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絶対に和んではいけない逢魔が辻二十四時

#サクラミラージュ #逢魔が辻 #トンチキシナリオ #挿絵

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●月のない夜に跳ねる
 もふもふ、ぴこぴこ。
 長いお耳をピンと立てて、ぴょこぴょこと飛び跳ねるのは白うさぎ。
 おやおや、どこに行ってもはらはらと舞い散るはずの幻朧桜が見えません。
 そのかわり、白うさぎたちの背中には五つ花弁の桜の模様がありました。
 うさぎたちは、月夜に跳ねると言いますが、まあるいお月様はどこにもありません。

 ――だって、ここは『逢魔が辻』!
 暗い暗い宵闇に、どこまでも続くススキの野原。
 ただそれだけの景色が広がり、一度迷い込んだものを決して逃がさない。

 ――だって、こんな愛らしい白うさぎたちを見て、放って置ける人なんている?

●こんな危険なモノを放置する訳にはいかない(震え声)
「帝都桜學府もお手上げの逢魔が辻、そのひとつを潰してきて欲しいんだけど」
 グリモアベースの一角で、ミネルバ・レストー(桜隠し・f23814)が単刀直入に切り出した。詳細を告げる代わりに中空に浮かべたホロビジョンには、月のない野原が映し出される。
「帝都の中心部から少しばかり離れたところの空き地がね、夜の間だけ『どこまでも続く月のない野原』っていう異空間に変化しちゃうみたい」
 一歩足を踏み入れたが最後、生きて脱出することはそうそうかなわないだろう。
 何故ならそこは『逢魔が辻』、影朧ひしめく危険極まりない場所なのだから。
 ミネルバは珍しく険しい顔で猟兵たちを見る、常ならば信頼の眼差しを送るのに。
「これから、わたしが視たかぎりのすべてを伝えるわ。心して聞いて頂戴」
 そう言うとバッと右腕を振って、もう一枚ホロビジョンを展開させた。

「第一の刺客、『サクラモフウサギ』。自分のかわいさを知り尽くして、それを武器にしてくる強敵よ。いい? 絶対に誘惑に負けてモフったりしたらダメだからね!」
 ――え?
 いや、まあ、確かに、うさぎが映ってはいたけれど。
 かわいいじゃん? ハイそう思った貴方! それこそが命取りです!

「第二の刺客、『にゃんこフィルハーモニー』。要するに交響楽団ね、無駄に積み重ねた練習量は半端ないから、こっちも絶対に油断しないで当たって頂戴」
 いつの間にか増えていたビジョンには、代表で映し出された指揮者のネコチャン。
 統率が取れた相手だとすぐに見て取れるが、しかしやはりその見た目は可愛い。

「最後の首領、『サクラモフウサギ巨大種』。帝都の百貨店よりデカいと思ってくれればいいわ、UDCアースの高層ビルくらいはあるかも。こいつを倒せば解決するわ」
 ビジョンを縦長にしてもなお全身が入りきらないその白い物体は、ミネルバの説明でようやくうさぎなのだと知れる。まさに、そびえたつうさぎであった。

「戦場は、本来あるべき月が消えてしまった宵闇の野原よ。視界は悪いけど、下手に照明を持ち込むと逆に自分の居場所を教える羽目になるかもね」
 特に、うさぎは視力こそ悪いけど夜目は利くからとミネルバは言い添える。
 ススキ生い茂る野原という地形と合わせて攻めていけば、優位を取れるかも知れない。

 ぶぶんとビジョンを一気に消して、ミネルバは六花のグリモアを輝かせて転移の準備に取り掛かる。
「まあ、みんなのことだから死ぬことはないと思うわ。耐えられなくなってモフったりいいなりになっても、ケガ程度で済むんじゃないかしら」
 ……言っとくけど、保険は下りないから自己責任でね?
 最後に少しだけ微笑んで、行ってらっしゃいと猟兵たちを送り出す粉雪を降らせた。


かやぬま
●ごあいさつ
 いつか出したいと思っていた逢魔が辻の物語をお届けします。
 久々に全編通してあたまがわるいテンションで参りたい所存です。

●お話の流れ
 集団戦! 集団戦! ボス戦! ぶっ通しでバトルです!
 ですがぶっ通しでトンチキテンションでお届けする予定です!
 詳細は都度断章やMSページで補足致しますので、
 キャラ崩壊を恐れぬ猛者の方々の挑戦をお待ちしております。

●プレイング受付期間
 MSページとツイッターでお知らせ致します、ご確認頂ければ幸いです。
 同時に、お手数ですがMSページの記載もひと通りお目通し下さいませ。

 それでは、皆様の素敵なプレイングをお待ちしております!
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第1章 集団戦 『サクラモフウサギ』

POW   :    うさぎ(かわいい)
非戦闘行為に没頭している間、自身の【ことをかわいいと思った人は、良心 】が【咎めてしまうため戦いたくなくなる。よって】、外部からの攻撃を遮断し、生命維持も不要になる。
SPD   :    ムシャムシャ……
レベル×5本の【その辺の草を食べることで、うさぎ 】属性の【モフりたくなるオーラ】を放つ。
WIZ   :    もふもふ
【自身の姿 】を披露した指定の全対象に【このうさぎをモフりたいという】感情を与える。対象の心を強く震わせる程、効果時間は伸びる。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●逢魔が辻、第一の刺客
 夜も更けた頃、猟兵たちが件の空き地に足を踏み入れる。
 すると、たちどころに周囲の景色は一面ススキの野原と化した。
 一般的な人間で言えば腰から胸あたりまであろう野原の高さは、一見小さな体躯のうさぎ程度その足元にすっかり隠してしまいそうに思えるだろう。
 けれど、大丈夫。耳を澄まして聞いてごらん。

『ねえねえ、ひさしぶりにニンゲンがくるよ!』
『ほんとう? こんどのひとは、おいしいごはんをくれるかしら』
『なぁに、ちょいとすがたをみせて、かるくこびればイチコロよ』

 うさぎたちは、自分たちから猟兵たちに近づいてくるつもりでいる。
 夜目が利くのを活かして、多分その辺にいるだろ的なノリでやって来る。
 敢えて姿を見せて真っ向から相手をしてもいいし、視力は悪いという点や自分たちも身を隠せるという点を活かして不意打ちをしてもいい。
 自分たちを『かわいい』と理解している相手の攻撃は、手強い。
 いかにサクラモフウサギたちの誘惑を撥ねのけ、最終的に骸の海へと還すか?
 猟兵たちの鋼の精神力が、今、問われようとしていた。

●特殊ルール
 今回の敵『サクラモフウサギ』には、大きく分けて三種の性格の個体がいます。
 あざといの、ピュアな子、腹黒いヤツ。この三つだ。
 三種のサクラモフウサギたちの中から、相手にしたいうさぎを一種選んで下さい。
(お任せも可です、その場合はかやぬまの方でマッチングさせて頂きます)

 ✨:あざといの
 ♥:ピュアな子
 ♡:腹黒いヤツ

 記号もしくは指定をプレイングの冒頭に添えて頂きつつ、最終的にどうやって倒すかが明記されていれば、途中どれだけうさぎと戯れて頂いても大丈夫です。
 極端な話、デコピン一発さえ入ればKO出来るレベルですので、のびのびと楽しくプレイングを書いて頂ければと思います。
(逆に、一切戦闘についての記載がないのはさすがにアウトなのでお気をつけて!)

●プレイング受付期間
 恐れ入りますがMSページとツイッターで別途告知をします。
 ご確認の上、期間内にどうぞよろしくお願い致します!
荒珠・檬果
うさぎお任せ。

…なんで私、この依頼受けたのか。モフリストたるあの時の私!画像しかみてないでしょう!!

モッフパラダイスじゃああああ!!
仕方ありません、カモン【バトルキャラクターズ】!
…あ、こっちももふもふの…アンゴラウサギのキャラが…。
ええ、攻撃力あるんですが、その前に圧倒的もふもふが。もふもふが(手にニンジン持ちつつ)。
意図せずモフモフパラダイス増量祭りに!

最後は七色竜珠でビームします。
もふもふに直に触れない苦肉の策!

※もふもふのためなら、キャラ崩壊も厭わない。



●モフとモフとが巡りあう時
 夜の空き地なんて、好き好んで立ち入るものもそうそう居まい。
 それが、救いだった。一般人が無闇に被害に遭うこともないというもの。
 猟兵――この世界では『超弩級戦力』と呼ばれる者たちが一歩足を踏み入れれば、そこは果てしなく広がるススキの野原と化す。
 ここは凶悪なる影朧ひしめく『逢魔が辻』、猟兵たちのバトルフィールド。
 勝つのは猟兵か、影朧か――!?

「……なんで私、この依頼受けたのか」
 どこまでも続くススキにほぼ埋もれながら、呟くのは荒珠・檬果(アーケードに突っ伏す鳥・f02802)。和装が愛らしい――シャーマンズゴーストであった。
 無理もない、転移を受けて降り立ってみればただひたすら尾花色が広がるばかりの景色。モフの欠片もあったもんじゃない。
(「モフリストたるあの時の私! 画像しかみてないでしょう!!」)
 グリモアベースで画像を見せられた時の、ちょっと前の己に抗議をしつつ、それでもしゃあねえなあと言わんばかりにススキをかき分け開けた場所に出た、その時だった。

『きゅ?』
「モッフパラダイスじゃああああ!!!!!」

 いた。モフがいた。第一もふもふ発見である。そら叫びますわ。
 背中に桜を背負った白うさぎ――『サクラモフウサギ』が、群れをなして一斉に檬果の方を振り返ったのだからたまらない。
 揺れる耳、丸い尻尾、モーションひとつひとつ取っても計算され尽くされた可愛さしか感じない。このうさぎをデザインしたグラフィッカーは誰だ! 投げ銭させて!!
『きゅっきゅ?(おうなんかチョロそうなのがきたな、てきとうにあいてしたるか)』
「くっ……! つぶらな瞳を向けながらそのもふもふボディをこちらに……!?」
 どうやらこの個体は腹黒に属するもののようだが、鳴き声だけでは判別がつかない。
 ただ無垢な瞳でぴょんこぴょんこと檬果に近づいてくるだけのように見えてならぬ。
「仕方ありません……カモン、【バトルキャラクターズ】!」
 相手も一応影朧だからねということで、きちんとユーベルコードを繰り出す檬果さんえらい。めっちゃえらい。
 でも何かアレですね、もふもふ増えてません?
「……あ、こっちももふもふの……アンゴラウサギのキャラが……」
 ア゛ーーーーーなにこれ!!! きゃわわ!!! みんな今すぐ画像検索してその可愛さに悲鳴を上げて!!! もっふもふやんけ!!!
『ええ……うちらよりもふもふとかないわ……』
『いやいや、こっちは数で攻めるからへーきへーき』
 うさぎはうさぎで好き勝手言いながら、檬果が喚んだアンゴラウサギを交えたゲームのキャラクターたちと正面衝突を果たす。
 見た目は可愛くても影朧、そしてユーベルコードなので双方攻撃力はある。
 あるが。その前に、圧倒的もふもふが。
「もふもふ……が……」
 気付けば持参したニンジンをぐぐっと握りしめて、檬果がふらふらとまろび出る。
 意図せずモフモフパラダイス増量祭りと化した戦場へ……特等席でモフを堪能するために……!
『きゅっ(おういいモンもってんじゃねえか)』
 しれっと檬果が手にしたニンジンを一羽のうさぎがカリッとかじる。
 腹の中で何を思っていたかはさておき、仕草がクッソ可愛かったので、檬果は尊さのあまりに後方へとゴロンゴロン転がって身悶えてしまう。

 もふともふがぶつかりあってワーワーキャーキャーしている中、ひとしきり悶絶してボロボロになった情緒を回復させた檬果は、ようやく己の使命を思い出す。
 イエローの本体色がオシャレな携帯用ゲーム機を慣れた手つきで操作してキャラクターたちを戦場から撤退させると、七色の竜珠にひょいと持ち替えた。
(「もふもふに直で触れたら、きっと私は私でいられない」)
 それはもう無限もふもふ地獄、いや極楽かも、ともあれ戦闘どころではないだろう。
(「だからこれは苦肉の策!」)
 バッと両手を掲げれば、天高く舞い上がる虹色の珠から無数のビームが降り注ぐ!
『ぴぃぃぃぃぃ!!!(ギャアアアアアアアアアア!!!)』

 割と容赦なくビームでなぎ払った後には、もふもふは残らず。
 あんまりダメージを受けていないはずなのに変に疲れた感じがして、ぜえぜえと肩で息をする檬果だけが、ススキの野原に佇んでいた。

成功 🔵​🔵​🔴​

怨燃・羅鬼

らきちゃんが!サクラミラージュにやってきた!!ヒャッハー☆
というわけでアイドルのらきちゃん☆が可愛さコンテストの会場に惨状!
強豪をバッタバッタと打倒し!トップアイドルであることを証明するよ☆

第1戦はウサギさんだネ☆わーとっても可愛いネ☆
らきちゃんにとって強敵だ!
うわ~モフりたくなる感情が我慢できないネ!


だ か ら 燃 屠 る ネ☆


ファラリスくんに閉じ込めて、らきちゃん☆ファイヤー♪
ぐつぐつことこと鍋の中、お腹も毛皮も真っ黒け♪
ウサギ美味しいかの山~♪ってネ☆


可愛くじゃなくて美味しそうになっちゃったから第1戦はらきちゃんの勝利だね!ぶい☆



●早速ですが今回のヤベーやつ枠です
『おうおう、おっぱじまったぜ』
 お鼻をひくひくする仕草は可愛くても、その腹黒さは隠せない。
 同胞が何やかやと七色の光でぶっ飛ばされても、うさぎは割と動じていなかった。
 何故か揃ってこういう輩は慢心するのだ。
 ――『己は大丈夫だろう』と!

「らきちゃんが!」
 ずしゃっ! ヒールがビビるほど高いブーツで、ススキの野原を踏み折り舞い降りた影ひとつ。すらりと伸びた脚は……エッちょっと待ってこれもしかして履いてなくない!?
「サクラミラージュにやってきた!! ヒャッハー☆」
 うるせえそんなの関係ねえ! 的に袖あまりの腕を月のない空に向けて突き出し、テンションをぶち上げて行く怨燃・羅鬼(怒りの心を火に焚べろ・f29417)。
 ――東洋妖怪がひとつ、『陰摩羅鬼』。充分な供養を受けていない死体が化けたものとされる怪鳥とされるが、あくまでそれは伝承のひとつ。
 お胸が平坦できゃるん☆と愛らしい、そんな陰摩羅鬼がいたっていい。
 ましてやそれが、どんな立場を名乗ろうとも自由だ――!

「というわけで! アイドルのらきちゃん☆が、可愛さコンテストの会場に惨状!」
『かわいさ……コンテスト……???』

 もう片方の手を口元に添えるのはマイクパフォーマンスの証、うるせえアイドルは自称すればその日から誰だってアイドルだ! あと漢字の誤変換はしてませんからね!
 突然謎のハイテンションで迫られたサクラモフウサギ(腹黒い)も、これには唖然呆然。個体同士が互いの顔を見遣って、困惑した風に耳を揺らしたりした。
 そんなうさぎたちに向けてだぼっと広がった袖を向け、羅鬼は愛らしい――見た目だけなら本当にただひたすら愛らしい笑顔で、高らかにこう宣言したのだ。
「強豪をバッタバッタと打倒し! トップアイドルであることを証明するよ☆」
『まって』
『アイドルって、たたかってかわいさをきめるモノだっけ』
「第一戦はウサギさんだネ☆ わーとっても可愛いネ☆」
『きいて???』
 ウサの話をまったく聞かないゴーイングマイウェイさを遺憾なく発揮して、羅鬼ことらきちゃんはしれっと宣戦布告。うーんこの暴走特急っぷりがたまりません。
 豊かに流れる髪と同じ翠の色をした瞳をぱちり、らきちゃんは油断なくうさぎたちを見て、そして湧き上がる感情のままに一度胸元に手を当てた。
「らきちゃんにとって強敵だ! うわ~モフりたくなる感情が我慢できないネ!」
 そうだろう、そうだろう。サクラモフウサギは己の姿を晒すだけで、モフりたいという感情をかき立てるのだ。抗えようはずがない。
 ――そう思っていた時期が、私にもありました。

「 だ か ら 燃 屠 る ネ ☆ 」

 袖がたっぷり余った両腕を歓喜の声と共に広げるさまは、まるで怪鳥が羽ばたくよう。
 その先に宿った怪炎が煌々と燃える。らきちゃんのとびきりの笑顔を照らす。
 モフる。それを誰も「手で撫でてもふもふすること」と定義づけてはいない。
 故に、羅鬼が「燃屠(モフ)る」と言えば、それはそういうことになるのだ。
『やだああああああおうちかえるうううううう!!!』
 まさかそういう切り口で攻められるとは思わなかったとばかりに、うさぎたちがぴょんぴょんと逃げ回る。
「え~? ダメだよ、これは『参加型☆らきちゃんライブ』なんだから!」
 にっこりと、あやかしが笑んだ。

 ――いい声で歌ってね、【惨火型☆羅鬼羅鬼楽遺負☆(ヒアブリノケイ)】☆

 古の時代に考案された残虐無比なる処刑装置、『ファラリスの雄牛』。
 それが、今まさにススキの野原にドンと降り立ち、胴体の扉から内部へと次々にうさぎたちを吸い込んでいく。
『アアアアアアア!!?』
「はいはーい、全員集合したかな? じゃあ……らきちゃん☆ファイアー♪」
『ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛!!!!!』
 牛の腹の下で燃え上がる浄化の炎は、たちどころに雄牛の内部を高温にせしめる。
「ぐつぐつことこと鍋の中、お腹も毛皮も真っ黒け♪」
 ウサギ美味しいかの山~♪ ってネ☆
 くるくる回りながららきちゃんが口ずさむこのフレーズ、『追いし』を『美味しい』だと思っていた的なあるある案件なのだが、地味に結構な数の猟兵さんがネタにしてる。
 みんなそう思いますよねえ、という感じで、やがて雄牛の中からはコロンコロンと本当に美味しそうな姿になってしまったサクラモフウサギたちが放り出された。

「可愛く、じゃなくて美味しそうになっちゃったから……」
 あからさまにわざとらしく『んー』と考え込む仕草をしてみせてから、らきちゃんは。
「第一戦はらきちゃんの勝利だね! ぶい☆」
 ハイ、見事な燃屠りでございました……!

成功 🔵​🔵​🔴​

秋津・惣次郎
帝都の只中に堂々と居座るとは不埒な影朧め。帝都軍の威信に賭けて討ち果たしてやろう。
モフモフうさぎ?面白い。
UCを発動して歩兵20名と戦車一輌からなる部隊を召集、満を辞して挑む。
これほどの戦力、うさぎ如きに劣る筈がない。

いざ、突入!
逢魔が辻に突入したならば周囲を警戒、襲撃に備えよ。

そして現れたのはふわふわの白いやつ…。
現れたな影朧め、各員戦闘用意!…って貴様ら、何をもふっている!
気付けばうさぎをもふりまくっている兵たち。話にならん!
せめて私はしっかりせねば。しかしこの可愛らしさは何事か。
気付けばもふもふむにむにと揉みくちゃにしている内にうさぎ消滅。
…私は何を?

アドリブ等歓迎!うさぎはお任せ!



●そこにモフがあるから
 軍靴の音は響かないけれど、ススキを分け入って勇ましく進む一人の男の影がある。
 その名は秋津・惣次郎(憲兵隊中尉・f23978)、誇り高き帝都陸軍に身を置く中尉殿。
「帝都の只中に堂々と居座るとは、不埒な影朧め」
 元々桜學府ではなく憲兵隊に属するものであった惣次郎にとって、影朧も猟兵――『超弩級戦力』も己とは縁のないものと思っていたけれど、今や立派な埒外の存在。
 手にした超常を駆使して、今夜も帝都の治安と規律を守るべくこうしてやって来たのだ。
「帝都軍の威信に賭けて、討ち果たしてやろう」
 切れ長の黒い瞳も凜々しく、軍帽を一度かぶり直し、惣次郎は一気に開けた視界の先にもそもそうごめく『ソレ』を見た。

「モフモフうさぎ? 面白い」

 白いかたまりのようなサクラモフウサギたち、その背中には確かに淡い桜の模様が。
 これが幻朧桜舞う帝都に仇為す存在となるなんて、皮肉なことだと思わなくもない。
 まるでそのふわふわな背に吸い寄せられるかのように伸ばされた惣次郎の白手袋に包まれた手は、しかし強く握りしめられる。
「これより作戦を開始する、帝都が為に! 【召集令】!!」
 ギュッと手袋が擦れる音がして、たちまちうさぎと惣次郎との間には歩兵が二十、戦車一輌とで編成された部隊がひとつ召集された。
 そっち系が好きなマニアの皆様にはたまらない光景だろう、何せ帝都陸軍が誇るマジモンの一個小隊相当の鍛え抜かれた兵隊さんや兵器たちなのだから。
 もちろん、喚んだ本人たる惣次郎――『秋津中尉』も自信満々だ。
「これほどの戦力、うさぎ如きに劣る筈がない」
 部隊が馳せ参じた際に結構な轟音がしたにも関わらず、うさぎたちは呑気に草を食んでいる。うーんこれは負ける気がしない。
 決して油断したとか、慢心したとか、そういうのではないのだ。
 普通うさぎ相手には、何ならこれオーバーキルじゃないのという位だもの。

「ふわふわの白いやつ、何するものぞ。各員、戦闘用意!」
 だから惣次郎は、一瞬で片をつけるつもりで、号令を下したのに。
「はああああ、もふもふだああああ」
「たまんねえなあ……実家の猫を思い出すよ……」
『うふふふふ(草食べてただけなのにもふってもらえてうれしいなあ)』
 召喚した歩兵のみならず、戦車兵までこぞって降りてきて、揃ってうさぎをもふもふしているではありませんか。
「……って貴様ら、何をもふっている!」
 一喝する惣次郎の声も届かず、一心不乱にうさぎをもふりまくる兵士の皆さん。天鵞絨もかくやのもふり心地に、満面の笑みを浮かべてとても幸せそう。
 けれど惣次郎としてはこのままでは終われない。ユーベルコヲドを駆使して部隊を喚んだのも、決してもふの喜びを教えてやるためではないのだから。
「ぐぬぬ、話にならん……!」
 後でまとめて懲戒処分モノだぞこれはと思いつつ、部隊の運用は諦める惣次郎。
(「せめて私はしっかりせねば……しかし」)
 チラッ。あくまで直視は避け、横目で少しだけ白いうさぎを視界に入れる。
『……きゅっ?(あそぼ?)』
 しかしそれを逃さぬとばかりに、うさぎがつぶらな瞳でこちらを見返してきた!
 思わず仰け反る惣次郎。うおっかわいっ。
(「このっ……この可愛らしさは何事か……」)

 身体が。
 勝手に。
 うさぎの方へ――!!

 もふもふもふもふ。むにむにむにむに。
 その手触りを存分に堪能すべく、白手袋はとうに外され。
 帝都の軍人さんだもの、身体が勝手に動いてアレソレしちゃうのは仕方ないね!
『きゃっきゃ、きゅう……』
「何だ、ここが良いのか。ここか……む?」
 惣次郎がこれでもかとうさぎを揉みくちゃにしている内に、その姿はフッとかき消えてしまった。召喚した兵士たちのうさぎも同様だ。
「……ハッ、私は何を?」
「ちゅ、中尉殿! これは一体……!?」
 心地良い手触りが消えて、我に返った惣次郎に問う声で、何とか気を取り直す。
「……どうやら、文字通り『もふり倒して』しまったようだな」
 それっぽいことを言って己の威厳をギリギリ保ちつつ、揺れるススキに囲まれて惣次郎はじっと両の掌に視線を落とした。

(「良い……もふであった……」)
 手袋をはめ直すのが、ちょっぴり惜しいなと思う秋津中尉でございました。

成功 🔵​🔵​🔴​

栗花落・澪
【犬兎】❤️

【聞き耳】で声を聞き取りつつ
どうしよう…敢えて真っ向から行く?
でもやっぱり仕事だし隠れ…うさ…ダメだ
触りたいです夏輝君、僕は我慢できない(真顔

まずは空から覗き
兎の姿を見た瞬間両手で顔を覆う

……きゅう(悶え声を抑えようとした結果漏れた謎の鳴き声

驚かさないようそっと降りて
はじめまして
ごはん…ではないけど、飴ならあげる

★Candy popを軽く砕いて差し出すよ
倒すにしても優しくがモットーだからね
…怪我してもいいから撫でてもいいですかね
えへへ、ふわふわ…可愛い…はいお代わり(餌付け

敵の技は僕の【指定UC】の【誘惑】で相殺
わー!撫でるなら優しくしてー!
最後はうさ手でぺちんっします
ごめんね!!


小林・夏輝
【犬兎】 ️

まぁ敵とわかってる以上見た目に騙されるわけにはいかねぇけど…
問題はなぁ…(澪をチラ見
はいはいですよね。なんとかするから好きにして来い

やれやれと肩を竦めつつ
兎の気を引くように真っ向から近づいてみるかな
よっ、人間様の到着だぜ
これは確かにレベル高ぇわ、背中の柄も可愛いし

目線を合わせて話しかけつつ
澪…鳴き声隠せてねぇぞ…(心の声

噛みつきでもなんでも澪狙いの技は全部【かばい】つつ(いだだだ
澪が兎を構い倒すなら見守る構え

兎の誘惑に負けそうになったらすかさず澪に変身してもらい
澪を代わりにモフる!!
これで気持ちは相殺。ナイスアイディア俺

最後は澪のうさ手ぺちんで帰しきれない場合
【指定UC】で強制帰還



●スーパーかわいい大戦
 件の空き地に足を踏み入れ、ススキの野原に身を隠しながら聞き耳を立ててみよう。
『きゅっきゅ(いっぱいもふもふしてもらえるといいね)』
『きゅー(だいじょうぶだよ、きっとやさしくなでてもらえるよ)』
 ああ、なんて愛らしいんだろう。これから戦って倒す相手とは思えない。
 明らかに迷いを浮かべた顔をして、栗花落・澪(泡沫の花・f03165)は小林・夏輝(お調子者の珍獣男子・f12219)の方を見た。
「どうしよう……敢えて真っ向から行く?」
「まぁ、敵とわかってる以上見た目に騙されるわけにはいかねぇけど……」
 見られた夏輝の方もまた、別の意味で困ったような笑みを浮かべる。
(「問題はなぁ……」)
 笑いながら、チラと澪を見る。
「でもやっぱり仕事だし、隠れ……」
「……」
 眼前の澪は、明らかに逡巡している。

「うさ……」
(「ダメだ」)
「ダメだ」

 その胸中では、激しい葛藤があったのだろう。苦悩の果てにうるんだ瞳を夏輝に向けて、澪は両手を胸元で組み正直に訴え出た。
「触りたいです夏輝君、僕は我慢できない」
「はいはいですよね、なんとかするから好きにして来い」
 ポンと澪の頭に軽く手を乗せてその意を汲むと、ぱああと澪の顔が明るくなる。
「じゃあ、僕は空から様子を見てくる!」
 そう言って地を蹴りススキの野原から飛び立った澪を見送ると、夏輝はやれやれと肩を竦めつつ、あえて真正面からサクラモフウサギたちへと音を立てて近づいていった。
「よっ、人間様の到着だぜ」
『わあ、ニンゲンだあ』
『あそぼ、あそぼ?』
 どうやら夏輝たちが遭遇した一団は純粋無垢な性格をしているようだった。つぶらな瞳でぴょんぴょんと近づいてくる。
(「お、おう、これは確かにレベル高ぇわ。背中の柄も可愛いし」)
 しゃがみ込んでうさぎと目線を合わせるようにすれば、間近に見える背中の桜模様が絶妙に愛らしい。うーんこれはあざとい。

 そんな夏輝とうさぎたちの様子を、上空から見ていた澪はと言えば。
「……きゅう」
 悶え声を抑えようとした結果、謎の鳴き声を漏らしていた。
(「ううううううさかわ!!! かわっ!!! 触れ合ってる夏輝君も何だか尊い!!! 僕も混ぜて……待って、邪魔にならないかな……いやでも我慢できないっ!!!」)
 あまりに情緒を乱されて、顔を両手で覆って空を飛びながら身悶えるという奇行に走ってしまった澪の様子を再びチラと見て、夏輝はしょうがないにゃあと苦笑い。
(「澪……鳴き声隠せてねぇぞ……」)
 軽く手を挙げて、ちょいちょいと手招き。それだけで十分伝わった、澪がうさぎたちの元にふわりと降りてくる。
「はじめまして。ごはん……ではないけど、飴ならあげる」
 澪が掌に乗せたのは、色とりどりの飴玉だった。魔力が込められた、取っておき。
 魔法学園謹製の小瓶に入った「Candy pop」は、蓋を叩けば中身は増えるし、何と言ってもとっても美味しい。程良いサイズに砕いてあげれば、きっと気に入ってくれるだろう。
「うさぎって、飴ちゃんとか食べるかねぇ? 草しか食べねぇんじゃ……」
「まあまあ夏輝君、何でも試してみないと。ね?」
 実の所、澪にとって、食べるか食べないか自体はあんまり重要ではなかった。
 少しでも喜んでもらえれば嬉しいという気持ちが通じれば、それで良かった。

『なあに? なあに?』
『ペロ……あまいねえ、なんだかふわふわしたきもちになるねえ』

 うさぎたちが順序よく澪の掌から飴玉の欠片を舐め取っては、キュッと目を細めて嬉しそうに身を震わせた。
(「うっそ、効いてる」)
(「ふふ、倒すにしても優しくが僕のモットーだからね」)
 信じられないものを見る目でうさぎたちの様子を凝視する夏輝に、ちょっぴりだけ勝ち誇って澪が胸を張る。
 そのついでに、もう少し調子に乗っていいですか、とウインクひとつ。
「……怪我してもいいから、撫でてもいいですかね」
「撫でるのに命賭けすぎだろ、ったく」

 ――俺の目の前で、澪が怪我する訳ねーーーーだろ、ばーーーーか。
 ――なんて、口には絶対出さないけれど。

 サクラモフウサギは、己の姿を披露する『だけ』でいい。
 それだけで、もふりたいという感情を爆発的に増幅させるのだ。
 愛でられているうちは己に危害は加えられないという訳だ、うーん地味にあざとい。
「ぞ、存分にもふっていいの……!?」
『きゅっ』
 我慢しなくてもいいんだよ、そううさぎたちが言っているような気がした。
 申し訳ないんですがそれ当然幻聴なんですが、野暮は言わないでおきましょう。
「えへへ、それじゃ……ふわふわ! 可愛い……はい、お代わり」
 もふらせてもらったお礼とばかりに、澪は飴玉の欠片を追加する。
 何やかやでうさぎたちは飴を美味しそうに食べているので、これは実質……餌付け!?
 ねえ夏輝さん、澪さん大丈夫です!? 仕事忘れてません!?

「……うさぎ……」
 はい?
「うさぎもなんだけどさ……うさぎと戯れる澪きゅん……やべぇ……」
 君 は 何 に 誘 惑 さ れ と る ん じ ゃ ! ! !
「ハッ、れ、澪! 頼む、後生だから今すぐうさぎに変身してくれぇ!!」
「ど、どうしたの夏輝君大きな声出して!? でも分かった!!」
 ユーベルコードの力で瞬時に桜色の垂れ耳うさぎへと姿を変えた澪に、半ばすがりつくようにもふりつく夏輝。
「これは合法、これは合法……」
 明らかに違法行為を働いている人が言う台詞をうわごとのように繰り返しながら、夏輝はうさ澪をもふもふして気持ちを何とか相殺する。ナイスアイディアと言うべきか。
(「夏輝君、撫でるならもっと優しくしてー!」)
「わっ、悪ぃ!」
 うさ澪からの抗議を受けて、パッと手を離した夏輝。
 桜色の垂れ耳うさぎは、手近な白うさぎのボディをおもむろにそのうさ手でペチンとした。絶妙なソフトタッチであった。
「ごめんね……!!」
『きゅっ……』
 うさぎたちは、うさ澪のうさ手パンチで次々と姿を消していく。
 澪にばかり任せて居られないと、夏輝もどこからともなく喚び出したロボットのカラスを手の甲に乗せて、機械音声とは思えない良く出来た鳴き声を響かせた。

 ――カラスが鳴いたら、かーえれ!

 夕暮れ通り越して、もう真夜中。
 うさぎはおうちに帰りましょう。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

茜崎・トヲル
うさはおまかせ! スーさんと(f23882)来ました!

ああーっ! スーさんが開幕一秒でうさモフにやられた! 勝つ気がないやつ!
だいじょぶだよスーさん! スーさんめっちゃやさしーし、カッコイイから!
うさ(うさぎのこと)にもぜってーモテ男だよ! いまがモテ期だよ! 自信もって!

あっ……さわいでたからおれが避けられちった。
よーし、じゃあこのままスーさんのフォローにまわるぜ。
でもスーさんふつーになつかれて……ああーおやつに! たかられてる!(サイバーアイで写真パシャー)
近くにいたうさをひとり借りて、ぎゅっとしてから怪力で首ぽきするよ。
スーさんも、おつかれさま。元気出るまで待つよ。ね。


スキアファール・イリャルギ
ピュアな子
トーさん(f18631)と来ました

モフりたいです撫でていいですか(速攻で誘惑に敗北!)
うさぎ可愛いですね……So cute……
……でも怖がられそうな予感
こんな姿だし、怪奇だし……(しゅん)
う、トーさんから優しい励ましが
モテ期ですかね、いけますかね……や、やってみます(こくり)

って、あっ
すみません私のせいでトーさんが
そうだ、おやつをどうぞ
にんじんとドライフルーツのパパイヤと苺です
お口に合うといいんですが――って

わー
わーー
トーさん、私モフ死しそうです……(口元が緩々)

……はっ、死んでる場合じゃない
そーっと手を伸ばして撫でてだっこ
存分にモフったら名残惜しいですが
うさぎの耳元を塞いでUCを



●愛称で呼び合う仲って尊いですね
 ススキの野原に降り立ったスキアファール・イリャルギ(抹月批風・f23882)は、おもむろに口を開くとこう言ったという。
「トーさん、モフりたいです撫でていいですか」
「ああーっ! スーさんが開幕一秒でうさモフにやられた! 勝つ気がないやつ!」
 言われた側の茜崎・トヲル(塔・f18631)が頭を抱えて盛大に仰け反った。
 どうしてあれだけ油断するなって言われたのに即堕ちしちゃったんですか?
 そう問いたい、問い詰めたいのをグッとこらえて、まあ一応スキアファールの言い分も聞こうじゃないかと視線を戻す。
「うさぎ可愛いですね……So cute……」
 陰鬱なようにも見えるであろう影人間の頬には赤みさえ差して、うっとりとうさぎへの想いを募らせるさまはぶっちゃけた話ピュアそのものであった。
 真面目に戦ってくれと言うべきなのだろうか。きっと、本当はそうなのだろう。
 けれど、今は――この無垢なる願いを応援したい。トーさん……トヲルはそう願った。

「……でも、怖がられそうな予感」
「だ、だいじょぶだよスーさん! スーさんめっちゃやさしーし、カッコイイから!!」

 だからトヲルは、急に弱気になってしまうスキアファールの背中を躊躇わず押した。
「こんな姿だし、怪奇だし……」
「いやいや、うさにもぜってーモテ男だよ! いまがモテ期だよ! 自信持って!!」
 己が怪奇たることを忘れてはならぬ、という重大な戒めが、今はスーさんを縛る。
 ならば今は、今だけは、それを忘れるとまでは行かずとも棚に上げてもいいのでは?
 そんなトヲルからの温かい声援を受けて、しゅんとしていたスキアファールがゆっくりと顔を上げた。視線の向こうで、トヲルはググッと両手を握ってお目々キラキラだ。
(「う、トーさんから優しい励ましが」)
 不思議なことだけれど、他人から背中を押してもらえると、すごく心強く思える。
「モテ期ですかね、いけますかね……」
 スキアファールは、チラリと白いうさぎたちの方を見た。
『きゅい?(あそんで、くれるの?)』
 愛らしく、小首を傾げた気がした。ああ――可愛い。So cute……!
 うんうん、行ける行けると、トヲルが強く頷く。

「や……やってみます」
「がんばれ! がんばれスーさん、今こそ男になる時――」
『きゅっ……』

 果たして、うさぎたちはスキアファールの元に集まってきた。
 正確には――盛大にスキアファールを応援していたトヲルを避けるように。
「あっ……」
「って、あっ」
 トヲルに決して悪気があった訳ではないのだが、うさぎ的には『ちょっとこのひとおおきなこえでこわい』と感じてしまったのだろうか。これはトーさんかわいそう。
「さわいでたから、おれが避けられちまった」
「すみません、私のせいでトーさんが」
 しゃーない、という風に頭を掻いて犬歯覗かせ苦笑い。トヲルはグッと親指を立ててうさぎに囲まれたスキアファールにサインひとつで気持ちを送る。
(「よーし、じゃあこのままスーさんのフォローにまわるぜ」)
(「トーさん……!」)
 じわりと目頭が熱くなったところで、スキアファールの足元に衣服越しでも分かるもふっとした感触が。
 ハッとなったスキアファールは、懐から何かの袋を取り出した。
「そうだ、おやつをどうぞ」
『なあに? なあに?』
 お鼻をひくひく、袋の中身がスキアファールの掌に乗せられると、ずずいとうさぎたちが迫ってきた。
「にんじんと、ドライフルーツのパパイヤと苺です。お口に合うといいんですが――」

 もももももももも!
 もももももももももももも!!

(「でもスーさん、何やかやでふつーになつかれて……」)
「って、わーー、わーーーーー」
「ああーーーーーおやつに!!」
 様子を見守っていたトヲルの眼前で、スキアファールが差し出したおやつを巡って熱い争奪戦が! むらがるうさぎたち! 必死におやつを補充するスキアファール! 追いつかない!
「たかられてる――!」
 カシャー。カシャカシャー。パシャー。
「トーさん、私、モフ死しそうです……」
「いいよー、スーさんとってもいいよー」
 めっちゃくちゃいい画が撮れてる。うーんサイバーアイ便利。
 ニッコニコの笑顔のままで、そろそろお時間です。トヲルは手近なうさぎを一羽ひょいと抱き上げると、ぎゅっと一度抱きしめて頬を寄せその感触を味わってから――こきり。
 きっと、うさぎは苦しむことなく、何が起きたかも分からぬままに果てたであろう。
 最初の一羽の首ぽきを悟り、スキアファールも意を決する。死んでる場合じゃない。
「……」
 そおっとうさぎに手を伸ばして、撫でて、抱っこ。
 モフモフモフ、存分にモフったら――名残惜しいけれど。
 その長いお耳をぺたんと塞いで、さようなら。

 ――一瞬、歌が聴こえた気がした。

 月のない夜だから、ひとり怪奇の姿を晒した程度、咎められたりしないでしょう。
 苦しまぬよう驚異的な膂力でもって一瞬で終わらせる慈悲も、また尊いものです。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

メリル・チェコット


晴夜くん(f00145)
灯り、足りてるかな
少しでも明るくなるようにメリルも持ってきたよ
あ、でもおびき寄せちゃうんだっけ……
ふふ。なら、逆に集めちゃおっか!

すすきからぴょんと影が数個
わっ、うさぎ!
かわいい! よしよし、大人しいねえ
晴夜くん、この子たちすごく人懐っこ……うわあっ、大丈夫!?

そうだ、ごはんあげてみたら?
ひつじ用のおやつなら持ってるよ
ほら、喜んで食べてる!
わ、わあ、晴夜くんの指も喜んで食べてる……

気づいたら周囲がうさぎだらけ
わたしだけ存分にもふもふしてしまって…ごめんね…(でも堪能し続ける)

すごい、ひとりで一掃しちゃった!
さすが! ニッキーくんが一番強くてかわ、かわ……かっこいいねっ


夏目・晴夜


メリルさん(f14836)
灯りでうさぎが寄ってくるとか最高では?
ええ、灯しまくってうさぎを纏めてモフりましょう

現れましたね、可愛い可愛いうさぎちゃんが
いや本当に可愛っ…ふわっふわで可愛い痛い痛い痛ってぇなオイ!
本気で噛みやがった…コイツ、さては美少女目当てか

ひつじ用おやつ、これならば
ほらほら、このハレルヤが施しをくれてやりますよ!
ハレルヤの指じゃなくておやつを食え、おやつを
メリルさんの方へ行かずにおやつを食えって

気づいたらメリルさんの周囲がうさぎだらけ
くそ、羨ましい…!
メリルさん!そんな貧弱うさぎより私のニッキーくんのほうが可愛いですよ!
可愛がるならこちらをどうぞ(兎はニッキーくんで蹴散らし



●どのうさぎさんが一番可愛いか
 夏目・晴夜(不夜狼・f00145)は、暗闇がとても苦手だった。
 だから、いつだって灯りを持ち歩いていた。
 メリル・チェコット(ひだまりメリー・f14836)は、そんな晴夜のことを良く知っていたから。
 少しでも月のない宵闇を照らせるようにと、自身でも灯りを用意してきた。

「あ、でも、おびき寄せちゃうんだっけ……」
「灯りでうさぎが寄ってくるとか最高では?」

 メリルが目を開いて口元に空いた手を当てれば、晴夜はにんまりと笑んでみせる。
「――ふふ。なら、逆に集めちゃおっか!」
「ええ、灯しまくってうさぎを纏めてモフりましょう」
 晴夜が掲げ持つランタンの中には、常にその色を変え続け、プリズムのような光を放つ宝石が封じ込められている。その名を「生命線たる灯火」、晴夜の道を照らすもの。
 そして今は、その居場所を明かしてうさぎたちをおびき寄せるもの。
 晴夜ひとりの灯りでは、このどこまでも続くススキの野原に埋もれてしまっていただろう。メリルの灯りが合わさってこそ、二人の狙いは果たされるのだ。

『おうおう、なんかピカピカしてんじゃん!』
『いってみようぜ、カモかもしれないぞ!?』

 背が高いススキの間をぬって、ぴょん、ぴょん、ぴょん。
 サクラモフウサギたちの中でも腹黒い性格の一群が、まばゆいまでの灯りを目指して飛び跳ねる。よりにもよってこいつらご指名とは、お二人の運命やいかに――!?

