アースクライシス2019④〜目を狙え
●セミのドラマー
モニュメントバレーに突然現れた、いくつもの洞窟。そこから出現したオブリビオンは、全て鎧を着用していた。
そのうちの1体、セミドラマーはご機嫌にドラムを鳴らしている。
「ありがとよ、鋼神ウルカヌス! へへっ、この鎧を着ていればどんな攻撃も効かねぇときたもんだ」
ジャカジャカジャカジャーン! ドゥンドゥーン!
赤茶けた大地に、ドラムが鳴り響く。
「つっても、このモニュメントバレー? とかいう聖地限定の話みたいだけどよ。物理攻撃も精神攻撃も、毒もガスも効かないってのは一周回ってロックンロールだよなぁ!」
ジャカジャーン!
「ヒャッハー! 今日は調子がいいぜぇ!」
●グリモアベースにて
「目! 目を狙うんだよ!」
佐伯・キリカ(陽気に元気・f00963)が料の拳を握りしめ、熱弁する。
「あ……っと、話が飛びすぎたみたいだよ、ごめんね! えっと、モニュメントバレーに出現したオブリビオンを倒して欲しいんだよ。でも一筋縄ではいかないこと、なんとなく察してる人もいると思うんだけれど!」
そう、今回出現したオブリビオンは、あらゆる攻撃への超耐性を持つ「神鋼の鎧」を纏っているのだ。殴る蹴る武器ユーベルコードその他の物理攻撃はもちろん、罵詈雑言ユーベルコードなどの精神攻撃、毒やガス、それに準じるユーベルコードも遮断してしまうのだという。
「でも! そんな無敵っぽい鎧にも、たった一箇所だけ『隙間』があるんだよ! わたしの予知で見えたオブリビオンの場合、それが最初に言った『目』だったんだよ!」
目以外は鎧に覆われて、あらゆる攻撃が効かない。だが鎧の隙間である「目」なら、攻撃が有効なのだという。
「というわけで! オブリビオンの撃破、よろしく頼んだんだよ!」
軽く敬礼したキリカは、猟兵たちをモニュメントバレーへと転送し始めた。
雨音瑛
今回はユタ州南部からアリゾナ州北部にかけて広がる地域一帯に転送いたします。
鎧の隙間を狙って攻撃するタイプのシナリオです、どうぞよしなに。
●プレイングボーナス発生条件
「鎧の隙間」を狙うこと。このシナリオでは「目」です。目だ、目を狙え。
●ボス『セミドラマー』の補足
セミのロックンローラー(ドラム担当)がプレートメイルのような「神鋼の鎧」を着ている状態です。本人もドラムも「神鋼の鎧」を纏っていますが、前述のとおりセミドラマーの目が「鎧の隙間」となっています。
撃破すると「神鋼の鎧」は光の粒になって消えるので持ち帰れません。ドラムも消えます。
POWの『セミロックバンド』は、ご自由に指定していただいて構いません。ボーカル兼ギターとベースとか、ボーカルとボーカルとボーカルとか。
第1章 ボス戦
『セミドラマー』
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POW : 256ビート
【リズムを刻む】事で【256ビートモード】に変身し、スピードと反応速度が爆発的に増大する。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
SPD : 生ける騒音公害
【けたたましい蝉の鳴き声】【ダミ声のボーカル】【ドラムの爆音】を対象に放ち、命中した対象の攻撃力を減らす。全て命中するとユーベルコードを封じる。
WIZ : セミロックバンド
【蝉のロックバンド】が現れ、協力してくれる。それは、自身からレベルの二乗m半径の範囲を移動できる。
👑11
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鷹司・かれん
人格:花凛
ロックか!
いいねえ!
お上品な花恋や澄まし顔の花音は嫌がるだろうが、俺にとっちゃロックのビートが何より馴染むぜ!
てなわけで、いつもの二丁機関銃を手に、メイド探偵の派手なビートを刻んでやるぜ
現れたセミロックバンドのギターやベースの連中とダンスするような、ビートに乗って躍りながらの近接格闘しつつ零距離乱射
さらには奴らのギター奪って、ギターで殴ってやるさ
ギター殴りはロックのお約束だろ?
そうやってセミロックバンドとやりあってる…ように見せつつ、冷静に奴の目を狙えるタイミングを探り
時が来たらメイド式狙撃術、どんな体勢からでも正確にその隙間撃ち抜いてやるぜ!
どうよ、素敵なビートだったろうが!
