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夜明けへのプロローグ

#ダークセイヴァー #常闇の燎原


●ある言い伝え
 『果て』を目指した三人の兄弟がおりました。
 この大地の先の先、森と河と谷を越えたずっと向こう。
 あれほどの遠くに行けば、きっと途方もない素晴らしいものが見られるのだと夢見た兄弟は、それぞれの方法で果てを目指します。

 一番上の兄は、勇敢だけど少し強欲。
 ずんずんと一人で進んだ先に見つけた、色とりどりの宝玉に見とれてしまったのが運の尽き。
 宝玉たちの怒りに触れた彼は、世にも恐ろしい呪いで命を落としてしまいます。

 さて二番目は、大きな身体が自慢の次男。
 分厚い鎧に身を包んだ彼は宝玉の手からも逃れ、地の果てを目指します。
 そこに待っていたのは、一寸先も見えない深い霧。
 無謀にもその中へと入っていった次男は、二度と帰っては来ませんでした。

 一番下の弟には、勇気も強さもありません。
 けれど心優しく多くの友達に支えられた彼は、みんなで力を合わせて苦難を乗り越えていきます。
 宝玉のような星を退け、暗い霧の中を突き破り。
 ついに目指した『果て』へたどり着いた仲間たち!

 そして、僅かな光もない闇の中で彼らが見たものは。
 黒く、暗く燃え盛る――。

●目指すは夜明け
「皆様、お集りいただきありがとうございます。世界コードネーム:ダークセイヴァーにて、オブリビオンの出現が確認されました」
 シスター服に身を包んだグリモア猟兵が、自分の呼びかけに応じてグリモアベースに集った猟兵達へ語りだします。

「今回の目的は我々の活動する世界の上層への道を見つける事……『地下第4層』から『第3層』へ上る方法を見つける事になります」
 言ってて頭がクラクラする……とこめかみを抑える彼女の反応は、ダークセイヴァーに生きる者にとっては無理からぬもの。
 今まで考えもしなかった、『地下世界』というダークセイヴァーの真実。
 疑いもしなかった常識が覆るというのは、大変な衝撃を人に与えるものでしょう。
「問題の一つに、人間を支配するオブリビオンですらこの事実を知らなかったという点があるんですよね。ええ、ただその辺の領主を倒すだけでは、情報が得られないという事ですから」
 民を苦しめる領主を倒しても、辺境の狂えるオブリビオンを倒しても知りえなかった『第3層』の話。
 第五の貴族との長い対決を経て掴んだ僅かな情報から、猟兵たちは何処を目指せばよいのでしょう?

「……いえ、向かうべき場所はあるのです。第4層の領主も、狂えるオブリビオンすら知らない場所……『常闇の燎原』ならば、あるいは」
 誰も知らない手がかりなら、誰も調べていない場所へ。
 けれど、『常闇の燎原』を語るグリモア猟兵の面持ちは、どこか暗い思いが滲んでおります。
「暗黒のダークセイヴァーにおいてなお暗い、完全な闇の領域が『常闇の燎原』です。一切の生命を許さず、オブリビオンですら近づかない地の果てが、今回の目標なのです」
 人民を支配する領主は勿論、理性を失った狂えるオブリビオンですら近づかない死地。
 何が起きるかなど分からない、どのような場所が、どのような敵が待っているかも分からぬ恐ろしい場所を、猟兵たちは進まねばならないのです。

 グリモアが光り輝き、ダークセイヴァーへの道を開くその間。
 操作を終えたグリモア猟兵が戦支度をする猟兵たちへと向き直り、その頭を深々と下げます。
「これまでの私たちは、浴びたことのない朝日を夢見て、ただ目の前の命を救う事に必死でした。か細くともようやく見えた夜明けへの道を、どうか皆様の力でお拓きください」
 最後に付け加えられたのは、ダークセイヴァーの民としての言葉。
 その言葉に見送られる猟兵たちは、何が待つともしれぬ漆黒の闇へと降り立っていくのでした。


北辰
 OPの閲覧ありがとうございます。
 2年以上の時をかけ、ようやくダークセイヴァーの現状が判明いたしました!
 そんなにかかったのかぁ……ってビックリしてる北辰です。

 さて、ダークセイヴァーの真実、その一端に触れるやもしれぬ『常闇の燎原』の冒険をお届けします!
 人もオブリビオンも近寄らぬ漆黒の危険地帯。
 OPでもヤバいぞーと煽っておりましたが、グリモアさんはしっかり予知をしてくれておりますのでご安心ください。
 なお、いきなり『常闇の燎原』への転移は難しいようなので、皆さんは辺境から地の果てを目指していただきます。グリモアさんにも限界はありました。

●1章
 辺境地帯におけるボス戦です。
 此処で現れるのはいわゆる『狂えるオブリビオン』ですので、情報収集は難しいでしょう。そもそもまだ『常闇の燎原』ではありませんしね。
 弱くはありませんが此処で止まれはしません、思い切り倒してやりましょう。

●2章
 冒険フラグメントでございます。
 濃霧に包まれた平原をどうにか突破していただきます。
 とはいえ、此処も『常闇の燎原』一歩手前くらいですので視界0という事にはなりません。
 ……目指す先が暗黒の世界ですので、暗い方向へ向かうといいかもしれませんね。
 くれぐれも、慎重に。

●3章
 ようやく到達した『常闇の燎原』には、一体のオブリビオンが佇んでおります。
 猟兵を見つけると襲いかかってきますので、戦わぬわけにはいかないでしょう。

 特異な点として、本来の能力の他に『黒い炎』を全身から噴き出しております。
 同族殺しや紋章持ちにも匹敵する力量の他、『あらゆる防護を侵食し、黒い炎に変えて吸収してしまう能力』を有しております。
 要するに敵の攻撃は防御を貫通してダメージを与えてくる上、炎を吸収して回復してしまいます。
 真っ暗で視界も悪い中での戦いにはなりますが、回避を重視した戦いが有効になるでしょう。

●プレイング受付
 原則としてOP公開後は常に受け付けております。
 各章初めに断章を挿入しますが、その前にプレイングを送信したという理由での不受理はありません。
 オーバーロードに関してはMSページに記載しておりますので、そちらもご確認ください。

 それでは、数多の戦いを越え、夜明けへの手がかりを掴んだダークセイヴァー。
 ようやく始まるプロローグにお付き合いいただける皆様のプレイングをお待ちしております。
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第1章 ボス戦 『崩呪の遊星シュヴェルツェ』

POW   :    呪殺
【雨霰と降り注ぐ多種多様な呪い】が命中した対象に対し、高威力高命中の【収束した呪いの破壊光線】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
SPD   :    呪狂
レベル×5本の【滅殺・崩壊・不死殺しの呪詛が籠った呪】属性の【ホーミングする呪いの矢】を放つ。
WIZ   :    呪天
【中央の主星と周囲の衛星】から【様々な呪いを籠めたどす黒い呪いの波動】を放ち、【爆発、凍結、感電、石化、衰弱などにより】により対象の動きを一時的に封じる。
👑11
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●凶星
 世界を渡るという途方もないグリモアの力も、猟兵たちにとっては慣れた物。
 ダークセイヴァーの暗い大地に降り立った彼らは、『常闇の燎原』を目指してその歩みを進めます。
 人の営みなど無く、森にも生命の気配はなく。
 吸血鬼たちですら近寄らない辺境の地に響くのは、猟兵たちの鳴らす音だけ。

 そう、『それ』は音もなく猟兵の前へと現れました。

 色とりどりに輝く珠は、宝玉のようにも、母星を巡る衛星のようにも見えます。
 見事な装飾の剣と威厳ある杯を有する姿は、どこか荘厳ささえ感じるかもしれません。
 ですが、その“オブリビオン”を見つけた猟兵たちは、皆一様に警戒を強めるのです。
 だって、美しく輝き、悠々と浮遊するその星は。

 途方もないほどに溜まり淀んだ憎悪と呪いの念を持って、猟兵たちへと襲い来るのですから。
フォルク・リア
「常闇の燎原に辿り着くまでにどれだけ掛るのか。
それは分らないが、道が既に示されている以上。
今はそこに進むだけか。」

敵を目に
「あれは宝石。いや、星。
…しかしいくら似てはいても
その呪いの気配は各背はしない。
此処で祓わせて貰う。」
ALL OUTを発動。
黒翼で飛翔しつつ敵の攻撃を【見切り】回避しつつ
呪いの波動には冥理影玉から自身の強化した【呪詛】の力
を用いて【破魔】の気を撃ち出して相殺。
更に【呪詛耐性】、【オーラ防御】を用いて攻撃を凌ぎながら
爆発等には相反する属性の防具を作り出して対抗。

反撃の機会を窺いつつ敵の主星に隙が出来たら。
光属性の剣を複数具現化。
【誘導弾】の特性を持たせて
主星を狙い撃ちする。


七那原・望
ダークセイヴァーが地下世界の第4層。
それなら確かに地底……第5層を支配するヴァンパイアが第五の貴族と名乗っていたことにも納得はいくのですけど、第4層には月があったのですよね。
どういうことなのです?