 ぴょん! ススキの野原から飛び出す影がいくつか見えて、先に反応したのはメリル。
「わっ、うさぎ!」
「現れましたね、可愛い可愛いうさぎちゃんが」
 晴夜もにんまり笑ってうさぎを見遣る。カモが来たという顔にしか見えない。
 これは……互いに互いをカモ扱いして内心でニヤニヤしている……!?
 なんということでしょう、この場で純粋に信用できるのはメリルさんだけなのでは!?
「かわいい! よしよし、大人しいねえ」
 ああっ、メリルさん! そんな気軽に桜模様の入った背中をモフるなんて……あれ!? うさぎが大人しく草を食みながらモフられている!? えええ!?
 じゃあ、晴夜さんもこのまま普通にモフれちゃう優しい世界が待っていると……!?
「いや本当に可愛っ……ふわっふわで可愛い痛い痛い痛ってぇなオイ!!」
「晴夜くん、この子たちすごく人懐っこ……うわあっ、大丈夫!?」
 割と大丈夫じゃなかった――! 優しい世界なんてなかった! 幻想だった!
 何気なく伸ばされた晴夜の手、というか指先に、おもむろにうさぎがかじりついたのだ。晴夜の痛みを訴える声は割とマジで切実で、これはメリルも驚くというもの。
 迂闊にモフると危ないということが判明して、いったん二人はうさぎと距離を置いた。

「そうだ、ごはんあげてみたら? ひつじ用のおやつなら持ってるよ」
 いとしい家族のひつじたちに、いつでも喜んでもらえるようにと携行していたおやつ。
 まさか、うさぎ――影朧相手に役に立ちそうな時が来るなんて。
 そんなことを考えながら、メリルは少しでも晴夜がうさぎと仲良くできるようにとおやつを手渡した。
「ひつじ用おやつ、これならば……!」
 メリルの厚意に甘えて受け取ったひつじ用おやつを手に、早速晴夜がリベンジマッチ――もとい、仕切り直しのふれ合いを試みることとなった。
「ほらほら、このハレルヤが施しをくれてやりますよ!」
『おまえなんかえらそうでムカつくわ』
『でもソレはおいしそうだからもらってくわ』
 がじがじ。がじがじ。掌の上に乗せたおやつだけでなく、晴夜の指をかじるうさぎたち。
 うーんこれ絶対わざとですね、晴夜さんはそろそろマジギレしていいのでは。
「ほら、喜んで食べてる!」
「ハレルヤの指じゃなくておやつを食え、おやつを」
「わ、わあ、晴夜くんの指も喜んで食べてる……」
 最初、メリルの方から晴夜の手元がきちんと見えなかったものだから、ひつじのおやつ作戦は無事成功したかに見えたのだが。
 残念ながら、晴夜はまたうさぎにかじられていた。

「ど、どうしてだろ……あれれ?」
『こっちのニンゲンのほうが、いいにおいがする』
『やさしそうだしな、あれもっとほしい』
 指をかじるという蛮行を働いた末に、晴夜を置いてメリルの元に集合したうさぎたち。まさにやりたい放題である。
 おずおずとメリルが手を伸ばして、その身体をモフっても、うさぎは全く抵抗しない。
 まさに両手にモフ、心地良さに引き寄せられるように、メリルはモフを堪能する――!
「くそ、羨ましい……!」
「わたしだけ存分にもふもふしてしまって……ごめんね……」
 申し訳ないと思っている気持ちは本当だけれど、もふもふを堪能する手は止められない。しょうがないね! 某スナック菓子みたいなものだから!
 そして、晴夜が色々な意味でやきもちを焼いてしまうのもまた、しょうがなかった。
 バッと十環を指に嵌め、腕を交差させてキュイッと繰り糸を引けば、晴夜の背後からズッと立ち上がる巨体こそ「ニッキーくん」!
「メリルさん! そんな貧弱うさぎより、私のニッキーくんのほうが可愛いですよ!」
 右腕、左腕と順に前に突き出せば、ニッキーくんがその巨体を宙に舞わせて主を飛び越え、あっという間にメリルにむらがるうさぎたちをその剛腕で文字通り蹴散らした。
 ここまでそこそこ赤丸溜まってましたので……ニッキーくん力の加減を知らないそうですし……うさぎは片っ端から宵闇に消えていきましたね……。
「すごい、ひとりで一掃しちゃった!」
 手に残るもふもふの感触は少しばかり名残惜しいけれど、あのままではモフの術中に嵌まっていたこともまた事実。メリルは同じうさぎでもあるニッキーくんを見上げる。
「可愛がるならこちらをどうぞ」
 少し離れたところで、晴夜が少々圧をかけながらニッコリ笑顔でそう言えば。
「さすが! ニッキーくんが一番強くてかわ、かわ……」
 メリルは何故か言葉を詰まらせ、その果てに。

「――かっこいいねっ」

 男の子と女の子とでは、センスがちょっと違うから……!

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

地籠・陵也
【アドリブ連携大歓迎】兎はお任せ
うっ……だ、ダメだ。俺にはこの兎を攻撃することはできない……!
だが絶対にもふもふしてしまってはいけない以上は倒すしか……くっ、オブリビオンは人の心につけ入るのが上手いな……!

【オーラ防御・結界術】で敵のユーベルコードの干渉を可能な限り防ぎつつそれでもダメなら【指定UC】でうちの猫を呼び、代わりにこの子をもふもふしながら俺自身を強化だ!
この子のもふもふ具合には例え兎と言えど敵わないハズ……

もふもふして心を落ち着かせたら【高速詠唱】【属性攻撃(氷)】で攻撃しよう。
とは言っても傷を負わせるのは心が痛むのでこう、冬眠したくなる冷気を放つ程度で。
俺達は【氷結耐性】で凌ぐ。


ベイメリア・ミハイロフ
✨♥♡みんな違ってみんないい(選べません!)


そ、そんな、もふもふ…だなんて…
かつて今まで、このような手ごわいお相手に
遭遇したことがございましたでしょうか
い、いけません、ここは
惑わされては、惑わされては…!

暗視を活用しつつ、身を低くしながら
ススキを静かにかき分けて
白くてまあるいそのお尻を捕まえます
こ、これは、攻撃するための捕獲であって
その手触りを確かめるものでは…!

衣服の中に、うさぎさん用のおいしい草を買って隠して参りましたのも
さ、作戦のうちでございます!そう、おびき寄せるための!

最終的には、心を鬼にいたしまして
Red typhoonにてその桜を散らそうと思います
…ああ…勿体のうございます…


ルリララ・ウェイバース
互いに姉妹と認識する4重人格
末妹で主人格のルリララ以外序列無し

「ルリララちゃん、この子、うちで飼おうよ」
『無理よ』
『毛皮位、残らねぇか?』
『確かに冬の外套が欲しかったな』
獲物の毛皮を加工するのはお手の物
胸当てもお手製

WIZ
人格はララ
モフリたい感情は遠慮無し
「わーい♪ウサチャン、うちの子にならない?(もふもふ)」
ワシワシしつつ[動物と話す]
やっぱダメか、と理解したところで、首をホールドし、鶏を絞める要領でコキャッと
遺骸が残れば肉や骨まで残さず使う(食べたり、装飾品にしたり)つもりだったけど残念
「やっぱり、残らないね。魂のぐるぐるから外れちゃったからかな?」
『輪廻って言うらしいわよ』



●かつてない強敵に挑め
 ススキの野原に身を潜め、サクラモフウサギの姿を追う猟兵が三人。
 戦いにあたって、苦悶するものが二人。平静を保っているものが一人。
 月のない宵闇であろうと先を見通す瞳持つ乙女、ベイメリア・ミハイロフ(紅い羊・f01781)がススキを静かにかき分けながら先を行く。
 表向きはとても頼もしく見えたろう、だがその胸中は千々に乱れていたのだ。
(「そ、そんな、もふもふ……だなんて……」)
 白いもふもふ。桜模様の背中。ひくつくお鼻。長いお耳。ああ、なんて――。
(「かつて今まで、このような手ごわいお相手に遭遇したことがございましたでしょうか」)
 いやない。立派な反語です。大丈夫? やっぱやめときます?
(「い、いけません、ここは……惑わされては、惑わされては……!」)
 ぶんぶんと一度首を振り、ベイメリアは改めて前を見据えて突き進む。
 愛らしい、まあるいお尻が、ススキをかき分けた先にはあった。

(「うっ……だ、ダメだ」)
 もう一人戦う前から屈しそうな人がいるんですよ、地籠・陵也(心壊無穢の白き竜・f27047)さんって言うんですけどね。
 白き人派ドラゴニアンの青年は心優しく、しかしそれ故に苦悶することも多いのだ。
(「俺にはこの兎を攻撃することはできない……!」)
 ぼくにそのてをよごせというのか状態です、ルート分岐の重要ポイントかな?
(「だが、絶対にもふもふしてしまってはいけない以上は倒すしか……」)
 陵也だって猟兵だ、頭では何を成すべきかは理解している。
 ただ、こう、あるじゃないですか、気持ちがついてこない時って。ソレです。
「くっ、オブリビオンは人の心につけ入るのが上手いな……!」
 ギリ、と歯を食いしばって陵也は改めてベイメリアが拓いた道の先を見る。
 視線の先にいたのは、ふわっふわの白うさぎの群れ。
 それら全てのつぶらな瞳が、いっせいに陵也たちの方を向いた。

 あざといの、ピュアな子、腹黒いやつ。
 主にベイメリアさんのご希望によって全種類よりどりみどりつかみ取り状態になったうさぎたちを、唯一冷静に見ることが出来ていたのはルリララ・ウェイバース(スパイラルホーン・f01510)だった。
 正確には、現在表出している人格はルリララの姉のひとり・ララだ。
 腕に布を巻き、逆に脚の布が巻かれていない状態で現れる、楽観的な風の娘。
「ルリララちゃん、この子、うちで飼おうよ」
 つぶらな瞳に射抜かれてゴロンゴロンとのたうち回るベイメリアや陵也の先にいる白いうさぎたちを指さしてララが提案すれば。
『無理よ』
 ルリは基本的に悲観的なのもあるが、冷静に事実を告げただけでもある。
『毛皮位、残らねぇか?』
 リラがどこかで落とし所をつけられないかとルリララに話を振る。
『確かに、冬の外套が欲しかったな』
 これからの時期、ほとんどの世界で寒くなる一方だ。冬支度は早くしておいて損はない。
 幸い、ルリララ――というか、ウェイバース姉妹は獲物の毛皮を加工するのはお手の物。愛用の胸当てだって実はお手製なのだ。しゅごい。

「はっ……不意を突かれて不覚を取りましたが、これ以上は!」
 ベイメリアがまず正気を取り戻し……てるのかな、多分大丈夫だと思うんですが……?
「えいっ!!」
 おもむろに、白くてまあるいお尻を向けたままの子をがっしと捕まえた!
「こ、これは、攻撃するための捕獲であって!」
「思いっきりもふってる!!?」
「その手触りを確かめるものでは……!!」
 もふもふ、もふもふ。ベイメリアの繊手が白い毛並みに沈み込む。
 もふれば死、くらいの勢いで対策を練ってきた陵也にとっては衝撃的な光景だった。
「わーい♪ ウサチャン、うちの子にならない?」
「こっちも思いっきりもふってる!!?」
 もふりたい気持ちに正直に、ララはわっしわっしと別の白うさぎをもふもふ、もふもふ。
『しぬまでだいじにしてくれるなら、いいよ』
 ペットを飼う時の割とマジで大事な心得を説くような返事が返ってきた。うーん動物会話って便利。
「だって、どうするー?」
『どうも何も』
『愛玩動物を飼う余裕はないぞ、ララ姉』
『目的を忘れんなよー?』
 ウェイバース姉妹の間で、厳しい現実を知らしめる会話が繰り広げられていた。

「ぐ、う、うううぅぅぅ……っ!!!」
 突き出した右手を左手で支えるようにして、その先に展開されるのはオーラの結界。
 陵也自身は額に脂汗を浮かべ、懸命に防ごうとしているのだ――もふの誘惑を。
(「分かっている……この程度では、抗いきれないことは」)
 ユーベルコードによる干渉に、己が技量ひとつで立ち向かう勇気。
 その心の強さこそがもふりたいという欲求をギリギリの所で踏みとどまらせている。
 だが、目を閉じるか顔を背けるかでもしない限り、もふもふは消えてなくなりはしないのだ。根本的な解決には――ならない!

「ダメか……ならばっ! 【【昇華】恩恵を運ぶ白羽の猫(ピュリフィケイト・ギフトシャットエインセル)】!!」
『にゃーん!』

 翼持つ小さな白い猫、それは今の陵也にとっての救世主とも言えただろう。
 陵也が受け止め続けたもふの誘惑という被弾を鍵に喚ばれた白猫「エインセル」は、陵也の上着にキュッとしがみつく。爪は立てないやさしさも添えて。
「良く来てくれたなエインセル、助かった……! 俺はお前をもふもふできればそれでいい……!」
『にゃあ?』
 若干いぶかしげな声で鳴くエインセルを、本当だよと言わんばかりにもふもふする陵也。次第に身体中に力が満ちてくるような気がしたのは、きっと気のせいではないだろう。

 ベイメリアはと言えば、すっかりうさぎに囲まれてもふもふパラダイスを堪能していた。
「衣服の中に、うさぎさん用のおいしい草を買って隠して参りましたのも!」
 もっしゃもっしゃとうさぎが草を食む仕草ひとつ取っても愛らしい。ヤバい。
「さ、作戦のうちでございます! そう、おびき寄せるための!!」
「大漁だねー。じゃ、そろそろ行っくよー?」
 互いが望む形での共存は、分かっていたけれどやはり無理かと悟ったララは。
 おもむろに手近なうさぎを一羽抱き上げると――コキャッ。
 見事な手さばきで、首をホールドしたかと思うや、鶏を絞める要領で、こう。
 何が起きたかも分からないままに絶命したうさぎは、在るべき場所へと還っていく。
「やっぱり、残らないね。魂のぐるぐるから外れちゃったからかな?」
『輪廻、って言うらしいわよ』
 もしも遺骸が残ったならば、肉や骨まで残さず使おうと思っていたのに。
 食料にもなるし、装飾品にもできる。そうやって、命は巡るものなのに。
「そっか――残念」
 ララは両腕を頭の後ろで組んで、月のない空を仰いだ。

「ありがとうエインセル、お前のおかげで落ち着いた……!」
 もふりたいという衝動を、もふっても差し支えのない存在で満たす。
 対処法としてはこの上なく見事なものであり、うさぎを完封したとも言えよう。
 ならば反撃あるのみ、と思ったが、傷を負わせるのはいささか心が痛む。
「こう、冬眠したくなる程度の冷気ならどうだ!?」
『ぴいいいえええええ、さむいいいいいいいい』
 おおっとここで突如吹き荒れる吹雪がサクラモフウサギたちを襲う!
 うさぎたちが身を寄せ合って打ち震える。陵也と、その懐に守られたエインセルは持ち前の寒さへの強さで耐える。
 やがて、白うさぎたちの塊は、雪に埋もれて見えなくなってしまった。
「これで良かったんだ、これで……」
 陵也さん、一応あと二戦こんなん続きますが大丈夫ですか?

 多分今回一番存分にもふを堪能したんじゃないかなというポジションのベイメリアさん。遂にもふとの決別の時が訪れようとしていた。
「覚悟は、していました」
 手にしたメイスの銘は「† curtana †」、またの名を「慈悲の剣」。
「最終的には、心を鬼にいたしまして」
 銀のメイスが輝き、先端から深紅の薔薇の花びらへと変じていく。

「その桜、散らしてみせましょう――【Red typhoon(レッドタイフーン)】!」

 ぶわあっ、と。桜色よりも深く濃い紅が幻朧桜のように吹き荒れて。
「ああ……勿体のうございます……」
 全てがかき消えたあとには、白いもふもふは影も形もなかったという。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

向坂・要
美味しいウサギを所望します!(挙手

可愛い…ってよりはあれですかねぇ
うさぎ美味しかの山、ってね(知っててわざと間違えててみせ)

「暗殺」の要領で「目立たない」様に「地形を利用」して接近
「不意打ち」を仕掛けさせてもらいますぜ

さて、お前さんたちは味噌に醤油に塩にと何がお好みですかね?

なぁにどっかの世界じゃ兎は鳥だから例外って事で鍋にしたりしてたって話じゃねぇですか

寒くなってきましたしちょうどいいかな、と

毛皮も防寒着に適してるらしいですぜ

なんて笑顔で問題発言

さぁ鬼ごっこでもしましょうや
と運動した後は肉球パンチでもありかもしれませんねぇ

アドリブ
とんちき
絡み大歓迎



●そろそろ鍋が恋しい季節ですね
「美味しいウサギを所望します!」
『ふざけんなよてめえ!!!!!』
 随分とお口の悪いうさぎなので、多分腹黒いのが用意されたのだと思うが、それにしても食べるのを前提で指名するとは、向坂・要(黄昏通り雨・f08973)もなかなかに豪胆な男ではなかろうか。
 元気良く挙手して開口一番攻めの姿勢でうさぎと対峙した要は、生意気を通り越して活きの良さそうなうさぎの様子に満足げに頷いてみせた。
「可愛い……ってよりはあれですかねぇ、うさぎ美味しかの山、ってね」
『わざとだろ! わざとまちがえてんだろ!!』
 返事の代わりに目線を逸らし、要はちょっぴり舌を出してみせた。

 ――話は少しばかり遡って、少し前のこと。
 ススキの野原が人ひとり程度ならゆうにその姿を包み込んでしまうというのを活かして、要は音を極力立てぬようサクラモフウサギたちが群れる場所へと近づいていた。
 あとひとつススキをかき分ければ、もうそこにはうさぎたちが。
 そんな距離まで迫り、あとは不意打ちを仕掛ければそれでお終いだった。
 だが、問答無用で首をかっ切るようなのはちょっと無粋だと思ったものだから、うさぎたちに選択肢をくれてやることにしたのだ。
 その結果が、激おこな腹黒うさぎちゃんのご登場となった訳なのだが。
(「美味しそうだから、これはこれで」)
 口の端を上げて笑う要は、腹黒うさぎにこんな質問を投げ掛けた。

「さて、お前さんたちは味噌に醤油に塩にと、何がお好みですかね?」
『ミソ……ショウユ、シオ……???』

 当然、要としては『どの味付けで食べられたいか』を聞いたのだが、うさぎには調味料という概念がないので、それなあにというリアクションが返るばかりであった。
 まあ、でも、知らないままで終わる方がいいことだっていっぱいあるから……!
「なぁに、どっかの世界じゃ『兎は鳥だから例外』って事で鍋にしたりしてた、って話じゃねぇですか」
『ナベ……おまえ、おれたちを……!?』
 腹黒うさぎも、ようやく己が何を問われているのかを理解する。耳が震えた。
「寒くなってきましたし、ちょうどいいかな、と」
『やだあ! おれたちたべるとこなんてほとんどないしやめとけよお!!』
 集団戦だから群れでいる所を一網打尽にすりゃあ解決ですよ、と思いつつ。
「ああ、そうそう。毛皮も防寒着に適してるらしいですぜ?」
『さっきからこいつもうホントやだあーーー!!!』
 必死に抵抗する腹黒うさぎをからかうのが、次第に本気で楽しくなってきてしまったものだから、要は満面の笑みでゆっくりとうさぎににじり寄ってみた。

『ちくしょう! やってられっか!! もうおうちかえる!!』
 アッ、自主的に帰宅しようとしてる! そうは行くか!
「そう来ますか、なら鬼ごっこでもしましょうや」
 ススキの野原を行ったり来たり、最初は余裕で追いかけ回していたはずが――徐々に、うさぎたちが本気を出してきたというか、死に物狂いになってきたというか。
(「こりゃ、こちらも少し『見せて』やりますか」)

 ――【大地と共にありしもの(シュンカ・マニトゥ・ウゼン)】

 大精霊の加護があれば、月が出ていなくても大丈夫。
 みるみるうちにその身を白銀の毛並みの大きな狼へと変じた要が、あっという間に一羽のうさぎを射程に収めるや、ぺちーんとその肉球でパンチを一撃。
 当然、うさぎはひとたまりもなく消滅する。元より、肉体は残らぬ影朧なれば。

(「あーあ、あわよくばと思いましたが、食えませんでしたか」)

 銀の大狼は、残念そうにうさぎを次々とぺちぺちしていったそうな。

成功 🔵​🔵​🔴​

有栖川・夏介
ウサギの性格お任せ

(ジーーッ)……ウサギ、ですね。
ウサギ…とりわけ白いウサギは苦手なのですが、以前よりウサギっぽい知り合いとか増えましたし、いろいろあったのでもう平気だと思ったんですが……。
倒さなければいけない相手となると……やはり躊躇してしまいますね(ジーーッ)
特になにをするわけでもなくジーーーッとウサギを見つめる。

もふりたい、過去のトラウマ、かわいい、敵…
頭の中で葛藤がぐーるぐる。その間もずっとウサギを見つめ続ける(ジーッ)
※ウサギを見つめる間、ひたすら真顔

……やめよう、どうせ倒さないといけないのだから、ここは一思いに。
ナイフを構えてみるもやめ、掌でウサギの頭をポンと叩く
……もふもふ



●たまにはこんな夏介さん
(「ジーーーーーーーーッ」)
 ああっ、ススキの野原を抜けた先でしゃがみこんでサクラモフウサギたちと目線を合わせて見つめ続けているのは! 有栖川・夏介(白兎の夢はみない・f06470)さんじゃないですか! 大丈夫!? これトンチキシナリオですよ!?
「……ウサギ、ですね」
 はい……うさぎです……白くて背中に桜の模様があるうさぎさんです……。
 今夏介さんの前にいるのは……ピュアッピュアな子です……。
「ウサギ……とりわけ白いウサギは苦手なのですが」
 ――初めて殺した生き物のことを思い出す。白いウサギ。『トモダチ』。
「以前よりウサギっぽい知り合いとか増えましたし、いろいろあったので、もう平気だと思ったんですが……」
 あ、ああ、ウサギっぽいというかウサギそのものというか……確かにいらっしゃいますね……!
 じっと見つめられる側のピュアうさぎも、そのつぶらな瞳で夏介の紅い瞳を覗き込む。
 考える。己はここに、何をしに来たのか。
 思い至る。己はここで、巣くっている一切合切を、殺しに来たのだと。
「倒さなければいけない相手となると……やはり躊躇してしまいますね」

 ジーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッ。

『ぴゃ、ぴゃぁ……』
 純真無垢なうさぎが、思わず鳴き声を漏らす。
 特に何をするわけでもなく、ただジッとピュアうさぎを見つめ続ける夏介。
 そう、夏介はただ見つめているだけで何も悪いことはしていない。
 だが、意図が読めないということはそれだけで地味に恐怖を与えたりしちゃったり。
 そんな訳で、ピュアうさぎは思わず震え声で鳴いてしまったのだ。

 逢魔が辻にも風が吹くのか、ススキが揺れて、うさぎの耳も揺れた。
 ピュアうさぎの一挙手一投足が、夏介の視界に飛び込んでくるたびに。
 かき立てる――もふりたいという衝動を!

 もふりたい。
 過去のトラウマ。
 かわいい。
 敵。

 相反する感情と思考とが、葛藤となって頭の中でぐーるぐる。
 その間も、ジイッとうさぎを見つめ続ける視線は外さないで。
 夏介は、終始真顔であった。真顔で、ピュアうさぎを見つめ続けていた。
 心は千々に乱れんばかりなのに、それをおくびにも出さない鋼の精神力。
 やがて、夏介はひとつの結論にたどり着いた。

(「……やめよう、どうせ倒さないといけないのだから、ここは一思いに」)

 おもむろにナイフを構えれば、うさぎがぴゃっと震えた。
 しかし――夏介は、反対側の掌で、うさぎの頭をポンと叩いたに留めたのだ。
 そのまま……もふもふ。もふもふ。
 叩かれたのが、そういうことだとうさぎが理解して、在るべき場所へと還るまで。
 夏介はずっと、もふもふの手触りを堪能していた。

 手にしたままのナイフは、たとえそのまま振り下ろされていたとしても。
 決して、うさぎを傷つけることはできなかっただろう。
 そのナイフは、「神を殺す小刀」は――振るうものが『殺す』と決めたもののみを傷つけるのだから。

「……」
 真顔のまま、夏介はナイフを鞘に戻す。
 掌にいまだ残る、もふもふの心地良さを噛みしめながら。

成功 🔵​🔵​🔴​

スピーリ・ウルプタス
(ウサギ性格:お任せ♪)

黒蛇(UC)に乗って、ススキに身を隠すよう低姿勢
蛇の嗅覚(シュルシュルする舌で空気の味を感じ取る)にて程なく兎と邂逅

任務とあらば可愛い物にも笑顔で意外と容赦しない変人
「恨みはございませんが、ご容赦をっ」
黒蛇たきつけようとした、らば。
あっさり兎さんのモフってオーラに引っかかる
「…(もふった)…ほぉ、なんと艶やか且つ手触り良い毛並ッごっふ!」
直撃受ける

「…ッこれは…予想外!」※訳:イイ!
かじられたり
兎キックくらったり
可愛さはスルーしたくせに攻撃受けるのにはすっかり夢中な変人
(あわよくば兎さんにすらドン引かれたい)

ズタボロになった頃
黒蛇くんが一蹴 ←主に呆れて今まで傍観してた



●変態がイケメンだけど変態でどうしたらいいんだ
(「いらっしゃい、締め付け担当さん!」)
 小声でユーベルコードを発動させる――そう、これは立派な詠唱なのだ――スピーリ・ウルプタス(柔和なヤドリ変態ガミ・f29171)の声に応えて、黒い大蛇がぬらりと姿を現した。
 スピーリが『ダイ様』と呼び慕う黒い大蛇は、その背に乗って移動することもできる。
 ススキに身を隠すように低姿勢で、ダイ様の舌を駆使した嗅覚も合わせれば、程なくサクラモフウサギたちの元へとたどり着くことができた。

『わああ、おっきなへびさんがきたよ!』
 このうさぎはもうちょっと危機感を持った方がいいんじゃないかなあ、というあたり、多分ピュアな性格の子なのだろう。
 だが、任務とあらば可愛い物にも笑顔で意外と容赦しない変人と自称するだけはある。
 乗っていたダイ様から華麗に飛び降りると、スピーリはバッと右腕を振るった。
「恨みはございませんが、ご容赦をっ」
 ダイ様を焚きつけて、ひと思いにやっつけてしまおうという算段だった、のだが。

『きゅっ?』
「~~~~~~~~~~~~~~~~~~~っ」

 すみません間違えました! これあざとい子ですわ!!
 申し訳ないスピーリさん、ちゃんと正しい情報を伝えていれば……いや、これどのウサでも結果同じだったかな……?
 何が起きたかを説明しますと、あざとく小首をかしげたうさぎから放たれるモフってオーラがスピーリさんを直撃しまして、あっさり吸い寄せられちゃった次第です。
「……(もふ)……(もふもふ)ほぉ、なんと艶やか且つ手触り良い毛並ッごっふ!」
『あっは、チョロいなあ~! うさキック!』
 サクラモフウサギは基本的にもふってオーラを出すだけの子らしいんですが、攻撃して欲しいとご所望がありましたら……するしかないですよね……?

「……ッこれは……予想外……ッ!!」
『おこった? おこった?』
「……イイッ!!!」
『え』

 今間違いなく攻撃が入ったのに、この反応はうさぎの方こそ予想外だったろう。
 ポカンと口を開けていると、その口元に何とスピーリが腕を差し出して来たのだ。
「さあ、次はその立派な前歯で私めを」
『えええ!?』
 モフりたがるならまだ分かる、そういう人間はアホほど見てきたし、餌食にもしてきた。けれど自らの腕を差し出してかじれと言われたのは初めてだ。どういうことなの。
『そ……そういうの、ちょっと……』
 遂にあざというさぎがあからさまにドン引く姿勢を見せた。耳がすっかり寝ている。
 可愛さについては完全スルーを決めたくせに、攻撃を受けるということには夢中になる眼前のイケメンに対するうさぎの認識は――すっかり『変人』になっていた。
「遠慮なさらず、どうぞ好きなだけその牙を剥いて下さい! さあ、さあ!!」
『ばかなの!? かんだらホントにいたいよ!?』
「ですからそういう慮りなどは不要です! 私を思うならばどうか――」

 ――シュッ(特別意訳:いい加減にせんかい)

 見るに見かねた黒蛇のダイ様が、うさぎをその尾で一掃した。
 一応ダイ様とスピーリは生命力を共有しているので、割と他人事ではなかったのだ。
「あああ、予定ではもっとズタボロになる予定でしたのに……」
 ああ神様、どうしてこんなイケメンが変態なんですか――!?

成功 🔵​🔵​🔴​

満月・双葉
もふもふじゃないですか
何と言うご褒美タイム
ふむ、これはモフらねばなりませんね任せろ
もふもふを堪能すれば嬉しさのあまり大根生えちゃう
そうだ、うさぎならお礼に餌をあげねばなりませんね…!
食べます?ぼくのとっておき…無論、大根です
人参を白く塗ったものではありません大根です
何度でも言いますと大根death
え、今なんか違った?気のせいでは?

いつから大根を君たちに貢ぐことが非戦闘行為だと錯覚していたんです?
無論【爆撃】です…
何かおかしいことでもありましたか???
言ってませんでしたね大根は万能だと

モフうさぎ…持って帰りたい…うぬぬ(隠し持ってた普通の大根もしゃあ)



●普通の人参をお供えしてあげたくなる案件
 ススキの野原を抜けた先で、サクラモフウサギは割とあっさりと見つかった。
「もふもふじゃないですか、何というご褒美タイム」
 ぴょんこぴょんこと気ままに飛び跳ねたり、草を食んだりするうさぎたちを見て、満月・双葉(時に紡がれた星の欠片・f01681)は勝利を――いや、モフを確信した。
「ふむ、これはモフらねばなりませんね。任せろ」
 お鼻をひくひくさせて、つぶらな瞳で見上げてくるうさぎたち。
 ――かわいい。間違いなくかわいい。かわいいの暴力まである。
 圧倒され、ねじ伏せられ、ただ眼前の白いふわふわした存在を愛でるしかなくなる。
 戦闘行為などもってのほか、双葉は手近なうさぎから次々ともふもふして回る――!

(「はぁ……もふもふ……こんなの堪能したら嬉しさのあまり……」)

 何故か、ススキだけが生えていたはずの地面から大根が生えてきた。
 何を言っているかわからねーと思うし私も分かりませんが生えてきちゃったんですから仕方がないんです。大根が生えてます。覚えておいて下さい。

『だいこん? ニンジンじゃないの?』
 今度こそ本当に純真無垢そうなうさぎが、双葉に問う。
「そうだ、うさぎが相手ならお礼に餌をあげねばなりませんね……!」
『ニンジン!? やったあ!!』
 瞳をキラッキラに輝かせたうさぎに差し出されたのは――白い根菜。
「食べます? ぼくのとっておき……無論、大根です」
『どうしてだいこんなんですか? しろくぬったニンジンじゃないんですか?』
 夏休みにお子様が電話で専門家に相談するやつみたいな口調で問われれば。
「人参を白く塗ったものではありません大根です」
 早口で双葉が畳みかけるように返す。これ割とひどいことしてますよね?
「何度でも言いますよこれは大根death」
『……(もしゃり)』
 このうさぎはピュアうさぎなので、『です』のあたりがすごい発音なのも気にしないでとりあえず食べてみようと一口かじってみせた。
「え? 今なんか違った? 気のせいでは??」
 ……双葉さんがこんな悪い大人になってしまったなんて……!

「ところで」
 双葉が、先程不思議な力で生やした大根をチラと見ながら言った。
「いつから大根を君たちに貢ぐことが非戦闘行為だと錯覚していたんです?」
『うそ……でしょ……』
 もふってもらって、ちょっと訳が分からないけれどとりあえず食べられるものももらって、すっかり戦闘どころではないと思っていたのに――!
「無論、爆撃です……何かおかしいことでもありましたか???」

 どん! どどん! ちゅどーん!!!

 大根が――爆発する! 爆風で次々吹き飛んでいくうさぎたち! これはひどい!
「言ってませんでしたね、大根は万能だと」
 夜空に消えたうさぎたちを追うように、月のない空を見上げる双葉。
「モフうさぎ……持って帰りたい……うぬぬ」
 言うて双葉さん、うさぎ全部自分でぶっ飛ばしちゃったでしょ!
 ああっ、聞いてない! 普通の食べられる大根丸かじりしてる!

成功 🔵​🔵​🔴​

木常野・都月
兎:おまかせ

ウサギ……。

つい最近まで、餌だと思っていたじゃないか。
そうだ。
事実ウサギは餌だ。

思い出せ。
脂こそ少ないけど、弾力があって柔らかい桜色の肉を。
それが可愛い……可愛い、だなんて。

奴らは狡猾だ。
そして狐ほどではないけど知能犯だ。
騙されたらダメだ。
俺。しっかりしろ。

こんな毛、毟って……あ。柔らかい。
もふもふ。
もふもふ。

俺は賢い妖狐だ。
実はウサギは影朧ではないのでは?
だって、こんなにもふもふなんだ。

いやでも、グリモア猟兵さんは影朧だと…
いや、もふもふがいけないんだ。
ウサギはもふもふで、影朧が食べ物!
イケナイもふもふは、食べていいはず!

とりあえず、食べてみれば分かる!
狐の姿で、ガブーッ!


荒谷・つかさ
(相手はお任せ)

(いつもより緩みな表情で)
まあ……兎じゃない。
こんなにふっくらもちもち、まんまるな兎がこんなに沢山。
ああ、とても……とっても。

美味しそうだわ。
(「烈火包丁」を振りかざして襲い掛かる食欲に囚われし鬼)
(食肉としてしか見ていないので咎める良心など欠片もなかった)

【焼肉担当の本気】発動
まずは一羽を素手で絞め、解体
(※まいるどなひょうげんでおおくりいたします)
丁寧に下処理をして、一口サイズに刻んだお肉を「烈火包丁」の刀身で焼いて頂く
味付けはお塩とハーブでさっぱりと
……獣肉にしては淡白で繊維質な肉質は、まるで鶏肉のよう
脂身も少ないし、これは良い筋肉になるわ……さて、おかわりといきますか



●食べると決めたら絶対食べる
 ススキの野原が揺れて、二人の超弩級戦力がその姿を現した。
 ひとりは荒谷・つかさ(逸鬼闘閃・f02032)、もうひとりは木常野・都月(妖狐の精霊術士・f21384)。
 緩やかな笑みを湛えたつかさは、頬に手を当てて陶然と視界に捉えたサクラモフウサギたちを見る。
 それはまるで、慈愛に満ちたまなざしのようにさえ思えた。
『きゅっきゅ?』
 一羽、また一羽と、つかさの温かな気配に吸い寄せられるようにうさぎたちが近づいてくる。
「まあ……兎じゃない」
 つかさはその場にしゃがみ込んで、集まったふわっふわでもっふもふなうさぎたちを眺める。
 そっと手を差し伸べれば、すり、とうさぎの方からその身を寄せてきた。
 伝わってくるもふもふの手触りは、あらゆるニンゲンをダメにする――。
 このうさぎたちは、それを理解した上で、こうしてすり寄ってくるのだ。
『きゅーん……』
 パターンキラキラ、あざとい。今回のうさぎはあざといタイプです。
 つかささん、大丈夫ですか!? 油断するとそいつらのペースです!
「こんなにふっくらもちもち、まんまるな兎がこんなに沢山」
 うっとりとした声音で、つかさがうさぎを撫でながら呟く。
「ああ、とても……とっても」
 あざというさぎの耳が、僅かに動いた気がした。

 一方の都月の足元にも、あざというさぎが集まりつつあった。
『きゅっきゅ、きゅう』
「ウサギ……」
 己の裡に湧き上がる感情があまりにも複雑で、都月はそれを持て余し、困惑していた。
 他の猟兵たちが己に正直に、あるいは抗いながらもそうしたように、もふもふしていいのか? そもそも、もふりたいという感情は何だ? このもやもやのことなのか?
(「つい最近まで、餌だと思っていたじゃないか」)
 ――そう。
 ほんの数年前まで野生で狐そのものとして生きてきた都月にとって、うさぎとは。
(「そうだ、餌だ。事実ウサギは餌だ」)
 はっきりと、認識した。
 少なくとも、木常野・都月という存在にとって、うさぎとは捕食の対象なのだと。
(「思い出せ。脂こそ少ないけど、弾力があって柔らかい桜色の肉を」)
 姿こそ違えど、確かにこの口でその肉を喰らったのだ。どうして忘れようか。

「それが、可愛い……可愛い、だなんて」
『……きゅっ?』

 桜を背負ったうさぎだって、愛らしい見た目をしながら内心は必死だ。
 何しろ都月が明らかに肉食獣の眼差しで震えながらこちらを見下ろしてくるのだから、うさぎさんサイドは都月の人間としての部分に訴えかけるしかない。
 愛らしい声で鳴いて、つぶらな瞳で見上げ、お鼻をひくひくさせて。
 その様子を、都月は眉間に思いっきり皺を寄せながら凝視していた。
(「奴らは狡猾だ、そして狐ほどではないけど――知能犯だ」)
(『ぎくっ』)
 鋭い視線を都月から向けられて、うさぎが身を震わせる。
「騙されたらダメだ。俺、しっかりしろ」
『……ま』
 待って、と。言おうとしたうさぎに、おもむろに都月の手が伸ばされた。
「こんな毛、毟って……あ」
 うさぎが耳を寝かせて身体を強張らせていると、伸ばされた手はその身を撫で始めたではないか。
「やわら、かい」
 もふもふ。もふもふ。うさぎの撫で心地はたまらなく心地良く――ああ、これが。

 都月は思う。もふもふしながら思う。
(「俺は賢い妖狐だ。その俺が思うんだ」)
 大人しくもふもふされている、この白いかたまりは。
(「実は、ウサギは影朧ではないのでは?」)
 だって、こんなにもふもふなんだもの。汝、罪ありきと言われてもそんな。
 都月の様子を見て、状況が持ち直してきたかとあざというさぎがほくそ笑む。
 その時、都月の手がピタリと止まった。

「いやでも、グリモア猟兵さんは影朧だと……」
『も、もっともふっていいよ!』
「いや、もふもふがいけないんだ」
『えっっっ』
「ウサギはもふもふで、影朧が食べ物!」
『ファッ!?』
「イケナイもふもふは、食べていいはず!」
『なにいってんだコイツ――!?』

 遂に錯乱したか、と思われるかも知れないが、まあだいたい間違ってないのでヨシ!
 そして、都月が出した結論に呼応するように、つかさがもう我慢できないという風に思い切り声を上げた。

「 ―― 美 味 し そ う だ わ 」

 すらりと取り出された「烈火包丁」はすっかり熱を帯びて準備万端。
『ええええええええ!!!??? キミたちにヒトのこころってのはないの!!!??』
「申し訳ないけど、私はお前たちを『食肉』としか見てないの」
 だから、良心が咎めるとかそういう概念は欠片もなく。
 うさぎが持つ力で戦意を喪失させられるということも有り得ず。
「【焼肉担当の本気(ヤキニク・パーティー)】、まずはお前から始めましょうか」
『ぴゃ……!』
 こんなユーベルコヲドもあるんだなあ、なんてことを最期に考えたかどうかはわからない。事実として、おもむろに掴まれた一羽のうさぎがあっという間に絞められたことだけがあった。
 つかささんご本人の配慮を頂戴してマイルドな表現でお届けしますが、まあこの後は解体する訳です。
 それを丁寧に下処理して――と一言で言うのは簡単なんですが、これが地味に面倒なのでつかささんは将来素敵なお嫁さんになると思います。
 問題は『つかささんより強い男が見つかるかどうか』なんですが……。
 おっと失礼、一口サイズに刻んだお肉は赤熱する「烈火包丁」の刀身に乗せてじゅうじゅう焼いて美味しく頂きましょう。
 味付けはお塩とハーブでさっぱりと、素材の味を最大限活かしたチョイスです。

「……獣肉にしては淡泊で繊維質な肉質は、まるで鶏肉のよう」

 脂身も少ないし、これは間違いなく血となり肉となり――いや、良い筋肉となるに違いない。うーんまたつかささんのバルクアップが捗ってしまう。
「さて、おかわりといきますか……って、あっちは野生に戻っちゃってるのかしら」
 ひょいぱくと兎肉を口にしながら、つかさが視線を向けた先には――都月くん。

「とりあえず、食べてみれば分かる!!」
『アーーーーーーッ!!』
 緑のローブはそのままに、肉体だけをギンギツネそのものに変えた都月が、かつての姿を彷彿とさせるようにうさぎにガブーッとかじりついていた。

 影朧を……食ってる……。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

藍崎・ネネ
リンゴちゃん(f09757)と
ウサギさんはおまかせなの

リンゴちゃんは初めての依頼なのね
ネネの方が先輩なの
しっかりしてるところを見せてあげるの(ふんっ)
さあ、行きましょうなの!
はぐれないように手を繋いでいくの

ススキに隠れながらウサギさんを探すの
ちゃんと隠れていきましょうなの(と先輩風を吹かせるの)

わあぁ、ウサギさんかわいいの!
リンゴちゃん見てみてなの。背中に桜の模様があるの
あそこももふもふなのかしら
これは……触って確かめてみましょうなの!

不意打ちもふもふなの!
き、きもちいいの。とってももふもふなの

…………はっ!? 倒さなくちゃいけなかったの
ぺちっとしておくの!
ふぅ……危なかったのよ


荊・リンゴ
ネネちゃん(f01321)と
ウサギさんはおまかせです

初めての依頼でとても緊張します
困っているとお友達のネネちゃんが手を繋いでくれました
お姉ちゃんができたみたいで嬉しいです

ネネちゃんの言葉にウンウンと頷く
少し高い身長を気にしつつススキに隠れてウサギさんを探します

ウサギさん…ウサギさん…
可愛すぎて見てるだけでプルプル震えちゃいます
ネネちゃんに声をかけられ恐る恐るウサギさんの桜の模様をなでなで
ね、ネネちゃん!桜の模様のところもふわふわです!

ウサギさんのもふもふあたっく!
あったかくてふわふわで思わずえへへと笑っちゃいます

ネネちゃんの真似をしてぺちっとします!
もふもふ……名残惜しいですけど仕方ないです



●桜模様はもふもふするか?
 ススキの野原はとっても背が高くて、ほとんどの人間を覆い隠してしまいます。
 そう、それこそ迂闊に動いたらあっという間に迷子になってしまいかねません。

 どうしよう、だいじょうぶかな? 荊・リンゴ(しらゆきひめ・f09757)は何しろこれが初めて引き受けたお仕事で、とっても緊張してしまう。
 きゅっと胸元で両手を握るのは無意識のこと、そしてそれを見た藍崎・ネネ(音々・f01321)は今こそ己の出番だとすかさずリンゴに声を掛けた。
「リンゴちゃんは、初めての依頼なのね」
 ――ネネの方が先輩なの、だからしっかりしてるところを見せてあげるの!
 ふんっと得意げに胸を張って、リンゴへと差し伸べる手はとても頼もしく。
「さあ、行きましょうなの! はぐれないように、手を繋いでいくの」
「ネネちゃん……ありがとう」
 リンゴがそっとネネの手を取ると、これで大丈夫とネネがふんわりと笑う。
 ススキの野原に足を踏み入れる瞬間はとってもドキドキしたけれど、二人いっしょなら全然平気のへっちゃらで。
 先を行くネネの背中や、繋いだ手のぬくもりが、リンゴにはとても眩しく思えた。
(「お姉ちゃんができたみたいで、嬉しいです」)
 思わずはにかむような笑みを浮かべたリンゴに、ネネが小さく声を掛ける。
「ススキに隠れながらウサギさんを探すの、ちゃんと隠れていきましょうなの」
(「こくこく」)
 作戦を伝えるネネは、ここぞと先輩風を吹かせちゃう。
 でも、実際に先輩なのだから、アドバイスはとっても大事。
 リンゴは少しばかり高い身長を気にしながら、それでも何とかススキに隠れて、ネネと一緒にウサギさん探しを頑張る。

 やがて、静かに隠れながら近づいた甲斐あって、サクラモフウサギたちを無事に見つけることができた二人。
 まだススキからは飛び出さずに、二人身を寄せ合ってうさぎたちについてお話をする。
(「わあぁ、ウサギさんかわいいの!」)
(「ウサギさん……ウサギさん……」)
 まだバレないように小声で言葉を交わすけれど、ネネはともかくリンゴはこの時点でもう可愛さのあまりに見ているだけでプルプル震えちゃう。大丈夫かな?
「リンゴちゃん見てみてなの、背中に桜の模様があるの」
「……ほ、ホントです」
 まだこちらに気付いていないうさぎたちは、無防備に背中を、背負った桜模様を晒してもこもこ動き回っている。

「……あそこも、もふもふなのかしら」
(「……ごくり」)

 ネネが桜模様の秘密に迫れば、リンゴはドキドキのあまりに息を呑む。
「これは……触って確かめてみましょうなの!」
 そう言うや否や、ネネが一足先にススキから飛び出して一羽のうさぎをがっちりキャッチ! おおっと、これは伝説の『不意打ちもふもふ』!!
『きゃあきゃあ!』
 飛び付かれたうさぎは無邪気に喜んでいる。多分ピュアな子なのだろう。
 巧みなテクニックでうさぎに飛び付いたネネが、そっと桜模様に手を添えれば――。
「り、リンゴちゃん! き、きもちいいの。とってももふもふなの」
「わ……わたし、も」
 リンゴはおずおずと別のうさぎに近づいていく。一羽のうさぎが足を止めてリンゴをじいっと見上げた。これは――もふ待ち!
 お姉ちゃんも同然のネネに倣うように、リンゴもうさぎの桜模様をなでなでする。
「ね、ネネちゃん! 桜の模様のところもふわふわです!」
 リンゴの表情が、緊張から一気に解放されてぱああと輝くよう。
 それを見たネネも、我がことのように嬉しくてうさぎをさらにもふっていく。

「……、……はっ!?」

 うさぎに頭をごつんとぶつけられて、ネネはとっても大事なことを思い出す。
「倒さなきゃいけなかったの……!」
 デコピン一発でもやっつけられるくらいだから、おでこをペチンとしただけでも大丈夫。痛がらせずにお帰りいただけて何よりというもの。
「ふぅ……危なかったのよ」
 一方のリンゴも、そろそろいいかな反撃しても的なうさぎの頭突きを受けていた。
「ウサギさんのもふもふあたっく! えへへ……」
 あったかくて、ふわふわで、とてもこれが攻撃とは思えないけれど。
(「ネネちゃんの真似をして……」)
 ――ぺちっ!
「もふもふ……名残惜しいですけど、仕方ないです」
 手に残るもふもふの感触は、確かにそこにあったものだから。

「……ネネちゃん」
 くい、と。リンゴがネネの袖を軽く引いた。
「どうしたの、リンゴちゃん?」
 大丈夫、ケガとかしちゃった? 心配になってリンゴの顔を見れば、ぽそり。

「ウサギさん、まだいっぱいいます……」
 これ全部もふもふぺちぺちしていいのかしら、と。
 先輩に問い掛ける眼差しをしていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

御魂・神治
御魂除霊事務所 ♡

どこぞの変な鳥と違うてかわいいヤツや
よーしよしよしよし
こいつ甘え上手やな!よしよし痛ァ!
くっそ噛まれたわ
変な鳥に噛まれたの思い出したわ!
そういえばあいつは目からビームも撃ってきよったな
そう思えばこいつの方がマシ...あっ
天将に向けて砂かけしとる
つまり、天将はウザ...うわひっど
天将、電磁障壁(オーラ防御・マヒ攻撃)でウサちゃん吹き飛ばす事無いやろ
勝手に実体化して蹴っ飛ばしとるし、怖いわー
ポポやんおったんか、知能下がってる気がするけど気のせいか
ウサちゃんと一緒に草食ってる
体七色に光ってんな、ヤバいで
ワイはずらかンゴッフ(ポポちゃんに弾き飛ばされたサクラモフウサギが顔面に当たる)


榊・ポポ
御魂除霊事務所 ♥

あっ、御魂だ!家賃払え!
払わないとミニポポちゃん達がお前ヤキトリにすっぞ!
変な鳥呼ばわりしどい!
ポポちゃんかわいい!
ウサちゃんと同じくらいかわいい!
おやつタイムなの?
ポポちゃんも草食べる!
ミニポポちゃんも一緒に草食べる!
うまい、草、うまい
草、うま
草...
草うめぇ!!!!!
ついでにモフらせろ!
ポポちゃんもモフっていいぞ!
キャハハハハハ!
キャハハハハハ!!

