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大祓百鬼夜行⑦〜月下の宴

#カクリヨファンタズム #大祓百鬼夜行



 カクリヨファンタズムには、常に満月が浮かぶすすき野があった。
 風に揺れるすすき野に吹き抜ける風は心地よく、開けた高台は波打つようなすすき野を一望できて静かな景色を心ゆくまで楽しむことができた。
 すすき野を見下ろす満月が、ふいに割れた。真っ二つに割れ隙間が開いた月から覗くのは、一人の巨大なかぐや姫。まるで襖越しにこちらを覗き込むような格好のかぐや姫は、こちらを好奇心に満ち満ちた目で見つめている。
 割れた月の間から覗くかぐや姫の視線は、無視を拒否する圧を持ってすすき野をじっと見下ろすのだった。


「カクリヨファンタズムのすすき野は、満月が常に浮かんでいるんだけどね。その月が割れて中からかぐや姫が生まれようとしているんだ」
 一体何を言っているのか自分でもよく分からない、という表情をしたパラス・アテナは、小さくため息をつくとグリモアを覗き込んだ。
「このかぐや姫は『カタストロフの幼生』って言ってね。その名の通りカタストロフを引き起こす災厄の幼生さ。こいつを消すためには、月見の宴を開かなきゃならないんだよ。ーー圧のある視線に耐えながらね」
 この月を見ながら宴を開けば、カタストロフの幼生は消えて崩壊の脅威を減らすことができる。だが、かぐや姫は見ることは好きだが見られることは好きではない。「綺麗な満月だ」と思うか完全に無視をしながら宴を楽しまなければならないのだ。
「必要な物はすべて現地に運ぶから、安心して宴を楽しみな。今回は危険は無いようだからね。良けりゃアタシも宴に酒でも提供しようじゃないか」
 未成年者に呑ませる酒はないよ。そう言い置いたパラスは、カクリヨファンタズムへの道を開いた。


三ノ木咲紀
 オープニングを読んでくださいまして、ありがとうございます。
 今回は戦争シナリオです。1章で完結します。

 プレイングボーナス……幼生の事を気にしないようにしつつ、全力でお月見を楽しむ。

 圧のある視線でじっと見つめるかぐや姫を無視しながら宴をお楽しみください。
 食べ物や飲み物などは大抵の品は揃っていますのでプレイングで指示をお願いします。思い思いに月見の宴をお楽しみください。
 また、パラス・アテナがバーを開いていますので、お声がけがあればドリンクやおつまみを提供致します。カウンターがあるので、描写の助けにしていただければ。
 未成年者の飲酒喫煙、公序良俗に反する行動はプレイングをお返し致します。
 プレイング受付開始と〆切は追ってご連絡致します。
 場合によっては再送をお願いするかも知れません。

 それでは、良き月見の宴を。
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第1章 日常 『月割れてるけどお月見しよう』

POW   :    全力で月の美しさを褒め称え、「立派な満月」だと思い込む。

SPD   :    賑やかな歌や踊りでお祭り気分を盛り上げる。

WIZ   :    お月見にふさわしいお菓子やお酒を用意する。

👑5
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木常野・都月
お月見だ!
チィ、お月見だぞー!

食べ物と飲み物を用意して、楽しまないと。

食べ物は、何か適当に…焼き鳥とか、焼き串とか、グリルっぽいのがあれば。
飲み物は…果実酒のシュワシュワー割りで。
薄めに使ってください。

チィはどうする?
チィは赤ちゃんだからジュースだな。
オレンジ?わかった!
持って行くから、場所確保しておいてくれ。

食べ物と飲み物を用意して、いただきまーす!
美味しい!
チィはご飯も食べて、満月もあって、ご馳走だな!

食べ終わったら、月光浴しておいで。

って俺の膝の上か!
まぁいいけどさ。
(チィもかぐや姫の圧が気になるのかもしれないな)

