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修羅原に咲く

#カクリヨファンタズム

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#カクリヨファンタズム


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 一体いつからだろうか、それは今となっては分からないけれど。
 この場所はこう呼ばれている。
 ――修羅原、と。

 何もない野原は嘗て、幾度にも渡り戦場となって。
 修羅の如きモノたちが爛々と瞳を輝かせ、血を求め、その首を奪い合った。
 正気など、疾うに失くしてしまったかのように。
 敵も味方も、お構いなしに。
 まるで恋に酔うかのように……ただひたすら、殺し合ったのだという。

 そんな修羅原に枝垂れ咲くのは、藤の花。
 そのいろは、決して離してはくれない。
 再び正気を失った修羅たちの心を……世界が滅亡する、その時まで。

●修羅原に咲く
「修羅原……修羅達が血で血を洗った場所、か」
 筧・清史郎(ヤドリガミの剣豪・f00502)は集まってくれた礼を皆に告げた後。
 視た予知の内容を語り始める。
「オブリビオンの企みにより、幽世から消えてしまったものがあるという。今回消えたそれは……『正気』だ。まるでカクリヨファンタズムの世界全てからその概念が奪われ、世界の終わり――カタストロフが訪れたかのような光景が広がっているという」
 そして『正気』を奪われた幽世には無数の骸魂が飛び交い、妖怪達が次々と飲み込まれ、オブリビオン化しているのだという。急いで解決しなければ、世界は滅亡してしまう。
「なのでまずは、妖怪達をオブリビオン化させた飛び交う骸魂を倒し解放してあげてから。事件の元凶であるオブリビオンを討ち、幽世の世界を元に戻して欲しい」
 この場所は、普段は藤の花の名所として知られているのだというが。
 元凶のオブリビオンの目的は、嘗て修羅原と呼ばれた地を、再びその名に相応しい戦場と化して。暴力には暴力で、殺傷には殺傷で……まさに、血で血を洗う歴史の再現を行なうべく『正気』を失ったモノ同士戦わせ、そして世界を滅亡させようとする魂胆の様だ。

「失われるのは『正気』……即ち、此処を訪れた皆も『正気』を失い、修羅と化す。敵味方入り乱れての、決して無傷ではいられぬ戦いになるだろう」
 今回『正気』を奪われてしまう故に、乱戦必至となるだろうし。
 普段ならば決して選ばない様な戦法や言動を行なってしまうかもしれない。
 いつもならば『正気』という概念によって抑えられていたものの箍が外れて。
 敵味方構わず血を求め、湧き上がる暴力欲求のままに。
 殴り殴られ、斬られ斬りつけ、叩きつけられ叩き伏せ合う――。
 その様な戦いへと身を置いて貰うことになるという。
 ……それでも、頼まれてくれるだろうか。
 清史郎はそう紡ぎ、皆を見回した後。
 猟兵たちの意思を確認したようにひとつ頷いてから、更なる詳細を語る。
「まずは、この修羅原に数多現れる『リビングデッドラゴン』の骸玉を倒して欲しい」
 集団で群れを成し現れるのは、リビングデッド系妖怪を呑み込んだドラゴンの骸魂のオブリビオン。
 知能が低く動きは鈍いのだとはいうが、その数は多い上に。
 頭が無事ならば活動を続けるなど所謂ゾンビの如き特性を持ち、猛毒を吐いたり仲間を増やさんと噛みついてきたり、猪突猛進に襲ってくるのだという。
 即ち、湧き出るゾンビの如きドラゴンを修羅原にて掃討して欲しい。
「その後、元凶であるオブリビオンが姿をみせるので。『正気』こそ奪われてはいるが、他の感情や概念などはそのままであるので……確実に、敵を討って欲しい」

 それから清史郎は、こう続ける。
「この場所は普段は、藤の名所として知られているようで、今が丁度花も見頃だ。なので事が終わった後は、帰還までの間、花を愛でつつ過ごすのも良いかと。そして近くの神社へと藤の咲く風景の中、列を成し夜行するという催しが開かれているようで。辿り着いた神社には見事な藤棚があり、自由に鑑賞できるのだという」
 藤の咲く景色を眺めながら辿り着いた神社には、これまた見事な藤の花。
 神社では、おみくじが引けたり、各種お守りなども授与されている。
 特に人気なのが、しゃらりと咲いた、枝垂れた藤の花のお守り。
 まるで装飾品の様に美しいこのお守りは、組紐の色が選べるという。
 また、この神社には、藤にちなんだ銘酒も、成人していれば頂けるというし。
 神社の境内にある茶屋からも、見事な藤が眺められるようなので。
 茶や甘味をお供に一服しながら、ゆっくりと花を愛でるのもまた風流だろう。

「藤の花の花言葉は『恋に酔う』『決して離れない』――それにあやかって、藤の花を愛でながら願いを馳せてみるのも良いだろうし。ただ、藤を眺めて歩くのもいい。好きに過ごして貰えればと」
 清史郎は改めて、そのためにも骸魂の討伐をよろしくお願いする、と頭を下げてから。
 満開桜を掌に咲かせ、猟兵達を導く。
 藤の花咲く、嘗て修羅原と呼ばれた地へと。


志稲愛海
 志稲愛海です、よろしくお願いします!
 血塗れキャッキャした後に、藤の花を愛でませんか。

 ※ご連絡※ 第1章の受付は、4/28(水)朝8:31より開始します。
 第1章の断章をOP公開後に掲載致します。

 今回の内容は以下です。

 第1章:リビングデッドラゴン(集団戦)
 第2章:天翔人魚(ボス戦)
 第3章:夜行(日常)

 第1章は、『正気』が奪われた世界での戦闘となります。
 奪われているのは『正気』のみで、理性などは一応残ってはいるので。
 全年齢対象ではない公序良俗に反する事は厳禁ですが。
 とりあえずゾンビを無双しつつ、敵味方関係なくヒャッハー暴れようぜ! と。
 血塗れ乱戦、カオスでもシリアスでも重くても軽くても、どんなノリでもOK。
 普段『正気』な時はやらない様な、普段は秘めている本性など剥き出しで。
 普段とは違ったイカれた戦い方や言動など存分にできます。
 正気ではないけれど冷静……などでも、勿論OK。
 お一人でもペアでもグループでも。
 お好きなように修羅と化して戦っていただければ!

 第2章も、引き続き『正気』を失ったままの第2ラウンド、ボス戦です。
 第1章でボロボロに負傷した状態から、とか。
 1章ではまだ協力していたけれど、2章は完全に正気を失って、ボス巻き込みつつ同行者と殴り合う、とか。
 引き続き血塗れヒャッハー! 等々、第1章同様お好きにご自由に!

 第3章は、平和が戻ってきた藤の名所で過ごす日常です。
 藤の咲く中を夜行し、辿り着いた神社でのひとときを楽しめます。
 具体的にどのような事が出来るかの詳細は3章断章にて改めて掲載致します。
 また、お声掛けあった場合に限り、この章のみですが。
 清史郎をはじめ当方のグリモア猟兵もご一緒させていただきます。

 公序良俗に反する事、他の人への迷惑行為、未成年の飲酒は厳禁です。
 第2章第3章の詳細も、受付前に追加OPを掲載します。
 締切等はMS個別ページやタグ、Twitterでお知らせします。

●お願い
 同行者がいる場合は【相手の名前(呼称推奨)と、fからはじまるID】又は【グループ名】のご記入をお忘れなくお願いします。

 グループ参加の人数制限はありません、お一人様~何人ででもどうぞ!
 ですが、ご指定の同行者が参加していない場合は返金となる可能性もあります。

 可能な限り皆様書かせて頂きたく思っています。
 お気軽にご参加ください!
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第1章 集団戦 『リビングデッドラゴン』

POW   :    屍竜の毒霧
【口】から【猛毒ガスのブレス】を放ち、【即効性の神経毒】により対象の動きを一時的に封じる。
SPD   :    グラトニー・オブ・ザ・デッド
戦闘中に食べた【ゾンビの肉】の量と質に応じて【巨大化し】、戦闘力が増加する。戦闘終了後解除される。
WIZ   :    ネクロハザード
自身の身体部位ひとつを【猛毒の粘液】に変異させ、その特性を活かした様々な行動が可能となる。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 ――此処は、修羅原。
 元より、この場に在る者達は正気の沙汰では既にないのかもしれない。
 敵のものか己のものか、味方であるはずの誰かのものか。
 それすらも分からぬままひたすら競う様に塗れるのは、鮮やかで生温い血のいろ。
 踏みしめる足から伝わるのは、ぐしゃりと潰れたひとであったものの感触。
 びしゃりとさらに飛び散る赤に、瞳を爛々と輝かせて。
 むせ返る土埃や鉄錆の匂い、むっと立ち込める熱気の中、獣の如き声を意気揚々と上げて暴力の限りを尽くす世界。
 斬り伏せ、殴り倒し、叩きつけ、首を刎ねて。
 地に這いつくばり、踏み躙られ、泣き喚き、悲嘆し、高笑う。
 そんな血で血を洗うこの場所はいつからか、修羅原と呼ばれるようになったというが……それは遠い昔のこと。

 だが、今は藤の花の名所であるはずの何もない静かな野原が。
 再び、修羅と化した者達の戦場となる。
 修羅原へと降り立つのは、頭以外をいくら吹っ飛ばしても死なない、次々襲い掛かってくる屍竜の群れと。
 正気という概念を失い、戦闘狂と化した猟兵達。
 頭の中ではわかっているのだ。己の今の精神状態が、異常であるということは。
 失くしているのは、正気という概念だけだから。
 けれど――此処は、修羅原。
 正気を失くしても、どれだけ血に塗れても、それでも戦わなければならない。
 湧いて出るリビングデッドドラゴンの群れをなぎ倒し、事の元凶を引き釣り出すためにも。
 猟兵達は敢えて、血の匂いに酔い痴れる修羅となる。
 世界を滅亡させるわけには、いかないから。

●マスターより
 第1章は、ゾンビの如き数多湧いて出るリビングデッドドラゴンを殲滅するべく。
 『正気』という概念を奪われた戦場での、血塗れ上等な戦闘となります。
 奪われるのは正気のみですので、どの様な行動を取るか等の判断は皆様次第です。
 それなりの残酷行為、流血描写、暴力行動……お好みで戦っていただけますが。
 全年齢対象ではないと判断した行き過ぎたものは、マスタリング対象や返金となります。
 正気を失う度合いもお任せしますが、正気を失うことは必須なので。
 皆様なりの、普段は決してみせないだろう異常なご自身の一面を、どうぞ垣間見せて頂ければと。
 単独でひたすらヒャッハーとゾンビ無双でも、異常さを分かりつつも修羅と化す、でも。
 イカれた同行者と一緒にゾンビ竜を無双する、敵味方関係なく殴り合う、でも。
 泣き笑い、喜怒哀楽、お好きなように正気を失って頂ければです。

 その他に関しましては、OPやOP公開時のマスターコメントをご確認ください。
 送信締切等の連絡事項も、MS個別ページやタグ、Twitter等でお知らせ致します。
袁・鶴
隠ちゃんf31451と

目の前の死竜が、幼い頃離れ離れになった幼馴染の少女と己を引き裂く元凶に感じれば【鴆の翼】
二対に増えた翼を広げ『滑空』すれば翼の『毒を使い』を周りに撒き散らしつつナイフにて敵へと斬りかかるよ
ねえ、さよちゃんどこに隠したわけ…っ!?

攻撃は『武器受け』しつつ行動するも
防御より攻撃重視だから自然と傷は増えるかもしれないかな

怒りに任せ攻撃しつつも敵を撃ち抜く相手を見れば
さよちゃんと混乱した思考の中敵と隠ちゃんの間に割り込み攻撃を
あれ?でもさよちゃんは女の子で…
…でも、ま、いっか
隠ちゃんはバディだから、守っても何もおかしくないし
まあ、全部殺せば良いんだし、ね?隠ちゃん?


隠・小夜
袁(f31450)と
アドリブ歓迎、左目の露出NG

ふっ、はは……っ
何これ、なんなのこれ、意味分かんない
鳴き声は五月蝿いし、見た目グロいし、気持ち悪い

袁に見せない様に
左目だけは絶対に、片手で押さえつけて
其れ以外は――ははっ、どうでもいいや

ゾンビの頭を銃で撃ち抜いて
うわっ、なんかぬるぬるする最悪……!
こんなものを袁に――つるちゃんにぶつける気だった、とか

ふざけんな
腹立つムカつく死んでるならもう一回殺そうか
コイツらみんな殺せば怖い事なくなるし
つるちゃんも喜んでくれるかな……
名前を呼んでくれなくてもいい
君が幸せなら、僕はただ其れだけで良いから

UC:拒む意思
僕の宝物に触るなよォォォ!!!



 此処は修羅原、強きモノだけが立っていることを許される地。
 そして……正気を失ったモノ達が、血で血を洗い、暴力の限りを尽くす世界。
 そんな地に降り立てば、どうなるのか。
「ふっ、はは……っ。何これ、なんなのこれ、意味分かんない」
 隠・小夜(怪異憑き・f31451)は、わらっていた。
 ギャアアッと泣き喚く死竜、ぐちゃあっと飛び散る肉片、むせ返るような死の匂い。
 そんな修羅原をぐるりと見回して。
「鳴き声は五月蝿いし、見た目グロいし、気持ち悪い」
 吐き出すようにそう言葉を紡ぐ小夜だけれど。
 ……袁に見せない様に。
 たとえ正気を失っても、それだけは、絶対に。
 左目だけは絶対に、って――ぐっと、片手で押さえつけてから。
 この場所は気持ち悪くて、グロくて吐きそうでたまらないのに、でも。
「其れ以外は――ははっ、どうでもいいや」
 小夜の口からやはり漏れるのは、わらい声。
 そして――パアンッ、と。
 醜い姿のゾンビの頭を銃で撃ちぬいて、ぶっ飛ばせば。
 飛び散って浴びる気持ち悪いはずの血や肉片にも、わらってしまう。
 そんな修羅原の只中で、ばさりと広げられるのは――鴆の翼。
 袁・鶴(東方妖怪の悪霊・f31450)もまた、正気を失っていた。
 ……幼い頃離れ離れになった幼馴染の少女と己を引き裂く元凶。
 目の前に迫る死竜が、鶴にはそう感じられて。
 二対に増えた翼で滑空する彼は、誰彼構わず周囲に撒き散らす。薄緑色の翼が宿す毒を。
 そしてお気に入りのナイフを閃かせて。
「ねえ、さよちゃんどこに隠したわけ……っ!?」
 ギャアアッ! とけたたましい声を上げ、毒に悶える死竜を、何度も何度も突き立てる。
 ねえ、どこに、って……刃も顔も毒翼も、汚く飛び散る赤に塗れるのも構わず、ただひたすらに。
 それからめった刺しにしていたそれが、ただの肉片と化せば。
 その肉を食し巨大化した、また別の死竜の牙を、赤に染まったナイフで受けつつも。
 再び鶴は握る刃で、次の獲物をぶっ刺しまくる。
 さよちゃんをどこに……そう何度も紡いで。
 振るわれるゾンビの鋭い爪や牙に傷を負ったって構わずに、ナイフを突き立てながら。
 同時に銃声が響き、また1体、死竜の頭が吹き飛んで。
「うわっ、なんかぬるぬるする最悪……!」
 小夜はぬるっとした掌を見つめ、ふるりと首を振る。
「こんなものを袁に――つるちゃんにぶつける気だった、とか」
 ――ふざけんな。
 刹那、小夜の心を染め上げるのは、苛立ちと憤り。
 だって、有り得ないから。
 ……腹立つムカつく死んでるならもう一回殺そうか。
 そしてどうしようもない怒りと共に……口元に浮かぶのは、笑み。
「コイツらみんな殺せば怖い事なくなるし、つるちゃんも喜んでくれるかな……」
 猛毒の粘液がその身を侵して、フラつけば噛みつかれて。
 けれど……それでも、いいのだ。
 名前を呼んでくれなくてもいい。ただ……ただ、君が幸せなら。
「僕はただ其れだけで良いから」
 小夜はまたひとつ、突進してきた死竜の頭を撃ち抜いてわらう。
 そんな敵の頭を吹っ飛ばした相手を、怒りに任せ攻撃しつつも見遣れば。
「……さよちゃん?」
 混乱した思考の中、鶴は握るナイフを容赦なく捻じ込む。
 敵と小夜の間に、咄嗟に割り込んで。
 そして、纏わりつく血や肉片にも構わずに、ぱちりと瞳を瞬かせて首を傾ける。
「あれ? でもさよちゃんは女の子で……」
 ……でも、ま、いっか、って。
 何かもう、考えるのも面倒だから。
「隠ちゃんはバディだから、守っても何もおかしくないし。まあ、全部殺せば良いんだし」
 ――ね? 隠ちゃん?
 そう自分に向けた瞳細める鶴の姿に、小夜は左目を押さえつけつつも瞳を見開いてしまう。
 ぬるぬるした汚いものに塗れた、その姿を見て。
 ――僕の宝物に触るなよォォォ!!!
 湧き上がって止まらない、敵意、殺意、苛立ち……より獰猛となったバロックレギオンが、狂い猛る。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

インディゴ・クロワッサン
正気オフ!ヨシ!…なんてね(笑)
血の香りかぁ… 腐臭は嫌だけど、血には酔いたいねぇ…
転移する前に毒耐性だけは発動させつつ、転移した後は基本的にずーっとクスクス笑ってるよ
「よーし、暴れちゃうぞー!」
殺気を撒き散らしながら、怪力も発揮しつつ部位破壊とかもして…衝撃波とかを撒き散らすよー
「ついでだし…汚い物も燃やしちゃおう!」
正気失ってるから、普段はサムライブレイドとかで首筋を切ってる所を、愛用の黒剣で勢いよくちょっと深めに切って指定UCを発動させちゃうけど、まぁ、気にしない気にしない!多分、暫くしたら癒えるから、きっと…
「あはは、焼却処分だー!」
もう、楽しくなり過ぎて、けらけら笑ってたりして(笑)



 正気であるひとならば、きっと嫌悪感しか抱かぬような光景。
 まさに死屍累々、そこかしこに漂うは、鉄臭い血の香りと死臭。
 けれど毒耐性だけは発動させつつも、クスクスと笑っていた。
「正気オフ! ヨシ! ……なんてね」
 今の自分が正気ではないと、インディゴ・クロワッサン(藍染め三日月・f07157)は自覚しながらも。
 それでもこの修羅原へと降り立ってからずっと、クスクスと笑いが止まらない。
 血の香りかぁ…… 腐臭は嫌だけど、血には酔いたいねぇ……って。
 そう、金の瞳をうっとりと細めながら。
 だから、もっともっと、血の香りを濃くしたいから。
 ――よーし、暴れちゃうぞー!
 まる無邪気な子供が、真新しいオモチャでも見つけたかのように。
 殺気を余す事無く振り撒きながら、部位を破壊するべく狙いすまし、誇る怪力も発揮しつつ。
 敵も味方も、一体誰がそこにいるかすら、ろくに確認しないまま。
 インディゴは周囲に在る存在目掛け、衝撃波を撒き散らす。
 でも、血の香りは良いけれど……やっぱり正気を失ったって、腐臭は嫌だから。
 刹那、ピンッと名案が閃く。
「ついでだし……汚い物も燃やしちゃおう!」
 だが何せ、今の彼は正気を失っているから。
 普段ならば、サムライブレイドなんかで首筋を切っている所を。
 握る黒剣で勢いよく、ちょっと深めにざっくりと切っちゃったりしたものだから……つい、真紅に燃ゆる薔薇の花弁を溢れさせちゃうけれど。
「まぁ、気にしない気にしない! 多分、暫くしたら癒えるから、きっと……」
 そんなことよりも、インディゴは夢中だから。
 ――あはは、焼却処分だー!
 派手に、ごうっと汚いものを焼き尽くすあそびに。
 だから思わず、けらけらと笑ってしまう。もう、すごく楽しくなり過ぎて。

大成功 🔵​🔵​🔵​

荻原・志桜
なんでだろう
血みどろな光景は好きじゃない
ゾンビもあんなに多くてちょっと怖い……はずなのに

あの場所を一掃できたら気分がいいだろうな
そう、そうだよね
緻密に魔力を練って、紡いで――なんて、面倒臭い!!
制御なんてせずに勢いよくぶっ飛ばせばいいじゃん!
この一帯を更地にしてやる!!!

まどろっこしい順序をすっ飛ばして
杖に魔力をギリギリまで溜める
座標だけ確り決めて、にぃっと笑う

ああ、なんだか胸が弾む
制御してない、わたしの魔法はどれだけ影響を与えるんだろう
ふふ、あははははっ!
ぜんぶ、ぜんぶぜんぶ……全部!吹っ飛べえええええ!!!

魔力で生み出した雷と自然の風を掛け合わせて
ゾンビもドラゴンも暴風に巻き込み吹っ飛ばす



 本来ならば此処は、静かに藤の花が咲くただの原っぱだというが。
 揺れる藤のいろが支配していたはずのこの場に満ち溢れるのは、夥しいほどの、あか。
 そして、その只中に降り立った荻原・志桜(春燈の魔女・f01141)の心は、不思議凪いでいた。
 ――なんでだろう。
 そんな彼女の口から、ぽろりと零れ落ちる声。
(「血みどろな光景は好きじゃない。ゾンビもあんなに多くてちょっと怖い……はずなのに」)
 けれど今は、ちっとも怖くなんかなくて。
 わくわくと心が躍るよう。
 だって……きっと、気分がいいだろうな、って思うから。
 屍竜たちが、そしてそれ以外の誰かが……暴れ回っているあの場所を、一掃できたら。
 そして志桜の顔にぱあっと咲くのは、笑み。
「そう、そうだよね」
 いつもみたいに、緻密に魔力を練って、紡いで――。
「なんて、面倒臭い!!」
 少女はうきうきと輝かせた瞳を、敵がよりたくさんいる場所を探すべく巡らせて。
 まどろっこしい順序なんて、ぜーんぶすっ飛ばして。
 ――制御なんてせずに勢いよくぶっ飛ばせばいいじゃん!
 座標だけ確り決めて、にぃっと笑う。
 魔力をギリギリまで溜めた杖を、嬉々と幽世の空へと振り翳して。
「この一帯を更地にしてやる!!!」
 ……ああ、なんだか胸が弾む、って。
 何だか興奮して、頬がさくらいろに染まってしまう。
 だって、考えただけでわくわくしちゃうから。
 ――制御してない、わたしの魔法はどれだけ影響を与えるんだろう、なんて思ったら。
「……ふふ、あははははっ!」
 どうなるのだろうかと想像すれば、乗れる笑い声をおさえられなくて。
 ふわりとさくらいろの髪を躍らせながら、志桜の感情は最高潮に昂る。
 魔力で生み出した雷と自然の風を掛け合わせ、制御なんてそんなもの知った事ではなくて。
 志桜は満面の笑顔を咲かせ、握りしめた杖を振り下ろす。
 ――ぜんぶ、ぜんぶぜんぶ……全部! 吹っ飛べえええええ!!!
 刹那、あかに染まっていた修羅原が一瞬、眩いさくらいろに包まれれば。
 ゾンビもドラゴンも、何もかも――暴風に巻き込まれて、轟音と共に全部吹っ飛ぶ。
 そして更地に響くのは……うふふ、あはははは! って。
 楽しそうにただわらう、ひとりの少女の声だけ。

大成功 🔵​🔵​🔵​

レザリア・アドニス
正気…って、そんなもの、私には、最初からない…かもしれない
とりあえず、全て倒せればいいよね
さて、死霊ちゃん、遊びの時間なの

すぅと空気を吸い、再び目を開ければ、死霊を全て放出する
普段よりも禍々しい騎士に守られ、巨大な黒い蛇竜に戦わせる
なんなの?あんなものが竜って?笑わせないで
死霊ちゃん、本物の『竜』とはどんなものか、『竜』よりも恐ろしいものは何なのか、見せてやりましょう

騎士の肩に乗って、
噛んだり、引き裂けたり、薙いだり、轢いたりする蛇竜と彼に蹂躙されてる者たちを見下ろして、心底から殺戮を楽しんでるような微笑を綻ばせる
まるでリミットを外され、身も心もオブリビオンと同化されてるように



 修羅原と呼ばれたこの場に降り立ったものは、等しくなくしてしまうのだという。
 『正気』という概念を、きれいさっぱりと。
 けれど、レザリア・アドニス(死者の花・f00096)はこてんとその首を傾ける。
「……正気……って、そんなもの、私には、最初からない……かもしれない」
 そして、ぎゃああっと煩い奇声をあげる敵の群れを見遣って。
「とりあえず、全て倒せればいいよね」
 ――さて、死霊ちゃん、遊びの時間なの。
 すぅと血と死臭が漂う、むせ返るような空気を吸って。
 再び目を開た刹那、放出する……死霊を、全て。
 騎士に守られ、竜に戦わせることは、いつもと何らかわらないのだけれど。
 守護する騎士は普段よりも禍々しく、巨大な黒い蛇竜はより深い漆黒を帯びている気がするけれど。
 それよりもなによりも、レザリアは思わず顔を顰めてしまう。
「なんなの? あんなものが竜って? 笑わせないで」
 知性も低く、動き鈍く、脳がないただ力任せの汚らしい死に損ない。
 そんなリビングデッドドラゴンが、竜だと名乗るだけで許せなくて。
 レザリアは苛立ちを抱いたまま、彼らへと紡ぐ。
「死霊ちゃん、本物の『竜』とはどんなものか、『竜』よりも恐ろしいものは何なのか、見せてやりましょう」
 そして、騎士の肩に乗って――噛んだり、引き裂けたり、薙いだり、轢いたり。
 蛇竜と彼に蹂躙されてる者たちを見下ろせば、レザニアに綻ぶのは心からの微笑み。
 だって、心底楽しいから。目の前で弱いものが己の騎士や竜に殺戮されてゆくのが。
 そう――まるでリミットを外されて。
 身も心も、オブリビオンと同化されているかのように。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ミア・ウィスタリア
【イカロス】
へぇ、行くと正気じゃなくなるって?
残念ね!アタシは常に「正気」じゃないわ!
エロマンガはねぇ、シラフで描くもんじゃないのよ!

だ・か・ら、もうひと押し、残った理性も吹き飛ばしてあげようじゃない

ってユノ何すんの!?
アタシじゃなくてあっち!あっち!(ドラゴンを指差す)
あ……ダメだこれ、ガンギマリな奴だ。

あ~……何かアタシまで身体が熱くなってきちゃった。
いいわ、たまには激しい運動もしないとね。

反重力シューズで飛び回って毒手で肉弾戦を仕掛ける。
ヤドリガミだもの、元からダメージなんて無視よ無視!
欠片でも残ってれば再生するわ


ユノ・ウィステリア
【イカロス】
正気を失う藤の名所、何だかロマンチックですね。
絶景を前にすれば誰しも心は奪われるものです。
まぁ、その前にお掃除は必要なんでしょうけど。

お掃除……(脳裏を駆け巡る日頃のミアのお世話色々)
(丁度そこに光るミアの洗脳画像)
ふ、ふふふふふふふふふふふ……これは、もしかして、
「正気」を代償にミアちゃんに私の日頃の鬱憤が晴らせるのでは…

いえ、そう言うと角が立ちますね。
そう、これは仕返し違う「愛の鞭」!!
姉として妹の堕落した私生活を正す愛の鞭なのです!(理論武装完了)
それに一回は攻撃しなくちゃ寿命縮んじゃうし

そしてドラゴン諸共ミアを沈めにかかるのであった。
早い話が、絨毯爆撃である。



 本来ならば、そこはただの静かな野原なのだという。
 丁度今の時期、藤の花が枝垂れ咲くくらいで。
 ――でも。
「正気を失う藤の名所、何だかロマンチックですね」
 ……絶景を前にすれば誰しも心は奪われるものです、と。
 ゆらりと揺れる楚々とした花のいろを見つめながらも、ユノ・ウィステリア(怪異蒐集家・f05185)は続ける。
「まぁ、その前にお掃除は必要なんでしょうけど」
 絶景とは決して言い難い、屍竜たちが暴れ回る血腥い光景へと視線を移しながら。
 そんな双子の姉の言葉に、金の瞳を細めて。
「へぇ、行くと正気じゃなくなるって?」
 ミア・ウィスタリア(天上天下唯画独尊・f05179)はいつもと変わらぬように笑う。
「残念ね! アタシは常に「正気」じゃないわ!」
 ……エロマンガはねぇ、シラフで描くもんじゃないのよ! って。
 正気ではないからこそ、創作に関しては自分は神なのだと。
「だ・か・ら、もうひと押し、残った理性も吹き飛ばしてあげようじゃない」
 信じて疑わないミアは、それをカタチにしてみせる。
 解き放たれるは、享楽の電影劇場――強烈な快楽を与える洗脳画像を輝かせて。
 そんな相変わらず奔放かつ尊大な妹を、ちらりと見遣って。
「お掃除……」
 そうぽつりと呟きを落とせば、刹那ユノの脳裏を駆け巡るのは。
 あれやこれ、はたまたそれ……日頃のミアのお世話やその他色々。
 さらに、絶妙のタイミングでピカッと光るのは、ミアの成した洗脳画像。
 此処は修羅原、降り立ったモノは等しく正気を失うから。
 瞬間、ユノの口から漏れるのは。
 ――ふ、ふふふふふふふふふふふ……。
 そう、笑い声。
 そしてユノは、こう続ける。
「……これは、もしかして、「正気」を代償にミアちゃんに私の日頃の鬱憤が晴らせるのでは……」
 けれどすぐに、ふるふると首を横に振ってから。
「いえ、そう言うと角が立ちますね」
 ユノは言い方を改める。
 ――そう、これは仕返し違う「愛の鞭」!!
「姉として妹の堕落した私生活を正す愛の鞭なのです!」
 ということで、理論武装もばっちり完了したから。
「それに一回は攻撃しなくちゃ寿命縮んじゃうし」
「ってユノ何すんの!? アタシじゃなくてあっち! あっち!」
 日頃の鬱憤が晴らせる……もとい、正気を失ったユノは笑み漏らしながらも無差別に叩きつける。
 愛の鞭という名の、瞬間的に本体の全質量を宿した四肢の一撃を。
 そして――ふふふ、ふふふふふ……と。
 仕返し……いえ、正気を失った攻撃を始めた姉を見て。
「あ……ダメだこれ、ガンギマリな奴だ」
 ミアはそう、口にした後。
 リビングデッドドラゴン諸共、何だか自分を沈めにかかっている気がしないでもない、早い話が絨毯爆撃するユノの姿に。
 はあぁっと、興奮したような熱い吐息を漏らす。
「あ~……何かアタシまで身体が熱くなってきちゃった」
 ――いいわ、たまには激しい運動もしないとね、って。
 刹那、反重力シューズで大きく地を蹴って。
 多分正気を失った姉や屍竜たちが暴れ回る戦場をミアは飛び回り、毒手で肉弾戦を仕掛ける。
 ゾンビ竜が噛みついてきて肉が多少千切れようが、別に構わない。
「ヤドリガミだもの、元からダメージなんて無視よ無視!」
 ……欠片でも残ってれば再生するわ、って。
 もっと熱く気持ちよくなるために、邪魔な死に損ないの竜をぶっ飛ばしながら。
 ミアは、真っ向から受け止める。
 隙あらば自分を沈めんと仕掛けてくる姉の仕返し……もとい、重い「愛の鞭」の一撃を。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

木常野・都月
【狐々】

狐は元々臆病な動物だ。
そんな狐が逃げずに戦うのは、守るべき者を守るため。
文字通り、命をかけて、野性を剥き出しに戦う。

俺は妖狐になった。
牙をダガーとエレメンタルダガーに替えた。
それでも俺の中に今もある。
獣の本性。
獣性と牙をむき出しに。
全ては守るもののため。

[野生の勘、第六感]を全て敵に向けて、風の精霊様に[ダッシュ]の加速と[カウンター]の加護を。

【UC】全力一刀。
敵は全部噛み砕いてヤル。
傷なんか知るモンカ。
骨と筋肉が付いていれば痛くテモ戦エル。
命尽きるその時マデ、足掻くノガ野性ノ獣。
殺気がするモノは全テ敵ダ。

嗅いだ事アル匂い。
敵?味方?
貴女ハ……守るベキモノ。
仲間…姉サン…クロムさん?


クロム・エルフェルト
【狐々】

斬り殺せ
灼き尽くしちまえ
この際妖狐じゃなくたってイイ

裡に巣食った剣鬼に流されそうになる
……邪、だ
邪魔、だ
ジャマだぁぁア!!
[戦闘知識]と[ダッシュ]の縮地で間合い詰め
礼節を忘れたようにUCで首を乱暴に討ち落す
猛毒ガスは刀身を発火させ引火、[焼却]で頭を吹飛ばす
血の匂いが、頭の熱が、心地酔い

敵を見るような視線に振向く
黒い、妖、狐
恨み篭る刀を振えば
首は胴から泣別れ
冗談じゃ、ない……!!
咄嗟に腕に、骨まで届けとばかり噛み付き狂気を捻じ伏せる
……都月くんを、視界に入れてはダメ

屍竜、裡の剣鬼、愛しい弟の凶暴性
弟は見ずにいなし、剣鬼の殺戮衝動は利用し、屍竜だけを討つ
信綱の娘を、舐めるな……!!



 ――もう、済んだ事。
 そう思っていたのに……格好の機会だと、裡の剣鬼は火を焚べてくる。
 正気を奪われたことを機を、これ幸いにと。
 クロム・エルフェルト(縮地灼閃の剣狐・f09031)が心の奥底で蓋をしているものをこじ開けて、滾らせる。
 ……斬り殺せ。
 ……灼き尽くしちまえ。
 それが妖狐ならば尚、いいのだけれど。
「この際妖狐じゃなくたってイイ」
 普段感情は顔に出さないその顔に浮かぶのは、笑み。
 スラリと刃を抜き放てば、その閃きにくらりと酔ってしまうようで。
 裡に巣食った剣鬼に流されそうになる。
 いや、決してこれは流されているのではない。
「……邪、だ。邪魔、だ」
 ――ジャマだぁぁぁア!!!!
 ただ、正気を失っているのだ。それが、修羅原に降り立ったモノの避けられぬ宿命。
 刹那、まさに椿の花の如く。
 血飛沫を上げて真っ赤に染まり、呆気なくぽとりと胴から離れては落ちる首。
 礼節を忘れたように、ひとつ、またひとつと。
 あかに塗れながら『仙狐式抜刀術・椿』を以って、屍竜の首を乱暴に討ち落してゆくクロム。
 脳の足りぬ竜どもが、馬鹿の一つ覚えかの様に、猛毒ガスのブレスを放ってくるけれど。
 刀身を発火させ引火するべく刃を振るえば、気が付けば吹き飛んでまたひとつ転がるその頭。
 そしてクロムは、爛々と輝かせた瞳を細め笑む。
 ――血の匂いが、頭の熱が、心地酔い、って。
 頭をひとつ落とすたびに濃くなる、そのいろに、匂いに、熱に。
 そして修羅原に降り立った狐は、もう1匹。
 ダガーとエレメンタルダガーを握りしめる木常野・都月(妖狐の精霊術士・f21384)の姿も、この修羅原に在った。
(「狐は元々臆病な動物だ。そんな狐が逃げずに戦うのは、守るべき者を守るため」)
 だから都月は文字通り、命をかけて戦う。野性を剥き出しにして。
 彼は妖狐になり、己の牙を握る刃へと替えたけれど。
 でも……決して、なくならないもの。
 それでも俺の中に今もある――都月が自覚するのは、獣の本性。
 全ては守るもののために。獣性と牙をむき出しに、血で血を洗う戦場の只中に都月は飛び込んでゆく。
 野生の勘と第六感を研ぎ澄まし、危害を加えんとする全て敵に向けて。
 風の精霊様の加護を受け、戦場を縦横無尽に駆け回れるように、反撃の牙を剥けるように……力を借りて。
 きっと本来ならば、怖いと思ってしまう自分よりも遥か大きな屍竜を相手に。
 グギャアアッ! という奇声とともに、噛みつかれ肉を持っていかれる感覚にも構わずに。
 都月は敵へと目掛け、その刃を容赦なく全力でぶっ立てる。
 ――敵は全部噛み砕いてヤル。
 ――傷なんか知るモンカ。骨と筋肉が付いていれば痛くテモ戦エル。
「殺気がするモノは全テ敵ダ」
 命尽きるその時まで足掻くのが、野性の獣であるから。
 神経毒にフラついたって、血が噴き出したって、牙が爪が刃があれば、敵を千切り殺せる。
 その姿は、まさに獣以外のなにものでもなく。
 噛みつかれれば噛みつき返して、千切られれば引き裂いて千切り返す。
 けれど――ぴくりと、耳が動いて。
 きょろりと視線を巡らせながら、都月は首をふと傾ける。
 ――嗅いだ事アル匂い。
 ――敵? 味方?
 その匂いを辿り、彼が視線を向けた先。
「貴女ハ……守るベキモノ。仲間……姉サン……クロムさん?」
「黒い、妖、狐」
 敵を見るような視線に振向いたクロムの瞳に飛び込んできたのは、黒い狐の姿。
 そして瞬間、抑えきれないほどに渦巻き湧き出るのは、恨み。
 ……もう済んだ事? そんなわけなんてない。
 クロムは黒い妖狐を見据えたまま、牙を剥いてきた屍竜へとかわりに振るう。
 恨み篭る刀を。そして、首は胴から泣別れ――。
「冗談じゃ、ない……!!」
 咄嗟にクロムは己を支配せんとする狂気を捻じ伏せる。
 骨まで届けとばかりに、自らの腕に噛み付いて。
 だって、重ねてしまったから。ぽろりと首を落とした屍竜と、黒い妖狐の姿を。
 けれど……それは、ダメだ。
(「……都月くんを、視界に入れてはダメ」)
 ――屍竜、裡の剣鬼、愛しい弟の凶暴性。
 クロムはぐっと唇を噛みしめ、はしる痛みに意識を向ける。
 イカれても正気を失っても、超えてはいけない一線が、まだ辛うじてわかるから。
 だから決して弟は見ずにいなし、剣鬼の殺戮衝動は利用して、屍竜だけをただ討ってゆく。
 ――信綱の娘を、舐めるな……!!
 正気は失っても……信綱の娘であることを、失くさぬように。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

シン・クレスケンス
【SPD】
UDCを身に宿し人間の枠組みから逸脱した存在でありながら、人であろうとする部分…正気を繋ぎ止める鎖が千切れ、普段は抑えているUDC(の一部)が宿る右腕が暴走。

正気の時なら武器として顕現させるUC【異界の剣】だが、闇色に染まって異形化した右腕をそのまま巨大な漆黒の【剣】に変じて。

襲いかかって来るドラゴンの開かれた口に【剣】を叩き込んで引き裂く。
人間離れした動きで無数のドラゴンの頭を正確に狙って倒していく。

「普段は『好まない姿』だとか言う割に乗り気じゃないか」
と傍らで当のUDC本体、闇色の狼の姿のツキが揶揄する。
無言で【剣】の切っ先を向けると
「何だよ。俺とも戦ろうってのか?」
と楽しげだ。



 修羅原という名の地に降り立てば。
 失われるのだという概念――それは『正気』。
 それはシン・クレスケンス(真理を探求する眼・f09866)にとっては、UDCを身に宿し人間の枠組みから逸脱した存在でありながらも。
 人であろうとする部分……繋ぎ止める鎖であったのに。
 それが千切れてしまった今、彼の右腕は暴走する。
 普段は抑えているUDが宿る、その腕が。
 正気の時ならば、武器として顕現させるユーベルコード【異界の剣】。
 けれども、正気を失って暴走している今。
 闇色に染まって異形化した右腕を、そのまま巨大な漆黒の【剣】へと変じさせて。
『ぎゃあああ!!!』
 刹那、牙を剥いた屍竜の開かれた口に叩き込まれる【剣】。
 そしてその刃が、そのまま敵を引き裂いて。
 まるでその動きは、人間のものではなく……まさに、修羅。
 人間離れした動きで、シンは無数のドラゴンの頭を正確に狙って、引き裂いては倒していく。
「普段は『好まない姿』だとか言う割に乗り気じゃないか」
 そう傍らで揶揄するのは、当のUDC本体――闇色纏う狼の姿のツキ。
 そしてシンは、無言で【剣】の切っ先を向けると。
「何だよ。俺とも戦ろうってのか?」
 まるで修羅のように――そう、正気を失った楽そうな顔で、わらうのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ベルンハルト・マッケンゼン
(UCを発動。呪詛が体と心を侵食し、瞳が金色に光耀く)
正気を失う方向性は、破滅願望と自己犠牲。
戦闘スタイルは銃剣術。遠距離は銃撃、近距離は銃剣突撃、至近距離は銃床で殴打。

攻撃対象は敵と……想い人の真琴。
「この時を待っていた、愛しい人。貴女に初めて出逢い、叩きのめされた時から、な。
……我等、共に戦人。さぁ、心行くまで殺し合おう!」

ゾンビを屠りつつ、本気で彼女に制圧射撃と銃剣で切り込む。
最後に捨て身の一撃! のつもりが、
つい身代わりでゾンビの攻撃を盾受けへ(そして彼女に再び叩きのめされる)。
「……やはり、な。初めて出逢って恋に陥ちた時から、
ずっと私は正気を失っているんだ。後は頼むよ、愛しい人……」


新海・真琴
【炎桜】
(ガキン、と音を立てるのは桜の拳鍔。もとい、ナックル。手には脇差)

(この場に似つかわしくなくぴこぴこ動くのは頭に生えた白い羽根耳。カクリヨに来ると生えてしまう、この世界からサクミラに飛ばされたらしい先祖――西洋妖怪の名残り)

ああ、そうだよねぇ。殺したいよねぇ
ボクの耳元でご先祖様がささやくんだよ、愛した男は殺してでも連れていけってさぁ!!
(怪力をありったけこめたボディブロー。のけぞった隙に脇差で喉を狙う)

ドラゴンくーん、神経毒撒かれてもボクらのコロシアイの邪魔なんだよねぇ
ごめんねぇ、どいててくれるかなー?
(拳鍔でのグラウンドクラッシャーを胴めがけてぶち当てて)

さ、続きしようか



 ぴこぴこと動く頭に生えた白い羽根耳は、この世界に来た時にだけ生えてしまうもの。
 それは恐らく、この世界から桜咲く世界へと飛ばされたらしい、先祖の名残のものであるだろうけれど。
 一見可愛らしい羽根耳をぴこりとさせる、新海・真琴(黒耀銀嵐・f22438)は。
 ――ガキンッ。
 桜の拳鍔の、ナックルの音を高らかに鳴らす。
 降り立ったモノ全てが正気を失うという、修羅原へと足を踏み入れて。
 手には脇差を携え……そして、修羅と化す。
 一番この手で沈めたいひとを、叩きのめしたいから。
 屍竜が毒を撒き散らし、血が飛び散り、肉片が弾け飛ぶ。
 そんな只中に身を置いても、ベルンハルト・マッケンゼン(黄金炎の傭兵・f01418)の心は昂っていた。
 そう、彼の攻撃対象は有象無象のリビングデッドドラゴンと……想い人の真琴。
 まるでダンスにでも誘うかのように、ベルンハルトは彼女へと言の葉を向ける。
「この時を待っていた、愛しい人。貴女に初めて出逢い、叩きのめされた時から、な」
 ……我等、共に戦人。さぁ、心行くまで殺し合おう! と。
 そんな声を聞きながら、真琴は彼の姿を映した瞳を細める。
「ああ、そうだよねぇ。殺したいよねぇ」
 それから、羽根耳をぴこりとさせながら続ける。
「ボクの耳元でご先祖様がささやくんだよ」
 ――愛した男は殺してでも連れていけってさぁ!!
 刹那、ぐっと拳を握りしめて。
 懐に潜り込めば、怪力をありったけこめて真琴は彼の腹にぶちかます。
「!! ぐ、ふ……っ!」
 鍛えている彼の身体が思わずくの字に浮くほど突き上げた、腰の入ったボディブローを。
 さらにのけぞった隙に、素早く脇差でその喉を突かんと狙うけれど。
 重い衝撃に揺らぎながらも持ち堪え、ぐっと踏みしめたベルンハルトはそれよりも一瞬早く。
 銃床を愛する人へと全力で叩きつけ、彼女へと本気の制圧射撃を銃剣で切り込む。
 だが、真琴も一歩も退くことなく、迎え撃つように嬉々と前へと踏み込んで。
 繰り出す閃きが交わり合い、あかを奔らせ、隙あらば手加減なしにぶん殴りあう。
 見舞われる衝撃に上体を揺らすことはあれど、互いに膝をつくことなく。
 熱い吐息を漏らしながら、酔い痴れる様にただ攻め合い続けて。
 そして互いに、次の攻撃へと行動を移そうとした――その時だった。
 ぐぎゃあああっ、と耳を劈くほどの奇声を上げ、猛毒を撒き散らしてくる屍竜。
 そんな折角のお楽しみに水を差され、チッと舌打ちをしつつも。
「ドラゴンくーん、神経毒撒かれてもボクらのコロシアイの邪魔なんだよねぇ」
 ――ごめんねぇ、どいててくれるかなー?
 真琴がぐっと拳を握りしめれば。
 意識を自分から一瞬逸らし隙をみせた彼女へと、最後に捨て身の一撃! のつもりが。
「……!」
 彼女へと振り上げられた屍竜の一撃を肩代わりし、咄嗟に割って入って盾受けすれば。
 繰り出された真琴の拳鍔でのグラウンドクラッシャーが屍竜をぶち倒す。
 そして――さ、続きしようか、って。
 屍竜の攻撃を受け、体勢を立て直すその前に。
 一気に距離を詰めた彼女の拳が、ベルンハルトの腹を全力で抉って。
「……やはり、な。初めて出逢って恋に陥ちた時から、ずっと私は正気を失っているんだ」
 再び叩きのめされ、意識を手放し地に沈みながらも、ベルンハルトは愛しいひとへと微笑みと声を向ける。
 ――後は頼むよ、愛しい人……って。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

尾守・夜野
アドリブ歓迎

破壊する事が好きな俺様がいかせて貰おうか
…まぁ元より正気など薄い身
世界に比べりゃ惜しくはないさ

表にゃ俺様でてるが多分出てない人格含め狂ってるだろうな

一応最近は、心配かけるから攻撃ガードする事もあったが…

今は吹っ飛んでるからガードとか考えねぇな
自分だろうと相手だろうと壊せりゃそれでいいや

喰らい喰われ潰し潰されの血塗れの戦いだろう

元より生身部分(自前の体)以外は取り込んでるパーツ(グールドライバー的に)で埋めてるが、更に生身部分の比率下がるかもしれん

足りなければ目の前にあるので足せばいい
動く物片っ端から壊しにかかるだろうな

ダメージは度外視
普段なら生身部分は一応死守してる
一応



 いつからか修羅原と呼ばれるようになったこの場所に立つモノたち。
 その全てが、等しく失っているもの。
 それは――『正気』。
 けれど此処に赴こうと思う時点で、そもそもその概念があるのかもわからないけれど。
 ……破壊する事が好きな俺様がいかせて貰おうか、と。
 尾守・夜野(墓守・f05352)の中の人格のひとりは修羅原降り立ちながらも、ふと肩を竦める。
「……まぁ元より正気など薄い身。世界に比べりゃ惜しくはないさ」
 それに、『俺様』は表に出ていて隠してもないけれど。
 でもきっと、多分。
 ……出てない人格含め狂ってるだろうな、って。
 最近は心配かけるからと一応、攻撃から身を守る事もあるのだけれど。
 だが、此処は正気を失う、修羅原。
 ただでさえ破壊する事が好きな上に、今は吹っ飛んでるから。
 猛毒のブレスを浴びて、即効性の神経毒に身をおかされたって。
 多少、肉を食い千切られたって、薙ぐ爪でこの身体に赤が飛沫いたって。
 喰らい喰われ、潰し潰され、べっとりと血に塗れたって。
「自分だろうと相手だろうと壊せりゃそれでいいや」
 誰だってなんだって、自分だって構わない。壊せれば、それで。
 元より自前の身体、生身部分以外はグールドライバー的に取り込んでいるパーツで埋めているのだけれど。これで更に、生身である部分の比率下がるかもしれない。
 けれど、もうそれでも別にいい。
「足りなければ目の前にあるので足せばいい」
 だから、動く物を見つければ、それが何だって夜野は壊しにかかる。片っ端から、全て。
 普段ならば生身部分は一応死守しているダメージだって、度外視してしまうほどに。
 今の夜野は正しく、正気を失っているから。

大成功 🔵​🔵​🔵​

終夜・嵐吾
つまり、やりたい放題できる
なにしてもあとで正気を奪われる場所じゃったからを言い訳になる
ふふ、なるほど。それはよい
しばし昔に戻ってこよ

ゾンビか~どろどろのぐちゃぐちゃじゃな
攻撃避けるのもめんどくさい
邪魔するなら全部燃やしてしまえばええ
あれもそれも、火柱立てて燃え上がらせるだけでええけど
しかし今日は、汝と一緒に駆け抜けよ

虚、おいで
虚も正気うしなっとる?
そも、虚に正気などないか
正気でないからわしは食われておらん
それとも、食い気を律しとるん?
応えてくれんのはしっとるけど

今日は虚も好きに、いつもしとるか
わしを裂いてもええよ、なんて
どうせあとで治すしの
ちょっとぐらいぐちゃっても、汝が喜ぶなら構わん



 修羅原、それは正気を失ったモノ達しかいない世界。
 けれど、ゆうらり揺れる尻尾はいつになくご機嫌で。
 終夜・嵐吾(灰青・f05366)はその口元に、笑みを宿す。
 だって『正気』を失う場所だと、名言されているのだから。
 ――つまり、やりたい放題できる。
「なにしてもあとで正気を奪われる場所じゃったからを言い訳になる」
 そう紡いでから、琥珀の瞳を細める嵐吾。
 ……ふふ、なるほど。それはよい、と。
 そういう感覚は、別に初めてではないし。
「しばし昔に戻ってこよ」
 たまにはヤンチャしてもいいじゃろ、と。
 楽し気に、血みどろの世界へと身を投じる。
「ゾンビか~どろどろのぐちゃぐちゃじゃな」
 頭を吹っ飛ばされ、赤に塗れたただの肉片と化したものがたくさん。
 腐れたそれから漂うのは、鼻をつくような死臭。
 そして頭以外を吹っ飛ばされた屍竜が、猪突猛進に突っ込んできて牙や爪を向けるけれど。
 ――攻撃避けるのもめんどくさい。
 それに、避けなくたって別に構わないのだ。
「邪魔するなら全部燃やしてしまえばええ」
 ぜーんぶ、燃やし尽くして、灰にしてしまえばいい話なのだから。
 けれど、折角のたのしいひとときなのだから。
 嵐吾は左肩に噛みついてきた竜を強引に引き剥がして燃やしながらも、ふと思う。
「あれもそれも、火柱立てて燃え上がらせるだけでええけど」
 ――しかし今日は、汝と一緒に駆け抜けよ、って。
 そして愛しい右目の主へと笑う。
「虚、おいで。虚も正気うしなっとる?」
 でもすぐに、ふふ、と笑み零す。
「そも、虚に正気などないか。正気でないからわしは食われておらん」
 ……それとも、食い気を律しとるん? って。
 応えてくれないことは、しっているけど。
 でも、もしもそれを彼女が律しているのならば、正気を失うこの場では――。
 けれどもう、色々考えることさえも、面倒だから。
 まぁええか、って、嵐吾はいつもの様に紡いでから。
「今日は虚も好きに……いつもしとるか」
 ――わしを裂いてもええよ、なんて、ずるりと宿る鋭利な閃きにわらう。
「どうせあとで治すしの」
 だから、ちょっとぐらいぐちゃっても、引き千切られて潰されても。
 嵐吾は屍竜を引き裂き、びしゃりと飛沫いて纏わりつく血のいろに塗れながらも。
 愛し気に紡ぐ――汝が喜ぶなら構わん、って。

大成功 🔵​🔵​🔵​

蔡・鼬瓏
は、は、は!
血を血で洗う?修羅と化す?
暴力上等
流血上等
イイねェイイねェ、望む所ってんだ!

