アポカリプス・ランページ⑯〜隔靴搔痒
●グリモアベースにて
「よう来てくれた」
深々とした辞儀で皆を出迎えた久礼・紫草(死草・f02788)の持ち上がった容には、深々とした皺が刻まれてる。
「歯がゆい話じゃわい」
老齢故に皺だらけだが、眉間の深みはそれとは違う。忌々しげに白髭の口元を下げて翁は本題に入る。
「此より語るのは、アポカリプスヘルの戦の予知じゃ」
『フィールド・オブ・ナイン』の1体にして、自身が創造した超巨大コンピュータの生体コアでもあるマザー・コンピュータ、それが此度の敵である。
あらゆる物質・概念を『機械化』する事が出来る彼女は、デトロイトの都市全てを『増殖無限戦闘機械都市』に作り替えて待ち受けている。
「此奴め、儂もろとも珍妙な『機械都市』とやらに閉じ込めてきよる」
一度だけ腰にさした柄を撫で紫草は今一度「歯がゆい」と繰り返す。
「敵よりの攻撃は儂を狙う、じゃが儂は討って出る事が叶わぬ」
己に掛かる火の粉は己で払うが信条、だが今回に限ってはそれは愚策。
予知した自分が討ち取られてしまったら、援軍の猟兵を呼べぬし、何より皆の帰路が途絶えてしまう。
――この説明は、皆に対するものでは勿論あるが、己を納得させるものでもある。
「儂は現場では防戦一方となる。どうかお主らは儂を殺させぬよう立ち回り敵を討ち取ってはくれぬじゃろうか」
最初の辞儀より深く頭を垂れる。
「儂とてそう簡単には死なぬ。むしろ防戦とかこつけお主らの援護が叶えばやりたい腹よ」
風呂敷で足を引っかけたり、猟兵らの方へ斬り飛ばしたり蹴飛ばしたりと……まぁ物心ついた頃から六十過ぎても戦場にいた爺だ、皆が望めばそれぐらいはやる。
「考えようじゃな。いつもはもっと遠くで見守るしか出来ぬが、今回は死合場に近いとも言えるわい」
とはいえ、血気盛んに出過ぎて皆の足を引っ張るのは愚の骨頂、それは心得ている。
「さて話が長うなったのう」
紫草はグリモアを起動して『罠籠』への路を開く。
「立派な殿様でもなけりゃ傾城の姫君でもない、護り甲斐のない爺じゃが、何卒頼む」
●増殖無限戦闘機械都市一角にて
「ようこそ、猟兵。私の理論を訂正させる存在の来訪を心より待っていました」
マザー・コンピュータは台詞とは裏腹の無機質な声音で出迎える。
朱色の髪の全ての房がプラグとなり地表の機械へ差し込まれているが、彼女は自由に戦場を跋扈するのだろう。
此処は彼女の庭だ。
「未だ時間は流れ続けています、故に足りません」
永遠と名付けた停止の刻、そこならば無限の思索が叶う。
「猟兵、あなたたちは除去すべきバグのようなもの。全てをこの場で抹消します」
増殖を招くグリモア持ちの翁を見据えたのが開戦の合図だ。
一縷野望
オープニングをご覧いただきありがとうございます、一縷野です
既にプレイングの受け付けを開始しております
>採用人数
4~8名様程度、体調次第で+α
先着順ではありません
>執筆について特記事項
大変申し訳ないのですが、ワクチン接種があるため【22日夕方~25日一杯までは執筆不能】となる公算です
21日に最大3名様までを書き、残りの方のプレイングはお返しすることとなります
再送、オーバーロードの有無は皆様にお任せします
(オーバーロードありなしで採用率に差はありません)
※プレイングの受付締切は『25日以降』に、リプレイを投稿して締め切る予定です
>同行
2名様まで可能です
冒頭に【チーム名】を記載してください
>プレイングボーナス
『グリモア猟兵を守りつつ、増殖無限戦闘機械都市の攻撃を凌ぎつつ、マザーと戦う』
>紫草について
プレイングでお声がけいただければ、出過ぎぬ範囲の共闘を行います
プレイングボーナスを取得するための一方的な守護でも勿論OKです
以上です
皆様のプレイングをお待ちしております
第1章 ボス戦
『マザー・コンピュータ増殖無限戦闘機械都市』
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POW : マシン・マザー
全長=年齢mの【巨大戦闘機械】に変身し、レベル×100km/hの飛翔、年齢×1人の運搬、【出現し続ける機械兵器群】による攻撃を可能にする。
SPD : トランスフォーム・デトロイト
自身が装備する【デトロイト市(増殖無限戦闘機械都市)】を変形させ騎乗する事で、自身の移動速度と戦闘力を増強する。
WIZ : マザーズ・コール
【増殖無限戦闘機械都市の地面】から、対象の【猟兵を撃破する】という願いを叶える【対猟兵戦闘機械】を創造する。[対猟兵戦闘機械]をうまく使わないと願いは叶わない。
👑11
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栗花落・澪
マザーの技は、「機械都市の地面から武器を創造する」もの
であれば、一部でもその地面自体を塗り替えてしまったら?
