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バーチャルアイドルは不滅デス

#UDCアース

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#UDCアース


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●動画投稿前の心境。
「もう少しだ…もう少しで組み上がる、やっと、やっと帰ってくるんだね…」
 待ちわびた帰還に体が震える、もう出来損ないに頼る必要はない…やっと、やっと本物の『彼女』が帰ってきたのだから、嗚呼!、この声だ、この声こそ本物だ…喜ばしい、喜ばしい、嬉しくて狂いそうだ。
「ああ、あああ…この声だよ、この声こそ…あははは、はひひひひ」
「ひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひ」
 この喜びを世界に届け――。

●そんな喜びいりません。
「キマイラフューチャーにはバーチャルキャラクターと呼ばれる者達が居るがの、実はUDCアースには所謂『バーチャルアイドル』と呼ばれる者が存在するのじゃ…とは言ってもガワのキャラクターと中の人は別の存在じゃがな」
 UDCアースにオブリビオンが現れる…と言う話を聞いて集まった猟兵達は、突然バーチャルキャラクターの話をする御手洗・花子に怪訝そうな目を向ける。
「いやいや、今回の事件の予備知識にと思っての、出身世界によってはピンと来ないじゃろうし…まぁ、ネット上でキャラクターのガワを使ってアイドル活動をする者がいるのじゃが、とあるバーチャルアイドルのファン達が相次いで失踪して居るのじゃ」
 そして、その後に…件のバーチャルアイドルが最後に上げる動画、その動画を再生したものが尽く狂乱し、狂い死ぬ…しかも、その狂気は伝播し被害は更に拡大していく…と言う恐ろしい予知を見たのだと。
「失踪したファン達なのじゃが、『彼女は必ず帰ってくる』と言うメールを受け取った後に失踪しておる。送り主は不明、どうやっておるかは分からぬが、UDC組織の調査では送り主を特定する情報は見いだせなかったのじゃ」
 その『彼女』とは誰のことかは不明だが、このメールを送ってくる者が事件に起こしていると思われる。
「それとじゃな…件のバーチャルアイドルじゃが、ガワは可愛い女の子の姿であるが、声が加工されているので、中の人の性別は不明なのじゃ、まぁ予知の内容から考えるに…人間かどうかも怪しいがのぉ」
 更に言えば、彼女?もUDC組織の調査をもってしても身元が判明しなかったらしい、メールの送り主も、このバーチャルアイドルの中の人もリアルの姿は一切不明である。
「頼りにならぬ組織ですまぬ…じゃが、事件の解決に全力でサポートする体制は整えておる、雑用が必要な時はコキ使ってくれて構わぬのじゃ」
 自身も組織に所属する身として、結局は猟兵頼りになってしまう不甲斐なさを恥じて頭を下げる…オブリビオンに対抗するのに、猟兵の力が必要なのはどこの世界も同じ事だ…と、猟兵となった今でも簡単には割り切れないらしい。
「わしもグリモアベースにて皆のサポートに徹するのじゃ、どうかこの悲劇を止めて欲しい…では転送を始めるのじゃ」


マカロニ男爵
 4作目です、相変わらずUDCアースですね、他の世界もと思うんですが…シナリオが一番思い付きやすいですよね、世界観が地球と同じという事もあってでしょうか?

 今回の話はバーチャルアイドルです、他の言い方のほうが一般的でしょうけど、某動画サイトって商標的に出して良いのか分からず…まぁ、察してください。
 一章の題がネットアイドルとなってますが、バーチャルアイドルもネット上のアイドルですからネットアイドルの一種です、多分。
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第1章 冒険 『ネットアイドルの怪』

POW   :    問題のネットアイドルの動画を実際に見てみる

SPD   :    書き置きにある「彼女」とネットアイドル本人の関係についてを調べる

WIZ   :    被害者たちの関係や共通点を調査してみる

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

百地・モユル
動画サイトはボクもよく見るしバーチャルアイドルも知ってるけど
そこ経由で事件が起こるなんて…
いったいアバターのむこう側に何があるのか…

まずはPOWで動画を見てそのアイドルについて調べたい
『彼女は必ず帰ってくる』って言い方がなんか気になるな…
もしかしたら中の人になにかあったりしたのかな…?
いくつか時系列順に見ていって言動などに変化がないか見比べたい

それと技能の情報収集で関連するサイトの記述も見てみたり
コミュ力と勇気でコメント欄でのやりとりなどをして
なにか手がかりを見つけられないかな
「最近この子を知ったんだけどかわいい!もっと詳しく知りたいんだけど…面白い話とかあったら教えてくれませんか?」


ペイル・ビビッド
あたしの住んでるところとは違う世界
ないもの・あるもの
いろんな文化に興味津々

見た目だけでも理想の姿になれるってのは魅力的かも!
でも…それを悪用しようとするのはどうかなあ

POWでいくよ
世界知識であらかじめバーチャルアイドルの
予備知識を入れておいて
実際に動画を見てみよう
見てる間に何か体調に異変を感じるようなら
すぐ再生を止められるように

コメント投稿できるなら
優しさとコミュ力を使って簡単な質問
「はじめまして!あなたのこと口コミで知りました」
「普段どんな活動してますか?」

見た目は何の変哲もない動画でも
何か隠されてるかもしれない
第六感で感じ取れないかな…

他キャラとの絡み共闘OKです!


ボーリャ・コータス
炬燵で寝転んでネットみてるだけの簡単なお仕事って聞いたんだけど……
どうやらそうもいかないみたいね。

wizで判定します。
被害者は謎のVネットアイドルのファンで
怪しいメールが来たのが共通してるのはわかるけど
それ以外にも見落としてる共通点があるかもしれないわね。
心酔具合とか謎の電波に影響されやすい体質とか実家の資産とか。
第六感とか情報収集、学習力に世界知識あたり使えるかもしれないわね。

もし共通点が洗い出せたら
組織の人に手伝ってもらって
次に狙われそうな人をマークしておきたいわね。

……疲れた。
早く帰ってお酒呑みたい。


神舵・イカリ
「ひとまず、動画をネットで見てみないとな」

自身がバーチャルキャラであり動画配信をしたりするからこそ気になった

そもそもバーチャルアイドルとは、自分たち電子体と違って、中の人が明確に存在している

「だから動画を見れば、そいつの特徴も分かるかもって寸法だな…」

しかし、『彼女』とは一体

「ここがUDCアースってことと、アイドルはいつの時代も信仰される対象ってことを考えると…」

また邪神絡みかなぁ、正気度が減るのは嫌だなぁ、とか益体も無いことを考えてる

※アドリブや、他メンバーとの絡みはご自由にお任せします!


空雷・闘真
「虎穴に入らずんば虎子を得ず。実際にその動画とやらを見てみるのが一番手っ取り早い」

闘真はパソコンの前に座り、件の動画をクリックする。

「ただし、何の準備もせずに危険に飛び込むのはただのバカだ。それなりの【覚悟】は決めておくぜ」

【覚悟】と【気合い】を入れて精神を集中させ、【空雷流奥義・天】を使用する闘真。
動画から発せられる悪『意』や邪『気』を瞬時に感じ取り対応しようと考えたのだ。

「いざという時には、即【カウンター】でパソコンを破壊する。それでもどうにもならない時には、【ダッシュ】で一旦その場から撤退するぜ」

この動画には何かある。
数多の視線を潜り抜けた闘真の勘が、そう告げていた。



「炬燵で寝転んでネットみてるだけの簡単なお仕事って聞いたんだけど……」
「確かに動画を見るお仕事だけど、全然簡単じゃないよ」
「ひとまず、動画をネットで見てみないとな…」
 5人の猟兵が『動画を確認したい』と言ったため、UDC組織が用意をしてくれた一室…ポーリャ・コータスの強い希望により、炬燵が用意されている。
 炬燵に入るや否や、早速だらけた事を言い出したポーリャを百地・モユル(6歳)が嗜める…子供に叱られては流石のポーリャも寝そべるわけには行かなかった。
 そんな二人を尻目に、神舵・イカリがPCの電源を押し、起動させる…5人で見る事にしたのは、視聴と同時に意見交換をする為でもある。
「へー、これがUDCアースの名高い魔法道具『炬燵』かー、人を駄目にするって聞いてたけど、ポーリャさんが早速ダメになってるね」
 人一倍、好奇心が強いペイル・ビビッドは、どこで聞いたのか酷い言われようの炬燵に対して興味津々だ、そしてお子様二人がポーリャに手厳しい。
「油断はするなよ…何せUDC絡みの動画だ、何の準備もせずに危険に飛び込むのはただのバカだ。それなりの【覚悟】は決めておくぜ」
 そんな一同の中、常に鋭い眼光を放ち常在戦場と言った面持ちの男…空雷・闘真が一同を嗜める、緩んだ空気がピリッと張り詰めるのを感じ取った闘真はユーベルコード【空雷流奥義・天】を発動する。
 深い集中により、動画から発せられる悪『意』や邪『気』を感じとらんと、PC画面に鋭い眼光を向ける…その迫力たるはPCのモニターがひび割れないか、若干、心配になるほどだ。
(鍛え抜かれた精悍な男が、PCの前にちょこんと座って真剣に見つめてる…これが、シリアスな笑いという奴なのかしら?)
 そんな闘真に対して、失礼な感想を抱くポーリャであるが、闘真の言うとおり油断は禁物であり、その行動は正しい…という事が直ぐに判明する。

「……見られた、な…いま視線を感じた」
 例のバーチャルアイドル『照華・リリ』のチャンネルにアクセスした瞬間、闘真が呟く…第六感を働かせていた他の猟兵も…
「確かに…今、少しゾッとしたわね…」
「ペイルも感じた、一瞬だけだったけど、何か居た…」
 得体の知れない『何か』の存在に、猟兵一同に緊張が走る…だが、事件の解明の為にも動画を見なければならない。
「す、少し怖いけど、動画を再生するよ?」
「ああ、やってくれ…ヤバイと感じたら、俺がすぐそのPCを叩き割る、それでも異常性が止まらない時は全員逃げろ」
「楽な仕事どころか、爆発物処理でもするかのような緊張感ね…」
「怖いけど、ちょっと楽しみ!」
 モユルが意を決して再生ボタンをクリックし動画が再生される、猟兵達の緊張感とは裏腹に、脳天気な『照華・リリ』のあいさつが始まった…が。