モニュメントバレーを訪れた清楚な少女は、見た目に反して豪快な拍手を送った。
「野外ステージでロックか、実にいいねえ!」
その身に三つの魂を宿す鷹司・かれん(メイド探偵が見ています・f22762)は、今は『花凛』の人格だ。
「お上品な花恋や澄まし顔の花音は嫌がるだろうが――俺にとっちゃロックのビートが何より馴染むぜ!」
「そこのノリがいいお姉さん、オレとセッションするかい?」
「女給的には『はい喜んで』ってな!」
セミドラマーの誘いに応じたかれんが握るは、手に馴染んだ二丁機関銃。かれんの目の前に現れるは、セミドラマーが喚んだロックバンド。
たった数秒の沈黙の後、メイド探偵の射撃音がセッション開始の合図となった。
まずはベースの周囲をくるりと一周、ベースごとゼロ距離射撃。倒れるベース担当を見て、セミドラマーは驚いたようにかれんとベース担当を見比べた。
「オレがベースの分も低音響かせるしかなさそうだな」
「そいつはご苦労なこった。さて、メイド探偵の派手なビートはどうだい?」
続いてギター担当のギターを奪い、そのまま殴りつけるかれん。
「はっはっは! こいつぁハンパねぇロッカーが現れたモンだな?」
「お褒めの言葉どーも。でもギター殴りはロックのお約束だろ?」
口角を上げ、雑なウインクひとつを送るかれん。
そしてそのまま銃口をセミドラマーに向け、引き金を引く。
「如何なる距離でも外さないのが、メイドのたしなみだぜ?」
銃口から射出された魔弾は、セミドラマーの目を派手にぶち抜く。後ろに倒れ込むセミドラマーは、ドラムスティックを地面に刺して体勢を立て直した。
それでも、かなりのダメージであることは間違いない。
「どうよ、素敵なビートだったろうが!」
銃口を向けたままのかれんの言葉に、セミドラマーは勿論、と言わんばかりにクラッシュシンバルを打ち鳴らした。
大成功
🔵🔵🔵
パルル・ブラックベリー
イヤッハァー!ロックだ!ロックだぜぇー!パルルちゃんもアイドルだから色んなジャンル聴いてるけどさ……
や か ま し い ん じゃ !
うるせえええ!もっとセンスのある曲叩けや!つかパルルちゃんを引き立てる曲にしろ!そんなもん叩かねえって?上等だ!だったらてめぇのそのドラムスティックをまずは奪ってくれるわ!一本でいい、奪ったらそのままユーベルコードで目に何度も叩きつけてくれるわ!細い場所には細い凶器で対抗だ!オラ!オラ!くたばりやがれ!真夏の騒音野郎が!
「オレとやりあおうってその気概、まさにロックンロールだな! それじゃあまずは256ビートモードでご挨拶といこうか! この寿命が削れる感じ――堪らねえぜ……!」
鎧を纏ったセミドラマーは、ご機嫌にリズムを刻み始めた。
対して、美少女アイドル妖精のパルル・ブラックベリー(腹黒フェアリー・f10498)は、ドラムのリズムに合わせて体を動かす。フェスに参戦しているかのように、あるいは自身のステージだとでもいうように、激しく。
「イヤッハァー! ロックだ! ロックだぜぇー!」
一汗かいたところで拳を振り上げたたパルルの動きは、そこで止まった。
「パルルちゃんもアイドルだから色んなジャンル聴いてるけどさ……」
可愛らしい顔から、笑顔が消えて行く。パルルが真顔とも無表情ともつかない顔になっても、リズムは未だ刻まれている。
「や か ま し い ん じゃ ! もっとセンスのある曲叩けや! つかパルルちゃんを引き立てる曲にしろ!」
「ああん!? オレはオレの好きなように叩かせてもらうぜ!」
「ああ、なら上等だ! オラッ、覚悟しろや!」
パルルはセミドラマーに襲い掛かる。
「オ、オイコラ何しやがる!?」
「うるせぇ抵抗するな! そのドラムスティック寄越しやがれ、一本でいい!」
セミドラマーを羽交い締めにし、一本のドラムスティックを思い切り掴むパルル。
「――っしゃあ!」
セミドラマーの抵抗むなしく、パルルはドラムスティックを一本奪い取った。ただの暴力行為に見えるが、れっきとしたユーベルコードである。
「……くそっ、それくらいでロックンロールを止められると思うなよ!?」
刻まれるリズムが、激しさを増す。しかしパルルは羽交い締めを止めない。
「やかましいわ真夏の騒音野郎が! オラ! オラ! くたばりやがれ!」
細い場所には細い凶器で対抗、すなわち鎧の隙間である目を、奪ったドラムスティックで何度も叩きつけるパルルだ。
そうして、モニュメントバレーでは季節外れのセミの鳴き声(悲鳴)とアイドルの下卑た笑い声が響いたのだった。
大成功
🔵🔵🔵
津久根・麦穂
目か!
ぶっちゃけ私弱いので無敵鎧とかいう
強そうな相手は避けてたんですが、
目潰しでいいなら話は別!
セミドラマー、今日が貴方の命日です。
投擲にはちょっとだけ覚えがあるので、
今回は珍しく武器戦闘を挑みましょう。
てーい!(UCで鉄串を投げる)
あっ!外した!
なので次の攻撃も当たりません!
