第二次聖杯戦争②〜雷鳴、影狼を連れて
●背徳なる者の配下
「ついに、僕達の世界でもオブリビオンが本格的に戦いを仕掛けて来たみたいだね」
かつて、全宇宙の生命の危機を乗り越えた、銀の雨の降る世界。そこが再び崩壊の危機を迎えていると、穂村・耶子(甘党残念剣士・f35497)は猟兵達に告げた。
「オブリビオン・フォーミュラになったのは『聖杯剣揺籠の君』っていうリリスだよ。あ、でも、種族とかは、あまり気にしなくていいかもね。ゴーストの分類とか、オブリビオンにはあまり関係ないっていうか……」
むしろ、問題となるのは彼女の狙い。彼女は金沢市の住民を生贄にすることで『ハビタント・フォーミュラ』の『全能計算域限界突破(エクスマトリックス・オーバーロード)』を利用し、他世界への進出を目論んでいる。万が一にもこれを許してしまった場合、シルバーレインの世界だけでなく、今まで猟兵達が守って来た全ての世界が脅威に晒される。
「実は、この戦争って昔の戦いの再現でもあるんだよね。僕も資料でしか知らないけど……ヨーロッパで起きた人狼との戦いを再演しているみたいなんだ」
もっとも、本来であれば再演に必要であったドクター・オロチが猟兵達の手によって消滅させられたため、オブリビオンの狙い通りに再演するわけにはいかなかったようだ。そういうわけで、ドクター・オロチ不在の隙を突いて、『ハビタント・フォーミュラ』が登場したらしい。
「今から君達には『聖杯剣揺籠の君』に従うオブリビオン、『背徳のラダガスト』が待ち構えている、金沢市竪町商店街に向かって欲しいんだ。敵はラダガスト配下のオブリビオンだから、ラダガストよりは強くないんだけど……『ゴーストウルフの群れ』を従えているから、そっちの対処もしないと物量で押されてやられちゃうかも……」
竪町商店街で待ち構えているのは、クリフトン・ハームズワースという男のオブリビオンゴーストだ。見た目からは分かりにくいが、彼の肉体は雷そのもの。電線の多い商店街は彼の庭であり、こちらの動きを電撃で制限したり、電線を伝って死角から攻撃を仕掛けたりすることで撹乱し、そこにゴーストウルフの群れを殺到させてくるのだとか。
「要するに、集団の敵を相手にする戦い方と、電撃への対処の二つが必要ってことだね。ゴーストウルフだけでもなんとかしちゃえば、後はかなり戦い易くなるとは思うけど……」
どちらにせよ、正面からの力押しでは戦い難い相手だと思って欲しい。そう言って、耶子は猟兵達を、シルバーレイン世界の竪町商店街へと転送した。
雷紋寺音弥
こんにちは、マスターの雷紋寺音弥です。
このシナリオは戦争シナリオです。
1章だけで終了する、特別なシナリオです。
『ゴーストウルフの群れに対処する』行動を取ると、プレイングボーナスが得られます。
ゴーストウルフは敵の使用するユーベルコードとは別に攻撃を仕掛けて来るので、ボス戦ではありますが、集団戦も意識した立ち回りが必要になります。
第1章 ボス戦
『クリフトン・ハームズワース』
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POW : ライトニングストーム
レベルm半径内に【閃光と爆音を伴う雷撃】を放ち、命中した敵から【視覚、聴覚、敏捷性】を奪う。範囲内が暗闇なら威力3倍。
SPD : プラズマサンダー
近接範囲内の全員を【捕縛状態】にする【電撃の槍】を放ち、命中した敵にダメージと麻痺、味方に隠密効果を与える。
WIZ : サンダーボルトアンカー
自身が装備する【ライトニングスピア】から【金属を身に着けていると必中する雷】を放ち、レベルm半径内の敵全員にダメージと【感電】の状態異常を与える。
イラスト:Ma
