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アルダワ魔王戦争6-B~女神さまもチョコが欲しい

#アルダワ魔法学園 #戦争 #アルダワ魔王戦争


●女神さまも甘いものが食べたいのです
 ファーストダンジョンの一角、洞窟の中。
 魔法の灯りで内部が照らされているそこに、災魔の気配はない。
 しんと静まり返ったそこに、灯りに照らされ建つのは、石造りの女神像。
 手にした宝玉の輝きこそ失われているものの、なお眩い美しさを持つ女神像から、何となく、声が聞こえてくるような。
「(チョコレートを……チョコレートを捧げるのです……)」

●異世界では今まさにバレンタインです
「みんな、毎日戦闘お疲れ様。快調なようで何よりだよ」
 猫塚・咲希(過去は人の間を往く・f24180)はそう言って笑いながら、グリモアを手の内で輝かせた。
 アルダワ魔法学園での戦争も気が付けばかなり展開が進んでおり、既に大魔王の最終形態も発見され、戦争の終結も間近というところ。
 しかしそんな中で発見された女神像の周辺は、地上と変わらず安全で、平和だ。
「大魔王が、希望とか、祈りとか、そういうものを食い物にするらしいけどさ。戦場に行く前に、ちゃんとした女神さまに祈りを届けるのも、いいんじゃないかなって思うんだ」
 猟兵たちを見ながら咲希が笑う。
 確かに、大魔王最終形態は願いを喰らう。大事な願いを、祈りを食い物にされる前に、然るべき相手に願いを届けたい。そう考える者もいるのではないだろうか。
 それなら、安全な場所で、願いを受け取ってくれる相手に、願ってから戦場に赴くのも悪くないだろう。
 と、そこまで話したところで。咲希が猟兵たちに視線を向ける。
「でさ、そのついでと言っちゃなんなんだけど……チョコレート、女神さまにお供えして来たらどうかなーって……」
 その発言に、猟兵たちの首が小さく傾げられた。バレンタインは2/14。チョコレートを渡すには、いくらかタイミングが遅くはないだろうか。
 咲希が視線を逸らしつつ、そのもふもふの頬を掻きながら口を開く。
「いや、ボクが予知した時にね? 女神さまの声が聞こえたんだ、チョコレートを捧げるのですって。だから、女神さまのチョコ欲を満たすついでに、みんなでチョコレートを食べたり、交換したり……そんな感じは、どうかなーって。
 あ、戦闘はないよ今回、この場所、災魔が近づかないみたいだから。すっごく平和で安全。安心してチョコ食べれるよ」
 そう話す咲希に、猟兵たちはなるほどと頷いた。バレンタイン当日は過ぎてしまったが、知らぬ仲の者とも、知った仲の者とも。一緒に楽しみ、英気を養うのも悪くはないだろう。
 そして咲希の手の中でグリモアが回転する。行き先はファーストダンジョン、区画6-B。女神像のおわす洞窟内だ。
「そんなとこかな。じゃ、準備はいい? みんな、楽しんできてね」


屋守保英
 こんにちは、屋守保英です。
 戦争の合間に小休止です。
 バレンタインと関係なく、チョコレートを渡す日があってもいいと思うんだ。女神さまのためです。

●目標
 ・女神像に祈りを捧げる。

●特記事項
 このシナリオは「戦争シナリオ」です。
 1フラグメントで完結する、特殊なシナリオとなります。

 このシナリオは日常シナリオです。戦闘はありません。

●戦場・場面
(第1章)
 ファーストダンジョンの一区画、女神像が建立された洞窟です。内部は明るいです。
 大魔王を封印するための封印は破られていますが、オブリビオンを寄せ付けないだけの効力があります。
 祈りを捧げ、チョコレートをお供えすると、いい事があるかもしれません。

 それでは、皆さんの楽しいプレイングをお待ちしています。
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第1章 日常 『女神の祭壇に祈りを捧げよう』

