ポケット骸魂~マヨイガ地方の冒険!
●ポケット骸魂の世界にようこそ!
広大なカクリヨファンタズムの一角に、グリメネーラのマヨイガと呼ばれる日本家屋があった。
外から見ればちょっとした屋敷でしかないものの、ひとたび中に足を踏み入れたなら別。先の見えない廊下の襖を開ければ、妖怪たちが町を作るほどの広間が広がっている。
だが幸い、迷う必要はなさそうだ。この屋敷は確かに広くはあるが、部屋の繋がりは屋敷の外からの“入植者”たちにより地図にされているからだ。
もっとも……それはこの屋敷が安全であることを意味しない。何故ならこの屋敷には、多数の骸魂が潜んでいるからだった。
カクリヨファンタズムの住民である妖怪たちを取り込んで、オブリビオンにしてしまう骸魂。もしも妖怪たちが襲われたなら、どんな犠牲が出るか定かではない……。
しかし、屋敷の妖怪たちはある時、発見してしまったのだ! 屋敷の主の能力なのか、それともこの屋敷自体の特性なのか、この屋敷の骸魂たちは専用の小瓶に封じて仕事やバトルに使役できるということを!
今、グリメネーラのマヨイガは空前の闘骸魂ブーム。目と目が合ったら骸魂バトル!
さあ、君たちも999種類いると言われるこのマヨイガの骸魂を捕まえて育成して、屋敷の主である『グリムリーパー』グリメネーラに挑戦しよう!
そしてヤクモ・カンナビ(スペースノイドのサイキッカー・f00100)は最後にこう付け加えた。
「……と云うのもこの主人、骸魂を集め過ぎたのか、近々骸魂に呑み込まれる未来が予知されてしもうての。皆々様にはそれを救うて欲しい訳じゃが……皆々様も骸魂を育成させて闘骸魂に用いる事で主人の骸魂を祓う役に立つはずなんじゃ」
あっと。
あっと。でございます。つまり……何のことか皆さんはきっとおわかりですね?
●ポケット骸魂
グリメネーラのマヨイガには、外見も能力も違う骸魂が多数棲息しています。例えば、赤い色をした化けギツネの骸魂『ヒキツネ』は炎の技を、緑色の化けダヌキの骸魂『クサダヌキ』は葉っぱの技を、青い化けカワウソの骸魂『ミズウソ』は水の技を得意とし、屋敷の住民たちからは御三家と呼ばれています。また、屋敷内に一体しか存在しない『伝説の骸魂』と呼ばれる骸魂も何種類か確認されているようです。
彼らはバトルを通じて成長し、新しい技を覚え、時に進化して別種の骸魂に変化したりもします。屋敷の住民たちは、彼らの助けを借りて生活したり、ペットとして愛でたり、最強の骸魂を育成してグリメネーラの骸魂に勝利することを目指して修行の旅に出かけたりします。
●本シナリオでできること
皆さんが「これがポケット骸魂だ!」と主張したことは大体通ります。「この骸魂はこんな技で攻撃する!」と言えばその骸魂がその技を覚えていたことになりますし、「この骸魂の名前はこうだ!」と言えばそうだったことになります。骸魂がバトル中に突然巨大化してもいいですし、全身が宝石化して属性が変化しても構いません。グリメネーラのマヨイガは元々不可思議な場所なので、バグを利用して骸魂のレベルが100になったり壁抜けできるようになったりもするかもしれません……やりすぎて致命的な反動を受けるかもしれませんが。
一応、シナリオ目的は『道中バトルを挑んでくる妖怪たちを骸魂バトルで蹴散らしながらグリメネーラの居室である床の間まで辿り着き、勝利する』ですが、あんまり気にしなくてもいいです。
第1章 冒険
『マヨイガの住人達』
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POW : 因縁をつけてきたあらくれ妖怪を叩きのめして話を聞く
SPD : スリや盗みを働く妖怪を捕まえて話を聞く
WIZ : 怪しい商売をしている妖怪と取引をする
👑7
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●これまでのあらすじ
グリメネーラのマヨイガを訪れた猟兵たちを出迎えたのは、この屋敷で骸魂を研究している妖怪、通称『骸魂博士』だった。
猟兵たちそれぞれに好きな骸魂を一体ずつ譲ってくれた博士は、「道中では野生の骸魂ばかりではなく、骸魂を私欲のために利用する悪逆非道の犯罪結社『ツクモ団』の団員たちもよく骸魂バトルを仕掛けてくるから気をつけるんじゃぞ~」と言いながら見送ってくれたのであった。
涼風・穹
骸魂博士からはいかにも強そうな骸魂三体から好きな骸魂を選ぶよう言われたのですが…
何故かピンとこないで迷っていると、偶々(?)他所からやってきた白い猫のような骸魂『シラユキ』と目が合った瞬間「君に決めた!」的に選んでいました
骸魂博士からは弱いから苦労するので三体の内から選ぶように言われましたが断り『シラユキ』と冒険の旅に出ます
そして旅の間に時には『シラユキ』をもふったり撫でたりして癒されたり、出会った対戦相手の女性トレーナーに穹自身がおっぱいダイブを敢行してしばかれたりしながらも様々な困難を乗り越えていくのですが…
バトルでは連戦連敗
骸魂博士の言葉は正しかったようです
しかしそんなものは些細な問題です
自分で選んだポケット骸魂と絆を深めていくのが醍醐味なのです…多分
そして無数の穹のおっぱいダイブの果てに…唐突に『シラユキ』が進化してそのセクハラをされた女性と一緒に穹をしばき倒すようになりました
その後は物凄く強くなった『シラユキ』と共に勝ち続けるのですが…
よく穹自身もしばかれるようになりましたとさ
そんな屋敷に足を踏み入れてすぐ、涼風・穹(人間の探索者・f02404)は悩んでいた。
(御三家、と呼ばれるだけあって、強さも使い勝手も申し分ないらしいな。骸魂博士が勧めるだけあるといったところだが……)
「どうしたのかね?」
「いえ、どういうわけかどの骸魂にしようかピンと来ないのです」
「なあに、直感でパッと決めてしまうのも大事じゃが、悩み抜いた末に納得のゆくパートナーを見つけるのも大切なことじゃ。若人よ、心ゆくまで悩むがいい……それが許されるのは今のうちだけじゃ」
そんな骸魂博士のアドバイスを聞けば、いつまでも相棒が決まらなかった焦りも余裕へと変わる。きっと、運命の出会いは訪れるのだ……もしかするとそう信じるようになった心境の変化が奏功したのだろうか? 突然、自分でもどうにもならない感覚が穹をくすぐったのだ。
それは、まるで高潔なレディのようだった。
雪化粧のような白い毛並みに、つんと澄ました整った表情。四肢はモデルのように細くしなやかで、音もなく高い書類棚に飛び乗るとこちらを振り向いたところ。
一目惚れという言葉はきっと、こういうことを言うのだろう。気付けば穹はその場に片膝をついて、まるで結婚指輪をそうするように骸瓶を差し出していた。
彼女──『シラユキ』がそんな穹の様子をじっと窺って、ふわりと目の前まで降りてきて鼻先をこすりつけるように骸瓶の匂いを嗅いでいる間。穹は、どれほど生きた心地がしなかったことだろう? まるで心臓を鷲掴みにされたような感覚は、きっと、そのために第六感が御三家の印象を色褪せさせたのだろうとさえ思わせる。
「その子にはきっと苦労させられるじゃろうよ」
「だとしてもそれはその時です」
心配そうな博士に決意の眼差しで返したならば、ようやく、博士も厳しげな顔立ちを崩して満足そうな笑みを浮かべた。博士とてシラユキが憎いから穹を止めたわけではないのだ……ポケット骸魂を愛する者として、穹が挫折してシラユキを嫌いになってしまうことを恐れただけ。
でも穹は、きっとそうはならないと誓ってみせたのだ。ならば、これ以上は何も言わずとも構うまい。
「その意気じゃ! どんな困難にも挫けない意志さえあれば、必ずやシラユキ君とも上手くやっていけるはずじゃ!」
だから穹とシラユキの蜜月は、いつまでも続くかのようだった。
一寸先も見えない『常闇の廊下』を、互いに寄り添いながら進んだり。
シラユキの美貌に目の眩んだツクモ団員が襲ってきた時には、力を合わせて懲らしめたり。
パートナーを奪われまいと穹自身も必死で戦ったツクモ団員戦を除けば、バトルなんて野蛮なことあたしには向かないわとばかりに命令を聞かず手を抜くシラユキとの骸魂バトルは連戦連敗だった。なるほど博士が止めるだけあったなと、今となっては穹とて苦笑いするほかない……が、それですら彼には些細なことだ。
数々の困難を潜り抜けているうちに、シラユキとの絆は確かに深まっていったと言えるのだから。最初は命令なんて聞いてくれなかったシラユキが、段々とちょっとしたことなら聞いてくれるようになる。いまだに戦闘で本気を出してはくれなかったが、うっかり延々と続く廊下の途中で野宿する羽目になった時なんて、互いの体温で暖まりながら夜を過ごさせてくれるようにさえなった。
強さも、他人の評価も関係はない。こうしてシラユキの信頼を勝ち取れることが今の穹の喜びであり……、でな……、が
……、……、かわいくてな……、たまらん……、くう……。
でも骸魂トレーナーの喜びの最たるものといえば、愛情を注いだ骸魂が進化する時に違いないだろう。もちろんその瞬間は、穹にも同じように訪れるわけだ!
