アースクライシス2019⑳〜海底研究室の脅威
●海底の研究施設にて
「ううむ――完成まであと少しか、実に待ち遠しい!」
両腕を広げる、不気味な様相の男。彼の前では、大量の水槽と用途不明の機械たちがせわしなく動いていた。
液体が、濾過装置らしきものを経て色を変える。数えるのすら面倒になるほどのメーターが、一定の幅で揺れている。小さなランプが、異常なしだと緑色に灯る。
それらを照らす毒々しいまでの紫色の照明に顔を近づけ、男は頷く。
「これさえ完成すればクライング・ジェネシス様のクローン作成が可能となる! そして此度の戦いが終わったのち――ふふ、はははは、ははははははは!!」
研究室では、男の笑い声がいつまでも響いていた。
●グリモアベースにて
「見つかったよ、『ドクター・アトランティス』! 居場所はなんと、ハワイ沖海底の火山、その火口の下なんだよ!」
ということは海中での戦闘かと身構える猟兵を見て、佐伯・キリカ(陽気に元気・f00963)は首を振る。
「わー、待って待って! ドクター・アトランティスがいる場所は、正確にはハワイ沖海底の火山、その火口の下――の、研究区域なんだよ! マグマのエネルギーを研究のためのエネルギーにしてるその区域には、どうやら普通に空気が存在しているみたい。だから、戦闘時は普通に呼吸ができるんだよ!」
ドクター・アトランティスの研究区域。それはアトランティスの遺跡建造物に対し、大量の機械が大量に設置されている場所だという。
「ここから転送するのは研究区域の一角、用途のわからない水槽がたくさん置かれている場所なんだよね。水槽を破壊したくらいで研究は止められないみたいだから、攻撃する時はドクター・アトランティスが最優先にして欲しいんだよ!」
とはいえ、相手はジェネシス・エイトのひとり。猟兵が攻撃するよりも早く、ユーベルコードを発動する。転送後、まずはその攻撃に対処する必要がある。
キリカの説明が一段落すると同時に、猟兵から疑問が飛ぶ。そんな場所でドクター・アトランティスは何をしているのか、と。
「そう、それを最後に言おうと思っていたんだよ。――なんと、ドクター・アトランティスは『クライング・ジェネシス』のクローンを産み出すための研究を行っているみたいなんだよ!」
それだけならまだしも、とキリカは続ける。
「11月30日までにドクター・アトランティスを倒せなかった場合、この研究が完成するみたいなんだよね……! しかもアースクライシスが終わった後、クライング・ジェネシスのクローンを首領とする新たな勢力を結成しようとする、なんて予知もされてるんだよ!」
猟兵やヒーローたちの活躍で見つけた、ドクター・アトランティス。ここで彼を取り逃せば、厄介な事態になるのは免れない。だから、とキリカは集まった猟兵たちを見渡す。
「ドクター・アトランティスの撃破、頼むんだよ!」
雨音瑛
ドクター・アトランティスとの戦闘です。
判定はやや厳しめなのでお気をつけください。
●プレイングボーナス発生条件
敵のユーベルコードへの対処法を編みだすこと。
ドクター・アトランティスは、プレイング送信時に指定したユーベルコードと同じ種類のユーベルコードで『必ず』先制攻撃をしてきます。そのため、いかに防御して反撃するかの作戦が重要になります。
●戦場について
薄暗い研究室の一角です。大量の水槽が並び、謎の機械が動いています。端的に言うと、ペットショップのアクアコーナーが紫色の照明で照らされている感じです。
こちらの水槽への対処で有利・不利になることはありません。
第1章 ボス戦
『ドクター・アトランティス』
|
POW : アトランティス・ケルプ
【槍から放つ生命エネルギーの奔流】が命中した対象を爆破し、更に互いを【敵の生命力を奪う海藻】で繋ぐ。
SPD : アンチイェーガー
自身の身長の2倍の【対猟兵パワードスーツ「アンチイェーガー」】を召喚し騎乗する。互いの戦闘力を強化し、生命力を共有する。
