羅針盤戦争〜継ぎ接ぎ『三つ目』と踊れ
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「集合ご苦労様よ。グリードオーシャン、大変なことになっているわね」
グリモアベースにて、クリナム・ウィスラー(さかなの魔女・f16893)が猟兵達を出迎える。
彼女の様子は静かなものだが、状況は慌ただしい。グリードオーシャンにて『七大海嘯』と呼ばれる支配者達が動き出し、彼らとの『羅針盤戦争』が始まっているのだから。
「相手が攻めてくるのなら堂々と迎え撃ってやりましょう。今回倒してきて欲しいのは七大海嘯の一人、『三つ目』のバルバロス兄弟よ」
そう言葉を続けつつ、クリナムはグリモアを起動する。そこに映し出されたのは――巨大な異形の存在だ。
「バルバロス兄弟は双頭四腕の巨人よ。身体は一つだけれど、二つの頭にはそれぞれ人格があるみたい。隻眼の方が兄のオルチ、赤髭の方が弟のハイレディンと言うわ」
バルバロス兄弟はこれまでに沢山の敵を殺し、その肉体とメガリスを奪いながら強化を続けてきたようだ。
最終的にはグリモアすら奪い、無敵の存在になろうと企んでいるようだが……勿論、そんなことをさせる訳にはいかない。
「わたしの予知だと、彼らが陣取っている島を発見できたわ。そこに直接転移させるから、皆は全力で敵と戦ってちょうだい」
戦場となる島は特に文明の気配などはなく、ただひたすら砂浜と熱帯雨林が広がる島のようだ。
巨人であるバルバロス兄弟と戦う際にも支障はないくらいの広さで、同じ巨人やキャバリアのような大きい存在が乗り込んでも問題はない。
「注意して欲しいのは……バルバロス兄弟は強敵よ。だから先手は必ず取られると考えていいでしょうね。彼らは武器の扱いにも長けているし、弟の方に至っては『オルキヌスの瞳』という強力なメガリスまで装備しているわ」
曰く、そのメガリスは生物の肉体と精神を退化させる力を持っているのだと言う。
「例えば年齢が若返ったり、鍛錬で得た技術が一時的に使えなくなったりするでしょうね。対策をしっかりと練っておいて欲しいわ。それに……メガリス以外にも対策すべきことはあるわよ」
バルバロス兄弟は単純な武器戦闘も得意としており、その巨体から繰り出される攻撃には注意が必要だ。
「なかなか骨が折れる相手だけれど、皆も強敵とは戦ってきているものね。心配はしていないわ」
話を締めくくりつつ、クリナムはグリモアに淡い光を灯す。
同時に転移ゲートが開き、そこから強い潮の香りが漂ってきたようだ。
「……良い報告を待っているわ。それじゃあ、行ってらっしゃい」
ささかまかまだ
こんにちは、ささかまかまだです。
ロマン溢れる戦争の始まりです。
●プレイングボーナス
敵の先制攻撃ユーベルコードに対処する。
●七大海嘯『三つ目』バルバロス兄弟
武器による激しい攻撃、メガリスによる退化攻撃、身体の大きさを活かした重量攻撃を得意とする強敵です。
先制攻撃に対処しつつ戦いましょう。
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オープニングが出た時点でプレイングを受付開始します。断章の追加はありません。
シナリオの進行状況などに関しては戦争の詳細ページ、マスターページ等も適宜確認していただければと思います。
それでは今回もよろしくお願いいたします。
第1章 ボス戦
『七大海嘯『三つ目』バルバロス兄弟』
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POW : フォーアームズ・ストーム
【四腕で振るった武器】が命中した箇所を破壊する。敵が体勢を崩していれば、より致命的な箇所に命中する。
SPD : 「オルキヌスの瞳」
【弟ハイレディン(左頭部)の凝視】により、レベルの二乗mまでの視認している対象を、【肉体、精神の両面に及ぶ「退化」】で攻撃する。
WIZ : バルバロス・パワー
敵より【身体が大きい】場合、敵に対する命中率・回避率・ダメージが3倍になる。
👑11
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アルデルク・イドルド
強欲で残虐ねぇ。
いいじゃねぇかそうこねぇとな
さぁ、海賊の戦いをしようじゃないか…!
とりあえず背が縮もうと心が若返ろうと変わらないことはある。どんなになっても目の前にいるやつが敵なら勝てる算段立てて戦うだろうさそうやって生きてきたもんでね【情熱】
動きの鈍さは期待しない。武器が高速で襲ってくるんだろさ。だが腕が沢山あっても一箇所に留まる小さい敵を狙うのは意外と難しいだろう?
