大祓百鬼夜行⑭〜殺戮刀剣小屋「三千世界」~
●カクリヨファンタズム・地球
「うーん、まさか誰にも見えないなんて!」
そう言ってこじんまりとした見世物小屋で苦悶するのは、東方妖怪のポン子である。彼女は今、大祓骸魂の配下である骸魂「妖刀・三千世界」に意識を飲まれている。
この妖刀は99年間飾られてきたが、ヤドリガミになる1年前に打ち捨てられた刀である。人を斬ることに喜びを見出すオブリビオンで、カクリヨファンタズムからついにUDCアースに帰還を果たした。
そして殺戮の見世物小屋を開き、無差別に誰彼も殺したい衝動を晴らすつもりだった。だがここで問題が生じる。
「せっかくこのビックリな能力も用意したのに……台無しじゃないか!」
ポン子が嘆くのも無理はない。この殺戮の見世物小屋は一般人はおろか邪神にも見ることができない。そんな中では座長たる自分の「ビックリ殺戮ショー」を披露することができない。
そのことに懊悩するポン子。このまま誰にも発見されずにこの衝動を発散できないのは拷問に近い。
「だ、誰か来てくれー! わたしは人を斬りたいんだー!」
●グリモアベース・ブリーフィングルーム
「せっかく用意したのに誰も来てくれないのは寂しいものだからねー」
そう言って電脳ウインドウで画面を映し出しているのはグリモア猟兵のエィミー・ロストリンク(再臨せし絆の乙女・f26184)。誰にも発見されない見世物小屋で苦悶する妖刀の骸魂に乗っ取られた東方妖怪ポン子の様子が窺い知れる。
誰にも全ての知的生命体に忘れられた究極妖怪、大祓骸魂を倒す為の戦い。それはUDCアースにも及び、この妖怪はすでにそちら側へと帰還している。
「だけど誰にも発見されないからストレスが溜まっているみたい。もし入ったら大歓迎を受けるよー」
大祓骸魂打倒のためにも、百鬼夜行の骸魂を倒し続けなければならない。だが、この殺戮の見世物小屋に入れば、ポン子は苦悩は晴れ、全力で「ビックリ殺戮ショー」を披露してくる。
さらに妖刀「三千世界」の力か、身体から三千本までの刀を生み出し、自由に操るという能力も持つ。この刀は妖刀自身でもあり、どれも本物であるから片っ端から破壊して骸魂を消滅させていくしかない。
「妖刀さえ壊せばポン子ちゃんも救えるよ! だから皆頑張ってね!」
そう言ってエィミーは転移術式を展開する。妖刀「三千世界」が念願とする殺戮を止める為、敢えて見えざる虎口へと飛び込む。
ライラ.hack
三千世界? いや三千刀世界だ!
どうも皆様こんにちは。ライラ.hackです。
このたびは大祓骸魂を弱める為、殺戮の見世物小屋の大祓骸魂勢力のオブリビオンを撃破するのが目的です。
誰にも見えない「殺戮の見世物小屋」が、UDCアースに現れました。一般人はおろか邪神にも見ることのできないその中で、座長たるオブリビオンは苦悩しています。遂に地球に帰還したのに、無差別に誰彼も殺したい衝動に苦しんでいるのです。猟兵達が訪れるとその苦悩は晴れ、全力で「ビックリ殺戮ショー」を披露します。
今回の流浪の刀剣士ポン子のビックリ身体能力は「身体から三千本までの刀を生み出し、自由に操れる」というものです。骸魂は妖刀「三千世界」です。
補足としてカクリヨファンタズムのオブリビオンは「骸魂が妖怪を飲み込んで変身したもの」です。飲み込まれた妖怪は、オブリビオンを倒せば救出できます。
以下、特殊ルールとなります。
プレイングボーナス……ビックリ身体能力に対抗する。
以上となります。日本刀乱舞する見世物小屋を上回り、ポン子ちゃんを助けてあげてください。
それでは皆様の素晴らしいプレイングをお待ちしております。
第1章 ボス戦
『流浪の刀剣士』
|
POW : 無双の構え
【天の構え】【陰の構え】【金の構え】で自身を強化する。攻撃力、防御力、状態異常力のどれを重視するか選べる。
SPD : 一刀
【刀】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
WIZ : 一閃
【刀から衝撃波】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
|
バルタン・ノーヴェ
POW アドリブ歓迎!