剣と鞭を手に取って振り回し、
群れた屍竜どもの真中に飛び降りる
孤軍で何故って
楽しそうだからに決まってる

鞭で薙ぎ払い
或いは絡めとって引き寄せて剣で止め
避けられたって周りのヤツに届きゃいいだろう
手に伝わる終わりの感覚
死んでるのに終わりってのもヘンか?ハハハ!!

動かなくなったらポイっとね
だって次構ってやんないと、なあ?
次はオマエ?いーぜ遊ぼう!

ブレスもガスも避ける事なく
進みは止めねえ
毒耐性もあるが手足が動きゃ後は気にしねえよ

奪われた?失った?
正気?ナニソレ

まだだ、まーだだよ
まだまだまだまだ!!!
遊ぼう!!なあ!!!



 降り立ったのは、何の変哲もない野原。
 道徳も常識も慈悲も、そして『正気』すらもない場所。
 けれど元々、蔡・鼬瓏(塵芥・f32798)は知っているから。
 ――は、は、は!
 彼は修羅原の只中で、高らかに笑う。
「血を血で洗う?修羅と化す? イイねェイイねェ、望む所ってんだ!」
 暴力上等、流血上等。
 正気を失うその前から……拳を振り下ろす時の途轍もない高揚感を、鼬瓏は知っているから。
 そして此処では、何でもアリだというのだから。
 鼬瓏は群れた屍竜どもの真中に飛び降りる。剣と鞭を手に取って振り回しながら。
 ……味方? そんなものはいらない。
 孤軍で何故って? そんなこと、この顔をみれば分かるだろ。
 ――そう。
「楽しそうだからに決まってる」
 ぐちゃりと得物を振るった屍竜の肉が飛び散って潰れ、飛沫をあげるどす黒い赤。
 手に伝わる終わりの感覚、纏わりつく血の生ぬるさ。
 けれどむしろそれを楽しむかのように。
 鞭で薙ぎ払い、は絡めとって引き寄せて剣でぶすりと止めを刺して。
 避けられたって周りのヤツに届きゃいいだろう、って。
「死んでるのに終わりってのもヘンか? ハハハ!!」
 動かなくなったらポイっ。
 ただの肉片になんて、もう用はない。
「だって次構ってやんないと、なあ?」
 鼬瓏は背後から噛みつかれた感触に、振り向いて。
「次はオマエ? いーぜ遊ぼう!」
 毒のブレスもガスも避ける事さえ面倒くさい。
 毒耐性もあるけれど、手足さえ動けば後は気にしない。
 だから、己から流れる赤など構わずに、進みは止めない。
「奪われた? 失った? 正気? ナニソレ」
 そんなもの、何だって、どうだっていい。
 ――まだだ、まーだだよ。まだまだまだまだ!!!
「遊ぼう!! なあ!!!」
 だって今の鼬瓏はただただ、最高に楽しい気分なのだから。

大成功 🔵​🔵​🔵​

織銀・有士郎
正気を失う、か。
心が猛るどころか逆に冷めていくな……だが、懐かしい感覚だ。
嗚呼そうだ、一振りの刀に感情など不要。
ただ、眼前の敵を斬ればいい。

「凛と咲く花の如し……宝貝起動」
舞桜に見惚れ、戦意を失った者から斬り捨てる。
戦いの場において、戦意を失ったものから死んでいくが道理。
毒? 動けるなら問題無い。
獣の如き感覚で敵の行動を見切れば致命傷は避けられるはず。
刃こぼれ一つ、錆一つで機能が失われることは無い。

「――塵芥となりて、消えよ」
その先にいる気配に比べたら眼前の敵はただの雑兵。
疾く速く、すべて斬り伏せるとしよう。



 修羅原と呼ばれるこの場所に響く嬉声は、獣のものか。
 それとも、修羅と化したひとのものか。
 だってこの場に在るモノは全て、奪われてしまうというのだから。
「正気を失う、か」
 落とされた織銀・有士郎(織りなす銀の一振り・f17872)の声が紡ぐように、『正気』という概念が。
 けれど、爛々と瞳を輝かせ、嬉々と敵を潰しにかかる修羅たちを見遣りながらも。
「心が猛るどころか逆に冷めていくな……」
 織銀・有士郎(織りなす銀の一振り・f17872)は反して、冷めてゆくばかり。
 けれど……だが、懐かしい感覚だ、って。
 有士郎はこの感覚を知ってもいるのだ。
 だから、思い出すかのように、得物を握って紡ぐ。
「嗚呼そうだ、一振りの刀に感情など不要」
 ――ただ、眼前の敵を斬ればいい、って。
 そして、血に塗れ、鼻につく死臭漂う戦場へと駆け出す。
「凛と咲く花の如し……宝貝起動」
 舞い散る桜に見惚れ、戦意を失った者からバサリと斬り捨ててゆく。
 だって、戦いの場において、戦意を失ったものから死んでいくが道理なのだから。
 刹那、牙と共に向けられるのは、屍竜の猛毒の粘液。
 でも、そんなもの。
「毒?  動けるなら問題無い」
 獣の如き感覚で敵の行動を見切れば、致命傷は避けられるはずだから。
 有士郎はあくまで冷めた心のまま、閃きを繰り出し、敵の首を飛ばしてゆく。
 ……刃こぼれ一つ、錆一つで機能が失われることは無い、と。
「――塵芥となりて、消えよ」
 それに、その先にいる気配に比べたら、眼前の敵はただの雑兵にすぎないのだから。
 ――疾く速く、すべて斬り伏せるとしよう、って。

大成功 🔵​🔵​🔵​

忠海・雷火
人格変更なし


私は、今を侵す過去を憎み殺すもの。私と融けた邪神は、生命を憎み殺すもの
間を隔てる箍は外れて、いま理性が示す一線は単純、「生命を奪ってはならない」のみよ

思考はまだ冷静。対竜と人の戦闘知識を活用
関節可動域、姿勢、動作から攻撃を見切り回避。或いは武器受け、受け流しから返す刃でカウンター
まずは足の腱切り動きを鈍らせる、数体纏まったなら大きく薙ぐ様に斬り払い、転ばせ壁にする事で他に対する盾とする
相手が仲間でも死ななければ問題ないわ
状況を見て竜の頭へトドメを刺す

血の摂取は、腐ったものより新鮮な方が良い。味の問題ね
UC使い、増えた舌で更に喰らえばまた増えてを繰り返し
さあ、沢山喰らって殺しましょう



 本来ならば此処は、藤の花が静かに咲くただの野原だというけれど。
 そんな見頃を迎えた、花々はただいつも通りさらりと揺れるだけ。
 この場が再び、修羅原と呼ばれた頃のように、赤のいろに汚く塗れても。
 そしてまた、『正気』を奪われたモノがひとり。
(「私は、今を侵す過去を憎み殺すもの。私と融けた邪神は、生命を憎み殺すもの」)
 深紅の瞳は、今も気怠げではあるけれど。
 忠海・雷火(襲の氷炎・f03441)の、間を隔てるその箍は疾うに外れている。
 修羅原に降り立った、その時から。
 けれど、奪われているのは『正気』のみ。
 だから雷火はまだ、分かっている。超えてはいけないものを。
 いま彼女の理性が示す一線は単純――「生命を奪ってはならない」のみ。
 そして昂り声を上げる屍竜や周囲の修羅達を見遣って。
 まだ冷静である思考を巡らせ、雷火は修羅原を駆ける。対竜と人の戦闘知識を活用しながらも。
 毒をもった牙や爪、繰り出される力任せな衝撃の威力の大きさは侮れはしないけれど。
 主に襲いくる相手は所詮、知性の低い屍竜。
 口から猛毒ガスのブレスを放ちながらも、噛みつかんと襲ってくるそれを。
 関節可動域、姿勢、動作から攻撃を見切って、ひらりと身を翻し躱して。
 避けきれぬものは受け流し、生じた隙へとすかさず返す刃で逆に叩き斬って。
 まずは足の腱を狙い、切っては動きを鈍らせる。
 数体纏まって群れて囲まれたのならば、それもまた好機。
 大きく薙ぐ様に斬り払い、転ばせ壁にすれば。立派な己の肉の盾。
 修羅原には、屍竜だけでなく、他の者の姿もあるけれど。
「相手が仲間でも死ななければ問題ないわ」
 そう口元に薄い笑みを宿し、雷火は屍竜の首を刎ね飛ばす。
 それにどうせ地を摂取するならば、腐ったものより新鮮な方が良い。
 ……味の問題ね、って。
 でも、そうも言ってられないから。
 増えた舌で更に喰らえばまた増えてを、ひたすら繰り返すだけ。
 ――さあ、沢山喰らって殺しましょう、って。

大成功 🔵​🔵​🔵​

神埜・常盤
シャト君/f24181

あァ、赫いねェ
とても――目に毒だ
無意識に喉が鳴る

シャト君の髪に揺れる花弁も
愛らしくて美味しそうだ
赫に染まればもっと…
否、止めておこう

影縫で己の手を裂き、刃へ血を注ぐ
捕食形態と成った其れで
彼奴等を串刺し、滴る赫を啜り行脚
嗚呼、なんて素敵なディナァパァティ

大人はみぃんな
猫を被っているのさ、シャト君
狂気など持ち得ない“フリ”をして
誰もが普通に生きて居る

だからそう、正気は欺瞞だ
此処は良いねェ
誰も彼もが狂気の沙汰だ
あァ、愉しい! 美味しい!

異形の血は啜っても良いが
人間の血を吸ってはいけない
シャト君に牙を向けてはならぬ

其れだけは分かってる
だから大丈夫
僕は未だ、人間で

…ウン
足りないなァ


シャト・フランチェスカ
常盤/f04783

●激痛耐性

嗚呼、想った通りの真っ赫な景色!
でもきみの眸のほうが綺麗
ぎらぎら搖れて、てらてら燿って
食べちゃいたいくらい

あは、我慢してからの方が
もっと美味しくなるよ

得物は片欠けの大鋏
肉斬り包丁にはうってつけ
駆け出せば無垢な笑顔

正気って何だろうね、常盤
正って書くのに
正を欠かなきゃ暴けない
慾の儘に游ぶのはこんなに愉しいのに
「おとな」になると
皆静かになっちゃうんだもの
つまらないや

きみたちは死ねないの?
憐れだね、愛しいね
死にたがりなら僕と一緒
花でも肉でも喰えば善い

痛い痛いは此処に居たい
もっと痛くして呉れ
生き飽きちゃうよ

ねえ常盤
きみも物足りないんじゃない?

もうひとつ
正気を剥がしてしまおうか



 何もない野原を彩るのは、枝垂れ咲く藤の花のいろのはずなのに。
 いや、確かに、見頃を迎えるほどに花は咲き誇っているのだけれど。
 シャト・フランチェスカ(侘桜のハイパーグラフィア・f24181)の瞳が見ているのは、それとは全く異なるいろであった。
 ――嗚呼、想った通りの真っ赫な景色!
 それは、飛び散り、纏わりつき、塗れる、眩暈がする様な鉄錆の色。
 けれど、赫は赫でも、もっと酔ってしまいそうな赫をシャトは見つける。
「でもきみの眸のほうが綺麗」
 神埜・常盤(宵色ガイヤルド・f04783)の赫を帯びた双眸を。
 だって、飛沫いた鮮やかな赫は、すぐにどす黒く汚いモノになって転がる肉片に纏わりつくだけだけど。
 彼のいろは、ぎらぎら搖れて、てらてら燿って。
「食べちゃいたいくらい」
 そんな、シャトが見つめるそのいろを細めて。
「あァ、赫いねェ」
 常盤は無意識に喉を鳴らす。その赫を己の色にひたすら重ねながら。
 とても――目に毒だ、って。
 そして、愛らしくて美味しそうだ、と。
 傍に在る彼女の髪に揺れる花弁を、ふと見つめ返す瞳にも咲かせるけれど。
「赫に染まればもっと……」
 そうぽつりと落とした己の言の葉に、常盤は小さく首を傾けてみせる。
 ――否、止めておこう、なんて。
 そんな彼の声を聞きながら、シャトは咲う。
「あは、我慢してからの方が、もっと美味しくなるよ」
 充ち足りぬ戀心の如く片刃が欠けた、肉斬り包丁にはうってつけの得物を手に。
 足りぬこころを、断ち切る赫のいろで満たさんと。
 だって今、自分は『正気』を失っているのだから。
 逸る衝動のまま駆け出したその顔に咲かせるのは、無垢な笑顔。
 刹那、己の影縫を以って裂いた常盤の手から飛沫くのは、鮮やかないろ。
 それを注いでやれば、刃はさらに欲し荒ぶる。腹が減ったと言わんばかりに。
 ……だから。
『ウガアァァァッ!!』
 手始めに、適当にその辺にいるモノを串刺しにしてみて。
 滴る赫を啜り、そのいろで塗れた光景の中を嬉々と巡り歩く。
 ……嗚呼、なんて素敵なディナァパァティ、って。
 そんな彼に、シャトは酔ったような瞳を細め、こう訊ねてみる。
「正気って何だろうね、常盤」
 ……正って書くのに、正を欠かなきゃ暴けない。
 素知らぬ顔をしているくせに、みんな、裡に隠しているのだ。
「慾の儘に游ぶのはこんなに愉しいのに、「おとな」になると皆静かになっちゃうんだもの」
 おとなになるほど、巧く。
 そんな「おとな」に――つまらないや、って。
 シャトはこどものような顔で、そう零すけれど。
「大人はみぃんな、猫を被っているのさ、シャト君」
 ……狂気など持ち得ない“フリ”をして、誰もが普通に生きて居る、って。
 とても上手に「おとな」は隠しているのだ。『正気』というそれを被って。
 そして常盤は、滴る赫を啜りながら続ける。
「だからそう、正気は欺瞞だ」
 けれどこの修羅原では、そんな欺瞞の概念がない。
 皆が等しく、無垢なこどものように在れるのだ。
 だからただ、衝動のまま在ればいい。
「此処は良いねェ。誰も彼もが狂気の沙汰だ」
 ――あァ、愉しい! 美味しい!
 常盤は思うままに啜り、そう声を上げる。
 だって、みんな隠してないし、イカれているのだから。
 此処に在るのは、修羅と化した狂人と死に損ないの屍竜。
 刹那、肉を引き千切らんと牙を立ててきた屍竜に、シャトはこてんと首を傾けて。
「きみたちは死ねないの?」
 流れる己の赫よりも、構って欲しいと言わんばかりに牙を剥き、涎を垂らすソレへと紡ぐ。
「憐れだね、愛しいね。死にたがりなら僕と一緒」
 ――花でも肉でも喰えば善い。痛い痛いは此処に居たい。
 だって、素知らぬフリなんて、「おとな」なんて、そんなのつまんないから。
「もっと痛くして呉れ。生き飽きちゃうよ」
 もっともっと、遊戯びたいから。
 そんな彼女から飛沫く赫は、くそ不味い屍竜のものなんかよりずっと、一等美味しそうだけれど。
(「異形の血は啜っても良いが、人間の血を吸ってはいけない」)
 ――シャト君に牙を向けてはならぬ。
 正気は失っているけれど、常盤は其れだけは分かっている。
 いや、分かっていると言い聞かせている。
 ……だから大丈夫、って。僕は未だ、人間で――と。
 けれど此処は修羅原、つまんない「おとな」で在らなくても良い場所だから。
「ねえ常盤、きみも物足りないんじゃない?」
 オモチャにするにも物足りない屍竜の首を、飽いたように片欠けの大鋏で刎ねながら。
 シャトは、未だ人間で在るなんて、分かったフリをしている彼へとわらう。
 ――もうひとつ、正気を剥がしてしまおうか。
 何せその瞳は、吐き気がしそうなほど汚いこの場所で、爛々と輝いているのだから。
 そして常盤も死に損ないたちの血を啜りながら、瞳を細めこたえる。
 ……ウン、足りないなァ、って。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

月舘・夜彦
【華禱】
土埃も鉄錆も、血の臭いさえも心の中で酷く己を昂らせる
それに響く声は果たして人なのか獣なのかさえ如何だって構わない
嗅覚も聴覚も、遥か昔から覚えのあるもの

――戦だ
我が身を置く場所こそ、此処なのだ

野原を歩けば自然と身は夜叉へと変わり
刀を抜くか如何かの所で駆け出して刃を振るう

首も腕も胴も足も
全て斬り裂いて、ピクリとも動けば刃を突き立てる

呻る声が聞こえれば邪魔と言わんばかりに素手で口を塞ぎながら
そのまま怪力にて頭を握り潰す
刀は己が牙、されど肉体も使い方を変えればこうも出来る

視線を感じて見遣れば、何処か嫉妬や羨望のような眼差しの鬼
望むのならば奴等ごと斬り捨てよう

私の刃とお前の盾
どちらが勝つだろうか


篝・倫太郎
【華禱】
隣にある気配が駆けだして、穢れを撒く
それは祓わなくてはならない
その一心で後を追う

祓うとは還すこと
還す?
何処へ?
過去へ――

チガウ、これは過去に還るモノではない
殺してはイケナイもの

あぁ、それでも……
その太刀筋を愛おしいと思えばこそ
切り結びたいと思う
護りたいとも思う
しかし、正気などここでは不要

暁焔使用
破魔と浄化を乗せた華焔刀でなぎ払いからの2回攻撃
祓うは一族の『すべきこと』で本能
相手は……愛すべき、鬼神
切り結び、いなして、刃を重ねて
狂喜して愉悦に震える

竜は邪魔でしかない
邪魔をするな
邪魔するならば飛翔してその首を落としてしまおう

敵の攻撃から身を護るという思考は皆無
相手の生命力を奪って補えばいい



 降り立った地は、むせ返るような熱といろで満ちていて。
 土埃も鉄錆も、血の臭いさえも、月舘・夜彦(宵待ノ簪・f01521)の心を酷く昂らせる。
 耳に聞こえる声が、叫びが、果たして人のものなのか獣のものなのか。
 最早それずらも分からないけれど……如何だって構わない。
 それに、夜彦は知っている。嗅覚も聴覚も、此れは遥か昔から覚えのあるもの。
(「我が身を置く場所こそ、此処なのだ」)
 そう――戦だ。
 だから夜彦は、己が在るべきこの場で、在るべき姿へと成る。
 戦へと投じるその身を、夜叉へとかえて。
 刹那、刀を抜くか如何かの所で修羅原を駆け出して。
 刃振るえば、一瞬にして赤が飛沫き、屍竜の首が転げ落ちる。
 そんな、隣にある気配が駆けだして穢れを撒き散らせば。
 篝・倫太郎(災禍狩り・f07291)も自然とその後を追う。
 ――それは祓わなくてはならない。
 本能のまま、その一心で。
 そして倫太郎の瞳がただ見つめるその先で、夜彦は……夜叉は、刃を突き立てる。
 腕も胴も足も、全て一瞬で斬り裂いてやったのに。
 ピクリと動いた気配を感じてその首を刎ね、死に損ないの竜をただの肉片へとかえてゆく。
 また別の屍竜が牙を剥く様に振り返れば、飛ばした腕に呻る声。
 けれどそれはただ、邪魔でしかないから。
『ウガ、ァァァァ……!』
 ガッと伸ばした素手で口を塞ぎながら、怪力を以って指を食い込ませれば。
 刹那、潰れて弾け飛ぶ、屍竜の頭であったもの。
 刀は己が牙。されど肉体も使い方を変えればこうも出来る。
 いや、今の彼には、手段など何だって構わないのだ。
 そんな穢れを撒くモノを、倫太郎は見遣り思う。
 穢れを撒くモノは祓わなければいけない。
 そして祓うとは、還すこと。
「……還す? 何処へ?」
 けれど零した呟きに、倫太郎は己でこたえる。
 ……過去へ――。
(「チガウ、これは過去に還るモノではない」)
 刹那、ふるりと倫太郎は首を横に振る。
 だって、分かるから。見つめる先に在るのは――殺してはイケナイもの。
 ――けれど。
「あぁ、それでも……」
 愛おしい、切り結びたい、そして……護りたい。
 修羅原に閃く夜叉の太刀筋に、どうしようもなく心が昂って。
 倫太郎も正しく、正気を失っているから。
 焔燃ゆる黒塗りの柄を握り、薄く笑んで彼の前へと躍り出る。
 そんなつまらない屍竜などではなく、自分だけを見ろと言わんばかりに。
 刹那、視線を感じて見遣れば。夜叉の瞳に飛び込んできたのは、何処か嫉妬や羨望のような眼差しの鬼。
 けれどやることは変わらない――望むのならば奴等ごと斬り捨てよう、と。
 ただ、斬り飛ばすのみ。腕も胴も足も頭も、全て。
 そして鬼と化した倫太郎にとって、祓うは一族の『すべきこと』で本能。
 その一族の神力を以って倫太郎は戦場を翔け、美しき刃紋映える薙刀を夜叉へと振るう。
 穢れを振り撒くそれを祓うべく、破魔と浄化を乗せて薙ぎ払い、さらに返す刃を繰り出して。
 同時に赤が飛沫けば、爛々と互いの姿を映す瞳を滾らせて。
 切り結び、いなして、刃を重ねれば――狂喜して愉悦に震える。
 だって、相手は……愛すべき、鬼神。愛すべき、鬼。
 だから、邪魔でしかない。
「邪魔をするな」
 けれど相手は、馬鹿のひとつ覚えかのように力任せに突っ込んでくる低能な屍。
 倫太郎が飛翔し邪魔なそれの首を落とせば。夜彦も、牙を剥き迫る屍竜の首を繰り出した閃きで刎ねる。
 そして邪魔な輩がただの肉片と化せば、その刃は、再び互いの首を刎ねんと交わる。
 もう己のものなのか、愛すべき眼前の彼のものなのか、分からぬ赤に塗れて。
 そして夜彦は、相手の生命力を奪って補えばいいと、身を護るという思考など皆無な鬼に。
 閃きを向けながらも紡ぐ――私の刃とお前の盾、どちらが勝つだろうか、と。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

カトル・カール
たまには効率なんか無視で、楽しく遊ぶのもいいよなあ

味方の方が殴り甲斐がありそうだが…(ちらりと見)命は惜しいんで、そっちは諦める
不味そうなドラゴンだが数はいるんで、そっちで遊ぼう

UCも織り交ぜつつ【春時雨】で雑に攻撃
そんなんじゃ死なないし反撃してくるから、急所を避けてちまちま攻撃、ていう遊び
効率も戦略も無視して、自分の命いっこを質草に、戦場で遊ぶのは意外と楽しいな。癖になりそうだ

毒を食らってあちこち痛いし見た目が悲惨なのも自業自得
気が済んだらとどめを刺して、次
数が多いし飽きたらいつも通り効率的に…単純作業の殲滅を頑張る



 誇り高き戦士の一族の中で育ち、死を目の当たりにする暮らしに嫌気がさして行商人となったはずなのだけれど。
 此の場所――修羅原と呼ばれる地に降り立てば、そんなものも吹き飛ぶ。
 だってカトル・カール(コロベイニキ・f24743)もやはり今、正気を失っているのだから。
 ……たまには効率なんか無視で、楽しく遊ぶのもいいよなあ、なんて。
 藍色の視線をぐるりと周囲に巡らせてみれば。
 楽しそうに屍竜どもの頭を吹き飛ばしては笑う、猟兵……いや、修羅たちの姿が。
 そんな様子を、ちらりと見つつも。
「味方の方が殴り甲斐がありそうだが……」
 そわりとしながらも、ぽつりとそう呟きを零すけれど。
 断末魔を上げ、ぐちゃりと血の海に沈んで肉片と化す屍竜たちを見れば、仕方なく諦める。命は惜しいから。
 けれど、そんな味方よりはつまらないかもしれないけれど。
「不味そうなドラゴンだが数はいるんで、そっちで遊ぼう」
 潰れてはまた新手が何処からか湧いて出る、遊び相手は無数にいるから。
 カトルは凶ツ鳥の呪いが込もった大剣を手に、竜どもの只中へと飛び込んで。
 とりあえず本能のまま雑に振り回し、竜たちの血や肉をぶっ飛ばして撒き散らす。
 けれど頭を潰さないと死なない屍竜たちは、それでは死なないし。
『うがぁぁあああ!!』
 ぐちゃっと吹き飛ばされた部位からどす黒いいろを滴らせながらも、反撃してくる。
 だから、急所を避けつつも、ちまちまと攻撃して。
 とりあえず色んなところをぶった斬りながらも、カトルは遊びに興じる。
「効率も戦略も無視して、自分の命いっこを質草に、戦場で遊ぶのは意外と楽しいな」
 ……癖になりそうだ、って。
 数いる屍竜に吐かれた毒は勿論食らってしまうし、噛みつかれ引き千切られ、あちこち痛いし。
 見た目も悲惨なのだけれど……まぁそれも、自業自得。
 気が済んだらとどめを刺して、次。潰して、次の玩具で遊ぶだけ。
 けれどもやはり数も多いから、それでもそのうち飽きてしまって。
 その頭を刎ね飛ばし、単純作業の殲滅を頑張るカトル。いつも通り、効率的に。

大成功 🔵​🔵​🔵​

葬・祝
【怨腐れ】

同行者が居たことなんて、気にも留めず
ひとりで先へ、先へ

【化術】で変化させた獣のように鋭い爪と、【念動力】で宙を飛び回る五寸釘や鉈や匕首
【呪詛】を纏って傷付いた所から更に腐り落ちれば良い
飢え喰い合って、数を減らしてどうぞ
巨大化すれば腐った肉体は余計に潰れやすくなりますし、大型は多くの猟兵の目に入りやすいですからね
確かに強くなるのかもしれませんけれど、ねぇ?
くふふ、別に私が倒さなくたって構いやしませんもの

どうせ、……嗚呼ほら来てしまった
あら、君に心配なんて概念あったんです?
毒塗れで触らないでくださいね、毒なんて今更目新しいたのしさもありませんし

全く、……君も腐れ落ちれば良いのに


片稲禾・りゅうこ
【怨腐れ】

おお~~い、はふり~~!
まったく、はふりのやつめ~どこ行ったんだ~~?
はっ!わかった!ひょっとして迷子だな~?
ふっふっふ……仕方ないからこのりゅうこさんが探してあげようなあ

おいおいどうしたんだよ~その程度か?
りゅうこさん欠伸が出ちゃうぞ
……お?その手は悪くないな
だが残念、りゅうこさんに毒は効かないよ
だからこうして──肚を裂いても何ともない

ああ、なんだ生きてたのかはふり
いんや~?これっぽっちも?
だってはふり、殺しても死なないだろ?うっははは!!

ん?どういうやり方ってそりゃあ──
これを こうして こう はい終わり~
あれ?はふり?なんで死骸に埋もれてるんだ?うはは!



 修羅と化したモノたちと喚き群れる屍竜が衝動のまま、在る場所。
 そんな修羅原と呼ばれる戦場を、ひとりで先へ、先へ。
 共にこの場へと降り立った同行者……? そんな存在など、気にも留めずに。
 葬・祝(   ・f27942)は、ぐさり。屍竜どもの血を重ねる。
 化術で変化させた獣の如き鋭い爪や、宙を飛び回る五寸釘や鉈や匕首、嘗て振り下ろされた刃に。
 けれど別に、牙を剥くそれらの首を落とすなんてことは、率先して特にはしない。
 ……呪詛を纏って傷付いた所から更に腐り落ちれば良い。
『グ、アアァァァ!!』
「飢え喰い合って、数を減らしてどうぞ」
 肉を喰らい屍竜がその身を巨大化させれば、腐った肉体は余計に潰れやすくなるし。
 大型は多くの猟兵の目に入りやすいだろうから。
「確かに強くなるのかもしれませんけれど、ねぇ?」
 ぐちゃあと脆くも腐り落ち、食われるそれらを見遣りながらも。
 祝は、くふふ、と笑む。
 だって……別に自分が倒さなくたって、構いやしないのだもの。
 そう巨大な屍竜の群れの合間をひらり気侭に、先へと進む祝。
 そしてそんな彼と共に、此処に降り立ったはずなのだけれど。
「おお~~い、はふり~~! まったく、はふりのやつめ~どこ行ったんだ~~?」
 こてりと大きく首を傾け捻るのは、片稲禾・りゅうこ(りゅうこさん・f28178)。
 それから、ぎゃあああとか、ぐおおおとか、屍竜たちが荒ぶっているその場を歩みながらも。
「はっ! わかった! ひょっとして迷子だな~?」
 迷子になったらしい祝の姿がないか、ぐるりと見回して続ける。
「ふっふっふ……仕方ないからこのりゅうこさんが探してあげようなあ」
 けれど、何だか構って貰いたそうに、屍竜が噛みついてこようとするから。
 ズドン、と上から踵落としの一撃を叩きつけてやれば、呆気なく潰れて弾け飛ぶ頭。
「おいおいどうしたんだよ~その程度か? りゅうこさん欠伸が出ちゃうぞ」
 けれど、既に物言わぬ肉片と化しているそれから、ふと視線を移して。
『グギャアアァッ!!』
「……お? その手は悪くないな」
 また別の屍竜がその口から吐き出すのは、猛毒ガスのブレス。
 即効性の神経毒は、浴びたモノの動きを阻害し死を齎す……はずなのだけれど。
「だが残念、りゅうこさんに毒は効かないよ」
 逆にズドンともう一度、りゅうこさんの稲妻落としをお見舞いする。
 だからこうして――肚を裂いても何ともない、と。
 それから視界の端でゆらりと動く、少年の姿に気が付いて。
「どうせ、……嗚呼ほら来てしまった」
「ああ、なんだ生きてたのかはふり」
 ちらりと自分を見遣る祝に、りゅうこはけらりとわらう。
 とりあえず、迷子を確保したから。
 そんな彼女の声に、祝は大きく首を傾げてみせて。
「あら、君に心配なんて概念あったんです?」
「いんや~? これっぽっちも?」
 即、そう答えたりゅうこは続ける。
「だってはふり、殺しても死なないだろ? うっははは!!」
 そして……ん? と瞳を瞬かせて。
「どういうやり方ってそりゃあ――」
「毒塗れで触らないでくださいね、毒なんて今更目新しいたのしさもありませんし」
 祝の言葉にも構わずに、またちょっかいを掛けてくる屍竜たちへと視線を向けて。
 ――これを こうして こう はい終わり~。
 ただの屍と化した肉の山を作り上げた後、再び姿が見えなくなった祝をきょろりと探せば。
 今度は、迷子ではなくて。
「あれ? はふり? なんで死骸に埋もれてるんだ? うはは!」
 もぞもぞと、赤に塗れた屍たちの中から這い出しながらも。
 呑気に笑うりゅうこを見遣りながら、祝はわざとらしく溜息と共に言の葉を落とす。
 ――全く、……君も腐れ落ちれば良いのに、って。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

豊水・晶
アドリブ絡み◎
ああ、可哀想に。
死してなお闘いに明け暮れ、血で血を洗っているなんて。私が掬ってあげなければ。
闘いたい、血が見たいというのなら。それらがなくなれば止まるのですか?
貴殿方が傷付かずに済むのなら、消してしまいましょう。

UCで関節や急所を同時に攻撃。舞い散る血は浄化で水へ。闘いたいのなら闘えなく、血が見たいのなら血を水へ。さあ、貴殿方が闘う理由は無くなりましたよ。だから後はゆっくり休んでくださいね。(剣で首ちょんぱ)

ああ、まだこんなに掬ってあげなければいけない方々が(血糊ベッタリ恍惚のヤンデレポーズ)
今掬ってあげますからね。
竜脈使いで力を高めて四方八方に斬撃波飛ばしたり、切断で斬ったり。



 本来ならば、静かに藤の花が咲き誇る場所であるのだというのに。
 此処――修羅原に今群れるのは、湧いて出る屍竜の群れ。
 そんな竜達をいろの違う双眸で見つめて……ああ、可哀想に、と。
 ふるりと首を横に振るのは、豊水・晶(流れ揺蕩う水晶・f31057)。
 そして晶はこくりとひとつ頷きながら、紡ぐ。
「死してなお闘いに明け暮れ、血で血を洗っているなんて」
 ――私が掬ってあげなければ、って。
 けれど、どうやってそれを成せばいいか、ふと考えてから。
 ぐぎゃああっ! と突進してくるそれを見遣り、晶は笑みを向ける。
「闘いたい、血が見たいというのなら。それらがなくなれば止まるのですか?」
 ……貴殿方が傷付かずに済むのなら、消してしまいましょう、と。
 刹那、ぐちゃりと潰れて同時に弾け飛ぶのは、関節や急所。
 神通力による水分八卦楔が、どす黒い血を飛沫かせるけれど。
 舞い散るそれすらも消して、浄化し水へとかえる。
 ……闘いたいのなら闘えなく、血が見たいのなら血を水へ。
「さあ、貴殿方が闘う理由は無くなりましたよ。だから後はゆっくり休んでくださいね」
 そう微笑むと同時に、晶はまた1体、屍竜を救ってあげる。
 閃かせた剣で、首を刎ね飛ばして。
 けれど、ふとぐるりと周囲へと視線を巡らせれば。
「ああ、まだこんなに掬ってあげなければいけない方々が」
 纏わりつく血糊でべったりと濡れたその顔に、恍惚としたいろを宿して。
 所謂、ヤンデレポーズを取りながらも。
 さらに沢山掬ってあげるべく、竜脈使いで力を高めてから。晶は四方八方に斬撃波を飛ばし、首を切断するべく刃をふるい、斬っては刎ね飛ばしていく。
 ――今掬ってあげますからね、って、わらいながら。

大成功 🔵​🔵​🔵​

冴島・類
※綾華さん(f01194)

血で血を洗い修羅となる…
世を終わらせる訳にはと来たものの
戦場見、真っ赤ですねえと
貴方にかけた声が思うより軽く、僅かな理性で
効果が来たかと判じる

綾華さん
斬り合いだけだときりがなく
脂で後ほど鈍りそう
もっと熱く、行きましょう?

駆ければ
薙ぎ払いで毒を纏った部位を斬り弾き、避け
挟撃時、互いの刃の軌道の先には踏み込まぬようにし
放つ糸で縛り燃やす

誰かが傍に居てくれたら
最後の一線は越えずに済むか
なんて、頼った貴方の横顔
戦う姿は軽やかで

炎の中で見た
両目の色に気付き、口元は無意識に弧を描いて
君の赤のが、綺麗ですね

場にそぐわぬ無邪気な笑みに
普段は口にせぬ類の冗談が零れる
火傷しますよ?なんて


浮世・綾華
※類さん(f13398)

「ええ。ケド、きれーな赤じゃあない」

被さる翼を鍵刀で裂き祓う
堕ちる肉片を冷たく見下ろした
昂る、根底にある何かが
この感覚は――あの頃の、

熱く…

「は。いいねえ、燃しちまお」

投げ込む鍵刀を囮に回り込み
あんたの糸の先、挟み撃ちを狙う

燃やすなら、うんと熱い方が良いでしょ

刀を無数の鬼火に変え
代わりに握る扇一振り
ほら、あの汚い赤を塗り潰すよーに
寧ろ燃え広がらせたいと思ってしまった

抑える必要性は考えなかった
――あんたが、強かったからだ

重なる緑に、零れる言葉に
嬉しいと思うよりも、もっと

「類さんの赤も、結構好きですよ」
今この場にあるどんな彩より熱く見えたから

「触れたいくらい」
くしゃり笑った



 此処に降り立ったモノは等しく、修羅と化した。
 だからこの場は、修羅原と、そう呼ばれるようになったのだというけれど。
 やはり此処は今でも、猛きモノたちから奪い去る。『正気』という概念を。
(「血で血を洗い修羅となる……世を終わらせる訳にはと来たものの」)
 そんな修羅達が衝動のまま、力を振るう戦場を見遣って。
 冴島・類(公孫樹・f13398)は、口にする。
「真っ赤ですねえ」
 そして己から紡がれた言の葉の軽さに類は判じる。
 僅かな理性で……効果が来たか、と。
 その聲に、浮世・綾華(千日紅・f01194)もこくりと頷いてから。
「ええ。ケド、きれーな赤じゃあない」
 鍵刀で躊躇なく裂き祓うのは、被さる屍竜の翼。
 ぎゃああっと耳障りなこえでなくそれからぼとりと墜ちた肉片を、綾華はひどく冷たいあかで見下ろして。
 半面、昂りに抗えない。根底にある何かが。
(「この感覚は――あの頃の、」)
 ――熱く……。
 そう口を開かんとした刹那、綾華さん、と名を呼ばれて。
 斬り合いだけだときりがなく、脂で後ほど鈍りそう、と。
 その声に、誘われる。
「もっと熱く、行きましょう?」
 そしてぐちゃりと潰れた竜であったものがそこかしこに落ちる戦場を駆ける類に、綾華は口角を上げてこたえる。
「は。いいねえ、燃しちまお」
 刹那、毒を纏った屍竜の部位を薙ぎ払うように斬って弾いて。
 噛みつかんと涎を垂らし迫る牙を避ける類と、敵を挟み込むように。
 投げ込む鍵刀を囮に回り込めば、放たれる糸の先。
『ぐ、ぎゃあぁぁ!!』
 互いの刃の軌道の先には踏み込まぬようにしつつも、縛りあげられた死に損ないを燃やしていく。
 けれど、それだけじゃまだ足りないから。
 ――燃やすなら、うんと熱い方が良いでしょ。
 肉を斬り落としていた刀を無数の鬼火に変え、代わりに握るは扇一振り。
 ひらりと舞う様にそれを翻せば、ほら……煽られた炎は、より熱く全部焦がして。
 だって、綾華は思ってしまったから。
 あの汚い赤を塗り潰すように――寧ろ、燃え広がらせたいと。
 ……誰かが傍に居てくれたら、最後の一線は越えずに済むか。
 類はそう思って、彼と共に、この修羅原へと足を踏み入れたのだけれど。
 ――なんて、頼った横顔を見れば、戦う姿は軽やかで。
 燃ゆる炎の中で見た両目の色に気付けば、無意識に弧を描く口元。
 此処は、誰もが等しく正気を失う修羅原。
 それに、抑える必要性は考えなかった――あんたが、強かったからだ、って。
 そう紡ぐ綾華に、類はわらう。
「君の赤のが、綺麗ですね」
 そして重なった緑に、零れ届く言葉に……嬉しいと思うよりも、もっと。
「類さんの赤も、結構好きですよ」
 だから綾華は、くしゃりと笑って続ける。
「触れたいくらい」
 今この場にあるどんな彩よりも、熱く見えたから。
 そして、血で血を洗うというこの場にそぐわぬ、そんな無邪気な笑みに。
 類の口から思わず零れるのは、普段は口にせぬたぐいの冗談。
 やっぱりわらって――火傷しますよ? なんて。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ヴォルフガング・ディーツェ
【赫戯】

骨の如き竜は前座
【指定UC】で鞭に炎を宿し、薙ぎ払う
舞い散る火花の向こう、鬱蒼と嗤う大切な2人が今日ばかりはこの飢えを満たす馳走に見える

けしかけられた獣に牙剥き笑んで
おお、怖い怖い
でも――君と殺した数を競い合った、吸血鬼如きと一緒にされては困る!
割かれた腹なぞ気にするものぞ、獣を爪で貫き電脳魔術で細工を一つ
獣と君の命、繋げたらどうなるかな!