後は【幸運】を祈ってさけるしかねぇがな。
UC【剣乱舞踏】
その手を切り落とせなんなら指でもいい。
傷は小さくとも浅くはないはずだ。
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七大海嘯の一人、『三つ目』のバルバロス兄弟は強欲で残虐だ。
まさに「海賊」という存在を体現するような強敵を前にしつつも、アルデルク・イドルド(海賊商人・f26179)の胸の鼓動は高まっていた。
「いいじゃねぇか、そうこねぇとな」
アルデルクも欲望の海を駆ける海賊で商人だ。同じ海を縄張りにする者同士、ぶつかり合うには十分だろう。
「おい、早速猟兵が来たみたいだぜオルチ兄!」
「あいつ……同業者か? なら殺し甲斐もあるってもんだぜ!」
バルバロス兄弟もアルデルクの存在には気付いたようだ。
彼らの大笑いは木々を揺らし、足踏み一つで砂浜が大きく弾む。
けれどアルデルクの表情に不安はない。そこにあるのは確かな歓喜だ。
「さぁ、海賊の戦いをしようじゃないか……!」
「いいぜ、殺し合いだ!」
どちらがより強い海の覇者か。海賊達は命を懸けて競い合う。
「どんな強い野郎だろうと、俺のメガリスに敵いやしねぇさ!」
先に動いたのはバルバロス兄弟の弟、ハイレディンだ。
彼の瞳に嵌められたメガリスが妖しく輝けば、アルデルクの身体を重い感覚が包んでいく。
手元や足元を見ればその結果は一目瞭然。縮む手足に下がる目線、肉体の退化が始まってしまったのだろう。
だからといって――それが退く理由にもなりはしないのだが。
「おいおい、あんた達も海賊なら分かるだろう?」
肉体が青年から少年になろうとも、アルデルクの鼓動は高まったまま。
それでも頭の中は冷静だ。だって自分の戦い方は変わらない。海の渡り方だって変わらないのだから。
「どんなになっても目の前にいるやつが敵なら、勝てる算段立てて戦うだろうさ。そうやって生きてきたもんでね」
「減らず口を。これならどうだ!」
怒号と共に巨人が繰り出したのは、複数の腕による武器の乱舞だ。
その激しい嵐の中にあっても――アルデルクは余裕と情熱を失わない。
己の幸運を信じるのだって海賊の才能だ。昔から思いは変わらず、生き方だって変わらない。
「腕が沢山あっても、小さい敵を狙うのは意外と難しいだろう? 今度はこっちの番だぜ」
武器達が生み出す風圧を受け止めつつも、アルデルクは静かに意識を集中させる。
同時に魔術が作動し、彼の周囲には無数の魔法剣が姿を現した。
「――さぁ、踊らせてやる」
詠唱の終わりに合わせ、魔法剣は鮮やかな模様を描き飛び回る。
巨人も武器を振り回し対抗するが、手数は魔法剣の方が多い。撃ち落とされなかった剣達は次々に海賊の手を切り裂いて、確かな傷を刻み込んでいった。
「傷は小さくとも浅くはないはずだ。あんたから見れば些細な傷かもしれなが……必ず効いてくるぜ、これは」
信じるべきものを信じ、信念に従い行動する。
海賊としてこの戦いの第一歩を制したのはアルデルクの方だった。
大成功
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鈴木・志乃
ボス戦は苦手じゃ。だが逝く。
はい、最初の一撃は可能なら第六感で見切り
早業で回避したい。というかそれが理想だけど
ムリそうなら必要経費と割り切って堪えます。
即UC発動。高速詠唱多重詠唱でオーラ防御を連続展開。
とにかく高速で飛びまくって粉々に砕いた硝子を頭上から降らして吸わせます。粉硝子は肺に刺さったらさぞ痛かろうなぁ。私は思念体なのでヘーキです。
ガソリンも体にぶちまけます。足元にも撒きます。油でも可。必要なら念動力で操作してでもかける。かけるったらかけるのだ。
そのまま爆弾ぽいぽいぽーいして爆破。後は分かるな?
一応、人体である以上火炙りは効くんじゃないかなと。
ていうか効いてくれ。頼む。
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強敵(ボス)との戦いは苦手だ。だけどそれで退く訳じゃない、逝くと決めたら逝く。
ポジティブとネガティブがまぜこぜになった決意を胸に、鈴木・志乃(ブラック・f12101)は白い翼をはためかせた。
「ってぇな……出鼻は挫かれちまったが、獲物はまだいるみたいだな」
バルバロス兄弟の三つの瞳も志乃を捉え、まずは彼女へ向けて武器を一振り。
容赦なく振り下ろされる斬撃を見遣り、志乃は意識を強く集中させた。
「こういうのが……嫌なんだけど!」
出来る限り早く羽根を動かし、斬撃の合間を潜り抜けつつ高く高く。
衝撃波が身体を掠めて傷がついても必要経費と割り切ってしまえばいい。
相手が先に動くのだって分かってた。だからこそ、自分が動ける時にはすぐに動く。
なんとか巨人の頭上まで飛び上がれば、志乃の身体は眩い光に包まれ始めた。
流れる血液や舞い落ちる羽根すら光に変わり、その光景は神々しいが――志乃の表情にあったのはシンプルな怒りだ。
「こんな綺麗な島で暴れられるのも嫌だし、怪我するのだって嬉しい訳がない。そして何より――」
バカンスを!! よこせーーーーっっっ!!!