「秘奥・おっぱいダイブ――両手と顔に神秘を感じつつトレーナーの女妖の動きも止める、これぞ一石二鳥の奇策……ぐはぁーっ!?」
バチーンと頬に真っ赤な手形を作ってもんどり打ったのは、はたしてこの旅を始めて何度目だっただろうか! 蔑むような目に妖気が宿り、おどろおどろしく穹を見下ろす。ふ……もう悔いはない。結局のところおっぱいダイブによる相手への指示妨害よりその後の反撃によって自分のほうがよっぽど指示を出せなくなるのだとしても、この手の中に抱いた感触が何よりも大切なのさ……って、えっ?
何事もなかったかのように紳士的に起き上がろうとした穹は、何故だかそれができないことに気がついた。自分が立ち上がれないように、何かが胸を押さえつけている。
「その顔立ちはますます凛々しさを増し、白い毛並みはより艷やかに。ああ、これが進化というものか……シラユキ、随分と美しく――」
廊下の先に、シラユキのあたしとした相手がいながら失礼しちゃうわと言いたげな後ろ姿が消えた時。そこには顔に網目状の引っかき傷を残して気を失っていた穹だけが残されていた。
その後穹がいかにしてシラユキの機嫌を直し、獲物をいたぶる快感に目覚めた彼女と怒涛の快進撃を続けたか、そしてその間幾度同じ轍を踏んだかは……また別の話。
大成功
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津崎・要明
骸魂、仕事してくれるんだ。そうか~、イイこと聞いた。
ガイドからレクチャーを受けたら専用瓶をそこいらの骸友ショップ(?)で買い込んで、骸魂を捕獲しに行く。
骸魂も妖怪にひっつかなければアンディファインドな存在だしUDCみたいなもんだよな、何とかなるだろ。
屋敷のMAPをざっくり頭に入れたら、鏡面を使っての反射撃ちで意表をついたり、照明を撃って直上に落としたりしながら戦ってぴょいぴょい瓶詰めにしていこう。
強い骸魂を探すっていうのもありだけど、折角みんなとチームになるんだし一緒に「Packy」でも食べて仲良くなっておこうかな。館の主へ続くマスターロード、頑張って踏破しような!
一方その頃――。
なるほど、これはいいことを聞いた。津崎・要明(ブラックタールのUDCメカニック・f32793)が見つめる壁の地図には、幾つものシルエットが描かれている。
「骸魂、こんな姿をしてるんだなあ。こっちは力持ちそうで、こっちは乗せて空を飛んでくれそうか。沢山集めればいろいろな仕事をしてくれそうで有り難い」
骸魂博士から話を聞き終えた直後、真っ先に骸友ショップに向かった要明。旅を始めてしばらく経った頃には、早くも買い込んだ骸瓶の中で幾つかも骸魂がゆらめている。
「これが妖怪にひっついたらオブリビオンになるんだよな、でもこれならひっつけはしないだろ」
謂わば、彼らはUndefined CreatureならぬUndefined Yohkaiだ。UDC相手なら要明には手慣れているわけだし、それがUDYになったと思えばきっと問題はない。
「それにしても、案外そんなに強くもなかったな」
要明とて猟兵として経験を積んできた身。骸魂相手に引けを取るつもりなんて元からないが、ちょっと戦って弱めるだけですぐに瓶の中に封じることができてしまったのは肩透かしもいところ。
……とはいえ。
(まあ、マップによるとまだ序盤も序盤だからな)
グリメネーラの部屋に近いところほど骸魂も強くなるという情報は、博士のところで見たマップで確認済みだった。実際、旅が進んでゆくに従って、力押しだけではどうにもならない骸魂が増えてくるじゃあないか。
「しまった! 『鏡の間』に迷い込んでしまった……!」
呆然と立ち尽くした要明の背にじわじわと迫り、市松人形ポケ骸『イチマッツ』はそれまで無表情だった口元を吊り上げてみせた。にぃ……そして、プツン。
「……なーんてね。無事に誘き出されてくれて助かったよ」
突然の衝撃にこめかみを揺らされたイチマッツが衝撃の来た方向に目を遣って見たものは、鏡に映った要明の、Falsterをこちらに構えた姿だった。
「鏡面を使って反射させたのは、少し卑怯だったかもしれないな。お詫びの印に、一緒に『Packy』でも食べないかい?」
とっておきのお菓子を差し出したなら、人形は今度は嬉しそうに口元の形を変え。
「良かった。これで一緒の仲間だな!」
これまで捕まえた骸魂たちも瓶から出してやったなら、鏡の間は要明の即席ピクニック場に早変わりした。
「この先のマスターロードを越えれば、あとは屋敷の主人に挑むだけだ! 探せばもっと強い骸魂もいるのだろうけど、俺たちはチームワークで踏破しような!」
大成功
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高柳・零
WIZ
…自分、実はポケットの化け物的なものはやった事がないんです。
カプセルに入った恐竜的なものなら詳しいんですが。
「おー、きっと博士ありがとうございます!自分はこの骸魂を連れて行きますね」
名前は「ミクロン」。小柄ですがパワータイプで力と体力に優れます。
技は頭に生えた2本の角による「とっしん」。
「さあ、ミクロン!君のパワーを見せる時です!」
ツクモ団の挑戦は当然受けますし、野生の骸魂は捕まえにかかります。
バトル中は自分は後ろで歌を歌っています。
ええ、歌うだけですよ、はい。
あ、この子は当然服なんて着てませんよ。
ツクモ団に勝ったら館の情報は聞いてみましょう。
「主の居場所は知ってますか?」
アドリブ歓迎
山梨・玄信
うむ、わしは無言を貫こう。色々まずい事を言いそうじゃしな。
【POW】
先ずは骸魂を受け取ろう。
世界でもとても…おそらくは一番有名なネズミ型の骸魂じゃ。
名前はミッ…く、名前すら言えん、黒い恐ろしい骸魂…。
能力は…一切の描写が出来んので、過程を飛ばして結果だけが残るという凄まじいものじゃ。
え、最後はわしが延々と死に続けそう?確かにそのくらい恐ろしい骸魂じゃの。
この黒いネズミと共に館を探索じゃ。もちろん褌一丁になり、UCはいつでも使えるようにするぞ。
館の探索を優先し、ツクモ団とのみ戦い、野生は相手にせぬようにしよう。
バトルではUCを使い的確な指示を出して勝ちに行くぞ。何も描写出来んがな(苦笑)。
「おー、きっと博士ありがとうございます! 自分はこの骸魂を連れて行きますね」
骸魂博士から『ミクロン』を譲り受け、高柳・零(
テレビウムのパラディン・f03921)の怒涛の快進撃は始まった。
その名の通り小さな体と、反して力と体力を持つ。2本の角を敵に突き刺すとっしんは、彼らの代表的な技の一つだ――高い攻撃力ゆえ必然大きくなる反動も、ミクロンの豊富な体力の前には気になりにくい。
強いて問題を挙げるとするのなら……あまりにも攻撃力が高すぎて、野生の骸魂たちを捕まえるのが困難なことだ。ちょっと弱い相手は一撃で倒してしまうし、かと言って格上と戦うとこちらの被害も甚大だ。
「うーん……やっぱり元ネタを履修しておいたほうが良かったでしょうか。カプセルに入った恐竜的なものなら詳しいんですが」
零が思わずぼやいたならば、山梨・玄信(3-Eの迷宮主・f06912)ががっしと腕を掴んで無言で首を振った。
あまり詳しくなりすぎて余計なことを言うと、プレイングが採用されなくなるぞ、と。
そもそも最初の台詞も怪しかっただろうにと、玄信の瞳は訴えていた。だが、彼がそれを言葉にすることはない。何故なら……彼は解っているのだ、今の自分が口を開いたら、一体どれほどマズいことを口走ってしまいかねぬかと!
