【サポート優先】誘惑と終らないお茶会
※これはサポート参加者を優先的に採用するシナリオです(通常参加者を採用する場合もあります)。
●もっきゅもきゅ
誰にでも忘れられない思い出があったりする。
少女にとって、それはお茶会だった。庭に春の花が咲き誇るころ、豪邸の奥にある広間に客人を招いて笑いあい、語り合い、おいしい料理をいただくのだ。
華やかな香りの紅茶。イチゴの乗ったショートケーキ。花をあしらったフルーツタルトに、ほろ苦いチョコレートも用意して。
そこに毒が混ざろうと、彼女にとっては幸せの時間。
「あぁ……なんて懐かしいのでしょう。お茶会は何度やりましても楽しいものですわ」
そんな少女のつぶやきを知ってか知らずか。
白い綿毛のような存在がふわり、またふわりとやってくる。
「もきゅ? もきゅもきゅ?!」
「もっきゅー♪」
野生のモーラットたちはお菓子の香りにつられて、集まってきたらしい。
少女が窓越しにモーラットを見つけると、ふわり、と微笑んで見せた。
「そうそう。お茶会には、お客様がいなくては」
彼女が呟いて窓を開けると、冷たい吹雪が周囲を駆け抜ける。
「もきゅーー?!」
煌めく吹雪にたちまち凍り付くモーラット。解けない氷に抱擁されたままモーラットは動くことはない。その姿に、少女は口の端を歪ませるのだった。
●お茶会へ行こう?
「皆さん甘いものは好きですか? かくいう僕は甘いものが大好きなのですが」
グリモアベースでそう語ったのはヴォント・ヴィーヴィス(人間の死霊術士・f00914)だ。いったい何を言い出すのか。
「実は今回むかっていただく世界は、シルバーレインと言いまして。元少女のゴースト……オブリビオン化した『水を司る者『オフェリア』がゴーストタウンを形成しているのが予知されました。お茶会をしようとしているところへ赴き、やっつけてきてほしいのです」
そう説明するとグリモア猟兵は地図を見せる。
オブリビオンがお茶会をしようとしている豪邸の廃墟。それが今回の行き先だった。
シルバーレインは再び銀の雨が降ったことにより、ゴーストのオブリビオン化が確認されている世界だ。
ゴーストタウンとは『人が住まなくなり、常識が失われたことでゴーストの巣窟と化した場所』を指すのだが、オフェリアは過去にゴーストタウンだった場所を占拠。
このまま放置すれば、再ゴーストタウン化するだろう。モーラットだけではなく数多くのオブリビオンが集まる巣窟となってしまう。
「そうなる前に、皆さんに行っていただき解決しようというわけです」
幸い、オフェリアはお茶会と称してケーキなどを準備している真っ最中だ。
本格的に動き出す前に、ゴーストタウンに巻き込まれそうなモーラットを保護し、雑魚を蹴散らしてオフィリアのもとにたどり着いてほしいとグリモア猟兵は言う。
「モーラットたちの保護は簡単です。追いかけまわしたり声掛けしても捕まえられます。ですが一番簡単なのは、甘いお菓子を持っていくことです」
庭を漂う野良モーラットは、腹ペコなだけなので食べ物で簡単に釣れるらしい。
「配下の『存在しない想い出の写真』には気を付けて。存在しない記憶にとらわれてしまうと、無事ではいられません」
建物の中で幻を見せ、偽りの記憶を植え付けることで『幻想の空間』に捕えこもうとしてくるようだ。ただ、幸いにも戦闘が得意というわけではない様子。
「最後はオフィリアとの戦いです。水や氷の攻撃は痛いですから、お気をつけて」
「いろいろと話しましたが、きっと皆さまなら解決できると信じております」
でも、無理はしないでね。とヴォント。あくまで無事に事件を解決できると願って猟兵たちを世界に送り出す。
ひとつの不吉な予知を、皆なら覆すことができると信じて。
滝谷
滝谷です。よろしくお願いいたします。
冒頭にもお書きしましたが、サポート優先のシナリオとなっております。
サポートが優先なだけで、通常参加の方もいらっしゃれば執筆いたします。
マイペースな速度での執筆を予定しております。
●3章構成
シルバーレインのとある豪邸の廃墟。お昼に皆様が到着します。
1:野良モーラットの保護。甘いものが大好きです。
2:集団戦。『存在しない思い出の写真』。
3:ボス戦。『水を司る者『オフェリア』。
オープニングにないものにはご自由に想像していただいて構いません。
それではよろしくお願いいたします。
第1章 冒険
『野良モーラットをつかまえて!』
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POW : 走り回ってつかまえる
SPD : 罠をしかけてつかまえる
WIZ : お菓子でおびきよせる
👑7
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氷咲・雪菜(サポート)
人間のサイキッカー×文豪、15歳の女です。
普段の口調は「何となく丁寧(私、あなた、~さん、です、ます、でしょう、ですか?)」、
独り言は「何となく元気ない(私、あなた、~さん、ね、よ、なの、かしら?)」です。
ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、
多少の怪我は厭わず積極的に行動します。
他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。
また、例え依頼の成功のためでも、
公序良俗に反する行動はしません。
氷や雪が好きな女の子で、好きな季節は冬。
性格は明るく、フレンドリーで良く人に話しかける。
困っている人は放ってはおけない。
戦闘は主にサイコキャノンを使って戦う。
あとはおまかせ。よろしくおねがいします!
