迷宮災厄戦⑦〜惡の剣姫〜
●剣戟
「ふむふむ……」
図書館の棚に並べられた一冊の本を手にし、剣姫マウラは興味深そうに目を通す。
「なるほどねぇ。ふふ、あはははっ!!」
突然、笑い声を上げながら剣姫マウラは、書物を棚へと戻しながら体の変異に気付く。
書物に描かれた悪の様に笑い、自身の持つ毒で苦しませながら倒すという悪の美学に目覚めてしまった剣姫マウラ。
「これならば、ふふ……猟兵なんて輩を倒せるわ!」
腰に携えた大きな剣を揺らしながら剣姫マウラは立ち上がると、図書館の大きな扉へ視線を向けると同時に重たく軋む音を立てながら開かれようとしていた。
●グリモアベース
「皆様、お集まりいただきありがとうございます。さて、アリスラビリンスにて“迷宮災厄戦”という大きな戦いが進む中で、皆様にお願いしたいのは、世界征服に関するあらゆる書物がある巨大な図書館の国へ赴ていただきたいのです」
優しい笑みを浮かべたままロイド・テスタメント(全てを無に帰す暗殺者・f01586)は、集まった猟兵たちに告げた。
「図書館内に住むオウガである惡の剣姫は、図書館の書物によって強化されているのですが……どうやら言動が悪役じみているというか、本やテレビで見るような悪役そのものなのです」
低く唸りながらロイドは説明を続ける。
「それと対になるように正義の味方に関する書物もあるのですが、図書館のどこかに眠っておりそれを読めば私たち猟兵も強化されるようです。それを探し出して惡の剣姫を倒してください」
龍真 神
オープニングに目を通して頂きありがとうございます。
龍真 神(タツマ シン)と申します。
よろしくお願いします。
悪と正義、楽しいですよね!
熱い内容が好きです!
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プレイングボーナス……「正義の味方」っぽい行動をする。
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★連携する場合は、相手のIDやチーム名の記載を忘れずにほぼ同時にプレイング送信して下さい。
※連携人数は最大でも3~4人が限度となりますのでご留意ください。
★プレイング受付は最大10件までとなります。
第1章 ボス戦
『廃亡の剣姫マウラ』
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POW : 我流:インガオーホーザン
対象のユーベルコードに対し【自身のレベル倍の威力にして斬り返す斬撃】を放ち、相殺する。事前にそれを見ていれば成功率が上がる。
SPD : フォースート・ストライザー
【紋章剣の四つのスート属性を一つに束ねる事】により、レベルの二乗mまでの視認している対象を、【空間断層を引き起こす聖剣による光の斬撃波】で攻撃する。
WIZ : 剣霊姫招来
自身の【装備する紋章剣の使用封印(最大四本まで)】を代償に、【使用を封印した紋章剣に宿る少女聖霊】を戦わせる。それは代償に比例した戦闘力を持ち、【敵の弱点を突くスートの属性攻撃と属性防御】で戦う。
👑11
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栗花落・澪
…どことなく僕と同じ(ポンコツの)気配を感じるのは何故だ
それだけ強い力を持つ本なら高い魔力を秘めてる筈
魔法使いとして魔力の源を探り
本を見つけ出したいな
お前の悪だくみもここまでだ!
愛と正義の使者、マジカル☆つゆりん参上!(決めポーズ
魔法少年だから。そこ間違えないでね
翼の【空中戦】で空を舞い
植物魔法の【高速詠唱、属性攻撃】で杖から花弁の刃を飛ばして攻撃
更に【催眠】を乗せた【歌唱】で敵の動きを鈍らせ
【破魔】の★花園で近寄らせないように
おっと、精霊さんのお出ましだね
これだけ花押しで行ったから弱点属性は炎辺り?
でも残念、僕多属性使いなんだ!
【指定UC】で変身後
水魔法の【全力魔法、範囲攻撃】で本体ごと対処
新山・陽
WIZ 悪に使わないでくれ。スートを愛する人々の、声なき嘆きが私をここに呼びました。そう、私は貴女を止める暗号好きの通りすがりです。符号や紋様もそこそこ好きですので、悪用する貴女は見過ごせません。
「悪の剣姫よ! その野望もここまでです」
【気合い】をこめて叫び、背後を爆発させます。
何か正義についても叫んだハズなのですが、内容が複雑な暗号趣味と絡んでるので、背後の爆音にかき消されることでしょう。
UC『凍えた液鋼』を展開し【集団戦術】を駆使しぶつけようとします。敵が火炎属性を用いれば『黒い蓮華』で【火炎耐性】や【激痛耐性】で備え、直接の攻撃には【見切り】【咄嗟の一撃】で対処しようと試みます。
ルドルフ・エルランゲン
※絡みアドリブ大歓迎!