POW   :    女神像に舞踊や歌を奉納して、祈りを捧げる

SPD   :    お供え物として、美味しいお菓子などを用意して祈りを捧げる

WIZ   :    願い事を書いた絵馬等を女神像に奉納して、祈りを捧げる

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夢ヶ枝・るこる
■方針
・【POW】使用
・アド/絡◎

■行動
像の前でバレンタインのイベントをされている方々を見て、チョコレートが欲しくなったのですかねぇ?
私も違う女神様にお仕えする身ですし、きちんと御用意して参りましょう。

【豊饒現界】を使用し[料理]を強化、「ミルクチョコ」と「ホワイトチョコ」で、2体の「女神様の像」を作りお持ちしますねぇ。
更に、御祈り後にゆっくり食べたり交換出来る様に、何種類かの「涙滴型のチョコ」を小分け、袋に詰めてお持ちしますぅ。

まずはきちんとお掃除した上で、「チョコの女神像」をお供えさせていただき、御祈り致しましょう。

その後は「涙滴型チョコ」を配布したり、ゆっくりいただいたりしましょうかぁ。


草野・千秋
戦争も終結間近ですね
僕、アルダワの災魔さんの中には
嫌いじゃない……っていうか憎めないものもいたんですよ
本当です
ちゃんとした女神さまになら
祈りを捧げてもいいかもしれませんね

チョコレートですか?
僕からはこれを
薔薇とハートのトリュフとガトーショコラです
薔薇とハートは女性に人気で
ガトーショコラはオレンジの風味を効かせたものもあって
割と本格的なつもりです
僕こう見えて学校でお菓子とパンの専攻の勉強をしてましたので
そういうことならまぁまぁ得意なのです

女神さまにチョコレートを奉納して祈る
この世界も他の世界もなるべく平和でありますように
僕たち猟兵がある限り戦い続けます

冒険仲間さんにもチョコレートを振る舞う


木常野・都月
女神様はチョコレートが好きなのか。
そうだよな、チョコレートはとても美味しい。

今月はバレンタインデーもあって、凄く楽しかった。
女神様もチョコレート楽しまないと。

俺が買い集めたバレンタインのチョコレートのうちの1つ。
ナッツチョコ!

ナッツは木の実の事で、色んなナッツがチョコレートの中に入ってるんだ。

俺はアーモンドっていうナッツのチョコが好きだ。
歯応えが一番コリコリなんだ。

女神様もきっと好きになるはず。
ナッツチョコを女神様の所に置いておこう。

祈り…要は願い事か…。
俺、願い事ないんだよな。
狐時代から比べたら、十分過ぎる位幸せなんだ。

だから、女神様にお願い事してる人達の、願いが叶うように、祈りたいかな。


バロン・ゴウト
ついこの間バレンタインデーで盛り上がってたから、女神様もチョコレートが食べたくなったのかにゃ?
よーし、皆さんにも好評だったチョコクッキーを持って女神像に会いに行くのにゃ!

用意したのは肉球の形をしたチョコクッキー。
バレンタインデーまでに何度も練習したから、女神様にも喜んでいただけると嬉しいのにゃ♪
それともう一つ、小さなサンダーソニアのブーケも捧げるのにゃ。
花言葉は祈り、アルダワの平和を願う人々の祈りが届きますように。

絡み、アドリブ大歓迎にゃ。


山梨・玄信
何!チョコが欲しいじゃと?この女神リア充じゃな!(ブレないRB魂)

【SPDを使用】
む、確かにずっとここで1人で封印を守って来たお方じゃったな。これは失礼した。
きっと友チョコが欲しいんじゃろうな。ぼっちは辛いしのう。
でなければ、わしにチョコが欲しいなどとは言わんじゃろう。