チィの頭を撫でながら、俺は月を眺めて、もぐもぐだ。
戦争、勝ちたいな。



● かぐやの圧と月の精霊
 割れた満月の間から、かぐや姫がじっとこちらを覗いていた。
 視線って圧力があるんだな、などと思いながら見上げた木常野・都月(妖狐の精霊術士・f21384)は、月の精霊・チィを肩に乗せたまま、すすき野を見下ろす丘の上に駆け出した。
「お月見だ! チィ、お月見だぞー!」
「チィ!」
 嬉しそうに都月の肩から飛び降りたチィは、月光の下をひとしきり駆けるとピタッと動きを止めた。どうやら、じっと見下ろすかぐや姫とうっかり目が合ってしまったらしい。じーっと見下ろすかぐや姫の視線をじーっと見つめ返してしばし。沈黙したチィは沈黙したまま小さく会釈すると、都月の肩に飛び乗った。
 肩に乗ってもやっぱり気になるのか。月を見上げるチィを撫でた都月は、バーカウンターにいるパラスに声を掛けた。
「パラスさん、こんばんは」
「よく来たね。何にする?」
「食べ物は、何か適当に……焼き鳥とか、焼き串とか、グリルっぽいのがあれば」
「焼き鳥ならいいのが仕入れてあるよ」
「それでお願いします。飲み物は……果実酒のシュワシュワー割りで。薄めに作ってください」
「果実酒の炭酸割だね」
 頷くパラスに頷きを返した都月は、月をチラチラ気にするチィを手の上に乗せるとメニュー表を示した。
「チィはどうする?」
「チィ?」
 首をかしげるチィに、都月はメニュー表を覗き込んだ。アルコールは色々横文字が書いてあるが、正直よく分からない。それにチィはまだ小さいから、そういうのはよしておいた方がいい気がした。
「チィは赤ちゃんだからジュースだな。ええと、リンゴとオレンジとパイナップルと……」
「チィ!」
「オレンジ? わかった! 持って行くから、場所確保しておいてくれ」
「チィ!?」
 都月に頼まれたチィは、ピャッと背中を逆立てると再び月を見上げた。またもや目が合ってしまったのか少し硬直していたが、席取りもできないと思われたくないのだろう。都月の肩から飛び降りたチィは敢えてあさっての方を向きながら歩くと、月に背中を向けて椅子にちょこんと座った。
「お待たせチィ。どうした? 今日は甘えん坊だな」
 首を傾げる都月の肩に飛び乗るチィは、やっぱり月が気になるようでチラチラと見ている。そんなチィの前にジュースと焼き鳥を置いた都月は、レモンの浮いたオレンジ色のグラスを手に取った。
「チィ?」
「これ? なんだっけ。アペロールソーダ? っていうんだって。イタリアのオレンジのお酒で、食前酒にいいんだって。それじゃ、いただきまーす!」
「チィ!」
 グラスを傾けた都月は、口の中に広がるオレンジの香りと甘さに思わず目を細めた。口の中に広がる炭酸の刺激も心地よく、わずかに残る香草の苦味が後味を良くしてくれて。
「美味しい!」
「チィ!」
 オレンジジュースを飲んだチィも、満足そうに胸を張る。一人と一匹でお酒と焼き鳥を堪能して満足した都月は、都月を見上げて目を細めるチィの頭を撫でた。
「チィはご飯も食べて、満月もあって、ご馳走だな! 食べ終わったら、月光浴しておいで」
「チィ!?」
 体をピャッと逆立てたチィは、テーブルから飛び降りると都月の膝の上で丸くなった。いつもは満月を全身で楽しめる場所にいるのだが、今日は膝の上と決めたらしい。
「まぁいいけどさ」
(「チィもかぐや姫の圧が気になるのかもしれないな」)
 苦笑いをこぼした都月は、夜空を見上げるとアペロールソーダを口に含んだ。かぐや姫は相変わらず空の上でこちらをじっと見つめている。
 圧を感じながらチィの背中を撫でて、美味しいご飯をもぐもぐして。幸せを堪能した都月はぽつりとこぼした。
「戦争、勝ちたいな」
 都月の呟きは空を流れ、すすき野の上を遠ざかっていくのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

灰神楽・綾
【不死蝶】
パラスのバーにお邪魔する
確か去年のクリスマスにも彼女にお酒を作ってもらったよね
ねぇ、今年のクリスマスもバーやらないの?もしくは夏休みとか
あれば絶対行くよーとパラスに話しかけてみたり

わぁ、梓ってばオシャレ~
じゃあ俺も梓と同じやつを…(言おうとしたら梓に遮られ
ちょっとーなんで勝手に頼むのさ
口を尖らせながら抗議
むぅ、完全に子供扱いされてる…
不服ながらも甘酒を受け取ってぐびっと
…あ、これはこれで美味しいっ
お団子も何個でもいけちゃいそう

それにしても
戦争中にこんなことしているなんて不思議だよねぇ
昔の俺なら真っ先に血腥い戦いが待つ戦場に向かっただろうに
今はこんな穏やかな時間が愛おしくてたまらない


乱獅子・梓
【不死蝶】
あの時はUDCアースで夜景を見ながら飲んだんだったな
今回は月見酒が楽しめるとはな
まぁ、あんまり月は見ない方がいいわけだが…
月見なのに月が見れないとはこれいかに

