍を超えていた。
 つまり、あの大太刀は40mを超えているということである。

「馬鹿でけぇ太刀だな、ありゃあ!」
「ぶん回してよく折れねぇもんだ!」
「とは言えなっちゃいねぇな! 戦女神と聞いて呆れらぁな!」
 巨人達の言葉に『侵す者』は頷く。
「うむ、名ばかりで素人であるよな!」
『侵す者』は戦場を飛ぶ。
 そう、大太刀を振るうは縦軸ではなく横軸であるべきだ。六腕で一本の『エリクシルウェポン』を振るうのは、その長大な刀身故であろう。
 けれど、その膂力を全て余す事なく使うというのであれば、横薙ぎが正解であった。
 ましてや、こちらの数が多いのだ。
 ならばこそ、横薙ぎに震えば街を巻き込んで巨人諸共に猟兵を攻撃できる。

 なのに、一刀の威力を底上げすることを選んだのだ。
「愚かの一言よ! 頼まれてくれるか、巨人の御仁たちよ!」
「おうともよ!」
「任せておきな、俺たちが荒野で『巨獣狩猟者』と呼ばれているのは伊達じゃあねぇぜ!」
 大太刀が振りかぶられた瞬間、槍を手にした巨人たちが一斉に『戦女神ラーディス』へと迫る。
 槍の切っ先が『戦女神ラーディス』の体を貫く。
 血潮が溢れる。
 だが、それで仕留められるわけではない。

「無駄だ。この一閃は巨人共、お前たちを捉えていない。我が捉えるは、脅威とするは、ただ一つ」
 猟兵のみ。
 そう、大太刀の一閃は、この場においての脅威である猟兵を一撃で打倒するためのもの。
 それもそのはずだ。
 巨人達が如何に優れた狩猟者であるのだとしても、『エリクシル』にトドメはさせない。
 ならばこそ、その一撃放つことのできる猟兵を確実に屠るは必定とも言えた。
「その慢心が敗北への楔よ。悪霊からは逃げられない」
 巨大クラゲに乗った『侵す者』は黒き弓を引き絞る。
 ユーベルコードに輝く瞳が『戦女神ラーディス』を捉え、放たれる。

 呪詛を込めることによって黒く変貌した弓より放たれる矢は四天境地・雷(シテンキョウチ・カミナリ)。
 空中で分裂し一気に雷の矢となって『戦女神ラーディス』に降り注ぐ。
 それは雨のようでもあった。
 だが、その分裂した矢は巨人たちに害をなすことはしなかった。
 どれだけ苛烈なる雨に見えても、悪霊の矢は己と敵対するものとそうでないものを違えない。
「ふっ、当然であろう。悪霊は呪う相手を間違わぬ――」

大成功 🔵​🔵​🔵​

アルトリウス・セレスタイト
世界を沈めるものであればオブリビオンに等しい
ならば猟兵がそれを討たぬ道理はない

状況は『天光』で逐一把握
守りは煌皇にて
纏う十一の原理を無限に廻し害ある全てを世界の外へ破棄
要らぬ余波は『無現』にて消去
全行程必要魔力は『超克』で骸の海すら超えた“世界の外”から常時供給

破界で掃討
対象は戦女神とエリクシル由来の全て、及びその全行動
それ以外は「障害」故に無視され影響皆無

高速詠唱を無限に加速・循環
瞬刻で天を覆う数の魔弾を生成、周囲全てへ斉射
更に射出の瞬間を無限循環
戦域を魔弾の軌跡で埋め尽くす

遍く世界を編んだ創世の理に例外はない
叶わぬ望みは抱かぬ方が良いぞ
万能は全能にあらず。他ならぬ俺が言うのだから間違いはない
その赤い輝きは何も成さぬと知るが良い

※アドリブ歓迎



 万能の魔神『エリクシル』は願いを叶える。
 それも歪めて叶えるが故に悪辣である。どんなに正しい願いも、どんなに悪しき願いであっても、『エリクシル』に必要なのは願い唯一。
 如何にして叶えるかが問題ではないのだ。
 因果も必要ない。
 そこにあるのはただ純然たる結果のみ。
「故に我は在る」
 刻まれた傷跡から血潮を流しながらも、しかし圧倒的な体躯を持つ『エリクシル』、『戦女神ラーディス』は赤き宝石の如き甲冑と六腕を振るう。

 砕けるようにして振り下ろした大太刀が散らばり、いくつもの宝石へと姿を変える。
 それらの一つ一つが万能宝石『エリクシル』であった。
 願いを叶える宝石。
 嘗て、それらを求め、強き願いがいくつも生まれただろう。
 いずれもが滅びに向かうのだとしても、それを必定と嘆くのはあまりにも悪辣過ぎた。
「世界を沈めるものであればオブリビオンに等しい。ならば猟兵がそれを討たぬ道理はない」
 静かに蒼い燐光と共に戦場たる『骸殻工房ガルシェン』に現れたのは、アルトリウス・セレスタイト(忘却者・f01410)だった。
「おう、なんじゃいあれは……!?」
「これまた小人のようじゃが……猟兵でいいんじゃよな!?」
「構わずとも良い。自らの命を守ることを考えればいい。これより行うのは掃討に他ならぬ」
 アルトリウスの指先が掲げられる。
 ユーベルコードの輝きが指先に集約されていく。
 蒼の燐光が一点に集約された瞬間、あらゆる障害を無視する万象を根源から消去する創生の権能が顕す蒼光の魔弾が万能宝石『エリクシル』と激突して明滅する。

 その光景に巨人達は目を見開くだろう。
 眩いまでの輝き。
 あらゆる願いを叶える、おおよそ理外の外にあるだろう『エリクシル』のちからと打ち合って、その蒼い燐光は消滅していくのだ。
「相打ち!?」
「違うな」
 アルトリウスは巨人たちの驚嘆を前にして否定する。
 己が手繰るユーベルコードは、破界(ハカイ)。
 願を叶える力というのは、現象を生み出すもの。
 創生というものが如何なるものであるのかならば、眼の前で起こっている現象が如何なることを示すかを識ることが出来たであろう。

 しかし、それを識る者はこの場において『エリクシル』とアルトリウスだけであったことだろう。
「あまねく世界を編んだ創生の理に例外はない」
 アルトリウスは静かに告げる。
 願いを求める『エリクシル』。
『11の怪物』に知的生命体を示す力。
 願いが強ければ強いほどに知的生命体としての格が上がるというのならば、このエンドブレイカーの世界において、願いとは生きることの原動力そのものであったことだろう。
 生きていたい。 
 死にたくない。
 戦いに勝利したい。
 敗北に塗れたくはない。

 その多くの願いは強烈であればあるほどに皮肉なことに滅びの象徴たる『11の怪物』を強く惹きつけてしまう。
「叶わぬ望みは抱かぬ方が良いぞ」
「我は望まない。願わない。我は叶えるのみ。我に願いはなく。我は器でもなく。ただそこに『在る』という事象のみ」
「そうか。ならば知るが良い。万能は全能にあらず。他ならぬ俺が言うのだから間違いはない」
 集約していく蒼の燐光。
 その指先が光を弾いた瞬間、降り注ぐ魔弾は無数に飛び散った万能宝石『エリクシル』の尽くを破壊し尽くす。
「その赤い輝きは何も成さぬと知るが良い」
 願いを求め、願いを叶え、そして破滅させる。

 結果は決まっている。
 生まれたのだから死ぬように。
 創生があるから終焉があるように。
「故にお前たちは負けたのだ。彼らに」
 そう、終焉を破壊する者。
 彼らに敗北したのだ。それを示すようにアルトリウスはユーベルコードの輝きより放たれる魔弾と共に其の者たちの名を告げる。

 そう、エンドブレイカー、と――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ヴィルトルート・ヘンシェル
●WIZ

オーホッホッホ!
この聳え立つ巨大さ、さながら超弩級ダモクレスかエインヘリアルの王族を思い出しますわ
ですが、お嬢様たるもの
この程度ではまったく臆しませんですわ

願望宝石エリクシルは些か厄介な代物とお見受け致しましたが、貴女には本当にそれを扱いきれまして?
お嬢様たるもの、己の願いは己自身の力で叶わせる事を求められましてよ

ですが、下々の者に賜り物を授けるのもお嬢様たるものの務め
『魔法鹵獲術』でお頂きしましたUCで召喚した願望宝石エリクシルで巨人様方に投合武器を授けますわ
目には目、歯には歯、エリクシルにはエリクシルでございましてよ
おフィニッシュには貴女が創り出した時限爆弾に私のを混ぜて爆破ですわ