アウル・トールフォレスト(サポート)
(基本好きにお任せします)
「今日はどんなところに行けるのかな?」
楽観的で感情豊か、夢見る乙女な性格の少女
年相応に無邪気であり、根本が人でない故に残酷
神出鬼没に出現し、気まぐれに歩き回り、楽しげに爪を振るう
猟兵の役割は理解し依頼も一応遵守しようとするが、それはそれとして楽しそう、面白そうで物事を判断し、それを優先して行動する
バイオモンスターの特徴として、肉体は植物の性質を持つ
戦闘では怪力の発揮や身体の巨大化、鋭い爪での引き裂き、捕食等の野性味溢れる攻撃スタイル
理力の扱いも得意で、体表で自生する蔓や苔植物を操り、防御や隠密に罠等サポートも行わせる
ニケ・ブレジニィ(サポート)
技能を、フル活用します。
仲間を守りつつサポートし、敵を倒すという戦闘スタイルです。
また、このシナリオ内で戦闘不能になったオブリビオンの肉体と魂を、ユーベルコードの『桜の癒やし』で鎮め、転生できるように祈ります。
「…もう鎮まりたまえ、あなたの名を忘れないように私は憶えておいてあげるから…」
リプレイのために、このキャラクターを自由に扱っていただいて、全く問題ありません。
●唐突なお茶会
オブリビオンの根城と化す前に、どうかモーラットを保護し敵を倒してほしい。
――という依頼の内容は、音速で頭の中から忘れ去られようとしていた。
「なるほど! これから女子会なんだね!」
「違います、依頼ですからね?!」
翡翠色の瞳を輝かせた アウル・トールフォレスト(高き森の怪物・f16860)に、氷咲・雪菜(晴天の吹雪・f23461)が思わず突っ込みを入れた。
その雪菜の手には、バスケットいっぱいのお菓子の山。グリモア猟兵に持たせられたものだ。
2人の後ろを歩く、ニケ・ブレジニィ(桜の精の王子様・f34154)の手にも籠いっぱいのドーナツやマフィンといったお菓子がたっぷり詰められている。
「女子会、ですか。確かにお菓子を持っていると……」
「もう、ニケさんまで」
微笑むニケに雪菜が振り返る。
もう少し手入れがされていれば完璧だよね、なんてアウルはきょろきょろと花咲く庭を見渡した。
三人が来ていたのは廃墟の豪邸にある庭だった。
いや、正確には元豪邸だ。面影の残る立派な建物で、庭のあちこちに春の花々が咲き誇っていた。
桜をはじめフリージアにヒヤシンスと、知っているものから知らないものまで色とりどりに。
もしここにオブリビオンが居ないなら、お茶会を開きたくなるほどだ。
しかし、残念ながら。今回の任務はこの庭に迷い込んできた野良モーラットが戦闘に巻き込まれないよう、保護することが目的だった。
「杉の花までなかったのは幸いです。しかし、本当にお菓子につられて出てくるのですか?」
雪菜が半信半疑でドーナツを掲げて眺めれば。
早速、穴の向こうに白い綿毛のようなものがふわり。モーラットが寄ってくる。
腹ペコなモーラットたちは甘い香りに、一匹、また一匹とやってくる。
ドーナツをあげて、そっと両手で包み込めばフワフワの手触りが何とも心地いい。
「なるほど。お腹がすいていたのですね」
あまりに美味しそうに食べるので、私も一つくらいお菓子を食べてもいいだろうか、なんて籠の中をのぞき込む。
アイスがあったらうれしいのですが、と心の中で呟きながら。雪菜は順調にモーラットを集めてゆく。
もちろん、他の2人もモーラットも回収していった。
……何やら愉快な様子で。
「モーラットはお菓子に近づいてくるんだよね?」
「ええ、グリモア猟兵さんの話ですと、たしか」
「それなら、美味しそうにお菓子を食べたら、もっと興味を持って寄ってきてくれるんじゃないのかな? ほら、その為にたくさんお菓子を……もぐもぐ……持たせてくれたんじゃないかと思うんだよ!」
「アウルさん、唇にチョコがついてますよ」
子供の様な笑顔を向けた無邪気なアウルに、お姉さんのニケがつられて笑う。
アウルのアイデアはあながち間違いではないようで、美味しそうにお菓子を口に運ぶ姿に寄って来たモーラットをニケが優しく捕まえていた。
余談だがこの二人、前にもサポート同士で会っている。具体的にはアポヘルあたりで。
「きゅきゅー?」
「もっきゅっきゅー!」
騒ぐモーラットは、そのお菓子はなんだ、そんなに美味しいのかと説いたげに興味津々で。
アウルとニケがお菓子を配れば嬉しそうに噛り付いた。
面白いほど集まるモーラットを保護していく猟兵たち。
「何匹か逃げられちゃったけど、だいぶ集められたよね」
「残りは他の猟兵さんたちに任せましょう」
「ところで、どうしてアウルさんとニケさんは頬にクリームがついてるんですか?」
「「あっ」」
そんなこんなで楽しげな雰囲気の中。無事にモーラットを保護できたのだった。
成功
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ミスティ・ストレルカ(サポート)
基本方針は専守防衛・他者フォローです
サポート故、連携重視のお任せ
知らない人にはどうにも気後れしてしまうけど
それでも他の人が怪我するのも嫌なので押すところは押すのですよ
主にサモン・シープ等攻撃系のUCで他者行動の隙を消す様に立ち回るのです
中遠距離をとり全体を掴む感じですね
防御系の技能で時間稼ぎも行けますので
生まれながらの光での前線維持、魔力性防御障壁の囮役も…ちょっと怖いけど
でもでも、みんなの居場所を守るのですよー
そうそう、えっちなのはいけないと思います。
興味がない…訳ではないですがひつじさんが怖い雰囲気纏って凄い勢いで止めにツッコんでくるのです
年齢制限がどうとか、らしいです
遠野・路子
野良のモーラット……
ゴーストのことなら私達新世代ゴーストに任せて欲しい
具体的にはミコ(ミニチュア視肉)を囮にすればどんなゴーストだって……ミコに怒られたので買ってきたイチゴ大福で釣ることにする
【WIZ】
ゴーストタウンの適当な所でおもむろにイチゴ大福を床に設置
私も新世代とは言えゴースト
警戒されることは無い……筈
後は待つ……美味しそう、私も食べたい
早くモーラット来て
あ、出てきた
これだけいっぱい居たら怪我をしている子も出てくるはず
そんな子を見つけてキャッチ
「おいで。ひざまくらで癒してあげる」
……待って。そんなに来られても
さすがに私のひざは2つしかないし
上に積み上がればいいという訳では無い
ミコ、助けて
●ふわふわと、癒して
――事件に巻き込まれる前に、どうか野良モーラットたちを保護してほしい。
依頼を受けてやってきたシルバーレインの世界。目の前に広がる廃墟は、洋式の豪邸だったころの名残を持っており。穏やかな日差しが注がれる庭には、春特有の色とりどりの花が咲き乱れていた。
きっと、ここにオブリビオンが住み着いたなんて情報がなかったら。素敵な場所だなんて思ってしまうけれど。
残念ながら猟兵はこの先の未来を知っている。
「……ゴーストのことなら私達、新世代ゴーストに任せて欲しい」
そう語るのは、遠野・路子(悪路王の娘・f37031)だ。長い髪をふわりと浮かせて周囲を見渡す路子に、肉塊型ゴーストのミコが寄り添った。
「モーラットさんたち、お腹を空かせているとお聞きしたのです」
ミスティ・ストレルカ(白羽に願う・f10486)が幼い手で、ぎゅっとお菓子の入ったバスケット籠を握りしめる。
2人はモーラットを誘い出そうと、それぞれお菓子を持ち込んでいた。
「路子さんはイチゴ大福を持ってきたのですね」
言葉を選び、声をかけるミスティ。ミスティのが年上なので、本日はちょっとお姉ちゃんだ。
「うん。……ミコに怒られたので買ってきたイチゴ大福で釣ることにする」
頷く路子。
ミコも美味しいのに、と呟けば、思わずミスティが二度見した。
え? そのお肉のかたまr……ゴーストさんは食べれるの??
