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羅針盤戦争〜鮫が飛ぶんだから鮫牙が飛んだっていいだろう

#グリードオーシャン #羅針盤戦争 #七大海嘯 #ザンギャバス大帝



「ふしゅるるる……」
 あれはなんだ。
「気にいらねぇ。コロす」
 肉まんだ。ミートボールだ。
「グリモアを使うやつ、ゼンブコロしてヤル……!」
 いや、『鮫牙』ザンギャバス大帝だ!


「あなたのメルでございます。皆様羅針盤戦争お疲れ様でございます」
 そう言ってメルは猟兵たちに肉まんを配る。コンビニのじゃなく中華街とかで売ってるどでかいやつだ。
「本日も羅針盤戦争の依頼をいたします。この度『鮫牙』ことザンギャバス大帝が活動を始めました。彼は圧倒的な巨体でありながら飛行能力を有し、その力で一つの島を襲い、墓石食らい尽くそうとしています」
 つまりそれを倒せということか。その問いにメルは首を横に振る。
「いいえ。彼は無敵です。倒すことは絶対に出来ません。さらに今までの無敵能力持ちと違い、その無敵を剥ぎ取る手段すら現状存在しません。彼と本気で戦うことは、即ち敗北を意味します」
 まさかの言葉に、猟兵たちは固唾をのむ。ならばどうしろと言うのか。
「ただ、彼は暴れたいだけ暴れて飢餓状態になると、獅子の姿に変じて撤退します。ですので皆さんには、彼が飢餓状態になるまで暴れるのに付き合っていただきたく思います」
 倒すのではなく時間稼ぎをしろということか。だが、それはなまじ強い相手をただ倒すよりよほど難しい事だ。
「もちろん足止め目的であっても、正面から戦い続ければいずれこちらが息切れしてしまうでしょう。ですので、彼をうまい事コントロールしながら皆様には戦っていただきたく思います」
 そう言ってさらにメルは続ける。
「コントロールの手段ですが、本気で何でもいいです。と言うのも、彼は今まで戦った上級オブリビオンの中で、恐らく最も頭が悪いです。クライング・ジェネシスやオウガ・オリジンもまあ大概でしたが、彼らがノーベル賞受賞者に見えるくらいのレベルですね。一応会話はできますが、性格も単純。挑発すれば怒り、おだてれば喜び、いい女がいればサカります。例えそれでどんな目にあっても、学習することなく何度でも同じ手に引っかかります」
 逆に言えばそれだけ頭が悪くても七大海嘯足りえる程に、その力は強いということだ。
「ですので皆様には、彼を適当に嵌めたり煽ったりしつつ、無駄に暴れさせてください。それこそ挑発しながらひたすら逃げるだけでも構いません。ただ、この島には中央部に人里があり、そこは大規模な農業地帯にもなっています。野菜に乏しいグリードオーシャンのビタミン事情を支える島ですので、そこには行かせないようにしてください」
 つまり、完全放置して帰るのを待つ、という手段は使えないということだ。
「島の人たちは事情を聞けば協力はしてくれます……が、戦力にはなりません。野菜を囮用に貰うこともできますが、食べさせれば当然その分飢餓になるのは遠のくので、ご利用は計画的に。あ、もちろん毒も効きません。彼のお腹がちょっと膨れるだけです」
 とにかくダメージを与えることは一切できないということだ。相手をどう無駄に動かすか、それが肝心となるだろう。
「もちろん今倒せないからと言っていつまでもそうとは限りません。いつか来る勝利の為に、今はただ時間をお願いします」
 メルはそう言うと、目的の島へと鉄甲船を回頭させた。


鳴声海矢
 こんにちは、鳴声海矢です。リアルタイムではこの人はさすがに知りません。
 今回のプレイングボーナスはこちら。

『プレイングボーナス……島の装備やユーベルコードを駆使し、ザンギャバスを消耗させる(ザンギャバスはパンチや蛇・獅子・山羊・竜の部位を作っての攻撃をします)』

 とにかく無茶苦茶に暴れるザンギャバスを、攻撃したり罠にはめたり色々して消耗させてください。OPの通り彼はとんでもなく頭が悪いので、あらゆる罠に引っかかりますし、あらゆる誘いに乗ってきます(流石に帰れと言われても帰りませんが)。唯一、深読みなどを利用する心理トラップは効果がありません(そこまで考える知能がありません。分からなくなったらとりあえず攻撃します)。
 ペース配分なども考えられないので、交戦となれば全力で暴れてきます。消耗も早いですが、危険も多いです。
 大真面目に戦って消耗させるもよし、普通の依頼では使えなさそうなトンデモトラップやバカみたいな挑発を考えるもよし、好きにしてしまってください。色仕掛けも効果覿面ですが、捕まった後の保証はしません。あと彼はノンケですが、ちょっと綺麗なら女装は見抜けません。また綺麗すぎるとネタバレ後も『まあいいや』となるかもしれません。自己責任でどうぞ。
 ネタ、シリアス、どちらに振れるかはプレイング次第です。
 それでは、大暴れなプレイングをお待ちしております。
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第1章 冒険 『ザンギャバスに立ち向かえ!』

POW   :    全力の攻撃をぶつけ、敵の注意を引き付けて侵攻を食い止める

SPD   :    防御と回避に徹し、敵に攻撃させ続けて疲弊を誘う

WIZ   :    策を巡らせ、地形や物資を利用した罠に敵を誘い込む

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ラヴィラヴァ・ラヴォラヴェ
【アドリブ・連係歓迎】POW
ラスボスとして暴食の化身との対決は大事だね?
どっちが真の暴食の化身か勝負だ☆

事前に「肉体改造」を自身に施し、噛み切れない弾力とスタミナを上げておこう!
こっちも頭が割と悪い方なので、ひたすらUC【膨張せし肉肉しい宇宙】で宇宙牛に変身・巨大化!
ぶん殴って、圧し潰して、踏み付ける!!
こっちは傷付いても毒とか受けても変身して回復出来るから問題なし!
食い千切られたりしても膨張していくから大丈夫!
とにかくひたすら巨大化の暴力を振るいまくる!
その場に釘付け出来れば完璧だね♪