WIZ : 水没光線
レベル×5本の【超重力】属性の【かつて大陸をも海に沈めた怪光線】を放つ。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴
|
シャオ・フィルナート
【星氷】
面倒事増やされるのは困るし…
ここで、終わらせてもらうよ……
空気中の水分が利用可能ならそれで
無理なら自身の魔力で★氷の翼を形成
盾としながら★死星眼を発動
【生命力吸収と催眠】により脱力、攻撃への迷い等を生じさせ
先制攻撃の命中精度を少しでも下げ攻撃の軌道を【見切り】回避
【暗殺】の機動力で接近しつつ★氷麗ノ剣を生成
放出する水流で敵の足元を水浸しに
跳躍後翼から放つ氷の【一斉発射、属性攻撃】で足狙い+水分凍結で敵の足と地面を固定
零さん…今だよ、行って…
零さんのUCで状態が元に戻ったところですかさず【指定UC】を発動
速度で翻弄しつつ武器を★罪咎の剣に持ち替え
寿命は無視して…9倍速の攻撃で斬攻撃
天星・零
【星氷】
戦況を常に見つつ技能を使い弱点や死角を把握し警戒、対抗策を考え臨機応変に対応
遠距離は十の死とグレイヴ・ロウを戦況に合わせ使用
近接はØで攻撃
防御は星天の書-零-で【オーラ防御】
『対猟兵のUC。ですが…オブリビオン にはどうでしょうか?死霊術師が使う霊はオブリビオン ですから』
先制攻撃は敵の間合いや癖、弱点などを見極めて避け、武器『十の死』とオーラ防御で対抗
『ふふ…少し本気を出しましょう』
指定UCを発動し味方を無傷の状態、敵はUC発動前に戻しスーツが召喚されていない状態に
その後、十の死のうち感電死で敵に電撃攻撃で痺れさせつつ凍死で敵周囲の水を凍らせて敵を閉じ込めそのままグレイヴ・ロウで砕く
紫色の光を反射する水槽の間で、シャオ・フィルナート(悪魔に魅入られし者・f00507)と天星・零(零と夢幻の霊園管理人・f02413)はドクター・アトランティスと対峙した。
「此の期に及んで邪魔をするか、イェーガー! ならばこいつで相手をしようではないか!」
ドクター・アトランティスが片手を掲げ、パワードスーツを召喚する。
「行け、アンチイェーガー! イェーガーを殲滅するのだ!」
水槽との距離を確認しながら、零は星天の書-零-でパワードスーツの拳を受けた。しかしその一撃は存外強く、零自身にもダメージが及ぶ。
「流石、対猟兵のUC。ですが……オブリビオンにはどうでしょうか? 死霊術師が使う霊はオブリビオンですから」
痛みなど無いかのように微笑む少年に、ドクター・アトランティスは何事かを告げようとする――が、それより早くシャオが行動に移っていた。
「零さん…少し下がって…」
氷の翼は、空気中の水分を利用して作り出したもの。それを盾としながら、シャオは右の目を金色に変じさせた。
「ふん、何をするのか知らんが――む!?」
シャオへと体当たりを仕掛ける、ドクター・アトランティス。パワードスーツなだけあって、速度は相当のものだ。
けれど、速度は間合いに入ると同時に鈍り始めた。死星眼による生命力吸収と催眠の術は、どうやら功を奏したらしい。
常人が駆けるよりも遅い速度ならば、体当たりは既にただの移動。シャオが難なく回避すると、いくつかの水槽が割れる音が聞こえた。
「面倒事増やされるのは困るし…ここで、終わらせてもらうよ……」
魔力で生成した剣から、水を放出し始めるシャオ。ドクター・アトランティスの足元を中心に、水溜まりが広がってゆく。
「ははは、どこを狙っているのだ! その程度で――」
シャオはドクター・アトランティスの発言を無視し、翼から一斉に氷を放った。狙うはドクター・アトランティスの足元のみ。
「!」
そこでやっと、敵も気付いたらしい。先ほどまで水だったものは凍り付き、ドクター・アトランティスをパワードスーツごとその場に固定する。
