●廃墟で美を求めて
かつて誇った栄華も今は昔。
古風にして豪奢な劇場は、今は廃墟と化していた。西洋の古城を思わせる内装は年月の侵食にすっかりくたびれ果て、不気味な雰囲気を漂わせている。
そんな薄暗い廃墟の中に、息を潜めてこっそり忍び込む少女が三人。
「……き、気味が悪いね……」
「がんばろ。もう少しのはずだから……!」
「あっ、電話……今どこ? えっ商店街?」
「えーまだかかるじゃん。先に始めちゃうよって言っておいて」
ひそひそ声がかえって廃墟に響き渡っていることに気づかず、少女達はおどおどと歩を進めていく。
彼女らの目の前に広がるのは、劇場の顔と言うべきメインホール。
お伽噺のプリンセス達が下りてきそうな、緩やかなカーブを描く左右対称な階段を両脇に、ホールの中央には縦長の楕円形の姿見が据え付けられていた。
窓ガラスや装飾のステンドグラスは全て砕け落ちているのに、その鏡だけは傷もなく美しい鏡面を保っている。
少女達が鏡の前に立つと、そこには抜きんでた愛らしさも美しさもない、平々凡々な容姿の小学生女子三人の全身が映り込んだ。
「あ、メールだ。……建物の前に来たけど怖くて入れないって」
「えー。もういいよ、先にやっちゃお、『きれいになれるおまじない
』……!」
リーダー格の少女が口紅を取り出すと、鏡に映った自分の鏡像の口許に真っ赤なルージュを塗りたくった。唾を呑む少女達。
──次の瞬間、鏡は目映い輝きを放った。
思わず身を竦ませて後じさりする少女達の目前で、鏡からするりと人影が抜け出る。
それは、白く愛らしい衣服を生々しい血の赤に穢した、人形のように美しい女性。
「……十人並みですね。けれど美を求める純心はそれだけでも美しい……わたくしの美の一部となりなさい?」
伏した眼差しで声もない少女達を悠然と睥睨し、血まみれの女は棘のついた凶悪な鈍器を軽々と振り上げた。
●グリモアベース:ゲネ
「UDCアースでちっと厄介な状況だ。諸君に協力を頼みたい!」
ゲネ・ストレイ(フリーダムダイバー・f14843)は招集に応じた猟兵達の前に、四枚のホロモニターを展開した。
一枚は薄暗い劇場の廃墟。残り三枚はそれぞれに一人ずつ、女性のオブリビオンの姿を映し出している。
「旧劇場廃墟で、偶発的にUDC怪物が召喚されるという事件が発生した。何も知らない小学生の女子達が、流行りの「きれいになれるおまじない」とやらをたまたま呪力を溜め込んでいた鏡にやらかしたせいで、たまたま邪神召喚の儀式が成功した扱いになってしまったようだ」
おまじないの内容は「鏡に映った自分の姿に真っ赤な口紅を塗れば綺麗になれる」という、まあ小学生にありがちなもの。
まじない自体に力や悪意はないが、今回はより確実な効果を期待するあまり「特別な場所」「特別な鏡」「特別なシチュエーション」を求めて廃墟の鏡に実行した結果、ある意味大当たりを引いてしまった、ということになる。
「まず初めに現れるのは強欲の人形『針鼠』。美に執着し、とにかく美しいものを潰して溶かして喰らうという、相当に禍々しい邪神だ」
猟兵が駆け付けるのは出現直後。召喚主である少女達を物理的に潰そうとしているため、庇いながら戦う必要があるだろう。
幸い、一般的に美しいとされる物・人・写真などを目の前に出せば反射的に目新しいほうの破壊を優先するので、その習性を利用すれば難しいことではない。針鼠を撃破できた後ならば、少女達を廃墟から逃がしてやることができるだろう。
しかし事件はこれで終わらない。
「針鼠撃破後、その眷属である『偽りの心を授けられた人形』が大量に出現するだろう」
針鼠を迎えるために現れた人形達は、主が撃破されたと知るや、その場に存在する「美しいもの」を破壊し針鼠に捧げて復活させようと目論む。
美しいものを提示することで注意を引き付けたり、美しくない装いをして関心を逸らしたりといった戦い方ができるだろう。
「さらに眷属達が撃破された後は、別口の強力なUDCが現れる。どうも少女達は例の儀式の時に他のUDCともパスを繋げてしまったみたいでな、場に残存している針鼠の美への執着と結びついて、そいつも召喚されてしまうみたいなんだ」
最後に現れるのは『都市伝説』メリーさんの電話。
美を求める針鼠の念願叶ったような美少女の姿で顕現する。
ここまでの敵と違ってさほど美に拘るような言動はないが、それなりに自分の外見に自信があるようなので、その辺りをつつくと挑発しやすいようだ。
「『美しさ』なんて絶対的基準のない概念の話だが、まあ針鼠の感性は現代的かつ一般的な範疇のものだと考えてくれればいい。今回の場合は、ぱっと一目見て美しさがわかるものを用意するのが最も好ましいだろう」
猟兵達に最後の助言を送りながら、ゲネは転送術式を展開した。
「しかし子供らが「綺麗になりたいからおまじないしよう」なんて、いじらしいじゃないか。そんな可愛らしいまじない遊びで邪神が召喚されるなんざたまったもんじゃない。しっかりと駆逐してやってくれ!」
術式の輝きが猟兵の視覚を埋め尽くし、UDCアースへと導いていった。
そらばる
UDCアース、偶発的邪神召喚。
子供達のおまじないで呼び出されてしまった邪神群を駆逐してください!
●第一章:ボス戦『強欲の人形『針鼠』』
美に執着し邪神と化した人形。
美しいものを潰し、溶かし、小さな口で行儀良く頂き、最上の美を欲します。
※召喚主の少女達を潰そうとしています。少女達を庇いながら倒してください。
※猟兵が「一般的に美しいとされる物・人・写真」などを見せると、反射的にそちらから潰そうとしてきます。
●第二章:集団戦『偽りの心を授けられた人形』
邪神によって作られた人の心を植え付けられた人形達です。
植え付けられた心によって思考することができますが、邪神の命令に従い続けます。
※少女達を廃墟から逃がした状態で戦闘に突入します。
※とにかく「美しいもの」を破壊しようとしてきます。
●第三章:ボス戦『『都市伝説』メリーさんの電話』
『メリーさんの電話』の噂がベースのUDC怪物。
電話のほか最近はメールやSNSも嗜んで、都市伝説の普及に熱心。
背後にご注意。
※かなりの美少女。
※美に対してこだわる言動こそありませんが、外見をくさすようなことを言われるとむっとするので、挑発しやすいです。
執筆の進捗やプレイング締め切りなどは、マスターの自己紹介ページで呟いております。目安にどうぞ。
それでは、皆さんの自由なプレイングをお待ちしています!
第1章 ボス戦
『強欲の人形『針鼠』』
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POW : エウリュノメーの舞踏
【棘のついたメイスか、鋭いヒールのどちらか】が命中した箇所を破壊する。敵が体勢を崩していれば、より致命的な箇所に命中する。
SPD : カリスの演舞
自身が【その美しさを奪いたいという欲求】を感じると、レベル×1体の【見目にそぐわぬ武器を携えた、若い美女たち】が召喚される。見目にそぐわぬ武器を携えた、若い美女たちはその美しさを奪いたいという欲求を与えた対象を追跡し、攻撃する。
WIZ : アプロディタの薔薇
自身の装備武器を無数の【触れたものを溶かす毒に塗れた、白薔薇】の花びらに変え、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。
👑11
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波狼・拓哉
いつも思うけどこう簡単に召喚されないでくれませんかねぇ!!!いやまあ、奴らの行動から考えたら理に適ってるんでしょうけどね!?
ミミック!化け咆えなぁ!偽るは煌龍、轟くは狂美ってね。白銀の鱗を持つ目が奪われる感じの龍で頼むわ。じゃ突っ込むぞ。少女ら回収するまでは取り敢えず盾な!後は適当に咆えといて!