勝利の暁には豚肉パーティだよ☆
宗教上の理由がある人はごめんね♪



「ふしゅるるるる……コロす……コロす!」
 島の上、めったやたらに暴れまわる七大海嘯『鮫牙』ことザンギャバス大帝。その言動には知性の欠片も感じられず、彼がいかなる存在かを否応なしに感じさせられる。
「ラスボスとして暴食の化身との対決は大事だね? どっちが真の暴食の化身か勝負だ☆」
 そんな姿を面白がるように、ラヴィラヴァ・ラヴォラヴェ(ハラペコかわいいコックさん(可食・高栄養・美味)・f31483)は彼へと向かっていく。
「なんだぁ……肉かぁ……? コロして……食う!」
 その姿を認めたザンギャバスは、肉塊の様な体をゆらし、その手をラヴィラヴァへと叩きつけた。
 地を揺るがすような轟音と共に、ラヴィラヴァがその下で潰される。
「ふしゅるるる……うまくはなさそうだがぁ……」
 その手をどけ、潰れた得物を喰らおうとするザンギャバス。だが。
「嗚呼、世界はかくも美味しいのか! さぁどうぞ召し上がれ♪」
 その下から現れたのは巨大な宇宙牛と化したラヴィラヴァの姿であった。
「でかくなったなぁ……いただきまぁす!」
 その姿に、嬉しそうな声を上げかぶりつくザンギャバス。だが、その顔はすぐに不満そうになる。
「なんだこれぁ……かみきれねェ……!」
 ラヴィラヴァは自らの肉体を改造し、その肉に圧倒的な弾力を持たせていた。その上で余計な小細工など不要、無限のスタミナと回復で自分を食わせながらひたすらぶん殴って、圧し潰して、踏み付ける!!
 この場に釘付けすることができれば最良とするラヴィラヴァの目論見は確かに当たった。だが。
「ふんぬうぅぅぅ!」
 気合一声、ザンギャバスがその圧倒的咬合力でラヴィラヴァの肉を食いちぎった。多少食われるのは想定の内と再度巨大化するラヴィラヴァだが、それを見たザンギャバスは困るどころか嬉々として巨大化した彼女を食い続ける。
「うまくねぇ……けど、いっぱいだぁ……!」
 質より量、とばかりにラヴィラヴァを貪るザンギャバス。それに対し巨大化の暴力でラヴィラヴァも抵抗するが、どうにも手ごたえがない。
 それもそのはず。ザンギャバスは『無敵』なのだ。殴ろうが蹴ろうが相手はダメージどころか消耗すらしない。無駄に動かして自壊させていく必要があるのだ。その上で自分を無限に食わせたとあっては、下手をすれば相手を飢餓から遠ざけてしまう。
 勝利の暁には豚肉パーティ……と考えていたが、今の段階でザンギャバスに『勝利』することはそもそも不可能なのだ。とはいえここは暴食のラスボスの意地。黙ってごちそうさまと言わせるわけにはいかない。
「うおぉぉぉー!!」
 ついにザンギャバスより巨大になった肉を動かし、圧倒的押し潰しをかけるラヴィラヴァ。もちろんダメージはないが、その重さでザンギャバスは転がり、ついにラヴィラヴァから口を離してしまう。
 そのまま離脱していくラヴィラヴァを、ザンギャバスが追いかける。
「まてぇ……肉ぅぅぅぅぅ!!」
 無限おかわりの餌を逃がすまいと追うザンギャバス。結果、諦めるまでに今喰った分のカロリーを全て消費しつくし、地団太を踏むことになるのであった。

苦戦 🔵​🔴​🔴​

バルタン・ノーヴェ
POW アドリブ・連携歓迎デース! 方向性はノリで。

肉まんありがとうデース!
さて、無敵の相手に遅滞戦闘でありますな? お任せくだサーイ!
「カモン、バルタンズ!」「バルバルバル」
戦闘用お駄賃で、かく乱するためにバルタンズを動員しマース!

作物を植えてない畑をお借りしマース。
ミニ・バルタンによって塹壕を築き、各個銃撃を行いマース!
ワタシはもちろん、バルタンズも掘った道やら小穴やらを走り回り隠れ回り、挑発するようにバンバン射撃していきマース!
的が大きいからアバウトな狙いでも十分デスネ?

HAHAHA、まるでモグラ叩きデスネー! もちろん、叩かれるつもりはありマセン。
頃合いを見て、避難路から脱出デスネ!


リード・ユースレス
…なんというか、純粋な方なんですね。ええ、いいんではないですか?悩みがなさそうで。
この島には農園があるそうですね。実は僕も昔は農園で暮らしておりました。ええ、丁度このような。【UC発動】
案山子のように守ってみせます。

挨拶がわりにNight Worksから部品を捥いで投げつけ、それでは「鬼ごっこしましょう。ここまでおいで」
戦法は、とにかく逃げる。喧嘩ではなく鬼ごっこですからね。轍の深い【悪路を走ったり】、「亀さん、豚さん」と揶揄ったり、通り道にharvestの鎖を張ったり悪戯しましょう。
逃げながら相手をよく見てパターンを【学習】しておきましょう。…よくよくみると「駄々っ子か赤ん坊みたいですね」



 衝動のままに食らい、暴れるザンギャバス。何をされようと学習などすることなく、1秒前のことすら忘れるその彼にリード・ユースレス(案山子になれなかった人形・f16147)は呆れ気味に息をつく。
「……なんというか、純粋な方なんですね。ええ、いいんではないですか? 悩みがなさそうで」
 もちろんすべて皮肉。完全なる貶し言葉なのだが、仮にザンギャバスがこれを聞けば彼はきっと喜ぶであろう。何しろ、皮肉を理解できる知能がないのだから。
 そしてその隣では、バルタン・ノーヴェ(雇われバトルサイボーグメイド・f30809)がグリモア猟兵から貰った肉まんを食べ準備を整えていた。
「肉まんありがとうデース! さて、無敵の相手に遅滞戦闘でありますな? お任せくだサーイ!」
 策は両者ともにある。それをぶつけるために選んだのは、中央の農耕地帯から離れた今は使われていない畑。何らかの理由があって村を移転した際放棄されたのだろうそこはもちろん作物など実っていないが、広い平坦な敷地に草が生えているということでザンギャバスくらいの相手になら現役の畑と誤認させることもできるだろう。
 それを示すかのように、ずしんずしんと血を揺らしながら、ザンギャバスの巨体が現れた。
「あぁ~……なんだぁ? 畑かぁ? まあいい、腹も減ったし、くわせろぉ!」
 荒れ放題の草を野菜と誤認し手を伸ばすザンギャバス。それを阻むように、リードは土地の真ん中へ立った。
「この島には農園があるそうですね。実は僕も昔は農園で暮らしておりました。ええ、丁度このような……狭く暗くけれど暖かいあの世界をどうして忘れられましょう?」
 【懐古】の力で荒れた畑に一時的に作物が実り、そこに適応した者の力となる。だが、この作物は人の糧となって然るべきもの。無意味に貪り喰らうものにくれてやれるものではない。あいさつ代わりとばかりに大ぶりの槌『Night Works』の部品を投げつけ、リードはザンギャバスの気を引いた。
「鬼ごっこしましょう。ここまでおいで」
 そう言って走り出すリードを、ザンギャバスは野菜の事を即忘れて追いかけ始めた。
「てめぇ……気にいらねぇ。コロす」
 早々にその鬼ごっこに乗り、リードを追い回すザンギャバス。リードはと言うと、交戦するつもりは一切なくとにかく逃げる。どうせ倒せないのは分かり切っているのだ。それなら少しでも長い距離逃げた方がいい。
 元々足腰の強さには自信がある。あえて悪路を行き、時に鎖を足元に仕込んで転倒を誘い、その様を「亀さん、豚さん」と嘲る。
 その都度ザンギャバスは怒りに燃えてリードを追いかけるが、何度でも同じ罠にかかっては転び、その様は否応なしに彼の行動パターンをリードの頭に刻み込んだ。
「駄々っ子か赤ん坊みたいですね」
 ザンギャバスの姿を見たリードはそう思う。
 やがて一つの場所に出ると、リードは素早く雲隠れ、代わりにバルタンが前に出た。
「カモン、バルタンズ!」
「バルバルバル」
 そこは一周回って元いた畑。そこにはリードが逃げている間に、戦闘用お駄賃で呼び出されたミニ・バルタンズにより塹壕が築かれていた。
 その塹壕から一斉に小銃を撃ちかけるバルタンズ。もちろんダメージは一切ないが、疲れていたザンギャバスはそれだけで怒りだす。
「チビの分際で……コロす」
 塹壕ごとミニ・バルタンを叩き潰さんと殴り掛かるザンギャバス。小さな塹壕は一撃で粉砕されるが、そこにミニ・バルタンの姿はない。
「こっちデース!」
 後ろの塹壕から声をかけ、自動小銃を撃ちかけるミニ・バルタン。ザンギャバスは振り向いてそちらも叩き潰すが、やっぱりミニ・バルタンは消えている。
 塹壕同士を穴でつなぎ、挑発し適当に銃撃しては引っ込んでいくバルタンズ。時折ボーナスポイントとでもいうかのようにバルタン本人も顔を出しては撃ちかけるが、ザンギャバスは撃たれてからやっとそこに向かう鈍さなので誰一人潰すことは出来ない。
「HAHAHA、まるでモグラ叩きデスネー! もちろん、叩かれるつもりはありマセン」
 場所が畑ということもあり正にモグラ。だが、見てから殴りに行くザンギャバスは0ポイントのまま疲れ果て、その場に座り込んでしまった。
 それを見て今だとばかりに横穴から脱出するバルタン。同時にリードもユーベルコードを解く。そこはザンギャバスが暴れたこともあり、雑草すら残らぬ荒れ地と化していた。
「本当に、素直な方なんですねぇ」
「真っ直ぐなのはいいことデース! 主に我々が楽だから!」
 すっかり手玉に取られたザンギャバスを遠くから見て、二人はそう呟くのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