おまけに相手は【256ビートモード】とやらで
パワーアップし、UCを使い切った私は為す術がありません。
全ての武器を失い、眼前に迫る敵……
今回は私の負けのようですね……
なんて言うと思ったか!
古来より目潰しと言えば二本貫手に決まってるわ!
あっでもあなた随分目と目が離れてますね!
仕方ないから両手で二本貫手です。
喰らえ!!(ズビシ
戦闘の腕前はからっきしだというダンジョンエクスプローラーの青年は、セミドラマーを前にして微塵も怯むことはなかった。
というのも彼、津久根・麦穂(ストレイシーフ・f19253)にはグリモアベースで聞いた情報があるからだ。
「……弱点は目、か。戦闘に自信ないから無敵鎧なんていかにも強そうな相手は避けてたんですが、取るべき戦術が目潰しでいいなら話は別ですよね」
「うん? 兄ちゃん、何か言ったか!?」
セミドラマーが麦穂の独り言を聞き逃したのも、無理は無い。セミドラマーによって絶え間なく刻まれているドゥンドゥンジャンジャンとかいった音のせいである。
「めっちゃ言いましたけど気にしないでください! というわけでセミドラマー、今日が貴方の命日です。てーい!」
勢いよく鉄串“百舌鳥”を投擲する麦穂。
「投擲にはちょっとだけ覚えがあ……あっ! 外した!」
それはすなわち次の攻撃も当たらないということを、そして次手のためにと麦穂の手に握られていた小型片手斧“マスターキー”が行き場を失ってしまったことを意味する。
「はっはっはっ! いいもの見せてもらったぜ、お礼に256ビートモードで相手してやろう!」
セミドラマーが、恐ろしい速度でリズムを刻む。それに伴い、本人の能力も向上してゆく。麦穂は屈み、地面を見てうなだれる。
「くっ、もう私が打てる手はありません……どうやら私の負けのようですね……」
どこか寂しそうな表情を浮かべる麦穂は、ゆっくりと顔を上げ――
「なんて言うと思ったか!」
カッ!と目を見開いて、セミドラマーに真正面から襲い掛かった。
「古来より目潰しと言えば二本貫手に決まってるわ! あっでもあなた随分目と目が離れてますね! 仕方ありませんね、それでは両手の二本貫手を――喰らえ!!」
ズビシ、命中する二本貫手。あぎゃひ、という悲鳴ともなんともつかない声を出したセミドラマーの腕が止まったのだった。
大成功
🔵🔵🔵
宮落・ライア
もう夏どころか秋過ぎて冬なのだよ?
オブリになると季節も関係なくなるのか?
(耳を塞ぎながら)
相手が256ビートで寿命を削るのを見守る。
耳を塞ぎながら諦観の眼差しで。
疲れてきたかなーってくらいに
【見えざる手・怪力・鎧砕き】で透明な手の人差し指で
セミの目をぐさー。
なんで洞窟なんかででてくるんだ…
やかましい音の重なりに耳を塞ぎつつ、宮落・ライア(ノゾム者・f05053)は首を傾げる。
そう、季節はもう夏どころか秋を過ぎて冬の気配すらしているのだ。だというのにこのセミはなおも元気に活動しているのである。
しかし厳密にはセミではなくセミドラマー、そして紛うこと無きオブリビオン。そうなると季節も関係なくなってしまうのだろう、なんてぼんやり考えながら、セミドラマーが256ビートを刻みながら寿命を削るのを見守るライアだ。
耳を塞ぐ手がしびれるほどの演奏は、なかなか止まらない。
「これ倒したらヒーロになれるのかな……」
何かを諦めたかのようなライアの目は、それでもセミドラマーを見つめている。攻撃は仕掛けない。なぜなら、今はまだその時ではないからだ。そして焦る必要もないのだ。
ドゥンドゥンジャーンジャカジャンジャン。
ダララララララ……ドーン。
ライアがセミドラマーを見守り始めて数十分が経過した頃、明らかにリズムを刻む速度が落ちてきた。
「……あ、そろそろかな」
そう呟いたライアは、直後、無言でユーベルコードを発動した。すると、セミドラマーのリズムを刻む手が止まり、背中から倒れ込む。
透明な手の人差し指で、セミドラマーの目をぐさりとやったのだ。凄まじい力で。
痛みにのたうちまわるセミを、ライアは何とも言えない気持ちを抱きながら眺めるのだった。
大成功
🔵🔵🔵
一郷・亞衿
季節外れにも程がある!?
あとでっかい虫って結構キモいな……(※虫系キマイラの方に対するヘイトスピーチではありません)
ともあれ、『ナイトクローラー』を使用。呼び出されたセミロックバンドにカメラのフラッシュを浴びせて、ぱぱっと消滅させちゃおう。
かっこいい姿を撮らせてください!とかって煽てて騙くらかせば<だまし討ち>狙えないかな……って言うか、そもそもセミロックバンドって何……?