自分は衝撃波込めた弾で少女らに振りおろされる鈍器狙って武器落とししっつ、少女らを回収するのを優先で近づこう。まあ少女らはすぐには動けんだろうし…戦闘知識、視力、第六感でタイミング見切って衝撃波乗せたキックで吹き飛ばそう。後は靴狙って部位破壊しつつ拠点防衛といきますか。
(アドリブ絡み歓迎)
●銀龍に心奪われて
怯える少女達の上に、棘だらけの凶悪な鈍器が影を落とし──
一発の銃声が、その凶行を遮った。着弾と同時に展開した衝撃波が、メイスを弾き飛ばしたのだ。
ぎぎ……と、ぎこちない仕草で強欲の人形『針鼠』は射線の先へと視線を飛ばす。
廃墟入り口で屋外からの逆光に浮かび上がっていたのは、硝煙たなびく銃を構えた波狼・拓哉(ミミクリーサモナー・f04253)だった。
「──いつも思うけどこう簡単に召喚されないでくれませんかねぇ!!! いやまあ、あんたらの行動から考えたら理に適ってるんでしょうけどね!?」
拓哉はがなりたてるや、傍らに箱型生命体を召喚した。
「ミミック! 化け咆えなぁ! 偽るは煌龍、轟くは狂美ってね」
箱型生命体が瞬く間に姿を変えたそれは、白銀に輝く鱗の龍。神々しく荘厳な、圧倒的生命力を放つ存在。
「……嗚呼、美しい……その美、わたくしにくださいな?」
針鼠は息を呑むと取り落としたメイスを拾い上げ、人形的な、カタカタと不自然な足取りで駆け出した。
銀龍は身を軽く反り返すと咆哮を上げた。大音声を浴びせられた針鼠は身体のあちこちを爆発させたたらを踏んだが、足を止めようとはしない。
「その鱗、肢体、声……何もかも完成されている……何もかもわたくしのものに……!」
よりいっそう狂気じみた美の執着を発露しながら襲い掛かる針鼠。対抗してさらに吠えたてる銀龍。
二者の激突の隙に、拓哉は少女達の身柄の確保に動いた。
「大丈夫っすか!? もう少しの辛抱っすよ!」
すっかりへたり込んでしまった少女達は、声も出せず泣きじゃくりながら、必死にこくこくと頷き返すばかり。すぐには動けそうにない。
「じゃ拠点防衛といきますか」
拓哉が軽く目配せすると、銀龍は最大級の咆哮を解き放った。
針鼠は爆発に吹き飛ばされながら執拗に体勢を立て直し、いよいよ銀龍へと襲い掛かろうと跳躍する──その瞬間、拓哉もまた敵に突っ込んだ。衝撃波を乗せた蹴撃が針鼠の背中にクリーンヒット、吹き飛ばしたその靴をさらに銃弾が追撃する。
美への追及を邪魔された針鼠は、罅の入った靴でなんとか踏ん張り危なっかしく立ち上がりながら、少女達を背後に庇う拓哉を忌々しげに睨みやった。
猟兵と人形との闘争は、かくして幕を開けた。
大成功
🔵🔵🔵
ミケ・ナーハ
はちきれそうな豊満な胸
すらりとのびた生足など
抜群のプロポーションが目を引く
露出度の高い、くノ一装束姿です♪
顔も、最高に可愛い美少女です♪
「私がお相手します♪」
こぼれそうな胸の谷間を寄せ
セクシーポーズ♪
美しい姿を見せつけ
私に敵の注意を引き付けます♪
『超忍者覚醒』し、敵の動きを【見切り】
攻撃を回避したり、【念動力】で
敵の武器や体を動かし、同士討ちさせたり
【敵を盾にする】ことで攻撃を防いだりします♪
「私の美しさは私のものです♪」
最後は【念動力】で、武器を携えた美女達を
針鼠にぶつけて攻撃します♪
毅然と敵に立ち向かう、美しい姿を少女達に見せ
少しでも安心させてあげたいです♪
私に憧れてもらえると嬉しいです♪
葛籠雄・九雀
SPD
正直、『子供だから助けるべき』などとは一切思っておらぬのであるが。
助けておいた方が都合もいいであるし、野放しにして美術骨董の類を食われても少々困る。
この身の指輪や腕輪の類を囮に、【かばう、おびき寄せ、挑発】で引き寄せ、子供らから引き剥がすとするである。
欲しいか? やらぬぞ。オレのものである。
現れる女たちの方であるが、【誘導弾、串刺し】+ウルティカ・ディオイカにて体液をどれ程奪えるか試してみたい――干物になった姿は、さぞ醜かろう。攻撃は【ジャンプ、ダッシュ、逃げ足】にて回避したいであるな。
…しかし、吸い取った液体をどこにやっておるのであるか、この武器は。
不思議であるな…。
アドリブ連携歓迎
●美しさは脆く、罪である
「嗚呼……いけない。目移りは大敵ですね」
針鼠が改めて標的を戻した。怯え縮みあがる少女達。
彼女等を庇うように、猟兵が針鼠の前に立ち塞がる。
一人は、はちきれそうな豊満な胸、すらりとのびた生足、抜群のプロポーションが目を惹く、ミケ・ナーハ(にゃんにゃんくノ一・f08989)。
「私がお相手します♪」
露出の多いくノ一装束姿で、こぼれそうな胸の谷間を寄せて、セクシーポーズ♪ 熟しまくった肉体美と抜群に愛らしい美少女の笑顔。これが美でなくて何が美かと言わんばかりののっけ盛りである。
また一人は、色々怪しげなヒーローマスク、葛籠雄・九雀(支離滅裂な仮面・f17337)。
「正直、『子供だから助けるべき』などとは一切思っておらぬのであるが。助けておいた方が都合もいいであるし、野放しにして美術骨董の類を食われても少々困る」
ひどく淡白に断じながら、九雀は両手を持ち上げ針鼠に手の甲を向けて見せた。
「欲しいか? やらぬぞ。オレのものである」
身に着けた指輪や腕輪が、これ見よがしに黄金の煌めきを閃かせた。
提示された二種の美に、針鼠の表情が劇的に変わる。伏し目に下ろした瞼を限界まで持ち上げ、忌まわしいまでに赤い、作り物の両眼をギラギラと輝かせ──
「わたくしの」
うわごとのような呟き。
「──わたくしのものにします」
次の瞬間、針鼠は弾き出されるように駆け出した。高まる欲求を映し出すかのように、鈍器や包丁、チェーンソーなどの凶器を携えた数多の美女達が針鼠の周囲に出現し、集団で並走しながら猟兵へと突撃する。
「来ましたね♪ ──臨兵闘者皆陣列在前!」
ミケは素早く九字を切ると、拡大した知覚を駆使して大量の凶器を素早く掻い潜りながら駆け抜けた。
「あっ、その武器いいですね♪」
振り下ろされるチェーンソー、耳元を通り過ぎる騒音。背筋の凍るような一撃をさらりと躱し、ミケは念動力で強引に美女の身体の制御を奪った。
美女は人形的な動作でぎこちなく抵抗を示したのち、今度はチェーンソーを他の美女達に向けて振り回し始めた。美女達は次々に真っ二つにされては消えていく。
対して九雀は、数には数で対抗する。
「さてどれ程奪えるものか試してみるか──干物になった姿は、さぞ醜かろう」
酷薄な呟きと共にばら撒かれる大量の思念針。ちくりと肌を突き刺したかと思えば、刺された美女が瞬く間に水気を失いやせ細っていく。小さな針が、その体液を根こそぎ吸い取っているのだ。
戦場に醜いミイラが量産され始め、まだ無傷の美女達が針から逃れようと動く。しかし思念操作された針はそれを逃さず追いかけ確実に皮膚を食い破る。目の覚める美女達が皺だらけの姿に干上がっていく阿鼻叫喚の光景が辺りに広がった。
「おうおう、なかなかに良い見物であるな。所詮ヒトの美しさなぞ皮一枚、命失くさば斯様に脆いものぞ!」
九雀は思念針の成果を眺めてからからと笑ったのち、ふと、手元に戻ってきた針を不思議そうに見下ろした。
「……しかし、吸い取った液体をどこにやっておるのであるか、この武器は。不思議であるな……」
「えっ、仕組み把握してないんですか?」
ミケが思わずツッコミを入れたその瞬間、鋭い殺意と共に研ぎ澄まされたヒールの襲撃がミケを襲った。が、ミケは咄嗟に念動力で動かしたミイラの一体で蹴りを受け止めた。
「醜い……」
針鼠は顔を歪め、今度はメイスを振り回した。粉々に潰れるミイラ。
棘付きメイスはさらに暴れ回る。九雀は巧みな足捌きで敵の間合いから脱し、さらなる針を放って、畳みかけようとしてくる美女達をしとめていった。
結果、メイスの標的はミケへと集約されていく。
「貴女のその美しさ、わたくしにこそ相応しい……!」
ミケはあえて攻撃を躱そうとせず、念動力を最大出力にまで拡張した。
「────!」
針鼠がメイスを振り上げた姿勢のまま硬直した。
その腹部に潜り込んで包丁を突き立てている美女が一人。
そして周囲から鈍器や刃物を手に襲い掛かる多数の美女達──
「私の美しさは私のものです♪」
念動力で美女を操るミケの美しい笑顔は、群れ集る美女達の影に隠れて針鼠の視界から消えた。
「……お姉様……」
人形がいたぶられる異音の中で、ぽつりと誰かが呟いた声に九雀が振り返ると、ミケを見つめる少女達の熱い眼差しがそこにあった。
「ふむ。美しさは罪である、というのもまた事実であるか」
役目を終えて自壊していく美女達の体液も念入りに奪いつつ、九雀は一つの真理を得たように大きく頷いた。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ルネ・プロスト
開幕UC
天使化したビショップで釣れれば上々
万一釣れなくとも3人程度、守り切る自信はあるよ
人形達は死霊憑依&自律行動
ポーン8体は乱れ撃ち&制圧射撃で敵の行動牽制
ルーク2体は盾受け&かばうで少女達の護衛
ビショップ2体は光輪と聖雷で攻撃
その執着は最早邪心と言われて仕方ないもの
ならば君はビショップ達の格好の獲物だ
敵UCはビショップの纏う聖炎で味方や少女達を覆ってオーラ防御
無数とはいえ所詮花びら
毒ごと焼き尽して全てを灰に
燃え盛る劫火の中に武器を投げ棄ててくれるなんて
なんてお優しい邪神様なのだろうね?