ちなみにゴーストのミコは、主人の路子をジト見していた。
「大福は……ここに置けば来る?」
そんな二つの視線をスルーして路子がお菓子を設置してゆく。やがて彼女から、ぐぅと小さなお腹の音が聞こえたのに気付くと、ミスティは微笑んでから隣に並んだ。
「もし、よかったらですが」
二人はモーラットを待つことにする。
ミスティの提案で、自分たちも美味しくお菓子をいただきながら。
ふわり。ふわり。ふわふわり。
しばらくすれば二人の周りには、もふもふの野良モーラットが集まっていた。
「いらっしゃいなのです」
「もきゅーっ」
ミスティが野良モーラットに優しく触れれば、ふわふわな柔らかさが伝わってきてほっこりする。
お菓子を食べてなついたのか。それとも安心してなのか。
ミスティの腕の中で、もきゅぅ、と愛らしい声を上げていた。
「この子は怪我をしていますね」
「おいで。ひざまくらで癒してあげる」
路子も誘えば、モーラットが膝の上にふわりと着地。くすぐったさに、頬がほんのり朱に染まる。
癒しの言葉を囁けば、ユーベルコードの『巫女のひざまくら』で小さな傷も癒されていった。
オブリビオンに負わされた怪我じゃないといいね、と二人。
そんな少女たちに満面の笑みを向けるモーラット。やがて、僕も、私も、と他のモーラットまでやってくる。
「……待って。そんなに来られても」
「モーラットさん、甘えたいのかもしれませんね」
路子が埋もれないように、積み重なり始めた毛玉たちをそっとミスティが抱きかかえる。
二人のおかげで怪我した子たちも回復し、無事に全ての野良モーラットが保護されたのだった。
成功
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第2章 集団戦
『存在しない想い出の写真』
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POW : もしあの日がこうだったら
対象にひとつ要求する。対象が要求を否定しなければ【あの日の正しい記憶を一時的に 】、否定したら【あの日感じた気持ちを一時的に】、理解不能なら【冷静さと客観性】を奪う。
SPD : 何しに来たんだっけ
【写真 】から、戦場全体に「敵味方を識別する【「見た者が望む映像や音や香り」】」を放ち、ダメージと【やるべきことを忘れてしまう程の無気力状態】の状態異常を与える。
WIZ : 何処にも行きたくない
【写真 】から【過去の一部】を召喚する。[過去の一部]に触れた対象は、過去の【感情に囚われて、ここを離れたくない気持ち】をレベル倍に増幅される。
👑11
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無事にモーラットを保護した猟兵たち。
しかし、ここからが本番といってもいい。
廃墟の中に足を踏み入れれば、そこはゴーストタウンとなりかけた土地。
長い長い廊下を歩めば、壁にはいくつもの絵画や写真が飾られている。その中にはまるで額に飾られた作品の様な姿をした、オブリビオンが潜んでいるのだ。
一歩一歩慎重に進むもよし。どんどんと大胆に進むもよし。
ただ気を付けて。存在しない記憶に、心を奪われないように――。
筒石・トオル(サポート)
「邪魔をしないでくれるかな」
「油断大敵ってね」
「ここは任せて」
正面切って戦うよりも、敵の動きを封じたり、属性防御を固めて盾や囮となったり、味方が倒し切れなかった敵にトドメを刺して確実に倒すなど、味方の安全性を高めるように動く。
ユーベルコード使用はお任せ。
使用しない場合は、熱線銃での援護射撃を主に行う。
人見知りではあるが人嫌いではないし、味方が傷付くのは凄く嫌。
戦うのも本当は好きではないが、誰かを守る為には戦う。
もふもふに弱い。敵がもふもふだと気が緩みがちになるが、仕事はきちんと行う……ホントだよ?
シフィル・エルドラド(サポート)
『皆に元気を分け与えにやって来たよ!』
ハイカラさんの勇者×国民的スタアの女の子。
普段の口調:明るい(私、あなた、~さん、なの、よ、なのね、なのよね?)
嬉しい時の口調:ハイテンション(あたし、あなた、~さん、ね、わ、~よ、~の?)
ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、
多少の怪我は厭わず積極的に行動します。
他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。
また、例え依頼の成功のためでも、
公序良俗に反する行動はしません。
元気一杯で天真爛漫な性格をしていて、ポジティブな思考の持ち主。
困っている人や危機に陥っている人は放ってはおけず
積極的に助ける主義です。
あとはおまかせ。よろしくおねがいします!
●誘惑の写真と
永遠と続き様なほど、その廊下は長かった。廃屋の奥へと向かいながらも猟兵は警戒を怠らない。
「この途中にもオブリビオンが居るって言っていたね」
走りながら シフィル・エルドラド(ハイカラさんの勇者・f32945)は予知の内容を思い出す。
数体の『存在しない思い出の写真』――まさに写真が意思を持ったかのような敵が待ち構えているという。
「その通りだよ。ほら、さっそく出てきたようだね」
眼鏡の奥で目を細めて、筒石・トオル(多重人格者のマジックナイト・f04677)が道の先を見据える。
二人は、僅かに動き出す写真を見逃さなかった。
壁に飾ってあるだけなら、飾りと見間違ったかもしれないが――。
「敵とわかったら、見逃しては置けないね!」
シフィルが力強く床を蹴った。
敵が気付いて、すぐさまシフィルに幻を見せようと襲い掛かる。
「私には手に取る様に分かっているよ!」
しかし、シフィルに攻撃は届かない。敵が放つ光や香りを巧みにかわし、反撃とばかりに聖剣エデンを煌めかせた。
ユーベルコード『勇者の勘(ユウシャノカン)』により予測していたからだ。
すれ違いざまに敵の体を一刀両断する!