カツミ・イセ
僕の神様は言ったよ。『挑発乗りやすい奴には、思いっきり挑発を』って。

UC使って、手数増やして。いいかい、皆。できるだけ、島中央部から遠ざかる位置で、なるべくバラバラにいて。
で、相手が見えたらこう言ってやるんだ。

「やーいばーかばーか。おまえなんかただの肉ーっ!鮫じゃなくてただの肉ーっ!」

…悪口挑発って、意外と考えるの難しいね。
でも、これを皆に、タイミングをずらして言ってもらう。
あ、はじめは僕からだよ。当たり前じゃないか。言ったら、島中央部から離れるように全力疾走するけど。



 疲れはしたが飢餓状態には遠いのか、少しの休憩の後再び歩き出すザンギャバス。あろうことか、それは人里があるという島の中央方向だ。そこから引きはがすべく、カツミ・イセ(神の子機たる人形・f31368)はザンギャバスを誘導するための作戦を取った。
「僕の神様は言ったよ。『挑発乗りやすい奴には、思いっきり挑発を』って」
 神のその教えを実行するべく、【水の権能、二『似姿』】で作り上げた分身を周囲に展開するカツミ。何しろ注意力も知能相応なザンギャバスだ。多少気を付ける意図があれば足元を歩いても気づかれず周囲を囲むことすらできる。
 そのまま人里からある程度離れたところに順繰りに分身を配置させ、最後にカツミ本体がザンギャバスに近づき大声を上げた。
「やーいばーかばーか。おまえなんかただの肉ーっ! 鮫じゃなくてただの肉ーっ!」
 一手からカツミは内心少しばかり赤面する。
(……悪口挑発って、意外と考えるの難しいね)
 普通ならいきなり言われても呆れか当惑の方が先に来る悪口。だが、ザンギャバスは文字通りに頭の出来が違った。
「なんだとてめぇ……コロす」
 あっさり怒りに飲まれてカツミに向かうザンギャバス。それを確認し、カツミは早々に転身し全力で逃げだした。
「まちやがれ、コロす」
 どたどたと追いかけるザンギャバス。いかにも鈍そうな外見だが、巨体のお陰かその歩みは存外早い。小柄なカツミとは五倍近い体格差がある故、その距離はみるみる縮んていた。そしてその巨大な手をカツミを捉えんと伸ばす、その時。
「やーいばーかばーか。おまえなんかただの肉ーっ! 鮫じゃなくてただの肉ーっ!」
 さっき言われたのと一字一句同じ悪口が、より遠方より聞こえた。そちらに顔を向けると、同じように悪口を叫ぶ格好のもう一人のカツミが。
 同じ顔が同じ悪口を言っているのなら、普通なら色々と疑うだろう。だが、ザンギャバスは普通ではなかった。
「てめぇ……コロす」
 あっさりターゲットをそちらに変更し、別のカツミを追い回すザンギャバス。
 そしてその克己に追いつきかけた瞬間。
「やーいばーかばーか。おまえなんかただの肉ーっ! 鮫じゃなくてただの肉ーっ!」
 また別のカツミが同じ悪口を言う。そしてやっぱりそのカツミを追うザンギャバス。
 悪口、逃走、悪口、逃走の繰り返しの果て。ザンギャバスはすっかり人里から引き離され、海の方まで走らされてしまっていた。
 何人目かのカツミがザンギャバスから逃げ、最後に海の中に飛び込んで逃げる。
「まちやがれ、コロす」
 それを追ってザンギャバスも海に飛び込むが、いくら探してもカツミの姿は見えなかった。
 それもそのはず。最初の一人以外のカツミは全てユーベルコード製の人形であり、その原料は『水』。海に飛び込んでしまえば消えて見えなくなるのも当然であった。
 海に飛び込んで頭が冷えたか、しばらくして島へと戻っていくザンギャバス。その姿を、人形たちを回収したカツミは薄笑いに見送るのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ヴィリー・フランツ
(連携アドリブ・NG無し)POW
心情:とんでもねぇ肉ダルマが現れたもんだ、だが住人の為にもこれ以上進ませる訳にいかねぇな!

手段:先ずは落ち着いて煙草を吸ってUC【喫煙者】を発動、グリモア猟兵の説明を思いだせ……奴はメガトン級のバカだ、常人には引っ掛からんような罠にも掛かる。

手持ちのプラズマレネード、コイツに色を塗って果実に錯覚させるのはどうだ?それを周りにバラ撒けば食い意地の張った奴の事だ、恐らく全部食おうとするだろう、勿論手に取った瞬間にピンが抜けて数秒後にはプラズマ爆発するがな。

後は農業区画に向かわないよう、ブルパップ小銃で銃撃し多少危険でも意識を此方に向かわせた方が良いな…踏ん張り処だな


夢ヶ枝・るこる
■方針
・【POW】使用
・アド/絡◎

■行動
(肉まんをもぐもぐしつつ)
了解です、やってみますねぇ。

まず鮫牙さんの来る方向各所に『FRS』や『FSS』を仕込みますぅ。
そして【燦華】を使用、彼の前を『光速』で横切りつつ手招きし注意を惹きましょう。
その際は、確実に攻撃を受けない様『退避』最優先で動きますねぇ。
誘導したところで光速で姿を隠しつつ、仕込んでおいた『FRS』や『FSS』による[砲撃]を加えれば、怒って其方を破壊しに行くでしょうから、先回りして回収、探しているところに『次の[砲撃]』で誘導しますぅ。
これ等を繰返しつつ時折【燦華】での挑発を混ぜ、疲労を誘うと共に『里』に近づかない様誘導しますねぇ。