ゲーミング状態になるとピンボールみたいに暴走飛行し、サクラモフウサギを弾き飛ばします
最後は適当な場所に頭からめり込んで終了



●除霊と草とゲーミングカカポちゃん
「あっ、御魂だ! 家賃払え!」
 おおっと開幕取り立てとは何事か!? とりあえず声の主が榊・ポポ(デキる事務員(鳥)・f29942)――しゃべるカカポであることだけは分かった! ごめんやっぱわかんない!!
「払わないとミニポポちゃん達がお前ヤキトリにすっぞ!」
 ヤキトリ……じゃあ、言われている側も、鳥……!?
 いや、ちょっと糸目なだけのイケメンお兄さんこと御魂・神治(除霊(物理)・f28925)だった! もうすっかりサクラモフウサギの顎あたりを撫でまくってる!
「どこぞの変な鳥と違うてかわいいヤツや、よーしよしよしよし」
『きゅっきゅ、うふふ』
「変な鳥呼ばわりしどい!!」
 そうですねえ、世の中には賢い動物という種族カテゴリがあるわけで、鳥さんがしゃべっても何らおかしくはないんですよね……え? ポポさんは高性能アニマロイド? ええ!?
 ばっさばっさと飛び回り、神治の興味を惹こうと頑張るポポを完全にスルーして、あからさまに己の可愛さをアピってくるうさぎ(あざとい)をもふり続ける。
「こいつ甘え上手やな! よしよし痛ァ!」
 お鼻をひくつかせて愛らしい仕草で誘ったと思ったら噛む! 何だこの畜生!
「くっそ、噛まれたわ……変な鳥に噛まれたの思い出したわ!」
 割とマジでろくでもない思い出しかないのでは? ちょっと不安になりますね……?
(「そういえばあいつは目からビームも撃ってきよったな」)
 目から……ビーム……ヤバいっすね……!?
「そう思えばこいつの方がマシ……あっ、天将に向けて砂かけしとる」
『……』
 神治の相棒たる人工式神「天将」が、うさぎの後ろ脚でカッカッと砂をかけられていた。うーんこれは割と傷つくヤツですね。
「つまり、天将はウザ……うわひっど」
『……』
 青と白の電子の式神が、みるみるうちにその力を放出して無礼千万なウサちゃんをぶっ飛ばした。月のない夜空に、白い塊がひとつ吸い込まれていく。
「天将、電磁障壁でウサちゃん吹き飛ばす事無いやろ……って」
 たしなめようとした神治が目撃したのは、実体化を果たして物理的に別のうさぎを蹴っ飛ばす怒れる天将さんの姿であった。うーんこれは怖い。

「ポポちゃんかわいい! ウサちゃんと同じくらいかわいい!」
『ほわあ、あなたもモフっぽい』
 こちらのうさぎはどうやらピュアな子らしく、無垢な瞳をポポに向けてそう言った。
『ここのくさはとってもおいしいの、いっしょにどう?』
「おやつタイムなの? ポポちゃんも草食べる!」
 もっもっ。
 もっもっもっ。
 もっもっもっもっ。

 うさぎとカカポが一心不乱に草を食んでいる様子は、こう……微笑ましいような、シュールなような……何て言えばいいんだ……!!
「うまい、草、うまい」
『おいしいねえ、おいしいねえ』
「草、うま」
『……あれ?』
 仲良く草を食んでいたピュアうさぎが、ポポの異変に気がついた。
「草……」
「ポポやんおったんか、知能下がってる気がするけど気のせいか」
 ここでようやくポポの存在に気付いた神治もまた、ポポの異変に気付く。
「ウサちゃんと一緒に草食ってる」
「草うめぇ!!!!!!」
「体七色に光ってんな、ヤバいで」
 どうしてそんなに冷静なんですか? いやとても良いことなんですが!
 ポポの身体は全身が七色に――約1680万色に輝いていた。これこそが必殺の【ゲーミングポポちゃん(ポポチャンパーリーナイ)】!

「ついでにモフらせろ! ポポちゃんもモフっていいぞ!!」
『ぴゃああ、うごきがはやすぎてモフれないよう』
「キャハハハハハ! キャハハハハハ!!」
 モフるモフらないの次元を超えて、まるでピンボールのように暴走飛行をぶちかますポポちゃんをもう誰も止められない! いやいや待って、神治さんなら――!?
「ワイはずらかンゴッフ」
 ダメだ――! ポポちゃんに弾き飛ばされたうさぎが顔面に当たってしまった!!
 ススキの野原は、今や阿鼻叫喚の地獄絵図。跳ね回るゲーミングポポちゃんの餌食となったうさぎたちが、次々と夜空へ消えていく。

 そして最後に――地面に頭からめり込んでようやく静止したポポちゃんが。
 最初は仲良く草を食べていたり、普通にもふもふしていただけなのに、どうして……!

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ザッフィーロ・アドラツィオーネ
宵f02925と


もふ兎だと…!?
なんと愛らしいのだ…と姿を隠す事も忘れ兎達の元へ
近づいては離れ、触れては離れを繰り返す腹黒い…否、小悪魔な兎に翻弄されつつふらふらと進むも
ススキに足を取られ転びかければ微かに表情を引き締めよう
…だがころりと転がるあざと腹黒い小悪魔に見つめられれば再び相好は崩れてしまう

宵も触ってみんか…と
宵?どうかしたのか?
振り返り声を投げるも、常と違う様子に気付けば宵の元へ

否…なんだ、宵に似て居ったゆえ翻弄されるのも好ましく思ってしまってな
拗ねる宵も愛おしいが顔を見れんのは寂しいからな
宵、此方を見てくれんか…?
宵と共に兎と戯れた後は【罪告げの黒霧】にて心を鬼にし倒そうと思う


逢坂・宵
ザッフィーロ(f06826)と


モフウサギ……
愛らしい、確かに可愛らしいですが……
モフウサギにめろっとなっているかれを見れば唇を尖らせて

……かれがもふもふ小動物大好きなのはわかっていますが
なんだか面白くありませんね……
そうしてかれがこちらに近づいてきたなら
僕はあそこまで小悪魔ではありません
あのような態度がお好みならそうしますけれど
そう言ってそっぽを向いてしまうかもしれません

モフウサギには負けないという自信はありますけれど……
むーんと唸りつつモフウサギをちらちら
せっかくですから一緒に遊びましょうか
それなら大丈夫だと思います
……たぶん

最後はちゃんとデコピンしてモフウサギとお別れしましょう



●この関係性めっちゃわかりみが深すぎて
『なあなあ、まだくるぜ』
『いままでのやつらがヌルかったんだよ、おれたちでうまくやろうぜ』

 ススキの野原を抜けた先で、見た目はとっても愛らしいサクラモフウサギの一群が身を寄せ合って何やらコソコソと話をしていた。多分、いやほぼ間違いなく悪い話だ。
 けれど、あくまでも見た目は可愛いものだから。
「もふ兎だと……!?」
 たとえばこう、ザッフィーロ・アドラツィオーネ(赦しの指輪・f06826)のように、なんと愛らしいのだ……などと呟きつつ、姿を隠すことも忘れて吸い寄せられてしまう者もいたって仕方がない。
 そして、そんな大切なひとの姿を見た逢坂・宵(天廻アストロラーベ・f02925)が『面白くない』と感じてしまうのもまた仕方がないことで。
「モフウサギ……愛らしい、確かに可愛らしいですが……」
 油断するなと言われていただろうに、とか。
 そんな簡単にめろっと骨抜きにされて、とか。
 色々複雑な思いがないまぜになって、宵は自然と唇を尖らせてしまうのだ。

 ザッフィーロときたらどうだろう、うさぎに近づいては離れ、触れては離れを繰り返している。彼なりの用心なのだが、徐々にうさぎたちに陣中深くへと招かれている。
 このままでは腹黒いうさぎたちの――。
「腹黒い……? 否、これは……小悪魔だ」
 アッハイわかりました、小悪魔です。小悪魔なうさぎに翻弄されているザッフィーロさんがおっしゃるのだからそれで行きます!
 足元ふらふらしてておぼつかないけど大丈夫かなあ、と各方面から心配をされていたまさにその時、ススキに足を取られて危うく転びかけるザッフィーロ。
 何とか体勢を整えるも、内心心臓はちょっとばくばく言っていたり。しかしそれはおくびにも出さず、微かに表情を引き締めると、改めて小悪魔たちの方を見た。

 ――ころり。ころりん。
「……っ!!」

 何ということか、事もあろうにうさぎたちはその無防備な腹を見せておもむろに転がったのだ! しかも、その姿勢のままザッフィーロを見つめてくる!
 うーんこれはデレデレしちゃいますね、仕方がない。ホント仕方がない。
 ザッフィーロとしては本当にうさぎが可愛くて仕方がなかったものだから、愛しい宵ともこの喜ばしい気持ちを共有したいと、ただその一心だったのだ。
 けれど、宵もまたザッフィーロと同じ感性を持ち合わせているかと言えば、当然ながらそうとは言えない。何なら――逆効果にさえなりかねない。
(「……かれがもふもふ小動物大好きなのはわかっていますが」)
 理解と納得は別物とは、よく言ったもので。
(「なんだか、面白くありませんね……」)
 ああ、宵さんの端正なお顔がふくれっ面に!
「宵も触ってみんか……と、宵? どうかしたのか?」
 ザッフィーロが振り返って宵に声を掛けるも、何だか様子がおかしい。
 流石に察していとしい人の元へと戻れば、ああこれはと事情を察する。
「否……なんだ、宵に似て居ったゆえ翻弄されるのも好ましく思ってしまってな」
「僕はあそこまで小悪魔ではありません」
 そっぽを向いてぷうと頬を膨らませるさまは、申し訳ないながらとても愛おしい。
「……あのような態度がお好みなら、そうしますけれど」
 当の宵からすれば、心が乱されて本当に冗談ではないのだけれど。
(「このまま顔を見れんのは、寂しいからな」)
 そっと頬に手を当てて、優しく問う。

「宵、此方を見てくれんか……?」
「……」

 意地を、張ってしまう。
 モフウサギには負けないという自信はあるけれども。
「むーーーん……」
 まだ、許してない。そう言わんばかりに、ザッフィーロの方は見ないで、代わりにモフウサギの方をちらちら。
 油断大敵な相手ではあるけれど、ふわっふわのボディを一度目の当たりにしてしまっては、『せっかくだから』という気持ちも湧き起こる。
「宵……?」
 そこへ、駄目押しのようないとしい人の声。
「分かりました、せっかくですから『一緒に』遊びましょうか」
「宵……!」
 不安げな呼び掛けの声が、一転して喜色を孕む。
 宵はあくまでもザッフィーロと共にうさぎと戯れることを望んだ。それならば、きっと大丈夫だろうと思ったから。たぶん。きっと。

『ふたりはなかよしなんだなあ』
『どっちがどっちなのさ』

 ――無粋な質問をぶつけた腹黒うさぎは、宵の音速デコピンでお仕置きされ。
 ――それに律儀に答えなくて良かったと思いつつ、ザッフィーロもまた黒霧でお別れをしたという。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

アカネ・リアーブル


もふ…!
もふですもふもふです!
草を食む兎の愛らしい仕草と口元の動き
ぴすぴす鼻をくゆらせながら目を細めて

も・う・も・ふ・っ・て・く・だ・さ・い・と!

寄ってきた兎を抱き上げて抱きしめて頬ずりすりすり
やわらかく愛らしくもふであったかくて
アカネが全部もふり尽くして差し上げます!
やわらかもふもふに包まれ埋もれてあぁ…

「…いい加減になさいませ」

現れた茜姫のツッコミに意識を取り戻し
冷酷な目に首を竦め
ですが茜姫
兎は餅なのです!
持ち上げびよーんと伸びる兎に茜姫の額に青筋が
もふに攻撃?お待ち下さいあと少…
茜姫と一緒に衝撃波で一掃

残るもふの感触に頬緩めばジト目が
これは敵の策に嵌って仕方なく

…良きもふでした(目逸し


セフィリカ・ランブレイ
兎種:おまかせ

毎日機械弄りに勤しむ私だけど
たまにはもふもふを感じたっていい

ということで兎タイムだよ、シェル姉!
『自分が可愛いの分かって武器にしてくる奴、私嫌いなんだけど』

えー、可愛いのは事実だよ!
手触りもふっかふか
あったかーい!

シェル姉も触ってみたら分かるよ
人モードのシェル姉にも兎をお裾分け

『いいわよ、要らないから』
しかし懐かれると悪い気分はしてないのであった

…さて。お名残惜しいが時間か
これ以上ここに止まっているわけにはいかない
【だってお姫様だもん】を使用
上に立つものは非情な決断を強いられることがある!
悠然とした心と礼儀作法から繰り出されるさよならパンチでお別れとしよう…

…あ、シェル姉寂しそう



●誰が何と言おうとこれは姉妹の絆です
 ススキの野原を越えた先、サクラモフウサギが跳ね回るヘブンがあるという。
 いや――ある! 今ここに! こうして! 顕現している!! まあここ逢魔が辻の中なんでどちらかと言えば地獄寄りなんですけどね~!!
 こまけぇこたぁいいのだ。今ここにはセフィリカ・ランブレイ(蒼剣姫・f00633)とアカネ・リアーブル(ひとりでふたりのアカネと茜・f05355)の二人が立っている。
 セフィリカとアカネも、当然もふ退治に来たはずなのだが――。

「毎日機械弄りに勤しむ私だけど、たまにはもふもふを感じたっていい」
 ここでセフィリカが言う『機械』とは、正確には魔導ゴーレムのことを指す。
 そして常に携えるのは『姉』と慕う魔剣「シェルファ」、確かにこれは普段の生活においてもふを感じる機会は少なかろう。
 その隣で今にも飛び出しそうな勢いでうずうずするアカネも、感極まった声を漏らす。
「もふ……! もふですもふもふです!!」
 呼んだ? と言わんばかりにつぶらな瞳をしたうさぎたちが顔を上げる。
 目が合って、思わず顔を覆うアカネ。開幕早々いきなり限界極まっている。大丈夫?
「ああ、草を食む兎の愛らしい仕草と口元の動き」
 そこに目をつけるとは、やはり天才か……!?
「ぴすぴす鼻をくゆらせながら目を細めて、アカネには分かります!」

 あれは、こう言っているのです!
 も・う・も・ふ・っ・て・く・だ・さ・い・と!

「あっ、兎の方から寄ってきた」
 まるでアカネの言葉が真実であることの証明かのごとく、うさぎたちがぴょんぴょんと二人の元へやってきたではないか。
「……ということで兎タイムだよ、シェル姉!」
『自分が可愛いの分かって武器にしてくる奴、私嫌いなんだけど』
 セフィリカが携えた魔剣を掲げて語り掛ければ、返されるのは物憂げな女性の声。
「えー、可愛いのは事実だよ! 手触りもふっかふか、あったかーい!」
『……』
 シェルファからの応えはない。こんなに可愛いのに……と残念そうに、セフィリカはされるがままのモフうさぎの毛並みを堪能していく。

 アカネもまた、別のうさぎを抱き上げて、ぎゅっと抱きしめると頬ずりすりすり。
 美少女がうさぎに頬を寄せるとか絵的に最高すぎません? 世界が救われますね?
(「やわらかくて愛らしく、もふであったかくて……」)
 少しだけ顔を上げれば、まだまだたくさんもさもさしているうさぎたちが目に入る。
「アカネが……アカネが全部、もふり尽くして差し上げます!」
 一匹だけで満たされる訳がない、そこにもふがいるならそのことごとくをもふり尽くす! その間、いつまでもやわらかもふもふに包まれて、あぁ……!

『……いい加減になさいませ』
「きゃん!」

 おおっとここで見るに見かねたアカネの別人格『茜姫』の乱入だ! 強烈なツッコミ!
 でもこのツッコミがなかったらアカネさん割とマジで意識トんでましたね!?
 冷酷なまでに冷ややかな茜姫の視線に肩を竦めるアカネ。でもまだ負けてない。
「ですが茜姫、兎は餅なのです!」
『何を言っているのですか』
「ほら、このように!」
『……』
 おもむろにうさぎを持ち上げ、文字通り餅のようにびよーんと伸ばせば、納得してくれるどころか茜姫の額に青筋を浮かべさせる結果になってしまう。
『そのまま伸ばしておいて下さいませ、せめてもの情けにひと思いで』
「それはまさか、もふに攻撃ということ……!? お待ち下さい、あと少……」
 ――茜姫の手が、すいと翳された。

「そうだ、シェル姉も触ってみたら分かるよ」
『いいわよ、要らないから』
「じゃあ何でもふもふできる人モードになってるの」
『……』
 金髪に赤い衣装が印象的なセフィリカとは対照的に、人のカタチを取ったシェルファは青髪に黒い衣装の大人びた女性の姿をしていた。
 本人としては『セフィリカが危なっかしくて見ていられない』的な理由なのだろうけれど、セフィリカからすれば『せっかくだから』という気持ちが勝るのも無理はない。
 はい! とおもむろにうさぎを一羽持ち上げて、姉に差し出す。
 うさぎもお鼻をひくつかせてシェルファに興味を示し、その腕の中へと行きたさそうな仕草を見せた。
「シェル姉?」
『要らないって、言ってるでしょ』
 ぷいと顔を背ける姿は、何となく悪い気分ではなさそうだった。

 ――どかーん。

 何やら衝撃波が炸裂するような音がしたのが合図だった。
 ひとしきりもふもふを堪能したセフィリカは、膝をはたいて立ち上がる。
「……さて。お名残惜しいが時間か」
 そう、これ以上ここに止まっているわけにはいかない。
 だって――【だってお姫様だもん(ランブレイ・スチールプリンセス)】!
 誇り高くあれ、気高くあれ、凜としたその姿を示せ!
「上に立つものは、非情な決断を強いられることがある!」
 繰り出されるは、悠然とした心と洗練された礼儀作法から繰り出される――さよならパンチ!
 月のない夜空に消えていくうさぎを見送りながら、チラリと姉の方を見たセフィリカは。
「……あ、シェル姉寂しそう」
『そんなことないわよ何言ってるの』

 先程響いた衝撃波は、茜姫の一撃によるものだった。
 うさぎたちの半数が吹っ飛んで、しかしまだもう半分残っていますわねという目でアカネに圧を掛けてくる。こわい。
「うう……良きもふでした」
 直視に耐えかね、目を逸らしたアカネと茜姫が今度こそ同時に放った衝撃波は、今度こそ周囲のうさぎたちを一掃せしめたのだった。

「良き……もふでした……」
 その手に残る確かなもふの感触に思わず頬を緩めたアカネを、茜姫のジト目が襲う!
「こ、これは! 敵の策に嵌まって仕方なく!!」
『……』
 いつか茜姫にも、もふの魅力が布教できるといいですね……!

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

榎・うさみっち

自分の可愛さを最大限武器にして
相手を惑わせようだなんて何て正しい…
いや悪い奴らなんだ!
このうさみっち様がよーく教え込んでやろう!
俺のほうが強く、そして可愛いということを!

まずは前もってスケブにお絵かきして…

やい、そこのうさぎども!
真ん丸お尻としっぽを見せつけながら
ちょっと振り返ってつぶらな瞳でこっちを見てきやがって
……くぅーっ可愛い…!!
そのお尻にもふりたいー!!
誘惑に負けてジャンピングもふっ
あ~~このままもふに包まれて寝たい~~

バシーン!!

…ハッ!?あ、危ねぇ危ねぇ
予め「ツッコみっち」をスケブに描いて
UCで生み出して待機させておいて正解だったぜ…!
気を取り直してうさみっちばずーか喰らえー!



●可愛いのを武器にして何が悪いの
 ススキの野原もなんのその、元より空を飛ぶ種族――フェアリーにとっては無問題。
 しかも身体がちっちゃいから、ほとんど気付かれる心配もないという。うわあ便利!
 という訳で榎・うさみっち(うさみっちゆたんぽは世界を救う・f01902)は、悠々とサクラモフウサギたちが跳ねる場所へとたどり着いた。
 仕掛ける前に敵を観察してみて、うさみっちは思う。
(「自分の可愛さを最大限武器にして、相手を惑わせようだなんて何て正しい……」)
 ん?
(「……いや、悪い奴らなんだ!」)
 気のせいか……。
 ここでおもむろに戦闘を仕掛けても良かったのだが、うさみっちにはある考えがあった。小脇に抱えていた「うさみっちスケブセット」を開いて、何やらサラサラと描き込む。
「……よし!」
 一度パタンとスケブを閉じると、ススキの野原にそっと隠して、うさみっちは今度こそうさぎたちの前に躍り出た。

「やい、そこのうさぎども!」
『うわあ、ピンクのたれみみうさぎだなんてあざとーい』
「やかましいわ! お前らこそ真ん丸お尻としっぽを見せつけながらちょっと振り返ってつぶらな瞳でこっちを見てきやがって! あざとさのフルコースじゃねえか!」
『そ……そんな、こと……(きゅーん)』
 うさみっちに盛大に分かりやすい説明台詞をぶつけられ、そんなことないもんと言わんばかりに身をよじる様子がますますあざとくて、これには思わずうさみも身悶える!
「……くぅーっ、可愛い……!!」
 ちくしょうさぎの名をほしいままにするうさみっち先生だって、何かを可愛いと思う心はちゃんと持っているのだ。
 これ見よがしにふりふりしてくる、そのお尻にもふりたい。もふりたーい!!

 ――その時、何者かがうさみっちに囁いた気がした。
 いいんだよ、もふっても――と。

 多分こういうのを『魔が差す』っていうんじゃないかなって思うんですけど、とにかくその天啓めいた声にうさみっちは素直に従った。
 身長18.3cmという超小型ボディは、誘惑に負けてうさぎのお尻にジャンピングもふっとした時、その全身をもふで包み込まれるという極上体験を味わうことができるのだ。
「あ~~~このままもふに包まれて寝たい~~~」
 何たることか、さながらこれは『人をダメにするソファに完全に埋もれた状態』!
 これではうさみっちが誘惑に屈したまま、いずれ本性をむき出しにするであろううさぎたちの毒牙にかかってしまう! ヤバい!

 ――バシーーーン!!!

「痛っ!? ……あ、危ねぇ危ねぇ」
『……あれれ? もふるのやめちゃうの?』
 うさぎのお尻に埋もれていたうさみっちが、何かに弾かれるようにして転がり落ちた。
 自らもピンクのしっぽを持つうさみっちが腰のあたりをさすりながら見上げた先には、先程ススキの間に隠したスケブから飛び出して来た『ツッコみっち』の姿があった。
「こんなこともあろうかと、予めこの『ツッコみっち』をスケブに描いて、ユベコで生み出して待機させておいて正解だったぜ……!」
 ひとしきりドヤ顔をキメたツッコみっちは、そのままうさみっちが構えた「うさみっちバズーカ」の中に弾丸として装填される。

「気を取り直していくぜ、うさみっちばずーか! 喰らえー!!」
『あーーーーーーーーーーーーーーん!!!』

 バズーカから勢いよく飛び出したツッコみっちは、勢いに乗って思い切り手にしたハリセンを振り抜いた。ちっちゃくても威力は抜群、うさぎは鳴き声を上げて吹っ飛んだ。

「いいもふもふだったぜ……強くて可愛いのは俺のほうだけどな……」
 あざというさぎ対決、勝者はうさみっちさんでした!

成功 🔵​🔵​🔴​

ゴッド・ゴッダー
神の手を離れ、誤った進化を遂げた種も居る様じゃな
嘆かわしい、実に嘆かわしい事よ
万物の父として灸を据えてやらねばなるまいて!
まずは軽ぅ~く挨拶じゃ!
その際数匹のウサギには、あえて即死しない程度の手加減を加える!
さあ、草を食って、得意のオーラとやらを放つが良いぞ!
ワシの挨拶で辺りは焼野原、草一本残っとりゃせんがな!
ガハハ!ちと挨拶が丁寧になり過ぎてしまったかのォ!
その詫びと言ってはナンじゃが、望み通りその背中を撫でてやろう!
星をも砕く、この神の張り手でな!



●本当はラストに描写したかったラグナロク案件
「神の手を離れ、誤った進化を遂げた種も居る様じゃな」
 まるで神話の神々のような外見をしたゴッド・ゴッダー(ゴッデスト・f20871)は、見た目だけではない、割とマジモンの神様だった。しかも全知全能。ヤバいぞひれ伏せ。
 でも、サクラモフウサギは全然分かっていない様子で草を食んでいた。
「嘆かわしい、実に嘆かわしい事よ」
 端的に言えば、草食ってないで神の有難い言葉を聞けいということである。
「万物の父として、灸を据えてやらねばなるまいて! まずは軽ぅ~く『挨拶』じゃ!」
『きゅ……』

 ――うさぎたちは、見た。
 ゴッド様が、人差し指と中指とを揃えて、下から上にクンと突き上げたのを。
 その直後、轟音と共に大爆発が全方位に襲いかかり、ススキの野原を根こそぎ焼き払ってしまったのを。
 己の身に何が起こったのかも分からず消滅していくうさぎたち。
 そんな中で、僅かに生き残った――いや、『生かされた』うさぎたち。

(「数匹のウサギには、あえて即死しない程度の手加減を加える!」)
 でも、一体何故そんなことを……!?
『きゅ、きゅっ……』
 打ち震えるうさぎたちに、ゴッド様は鷹揚に言い放ちます。
「さあ、草を食って、得意のオーラとやらを放つが良いぞ!」
『……でも、草が』
「ガハハ! ちと挨拶が丁寧になり過ぎてしまったかのォ!」
 ――ワシの挨拶で辺りは一面焼野原、草一本残っとりゃせんがな!

 ゴッド様は寛容にして心優しき、全知全能の神。
「その詫びと言ってはナンじゃが、望み通りその背中を撫でてやろう!」
『あ、ああ……』
 うさぎの声が震えていたのは歓喜のためか、畏怖のためか、それとも。
「星をも砕く、この神の張り手でな!!」

 ※この後にも数名様猟兵さんの出番がありますので、森羅万象を司るゴッド様のお力でススキの野原とサクラモフウサギの群れは原状回復しておいて頂きました!

成功 🔵​🔵​🔴​

ケルスティン・フレデリクション
わぁ、よるだけのはらになるのね、すごーい!
…んん、うさぎさん!かわいい…
でも、てき…?むぅ。
ちょっとだけ…ちょっとだけもふもふ、してもいい…?

おはなをつんってしたらだめってきいたから…そっとせなかをなでなで。
あ、うさぎのごはん、もってきたよ!にんじんー
うさぎさんうさぎさん、いっぱいたべてね!

敵だっていうこと忘れていっぱいもふもふ!
…はっ、たおさなきゃ、いけない…?
んとね、えいって【ひかりのねむり】ですやすやしてもらったあとに、氷の【属性攻撃】で凍らせるね。
いたくないように…するよ。

どのうさぎさんもふもふするかも、みんなおまかせ!



●ふわふわ、もふもふ
 見た目も中身もとっても愛らしいケルスティン・フレデリクション(始まりノオト・f23272)の姿は、ススキの野原にすっぽりと隠れてしまうよう。
 真赭色――ますほいろ、なんて言うらしいけれど、黄金色という方が分かりやすい。
 金とも銀ともつかない不思議な色合いの穂ばかりが視界を埋めてしまうものだから、ケルスティンがふと空を見上げれば、広がるのは月のない黒い黒い夜空ばかりで。
「わぁ、よるだけのはらになるのね、すごーい!」
 それでもケルスティンは、明けぬ宵闇を恐れることはなく。
 それはきっと、少女の裡にこそ『ひかり』が確かにあるからなのだろう。
 たとえススキに包まれてしまっても、夜の闇に覆われてしまっても、ケルスティンは臆することなく前へ前へと進んでいく。己を灯火に変えるかのごとく、まっすぐに。

「……ん、うさぎさん! かわいい……」

 そうして一気に開けた場所に出れば、白くて背中に桜模様が入ったサクラモフウサギが数羽固まってもこもこと動き回っていた。
『わ、こんどはふつうにあそんでくれそうなひとだよ!』
『よかったねえ、なんかひどいめにあったトモダチもいるからねえ』
 うさぎたちはケルスティンの姿に気付くと、絶妙に聞こえるか聞こえないかの声でちょっとかわいそうっぽい会話をする。
(「ひどいめに……でも、てき……? だから? むぅ」)
 きっと、外見に惑わされない仲間たちが容赦なく戦ったのだろう。
 ケルスティンはううん、と考え込む。
 それはさておき、自分はどうしたいのかを大切にしたくって。

 うさぎたちを、見る。
 それはとても、愛らしい。
 たまらなく――もふもふしたい。

「……ちょっとだけ」
 ぽそりと、ケルスティンはうさぎに向けて呟いた。
『なあに?』
「ちょっとだけ……ちょっとだけもふもふ、してもいい……?」
 問答無用でその手を伸ばしてもふもふしても良かったのかも知れないけれど、やはりきちんと許可を取らないと。
 それに、ほんのちょっぴりの罪悪感を許して欲しい気もして。
 油断するなとは言われたけれど、やっぱりちょっとだけでも、もふもふしたい!
『しょうがないなあ~、せなかがいいな? おはなはにがてなんだ』
「うんっ! あ、うさぎのごはん、もってきたよ!」
 何かもったいぶって身体をよじるこのうさぎからは、何となくあざとい気配がする。
 それはさておき許可が下りたケルスティンは、ぱああと顔を輝かせて桜模様が入った背中を優しく撫でながら、持参したスティック状にカットされた人参を差し出した。
『わああ~、うれしいなあ』
『ぼくもほしいなあ、なでていいから、ね? ね?』
 気がつけば、ケルスティンの周りはうさぎでいっぱい!
 思わずうれしくなったケシィさん、次々と人参を差し出していきます。

「うさぎさんうさぎさん、いっぱいたべてね!」

 あああ、敵だということも忘れてもふもふし放題です!
 結構な量を持ち込んだと思ったはずの人参も、気付けば完売御礼。
 味を占めたうさぎたちは、ケルスティンの膝の上に手をかけて背伸びしてまでお代わりの催促を始める始末で――そこで初めて、乙女はハッと我に返った。
(「……はっ、たおさなきゃ、いけない……?」)
 ハイ、最後はやっつけて頂ければと思います。
「んとね……じゃあ」
 ふわふわのお洋服を、ひらひらと翻して立ち上がるケルスティン。
 くるくると回れば、勿忘草のはなびらが舞い踊ってうさぎたちを包み込む。

『ううん……おなかがいっぱいになったから、ねむくなってきたぁ』
 そういうことにしておいた方が、きっと幸せなのだろう。
 こてんこてんと転がったうさぎたちは、すっかりすやすや夢の中。
「いたくないように……するよ」
 静かに、静かにうさぎたちを包み込んでいくのは、氷の塊。
 まるでつめたい棺のように、最期は穏やかに包んで送り出す。

「……おやすみなさい、いいもふだった、の」
 心地良い手触りをありがとう、と。ケルスティンはそっと両手を組んだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​

月影・このは
性格:おまかせ

なるほどウサギですか、良いですよね。肉は鶏肉に似て美味しく、
高タンパク、低脂肪とダイエットや筋肉を鍛えるのに最適、毛皮も使える…
足の方は幸運のお守りになるとか…
ということでウサギ狩りです(腕のソーを高速回転させ)


ススキの中で寝転び、腕と足を大の字に…
トランスフォーム!!

ソーの生えたホイールを回転…ウサギを轢いて攻撃を【重量攻撃・吹き飛ばし】
もし回避されたらブラストブーツを点火【衝撃波】
勢いで瞬時に方向転換し追いかけます

もし遠い距離なら目のレーザー照射器で【レーザー射撃】


誘惑を(物理的に)撥ねのけ
(そのまま)鋼の精神で勝利です



●プレイングの温度差で風邪を引きそうです
「なるほどウサギですか、良いですよね」
 おっ、月影・このは(自分をウォーマシーンと思いこんでいる一般ヤドリガミ・f19303)くんじゃないですか! 食事は電気だと伺ってましたが、一応普通のお食事も摂取できるんですね!
「はい、高タンパク低脂肪とダイエットや筋肉を鍛えるのに最適。毛皮も使える……」
 ん? 何かまたソッチ方面のお話に寄ってきたぞ?
「足の方は幸運のお守りになるとか……」
 ああ、現代ではフェイクファーが代用になってるアレですか!
 このくん物知りだなあ……それで、まさかとは思うんですが……?

「ということで、ウサギ狩りです」
 キュイイィィィィィン!!! 笑顔で宣言すると同時に激しく回転する腕のソー!
『みんなにげろ!! あいつにはおれたちのみりきがつうじない!!』
 今までのパターンから誘惑や交渉の余地は残されていないと即座に判断したうさぎたちが、慌てて逃げ出そうとする。
 だが、そうは行くかとこのはが突然ススキの中で寝転ぶと――腕と足を大の字にして。
「トランスフォーーーム!!」
 チェインジ! ビークルモード!! うわあ君変形できたの!? マジかよ!!
 文字通り四輪で爆走するスタイルになったこのはを動かす車輪は、凶悪なるギザギザの刃。ソーの生えたホイールを目一杯回転させてギャギャギャと突っ走り、そのまま容赦なくうさぎたちを轢いていく。文字で書くのは簡単なんですが割と残酷物語ですね!
『ひいひい、こんなんでしんでたまるか!』
 腹黒うさぎちゃんの野望は果てしない。いや逢魔が辻に巣くう影朧なのだからみんな根っこは悪者なんですが、どうしてもモフが先立って……ほら……。

「逃がしません!!」
 このはの凜々しい声と共に、靴底に仕込まれた炸裂火薬が火を噴いた。
 その勢いで瞬時に方向転換をして、逃げるうさぎをどこまでも追いかける!
『ああああああ!!!??』
 ビークルモードは素人目に見ても絶対小回りが利かないのが弱点だろうと思っていたら、爆発の勢いで強引に方向転換するという形でそれを克服してくるなんて。
 これはもう射程範囲外に逃げ切るしかない――死に物狂いで走るうさぎの後ろ脚を、チュンっと熱い何かが掠めた。
『いたっ……!?』
 バランスを崩して転がってしまううさぎは、状況を把握するのにやや時間を要した。

 ――このはが、目線をこちらに向けていた。

 脚が、熱い。何をされたのか、遂に理解する時が来た。
 このはの黒い瞳がキランと輝いて、直後、眼球がレーザー照射器となって精密射撃をしてきたのだ!
 うさぎは、どこまで意識があっただろうか。
 このはは、なるべく苦しませずにと狙ったから。
 ススキの野原を文字通り蹂躙するこのはの姿は、今こそまさに『月影重工製対ヴィラン用量産型戦闘ロボ518号』であった。可愛い顔してやることえげつねえなあ!

「誘惑を(物理的に)撥ねのけ、(そのまま)鋼の精神で勝利です」

 えっへん。勝ちゃあいいんですよ勝ちゃあ! ええ!

成功 🔵​🔵​🔴​

御桜・八重
◆ピュアな子

「いくら可愛いって言っても、そうそう騙されないよー」
と笑って出発したまではよかったけれど。
叢の中からゆらりと現れたのは、額に星の一羽のウサギ。
「う、ウサ太郎っ!?」
それは、ふわもこ毛並みに熱きハートを宿すナイスガイ。
『魔法巫女少女シズちゃん』の相棒として、
大人気のマスコットがなぜこんなところに…?
(他人の空似)

瞳をクリクリっ。(お嬢さん、こんなところに何の用だ)
鼻をふんふん。(そんな奴は知らんが…ほう、猟兵か)
んー、と首傾げ。(いいぜ、かかってきな)

「うーさーたーろーぉーっ!」
マッハ抱きゅから音速のモフモフ。
反撃を許さず背後から抱きすくめ、
そのままゴロゴロンとタッチダウン!(ぷち)



●設定がまたひとつ生えちゃった
「いくら可愛いって言っても、そうそう騙されないよー」
 そう言って、笑って出発した御桜・八重(桜巫女・f23090)。
 決して慢心していたとかそういうのではなかった。ただ、八重だってこれまで多くの経験を積んできた立派な超弩級戦力だ。そうそう敵の奸計に陥るだなんていう油断はしないという強い意思からそう告げただけだったのだ。

 まさか。
 ススキの野原を抜けた先、反対側の藪からゆらりと現れた一羽のうさぎが。
『……(おや)』
「……っ!!」
 その白い額に熱き星を宿して、八重を一瞥するだなんて。
 オイオイオイオイ聞いてないぞコレ、サクラモフウサギは背中に桜模様こそあれど、星模様までついてるなんて――明らかに特別な個体やんけ!
 八重さんも八重さんです、両手を口元に当てて明らかな動揺のポーズとかどうしたんですか!?
「う……ウサ太郎っ!?」
 待って!? 知り合い!?
 こくりとひとつ頷いて、八重さんは超絶シリアス顔でウサ太郎と対峙します。
「……それは、ふわもこ毛並みに熱きハートを宿すナイスガイ。『魔法巫女少女シズちゃん』の相棒として、大人気のマスコットが……なぜこんなところに……!?」
 えええええ!? そうなの!? じゃあ今のウサ太郎は闇堕ちしてるも同然なのでは!?
 どうしよう、これはあまりにも想定外の出来事すぎて目がぐるぐるする。
 一方で八重は迫真の演技でそれっぽいことを言いながら、内心でペロリと舌を出していたのだ。
(「なんて、逢魔が辻にウサ太郎がいるわけないし、他人の空似なんだけどね」)
 ひどい! 割とマジで信じたのに!!

 瞳をクリクリッ。
『……(お嬢さん、こんなところに何の用だ)』
 鼻をふんふん。
『……(そんな奴は知らんが……ほう、猟兵か)』
 んー、と首を傾げるさまはめちゃくちゃ愛らしいけれど、どこかカッコいい。
『……(いいぜ、かかってきな)』

 何やかやで『ウサ太郎』と呼ばれた個体もノリが良いのか、本当にシズちゃんの相棒を務めるナイスガイうさぎのように振る舞って、一度後ろ脚を蹴る仕草をしてみせた。
「うーーーさーーーたーーーろーーーぉーーーっ!!!」
 ああっ! ソロ発動でもあたまおかしい爆速の【桜彗星】がウサ太郎(仮)を襲う!
 桜色のオーラが彗星の如く尾を曳いて、八重はマッハ抱きゅで瞬時にウサ太郎(仮)を懐に抱き込むと、目にも留まらぬ音速のモフモフで攻める! おおっとこれは速い!
『……(このっ)』
 ウサ太郎だってやられてばかりではいられな……ああっ!? 反撃を許さぬ背後からの抱きすくめだー!! これはもう完全に八重さんのペース!!
「いっくよー! これがわたしの! 全! 力! だああああ!!!」
 何かもうこれ別の必殺技が炸裂しそうですねという勢いで、そのままゴロンゴロンとウサ太郎をタッチダウン!(ぷち)

 ……今『ぷち』って言った???
「正義は! 勝つっ!(ぶいぶい)」
 待って? 本当にこれ放送して大丈夫です??

成功 🔵​🔵​🔴​

ジャック・スペード


嗚呼…俺は
うさぎが好きなんだ

威圧感の有る此の身だ
自分からは中々、小動物に近寄れないので
向こうから来てくれるのはウレシイ
…既に懐柔されそうだ

彼等は影朧なので気遣いなど無用だが
小さい生き物に触る時は矢張り
壊さないようにと指が震える

膝に乗せても良いだろうか
そしてそのまま、撫でても構わないか
ああ、ずっと斯うして見たかったんだ
うさぎ、カワイイな…
戯れる姿をサイバーアイに焼き付けて

叶うことならずっと撫でて居たい
何なら塒に連れ帰ってペットにしたいが
俺は既に暴食竜や鷲獅子を持て余している
そもそも影朧は飼えないか

名残惜しいがトリガーを発動し理性を棄てる
ああ、銃の引鉄が何故か重い
暫くは正気に返りたくないな…



●スタイリッシュウォーマシン・ショウタイム
「嗚呼……俺は」
 黒鉄の身体を可能な限り地に近づけるよう膝を突き、ジャック・スペード(J♠️・f16475)は囁くようにこう言った。
「うさぎが、好きなんだ」
 それは、誰だって抱いていい感情。
 愛らしい小動物を可愛がりたいという気持ちに、誰だって嘘は吐けない。

『うわあ、カッコいいおにいさんがきたよ!』
『こんなにおっきいなら、みんなでのれるね』
(「……嗚呼」)
 ジャックは思わず天を仰ぐ。月のない空を見上げる。
 自身でも自覚がある、威圧感の有る此の身。
 怖がらせてはいけないからと、自分からは中々、小動物には近寄れないでいたけれど。
 キャッキャと向こうから来てくれるのは――ぶっちゃけた話、ウレシイ。
 明らかに自分が可愛いと理解した上での行動だと丸わかりなあざというさぎたちが相手でも、ジャックは既に懐柔されてしまいそう。

 屈んでいるとはいえども、膝の位置は高いから、うさぎは前脚をかけてジャックの顔を見上げるばかり。うーんこの……計算されつくしたあざと可愛いポーズ……!
 膝の上に持ち上げてやる程度なら、致命的にはなるまいと。
 それに、相手は影朧。そもそも気遣いなど不要であろうと。
 ――けれど。
 小さい生き物に触る時は、矢張り『壊さないように』と、鋼の指先が微かに震えるのだ。

「――膝に、乗せても良いだろうか」
 ジャックさんは超絶紳士なので、きちんと許可を取る。このイケメンウォーマシンめ!
『うん、はやくのせてー』
 うさぎが耳を一度震わせて、前脚をたしたしした。
「そしてそのまま、撫でても構わないか」
 問う音声が、やや小さくなった気がした。その機能があれば、震えていたかも知れない。
『いいよ! いいよ!』
 遂にジャックはそれこそ壊れ物を扱うような繊細さでうさぎの腹に指を差し入れ、もう片方の指でお尻を支えて、そうっと、そうっと膝の上に移動させてやった。
 もう一羽も乗せて欲しそうにやって来たから、同じように乗せてやると、顔を突き合せて鼻をひくつかせて、やがて頭をごっつんこして遊び始めたではないか。

(「……嗚呼」)

 ジャックさんが感極まって、かなり限界を迎えようとしている気がするんですが大丈夫でしょうか! 回路焼き切れたりとかしませんか!?

(「ずっと、斯うして見たかったんだ」)

 宿願が……叶っちゃったんですね……。
 そら感極まりますわ、しょうがない。
「うさぎ、カワイイな……」
 じいっと戯れるうさぎたちを見つめるジャックさんに備わったサイバーアイは、思い出をほぼ永遠に記録してくれる素晴らしい機能が備わっているので、文字通り『目に焼き付ける』と言えば『データの保存が完了した』も同義なのです。うーん便利。

 うさぎたちの背を優しく撫でながら、ジャックは思う。
(「叶うことなら、ずっと撫でて居たい。何なら塒に連れ帰ってペットにしたいが」)
 ジャックさん……それは……。
(「俺は既に暴食竜や鷲獅子を持て余している」)
 ジャックさん!? おうちどうなってるんですか!?
 はは、と嗤う声は、自嘲か諦念か。
「そもそも、影朧は飼えないか」
 いや、ちょっと、今度家庭訪問した方がいいです!?