「零さん…今だよ、行って…」
「それでは遠慮無く。ふふ……少し本気を出しましょう」
零の瞬きひとつ、ドクター・アトランティスがパワードスーツを召喚する前の状態に戻った。同時に、零の傷も消える。
「さあ、ここからが本番ですよ」
「まずは……俺に…任せて…」
シャオは頷き、再び零の前に進み出た。
「一瞬で終わらせる…」
宣言したとおり、一瞬でドクター・アトランティスへと肉薄するシャオ。ドクター・アトランティスが追いつけぬ速度で翻弄し、二対の銀のナイフで仕留めにかかる。味方を攻撃しないと寿命が減る副作用はあるが、シャオは構わずドクター・アトランティスへと一度に九の斬撃を与え続ける。
「では、次は僕に任せてください」
今度は戦況に目を光らせていた零が前に出る。まずはドクター・アトランティスの死角を取り、電撃を浴びせた。続けざまに周囲に残る水を凍らせて閉じ込めた後は、十字架の墓石を掲げて。
「……おやすみなさい」
振り下ろして砕ける、氷。ドクター・アトランティスは、そこでようやく動くことを許される。
「イェーガーどもめ……邪魔はさせぬぞ!」
などと叫ぶドクター・アトランティス。しかし彼の体には看過できないダメージが蓄積されていることを零は見抜いていた。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
ヘスティア・イクテュス
折角クライング・ジェネシスを倒したのに、クローンを作られちゃあね…
残り戦争も後少し気合入れていきましょうか!
超重力…スモークミサイで視界を覆って【目潰し】
狙いを定められないように…
アベルで弾道予測しティターニアで細かくブースト、怪光線を切り抜ける
避けきれなさそうならアベルのバリア【オーラ防御】で
ビームを放つ暇もないほどビームセイバーの近接戦で攻めるわ
…ってふりをして死角から
光学迷彩【迷彩】で透明化してフェアリーズを展開、包囲…
ティターニアで全力のバックブーストで下がると同時に
全砲門ファイヤ!ついでに前門からマイクロミサイルの【一斉発射】よ!
【+】
シホ・エーデルワイス
アドリブ&味方と連携歓迎
クライングジェネシスのクローン量産開始まであと僅か…
私達はどんなに過酷な状況でも最後まで諦めずに戦ってきました
だから…今回も必ず勝ちます!
クローン装置の上
天井にある照明や機材を背にして翼で飛び
光線を撃ってきたら
<第六感と聞き耳で見切り
空中戦の空中ダッシュで残像>を残しつつ回避します
光線が当たった照明や機材がクローン装置に落ちるよう位置取り
あと聖剣の切っ先を下に向けて持っておく事で
装置を破壊する事になると<コミュ力で脅して時間稼ぎ>
今私を落としたら
かけられた重力も相まって
装置を床ごと貫通するかもしれません
反撃の機会が来たら聖剣を敵に向かって投げ
【華霞】で装置ごと攻撃します
猟兵たちに残された時間は、あと少し。
たとえクライング・ジェネシスを倒せても、ドクター・アトランティスによってクローンを作られたのならば、更なる混乱が待ち受けていることは想像に難くない。
けれど、とシホ・エーデルワイス(捧げるもの・f03442)は真っ直ぐに敵を見据える。猟兵たちはどんなに過酷な状況であっても最後まで諦めずに戦ってきたのだと。
「だから、どのような状況でも……必ず勝ちます!」
「ええ、当然よね」
青い髪をさらりと払い、ヘスティア・イクテュス(SkyFish団船長・f04572)は同意を示す。
「さて、あなたがドクター・アトランティス? 残念だけど、研究を完成させるわけにはいかないわ」
「ふはは! イェーガーごときがこのドクター・アトランティスを止めようというのか! ならば力尽くで止めてみるがいい、こちらも容赦はせんぞ!」
ドクター・アトランティスは、予備動作もなく光線を放った。縦横無尽に放たれる光線は数百をゆうに超えるが、シホは天井からぶら下がる照明を背に回避に努める。