 砕け霧散していく赤い宝石。
 その名は万能宝石『エリクシル』。
 願いを叶える宝石。
 不可能はなく。人が、知的生命体が願うものであれば、あらゆるものでさえ叶えて見せる。例え、それが歪んだ結末になるのだとしても、叶えて見せる。
 歪められた願いは歪な結果を生み出すように。
 どれだけ善性から発露した願いであっても、悪性より発露した願いであっても、例外なく滅びへと向かう。それが『エリクシル』。

 その『エリクシル』を生み出し続けるのが『11の怪物』である。
 彼らの目的は唯一。
 そう、知的生命体を喰らうこと。
『エリクシル』は謂わばマーカーのようなものであったことだろう。強ければ強い願いであるほどに知的生命体である証左であると言える。
『戦女神ラーディス』もまたその一つ。
「にしたって巨大過ぎる。巨獣相手でもな……!」
「おまけに人型ってのがな! 厄介すぎるじゃろ!」
 巨人達は猟兵と共に戦う。
 彼らは荒野にありて巨獣とさえ渡り合って見せる狩猟者。しかし、『エリクシル』を打倒するには至らない。

「オーホッホッホ! お任せになって!『エリクシル』にトドメをさせるのは猟兵のみ! ならば、わたくしめの出番でしてよ!」
「甲高けぇ声!!」
「あら、ごめんあそばせ!」
 ヴィルトルート・ヘンシェル(機械兵お嬢様・f40812)は高らかな笑い声と共に『骸殻工房ガルシェン』に迫る『戦女神ラーディス』を前にして降り立つ。
 巨大過ぎる。
 聳え立つかのような圧倒的な巨大さ。
 さながら超弩級ダモクレスやエインヘリアルの王族を想起させるものであった。
 だが、ヴィルトルートはためらわない。
 何故なら、己はお嬢様であるからだ。お嬢様という概念に対して、でっけぇ齟齬がありそうではあるのだが、此処では指摘するつもりはない。

「臆する必要も、理由もございませんわ! その赤い宝石、万能宝石『エリクシル』が如何に厄介な代物かは解っておりますのよ!」
 願いを叶える『エリクシル』。
 されど、それは願いを持つ知的生命体であればこそだ。『戦女神ラーディス』は『エリクシル』。叶えるだけの力しかもたず、さりとて願うことはないのだ。
 そんな彼女にできる『エリクシル』の使い道と言えば、そう多くはないのだ。
「我等が想うは、願いを持つ知的生命体の発見のみ。それはすでに叶えられた」
「そして、誰かの願いを歪めて叶えて滅ぼそうっていうのならば、そうは問屋が降ろしませんことよ!」
 ヴィルトルートは放たれる『エリクシル』の時限爆弾を見やる。
 謂わば砲撃めいたものだった。
 膨大な願いを叶える力を発露するのならば、それ自体が強烈なチカラの奔流となるだろう。

「お嬢様たるもの、己の願いは己自身の力で叶わせることを求められましてよ。ですが、わたくしめは持つもの。持たざるものに賜り物を授けるのもお嬢様たるものの務め」
 ノブレス・オブリージュ。
 その責務を傍さんと彼女のユーベルコードが煌めく。
 掲げた魔導書に『エリクシル』を受け止める。
 願いを叶える力。
 そして、この場において最も大きな願いを持つのは巨人たちだろう。
「皆様方、目には目、歯に歯、『エリクシル』には『エリクシル』でございましてよ」
 瞬間、生み出されるのは投石武器めいたスリングショット。
 些か大きいのは巨人でなければ扱えないが故であろう。

「これを使えってことか?」
「ええ、『巨獣狩猟者』ともあれば、お手の物でござましょう?」
「はっ、言ってくれるじゃあねけか!」
 その言葉を皮切りに巨人達がスリングショットを構え、一斉に『戦女神ラーディス』へと投石を開始する。
 その最中にヴィルトルートは魔法鹵獲術によって得た『エリクシル』の時限爆弾を混ぜ込み投擲し、その苛烈なる爆発を持って『戦女神ラーディス』の巨体を傾がせるのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

月夜・玲
デカい!
体長20m!
けど巨人も体長は8mある!
つまり…3人肩車すれば互角ぐらいになるのでは…?
そしてその上に私が乗れば、もう高さは完全に超えるのでは…?
勝った…!

じゃあ、まあ…その…お願いします
3つの巨人が1つになれば!
百万パワー!
…百万パワー!!!
さあ!なう!
ドゥイット!

ま、バランス悪いよね
うん、知ってた
けどまあ、向こうも注目してくれたからさ
意表は付けたから…

うぉぉぉ何が20mじゃい!
高さでマウント取って来るんじゃねー!!
《RE》IncarnationとBlue Birdを抜刀
【Code:T.S】起動!
最大サイズ!
こっちは20,499mじゃい斬り!
連続斬撃で装備武器ごと叩き斬る!



「デカい!」
 巨大な万能の魔神『エリクシル』の姿は圧巻そのものであったことだろう。
 けれど、それに立ち向かう巨人の『巨獣狩猟者』たちもまた通常の人間からすれば巨大そのものだった。
 まるで自分が小人になってしまったかのような錯覚を覚え、月夜・玲(頂の探究者・f01605)は思わず叫んでいた。
 この巨大な獣の躯である『骸殻工房ガルシェン』において見えた『エリクシル』は体長20mを超えている。
 問答無用の質量。
 そして、敵は『エリクシル』による願望実現武装を有している。
 あの六腕から繰り出される攻撃がそれだ。

 一度は砕けた大太刀は、小ぶりの太刀へと姿を変え『戦女神ラーディス』の六腕の中にある。
「まったくもって腕が多けりゃいいってもんではないだろうが、こりゃやっかいだぞ!」
「手数そのものだからな! それにあのデカさだ!」
「それはそうだけど……でもさ、みんなも身長8mはあるでしょ!」
 玲は巨人たちを見上げて言う。
 敵の願望実現武装は必中と防御貫通能力を有している。それを手数で振るってくるのだから溜まったものではない。
「とは言え、敵だってなんらかの制約を受けてるはず! ならさ、三人くらい肩車すれば同じくらいの大きさになるでしょ!」
「なるほどそうか!」
「そうかじゃないが?!」
 ノリのよい巨人達に玲は頷く。

 このノリ、この雰囲気ならばいける、と玲は踏んだようだった。
「じゃあ、その上に私が乗れば、もう高さは完全に超えるよね……! 勝った……!」
「勝てる……勝てるぞ!」
「いや、勝てるじゃないが」
「じゃあ、まあ、その……お願いします」
 玲の言葉にノリのよう巨人達が早速肩車を始める。
 三人組の一人が渋っているようだったが、その場の空気に押し流されていた。あーもー!と嘆いている所を見るに、この三人組の巨人、常日頃からこういうことをしているな、と玲は瞬時に理解する。
「三つの巨人が一つなれば!」
 さんはい、と玲は三連結した巨人たちを促す。
「……?」
「百万パワー!」
「ぱわー……?」
「……百万パワー!!!」
「なあ、このちびっこは何を言ってるんだ……?」
「馬鹿め、だからお前はアホなのだ。答えを急ぎするから真実を見失うのだ!」
 なんか喧嘩を始める肩車をした巨人の下と上。
 間に挟まれている巨神があーもー、とまた嘆く。いつものことなのだろう。
 だが、そんなきゃっきゃした巨人同士のあれそれを玲は切って捨てる。

「さあ! なう! ドゥイット!」
「ええい、こうなれば自棄よ! うまく行かんかったら許さんからな!」
 グラグラ揺れまくる巨人の肩車。
 でもまあ、それはそうである。玲も知っていたことである。
「やっぱりダメじゃないか!」
「でもまあ、ほら、敵もこっちを見てくれたし。何しているのか理解出来ないって顔をしているっていうことは意表は突けたってことで!」
 結果オーライ、ばっちぐーというやつである。

「というわけで後は私におまかせ! 玲さんの三分間クッキング! うぉぉぉ何が20mじゃい! 高さでマウント取って来るんじゃねー!!」
 おらー! と玲は模造神器を抜き払う。
 抜刀された蒼い刀身から雷の刃が引き抜かれ、その刀身はCode:T.S(コード・サンダーソード)は長大な斬撃となって『戦女神ラーディス』へと振り下ろされる。
「理解しがたい」
「うるせー! こっちは20,499mじゃい斬り! ジャイアントキリングと掛けてるわけじゃないぞ!」
 いや、絶対ジャイアントキリングのジャイキリと掛けてるゾ! と言わんばかりの蒼い斬撃は『戦女神ラーディス』の六腕掲げる願望実現武装を一刀の元に切り裂くのだった――。 

大成功 🔵​🔵​🔵​

ムゲン・ワールド
【香織(f39889)と】アドリブ連携歓迎

 なかなか美しいお嬢さんだが、あれだけ大きいと流石に同じ生命体という感られず、口説こうとは思えないな……。巨人の方々には申し訳ないが。
 まぁ今回はこちらにも麗しいお嬢さんがいるんだ。共闘を楽しむとしよう。

※香織との関係はムゲンがナンパして一緒にお茶したくらいの関係。今回の出撃もムゲンが誘った。

 イグニッションして【リミッター解除】。香織の乗機に捕まり、戦場へ。

 香織の僚機が充分に隙を作ったらら敵に再接近したタイミングで飛び降りて敵を完全に巻き込める形でUCを発動

 相手を眠らせればあとは狩猟者に攻撃してもらおう。

 地面に落ちる前に受け止めてくれよ、香織。


風吹・香織
【ムゲン(f36307)と】アドリブ連携歓迎

 本当に可愛い子と見れば、誰にでもそんな風に言うんだねぇ、まぁ私も可愛いと言われて悪い気はしないけどさ。
 さて、私は飛べればいい。エンドブレイカーの空ははじめてだが、行くよ、|ライトニング《相棒》!