普通のチョコや高級チョコは他の人が備えるじゃろうし、わしは少し変わり種のチョコを捧げるぞい。

キマイラフューチャーにはチョコの泉という、チョコフォンデュ向けのチョコが湧く泉があるんじゃ。しかも、ミルク、ホワイト、苺の3種類の味のな。

器に入れた3色チョコフォンデュと、様々な果物をお供えするぞい。

欲しい時は何時でも呼びかけるんじゃぞ。


高柳・零
玄信さん(f06912)と

SPD
ちょっと!女神様にRB活動とか、何罰当たりな事考えてるんですか!
ずっとここで魔王の封印を守って来た女神様ですよ。
恋人なんて居るはず無いじゃないですか。

ああ、そうですね。友達になるというのは良い考え…なんでしょうか?それはそれで畏れ多い気が…。

ともかく、女神様がご所望なら喜んでチョコを捧げましょう。
自分は日持ちするよう、ブランデーを入れたチョコを作って来ました。
まさか…女神様は未成年ではないですよね?

女神様、今までお疲れ様でした。
二度と1人で寂しい推いをしなくて済むように、魔王は自分達が必ず倒しますので。だから、見守っていてください。


花型・朔
おぉ~女神様にチョコ!女神様も甘い物好きだったんだろうね
あたしも大好きだよチョコレート!
しかし女神様は絶好のタイミングだね。今丁度バレンタインの為、街中はとても煌びやかで美しいチョコ達が集まっているのです!

手に取りだすのは一日100個限定の色どり鮮やかな大人のチョコレート。朝早くからお店に朔が並びました!
どうかこの戦いが無事に、出来れば怪我少な目に終わりますようにと祈りながら捧げてみよう

他の人のチョコレートを見て甘い香りにうずうずしながら
祈りが終われば小分けになってるチョコを持って
宜しければ交換お願いします!
ふふふ、美味しいものは皆で共有したいよね


ニャント・ナント
アドリブ歓迎

「吾輩に用意できるチョコはこれにゃ」
そう言って背中に背負った二対の鯖を模した鯖型チョコを女神像に供える
「そして吾輩はこれにゃ」
そして自分は背中に背負った二対の鯖を食べだす
今日の旧校舎の戦いで活躍した二対の鯖、しかし鮮魚剣法は新鮮な魚出でないと全力を発揮できないのだ
チョコを供えた後に敵が近づかないので良い機会だと思い二対の鯖を食べ始る
「……帰るにゃ」
二対の鯖を食べ終わったら次の戦いに備えるために新しい鯖を買うために帰ります



●なんか羨ましくなったらしいです
 洞窟の中に、静かに佇む女神像。その静かな微笑みを見上げて、夢ヶ枝・るこる(豊饒の使徒・夢・f10980)はうっすらと微笑んだ。
「像の前でバレンタインのイベントをされている方々を見て、チョコレートが欲しくなったのですかねぇ?」
「ついこの間バレンタインデーで盛り上がってたから、女神様もチョコレートが食べたくなったのかもしれないにゃ」
 彼女と一緒に女神像を見上げながら、バロン・ゴウト(夢見る子猫剣士・f03085)もこくりと頷く。確かに、目の前であれだけバレンタインを満喫されたら、女神像だってチョコレートを楽しみたくもなることだろう。
 不思議そうにきょとんとした表情をしながら、木常野・都月(妖狐の精霊術士・f21384)がその大きな耳をピクリとさせる。
「女神様はチョコレートが好きなのか。そうだよな、チョコレートはとても美味しい」
「女神様も甘い物好きだったんだろうね。しかし女神様は絶好のタイミングだね。今丁度バレンタインの為、街中はとても煌びやかで美しいチョコ達が集まっているのです!」
 花型・朔(冒険に夢見る學徒兵・f23223)がよく通る声を響かせながら両手を握れば、都月も小さく頷いた。
 女神さまだって女の子、甘いものが好きに違いない。皆が自分の前であれだけ甘いものを食べていたら猶の事だ。
 と、そこで山梨・玄信(ドワーフの破戒僧・f06912)がぶんと拳を振り上げて女神像を見やる。
「何! チョコが欲しいじゃと!? この女神リア充じゃな!」
「ちょっと!女神様にRB活動とか、何罰当たりな事考えてるんですか!」
 その言葉に、高柳・零(テレビウムのパラディン・f03921)が彼の足をべしんと叩く。女神像をリア充認定して爆破しようとは、確かに罰当たり。しかしその後に続く零の発言は、また別の意味で罰当たりだった。
「ずっとここで魔王の封印を守って来た女神様ですよ。恋人なんて居るはず無いじゃないですか」
「む、確かにそういうお方じゃったな。これは失礼した」
 小さく頭を下げて謝る玄信だったが、女神像の周囲の空気は何となくむっとしていて。しかしてすぐに、零と玄信の額目掛けて、洞窟の天井から石がパラパラ降って来た。
「あいたっ!」
「な、何でじゃ!? 怒っておるのか!?」
 石をぶつけられて慌てる二人に、草野・千秋(断罪戦士ダムナーティオー・f01504)とニャント・ナント(ケットシーのガジェッティア・f08592)が揃ってため息をついた。
「恋人なんて居るはずない……に、怒ったんですかねぇ?」
「きっとそうだにゃ。二人とも失礼にゃ」
 女神さまだって女の子、ぼっちだと嘲笑ってはいけないに違いない。