第六感と野生の勘で敵の動きをしっかり見切り、浄化属性の結界術を多重詠唱で重ねがけ。
更に癒竜の大聖炎も併用することで邪悪な呪いを防ぎつつセプテットとオラトリオの一斉発射と浄化属性の全力魔法で、なるべく遠くから畳み掛けます。

癒竜の大聖炎があるのである程度は大丈夫だとは思いますけど結界の内側に入られても困るので、近付かれたら退避しながら牽制も兼ねて咄嗟の一撃の全力魔法を叩きつけつつ、速やかに距離を取ります。




「ダークセイヴァーが地下世界の第4層」
 グリモアベースで確認された情報を振り返るように、鈴を転がすような少女の声が響きます。
 そうして少女――七那原・望(封印されし果実・f04836)が封じられた眼差しで見上げるのは、ダークセイヴァーの暗い空。
「それなら確かに地底……第5層を支配するヴァンパイアが第五の貴族と名乗っていたことにも納得はいくのですけど、第4層には月があったのですよね」
 望の視界にその灯りが映ることは無くとも、満月の日に狂う人狼病があるように、このダークセイヴァーにおいて月は“ある”とされてきたのです。
 納得と矛盾、双方を言葉に込めた望の呟きに答えるのは、この地に降り立ったもう一人の猟兵、フォルク・リア(黄泉への導・f05375)でありました。
「上層に何らかの亀裂があって月明かりが漏れている……そもそも、俺たちが月だと思っているのはまったく別の何か……」
 どうとでも推測できてしまうね、と苦笑を滲ませるフォルク。
 その視線が見つめるのは、いっそう闇が濃くなっていく辺境の彼方。
 あるいは、この先にこそフォルクたちの疑問の答えが待っているのでしょうか?
「常闇の燎原に辿り着くまでにどれだけ掛るのか。それは分らないが、道が既に示されている以上。今はそこに進むだけか」
 向かう先はまさしく人外魔境の危険地帯。
 恐ろしい敵が待っていると知りながら、二人は闇の中へと踏み出していきます。

 常闇の燎原はまだ先のはずなのに、どんどんと暗くなっていく道なき道。
 常人ならば歩みを進めるだけでも恐ろしいこの地を進む二人は、しかし此処がすでに危険な辺境地帯であることをしっかりと理解しておりました。
「……あれは宝石。いや、星」
 だからこそ、闇の中より音もなく現れた遊星にも、驚くことなく身構えるのです。
 ふわりと浮かぶ大きな闇色の星と、月のようにその周りをぐるぐると旋回する色とりどりの衛星たち。
 自我があるのかも怪しい凶星は、しかし隠すこと無い悪意と呪詛の力を纏い、猟兵たちを威圧します。
「狂えるオブリビオン……用のない相手ですが、逃げて背中を撃たれるのも避けたいですね」
「見た目だけ美しくとも、あの呪いの気配は隠せはしない。此処で祓うべきだろう」
 その言葉と共に、望の周囲を囲むように清浄なる焔が燃え上がり、フォルクの背にはどこか黄泉の冷気を纏う黒い翼が広げられます。
 そして、目も耳も持たぬはずのオブリビオンは、自分の敵を確かに認識し……。
「――いきなりか!」
 衛星の動きが止まったのと、猟兵目掛けて黒い『波』が放たれたのはほぼ同時の出来事でした。
 その身に秘められた悍ましいほどの呪いを込められた波動は、猟兵の命すらも脅かす呪詛として二人を襲うのです。
「さすが、辺境を跋扈するだけはあると言いますか。まともに受ければわたしたちもタダではすまないでしょうね」
 ユーベルコードと同時に展開した浄化の結界がびりびりと揺れるその後ろで、望が敵の戦力を推し量ります。
 翼をもって空で攻撃を回避するフォルクにとっても望の言葉を疑う理由もありません。
 彼が地上を見下ろせば、猟兵を外した呪いの波動が大地を抉り、凍らせて石へと変えてしまう一部始終が見えているのですから。
 そんな呪いをあの遊星は数多の衛星と共に次々と撃ち出してくるのですから、やはりあれは『狂えるオブリビオン』に相応しい強力な力を持つのでしょう。

「だが、狂気に任せて乱射するだけなら」
「苦戦する相手ではありませんね」
 しかし、あれは何処まで行っても呪いの集合体。
 人を害する悪意はあれど、相手の虚を突き自身の力を突きつける悪辣さはありません。
 フォルクが自分の懐から宝珠を取り出せば、呪いを統べるその力は敵の波動を打ち払い、主の前進を助けるのです。
 望も、相手に結界内へと押し入るほどの機転が無いと気づくや否や、エクリュの影を従えてその手の銃を構えます。
 敵を間合いに収めたフォルクがその身の魔性で光の剣を象り、望の銃が七つにばらけて宙に浮いても、オブリビオンはただひたすらに呪いをばら撒くばかり。
 光の剣が、浄化の魔弾が放たれるその時も、凶星は己が危険に気付くことは無く。

「……主星は健在ですか」
「とはいえ、攻撃は通じている……どこまで力を温存して戦えるか、という話になるね」
 砕けた衛星、僅かながらにヒビの入った闇の星。
 猟兵がその様子を分析する中、オブリビオンは未知の現象に驚く子供のように、その身を震わせるのでした。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

レプリカ・レグナント
ふん、この世のありとあらゆる宝物はオレ様のもの、それが主に牙を剥くか面白い、鳴け反抗超振動
オレ様の持つ盾反抗蒼竜はあらゆる攻撃を通さぬ強力な振動波を放つ、それはそのまま攻撃にも使えるのだ
元来剣や宝玉そして杯と云った器物は衝撃に弱く脆いもの、つまりオレ様の操る力は貴様の弱点そのものよ、所有物が主に逆らうとどうなるか教えてやろう
地図にもない未開の地、その地もまたオレの新たな財宝に加えてやるぞ


溟・哀上
アドリブ連携歓迎です。

常闇の燎原、名前からしてこわそうな場所ですが……この世界に住むひとの為になるなら、がんばらないと。
そのためにも、まずは目の前の相手ですね……!

無機質な見た目と狂気の気配からして、あまり戦術らしい戦術は取ってこないんでしょうか……?
力押しの相手なら、わたしと相性がいいかもですっ。

あまり動き回らず、立ち位置を固定して戦います。浮かぶ剣や衛星による攻撃はしっかりと【盾受け】しつつ、いくつかを本体に弾き返して【カウンター】を試みたりも。
相手のユーベルコードには、こちらもユーベルコードを発動して反射。呪詛返しをお見舞いしちゃいますっ! 面制圧はわたしには通じませんよ……!



●盾と盾
 猟兵からの攻撃を受けた遊星の様子は、大きな変化を迎えます。
 それは傷つけられた怒りか、あるいは機械的な防衛本能かは分かりませんが、それまで星々から飛ばしていた呪いの波動に加えて生み出されるのは、不滅を滅する呪詛の矢です。
「常闇の燎原って名前が既にこわいのに、たどり着く前からこんなの出るんですか!?」
 さて、そんなオブリビオンの猛攻を悲鳴を上げて避けるのは溟・哀上(まいごの小ガメ・f35080)。
 おどおどとして気の弱いところのある彼女にとって、邪なものを固めて作られたかのような凶星など恐ろしいばかり。
 今にも泣きだしてしまいそうなほど慌てふためいている哀上でありますが、彼女は決して孤独ではありませんでした。
 頑張って逃げ回る哀上と対照的なその猟兵は、呪いの嵐にも怯むことなく鼻を鳴らして呟きます。
「この世のありとあらゆる宝物はオレ様のもの、それが主に牙を剥くか」
 尊大そのものと言わんばかりの態度を取るレプリカ・レグナント(反抗と圧政の竜・f32620)は、しかしその声に愉悦の色を滲ませます。
 生まれながらの支配者にとってしてみれば、あり得ざる反抗もまた喜悦に繋がるのでしょうか。
「とはいえ、オレの道を阻むというなら、主に逆らう愚かしさを教えてやらねばな」
「そ、そうです! この世界に住むひとたちを助ける為にも、まずは目の前の相手から……!」
 死の呪いを振りまく相手を前に、あまりにマイペースなレプリカ。
 それに釣られるように自分の使命を再認識した哀上も戦いの構えをとり、猟兵たちとオブリビオンの戦いは始まるのです。

「無機質な見た目と狂気の気配、バリエーションはあっても呪いを飛ばしてくるだけですし、あまり戦術らしい戦術は取ってこないんでしょうか……?」
「さてどうだろうな? 相手がどうであれ、オレはオレのやり方をするまでだが」
 悠々と敵に向かって行ったレプリカを驚き半分に見送りつつ、哀上は敵への考察を深めます。
 辺境に現れたこの相手は、十中八九『狂えるオブリビオン』。
 その狂気の深さや性質は個体ごとに異なりますが、目の前の敵は特に機械的な動きをしているようにも見えました。
「(力押しの相手なら……!)」
 相手の性質にアタリをつけた哀上が、足を広く開いた姿勢で盾を構えます。
 素早く動く事より、重心を安定させて動かない事を重視したその構えは、相手から逃げずに立ち向かう覚悟の表れでもあるのでしょう。
「おや、奴も盾か。良い選択じゃあないか」
 その様子を見て笑みを浮かべるレプリカ。
 このような事を言うのもある意味では当然の話で、オブリビオンへと接近していく彼女の手にも蒼い盾がありました。

 奇しくも同じ防具を使う二人の猟兵。
 けれども、その戦いは真逆と言っていいものとなるのです。
「反抗蒼竜はあらゆる攻撃を通さぬ強力な振動波を放つ……攻撃が届く前に揺らして崩壊させてしまうわけだが、それはそのまま攻撃にも使えるのだ」
 理屈の上ではちょうど杯を割るような、あるいは、子供が砂の城を揺らして崩してしまうようなものです。
 しかし、レプリカの手により生み出される【反抗超振動(チタノノホウコウ)】の程度は子供の遊びとはまさしく比べ物になりません。
 呪いすらも揺らし崩してしまう盾を掲げるレプリカが堂々と進み星の下へとたどり着けば、その盾は星を取り巻く衛星すらもその振動の餌食にしてしまうのです。
 此処で遊星が目を付けたのは――あるいは意思なき偶然かもしれませんが――後方で盾を構える哀上。
 動きもしない方を先に落としてしまえと言わんばかりの呪詛が彼女に向けられて、しかし哀上もまた真っすぐにオブリビオンを見据えます。
「来ましたね、直線の攻撃……面制圧はわたしには通じませんよ……!」
 ですが、それこそ彼女の待っていたもの。
 【斥罰必当(バチアタリ)】の名の下に、不用意な攻撃をしかけたオブリビオンへと哀上が反射した呪詛が返され、突き刺さります。

