それでも私は生きたいんだ。
●都内某所
カメラの回る中、彼女たちは時を待っていた。
自分達はどうなるんだろう?
ここで死んでしまうのだろうか?
諦めが心を支配する中、一人の少女が立ち上がって、その場を去ろうと駆け出す。
けれど……その足首を誰かの手が掴む。
「だめよ」
一緒だった仲間だった。
「私達は一緒よね」
これまで同じ時間を過ごして、そして終わっていくであろう仲間。
「一人だけなんて許さない」
そこには在るのはどんなに澱んだものだろうか?
彼女には想像したくも無かった。
「それでも……」
絞り出すように少女は喉を動かす。
「それでも私は生きたい!」
それは心からの叫びだった。
●グリモアベース
「都内某所にてUDC-Pが確認された、みんなには彼女の回収に行ってもらいたい」
グリモア猟兵、トラガン・ストイコブッチ(ブッチ軍曹・f04410)がマタタビをいぶした水タバコのパイプから口を離すと猟兵へ視線を向けた。
「けど、今回はちょっと問題がいくつかあってな、整理ついでに聞いてくれるとありがたい」
文字通り狭い額をかきながら、グリモア猟兵が踏み台に乗ってホワイトボードに書き込みを始める。
「まず、一点。現場の状況がカメラによってネット中継されようとしている。邪神復活の方法を知ったと思い込んだ信徒が配信によって広く邪神の力を及ばせようと考えている……今ので分かると思うけれど、彼らは嘘の情報を信じ込んでいるので、このままでは子供によろしくない生中継の開始になる。これを食い止める」
書き込みを続けるケットシーが途中で手を止めて、そして深く息を吐く。
「で、もう一点。UDC-Pは『泥人』の少女一名。彼女は恐怖に怯えながらも気丈に運命に抗っている……問題はそこに自分の同胞、つまり『泥人』の少女が純粋に何かの時を待っているってことだ」
踏み台から降りたグリモア猟兵は皆の前に歩み出る。
「つまり……君達は生中継を止めた上で、彼らがやろうとしたことをして、一人のUDC-Pを助けないといけないということだ」
ケットシーがコンパスを開けばグリモアの門が開かれる。
「正直、傷になる。よく考えて動いてくれ。心が決まれば装具を整えて、時計を合わせろ。これが一人の命を救うやり方だ」
みなさわ
生きたいと願ったのは生贄にされるはずの少女でした。
こんにちは、みなさわです。
今回は重めのお話となります。
●目標
UDC-P『泥人』の救出。
●舞台
都内某所、廃ビルの地下室。
嘘の情報を仕入れた邪神の信徒がカメラを回す中、生贄として泥人が大量に集められています。
密室ですが照明は撮影の都合上、多めにあります。
●章進行
第一章:猟兵の皆様には放送を止めていただきます。
第二章:UDC-Pの救出のために『泥人』と戦っていただきます。彼女たちは同胞意識が強く、一人もその場を離れようとはせず、その時を待っています。
UDC-Pを確保しつつ、彼女達をどうするか……方法は猟兵の皆様に委ねます。
第三章:救出したUDC-PをUDC組織に引き渡すに当たって、心のケアなどが必要だと思いますので対処を御願いします。
●その他
マスターページも参考にしていただけたら、幸いです。
それでは皆様、よろしくお願いします。
第1章 冒険
『カメラを止めるんだ!!!』
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POW : カメラを止めろ!
SPD : ネット配信を止めろ!
WIZ : 魔法や魔術で誤魔化せ!
👑11
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●ねえ、おかしいよ?
いびつに描かれた複数の円の中、よくわからない模様の角に当たるところに私達は数人単位で座らされていた。
周りからうるさく響くのは多分、発電機ってやつなのかな? なんかキャンプで使ってるのを聞いたことがある。
「はいはーい、そろそろ放送はっじめるよー!」
のんきな声でサングラスの男が鉄砲を片手に声を上げた。
室内でサングラスっておかしくないのかしら?
隣では太ったお兄さんがパソコンをいじってて、それに応じて周りのカメラについているランプが見ているぞって感じで赤く光ってる。
「ねえ……あたし達、大丈夫よね?」
震える喉を抑えて、何とか隣の子に声をかける。
大丈夫、ずっと一緒にいた友達。
きっとおかしいって言ってくれる。
「大丈夫よ! ワタシタチ、ちゃんとイケルわよ!」
…………。
違う!
違う! ちがう! チガウ!
おかしいよ!
こんなのってないよ!
何のために私達生きてきたの?
死ぬため?
嘘?
違うよ
……ねえ違うと言って!!
少女の叫びは言葉に出ない。
彼女一人を除き、誰もが成功するはずもない儀式の完成を待っていた。
そこには多数の泥人と銃を持った実況を兼ねた監督と機器を操るカメラマン。
違うのはたった一人だけ。
それでも君達は行くのかい?
ナナシ・ナナイ
SPD//UDC-Pかー初めて会うなー。やっぱり仲良う出来るのが一番や。
わいはネット配信を止める為にカメラの前で脱ぐわ!!(【恥ずかしさ耐性】)もし銃で撃たれたら逃げながら脱ぐ。(【逃げ足】)
見よこの戦場で鍛え上げられた無駄のない肉体美を!!わいのセクシィーさで即BANにしてやるで!!
ノエル・キャロル
まずは放送をとめなくちゃいけないのね!
ネット中継をしているって事は、無線か有線かわからないけれどパソコンに繋がってインターネットに接続されているんじゃないかしら
泥人はカメラに、信徒とカメラは泥人達に注目していると思うので、足元や暗い場所はきっとあると思うの
精巧な形は無理だけど細かったり平べったくなって伸びていくなら私にも出来る筈、死角になるような現場の床や壁際を這うように伸びてパソコン機器に近づくわ
ケーブルを抜いちゃったりすれば配信もとまるわよね
直ぐに戻されるだろうけど何度も繰り返せば足止めや時間稼ぎになるし邪魔者に気付いて排除を優先しようと一端中止するかも
見つかりそうなら素早く戻って隠れるわ
●なんか変だな? いや、変な奴がいるぞ!?