 しっかし、人を相棒の上に載せるのははじめてだよ。緊張するね。

 UCを発動して僚機を召喚。バラバラに攻撃させてデコイとして使わせてもらう。
 こんだけたくさんの小蠅にバラバラに攻撃されれば意識も散漫になるだろ?

 隙をついて、敵に再接近。
 やっちまいな、ムゲン。

 任せな、相棒を操る腕前で失敗なんてしないよ!(ムゲンの落下コースに突入し、受け止める



 雷の斬撃が『エリクシル』、『戦女神ラーディス』の六腕が手にしていた願望実現武装をへし折り、散々に砕く。
 飛び散る破片。
 その一つ一つが万能宝石『エリクシル』であるのだろう。
 煌めく願いの力を受けて『戦女神ラーディス』は猟兵達への勝利を願う。
「我が求めるは勝利のみ。猟兵を排除すること。これを願う」
 煌めく宝石が散っていく中、猟兵達のユーベルコードによって刻まれた傷跡が埋まっていく。
「赤い宝石が飛び散る最中にある戦女神、か。なかなか美しいお嬢さんだが、あれだけ大きいと流石に同じ生命体という感じがしないな。口説けない、と云うか、口説こうと食指が動かぬというか……あ、いや、巨人の方々のことを言ってるわけではないが」
 巨人達に弁明するようにして、ムゲン・ワールド(愛に生きたナイトメア適合者・f36307)は風吹・香織(怠惰な「双胴の悪魔」乗り・f39889)の駆る『双胴の悪魔』の異名を持つ戦闘機『ライトニング』に掴まって戦場を見下ろしていた。

「本当に可愛い子と見れば、誰にでもそんな風に言うんだねぇ」
「本当のことだからさ。とは言え、今はよそ見はよろしくはないね。こちらには麗しいだけではなく、雄々しいお嬢さんがいるんだ」
「はあ、ほんと。まぁ、私も可愛いと言われて悪い気はしないんだけどさ」
「でも、飛べるだけでいいんだろう?」
 ムゲンの言葉に香織は台詞を取られたようで、むっとしてしまう。
 その様子にムゲンは楽しそうに笑っている。
 可愛い子とのおしゃべりほど楽しいものはない。戦いのさなかにあっても愛をささやくことを忘れないのが己であると言うように彼はイグニッションカードを煌めかせる。

「エンドブレイカー! 世界の空ははじめてだが、悪くないよ。行くよ、|『ライトニング』《相棒》!」
 香織が乗騎と共に空を駆ける。
 その様子にムゲンは笑む。
 戦いに赴く女性の姿は麗しく美しいものだ。けれど、そこに自分が介在できないことを惜しく思う。
 この空にありて、香織と『ライトニング』を分かつことのできるものは存在していない。
「しっかし、人を相棒の上に載せるのは初めてだよ」
「初めてかい? まあ、任せておくといい。誘った手前、エスコートは義務だ。道先案内人は任せてもらおうか」
「それはこっちの台詞! さぁいくよ、僚機たち。爆撃開始だ」
 その言葉と共に香織の瞳がユーベルコードに煌めく。
 召喚されたP-38爆撃部隊(ライトニングバクゲキブタイ)。同型の戦闘機が一気に数を増やし、空を駆け抜ける。

 其の様を巨人達は見上げたことだろう。
 空を飛ぶ鋼鉄の鳥。しかし、羽撃くことなく一直線に飛ぶという芸当を彼らは初めてみたのかもしれない。
「なんじゃ、あれ!?」
「鉄の鳥!? にしちゃあ、えらく真っ直ぐ飛ぶもんだが……ってありゃあ!?」
『ライトニング』から『戦女神ラーディス』へと次々と投下されるのは爆弾とロケットランチャーの嵐だった。
 敵は万能宝石『エリクシル』。
 魔神である彼女の凄まじさは巨体ではない。その有り余る願望を叶える力である。

 これまでユーベルコードによって負った傷を『戦女神ラーディス』は願うことで再生している。
 これを成さしめてしまえば、猟兵達は堂々巡りの戦いを強いられてしまうことになる。
「それはさせないっての!」
「邪魔を……」
「あなたにとっては小うるさい小蝿だろうけどね、これだけの数で攻撃されれば意識も散漫になるだろ?」
 そして、香織は示す。
 ユーベルコードの輝き。
 それは香織の瞳でなく、ましてや相棒の上からでもなかった。

 空より落ちる星の輝きめいたユーベルコードの輝きがあった。
 それはムゲンのユーベルコード。
「やっちまいな、ムゲン」
「後で優しく受け止めてくれると嬉しいな」
「その前にやることやって!」
「仕方ない。ならば、お見せしよう! 優しき悪夢の街・再現(ココア・ナイトメア・タウン・オマージュ)!」
 手にした仕込み杖より迸るは黒いエネルギーの球体。
 其の一撃が『戦女神ラーディス』の体を打ち据える。だが、それは敵を傷つけるものではなかった。

「……動きが止まった?」
 巨人達は『戦女神ラーディス』が動きを止めたことに訝しむ。
 なにかの罠かと思ったのだろう。 
 だが、それをムゲンは否定する。
「彼女は今、ただ眠りの中にあるのさ。優しい眠り……まあ、悪夢だろうがね。さあ、巨人勇士たちよ、攻撃するなら今だ。そして、香織、頼んだよ!」
 落下していくムゲンの下へと『ライトニング』が急降下する。
 名の由来の通り、凄まじい速度でムゲンが落下するコースに割り込み、地面スレスレで彼を拾い上げるようにして受け止め、一気に急上昇していく。
「優しくと言ったけれど?」
「贅沢言わない――!」

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

村崎・ゆかり
『ガルシェン』か。前にそんな名前を聞いたのは群竜大陸だったっけ? これが再孵化する前の身体なら――いえ、今は考えても詮無きこと。
襲い来るエリクシルを討滅しましょう。

「全力魔法」砂の「属性攻撃」「範囲攻撃」で紅砂陣。エリクシルの歩む周辺を、流砂の蟻地獄に変える。
あがけばあがくほど、砂の底へ沈んでいくわよ。投擲も、足下をしっかり踏ん張れるから出来るもの。砂に飲まれながらじゃ大した飛距離は出ない。
巨人のみんな、今のうちに弓矢を射かけて。

絶陣が生きているうちに、一撃入れときましょう。「地形の利用」「地形耐性」で流砂の上を駆け抜け、薙刀振るって、首筋を断つ!

絶陣が解けても大地に埋まったままなら面白い。



『骸殻工房ガルシェン』――その名をいつか聞いた覚えがあると村崎・ゆかり(“紫蘭”/黒鴉遣い・f01658)は超巨大獣の躯の内部に並び立つ都市を見つめる。
 彼女の記憶が正しければ、その名を聞いたのはアックス&ウィザーズ世界におけるオブリビオンとの戦い。
『帝竜戦役』の頃まで記憶を遡ることだろう。
 あの帝竜もまた巨大であった。
 それこそ、この『骸殻工房ガルシェン』と同じくらいに。
「郡竜大陸、懐かしい名前を思い出したわね。これが再孵化する前の躰なら――」
 いや、とゆかりは頭を振る。

 其の推察が正しかろうと正しくなかろうと、現状為すべきことは万能の魔神『エリクシル』の討伐である。
「目的を違えるつもりはないわよね。その巨体、ここで止めさせてもらうわ!」
「猟兵に我等の目論見は阻止させぬ。『エリクシル』、叶えよ」
 生み出されるは『戦女神ラーディス』の分身たち。
 一気に『骸殻工房ガルシェン』の町並みを埋め尽くすかのように体長20mはあろうかという『戦女神ラーディス』の巨体が無数に生み出されるのだ。
「とんでもない力ね。『エリクシル』!」
 ゆかりは目の前に広がる光景を本物とは思えなかった。