クリスマスはお洒落なカクテルを飲んだが
今回は日本酒を頼もうか
盃に注いでぐいっと飲みたい
…こいつには甘酒を頼む
俺と同じものを注文しようとする綾をすかさず遮り
日本酒はカクテルよりもアルコール度数がかなり高いんだぞ
そんなのお前が飲んだら酔い潰れて
介抱する羽目になるのが目に見えている
ほら、甘酒と団子で楽しんでおきなさい

戦争中だというのにお祭りみたいな場所が多いよなぁ…
だが俺も、綾とは戦いよりも
今みたいな時間をもっと過ごしたいなと思う



● 戦いよりもたいせつな
 バーカウンターのスツールに腰掛けた灰神楽・綾(廃戦場の揚羽・f02235)は、注文を聞くパラスにニコニコ笑いながら指を立てた。
「スピリタス」
「やめとけ」
 きっぱりと言い切った乱獅子・梓(白き焔は誰が為に・f25851)の声に、綾は楽しそうに口元を尖らせた。
「えー面白そうだったのに」
「あれは酒というよりアルコールだ。やめときな」
 苦笑いを零すパラスに、梓は腕を組み同意に何度も頷くと周囲を見渡した。月光が照らし出す丘は心地よい風が吹き抜け、四方に見えるのは鬱金のすすき野。こういう場所で呑むのなら、洋酒よりも日本酒だろう。
「クリスマスはお洒落なカクテルを飲んだが、今回は日本酒を頼もうか。盃に注いでぐいっと飲みたい」
「わぁ、梓ってばオシャレ~。じゃあ俺も梓と同じやつを……」
「それもやめとけ。……こいつには甘酒を頼む」
「ちょっとーなんで勝手に頼むのさ」
 むくれたように口を尖らせ抗議する綾に、梓は眉間に指を当てた。この問答はクリスマスにもした気がするが、多分気のせいじゃない。同じような問答を同じようにできるのは、同じように楽しい時間が流れているということで、それも悪くない。
「日本酒はカクテルよりもアルコール度数がかなり高いんだぞ。そんなのお前が飲んだら酔い潰れて、介抱する羽目になるのが目に見えている。ほら、甘酒と団子で楽しんでおきなさい」
 丁度カウンターに置かれた甘酒と三色団子をビシッと指差す梓に、綾は尖らせた口をへの字に曲げて甘酒の湯呑を持ち上げた。
「むぅ、完全に子供扱いされてる……」
「飲める飲めないは体質に依るとことが大きいからね。飲めないのは恥でも何でもないさ」
 パラスのフォローの言葉に、綾はへの字に曲げた口元をぷう、と膨らませた。梓に飲めて自分に飲めないのは、なんだかちょっと癪に障る。酔いつぶれてしまってはせっかくの楽しい時間を楽しめないから本意ではないが、飲んでみたいものは飲んでみたい訳で。
「それはそうだけど、そういう意味でもないんだよなあ。………あ、これはこれで美味しいっ。お団子も何個でもいけちゃいそう」
 拗ねた顔の綾は、乾杯の後口にした甘酒に寄せた眉間のシワを伸ばした。泣いたカラスが何とやら。機嫌を直してホクホク笑顔になる綾にホッと安堵の息を吐いた梓は、ぐい呑みに注いだ日本酒を干すと鼻に抜ける風味に頬をほころばせた。
「これは旨いな。辛口でスッキリしてて焼き鳥に合う」
「口に合って何よりだよ。その甘酒はその酒の酒粕から作ったからね。兄弟みたいなものさ」
「へー兄弟か。面白いな」
 日本酒を楽しむ梓の隣で湯呑に残った甘酒を転がした綾は、ふと顔を上げると首を傾げた。 
「確か去年のクリスマスにもパラスにお酒を作ってもらったよね。ねぇ、今年のクリスマスもバーやらないの? もしくは夏休みとか」
「あの時はUDCアースで夜景を見ながら飲んだんだったな」
「そうだったね。ーーそう言って貰えるとは、光栄だね。機会があったら開かせてもらうよ」
「やった。あれば絶対行くよー」
「とっておきを用意しておいてやるから、楽しみにしておきな」
 嬉しそうな綾に少し照れたように頷いたパラスは、落ちる沈黙にチラリと夜空を見上げた。つられて空を見上げた梓は、和やかなバーをじっと見つめるかぐや姫の圧から視線を逸した。
「今回は月見酒が楽しめるとはな。まぁ、あんまり月は見ない方がいいわけだが……」
「そうだねぇ……」
「……」
「「「……」」」
 沈黙する三人に、かぐや姫が圧を掛ける。落ちる沈黙にぐい呑を干した梓は、息を吐くとぽつりとこぼした。
「……月見なのに月が見れないとはこれいかに」
「もしこれが敵意ある骸魂とかだったら、話は早いんだけどねえ」
 そんなことを漏らして夜空を見上げた綾は、じっと見つめるかぐや姫に甘酒で満たした湯呑を掲げると一息に飲み干した。
 以前の綾ならば、こんな風に飲食を楽しむだなんて考えもしなかっただろう。より危険な戦場へ。もっと命がけのミッションへ。戦いから戦いに渡り歩き、一歩間違えば命を失うヒリつくような感覚と、肉と命を断つ血の感触に悦びを感じていたあの頃。
「それにしても。戦争中にこんなことしているなんて不思議だよねぇ。昔の俺なら真っ先に血腥い戦いが待つ戦場に向かっただろうに、今はこんな穏やかな時間が愛おしくてたまらない」
「戦争中だというのにお祭りみたいな場所が多いよなぁ……。だが俺も、綾とは戦いよりも、今みたいな時間をもっと過ごしたいなと思う」
 静かに応えた梓も、ぐい呑を干し新しい日本酒を注ぐと綾に向けて静かに掲げた。応えた綾も、甘酒の湯呑を梓に向けて掲げる。
「楽しむべき静かな戦場に」
「愛おしいこういう時間に」
「「乾杯」」
 陶器が重なる音が響き、盃が干される。
 平和で静かなバーのひと時を、すすき野を渡る風が静かに吹き抜けていった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