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四之森・曼珠
銀色の雨、現れる数多のゴースト。
この世界もまた、興味深いモノに満ち満ちておりますわね♪
では、猟兵としての初仕事、頑張って参りましょう♪
敵は無数の狼従えし電撃使い。
質も量も取り揃えた敵、まずは量だけでも何とかしたい処ですが…
そうですわ♪
魔法薬散布:思念増幅伝達薬。
この薬を使ってゴーストウルフを操り、ボスへ攻撃を仕掛けさせましょう。
逃げ場無く包囲させた上で攻撃させれば、耐えるかUCでゴーストウルフを一掃するかの二択を強いることができます。
私はあぶれたゴーストウルフを盾にして雷撃を凌ぎ、然る後にボスへ接近。
先端を槍のように鋭く【武器改造】したEverGreenの触手で突き刺して攻撃致します。
●魔触の霧
年始の祝いで賑わうはずの商店街。しかし、今年に限ってそこに現れたのは、望まれざる無数の来客達。
数多のゴーストウルフ達が、獲物を求めて闊歩している。その中央に立つのは、白いスーツを身に纏った青年のゴースト。クリフトン・ハームズワースと名乗る彼の身体は、物質化した電撃そのものだ。
「銀色の雨、現れる数多のゴースト。この世界もまた、興味深いモノに満ち満ちておりますわね♪」
だが、そんな強敵を前にしても、四之森・曼珠(未来形魔女・f38525)は恐怖よりも興味の方が勝っているようだった。数でも質でも劣っている以上、迂闊に動けば一瞬でゴーストウルフの餌食になってしまうはずなのだが。
「敵は無数の狼従えし電撃使い。質も量も取り揃えた敵、まずは量だけでも何とかしたい処ですが……そうですわ♪」
何かを閃いたのか、曼珠は薬瓶を取り出すと、中の薬剤を散布した。それらは途端に霧となって拡散し、クリフトン・ハームズワースとゴーストウルフの群れを包み込む。あまりに深い霧のため、もはや視覚で曼珠を見つけるのは不可能に近い。
「ふん、目晦ましのつもりか? だが……どれだけ姿を隠そうとも、ゴーストウルフは貴様の匂いを辿って攻撃するぞ。そして……」
曼珠の姿を見失ってもなお、余裕の態度を崩さないクリフトン・ハームズワース。彼は匂いを頼りに曼珠を襲わせ、その動きから位置を特定し。
「私の雷は、金属を身に着けていれば確実に命中する。貴様に逃げ場は、どこにもない!」
ここぞとばかりに、特大の雷撃をスピアから放った。電撃が霧を貫き、その先にいる標的を撃ち貫く。後は、痺れて動けなくなった曼珠をゴーストウルフに屠らせるだけだと……そう、考えていたクリフトン・ハームズワースであったが、しかし霧が晴れた個所を見て唖然とした。
「なっ……! バカな、どこへ消えた!?」
黒焦げになっていたのは地面と、その周囲に転がっているゴーストウルフ達だけだ。そこに曼珠の姿はない。曼珠がゴーストウルフを盾に雷撃を避けたのは確実だったが、しかしそれでも疑問は残る。
ゴーストウルフ達は、完全にクリフトン・ハームズワースの制御下にあったはずだ。ほんの僅かな金属装飾にでも……それこそ、ベルトのバックルやポケットに入れた硬貨一枚にでも反応するはずの雷撃は、文字通り絶対必中。ゴーストウルフ達が敢えて身を呈し曼珠を守りでもしない限り、誤射をするなどありえないはずなのだが。
「ウゥ……グゥゥ……」
気が付くと、ゴーストウルフ達に囲まれているのは、曼珠ではなくクリフトン・ハームズワースの方だった。どうにも様子がおかしいと、散会するように命じるものの、何故か命令を聞いてはくれず。
「ど、どうした、お前達! 敵は私ではなく、あの女……っ!?」
それどころか、全員が牙を向いてクリフトン・ハームズワースへと襲い掛かって来たではないか!