過去は須く墓石の下へ
人形(お仲間)相手なら尚の事
君も、この後に来る子達も
一人残らず討た(弔わ)せてもらうよ
●邪を焼く光
「ぁあ……嗚呼……醜い……汚らわしい……」
醜く変じた美女達を塵に返しながら、針鼠は乏しい表情に静かな狂気を露わにする。そこにある美に手が届かず、渇望は高まるばかり。
敵の危険な状況を見取り、ルネ・プロスト(人形王国・f21741)は素早く力を開放した。
「──君の楔を解くよ、僧正人形(ビショップ)。君の身体が燃え尽きるよりも早く、一瞬で終わらせてしまおう!」
左右に佇む二体の僧正人形が、聖域を展開しながら背に壮麗なる翼を広げた。それはさながら聖炎纏う神の熾天使。
「嗚呼……その清廉な美、今度こそわたくしのものに……!」
神聖な美しさに魅せられてふらふらと歩み出る針鼠。天井知らずに高まる欲求に応え、凶悪なメイスが大量の花びらへとほどけ始める……
「釣れたみたいだね。彼女達の護衛よろしく」
死霊が憑依した人形達がルネの命に従って陣形を取る。二体のルークは隅で怯える少女達の盾となり、囮のビショップは少女達と距離を置いてルネと共に後衛に控え、前衛には八体のポーンが出る。
ポーンの銃剣が一斉に火を噴いた。真横から殴りつける銃弾の雨に追い立てられて、針鼠は高らかにヒールを鳴らしながら縦横無尽に駆け巡る。
「退きなさい雑兵」
針鼠はメイスをことごとく白薔薇の花びらに変じて飛ばした。ポーンとその背後にいるビショップへと、嵐となって殺到する毒の花びら。
「無数とはいえ、所詮花びら」
ルネが小さく呟くと同時、ビショップの聖炎が陣形を覆い、接触した花びらは毒ごと焼き尽くされた。花弁が自ら炎に飛び込むように灰と成り果て煙のように消えていく様に、小さく息を呑む針鼠。
「燃え盛る劫火の中に武器を投げ棄ててくれるなんて、なんてお優しい邪神様なのだろうね?」
ルネが挑戦的に言い放つと同時、二体のビショップが聖炎とは異なる輝きを放ち始めた。
片や掌の上に邪心を滅ぼす光輪を浮かべ、片や木杖に邪悪を滅する聖雷を漲らせて。
「その執着は最早邪心と言われて仕方ないもの。ならば君はビショップ達の格好の獲物だ」
疾る光輪、迸る聖雷。膨大な光が戦場に満ち、視界を白く塗り替えた。
「過去は須く墓石の下へ。人形(お仲間)相手なら尚の事。君、この後に来る子達も、一人残らず討た(弔わ)せてもらうよ」
ルネがつぶさに見守る視線の先で、光に焼かれた強欲の人形から、不意に、邪な生命力が抜け落ちた。
大成功
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第2章 集団戦
『偽りの心を授けられた人形』
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POW : 我が身を砕かせ敵を討つ戦術
【相手の攻撃に対し、理論上最も有効な反撃】を発動する。超高速連続攻撃が可能だが、回避されても中止できない。
SPD : 限界を知りつつもそれを超える要求
【身体耐久力の限界を超えて操る邪神の眷属】を召喚し、自身を操らせる事で戦闘力が向上する。
WIZ : その身を犠牲に得る情報
【全身】で受け止めたユーベルコードをコピーし、レベル秒後まで、全身から何度でも発動できる。
👑11
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●強欲者の使徒
「わたくし……」
囁くように動く針鼠の唇に、パキリと罅が入る。
「わたクシ、ハ……もッ、と、ウつク、シ……ク」
針鼠の関節が弾け飛び、バラバラになったパーツが糸が切れたように地面に散乱した。跳ね上がった足パーツのヒールがルージュのついた姿見に突き刺さり、鏡面が派手に砕け散った。
無事、針鼠は撃退できた。だが脅威はまだ終わっていない。
猟兵が少女達に、今すぐここから離れるよう、もう二度と廃墟には立ち入らぬよう言い含めると、少女達はまだ少しべそをかきつつも頭を下げ、走り去っていった。
……少女達を見送る猟兵達の背後で、床に散乱する鏡の破片が淡く怪しい光を放ち始めた。
次いで、天井に向けて反射する光の中から、少女姿の人形達が次々に実体化していった。
「アア! なんとおいたわしい、主様、主様」
「我々がもっとハヤクお迎えにきてイレば……!」
やけに芝居がかったような、情緒に欠落を感じさせる声色でひとしきり嘆いたのち──人形達は一斉に猟兵達を振り向いた。
美しいものとそうでないものを品定めする眼差し。
「主様を復活させまショウ」
「美シイものを破壊し尽くして、主様に捧げまショウ」
人形達は穏やかな微笑を浮かべ、美をもって針鼠を征した猟兵達へと純粋無垢な悪意を向けた。
クロエ・ヴァレンタイン(サポート)
・自分の可愛さに自信を持っているアルダワ魔法学園の無邪気な女子学生。
・「可愛い」を何よりも大切にしており、建築物や生き物、食べ物に至るまで可愛いものばかり好む。
・召喚した黒豹を戦わせたり、ハート形の弾丸を撃ち出す銃を使って戦う。
・基本的には勢いの良い話し方をするが、黒豹に対しては「ダーリン」と呼びかけ女の子らしい口調になる。
・黒豹が人の言葉を話すことはないが、クロエと黒豹は愛し合っておりお互いをとても大切にしている。
・交流、冒険、戦闘など全てにおいて積極的。
・敵意を向けてくる者に興味はないが、倒すべき相手なら手は抜かない。
蛇塚・レモン(サポート)
いつも元気で優しく、快活な性格
その身に蛇神を宿す19歳の娘
霊能力と保有する技能及びアイテムを駆使して事件解決を試みます
普段の口調は語尾に『っ』を多用します
時々「蛇神オロチヒメ(裏人格)」ですが老人口調NG
UCで召喚されると巨大な白蛇として顕在化
戦闘スタイル
召喚術士だけど前衛役も出来るパワーファイター
武器は蛇腹剣と指鉄砲から放つオーラガン
基本的に脳筋だけど、左目の蛇神の眼力の催眠術で敵に幻覚を見せたりUCで行動不能に陥らせたり絡め手も得意
多少の怪我は厭わず積極的に行動
また、例え依頼の成功のためでも、他の猟兵に迷惑をかけたり、公序良俗に反する行動はしません
あとはお任せ
よろしくおねがいします!
グァンデ・アォ(サポート)
《アドリブ、連携、苦戦描写、ユーベルコード詠唱変更、その他何でも歓迎です》
「おや? あれは何だろう……ねーねー、そこのオネーさん、これは何なの?」
通常はだいたいイラストの通りのキャラクターです。
好奇心の向くまま、あちこちウロチョロ飛び回っては、なんやかんやで状況を動かします。
念動力でその場にあるものをなんやかんやしたり、ウロチョロ飛び回ってなんやかんやしたり、危険な行為に勇気を出してなんやかんやします。
「サポートAI、『大人の』グァンデです。よろしくお願いします」
マシンヘルムに変形して誰かに装着してもらう(攻性ユニット化)場合に限り、口調と人格が大人のそれになり、装着者の行動をアシストします。
●力を合わせて
「うわーおんなじ顔がたくさんだー! ねーねーオネーさんたち、自分とおんなじヒトがたくさんいるってどんな感じ?」
グァンデ・アォ(敖 広徳・f10200)は無邪気に声を上げながら、あっちへウロチョロこっちへウロチョロ、人形達の頭上を囃すように飛び回った。
「美しいものを破壊する……それって可愛いものを壊すってことだよね!? むぅぅ、そんなの絶対許せないんだから!」
美を狙う不気味な人形達に、可愛いものに目がないクロエ・ヴァレンタイン(最愛にして至高の乙女・f23670)は全力でご立腹。
「ほんとだよっ、綺麗なもの可愛いものなんてありすぎるじゃんかっ! クロエもグァンデ君も絶対傷つけさせないからねっ!」
元気いっぱい、決然と言い放つ蛇塚・レモン(白き蛇神オロチヒメの黄金に輝く愛娘・f05152)。暗に「可愛い」という太鼓判を得たクロエが傍らでご満悦に胸を張る。
値踏みするように猟兵達に視線を向けていた人形達が、くすくすとさざめいた。
「純真無垢のぴかぴかドローン……ソレに愛らしい女の子が二人……」
「ドレもコレも可愛らしい。美シイ」
「壊しまショウ。捧げまショウ」
人形達は一斉に召喚術を発動した。黒い靄とも液体ともつかぬ物質が人形一体一体にどろりと纏いつき、その動きを操り始めた。
カタカタと鋭角で生き物らしからぬ動きで、人形達は猟兵を襲う。思いも寄らぬ超人的な跳躍と素早い蹴りを空中でウロチョロ躱しつつ、グァンデは悲鳴を上げた。
「わわわっナニナニ!? それどーなってるの!?」
「……邪神の眷属を召喚したのであろうな。誰かに操られなければ満足動けぬ人形の性といったところか」
同じく人形達の襲撃を躱しながら、不意に浮上したレモンの裏人格「蛇神オロチヒメ」が冷静に思考した。
「所詮は人形、クロエ達の敵じゃないよ! ……ね、ダーリン♡」
クロエは敵の攻撃を凌ぎ一旦後方に退くと、甘やかな声色でパートナーの黒豹を召喚した。
愛おしげに鼻を寄せる黒豹と甘えあうように顔をこすり合わせてから、クロエは敵群へ向けて声を張り上げた。
「……可愛いものを壊すなんていう輩は、ぜーんぶ倒すべき敵なんだから! さぁダーリン! 狩りの時間よ!」
美しく艶やかな毛皮の黒豹が駆ける。人形達はさらに色めき立つが、その姿をはっきりと視覚に捉えることができず、疾駆する黒い影に翻弄されるばかり。
その隙をクロエの銃口が捉え、ハート型の弾丸で一体ずつ撃ち抜いていった。人形達は身体のど真ん中にハート型の穴を開けられても動き続けたが、手足を破壊し物理的に動けなくしてやることで無力化していく。
敵の攻撃が緩んだことで、他の猟兵も攻勢に転じる。
「あたい“たち”も負けてられないねっ!」
「あー待って待ってオネーさーん!」
蛇腹剣と指鉄砲を手に果敢に敵陣へ突撃しようとするレモンの頭の上にグァンデが留まったかと思うと、グァンデの姿がたちまち変形を開始した。
「自立行動モードを終了し、攻性ユニット支援モードに移行します……ユニット素体と接続しました。戦術級攻性機能がアンロックされます」
瞬時にしてレモンの頭部をマシンヘルムと化したグァンデが包み込み、別人のように大人びた音声を響かせた。
「サポートAI、『大人の』グァンデです。よろしくお願いします」
「えっえっ、グァンデ君!?」
「はい。現況のモードでは攻撃能力が向上しています。どうぞ、お好きなように攻撃してください」
「わかった、やってみるよっ! ──えーいっ!」
レモンが敵陣に飛び込み蛇腹剣を振り払うと、攻撃に宿ったサイキックが炸裂し、凄まじい威力で人形達を一緒くたに薙ぎ払った。大量の人形が吹き飛ばされ、外れたパーツが宙を舞う。
「支援成功しました。引き続き攻撃可能です」
「うわすごい……よぉし、じゃあこれだっ!」
強化された攻撃力を実感し、レモンは光の魔法陣を空中に展開した。
「! ダーリン!」
術式の規模を見取り、クロエは弾幕をさらに厚くしながら黒豹に呼びかけた。黒豹はいっそう軽快に疾駆し人形達をかき乱し、クロエの元へと舞い戻った。
と同時、黒豹が集めた敵群へと、レモンは術式を結んだ。
「──やっちゃえ、蛇神様っ!!」
立ち昇るが如く現れ出でる母なる白き大蛇神。
その邪眼が明々と輝いた瞬間、マシンヘルムによって強化された念動力が広範囲を強烈に打ち据えた。
「アー」
「ヒドイ」
「ダメー」
人形達は悲鳴ともつかぬ端的な言葉を淡々と発しながら吹き飛ばされ、大量のパーツが宙を彩るように散乱した。
成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
ネピア・ドットヤード(サポート)
活発で元気いっぱいなスーパーヒーロー。
一人称は僕、口調はです、ます調に「!」が大体ついてます。
両親を4年前に亡くし、兄と二人で生きてきた経験から、家庭や命を奪う敵には容赦しません
正義を重んじ、悪い事は許せない性分です。楽しいとはしゃぐ年相応の一面も。
サイキックゴリラパワーで粉砕すれば全て片がつくと考えてる脳筋思考です。
よく使うUCは【勇気の証明】【勇気の奔流】。
勇気の奔流を使うと身長165cmの爆乳女子になります。
徒手格闘のほか、学ランを変形させてマントや盾にしたり、ネピアセンサーで周囲の状況を読み取ることもできます。
戦闘でも日常系でもどんなシナリオでも参加OKです。
よろしくお願いいたします。
●パワーこそ全て! 降臨、爆乳女子!