 ぱきんぱきんと軽い音が鳴るたびに、遊星を取り巻く衛星が失われていって。
 二つの盾を前にした呪いの塊は、その守りを崩すばかりか、自分の崩壊を加速させていくのでした。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

リーヴァルディ・カーライル
…地上だとばかり思っていたのが、実は地底世界の一部だったとはね

…道理でどれだけ探してもオブリビオン・フォーミュラが見つからないはずだわ

過去の戦闘知識から敵の行動を予測してUCを見切り、
敵の呪いを呪詛耐性のオーラで防御しつつ「血の翼」を広げ、
空中機動の早業で攻撃を回避しながら切り込みUCを発動

限界を突破した虚属性の魔力を溜めた大鎌を怪力任せになぎ払い、
切断面から拡大する虚無空間で敵を捕縛して呑み込む虚属性攻撃を行う

…確かに驚くべき真実だけど、それが何であれ私の為すべき事に変わりは無い

…人類に今一度の繁栄を。そして、この世界に救済を…

…今を生きる人々を苦しめ、この世界を滅ぼす敵を討ち果たすのみよ



●揺らがぬものは
「……地上だとばかり思っていたのが、実は地底世界の一部だったとはね」
 荒れ狂う呪いの暴威の中。
 静かに呟く少女の声に現れるのは、僅かな驚愕と納得でした。
「……道理でどれだけ探してもオブリビオン・フォーミュラが見つからないはずだわ」
 それは、この世界にオブリビオンを生み出し続ける仇敵の名。
 他の世界がそうであったように、ダークセイヴァーを救うにはフォーミュラの討伐が必要不可欠でありますが、その影すらも掴めていないのが、猟兵たちの現状でありました。
 ですが、この先の常闇の燎原、そしてその先に続くやもしれぬ第3層以降の世界。
 そこにこそ、この世界の闇を晴らすための戦いが待っているかもしれません。
「ならば……そこを目指すだけね」
 天を覆うは遊星が呼び出したおびただしい呪いたち。
 それを見上げるリーヴァルディ・カーライル(ダンピールの黒騎士・f01841)は、まっすぐな瞳で闇へと進むのです。

「雨の呪いはほとんど力を持たない……“マーキング”用ね」
 まさしく百戦錬磨の猟兵、リーヴァルディの目には、オブリビオンの狙いも既に見えておりました。
 彼女の推察通り、空に展開された呪いの弾幕は殆ど力はなく、本命の攻撃を誘導するための布石にすぎません。
 それを分かっていて、彼女は敢えて防御するという選択を選びました。
「……無駄よ。この程度の呪いは、いくら撃っても私には通じない」
 確かに、雨の呪詛は強いものではなく、ユーベルコードを用いない呪詛祓いのオーラで十分に防ぐことができます。
 しかし、通じずとも当たったという事実は凶星のユーベルコードの二の矢を招くもの。
 きぃぃん、と硝子が震えるような音と共に星の呪いが収束すれば、それまでとは比べ物にならない程に濃く、強く放たれる呪いの光線がリーヴァルディを襲うのです。

 ――あるいは。
 このオブリビオンにリーヴァルディをダンピールと、吸血鬼の力を有する者と知る知性があれば別の手段を選んだかも知れません。
「……遅い!」
 彼女の背に展開されるのは、赤い血の色をした魔力の翼。
 三次元的な動きで光線を回避したリーヴァルディは、その勢いのままに遊星へと肉薄します。
「……確かに驚くべき真実だけど、それが何であれ私の為すべき事に変わりは無い」
 振りかぶる大鎌に宿るのは、魔を呑み込む虚の力。
 人類の繁栄とこの世界の救済、その使命に背を押されるリーヴァルディの鎌が星の中心部を捉え、核たる杯を大きく削ります。

 身を震わす星を蹴り飛ばし、再度距離を取るリーヴァルディの足取りは、巨大な鎌を持つとは思えぬほどにしっかりと。
 それは、今を生きる人々を苦しめ、この世界を滅ぼす敵を討ち果たす使命が揺らがぬ証でもあったのでした。

成功 🔵​🔵​🔴​

瀬河・辰巳
辺境地帯は恐ろしいとは聞いてたけど、これはなかなか。影に怨念を宿している分、耐性はある方だとは思うけど……油断できないね。

「動物達の怨念……オトモダチは皆いい子で可愛いんだけどなぁ」

初手からUC発動。呪いには呪いをぶつけよう。
荊で足止めさせ、森の影を変形させながらオトモダチで強襲しつつ、鎌での一撃を狙う。
ホーミングの矢対策は荊も役立つけど、対処しきれない分はオトモダチと鎌による受け流し・なぎ払いで対応。

呪いは誰かの願いや想い。『友達』であれば、その『呪い』を背負って共に闇へと堕ちる覚悟はあるけど。それ以外のはご遠慮だから、炎で浄化されてくれ。



●道しるべは燃え盛る
 ぎゃりぎゃり、がちゃがちゃ。
 痛みか恐怖か怒りか、星々や剣に杯が狂乱するように乱舞し、お互いにぶつかり合う音が辺りに響きます。
 猟兵たちによって追い詰められた狂えるオブリビオンの様子は激しく乱れ、はじめて生物的な混乱を見せる様子はどこか冒涜的でもありました。
「……辺境地帯は恐ろしいとは聞いてたけど、これはなかなか」
 赤い瞳を少しだけ細め、その様を警戒しながら見つめる瀬河・辰巳(宵闇に還る者・f05619)の口から洩れる、誰に聞かせるでもない呟き。
 死してなお寄り添う『オトモダチ』のおかげでこの類の怨念には慣れている彼でも、相手は決して油断はできないドロドロとした呪いの塊です。
 常闇の燎原の入り口に過ぎないこの場所ではありますが、出し惜しみをしていい相手ではない。
 そう判断した辰巳は、自身の忌むべき記憶を呼ぶのでした。

『――――…………』
「大人しくなった……驚くなんて感情があるのか?」
 瞬時に、生命の気配のない辺境は黒い森へと変わります。
 影で作られた悪意の森の再現は、一瞬動きを止めた遊星を燃え盛る茨で縫い留め、そのまま森そのものがオブリビオンを押しつぶすように襲いかかるのです。
 オブリビオンだって、無抵抗に捕まる気などありませんが、放たれる呪いの矢は殆どが炎を越えられずに燃え尽きてしまいます。
「――よろしくね、皆」
 そして、どうにか辰巳へと向かう数本の矢。
 鎌を振りかぶり駆け出す辰巳はそれを避けようともせず、しかし星の呪いは彼には届きません。
 残酷な森の中で半吸血鬼と絆を結んだかつての動物たち。
 怨念となり果てた彼らは、それでも辰巳と共に在り、彼を守る『友達』なのです。

 一歩、二歩。
 影に守られながら間合いを詰めた辰巳の腕の中、苔むした大鎌の刃だけが星の灯りを反射します。
「『友達』であれば、その『呪い』を背負って共に闇へと堕ちる覚悟はあるけど」
 影の森で燃え盛る炎は、茨から鎌の蔦へ移り、やがてオブリビオンへ向けられた刃へ宿ります。
 熱を受けて輝くように赤く染まるそれは、オブリビオンを殺める恐ろしき刃であると共に、もはや何処にも行けなくなってしまった『呪い』を終わらせる慈悲そのもの。
「それ以外のはご遠慮だから、炎で浄化されてくれ」
 一閃。
 影の森を赤く照らすその一撃は、凶星の中心にあった杯を確かに両断し。
 猟兵を阻む狂えるオブリビオンを倒し、彼らの進むべき道を拓くのでした。

成功 🔵​🔵​🔴​




第2章 冒険 『五里霧中』

POW   :    大胆に行動する

SPD   :    慎重に行動する

WIZ   :    冷静に行動する

👑7
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●闇の中、霧の中
 呪われた遊星を退けた猟兵は、闇の彼方にある燎原を目指して暗い方へと足を進めていきます。
 どんどんと視界が悪くなり、行く手が見通せなくなっていく辺境の地を進む猟兵は、闇ではない別の変化に気が付くのです。
 それは、どこか重苦しささえ感じるような厚く濃い霧のヴェール。
 先のオブリビオンのように命を狙う悪意こそありませんが、此処もまた数多の命を呑み込んだ死地でありました。

 ひんやりとした冷気の中、ひとたび進む方向を間違えれば帰ってはこれぬ闇の平原。
 それでも、この地の果てを目指す猟兵たちは、慎重に慎重に歩を進めていくのです。
レプリカ・レグナント
ほう、この辺からまとわりつく空気が変わったな、成る程真の試練は此処からのようだな?
視界が全く利かない闇の中で闇雲に動けば帰り道すら見失うか・・・ならば!
オレ様の道を刻んでやろう、さあ暗闇を踏みつけてやる
振動波で進む道を造り出して行けば帰り道も進む道も見失いはしない
王とは常に進む道は自らが決めて造り出して往くのだ!
闇の先にも王道を刻んで行くのみ、さあ王の道を進むとするか!


