7thKING WAR⑥〜大惨事カンニング大戦!!
●模範的デビル養成所
此処は、とある平和な魔界学園。
優秀かつ極悪な生徒たちが日夜切磋琢磨し、伝統ある学校に相応しい不良教師の導きの下、デビルキングワールドの未来を担う筋金入りのワルを目指しております。
勿論多感な時期の生徒たちですから、中には学園の雰囲気に馴染めず善行に走る生徒もおりますが、大多数は名門校に相応しいイカレたワルども。
当然、迫るテスト期間への準備も忘れません。
「あら、願望器の悪魔Aさん。テスト勉強は進んでおりまして?」
「勿論まったくダメですわ。このままだと全科目赤点かしら……」
「ふふふ、順調そうですわね。先月のマラソン大会を思い出しますわ……『一緒にゴールしましょうねBちゃん!』と言った直後からの見事なスパート、素晴らしいワルでした……」
俺勉強してねーわーと周囲を欺き、一人抜け駆けで高得点を取ろうとするのは序の口です。
「見て! 学年主席のお姉さまよ!」
「昨年は見回る試験監督の背中にびっしりとカンニングペーパーを張り付けたそうよ……憧れちゃうわ!」
机に、天井に、黒板に人に貼りつけられるカンニングペーパーはこの時期の風物詩。
漢字問題の為に全身に経文を書いてきた生徒や、事前に問題を入手し完璧な解答用紙を用意している者、正々堂々と試験官を殴り倒し教科書を開く生徒など、様々なカンニングが行われるのです。
不良教師も一応は教師なのでカンニングを防ごうと戦い、毎年のように校舎が崩壊するのも学園の名物です。
今年もそのような平和なカンニングになる、筈でした……。
「み、みんな! 大変よ! これを見てー!!」
「どうしたの願望器の悪魔Zちゃん……こ、これは
……!?」
それを変えるのは、一人の生徒が手に入れた、分厚い計画書だったのです。
●カンニングを許さぬ悪逆非道の猟兵のアジト、またの名をグリモアベース
「その計画書は、今までにないカンニングの方法がびっしりと書かれていたそうなのよ」
ところ変わってグリモアベース。
赤い髪をツインテールに結んだ人狼の猟兵が、それまで猟兵達に話していた魔界学園に迫る危機を語ります。
「まあ、あの世界だとカンニングはデビルキング法を守る事よ。だから本来は問題ないのだけど……作者があの人なの」
あの人、と呼んで彼女が指さすのはデビルキングワールドを映したとある映像。
現在、あの世界では『7thKING』の座を狙う魔王ガチデビルが呼んだ召喚魔王たちが暗躍しております。
その殆どは未だ正体が不明なのですが、唯一猟兵達がその姿を確認しているのが、山々を遥かに超える巨躯を持つ魔王でした。
「このカンニング計画書による大カンニング作戦が成功してしまえば、あの巨大魔王はカリスマカンニンギストとして学園から圧倒的な支持を得てしまうのよ! そうなったら、彼女はぐっとKINGに近づいちゃう!」
それを防ぐには当然、カンニングの成功を阻止しなければいけません。
つまり……。
「学園との取り決めで、皆には臨時の『試験監督』の肩書が与えられるわ! これから行われるテストに立ち会って、生徒のカンニングを見破りまくって欲しいのよ!」
試験監督として、計画書を利用した生徒の巧妙なカンニングを見破り、暴力による実力行使でテストを突破せんとする生徒を鎮圧していく。
その重大な役目を通して巨大魔王の野望を阻止するのが、今回の猟兵たちの役目なのです。
「生徒たちはありとあらゆる手でカンニングをしようとしてくるけど……皆なら見破れるわ! デビルキングワールドの未来の為にも、ちゃんと試験を受けさせるのよ!!」
張り切って手を振り上げるグリモア猟兵に見送られ、猟兵たちは魔界学園へと送られます。
極悪非道のデビルたちによる、恐ろしい惨劇を予感させる戦い……カンニング大戦の始まりです!