叫びと共に志乃は完全な光の思念体と化し、それを覆うようにオーラの輝きが巨人を照らす。
「なんだぁ、あの光? 光線でも放ってくんのか?」
予想外の光景に巨人も呆気にとられているが、警戒は解いていないようだ。
彼らが再び武器を振るうより早く、志乃は用意していた道具を取り出した。
次の瞬間、光の粒子が巨人の頭上から降り注ぐ。
けれどその正体は魔術的なものではない。砕かれた硝子片だ。
「ゲホッ、ゲホッ……なんだこれ!?」
「粉硝子は肺に刺さったらさぞ痛かろうなぁ。私はヘーキだけど」
志乃の身体は思念体と化しているため、粉硝子に包み込まれても支障はない。
巨人にだけ一方的に被害を齎しつつ、次に志乃が振り撒いたのは独特の匂いを放つ液体だ。
「今度はなんだ、ハイレディン!」
「オルチ兄、ヤバイぜ! これガソリンだ!!」
振りかけられた液体の正体を察し、巨人は一目散に海の方へと駆けていく。
だがもう遅い。彼らの咄嗟の行動も志乃の用意周到さには敵わなかった。
「察しがいいみたいだね。でも……後は分かるな?」
最後に志乃が投下したのは幾つもの爆弾だ。
相手が全速力で駆けようと、念動力で操ればコントロールも十分だろう。
名もなき島に凄まじい衝撃音が鳴り響くまで――然程時間はかからなかった。
「巨人といえど人体だからね。火炙りが効いてくれて助かったよ」
戦果を確認し、志乃は元の姿へと戻る。
火傷を負う巨人から目を逸らせば、この世界の光景は美しいのだけれど。
早く平和になってくれればいいのに。そんなことを思いつつ、志乃はまた戦いに向かっていくのだった。
大成功
🔵🔵🔵
名張・辿
格上との戦いはいつだってキツいねぇ
オマケに実質2人か…こっちも手を増やすかね
【鼠鬼強襲】を使用、デカい鼠の腹に抱えられるなり、ケツの方に体を落とすなりして俺自身は敵の視界に移らないようにして距離を詰めるよ
その状態で敵を見ている鼠の指示を元に毒入りの容器を投擲したりしてみようか、多少あてずっぽうでも相手の視線を取れればよし、眼窩に毒が入れば万々歳さ
体力は共有しちゃうからな、可能なら近づけた段階で退化した鼠は引っ込めよう
そこからは身を低く立ち回り、毒を塗った短剣で足元を傷つけてみるよ
乱雑に対応してくるようなら逆にその武器を手落とすように狙ってみたりしようかな
ホントおっかねえな、踏みつぶされそうだぜ
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「格上との戦いはいつだってキツいねぇ」
騒ぎ立てる巨人を前に、名張・辿(鼠遣われ・f04894)はぼそりと呟く。
巨人の体躯や四腕も気になるが、それ以上に気を引くのは三つの瞳。
敵の身体は一つだが、実質相手取るのは二人分になるだろう。
「ならこっちも手を増やすかね」
使える手段があるのなら、それに頼らない手はない。辿は意識を集中し、自身に付き従う者を側まで呼び寄せた。
「旧鼠よ応じよ、疫病に代えて我を地獄へ運び往け」
辿の声に従い現れたのは巨大な鼠だ。その異常に発達した四肢の様子は、どこか目の前の巨人の姿を思わせた。
鼠は上腕で辿を抱え、大きな身体が彼の姿を覆い隠す。
「それじゃ、頼んだよ」
指示を受けた鼠は真っ直ぐに砂の上を駆け出した。目指すは巨人の元だ。
「おいハイレディン、妙な鼠がいるぜ」
「猟兵の差し金か? だが生物なら関係ねぇな、任せろオロチ兄!」
巨人達もすぐに駆け寄る鼠を視認し、瞳のメガリスを起動したようだ。
辿の身体は鼠の腹に隠れているが、視線に直接晒される鼠自身は守られやしない。
徐々にその身体は縮み、発達した四肢もか細いものへと変わっていくが――それでも地獄へ向かう足取りは止まらない。
辿も鼠の影から身体がはみ出さないように注意しつつ、懐から『病素封水』の容器を取り出した。
「巨人に疫病が通じるかは分からないけれど……生物なのは向こうも変わらないからね。方向の指示、お願いするね」
一鳴きの返事と共に、鼠が高く顔を上げる。辿が器用に身体を捻り、そちらの方へと容器を投げれば――次の瞬間、聞こえてきたのは巨人の悲鳴だった。
「うわ、なんだこの水!?」
「マズイぞ、こいつぁ毒だ!」
どうやら狙い通りに動けたようだ。巨人の視線や注意は完全に毒の方へと向いている。ここがチャンスだろう。
「ありがとう、後は任せておくれ」
鼠の身体はすっかり縮んでしまっていた。これ以上巨人に近づかせるのは危険だろう。
辿は鼠から身体を離し、短剣『鼠剣』を握りしめる。
その刃に先程と同じ毒を塗り込んで、今度は辿自身が砂浜の上を駆け出した。
できる限り身を低くして、狙うは巨人の足元だ。
まずは一振り刃を振るえば、再び悲鳴が島を揺らす。
「この野郎!」
巨人が怒りに任せて武器を振り回し、同時に放たれる地団駄が辿のすぐ側の砂を抉る。
けれど焦るのは尚更危険だ。辿は慎重に身体を滑らせ、すれ違い様に手足に再び刃を振るって巨人を切り裂いていく。
「ホントおっかねえな、踏みつぶされそうだぜ」
思わず本来の口調が出てしまったが、それでも余裕は崩さずに。
辿は鼠と共に、巨人へ向けて小さくも大きな傷を刻んでいったのだ。
大成功
🔵🔵🔵
荒谷・ひかる
なんて、巨大な……!