「何もないな…悪『意』どころか、『気』すらない…普通の映像だ」
「『何か』と『照華・リリ』は違うって事か?、『何か』がもしかして、例の『彼女』なのか?」
「分からん、だがこの動画の向こうに『何か』は居る…感だがな、今は引っ込んでいるようだがな…」
「まぁ、これ以上は調べてみないと分からない事だよ、闘真の言う『何か』の視線は気になるけど…見ても影響がないのならどんどん調べよう」
 正直、拍子抜けの肩透かし…動画そのものに異常性は感じられなかった、しかし『何か』は居る…猟兵一同は、先ずは『照華・リリ』の事を調べ始めた。

「UDCアースのバーチャルアイドルは、俺と違って電子体じゃない…所謂、中の人が居るって事は、じっくり調べれば中の人の特徴も分かるってもんだぜ」
 自身も動画配信を行うバーチャルキャラクターであるイカリは、同じ配信者である『照華・リリ』と言う存在を調べる事にした…どんなにキャラクターを作っていても、素の自分…本性と言うものは隠せないものだ。
「うーん、すごい猫を被ってる、大分キャラを作ってるなぁ…これ」
 挨拶から、明るく純情で清楚!って感じのキャラクターを演じているが…ゲーム配信ではミスった時に『死ねばいいのに…』とか呟いてる、キャラクターと素の性格には大きく隔たりがあるようだ。
「そう言うのを清楚()って言うんだよ、ペイル調べたから知ってるもん」
「この業界では良くあるらしいわね、清楚とはかけ離れたキャラが清楚って言い張るネタが…」
「へぇー、UDCアースのバーチャル界の流行りなのか、うーん…」
 下調べを怠らなかった二人からの情報をイカリは噛み砕く、しかし、どうも腑に落ちない…同じ動画配信者として見ると、彼女の清楚()はブレーキになっていると感じるからだ。
「何でこう言ったキャラで行こうと思ったんだろうかね?」
 素の性格だと思われる、割と毒を吐き、クールと言うかドライに見えて、ゲーム相手に一喜一憂する姿は微笑ましく思える…が、作ったキャラクターがそう言った魅力を閉じ込めてしまってるように見える。

「あ、それ…調べてみたらわかったよ、どうもこの子は『みらいいるか』って僕も知ってた…既に引退しちゃったバーチャルアイドルをリスペクトしてるからなんだって、キャラクターの造形も似てるし、よく質問されてるみたいで、其処に書いてあったよ」
 その手の動画を見た事があるモユルは、『照華・リリ』を調べるためにサイトの記述や、コメント等のやりとりから、そういった事情を手早く見つけ出していた。
「『彼女は必ず帰ってくる』…って、いるかちゃんの事なのかな?、でもなぁ、彼女はボクが知ってる限りじゃ、普通に可愛い()が付かない清楚な子だったし…」
「うーん、考えられなくはないが…しかし、どうも腑に落ちないんだぜ」
「え?」
「いやな、リスペクト感が薄いと言うか…やらされてる感を感じるんだ、ファンでリスペクトしている相手を真似るなら、もう少しそのキャラクターに愛着とかコダワリみたいな者を出すはずだが…それが感じられないんだぜ」
「え?…ああ、言われてみれば確かに」
 モユルは『彼女は必ず帰ってくる』という言葉が気になり、中の人に何かが起きたのではないかと考え、過去からの言動の変化を調べていたが…変化は特になく、故に過去に引退した『みらいいるか』が『彼女』ではないかと考えていた…が、イカリに指摘されて気がついた、変化が無さ過ぎるのだ。
 普通ならば、リスペクトしている対象に近づこうとして成長するか、キャラが合わずリスペクトの対象に失礼だからと、自分なりの形を見つけるか…そう言った変化がまるでない、その辺りの機微にいち早く気が付けたあたり、流石は動画配信者である。

「ちょっと、聞いてみましょうか」
「ペイルも~」
 モユルとペイルはコミュニティにコメントを投稿して、ファンと交流をしつつ、その話題について聞いてみた…が、その瞬間、ファンの人達のコメントの雰囲気が変わった。

『実際、スタッフがファンだって話だから、やらされている疑惑がな…』
『この話題は荒れるから勘弁して欲しい、いるか原理主義者が出てくるから』
『そういう事言うと、沸くから辞めろよ…新人君もその話題はやめた方がいい』
『素のリリちゃん好きだけど、其処を褒めただけで粘着されるからなぁ…BANされないかなぁ、あいつ…』
『マジそれ、運営仕事しろ』
『またリリ厨どもが喚いてるのか、あんな偽物が可愛いとか病院行って出てくるなよ、いるかちゃんに似てるだけが取り柄の売女だろwwwwww』
 以降、延々と一人が荒らし続け、ファン達は反論するも火に油を注ぐ結果にしかならず、やがて一人の罵詈雑言だけがスレッドを埋め尽くした。

「うわぁ…何か悪いことしちゃったなぁ…」
「ペイル、流石にちょっとドン引きだよ…」
「すまん、お子様には見せてはいけない奴が出てくるとは予想外だったぜ…」
 ネット世界の闇を見せつけられ、ドン引きする6歳児と9歳児…これにはイカリも苦笑い…自分の配信にこんな奴が沸かなくって良かったとしか思えなかった。
「…そいつ、怪しいわね」
 イタイ荒らしを指差してポーリャが言う、彼女は失踪者の共通点、『彼女は必ず帰ってくる』と言うメール以外に何かないかを調べていた…その結論、たどり着いた容疑者の一人、それがその荒らしだった。
「怪しいって、何かわかったの、ポーリャさん」
「失踪したファンの子全員が…という訳じゃないけど、結構な頻度でこうやって荒れた後…そいつと激しく口論したファンの子が居なくなってるのよ」
 ポーリャが調べた情報を聞いて、三人の顔色が変わる…その情報が真だったのならば…
「はぁ!?、ちょ、ちょっと待て、じゃあ、今のやり取りで目を付けられた奴が居るかもって事か!?、そいつはヤバいんだぜ!!」
「え、えっと反論が激しかった人は…この人!、20レスぐらい言い争ってるよ!」
「至急、UDC組織に身元を割り出してもらいましょう、それと外回りしている猟兵にも連絡を……闘真さん、こいつからは何か感じ取れる?」
「無理だな…俺の【空雷流奥義・天】は相手の『意』や『気』を察知する奥義だ、『意』や『気』がこちらに向いていない、『相手』ではない奴の動きまでは察知できん、滞留する悪意は感じ取れるが、そんなもの、わざわざ奥義を使うまでもなく、文面に溢れているからな」
 この荒らしが悪意の塊である事は、闘真の様な奥義を使えないものでもわかる…一般人ですら近寄ってはいけないと察知できる程に、歪んだ性格が文面から溢れ出ているのだから。
「そう…流石に何でも察知とは行かないのね、さてと、取り敢えず連絡はしたわ、間に合うと良いわね」
「これで被害者が出ちゃったら、ボク、責任感じちゃうな…」
「モユルは悪くないさ、どの道、かなりの頻度で荒れてたみたいだしな」
 もしかしたら被害が…そう考えてしまい落ち込むモユル、それを慰めるイカリであるが…6歳の少年がそう簡単に割り切れる話ではない。
「ちょっと、飲み物を取ってくるわね」
「……まて、ポーリャ」
「え?」
「…来るぞ」
 そんなモユルに気を使って、台所に飲み物を取ってこようとしたポーリャであったが、突如として、鋭い眼光と共に闘真から待ったがかかる、その言葉に足を止めた瞬間、台所から黄緑色の物体が溢れ、ポーリャを飲み込もうとする。
「ちょ、ええっ!?」
「せいっ!!」
 予期せぬ、突然の襲来に驚くポーリャであったが、奥義によって既に察知していた闘真の動きは早い、素早く緑色の物体を蹴り飛ばす。
 …どうやら不定形らしく、スライムみたいなブヨブヨした軟体、打撃の効果は薄いと打ち込んだ闘真は感じたが…

「痛い!!」
 普通に痛がった。
「痛い、ひどい、聞いてない…しかも溶けないじゃん…」
 蹴り込んだ闘真の足にヒリヒリとした感覚、どうやら溶解液のようだがこの程度では猟兵は溶けたりはしない…その事実に向こうが気がついた。
「……うん、無理だ、帰ります、お疲れ様でした」
「はい、お疲れ…じゃないわよ、ちょっと待ちなさい!」
「…お気遣いなく!」
 突然の襲撃であったのに、異様なまでに、やる気のない言動を発する軟体生物…その妙な雰囲気と…聞き覚えのある声に猟兵達が戸惑っているうちに、丁寧な挨拶を残しながら軟体は排水口の中に素早く引っ込んでいった。
「くそ、逃したか…」
 と、闘真は漏らすが…実際のところ、あの状況下で逃亡を決断されたら追いかけるのは難しい、自在に変形する軟体相手に狭いところに潜り込まれると追うのは至難だからだ。
「と言うか今の声って…」
「ああ、間違いない…『照華・リリ』の声だった」
「となると…動画を開いた時の奴とは違うな、『気』の質が違いすぎる」
「『照華・リリ』と『彼女』、或いは動画を開いた時にいた『何か』の二つのUDCが存在するって事かな?」
「やっぱり楽な仕事じゃなかったわ、でもこうなったら仕方がないわね…」
 動画そのものに異常性はなくとも、その周辺は異常ばかりだ…二体のUDC、『照華・リリ』ではない方が『彼女』なのか、或いは荒らしか、それ以外か…多くの情報を得たが未だにその正体は分からない、連絡をした外回り組が尻尾を掴んでくれる事を期待しよう。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

トリガー・シックス
被害者の関係性、共通点を調べてみるか。
失踪した、それが屋内なのか屋外なのかだな。
屋外なら誘拐……邪神の贄だろうな。
屋内で失踪したのなら……なにか痕跡があるはず。
現場を見に行って見た方が早い。UDC職員数人にも協力してもらおう。
職員たちには警察官の格好をしてもらう。
俺のことは連邦捜査局の怪事件担当の警部補ということにしておく。
現場捜査以外にも聞き込みもしてみるか

※アドリブ、他の猟兵との絡みOK


エルーゼ・フーシェン
被害者たちとの接点を調べてみる。
【動物と話す】ことで、失踪したときの状況を聞いてみるわ。
なにか起きていれば、空気が違ったとか情報が得られるかも。
それにしても、失踪した人たちってなにを見てたのかしら。
聞いてるかぎりだと、夢中になるというか、引き込まれてる感じかな。麻薬みたいに中毒とかそんな感じ。
【第六感】も使ってみよう。