榎木・葵桜
【BP】

ん、割れてようとなんだろうと満月は満月!
よし、ここはいい雰囲気を作るべく、
田中さん(UC使用)にも横笛(胡蝶楽笛)演奏でBGMお願いしちゃおう♪

おおお、エリシャさんのおつまみ?!
すっごーい!
で、パラスさんのお手作りなお酒でしょー?
なんて贅沢!
(目輝かせ喜び)

パラスさん、こないだのアップルシード、また飲みたいな!
エリシャさんのおすすめも飲んでみたい!

やたー、陽里さんお祝いありがと!
ね、パラスさんも一緒に乾杯しよー?

おっと、飲み過ぎ陽里さん…、え、悪い例なの?
でも、エリシャさん膝枕でめっちゃいい雰囲気だね♪

祝福兼ねてリア充爆発したくなるけど邪魔しちゃダメだよね
ここはにこにこ見守っちゃうよー


エリシャ・パルティエル
【BP】
二十歳になった葵桜ちゃんを連れてパラスさんのバーでお酒を楽しむわ
もう陽里ったらそろそろ慣れたんじゃないの?
そうそう酔っちゃえば月がどうとか関係ないしね
田中さんの演奏も風情があっていいわね
おつまみはね、ピンチョスよ!
串で刺してあったら外でも食べやすいかなって
具材はトマトとかチーズとかオリーブとか

あたしが好きなのはフルーツ系のカクテルと果実酒かな
甘いのが好きなの

パラスさんに桜のお酒を仕入れてもらって
葵桜ちゃんに出してもらうわ
ええ、みんなで乾杯しましょ

陽里大丈夫?
お酒はほどほどに
でも飲みすぎちゃう時があるのよね
葵桜ちゃん、大人っていろいろあるの…
ちょっと横になる?
膝枕してあげる(実はほろ酔い


藤崎・美雪
パラスさん同行希望
アドリブ、勝手な絡み大歓迎

…あ~
割れた月は全力で気にしない
今浮かんでいる月は美しい満月だ
圧をかけているかぐや姫なんて知らないんだからな!!
(必死に自分に言い聞かせてむくむく湧き上がるツッコミ属性押さえ中)

というわけでパラスさん
気を紛らわすために、私も何かつまみとなりそうなものを作ろうか
サンドイッチやカナッペ、簡単な酒のつまみの材料は持ってきているから
ああ…グリードオーシャン産エビがここにあるな(発泡スチロール箱どーん)
…あとはUC発動で一瞬で調理、と

頃合い見て、何かカクテルを頼もう
店の立地柄、あまり酒は飲まぬのでな
良い機会なので合いそうなカクテルを見繕っていただけると幸い


櫟・陽里
【BP】
不思議存在もここまで意味不明だともはや怖くもない
わー綺麗な満月だなー(遠い目)
どこからともなく聞こえてくる笛の音と
いつでも何でも楽しそうな葵桜ちゃんに心を癒されつつ
エリシャに助けを求めよう
風流ってこういう事なの…?