「よし、まずは一枚だね」
猟兵の攻撃に、残りの写真がすぐさま反撃を放つ。
写真から放たれた特殊な香りや音が、思い出への誘惑へと変わってゆく。
もし……こんな世界があったなら。そんな甘い幻想へといざなう。
心を捕え、戦う気力を奪うために。
その幻想の中を。ひらり。ふわり。
夕日色の鮮やかな花弁が浮いていた。
「油断大敵ってね」
トオルには見えていた。幻の中に姿を隠そうとする、二枚の写真があることを。
「遥かな眠りの旅へ誘え」
その言葉を皮切りに、『極楽鳥花嵐(ストレリチアストーム)』が発動する。
極楽鳥花の橙色の花びらが、空間ごと幻を引き裂いた!
名の如く、花弁は嵐を巻き起こす。
トオルの周囲で螺旋を描くように舞い、写真が切り刻まれてゆく。
橙色の花びらたちが武器の姿に戻るころ。ほとんど形を失った写真の姿が床に張り付いていた。
それでもオブリビオンは攻撃をしようとしてくる。
トオルとシフィルの過去から人影を生み出そうとしてきたところで、二人が武器を繰り出した。
シフィルの剣が。
トオルの熱線銃が。
同時に敵の息の根を止める。
「勝手に人の過去を偽っちゃだめだよ」
「誰かを傷つけられるのは、嫌だからね」
二人の鮮やかな戦いを前に、動かなくなった写真は灰と化して消えていったのだった。
成功
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遠野・路子
モーラットもふもふ
名残惜しいけど先に行かないと
後でまた迎えに来る(もふもふ
ゴーストタウン……新世代ゴースト側としては
逆に新しいというか初めましてというか
経験の無い事には慎重に当たるべき
ミコ(ミニ視肉のこと)も警戒して
……この写真は……タピオカミルクティー?
あれ?私はここに何を……?
タピりに来た??
原宿へタピりに……もしかしてここが原宿?
だったら私はここのタピオカを飲み尽くさないと……
ミコ、ミコも一緒に
……ぐふっ(頬にミコがビンタした)
ミコ痛い……今日はご機嫌斜め?
でもありがとう
目が覚めた
【ヘヴンリィ・シルバー・ストーム】
万色の稲妻で写真ごと燃やし尽くす
タピオカは後で自力で何とかする
だから消えて
姫神・咲夜(サポート)
桜の精の死霊術士×悪魔召喚士、女性です。
普段の口調は「丁寧(私、あなた、~さん、です、ます、でしょう、ですか?)」、
片思いの人には「無口(わたし、あなた、呼び捨て、ね、わ、~よ、~の?)」です。
ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、
多少の怪我は厭わず積極的に行動します。
他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。
また、例え依頼の成功のためでも、
公序良俗に反する行動はしません。
清楚で女流階級風の口調で、お淑やかな性格です。
基本的に平和的な解決を望みますが
戦わざるを得ない時は果敢に戦いに向かう勇敢さを持っています。
あとはおまかせです。よろしくおねがいします!
ロートフラメ・クリーガー(サポート)
「ヌハハハ!諸君、我輩はロートフラメ・クリーガーである!」
細かいことは気にせず、とにかく元気に勢いよく行動します。
ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動します。他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。
あとはおまかせ。どんな目に遭っても大丈夫です。よろしくおねがいします!
藍原・蒼夜(サポート)
人間の學徒兵×力持ち、20歳の女です。
普段の口調は「おっとり系(私、あなた、~さん、なの、よ、なのね、なのよね?)」
偉い人には「敬語(私、~さん、です、ます、でしょう、ですか?)」です。
ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、
多少の怪我は厭わず積極的に行動します。
他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。
また、例え依頼の成功のためでも、
公序良俗に反する行動はしません。
のんびり、おっとりした性格で、多少天然ボケな面もあります。
武器は主に退魔刀を使用して戦います。
好きな物は、可愛いぬいぐるみ、綺麗な花、静かな場所。
趣味は小説等の読書。
あとはおまかせ。よろしくおねがいします!
仇死原・アンナ(サポート)
鉄塊剣『錆色の乙女』,妖刀『アサエモン・サーベル』、戦闘用処刑道具『赤錆びた拷問器具』、『鎖の鞭』等装備してる物を使います
UCは指定した物をどれでも使用
普段の口調は(私、あなた、呼び捨て、ね、よ、なの、なの?)
戦闘中は(ワタシ、お前、呼び捨て、言い捨て)
処刑人として敵と戦います
同行者がいれば協力
メインは鉄塊剣等大剣で敵を攻撃
鉄塊剣の使用が不向きな相手・場所では刀剣をメインにし敵を攻撃
拷問具や鞭を使い敵の行動を阻害、鉄塊剣や刀剣で敵群を倒す
守護対象がいれば武器受けでかばい、敵をおびき寄せ注意を惹いたりします
キャバリアを操縦したり生身でも戦います
●誘惑を切り裂いて
廃墟の廊下を駆け抜ける。ゴーストタウンと化そうとしている建物は、息をひそめて不穏な雰囲気を纏っていた。
しかし、それに怯むような猟兵たちではない。
靴音を響かせながら、オブリビオンが出る廊下を突き進んでいた。
「(モーラットもふもふ。……名残惜しいけど、先に行かないと)」
遠野・路子(悪路王の娘・f37031)が思い出す、先ほど保護した野良モーラットは無事な場所へと非難済み。
この戦いが終わったらまた会いに行こう、と胸に言葉をしまい込んだ。
路子は慎重に戦いへ臨もうと、ミニ視肉のミコとともに周囲を警戒する。
「皆さん、いらっしゃったようですよ」
先行していた 姫神・咲夜(静桜・f24808)の言葉に、猟兵たちは前を見据えた。
咲夜の桜色の瞳に映るのは、不自然に宙を舞うオブリビオンの群れ。
偽りの記憶で人を惑わす『存在しない思い出の写真』たちが待ち構えていた。
「ヌハハハ! 吾輩が来たからには、オブリビオンなど倒したも同然である!」
赤い装甲を輝かせ、大胆に宣言した少年、ロートフラメ・クリーガー(さすらいのストライカー・f36816)が敵の注目を引き付ける。
元気いっぱいにさぁ来いと言わんばかりのロートフラメに、オブリビオンが身構えた。
彼の横を走り抜けて、仇死原・アンナ(地獄の炎の花嫁御 或いは 処刑人の娘・f09978)が敵へと接近。鉄塊剣『錆色の乙女』を振るいあげる。
「(経験でいうならば――)」
この手の敵は一つ一つは弱いが、連携されると厄介だ。瞬時にアンナは判断し、勢いのままオブリビオンへ武器を振りぬいた!