「……名残惜しいが」
 トリガーは二つ。ひとつは言葉、ひとつは引鉄。
 ごり、と影朧に当てられた銃の銘に込められた意味は『機械仕掛けの神』。
 物語を結末に導く、超次の存在。すなわち――もふの終焉である。
(「ああ、銃の引鉄が」)
 ひとつ、ひとつ、終わりに近づくために引かれるそれは――。
(「何故か、重い」)

 ――暫くは、正気に返りたくないな……。

 ぼんやりと思いながら、ジャックは逃げ惑うサクラモフウサギたちを、最終武装モードに身を転じたが故に、反射的に次々と――いや、このお話は、ここでお終い。。

成功 🔵​🔵​🔴​




第2章 集団戦 『にゃんこフィルハーモニー』

POW   :    拝聴者のエチケット
非戦闘行為に没頭している間、自身の【演奏】が【終わるまで邪魔してはいけない空気に覆われ】、外部からの攻撃を遮断し、生命維持も不要になる。
SPD   :    アンコール
【自身の演奏】を披露した指定の全対象に【演奏を聴き続けていたいという】感情を与える。対象の心を強く震わせる程、効果時間は伸びる。
WIZ   :    華の大舞台
【自身の演奏をより多くの人に聴いて貰いたい】という願いを【演奏を聴いたすべての人(種族を問わない)】に呼びかけ、「賛同人数÷願いの荒唐無稽さ」の度合いに応じた範囲で実現する。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●どうしてネコチャンが交響楽団を結成しちゃったんですか?
 説明しよう! 第二の刺客こと『にゃんこフィルハーモニー』とは、にゃんこ楽団員で構成されるにゃんこ達のオーケストラなのだ!
『いつか幻朧桜舞う、あの華の大舞台に皆で立つその日まで……!』
 夢は大きく、いくらでも音を出しても誰にも怒られないこの逢魔が辻の中で、日夜猛練習を繰り広げるにゃんこ楽団員たち。
 けれど――?

『ストップ、ストップ! 今のところ、もう一度やり直しニャン!』
『ニャンで!? ちゃんと吹けてたのに!』
『いや、お前割と音程外してたからやり直しニャン』
『フギャーーー!!!』

 ホルンのネコチャンが指揮者のネコチャンにズビシと指揮棒で注意されればすかさず口答え、けれど他の楽団員ネコチャンから追撃されて思わず威嚇する始末。
 そも、猫という動物はあんまり協調性というものがない。
 正確には、同じ目的に向かって一致団結するとか、そういうのが苦手な傾向にある。
 逆に、互いの距離感を適度に保つバランス感覚には長けていたりする。
 なので、ネコチャンが楽団を組んで最高のチームを作ろう! というのは、前提からして……その、ちょっと言いづらいんですが、難しいんじゃないかなって……?

『そんなの、やってみなければわからニャイ!』
 アッハイ! すみません!!
『だいたい、サクラモフウサギたちときたら何だ、だらしない。あっさり蹴散らされて』
 いや……うさぎさんたちも食べられたり世界を一度ほぼ滅亡させられたり、色々大変だったんですが……。
『生まれ持った可愛さだけでは生き残れない! 磨き上げた己のテクニック――そう、我々の最高の演奏でもって! 超弩級戦力たちを全員観衆にしてやるのだー!』
『『『ニャーーーーー』』』
 指揮者ニャンが振り上げた指揮棒に、楽団員たちもお手々を上げる。
 気合いだけは十分だけれど、付け入る隙もまた探せばボロボロ出てくる。

 ひとつ、楽団員は結構分かりやすく音程を外す。曲の後半に行けば行くほど顕著に。
 ひとつ、指揮者と楽団員の仲はまあまあ悪くないが、突けば悪化する程度に危うい。
 ひとつ、指揮者と楽団員との仲が険悪になれば基本的にオケは成り立たない。

 そして、指揮者ネコチャンの正体は。
 かつて非業の死を遂げた音楽家が、何故かにゃんこの姿をした影朧になって蘇ったものだとまことしやかに囁かれている。
 にゃんこたちをまとめ上げ大舞台を目指すのには、相応の理由があるということだ。
 けれどもそれとこれとは別の話。猟兵たちが次に成すべきことは、愛らしさだけでなく音楽という武器まで手にして挑んでくる影朧たちをやっつけること。
 サクラモフウサギの二の舞を演じることのないようにと張り切るにゃんこたちに、超弩級戦力の力というものを分からせてやって欲しい。健闘を祈る!
満月・双葉
猫のオーケストラ…ふむ
実現したならば見応えのある
モフり倒したいところですが、その気合良し
ならば聞かせて見るが宜しかろう…

……音下手くそ…
(召喚というより憤怒のあまり勝手に出てきた姉にビビり)
何ですかおねーちゃん
え、僕に言われたくない…?
何故…!(音痴)

さてご紹介しましょう
此方の女性はとってもフルートが上手だが
(怖いと言いかけてボコボコにされる)
……ヤサシイオンガクノセンセイデスヨ
この人に教えて貰ってね…
ご褒美に大根…えっ要らない?
…まぁ、大根の出る幕は無さそうですね…
(姉に対処を任せつつ
引きつるアホ毛)
え、待って何おねーちゃん
僕の音痴も治す…?
要らない…大丈夫だから…!



●音痴治すべし、慈悲はない
「猫のオーケストラ……ふむ」
 ぞろぞろとやって来た次なる刺客こと『にゃんこフィルハーモニー』が定位置につくのを見届けた満月・双葉は、さてお手並み拝見とばかりに自身も観客席だと指揮者ネコチャンに示された位置まで下がった。
「実現したならば、さぞや見応えのあるものになるでしょう」
 聞けば、現時点では未完成――まだまだ華の大舞台に上がるには早いとのこと。
(「モフり倒したいところですが、その気合や良し」)
 演奏とか知るか! と突撃してモフってしまうことも出来たのだが、双葉は敢えて蛮行には走らず奏者のもてなしを受けることを選んだ。
「ならば、聞かせてみるが宜しかろう……!」
『言われなくとも! ものすごく聴いて欲しいから張り切って行くニャン!』
 指揮者ニャンが指揮棒を振り上げると、ザッと楽団員が各々の楽器を構える。
 そうして、交響楽団の演奏が始まった――!

『~~♪ ~~~♪』
「……」
 振られる指揮棒が……もしかして辺り一面が薄暗いものだからあんまり見えていないのでは……?
 そんな疑惑が持たれる程度には、音楽にあまり詳しくないものが聴いても違和感を覚える旋律が続く。
「……音、下手くそ……わっ!?」
 ボソッと、遂に双葉が嘘偽らざる感想を呟いてしまったところで、頼もしい『おねーちゃん』がフルートをギリギリと握りしめながら召喚どころか勝手に出てきたものだから、双葉は思わず驚きの声を上げてしまう。
「な、何ですかおねーちゃん」
 ちょっと心臓がドキドキ言っているが落ち着いていきましょう、相手は味方です。
 フルートを折れんばかりに握る手はそのままに、姉が妹にそっと伝えた意思は――?
「え、『僕に言われたくない』……? 何故……!」
 お姉ちゃんが音楽が得意だからって、妹さんまで同じかと言えば、そうでもないのだ。

『ニャンだニャンだ、どうしたね! まだ演奏の途中だニャン!』
 指揮者ニャンが演奏の途中に騒ぎ出した観客を咎めるのも無理はない。だから双葉は正直に事情を説明することにした。
「さて、ご紹介しましょう。此方の女性はとってもフルートが上手だが」
『だが?』
「怖ぶべっっっ」
 命知らずにも『怖い』と直球で紹介しようとして、それを許さぬ姉の手でボッコボコにされたのだ。うーんこれは間違いなく怖いおねーちゃん。
『……あニョ』
「……ヤサシイオンガクノセンセイデスヨ」
 超絶棒読みの絞り出すような声で、双葉さんはお姉さんをようやく紹介しきりました。
「この人に教えて貰ってね……」
 腕は確かだから、と肩で息をしながら双葉が言えば、登場時の憤怒こそ収まったもののいまだにゃんこフィルハーモニーのオケとしての未熟さにはお怒りのご様子。
 常に微笑みを絶やさないお姉さんは、けれども目が笑っていないので割かし怖い。
 その辺りが地味にネコチャンたちにも伝わったのか、特にフルートの面々が震え出す。
 すい、と。お姉さんがフルートを口元に添えた。
 遂に、直々の指導が始まるのかと思われたその時!

『ニ゛ャ゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛!!!??』

 ネコチャン達の毛が逆立った。このフルートの音色、綺麗なんだけど何かヤバい!!
 え!? 聴くことにより狂気を与える音色!? ダメなヤツだ! 時代がまだ追いつけない!!
 のたうち回るネコチャンたちに、双葉は片耳を塞ぎながら大根をスッと差し出す。
「ご褒美に大根……えっ要らない?」
『止めさせるニャン! そうしたらその大根は君が食べていいニャン!!』
「……まぁ、大根の出る幕は無さそうですね……」
 取り引きまで持ち掛けられる有様に、差し出した大根を引っ込める双葉。
 後はお姉ちゃんに任せておけばいいかと思った時、何かを察知したかのごとくアホ毛がピンと引きつった。

「……え、待って、何、おねーちゃん……?」
 各々楽器を抱きしめるように震える楽団員たちを背中に、今お姉さんが向き合うのは双葉さん。このシチュエーションは一体何を意味するのか!?
「僕の音痴も治す……!?」
 にっこり。
 笑顔だけ見れば天使のようなのに、どうして。
「要らない……!! 大丈夫だから……!!」
『やってもらえー』
『教えてもらうニャン』
 震えながら楽団員たちが煽ってくるのは、お前も道連れだということなのだろう。
 あわわわと後ずさる双葉さんを、お姉さんがじりじりと追い詰める姿は、誰が何と戦ってるのかなあという感じがして中々にカオスだったそうな。

成功 🔵​🔵​🔴​

栗花落・澪
【犬兎】

かわっ…(尊死
無理です夏輝くん〜衝動には抗えないぃ〜(よわよわ

夏輝君に縋り付きつつも
演奏タイムが始まったら【聞き耳】で集中

んー…君、ちょっとおいで

胡座で腰掛け足の間に猫を座らせると
気持ちいいところをもふ…マッサージしつつ

ちょっと手の動きが硬いね
次の音に追いついてない
もっとリラックスして

そっちの君は高音もっと思い切って
指揮者さんもちゃんとメンタルケアを…

じゃあはい! 僕の歌に合わせて!
大事なのは音の重なりを楽しむこと!

【指定UC】の【歌唱】と【誘惑】で引き付けつつ優雅に【ダンス】
音を誘いながら
夏輝君のバズーカに【破魔】を宿した光魔法の【属性攻撃】装填を手伝い

最後に良い演奏は出来た?


小林・夏輝
【犬兎】
はいはい、お持ち帰りはダメだぞー
あとズボン引っ張らないで脱げる、澪きゅん俺脱げちゃう
(両手で抑え/身長差の弊害

もふりたい衝動でよわよわモードな澪を宥めつつ
とりあえず、折角だし一曲聞かせてよ
猫の楽団、俺もちょい気になるし

音楽やってる澪と違って俺は詳しくねぇけど
うん、まぁ下手だな(ド直球
可愛いんだけどにゃー
澪は?

あ、俺にも撫でさして

あーあーすぐ喧嘩してもー
誰が悪いとか言ってないだろー?

澪が楽しそうに歌って踊ってしてる間に
★カラクリバットをロケランに変形
弾は元々火薬強化した精霊の魔力だから
今回は澪作の光の弾丸を使って【指定UC】を

破魔なら痛みも無いだろ
曲のお礼に痛みゼロ。感謝しろよー?



●つゆりん先生の熱血指導のお時間です
 次なる観客こと栗花落・澪と小林・夏輝は、にゃんこたちと対面するなり奇行に走り出した。なっちゃんの名誉のために正確に申しますと、つゆりんが奇行に走りました。
「かわっ……」
 よわよわとその場に頽れながら、澪は夏輝の腰元にすがりついた。
 当然、引っ張られたズボンは下へとずり落ちようとするので、夏輝は必死に押さえる。
「はいはい、お持ち帰りはダメだぞー。あとズボン引っ張らないで脱げる」
「無理です夏輝くぅん~~~衝動には抗えないぃ~~~」
 ふええと泣き顔で訴える澪の方が、にゃんこたちよりもずっと、こう、ちょっとここでは言えないような衝動を突き動かしてくる感じがするのだけれど。
「澪きゅん、俺脱げちゃう。社会的に死んじゃう」
 半ば必死にズボンを引っ張り上げて、夏輝は冗談めかしてそう言うことで色々なことを曖昧に誤魔化していく。そういうのは――得意だ。
『……そろそろ、演奏初めていいかニャン?』
 コンマスと思われるヴァイオリン持ちのネコチャンが弓を上げて問えば、アッハイどうぞどうぞとくんずほぐれつの姿勢のまま澪と夏輝がこくこくと頷く。
「とりあえず、折角だし一曲聞かせてよ」
 猫の楽団だなんて、そうそうお目にかかれるものではないから。夏輝は純粋な興味からそう声をかけた。
 では、とコンマスがヴァイオリンを構えるのを合図に、楽団員が準備を整え、指揮者にゃんこが指揮棒を振った。

『~~♪ ~~~♪』
「……」
「……」

 ふんにゃりしていた様子から一転、真剣に聞き耳を立てる澪。
 そんな横顔を、感心しながら眺める夏輝。
(「音楽やってる澪と違って俺は詳しくねぇけど」)
 一言で言えば――どこかが噛み合っていない。違和感。それに尽きた。
 最後の方は聞いているのも苦痛なレベルではあったが、何とか耐えきった二人。
 やり切った顔でドヤッと振り向く指揮者ニャンに向けて、難しい顔を向けてしまった。
「うん、まぁ下手だな」
『ド直球!』
 そこまでハッキリ言われるとは思わなかったと、衝撃で仰け反るネコチャン。
 その仕草をはじめ、ネコチャンが楽器を演奏しているという時点で可愛いのだが。
「……澪は?」
「んー……」
 あの聞くに堪えなかった演奏を、澪なりに咀嚼したというのか。
 難しい顔をしているのは単に不快だったからではない、そもそも澪は他者に対してそういった悪感情を抱くことが滅多にない。

「君、ちょっとおいで」
『……ニャン?』
 ヴィオラの楽団員の一匹を澪が手招きすれば、それに従う義理はないのに、身体が自然と吸い寄せられるように澪の元へと導かれてしまう。
 誘惑の技能値もこれだけあれば、何気ない所作ひとつ取ってもほれこの通り。
 澪は珍しく胡座でその場に腰掛けると足の間にヴィオラ猫を座らせる。うわっ! うらやましい!!
 怖がらせないように顎の下あたりを軽くもふ……いや、マッサージしてやりながら。
「君、ちょっと手の動きが硬いね。次の音に追いついてない」
『ニャァ……でも、どうすれば……』
「もっとリラックスして、それだけでも随分変わるはずだよ」
 もふもふ。これは合法もふです。ヴィオラ猫も何だか心のつかえが取れたように喉を鳴らして、ありがとニャンと席に戻っていく。
 ……あれ!? 澪さんもオケの中に入って行っちゃった!?
 一匹一匹呼ぶのめんどくさいから、自分から出向いた感じだ!!
「そっちの君は高音もっと思い切って」
『ええっ、思い切っていいの!?』
 トランペットの猫は尻尾をピンと立てて驚き、澪は指揮者ニャンの方も見た。
「指揮者さんも、ちゃんとメンタルケアを……」
『してるニャン! でもこいつら全然言うこと聞かないニャン!』
 アッ日頃の不満が漏れた! ヤバい! こういうのが火種になって揉めるんだ!
 こういう時に頼りになるのが夏輝くん、すかさず飛び込んできて指揮者ニャンを抱えるようにもふもふもふもふ。
「あーあーすぐ喧嘩してもー、誰が悪いとか言ってないだろー?」
「そうそう、喧嘩しない! じゃあはい! 今度は僕の歌に合わせて!」
 澪もにゃんこたちをもふもふしながら最前列まで戻ってきて、指揮者ニャンの隣に立つ。即興でソリストを迎えることになったにゃんこ楽団はざわめいた。
 何も難しいことは言ってないよ、と。澪は天使の笑顔でパンとひとつ手を打ち鳴らした。
「大事なのは、音の重なりを楽しむこと! 今はそれだけに集中して!」
 すぅ、と。一度大きく吸った息を止めて。
 吐き出される息は、至上の歌声となって逢魔が辻にさえ響き渡る。

『ニャ……』
『これに、合わせて……』

 歌声に、超常の力が乗っていたことは否めない。
 けれど、それを抜きにしても澪の歌と踊りは楽団をぐいぐい牽引する力に満ちていた。
 そう、あれだけ技量も気持ちもバラバラだった楽団が、澪の歌声という標を得て、奇跡的に今までとは比べものにならない交響曲を紡いでいるのだ!
 奇跡と言う他ない状況を、しかし夏輝は見逃さない。愛用のカラクリバットをロケットランチャーモードに変形させると、澪から供給される光の弾丸を装填させた。
(「弾は元々火薬強化した精霊の魔法だから、これくらいヨユーヨユー」)
 一心不乱に演奏を続けているネコチャンたちの只中にぶち込むのはちょっと気が引けたけれど、弾丸の効果は『破魔』だから――きっと痛みもないだろう。多分。きっと。

「――てぇ!!」
『ニャアアアアアア!!!』

 楽団の中心で眩い光が炸裂して、ネコチャンたちが吹っ飛んだ。
 一応攻撃なんで、これくらいの効果はね?
「曲のお礼に痛みゼロ、感謝しろよー?」
 にゃははと笑う夏輝と、にこにこ天使の微笑みを浮かべる澪。
「――最後に、良い演奏は出来た?」

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

藍崎・ネネ
リンゴちゃん(f09757)と

ウサギさんは強敵だったの……気付いたらもふもふしていたの
にゃんこさんには強くあたっくしていきましょうなの!

リンゴちゃん、これをつけてなの!と耳栓を渡すの
演奏を聞いたらだめなの
耳栓をして上から手でも覆ったら完璧なの(どやぁ)

こっそり近付いて機会を窺うの
リンゴちゃんに視線を送って頷きあうのよ
何かの物語で見たことがあるの 頷くとかっこいいの
意味はわからないけどそれは大した問題じゃないの

はっ!?手が塞がれてるからぺちって出来ないの!
(おろおろしながらリンゴちゃんを見るの)
(……こくり)(わかったの)
手が使えなかったら足を使えばいいの!
一番偉そうなにゃんこさんにきっくなの!


荊・リンゴ
ネネちゃん(f01321)と

ウサギさんの次はネコちゃんなのですか!?
がんばり、ます!がんば……うぅっ
意気込んでみたものの可愛さで早速心が折れそうです

ありがとうございます、と小声で答えながら
ネネちゃんから受け取った耳栓をカポッとはめて一安心です

自信に満ち溢れたネネちゃんをと視線を交わしウンウンと頷きます
私にもなんだかできる気がしてきました……!
今度こそ、かっこよく決めたいです!

ついに、対峙したネコちゃん
一瞬戸惑った様子のネネちゃんにハッとして、ピョンピョンと軽く飛んで見せます
(手が塞がっているのなら、足で攻撃しましょう……!)
ごめんなさい!という気持ちとともに偉そうなネコちゃんにきっくです!



●ぼくだって美少女に蹴られたい
 破魔の光で吹っ飛ばされても基本ギャグ落ちで済むので、ネコチャンたちは服の埃を払いながら定位置へと戻っていく。
 何かちょっといい演奏が出来た気がして、心なしか気分も高まっている。
 もしかしたら、次こそは超弩級戦力が来ても大丈夫なんじゃないかな? なんていう心地にさえなる。アッこれ知ってる、気が大きくなってるってヤツだ。

(「ウサギさんの次はネコちゃんなのですか!?」)
 荊・リンゴは身に纏った可憐なドレスを震わせて、非情な現実にも打ち震える。
 あからさまなあざとさこそないが、こう、今度のもふは一生懸命オケに打ち込むという、人の心を揺さぶる要素を引っさげてやってきた。
 何なら応援してあげたいまであるネコチャンたちを、その手で倒せと……!?
「がんばり、ます! がんば……うぅっ」
 自分が何をすべきかは分かっているから、精一杯意気込んで己を奮い立たせようと言葉を紡ぐけれど、ネコチャンが楽団を組んでいるという可愛さの前に、リンゴちゃんの心は早くもぽっきり折れてしまいそう。
 だが少し待って欲しい、リンゴちゃんは一人ではないのだ。
「ウサギさんは強敵だったの……気付いたらもふもふしていたの」
 藍崎・ネネちゃんという、とても心強いお姉ちゃん分がついているのだ!
 先輩だからね、引き続きカッコいいところを見せないとね。もふには屈しない! とばかりに藍の瞳でキッと前を見据えて、ググッと拳を握りしめた。
「リンゴちゃん、にゃんこさんには強くあたっくしていきましょうなの!」
「ネネちゃん……!」
 鋼の心を拳に乗せて、シュッシュと軽くファイティングポーズを取ってみるネネ。これで合ってるかな? と思いながらだったけれど、こういうのは気持ちが大事。
 そうだ、と何かを思い出したネネが、鞄からあらかじめ用意してきたらしき『何か』を手渡した。
「リンゴちゃん、これをつけてなの!」
 そう言いながら、ネネ自身も手に取ったものの正体は――耳栓だった。
「演奏を聞いたらだめなの、だから耳栓をして上から手でも覆ったら完璧なの」
 ドヤアァァァァ……! これがネネちゃんが考えたさいきょうのさくせん!
 確かに、相手の演奏を聞くことによって不利になるというのなら、そもそも聞かなければいいのでは? うーんこれは天才の発想。存分にドヤって下さいませ!
「ありがとう、ございます」
 耳栓を受け取り小声でお礼を告げるリンゴは、耳栓を右、左と順にしっかりとはめていく。なるほどこれは確かに周囲の音がほとんど聞こえなくなる。
 今なら読書などが特に集中してはかどりそう、それくらい静かになった。

 耳栓をしっかり装着したネネちゃんとリンゴちゃん、遂にこっそりとにゃんこ楽団へと近づいていく。そう、別に正々堂々と正面からやり合わなくたっていいのだ。
『それじゃもう一度最初から行くニャア! さっきの感じを思い出して!』
『ニャン!』
 言葉が交わされ、演奏が始まったようだけれど、耳栓をした上に両手でしっかりと耳を覆っている二人には届かない。何という鉄壁の守りか!
 聞こえていたならば、音が徐々にズレ始めたあたりだと理解できただろう頃、ネネはおもむろにリンゴの方を見てひとつ頷いた。
(「……?」)
 何だか突然、自信に溢れた眼差しをネネから送られて、一瞬意図を把握しかねたリンゴだったが。
(「……!」)
 完全にフィーリングで、視線を交わしてウンウンと頷いて返す。
 多分、きっと、こうすればイイ感じなのでは? そう思ったから。
(「何かの物語で見たことがあるの、こうして頷くとかっこいいの」)
 ネネちゃんがお目々キラキラでもう一度リンゴちゃんと頷き合う。
 意味は分からないけれど、それは大した問題じゃない。こういうのは――気持ちだ!
(「私にも、なんだかできる気がしてきました……!」)
 それはリンゴちゃんにもしっかりはっきり伝わって、二人のテンションは最高潮。
 さあ、今度こそカッコよく決めちゃいましょう!!

『~~♪ ~~~♪』
 間合いにまで入り込んだところで、ネネが一瞬、戸惑いを見せた。
(「はっ!? 手が塞がれてるからぺちって出来ないの!!」)
 手を離したら耳栓だけでは不完全、せっかく気合十分で乗り込んだのにどうしよう!
 もう先輩風を吹かせている場合ではないと、おろおろしながら振り返るネネ。
 そこへリンゴがハッとなり、その場でピョンピョンと軽く飛んで見せた。

 ――手が塞がっているのなら、足で攻撃しましょう……!

 先程の頷き合って意思の疎通を図るアクションが、まさかここで活きてくるなんて。
 ジェスチャーひとつでだいたいわかった状態のネネが、こくりと頷く。
(「わかったの」)
 そう、手が使えないなら足を使えばいい。それだけのこと!
(「一番偉そうなにゃんこさんに――」)
『ニ゛ャ゛!!!』
 ネネのすらりとした細い足が、しかし強い意志と共に指揮者ニャンのどてっ腹目掛けて回し蹴りを繰り出す。おおお、キレイに入りました! びゅーてぃふるきっく!
(「ごめんなさい!」)
 リンゴも続く、申し訳ないという気持ちと共に。お腹を押さえてうずくまっている指揮者ニャンの頭部に、高々と振り上げた踵を全力で振り下ろした――!

 はあ、はあ。肩で荒い息をするネネとリンゴの前には、力なく横たわる指揮者ニャンの姿があった。これ、考えようによってはめちゃくちゃご褒美ですね???

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

向坂・要
今度は猫のオーケストラ、ですかぃ
大舞台めざしてるわりにゃ随分と音がバラバラな気がしますがねぇ
これ、ちゃんと曲の解釈について話あってますかぃ?
あ、あと音程だけじゃなくてリズムもズレてますぜ?ほらそこの入りとか、ちょいと金管が走り過ぎじゃありやせんかぃ?指揮の合図も半テンポ遅いというか…

なんて割と冷静にツッコミ&指摘

こちとら長年生きてるもんでそれなりに耳も肥えるってもんで(器物時代含む)

聞くに耐えないようならUCで強制音遮断(真空で包み込み)

聞いて欲しいってんならもうちょい解釈の統一なりなんなりして出直してきなせぇ

あちらさんの外れまくった音を増幅して叩き返すのもありですかね

アドリブ絡みとんちき歓迎


月影・このは
猫ですか...猫の場合有名なのはやっぱり三味線でしょうか?猫皮の三味線は高級品らしいですね...
猫食というのもありますが...肉食で脂肪も少ないためあまり食用には適さないとか...

ということで、猫の指揮者が率いる三味線楽団
どうでしょう?
話題性は抜群、大舞台も間違いなしです...
材料はほら、下手な団員を犠牲にすれば...団員のやる気も上がりますし一石二鳥ですね(悪魔の囁き)

犠牲に決してならない指揮者と犠牲にされる団員という構図で争いを誘発

そしてその間に『エネルギー充填』オーラブラスターでとどめ
全員まとめてマヤーのウシルの完成ですね



●ヤドリガミ残酷物語
 何やかやと言えども、やはりフィルハーモニーは指揮者なくして始まらない。
 美少女二人による連続の強烈なキックのアンブッシュというハプニングはあったが、何とか一命を取り留めた指揮者ネコチャンは、よろよろと持参した台の上に乗り直した。
『お、おニョれ、私ほどの高名な音楽家になると命まで狙われるのか……』
『悪運強いっすね、さっさと続きを振るニャン』
『こんニャろう! お前音外したら許さないからニャ!』
 そうして、再び夜のススキの野原にどこか違和感を覚える音色が響き渡る――。

「今度は猫のオーケストラ、ですかぃ」
 腕組みで、ため息交じりにそう呟くのは向坂・要。獣耳や尻尾、そして何より油揚げが大好きな辺りで妖狐や人狼に間違われることが多いヤドリガミである。
(「こちとら長年生きてるもんで、それなりに耳も肥えるってもんで」)
 ヤドリガミということは、最低でも百年。あるいはそれ以上の時を器物として、人のカタチとして、生きてきたということ。
 慣れ親しんだ事柄には、一言二言言いたくなるのも無理はない。
 ほら、段々とせっかくのハーモニーが耳障りになって来ましたよ!
『~~♪ ~~~♪』
「……大舞台めざしてるわりにゃ、随分と音がバラバラな気がしますがねぇ」
『……何?』
 指揮者ニャンはチラと振り返り要を一瞥するけれど、指揮棒を振る手は止めない。
 楽団員ニャンも皆それぞれ必死なのだが、様々な理由から心を一つにできない。
 ひとつボタンを掛け違えれば、あっという間に瓦解するハーモニー。
「これ、ちゃんと曲の解釈について話あってますかぃ?」
 そう、そもそも音楽の強弱からしててんでバラバラなのだ。どこでどう盛り上げて、逆に抑えてという意思の疎通が、きちんとなされているのかが怪しまれる。
「あ、あと音程だけじゃなくてリズムもズレてますぜ? ほら、そこの入りとか、ちょいと金管が走り過ぎじゃありやせんかぃ?」
『……!!』
 楽団員ニャンたちもそれぞれ焦りの色を露わにし出す。最後に縋るのは指揮者なのだが、当の指揮者ニャンもどうしたらいいのか分からないレベルでの崩壊っぷりだった。
「指揮の合図も半テンポ遅いというか……」
『ニャーーーーーーッ、もーーーーーーーーっ!!!』
 あまりにも駄目出しをされすぎたにゃんこ楽団が、遂にキレた。うーんこれは逆ギレ。
 要さんはあくまでも冷静にツッコミを入れて指摘をしただけなのだから。
『ニャんなの!? ニャんでそこまで言われなきゃいけないの!?』
「そりゃあお前さん、考えてもみなせぇ。今の自分たちが、褒められる演奏を出来ているかって本気で思ってるんですかぃ?」
『むぐ……!!』
 ほらー、正論でねじ伏せられたー。自分たちでも分かっちゃいるんですねえ。

 そこで、ザッと地を踏むもう一人の人影が。同じくヤドリガミの、月影・このはだ。
 自身ではウォーマシンだと言い張ってますがどう足掻いてもヤドリガミなんだよなあ。
「猫ですか……猫の場合有名なのは、やっぱり三味線でしょうか?」
『待って!?』
 楽曲の批評ならまあまだ甘んじて受けよう、だが三味線の話は突飛が過ぎる。
「猫皮の三味線は高級品らしいですね……あ、猫食というのもありますが……」
『お願い、我々のことを音楽家として見て! 食べたり加工したりしないで!』
 どうやらこのはくんは、完璧に『その気』でこの場に臨んだのだろう。最初から敵の思惑通り音楽を聴いてやる必要など、落ち着いて考えれば確かにないのだから。
「肉食で脂肪も少ないため、あまり食用には適さないとか……」
 そう呟くこのはの言葉に、安堵の息を吐くにゃんこ楽団たち。
 けれども、誰もあきらめたとは一言も言っていなかったのだ!
「ということで、猫の指揮者が率いる三味線楽団! どうでしょう!?」
 話題性は抜群、即日大舞台も(物珍しさで)間違いなしとこのはが自信満々に言えば。
『あたまがおかしいひとの発想だニャア!!!』
 指揮者ネコチャンをはじめとして、楽団員たちからも悲鳴が上がった。
 このはを見る目はすっかり怯えてしまっている。割とマジでかわいそうだった。
 けれども持論が正しいと信じて疑わないこのはくんは、名案を披露し続ける。
「材料はほら……下手な団員を犠牲にすれば……」
 ざわ。楽団員たちが、あいつだあいつだと思うところのある相手を見た。

 ――団員のやる気も上がりますし、一石二鳥ですねぇ?

『……』
 それは、人でなくてもネコでも同じ、生き物として超えてはいけないライン。
 それを、容易く踏み越えさせようとする悪魔の囁きだった。
『……あ、あんたはいいよニャ! 自分は絶対に犠牲にならないからニャ!』
 楽団員の一匹が、おもむろに指揮者を指さして叫んだ。
 こんなんでも一応仲間同士、いがみ合うのには胸が痛む。
 けれど、前々から思っていた。こいつは気に入らないと――!
『……ハッ、三味線になりたくなければせいぜい奮起しろという話だニャ!』
『何だお前その言い草はァ!?』
 ぎゃあぎゃあ、ニャアニャア。ものの見事に『決して犠牲にならない指揮者vs犠牲になる楽団員』という対立構図の出来上がりであった。
「……随分と、えげつねぇことしますなぁ」
 飛び交う罵声に耐えかねて、精霊を喚び出し真空の力で音を強制的に遮断しながら要が苦笑いを浮かべる。
「ふっふっふ、こうして内輪揉めをしている間にエネルギー充填です」
 このはの胸部が唸って光る! ギュインギュインと何か収束してる!
「オーーーラッ! ブラスタァアアアアアアアアッ!!!」
 必殺技らしい絶叫と共に放たれた熱線砲が、わあわあ騒いでいると思われるフィルハーモニーをかなり雑に薙ぎ払った。

「……聞いて欲しいってんなら、もうちょい解釈の統一なりなんなりして出直してきなせぇ」
 まともに音楽と向き合った要はまだ温情があった方なのかも知れない。
 このはと来たら、最後までこれだから。
「はい、これで全員まとめてマヤーのウシルの完成ですね!」

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

怨燃・羅鬼
可愛さコンテスト第2戦☆
次はネコさん達だネ!

そう☆時はアイドル戦獄時代
可愛いだけじゃ生き残れない!
磨き上げた己のテクニックで勝利を掴まないとネ!


というわけでネコさん達のコンサート☆
わーまるで地獄の様な素敵な不協和音♪らきちゃんも乗ってきたよ☆

だから らきちゃんも 演奏に合わせて 歌うネ☆

羅射武舞逝苦を持って『大声』で歌うよ〜♪曲は葬送曲!
ボエ〜☆

う〜ん、らきちゃんの歌に皆感動して失神しちゃったネ☆
ということで、第2戦もらきちゃんの勝利!ぶい☆



●炎上系アイドル、再び
「可愛さコンテスト第二戦☆ 次はネコさん達だネ!」
 ああっ、あなたは! 他の猟兵さんたちからも『燃屠る』をはじめとしたパワーワードの数々と鮮烈なパワープレイを絶賛された、怨燃・羅鬼さん!
『コンテスト……ニャるほどそうだニャ、これもまたひとつの舞台』
 羅鬼ちゃんさんのヤバさを知らない哀れなにゃんこ楽団は、まっとうなコンテストを思い描いて各々楽器を構える。
「そう☆ 時はアイドル戦獄時代! 可愛いだけじゃ生き残れない!」
 そうやってしれっとパワーワードぶち込んでくるのやめろください! 草生えます!
 けれど指揮者ニャンは音声でしか単語を聞いていないので気付かない、その通りニャと指揮棒を振り上げて負けじと声を張り上げた。
「磨き上げた己のテクニックで――」
 応じるように、羅鬼もまたウインクひとつで高らかに告げた。
「――勝利を掴まないとネ!!」
 東方より来たる妖怪と、ネコの姿をした音楽家の影朧とが、今『激突』する!!

『行くニャア、魂の全てを賭けて演奏するのだ!!』
 指揮棒が振られ、演奏が始まった。最初のうちは何となく雰囲気で聴けていたのだが、予知の通りで徐々に音がズレたりリズムがズレたり。
『~~♪ ~~~♪』
「というわけで、ネコさん達のコンサート☆」
 羅鬼ちゃんはと言えば、身体を揺らしてフンフンとそれを聴いていた。マジか。
 何なら余裕で実況するまである、アイドルはこれくらい大物でないと務まらないのか!
 そうこうしている間にも、違和感通り越して明らかにヤバい音色になっていく。
「わーまるで地獄の様な素敵な不協和音♪ らきちゃんも乗ってきたよ☆」
 おおっとここでらきちゃんが懐から何かをすちゃっと取り出した! マイクだ!
 正式名称「羅射武舞逝苦」、区分は聞いて驚けドラゴンランスだ!! 先端が槍になってるからこれはドラゴンランス、いいね? でもライブ用マイクなんだよなあ……。

「だから」
 すちゃっ! すらりと伸びたおみ足を見せつけるようにポーズを取る!
「らきちゃんも」
 豊かな緑の長髪をサラリと流して、アイドルオーラをこれでもかと放つ!
「演奏に合わせて」
 悪化の一途を辿る演奏に合わせて……!?
「歌うネ☆」
 マイク……舞逝苦を手にして特攻……じゃなかった、すうっと息を吸った!

 ――それは、葬送曲(フューネラル)。
 ――死にゆく者たちへと捧ぐ、弔いの音。
 ――人はそれを【羅鬼羅鬼楽逝舞(ジゴクノコンサート)】と呼ぶ。

 こう、強いて表現をするなら『ボエ~~~♪』という風な感じだと思って頂ければ幸いです。らきちゃんの歌声はつまりはそんな感じで……その、めちゃくちゃ言いづらいんですが、お歌は壊滅的に下手だそうで……。
 最初はらきちゃんの歌声に負けて音がかき消されたのかと思ったけれど、実際は一匹また一匹とヤベー歌声に耐えかねて次々卒倒していたのでした。
「う~ん、らきちゃんの歌に皆感動して失神しちゃったネ☆」
 ソ、ソウデスネ、ハイ!
「ということで、第二戦もらきちゃんの勝利ー! ぶいぶい☆」
 ダブピで愛らしくアピールする姿だけなら、本当に愛らしいんだけどなあ……!?

成功 🔵​🔵​🔴​

地籠・陵也
【アドリブ連携歓迎】
もふもふとか以前に、随分とボロボロだが大丈夫なんだろうか。(オケが)
もう少し人前でやる前に演奏の練習をして互いのコンセンサスを取る必要があるんじゃないか?オーケストラだし……
ボロボロな演奏を聴かせるのもアレだろうし……デリケートな話をすることにもなるだろうし。俺は席を外そうと思うので頑張って欲しい。

と適当に説得してから【指定UC】で閉じ込めてしまおう。
シェルターの内側は俺の【浄化】の力が充満している仕組みになっている、影朧なら多分それで大分ダメージ与えられるんじゃないだろうか?

まあ実際は俺の心が痛いから猫たちがやられる瞬間を見ずに立ち去りたいだけなんだが。


ベイメリア・ミハイロフ
ね、猫さんの楽団…!
ふさふさ猫さん!ニャン等と仰って
なんという愛らしさ!
折角のご機会でございます
その演奏に耳を傾けてみようかと

…?
あの、皆さまは楽団なのでございますよね?
なんだか、その
おかしな楽曲になっている気が致します
どなたかが音程を間違えていらっしゃるのでございますか?
指揮ニャンさまは把握していらっしゃるのでございましょうか
わたくしなどが口を挟むのも憚れますが
一観客として申し上げますれば
どなたか、いらっしゃいますね、音程を外していらっしゃる方が
ひょっとして、わざと、でございましょうか…?

などと申し上げて、楽団の仲を疑わせてみようかと
そしてどさくさに紛れてふさふさをもふもふしてみたく存じます



●にゃんこフィルハーモニー、節目の時を迎えるの巻
 ここまで割とマジで酷い目に遭ってきたにゃんこフィルハーモニーの面々だが、まだまだめげる様子はない。変なところでしぶといのだろうか。
 失神していた面々が徐々に立ち直り始めて、再び演奏に精を出そうと席に着く。
 それを見たベイメリア・ミハイロフは両の頬に手を当てて思わず声を上げた。
「ね、猫さんの楽団……! 言葉の端々に『ニャン』等と仰って……!」
 あざとさを感じさせぬほどの自然なネコ言語に、ベイメリアさんはもうメロメロ。
「なんという愛らしさ! 折角のご機会でございます、わたくしその演奏に耳を傾けてみようかと」
 ね、と振り向いた先に居たのはもう一人の超弩級戦力こと地籠・陵也。
 陵也はといえばやや曖昧な笑みで返すのみ、演奏を聴くのは良いのだけれど。
(「もふもふとか以前に、随分とボロボロだが大丈夫なんだろうか」)
 常識人の陵也さんは、割とマジでオケの心配をしていました。なんという好青年。
 元々のオケとしての出来もヤバいし、ここまで喰らったダメージもヤバい。
 けれども、指揮者も楽団員たちも、まだ屈してはいなかった。観客が一人でもいるならばと、再び演奏を始めたのだ――!

『~~♪ ~~~♪』
「……?」
(「ああ」)
 純粋に素敵な演奏を期待していたベイメリアは見過ごせぬ違和感に小首を傾げ、ある程度予想していた陵也は額に手を当てた。
 にゃんこたちは、頑張っているのだ。
 頑張ったからといって、報われるとは限らない。
 そもそも頑張りの方向性が間違っているのかも知れないし、理由は色々あるけれど。
「あの」
 恐る恐るといった風に、遂にベイメリアが手を上げた。演奏の途中で声を掛けてくるとは不届きな輩めという風に、指揮者ニャンが振り返った。
『ニャンだね?』
「皆さまは、楽団なのでございますよね?」
『何かね、それ以外のものに見えるのかニャ?』
 不機嫌さを隠さぬ声音の指揮者ニャンに、どう告げたものかと一瞬だけ逡巡して、しかしベイメリアは思い切って『それ』を指摘した。

「なんだか、その、おかしな楽曲になっている気が致します」
『……ッ!!』

 ざわ……ざわ……。さざなみのようなどよめきが場を支配する。
 にゃんこはとても愛らしい、それは事実だ。
 けれど、奏でられる旋律は――残念ながら、とても旋律と呼ぶには相応しくない。
 それは、素直に残念だった。
 そして、攻めるべき弱点でもあった。
「どなたかが、音程を間違えていらっしゃるのでございますか?」
『……(チラッ)』
『……(チラッチラッ)』
 不穏な空気が漂い始める。べ、ベイメリアさん、まずいですよ!?
「指揮ニャンさまは、把握していらっしゃるのでございましょうか」
『ぐ……ッ』
 優雅なる観客から、まるで謎を暴く探偵のように。
 ベイメリアは口の端を少しだけ上げて、こう切り込んだ。
「わたくしなどが口を挟むのも憚られますが、一観客として申し上げますれば――」
 緊張が走る。楽団員たちも、指揮者も、その肉球にじっとりと汗をかいていた。

「どなたか、いらっしゃいますね――音程を外していらっしゃる方が」
『『『!!!』』』
「ひょっとして、『わざと』、でございましょうか……?」

 あいつが気に入らない。
 ただそれだけで、輪を乱すものは、残念ながら確かに存在する。
 いるかはどうかは分からない、けれど『いないことを証明することも出来ない』!
 そして何より恐ろしいのは、この楽団内での不和を招いたのは、他ならぬベイメリアの思惑通りだということだ。策士だ! 策士すぎる!!
 困惑するネコチャンたちに近づいて、傷心を癒やすていでそのふさふさをもふもふするベイメリアさん。計画通り……!

 一方、ことの成り行きを見守っていた陵也さんは、何だかいたたまれない心地でいっぱいになってしまった。
 敵なんだから心身共にダメージを与えるのは正しいことだし、これでいいのだけれど、何というか胸が痛む訳で。
「な、なあ」
 だから、恐る恐る声を掛けてみた。慰めにもならないかも知れないけれど。
「もう少し、人前でやる前に演奏の練習をして、互いのコンセンサスを取る必要があるんじゃないか?」
『……う、うう……』
 もう何も信じられないという目をしたネコチャンは、見ただけで割とすぐ分かる。
 ちなみに、少しすればだいたいケロッと忘れるんですよね。
「オーケストラだし……ボロボロな演奏を聴かせるのもアレだろうし……」
 多分一度、ここいらで全員腹を割って話し合わないといけない時なのだろう。
 そのための場所程度なら、陵也は惜しみなく提供してやる心意気であった。
「デリケートな話をすることにもなるだろうし、俺は席を外そうと思うので……」
 頑張って欲しい、そう言ったのは割と真面目な話。
 そして発動したのは【【昇華】傷創拒絶の絶対障壁(ピュリフィケイト・ハートレスパリエース)】、小さなお家がひとつ入る規模の防護シェルターが生み出される超常だ。
『……これより、緊急ミーティングを開催するニャン』
『『『……』』』
 指揮者ニャンの誘導で、楽団員たちが次々とシェルターの中に入っていく。
 皆、それぞれに思うところがあったのだろう。込み入った話になりそうだ。

(「シェルターの内部は俺の浄化の力が充満している仕組みになっている」)
 プラズマなんちゃらとかナノなんちゃらとかですかね! 違いますね!
(「影朧なら、多分それでだいぶダメージを与えられるんじゃないだろうか?」)
 攻撃が入るにしても、普通にくつろいでくれるとしても。
(「……まあ、実際は俺の心が痛いから、猫たちがやられる瞬間を見ずに立ち去りたいだけなんだが」)
 やっぱり好青年じゃないか!(歓喜)

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

荒珠・檬果
はぁはぁはぁ…ああ、つ、疲れた…これはモフ疲れ…。
あ、音楽が聞こえ…。

ネコチャン!ネコチャン!!ネコチャン!!!
大切なので三回言いました!
ネコチャンが楽器を!!(ゴロゴロ)
やめて私のライフはマイナスよ!
なんでカメラ持ってこなかった私!!