耳飾りの音に目を向ければ煉獄に咲く花の如き君
…奇遇だね、俺も君の本気、見てみたいと思っていた
伸ばされた腕を愛撫するかの如く受け入れ
軋む骨の音に恍惚と息を吐き
ふふ、熱烈な睦言を有難う千鶴
御礼に俺は…君の美しさを湛えよう
その腕を爪で裂き、覗く白に口付けを


宵鍔・千鶴
【赫戯】

毒吐く腐りかけのドラゴンを
何匹斃しても
つまらない、手応えも無い
ねえ、ふたりはどんな聲を上げてくれる?
耳飾りをからんと落として浮かべる笑み

血濡れた刀もきっと、未だ
綺麗な赫を求めてる

ロキの槍で貫かれたなら真っ赤な鮮血が
口から零れ落ちて
噫、痛い ふふ、あははは
狡いよ、ロキ、きみも見せてくれなきゃ
蜜彩の眸を覗きお返しね、って
燿夜をきみのお腹に埋め込もう

ヴォルフ、どんな貌してる?
優しいきみの本気の殺意
興味有るって云ったら怒るかな
そっと手を伸ばし頸に手を掛け
苦しいなら、抵抗して
俺を好きに刻めばいい
僅か走る痛みに満足気

此れが心地良いなんて
否、或いは今が正気なのかもしれない狭間
まだ、足りないと欲する


ロキ・バロックヒート
【赫戯】

この可愛いふたりを
壊したいなぁって思うのはいつものことだけど
ヘンだなぁちょっと我慢できない
影の矛先はふたりへゆく
腐ったドラゴン?どうでも良いや

千鶴くんはとてもあかが似合うと思うんだ
槍で串刺しても美しいな
腕を手折るのも良さそう
お返しもしてくれるの?
埋まる冷たい熱に
“いい子”だねって口端血滲ませ笑う

ヴォルフくんには獣を
思い切り噛み付いて腹を裂いて
君にとっては皮肉でしょう?
他の神に気に入られるのもわかるよ
その反抗心も可愛らしいもの

ああ、こんなめちゃくちゃじゃなくて
きれいに全部攫って救ってあげなきゃいけないのに
飛び散る血も上がる声もくれる痛みも
全部とても甘やかで愉しくて
もっと、もっと欲しいなぁ



 ――つまらない。
 刃振れば、あっさりと刎ねあがりぐちゃりと落ちる腐れた首。
 戯れに腕や足を飛ばしてみても、つまらない、手応えも無い。
 何匹斃しても、毒吐く腐りかけのドラゴンなんて玩具にすらならないから。
 宵鍔・千鶴(nyx・f00683)はふともう1匹、噛みつかんと迫る屍竜の首を斬り落としてから。
 ふっと、さらに昏くなった紫のいろに飛び込んできた彼らを見つめて。
 からん、と落とすのは、桜の影を閉じ込めた揺れる耳元のあかのいろ。
 そして楽し気に笑み浮かべた口元が、紡ぐ。
 ――ねえ、ふたりはどんな聲を上げてくれる? って。
 だって、死に損ないの毒吐き竜の汚い肉や血なんかよりも、きっと血濡れた刀も未だ求めているだろうから。
 彼らの飛沫かせた、綺麗な赫を。
 刹那、穢れし欺瞞の狼王の呪詛で魔力を乱獲して。
 ヴォルフガング・ディーツェ(花葬ラメント・f09192)の振るう、燃え盛る炎と魔を纏う鞭が、屍竜どもを薙ぎ払い頭ごと燃やし尽せば。
 舞い散る火花の向こうに見つけたのは、この飢えを満たす一等の馳走。
 今日ばかりはとても美味しそうに見えて仕方がないのだ。鬱蒼と嗤う、大切なふたりの姿が。
 そして、ロキ・バロックヒート(深淵を覗く・f25190)もこてりと首を傾ける。
 ヘンだなぁ、って。
 いや、可愛いふたりを壊したいなぁって思うのはいつものことだけど。
 ――ちょっと我慢できない、って。
 だからもう、ロキはその衝動を抑えるなんてことはやめて。
「腐ったドラゴン? どうでも良いや」
 嬉々と影を解き放つ。その矛先を、可愛いふたりに向けて。
 だって、とっても似合うだろうから。腐った竜とは比べ物にならないくらいに。
「千鶴くんはとてもあかが似合うと思うんだ」
 だからロキは、貫いて串刺しにしてあげる。
「……!」
 それに、ごほっと口から鮮血を落とすその姿は、やっぱり美しいから。
 今度は細くて白いその腕をそっと取ってあげて、捻じ曲げて手折ってあげる。
 そして鈍い音の次に、耳に聞こえるのは――噫、痛い、って。
 ごほっと、血と共に吐かれる言の葉と。
「ふふ、あははは……狡いよ、ロキ、きみも見せてくれなきゃ」
 ――お返しね、って、わらう声。
 刹那、蜜彩の眸を覗き込まれれば、腹に捻じ込まれ埋まるのは、月冴ゆる夜に耀く血染め桜の刃。 
「! ……ふふ、お返しもしてくれるの?」
 そんな己にずぶりと埋まる冷たい熱に、ロキは口端に血を滲ませつつも。
 串刺しになって赤落とす可愛い千鶴に笑い返す――“いい子”だね、って。
 そしてヴォルフガングにあげるのは、獣の牙や爪。
 だって、獣に思い切り噛み付いて腹を裂かれるなんて。
 ――君にとっては皮肉でしょう? なんて。
「おお、怖い怖い」
 そんなけしかけられた獣に牙を剥き、笑んでから。
「でも――君と殺した数を競い合った、吸血鬼如きと一緒にされては困る!」
 腹なぞ割かれたくらいで気にするものぞと、鋭利な爪で獣をズタズタに貫いて。
 ……獣と君の命、繋げたらどうなるかな!
 さらにもうひとつ、電脳魔術で細工を。
 そんな仕返しをしてくる不老の狼に、甘やかな声で愛しげに、かみさまはわらう。
「他の神に気に入られるのもわかるよ」 
 ――その反抗心も可愛らしいもの、って。
 それに、ヴォルフガングも聞いたから。からんと落ちた、その音を。
「ヴォルフ、どんな貌してる?」
 そして目を向ければ、そこには赤で飾られた、煉獄に咲く花の如き君。
「優しいきみの本気の殺意、興味有るって云ったら怒るかな」
「……奇遇だね、俺も君の本気、見てみたいと思っていた」
 だから、そっと伸ばされた手をヴォルフガングは受け入れる。
 そのしなやかな細腕からは想像できぬほど、容赦のない力の籠った掌に。
 愛撫するかの如く、軋む頸骨の音に恍惚と熱い吐息を漏らして。
「苦しいなら、抵抗して。俺を好きに刻めばいい」
「……ふふ、熱烈な睦言を有難う千鶴」
 けれどやっぱり、彼にもあげたいから。
「御礼に俺は……君の美しさを湛えよう」
 ヴォルフガングは、覗く白に口付けを。
 その腕を、鋭い爪で裂いてあげて。
 そして僅か走る痛みに満足気に笑みながらも、千鶴は欲する。
(「此れが心地良いなんて」)
 いや、或いは今が正気なのかもしれない狭間に。
 ――まだ、足りないと。
 それは、ロキだって同じ。
「ああ、こんなめちゃくちゃじゃなくて、きれいに全部攫って救ってあげなきゃいけないのに」
 でも……飛び散る血も上がる声もくれる痛みも全部。
 とても甘やかで愉しいから、ロキはふたりにお強請りをする。
 ――もっと、もっと欲しいなぁ、って。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

久澄・真
【源平碁】

血なのか、体液なのか
よく分からぬ返り血の様なもので手や服の至る所が汚れている
だらり下げた両腕と据わりながらも爛々と殺気を宿す唐紅の眼

実ぅ
何体殺したよ

脱力した様な声音は常とは異なる
聞けばじわり上がりゆく口角は狂気を帯びて

どくり血が沸き立つ
心臓が早鐘を打つ
もっと殺せと脳が鳴く

正気とはなんだったか
そもそもそんなもの持ち合わせていただろうか
幾多踏み躙ってきたかも知れぬ命の呪詛に嗤うだけの男に
人らしい沙汰など期待するべくも無い

クハッ!足りねぇよ
数、勝負な

さあ、殺せ
頸を切り落とし
頭蓋を踏み潰し
断末魔をBGMに懐かしき狂宴に身を委ねろ

誰が言ったか
「まともな人間のする事じゃない」?
ああ、──大正解だ


久澄・実
【源平碁】

さァてなぁ
正気っちゅうん言われても
ワシじゃどォにもピンと来ん
殴って千切って燃やして潰して踏みつけて
あー、いつもよりは気分エエか?
よう分からんが…マ、悪い気ィせんのは確かじゃて

あ゛ァ?数ゥ?
ハ、知らん知らん
コイツらグシャアなっても
すぅぐ似たよぉなン出て来よるし

数えるだけ馬鹿らし…と答えかけるも
肩越しに視線をやった先、
いつになく『素直』な唐紅に束の間だけ瞠目して

…ハハ、前言撤回するわ
エエなァこン地獄は──さァいこう

「スマンスマン、十か二十か其処らじゃろ」
うそりと嗤って、口から転び出るのは適当ばかり
いつになく好戦的な片割れに
歯牙を剥き出して応と返す

こうなって仕舞えば
肉を融かす毒すら心地良い



 元々、人よりもその概念は薄いかもしれない。
 この場で失われる『正気』というものに。
(「さァてなぁ、正気っちゅうん言われても、ワシじゃどォにもピンと来ん」)
 久澄・実(●◯●・f13103)がやることは、いつも通り。
 握り締めた拳でぼこぼこに殴って、引き千切って燃やして、足蹴にしてぐりぐりと潰して踏みつけて。
 乱闘暴力お手の物、また1体、屍竜であったそれをただの肉片に変えながらも。
 ふと、実は首を傾ける。
「あー、いつもよりは気分エエか?」
 でも、そういう気はするけれど。
 ……よう分からんが……マ、悪い気ィせんのは確かじゃて、と。
 やはり、いつも通り敵を潰していく。
 そんな実を後目に、久澄・真(○●○・f13102)が唐紅の視線を落とすのは、己の掌。
 その手は、べっとりと汚れている。
 血なのか、体液なのか……よく分からぬ返り血の様なもので。
 いや、手だけではなく、服の至る所が汚れている。
 だらりと両腕を下げ、真は据わりながらも爛々と殺気を宿す唐紅の眼を、おもむろに向けて。
 常とは異なる脱力した様な声音で訊ねる。
「実ぅ、何体殺したよ」
 そう声に出してみれば、狂気を帯びて上がりゆく口角。
 吐き出す息は熱く、血がどくりと沸き立って、心臓が早鐘を打てば。
 脳が嬉々と鳴き喚く――もっと、もっと殺せと。
 この修羅原で失くすのは正気だというけれど、真は思う。
(「正気とはなんだったか」)
 ……そもそもそんなもの持ち合わせていただろうか、と。
 でも、人らしい沙汰など期待するべくも無いのだ。
 幾多踏み躙ってきたかも知れぬ命の呪詛に、ただ嗤うだけの男に。
 今みたいに、不快感しかないべっとりとしたモノで手を汚して来た男に。
 そして問われたその声に、大きく首を傾けて。
「あ゛ァ? 数ゥ? ハ、知らん知らん。コイツらグシャアなっても、すぅぐ似たよぉなン出て来よるし」
 数えるだけ馬鹿らし……なんて、答えかける実だけれど。
 刹那、肩越しに視線をやった先――爛々と輝くそれに気付く。
 いつになく『素直』な唐紅のいろに。
 それを見て、束の間だけ瞠目するけれど。
「……ハハ、前言撤回するわ」
 そう素直に嗤う顔に、声に、殺気に。
 実はニイッと楽し気な笑みを浮かべて紡ぐ。
 ……エエなァこン地獄は──さァいこう、って。
 だから、うそりと嗤って。
「スマンスマン、十か二十か其処らじゃろ」
 口から転び出るのはやっぱり、適当ばかりだけれど。
「クハッ! 足りねぇよ」
 ――数、勝負な。
 そう、いつになく好戦的な片割れに歯牙を剥き出して実は返す――応と。
 いつも通りだけど、でもいつもよりもずっと楽しい。
 だからもう、こうなって仕舞えば……どろりと、肉を融かす毒すら心地良く思えて。
 死に損ないどもの頸を切り落とし刎ね飛ばし、ぐしゃりと頭蓋を踏み潰しながら。
 真は抗わず『素直』に、衝動のまま暴力に酔い痴れる。
 さあ、殺せ――断末魔をBGMに懐かしき狂宴に身を委ねろ、と。
 そして、誰が言ったか。
「――「まともな人間のする事じゃない」?」
 屍竜をまた1体、ぐちゃりと潰して。
 表裏一体の片割れと競うべくその数をかぞえながら、聞こえた言の葉に真は嗤う。
 ああ、――大正解だ、って。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

朱赫七・カムイ
⛩神櫻

穢らわしい…私の巫女に寄るな!
広範囲になぎ払い、枯死の神罰と共に切断する

サヨ、サヨ
私の巫女よ
私はきみの神であるよ
何度も伝えているだろう?

私を刻んでもいいよ
喰らってもいい
愛しいきみに捧げよう
その分きみは私のものになっていく

でも、サヨ
きみは誰をみているの?
あなた、とは誰だ
私だけを見てほしいのに
其れは、私じゃない!

サヨ
神斬じゃなくてカムイをみて
そんなの記憶ごと、斬り裂いて──

噫、きみの赫が、いと惜しい

途端舞い降りる黒

揺れる黒い髪
赫い3つ目の神─神斬
前の私
お前が憎いよ
何もかもが、及ばない

刀を受け止めて絞り出す
どうして、私じゃないんだ

サヨを守るのも
想うのも、愛するのも!
私がいっとうでありたいのに!


誘名・櫻宵
🌸神櫻

邪魔
私のカムイの瞳に映らないで
破魔と共に穢らわしい竜をなぎ払う

私だけを見てほしいの
私だけの神様

愛して欲しいの
カムイは世界が必要とする神様
ひとを愛する優しい神

気に入らない

私が一番
あなたを愛してる

カムイがカムイとして生まれてくる前からずっと
普段抑えてた想いが込み上げる

いとしい
大好き
あなたに戀をした
乞いしい
噫──喰らいつくしてやりたい!

刀を突き立て肉を裂く感触も
熱い血潮も
あなたの味も全てが愛しい

誰?
あなたを見ているわ
ずっと憧れていた
ずっと大好き
待ってた

イザナじゃなくて私を見てよ
私だけの神になって

切り裂かれる熱の熱さと愛しさ
あなたの愛は絶品ね
胸の鼓動がやまなくて

─噫、黒い髪が揺らぐ
私の──……



 本来ならばこの場にあるのは、静かに咲き枝垂れる藤のいろだけであるというけれど。
 ――邪魔。
 瞬間、破魔と共に薙ぎ払い、刎ね上げた首が赤を咲かせて、ごろりと転がる。
「私のカムイの瞳に映らないで」
 誘名・櫻宵(爛漫咲櫻・f02768)の言葉は、ただの肉片と化したそれにはもう聞こえない。
 それと同時に、広範囲に渡り薙ぎ払い、朱赫七・カムイ(約倖ノ赫・f30062)は切断する。
「穢らわしい……私の巫女に寄るな!」
 枯死の神罰と共に……己の巫女に牙を剥く、醜く汚く血や肉や毒を撒き散らす輩どもを。
 そんなカムイへと、ふいに赤に塗れた手を伸ばして。
 櫻宵は朱砂を彩る桜の龍瞳を、己へと向かせる。
 だって、そのいろが映すのは、自分だけでいいから。
「私だけを見てほしいの――私だけの神様」
 自分だけしか、映して欲しくないから。
 ……愛して欲しいの、と櫻宵は乞う。
 けれど、でも、知っているから。
(「カムイは世界が必要とする神様。ひとを愛する優しい神」)
 ――気に入らない。
 刹那、櫻宵の心に生じるのは、抑えきれない想い。
 普段抑えていたものが、渦巻いて溢れて止まらない。
「私が一番、あなたを愛してる。カムイがカムイとして生まれてくる前からずっと」
 サヨ、サヨ、私の巫女よ――そんな巫女の名を、カムイは何度も呼びながら。
 花霞の瞳を見つめ、紡ぐ。
「私はきみの神であるよ。何度も伝えているだろう?」
 そんな声を聞きながら、でも櫻宵の想いはどうしようもないほどに昂って。
 ――いとしい。
 ――大好き。
 ――あなたに戀をした。
 ――乞いしい。
「噫――喰らいつくしてやりたい!」
「私を刻んでもいいよ。喰らってもいい」
 櫻宵の想いに、カムイは応える。
 ……愛しいきみに捧げよう、って。
 いや……違う。本当は、違うのだ。
 刹那、想いを込めて突き立てられた刃に肉が裂かれて。
 どくどくと流れ落ちる熱い血潮も、熱も、あなたの味も――全てが愛しい、と。
 そううっとりと咲う櫻宵に、カムイは笑み返す。
 きみに捧げて……でもその分、きみは私のものになっていく、って。
 けれど刹那、カムイは気付いてしまう。
「……でも、サヨ。きみは誰をみているの?」
「誰? あなたを見ているわ」
 ――ずっと憧れていた、ずっと大好き……待ってた、って。
 そう返る言の葉にも、カムイはふるりと首を振って問う。
「あなた、とは誰だ」
 それから、心に湧き出でる想いに声を上げる。
「私だけを見てほしいのに――其れは、私じゃない!」
 櫻宵が見ているのは、自分ではないと。
「サヨ、神斬じゃなくてカムイをみて」
 そしてカムイは、手にした刃で斬り裂く。
 そんなの記憶ごと、愛しい赫を自分だけのものにしたくてたまらなくて。
 飛沫いたそのいろを見つめ、紡ぐ。
 ――噫、きみの赫が、いと惜しい、と。
 けれど、途端舞い降りる黒に、揺れる黒い髪に、赫い3つ目の神に――神斬、と。
「お前が憎いよ」
 カムイは前の己を見据える。何もかもが、及ばない、と。
 櫻宵はその朱砂が、自分ではない姿を映していることが、許せなくて。
「イザナじゃなくて私を見てよ。私だけの神になって」
 ――どうして、私じゃないんだ。
 そう、刀を受け止めて絞り出すカムイにもう一度、告げるけれど。
「サヨを守るのも、想うのも、愛するのも! 私がいっとうでありたいのに!」
 切り裂かれる熱さと愛しさに、櫻宵は笑み咲かせる。
 あなたの愛は絶品ね、って……胸の鼓動がやまないくらいに。
 そして――噫、と揺らぐのは、黒い髪。
「私の――……」
 それから櫻宵は、その身を委ねる。
 熱を帯びるほど正気を失った愛に、あかに、ずぶりと沈むように。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

逢坂・宵
ザッフィーロ(f06826)と

かれとともに戦場へ向かいます
常ならば腰に提げた杖を握り魔法を撃つところですが
今はそれすらもまだるっこしくて

ぐと握りしめた拳を見下ろし
そして見上げた先に動く屍のドラゴンを見上げれば
なんだか楽しくなって「空中浮遊」で飛び上がれば
「空中戦」を仕掛けて握った拳で敵を撃ち抜きましょう

ああ、とても楽しいですねえ!
撃ち貫き、蹴り飛ばし、貫手で穿つ!
いつもならばもっと効率的に振る舞うのに
不思議とこの方が楽しいとも思う

そしてふと周囲の敵が炎の狼に喰われれば 駆け寄ってきたかれに過保護ですね、と嬉しそうに微笑んで

ええ、きみも怪我はありませんね
きみに仇なす敵はみいんな、殲滅しますからね


ザッフィーロ・アドラツィオーネ
宵f02925と

宵と共に戦場へと向かうも
向かいくる敵が己から宵を奪い去る物に見えれば宵の前に出つつ怒りに任せ『怪力』を乗せたメイスを敵へと向けよう
俺の宵を奪わんとするものには容赦などせん…!
だが、敵へと迫り肉弾戦を試みる宵を見れば、宵…!連れ去られてしまう故あまり前に出るなと、そう慌てた声を投げつつ宵へと向かう敵へ【狼達の饗宴】
生じさせた炎の狼にて敵を焼き払わんと試みよう

…宵、怪我はないな…と
…、…敵はお前を狙っておるゆえ、当たり前だろう
そう安堵の声を漏らしながらも向けられた笑みには思わず見惚れてしまうやもしれん
ああ、お前に仇なす者は全て殲滅して見せよう
だから…なんだ。俺の側から離れるなよ、宵



 共に赴いた此処は、修羅原。
 誰もが『正気』を失って、衝動のままに好き勝手できる場所。
 そんな戦場に、逢坂・宵(天廻アストロラーベ・f02925)と共に足を踏み入れたザッフィーロ・アドラツィオーネ(赦しの指輪・f06826)であるけれど。
 彼の心に抑えきれぬほど湧きたつのは、怒り。
 迫る敵全てが、己から宵を奪い去るモノに見えるから。
 宵の前に踊り出ながらも、そうはさせないと。
「俺の宵を奪わんとするものには容赦などせん……!」
 怒りに任せ『怪力』を乗せたメイスを敵へと振り下ろし、その頭を容赦なく叩き潰す。
 そんな屍竜から己を守って、次々とその頭を吹っ飛ばすかれの隣で。
 宵は、ぐ、と握りしめた己を拳を見下ろす。
 常ならば、腰に提げた杖を握って魔法を撃つところなのだけれど。
 今は……それすらも、まだるっこしくて。
 そして見上げた先に動く屍のドラゴンへと視線向ければ、思わず漏れる笑み。
 だって、何だか心が躍ったから。
『ウ、ギャアアァァ!』
 空中へと飛び上がれば、握りしめた拳を思いっきり手近な屍竜にぶちかます。
 そして、撃ち抜いてめり込んだ拳に感じる、ぐちゃりと潰れたような肉の感触に、宵は声を上げる。
「ああ、とても楽しいですねえ!」
 いつもならば、もっと効率的に振る舞うのに。
 全力で撃ち貫き、奇声をあげる敵を蹴り飛ばし、頭をぶっ飛ばすべく貫手で穿つ!
 そして不思議と宵は思う――この方が楽しいとも。
 そんな楽し気にわらって、屍竜どもに肉弾戦を試みる姿を目にすれば。
「宵……! 連れ去られてしまう故あまり前に出るな!」
 ザッフィーロはそう慌てた声を投げつつも、身の穢れが滲む、血肉を喰らわんとする狼状の炎を宵へと向かう敵へと放つ。
 生じさせた炎の狼にて、彼に近づく存在全てを、焼き払わんと。
 宵はふと、炎の狼に喰われた周囲の敵を見遣った後。
 駆け寄ってきたかれに、嬉しそうに微笑む――過保護ですね、って。
「……宵、怪我はないな……」
「ええ、きみも怪我はありませんね」
 そうにっこりと微笑む宵に、ザッフィーロをふるふると首を横に振って返す。
「……、……敵はお前を狙っておるゆえ、当たり前だろう」
 けれど、安堵の声を漏らしながらも。
「きみに仇なす敵はみいんな、殲滅しますからね」
 眼前でとても楽しそうに笑う彼に、見惚れてしまって。
 だから――狙う敵たちに連れ去られては堪らないと。
「ああ、お前に仇なす者は全て殲滅して見せよう」
 ザッフィーロは強くこくりと頷きつつも、にこにことご機嫌に笑む彼へと続ける。
「だから……なんだ」
 ――俺の側から離れるなよ、宵、って。
 お互い、正気を失う程に……相手のことが、愛しくて堪らないから。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

鬼頭・黎
それにしてもこの空気、昔を思い出しますね。もっともあの頃は気にもしませんでしたが……(正気を失いつつ)ま、要するに全部壊せばいいだろう?

スライディングやダッシュで敵に近づいて、回避とかは考えずにひたすら殴ったり蹴ったりしていく。敵が攻撃したら、傷付きながらもカウンターで痛手を与える
【無法者の剛力】で敵を捕まえて投げ付けたり、ブレスの盾代わりにしたりする。なんだ?結構強そうだと思ったんだが。もっと楽しませろよ!

普段の隠密や不意討ちメインの戦い方とは全くの別物。以前いた組織での駒として扱われていた時の戦い方。戦いについても非常に楽しんでいる



 普段は静かな藤の花の名所であるという、他には何もない野原が再び。
 嘗ての姿……修羅どもが好き放題に力を振るう戦場、修羅原となるのだという。
 此処に降り立つ全てのモノの『正気』を奪い取って。
 血や肉が飛び散り、獣のものかひとのものか分からぬ声が響く、むせ返る様な熱を帯びた地に。
 けれど、鬼頭・黎(薄明に羽ばたく黒翼・f16610)はそれを知っている。
「それにしてもこの空気、昔を思い出しますね。もっともあの頃は気にもしませんでしたが……」
 それから、ふっとその顔に笑みを浮かべて。
 口角を上げたまま、続ける。
 ――ま、要するに全部壊せばいいだろう? って。
 正しく、正気を失いながら。
 刹那、肉片が転がり血の海があちこちに出来ている戦地を、ダッと駆けて。
 低い姿勢からのスライディングで接敵すれば、すかさず全力で握った拳を叩きつけて。
『ぎゃああっ!!』
 ぐちゃっと潰れる様な拳の感触に薄く笑みながら、今度は蹴りを繰り出す。
 けれど、頭を潰さない限りは動きを止めないという、屍竜たち。
 猪突猛進に突っ込んできて、ガッと黎の肩に牙を立てて。その肉を千切らんとするけれど。
 そんな傷も気に留めず、逆にお返しといわんばかりに、その頭を全力で殴り飛ばす。
 そして毒を吐かんとしてくる屍竜に気付けば、無法者の剛力を駆使し、ぐっと敵を捕まえて。
 ――思っていたより軽いですね。
 投げつけたり盾代わりにして、ブレスを避けて。
 また1体、叩きつけた拳で頭を吹き飛ばす。
 そんな次々とただの肉片と化してゆく敵を見下ろしながら。
「なんだ?結構強そうだと思ったんだが。もっと楽しませろよ!」
 より、敵が密集している群れの中へと、敢えて飛び込んでゆく黎。
 その戦い方は、普段の隠密や不意討ちメインのものとは全くの別物だけれど。
 でもそれは――以前いた組織での、駒として扱われていた時の戦い方で。
 そして、嬉々としたその顔をみれば……それを、今の黎は非常に楽しんでいるのがわかる。
 正気を失って昂る、暴力衝動のままに。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ルーファス・グレンヴィル
──嗚呼、良い匂いだ

辺りから漂う血の臭い
斬っても斬っても
未だ足りない心の乾き
もっともっと、と求めている

かちゃり、と
鞘から双子鉈を引き抜けば
ぎらついた赤色で周囲を見渡す

血が欲しい
血が欲しい

──血が、欲しい

共に生きる存在が出来ても
この飢えだけは満たされない
普段は戦の中に身を投じるだけで
血への欲求なんて見せはしないけれど

嗚呼、でも、

不敵に口角が吊り上がる
抜いた刀身が輝いてる

さあ、お前ら、遊ぼうか!
オレとナイトが全力で相手してやるよ

吐き出された毒霧も厭わず
得物を振り回すことで受けて立つ

失くした正気が再び戻るまで
どれだけボロボロにされようと
この乾きが満たされるまで
──立ち止まったりしねえよ



 嘗て修羅原と呼ばれたというこの地に降り立てば、くらりと眩暈がするほどに。
 ――嗚呼、良い匂いだ。
 思わず酔ってしまうそうなほどの、濃い赤のいろや鉄錆の如き匂いがそこには満ちていて。
 辺りから漂う血の臭いに瞳細めながら、ルーファス・グレンヴィル(常夜・f06629)は屍竜どもへと刃を向ける。
 だって、もっともっと、と求めているのだから。
 斬っても斬っても、未だ足りない乾いた心が、どくどくと流れる熱い血を。
 だからルーファスは、かちゃり、と引き抜く。
 ぎらついた赤色で周囲をぐるりと見渡しながら……堕ちろ、地獄へと、閃く双子鉈を。
 求めても求めても、満たされぬ心の渇き。
 ……血が欲しい。
 ……血が欲しい。

 ――血が、欲しい。

 共に生きる存在が出来ても、どうしても満たされぬのだ。この飢えだけは。
 普段は戦の中に身を投じるだけで、血への欲求なんて見せはしないのだけれど。
「……嗚呼、でも、」
 言の葉を零しながらも、不敵に吊り上がる口角。
 抜き放った刀身が、爛々と血を求め獲物を探す瞳と同じように輝いて。
 ルーファスは得物をぶん回しながら、高らかに言い放つ。
「さあ、お前ら、遊ぼうか! オレとナイトが全力で相手してやるよ」
 そして敵の群れの只中に相棒竜と共に嬉々と飛び込めば、吐かれる毒霧も厭わずに。
 得物を衝動のまま振り回すことで、受けて立つ。
 けれど神経性の毒に一瞬眩み、容赦なく噛みつかれ肉が食い千切られるけれど。
 失くした正気が再び戻るまで、どれだけボロボロにされようと。
「――立ち止まったりしねえよ」
 この乾きが満たされるまで……ルーファスはひたすら衝動のままに。
 血を求め、ナイトと一緒に好き放題、戦場を暴れ回る。

大成功 🔵​🔵​🔵​

橙樹・千織
ふつり、と切れた
ひととしての正気を繋ぐ絲が

ふふ、ねえ
私と狩り(アソビ)ましょう?
だってこんなに沢山いるんだもの
きっと楽しくなる…ね?
にぃ、と弧を描く口の端
爪は常より鋭く
瞳孔は縦に裂け
虹彩に深紅が過ぎる
“あか”に染まったあの日と同じように

ね、お前はどんな“あか”を咲かせてくれる?
藍焔華を振るい、その身を切断
飛び散る“あか”に笑みを零す

へぇ、お前はこんな色をしているの
“あか”に触れ、クスクスと嗤う

でも残念…
お前はこれでお終い
一寸の迷いも無く、首を断つ

だってお前達の“あか”を生かしておいたら
いつか私の大事なものを壊して喰らってしまう
そんなのは許さない

だから…ね

その“あか”を咲かせて散ってしまえ



 今は藤の花が静かに咲く、嘗て修羅原と呼ばれた地が再び、あかに染まるのだという。
 『正気』という概念を失くしたモノたちの手によって。
 そして、それを失うこと。
 橙樹・千織(藍櫻を舞唄う面影草・f02428)にとって、それははじめてのことではなくて。
 ひととしての正気を繋ぐ絲が再び――ふつり、と切れる。
 刹那、その瞳が捉えるのは、獲物たちの姿。
「ふふ、ねえ……私と、アソビましょう?」
 ……だってこんなに沢山いるんだもの、って。
 狩りという名のアソビに、無邪気にわらう。
 ――きっと楽しくなる……ね? って。
 口の端に、にぃ、と弧を描きながら。
 爪は一気に仕留められるように、常より鋭く閃いて。
 得物を捉えて逃がさぬと、見つめる瞳孔は縦に裂けて。
 虹彩に過ぎるのは、深紅。
 そう――まるで、“あか”に染まったあの日と同じように。
 ただひたすらあかに酔う、獣へと成るのだ。
 そして向かってくる屍竜を引き裂てやれば、びちゃりと飛び散る鮮やかないろ。
「へぇ、お前はこんな色をしているの」
 べとりと纏わりつく様に爪を染めたそのいろに……“あか”に触れて、クスクスと嗤う。
 けれど、すぐに千織はふるりと首を横に振る。
 鮮やかだったいろは、すぐに汚らしいどす黒いものに代わって。
 悶え呻く屍竜は、遊んでも手応えも無くて、ちっともつまらないから。
「でも残念……お前はこれでお終い」
 一寸の迷いも無く再び閃きを振るえば、あっさりと断たれ転がる首。
 だって、生かしてはおけないから。
「お前達の“あか”を生かしておいたら、いつか私の大事なものを壊して喰らってしまう」
 ――そんなのは許さない。
 自分がどうなっても、どんな手を使っても……今度こそ、守りたいから。
「だから……ね」
 まるで椿の花がぽとりと落ちる様に、次々とその首を斬り落として。
 灼熱の炎に熔かしながら、千織は薄く笑んで零れ落とす。
 ――その“あか”を咲かせて散ってしまえ、って。

大成功 🔵​🔵​🔵​

エンジ・カラカ
【エレル】

アァ……ぞーんび…。ゾンビだァ。
アハァ。イイネ。楽しいね。
早く潰そう。俺が一番なンだ。

オーブの中から青い鳥を召喚。
小さい?弱い?まさか。
青い色の君は糸を操る。君は君の思う通りに動く。
コレじゃなくて君の思う通りなンだ。

アァ……イイネェ…。俺とも遊ぼう。
ソッチのゾンビもアッチのゾンビも全部俺の。

ロカジンとレンゲツには渡さないンだ。
青い鳥の毒の糸が、ロカジンとレンゲツに当たったら
どうしようか?どうにでもなる。

痛ぇな。
二人の攻撃をまともに食らっても楽しさは変わらない。
アァ。君と一緒に遊ぶのは、やーっぱり楽しいなァ。

アッチの獲物も取って来よう。
アァ……可笑しいなァ…。


飛砂・煉月
【エレル】
死んでるのに生きてる?
気に食わないなぁ
在り方も、存在自体も

唯一の理性はロカジとエンジに残したのに
噫、曖昧になる
赫に消えてく
キミ達は誰だっけ?
オレは血を啜る狼
耳と尻尾を隠してた理由さえ解らない
解らなくていい

噫、赫が満ちる、馨る、招く
オレもまーざろ
自身の手を裂き相棒さえ赫の狼にしたなら
宴だ、祭りだ
齧って、バラして、啜って
美味しくないねと嗤いながら

あっは、痛いのも平気だ
この愉しさにそんなの通らない
ふたりの攻撃が当たっても気付かない
痛みに慣れすぎた狼ゆえに

何が駄目?
どうして?
オレに似た聲が止めるけど
知らない、シラナイ
相棒とは違う骸の竜は沢山
未だ未だいっぱい遊べるじゃん
修羅の赫に沈んで朽ちろ


ロカジ・ミナイ
【エレル】

生きもしない死にもしない
ゾンビは治せないから嫌いだ

しかしゾンビの正常な状態が死体であるとすれば?
ああ、そうね
死体に戻すのは容易いことだ

体から首を切り離す単純作業を繰り返し
頭の中でひとつふたつみっつと数える
名を知っていれば呼ぶこともできたろうが
僕には、君らの名など知るよしもないので

他方から聞き慣れた声が聞こえる
近づき、遠のき、時々僕の刃が触れた気もするが
お前さんらの手で僕の血を流してもらえりゃ好都合
振るう刀にもっと雷の花が咲く

なんて心地が良いのだろう
この声が響いている限り
思いつくまま剣を振るっていていいのだと
脳の奥深くで赦しの言葉が響いている
…誰だお前さんは
僕かい
僕ってのは誰だったかね



 ただ何もない、藤の花が咲く野原。
 けれど何処から湧いて出たのか、今そこにあるのは、数多の醜い死に損ない。
 そんな屍竜どもの姿を見て、共にこの場――修羅原へと降り立った3人に生じる感情は、三様であった。
「アァ……ぞーんび……。ゾンビだァ」
 ぐちゃりとしていて血腥くて、賢くないモノ。
 それが無数にいて、毒と腐臭を撒き散らしている光景。
 そんな、血や肉片が飛び散る遊び場の只中へと視線を向けながら。
「アハァ。イイネ。楽しいね」
 エンジ・カラカ(六月・f06959)はそわりと、爛々と輝かせた金の瞳を細める。
 ――早く潰そう。俺が一番なンだ、って。
 そんな楽し気にわらうエンジと共に修羅原へと足を踏み入れた飛砂・煉月(渇望の黒狼・f00719)は、小さく首を傾ける。
「死んでるのに生きてる?」
 ……気に食わないなぁ、って。
 どっちつかずでただ喚いて醜態を晒すその姿がいけ好かないのだ。その在り方も、存在自体も。
「生きもしない死にもしない。ゾンビは治せないから嫌いだ」
 ロカジ・ミナイ(薬処路橈・f04128)も、つける薬もない治せないそれらのことは嫌いだけれど。
「……しかしゾンビの正常な状態が死体であるとすれば?」
 ふと思考し声を落とせば……ああ、そうね、って。
 湧いた疑問も、すぐに自己完結する。
 だってゾンビは死んでいるのだから、ならばそれに相応しい状態にすれば良いだけだし。
 ――死体に戻すのは容易いことだ。
 だからロカジは、正しく繰り返す。
 ひとつふたつみっつ……頭の中でそう数えながらも。
 屍竜の体から首をさよならさせて、正常な状態の死体にしてゆく。
(「名を知っていれば呼ぶこともできたろうが」)
 噛みついてきて肉を引き千切らんとする屍竜の首を、ロカジは無駄のない手際でまた切り離して。
「僕には、君らの名など知るよしもないので」
 名も知らぬ存在達を正しく、物言わぬ肉の塊へと戻してゆく。
 頭の中は冷静で、自分がやることに対し思考だってできる。
 ただ、この修羅原に降り立った時点で、『正気』を失っているとういうだけで。
 だから煉月の中にだって残っている。ロカジとエンジに残した、唯一の理性は。
 いや……正しく言えば、残っていたのだ。
 けれどそれも――噫、曖昧になって。
「――キミ達は誰だっけ?」
 飛び散って纏わりつく熱を帯びた赫に沈み、消えてゆく。
 いつの間にかぴこりと出ているのは、いつもは見せない耳や尻尾。
 でも煉月は、血を求め続け、それを啜る狼なのだから。
 耳と尻尾を隠してた理由さえ解らないし。そんなことはもう、解らなくていい。
 そしてエンジがオーブの中から喚ぶのは、青い鳥。
 それは煩く吼える竜達に比べたら、随分とちいさいけれど。
「小さい? 弱い? まさか」
 青い色の君が操るのは、毒性の赤い糸。
 コレじゃなくて、君は君の思う通りに動く。
 だって君は賢いから、コレが操らなくても、賢くない有象無象と思う通りに遊ぶのだ。
 煉月はよく利く鼻をつく、むせ返るような臭いに、くらりと酔う様に。
 ――噫、赫が満ちる、馨る、招く。
「オレもまーざろ」
 瞬間、己の手を裂いて、飛沫くそれで相棒さえ赫の狼にしたなら。
 齧って、バラして、啜って……宴だ、祭りだ。
 爪で首を飛ばし、牙を突き立て肉を千切り取り、血を啜りながら嗤う。
 ……美味しくないね、って。
 そんな屍竜たちの血を撒き散らすふたりを見て、一層エンジは心躍らせる。
「アァ……イイネェ……。俺とも遊ぼう」
 でも、ソッチのゾンビもアッチのゾンビも全部俺のだから。
「ロカジンとレンゲツには渡さないンだ」
 ……青い鳥の毒の糸が、ロカジンとレンゲツに当たったら、どうしようか?
 そう一瞬だけ、思ってはみたのだけれど。
 既に修羅原は毒塗れであるし、どうにでもなる、と。
 君の思う通りにエンジは遊ばせる。
 でもそれは、皆一緒。等しく『正気』を失くしているのだから。
 あっは、と煉月はわらう。毒に侵され、肉を裂かれて多少持っていかれたって。
 痛いのも平気だし……何より、この愉しさにそんなもの通らない。
 青い鳥の赤い糸や、振るわれる刃はその中でも特に痛いけれど。
 ふたりの攻撃が当たっても、煉月は気付かない。
 だって彼は今、痛みに慣れすぎた狼なのだから。
 そして屍竜の奇声や断末魔の煩い叫びが轟く中、ロカジは引き続き心の中で死体に戻したそれの数をかぞえながらも、ふと首を傾ける。
 聞き慣れた声が、耳に聞こえて。
 それは近づき、遠のき……時々自分の刃が触れた気もするが。
 構わず振るうその刀に咲き誇る。もっともっと、眩く弾ける雷の花が。
「お前さんらの手で僕の血を流してもらえりゃ好都合」
「アァ。君と一緒に遊ぶのは、やーっぱり楽しいなァ」
 ――痛ぇな、って。
 どこぞの狼がモロに齧りついてきて、雷電纏った刃を食らっても。
 痛いけれど……楽しさは変わらない。
 そして周囲に群れていた屍竜が全てただの肉塊と化せば、エンジはくるりと視線を巡らせて。
「アッチの獲物も取って来よう」
 新しいオモチャを見つけたこどものように無邪気にわらう。
 アァ……可笑しいなァ……、って。
 そんなエンジやロカジの血を啜らんと、さらに見つめる赤を深めては牙を剥き、わらう煉月だけれど。
(「……何が駄目? どうして?」)
 己に似た聲に止められ、一瞬ぴくりと耳を揺らすも。
 ――知らない、シラナイ。
 もっと沢山、積み上げて行く。相棒とは違う骸の竜だったモノを。
 だって、馬鹿みたいに次から次に湧いて出て来るんだから。
「未だ未だいっぱい遊べるじゃん」
 煉月は戦場を縦横無尽に駆け、獲物を狩ってゆく。
 ――修羅の赫に沈んで朽ちろ、って。
 そして屍竜どもの只中、ロカジはうっとりと瞳を細める。
 ……なんて心地が良いのだろう、って。
 だって此処では、誰もが等しく『正気』を失って。
 敵味方なんて関係なく、イカれている輩しかいないのだから。
 脳の奥深くで、赦しの言葉が響く。
 ――この声が響いている限り、思いつくまま剣を振るっていていいのだと。
 またひとつ、かぞえる数を増やして。
「……誰だお前さんは」
 口から零れ落ちた己の言葉に……僕かい、って続ければ。
 ロカジは綺麗さっぱり、数多在った死に損ないたちを死体に戻してゆきながら。
 もう一度首を傾けてみせる――僕ってのは誰だったかね、なんて。
 とっくに『正気』なんて、どこかに放り投げたままに。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『天翔人魚』

POW   :    〈鮫〉
【噛みつき】で攻撃する。また、攻撃が命中した敵の【記憶を読み取り、精神的な弱点】を覚え、同じ敵に攻撃する際の命中力と威力を増強する。
SPD   :    〈天〉
敵より【高い位置にいる】場合、敵に対する命中率・回避率・ダメージが3倍になる。
WIZ   :    〈恋〉
【噛みつき攻撃】が命中した対象の【心臓】から棘を生やし、対象がこれまで話した【恋愛話(真偽を問わず)】に応じた追加ダメージを与える。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠加々見・久慈彦です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 もう、幾つ屍竜の首が飛んで、どれだけ血に塗れたか分からない。
 けれどそんなことなんて、些細でどうでもいい。
 嗚呼――痛い、楽しい、苦しい、刎ねたい、穿たれたい……。
 あれだけ数多いた死に損ないの屍竜どもを全て、ただの潰れた肉片へと変えて。
 骸魂を、在るべき場所へと還した猟兵達。
 いや……猟兵というよりも最早、此処にあるモノたちは皆、ただの修羅。
 全て斬首し潰した屍竜は、躯の海に還したはずなのに。
 藤の花をさわりと揺らす風が纏うのは、昂る熱と濃い血の匂い。
 でも、まだ……まだだ。
 此処に在るモノたちは等しく、『正気』を失っている。
 むしろ数多の屍竜を屠ったその瞳はさらに爛々と輝き、尚いっそう猛り昂る心。
 ……殺したい、殺してくれ、抉りたい、貫かれたい、憎らしい、愛している――。
 よく分かっているのだ。今の自分が、完全にイカれていることなんて。
 けれど……『正気』を失った心は、好き放題暴走して。
 もう何でも、どうでも良くなる。
 だって、此処は修羅原――ただ、心に生じる欲求に素直であればいいのだから。
 そして『正気』を失っているのは、何も猟兵達だけではない。
 この場に降り立ったモノは等しく、全て皆、箍が外れる。
 骸魂に飲み込まれた天翔ける人魚も勿論、『正気』を失っているから。
 鮫の如き鋭い牙で噛みつき、天へと泳ぐように飛び、恋に酔い痴れるかの如く、黒の瘴気纏う翼を羽ばたかせて。
 己が『正気』を失うことすら嬉々と、嘗ての修羅原の光景を今の世に再現して。
 この幽世の世界を、滅亡へと導く。
 敵か味方か、自分のものか相手のものか――既にもう、わからないくらいに。
 ただひたすら、湧き出る欲求に抗わず声を上げて。
 血や肉を飛び散らせ全て潰し、戦場に立ち続けるべく、此処に在るモノは駆ける。
 今度の玩具はどんな声で哭き喚くのか、何て乞うのか。
 どういう風に潰れるのか、潰そうかと……薄ら、笑み咲かせながら。
月舘・夜彦
【華禱】
竜の次は人魚
気配を感じれば、敵か判断する前に刃を向ける
そんなことは関係ない、近寄れば斬るだけなのだから