「この一太刀で苦しみを絶ってやる……!」
渾身の力を込めての『慈悲深き乙女の一撃(ジヒブカキオトメノイチゲキ)』が轟音を鳴り響かせる。その一撃は敵に恐怖を与えるのに十分すぎるほどだった。
傍にあった壁とともに、多くの敵を巻き込んで破壊。古い建物にヒビを入れ、周囲には土煙が巻き起こる。
「――っ?!」
煙の中からアンナにだけ聞こえる不穏な声に、思わず反応してしまう。
だが、攻撃は止まらない。煙の中から仲間たちが立て続けに追撃を放ってゆく。
「咲夜さん、行きますよ」
「ええ、蒼夜さん連携致しましょう」
煙ごと切り裂くようにして現れた、藍原・蒼夜(蒼き宝刀・f23131)は咲夜とともに敵を狙う。
「空を戦乙女の如き、剣の舞を受けてみなさい!」
蒼夜の鮮やかな長い青髪が揺らめいた。
広い廊下で飛び上がったかと思えば、宙を舞う敵を蒼霊刀で切り伏せてゆく!
おっとりとした口調とは裏腹に、繰り出される攻撃は素早く敵もよけきれない。
『蒼霊の戦乙女(ソウレイノイクサオトメ)』で宙の敵を蒼夜が斬る。
切り捨てた敵を振り返ることなく更にもう一撃。煙に隠れようとしていた敵を見事に切り捨てた。
「まだ、敵はいるようね」
戦闘中でも、落ち着いた様子で。蒼夜の瞳はさらなる敵を追う。
同時に、咲夜も低い位置の敵を追い詰めていた。
「戦う他に道はないというのでしたら――」
平和を愛する咲夜でも、敵と戦うとなれば決意は固く。高速詠唱による『リザレクト・オブリビオン』で呼び出した騎士と蛇竜の死霊が偽りの写真たちに襲い掛かる。指示を受けた死霊に守られ、咲夜は煙の向こうにいる敵を見据えた。
逃げ惑う写真を蛇竜が捕え、騎士が斬り捨てゆく。
桜の花を揺らしながら、戦場をよむ。上品な動作で咲夜も白桜の魔杖をふり、写真の浄化を試みてゆく。
「数はいても、単体なら強くはな――……」
誰かが口にしかけて、そして言葉は途切れた。
驚くのも無理はない。土煙が晴れた先の風景は、既に幻にすり替えられていたのだから。
みんなが戦っている間に、オブリビオンが起こした反撃が、積み重なっていたのだ。
気づけば漂う香りも、聞こえる音も。
すべては偽りの、IFの空間へ。
「あれ?私はここに何を……? 原宿へタピりに来た??」
首を傾げた路子の手の中には、美味しそうなタピオカミルクティー。カップのロゴは、あこがれた名店のものだ。
「だったら私は、ここのタピオカを飲み尽くさないと……」
誘惑に駆られる路子。彼女の言葉を皮切りに、仲間たちにも幻惑が手を伸ばす。
「なんて……美味しそうなお菓子なの」
アンナがゴクりと息をのむ。ただでさえ、アンナはお腹がすいていたのだ。彼女に見えているお菓子の誘惑に、冷静な気持ちが奪われてゆく。
「どうしましょう。頂かないと、もったいないです……」
「吾輩ならこれくらい、間食することなど他愛のないことだ!」
と咲夜とロートフラメも虜になって、空間で立ち止まってしまう。
それでも、魅了されるものばかりではない。
「確かに、おいしそうなお菓子よね」
でも偽物なのよね、と蒼夜の第六感が告げている。
蒼夜が瞬時に思考を巡らせ、運良く見つけた幻のほころびへ剣を突き立てる。彼女の攻撃に悲鳴を上げるかの如く、空間は大きく揺らいだ。
続けて、睨むミコにビンタを食らい、路子も幻から目が覚める。
「ミコ痛い……今日はご機嫌斜め? でもありがとう。……目が覚めた」
頬を撫で『ヘヴンリィ・シルバー・ストーム』を発動させる。
銀色の雨(シルバーレイン)が降り注ぎ、雷鳴が駆け抜けた。色鮮やかな稲妻が空間に隠れていた写真たちを焼き払う!
バチバチと火花を上げて燃えてゆくオブリビオンたち。
他の猟兵たちも、優しい雨に頬を打たれ次第に意識を取り戻してゆく。
雷撃でボロボロになりながら逃げだそうとする写真は、ロートフラメが許さない。
「惑わされるとは何たる不覚であろうか。だが、それもここまでだ!」
敵よりもはるかに早く。ロートフラメは廊下を飛び回り込む。
ロケット噴射の勢いから繰り出される『ROCKET DIVE!』の突撃からもう逃げられない!