「……いいんですか?」
時折残像を残して羽ばたきくシホは、ドクター・アトランティスを見つめて問う。
「汝を倒すのが、か? であるならば、むしろ何を躊躇することがある!」
いいえ、とシホは静かに首を振った。
「今私を落としたら、重力も相まって『これ』が装置を床ごと貫通するかもしれませんよ」
そう口にするシホの手には、十字架の形をした両刃のロングソード。【聖剣】パッシモンの切っ先は、シホの真下にある機材に向けられている。
「ふん! ここは区画の一つに過ぎぬのだ、破壊されたとて我が存在していれば研究は進むからな!」
「……とんだ研究者ね。シホ、少し下がって!」
ヘスティアが、ドクター・アトランティスの光線と入れ違いにスモークミサイルを放つ。先に放たれた光線は想定以上に速い。であれば、と提案をするのはヘスティアのサポートAI端末 ティンク・アベルだ。
『バリアを展開いたします』
音声とともに、オーラがヘスティアの体を覆う。これなら多少のダメージを受けても問題ない。
ヘスティアはビームセイバーを手にスモークに紛れ、距離を詰め始めた。抜けた先で仕掛けるのは、接近戦だ。
「さあ、これで決着をつけましょうか!!」
(「来なさい! フェアリーズ!」)
ドクター・アトランティスに向けて宣言しながら、心の内ではフェアリーズ――妖精型ドローンを召喚する言葉を紡ぐ。同時に二つの指示を与えたなら、あとは上手くやるだけだ。
光線を避けてビームセイバーを振りかぶったヘスティアは、途中で妖精の羽を象ったジェットパックを全力で噴かした。
「バックブーストだと!?」
驚くドクター・アトランティス。そこへ、シホが聖剣を投擲する。
「ヘスティアさん、援護します!」
シホの言葉に応じてか、剣は銀色に輝くエーデルワイス、その花弁へと変化した。
「!? 何を――」
ドクター・アトランティスが頭部を抑え始めた。エーデルワイスの花弁が、感覚を晦ませたのだ。
「ありがと、シホ! さて、ドクター・アトランティス。わたしが正攻法で攻めると思ったのが運の尽きね。さあフェアリーズ――今よ、全砲門ファイヤ! ついでにこっちも受け取りなさい!」
フェアリーズによるビームと前門から放たれるマイクロミサイルが、ドクター・アトランティスを一斉に襲う。
ヘスティアはフェアリーズを喚ぶと同時に光学迷彩を施して展開し、包囲を指示していたのだ。
「おの、れ……」
男は、爆煙の中でよろめきながら立ち上がる。
ドクター・アトランティスの撃破が、現実味を帯び始めた瞬間であった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
セツナ・クラルス
…ふむ
クローンといってもオリジナルと同じ思想を持つとは限らないと思うのだがね
それともオブリビオンは思想が統一されているのかな
それはそれで興味深いが…人しても猟兵としてもクローンを作ることは賛成しかねるかな
一撃でもまともに食らうと致命傷になりかねない
耐え忍ぶことを最優先
破魔+炎の属性魔法を掛け合わせ、威力を底上げした灯火を発生
可能なら全方位に灯火を纏わせ攻撃に備えたいが…そうも言っていられないかな
第六感+見切りで光線が来る方向に当たりをつけ其方の方向を重点的にガードしようか
…つまりは賭けだが、このくらいリスクを負わねば勝てる相手ではないだろうからね
首尾よく先制攻撃を凌いだら
灯火で一斉攻撃
「イェーガーどもを凌ぎきれば、クライング・ジェネシス様のクローンでどうとでもできる!」
ドクター・アトランティスの言葉に、セツナ・クラルス(つみとるもの・f07060)は首を傾げた。
「ふむ、クローンか……クローンといっても、オリジナルと同じ思想を持つとは限らないと思うのだがね。それとも、オブリビオンは思想が統一されているのかな?」
それはそれで興味深いと続けるセツナの言葉を、ドクター・アトランティスは一笑に付した。