あんなのに狙われたら、わたしじゃひとたまりもありません。
何とかして時間を稼がないと……
敵コード発動後、速やかに敵へ向け二丁の精霊銃で射撃
ただし撃つ弾は強烈な光を放つ閃光弾と、大きな音を炸裂させる爆音弾
これらを連射し、目と耳を可能な限り潰して熱帯雨林に逃げこみ時間を稼ぐ
反撃は【宇宙の精霊さん】にお願いする(噛みつきや体当たりで攻撃)
彼はスペースシップワールドの宇宙船すら丸呑みにするほどの巨体を誇る精霊さん(※宇宙怪獣ともいう)ですから、バルバロス兄弟が如何に大きかろうと上回れるはずです
大きな力を誇るものは、いずれはより大きな力に屠られる……
大宇宙の神秘、その身で受けなさい!
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猟兵である以上、巨人やキャバリアといった大きな存在と接する機会は多々ある。
それでも名もなき島に佇む巨人・バルバロス兄弟から感じる威圧感は圧倒的なものだった。
「なんて、巨大な……!」
荒谷・ひかる(精霊寵姫・f07833)は驚きの息を吐きつつも、やるべきことを確りと考え始めている。
あのような相手とまともに戦うのは危険だ。その上、先に動くのは敵の方。
どうにか時間を稼がなければ。そう考えたひかるが目をつけたのは、巨人の後方に生い茂る熱帯雨林だった。
「おい、ハイレディン! 何だか小せぇのがいるな!」
「ならもっと小さくしてやるか!」
巨人の下卑た声が響けば、同時に発動するのは危険なメガリスだ。
赤髭の視線がひかるを射抜く直前、彼女は素早く精霊銃『THE EARTH』と『Nine Number』を構えていた。
「これで、少しでも……!」
何度も引き金を引き、どうにか狙いは巨人の眼前へ。
発せられた閃光弾と爆音弾は巨人達の視覚と聴覚を撹乱し、メガリスの効力を弱めていた。
「うぉ、何しやがった!?」
暴れまわる巨人の脇をどうにかすり抜け、ひかるは熱帯雨林の中へと飛び込む。
しかし相手は凶悪な実力者。木々の合間に隠れていても、見つかるのは時間の問題だ。
それならこちらも巨大な相手に対処をお願いすればいい。
ひかるは祈りの姿勢を取りつつ、彼女が『宇宙の精霊さん』と呼称する存在へと意識を向ける。
「頑張ってください、宇宙の精霊さん!」
次の瞬間――名もなき島に、巨人よりも大きな存在が顕現した。
その正体は宇宙船すら飲み込む超巨大宇宙怪獣・宇宙モンゴリアンデスワームだ。
精霊さんもといモンゴリアンデスワームは大きな口から涎のような液体を垂れ流しつつ、敵へと向かっていく。
「お、おい兄者! あんな化け物見たことねぇ!」
「落ち着けハイレディン! どうにかぶっ殺すぞ!」
流石の七大海嘯だろうと宇宙怪獣は初めて見たのだろう。彼らも懸命に武器を振り回し、どうにか戦おうとしているようだ。
しかし、双方のサイズ差は圧倒的だ。例え巨人が刃を振るおうと、メガリスで退化を狙おうと――宇宙怪獣のスケールには敵わない。
巨人と怪獣。この二つがぶつかり合い、島全体がぐらぐらと揺れている。戦いは激しいものになるだろう。
「大きな力を誇るものは、いずれはより大きな力に屠られる……大宇宙の神秘、その身で受けなさい!」
ひかるも自身の精霊魔術を駆使し、宇宙の精霊さんの援護をし続ける。
いや、あれが精霊さんなのかどうかはどうにか定義付けをするしかないのだが――それでもこの状況なら頼もしい味方に違いはない。
「精霊さんって思ったのなら一緒に頑張れますから……どんどんいきますよ、精霊さん!」
ひかるは宇宙の神秘と共に、悪しき海賊へと立ち向かっていくのだった。
大成功
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片桐・公明
【SPD】
敵の先制攻撃は、戦場を熱帯雨林に移すことで視界を制限し、砂浜で集めた砂や熱帯雨林の葉を顔に投げつけることで目隠しを行い回避する