他の猟兵と戦闘中のマウラより高所の書架の上に登場し
「所詮は付け焼刃の悪役、まるでなってないぞ剣姫マウラ!」
正義っぽいSEとか背景効果の演出は工作レギオンに旨い事やらせよう
■心攻の計(wiz)
「悪の書から得た知識だけでは所詮一面的な視点に過ぎぬ。悪を語るなら同時に正義の書も紐解き、多面的に悪役を解さねば真の悪役には成れぬ!」
マウラの悪役知識の偏りを指摘して動揺させ、同時に味方の正義っぽさを演出で増強、悪としての未熟さを認識させ『書物による増強』を剥がす
こちらのUCに反発して剣霊姫招来を誘発したならばフォースート・ストライザーが封じられる。SPD系UCの猟兵さん、狙い目です
●冷徹な正義
「悪の剣姫よ! その野望もここまでです」
高価そうであるスーツに身を包んだ新山・陽(悪と波瀾のお気に入り・f17541)は、図書館に積まれた本の間に足を付けると宙に浮いている剣姫マウラを見上げながら声を上げた。
ドーン、彼女の気合が込められた声で背にあった本棚が吹き飛んでまるで戦隊モノの登場シーンの様な爆発を起こし、正義の味方としての登場演出をする。
「うんうん、見た目だけ派手ならばこちらも――」
ニヤリ、と剣姫マウラは口元を吊り上げて悪い笑みを浮かべると、大きな剣を腰から引き抜きながら床にドンと剣を突き立てた。
「各個体は速やかに、これを解決せよ」
陽の周囲に370個の“冷気を纏う鋼球”が召喚され、彼女の号令と共に白い煙が空気を冷やしながら無数の鋼球が放たれる。
「ハート、アナタの得意分野ですわよ」
剣姫マウラがハートの彫刻を施された剣を指定すると、手に取るワケでもなく消えるのを見た陽が周囲を見渡して警戒する。
バァン、と無数の鋼球が破裂して割れた。
「(何処!?)」
黒曜石の様な黒い瞳で陽は、鋼球を破壊した何かを探す。
「――っ!?」
動かぬ剣姫マウラを一瞥した陽の喉元に剣先が吸い込まれるように貫かれようと、する――
見開かれた黒い瞳に映るのは、精霊と見間違いそうになる程に綺麗なエメラルドグリーンの少女であった。
「所詮は付け焼刃の悪役、まるでなってないぞ剣姫マウラ!」
頭上から男の嬉々とした声が響くと、“索敵・工作用エレクトロレギオン”が眩しいほどの光を放つ。
図書館の一番高い位置に立つ男のシルエットが浮かび、大音量で登場用のSEが鳴らされた。
●まぎれもない正義(腹黒)
「……っ!」
眩しさに顔を歪めながら少女は素早く陽から離れると、“索敵・工作用エレクトロレギオン”は照明を落として風を左斜め前から風を起こす。
「悪の書から得た知識だけでは所詮一面的な視点に過ぎぬ。悪を語るなら同時に正義の書も紐解き、多面的に悪役を解さねば真の悪役には成れぬ!」
キラリ、と眼鏡を光らせながら声高らかにルドルフ・エルランゲン(黄昏に抗う白梟・f03898)は、剣姫マウラに向かって“調査報告書”を突き出す。
バタバタと白いコートを靡かせ、ついでに調査報告書もバサバサと激しく風に煽られてルドルフの手から離れると剣姫マウラの顔面を覆う。
ユーベルコード『心攻の計(フォールドマインド)』を発動させ、ルドルフの言葉に動揺しているのだろう剣姫マウラの表情に少し焦りを見せた。
「(悪の心を攻めるが上策、とは良く言ったものです)」
ルドルフは正義の心に満ち、腹の中は真っ黒なのは彼が戦闘よりも相手の心理をかき乱す作戦の所為なのかもしれない。
「助かりました。貴方が囮となって下さったお陰で、危うく喉を貫かれるところでした」
陽が喉元に残る感触を忘れようと撫でながら礼を言うと、ルドルフは首を振りながら目を細めながら未だ無傷である剣姫マウラへと視線を向ける。
「やはり、私のユーベルコードだけでは動揺させる事は出来ても、弱体化は厳しいようです」
ルビーから生まれた妖精の様な少女、エメラルドから生まれた様な妖精の様な少女、そして剣姫マウラが余裕のある笑みを浮かべたまま座るとルドルフと陽を本棚の上から見下していた。
(……どことなく僕と同じ(ポンコツの)気配を感じるのは何故だ?)