発端はちょっとしたアクシデントだった。
「……ん?」
パソコンを弄っていた太めの男が回線が途絶しているのに気付き、モバイルWi-Fiへ視線を落とす。
何故か、先程まで動いていたはずのモバイルルーターの電源が落ちているのを見つけた男は監督へ向かって、ストップとサインを送る。
「おいおい、そろそろ放送が始まってしまうんだぞ?」
「すみません、なんか回線の調子が今一つで……もう一度再起動してみますね」
銃を持った焦れる男に頭を下げながらも再起動したルーターで再度接続を試みる。
だが、繋がらない。
視線を再び落とせば、有線でつないでいたのに、今度はUSBケーブルが外れている。
「なんだぁ……」
太った男がケーブルに触れた時にぬめった感触が指に伝わった。
なんだこれはと思い、ふと足元に視線を落とせば、少女を模った黒い何かが居た。
「ひぃいいい!」
「うるさい! どうした!」
悲鳴を上げる男に対して、監督が散弾銃を片手に怒鳴りつける。
「なんか! なんか黒い女の子が!」
「泥人の仲間か!」
銃を構えて監督が近づけば、サングラス越しに見える視線には黒い染みが点々と。
「邪魔者がいるのか……他の教徒の奴か?」
染みを追うように猟銃を動かした先にはノエル・キャロル(お姫様見習い・f04794)を庇うように裸の男が立っていた。
「「変態だー!!」」
「悪いがその中継、即BANにしてやるで」
男たちが叫ぶ中、全裸のナナシ・ナナイ(ナニワのマンハンター・f00913)が股間の突撃銃をBANしようものなら、太った男はそっとカメラのスイッチを切ろうとして……。
「いや、止めるなよ!」
監督が嗜めて、猟銃の引鉄を引く。
「見よこの戦場で鍛え上げられた無駄のない肉体美を!!」
ナナシがバックステップで逃げる中、猟銃を持ったサングラスの男はさらにもう一発。
そこからバレルをずらして、銃身から空の薬莢を抜き取れば新しい散弾を装填し、狙いを定める。
「ちょ……話を聞いてや!」
「ここに潜入した奴が話すわけないだろ!」
監督が怒鳴った。
そりゃそうだ。それに少なくとも、BAN狙う奴は普通バンされると思うよ。
だって邪神降臨の儀式だもの、やる方は一生懸命、邪魔者は排除したい。
さらに二発、散弾をぶちまければ、全裸の変態は消え、現場は混乱の様を見せ始めた。
ところで……覚悟はできたかい?
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
●襲撃にそなえろ!
銃撃を聞きつけ、複数の足音が響くと男達が数人入ってきた。
「監督、何かありましたか?」
男の一人が問いかける。
見れば片手に猟銃、他の男達も同じように武装していた。
「何者かに潜入された、出来れば放送前になんとかしたい、それと……」
監督と呼ばれたサングラスの男の視線が泥人の少女へと注がれる。
「彼女達にも自分がどうなるかを一度、見せておいた方が良いと思うんだ」
目の前の少女たちは落ち着きを取り戻すと笑い始めていた。
……一人を除いて。
リューイン・ランサード
ひかるさん(f07833)と
依頼の話を聞いた時、生きたいと願う彼女を助けたいと思った。
自分の経験で言っても生きていく上で苦しい事は多い。
だけど楽しい事もあるし、人と触れ合う中で暖かくて幸せな想いが生まれる事も有ります(と思いつつ、ひかるさんを見る)。
なので泥人の少女にも機会を与えられたらと思いました。
ひかるさんの行動と合わせ、UCでスズメバチの大群を創造。
邪神の信徒は覚悟決めてない連中だと思うので、基本的には威嚇に止めますが、止まらない信徒は毒針で刺して無力化し、リューインは発電機を壊す
他の泥人の少女には「世の中、楽しい事は沢山あります。それが見つかる迄、生贄になるのは保留しませんか」と提案
荒谷・ひかる
リューインおにいさん(f13950)と
何のために生まれて、何を成し遂げて死んでいくのか。
それを決めるのは、結局は自分自身の意思なんだよ。
その選択をできるようにするためにも、力を貸してあげなくちゃ。
【本気の光の精霊さん】発動
杖にはめ込まれた精霊石を光の花弁と化し、室内を覆い尽くす程の勢いで放つ
可能であれば撮影機器のみを狙って一気に破壊
巻き込み等でダメそうなら、ダメージの無い光の花弁をひたすらに舞わせる
強烈な光を放ち続ける花弁を室内で舞わせれば、撮影した画像はホワイトアウトしてほとんど何も映らないはず
その隙におにいさんや他の猟兵のみんなに中を制圧してもらうんだよ
●それはほんとうにたのしいの?
――何のために生まれて、何を成し遂げて死んでいくのか。それを決めるのは、結局は自分自身の意思。
荒谷・ひかる(精霊ふれんず癒し系・f07833)の心は決まっていた。
その選択をできるようにするためにも、力を貸したいと!
そしてそれはリューイン・ランサード(竜の雛・f13950)にとっても同じものであった。
生きたいと願う少女を助けたいと思い、生きていく上で苦しい事は多いけれど暖かくて幸せな想いが生まれる事も有ると傍らのひかるへ視線を向ける。
彼女が頷けば、リューインの心は決まった。
――泥人の少女にも機会を与えたいと!
まず最初に動いたのはひかるであった。
杖にはめ込まれた精霊石を光の花弁と化し、室内を覆い尽くす程の勢いで放てば、それは閃光となりて周囲を眩い光の檻へと閉じ込める。
たちまち、泥人を除くすべての男達の眼を焼き、視界を幻惑させた。
「リューインさん!」
羅刹の巫女の声に竜の雛が応え、想像するのはスズメバチの巣。
創造された巣より飛来する蜂の大群が今度は男達へと襲い掛かる。
「この……!」
咄嗟に猟銃を構える男の一人。
雀蜂は迷うことなく、その男に群がると次々と針を刺し、蜂毒を以って彼を無力化した。
倒れ行く男、その横をリューインが走った。
狙うは、発電機。
けたたましく動くジェネレーターへ近づけば片足を上げる。
何せガソリン発電機、下手に壊せば気化した燃料が被害を増やす。
故に物理的破壊はリスクが大きい。
ならばどうするか?
簡単だ、蹴っ飛ばしてひっくり返せばいい。
そうすれば耐震装置が作動して機械は動きを止める。
勢いが乗った靴底が鋼鉄の塊へヒットすれば、それは二転三転と転がり、エンジンを停止する。たちまちいくつかの照明が落ちた。
「ねえ」
ひかるが薄暗くなった魔法陣の中に足を踏み入れ、泥人達へ問う。
「このままでいいの?」
次に提案するのは竜の雛。
「世の中、楽しい事は沢山あります。それが見つかる迄、生贄になるのは保留しませんか」
それは人としては正しい事で正しい言葉なのかもしれない。
けれど……。
「それは本当に楽しいの?」
泥人が問う。
「私達は生贄になるために生まれてきたの。他にどんな生き方が出来るの?」
見せつける様に掲げた手は飴細工のように溶けている。
それは彼女たちにとってはアイデンティティに等しいものであった。
「見つかるまでって、もう私達はみつけちゃったの、ごめんね!」
笑顔を見せる、他の泥人。
その後ろで一人の泥人だけが視線を猟兵から逸らした。
彼女達は待っていた、来るべき時を。
彼女達は既に選択をしていた、この機会を。
そして今がその時だった。
ねえ……覚悟はできたかい?
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
カタリナ・エスペランサ
生きたいって想いに間違いなんてないよ
キミの願いは確かに聞き届けた
《威厳+存在感》と共に乱入して《おびき寄せ》た信徒の意識を《歌唱+精神攻撃+ハッキング+催眠術》の歌声で支配して無力化。出来れば彼らも殺傷じゃなく拘束してUDC組織に引き渡したいな
配信の妨害にはUC【架空神権】を発動。黒風で地下室の構造を侵蝕、電波を遮断する素材に作り変えよう
他の撮影機材も同様に黒風で干渉・無効化だね
敵の反撃があれば《見切り》、この段階から保護対象を《庇う》事を意識して動くよ
さて……全員救えるのが最善ではあるけれど
オブリビオン、未来無き過去の亡霊はそうもいかないね
せめて安らかな眠りで終わらせる為に次の戦いに備えよう
冴木・蜜
一人でも救える者が居るのなら
私は其処へ赴きましょう
『偽薬』を使用の上
体内毒を濃縮
身体を液状化し
信徒達の視界に入らぬよう
天井を這い
カメラの上に位置取りましょう
他の猟兵が事を起こし
信徒達の注意がそちらに向いたら
天井から一気にカメラの上に落ち
溶けた腕で触れ
一気に溶かし落とします
物理的に溶かしてしまえば
配信は出来ないでしょう?