(ここはわしに任せるがいい、あの、世界でもとても――おそらくは一番有名なネズミの姿をした骸魂ならば上手く標的を捕まえてくれよう。そう、あの『ミッ……)
しまった。名前を思い浮かべるだけでもマズかったようだ。思考の俎上に載せるだけでも危険な骸魂の小瓶を手にし、玄信の精神は無と化した。気付けば、野生の骸魂が骸瓶に収まっている。玄信をして褌を除く一切の衣服を捨て大自然と一体とならねば使えない、(描写すると危険な)途中経過を全てすっ飛ばして結果のみを得る究極の無我の武の結果だ。いや実際には描写されてないだけで、タイプ相性やら特性やら種族値やら持ち物やらを考えながら超高度なじゃんけんみたいなバトルが繰り広げられてるんだけど。
……しかし。
「わしらの目的はこの館を探索することじゃ。あまり野生の骸魂に構っておる訳にもいかんぞい」
脱衣モードから醒めた玄信はようやく口を開いた。何故なら骸魂図鑑埋めを楽しむことよりも、予知されたオブリビオンを骸の海に還すことこそが猟兵の務めなのだから――と言いたいところだが、実際には戦闘回数が増えると見えちゃいけないものがうっかり見えてしまう危険も増えそうだからという理由のほうが大きそうなのは気のせいか。
「もちろん、それは承知していますよ」
零のモニターはそんな玄信に答え、そこで不意にシリアスな表情を映し出した。
「ですが……“彼ら”は探索の邪魔をしたくて仕方がないようですね。どうやら躱して先を急ぐより、ここで実力差を見せつけてやるほうが後々の都合が良さそうです」
「どうやら、そのようじゃ」
目と目が合ったと思ったら、その場で勝負を仕掛けてきたツクモ団員。彼らの力ずくの“通行料”の取り立ては、骸魂バトルで払わなければいけないらしい。
「さあ、ミクロン! 君のパワーを見せる時です!」
零が己の相棒を鼓舞したならば、ミクロンは両角を前に突き出し威嚇の姿勢を見せる。そして……玄信は再び無言に戻る。手が握ったものは己の衣。すなわち、全てを一瞬のうちに終わらせんという覚悟がそこにある……が。
「愚かな。我々が貴様らの先程の戦いを見ていなかったとでも思ったか! スノーメ、奴を服ごと凍らせろ!」
ツクモ団員の雪女ポケ骸は、凍える吹雪を吹いて玄信を骸瓶ごと凍らせようとした……次の瞬間、零の歌声が戦場の隅々まで響く!
〽遠く離れた 脱衣の国
ヌギヌギランドから やって来た
脱衣の使者 平和を守る 正義の戦士
さあ 今こそ脱ぐんだ! ヌギカル☆玄信!
零がその最後のフレーズをシャウトした途端、パリーンと玄信を覆った氷が割れた。
「ば、馬鹿な!? まだ一段階進化だとはいえ、生身でスノーメの氷を砕くだと!?」
狼狽するツクモ団員に零は答えて曰く。
「簡単な話です。自分の友人は今から脱ごうとし、雪女は着物を着ていた。歌により共感して力を振るえるようになるのは、はたしてどちらなのでしょうか?」
そんなワケのわからない理論があるか――そう思った時には既にスノーメは、謎の黒い影に打ちのめされて骸瓶に戻されるところだ。
「ところで、ご存知ですか……? 自分のミクロンも衣服は身に着けないということを」
真っ直ぐに自分に向かって両角を突き出してくる小さなポケ骸の姿を否応なしに目に焼きつけさせられながら、ツクモ団員は感じていた……あっ、これは素直に道を開けてマスターロードに案内しないと死ぬな、と。
大成功
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雨野・雲珠
【白蛇衆】
ややっ、謎のナレーション
骸魂マスター…骸魂マスター!?(二度聞き)
て、帝都では影朧を使った兵器が非人道的と大問題になってますのに…
危険です!ねえ深山さ…猫につられてる!
あっかわいい…
……
…鹿もいるでしょうか?
ぬしさま(=信仰する神)によく似た、角に花を咲く鹿を発見
わぁ…りりしくも可愛らしい
よーし、きみの名前はぬしくんです!
あとはこの子たちと共に、お屋敷のご主人を探す旅に出ると…
…かみさま。かみさま??
ええ、ええ。わかりました深山さん
この段階で立ちはだかる敵は、大体仲間にできるのがお約束
行けっ、ぬしくん!『はなびらのまい』です!
仲間、ゲットだぜーです!
注:彼には触れません
深山・鴇
【白蛇衆】
うん、うん、うん???(いまいち理解が追い付いていない顔)
ポケット骸魂?ポケダママスター?逢真君、どうしてそんなに詳しい…ほう、猫型のもいると
なるほどなろうじゃないかポケダママスターに!
猫型の骸魂を探す、子猫の骸魂がいたので華麗にゲットだよ
(雌と雄の二匹を両肩に乗せている)
属性?属性とかあるのかい君達。よくわからんが猫は可愛さが全てだからな…
旅に出るのはいいんだがね、何で君一緒に旅だったはずなのに悪役で俺と雲珠君の前に立ち塞がってるんだい?え?倒すと仲間になるタイプ?
それはまぁわからんでもない…よし、いくぞ雲珠君!ゲットだ!
(勢いだけで何とかなるだろうという顔をした)
朱酉・逢真
【白蛇衆】(触ると腐るので物・人には触れません)
心情)ポケット骸魂…それは不思議な不思議な生き物。じっさい骸魂としちゃアだいぶ不思議よな。さァて坊、旦那。骸魂マスター目指して頑張ろォぜ。なンだいその顔は。ポケット骸魂、略してポケダマだよ。ハイ相性表、頑張って覚えとくれ。
行動)ミズウソもらって旅に出るかァ。俺アレやりてェな、次の街に行こうとすると邪魔してくる役割。使うのはもちろん悪・霊タイプで。とりま悪・飛行のはかいポケダマ捕まえっかな。ンで他ふたりに立ちはだかる。ラスボスの前座だ。オヤはなびらのまい…ってやってンのトレーナーじゃねェか! 旦那は日頃の恨みとばかりにニッコニコしてっしよォ!
●旅立ち
「ポケット骸魂……それは不思議な不思議な生き物」
突如始まったナレーション。雨野・雲珠(慚愧・f22865)が(・д・)みたいな驚き顔になり、思わず朱酉・逢真(朱ノ鳥・f16930)を凝視する。
凡てを蝕む病毒の神が、実に愉快そうに咲うではないか。
「さァて坊、旦那。骸魂マスター目指して頑張ろォぜ」
「骸魂マスター……骸魂マスター!?」
「うん、うん、うん???」
今度は雲珠のみならず深山・鴇(黒花鳥・f22925)も一緒に同じ顔をして、逢真になンだいその顔はと首を傾げられていた。
逢真曰く。骸魂にしては特殊を超えて不思議な性質を持つそれは、ポケット骸魂、略してポケダマ。
研究するにしても生息地が限られているがゆえに略称すらポケ
魂だったりポケ骸だったりと定まっていない彼らではあるが、愛好家たちは時に強さを、時に美貌を競い合い、世界一を目指すのだそうだ……逢真が何故そんなに詳しいのかは、鴇にはさっぱり解らないのだが。
つまり……
帝都では影朧兵器の非人道性が大問題になっているというのに、
この屋敷ではそれと変わらぬ性質のものが、仕事や遊びのパートナーとして利用されているというのだ。
「危険です! 万が一にも暴走してしまったらどうなさるのです……」
ねえ深山さん、と同意してくれそうな鴇の様子を伺おうとしたら……。
……鴇は子猫姿の骸魂『ミーマタ』の顔の前で猫じゃらしを揺らし、緩みそうになる頬と必死に戦っていた。
「あっかわいい。……ではなくて!」
雲珠の抗議の声を聞き、さっと姿勢を正して眼鏡に手を当てる鴇。何か問題でも、と言いたげなクールな表情とは裏腹に両肩の上で子猫が可愛らしくにゃあと鳴いている彼に雲珠が言うべきことは……鹿もいるでしょうか、ではなくて「ちゃんと扱い方は解ってるんでしょうね!?」だ!
「扱い方ァ? そう言や相性表を教えてなかったなァ」
「相性表? 属性ごとに有利不利があるのかい君たち。猫は可愛さが全てでそれ以外のことなど二の次でいいとばかり思っていたが……」
くっダメです、この人たち完全にポケット骸魂のことで頭が一杯です! ここは俺だけでもしっかりしなければなりません……どれどれ、植物タイプは火や虫に気をつけなければいけないのですね。逢真さんの持ち物は触れただけで病毒に冒されてしまいかねませんから、相性表は今のうちに頭に叩き込まねばなりません。
……仕方ないじゃないですか。ぬしさまによく似た鹿型の子を見つけてしまったら、ゲットしないわけにはゆかないんですから。
「よーし、凛々しくも可愛らしいきみの名前は……『ぬしくん』です!」
「これで全員のポケダマが揃ったなァ。俺ァ御三家のミズウソを選ンだが、最終的なパーティーがどうなるかは対戦してのお楽しみだ」
けたけたと嗤った逢真は、間違いなく何かを企んでいた。しかも、チュートリアルと称して最初のバトルを仕掛けてきた後は、お先に失礼と言い残し、そのままどこかへと立ち去ってしまうではないか!