でも、音程…外れてますね。音ゲーも嗜んでると、気になるんですよね、それ…。
カモン【バトルキャラクターズ】!今回のは…あ、サイベリアン合唱隊…。
実は歌(音程揃って綺麗)が攻撃になってるキャラたちなんですけどね。
うん、またモフ増量なんです。ネコチャン!!

こ、これ以上は私が危ない。残っているなら、また七色竜珠ビーム!

※モフのためならキャラ崩壊を厭わないパート2



●音ゲーで音ズレは許されない
 サクラモフウサギとかいうもふの暴力に揉まれて、荒珠・檬果は早くもボロボロだ!
「はぁはぁはぁ……ああ、つ、疲れた……」
 まだ第一戦を乗り越えたばかりですよ!? 大丈夫ですか!?
「これはモフ疲れ……」
 アッハイ、もふも度が過ぎれば負荷が大きすぎて疲れちゃいますよね……お疲れさまです……!
 それでもまだまだ戦いは続くと理解っているから、檬果はススキの野原をかき分けて突き進む。残機がある限りは戦わなければ、ゲーマーとはそういうものだから。マジ?

『~~♪ ~~~♪』
 すると、遠くないところから聞こえてくる音色があった。
「あ、音楽が聞こえ……」
 吸い寄せられるようにふらふらと、檬果が足を運んだ先には――!
「ネコチャン! ネコチャン!! ネコチャン!!!」
 どちゃくそ大切なことなので二回どころか三回言いました! 感極まった声で!
「あああネコチャンが楽器を!! アーーー!!」
 うーんこれは情緒が限界を迎えている民の姿。にゃんこ楽団を前に檬果さんがゴロンゴロンしてる。奇声も発しますよね、分かります。
「やめて私のライフはゼロ通り越してマイナスよ! なんでカメラ持ってこなかった私!」
 ううん残念、装備アイテム欄にスマホがあればワンチャンと思ったんですが!
 ここはひとつ記憶と網膜ににゃんこ楽団の愛らしい姿を焼き付けるしかない!

「……?」
『~~~♪ ~~♪』
 感情の限界がひと段落したところで、遂に檬果は楽団が奏でる音の『違和感』に気付いてしまう。ひとたび気付けば、指摘せずにはいられないというもの。
「でも、音程……外れてますね?」
『ニャ……!』
 うっそだあ、外してないよ? そう言わんばかりに演奏は続く。
 けれども他ならぬ檬果の耳はだませない。だって――。

「音ゲーも嗜んでると……気になるんですよね、それ……」

 ガチめな声音で、檬果が追撃をした。
 そう、音ゲー超弩級戦力にとってはボタンを押す僅かなタイミングのズレさえも致命傷たりえる。常に判定はGREATでなければならない、BADとかPOORとか論外だ。
 よって、明らかにゲームクリアできないお排泄物交響楽団には『わからせて』やらねばならない! カモン、【バトルキャラクターズ】!!
「今回喚んだのは……あ、サイベリアン合唱隊……」
 か゛わ゛い゛い゛!
 にゃんこフィルハーモニーに負けない、いやそれ以上にもっふもふで毛量増量な、露西亜から降り立った天使のにゃんここと、サイベリアン!
「この子たち、実は歌が攻撃になってるキャラたちなんですけどね」
 檬果ご自慢のバトルキャラクターズことサイベリアン合唱隊は、びっくりするほど音程が揃った美しい合唱を開始した。
『な……何という、一糸乱れぬ美しいハーモニー……!?』
 これには思わず指揮者ニャンも指揮棒を振る手を止めて振り返ってしまう。
「うん、またモフ増量なんです。ネコチャン!!」
『おニョれ……! 我々の音楽を上回るとは……あ痛、痛たたた』
 きっちりダメージ入ってる! 仰け反るにゃんこ楽団の面々!

「モフが……モフとぶつかって……モフで……ああっこれ以上は私が危ない!!」
 自分で繰り出しておいて何ですが、スーパーモフモフ大戦状態になったこの状態は、檬果さんにとっても色々と危ないのではと思ったら案の定でした。
 という訳で、うさぎたちの時と同じ様に「七色竜珠」を掲げてビームを放つ!
 雑に吹っ飛ぶネコチャンたち! 地面に落ちる時に器用に足から着地するあたり、さすがネコチャンという感じでした! でもこの勝負は檬果さんの勝ちィ!

成功 🔵​🔵​🔴​

有栖川・夏介
ウサギの次はにゃんこ…ですね。
にゃんことオーケストラ。……なんで?

まあいいです。ここはサクッといきましょう。
【姿なき猫が笑う】で、相手に気づかれる前に倒してしまいましょうか。
え、ウサギの時と違う?
……いえ、にゃんこも好きですよ。可愛らしいと思ってますし。もふりたいとも思う。
けれど、それだけの理由で処理できないとなると、処刑人としては未熟者ですから。本来、感情に振り回されるべきではないのですよ。

…すまない(すまないとは思ってもいない顔で)ウサギのようなトラウマエピソードの一つでもあれば、躊躇したと思うんだが……。
猫は特にない(ドきっぱり。真顔)
せめて苦しまないように送ってあげます。



●ひっさつしごとにん
 何やら神妙な顔つきでぞろぞろと場に戻ってきたにゃんこフィルハーモニーの面々。
 気が済むまで話し合いは出来たのだろうか、わだかまりは解消できたのだろうか。
『……では、行くニャア』
 指揮者ニャンの声に、楽団員たちが続々と楽器を準備し始める。
 その様子を――ススキの陰から有栖川・夏介が油断なく窺っていた。

「ウサギの次はにゃんこ……ですね」
 夏介はそう独りごち、そして思う。
「にゃんことオーケストラ。……なんで?」
 ホントに何でなんでしょうね! 割とマジでどうしてこうなった状態ですよ!
 確かに絵的にはとてつもなく可愛いんですよ、ここまで細部を描写してこなかったんですけど、青銀めいた魅力的な毛色を持つ長毛種らしきネコチャンで統一されたオケは、雄雌で地味に衣装がきちんと違っていたりしてとても見映えは良いんですよ!
 だからきっと、そういうビジュアルから入っちゃった感じなんじゃないかなって……。
「まあいいです、ここはサクッといきましょう」
 ええ!? いいの!? ギャー夏介さんが投げナイフを両手に構えて!
「相手に気づかれる前に倒してしまいましょうか」
 何か先程とは打って変わって、サクサク終わらせて次行きましょうって感じですね?
「え、ウサギの時と違う?」
 躊躇わずナイフを投擲しようとした手を、何の気まぐれか止めて夏介は呟く。
 それもそうですね、と。遠目ににゃんこ楽団を見遣りながらナイフを弄った。
「……いえ、にゃんこも好きですよ」
 可愛らしいという感情だってちゃんと抱くし、もふりたいとだって思う。
 しかしその表情はどこまでも感情を表に出さない、淡々とした真顔で。
「けれど、それだけの理由で『処理』できないとなると、処刑人としては未熟ですから」
 つまり。
 先程のサクラモフウサギに対しての夏介の言動こそが例外であって。
 本来の夏介の在りようを、今はただ示しているだけなのだ――!

「本来、感情に振り回されるべきではないのですよ」

 ――ひゅっ。
 鋭く風を切る音と共に、楽団員の一匹がナイフを脳天に突き立てられて倒れた。
 これぞ暗殺の絶技、にゃんこたちは何が起きたのか分からず、ただうろたえるばかり。
「……すまない」
 それを見て謝罪の言葉を口にする夏介さんは――すまなさそうな顔は微塵もしていなかった。
「こう、ウサギのようなトラウマエピソードの一つでもあれば、多少は躊躇したと思うんだが……猫には、特にない」
 ドきっぱりと言い切った! これもう完全に処刑人モードですよ!
(「せめて、苦しまないように送ってあげます」)
 ――【姿なき猫が笑う(チェシャ・シンドローム)】、宵闇を切り裂いて、ナイフがまた一本、ネコチャンの脳天を貫いた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ルリララ・ウェイバース
互いに姉妹と認識する四重人格
末妹で主人格のルリララ以外序列なし

WIZ
『これ、放っておけば自滅するんじゃないかしら?』
『はいは~い、ララ閃いたよ♪』
「ララ姉、任せた」
『嫌な予感がする』

表の人格は風のララ
オルタナティブ・ダブルでリラを分離
来る前に買っておいた煎餅を二人で食べながら、演奏鑑賞
音が外れる度に「あっ、笛がはずれたね」とか「指揮とずれてんぞ」等、わざとらしくツッコんで煽っていく

「そんなんじゃ、聞きたいと思えねぇぞ」と敵の攻撃の防御線も張っておく

「満足したか?」
喧嘩が始まったところで、[全力魔法][属性攻撃][高速詠唱]込みでエレメンタル・ファンタジア
二人協力して、炎の竜巻で攻撃



●この楽団割とマジでどうしたらいいんだろう
 謎の投げナイフの攻撃によって若干の欠員が出たものの、まあ何とかなるなる!
 そんな割と雑なテンションで、にゃんこフィルハーモニーのヤバい演奏は続く。
 ススキの陰から様子を窺うルリララ・ウェイバースの中で、簡単な作戦会議が行われていた。どういうことかって? 四姉妹の多重人格なのですよ!

『これ、放っておけば自滅するんじゃないかしら?』
『はいは~い、ララ閃いたよ♪』
「ララ姉、任せた」
『……嫌な予感がする』

 満場一致、とは行かなかったけれど、まあまあララ姉にお任せしてみようという感じで人格を交代し、表出するのは風の精霊に愛されし明るいララだった。
 さらに、もう一人の自分に協力してもらう超常を駆使して顕現させるのは火の精霊に愛されしちょっと過激な所もあるリラ。
 優雅に音楽鑑賞、というにはルリさんやルリララさんの方が良かったんじゃあ、と僭越ながら思ってしまうペアですが、きっと作戦があるに違いありません!
「これ買ってきたから、聴きながら一緒に食べよう♪」
 そう言いながらララが取り出した紙袋を広げれば、ふんわり広がる香ばしいお醤油の香り……ああ、これは! 焼きたてのおせんべい!!
「煎餅か、音立てて邪魔になんないか? まあいいけど」
 一応気遣いは見せるものの、美味しそうな香りには勝てない。リラが紙袋に手を伸ばしてまだ温かいおせんべいを一枚手に取ると――バリッ。
『……!?』
 明らかにせんべい食ってます的な音に、指揮者ニャンが思わず振り返る。
 けれども音楽を止めるわけには行かないので、すぐに気を取り直して前を向く。
『~~♪ ~~~♪』
 ――バリッ。
 ――バリ、ボリボリ。
『……ッ』
 煎餅をかじる音は、思った以上によく響く。指揮者ニャンだけでなく楽団員たちも徐々に気を取られ、ただでさえヘタク……いや、洗練されているとはまだ言い難い音楽にも影響が出てしまう。

「あっ、今笛が外れたね」
 バリリとおせんべいをかじりながら無邪気にララが指させば。
「あーあー、指揮とずれてんぞ」
 ムッシャムッシャとおせんべいを噛んで飲み下してから、リラも声を上げる。
 二人とも、わざとだった。にゃんこたちを煽っていくのが目的だったから。
『せ、せ、煎餅をかじりながら音楽鑑賞とは何事だニャン!?』
「ハーーー、偉そうに。そもそもそんな演奏じゃ、聞きたいとも思えねぇぞ?」
 リラが肩を竦めて軽く両手を上げて、やれやれといったポーズで言い放った。
 言われた側の指揮者ニャンと言えば――震えながら振り返って、楽団員を見た。
 ここで楽団員たちを少しでもかばい立てる姿勢があったならば、オケとしての仲はまだギリギリ保ったのかも知れない。
 けれども、そうはならなかった。残念ながら。
『お前たち、情けないとは思わニャイのか!』
『ニャンなの!? わたしたちのせいニャの!?』
 おもむろに責任を押し付けられた楽団員たち、これにはさすがに反駁する。
『毎回毎回適当な指揮して、ついて行ける訳ニャいだろ!?』
『はぁ!? 誰の指揮が適当だって!?』
 あーあーあーあー、完璧に喧嘩が始まってしまいました。
 けれど、これもララさんとリラさんの思惑通りだったりして。
 風の力に火の力を乗せて、巻き起こるのは炎の竜巻!

「「行っけぇーーー!!」」
『『『ニャギャーーーー!!?』』』

 ごうごうと巻き起こる炎に巻かれて、指揮者も楽団員も一網打尽。
 うーんおかしいなあ、ついさっきミーティングしたはずなんだけどなあ……?

成功 🔵​🔵​🔴​

セフィリカ・ランブレイ
不器用さこそが愛おしいって、あるよね
『その見方自体が傲慢って話もあるわよ』

シェル姉、相棒の魔剣は拗ねてるみたい
兎に絆されたのを照れてるな、これは?

『セリカ、アンタろくでもない事考えてる?』
いや全然。にしても、これも癒されるよね
にゃんこ達のかみ合わなさが逆にいい。動作に再現性がないから無限に見てられる
『音楽として聴いた場合の評価は正直付けられないけどね』

そこはご愛敬でしょ。そういうの求めてないから
しかし楽しそうなの邪魔するの凄い気が引けるんだよね、これ
だからせめて一撃で楽にしてあげるね!
『台詞だけ聞いてるとどっちがヤベー奴かわからんわね』

【赤杖の魔女】を呼び出し、超高熱で一気に勝負をかけるよ!



●にゃんこフィルハーモニーのある意味正しい楽しみ方
 普通に攻撃されたり、メンタルケアの手伝いをしてもらったりと、にゃんこ楽団は色々と大忙し。
 集団敵なのだからもっと雑に退場させて欠員を補充させても良いのでは? だんだんその方がいいかなって気がしてきました。
 ともあれ、再び態勢を整えた楽団員たちは、今度こそ自分たちの音楽を聴いてもらうんだとめげずに懲りずに張り切って演奏を開始した。

「不器用さこそが愛おしいって、あるよね」
『その見方自体が傲慢って話もあるわよ』

 暗がりにススキが揺れる逢魔が辻で、どこか噛み合わない音楽を奏でるネコチャンたち。本猫たちは一生懸命だけれど、致命的な違和感はいつまでたっても拭えない。
 そんな演奏を今回何やかやと楽しんでいるのはセフィリカ・ランブレイと、携えた相棒たる意思ある魔剣・シェルファだ。
 セフィリカ的には『アリ』なこの演奏も、素直に感想を述べれば姉に辛辣に返される。
(「……ははーん」)
 その態度で、セフィリカはすぐに気づいた。
 シェル姉――相棒の魔剣は、どうやら『拗ねている』らしい。
 先程のサクラモフウサギに絆されたのを照れているのだろう。うーん可愛い。

 一人ニヤニヤを表に出してしまうセフィリカに、シェルファが訝しげに問う。
『セリカ、アンタろくでもない事考えてる?』
 腰に佩いた状態の魔剣からじっとりと聞かれるのさえ、何だか悪い気はしない。
「いや全然? にしても、これも癒やされるよね」
『~~♪ ~~~♪』
 弦楽器は引き攣れた音を出すし、金管楽器は明らかに音を外すし、打楽器は己の出番を忘れる始末。正直、既に指摘された通りもっと根本的な所からやり直すべきなのだが。
「――にゃんこ達のかみ合わなさが逆にいい、動作に再現性がないから無限に見てられる」
 そう、セフィリカはにゃんこたちを『音楽を演奏する集団』として期待してはいなかったのだ。もっとこう、違った……『ちぐはぐさが愛らしい集団』として捉えていた。
 故に、失望することもなく。指摘や指導がどうこうということもなく。
 ただ、その在りようをありのまま受け入れて――楽しんでいたのだ。

『音楽として聴いた場合の評価は、正直付けられないけどね』
「そこはご愛敬でしょ、そういうの求めてないから」

 にゃんこ楽団さん、音楽性とかそういうの求めてないって言われてますよ!
 アッだめだ、セフィリカさんがとってもご機嫌でにゃんこ楽団を(別の意味で)愛でているから、すっかり上機嫌でアレな演奏を続けちゃってる!
 指揮棒を振る指揮者ニャンをはじめ、楽団員たちのテンションはこれまでで一番の盛り上がりを見せていた。すごい! 控えめに言ってめちゃくちゃ下手くそなのに!
 セフィリカからすれば、まず猫が楽団を組んでいるという時点で既にオッケーだったのだ。さらにそれがやろうと思っても普通は出来ない下手な演奏で盛り上がっている。
 最初に言った『不器用こそが愛おしい』を地で行くさまに、魅入ってしまうのだ。
(「しかし楽しそうなの邪魔するの凄い気が引けるんだよね、これ」)
 ニャンニャニャーニャーと頑張っているところに攻撃? うーんそれはちょっと。
 セフィリカは少しだけ考え込んで、すぐに結論を出した。

「だから、せめて一撃で楽にしてあげるね!!」
『台詞だけ聞いてるとどっちがヤベー奴かわからんわね?』

 シェル姉のツッコミを受けつつ、セリカさんが召喚したのは三人目の観客ならぬ魔導ゴーレム、【赤杖の魔女(フェイムツェール)】!
「七虹最大の出力を誇るアブないやつ! お披露目しちゃうよ!!」
『ニ゛ャ゛ッ゛!?』
 ズゴゴゴゴと轟音と共に現れたゴーレムは、しかしその言葉の印象とはやや離れた細身の女性を模した造形をしていた。
 深紅のボディであらゆる熱量を操る『魔女』は、それが慈悲だと言わんばかりに鋭い熱線をにゃんこ楽団目掛けて放つ。

 ――ちょっとばかり、オーバーキル気味かも知れませんね?

成功 🔵​🔵​🔴​

茜崎・トヲル
スーさん(f23882)スイッチはいっちゃった……!

わーかわいーn……ああっスーさんのスイッチがはいった!
せつめいしよう! スーさんは音楽ガチ勢なのだ! せつめーおわり!
すげー。なにがすげーってあれで舌かまねーのすげーよ……!
あと手がちょー高速でにゃんこモフってるのもすげーよ……!!
……スーさんイキイキしててたのしそー。おれもまーぜてっ!
(めっちゃびしばししごかれる)(でもずっと楽しそうにしてる)
(なんなら肉体改造で腕増やす!)

やったー、まちがえずに通せたー! スーさんセンセーありがとう!
アメくれんの? やったー!ソツギョーショウショ!
(ねこといっしょに喜ぶ!)(卒業証書はしらないやつ)


スキアファール・イリャルギ
トーさん(f18631)、ねこが音楽を……可愛いですね……

ここはうさぎと同様モフらせt●列×番目! 音外しました!
いいですか音楽というのは音を材料にして組み合わせて作るものです音による芸術なんですまずは楽譜通りに出来なければ意味は無いんですつまり――

~音楽について力説し乍らねこを高速でモフる影人間さんをお楽しみください~

まずゆっくりワンフレーズずつ練習です間違えた所は念入りに!
おやトーさんもやりますか間違えたら即最初からですよ
ほらそこの音は△じゃなく□でしょう!

はいよくできました、ち〇ーる食べますか(モフれて大変ご満悦)
あ、トーさんち〇ーるの代わりに飴食べます?
卒業おめでとうございます(拍手)



●ガチのマジで音楽の指導をする回です
 こう、その、この世を滅ぼす愛……じゃなかった熱線でなぎ払われても、お話の進行上にゃんこ楽団は復活するんです。元通りです。うーんさすが集団敵、都合良く出来てる。
 なので茜崎・トヲルとスキアファール・イリャルギも、ちゃんとにゃんこ楽団と対面する機会が設けられたのだ。良かった良かった。
「トーさん、ねこが音楽を……」
 互いをスーさんトーさんと呼び合う尊い仲でもある二人のうち、スーさんことスキアファールさんが震える声で、そう呟く。
「可愛い……ですね……」
(「ああっ、スーさん、スイッチはいっちゃった……!」)
 感極まった声――であることを極限まで押さえ込もうとした結果の声音に、トーさんことトヲルさんが即座に気付く。
『良く来たニャン、何か色々あった気がするけど、我々の音楽を聴いていくニャン!』
 色々ってレベルじゃねーぞと思うんですがまあいいです、ミュージックスタート!

(「ここはうさぎと同様モフらせ……」)
 スキアファールは、そう思っていた。出だしは順調、心地良い音楽に身を任せつつ、どさくさに紛れてその豊かなモフをと、そう思っていたのだ。
 だが! その黒い瞳が、カッと見開かれた!
「四列十二番目! 音外しました!!」
『フギャッ!?』
 今までふんわりと指摘される程度に留まっていたのが、突然具体的に指名をされて、該当にゃんこは思わず椅子から飛び上がるほどびっくりした。
「わーかわいーn……ああっスーさんのスイッチがはいった!」
 知っているのかトヲル!(民明書房風)
「せつめいしよう! スーさんは『音楽ガチ勢』なのだ! せつめーおわり!」
 分かりやすい解説ありがとうございました! そうだった……スキアファールさんは音楽には一家言あるどころの騒ぎじゃなかったんだ……。

 こんな外野のやり取りも今のスキアファールには届かない、ずんずんと楽団員へと近づいて、おもむろに指揮者ニャンが乗る箱の上に自らも乗ると、演説をぶち上げた!
「いいですか音楽というのは音を材料にして組み合わせて作るものです音による芸術なんですまずは楽譜通りに出来なければ意味は無いんですつまり――」
「すげー。なにがすげーってあれで舌かまねーのすげーよ……!」
 多分、にゃんこたちに必要だったのはこういう音楽の基礎理論だったのかも知れない。適当に弾いてればいいってもんじゃない、考えて弾くことこそが大事なのだから。
 スキアファールの力説は続く。傍らで呆然とする指揮者ニャンをがっちりホールドしながら超高速でその毛並みをモフる影人間さんをしばしお楽しみ下さいませ。
(「あと手がちょー高速でにゃんこモフってるのもすげーよ……!」)
 トヲルは、ただただお目々をキラキラさせてスキアファールの様子を見守っていた。

「まずゆっくりワンフレーズずつ練習です間違えた所は念入りに!」
『『『ニャイ!!』』』
 何やかやで、特別講師として招かれることとなったスーさん。
 指揮者ニャンが高速モフの心地良さに陥落したのも大きいかも知れない。
 それを見ていたトーさんも、うずうずが止まらず気がつけば駆けよって。
「……スーさんイキイキしてたのしそー。おれもまーぜてっ!」
「おやトーさんもやりますか間違えたら即最初からですよ」
 うーんこれはお友達相手でも容赦なしのスパルタコース!
 さん、はい! と合図を送れば、先程とは段違いに『聴ける』旋律が響き渡る!
 これは……これはイケるんじゃないか……!? 楽団員が、指揮者が、誰もがそう思った時だった。

 ――カョン♪

「ほらそこの音は低音じゃなく高音でしょう!」
「ええー!? カスタネットってどっちも同じ音なんじゃないのー!?」
 音楽初心者と思しきトヲルに渡されたのは『カスタネット』。ただ叩けばいいというものではなく、左右で音が異なりちゃんと鳴らし分けないといけないシロモノだ。
 こんな感じで、楽団もろともトヲルさんもめっちゃびしばししごかれましたが、終始楽しそうにしておりました。にゃんこ楽団員も、ぜえぜえ言いながら付いて来たよ!

 ~トヲルさんが腕増やしてカスタネット四刀流とかしてるのでしばらくお待ち下さい~

「やったー、まちがえずに通せたー! スーさんセンセーありがとう!」
『センセー、ありがとうニャ!!』
 初めて。
 このにゃんこフィルハーモニーが、初めて一度も間違えることなく、弾ききった。
 スキアファールも満足げに、手にしたスティック状の何かをピッと開封した。
「はいよくできました、ち○ーる食べますか?」
 このとんでもねえ楽団を一通りのカタチに出来た達成感もあるけれど、何よりその毛並みをモフモフできてスーさん大変ご満悦。
 このち○ーるというヤツぁね……ネコチャンにとっては基本的に大好物なんすよ……。
 群がってくるネコチャンたちからトヲルへと視線を向けて、すいと差し出したのはいちごミルク味のアメちゃんだった。

「わああ、アメくれんの? やったー!」
「卒業、おめでとうございます」

 ネコチャンと一緒に飛び上がって喜ぶトヲルに、スキアファールは暖かい拍手を送る。
「ソツギョーショウショ!」
 それが具体的にどういうものなのかは、よく分からないけれど。
 きっと一つの区切りを付ける、とても素敵なものなんだろうな。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

メリル・チェコット
晴夜くん(f00145)

とっても素晴らしい演奏をありがとう!
次はわたしたちの番!
どうぞどうぞ、席についておくつろぎくださいな

それじゃいくよ、ひつじたち!
いつも通りメリルのフルートにあわせてめぇめぇお歌を歌ってね
可愛い? でしょでしょ? えへへへ

今回はなんと、お友達の晴夜くんとニッキーくんも一緒だよ!
え? ……こ、怖い?
怖くない怖くない!
ほらほら、二人ともとっても優し……あっ、逃げないでー!
(散っていくひつじを集める)

さて、気を取り直して
みんなで楽しい演奏会といきましょうか!

可愛さもチームワークもメリルたちの方がずっと上!
演奏が終わったあとはお得意の突進でアンコール
ごめんね。メリル、犬派なので!


夏目・晴夜
メリルさん(f14836)

至高の演奏を見せつけて、その小高いプライドを圧し折って差し上げます

うわ上手い、メリルさんってフルートにも長けていたとは!
しかもひつじ達の歌声、可愛すぎませんか…

しかし今回セッションする我々だって負けてませんよ
ニッキーくん、バイオリンの演奏をよろしく
やらせた事ないですがニッキーくんなら多分いける
私はクライマックスに備えてシンバルを手に立っていますね。真顔で
大丈夫、怖くないですよ。我々はとっても優しい博愛主義者ですよ
(しかし逃げられる)

演奏後はひつじ達の突進に合わせてニッキーくんを突撃させて
ついでに私もシンバルで敵をしばき倒します
いやはや申し訳ない、ハレルヤも犬派なので!



●グレイトなハーモニーはどちらのものか
 奇跡が起きた。
 スーさんwithトーさんによる即興音楽教室で、ろくでもなかったあのにゃんこ楽団が、まっとうなハーモニーを奏でることに成功したのだ。
 一度波に乗ればトントン拍子に上手く行き、音程を外すこともなく見事もう一度演奏しきるという快挙を成し遂げた。
 最後の音を全て出し終えた後の余韻、そして湧き起こる歓喜の声。隣同士のネコチャンたちが、抱き合って互いの健闘を称え合う。涙を拭う指揮者ニャン。
 そこに観客が――いた。
 メリル・チェコットと夏目・晴夜の二人が、並んで惜しみない拍手を送っていた。

「とっても素晴らしい演奏を、ありがとう!」
 ふわふわと温かい笑顔で、メリルが心からの感謝を告げる。
 その隣で同じくニコニコしている晴夜は――実は、腹の底でこんなことを考えていた。
(「至高の演奏を見せつけて、その小高いプライドを圧し折って差し上げます」)
 うっわ怖い! いい話になりかけてたのにそうは行かない! でもしょうがないね相手は影朧だしね!
 という訳で、作戦はこう。
 まずはどんな形であれ、一回は歯を食いしばって耐えてでもネコチャンの演奏を聴ききる。そして、お礼にとメリル&晴夜コンビも演奏を披露するという流れだ。
「次はわたしたちの番!」
『ニャッ?』
 すっかり浮かれていたにゃんこ楽団の面々が、おや? とメリルの方を見た。
「どうぞどうぞ、席についておくつろぎくださいな」
『ニャッ、ハイ』
 話の流れ的にそうすべきかと、にゃんこたちが素直にそれぞれの席に着く。
 それを確認したメリルが、スッとしなやかな所作で右腕を高々と挙げた。

「それじゃいくよ、ひつじたち!」
「めえぇぇぇぇ、めえぇぇぇぇ!」

 どこからともなく――本当にどこからともなく現れたのは、もっふもふのひつじさんたち! マジでどこから来たのかと問われれば、メリルさんのいるところにひつじさんありとしか言いようがないのです。羊飼いパワー、恐るべし。
 ふわもこの海が広がるようにも見えるひつじさんの群れの中心に立って、メリルはフルートをそっと唇に添えた。
「いつも通り、メリルのフルートにあわせてめぇめぇお歌を歌ってね」
「めええぇぇ!」
「めえーえぇ!」
 ひつじたちは、心を通わせたメリルの家族でもある。
 楽譜もない、即興の演奏であっても、音色と歌声とを重ね合わせることは容易い。
 フルートの澄んだ音色に、ひつじたちのコーラスが乗って、聴くものすべての心を強く揺さぶる。先程まで腹黒いことを考えていた晴夜も、一瞬きれいな晴夜さんになる。
「うわ上手い、メリルさんってフルートにも長けていたとは!」
 演奏がそろそろ終わるメリルは、チラと横目で晴夜を見て嬉しそうに目を細めた。
「しかもひつじ達の歌声、可愛すぎませんか……」
 お世辞抜きの本音で、晴夜はひつじたちの歌声を可愛いと思った。
 この感情にはまだ続きがあるんですが、それはまた後程としましょう。
「可愛い? でしょでしょ? えへへへ」
 挨拶代わりの演奏を終えて、メリルはぺこりと一礼しながら愛するひつじたちへの賛辞を我がことのように受け止めてとっても嬉しそう。メリルさんだって可愛いですよ!
(「ええ、ええ、メリルさんもひつじ達も可愛いですとも。しかし――」)
 晴夜は、不敵に笑んで指に十環を通し、キュイッと音を立てて『ソレ』を呼び起こした。
(「今回セッションする我々だって、負けてませんよ」)
 それを確認したメリルが、掌を向けて紹介するように高らかに告げた。

「今回はなんと、お友達の晴夜くんとニッキーくんも一緒だよ!」
『ピニャアアアアア!!!??』
「え? ……こ、怖い? 怖くない怖くない!」
「そうですよ失礼な、ニッキーくんはこんなにも可愛いのに!」
 晴夜さんの背後にズモッと立ち上がったニッキーくんの威圧感溢れる……じゃなかった、愛嬌たっぷりのポージングに、何故かにゃんこたちからは悲鳴じみた鳴き声が漏れ、それをメリルさんがどうどうと落ち着かせる一幕があったりなんだり。
 晴夜が指を繰りニッキーくんを己に近づけると、手渡したのはヴァイオリン。
「ニッキーくん、ヴァイオリンの演奏をよろしく」
「……」
 これ、どうしたらいいんだろうという顔で、それでも素直にヴァイオリンを受け取るニッキーくん。
(「やらせた事ないですが、ニッキーくんなら多分いける」)
 ぶっつけ本番だった――! 割とスパルタでございますね!?
 うーん、うーんと構え方から悩むニッキーくんに、にゃんこ楽団のヴァイオリン担当が見かねたかのように一生懸命構え方を見せてレクチャーしようとしていた。
「……?」
『そうニャ……!』
 ヴァイオリンチームから小さな歓声が起きた。なら次は弓を弦に当てて――。
 何やかやでニッキーくんがたどたどしいながらも音を出すという快挙を成し遂げているころ、主の晴夜さんが何をしていたかと申しますとですね。
「私はクライマックスに備えてシンバルを手に立っていますね!」
 どーーーん。すげえ真顔してた。シンバル構えて美青年が真顔ですよ。放送事故かな?
「ほらほら、二人ともとっても優し……あっ、逃げないでー!」
 一方のメリルさんは、耐えかねて散っていくひつじを集めるのに一生懸命でした。
「大丈夫、怖くないですよ。我々はとっても優しい博愛主義者ですよ(真顔)」
「み゛ぃ゛え゛え゛え゛え゛!」
「ひつじさーん! すごい声で鳴かないでー!」
 ひつじさんコーラスが再結集するまで、ちょっとばかり手間取ったとか何とか。
「……さて、気を取り直して。みんなで楽しい演奏会といきましょうか!」

 ぎこぎこ、めえめえ。フルートの音色に、その時を待ちわびるシンバル。
(「可愛さもチームワークも、メリルたちの方がずっと上!」)
 ジャーーーン、と晴夜のシンバルが高らかに打ち鳴らされると同時に、メリルがキッとにゃんこ楽団を見据えて、強く念じた。
(「臆病で弱虫なんて、そんな風になめないでよね」)
 可愛い可愛いひつじたちは、時に、勇敢なる猛者となるのだ!
 演奏が終わると同時に、ひつじたちが次々とにゃんこたちへと怒濤の突撃を敢行した!
「アンコールだよ!」
「ニッキーくん、今です!」
 ヴァイオリンを丁寧にそっと離れた地面に置くと、ニッキーくんもまたドスンドスンとにゃんこたちへと突撃していく。
 付き従うように共に駆ける晴夜は、手にしたままのシンバルでにゃんこをばいーんと挟んでしばき倒していく。

 ――一体どうしてこんなことを?
「ごめんね。メリル、犬派なので!」
「いやはや申し訳ない、ハレルヤも犬派なので!」
 ――などと供述しており。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

逢坂・宵
ザッフィーロ(f06826)と

ああ、にゃんこフィルハーモニー……
猫好きのザッフィーロには惹かれずにはおられないでしょう
むーんと複雑な気持ちのまま唇を尖らせていれば
向けられた提案にぱっと笑顔になって
ええ、ぜひ せっかくの機会ですからねと並んで座り演奏を聴きましょう

荒々しくダイナミックに指揮棒を振るう指揮者
ここぞと決めた音を力強く弾く楽団員
そして紡ぎあげられる盛大な不協……いえ、ハーモニー
意志をひとつにして力の限り演奏するさまは
見ているだけでも感動しますね
甚く感じ入っている様子のかれはやっぱり面白くないですけれども

演奏が終わりフィナーレを飾ったなら
そっと【ハイ・グラビティ】でお別れしましょう


ザッフィーロ・アドラツィオーネ
宵f02925と

猫の音楽隊だと…!!
何と言う事だ…この様な愛らしい光景に立ち会えるとは…!
そう感動に打ち震えながらふらふらと近づきかけるも、先の宵の様子を思い出せば足を止めよう
…宵…その、何だ
共に…そう、共に!もふ…否、演奏を聞きに行かんか…?
そう恐る恐る宵を振り返りつつも慌ただしく動く視線はネコチヤン達へとついぞ向けられてしまっているやもしれん

宵が共に聞いてくれるならば宵と共に演奏に聞き入ろう
柔らかな香しそうな肉球で紡がれる音楽…音程等どうでも良い。ああ、どうでもよいのだ!
一曲終わる度に大きな拍手を送りながらも、宵の攻撃を見れば涙をのみ【罪告げの黒霧】を
本当に素晴らしいもふ…否、演奏だった…



●自分を一番に見ていて欲しいに決まっている
 ザッフィーロ・アドラツィオーネはネコチャンが大好きだった。
 それを他ならぬ逢坂・宵が知らぬはずがない。
 だからこそ、この先の展開が宵には容易く読めてしまって。
「ああ、にゃんこフィルハーモニー……」
 呟く声音はやや低く、唇は自然と尖ってしまう。
(「猫好きのザッフィーロには、惹かれずにはおられないでしょう」)
 あーあー、はいはい、好きになさって下さいよーだ。
 そんなぶんむくれた言葉さえうっかり口をつきそうになるけれど、一歩間違えばキャラ崩壊どころか解釈違いの危険を孕んでいるため、ここは慎重に参りましょう。

 さて一方のザッフィーロといえば、いつでも演奏を始められる状態のにゃんこ楽団を目の当たりにして、見事宵の予想通り感動にその身を打ち震わせていた。
「猫の、音楽隊だと……!!」
 手は虚空を掴むように伸び、足はふらふらと吸い寄せられるように一歩、二歩。
「何と言う事だ……この様な愛らしい光景に立ち会えるとは……!」
 このまま昂りのままにモフをモフしても良かったのだろう。
 けれども、ザッフィーロは肝心なところで大事なことをしっかり思い出せるスパダリだった。
(「……待て」)
 思い出せ、先程サクラモフウサギを相手にした時の、宵の様子を。
 足が止まる。そのまま、宵の方を振り返り、絞り出すような声で告げた。
「……宵……その、何だ」
「何ですか? ザッフィーロ」
 宵は常と変わらぬ笑顔に見えるけれど、またぷっぷくぷーにさせてはいけない。
「共に……そう、共に! もふ……否、演奏を聞きに行かんか……?」
 恐る恐る己を振り返り、ちょっぴりしどろもどろな感じでの提案をされて。
 悪い気はしないどころか、『共に』という言葉が、とても嬉しかったものだから。
「ええ、ぜひ――せっかくの機会ですからね」
 ぱっと華やかな笑顔をいとしい人に向ければ、にゃんこ楽団の前にすとんと腰を下ろす宵。そして、その隣を掌で軽く叩いて、ザッフィーロにも座るように促した。
 宵とネコチャンとの間を交互に泳ぐ視線は、何とか咎められずに済んだ。
 ほっと胸をなで下ろしつつ、ザッフィーロは手招きに応じて並んで腰を下ろした。

『諸君らは実に運が良い! 新生にゃんこフィルハーモニーの公演を無料で聴けるのだからニャン!』
(「本当に語尾にニャンがつきましたね」)
(「本当に語尾にニャンがついた……!」)
 宵は冷静に、ザッフィーロは身悶えそうになるのを耐えつつ、指揮者ニャンの言葉を聞く。その腕はやがて高々と振り上げられ――演奏が、始まった。
『~~♪ ~~~♪』
(「荒々しくダイナミックに指揮棒を振るう指揮者、ここぞと決めた音を力強く弾く楽団員……」)
 奏でられる旋律を心穏やかに、努めて冷静に受け入れようとする宵。
 影朧の音楽に魅了されるのも如何なものかと思うし、何より、知っていたから。
(「そして紡ぎあげられる盛大な不協……いえ、ハーモニー」)
 一時は通しで間違えずに演奏を終えることが出来るまでに上達したのだが、それがいつまでも維持できるとは限らない。先程のは、いわばドーピングに近い。
 地力を上げるには、やはり地道な努力が必要なのだろう。
(「柔らかな香しそうな肉球で紡がれる音楽……音程等どうでもいい。ああ、どうでもよいのだ!」)
 一方のザッフィーロは、音楽の出来より『ネコチャンが楽器を弾いている』という事実の方に重きを置いてこの状況を評価していた。めっちゃ評価していた。
 一曲演奏が終わるたび、ザッフィーロはスタンディングオベーションで拍手喝采。
(「意志をひとつにして力の限り演奏するさまは、見ているだけでも感動しますね」)
 そこは素直に評価しよう、だが。宵はチラと隣で立ち上がって涙を浮かべておおブラボーとか言っちゃってるザッフィーロを見上げた。
(「……甚く感じ入っている様子のかれは、やっぱり面白くないですけれども」)
 ぷう。知れず、宵の唇は尖ってしまっていた。

『ありがとニャン! ありがとニャン! ではもう一曲……』
「次は何の曲だ!?」
「いいえ、今の曲でフィナーレです」
 これ放っておいたらキリがないと、宵が心を鬼にしてすいと「宵帝の杖」を振れば、ずしんと重力の塊がネコチャンの一部をべたりと地面へ押し付けた。
「宵……! ああ、その刻が来てしまったのか……」
 それを見たザッフィーロも、涙を呑んですうと息を吸い――黒い毒霧を吹きかける。
(「本当に素晴らしいもふ……否、演奏だった……!」)

 有難う、有難う。心からの感謝を込めて。
 倒れ伏したネコチャンを、そっと撫でるついでにもふもふした。
 そんなザッフィーロを、ジト目で見つめる宵の姿が……!

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

榎・うさみっち
うさぎの次はにゃんこか!
「おうま がつじ」って言うくらいだから
そのうち馬も出てこねーのかな!
まぁそれはともかく!

ちょこんと座ってにゃんこたちの演奏を真面目に聴く
一生懸命練習した成果の発表を邪魔するなど言語道断!

ああ…なんていい音楽なんだ…
(所々音が外れているのは気にならない
心が洗われて清く正しいうさみっちになりそうだ…

でも一つ足りないな、そう、ボーカルだ!
このうさみっち様が演奏に合わせて歌ってやろう!
にゃんことうさみのコラボ!
UCで早業で俺専用高性能マイクを作成!
俺の美声を聴け~♪


ひとつ、うさみはド底辺の音痴である
ひとつ、UCマイクのおかげで爆音量+ハウリングしまくり
そして、にゃんこたちはしぬ


秋津・惣次郎
アドリブ、連携等歓迎

む…つぎは猫か!気を取り直す。総員、戦闘用意!って貴様ら、何を呑気に音楽鑑賞している!

引き続きUCで召集した我が帝都軍の将兵らは相変わらずのようだ。どうやら大和魂を思い出させる必要がありそうだ。
それはそうと猫共の演奏だが、悪くはないにしても統一感に欠けているようだ。ここはひとつ、我ら陸軍式の肉体的精神的訓練にて猫共の統率力強化を図ろう。

貴様ら!その程度の団結力で華の帝都の大舞台に立つつもりか?
話にならん!鉄の規律、鋼の闘争心こそ死地にて本領を発揮するのだ!

我が兵らも漸く奮起したらしい。猫共に大和魂を叩き込んでくれよう。
何?訓練に耐えられず猫共が消えただと?

む…我々は何を?



●歌の暴力と精神論と
「うさぎの次はにゃんこか!」
 ぶーんと宙を舞いながら、榎・うさみっちがにゃんこ楽団と秋津・惣次郎との間を行ったり来たり。
「『おうま がつじ』って言うくらいだから、そのうち馬も出てこねーのかな!」
「む、騎兵隊か? 近年は機甲化が進んでおり、数を減らしているが……」
「真面目か!」
 うさみっちの完璧に冗談で言った台詞にも、惣次郎は律儀に反応するものだから、ピンクのフェアリーは思わずツッコミを入れてしまう。
 一方の惣次郎は何かおかしなことを言っただろうかと小首を傾げつつ、前方を油断なく見る。にゃんこフィルハーモニーの一団を確認!
「む……つぎは猫か! 気を取り直して、総員、戦闘用意!」
 ザッ! 歩兵も戦車兵も、みんな揃ってにゃんこ楽団の前に並んで音楽鑑賞の構え!
「って貴様ら、何を呑気に音楽鑑賞している!!」
「まぁそれはともかく!」
 またこのパターンか! とお怒りの秋津中尉の軍帽の上に、うさみっちがおもむろにぽふんと着地して何やかやで一緒に座り込む。
 惣次郎、うさみっち、秋津中尉の帝都軍。結局みんな揃ってにゃんこ楽団の音楽を聴く流れとなってしまった。

「一生懸命練習した成果の発表を邪魔するなど、言語道断!」

 頭の上でドヤッと言い放つうさみっちの言も、まあ確かにもっともだ。
 それはそうとウサギの時に引き続いて今度こそはと活躍を願って召集した将兵たちは、残念ながら相変わらずで。
(「どうやら、大和魂を思い出させる必要がありそうだ」)
 すみません……だいたいこのシナリオがトンチキなせいです……将兵さんたちを責めないであげて下さい……!
 まあ色々ありつつも、人の頭の上で足を投げ出すとか地面に律儀に正座するとか、各々自由ににゃんこたちの演奏を聴き始めた。

『~~♪ ~~~♪』
「ああ……なんていい音楽なんだ……」
「正気か!?」

 ところどころ音が外れている演奏も、うさみっちには気にならないのだろうか。今度は惣次郎の方が思わずツッコんでしまう番だった。
「心が洗われて清く正しいうさみっちになりそうだ……」
 パチモンじゃねーか! おっと失礼!!
「……それはそうと猫共の演奏だが、悪くはないにしても統一感に欠けているようだ」
 割と真面目な惣次郎さんの分析が光る! サンキュー惣次郎さん!
 だがそこにヒュッと割り入ってくるピンクの影! うさみっちだ!
「ああ、一つ足りないな……そう、ボーカルだ!」
「ボーカル」
「そう、このうさみっち様が演奏に合わせて歌ってやろう!」
「あ、ああ、歌か……ええ!?」
 ボーカルなる単語にちょっと聞き馴染みがなかった惣次郎がおうむ返しをしたのに乗じて、うさみっちがどんどんコーラス参加の方向で話を進めてしまう。

「ちゃららっちゃら~♪ 『俺専用高性能マイク』~!」

 フェアリーサイズのちっちゃいマイク! うさ耳ついてる! ギャンかわ!
「にゃんことうさみのコラボ! 俺の美声を聴け~♪」
「……! そ、総員、耳を塞いで伏せろっ!!」
 うさみっちがノリノリ絶好調で声を張り上げようとしたまさにその瞬間、秋津中尉は的確なる判断を下した。ぶっちゃけた話、死ぬほど嫌な予感がしたのだ。
 そしてこの判断こそが、惣次郎自身と将兵たちの命を救い、ひいては一致団結をもたらしたとも言えよう。

 ――どんなにマイクが高性能だろうが、拡声する声そのものが美しくなる訳ではない。
 ――そして、うさみっちはド底辺の救いがたい音痴であった。
 ――下手にマイクが高性能だったものだから、ハウリングしまくりの爆音が轟く。

 うん、これはまともに聞いたら死ぬよネ!