あの鬼も気になるが蝿のように煩わしく飛ぶ、あれが嫌いだ
散らばった屍竜の肉片を踏み台にして向かう
幾重刃と2回攻撃で幾度も斬り刻み、背に向けて衝撃波を放ち
そのまま地面へと叩き落とす
あとは動かなくなるまで斬り続けるのみ

しかし先程の屍竜とは違う
そう……そうだ、こうでなくては斬った甲斐がない
斬った感触も、受けた痛みも奪い合うからこそ生まれるもの
獣の如く生きる為に奪い合う

なのに何故庇う
私が弱いとでも?負けるとでも?
穢れ、修羅へと堕ちていく私が

……違う

彼が護るのは、私が戦うのは
私が私で在る為の――


篝・倫太郎
【華禱】
祓わなくては
護らなくては

何を?
誰を?
あの、男を

けれど邪魔をするモノがある
ならばそれも排除する
あの屍竜同様に

その男は俺のモノだ
誰にも渡さない

盾誓使用
引き続き真の姿で
鎧砕きと衝撃波を乗せた華焔刀でなぎ払い
ダッシュで距離を詰め、刃先を返した2回攻撃

敵の攻撃は見切りと残像で回避
攻撃が命中した場合は夜彦への攻撃も警戒
正気でなくとも、その男は喪えないのだと
本能が知っているから
俺への生殺与奪はその男が
その男への生殺与奪は俺が
互いに互いがその相手だと知っている

だから、渡せない――

夜彦へと攻撃が向かった場合は確実に庇う

強者か弱者か、それは些末な事だ
俺がそうすると決めた、それだけだ

だって、あんたは俺の――



 ひとが、ひとらしく在る為の概念のひとつ――『正気』。
 それを失い、心に湧き上がる暴力衝動のままに行動すればどうなるか。
 飛び散る赤に酔い痴れる様に、潰れるまで暴れ回るのみ。自分か相手が、どちらかが地に這いつくばって動けなくなるまで。
 そしてそれらは、穢れを撒き散らす。
 だから――祓わなくては。
 鬼と化した篝・倫太郎(災禍狩り・f07291)は、本能のまま『すべきこと』を成すべく修羅原を駆ける。
 ――祓わなくては。
 ――護らなくては。
「……何を? 誰を?」
 ふと、口から自然と零れ落ちた疑問。
 けれど自らの瞳で、倫太郎はその姿を捉える。
 祓わなくては。
 護らなくては。
 ……あの、男を。
 戦場に流れる様に踊る美しい長い髪、心惹かれる疾風の如き太刀筋、何人たりとも容赦なく切り伏せては潰す夜叉。
 けれど、それを邪魔をするモノ。
『ワタシをミテ! コッチヨ、嚙ミツイテアゲル……!』
 修羅原の天を泳ぐように翔ける、人魚の姿。
 祓わなくては、護らなくては、あの男を……でも、それを邪魔するのであれば。
(「ならばそれも排除する。あの屍竜同様に」)
 倫太郎は天翔人魚へと視線を移す。『すべきこと』を成す為に。
 そんな鬼が、自分ではないモノ目掛け地を蹴ったことを瞳の端に捉えながら。
「竜の次は人魚」
 月舘・夜彦(宵待ノ簪・f01521)も天を翔ける人魚へと目を遣るけれど。
『! ギャッ』
 それが人魚だろうがなんだろうが……気配を感じれば、刃を向けるだけ。
 敵かどうかなんて、そんなことは関係ない。
 ただ、近寄れば、近づくモノあれば――斬るだけなのだから。
 けれどそれでも、やはり夜彦にとって何故か、他のモノとは明らかに何かが違う存在。
(「あの鬼も気になるが蝿のように煩わしく飛ぶ、あれが嫌いだ」)
 じっと見つめる先にある、鬼の姿。
 あの鬼が飛ばすモノは不思議と頼もしくもあり、だからこそ煩わしくて厄介なことを夜彦は知っているのだ。
 そんな自分へと瞳向ける夜叉に、一瞬だけ視線を返してから。
『ギャギャギャッ! ワタシト遊ビマショ!』
 血の香りに満ちた空を飛び回る人魚へと、倫太郎は刀身に美しき閃き波打つ刃を向ける。
 ――その男は俺のモノだ。誰にも渡さない。
 其を護る盾……それは確かに、矜持に基づいた誓い。たとえ、正気を失っていたとしても。
 背に浮かぶ禍狩が猛り、力を増す感覚が、何よりの証。
『……ッ!』
 刹那、黒に朱き焔舞い踊る華焔刀のひと薙ぎが、人魚の鎧を砕く衝撃波を生み出して。
 地を蹴って距離を詰めれば、間髪入れずに刃先を返し連撃を繰り出す。
 夜彦も、其処彼処に散らばった屍竜の肉片を踏み台にして。
 向かう先には、天翔ける人魚。
 ――見極めるは……幾重の末。
 折り重なり振るわれる斬撃で幾度もその身を斬り刻み、背に向けて衝撃波を放てば。
『ギャアッ!』
 鬼と夜叉の猛攻に堪らず、地へと堕ちる人魚。
 ……何故だろうか、ただ何モノも斬るのみだと、刃を振るっているだけなのに。
 不思議とあの鬼と、繰り出す攻撃の呼吸はぴたりと合っている。
 けれど……動かなくなるまで斬り続けるのみ。
 そう堕ちた人魚へと、夜彦が視線を向けた刹那。
「……!」
 すかさず黒き瘴気の主翼と鰭の補助翼を使って、ばさりと天へと舞い上がり牙を剥く人魚。
 ……先程の屍竜とは違う。
 頭を握り潰してやった、脆い死に損ないとは違う。
「そう……そうだ、こうでなくては」
 ――こうでなくては斬った甲斐がない、と。
 夜彦は感触を確かめるかのように、改めて握る刃に力を込めつつも思う。
(「斬った感触も、受けた痛みも奪い合うからこそ生まれるもの」)
 そう……獣の如く生きる為に奪い合うのだ。
 だから、人魚だろうが鬼だろうが、何だって構わない。
 構わない――はず、なのだけれど。
 己へと噛みつかんとしてくる人魚の動きを見切り、残像で攪乱しつつ回避した刹那。
 倫太郎はすかさず身を翻し、地を大きく蹴る。
 本能が知っているから――正気でなくとも、その男は喪えないのだと。
(「俺への生殺与奪はその男が、その男への生殺与奪は俺が。互いに互いがその相手だと知っている」)
「だから、渡せない――」
「……!」
 刹那、見開かれる夜彦の瞳。
 天高くから仕掛けてくる人魚の牙から咄嗟に自分を護るべく、盾になるその姿に。
「何故庇う。私が弱いとでも? 負けるとでも?」
 ……穢れ、修羅へと堕ちていく私が、と。
 言った夜彦に、倫太郎は真っ直ぐな視線を向けて告げる。
「強者か弱者か、それは些末な事だ。俺がそうすると決めた、それだけだ」
 ……だって、あんたは俺の――。
 そう続けようとした瞬間、ギャアッと奇声を上げる人魚。
 曇り無き夜彦の刃の閃きが、敵へと見舞われて。
 そしてふと、口から零れ落ちる声。 
「……違う」
 夜彦は銀の月の如き夜禱を握ったまま、ふるりと首を微か振る。
 穢れ、修羅へと堕ちていく……? いや、違う。
 だって、たとえ正気を失ったとしても。
「彼が護るのは、私が戦うのは」
 ……私が私で在る為の――。
 そう紡ぎながらも夜彦は、盾となり続ける彼の刃となる。
 自分が自分で、彼の隣に、在る為に。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

レザリア・アドニス
アドリブ歓迎

ああ…もう、終わったか?
足りない…まだまだ足りないわ

血染めの藤の花絨毯を踏んで獲物を探すようにゆっくり歩く
満開の花よりも咲き狂う笑顔で
いつものように冷静に振舞ってるけど
やっぱりどこかがおかしくなっている

【全力魔法】で増幅させた毒花の嵐を吹かせて
その美しい髪も、鱗も、肌も
少しずつ削ってやる

攻撃を特に回避もせずに受ける
狂気と【激痛耐性】で、心臓を握り潰されるぐらいの痛みも薄くなる
恋愛…?残念ながら、お前が欲しい『それ』はないんです
私には、『この子たち』がいればいいんですから(にやり)

邪魔してくる者がいれば
花嵐で軽く押し退ける
狂気は、『飲まれる』じゃなくて、『使う』べくものなのよ



 さっきまで感じていた苛立ちも、今はもうない。
 だって、蛇竜と騎士の彼に、全部蹂躙してもらったから。
 本物の『竜』とはどんなものか、『竜』よりも恐ろしいものは何かを――竜を名乗る不届きな屍どもに、知らしめて。
 けれどそれらは数ばかりで、所詮すぐに消し飛ぶ程度の存在。
「ああ……もう、終わったか? 足りない……まだまだ足りないわ」
 黄色い福寿草をそっと揺らしながらも、ゆっくりと歩くレザリア・アドニス(死者の花・f00096)は。
 血でべっとりと染まり彩られた藤の花絨毯をぎゅっと踏みしめ、その花弁を足元で舞わせて。
 緑の瞳をぐるりと巡らせる――まるで、次の獲物を探すかのように。
 先程のような気に喰わない気持ちももうなくて、振舞いも至っていつものように見えるけれど。
 でも……満開の花よりも咲き狂くのは、綻ぶ笑顔。
 此処は修羅原。血の匂いも死臭も濃くなればなるほどに、それらに酔い痴れて。
 足を運んだ皆が、等しく修羅となる場所。
 けれど奪われる概念は、『正気』だけ。
 だから、レザリアも分かってはいるのだ。
 やっぱりどこかがおかしくなっている、って。
 ……けれど。
『ギャギャッ! 恋ノハナシ、聞キタイノ!』
 全力魔法で増幅させた魔力を編みあげて。
 ――その美しい髪も、鱗も、肌も。少しずつ削ってやる。
 奇声を上げながら牙を向けてきた人魚へと躊躇なく吹かせるのは、毒花の嵐。
 その眩暈がするほどに甘く誘う花弁たちに堪らず、うぐッと一瞬唸るも。
 ガブリと噛みついてきた人魚の鋭利な牙を、特に回避もせず受けるレザリア。
『恋愛話ヲ、シマショ! ホラ!』
 刹那、心臓から鋭く生えるのは、棘。
 それは心臓をぎゅっと握り潰されるぐらいの痛みを生じさせるけれど。
「恋愛……? 残念ながら、お前が欲しい『それ』はないんです」
 狂気と激痛の耐性を以って受ければ、その痛みも薄くなって。
 レザリアは、にやりと綺麗に口角を上げて続ける。
「私には、『この子たち』がいればいいんですから」
 そう……死霊ちゃんの遊びの時間は、まだまだ終わらない。
 邪魔してくる無粋な輩を花嵐で軽く押し退け、騎士と蛇竜を容赦なく人魚へと差し向けながらも。
 再びひらりと、再び戦場に数多の毒花の嵐を吹かせれば。
『……ッ、ギャッ!』
 天から堕とした人魚をじわじわ少しずつ削ってあげるべく、死霊ちゃんたちと一緒に人魚とあそんであげる。
 恋愛話は……『それ』は、残念ながらできないけれども。
 レザリアはやはり、心から楽しんでいるような微笑を綻ばせ、満開にわらう。
 血と死の匂い漂う、毒花の嵐の只中で。
 ――狂気は、『飲まれる』じゃなくて、『使う』べくものなのよ、って。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ミア・ウィスタリア
人魚が空飛んでどうすんよ。
それともアレ?私は血の海を泳ぐ人魚ですって?

まぁいいか、どっちにしろアンタが元凶みたいだしヤる事には変わりないわ。
今すっごい良い気分なの。永らく忘れてたわ、この破壊衝動って言う奴!

キャバリアに乗り込もうとするユノを捕まえ強引に唇を奪う。

-system code generate full access object-
-linker core Docking Sequence START-

さぁやるわよユノ。
久々の全開放だもの。全力でブチかましなさい!


ユノ・ウィステリア
【イカロス】←(ミアに付け忘れました)

はぁ、はぁ……ふふっ、偶にはこういうのも良いですね。
さて、ではストレス発散も出来たところで、そろそろ元凶を片付けに行きましょうか。

丁度いいです。ここなら幾ら周りが壊れても構わない。
一度やってみたかったアレを出しましょうか。

ミアちゃんと合体し、更にキャバリアを召喚。
そしてオーバーフレームで更に私達の本体と接合。

Over Frame Ultimate IKAROS

これが全てを開放した私達の本気。
どうか簡単に壊れないで下さいね。



 むせ返る様な血の匂いに、ことごとく潰された屍竜たちの肉片。
 そんな、傍から見れば地獄絵図の如き修羅原の風景の只中で。
 心の昂りと同時に、熱くなる身体。
「はぁ、はぁ……ふふっ、偶にはこういうのも良いですね」
 ユノ・ウィステリア(怪異蒐集家・f05185)が落とす吐息は熱っぽく、その声が纏うのは恍惚のいろ。
 あれだけいた有象無象の竜を、全て木っ端微塵に吹き飛ばせば。
 屍竜の群れのお掃除は勿論、日頃溜めているあれやそれやの鬱憤も、ぶっ放してすっきりしたから。
『ギャギャ、噛ミツイテアゲル!』
「さて、ではストレス発散も出来たところで、そろそろ元凶を片付けに行きましょうか」
 屍竜の次に姿をみせた元凶へと視線を向け、ロックオン。
「人魚が空飛んでどうすんよ」
 そんな姉と共に天を見上げたミア・ウィスタリア(天上天下唯画独尊・f05179)は、ばさりと翔け回るソレを目で追いながらも。
 首を傾けてみせつつも、紡ぐ。
「それともアレ? 私は血の海を泳ぐ人魚ですって?」
 でもすぐに、まぁいいか、と答えを求めることもなく。
「どっちにしろアンタが元凶みたいだしヤる事には変わりないわ」
 ふっとミアは、口元に笑みを宿す。
 ――今すっごい良い気分なの、って。
 だって、一体何時ぶりだろうか。
「永らく忘れてたわ、この破壊衝動って言う奴!」
 こんなに身体が熱くなるほど、興奮する衝動は。
 元からあるかはわからないけれど、此処に在るモノはみんな『正気』を失っていて。
 だから別に抑える必要なんてないし、何やっても咎められることもないから。
「丁度いいです。ここなら幾ら周りが壊れても構わない。一度やってみたかったアレを出しましょうか」
 ユノはぐるりと戦場を見回した後、そうこくりとひとつ頷いて。
 キャバリアに乗り込もうとすれば。
「……! は、ぁっ」
「ん……ふっ」
 強引に捕まえた姉の唇を強引に奪うミア。
 刹那、覚醒し展開されるのは――『CODE-IKAROS』。

 -system code generate full access object-
 -linker core Docking Sequence START-
 
「システムコード:ジェネレートフルアクセスオブジェクト、リンカーコア接続……完了。行くよユノ!」
 一つの器物だった頃の記憶。
 そして双子の姉妹で融合を果たし、完全体と成った後。
 ユノは更にキャバリアを戦場へと喚んで。

 -Over Frame Ultimate IKAROS
 
「接合シーケンス完了」
 更に自分達の本体と接合させ、装甲の硬度や、武装の威力と搭載数も増し増しな、究極形態へと変化を成せば。
 もう、戦いのためなんかではなく……殲滅するために。
「さぁやるわよユノ。久々の全開放だもの。全力でブチかましなさい!」
 あとは衝動の赴くままに、ヤるだけ。
 ミアの声に、ユノも天翔ける人魚へと狙いを定めて。
 骸魂目掛け、跡形すらなく綺麗にお掃除するべく。
「これが全てを開放した私達の本気」
『……ッ!』
 ――どうか簡単に壊れないで下さいね、って。
 全開放した全力で、容赦なくぶっ放す。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

隠・小夜
袁(f31450)と
アドリブ歓迎、左目の露出NG

……ぅ、やだ
あぁぁ、もうやだぁぁぁ!!!
(半狂乱になりながら、闇雲に銃を乱射し始める)

あの人魚も同じだ、
ぼくの目が変だって言うんだ
ぼくのなかに、ばけものがいるって言うんだ
もうやだ、やだぁ!来るなよ、来ないでよ……!

痛いのも嫌い、怖いのも嫌い
でも、つるちゃんを守らなきゃ助けなきゃ
だから、だから……つるちゃんを返してよ……!
(泣きながら銃を撃ち続けている内、流れ弾が袁に当たったのを見て

つ、る、ちゃ……!
絶対に撃ちたくない相手を撃った事に、頭が真っ白になる
治さなきゃ、塞がなきゃ、どうすればいいのか困惑は収まらなくて
つるちゃんの声にまた、泣きたくなった


袁・鶴
隠ちゃんf31451と

血の匂いは食事の匂い
つるりとした艶やかな眼球を喰んだ時の弾力と中から溢れるとろりと甘い液体を思えば思わず喉がなってしまう
でも、幼馴染の女の子の…さよちゃんの横に長い瞳孔の綺麗なそれだけは食べないけれど
ね、さよちゃんどこにいるのと眉を下げながらも正気を失っているからかな
泣いている隠ちゃんがさよちゃんと重なり駆け寄ろうと思うよ
さよちゃん、俺だよ?だから泣かないで…?
誰がそんな事言ったの?大丈夫、俺が守ってあげるからと【鴆の翼】にて敵とさよちゃんの間に『滑空』ナイフで攻撃をしていこうと思うよ
流れ弾が当たっても気にしないよ
さよちゃんの思うように動けばいいんだから。ね、さよちゃん?



 足を踏み入れた時よりも、ずっと濃くなっている血の匂い。
 けれど、袁・鶴(東方妖怪の悪霊・f31450)にとってそれは……そう、食事の匂い。
 だから思わず喉がなってしまう。
 つるりとした艶やかな眼球を喰んだ時の、ぷちりとした弾力を。
 それと同時に、中から溢れるとろりとした、あの甘い液体を思えば。
 でもそんな鶴でも、これだけは決して食べないのだ。
(「幼馴染の女の子の……さよちゃんの横に長い瞳孔の綺麗なそれだけは」)
 そんな愛しい赤紫のいろを思い返し、眉を下げながらも。
「……ね、さよちゃんどこにいるの」
 正気を失っているからかな、なんて頭のどこかでは思うけれど。
 鶴はひたすら、幼馴染を求める声を零し、ふらりと探し続ける。
 そんな彼の耳に飛び込んできたのは、声。
「……ぅ、やだ」
 だって――此処に響く獣だか修羅だかの声は五月蠅いし、ぐちゃっとしてグロくてぬるっとして気持ち悪いし、怖いし腹立つしムカつくし。
 ……だから。
「あぁぁ、もうやだぁぁぁ!!!」
 隠・小夜(怪異憑き・f31451)は、再び不快感しかない戦場へと銃を乱射し始める。
 半狂乱になりながらひたすら、ただ闇雲に。
 いや、嫌なのは、確かにこの風景もだけど……でも、そうじゃなくて。
『フフッ……モット、ヨイ泣キ声ヲ聞カセテ!』
「さよちゃん、俺だよ? だから泣かないで……?」
 泣いているその姿が幼馴染のさよちゃんと重なって。
 駆け寄ってきた鶴へと、えぐえぐと首を振りつつも口にする小夜。
「……あの人魚も同じだ、ぼくの目が変だって言うんだ。ぼくのなかに、ばけものがいるって言うんだ」
 そして決して見られないように、ぐっと左目を隠す様に手で覆う。
 それは、表に出す事すら拒むような山羊と烏の――。
「もうやだ、やだぁ! 来るなよ、来ないでよ……!」
 再び半狂乱に叫びながら暴れる小夜に、鶴は優しく声を掛ける。
「誰がそんな事言ったの?」
 ――大丈夫、俺が守ってあげるから、って。
 小夜へと噛みつかんと牙を剥く人魚の間に割って入るように、鶴の如き『鴆の翼』で滑空して。
 閃くナイフで容赦なく敵の身を斬り裂き、刃を突き立てる鶴。
『ギャアァッ!』
 刹那、耳を劈く煩い奇声。
「痛いのも嫌い、怖いのも嫌い」
 小夜はふるふると首を横に再び大きく振るけれど。
 人魚へとナイフを振るう彼の背を見つめ、呟きを落とす。
 ……でも、つるちゃんを守らなきゃ助けなきゃ、って。
 怖いのも痛いのも気持ち悪いのも五月蠅いのも、ばけものだと罵られるのも……全部全部、嫌なのだけれど。
 ――守らなきゃ、助けなきゃ。
 だって君が、僕の宝物が幸せなら。
 僕は、ただ其れだけで――。
「だから、だから……つるちゃんを返してよ……!」
 いまだ泣きながらも、銃を乱射し続ける小夜。
 そして。
「……!」
 小夜は隠したままの瞳を見開き、思わず息を飲む。
 自分の撃った流れ弾が彼の身を貫いて、じわりと赤に染まってゆくその様を見て。
「つ、る、ちゃ……!」
 よりによって当たってしまったのは、絶対に撃ちたくない相手。
 赤に塗れる彼をみれば、頭が真っ白になって。
「治さなきゃ、塞がなきゃ……!」
 そう焦燥と不安と混乱のまま、小夜は口にするけれど。
 どうすればいいのか困惑は収まらなくて、ぽろぽろと涙も止まらなくて。
 でも、そんな小夜の涙を拭ってあげるかのように。
「……流れ弾が当たっても気にしないよ。さよちゃんの思うように、動けばいいんだから」
 赤に塗れた手を伸ばしながら、鶴は微笑みを向ける。
 ――ね、さよちゃん? って。
 そして小夜はまた、余計に泣きたくなってしまう。
 耳に届いた彼の声に、頬に触れた生温かい掌に……また。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ロカジ・ミナイ
【エレル】

人魚だ
魑魅魍魎の人魚がいるよ
いい声でないて、その肉は妙薬と呼ばれる、美しい生き物の魑魅魍魎が
外側は美しいほど良く、中身は醜悪なほど良い
しかしこいつら斬ったら消えちまうからさ、肉を持って帰るのは出来ないが
獲って食ったらいい記念にならぁ
そうだろう?艶花よ

別嬪の人魚やら戯れついてくる狼やらの血潮はさぞ美味かろう
艶を増していく妖刀を見てそう思う
さぁさ、その辺の炎も毒もみんな飲み込んで
でっけぇ雷電を纏う妖刀と一緒に花と咲くのさ

血を浴びるのは気持ちがいいねぇ!!
誰の血か何の血かテメェの血かさっぱり知れねぇ
混ざっちまえば
全部おんなじ真っ赤っかだ

まるで夢心地よ


飛砂・煉月
【エレル】

赫を浴びて、あびて
咽返る程に漂う色と臭いに慣れれば
噫――心地好い

邪魔するのは誰?
狼、狐、魚、だぁれ?
まぁイイや
全部焼いて喰えば同じ
ハク、灼いて全部
敵?味方?此処にそんなの無いよ

青い鳥の幸せ?
幸せはオレの手で掴んだものだけ
他は要らない
毒…うん、美味しいなら何でもイイや

オレ達は赤を散らす
竜が吐く地獄の灼熱
合間に狼は噛み付いて
失った赫を頂戴と

狐が咲かすおっきな雷撃に
赫と青が混ざりながら
あっは、世界があかに染まってく

…噫、でも
避ける魚が邪魔だな
お前が要らないや
焦げたらそんなの捨てるだけ

駆けて飛んで、
相手より上の位置を取れば
――貰った、
刻印に宿る化け物がお前を喰うよ

もっと、もっと
あかに、染まれ


エンジ・カラカ
【エレル】

アァ……邪魔だなァ…。
人魚もオオカミもキツネも邪魔だなァ。

賢い君、賢い君
俺と一緒にバラバラにしよう。
そうしよう。そうしてもイイ?イイ?

うんうん。

青い鳥は幸せを振りまくンだ。
お前らも幸せになるか?なりたいだろう?

オオカミもキツネも人魚も賢い君が幸せにしてくれるヨ。
属性攻撃は毒。
青い鳥が羽ばたく度に毒が振りまかれるンだ。

気分はどうだ?軽くなって来た?

アァ……人魚の攻撃だァ…。
俺の喉元に噛みついて来やがった。

賢い君、賢い君
コイツと遊ぼうそうしよう。
俺の喉を食いちぎるのは、賢い君だけなンだ。

人魚の胸元を抉っておく。
俺の爪は君に侵された毒の爪なンだ。
燃えるなァ。痛いなァ

ヒヒヒ



 それはもう、全部肉片と化した脆い屍竜たちのものか。
 それとも自分のか、はたまたその他の誰かのものかなんて、分からないけど。
 そんなことなんて関係ない。
 ……だって、赫を浴びて、あびて。
 咽返る程に漂う、鮮やかだけどどす黒い色と鉄錆の如き臭いに慣れれば。
 噫――心地好い、って。
 飛砂・煉月(渇望の黒狼・f00719)は、赫を啜った牙を剥き出しにした口角を上げる。
 けれど、ふと爛々と輝かせた瞳で周囲を見回し、こてりと首を傾ける。
「邪魔するのは誰? 狼、狐、魚、だぁれ?」
 あれだけ沢山いた屍竜どもは、呆気なく全部潰したけれど。
 いまだ己以外でこの修羅原に在るのは、狼、狐、魚――。
 ……でもそんなの、やっぱり関係ない。
 煉月は、まぁイイや、って考えるのをやめる。
 だって、狼も狐も魚も、全部焼いて喰えば同じだから。
 相棒の、白銀に深紅の瞳の竜へと煉月は紡ぐ。
「ハク、灼いて全部」
 ――焼け、灼け。邪魔する奴ら凡て、焦がし尽くせ。
 けれど、大きくなって戦場を焔で灼かんとする相棒は、何故か何処か躊躇っていて。
 煉月はそんなハクの様子に、大きく首を傾ける。
「……敵? 味方? 此処にそんなの無いよ」
 そして言われた通り、白銀の竜が激しく燃え盛る焔を繰り出す中。
「アァ……邪魔だなァ……」
 折角、アッチのゾンビもコッチのゾンビも、全て。
 君と一緒に遊んで、面白可笑しく潰したというのに。
 エンジ・カラカ(六月・f06959)は巡らせた金の瞳を細め紡ぐ。
「人魚もオオカミもキツネも邪魔だなァ」
 天を翔ける人魚も、竜に焔吹かせ己も牙を剥く狼も、雷纏った刃を振るう狐も。
 あっさり潰せた竜どもの様には、多分いかなくて。
 それが面白くもあるけれど……でもやっぱり、みんな邪魔だから。
『見セテ頂戴。噛ミツイテアゲルカラ』
 屍竜の次に現れたのは、そうギャアッと奇声を発しながら、泳ぐように修羅原の空を舞う人魚。
 その様を、天を仰ぎ、じぃっと見つめて。
「人魚だ。魑魅魍魎の人魚がいるよ」
 ロカジ・ミナイ(薬処路橈・f04128)は何処か嬉々とした声で続ける。
「いい声でないて、その肉は妙薬と呼ばれる、美しい生き物の魑魅魍魎が」
 ……外側は美しいほど良く、中身は醜悪なほど良い、って。
 食べると不死になるといわれている、医者として非常に興味をそそる肉。
「しかしこいつら斬ったら消えちまうからさ、肉を持って帰るのは出来ないが」
 そう、天翔ける人魚を少しだけ残念そうに見るロカジだけれど。
 すぐに、クククとわらう。
 あの肉を刻んで持って帰って知的好奇心を満たすことはできないが、でも。
「獲って食ったらいい記念にならぁ」
 美しく淑やかな妖し華を、滴らせた己の赤と誘う雷で飾りながらも語りかける。
 ――そうだろう? 艶花よ、って。
 そしてエンジも、邪魔な存在たちをぐるりと見回してから。
「賢い君、賢い君。俺と一緒にバラバラにしよう」
 ……そうしよう。そうしてもイイ? イイ?
 首を小さく傾けながらも、賢い君にわくわく訊ねてみれば。
 うんうん、と頷いた後、再びオーブの中から青い鳥を喚ぶ。
「青い鳥は幸せを振りまくンだ。お前らも幸せになるか? なりたいだろう?」
 ……オオカミもキツネも人魚も賢い君が幸せにしてくれるヨ、って。
 青い色の君の、思う通りに遊ばせる。
 その翼が撒くのは、やっぱり赤。じわりと蝕み満たされる残酷な幸せの糸。
「青い鳥が羽ばたく度に毒が振りまかれるンだ。気分はどうだ? 軽くなって来た?」
 そんなエンジの問いに、煉月は赤を散らしながらこたえる。
「青い鳥の幸せ? 幸せはオレの手で掴んだものだけ」
 ……他は要らない、って。
 毒だって避けるのも面倒だけど、でも別にこの身を侵されたって、喰らえばいいのだ。
「毒……うん、美味しいなら何でもイイや」
 自分達はただ、赤を散らすから。
 白竜が吐く地獄の灼熱の、その間隙を縫って……牙を剥き噛み付いて狩って、取り返すだけ。
 ――失った赫を頂戴、と。
『ググ、ギャアッ』
 そんな、灼けつく焔や青い鳥が撒く赤き毒の糸に、天翔ける人魚は声をあげるけれど。
(「別嬪の人魚やら戯れついてくる狼やらの血潮はさぞ美味かろう」)
 ロカジはそう思う。赤を浴びて艶を増していく、妖刀を見て。
 だから……その辺の炎も毒もみんな飲み込んで、一緒に花と咲かせる。
 刹那、修羅原に走る光と鳴る轟音。
 ――でっけぇ雷電を纏う妖刀と一緒に、って。
 そして狐が咲かせたおっきな雷撃がバチリと弾け、混ざり合ういろたちに。
 あっは、と楽し気にわらう煉月。
 だって、その赫と青が尚いっそう、世界をあかに染めていくのだから。
 そんな深く濃くなる赤は、とても愉快なのに。
『ネェ、ワタシトモ遊ンデ頂戴……!』
「……噫、でも。避ける魚が邪魔だな」
 天を泳ぎちょろちょろと避けて赤に塗れない人魚は、気に喰わないから。
「お前が要らないや」
 だから煉月はそれを灼くことにする。
 邪魔だから、燃やし尽くして。焦げたらそんなの捨てるだけ。
 けれど往生際の悪い人魚は、焔に悶えながらもその牙を剥く。
(「アァ……俺の喉元に噛みついて来やがった」)
 エンジの喉元に、カブリと。
 そんな赤が飛沫いて滴っても、別に関係ないのだけれど。
 でも……ただこれだけは、譲れないから。
 ――俺の喉を食いちぎるのは、賢い君だけなンだ。
 だからエンジは、賢い君、賢い君って。
 賢い君へとこう提案する……コイツと遊ぼうそうしよう、って。
 そしてエンジへと意識が向いた人魚よりも、さらに上に。
 ――もっと、もっと。あかに、染まれ。
 そう修羅原を駆けて飛ぶのは、赤を散らし赤に染める狼。
「――貰った、」
 刹那、人魚を喰らうのは――煉月の刻印に宿る化け物。
『! ギャアアアッ』
 さらに人魚の胸元が、狼によって抉られて。
 堪らず上がるのは、耳を劈くような叫び声。
「俺の爪は君に侵された毒の爪なンだ」
 ……燃えるなァ。痛いなァ、って。
 ヒヒヒとわらうエンジの毒の爪が、ぐりぐりとその肉を穿てば。
 修羅原のあちこちで景気よく飛沫く赤に、ロカジは愉快気にわらう。
「血を浴びるのは気持ちがいいねぇ!!」
 ……誰の血か何の血かテメェの血かさっぱり知れねぇ、そう瞳を細めるけれど。
 だってそんなの、些細なことにすぎないから。
「混ざっちまえば、全部おんなじ真っ赤っかだ」
 そして真っ赤っかに染まるこの光景は、そう……まるで。
「夢心地よ」

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ベルンハルト・マッケンゼン
【炎桜】
(失神から目覚め、恋人の姿を見る)
此処はヴァルハラか。ワルキューレ自らお出迎えとは、嬉しい限り。
貴女が待っていてくれるなら、何度でも蘇るさ。さぁ、再び殺し合おう!
(ウィンクしてUC発動、正気を手放す)

正気を失う方向性は恋人への征服欲と独占欲。
黄金銃剣で恋人に斬り込み、グラップルして彼女の唇を奪う。
あぁ。流れる血すら、甘美な味わいだ……貴女を滅茶苦茶にしてやる、真琴!

敵の攻撃を受け、胸を押さえつつ不敵な笑みを浮かべる。
生憎だが、私の心はもう誰かに奪われているので、な。
(血を吐き、恋人にウィンク)

恋人が人魚に傷つけられたら、逆上して敵に捨て身の一撃。
貴様、許さんぞ。彼女は……俺のモノ、だ!


新海・真琴
【炎桜】
うん。はい、ようこそ
(ぴこぴこぴこっと羽ばたく羽根耳。この世界から来た先祖は、臓物を糸にして機織りをするおぞましい天女だ)
そうか!なら君を殴り放題だね!

(UC発動、転身して浮き上がろうとする……が、引き倒される)
ボクがそんなに欲しいのかい?何度でも殺してあげるよ!!嬉しい、なっ!
(伸びた黒曜石の角で頭突きし、食い破る勢いで肩に噛みつく。鬼火と刃の桜吹雪が漂いだして)

人魚、お前ボクに何をした!
……!!
なんでボクが……母方の親戚から、罰として土蔵に閉じ込められたりとか、死んだ母さんの駆け落ちを否定されたり嘲笑われたことをお前が知ってるんだっ!!
(滅茶苦茶に吹き荒ぶ鬼火と桜吹雪)



 意識を取り戻して気付くのは、血腥い匂いが濃く充満した、むせ返るような空気と。
 瞳に飛び込んできた、愛しい恋人の姿。
 彼女と共に在れば、ベルンハルト・マッケンゼン(黄金炎の傭兵・f01418)にとっては何処だって。
「此処はヴァルハラか」
 そう、ヴァルハラ……天国で。
 その場所に在る彼女の姿は、まるで。
「ワルキューレ自らお出迎えとは、嬉しい限り」
 神々しき戦いの女神。
 そんな新海・真琴(黒耀銀嵐・f22438)に、ぱちりとウィンクをしてから。
「貴女が待っていてくれるなら、何度でも蘇るさ」
 ――Komm, mein Schwert, schneide das Eisen!
 刹那、呪われた永劫の戦士と化し、正気を手放すベルンハルト。
「さぁ、再び殺し合おう!」
 ヴァルハラに降り立った竜殺しの英雄神の如く。
 そんな彼の声に、ぴこぴこぴこっと羽根耳を羽ばたかせて。
「うん。はい、ようこそ」
 こくりと頷いた真琴は、ベルンハルトを見て無邪気に嗤う。
「そうか! なら君を殴り放題だね!」
 一見可愛らしい羽根耳は、この世界から来た先祖の名残。
 臓物を糸にして機織りをする、おぞましい天女の。
 ――ボクは、私は……だあれ?
 桜の精、羅刹、西洋妖怪、その全ての形質が出た姿へと転身した真琴は、再び彼をその拳で沈めんと、天へと浮き上がろうとしたけれど。
「……!」
 それよりも速く、黄金銃剣で斬り込まれれば。
 強引に力で抑え込まれ、引き倒されて奪われる。
「! ……、っ」
 刹那漏れるのは、熱い吐息。
 そんな甘い激情に酔い痴れるかの様に、ベルンハルトは欲望を顕わにする。
「あぁ。流れる血すら、甘美な味わいだ……貴女を滅茶苦茶にしてやる、真琴!」
 だって彼は、正気を失っているのだから。
 愛する人への征服欲と独占欲に抗わず、それを素直に満たさんと。
「ボクがそんなに欲しいのかい?」
 凄い力で押さえつけられたまま、ベルンハルトを真琴は見つめて。
 ふっと微か、薄香色の髪が揺れたかと思った――瞬間。
「……ッ、!!」
「何度でも殺してあげるよ!! 嬉しい、なっ!」
 ガッと鈍い音がし、ベルンハルトへと見舞われたのは、伸びた黒曜石の角から繰り出された頭突き。
 さらに押さえつけられていたその腕が緩めば、鬼火と刃の桜吹雪がゆらりひらりと漂いだして。
 食い破る勢いで、彼の肩にすかさず噛みつく真琴。
 ベルンハルトはそんな彼女の反撃をむしろ嬉々と受け入れ、叩き伏せて滅茶苦茶にせんと再び黄金銃剣を構えるけれど。
『ギャギャ! ワタシニモ構ッテ……!』
 真琴にしか瞳に入っていなかった彼に牙を剥き噛みついたのは、天翔人魚。
 そして熱く想いを語った分、心臓から鋭利な棘が生えるけれど。
 ベルンハルトは胸を押さえつつも、不敵な笑みを浮かべる。
 血を吐き、恋人にもう一度ウィンクしながら。
「生憎だが、私の心はもう誰かに奪われているので、な」
 人魚と交わす恋話には興味もないし、既にその心は眼前の彼女へと捧げているのだから。
 そんなベルンハルトから、人魚は今度は標的を変えて。
「……!!」
 次に牙を剥き、噛みついたのは真琴。
 そして大きく見開かれる銀灰のいろ。
 同時に、真琴は思わず声を上げる。
「人魚、お前ボクに何をした!」
 それから、ふるふると大きく首を横に振りながら。
 ぐっと血が滲むほどに唇を噛みしめた後、握りしめた拳を震わせ紡ぐ。
 ――なんで知ってるんだ、と。
「なんでボクが……母方の親戚から、罰として土蔵に閉じ込められたりとか、死んだ母さんの駆け落ちを否定されたり嘲笑われたことをお前が知ってるんだっ!!」
『!? ギャアッ!』
 瞬間、滅茶苦茶に修羅原に吹き荒ぶのは、激しい鬼火と嵐の如き桜吹雪。
 いや、怒りの感情を抑えきれず爆発させるのは、何も彼女だけではない。
 ――貴様、許さんぞ。彼女は……俺のモノ、だ!
 逆上したベルンハルトが人魚へと叩きつけるのは、捨て身の一撃。
 愛しい恋人が自分以外のモノに傷つけられるなんて、決して許せないから。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

尾守・夜野
ふぅふぅと荒い息が聞こえる気がする
それは近くから…否自分から漏れていて
散々暴れたのだから息も荒くなろうと誰かが考えた気はするが

あぁあぁ新しい敵がいる
壊される前に全て壊さねばと
すぐに別の思考に塗りつぶされる
もはや言葉を考えることすら億劫でいて
限界など忘れただただ暴れるのみの修羅に成り果てよう

はてさて精神的な傷といえどどの俺様だろうか?
今の俺様達は例え自分であろうと敵を倒す邪魔をするなら邪魔を排除(人格交代)し、倒すだけになると思う

むしろ八つ当たりの対象ができる分受けるダメージ増えても与えるのも増えるな


なお、極論いえば俺様達は一人だけのうのうと生き延びちまってる事が後悔にして傷



 死臭漂う血腥い戦場と化した、修羅原の只中で。
 耳にふと届くのは、ふぅふぅという荒い息遣い。
 そして、尾守・夜野(墓守・f05352)は気付くのだった。
 それは近くから……否、自分から漏れているものだということに。
 けれど考えてみれば、それは至極納得がいくかもしれない。
 だって、散々暴れたのだから息も荒くなろうと……彼の中の誰かがそう、考えた気はするけれど。
 でもすぐに、別の思考に塗りつぶされる。
『ギャギャ! 遊ビマショ、戯レマショ!』
「あぁあぁ新しい敵がいる」
 天翔ける人魚を見上げ、その殺気を感じれば――壊される前に全て壊さねば、と。
 いや……最早、億劫でしかない。
 もはや言葉を考えることすら。
 だって今の夜野はやはり、正気を失っているのだから。
 考えるのをやめて、ブレーキのないその心のままに暴走する。
 ――限界など忘れた、ただ暴れるのみの修羅に成り果てよう、と。
 それが楽だし、手っ取り早いから。
 そして、そんな夜野と遊びたくて仕方がない人魚が、牙を剥いてガブリと噛みついてくれば。
 ふと赤に塗れながらも、夜野は首を傾げる。
(「はてさて精神的な傷といえどどの俺様だろうか?」)
 この人魚は、噛みついた相手の記憶を読み取り、精神的な弱点を覚えると聞いていた。
 ……けれど。
 口元に無意識に笑み宿し、夜野はわらう。
 だって、敵を倒す邪魔をするのならば、人格交代し邪魔を排除してただ倒すだけになるだけだから。
 ――いや、むしろ。
「八つ当たりの対象ができる分受けるダメージ増えても与えるのも増えるな」
 夜野は人魚の生命力を啜り、暴力の限りを尽くす。
 俺様達は一人だけのうのうと生き延びちまってると――そう心の傷を抱き、後悔しながらも。

大成功 🔵​🔵​🔵​

終夜・嵐吾
たーのしい、と口端はあがりっぱ
ああ、くさ
じゃけど気分はええ
暴れまわるのはほんと、楽しくて
己の内が満たされていくのを感じる
常はこんなことせんしの~
虚も一緒じゃからなお楽し

あそこにもはやっとるのがおるから次はあれと遊んでこーよぉ
ん~、爪も届かんかぁ
虚の茨で絡めるか
いや、それよりも燃やせば早い

派手に炎束ねて火柱あげてぜんぶぜぇんぶ、燃やしてしまお
ああ、でもほんとに燃やしつくしたいもんはここにはおらんのじゃけど
わしは何を燃やしたいんじゃったか、まぁええか

噛みつかれるんも戯れに
わしも噛みついてやろか、なんて思う
貫かれる痛みも楽しくて心地よい
心の臓から突きぬける痛みは甘いと思う
ほんと、痛いわ、痛くて幸せ



 肩や横腹が、多少食い千切られ持っていかれても。
 そのくらいなんてことはない、ちょっとくらいくれてやるのもまたいいじゃろ、と。
 まぁええか、とわらう終夜・嵐吾(灰青・f05366)の口端は、ずっとあがりっぱ。
 ――たーのしい、と。
 そして……ああ、くさ、と口から漏らすけれど。
「じゃけど気分はええ」
 満たされてゆく今の嵐吾の心。
 屍竜どもを握り潰し楽しく引き裂いて、燃やしまくった快感。
 何でもアリで好きに暴れまわるのは、心から楽しくて。
「常はこんなことせんしの~」
 正気を失っていたといえば、何でも許されるのだから。
 そして己の右手を愛し気に眺め、嵐吾は黒き茨を見つめる琥珀を細める。
 だって、なお楽しいのだ。虚も一緒じゃから、って。
 けれどあっさりと沢山いた屍竜は全部、動かぬ肉片と化してしまったから。
 きょろりと嵐吾は視線巡らせ、そしてゆうらりとご機嫌に尻尾を揺らす。
『ギャギャ!! ワタシト遊ビマショ、引キ裂イテアゲル!』
「あそこにもはやっとるのがおるから次はあれと遊んでこーよぉ」
 次の、格好の玩具を見つけたから。
 そして試しに、ぶんっと鋭い爪を天翔ける人魚へと戯れにふるってみるけれど。
「ん~、爪も届かんかぁ。虚の茨で絡めるか」
 空を切った鋭撃に、こてりと首を傾けてから。
 ふっと宿るのは、一等楽し気な笑み。
 だって、心躍る遊び方を思いついたから。
「派手に炎束ねて火柱あげてぜんぶぜぇんぶ、燃やしてしまお」
 ――いや、それよりも燃やせば早い、って。
『……! ギャアッ』
 刹那、鮮烈な赤に包まれて声を上げる人魚。
 そして、燃えるそれに心昂らせつつも。
「ああ、でもほんとに燃やしつくしたいもんはここにはおらんのじゃけど」
 嵐吾はそう己が紡いだ言の葉に、もう一度首を傾ける。
 ……わしは何を燃やしたいんじゃったか、と。
 けれどやっぱり、まぁええか、って。
 炎に悶えながらも噛みついてきた人魚に、逆にわしも噛みついてやろか、なんてわらいながら。
 貫かれる痛みも楽しくて心地よくて……心の臓から突きぬける痛みの、なんと甘いことか。
 そんな与えられる痛みや抉られ流れ落ちる血のいろに、へらりと笑みながら。
 爛々と輝かせた瞳を向けた人魚を、嵐吾は再び燃やしてやる。
「ほんと、痛いわ」
 ――痛くて幸せ、とわらい、紡ぎながら。

大成功 🔵​🔵​🔵​

インディゴ・クロワッサン
わーい!強そうなお代わりだー!…なんてね。
それにしても、他の皆もド派手に戦(や)ってるねー…
でも、お代わりが来たからには、僕も楽しみたいなー…そうだ!
「ふふふ、楽しませてよ?」
UC:暴走覚醒・藍薔薇纏ウ吸血鬼 を使って、理性も消し飛ばして戦っちゃおー!
愛用の黒剣を力任せでぶん回してなぎ払って衝撃波を飛ばして対空戦闘したりとかー
吹き飛んで空中に逃げた敵を追って空中戦したりとかー
物騒で獰猛な笑みを浮かべながら、咄嗟に捨て身の踏みつけキックくらわすとか!
例え噛み付かれても、激痛耐性があるから無視して…あ、そうだ!
僕も、返す刃的なカウンターで噛み付いたら、吸血しつつ生命力吸収もしちゃおーっと!