彼が視界から消えてすぐに呆然自失から立ち直り、慌てて追いかけた雲珠と鴇だが、彼が曲がったはずの廊下にどれだけ目を凝らしても、彼の姿は見つからなかった……。だが逢真との再会は、二人が想像していたよりも早く訪れたのである。
「よォ。また遭ったなァ」
「かみさま???」
「逢真君?」
……次の町の出口に立ち塞がっていた。もっとも──。
●旅の成果
「さすがぬしくん! 水ポケダマ相手には相性も抜群です!」
鴇がミーマタたちと戯れている間にも、逢真はあっさりと負けて道を譲ったのであるが。
ただし、それはあくまでも序章に過ぎず。
「よォ、また遭ったなァ」
各地で実力を検定してくれるジムに挑む度、あるいは『常闇の廊下』や『無限箪笥の間』などと呼ばれる高難易度の区画を訪れる度、事あるごとに現れる逢真。
その間にも鴇が戯れるポケダマはミーマタからニャオマタ、ニャオマタからガオマタへと進化して、さらに成長に伴って彼らを乗せられなくなった両肩には再び彼らの子供たちであるミーマタを乗せるように変わりはしたが、道を塞いできた逢真が勝負を挑んできては敗れて道を譲るという構図だけは変わらない。
「逢真君。君は何をやっているんだい?」
「そりゃァ『ライバル』ってヤツさァ」
思わず訝しげにツッコめば、帰ってきたのは飄々とした声だ。けれども……毎回こちらが勝つようでは『ライバル』と呼べようはずもない。
では何か?
それを言い表す言葉を鴇はよく知っている……ライバルと言うよりも、『敵役』。再会を重ねるごとに悪や霊といったタイプのポケダマを手札に拡充させていっている彼は、成る程、病毒の神らしい役回りを楽しんでいる様子じゃないか。
「ですが……俺は知っているのです!」
ぐっと雲珠が拳を握った。
「序盤から立ちはだかり続けてこうして関わり合う敵は、拳で――もとい骸魂バトルで語り合う度に互いに心を交わし合えるものだということを。そしてここは最終盤を飾るマスターロード。これまで多くのポケダマたちと戦い、仲間にしてきたように……ここでかみさまを倒せばかみさまも仲間になってくれるのです……と!」
「そのとおりだ雲珠君! 勝利して逢真君をゲットしてしまいたまえ!」
威勢のいい相槌とは裏腹にどこかもうなるようになれ感の漂っていた鴇の目の前で、逢真との(多分)最後のバトルは始まった。
先制を取るのは逢真のドラゴスト。持ち前の圧倒的な素早さに加えて先制性能を持った不意打ちで、雲珠のポケダマの体力が一気に削られる。
が……所詮はタイプ不一致の、有利でも不利でもない等倍技だ。仕留めきれなかったところを鴇のガオマタに噛みつかれれば、属性不利とも相まって一転して窮地!
もっとも、ドラゴストとて高い種族値を誇る600族の一角。多少の不利を突かれたところで、雲珠や鴇の趣味パーティーを相手に一対一交換以下の仕事をするようなことはない。
ゆえに天井轟かせ畳揺らす激しい戦いは、それからもずっと繰り広げられ続けるのだ。
「くっ俺のガオマタたちが! ガオマタも高貴な狩人としての機能美の持ち主ではあるのだが、やはり進化させずに可愛さに全振りさせたままにしておくのが正義だったか……」
「マズいです……俺の手持ちポケダマもぬしくんだけになってしまっているです!」
にたァり。誰も愕然と膝をつく鴇の妄言にツッコミを入れない中で、逢真の口元は自ずと吊り上がっていった。逢真のパーティーの最後を飾る切り札は、破壊を司る伝説の骸魂『イビルベルグ』。その種族値はなんと……600族すら大幅に上回る700近く!
「まさか、コイツすら倒せないようでポケダママスターを目指そうなんて話ャしねェよなァ?」
ああ、かみさまの言う通り。こんなところで挫折するようじゃ、グリメネーラに挑むなんてできるわけもない――曇りかけていた雲珠の瞳に熱い輝きが戻る。
「そうだな……」
鴇も再び前を向く。そして、立ち上がる。
「一度の敗北で可愛さが失われるほど、俺のガオマタたちへの愛情は浅いものじゃない」
だから皆とマスターの深い絆を、病毒の神に示してみせるのだ!
「行けっ、ぬしくん! 『はなびらのまい』です!」
「ミーマタ、存分にじゃれついてやるといい!」
「成る程成る程……ってその『はなびらのまい』、やってンのトレーナーじゃねェか! 旦那の方は日頃の恨みとばかりにニッコニコしてっしよォ!」
ぬしくんの『はなびらのまい』もとい雲珠のユーベルコード『
花吹雪』によりうとうととしはじめたイビルベルグを、子猫たちは暖かな毛皮により眠りにいざなっていった……。
「どうやら逢真君もポケダマも、すっかり彼らの愛らしさを理解してくれたようだね」
「
仲間、ゲットだぜーです!!」
そう……たとえどれほどの強敵であろうとも、最後には必ず解り合えるのだ!
何故ならポケット骸魂を愛する心ばかりは、互いに変わらないものなのだから――。
大成功
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鵜飼・章
僕は鵜飼章のオリキャラの
ポケ骸トレーナーのアキラ
分かっているよ
アキラは虫や鴉のポケ骸を使うべき
本体のキャラ的には絶対そう
でも骸魂四天王のお姉さんも言っていた
好きなポケ骸で勝てるように頑張るべきって…
だから僕はきみに決めたよ
これが僕の相棒
竜神タイプのポケ骸マンボーダだ
凶暴だけどかっこいいしかわいいだろう
可愛くない?ばくはつスマイルで検索しなよ
実のところ別に頑張らなくても
マンボーダはすごく強い
種族値が600ぐらいあるから…
行けマンボーダ、ギガ進化だ
タックルとか大きい声出してるだけで
何となくツクモ団に勝つぞ
さすが血に濡れた朧月(異名
仕方ないさ
たまたま好きなポケ骸が強いんだ…
あっ氷とか岩投げるのやめて
僕は鵜飼・章(シュレディンガーの鵺・f03255)じゃない。アキラ――それが今日の僕の名だ。
何故ならグリメネーラのマヨイガは、この世のどこにもないはずの家。だったら、人は自分ではない自分になったっていい――だから僕は『章』であることをしばし止め、『ポケ骸トレーナーのアキラ』になるわけだ。
では、パートナーのポケ骸はどれにしよう? これだけ選択肢が多いと目移りしてしまいそうだ……でもやっぱり、僕なら虫や鴉を第一に……。
……でもその時、僕は思い出したんだ。骸魂四天王のお姉さんが言っていた言葉を。
「本当に強いポケ骸トレーナーなら、好きなポケ骸で勝てるように頑張るべき」
いけないね。すっかり忘れてしまうところだった。
僕はアキラ。章じゃない。
じゃあ、アキラが好きなポケ骸はどれ? アキラは僕のように何事も一歩引いて見てしまう冷めた人間じゃなくて、もっと熱い魂――章が本当は焦がれて仕方ないような――を秘めた人間のはずなんだ。
だったら、そんなアキラが選ぶのも、きっとそんな魂を揺さぶれるポケ骸に違いない。
「きみに決めた……竜神ポケ骸『マンボーダ』! 君がこれから僕の相棒だ」
暴れん坊揃いの竜神ポケ骸たちの例に漏れず、マンボーダは凶暴でカッコいいやつだ。
でも、僕は知っているんだ。そんなマンボーダが本当は、可愛い一面も持ってるんだってこと。
「マンボーダ、ばくはつスマイルを見せて?」
するとほら……あんなにもいかめしかった目をぎゅっと細めてとびきりの笑顔を作ってくれるんだ。ほらね、とびきり可愛くない?
だからね……?
「よう兄ちゃん。随分と立派な骸魂を持ってやがるじゃねぇか」
「おめえみたいなひ弱そうな奴に持たせとくのは勿体ないぜ、俺たちツクモ団が有効活用してやるぜ!」
さり気なく骸瓶に手を伸ばして僕の相棒を盗み取ろうとしてきた付喪神たちには、しっかりとお灸を据えてあげないとね。
「行けマンボーダ、ギガ進化だ」
僕とマンボーダの絆さえあれば、相棒は一時的に限界を超えた進化ができる。使う技は……ツクモ団員程度が相手なら、タックルとか大きい声出してるだけで簡単に蹴散らせるさ。
「ぎえーっ! これが『血に濡れた朧月』の異名を持つ竜神の力だって言うのか!?」
「畜生め……やられる前に一矢くらい報いてやらぁ!」
悪いね、頑張らなくても好きなポケ骸で勝ててしまって。実のところマンボーダはすごく強いんだ、種族値合計が600くらいある600族の一員だからね。いや別に強さで選んだわけじゃなくて。たまたま好きなポケ骸が強かっただけだよ? 本当さ。
だから、ツクモ団員の破れかぶれの反撃なんて……。
「スノバーバ!