「研究の結果をイェーガーに伝える義理はあるまい!」
「答えを聞けるとは思っていないよ。人しても猟兵としてもクローンを作ることは賛成しかねるからね、私は」
「そうか、ならば果てるがいい! 大陸をも海に沈めたこの光線、一撃でも喰らえば致命傷になりかねんぞ! さあ、どう対処する!?」
ドクター・アトランティスの放った光線、その一つがセツナの横をかすめ、実験器具のあった場所を通過する。直後、実験器具は跡形も残らず消え去った。
「ふむ、一撃でも致命傷になりかねない――その言葉に嘘はないようだね。それなら、ひとまず耐え忍ぶことを優先させてもらおうか」
セツナは炎に破魔の力を与え、狐火を呼ぶ。淡々とした態度からは、一切の焦りは見られない。
「さあ、賭けに勝つのは私かあなたか――」
穏やかな笑みに、瞬きひとつ。光線の来る方向を第六感で感知し、動きを見切った上で狐火をあてがった。
数秒の後、狐火の前で光線が爆ぜる。瞬間、セツナは勝利を確信した。残りの光線も狐火を用いて防いだのなら、セツナの番だ。静かに片手を上げ、指先でドクター・アトランティスを指し示す。
「明かりを灯そう。──ひとつ、ふたつ」
五十もの狐火が、ドクター・アトランティスへと殺到する。
「ぐあっ、が――!」
室内を満たす赤い光は、自身の熱を以てドクター・アトランティスを容赦なく焦がした。
大成功
🔵🔵🔵
御桜・八重
【POW】
こうゴチャゴチャした部屋って、攻撃を避けるのにはいいんだけど、
わたしの決め技、【スクワッド・パレヱド】で突進するのには
向かないんだよね。
そこで一計。
槍からの攻撃は水槽とかを盾になんとか躱して、
海藻が伸びて来たら巫女服を囮にして脱出。
攻撃が外れたと悟れば、海藻はドクターの元へもどるはず。
真っ直ぐ最短距離で。
「ここだっ!」
すかさずパレヱド発動!
海藻を追いかけて、桜色のオーラを纏って突進!
ドクターが虚を突かれているうちに体当たり!
クローン装置目がけて吹き飛ばし、
野望と一緒に破壊する!
巫女服は脱がされちゃうけど、
中に水着を着てきたから大丈夫!
禍根を残さぬように、キッチリ沈めてあげましょう!
室内に見える水槽を見渡し、巫女服の少女は僅かに眉尻を下げた。
「攻撃を避けるのはいいんだけど……わたしの決め技には向かない場所なんだよね」
けれど、そこで落ち込むような御桜・八重(桜巫女・f23090)ではない。
思い切り手を挙げ、まずは敵の目を惹く。
「さあ、わたしが相手だよ、ドクター・アトランティス!」
「ほう、どうやら今度は死にたいイェーガーが来たようだな。望み通り殺してやろうではないか!」
ドクター・アトランティスの槍が向けられると同時に、八重は水槽を盾に立ち回る。
割れる水槽、弾け飛ぶ液体。次々と破壊される水槽を回避し続ける八重がドクター・アトランティスを見遣れば、海藻が伸び始めるのがわかる。
「躱すか、ならばこれはどうだ!」
海藻が八重に到達するその直前、
「残念、それは読んでたよっ!」
八重は巫女服を脱ぎ、身をかがめた。海藻は巫女服を捉えかけるが、不発と知るや否や最短距離でドクター・アトランティスの手元へと戻り始める。
「――ここだっ!」
そう、これこそが八重の一計。
水着姿の八重は桜色の闘気を纏い、海藻を追うように突進を仕掛けた。
「な、なにっ!? よもや、このタイミングで――」
「遠慮は要らないよ、キッチリ沈めてあげるからね!」
八重の体当たりを受けたドクター・アトランティスが突き飛ばされ、装置らしきものを巻き込みながら倒れ込む。何かが爆ぜる音が聞こえ、黒煙があたりを満たしてゆく。
「馬鹿な……いや、負ける、はずが――」
ゆっくりと起き上がるドクター・アトランティス。だが、その動きは鈍く、重いものとなっていた。
成功
🔵🔵🔴
クロト・ラトキエ
あぁ、そういうの。
火事場泥棒、って言うんでしたっけ?