●女神さまにチョコを捧げるのです
 さて、チョコレートのお供えをする算段になって。るこるが女神像の前のスペースを、箒で綺麗に清めていた。
「やっぱり、お供えする場所は綺麗にしないといけませんからねぇ」
「そうですね、お供え物ですから場所を整えないと」
 千秋も一緒になって掃除をしながら、チョコレートを備えるスペースにシートを敷いている。二人が場を清める様子を、都月が不思議そうに見ていた。
「そのまま置いても、大丈夫なように袋に入れてきたけど……そういう、ものなのか?」
「お供えって、そういうものなんですよぉ」
 人間の風習にはまだまだ明るくない都月へと、るこるがにっこり笑いかける。
 そうして場所が整えられたところで、るこるが持参した箱からそれを取り出した。
「こんなところですかねぇ。それでは、まず私から」
「これは……女神像を象った、チョコですか?」
 明るい茶色と、白色をした女神像が一つずつ。それなりにサイズもあるチョコレート像が、お供え用のシートの上に置かれて存在感を発揮していた。
 千秋の言葉に、るこるが小さく胸を張る。
「はい、ミルクチョコとホワイトチョコで、女神像を作らせていただきましたぁ」
「すごい……細かなところまでそっくりだ」
 身を乗り出してるこる作のチョコレート像を見た都月が、瞳をキラキラと輝かせていた。
 そうして感嘆の息を吐くと、都月が鞄からラッピングバッグを取り出す。
「じゃあ、次は俺が……ナッツチョコの詰め合わせだ」
 綺麗にラッピングされた、ナッツの入ったチョコレートの詰め合わせ。それをシートの上にポンと置く。
「俺はアーモンドっていうナッツのチョコが好きだ。歯応えが一番コリコリなんだ。女神様もきっと好きになるはず」
「アーモンドはお肌にもいいって言うもんね!」
 都月の嬉しそうに話す様子に、朔も頷いた。ミネラル豊富で身体にいい油分を含むアーモンド、きっと女神さまの肌ツヤも良くなるに違いない。
 続いて朔が取り出したのは、UDCアースの某有名チョコレートブランドの箱だ。
「次はあたしから。一日100個限定の色どり鮮やかな大人のチョコレート。朝早くからお店に並びました!」
「これは綺麗ですね……朝早くから、お疲れ様です」
 色鮮やかで形の整ったチョコレートを見て、千秋も目を細める。いい仕事をしたものを見るのは、やはりいいものだ。
 千秋の取り出したのも同じような箱ではあるが、こちらはブランドの箔押しなどはされていない、シンプルなものだった。
「僕からはこれを。薔薇とハートのトリュフとガトーショコラです」
 千秋がシートの上に置いたそれを見て、朔が目を見開いた。思わず千秋の顔を見る。
「これ、千秋さんの手作りなの?」
「はい。僕、こう見えて学校でお菓子とパンを専攻して勉強をしてましたので、そういうことならまぁまぁ得意なのです」
「すっごい本格的にゃ、すごいのにゃ……」
 まさか、手作りとは。とてもそうは見えないクオリティに、バロンが嘆息する。
 しかしそのバロンが取り出したラッピングバッグに入ったクッキーも、また手作りだった。
「それじゃ次はボクなのにゃ。僕が用意したのは肉球の形をしたチョコクッキー。バレンタインまでに何度も練習したから、喜んでいただけると嬉しいのにゃ♪」
「これは、バレンタインでも配っていたやつですかね? 可愛いです」
 チョコレート色の下地にピンクがかった生地が彩を添えている。それを見る零の表情も綻んでいた。彼の言葉に、バロンが小さく頬を掻く。
「えへへ、実はそうなのにゃ。皆にも好評だったのにゃ」
「友チョコという奴じゃな。いいのう、女神様もきっと友チョコが欲しい事じゃろう」
 玄信がにっこりと頬を緩める。恋人が送り合うチョコレートは腹立たしいが、友人同士で送り合う友チョコはいいものだ。