各種状態異常耐性とかも有してるみたいだけど、鎧の隙間である目に依存する状態異常なら効くかな?具体的にはフラッシュで目眩まししたりしようと思って。
まあ、効かなかったら普通に金属バットで顔面(もとい、目を)ぶん殴るだけだけどね。
「うわぁ……」
マスク女子であるところの一郷・亞衿(奇譚綴り・f00351)は、ドラムを叩くセミを見て嫌悪を露わにした。といってもマスクをしているから、眉根が寄るのを確認できるくらいではあるのだが。
「でっかい虫のオブリビオンって結構キモいな……そのうえ季節外れにも程があるし……まあいいか、ぱぱっと終わらせちゃおう」
亞衿の呟きは、セミドラマーによる演奏で彼には届いていない。
「おうおう嬢ちゃん、どうした! オレらのカッコ良さに動けなくなってんのか! そんならサービスだ、セミロックバンドの演奏を聴いていきな!」
セミドラマーがドゥン!と鳴らすと、ボーカル、ギター、ベース、キーボードを担当するセミが出現した。
「わ、わぁ〜、かっこいーですねー」
「おう、もっと格好良い姿を見せてやるぜ! ミュージックスタート!」
なんだかガチャガチャしていてミンミンしている演奏が始まる。亞衿はそれを呆然と聞いているしかなかった。
「て言うかそもそもセミロックバンドって何……?(すごーい!)……あっいけない、本音が出ちゃったけど聞こえてないか」
一曲終わったところで、亞衿はカメラを取り出した。
「すごい演奏でした! 記念に、そのかっこいい姿を撮らせてください!」
有無を言わせず、亞衿はカメラの閃光を放った。
しかしそれは実際のところ、ユーベルコード。
セミドラマーを残して、ロックバンドが消滅する。
「……おいおい、冗談だろ……?」
「本体にはダメージなさそうだね。まあ、効果以上のものはあんまり期待できない的な? それじゃちょっと失礼して……よいしょっと」
と、セミドラマーの目を金属バットで思い切り殴る亞衿であった。
大成功
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シスカ・ブラックウィドー
でっかい虫だな!動物は好きだけど虫はノーサンキューだなあ……。やかましいし。
とりあえずぬいぐるみ軍団で集中攻撃を仕掛けよう。シュレーディンガー、ブルース、がんばれ!ジョナサンは上空で待機!
ボク本体はティコに乗ってこっそりとオブリビオンの真上に移動。今だジョナサン!
ジョナサンの爆撃で視界が隠れた所を狙って急降下!毒ナイフで目玉を狙うよ!
※シュレーディンガー、ブルース、ジョナサン、ティコは全て所持アイテム
「これまた可愛いお嬢さんだ、アンタもロックを嗜むのかい?」
鳴き声と歌声とドラム演奏の混じった騒音が、シスカ・ブラックウィドー(魔貌の人形遣い・f13611)を襲う。
「えっ、何か言った? やかましくて全然聞こえないよ……」
やや脱力する感じを覚えながら、シスカは翡翠色のドレスを翻した。
「それにしたって、でっかい虫だなあ。動物は好きだけど、虫はノーサンキューなんだよね☆ ってことでシュレーディンガー、ブルース、がんばれ! ジョナサンは上空で待機!」
ぬいぐるみたちに攻撃を仕掛けさせ、自身は空飛ぶ鯱のぬいぐるみ「ティコ」に乗るシスカ。他のぬいぐるみが惹きつけてくれているうちに、こっそりとセミドラマーの真上へと移動するのが目的だ。
目以外を狙う攻撃であっても多少の目くらましにはなるようで、セミドラマーの注意はぬいぐるみたちに向けられている。シスカの存在は、完全にセミドラマーの意識の外だ。
「よし、今だジョナサン!」
合図ひとつ、ジョナサンが爆撃を仕掛ける。巻き起こる土煙で、セミドラマーの視界はシスカの狙いどおり遮断された。
「くそっ、土が……! 音が濁っちまう!」
「ボクがか弱い女の子だと思った? 残念、強そうに見えないのも暗殺者の才能なんだよ」
続けて急降下したシスカは、猛毒を塗ったダガーをセミドラマーの目に突き入れた。
暴れるセミドラマーが奏でる音は、もはや音楽とは言えないリズムであった。
大成功
🔵🔵🔵
九条・救助
で、なに。セミ?季節外れのセミ?
よしわかった。虫取りなら小学生のときによくやったかんね。やったろーじゃないか。
え。仲間呼ぶの?
はい。ロックバンド。セミの。
……お前は?
はい。ボーカル(バス)。お前もボーカル(テノール)?お前は?ボーカル(ソプラノ)。
……ボーカルとドラムしかいねえじゃねえか!!!!
よーしわかった。その演奏にブーイングだ!フロアがサムいぜ。【凍神領域】!物理的に冷やしてやる。ボーカル隊は冬眠でもしてな!