つららブレイクをぶちかましちまえ!」
……あっ。
大成功
🔵🔵🔵
第2章 ボス戦
『『グリムリーパー』グリメネーラ』
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POW : ロスト・ディスティニー
【一時的に対象の運命・記録を改編する力 】を籠めた【デスサイズ】による一撃で、肉体を傷つけずに対象の【アカシックレコード】のみを攻撃する。
SPD : ソウル・イーター
【骸魂『夢魔』 】【骸魂『ヴァンパイア』】【骸魂『鴆』】を宿し超強化する。強力だが、自身は呪縛、流血、毒のいずれかの代償を受ける。
WIZ : バーンアウト・カリスマ
レベル×1個の【才能に反応する赤の炎彩 】の炎を放つ。全て個別に操作でき、複数合体で強化でき、延焼分も含めて任意に消せる。
👑11
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かくして悲喜こもごもの旅の末、猟兵たちはようやくグリメネーラのいる床の間まで辿り着いたのである。
「いらっしゃい」
館の主はころころと愛らしい笑い声を上げる。骸瓶をうっとりと眺めるその眼差しは、一見すると愛情だ――けれどもその正体がそんな素晴らしいものでないことは、その次の言葉を聞けば瞭然だろう。
「私ね、骸魂たちを愛しているのよ。無事にこの世界まで辿り着けずに、不幸にも過去に取り残された成れの果て。愛おしいじゃない?」
それは最初こそ
死神たる彼女の本能的な偏愛に過ぎなかったのかもしれない。……が、今ではそれを超えて
骸魂に支配されてしまったに違いなかった。
何故なら彼女は彼女の愛情のために、こんなことまで口走るのだから。
「だから、全て私のものにしたいじゃない? 私のものになるはずの骸魂を捕まえてしまったあなたたちには……どうやらお仕置きが必要そうね? 行きなさい、私の骸魂たち!」
高柳・零
POW
え?ボケ骸バトルってトレーナーも攻撃されるんですか!
なるほど、ダイレクトアタックというやつですね。
「確かにコレクション系ゲームではコンプしたいという気持ちは分かります。ですが、骸魂はゲームのコマじゃないんですよ」
ミクロンは進化してミウランになりました。皮膚がとても硬くなり、攻守に優れた骸魂になりました。
技は「急所をえぐる」相手の急所を角で突きます。
「ミウラン!一緒にボスを倒してボケ骸マスターになりましょう!」
ミウランには骸魂の相手をしてもらい、自分はグリメネーラの相手をします。
オーラ防御で鎌を受け、ビームで攻めます。自分のUCも攻防一体ですからね。
アドリブ歓迎です。
山梨・玄信
骸魂はそのままで行くぞ。あれ以上のはないからな。
…実は猿轡を咥えた女の子になるという案もあったが。
【POW】
先程は脱ぐ前に奇襲されたからな。
最初から褌一丁で登場じゃ。
十分に脱ぎ力を高めたらミッ…を出しバトルを挑むぞ。描写出来ないから骸魂バトルはそちらに任せて、わしは主と闘うのじゃ。
鎌の攻撃はやばいので、飛行能力や見切りを活かして回避するようにするぞ。当たりそうならオーラを全開にして受けるのじゃ。どの程度効果があるかは分からんがな。
こちらは強化した気を放出(範囲攻撃+鎧無視攻撃)して攻めるのじゃ。骸魂バトルが不利なようなら、うっかり気の放出に巻き込むぞ。何せ範囲攻撃じゃからな。
アドリブ歓迎じゃ。
「なるほど、これがダイレクトアタック――!」
赤い三日月状の刃の姿が、ブラウン管に映って赤々と燃えた。身構える零の目の前で、死神が周囲に並べた瓶からは次々と骸魂が飛び出しては鎌へと吸収されてゆく。
彼らがはたしてどのような骸魂であったのか、零に確かめる術はない……彼らがすっかり鎌の纏う赤いオーラと一体化した後に、しきりに形を作っては消える、怒りとも嘆きともつかぬポケット骸魂の顔の形をした渦として現れるまでは。
彼らの姿を見てうっとりとした表情を浮かべるグリメネーラは、さぞかし『コレクションをここまで増やすことのできた歓び』に満ちているに違いなかった。だがそれは……本当に彼女が求めていたものであったのだろうか?
「全種類の骸魂をコンプしたい――その気持ちは解ります。ですが骸魂を本当に愛しているのなら、集めれば満足などと考えられるわけがないじゃないですか」
何故なら……決して、彼らは単なるコレクションゲームのコマではないのだから。たとえ、一歩この屋敷から出ればオブリビオンの種として破滅を振りまく存在であるのだとしても、確かに今は一つの魂なのだ!
赫き颶風が吹きすさび、零は咄嗟に天霧の盾を掲げた。
「受けてはいかんぞい!」
玄信の発する警告の声。彼の判断はきっと間違いではないのだろうことは、零とて判らぬわけもない――無数の骸魂を取り込んで、一振りを幾重もの斬撃へと分割したグリメネーラの鎌は、一部は零のみならず玄信にも向かっていた様子が見える。その途中、戦場に迷い込んだ野生の骸魂をまるで“最初からそうであったかのように”同様に取り込んでしまった鎌は、玄信がほんの布一枚でも余計な重量をその身に負っていたなら彼をも新種の骸魂として死神のコレクションの中へと取り込んでしまっていたかもしれない――そうならなかったのはひとえに彼が、最初から褌一丁で床の間に踏み込んでいたからに他なるまい。
(攻撃を見てから脱ぐのでは間に合わなかったじゃろうな)
それでは紙一重で斬撃を躱した跳躍力も、赤いオーラを押し返すための肉体の輝きも、十分な実力を発揮できぬままで押し潰されたことだろう。
(じゃが、わしは幸いにも回避の準備を整えていた。物理的な切れ味ではなく因果律そのものに干渉してくる鎌も、当たらなければどうということはないというわけじゃ。一方で……零殿は受けて止めるタイプのはずじゃ。触れた時点で手遅れになりかねぬあの鎌を、零殿は一体どうするつもりじゃ……?)
……その直後。
「ミウミウ!!!」
鋭い二本角を持った骸魂が飛び出してきて零の盾の上へと飛び乗ったのが、空中で続く斬撃を避け続けていた玄信にも見えた。
「零殿をかばう気か! それはいかん――」
「自分から捕まりにきてくれるなんて嬉しいわ!」
声を上げたのは玄信とグリメネーラ、ほぼ同時……そしてすぐに驚きの声を上げたのも同時!
受ければそれまでのはずの運命改変の鎌を、ミウラン――進化し、皮膚の硬さの遥かに増したミクロンの角は、あろうことかがっしりと受け止めていた。
「その鎌がどれほど恐ろしいものであったのだとしても、ミウランは一緒にポケ骸マスターを目指そうと誓い合った相棒ですから。その程度の運命では覆されませんよ」
「そんな馬鹿な話があるわけがないでしょ!? きっと、骸魂の力を鎌に取り込んだせいで、鎌の力が骸魂バトルのルールに上書きされてしまったに違いないわ……!」
グリメネーラが鎌を引き戻して小さく振ると、赤いオーラから骸魂が吐き出されてゆく。竜型・魔鳥型・魔獣型……いずれも凶悪そうだったり神々しかったりと強敵感を出す者たちばかり。彼らは轟くような雄叫びを上げ、主に従おうとせぬ者たち全てを蹂躙せんと進軍を始める……が、それでもポケ骸であるのなら、ミウランの『急所をえぐる』攻撃が必ず急所に大ダメージを与えてくれる!
「無論、わしのミッ……おっと名前を口に出すわけにはゆかないポケ骸もポケ骸同士の戦いでは負けてはおらんぞい?」
鎌のオーラが放出されて斬撃がしばし止んだ今、玄信を阻むものも版権だけになっていた。
「さて、グリメネーラ殿。骸魂同士の戦いは骸魂に任せ、わしらは改めてわしらのバトルを始めるとするぞい」
玄信の全身の肌を覆う輝きがますます強さを増したのを皮切りに、零もまた巻雲の眼鏡を取り出し目に当てる!