木陰に隠れることで一度体制を整えてからはUCを使用し、敵の死角に入り込み攻撃を仕掛ける
一撃以上は加えずにヒット&アウェイで敵に姿と背中を見せずに戦う
決して無理な攻撃を行わず与ダメージより回避を優先して立ち回る
敵の背後はもちろんのこと、巨体であるならば案外足元などが見づらいかもしれない
別の草むらに石を投げることで相手の注意を誘導したりする
「挑発したって無駄よ、私は戦士じゃなくて殺人鬼なの。殺すためなら何でもするわよ。」
(絡み、アドリブ歓迎です。)
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敵は強大な存在だ。それならば如何に生き残り、着実に立ち回るべきかを考える。
静かに呼吸を整えつつ、片桐・公明(Mathemの名を継ぐ者・f03969)もまた猟兵の一人として砂浜へと降り立っていた。
「おい兄者、新しい獲物だぜ」
「それなら上手く料理してやりな!」
島への到来から、巨人の三つ目が公明を捉えるまでに然程時間はかからなかった。
それでも公明は焦らない。目の前にある資源を精一杯活用し、まずは何が出来るか考え――瞬時の思考で、公明の身体は熱帯雨林の中へと飛び込んでいた。
生い茂る木々は彼女の身体を覆い隠し、凝視から身を守ってくれる。
更に公明は砂浜にいる段階から準備を進めていた。彼女の右手には砂の塊が握られていたのだ。
「あとは……これも使えそうね」
左手で熱帯雨林から葉を拝借し、そのまま巨人へ向けて投げかけて。
自然の道具で作った煙幕を盾にしつつ、公明は更に木々の間を駆け抜ける。
「あの女、消えやがったか……」
「メガリスの効果も十分に発揮出来てねぇな。もう一度見つけねぇと」
公明の作戦は功を奏し、巨人は彼女の姿を見失っているようだ。
その合間に次の作戦を練ろう。そう考えた時に公明が欲したのは――母譲りの身体能力を活かし、父譲りの知識を活かし、そして己の才を活かした作戦だった。
両親から譲り受けたものは嬉しい。けれどこの技術を活かす時、思い出すのは己の宿敵。
だけれど今はこの力が必要だ。
思考を巡らせ、弾き出した結論に公明は息を吐く。
「忌々しい。忌々しいけど、美しい」
見出したのは最適な殺戮経路。敵の能力と己の能力、それらを比べて生み出した確かな道だ。
それに付き従いつつ、まずは熱帯雨林を駆け回って。出来るだけ、早く早く。
木々がガサガサと音を立てれば、敵の注意は当然そちらへと向けられるだろう。
巨人は笑い声を上げながら、手にした武器を木々の中へと振り下ろす。
「見つけたぜ……おっと?」
しかし、その刃が公明を押し潰すことはなかった。
木々を揺らしたのは彼女が投げた小石であり、彼女の姿はそこにない。
「私はこっちよ」
冷ややかな声と共に放たれたのは2丁拳銃による銃撃だ。
的確な狙撃は巨人の足元を撃ち、そこから鮮血が溢れた。
「あの野郎、どこだ!?」
巨人はすぐに発砲位置を確認するも、公明は既にその場から離脱している。
敵が自分を視認しないよう、全力で意識を集中しつつヒット&アウェイの繰り返し。これが公明の導き出した作戦だった。
「おいおい、猟兵サマなんだろ? そんなみみっちい戦いでいいのかよ?」
再び巨人の下卑た声が響いたが、安い挑発になぞ乗ってやるものか。
「挑発したって無駄よ、私は戦士じゃなくて殺人鬼なの。殺すためなら何でもするわよ」
だからこそ、使えるものは全部使うし出来ることは全部やる。
その決意を示すように、公明は木々の合間から巨人を狙い続けていった。
大成功
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朱酉・逢真
心情)戦争のはじまり、はじまりィ。じっとりした熱帯雨林かィ。陰気な身にァありがてェや。カラリとした熱気は大苦手でね、砂浜にゃア出たくないモンさ。