 あれだけ数がいたはずの屍竜も、全部潰してしまって。
 肉片転がる修羅原を歩きながら視線を巡らせていたインディゴ・クロワッサン(藍染め三日月・f07157)は刹那、瞳を輝かせる。
 だって、見つけたから。
「わーい!強そうなお代わりだー!」
 ……なんてね、って。
 そうわらう彼の瞳が映すのは――天翔ける人魚。
『ギャギャ!! タクサン噛ミツイテアゲル!』
 けれど、正気を手放した衝動のまま楽しんでいるのは、自分だけではなくて。
「それにしても、他の皆もド派手にやってるねー……」
 敵を叩き潰し斬り裂き、血に塗れてわらうのは、修羅と化した猟兵達。
 そんな皆の様子を見回してから、ふとインディゴは首を傾けてみれば。
「でも、お代わりが来たからには、僕も楽しみたいなー……そうだ!」
 ……ふふふ、楽しませてよ? って。
 刹那浮かぶのは、子供の様に無邪気な笑顔。
「理性も消し飛ばして戦っちゃおー!」
 そして、一等愉快気にインディゴ紡ぐ――壊れてしまえ……何もかも! と。
 それから、天を泳ぐように翔ける人魚目掛け、愛用の黒剣を力任せでぶん回して。
 全力でなぎ払い、衝撃波を容赦なく飛ばして、対空戦闘をキャッキャとはしゃぐように楽しんで。
『……!!』
 ぶっ飛ばされて空中に逃げた敵と、今度は鬼ごっこ。
 物騒で獰猛な笑みを浮かべながら、追って掴まえれば。
 咄嗟にくらわせるのは、捨て身の踏みつけキック!
 例え噛み付かれても、激痛耐性あるからと無視しながらも。
「……あ、そうだ!」
 またインディゴは、ピンと閃く。
 ――やられたらやり返す!
 瞬間、笑み浮かべたまま、返す刃的なカウンターで容赦なく噛み付いてみる。
 ――吸血しつつ生命力吸収もしちゃおーっと! って。

大成功 🔵​🔵​🔵​

シャト・フランチェスカ
常盤/f04783

僕の桜はまだ淡く咲いている?
生命の彩が滴るようでないと
つまらないよね

焼き尽くせ
灰と化せ
血潮一雫足りとも遺さず
ぜーんぶ受けとめて!

己が身を掻き抱き
腕の古傷を抉る
爪が剥げても指先が痙攣しても
嗚呼、嬉しい

常盤は愛って何か識ってる?
僕には理解し難い怪書
戦場で僕はよく訊ねるの
でもみんな直ぐに黒焦げの炭になっちゃう

嗚呼、其れなら
感じるまで狂おうか!

人魚のきみは灼熱が嫌い?
僕の情念は重過ぎる?

常盤は違うよね
きみは、大人で子どもで、赫いもの!

鮮血の荊棘が視界に蔓延る
抱き締めさせて、抱き締めて
僕に与えて、痛みで証明して
生きたくなるまで傷付けて!

血を失いすぎた躯が傾ぐ
ふふ、あはは
いきたくないなあ


神埜・常盤
シャト君/f24181

綺麗な薄紅だよ、シャト君
もっと赫く染まると好い

――血統覚醒
髪は白く染められて

一族鏖した親父
人体実験を繰り返す弟、ヴェイン
此の穢血は狂ってる
勿論、僕も!

知らないさ、愛なんて
僕にとっては誰も彼もが御馳走だ
異形ですらそんな情を識っているのに
妬ましいよねェ

なァ、君の愛を教えろよ
啜溺の爪を鱗に突き立てて
溢れた赫を啜り笑う
僕の記憶を分けてやるからさ

そういう君は駄々っ子みたいだ
存分に暴れると良いよ
愛で――
其れが叶わぬなら、痛みで
こころが満たされる迄

荊棘の抱擁に此の身が、視界が
赫く染まって往く
応えるように血閃爪を
誰彼構わず突立てて

ははは
化物に堕ちてなお
血を流せば痛いらしい
楽しいなァ



 あれだけ沢山いたはずの有象無象の命は、余りにもあっさりと散ったけれど。
 シャト・フランチェスカ(侘桜のハイパーグラフィア・f24181)は修羅原の只中で、神埜・常盤(宵色ガイヤルド・f04783)を見上げ訊ねてみる。
「僕の桜はまだ淡く咲いている?」
「綺麗な薄紅だよ、シャト君」
 此処に在るのはただの、暴力と流血と殺戮。
 互いに『正気』でないことなんか分かっているけれど。
 それでも尚、爛々と狂気を孕んだ彼の赤にも刹那咲くのは、向けた視線の先で綺麗に色づいている薄紅のいろ。
 返ってきたこたえに、シャトは咲かせる花と同じ淡い彩をした双眸を細める。 
「生命の彩が滴るようでないと、つまらないよね」
 さっきまで何か沢山いた屍竜の群れたちは、元々死んでいたただのゾンビ。
 綺麗でもなければ、美味しくだってないし、何よりつまんない。生命の彩のないそれらなんて。
 だから常盤は嗾けるように、その彩を咲かせる彼女へと告げるのだ。
 ――もっと赫く染まると好い、と。
 そして己も、その身に流れる血を覚醒させ、赫く赫く瞳を染めあげて。
 かわりにそのいろがよく映える白へと染められてゆく髪。
 いくら流したって、己の身を脈々と流れ続けるあか。
(「一族鏖した親父。人体実験を繰り返す弟、ヴェイン。此の穢血は狂ってる」)
 だから、常盤は本当はよくわかっているのだ。
 ――勿論、僕も! って。
 自嘲か嫌悪か狂気か何なのか、もう分からない笑みを宿し口角を上げながら。
 そして彼も、もっとと言うから。
 ……焼き尽くせ。
 ……灰と化せ。
 ……血潮一雫足りとも遺さず。
「ぜーんぶ受けとめて!」
 ――残さず巣食って、すべて救って。
 シャトは一心に想いのまま、真赤なアイを刻む。己が身を掻き抱き、腕の古傷を抉って。
 掻き毟って赤に塗れる爪が剥げても、ぴくぴくと指先が痙攣しても。
 シャトは鮮血の荊を噴出し続け、舞い落ちる寒緋桜の如き炎をひたすら苛烈に咲き散らかす。
 ――嗚呼、嬉しい、って……うっとりと酔い痴れる様に、わらいながら。
 そして再び、彼へときいてみる。
「常盤は愛って何か識ってる?」
 ……僕には理解し難い怪書、って。
 だから、誰かソレを教えてくれないかと。
「戦場で僕はよく訊ねるの」
 こうやって、シャトはきいてみるのだけれど。
 誰も、こたえてなんてくれない。だって、きいてみるんだけれど。
「でもみんな直ぐに黒焦げの炭になっちゃう」
 そうこてりと首を傾け紫陽花のいろを揺らす彼女に、常盤は返す。
「知らないさ、愛なんて」
 ……僕にとっては誰も彼もが御馳走だ、って。
 知らない、そんなものなんて。でももしかしたら、識れるかもしれないから。
「嗚呼、其れなら、感じるまで狂おうか!」
 シャトは刻んだ真赤なアイを迸らせる。感じるまで、もっともっと狂うために。
『ギャギャ! 恋スルヨウニ殺シアイマショ!』
 天翔ける人魚に教えて貰う為に。
 そんな牙を剥き噛みついてきた人魚に、常盤は突き立てる。
「異形ですらそんな情を識っているのに、妬ましいよねェ」
 赫絲遺したまま闇に溶ける凶爪を獰猛にその鱗へと。
『ギャアァッ』
「なァ、君の愛を教えろよ」
 ……僕の記憶を分けてやるからさ、って。
 溢れた赫を啜り、わらいながら。
 そしてシャトも人魚をあかに塗れさせる。
『ギャ……ッ!』
「人魚のきみは灼熱が嫌い? 僕の情念は重過ぎる?」
 あかはあかでも、焦がすようなあかに。
 それから悶え叫ぶ人魚を後目に、シャトは飛沫いたそのいろを浴びて啜る彼へと咲う。
「常盤は違うよね。きみは、大人で子どもで、赫いもの!」
「そういう君は駄々っ子みたいだ」
 『正気』という欺瞞で赫を隠すの上手な、大人で在る子供。
 『正気』を失って、その心の儘に駄々をこねる聞き分けのない子供。
 でもそんなの、此処では放り投げちゃって構わないから。
「存分に暴れると良いよ」
 訊ねられた愛とやらで――いや、其れが叶わぬなら、痛みで。
 そのこころが満たされるまで、存分に狂えばいい。
 刹那、視界に蔓延るは鮮血の荊棘。
 ――抱き締めさせて、抱き締めて。
「僕に与えて、痛みで証明して。生きたくなるまで傷付けて!」
 そう乞う彼女の荊棘の抱擁に、常盤はその身や視界を染めて往く。
 眩暈がするほど鮮やかな、赫のいろに。
 そして常盤も、彼女の乞う声に応えてあげる。
 誰彼構わず血閃爪を突立てて、痛みを与えて、生命の彩を滴らせて。
 いや、もう何でもいい、だから何も感じない……なんて、思っていたけれど。
「ふふ、あはは」
 走る痛みは酔い痴れるほど甘やかなのに、血を失いすぎた躯はくらりと傾いで。
 シャトは笑みながらも、朧に揺らめく世界にぽつりと落とす。
 ――いきたくないなあ、って。
 生きたくなくて、でも逝きたくないって、駄々を捏ねるように。
 そして常盤も、己から流れ落ちる赤を掬い取って。
「ははは、化物に堕ちてなお、血を流せば痛いらしい」
 つらつらと眺めた後、それを無邪気にもっと重ねてゆく。
 ――楽しいなァ、って。
 それが誰のものなのかもう、分からなくなるくらいに。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

織銀・有士郎
ここは修羅の国か。
鬼のような狂気が周囲に満ちている……が、こちらに向けられた殺意は一つ。
心を空に、殺意には殺意を持って応ずるのみ。

「……ただ、斬るのみ」
攻撃を待っている必要はない。ダッシュで零距離まで接近し是空を使う。
獣の如き感覚で敵の動きを見切り、少ししても隙あらば容赦なく斬りつけるのみ。

「……避けきれんか、ならば」
徐々に攻撃の精度が上がる……全てを見切るのは不可能か。
ならば純粋な殺し合いだ。
斬る、穿つより早く斬る。
この身が倒れる前に、敵を斬り伏せ絶命させるのみ。



 耳に轟くのは獣のモノか、はたまた、ひとのモノかも分からぬような奇声。
 爛々とした瞳は、己以外のモノを狩らんとギラギラ鋭く輝いていて。
 此処に在る誰もが全て、『正気』という概念を失っている。
 ――ここは修羅の国か。
 織銀・有士郎(織りなす銀の一振り・f17872)は猛り狂う周囲とは逆に、あくまで冷えた心のまま。
 ぐるりと巡らせた瞳を、ふと細める。
「鬼のような狂気が周囲に満ちている……」
 まさに修羅の如く、そこかしこから肌で感じる殺意。
 けれど、有士郎は迷うことなく視線を向ける。
(「……が、こちらに向けられた殺意は一つ」)
『ギャギャ! ワタシト遊ビマショ!』
 天を翔けながら牙を剥かんとする、人魚のもの。
 けれどやはり有士郎の心が波立つことなどない。
 ――心を空に、殺意には殺意を持って応ずるのみ、と。
 だから、攻撃を待っている必要はない。
「……ただ、斬るのみ」
 刹那、修羅原の地を蹴って、殺意を撒く人魚へとすかさず零距離まで接近すれば。
 ――身体を、心を空にし、ただ一振りの刀として閃く刻を待つ……。
『ギャァッ!』
 研ぎ澄ました感覚は、まさに獣の如く。
 敵の動きを見切り、一瞬でも隙あらば容赦なく斬りつけるのみ。
 容赦のない正確な刃を人魚へと見舞ってやれば。
『ワタシモ、オ返シヨ!』
「……!」
 斬られながらもひらり空を泳ぐように舞っては、敵も牙を剥いてくる。
 そして、穿たんと繰り出された牙が掠った肩口から、じわり血が滲むけれど。
(「徐々に攻撃の精度が上がる……全てを見切るのは不可能か」)
 負った傷など今更大して気に留めず、敵の動きを確りと捉えてから。
「……避けきれんか、ならば」
 ――純粋な殺し合いだ、と。
 この身が倒れる前に、敵を斬り伏せ絶命させるのみ。
 そう有士郎はひたすら、やはり『正気』を失った視線を向けて。
 握る刃で、殺意向ける存在をただ斬るだけ。穿つよりも、早く。

大成功 🔵​🔵​🔵​

荻原・志桜
あ、あぁ……なんて、きれいなアカイロ
きらきらと輝く命の彩
一面に咲いた鮮やかな花のようだね
もっと、もっとみたいな

全てを染めて、あかく、赤く、血色(あか)く
我が血と魔力を対価に、まっかな花を
血色に染まる狂い裂きの桜を咲かせて!

滲み出てくる己の血と魔力
其れはしなやかな鞭のように絡めとり
花弁となれば切り裂く刃の如く舞わせて

ああ、アナタとても早いんだね
それじゃあ咲かせられない
ふふっ困ったなぁ

噛みつかれてもさして気にせずに
ただ敵を屠り、赤に染め上げたい欲求が突き動かす

ああ、痛い
いたい……でも摑まえた
離さない、アナタはどんなキレイな花をみせてくれるの?
ねえ、ほら咲かせてよ

ふ、ふふ、あははっ
とってもきれいだね



 ――なんて、心昂るいろなのだろう。
「あ、あぁ……なんて、きれいなアカイロ」
 それは、きらきらと輝く命の彩を帯びていて、思わずうっとりとしてしまう。
 だって……鮮やかに飛沫いたそれは、まるで。
「一面に咲いた鮮やかな花のようだね」
 荻原・志桜(春燈の魔女・f01141)はそう、お花畑にはしゃぐ子供の様に無垢にわらって。
 けれどそれだけでは飽き足らずに、お強請りをしちゃう。
 ……もっと、もっとみたいな、って。
 だから再び、志桜は咲かせようって、そう思う。
 ――全てを染めて、あかく、赤く、血色く。
「解放せよ、紅く、赤く、あかく。我が血と魔力を対価に、まっかな花を」
 ……血色に染まる狂い裂きの桜を咲かせて!
 滲み出てくる己の血と魔力。それはより一層、狂い咲きの桜魔女と化した少女の心を昂らせて。
 絡め取る様はしなやかな鞭のように、そして修羅原に踊る数多の花弁となれば。
 解放した血桜を志桜は天へと遊ばせる。鋭利に切り裂く刃の如く。
 けれど、瞳をぱちくり、ふと首を傾けて。
『ギャギャッ、楽シク遊ビマショ!』
「ああ、アナタとても早いんだね」
 泳ぐように天を翔ける人魚へと向けた円らな瞳を細め、呟くように零れ落とす。
 ――それじゃあ咲かせられない、って。
「ふふっ困ったなぁ」
 そして……どうしよっかな、なんて。
 楽しげに漏らした笑みを口元に宿していれば。
「……!」
 ガブリと噛みつかれ、鋭利な牙が肩にミシリと食い込んで。
 じわじわと生温かい赤が己を染める、そんな感覚を覚えるけれど。
 でも、そんなことを気にするよりも。
 狂い咲く桜魔女の心を今大きく突き動かすのは、箍が外れた衝動――ただ敵を屠り、赤に染め上げたい欲求。
 そして牙を立てられ、肉を引き千切られた感覚に、いたい……と口にしながらも。
 志桜は、ニイッと笑み宿したその口で紡ぐ。
 ……でも摑まえた、って。
『! ギャッ……!?』
「離さない、アナタはどんなキレイな花をみせてくれるの?」
 ――ねえ、ほら咲かせてよ。
 瞬間、再び咲き誇るのは、速く動くモノを無差別攻撃し続ける狂い桜。
 綺麗な自慢の鱗も、天翔けられるほどの立派な鰭も、全部ぜーんぶ。
 あっという間に、真っ赤っか。
「ふ、ふふ、あははっ。とってもきれいだね」
 志桜は楽しくなってゆく心のまま、ただひたすらわらい続け、咲かせ続ける。
 咲いては散ってゆく、べっとりと纏わりつく、きれいで残酷なアカイロを。

大成功 🔵​🔵​🔵​

シン・クレスケンス
【SPD】

貫け、断ち切れ、すべて殺し尽くせ―
そう頭の中で叫ぶのは、この腕に宿るツキの声か、己の闘争本能か。

互いに正気を失っている影響か、闇色の狼の姿が崩れ、本来の闇色の不定形の姿を露わにしたツキは僕を標的にしているようだ。
「その肉の器。魔力。魂。喰わせろ。クワセロ!」
脚に巻き付いて、へし折ろうと力を加えてくる。
ツキは正気を失っても歪み無いな。
「お断りだ」
【異界の剣】を突き立て脱すると、ツキを踏み台に跳ぶ。
「邪魔だ」
立ち塞がる人魚にも【剣】を振るう。
僕ごと人魚も噛み砕こうと襲ってくるツキの相手は一苦労だが、血が沸き立つ感覚は悪くない。

◆口調補足
普段は丁寧口調。
今は正気を失っている為、素の口調。



 もう、どっちのものかなんて、そんなことすら分からなくて。
 むしろ、どうだってよくなる。
 ……貫け、断ち切れ、すべて殺し尽くせ――。
 そう頭の中で叫ぶ声が、腕に宿るツキのものか、それとも己の闘争本能かなんて。
 そんなの、些細なこと。
 だって、シン・クレスケンス(真理を探求する眼・f09866)もツキも、とうに千切られているから。
 人であろうとする『正気』という鎖を。
 そしてシンの青い瞳に今映るのは、闇色の不定形な姿のモノ。
 いや……互いに正気を失っている影響か。
 それは、闇色の狼の姿が崩れ、本来の姿を露わにしたツキ。
 そんな闇色の標的は、勿論。
「その肉の器。魔力。魂。喰わせろ。クワセロ!」 
 刹那、脚にしゅるりと巻き付いて、へし折ろうと力を加えてくる。
 そう……ツキの狙いは、シン。
 けれどシンは、口元に薄っすらと笑み宿し思う。
(「ツキは正気を失っても歪み無いな」)
 とはいえ、脚を……いや、肉の器も、魔力も、魂も――どれも、持っていかれるわけにはいかないから。
「お断りだ」
 ――混沌よ、我が命に従い、立ち塞がりしモノを断て!
 瞬間、脱するべく纏わりつく闇へと容赦なく突き立てるのは、異界の剣。
 そしてツキを踏み台に、シンは大きく天へと跳ぶ。
『ァァァ、ワタシモ喰ライタイ……ギャアッ!』
「邪魔だ」
 立ち塞がる人魚にも、握る剣を振るって。
 そして再び、自分ごと人魚も噛み砕かんと襲ってくるツキ。
 そんな闇色を帯びたUDCの相手は一苦労であるけれど。
 でも、シンの口角はずっと、上がりっぱなし。
 だって――悪くないって、そう思うから。
 赤を飛び散らせ、飛沫くそれを浴びて。
 誰でも何でも、襲いくるものへと容赦なく剣を突き立てていく――この、血が沸き立つような感覚は。

大成功 🔵​🔵​🔵​

浮世・綾華
※類さん(f13398)

失われていく正気に抗う心が遥か
目の前を飛ぶそれを手に掛けることだけになる前に告げる
「――類さんも、飛んで」
共に、と
答えには満足そうに前を見

浮かばせる数多の鍵刀で浮遊
ゆらり舞うよな遅さは油断させる為

敵が攻撃を放つかの瞬間
一気に全てのそれを急上昇させ能力向上を止め

「いいねえ、さいっこうにやりやすい」

映る男が阻害する、弾く隙にと
浮かぶ刀以外のそれを絶え間なく放ち

普段なら考える最低限の身の安全も考えず
操ることに集中
受ける攻撃は厭わない

でも

炎は赤く、うつくしかったけれど
揺れるあんたの白に赤が散る光景に

穢されると、唯
そう感じたのは何故か

駆ける姿を目にそれを追いやって
もう一度、鍵刀を


冴島・類
※綾華さん(f01194)

数多の竜を斃した先に
今度の相手は海ではなく天を泳ぐ人魚か
飛ばれたら、どう落とそう?羽を斬るか…
聞く前にかけられた提案

それは素敵な案
微塵も迷うことなく、君の鍵刀に掴まり
浮遊感が楽しくて
「綾華さんが翼をくれるなら、僕はあの子を目一杯邪魔をしましょう」

瞳から花喚び、血に酔う人魚に向ける問いは
さぁ、僕らが何て乞えば満足するのか、教えて?
ご要望には添えない代わりに
その花蔓で、瘴気纏う翼を攻撃し行動阻害を
暴れ攻撃が来れば、薙ぎ払い弾き
落としきれない分を、受けるのは気にしない

が、放たれる合間に君と目が合えば笑み
反動つけ跳び、人魚を蹴り地へ落としに
まだまだ行けるさを君へ
言葉より雄弁に



 数多の屍竜を斃した先――ふと向けた視線は。
 動かなくなったモノたちが転がる地ではなく、むせ返る様な空気が渦巻く空。
『ギャギャッ、遊ビマショ!』
「今度の相手は海ではなく天を泳ぐ人魚か」
 冴島・類(公孫樹・f13398)は仰ぐ天を泳ぐそれを見遣り、そう声を落としながらも。
 尾鰭をぴちりと揺らしながらも地に降り立った敵を前に考えを巡らせる。
(「飛ばれたら、どう落とそう? 羽を斬るか……」)
 修羅原に降り立った時点で『正気』という概念は薄れてはいるけれど。
 逆に、敵を斃すための思考は冷静で。
 隣にいる彼に、どう処理すべきかを訊ねんと口を開けかけた……その時だった。
「――類さんも、飛んで」
 ……共に、と。
 耳に届いたのは、提案。
 浮世・綾華(千日紅・f01194)は分かっていたから。
 そのうち、目の前を飛ぶそれを手に掛けることだけになると。
 だから告げておきたかったのだ。失われていく正気に抗う心が遥か、さらに朧になって飲み込まれてしまうその前に。
 そして向けた赤にすぐに重なる緑のいろは、何処か楽し気で。
「それは素敵な案」
 微塵も迷ういろのない答えに、綾華は満足そうに前を見る。
 浮かばせる数多の鍵刀で、天へと飛ぶために――共に。
 ゆうらりゆらりと、舞うような速度で。
 そんな彼の鍵刀に掴まって天に舞えばふわり、浮遊感が楽しくて。
「綾華さんが翼をくれるなら、僕はあの子を目一杯邪魔をしましょう」
 類は天翔ける翼をくれたかわりに、彼にそう約束を。
 人魚は空を舞うふたりを翻弄するかのように、縦横無尽に飛び回るけれど。
 この嫋やかに舞うかの如き遅さは、相手を油断させる為。
 刹那、幽世の空に咲き開くは、類が喚んだ情念の花と、血に酔う人魚に向けた問いの言の葉。
「さぁ、僕らが何て乞えば満足するのか、教えて?」
 ――さあ、どうぞ続きを、と。そう紡ぎ促せば。
『何テ乞エバ……? フフ、死ニタクナイッテ、見苦シク命乞イナンテ素敵』
 ソシテ、酷ク引キ裂イテ殺シチャウノ! と。
 うっとりと邪悪ないろを宿す瞳を細める人魚。
 けれど勿論、そんな彼女のご要望には添えないから。
 かわりにあげるのは、邪心を養分とし喰らう根と本音を語る花。
 瘴気纏うその翼を捥がんと、花蔓を差し向ければ。
『ギャッ! ナニスルノ……!』
 翼を攻撃され微か揺らぎながらも、高い位置から人魚が牙を剥かんとした刹那。
『……!?』
 ――コレをこうして、こうな?
 さらにもっと、もっと天高く。
 一気に操っていた全てを急上昇させ、綾華が人魚の能力向上をすかさず封じれば。
 それでも向けられた牙や爪を、類は薙ぎ払い弾いてゆく。
「いいねえ、さいっこうにやりやすい」
 綾華の口元に浮かぶのは、笑み。
 そして映る男が阻害する、弾く隙にと絶え間なく放つ。
 浮かぶ刀以外のそれを、全部。
 鋭い牙? 引き裂くような爪? 心の蔵から生える棘?
 そんなもの……気になんて、しない。
 落としきれぬ鋭撃を受けることも厭わず、ふたりは天を泳ぐ人魚を堕とさんと容赦なく攻撃を仕掛けてゆく。
 いつもならば考える最低限の身の安全も考えず、ただひたすらに。
 けれどふと……でも、って。
 綾華の口からふいに、ぽろりと零れ落ちた声。
 だって、正気を徐々に手放してゆきながらも思うのだ。
(「でも――炎は赤く、うつくしかったけれど。揺れるあんたの白に赤が散る光景に」)
 感じたのは何故か、と――穢されると、唯。
 そして視線向ければ、再び己と相手のいろが、ぱちりと重なって。
 笑み向けられた瞬間、さらに翼を羽ばたかせるかのように、類は天高く飛び上がる。
 ――まだまだ行けるさ、って。
 翼をくれた君へ、言葉より雄弁に。
 人魚を地へと、蹴り落とすために。
 そんな駆ける姿を目に、それを追いやって。
 綾華も、翼にも刃にもなる黒き波動を……未知を、道を切り開く鍵刀を、もう一度。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

木常野・都月
【狐々】

暖カイ命ノ匂イ
暖カイ命ノ味
命ト言ウ精を
奪ッテ奪われ
食ッテ食われる

魚ノ様ナ、ヒトがいる
狐ノ様ナ、ヒトがいる
命ノ音、美味しい命の匂い

獣ト違ウ、獣の在リ方
獣ト同ジデ、獣と違う
コレが妖狐という獣ノ在リ方

吸われた分ハ、吸イ返ス
食われた分ハ、食イ返ス
ココには、命ガ、精が、溢レテル
美味イ美味イ、命ノ匂イ
美味い美味い、精の匂い

ココニ在ルノハ、只ノ獣
妖狐トイウ名ノ、飢えた獣

体の声ガ、体の悲鳴ガ
叫び過ギテ、少し静かニ感ジル
痛い、美味シイ、もっとモット

モット命ヲ
モット精ヲ

マダ動ク。マダ動ケル。
目ノ前ニ在ル命、モットモット!

駄目だ。このヒトから命を、精を、奪わせないで。
守るべきヒト。守りたいヒト。


クロム・エルフェルト
【狐々】
頭の芯が、熱い
粗暴な声に引きずられ
裡の蓋がまた開く
先程まで何を悩んでいたのやら
此処は黄泉路
此処は死の辻
空往く魚も地を奔る獣も
皆仲良く通りゃんせ……って、ね

さぁ、声を聞かせて
幼い私が上げた悲鳴を上回るほどの佳い聲を
斬って飛ぶ物数え上げ
一つ、鰭
二つ、尾
三つ、耳
あら?
血霞が煙る中では判別つかぬ
誰そ彼、彼は誰
構いやしない
斬られる方が悪いのだもの
精が欲しい?
いいよ、奪って
尤も
私に突き立てられるならば、の話だけど
あえかに嗤い、挑発するよう首筋晒す
牙食い込み裂かれる痛みすら愉しい、命の奪い合い
最早剣も技もどうでもいい
唯々血に酔い死に塗れ、此処で舞っていたい
嗚呼。でも
今、私と戦っている彼方は……誰?



 食い千切られ、食い千切って、肉を持っていかれては喰い返す。
 飛沫く血はドクドクと脈を打ち、鮮やかに熱を帯びて。
 けれど、どろりと纏わりついたそれは、すぐにどす黒く冷たいものに成り下がってしまう。
 だからこそ、考えただけで喉が鳴るほど、美味しいのだ。
(「暖カイ命ノ匂イ、暖カイ命ノ味。奪ッテ奪われ、食ッテ食われる」)
 命という、精は。
 食い千切った屍竜たちはもう、それをとっくに失っていて。
 だからもう、美味しくない。
 けれど、その九尾の狐――木常野・都月(妖狐の精霊術士・f21384)はピクリと耳を立てて。視線を巡らせ、向ける。
「魚ノ様ナ、ヒトがいる。狐ノ様ナ、ヒトがいる」
 ――命ノ音、美味しい命の匂い、って。
 そんな彼の見つめる先にある、また別の狐。
 ……頭の芯が、熱い。
 はぁっと漏らす吐息は熱っぽくて。ぐるりと思考が掻き乱される。
 そしてクロム・エルフェルト(縮地灼閃の剣狐・f09031)は修羅原の只中で、わらう。
「……先程まで何を悩んでいたのやら」
 粗暴な声に引きずられ、裡の蓋がまた開くのを感じながら。
 だって、此処は修羅原。
 此処は黄泉路。
 此処は死の辻。
 だから……皆仲良く通りゃんせ。
『ギャギャ、嚙ミ千切ッテアゲル!』
 煩く喚く空往く魚も、喉を鳴らす地を奔る獣も、みーんな。
 クロムは遊んでと逸るようにきばを剥く人魚へと薄く笑み返す。
「さぁ、声を聞かせて」
 ……幼い私が上げた悲鳴を上回るほどの佳い聲を、って。
 そして同時に、黒い獣も大きく地を蹴る。
 美味しそうな精の匂いを漂わせる獲物たちを喰らうために。
 いや、獣だけど獣ではないのだ。
(「獣ト違ウ、獣の在リ方。獣ト同ジデ、獣と違う」)
 都月は、そう――妖狐なのだ。
 そしてこれが、妖狐という獣の在リ方。
 そんな戦場に振るわれるのは、鋭き刀の閃き。
 クロムは昂る心とは裏腹に、冷静にひとつ、またひとつと数える。
 一つ、鰭。
 二つ、尾。
 三つ、耳。
 己の成した閃きで斬って、椿の如く赤を咲かせる飛沫とともに勢いよく飛ぶ物を。
『グァァアッ!』
「……あら?」
 けれどふと、こてりと首を傾ける。
 上がった声は、人魚のものか、はたまた獣のものか、ひとのものか。
 ……血霞が煙る中では判別つかぬ、と。
 でもそんなの、どうだっていい。
 ――誰そ彼、彼は誰。
「構いやしない。斬られる方が悪いのだもの」
 天を翔ける人魚は牙を剥き齧りつき、地を駆ける黒狐は精を求め、刃閃かせる女狐は斬って飛ばして数えて遊ぶ。
「吸われた分ハ、吸イ返ス。食われた分ハ、食イ返ス」
 ――ココには、命ガ、精が、溢レテル。
 そう鼻をひくりと動かせば……美味い美味い、命と精の匂い。
 都月はそんな匂いに酔い痴れる様に、再び喉を鳴らす。
(「ココニ在ルノハ、只ノ獣。妖狐トイウ名ノ、飢えた獣」)
 だから、その飢えを満たしたい……そう思うのは、生きるものの正しい思考だ。
 それに、何だか齧りつかれて肉を持っていかれたり、鋭い閃きで斬られたりしていて。
 でも奪い返して、啜り返して。けれど、それでも。
(「体の声ガ、体の悲鳴ガ。叫び過ギテ、少し静かニ感ジル」)
 それでも、完全に満たされぬ飢え。
 都月は駆け巡る衝動のままに紡ぐ――痛い、美味シイ、もっとモット、と。
「モット命ヲ、モット精ヲ」
 その声に、クロムはそっと瞳を細め、微か首を傾げて。
「精が欲しい? いいよ、奪って」
 ふっと口角を上げれば、閃きを手に、続ける。
「尤も、私に突き立てられるならば、の話だけど」
 あえかに嗤って。そして挑発するように晒すのは、細くしなやかな真白の首筋。
 そして彼女から迸るのは、精の、命の匂い。
 だから、爛々と見つめる瞳を一層輝かせて。
「マダ動ク。マダ動ケル」
 ――目ノ前ニ在ル命、モットモット!!
 猛り狂い、一等美味しそうなその首筋に、都月は牙を立てる。
 喰らうために、奪うために。だって自分は、妖狐という獣なのだから。
「……ッ、!」
 瞬間、飛び掛かられ、ググッと容赦なく食い込む牙。
 そして引き裂かれ飛び散るのは、熱を帯びた赤。
 けれどそれでも、クロムは嗤っていた。
 だって、愉しいんだもの。こんな命の奪い合いが。
 だからもう最早、剣も技も、どうでもいい。
 ……唯々血に酔い死に塗れ、此処で舞っていたい。
 そしてもう、己のなのか他のモノのなのか、分からない赤に塗れながらも。
(「嗚呼。でも――」)
 クロムはふと瞳で捉えた彼を見つめ、思う。
 ――今、私と戦っている彼方は……誰? って。
 そんな、自分をじっと見つめるいろに気付いて、都月はハッと大きく瞳を見開いてしまう。
 此処は修羅原、皆等しく『正気』を失う場所。
 けれど……奪われるものは、ただそれだけだから。
 都月は生温い赤に塗れながらも、ふるりと首を大きく横に振る。
 ……駄目だ、って。
(「このヒトから命を、精を、奪わせないで」)
 だって、正気を失っても、都月にはわかるから。
 その喉元に牙を突き立て、精を奪い合っているこのヒトは。
 そう、自分にとって――守るべきヒト。守りたいヒト。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

朱赫七・カムイ
⛩狂櫻

そうしてお前は奪っていくのか
私から、唯一の愛し子を
私の存在意義を、約束を
サヨは私だけの巫女なのに──神斬!!
過去の己に打ち据えられて、不甲斐なさと口惜しさに狂いそうだ

傷ついたきみに縋る
こんな様、情けなくて誰にも見せられないのに
ねぇ、サヨ
どうしたら私は、きみの神になれるのだろう?
そんなふうに私を煽る
望み通りに愛を示してやろうか
いっそ此処で隠して仕舞おうか
きみの魂を私に縛り付けて

噫、チオリ
そうしようと思っていた所だ
そなたであっても邪魔はいけない

五月蝿い
喚く人魚を斬撃派でなぎはらう
今は例え人魚だってあの子の瞳に映したくない
私の巫女に寄るなと切断し
競い合うよう駆ける二人に続く

弱い己ごと斬るように


誘名・櫻宵
🌸狂櫻

黒桜が散り去って
名残惜しげに伸ばした手の先に一雫
甘い赫が零れるばかり

あまやかな痛みは灼けるような戀を教えてくれる
斬られた熱が、あなたの愛を刻んでくれる
甘くて美味しかぁいらし
傷ついた私より、私の神様の方が痛そうで嬉しいわ
ならもっと愛を頂戴
私を刻んで頂戴
未来永劫代わりなんて探せないくらいに
私だけを見ていればいい

あら、千織も遊びに来たの
堕ちる程に愛されたら本望よ
でもカムイを傷つけていいのは私だけ─と、騒がしいわね

あら!人魚?
あの子とは全然違うけど、食べてみたかったのよ
斬って裂いて咲かせて愛してあげる
衝撃波で薙ぎ払い、命を喰らって桜を咲かす
千織、独り占めはいけないわ


うふふそう
まだ遊び足りないわ


橙樹・千織
狂櫻

もう、おわり?
…つまらない
まわりに散らばるあかと首
見下ろす瞳は冷え切って

…?何か、他にもいる?
どこかで聴いた音

あぁ、誰かと思えばカムイ…
幼い神様は何を叫いているの?
奪われたくないなら先に獲ればいいのに
その刃は繋がりは何のためにあるの
強くなりなさいな

櫻宵は…随分とボロボロね
ねぇ、櫻宵
貴方がちゃあんと“彼”を見てあげないと
また堕ちてしまうわよ?

あら…ふふふ
面白そうなのが来た
ね、そこの醜い魚
私とアソビましょ
新しい獲物を見つけた、と嗤い
人魚の翼を切断するように藍焔華を振り下ろす

ふふ
愛し愛され羨ましい
でもだめよ
まだ隠してはだめ
だって私も櫻宵とあそびたいもの

もっともっと
あそびましょう?



 修羅原に咲き誇り、そして散り去った黒桜。
 そして……噫、と。漏れる熱い吐息と共に、ぽたりと。
 名残惜し気に伸ばした手の先に咲く一雫。
 そんな酔い痴れる程の甘い赫は、零れるばかりで。
 うっとりと黒桜のいろを残す誘名・櫻宵(爛漫咲櫻・f02768)の花霞の瞳を見れば、朱赫七・カムイ(約倖ノ赫・f30062)の心は乱れ荒ぶ。
「……そうしてお前は奪っていくのか。私から、唯一の愛し子を。私の存在意義を、約束を」
 ……サヨは私だけの巫女なのに、と。
 ふるり首を振ったカムイは、朱砂の彩に嫉心のいろを宿して。
 渦巻く嵐を抑えることなんて、もうできないから。
 ――神斬!!
 そう、打ち据えられている過去の己の名を口にする。
 ……噫、私だけの巫女なのに、唯一の愛し子なのに。
 ぐっと、心の中に生じる嫉みに泣きそうになりながら、ただ唇を噛むことしかできない。
 ――不甲斐なさと口惜しさに狂いそうだ、って。
 そんな神と愛し子と同じく、今、この修羅原に在るのは。
「もう、おわり?」
 ……つまらない、と。
 見下ろし冷え切った瞳で、まわりに散らばるあかと首を見遣った後。
 ぴくりと、刹那反応を示す獣耳。
「……? 何か、他にもいる?」
 どこかで聴いた音を、掬い上げて。
「ねぇ、サヨ。どうしたら私は、きみの神になれるのだろう?」
 こんな様、情けなくて誰にも見せられないって、その思うのに。
 でも、傷ついたきみに縋るしかできなくて。
 こたえをどうしてもしりたくて。
 ただひとりの、きみの神になりたくて。
 そんなカムイの姿に、櫻宵はくすりと笑み咲かせて。
「傷ついた私より、私の神様の方が痛そうで嬉しいわ」
 ――甘くて美味しかぁいらし。
 そう己のあかに染まった掌を、愛しげに伸ばす。
 だって、教えてくれるから。あまやかな痛みは、灼けるような戀を。
 斬られた熱が、あなたの愛を刻んでくれるから。
 そしてそう咲う櫻宵に、カムイはちらりと視線を向けて。
「またそんなふうに、私を煽る」
「ならもっと愛を頂戴。私を刻んで頂戴。未来永劫代わりなんて探せないくらいに」
 返る言の葉に、ふっと己の巫女だけを映した朱を細める。
「望み通りに愛を示してやろうか。いっそ此処で隠して仕舞おうか」
 ……きみの魂を私に縛り付けて、と。
 それを聞けば、一等咲き誇る櫻宵の愛し気な微笑み。
 だって――私だけを見ていればいいって、そう思うから。
 そしてスラリと抜かれた刃が、再び何度でも、愛を刻むべく閃かんとした刹那。
「あぁ、誰かと思えばカムイ……」
 ひらりと音を辿ってやって来た千織は、こてんと首を傾ける。
 ――幼い神様は何を叫いているの? って。
 それからふたりを交互に見遣り、カムイの握る刃に瞳を細め紡ぐ。
「奪われたくないなら先に獲ればいいのに。その刃は繋がりは何のためにあるの」
 ……強くなりなさいな、って。
 まるでこどもに言いきかせるかのように、ころりと笑んで。
 そんなわらう彼女の姿に、カムイはその顔を上げ、こくりと頷いてから。
「噫、チオリ。そうしようと思っていた所だ」
 小さく首を傾け、こう続ける。
 ――そなたであっても邪魔はいけない、と。
 そして櫻宵も、よく見知ったその顔に咲く、いつもとは違う笑みにわらって。
「あら、千織も遊びに来たの」
「櫻宵は……随分とボロボロね」
 あかに塗れた彼の姿を見遣った後。
 ……ねぇ、櫻宵、って。
 その耳元で、ナイショ話をするように囁く。
「貴方がちゃあんと“彼”を見てあげないと、また堕ちてしまうわよ?」
「堕ちる程に愛されたら本望よ」
 でもカムイを傷つけていいのは私だけ――千織の言の葉に、そう返そうとした、その時。
『ワタシモ、仲間ニイレテ頂戴ナ!』
「と、騒がしいわね」
「あら……ふふふ、面白そうなのが来た」
 天を仰げば、そこには空を泳ぐ人魚の姿が。
 そして同時に、千織と櫻宵は声を上げる。
「ね、そこの醜い魚。私とアソビましょ」
「あら! 人魚? あの子とは全然違うけど、食べてみたかったのよ」
 ……斬って裂いて咲かせて愛してあげる、って。
 けれど、新しい獲物を見つけた、と嗤って。
 握る藍焔華の閃きを、嬉々と人魚へと振り下ろす千織。
 人魚の翼を切断し、捥いで、地へと這いつくばらせんと。
 そして先を越された櫻宵も、負けじと刃を振るう。
「千織、独り占めはいけないわ」
 衝撃波で薙ぎ払い、その命を喰らって。満開に桜を咲かす。
 そんな競い合うよう駆ける二人に続いて。
『グ、ギャアァァ!!』
「五月蝿い」
 喚く人魚を、カムイは斬撃波でなぎはらう。
「私の巫女に寄るな」
 だって、嫌だから。
(「今は例え人魚だってあの子の瞳に映したくない」)
 まるで穢れを祓うかのように、容赦なく煩いソレを刃で薙ぐ。
 弱い己ごと、斬るように。
 そんなカムイを見て、千織は楽しそうに笑む。
 試しに、天高くから剥かれた人魚の牙をその身に受けてみたりしたけれど。
 でもそれも思ったより楽しくなくて、逆に藍焔華で適当に刻んでやりながらも。
「ふふ、愛し愛され羨ましい」
 あの煩い人魚なんかよりも、ずっとずうっと面白そうだから。
 千織は、カムイへと紡ぐ――でもだめよ、って。
「まだ隠してはだめ。だって私も櫻宵とあそびたいもの」
 そんな千織の声に、櫻宵も笑み咲かせて。
「うふふ、そう。まだ遊び足りないわ」
 ふたりで無邪気に、狂櫻の華を満開に綻ばせる。
 ――もっともっと、あそびましょう? って。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

逢坂・宵
ザッフィーロ(f06826)と

ああ、ああ 楽しい、嬉しい、心地いい
同時にかれに向かい魔の手を迫らせる敵が許せない
かれは僕のものです
ヤドリガミたるこの身でともに添い遂げると、誓った伴侶です
それを手にかけようとするなど……
覚悟はおありですね?