今日はバイクはお休み!
姐さんの酒、楽しみにしてきたんだぜ?
リクエストはカクリヨに似合う酒かピンチョスに合う酒
さあ、葵桜ちゃんの成人に乾杯だ!
積極的に喋って場を盛り上げよう
エリシャの好みの酒は俺も聞きたい
俺はビールかなぁ…単に買いやすいし

それにしても今日はつまみも美味い酒も美味い無限ループ
いいか葵桜ちゃん…これは悪い大人の例だぞ…(飲みすぎた顔)
膝枕の提案には乗らねばなるまい!



● かぐや姫三者三様
 真っ二つに割れた満月から、かぐや姫が圧のある視線でじーっと見つめるすすき野に立った榎木・葵桜(桜舞・f06218)は、敢えてかぐや姫と視線を合わせるとじーっとにらめっこを仕掛けた。
 葵桜の視線に気付いたのか。かぐや姫はわずかに落とした視線で葵桜をじーっと見つめる。
 圧対圧。視線対視線で何事か交信し合っているようにも見える両者をチラリと見た櫟・陽里(スターライダー ヒカリ・f05640)は、巻き起こっている不思議ワールドに遠い目をしながら乾いた声で笑い声を上げた。
「不思議存在もここまで意味不明だともはや怖くもない。わー綺麗な満月だなー」
「……あ~、確かに綺麗な満月だなー」
 陽里の隣に立った藤崎・美雪(癒しの歌を奏でる歌姫・f06504)もまた、陽里と変わらない乾いた笑顔で満月を見上げる。
 三者三様に月を見上げてフリーズしていたが、最初に動いたのは美雪だった。心の中にむくむくと湧き上がるツッコミ属性に、手を握り締め目を閉じ大きく首を横に振ると、なにかに宣言するように月に指を突きつけた。
「……割れた月は全力で気にしない。今浮かんでいる月は美しい満月だ。圧をかけているかぐや姫なんて知らないんだからな!!」
「ん、割れてようとなんだろうと満月は満月! よし、ここはいい雰囲気を作るべく、田中さんにも胡蝶楽笛の演奏でBGMお願いしちゃおう♪」
 未知との会話を終えたらしい葵桜も、何やら満足したようにかぐや姫から視線を逸らすと、ユーベルコードを詠唱すると田中さんを召喚した。
 サムライエンパイアの鎧侍も姿の田中さんは、葵桜の指示で横笛を演奏する。何の曲かは分からないが、淀みなく響く美しい笛の音が、すすき野に高く低く響き渡った。
 その音色を聞いてもなおフリーズしたまま動かない陽里の顔を覗き込んだエリシャ・パルティエル(暁の星・f03249)は、陽里の顔の前で手をヒラヒラと振った。
「陽里、大丈夫?」
「……あぁ、エリシャ」
  ようやく現実世界に戻ってきたのだろう。相変わらずよく分からないことに弱い陽里は、エリシャの顔に眉間に寄った皺を解いた。田中さんが演奏する笛の音に耳を傾け、葵桜とパラスの方を見て、美雪の早業に苦笑いを零す。心の変化が手にとるように分かって、なんだかかわいい。そんなことを思われているとは知らないだろう陽里は、大きく息を吐くとエリシャに助けを求めるような声を上げた。
「風流ってこういう事なの……?」
「風流? 田中さんの演奏は風流でいいわね」
「そうか。あの演奏が風流っていうのか」
「もう陽里ったら。そろそろ慣れたんじゃないの?」
「いや、慣れても慣れてもその端から慣れない事態が起きるというか……」
「おーい、二人ともー! 何呑むのってパラスさんが聞いてるよー!」
「今行くわ葵桜ちゃん! ……さ、行きましょ。大丈夫、一つ一つ慣れていけばいいのよ」
 明るい声で聞いてくる葵桜に手を振って応えたエリシャは、その手を下げると陽里に差し出した。その手を取った陽里は、細い手を握ると一緒に歩き出した。
「そうだな! 今日はバイクはお休み! 呑むぞー!」
「そうそう。酔っちゃえば月がどうとか関係ないしね」
 仲良く手を繋いでバーへ向かう二人を、かぐや姫が圧のある視線で見下ろしていた。