選択UCの都合上、連携前提でお願いするであります。
勢いよく飛び込んでみマシタガ、三千本。三千本!?
ビックリであります!
最初の何本かは捌けマスシ、数百本なら破壊できるデショーガ、流石に数が膨大……!
まだ強行する時期ではないデスシ、戦略的撤退もやむを得ないデスカ……!
と思案したところで遭遇した、現地の猟兵殿に協調行動を提案するであります!
ワタシが防御を担当するであります!
「六式武装展開、金の番!」
戦友を刀から護る最適な防具へと、我が身を変形させて守りマース!
適宜重火器を出して、射撃援護も行いマース!
殺戮は看過できマセンガ、ワタシのボディでよければいくらでも相手になりマース!
アイン・セラフィナイト
へぇ、剣豪の誰もが憧れるようなびっくり能力だね!
あいにくと剣使いじゃないけど、ボクの魔術と勝負だ!
体から生み出される幾多の刀、それならこんなのはどうかな?
UC発動、ノーム、杖を媒体として周囲に砂を振り撒け!(属性攻撃・範囲攻撃)
刀にも付着する高重量の砂の束だ。いくら刀を生み出そうとも、振るえなければ意味がないはず。
衝撃波は砂の壁で防御していこう(オーラ防御)
刀の舞踊、ぜひ見てみたいけど、それは骸魂に乗っ取られてないときにね!
殺戮の見世物小屋「三千世界」。流浪の女刀剣士ポン子が骸魂「妖刀・三千世界」に飲み込まれたことによってUDCアースに開かれた空間である。
「おお、やっと来てくれた! よかった!」
そしてこの見世物小屋に入ってくる者がいて、ポン子はほっとする。今やここは超常存在である邪神ですら発見できないという厄介な代物と化していた。
一般人はおろか、誰も斬ることができないことでその殺戮衝動を持て余しそうになっていたポン子は限界であった。だがそれももう我慢せずに発散していいのだと思えば、それはほっとするものだ。
「それじゃ行くよ! 死ね!」
そして座長たるポン子はさっそく己の身体から妖刀・三千世界を生み出す。その最大数は三千本にも至る。その膨大な数の刀剣がこの見世物小屋に満たされるのをバルタン・ノーヴェ(雇われバトルサイボーグメイド・f30809)とアイン・セラフィナイト(全智の蒐集者・f15171)は驚きを持って反応する。
「勢いよく飛び込んでみマシタガ、三千本。三千本!? ビックリであります!」
「へぇ、剣豪の誰もが憧れるようなびっくり能力だね!」
何も考えず見世物小屋にエントリーしたバルタンは驚くばかりである。身体から刀が生えて、それが浮遊して襲い掛かってくるとはサイボーグもびっくりのドッキリ人間っぷりであるからだ。
アインの視点もまた好奇に満ちている。身体から刀が出現するとなれば、例え刀が破壊されようとも、血油で使い物にならなくなっても補充がきく。剣豪にとっては素晴らしい能力であろう。
「アハハハハハッ、びっくりした? それじゃ殺すね?」
無邪気な笑みを浮かべるポン子は完全に妖刀「三千世界」に飲み込まれている。そして身体より出現した妖刀の群れがバルタンとアインの元へと飛来する。
バルタンはファルシオン風サムライソードを振るって、飛んでくる妖刀を数本破壊する。おそらくバルタンの全力を出せば数百本なら破壊できる自信はある。
「流石に数が膨大……!」
そう、三千本という数は一人で捌くにはあまりに膨大過ぎた。百鬼夜行はまだ始まったばかりで、強行する時期でもないし、戦略的撤退すらも思考するほどであった。
だがバルタンの後ろにはアインという稀代の魔術師がいる。ならば視線で合図を送り、協調してアインの攻撃の隙を作り出すことにする。