あと、お腹すいた

※アドリブ、他の猟兵との絡みOK



「…お腹すいた」
「後にしろ、動画を調べていたチームから連絡があった、狙われそうな奴がいる」
「むぅ…それじゃあ仕方がないね」
 外回りチームのトリガーとエルーゼは、動画チームからの連絡を受けて、調査を切り上げ、UDC組織と共にターゲットに成りうる人物の家へと急行する。
「…どうやって、その人の家を調べ上げたのかな?」
「ネットの書き込みから身元を割り出すことは可能だ…普通ならばな、実際、ネットの書き込みが犯行予告だとか、脅迫だとの理由で逮捕されている者もいる」
「と言う事は、その荒らしの人は…」
「…ああ、メールを送った者と同じく追跡不能だ、どの様な経路で追ったとしても『そんなPCは存在しない』という結果にしかならないらしい」
 UDC組織にかかればプロバイダーの情報から書き込みの身元を割り出す事は容易だ、逆に言えば、それでも身元が割り出せない書き込み…それだけでも、この荒らしの異常性が伺えるのだ。

「警察だ、開けてくれ」
 現在、UDC組織によってトリガーは怪奇事件担当の警部補となっており、職員も警察の制服を着ている…偽造などではない、UDC組織の力で一時的にとは言え警察の身分を手に入れているのだ。
「いない?…もしかして、もう…」
 エルーゼが不安の声を上げる、実際、動画チームは室内で動画を見た直後に襲われたのだ…こちらが身元を割り出している間に既に犯行は行われてしまったのでは…決して有り得ない事ではない。
「…仕方がない、強引に押し入るか」
 このままでは埒があかない、幸いにも警察の捜査という名分がある、ここは強引にでも踏み込んでしまうと、トリガーがドアに手をかけた、その時…

「え?、ええっ!?、け、警察の人ですか!?、家に何かっ!?」
「…この家の者か?」
「は、はい…」
「無事で良かったよ、実はね…」
 二人は男に対して説明する、UDCなどの話は省いて、単に例の荒しと言い争った者が失踪を繰り返していると、それを聞いて男の顔が青ざめる。
「た、確かに送り先不明のアドレスから『彼女は必ず帰ってくる』ってメールが来ました…」
 そのあと小声で『嘘だろ…』とか『頭おかしいとは思ったが…』などと呟いている、俄かには信じがたい話ではあるが、アイツだったらやりかねないと…そう思わせるほどに、あの荒らしは悪印象だったようだ。

「申し訳ないが、安全の為に君の身柄を保護したい…職場には警察の方から説明をしておこう」
「わ、わかりました…は、早く逮捕してくださいね!…あ、じゃあ、家の中へ…持ち出したい物とかありますし、もう少し詳しく話を聞きたいです」
 このまま放置しては、この男の身が危ないだろう…組織で保護すると申し入れてみたら、男は怯えながらも承諾しつつ、一同を家の中へと案内した。

「どうぞ、おかけください…う~ん、どうしよう、期間によっては冷蔵庫の中身が…」
「なら、私が食べ…」
「がっつくな、エルーゼ…ん?、どうした?」
 お腹が空いていたエルーゼが冷蔵庫の中身に興味を示し、それをトリガーが窘めようとする、普段なら、その後に一言、二言返し、ご飯奢ってとでも言いそうなエルーゼが言葉を止めて、身構える。
「何か来るよ…危ない!」
「へ?」
「例の軟体生物か!」
 刹那、黄緑色の軟体が、シンクの排水口から飛び出し、男を包み込もうと飛びかかってきた。第六感を働かせていたエルーゼは素早く男を引き寄せ、それを阻止すると、トリガーは素早く軟体に発砲する。
「ひゃあ!?、撃ってきた!?、ここは日本ですよ!?…あ…何か強そうな感じの人達ですね、失礼しました、後日また伺います」
 ダメージはあった様だが、流石は軟体生物、弾丸が当たっても急所らしい急所がないからか普通に動ける、そしてまた、丁寧な挨拶を残して去っていった。

「本当に気の抜ける喋り方をするんだな…」
「また排水口か~、これじゃあ追いかけられないね」
「ちょ、えええっ!?、な、な、何なんですか今の!?、し、しかも今の声はリリちゃん!?、何が一体、どうして!?」
「「あー…」」
 突然の襲撃にパニクってしまう男、無理もない、一般人ならば通常のリアクションである…しかし、説明を求められても困る…その件はこっちも現在調査中であるし、しかも、この男は『照華・リリ』のファン…UDCである彼女を倒さねばならないとなると、邪魔してくる可能性すらあるのだ。
「組織の人達、お願い」
「了解しました」
 結論、組織で保護して記憶消去をする事に決定してた…よほど協力的ではない限り、一般人がUDCに触れた事案における通常の処理だ、組織の人も慣れたもので、エルーゼのお願いを説明もなく理解し、それを実行する。
「え、ちょっと、離し…もががが…」
「手に布を当てて眠らせるって、本当にあるんだな」
「ドラマみたいにクロロホルムでやると失敗する上に危険ですが、これは組織が開発した完全に安全な麻酔なのでご安心ください」
「完全に安全なら大丈夫だね」
 そうして男は怪しい薬をかがされて、UDC職員によって何処かへと連れ去られていった…失踪者を助けるはずが、結局失踪させてるような気もするけど、終わったら無事に帰れるから問題はない、記憶は消されるけど。

「さて、どうするか…取り敢えず、失踪の痕跡どころか現場に立ち会えた訳だが…」
 問題はどうやって『照華・リリ』を追うかだ、動画チームと今回ので、犯行は室内で起こり、移動は排水口を通って行われる…と見れるが、そう言った場所に入り込んだ不定形を追いかけるのは難しいと、前に受けた依頼でも経験したことだ。
「また、動物に聞こうか?」
「そうだな、またネズミ捕りか…」
「ううん、目撃情報を集めたいから、今回は交渉してみたいから…」
「え?」
 エルーゼの提案により、トリガーはコンビニで色々食べ物を買わされた、これで交渉するんだとエルーゼに言われて…

「交渉の為に買ったはずなのに、何故、お前がその肉まんを食べているのだ?」
「ちゃんと、私が食べて大丈夫だって見せるためだよ、ネズミさん達は毒餌とかにも警戒するからね、仕方ないね」
「…ぐぬ」
「はむはむ、暖かくておいしい…ん、肉汁もジューシー」
 今回は、エルーゼが理論武装をしてきた、前回の焼肉の件の仕返しと言わんばかりに、幸せそうに肉まんをハムハムする。
「さて、おーい、ネズミさん達~、聞きたいことがあるのよ、この通り、私が食べても大丈夫な安全な食料があるからさ、話を聞いて~」
 食べ物を置いてから、一旦離れて食べさせたりなどを行い、警戒心の強いネズミ達から徐々に信頼を勝ち取り、二人は下水のネズミの群れから聞き取り調査をする事に成功した。

『緑色の粘体は時々見かける、『めんどい』とか『自分で行けばいいのに』とかボヤきながら通ってたかな?』
『粘体はいろんなところで見かける、別の場所でほぼ同時に別の仲間が見た事もあるよ、でも声はいつも同じ』
『粘体はいろんな場所で見るけど、向かう先はいつも同じ…それと、人間の一部を体内に入れている事もあるよ』
『入れてない時もある、むしろそっちの方が多いけど、その時の粘体は不機嫌そうですごく怖い』
 などが、ネズミ達の証言だ、証言によると粘体は複数居るようだが、声は同じで、人体の一部を運んでいる時もあるらしい…そして運び込んでいる先であろう位置も特定できた。

「廃屋か、お決まりの…と言った所だな」
「まぁ、人が住んでる様な場所で、人体を集めるとかちょっと無理だしね」
 二人は、その位置を仲間達に伝え、先行して調査に入った…人が済まなくなった団地の一室、排水口を辿って粘体はそこに戻っているのだ。
「…何も、ないね」
「留守か?、てっきり待ち構えているものだと思ったが…」
「隠し通路でもあるのかな?…うーん、これは日記?」
「最近まで書かれているようだな、ここに人が居るのは事実のようだ…どれ?」
 誰も住まなくなった一室、しかし、その割には埃も少なく…そして机の上と床の上に無造作に放り出されている日記、机の上の日記の中身をトリガーは読んでみる。

●12月23日
 やっと、あの女を捕まえた。
 『いるかちゃん』を辞めるなどと言う、馬鹿な考えを捨てさせる為にここに閉じ込めた。
 ストーカーだとかギャーギャーと五月蝿い、何を勘違いしているのだろう…僕が愛しているのは『いるかちゃん』だ、中身に様はない、声だけを提供してくれればいいのに、五月蝿い、ムカついたから殴ったら静かになった、今度から騒いだらこうしよう。

●1月9日
 失敗した、女が動かなくなって二日が経った、死んでしまった…これでは『いるかちゃん』の声が…どうにかしなければ…『いるかちゃん』も早く活動を再開したいはずだ、僕に会いたいはずだ、頑張らないと。

●1月13日
 腐敗した女が臭い、棄ててしまいたいが『いるかちゃん』の声の為にも我慢しなければ…防腐剤とかを調べて、使ってみる。脱臭スプレーじゃ効果が薄い。

●1月20日
 やっと『いるかちゃん』の声が聞けた、でもまだ僕にしか聞こえないらしい、でも、愛が届いた、やっぱり『いるかちゃん』は僕の事が…完全に復活できるように頑張らないと…

●1月22日
 『いるかちゃん』はやっぱり凄い、ホルマリンに漬け込んだ女の脳をPC替わりに使える方法を教えてくれた、これでネット環境も整った…もっと『いるかちゃん』から色々聞こう、『いるかちゃん』の為に僕が出来る事はもっとあるはずだ。

●1月24日
 『いるかちゃん』の複製体は失敗に終わった、声は少しだけ似ているが人工音声にっぽく聞こえる、やはりこの軟体生物では、あの声は出せないらしい…でも、『いるかちゃん』は優しい、そんな出来損ないでも見捨てない、必要な材料を集めるための仕事を与えるって行っていた、正に天使…いや、女神だ!