で、ダメージ通んなくてもセミなんだし寒けりゃ動きも鈍るでしょ。そこに接敵して弱点に叩き込んでやるぜ。
では、目を狙う時の作法に則って。
クトネシリカが空を切る!今だ!キックを使え!目だ!
「虫なら任せろ、虫取りなら小学生のときによくやったかんね」
やったろーじゃないかと拳を鳴らす少年、九条・救助(ビートブレイザー・f17275)は次の瞬間「え」と立ち止まった。
セミドラマーがジャンジャカ音を鳴らすと同時に、仲間が出現したのだ。
「セミロックバンドがお相手するぜ!」
「……なるほど、ただの季節外れのセミじゃねーってことか。で、そっちのマイクのセミは何担当なの?」
「よーし、愉快な仲間を紹介するぜ! まずはオレの右側に立つ奴から、こいつはボーカル(バス)! 続いてオレの正面に立つ奴、こいつはボーカル(テノール)! 最後にオレの左前に立つ奴、こいつはボーカル(ソプラノ)だ!」
デケデケデケデケ! セミドラマーがドラムを鳴らすと、ボーカルがそれぞれの音域でシャウトする。
「……ボーカルとドラムしかいねえじゃねえか
!!!!」
モニュメントバレーの大地を、力強く殴りつける救助。
「よーしわかった、お前らがそう来るなら――オレにも考えがある!」
まずは思い切りサムズアップ。だが次の瞬間、親指を下に向けた。そう、ブーイングだ。ロックバンドに対して救助はブーイングの意を示したのだ。まだ演奏をちゃんと聴いてないのに!
「フロアがサムいぜ。ここから先は……オレが、支配する」
とたん、赤土は永久凍土に変じ、ボーカル隊が凍り付く。同時にセミドラマーの動きも鈍ったのを、救助は見逃さない。
「バスもテノールもソプラノも、仲良く冬眠してな! さーて次はお前だドラマー!」
一気に距離を詰め、キックを仕掛けんばかりに跳躍し――
「これが目を狙うときの作法だ、覚えとけ!」
氷の杖クトネシリカが空を切り、セミドラマーの目にぶちこまれた。
大成功
🔵🔵🔵
アララギ・イチイ
騒音系の敵かぁ
それじゃ、この装備(UC)で対処しましょうかぁ
【選択UC】使用よぉ
敵(蝉のロックバンド含み)を上記のUCの【範囲攻撃】に巻き込む様に発射するわぁ
で、上記の端末は攻撃転用はせず、波動=音波に干渉して、蝉達の放つ騒音を止めてしまいましょうかぁ
空気が振動しなければ、どんなに騒音を出そうが音漏れも無いでしょぉ
攻撃に関しては敵に届く波動=電磁波=可視光を捻じ曲げて、私自身を姿を隠蔽、同時に射撃武器の弾道を隠蔽(弾丸などが見えない様にする)した状況で、【スナイパー】の技能で補正した9mm拳銃×2(両手に1丁ずつ)の【2回攻撃】の一(二?)撃を目=鎧の隙間の目を狙い発砲するわぁ
戦場傭兵であるからか、それとももっと別の性質によるものか。アララギ・イチイ(ドラゴニアンの少女・f05751)は赤土を踏みしめ、セミドラマーが喚んだロックバンドたちを一瞥した。
「騒音を攻撃手段にする敵なのねぇ。それじゃ、この装備で対処しましょうかぁ」
アララギが手にするのは、数百個もの操作端末。
「この衝撃波から逃れられるかしらぁ、射出ぅ!」
投擲、落ちた場所はロックバンドの周囲だ。すると、先ほどまでかき鳴らされていた騒音は瞬く間に消えた。しかしドラマー含め、ロックバンドが演奏する手は止まっていない。
(な、なんだ、ドラムから音が出ねえ!)
(声が出てない!? いや、声は出てるみたいだが――聞こえないのか!?)
(おいおい、ギターが鳴らないぞ!?)
そう、アララギの攻撃は音波に干渉するものだ。空気が振動しなければ、どんな音量で騒ごうとも無駄というもの。
彼らが慌てふためく間、アララギの姿は誰にも視認できないものになっていた。
先ほどの端末を使用して可視光をねじ曲げ、自身の姿を隠蔽したのだ。
誰の目にも見えないアララギの手には、両手に1丁ずつの9mm拳銃が握られている。両手が引き金を引くこと二回、計4発の弾丸が射出された。
スナイパーの技能を以てすれば、スナイパーライフルでなくとも命中させるのは造作も無いこと。
弾丸はセミドラマーの目に到達し、体の内部へとめり込んで行く。
「少しは静かになったかしらぁ? って、音は封じてたのよねぇ、聞こえないわけだわぁ」
ユーベルコードの効果が切れた頃、アララギの耳にはセミドラマー、その呻き声が届いた。
大成功
🔵🔵🔵
パウル・ブラフマン
愛機Glanzで乗り付け登場☆
ココが噂のモニュメント・バレー!
やっぱツアーにはこう云う名所が欠かせな…
すっげー!