信徒たちは触れて溶かさないよう気を付けつつ
取り出した麻酔銃で撃ち抜き
眠って頂きましょう
撃たれたら液状化し衝撃を殺します
生き物はいずれ死に逝く
それでも
死ぬためだけに存在している命は無い
彼女が生きたいと願うのなら
私はその手を取りたい
たとえそれで私の手が汚れるとしても
私は構わない
●生きたいというのならどうしますか?
誰もが同じ思いではない。
それは猟兵という集団である以上当然のことだ。
けれど、誰かを助けたいという思いは皆、共通だった。
その為に彼らは集ったのだから。
光が消えれば、次は黒い風が猛威を振るう。
現れるのは威厳と存在感を兼ね備えたカタリナ・エスペランサ(閃風の舞手(ナフティ・フェザー)・f21100)という存在。
その歌声が男達の鼓膜を刺激すれば、心を揺らし、その手から武器を落とさせる。
勿論、それだけでは終わらない。
吹き荒れる黒い風は物理法則を変えるユーベルコード。
地下室の構造を変えてしまえば電波を遮断、無線による通信を不可能とし、配信の手段を封じる。
そこへ、黒い雨が降った。
正確にはそれは雨ではなかった。
確かに液体ではあったが、粘度があり、そしてカメラを溶かす。
「ひっ……なんだ、これ!?」
「物理的に溶かしてしまえば、配信は出来ないでしょう?」
猟銃を持った男の問いに黒い液体が形を成して紫の光を宿せば、言葉を紡ぐ。
そこにいるのは冴木・蜜(天賦の薬・f15222)という名の酸毒。
文字通り降って現れた存在に対し、男は猟銃の引鉄へと指をかける。
火薬の爆発する音。
直後、蜜の身体が溶けた飴が何かを呑み込むが如く散弾を受けとめ、衝撃を殺すと、足元へと鋼球を一つ、また一つと零していく。
いびつな王冠のような形を成していた毒の手が、人のそれに戻れば、取り出した麻酔銃の引鉄に力を込める。
銃声が鳴り、男が一人、今度は薬によって倒れた。
カタリナと蜜、二人の視線が泥人達へと注がれる。
生き物はいずれ死に逝く。
それでも……死ぬためだけに存在している命は無い。
それなのに……
紫の瞳が死ぬために生きていた命へ注がれる。
――けれど生きたいって想いに間違いなんてない。
ピンクの双眸が一人、陰で震える少女を捉える。
――もし彼女が生きたいと願うのなら、私はその手を取りたい。
蜜も視線を一人の少女へと送り。
たとえそれで私の手が汚れるとしても……。
せめて安らかな眠りで終わらせる為に……・
二人へ集団へと視線を注ぎ
「私は構わない」
「次の戦いへと」
そして言葉が重なった。
彼女達は覚悟など、とうに済ませていた。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
芦屋・晴久
【主従コンビ】
アドリブ・連携お任せ
やれやれ、何時の時代、何処の世界に限らず妄信とは怖い物ですね。
御魂、彼等はあくまで人間……無力化を狙いますよ。
私が霊力を貸します、貴女が処置してみせなさい。
連れの式神に力を渡し、己は魔法陣の制御に集中。
屋内という事でピンポイントで麻酔術式を発動させカメラマン、監督等、撮影側の者達の自律神経を奪わせて頂きましょう。御魂ではまだそこまでの制御は難しい、私が補助致します。
全く、同じサングラスを着用する者として恥ずかしい。私の様に誠実さも出していかねばその格好は怪しいだけで終わってしまいますよ?……それでは、おやすみなさい。
式神・御魂
【主従コンビ】
アドリブ・連携お任せ
なんでも、過ぎるのは怖い事……自分の思いを押し付けるだけ、なのは信じる、とは違う……
霊力同調……晴久の霊力と合わせて、あのサングラス達、に、狙いを絞って麻酔術式を、展開するよ……
狭い、室内……陣を展開すると他の人も、巻き込んじゃうかも、しれないから狙う人それぞれに麻酔をかけます……
全て終わるまで……貴方達は、ここでおやすみ……
晴久、霊力足りない……もっと寄越せ……術式が完成したらお前(晴久)はもういい……あの機械、念の為動かせないように、どかしてきて……
ノエル・マレット
UDC-Pの少女ですね。
生きたいと、そう願うのであれば。必ず。
……もっとも、一筋縄ではいかない状況のようですが。
とにかく中継を止めなくてはですね。
儀式に必要だというのならば私達が突入しても保護対象が危険に晒される可能性は低いはず。
儀式が完遂する前に死なれては彼らも困るでしょうからね。
それに彼らの認識はあくまで邪神復活を止めに来た邪魔者、でしょうから。
現場に突入。念の為保護対象が余波に巻き込まれないよう[存在感]で信徒を引きつけつつ銃撃は『アルケー』で受けます。
【煌桜の焔】発動。カメラの破壊と信徒への牽制を。隙ができたらこう……みぞおちの辺りを。グーで。気絶させます。
●さあ、覚悟はできたかい?