「ワタシが防御を担当するであります! 六式武装展開、金の番!」
そうして発動するは能力「金城鉄壁(インバルナラブル)」。あらゆる刀から護る最適な防具へと、我が身を変形させていくバルタン。
妖刀であろうとも斬撃・刺突を弾くメタル色の防具となってアインに装備するバルタン。その金剛防具は全く言っていいほどアインはおろか、バルタンも突破できない。
「殺戮は看過できマセンガ、ワタシのボディでよければいくらでも相手になりマース!」
バルタンはメタル鎧となっているが故に動くことができないが、武器を出すこともできる。まるで要塞の固定兵器のように携行型固定砲台アームドフォードが現れ、妖刀群を撃ち落としていく。
攻撃と防御、それを成し得るバルタン鎧にアインは頼もしく感じる。そして防御を一切考えないことによって、魔術に専念もできるというアドバンテージを活かさないわけがない。
「あいにくと剣使いじゃないけど、ボクの魔術と勝負だ!」
そして発動するのは魔術「呼び声に応えよ、豊穣の祖よ(ノーム・ダスト)」。自身の杖が大量の砂となって周囲にバラ撒かれていく。
それは精霊ノームの力を発現したものである。それは破壊された妖刀の欠片をも巻き込んでいき、岩すらも穿つ砂の大群と化してアインの周囲を巻き込んでいく。
「体から生み出される幾多の刀、それならこんなのはどうかな? ノーム!」
その魔術行使により、砂の嵐が飛来する妖刀へと付着していく。対象に吸着する超重量超高密度の増殖する砂故に、その重さで妖刀が次々と地面へと叩き落され、圧壊していく。
それを見たポン子が衝撃波を放ってアインを狙っていくものの、バルタンの鎧に弾かれて攻撃を貫くことができない。そしてアインは粛々と妖刀を砂へと還していく。
「刀の舞踊、ぜひ見てみたいけど、それは骸魂に乗っ取られてないときにね!」
「チッ……、分が悪い!」
ポン子にとって妖刀「三千世界」は力の源、骸魂の一部だ。三千本まで具現化できるとはいえ、それを破壊し続けられれればそれだけ力を失っていく結果となる。
故にバルタンの鎧とアインの砂の魔術の連携は不利と見て、見世物小屋の奥に撤退するポン子。まだまだ客はいると言わんばかりに、その足取りは軽い。
最初の攻撃は凌いだとはいえ、ポン子に余力は残る。だが三千本の妖刀の舞を凌ぎ切った二人の表情は晴れやかであり、その力を大いに削いだのは間違いないのだった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
キルシ・キュマライネン
まあ!3000本も生えるんですの!?素晴らしいです!見世物小屋ですし平時ならおひねりの一つも投げようものですが。今日はその武芸を諫めにまいりましたので、ご勘弁してくださいね。
3000本もの物量を真正面から捌くのは、わたくしには難しいです。なのでわたくしも一つ奇術を、まあUCなのですが。降り注ぐ刀を全て絹糸に変換して支配権を奪っていきましょう。最終的には生えた刀をそのまま絹糸にしてそのまま縛って封殺ですの。そして頃合いを見て刀に戻してお返しいたしますわ。刀を生やす妖怪が刀が生える妖怪に早変わり。これがわたくしなりの対抗策ですね。黒髭なにがしみたいに中身のポン子さんが飛び出てくれればいいのですが。
ルパート・ブラックスミス
題目の追加だ。
人より頑強な鉛詰めの騎士鎧、その三千刀で斬れるか否か。
見世物としては悪くあるまい?