図書館にある膨大な書物、純白の一対の翼を背中で揺らしながら少女にも見える少年は漁っていた。
悪に関する書物を棚から取り出しては、無造作に放り投げてながら求める。
何処かに隠されている『正義の書』を―――
●ぽんこつ?
「(あった! これさえあれば、剣姫マウラを)」
細く小さな手には分厚くて表紙に『簡単★誰にでもなれる正義のハウツー本』と書かれた本を手にした栗花落・澪(泡沫の花・f03165)は、題名を読んで怪訝な表情のまま開いた。
ルドルフや陽が剣姫マウラ達を相手にしている間に読み終えた澪の体に、不思議と正義の燃える気持ちが沸き“負ける”という言葉は全く思わない。
「はっ、恥ずかしいから一瞬で終わらせるよ……!」
本棚の影に隠れると澪が“Staff of Maria”を掲げると、豪華絢爛なドレス姿に変わり周囲に白い花弁が雪の様に音もたてずに舞う。
「お前の悪だくみもここまでだ! 愛と正義の使者、マジカル☆つゆりん参上!」
手の中でくるくると杖“Staff of Maria”を回し、先を剣姫マウラへ向けるとルドルフの索敵・工作用エレクトロレギオンが魔法少女っぽいSEとキラキラな効果で演出する。
Staff of Mariaを振って花びらを操って小さな刃と化した花びらは、少女たちごと剣姫マウラへ放たれた。
「1,2,3……~♪」
天使の翼が装飾された拡声マイク“Angelus amet”を装着した澪は、正義の味方の挿入曲を図書館に歌声を響かせる。
歌声を聞いた剣姫マウラが少し力が抜けたのだろうか、フラついた足取りで一歩下がった瞬間――
「悪よ! 水を被って頭を冷やし、改心するんだよ!」
澪が全ての魔力を込め、“Staff of Maria”を振り上げると滝の様に水が流れ出した。
図書館は洪水にあったかの様に水浸しになり、剣姫マウラたちは流されてしまい姿を見失ってしまう。
「可愛い顔してえげつない事しますねぇ」
「あ、貴方は正義とういうよりも……悪の方が似合っていると思いますよ?」
ルドルフが水浸しになった図書館を見詰めながら言うと、澪はぽつりと小声で言う。
「危ない! その場から逃げてください!!」
陽が召喚した冷気を纏う鋼球を展開させ、ルドルフと澪を守るように前に出た。
パキ、水が凍り、水で濡れた剣姫マウラと少女たちが姿を現した。
まだ、戦いは終わっていない――
大成功
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ベルンハルト・マッケンゼン
(正義の書をめくると、昔の戦場がフラッシュバックする)
正義、か。
ケサン戦闘基地の戦いを思い出す。
自由と正義を護るため、灼熱のジャングルから押し寄せるコミュニストとゲリラの大軍を殲滅させた激戦だ。
あの時、私は正義の執行者だったのか?
それとも、大量虐殺者だったのか…
今となっては、知る由も無い。
正義とは、勝者だ。勝たなければ、何の意味もない。
故に、私は勝つ。私を貫くため!
(着剣してUCを発動、燃え上がる黄金の炎と共に哄笑する)
黄金の炎は不滅の焔。その輝きが私を前へと歩ませる!
我が名はベルンハルト、黄金の戦士。
剣の姫君よ、我が業を照覧せよ。そして……絶望せよ!