 苛立ちながら島に戻るザンギャバス。何をされたのかもうそろそろ忘れかけているが、それでも怒りと空腹感は消えていない。そしてまた向かうのは人里の方……何かを感じ取っているのか、あるいはとりあえず真ん中を目指しているのか、ともかく放置していてはいずれ島中央の農耕地帯へと辿り着いてしまうだろう。
 その歩みを止めるべく、二人の猟兵が算段を付ける。
「とんでもねぇ肉ダルマが現れたもんだ、だが住人の為にもこれ以上進ませる訳にいかねぇな!」
 敵の容姿を的確に形容しつつ、ヴィリー・フランツ(スペースノイドの傭兵・f27848)はその姿を改めて見て確認する。まさに肉塊、肉ダルマと呼べる容姿だが、その圧倒的な質量を自在に動かせる力が内部に備わっていると見ればとんでもない剛力の持ち主だと思ってもいいだろう。
 その姿を、グリモア猟兵から貰った肉まんをもぐもぐ食べながら見るのは夢ヶ枝・るこる(豊饒の使徒・夢・f10980)だ。
「了解です、やってみますねぇ」
 彼女は肉まんを全て食べ終えると、先に出るとばかりにヴィリーをその場に残しザンギャバスの前方へと回り込んだ。
「大いなる豊饒の女神、その象徴せし欠片の一つを我が身へ」
 【豊乳女神の加護・燦華】の力でその身を光に変え、ザンギャバスの前を横切るるこる。
「なんだぁ、これは?」
 案の定、気の散りやすいザンギャバスはそれに気を取られ、ふらふらとるこるを追って移動し始める。時折止まり、また逃げる光を遮二無二追いかけるその姿はまるで蛍を追いかける子ども……と見ようと思えば見えなくもないかもしれない。
 そして木の近くに入った光を追いかけ手を伸ばしたその瞬間、無数の砲弾がザンギャバスに叩き込まれた。
「なんだぁ!?」
 傷こそつかないが、突然のことに驚くザンギャバス。それはるこるがあらかじめ配置していた浮遊兵装『FRS』による砲撃の雨だ。怒るザンギャバスが辺りを見回せば、撃ったと思しき砲台がそこかしこに見える。
「ふざけやがって、コロす」
 そもそも生き物じゃない、なんてことを考える知能もなく、FRSを破壊しに行くザンギャバス。
 ようやく手が届く……と言うところでまた後ろから砲撃の雨。今度は同じく砲撃能力を持つ『FSS』による砲撃だ。そしてやっぱり目標を変えFSSを追いかけ始めるザンギャバス。その間にFRSのほうを回収したるこるは、人里の方角を確認してそちらとは逆側に移動した。
 そのうえで、自身の体を表しFRSで再度打ちかける。
「こっちですよぉ」
「おぉぉ……にくまんんんんんんん!!」
 それはるこるの体の事か、僅かな残り香でも感じ取ったのか、ともあれるこるを猛然と追い始めるザンギャバス。
 そして離れた場所から、ヴィリーはその姿を眺めつつ煙草を吸っていた。
「グリモア猟兵の説明を思いだせ……奴はメガトン級のバカだ、常人には引っ掛からんような罠にも掛かる」
 もちろんサボっているわけではない。煙草を吸い、精神を落ち着かせることで次の行動を必ず成功まで導く最適解を導き出す、ユーベルコードの域まで高められた究極の思考術。その思考が、成すべきことをヴィリーの脳裏に的確に浮かび上がらせる。
「よし、こいつだ……こっちだ」
 ヴィリーは手を上げ、小さなサインを出す。それを横目に見たるこるは、あらかじめ決めて置いた場所へと高速でザンギャバスを誘導した。
「ぐへぇ……どこいきやがった……はらへった……」
 るこるを見失い、辺りを見回すザンギャバス。するとそこには、色とりどりのうまそうな果実……らしきものがいくつも転がっていた。
「うへへ……腹減ったぁ……」
 それを見た途端上機嫌になり、今まで追っていた者のことなど忘れて手を伸ばすザンギャバス。
 それを持ち上げた瞬間ちょっとしたピンと言う音など気にせず、大口を開けて飲みこもうとする。その瞬間。
 強烈な光を放ち、果実が全てプラズマ爆発を起こした。
「マジか……本当に食いやがった……」
 果実の正体は色を塗ったヴィリーのプラズマグレネード。確かに手榴弾にはパイナップルという別称もあるのだが、あくまでそれっぽいというだけ。本気で同じとはだれも思うまい。
 しかしザンギャバスは違うのだ。確かにプラズマグレネードというもの自体を知らないと言うのもあるのだろうが、果実っぽい形をした、果実っぽい大きさのものが、果実っぽい色をしてそこに転がっていたら、彼の中ではそれはもう果実なのだ。
「ぐおぉぉぉ……俺様のフルーツがぁ……ゆるさねぇ……!」
 どうやら怒り処は騙されたことではなく、フルーツが爆発してなくなってしまったことらしい。ともあれ、これで彼の怒りを煽ることには成功した。あとは人里に向かうことの内容方向を制限していくだけ。
「多少危険でも意識を此方に向かわせた方が良いな……踏ん張り処だな」
 ここが山場と、ブルパップ小銃でザンギャバスに撃ちかかるヴィリー。もちろんダメージなどはないが、注意を引くには十分だ。
「オマエかぁ……オマエが俺様のフルーツをぉ……!」
 どうやら彼の中ではヴィリーがフルーツを爆破したことになっているらしい。いやある意味合ってはいるのだが。
 ともあれ、銃を撃ちながらヴィリーが撤退戦を行い、ときおりるこるがその前を横切って気を散らせる。腹を減らした様子を見せたら、時折『フルーツ』を食わせてやることも忘れない。
「うおぉぉぉぉぉぉぉ!!」
 何度もそのフルーツに爆破されながら、ザンギャバスは里から遠くへ誘導されて行くのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

アリス・スラクシナ
※エルーゼ、ミラーと行動
絡み・アドリブOK
詠唱無し

(どうにも、心が落ち着かない)
敵としてすら見られず苛ついてから落ち着かなくなった。
(今は、相手を引き離すことを考えなければ)
誘惑で誘い込み、相手を遠ざける。
時間稼ぎするためなら手段は問わない。
どんな手を使ってもやらねばならない。
(私だって猟兵だ!)
コート脱いでさらに誘惑させれば、馬鹿であれば疑い無く来るだろう。
「欲しいだろ?お前のものにできるぞ?」


ベアトリス・ミラー
※アリア、エルーゼと行動
絡み・アドリブOK

アリス、行動におかしなところがあるような。
こう、焦りとも思えるのでエルーゼちゃんにも話しておいておきましょ。
相手は単純であるなら、誘惑してみましょ。
(アリス、上着脱いでしまったら余計煽ることに)
けど付き合いましょうか。
遠ざけるのに成功したら今度は時間稼ぎ、より誘惑してしまえば。
襲われたら……その時はそのままやるしか。
むしろ楽しむくらいで?


エルーゼ・フーシェン
※アリア、ミラーと行動
絡み・アドリブOK

ミラ姉さんにアリスの状態を聞いて、思い当たることを話す。
「まあ、便りにしすぎたのかも」
アリスに聞かれないように二人だけで話をして、様子を見ながらアシストに回らないと。
リヴェンを呼び出しておいて、私とリンクさせておこう。
三人で誘惑して誘い込んで、遠ざけないと。
二人は上着脱いでより誘い込みを強めるみたいだけど、私の場合は脱いだらもう。
リヴェンともリンクしてるから襲われてしまったら。
前にもあったからひょっとしたら一緒に気持ちよく?