「ミウランが止めたとはいえ攻撃の命中を受けたのは同じです……お返しヌギ! 『ヌギカル・ビーム・カウンター』!」
たったの一度の失敗を受けて遣り方を変えてしまったグリメネーラの素早い判断が、吉と出るか、凶と出るか。
答えは――時が教えてくれることだろう。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
鵜飼・章
しまった…調子に乗りすぎて
エースのマンボーダが戦闘不能だ
恐らくここは骸魂リーグ的な所
カレーやサンドで回復しようとすると
なぜか骸魂博士の言葉が頭を過ぎる
アキラ!料理には作り時があるんじゃ!って…
あれ
でも僕読心術で敵の手持ちが判る気がする
幽霊タイプのムママージと
猛毒浮遊複合タイプのヤミバットだこれ
この二体に強く出られるのは
邪悪タイプと岩石タイプのポケ骸…つまり
先発はヤバンギス一択…!
ヤバンギス…丁度先週あたり
マンボーダと一緒に大量発生していたから
偶然にも持っているんだ
砂嵐で耐久も上がるし
このヤバンギスは体が宝石化する
石をエッジする技さえ外さなければ勝てるんだ
80%も当たるんだから…外さない筈だ…!
グリメネーラがそうまで判断を急いでいた理由。それが骸魂バトルというものそのものに深く根差していたと最も身に沁みて理解していたのは……きっとアキラだっただろう。
(弱点を突けば一撃で戦闘不能に追い込まれるのが骸魂バトル。マンボーダをああもあっさりと落とされてしまったのは、調子に乗りすぎて素早さの差への注意を怠った僕の失敗だ)
鮮やかさを失った骸瓶を手に、戦う気力すら出せなくなったポケ骸の無念を想う。アキラがマンボーダに申し訳なく思うのと同様に、主人の期待に応えられなかったマンボーダもきっと申し訳なさを感じているに違いないのだ。
でも……後悔ばかりしてはいられない。グリメネーラの骸魂たちは、きっとすぐにでも襲い掛かってくる。一緒にカレーやサンドを食べながら互いに反省し合えばまた元気を取り戻すはずだったのに、何故か骸魂博士の「アキラ! 料理には作り時があるんじゃ!」という言葉が頭をよぎってピクニックができなかったのは痛恨ではあるけれど、アキラにはまだ頼もしい仲間がいるじゃないか! だったら、強敵にも、きっと骸魂リーグ的なのだろう
この場所の特性にも負けたりはしない!
(相手は僕に、幽霊タイプの『ムママージ』と猛毒浮遊複合タイプの『ヤミバット』を差し向けるつもりだね……あれ、どうして僕はそんなことが判るんだろう?)
それはある種のひらめきなのか。それともポケ骸トレーナー同士の以心伝心なのか。けれども今それを直感したということは、アキラにとって運命に違いない。アキラはきっとそういうやつだ。実際にはそれは章という作者がグリメネーラの心を読み取ったものに過ぎないけれど、物語の中でくらいは運命の紡いだ奇跡だってことにしたっていいじゃないか。
「『ヤバンギス』……きみの出番だ」
だから、彼らが先週あたりに彼らが大量発生していたのもきっと運命の一端だった。岩の鎧を纏う怪獣ポケ骸が畳を踏みしめたなら、激しい砂嵐が辺りを舞う。敵の特殊攻撃からその身を守り、逆に相手を傷つけもする砂塵の盾が。
「しかも……」
アキラの掲げた石のパワーを浴びて、岩の鎧は宝石の鎧へと変化する!
「宝石化したヤバンギスの岩の棘は、普段よりさらに強力なんだ。効果が抜群なヤミバットはもちろん、物理防御も耐久力も苦手なムママージなら普通は一発さ……あっ」
命中率80%――それはここぞって時に信頼できない数値。まあ一発くらいなら外しても何とかなる相手だったのが幸いだけど。
大成功
🔵🔵🔵
涼風・穹
グリメネーラとの対戦では秘奥・おっぱいダイブを連発します
シラユキとの相性もあって効果は抜群だ、というやつです…俺に
グリメネーラにしばかれるのと合わせてシラユキにもしばかれるためこちらの攻撃の手が止まったりと実質的な損害はかなりのものに
しかもグリメネーラ、シラユキ共に俺をしばきなれてきたのか攻撃も徐々に苛烈に的確になっていき…
……ところでシラユキさんや…
理由は分からないにしても戦闘中に更に進化をしたのはおめでとうと凄いと素直に言っておくけど…
何故にその攻撃の矛先は俺にばかり集中しているのかね…?
敵はあっちだと思うんだけど…?
なお、実は骸瓶はシラユキの分、一つだけしかもっていなかったりします
何故か手に入れてもシラユキが玩具とでも認識しているのかいつの間にか破壊していたり、ポケット骸魂が仲間になってくれそうになった事は何度もあるものの何故か怯えて逃げられたりしました
(穹自身は気付いていませんが後ろでシラユキが威嚇していたせいです
後ろを振り返るとお澄まししたシラユキがいるだけです…不思議ダナー)
「くっ、まさか俺まで外してしまうとは……」
愕然と膝をついて歯噛みする穹。それを見下ろす死神の冷たい目。あちこちで激しい戦いの繰り広げられはじめた床の間において、そこだけは台風の目の如くであった。再び前を向いた穹。両の瞳に激しく決意が燃える。けれどもそうまでして挑み続けんと欲する彼の闘志に対し、グリメネーラは心底理解できぬといった様子で首を傾げるばかり。
骸魂の力に溺れてオブリビオンとなり、骸魂の数で敵を圧し潰す以外の勝利を見失った彼女は、信念のため何度でも立ち上がる男の決意など解らぬようになってしまったのだろう――。
「だが、次こそは必ずや命中させてみせる。受けてみろ、秘奥・おっぱいダイbぐはぁ何故攻撃を俺に当てるんだシラユキ!?」
――まさか本当に理解しちゃダメなやつだったとは思わないんよ。
畳数枚分の距離を取ったまま睨み合う、両手をわきわきさせた穹と両腕を体の前で交差させたグリメネーラ。両者はじっと睨み合ったまま、互いに知られぬように準備を開始する。
穹はこれからのグリメネーラの動きを予想して、いかに両腕を掻い潜って顔面を彼女の胸元に埋めるかを計算し。グリメネーラは後ろ手に今しがた骸魂を解き放ったばかりの骸瓶を手繰り寄せ、周囲で戦っている人間女性に近い姿の骸魂たちを再回収せんとして。
にやり――穹の顔に浮かんだ不敵な笑みは、次こそは勝利するとの確信に違いなかった。否、それを『勝利への確信』と呼んでいいのかも定かではない。何故ならばある意味で彼は、最初から“勝利”しているのだから。勝利とは何かを成し遂げることそのものでなく、自らの矜持を貫き通すこと。ならば幾度妨害を受けようと、おっぱいダイブし続けることこそが穹においての勝利!
(親バカと言われるかもしれないが、シラユキは美しいばかりか賢い。グリメネーラが道中のトレーナーのお姉さん方とは違って危険なオブリビオンだということは解っているはずなのだから、俺をしばいている場合じゃないってことは知っているはずだ。つまり……さっきシラユキが俺の顔面に尻尾をフルスイングしてきたように見えたのは単に攻撃タイミングが合いすぎてしまったことによる事故だ。つまり今度はちょっとアイコンタクトをしてやれば……)
穹がグリメネーラに向けてダッシュを始めれば、シラユキはアイコンタクトに応えるように高らかに鳴いた。伸ばされる両手。その速度は先程のダイブのものをさらに上回り、グリメネーラは表情を強張らるばかり。
鎌は……振りかぶる時間が長く間に合わない。逃げても今の穹の速度には敵わない。じゃあ、骸魂に庇わせる……? いいや近くに都合よく控えている骸魂などいない!
再びフルスイングされるシラユキの尾。こんなメスの一体どこがいいって言うの? そんな抗議の一撃をも穹は掻い潜りそうだ。幸いにも
メスのほうも穹のアプローチに興味を持つ様子はないらしい。けれども、彼女も今度の穹を止められそうにない。だったら……。
シラユキの姿が突然光に包まれたと共に、そのシルエットが変化した。
「……? 進化って戦闘後にするものじゃなかったか?」
穹も首を傾げるが、そんなのはほんの僅かな間の出来事だった。口許には自ずと満足の微笑みが浮かび、祝福の言葉が転び出る。
「戦闘中に進化した理由はよく解らないが、何にせよおめでとう。流石は俺の自慢のパートナーだ」
もっともそうやって素直に祝福と敬意を示す間も、穹のおっぱいダイブ敢行は止まらない。せめて身を捩ろうとするグリメネーラの動きが、穹の目にはあたかも未来を視るかのようにありありと映る。幾度もの不幸な失敗の末に開眼した対グリメネーラ感覚が、このままゆけばシラユキがどうやらまた死神相手に外したらしくこちらに向かってくる尻尾の鞭も紙一重で躱し、確実に死神の胸元に顔を埋めることができると囁いている!
……はずだったのに。
進化を遂げたシラユキの尾は、その予測から更に加速した。慎ましくも柔らかな触感に包まれるはずだった顔面が、きめ細かなビロードの毛並みに包まれることになる。ただし……それは穹自身の速度と成長したシラユキの素早さとが相まって、棍棒の如き威力を紡ぎ出す!