自身を【オーラ防御】で護り【指定UC】発動
木々を攻撃の盾に
花粉はマザーさんへの目晦ましに
兵器が自動制御じゃなく手動操作なら
久礼さんを見失ったら攻撃も出来ないね
それとも森ごと狙う?
どうぞご自由に
範囲技になるから久礼さんには防御に徹してもらいたい
自ら囮になるように【空中戦】
【高速詠唱】で炎魔法の【属性攻撃】を撃ち
周囲の武器を次々誘爆させつつ
風でマザー周囲の花粉の密度を上げていく
火炎系武器でも使ってくれないかなー
ダメなら自分で引火させるまでだけど
花粉に炎をぶつけ
マザーごと巻き込む粉塵爆発
●
「久礼さんは防御に徹してください」
無機質で無遠慮な灰色の世界に、花色の羽根が舞い踊る。
先陣切って躍り出た栗花落・澪(f03165)は、聖痕を起点に力の奔流を作る。
マザーは機械都市の地面から武器を創造する、では地面自体を別のものに塗り替えればどうなる?
澪の足を飾る羽根の靴が、こつんと床を叩く。刹那、波紋めいた緑が拡散をおこした。周囲には青い臭いがむせ返り、虹色の花がこの世の春と咲き誇る。
「ほぅ……此は此は。あい、承知した」
「成程、非常に的確な作戦ですね」
翁とマザーが漏らすのは、感嘆。
――これは「どこにでもある花園」だ。だがここに花園があることこそが埒外の証である。
急成長の木々や蔦に囲われて紫草の姿は完全に見えなくなった。
「やっぱり手動操作か。久礼さんを見失ったら攻撃も出来ないね」
「……仕方がありません。まずはあなたから排除します」
マザーは淡々とした所作で透明壁に手のひらを滑らせる、しばしの間の後、草と土塊がへばりついたコードが顔を出した。澪へと襲いかかるのだが、速度は随分と遅いため、オーラで容易く弾き返せる。
「これが狙いだよ、いくらでも僕を狙うといい」
ぽふりぽふりと虹色の花が花粉をまき散らす中、細い蔦の上につま先立ち。
「……干渉率78.68%……調整……」
ぽふんっ、とこれ見よがしの花粉に眉をしかめるも驚異ではないと判断。
「目くらましは無駄と知りなさい」
もうもうと花粉が立ちこめる中、瞳を潤ませて両手を滑らせる。すると左右前後から澪の逃げ場を奪うようにコードの束がせり出してきた!
速い、これが本来の速度なのだろう。
だが澪は上方に飛ぶとコードを踏んで宙返り。翳したStaff of Mariaの先には既に烈火の塊が生じている。
炎は澪の足に絡みかけた先っぽに着火し導火線の要領で根元にて爆発する。
「これは……爆発の規模が大きいです。成程、原因は……」
「わかっても手遅れだよ」
マザーが対処をする前に、澪は粉塵に向け一輪の炎を放つ。
「く……ッ」
守護にと招聘した機械も全て巻き込み、花粉を媒介した炎は極大の花を咲かせたのであった。
大成功
🔵🔵🔵
備傘・剱
グリモア猟兵も一緒とは、これまた度胸があるのか、後先考えてないのか…
猟兵二人を相手にできるその余裕、ちょいと後悔してもらわないとな
って事で、まずは、護霊亀、発動!
メダルを久礼に渡して、いつでも発動できるようにしておくぞ
そして、式神とパンドラゴラを作戦補助の為につけて、サポートを頼むぜ
さて、増殖型って事は、これ全部、どこをとっても敵の体といっても過言じゃないわけだ
って事で、全兵装兵器、機動!