 そんな玄信の隣で、零もラッピングバッグを取り出す。
「自分は日持ちするよう、ブランデーを入れたチョコを作って来ました……さすがに、女神様は未成年ではないですよね?」
「女神像に、未成年も何もない事とは思うがのう……」
 小さく苦笑する表情を表示する零に、玄信が鞄に手を入れながら小さく息を吐いた。
 未成年どころか、数十年、数百年、ここで封印を守ってきたはずだ。心配など無用ということだろう。
 そうして玄信が、小振りなタッパーを計四つ、シートの上に置いて蓋を取った。
「わしからは、これじゃ」
「これは……液体のチョコレートかにゃ?」
 ふわりと漂う甘い香りにニャントが鼻をひくり。玄信が自慢げに両手を腰に置く。
「うむ、キマイラフューチャーにはチョコの泉という、チョコフォンデュ向けのチョコが湧く泉があるんじゃ。しかも、ミルク、ホワイト、苺の三種類の味のな」
「そんな泉があるんですか? まさか玄信さん、その泉に群がるリア充を爆破しに行ったんじゃ」
「違うわ! リア充を爆破する非リア充の怪人を爆破しに行っただけじゃ!」
 訝し気な表情で見てくる零に、玄信が声を張った。キマイラフューチャーで襲ってくる怪人を倒し、チョコの泉を守ったのが昨年の今頃の話だ。すっかりキマイラフューチャーの人気スポットになっているそこに今年も赴き、チョコレート三種を調達してきたのである。
「最後は吾輩にゃ」
 最後、ニャントが取り出してシートの上に置いたそれを、その場にいる全員が不思議そうに見た。
「これは……魚?」
「いや、魚の形をしたチョコレートじゃな」
 都月が首を傾げて、玄信がまじまじとそれを見ながら言う。確かに、丸のままの鯖の形をした、チョコレートだ。
「吾輩愛用の鯖を象った、鯖型チョコにゃ」
 背中に背負う鯖を抜いて掲げながら、ニャントが言った。なるほど、確かに同じ形をしている。
 ニャントが鯖をしまうのを見て、るこるがその場の全員を見回した。
「皆さん、揃いましたかねぇ? でしたら、御祈りを捧げましょうかぁ」
「あ、ちょっと待つにゃ、これもお供えするのにゃ」
 慌てながら、バロンがサンダーソニアのブーケを取り出し、チョコレートの傍らに置くと。皆が、一列に並んで手を合わせた。
「戦争に勝利できますように」
「この世界も他の世界も、なるべく平和でありますように」
「アルダワの平和を願う人々の祈りが届きますように」
「どうかこの戦いが無事に、出来れば怪我少な目に終わりますように」
「皆の願いが叶いますように」
 思い思いに、それぞれの願いを口にする。願いが言葉になっていく。
 最後、締めくくるように、零が手を合わせたまま女神像を見上げた。そうして、にっこり笑いながら言葉を紡ぐ。
「女神様、今までお疲れ様でした。
 二度と一人で寂しい推いをしなくて済むように、魔王は自分達が必ず倒しますので。だから、見守っていてください」
 それを、言い終わった時だ。全員の耳に、柔らかな、優しげな声が聞こえてきた。
「(ありがとうございます……確かに、受け取りました……)」
 その声が聞こえると同時に、お供えしたチョコレートが、ブーケが、淡い光を放った。
 宙に浮かんで、女神像の顔の高さまで持ち上がっていく。
「あっ……」
「チョコレートが……バロンさんのブーケも」
 思わずと言った様子で、都月と千秋が声を上げる。
 そうして、皆の見ている目の前で、お供えされたもの全てが、パチンと弾けるように消えた。後に残るのは、お供え物を置いていたシートだけ。
 両手を離したるこるが、うっすらと目を細めて言った。
「無事に、受け取って貰えたみたいですねぇ?」
「そうだね、よかったよかった!」
 朔もそれに頷いて応える。これで、女神像も満足したはずだ。