回線が切断され放送機材が破壊されれば、後は男達を無力化のみ。
それを目的に動く者が機を見極め、地下室の中へと突入する。
「やれやれ、何時の時代、何処の世界に限らず妄信とは怖い物ですね」
「なんでも、過ぎるのは怖い事……自分の思いを押し付けるだけ、なのは信じる、とは違う……」
芦屋・晴久(謎に包まれた怪しき医師・f00321)の言葉を継ぐように召喚陣より現れた式神・御魂(ひとりぼっち・f23720)が一人、想いを吐露する。
そんな式神の様子に心の中で笑みを浮かべ、晴久は御魂との霊力のチャンネルを合わせていく。
「御魂、彼等はあくまで人間……無力化を狙いますよ」
式神が頷けば、医師は召喚陣の維持と霊力の同調に力を注ぎはじめる。
「私が霊力を貸します、貴女が処置してみせなさい」
「わかった……」
主の言葉に御魂も頷き、授かった霊力を以って術式麻酔を組み上げる。
「全て終わるまで……貴方達は、ここでおやすみ……」
「な……」
警戒していた男達が銃を構えるも、すぐにそれは床に落ちて金属音を響かせた。
「晴久、霊力足りない……もっと寄越せ……」
さらに力を求める、式神。
泥人達を傷つけずに麻酔術式を放つには小さくも精度の高い魔法陣とそれを練り上げる高い霊力を必要。
晴久が言うがままに力を預ければ、術式は弾丸となりて、男達を次々と暗い意識の海へと沈めていった。
この混乱の中、泥人の安全はというと他の猟兵達が確保していた。
――だが被害が及ぶ可能性は薄いだろう。
ノエル・マレット(誰かの騎士・f20094)はそう踏んでいた。
理由は簡単だ。
彼女達が儀式に必要な生贄であり、人質ではない。
故に危険に晒される可能性は低く、誰かがついていれば流れ弾の心配も少なくなる。
ならば自分達は男達の排除に専念すれば良いのだ。
盾を構え、自らの存在をアピールしつつ飛び込む騎士。
直後、盾を構えた腕に衝撃が伝わった。
サングラスの男が放った猟銃の一撃だ。
貫通力はなくとも面に伝わる打撃力に一歩、足が止まるがそれでも床を蹴り、走り抜く。
――ノエルが走り去った後に桜が舞う。
いや、それは桜ではなく炎。
煌桜の焔という名の炎の花。
熱を持った花弁が残ったパソコンを焼き、回線を溶かし、監督と呼ばれた男の動きを止めれてしまえば、重たい音が響き、その鳩尾へ騎士の拳が手首までめり込んでいた。
「全く、同じサングラスを着用する者として恥ずかしい」
倒れ行くサングラスの男へ語り掛けるようにサングラスの医師が呟く。
「私の様に誠実さも出していかねばその格好は怪しいだけで終わってしまいますよ?」
薄れゆく意識の中、監督と呼ばれた男は反論の声を上げたかったが脳への血流が途絶え――
「……それでは、おやすみなさい」
闇へと意識を沈めた。
「お前はもういい……あの機械、念の為動かせないように、どかしてきて……」
倒れ行く男を一瞥し、御魂が口を開くと晴久は残った機材を排除するために踵を返した。
その間にノエルの視線は泥人へと。
そこにあるのは興味と願望、そして救いの祈り。
――生きたいと、そう願うのであれば。必ず。
騎士が一人の少女へ向かって頷き、そして……。
――もっとも、一筋縄ではいかない状況の……だけど!
覚悟を決めた。
時間となった、皆様、準備は終わったかい?
成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
第2章 集団戦
『泥人』
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POW : 痛いのはやめてくださいぃ…………
見えない【透明な体組織 】を放ち、遠距離の対象を攻撃する。遠隔地の物を掴んで動かしたり、精密に操作する事も可能。
SPD : 悪いことはダメです!!
【空回る正義感 】【空回る責任感】【悪人の嘘を真に受けた純粋さ】を宿し超強化する。強力だが、自身は呪縛、流血、毒のいずれかの代償を受ける。
WIZ : 誰か助けて!!
戦闘用の、自身と同じ強さの【お友達 】と【ご近所さん】を召喚する。ただし自身は戦えず、自身が傷を受けると解除。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴
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●せめて最後はあたしたちらしく。
騒動は終わり、泥人達は保護……
「駄目よ」
を拒んだ。
その手に持つのは男達が持った猟銃。
引鉄なんて引いたことが無い、震える指を金属にかけながら泥人の一人が言った。
「儀式を行わないと」
「私達はその為に生きてきた」
「それが嘘だなんて言わせない」
震える声に潜む強い意志。
盲信故の蛮勇さなのか。
けれど、けれど……
「ねえ、貴方は今まで信じていたことが嘘だったり否定されたりして、明日から生きていける?」
少女達は勇気を出して告白した。
「ちがう!」
――一人を除いて。
「これ違う! こんなの違う! 私達……普通に生きていけるよ!」
叫んだ少女が飛び出し、泥人達へと向かい合った。
「そうでしょ? ねえ、そうでしょ?」
それは願いであった。
自分がそうであるように、みんなもそうであってほしかった。
けれども……。
「こんな身体でも?」
銃を持った泥人の腕が溶ける。
「貴方達が倒してくれた男の人が教えてくれた」
「私達は人間じゃないって」
「じゃあ、私達はどうなるの? 漫画やアニメだと滅んじゃうよね」
「だから、私達も死ぬの」
届かない心の壁に遮られ、少女がその場にへたり込む。
「だから……」
泥人が少女に銃を向ける。
「一緒に死のう。『あたしたち』らしく」
一人と多数。
生と死。
希望と願望。
色んな言葉があるかもしれない。
けれども一つの事実はある。
このままだと少女は死ぬ。
もう猶予はない。
ナナシ・ナナイ
あー寒かった。やっぱ服は文化の極みやで~。
ほらほら、そんな物騒なもんしまいや。それはおいそれと人に向けてええもんとちゃうで。
わいはUDC-P…ぴーちゃんと他の娘達の間で盾になるわ。
ぴーちゃんどうする?自分助けるんは確定として、この娘らはどうしたらええ?わいは傭兵、金次第で何でもするで。それにかわええ娘のお代は100%オフや!ぴーちゃんはどうしたいん?(【コミュ力】)
どっちにしろ素人相手に撃つんは気分悪いからぴーちゃんの盾になりながら突撃銃型アサルトウェポンの銃床で殴って気絶させていくわ。
世界は広い、あと多い。もうちいと世界を知ってから自分らしさを決めてもええと思うで。
●言葉は遠く、届くことなく
「ほらほら、そんな物騒なもんしまいや。それはおいそれと人に向けてええもんとちゃうで」
ナナシ・ナナイがまず前に立った。
けど、泥人達は銃を下そうとしない。
当然である、彼女達はいかなる方法を以っても死に至ろうと行動しているのだ。
猟銃だって武器になる。
自分を撃つことも出来るし、強い相手に向ければ、反撃によって死を得る機会が増えるだろう。
ナナシが泥人達の想いを受けとめているかは本人だけが知る。
けれど盾であろうと動きはした。
一人、生きようとした少女と泥人の間に立ち、へたり込む生者へ視線を向け問いかける。
「ぴーちゃんどうする? 自分助けるんは確定として、この娘らはどうしたらええ? わいは傭兵、金次第で何でもするで。それにかわええ娘のお代は100%オフや! ぴーちゃんはどうしたいん?」
「私は……」
少女は口ごもり、俯く。
この状況から抜け出そうとした少女に重いものがのしかかる。
それは生きる事よりも酷であったかもしれない。
けれど……勇気をもって少女は震える唇を動かした。
「私は……ぴーちゃんじゃない! ちゃんと名前がある! ペットみたいに扱わないで!」
拒絶。
そこに居るのは一人の少女。
思考し、恐怖し、勇気を持ち、生きたいと願う者。
例えUDC-Pであろうと、それは人と変わらない。
だからこそ、拒絶を選んだ。
答えを返すことが出来ないナナシ、その機会を逃さず泥人達が少女を殺そうと手を伸ばす。
「く……!」
さすがに銃で撃つ気分になれなかった、傭兵は銃床で泥の少女達を殴りつけ、気絶させていく。
「世界は広い、あと多い。もうちいと世界を知ってから自分らしさを決めてもええと思うで……」
けれど、その言葉が届く事はないともう気づいていた。