百年目に至った同族が相手だ、成り損ない。
UC【黒と青の舞刀曲】。
そちらの専売特許というわけでもない、その技は当方の【戦闘知識】の範疇だ。
意のままに飛翔する強化短剣の【弾幕】で三千刀で【武器落とし】迎撃。
数で負ける分は、展開した青く燃える鉛の翼による羽搏きで【吹き飛ばし】てしまおう。
自身は黄金魔剣で敵に【切り込み】。
剣技には覚えがあるようだが、こういう姑息な手管はどうだ。
片手を強く握り締め、滲んだ鎧内の燃える鉛を敵顔面に向かって投射。(【だまし討ち】【目潰し】)
怯んだ隙に刀を叩き折りにかかる。
叢雲・黄泉
「三千本の刀剣ですか……。
それはぜひコレクションに加えたい……こほん。
ここは妖怪を助け出し、大祓骸魂の支配下から解放しなければなりませんね……」(刀剣マニア
敵が刀を召喚するなら、こちらも【天下五剣】を召喚して対抗しましょう……。
自分の周囲の地面に天下五剣を突き刺し、それを次々と抜き放って飛来する三千本の刀を斬り落としていきます。
「どれだけの数の刀を用意しようとも、一本一本の刀剣の格は私の天下五剣の方が上です……!」
相手の刀から放たれた衝撃波は、半吸血鬼としての身体能力で飛び越え接近します。
そのまま天下五剣を振るい、五本の刀で次々と斬り裂きます……!
「受けてください、秘剣・天下五芒陣!」
殺戮の見世物小屋。それは座長たるポン子の殺戮欲求を満たす為のステージである。
骸魂である妖刀「三千世界」に乗っ取られたポン子には妖怪の頃だった面影は残っていない。ただ妖刀の衝動のままに生身の生物があれば斬ってみたいという欲望が渦巻くのみだ。
それは大いなる邪神・大祓骸魂の百鬼夜行に加わったとしても変わりはしない。その身体から生み出される三千本の妖刀を持って敵を斬り刻む、それだけだ。
「まあ! 3000本も生えるんですの!? 素晴らしいです!」
そのポン子のびっくり身体能力に対して、素直な感嘆の声を上げるキルシ・キュマライネン(海生押しかけメイドモドキ・f28170)。西洋妖怪の一人だけあって、その手の妖怪能力に関しての興味は尽きることはない。
普段であればメイド力を発揮してご奉仕する立場であるメイドモドキであるキルシではあるが、今回はそれが目的ではない。殺戮を繰り広げようとする一人の妖怪を止める為である。
「見世物小屋ですし、平時ならおひねりの一つも投げようものですが。今日はその武芸を諫めにまいりましたので、ご勘弁してくださいね」
「諫める? 勘違いするな、お前等は肉を斬り裂かれればいいだけだ!」
身体から妖刀を生やし、次々と飛来させるポン子。さらには手に握った妖刀「三千世界」からは強烈な衝撃波を放つ攻撃も繰り出してくる。
キルシは最初の衝撃波を軽々と躱すが、飛来する妖刀群はそうもいかない。000本もの物量を真正面から捌くのは、キルシ自身の技量では難しいものがある。
「なのでわたくしも一つ奇術を」
種も仕掛けもあるのはキルシも同じ。能力「解れる世界(ネクストワールド)」を発動し、衝撃波によって破壊された破片から鋼以上の強度を持つ絹糸を生成して、妖刀を絡めとる。
恐るべき強度を誇る絹糸は勢いを付けなければ断ち切ることができない。そして捉えた妖刀の支配権を強奪し、次々と絹糸へと変換していくキルシ。
「小癪な!」
再びの衝撃波と妖刀の大群による投擲。キルシは絹糸で防御しつつ、妖刀群を潜り抜けさせ、そのままポン子を絹糸で縛り上げる。
どこから現れたか知らない他箇所からも絹糸が生えて、ポン子は完全に動きを封じられる。だがこんなものはすぐに断ち切ってやるといわんばかりに妖刀「三千世界」を振り上げる。
「が、はっ……!」
だがその前にキルシは絹糸の変換能力を解く。頃合いを見てキルシはこの能力を解除して妖刀をそのままお返しするつもりであった。