「――!!」
オブリビオンが、困惑するように写真の像を変えてゆく。しかし、もう惑わされることはない。
ロートフラメが勢いよくとどめを刺せば、オブリビオンは灰色に姿を変えて空間へと霧散していった。
写真全てを撃破したのを確認し、ロートフラメは親指を立てて仲間に合図する。
廊下のオブリビオンを撃破し、猟兵たちは再び廃墟を進みだす。
その先には、最後の敵――オフェリアが微笑んでいた。
成功
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第3章 ボス戦
『水を司る者『オフェリア』』
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POW : 凍る程の愛を受け取って下さいませ
【ナイフ】が命中した対象に対し、高威力高命中の【無数の水の槍】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
SPD : ずっと、あなたも愛しています
【愛したシーフ】の霊を召喚する。これは【ダガー】や【水】で攻撃する能力を持つ。
WIZ : 私が皆様を抱擁して差し上げます
【全身】から、戦場全体に「敵味方を識別する【激しいダイアモンドダスト】」を放ち、ダメージと【溶けない氷】の状態異常を与える。
👑11
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廃墟の奥。ホールの様に開けた場所。並べられたテーブルの上を彩る数々のお菓子たち。
お茶会場と思わしき装いの広い空間で、少女は待っていた。
育ちの良い子だったのだろう。身に纏うドレスからその上品さがうかがえる。
しかし、性格の方はどうだろう。
生まれつきか、それともゴーストと化して歪んだのか。猟兵を見た彼女は微笑みを返した。
「ごきげんよう。お客様の方から来てくださるだなんて、光栄ですわ」
おかげで迎えに行く手間が省けました、と彼女。
「もちろん、お茶会の相手をしてくださるのでしょう?」
嫌がっても、逃がしませんけれど。と。
嘲笑う姿は強欲さがにじみ出ている。
欲しいものは殺してだって奪い取る。だってそれが彼女の生き方なのだから。
オブリビオンとなってもそれは変わることはない。
猟兵たちは彼女と対峙する。殺すか、殺されるか。今その選択を迫られていた。
遠野・路子
……ふむ
ゴーストからのお誘いとあらば吝かではない
けれどもあなたの存在は人魔共存の邪魔になる
そして私も猟兵ならば、オブリビオン化したあなたを放置しておく訳にはいかない
という訳で戦いでお相手する
逃がさないのはこちらも同じ
いざ
【空より至る百億の星】
もちろん指定はオフェリア、あなた
残り97秒
攻撃は『蒼刃』を使って耐える
構えて集中……蒼刃の刀身でナイフを弾いて回避
ナイフが当たってしまったら仕方ない
水の槍はダメージ覚悟で気合で耐える
どれだけダメージを負ってもその刻(とき)まで私が立っていれば後は……
おいで同胞達
私の前に在る敵を共に討ち果たさん
縦横無尽に走る重力の剣と流星魔法
あなたは躱せる?
青原・理仁(サポート)
人間
年齢 17歳 男
黒い瞳 金髪
口調 男性的(俺、呼び捨て、だ、だぜ、だな、だよな?)
性格面:
やさぐれ、ぶっきらぼう
積極的な人助けはしないが、見捨てきれずに手を貸してしまう
戦闘:
武器は使わず、殴る・蹴る・投げるなど、技能「グラップル」「怪力」を生かしつつ徒手空拳で戦う
構え方は古武術風
雷属性への適性があり、魔力やら気やらを雷撃に変換し、放出したり徒手空拳の際に纏わせたりします
勝守・利司郎(サポート)
神将の四天王×花蝶神術拳伝承者、勝守・利司郎だ。
花蝶神術が何かって?オレが言い張ってるだけだが、練った気を花や蝶のごとく扱うやつ。
しっかし、『トーシロー』が達人っていう設定なぁ。あ、オレ、神隠し先で神将になる前はバーチャルキャラクターな。
ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動する。そうだな、主に拳に練った気を集めてグローブ代わりにして、殴ることが多いか?
他の猟兵に迷惑をかける行為はしない。オレの美学(味方ならば邪魔をしない)に反するからな。作戦なら別だが。
また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしないからな。
あとはおまかせ。好きによろしく!
キャロライン・メイ(サポート)
ダークセイヴァーの貧民街の生まれ。生きるため、悪事に手を染めてきた。ある日商人から一振りの剣を盗み出す。剣は呪われており、その邪悪な魔力によって、呪われし黒騎士へとその身を堕とす。その冷酷な様を人々はアイスドールと呼ぶ。
自身の半生に強いコンプレックスを持ち、心の中では常に自己を否定し続けている。死に場所を探しているかのような言動をとることがある。
ダーインスレイヴ~漆黒の魔剣による強力な一撃。
ライフドレイン~魔剣の血塗られた鉄鎖が無数の棘に変形し敵に突き刺さる。
※エロやグロNG
※5人以上まとめたリプレイNG
●水の少女は猟兵にほほ笑む
――シルバーレインのある朽ち果てた館にて。
「お茶会、か。これがオブリビオンの本拠地じゃなければ、楽しそうってなるんだけど」
頭をかきながら、勝守・利司郎(元側近NPC・f36279)は目の前の光景に苦笑した。
猟兵たちがたどり着いた先に広がっていたのは、廃墟のホール。広い空間の中に並べられたテーブルやお菓子は、戦場というには場違いな印象を与えられた。
しかし、視線の先に立つ女性――水を司る者『オフェリア』は確かにオブリビオンだ。
このシルバーレインの世界に、新たなオブリビオンの巣窟を作り出そうとしている厄介な相手だった。
上品な仕草でオフェリアは、利司郎をみて笑う。
「そんなことはございませんよ? 猟兵の皆様もいかがでしょうか?」
と、オフェリアは言うが、彼女の用意した料理は毒々しいものばかりだ。
「ゴーストからのお誘いとあらば吝かではない。けれども、あなたの存在は人魔共存の邪魔になる」
そして、あなたを放っておくこともできないと、遠野・路子(悪路王の娘・f37031)は落ち着いた声で答えた。
相容れない空気が、肌をひりつかせる。
「あら、そうでしたか……それは残念。ならば戦う他ありませんね。逃がす気は、ありませんから」
「逃がさないのはこちらも同じ。――いざっ」
敵が動き出したのに合わせ、遠野も武器を構える。待っていた、とばかりに 青原・理仁(青天の雷霆・f03611)も走り出した。
床を蹴ったのはほぼ同時。しかし、攻撃が届くのはキャロライン・メイ(アイスドール・f23360)がわずかに早かった。
キャロラインの振るった漆黒の剣。ダーインスレイヴが間にあったテーブルを料理ごと切断し、敵へと一気に距離を詰める。
「貴様の強欲を恨むのだな」
冷静に言い放ち、そのまま渾身の力を込めて、魔剣を敵めがけて振り下ろした!