行動)熱視線だなァ、坊やたち。確かにその目、"生物"にゃ特効だ。だが、ああ残念。俺ァ《宿(*み)》も"こころ"も生きモンじゃアないのさ。このカラダはあらゆる病・毒のカタマリ。無抵抗に受けてやろうとも。ところで腹ン中むずがゆかァねェかい? ひ・ひ。俺の眷属ども。《獣・鳥・虫・魚》どもが"ナカ"で湧いて、食い破って出てくるよォ。さァさ、中から生き腐れな。
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熱帯雨林のじっとりとした空気は、朱酉・逢真(朱ノ鳥・f16930)にとって馴染みの深いものだった。
少し先に視線を向ければ巨人に砂浜。オブリビオンを潰すのはいいけれど、からりとした熱気に触れたくはない。
どうせなら心地の良い場所で戦えばいいのだ。巨人の三つ目が自分へと向けられたのを感じつつ、逢真はゆるりと笑みを浮かべる。
「見つけたぜ、猟兵だ!」
「おっと、戦争のはじまり、はじまりィ。早速遊ぼうかい」
曰く赤髭の片目は恐ろしいメガリスなのだという。確かにその視線が身体を射抜けば、不可思議な感触に包み込まれるようだ。
巨人達も己の成果を確かめるように逢真を見下ろしていた。
「よぉし、これでこいつは退化させたぜ! あとは蹂躙してやれば……」
「……いや、待てハイレディン。様子が変だぜ」
先に異変に気付いたのは兄の方だ。確かに彼の言うように、メガリスの光は逢真を射抜いたはずなのに――彼の姿は、戦いが始まった時点と変わっていない。
弟もその事実に気がつくと、先程よりも確り逢真を睨む。それでも結果は変わらなかった。
「熱視線だなァ、坊やたち。確かにその目、"生物"にゃ特効だ」
逢真の言葉の通り、メガリスはきちんと作動している。目の前の存在が生物だったのならば、その効果は間違いなく発揮されていただろう。
だが残念。逢真は埒外の存在で、病毒に戯ぶ神だ。
彼を構成するのはあらゆる病と毒であり、ならばメガリスの効果も及びはしない。
「俺ァ《宿》も"こころ"も生きモンじゃアないのさ。こういう相手は初めてかい?」
からからと笑い声を上げながら、逢真はその場に腰掛ける。湿った土の感触は心地よかった。
その余裕のある様子が気に食わなかったのだろう。巨人達は雄叫びをあげつつ、武器を振り乱し駆け寄ってきた。
相手が手の内を晒し、病の庭へと踏み込んだのなら話は早い。
「――ところで腹ン中むずがゆかァねェかい?」
「はぁ? 一体何を……ッ!!」
怒りに身を任せつつも、己の異変には気付いたのだろう。巨人の歩みは少しずつ緩やかになっていき、終いには動きを止めてしまう。
そして次の瞬間――無数の生き物達が、巨人の腹を貫き飛び出した。
その正体は逢真の眷属だ。メガリスの力を吸収し、増幅させた魔力によってより強くなった眷属達は巨人の内から召喚されたのだ。
「ひ・ひ。腹ン中から何かが出てくるのも初めてだろうなァ。それならこういうのも初めてだろう」
どろりどろり、巨人の臓腑は腐っていく。
熱帯雨林に蔓延らされた病理が敵の身体を蝕んで、その様子を見遣りつつも逢真の様子は楽しげなまま。
「さァさ、中から生き腐れな」
例えどれだけ強大な存在だろうと、生物である以上病には勝てないだろう。
その事実を、逢真は巨人へと教えこんでいくのであった。
大成功
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朱鷺透・小枝子
回点号に搭乗、操縦。
キャバリアに乗っている以上、敵対者の年齢はよく分からない筈、
つまり、精神の退化を狙ってくると推察。
狂気耐性、及び闘争心で持って退化を克服。
私は、この身は、戦う為に生れた。
推力移動、後ろではなく、前へ進む。
オブリビオン、この敵意だけは、無くなりはしないッ!!
『戦火応報』でユーベルコードを無効化
シールドバッシュ、敵の懐でシールドを展開、シールドで敵を吹き飛ばし。
ユーベルコード、オルキヌスの瞳の効果で相手の肉体を退化、
キャバリアとほぼ同サイズの巨体、
つまり、いつもの敵とさして変わらない!!