「綺麗なものを壊す人形ですか……迷惑な!」
颯爽登場したネピア・ドットヤード(サイキックゴリラパワー妹系幼女・f20332)は、正義感のままに力を開放した。
「人形なんてサイキックゴリラパワーで粉砕すればオールオッケー! 僕の真の力を見せてやる! うおー! パワー全開!」
学ランの上着を変化させた緋色のマントを翻し、ネピアは宙を飛翔し躊躇なく敵の一団に突っ込んだ。
「キャア」
「女の子が飛んデル?」
「綺麗な娘カシラ?」
「速すぎてわからナイわ」
ネピアは敵陣をかき乱しながら人形に突進して拳で一体ずつ潰していった。顔を砕かれ、肩を砕かれ、身体に大穴を開けと、物理的に大きく損壊すれば、さしもの人形もあっけなく機能停止していく。
人形達は翻弄されつつも危機感を募らせ、ユーベルコードをコピーして対抗した。同等の速さで飛翔し、捨て身で腕を伸ばしてネピアに群れ集りしがみついてくる。
ネピアは一体一体破壊し引き剥がそうとするが、数の暴力であっという間に人形達に覆いかぶさられ閉じ込められてしまった。
「……どんなに怖くても、痛くても!」
人形団子の中でおしくらまんじゅうされながら、ネピアは気合いで声を張り上げる。
「助けを求める人がいる限り! 絶対に!! 負けるもんかー!!!」
感情の爆発と共に閃光が集束し──人形団子が内部から爆発した。
吹き飛ばされていく人形達の中心に佇んでいたのは、小さなつるぺた少女ではなく、身長165cmの爆乳女子。
「さあ、仕切り直しです! 一人ずつぶっ潰してやるから覚悟しなさいっ!!」
ネピアは突如としてボリュームを増した胸を文字通り弾ませると、さらに増強された拳で手当たり次第に人形を殴りつけていくのだった。
成功
🔵🔵🔴
波狼・拓哉
さて要救助者は何とかなりましたか。…魔法陣的なやつ破壊されてるんだから出てこないでくれねぇかなマジで。まあ、ぼやいても仕方ないんですけどね。
ミミック。化け侵しましょうか。取り敢えず死ぬ気で一発当てて来い。何ならカウンターでいいぞ。どうせこっちには再召喚制限とかないから当たるまでやりましょう。…さてそれでは最厄の時を始めましょう。
自分は衝撃波込めた弾で相手の動きを制限するように戦闘知識、第六感、視力を使ってミミックが一撃当てるサポートに。
ミミックが当てた後は…まあ、挑発?『やれやれ何て美しい人形達を相手にしなきゃならないんだ』…なんてね。
(アドリブ絡み歓迎)
ルネ・プロスト
人形達は死霊憑依&自律行動
開幕UCを空撃ち
敵のいない場所に当てて地形再構築、宝石化
『美しいもの』を狙うのなら手当たり次第に餌を撒いて、そっちに気を取られてるうちにポーン8体の乱れ撃ち&一斉発射で順々に片付けていくよ
敵を避けてUC撃つ分にはコピーされる心配もないし、一石二鳥
もっとも皆が皆釣り餌に掛かるとも限らないし
森の友達は敵の挙動を注視、警戒
ルーク2体は森の友達と連携して盾受け&かばう準備を
盾受けで止めた敵はそのまま大盾で殴り飛ばす
……ちょっと、個の色が物足りないかな
ルネ的には少し、我の強い方が遊び相手として好ましいのだけど
まぁそれはそれ
君達の主にも言った通り、君達も壊さ(弔わ)せてもらうよ
葛籠雄・九雀
POW
そうして集めるでもなく只破壊を目的とされるとな、オレは非常に困るのであるよ。収集が捗らぬ。言って聞く相手ではないと分かっておるが…。
しかし、無機物か。今一つ相性が悪いのであるよな。
何とかの一つ覚えであるが、この身の装飾品を囮に、他の猟兵ちゃんたちを【かばう】ように立ち回りながら【おびき寄せ、挑発】+エピフィルムを用いる。更に【傷口をえぐる、串刺し】にて、『針』で刺すであるぞ。単なる短剣の刺突でも、UCが乗れば肌に罅くらいは入れられるやもしれん。
相手の攻撃は【見切り、カウンター】で避ける。何が来るかよくわからぬしなぁ、避けられなんだ場合は、【激痛耐性、継戦能力】で耐えるか。
アドリブ連携歓迎
●美を求めて美を壊して美に壊されて
「さて要救助者は何とかなりましたか」
波狼・拓哉(ミミクリーサモナー・f04253)は少女達を無事逃がしてやれたことに胸を撫でおろしたのち、不気味な輝きを帯び始めた鏡の破片を睨みやった。
「……魔法陣的なやつ破壊されてるんだから出てこないでくれねぇかなマジで」
期待虚しく破片は淡く輝き、人形達を大量に顕現させ始める。拓哉は軽く肩をすくめた。
「まあ、ぼやいても仕方ないんですけどね」
人形達は主の死を嘆き、その命を美しいものの破壊で補填しようと動き出す。各々の眼差しが猟兵達を物色し始めたのと同時に、真っ先に動いたのがルネ・プロスト(人形王国・f21741)だった。
「さぁ女帝人形(ママ)、盤面を整えるよ」
応えて馳せ参じたドールズナイト・クイーンが、豪華絢爛なドレスを揺らして宝杖を掲げた。
人形達はそれだけで目の色を変えた。数体が咄嗟に前に出て魔法攻撃を全身で受け止めようとする。が、クイーンの放った炸裂魔法が何もない床や壁に着弾し、そのたびに変化していく地形に人形達の視線は釘付けになった。
「マァァ……」
「素晴らシイ……美シイ……!」
廃墟のみすぼらしい床や壁が、瞬く間に宝石化していく。ルビーにサファイヤ、エメラルドにトパーズ、アメジストにダイヤモンド。色とりどりの澄みきった輝きは、人類が古くより美の極致として認知してきたもの。
当然、人形達は我先にと食いつき、自身の耐久力を慮らぬ邪神の眷属の力で宝石地形へと殴る蹴るを繰り返し始めた。
「見事に嵌ってくれたものだね。さあ次はポーンだ、一斉発射!」
ルネの号が響き渡ると同時、八体のポーンの銃剣が火を噴いた。一方的に撃ち込まれる大量の弾丸が人形達の手足を吹き飛ばし順々に排除していくが、人形達は宝石に夢中で気づかない。
「お、これは助かりますね。──ミミック。化け侵しましょうか」
拓哉に応えて傍らに現れた通常形態の箱型生命体は、その内部に溢れんばかりの狂気を湛えて煙の如くたなびかせていた。
「取り敢えず死ぬ気で一発当てて来い。何ならカウンターでいいぞ」
大雑把な指示に従ってすでに他の猟兵達と戦端を開いている敵群へと突撃していくミミックを見送り、拓哉はカラフルな二丁拳銃を水平に構えた。
「……さてそれでは最厄の時を始めましょう」
交互に引かれる引き金、絶え間なく敵陣に撃ちこまれる弾丸。宝石とは別のものに興味を駆られて行動を開始していた人形の一団が、衝撃波に打ち据えられて動きを止める。その隙を背後から襲い掛かるミミック。狂気の籠った多種多様な武器で次々に人形に斬りかかっていく。
しかし人形達には外傷ひとつ生じていない。
「……アラ、何か当たったカシラ?」
「いやあ、気のせいでは?」
拓哉はことさら芝居がかった声を上げて人形達の注意を引いた。
「それにしても……やれやれ何て美しい人形達を相手にしなきゃならないんだ」
挑発とも誉め言葉ともつかない独白に、人形達は通り一遍に喜んでみせた。
「アラお上手」
「でも残念デス。自分と同じ顔のモノは美シク感じ、ナイ……」
人形達は互いに顔を見合わせると、不意に会話を途切れさせ、互いを凝視し始めた。
「美シイ……貴女、ドウシテそんなに美シイの?」
「貴女こそ綺麗ヨ……その美シサ、主様に捧げちゃいタイくらい……!」
たちまち人形と人形の同士討ちが始まった。蹴りに張り手、つかみ合いの取っ組み合い。
ミミックが斬ったのは肉体ではなく知覚と思考。今の彼女達の目には、自分と同じ顔をした人形こそが破壊すべき美と認識されているのだ。
「よし、成功。どんどん行くぞミミック!」
拓哉はさらにミミックをけしかけて人形達の認識を次々に狂わせ、じわじわと同士討ちを増幅させていった。
「アララ? 何か少しおかシクないカシラ?」
「サア? それヨリ見て。宝石も美シイけれど、あのドレスも宝杖もキレイ……」
クイーン登場時からその美しさに固執していた一団は、宝石地形にも目もくれずに、銃弾の軌道の左右に分かれて回り込むようにドールズナイトの陣営へと猛然と侵攻を開始した。
しかしその片側には、葛籠雄・九雀(支離滅裂な仮面・f17337)が立ち塞がる。
「そうして集めるでもなく只破壊を目的とされるとな、オレは非常に困るのであるよ。収集が捗らぬ。言って聞く相手ではないと分かっておるが……」