 苛立ちながら猛進するザンギャバス。それをさらに消耗させんと三人の猟兵が立ちはだかる……が、その様子はどこかおかしかった。
(どうにも、心が落ち着かない)
 アリス・スラクシナ(邪神の仔・f21329)はザンギャバスを前に、苛ついた様子を見せる。直接の原因は、今回の相手には絶対に敵わない、まともに戦わず時間稼ぎに徹しろと言われたこと。
 別段それはアリスの実力が低いから言われたというわけではない。現状誰一人、ザンギャバスを倒せる猟兵などいないのだ。
 本当の原因は別の所にある。その原因を、ベアトリス・ミラー(クリエイター・f30743)は何となくだが思い当っていた。
「アリス、行動におかしなところがあるような」
 最近の依頼でも、戦闘中に考え込むような様子を見せたり、共に戦うものの技量に過剰なまでに圧倒されたり、あるいは戦略上必要ない無駄な行動をとったりと、彼女らしからぬ行動が目立っていた。
 恐らくは焦りか……そのことを、長く共に戦っている同志であり、彼女を恋仲にあるエルーゼ・フーシェン(踊り子・f13445)にもこそっと耳打ちする。
「まあ、便りにしすぎたのかも」
 ベアトリスに言われたことには思い当たる節があった。猟書家クラスの相手にも、彼女が一人敵を引き受けると言った際全てを任せ下がってしまった。その時は要救助者がいたこともありそれは正しい判断でもあったのだが、その際の敵が精神攻撃を得意とする相手であったこともあり、やはり敵の戯言とはいえ言われた言葉が何かしら刺さってしまったのかもしれない。あるいはもっと直近、コンキスタドール相手の連戦がエルーゼ以上に彼女は続けていることも関係あるのかもしれない。
 とはいえ、面と向かって下がって休んでいろと言っても逆効果だろう。
「様子を見ながらアシストに回らないと」
 そう考えながら、【リヴェン】の例を呼び出し感覚をリンクさせるエルーゼ。
 その準備が整った時、木々をかき分け7メートルの巨大な肉玉が現れた。
「なんだぁ……よくわからねぇが、とりあえずコロす」
 分からない者は殺すというザンギャバス理論に基づき、最も手近にいたアリスに手を伸ばすザンギャバス。それを身を引いて避けるアリスだが、予想外の速さでさらに追撃が迫ってくる。
(今は、相手を引き離すことを考えなければ)
 この向こうには人里がある。それも海だらけで陸の資源に乏しいこの世界の、貴重な農業地帯だ。
 時間稼ぎするためなら手段は問わない。
 どんな手を使ってもやらねばならない。
 その一心が、アリスの判断を曇らせた。
(私だって猟兵だ!)
 その考えと共に、コートを脱ぎその豊満な体をザンギャバスに見せつける。
「欲しいだろ?お前のものにできるぞ?」
 馬鹿であれば間違いなく来るだろう。その目論見は確かに当たった。
「ふしゅるるるるぅぅぅぅ!!」
 ザンギャバスはより涎を大量に垂らし、腰を振ってアリスに襲い掛かった。
(アリス、上着脱いでしまったら余計煽ることに)
 誘惑そのものはベアトリスも作戦としてはありだと思っていた。だが、それは適度に焦らし、逃げる時間を稼ぎつつ、時には別のものに気を向かせと効果的に用いてこそ。今のアリスのように、正面から向かっていこうとは思っていなかった。
「……けど付き合いましょうか」
 起こってしまったことをどうこう言うより、今はこの方向での成功を模索していくしかない。ベアトリスもまた上着を脱ぎ、豊満な体をザンギャバスに見せつけた。
(二人は上着脱いでより誘い込みを強めるみたいだけど、私の場合は脱いだらもう)
 元が高露出の薄着なエルーゼは、最初から脱ぐものがほとんどない。だがそれはつまり、ただ視界に入るだけで相手のターゲットに慣れるということ。三人はそれぞれ自分を見せつけつつ、少しずつ引き、寄り人里から遠い所へザンギャバスを連れていくことに成功した。
 やがて辿り着いたのはこれ以上引く場所のない海辺。ここまでの首尾は上々だが、ザンギャバスの興奮はまるで収まる様子はない。
 これ以上足止め、あるいは疲弊させるとなると、敗北覚悟で戦うか、あるいは……
「ここならだれもいないですし、思いっきり」
 覚悟を決めたベアトリスが、その身をザンギャバスに差し出した。ザンギャバスは乱暴に彼女を掴むと、どうやって着ているのかも分からない地震の服を脱ぎ捨て、その体躯に相応しい『モノ』を乱暴に彼女に突き刺した。
「ぐぅぅっ!?」
 思わずうめき声を上げるベアトリス。むしろ楽しむくらいで、と思っていたが、なかなかにこれはきつい。そも、ザンギャバスは相手の事を考える知能などない。サカりはするが、自分勝手にしか動かないので結局一人でするのも二人でするのも変わらないのだ。その乱暴な動きに、ベアトリスの体ががくんがくんと揺れる。
「ぶふおぉぉぉぉぉぉ!!」
 絶叫と同時に、ベアトリスが放り出された。そして全く満足した様子のないザンギャバスは、今度はエルーゼに手を伸ばす。
「リヴェン!」
 そこに割って入ったリヴェンが彼女をかばい、ザンギャバスに捕らわれた。そしてベアトリスと同じように貫かれるリヴェン。
「うあああああっ!?」
 そしてまるで自分もそうされたかのように、エルーゼが絶叫を上げた。以前感覚をリンクした時に経験があったのでひょっとしたら一緒に気持ちよく? とも思ったが、残念ながらザンギャバスに相手を気持ちよくさせるテクニックなどない。ただひたすら乱暴で、自分の満足を考えているだけなのだ。
 リヴェンも投げ捨てられエルーゼも膝をつき、残るはアリスのみ。
「ふ……いいだろう。私はそう簡単にはいかんぞ!」
 それはただの捨て鉢か、最後まで抗ってくれようという覚悟か。
 ともあれ、アリスもまた同じように貫かれ、三人の体を張った遅延行為はここに成功したのであった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

岩倉・鈴音
ザンギャバスダイエット大作戦!
あんだけ太ってたら腹減らすのも大変だねぇ。
動いてカロリー使おう!

島の中央に食い物があるのを悟られないようお尻ふりふりさせながら防御と回避をしながら島の周回レースをしましょう。
やばくなったらガラスの天丼を使う。
迷宮のなかで迷え、ザンギャバスちゃん!
もっとも壊される前提だけど消耗させておかなきゃね。


メアリー・ベスレム
獅子というより豚さんね
空を飛んでるのはおかしいけれど
アレが本当に変身するのかしら?