北辰
OPの閲覧ありがとうございます。
恐ろしい悪魔たちの戦争が始まりました。恐ろしいんだってば。北辰です。
今回は悪魔たちが通う学園におけるカンニング見破り合戦となります。
この学園は生徒数も多く、生徒たちが手に入れたカンニング計画書はめっちゃくちゃ分厚いので、生徒たちもありとあらゆるカンニングを行ってくるのです。
具体的に言うと、猟兵様が『こういうカンニングを見破ります!』とプレイングでしていしてくだされば、誰かしらそういうカンニングをしてる生徒はいるのです。
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プレイングボーナス……想定するカンニングをプレイングで指定する。
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如何にカンニングを見破るか、見破ったカンニングを否定させない証拠を押さえるか。
試験監督の腕の見せ所です。
カンニングがバレた生徒は、猟兵を倒してカンニングを完遂させようとするので、返り討ちにしてしまってください。
ここも試験監督の腕の見せ所です。
それでは、デビルキングワールドのKINGとなるのは誰か。
その一端を担う学園での戦いを制する猟兵様のプレイングをお待ちしております。
第1章 集団戦
『願望器の悪魔』
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POW : 汝が為したいように為すがよい
【飛び出す絵本】から、対象の【欲望を満たしたい】という願いを叶える【願望器】を創造する。[願望器]をうまく使わないと願いは叶わない。
SPD : あなたを受け入れましょう
【飛び出す絵本】から、対象の【承認欲求を満たしたい】という願いを叶える【願望器】を創造する。[願望器]をうまく使わないと願いは叶わない。
WIZ : いいのですよ、好きなことだけしていても
【飛び出す絵本】から、対象の【癒やされたい】という願いを叶える【願望器】を創造する。[願望器]をうまく使わないと願いは叶わない。
👑11
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栗花落・澪
いつ殴りかかられてもいいように【オーラ防御】
生徒達の些細な仕草や動きにも気を配る
カンニングペーパーは消しゴムの紙の裏側や
ロングヘアの中に仕込む、手首に巻き付ける…
いろんな形で応用出来ちゃうから
必要以上に筆記具や自分の体を見てる子には要注意
こっそり【指定UC】で分身を量産
学園の天井、窓、小物の影、生徒達の背後…
色んな場所に散らばってこっそり監視、怪しい動きは報告させる
サイズ的に分散すればそうそう見つからないでしょう
ペーパー見つけたら即没収、しますね
おっと、実力行使は退場ですよ
分身を集めて一時的な盾になってもらい
【催眠術】を乗せた風魔法の【属性攻撃】で
デビルさんの意識飛ばさせてもらおうかと
●(デビル的に)誇り高き学徒たち
「(あの最後方の右端の子は消しゴムケースの内側……その前の子は袖口に答えを書いているんだね)」
魔界学園のとある教室。
その身を守る鎧のように、うっすらとオーラを纏いながら歩く少女が、テストを受ける生徒たちを注意深く観察します。
少女……いえ、そう見えるほどに美しい少年の名は栗花落・澪(泡沫の花・f03165)。
今回の大カンニングを阻止するために試験監督になった猟兵の一人です。
カンニングをするのなら、視線が不自然に筆記用具や自分の身体に流れるはずだと推察した彼は、まさにその通りに怪しい動きをする生徒たちを幾人も見つけておりました。
「はい、そこの貴女。そのペン貸してもらえますか?」
「そ、そんな!? 胴体のクリアパーツにカンペを仕込んでるなんてしてません!!」
勿論、生徒たちも試験監督にバレぬよう、澪が背を向けてからカンニングを試みるのですが、不思議とすぐにバレてしまいます。
また一人、殆ど自白する形でペーパーを見つけられる生徒の嘆く声を聞き、まだカンニングがバレていない……少なくともそう思っている生徒たちも顔をこわばらせております。
いかなる手品か、背中を向けていようとも澪の監視からは逃れる事などできないのかもしれません。
生徒たちに残された手段は、このままカンニングを諦めて真面目にテストを受けるという、名門魔界学園の生徒にあるまじき正しい行いしかないのでしょうか?