ゆるり微笑んで、敵を【ハイ・グラビティ】で攻撃して動きを止めんと試みましょう
腕を振り抜いたなら、敵へと拳にて撃ち抜きます
ひとつ、ふたつ、みっつ
拳に伝わる衝撃と感触が新鮮で、不思議と笑みがもれるでしょう

かれは僕の星
行く道を照らす天狼星
ああ、ああ 正気を失ってもなおそのあざやかな髪とまなざしに惹きつけられる―――


ザッフィーロ・アドラツィオーネ
宵f02925と

これが宵を奪い去らんとする元凶かと
殺意の滲む瞳を敵へと向けつつ【狼達の饗宴】炎の狼達を呼び出そう
宵を連れ去れさらんとするのならば狼で守り、そしてその前に全て、焼き尽くせば良いのだろう?
そう狼達で宵を守り、そして敵へ嗾けながら地を蹴り『怪力』を乗せたメイスを振おうか
正気を失ったとて、宵の姿だけはわかるゆえ敵の攻撃は『かば』わんと試みようか
俺の肉?その様な物は気にするものか
宵を守れるならば、連れ去らせぬ為ならば腕の一つや二つくれてやるゆえに
そう狂気に似た炎を宿しながらも、笑みと共に敵へ拳を振るう宵を見れば庇わんとしつつも見惚れてしまうやもしれん
ああ。本当に俺を導く星は美しい、な



 やっと、ようやく……愛しい人を狙う敵の群れを、叩き潰したというのに。
『ギャギャッ! 噛ミツイテ、千切ッテアゲル!』
 現れたのは、そう啼きながら天翔ける人魚。
 そんな天翔人魚が舞う天を仰ぎながら。
「これが宵を奪い去らんとする元凶か」
 ザッフィーロ・アドラツィオーネ(赦しの指輪・f06826)の銀の瞳に滲むのは、殺気。
 そして憤りの感情のまま、修羅原へと喚ぶ。
 身の穢れが滲む、血肉を喰らわんとする炎の狼たちを。
 敵の狙いは、己のすぐ隣に在る、逢坂・宵(天廻アストロラーベ・f02925)。
 けれどそうはさせない、宵を連れ去れさらんとするのならばと。
 ザッフィーロは狼で彼を守りながらも、口元に薄ら笑みを宿し紡ぐ。
「その前に全て、焼き尽くせば良いのだろう?」
 敵が宵を連れ去るべく狙っていると……そう正気を失った思考で、思い込んだまま。
 狼達で宵を守り、そして敵へと炎の獣を嗾けながら。
 ザッフィーロも刹那、大きく地を蹴って。
『ギャアアッ!』
 怪力を乗せたメイスを、人魚へと全力で振り下ろす。
 決して奪わせぬという衝動に従って。
 そして、ザッフィーロに全力で守られながらも。
 ――ああ、ああ 楽しい、嬉しい、心地いい。
 竜どもへと捻じ込み、潰し殴り倒した拳の感覚に酔う様に。
 宵は、うっとりと星纏う瞳を細めてから。
 ふと視線映した先の人魚へと、こう言い放つ。
「かれは僕のものです」
 だって、敵の群れを叩き潰したことは楽しかったけれど。
 でも許せないから。かれに……ザッフィーロに向かい、魔の手を迫らせる敵の存在が。
 そして宵は、人魚へと視線を向けて続ける。
「ヤドリガミたるこの身でともに添い遂げると、誓った伴侶です」
 ――それを手にかけようとするなど……覚悟はおありですね? って。
 ゆるり微笑んで、ぐっと拳を握りしめて。
 かれへと噛みつかんとする人魚へと、地面に押さえつける不可視の重力波を放った後。
 腕を振り抜いた瞬間、強烈な拳が敵の身を撃ち抜く。
 そして……ひとつ、ふたつ、みっつ、って。
 叩き込んだ拳の数をかぞえながら、握りしめたその手に伝わる衝撃と感触が新鮮で。
 ふふふ、っと不思議と笑みを零してしまう。
 だって、何も考えずにただ相手を殴り飛ばすのが、すごくたのしいから。
『ググ、グギャッァ!』
 けれど人魚もすかさず、宵へと反撃の牙を剥くけれど。
 咄嗟に割って入るのは、ザッフィーロ。
 正気を失ったとて、確りとこれだけは分かるから。愛しい宵の姿だけは。
 だから人魚の牙から彼を庇い、噛みつかれた腕の肉を引き千切られもっていかれるけれど。
(「俺の肉? その様な物は気にするものか」)
 腕の一つや二つくらい、くれてやる。
 宵を守れるならば、連れ去らせぬ為ならば、と。
 此処は、修羅原。誰もが『正気』を失い、衝動のまま暴れる修羅と化す場所。
 だからザッフィーロも、狂気に似た炎を滾らせ宿しながら。
 人魚目掛け一気に距離を詰めんと地を蹴った宵を見て、己も大きく跳躍する。
 笑みと共に敵へと嬉々と拳を振るうそんな彼を庇うために。
 そして思わず、目を奪われ見惚れてしまう。
 ――ああ。本当に俺を導く星は美しい、な……と。
 まるで星のようにキラキラと無邪気に瞳を輝かせる彼の姿を、見つめる銀のいろだけに閉じ込めて。
 そんなザッフィーロに、宵も美しい微笑みを返す。
(「かれは僕の星。行く道を照らす天狼星」)
 いや、宵にだってわかっているのだ。
 今の自分が正気を失っていて、イカれていることくらい。
 けれど、それでも。
 宵は自分を守る天狼星から、見つめる瞳を離すことができない。
 だって――ああ、ああ 正気を失ってもなお、思わずにいられないから。
 ……そのあざやかな髪とまなざしに惹きつけられる――って。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

葬・祝
【怨腐れ】
やですよ、ハイタッチだか何だか知りませんけどその血塗れ毒塗れで近付かないでください

少しでも傷を付けた所か腐らせ飢えさせ貶めましょう
ふ、あははっ、ちょっとたのしくなって来ましたね
正気を失うと知っていながら理性は残るなんて可笑しな話、全て放り出した方がたのしいですよ
ちょっと流れ弾が行っても許されますよ
だって、どうせ此処に居るのはりゅうこだけですもの
ね、お強いお強い竜神さまがただの悪霊に害される道理も無し
私の方が気を付けないと、腕の一本や二本持って行かれそうですよ

っ、ほらこうなる
まあ、どうせ此方も死なないですしあとで治るんですけど
この大雑把を見ると無性に腐れ落ちろと言いたくなるんですよ


片稲禾・りゅうこ
【怨腐れ】

ふ~ん、まあ死んじゃえば竜でもこんなもんかあ
さ、次の獲物を獲りに行こうぜ!
……え?なんだよその顔
ハイタッチだぞ、ほら、いえ~いって
え~~~このぐらい別にいいじゃんかあ

さ、次はこの槍で仕留めてやろうとも
ところかまわず大きく振りかぶって
そお~~~~れっ!!!
あ、はふり?
いやいやそんなところにいる方が悪いじゃないか
も~~~うるさいなあはふりは
一緒に吹っ飛ばしちゃうぞ~~~~

うわっちょっとおい!何するんだはふり!
ああ~~~もう!!面倒くさい!!
全部まとめて吹っ飛ばすぞ!!!



 あんなにわらわら沢山いたはずの、屍竜たちだけれど。
 今は全て、腐れてぐちゃりと潰れた、動かぬただの肉片と化して。
 それもすぐに、本来在るべき躯の海へと、跡形なく消えてゆく。
 そんな屍竜の群れを残らず叩き潰した修羅原を、ぐるりと見回した後。
 首をこてりと傾けてから。
「ふ~ん、まあ死んじゃえば竜でもこんなもんかあ」
 片稲禾・りゅうこ(りゅうこさん・f28178)は、張り切って掌を掲げる……のだけれど。
「さ、次の獲物を獲りに行こうぜ! ……え? なんだよその顔」
「やですよ」
 すかさず返って来た葬・祝(   ・f27942)の言葉と、いかにも嫌そうな表情に、もう一度首を傾げてから。
 もう一度、掌を彼へと突き出してみたものの。
「ハイタッチだぞ、ほら、いえ~いって」
「だから、やですって。ハイタッチだか何だか知りませんけどその血塗れ毒塗れで近付かないでください」
「え~~~このぐらい別にいいじゃんかあ」
 きっぱりと断固拒否されるハイタッチ。
 そんな祝に、ぶーぶーと文句を言いながらも。
『マタ新シイ子、見ィツケタワ!』
「さ、次はこの槍で仕留めてやろうとも」
 ギャギャッとわらい天翔ける人魚目掛け、りゅうこは大きく振りかぶる。
 ――そお~~~~れっ!!!
『ウ、ギャアアッ!』
 ところかまわず、シュドッと……強烈な槍による突きを。
 そして得物をぶん回し串刺しにせんと放たれた突きが、人魚の身体に傷をつければ。
 ――ふふ、もう手遅れですね。
 すかさず祝が見舞うのは、腐り落ちて行く傷痕と急激な飢餓感。
 少しでもりゅうこが傷を付けた所から、腐らせ飢えさせて、貶める。
 それから、堪らず呻き、顔を歪めて喚く人魚をじぃと見遣れば。
「ふ、あははっ、ちょっとたのしくなって来ましたね」
 ……正気を失うと知っていながら理性は残るなんて可笑しな話、なんてわらって。
「全て放り出した方がたのしいですよ」
「うわっちょっとおい! 何するんだはふり!」
「ちょっと流れ弾が行っても許されますよ。だって、どうせ此処に居るのはりゅうこだけですもの」
 人魚だかりゅうこだか、もう誰なのかいちいち確認することなんてやめて。
 片っ端から腐り落として、不慮を撒き散らす祝。
 そして、そんないきなりの無差別攻撃に声を上げたりゅうこに、楽し気に笑む。
「ね、お強いお強い竜神さまがただの悪霊に害される道理も無し」
 ……私の方が気を付けないと、腕の一本や二本持って行かれそうですよ、って。
 そんな、攻撃の手を緩める気なく遊びはじめた祝に。
「ああ~~~もう!! 面倒くさい!!」
 ――全部まとめて吹っ飛ばすぞ!!!
 りゅうこももう考えるのをやめて、シュドッ!!
 全力で強烈な突きをどーん! と豪快にぶつけ、周囲の景色を消し飛ばし破壊する。
 そんなりゅうこの繰り出した衝撃に。
「……っ、ほらこうなる」
 巻き込まれ、ぼたりと肉を抉られた祝は、瞳を細め零す。
 そして、そんな向けられた視線と声に、ふるふると首を横に振って。
「あ、はふり? いやいやそんなところにいる方が悪いじゃないか」
「まあ、どうせ此方も死なないですしあとで治るんですけど」
「も~~~うるさいなあはふりは。一緒に吹っ飛ばしちゃうぞ~~~~」
 りゅうこは口の減らない彼の言葉を遮るように、もう一度――シュドーンッ!!
 そんな、お強いお強い竜神さまの暴れる様子を見遣りながらも。
 祝はわざとらしく溜息をついてみせる。
 ――この大雑把を見ると無性に腐れ落ちろと言いたくなるんですよ、って。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ロキ・バロックヒート
【赫戯】

折角の疵を癒しちゃうの?
まぁいっかもっと遊べるなら

ねぇねぇお願い聞いてくれる?
――ふたりを食べちゃいたいなぁ
私の手はなんにも持っていられないけど
食べてしまえば私のものだから

食べるのは肉体だけとも限らない
ずぅと視えてる君たちの魂
一度は味わってみたいと思ってたんだ
ちょっと齧らせて

【UC】の獣を呼び出してヴォルフくんを喰らう
少し苦くて癖になる味
ヴォルフくんの手も避けない
神様を躾られるならやってみなよ
握り潰されてもあがるのは吐息めいた甘い悲鳴

千鶴くんを噛むのは口で
血が滲むほど噛む
でも罰はこれぐらいじゃ足りないよね
獣から獲物を掻っ攫うみたいに
君にも影の獣で食らってあげて
もっと罪を重ねなよと囁くの


ヴォルフガング・ディーツェ
【赫戯】
負った傷は「薬品調合」した霊薬を空に放り、2人諸共自分も支障がない程度に癒す
さあ、もっと殺し合おうじゃないか!

可愛い小猫は甘噛みを所望かい?なら期待に応えないと
上がる血飛沫、食い込む牙
魂が苦い?良かった、甘ったるい生き方はしていないからね
だが…おいたには躾だ
【指定UC】で変化した魔獣の手で優しく掴んで、力強く握り潰そう

勿論千鶴も仲間外れにしやしないさ
君は俺の尻尾、好きだよね?
その体に巻き付けてじわじわ締め付けて、骨が軋む振動を聞き惚れよう
千鶴の攻撃も受け止める、君の牙を愛でてあげるよ

無粋な人魚は仕方ない…殺すか
空いた右手で「全力魔法」「多重詠唱」で魔術行使
死と氷のルーンで地に落とそうぞ


宵鍔・千鶴
【赫戯】

潰れたものが
開いた孔が癒えてく
号令と共に歪んだ嗤い
此の儘でも良かったのに
でも本気のきみ達と、また遊戯べる

ロキに食べられて、ロキの一部に成る?
噫、なんて甘美な御誘い
人形の如きいろのない顔でこてりと傾ぐ
俺の魂が、神様のくちに合うのかな

ヴォルフの尻尾が躰を這い
きつく軋む程締め上げられて呼吸も浅く
きみの尾を傷つけたくは無いなあ
【UC】の鋏で背後から貫いて
ああ、ほら、青薔薇が赤薔薇に
綺麗に咲いた

血の馨りに酔い痴れれば
ぽたり、囚われた口から滴り滲む赫に
嬉しそうに
あは、よく理解ってるねロキ
未だ罰は足らない、もっと荒っぽくして
影の獣が魂ごと喰らうなら
内側から喰い破って
ねえ、きみの血を啜って好いかな



 修羅原に足を踏み入れたモノは暴力衝動のまま、血に酔い痴れるというけれど。
 失う概念は『正気』だけ、あとはそのままだから。
 ヴォルフガング・ディーツェ(花葬ラメント・f09192)が空に放るのは、薬品調合した霊薬。
 先程まで、派手に刺し合ったり潰し合ったり抉ったりした仲だけれど。
 ……潰れたものが、開いた孔が癒えてく、って。
 宵鍔・千鶴(nyx・f00683)は、霊薬の効果を己の身を以って実感して。
「折角の疵を癒しちゃうの?」
 同じくヴォルフガングの癒しを受けながら、ちょっぴり残念そうに紡ぐロキ・バロックヒート(深淵を覗く・f25190)だけど。
 でも……やっぱり、イカれていることには違いないから。
「さあ、もっと殺し合おうじゃないか!」
 ヴォルフガングがそう、高らかに声を上げれば。
 歪んだ嗤いを彼へと向け、千鶴は紡ぐ。
「此の儘でも良かったのに」
 いやむしろ、支障がない程度に癒す行為の方が、正気ではないのかもしれない。
「まぁいっかもっと遊べるなら」
「でも本気のきみ達と、また遊戯べる」
 だって、また存分にヤリ合えるってことだから。
 だからロキは、無邪気にふたりへと蜜色の瞳を向けて。
「ねぇねぇお願い聞いてくれる?」
 そのいろと同じ様に、甘えるように紡ぐ。
 ――ふたりを食べちゃいたいなぁ、って。
「私の手はなんにも持っていられないけど、食べてしまえば私のものだから」
 いや、その肉体も美味しそうなんだけど……食べるのは肉体だけとも限らない。
 そしてロキは、嬉々とふたりを交互に見遣る。
「ずぅと視えてる君たちの魂、一度は味わってみたいと思ってたんだ」
 ……ちょっと齧らせて、って。
 まるで、あまくておいしいお菓子を強請る子供のように。
「ロキに食べられて、ロキの一部に成る?」
 千鶴はそんなロキのお強請りに、きょとりとするも。
 すぐに、笑み咲かせる――噫、なんて甘美な御誘い、なんて。
 でも再び、人形の如きいろのない顔でこてりと傾ぐ千鶴。
「俺の魂が、神様のくちに合うのかな」
 それは、味わってみてからのおたのしみ。
 ロキは口元に笑みやどしてから――逃げてもだぁめ、と。
 魂を喰らう歪な影の獣を嗾け、まず喰らわんと牙を剥いた相手はヴォルフガング。
「……!」
 刹那、折角癒した身体に、再び血飛沫が上がって。
 ググッと深く鋭く食い込む獣の牙。
 そんな歪な影の獣の牙を受けながらも、ヴォルフガングはわらってみせて。
「可愛い小猫は甘噛みを所望かい? なら期待に応えないと」
「ヴォルフくんは、少し苦くて癖になる味」
「魂が苦い? 良かった、甘ったるい生き方はしていないからね」
 己の魂の味の感想を述べるかみさまの声に、より一層わらう。
 けれどいきなり齧りついて食べちゃおうとするような、そんな悪戯っ子には。
「だが……おいたには躾だ」
 メッと、躾しなきゃいけないから。
 お仕置きは、魔力を高め展開する『魔狼の祝彩』で。
「神様を躾られるならやってみなよ」
 そうくすりと笑む彼を、魔獣の手で優しくヴォルフガングは掴んでから。
「! ……ぁ、はっ」
 刹那上がるのは、色々なところが砕かれる鈍い音と、吐息めいた甘い悲鳴。
 避ける気のないロキの身体を、ヴォルフガングは力強く握り潰してあげる。
 そしてヴォルフガングは、千鶴にもあげる。
「勿論千鶴も仲間外れにしやしないさ」
 ……君は俺の尻尾、好きだよね? って。
 魔狼の祝彩纏う尾を、細く華奢にみえるその体に巻き付けて。
「……ッ」
 じわじわ締め付けながらも、楽しみにするように、ぴこりと立てた耳を澄ませる。
 ミシミシと骨が軋む振動に、聞き惚れるために。
 そして容赦なく締め上げられ、は、と落ちる呼吸も浅くなりながら。
「……きみの尾を、傷つけたくは無いなあ」
 ふっと千鶴がそう笑み零せば――裁ち切って、もう一度咲かせてよ、って。
「――!」
 ヴォルフガングを刹那、背後から貫くのは、血腥い修羅原に舞う青薔薇。
 そしてその青薔薇――毒蔦絡む小型鋏たちは、彼を飛沫く赤に染め上げて。
 千鶴は昏い紫の双眸にも咲いたいろに、わらう。
「ああ、ほら、青薔薇が赤薔薇に」
 ――綺麗に咲いた、って。
 そして、ロキの獣のものだけでなく、千鶴の牙も愛でて受け止めてあげながらも。
『ギャギャ、血ィ! モット血ヲ見セテ!』
 天を翔け、喚く人魚へとちらり、ヴォルフガングは視線を向けて。
「無粋な人魚は仕方ない……殺すか」
 多重詠唱し、空いた右手で全力の魔術行使を行なえば。
『……! ギャアッ』
 人魚を地へと叩き落とさんと成されるのは、死と氷のルーン。
 そんなヴォルフガングに、無粋な人魚の処理を丸投げして。
 ロキが次に楽しむのは、千鶴の味。
 刹那、あーんと大きく己の口を開けて。
「……ッ!」
 千鶴を思い切り噛むロキ。血が滲むほどに、噛んで。
「でも罰はこれぐらいじゃ足りないよね」
 影の獣でも食らってあげる。獣から獲物を掻っ攫うみたいに。
 そして熱っぽい吐息に乗せ、揺らぐその耳元で囁いてあげる。
 ――もっと罪を重ねなよ、と。
 そんな血の馨りに酔い痴れ、ぽたりと。
「……あは、よく理解ってるねロキ」
 囚われた千鶴の口から滴り滲むのは、赫のいろとわらう声。
 だって、かみさまのいうとおり。
 未だ罰は足らない、だからもっと荒っぽくして、って。
 影の獣が己の魂ごと喰らうというのなら。
 その内側から喰い破って……千鶴はぺろりと、舌舐りを。 
 ――ねえ、きみの血を啜って好いかな、って。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

久澄・真
【源平碁】

実てめぇコラ
さっき俺の獲物横取りしただろ
あの頭は俺が狙ってたんだよしっかり掴んでただろうが
それを横からふざけた叫び声上げながら潰していきやがって
肉の破片顔にかかったわ汚ねぇ

互いに血塗れ肉塗れ
ゲームで遊ぶ子供の様に只々難癖付け合って
それ以上も以下も無い

とにかくさっきのはノーカンだ
勝負は俺の勝ち
ア゛?2体多く潰したわ
デカさじゃなくて数競ってんだろうが
いい加減負け認め…

──ウルセェな

大きく開かれた口に血糸を巻き絞めて
今話してんだろうがテメェの目は飾りか?ア?
役立たずの目なら俺がくり抜いて…

言いかけた所に片割れの攻撃喰らい
顔面に飛び散る敵の血

……実

殺す

この場、この時すら
兄弟喧嘩の延長に過ぎず


久澄・実
【源平碁】

ハ。
何じゃあまーちゃん、なんぞ文句でもあるゥ? 

片割れに口火を切られれば
問い返す言葉とは裏腹に
満更でも無い様子でニタァと嗤って

横取りは意図的
敢えて耳障りな声を上げたのも
肉片を飛び散らせたのも故意

だーって、なァ?
そしたらまぁちゃん、絶ェッ対に怒るじゃろ
ワシな、前からずーっと……なーんも考えずにスッカラカンになったまーちゃんと、喧嘩したいなァ思うとったんよ

なーに寝惚けたコト言うとんの
どォ見たってワシの勝ちじゃったろ?
ハ、あんな小っさいヤツ数に入らんて
度量まで小そう見えるで、“真ちゃん”?

巻かれた血糸は咬み千切り
勢いのままに片割れの顔面へ頭突きを喰らわす

──エエよォ。存分に殺してみィや



 潰しても湧いて出る屍竜を、また潰して。
 競い数えながらも、その全てをただの肉片にかえた後。
「実てめぇコラ、さっき俺の獲物横取りしただろ」
 口火を切ったのは、久澄・真(○●○・f13102)の方であった。
 そんな片割れの抗議に、ニタァと嗤って。
「ハ。何じゃあまーちゃん、なんぞ文句でもあるゥ?」
 問い返す言葉とは裏腹に、満更でも無い様子で言い返すのは、久澄・実(●◯●・f13103)。
 真はそんな実へと、更に言い連ねる。
「あの頭は俺が狙ってたんだよしっかり掴んでただろうが。それを横からふざけた叫び声上げながら潰していきやがって。肉の破片顔にかかったわ汚ねぇ」
 けれど実は、ニタニタと笑み浮かべたまま。
 敵の横取りも、敢えて耳障りな声を上げたのも、肉片をびちゃりと派手に飛び散らせたのも。
(「だーって、なァ? そしたらまぁちゃん、絶ェッ対に怒るじゃろ」)
 真が言ってくる文句は全部、意図的でわざとで故意だったのだから。
 じゃあ、なんでわざわざ起こる様なことをしたかって?
 それは、実はこうずっと密かに思っていたから。
 ――ワシな、前からずーっと……なーんも考えずにスッカラカンになったまーちゃんと、喧嘩したいなァ思うとったんよ、って。
 だから、まんまと怒っているその姿は、むしろ大満足なのである。
 そして散々文句を言った後、ふうっと大きくひとつ息をついてから、真は言い放つ。
「とにかくさっきのはノーカンだ。勝負は俺の勝ち」
「なーに寝惚けたコト言うとんの。どォ見たってワシの勝ちじゃったろ?」
「ア゛? 2体多く潰したわ」
「ハ、あんな小っさいヤツ数に入らんて」
 互いに血塗れ肉塗れのまま、只々付け合う難癖。
 ゲームで遊ぶ子供の様に……それ以上でも以下でも無いのだ。
 ……けれど。
「デカさじゃなくて数競ってんだろうが。いい加減負け認め……」
「度量まで小そう見えるで、“真ちゃん”?」
 そう己の言葉に被せるような実の言葉を聞けば、ぴくりと反応を示して。
「――ウルセェな」
「……!」
 大きく開かれた実の口に巻き絞めるは血糸。
 そしてその口を塞いで、さらに真は捲し立てるけれど。
「今話してんだろうがテメェの目は飾りか? ア? 役立たずの目なら俺がくり抜いて……」
 ――ブチィ、ガツッ!!
 刹那、巻かれた血糸を咬み千切ったと同時に、その勢いのまま。
「ッ、!!」
 実が思いっきり片割れの顔面へと喰らわしたのは、強烈な頭突き。
 さらにその攻撃を喰らえば、顔面にべちゃりと飛び散るのは敵の血。
 そして――ゆうらりと。
「……実」
 修羅原の只中で上体を揺らしながらも。
 一層べとべとになった顔を拭いつつ、わかりやすく端的に真は言い放つ。
「殺す」
「――エエよォ。存分に殺してみィや」
 そう……ふたりにとっては、この場、この時ですら。
 兄弟喧嘩の延長に過ぎないのだから。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

カトル・カール
だいぶ温まったな!
血まみれ傷だらけ、失血で寒いか熱いかもよくわからない。ふわふわしている
「こっちへ来い、よ」
指先を人魚に向けてUCで攻撃
禍々しくて優雅で本性剥き出しで、綺麗な敵だな、と思う。
どうせ倒すんなら全力で叩きのめしてやるからな、そっちも全力を見せてくれ

人魚が光に当たって墜ちてきたら、メイス片手に接近。というか体当たり?いいや適当で
「噛むか?どうぞ」
恋愛話か……行商のついでに口八丁で適当を言った気もする。心臓から棘が生えるとすげぇ痛ぇな。痛ぇどころか死にそうだな。
噛みついたところを捕獲したので、こっちはメイスを振るうだけ。どっちが先にくたばるかの競争だ



 最初こそ、ちょっとテンションも上がって、はしゃいで遊んでみたけれど。
 じきに飽きれば、いつも通り効率良く、さくさくっと敵の頭を潰して飛ばして。
 沢山いた有象無象たちを、全て動かぬ肉片へと変え終われば。
「だいぶ温まったな!」
 一仕事を終えた顔で、カトル・カール(コロベイニキ・f24743)はそう口にしながらも、ふと思う。
 ……ふわふわしている、って。
 だって、よくわからないから。
 塗れているのは、自分のものか屍竜のか、また別の誰かのものか……それすらも知らないいろ。
 べっとり血まみれで全身傷だらけな上に、失血で、寒いか熱いかも分からない。
 『正気』を失っている心も、昂るように熱くもあり、妙に冷めている気もしている。
 けれど……深く考えるのも、もう面倒だから。
「こっちへ来い、よ」
 カトルはそう指先を、空を我が物顔で翔ける人魚へと向ける。
 そして人魚へと見舞われるのは、天からの光。
『ギャアアッ!』
 刹那、そう堪らず声を上げるけれど、ひらりと人魚は空を舞って。
 カトルは天を仰ぎ、その姿を見つめながらも思う。
 ――綺麗な敵だな、と。
 禍々しくて優雅で、本性剥き出しで。
 でも、どうせ倒すのならば。
「全力で叩きのめしてやるからな、そっちも全力を見せてくれ」
 手加減なしで殴り合うのが、単純だしたのしいから。
『話ヲ聞カセテ、ソシテ噛ミ殺シテアゲル!』
 再び指先向けて地へと墜ちてきた敵へと、カトルはすかさずメイス片手に接近し攻撃を浴びせる。
「というか体当たり? いいや適当で」
 とにかくガツンと衝撃を与えているし、もう適当でいいと。
 雑に、でも強力なメイスの一撃でぶん殴りながら。
 ギャギャッ! と反撃されてガブリを牙を突き立てられる。
 でもやっぱり、別にそんなこと構わない。
「噛むか? どうぞ」
 ぐいっと食い込む牙の感触に、じわり流れ落ちる血のいろ。
 そして、それまでしてきた恋愛話。
(「恋愛話か……行商のついでに口八丁で適当を言った気もする」)
 刹那、カトルの心臓から生えるのは、無数の棘。
「……すげぇ痛ぇな。痛ぇどころか死にそうだな」
 血を吐きながら、カトルはそう紡ぐけれど。
『! ギャッ!?』
 ガッと逃がさぬように、敵は確り捕獲したから。
 カトルはひたすら、あとはメイスをぶん回し振るうだけ。
 ――どっちが先にくたばるかの競争だ、って。
 正気のいろをすっかり失っているその瞳を細め、わらいながら。

大成功 🔵​🔵​🔵​

鬼頭・黎
さらに歯応えのある相手がお出ましのようだな。さてどれだけ楽しませてくれるのか?(ニヤリ)

スライディングやダッシュで敵に接近。飛んで逃げるのならジャンプでこちらも追いかける。おっと逃げるのか?もっとやり合おうじゃねえか!
引き続き回避は考えずにひたすら殴ったり蹴ったりしていく。敵が攻撃してもまったく気にせずにカウンターを狙う

自分のダメージが蓄積してきたら【影鎧の復讐者】を発動。どうした、まだ勝負はついてないぜ?それと恋なんて甘ちょろいものなんて無縁だった。オレが知っているのは、こんな血生臭い戦いの世界だからな!せっかくの機会だ、どちらかが壊れるまで楽しもうじゃないか!



 さっきまで修羅原で暴れていたのは、数え切れないくらいの屍竜たち。
 けれどそれらは数は多かったものの、もうすでに1匹すらも残ってはいない。
 此処に足を踏み入れた『正気』をなくしたモノ達の手で、全て潰したから。
 そして一瞬、静寂が戻って来たかのように思えた修羅原の只中で。
 鬼頭・黎(薄明に羽ばたく黒翼・f16610)はふと、天を仰ぐ。
「さらに歯応えのある相手がお出ましのようだな」
 ――さてどれだけ楽しませてくれるのか?
 そうニヤリと、笑み宿す黎。
 だって、次の新しいオモチャを見つけたから。
『ギャギャ! 恋ノ話ヲ教エテ!』
 瞬間、黎は戦場を滑るように駆け出して。
 接敵するも、バサリと翼を羽ばたかせ、天へと逃げようとする人魚。
「おっと逃げるのか?もっとやり合おうじゃねえか!」
 けれどそれを、黎は許さない。
『ギャアアッ!』
 大きく地を蹴ってジャンプし、逃がさぬよう追いかければ。
 もう、敵の牙を避けたり、色々と考えたりするのも、面倒になってきたから。
 回避など引き続き何も考えぬまま、ひたすら人魚を容赦なく殴ったり蹴ったりしていく黎。
 そして人魚がその牙を剥き、ガブリと噛みついてきたけれど。
『……ッ!』
 全く気にも留めず、逆にカウンターの一撃を見舞ってやれば。
 ――さて、反撃の時間といこうか、と。
 『影鎧の復讐者』を発動させながら、よろめく人魚へと黎は言葉を投げる。
「どうした、まだ勝負はついてないぜ?」
 そんな黎にとって、恋なんて甘ちょろいものは無縁で。
 むしろ、そんな恋などではなく。
「オレが知っているのは、こんな血生臭い戦いの世界だからな!」
 黎が身を置いてきたのは、この修羅原の様な戦場。
 だから、黎は人魚へと攻撃を仕掛け続ける。
 どちらかが、血の海に溺れ、修羅原の地に沈むまで。
 ――せっかくの機会だ、どちらかが壊れるまで楽しもうじゃないか! って。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ルーファス・グレンヴィル
先程の戦いで、
容赦なく千切られた肉片。
そこは肩で、
いつも乗っている黒竜が、
不服げに長い溜め息を吐いた。

ああ゛? ッるッせえよ、

オレの悪態なんて、
コイツが何も気にしない事を知っている。

目前で狂っている人魚を見て、
思わず笑い声が溢れてくる。

ッふ、ははは!!

良いな、良いね、もっと狂えよ。

見開いた赤の瞳孔。
ぎらりと輝いた矢先、
次は腕を噛まれて、

あ゛?

心底鬱陶しげな声が漏れた。
やがて狙われ始める黒竜。
プツリと音を立てて何かが切れる。

──それに触れんな、

怒気を孕む声。
いつも喧嘩ばかりだけど、
オレにとって掛け替えのない存在で。

正気なんてない。
ないからこそ素直な気持ちで、

オレの相棒に手出したこと、覚悟しろよ。



 数多いた屍竜たちを全部潰して、もの言わぬ肉片へとかえてやったのだけれど。
 ルーファス・グレンヴィル(常夜・f06629)の耳に刹那聞こえてきたのは、不服げな長い溜め息。
 そしてルーファスは、溜息を吐いた黒竜へと悪態をつく。
「ああ゛? ッるッせえよ、」
 竜たちとの戦いで、容赦なく引き千切られた肩。
 でもそこは、いつも黒竜が乗っている場所であるから。
 けれど、ルーファスは知っている。
 ……オレの悪態なんて、コイツが何も気にしない事を、と。
 そんなやり取りを、悪友であり、幼い頃から共に居る竜といつも通り交わしていれば。
『ギャギャ、血ノ匂イ! 噛ミツカセテ頂戴!』
 天を翔けるのは、すっかり狂ってしまっている人魚の姿。
 そして、眼前の爛々とした瞳を見て。
「ッふ、ははは!!」
 ルーファスの口から思わず溢れてくるのは、笑い声。
 ――良いな、良いね、もっと狂えよ、って。
 そしてカッと見開いた赤の瞳孔が、ギラリと輝いた刹那。
「……あ゛?」
 次に深く牙を立てられたのは、腕。
 でも、心底鬱陶しげな声が漏れた理由は、噛みつかれたからではない。
 瞬間――プツリと。
 頭の中に響いたのは、何かが切れる音。
「――それに触れんな、」
 そして、そう紡ぐのは、怒気を孕んだ声。
 だって人魚の狙いが、自分から黒竜へと移っていたのだから。
(「いつも喧嘩ばかりだけど、オレにとって掛け替えのない存在で」)
 いやむしろ……正気ではないからこそ。
 普段よりも、素直な気持ちになれるのかもしれない。
 そして怒りのまま、ぶん回した武器で人魚を天から叩き落としながらも。
 ルーファスは心に生じる思いをぶちまける。
 ――オレの相棒に手出したこと、覚悟しろよ、って。

大成功 🔵​🔵​🔵​

忠海・雷火
人格は変えないまま
まだ足りないけれど、食事は切り上げ。あとはただ殺すだけ
意外と冷静に見えるかしら? でもそうでないと、確実に殺せないでしょう?


飛ばれると厄介ね、刃が届かない
だから誘き寄せましょう。敵も正気ではなし、殺し合いの誘いでもかけてみましょうか
噛まれるのは構わない、防御も捨てて、噛まれた瞬間にカウンターを入れていく
恋愛話も別人格が話した一度きり、大した痛みにはならないわ
近くに居る内は只管に刀を、短刀を振るいましょう

喰らいたいなら、幾らでもどうぞ
でも、殺すのは私よ。この身を捨てて受けた傷は百も増して、UCの死霊という形で与えた者に返してあげる
死体すら残してやりたくない。滅びなさい、憎きもの



 本当は、まだ足りないのだけれど……食事は切り上げ、と。
 ぐるりと気怠げな深紅の目で修羅原の風景を見回すのは、忠海・雷火(襲の氷炎・f03441)。
 そして食事が終わればあとは――ただ殺すだけ、って。
 随分と他の修羅達に既にぼろぼろにされている様子の人魚へと目を向け、ふとこてりと首を傾ける。
「意外と冷静に見えるかしら?」
 それから、人魚を見つめるあかのいろを細め、続ける。
 ――でもそうでないと、確実に殺せないでしょう? って。
 この修羅原で奪われるという概念は『正気』。
 けれどなくすのはそれだけであるから。
(「飛ばれると厄介ね、刃が届かない」)
 ……だから誘き寄せましょう、と。
 雷火は戦況を読んで判断し、冷静にそう決めれば。
「敵も正気ではなし、殺し合いの誘いでもかけてみましょうか」
 ふっと微か口元に笑み宿し、雷火は地を蹴る。
『恋ノハナシ、聞カセテ! 御礼ニ、噛ミツイテアゲル!』
 その言葉通り、牙を立てられ、噛みつかれるけれど。
 でも別に、ガブリとやられても構わない。
 むしろ、身を守ることなど放り投げ、噛まれた瞬間を狙い澄まして。
『グッ、ギャアアッ!』
 見舞うのは、反撃の一撃。
 それに噛みつかれたって、大した傷にはならない。
「恋愛話も別人格が話した一度きり、大した痛みにはならないわ」
 だから雷火はひたすらに、刀を、短刀を振るう修羅と成る。
「喰らいたいなら、幾らでもどうぞ」
 喰らいたいというのならば、喰らえばいい。
 けれど、雷火はこう人魚へと告げる。
「でも、殺すのは私よ」
 この身を捨て、受けた傷は百も増して。
 雷火は、与えた者に返してあげる。雷型の死霊という形で。
 それから、ふるりと首を横に振り、その存在を拒絶する。
「死体すら残してやりたくない」
 だから、火雷の怨舞で消し飛ばして殺してあげる。
『! ウガッ、ギャアアッ!』
 ――滅びなさい、憎きもの、って。
 冷静にみえて……正気を失った笑みを、微か浮かべながら。
 そして断末魔をあげ、狂った人魚を呑み込んでいた骸魂が消滅すれば。
 修羅原と呼ばれた戦場ではなく、藤の花が静かに揺れる風景と共に。
 血で血を洗っていた修羅達もじきに、『正気』を取り戻す。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第3章 日常 『夜行』

POW   :    力いっぱい先頭で楽しむ

SPD   :    賑やかな中ほどで楽しむ

WIZ   :    最後尾でゆるゆると楽しむ

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 まるで、修羅原の地を染めたいろを洗い流すかのように。
 静けさを取り戻した野原に咲き誇り揺れるのは、藤の花。
 嘗て此の地が修羅原と呼ばれた際、野原に咲く薄紫のいろは今ほど多くなかったという。
 戦が終わり、戦場に最後まで立ち続けたモノ。
 だがふと『正気』を取り戻した瞬間、修羅で在ったモノは狂ってしまったという。
 己の手で染めたいろに。修羅原に飛び散った様々なモノを、目の当たりにして。
 けれど……此方へおいでなさい、と。
 数多の命は、散ってしまったとしても。その手は汚れてしまったとしても。
 生き延びたモノ達の身や心だけでも癒さんと、雨の如く枝垂れるその彩りは導く。
 優しく静かに藤が咲き誇る、神社へ……せめてこれ以上、命が散らないようにと。

 野原から神社へと続く道の両側には、美しい藤の花が咲き誇り、仄かな明かりに照らされて幻想的な光景を生み出しているのだという。
 まるで現実から目を逸らさせるかのように、夢の世界に誘うかのように……神社へと手招くように。
 その道をゆき、夜行し歩きながら。
 ただただ藤が支配する世界を、傷に障らぬよう、ゆっくりと歩いて物思いに耽ってみるのもいい。
 そして辿り着いた神社は、修羅と化したモノたちを、何も言わずに受け入れてくれる。

 鳥居を潜れば目に飛び込んでくる藤棚には、今の時期は特に、見事に薄紫のいろが枝垂れ咲いている。
 そんな藤の花をただゆっくりと眺めながら、特に何もせず暫し休息のひとときを静かに過ごすのも良いし。
 藤の花咲く神社を巡って、身も心も癒しを得ることも良いだろう。
 身を癒すといえば、この神社には、傷に効く湯が湧き出ているのだという。
 その少しぬるめの足湯に浸かれば、生じた傷が綺麗に治ったと言われている。
 実際は少し染みてしまうかもだが……枝垂れる藤の花を見上げながら、調達した飲み物などを片手にほっこりと過ごすのも良いし。
 この神社のお守りは装飾品のように美しく、人気なのようだ。
 しゃらりと澄んだ紫色と薄桃の花びらをあしらった、繊細に枝垂れ咲く藤の花のお守りは、魔除けと武運長久の御利益があるといわれている。組紐のいろがそれぞれ、好みで選べるようだ。
 また、水に浸けると文字が浮かび上がるというおみくじも人気。
 そんなおみくじの浸し場は、一等藤の花が臨める藤棚の下にあるというので、引いてすぐには結果がわからない。
 選んだおみくじはどんな結果なのだろうと、そわそわしながら歩くのも楽しいのではないか。
 そして、正気が戻った瞬間、腹が減る感覚が蘇ってきたモノも少なくはなかったというので、神社の境内には茶屋もある。
 美しい藤を望みながら、和菓子や各種茶などが頂けるのだという。
 あんみつに団子、たい焼きや羊羹、おはぎ……茶も、緑茶やほうじ茶など温かいもの冷たいものどちらでも。
 茶屋のメニューで定番のものならば大抵はあるようだし、テイクアウトもできる。
 そして檸檬を数滴落とせば、青から藤の如き紫へといろが変化する、この神社独自のハーブブレンドの藤花茶という茶も頂けるようだ。
 また、この神社には、『藤雨』という名の銘酒も成人していれば頂けるという。
 藤の花言葉は、『恋に酔う』。
 そしてこの花は女性の着物のようだと形容されているように、この『藤雨』も甘やかでいて優しく酔える口当たり。
 それに藤の花には、『決して離れない』という花言葉もあるが。
 美しく幻想的な藤の花の如く夢心地に酔わせ、もう戦場にはいかせないと。
 甘やかで飲みやすい酒を勧め、愛する者を酔い潰させて自分から離さなかったなどという女性の逸話などもあるという余談も。

 『正気』を取り戻した今、思うことがある者もいるだろうし。
 ただ、藤の花の名所を純粋に楽しむという目的で訪れるのも良いだろう。
 傷ついた身を癒し、荒ぶった心を落ち着かせたり、内に秘める興奮のまま想いを巡らせたり。
 楽しくでも、静かにでも、穏やかにでも……それぞれ過ごして貰えればと。
 修羅原を染めたいろも、纏わりついた匂いも、昂っていた心も後悔も畏怖も……藤の花の雨がそっと、洗い流してくれるから。

●マスターより
 第3章は、藤の花咲く神社で過ごす日常章です。
 穏やかに静かにでも、楽しくでも、賑やかにでもネタでも、ご自由にお過ごしください。
 この章のみのご参加も歓迎です。
 できることは概ねOPや断章通りですが。
 無理なく神社や夜行でできることならば、ご自由に行動書けて頂いて構いません。
 迷惑行為や非常識な行動、未成年の飲酒喫煙、公序良俗に反する事は厳禁です。
 また、お声掛けあった場合に限り、清史郎をはじめ当方のグリモア猟兵もご一緒させていただきます。
 これまで接点がなくとも構いません、お気軽に声掛けて頂ければと。
 その他に関しましては、OPやOP公開時のマスターコメントをご確認下さい。
 送信締切等の連絡事項も、MS個別ページやタグ、Twitterでお知らせ致します。
真宮・響
【真宮家】で参加

純粋に藤を楽しみに家族で来た。今は藤が綺麗な季節だからねえ。藤は女性に縁が深い。私も好きな花だよ。ああ、奏は茶屋に行きたい?そう言うと思ってたよ。行くか。

アタシはおはぎと「藤雨」でまったり藤を眺める。「恋に酔う」ね。アタシも安定した未来を捨てて夫と駆け落ちしたのはまさしく恋に酔ってたんだろうね。懐かしい。(奏と瞬の様子を見てにやにや)まあ、なんか見ててほほえましい二人の邪魔はしないで置くか。本当に藤が見事だ。これだけで、来た意味があったね。


真宮・奏
【真宮家】で参加

純粋に家族で藤を見に来ました!!今は藤の季節ですし。色んな施設があるようですね。私は勿論茶屋!!美味しいもの食べながら藤を見ましょう!!

たい焼きと団子と藤花茶を頂きます。檸檬で色が変化するなんて素敵ですね。藤の花ことばには「恋に酔う」のもあるそうで・・・(少し真っ赤になって隣の瞬の袖を引いてみたり)な、何でもありません!!(瞬に頭を撫でられ)ぷしゅ~(顔真っ赤)は、はい、またこうして綺麗なもの見ましょう!!約束です(指切り)


神城・瞬
【真宮家】で参加

藤が存分に鑑賞できると聞いて、家族で来ました。藤は上品な花姿と高貴な紫でとても雅な花。僕も好きですよ。奏は茶屋に行きたい?まあ、そうですよね。

奏の隣で羊羹と藤花茶で一服。檸檬で色が変わるんですね。それにしても藤が見事ですね。(奏が袖を引いた)どうかしましたか?(いつもの癖で頭を撫でる)いつも僕は奏の傍にいますから。(響の視線を感じながら)はい、またこうして綺麗な花を見に来ましょう。約束です。(指切り)



 今の時期、見頃を迎えた藤のいろで満たされる神社。
 藤の花の名所であるというこの神社は、藤にまつわるものがたくさん。
 幽世の妖怪達は勿論、周囲を見回せば、枝垂れ咲くこの花を楽しみに眺めている人たちでいっぱいだ。
 そんな名所の藤の花を楽しもうと、家族と共にやってきたのは、真宮・響(赫灼の炎・f00434)。
「今は藤が綺麗な季節だからねえ」
 そう呟き、藤棚を見上げてみれば……響の瞳にも、満開の藤のいろが映っては咲き誇って。
 その優美さに、改めて響は紡ぐ。
「藤は女性に縁が深い。私も好きな花だよ」
 藤の花は、響のいう通り、着物を纏った女性を表すと言われている。
 対して男性は松に例えられることも多い。
(「藤が存分に鑑賞できると聞いて」)
 神城・瞬(清光の月・f06558)も、藤の花が咲き乱れる境内を歩きながら。
 雨の如く降るそのいろに、瞳を細める。
「藤は上品な花姿と高貴な紫でとても雅な花。僕も好きですよ」
 その淡い紫は、大和撫子の如く楚々と咲いていて。
 瞬も暫し、見頃を迎えた美しい花々を眺めてみる。
 そしてやはり、純粋に家族で藤を見に……来たのは、勿論なのだけれど。
「今は藤の季節ですし。色んな施設があるようですね」
 そうぐるりと視線を巡らせる、真宮・奏(絢爛の星・f03210)が瞳を輝かせるのは、やはりこれ。
「私は勿論茶屋!! 美味しいもの食べながら藤を見ましょう!!」
 藤の花もちゃんと見ます、ええ! 美味しいものを食べながら、ちゃんと。
「奏は茶屋に行きたい? まあ、そうですよね」
「ああ、奏は茶屋に行きたい? そう言うと思ってたよ」
 奏のブラックホールな胃袋も、食べ物に目がないことも、勿論分かっていて予想済だから。
 行くか、と響が子供達とともに進路を取るのは、奏ご所望の茶屋。
 そして藤の見える窓側の席に3人で座り、それぞれ注文をすませれば。
(「……「恋に酔う」ね」)
 おはぎと銘酒「藤雨」でまったりと藤を眺めながらも思う響。
 そしてやはり思い返すのは、夫のこと。
(「アタシも安定した未来を捨てて夫と駆け落ちしたのはまさしく恋に酔ってたんだろうね。懐かしい」)
 口に含めば、昔を思い返すような、仄かな甘い味が。
 それから並んで座った奏と瞬は、たい焼きと団子、羊羹をそれぞれ選んで。
 お茶はお揃いの、この神社独自のブレンドがされたハーブ茶『藤花茶』をいただくことに。
 備え付けの檸檬シロップを、カップに揺れる水面に数滴垂らしてみれば。
「檸檬で色が変わるんですね」
「檸檬で色が変化するなんて素敵ですね」
 まるで、藤の花のような紫色に茶の色が変わって。
「それにしても藤が見事ですね」
 再び藤の花を眺めつつも言った瞬の袖を、奏はくいくい。
「藤の花ことばには「恋に酔う」のもあるそうで……」
 そう少し真っ赤になって、そうっと隣の瞬の袖を引きながら、ちらりと視線向ける奏。
 そんな引かれる感覚に、ふと瞬は奏へと瞳を戻してから。
 こてりと微か首を傾け、何だか顔の赤い彼女へと訊ねる。
「どうかしましたか?」
「な、何でもありません!!」
 そして瞬は、いつもの癖で。
「いつも僕は奏の傍にいますから」
「……!」
 手を伸ばすと、奏の頭をなでなで。
 そんな大きな掌の感触に、ぷしゅ~と、余計に顔を真っ赤にさせつつも。
「は、はい、またこうして綺麗なもの見ましょう!! 約束です」
 ずいっと奏が瞬の目の前に出したのは、小指。
 そして瞬も、奏の小指に自分の小指を絡ませて。
「はい、またこうして綺麗な花を見に来ましょう。約束です」
 ゆびきりげんまんの、約束を。
 何気に瞬は、自分達を見てにやにや笑んでいる響の視線を感じながら。
(「まあ、なんか見ててほほえましい二人の邪魔はしないで置くか」)
 響はそうもう一度だけ微笑まし気に、ふたりのやり取りを見てそっと笑みを宿すけれど。
 改めて、まさに楽しんでいる日本酒の名の様に……雨のように枝垂れ咲く藤をじっくりと眺める。
「本当に藤が見事だ」
 ――これだけで、来た意味があったね、って。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

篝・倫太郎
【華禱】
心も体も、まだ影響を受けてるような感覚

だからなのか、元気のない夜彦の手を取って
藤の花を眺めながら神社へと向かう

で、夜彦はなんで元気ないの

そう問えば、返される言葉に
そんなのお互い様だろ?
そう返したって
夜彦の性格だから気にするんだろう

夜彦、そろそろ反省タイムは終了な?
(もう黙って、と空いた手の指先で夜彦の唇をふにーっと押す)

藤、すげぇ綺麗だから……俯いてちゃ勿体ない

正気に戻ったはずの心が
まだ少し、ざわめくのは仕方ないから

それでも、風に揺れる藤の花が立てる
波のような音に、洗われていく、流されていく

まだこの身に巣食っているかもしれない
狂気の残滓はこの地に置いていこう

あ、夜彦
酒買って帰っていい?