お野菜なんかよりお肉の方がお好きでしょう?
だって、そんなに無様なおデブさんなんだもの!
そう馬鹿にしながら大きなお尻で【誘惑】して
向けられたのは食欲? それ以外?
えぇ、どっちにしろ向けられるのは慣れてるから
付かず離れず捕まらないよう
【逃げ足】活かして立ち回る

そうやってお腹を空かせて
撤退させるまであと少しと
油断したところで無様に捕まる
そういう【演技】をしてあげる

さんざん運動した後捕まえた獲物だもの
夢中になって愉しもうとするハズだから
その瞬間に【復讐の一撃】を叩き込む!
殺せないのは知ってるけれど、反撃ぐらいはしてみせる



 こいつの欲は底なしなのか、どれほど暴れても全く満足せず得物を求めるザンギャバス。その前に、二人の女猟兵が現れた。
「ザンギャバスダイエット大作戦! あんだけ太ってたら腹減らすのも大変だねぇ。動いてカロリー使おう!」
 岩倉・鈴音(JKハングマン・f09514)が快活に、かつ小馬鹿にしたように言い。
「獅子というより豚さんね。空を飛んでるのはおかしいけれど、アレが本当に変身するのかしら?」
 メアリー・ベスレム(WONDERLAND L/REAPER・f24749)がそう愚弄する。
「ふしゅるるる……オンナぁぁぁぁぁぁ!!」
 その姿を見るに途端にサカりだすザンギャバス。二手に分かれて逃げる二人の、まずは鈴音の方を先に追った。割と動きに迷いがないのは、単純に近かったからとかその程度だろう。無駄に悩まない分結果的に合理的な行動をとれたりするのは馬鹿の特権である。
 ともあれ、自分の方に来たのならとその際の作戦に従い動き出す鈴音。尻をふりふり、誘惑しながら逃げ回ると、ザンギャバスは面白いように後をついてくる。
「オンナぁぁぁぁぁ!! メスぅぅぅぅぅぅ!!」
 興奮しながら追ってくるザンギャバスを連れ、鈴音は島の中心から最も遠い所……即ち島の外縁部を、まるでマラソンのように走り続けた。
 それはまさにダイエットのためのジョギングのようでもあり、腹を空かせて痩せさせるにはぴったりの動きと言えた。
 だが、ザンギャバスの体力は外見相応にすさまじく、鈴音の方が先に息切れを始める。
 誘惑するのは構わないが捕まりたいとは思わない。ここがその時、とばかりに鈴音はユーベルコード【ガラスの天丼】を発動した。
「ガ、ガ、ガラスの大迷宮~♪」
 鈴音の歌声と共にガラスが現れ、ザンギャバスを迷宮の中に閉じ込める。
「ふしゅるるる……なんだこれ。気に入らねぇ、コロす」
 ガラスに対しても殺すと宣言するザンギャバス。恐らくは絶望的に語彙がないのだろう。彼は透明なガラスの向こうにいる鈴音に向かい、文字通りに『真っ直ぐ』向かおうとした。
「迷宮のなかで迷え、ザンギャバスちゃん! と思ったけど……もしかして迷宮を認識してない?」
 いやまさか。でもあのザンギャバスなら在りえる。ガラスの壁を滅茶苦茶に殴りつけるザンギャバス。もちろん、ユーベルコードの迷宮故普通は壊せるものではない、そのはずなのだが……
「あ、やっぱり」
 ガラスにひびが入り、やがて大きく砕け始めた。ガラスのラビリンス系の迷宮はあくまで『かなりの硬度を持つ』だけであり『絶対壊れない』わけではない。ただ、壊す労力を考えたらたとえフォーミュラ級の者であっても別の手段を考えた方が早いというだけだ。
 それが考えられないザンギャバスは、ガラスの迷宮を粉々に砕き割り、強引に脱出してしまった。
 だが、手段はどうあれいずれ抜けられることは想定の内。その出口には、鈴音に代わりメアリがザンギャバスに尻を向けて立っていた。
「お野菜なんかよりお肉の方がお好きでしょう? だって、そんなに無様なおデブさんなんだもの!」
 そう言って尻を振るメアリ。大きなお尻がゆさゆさ揺れるその様子に、ザンギャバスはまたも涎をだらだら垂らす。
「ケツうぅぅぅぅぅぅぅぅ!!」
 向けられたのは食欲か? それ以外か? どっちにしろ向けられるのは慣れている。そして、向けられた時のあしらい方も。メアリは心得ている。
 手早く逃げ足早く駆け回り、ぴょんぴょんと跳ねて相手を愚弄する。つかず離れずの位置を保ちつつ、決して振り切りも捕まりもしない。
「ふしゅ……ふひぃ……」
 大分ばててきたらしいザンギャバス。撤退まであと少しか。そう言ったところで油断したか、突如メアリの足がもつれて転んだ。
「ふひぃ……ケツ……デカいケツぅ……!」
 そのメアリの足を持って逆さづりに持ち上げ、尻に顔を近づけ舐めまわすように見るザンギャバス。
 これから行われるのはいかに悍ましい凌辱か。不気味な顔を目いっぱいメアリの尻に近づけ舌を垂らす。
「そう……あなたはアリスを食べたいの?」
 その問いと共に、ザンギャバスの目にメアリの鋭い突きが叩き込まれた。
 自身に対して何かしらの欲望を向けた相手に反撃する【復讐の一撃】。もちろんダメージはないが、目に何かが当たれば視界は塞がれる。殺せないのは知ってるけれど、反撃ぐらいはしてみせるという意思の一撃に、運動の果てやっとありついた得物に目を塞がれたザンギャバスは、怒り狂いながらメアリを投げ捨てた。
「それじゃあ」
「バイバ~イ」
 メアリと鈴音、二人は最後に尻を振ってその場から走り去る。怒り狂って周囲に当たり散らすザンギャバスは、その尻を追うことすら忘れていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

シャーリー・ネィド
【かまぼこ】
困った時のサメ頼み、宇宙海賊シャークトルネード参上だよっ!

島の人たちから周りの被害を考えずに思う存分罠を仕掛けられる場所を聞き出してそこに【罠使い】で罠を仕掛ける
あとはザンギャバスを誘い込むだけだね!
ある時は色仕掛け!(精いっぱいのセクシーポーズ)
ある時は【ワールド・タイフーン】での牽制攻撃!
ある時はお尻ぺんぺんで挑発!
そしてゆく先々で待ち構えるは樹をしならせて放つ投石トラップ!
怒ってトラップを破壊してもまた別のトラップが!
そんな感じで消耗させていって腹ペコにしちゃうよ!


ウィーリィ・チゥシャン
【かまぼこ】
(WIZ)
要はあのデカブツの時間稼ぎすればいいんだな?
シャーリーをサポートし、罠の設置などを手伝う。

島の人達から立入禁止の危険な場所を聞き出してそこに奴を誘い込み、【厨火三昧】の炎を操ってシャーリーのトラップに誘導したり、【地形の利用】で足場を崩して転倒させて奴を無駄に暴れさせ、ダメ押しとばかりに奴の足元を大包丁の背で思いっきり叩いて【地形破壊】で砕き更に転ばせる!
「そんなブクブク太ってるからバランス崩すんだぜー?」
と煽るのも忘れない。
で、【地形の利用】と【物を隠す】で岩陰などを利用して姿を隠し、奴に無駄に探し回らせる。
そんな感じで奴を消耗させる。