七那原・望
ここから先はどんどん真っ暗になっていくらしいですね?わたしにはわからないのですけど。

いつものように第六感と野生の勘を駆使しながら進むべき方向を見切り、進みましょう。
暗闇なんて元から。予めどちらへ向かうべきかを知っていれば闇に惑わされて進む方角を見失う事なんてあり得ません。

この変な感覚……空気?
何か良くないものに纏わり付かれているような気がするのです。
月と呼ばれてる物の光が届かないのもこれのせいなのです?

一応癒竜の大聖炎を発動し、その内の一つを纏って良くないものの浄化を試みます。

残りの114個は一定の間隔で設置しておいて、後続の猟兵の為の目印にしましょう。

役に立つかはわからないのですけどね。



●竜の道、竜の灯
 常闇の燎原が近づくにつれ、どんどんと暗さを増していく辺境の地。
 もとより闇に閉ざされた望の瞳にその暗さは映りませんが、そんな彼女にも分かる変化は他にもあるのです。
「この変な感覚……空気?」
「この辺からまとわりつく空気が変わったな、成る程真の試練は此処からのようだな?」
 共に進むレプリカも同意するように、彼女達を取り囲む霧は纏わりつくように重くのしかかってくるのです。
 猟兵すらも惑わすその霧は、単なる自然現象の域を超えた異常そのもの。
 闇へと進んでいけばよいとは言っても、こうも濃い霧の中では方向感覚などすぐに狂ってしまうもの。
 だからこそ必要なのは……『道しるべ』でありました。

「目や耳、ヒトの感覚に頼るから迷うのだ。オレ様の道を刻んでやろう」
 優雅ささえ感じさせる動作で上げられたのは振動を纏うレプリカの足。
 それが勢いよく大地を踏みつければ、彼女のユーベルコードによって生まれる超振動は地を伝い、闇の中の荒野を均すようにその傷跡を刻むのです。
「これは……なるほど。振動ならば闇に迷って曲がったりはしませんね」
 望が感嘆の声と共に語ったように、レプリカの生み出した振動に意思はありません。
 一度放たれたそれは闇にも霧にも惑わされること無く、真っすぐ闇へと突き進む道しるべとなるのでした。
 あとは均された道を進めばよいのですが、気にかかるのはこの不気味な霧。
 この霧は果たして闇の一部であるのか、また別の要因から生まれ出たものなのか。
 今この場で分かる事ではありませんが、常闇の燎原を目指す猟兵の味方でないことだけは確かです。
 それならば備えをしておいて損は無いだろうと、望もレプリカに続き己がユーベルコードを披露します。
「相手の正体が掴めないのは気がかりですが、浄化はしておきましょうか……よければ、どうぞ」
「うん? ああ、この炎は魔除けの類か……オレたちに宿すには、いささか過剰にも思えるが」
「ええ、ですから残りは、こうやって……」
 呼び出される、癒しと浄化の力を宿した竜の焔。
 一つを自分に、一つをレプリカに宿してもなお百を超える火が煌々と燃え盛ります。
 その一つをぽとんと足元に落とした望は、改めてレプリカへと向き直ります。
「このように落としていって、後続の猟兵の為の目印にできたらと……役に立つかはわからないのですけどね」
 いわば、森に迷う子供が落とすパンくずのように。
 竜の焔を落とす少女の姿は童話から抜け出てきたような幻想的な雰囲気を纏うのです。

「うむ、確かに炎の灯りが届く距離も著しく落ちているようだが、オレの作ってやった道もある。無駄にはならんさ」
 望をフォローするように、という感情はあんまり感じられないレプリカの尊大な言葉が闇の中へ響きます。
 事実、彼女は思ったことを言っているだけなのかもしれませんが、だからこそ望の胸にもその言葉はスッと入ってくるのです。
「そうですね……歩きやすい道もありますし」
「そうだろうそうだろう! 暗くてよく見えんが、王の歩む道とはこのような美しい道を自ら作り出すものであって……」
 落ち着いた涼やかな声に、気分よく答える力強い声。
 二人の少女の声は闇の中へと消えてゆき……やがてそこには、焔に照らされる真っすぐな道だけが残るのでした。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

厳・範(サポート)
長年の修行で誘惑に強いお爺です。
食べ物に制限はありません。
話し方は古風です。

亡き親友との約束(世界を守る)で、封神武侠界のみで活動していましたが、『仁獣』性質と親友の幻影の後押しで決意し、他世界でも活動し始めました。
「放っておけぬのよ」

動きとしては、主にサポートに回ります。
【使令法:~】では、麻雀牌を利用して、対象生物を呼び出します。
【豹貓】は睡魔を呼ぶ、【胡蜂】は恨みの毒(理由は秘密の設定にて)という感じです。

また、半人半獣もしくは本性の麒麟形態だと、背に人を乗せることがあります。

なお、武侠の血が騒ぐと足技が出ます。

依頼達成のためとはいえ公序良俗に反する行為はしません。
あとはお任せします。


フォルク・リア
「この霧と闇。これでは方向を見失うな。
速く抜けたいところだけど。
……さて。」
アンノウンブレスを発動。
自分中心に幽霊がお互いに知覚できる範囲で
超感覚等を利用して辺りを確認。
危険な地形や障害物がないかにも注意を払い
テレパシーで状況を連絡させ
闇の深い方向に進路を定める。
目印になりそうなものが有れば
堂々巡りにならない様に記憶。
幽霊を操りながら、進む時は速度よりも
安全性と進路の確実性を重視して
不安な場合は時より足を止めて再度周辺を確認する。
「一体どれくらい進んだだろうか。
七分か八分か、まだ半分も来ていないか。
こんなところをさっきみたいな敵に
襲われたら一溜まりもない。
其れにも警戒しないとならないか。」



●先陣、絶えた先へ
「この霧と闇。これでは方向を見失うな。速く抜けたいところだけど」
「転移した時にも薄暗い世界だとは思ったが……これ以上進むとなると、本当に一寸先も見えぬだろうな」
 ますます濃くなる闇、万人を拒むようにそれを包む厚い霧。
 敵の気配こそありませんが、それでもなお危険な地を前にフォルクは警戒を新たにし、『封神武侠界』より合流した厳・範(老當益壮・f32809)も髭を撫ぜながら頷くのです。
 範の言うように、ここから先で己が目に頼ることが難しいのは明らかでした。
 ですが、此処に居るのは常ならざる力を有する猟兵たち。
 暗い、程度の理由で彼らの足が止まろうはずもありません。

「地の底に眠る不明なる霊。呪われたる棺の蓋を開きて、その異能を存分に振るい。我に仇なすものを退け、我と共に歩む者を助ける力となれ」
 紡がれ重なる死者への言葉。
 フォルクが呼び出す棺桶は周囲の霧以上に不確かで不定形な存在ながらも、そのうちに宿す霊たちと共に彼の下へとはせ参じます。
「来たれ海のもの」
 対して、範の呼びかけは短く簡潔に。
 しかし、その手で弄んでいた麻雀牌は異界との扉を開き、彼に力を貸す者たちを招きます。
 現れるのは、透き通る水の羽衣を纏う鮫の群れ。
 海に住まう彼らでありますが、範のユーベルコードを借りたのならば、文字通り水を得た魚のように宙を舞うのです。
「サメかい……? 夜目がきくという印象はないけれど」
「深海に棲むものならば、光自体には敏感だ。しかし、今回は……」
 答える老人の言葉が終わるよりも早く。
 鮫たちが何かを察知したかのように、一様に霧に包まれた闇の中へと鼻先を向けました。
「……外の世界では『ろれんちーに』と呼ぶそうだ。彼らは周囲の『雷の気』を嗅ぎ分けるのだよ」
「なるほど、頼りになりそうだ……じゃあ、先頭は此方が引き受けよう。すでに死んでいる霊体の分、ある程度は無茶が利くさ」
 鮫たちが示す方角を、テレパシーで繋がった幽霊たちが先導し。
 二人の猟兵は、闇の中を慎重に進んでいくのです。

 やがて、その変化は唐突に。
「む、鮫が……」
「……こっちは、一番先を進んでいた霊のテレパシーが消えたね」
 それまで猟兵たちを導いてきた範の鮫が、急に立ち止まり前へ進むことを嫌がり始めたのと、フォルクの使役する霊の一部が消滅したのは、まったくの同時でした。
「霊への攻撃……このような地にただの道士がいるわけでもなし、十中八九オブリビオンであろうな」
「つまり、このまま進めばオブリビオンが待っているわけだ」
 これは、アクシデントではなく収穫でした。
 敵がいると分かっているのなら、彼らには進むか退くかの選択肢が生まれるのですから。
 そして当然、彼らが選ぶのは。
「この世界の闇を払うには」
「進んで会うべきだね……常闇の燎原の住民に」
 危険が待っているなど、この地に降りたその時から覚悟の上。
 顔を見合わせて頷いた二人は、慎重にゆっくりと、霧の先へと進んでいくのでした。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

高天原・光明
 溟・哀上(f35080)と共に行こう。
 呪術洋燈を掲げるだけでは見えぬものも多い。ここは【冷静に行動】(WIZ)し、己の眼を信じることにしよう。

 【UC:狩人の千里眼】を発動、〈視力〉を強化して先の先を〈偵察〉していく。哀上の道案内も頼りにしながら、道を違えていないか確かめながら行こう。

 同時に〈第六感〉を働かせておこう。ここはダークセイヴァー、何があるか分からんからな。咄嗟の事に対応できるよう、警戒しておくに越したことはない。

 哀上、怖いだろうが今しばらくの辛抱だ。はぐれないように掴まっておくといい。闇から何が来ようとも、俺の弓とお前の盾があるなら鬼に金棒だ。

(アドリブ等々歓迎です)