「く、くそっ! どうなっているんだ、これは!?」
仕方なく雷撃でゴーストウルフ達を蹴散らすクリフトン・ハームズワースだったが、そのせいで完全に曼珠のことを見失ってしまった。そんな彼の背後から、凄まじい速度で伸びて来るのは無数の蔦。それらは収束して槍の如き鋭さを持った形状へと変化すると、そのままクリフトン・ハームズワースを背中から貫いた。
「ぐはっ! な、なんだ……と……」
物質化した電撃の肉体が破壊され、傷口から激しい電流が迸り存在が歪む。苦悶に歪んだ表情のまま振り向けば、その植物の先は他でもない曼珠に繋がっていた。
「油断大敵ですわよ。数を揃えるのであれば、如何なる状況でも従わせられるよう、しっかりと手懐けておきませんと」
「くっ……貴様……まさか、この霧は……」
微笑む曼珠の姿を見て、クリフトン・ハームズワースはようやく自分達が何をされたのか理解した。曼珠の放った薬液は、単に霧となって視界を覆うだけのものではない。霧に包まれた存在を、曼珠の思い通りに操ることのできる効果こそが本命だった。
「このお薬、わたくしにも負担が大きいので……この辺りで、失礼させていただきますわ」
「……っ! ま、待て!!」
傷口を抑えながらクリフトン・ハームズワースが叫ぶも、時既に遅し。全ての霧が晴れたところで周囲を見回せば、曼珠の姿はとっくに消えた後だった。
大成功
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大倉・新月
満月ちゃんにクリフトンの対応をお願いして
ゴーストウルフの群れは私が援護射撃で対応するわ
ふたりなら、だいじょうぶ
私も満月ちゃんもなるべく攻撃を避けるように立ち回るけど
電撃の槍が避けられない時は、満月ちゃんは受け止めてね
捕縛や麻痺の間は、そのまま斃されないように私が射撃で援護するわ
うまくいけばプラズマサンダーをコピーできるから
満月ちゃんも電撃の槍を使ってゴーストウルフを無力化させていってね
あっちが連携するなら、こっちも二人で連携するの
昔の射程や範囲じゃできなかったけど…
猟兵の力なら、できる
*連携・アドリブ歓迎
ティエル・ティエリエル
ふむふむ。金属を持ってると絶対攻撃が当たっちゃうのかー。
レイピアとティアラは危ないから置いていっちゃおう!
これで準備万端だー♪
背中の翅で飛び回って敵をかく乱しつつ、こっちの攻撃だー☆
ふふーん、武器を持ってないからって油断したね!
いっくぞー、周りのゴーストウルフもまとめて【妖精姫のタライ罠】でどっかーんだ☆
敵の雷も金属のタライに引き寄せられたりしないかな?
※アドリブや他の方との連携も大歓迎です
●雷、時々タライ、ところにより弾の雨
大量のゴーストウルフ達を従え、商店街にて猟兵を待ち構えるクリフトン・ハームズワース。下手に電気伝導性の高いものを持っていると、それだけで攻撃の餌食になってしまうため、ゴーストウルフの群れがいなくとも厄介な相手。
そんな面倒な敵だからこそ、ティエル・ティエリエル(おてんば妖精姫・f01244)は普段の装備であるレイピアやティアラを持って来ていなかった。確かに、それ以外でティエルが持っている物の中に金属は存在しないのだが……武器や防具を捨てて丸腰同然の姿で、本当に大丈夫なのだろうか。
「ふっ……私の雷撃を恐れ、丸腰で来たか? だが、そのような小さな体躯で、まさか素手で私と戦うつもりではあるまいな?」
雷撃など使わずとも、ゴーストウルフの群れだけで制圧できると言わんばかりに、クリフトン・ハームズワースはティエルへ魔狼の集団を嗾けて来る。さすがに、この数を前にしては苦戦は必至。武器なしのティエルに対処する術はないと思われたが……彼女に襲いかかろうとしたゴーストウルフの頭を、魔弾の一撃が貫き仕留める。
「満月ちゃん、行って。大丈夫……ゴーストウルフの群れは、私が食い止めるから」
拳銃を構えて告げる大倉・新月(トータルエクリプス・f35688)。その言葉に応え、彼女の脇を固めるスカルロードがクリフトン・ハームズワースへと向かって行く。大鎌を携えた漆黒の影。黒衣を纏った骸骨は、近づく魔狼を薙ぎ払いつつ、それを操る者の首を狩らんと距離を詰めて行くが。
「ほぅ……あの数を抜けて来るとは、少しはできるようだな。だが、残念だが、ここは私の間合いでもある!」