叩く軽口、多少なり冷静さを奪えれば幸い。
敵UC確認、
媒体がスーツなら機械人形と似た様な物か…
視線・視野、武器に腕の可動域、移動や動作の速度…
無論ドクターの挙動も。
あらゆるを見切り、対処の糧として。
スーツの攻撃は極力躱し、死角へ死角へと回り込み。
隙を縫い、腕や脚へと鋼糸を掛ける。
容易くは斬れず
…されど対猟兵との銘故、織り込み済み。
全てはフェイント。
狙いは…複数鋼糸、2回攻撃によるドクターもの巻き込み。
関節部や細部等、動きの起点に、巻いて引き斬る。
落とせずとも…使えなければ同じ事。
絶て
――拾式。
ご存知無い?
デカブツ程、隙も死角も増えるものですよ
+
ヴィクトル・サリヴァン
ようやく見つかったか。
水中じゃないのは少し残念だけどまあそれはさておき、あれのクローンとか後が面倒そうだし倒し切らないとね。
パワードスーツに騎乗してきたら高速詠唱で水の魔法を行使、海水の壁を作りつつ後ろに思い切り跳ねて初撃を回避。
周囲に何も入ってない水槽あれば高速詠唱で液体を操作、敵に浴びせかけて派手に濡らしてやろう。なければ水の壁を崩し叩きつける。
その状態で雷の属性纏わせた銛を顔面目掛け投げつけて電撃で気絶を狙う。
一瞬でも動きを止めれればOK、UCで空シャチ召喚し二体になるよう合体させ左右から同時に喰らいつかせて反撃。
その際俺は水の魔法で正面から空シャチ達を援護するよ。
※アドリブ絡み等お任せ
「見つかったようで何よりだよ。ええと、ドクター・アトランティスは『あれ』のクローンを作ろうとしてるんだっけ?」
シャチのキマイラ、ヴィクトル・サリヴァン(星見の術士・f06661)が言う『あれ』とは、此度のオブリビオン・フォーミュラ、すなわちクライング・ジェネシスだ。
「――あぁ、そういうのって確か」
クロト・ラトキエ(TTX・f00472)掌の上に拳を重ねる。
「火事場泥棒、って言うんでしたっけ?」
優男の言葉に、ドクター・アトランティスは槍で床を叩いた。
「何とでも言うがいい! 来い、対猟兵パワードスーツ『アンチイェーガー』!」
召喚されるは、巨大なパワードスーツ。ドクター・アトランティスは素早く乗り込み、猟兵二人へと攻撃を仕掛け始める。
「なるほど、こういうものですか」
アンチイェーガーを機械人形と似たようなものと判断し、クロトは素早く視線を這わす。攻撃を仕掛ける直前の溜めを読みながら、ドクター・アトランティスへの警戒も忘れない。
「水中じゃないのは少し残念だけど――そうも言ってられないか。後が面倒そうな相手だから、なんとか倒し切っちゃいたいよね」
一瞬で詠唱を終えたヴィクトルの前に、海水の壁ができる。繰り出された体当たりは、後方に思い切り跳ねて回避することも忘れない。
「ここはいったん任せて!」
「助かります、ヴィクトル君」
海水の壁を崩し、アンチイェーガーとドクター・アトランティスへと叩きつけるヴィクトル。
「水中だったらもっと攻めてたところだけど、今回は援護に回らせてもらうよ」
そのまま手にした銛に電撃を纏わせ、アンチイェーガーの顔面へと投げつける。動きが止まった瞬間、ヴィクトルはシャチを召喚した。
「海ばかりと思ってたら痛い目見るよ」
およそ60のシャチを合体させて二体にしたならば、ドクター・アトランティスとアンチイェーガーの左右から挟み込むようにして喰らいつかせる。
「む、なんだこいつらは! ええい、離せ!」
空シャチたちを払いのけようとするドクター・アトランティスに、ヴィクトルは正面から水の魔法を放った。
「さあ、どっちの対処を優先する? ――よし、今なら接近できるよ。やりやすいようにやっちゃって!」
「ありがとうございます、これは見事な好機ですね」
ヴィクトルが下がり、クロトが前へと出る。