 しばらくして、状況が安定したことを確認した惣次郎が腕を振って将兵たちを起こす。
 そこには泡を吹いて痙攣するにゃんこたちと、満足げにしているうさみっちがいた。
 これは好機か。今こそ圧倒的な武力で以て制圧してしまえば、間違いなく勝てるだろう。
 けれども惣次郎は、敢えてつかつかと指揮者ニャンのそばまで一人で歩いて行った。
(「ここはひとつ、我ら陸軍式の肉体的精神的訓練にて、猫共の統率力強化を図ろう」)
 こ、これは完全に討伐ではなく訓練モード!
 楽団を同じ部隊に見立ててみれば、確かに放って置けないのも分かりますが!
『う、うう……何が起こったニャン……?』
 指揮者ニャンが、続いて楽団員たちが、よろめきながら次々と起き上がる。

「貴様ら! その程度の団結力で華の帝都の大舞台に立つつもりか?」
『も、もちろんニャ! 我々はこのままの勢いで、あの大舞台に……』
「笑止っ! 楽団員ひとり守れずして、何が指揮者か! 責任者か!」
『ニャッ……!?』

 音痴テロはさすがにそう簡単には回避できないと思うんですがそれは……!?
 でも惣次郎さんからすれば「私は出来たのだから貴様らもやれ」の精神なのかも。
「話にならん! 鉄の規律、鋼の闘争心こそ死地にて本領を発揮するのだ!」
『待つニャン!? 我々一体何の集まりだと思われてるニャン!?』
 割とマジで不安になった指揮者ニャンが問うも、何か将兵さんたちにすっかり囲まれちゃって。うーんこれは絶体絶命。
 それを満足げに見遣った秋津中尉、こうおっしゃいました。
「我が兵らも漸く奮起したらしい、猫共に大和魂を叩き込んでくれよう」
 こうして、地獄の訓練が始まった――!

 ……。
 …………。
 ………………。

「中尉殿!」
「何? ……訓練に耐えられず、猫共が消えただと!?」

 我々は一体何を……?
 それはこちらが聞きとうございますれば……!

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ジャック・スペード
また愛らしいフォルムの影朧が出て来たな
長毛の猫は何故あんなに
撫でたくなるのだろうか……

折角なので演奏は聴かせて貰おうか
当機に音楽のことは分からないが――
見事に、協調性が無いな
みんなでニャーニャー鳴いてる方が
よほど和むんだが

ああ、音が外れ始めた……
キティ―ズも出て来ると良い
彼らの演奏に合わせて歌ったり踊ったりして
もう少し聴きやすく――……じゃない
彼等の演奏を邪魔するんだ

しかし、演奏の良し悪しは置いておくとして
音楽に対する志は伝わって来た
――ような、気がするな

礼に喝采でも降らせようか
スタンディングオベーションは
熱い演奏に見合う熱量の炎の弾丸にて

それにしても――
一体くらい撫でておけばよかったな



●足投げ出してる全身アイコンのジャックさんkawaii
 ダークグレーの外套に、黒いスーツ一式。
 音楽会に列席するにはぴったりの装いに思えるジャック・スペードの姿は、大きなボディをちょーんと体育座りさせて、今まさににゃんこフィルハーモニーの前にあった。
(「また愛らしいフォルムの影朧が出て来たな」)
 あれ? さっき軍隊式のしごきに耐えかねて消滅したんじゃ? こまけぇこたぁいいんだよもうちょっと続くんじゃよ! という訳で指揮者ニャンの入場です!
(「長毛の猫は何故あんなにも撫でたくなるのだろうか……」)
 もちろん、短毛の猫だって、何なら毛の色だって問わない。ネコチャンならもれなく撫でたいものだ。けれど、こう……長毛種って、そうそうお目にかかれない印象がね……?

『ようこそ! これより、にゃんこフィルハーモニーの演奏会を開催するニャン!』
 これまでにあったアレソレを割と忘れているようで覚えているっぽいネコチャンたちは、しれっと楽器を構えてキリッとした顔でジャックを見た。
「……折角なので、演奏は聴かせて貰おうか」
『~~♪ ~~~♪』
 流れてくる旋律は、出だしは順調。誰が聴いてもこの先を期待する出来だった。
(「当機に音楽のことは分からないが――」)
 あーあーあー、折角さっきいい先生に師事してイイ感じになったりしたのにー。
(「見事に、協調性が無いな」)
 ミーティングも一度きり、特別講座も一度きり。それだけでいきなり完璧な演奏が身につくはずもなく。ましてや、協調性なんて長い月日をかけてようやく培われるものだ。
 一人が音を外せば、連鎖してその音を頼りにしていた別の音が外れる。
 せめて一人一人が楽譜を完璧に把握していれば、それもカバーできようが。
 その熟練度も――残念ながら、甘いと言わざるを得ない。相当長い年数を影朧としてやってきただろうに、正直『何をしていたのだ』と言いたくなってしまう。

「……みんなでニャーニャー鳴いてる方が、よほど和むんだが」
『ニャんだとう!?』

 内心このままだとヤベえなと思っていた指揮者ニャンが振り返る間にも、どんどん音のズレは大きくなっていく。
「ああ、音が外れ始めた……」
『言われニャくても分かってるニャン!』
 まあまあ、と紳士なジャックさんは手でそっと興奮する指揮者ニャンを制すると、もう片方の手でマントの裾を翻して、何かに語り掛けるように告げた。
「出番だぞ、キティーズ」
 きゃいきゃい、わいわい。マントの中から次々と、ぜんまい仕掛けのトランプ兵が飛び出して来るではないか。いち、にい、さん……たくさん!
「彼らの演奏に合わせて歌ったり踊ったりして、もう少し聴きやすく――」
『……』
 何かもう何でもいいから縋りたい、そんな目で見つめてくる指揮者ニャンに絆されそうになるのを堪えて目を逸らし、ジャックは咳払いひとつ、言い直す。
「……じゃない、彼等の演奏の邪魔するんだ」
「きゃっきゃ!」
『やめてー!!』
 楽団が座る椅子や列の間にどんどこ入っていって飛んだり跳ねたり、勝手に楽譜をめくったり。え? どうせ楽譜なんて見てないも同然だからいいだろうって? ウッ!

 そんなどったんばったんをやや遠巻きに眺めながら、ジャックは思う。
(「しかし、演奏の良し悪しは置いておくとして」)
 もふがトランプ兵を追い回しては翻弄されるさまはとても愛らしい。
(「音楽に対する志は伝わって来た」)
 楽譜が飛んできて、しかし首を軽く傾げるだけでそれを悠々と躱す。
(「――ような、気がするな」)
 多分、気のせいだろうけれど。

「礼に喝采でも降らせようか」
 キティーズを巻き込まぬようにそっと撤収の合図を送りながら、ジャックは銀の歯車を回す。
「スタンディングオベーションは、熱い演奏に見合う熱量の、炎の弾丸にて」
 ――しっちゃかめっちゃかになってしまった舞台に幕を下ろすのは、機械仕掛けの神の役目だと。

成功 🔵​🔵​🔴​

木常野・都月
猫が…音楽?
俺妖狐だけど楽器使えない。
勿論、音楽の良し悪しも分からないけど。

猫が楽器で音楽しているという時点で、凄い。

でも……猫だろう?

しばらくジーッと音楽を聞いていたけど。

……よし。

夢を壊すのは可哀想だけど、仕方ない。
俺は猟兵だから。

水の精霊様の[範囲攻撃]を猫達に撃ちたい。

皆目を覚ませ!
猫が…猫が音を合わせるなんて、無理なんだ!
本当は自分達でも分かってるんだろう?
音楽よりも…陽だまりでゴロゴロしたいって!

陽だまりより音楽を選ぶなら、転生して人に生まれ変わるしかないんだけど…。
ごめんなさい。
今回の任務は倒せと言われているんだ。
次回頑張って欲しい。

UC【精霊の矢】を氷の精霊様の助力で撃ちたい。


荒谷・つかさ
なるほど、猫。
で、邪魔してはいけないと……
まあ問題無いわ。いいものを用意してきたから。
ええ、私は邪魔しない。あんたたちが演奏してる限りは。
でも……どこまで我慢できるかしらね?

取り出したるは巨大な袋(どこから出てきたかって? こまけえことはいいんですよ!)
これの口をちょっとだけ開けて、楽団の演奏を見守るわ
袋の中に入ってるのはキマイラフューチャーでコンコンコンして集めた最高級マタタビ
これを目の前にして、どの程度集中して演奏できるのか見物ね?

耐え切れずに猫まっしぐらになったら演奏が終わったものとみなし、攻撃
【破界拳】で空間を殴り世界の壁にヒビを入れ、その余波で纏めてふっ飛ばすわ



●コレ持ち出したのお一人だけだったの意外でしたネ
「猫が……音楽?」
 木常野・都月はにゃんこ楽団を見るや、真っ先にそう訝しんだ。
『ニャにか文句あるのかニャン!』
 当然、指揮者ニャンは面白くなくてどういう意味だと言い返す。
 都月に悪気は一切ない、そこは弁明しておきたい。
 むしろ『猫が楽器で音楽しているという時点で、凄い』とさえ思っているのだ。
「俺、妖狐だけど楽器使えない。勿論、音楽の良し悪しも分からないけど」
 そう呟く都月の隣に、荒谷・つかさが並び立った。
「なるほど、猫。で、邪魔してはいけないと……」
『そうニャ、とりあえず一曲だけでも大人しく聴いていくニャン!』
 ネコチャンたちからすれば、とにかく聴いてから判断してもらいたいという気持ちが強いのだろう。止めとけばいいのに……いや何でもないです。

(「まあ問題無いわ、いいものを用意してきたから」)
(「いいもの……? わ、分かった」)

 ひそひそと、つかさと都月が言葉を交わし、つかさの方が先に宣言した。
「ええ、私は邪魔しない。あんたたちが演奏してる限りは」
『言ったニャン!? ならば、堪能していきたまえ!』
 すいっと指揮棒が振られ、楽団員が一斉に音を奏で始める。
(「でも……どこまで我慢できるかしらね?」)
 ――旋律が、流れ始めた。

(「でも……猫だろう?」)
 都月はどうしても、どこまで行っても楽団を構成するのがネコチャンである所から離れられずにいた。
 野生に生きていた経験が、否が応でも教えてくれる、ある『現実』があったから。
 それでも共に居るつかさが『邪魔をしない』と言った手前、無闇に動くのも憚られて、しばらくジーッと音楽に耳を傾けてい……いた……ああっ我慢の限界を迎えた!
(「……よし」)
 言おう、事実を。
 突き付けよう、現実を。
 都月くんがそう決心した時、多分きっとつかささんも色々な意味で耐えかねたのかも知れません。何やらデカい袋を取り出して(割とマジでどこから出てきたの状態なんですが、こまけぇこたぁいいんですわよ!)その袋の口をちょっとだけ――開けた。

『……ッ』
『……!』
「……んっふふ」

 ネコチャンたちの演奏を見守っていたつかさが、思わず悪い笑みを浮かべる。
 面白いようにこちらを、正確にはデカい袋の方をソワソワとチラ見するネコチャンたち。
「荒谷さん、そ、それは、まさか……」
 野生の勘が、教えてくれた。その袋の中身を察した都月が、震える声を出す。
「そう……この袋の中に入ってるのはキマイラフューチャーでコンコンコンして集めた最高級マタタビ」
 対ネコチャン用最終兵器じゃないですかー! ていうか良く集めましたねそんなん!
 それは粉末状で、芳しく、袋の口を開いただけで酔いしれるような……嗚呼……!
「これを目の前にして、どの程度集中して演奏できるのか――見物ね?」
『お、おニョれ……ッ!!!』
 指揮者ニャンが震える手をもう片方の手で押さえる。

 ――チラッ。

 袋の口が、さらに少しだけ開かれた。まるで焦らすように、ゆっくりと。
『ニャアアアアアアン!!!』
『ゴロゴロゴロゴロゴロ!!』
 遂に、数名の楽団員が耐えかねて楽器を放り出してつかさが見せつける袋目掛けて飛んできた。
『ああっ、お前たち……こら!』
 一度陥落すると、雪崩式に――堕ちる。楽団員は次々と演奏を放棄して、最高級マタタビという極上の美酒をキメるために袋にむらがった。
「さすが最高級……ちょっと舐めただけでもうゴロンゴロンして……」
 都月がその威力に恐れおののきながらも、己の務めは忘れずにすうっと息を吸う。
(「夢を壊すのは可哀想だけど、仕方ない。俺は、猟兵だから」)

 ――ばっしゃああ!!

 助力を願った水の精霊様が、頭を冷やせと言わんばかりにネコチャンたちの頭上から水をぶっかけたのだ。
 呆然とするネコチャンたちに向かって、都月は思いっきり叫んだ。
「皆、目を覚ませ! 猫が……」
 つかさは、ことの成り行きを静かに見守っていた。
「猫が、音を合わせるなんて、無理なんだ!!」
『ニャッ……!?』
 何故、楽団がどれだけ練習を重ねても一向に上達しなかったのか?
 一時的には良くなっても、根本的な解決にはならなかったのか?
「本当は……自分達でも分かってるんだろう?」
『どういう……ことニャ』
「音楽よりも……陽だまりで、そんな風に気持ちよくゴロゴロしたいって!!」
『……ッ!!!』
 マタタビで思い出してしまった、ただひたすらゴロゴロするだけの、ネコチャンらしい生き方。それこそが、本来の自分たちの在りようなのだとするならば。
 都月は、ぎゅっと拳を握って呟いた。
「陽だまりよりも音楽を選ぶなら、転生して人に生まれ変わるしかないんだけど……」
『……』
 自分たちは、あまりにも『ここ』にしがみつきすぎてしまった。
 その夢は――叶わない。
「ごめんなさい」
 それは、都月も理解していた。
「今回の任務は、倒せと言われているんだ」
 震える手で、水の精霊様の力を集めて矢の形にしたところで――つかさが、そっとその手に己の手を添えた。

「荒谷、さん」
「もう演奏は終わったわ、攻撃しても大丈夫ってこと。だから」
 ――任せて。
 そう言外に告げると、つかさはザッと前に出た。ネコチャンたちが転がる、その前へ。
「次回、頑張って欲しい」
 都月が、送る言葉を添えて。つかさが、握った拳を思い切り地面へと打ちつけた。

「我が拳、阻めるもの、なし……っ!!」

 それは、己の腕力一つで世界の境界をも打ち砕く、破界の拳。
 文字通り世界にヒビが入り、衝撃の余波でネコチャンたちが次々と吸い込まれる。
「そうね、次があるなら……頑張りなさいな」
 閉じゆく境界を見遣りながら、つかさはそっと瞳を閉じた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

アカネ・リアーブル
にゃんこ交響楽団
それは是非とも聞いてみたいです!
ですが今のままでは難しい様子
舞台人のアカネがアドバイス致しますので
さあお膝へどうぞ(もふ

楽譜通りに演奏するのは
にゃんこには難しい様子
ならばいっそ自由に演奏すればよいのです
基本となるメロディと和音はそのままに
リズムはしっかり刻みまして
後はアドリブです
素晴らしい音楽にしようという気持ちさえあれば良いのです

自由に気ままに楽器は交響楽団
立派な交響ジャズができました!
にゃんこ交響ジャズ団として売り出せば
必ずや人気が出ることでしょう

素晴らしい演奏に拍手!
にゃんこ交響ジャズ団の花道を【茜花乱舞】でお見送り
転生が叶った暁には
本物の交響ジャズをお聞かせくださいね



●あるひとつの結末を
 月が出ない夜の世界で、一心不乱に音楽の練習に打ち込むネコチャンたちがおりました。
 どうしてそんなことになってしまったのかさえ、もう分かりません。
 ネコチャンたちには指揮棒と楽器とが与えられて、ただひたすらそれを使って楽団を結成して、演奏を続けるしか道はありませんでした。
 もう、理由なんて、どうでも良かったのかも知れません。
 いつか、誰かが、音楽を聴いて――願わくば、喜んでくれますように。

 白い翼持つ愛らしい女の子が、手を差し伸べながらこう言いました。
「にゃんこ交響楽団! それは是非とも聞いてみたいです!」
『……』
 けれどもネコチャンたちは、指揮者をはじめ楽団員たちみんなしてうなだれるばかり。
 色々あって、結局自分たちには、音楽なんて無理なんだと知ってしまったから。
「ですが、今のままでは難しい様子」
 ふふ、と笑って、少女――アカネ・リアーブルはそっとネコチャンを手招きしました。
「舞台人のアカネがアドバイス致しますので、さあ――お膝へどうぞ」
『……ニャン』
 誰が行くかでちょっとだけ譲り合いが起きましたが、ここはやはりコンサートマスターが行くべきだろうということになって、ヴァイオリンを持ったネコチャンがお膝にもふり。
 それを優しく撫でながら、アカネは丁寧に優しく言って聞かせます。
「楽譜通りに演奏するのは、にゃんこには難しい様子」
『ゥニャア……』
 耳をぺたんと寝かせて、寂しげにひと声。本当は、分かっていたのです。
 けれどアカネはあきらめません、見捨てたりなんてしません。
「ならば、いっそ自由に演奏すればよいのです」

 ――どういうこと?

 ネコチャンたちがざわざわします。アカネの説明も続きます。
「基本となるメロディと和音はそのままに、リズムはしっかり刻みまして……」
 もふり、もふり。元気を出してと、自信を持ってと。
「後は、アドリブです! 素晴らしい音楽にしようという気持ちさえあれば良いのです」
『素晴らしい音楽に……気持ち……』
『……』
 指揮者ニャンは、じっと指揮棒を握ったまま立ち尽くしています。
 そんな指揮者ニャンにも、アカネはしっかりと視線を送っていました。すかさず手招きして、そっと指揮棒を握る手に手を重ねました。
「自由に、気ままに、楽器は交響楽団。さあ、やってみましょう!」
『……ニャッ……!』

 基本ならば、叩き込んできたはず。
 和音程度なら、わかるはず。
 けれどそれを決められた通りに演奏できないなら、楽しく自由に、心の赴くままに!
『~~~♪ ~~~~♪』
「わ、立派な交響ジャズができました!」
 一通り演奏が終わると、アカネが思い切り拍手をしてくれました。
「にゃんこ交響ジャズ団として売り出せば、必ずや人気が出ることでしょう」
『ほ……本当かニャン?』
「ええ、本当ですとも」
 懐から取り出した舞扇が、はらはらと茜の花びらへと姿を変えていきます。
 ――にゃんこ交響ジャズ団の花道を、【茜花乱舞(センカランブ)】でお見送りです。

 いつか、どこかで。
「転生が叶った暁には、本物の交響ジャズをお聞かせくださいね」

 いつか、どこかで――。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『サクラモフウサギ巨大種』

POW   :    ぶーっ!ぶーっ!
【鳴き声と共に激おこうさぎモード】に変化し、超攻撃力と超耐久力を得る。ただし理性を失い、速く動く物を無差別攻撃し続ける。
SPD   :    もふもふもふもふ
対象の攻撃を軽減する【超もふもふ毛皮】に変身しつつ、【踏み潰し】で攻撃する。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
WIZ   :    サクラモフウサギの大群
自身の【寿命】を代償に、【サクラモフウサギの群れ】を戦わせる。それは代償に比例した戦闘力を持ち、【体当たりや齧りつき、キックなど】で戦う。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はサクラモフウサギ・モドキです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●ほとんど動かないデカブツを四方八方からボコるイメージです
『ぶうぅ……』
 ずん、ずしん、ずしぃん。不機嫌そうな鳴き声というか唸り声と、乱暴な足踏みから生じる地響きとが、ススキ生い茂る夜の逢魔が辻に轟いた。
 何だ何だと超弩級戦力たちが音の方を見れば、そこには――天を衝くばかりの大きさをしたもふもふの白うさぎがいた。いたというか、そびえ立っていたというべきか。
 誰もが首が疲れるほどに見上げなければうかがい知れぬその顔は、ひどく不機嫌で。
『ぶふーーーうぅ……』
 ぶんむくれた様子でクソデカため息らしき声を出すと、じろりと猟兵たちを一瞥した。

 これだけの巨体であれば、お月さまにも届くだろうと思ったのに月が見えない。
 手下のウサギたちもネコチャンたちも、みんないなくなってしまった。
 つまらない。不甲斐ない。情けない。いろんな感情がないまぜになって、サクラモフウサギ巨大種というある種こちらも超弩級の存在をぷっぷくぷー状態にさせるのだ。

 コードネームは、こちらでは特に設けない。好きに呼んで構わない。
 巨大うさぎを、まあ言ってしまえばソシャゲのレイドボスを倒す感覚で、猟兵みんなでボコって退治してこの逢魔が辻を消滅させることが最終目的となる。
 UDCアースの8階建てくらいの高層ビルとほぼ同等の大きさを誇るうさぎの巨体を、いかに攻略するか?
 とはいえあんまり細かいことは考えず、今まで通りのびのびと戦ってくれれば大丈夫。
 何か風変わりな逢魔が辻を支配する巨大うさぎをやっつけて、花の帝都へ凱旋しよう!
怨燃・羅鬼
可愛さコンテスト惨回戦☆災終血戦!アイドルファイトレディーゴー☆
ていうことでおは羅鬼~☆アイドルのらきちゃんだよ☆

最後の相手は巨大なウサギさん☆
らきちゃんのおっぱいより少し大きいネ☆まさに強大な敵だ!


って、あれあれ?なんかすごい興奮してる?
分かった!あのウサギさんはらきちゃんの大ファンだから!らきちゃんを見て興奮してるんだネ☆


それじゃあ アイドルらしく 握手壊だネ ☆


ウサギさんを掴んで!
ぺったんぺたんた、お餅つき~♪
十五夜は過ぎちゃったけど季節にピッタリだネ!


ということで優勝☆TOPアイドルの座はらきちゃんのものだね!ぶいぶいぶいでびくとりー☆



●どうしよう初っ端からプレイングがパワーワードに満ちあふれている
 カッ!
 そびえたつうさぎが、どこからともなく照射されたスポットライトを浴びた。
 ひとつ、ふたつ、みっつ。誰が? どこから? そういうの割とどうでもいいから。
 そして、その光は怨燃・羅鬼をも照らし出す。ぶいぶい、羅鬼はアイドル☆ だからその辺抜かりなくポーズを取って見せるのだ。

『ぶぅ……?』
「可愛さコンテスト惨回戦☆災終血戦! アイドルファイトレディーゴー☆」

 羅鬼ちゃんさん! 変換殺しな上に笑うしかない文字列ありがとうございます!
「ということでおは羅鬼~☆ アイドルのらきちゃんだよ☆」
 知ってる!! 写真集出たら教えて下さい、買いますから!!
 何か周囲が空気を読んだのか、羅鬼だけでなくデカうさぎも平等にスポットライトで照らし出したものだから、何というか、こう、圧がすごい。
『ぶふうぅ……ぶー……』
 多分こう、何この……何? と言いたいのだろう。控えめに言って今までの敵と比べてあんまり可愛さをアピールしてこない相手であり、むしろ不機嫌さを前面に押し出してくる相手なので、可愛さ勝負ならば圧倒的に羅鬼が有利と言える。
 ぶふんと鼻息を荒くするデカうさぎを前に、羅鬼はその足元できゃるん☆ と身をよじって、臆することなくまるでアイドルがテレビのレポーターを務めるかのごとくにバッと片手を挙げた。だぼっとした袖が本当に可愛い。アッすみません、萌え袖好きなんです。

「最後の相手は巨大なウサギさん☆ らきちゃんのおっぱいより少し大きいネ☆」
 はい???
「まさに強大な敵だ!!!」
 待って???

 ――スルーされました! ちくしょう、何て精神力だ!
 デカうさぎはデカうさぎで状況が読めずに不機嫌さを募らせて、鼻息を荒くする一方。
 ぶふう、ぶふうという息は強まり、だんだん地上の人間ひとり程度吹き飛ばしてしまいそうなほどになっていく。
「って、あれあれ? なんかすごいKOUFUNしてる?」
 不思議な仕組みで絶対に取れない赤い頭巾と、翠の長髪とをなびかせて、羅鬼はデカうさぎを見上げる。興味深げにデカうさぎを見遣って、羅鬼は閃いたとばかりに叫ぶ。
「分かった! あのウサギさんはらきちゃんの大ファンだから! らきちゃんを見てKOUFUNしてるんだネ☆」
『……ぶぉ?』
 うーん多分これデカうさぎさんサイドも『待って』的なことを言いたかったんじゃないかなって思うんですけど、こうなっちゃうと羅鬼ちゃんさん止まらないからなー!

「それじゃあ」
 グッと、羅鬼ちゃんさんがその長く伸びた袖で隠された手を――外気に晒した。
「アイドルらしく」
 それは、乙女の手らしく、繊細で美しい手指をしていた。
「握手『壊』だネ☆」
 わきわきとその指を動かせば、ごきりごきりと、すごまじい音が鳴った。どうして。

『ぶーーーーっ! ぶぅーーーーーーーっ!!』
 デカうさぎは何か良く分からないけれど腹立たしくて鳴き声を上げて足を振り上げた。
 けれど、それがいけなかった。
 繋ぐ手が遥か高みならば、足を掴めばいいと。
 羅鬼はその足をこそ掴んで――。
「は~い☆ これからも応援よろ死苦ネ☆」

 ――見よ! これぞ真なる握手壊、【羅鬼羅鬼悪狩壊(ジゴクノアクシュカイ)】!

『ぶおおおぉぉぉぉん!!!???』
「ぺったんぺたんた、お餅つき~♪」
 残虐ファイト? いえいえとんでもない、十五夜は過ぎちゃいましたが、季節的にピッタリですよ!
 バカでっかいうさぎの巨体がびったんびったん、逢魔が辻に打ちつけられる。
 何度往復して叩きつけただろうか、相手からの手応えがなくなった頃に――。

「ということで優勝☆TOPアイドルの座はらきちゃんのものだね!」
 両手を再び袖の中に戻したらきちゃんが、ぴょんぴょん飛び跳ねておおよろこび。
「ぶいぶいぶいで、びくとりー☆」
 なんかもう、この勝負ひとつで全部解決でいいんじゃないかなっていう気もしますが、まだまだこの後もデカうさぎさんにはフルボッコになってもらうんですよね……!

成功 🔵​🔵​🔴​

秋津・惣次郎
連携、アドリブ歓迎

こ、これは何事だ。夢でも見ているのか…?

敵はあまりに巨大。しかし怯んでなどいられない。何故なら我ら帝都軍人、帝の為に影朧を討たねばならないからだ!
総員攻撃用意、あの白毛玉に帝都陸軍の威容を見せ付ける!撃てぇっ!

引き続きその場の将兵と共に白毛玉退治を行う。
号令一下、戦車と歩兵一個小隊による一斉射撃を浴びせて撃破してくれよう!
しかし白毛玉に対して我々はあまりに寡兵。果たして攻撃が通用するのか。
徐にローリングする白毛玉。
退避、退避だ!

敵は余りに巨大。今度ばかりは我ら他の猟兵の支援に回らざるを得まいか。
しかし白毛玉に隙が出来たならば私を先陣に総員突撃だ。
死して護国の鬼とならん(南無)


御桜・八重
【POW】

月にはウサギが住んでいるって言うけてど。
あの子も月に帰りたかったりするのかな?
でもここには月が無いし、
その巨体では飛び上がることも出来やしない。
…骸の海に帰って、転生して来てね。

とは言え、ウサギの激おこっぷりに近づくことも儘ならない。
体当たりしたぐらいじゃビクともしなさそうだし…
攻撃に気付かれにくく、威力を上げるには… あれだ!

ウサギに向かって突撃。掬い上げる動作を見切り、
その手に乗って上空に放り投げられる。
やられたと見せかけ、高層ビルのさらに上の高空に達したら
ウサギの脳天に向かってダイブ!
【桜彗星】を発動してさらに加速し、直前で回転して足から突っ込む。
「魔導神道流・彗星蹴りーっ!」



●帝都を護れ、誉れ高き戦士たちよ
 戦争には、色々な有利の取り方がある。槍で突き合う頃であったなら、数がモノを言ったろう。けれども時代が進めば、兵器の性能がとにかく重要視されるようになる。
 ――超弩級戦力、それさえあればいいとさえ言われるまでに。
 たとえ超巨大な影朧がぶーすか唸ろうと、秋津・惣次郎と御桜・八重が凜々しく立ちはだかれば、これはもう勝ったも同然なのだ。

「こ、これは何事だ。夢でも見ているのか……?」
「月にはウサギが住んでいる……って言うけれど」

 首が痛くなるほどに思いっきり見上げながら、惣次郎と八重はデカうさぎを見上げる。
 中尉殿は冷や汗を隠すことが出来ず、一方の桜巫女は素朴な疑問を口にした。
「あの子も、月に帰りたかったりするのかな?」
「……帰る、だと?」
 どういうことかと惣次郎が問えば、八重は桜色の唇に人差し指を添えて返す。
「ん、と。うさぎは元々、月に住んでたっていう話を聞いたことがあって」
「何と、其れは初耳である! あの白毛玉は地球外からの侵略者であったのか!」
「あ、いや、そこまで大げさな話じゃないんだけど……」
 ギョッとして大仰に身構える惣次郎に、まあまあと宥める仕草をする八重だったけれど、落ち着いて考えたらアレ結局影朧だしまあ外宇宙からの侵略者だなーという感じだった。

「――でも、ここには月が無いし」
 八重が見上げれば、そこには暗い暗い宵闇の空。
「その巨体では、飛び上がることも出来やしない」
「然様、敵はあまりにも巨大」
 惣次郎も、隣で軍帽を直しながら頷く。
「しかし、怯んでなどいられない。何故なら我ら帝都軍人、帝の為に影朧を討たねばならないからだっ!」
 桜が舞う。八重の白い袖が翻り、惣次郎の軍刀が抜き放たれて空を切る。

「これより作戦を開始する――帝都が為に! 来たれ、勇敢なる我が将兵たちよ!!」

 ざっ。ざっ。ざっ!
 秋津中尉の【召集令】に応じ、たちまち帝都軍人たちがずらりと勢揃い。
 その様子には、八重もわあと思わず小さく声を上げた。
「揃ったな! 総員攻撃用意、あの白毛玉に帝都陸軍の威容を見せ付ける!」
 ざっ! 歩兵が、戦車兵が、臨戦態勢に入る様はいっそ美しくさえあった。
「――てぇーーーーーーーー!!!」

 どん! どどん! どん! どぉん!!
 訓練され尽くした連撃が、容赦なくでかウサギのボディをまんべんなく襲った。
 足腰を狙い重心を崩そうとし、心の臓と思しきあたりを狙い致命を狙い、考えられうる最善を尽くした。
 そうして、もうもうとした爆煙が晴れた頃――。
「報告! 報告! 敵性個体……損傷、軽微!!」
「なん、だと……!?」
 部下の報告を聞いた惣次郎が、動揺を隠せずに絶句する。
 だが、次の指令を出さねばならない。分かっている。八重の視線に視線で返す。
「戦車隊、将兵と共に引き続き白毛玉退治を行う!!」
 凜とした声を張り上げ、惣次郎は号令一下、白手袋の腕を振るった。
「一斉射撃だ、全員で同じ箇所を狙え!!」

『ぶーーーーーーーっ! ぶぅーーーーーーーーーーーーっ!!』
 寄ってたかっていじめられている構図になって、今やデカうさぎは激おこ状態。
 隙を見て何とか近づこうと思った八重も、その目論見を果たせずにいた。
(「うーん、ウサギのこの激おこっぷりじゃ、近づくことも儘ならない」)
 惣次郎率いる帝国軍人の砲撃が放たれている反対側から体当たりすることも考えたけれど、その程度ではビクともしなさそうだなあ、とも思ってしまう。
(「攻撃に気付かれにくく、威力を上げるには……」)
 その時、反対側でちょっとした騒ぎが起きたことに八重は気がついた。
「退避、退避だ!」
「うわーっ!」
 そう、おもむろにデカうさぎが――ローリングしはじめたのだ!
 その巨体は惣次郎をはじめとした帝都将校たちを推し潰さんと迫り、惣次郎に無念の一時撤退を余儀なくさせた。
(「白毛玉に対して我々はあまりに寡兵、果たして攻撃が通用するのかとは思っていたが」)
 ゴロンゴロンと転がってくるでっかいうさぎから距離を取りながら、惣次郎は思う。
 このまま無様に逃げ回るしかないのか? そんな悔しい話があるか?
(「敵は余りに巨大、今度ばかりは我ら他の猟兵の支援に回らざるを得まいか」)
 それは、決して恥ではないけれど。
 そして、その手を取るものが居た。

「ねえ、力を貸して欲しいんだ」

 ひとしきりローリングして満足したデカうさぎはまた立ち上がり、今度は地団駄を踏み始めた。地面が激しく揺れる。立っているのも難しいほどだ。
 そんな中、惣次郎と部下たちに見送られて、八重がひとつ頷いてデカうさぎ目掛けて走り出す。
「――武運を祈る、御桜殿」
「ありがとう、こっちこそよろしくね!」
 惣次郎の敬礼に、見よう見まねの敬礼で八重も返す。
 そうして駆け出す八重の速度は――速い! 桜色のオーラを曳いて、猛然と突進する!
『ぶうぅぅぅぅ!!』
 それを目障りに思ったのか、反射的にすくい上げたデカうさぎ。
 その動作を瞬時に見切った八重はひらりとお手々に飛び乗り、上空に放り投げられた。
「御桜殿……!!」
 遠目に見た惣次郎たちからは、まるで八重が投げ飛ばされてしまったかのように見えただろうか。高層ビルのさらの上の高空に達し、万事休すに見えただろうか。

 ――だが。八重はそこから、デカうさぎの脳天目掛けてダイブを敢行したのだ。

 惣次郎から、その部下たちから借り受けた力を乗せた、【桜彗星】、発動。
 加速する。加速する。桜色を纏い彗星となり、回転の力を乗せて足から突っ込む!
「魔導神道流・彗星蹴りーっ!」

 同時に、地上では惣次郎たちが動いていた。
「桜の巫女殿だけに任せてはおけぬ、死して護国の鬼とならん!!」
 八重が脳天へ攻撃したならば、惣次郎たちは足元へと。
 総員、突撃!! でもお願いしますね、君死にたもうこと勿れで!!

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

木常野・都月
流石に……大きすぎないか?
こんなに大き過ぎると、食べきれないよな…。

しかも凄く…機嫌が悪そうだ。
食べるのは諦めるか。

大勢の他の猟兵もいるし……俺1人で倒す訳じゃない。

それなら少しくらい、いいよな?

UC【精霊騎乗】でチィに乗って、上空からウサギの隙を伺いたい。

丸っとしてるし、何より大きい。
[野生の勘、第六感]で、どこか隙を伺って、近付いてモフモフモフモフ!

よし。いいモフモフだった。
最初のウサギは混乱してて全力で堪能出来なかったからな。
満足だ。

よし、戦おう。

踏み潰されないように、上空から風の精霊様の[属性攻撃]で耳を狙いたい。
ウサギは聴覚を頼りに動くからな。
耳を潰してしまえば動きにくくなるかも。


有栖川・夏介
またウサギ。しかも大きい……。
オレとしては小さいほうが好みなんだが……。
……でも、大きくてもかわいいな。…うぐぅ(たまらずでてしまった謎の呻き)

(気を取り直して)……コホン。
いえ、仕事なのですから相手がなんであれ関係ありません。
小さいほうがサクッとやれるのにとか、せめてウサギじゃない姿ならコロッとやれたのに、とか思ったりもしなくもないですが、嘆いていても仕方のないこと。
いきます。

はたしてこの巨体に睡眠針が効くのか疑問ですが、とりあえず動きを封じましょう。
【微睡みはティーポットの中で】で敵を眠らせる。
敵の動きが止まったら、処刑人の剣で斬る。

やっぱりウサギ、苦手だな……。(好きだけど)



●認識にどうにも齟齬があるんですよねえ
「流石に……大きすぎないか?」
 思い切り天を見上げて木常野・都月がそう呟けば。
「またウサギ。しかも大きい……」
 同じく隣で有栖川・夏介も首が痛くなるほどにデカうさぎを見上げていた。

 そびえ立つほどにでっかいうさぎは、ぶふんと鼻息荒く二人を見下ろしている。
 一触即発とも言える状況で、夏介はううむと顎に手をやって難しい顔をした。
「オレとしては、小さいほうが好みなんだが……」
 それを聞いた都月が、うんうんと同意の頷きを返した。
「そうだよな、こんなに大き過ぎると、食べきれないよな……」
「えっ」
「えっ?」
 意見が、ちょっとばかりすれ違ってしまったみたいです。
 夏介さんは純粋な好意を示したのですが、都月くんは食欲を向けてしまったようで。
 二人は若干気まずくなった空気を振り払うべく顔を背けて咳払いをして、気を取り直す。

「……でも、大きくてもかわいいな」
 そう、かわいいのだ。
「……うぐぅ」
 それはもう、あの夏介さんがたまらず謎の呻き声を発してしまうほどに。ヤバいね!

「しかも凄く……機嫌が悪そうだ」
 鼻息の荒さは尋常ではなく、地上近くまで風圧が及ぶようだ。
「食べるのは諦めるか……」
 ここでようやくデカうさぎを食べることから離れてくれた都月くんでした。多分ねえ、デカすぎて肉質がアレでナニであんまり美味しくないんじゃないかと思うんだ!

 都月はチラと夏介の方を視線だけで見る。アッこれはちょっと後ろめたい人がするムーブだ。
(「大勢の他の猟兵もいるし……俺一人で倒す訳じゃない」)
 けれども見られた側の夏介は普通のアイコンタクトだと解釈して、コホンと咳払いでそれに応えた。
「いえ、仕事なのですから相手がなんであれ関係ありません」
 キッと鋭い処刑人の目線を天高いデカうさぎへと向け、夏介はグッと拳を握る。
(「そう、小さいほうがサクッとやれたのに。とか思ったりもしなくもないですが」)
 そびえ立つうさぎの赤い瞳と、夏介の赤い瞳とがぶつかり合った気がした。
(「せめて、ウサギじゃない姿ならコロッとやれたのに、とか思ったりもしなくもないですが」)
 最終的には、敵がうさぎの――よりにもよって白いうさぎの姿をしているから、色々とひっかかってしまうという点に尽きるのだ。
 夏介にだって、色々と事情はある。どうか分かって欲しい。
 処刑人だって、人間だ。きちんと仕事はするけれど、揺れる心だって抱いているのだ。
「嘆いていても仕方のないこと――いきます」
 そう言い放った夏介の言葉は、永訣の意志を込めて。

 それと同時に、都月が月の精霊の子「チィ」を巨大化させてその背にまたがった。
 そして一気に舞い上がると、デカうさぎの頭部付近でその様子を窺うに至る。
(「うわ、本当にまるっとしてるし、何より大きい」)
 下から見上げるのではなく、上から見下ろすデカうさぎは、当然ながらまた違った見え方をしており。チィの力を借りて前後左右自在に飛び回り、デカうさぎの隙を見計らって――。
「今だっ!!」
 おもむろに都月が声を上げると、それを合図にチィが急接近。
 デカうさぎの毛並みに都月ごと埋もれるように――もふっ。
 モフモフモフモフ! モフモフモフモフ!
 何だこれ完全に埋もれてやがる! これには地上の夏介さんも呆然と見上げるばかり!

(「はたして、この巨体に睡眠針が効くのか疑問ですが」)
 とりあえず動きを封じましょう、上空の都月さんも多少心配ですし。
 という訳で、夏介が取り出したのは「お茶会セット」。名前こそお茶会と銘打たれているものの、実のところは暗器の詰め合わせ。そのひとつ、睡眠針をもふもふの毛皮越しにぷすりとぶっ刺してみる。さあ、どうだろう?
『ぶ……ぅ……』
「……た、立ったまま、寝て……」
 致命にまでは至らなかったか、けれども期待通りの効果は得られたからヨシ!
 この異変は、もちろん上空で毛皮に全身突っ込んでモフモフしている都月にも伝わる。
「……よし、いいモフモフだった」
 心なしかお肌をツヤツヤにさせて、チィの上でニッコニコになる都月。
(「最初のウサギは混乱してて、全力で堪能出来なかったからな。満足だ」)
「じゃあ、戦おう。ウサギは聴覚を頼りに動くからな、耳を潰してしまえば……ん?」
 風の精霊様の助力で耳を潰してしまおうと思った都月が、今のデカうさぎは昏々と眠っているということにふと気付く。
 ここで無闇に危害を加えてしまったら、逆効果なのでは?
 足元の夏介を見る。その手には、無骨な赤い剣。もう既に、振りかぶっている。

「行っけーーーーー!!!」
「……お休み、なさい……」

 一閃。
 赤い斬撃が走った。

 ――ああ、やっぱりウサギ、苦手だな……。
 ――好き、だけど。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

地籠・陵也
ベイメリア(f01781)と。アドリブ歓迎

……ここまでくると壮観だな?
(耐える為にエインセルをもふもふしつつ)
ううん、もふもふ欲は落ち着かせたから何とか戦えるが、やはり可愛いとやりづらいな……

ベイメリア?おーい、ベイメリアー?
あ、ああ。それならいいんだが……大丈夫か……?

敵の攻撃は【結界術】と【オーラ防御】を併用して防……だ、ダメだベイメリア!多分それをしたら本当に戻れなくなるぞ……っ!(必死な顔で止める)
ああ、動物の苦しむ顔は見たくないしな。タイミングを合わせよう。
【多重詠唱】で上記の術をを維持しながら【全力魔法】で【指定UC】を放つ!

……うーん、動物を相手にするのはやりづらいな、本当に。


ベイメリア・ミハイロフ
陵也さま(f27047)と

ああ…あああ…なんという大きなもふもふ…!
ぶーぶー言っておかわいらしい!
しかも、群れを召喚したりもなさるとは…
そんな、なんと、ここは天国でございますか?!

ああっ陵也さま、そのような目でご覧にならないでくださいませ…!
わたくし、きちんと戦います、戦いますとも!

お相手の攻撃は第六感にて見切りかわす又はオーラ防御にて防ぎたく
しかし、しかし群れの中には
一度だけ、一度だけ飛び込んでみたい衝動が…!
い、いけません、いけません(首をぶんぶん振って)
なるべく長引かせて苦しませないよう、全力魔法を打ち込みます
陵也さま、息を合わせて参りましょう!

しかしながら、ああ、心が痛みます…!



●胸が痛むんだよなあ(真顔)
『ぶうぅぅぅぅ……ぶふぅぅぅぅぅ……!』
 不機嫌そうなサクラモフウサギ巨大種の鳴き声が響く。
 その声の発生源は遙か高みにあるはずなのに、地上にいる地籠・陵也とベイメリア・ミハイロフの二人にまではっきりと届く。ああ、なんて大音声なのだろう!
「……ここまでくると壮観だな?」
 眼前のデカうさぎは、手を伸ばせば容易くその毛皮に手が埋もれることだろう。
 それはもう余裕でもっふりと。手首までと言わず、何なら肘あたりまで。
 そうなったが最後、陵也はデカうさぎとまるで溶け合うかのようにモフモフと、モフモフと……ああ……(以下、ちょっとお見せ出来ない妄想が続きます)。

「そんな欲に耐えるために俺はエインセルを連れてきた!!」
「にゃーん!」
 もふもふもふもふもふもふも! もふもふもふもふもふもふも!
 おおっとここで陵也さんの腕の中には白い翼猫のエインセルさんが!
 必殺の代理もふ行為で危険なもふの誘惑から気を逸らす作戦は今回も大成功だ!
「ああ……あああ……なんという大きなもふもふ……!」
 陵也さんはまだいい、エインセルという代わりがいたから。
 けれども、ベイメリアさんには――いない。
 ただ、眼前にそびえ立つ大きなもふもふだけがあった。
「ぶーぶー言って、おかわいらしい!」
 不平不満を垂らすお声さえも愛らしく、ベイメリアの心を揺さぶってしまうのだ。

(「ううん、もふもふ欲は落ち着かせたから何とか戦えるが」)
 ありがとう、エインセルのなだらかな後頭部をひと撫でしてやり謝意を伝えると、陵也は強い戦意を込めて天高いうさぎの頭部を睨めつけた。
(「やはり、可愛いとやりづらいな……」)
『ぶぅーーーーーーーーーー、ぶふーーーーーーーーーーー!!』
「うわっっ、何か小さいのがいっぱい出て来た!?」
「まあっ、しかも群れを召喚したりもなさるとは……っ」
 デカうさぎがひときわ荒っぽく鳴き散らせば、どこからともなく先程蹴散らしたはずのサクラモフウサギたちが群れをなして迫ってくるではないか。
 既にもふを存分に摂取した陵也はまだしも、そうではないベイメリアは両の頬に手を当てて恍惚とした表情を浮かべてしまう。しょうがない、しょうがないよね!