 獲物に逃げられご機嫌斜めのザンギャバス。最も彼が機嫌のいい時などほとんどないのだが。そんな彼の前に、水着姿の女猟兵が現れた。
「困った時のサメ頼み、宇宙海賊シャークトルネード参上だよっ!」
 シャーリー・ネィド(宇宙海賊シャークトルネード・f02673)が堂々とザンギャバスの前で宣言する。その体に、得物から逃げられたばかりのザンギャバスは涎を垂らして舌なめずりだ。
「ふしゅるるる……メスぅ……乳ぃ……!」
 自分に向けられるその視線にシャーリーは背中が怖気だつが、既に作戦は始まっているのだ。こんな所で怯えてなどいられない。
「さ、さあ、ボクを捕まえられるかな?」
 おどおどしながらも精一杯のセクシーポーズを取るシャーリー。ザンギャバスには効果抜群で、彼は早速シャーリーに向かいいきり立って突撃を始めた。
 それを見るや、即座に反転し逃げだすシャーリー。
「お尻ぺんぺーん!」
 その際は尻を突き出し、叩いて振って煽ることも忘れない。より興奮したザンギャバスは、シャーリーの思い通りの方向へと真っすぐ突っ走り続けた。
 やがて島の橋にある岩砂漠地帯。足場が悪く海からの浸食で危険なため、地元民も滅多に近づかないその場所へ、ザンギャバスはシャーリーを追って入って来た。
「ふしゅ……メスぅ……!」
 きょろきょろと辺りを見回しシャーリーを探すザンギャバス。その足元で、突如として巨大な炎が巻き上がった。
「ぶふぅっ!?」
 ダメージはないが、突然のことに驚いたザンギャバスはそのままバランスを崩し転倒する。そしてそこに、上方からの落石が大量に降り注いだ。
「要はあのデカブツの時間稼ぎすればいいんだな? 任せとけってやつだ!」
 その様子に快哉を叫ぶのは炎を放ったウィーリィ・チゥシャン(鉄鍋のウィーリィ・f04298)。彼の隣には、さっきまでザンギャバスに追われていたシャーリーの姿もある。
 二人は事前に島民から地理について詳しく話を聞き、足場の悪い危険地帯や人の近づかない被害を出しても問題ない場所を選定。そこにシャーリーが罠を仕掛け、さらに囮となって追い込むという戦法を取っていた。
 だがそこは無敵のザンギャバス。平然と起き上がり、二人を睨みつけた。
「気に入らねぇ、コロす」
 お決まりの文句と共に迫るザンギャバスに、二人は背を向けさっさと逃亡を図る。
「さぁ、世界サメ大戦の勃発だよ!」
 【ワールド・タイフーン】によるサメの牽制を行いつつ二人そろって逃げる先は、岩砂漠の隣にある木々の生えた林。
 ザンギャバスももちろん二人を追って真っすぐそこへ入っていくが、その瞬間に彼の顔に大きな石がぶち当たった。
「ぶへぇ!」
 やっぱり痛くはない。痛くはないが腹は立つ。木をしならせてはなつ透析トラップが、ザンギャバスの顔面を完全に捉えていた。
「ぶひぃぃぃぃ!!」
 怒りと共に辺りの気を纏めてなぎ倒すザンギャバス。だが、それに呼応したように今度は気の上に置いてあった岩が大量に落ちてくる。一度かかれば無茶苦茶に暴れて気をなぎ倒すだろうとの予想から仕掛けておいた罠だが、それに見事にかかったようだ。
 それを確認し再び岩場の方へ駆けていくシャーリーとウィーリィ。そして追いかけてこんな目にあったのにそれを学習することなく、やはり真っすぐ二人を追うザンギャバス。
 二人はまず崖際まで逃げ、そこから海岸線に沿うようにしばらくの移動。ザンギャバスが愚直にその後をついてくるのを確認し、二人はある程度言ったところで止まる。
「ふしゅぅ……お前くう……お前やる……!」
 息をやや切らしながら二人に言うザンギャバス。彼と向かい合い、ウィーリィは武器である大包丁を取り出した。
「そんなブクブク太ってるからバランス崩すんだぜー?」
 そう言って振り下ろす先は、ザンギャバスではなくその足元。あらかじめ調べた通り、ここの岩は脆く、その一撃で砕け散ってザンギャバスのみが海へと落ちていった。
「ふしゅぅ~~~~~!?」
 もちろん泳げないはずはないしそもそも飛べるのだが、それでも相当な時間が稼げるだろう。今のうちにと、二人はこの場が確認できる岩場へ身をひそめる。
「どこだぁ……コロす、コロす!」
 やがてザンギャバスが上がってくるが、彼の知能では隠れた人間を見つけることなど到底できない。ただただ腕を振り回して二人を探し無駄に消耗するその姿を、二人は隠れたところから見つめていた。
「あれはお腹減っちゃうね。まあ、ボクもだけど……」
「まかせときな、帰ったら何か作ってやるよ」
 料理人であるウィーリィはそう言って微笑む。そして彼の見立てでは、ザンギャバスが完全な飢餓に陥るまで、あともう少し。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

朱鷺透・小枝子
回点号に搭乗。操縦。
まずは一射。小銃形態の機械狙撃鎌でスナイパー貫通攻撃。
……やはり効きませんか。だが、注意を引く事はできた!

スラスターを吹かし空中浮遊、推力移動でまずは逃げます。
こいつを里に連れ込む訳にはいきません故に!

っと、どうしたでかぶつ!移動するのがそんなに厭か!
その肥満体ではそうだろうな!(銃撃しながら)
位置を確認し、十分な距離を稼いだなら、
『小さな恐楽隊』を発動。瞬間思考力で数多のビットを操縦し、
超音波で奴の精神を揺さぶりまくります!
音を発する個体を代わる代わる変え、奴の注意を何度でも引き直します!
どいつを狙う?今鳴いたのは後ろか?横か?上か!?


ナイ・デス
私は適任、でしょうか?
食べられて、回復はされないように気をつけないと、ですね

【生命力吸収】する「聖なる光」を体内から放っての【レーザー射撃】
ただ暴れるより消耗速度加速させられないか試みつつ、真面目に戦います
パンチなどの攻撃以外に絞ることで【第六感で見切り】
【推力移動】光を噴いて全力で避け
パンチなど【吹き飛ばし】されるのはわざと受けて距離をとりながら交戦
【覚悟激痛耐性継戦能力】私は肉片か、それ以上にされても

『いつか壊れるその日まで』私は……私も、死なない、です!

再生して機動力あげながら、相手が疲れ果てるまで、私は戦える
吸収効かなくても、光での【目潰し】として攻撃続け、気を引いて、戦い続けます


シノギ・リンダリンダリンダ
単細胞なデカブツ…なんだか思ってた鮫牙のイメージと違いますね
まぁいいです。七大海嘯に喧嘩を売るという私の使命のために
とりあえず今回はお腹を空かせて帰ってください

【ザ・タイタン・オブ・カリビアン】!!
目の前に突然現れる海賊船、そしてそれがかっこいい感じに変形して超巨大ロボになる興奮!!
鮫牙、お前に無視できますか!?
今回は装甲を5倍、攻撃回数を半分の耐久ビルド
私も乗り込み、さぁ戦いましょう!

どうしました、その程度でこのザ・タイアン以下略が倒せるとでも?!
時折ノリノリで挑発しつつ、とにかく時間稼ぎ
錨が、鋼の拳が、DX海賊船ビームが!お前を討ちます!
おっと、ふふふなかなかいい攻撃じゃないですか好敵手!