「――いいえ! 私たちはこの世界の未来を担うエリート! 私たちは立ち上がらなければならないの!」
「よく言ったわ委員長! 教室の皆で囲めばこの人一人くらい……!」
それを許さないのはエリートとしての誇り。
あくまでカンニングを完遂すべく、生徒たちは澪を無理やり倒そうと立ち上がるのです。
皆で囲めば……デビルキングワールドの強靭な住民たちであれば、数の有利を活かして猟兵を打倒するというのも決して不可能ではないでしょう。
本当にそんなものがあるのなら、の話ではありますが。
「おっと、席を立った子は全員退場ですよ……何人かはどさくさ紛れに隣の子の答案見てますしね」
「え、な、なにこの妖精!?」
次の瞬間、澪を守るように物陰から現れるのは600を超えんかという数の小さな澪です。
様々な場所から生徒たちを監視していたミニ澪に阻まれもたついている生徒たちを襲うのは、催眠術の力を乗せた澪の起こす風。
舞い上がるカンペ、机に仕込まれた教科書がばたばたとページを震わす音。
それが止んだあとに残るのは……一人残らず眠りに落ちた生徒とそれを苦笑いで確認する澪なのでした。
大成功
🔵🔵🔵
エドゥアルト・ルーデル
ハァイ3年B組ヒゲパチ先生でござる
「人」と言う字は…なにテストだからいらない?じゃあさっさとテストしろよ!
古典的カンニングと言えば見つからぬようにカンペを使うとか盗み見るとかでござるね
目を増やそう!拙者は黒板の前に、この突然出てきた極めて発見され難い【知らない人】は教室の後ろに配置、つまり挟み撃ちの形になるな
拙者から隠れても見えてない知らない人には丸見えですぞ!
【願望機】を出されても拙者には効いてないけど?
それは後ろに居る知らない人の願望でござるねぇうんうん
ちゃんと拙者を癒さんかこのバカチンがァ!横に並べ!愛のビンタ!ビンタでござる!ついでに何やら癒されてる知らない人にもビンタだ!
●3年B組ヒゲパチ先生(全一話)
「ハァイ、3年B組ヒゲパチ先生でござる」
「キャー!!」
「なにこの黄色い声。もしや見つけちまったでござるか、天職……!」
突如エリート学園に現れた髭のオッサン。
基本的に胡散臭い不審者扱いが多いエドゥアルト・ルーデル(黒ヒゲ・f10354)は、クラスの女生徒から受ける歓声をその全身に浴びていました。
「なんて悪そうな顔! 悪人面に相応しい髭だわ!」
「にこやかに話してたその直後発砲とかしてきそう! 素敵ィ!」
「ヒゲパチ先生、これからウチの担任になるんですか? ここ2年D組ですけど」
「残念ながら明日クビ切られる予定の非常勤でござる」
ヒゲパチとの別れに嘆く生徒たちを見て、自分だって悲しいと涙を流すエドゥアルト。
しかし、彼がこの場に現れたのは、生徒たちにキチンとテストを受けさせる試験監督となる為です。
エドゥアルトは断腸の思いで目薬をしまい、テスト用紙を配るのでした。
テストが始まり、教室に響くのは生徒たちが滑らせる筆記具の音。
教室の最前、教壇に陣取ってそれを監視するエドゥアルトの視線は冷たく鋭い厳しいものです。
「(只者じゃなさそうね……でも、その角度からこのカンペは見えないでしょう!)」
しかし、それに対する悪魔生徒も学園が誇るエリートカンニンギスト。
ある一人の生徒は、なんと狡猾な事に机の上にポテチの袋を置いて、前に立つエドゥアルトから見えぬ袋の口元にカンペを仕込んでいたのです!
まさに悪魔的頭脳、ポテチの袋はポテチであってカンペではないのですから、エドゥアルトが没収することなどできません。
見える範囲でしたらどれほど恐ろしく早いカンニングでも見落とさない我らがヒゲパチ先生も、こうなってはなすすべは無いのでしょうか?
ですがその時、生徒の“背後”から彼女の肩を叩くものが居りました!
「その袋の口元……カンニングペーパーだな?」
「えっ……試験官!?」
「そんな、試験官は……二人居たッ!?」
「誰その人? ここ学校だから部外者が入ると拙者が怒られるんでござるが?」
「気配すら感じ取れなかった……もしや此方が本命の試験官!」
「違うよ??」
生徒たちに広がる驚愕と畏怖の声、そして困惑する髭の声。
教室の混乱を尻目に不審者その2は生徒からカンペを取り上げて、証拠の確保に成功します。
けれども、子供と言えど悪魔である生徒は、証拠を押さえられてなお諦めることは致しません。
「まだよ! 食らいなさい、癒し系願望器波ァァ!!」
「ぐわぁー! モフモフと肉球がァー!?」
願望器の悪魔としてのその力。
恐るべき願望器波を受けた不審者その2はなにやら幻を見て、ビクビクと痙攣し始めます。
そして、その手から滑り落ちたカンペはスンとした表情のエドゥアルトがしっかりキャッチ。
願望器にも勿論癒されてない彼は、きわめて冷静な真顔で生徒を見つめます。
「――ちゃんと拙者を癒さんかこのバカチンがァ! 愛のビンタ! ビンタでござる!」
「くっ、囮と侮りましたか!」
「だから囮でもねぇ! ついでに何やら癒されてる知らない人にもビンタだ!」
こうしてカンニング犯は御用となり、軽やかなビンタの音が二つ、教室に響くのでした。
大成功
🔵🔵🔵
仇死原・アンナ
アドリブ歓迎
他の世界を救世(すくう)為にも…
本気悪魔(ガチデビル)をぶっ抹殺(つぶす)為に…!