 けれど、分身が実態を持たぬという理由もない。
 ならばこそ、ゆかりは此処で畳み掛けるべきだと理解する。猟兵達のユーベルコードによって『戦女神ラーディス』は消耗している。
 傷を塞いでいるのだとしても、それは取り繕っているだけに過ぎないはずなのだ。
「なら、ここで止める! 紅砂陣(コウサジン)!」
 ゆかりのユーベルコードが発露する。
 彼女の周囲に在る無機物を全て急速に風化させる紅い流砂と砂嵐へと変換していく。
 それが彼女のユーベルコードだ。
 例え、分身を生み出すのだとしても、『戦女神ラーディス』の足元を支えている無機物は流砂へと変わり、蟻地獄めいた渦となって巨体を捉えるのだ。

「あがけばあがくほどに砂の底へと沈んでいくわよ。その巨体だもの。足が取られて仕方ないでしょ。分身であっても関係はないわ――さあ、巨人のみんな」
「おうさ、巨獣狩りでは罠に嵌めるのも狩りの技術のうちさな!」
 ゆかりの言葉に巨人たちが一斉に弓を構える。
 彼女のユーベルコードによって『戦女神ラーディス』が足を取られ身動きができなくなるのを待っていたのだろう。
 合図と共に放たれる弓矢が雨のように『戦女神ラーディス』へと降り注ぐ。
「この程度で……巨人など」
 そう、『戦女神ラーディス』の言う通りだった。

 どれだけ巨人達が精強なる勇士であったとしても。
『エリクシル』である『戦女神ラーディス』にトドメを差すことができない。それができるのは猟兵達だけだ。
「一撃は入れさせてもらうわ!」
「じゃあ、俺の腕を使え!」
 巨人の拳が突き出される。
 それは流砂に埋まる『戦女神ラーディス』が這い出そうとしている姿を示す。巨人の長大な体躯。
 その突き出された腕を足場として使えということなのだろう。
「ありがと、なら行ってくるわ!」
 その拳の甲を蹴ってゆかりは飛ぶ。
 宙に舞うようにして紫の刀身煌めく薙刀が『戦女神ラーディス』の首元目掛けて叩き込まれる。

「これで!」
 血潮が舞い散り、ゆかりはユーベルコードによって生み出された流砂より逃れんとした『戦女神ラーディス』へ一撃を見舞い、軽やかに彼女の巨大な兜の先を蹴って離脱するのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

鏡島・嵐
敵もデカけりゃ、相対してる味方もデカいってか。ただでさえ小っちぇえ自分が、よけい小さく見えらあ。
……それにしても、猟兵でもねえってのにあんなデカい敵にも臆せず立ち向かえるってのはすげえ話だ。
……うん、怖ぇけど、人に任せっぱなしってのは性に合わねーしな。やれるだけやってやらぁ!

最初は〈援護射撃〉で狩猟者たちを支援。有効そうなら〈武器落とし〉〈マヒ攻撃〉も織り交ぜて、被害を抑える。
相手の手の内が読めたら、UCを使って反撃開始だ。向こうの攻撃を相殺しながら、チャンスをうかがう。

最後はおれらがとどめを任されるんか。
……うん。〈覚悟〉を決めて、〈限界突破〉した精一杯の一撃を叩き込む。



 万能の魔神『エリクシル』と猟兵の戦いは激化していた。
『骸殻工房ガルシェン』を巡る戦い。
 その巨大なる獣の躯に聳える精霊建築の都市国家の有様は、鏡島・嵐(星読みの渡り鳥・f03812)にとってあまりにも驚異的な光景であった。
 どれもこれもが己の知る者よりワンサイズ大きいのだ。
 それもそのはずである。
「敵もデカけりゃ、一緒に戦ってくれる味方もデカいってか」
 スケールが違いすぎる。 
 あまりにも自分が場違いな戦場に来てしまったかのような錯覚に陥ってしまうのだ。
「ただでさえ小っちぇえ自分が余計に小さく見えらあ」
 だがしかし、嵐を突き動かすのは巨人の勇士たちの勇気だ。

 彼らは巨人である。
 しかし、敵対する『エリクシル』はさらに環を掛けて巨大なのだ。
 そんな敵に対して臆する事なく立ち向かう彼らを捨て置くことなど嵐にはできようもない。すごいことだ。素直に感心する。
 だが、己の心にはもう一つ恐れがある。
 勇気とは裏腹なる感情。
 けれど、他人にまかせてはおけないと思う。自分がいなくても、という甘えた感情を嵐は振原う。
「他人に任せっぱなしってのは性に合わねーし、やれるだけやってやらぁ!
 飛び出す嵐に巨人達は目を見開くだろう。
 放たれるスリングショットの一撃は、『戦女神ラーディス』にとっては正しく豆鉄砲であった。

 効いている素振りさえない。
 けれど、それでも嵐は止まらない。麻痺を齎す弾丸を握りしめる。戦うのならば、巨人達を援護しようというのだ。
「人間! あんま無理すんない!」
「いいや、やらせてもらう! 皆で戦って勝つんだろ! ならさ!」
 嵐は見ていた。
 必ず『戦女神ラーディス』はユーベルコードを使う。猟兵たちに追い込まれているのならば、尚更だ。
 それも猟兵たちに勝利する為に願うはずだ。
 一度はそれで傷を塞がれている。なら、こちらの消耗が激しいだけだ。
 そうなれば巨人たちにも犠牲が出るかもしれない。

 それは、そんなのはいやだと言えるのは己に恐れがあるからだろう。
「賢しい……!『エリクシル』よ、叶えよ。我が求めるは……」
「そう来るだろうと思っていたよ!」
『戦女神ラーディス』と嵐のユーベルコードが同時に輝く。
 嵐が召喚した鏡。
 それが『戦女神ラーディス』のユーベルコードを反射する。願いを叶えるユーベルコードであるというのならば、それは願いを反転させるユーベルコード。
 即ち、猟兵に勝利する、猟兵に敗北するという二つの力をぶつけ相殺させるのだ。

「打ち消される……!?」
 望んだ力が得られぬ『戦女神ラーディス』は、それゆえに巨人たちの武装の一撃を受け止めるしかなかった。
 彼女が願ったのは猟兵の勝利するための力。
 それゆえに巨人達は端から捨て置いていたのだ。それが今、結実する。
 槍の穂先が『戦女神ラーディス』の体を捉える。
「頼んだぞ!」
 その言葉に嵐は応える。
 解っている。最期は己達がやらなければならない。スリングショットを引き絞る腕が軋む。
 限界を超えるのならば今しかない。

「……うん」
 覚悟を決めた嵐の瞳が『戦女神ラーディス』を見下ろす。
 放たれたスリングショットの一撃が一直線に走って、『戦女神ラーディス』の体を貫く――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アンゼリカ・レンブラント
『戦女神ラーディス』
この巨体になれば流石に圧巻だな

だがガルシェンには巨人達がいる
かつての戦いでも頼りになったものさ、
無理はするな、多数で囲んで弱らせてくれればいい!

体躯は20mには及ばずとも
数に勝る巨人達が囲みダメージを重ねていくだろう
私も小回りを生かし、怪力を生かして斧剣と格闘術で
ダメージを重ねていくよ

巨人達に比べれば体躯が小柄でも、
パワーは劣っているつもりはなくてね!

ピンチに陥った巨人がいれば、
注意を惹くようラーディスに切りつけよう
ワッパーを脚に絡め、大きく体勢を崩すっ

消耗させることが出来たら、
今必殺の――気合全開っ!
全力の《真・断罪閃光剣》で仕留めにいくよ

平和が戻ったら宴といきたいかな!