「退きナサイ」
「道を開けナサイ」
案の定聞く耳持たず、九雀をあしらいつつ素通りしようと足を止めない人形達。九雀は呼びかけを諦め、小さく吐息を落とす。
「しかし、無機物か。今一つ相性が悪いのであるよな。……何とかの一つ覚えであるが」
あえて隠していた腕輪や指輪を見せつけるように掲げてみせる九雀。
「こういうことは、さして得意でもないのであるが……ここはオレを倒してから行け」
囮になる、という宣言にも等しい挑発。
人形達は宝杖目当てなだけに宝飾品には弱いらしく、キラリと光る黄金の輝きに反射的に反応し、一斉に九雀へと襲い掛かった。
九雀は視力を活かして邪神の力の宿った蹴りを紙一重で躱し、伸び迫る幾本もの腕からするりと抜け出すと、すかさず針で反撃した。有機的な生物に差し込むのとは違う抵抗がかかるも、鋭い針はしっかりと人形の胸部に食い込んだ。
とはいえやはりダメージの乗り方が違う。多少穴を開けてやったところで人形達は構わず猛攻を返してくる。
「……っ、やはり傷つけるのは性分に合わぬな……!」
九雀は腕で受けた強烈な蹴りに押し込まれながらも激痛に耐え、即座に反撃を繰り出した。好まざる行為こそ九雀の力を高め、単なる短剣の刺突に強大な威力が乗る──
──ガシャリ。硬い抵抗を突き抜けると、陶器をかち割るような破砕音が響いた。
「キャアァァァ」
頬に短剣を差し込まれた人形が、目の真下に生じた欠落に暴露された眼球をぐるぐると動かしながら、耳障りに甲高い悲鳴を上げた。痛みなどではなく、醜さへの嫌悪と恐怖に。
周囲の人形達も一斉に怯んだ。その瞬間を捉えて疾る、数多の針。
鋭い針に抉られた人形達の関節が次々と破壊され尽くされ、大量のパーツが派手に飛び散った。
一方、九雀が大立ち回りを演じるその逆側を侵攻した人形達は、一気呵成にルネ率いるドールズの布陣へと迫るも、キツネやリスの姿をしたドールズを肩に乗せた屈強なルーク二体に行く手を阻まれた。
「とても大切にサレタ素敵なお人形達」
「でも、モット美シイもの、後ろに隠しているデショウ?」
数の有利で強引に突破しようと駆け込んでくる人形達。どれもこれも似通った仕草、横一線の整い過ぎた戦術。
無個性で味気ない光景をルーク達の背後から眺めて、ルネは小さくぼやく。
「……ちょっと、個の色が物足りないかな。ルネ的には少し、我の強い方が遊び相手として好ましいのだけど」
動物型の森の友達の感知能力と連携したルーク達は、人形達の進路をことごとく大盾に阻み、大量の人形達をそのまま殴り飛ばした。
「まぁそれはそれ。君達の主にも言った通り、君達も壊さ(弔わ)せてもらうよ」
圧倒的な力で阻まれ物理的に破壊され、人形達の残骸が量産されていく。
カララ、カララ、カララララ。人形達の無機質な肌が割られ、パーツごとに切り放され、叩き潰される音が、戦場を満たしていった。
大成功
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第3章 ボス戦
『『都市伝説』メリーさんの電話』
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POW : キミの背後のメリーさん
【背後からの斬撃】が命中した対象に対し、高威力高命中の【致命的ダメージを与える素早い二撃目の斬撃】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
SPD : 【フレーム間妨害UC】メリーさんの電話
【冒険・集団戦を含めて、自分に対して好奇心】の感情を与える事に成功した対象に、召喚した【電話機(この電話機は対象の周囲に現れる)】から、高命中力の【対象を追跡して、ナイフで攻撃する少女人形】を飛ばす。
WIZ : メリーさんは何処かな?
レベル×5体の、小型の戦闘用【ナイフを持った、自分と瓜二つの精巧な人形】を召喚し戦わせる。程々の強さを持つが、一撃で消滅する。
👑11
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●美に乗っかろうとする都市伝説
素手で握られた鏡の破片が、人形の頭部に深々と突き刺さった。
仲間の人形を破壊し、正真正銘最後の一体となった『偽りの心を授けられた人形』は、虚空に向けて声を上げる。
「主様……主様……私たちやりマシタ……貴女のために捧げた美をもって、ドウカここに復活、を……!」
最後に己の命を捧げるように自身の顔面に鏡片を突き立てると、最後の一体もまたバラバラになって死んだ。
廃劇場の床を埋め尽くす大量の人形のパーツ群。今度はそれらが黒々とした粒子となって鏡の破片に取り巻き、姿見を強引に再構築し始めた。
しかし一度砕けたものは元通りの姿を取り戻すには至らず、欠けと罅だらけの鏡面は少し強めの光を放射したのち、完全に沈黙した。
ひとまずの収束に軽く肩の荷を下ろす猟兵達。
──その時、ホール内に甲高いコール音が響き渡った。
猟兵達はそれが誰の携帯でもないことを確かめ合ったのち、床の中央にいつのまにか落ちていた、誰のものとも知れぬスマホを見出した。
全員の視線が集中すると同時、コール音は唐突に途切れ、スマホはひとりでに通話状態になった。勝手にスピーカーモードに切り替わり、密やかな声が辺りに流れ始める。
『あたしメリーさん。今、商店街にいるの……』
『あたしメリーさん。今、廃墟の前にいるの……』
それは、今回の事件を偶発的に引き起こしてしまった少女の一人が、道中に外部の友達と交わしていたやり取りを模しているようだった。
『あたしメリーさん、今……』
「……あなたたちの後ろにいるの」
背後からの突然の声に、一斉に退き振り返る猟兵達。
「人形がずいぶん面白いコトしていたみたいね。そのコたちが召喚したかったのは別のモノだったみたいだけれど、残念! あたしでしたー!」
一切の気配も感じさせずに現れた美しい少女──『都市伝説』メリーさんの電話は、くすくすと無邪気に笑う。
「美しいものを求めてあたしと繋がるなんて、見る目があるわぁ。これからはこの美貌も絡めてお話を構築すれば、都市伝説ももっと広がるかしら?」
うきうきと、若干調子に乗りながら、メリーさんは猟奇的なナイフを手慣れた仕草で手元に閃かせた。
「というわけで! この美しいメリーさんの顔を見ちゃったあなたたちは、ここで最初の犠牲者になって頂戴ね?」
「メリーさんの電話」の数ある類型にもう一パターン加えてやろうとばかりに、ナイフの刃がギラリと輝いた。
本気で美に執心しているわけではなさそうだが、今ちょっとばかり調子に乗っているメリーさんならば、外見に対して茶々を入れてやれば容易く挑発に乗ってくれそうだ。
なにはともあれ、ここが正念場。
幼心に端を発した連鎖召喚を食い止めるため、猟兵達は無邪気で危険な都市伝説に立ち向かうのだ。
ミロ・バンドール(サポート)
口調はステシの基本通り
強がって一匹狼を気取った態度ですが、連携にはきちんと応え
最善の結果のために努力します
いわゆるツンデレ。
基本的な戦闘スタイルは敵の力を削ぎ、次の味方の行動へ繋げるサポート役で
次いで重視する行動が敵の押さえです
技能の各種耐性や改造を活かし、戦場の状況に合わせたスタイルを模索します
冒険パートでは恐怖を与える等で
深く考えずに行動しがちです
*備考
・精神攻撃にはとても弱い(ヘタレると寝言時の口調)
・ギャグ展開にはよく巻き込まれる(弄られOKです)
といった弱点がいっぱいあります
触叢・アン(サポート)
『なんなぁ、どしたんなぁ』
スペースノイドのスターライダー×スピリットヒーロー、20歳の女です。
普段の口調は「方言(わし、おめー、じゃ、なぁ、じゃなぁ、じゃろか?)」、仲間には「やっぱり方言(わしゃ、おめー、じゃ、なぁ、じゃなぁ、じゃろか?)」です。
ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動します。基本的に効率重視で、他人の目や評価を一切気にしません。羞恥心もありません。身も心も自由ならそれで良いのです。あと、宇宙原付ですぐ轢き逃げします。
あとはおまかせ。よろしくおねがいします!