大鎌が首を刈らんとした瞬間、クリフトン・ハームズワースの全身から凄まじい雷撃が迸った。それは、己の近くにいる者を全て捕縛する電撃の槍。さすがに、こんな物に貫かれては、スカルロードの満月とて無事では済まない。
振り下ろすはずだった大鎌の軌道を変えて盾にすることで、満月は攻撃を防ごうとした。全てを防ぐことはできずとも、直撃さえ避ければ反撃の手段はあると知っていたからだ。
もっとも、それは杞憂だったかもしれない。なぜなら、満月や新月が思っていた以上に電撃の威力が弱く、容易に受け止めることができたのだから。
「なんだと! 私の電撃が……」
いったい、何故に雷が拡散してしまったのか。ふと、不穏な気配を感じ取って上を向けば、答えはそこに転がっていた。
「ふふーん、武器を持ってないからって油断したね! これがボクの切り札だよ!」
「なっ……貴様、いつの間に!?」
なんと、そこにいたのはティエルだった。武器なしの彼女ではあったが、しかし周囲に浮いているのは無数の金タライ。それらは全て、ティエルがその辺に転がっている石やガラクタを使って変換したものであり、おまけにトラップとしての性質も持っている。クリフトン・ハームズワースの放った電撃は、この金タライに一部が引き寄せられてしまっていたのだ。
「そ~れ、みんなずっこけちゃえー♪」
ティエルの号令と共に、一斉に落下する金タライ。それらはゴーストウルフ達も巻き込んで、それぞれの頭にクリティカルヒット! ダメージそのものは低くとも、屈辱度という点ではこれに勝る攻撃はないだろう。
「……ぐはっ! お、おのれ……よくも!!」
小馬鹿にされたと感じたのか、クリフトン・ハームズワースはティエルに電撃を放とうとするも、やはり金タライに吸われて思うような起動を描けない。おまけに、ティエルは金属を装備していないので、彼の雷も必中の効果は見込めない。
「どこを見ているの? まだ……終わりじゃないから」
ティエルを叩き落とそうと必死になるクリフトン・ハームズワースに、今度は新月の放った銃弾が命中した。咄嗟に、ゴーストウルフ達を盾にして次弾を防がんとするも、そこに割り込んで来たのはスカルロードの満月だ。
「此方は彼方、彼方は此方。鏡に映して遊びましよ」
新月の呟きと共に、満月の身体から稲妻が迸る。それは、クリフトン・ハームズワース自身が先ほど放った攻撃そのもの。新月と満月が力を合わせれば、敵の使用したユーベルコードと複写して放つことも可能となる。
「くっ……! だ、だが、この金タライだらけの状況では、いかに私の技を真似たとて……」
どうせ、全て金タライに吸われて終わりだろう。そう、クリフトン・ハームズワースが告げようとした矢先、今度はティエルが間髪入れずにユーベルコードを解除したから堪らない。
「残念だったね。このタライはボクの意思で、自由に元へ戻すことができるんだよ」
「な、なんだと……ぐわぁぁぁぁっ!!」
金タライが消えたことで、満月の放った電撃の槍は、そのままクリフトン・ハームズワースを直撃した。肉体が物質化した電流なので、電気によるダメージは大して受けないが、それでもユーベルコードの捕縛効果はどうにもならない。
「ぐぐ……か、身体が……動かん……」
自分の身体を生成する電気の流れを乱され、クリフトン・ハームズワースの肉体が歪み始めた。そこを逃さず、新月は無情にも銃の狙いを定める。ゴーストウルフ達も巻き込まれて痺れてしまっている以上、もはや彼に逃れる術はどこにもなく。
「あっちが連携するなら、こっちも二人で連携するの。昔の射程や範囲じゃできなかったけど……猟兵の力なら、できる」
自分と満月は二人で一人。情け容赦なく放たれる銃弾の嵐が降り注ぎ、クリフトン・ハームズワースの肉体を、文字通りハチの巣に変えてしまった。
大成功
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鈴乃宮・影華
やれやれ、
初詣は鎌倉の八幡宮、帰りは友人に会いに銀誓館学園へ、なんて思ってたんですけどね
正月の予定パーにされた分、気合入れてぶん殴るとしましょう
友人から貰った『赤眼の銀蝶』、友人から教わった『黒の葬華』、そして浪人生時代から使ってる眼鏡!