セミのロッカーとかサイコーにILLじゃんね☆
feat. MC jailbreak(タコのラッパー)とかどうかな?
【コミュ力】と【パフォーマンス】力を
遺憾なく発揮して
セミロックバンドに友好的にセッションを申し込みたいな☆
Herz握りしめライムを刻むかと思わせ
ドラムセットに振り向いたタイミングで
セミドラマーの目を狙いUC発動!
―テメェの総て、オレに寄越せ!!
己のビートをまんま叩き込まれるって
或る意味やべー快感なんじゃね?
このフロウに乗せて、骸の海まで送ってあげるよ♪
※絡み&アドリブ歓迎!
パウル・ブラフマン(Devilfish・f04694)の愛機、Glanzがモニュメントバレーの大地にタイヤ跡を刻む。
「やっぱツアーにはこう云う名所が欠かせな……」
エイリアンツアーズの仕事目線でパウルが見渡した先、目に入ったのはセミドラマー。思わず目を輝かせ、Glanzから降りて駆け寄る。
「すっげー! セミのロッカーとかサイコーにILLじゃんね☆」
「見どころのある兄ちゃんじゃねえか! なんだ、アンタも何か音楽やってんのか?」
「まあね☆ そうだ、feat. MC jailbreak――タコのラッパー、とかどうかな?」
「なるほど“ソッチ”か! いいねえ、面白いねえ……なら、」
「「セッションを」」
言葉が重なったのに気付いて、セミドラマーとパウルはにやりと笑った。
「申し込みたいな☆」
「申し込みてえぜ」
触手とドラムスティックの握手。遺憾なく発揮したパウルのコミュ力とパフォーマンスは、絶好調だ。
「合わせる気は無ぇぜ、そっちがついてこいよ?」
「そっちこそ、遅れないようにね♪」
スネアの端で刻まれ始めた拍子に合わせ、パウルは体でリズムを取る。
「よっし、出番だぜお前ら!」
セミドラマーがロックバンドを召喚すると、音はバンドのそれとなる。前奏と思しきパートが終わりかけたその時、パウルはHerzを握りしめてライムを刻む――ことは、しなかった。
代わりに振り返り、セミドラマーの目に狙いをつけて声を張り上げる。
「―テメェの総て、オレに寄越せ!! 己のビートをまんま叩き込まれるって或る意味やべー快感なんじゃね? ――このフロウに乗せて、骸の海まで送ってあげるよ♪」
動きを止めたセミドラマーと消え去るロックバンドに、パウルはウインクを送った。
大成功
🔵🔵🔵
月舘・夜彦
【華禱】
蝉が……蝉が楽器のような物を叩いています
不思議なオブリビオンも居るものですね
剣術の基礎がある上で得意な型が抜刀ですので突きは可能です
私より倫太郎殿の薙刀では難しそうですね
気を付けて参りましょう
楽器を鳴らされてしまうと動きが素早くなってしまうのが厄介です
本体を狙うと見せかけ、フェイントにて奴の武器である楽器を狙います
早業の抜刀術『神風』の2回攻撃で妨害
音は間合い、乱せば正しく音は刻めない
攻撃は不規則に、仕掛けると同時に衝撃波で金の打楽器を鳴らします
倫太郎殿の拘束術で動きが止まりましたらグラップルで奴の目を殴ります
体術も会得しておりますので、剣より素手の勝手が良ければ其方です
篝・倫太郎
【華禱】
身体のサイズにしちゃ、小さいんだよなぁ
蝉の目って……
ま、それでもやらねぇとどうにもなんねぇってな
夜彦の攻撃は基本抜刀だけど、目だけ突くとか出来んの?