レーナ・ムーンレス(サポート)
『今日も元気に萌え萌え弩キューン』
バーチャルキャラクターのバトルゲーマー×サウンドソルジャー、永遠の17歳(32歳)の女です。
普段の口調は「バ美肉ソプラノ(私、あなた、~さん、ですわ、ますの、ですわね、ですの?)」、時々「イケボ(私、~君、~さん、ですわ、ますの、ですわね、ですの?)」です。
ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動します。他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。
あとはおまかせ。よろしくおねがいします!
●ダンサー、ロープ、そして轢き逃げ
「都市伝説か。背後からかかってくるとは卑怯なヤツだな……」
突如として現れたメリーさんに、ミロ・バンドール(ダンピールの咎人殺し・f10015)は静かに警戒を高め隙なく身構えた。
が、次の瞬間、
「可愛さなら負けていませんわ!」
どこからともなく響いた声と共に、どこからともなくパッとスポットライトの光が差し込み、ミロは思わずのけぞってしまう。
明々とした円錐形の光の中心に、電子的なノイズが積み重なるように集束し立体が構築されていく。ブレザーの制服とアイドル衣装を半々につなぎ合わせたような服を纏ったナイスバディの美少女、レーナ・ムーンレス(電子の美少女アイドル・f09403)である。
「バーチャルスタア、レーナ参上ですわ!」
「お、おう……」
「みなさんよろしくお願いします! 頑張って敵を排除しましょうねっ」
「いや俺は一人で戦えるんだが」
若干引き気味のミロにはお構いなしに、レーナはポップで煌びやかなエフェクトと共にユーベルコードを展開した。
「カモン! 私の応援隊!」
パチンッ!と弾けるように指を鳴らすと同時、その周囲に、カラフルな法被に、I❤レーナ鉢巻、サイリウム両手持ち姿の親衛隊が登場、「ソイヤソイヤソイヤソイヤ!」と極めてハイテンションなオタ芸を開始した。
これにはメリーさんもぽかーん。
「……何かしら、あれ。見た目はちゃんと可愛いのに、女の子にしてはなんとなく微妙に暑苦しいわねあの娘……」
ぼやきつつもナイフを手の中に翻し、逆手に握る。
次の瞬間、その姿が完全に掻き消えた。
「ッ、まずい──!」
即座に反応したミロが大量の拘束具を解き放った。殺到する先はレーナ──ではもちろんなく、その背後に現れたメリーさんだ。
「むがっ!?」
ナイフの切っ先をレーナの背に振り下ろそうとしていたメリーさんは、強制的に猿轡を噛ませられ、思わず動きを鈍らせた。レーナは咄嗟に回避、ナイフの二連撃は虚しく空を切る。
「むーむーむむーーーっ」
怒りも露わにもがきながら、メリーさんは自分と瓜二つの精巧な人形を大量に召喚した。
「さぁ、LIVE(戦闘)の時間よ♪」
対抗するようにさらなる召喚術を発動するレーナ。その背後に現れた大量のバックダンサー達が華麗なダンスを披露しながら、執拗にレーナの背中を狙う人形達を次々に撃退していく。
「錆びて朽ちたる処刑の樹、釣られ吊られて首くくる……一撃で倒せるならこれで十分だろ!」
ミロは強化したロープを柱に括りつけ、自らは囮になるように大量のメリーさんもどき達の間を縦横無尽にすり抜けていく。追いすがる腕や背中を狙うナイフをすげなく置き去りにして端から端まで駆け抜けると、一気にロープを引っ張った。すると、複雑に張り巡らされたロープが一気に張り詰め、勢いよく巻き込まれたり足をすくわれた人形達が次々に消滅していった。
「む~~~~……ぷはっ。もう、ひどいんだからっ。仕切り直しよ!」
メリーさんは人形達の手を借りつつやっと猿轡から解放されると、今出ている人形達をかき消して、新たなメリーさんもどきを再度大量召喚した……その時。
ご機嫌なバイクらしきエンジン音が轟き渡ったかと思えば、入り口から飛び込んだ宇宙原付がホールを一気に縦断し──人形の群れをまとめて薙ぎ倒した。大量に吹っ飛ぶ人形に、あっけにとられて絶句するメリーさん。
宇宙原付はホール中央に取って返してようやく停車した。露出の高いアクティブな服装で抜群なプロポーションを惜しげもなく見せつける女性ライダー、触叢・アン(銀河疾風・f01011)はメットのバイザーを上げて呵々と笑った。
「おー上手くいったのぅ! 戦いと言えば効率じゃからな!」
「滅茶苦茶だな……」
「でも実際効率的ですわ!」
ミロのぼやきとレーナの声援を背に受けながら、アンはバイザーを戻して再度敵群へと猛然と宇宙原付を走らせる。
唖然としていたメリーさんが慌てて手元に残っている人形達をけしかけてきたが、レーナのバックダンサーズがその動きを牽制して近づかせない。
「もうっ、こうなったらあたしが──きゃっ!?」
メリーさんがナイフを逆手に持った瞬間、その手元にミロの紅蓮の炎が燃え上がった。
思わず怯んだのち、差し掛かった影にはっとしてメリーさんが見上げた頭上には、高々と跳躍する無数の人影。その全てが、アン本人を模した幻影分身だ。
「ふぅらっしゅ! Ah~~~♪」
朗々と響き渡るアンの声に合わせて、降り注ぐ大量の踵落とし。
幻影の蹂躙に、メリーさんの絹を裂くような悲鳴が上がり、人形達は大量に消滅していく。
「うむ、満足じゃ! ではさらばっ」
さらに半端に残った人形達を蹴散らした宇宙原付はそのまま廃墟の入り口へと取って返し、瞬く間に姿が見えなくなった。見事な轢き逃げである。
一拍の沈黙ののち、
「……もぉぉぉっ! いったいなんだったのーっ!?」
惨状の中に置き去りにされたメリーさんのごもっともな絶叫がホールじゅうに響き渡るのだった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
轟木・黒夢(サポート)
『私の出番?それじゃ全力で行くわよ。』
強化人間のヴィジランテ×バトルゲーマー、17歳の女です。
普段の口調は「素っ気ない(私、~さん、なの、よ、なのね、なのよね?)」、偉い人には「それなりに丁寧(私、~さん、です、ます、でしょう、ですか?)」です。
ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、
多少の怪我は厭わず積極的に行動します。
他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。
また、例え依頼の成功のためでも、
公序良俗に反する行動はしません。
性格はクールで、あまり感情の起伏は無いです。
戦闘では、格闘技メインで戦い、籠手状の武器を使う事が多いです。
あとはおまかせ。よろしくおねがいします!
リスティ・フェルドール(サポート)
援護・治療・盾役として参加いたします。最優先は自分を含む仲間全員の生存と帰還。成功の立役者ではなく、命の守り人として最悪の結果を回避できれば、それ以上に望むことはありません。
真剣な雰囲気は邪魔をせず、仲間同士の険悪な雰囲気はあえて朗らかに。チームワークが生存率を上げる一番の方法として行動します。
ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動します。他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。
あとはマスター様におまかせいたします。よろしくおねがいします!
鳩麦・灰色(サポート)
「ウチ、やなくて私も手伝わせてもらうよ」
「アンタ(敵)はそこで黙ってて」
◆特徴
独り言は関西弁
話言葉はほぼ標準語
脱力した口調
『敵さん』の行動の意図を考える傾向があるが内容に関わらず容赦しない
◆行動
【ダッシュ】【クライミング】【地形の利用】で場所を問わず速く動く事が得意
戦闘は速さで回避重視
味方が居れば武器の音で【存在感】を出し率先して狙われにいく
攻撃は主に【衝撃波】を込めた鉄パイプを使用、空砲銃は場合に合わせて使用
◆UC
索敵、回避特化ではUC『三番』
集団戦では『四番』
敵単体では『一番』か『二番』を使用する
◆日常
日常は何かしつつ寝落ちる事が多い
◆
協力絡みセリフ自由
他おまかせ。よろしくおねがいします!