「そんな――なんと、ここは天国でございますか!?」

 もふが……もふが、合法的に、向こうから迫って来る。
 もふってくれとばかりに寄ってくる。
 体当たり? かじり付き? キック? まあまあたかが威力は知れてます。
 超弩級戦力たるベイメリアさんからすれば、あらあらウフフ程度ですよ。
 まあね? それでも甘受する訳には行きませんから一応第六感でバレバレですから避けますよ? あとはオーラの障壁で受けたりもしますよ?
 それでもわらわわと群れをなしているウサの群れを見ちゃうと……ねえ?

「……」
「ベイメリア?」
「…………」
「おーい、ベイメリアー?」
「……ああっ陵也さま、そのような目でご覧にならないでくださいませ……!」

 うずうず、うずうず。一度だけ、一度だけ群れの中にダイブしてみたいという衝動と戦っていたベイメイアをすんでの所で引き戻したのは、陵也の呼び掛けであった。
 陵也は陵也で群がるウサを巧みな結界術とオーラの防御障壁とでいなしていたのだが、チラと見遣った先にいたベイメリアの危険な様子に、声を掛けて正解であった。
「……飛び込もうとしたな?」
「……っ」
「だ、だめだベイメリア! 多分それをしたら、本っ当に戻れなくなるぞ……っ!」
「み……未遂にございますっ! わたくし、きちんと戦います! 戦いますとも!」
 未遂だからセーフ。せやな、セーフやな。
 二人の間ではそういうことで話がまとまったらしく。

(「そ、そうです。いけません、いけません」)
 ベイメリアは煩悩や誘惑やその他諸々一切合切を振り払うように首を振る。美しい、豊かな金の髪が波打った。見る人が見れば、その姿にこそ魅了されたのではなかろうか。
 それはさておき、聖女は決然と声を上げる。今こそその時だと。
「陵也さま!」
「――ああ、動物の苦しむ顔は見たくないしな」
 予知の力持つ白き竜もまた、その意図を即座に汲んで息を合わせるべく構える。
(「なるべく、長引かせて苦しませないよう、全力の魔法を――!」)

「息を合わせて参りましょう――【Judgment arrow(ジャッジメントアロー)】!」
「任せろ、全力だ――【【昇華】魔を斬り祓う生命の光剣(ピュリフィケイト・サンクションズツヴァイハンダー)】!」

 ――もふもふでふわふわが大好きなベイメリアが、小さなもふもふごと大きなもふもふを蹴散らすのは、断腸の思いだったろう。
 心優しい青年である陵也が、見た目だけであろうといたいけな小動物であるうさぎたちを相手取るというのは、心底やりづらいことだったろう。
 それでも、二人はやってくれた。
 光の剣が幾何学模様を描き、八岐大蛇が駆使するそれを思わせる八つの属性を有する光の矢が飛び交い、小さなうさぎはモブに厳しい描写よろしくぶっ飛ばされ、デカうさぎもたまらずその身をよじらせる。

「しかしながら、ああ、心が痛みます……!」
「……うーん、動物を相手にするのはやりづらいな、本当に」

 身をよじり、苦悶の表情を浮かべるのは、ベイメリアと陵也も同様だった。
 え? 意味合いがちょっと違う? まあいいじゃないですか!

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

茜崎・トヲル
スーさん(f23882)をビルうさ(ビルみてーにでけーうさぎ)のてっぺんまで連れてくぞ大作戦!

で け え ー ! キャベツ何個たべんの?
スーさん抱きつけるな!でもフキゲンだし、おやつとかあげてなだめてからがいーね。
よおーし、ガチ変形だからスーさんちょっとまってて……
肉体改造で下半身を強化。足増やしてもいいや、服も再生するし。
スーさん乗ってー。つかまった? よーし。
全力ジャンプ!壁ケリ!ビルうさのてっぺんまで登るぜ!
よーし、なでたりおやつあげたりしてモフるぜーってわ、落ちる……!?
スーさんありがとう!飛べんの!?すげえ!(キラッキラ目)
行くいく! わーほーるにゅーわーるど……胸毛もふ……(もふ)


スキアファール・イリャルギ
トーさん(f18631)と共にビルうさのてっぺんへ!
この逢魔が辻が消滅すれば私はまた動物に避けられる日々
だからこそ今思う存分モフモフを……!(力説)

おぉトーさんの貴重な変形シーン(興味津々)
はい、お願いしますね
おんぶされるなんて何年振りでしょう……
うわ、すごっ、トーさんすごいっ(興奮気味)

Oh……先程のうさぎたちよりモフモフすごい……(モフぎゅー)
怒ってるのもかわいいですがおやつ食べますか元気出ますよ(頭撫でつつにんじんとドライフルーツ差出)

落ちそうになったら即座にUCで飛行形態!
トーさんキャッチ!
この儘ビルうさの胸元へダイブしちゃいます?

わーほーるにゅーわーるど……わぁ、モフモフ……(もふ)



●月の無い夜はうたかたの夢
(「この逢魔が辻が消滅すれば、私はまた動物に避けられる日々」)
 怪奇人間たるスキアファール・イリャルギは、そう直感していた。
 なればこそ、友である茜崎・トヲルにだけはそのことを打ち明けていた。
 そしてトヲルは、スキアファールが本当は『いい人』であることを知っていたから。

 ――いい人は、しあわせがいいよなあ。

「じゃじゃーん! スーさんをビルうさのてっぺんまで連れてくぞ大作戦!!」
 ※ビルうさ:ビルみたいにデカいうさぎのことである。
「はい、トーさんと共にビルうさのてっぺんへ!」
 何かよくわかりませんが、とにかくトップオブザビルうさ大作戦の始まりです!
「今……今こそ、思う存分、モフモフを……!」
 作戦決行を前に、包帯に包まれた拳を握りしめて決意を固めるスーさん。
 その横で、おいっちに、さんしと柔軟体操をするトーさんは、そびえたつうさぎを見上げてほえーと声を上げた。
「で け え ー ! これ、キャベツ何個たべんの???」
 確かに、食費が気になるレベルの図体であった。モフりがいもありそうだし、スキアファールが抱きついたらさぞかし気持ちがいいだろうけれど、今はちょっと……。

『ぶぅーーーーーーーっ! ぶうぅーーーーーーーーーっ!!』

 これ、毛を逆立ててるつもりなのかな? モフモフが増してるぞ?
 けれども迂闊に近づこうものなら、振り上げた足にズシンと踏み潰されてしまう。
「う、うーん、でも今かなりフキゲンだし、おやつとかあげてなだめてからがいーね」
 一見へらりとしているように見えただろうか、けれどトヲルの判断は冷静かつ的確で。
 腕まくりをして、四股を踏むように足を交互にずしんと踏みしめて。
「よおーし、『ガチ変身』だからスーさんちょっとまってて……」
「おぉ、トーさんの貴重な変身シーン」
 え!? そんな希少生物のレアな動画を見入るような目でそんな……ええ!?

 えええええ!? 割とマジな【肉体改造】だった!?
 か、か、下半身が……あああ足が増えた!! これなら高層ビル級のデカうさぎも登れちゃう!! 人体の神秘!! うわあ(語彙力の喪失)。

「うわあ」
 スキアファールも語彙を失っているところに、改造を終えたトヲルがにこやかに声を掛けた。
「スーさん乗ってー」
「あ、はい、お願いしますね」
 呼ばれるままにトヲルに近づけば、そのまま背負われる形となる。
(「おんぶされるなんて何年振りでしょう……」)
「つかまった? よーし」
 死なずのキマイラの笑みはいたずらっ子のそれに他ならない。
 たとえ服が破けようと、再生するから全然問題ない。
 さあ、さあ、楽しいクライミングのお時間ですよ!
「うわ、わ、すごっ……! トーさんすごいっ」
「あっはははは、舌噛まないようにねえー」
 興奮気味に声を上げるスキアファールに、口調こそのんびりとしているものの割と真面目な注意喚起をひとつ。
 トヲルは全力でジャンプをして、壁を蹴って、ビルうさのてっぺんをめざして登る!
 登って、登って――とうっ!!

 ――ぽふっ。

「あれ」
 着地した場所こそ、デカうさぎの頭頂部。
 そう、トヲルはめっちゃ頑張った。頑張りまくった結果、頂点を極めたのだった。
「と、トーさん……!」
「さあ、スーさん!」
 トヲルの背から下りたスキアファールは、震える手でモフの地に降り立つ。
 踏みしめる草原のような白いふかふか、そこにしゃがみ込んで手を触れれば――。
「Oh……」
 何かやたら発音のいい感嘆の声が出た。トヲルがニッコニコでそれを眺めている。
 スキアファールは遂に地面を抱きしめるようにうずくまった。
「先程のうさぎたちより、モフモフすごい……」
 もふもふ、もふもふ。身体中で堪能出来るもふもふなんてそうそうないぜ!!
 そのうち、ハッとなったスキアファールは身を起こして、頭を撫でる手は止めずに懐からにんじんとドライフルーツを取り出した。
「スーさん、おれ足持ってるよー?」
「トーさん、助かります」
 トヲルに足を持ってもらってぶら下がる形で、スキアファールはデカうさぎの鼻先にその身を投げ出した。
「ね、怒ってるのもかわいいですが、おやつ食べますか? 元気出ますよ」
 鼻先をそっと撫でながら、スキアファールはにんじんとドライフルーツを差し出す。
『ぶ……』
 そんなものに釣られ……。
『……』
 釣られ……。
『もっもっもっもっもっもっもっもっ』
 釣られた――!!

 ひとしきり差し出されたものを食べたデカうさぎは、ご満悦と言わんばかりに、大きく息を吐いた。悪気はなかった。ニコニコと様子を見ていたスキアファールを、吹き飛ばすつもりなんてなかったのだ。
『ぶふぉっ……!?』
「あっ」
「うわっ!?」
 スキアファールが飛ばされれば、それを支えていたトヲルもまた引きずられる形で落ちる。二人揃って哀れ真っ逆さま――かと思われた、その時だった。
「開演だ――【Circus(ファルグリン)】」
 ばさぁっ! 半獣人のような姿の、翼持つ怪奇と化したスキアファールが即座にトヲルを受け止めた。
「スーさんありがとう! 飛べんの!? すげえ!!」
 ――ああ、この姿を。恐れるでもなく、驚くでもなく、純粋に、受け入れてくれる。
 このキラキラとした瞳が、ただただ嬉しい。
「……この儘、ビルうさの胸元へダイブしちゃいます?」
 だから、いたずらっぽい提案をしてみれば。
「行くいくー! わーほーるにゅーわーるど……胸毛もふ……」
 おれ、なでるのはできたけどおやつあげらんなかったから、いっぱいモフるんだ。
 屈託のない笑顔でそう言うトヲルを抱えて、ならばとスキアファールは身構える。
「はい、では……わーほーるにゅーわーるど……わぁ、モフモフ……」

 ――ぼふっ。
 ビルうさの超絶もふもふの胸毛に突撃した二人は、めくるめく胸毛の世界へと。
 そこはまさに、わーほーるにゅーわーるど。
 新しい世界……魅力的な世界……ああ、もう、戻れない……ハァン……。

 ※これレイドバトルなんで、ダメージは他の猟兵さんが与えてくれるから大丈夫!

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ゴッド・ゴッダー
巨大化しようが所詮獣は獣!
ましてや兎相手に露骨なファイティングポーズをとる事もあるまい!
腕を組んだまま相手をしてやろう。ハンデじゃ!!
神回避技能(隠しステータス)を用いて目を閉じたまま全ての攻撃を回避!
速く動く物を無差別攻撃するそうじゃが、ワシの神速には到底ついて来られまい!
程々に暴れ疲れたであろう頃合で徐に耳元に近寄る!
至近距離から神の御声を聞く大サービスをくれてやろう!
その大きな耳ならば、魂の底まで深く響き渡る事じゃろうて!
万物の父である神に牙を剥いた罪、とくと悔い改めるが良い!!



●ファイティングポーズに腕組み
 そびえたつうさぎを前にして、身の丈184.6cmのゴッド・ゴッダーはその逞しい腕をがっしりと組んで向かい合うように立っていた。
『ぶうぅぅっ、ぶふうぅぅーーーー!』
「ほざけ、巨大化しようが所詮獣は獣!」
 唸るデカうさぎにも動じず、ゴッド様は腕組みの姿勢のまま――何なら瞑目して言い放つ。デカうさぎの唸り声で地響きがしているはずなのに、それを打ち消してしまう程の勢いでビリビリと響くゴッド様の一喝は、一瞬とはいえデカうさぎを黙らせた。すごい。
「ましてや、兎相手に露骨なファイティングポーズをとる事もあるまい!」
 大音声でそう宣言すると、ゴッド様はそのままの格好でひとつ頷きました。

「――腕を組んだまま相手をしてやろう。ハンデじゃ!!」
『……ぶ、ぶお、おぉぉぉん!!!』

 何だか良く分からないけどめっちゃ偉そうに言われて、デカうさぎはカチンと来たのか怒りの咆哮を上げる。
 いやまあ実際ゴッド様は偉いどころか全知全能の究極神だから……文字通り『神に逆らう愚か者』としての末路を辿ることになるんですが……。
(「速く動く物を無差別攻撃するそうじゃが」)
 ゴッド様はその全能でもって知った敵の攻撃手段を確認しながら、ならばと尊いサンダルでざり、と音を立てて踏みしめる。
「ワシの『神速』には、到底ついて来られまい!」
『ぶ……ッ!?』
 その時、デカうさぎは――信じられないものを『視た』。
 縦横無尽に駆け巡る、ヒトのカタチをした『何か』。
 頭に乗っかっている長寿命蛍光灯めいたものは、決して飾りなんかではない。現に、本体の超高速移動にもきっちりついてくるのだから。
 腕を組んだままの姿勢で、直利不動。まるで足にロケットエンジンでもついてんのかいという勢いで、不規則にカクカクと鋭角に曲がりながら、デカうさぎを翻弄する動きで周囲を飛び回るのだ。
 これを説明しろと言われても難しい。何せ『神の御業』なのだから。ちなみにこれ、まだユーベルコードではないです(ないです)。神の基本動作です。ヤベえな!

『ぶふ、うぅ……ぅ』
「どうした獣、暴れ疲れたか!」
 デカうさぎはデカうさぎなりに、超絶高速で飛び回るゴッド様を何とか捕らえようと頑張ったのだが、そんな奇跡がそうそううまく起きる訳もなく。
 お手々を振りかざしあんよを振り上げても全部空振りに終わり、息も切れ切れになった所で、神の慈悲のお言葉が掛けられたという所だった。
 ぜえはあと首やら耳やらをだらんと垂らしたデカうさぎの元にふわりと飛んだゴッド様は、おもむろにその耳元に近づかれました。
 ぐい、とお耳を引っ張り愉快げに。
「至近距離から神の御声を聞く大サービスをくれてやろう!」
『ぶぉ……?』
 えっやめて耳引っ張らないでそれとすごく嫌な予感がするからもっとやめてあの。
「その大きな耳ならば、魂の底まで深く響き渡る事じゃろうて!」
 無理無理絶対無理、殺す気でしょやめてやめてやだやだイヤああああああ――!!
「万物の父である神に牙を剥いた罪、とくと悔い改めるが良い!!」

 ――GOOOOOOOOOOOOッッッッD!!!!!!!!

 ※神々の御業なので、良い子はマネしないでね!!
 え!? したくてもできねえよ!? でっすよねー!!

成功 🔵​🔵​🔴​

ザッフィーロ・アドラツィオーネ
宵f02925と

地響きと共に現れたもっふりとした巨大兎を見上げ思わず感嘆の声を
なんと立派なもふ…否、兎なのだ
…宵、共に抱き着きに…、…いや、その…た、倒しに行くぞ…?

戦闘時は前衛…というより突進する勢いで前に出、柔らかな足を掴み【鍛錬の賜物】にて持ち上げ地に叩きつけんと試みよう
ああ…もっふりとした毛並みは本当に最高だ…
宵に攻撃が向かう場合は『盾受け』にて『かば』い
盾に触れたもっふりお手手に悶えながらも、宵の言の葉を聞けば不思議そうに振り返ろう
俺が一番触れたい者はお前だと解って居るだろうに
モフ毛があろうとなかろうと、それは変わらんとそう笑みを
だが…帰ったら髪を触らせて貰うのも良いかもしれん、な


逢坂・宵
ザッフィーロ(f06826)と

天を衝くようなその巨体と、遠目から見てもつやつやでもふもふであることが明らかなたっぷりとして柔らかな毛並み
これは……
モフ好きには抗えないモフ中のモフモフ……!

あわてて言いなおしたかれには小さく笑みを向けて
ええ、倒しに……もとい、モフりに行きましょう

ザッフィーロに倣って毛艶豊かなもふっとした足を掴み
【ハイ・グラビティ】でひっくり返し身動きを封じるついでに
もふもふもふっと柔らかな毛並みを堪能しておきましょう

……僕にももふもふになる機能とかがあれば良かったのかもしれませんが
まぁ、きみの隣にいられるという役得がありますからすべてよしということにいたしましょう



●モフモフだからじゃなくたって
 ずごごごごご、ごごごごごごん……!
 轟音と共に現れたその白い巨体は、宵闇の中でなお艶やかで。
「なんと立派なもふ……否、兎なのだ」
 ザッフィーロ・アドラツィオーネは、もっふりとした巨大な兎を見上げて、思わず感嘆の声を上げた。
 そう、天を衝くようなその巨体は、遠目から見てもつやつやで。
 もふもふであることが明らかな、たっぷりとして柔らかな毛並み。
「これは……モフ好きには抗えないモフ中のモフモフ……!」
 逢坂・宵も、これには素直に認めざるを得ない。至上にして究極のモフであると!

 宵には次の展開が大体予想出来ていた。
 かれがアストロラーベだからという訳ではないけれど。
 まあ、見ていて欲しい。
「……宵」
 ほら来た!
「共に抱き着きに……」
「……」
 にこにこ、にこにこ。ぐぬぬという顔で言葉を濁すザッフィーロに、宵は笑顔で続きを待つばかり。
「……いや、その……た」
「た?」
「倒しに行くぞ……?」
 ふふっ。
 あわてて言い直した『かれ』に、小さく笑みを向けて。
「ええ、倒しに……もとい、『モフりに』行きましょう」
「宵……!」
 ぱああ、と。とっても分かりやすくザッフィーロの顔が輝いた。
 てっきりモフを許されないと思っていたのに、いとしいひとから『モフろう』という言葉が出るなんて。ああ、なんて良い日だ。かれは本気で、そう思ったとか。

 そんなこんなでザッフィーロがいつも以上に張り切ったのか、それとも普段から鍛え上げた己の肉体を披露する時が来たのか。
 役割としては前衛、というかもはや突進の勢いでデカうさぎ目掛けて前に出て、その柔らかなあんよをがっしりと掴めば、発動するは超常【鍛錬の賜物】!
『ぶ、ぶおぉーーーーーーーーーーん!?』
「このもふもふ……貰った……!!」
 何ということだろう、高層ビル八階相当もあろうデカうさぎの巨体が――持ち上がった! だが、あとひと息が足りない!
「ザッフィーロ!」
 そこで、宵が反対側のあんよを掴む。
(「あっ……何という毛艶豊かなもふっとした足……」)
 ちょっと意識がトびかけたのは内緒です。宵も超常【ハイ・グラビティ】の重力操作で、遂に二人協力してデカうさぎをひっくり返すことに成功したのだ。

 ――ずしいぃぃぃぃぃぃぃん……!!!

 こうなってしまっては、手足をじたばたさせるだけの白い毛玉のかたまりですねえ。
「ああ……もっふりとした毛並みは本当に最高だ……」
 どうですかザッフィーロさん、合法的にモフれる気分は!
 この真面目な殿方はですね、いとしい宵さんに攻撃が飛びそうになったら自ら盾となって攻撃を受けつつ、そのもふもふお手々を堪能する腹を括っていたんですよ! 男前!
 一方の宵さんも、今ばかりはもふもふもふっと柔らかな毛並みを堪能しております。
「……僕にも、もふもふになる機能とかがあれば良かったのかもしれませんが」
 頬を白い毛並みに埋めながら、宵がぽそりと呟けば。
 その言葉があまりにもか細かったものだから。
 それでも聞き逃さなかったザッフィーロは、不思議そうに振り返る。
「俺が一番触れたい者は『お前』だと解って居るだろうに」
 もふもふした生き物だから、愛でるのではない。
 勿論、心惹かれはすることもあるけれども、真に愛するものはただひとつ。
「モフ毛があろうとなかろうと、それは変わらん」
 柔らかく笑んで見せて、褐色の青年は誠実に答えてみせた。
 伝わっただろうか、最愛のアストロラーベに。

「……」
 少しだけ、黙してから。
「まぁ、きみの隣にいられるという役得がありますから」
 宵もまた、端正な顔に笑みを浮かべた。
「すべて、よしということにいたしましょう」
 白い毛玉をモフる手を一時止めて、ザッフィーロは宵の手を取る。
 モフより、宵を取ったのだ。
(「だが……帰ったら髪を触らせて貰うのも良いかもしれん、な」)
「……ザッフィーロ? モフは、良いのですか?」
「……ああ、すぐに戻る。今だけは」

 ※ひっくり返した時点でかなりダメージ入ってるのでセーフです!

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

夏目・晴夜
み、見てくださいメリルさん(f14836)
ふわふわのもふもふが聳え立っておりますよ…!
ちゃんと倒しますが…その前に、す、少しくらい堪能してもいいですよね?

うわこの尻尾、ふかふかだし噛み付いてこないし最高です!
確かに駄目になりますね…これは素晴らしい
はー、美味そう

(疑問はスルー)…なんか愛着が湧いてきました
名前を付けてあげましょう…とても立派でいい名前を
例えば、わらび餅とか…トゥンカロンとか…

いいですねえ、甘味屋さん!
よし、じゃあさっさと倒しますか!
『喰う幸福』の高速移動に呪詛に衝撃波にと使えるものは全て使って捌いて参ります
焼き団子とか確実に美味いやつですね…あ、クリームあんみつも食べましょう!


メリル・チェコット
わあっ、ほんとだ!
すっごいよ晴夜くん!(f00145)
ちょっとだけ…ちょっとだけなら怒られないはず…!

これだけ大きいと尻尾だけでもすごいふかふか!
人を駄目にするソファもとい尻尾ってこのことだね……
晴夜くんがやっともふもふを堪能できていることに感動もしつつ
あー、癒される……え?
うまそ……? 何て?

いいねいいねぇ、かわいいねぇ…
大福とか…お団子とか…

美味しそうな名前考えてたら甘いもの食べたくなってきちゃった
ねね、このお仕事終わったら帝都の甘味屋さんに寄って帰ろうよっ
そうと決まったら、そろそろ!
わたしのこの炎の矢で立派な焼き団子に……じゃない、焼きうさぎに……ああっ晴夜くん、帰りは焼き団子にしよう!



●ちょっとだけから始まる大惨事ってありますよね
「み、見てくださいメリルさん! ふわふわのもふもふが聳え立っておりますよ……!」
 夏目・晴夜ことハレルヤ様がデカうさぎの巨体を指させば。
「わあっ、ほんとだ! すっごいよ晴夜くん!」
 メリル・チェコットさんもくもりなきまなこをキラキラさせて天を仰ぎます。
「ちゃんと倒しますが……その前に、す、少しくらい『堪能』してもいいですよね?」
「うん、ちょっとだけ……ちょっとだけなら、怒られないはず……!」
 うーん、何だか意味深な会話が交わされた気がしなくもないですが、ヨシ!

 二人は巨体の正面から、ぐるりと回り込んでお尻の方を目指す。
 そこにあるのは当然――ちょこんとした、けれどもとっても大きな、尻尾!
「うわこの尻尾、ふかふかだし噛み付いてこないし最高です!」
「これだけ大きいと、尻尾だけでもすごいふかふか!」
 晴夜とメリルは、揃ってぼふっと顔どころか全身を埋める。
 そうしてなおたっぷり余裕があるのだから、その大きさ、お分かり頂けるだろうか。

 これは余談なんですが、ウサギの後ろ足はラビッツ・フットとしてお守りとされていたことがあるらしくて、まあそれはフェイクファーを丸めたチャームとして持たれることが実際は多いらしいんですよね、というのを尻尾と聞いて思い出しまして。

 さて置き、すっかり尻尾に埋まった晴夜とメリルはとろけるような夢心地。
 もうずっとこのままでいいかな……いやむしろこのままでいさせて……。
「人を駄目にするソファ、もとい尻尾って、このことだね……」
 メリルがとろんとした声で呟く。もう既に大量のひつじさんが柵を跳び越えていったのではないでしょうか。起きているのが不思議なくらいです。
「確かに駄目になりますね……これは素晴らしい」
 このハレルヤが、言い値で買ってあげてもいいですよ……?
 言ってることは偉そうなんですが、相当に眠気がキてるので、ちょっと威厳に欠ける。
 まあまあそれはそうとして、ごろんと尻尾の上で寝返りを打って、横向きになって。
(「あー、晴夜くんがやっともふもふを堪能できてる」)
 そんな様子に、メリルがそっと感動しつつ。

「あー、癒される……」
「はー、美味そう」

 一瞬、時が止まったような気がした。
「うま、そ……? 何て?」
「……なんか、愛着が湧いてきました。名前を付けてあげましょう」
 メリルさんの疑問を完全にスルーして、ハレルヤ様は素晴らしい提案をなさいました。
 そう、とても立派で、いい名前をつけようと。
「言い出しっぺの法則です、私から例を挙げましょう。例えば、わらび餅とか……トゥンカロンとか……」
 トゥンカロンとは:今をときめく韓国スイーツのひとつで、端的に言えば盛り盛りなマカロンという感じでしょうか! とにもかくにも見映えが良き!
「いいねいいねぇ、かわいいねぇ……」
 聞いている側のメリルも、すっかり乗り気になっちゃう。
「大福とか……お団子とか……」
 シンプルながら的確に特徴を捉えているネーミング! さすがです! これも良き!
 くぅ、と鳴ったのはメリルのお腹の音。ちょっと気恥ずかしげに、そっと手を挙げる。
「えと、美味しそうな名前考えてたら、甘いもの食べたくなってきちゃった」
「おやおや、仕事中ですよメリルさん」
 ここぞとばかりに意地悪い顔をする晴夜だけれど、心底疎んでいる訳がないことはメリルだって分かっている。
 だから、臆せずにこう提案するのだ。
「ねね、このお仕事終わったら、帝都の甘味屋さんに寄って帰ろうよっ」
「いいですねえ、甘味屋さん!」
 パン、と晴夜が手を打ち合わせ。
「そうと決まったら、そろそろ!」
「よし、じゃあさっさと倒しますか!」
 テノヒラクルー、というか、当初の目的に立ち返ったというか。

 二人はバッとデカうさぎから距離を取ると、晴夜が「悪食」に暗色の怨念を纏わせ自らに高速移動の超常を、メリルが高速で放たれる炎の矢を召喚する。
「では行きますよ――呪詛に衝撃波もサービスしてあげましょう、私は気前が良いんです」
「晴夜くんに当てないように気を付けるね、行くよ……っ!」
『ぶぅぅぅぅ……っ!!!』
 高速で動く物に、無差別で攻撃をする。
 だが、それが複数から、四方八方から迫ってきたとしたら、対処しきれるか?
『ぶ、ぶぅ、うぅぅ!!』
 次第にもふもふの毛が散り始める。妖刀が衝撃波で斬撃を放ち、送る炎が身を焦がす。
「使えるものは全て使って捌いて参ります」
「うん、わたしのこの炎の矢で立派な焼き団子に……じゃない、焼きうさぎに……」
「焼き団子とか確実に美味いやつですね……」
『ぶーーーーーーーっ! ぶぅーーーーーーーーーっ!』
「ああっ晴夜くん、帰りは焼き団子にしよう!」
「あ、クリームあんみつも食べましょう!」
『ブッフォーーーーーーーー(勝ち確前提で話進めないで!?)』

 うるっせえ! 正義と神と美少女は最後に勝つって相場が決まってるんだよ!!

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

月影・このは
小さなウサギたちの後に巨大なウサギ…まるで日曜朝の悪の組織みたいですね……

ですがそれは悪手…
何故ならボクはスーパーロボット、巨大化した敵とのロボット戦これは間違いなく勝利フラグ!
サイズの問題は気合でカバーいざ!


超もふもふ毛皮にドリル(のように回転した)ブーストナックルを発射!【鎧砕き】
流石の毛皮…やすやすとは貫けませんか…しかし…!
腕はもう一本あります…!先に放ったナックルで毛皮の薄いとこを探ったのもこのため!杭打ちの要領でブーストナックルをぶつけ貫通を!


ふむ、これだけの毛皮…コートの一つ二つは余裕で作れそうですね~


満月・双葉
わぁ、食べ……げふん
モフりきれる気がしませんね贅沢ですふふふふふじゅる…
その不貞腐れたところも可愛いぜと言ったところで
モフらせて(唐突涙ぽろり)
動きを止めた隙に抱きつき
ふはははは!この僕を攻撃すれば親玉に当たるぞお前達…!

ちょっとこれは囓ると口の中毛だらけになりそうだな…
でもモフり倒せば満足出来そうなので今回はそれで良しとしましょう
群れから受けるダメージは虹瞳で【生命力吸収】攻撃を放って回収して耐えるとして、もうこのもふみに沈んでしまおう…
さっきのおねーちゃんからのダメージが癒やされる気がする…ふふふ



●命を慈しむ心ですよ(真顔)
「わぁ、食べ……げふん」
 そびえたつデカうさぎを前に、満月・双葉さんったら開口一番これですよ。
 あんまりデカすぎるとかえって肉質が落ちるとか考えなかったんですか?
「小さなウサギたちの後に巨大なウサギ……まるで日曜朝の悪の組織みたいですね……」
 女性の中ではかなりの長身を誇る双葉の隣で、逆にまだ幼い少年であるがゆえに発展途上の背丈である月影・このはがデカうさぎを見上げて、しかし怯まず告げる。
 いわゆる『ニチアサ』とか『スーパーヒーロータイムの後半』とかいうヤツだ。
「ですが、それは『悪手』……」
『……ぶっふ?』
 そこで初めてデカうさぎが、何を言うか小童と言わんばかりに唸り声を出す。
 このははここぞとばかりにズビシと指を突き付けて、この勝負勝ったと叫ぶ。

「何故ならボクは『スーパーロボット』、これは巨大化した敵とのロボット戦。これが意味するのは――ボクの勝利! これは勝利の方程式なんです!!」
『ぶ、ぶふぉっ……!?(な、なんだってー)』
 デカうさぎが、ちょっとだけその巨体を仰け反らせたような気がした。ノリがいい。
(「まあ本当はヒーローサイドも巨大化するんですけど、サイズの問題は気合でカバーです」)
 すまんな……キャバリアの描写ができるマンだったらアレソレできたんじゃが……本当にすまん……(一般MS超絶メタ発言)。

「そうですね、その巨大なボディ。モフりきれる気がしませんね贅沢ですふふふふふ」
 じゅる、としたたるよだれを隠そうともせずに、双葉もまたデカうさぎに迫る。
 一応双葉さんも乙女なので、よだれはハンカチで拭きながら迫る。え? そういう問題じゃない? アッハイすみません……。
『……ぶ、ぶー……』
 やめろよぉ、そんな目でこっち見るなよぉ。そう訴えて声を上げるも。
「ふふふふふ、その不貞腐れたところも可愛いぜ……」
 アッ駄目だ、双葉さん完全に捕食者の目だ! 虹色の不思議な瞳が潤む!
『ぶ、ぶうぅーーーーーーっ!!』
 何というか、ここに来て双葉さんが持つそれと同じくらいの野生の勘がデカうさぎにも働いたんじゃないですかね多分、ここで手下呼ばないと多分ヤバいわって思ったんじゃないですかね、普通サイズのサクラモフウサギが大量に召喚されたではありませんか!
『きゅっきゅっきゅ!』
『きゅっきゅ!!』
 どどどどどど。一匹一匹は小さくても波のように押し寄せれば脅威となる。
 このまま呑まれてしまうのか!? ウサの波に攫われてそのまま骸の海送りか!?
 いいや、まさか、そんな。双葉は、胸元できゅっと両手を握りしめた。

「――モフ、らせて?」

 ぽろり。虹の右目から、大粒の涙がこぼれ落ちた。
 その落涙に、何の意味があっただろうか。うさぎごときに、理解できただろうか。
『……きゅ、きゅう……!』
『きゅっ……!』
 ざざざざざ、波が割れる。それは、さながら創世記に描かれたワンシーンのように。
 海が割れ、道が示されるように。今、双葉の前には、うさぎたちが二手に分かれて、デカうさぎへと続く真っ直ぐな道ができていた。
「ありがとう……」
 頬を伝う涙をそのままに、双葉はゆっくりとデカうさぎ目指して歩き出す。
 うさぎたちは、一匹としてそれを邪魔することはない。
 何を隠そう、これこそが双葉のユーベルコードの効果なのだが、そこはまあ、まあ。
 そうして遂にデカうさぎの元にたどり着いた双葉は、ぴょいっとジャンプしてその足元に思いっきり抱きつく。
「う、うーんこの……極上の抱き心地……!!」
 デカいのでどこまでも沈み込んで行く感覚が普通の動物の比ではない。なにこれ。
 あんまりにも心地良いものだから、気も大きくなる。首だけ後ろに向けて、叫んだ。
「ふはははは! この僕を攻撃すれば親玉に当たるぞお前達……!」
 さっきまで温かく、というか身動き取れずにじっと見送ってくれたウサ相手になんてことを言うんだこの人は! ははーんさては人でなしだな! 大根爆発させるし!

「双葉さーん、反対側にブーストナックル打ち込みたいんですがいいですかー!?」
「割と物騒な技ですねえ!? もうちょっともふもふしてからにして欲しいです!」
 それ、反対側から撃たれても結局貫通しない? そうしたら結局ヤバない?
 ちょっと考えればすぐヤバイ級の案件だと分かる話に、手早くモフってしまおうと判断した双葉は、考えを巡らせる。
(「ちょっとこれは囓ると口の中毛だらけになりそうだな……」)
 まだ食べる所から離れられていなかったのか!
(「でも、モフり倒せば満足出来そうなので今回はそれで良しとしましょう」)
『きゅ、きゅきゅっ!』
『きゅうー!!』
 遂に我に返った小さなうさぎの群れが集まってきて、ぴょんこぴょんこ飛び掛かって来ては後ろ足でキックしたりかじりついたりして来るけれど。
 そこは虹の瞳が持つ生命力を吸い取る力で行って来い、ダメージを受ける先から回復しちゃう。もう、このもふみの海に沈んでしまおう、嗚呼……。
(「さっきの、おねーちゃんからのダメージが、癒される気がする……ふふふ」)
 全編通して一番ヤバいダメージが身内からのって相当ですね???

 双葉さんが今度こそ本当に満足してデカうさぎから退避したのを確認して、遂にこのはくんがゴキゴキと腕を鳴らして不敵な笑みを浮かべる時が来た。
 超もふもふ毛皮に対して、ドリル――のように回転を効かせたブーストナックルを、その毛皮が鎧となるならば、貫けとばかりに思いっきり発射させるのだ!
「行っ……けぇーーーーーっ!!!!!」
 ギャウッ!!!!!
 反動でこのはの身体が後方に派手に吹っ飛ぶ中、まずは右腕が超高速の螺旋を描いて飛翔していく。うさぎの背中付近を狙い飛んで行ったナックルは――ああ、途中で止まる!
「流石の毛皮……やすやすとは貫けませんか……しかし……っ!」
 既に手首が切り離された右腕を支えに使うように、左腕を構えるこのは。
 ぎり、と歯を食いしばり、ようく狙いを定める。
「腕は、もう一本あります……!」
 もう一本あるけれど、あと一本しかないのだ。失敗は許されない。額に汗が浮かぶ。
(「先に放ったナックルで、毛皮の薄いところを探ったのも、このため!」)
 予想通りだった、背中は――薄い! あとひと押しすれば、今度こそ貫ける!
(「杭打ちの要領で、もう一度ブーストナックルをぶつけて」)
 唸る手首、踏みしめる地面、異変に気付くも、回避行動など取れるようもないデカうさぎ。そう、サイズの問題は気合でカバー出来るのだ。

「うおおおおおおおお、おおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!!!!!!」
 穿て正義の鉄拳!! ブゥゥゥゥゥスト、ナッコォォォォォ!!!
 このはの身体が文字通り木の葉のようにひらりと舞い、凄まじい金属音が響き、デカうさぎが咆哮を上げた。毛が舞い、二個のブーストナックルが舞い、確実な損傷を与えた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

セフィリカ・ランブレイ
シェル姉、私今裏切られた気持ちで一杯だよ
『セリカの言う事なんてくだらない事でしょうけど、何故?』
相棒の魔剣、既に投げやり
仔ウサギはあざとさで、猫達はひたむきさで!
私達の心を癒した
でも!この大ウサギは何?!
不機嫌そうなだけで、そのふかふかで包み込んでくれることも大きな背中に乗せて走ってくれたりもない
サービス足りないよ!!
『そんな話だっけこれ?と言うか避けないと潰れるわよ』

うわっと!
大きいは強いの証。あまり悠長な事も言ってられないか!

【黄槍の飛竜】を呼び出してその背に乗る!
巨大故に視界が届きにくい場所を見極めて攻撃だ!

『というか、そんなに動物と触れ合いたいならそういう施設に行きなさい』
ごもっとも!



●もういいよ、私、もふるのやめる!
 うさぎ。愛玩動物とは言うけれど、実際飼育している人、曰く。
「なつかないですよ、抱き上げればお排泄物コロコロするし、全然ダメですね」
 何というか、犬猫のような、そういう要素はちょっと、期待できないらしくって。
 ま、まあまあ、もちろん個体差はあるとは思うんですけれど!

「……シェル姉、私今裏切られた気持ちで一杯だよ」
『セリカの言う事なんてくだらない事でしょうけど、何故?』
 魔剣たる姉シェルファに軽く手を添えながら語り掛けるセフィリカ・ランブレイは、一体どうしてしまったというのだろう。
 何やかやで話を聞いてやろうというシェル姉もシェル姉で優しい。
 割と投げやりな態度――剣だけど――をしながらも、まあ話だけは聞いてくれる。
「仔ウサギはあざとさで、猫達はひたむきさで! 私達の心を癒した」
『はぁ』
 ぐぐっと拳を握りしめ、今まで泣く泣く打倒してきた逢魔が辻の手強い刺客たちのことを思い出すセフィリカ。一方、癒されたかしらという感じで生返事をするシェルファ。
 そこでおもむろにバッと身を翻して、デカうさぎを指さすセフィリカ! 勢いで腰に佩いたシェルファが揺れて、ちょっと急に動かないでよねと抗議の声を上げたとか何とか。
「でも! この大ウサギは何!?」
『ぶうぅぅぅ……!?』
 お前こそ何だと言わんばかりに、デカうさぎが唸り声を返してきた。
「そう、その態度よ! 不機嫌そうなだけで、そのふかふかで包み込んでくれることも、大きな背中に乗せて走ってくれたりもない!」
『ぶ……?』
『は……?』
 デカうさぎが、そしてシェルファが、面食らったような声をほぼ同時に上げた。
「ぜんぜん違うじゃん! サービス足りないよ!!」
 それはもはや、絶叫。血を吐くような叫びだった。
 期待していたのに。このもふもふ尽くしの逢魔が辻を支配する主なのだから、どれほどのもふもふサービスでもてなしてくれるのかと、期待していたのに――!

『ぶ、ぶぅ、ぶーーーーーーーーーーーーー……』
 なんか……申し訳ないから……せめて、こう、ひと思いに殺りますね……?
 そんな感じで、デカうさぎなりの誠意を込めた踏み潰しの一撃がね、こう、ね?
『そんな話だっけこれ? と言うか避けないと潰れるわよ』
「うわっと!」
 叩きつけるように落ちてきたデカうさぎの足をすんでの所で躱して、セフィリカは体勢を整える。
(「大きいは強いの証。あまり悠長な事も言ってられないか!」)
 ビリビリと地面を走る衝撃がなお残る中、それに耐えながら「応用プログラムリスト」を巧みに切り替えて、今回喚び出すゴーレムは――。

「七虹最速のその姿! 目に焼き付けることができるかな!」
 ――二槍携えしもの、【黄槍の飛竜(フェインナルド)】!

 線の細い、飛行型ゴーレムの背に飛び乗るセフィリカ。
『ぶうぅーーーーーっ、ぶーーーーーーー!!』
 デカうさぎはその巨体ゆえに、飛び回られるとあまり広くを見回すことが出来ない。
 それこそが、セフィリカの狙いだった。その巨躯ゆえに視界が届きにくい場所を見極め――攻撃する!
『あそこね』
「うん、背中だね」
 どう頑張っても、首が回らないだろうし、手だって届かない。
 狙うなら、背中だ。
 突撃の構えを取ったその時、シェルファから不意に声を掛けられた。

『……というか、そんなに動物と触れ合いたいなら、そういう施設に行きなさい』
 一瞬きょとんとしたセフィリカは、すぐに破顔一笑した。
「えへへ、ごもっとも!」
 UDCアースに、素敵なうさぎカフェがあるんで、今度ご紹介しますね!

成功 🔵​🔵​🔴​

荒珠・檬果
ふるもっふ(ごろごろ)
くっ、もふ体力がマイナスに行きすぎた故、真の姿に…!
もふもふな上に大きいとか、反則じゃろうて!
来よや【バトルキャラクターズ】。ひとつに合体して、あれの気を引くがよい。
…まあ、音ゲーともふもふが頭の中で合体事故して、まずいと思うてたら出てきたの巨大な『リャマ』のキャラなんじゃが。どうしてこうなった。
リャマももふもふじゃぞ。

巨大リャマに気をとられとるうちに、オレンジライト・スピードキャバリア(略して『O.L.S.C.』)召喚。
そして、ここで妾のお約束となったビーム発射じゃて。サイキックビームじゃな。
姿変われども、お約束は変わったらいかんと思うてな。

※もふのためなら以下略



●あなたの真の姿の方が反則です(迫真)
 そびえたつうさぎを順調にボコっていく超弩級戦力たち。
 荒珠・檬果もまた、レイドバトルに参加すべく最終決戦の地に駆けつけたのだ!
「ふ る も っ ふ」
 ごめん、駆けつけたというよりは転がりながらだった。
 しかも、シャーマンズゴーストの姿ではなく、何か、こう、年齢も性別も確認するのが憚られるめっさふつくしいお姿になられて……うん、これはこれで、イイ……!!
「くっ、もふ体力がマイナスに行きすぎた故、真の姿に……!」
 真の姿になっちゃう理由、そういうのでよろしいのですか!?
 もしかして、軽率に赤丸付与しすぎちゃいましたか!? 何かすみません!!

 とりあえず、果てしなくふつくしくなった檬果さんはデカうさぎを見上げて、こうおっしゃいました。
「もふもふな上に大きいとか、反則じゃろうて!」
 アッ口調まで外見に合わせて古風にお変わりになられて芸が細かい……しゅき……。
「来よや、【バトルキャラクターズ】。ひとつに合体して、あれの気を引くがよい」
『ぶぅ……? ぶ、ぶぅぅぅぅぅ!!』
 真の姿でカチャカチャと携帯ゲーム機を操作するお姿ったらなかなかシュール、だがそれがイイッ! そんなこんなでポンポン出てくるのは……何この、何? 足を振り上げたデカうさぎも状況を理解出来ずに、思わず固まってしまっているぞ!