さぁ行くぞ…私は処刑人で…試験監督だ!
教室内を歩き回り、わざと音を立てて生徒を振り向かせ
【恐怖与える殺意の瞳】で睨めつけ[悪のカリスマで恐怖与えて]
飛び出す絵本によるカンニングを無意識に強要しよう…
本を出させたら妖剣を本に突き立て証拠を押さえよう…!
残念だったなぁ…?
幼稚なんだよ…貴様のカンニングは…!
…この卑怯者がッ!!!
生徒の腕を[怪力]で引きずり教室から放り出してやろう…!
冤罪…?…何のこったよ?
●疑わしきは罰せよ
女は考えます。
とにもかくにも本気悪魔(ガチデビル)をぶっ抹殺(つぶす)必要があると。
他の世界を救世(すくう)為にも、何としてでも彼奴の下へとたどり着き、悪魔輸出という不埒なたくらみを叩き潰さねばなりません。
何故なら女こそ……。
「さぁ行くぞ……私は処刑人で……試験監督だ!」
ものすごく悪そうな顔で教室に入ってくる猟兵にして処刑人。
仇死原・アンナ(地獄の炎の花嫁御 或いは 処刑人の娘・f09978)その人なのですから。
「凄い悪そうなのが来ちゃいましたわよ!」
「見てください、あのダース単位で殺ってそうな素晴らしい目つき……」
エリート校に相応しいエリート悪な試験監督が来たとざわつく生徒を尻目に、アンナは試験の開始を宣言します。
カツカツと、わざとヒールの音を響かせて教室内を歩くアンナ。
その眼光の威圧感は、この学園に通うエリート悪魔でさえも身がすくんでしまうほどです。
もっとも、生徒もまた誇り高き悪となるために学園に通う秀才たち。
来たばかりのコワモテに負けるものかと、ある生徒は事前に用意したカンペを机の下から取り出そうとして……。
「――あれ?」
見覚えのない、『絵本』を手に取ってしまいました。
ザンッ!!
「ひえぇぇ!?」
その生徒が見知らぬ本について思考を巡らせるよりも更に早く。
アンナの放った妖剣が本を捉え、机ごと貫通して生徒の脚の間へと貫きました。
無惨に中身が飛びだした飛びだす絵本……あまりカンニングには適してなさそうなその本を乱暴に取り、アンナはにやりと笑います。
「ふむ……この本、カンニングだな間違いない」
「い、いえいえいえ!? こんなファンシーな熊さんとか飛び出してくる本なんて知らな……」
ザンザンッッ!!
「ひょええぇぇ!?」
証拠を押さえられてなお言い訳する生徒の前で、机が更に四等分されてしまいます。
すっかりあっけに取られている生徒が気を取り直す前に、剣を仕舞うアンナはその怪力をもって生徒の首根っこを掴んでしまいます。
「残念だったなぁ…? 幼稚なんだよ…貴様のカンニングは…!」
「ちが、冤罪いいぃぃ……」
有無を言わさぬ剣幕でアンナに放り投げられてしまった生徒が、窓の外へと消えていきます。
悪魔なのでそれくらいで大した怪我をするわけでもありませんが、あっという間に退場させられてしまった同級生の末路に、生徒たちは思わず震えあがります。
そして、ある不幸な生徒は。
「冤罪……? ……何のこったよ?」
アンナが懐から取り出す、斬られていない“新しい絵本”を見て。
このクラスで生き残れる生徒は居ないのだろうと、覚悟を決めるのでした。
大成功
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久遠寺・絢音
別の世界とはいえ、現役教師の目を盗んでカンニングたぁいい根性してるわね
私も銀誓館でわんぱく一杯の悪童相手にやりあってるもの、負けないわよ
私がカンニングしていいと言われたら……そうねぇ、校則がゆるくてネイルしていいなら、ネイルアートに見せかけてカンニング用の用語や方程式をぎっしり書き込むかな
上に偏光パールのトップコート塗ったら光の角度では見えづらくなってごまかせるだろうし……って、マジでいたー!