絹糸の元の物質は見世物小屋の破片と妖刀自身。絹糸に絡まっているポン子は、気が付けば妖刀に貫かれていたという寸法だ。
「刀を生やす妖怪が刀が生える妖怪に早変わり。これがわたくしなりの対抗策ですね」
欲を言えば黒髭なにがしみたいに中身のポン子が出てくればいいと思っていたキルシ。だがポン子は解放されずに殺意の瞳をキルシに向けてくる。
その殺意の前に立つのは叢雲・黄泉(賞金稼ぎの邪神ハンター・f27086)。数百年前に邪神によって半吸血鬼にされたUDCアース出身のダンピール少女である。
「三千本の刀剣ですか……。それはぜひコレクションに加えたい……こほん」
刀剣マニアとしての本性が出てしまったので、一つ咳払いをする黄泉。その間にポン子は刺さった妖刀を取り込み、再び自分の力へと変換しようとしている。
妖刀はポン子を支配する骸魂「三千世界」の力の一端。それを片っ端から折っていけば、十分に開放は可能と黄泉は一連の戦闘の流れで判断する。
「ここは妖怪を助け出し、大祓骸魂の支配下から解放しなければなりませんね……」
「やれるものならな!」
底知れぬ雰囲気の黄泉に対して、ポン子も再び雨嵐のような妖刀を降り注いでいく。黄泉に迫り来るは無数なる妖刀、刃は避け切れるものではない。
だが刀を召喚するならばこちらも負けてはいない。敵ができることを黄泉ができない道理はない。
「……童子切……鬼丸……三日月……大典太……数珠丸……来てください。天下五剣……!」
黄泉の切なる呼びかけと共に、能力「召喚・天下五剣(サモン・ファイブ・サムライブレード)」が発動される。その周囲の地面には天下に名高い、5本の名刀が突き刺さっている。
ポン子の妖刀はあらゆる方向から斬りかかり、突き刺そうとしてくる。だが黄泉は童子切と鬼丸を抜き去り、それぞれの一振りで妖刀の群れを粉々に破壊していく。
「どれだけの数の刀を用意しようとも、一本一本の刀剣の格は私の天下五剣の方が上です
……!」」
まさしくその通りであり、三日月と大典太の一振りで妖刀の破片が降り注ぐ。天下の名刀は伊達ではないことを示した黄泉に、ポン子の必殺の衝撃波が襲い掛かる。
しかしそれを軽々と飛び越える。半吸血鬼としての身体能力を最大限に生かし、数珠丸を片手に一飛びでポン子に接近する。
「受けてください、秘剣・天下五芒陣!」
数珠丸の斬撃はポン子の妖刀「三千世界」と激突する。さすがに本体だけあって他の妖刀とは比べ物にならない強度であるが、次々と他の天下五剣を手元に手繰り寄せ、必殺の5連斬撃を放つ黄泉。
これにはさすがのポン子も捌ききれず、身体を引き裂かれる。そして本体の三千世界にも刃こぼれを起こし、その力が大きく減衰する。
「題目の追加だ。人より頑強な鉛詰めの騎士鎧、その三千刀で斬れるか否か。見世物としては悪くあるまい?」
強烈な斬撃と共に飛び去った黄泉に追撃する暇もなく、ポン子の前にルパート・ブラックスミス(独り歩きする黒騎士の鎧・f10937)が立つ。死した主の魂を宿す黒騎士の鎧のヤドリガミは威圧を放つ。
己が到達することができなかったヤドリカミという存在。それに対する憧憬もあるのか、より強い憎悪をルパートに向けて放つポン子。いや、妖刀「三千世界」と言った方が正しいか。
「百年目に至った同族が相手だ、成り損ない」
「ほざけ、骨董品風情が!」
怒りと共に向かってくる妖刀の大群。ポン子の意志が具現化した攻撃に、ルパートは能力「黒と青の舞刀曲(ブレードオブブラックスミスバッラータ)」を発動させる。
ルパートの意のままに飛翔する投擲短剣の大群が召喚され、ポン子の妖刀群と激突する。己と同じような技にポン子が歯噛みし、ルパートも不敵に笑うように言い放つ。