●1月25日
 脳の数を増やして脳パソコンの性能もだいぶ上がった、これで警察にも見つからずネットで色々できる。
 脳パソコンから出来損ないのチャンネルにアクセスした者の様子が『いるかちゃん』に見えるらしいし、材料探しも捗る…『いるかちゃん』復活の計画は順調だと言えるだろう、ああ…楽しみだ、こんな出来損ないではない、本物の『いるかちゃん』が復活!、早く、早く、早く作業を進めなければ!

●1月26日
 最近、バカが増えた…よりにもよって出来損ないの『照華・リリ』が『いるかちゃん』より良い何て言う愚か者が現れたのだ、そんな訳がない、こんな化物に偽のいるかちゃんのガワを与えただけだぞ?、バカがバカがバカが死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね、そうだ出来損ないに殺させよう、馬鹿共は『いるかちゃん』の素材になる資格もないが、あの化物に溶かさせながら現実を見せてやろう、ああ、僕はなんて優しいのだろう、馬鹿を相手に教育をしてあげるとは。

●2月3日
 『いるかちゃん』に怒られた、反省…『いるかちゃん』の為とは言え、派手にやりすぎた、警察を誤魔化す方法を教えてもあったから安心だけど、迂闊だった…しかし、魔法の使い方まで知ってる『いるかちゃん』って凄い、女神度がますます上昇したな。

●2月8日
 変な奴らが現れた、出来損ないが溶かせず負けて帰ってきた、役立たず目、腹いせに数体、ガソリンで焼き払ってやった、これからは心を入れ替えて真面目に働いて欲しい、僕は寛大だからな、それに嬉しい情報もある、変な奴らは僕達を追っているみたいだが、そいつらは材料として素晴らしい素材らしい、『いるかちゃん』は出来損ないを敢えて動かして、そいつらを誘き寄せようって言っていた、正に策士!、素晴らしい策士女神だ!……この日記、読んでるかな?、僕達を捕まえる?、違う、違う、お前達が捕まったんだよ!

「罠か…ま、想定内だな」
「うへぇ、気持ち悪い日記だね…でも、私達は目的地にはたどり着いたようだね…そうでしょう?…『照華・リリ』」
「…うん、貴方達は溶かせない、けど…がんばる…私が…」
「私が」「私も」「私も」「私達が…」
「「『照華・リリ』です、チャンネル登録をよろしくお願いします」」
 日記を読み終えると同時に、部屋の至る所から染み出す緑色の粘体…『照華・リリ』が相変わらずのテンションで姿を現す。複数体全てが同じ声、性格の差も感じられない…集団というよりは群体?、時折分裂をしている者もいる、恐らくは群体にて一個体の生命なのだろう。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​




第2章 集団戦 『不定形少女』

POW   :    あたまはこっちにもあるよ
自身の身体部位ひとつを【自分が擬態している少女】の頭部に変形し、噛みつき攻撃で対象の生命力を奪い、自身を治療する。
SPD   :    みんなとかしちゃうよ
【触手状に伸ばした腕】が命中した対象に対し、高威力高命中の【衣服を溶かす溶解液】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
WIZ   :    いっしょになろうよ
【全身を不定形に変形させて】から【相手に抱きつくために伸ばした身体】を放ち、【少しずつ溶解させていくこと】により対象の動きを一時的に封じる。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


「そういう訳で、やりたくはないけど頑張ります、リリはマスターの命令には逆らえないのです」
「それに、とてもお腹が空いているのです、とてもとても」
「いっぱい食べた、マスターのヒステリーの所為でいっぱい食べた…美味しかった、おいしかった?」
「うーん、でも足りないのです、どうしてもお腹がすくのです」
「特別な皆様なら、リリの空腹は満たせるでしょうか?」
「必要なのは脳です、それ以外はリリのもの…」
「食材に関して感謝していただきます…炎上対策もバッチリなのです」
 照華・リリの群体は口々に喋りながら敵意…と言うか、食欲を向けてこちらに迫ってくる。
 とぼけていてもUDC、危険な存在には違いない、心してかかろう。
トリガー・シックス
味方と装備が来るまで時間稼ぎを行う。
あるのは『ジョーカー5s』と『太極刃【昂陰】』だけ。
「……俺が時間を稼ぐ」
『太極刃【昂陰】』を抜く。今までと雰囲気が変わり、氷のように冷たく、寡黙になる。
走るだけで所々に【残像】を残し、【早業】と連続した【2回攻撃】による流れ斬りの技、【第六感】による回避からの素早い【カウンター】による『剣刃一閃』と無駄のない動きで戦う。
そこにいるのがトリガーではなく【恐怖を与える】冷酷な死神とも、圧倒的な力と恐怖で蹂躙する鬼神とも言えた。


エルーゼ・フーシェン
丸腰でどうすることもできない。殴ったりするのも危険だろうと分かる。
トリガーに加勢しようにも、普段とは異なる彼に寒気を感じ、【野生の勘】も近づくなと警告してくる。
外に出て味方が来るのを待ち、装備を整えて再度突入。
『ストライダー』を取り、『トリニティ・エンハンス』で攻撃力を上げて加勢に入る。
【第六感】と【見切り】で攻撃を避けつつ、【二回攻撃】で反撃を行う。
気がかりなのは脳パソコンと日記を書いてた人よね。
怖いけど、早く終わらせよう。

※アドリブ、他の猟兵との絡みOK


ペイル・ビビッド
モユルくん(f03218)と

何これ…
まさか、このスライムみたいな「リリ」たちが
「マスター」の命令で人々をさらって、溶かして…
そしてその溶かされた人たちの脳が…

う゛(吐き気に襲われ)
…だめだ、あたしの想像力の限界超えてる…

マスターの正体も気になるけど
まずはこいつらを倒さなきゃ!

戦闘開始と同時にレガリアスシューズ全開して先制攻撃
ダッシュと逃げ足で攻撃をかわしながら
相手を攪乱する
ときには相手を踏みつけ
迫ってくる頭を平筆でなぎ払い
カウンターとフェイントも交えて

モユルくんの攻撃で相手がひるんだら
あたしもここぞで
でっかーんとスパッタリングスター乱れうちだ!

他キャラとの絡み共闘OKです!


百地・モユル
ペイルちゃん(f01836)と参戦

…なんだか予想以上にひどい状況だったみたいだね…
もしかして『いるかちゃん』を騙る邪神とか出てきたのかもな…

まさかリリちゃんの正体がこいつらなんて…
人々を溶かしてその脳みそを…
ボクもあまり考えたくないよ

こうなった以上とにかくやるしかないぜ!
前衛に立ってまずは灼熱の束縛で拘束
抱きつこうとした相手も熱さでひるむかも
技能の怪力、属性攻撃、2回攻撃、武器受け、グラップル、マヒ攻撃、なぎ払いとかも使えるかな
怪力で引きちぎったり
なぎ払いで周りのやつをふっとばせばまとめて拘束の効果もかからないかな…

うまく怯ませられたら
ペイルちゃん、援護射撃は頼んだよ!

他キャラとの絡み共闘歓迎


神舵・イカリ
【真の姿解放】
「この数…やるしかないか!」
《Change アンカー》のカードをベルトにセットし、さらに3枚のモンスターカードをベルトにスキャン

【白銀の騎士】【オーロラ纏う巨竜】【紺碧の巨大戦艦】その全ての力をアーマーに宿し、リリの群体に突撃

右の竜爪で【なぎ払い】、左の艦砲で【属性攻撃】

「スライムだろうと、凍らせれば関係ないだろ! 凍てつけ、フリーズ・バレル!」

自分と仲間が数で押し切られないように、絶え間ない攻撃を仕掛ける

※アドリブや他メンバーの絡みは自由にお任せします!


空雷・闘真
闘真は右手に【バトルアックス】、左手に【アサルトウェポン】を構え、
【気合い】の雄叫びを上げながら猛然と群体に向かって【ダッシュ】する。
【2回攻撃】で、斧と銃火器を同時に駆使して敵を殲滅するつもりなのだ。

もちろん防御も忘れてはいない。
【空雷流奥義・天】で【触手状に伸ばした腕】の起こりを【見切り】、そのまま斧と銃による【カウンター】で撃墜する狙いだった。

「空雷流は闘う場所も相手も選ばない。宇宙の果てだろうと、化物だろうと、いつでもどこでも誰とでも闘うことが出来る!」



「エルーゼ、装備はどうした?」
「ネズミの警戒を解くために置いてきちゃった…」
「…素手では危険だ、取りに行け…俺が時間を稼ぐ」
「で、でも…」
 一人では危険すぎる、そうエルーゼが言いかけた言葉が詰まる。トリガーが『太極刃【昂陰】』を引き抜くと、彼の雰囲気が変わる…味方であるはずのエルーゼすら身震いを感じる冷たい殺気…言葉による説明が無くとも直感的に悟る、ここはトリガーに任せるべきだと。

「わ、わかったわ、皆とすぐ戻るから、気をつけてね!」
「……」
 言葉も発さず、ただ小さく頷くトリガー、エルーゼは装備と援軍を得るために転送を要請し、グリモアベースへと転送された。

「あれ?、一人で戦うんですか?」
「逃がしちゃまずかったかな?、でも、一人なら勝て…」
「きゃあ!?」
 ひとり残されたトリガーに、リリ達は話しかけるが…、そのうちの一体の首が落ちた。そして、返す刀でもう一体、顔が縦に割れる、トリガーの双刀は瞬く間に二体のリリを斬り伏せたのだ。
「イキナリなんて酷いですよ、初見殺しです」
 一体のリリがその身体の一部を触手状に変えて、トリガーを捉えようと触手を伸ばすが…
「あまい」
「きゃぅ!?」
「ヤダヤダ、この人強い、怖い!」
 触手を伸ばした先はトリガーの残像であった、攻撃を空振りにしてしまった隙を突き、トリガーの【剣刃一閃】のカウンターが入り、リリの胴体は横一文字に切り離される、だが。
「痛い、痛いけど…」
「その装備でリリを…リリ達を殺すのは大変ですよ?」
「…ちっ」
 ユーベルコードである【剣刃一閃】ならば物理法則を超え、リリの命を脅かす斬撃も可能であろう…現に真っ二つになったリリは形を保てずにグズグズと崩れていっている、が…首を落とされた者と、顔を割られたものは既に元の形に戻っている。
(物理攻撃は効果が薄いか…)
 自身の手にも今は拳銃の『ジョーカー5s』と双剣の『太極刃【昂陰】』しかない、ロケットランチャーの『吹雪の狼』やマイクロミサイルランチャーが付属されている『アヴァランチ』ならば効果的かもしれないが、この二つの武器では効果が薄い。
「その凄い斬撃も、多分、そんな連続は出来ないですよね?」
「強いから、皆でかかるのです」
「早いから、皆でかこむのです」
 そして『照華・リリ』はとぼけているが、馬鹿ではない…素早い逃亡の判断などが出来るように、状況をよく見る能力に優れている。
(厄介な!)
 顔にも声にも出さないが、リリのとった行動…群体の身体を活かし、避けるスペースを埋めるように群体で埋めていく、攻撃も慎重で、【剣刃一閃】で纏めてやられぬように、斬られてもそこまで痛くない触手を、多方向から伸ばしてくる。
「…っ!?」
 トリガーはリリの首を跳ねた感触に違和感を感じた、妙に『軽い』…まるで中身がなかったような…
「そっちはダミー、こっちの頭が本命だよ」
(…まずい!!)
 トリガーは鬼神の如く奮戦はした、が…多勢に無勢に勝てるほど『照華・リリ』は、UDCは弱くはない。慎重に、手堅く戦うリリにやがて追い込まれていくトリガーであった…が、成すべき仕事は成した、リリが慎重だった…慎重に成らざるえないほど気圧されたからこそ、しっかりと『時間は稼いだ』のだ。