● 出張カフェ店主登場
 一足先にバーに入った美雪は、エプロンをすると腕まくりでキッチンに立った。
「というわけでパラスさん。私も何かつまみとなりそうなものを作ろうか」
「おや。アンタは座ってていいんだよ?」
「いやいいんだ。手伝おう。というか手伝わせてくれ。あの月を見ていると、いつか絶対盛大にツッコミを入れてしまう」
「別にツッコミを入れても構いやしないとは思うがね。じゃあつまみは任せようか」
「ああ。任せてくれ」
 頷いた美雪は、調理台の上に次々と食材を置いていった。作るのは、お酒のつまみになる材料各種に、軽くつまめるサンドイッチやカナッペの材料。それに大きな発泡スチロールの箱がでーん! と一箱。
「それは何だい?」
「これか? グリードオーシャン産エビだ。冷凍しておいたんだ。せっかくだから皆で食べようじゃないか」
「いいね。そのエビはまた旨いんだ」
「ほう? 知ってるのか?」
「エリシャがバーに持ってきてくれてね。ガーリックシュリンプやカクテルシュリンプにして出したのさ」
「それはいいな。その二つも作るとして、沢山あるから他にもエビ料理は……っと」
 色々イメージした美雪は、ふいに真剣な表情になると包丁を手にした。目にも留まらぬ早業で各種材料を美味しく調理。わずか10秒で美味しいつまみ各種を作り上げた美雪に、葵桜は目を輝かせた。
「わあ……! 美味しそう!」
「時短のためにユーベルコードを使ったが、味はお墨付きだぞ」
「エリシャさんもおつまみ作ってくれたって言うし、楽しみが止まらないよ!」
「楽しみはいいが、最初は何を飲むんだい? あの二人は固まったまま動きやしないし。しばらくそっとしておいた方が……」
 空気を読もうとしたパラスの言葉を遮り、葵桜は立ち上がり大きく手を振ると立ち話をしている二人に声を掛けた。
「おーい、二人ともー! 何呑むのってパラスさんが聞いてるよー!」
「今行くわ葵桜ちゃん!」
 手を振って応える二人は、仲良く手を繋いで歩いてくる。仲良しな様子に笑みを浮かべた葵桜は、くるりと振り返るとスツールに座った。
「やー、仲良しさんですなあ」
「仲良きことは美しきことかな、というからな。さて、最初の一杯か。悩むな」
 目を見交わした二人は、最初に何を飲むのかを額を突き合わせて考えるのだった。

● それぞれのドリンク
 テーブルにやってきたエリシャは、ずらりと並んだおつまみの数々に目を丸くした。
「すごい数ね。これ全部美雪が作ったの?」
「ユーベルコード込みだけどな。……エリシャも何か作って来たんだって?」
「そう、ピンチョス! 串で刺してあったら外でも食べやすいかなって。具材はトマトとかチーズとかオリーブとか」
「おおお、エリシャさんのおつまみ?! すっごーい! で、パラスさんのお手作りなお酒でしょー? なんて贅沢!」
「こらこら。未成年は酒を飲んじゃ……」
「にしし。もう二十歳だもんねー」
 美雪の裏拳ツッコミに、葵桜はハイタッチの要領で裏拳を返す。その手でVサインで二十歳をアピールする葵桜に、美雪は驚きに目を見開くと笑顔になった。
「おお、二十歳か! それは気付かなかったな。おめでとう」
「ありがと美雪さん!」
「今日は二十歳になったお祝いも兼ねてるのよ」
「おめでとう葵桜ちゃん。今日は俺も姐さんの酒、楽しみにしてきたんだぜ?」
「おや、それは光栄だね。何呑む?」
 パラスの問に、陽里は考えを巡らせる。こういう時に風情のある酒と問われて、パッと出るほど酒は呑み込んでいない。風情チョイスを諦めた陽里は、酒選びをパラスに任せた。
「カクリヨに似合う酒かピンチョスに合う酒」
 楽しそうな陽里に相変わらずだと頷いたパラスは、葵桜を見ると問いかけた。
「カクリヨかピンチョスね。葵桜は?」
「こないだのアップルシードル、また飲みたいな! エリシャさんのおすすめも飲んでみたい!」
「そう言うと思ったから、用意してあるよ。エリシャは、頼まれた桜の酒でいいかい?」
「もちろん! ありがとうパラスさん。葵桜ちゃんのアップルシードルも飲んでみたいわ」
「じゃあ乾杯は桜の酒にしようか。美雪は?」
 問われた美雪は、急いで作ったバースデーケーキをテーブルの上に乗せるとパラスの質問に頭を捻った。
「私か? そうだな……。店の立地柄、あまり酒は飲まぬのでな。良い機会なので合いそうなカクテルを見繕っていただけると幸い」
「アンタに合う酒ね」
 それぞれのオーダーを聞いたパラスは、少し考えるとそれぞれの酒を作りテーブルに運んだ。葵桜とエリシャにはロンググラスに入った桜の酒が、陽里にはガラスの徳利に入った冷酒が、美雪にはスノースタイルのワイングラスにレモンとコーヒー色のカクテルが入ったグラスが出される。珍しいグラスに首を傾げた美雪は、パラスに問いかけた。
「これは?」
「サルマってカクテルさ。ブランデーとアイスコーヒーのカクテルだからね。店でも簡単に作れるだろうさ」
「おお、それは有り難い」
「ね、パラスさんも一緒に乾杯しよー?」
 立ち去ろうとするパラスを、葵桜が立ち上がって手を上げて呼び止める。振り返ったパラスは、苦笑いをこぼした。
「アタシは仕事があるからね。アンタ達だけで……」
「みんなで乾杯しましょ。乾杯だけ付き合ってくれるかしら?」
 桜色のグラスを手にしたエリシャに、パラスは席につくとグラスを手に取った。
「じゃあ、乾杯だけ」
「さあ、葵桜ちゃんの成人に乾杯だ! 乾杯!」
「「「「乾杯!」」」」
 打ち鳴らされるグラスが、澄んだ音を立てる。
 賑やかな宴が、幕を開けるのだった。