呪殺弾、斬撃波、衝撃波、誘導弾、頭の上の一足りないのダイス、ブレス攻撃をまき散らしつつ、本体へ肉薄して、二回攻撃に、鎧砕き、鎧無視攻撃、そして、天罰をつけて思いっきり殴ってやるぜ
アドリブ、絡み、好きにしてくれ
●
「久礼、これを持っていてくれ」
「ほうほう、此は亀かいの?」
この状況でも鉄の空にすかす余裕に備傘・剱(f01759)は小さく吹き出した。
「鶴は千年亀は万年って言うだろう? 守護は任せてくれ」
紫草の背に透明の甲羅を顕現する。
「あとは猟兵二人を相手にできると踏んだその余裕、ちょいと後悔してもらわないとな」
「応、儂も同じ事を考えておったわい」
煤だらけの頬を拭わずに、マザーは機体の車輪をブーストさせると2人の間に割り込んだ。
だが、有象無象に伸びたコードは紫草に当たらず弾かれる。
もう一方は、剱の頭の上にいる『妖怪一足りない』と『パンドラゴラ』が霧雨と炎を吐きつけて、炎天下の棒アイスに変えて退けた。
「肉弾戦希望かい? 近づいてくれたのは手間が省けるな」
返し刃でワイヤーワークスを機体の隙間にねじ込んで、他方で握る幻惑の光をつっこみ太ももに突き立てた。
「……ッ」
剱はバク転、引いてからすかさず、Orthrusの刃を水平にし空間を上下に割る。
「どこを見ているのですか?」
指摘通り、生じた衝撃波はマザーではなく明後日の方向に二、三、四と飛んでいく。だが剱は不敵に口元を歪めたままだ。
先に剱の狙いを悟った翁はにやけ口を白髭に隠す。
衝撃波が吸い込まれて一拍、元は高層の建物だったであろうネジやらジャンクの塊がなだれた。
マザーは躰の遙か先端が痺れ押しつぶされる痛みに鼻を鳴らす。
「増殖型って事は、これ全部、どこをとってもアンタの体といっても過言じゃないって読みは当たったな」
二、三、四と崩れ同じ濃度の苦痛に見舞われるも、マザーは空空寂寂。
「再計算の必要もありません」
機体の腕を振り仰いだ先に居たのは果たして、ケタケタ笑うカボチャのお化け。これが囮の虚仮威しとわからぬマザーではない。しかし、
「遅いのぅ」
翁の声より先んじてガラスの破砕音。既に肉薄していた剱はマザーの眉間に刃を刺して一言。
「後悔させるって言っただろ?」
大成功
🔵🔵🔵
御園・桜花
「どうせなら防御と攻撃を兼ねて、同乗しませんか、久礼さん?」
「私はマザーの事をもっと知りたくて、彼女の欠片を集めています。貴方が同乗すれば、彼女は積極的に此方を狙うでしょう?死中に活を求めては如何です?」
他の猟兵の効果的な援護があるなら無理強いしない
「其れではマザーと死合に行きましょう」
UC「出前一丁・壱」
セントメアリー・ベースで拾ってきたマザーの歌声流しながら吶喊
マザーへのルートは第六感で選択
敵の攻撃も第六感や見切りで躱し合間に軽機関銃で銃弾ばらまく
威力が高い攻撃が必要な時は高速詠唱で精霊召喚し属性攻撃
「今の貴女は決して真意に辿り着けません。其れでも願うなら、1度骸の海に還ってからお戻りを」
●
体勢を立て直すため、マザーは地表の機械の群れを引きずりあげるとその奥に身をくらました。
その直後、目に鮮やかなパッションピンクのキャンピングカーが滑り込んできた。
キキィーと老兵の前で止まりドアをあけてひょっこり、甘いお菓子の香りと共に桜色の髪と花びらがふわりんと現れた。
「どうせなら防御と攻撃を兼ねて、同乗しませんか、久礼さん?」
笑顔を綻ばせて御園・桜花(f23155)が手招きするのに、紫草は細い瞳を見開いた。
「私はマザーの事をもっと知りたくて、彼女の欠片を集めています。貴方が同乗すれば、彼女は積極的に此方を狙うでしょう? 死中に活を求めては如何です?」
「其れは愉快痛快、是非に」
馴染みない自動車には戸惑いより好奇心が勝った。更に、座して待つより性に合っている作戦の提案は大歓迎だ。
「其れではマザーと死合に行きましょう」
スイッチぽんで機運をあげるは大音量の清廉なる声の歌声である。
「此は?」
「本丸の彼女のかつての歌声です。捕まってください、ね!」
吶喊!