溟・哀上
高天原・光明さん(f29734)と挑みます。
判定はWIZ、アドリブ等も歓迎ですっ。

真っ暗な道を進むのはちょっぴり、いえかなり不安ですが、いっしょに歩いてくれる方がいると安心ですね……。

基本的には光明さんの背中をつかんでついていきます(はぐれないよう言われたからです、こわいからではなくて!)。
幸いペットのぶーちゃんは夜目が利くので、この冷たい闇もわたしよりは見通せるはず。【道案内】をお願いしようかな。
もし何か危険なことがあったら、その時は盾で【かばう】……つもりですが、出番はあるかどうか。

は、はい、頼りにしてますっ!
わたしも光明さんみたいに、かっこよくふるまわないと……!
……自信はありませんが。



●射る者、見る者、守る者
 生物にとって、『闇』とはもっとも原始的な恐怖の一つです。
 暗く、見えず、何が潜んでいるのか分からない。
 踏み出したそこに大地はあるのか、振り向く先に待つのは誰か。
 闇は、その帳が生み出す未知は、いつの世も恐怖の象徴でありました。
 ……なのですから。
「真っ暗な道を進むのはちょっぴり、いえかなり不安ですが、いっしょに歩いてくれる方がいると安心ですね……」
「……はぐれぬよう掴めとは言ったが。流石に腕ごと抱きつくのはやめてくれ、いざという時に弓が引けん」
「あ、す、すみませんっ!?」
 また一人、この地に合流してきた學徒兵、高天原・光明(彼方より禍を射貫くもの・f29734)のまっすぐ伸びた背に。
 哀上がぴったりと張り付くように寄り添って歩いているのも……仕方のない事なのかもしれません。

「しかし、本当に闇が深い。その上にこうも霧が深いと、まさしく一寸先も見えないな」
 改めて哀上が自分の服の背を掴んで――確実に皺がつくだろう程、ぎゅうっと掴まれているのは気にしないとして――ついてくるのを確認してから、光明が緊張を含ませた声で呟きます。
 ランプを掲げても、この場所が光を拒むとでも言うように、光の届く範囲はとてもささやかな物。
 勿論、弓を得手とする彼ですから、夜目にだって相応の自信はあるでしょう。
 しかし、ここはまだ目的地である常闇の燎原ではありません。
 故郷を守る時にはたった一人で戦い続けた彼は、このような緊張によって削られる精神力を軽んじていては時に命を落としうると知っています。
 行く先に待ち受けるであろう『本命』を思えば、ある程度“楽”をする努力が必要なのです。
「哀上、そろそろ彼女に道案内を頼めるか?」
「はい、お願い、ぶーちゃん!」
 そして、この場における努力とは、仲間に頼る事。
 哀上の呼びかけで首をもたげるのは、彼女の背負う盾に巻き付いていた黒い縄……その正体は、大きな大蛇でありました。
 霧に濡れた鱗がランプに照らされ、どこか荘厳ささえ持つような蛇は、暫く辺りを見渡した後に光明が進んでいたよりも少し斜めにずれた方角を指し示すのです。
「なるほど、そっちか」
 蛇には、夜目の他にも人とは比べ物にならぬ嗅覚が備わっております。
 その力を、いえ、哀上の友を信じる光明は、迷うことなくその案内に従うのでした。

 進んでも進んでも闇は変わらずに。
 いいえ、ますます濃くなっていく霧がもたらす寒さが、猟兵たちを苛みます。
 当然、常人ならざる彼らが音を上げる程ではないのですが、暗く寒い土地をひたすらに歩くというのは、中々に辛いものが有るのでしょう。
 哀上の口から洩れる弱音も、あるいはこんな場所だからこそなのかもしれません。
「うう、光明さんもぶーちゃんも凄いのに……わたしは、イタァ!?」
 その言葉を遮ったのは、かぷっと甘噛みをしてくるぶーちゃんです。
 背後で行われる呑気なやり取りに、光明も思わず口角を上げながら言葉を返します。
「哀上、このような行軍は分担が重要なのだ。お前がこの闇を恐れるように、俺にも辛い相手はいる。それが出てきたらお前の盾に守ってもらうつもりだぞ」
 たしなめるように、しかし優しい声色で。
 黒の大蛇もそれに頷いてみせる様に、哀上も少しだけ出た弱気を振り払います。
「そ、そうですよね! 頼りにしてますし、頼ってもらいます! ……自信はありま……う、嘘だよぶーちゃん、頑張る!」
 ぎらりと牙を見せる友に慌てて宣言しつつ。
 すっかり元気にきゃあきゃあと騒ぐ哀上を背に、光明は闇の中を突き進んでいくのです。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

リーヴァルディ・カーライル
…他の猟兵ほとでは無くても私は今まで、多くの世界を見てきたわ
その中には、この地では想像も付かないような環境への対処も経験している

…例えどれだけ深い霧が行く手を阻もうとも、
今さらこの程度の試練で足を止めたりはしないわ

第六感が危険を感じたら即座に離脱するように心がけUCを発動
自身の体に水の精霊を降霊し肉体改造を施して魔力を溜め、
精霊化する事で霧の中でも周囲を暗視できる視力で周囲の索敵を行い、
より暗闇が濃い方角を見切り空中機動を行う「血の翼」を広げ進んで行く

…我が身に宿れ、水の理。我に仕え、我を助け、我が呪文に力を与えよ

…この周囲一帯はもはや私の庭も同然
手早く突破して、常闇の燎原に向かいましょうか


瀬河・辰巳
暗闇はともかく、濃霧は厄介だなぁ。

鹿や熊、烏等を召喚。
鎌を引きずって歩き、穴を掘ったりして目印を付けつつ、幻影動物達が『近寄りたくない・怖いと思う方向』へ。嫌な方向なのはごめんね皆。

進み方は、まず視認できる距離で前方に動物達を一列に並ばせる。真っ直ぐではなく左右にずれている場合は指示を出し、ある程度真っ直ぐになった所で自分が先に向かう。これを繰り返せばある程度一定の方向に進めるかな。

少しでも目印になりそうな物があれば、どの方向から来たのか刻む。もし亡骸がある場合は……進む方に頭を向け、手を組ませて置こう。

この場所は静かで悪くないかもしれないけど。こっちはまだ眠りにつく訳にはいかないんだよね。



●闇と霧の彼方
「暗闇はともかく、濃霧は厄介だなぁ」
 暗い森に生きてきた辰巳にとって、辺境の闇は決して苦ではありませんでした。
 けれども厄介なのは闇をさらに覆い隠してしまうこの濃霧。
 二重に視界を狭めてしまうこの環境では、人より優れたダンピールの感覚をもってしても容易に迷ってしまうでしょう。
 鎌を引きずり大地に傷をつけ、時には穴を掘って堂々巡りこそ避けられましたが、行っては戻りを繰り返していては、いつまでたっても常闇の燎原にはたどり着けません。
「だからこそ呼んだわけだけど……嫌な方向なのはごめんね皆」
 そんな辰巳が呼びかけるのは、自分の前に並ぶいくつもの影。
 その正体は、辰巳のユーベルコードで呼び出された動物の幻影たちです。
 もっとも辰巳に近い鹿の幻影が振り向けば、なんと彼は、怖いけれど気にすることはないと言葉まで発します。
 言語を理解し、辰巳に協力する獣の群れは、その野生の感覚をもってより踏み入るべきではない方角を、辰巳が目指すべき燎原を示していくのです。

 そして、辰巳が動物たちと協力して闇の中を進んで暫くの事。
 彼を導いていた動物たちは、急にその足を止めてしまいます。
『ナニカ、クル』
『ヒト……? チイサイノモ、タクサン』
『トンデル』
「飛んでる……?」
 動物たちが困惑するように空を見上げるのに釣られて、辰巳も見上げたその空。
 勿論、頭上も闇と霧に覆われてろくに見通せないのですが、そこから急に風が吹きつけたような感覚がして――。
「……どうして動物の群れがいるかと思ったら、お仲間だったのね」
 美しい白銀の髪は、水のように透き通り。
 小さな水の精霊たちを宿したリーヴァルディが、赤い翼を羽ばたかせて降りてきたのでした。

 合流した二人のダンピールは、わざわざ別行動をする理由もないと共に歩みだします。
 精霊化によって周囲の水、霧にも適応したリーヴァルディの傍には、辰巳の呼び出した鳥が共に飛んでその警戒を支えます。
 歩を進むにつれて一層怯えが酷くなっていった動物たちも、リーヴァルディという強力な個の存在によってある程度の落ち着きを取り戻しておりました。
 元々暗闇にはある程度対応できる半吸血鬼の二人ですから、その歩みは驚くほどスムーズに進むのです。
「ごめん、ちょっと降りてきてもらっていいかな?」
「ん、どうしたの……?」
 そんな道のりだからこそ、道端で朽ち果てたそれにも気づくことができたのでしょう。
 呼びかけに応じて降りてきたリーヴァルディに辰巳が指し示すのは、一見すれば岩と間違えてしまいそうな苔むした塊。
「これ……というか、この人なんだけど」
 それは、大きな鎧を着こんだ人間の骸骨でありました。
 死してどれほどの年月が経ったのでしょうか、骨すらもボロボロになってしまったそれによく気づいたものだとリーヴァルディがしげしげと眺めると、彼女はさらに見るべき点を見つけます。
「鎧がとても歪んでいるわね……叩かれたというより、炎……?」
「霧に迷って行き倒れただけじゃないって事になるね……それに、君も気づいているとは思うんだけど」
 髑髏を拾い上げ、少し迷ってから、常闇の燎原があるであろう方向に置きなおした辰巳は、ふとリーヴァルディに問いかけます。
 彼の表情に滲む緊張は、等しくリーヴァルディにも宿っているもの。