「どうしてまた俺を……」
大きく全身を仰け反らして弾き飛ばされた穹の脳裏には、走馬灯のごとくこれまでの旅の思い出が駆け巡っていた。
折角手に入れたばかりの骸瓶にじゃれついて、壊してしまったシラユキの姿。野生の骸魂が仲間になりたそうにこちらを見ていたというのに、まだ危害を加えるつもりだと勘違いしたのか追い打ちをかけてしまったシラユキの姿。
穹は、いまだ気付いていない……これまで彼を襲ってきた災難の全てが、自分以外を見るなという彼女の嫉妬心の賜物であることに。
大成功
🔵🔵🔵
津崎・要明
種類だけでも999だぞ、欲張り過ぎじゃないか?くっ、既に憑かれてしまったという訳か、ならば最早彼女は修羅!
魂装された骸魂から接触は避けるのが吉と見た。適宜攻撃を見切りつつバリアで仲間を守ろう。
そして、Weekが元の性質と関わるなら!
テカガミー『反射光線』、エルディークス『鳥脅し』、ニソウシキは『ウオッシュ』!憑いた骸魂を引き剥がすぞ
ぐっ、これでも倒れないのか!
おや、イチマッツの様子が!?→オキクドンに進化
よし、『髪縛り』からの『吸魂』だ
良くやったな、それは新しい技を覚えて嬉しいって顔だろ(感涙
うんうん、分かったから『呪い顔』やめてくれ。みんなも真似しない!
ふぅ、猟兵バトラーもみんなマジ強だったな
清々しい気持ちで戦い抜いた猛者達を見渡せば
あっ、目が・・・
もっとも……いかにこの件に関してはグリメネーラの正当防衛だったとはいえ、だから彼女が骸魂の力に溺れてしまわなかったとは、決して言えはしないわけだが。
「まったく、大変な目に遭わされたわ」
ティーポット型の骸魂に紅茶を淹れさせ、動揺していた気分を落ち着けた彼女が取り戻したものは、冷静さだけではなくその執着もであったのだろう。……その証拠に。
「そういえば、あそこにいる骸魂は捕まえたことがないわ。貴方たち、“仲間にしてあげ”なさい」
指先をこちらに向けた様子が要明には判る。“仲間にする”とはすなわち“奪い取る”の意か。そう言えば彼女がこの屋敷の各地に出没するという話は聞いたことがない……まさか彼女はこの床の間に座したまま、ほとんどのレパートリーを挑戦者から奪うことで集めたとでも言うのだろうか!?
「だとすれば、最早彼女は修羅……!」
彼女が999種類いるという骸魂のうち何種類を持っているのかまでは要明にも判りはしなかったが、放置すればこれからも多くのトレーナーが大切なパートナーを奪われてしまうことまでは疑いようもないことだった。しかも、屋敷の主たる彼女は型破り。多数の骸魂を同時に解き放って複数のトレーナーと戦うし、骸魂を自分や武器に憑依させるという、本来の骸魂バトルにはありえない行動を取ってくる……要明らは猟兵だから何とかなっているものの、一般トレーナーがそんな戦いに巻き込まれたら対処することさえ困難ではあるまいか!
「何としてでもこの場で目を覚まさせるしかない……こちらもトリプルバトルでいくぞ! ……だけど、接近したら危険そうだな。遠隔技で攻めていこう。テカガミーは『反射光線』、エルディークスは『鳥脅し』、ニソウシキは『ウオッシュ』で、グリメネーラに憑いた骸魂を引き剥がせ!」
手鏡に手足が生えたような姿のテカガミーが胴体の鏡をきらりと光らせたなら、グリメネーラに憑依していた吸血鬼型の骸魂が身悶えしはじめた。いいぞ、効いている……更にエルディークスが自身の体を作るミニチュアな家のベランダに、目玉のような風船を生やす。毒鳥とはいえ鴆の骸魂も鳥。これには彼女も鳥肌を立てて、慌ててどこかへと飛び去ってゆく!
最後に洗濯機型のニソウシキが夢魔を洗い流してやれば、ひとまず憑依剥がしは完了だ……だが、あくまでもまだ骸魂を引き剥がし終えただけ。彼らが死神に与えた力の残滓はまだ残っているし、何よりグリメネーラ本体を攻撃できたわけじゃない!
「あら、今のでもう打ち止めなの? こちらにはまだまだ沢山の骸魂があるのに」
まるで骸魂を使い捨ての道具としてしか見ていないかのような言葉を彼女は囁いた。また新たに瓶から骸魂が解放されて、死神に無理矢理吸い取られてゆく。
ありえない。要明の中で大きくなってゆく悔しさと怒り。ポケット骸魂にはもっと愛を持って接するものじゃあないか。
「愛? 私はこんなにも彼らを愛しているのに、そんなのも解らない?」
グリメネーラは嘲るが……たとえ彼女が本当に骸魂たちを愛しているつもりだとしても、そんな愛し方を許してなるものか!
……その時。
おや……? イチマッツの様子が……?
小さな人形型だったイチマッツが要明の怒りを受けて、突然進化を開始した。身長は人間大まで急激に成長し、髪も足元まで伸びる。両手に9枚の皿を抱えたその姿は『オキクドン』!
「よし、『髪縛り』からの『吸魂』だ!」
オキクドンの髪がまるで意思あるかのように伸び、グリメネーラの両手両足を縛めた。それから……オキクドンは皿を数え始める。一枚、ニ枚……そして9枚目を越えて、存在しないはずの10枚目の皿を数えるとその途端。グリメネーラが身に宿していた力が皿の形に凝縮し、オキクドンの9枚の皿の上へと乗せられる!
まるで褒めてとでも言いたげに振り返ったオキクドンの表情は……うん。特性『呪い顔』だった。進化とそれに伴う新技の習得という目出度い出来事に要明も破顔していたはずだったのが一転、夢にまで出そうなぞっとした感覚のために引き攣らされる。
「うんうん、俺も嬉しいよ。だけど今はグリメネーラのほうに集中しておくれ」
いやホント、オキクドンが呪い顔をしたら他の子もみんな同じ顔をし始めて怖かったからなんかじゃなくて、そんなことしてる間にもグリメネーラが髪から逃れてしまったからなんだって!
でも……彼女に縛めから抜けられてしまったからって、猟兵の勝利が揺るぐことはないに違いなかった。見渡せば辺りでは、頼もしい味方たちの奮闘が見えている。それに、彼自身のパートナーたちだって、全力を出し切るには程遠い……。
「あれ……でも、おかしいな。グリメネーラを倒したらみんなともお別れだって思ったら、不意に目頭が……」
大成功
🔵🔵🔵
朱酉・逢真
【白蛇衆】
心情)俺こォいうヒトっぽい感情、よォわからンのだが。見下しと慈しみって同居するモンなのかね? 俺もよく見下してるって言われンだが、いのちを見上げこそすれ、見下したことなンざ1度たりとも無いンだがねェ。…ひひ、どうも、おふたりさん。
行動)バトルに指揮官が出るかよ、なら俺らもやるぜ。旦那が前線、坊が後衛、俺ぁバフデバフ。バランスいいな。てコトで振りかぶってきた大鎌くしゃっと壊すよォ。これがデバフだ。イビルベルグは旦那を手伝っとくれ。元ミズウソは坊をお守り。
正義と別れる旦那も、なかよくなった鹿と別れる坊も残念そうだ。しばらく待つかねェ。またいずれ会ったらよろしくな、イビル坊らよ。
深山・鴇
【白蛇衆】
君に見下されたと思ったことなんか一度もないが、高位の存在あるあるってやつじゃないか?
ほら、超越した存在だから人が勝手に高圧的に感じるとか…俺は逢真君からはトンチキの気配しか感じないが
見下しと慈しみは似て非なるものだと俺は思うよ
さて、バトルといこうじゃないか
俺はこの可愛さに全振りしたミーマタで勝負を挑むぞ
ミーマタの力が不足するところは俺が補えばいい、協力技というやつさ!(うちの可愛いポケダマに何してくれるんだという勢いでUCぶっぱである)
やはり可愛いは正義、猫は正義だったな
…え?ここで別れ?そうか、連れていくわけにはいかないか
野良に帰っても逞しく生きるんだぞ
(名残惜し気に沢山撫でる)
雨野・雲珠
【白蛇衆】
言われるんですか?(ぱちくり)
むむ、医療に携わる桜としては流せぬ問いですね
でもすくなくとも、今の
愛の名のもと支配することと
相手が必要とするものを与えることは
全然違うものではないかと…
まあ…今回に限っては説得も無用でしょう
俺たちは言葉でなく、ポケダマで戦うのですから!
行きましょうかみさま、深山さん
ここで出会ったポケダマたち…そしてぬしくん!