キャロラインの放つ『グラウンドクラッシャー』の渾身の一撃。響く重低音と衝撃であたりの物が吹き飛んだ。
敵は細い腕とナイフで衝撃を受け止める。だが、ダメージを与える手ごたえがあった。
更に敵の武器ごと腕を切り落としてやろうと、重く、強く、キャロラインは怪力で圧をかけてゆく。
その姿を嗤うように、敵の少女は不気味と微笑んだ。
「――!」
敵の反撃を、寸前で回避。狙いすましたナイフがキャロライン眼前で空を切る。
読心術の心得があったからこそ、とっさに躱せた攻撃だ。
見た目と裏腹に侮れない敵だと、キャロラインが目を細める。
「私の愛を受け取ってくださっていいのに」
「へぇ、愛ねぇ。そりゃぁ拒否しないとな。オブリビオンからの愛情は受け取れねぇぜ」
少女の言葉には、理仁が答えた。
敵を押さえつけているキャロラインの視界に飛び込んできたのは、理仁が放つ電撃の火花。
「だが、俺たちの攻撃はしかと受け取ってもらうぜ! 歯ァ食いしばれよ!!」
「きゃぁあ!」
雷撃を纏った拳で、理仁が敵の横側を狙う。
轟きとともに『撃砕雷業拳』が敵の脇腹をえぐる!
吹き飛ばされるオブリビオン。少女は壁にたたきつけられた!
理仁が拳の感触を確かめ、横目でキャロラインを見た。
敵の殺気が消えてないのを感じ取っていたからだ。
「来るぜ」
「ああ」
すぐに動き出す二人。
今度は理仁を狙って刃物が飛んでくる。そして次の瞬間には、敵の方角から、無数の水の槍が飛んできた!
近接戦を挑む仲間が、さっそく床や壁に大穴を二つも作るのを見て利司郎は頷いた。
「俺も接近戦が得意だが……今回はこっちのほうがよさそうだな!」
利司郎が宙にふわりと青葉を泳がせる。
放ったのは、鬱金香の葉を模した式神だ。
「何でしょう、ただの葉など――」
「オレを甘く見ない方がいい」
敵に向かってウィンクする利司郎。彼が命令をしたとたん、式神たちはいっせいに少女めがけて飛んで行く。
敵に触れた瞬間『花蝶神術:内細波』が発動した!
防具の内側まで響く貫通攻撃に、敵は一度大きくよろめく。
「ふふ、ふふふ! 私を傷つけるだなんて。なんて素直じゃない人たちかしら――」
言いかけて、少女は気づいた。
路子が天に片手を伸ばし、何かの準備を終えたことに。
「……おいで同胞達」
「甘く見ない方がいいっていっただろ?」
淡々と告げた路子に、微笑む利司郎。
天井を見上げれば、宇宙ゴーストが出現していた。
「私の前に在る敵を共に討ち果たさん」
――縦横無尽に走る重力の剣と流星魔法を……あなたは躱せる? と路子は瞳で問いかける。
逃げ場のない雨の攻撃を。
路子の『空より至る百億の星』により、天井を埋め尽くすほど沢山の重力剣と流星が降り注ぐ。
数多の流星魔法に押され、オブリビオンは再び悲鳴を上げた。
攻撃の勢いで床が振動する中、路子は敵へと目を凝らす。
「倒した?」
「いや、まだだ!」
仲間の問いに、理仁が答えた。
お返しとばかりに飛び交う水の槍に、キャロライン達がすぐに防御の体制をとる。
流星の雨の中、それでも敵は立っていたのだ。
「あぁ、なんて愛しがいのある皆様でしょう。私はもっとあなた達が欲しくなりましたわ」
猟兵の強さを知ったからこそ。顔を紅潮させながら、オブリビオンの少女はこちらをみつめてくる。
だが、その体は無傷ではない。みんなの攻撃は効いているのだ。
確実に仕留めるべく、猟兵たちは再び立ち向かっていった。
成功
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向・存(サポート)
もし手助けが必要でしたらお手伝いするのですよぉ~。
ユーベルコードの出し惜しみをするつもりはありませんけどぉ、だからと言って乱発すればいいってものでもないですよねぇ~。
使いどころに迷ったときはぁ、ご同輩に相談すればいいでしょうかぁ~?
けどぉ、非道なことをなされる方には手加減無用、全力で参らせていただきますねぇ~。
あとは最後まで油断大敵、【咄嗟の一撃】も放てるように【逃亡阻止】は意識しておきましょう~。
大丈夫ですよぉ~、手足の二・三本くらいもげてもなんとかなりますのでぇ~。
荒事以外の御用ならめいっぱい楽しんじゃいますよぉ~。
特に読み物なんかは好きですねぇ~。
※アドリブ・連携歓迎
星川・杏梨(サポート)
『この剣に、私の誓いを込めて』
人間のスーパーヒーロー×剣豪、女の子です。
普段の口調は「聖なる剣士(私、~さん、なの、よ、なのね、なのよね?)」
時々「落ち着いた感じ(私、~さん、ね、わ、~よ、~の?)」です。
ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、
多少の怪我は厭わず積極的に行動します。
他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。
また、例え依頼の成功のためでも、
公序良俗に反する行動はしません。
性格はクールで凛とした雰囲気です。
常に冷静さを念頭に置く様に努めており、
取り乱さない様に気を付けています。
戦闘は、剣・銃・魔法と一通りこなせます。
あとはおまかせ。よろしくおねがいします!