「ええ……此処は暗くて寒いけど……少しずつ、熱くなってきてるわ」
 その変化が何を意味するのか、二人はとうに気づいておりました。
 少しの沈黙の後、亡骸から視線を切って歩みを進める猟兵たち。
 彼らはとうとう、何かが燃え盛る燎原へと足を踏み入れていくのでした。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​




第3章 ボス戦 『『屍塊驍騎』ブラッドスピットナイツ』

POW   :    ブラッドスピットナイツ……ソノ栄光ハ永遠ナリ!
自身の【五つある脳の一つ 】を代償に、【脳の深層に残る『過去』の呪い】を籠めた一撃を放つ。自分にとって五つある脳の一つ を失う代償が大きい程、威力は上昇する。
SPD   :    コノ騎獣コソ、ワレラガ最強ノ騎士団デアル証
自身の身長の2倍の【空を翔ける怪馬・スレイプニル 】を召喚し騎乗する。互いの戦闘力を強化し、生命力を共有する。
WIZ   :    ワレラ騎士団ノ全身全霊、ウケテミヨ!
【全方位へ全武装による一斉攻撃 】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

●言い伝えられなかった話
 少しだけ、昔の話をいたしましょう。

 仲間と共に常闇の彼方へたどり着いた彼らが見たのは、闇の中でなお激しく燃え盛る黒い炎の燎原でありました。
 触れれば途端に身体が燃え盛り、いいえ、身体が炎に転じてしまう恐ろしい災厄を見た人々は、一様に身を寄せ合い震えます。

 こんなものが自分たちの見た夢なのか?
 違うと言ってくれる何かを求めて、お互いの顔すらも見えない闇の中を勇敢な騎士たちは彷徨います。
 逸れぬように身を寄せ合い、決して離れぬように手を取り合い。
 一人が炎に触れてしまった時も、彼らは決して仲間を見捨てませんでした。
 一人が炎となり、繋いだ手の先も燃え盛り、すべてが黒い炎に飲み込まれても、なお。

 そうして一つの塊となった巨大な炎から、やがて這い出た者は――。

●たった一人の騎士団
「何処ダ、何処ダ、我ラガ踏破スベキ栄光ハ……」
 いよいよ踏み入れた常闇の燎原。
 その暗闇の中で辛うじて猟兵たちの目に映ったのは、大きくいくつもの手足を持った、まさしく異形と呼ぶにふさわしい騎士のオブリビオンでした。
 そして何よりも感じるのは、彼が纏う黒い炎のその熱気。
 剣も、盾も、槍も、鎧も。
 オブリビオンを構成するすべてに宿る黒炎には、見ずともわかる恐ろしい邪気が宿っております。

「何カイル、誰カイル……我ラガ超エルベキ試練ガイル!」
 やがて、猟兵たちに気付いたオブリビオンは、幾人もの声が重なったような不気味な叫びを上げ。
 まさしく問答無用の勢いで、猟兵へと武器を振り上げるのでした。
七那原・望
すごく禍々しい邪気……でも、悪意を以て攻撃してきてるわけではなさそうです?
とにかくあの炎にだけは決して触れないように気を付けましょう。
幸い、暗闇での戦闘でもわたしにとっては関係ありません。

果実変性・ウィッシーズアリスを発動しておき、第六感と野生の勘と聞き耳で敵の動きや攻撃を見切り、呼び出された4匹のねこさん達と共に回避に専念を。
その間聞き耳で敵の発言を聞き取り、敵側の素性や思考や願いなど、情報を可能な限り集めます。

それがあなたの望みなら、一時的に夢くらいは見させてあげましょう。

ウィッシーズアリスのねこさん達の全力魔法で相手の願望が叶う幻覚を見せて、隙が出来たら浄化の全力魔法で終わらせましょう。


レプリカ・レグナント
成る程貴様は個であり群でもあるのだなそして噴き出す黒い炎厄介な物だな、ならばオレ様の輝きも受けて貰おうか!
我が血は我が威光、ひれ伏し燃えろ
ぬぅ?これは呪詛か貴様達の過去から来る強い執着を感じるな、しかしオレ様は亡国の王女こんなモノには負けん
この身体を斬り裂き流す王家の血が我が威光に更なる輝きを与え貴様の魂を燃やして往く、我が王家の輝かしい栄光の光を耐えきれるか!
オレ様はこんな所で止まる訳にはいかん、新たな王国を再建する其の日までオレ様は進み続ける!



●光
「オオオオ……我ラノ結束ノ力、トクト見ルガイイ!」
「成る程、貴様は個であり群でもあるのだな」
 まるで騎士団が馬を走らせるように、地響きにすら聞こえる重い足音と共にオブリビオン――ブラッドスピットナイツが迫ります。
 レプリカが呟いたように、暗闇の中でなお明らかなのはその異形の巨躯。
 複数の人間を混ぜ合わせて無理やり形にしたような騎士は、纏う黒い炎の禍々しさも手伝い、恐ろしい姿となっておりました。
「すごく禍々しい邪気……でも、悪意を以て攻撃してきてるわけではなさそうです?」
 しかし一方で、その怪物としての姿を目にすることのない望が聞く彼らの叫び。
 それは、オブリビオンとしての悪意というよりも、仲間を信じる騎士たちの雄たけびにも聞こえるのです。
「どちらにせよ、問答で止まる手合いではないな。無理やり黙らせねば」
「そうですね……とにかくあの炎にだけは決して触れないように気を付けましょう」
 オブリビオンそのものが悪から生まれたものでないのなら、やはりこの禍々しさの源泉はあの炎。
 常以上の警戒を保ちながら、二人は異形の騎士を迎え撃つのです。

 騎士の幾本もの腕が持つ武器が猟兵を狙い、少女たちはそれを懸命に回避します。
 その攻撃自体は練り上げられた武技以上のものではありませんが、武器に纏わりつき付随して襲い来る黒い炎のせいで大きく回避しなくてはいけません。
 そして、相手は骸の海より還ってきたオブリビオンなのですから……。
「逃ガサン……来タレ、スレイプニル!」
「蹄の音……ウィッシーズアリス!」
 当然、猟兵と同じくユーベルコードの力を有します。
 ブラッドスピットナイツがその体躯に相応しい大きな怪馬を呼び出せば、望が呼ぶのは4匹の猫。
 オブリビオンが空を駆ける馬上から槍を突き出せば、猫の魔力を借りた猟兵は幻の分身を作りながらそれを躱し。
「オノレ小賢シイ……我ラノ光ヲ阻ム者メ!」
「光……この燎原を出れば見れるような、弱い月光の事では無いのでしょうね」
 それぞれの獣の力を借りた攻防は、オブリビオンが猟兵を追い回しながらも決定打は与えられない、奇妙な膠着となっていきました。
 ですが、このオブリビオンは個にして群。
 複数の脳による思考は、戦闘という極限状態の中でも並行した戦術を可能にします。

「――ソコダ」
「っ、いけない!」
「おっと、まあオレの事を忘れられるはずもないか」
 望を追いかけまわしていた騎士は、レプリカの方を全く見ずに、その手に握っていた斧を突如投げつけました。
 斧の飛翔する音と、誰かの肉が裂ける音。
 見えずとも何が起こったかを理解した望がレプリカを案ずる叫びを上げる一方で、腕に傷を受けた当人は平然と呟きをこぼします。
 よく当てたものだ、等賞賛の言葉すら出て来そうな調子でありますが、黒い炎が灯る刃を受けたレプリカの身体は炎の浸蝕が始まってしまいます。
 いいえ、レプリカを蝕むのは炎だけではなく――。
「ぬぅ? これは呪詛か。貴様達の過去から来る強い執着を感じるな」
「どうにかこっちに来れませんか、浄化魔法で多少の処置は……」
 騎士たちの一人を犠牲にした呪詛は、黒い炎の勢いを急激に強めます。
 その炎の爆ぜる音を聞いた望が声をかけますが、空を飛ぶオブリビオンの攻撃を回避していた彼女の立ち位置は少々レプリカから離れてしまっております。
 このままではレプリカの身が危ないと、合流の手立てを考える望の耳に聞こえてくる音。
     ・・・・・・・・
 それは、再び肉が裂ける音でした。
「心配はいらん。オレ様は亡国の王女、こんなモノには負けん」
 炎が広がる前に、傷ごと炎を抉り斬り落としたレプリカの腕からおびただしい血がしたたり落ちます。
 勿論、レプリカとて痛みは感じますし、血を流しすぎれば命に係わるはずなのですが、その顔に浮かぶのはまさしく不敵の笑み。
「我が王家の威光、このようなくすんだ炎に焼かれるものではないわ!」
「とりあえず、大丈夫そうですね。それなら……!」
 少なくとも、自分が助ける必要は無いだろう。
 そう理解した望は、当初の予定通りに猫を集めて、自分の力も乗せた全力の魔法を放ちます。

「踏破、栄光、光……それがあなたの望みなら、一時的に夢くらいは見させてあげましょう」
「ヌウ……!?」
 オブリビオンに当たったそれは、肉体を傷つける魔法ではなく。
 ただ幻を見せる魔法で望が見せた光景、ダークセイヴァー以外ならごく普通の、光ある風景に捕らわれた騎士が、その動きを止めます。
「隙ありです。どうか、その光の中で足を止めたままお眠りを」
「だが、オレ様はこんな所で止まる訳にはいかん、新たな王国を再建する其の日までオレ様は進み続ける!」
 そして、隙を晒したオブリビオンに向けられるのは、望の全力の浄化魔法と、レプリカの血から放たれる高熱の光。
 その二つの光は、騎士の着る鎧と盾を貫き、確かにその継ぎはぎの肉体へと届くのでした。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

高天原・光明
 哀上(f35080)と共に行こう。
 見れば分かる、卓越した技量だろう。だが、邪気に侵されたその身では、いかなる技も鈍るだろうよ。哀上、怖いだろうが踏ん張ってくれ。

 【UC:虚より飛翔せし魔弾】(SPD)を発動。哀上に気を取られて隙を曝している騎士に〈部位破壊〉の〈乱れ撃ち〉だ。霊力で強化した矢の〈貫通攻撃〉で、鎧ごとその肢体を攻撃し〈体勢を崩す〉ように仕向けよう。哀上の勇気を奮った突撃に合わせた〈援護射撃〉だ。貴様の相手は此処にもいるぞ。さぁ、貴様が何処まで行けるか見せてもらおう。

 さぁ哀上、もう止まってもいいぞ。ん? どうした? なんでこっちに!?