(ライフルを連射後、捨て身の銃剣突撃へ)
●戦う者
「(正義、か)」
パラ、と少し黄ばんだページを捲りながら“正義”に関する事が書かれた本を読み進めるベルンハルト・マッケンゼン(黄金炎の傭兵・f01418)は、視界が歪むと脳内に様々な風景が映っては消えるを繰り返す。
「……ぐっ」
何か硬いモノで殴られたかの様に衝撃と痛みに苦悶の声を漏らすと、ベルンハルトの手から“正義の書”が滑り落ちてゆく――映画フィルムの一枚一枚の様に。
ジャングル、けたたましく動物の鳴き声に紛れて響く悲鳴と銃声
ケサン戦闘基地、その単語と共に襲い掛かって来る人々が何かを叫んでいる
ぬるり、とした感触は汗と眼前に広がる赤黒く変色した屍の絨毯と己
「……はっ!」
ベルンハルトが顔を上げ、呼吸をすると新鮮な酸素が肺を満たすのと同時に冷や汗でじっとりと濡れた手をズボンで拭う。
「(あの時、私は正義の執行者だったのか? それとも、大量虐殺者だったのか……今となっては、知る由も無い)」
フラッシュバックで見た昔の記憶に自問自答するが、ベルンハルトの疑問を答える声はしなかった。
「(正義とは、勝者だ。勝たなければ、何の意味もない。故に、私は勝つ。私を貫くため!)」
立ち上がると足元に落ちた“正義の書”を一瞥すると、ベルンハルトの碧眼は口元を吊り上げて笑う廃亡の剣姫マウラを映す。
「今や神々は愛を捨て、世界を呪った。黄昏の時、此処に来たれり……コード・エクスティンクション!」
ベルンハルトが手にしている“HK417IARバトルライフル”の封印を解くと、“ラインの黄金銃”へと変化して黄金の炎が手の中でごうごうと燃え上がる。
「黄金の炎は不滅の焔。その輝きが私を前へと歩ませる! 我が名はベルンハルト、黄金の戦士」
「飛び道具なんて笑止、よ!」
声高らかにベルンハルトが言うと、剣姫マウラは軽快な足取りで駆け出す。
しかし、彼女が接近するよりもベルンハルトが引き金を引く方が早い――“ラインの黄金銃”の銃口から弾丸が射出される。
大きな剣でマウラが弾丸を受け止めると、ピシッと刀身にヒビが入る。
「剣の姫君よ、我が業を照覧せよ。そして……絶望せよ!」
ベルンハルトが咆哮しながら剣を蹴り落とすと、“ラインの黄金銃”の銃身に装着されている“OKC-7S UDCバヨネット”が剣姫マウラの胸を穿つ。
「……甘いんじゃないの?」
剣姫マウラが血で赤く濡れた唇を動かす。
心臓が不規則に鼓動し、ベルンハルトの体を毒が蝕む。
熱を帯びた肩には、剣姫マウラのスペードの彫刻が施された細身の剣が刺さっていた。
それでも、正義を貫いて倒すのだ――
風が唸る音が響いた。
成功
🔵🔵🔴
ロラン・ヒュッテンブレナー
【封印の司書隊】、図書館を守るために、出撃なの
SPD使用
ぼくたちは、本を守る司書なの
正義の本の場所、辺りが付いてるんだ
悪を許さない【勇気】を持つ者の所に、現れるハズなの
この図書館の魔に取り付かれた可哀想な人、今、解放してあげるの
人狼の脚力を活かして【ダッシュ】【残像】で近づくね
途中、あの大剣を構えたら光の魔術【全力魔法】【高速詠唱】で
目晦ましと斬撃はの力の拡散を狙うね
近づけたら、UCを軽く当てて離れてを何度も繰り返してアナライズ【情報収集】【学習力】
分かった事は【手をつなぐ】様にみんなと魔力リンクして伝えるの
借りものの力じゃ、ぼくたちを倒すのは、無理みたいだね
アン・カルド
やあやあ我こそは【封印の司書隊】いちの召喚術使いアン・カルドなり。
…正義の味方って名乗りあげるんだろ?