そして気絶させた少女がこの後、どのような道を選ぶことも……。
苦戦
🔵🔴🔴
ノエル・マレット
アドリブ大歓迎
保護対象と彼女達の間に入ります。
彼女を背にして攻撃はアルケーによる盾受けとオーラ防御で対処。こちらからは手を出さず彼女達に訴えかけます。
UDC-Pがどうやって発生するのかなんて知らない。
私は何の意味も無い事をしているのかもしれない。
いや、それどころか酷く残酷なことなのかも。
でも、『彼女』は生きたいと願ったのだから。
もし、『彼女達』にも可能性があるのなら。
この私は。叫ばずにはいられないのだ。
――貴方達も、生きてほしいと。
死ぬ為に生きてきたなんて、言わないでほしいと。
それでも。それでも届かないのならば。
せめて、痛みなく。
●あなた、やさしいのね
混乱の最中、ノエル・マレットが少女を守る様に盾を構える。
そこへ一人の泥人が近づいてきた。
「…………」
「…………」
互いが沈黙する中、先に口を開いたのは騎士の方。
UDC-Pがどうやって発生するのかなんてノエルは知らない。
彼女は何の意味も無い事をしているのかもしれない。
いや、それどころか酷く残酷なことなのかも。でも、『少女』は生きたいと願ったのだから。
もし、『泥人達』にも可能性があるのなら……。
騎士は――ノエル・マレットという一人の人間は叫ばずにはいられなかった。
「――貴方達も、生きてほしい」
――と。
「死ぬ為に生きてきたなんて、言わないでほしい!」
……と。
彼女の言葉に泥人は笑みを見せた。
「ありがとう、やさしいわね」
それは自分達を心配することに対しての感謝の言葉だったかもしれない。
だからこそ……。
「本当は貴女みたいな人に殺してほしかった。でも、そう言ってくれるなら――」
泥人の指が引鉄に掛かる。
「――よせ!」
「貴女に私達を殺させたくないわ」
直後、盾に衝撃が伝わり、猟銃を持った泥人は跳弾を受けて骸と化した。
「……みんな、よすんだ」
一人の泥人が倒れたのを見て、他の泥人も猟銃を携えてやってくる。
――騎士の手を汚させないために。
けれど、ノエルはそんな死に方を黙ってみていることは出来なかった。
だからこそ魔法剣ルケイオスが紅へと変り、一閃、煌めけば、泥人達は救われたような笑顔をみせて息絶える。
「――本当に」
剣を振り、血を払い、騎士は振り向き、自らが成したことを目に焼き付ける。
「なんて、偽善者」
その剣技は傲慢の剣と呼ばれていた、けれど彼女達には救いの剣でもあった。
ノエル・マレットはその剣の重さを忘れることが出来ないかもしれない……けれどそれは彼女の問題。
これ以上の事を記す資格は誰にも無かった。
成功
🔵🔵🔴
リューイン・ランサード
ひかるさん(f07833)と
ビームシールドの【盾受け&かばう】で少女を護り、ひかるさんのUCによる空間内で泥人さん達を説得。
説得が難しいのは百も承知。
ここは『大阪のおばちゃん』戦法で一人でも多く翻意させる事を目指す。
所持する美味しいお菓子を取り出し、「これでも食べて落ち着いて下さい。」と少女に渡して食べさせる。
少女が食べた時、少しでも反応した泥人達に「お一つどうぞ。」とお菓子を渡し、「僕達みたいに、翼や尻尾や角が有ったり、全身粘液の猟兵でも普通に暮らしています。貴女達だって普通に暮らせますよ。」と誘う。
相手の話は基本聞かずに、こちらのペースに巻き込む。
説得不能な相手はやむを得ずUCで纏めて攻撃
荒谷・ひかる
リューインおにいさん(f13950)と
【精霊さんのくつろぎ空間】を発動
泥人達を少しでも落ち着かせ、会話できる状態に
……あの人達はあなた達が希望を持つことは都合が悪かった
だから、貴女達はそんな絶望的な作品しか見せられてないの
確かに貴女達がこの世界で「普通」に生きていくのはとても困難だと思う
でもね、普通じゃないなら普通じゃないなりに生きていく道は沢山あるんだよ
(二人で説得してそれでもダメなら最後の警告)
……それでも、どうしても死にたいというのなら
ここでわたしが殺してあげる
でも、生きたいというこの子まで連れていく事だけは、絶対に許さない!
(風圧弾を籠めた精霊銃を向け威嚇、いざとなれば発砲も辞さない)
●わたしたちは普通に生きて終わりたい
暗く、澱んだ血の臭いが漂う密室の空気が変わる。
荒谷・ひかるの願いに応えた精霊が草木の香り溢れる爽やかな微風で室内の澱みを洗い流し、その場に居た全ての人間の緊張を緩めていく。
そう、泥人も。
「やっと話せますね」
ひかるが笑みを浮かべれば泥人の構えた銃口が下を向き始める。
敵意が幾分収まったと見た精霊の友は、言葉を選び、慎重に語り掛ける。
「……あの人達はあなた達が希望を持つことは都合が悪かった。だから、貴女達はそんな絶望的な作品しか見せられてないの」
作品という言葉に緊張の糸が張り詰める。
だが、それでもなお泥の少女は耳を傾ける意思を見せる。善意を拒絶する理由は無いのだから。
「確かに貴女達がこの世界で『普通』に生きていくのはとても困難だと思う。でもね、普通じゃないなら普通じゃないなりに生きていく道は沢山あるんだよ」
「普通じゃない生き方……」
泥人の一人が呟き、そして頭を振る。
「ごめんね、私は普通に生きていたい。普通じゃない人生は怖い、広い世界を知る勇気より、あたしらしく生きたい。それに……」
銃口が動いた。
「これでも食べて落ち着いて下さい」
少女を庇うように立ちながら、リューイン・ランサードが少女に菓子を渡す。
先程まで猟兵を拒絶していたUDC-Pと呼ばれる泥人もユーベルコードが紡ぎだす空気と自らを盾にする者の姿に警戒をやわらげ、菓子を取る。
その姿を見た泥人達も銃を下げ、様子を見守る。
「お一つどうぞ」
「え、いや……」
拒む泥の少女へ菓子を手渡して、竜の雛は言葉を続ける。
「僕達みたいに、翼や尻尾や角が有ったり、全身粘液の猟兵でも普通に暮らしています。貴女達だって普通に暮らせますよ」
「いや、違う……」
「大丈夫ですよ」
「だから……」
相手の話を聞かず、自分のペースに巻き込もうと会話を試みるリューイン。
だが、一発の銃声がそれを遮り、竜の雛はその身を飛沫で汚すことになった。
「貴方達は私達の言葉なんて、何も聞いてくれなかった! 広い世界! 楽しい事! そんな言葉ばかりで何も聞かないくせに! 普通って何よ! 普通じゃないって何よ! 貴女は普通じゃない生活と言ってるのに、もう一人は普通の生活って……ウソばっかりじゃない!!」
紫煙立ち上る猟銃を持って、肩で息をするように泥人が声を絞り出した。
「改めて言うね……」
泥の少女の頬に流れるものが一つ、そして二つ。
「私達は――」
例え歪んだ倫理の持ち主でも、心があり、感情があり、名前がある、だから――
「普通に生きて終わりたい」
涙と共に人は決裂する。
ひかるは眼を閉じ、頭を振る。
リューインが気遣うように近寄り、肩に手を触れるが精霊の友は自らの手を重ねて、そして首を振った。
「……それでも、どうしても死にたいというのなら」
ひかるが決意を弾丸に込めて精霊銃を構える。
「ここでわたしが殺してあげる。でも、生きたいというこの子まで連れていく事だけは、絶対に許さない!」
「……ありがとう」
先程まで泣いていた泥の少女が猟銃を構えた。
直後、精霊銃の引鉄が引かれて反動が伝わると、人が一人、泥になった。
その様子を見た泥人達が銃を持ち、次々と殺到する。
だが二百を超える光線が泥の少女達を呑み込み、迫る者を残らず消していく。
「…………」
光を放った竜の雛は何も言わない。
実際は何も言えなかったのかもしれない。
けれど、ひかる一人に負担を負わせる気は無かった。
光が走る度にやるせない思いだけが、胸を刺す。
それでもリューインが手を休めることは無かった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
ノエル・キャロル
「それはダメ!」
間に割り込むように飛び込んで詠唱無しUC発動
魔術的に泥の体を茨が物理的に銃を絡めて封じるわ
「私も、誰に嘘と言われても大事なことなら信じるわ」
自分も人間だと信じ、お姫様になりたいと思った事、それは今でも諦めてないもの
「でもそれならこっちのお姉さんの信じた事も否定したらダメ!」
風の魔法で吹き飛ばして距離を取るわ。絶対に傷つけさせない!