 猟兵のユーベルコードが煌めき、巨人達の一撃が『エリクシル』の巨体を傾がせる。
 流砂に飲み込まれ動きを止めた『戦女神ラーディス』は六腕を持って脱出しようとする。しかし、そこに猟兵の一撃が叩き込まれた。
 巨人たちとの連携。
 これによって猟兵達は『戦女神ラーディス』のユーベルコードを封じながら追い込むことに成功していたのだ。
「小賢しい。正しく小賢しい。我は願望を叶えるもの。実現さえるもの。それ故に『エリクシル』と言う」
 六腕に握りしめられた小太刀が『骸殻工房ガルシェン』の精霊建築を切り裂き、突き立てられる。
 流砂に取られていた体を強引に引き上げたのだ。

「『戦女神ラーディス』、この巨体ともなれば流石に圧巻の力といえる……だが」
 その突き立てられた精霊建築の上に一人の猟兵が立っていた。
 アンゼリカ・レンブラント(黄金戦姫・f38980)。その揺れる黄金の髪と瞳。真っ直ぐに見据えた彼女は精霊建築に突き立てられた小太刀の上を駆けていく。
「このガルシェンには巨人たちがいる。かつての戦いでも頼りになったものさ」
「任せておきなって! この程度なら!」
 巨人達がアンゼリカの言葉に応えるようにして流砂から見を這い出そうとする『戦女神ラーディス』を再び流砂に押し込むようにして槍を突き出す。

 だが、その一撃だけでは足りないのだ。
「ありがたい。だが、無理はするな。多数で囲むんだ。弱らせるだけでいい!」
 アンゼリカは巨体の上を駆け上がっていく。 
 確かにこれまで猟兵と巨人たちによって『戦女神ラーディス』は消耗させられている。
 だが、しかし敵は万能の魔神『エリクシル』である。
 どんな手を使ってくるかわからない。そして、何よりも。
「その六腕! 小回りを効かせたつもりかもしれないが、体格差を考えるんだな!」
「抜かせ」
 振るわれる小太刀の一撃でアンゼリカは駆け上がっていた『戦女神ラーディス』の巨体の上から弾き飛ばされてしまう。
 凄まじい一撃だ。

 大地に叩きつけられ、生きが上がる。
 だが、それでもアンゼリカは走る。
 負けるつもりはない。巨人たちにも『戦女神ラーディス』にも。そして、どれだけ体躯が小さかろうが、パワーで劣っているとは微塵も思わない。
「ふんっ!」 投げはなったワッパーが『戦女神ラーディス』の脚部にはまり、アンゼリカの膂力でもって引き絞られる。
 するとあれだけの巨体であってもアンゼリカは体勢を崩してみせるのだ。
 大きくかしぐ体。
「なっ……!?」
「驚いたか! だが、驚くのはまだ早い!」
 アンゼリカの瞳がユーベルコードに輝く。

 敵は消耗している。連綿と紡いできた猟兵と巨人たちの戦いのおかげだ。万全であったのならば、アンゼリカであっても『戦女神ラーディス』の巨体を傾がせることはできなかっただろう。
 だからこそ、万感の思いを込めて彼女は、輝く光を宿した――……。
「今必殺の――真・断罪閃光剣(シン・ジャッジメントセイバー)!!」
 振るう一撃。
 それは幾重にも交錯された六腕を持ってしても防げるものではなかった。
 強烈な光が戦場に明滅し、六腕全てを一刀のもとに両断し、アンゼリカは戦いの後の……平和な宴に思いを馳せるのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ハロ・シエラ
なるほど、味方は大きく敵はそれ以上に大きい……対キャバリア戦どころではないですね。
ですが私に出来る事はただ一つ、斬る事だけです。

それにはまず近付かなければなりません。
そこで巨人の方々の力を借ります。
矢でも投げ槍でも、何なら石でも構いません。
敵に向かって投げられたそれらに掴まったり乗ったりして届けて貰います。
可能ならたくさん射掛けて頂いて、敵の目を欺きたいですね。
私自身は投擲物を跳び移るなどして敵の頭上へ移動し、落下しながらユーベルコードで上から【切断】する事を狙います。
出来れば頭から一刀両断、最低でも腕一本は頂きたいですね。
敵の武器は必中で防御不能。
そうだとしても諸共に叩き斬ってやるだけです!



 黄金の一閃が巨大『エリクシル』、『戦女神ラーディス』の六腕を両断する。
 それ自体が万能宝石『エリクシル』であるためか、六腕は砕けながらも姿を変えていく。まるで砲。そう、大砲を彷彿させるかのような姿であった。
「またなんかしよったぞ!」
 巨人達はどよめく。
 猟兵達がユーベルコードによって苛烈なる一撃を叩き込んでなお『戦女神ラーディス』は願望実現武装を生み出す。
 それまで生み出してきたのは大太刀に小太刀であった。
 謂わば近接戦闘用の武装であったが、此処に来て『戦女神ラーディス』は砲を作り出したのだ。
 大砲の一撃なのは言うまでもない。
 ここであの一撃を解き放たさせてしまえば、『骸殻工房ガルシェン』がどうなるか。

「させません」
 だが、巨人の肩に掴まったハロ・シエラ(ソード&ダガー・f13966)は止まらなかった。
 味方である巨人は体長8mはあろうかという巨躯であるが『戦女神ラーディス』は、さらにそれの上を行く巨躯である。
 対キャバリア戦闘どころの話ではない。
 しかし、ハロにとって、それは些細な問題だったことだろう。
「しかし、正気か?」
「構いません。私にできることは唯一つ」
 巨人達が一斉に巨獣を狩る武装を構える。それらは弓。己より巨大な生物を相手取る時において、距離、というのは非常に有効なものである。

 体が大きければそれだけリーチがあるということだ。そして、質量もある。
 だからこそ、巨人達は武装を作り上げたのだ。
 弓という武装。敵よりも遠くから攻撃でき、なおかつ此方には攻撃が届かない。
 そして、その弓矢にハロは今掴まっていた。
「頼みます」
 その言葉と共に矢が放たれるとハロは共に空を一直線に駆け抜ける。
 砲を構えた『戦女神ラーディス』は見ただろう。
 降り注ぐ矢を。
 しかし、彼女には意味がない。
 巨人達の攻撃は確かに強烈であったが、『エリクシル』である彼女にトドメをさせるものではないからだ。

 だからこそ飴のように降り注ぐ弓矢を避けようともしなかった。
「その油断。その傲慢。その慢心」
 それこそが付け入る隙だとハロは理解する。空を切り裂くようにして矢と共にハロは『戦女神ラーディス』の巨体の頭上より飛来する。
 狙いは十分。
 しかし、敵も理解していたのだろう。
 巨人の攻撃は目眩まし。
「本命は猟兵。それは明らか。これは陽動と判断。ならば」
 煌めくユーベルコード。
 砲を形作った願望実現武装の砲口がハロへと向けられる。必中にして防御貫通。それが願望実現武装の最たる特徴である。
 避けることは出来ず。
 家と言って防ぐこともできない。

「確かに強烈です。ですが、そうだとしても!」
 ハロの臓腑の奥底から唸るようにして呼気が漏れる。いや、漏れるのではない。
 裂帛の気合となって迸るのだ。
 己のすべての体力、魔力。
 それら全てを大小にして巨大化させたレイピアの刀身がユーベルコードに煌めく。
 天より落ちる星のように瞬く煌めきとなって『戦女神ラーディス』の掲げた願望実現武装の砲から放たれた砲弾を切り裂く。
 それだけでは飽き足らない。

「ちぇえすとぉおぉおぉおぉぉぉぉ!」
 スターブレイカー。
 星の輝は星さえ破壊して見せる。振り下ろしたレイピアは願望実現武装ごと『戦女神ラーディス』の躯体へと凄まじき一撃を叩き込み、その肉体に縦一文字の傷を刻み込むのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

朱鷺透・小枝子
回点号【操縦】
メガスラスター【空中機動】と【瞬間思考力】で攻撃を回避しRXSハルバードで【重量攻撃】を狙い続け、奴の注意を│空中≪自身≫に引き付け、巨人達が攻撃をし易くし、サイキックシールドでエリクシルウェポンを【オーラ防御】

壊せ、壊せ、朱鷺透・小枝子!!

【早業】ウィングキャノン【呪殺弾マヒ攻撃】既に奴にかかっている麻痺呪詛を活性化させ、動きを抑制、『禍葬砲撃』発動。巨人達を避け、ラーディスに砲撃の【弾幕】を見舞いさらに行動を阻害。

願望は、意志は!この躰を動かす燃料だ!!
ただ、それだけでいい!!!

砲撃の雨と巨人達の攻撃中に、回点号を回転、勢いをつけ、
RXSハルバードをラーディスへぶん投げる!!