パルスマシンガンにブレードを展開し、切断攻撃。
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激戦の舞台とはなっているが、名もなき島に文明の気配はない。
そんな様子を打ち消すように、突如機械の駆動音が鳴り響く。
その正体は朱鷺透・小枝子(亡国の戦塵・f29924)が操縦するクロムキャバリア『回点号』が発するものだった。
巨人達も迫る巨体と音を感じ、視線をそちらへと投げかける。
「オルチ兄、なんだあの妙な鉄塊は?」
「異世界の技術だろうよ。ああいうのなら、中にニンゲンがいるもんだぜ」
「ああ、それなら話は早いな!」
投げかけられる視線はただの三つ目からメガリスのものへ。その輝きは回点号だけでなく、搭乗する小枝子にも容赦なく向けられていた。
けれど彼女の表情に焦りの色はない。身体は退化していっても、瞳に宿るものは曇らない。
「推察通りのメガリス起動……それでも、やるべきことは変わらない」
私は、この身は、戦う為に生れた。
いくら心が巻き戻ろうと、闘争心は灯ったままだ。
小枝子の想いに応えるように、回点号は力強く前へと進む。推力が巨体を突き動かし、出来るだけ早く敵の元へ。
「おいおい、退化してねぇのか?」
「メガリスが発動しようと関係ない。オブリビオン、この敵意だけは、無くなりはしないッ!!」
漫然と向けられるメガリスの光に対し、小枝子が放ったのは埒外の力だ。
一瞬だけ閃光が弾け、メガリスの輝きは消え失せる。その瞬間を狙い、回点号が巨人の懐へと飛び込んだ。
すかさずBXシールドを展開すれば、衝撃が巨人の巨体を押し返す。
体勢を崩した敵へ――小枝子はしっかりと意識を集中した。
目の前にいる存在は敵だ。だから破壊しなければいけない。
けれど相手の身体は些か大きすぎる。それなら回点号より小さくしてやればいいのだ。
「撃ち返せ、応報せよ」
静かな声が発せられると同時に、小枝子の灰色の瞳が赤色に輝いた。
敵から少しだけ奪い取ったメガリス『オルキヌスの瞳』が発動し、その輝きが巨人を射抜いたのだ。
「しまっ……!」
気付いた時にはもう遅い。巨人の身体は退化が始まり、大きさは少しずつ回点号と同等になっていく。
このサイズの敵なら戦いやすい。故郷で何度だって戦ってきたのだから。
「今なら、いつもの敵とさして変わらない! だから――ここで壊す!!」
あとは身体に馴染みついた動作が結果を出してくれる。
回点号がパルスマシンガンを抜き出すと同時に刃が展開され、勢いのまま振り下ろせば巨人の身体を見事に切り裂いた。
決して心身が退化しようとも、消えないものは存在している。
小枝子の在り方は、強力なメガリスにすら打ち勝っていったのだ。
大成功
🔵🔵🔵
ヴィクティム・ウィンターミュート
でっっっけえなこいつ……
何食ってどんなドラッグキメたらそんなデカくなるんだか
何割かくらい分けてくれよ
やっぱいいや
そんな風に頭悪くなんのはナシだ
左の頭の目の動きに注目しろ
凝視するなら確実に動きがあるはずだ
それを【見切り】、【早業】でカウンターを用意する
食らえば退化して致命的、だが返せれば俺の勝ちだ
【覚悟】決めようぜ──あらゆる力を抜いて、全てを委ねよう
必用なのは恐怖じゃない、成功のビジョンだけさ
──もーらいっと
自慢のメガリスの力も不発になったな
そら、人を不躾ににらんだお返しだ
疾れ、怨敵を殺す報復の剣よ
ご自慢のパワーも何もかも、大きく弱体化されたはずだ
俺の仕事はこれで終い
仕留めるのは、英雄の仕事だ
●
巨人という種族は知っている。だが、七大海嘯の一人ともなればその大きさは予想以上に強大に感じられた。
例え全身に傷を受けつつも、バルバロス兄弟の威圧感は凄まじい。
「でっっっけえなこいつ……」
そんな敵へ向け、ヴィクティム・ウィンターミュート(Winter is Reborn・f01172)が零したのは素直な感想だ。
一体どうすればあれほど巨大になれるのだろう。いっそドラッグのようなものでもキメているのだろうか。
「そのでかさ、何割かくらい分けてくれよ……ああ、いや、やっぱいいや」
「いきなり喧嘩売ってきて、何様だテメェ?」
「ぶっ殺してやろうぜオロチ兄!」
思った通り。目の前の巨人は強敵なのだろうが、そこに上品な知性は感じられない。
「そんな風に頭悪くなんのはナシだって話だよ」
へらりと笑みを浮かべたヴィクティムに対し、巨人の兄弟はさらなる怒りを湧き上がらせたようだ。
「おいハイレディン、さっさとぶっ殺しちまうか?」
「せっかくだからとことんいたぶってやろうぜ……俺のメガリスでな!」
次の瞬間、赤髭の方の瞳に妖しい光が瞬いた。
きっとメガリスが発動したのだろう。しかし、効果が現れるまでにはタイムラグがあるはずだ。
事前に聞いていた情報と的確な観察と合わせ、ヴィクティムは次の行動を選択していく。
敢えて全身の力を抜き、けれど頭は研ぎ澄ませて。胸の内には覚悟を宿し、見定めるのは成功のビジョンだけ。
メガリスの輝きが身体を射抜く瞬間――発揮したのは埒外の力だ。
「テメェの力は確かに強い。けど、いいのかよ? そんなに全力で攻撃してさ」
恐怖を乗り越え発動したその力は、メガリスの輝きを吸収し更に増幅させていく。
そのまま電脳空間を展開すれば、解析結果もすぐに出た。そこに映し出された文字は――『オルキヌスの瞳』だ。
「――もーらいっと。そら、人を不躾ににらんだお返しだ」
疾れ、怨敵を殺す報復の剣よ。
ヴィクティムが腕を構えれば、そこから散布されるのはメガリスの力を応用した強力なウイルスだ。
しかし巨人には何も見えていない。気がつけばウイルスは次々に吸収されているはずなのに、巨人が睨んでいるのはヴィクティムだけだ。
「テメェ、何しやがった!」
「ご自慢のパワーも何もかも、大きく弱体化されただろ。それじゃあ……俺の仕事はこれで終い」
展開した魔術をさっと片付け、ヴィクティムは素早く戦場から離脱していく。
自分はあくまで端役。けれど必要な布石は置いた。
「仕留めるのは、英雄の仕事だ。それじゃあな」
己の役割を完遂したことを確認し、サイボーグの青年は熱帯雨林の方へ紛れていく。
戦場に残されたのは――弱りきった巨人と、最後に物語を締める者だろう。
大成功
🔵🔵🔵
シノギ・リンダリンダリンダ
三つ目は…ふむ。こいつの配下には喧嘩ふっかけれてませんね
まぁ、配下にふっかけれなかった喧嘩は上司であるお前が受けるべきですね
POWに対抗
単純なパワー大いに結構!人の根源は単純な暴力です!退化されてもそれは変わりません!