● 月夜の乾杯
 宴は賑やかに過ぎ行き、供されたおつまみもケーキも食べ終わった頃。楽しい会話で場を盛り上げながら酒を飲んでいた陽里は、顔を赤くするとチェイサーの水を飲み干した。
「ふ~……。それにしても今日はつまみも美味い酒も美味い無限ループ。いいか葵桜ちゃん……これは悪い大人の例だぞ……」
「陽里大丈夫? お酒はほどほどに」
「大丈夫大丈夫。酔っていれば月は見えない圧も感じなーい。……ちょっと風に当たってくるわ」
 ふらりと立ち上がった陽里が、すすき野に向けて歩き出す。陽里を支えながらすすき野に出たエリシャを見送った葵桜は、月夜に立つ二人に笑顔を浮かべた。
「おっと。飲み過ぎ陽里さんだ」
「エリシャがついていれば、大丈夫だろう」
「それもそだね」
 カウンターに座った葵桜の前に、グラスが置かれた。黄金色のドリンクに目を見開いた葵桜は、パラスを見上げるとグラスを指差した。
「パラスさん、これ……」
「まだ飲めるかい? さっきは出しそびれちまったからね。もうよした方がいいなら、こいつはアタシが貰ってアップルジュースを出してやるよ」
「ううん! 飲める! 改めて乾杯しようパラスさん!」
 首を横に振った葵桜は、置かれたボトルを手に取るとパラスに進めた。その様子に目を細めたパラスは、グラスを手に取るとアップルシードルを受け取った。
「アンタに注いで貰えるとは、光栄だね」
「いっつも注いでもらっちゃってるから、たまにはね」
 笑いあった二人は、どちらからともなくグラスを重ねる。涼やかな音を立てるグラスを傾ければ、甘く爽やかな飲み心地のアップルシードルが喉の奥にスッと入っていって。
「んー、美味しい!」
「気に入って貰えたなら何よりだよ」
「ふふん。誕生日プレゼントありがとねパラスさん」
 笑顔の葵桜は、アップルシードルを口に含む。黄金のリンゴで作られたという希少な酒は、ほろ酔いの心地よさを葵桜に運んでいくのだった。

● 月夜の膝枕
 すすき野を一望できる丘に並んで座った陽里とエリシャは、吹き抜ける心地よい風に吹かれていた。
 チェイサーと風の心地よさで、酔いがだいぶ冷めてきた。そうすると何か話さなければと思うが、話題が思いつかないまま心地よい沈黙が二人の間に横たわる。
 月光に照らされたエリシャの横顔に思わず見惚れた陽里に気付いたエリシャは、ふと顔を上げると首を傾げた。
「なあに?」
「え、いやその……。エリシャはさ、どんな酒が好き?」
 我ながら色気のない話題だと思ったが、それ以外に思いつかなかったのだから仕方がない。問われて少し考えたエリシャは、いくつか酒の名前を挙げた。
「あたしが好きなのはフルーツ系のカクテルと果実酒かな。甘いのが好きなの。陽里は?」
「俺はビールかなぁ……単に買いやすいし」
「ビールね。今度用意しておくわ」
 微笑むエリシャの顔が、ほんのり赤い気がする。吹き抜ける風に揺れるすすき野がさやさやと涼し気な音を立てて、鬱金色に流れている。エリシャの目を見つめた陽里は、桜色の頬にそっと手を伸ばした。
「陽里……」
「エリシャ……」
「ちょっと横になる? 膝枕してあげる」
 いい雰囲気に、伸ばしたてが宙に浮く。おいで、と膝をてしてし叩くエリシャに苦笑いをこぼした陽里は、遠慮なくエリシャの膝に頭を預けた。
「膝枕の提案には乗らねばなるまい!」
「ふふ、陽里ったら。でも飲みすぎちゃう時があるのよね」
 陽里を見下ろすエリシャの顔が、視界いっぱいに広がる。温かな膝の温もりを頭の下に感じれば、髪に触れてくれる手も心地よくて。これはこれで悪くない。
「今度二人で飲みに行こうぜ。甘いカクテルが旨い店、探しとくからさ」
「いいわね。ビールも美味しくなきゃダメよ?」
 エリシャの言葉に頷いた陽里は、そのまま軽く目を閉じる。
 静かな時間が流れる二人を、かぐや姫が圧のある視線で見下ろしていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