 体高5m級の戦術兵器であるキャバリアをしても見上げるほどの巨体。
 それが巨人たちである。
 しかし、さらにそれを上回るは巨大『エリクシル』、『戦女神ラーディス』であった。
「邪魔だてを……」
 願望実現武装が切り裂かれ、長大な傷を置いながらも『戦女神ラーディス』はエリクシルウェポンを生み出す。
 万能宝石『エリクシル』そのものたる『戦女神ラーディス』にとって、勝利を得ることは容易いことだった。しかし、願わなければならない。
 どれだけ強大な願いを叶える力を持っているのだとしても、願望を持たぬのならば意味のないことであった。

 しかし、此処において『戦女神ラーディス』が望むのは猟兵への勝利。
 猟兵を殺すためのエリクシルウェポン……即ち兵器である。先んじた猟兵との戦いにおいて砲を生み出した。
 砕かれた砲身が再び形をなしていく。
 長大な砲身は鳴りを潜め、しかし、数多の砲身が束ねられた家のような形へと代わっていく。それを朱鷺透・小枝子(亡国の戦塵・f29924)は己が狩る『回点号』の中から見やり、理解する。

 あれはガトリング砲というものだ。
 凄まじい速射能力を有する兵器。あれによっておのれたちに弾幕を張るつもりなのだろう。
「いちいちやることが!」
 そう、大太刀、小太刀、そして砲と来てガトリング砲である。
 まるで進化するように『戦女神ラーディス』は己達に対する武装を生み出してきている。だが、関係のないことだった。
「壊せ、壊せ、朱鷺透・小枝子!!」
 己がなんであるのかを知る。
 キャバリアのメガスラスターが噴射し、迫るガトリング砲の弾丸を躱し、オーラで受け止めながら飛ぶ。
 敵の注意は己に向いている。
 何故なら敵は願ったからだ。猟兵を打倒できる武器を、と。ならば、巨人達ではなく自身を狙うはず。

「単騎で突っ込むんじゃない!」
「大丈夫であります! 心配ご無用! 巨人の御仁、自分が惹きつけます故!」
 小枝子は巨人の制止にすら取り合わない。
 そう、自分は破壊することだけしかできない。それによって生まれる副産物めいたものがあるのだとしても、それは結局のところ副産物以上の意味を持たない。
 だが、それでいいのだ。
 己の中にある意志はただ一つ。
「願望は、意志は! この躰を動かす燃料だ!!」
 破壊するという意志。
 それだけを回して小枝子は戦場を飛ぶ。機体より放たれたキャノンの一撃が『戦女神ラーディス』の動きを止める。

 他の猟兵のはなった麻痺呪詛を活性化させ、さらにアイセンサーがユーベルコードに輝く。
 虚空より出現した無数の大型キャノン砲。
 敵がガトリング砲でもって此方を迎撃するというのならば、こちらはそれを上回る火力で持って押し切るのみだ。
「ただ、それだけでいい!!!」
 禍葬砲撃(メタルシャウト)の列は一斉に横並びに出現し、その砲口を『戦女神ラーディス』へと向ける。
 一切の容赦はない。

 これより戦場に刻まれるは砲撃の雨。
 一切合切を塗り潰す破壊の雨は『戦女神ラーディス』へと降り注ぎ、さらに小枝子は踏み込む。
 巨人達の弓矢が飛び、己の呼び出したキャノン砲からの砲撃に晒される『戦女神ラーディス』へと肉薄するのだ。
 ただ殲滅するだけなのならば、接近する必要はなかっただろう。
 けれど、小枝子はそれをしない。
 十分だ、と思うことをしない。振り被ったハルバードが本来の目的ではない扱いを受ける。
「人の願いは自分で叶えるものだ!『エリクシル』、貴様たちに叶えてもらうものではない!!!」
 咆哮と共に放たれた一射は矢のように飛び、そのハルバードは『戦女神ラーディス』の兜の角を砕くのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

紫・藍
藍ちゃんくんでっすよー!
絶賛巨人の皆さまを歌って鼓舞している藍ちゃんくんなのでっす!
それにしても平和でっすかー。
別に平和は破壊と再生以外でも叶えられるのでっすよー?
例えば歌。
例えば藍ちゃんくんのこの可愛さで!
というわけで藍ちゃんくんの歌を聞き、ファンになったエリクシルの皆様方!
よろしくお願いしちゃうのでっす!
投擲武器は明後日の方向に飛び、時限爆弾はラーディスの女神さんを巻き込むように誘爆し、立体映像は、な、なんと!
藍ちゃんくんの立体映像になっちゃうのでっす!
のでっす!
のでっす!
最後の一つに意味がない?
いえいえ、藍ちゃんくんがあちこちに映し出されますからねー!
巨人さん達も大盛りあがりかと!



 放たれた一撃が『戦女神ラーディス』の兜を砕く。
 しかし、今だ戦いは終わっていない。
 ぐらつきはしたものの、巨大『エリクシル』である彼女はユーベルコードを輝かせる。砕けた兜の破片の一つ一つが万能宝石『エリクシル』であるというのならば、蓄えられた願いを叶える力は膨大なものであったことだろう。
 煌めくようにして明滅するユーベルコードの最中、巨人たちは『骸殻工房ガルシェン』において、それに勝る輝きを見たことだろう。
「藍ちゃんくんでっすよー!」
 その声は、その言葉、戦場に響き渡る。

 何処に居ても響き渡る声。
 それは紫・藍(変革を歌い、終焉に笑え、愚か姫・f01052)の歌声だった。
 星の瞳(アイクルスイート)は輝いている。
 藍の歌声とダンスパフォーマンスは『骸殻工房ガルシェン』にて巨人達の心を鷲掴みにしていた。
 精霊建築によって縦に積み上げられた都市国家の頂きに藍は立っていた。
 それを見上げる巨人達の声援を受けてにこやかに笑う。
「平和とは破壊と再生以外でも叶えられるのでっすよー? 例えば歌! 例えば藍ちゃんくんのこの可愛さで!」
 響き渡る歌声は、戦場の片隅にさえ響き、それどころか生命体、無機物、自然現象の全てに作用するのだ。
 それが例え万能宝石『エリクシル』であっても例外ではない。

「……『エリクシル』がなぜ輝かない」
『戦女神ラーディス』は困惑するしかなかった。
 あの都市国家の頂きに立つ藍の姿に困惑を覚える。無意識に有効的な行動を取ってしまう。抵抗はできる。しかし、抵抗したくないと思う自分がいるのもまた事実であった。
「これは、どういうことだ」
「それがファンになったということなのでっす!」
 藍の歌声が響くたたびに『エリクシル』は明後日の方角と飛び、時限爆弾へと変じたものは『戦女神ラーディス』を巻き込んで爆発する。
 それどころか『戦女神ラーディス』を映し出す姿は、いつのまにか巨大な藍の姿へと代わっていくのだ。

「なんだ、これは」
「あはー! 最後のは意味ないって感じでっす? いいえ、いいえ! そんなことはないでっすよねー?」
 マイクを向ける藍。
 それに巨人達というオーディエンスが絶叫で持って応える。
 大きな藍がそこらに立っているのだ。盛り上がらないわけがない。 
 藍は満足げに頷く。
 巨人達のオーディエンスは上々。『エリクシル』の反応だって悪くはない。
 なら、藍がすべき事はたった一つである。

 そう、歌い続けること!
「まだまだ皆々様の盛り上げが必要なのでっす!」
 世界に平和を。
 なら、歌うのだ。歌って、歌って、喉が引きちぎれるまで歌ってなお足りないというのならば、それさえも超えて見せる。
 それが己だ。
 藍という存在なのだ。
 それを示すように赤い万能宝石の煌めきは藍の迸る歌声を前に塗り潰されるのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

厳・範
お爺、半人半獣形態できた

この世界は…思えば、花雪と出会ったきっかけの世界よな。
だからこそ、行かねばならん。

花雪「私もです!!」

では、参ろう。
花雪は背に乗っているが…そうさな、巨人たちにも協力を願おう。
そして…UCを使い…参れ猫たち。

大きいからこそ、この小さな者たちを気にしない。
さらに…

花雪「私が雷公鞭で雷撃を与えてますから!」(ふんす)

その呼び出した武器がいかに強力であろうと…『起きていなければ、振るうことはできない』
睡魔を呼ぶのだぞ、そこに…巨人たちの攻撃と、わしの焦熱鑓の炎も加わるのだぞ。
猫たちは攻撃(という名のすりすり)を続けているから。

寝たまま、受けるがよい。



 世界は一つではない。
 猟兵はそれを知っているだろう。数多ある世界。そして、その世界の中にもさらに小世界が存在している。
 それがこのエンドブレイカー! の世界であることを厳・範(老當益壮・f32809)は知っている。
 宝貝人形『花雪』を伴って範は『骸殻工房ガルシェン』にて立ち塞がる巨大『エリクシル』、『戦女神ラーディス』の姿を認める。
 六腕は砕けているが、しかし生み出された願望実現武装を腕を使わずとも自律するかのように巨大な水晶体となっていくつも飛翔し、光線を解き放っている。
 打ち込まれる光線は都市国家を破壊し、瓦礫へと変えていくだろう。
「この世界は……思えば、『花雪』と出会ったきっかけの世界よな。だからこそ、行かねばならん」
 範の言葉に『花雪』も頷く。
 自分たちが絶たわなければならない理由など多くはない。多く必要なことでもない。

 世界の破滅。
 それを防ぐために戦うのだ。
「では、参ろう」
 半人半獣たる姿で『花雪』を背に載せ、駆け抜ける。光線が乱舞する戦場。敵の攻撃は苛烈そのものだった。
「参れ、猫たち」
 その言葉と共に範の瞳がユーベルコードに輝く。
 ベンガルヤマネコたちが溢れるようにして巨人の街、『骸殻工房ガルシェン』を駆け抜けていく。敵は巨大そのもの。
 だからこそ、自分より小さな者を気に留めない。
 脅威である猟兵は認めても、その使役するものを視界に収めないのだ。