春霞・遙(サポート)
UDC組織に所属して、UDC関連の一般病院に勤務している小児科医です。
行動の基本方針は困っている人が居るなら助けたい、人に害をなす存在があるなら退けたい。
戦う力はあまりないですけど、自分が傷を負うとしてもみなさんのお手伝いができれば嬉しいです。
基本的に補助に徹します。
「医術」「援護射撃」「情報収集」から、【仕掛け折り紙】【葬送花】での目くらましや演出、【生まれながらの光】【悪霊祓いのまじない】で照明や目印を付けるなども行えるかと思います。
攻撃は拳銃による射撃か杖術が基本で、その他はUCを使用します。
【悔恨の射手】【未来へ捧ぐ無償の愛】は基本的に使用しません。
シリアス以外ならいたずら好きの面も。
厳・範(サポート)
長年の修行で誘惑に強いお爺です。
食べ物に制限はありません。
話し方は古風です。
亡き親友との約束(世界を守る)で、封神武侠界のみで活動していましたが、『仁獣』性質と親友の幻影の後押しで決意し、他世界でも活動し始めました。
「放っておけぬのよ」
動きとしては、主にサポートに回ります。
【使令法:~】では、麻雀牌を利用して、対象生物を呼び出します。
【豹貓】は睡魔を呼ぶ、【胡蜂】は恨みの毒(理由は秘密の設定にて)という感じです。
また、半人半獣もしくは本性の麒麟形態だと、背に人を乗せることがあります。
なお、武侠の血が騒ぐと足技が出ます。
依頼達成のためとはいえ公序良俗に反する行為はしません。
あとはお任せします。
●強欲なゴーストは永久に眠る
猟兵と、オブリビオンの少女――水を司る者『オフェリア』との戦いは激化していた。
小柄とはいえ、シルバーレインの世界にゴーストタウンを生み出そうとした相手なのだ。一撃で静まるほどか弱くはなかった。
互いの攻撃の応酬に、次第と戦場である古びた館も冷気を帯びてきている。広いホールにも穴が開き、古壁は傷だらけとなっていた。
だが。もう残るオブリビオンは彼女一体のみ。
更に追い詰めようと、猟兵たちも攻撃を紡いでゆく。
「悪趣味な子供だが、さすがに限界も見えてきたようだ」
戦いの最中、雷公鞭を手に敵から距離をとった 厳・範(老當益壮・f32809)は呟くと白髭を指でなぞる。
そばには、仲間の治療を終えた、春霞・遙(子供のお医者さん・f09880)の姿があった。
「ええ、そのようですね……」
遙は複雑な心境を表すかのように、静かに目を伏せていた。
小児科の医師でもある彼女からしたら、子供と戦うというのは色々と悩ましいものがある。
けれど、相手はオブリビオンだ。それをわからない遙ではない。
背筋を伸ばし、瞳を開く。範と同じ視線の先を、遙も見つめる。
その先では向・存(葭萌の幽鬼・f34837)が武器を振るう姿が見えた。
「あぁ! どうしてそんなに素直じゃないのでしょう! 早く私のものになればいいというのに!」
「それは死ねということよね? 敵に命を差し出すわけにはいかないわ!」
歪んだ少女の言葉に、星川・杏梨(聖炎の剣士・f17737)が凛として言い放つ。
欲しいものは殺してだって奪い取ると敵は言っていた。
そうはさせないと、杏梨は剣で切りかかる。閃く聖剣は少女のドレスを切り裂いた。
敵が愛の言葉を発し、シーフの霊を召喚する。
ナイフで応戦してくるシーフに、杏梨は引くことなく前へと踏み込んだ。
「その動き、見切ったわ!」
身軽な動きでシーフの攻撃を紙一重でかわす!
能力『バースト・マインド』で加速する反射神経と判断力。杏梨には世界がスロー再生の映像の様に見えていた。
すれ違いざまに急所へと剣を振るえば、霊は悲鳴とともに霧散する。
そのダメージは反動となってオフェリアにも傷を与えた。
「よそ見をするな、戦いの最中だ」
オブリビオンの少女へ、範が警告する。
範は既に『豹貓(バオマオ)』によってベンガルヤマネコを招来させていた。まるで幼い豹を思わせる獣が、果敢に敵へと食らいつく!
突き立てられる牙や爪が、敵の腕を赤く染め上げた。
更に範は鞭をしならせた。雷公鞭からは雷撃が飛び交い、閃光となって襲い掛かる。
「くっ……なっ?!」
食らいつくベンガルヤマネコを切り放そうとした少女の視界がぐらりと揺れる。
豹貓の攻撃には、睡眠効果があるからだ。
範の追撃で焼きつき切り刻まれる肌。
睡眠も加わって敵の体力を確実にそいでゆく。
「もう、終わりにしてはいかがですか。あなたにも限界は見えているのでしょう?」
優しい声で諭す遙。その手に構えた銃は、敵へとむけられている。
だが、少女は終わりを拒絶した。
欲しいものを手に入れる為に、殺し続けたいのだから。
「仕方ありません。……夜の帳が下りてくる、魔法の砂も吹いてきた。さあさおやすみ、眠りなさい」
わかっていた結論に、遙は、静かに告げる。
たちまち突風が起き、竜巻を思わせる暴風が室内へと吹き荒れた!
その中を飛ぶ無数の導眠符が、強制的に自由を奪ってゆく。
猛烈な睡魔に襲われるオブリビオン。
凍てつくダイアモンドダストを反撃に繰り出し、戦場で暴風と吹雪が衝突する。
その嵐をかき分けて。存は疾駆する!
「非道なことをなされる方には手加減無用、全力で参らせていただきますねぇ~」
例え、吹雪が視界を遮ろうと、お団子の髪留めがほどけようと存は止まらない。
鮮やかな桃色の髪をはためかせ、繰り出した攻撃。
もはや瞼を開けることもままならない敵へと、深く深く突き刺さる。
「おやすみなさぁい、今度はゆっくり寝ましょうねぇ~」
永眠というさよならを。少女に。
血しぶきが、存の白い着物と鎧を染め上げる。『連鎖する呪い』によって癒えない傷と化した切り口からは、もう血が止まることはない。
更に一撃を加え、完全に水を司る者『オフェリア』は沈黙する。
息の根が止まったことを確認する存。するとパラパラと音を立てて頭上から何か降ってくるのを感じた。
「あぁ……これは建物が倒壊するやつですねぇ~」
猟兵が離脱するのと同時に、音を立てて崩れる廃墟の館。
そこにはもう、オブリビオンも、オブリビオンの犠牲になりそうなゴーストもいない。
猟兵たちのおかげで、ゴーストタウン化は防いだのだ。
代わりにこの地に眠るのは、もう使われることのない瓦礫の山。その姿を周囲に咲く花々が、風に揺れて見守っていた。
成功
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