僕みたいなのはこうでもしないとらしくならないからね。
今日は皆と一緒だから少しばかり気持ちが楽だ、一人だと使いにくいUCばかりだからね。
というわけで、【ライブラの愉快話・戯銃】。
ただのおもちゃ銃、でもこのおもちゃっぽい感じも正義の味方らしいんじゃないかな。
ぺちぺちと撃って、聖霊ごと動きを止めようか。
多少飛んでくるであろう敵の斬撃も…僕には【銀の羽根】がある。
属性攻撃で良かったよ、普通の斬撃なら羽根で止めることもできないだろう。
僕の出番はここまで、後は皆に格好良く決めてもらうとしよう。
夜刀神・鏡介
【封印の司書隊】で参戦
正義の味方らしくと言われても難しいが……。刀を突きつけて決め台詞でも言っておこうか
剣士というから少しばかり期待していたが、この小悪党ぶりを見るとどうやら期待はずれだったようだ
確かにその力、技は俺を凌駕するだろうが、信念のない剣に負ける気はしないな
武器は鉄刀。見切られたくもないので、まずはユーベルコードを使わず様子見と抑えで慎重に立ち回り、アンとロランの撹乱と牽制にあわせて、参の型【天火】で斬り込む。
威力が倍になっているとはいえ、あくまで俺の技。どういう太刀筋でくるかは理解しているし、体勢を崩した状態なら十分に振るい切れないだろうから、反撃してきた剣ごと叩き斬ってやろう
●本の守護者たち
「【封印の司書隊】、図書館を守るために、出撃なの」
装丁がハードカバーの“正義の書”を脇に抱えた小さな人狼の少年ロラン・ヒュッテンブレナー(人狼の電脳魔術士・f04258)は、共に来た【封印の司書隊】の二人へ視線を送った。
「やあやあ我こそは【封印の司書隊】いちの召喚術使いアン・カルドなり」
色白くて細い腕で魔導書を抱えているアン・カルド(銀の魔術師、或いは銀枠の魔術師・f25409)が、ぐへへと小さく不気味な笑い声と不気味な笑みを浮かべながら言う。
ずるずる、と鈍い光沢の銀の翼を重たそうに引きずっており、足元に落ちていた図鑑に躓く。
「……正義の味方って名乗りあげるんだろ?」
「そうだけど、アンさんの言い方は前口上みたいだね」
アンがロランに確認すると、ふわふわな小さい尻尾を揺らしながら答えた。
「俺たち【封印の司書隊】が成敗する」
腰に携えている刀を抜刀した夜刀神・鏡介(道を探す者・f28122)は、黒曜石の様に黒く鋭い瞳に剣姫マウラを映しながら剣先をへ向ける。
ロランが“正義の書”をアンに渡すと、身体を低くしたまま床を力強く蹴って弾丸の様に駆け出す。
ベルンハルトを突き飛ばし、黒い毛皮に覆われた小さな拳をぐっと握りしめると突き出したが――大きな剣で受け止める。
「俗に言う弱体化だよ」
受け取った“正義の書”の重さで一歩後ろに下がるとアンは、両手で魔導書を開くとしおもちゃ銃がページから召喚されるとスポンジ弾だポポポンッ! と剣姫マウラに向かって射出された。
「大丈夫かっ!」
鏡介はベルンハルトを片手で受け止めると声を掛けるが、明らかに顔色が悪く苦悶の表情を浮かべており肌はじっとりと汗で濡れていた。
怪我を治療どころか、簡単な手当てさえ出来る知識と道具がない鏡介は無力さに拳を握りしめた。
戦闘に巻き込まれぬような位置に座らせる事しか出来ない。
「早く、倒そう……っ」
踵を返し、鉄刀【無銘】を握りしめる力を強めるとアンとロランが戦う相手――剣姫マウラを睨みつける。
●剣戟
2体の聖霊の少女が炎と風の力を振るう。
アンは熱風から身を守るためにオーラを纏った銀の羽で体を覆い、少女たちの剣が鉄と鉄がぶつかり合うガキィンという音か響く。
「(銀製の翼でよかったよ)」
羽の隙間から忌々しそうに表情を歪める聖霊の少女たちの表情が見えると、魔導書から召喚されたおもちゃ銃からスポンジ弾を射出した。
羽と羽の間をすり抜け、スポンジ弾は少女たちに当たると後ろに倒れる寸前に消えてしまう。
「もう全部、見えたの」
小さな体と身軽さを活かして戦うロランは、剣姫マウラが大きな剣を構えた瞬間に掌を向けるとカッと図書館内部を白く染め上げた。
それはロランの小さな体に宿る魔力を全て使い、発動させる呪文を小さな唇を動かして言葉を紡ぎ、光属性の魔法を放ったのだ。
「剛刃一閃――参の型【天火】」
光で満たされた図書館に鏡介の凛とした声が響く。
頭上に振り上げた“鉄刀【無銘】”は、未だに視界が白く染められてもなお剣を握りしめている剣姫マウラに向かって振り下ろす。
キィン、と剣姫マウラが手にしていた剣は折れると図書館の絨毯に音も無く落ち、真っ二つに切られた剣姫マウラは割れんばかりの笑い声を上げる。
折れた剣だけを残して剣姫マウラは、元からそこに存在していなかったかの様に静かに消えた。
ロランと鏡介は、傷を負ったベルンハルトに肩を貸すと、主を無くした図書館から出ていく。
「ま、まってくれ……僕も」
アンは二人の後を追うが、この図書館にももしかしたら魔導書がある気がする。
後ろ髪引かれる思いを振り払うかのように小さく首を振って、静かになった図書館を振り返らずにロランと鏡介の元へ駆け寄った。
正義とは?
悪とは?
正解を見付けられないまま、猟兵たちは“巨大な図書館の国”を後にするのであった。
大成功
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