●あとは皆で楽しむのです
 お供えで使ったシートをそのままレジャーシート代わりにして、皆で腰を下ろす。
 そうして始まるのは、互いに持ち寄ったチョコレートの交換会だ。
「皆さんに配るために、涙滴型チョコを作ってお持ちしましたよぉ」
「トリュフとガトーショコラ、女神様にお渡ししたものと同じものもあります」
「ボクのクッキーもあるのにゃ!」
「あたしのチョコレートとも交換して!」
「あ、そのチョコ、俺も食べたい……これでいいか?」
 きゃいきゃいとはしゃいで手に手にチョコレートを渡し合う五人。彼等を少し遠巻きにして、一人で黙々と鯖を食べるニャントに、これまた輪から離れていた零と玄信が声をかけた。
「ニャントさんは、いいんですか?」
「そうじゃぞ、わしらはいいが」
 二人の言葉に、ちらりと視線を向けて。ニャントが手に持った鯖を持ち上げた。
「吾輩は、これでいいにゃ」
「背負っていた鯖かの……? じゃが、それはお主の武器ではないのか?」
 自分の武器を食べていいものか、と首を傾げる玄信に、ニャントがこくりと頷いた。
「鮮魚剣法は新鮮な魚出でないと全力を発揮できないのにゃ。この鯖は今日の旧校舎の戦いで活躍した鯖だから、ここで食べるにゃ」
「なるほど……」
 その言葉に、零が声を漏らす後ろでは。残りの面々がチョコレートに舌鼓を打つ声が聞こえてくる。
「るこるさんのチョコ、美味しいー!」
「あ、千秋さんのも美味しい!」
「これも、美味しい……」
 実に楽しそうな会話に、零も玄信も何となくホッとしてくる。後ろをチラリと見て、そっと笑った。
「楽しそうですねぇ、皆さん」
「うむ、仲睦まじいことはいい事なのじゃ」
 その二人の前では、鯖を食べ終わったニャントが立ち上がって服を整える。
 そうして彼は静かに立ち上がり、その場を後にした。
「……帰るにゃ。また新しい鯖を買って、明日から頑張るのにゃ」
 そう、明日から、また皆で頑張らなくては。
 こうして女神さまとの楽しいひとときは、得難いものになっていくのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年02月21日


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種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


挿絵イラスト