俺に勝利を!
UCでぬしさまも召喚します
御照覧あれ、ご本家ですよ!
ぬしくん…折角仲良くなったのに、お別れなんて嫌です
(首にひしっと抱きつき)
もしこの先骸魂と共存できる道が見つかったなら、
全く新しい未来が待ってるかもしれませんね…
ところで、時は少しばかり遡り──。
「愛? 私はこんなにも彼らを愛しているのに、そんなのも解らない?」
「なァ? 見下しと慈しみって同居するモンなのかね?」
グリメネーラの啖呵を聞いた逢真が、不意に皮肉げな笑みを止めて訊いた。
えっ、唐突に何の話です? 雲珠が両目をぱちくりさせるのも致し方なかろうて。愛と称しつつもて骸魂を使役対象としか見なしていないグリメネーラをせせら笑っているわけじゃなく、真剣そうなお悩み相談が逢真から飛んでくるとは思わないじゃないですか!?
「いやァね、俺もよく見下してるって言われンだが、俺もあンな風に危険視されてンのかって思うと気が気じゃなくてねェ。俺としちゃァ、いのちを見上げこそすれ、見下したことなンざ一度たりとも無い筈なンだがねェ……」
むむむむむ……。愛とは何かと問われたら、命を慈しむ使命を持つ桜の精としては、適当な答えではぐらかすわけにはゆかない。
「そうですね……少なくとも俺から言えることは、今の
愛の名のもと支配することと
相手が必要とするものを与えることは、俺には全然違うものに見えるということです」
「それに、君自身は見下したいとは思っていなくとも、人の方が神という超越した存在を勝手に高圧的に感じてしまうというのは高位の存在あるあるってやつじゃないか?」
そう口を挟んだ鴇が卑屈さなんて感じさせぬ堂々とした佇まいで逢真に言葉を掛けている辺りは、彼が逢真に見下されたなんて思ったことなどないことの証明か。
「それどころか逢真君は、トンチキの気配の持ち主として見下される側だろう?」
「ひひ、どうもおふたりさん……なんて言うと思ったかい旦那? 最後の言葉だけは聞き捨てならないねェ?」
「……少なくとも君は、この屋敷での言動を思い出すべきじゃないのかな?」
そんな漫才タイムもそこそこに、3人は仲良く三角形を作るかのごとく同時に跳躍をした。直後……つい先程まで3人がいた場所を、激しい何かが打ち砕く。
何だ? 超重量による攻撃だ。山のような体を持つ大型の骸魂が新たにグリメネーラの鎌へと宿り、それが床の畳ごと3人を貫かんとして避けられた!
「骸魂バトルに指揮官がしゃしゃり出るなンて無粋をされンなら、俺らもしっぺ返ししてやるのが筋ってモンかねェ? 旦那は前衛、坊は後衛。そンで俺ぁバフデバフってとこかい」
逢真がひらひらと片手を振って合図した時には既に、雲珠も鴇も準備万端だ。
「はい……今回に限っては説得も無用でしょう。俺たちは言葉でなく、ポケダマで戦うのですから!」
雲珠が骸瓶の蓋を開ければ、飛び出たぬしくんが凛々しい佇まいを披露した。その角には雲珠の祈りを受けて、季節外れの桜花まで咲いて。
「俺は……もう、迷いはしない。この戦いに出すポケダマは、この可愛さに全振りしたミーマタ以外にはない」
鴇の指先が両肩のミーマタたちの頭へと伸びる。優しく撫でたその指遣いこそが彼の愛。2段階進化したガオマタのほうがずっと強いだろうって? 問題はない……何故なら相棒の強さが足りないのなら、自らの力で補うのが骸魂トレーナーの実力であるからだ!
……まあ、そんなものに興味はさっぱりないと鼻白むのがグリメネーラだけれども。
「いい加減、貴方たちの骸魂を譲ってくれないかしら? もっとも、どうしても譲ってくれる気がないのは解りきってるわ……だから私がやることは決まってるのだけど!」
再び振り上げられた大鎌を、可愛いミーマタに受けさせる? そんな酷いことをさせるとはとんでもないと、鴇は逢真に非難がましい視線を向けた。
けれどもその眼差しを、飄々と受け流してみせた病毒の神。
「勘違いされちゃァ困るねェ。俺ぁ『前衛を任せた』って言ったンだ。『盾役』とは一言も言ってないワケさ」
いいかい、ダメージを軽減するのはデバッファーの仕事だ──今度は無造作に片手を掲げ、徐に鎌の着地地点へと佇んだ逢真。無論、だからって死神が鎌を引くわけはなく、半円形の降下を始めた鎌はますます加速する。にもかかわらず……逢真は決してその場を退かず、それどころか自ら掌を刃に向けて……。
「……どうなってるの!?」
瞬く間に刃は赤錆びて風化し砕け散る!
「はー……やはり君はトンチキ以外の何者でもないな」
振り向いてしたり顔を向けてきた逢真に、鴇は呆れた溜め息を隠さなかった。
「普通、矢面に立つ役割と言ったら前衛で、敵の攻撃を弱体化させるのがデバッファーだろう? ……どこに自ら矢面に立って敵の攻撃手段そのものを粉砕する『デバッファー』がいるんだ」
すると、逢魔はケ・セラ・セラ。そういうものだとばかりに得意の薄笑いを浮かべてみせる。
「ま、細かい話を気にすりモンじゃないさ」
逢真が顎で指した方向に鴇が目を遣れば、両目を閉じ、祈りを捧げるように何かの言葉を口にしている雲珠の姿がそこに見て取れた。
「ぬしくん……それからぬしさま! 俺たちに勝利を!」
まるでぬしくんの姿に被さるように、神々しい鹿の姿が顕現していた。
「照覧あれ、神鹿が芳容――ぬしくん、これがご本家ですよ」
ぬしさま──角に花咲く大多恵主。雲珠がグリメネーラに悔い改めるつもりはないのかと問い、死神がそれを拒んだならば。背負う箱宮より出でた神鹿の力はぬしくんへと宿り、神気を帯びた蹄の打ち鳴らしが死神を蝕んでいた邪気を打ち祓う……。
死神を蝕んでいた骸魂たちが離れるのを拒み、彼女の他の骸魂たちを凶暴化させていたのが猟兵たちには見えた。それらはきっとポケット骸魂を装った、本当に妖怪たちをオブリビオンに変えてしまう骸魂だったに違いない。
「視えました……彼らさえ倒せばきっとグリメネーラも正気に戻ります」
雲珠がそう判断した証拠は、一瞬だけ邪骸魂たちの影響彼逃れた彼女が、鴇のミーマタたちに温かい眼差しを向けたように見えたからだった。
「どうやら、ミーマタたちの可愛さが彼女に初心を思い出させたみたいだな」
鴇が得意気な雰囲気を纏わせて佇んでいるが……はたしてそれは真か偽か。ただ、ミーマタたちのミーミーという鳴き声が、グリメネーラに対して何らかの変化を与えたらしいことだけは間違いがない。邪骸魂たちがこちらに攻撃を仕掛けんとする。
「イビルベルグは旦那を手伝っとくれ。
ウォルトランは坊をお守り」
邪骸魂たちが宿主より離れて暴れてくれると言うのなら、あとは骸魂バトルで勝負を決めるだけ――……。
……そして、それは別れの訪れを示すものでもあった。
「ぬしくん……折角仲良くなったのに、お別れなんて嫌です……!」
邪骸魂たちを無事に倒したということは、長い冒険も終わりを迎えたということ。首にひしっと抱きついた雲珠の首筋を、ぬしくんは長い舌を使って名残惜しそうに撫でる。
「……そうか。連れていくわけにはいかないか」
揺れ動く鴇の眼差しは、しばらくミーマタ一家から離れそうにない。一体いつまでそうしているつもりだろうか――だが彼らが永遠の命の中で幾度も出会いと別れを繰り返した自分とは違うということは、逢真とて知らぬわけじゃない。
「悪イが、旦那と坊が落ち着くまでここで待たせて貰うよ」
逢真がそんなふうに声を掛ければ、屋敷の主人は「お気の済むまで」と苦笑いしてみせた。
「だって、貴方たちは私の憑き物を落としてくれた恩人だもの。追い出すわけにはゆかないわ?」
正気に戻ったグリメネーラは、これから妖怪たちから奪った骸魂を返す旅を始めるらしい。その中には一般の骸魂トレーナーもいるし、ツクモ団のメンバーもいるし、預かり屋なる骸魂の世話を請け負う者たちもいる――そう、預かり屋。
「私のせいで寂しい思いをさせるのは本意ではないわ。預け賃は私の方で何とかしてあげる」
だから……猟兵たちは暇な時、再びこの屋敷を訪れてやればいいのだ。そうすればポケット骸魂たちとの冒険の記録には、また新たな一ページが加わるだろうから。
大成功
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