「大きいからこそ、この小さな者たちを気にしない」
「私が!」
『花雪』の放つ雷公鞭が雷撃をほとばしらせる。
 喚び出されたベンガルヤマネコ達は眠りを誘う。例え、それがどんなに強大な存在であっても、だ。
 そう、眠りに落とす。
 しかし、『戦女神ラーディス』は万能の魔神である。
 如何に眠ろうとも願望実現武装である水晶体は光線を解き放っている。

「だが、狙いが曖昧であるぞ! 如何に強大な力を持つのだとしても、万全でないというのなら!」
 範の言葉に呼応するように巨人達が一斉に狩猟武器である槍を投げ放つ。
 その投擲の一撃と『花雪』のはなった雷撃がほとばしり、『戦女神ラーディス』の体を穿つ。
 ぐらつく巨体。
 眠りは効かない。
 けれど、己の体に干渉する力に対処しないわけにはいかない。故に隙が生まれるのだ。
 巨人達の投擲は強烈そのもの。
 何せ、人類が荒野で生きていくのが難しい過酷な環境下において巨獣を狩ることができる存在なのだ。
 己よりも巨大な獣を狩ることに長けた彼らの一撃は『エリクシル』に例えトドメを差すことができなかったのだとしても、『戦女神ラーディス』を傾がせるには十分だった。
「蹂躙できると思った時点で負けよな。そのまま受けるがよい」
 浄化の炎宿す槍の穂先。
 範はその炎を纏う槍を『戦女神ラーディス』へと叩き込む。
 吹き荒れる炎。
 それは願いを叶え、歪め、破滅へと導く化身の悪性を滅ぼすように戦場に吹き荒れさせる――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ルクス・アルブス
【ステルク】

エリクシルが『エイル』さんのご両親で、
で、『エイル』さんの運命を決めちゃったんですか?

えっと。毒親っていうのなのでしょうか?

あ、でも、ということは、『エイル』さんがステラさんから逃げるのも運命……。
それはちょっといいことした感ありますよね。

え? なんでもないです!
つ、ついていけてますよ、わたしなりに! たぶん!

って、そのパワーワードなんですか!?
不穏すぎます! ……そんな簡単に捨てないでくださいよぅ。

な、なんにせよあれは倒さないといけないものなんですよね。

それなら。
かもん、ソナーレ!

ゴーレムにはゴーレムです!
わたしの華麗な演奏と【カンパネラ】の威力、思い知るがいいですよー!


ステラ・タタリクス
【ステルク】
エリクシル……!
熾天大聖様の願いを叶え、世界に『エイル』様を生み出した存在!
私はあなた方に感謝するべきなのでしょう
|エイル様《主人様》に会えたのですから
ですが、あなたの存在を、エイル様の運命を決定づけた事を許すわけにはいきません

ルクス様いきますよ
っていうか何か言いましたか勇者?
ついてこないと『捨てルク』しますよ??

巨人の皆様ですらフォルより大きいという謎のサイズ感
ええ、ならばサイズに影響されない戦い方をすべきですね

どこからともなく取り出した『イリ・カナレ』を構えて
【アウルム・ラエティティア】
歌に乗せて想いを届けましょう
ええ、|ルクス様の演奏も聞いてますよ《特定の破壊音波は相殺です》



 嘗て在りし事件に置いて万能の魔神『エリクシル』は叶えた。
 何を、と問われたのであれば『平和』を希求する心が願うものを、だ。
『平和』を求める。
 ならば『争い』が先になければならない。
 元より『平和』であるのならば『争い』の種に。『争い』の最中であるというのならば『平和』の使者として。
 そうあれかしという存在を生み出していた。
「『エリクシル』……!」
『骸殻工房ガルシェン』に迫る巨大な『エリクシル』、『戦女神ラーディス』は猟兵と巨人達の攻勢によって消耗著しく、膝をついていた。
 しかし、次々と願いを叶えるための力によって生み出された『エリクシル』の武器が戦場を埋め尽くしていく。

 大太刀、小太刀、砲にガトリング砲、さらには飛翔する飛翔体。
 多くの形を変えながら戦場を席巻する姿にステラ・タタリクス(紫苑・f33899)は歯噛みする。
「『熾天大聖』様の願いを叶え、世界に『エイル』様を生み出した存在! 私は貴方がたに感謝するべきなのでしょう。|『エイル』様《主人様》に会えたのですから。ですが、あなたの存在を、『エイル』様の運命を決定づけたことを許すわけにはいきません」
 戦いの最中でしか生きられない者。
 戦いがなければ、異質な存在でしか無い者。
 平和を齎しながら、平和を享受できない者。
 それが『エイル』という存在であるのならば、それはあまりにも人の道ではないと言えただろう。

 だからこそ、ステラは宣言する。
「故に私は貴方がたを否定する」
「えっと」
 そんなシリアス満点なステラの様子にルクス・アルブス(『魔女』に憧れる『出禁勇者(光属性)』・f32689)は蕁麻疹出ている腕をさすりながら首を傾げる。
 いつものメイドの叫びがないこともそうだったけど、なんていうか、えーと、と彼女は頭の中で情報を整理する。
「えっと、『エリクシル』が『エイル』さんのご両親で。で、『エイル』さんの運命を決めちゃったんですか?」
 ステラの言葉をルクスなりにまとめるとそういうことになるのである。
 まさかの毒親ってやつですね! とルクスはシリアスをぶっ飛ばすようなコメントを遺してくれている。

「あ、でも、ということは、『エイル』さんがステラさんから逃げるのも運命……」
 だからこんなにもステラは『エイル』とすれ違ってばっかりなのだろおうかとルクスは思う。なら、『エリクシル』もちょっといいことした感じがある。
 だってステラはやべーのである。
 こんなやべーメイドにつきまとわれている時点で相当である。
「だれがやべーメイドですか」
「言ってませんよ!?」
「心の中で思ったでしょう」
「そんなことはないです!」
「まあ、いいです。ルクス様、いきますよ。ついてこないと『捨てルク』しますよ?」
「何そのパワーワード!? 不穏が過ぎませんか!?」
 はい、早く、と言い放つステラにルクスは涙目になる。
 なんだか最近捨てる捨てない論争が巻き起こっている気がしないでもない。
 だがしかし、最後まで面倒を見るのが飼い主の責務である。そういう責任なのである。なのでポイ捨てはダメ絶対なのである。

「かもん、『ソナーレ』!」
 ルクスが呼び寄せたスーパーロボット『ソナーレ』が戦場を走る。ゴーレムにはゴーレムである。いや、敵の巨大さは言うまでもないのだが、ルクスにとっては些細なことであった。
 そう、このスーパーロボットはルクスの演奏で動いているのである。
 演奏! そう、演奏なのである。
 思いっきり演奏して良い機会なんてそうそうないので、ルクスはご満悦である。しかし、このように演奏していては共に戦うステラにとっては被害は甚大であろう。

 しかし、ステラは涼しい顔をしていた。
 手にしたマイクスタンドにて彼女は歌う。まるでルクスの演奏に合わせるように歌っているのだ。
 何という光景だろうか。
 今までの戦いではルクスが演奏した瞬間に大体終わりを告げるあれであった。
「ふっ、これが噂の『イル・カナレ』。|アウルム・ラエティティア《いま、此処に在れる喜びを歌に》、です」
 そう、ステラの瞳はユーベルコードに輝いている。
 ルクスのLa Campanella(ラ・カンパネラ)の戦慄を完全に相殺しつつ、己の思いを載せる歌声。
 それは戦場に在りし『戦女神ラーディス』へと届く。
「なんだこれは……ただの歌……何を相殺している」
 理解できない。しかし、ステラは笑む。特定の破壊音波を相殺するというユーベルコードである。ものすごーく限定的なユーベルコードである。
 その正体を『戦女神ラーディス』が把握できないことなど当然である。
 ステラはただ思いを載せて歌っているだけ。
 そして、ルクスはその特定の破壊音波を撒き散らしながら『ソナーレ』を操り、飛び込むのだ。
「わたしの華麗な演奏を思い知るが良いですよー!」
 どっせい! と叩き込まれる拳と不快な音波に『戦女神ラーディス』は屈するしかないのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ペトニアロトゥシカ・ンゴゥワストード
ふむ、ここの巨人さんには姿と生き方で親近感があるね。
あたしにもいつか終焉は訪れるだろうけれど、それは今日じゃない。
今日の終焉を壊して、明日へ生きながらえるとしようか。

さて、【如意伸躯】で大きくなって巨人さん達に声をかけようか。
あいつの武器は必ず当たって、防護を貫くらしいよ。
なんでまあ、ぶっ叩いて逸らすのがよさそうかな。
片手は本体をぶん殴るのに使うからもう片手で1本防ぐとして、
残り5本のあいつの武器を抑えてもらっていいかい。