●木は森の中から探し出せ
「はーっ、なんかアホらしいのに付き合ってしまったわ。気を取り直して……」
大きく吐息をつくと、メリーさんは再度大量のメリーさんもどきを召喚した。
「あたしたち、綺麗な綺麗なメリーさん……今、あなたたちの目の前にいるの」
一斉に閃くナイフ。
次の瞬間、ホール内は大量のメリーさんもどきと猟兵達とで入り乱れた。正面からナイフで牽制する個体の裏から、他の個体が執拗に背後をとって斬りつけようと、極めて厄介な連携と数的優位で猟兵を襲う。
「これだけ数が多いと厄介ね……」
轟木・黒夢(モノクローム・f18038)は冷静に敵の攻撃を捌きながら呟いた。
横合いから繰り出されたナイフを篭手で覆われた手で掴みとってへし折り、返す刀ならぬ拳で、背後から振り下ろされようとしていたナイフも砕いて、襲ってきた二体の腹部に一撃ずつお返しする。二体はあっけなく破裂して消えた。
しかしその直後を狙った第三の刃が閃き──
「──危ない!」
警告と共にナイフと黒夢の間に身を挺して滑り込んだのはリスティ・フェルドール(想蒼月下の獣遣い・f00002)。
掲げた腕に深々とナイフが突き刺さる。リスティは顔を歪めて痛みを耐え、十指に括った糸を繰った。遠くで別の個体を片付けていたからくり人形が飛ぶように体当たりし、ナイフを再度振り下ろそうとしたメリーさんもどきが真横に吹き飛ばされていった。
リスティと黒夢は背中を合わせて敵集団を警戒しながら、声をかけあう。
「大丈夫ですか?」
「ええ。助かったわ、ありがとう」
「援護と守備は任せてください。怪我があったら遠慮なく言ってくださいね」
ほんわかとした語り口で請け負う間にも、リスティの指は止まらずからくり人形を操り続ける。黒夢も襲い掛かってくるメリーさんもどきを片っ端から殴りつけ、二人でメリーさんもどき達を一体ずつ確実に駆逐していく。
しかし敵は脆いが数が多い上に、事実上何度でも復活可能。一気に突破する手を考えなければ……
その時。
「ウチ……やなくて私も手伝わせてもらうよ」
どこか気の抜けたような声と共に戦線に加わったのは鳩麦・灰色(音使いおおかみ・f04170)。現れるや否や、鉄パイプを太刀のように横に構えた。
「広がれ、"四番"!」
気合い一閃、振動する鉄パイプが人形達を薙ぎ払うと共に、音の衝撃波が戦場を駆け抜けた。範囲にいた人形が避ける暇もなく大量に弾けて消える。
敵陣に動揺が走った隙を見取り、黒夢は声を張り上げる。
「私から離れて!」
それが自身への警告だと悟り、リスティは即座に黒夢から距離を取った。
その瞬間、黒夢の篭手が手から剥がれるように無数の欠片へと姿を変え始めた。それは、舞い散る黒い桜の花びら。
「さぁ、この黒桜の餌食となるが良いわ」
ごう、と黒夢を中心に風が渦巻き、花弁は黒い花嵐となる。一気に敵陣に向けて散った花弁がメリーさんもどき達に接触し、触れた箇所を瞬時にして腐食させた。そんなわずかな損耗でも、偽物の人形達は次々に消滅していってしまう。
残されたのは当然、本物一体。
「っ、やってくれたわね……!」
偽物に紛れ、盾にする形で致命傷を避けたメリーさん自身にも、服の裾や髪の毛先に黒い腐食の痕跡がある。
「まったく、美しいものを破壊していた人形達がけしからん!って容赦なく壊したくせに、今度は自分達で美しい人形を破壊するんだから、ずいぶんと勝手なものよねっ」
大盛りの嫌味に少々の美貌自慢を交えながら、メリーさんは花弁の隅を縫って猟兵達の間近に多種の電話機を召喚した。レトロな黒電話が、プッシュ式の子機が、スマートフォンが、猟兵達に向けて色とりどりの通話コールを忙しなくがなり立てた。これがひとりでに通話状態に切り替わった瞬間、ナイフを持った物騒な人形が飛び出す仕掛けだ。
──が、しかし。
ぺちりっ。と、脈絡なくメリーさんの横っ面に手袋が叩きつけられた。
「は? 何っ?」
振り返った視線の先には、リスティのほんわか笑顔。
「命中しましたね。では、『通話状態になることを禁止』します。破ったら大ダメージですよ?」
「はぁ!?」
あんぐりと顎を落とすメリーさん。
明確に生じた、大きな隙。その瞬間を確実に捉えて、灰色が一気に距離を詰めた。
「──壊せ、"二番"!」
激しい振動を帯びた鉄パイプが、すれ違いざまに思いっきり振り抜かれた。
背骨を折るかという強打を腹部に叩き込まれたメリーさんの身体は、打球の如く大きくぶっ飛んで背後の壁に打ち付けられた。積もり積もった廃墟の塵埃が着地点を曇らせ、甲高い悲鳴だけが響く。
「……美しいものだからどうとか、そういう問題じゃないわよ」
篭手を元に戻しながら淡々と呟く黒夢。
「敵さんの頭の中身には興味あるけど、見た目はどうでもいいしね」
鉄パイプを担いだ肩を器用にすくめる灰色。
「そうですね。オブリビオンさんが平和をかき乱すから、僕たちが倒す、それだけです」
リスティものんびり手袋を拾い上げつつ、うんうんと頷いた。
盛大に舞い上がった埃が静まり、ようやく姿を現したメリーさんは、けほけほと可愛らしく咳き込みつつも、恨めしげな視線で猟兵達を睨みつけていた。
成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
葛籠雄・九雀
SPD
いやすまぬ、オレは他人の美醜に造詣が深くなくてな。誰を見ても目鼻と口の数のことくらいしかオレにはよくわからぬのであるよ。あとは色。
ついでに言えば、怪異譚に関してもオレは専門外であってなぁ。然程興味はないのであるよな。乗り掛かった舟であるし、ここは骸の海にお帰り願うであるぞ。
【ダッシュ、逃げ足、見切り】で避けながら、【毒使い、投擲】+ペルシカムにて行動を封じたいであるな。…顔はまあ、避けるか。わざわざ傷つけることもあるまい。
人形や斬撃が飛んでくるようであれば、フック付きワイヤー+【武器落とし】で叩き落としたいが。
…ふーむ。
これを機に、怪異譚の収集も始めてみるべきであるかな。
アドリブ連携歓迎
●都市伝説の奇妙な生態
「むぅぅ、美貌を活かすのってなかなか難しいわね……。ここは初心に戻って……あたしメリーさん」
メリーさんは埃を払って立ちあがり、ニッコリ笑うと、瞬時に姿をかき消した。
「今あなたの後ろにいるの──ねぇ、あたし綺麗っ!?」
微妙に錯綜している呼びかけに、葛籠雄・九雀(支離滅裂な仮面・f17337)は当然振り向くことなくダッシュで退いた。
ナイフはなおも閃き、執拗に九雀を追いかけてくる。
「あらどうしたの? こんな美少女に迫られているのに何が不満?」
「いやすまぬ、オレは他人の美醜に造詣が深くなくてな。誰を見ても目鼻と口の数のことくらいしかオレにはよくわからぬのであるよ。あとは色」
ナイフの軌道を正確に回避しながら、九雀は率直にぼやいた。
「ついでに言えば、怪異譚に関してもオレは専門外であってなぁ。然程興味はないのであるよな。ともあれ乗り掛かった舟であるし、ここは骸の海にお帰り願うであるぞ」
「何よそれ! 都市伝説はヒトの興味を浴びてなんぼなんだから、もっとあたしに興味持ちなさいよ!」
メリーさんは憤然と電話機を召喚した。が、延々とコール音が鳴り続けるばかりでナイフを持った少女人形は現れず、不発。図らずもそれが無関心の証明になってしまった上に、電話機もフック付きワイヤーに叩き落とされてしまう始末だ。
「この……っ!」
いきり立ってさらにナイフで襲い掛かるメリーさん。
九雀は鋭い剣閃をことごとく回避しながら、効能の違う毒を仕込んだ三種の針を手元に翻す。
斬撃が深く踏み込んできた瞬間、再度伸ばしたワイヤーでナイフを弾き飛ばし、メリーさんが怯んだ隙に一斉に疾る毒針。
「──っ!?」
肩を貫き、麻痺をもたらす針。ナイフ持つ手を貫き、皮膚を爛れさせる針。喉元を貫き、吐き気を刺激する針。
メリーさんはナイフを取り落とすのも構わず、すぐさま全ての針を自身の身体から抜き取った。口を押えて吐き気と戦うも、こらえきれずに嘔吐してしまう。
その様を目撃し、九雀は初めてメリーさんに対して興味関心を示して見せた。
「都市伝説という割には、身体・精神ともに反応は存外人間と変わらぬのであるな。……ふーむ。これを機に、怪異譚の収集も始めてみるべきであるかな」
「っ……ムカツク……っ」
メリーさんは口許を乱暴に拭いながら、あくまでも淡々とした九雀を余裕なく睨みつけるのだった。
大成功
🔵🔵🔵
ミケ・ナーハ
「確かに可愛らしいですね♪」
『猫又覚醒』で妖艶さを増した姿になり
くノ一装束からこぼれそうな
ぷるんとした豊満な胸を見せつけ挑発♪
「可愛らしい」が「胸が小さい」と
バカにされたように聞こえるかもです♪
それほどまでに、私の自慢の爆乳は、圧倒的ボリュームで
目が釘付けになるほど美しいです♪
私の胸に気をとられた隙に
多数の手裏剣を両手に準備しておき
人形が召喚されたら
【念動力】で自在に飛ばして破壊します♪
「えーい♪」
人形に紛れた本物のメリーさんを【見切り】
【念動力】で高速で飛翔して
胸と胸がぶつかる体当たりで攻撃♪
メリーさんを吹っ飛ばし
ダメージを与えると同時に
胸のサイズ差を痛感させ
胸で負けた敗北感を味あわせます♪
●胸VS胸
「ハァッ……もうっ、効率よくあたしの噂を広げられると思ったのに、さっぱりじゃない!」
色々とボロボロになりつつ癇癪を起こすメリーさん。あくまで目的は都市伝説の伝播であり、美貌は手段。でもここまで手応えがないのは、それはそれで女性としてはあまりにも悔しい。
「確かに可愛らしいですね♪」
他意のない誉め言葉をかけられて、反射的に振り返ったメリーさんは、目をカッと見開いたままフリーズした。
そこに佇むは猫又姿のミケ・ナーハ(にゃんにゃんくノ一・f08989)。誰も彼もを誘惑し虜にせしめる妖艶な魅力をむんむんと振り撒き、ただでさえ豊満な胸はぷるんと震えて今にもくノ一装束から零れそう。
メリーさんの目は釘付けだ。それほどまでに、ミケ自慢の爆乳は美しくも圧倒的ボリュームを誇っていたのである。
ここでメリーさんの思考に何が起こったかを解説しよう。
「めっちゃ顔の可愛い女の子に可愛いって言われた」
→「しかも超絶美乳の爆乳女だった」
→「……嫌味だコレ! 可愛らしいって乳のことかー!?」←今ココ。
「……~~~~~コロスッッッ!!」
まさに効果覿面、まんまと挑発に乗ったメリーさんが殺意マシマシで召喚術を展開した。
たちまち戦場を埋め尽くす数多のメリーさんもどき達。あまりにも精巧なそれらに、本物の姿も紛れて見分けがつかなくなってしまう。
が、ミケはまるで動じず、メリーさんが胸を凝視している間に用意しておいた手裏剣をすぐさま飛ばした。念動力で自在に動き、空中を乱舞する大量の手裏剣。メリーさんもどき達は避ける暇も隙もなく、手裏剣に食い破られる風船のように弾けて次々消えていく。
そっくりな人形が数を減らしていく中、ほんのわずかな赤色が視界をかすめたのを、ミケは見逃さず駆け出した。
目標は、手裏剣にかすめられた頬に一筋の傷をつけた『本物』。
「えーい♪」
ミケは迷いなく本物へと飛び込んだ。手裏剣の軌道に視線が浮いていたメリーさんはあっけなく接近を許し、超ボリュームの胸を控えめな胸で出迎える羽目になった。
ボイイ~~~ン☆
両者の間に弾けた衝撃は、弾みの少ないほうに全ての力のベクトルが流された。
すなわち、メリーさんの身体はぽーんと勢いよく弾き飛ばされ……
「ま…………負けた
…………!」
胸のサイズ差にがっくりと打ちひしがれ敗北感にまみれたメリーさんは、叩きつけられた床から起き上がれなかった。
大成功
🔵🔵🔵
ルネ・プロスト
あなたは人形?それ以外?