こらー!バレたからって逆ギレしないの!
(UC発動、教室内の机やロッカーを糸で引き寄せ即席シールド作成)
仕方ないなぁ、薙刀で足払いしてすっ転ばして、銀糸で簀巻きにでもしておこうかしら……
●トリック・ネイリスト
一口に教育と言っても、所が変われば内容も変わります。
海一つ隔てた違う国でもう大違いだというのに、ましてや世界すら異なるのならなおさらの事。
しかし、それでも変わらぬものがあるのなら。
「別の世界とはいえ、現役教師の目を盗んでカンニングたぁいい根性してるわね……私も銀誓館でわんぱく一杯の悪童相手にやりあってるもの、負けないわよ!」
この艶やかな黒髪を湛える土蜘蛛の女性、久遠寺・絢音(舞う徒花・f37130)がそうであるように。
教師の情熱は、その一つなのかもしれません。
「はいそこ、その小学生男子が使いそうなゴツイ筆箱はしまう! そっちも前の席の子の後頭部にカンペを貼らない!」
テスト開始前からあの手この手でカンニングを仕込む生徒を次々に切って捨て、絢音の監督する試験は開始されます。
試験が開始されてからは、事前に絢音に様々な『タネ』を没収された生徒たちは真面目にテストを受けているように見えるのですが……。
「(わかるわ……一度怒られながら次のやらかしを考える、あの子達の目はそういう生徒の目
……!)」
その目が死んでいない事を察する絢音は、子供特有のダメな方向に熱く燃え上がる情熱に頭を痛めながら、生徒たちの挙動に注目します。
見れば、このエリート学園の生徒たちの中には制服を思い思いの形に着こなしている子も多い様子。
服を改造してしまうのも悪魔のエリートとしての嗜みなのでしょうか。髪を染めるのは序の口、化粧を通り越して仮装かというレベルに着飾る生徒も複数名です。
「(ネイルをしている子も結構いるわね……ん、ネイル?)」
そんな中で、ふと絢音が気にかかったのは女生徒たちがするネイルアート。
カンニングといっても、教科書の中身をつらつらと全て書く必要はありません。
公式の一文、歴史の重要ワードなどごく少量の情報でもカンニングは成立するでしょう。
もしも、ネイルアートに見せかけてそれらを書き込めるのであれば、偏光パールのトップコートで一見して見破れない工夫もできますし、ペンを握ってしまえばごく自然な形で隠すことが可能です。
「まあ、流石にそこまでやる、子は……」
そんな事を思いながらふと目に入った一人の生徒。
黒っぽいネイルに視線を注ぎ、すぐ後ろに立った絢音にも気づかないほどに集中している彼女の爪先には。
「――って、マジでいたー!」
「あっ!? し、しまったぁぁ!!」
非常に小さな字で、カンニング用の書き込みがされていたのでした。
「バレては仕方ない、皆、やるわよ!」
「バレたからって逆ギレしな……え、皆!?」
絢音にカンニングを押さえられた生徒が叫ぶと、先ほど見かけたネイルをしていた生徒が一斉に立ち上がります。
そうです、なんとこの教室でネイルをしている子は全てがカンニングネイル。
一人が見つかった以上他も逃げきれないと、絢音を倒してのカンニング完遂に切り替えてきたのです!