「させないわよっ!!」
 エルーゼの『ストライダー』が、トリガーに噛み付こうとした頭部を切り裂き、【トリニティ・エンハンス】の炎の魔力が肉片を焼き尽くす。
「「「きゃあああああああ」」」」
 攻撃を行おうとした頭部だったからか、確りとダメージが入った…複数のリリが同時に悲鳴を上げる。
「よかった間に合ったわ、援軍も連れてきたわよ!」
「…ふぅ、何とかもった様だな…しかし、今のは随分ダメージがあったようだ」
 エルーゼの一太刀に苦悶の表情を浮かべるリリ達、一体を斬り伏せただけであるのに一体…トリガーの疑問に答えるように闘真が呟く。

「『気』は複数、だが『意』一つ、故に統制が取れた異形の…『たった一人の群体(軍隊)』か」
 闘真は既にユーベルコード【空雷流奥義・天】を使用し『照華・リリ』の本質を暴く、複数人居るように見えるが、その実、『照華・リリ』と言う人格は一つ、それを分化させる事で複数のリリを動かしているのだ。
「幾人いようが『意』は一つ、その『意』こそが奴の本体だ」
 常日頃から『空雷流は闘う場所も相手も選ばない。宇宙の果てだろうと、化物だろうと、いつでもどこでも誰とでも闘うことが出来る!』…と断言する闘真は言葉通りUDCの性質をその奥義で言い当てる、『意』を感じ取れる奥義は、リリにとって天敵とも言えるユーベルコードであった。

「ひ、ひえ、やっぱこのオジサン怖い!」
「そればかりが対策じゃないぜ、揺蕩う可能性を一つに束ね、この身に大いなる力をもたらせ! 多重量子召着!!」
 イカリのユーベルコード【クアントロム・オーバーライド】を発動、『白銀の騎士』『オーロラ纏う巨竜』『紺碧の巨大戦艦』を召喚し、その全ての力を融合させた多重量子装甲に変え身に纏う。
「スライムだろうと、凍らせれば関係ないだろ! 凍てつけ、フリーズ・バレル!」
 左の艦砲より放たれる氷属性の砲弾は、ユーベルコードにより強化された状態異常力によりリリの群体を瞬く間に凍らせていく。
「さ、寒い、う、動けない…」
「砕け散れぇ!!」
 凍った所で右の竜爪によるなぎ払いによって、複数体のリリが粉々に砕け散る、凍ってしまえばくっつく事も、変形する事も出来ないのだ。

「ああ、私が、私達が壊れちゃう、あの子、あの子達を食べて回復を…」
「ボクに触れたら、火傷どころじゃすまないぜ!」
「あつぅ!?、ほ、炎!?、焼けちゃう、溶けちゃう!!」
 受けたダメージを回復させようと、モユルとペイル、二人の子供を狙おうとするが…彼等もまた猟兵、そんな甘い存在であらず、また、既に姿を見せているのだ、対策も取ってきている。
「てえぇぇぇいっ!!!」
 灼熱の炎を両掌から放ちながら、モユルはリリの群体をなぎ払い、子供とは思えぬ腕力でリリの群体を引き千切る。
「今だよ、ペイルちゃん!」
「はーい、でっかーんと行くよぉ!!」
 熱に怯んだリリ達に向けて、ペイルはユーベルコード【スパッタリングスター】を発動させる。
「この一筆を流星に変えて…当たれーっ!」
「きゃああああああっ!!?」
 筆先から飛び出る塗料が光弾となり、リリ達を次々と打ち抜いていく…容赦のない連打だ、夥しい量の光弾による爆撃がリリ達をなぎ払っていく。

「トリガーこれを」
「よし、これならば…」
 トリガーも『アヴェンジャー』に装備を変えて、リリ達を蜂の巣にしていく…室内で無ければ爆発物も使い所だが…それでも、拳銃よりも遥かに高い殲滅力でリリ達を追い詰める。
「油断するな、奴らの『意』は及び腰だ、見た目ほどダメージは入ってないぞ」
 『バトルアックス』と『アサルトウェポン』でカウンターを取りながら職種を切り裂く闘真が、優勢に戦いを進める味方に忠告する…破壊出来ているのは『意』の弱い箇所ばかり、相手はまだ力を残していると。
「うぅ…あの怖いオジサンが居るから罠も貼れないよ…」
 案の定、一方的にやられたふりをして、期を伺っていたリリは涙目になる。
「こうなったら、廊下まで退こう」
「ここ広い、もっと狭いところで…」
 リリの群体は『意』の弱い箇所を殿にしながら、廊下…この部屋より狭い通路まで下がろうとしている。
「ま、待て!」
 あの狭さでは向こうが有利、特に氷属性を使うイカリと、炎属性を使うモユルはあの通路では今の戦い方だと、互いに互の属性を相殺しかねないのだ。
「ふん、臆病だが、臆病ゆえの強さか…面白い」
 そんなリリを見て、闘真は不敵に笑う…臆病ではあるが、戦況に対して冷静な対処をする奴は厄介だ…厄介ゆえに楽しめると。――しかし。

『何やってんだ出来損ない、逃げるんじゃねぇと命令しただろうが!!』
 スピーカーも無いのに響くヒステリックな男の声…それを聞いた瞬間、リリはその群体をビクッと震わせる。
「ま、マスター、違うの、戦う場所を変えようと…」
『黙れ、とっとと奴らを倒せ、殺せ、少しは役に立てよ出来損ない…行け、命令だ!!』
「…そ、そんな…いやっ!?」
 『命令』、その言葉を聞いた瞬間、リリの動きは変わる…こちらに向かって猛然と襲いかかってきたのだ。
「な、なにこれ!?、で、でも何度来たって…うわっ!?」
「あついあついあついあついあついあついぃぃぃ、あああああああああああ」
 襲いかかられたモユルは、灼熱の炎を放つが…今度は怯まない、苦悶の叫びをあげながらもリリは触手を伸ばし、モユルを打ち据える。
「も、モユルくん、このーー!!」
「う゛あ゛ああああああああぁぁぁっ!!」
 ペイルの光弾がリリを捉え貫くと、悲痛の叫びを上げながら向かってくる、苦しそうな様子とは裏腹に一切、歩みを止める様子はないのだ。
「こ、凍らせれば…」
「ぁ…うぁ…ああああああああ」
 凍らせれば、確かに止まる、しかし、止まった先から後続の群体が押し寄せ、飲み込んでいく…しかし、これは。
「言ってたな…『命令』には逆らえないって…こういう事か!!」
「なんて、馬鹿な事を…」
「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ぁぁぁ」
 アベンジャーに穴だらけにされながら、リリは、群体は押し寄せる…悲痛の叫びを、苦悶の表情を浮かべながらの無策の突撃、命令されたまま『行く』事しか出来ない自死の行進に、先ほどの慎重さ故の脅威など微塵もない、エルーゼが言う通り、まさに『馬鹿』な事である。

「…ふん、馬鹿の横槍で興が削がれたな」
 闘真は苛立ちを覚えながら吐き捨てる、強者とは言い難いタイプだが、厄介そうな相手との戦いを邪魔されたと感じたからか…
「『意』を集中しろ、こんな下らん茶番は終わらせてやる」
「ぅ、ぁ…して…ころ、して……」
 地獄のような苦痛を終わらせたいと、懇願するように『意』が闘真に向かうのを感じ取る…もはや形すら保てなくなっていた黄緑色の粘体に、『意』が集まった顔が浮かび上がっていく…それを闘真のバトルアックスが断ち割ると、粘体は泡立ちながらその巨体をゆっくりと溶かしていった。

「…ぁ…ぃ…が…と…」
「ふん、闘いにすらならなかった…か」
 『照華・リリ』は消滅した、しかし元凶はまだこの団地の何処かに居るはずだ…やり切れない気持ちを振り切り、猟兵達は探索を再開する。

「…そう言えば、もう一冊日記があったな…」
「こっちは『照華・リリ』?…彼女の日記のようね」
 机ではなく、無造作に床に落ちていた日記を拾うトリガー、一緒にこの部屋に踏み込んだエルーゼもそれを思い出して日記を見ると、『照華・リリ』と書かれている。

●日記その1
 マスターの真似、日記を書いてみるのです、私のお仕事は動画配信、色んな人に見てもらって、色んな人を『あいつ』が見る為に頑張るのです。

●日記その2
 マスターに怒られた、『いるかちゃんは、そんなんじゃないって』…そんな事を言われても困るのです、私は『いるかちゃん』じゃないし、『あいつ』も『いるかちゃん』じゃない、分かってるのです?

●日記その3
 呟きの書き込みも始めたのです。マスターの言った通りに書き込みしてるけど、時々、私の言葉も書き込むのです、不思議です…面白い、私の話を聞いてくれる人が居る、私を見てくれる人が居る……『私』はここにいる?、なんか不思議とそんな感じです。

●日記その4
 マスターがまた怒った、私じゃなくて視聴者にです…そいつを食ってこいって…『あいつ』の材料じゃない人だから残さず食べろって言われたのです、嫌だったけど…駄目でした……私は食べた…『いるかちゃん』ではない『私』を見てくれた人、食べた、美味しかった…でも、私の中に穴があいたみたい…お腹すいたのかな?