「……まぁ、音ゲーともふもふが頭の中で合体事故して、まずいと思うてたら出て来たの、巨大な『リャマ』のキャラなんじゃが」

 あの、これ、もしかして、ジャンル名「モフロック」……あああ何でもないです!!!
「どうしてこうなった。リャマももふもふじゃぞ」
 今の檬果さんの強さで全合体させれば、デカうさぎの高さに匹敵する大きさにもなるでしょう。まさか己と対等に立ち向かってくる相手が現れようとは、デカうさぎも思っていなかったものだから、むむむとリャマの愛らしい顔とにらめっこ。
(「巨大リャマにすっかり気をとられとるな、この隙に……」)
 怪獣大決戦というには絵面がめっちゃ可愛い。その足元で、檬果が右腕を天高く突き上げて喚び出すは――!?
「オレンジライト・スピードキャバリア、略して『O.L.S.C.』、今こそ此処に来たれり」
 優雅に立つ檬果の背後に五芒星が浮かび、そこから文字通り『召喚』されるように、橙色の鋼鉄の騎士がするりと抜け出て背後に立った――いや、ほんの僅かだが浮いている。
「よう来た、ではここで妾のお約束となったビーム発射じゃて」
 鋼鉄の騎士はまるで『御意』と言わんばかりに僅かに動く。
「サイキックビームじゃな――姿変われども、お約束は変わったらいかんと思うてな」
 口元を軽く押さえて笑う檬果は、どう見ても優雅な式神使いの姿をしているけれど。
 その本質は『荒珠・檬果』というものであることに、変わりはないのだ。
 ゲームが好きで、もふもふが好きで、しみったれたことが苦手で、歴史も好き。

 ごんぶといレーザーめいたビームがぶっ放されて、デカうさぎにえげつないダメージが入ったのを確認して、檬果さんはまたのもふる機会があればいいなあと思ったり思わなかったり。
 まあまあ、良かったら今度は古代中国系のお話とかしに来て下さいませ!

成功 🔵​🔵​🔴​

アカネ・リアーブル
もふ…!(目キラキラ
さっそくもふり…もとい倒しに参りましょう
兎は早く動くものを攻撃対象とする様子
そーっと近づき気付かれればピタリ停止
気が逸れましたらまたそーっ
名付けて「だるころ大作戦!」
十分近づき背中にもふ!
これはそう
兎布団パラダイス…!

うさのもふはもふもふでもふがもふしてすやぁ…
…となりかけた所に視線を感じ
わ、分かっております茜姫!
名残惜しくはございますが不肖アカネ
もふを、もふを倒させていただきます…(血涙

指定UC発動
抱きついた背中をよいしょと
ゆっくり持ち上げ空飛びどーん!
地面に叩きつけたら「だるころ大作戦」
睨まれもふり持ち上げどーん!

もふって倒せる
これぞWin-Winというものです(満足げ



●正々堂々と、もふり開始!!
「も……もふ……!」
 藍色のお目々がキラキラ、背中の白い翼も疼くよう。アカネ・リアーブルは今にも駆け出しそうな足をぐっと堪えて――ああ、我ながら何という自制心! そびえたつうさぎを見上げる。遠目からでも分かる、毛皮のもふもふ度合い。
「さっそくもふり……もとい、倒しに参りましょう」
 大丈夫、お役目は忘れておりませんよとしっかり言い直す。そうっと、そうっと距離を縮めていくのにはちゃあんと理由がありました。
(「兎は、速く動くものを攻撃対象とする様子」)
『ぶ……』
「う、うふふ……?」
 ぴたり。唸るデカうさぎが視線だけをアカネに向ければ、ピタリと止まって笑って誤魔化し。
『ぶうぅ……』
 何だ気のせいか、と言わんばかりにプイとデカうさぎがそっぽを向けば、またアカネがじわりじわりと距離を詰めていく。
(「そーっ、そーっ……」)

 その時だった。
『ぶーーーーーーっ、ぶーーーーーーーーーーっ!?』
 ぐるんっ!! その時、おもむろにデカうさぎが長いお耳をぶおんとなびかせてアカネの方をものすんげえ勢いで振り向いた!
 いやこれはさすがのアカネさんもビビる! 何で!? バレないようにそっと近づいたはずなのに! 名付けて「だるころ大作戦!」は完璧だったはずなのに!
「じゅ、十分近づいたところでそのお背中にもふ! するつもりでございましたのに……何故ですの!?」
『ぶうぅーーーーーーーっ!!(特別意訳:うさぎの聴覚ナメんなよぅ!!)』
 めっちゃ怒ってる! これは激おこですよ! ああっ、アカネさんが夢見た兎布団パラダイスが遙か遠き理想郷となってしまう……!?

『……ぶぅっ』
「……え、ええ!?」
 だん! と乱暴に叩きつけられたあんよは、己を踏みつぶさんと踏み出されたものかと思った。
 しかし、それは違った。むしろ――まるで、アカネに『登ってこい』と言わんばかりに差し出されたかのように見えたのだ。
 正面から登ることになるから背中へは少し遠回りになるけれど、何ならお腹を堪能してもいい。要するに。
『……ぶ、ふっ』
 ――好きにしろ、ということなのだろう。しかし一体、激おこのはずなのに何故?
 アカネも当然不思議に思う。だから、素直に訊ねた。
「どうして、アカネにこのお身体をもふらせて下さるのですか?」
『ぶっふ、ぶぅ(特別意訳:アンタ、気がついたら相当の間合いにいただろ。大したもんだ、そう思っただけだ)』
「まぁ……!」
 ……言葉、通じてるんだ……?

 もふ、もふもふ。もふもふもふ。
 もふもふもふ。めっちゃもふもふ!

「うさのもふはもふもふで、もふがもふして、すやぁ……」
 結局初志貫徹で目指した背中にたどり着いたアカネは、そのオフトゥンのようなもふを存分に堪能して、文字通り眠りの淵に――ああ、茜姫! 茜姫! すっげえ見てる!
「わ、分かっております茜姫!」
『人を異界の神のように扱わないで頂けませんこと?』
 ごめんなさい! それはアカネさんのせいではなくぼくのせいです!!
「な、名残惜しくはございますが不肖アカネ……」
 がっしともふの背中にしがみつきながら、アカネは血の涙を流しながら告げた。
「もふを、もふを……倒させていただきます……!!」

 ばさあっ!! 白き翼が思い切り広がる。
 抱きついた背中に、驚くべき力が込められる。
『ぶ、ぶうぅーーーーーーーっ!?』
 何ということか、デカうさぎの超巨体は、アカネの細腕ひとつでゆっくりと持ち上げられて――そのまま宙を舞い、まるでバックドロップのように、どーーーん!!!
 これぞ「だるころ大作戦(物理)」! ご覧下さい茜姫、いやそんな睨まなくても!

「もふって倒せる、これぞWin-Winというものです」
 ふぅ、と額の汗を拭うアカネさんは、とっても満足げな笑みを浮かべておりました。

成功 🔵​🔵​🔴​

ジャック・スペード
大きな兎か、カワイイな
いや……恐ろしい大きさだ

天にも届くほど巨大なら耐久力も有るだろう
つまり、遠慮なく其の毛皮を堪能できる

取り敢えず、攻撃を受けてみようか
片腕に機械竜――ハインリヒを宿せば
毛皮に包まれた脚を彼の顎で受け止めて
潰されぬようにしながら毛並みを堪能しよう
おお……ふわふわしているな

満足したら脚から抜け出し敵と正面衝突
もとい、白くて柔らかな毛皮に埋まりに行こう
ああ、ラビットファーは矢張り障り心地が良いな
この冬は兎皮のコートをオーダーしようか

こうして動物と戯れる機会は滅多に無いので
今のうちに堪能しておこう
ハインリヒがこの兎を食い尽くす迄――
しかし、本当に遠慮が無いなお前は
兎、カワイイのにな



●紳士的に、暴食的に
 平時は皆から見上げられる側のジャック・スペードだけれど。
 今は話が別であった。何せ、高層ビル八階相当のそびえたつうさぎが相手なのだから。
「大きな兎か、カワイイな」
『ぶうぅ……』
 カワイイと言われてまんざらでもなかったのか、天高い位置にあるデカうさぎの頭部からは何とも言えない唸り声が響いてくる。
 その声が聞こえてくるあたりを見上げつつ、ジャックはふむ、と顎に手を当てた。
「いや……恐ろしい大きさだ」
 アイセンサーでその全体像を捉えようにも、デカい。あまりにもデカすぎる。
 もはやこれは――畏怖すべき大きさ。故に、そう呟いてしまったのだ。

『ぶぅっ……!』
「何……!?」

 おもむろに、デカうさぎのただでさえもふもふな毛皮が、さらに一回りもふっとなる。
 言うなればこれは――『超もふもふ毛皮』! これ絶対ダメージ軽減するヤツ!!
「そうか、天にも届くほど巨大なら、耐久力も有るだろう」
 けれどもジャックさんは怯むことなく、冷静に状況を分析してみせます。
「つまり――遠慮なく其の毛皮を堪能できる」
 何なら、金色のアイセンサーをキュピーンと光らせてもふを狙うまである!
『ぶ、う、ぅーーーーー!!』
 鈍い動きではあったけれど、しかし避け損ねれば確実に致命となる踏みつけ。
 落ち着いて見切れば、ジャックほどの手練れであれば容易く回避出来るであろう。
 けれども、ジャックは。
(「取り敢えず、攻撃を受けてみようか」)
 ファッ!? 何のんびり左腕掲げてるんですか!! ウサ足落ちてきてますよ!?

「――餌の時間だ、<ハインリヒ>」

 機械の腕とはいえ、それは人が纏う軍服と同じものに包まれていた。
 それが内側から『食い破られる』ように弾け飛び、腕だったものは銀の機械竜と化す。
 その超常の名は【暴食に狂いし機械竜(グロトネリーア・ハインリヒ)】。
 寄越せ、寄越せ、もっと寄越せ。ああ、お前から寄ってくるとは何たる僥倖!
 何も知らずに降ってくる毛皮に包まれたウサ足は、機械竜の顎にがちりと受け止められる。何という絶妙な力加減だろう、食い潰さず、潰されもせず、主たるジャックがもう片方の手でうさぎの毛並みを十分に堪能出来ているのだから。
「おお……ふわふわしているな」
 もふもふ、もふもふ。ジャックはとても器用に、デカうさぎを堪能していた。

『ぶ……ぅ……』
 何かこう、うさぎさんサイドとしては絶妙に微妙に身動きが取れなくて、苦しい。
 害はないからそのままでもいいのかも知れないけれど、アッ駄目だこれ放っておくと寿命が縮むんだわ!
 あとちょうどジャックさんサイドが満足したからそろそろいいですって! よかったなあデカうさぎ、命拾いしたかもなあお前!
 もそもそと足から抜け出してきたジャックが敵と正面衝突――もとい、白くて柔らかな毛皮に埋まりに行くべく、左腕の機械竜ハインリヒと共に地を蹴って駆け出す。
『ぶ、ぶうぅーーーーーーっ!』
 咄嗟に蹴り上げた足を、今度こそ俊敏な動きで躱すと、思いっきりダイブ!
 もふ……っ。
(「ああ、ラビットファーは矢張り障り心地が良いな」)
 もっふ、もふもふ……。
(「この冬は、兎皮のコートをオーダーしようか」)
 めっちゃ……ジャックさんに似合いそうですね……!

 がじがじ、がじがじ。
 ジャックがもふもふを堪能している間、ハインリヒはハインリヒで暴食に狂う本能に従ってデカうさぎの柔肉を容赦なくがじがじしていた。しょうがないね! 本能だから!
(「こうして動物と戯れる機会は滅多に無いので、今のうちに堪能しておこう」)
『ぶううううーーーーーーー! ぶーーーーーーーーーうううう!!』
(「……ハインリヒが、この兎を食い尽くす迄――」)
 可愛くても、もふもふでも、影朧だし逢魔が辻の主だからね! しょうがないね!
 左腕の機械竜が荒ぶる様子を直に感じながら、ジャックは小さく息を吐いた。

「しかし、本当に遠慮が無いなお前は――兎、カワイイのにな」

成功 🔵​🔵​🔴​

荊・リンゴ
ネネちゃん(f01321)と

まぁ!なんて大きさなんでしょうか!
ウサギさんが足踏みをするたびに地面が跳ね上がって、私もぴょんぴょんしてしまいます!
大きさに比例してもふもふも増し増しなのでしょうか
ソワソワとするネネちゃんを不思議に思いつつ
振り向いたネネちゃんと目を合わせ気を引き締めます!

ネネちゃんのユグルの壁に守ってもらいながら、ウサギさんへの攻撃に専念
【荊棘の夢】リンゴの形をした宝珠からパパ(王)とママ(王妃)を呼び出して攻撃します
召喚するだけでいっぱいいっぱいです……!
それでも前で戦うネネちゃんのかっこいい姿を見て、歯を食いしばって宝珠に力を込めます

お願い!ウサギさん鎮まってください!


藍崎・ネネ
リンゴちゃん(f09757)と

す、すっごくおっきいの!!
こんなに大きかったら……きっと抱き着いたらもふもふすぎてしまうの(ごくり)
リンゴちゃん、気を引き締めていきましょうなの
強い心で攻撃しなくちゃいけないの!

でもちょっとだけ……ぼふってしても気付かれなさそうなの……
はっ。いけないの。頼れる先輩の背中を見せなくちゃなの

『ユグル』を展開させて黒鎖を真っすぐに伸ばして攻撃するの
一度でも当ててしまえばネネのもの、【黒鎖の祝福】で腐らせてあげるの
あまり離れないように注意するのよ
ウサギさんの攻撃は回避に専念するの
避けれない時はユグルで壁を作ってリンゴちゃんも一緒に守るの

悪い子は消えちゃいなさいなの!



●らすとばとるなのですよ!
『ぶーーーーーーーっ、ぶうぅーーーーーーーーーーーーっ』
 不機嫌そうな唸り声を上げて、サクラモフウサギ巨大種ことデカうさぎが藍崎・ネネと荊・リンゴの前にも立ちはだかる。デカい。思っていた以上にデカい。
「す、すっごくおっきいの!!」
「まぁ! なんて大きさなんでしょうか!」
 ネネもリンゴも、素直な感想を口にする。もう何というか、そう言うより他にないレベルでデカかったというのが正直な所だったのかも知れない。
 けれどそれが何というか、デカうさぎ的にちょっぴり気分が良かったのかも知れず。
 ええ~~~? じゃあちょっといいトコ見せちゃおっかな~~~? というノリで。

 ずしぃぃぃぃぃん! ずしぃぃぃぃぃん!

「きゃっ……!」
「う、ウサギさんが足踏みをするたびに地面が跳ね上がって、私もぴょんぴょんしてしまいます!」
 うーん、ネネちゃんさんは可愛い悲鳴と、リンゴちゃんさんは愛らしい説明台詞をめっちゃありがとうございます!
 そんな訳でだいたい今の解説の通り、デカうさぎが左右の足を交互に足踏みしたものだから、すんごい地響きがしてネネとリンゴはぴょいんぴょいんとなってしまったのだ。
 どやっと胸毛をもこもこ見せ付けて、ぶふんと鼻息を吹くデカうさぎ。
「こんなに大きかったら……きっと、抱き着いたらもふもふすぎてしまうの」
 ごくり。迫真の表情でネネが息を呑む。あの胸毛からしてヤバいのに、ひとたび身を埋めたらどうなってしまうというのか? もふの海に沈んで、二度と戻れないのでは?
「大きさに比例して、もふもふも増し増しなのでしょうか」
 頬を伝う汗をそのままに、リンゴも呟く。胸の前で握りしめた両手が、汗ばんでいた。
 チラ、と隣のネネを見れば、何だか自分以上にソワソワしているように思えて――?
(「ネネ、ちゃん?」)
 声を掛けようかと思ったけれど、ちょっぴりそれは憚られた。どうしてだろう?

 ――だめ、強い心で攻撃しなくちゃいけないの! 飲まれちゃだめ!!

「リンゴちゃん!!」
「はい!!」
 突然振り向いたネネと目が合って正直リンゴはとっても驚いたけれど、気持ちも引き締まる。だから、元気良く返事をした。
「気を引き締めていきましょうなの!!」
「はい!!!」
 可憐な乙女を体育会系のノリに仕立てあげている気がしなくもないですが、これ怒られないですかね大丈夫ですかね……?

 ネネは、先輩だから。しっかりしないといけないの。
 リンゴちゃんをまもらないといけないの。
 でも、ちょっとだけ……ぼふってしても、気付かれなさそうなの……。

(「はっ、いけないの。頼れる先輩の背中を見せなくちゃなの」)
 うーんこの誘惑に負けそうになる姿もまた愛らしくてイイですね!

 ――攻撃と防御を分けて担当する。それが今回の作戦だった。
 正確には、ネネが攻防一体の超常でこちらへの攻撃を通さない間に、リンゴが攻撃に専念する。大丈夫、打ち合わせはしっかりやった、あとは手筈通りに。
『ぶううぅぅぅぅーーーーーーーーー!!!』
 デカうさぎが大きく唸れば、どこからともなく最初に相手をした小さなうさぎたちが大量に押し寄せてくる。
「来た……!」
 背中の小さな翼を、そして両腕を広げて、ネネは胸元から大量の『黒鎖』をじゃらじゃらと引きずり出すイメージをする。
 そうしてそれは――【黒鎖の祝福(ユグルリムルシカ)】という名の超常となって具現化する!
『きゅうっ……!?』
『きゅーっ!!』
 無数に伸びた黒鎖は、うさぎたちを真っ直ぐに的確に貫いて、触れた先からぐずぐずとその身を腐食させていく。
 鎖で固定された獲物たちは、まるで『壁』のよう。
 それらに逆に守られる形となったリンゴは、己の務めを果たすべくキッとデカうさぎを見上げるのだ。

「ネネちゃん――私、行くね」
「リンゴちゃん――お願い!」

 リンゴの両手に包まれるように、林檎の形をした宝珠があった。
 それを媒体として召喚されるのは――ユーベルコード【荊棘の夢(イバラノユメ)】による、王たる「パパ」と王妃たる「ママ」! ああ、何と頼もしい!
(「うう、召喚するだけで、いっぱいいっぱいです……!」)
 額に脂汗が浮かぶのが分かる。身体中の力が手にした林檎に吸い取られていくような感覚。さらにここから戦うなんて――!?
「行かせ、ないっ!」
 ネネの声が、響いた。
 黒鎖を繰って、うさぎの攻撃を回避し、既に【黒鎖の祝福】で捕らえた獲物を束ねて壁にして敵へとぶつけ、リンゴごと守る。
「悪い子は――消えちゃいなさいなのっ!!」
(「ネネ、ちゃん」)

 そうだ、ネネちゃんもがんばってる。
 すごく、すごくかっこいい。
 わたしも――がんばらなきゃ!!

 歯を、割れんばかりに食いしばる。
 包むように掲げ持った宝珠にありったけの力を込める。
 王が、王妃が。パパが、ママが。応えてくれる。

「お願い! ウサギさん、鎮まってください!!」

 王の剣と、王妃の杖が、一閃して。轟音と共に、デカうさぎの巨体が、倒れた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

榊・ポポ
【御魂除霊事務所】

でけーウサギ!
デカイとポポちゃんちょっと火力不足?みたいな?
だからバリバリ君の荷台にアレ(神治)をこうして、こう!
(ミニポポちゃんで御魂神治を包囲)
御魂を括りつけてバリバリ君を移動砲台にする!
御魂は火力あるからね!
そうだよね!な!御魂ァ!
あとはポポちゃんが安全運転な!(操縦)
降ろせだって?
うるせー!降ろさないよ!家賃滞納するオマエが悪い!
それじゃあ最後は派手にドーンとやるかぁ
ド――――ン!!(バリバリ君で突っ込んでUC発動)

ただでさえモフモフなウサギが超毛玉ボーン!になるね!
ポポちゃんも御魂もアフロになるけどね!


御魂・神治
【御魂除霊事務所】

おい、ジャマや白いの退けや(げしげし)
は?ウサギ?
足元でチョロチョロしてんの鬱陶し...ポポやん、またお前か!
おい、何すんのや、やめろ、おい
ワイを原付に括り付けんな!
まぁ、機動力が上がるからええか...
足回りはポポやんに任せて
銃ぅ...だと大したダメージ与えられへんそうやから
爆龍符ばら撒きまくって火力でゴリ押しやな(爆撃・範囲攻撃)
時々閃光弾でも撃って目くらましするか(マヒ攻撃)
仕上げは涅槃で派手にいてこまそか
何や、ポポやんも爆発オチがええんか
って、アホ!突っ込むんやない!!

......
セットした髪台無しやないかい
天将までアフロになってる、マジか......



●ポポちゃんさんをモフってみたい気もしますねぇ(ねっとり)
 そびえたつうさぎを相手に、恐れを知らない戦士のように御魂・神治が割と容赦なく足元をげしげしと蹴りつけているものだから、開幕早々めっちゃ不安になる訳で。
「おい、ジャマや白いの退けや」
 げしげし。げしげし。
 あの、神治さん……それ、デカすぎて分からない選手権ぶっちぎりで優勝しそうなんですけど、一応今回のボス敵で、サクラモフウサギ巨大種っていう……!

「は? ウサギ?」
「でけーウサギ!」

 率直な感想を述べながら登場したのはしゃべるトンチキカカポこと榊・ポポ。うーんこのトンチキシナリオの申し子、また来て下さって嬉しいです。
 ポポちゃんは神治の足元をチョロチョロと飛び回っています、どうしたんでしょう。
「足元でチョロチョロしてんの鬱陶し……ポポやん、またお前か!」
 神治の半分呆れたような声に、ポポちゃんはバッと片翼を広げてデカうさぎを指し示す。
「デカイとポポちゃんちょっと火力不足? みたいな?」
「はぁ」
 せやなぁ、なら勝手にせぇとしか言いようがない神治がその場を立ち去ろうとした時、突然足首を何かに引っ張られる感覚がして――ビターンと盛大に地面に叩きつけられた。
「痛ェ!!!!!」
「だからバリバリ君の荷台にアレをこうして、こう!」
「おい、何すんのや、やめろ、おい! ワイを原付に括りつけんな!!」

 ~説明しよう!~
 ポポちゃんは畜生なので、神治さんの足首にロープを巻き付けてコケさせて、同時に「ミニポポちゃん」という自律式小型カカポロボで包囲。せーので持ち上げて原付バイク「バリバリ君」の荷台に雑に括りつけたのだ!

「こうして御魂を括りつけてバリバリ君を移動砲台にする!!」
 うわっ、想像以上に鬼畜の所業だった! 特攻じゃないですか!
「御魂は火力あるからね! そうだよね! な! 御魂ァ!!」
「……まぁ、機動力が上がるからええか……」
 ええんかーい!! 荷台に括りつけられたまま全てを諦めきったような顔しないで下さいよぉー!?
 あとポポちゃんのかけてくる圧が尋常でなくすごいぞ!? 何か弱みでも握ってんの!?
「銃ぅ……だと大したダメージ与えられへんそうやから」
 冷静に攻撃手段考えてる! こいつ……本気だ……!!
 神治さん、やる時は本気でやる男なのでは……!? すみません、見直しました!!

(「真面目な話、「爆龍符」ばら撒きまくって火力でゴリ押しやな」)
 荷台に括りつけられている格好なので、強制的に天を仰ぐ格好となる神治が薄く笑う。
(「時々閃光弾でも撃って目くらましするか」)
 そこまで考えたところで、ちくしょ……いや、ポポちゃんの声がした。
「そいじゃ突撃するよーーーーーーーーーヒャッハーーーーーーーーーー!!!!」
「待て、やっぱ降ろせ」
「降ろせだって? うるせー! 降ろさないよ! 家賃滞納するオマエが悪い!!」
 家賃滞納はギルティですねぇ……それはちょっとかばいきれませんねぇ……?
 というわけでバリバリ君、サラダ油を燃やして突っ走る!!

(「あああああ、しゃあないわ。仕上げは【破魔爆散『涅槃』】で派手にいてこまそか」)
 うーん、この二人もしかすると今までの誰よりも殺意MAXで挑んでますわね?
 よっしゃ来いとばかりに、デカうさぎがそのあんよを持ち上げた。突っ込んで来るというなら、狙いすまして踏み潰してやるというのだ。
 ならばその懐へ飛び込んでやろうと、ポポちゃんが駆るバリバリ君は果敢に突進していく――!
「それじゃあ最後は派手にドーンとやるかぁ」
「何や、ポポやんも爆発オチがええんか」

 ぶううぅぅぅぅぅぅぅん、ぶうううぅぅぅぅぅぅぅぅぅん!!!!
 ※フルスロットルの音です

「って、アホ!! 突っ込むんやない!!」
「ドーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン!!!!!」

 ――ご覧下さい、見事なまでの【ポポちゃんボンバー(オアトガヨロシイヨウデ)】を。
 デカうさぎにダメージこそ入っていませんが、登場人物全員もれなく煤だらけでアフロヘア。そしてワンテンポ遅れての、ハリウッド映画顔負けの大爆発がバックで起きて。

「……セットした髪、台無しやないかい」
『……』
「天将までアフロになってる、マジか……」
 クールビューティな印象の女性型AIの「天将」さんまで、爆発ギャグオチの被害から逃れることはできなかった……嫌な、事件だったね……。

「ただでさえモフモフなウサギが超毛玉ボーン! になるね!」
 ポポちゃんも御魂もアフロになるけどね! と、心底愉快そうに笑うポポちゃん。
 なお、ダメージは神治さんがシミュレートしたプランできっちりと与えてくれたのでセーフセーフ。ちゃんと仕事したよ!

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

向坂・要
あー……こりゃまたなんともご立派なことで…
しかも見事にぷっぷくぷーしていますねぇ

なんてのほほんと見上げつつ
はてさてこの兎は美味しいのか…いやいやそうじゃない

なんの目的でここにいるのかは知りませんが、穏やかにはいかなそうで

見た目も楽しく、ってことで小さな?標準サイズの兎の姿に重力を宿した群れをUCで呼び出して

合体させて巨大うさぎ対決もありですかねぇ

……ところでやっぱりあれ、鍋にはなりませんかぃ?

アドリブ、絡み、とんちき大歓迎


荒谷・つかさ
出たわね、今日の本命……!
きっちり退治して、その肉も骨も毛皮も全部有効活用してあげるわ!

とはいえ、怒り状態で暴れ回られても面倒ね
まずは怯ませるところから始める
使うのは別世界で購入したスタングレネード
こいつを奴の頭部に向けて思いっきりぶん投げる
高速移動物体を捉えようとするなら、投げたブツを見るし耳も向けるはず
そこで強烈な閃光と破裂音が炸裂すれば、ひっくり返ってもがきだすに違いないわ
UDCアースで大人気のゲームでもそうだったもの、間違いないわ!(ぇ

後は低い所に降りてきた頭部目掛けて、「流星(超重量級のハンマー)」で「怪力」を溜めに溜めた【荒谷流重剣術奥義・稲妻彗星落とし】を叩き込むわよ!



●うさぎを狩るものたち
『ぶ、ぶうぅ、ぶふうぅぅーーーーーーーーーーーーーーーっ!!』
 唸り声を通り越してもはやこれは咆哮。そびえたつサクラモフウサギ巨大種はびりびりと空気を震わせた。
 その場に居た向坂・要とは咄嗟にそれぞれ耳に手を当てて難を逃れたが、肌で感じる圧は凄まじいものがあった。
「あー……こりゃまたなんともご立派なことで……」
 色んな意味を込めながら、狐耳から手を少しだけ離しつつそう呟く要はふさふさの尾をゆらりと振ってみせた。
 うへえと苦笑いひとつ、デカうさぎを下から上まで眺めてみせて。
「はてさて、この兎は美味しいのか……いやいや、そうじゃない」
 まあまあ、気にはなりますよね? デカいと肉質が落ちるのか、それともデカくても美味なのか? それは、実際食べてみるまで分からないのだから――!

「出たわね、今日の本命……!」
 要の隣で、つかさも指をごきりと鳴らして不敵に笑う。待ってましたとばかりに。
「きっちり退治して、その肉も! 骨も! 毛皮も! 全部有効活用してあげるわ!」
 こっちはもっと直球ストレートだったー!!
『ぶぅーーーーーーーーーーーっ!?』
 これにはデカうさぎも怒りと恐怖がない交ぜになった声を上げてしまう!
 何かもう、話し合いの余地とか全然ないという感じで、どこからともなく地響きがしてサクラモフウサギの群れがやって来るわ、デカうさぎ自身も激おこモードになるわで、最初からクライマックスなんですけど大丈夫!?
「あーあー、なんの目的でここにいるのかも分からないままおっぱじまいやしたけど」
 後頭部を軽く掻きながら、要がくるりとつかさに背を向けて言葉だけを投げる。
「こうとなっちゃあ、穏やかにはいかなそうで」
「……悪いわね、そちらは任せていいかしら?」
 その言葉に、ひらりと片手をかざしてのみ返事として。
 耳と尻尾のヤドリガミは、サクラモフウサギの大群へと立ち向かっていった。

「何って言うんですかねぇ、草が転がって出来る塊。アレが、兎の姿を取るんです」
 タンブルウィード、というらしい。それが、偶然うさぎの姿をしたっていいだろう。
「それに――重力を宿した群れです、お相手しますよぉ」
 もふうさぎ軍団vs草うさぎ。ファイッ!
 さっそく互いにてしてしとぶつかりあうも、何かじゃれ合ってるようにしか見えない。
 たまに毛とか草とかがむしれて舞い散るんだけど……うーん絵的に可愛いでしかない。「がんばれー、がんばれー」
 要さんは、呑気に背後で腕を振って応援しておりました。

 一方のつかさは、激おこモードのデカうさぎを相手に、鋭く走り回って狙いを定めさせないように立ち回っていた。
(「……とはいえ、怒り状態で暴れ回られても面倒ね」)
『ぶぅーーーーーーっ!!』
 どごん、どこぉん!! 無闇矢鱈に振り下ろされる拳や足が厄介なのだ。
 だからつかさは、まずは怯ませるところから始めることにしたのだ。
 懐にそっと手を差し入れ、確かな手応えにほくそ笑む。
(「使うのは『これ』――別世界で購入した『スタングレネード』。こいつを、奴の頭部に向けて思いっきりぶん投げる」)
 デカうさぎの今の特性――『高速移動物体を捉えようとする』なら、つかさがこれから投げるブツだって必ず見るし、耳だって向けるはずだ。
(「そこで強烈な閃光と破裂音が炸裂すれば、ひっくり返ってもがき出すに違いないわ」)

 ――UDCアースで大人気のゲームでもそうだったもの、間違いないわ!!

 てってれてー! てれてーてれてーれー! てれれーてれてーれーれー!!
(かなり適当なBGMですがお許し下さい)(何となくお察し下さい)

 さあ、問題はいつ閃光弾をぶち当てるか? 適当にぶん投げても効果がなければ意味がない。もふ毛に埋もれてしまってはきっと音はともかく光を吸ってしまうだろう。
 踏みつけを躱し、殴りつけを躱し――デカうさぎが身を低くした、その一瞬。
 そこを、狙った! すかさずつかさが下りてきたデカうさぎの顔面めがけてスタングレネードをぶん投げた!
「ぇえいっ!!」
『ぶーーーーーーーーーーーっ!!!』
 カッッッ。炸裂する閃光弾の光と音に、たまらずデカうさぎが身をよじらせた。
 ずしぃぃぃぃぃぃん! 顎を地面につくように轟音と共に地に伏したデカうさぎ。
(「……よし!」)
 千載一遇のチャンスだった。つかさはその頭部めがけて、超重量級の金属塊たるハンマー「流星」を、多分超弩級戦力の中でも他の追随を許さない怪力でもって高々と振り上げると――。

「重剣術奥義……この剣に、打ち砕けぬもの無し! 【荒谷流重剣術奥義・稲妻彗星落とし(ライトニング・シューティンスター)】っ!!」

 ま さ に 地 獄 の 断 頭 台 !!!
(まいるどなひょうげんでおとどけします)

「合体させて巨大うさぎ対決もありですかねぇ」
 なんてのんびり顔を向けた要さんが一瞬真顔になるレベル。多分、鍋にしようと思えば出来るかも知れませんよ???

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

栗花落・澪
【犬兎】

機嫌悪いのかぁ…困ったね
とりあえず足元は危ないから
行くよ夏輝君!

自身は自前の翼を用いての【空中戦】で
とりあえず風魔法の【属性攻撃】で
夏輝君を強風でふっ飛ばしますね☆
届かなければ空中2撃目コンボで
大丈夫、夏輝君頑丈だから

目指すは大兎さんの背中!
夏輝君が飛びすぎたら服掴みます

わーいもふもふー♪(抱き着き
よしよし落ち着いてね

暴れて振り落とされたら危ないので
兎は耳がいいから【催眠術】を乗せた子守歌の【歌唱】で
少しでも気持ちを落ち着かせつつ
毛並みを優しく撫でてやり

つまんないのは…嫌だね、寂しいね
今は僕達が一緒にいてあげるからね

【優しい】【祈り】で痛みを抑えた【破魔】の【指定UC】で【浄化】を


小林・夏輝
【犬兎】

え、行くってどこに
待って澪さん、なにする気どわああぁぁ!!?

なす術もなく吹っ飛ばされ
兎も飛び越えそうなところで引っ張られ背中に落下

ぐぇっ…あの澪きゅん
段々俺の扱い雑になってね?
そんなとこも好きだけどね!

俺は飛べねぇから振り落とされないようしがみつきつつ

少しでも遊んでやれれば良かったんだけど
流石にこのサイズじゃなぁ…

まぁ機嫌悪いまま骸の海に帰っても気持ちよく眠れねぇからさ
俺らに出来る事っつったら、これくらいかな

【指定UC】で兎のキャラを出して大兎にじゃれつかせる
小さいけど、これで一人じゃねぇだろ
可哀そうだけど最後はしっかり兎パンチ

帰ったらちょっと澪甘やかすか…
こいつも大概寂しがりだしな



●モフよ、汝許されるべし
 サクラモフウサギ巨大種が栗花落・澪と小林・夏輝の姿を認めると、即座にその姿をぶっわと膨らませたのには流石に驚いたろう。
 何せ、ただでさえもふもふだったボディがさらに超もふもふになったのだから。
『ぶふぅ……ぶふぉーーーーーーう……』
 目はジットリとして、唸り声は明らかに不機嫌そう。サービスでは……なさそうだ。

「機嫌悪いのかぁ……困ったね」
 超もふもふと化したデカうさぎを見上げて、澪が心底困った声を上げる。
 そしてデカうさぎの足元を見れば、こんなもので踏み潰されてはひとたまりもないとすぐに分かるとんでもないビッグフット。
「と、とりあえず足元は危ないから――行くよ夏輝君!」
「え、行くってどこに!?」
 ニッコオォォォォォォ……。エンジェルスマイルが炸裂した。
 澪はまず自らの翼で舞い上がり、次いで得意の風属性の魔法で巻き起こした強風で夏輝を天高く巻き上げる!
「待って澪さん、なにする気どわああぁぁぁぁぁぁ!!!!!?????」
 ぎゅいんぎゅいんときりもみ状態になりながら舞い上がっていく夏輝くん。
 大丈夫かな?
(「大丈夫、夏輝君頑丈だから」)
 アッハイ……。

『ぶぅ……?』
 二人、というか主に澪が目指すのはデカうさぎの背中。
 まずは澪がしがみついて、夏輝はどうかと様子を見れば、上へ参りまーすとばかりに行き過ぎてしまいそうになっている!
 なす術もなく吹っ飛ばされ、うさぎも飛び越えそうなところで――澪に服をぐいと引っ張られて夏輝も背中に落下した。
「ぐぇっ……! あの、澪きゅん? 段々俺の扱い雑になってね? そんなとこも好きだけどね?」
「わーいもふもふー♪」
 うわあ、割と大事な話をしれっと繰り出したのに完全無視だ! かわいそう!!
 澪きゅんはすっかりデカうさぎの超もふの毛並みに埋もれてご満悦ですよ!
『ぶ……』
「よしよし、落ち着いてね」
「……む」
 俺は飛べねぇから、と。振り落とされないようにしがみつきつつ、夏輝は思う。
(「少しでも遊んでやれれば良かったんだけど、流石にこのサイズじゃなぁ……」)

「なぁ、ちょっと遊んでやるよ」
『ぶー?』
 遠隔操作で、夏輝がデカうさぎの足元にうさぎのキャラクターをめいっぱい出して、それらを合体させることなく全てバラバラに操作してじゃれつかせた。
「小さいけど、これで一人じゃねぇだろ」
 月が見えなくても、さみしくないように。
 機嫌の悪いまま骸の海に還っても気持ちよく眠れないだろうから、せめて。

 もぞ。もぞもぞ。デカうさぎがうさキャラを蹴散らすでもなく踏み潰すでもなく、じれったげに動いて反応を見せる。
 それを見た夏輝はもちろん、澪もまた笑みを浮かべて。
「――澪、俺はそろそろいいぜ。後は任せたわ」
「……うん、わかった」
 もふ毛をきゅっと掴んで、澪がすうっと息を吸う。
(「兎は、耳がいいから」)
 優しく響け、この催眠術を乗せた子守唄よ。
 ねむれ、ねむれ――。
『……ぶ、ぅ……』
 毛並みを優しく撫でてやりながら、紡がれる子守唄は、デカうさぎの意識を確実に眠りへと導いていく。気持ちが落ち着いていけば、さらに加速していく。

「つまんないのは……嫌だね、寂しいね」
 もふり、もふり。
「今は、僕達が一緒にいてあげるからね」
 撫でてあげる手に、優しい光が宿る。苦痛を伴わない、破邪の光。
 ぽう、と澪の手の中でどんどん大きくなった光は――。

 夏輝のうさぎキャラのパンチと共に、デカうさぎにしっかり一撃を与えた。

(「帰ったらちょっと澪甘やかすか……こいつも大概寂しがりだしな」)
 腕の中でスンスン鼻を鳴らしている澪を見て、そう思う夏輝であった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

榎・うさみっち
いやデケェな!!
ざっくり俺の150倍以上くらいありそうけど
カメラさん、ちゃんと俺映ってる!?

こんなのに踏み潰されたら一瞬でプチッと逝きそうだけど
自慢の逃げ足で華麗に躱しつつ
ぶーんっと兎の目線の高さまで飛んでいく!
この時点で地味に時間かかるけど!

ここでUC発動し、まほみっちゆたんぽを複製!
第一陣、放水よーい!
水の属性攻撃で兎の身体をずぶ濡れにしつつ
更につぶらな瞳にも放水して視界を塞ぐ!
一般的に兎は水が苦手だから不快度MAXだろう!
ちなみにうさみっち様はそんなことないぜ

第二陣、雷撃よーい!
雷の属性攻撃を濡れた身体に浴びせ
シビビビ状態にさせてやるぜ!
水は電気をよく通すから
この戦法で体格差をカバーだ!



●史上最小vs史上最大の最終決戦
「いやデケェな!!」
 ぶーんぶーんと羽音を立てて、叫ぶ榎・うさみっちの声さえも、不機嫌さを隠さないサクラモフウサギ巨大種のぶうぶう言う唸り声にかき消されてしまいそう。
 何なら鼻息をもう少し荒くされただけで、文字通り吹き飛ばされてしまいそう。
 位置取りに気を付けながら、うさみっちは油断なくデカうさぎを見上げた。
(「ざっくり俺の百五十倍くらいありそうだけど……」)
 はい来たここで突然のカメラ目線! ぐるんと振り向くうさみチャン!
「カメラさん、ちゃんと俺映ってる!?」
 大丈夫、ちゃんと映ってますよ! 今ちょうどうさみっちさんを抜いてます!
 デカうさぎはデカうさぎで、別のカメラさんが追ってます!
「あ~良かった、俺がピンクのかたまりで終わってたらどうしようかと思ったぜ!」
 それは割とマジで心配するだろう、特にうさみっちはフェアリーだ。
 もっと言えば種族内でも平均身長が20cmはあるというのに、18.3cmというミニミニサイズ。対するデカうさぎは高層ビル八階相当。一枚の絵面に収めるのはとても難しい。
 だから撮影班はうさみっちとデカうさぎとを可能な限り同時に捉える1カメ、うさみを専門に追う2カメ、デカうさぎを専門に追う3カメと分かれることにしたのだ。
 そして最終的に編集で切り替えてダイナミックに……と、それはまた別のお話。

 うさみっちはもっふもふの毛皮をしたデカうさぎの周囲を慎重に、しかし時に大胆にぐるりと回る。
(「こんなのに踏み潰されたら、一瞬でプチッと逝きそうだけど」)
 普通の人間だってひとたまりもないだろう、ましてやちいさな自分など。
 けれど自分には、鍛え上げた自慢の逃げ足がある。ちっちゃなあんよだけど、それだけじゃない。
 目にも留まらぬ速さで羽ばたく妖精の羽で身を翻らせるのもまた、回避の手段だから。
『ぶぅう……っ!!』
 よくわからないけど何だか鬱陶しい、そう言いたげにデカうさぎがちょっとだけ足を上げて、そしてビタンと地面に叩きつけた。
「おわっ!」
 声こそ焦っているように聞こえたけれど、その身の躱しはとても華麗で。
 勢いのままに、うさみっちは一気に上へ上へと目指していく!
(「うーん、兎の目線まで飛んでくには、地味に時間がかかるぜい」)
 ちょっと休憩しないとやってらんねーぜ! とばかりに、途中もふ毛が出っ張った所を目敏く見つけると、うさみっちはぽふんと腰掛けてもふを堪能した。
「ああ~~~、これ、持って帰って売ったらいい値段つかねーかな~~~」
 もふもふなでなでしながら、うさみっちのジト目はすっかり¥マークになっていた。

 何やかやで最後の良心が働いたのか、もふ毛を切って持ち帰るという蛮行には及ばず。
 うさみっちは遂にデカうさぎの顔面までたどり着いた。
『ぶっふ……!?(特別意訳:ちっさ! 何お前ちっさ!!)』
「はっはっは、ここで会ったが百年目だデカうさぎ! このうさみっち様が引導を渡してやるぜー!」
 本当のことなんだけど割とひどい罵倒を受けていることにも気付かず、うさみっちはババンと胸を張ってデカうさぎの鼻先に指を突き付ける。
「いでよ、【かくせいのうさみっちスピリッツ(ウサミノ・ユタンポ・ヨナヨナ・ウゴク)】! 今回は「まほみっちゆたんぽ」を複製するぜー!」
 うさみっちの前に、ずらりと並んだ赤い魔法使い姿のうさみ。その数、何と84体!
 うさみっちはそれを二手に分けて、何やら指示を出す。すると、先手とその次とにもそもそ分かれて行くではないか。
「第一陣、放水よーーーい!」
 ふよふよ宙に浮きながら、うさみっちが凜々しく号令を下す。
 それに従う第一陣のまほみっち42体が、一斉に魔法のステッキをデカうさぎに向けてかざすと、どばしゃあああああとすごい勢いで水が噴き出して白い毛皮をずぶ濡れにしていく!
『ぶぅ、ぶ、ぶううぅぅぅーーーー!!!』
 イヤイヤという風に身をよじるデカうさぎに、ちくしょうさぎことうさみっちがダメ押しを狙う。
「おい、あのつぶらな瞳も狙え」
『ぴゃっ』
 ぶしゃあーーーーーーーーー。
『ぶううーーーーーーーーっ!!』
 これはひどい! 明らかに目潰しだ!
(「一般的に兎は水が苦手だから不快度MAXだろう!」)
 うさみっちさんはとってもいい笑顔でニヤニヤしています。うーんこの畜生。
「ちなみにうさみっち様はそんなことないぜ!」
 カメラ目線で豆知識を披露! そうだね、水着コンもノリノリで参加してたしね!

「バリバリ行くぜ、第二陣! 雷撃よーい!」
 第一陣のまほみっちと入れ替わるように、第二陣のまほみっちが前に出る。
 突き出したステッキの先には、バチバチと放電する様子が見て取れた。
「雷の属性攻撃を濡れた身体に浴びせて、シビビビ状態にさせてやるぜ!」
『ぶ、ぶふ……ぶぅ……!?』
 デカうさぎが、この後の展開を本能で悟ったのか、一歩二歩と後ずさる。
「水は電気をよく通すからな、この戦法で体格差をカバーだ!」

 ――お前、俺のこと『小さい』とか侮ったろ?

 うさみっちのことだけではない。これまで戦った、全ての超弩級戦力のことを。
 己の体格をもってすれば、踏み潰してすべてお終いと思ってはいなかったか?
 そんな思惑は、ありとあらゆる猟兵たちの知恵と努力と実力と、そしてもふへの情熱とで乗り越えられ、打ち砕かれた。

「いっけえ、えええええ!!!」

 シビビビビビビビ!!!!!
『ぶふううううううううう!!』

 ――ずっしいいいぃぃぃぃぃ……ん。
 ゆっくりと、サクラモフウサギ巨大種の巨体が、ススキの野原に倒れ込んだ。
 そうして徐々に、サラサラと、あるべき場所へと還っていく。
 転生するのか、しないのかは、分からない。
 分かるのは――もう二度と、この逢魔が辻は現れず、平和が戻ったということだけ。

成功 🔵​🔵​🔴​



最終結果:成功

完成日:2020年11月07日


挿絵イラスト