出来るなら任せる
拘束術使用
敵が射程範囲に居るのを確認して鎖での先制攻撃
まずはリズムを刻ませない事を最優先で
ドラムスティックを落とさせたり
ドラムセットをぶっ壊す方向で攻撃
勿論、身動きが取れないよう蝉自体を可能な限り拘束
出鼻を挫くってやつだ
同時に俺も華焔刀でなぎ払い
刃先返して2回攻撃
拘束術も俺自身の攻撃も衝撃波と鎧無視攻撃を常時乗せてく
敵の攻撃はオーラ防御で防いで拘束術でカウンター
可能なら、凪で目玉突いてやろう
目玉はふたつ
俺とあんたで2人ってな
はて、とヤドリガミの青年、月舘・夜彦(宵待ノ簪・f01521)は首を傾げた。
「蝉が……蝉が楽器のような物を叩いていますよ、倫太郎殿。不思議なオブリビオンも居るものですね」
「……ん? ああ、確かに不思議なオブリビオンだな」
どこかぼんやりした様子の篝・倫太郎(災禍狩り・f07291)に、夜彦は問う。
「何か気がかりなことでも?」
「いや、身体のサイズにしちゃ、小さいんだよなぁってさ。蝉の目」
と、倫太郎がセミドラマーの目を指差す。なるほど確かに、と夜彦が頷く。
「まあ、だからってやらないわけにはいかねぇけどさ。なあ、夜彦は目だけ突くとか出来んの?」
夜彦には、剣術の基礎がある。そのうえ、得意な型は抜刀だ。思案した上で、夜彦はゆっくりと頷いた。
「そうですね、突きは可能です。……倫太郎殿の薙刀では難しそうですね」
「だな。じゃあ、ひとまず任せた」
「承知しました。では、お互い気を付けて参りましょう」
開始の合図もなく、二人は行動を開始した。
まずは倫太郎が見えぬ鎖でドラムスティックを落とし、セミドラマー自身も拘束する。
「むっ
……!?」
「出鼻を挫く、ってやつだな」
夜彦の位置を確認しながら、倫太郎はまず華焔刀でセミドラマーを薙ぎ払った。払い抜いた先で刃先を返し、もう一度お見舞いするのも忘れない。
拘束術が解けたあたりで、セミドラマーは自身の反応速度を上げるリズムを刻み始める。
「一度拘束したくらいで、オレのロックンロールを止められると思うなよ!」
「――なるほど、これは厄介です」
高速のリズムを耳にした夜彦は、まるで困った素振りを見せない。
素早く動くセミドラマーではあるが、彼が叩くドラムセットは不動のもの。だから、夜彦はドラムセットへ向けて愛刀・夜禱を抜いた。
「是は空さえも斬り裂く刃也」
二度にわたる高速の斬撃が、ドラムセットを響かせ、揺らす。
「お、おう!? すげぇ気迫だったからびびっちまったぜ。……ふぅ、ドラムセットは無事か」
そう、ドラムも鎧で覆われているのだ。
しかし、夜彦の目的は楽器の破壊ではない。夜彦は再び刀を抜き、シンバル目がけて衝撃波を放つ。それを何度も、不規則に。
「くそっ、兄ちゃんが鳴らしてちゃあビートを刻めねえ!」
目論見通りの結果と反応を受け、夜彦は倫太郎へと視線を送った。
そう、音は間合い。間合いを見だしてしまえば、音を正しく刻めなくなる。
それでも大きな音の攻撃には、防御行動を取る倫太郎だ。オーラに響く音は半端ないものではあるが、それでも防ぎ切れないものではない。
「一度で駄目なら、二度以上やればいいだけだよな?」
と、カウンターとしての拘束術が再びセミドラマーを戒める。
「夜彦!」
「はい、倫太郎殿」
倫太郎の作った好機に、夜彦は刀を収めた。
使う武器は、拳。夜彦が会得しているのは何も剣術だけではないのだ。
セミドラマーが抵抗する手段を持たぬうちに、夜彦は鎧の隙間、すなわち目を殴りつける。そこには鈍く、確実な手応えがあった。
「倫太郎殿、頼みます」
「ああ。目玉はふたつ――俺とあんたで2人ってな」
倫太郎は、華焔刀の刃先をセミドラマーの目に突き立てた。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
夏目・晴夜
つまりは大義名分のもとに【目潰し】してもいいという事ですか?
そんな、そんな恐ろしい事をやってもいいだなんて……
最高過ぎて笑いが止まらなくなってしまうではないですか
攻撃力が多少減っても構いませんが、封じられては厄介ですね
『喰う幸福』の呪詛を伴う衝撃波を妖刀の斬撃と共に放ち、
うるさい騒音をひとつでも【なぎ払って】打ち消します
本当にクソうるさいですね……私は繊細なんですよ
そうして【力溜め】しつつ高速移動で一気に接近し、
妖刀でその目を全力で【串刺し】にしてあげます
ついでのオマケで【傷口をえぐる】サービスもしてあげます
できそうであれば、特に理由はありませんが【踏みつけ】ます
いや死ぬ瞬間もうるさいな、オイ
クーガー・ヴォイテク
正面から殴り合おうぜ、な?男だろおお!!!
戦争での被害を食い止めるため"祈り"【聖者の誓い】を捧げる
真っ向から【聖者の行進】によって接近し、敵の攻撃は【聖者の気合い】による"気合い"で受けると"覚悟"を決めておく
傷が目立って来たら【聖者の闘争】によって奮い立たせる
騒音は全て"気合い"で乗りきるつもりだぜ
目を、目を狙うんだ
"怪力"を込めた【聖者の鉄拳】を、その眼ん玉にぶち込んでやるぜ!!
アドリブ絡み等歓迎
脳筋には脳筋にしかできないやりかたがある、そう気合い
兎乃・零時
アドリブ絡み大歓迎
神鋼の鎧……この戦争でよく耳にするけど、実際着心地ってどんな感じなんだろうな…?
ともかく弱点は目なんだろ、なら背中とかよりはやりやすい!
セミが鎧を着るって違和感半端ねぇけど気にしちゃ負けだ!
やってやるぜ…!
セミがロックバンド……!!
……いやほんとあいつらの生態どうなってるんだ!?