ギアを入れアクセル踏み込み急発進! マザーの元へ行くのを阻まんとするコードの群れを跳ね飛ばしキャンピングカーは迷いなく征く。
「行方の見当がついておるのじゃな」
「いいえ、第六感です」
ギュンッとハンドルを切り右旋回。
「でも、当たっているようですね」
紫草を狙い被さる触手が一気に増えた。ガシャンとガラスを割り侵入してきた。
「伏せてください」
片手にハンドル、他方にLMG。桜花は翁に覆い被さる形で乗り出すと車内で蠢くコードを銃身ではじき返しまとめるとトリガーを引き絞る。
直後に耳をつんざく銃撃音! ぷちぷちと弾丸の嵐に機械どもが食いちぎられ、ひらけた先には果たしてマザーがいた。
かつての歌声に眉を軽く顰め無言でこちらへ突撃してくるのも予測済み。
口元で丸めた召喚文言、精霊の起こす烈火は桜の花びらに飾られて炸裂した。
「今の貴女は決して真意に辿り着けません。其れでも願うなら、1度骸の海に還ってからお戻りを」
大成功
🔵🔵🔵
グァーネッツォ・リトゥルスムィス
真理を求めるのに時間かかるなら次の世代に託せばいいのに
信じられる人も探さず世界を滅ぼすなんて身勝手だぞ!
猟兵達を巻き込まない様に攻撃回数も兼ねた大量の『トーメントトルネード』による竜巻群での巻き込みで
紫草を襲おうとする機械を倒したり銃弾砲丸を防いで守りながら
オレ自身も機械の地面や建物ごと回転攻撃で進みながらマザーを探すぞ
どこだー、でてこーい!
マザーを見つけたら竜巻群でマザーより出現し続ける兵器群をあえて巻き込み続け、
竜巻の限界を見極めてからオレも竜巻群に飛び込んで、
防衛と探索中に既に巻き込んでた機械や武器兵器の塊を連続で叩き飛ばしてマザーにぶつけてやる
お前が作ったんだからお前が始末しろだぞ!
●
「次から次へとキリが無いですね。ならばこちらも同じ手で対抗しましょう」
マザーは一瞬で巨大化し無数の兵器をばらまいた。目くらませ充分と床を跳ね、機体は遙か天空に飛翔する。
「ぬう」
「こりもせずにまた隠れたのかー!」
唇をへの字に曲げる老兵の脇で拳をぶんっと振り上げたのはグァーネッツォ・リトゥルスムィス(f05124)である。
あいつには言ってやりたいことがあるのに速攻で姿を消されたと、むぅと頬を膨らませる。
しかし怒ってばかりもいられない。マザーの置き土産の兵器は、統率のとれた動きでもって紫草へと襲いかかろうとしているではないか!
「紫草、下がって」
そうして胸の前でゆるく握った拳を上下に連ねる、そこには幽冥竜槍が握られているのだが、その名の通り周囲の空間に溶け込み視認は難しい。
「はぁああ!」
片足立ちでくるり、周囲の空間をかき混ぜたちまち多数の竜巻を作り上げた。それらは生き物のように機械どもを吸い込み螺旋とす。
「どこだー、でてこーい!」
「常識では考えられぬ程上方に飛んだ模様じゃな」
手を翳し空を仰ぐ紫草。
「なら、どちらが常識外れか力比べだー!」
カンッ!