一斉に放たれる悪魔のユーベルコードが、四面楚歌の女教師へと殺到します。
「仕方ない、ちょっと手荒になるわよ!」
が、絢音もまたただの教師ではありません。
素早く放った蜘蛛の糸で机を引き寄せ自分のバリケードを作ると、生徒たちのユーベルコードを受け止めて薙刀を構えます。
臨時とはいえ教え子である彼女たちを痛めつけるつもりはありませんが、転ばして簀巻きにしてしまうくらいはいいでしょう。
ヤンチャがすぎる生徒たちの道を正す為、絢音先生の見事な薙刀術が炸裂するのでした。
大成功
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愛天・真澄
カンニング奨励…流石はワルこそ正義の世界と申しましょうか。
ですが、ご存知ですか?神は全てをご覧になっているのですよ。
さて、カンニングと言うからには、何処かに答えを貼り付けて見ていることでしょう。
窓ガラスやテレビの反射を利用して、教室外に貼ったカンニングペーパーに目を通す、等してカンニングを行うものと予想されます。
という訳で、その視線の先へ先回りする形にて『神は此処に在り』で神のヴィジョンを設置します。
カンニングしようと其方に視線を向けたら、漏れなくダメージを受けてしまうという流れですわね。
そしてその反応自体がカンニングの証拠となります。
それでは、愛の鞭(鉄鎚)で【吹き飛ばし】のお仕置きです♪
●ワルはお空に消えるもの
学園中で繰り広げられる、カンニング生徒と猟兵試験官の攻防。
その多くは猟兵の勝利で幕を閉じ、御用となった生徒たちの悔しがる声が次々に響きます。
学園の生徒がみな企みを打ち砕かれる様を聞き、いまだテストが続く教室の生徒たちも数分後の自分の声かと表情を固くします。
「本当に皆さん揃ってカンニングしているのですね……流石はワルこそ正義の世界と申しましょうか」
そんな生徒たちを見張る愛天・真澄(愛神の使徒・f32265)は、学園の騒動を感じ取り、頬に手を当て呟きます。
きっと、自分が担当するこの教室でも、生徒によるカンニングは行われているのでしょう。
けれども。
「ご存知ですか? 神は全てをご覧になっているのですよ」
真澄の観察した限りでは、教室内にカンニングペーパーのようなものは発見されませんでした。
ですが、このエリート学園の悪魔たちがカンニングを諦めた、と考えるのは早計でしょう。
カンニングは行われるはず。しかし、カンニングペーパーは見つからない。
ならば、疑うべきはカンニングペーパーは教室内、生徒の近くにあるはずだという先入観に他なりません。
「……え、う、うあああああああ!?」
突如叫び声をあげ、机から立ち上がると同時に目を覆う一人の生徒。
周りの生徒が動揺する中、ただ一人薄い笑みを浮かべた真澄だけが生徒の手を取り宣告します。
「はい、カンニングの現行犯ですね」
「で、でも先生! この子の周りにはカンペなんてどこにも
……!?」
叫んだ生徒と仲が良いのでしょうか、真澄の言葉に対して異を唱える生徒は混乱した様子です。
その戸惑いは、突然の宣告への驚愕の中に僅かに疑念を混ぜたもの。
――何故バレたのかと。
「ひ、あ、アレは
……!?」
そして、“それ”に思わず視線を向けたのが運の尽き。
真澄に待ったをかけようとした生徒もまた、最初にカンニングがバレた者と同じく、目を押さえて苦しみだすのです。
ここまで来れば、教室にいるすべての生徒が理解したでしょう。
窓ガラスの反射を利用して見えるよう調整された教室の外、廊下に貼られたカンニングペーパー。
そこに、真澄によるなんらかのトラップが存在することに。
そう、そこにあるのは荘厳にして神聖、尊く素晴らしく、そして何より悪魔たちの世界にはあり得ぬはずの“モノ”。
それを直視してしまった二人の悪魔の錯乱ぶりを見て、生徒たちは自分たちのカンニング作戦が封じられたことを悟ります。
しかし、それで引き下がるようではエリートのワルにはなれません。
真澄の仕掛けたものが分からずとも、彼女自身がその手で細工した素振りがない以上、ユーベルコードによるものと推測できます。
つまり……。
「この臨時先生を倒せばきっとカンペは解放される! やるわよみんなぁぁぁ……あれ?」
真澄を倒してしまえばいい。
そう考えた悪魔たちの勢いが、急に止まります。
その困惑の視線の先にあるものこそ……。
「テスト中は立ち上がってはいけませんよ。それでは、愛の鞭でお仕置きです♪」
にこやかに生徒を迎え撃つ構えの真澄。
その手に握られるのは、どうみてもハンマー。間違っても鞭には見えないハンマーです。
愛らしい容姿のこの先生、本当は大変な武闘派なのでは?
そう、悪魔たちが考えるのもつかの間、真澄による鉄槌は生徒たちを反省させるため、空の度へとご招待するのでした。
大成功
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