九十九・白斗
月がきれいだな


彼女と月を見るたびにこう言っている

青い月光の照らされた彼女は美しい
自然にそう言葉が出る
ただ、言葉の意味を知られたら、照れて言えなくなるだろう

軽い言葉でいうのは楽だが
しっかり想いを乗せると途端に照れて言えなくなる

しばらく彼女を見つめていたら、怒られる

月を見るのが仕事だったなと思い出したが、再びパラスを見る


月から目をそらすと、チリチリと視線を感じる
押さえつけられるような威圧感
これを感じていては幼生が出てくるのだろう

だが、さっきパラスに見惚れていた時は感じなかった。

完全に無視でも良かったな
俺が別の女をじっと見てるより、一緒に楽しく飲んであれを忘れて過ごす方がいいと思わないか?



● 月が綺麗な夜に
 賑やかな宴が終わり、一人最後にバーカウンターに座った九十九・白斗(傭兵・f02173)は、月光の下でシェイカーを振るパラスの姿に目を細めた。
「月がきれいだな」
 一瞬だけ手を止めたパラスは、白斗の言葉に満月を見上げると少しだけ笑みを浮かべた。
「あぁ。月が綺麗だ」
 それだけ言うと再びシェイカーを振る姿に、白斗は思う。
 彼女と月を見るたびにこう言っている。
 依頼で大怪我をして見舞いに来てくれた時も。
 クリスマスに廃墟を散策した時も。
 そして今。青白い月光の下で白斗のためだけに腕を振るう凛とした姿も。
 青白い月光に照らされた彼女は美しい。自然にそう言葉が出る。
 やがて二杯のマティーニを作り終えたパラスは、カウンターに差し出すと気になったように空を見上げた。
「……綺麗だって言われたんだから、あのかぐや姫も嬉しいだろうさ」
「違いない」
 続く言葉に、パラスはまだあの言葉の意味を知らないのだろう。それでいいと思う。
 言葉の意味を知られたら、照れて言えなくなるだろうから。
 愛を告げる言葉は、古今東西色々ある。軽い言葉でいうのは楽だが、しっかり想いを乗せると途端に照れて言えなくなる。
 見上げた視線を戻して、髪を耳に掛ける。シェイカーを台に置くパラスを見つめていたら、形の良い眉が少し寄せられた。
「……何見てるんだい?」
「いや。そういえば月を見るのが仕事だったな」
 思わず視線を外して見上げた月は、何の変哲もない満月だった。圧のある視線を投げかけるかぐや姫がいる以外は。
 じっとこちらを見つめる圧から視線を逸らすと、途端に押さえつけられるような、チリチリとした威圧感を感じて少々居心地が悪くなる。敵意は無いが感情も無い。ただ見つめるだけの威圧感。
「このかぐや姫の圧だが。これを感じていたら幼生が出てくるのか?」
「さてね。グリモアは「幼生の事を気にしないようにしつつ、全力でお月見を楽しむ」とだけしか言わないから、そうなのかも知れないね」
 パラスの答えに、白斗は納得して頷いた。
 さっきパラスに見惚れていた時は感じなかった。彼女から意識を移して見上げた途端に圧を感じた。月を見るよりパラスを見る方が「月見を楽しむ」ということになるのだろう。
「完全に無視でも良かったな」
「気にしなけりゃ、少しくらい見てやってもいいんじゃないかい?」
「俺が別の女をじっと見てるより、一緒に楽しく飲んであれを忘れて過ごす方がいいと思わないか?」
 出されたマティーニを手にとって、目の高さに掲げる。苦笑いを零したパラスも、自分のグラスを手に取ると白斗のそれに近づけた。
「違いない」
 マティーニグラスが涼やかな音を立てる。
 酒と会話を楽しんだ二人が帰ろうと月を見上げた時、そこにかぐや姫の姿はなくなっていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年05月24日


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#カクリヨファンタズム
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#大祓百鬼夜行


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種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


挿絵イラスト