 これまで様々な手段でザンギャバスの消耗を誘ってきた猟兵たち。無敵であることと頭が悪いことを利用し、時に想像を超えた力を見せられるも、順調に彼の体力を削ってきた。
 今こそ、最後の攻勢をかける時。
 今まで猟兵たちがあえて避けてきた『正面からの交戦』、ハイリスクハイリターンなその方法で一気に残る体力を削り取らんと、最後の一団がザンギャバスへと向かった。
「私は適任、でしょうか? 食べられて、回復はされないように気をつけないと、ですね」
 最初に向かうのはナイ・デス(本体不明のヤドリガミ・f05727)。彼はその身から生命力を奪う『聖なる光』を放ち、ザンギャバスに先制の一撃を加える。
「なんだぁ……うっとぉしい。コロす」
 その光が直撃しても、ナイには一片の生命力も流れてはこない。消耗を加速させられれば……とも思ったが、外部からの破壊、奪取はやはり一切通じないのだろう。
 だが、それならそれで考えはある。ナイはザンギャバスが如何な攻撃を繰り出して来るか、その動きをじっと見据えた。
「コロす」
 変わらない言葉と共に出したのは、肩に絡みつく蛇からの噛みつき。ナイはそれを飛んで躱すが、その先にはザンギャバスの太い腕が待ち構えていた。
 肉声のハンマーで殴られるような衝撃がナイを襲い、その体を大きく吹き飛ばす。さらにザンギャバスは大股でナイに近寄ると、サッカーボールのようにその体を蹴り飛ばした。
 無造作ながら一切の遠慮のないその攻撃は、ナイの体を砕き、壊す。それでも、ナイは死ぬことだけはない。
「『いつか壊れるその日まで』私は……私も、死なない、です!」
 【いつか壊れるその日まで】、受けた負傷を糧にナイは立ち上がり続ける。相手が無敵である以上どれほど強くなろうと意味はないし生命力も吸えない。本来はとんでもなく相性の悪い力だ。だが、倒すのが目的でないなら。殴られ続けるのがこの場の勝利につながるのなら。
 ナイは喜んでその身を差し出しながら、素早く眼前に詰め寄りザンギャバスの目に強い光を浴びせた。
「ぶふぅぅぅ!?」
 無敵だろうと眩しいものは眩しい。ザンギャバスが目を抑えたその一瞬のうちに、キャバリア『回点号』に搭乗した朱鷺透・小枝子(亡国の戦塵・f29924)が一射を放った。
 小型ながら高い貫通性を備えたその弾丸は、しかしザンギャバスの贅肉に弾かれるように勢いを失い地に落ちる。
「……やはり効きませんか。だが、注意を引く事はできた!」
 その言葉通り、ザンギャバスはすっかりナイの事は忘れ、怒りの形相で回点号を睨みつけていた。
 それを確認し、小枝子はスラスターを吹かし空中浮遊、推力移動で逃げだした。
「こいつを里に連れ込む訳にはいきません故に!」
 向かう先は島の外。領海内ではあるが海の上だ。
「っと、どうしたでかぶつ! 移動するのがそんなに厭か! その肥満体ではそうだろうな!」
 小枝子の銃撃しながらの罵倒に、まるで抗議するかのようにザンギャバスは浮き上がり追ってくる。
 そのまま全力で飛行し、海上でそれなりの距離を稼ぐ小枝子。そうして十分な距離が取れたところで、ふり返ってザンギャバスを待ち受ける格好となる。
「奏でろ」
 短いその言葉と共に、機体から無数のビットが発射、ザンギャバスを取り囲んだ。その【小さな恐楽隊】が、一斉に超音波をザンギャバスに向けて放つ。
「あぁ~? うるせぇ、コロす、コロす!」
 精神や脳に実際のダメージはないが、ただひたすらにうるさく不快。無駄な身体能力の高さが仇となり超音波すら聞き取れてしまうのか、音を出すビットを懸命に叩き落とそうとするザンギャバス。
「どいつを狙う? 今鳴いたのは後ろか? 横か? 上か!?」
 音を出すビットを切り替えながらの小枝子の言葉に、ぐるぐる回転しながら愚直に音を出しているビットを狙い続けるザンギャバス。一応方向自体はあっているのだが、無視する我慢強さや操作者を狙う発想がないのが彼の彼たるゆえんだろう。
 そしてその真下の海では、一隻の小舟からシノギ・リンダリンダリンダ(強欲の溟海・f03214)がその様子を見上げていた。
「単細胞なデカブツ……なんだか思ってた鮫牙のイメージと違いますね。まぁいいです。七大海嘯に喧嘩を売るという私の使命のために、とりあえず今回はお腹を空かせて帰ってください」
 羅針盤戦争開戦以前から七大海嘯、とりわけ鮫牙を獲物と定めその配下を積極的に狩り取ってきたシノギ。いざお目見えした『鮫牙』がこんな奴だということにいささかの落胆は隠せないが、それでも七大海嘯が自らの得物であるということは変わらない。
「ザ・タイタン・オブ・カリビアン!」
 シノギの号令と共に、小舟を持ち上げるような形で突如海中から巨大な海賊船が浮上。さらに形を組み替え、海賊らしい衣装を着けた巨大なロボットへと変形した。
「ふしゅぅ~~~~~!? なんだそれ……ヨコせ!」
 単細胞であるが故にこういう単純にかっこいいものも好むのか、さっきまでの不機嫌はどこへやら、ロボットへとじゃれつき始めた。
 もちろん彼のじゃれつくとは壊すつもりで攻撃すること。それを見越したシノギは、ロボットの攻撃回数を半減させ、代わりに装甲を5倍と言う超防御特化モードを発動した。
 ザンギャバスがお構いなしに殴る、投げる、引っ張ると乱暴にロボットで遊ぶが、流石に防御に全振りさせただけあってザンギャバスの馬鹿力にも何とか耐えきっている。
「どうしました、その程度でこのザ・タイタン以下略が倒せるとでも?!」
「てめぇ……コロす」
 挑発一つでまた機嫌を崩し、ロボットに拳や各部位の噛みつきをかけるザンギャバス。だがそれにもシノギはノリノリの台詞で応戦し、徹底的に彼の興を削がぬようにする。
「錨が、鋼の拳が、DX海賊船ビームが! お前を討ちます! おっと、ふふふなかなかいい攻撃じゃないですか好敵手!」
 その宣言通りの攻撃もザンギャバスにはノーダメージ。しかし向きになって反撃するほどに、残り少ないザンギャバスのエネルギーは消えていく。
 そして最後、ロボットの足を持って思い切り振り回し海面に放り投げようとしたところで、突然ザンギャバスの動きが止まりそのまま足を手放した。
「もう腹減った……俺様かえる」
 しょぼくれた顔になってそう言うと、その体が蠢き巨大な獅子となって、彼は何処かへと飛び去っていった。
「ようやく帰りましたか」
「終わった……のでありますかね?」
「始まって、すら、いないのかも……」
 陸に移動しそれぞれの機体から降りた小枝子とシノギ、彼女たちを出迎えたナイがそう言葉を交わす。
 勝利を感じているものなどこの場には誰一人としていない。ほんの気まぐれに彼が本気を出したら、そこにあるのは絶対の敗北なのだ。
 それでも、いつか、あの大帝の無敵を剥がすことができると信じて。
 今日もも猟兵は、強欲の海を行くのだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年02月12日


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#グリードオーシャン
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#羅針盤戦争
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#七大海嘯
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#ザンギャバス大帝


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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


挿絵イラスト