クロトは空シャチたちに対応しているアンチイェーガーの死角へと滑り込み、鋼糸を展開する。狙いはひとまず、アンチイェーガーの腕と脚。状況を把握したヴィクトルが水を放つのを止めた直後、クロトは普段と同じ感覚で鋼糸を引いてみる。容易くは斬れないと解るが、穏やかな笑みは消えない。
「おや、なかなかに堅牢ですね。……なんて。織り込み済み、なんですけどね」
そう、これはフェイントだ。空シャチたちが離れゆくのを見て更に鋼糸を掛ければ、ドクター・アトランティスが豪快に笑う。
「ふはははは、無駄だ! アンチイェーガー、鋼糸を切断し――ぐッ!?」
「遅いですよ。それにもう、手遅れです。絶て――拾式」
関節部に絡みつく、鋼糸。
たとえ切断できずとも、使用できないようにすれば同じことだ。
あらゆる方向からの斬撃が、アンチイェーガーとドクター・アトランティスを襲う。バランスを崩したアンチイェーガーからドクター・アトランティスが落ち、床に体を打ち付ける。そうでなくとも、先ほどの斬撃を受けた彼の体は無残な状態ではあるのだが。
「ああ、もしかしてご存知無い?」
倒れ臥すドクター・アトランティスを前に、にこやかに告げるクロト。
「デカブツ程、隙も死角も増えるものですよ」
クロトがそう言うが早いか、アンチイェーガーが崩れ去った。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ウィルヘルム・スマラクトヴァルト
クライング・ジェネシスのクローン作成なんてやらせるものか!
タイムリミットは近いが……間に合え……っ!
先制攻撃に対しては、生命エネルギーの奔流、爆破、海藻、
いずれも「第六感」で予知した上で「見切り」、
「残像」を残して回避する。
もし回避しきれない場合は、緑の大盾で「盾受け」。
それでも防ぎきれないなら、「オーラ防御」でダメージを抑え、
「激痛耐性」と「気合い」で持ち堪える。
反撃は、緑の斧槍を「怪力」で「なぎ払い」、【両断の一撃】。
さらに「2回攻撃」で「ランスチャージ」を行い「串刺し」にします。
「イェーガーどもめ……これ以上、研究を邪魔はさせぬ!」
「クライング・ジェネシスのクローン作成――なんとしても、阻止させてもらう! さあドクター・アトランティス、緑の騎士が相手だ!」
ウィルヘルム・スマラクトヴァルト(緑の騎士・f15865)が身構えると同時に、ドクター・アトランティスの槍から、エネルギーの奔流が放たれる。うねり、不規則な軌道を、ウィルヘルムはまるで予知したかのような正確さで読み、回避した。その度に生まれる残像に奔流が命中し、爆破しては消し去ってゆく。
「ふん、ならば!」
ドクター・アトランティスの叫びと共に、海藻が不気味に蠢き始めた。かと思えば、次の瞬間にはウィルヘルム目がけて伸び始めたではないか。
タイムリミットは近い。だが、猟兵として、この世界の平和を願う者の一人として、ウィルヘルムは最後まで諦めない。諦めるわけには、いかないのだ。
「……間に合え……っ! 間に合って、くれ……っ!」
奔流の動きを第六感で感知して見切ったように、海藻も同じ手段で回避しきる。
次いでドクター・アトランティスの手元へと戻る海藻ごと緑の斧槍で薙ぎ払えば、海藻が切断され、宙に舞う。
「これで――っ! 私の渾身の一撃、食らうがいい!」
ドクター・アトランティスの手にする槍が、真っ二つに折れた。
「馬鹿な!?」
「まだだ!」
驚くドクター・アトランティスに、ウィルヘルムは果敢に攻撃を重ねる。溜めた力を一気に解放して繰り出された緑の斧槍は、ドクター・アトランティスの腹部を二度、貫いた。
「ぐ、う……っ、ここで、倒れるわけには――」
ドクター・アトランティスの右手が、緑の斧槍の柄を握って押し戻そうとする。
しかし抵抗虚しく、彼の体は泡となって消えゆくのだった。
大成功
🔵🔵🔵