(アドリブ連携等全て歓迎です)


溟・哀上
光明さん(f29734)と。アドリブ等歓迎です。
ひえぇ……!こ、こんなのわたしには荷が重……いえっ、がんばらないとですよね……!

防御不可の炎、となれば。あんまり使いたくない技なんですが……UCを発動して、高速飛行で翻弄します。捕らえようと手や武器が伸びてくるなら、急な方向転換によって高圧水流の【属性攻撃】です。
それに、光明さんが作ってくれた隙はもちろん逃さず【シールドバッシュ】の構えで頭部に衝突!
炎にはあまりふれたくないので、すぐに空中に舞い戻って。【継戦能力】を活かし、そのまま何度も衝突を繰り返して撃破を狙います!

こ、これでひとまず……って、やっぱり止まれない!た、たすけてくださぁぁい……!



●先ず馬を射よ
 猟兵たちのユーベルコードによって受けた傷を庇いながら、オブリビオンが巨躯に似合わぬ俊敏な足さばきで距離を置きます。
「ググウウウ……!」
「ひえぇ……! こ、こんなのわたしには荷が重……いえっ、がんばらないとですよね……!」
 痛みと怒りによって漏れる騎士たちの呻き声は、複数人の声が重なったような不気味な声色も合わさり、この常闇に潜む悪魔が唸るよう。
 敵の姿もろくに見えないこの闇の中、恐ろしい声に思わず怯む哀上ではありますが、しかし彼女は自分を鼓舞しながらどうにか盾を構えます。
「見れば分かる、卓越した技量だろう」
 対して、光明が注目したのは先ほどの足運び。
 無駄のない、洗練されたその動きは、目の前の怪物然としたオブリビオンが人であった頃の技量をまだ備えていることの証明でもあるのです。
 この『騎士団』は決して見掛け倒しではなく、纏う炎と共に恐るべき敵として此処に立っているだろうことを光明も十分に理解しております。
「だが、邪気に侵されたその身では、いかなる技も鈍るだろうよ。哀上、怖いだろうが踏ん張ってくれ」
「は、はい……いきましょう、光明さん!」
 それでも、彼らは猟兵です。
 狂い果てた騎士たちを眠らせる為、彼らもまたこの燎原での戦いに身を投じるのでした。

「うう、あんまり使いたくない技だけど……」
 本来盾で敵の攻撃を受け止めて、味方の反撃に繋げる事こそを得意とする哀上ですが、今回ばかりは相手が悪いとしか言えません。
 なにしろ当たった物を燃やすのではなく、問答無用で炎に変えてしまうという力が相手なのですから、『受けて止める』という盾の戦いの天敵と言ってもいいのです。
 しかし、彼女とて世界を救う猟兵なのですから、盾が通じないから戦えぬとは言いません。
「それじゃあ、私が隙を作りますから……よろしくお願いします!」
「ああ、詰めは任せてくれ」
 燎原の闇に溶け込むように姿を隠した光明から、オブリビオンへと視線を移す哀上。
 敵は、宙を駆ける奇怪な馬を呼び出し跨り、上空からの強襲の構えを見せており、このままでは一方的な攻撃を受ける事となってしまうでしょう。
 だからこそ、哀上はできれば使いたくないその力を解き放つのです。

「ぶーちゃんは危ないから盾の内側に居てね……!」
 背負った盾に愛蛇が引っ込んだのを確認した次の瞬間、水が激しく地面を打つ音と共に哀上の姿が消えます。
 それは、盾から放たれる高圧水流による飛翔を可能にする彼女のユーベルコード。その勢いは岩すらも砕き、全力ならば音速を優に超える速度を誇るジェット水流は、オブリビオンが呼び出す馬もゆうに置き去りにする圧倒的な速度を誇るのです。
「――だっ、だれか止めてくださいぃいいーっ!」
 実際、置き去りにしかけました。
 勢いよくオブリビオンの前を通り過ぎ、また戻ってくれば今度は反対方向に。
「コ、コレハ……」
 彼女自身にすら制御しきれていない水流の速度に、オブリビオンもあっけに取られます。
 馬に乗り、すれ違いざまに武器での攻撃を叩き込む正統派の騎士であるオブリビオンにとって、自身を遥かに超える速度で飛び回る哀上は捉えきれるものではありません。
「オノレ、ナラバ捕マエルマデ……!」
 が、彼も今や黒い炎に身を包む異形の怪物。
 自身に宿る炎を広げ、網のようにして哀上を待ち受けるオブリビオン。その炎に触れてしまえば、それがどれだけ一瞬でも彼女の身体を侵食し、取り込んでしまうでしょう。
「か、回転……!? 分かったよぶーちゃん!」
 ですが、彼女一人であれば勢い余って突っ込んでしまったかもしれない炎の壁も、盾の内側に潜む蛇には見逃す方が難しい代物。
 友達の指示に応じて水流を操作する哀上は、その速度を回転力に変えて、勢いよく水流をまき散らしながら急減速を行います。
「小癪ナッ!」
 その水流はオブリビオンにも当たり、空に立つ馬の上で彼は大きく体勢を崩します。
 しかし、あくまで姿勢を制御するための水流はダメージにはならず、かえってオブリビオンの怒りを煽ることとなるのです。

 さて、優れた狙撃手が一方的に敵を屠る者だとするならば。
 闇に消えた光明は、まさしくそれに相応しいのでしょう。

「――ナ」
「隙だらけだな」
 オブリビオンがまず感じたのは、奇妙な手ごたえの消失。
 馬を駆る手綱が切れたと気づいたのはその次で、切れたのではなく射抜かれたと知り。
 ようやく光明の攻撃に気付いた時には、二の矢が届く寸前でした。
「貴様の相手は此処にもいるぞ。さぁ、貴様が何処まで行けるか見せてもらおう」
「グゥ、マズイ……!?」
 どこからともなく聞こえる挑発の声に構う余裕もなく。
 次々に突き刺さる矢が鎧を砕き、鐙を壊し、馬を射て、オブリビオンの巨大な身体を空中でぐらつかせます。
 それでもなおどうにか馬上に留まるオブリビオンの技量も優れたものではありますが、先の戦いで脳の一つを失った彼の処理容量を越えた攻撃に、哀上から身を守る炎の壁を解いてしまったのなら。
「い、今なら……!」
「ギ、ガアアアア!?」
 空中から、水を纏った盾での体当たりを受けた騎士は、とうとう馬から引きはがされてしまいます。
 そして、単独では飛行できない彼は当然、重力に引かれるままに地に落ちて……。
「将を射んと欲すれば先ず……地に落ちれば脆いものだ」
 光明の呟きをかき消したのは、巨大な鎧を着こんだオブリビオンが地に叩きつけられる轟音でした。

「さぁ哀上、もう止まってもいいぞ。ん? どうした? なんでこっちに!?」
「やっぱり止まれない! た、たすけてくださぁぁい……!」
 一度奇襲を決めたなら、二度繰り返すのは悪手です。
 ひとまず引いて体勢を立て直そうと考えた光明の撤退は、彼の予想に反した速度で為されることとなりました。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

フォルク・リア
「死体を繋ぎ合わせたような異様な姿。
此処を訪れた者の成れの果てだと言うのなら
俺の先達とも言えるか。」
「なら敬意を表して、しっかりと送ってやるとしよう。」

真の姿を解放し血煙の様なオーラを纏う。
敵の攻撃を回避する為に、そのオーラの大部分を
速力に回して敵の攻撃の射程外に逃れる様に走る。
【暗視】で周囲の状況を確認し
走りながら敵の動きを【見切り】。
地面に零下の碧玉を転がして
敵に感知されない様に闇に隠し
【念動力】で操り敵の足元へ
敵の足元に近づいたら零下の碧玉の冷気を解放。
足を凍り付かせ隙を作り
ディメンションカリバーを発動。
魔石をスカイロッドに搭載して風の斬撃を放つ。
「その無念も怨念も黒炎ごと断ち切る、」