【ザ・タイタ・オブ・カリビアン】を召喚
破壊されるのなら防御は不要。装甲を半分に、攻撃力を5倍にする
相手の攻撃に合わせてロボの片腕で防御。破壊されたところでまだ腕は三本あります
ロボの武器の錨、鋼の拳で攻撃しつつ、連携して自分もMidās Lichでスナイピング
呪詛の籠もった呪殺弾は大魔王の呪い
体中をハッキングし呪詛を全身に染み渡らせる
動きが鈍くなった所にDX海賊船ビームを放ちます
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欲の海に蔓延る七大海嘯の話は知っている。その部下達とも何度か殴り合った。
その中に――確か『三つ目』の部下はいなかったはずだ。
そんなことを思い返しつつ、シノギ・リンダリンダリンダ(強欲の溟海・f03214)は戦場へと舞い降りた。
「まぁ、配下にふっかけれなかった喧嘩は上司であるお前が受けるべきですね」
「あァん? 喧嘩は受けてやるが、生意気言うじゃねぇか」
ここまでの戦いで巨人は疲弊しているようだが、闘志は失われていないようだ。
相手が強大ならそれで十分。同じ海賊同士、存分に殴り合える。
「この海の覇者はお前なんかじゃありません。どいて下さい」
「上等だ、ぶっ殺してやる!」
互いに獰猛な笑みを向けつつ、シノギと巨人は武器を構える。
次の瞬間鳴り響いたのは――巨大なもの同士がぶつかり合う、凄まじい轟音だった。
先に動いたのは巨人の方だった。
彼は強靭な四肢で武器を振るい、あっさりとシノギを潰そうとしたのだが――。
「おいおい……なんだよこいつぁ」
目の前で大きな刃を受け止めていたのは人形の少女ではなく――巨大な海賊ロボだったのだ。
「単純なパワー大いに結構! 人の根源は単純な暴力です! 退化されてもそれは変わりません! さぁ行きますよ!」
シノギの声と意思に呼応するかのように、ロボットは腕を振るう。
先の攻撃で一本の腕は壊されてしまったが、まだ残っている腕は三本もある。これならまだまだ殴り合えるはずだ。
「デカブツだろうとぶっ壊しちまえば関係ねぇな!」
「オルチ兄、さっさと潰すぜ!」
合わせてバルバロス兄弟も武器を振るい、ここから始まるのは単純な殴り合いだ。
ロボの装備する錨に鉄の拳、巨人の装備する斧や剣――それらが激しくぶつかり、金属音や衝撃波が島を覆う。
その合間を縫うように、シノギもまた次の行動を選択していた。
「黄金はお好きでしょう? お前にぴったりのものをくれてやりますよ」
シノギは右腕を前に突き出し、そこに取り付けた『Midās Lich』から弾丸を放った。
黄金の弾丸は巨人の身体に入り込むと、着弾点を中心にしつつ呪いを広げていく。
「なんだこれ……身体が黄金に
……!?」
「異世界の魔王の呪いですよ。自らが財宝になれるなんて、嬉しくありませんか?」
Midās Lichはアルダワの魔王によって齎された呪いの痕跡で、何よりも強いシノギの欲望の証。
それが生み出す力は七大海嘯だろうと容赦なく蝕み、より欲深いものが誰かを叩き込んでいく。
「最後はやっぱりこうするのが一番ですね。蹂躙せよ!ザ・タイタン・オブ・カリビアン!!」
フィニッシュは海賊ロボのDX海賊船ビームで。
凄まじい勢いで放たれた熱戦は黄金と化した巨人を砕き、その場に財宝だけを残していった。
「無事に『三つ目』を倒せただけでなく、黄金まで入手出来ましたね。やはり戦う以上は成果がなくては」
まだまだこの海には残虐な海賊達が残っているが――それでも略奪と蹂躙は終わらない。
次なる戦いのことも意識しつつ、シノギは帰路へと着くのだった。
大成功
🔵🔵🔵