どちらにせよ討つ(弔う)事に変わりはしないけど
人形達は死霊憑依&自律行動
部屋の端、四隅の位置に陣取って攻撃の来る方向を制限
ポーン8体で前線構築、乱れ撃ち&制圧射撃で敵の接近を牽制
その裏からビショップ2体の雷撃魔法(マヒ攻撃&属性攻撃)とクイーンの誘導魔法弾で攻撃
ルネは森の友達と連携して敵の隙を見切って『慟哭』で狙撃
細かい標準は誘導弾を使うことで補正
敵UCはUCで対処
召喚された人形を引きつけられるだけ引きつけた後、一斉発射して一網打尽に
必要以上に嘲る気はルネにはないよ
たとえ君が、ちょっと夢見がちで自意識過剰な井の中の蛙だとしても
想う自由は誰にしもあるものね(生暖かい眼差し
波狼・拓哉
…別の召喚されてるけどこれはこれで偶発召喚防げたと考えるとありか。うん。今日一でマシな奴だわ。……無理矢理召喚したから格が落ちてるとかなんですかね。まあ興味ないんで真相はどうでもいいや。知ったとこでどうにもならんし。
さて…化け喰らいなミミック。『かみ』殺せと。まあ足とか狙って行動阻害しといてください。人形も適当に噛んで処理しといてくださいな。
自分は衝撃波込めた弾でナイフの武器落とし狙いつつ、周りの電話機や人形を潰して回ってサポートに。
…この程度ならわざわざ挑発したり逆手に取ったりするまでもないですね。さっきの娘ら方が厄介だったなぁ…なんていって挑発しておいたりもしときますか
(アドリブ絡み歓迎)
●都市伝説を捕らえて
「……別の召喚されてるけど、これはこれで偶発召喚防げたと考えるとありか」
連鎖する召喚現象を前に、波狼・拓哉(ミミクリーサモナー・f04253)は頭をかりかりと掻いて自分を納得させた。あとはこのメリーさんを撃退すれば終止符だ。
その傍らで、幼い少女が静かに口を開いた。
「あなたは人形? それ以外?」
ルネ・プロスト(人形王国・f21741)の毅然とした声が、ホールに響き渡った。
失意を背負って床と仲良くしていたメリーさんは、勢いよく顔を上げ、キッ、とルネを睨み返した。
「何度も言ってるでしょ、あたしは都市伝説! あんな誰に植え付けられたんだか知れない欲望に振り回されてる空っぽな人形どもと一緒にしないでくれる!?」
ヒステリックに喚き散らす、ある意味で非常に人間的な「わかりやすい」性悪さに、拓哉は肩をすくめた。
「うん。今日一でマシな奴だわ。……無理矢理召喚したから格が落ちてるとかなんですかね。まあ興味ないんで真相はどうでもいいや。知ったとこでどうにもならんし」
「なんですってぇ!?」
「……ほんとわかりやすい反応っすね。都市伝説として成り上がるつもりならもう少し威厳とか不気味さとかを追求したほうが……いやまあどうでもいいけど」
拓哉はぼやきつつちらりと傍らを窺った。
人形に敬意を払わぬメリーさんを見据えるルネの眼差しは、冷静だ。……とても冷静に、戦意を高めている。
「どちらにせよ討つ(弔う)事に変わりはしないけど」
「あっそ。じゃあ両方でお相手してあげるっ!」
宣戦布告を受けて立つと共に、瞬時にして召喚される大量のメリーさんもどき人形達。
「さて……化け喰らいなミミック。『かみ』殺せと」
拓哉に喚びだされるや否や敵群へと飛び出した箱型生命体が、狼へと変じた。凶暴な牙を剥き、顎を開いて迫力ある咆哮を解き放つ。衝撃は影となり、顎の形を描いて人形達を切り裂き蹂躙していく。
前線はミミックに任せ、拓哉は弾丸でサポートに回りつつ聞こえよがしに嘯く。
「……この程度ならわざわざ挑発したり逆手に取ったりするまでもないですね。さっきの娘らの方が厄介だったなぁ……」
「──ずいぶんな言い草ね!」
見事に炙り出された本物のナイフが、逆手に持たれた瞬間に衝撃弾に撃ち落され、周囲でぶんぶんと暴れ回る電話機も続けざま衝撃波に潰された。
連続する衝撃に押し込まれたメリーさんの細い足を、影の顎が畳みかけ、動きを鈍らせた。
「っ……やってくれたわね……!」
痛みに歯を食いしばり、大量の人形を召喚しなおすメリーさん。
──と同時、凛とした声が戦場に響く。
「あいつらの動き(あし)を止めるよ、軽装歩兵(ポーン)。銃弾換装、散弾装填。マスケット、構え。……撃てぇ!」
ルネの号に合わせて一斉に放たれる銃声、疾る大量の弾丸。
「くっ──守りなさい!」
身動きの難しいメリーさんは咄嗟に人形を盾にして銃弾を防ぐ。
手駒を一網打尽にされても、メリーさんは諦めることなく再召喚を繰り返し、自分そっくりな人形達の波の中に隠れながら、激しい弾雨を逆行した。ホールの四隅の一つを背にして陣を構える、リビングドールの一団へと。
ポーンの射撃に加えて、その背後に控えるビショップの雷撃魔法とクイーンの誘導魔法弾が敵群を蹂躙する。激しく瞬く雷撃、連鎖する爆発。
しかしメリーさんは前進を止めようとしない。この猛攻の主体を排除するのが最優先と判断したのだ。盾となるメリーさんもどきが尽きるのが先か、死霊人形の攻撃が届くのが先か──
「お互い人形遣い同士ってわけねっ。人を喰ったような顔して、あんたもあたしのこと馬鹿にしてるわけ!?」
「……必要以上に嘲る気は、ルネにはないよ」
『森の友達』のリスが耳元に囁く声を聞きながら、ルネは純白の狙撃銃を構えた。
「たとえ君が、ちょっと夢見がちで自意識過剰な井の中の蛙だとしても、想う自由は誰にしもあるものね」
照準器越しに生暖かい眼差しを注がれ、メリーさんの瞳が凶悪な殺意に輝く。そのナイフが逆手に翻り──
その瞬間、最後のメリーさんもどきが破裂し、背後から襲い来た影の顎とポーンの銃弾が、同時に、まだ無傷だったメリーさんの軸足に殺到した。
「────」
激痛がメリーさんの知覚に到達するより早く、ルネの指が引き金を引いた。
螺旋を描いて直進する誘導弾は、咄嗟に身動きとれぬまま瞠目するメリーさんの額に、吸い込まれるように着弾する。
都市伝説の少女の後頭部から、真紅の鮮血が勢いよく噴き出した。
●連鎖召喚の終結
メリーさんが前のめりに床に倒れ伏す。
糸が切れたかのようなその仕草も、弛緩した細い手足も、床に片頬をつけて見開かれたまま虚空を見つめる瞳も、まるで作り物の人形のようだった。
人のように振る舞ってはいたものの、所詮彼女は、都市伝説という実体のない虚構の、単なる入れ物だったのかもしれない。
彼女もまた、都市伝説を怖がったり楽しんだりする人々の気持ち──まさに『誰のものとも知れない』欲望に振り回されていた人形にすぎなかったのだろう。
多種多様なコール音に分解され骸の海へと還っていく遺骸の姿に、猟兵は事件の決着を見取り、肩の荷を下ろす。
ホールに掲げられていた姿見は、再び粉々に砕け散った。鏡片は砂粒ほどに砕かれて、埃に紛れて消えていく。今度こそ再生は不可能だろう。
偶発的な儀式から始まった連鎖召喚はかくして幕を閉じ、事件を解決に導いた猟兵達は胸を張ってそれぞれの日常に戻るのだった。
大成功
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