もうどう考えても電撃の餌食ですよ私
という訳で指定UC起動
「カミナリさまの相手は、自由なる風の人たるこの光華お姉ちゃんが務めるにゃー!」
これならゴーストウルフが何体来ようとも関係ナッシン、おまけにビリビリ来てもすぐに癒えるにゃ♪
荒れ狂う暴風でバラバラになってしまえにゃあ!
●風雷激突
圧倒的な手勢を用意していたにも関わらず、気が付けばズタボロにされていたクリフトン・ハームズワース。さすがに、これは退かねば拙い。そう判断し、彼は商店街を後にしようとしたのだが、そうは問屋が卸さない。
「やれやれ……初詣は鎌倉の八幡宮、帰りは友人に会いに銀誓館学園へ、なんて思ってたんですけどね」
退路を塞ぐようにして現れたのは鈴乃宮・影華(暗がりにて咲く影の華・f35699)。ここまで追い詰めたのだから、こんなところで逃がしてなるものか。
「正月の予定パーにされた分、気合入れてぶん殴るとしましょう」
そう言って身構えるものの、そんな影華を見たクリフトン・ハームズワースの顔に、再び邪悪な笑みが宿った。
「ふはははは! これは良い得物が現れたな! いいだろう……私の電撃を、存分に味わわせてやる!」
既に満身創痍であるにも関わらず、クリフトン・ハームズワースは勝利を確信して高らかに叫ぶ。なぜなら、影華は様々な金属製の装飾や武器を身に着けており、どう考えても電撃の餌食になる他になかったのだから。
「さあ、我が電撃を食らうがいい! そして、ゴーストウルフの餌食となれ!」
迸る電撃が影華に炸裂し、凄まじい爆発が周囲を包んだ。これだけの高電圧。耐えられる者は存在せず、後は死に体の影華をゴーストウルフに屠らせるだけで良いと……そう、考えていたのだが。
「カミナリさまの相手は、自由なる風の人たるこの光華お姉ちゃんが務めるにゃー!」
なんと、そこにいたのは無傷の状態の影華だった。しかし、先程と比べてどこか様子がおかしい。口調もガラリと変わっており、なにより全身に凄まじい勢いの風を纏っている。
「な、なんだと!? こいつ……急に性格が変わった!?」
状況が飲み込めず、困惑するクリフトン・ハームズワース。ならばと、ゴーストウルフの群れを嗾けるものの、その牙が影華に届くことはない。
「ふふふ……何体来ようとも関係ナッシン! 全て吹き飛ばしてやるにゃあ!」
破壊の風が、群がるゴーストウルフ達を吹き飛ばし、木っ端微塵に粉砕して行く。カマイタチという真空現象があるが、これはその比ではない。それこそ、岩をも砕く威力の風圧が、四方八方から襲い掛かって来るのだから堪らない。
「くっ……! だが、それでも私の有利は変わらないはずだ!」
性懲りもなく、クリフトン・ハームズワースは影華に電撃を飛ばして来た。だが、どれだけ強烈な高電圧を放とうと、今の影華には通用しなかった。
「この風は、敵以外には回復効果を持っているんだにゃ! ビリビリ来てもすぐに癒えるにゃ♪」
ドヤ顔で告げる影華の言葉は、クリフトン・ハームズワースにとっての死刑宣告。敵には破壊、味方には癒し。正に攻防一体の完全無欠。今の状態の彼女を止めるには、それこそ一撃必殺の威力の技を以て、回復する余裕も与えず倒す他にないが。
「ば、馬鹿な! このような戦いで……この私が……」
当然、そんな隙を影華が与えるはずもなく、彼女の操る風によって、クリフトン・ハームズワースはバラバラに粉砕されてしまった。
風神と雷神。互いに激突する二つの力の内、商店街での戦いを制したのは、自由なる風神の方だった。
大成功
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