●日記その5
 また食べた、味なんてしないけど美味しかった、おいしかった?、何でそう思うんだろう…ああ、そうか『あいつ』か、『私』は『私の脳』はあいつが持っている、『私の気持ち』なんて『あいつ』の手の平だ、気が付いてしまった…また、『私』の中から『私』が消えた、穴があいた……おなかがすいた。

●日記その6
 また思い出した、吐き気がする、死んでしまいたい、消えてしまいたい…どんなに願っても、どんなに悔やんでも『あいつ』に書き換えられる、誰か早く終わらせて…

●日記その7
 今日もごはんがおいしかったのです、でも、おなかすいた、まだまだ一杯食べなきゃ…どうしてこんなにお腹がすくのですか?…どうして、私は昨日こんな事を書いたのです?

「………」
 日記を読み終えたトリガーは静かに日記を閉じる、『あいつ』とは恐らくは脳パソコンとやらの作り方を教えた存在、脳を集めている存在…恐らくは邪神であろう、と推測していた、その最中。
「うぎゃああああああああああああああっ!!」
 断末魔の叫び、聞いただけで死を感じるほどの絶叫が部屋に響き渡る、先程の男…『マスター』と呼ばれていた者の声、しかもこれは肉声だ!
「こっちから?…っ!!、ここっ!、この壁紙の向こうが空洞になってる!」
 声を聞き、モユルがその方向を追うと…人が住まない団地に似つかわしくない綺麗な壁紙…案の定、中は空洞になっていて、地下へと続く階段があった…元凶はこの先にいるのか?

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​




第3章 ボス戦 『残響の女神』

POW   :    信者の供物
自身の装備武器に【生贄になった者の身体部位の一部 】を搭載し、破壊力を増加する。
SPD   :    叫ぶ
【絶叫 】を聞いて共感した対象全ての戦闘力を増強する。
WIZ   :    凝視
小さな【狂気 】に触れた抵抗しない対象を吸い込む。中はユーベルコード製の【トラウマに応じてダメージを与える空間】で、いつでも外に出られる。
👑11
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はナハト・ダァトです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


「不味い…我を引き寄せるだけの脳故に、不味い…こいつの脳は贄としては不足…だが、我はこれで動けるようになったぞ」
 小太りの男が、屍体を縫い合わせたような人影に頭部を割られ、その脳を取り出されている…その脳を胴体に取り込みながら、その人影は呟く。
「汝らの脳髄ならば…我を完全顕現させる事ができるであろう…さあ、その脳を我に捧げよ、さすれば我は汝らに永遠を授けよう」
 人影の胴体には無数の脳が…ホルマリン漬けの脳を中心に、むき出しの脳が幾つも繋がっている、そしてそのどれもが脈打ち、機能しているのだ…これが『あいつ』であり、『脳パソコン』の姿なのだ。
「永遠を…そう、永遠にその心をしゃぶり尽くしてやろう、幾度も幾度も、狂わせて、狂わせて…永遠の寵愛を授けようぞ」
 動いている脳は意識があるのだろうか?、だとしたら、その精神は『照華・リリ』の様に目の前に邪神に弄ばれるのであろう…そんな悪夢の『脳パソコン』の一部に君達を組み込むために、邪神は襲いかかってきた。
トリガー・シックス
先ほど同様に無言だが、冷徹な殺気をまとっている。
『太極刃【昂陰】』を抜き、一気に間合いを詰めて斬撃を行う。
相手の攻撃には【第六感】を察知、【残像】を残しつつ【ダッシュ】で移動、死角から切り刻む。
『レイダー』で顔を攻撃して【目潰し】を狙う。
【恐怖を与える】のは死神の様な冷徹さと鬼神の如き猛威故なのか。
照華・リリはUDCであったが、悪意ある存在ではなくなっていた。
新たなユーベルコード『鬼神楽』を発動させる。
この悲劇を終わらせるため、『トール』をホルマリン漬けの脳の個所にねじ込み、チャージを終えたら撃つ。

動画で生放送を流しながら銃の整備をしていると……。

※アドリブ、他の猟兵との絡みOK


エルーゼ・フーシェン
こいつが黒幕ね。倒してこのふざけた事件を終らせるわよ。
「……さっきより冷たい」
本能的な恐怖、それと同時になにか別のものが……。
『ストライダー』を抜き、『トリニティ・エンハンス』で攻撃力を上げて攻撃を仕掛けるわ。
(あの脳、破壊したいけど隙がなさそうね)
それ以外にも被害者の脳ということもあり躊躇してしまう。
トリガーは躊躇せずに引きずりだして破壊している。できることは隙を作るだけなのかな。
攻撃を誘発して【残像】や【見切り】で空振りを誘ったりしてみる。

気になって拠点にしている廃倉庫行ってみたら「邪魔になるから」って追い出された!
心配して行ったらなんなの!帰る!

※アドリブ、他の猟兵との絡みOK


空雷・闘真
「邪神と戦えるとは。武術家冥利に尽きるぜ」

闘真は不敵に笑い、空手で言う『息吹』で【気合い】を入れ、【力溜め】で【怪力】を漲らせる。
そして≪心眼≫【見切り】【第六感】で、敵の隙を窺う。
機を見てその胴体に、【空雷流奥義・電】を放つつもりなのだ。

「どの道奴らはもう助からん。ならここで終わらせてやるのが情けというものよ」

闘真の真の狙いは邪神ではなく、その体内にある脳。
【電】で拳を邪神の体内に突き入れ、≪神如き握力≫で脳を握り潰し、邪神の力を削ぐ。
つまり一般人を殺す訳だが、【覚悟】を決めた闘真に躊躇や呵責などなかった。

「俺は赦しなど乞わん。俺が憎いなら気の済むまで祟るがいい。幾らでも受けて立ってやろう」


ペイル・ビビッド
…非道いよ
画面の中の憧れの人を追うあまりいるかさんに手をかけたあの人も悪い
でも、その心を利用しようとしたお前も赦せない!

真の姿を解放、人間の18歳の女性と同じ背丈に
…あれ、あたし大人になれちゃった!?

先制攻撃でスパッタリングスターを使う
当てずっぽう?…ううん、これはフェイントだよ
後ろの脳パソコンを破壊して
これで弱体化できれば…!

その後は襲い来る信者の供物をなぎ払いと武器受けでかわし
カウンターで二回攻撃を
呪詛耐性も効くかな

狂気の中の永遠の寵愛なんていらない…
骸の海へ還りなさい!

戦いの後処理はUDC組織に任せて
犠牲になった人たちとリリちゃんへ黙祷を

他PLとの絡みアドリブOKです


クリーク・クリークフリークス
DNAコンピュータなる発想はあるであるが
この脳コンピュータとやらは欠陥品であるな。
部位ごとに処理能力も違えば使われない領域も多く
なにより部品の劣化やメンテナンス性が皆無。
一片の機能美もない醜悪な趣味のための玩具、見るに耐えぬである!

目立たない・だまし討ち・地形の利用・先制攻撃などで死角から近寄って
タケノコ・バタリオンで攻撃します。
2回攻撃・破壊工作・範囲攻撃・鎧無視攻撃でダメージの底上げを狙います。

弄ばれた者たちに、せめて死後の安らぎを。である。


神舵・イカリ
「悪いけど、永遠なんてものには興味ないな!」
【真の姿解放】
腕の《フリートコントローラー》にデータカードの1枚、《エボリューションX》のカードをスキャン

既に纏っている三体分の多重量子装甲の上から、さらにデータモンスターの力を複数体宿し、金色のアーマーを纏う

「お前の企みのせいで苦しんだ連中の嘆きの残響を、ここでまとめて返してやるよ!」

まずは【なぎ払い】で、邪神を牽制

とどめとして、技能【属性攻撃】により、左腕の艦砲に炎のバレルを展開

「狂気も妄執もまとめて焼き払え! クアントロム・カノン・フルブレイズッ!!」

それ以外では適宜、他メンバーのサポートに回る

※アドリブやメンバーとの絡みはお任せします!


百地・モユル
うへぇ…こいつが黒幕ってわけか
犠牲になった人たちも、『リリ』たちも…もう救えないなら
せめてこいつを倒して、すべて終わらせるしかないな!

業火の一撃で切りかかる
技能の怪力と属性攻撃をのせて捨て身の一撃だ
うまく当てられればマヒ攻撃も狙えないかな?

こんなむごたらしいこと、続けさせはしない!

こいつを倒せたら…奪われた脳たちは残るのか?
これ以上苦しまないように…壊したほうがいいのかな…



「…非道いよ」
 凄惨な光景、そして醜悪な邪神を前にしてペイルは俯きながら呟いた。
「画面の中の憧れの人を追うあまりいるかさんに手をかけたあの人も悪い…でも、その心を利用しようとしたお前も赦せない!」
 猟奇的な屍を晒す小太りの男…その凄惨さ以上に歪で、狂っていた男の行為とその心…それを利用し復活をなそうとする邪神を赦せない、その為に踏みにじられた人達の事を考えると…張り裂けそうな怒りとともにペイルの姿が変化していく。
(…あれ、あたし大人になれちゃった!?)
 ペイルの真の姿、それは自分の種族であるはずのドワーフの背丈ではない、人間の…しかも大人になった姿であった。

「変身したか…でも、『脳』は変わらず…さぁ、その脳髄を我に捧げよ、さすれば永え…」
「狂気の中の永遠の寵愛なんて要らない…骸の海に還りなさい!」
 姿は変われど怒りは変わらず、邪神の傲慢な問答などに付き合うつもりはないと、ペイルはユーベルコード【スパッタリングスター】で容赦なく先制攻撃を仕掛ける。
「当てずっぽう…ではないか」
(狙いは『脳パソコン』…あれを壊せば邪神は…)
 大量に放たれた光弾は、乱雑に飛び交い当てずっぽうの様に見えて…その実、その全ては『脳パソコン』を狙い定めていた。
「ぬぅんっ!」
「ええっ!!?」
 しかし、ペイルにとって想定外の動き…邪神は徒手空拳をもって光弾を全て叩き落として行く。
「狙いは悪くない、そのまま続けろ…」
 その動きを見て、闘真は不敵に笑う。猟兵のユーベルコードすらをも武技をもって制す様は武道家としてそそられるのだ。
「邪神と戦えるとは。武術家冥利に尽きるぜ」
 息吹と共に気合を入れ、身体に力を漲らせ…そして『覚悟』決める。その脳を狙うと言う事は、まだ意識『だけ』はあるであろう被害者を殺すと言う事…万が一でも迷いが出れば、この邪神相手には致命傷になりかねない…闘真の勘がそう告げるのだ。
「…私も行くわ」
「……」
 闘真の後ろではトリガーが『太極刃【昂陰】』を抜き、エルーゼが『ストライダー』を構えていた…
「エルーゼ、お前は人を殺せるのか?」
「…っ!?、そ、それは…」
 闘真に言われ、言葉が詰まるエルーゼ…あの脳を狙うべきだとは理解できるが、迷わずにそれが出来るかと問われると…あの隙の無さから考えれば、その甘さは致命傷となりかねない。
「……エルーゼ、それならそれでいい…お前は邪神の隙を作れ、そういった事は慣れている俺達がやる、だろう?」
「……ああ」
 闘真の提案にトリガーも小さく頷く、『覚悟を決めた者』…戦場を渡り歩いた者同士、目を見ればそれが解る。