Pのお姉さんには
「大丈夫、この世界には人じゃないヒトと仲良くしている人間さんもいるわ、私見たもの、それに」
お姉さん私より人間さんの姿上手だわ、羨ましい。と二本足のPさんに照れながらウィンクしてスカートの裾から生える無数の触手を揺らめかせるわ
●あなたの方がにんげんらしい
行き場のないすれ違い。
届かない想い。
それでも通じ合う心はある。
「それはダメ!」
ノエル・キャロルが叫び、ユーベルコードで編まれた茨を飛ばすと、泥人の身体が締め上げられ、銃は絡みつき床に転がる。
「私も、誰に嘘と言われても大事なことなら信じるわ」
今にも崩れそうな黒い手で茨を掴み、お姫様になりたい少女が泥の少女たちに理解を示す。
「でもそれならこっちのお姉さんの信じた事も否定したらダメ!」
互いの意志を尊重し、同胞へと引きずり込もうとする泥人へ毅然とした態度を取るノエル。
彼女の吹かせた風は荒々しくはないが、尊厳を守ろうとする強い意志があった。
「あ……ありがとう」
ノエルの姿にこれからを生きようしながらも猟兵を拒絶していた少女がようやく言葉を口にする。
「大丈夫?」
お姫様が笑顔を見せる。
「えっと……この世界には人じゃないヒトと仲良くしている人間さんもいるわ、私見たもの、それに――」
そっとノエルがスカートを抓んで、裾を上げれば見えるのは脚代わりの無数の触手。
人に憧れ、お姫様に憧れ、そうで在ろうとして、まだまだ届かないその姿を見せながら片目を閉じ。
「お姉さん私より人間さんの姿上手だわ、羨ましい」
その姿に少女はおそらく初めて人に向かって心からの笑みを浮かべた。
「もっと練習が必要ね。いっぱい、いっぱい、イメージしないと」
「大変そう……でも、頑張るわ!」
生きることを選んだ少女の言葉にお姫様になりたい少女は笑みも返し、そして応えた。
その日、また一歩。
ノエル・キャロルは人へ近づいた。
大成功
🔵🔵🔵
カタリナ・エスペランサ
生きる理由や意味なら新しく見つければいい
人間でなくても人間らしく生きる事は出来る。それを助けてくれる人たちも居る事だしね
ただ……オブリビオンなら、取り返しのつかない事になる前に骸の海へ還さないといけない。結局のところ、そういう話さ
さて、とても気は進まないけれどこれも餞別代わりだ
UC【堕聖の偶像】を使って夢魔に変身。この姿と視線、そして声の全てが相手の意思を絡めとる《催眠術》として作用する
一度アタシの歌を聴いた泥人たちには猶の事有効なんじゃないかな
泥人たちの責任感、苦痛、恐怖を《精神攻撃+誘惑+ハッキング》で奪い取って幻術の平穏に堕とそう
最後は《暗殺》で一人一人確実に、夢を見せたまま葬っていくよ
冴木・蜜
人間でないから、か……
人でなければ生きてはいけない訳ではないのに
戦闘は専門家がいらっしゃるでしょう
敵との戦闘はお任せして保護を優先
彼女の傍についてあらゆる攻撃から守りましょう
体内毒を濃縮し
身体を液状化
他の猟兵に注意が向いている隙に
目立たなさを活かして
地面を這い進み
最短距離で彼女の下へ
何らかの攻撃を受けそうであれば
間に割って入り
身を挺して庇います
攻撃は体を液状化し衝撃を殺しましょう
庇ったらそのまま包囲網で特に手薄な場所を狙い
出来る限り彼女を集団から引き離します
行く手を阻むなら
溶けた毒腕で相手に触れ
黒血で融かし落としましょう
どうか苦しまず
眠るように逝けますように
●おやすみなさい
猟銃は全て床に転がった。
けれども泥人達は血の涙を流し、自らを強化してでも、少女を自らと同じ道へ歩ませようと一歩、また一歩と進んでいく。
「生きる理由や意味なら新しく見つければいい」
カタリナ・エスペランサのピンクの瞳に翳りが見えるなら、それは憐憫という名の絵の具であろう。
「人間でなくても人間らしく生きる事は出来る。それを助けてくれる人たちも居る事だしね」
少女へ一瞬のみ視線を送れば、また泥の少女達を見る。
「ただ……オブリビオンなら、取り返しのつかない事になる前に骸の海へ還さないといけない。結局のところ、そういう話さ」
人々に希望を――未来へ進む活力を与えたいと願った人狼は決意と共に髪を解いた。
「さて、とても気は進まないけれどこれも餞別代わりだ」
魅了の権能を解放した夢魔が優しく、深く、甘い声で夢の世界へと泥人を誘う。
それはカタリナに出来る精一杯。
泥の少女から責任感、苦痛、恐怖といった感情を奪い取り、心安らかな眠りへと導く。
「やめて……」
「私から……とらないで……」
次々と倒れ行く泥人達。
けれど、耐えようとするものも居る。
自分達が自分達であろうとするために、溶けかかる手を少女へと伸ばせば。
「人間でないから、か……」
目の前に現れた液状のモノが泥人の手を絡み取り、濃縮した毒が腕を溶かした。
「人でなければ生きてはいけない訳ではないのに」
「あ……ああっ!」
無くなった手を抑え、膝を着く泥の少女を見下ろし、冴木・蜜は呟いた。
腕を失い苦しむ泥人。
カタリナの夢で苦痛は取り除かれるだろうが、それでも今、痛み苦しむ姿を見ると、心に刺さる物がある。。
「どうか苦しまず」
蜜が自らの掌を泥の少女の頭に乗せれば、黒き血が人を溶かし、汚泥へと変えていく。
「眠るように逝けますように」
誰かを救いたかった手、救えると信じた毒の身体。
それが人を殺す。
おそらくは救えたであろう。
ただ、それは彼が望んだものであるかは分からない……。
全ての泥人が眠りにつき、静寂が訪れた。
カタリナが白衣を纏った死毒へと頷けば、蜜は一人生き残った少女を連れて、外へと連れ出す。
生きようとした少女は目を閉じ、両手で耳を塞ぎ、誘われるように外へと歩いていった。
これから起こる事、自分と道を違えたかつての同胞の行く先を知るが故に。
密室の中で、泥人という存在が一人、また一人と消えていく。
――全てが泥に還るまで。
……おやすみなさい。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
第3章 日常
『UDC-P対処マニュアル』
|
POW : UDC-Pの危険な難点に体力や気合、ユーベルコードで耐えながら対処法のヒントを探す
SPD : 超高速演算や鋭い観察眼によって、UDC-Pへの特性を導き出す
WIZ : UDC-Pと出来得る限りのコミュニケーションを図り、情報を集積する
|
●あなたはこれからどうするの
連絡を受けたUDCの職員が地下室に入り、『洗浄』していく。