月舘・夜彦
【華禱】
悪夢から覚めたような
それでも血に濡れた刀と己に生えた角の感触に
現実であることを思い知らされる

俯いていれば、いつもと変わらず彼が手を引いて
引かれるままに藤の花が咲く神社へと向かう

問われれば暫し考えて
正気ではなくとも獣のように戦っていたのだろうと
倫太郎のことさえも、忘れかけておりました
……お互い様なのは分かっておりますとも

ん……分かりました、もう言いません
指先を押されながら小さく返す

そうですね
折角の藤なのに楽しまずに帰るのは良くないです
次に咲くのは、また来年なのですから

明かりに照らされる美しい藤は幻想的で
今回の戦いは夢を見せられたのだと心に言い聞かせる

えぇ、そうしましょう
今夜は私も頂きます



 まるで悪夢から覚めたような、そんな心地で。
 けれどそれは夢ではなく、間違いなく現実であると。
 否が応にも、月舘・夜彦(宵待ノ簪・f01521)は思い知らされる。
 血に濡れた刀と、己に生えた角の感触に。
 敵を全て在るべき場所へと還し、そして失われていた『正気』は確かに、戻ってきたのだけれど。
(「心も体も、まだ影響を受けてるような感覚」)
 篝・倫太郎(災禍狩り・f07291)は燻る残り火のような、微かな疼きを感じながらも。
 だからなのか……ちらりと隣を見れば案の定、どこかしゅんと元気のない様子の夜彦の姿が。
 そんな俯いている彼の手を、いつもと変わらずに倫太郎は取って。
 まるで道案内してくてれいるかのような、藤の花の道をゆく。
 枝垂れ咲く花を眺めながら、修羅原と呼ばれた野原を背に、藤棚が美しいという神社へと。
 そして自分の手に引かれるままに歩く彼に、倫太郎は訊いてみる。
「で、夜彦はなんで元気ないの」
 そんな彼の声に、夜彦は暫し考えてから。
 ぽつりぽつりと、言の葉を紡いで返す。
「正気ではなくとも獣のように戦っていたのだろうと……」
 ……倫太郎のことさえも、忘れかけておりました、と。
「そんなのお互い様だろ?」
「……お互い様なのは分かっておりますとも」
 いや、倫太郎だってよく分かっているのだ。
 お互い様だと返したって、夜彦の性格だから気にするんだろう、と。
 現にやはり隣の彼は、まだしょんぼりして色々と真面目にぐるぐる考えているようだから。
 倫太郎は向けた琥珀を細め、手を伸ばすと。
「夜彦、そろそろ反省タイムは終了な?」
 ……もう黙って、と。
 繋いでいる手と反対の空いた手の指先で、夜彦の唇をふにーっ。
 そして唇に刹那感じた指先に、瞳をぱちくりとさせた後。
「ん……分かりました、もう言いません」
 唇をふにっと押されながら、そう小さく彼に返す夜彦。
 そんな夜彦に、倫太郎は笑って。
「ほら、夜彦。藤、すげぇ綺麗だから……俯いてちゃ勿体ない」
 見上げる先には、満開に咲いて枝垂れる、淡い紫色の花の雨。
 夜彦も漸くその顔を上げれば、そのいろを倫太郎と共に仰いで。
「そうですね。折角の藤なのに楽しまずに帰るのは良くないです」
 ……次に咲くのは、また来年なのですから、って。
 今だけの特別ないろを、ふたり一緒に眺める。
 倫太郎はそんな隣の彼の様子に、もう一度笑ってから。
 隣の彼の花ともどこか重なるその彩を見つめつつ、そっと思う。
(「……正気に戻ったはずの心がまだ少し、ざわめくのは仕方ないから」)
 でも、それでも。
 さわさわと風に揺れる藤の花が立てる、波のような音に――洗われていく、流されていく。
(「まだこの身に巣食っているかもしれない」)
 己の根底にあるモノは……狂気の残滓はこの地に置いていこう、って。
 そして夜彦も、明かりに照らされる美しくも幻想的な藤の花に、一緒に溺れることにする。
 修羅原と呼ばれた戦場での戦いは、夢を見せられたのだと。
 そう、心に言い聞かせながら。
 それから倫太郎は、ふと夜彦にこう再び訊ねる。
「あ、夜彦。酒買って帰っていい?」
 神社でも銘酒『藤雨』は頂けるのだというけれど。
 酒は家に帰ってからふたりで飲みたいって、いつも思っている倫太郎。
 だって……隣の夜彦が酔った姿を、外で易々と他の人に見せたくないから。
 そして夜彦も、こくりと彼の提案に頷く。
「えぇ、そうしましょう」
 ……今夜は私も頂きます、って。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

夜鳥・藍
藤棚の見学とお守りを買いに。
組紐は濃い黄色、花で言えば山吹色かな。
本当に綺麗。お守りってだけにするのも惜しいような。うーん帰ったらいっそ髪飾りにしちゃえばいいんじゃない?組紐も使えば色合いもいける……といいわね。アメジストとシトリンの組み合わせみたいで綺麗だと思うのだけど。帰ったら飾り職人に聞いてみるのもいいかも知れない。
あんまりお守りだけ見て藤棚を見ないのももったいないから鞄にしまって。
茶屋で不思議なお茶を飲んで。面白いけど檸檬を入れすぎないように気を付けないと。入れたからってどんどん色が変わるわけではないようだしね。
飲み終わったら追加で緑茶にたい焼きでも頼もうかな。



 幽世の地に在るこの神社は、藤の花の名所だという。
 戦に明け暮れたモノたちの癒しになるようにと……そう藤の花に、願いを込めて。
 そんな神社の藤の花は、丁度今の時期が見頃なのだという。
 夜鳥・藍(kyanos・f32891)は、上品な薄紫のいろを雨のように枝垂れさせている花たちを眺めながらも。
 足を向けるのは、社務所。
 しゃらりと揺れて咲く、お守りの藤の花を買いに。
「組紐の色が選べますが、何色にしますか?」
「組紐は濃い黄色……花で言えば山吹色かな」
 そして落ち着いた山吹の花の彩りが、淡紫の花に添えられれば。
 それをふと、先程見た藤の花のように、そっと掲げて眺めてみる。
(「本当に綺麗。お守りってだけにするのも惜しいような」)
 藍はそれから、色々と思考を巡らせる。
「うーん帰ったらいっそ髪飾りにしちゃえばいいんじゃない?」
 ……組紐も使えば色合いもいける……といいわね、と。
 そうっと揺らし、しゃらしゃらと小さく音を鳴らしてみながらも。
 キラキラ煌めきを放つ色たちをまじまじと見つめ、続ける。
「アメジストとシトリンの組み合わせみたいで綺麗だと思うのだけど」
 ……帰ったら飾り職人に聞いてみるのもいいかも知れない、なんて。
 そうひとつ、小さく頷いて。
 そんなお守りの藤の花も、確かに見事なもので綺麗なのだけれど。
 藍はそれを、鞄へとしまう。
 ……あんまりお守りだけ見て藤棚を見ないのももったいないから、って。
 そして折角観るのなら、ゆっくりと腰を据えて。
 藤棚が臨める茶屋を訪れれば、注文してみるのは『藤花茶』。
 それは藤を思わせる様な色へと変化するという、不思議なお茶だと聞いたから。
 試しに1滴、添えられた檸檬を垂らしてみれば……じわりと、落ちたところから紫へとかわってゆく。
 そんな様を見ていれば、面白くて。
(「でも、檸檬を入れすぎないように気を付けないと。入れたからってどんどん色が変わるわけではないようだしね」)
 けれどあくまで適量をと、藍は慎重に、もう数滴だけ。
 そして、藤の様な彩りに変わった爽やかな茶を頂きながら、枝垂れ咲く花を眺めつつ思うのだった。
 ――この不思議なお茶を飲み終わったら、追加で緑茶にたい焼きでも頼もうかな、なんて。
 だって……花も団子も、目一杯楽しみたいから。

大成功 🔵​🔵​🔵​

エンジ・カラカ
【エレル】

花ダー。キレイな花ダー。
うんうん。キレイだねー。

何かイロイロあった気がするケド、気にしない気にしない。
うんうん。賢いオオカミは気にならないのサ。

おみくじするヨー。

……アァ。何も書いてない。
水に浸ける。賢い!
水に浸けたら文字が出てくる。賢い!

……デテキタ。
文字がデテキタ。賢いなァ……。
ロカジンとレンゲツの結果はどう?どう?
コレはこんな感じ。うんうん。

良く分からないケド、コレは賢いオオカミって書いてある。
オーケー?
悪いヤツは結ぶとイイヨ。
賢い君が言ってた言ってた。

悪かったら結ぶ。悪くなかったら自慢する。
賢いおみくじはすごいなァ。
お酒ー。飲む飲む。

賢い君もいるって言ってる。うんうん。


ロカジ・ミナイ
【エレル】

こいつは見事な藤棚だこと
傷も何も、お花ちゃんに囲まれたらすっかりご機嫌になっちまうよ
さっきまでのほら、あの、えーっと、何かあったっけ…?

おみくじ僕もひとつ引いてみようかな
こういうのは興だからね

超賢いらしいおみくじをそっとそっと水に浸す
…その前に
やたら念入りに願掛けすることも忘れない
あくまでも結果云々は置いといて
お!本当に字が出てきたよ!どんな妖術だいこりゃ

うんうん、そうだね賢いオオカミって書いてあるね
レンはどうだい?結ぶ?結ぶ?
僕のは、……?ずいぶん抽象的だな
この類の結果ってのはもっと具体的に教えて欲しいもんだよ
何時何分にどの座標に行ったら美女を拾うとかさぁ!
チェーッ!酒飲むぞ酒!


飛砂・煉月
【エレル】

正気が戻れば何時も通り耳と尾は秘して
雨みたいな藤棚を振り仰ぐ
うん、綺麗だ
さっき?
うーん、何かあったっけ
覚えてないや!
疵も赫も些細な事

イイね、おみくじ
皆で引くのって何か楽しから不思議
どんな結果でも構わない道中はハクと話でも
何故か不安そうな相棒をうりうりしながら

超賢くおみくじをそうと水に浸して
あっは、魔法みてー!
遠慮なしに浮かぶ文字を覗いちゃうぞ〜

エンジは賢くてロカジは曖昧?
美女?
オレのは人間関係は賑やかって部分は今正に実感してるし
病も希望有りだからイイ結果かも
だから結ばないで今日の記念に持ち帰るよー!

ねえねえ、この神社『藤雨』って酒があるらしいんだけど
呑んでいかねー?って誘いのひとつも



 何も無い野原が修羅原と呼ばれたのは、過去の話。
 今はただ静かに、藤の花が咲き誇っているだけ。
 何もなかった、って……そう、神社へと導く様に。
 そんな藤のいろを辿って。鳥居をくぐって、ふと見上げてみれば。
 ――うん、綺麗だ。
 そう呟きを落とした飛砂・煉月(渇望の黒狼・f00719)の瞳にも咲くのは、振り仰いだ雨みたいな花たち。
 そんな煉月の姿は、いつも通り。失っていた正気が、戻ってきたから。
 そして聞こえた声に、こくりと同時に頷いて。
「花ダー。キレイな花ダー。うんうん。キレイだねー」
「こいつは見事な藤棚だこと」
 エンジ・カラカ(六月・f06959)とロカジ・ミナイ(薬処路橈・f04128)も、藤色枝垂れる天を仰いで。
「傷も何も、お花ちゃんに囲まれたらすっかりご機嫌になっちまうよ。さっきまでのほら、あの」
 ロカジはそこまで言った後、大きく首を傾け続ける。
 えーっと、何かあったっけ……? って。
 煉月もきょとりと、首を傾げてみせて。
「さっき? うーん、何かあったっけ。覚えてないや!」
 ……疵も赫も些細な事。
 そうそっと、笑って返せば。
「何かイロイロあった気がするケド、気にしない気にしない」
 エンジもこくこく頷いて続ける。
 ……うんうん。賢いオオカミは気にならないのサ、と。
 何かあったような気もするけれど――でも藤の花が綺麗だから、今はそれだけでいい。
 ということで!
「おみくじするヨー」
「おみくじ僕もひとつ引いてみようかな。こういうのは興だからね」
「イイね、おみくじ」
 ……皆で引くのって何か楽しいから不思議、って。
 1枚ずつ、おみくじを引いてみるのだけれど。
「……アァ。何も書いてない」
 エンジの手の中にあるおみくじは、真っ白……?
 いやエンジだけでなく、ロカジと煉月のものも同じ真っ白。
 それもそのはず……このおみくじは、浸し場で水に漬けてようやく結果が出るというもの。
 その浸し場目指し、歩きながらも。煉月はハクと楽しくお喋りを。
 だって、どんな結果でも構わないから。
 ちょっと相棒は、何故か不安そうだけれど。
 そんなハクをうりうりしていれば、おみくじを浸せる藤棚の下へと辿り着いて。
 エンジはそうっと、真っ白なおみくじを水に浸けてみれば。
 ――賢い!
 そう声を上げて、水に浸ったおみくじへと視線を向ける。
「水に浸けたら文字が出てくる。賢い!」
 その声を聞きながら、ロカジもそっとそっと。
 超賢いらしいおみくじを水に浸す……その前に。
 やたら念入りに願掛けすることも忘れない。
 煉月も、願掛けの終わったロカジと一緒にそうと、超賢くおみくじを水に浸してみれば。
「お! 本当に字が出てきたよ! どんな妖術だいこりゃ」
「あっは、魔法みてー!」
 じわりと浮かび上がってきたおみくじを、皆で遠慮なしに覗きっこ。
「……デテキタ。文字がデテキタ。賢いなァ……」
 エンジは、先程まで真っ白だったおみくじに出てきた文字を、まじまじと見つめてから。
「ロカジンとレンゲツの結果はどう? どう?」
 ふたりへと訊ねつつ、自分のも見せてみる。
「コレはこんな感じ。うんうん」
 ――良く分からないケド、コレは賢いオオカミって書いてある、って。
 そんなエンジのおみくじをひょいと覗いてみれば。
「うんうん、そうだね賢いオオカミって書いてあるね」
 学問:良し、の文字が。それは確かに賢いオオカミ。
 そして、大吉のおみくじをえっへんと自慢しつつも、エンジは得意気に続ける。
「オーケー? 悪いヤツは結ぶとイイヨ。賢い君が言ってた言ってた」
「レンはどうだい? 結ぶ? 結ぶ?」
「オレのは人間関係は賑やかって部分は今正に実感してるし。病も希望有りだからイイ結果かも」
 そうぴらりと煉月がロカジに見せたのは、中吉のおみくじ。
 だから勿論、結ばないで今日の記念に持ち帰ります!
 それからロカジも、自分のおみくじへと視線を向けるも。
「僕のは、……? ずいぶん抽象的だな」
 待ち人:いつか来る。
 そんな彼のおみくじは、末吉。
「この類の結果ってのはもっと具体的に教えて欲しいもんだよ。何時何分にどの座標に行ったら美女を拾うとかさぁ!」
 ……いつかって、いつよ?
 そう呟きを落としながらも、きゅっとおみくじを結ぶロカジの声に、煉月は首を傾けて。
「エンジは賢くてロカジは曖昧? 美女?」
「賢いおみくじはすごいなァ」
 煉月と同じく、大吉の賢いおみくじは結ばないでおくエンジ。
 そして結果はともかく、賢いおみくじを楽しく皆で引き終われば。
「ねえねえ、この神社『藤雨』って酒があるらしいんだけど、呑んでいかねー?」
「お酒ー。飲む飲む。賢い君もいるって言ってる。うんうん」
「チェーッ! 酒飲むぞ酒!」
 煉月のそんな誘いを、勿論断るわけはなく。
 早速、雨のように枝垂れる藤棚の下、銘酒『藤雨』を提供している出店へと足を向けるのだった。
 さっき、何かあったかもしれないけれど。
 でも今は、目でも舌でも、藤の花に酔う――ただそれだけで、十分だから。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

隠・小夜
袁(f31450)と
アドリブ歓迎、左目の露出NG
(自分が『さよちゃん』である事は絶対に秘密)

……やらかした
気付いたら頼んでいたあんみつにも手が付かない

正気の沙汰じゃなかった
嗚呼、よりにもよって
袁の前で昔の様な醜態を晒すなんて、最悪だ
藤の花を愛でる余裕も、折角の甘味を楽しむ事も忘れていて

……別に謝る必要無い、僕も酷い有様だったし
それと、僕に妹はいないよ
そういう袁こそ、家族はいないの?
まじまじと見つめる視線が痛くて
思わず顔を背けてしまう

多分、言ってしまえば楽になる
この美しい光景を彼と、綺麗な思い出として残せるけれど
彼の幸せを願うからこそ
自分の気持ちを押し殺して、そうだねと頷いた


袁・鶴
隠ちゃんf31451と

隠ちゃんと一緒にお茶屋さんで座り藤を見るよ
さっきまでさよちゃんと再会できたと思ってたからかな
喪失感についぼんやりと藤を眺めながらも、隠ちゃんの姿を見れば幼馴染と間違えた事に対する照れに思わず瞳を細めちゃうかもしれないね
さっきはごめんね
隠ちゃんを幼馴染と間違えるとか恥ずかしいなあ
そう声を投げながらも、隠ちゃんって妹とか居ない…よねえ?と続けちゃうかも

俺の家族?んー俺は死んだ鳥達の陰気から生まれたから居ないかな…って
はは、それもそっか
隠ちゃんも名前さよ、だもんね?妹居たら同じ名前になっちゃうと笑いつつあんみつ溶けちゃうよと残念な気持ちを誤魔化すよう声を
ああ、本当に藤、綺麗だね



 藤の花に導かれるように夜行し、訪れた神社で。
 ふたりが足を運んだのは、満開に咲く薄紫のいろを眺めながら甘味や飲み物がいただけるという茶屋。
 けれど、窓の外を見つめる袁・鶴(東方妖怪の悪霊・f31450)は、どこかぼんやりとしてしまう。
 その理由は、鶴にも何となくわかっていた。
(「さっきまでさよちゃんと再会できたと思ってたからかな」)
 正気を失っていたとはいえ、ずっと会えていない幼馴染みに再会できたと、そう喜んでしまっていたから。
 心に生じているのは、喪失感。
 しかも、ふと目の前の隠・小夜(怪異憑き・f31451)を見れば、思わず瞳を細めてしまう。
 さよちゃんは女の子なのに、隠ちゃんと間違えてしまったなんて、って。
 自分の勘違いだと思う鶴は、つい照れてしまう。
 そんな鶴が見つめる先の小夜は、ずっと俯いたまま。
(「……やらかした」)
 気付いたら頼んでいたあんみつにも手が付かないほどに、罪悪感に押し潰されそうになる。
 いや、あの場所……嘗て修羅原と呼ばれた野原に赴けば、正気を失うことは聞いてはいたのだけれど。
 改めて小夜は思う――正気の沙汰じゃなかった、と。
(「嗚呼、よりにもよって……袁の前で昔の様な醜態を晒すなんて、最悪だ」)
 さきほどまでの自分の姿を思い返せば、また頭を抱えてしまいたくなる。
 そんなぐるぐると思考巡らせる小夜には、藤の花を愛でたり折角の甘味を楽しむ余裕など、到底なくて。
 ただただ、ずーんと落ち込むばかり。
 けれどふと、そうっとその顔をようやく上げたのは。
「さっきはごめんね。隠ちゃんを幼馴染と間違えるとか恥ずかしいなあ」
 そう投げられた、鶴の声が聞こえたから。
 それから鶴は小夜へと、こう訊いてみる。
「隠ちゃんって妹とか居ない……よねえ?」
「……別に謝る必要無い、僕も酷い有様だったし」
 小夜はぽつりとそう返した後。
 自分へと視線向ける鶴へと、こう続ける。
 ……それと、僕に妹はいないよ、って。
 それから逆に、彼へと訊ねてみる。
「そういう袁こそ、家族はいないの?」
「俺の家族? んー俺は死んだ鳥達の陰気から生まれたから居ないかな……」
 そう答えつつ、ぱくりと頼んだ羊羹を口にしつつも。
 改めてそうっと、小夜を見つめる鶴。
 さっきまで幼馴染のさよちゃんかと思ってしまった、彼の顔を。
 そんなまじまじと見つめる視線が痛くて……思わずそっと彼から顔を背けてしまう小夜。
 それから鶴は、笑って続ける。
「はは、でもそれもそっか。隠ちゃんも名前さよ、だもんね? 妹居たら同じ名前になっちゃう」
 兄妹で同じ『さよ』であるわけは流石にないだろうから、と。
 鶴は自分でそう納得しつつも、目の前の小夜へと声をかける。
「隠ちゃん、あんみつ溶けちゃうよ? あ、俺の羊羹もいる?」
 さよちゃんが見つからなくて残念な気持ちを、誤魔化すかのように。
 そんな鶴を見ていれば、また小夜の心はぎゅっと締め付けられる。
(「多分、言ってしまえば楽になる。この美しい光景を彼と、綺麗な思い出として残せるけれど」)
 ――でも。
 正気を失っても尚、変わらなかった思い。
 ……君が幸せなら、僕はただ其れだけで良い。
 だから、自分の気持ちを押し殺すのは……彼の幸せを願うからこそ。
「ああ、本当に藤、綺麗だね」
 そう、美しい藤が枝垂れる景色を見つめ言った鶴に。
 小夜はこくりと頷きながらも、ひとことだけ返す――そうだね、と。
 枝垂れ咲く藤の花に、そっと秘めるその心を隠すように。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

木常野・都月
【狐々】

クロムさん!
俺は…なんて事を!!
UC【緑の癒しの狐火】でクロムさんの傷を治そう。
少なくとも、俺が奪った精気分は、ちゃんと返さないと。

クロムさん?
抱きつかれて驚いたけど…手は止めない。

こんなにいっぱい、俺よりも沢山、痛そうな傷…
こんなに小さくて、軽くて、女の人なのに。
……沢山精気を奪ってしまった。

あんまりクロムさんの顔が見れない。
申し訳なくて。

植物…藤の花の精霊様、俺はいいから、クロムさんの怪我と痛みを治して欲しい。

え、クロムさん?えっと…その、今なんて?
なんか、落ち着かないけど、手は、止めない。

こういう時、人はどうするんだろ。
よく分からないけど…今はこのままで。
おやすみ…姉さん。


クロム・エルフェルト
【狐々】
元より承知の上だったけれど
仲間に、都月くんに刃を向けてしまった
嗚呼、でも
キミの身体を斬り飛ばしてしまわなくて、本当に良かった

私は癒しの力を扱えない
代わりに都月くんを抱きしめる
……体格差で抱きつく、になってしまう
逞しい、な
共に子供化して任務に当たる事もあったせいか
本当の姉のような言葉が零れてしまう
――大きくなったね、ツヅキ

血を失い過ぎたのかな、頭が茫とする
大丈夫だよ、ツヅキ
おねえちゃんの方こそ御免ね、ツヅキ
修羅原の熱が抜けきってないのか、な

愛し、キミ

か細く毀れた独り言
親愛なのか、姉弟愛なのか、それとも――
答えを掴めそうなのに
緑の癒し火の温かさが、キミの体温が心地よくて
睡魔、が……――



 まるで何事もなかったかのように。
 修羅原と呼ばれたのは、嘗ての話……この地はまた、静かに藤の花が咲く名所に戻ったのである。
 けれどそれは一見、夢か幻かのように思ってしまいそうだけれど。
「クロムさん! 俺は……なんて事を!!」
 奪われていた正気が戻った瞬間、目の前の現実に木常野・都月(妖狐の精霊術士・f21384)は大きく瞳を見開いてしまう。
 自分がどんなに疲労しようとも構わず全力で、緑色の狐火を成してゆく。
(「少なくとも、俺が奪った精気分は、ちゃんと返さないと」)
 牙を剥いて突き立ててしまった、クロム・エルフェルト(縮地灼閃の剣狐・f09031)の傷を治すべく。
 いや、正気を取り戻したクロムも、思う事は同じ。
(「元より承知の上だったけれど。仲間に、都月くんに刃を向けてしまった」)
 けれど……嗚呼、でも、って。
 クロムは、自分を治療しようと必死な彼に向けた青をそっと柔く細め、心から思う。
(「キミの身体を斬り飛ばしてしまわなくて、本当に良かった」)
 焚き付けられ、蓋を開けられ、正気を失ったその最中で……何度もその首を飛ばさんと、刃を放つところだったけれど。
 でも、己のしたことに青褪めてはいるけれど、彼の首はちゃんと繋がっているから。
 そして。
(「私は癒しの力を扱えない」)
 だから……その代わりに。
「クロムさん?」
 ふわりと、すぐ傍に在る彼を抱きしめる。
 そんなクロムから与えられた感触に、都月は驚くけれど。
 でも、治療の手は止めない。
 というか、抱きしめているというよりは……体格差で抱きつく、になってしまっているけれど。
 ――逞しい、な。
 クロムの口から、そう零れてしまう言の葉。
 共に子供化して任務に当たる事もあったせいか、それはまるで、本当の姉のような声。
「――大きくなったね、ツヅキ」
 都月はクロムに抱きつかれた状態のまま、小さくふるりと首を横に振る。
(「こんなにいっぱい、俺よりも沢山、痛そうな傷……こんなに小さくて、軽くて、女の人なのに」)
 ……沢山精気を奪ってしまった、と。
 都月は、クロムの顔を真っ直ぐ見る事ができない……申し訳なくて。
 そしてさわりと、囁くかのように揺れた満開の藤の花を見上げて、お願いする。
「……藤の花の精霊様、俺はいいから、クロムさんの怪我と痛みを治して欲しい」
「大丈夫だよ、ツヅキ」
 耳元で聞こえた彼の声に、クロムはそう返しながら。
「おねえちゃんの方こそ御免ね、ツヅキ」
 鋭利な刀傷がたくさんついた逞しいその腕を、そうっと撫でて。
(「……修羅原の熱が抜けきってないのか、な」)
 何だか頭がぼうっとして、身体が熱い気がするけれど。
 熱に浮かされたかのように、クロムはか細く独り言を毀す。
 彼の耳元で――愛し、キミ……って。
 抱く愛しさは、親愛なのか、姉弟愛なのか、それとも――。
 その答えを、掴めそうなのに。
 刹那、クロムをほわりと誘うのは、夢の世界。
 緑の癒し火の温かさが、キミの体温が……心地よくて。
 そして聞こえた独り言に、都月は瞳を再び瞬かせて。
「え、クロムさん? えっと……その、今なんて?」
 擽る吐息が伝えた言葉に、なんだか、落ち着かないけれど。
 今は、彼女を治すその手は、やっぱり止めない。
 そして、思うのだった。
(「こういう時、人はどうするんだろ」)
 でも、よく分からないけど……今はこのままで。
 睡魔、が……と、ふにゃり落ちそうになる彼女の身体を抱きしめ、支えながら。
 その耳元で、まるで子守歌の様に、都月は優しく紡いであげる。
 ――おやすみ……姉さん、って。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

シン・クレスケンス
【WIZ】
『正気』に戻った瞬間、UDCのツキの力を封じて闇色の狼の姿に戻した後


疲れ切った心身を足湯で癒して。

「もっと暴れたかったぜ。お前のことも喰い損ねたしな」
足湯の座面に顎を乗せ、ツキがぼやきます。

あの時は、僕自身も身に宿すUDCの力を解放して戦うことに高揚を感じたのは確かです。
けれど、この力は危険です。
強い力程律して、決して狂気に呑まれてはいけない―

「生真面目でつまらねぇ奴だな」とツキが揶揄し「なぁ、あっちに菓子が売ってるみたいだぞ」
彼に足湯は退屈だったようですね。
「屍竜達や人魚の魔力を多少なりと「喰った」のでは?」と聞くと「別腹だ」と。
この食いしん坊があの恐ろしいUDCなんてね、と苦笑。



 先程まで共に暴れていた、闇色の不定形な本来のモノを封じて。
 正気に戻った瞬間、UDCのツキを闇色の狼の姿へと戻した後。
 満開を迎え、見頃となった見事な藤の花に導かれるように、シン・クレスケンス(真理を探求する眼・f09866)も神社へと辿り着いて。
 ちゃぷりと足を浸してみるのは、怪我にも効くといわれている足湯。
 じわりと傷が染みるのもほんの一瞬、ほかほか温かな湯が、疲れ切った心身を癒してくれるようで。
 ほぅっとゆっくり、心地良さそうに息を吐くシンだけれど。
「もっと暴れたかったぜ。お前のことも喰い損ねたしな」
 ちょこりと足湯の座面に顎を乗せつつも。
 ちょっぴり名残惜し気に、そうぼやくツキ。
 そんな言葉に、すぐにシンはふるりと大きく首を横に振る。
「あの時は、僕自身も身に宿すUDCの力を解放して戦うことに高揚を感じたのは確かです。けれど、この力は危険です」
 ……強い力程律して、決して狂気に呑まれてはいけない――。
 心が昂るほどの力こそ、危険だと。
 狂気を跳ね返し律しなければと、箍が外れた己を顧みれば、改めて強く思うシンなのだけれど。
「生真面目でつまらねぇ奴だな」
 そう揶揄した後、ふとツキは続ける。
「なぁ、あっちに菓子が売ってるみたいだぞ」
(「彼に足湯は退屈だったようですね」)
 そんな狼のような尻尾や耳をそわりとさせる様子を見て、シンはそっと溜息をつくも。
 すっかり菓子に意識が向いているツキへと、こう訊ねる。
「屍竜達や人魚の魔力を多少なりと「喰った」のでは?」
 そして、すぐに返ってきた返事は。
「別腹だ」
 まるでスイーツ好きな女子のような言葉。
 そしてシンは、そうきっぱり言い放ったツキに苦笑するのだった。
 ――この食いしん坊があの恐ろしいUDCなんてね、って。

大成功 🔵​🔵​🔵​

新海・真琴
【炎桜】
(伸びをしたり首を回したりして。ポキポキと骨の鳴る音が聞こえる)
はぁーっ!!つっかれたー!
でもま、君がボクのこと凄ーく好きだっての分かって良かったよ!
……へへっ
(藤の花の下で照れくさそうに笑って)

それじゃ、茶屋でお団子とお茶でも貰っていこうか
あ、ボクはこれと、これと、あとこれも……
(少し経って運ばれてきたのは、ドドン!!というSEが聞こえそうなレベルで積まれたお団子。みたらし、ごま、あんこ、草餅、色々)
あ、ベルンハルトも食べてもいいよー
甘いの苦手なら草餅とかごまとかどう?

(モグモグと満足げに食べ進める。お茶も飲む。今日は良い日だ)


ベルンハルト・マッケンゼン
【炎桜】
(穏やかに微笑んで、想い人の姿を改めて眺める)
お疲れさま、真琴。怪我、大丈夫か?
やはり、貴女は強いな。またしても、勝てなかったか……。

私も、こんなに貴女と貴女の愛情を求めていたとは、な。
心の奥底に隠していた一面を晒してしまい、全く気恥ずかしい。
……どうか嫌がらず、これからもよろしく頼むよ、愛しい人。
あぁ、そして……ご同行、ありがとう。

(山のように積まれた和菓子を見て)
……もう驚かなくなった。私は気にしないで、運動後のスイーツを楽しんでくれ。
私は『藤雨』を、頂きたい。

(杯を夜の藤花に掲げ、ゆっくりと味わう)
酔後 方に楽しみを知り 弥々 未だ酔わざる時に勝る。あぁ、良い一日だったな。



 うーんと大きく伸びをして、ぐるりと首を回したりして。
 耳に聞こえるのは、ポキポキと骨の鳴る音。
「はぁーっ!! つっかれたー!」
 何だか、程よく疲れを感じるくらい、すごく暴れた気がするけれど。
 つやつや爽やかな顔で、さらにポキポキと音を響かせる新海・真琴(黒耀銀嵐・f22438)の姿を改めて眺めて。
「お疲れさま、真琴。怪我、大丈夫か?」
 穏やかに微笑んで、ベルンハルト・マッケンゼン(黄金炎の傭兵・f01418)は想い人へと紡ぐ。
「やはり、貴女は強いな。またしても、勝てなかったか……」
「でもま、君がボクのこと凄ーく好きだっての分かって良かったよ!」
 そう満足そうに笑む真琴に、ベルンハルトはふっと熱を帯びた吐息を漏らす。
「私も、こんなに貴女と貴女の愛情を求めていたとは、な」
 正気を失っていたとはいえ、心の奥底に隠していた一面を晒してしまったことは、全く気恥ずかしい、って思わず呟いてしまうけれど。
 でも、こみ上げてくる様々な感情のまま、愛を求めたひとときは中々に心が昂ったのも事実。
 けれどまたそれをそっと奥底に仕舞い、ベルンハルトはスッとその手を愛しき人へと差し出しつつも告げる。
「……どうか嫌がらず、これからもよろしく頼むよ、愛しい人。あぁ、そして……ご同行、ありがとう」
 そんな彼の手を取った真琴も、照れ臭そうに笑み返す。
「……へへっ」
 静かに枝垂れて揺れる藤の花が、零れ落ちるように満開に咲く下で。
 ということで、スマートにエスコートされつつも真琴が向かったのは、勿論。
「それじゃ、お団子とお茶でも貰っていこうか」
 美しい藤が臨める、神社の境内にある茶屋。
 そしてお品書き片手に、早速注文を。
「あ、ボクはこれと、これと、あとこれも……」
 それから少し経って運ばれてきたのは。
 ――ドドン!!
 まるでそんな効果音が聴こえてきそうなレベルで積まれたのは。
 みたらし、ごま、あんこ、草餅、醤油、きなこ、ずんだ、海苔、その他色々。
 そう……お団子。めっちゃいっぱいの。
 そんなこんもりと山のように積まれた団子を見つめて。
「……もう驚かなくなった」
 ぽつりと呟きを落とした彼にも、真琴はずいっと団子を差し出して。
「あ、ベルンハルトも食べてもいいよー。甘いの苦手なら草餅とかごまとかどう?」
「私は気にしないで、運動後のスイーツを楽しんでくれ」
 そうやんわり団子山を回避しつつも、ベルンハルトがいただくのは、銘酒『藤雨』。
 そして日本酒とお茶で乾杯をした後、モグモグと満足げに食べ進める彼女を愛しげに見つめつつ、ベルンハルトはその心に紡ぐ。
 ……酔後 方に楽しみを知り 弥々 未だ酔わざる時に勝る、と。
 それから……今日は良い日だ、と。団子をぱくりと口に運びつつも言った彼女に微笑み返す。
 恋に酔う、決して離れない……そんな言の葉を秘めた花の名を冠する酒を、くいっと口にしながら。
 ――あぁ、良い一日だったな、って。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

終夜・嵐吾
せーちゃんに声かけて

は~、はしゃいでしもた~
何やっとったかあんま覚えとらんが、まぁ好き放題しとったんはわかる
めっちゃ汚れておるしの…
すん、と鼻を鳴らして己の匂いかげば
うむ。匂うの…しかし藤の花が諫めてくれるようじゃ

しかし暴れて腹が減った
今なら激甘もいけそ……いや普通のでええか
(せーちゃんがもりもり食べるので胸やけしそうじゃし)

せーちゃんは何にするんか?
酒もぐーっと飲みたいが今日は茶で
それからたい焼き!

おお色が変わる…謎じゃ
さてたい焼きは…頭からか、尻尾からか、それとも腹…
今日は腹にしよ!

ふふ、あーんな暴れとったのがうそのように穏やかじゃ
せーちゃんと一緒に遊べんかったのはちょっと残念じゃけどね



 雨のように藤の花が枝垂れ、咲き誇る神社を歩きながら。
「は~、はしゃいでしもた~」
「楽しそうだったな、らんらん」
「何やっとったかあんま覚えとらんが、まぁ好き放題しとったんはわかる」
 転送の任に就いていた清史郎と言葉交わす終夜・嵐吾(灰青・f05366)は、すん、と鼻を鳴らして。
「めっちゃ汚れておるしの……うむ。匂うの……」
 己の身を嗅げば、はしゃいだその残り香が、まだ仄か纏わりついてはいるけれど。
 琥珀のいろを巡らせつつも、ふわり漂う甘くやさしい花の香に瞳細める。
 ……しかし藤の花が諫めてくれるようじゃ、と。
 でも腹が減っては戦ができぬとは言うけれど。
「じゃが、暴れて腹が減ったの」
 戦の後も、腹は減るもの。
 その言葉に、では茶屋へ行こうか、らんらん、と。
 嬉々と早速向かう友に、今日は素直に続きながらも。
「今なら激甘もいけそ……いや普通のでええか」
 うきうきしている友がきっと、もりもりの甘さ増し増しなあれそれを食べるだろうので。それを見るだけで、胸やけしそう。
「せーちゃんは何にするんか?」
「らんらんはどうする? 酒ではなく茶にしとこうか」
「うむ。酒もぐーっと飲みたいが今日は茶で。それから……たい焼き!」
 瞬間、友の瞳がキラキラ輝いたのは、予想通りで。
 運ばれてきた青の水面に、添えてある檸檬の雫を数滴降らせれば。
「おお色が変わる……謎じゃ」
 まるで窓の外に咲き誇る藤のような色合いに変じたそれを、ふたりでじぃっと眺めてから。 
「さてたい焼きは……頭からか、尻尾からか、それとも腹……あっ」
 悩むことなく頭から雅に口にした友のブレなさに、思わず声を上げた後。
 ――今日は腹にしよ!
 あんこたっぷりの腹を、はむり。
「ふふ、あーんな暴れとったのがうそのように穏やかじゃ」
 そして既に数個あったたい焼きをいつの間にか完食し、お品書きを開く友へとへらりと笑む。
「せーちゃんと一緒に遊べんかったのはちょっと残念じゃけどね」
「また俺とも楽しく遊んでくれ、らんらん」
 それから、そうにこにこと笑む友が追加で頼んだえぐいほどの甘味てんこ盛りに、やはり胸やけする嵐吾であった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

逢坂・宵
ザッフィーロ(f06826と)

正気が戻ってきたならば ふぅと一息をついて、となりのかれを見る
先ほどまで互いに正気を失ってはいたものの、その記憶を思い返せば口元には笑みが浮かび
いついかなる時も、僕の傍にあって
守護星のごとく僕を守ってくれる最愛の伴侶へと向けて手に手を取り
藤の花咲く神社へと向かいましょう

あわい彩りをもって視界を埋め行く藤の花を眺めながらも
かれの言葉にはもちろんですと笑みかけてから
茶屋のベンチに並んで座って休みましょう
片手にたい焼きを持ってほおばりつつも
かれの言葉にはふわりと微笑んで
つないだ手をいっそう強く握ります

ええ、もちろんです
きみとはずっと離れませんと、この藤に誓いましょう


ザッフィーロ・アドラツィオーネ
宵f02925と

肉を得てから常に理性にて己の行動は律するべきだと思い生きてきたが…
やはり宵の事になると難しいのだなと、そう先迄の己を思い出しながら宵の笑みに釣られるよう照れ臭げに瞳を細めるも
先の焦燥感を思いだせばつい宵の手を確りと握ってしまうやもしれん
…その、なんだ
藤が綺麗ゆえ、茶屋で甘味でも食しながら見られればと、な?
手を繋ぎつつ茶屋の席に座れば頼んだ鯛焼きと抹茶に舌鼓を打ちつつ藤を楽しもう
宵と共に藤を見上げれば本当に美しいな…と思わず声を
確か藤の花言葉は決して離れない…、だったか
確かに確り重なる枝は繋いだ手の様にも見えるなと、そう藤を見上げながら空いている手を繋ぎ直せればと、そう思う



 楚々と咲き誇り枝垂れる藤の花が、さわりと。風に揺れる音さえ聞こえてきそうな静寂の中。
 ザッフィーロ・アドラツィオーネ(赦しの指輪・f06826)は、つい先程までの己の事を思い返す。
 正気を失うと、そう聞いてはいたとはいえ。
(「肉を得てから常に理性にて己の行動は律するべきだと思い生きてきたが……」)
 ……やはり宵の事になると難しいのだな、と。
 すぐ隣に居る逢坂・宵(天廻アストロラーベ・f02925)の姿を、銀の瞳に映せば。
 星の煌めき纏う柔い深宵の瞳にも己の姿が。
 戻って来た正気。それを感じながら宵は、ふぅと一息ついて。
 となりのかれへと視線向ければ、口元に浮かぶ笑み。
 先程まで互いに正気を失ってはいたものの。
(「いついかなる時も、僕の傍にあって、守護星のごとく僕を守ってくれる」)
 正気を失っても、それは変わらない。
 ザッフィーロも先迄の己を思い返しながらも、向けられた美しい笑みにつられるように、照れ臭げに彼だけを映した瞳を細めるけれど。
 でもやっぱり、つい手を伸ばさずにはいられない。
 そして彼の手を取って、ぎゅっとしっかり握りしめる。先の焦燥感を、思い出して。
 そんな混ざり合う互いの温もりに、ホッと心満たされてゆくのを感じながら。
 ふたりがゆく藤の花咲く道の先にあるのは、藤棚が見事だという神社。
 見上げれば、視界を埋め尽くす、あわい彩りたち。
 薄紫の静かないろが満ちる風景をふたりで眺め、歩いていれば。
「……その、なんだ。藤が綺麗ゆえ、茶屋で甘味でも食しながら見られればと、な?」
 聞こえたかれの声に、宵は笑んで返す。もちろんです、と。
 あわい紫の雨が降るふたりだけの世界の中……しっかりと、手を繋いだまま。
 そして辿り着いた茶屋で、藤の花を愛でながら一休み。
 本当に美しいな……思わずそう声が零れ落ちてしまうほど見事な花を、ザッフィーロは宵と並んで座った茶屋のベンチから楽しみつつも。頼んだ鯛焼きと抹茶に舌鼓を打って。
 宵もはむりと鯛焼きをほおばりつつ、かれと一緒に花も団子もどちらも満喫する。
 そして、ふわりと笑み咲かせて……つないだその手を、いっそう強く握る。
 ――確か藤の花言葉は決して離れない……、だったか。
 そんなかれの声が、耳を優しく擽ったから。
 ザッフィーロも、仰いだ先の花が咲かせる言の葉の通りに。
「確かに確り重なる枝は繋いだ手の様にも見えるな」
 決して離れない……離しはしないその手を、そっと繋ぎ直せば。
「ええ、もちろんです」
 宵もこくりと頷いて、降り注ぎ咲き誇る藤に誓う。
 ――きみとはずっと離れません、と。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

片稲禾・りゅうこ
【怨腐れ】

(すごくたくさん食べている)
…ん?なんだよはふり、ずっとりゅうこさんの顔見て
………あっ!わかったぞ!この団子が食べたいんだな!
しょうがないなあ~~~ほら、あ~~~~……え、違う?なあんだ。

え!!!???酒!!!???
行こうぜ!こうしちゃいられないぞ!!なんだよ先に言ってくれよお!!