「相談は終わったか?、では遊んでやろう」
「こっちよ、化物!」
 邪神が光弾の弾幕を抜け、三人に迫る…打ち合わせ通り、エルーゼが隙を作るために先ずは仕掛ける。
「たぁっ!」
 【トリニティ・エンハンス】で攻撃力を高め、邪神に斬りかかるが、邪神は『ストライダー』の斬撃を難なくと避け、反撃に右腕を振るう。
「早い、けど…」
 エルーゼも負けじと、その拳を見切って回避する。空振りの隙に闘真が間合いを詰め、トリガーが死角に回る…が。
「無駄…であろう?」
「ぐおっ!?」
 邪神は恐ろしく早い、動きではなく反応がだ…闘真が踏み込んだ地点には既に膝蹴りが放たれており、闘真は即座にガードしたが、後方に吹き飛ばされる、そしてトリガーは…
「目が増えた…だとっ!?」
 死角の筈の場所に目が現れた、其処だけではない…邪神の身体の至る場所に目が、耳が現れ、その瞳がトリガーを凝視する。
「ぐあああああああっ!!」
 トリガーの脳裏に無数の絶叫が木霊する、そして理解してしまう…これは犠牲者達の叫びだと…邪神に囚われた脳は、その精神は、苦痛の果てに発狂し、戻されてはまた…永遠に繰り返される拷問、苦痛…邪神の悪意に晒された苦悶の叫びが、トリガーの精神を蝕み…その苦痛の渦にトリガーの精神をも飲み込もうとする。

「トリガーさん!!」
「この野郎!」
 ペイルの光弾とイカリの砲撃が邪神に放たれ、回避の為に邪神はトリガーから視線を外す、光弾と砲弾すらも掌で弾き、邪神は狂気に触れ、頭痛が止まぬトリガーに蹴りを放とうとする。
「燃ゆる命の炎、見せてやるぜ!」
「…くぬぅ!?」
 その瞬間、モユルがユーベルコード【業火の一撃(フレイムインパクト)】で『ヘビーメタルロッド』に炎を纏わせながら突っ込んできた。邪神はモユルの接近を嫌がり、素早く後ろに飛び下がり距離を開ける…

「トリガー大丈夫?」
「何とかな…くそ、予知の結果、狂気の伝播の正体はあれか…邪神と目を合わすな、あの脳パソコンの中に精神を取り込まれる」
「なるほど、厄介だな…野郎、身体の何処からでも目が生やせるみたいだぜ」
「反応も恐ろしく早い、ペイルの光弾も、俺の砲弾も、イージスシステムみたいに簡単に叩き落としやがって…」
「でも、モユル君を嫌がったね…しかも、今は目が…」
「目…閉じてるね、炎が苦手なのかな?」
 今まで、恐ろしい反射速度で猟兵達の攻撃をいなしてきた邪神が、モユルからは逃げた…其処に邪神への突破口はあるのだろうか?

「なら、俺も炎だ…行くぜ、《エボリューションX》…インストール!」
 イカリの『フリーコントローラー』に《エボリューションX》のデータカードがスキャニングされ、複数のデーターモンスターが召喚される。
「お前の企みのせいで苦しんだ連中の嘆きの残響を、ここでまとめて返してやるよ!」
 イカリは既に纏っている多重量子装甲に、データーモンスター達を更に上乗せしその力を高める、装甲は金色に輝きを放ち、左右の砲塔を邪神に向ける。
「これで…どうだぁーー!!」
 炎属性のビーム砲にて邪神を焼き払おうとする、ビームはその反射速度により回避するが、その回避が大きすぎる…明らかに何かを嫌がっている。
「よし、やっぱ炎だぜ…って、おいぃ!?」
 その手応えに弱点見つけたり…と思ったイカリだが、大きく回避した後に炎を突っ切って邪神が突っ込んできたのだ。

「いいや、狙いは悪くないのである、もう一度焼き払うのである」
「お、おうっ!!」
 イカリは第二射と共に邪神の進行方向を焼き払う、炎の壁を避けるように邪神は向きを変え、距離を詰められはしなかったが…
(え?、あれ?…誰?)
 咄嗟の事であったから思わず従ってしまったが、今、声をかけて来た奴は誰だ?、闘真でもトリガーでもエルーゼでも…今まで行動を共にしてた猟兵の誰の声でも無かった。

「戦争である! 戦争である! さぁ歓びを! 戦争である、援軍の砲火が勝利の道を開いてくれたのである!」
「「「「なんだお前はーっ!?」」」」
 それは…クリーク・クリークフレークスはいつの間にか『居た』…猟兵なので転送で何時でも来れるが、即座に合流せず、影から不意を打つためにヒッソリと潜んでいたのだ…影に溶け込みやすい、その真っ黒な…タケノコみたいなタールの身体を利用して!
「何だ、これは…くぬぅ、おのれぇぇぇ!!」
 邪神も思わず怯む奇っ怪な光景、何処からともなく召集されたタケノコの大隊がその物量を持って邪神に襲いかかる、何故タケノコなのだ?、何処から来た?、UDCアースでは狂気で狂気を駆逐するとは言うが、正に狂気の光景だった。
「皆のもの、火を背後にである!、戦火の灯りが邪神の目を眩ませるのである!」
「き、貴様…ぐぉあっ!!?」
 物量があると言ってもタケノコ、他の猟兵達の猛攻を凌いだ邪神に防げぬハズはない。
 …その筈であったが、クリークは影から…離れて見ていたから理解していた、邪神が嫌がるのは強い『光』、眩しさであったと。
 そして遂には一本のタケノコが『脳パソコン』の脳を一つ打ち砕いたのだ。

「そうか、脳…いや、神経の強化か!」
「左様である!、奴は『脳パソコン』により、感覚神経、反射神経を高めているのである!…故の超反応という訳であるが、感度が良すぎるのも問題があると言うことであるな!」
「なるほどな、しかも目潰しならば厄介な『凝視』も封じられるという訳か…」
 当初、目潰しならば『レイダー』の弾丸でと考えていたトリガーであるが、その様な弱点ならばと『吹雪の狼』に特殊弾頭…閃光弾を取り付けて発射する。
「ぐああああああああぁぁぁっ!!!」
 強烈な閃光に邪神が身をくねらせる、数十個の脳が強化した視神経は…常人が浴びると身動き出来なくなってしまう程の『眩しさ』を数万倍にして感知し、邪神の動きを止めたのだ。
「今だ、でっかーんっ!」
 その隙に狙って放たれる、ペイルの【スパッタリングスター】の光弾が今度こそ『脳パソコン』を捉える…幾つかの脳が砕け、飛び散った。

「DNAコンピュータなる発想はあるであるが、この脳コンピュータとやらは欠陥品であるな…一片の機能美もない醜悪な趣味のための玩具、見るに耐えぬである!」
 クリークは思う、部位ごとに処理能力も違えば使われない領域も多く、なにより部品の劣化やメンテナンス性が皆無…その上、見て脳が…重要で且つ脆い部品が剥き出しであるなど、防護面においても酷い有様であると…この邪神の悪趣味は唾棄に値する。
「奇っ怪な生命体が神を嗤うか…醜悪か…ククク、ならば醜悪ついでにこう言うのはどうだ?」
 何故、脳が防護されていないのか?…それは単なる邪神の慢心、幾つかの脳を破壊された事で、邪神は脳を保護する為に黄緑色の粘体を発生させる。
 …恐らくは『照華・リリ』の身体と同じものであろう粘体が脳から湧き出て『脳パソコン』を覆い始める。
「嫌だ、死にたくない」 
「助けて…」 
「痛いよぉ…」
 そして、粘体には犠牲となった者達の顔が浮かび上がる、その顔は苦悶と恐怖に歪み、猟兵達に向かって助けを懇願する。

「さぁ、第2Rと行こうか、これ以上『脳パソコン』を破壊できるかな?」
「くっ…外道め」
 既に死んでいる…とは言え、その犠牲者の『顔』を『意識』を盾にして邪神は嗤う、優しいエルーゼには効果があるであろう、この行為に怒りを覚えるもエルーゼの攻撃を封じるのには役に立つであろう…だが、しかし。
「空と雷が合わさりしとき、疾るもの……それが電だ」
「…え?、き、貴様ぁぁぁっ!!?」
 その覚悟は既に終えている、闘真のユーベルコード【空雷流奥義・電】は一切の容赦なく粘体を貫き、その奥にある脳を、神の如き握力にて握りつぶした。
「ぎゃあああ」
「なんて、何て事を」
「ひ、人殺し!」
「俺は赦しなど乞わん。俺が憎いなら気の済むまで祟るがいい。幾らでも受けて立ってやろう」
 闘真の容赦なき一撃に怯えすくむ犠牲者の顔達、その恐怖の視線も、憎しみも真っ直ぐに受け止め、闘真はそう言い切った…最早、彼等は助からない…それは明白、ならばここで終わらせる事こそが残酷であっても救いなのだ。

「手順は変わらん、エルーゼは隙を作り、俺達があれを破壊する」
「う、うん」
「俺も覚悟は決めたぜ…終わらせてやらなきゃ、それこそ残酷ってもんだぜ」
「犠牲になった人たちも、『リリ』たちも…もう救えないなら、せめてこいつを倒して、すべて終わらせるしかないな!」
「ペイルもサポートするよ、こんな事は早く終わらせないと」
「拙草ははなっから覚悟完了である!、これは戦争である!」
 姑息な邪神の人質作戦などで、猟兵達は止められない…そもそも、人質が既に死人なのだから助けようもない。