巨人さんと協力して6本の武器を防ぎきったら、電撃を纏った拳で思いっきりぶん殴るよ。

平和はあたしも好きだけど、叶えるのに何かに願う必要なんて無い。
あたしの意志と力で十分だよ。



『骸殻工房ガルシェン』に生きる巨人達の有様は、どこか刹那的であったかもしれない。しかし、それは誤ちであろう。
 いつか訪れるであろう終焉。
 それは如何なる存在にも避け得ぬことであった。創生を知るからこそ終焉を知る。始まりがあれば終りがある。
 生きとし生けるもの全てが、他者の生命を持って生きている。礎となる生命は明日の己のであるのかもしれないのだ。
 故に。
 故に懸命に生きるのだ。
 生きることを諦めない。その彼らの姿勢にペトニアロトゥシカ・ンゴゥワストード(混沌獣・f07620)は共感していた。
「あたしにもいつか終焉は訪れるだろうけれど、それは今日じゃあない」
 彼女の言葉に共に戦う巨人たちが笑む。
「例え、今日であったとしても、最後の瞬間まで足掻くってのが生命ってもんだよな」
「なら、今日の終焉を壊して、明日へ生きながらえるとしようか」
 ペトニアロトゥシカは、その瞳をユーベルコードに輝かせる。

 彼女の肉体が巨人の体躯へと変貌を遂げる。
「なんてこった。おチビさんかと思っていたが……!」
「如意伸躯(ヴァリアブル・フィジーク)、こういうこともできるってことさ」
「心強いってことだな!」
 巨人たちはしかし、武器を構える。
 己達が今まさに相対しているのは体躯以上に危険な力を持つ存在だからだ。
 万能の魔神『エリクシル』――『戦女神ラーディス』は猟兵たちによる攻勢を前にして膝をついていた。
 六腕すら砕かれていた。
 だが、彼女の甲冑の奥で『エリクシル』が煌めく。
 願望実現武装。それは彼女の失われた六腕を再構築し、その巨大な腕を振るいあげていた。

「あいつの腕を受けてはダメだよ」
「なんでだ!」
「防御を貫くし、絶対に当たるから」
 どうしようもないじゃないかと言う巨人にペトニアロトゥシカは頷く。けれど、此処で立ち止まるわけにはいかない。
「腕一本はあたしがなんとかするから。残り五本はよろしく」
「簡単に言ってくれちゃってまあ! だが、任されたぜ!」
 巨人達が一気に駆け出す。振り下ろされる巨大な六腕。その一撃は確かに強烈だった。防御を無意味にする一撃。

 その一撃がペトニアロトゥシカへと振り落とされる。
 己の片腕は残さなければならない。腕一本で、迫るあの巨大な腕を相手取らねばならないというのは骨が折れるものであったが仕方ない。
「防げると思うな、猟兵!」
 叩きつけられた腕。強烈な衝撃が体を突き抜ける。大地が砕け、衝撃波がほとばしり、精霊建築を簡単に瓦解させていく。
 だが、しかし、ペトニアロトゥシカと巨人たちは、その一撃を受け止めて見せたのだ。血潮をほとばしらせながらも巨人達が笑う。

「ああ、アンタの言う通りだったみたいだな。終焉は訪れるが、今日じゃあない」
「ありがと。なら、答えよう」
 ペトニアロトゥシカは巨人達の声に応える。
 身にまとう雷撃。
 軋む骨身を伝導する膂力。それは鉄槌のように『戦女神ラーディス』へと叩きつけられる。
 平和が好きだ。
 誰もが平穏に過ごせることが好きだ。
 けれど、それを叶えるのに何かに願う必要なんて無いことをペトニアロトゥシカは知っている。
 そう、平和というものは。
「あたしの意志と力で十分叶えられるものなんだよ」
 だから、と雷撃まとう鉄槌の一撃は『戦女神ラーディス』の言葉を否定する。
 叶えられるまでもなく。
 自分たちはそれを掴み取ることができるのだと証明するようにペトニアロトゥシカの拳は『戦女神ラーディス』の兜を叩き割るのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

マウザー・ハイネン
戦力までいるとはエリクシルも厄介ですね。
ですがこの荒野で生きてきた巨人の方はとても強い。共に戦えるなら恐れる必要はありません。

巨人の狩猟者達と連携し戦う。
声が届くように挨拶を、攪乱に回るのであの戦女神に思いっきり攻撃を叩き込んで下さいと要請。
向こうは巨大でまともに攻撃を受ければ潰されるでしょうから受け流す、或いはサイズ差を利用して死角に潜り込むように攪乱し回避。
上手く隙を見つけ一撃離脱で氷の魔力纏わせた氷槍で攻撃を重ねましょう。
向こうが武装を変化させたなら此方もUC起動、一撃叩き込みその武装強化を打ち消します。
その願望を叶えさせる訳には参りませんので…倒れてくださいませ。

※アドリブ絡み等お任せ



 砕ける赤い破片。
 それは猟兵の一撃によってかしいだ巨体、万能の魔神『エリクシル』の『戦女神ラーディス』、その頭蓋を守る兜の破片であった。
 その破片の一つ一つが『エリクシル』なのだろう。
 煌めき、明滅するままに『戦女神ラーディス』は願望実現武装を手繰り寄せる。
 砕けた兜の先にあるのは女神としての姿ではなかった。
 そこにあったのは虚とも言うべき虚空めいた何もない空間。
 戦女神としての姿は仮初であるとしか言いようがない。ただ、願いを叶えるために。『11の怪物』に知的生命体を知らせるために。
 そのためだけに強い願いに反応するだけの存在。
「猟兵を排除する」
 煌めくユーベルコードの輝きと共に砕けた兜は集約し、『戦女神ラーディス』は姿を変貌させていく。

「あなた方と共に戦えること、これ以上なく心強いものでございます。征きましょう。敵はすでに死に体! 我等と共に戦うのならば恐れる必要はありません」
 マウザー・ハイネン(霧氷荊の冠・f38913)はもう一押しだと巨人たちと共に『骸殻工房ガルシェン』に在りし『エリクシル』を打倒せんが為に飛ぶ。
 巨人たちの力は言うまでもない。
 彼らは人類が生存できない荒野に在りても、巨獣すら狩って生きているのだ。
 その力を持ってすれば、トドメを差すことができないことなど些細なことだった。
「おうよ! 任せときな!」
「おいおい、なんだか敵さん、形が代わってねえか!」
 願望実現武装。
 それが『エリクシル』、『戦女神ラーディス』の最後の手段だった。己の身を砲弾にし、猟兵たちを殲滅する武装。
 いや、それはいうなれば、爆弾、というものであったことだろう。

 あらゆるものを吹き飛ばす苛烈なる力。
 その力を発揮せんと『戦女神ラーディス』は己自身を爆弾へと変貌させたのだ。『骸殻工房ガルシェン』ごと猟兵たちを撃滅せんとしている。
 氷の魔力を籠めた槍の一撃。
 マウザーは己の一撃が『戦女神ラーディス』に届くよりも早く、彼女が願望を実現させるのが早いと理解する。
「撹乱の意味がもうないぞ、これは!」
「わかっております。巨人の皆様方はどうかお退きになってください」
 マウザーの瞳がユーベルコードに輝く。

 敵が変じたのは此方を吹き飛ばす爆弾。
「ならば、その願望を砕きます」
 煌めくはユーベルコード。
 絶対零度の冷気をまとわせた教皇の氷槍が抱えられる。穂先に刻まれたルーンが煌めく。
 それはあらゆる籠を貫通するアンチマジック。
 如何に『戦女神ラーディス』が己の身を爆弾に変えるのだとしても、その強固な護りを解いたわけではない。
 ならばこそ、マウザーは氷槍を掲げる。
「猟兵を排除する。それが我の願い」
「その願望を叶えさせる訳には参りませんので……」
 マウザーは氷槍を『戦女神ラーディス』へと叩き込む。

 それは大海嘯砕き(ワタツミヲクダク)。
 如何なる強化も打ち砕き、その強化を解除させる力。
 すなわち、願望実現武装は、それ故に力を失うのだ。マウザーは願望を叶えるという力を失った『戦女神ラーディス』へと飛ぶ。
 他者の願いを叶える存在。
 それ以外を知らず、そして、正しく叶えることもない存在に憂いは示さない。
「……倒れてくださいませ」
 放つ氷槍は『戦女神ラーディス』の虚空の如き頭部へと突き立てられる。
 瞬間、逆転するように巨体が虚空へと飲み込まれ、消滅する。
 最後まで己の願望を叶えられなかった『エリクシル』は、今此処に潰えるのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2023年09月05日


挿絵イラスト