「そちらの専売特許というわけでもない、その技は当方の戦闘知識の範疇だ」
ルパートの言う通り、刀身を燃える鉛による武器改造を施した投擲短剣は、誘導するように三千本の妖刀と衝突を繰り返し、叩き落していく。数で負ける分は、展開した青く燃える鉛の翼による羽搏きで対抗する。
そして空中で妖刀の足止めをしている間にルパートは己の黄金魔剣で敵に斬り込む。ポン子も妖刀「三千世界」を応戦せんと、武器を構える。
「剣技には覚えがあるようだが、こういう姑息な手管はどうだ」
構えから技量ではこちらを上回ると判断したルパートは戦法を咄嗟に変える。剣技で応酬するのではなく、戦闘で上回るという意志。
片手を強く握り締め、滲んだ鎧内の燃える鉛を敵顔面に向かって投射する。剣と刀の対決と思ったポン子は思わず、その鉛を避ける。だがその隙をルパートが見逃すはずもない。
「卑怯な……!」
「ここは騎士道の競い合いではない。殺戮を強要するなら当然だろう?」
怯んだ隙に刀を叩き折りにかかり、強烈な打撃を黄金魔剣から放つ。黄泉が与えた刃こぼれの部分を狙い、その刀身にヒビが入るほどの刀折の一撃だ。
それは妖刀「三千世界」の叫びだったのかもしれない、ポン子の咆哮。天の構えから陰の構えに移行することで放たれるカウンター斬撃を喰らい、さすがのルパートも下がらざるを得ない。
だが三人の攻撃により妖刀の多くは叩き折られ、三千世界本体も損傷が激しくなる。この見世物小屋の刀剣活劇も終わりが見えてきたとルパートは確信を持って妖刀が舞う戦場を見据えるのであった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
青垣・燈里
連携アドリブ歓迎
ほう、三千本とな。
一つお相手願おうかねぇ。
【空中浮遊】で宙に浮き、着物の袖より光弾符・試胆符・物語符を周囲に展開。
これは命を削るから本当は使いたくないんだがねぇ、と愚痴りつつ【神器解放】起動。
三千を超えるまで複製するよ。
そして【弾幕+爆撃+レーザー射撃+誘導弾】で光弾をありったけ落としてやろうかねぇ。
複製神器は【念動力】でコントロールしていくよ。
流石に数が多くて大雑把になるかもだが、相手の刀と拮抗できれば儲けもんさ。
神器と刀が拮抗できれば、弾幕の分でこちらの勝ちさね。
自身は【空中浮遊】で動き回って的を絞らせないようにするよ。
飛んできた攻撃は弾幕をちょいと操作して迎撃するよ。
ユリウス・リウィウス
ふむ、サムライエンパイアのサムライブレイドと同質のものか。
邪魔をする。武芸者を求めていると聞いてやって来た。一手死合いを所望する。
俺は双剣遣いだが、構わんよな? ならば、“剣の墓標”ユリウス・リウィウス、参る!
ビックリ身体能力は、高速の「カウンター」で対抗させてもらおうか。
「恐怖を与える」「精神攻撃」「生命力吸収」の双剣撃を攻撃の軸に、バックラーで「盾受け」しつつ「見切り」、受け払いをしていこう。
ポン子と言ったか? そろそろ血の色の夢から醒めろ。
お前の役割はもう終わりだ。
この双剣で、お前を骸魂から解き放とう。痛みも感じないように「切断」してやるよ。
気がついたか? 今はゆっくり休むといい。
リヴィアン・フォンテーヌ
アドリブ歓迎
カクリヨファンタズムの危機は日常茶飯事ですが、今回は流石に度合いが違いますね
なにより、同じ幽世に生きる者としてUDCアースに迷惑はかけられません
万が一が無いように今のうちに何とかしましょう
骸魂、妖刀「三千世界」ですか
叩き折って、ポン子を解放してもらいますよ
あなたが三千もの刀なら、此方も数で対抗させていただきます
私が作ってきた数多くの無銘の聖剣を召喚し、無数に複製して操ります
これが【聖剣嵐舞】です!