グァーネッツォは槍を支柱に床に差すと、自ら駒のように回りはじめる。かき混ぜられた空間は広く天高く渦を巻き、先ほど生み出したものとは比べものにならぬ巨大な渦巻きとなった。
ぐ、と、竜巻の根元にいるグァーネッツォだけが気づく、引っかかり。
「……つかまえたぞー!」
直後、玩具めいた粗雑さでマザーの乗った機体が落ちてきた。
がんっ! と斜めに落下の無様さを、グァーネッツォは豊かな胸を反らしねめつけた。
「真理を求めるのに時間かかるなら次の世代に託せばいいのに、信じられる人も探さず世界を滅ぼすなんて身勝手だぞ!」
「……ッ、他者の介在は、必要ありません」
跳ね起きたマザーの機体へ小さな竜巻が蓄えていた兵器が次々に雪崩掛かった。対処などさせぬと猛攻緩めぬグァーネッツォ。
「お前が作ったんだからお前が始末しろだぞ!」
まさに正論。
大成功
🔵🔵🔵
鎹・たから
誰かに危険が迫っているのなら
危険から救うのが正義の味方です
どんなに強いヒーローだって
仲間が居たほうが何倍も強いのです
紫草とたから自身に雪のオーラの膜を張り【オーラ防御
彼を背に守る形で防戦
万一彼が傷つく前に身を挺してかばいます【かばう
問題ありません
この程度、たからはへっちゃらです
出来る限り敵を視界におさめて
氷柱による範囲攻撃で兵器達を貫き破壊【念動力、貫通攻撃
周囲が空っぽになって
マザー自身が此方へと来たならそれで十分
紫草、少しだけ援護をお願いできますか
素早く駆けてマザーの騎乗する足元へ【ダッシュ、残像、忍び足
手裏剣を二度投げ足元を崩してしまえば【暗殺、2回攻撃、早業
彼女の瞳に氷柱を飛ばします
●
数の暴力。
矢継ぎ早の猛攻を辛うじて斬り伏せる紫草は、突如割り入った華奢な背中に救われた。
「かたじけない」
「問題ありません。この程度、たからはへっちゃらです」
身を挺す代償で尖ったコンセントに頬を斬られるも、鎹・たから(f01148)は欠片も怯まない。
「誰かに危険が迫っているのなら、危険から救うのが正義の味方です」
たからの宝は子供だ。
だが、かつては紫草のような大人がたからの未来を作ってくれた。
……そうやって“誰か”はきっとたからにつながっている、だから護る。
「どんなに強いヒーローだって、仲間が居たほうが何倍も強いのです」
雪を翳し退けて口元を綻ばせたならば、白髭の元より笑みが返る。
「紫草、少しだけ援護をお願いできますか」
「喜んで助太刀いたそうぞ」
たから殿を強くと念じ、紫草は野太刀にて力任せにコードの群れ彼女の視界へと押しやった。
「感謝です」
灰色ごつごつの床を踏み切ると同時に、視界全体へ凍てつきを放つ。氷点下に落とし込めば物体は全て脆きに堕する。たからは体当たりで全てを崩しマザーへと肉薄する。
「下がりなさい」
やや余裕を失った声と共に振りかざされた両腕も、たからを止められない。
「下がりません」
畏れなく留まり放った手裏剣は足場を戒め、マザーに繊細な軌道修正を押しつける。
「……あなたのペースには巻き込まれません」
「だから負けるんですよ」
マザーのフラットな眼差しを、瞬きもせずに捉えるたからの瞳は黒くも熱い。
「力任せに振り下ろした方がそちらに勝ち目がありましたよ」
そう、精密でなくても鈍重な拳はたからをしこたま打ち据えたことだろう。
とはいえ、元より肉を切らせて骨を断つつもりである――結果は、変わらない。
氷柱を連ねてガラスを破壊、破片が飛び散ってもたからの瞳は決して閉ざされない。
「! ……ッあぁ!」
故にユーベルコードは完成する。
左目に突き刺さった冷たい棘にのけぞる裸体。
対するたからも硝子で同じ瞳の瞼を傷つけられて血を零した。だがなおも視線にブレはない。
「がむしゃらじゃのう」
好ましいと背後から翁の笑い声、正義の味方が護った命だ。
大成功
🔵🔵🔵
待鳥・鎬
※連携歓迎
優先事項は、紫草さんの安全>マザー撃破>他
歴戦の剣豪に対して僕なんかがとは思うけど、幾ら何でも多勢に無勢だ
光学【迷彩】効果を付与する「山吹」を紫草さんへ
敵の狙いを躱しやすくなるかと
きちんと袖を通せば戦いの邪魔にはならないと思います
……女性もので少々申し訳ないですがっ
UC発動
真の姿の翼と「鋼切」に相棒の力を乗せて
宜しくね、杞柳!