周囲にはブルーシートが張られ、外からは見えないようになっている。
寒空の下、少女は毛布にくるまって、迎えを待っていた。
時間はそんなに無いだろう。
ただ、少女は生き残るために傷ついた。
君達は何をしてあげられるだろう。
これがおそらく、君達がここに居られる最後の時間だ。
迷うことなき選択を。
冴木・蜜
……、時間が来るまで
彼女とお話をしましょう
初めまして
冴木といいます
彼女に怪我がないか
あれば治療をしながら
少しお話しましょう
私は 貴方とは違うけれど
死に到る毒として生を受けて
それでも人を救いたいと想い続けて
生きてきました
だから少しは貴女のことが分かるかもしれない
貴女のこれからは
いいことばかりではないでしょう
大変なことの方が多いかもしれない
生きることは存外
難しいですから
でも
素敵なことも沢山ある
どうか
今日抱いた「生きたい」という想いを
大切にして下さい
いきなり上手に生きなくてもいい
一生懸命生きて下さい
そしてできれば
貴女と共に在った彼女達のことも
忘れないであげて下さい
貴女こそが彼女達の生きた証ですから
●「私は今日という日を忘れない」
毛布にくるまった『泥人』唯一の生き残りにして、これからUDC-Pと認定されるであろう少女。
極限下で起こったことに対して受けたものは大きく、目は虚空を見る。
「隣、いいですか?」
そんな彼女に呼びかけたのは不健康な顔立ちをした白衣の男。
膝を折り、目線を合わせれば再び口を開く。
「初めまして、冴木といいます」
「私は……佐久……です」
ちょっと失礼と冴木・蜜がその目を確認すれば、心に負った物を悟り、なすべきことの為に、隣に座る。
「お話、よろしいですか?」
「……はい、先生」
白衣の研究員を医者と思ったのか佐久と名乗った少女が頷いた。
「私は 貴方とは違うけれど。死に到る毒として生を受けて、それでも人を救いたいと想い続けて生きてきました」
少女と同じ方向を向いて呟くように話す蜜の言葉に少女が顔を向ければ、白衣の男は頷きを返す。
「だから少しは貴女のことが分かるかもしれない」
彼の言葉はなおも続く。
「貴女のこれからはいいことばかりではないでしょう。大変なことの方が多いかもしれない――生きることは存外難しいですから」
それは死毒たる身体が経験した言葉。
「でも、素敵なことも沢山ある」
それは生を受けた精神が経験した言葉。
「どうか今日抱いた『生きたい』という想いを大切にして下さい」
それは願い。
「いきなり上手に生きなくてもいい……一生懸命生きて下さい」
それは助言。
「そしてできれば貴女と共に在った彼女達のことも忘れないであげて下さい」
それは依頼。
「貴女こそが彼女達の生きた証ですから」
それは証明。
故に少女は頷く
「……はい」
これから自分が何をするべきかを見つけ出したから。
「私は今日という日を忘れません」
大成功
🔵🔵🔵
ノエル・キャロル
その時までお姉さんの隣で座っていたいわ
お名前、まだ言ってなかったから名乗るわ
「歌は心から溢れ正したものだっておかあさん言ってたの。だから肌や言葉の違うヒトの心にも届いて響くんだって……それでこの名前をくれたの」
「ねえお姉さん、一緒に歌いましょ? お姉さんの気持ち、皆にきっと届くから」
職員の人達にも、そしてきっともうあの『下』には居ないお姉さん達にも
歌い終えたら
「もうすぐね、クリスマスがあるの。良い子にプレゼントが届くのよ……だから私、絶対にお姉さんに会いに行くわ、やくそく」
お姉さんの、生きたいと願ったお姉さんだけの名前を聞いて、もし無いならそれを
有っても別の素敵な何かをプレゼントする為に、必ず
●「待っているわ、小さな精霊さん」
「隣、いいですか?」
白衣の男が去り、次に来たのは黒いお姫様。
少女は頷き、隣へ座る様に促せば、飛沫を上げてノエルが座る。
「改めまして、私はノエル。ノエル・キャロル。あなたは?」
「佐久……佐久・里佳子」
初めて泥人だった少女はそこで自分のフルネームを名乗る。
ヒトカケラ
UDC-PeaceにしてPieceだった人物が
ジブンジシン
Personalを再び得た瞬間だった。
「リカコ、ねえ、歌いましょう?」
里佳子と名乗った少女へノエルが呼びかける。
「歌は心から溢れ正したものだっておかあさん言ってたの。だから肌や言葉の違うヒトの心にも届いて響くんだって……それでこの名前をくれたの」
「だからキャロルなのね」
「うん。だからお姉さん、一緒に歌いましょ? お姉さんの気持ち、皆にきっと届くから」
お姫様が空をステージに歌い始めれば、少女もそれに続く。
きれいな二つの歌声。
ヒトと言う姿から離れているにもかかわらず、最も人である者達の祈り。
それはUDC組織の職員の、猟兵達の、そして今は遠くへ行ってしまった『下』に居たかつての仲間達へ。
里佳子の目から溢れるものが止まらない。
以前は一人でないのに、一人だった。
今は一人だというのに、一人じゃない。
「だ、大丈夫?」
「うん、大丈夫……ゴミ……入っただけだから」
心配するお姫様に優しい嘘をつく少女。
安堵したノエルが改めて言葉を紡ぐ。
「もうすぐね、クリスマスがあるの。良い子にプレゼントが届くのよ……だから私、絶対にお姉さんに会いに行くわ、やくそく」
それはクリスマスのキャロル。
次に会ったときも幸せである様にと結ぶ約束。
里佳子は涙をぬぐい、そして笑った。
「ええ、待っているわ。小さな精霊さん」
大成功
🔵🔵🔵
リューイン・ランサード
ひかるさん(f07833)と
【WIZ】で
仲間を失い、未知の環境で一人生きていく少女に何を話せば良いのだろう・・・。
大人なら気の利いた話や深い話ができるのだろうけど、今の僕が語れるのは僕の事だけだ。
「正直、さっき会ったばかりなので、貴女の悲しみや思いを本当に判るとは言えません。
ですが、貴女が”普通に生きていける”と叫んだ時の輝きは眩しいと思いました。
生きていると”こんな筈じゃなかった”と悩んだり苦しんだりします。
僕もそうです。
でも貴女の輝きがあれば、信頼できる人と出会い、楽しい事と巡り会える筈です。
貴女には幸せになってほしい。本心からそう思います。」
と、ひかるさんと一緒に真摯に向き合って話します
荒谷・ひかる
リューさん(f13950)と
わたしから、この子に伝えられること。
きっと、そんなに多くは無いけれど。
でも、これだけは……伝えなくっちゃ。