失敗作とはいえ聖剣は聖剣です、妖刀が何処まで抗えますか!
そして自慢にはなりませんが、私が作った無銘の聖剣は10や20ではないですよ
膨大な量の聖剣を操り、刀にぶつけて相殺していきます!
流浪の女剣士ポン子、ではなくその存在を乗っ取っている骸魂である妖刀「三千世界」は焦っていた。いや、己の刀身に入ったヒビや破損に対して恐怖したと言ってもいいのかもしれない。
この殺戮の見世物小屋では座長たるじぶんこそが主役。邪神であってもうまく立ち回り、UDCアースに帰還を果たしたのだから、己が欲求を満たそうとしていた。
それが誰にも発見されずにフラストレーションを貯め、苦しみ悶える始末。さらにようやく発見されたかと思えば、三千本の妖刀にも負けずにこちらに向かってくる猟兵。踏んだり蹴ったりである。
「ほう、三千本とな。一つお相手願おうかねぇ」
そんなポン子の精神状態が落ち着きを取り戻す前にと青垣・燈里(百物語の末に現れるモノ・f27947)が前に出てくる。外見は人間の少女と大差がないが、年齢不相応の大人びた雰囲気を持ち、ゆったりとした口調で相手を見据える。
青行燈の東方妖怪として同胞を救いたい。そんな気持ちも相まって、ポン子が放つ三千本の妖刀であっても怯むことはない。
「これは命を削るから本当は使いたくないんだがねぇ」
宙に浮きながら妖刀を躱しながらも、愚痴を零す橙里。危機感を微塵も感じさせない中で着物の袖より光弾符・試胆符・物語符を周囲に展開しながら、能力「神器解放」を発動させる。
雷雲を呼ぶという神剣型神器「天叢雲剣・雷獣」を三千本を超える数を複製する。生命力を削るものの、無限複製の能力により問題はない。
「さて、それじゃ行くよ!」
数量で並び橙里の攻撃が始まる。誘導性能備えたレーザー光弾を符からありったけ発射し、妖刀を叩き落としていく。複製神器は念動力でコントロールして、妖刀と斬り結ばせていく。
流石に橙里の制御が完全に効く数ではないが、大雑把でも拮抗できればいいという腹づもりだ。そして神器と妖刀が切り結んでいる間に、光弾がポン子の体で弾ける。
「チィッ!」
浮遊している橙里を落とそうと妖刀群を繰り出すも、動き回って的を絞らせないようにする機動のために当てることができない。神器と弾幕の防御も本体である橙里を捉えられない要因となっている。
さらに妖刀「三千世界」本体には、ユリウス・リウィウス(剣の墓標・f00045)が向かう。その鋭い眼光は妖刀を捉え、その本質を見極める。
「ふむ、サムライエンパイアのサムライブレイドと同質のものか」
ユリウスが真っ先に思い浮かべたのは、あの世界の刀であった。その刀身は美しいと感じるものだが、その性質は人を斬る妖刀の側面が色濃く出ている。
猟兵でなければ、今頃殺戮は遂行されていただろう。だが本体のポン子の為にもユリウスはここで退くという選択肢はない。
「邪魔をする。武芸者を求めていると聞いてやって来た。一手死合いを所望する」
「果たし合いだと? わたしは人を斬りたいだけだ!」
一刀の元にユリウスを斬り捨てようとするが、間一髪で回避する。妖刀「三千世界」の人を斬りたいという欲望はそろそろ限界をむかえようとしている。
このままでは危ういと黒剣「ソウルサッカー」「ライフイーター」を構えるユリウス。例え妖刀の大群であろうとも、その剣先が恐怖でブレることはない。
「俺は双剣遣いだが、構わんよな? ならば、“剣の墓標”ユリウス・リウィウス、参る!」