紫草さんの元へすぐ駆け付けられる範囲内で【空中戦】しつつマザーを探す
3秒もあればUCで1km以上は飛べるから、まぁ2~3km程度は大丈夫かな
何かあれば全力で【かばう】心算
基本戦術は超音速飛行を活かしたヒット&アウェイ
【メカニック】知識で戦闘機械の基幹部分を狙って【切断】
マザーは出来るだけ一気に攻めたいけど……
守りが堅いようなら、まずは機動力を担う脚部や動力部を
隙が生まれれば、彼女を囲う外殻ごと一息に【貫通攻撃】
探求心は分かる
でも、オブリビオンと化した君のそれは最早、他人の迷惑顧みず好きなことだけしたいと駄々をこねる子供と同じだ
お好きなように、とはいかないな
●
マザーを囲む硝子の籠はそこいら中に罅だらけだ。
「……ッ、く……ぅ」
なにより、額や右目をはじめ猟兵らの猛攻でたらされた傷が罅以上に深刻である。
けれど、優勢に立てた時の気の緩みが敗北につながるのだと、待鳥・鎬(f25865)は危惧をする。
実際、マザーは未だに数多の兵器を操れる。雲隠れし起死回生のチャンスをうかがっているに違いない。
歴戦の剣豪に対し差し出がましいかとの気遣いを押して、鎬は八重山吹の艶やかな羽織を脱いで差し出した。
「紫草さん、こちらを」
女性もので申し訳ないと口元を崩す様に、紫草は一礼すると広げ袖を通す。遠慮の押し問答は無駄の一言に尽きる。
枯れた地に咲く金色の花は艶やかに目につく。しかし、マザーの指令を背負いてくるコードの群れは、明らかに紫草を見失い明後日の方向に身を叩きつけている。
「かたじけないが、鎬殿はこの守護を失っても大丈夫かのう?」
還暦のちゃんちゃんこのように微笑ましい姿での問いかけに、おっとりと頷く。
「大丈夫です」
目を閉じて、精神の底へ吸い込んだ大気は些か鉄くさかった。
機械と血、無機物と生き物の生じさせた物体を、元は物品であった己へ巡らせる。
八重山吹の髪飾り解け薬花へと変ずる。背にはこの街では失われた豊かな緑が翼と繁った。
それらに鎬が――掬い匙が――触れるのはいつも一瞬。だが、量をはかりとり調合されねば、薬草は人を救える薬になれない。
人の姿で泣き笑い誰かの無事を願う鎬の本質は、真鍮の匙であった頃から何も変わりはしないのだ。
「おお、これは見事な! 辛気くさいこの景色には些か辟易しておったのじゃよ」
秋色に染まる杞柳がまた実りの鎬によく馴染む。
「宜しくね、杞柳!」
喉の下を擽れば、心地よさげに目を閉じる有翼の蛇。最後にすりっとなごりを惜しむと、小さな翼をはためかせた。
「マザーを探しに行ってきます。何かあればすぐに駆けつけますから……」
「安心めされい。この爺、其方の守護を賜っておる、そう簡単には斃れぬわい」
山吹の扱いに慣れつつある老兵は、足音忍ばせうまく離脱してみせた。
「わかりました」
安堵と共に因縁有りの打刀を握ると、杞柳の力を借りて一足飛びに、飛翔!
眼下では、赤黒く翳る灰色の中、八重山吹が目立つ。これなら絶対に見失うこともないだろう。此度、一番の優先は紫草の命である。
それを肝に銘じて、鎬は青葉を散らし旋回、鈍色の中で反射光の煌めきを見つけた。
打刀を抱き一直線に急下降。
風切り音は、直後に機器の弾ける音に塗りつぶされた。
「――!!」
バランスを崩した機体の中には喫驚の形に口をあいたマザーがいる。彼女が不意打ちを悟った時には、鎬は再び空の人だ。決して捕まるものか!
「ッ、おっと」
童話の豆の木と見まごう速度と太ましさで伸びてきたコードを、逆に遮蔽に利用して再びの急下降。
無論、紫草も視界に引っかける。いざとなれば身を挺して守る覚悟は固めている。
翁はうまく逃げ更には猟兵が守護についているのを認め、進路変更無しと判断。
マザーが巡らしはじめた頭上の盾をものともせず、微かな隙間より見えた硝子の殻へ突きを喰らわせる。
「きゃぁあっ」
操作盤に伸ばされていた左腕ごと刺し貫くという苛烈な攻撃を見舞った鎬。だが、
「探求心は分かる」
苦渋に塗れるマザーへ向けた眼差しは気遣わしさすら滲む。
知識は身を助く。
良き自信は、他者の力添えを目指す己の基礎となる。
だが、マザーが抱くものは、そんな相互扶助からは逸脱している。
「オブリビオンと化した君のそれは最早、他人の迷惑顧みず好きなことだけしたいと駄々をこねる子供と同じだ」
トリガーを引き絞れば、リボルバーがひとつふたつと回転し、だだっ子を護る殻が崩壊していく。
「だから、お好きなように、とはいかないな」
マザーと名乗りながら未熟で我儘な収奪者は、もはや赦されない。
大成功
🔵🔵🔵
冴木・蜜
護る為の戦いは私の得意とするところです
尤も彼が簡単に仕留められるとは思っていませんが
体内毒を濃縮
久礼さんの安全を最優先
身体を液状化
地を這い目立たなさを活かして物陰に潜み
機を窺いましょう
猟兵たちの隙を狙って
マザーが仕掛けてきたら
身体を捻じ込み庇います
範囲が広ければ身体を広げて対処
物理攻撃ならば問題ない
可能な限り全て引き受けます
無防備だと思いました?