リーヴァルディ・カーライル
…生半可な攻撃は黒炎に取り込まれて敵を利する事になる

…ならば、全身全霊を込めた一撃で決着を付けるまで

闇の精霊を降霊した「精霊石の耳飾り」を用いて周囲の闇を暗視して索敵を行い、
無数の残像を囮にする「写し身の呪詛」による集団戦術で敵の攻撃を受け流しUCを発動

大鎌に6種の「精霊結晶」と吸血鬼化した自身の全ての魔力を溜めてなぎ払い、
限界突破した混沌のオーラで防御を無視して敵を消滅させる黒光の奔流を放つ

…我が手に宿れ、原初の理。全魔解放…ヘプタ・グラマトン

…お前が求めた栄光が何かは知らないけれど、
そんな姿に成り果てて手にするものでは無かったはずよ

…この一撃を手向けとするわ。眠りなさい、安らかに…


瀬河・辰巳
この世界にも、何処かに素敵な場所がきっとある。そんな気持ちは分かるけど。今はただ戦うしかないよね。

炎回避のためにもあまり近寄らない・回復防止で吸収させる物をあまり与えないのが一番かな。

真の姿のため、回避には適宜空中も使用。
初手からUCで馬ごと灰化させ、機動力を削ぐ。たまに途中で気付いて身体を切り落とす奴もいるけど、まあ一時的に機動は落ちるかな。
メインは弓での遠距離で、隙ができたら手持ちの狩猟刀を投げて一部を切り落としてやろう。鎌での追撃は弓矢の状態次第かな。

黒炎ってこの世界あるあるなのか?こっちも怨みが形作った地獄の黒炎だし。まあ、この世界自体、光もなくて冥府みたいなもんだけど。



●終着点
「ウウ、オオオオ……」
 猟兵によって燎原の大地へと叩きつけられたブラッドスピットナイツが、ふらふらと立ち上がります。
 大きな身体に鎧を着こんだ彼の自重は極めて重く、その身体にはオブリビオンにとっても無視できぬダメージが刻まれているはずです。
 しかし、寄り合い混ざり、ただ一人のオブリビオンになってなおこの地に立ち続けた騎士団の執念は、未だ折れることはありません。
「マダダ、我ラハ何ヲ犠牲ニシテモ、コノ地ノ先ヘェェェ!!!」
 傷つき倒れた怪馬をユーベルコードによって再び呼び出し、失われた武装も何処からともなく現れます。
 最後にその身に刻まれた呪詛を薪にして、ますます激しく燃え盛る黒い炎を身に纏ったその姿は、いよいよ人ならざる怪物の姿でありました。
 そして、それに対峙するのは、吸血鬼の血を引く三人の猟兵。
「死体を繋ぎ合わせたような異様な姿。此処を訪れた者の成れの果てだと言うのなら、俺の先達とも言えるか」
 目深にフードを被った青年は、炎に包まれた怪物ではなく、自分たちの先人としてそのオブリビオンを見つめて。
「……お前が求めた栄光が何かは知らないけれど、そんな姿に成り果てて手にするものでは無かったはずよ」
 ひと際小さな少女の猟兵は、騎士の叫びを静かに否定し。
「この世界にも、何処かに素敵な場所がきっとある。そんな気持ちは分かるけど」
 最後は、地の果ての闇より暗い影を纏った男が、騎士たちの祈りを認めたのちに。
「今はただ、戦うしかないよね」
 その呟きを合図に、猟兵とオブリビオンは最後の戦いを始めるのです。

「さて、相手の性質を考えるに、一所に固まるのは危険だね」
「炎の回避のためにもあまり近寄りたくないけど、同意見だ」
 オブリビオンが武器を振り上げると同時、まず動き出したのはフォルクと辰巳です。
 真の姿に付随して現れた血煙のようにも見えるオーラを推進力に変え、敵の駆るスレイプニルにも比する速度で地を駆けだしたフォルクに対し、同じく真の姿を解放した辰巳は背の翼を広げて空へと舞い上がります。
「二人がそうするなら、私まで駆け回ってはお互いの邪魔になるだけね……」
 そして、唯一動きを見せないリーヴァルディの姿が揺らげば、その影は幾人分にも増えて敵の攻撃の対象を定めさせません。
 三人の猟兵はそれぞれの手段で敵の攻撃を回避する構えを見せますが、様々な攻め手を持つのはオブリビオンも同様です。
「駆ケヨウガ増エヨウガ、同ジ事ヨオ!」
 掲げた武器に黒炎を宿らせるオブリビオンは、駆ける愛馬の勢いのままに辺り一面に武器を投げ始めます。
 無論、回避に専念した猟兵たちに適当な攻撃が当たるわけは無いのですが、下手な鉄砲も数を撃てばと申します。
 加えて厄介なのは、やたらに武器を取り出しては投げるものですから、猟兵を近づけさせない牽制としても機能してしまっているのです。
「……一足跳びに倒すわけにはいかなさそうね」
「なら、まずは足だ」
 投げられた斧の直撃を受け、掻き消えていく残像を横目に呟くリーヴァルディに答えるのは辰巳。
 言うや否や、彼に付き従ういびつな形の影から噴き出すのは黒い焔です。
 オブリビオンの無差別にまき散らされるものとは異なり、時に鹿の、時に狼と様々な獣の形に変じながら奔る焔が狙うのは、オブリビオンの機動力となる八本脚の馬でした。
「グゥ、マダマダァ!」
 足が灰となって朽ちていく馬が嘶きと共に倒れ、しかしオブリビオンはその前に飛び降りて自身の転倒を防ぎます。

 ですが、次の瞬間に彼を襲うのは、黒い炎に飲まれてから久しく忘れていた冷気の感覚。
「悪いな、罠にかけさせてもらったよ」
「いいね、これで完全に足は止まる」
 その原因は、フォルクがこっそりと念動力で地に撒いていた魔性のサファイアです。
 主の合図でまさしく死人すら凍える冷気を発したならば、それはオブリビオンすらも凍らせて縫い留めてしまう魔術の罠となるのでした。
 オブリビオンが悪あがきのように武器を投げつけようとも、馬の勢いを失ったそれは猟兵を屠るには心もとなく、容易に回避されてしまいます。
「さあ、これで……」
 お終いだと、誰ともなく呟こうとしたその時でした。
「オ……終ワラン! 我ラノ行軍ヲ、マダ終ワラセテタマルカァァァ!!!」
 これまででもとびきりの雄たけびと共に、オブリビオンの身体全体が激しい業火に包まれます。
 騎士自身の身体をも焼き尽くす勢いの黒い炎は瞬時に氷を溶かしてしまい、騎士は再び武器を手に猟兵へと迫ります。
 これほどの炎では馬を呼び出すことはできないでしょうが、防御不能の炎に身を包んだ巨躯はそれだけで脅威となるのです。

「いや、終わりさ。ようやくな」
 その言葉と共に放たれた二本の矢。
 踏み込みに合わせて顔に放たれた辰巳の矢はオブリビオンに突き刺さる前に燃え尽きてしまいますが、数瞬だけ騎士の注意が彼へと注がれます。
 もはや物理的な刃はオブリビオンには届かないのかもしれませんが……猟兵たちには別の力が備わっておりました。
「広大なる大空の力を内包せし魔なる欠片。この手に宿りてその力を示し。聖も魔も、絹も鋼も等しく断ち切れ」
「……六色の精霊の息吹と、我が血の魔力を以て、来たれよ混沌」
 一つは風を湛える空の力。距離をも超越しその空間そのものを別つ魔石の力。
 一つは全てを飲み干す混沌の力。己が全ての力を解き放ち、あらゆるものを無に帰す魔性の力。
 辰巳に注意を向けたオブリビオンに放たれる二つの断絶のユーベルコードの切っ先は、既に騎士の喉元へ。
「……この一撃を手向けとするわ。眠りなさい、安らかに……」
「その無念も怨念も、黒炎ごと断ち切る」
 二つのユーベルコードは、黒炎を突き破り、騎士の身体を十字に裂いて。
 致命的なダメージを負ったオブリビオンが走る勢いのまま崩れ落ち、制御を失った黒い炎に飲まれ消えゆくその刹那。

「――嗚呼、そこに居たのか、友よ」

 これまでの重なった叫びとは明確に異なる、一人分の穏やかな呟き。
 斬り裂かれた半身へ呼びかけた騎士は炎に消え、骸の海へと帰っていくのでした。

●燻る
「――黒炎ってこの世界あるあるなのかな?」
 オブリビオンを撃破し、グリモアベースに戻るその間際。
 もはや騎士に宿って襲いかかることはなく、しかし燻ったまま残る炎を見つめて辰巳は呟きます。
「さあ……それも含めてこの地を調査するのが、私たちの目的よ……今は脅威を除くので精一杯だけれど」
 それに首を振りながら答えるリーヴァルディも、炎には近寄らずにそれを見つめて。
 あの騎士が居なくなったとしても、別のオブリビオンが現れぬ保証は無いのですから、グリモアベースへの転送が完了するまで警戒を解かぬよう、鋭い目で闇へと視線を映します。
 しかしその先は、いくら目を凝らしても見通しきれぬ深い闇。
「……光もなくて冥府みたいなもんだよね、この世界」
 ふと漏れたのは、自分が使う地獄の黒炎にこの地の炎を重ねた辰巳の呟き。
 物騒ながらもどこかしみじみとした雰囲気に、近くに立っていたフォルクの笑みも零れます。
「物騒ながら的を射ている……けど、冥府で終わらせないためにあの騎士たちが居て、今は俺たちがいるんだ」
 此処で終わりではないと語るその言葉に、二人も頷いて。
 やがて彼らを照らす異界からの光が周囲を飲み込み、彼らをこの世界から連れて行ってしまいます。

 そうして残るのは、ぱちぱちと炎の爆ぜる音だけが響く常闇の燎原。
 生命の気配のない地の果てで、猟兵たちの取り戻した騎士たちの安寧だけが続いていったのでした。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年11月22日


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#常闇の燎原


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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
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 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は死之宮・謡です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

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 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はナギ・ヌドゥーです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


挿絵イラスト