ユリウスのスタイルは双剣による高速のカウンターだ。片方で妖刀を逸らし、片方で無防備の刀身を破壊する。さらに橙里を相手にしている故に、妖刀に向かう数も少なくなっている。
好機と見たユリウスは腕に装備していたバックラーで妖刀を受払し、一気に距離を詰める。ポン子は妖刀「三千世界」の斬撃を動きに合わせようとするが、バックラーを犠牲に受け止める。
「ポン子と言ったか? そろそろ血の色の夢から醒めろ。お前の役割はもう終わりだ」
能力「双剣撃(ソウケンゲキ)」が発動し、黒剣の二つの斬撃が三千世界の刀身に突き刺さる。骸魂からポン子を解放せんとする斬撃は痛みすら感じさせない、見事なる切断の一閃であった。
三千世界の剣先がついに破壊される。ポン子は悲鳴を上げるが、まだ妖気は衰えていない。あれでもなお、骸魂・三千世界は滅んでいないのだ。
「骸魂、妖刀『三千世界』ですか。叩き折って、ポン子を解放してもらいますよ」
リヴィアン・フォンテーヌ(湖の乙女・f28102)は湖の乙女の一人、無銘の精霊としてカクリヨファンタズムの危機に挑む。この世界の危機は日常茶飯事ではあるが、今回の大祓百鬼夜行は流石に度合いが違う。
この世界に住む妖怪の一人として負けるわけにはいかない戦い。なにより、同じ幽世に生きる者としてUDCアースに迷惑はかけられない。
「万が一が無いように今のうちに何とかしましょう」
リヴィアンの前には窮鼠と化したポン子、妖刀「三千世界」だ。橙里とユリウスを相手しながらもなお彼女を排除せんとする、妖刀の雨嵐。
なりふり構わない妖刀精製であるが、余裕がない証拠でもある。そして数に対抗するならば数だとリヴィアンは能力「聖剣嵐舞(ホーリーソード・ストーム)」を発動する。
「我が聖剣達よ、嵐の如く舞い踊りなさい!」
リヴィアンが泉の精霊として今まで作ってきた数多くの無銘の聖剣を召喚し、無数に複製して操る。数は劣るが、下では勝る。さらに橙里とユリウスが引き付けてくれる分、負担は軽い。
リヴィアンが作ってきた聖剣は10や20ではない。自慢ではないが、妖刀に劣るとは思えないほど、丁寧に作り上げてきた。
「失敗作とはいえ聖剣は聖剣です、妖刀が何処まで抗えますか!」
いつか真なる聖剣を創造する為、こんな所で負けるわけにはいかない。その想いがリヴィアンの聖剣達が、妖刀群を駆逐する。
開けた視界、剣先が折れた妖刀「三千世界」に向かうのはリヴィアンの聖剣。数十本の聖なる剣が刀身に激突し、容赦なく妖刀を粉々にしている。
「グッギャアアアアアアアアアアアア!」
骸魂の滅びと共にポン子が断末魔を上げる。だが本人は無事であり、妖気が消え失せるとふっと力が抜ける。
「大丈夫か?…… 今はゆっくり休むといい」
ポン子の身体をユリウスが受け止める。気を失っている彼女を支え、休める場所まで運ぶ。
橙里もリヴィアンは最後まで妖刀が滅ぶ様を確認し、見世物小屋が崩壊していくのを見て、ようやく一息つくのだった。
妖刀「三千世界」は結局、UDCアースに降り立って何も為さずに滅んでいった。だがそれは猟兵達の奮闘あってのことだ。
百鬼夜行はこれからも侵攻を強め、激闘は続いていくだろう。だが、妖怪達の献身に応える為にも負けないという決意を、眠るポン子を見て抱かない訳はないのだった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