そういう獲物ほど警戒しなければならないのですよ
バグのようなものを相手にするのなら尚更
攻撃を受けたら
被弾で飛び散った身体を利用し
攻撃力重視の捨て身の『毒血』
触れるもの全てを融かし落とす
私に物理攻撃は禁忌です
私は、ただ守る
骸の海で思索に耽るが宜しい
●
上空の味方へ軽く手をあげた後、冴木・蜜(f15222)は己の姿を黒へと解き物陰に潜んだ。
紫草が簡単に仕留められるとは思わぬがこの長丁場だ、流石に息があがり苦しげだ。
「最初からこうしていれば良かったのです」
紫草のいる一帯に巨大な影が落ちる。
「力を行使し押しつぶす」
上空にて、撓る髪の先端は全てプラグイン。暴走ギリギリのエネルギーを注がれ発光する機体は荘厳ですらある。
「!」
瞠目する老兵が発光に晒される、だがすぐに黒にて覆われた。
直後、ばしゃん! では生ぬるい、ばちん! との反発音が場を揺らす。老兵を庇った黒が飛沫に千切れた音だ。
「ッ……これは一体何なのですか? まずいです、制御不能」
飛沫は細部へ忍び溶かし、本体は機体を包むと横への力を掛ける。今までの戦いで様々な部品を欠いた機体は、ひとたまりもなく横転した。
「ッ?!」
庇われたと気づいた紫草だが、眼前の有様に安堵より蜜への心配が滲む。なにしろ、一撃必殺の攻撃を真っ向から食らったのだ。
「大丈夫、です。物理攻撃なら、問題ありません」
白衣姿の上半身だけを再構築し、蜜は精一杯に微笑み無事を知らせる。
痛みはある、しかし粉々になる骨はない。更には蝕みでかなりの相殺も可能だ。
「……なんという捨て身の行動でしょう」
ここまでの自己犠牲は計算できなかったとマザーは唇を噛んだ。
「私は、ただ守る」
「これを守護だと言い張るのですね」
苦悩の中に潜む感嘆、だが理解不能な己の感情を分析する暇は生憎とない。
「私に物理攻撃は禁忌です」
相も変わらず、下肢は平べったい黒のまま機体にへばりついている。質量が目減りするのも厭わず、マザーの左肩まで零れ落ちて毒性を発露させる。
「くっあぅ!」
マザーの悲痛な叫びを前に、蜜は口から零れる黒をゴクリと飲み下した。少しでもかき集めておかないと。
「無防備だと思いました? そういう獲物ほど警戒しなければならないのですよ」
「私が減じていく、やめなさい、やめて……」
蜜の毒によりマザーが欠けていく。
「バグのようなものを相手にするのなら尚更」
慢心し理解もせず戦いを始めたのが、なによりの失敗だ。
大成功
🔵🔵🔵
落浜・語
なんつうか、毎度毎度色んな方法取りやがってまぁ……対応するこっちの身にもなれってんだ。
まぁ、言ったところで何もないんだが。
久礼さんには申し訳ないけれど、見てくれの通り戦うのそこまで得意じゃないんで、かばいには入るけれども、多少は自衛をおねがいします。
そのままじゃ、流石に攻撃を当てられない気がするが……
機械なら電気、もとい落雷直撃とか避けたいよな?嫌がることを全力でやりたいんでね。
仔龍、気にせずどんどん雷落としてくれ。
マザーからの攻撃と無いだろうが万一の誤爆誘電に備えて、自分と久礼さんにはオーラ防御に結界術を応用しながら護りを固める。
深相円環での牽制もしつつ一瞬でも動きが止まるなり鈍くなったなら、UCで宿したモノの呪詛を奏剣に載せて、マザーに吶喊。
右肩の鎮魂疵に小傷を刻んでいれば、重い一撃を食らっても一度なら耐えられれるしな。
そろそろお帰り頂いて、二度と戻ってくんな。
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「なんつうか、毎度毎度色んな方法取りやがってまぁ……対応するこっちの身にもなれってんだ」
そうぼやいたのは落浜・語(f03558)だ。
深草色のベストにループタイ、黒手袋の端を引き確りはめる様からは、彼が出自を含めて噺家にどっぷりとは誰も気づくまい。
「手変え品変えが過ぎるのう」
「まったくだ。でもやっこさんもそろそろ店仕舞いのようです」