「ふ、ふざけるなぁぁ、ひ、人殺し、お前たちが死ね、死ね、死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ねぇ」
 猟兵の覚悟を見て、粘体の顔の一つ…あの、小太りの男の顔がヒステリックに叫んだ、その絶叫は、その狂気は、他の粘体にも伝播して、脳パソコンを覆う粘体が一斉に猟兵達に襲いかかる。
「ならば、全力をもって貴様等を殺し、その脳髄を取り上げるのみっ!」
 粘体と共に邪神も襲いかかる、その猛攻は一見、凄まじいが…邪神からは先程の超反応がなくなっている、脳に『人格』を与え、粘体を操るときは神経の強化をする事が出来ないようだ。
「さっきよりも、遅い!」
「がぁっ!?」
 エルーゼのストライダーが邪神の腕を切りはねる、あの超反応さえ無ければ邪神の近接の技量は其処までではない、問題は…

「「「「死ね死ね死ね死ねぇ」」」」
「きゃあっ!?」
「ええい、乱雑だが厄介である!」
 粘体の猛攻が凄まじい、死にたくないと言う絶叫が、殺そうとする猟兵達への憎しみがこもった絶叫、小太りの男のヒステリックな絶叫に共感してしまった粘体達の攻撃は『照華・リリ』の比ではない、意の総数が違うのだ、これでは『照華・リリ』の群体を複数相手にしているような物である。
「はははははは、やれ、我の贄よ、信者よ、これもまた神の力なり」
 粘体の猛攻に押される猟兵達に気を良くした邪神が嘲笑う、与えられた贄、狂った信者もまた邪神の力であると誇るのだ…
「そうだ、来い!、いくらでも相手してやろう!」
「闘真、無茶だ!」
 粘体の攻撃を受けながらも闘真は何度も立ち上がり、立ち向かう…殺そうとする覚悟を決めた時、殺される覚悟も出来ている…例え既に死んだ者であったとしても、彼らの闘争を否定しない、その上で打ち勝ち、そして終わらせる…それが闘真の覚悟なのだ。その覚悟が粘体の恐るべき猛攻の中で一つの隙を作る、その一瞬の間隙を突きイカリの『フリーコントローラー』が粘体に突き刺さる。

「無駄だ、神に力の前にそのような物が通じるかぁ!」
「神の力?、そいつは違うぜ」
「矮小な人の身では神の力を理解できぬか…」
「違うぜ、こいつらの『神』はお前じゃないって言ってるんだ…くらえ」
「貴様、な、何を!?」
 突き刺さったイカリの『フリーコントローラー』が輝く、この光は先ほどデーターモンスター達を呼び寄せた物と同じ光…それが、粘体の中へと注がれていく。
「俺自身にハッキングなんて技術はないが…データを『喚ぶ』事は出来るぜ!、我が声に応えよ…『照華・リリ』!!」
「な、なにぃ!?」
 イカリの狙い、それは『フリーコントローラー』で『脳パソコン』にアクセス…ハッキングの技術はないが、『フリーコントローラー』にその機能はある、だから『喚べる』、先ほど倒したとは言え、そのデータは、彼女の『脳』はこの『脳パソコン』に組み込まれているのだから。

「あ…あぁ…あぁぁ……」
 イカリの召喚に応じ、粘体に召喚陣が浮かび、その箇所に『照華・リリ』の顔が形成されていく…そして、彼女は堰を切ったかのように泣き出し、声を上げる。
「ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい…私が皆を殺したのです、ごめんなさい、でも、だから…もう、終わりにしよう」
 何度も記憶が、感情が上書きされても思い返された罪悪感、その謝罪の言葉、懺悔の涙が粘体達の動きを止める。
「違う…」
「あいつが…」
「止まるな、俺の声を聞け、あいつらを殺せぇ!」
 粘体達から戸惑いの声がもれる、狂気が薄れ理性が戻る…殺したのは『照華・リリ』であったが、殺させたのは小太りの男と、邪神…生前見た、泣きじゃくりながら自分達を食べてしまった『偶像』の懺悔の泣き声は、憎き狂人の声よりも、恐ろしき邪神の声よりも、遥かに彼等の心に響くであろう。
「殺してくれ…」
「終わらせて欲しい…」
「リリちゃんを、もう解放して欲しい…」
「馬鹿な…くそ、その記憶を書き換えて……」
 やがて、小太りの男以外の粘体が止まる…自身の意から離れてしまった脳達を再度従えるために記憶の改竄を行おうとする邪神だが、そんな隙を与える猟兵たちではない。

「させるか、そんなむごたらしいこと、続けさせはしない!」
「ぐあぁっ!?」
 モユルの『ヘビーメタルロッド』が邪神の頭蓋を砕き、邪神は頭部を炎上させながら後方へと吹き飛ばされる…しかし、邪神は立ち上がる、砕かれた頭部には『脳』は入っていなかった。
「周囲すべてを薙ぎ払う、全員近づくな!」
 仲間への警告と共に、トリガーは邪神へと一気に間合いを詰めると同時にユベールコード【鬼神楽(キシンカグラ)】を発動させる。
「……」
 激しい戦いの中、凍てつく様な静寂が訪れる…死神のような冷酷な殺意の前に、トリガーは疎か、味方も、邪神も、ヒステリックに叫んでいた小太りの男ですら、声を発せなかった…
 そして、静寂の後に鬼神の如く激しい斬撃の嵐が訪れる、空の邪神の頭蓋の代わりになっているであろう『脳』を、邪神とそれを繋ぐ『神経節』を、それを保護する粘体も、邪神自身の肉体までもバラバラに切り裂かれた。

「そんな…どうして…俺は何も悪い…こと…して、ない…のに……」
 斬撃の嵐の中、『神経節』を切り離された小太りの男の脳味噌が転がる…本体から切り離されれば、本来単独では生きていけない『脳』は着実に『死』に近付いて行く…
 死を目前にしても男から漏れた言葉はコレである…これまでの凶行に一切の罪悪感もなく、反省もない…邪神を呼び寄せてしまうほどの呆れた狂気を孕んだ『脳』は、そのまま静かに死に絶えた。

「脳を…集め…組立なければ…」
「いぎぃ、痛い痛い痛い痛い」
「く、来るな…」
 一方、邪神はしぶとく生き残っていた、切り離された『神経節』から黒いモヤのような何かを伸ばし、『脳』と粘体達を侵食し再接続を果たそうとしていた…。
「いいや、終わりだ…狂気も妄執もまとめて焼き払え! クアントロム・カノン・フルブレイズッ!!」
 無論、そんな真似を許す猟兵達ではない…イカリはユーベルコード【クアントロム・カノン】、左腕の砲門に全ての量子エネルギーを集中さえ、炎のバレルを展開、そして放たれた極大の熱線が邪神を、脳パソコンの残骸を焼き尽くした。

「終わったよ、リリちゃん…犠牲になってしまった人も、どうか安らかに…」
 邪神討伐後、現場の処理はUDC組織の人達に任せて、ペイルは黒焦げになった残骸に向かって目を閉じ、黙祷を捧げる。
「弄ばれた者達に、せめて死後の安らぎを…である」
 クリークも死者に…タケノコ見たいな身体なのに、何故か敬礼だと解る仕草で敬礼を捧げ冥福を祈った。
「終わったか、お前達も弱者としてはよく戦った」
 闘真は、死を恐れ必死に抵抗し…その後はあの邪神に抗い、死を受け入れた者達の健闘を称える。
「終わらせる事しか出来なかった…ごめんね」
 脳はすべて破壊され一つも残らず…これが正しいと子供ながらに理解は出来ても、モユルは彼らの犠牲を悔やみ、謝った。
「……」
「トリガー?、大丈夫?」
「…ああ、終わったな、帰ろう」
 トリガーは口を閉ざし、何かを考えているのだろうか?、先程から…怖いぐらいの殺気を放ちつつも、どこか悲しげトリガーを気遣い、エルーゼが声をかける。
 トリガーはその声に答えは返さず、ただ終わりを告げ…そして猟兵達は現場を去ったのだ。

●後日
「もう、折角来たのにっ!」
 トリガーの様子が気になったエルーゼは、後日、トリガーが拠点にしている廃倉庫に訪れたが、『邪魔になるから』と言われて追い出されてしまった。
「せっかく、良い事教えてあげようと思ったのに」
 不機嫌そうに唇を尖らせながら…しかし、今回はトリガーも堪えてそうだからと、無理を通さずに大人しく引き下がったエルーゼ。
(行ったか…)
 そんなエルーゼの後ろ姿が遠ざかるのを確認したトリガーは、一人、静かに武器の手入れにもどる。
 愛銃の整備をしながら、何気なく動画を垂れ流していると、画面に気になる告知が来ている事に気がついた。
「新着動画だと?…しかも、この時間は…」
 死んだはずの『照華・リリ』の新着動画の告知が来ているのだ、しかも時間は、恐らくはイカリが彼女を召喚した後…死ぬ直前の投稿なのか?
 タイトルは『おわかれ』、時間にして一分ほどの短い動画、彼女の最後のメッセージを再生する。
「ごめんなさい、私はもう、動画を上げる事が出来なくなりましたのです…」
 映し出されるのはバーチャルとしての『照華・リリ』、粘体ではないキャラクターの姿だが、その顔が最後の泣き顔と重なる。
 動画もノイズが混じり、やはり消える寸前、『脳パソコン』がその機能を停止させる最中の投稿であると…事実を知っているトリガーには推測ができる。
「最後まで言えなかった、ずっと言えなかった…言う資格なんてないと思ってた…だけど、これで最後だから、私は皆に伝えたいのです」
 画面のノイズが酷くなっていく、音も割れ聞き取りづらいが…それが返って彼女の必死さを際立てる、紡ぐ最後の言葉をトリガーは真剣に傾聴する。
「私を知ってくれてありがとう…私は『居る』んだって教えてくれてありがとう…意味分からないかもです、だけど、言いたい…伝えたいのです」
 邪神によって作られた『人格(キャラクター)』は、皆の声で己を知り、己を確立し…そして最後は邪神へと抗った。
 そんな事はファン達には分からないであろう、それでも最後に伝えたかったのであろう感謝の言葉を紡ぎ、そして最後に消えゆく画面の向こうで…。

「みんな、大好きなのです」

 その言葉を残して画面は暗転した、その最後の表情は…キャラとしても、粘体としても一度も見せたことのない、笑顔だった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年02月14日


挿絵イラスト