貴女がこの世界で、人間のように「普通」に暮らせるかは正直保証できない。
でもね、「生きたい」って気持ちは、生物の根本的な本能……とても、普通なこと。
だから「生きたい」って意思を持って運命に抗った貴女は、生き物としてとても「普通」なんだよ。
だから、えっと……上手く、説明できないんだけど。
『貴女は悪くない』の。
当たり前のことを、当たり前のように願っただけなんだから。
だから……その「生きたい」って気持ちを、これからも諦めないでね。
●「きっと、あの子たちにも届いていた」
「ねえ」
毛布を羽織り、猟兵へ佐久・里佳子と名乗った少女が年下の二人へと呼びかける。
「こっちへいらっしゃい」
遠巻きに自分を見つめるリューイン・ランサードと荒谷・ひかるが逡巡しつつも、少しずつ歩を進めていく。
二人……特にリューインには他の泥人を『助けられなかった』という思いが強かった。
グリモア猟兵は明確に口には出さなかったが『傷になる』と言った。
泥人達は自らの生き方を示すために敢えて銃を構えた。
それでも『助けられなかった』と彼は思っている。
だからこそ……何を話すべきか、迷っていた。
「あの……」
先に会話を切り出したのはひかるの方であった。
彼女は泥人に対しての覚悟があった分、迷うことが少なかったかもしれない。
「貴女がこの世界で、人間のように『普通』に暮らせるかは正直保証できない」
だからこそ、伝えたかった。
「でもね、『生きたい』って気持ちは、生物の根本的な本能……とても、普通なこと。だから『生きたい』って意思を持って運命に抗った貴女は、生き物としてとても『普通』なんだよ」
「……」
沈黙を守り次の言葉を待つ少女へ、精霊の友が応え、唇を動かし伝えたかった言葉を紡ぐ。
「だから、えっと……上手く、説明できないんだけど……『貴女は悪くない』の」
「そうですよ!」
竜の雛も勇気を持って声を上げる。
「正直、さっき会ったばかりなので、貴女の悲しみや思いを本当に判るとは言えません」
大人なら気の利いた話や深い話ができるのだろうけど、今の彼が語れるのは自分の事だけだ。
「ですが、貴女が『普通に生きていける』と叫んだ時の輝きは眩しいと思いました」
だからこそ、正直に真正面からぶつかっていく。
「生きていると『こんな筈じゃなかった』と悩んだり苦しんだりします。僕もそうです」
「だから……その」
ひかるが言葉を繋ぎ
「貴女の輝きがあれば、信頼できる人と出会い、楽しい事と巡り会える筈です」
リューインがそれを形にする。
「貴女には幸せになってほしい」
「だから『生きたい』って、その気持ちを、これからも諦めないで」
竜の雛が幸せを祈り。
精霊の友がその心を持ち続けるよう願う。
「「心からそう思っています」」
二人の言葉が重なり、そして少女は頷いた。
「あの時は言えなかったけど」
里佳子が微笑む。
「きっと、あの子たちにも届いていたよ。でも……応えてあげられなかったと思うの。私達って泥人だから……ね」
毛布から手が伸びて二人の肩を少女の掌が触れる。
「だから、気にしないで」
泥人だった人間の言葉に二人が表情を硬くする。
だから、少女はあえて笑みを浮かべて
「でも、もしそれが出来ないっていうなら……みんなの事忘れないでくれたら、多分、喜ぶと思うの――それが、私の願い」
願い、道筋を示す。
それは二人に掛かるものを少しでも軽くし、そして死んでいった者達の行動が無意味であってほしくないという二つの想い。
「「……はい!」」
応えてくれた二人の言葉に里佳子は――
「ありがとう、みんなを助けようとしてくれて」
――改めて礼を述べた。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
カタリナ・エスペランサ
毛布にくるまってるだけじゃ寒いだろう
紅茶でもどうかな? 気持ちの安らぐ茶葉を使ってるんだ
……さて。キミが望むなら辛かった記憶や感情を忘れさせる事も出来るけど
まぁ、そんなの御免だよね
生きる事は権利で、同時に義務でもあるんだ
それがキミの選択に伴う責任で……そうする事を選んだキミには、傷を抱えた上で生きていく強さがある
それに、これは受け売りなんだけどさ
天命って言うらしいね。誰であっても生きる事には意味がある
自分の命の意味を、成すべき事を知る時が必ず訪れる
だからそれまで胸を張って生きろ、ってね
最後に個人的なお願いになるけど……キミには幸せになってほしい。アタシがキミを助けたのはその為なんだから、さ
●「それでも私は生きていたい」
「毛布にくるまってるだけじゃ寒いだろう」
里佳子が見上げた先に立つのは人狼の少女。
「紅茶でもどうかな? 気持ちの安らぐ茶葉を使ってるんだ」
「……ありがとう」
カタリナ・エスペランサより紅茶の入ったカップを受け取れば、少女はそれに息を吹きかけてからゆっくりと琥珀色の液体を喉に通し、身体を温める。
「美味しい……ありがとう」
「どういたしまして、ところでさ……」
カタリナがひと呼吸、間をあけると正面から泥人の目を見て本題を切り出す。
「キミが望むなら辛かった記憶や感情を忘れさせる事も出来るけど」
「……」
「まぁ、そんなの御免だよね」
沈黙する里佳子へ振り向けば人狼の少女は笑みを見せる。そして表情を引き締め直し改めて話を続ける。
「生きる事は権利で、同時に義務でもあるんだ。それがキミの選択に伴う責任で……そうする事を選んだキミには、傷を抱えた上で生きていく強さがある」
少女が頷く。
彼女は決して忘れないだろう、自らの選択と散っていった命を。
「それに、これは受け売りなんだけどさ、天命って言うらしいね」
「天……命……?」
誰であっても生きる事には意味がある、自分の命の意味を、成すべき事を知る時が必ず訪れる。
故に人はそれ時まで胸を張って生きなければならない……と。
「天命……かぁ」
紅茶を飲み干し、カップを脇に置く少女。
カタリナは里佳子へと一歩踏み出し顔を近づけウィンク一つ。
「最後に個人的なお願いになるけど……キミには幸せになってほしい。アタシがキミを助けたのはその為なんだから、さ」
「……そうね、幸せになるかどうかは分からないけれど」
少女が立ち上がり、毛布を脱ぐ。
迎えのUDC職員がやってくれば、彼らへ向けて足を進めた。
人狼の少女を含めた猟兵達がそれを見守る中、里佳子という名の泥人は振り返り。
「それでも私は生きていたい」
人として生きることを告げた。
大成功
🔵🔵🔵