仲間の重ねた傷は深い。
一気に詰め寄り殲滅といきたいところだが、生憎と戦い専業ではないこの身だ。
「どうするよ、語殿」
老兵は突撃し斬り捨てたいと柄に宛がう手を震わせている。が、ふぅと大きく息を吐き落ち着かせる。
「逸ってはいかんのう。どんでん返しを招いてしまうわい」
「そりゃ、戦場(ここ)じゃあ洒落にならねぇですね」
噺の場ならば、あっと驚く客のどっと笑いに包まれるものだがそうもいかぬ。いかぬと知るからこそ、語は和装他噺家のものは一切ここに持ち込んじゃあいないのだ。
「……と、いけねぇ、足下の機械やらをひっつけて直しにかかってやがる」
逸る気持ちの突撃を堪えたのは敵も同じだ。
硝子のあった所に鈍色のネジやこれやを連ねて間に合わせの遮蔽をこしらえている。
「仔龍」
そう呼びかけ首元を緩めたら、薄黒の龍がひょこりと顔を出した。
「あいつは機械だ。なら電気、もとい落雷直撃とか避けたい事の筆頭だ」
細い首をきゅいっと傾げた後、仔龍は語の肩を蹴ってマザーの方へと飛び立っていく。
「?」
疑問と同時にマザーが仔龍を捉えんと伸ばした触手には、雷光がぱちん。斥力を利用し離れた仔龍に対し、
「仔龍、気にせずどんどん雷落としてくれ」
そう指示を出す声、同時に、マザーが積み上げた遮蔽の右上が、焦げ臭い臭いと共に弾け飛び、導火線となった触手が半端に焦げた醜態を晒し地表に落ちた。
きゅ、と瞳をとざし、ぱちぱちと雷を重ねる。確かに威力は弱い、が、矢継ぎ早なら機械にとってはタチが悪いことこの上ない。
さて、と語は老兵の袖を引き、誘爆の届かぬ距離のガラクタ山へと引き込んだ。
「久礼さんには申し訳ないけれど、見てくれの通り戦うのそこまで得意じゃないんで、かばいには入るけれども、多少は自衛をおねがいします」
念のための護りのオーラを広げ告げたなら、老兵は首肯で応える。
「あい承知した」
ひょいひょいと避ける仔龍を叩き落とそうと翻弄されるマザー、応急処置分は既に誘爆でおじゃんになっている。
逆に、マザーが破れかぶれの突撃に移行するかもしれぬ状況だ。
「何かあれば戻りますんで」
「構わぬ、儂もこの戦場ですっかり逃げ足が速うなった、皆の守護ももろうておる」
しゃがむ膝をぽんと叩き、紫草は語の背中を言葉で押す。
「そろそろケリをつけてくるがよいわい」
――ぺしゃりと落とされた仔龍の悲鳴が号砲の嘶きとなった。
懐より奏剣を抜いて『怖い怖い』と称されるあれやこれやを招いて宿す。さんざめく奴らの嗤いが耳に障りこめかみの血管が腫れて小さく破けた。
ずきりとした痛みを堪え、右肩に刃をたてる。シャツが裂け薄く血に染まる。痛いが即死回避のおまじない、だ。
仔龍はというとけなげに起き上がると、再び翼を広げマザーに肉薄すると雷光をぺちりと放つ。
「こざかしいですね。塵と消えなさい」
――何故、そこまで仔龍が危険を冒したかというと、だ。
「そろそろお帰り頂いけますかね」
語が来てくれると信じていたからに他ならない。
仔龍をくびり殺さんと一斉に来た髪コードを腕で絡め取り、握りしめた奏剣で額を狙う。
「させませんよ」
マザーはこの期に及んでも落ち着き払っていた。
だが潰された片目の視界と不自由な左腕を含め『足りなくなった』マザーが、精密な回避行動を裏切る。
しかも、煤と緑で汚れた女の額にはかつて穿たれた傷がある。なんておあつらえ向けな事だろう。
もはや鈍重な的と化したマザーへ語は切っ先を深く濃く突き刺した。
「ああぁぁ!!!」
絶命の叫び、仰向けに斃れた女の周囲で小さな雷が泡のようにパチパチと音をたてる。
語は腕にすり寄ってきた仔龍を胸元に隠すと、機体の減りを蹴って後ろへと跳躍。
「二度と戻ってくんな」
これが仕舞いの合図。
所々を黒く朽ちさせた機体はマザーごとの大爆発にて幕を引いた。
大成功
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