んん~~~美味い!甘いが何度でも飲めるな!
ああそうだ、ヒトの子の間では藤の花と言えば『恋』らしいぜ!りゅうこさんにはさっぱりだけどな!
はふりはどうだ?わかるか?そういうの。
……なんだよはふり、そんなこと想ってたのか。
なはは、い~や?
あのはふりが、随分とヒトの子みたいなことを言うようになったなあと思ってさ。


葬・祝
【怨腐れ】

全く、やっと終わりましたねぇ
たっく、良く食べますね君は……
違いますよ、わざわざ君の食べている物を欲しがる気もありませんし
ただ、無類の酒好きのりゅうこが特産の酒に飛び付かないのは珍しいなと思いまして
……嗚呼、気付いてなかっただけですか

『恋』?
…………さあ、私自身は全くもって理解出来ませんし、存じ上げませんけど
でも、そうですねぇ……さぞかし、人を狂わせるもので、人の力にもなる、そんな熱量なんでしょうね
あの子を、……変えるほどの、

思い出すのはずっと共に居る山神のこと
恋をして、少なからずあの子は変わったのだから

何ですか、その顔
……私が、人の子のよう……?
まさか、ご冗談を
私は何も変わりませんよ



 まるで何もなかったかのように、後にした野原にただ咲き誇る藤の花。
 その花に導かれるように歩けば、辿り着いたのは、神社であった。
 そしてそこにも、見事な薄紫のいろが広がっていた。
 沢山浴びたいろを、そうっと覆い隠すかのように。
「全く、やっと終わりましたねぇ」
 そうふっと漏らす息と同時に紡いだ葬・祝(   ・f27942)は、じぃっと眼前にいる片稲禾・りゅうこ(りゅうこさん・f28178)を見遣る。
 先程まで相手していたのは、煩い竜だとか人魚だとかであったけれど。
 今、彼女の前に、やたらてんこ盛りなのは。
「……ん? なんだよはふり、ずっとりゅうこさんの顔見て」
「たっく、良く食べますね君は……」
 茶屋で頼んだ、大量の団子。
 それをごく普通にぱくぱくと、すごくたくさん食べながらも。
 向けられている銀のいろに気が付いて、りゅうこはこてんと首を傾けるけれど。
 はむはむと団子を頬張りながらも、ぽんっと手を打って紡ぐ。
「………あっ! わかったぞ! この団子が食べたいんだな!」
 そう言うが早いか、こんもり盛られた団子山からひとつ取って、手にして。
「しょうがないなあ~~~ほら、あ~~~~」
「違いますよ、わざわざ君の食べている物を欲しがる気もありませんし」
 差し出したものの……即、ふるりと首を横に振った祝の声に、ぱちくり。
「……え、違う? なあんだ」
 そんな、やはりもぐもぐと団子を食べまくる彼女へとちらり、改めて視線を向けて。
 祝はわざと一拍の間を取った後、こう続ける。
「ただ、無類の酒好きのりゅうこが特産の酒に飛び付かないのは珍しいなと思いまして」
 そして、耳に届いた言の葉を聞けば。
 ぴたりと一瞬、団子を頬張るその手が止まって。 
「え!!!??? 酒!!!???」
 刹那、はむはむぱくぱく、あれだけ残っていた団子が高速で殲滅されて。
 ガタッと逸る様に立ち上がり、声を上げるりゅうこ。
「行こうぜ! こうしちゃいられないぞ!!」
 ……なんだよ先に言ってくれよお!! って。
 そんな連れの様子を見遣りながら、祝はこてりと首を傾げてみせる。
 ……嗚呼、気付いてなかっただけですか、と。
 そして嬉々と、振舞われた『藤雨』という名の銘酒を口にして。
「んん~~~美味い! 甘いが何度でも飲めるな!」
 りゅうこはおかわりを貰いつつ、枝垂れ咲く花のいろにふとこう紡ぐ。
「ああそうだ、ヒトの子の間では藤の花と言えば『恋』らしいぜ! りゅうこさんにはさっぱりだけどな!」
 そしてごくごくと、ほろ酔いに誘う甘い酒を飲みながらも訊ねてみるのだった。
「はふりはどうだ?」
 ――わかるか? そういうの、って。
「……『恋』?」
 そんな問いに、銀の瞳を細めてから。
 …………さあ、私自身は全くもって理解出来ませんし、存じ上げませんけど、と。
 りゅうこへと返した後、祝はふと天を仰ぐ。
「でも、そうですねぇ……さぞかし、人を狂わせるもので、人の力にもなる、そんな熱量なんでしょうね」
 ――あの子を、……変えるほどの、
 まるで酔い痴れてしまいそうないろに、そうぽつりと落とせば。
 思い出すのは、ずっと共に居る山神のこと。
 だって、少なからずあの子が変わったのは……恋を、したから。
「……なんだよはふり、そんなこと想ってたのか」
「何ですか、その顔」
 じっと自分を見つめ言ったりゅうこに、祝はいつも通りの視線と言の葉を返して。
 ……なはは、い~や? と。
 相変わらず酒を呷りつつも、りゅうこは笑う。
「あのはふりが、随分とヒトの子みたいなことを言うようになったなあと思ってさ」
「……私が、人の子のよう……?」
 りゅうこのそんな言葉に――まさか、ご冗談を、と祝は紡いでから。
 静かに揺れる淡い薄紫の花へと改めて目を遣りながら、続ける。
 ……私は何も変わりませんよ、って。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

尾守・夜野
WIZ

…暴れる時間は終わりっと満足し、普段の俺に変わる
怪我とかしまくってるけど知るか

「うおっ?!」
突然変わられたたらを踏む
辺りを見渡しても敵影は見えんから終わったんだろうな
正直途中記憶飛んでる所もあり覚えてねぇんだよ

「うげ…髪とかパサついてんじゃんどんだけ浴びたんだよ」
…胴体部は黒纏が吸ったからましだが靴も最悪なんだが?
靴とかは髪は黒纏で何とかし温泉があると聞きそこに向かう
神社行くのに流石にこれはヤバい
「…足湯?へぇ傷に効くんだ」
痛みは感じねぇけど足湯でも多分洗える所とかある筈、目につく所の乾いた血だけ濡らしたタオルで拭ったり洗わせて貰ってから入ろうか

その後辺りを探索
へぇこの土産いいな



 あれだけ数いた有象無象ももう全部潰して、跡形なく消え失せたから。
 ……暴れる時間は終わりっ、と。
 満足するように口にした、破壊する事が好きな『彼』の出番はここまで。
「怪我とかしまくってるけど知るか」
 そう呟いてから、また尾守・夜野(墓守・f05352)の奥深くへと沈んでゆけば。
「うおっ?!」
 刹那、瞳を見開いてよろりとたたらを踏んでしまう。
 だって、突然変わられたのだから。
 そして普段の彼は、きょろりと周囲を見回してみて、置かれた状況を把握する。
 ……敵影は見えんから終わったんだろうな、と。
 何となく朧げには、何か暴れたみたい、と。
 いろんなものに塗れた今の自分を見ても、それは辛うじてわかるけれど。
「正直途中記憶飛んでる所もあり覚えてねぇんだよ」
 そう呟きを落としながら、夜野は思わず顔を顰めてしまう。
「うげ……髪とかパサついてんじゃんどんだけ浴びたんだよ」
 ……胴体部は黒纏が吸ったからましだが……靴も最悪なんだが? と。
 べとりと髪に纏わりついていたものが乾いてパサパサになっている挙句、靴にもべたりとこびりついている。
 そんな靴や髪は、とりあえず黒纏で何とかして。
 ……神社行くのに流石にこれはヤバい、と。
 このあたりは温泉が湧き出ていると聞いたから、まずはそこに向かう。
「……足湯? へぇ傷に効くんだ」
 少しちゃぷりと桶に組んだ湯をかけてみれば、染みたりなど、特に痛みは感じないけれど。
 足湯の傍にあった洗い場で、さっと目につく所の乾いた血だけでもと。
 濡らしたタオルで拭って洗った後、改めて湯へと足を浸してみる。
 それから、咲き誇る藤の道をゆるりと巡り探索してみながら、辿り着いた神社で。
 夜野は、ふと手に取ってみた藤の花のお守りを、しゃらりと鳴らして。
「へぇこの土産いいな」
 雨の如く枝垂れ咲く薄紫と同じいろのそれを、そうっと翳してみるのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ロキ・バロックヒート
【赫戯】

えーこのままでも良いよぉ
今言ったら怒られそうだけど言っちゃう
寝そべって慈雨を受けてじわじわと痛みが取れていく
つまんないの~って転がる
神様だからほっといても治るよ

でも色々ヴォルフくんのおかげだから
ヴォルフくん慰労会しよう
気持ちだけとか謂わず尻尾もふってあげるね
でもさぁ君全然乱れてなかったよね
もっと羽目を外せば良かったのに

ほんとだ藤がとっても綺麗
まだ醒めやらぬ肴には丁度良い
俺様も飲みたい気分
清史郎くんも飲む?って手をひらひらさせて

千鶴くんにはこっそりと
いつでも望むものをあげると囁いて笑う
だって君のあのお顔
忘れられないもの

結局正気はあってもなくても
この世は狂気の沙汰ばかり
さぁ次は何に酔おうか


ヴォルフガング・ディーツェ
【赫戯】
何にせよ治療を
治癒効果を高めた霊薬をルーンで雨と降らせよう
傷を癒すのはそれなりに
楽しかったのも事実だからね
名残惜しさは隠さず

折角だから藤でも見て…慰労会?
2人も慰労される側だろうに(じゃあ有難くと微笑って)
君達尻尾好きだね…もふって全然良いよ
千鶴のあの感覚、暫く忘れなそう(妖しく目を細め)

羽目は仕方ないさ、俺は自制自縛に慣れ過ぎているからね

清史郎にひらり手招き、折角だから藤雨を求めて舌鼓を
ほの甘い冷酒が花の美しさに映える、花冷えで言葉遊びを重ね杯を傾けよう

3人はどうする?たい焼き、千鶴好きだったよね。ハーブティもあるみたいだよ
俺は今日は飲酒日だ

花に、今日に、もう暫し酔いしれていたいから


宵鍔・千鶴
【赫戯】

癒しの雨にそっと手を伸ばして
痛みが和らいでゆく
ロキに倣うようにその場にころりと寝転び
ヴォルフの優しい雨だ

ふふ、ヴォルフが一番の功労者だから
慰労会だね
今度はふわふわのきみの尻尾を撫でながら
気持ちいいなぁ、やっぱりきみの尻尾すき
…うん、もふもふに包まれて
死の淵が視えた、なんてレア体験だったかも

揺れる藤に酔いしれて
俺は花の馨りのハーブティーにしようかな
たい焼き、体力使ったから甘味も欲しくなるかも
清史郎も一緒に乾杯しよう?

未だふわりと残る赫の香り
ロキの囁く聲に柔らかに妖しく咲い
どんな美酒よりも屹度、その言葉だけで
くらりと酔ってしまいそうだね、

淡い紫を瞳に映し
余韻はまだこの胸に



 見上げれば、まるで淡い雨のように枝垂れ咲く藤の花。
 そして、ぱらりと刹那降り注ぐのは、ルーンがもたらす癒しの雨。
 ――何にせよ治療を。
 ヴォルフガング・ディーツェ(花葬ラメント・f09192)は、そう治癒効果を高めた霊薬を振り撒くけれど。
「えーこのままでも良いよぉ」
 今言ったら怒られそうだと思いながらも、普通に言っちゃうのがロキ・バロックヒート(深淵を覗く・f25190)。
 そして、ころんと寝そべって慈雨を浴びれば、じわじわと取れていく痛み。
 修羅原はただの何もない野原に戻り、正気だって取り戻して。
 静かな淡い色が、交わし合った赫き戯れのいろさえ、覆ってしまわんとするけれど。
 身体の痛みを感じればそのたびに、楽しかったひとときを思い出せるだろうのに。
 ……つまんないの~。
 ロキはそう、ころんと転がる。
 そんな慈雨降る天へとそうっと手を伸ばしてみるのは、宵鍔・千鶴(nyx・f00683)。
 そして、ころんと転がったロキに倣って、ころり。
 隣に寝転んで、痛みが和らいでゆくのを感じつつ紡ぐ――ヴォルフの優しい雨だ、って。
 見上げる紫のいろを柔く細めながら。
「神様だからほっといても治るよ」
 ロキはそう、やっぱり治すのは勿体無いと言わんばかりに口にするけれど。
「楽しかったのも事実だからね」
 ヴォルフガングも、名残惜しさは隠さずに……傷を癒すのはそれなりに。
 それからロキはまた、ころんと転がって。
 ヴォルフガングを見上げ、こんな提案を。
「でも色々ヴォルフくんのおかげだから、ヴォルフくん慰労会しよう」
「折角だから藤でも見て……慰労会?」
「ふふ、ヴォルフが一番の功労者だから、慰労会だね」
 ロキの言葉にきょとりとしたヴォルフガングへと笑んで、千鶴も慰労会に賛成。
「2人も慰労される側だろうに」
 じゃあ有難くと微笑むヴォルフガングを、ふたりで慰労する。
「気持ちだけとか謂わず尻尾もふってあげるね」
 ……もふもふもふ。
 ふわもふな尻尾を、存分にふるもっふしてあげます……?
「気持ちいいなぁ、やっぱりきみの尻尾すき」
「君達尻尾好きだね……もふって全然良いよ」
 もふっている方が何だか幸せそうに見えなくはないけれど。
 ふわふわな彼の尻尾を撫でながらも、千鶴は思い返す。
「……うん、もふもふに包まれて死の淵が視えた、なんてレア体験だったかも」
 その言葉に、ヴォルフガングもふっと彼を見つめる瞳を細める。
 ――千鶴のあの感覚、暫く忘れなそう、って。
 きつく締めつけるたびに軋んだ音に酔う様に、妖しくわらって。
 ロキはそんなヴォルフガングへと、改めて目をちらりと向けて首を傾ける。
「でもさぁ君全然乱れてなかったよね」
 ……もっと羽目を外せば良かったのに、なんて。
 一応、正気は失ってはいたのだが。
「羽目は仕方ないさ、俺は自制自縛に慣れ過ぎているからね」
 慰労会をされるくらいには、敵の対応やら回復やら、気を回せていたヴォルフガング。
 でもそれでも、ふたりとじゃれ合ったひとときは、十分楽しんでいたのだけれど。
 そしてそこそこ傷も癒えれば、藤色に染まった神社を歩いてみて。
「藤がとっても綺麗」
 見頃を迎え、満開に枝垂れる薄紫の世界をぐるりと見遣れば。
 見つけたのは、銘酒『藤雨』を振舞う出店と。
「清史郎くんも飲む?」
 ふと出会った、見知った顔。
 ひらりひらひらと手招かれ、誘いの声を掛けられれば、宿る雅な微笑み。
「3人はどうする? 俺は今日は飲酒日だ」
 そう問いつつも藤雨を求めるヴォルフガング。
「俺様も飲みたい気分」
「俺も酒をいただこう」
 同じく、銘酒をとロキと清史郎が返せば。
「たい焼き、千鶴好きだったよね。ハーブティもあるみたいだよ」
「俺は花の馨りのハーブティーにしようかな。たい焼きも、体力使ったから甘味も欲しくなるかも」
「ふむ、たい焼きも良いな……」
 甘いものにも目がない甘味仲間に、千鶴は笑む。
「清史郎も一緒に乾杯しながら、たい焼きも食べよう?」
 そして折角だからと結局みんなで、花も甘味も飲み物も全部楽しむことにして――乾杯、と。
 杯交わし合った後、まずは飲み物を各々口に運ぶ。
 藤雨は、眼前の花の香の如くほの甘くて。
 花の美しさに映える花冷えで、傾ける杯だけではなく、重ね合うのは言葉遊び。
 そして千鶴が青の水面に檸檬の雨を数滴降らせれば、じわり変じるのは楚々と咲く花と同じ色。
 そんな移ろう彩りを見つめる千鶴に、ロキはこっそりと。耳を擽るように囁いて笑う。
 ……いつでも望むものをあげる、って。
 いくら藤が隠そうとしても、未だふわりと残る赫の香り。
 そして囁かれた聲を聞けば、千鶴も柔らかに妖しく咲って。
「どんな美酒よりも屹度、その言葉だけで、くらりと酔ってしまいそうだね」
「だって君のあのお顔、忘れられないもの」
 くすりと、ロキも楽し気に笑み返す。
 それから千鶴は、見つめる瞳にも淡い紫を咲かせながら、感じる。
 まだ胸に残って疼く、酔い痴れる様な赫の余韻を。
 ヴォルフガングも筋肉友なだけでなく甘味好き同士、清史郎と餡の味が違うたい焼きを半分こし合いつつも。
 皆が楽しそうで羨ましいくらいだったな、なんて雅に笑む友の空いた杯に藤雨を注ぐ。
 藤の花言葉のように、恋にではないけれど。
(「花に、今日に、もう暫し酔いしれていたいから」)
 恋の様に甘やかな赫の余韻にもう少しの間だけ、浸ることにする。
 そしてそんな皆を見回して、ロキは蜜色の瞳を愉快気に細める。
(「結局正気はあってもなくても、この世は狂気の沙汰ばかり」)
 ――さぁ次は何に酔おうか、って。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

浮世・綾華
※類さん(f13398)

正気を取り戻し
心配は隠すも笑う様子に安堵
同じよな表情返し、袖持ち上げて
落ちるかな、と戯け


見上げればそれだけで癒されるようだったけれど
すげぇ、効能
折角だし、行ってみましょーか

心遣いを知るにはまだ貴方の事を知らなすぎたから
本当は好きでも嫌いでもなかったが
あんたの傷が治ればいい
ただそう考えて

類さん類さん
酒、持っていきましょ
そーみたい
やった

いてぇ?とくすり
じゃあ、まじないでもいかが
差し出す掌に鍵を忍ばせこそりUCを

でしょ
とっておきなんで
問われぬことに安堵を重ねて

俺は酒が一番の薬だなぁ
足で小さく湯を弾き、笑う
酌は有り難く頂き、満足と喉を潤して

ええ
荒屋の子らに、土産も買っちゃお 


冴島・類
※綾華さん(f01194)

正気が戻ってきたら
お互い無事でよかった…!と両手をあげれる感じじゃない
着替えたとしてもまだ滲む赤に苦笑漏れ
高揚してると、細部まで目につかないものだね

鳥居をくぐり淡い藤の中へ
へぇ、傷に効く足湯だって
綾華さんは温泉好き?

手を貸してくれた君と
駆けた時に後悔などないが
彼を傷ついたまま帰すのは嫌だなと誘い

あ、飲みものとかをいただきながらも良いんだね
名物『藤雨』を調達して盃交わそうか

染みる湯を誤魔化すように
優しく喉を潤す酒精は甘く
おまじない?
差し出された手を取り、効果に驚き
え、これ湯以上では
君がくれた癒しに瞬くが

術を問うより
なら…もう一杯如何と感謝込め酌を

後で甘味も買っていくかい



 この地が再び、嘗て修羅原と呼ばれたただの野原に戻ったと同時に。
 失われていた正気も、元の通り。
 そして――お互い無事でよかった……! なんて。
(「両手をあげれる感じじゃない」)
 いや、無事なのは勿論、喜ばしいことには間違いないが。
「高揚してると、細部まで目につかないものだね」
 冴島・類(公孫樹・f13398)は、着替えてもまだ滲む赤に苦笑を漏らす。
 そして同じ様な表情返し、ひょいと袖を微か持ち上げて。
「……落ちるかな」
 浮世・綾華(千日紅・f01194)はそう呟きつつ。心配は隠すも笑う彼の様子に、そっと安堵する。
 それから、何も無い野原を後にして、藤の花が導くままに進みゆけば。
 鳥居を潜った先……淡い藤の中へ。
 枝垂れ咲く薄紫のいろを見上げれば、それだけでも癒されるような心地に陥るけれども。
「へぇ、傷に効く足湯だって。綾華さんは温泉好き?」
「すげぇ、効能。折角だし、行ってみましょーか」
 ふたりが足を向けるのは、傷に効くのだという湯が湧く足湯。
 そして、足湯への誘いの声を類が掛けたのは。
(「手を貸してくれた君と駆けた時に後悔などないが」)
 ……彼を傷ついたまま帰すのは嫌だなと、そう思ったからで。
 そんな心遣いを知るには、まだ彼の事を知らなすぎたけれど。
 ……あんたの傷が治ればいい。
 本当は温泉は好きでも嫌いでもない。
 でも、ただそう考えて、誘いに頷いた綾華。
 それからふと目に入ったそれに気づいて、少しだけ寄り道の提案を。
「類さん類さん。酒、持っていきましょ」
「あ、飲みものとかをいただきながらも良いんだね」
 そーみたい、と返す綾華の視線の先には、『藤雨』という銘酒が振舞われている出店。
 それを調達して盃交わそうかと類も頷けば、やった、と綾華に宿る笑み。
 そして労い合うように、乾杯を交わしてから。
 そうっと湯に足を浸してみれば――。
「……いてぇ?」
 思わず声を上げた綾華は、くすり。
 そんな彼の隣で、甘やかで優しい酒精で喉を潤す類だけれど。
 染みる湯を誤魔化さんと藤雨を呷っていることは、秘密。
 そして染みるこの感覚も、傷に効いているから生じるのかもしれないけれど。
「じゃあ、まじないでもいかが」
「おまじない?」
 差し出された綾華の手を、首を傾けながらも類が取れば。
「……え、これ湯以上では」
 彼がくれた癒しに、思わずぱちくり。
 それは掌に鍵を忍ばせた、慈鍵という名の、こそりナイショのおまじない。
 驚く類に、綾華は赤の瞳を細めて。
「でしょ。とっておきなんで」
「なら……もう一杯如何」
 術を問うよりも、感謝込めた酌をと傾ける類。
 綾華も、問われぬことに安堵を重ねながら。
「俺は酒が一番の薬だなぁ」
 ぱしゃりと、浸していた足で小さく湯を弾き、笑う。
 有り難く頂いた酒で、満足と喉を潤して。
 そして、そうくいっと藤の花の如く仄かな甘さの酒を口にする彼に笑んで、類は訊ねる。
「後で甘味も買っていくかい」
「ええ。荒屋の子らに、土産も買っちゃお」
 甘いお裾分けに咲く笑みを眺めつつもまた、淡い花の余韻に浸れるから。 

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

朱赫七・カムイ
⛩迎櫻館

噫、あぁ……私はなんてことを!
よりによってサヨを、サヨを傷つけるなんて
正気を飛ばして、慾と衝動に流されてなどとなんと愚かしいことか…サヨはきっと私のことを嫌いになるよ

サヨは笑っているが私は自己嫌悪で砕け散りそうだ

嘆きながら二人の傷を「輪廻ノ倖」にて癒していく

チオリにも無様な様を見せてしまった
私のことを見損なったかい?
…サヨは、そうだろうか…

チオリの言葉に見上げ美しい藤花に気がつけた
揺れる藤波の美しいことだ
揺れる花に身を心を任せるように花逍遥するのもいいだろう

サヨ!ごめんね、サヨ
─でも
正気は失っていても私は

ひとつだって嘘はいっていない

花言葉は、決して離れない、だろう
酔うのはもう、とっくに


誘名・櫻宵
🌸迎櫻館

うふふ!噫、楽しかったわぁ!
何の遠慮も躊躇も、私を縛る理もなく─私の思うがままに喰らい踊るのことのなんと楽しいことかしら!
ひとの意など介さずに
ひとの心など踏みにじり
枷を取り除き
ただ、素直に真っ直ぐに──なんて

カムイの熱い想いは甘く煮立って美味しくて、あかを纏う千織はきゅんとするほど美しかったわよ?
あなたにあんな一面があったなんて
いいもの、見せてもらっちゃった

カムイに治してもらったから傷ももうばっちりね

揺れる藤棚のした、鼻歌交じり踊るよう
くるりくるり、笑み咲かす
謝ることないのに
私は、嬉しかった

花言葉は恋に酔う、でしょう?
ならもっと酔って頂戴
泥酔して、首を斬られるのも気がつけないくらいに


橙樹・千織
迎櫻館

私は…
お二人になんて失礼な…
あぁ、いえ
櫻宵さんとの遊戯は楽しかったですよ?
…ってそうじゃなくて、あぁぁ
血に塗れ不躾な物言いをしてしまったと
頭を抱え、耳も尻尾もぺたり

櫻宵さん立ち直り早くありません?
あっという間にいつも通りね、と苦笑して

見損なう?何故?
初めての大きな感情を持て余しているなら
今のうちに向き合えばいいのでは?
…なんて、ね

カムイさん大丈夫ですよ
彼は…櫻宵さんはこの程度のことでは貴方から離れたりしませんから

…美しい藤ね
それにとても良い香り
まるで別世界のよう
ほぅ、と魅入り手を伸ばす

傷も治してもらいましたし
何か見に行きましょうか

恋に酔い
消して離れない
…ふふ、やっぱり二人が羨ましいわ



 まるで何事もなかったかのように、静けさ広がるただの野原を後にして。
 淡紫の花に導かれるまま夜行し、辿り着いたのは神社であった。
 そして見事に藤の花が満開な風景の中、ご機嫌な笑み咲かせるのは誘名・櫻宵(爛漫咲櫻・f02768)。
「うふふ! 噫、楽しかったわぁ!」
 正気という概念が存在しない修羅原と呼ばれたあの場所では、何もかも自由であった。
 ひとの意など介さずに。
 ひとの心など踏みにじり。
 枷を取り除き――。
(「何の遠慮も躊躇も、私を縛る理もなく――私の思うがままに喰らい踊るのことのなんと楽しいことかしら!」)
 ただ、素直に真っ直ぐに――なんて。
 くすりと笑んで花霞の瞳細める櫻宵と、歩きながらも。
「噫、あぁ……私はなんてことを! よりによってサヨを、サヨを傷つけるなんて」
「私は……お二人になんて失礼な……」
 ひたすら各々ひとり反省会を繰り広げているのは、朱赫七・カムイ(約倖ノ赫・f30062)と橙樹・千織(藍櫻を舞唄う面影草・f02428)。
「正気を飛ばして、慾と衝動に流されてなどとなんと愚かしいことか……」
 ふるふると、カムイは大きく何度も首を横に振りながらも。
 涙目になりながら、隣をゆく己の巫女をちらり。
 ……サヨはきっと私のことを嫌いになるよ、と。
 そんな絶望に満ちたような声色にも、櫻宵はにこにこと笑って。
「カムイの熱い想いは甘く煮立って美味しくて、あかを纏う千織はきゅんとするほど美しかったわよ?」
 そう紡がれた声に、橙の視線を向ける千織。
「……あぁ、いえ。櫻宵さんとの遊戯は楽しかったですよ?」
「あなたにあんな一面があったなんて。いいもの、見せてもらっちゃった」
「……ってそうじゃなくて、あぁぁ」
 瞬間、頭を抱え、耳も尻尾もぺたり。
 千織は再び反省会を……血に塗れ不躾な物言いをしてしまった、と。
 そして、カムイも。
(「サヨは笑っているが、私は自己嫌悪で砕け散りそうだ」)
 そうしょんぼり嘆きながらも、再生を司る朱桜の神光『輪廻ノ倖』をふたりに施して傷を癒していく。
 いや、心の儘に刃を突き立てた巫女にだけではない。
「チオリにも無様な様を見せてしまった。私のことを見損なったかい?」
 本当に砕け散りそうなくらい自己嫌悪真っ只中なカムイは、千織にも申し訳なさそうに口にするけれど。
「見損なう? 何故?」
 千織は首をこてりと傾けつつも、そんな彼へと続ける。
「初めての大きな感情を持て余しているなら、今のうちに向き合えばいいのでは?」
 ……なんて、ね、って。
 そう呟きを零れ落としながらも。
 見るからにずーんと落ち込んでいるカムイへと、こう告げる。
「カムイさん大丈夫ですよ。彼は……櫻宵さんはこの程度のことでは貴方から離れたりしませんから」
「……サヨは、そうだろうか……」
 そう自分を見つめる彼に、こくりと頷きつつも。
「……美しい藤ね。それにとても良い香り」
 ほぅ、と感嘆の息を漏らしながら……魅入るように、ふいに手を伸ばしてみる千織。
 ――まるで別世界のよう、と。
 そしてこれまで俯いていたカムイは、ようやく気付けたのである。
「揺れる藤波の美しいことだ」
 一面の淡い世界を染めている、美しい藤の花に。
 そんな藤の花を愛でるカムイの姿に瞳細めた後、千織はふたりに改めて声を掛ける。
「傷も治してもらいましたし、何か見に行きましょうか」
「カムイに治してもらったから傷ももうばっちりね」
 そう頷く櫻宵の足取りは、やはり弾むようで。
 揺れる藤棚のした、鼻歌交じりで踊るように笑み咲かす――花の様にくるりくるり、と。
「櫻宵さん立ち直り早くありません?」
 そんな櫻宵の様子に、千織はそっと苦笑する。
 ……あっという間にいつも通りね、と。
 カムイもようやく、花逍遥するのもいいだろう、ってそう思える様に。
 揺れる花に……身を心を、任せるように。
 けれどやはり、申し訳なさはいっぱいだから。
「サヨ! ごめんね、サヨ」
 また泣きそうな顔で詫びる己の神様に、櫻宵はこう返すのだった。
「謝ることないのに」
 ……私は、嬉しかった、って。
 そしてカムイも、迷いなく己の巫女へと紡げる。
「でも、正気は失っていても」
 ――私はひとつだって嘘はいっていない。
 そんな言の葉を耳に、櫻宵は藤色のそらを仰いで。
 一等楽し気に笑み咲かせながらも、続ける。
「花言葉は恋に酔う、でしょう?」
 ……ならもっと酔って頂戴、って。
 泥酔して、首を斬られることにも、気がつけないくらいに。
 カムイも綻ぶ己の桜を、朱砂の彩宿す龍瞳にも咲かせ、言の葉を返す。
「花言葉は、決して離れない、だろう」
 ……酔うのはもう、とっくに、と。
 そんなふたりを、普段通りのふわふわした微笑みで見守りながら。
 千織は、枝垂れ咲かせる様にふと零れ落とす。
「……恋に酔い、消して離れない」
 そして、そうっとその心に思うのだった。
 ――……ふふ、やっぱり二人が羨ましいわ、って。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

神埜・常盤
シャト君/f24181

いま目の前に拡がる景色は極楽のよう
先程まで世界は地獄めいていたのに
はは、確かに
アレはアレで良かったなァ

ねェ、美酒を戴こうか
再び此の身を蝕む、喉の渇きを癒す為
そして裡に昂る熱を逃さぬ為に

藤雨か、良い響きだね
視界の端に垂れる藤は
まるで雅な雨のよう

そういえば
君が纏う彩にも少し似ているね
紫絲の髪を眺めながら
そんな科白をぽつり
とっても綺麗な彩だと思うよ
こんな夜にはよく映える

さて、何に乾杯したものか
例えば、裡に滾る赫き欲望に――
ふふ、そして君の櫻を染める赫に、乾杯

其れは此方の科白さ、
僕のなかの怪物を
面白がってくれるきみ
普段は忌むべき渇きすら
今は何処か心地好い

また遊ぼうね、シャト君


シャト・フランチェスカ
常盤/f04783

ふふ、極楽には違いないね
でも修羅達が闊歩する血腥い世界だって
ある意味、天国のようにも想えたよ?

僕もまだ酔い足りないって気分なの
駄々っ子のように欲の儘
踊り明かした熱はまだ冷めないし
冷ましたくない、かな

藤の雨なんて
この景色にぴったりだね

淡紫を見廻し
胸元に垂れる三つ編みを弄ぶ
ああ、僕の好きな彩だよ
尤も花のように可憐ではないけれど
咲くのなら苛烈に、鮮麗に

好いね
血潮にも焔にも劣らぬ赫
きみの眸に負けじと燿る欲望に、乾杯だ

ね、常盤
酔客の戯言と思って聴いてね
僕はきっと嬉しいんだ
普段は裡側に飼っている獣の僕
きみもまた鬼の如くに咲って
受けとめてもらえたような
そんな気がして

また、遊んで呉れるかい?



 さわりと藤の花が揺れる音さえも聞こえそうな、静寂。
 それを神埜・常盤(宵色ガイヤルド・f04783)は、こう言の葉にする――いま目の前に拡がる景色は極楽のよう、と。
「ふふ、極楽には違いないね」
「先程まで世界は地獄めいていたのに」
 けれど、シャト・フランチェスカ(侘桜のハイパーグラフィア・f24181)は、続いた彼の声にこう返す。
「でも修羅達が闊歩する血腥い世界だって、ある意味、天国のようにも想えたよ?」
「はは、確かに」
 楽しそうに言う彼女に、常盤も同意するように、こくりと。
 ……アレはアレで良かったなァ、って。
 薄紫の花が隠さんとするいろを思い返しては、瞳細める。
 でも、地獄であれ極楽であれ。再び此の身を蝕む、喉の渇きを癒す為に。
「ねェ、美酒を戴こうか」
「僕もまだ酔い足りないって気分なの」
 そして……裡に昂る熱を逃さぬ為に。それに酔い痴れたいと、そう思ったから。
 シャトもまるで駄々っ子のように、そして素直に、欲のまま紡ぐ。
「踊り明かした熱はまだ冷めないし」
 ……冷ましたくない、かな、って。
 手にした美酒は、きっと甘やかに酔わせてくれるだろう。
「藤雨か、良い響きだね」
「藤の雨なんて、この景色にぴったりだね」
 視界の端に枝垂れるのは、雅な雨のような淡紫。
 それからふと常盤は、眼前で微か揺れる紫絲を見つめて。
「そういえば、君が纏う彩にも少し似ているね」
 そんな科白を、ぽつり。
 とっても綺麗な彩だと思うよ――こんな夜にはよく映える、って。
 淡紫を見廻し、胸元に垂れる三つ編みを弄ぶシャトへと。
「ああ、僕の好きな彩だよ」
 ……尤も花のように可憐ではないけれど、なんて。
 微か首傾けつつも、シャトはそうっと心に思う――咲くのなら苛烈に、鮮麗に、と。
 けれど常盤は、小さく首を傾けてから。
「さて、何に乾杯したものか」
 ふっと盃を淡紫の空へと軽く掲げ、紡ぐ。
「例えば、裡に滾る赫き欲望に――」
「好いね。血潮にも焔にも劣らぬ赫」
 心を沸き立たせるいろに。
 だがそれは、滾る欲望や血潮や焔のものだけではなく。
「ふふ、そして君の櫻を染める赫に、乾杯」
「きみの眸に負けじと燿る欲望に、乾杯だ」
 互いが孕む赫に――乾杯。
 そして口にした甘やかな熱が頬をほんのりと染めれば。
「ね、常盤。酔客の戯言と思って聴いてね」
 ……僕はきっと嬉しいんだ、って。
 シャトはふわり覚える感覚に酔う様に続ける。
「普段は裡側に飼っている獣の僕。きみもまた鬼の如くに咲って」
 ――受けとめてもらえたような、そんな気がして、と。
 でも……其れは此方の科白さ、って。そう返す常盤だって同じ。
「僕のなかの怪物を面白がってくれるきみ」
 普段は忌むべき渇きすら……今は何処か、心地好いのだから。
 そんな彼に、シャトはお強請りする。
「また、遊んで呉れるかい?」
 そして勿論、常盤はそんな駄々っ子の言の葉に笑んで返す。
 ――また遊ぼうね、シャト君、って。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

インディゴ・クロワッサン
「うーん、楽しかったー!」
血塗れの全身は、UC:無限収納 を使って、お風呂で全身くまなく洗って綺麗にして
「いてて…やっぱり肩はしみるなぁ…」
血塗れの服は、お風呂ついでに洗濯機に突っ込んでから私服へ早着替えをして…よーし、お花見だー!
「あ、清史郎くーん」
僕ねー、お茶屋さんでお酒とお茶飲むつもりだけど、一緒に食べるー?
「焼いたお団子とー温かい白玉ぜんざいとーお酒と…あ、藤花茶はテイクアウトで♪」
ほわー…改めて見ると凄い藤棚だねぇ…(お酒ごくー
「んー、瓶で複数本買っときたい甘さだねぇ…美味しー」
後で数本買っとこーっと!
またお酒の貯蔵が増えちゃうなー



 跡形なく全て、潰したものが消え去った後。
「うーん、楽しかったー!」
 何事もなかったかのような野原で声を上げるのは、インディゴ・クロワッサン(藍染め三日月・f07157)。
 そんな彼の姿を見ても誰も、まさかつい先ほどまで色々なものに塗れていたとは、思わないだろう。
 だって血塗れであった全身は、『無限収納』を使って、既にくまなく洗って綺麗にしたのだから。
 けれど、やはり派手に遊んで暴れたから。
「いてて……やっぱり肩はしみるなぁ……」
 思わずそう、声を零してしまうけれど。
 血塗れの服を風呂のついでに洗濯機へと突っ込んでから、私服へ早着替えをして。
 準備万端、いざ楽しむのは。
「よーし、お花見だー!」
 満開を迎え、丁度見頃になっているという、藤の花が咲く神社での花見。
 そして淡紫が枝垂れる風景をぐるりと見回せば。
「あ、清史郎くーん。僕ねー、お茶屋さんでお酒とお茶飲むつもりだけど、一緒に食べるー?」
 通りかかった彼へと、そう声を掛けて。
 それは良いな、喜んで、と。微笑む清史郎と向かうのは、茶屋。
「焼いたお団子とー温かい白玉ぜんざいとーお酒と……あ、藤花茶はテイクアウトで♪」
「ふふ、俺も甘い物はとても好きだ。だがその前に、お酌しよう」
 清史郎はそう労いの酌を、インディゴへ。
「ほわー……改めて見ると凄い藤棚だねぇ……」
 そして乾杯し、窓の外の花咲く景色や頼んだ甘味を肴にしながら。
 『藤雨』と名のついた銘酒を、口にしてみれば。
「んー、瓶で複数本買っときたい甘さだねぇ……美味しー」
「ああ、いくらでもいただけそうだな」
「後で数本買っとこーっと!」
 枝垂れ咲く藤の花のような甘い酒を、藤花茶と共に土産にしようと、そう決めたインディゴだけれど。
 はむりと団子を頬張りながらも、微か首を傾け、こう続けるのだった。
 ――またお酒の貯蔵が増えちゃうなー、って。

大成功 🔵​🔵​🔵​

カトル・カール
腹も減ったが、遊びすぎて体が痛え。ひとまず英気を養おう
急いで買った団子と花の香りの茶を持って足湯へ

ぬるい湯が戦闘の名残にじわじわ染みる
団子も熱い茶も美味い。多めに買ったつもりがもう終わってしまった
少し腹が満ちたし、夜空に枝垂れる藤をのんびり眺め
平和な夜だ…駄目だ半端に食べたせいでもっと腹が減ってきた

傷が癒えたら、後は屋台を冷やかしてお守りを買おう
どこに運んでも人気で売れる美しさだ、が。
縁起物を転売なんて罰当たりはやらない。自分に一つ、青い紐のお守りを



 嬉々と暴れていた時は、全く感じなかったのだけれど。
(「腹も減ったが、遊びすぎて体が痛え」)
 正気が戻ってきた途端に一緒に取り戻したのは、空腹や身体の軋みや痛み。
 なのでカトル・カール(コロベイニキ・f24743)は、ひとまず英気を養おう、と。
 急ぎ足で買った団子と花の香りがするという茶を調達した後、向かったのは足湯であった。
 そうっとまずは手で触れてみれば、聞いていた通りぬるめの湯であったけれど。
 いざ、足を浸してみれば……やはり、戦闘の名残にじわじわ染みる。
 けれどそれも、傷に効果がある証かもしれないと。
 足を浸したまま、カトルははむりと、買い集めた戦利品を口に運んで。
「団子も熱い茶も美味い」
 足湯を楽しみながら、花も団子も、全部満喫する。
 そしてがさごそと、団子が入った袋に手を差し入れてみれば。
 思わず、瞳をぱちくり……多めに買ったつもりがもう終わってしまった、って。
 けれどこれで少しお腹も満ちたから。
 ふと天を仰いでみれば――視界一面に広がるのは、夜空に枝垂れる薄紫の藤の花。
 そんな満開の花を、のんびり眺めつつ。
 平和な夜だ……とカトルは呟きを落とすけれど。
 同時に鳴るのは、お腹の虫……?
「……駄目だ半端に食べたせいでもっと腹が減ってきた」
 ということで、傷もそれなりに癒えたから。
 屋台を冷やかしつつも、やってきたのは社務所。
「どこに運んでも人気で売れる美しさだ、が」
 つい行商人の性分で、そう見てしまうけれど。
 でも勿論、縁起物を転売なんて罰当たりはやらないから。
 しゃらり藤の花が咲くお守りを、カトルはひとつだけ購入する。
 自分用にと、青い組紐のものを選んで。

大成功 🔵​🔵​🔵​

荻原・志桜
うー、なんかすごくスッキリしたんだけど倦怠感
こういうときは甘いものを食べるに限る!
もちろん藤の花も愛でる。眺めの良い席はあるかなぁ

藤花茶お願いしまーす
緑茶とか抹茶もいいんだけど今日は新しいものにチャレンジ
和菓子どれも美味しそうで迷っちゃうなぁ
定番からいくか、季節限定もの、ご当地限定……わぁーーん悩む
うう、うー……あんみつ、と、おはぎも!
頑張った自分のご褒美でいいよね。うん、良いと思う!

わあ、レモン入れたら色が変わった!
すごい、魔法みたいだ
青から藤の色、上品な彩で好きだなぁ
あんみつもおはぎも美味しいっ
やっぱり甘いもの食べると疲れが飛んじゃうね

藤の花がゆらり揺れる様子を楽しみながら
のんびりと過ごす



 淡い薄紫が降る世界に桜を添えるかのように、長い髪を揺らしながら。
 荻原・志桜(春燈の魔女・f01141)は、小さく首を傾ける。
「うー、なんかすごくスッキリしたんだけど倦怠感」
 スカッと爽快な気分なようで、身体が重い……。
 けれど、こういうときはどうするのが良いか、知っています。
「甘いものを食べるに限る!」
 ということで足を運んだのは、神社の茶屋。
 いや、甘い物も楽しみなのだけれど。
「眺めの良い席はあるかなぁ」
 もちろん藤の花もちゃんと愛でます!
 そんな志桜の呟きを聞いた店員が案内してくれたのは、藤の花が一等美しく臨める窓際の席。
 そして、お品書きをぱらりと広げれば。
(「緑茶とか抹茶もいいんだけど今日は新しいものにチャレンジ」)
 飲み物は、この神社の名物であるという『藤花茶』で決定。
「藤花茶お願いしまーす」
 そう早速、飲み物を注文したものの。
「和菓子どれも美味しそうで迷っちゃうなぁ」
 定番からいくか、はたまた季節限定もの。同じ限定でも、こっちのものはご当地限定……
「わぁーーん悩む……!」
 でも選びきれないから、定番も限定も、どれも頼んじゃって。
 さらには、うっかり次のページも捲ってしまったから。
「うう、うー……あんみつ、と、おはぎも!」
 あんみつとおはぎの追加、入りました!
 でも、何だかすごくおなかすいている気もするし。
「頑張った自分のご褒美でいいよね。うん、良いと思う!」
 良いと思います!
 そして運ばれてきた青色の珍しいお茶に、数滴雫を降らせてみれば。
「わあ、レモン入れたら色が変わった! すごい、魔法みたいだ」
 ……青から藤の色、上品な彩で好きだなぁ、って。
 花は花でも、自分が咲かせるものとはまた違ったいろに咲いた魔法に、瞳を輝かせてから。
 何気にテーブルいっぱいに並べられた甘味を、早速はむり、もぐもぐ。
「あんみつもおはぎも美味しいっ。やっぱり甘いもの食べると疲れが飛んじゃうね」
 口に広がる美味しい甘さが、じわりと全身に染み渡るよう。
 そして、はむはむと、甘味やお茶を堪能しながらも。
 窓の外にゆらり、楚々と咲おては揺れる藤の花の様子を眺めながら。
 花も団子もどちらも楽しみながら、暫しのんびりとした淡紫色のひとときを。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ルーファス・グレンヴィル
あ~、つッかれた、

いつの間にか元気になったのか
傍で舞っている黒竜を見て
長ったらしい溜め息を吐いた

ぐうう、と勢い良く腹が鳴り
二人で顔を見合わせてから茶屋へ

藤雨を一杯
あとテイクアウトもひとつ
──あ、それは茶にしてくれよ
帰りを待ってくれてる奴が居るモンで
けらけら、と至極愉しそうに笑った

和菓子で腹を満たしながら
狂気にまみれた自分を思い出す
どれだけ戦が好きでも
譲れないモノは他にも沢山ある
帰らなきゃいけない場所がオレにはある

なあ、そうだろ、『 』…──

脳裏に浮かんだ人物の名を紡ぎ
ひどく、やさしい顔で藤を見上げた



 色々と暴れ回っている時は、全て吹っ飛んでいたけれど。
 修羅原と呼ばれていたその地が再び、静かに藤の花が咲き誇るただの野原へと戻って。
 失われていた正気を再び自覚すれば。
「あ~、つッかれた、」
 ルーファス・グレンヴィル(常夜・f06629)の口から漏れるのは、急に感じた疲労感。
 けれど、いつの間にか元気になったのか。
 ちょっとまだ痛い肩に乗りにくそうにしていた悪友が、ひらり舞っているその姿をみれば。
 はあぁっと思わず落ちるのは、長ったらしい溜め息。
 でも、そのすぐ後に。
 ――ぐうう。
 勢い良く鳴ったのは、お腹の虫。
 そんな強請るような音に、黒竜と二人で顔を見合わせてから。
 足を向けたのは、神社の茶屋。
「藤雨を一杯。あとテイクアウトもひとつ――あ、それは茶にしてくれよ」
 ……帰りを待ってくれてる奴が居るモンで、と。
 ルーファスはけらけら、至極愉しそうに笑う。その顔を思い浮かべながら。
 そして、はむりと団子やあんみつを頬張り、先程盛大に鳴っていた腹を満たしながら。
 思い出すのは……狂気にまみれた自分。
 確かに、戦うことは好きだ。思い切り暴れれば、気持ちも昂る。
 ――でも。
(「どれだけ戦が好きでも、譲れないモノは他にも沢山ある。帰らなきゃいけない場所がオレにはある」)
 改めてルーファスは、そう強く感じたから。
 まるで、修羅原と呼ばれた地で起こったこと全てを、全て洗い流すかのような。
 雨の如く枝垂れる藤の花を見上げ、ルーファスは紡ぐ。
 ――なあ、そうだろ、『 』……――。
 脳裏に浮かんだ人物の名を。ひどく、やさしい顔で。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年05月25日
宿敵 『天翔人魚』 を撃破!


挿絵イラスト