なんかリズムがすごく良いけどさぁ!
ともかく目が弱点ってんならまずは目つぶし!
光【属性攻撃】…光魔術の光源<ライト>を使うぜ!
それで相手の視界を遮断出来たなら
【ダッシュ】で近づき【零距離射撃・全力魔法】なUCをぶつけるぜ!
「紙兎パル」には【オーラ防御・拠点防御】で防いで貰い
時に【援護射撃】もしてもらう!
クロト・ラトキエ
(蝉だ)
(蝉だ…)
まぁいいとして。
目が弱点。
成る程、ではそこを狙…うのは当然ですよね。誰でもそうします。
ならば相手も対策を取るでしょうね?
故に。
トリニティ・エンハンス起動。
風の魔力を防御力に。
上げるべきは…力よりも、速さ。
蝉の視野の広さを考慮し、敢えてその隅に映る程度の位置取りよりダッシュで肉薄。
ナイフは投げず手に持ったまま、速度に任せ目を狙い刺突――
…なぁんて、フェイント。
本命は振り抜くと同時に舞わせ絡げる、鋼糸。
機動を削ぐべく真に狙うは、羽か脚。
如何なる“物理攻撃”をも防ぐその鎧…
UCですらない、全力の、タダの足止め。
それすら解いてくれますかね?
誰かの最高の一撃、其処へ繋げられたなら、上々
そこにいるのは、蝉だった。眼鏡をいったん外してかけなおしても、目を閉じてから再び見ても、やはり蝉だった。
「まぁ、それはどうでもいいとして。目が弱点とのことですが」
クロト・ラトキエ(TTX・f00472)が呟く。
すると、夏目・晴夜(不夜狼・f00145)はぱちんと指を鳴らした。
「! なるほど、つまりは大義名分のもとに目潰しをしてもいいという事ですね?」
「その通りです――が、であればそこを狙うのは当然です、そういう情報を聞いたなら誰もがそうします――なら、相手が対策をしていてもおかしくはない」
「なるほど、対策。けれどそんな、目潰しなどというそんな恐ろしい事をやってもいいだなんて……」
と、目の前のセミドラマーを見て首を振る晴夜。
「最高過ぎて笑いが止まらなくなってしまうではないですか、ふふ、ふふふふふ……」
「まあ、背中が弱点、なんてのよりはやりやすいよな。……ところで、アレってどんな着心地なんだろうな……?」
兎乃・零時(そして少年は断崖を駆けあがる・f00283)が示すのは、セミドラマーの纏う鎧。そう、神鋼の鎧だ。
「さあなあ。アレが着心地良いにせよ悪いにせよ、殴るワースはありそうだぜ!」
クーガー・ヴォイテク(自由を愛する聖者・f16704)は豪快に笑って、料の拳を打ち鳴らした。
「では、行くとしましょうか」
風の魔力で防御力を底上げしたクロトは、すかさず肉薄するための行動を開始した。それは、セミドラマーの“視界の隅に映る”程度の位置からだ。
「よし、俺も続くぜ! 気合いがあれば……耐えれるぜッ!」
聖者の青年はセミドラマーの真っ正面から挑みかかった。
続けて、全身を聖なる光で覆う。
クーガーの動きを察知したセミドラマーは、すかさず攻撃を仕掛ける。セミドラマーとドラムセットから奏でられる音は、実際のところ騒音どころの音量ではない。
体の内部を余すところなく震わせる騒音は、確実に体の内側を破壊線と鳴り響くのだが――、
「気合いで乗り切るぜ!」
そう、それが脳筋であるクーガーのやり方だ。
「ほう! なんだか知らないが、熱い奴じゃねえか。」
「ありがとよ! なあ、そんな演奏じゃ無くて正面から殴り合おうぜ、な? だって男だろおお!!!」
轟音は未だ響く。クーガーの負傷は加速度的に増えてゆくが、彼はむしろ口角を上げた。
「まだだ……まだ終わらせないぜッ!」
少し先で繰り広げられる戦いに、自身も参戦しようと零時はチャンスを窺っていた。
「よ、よし、俺様も!」
意気込みつつも気になるのは、セミが鎧を着用しているという事実。違和感半端ない、気にしたら負けだ、でも気になる、いや負けるのはダメだと思案する零時は、思考を振り払うように首をぶんぶんと振る。
「や、やってやるぜ……!」
何度も訪れる正念場は、決して慣れるようなものではない。零時が踏み出すと同時に、セミドラマーは256ビートを刻み始めた。とたん、零時はいてもたってもいられず頭を抱える。
「あ゛――! もうどんな生態してんだよもう――! リズムすごく良いんだけどさぁ! 気になる――!」
ひととおり叫んだ後は両の頬をぺしりと叩き、今度こそ意識を集中する。
「弱点は目! なら、最初はこれだ!」
光魔法で照らせば、当然セミドラマーの目は眩む。その間に紙兎のパルと共にダッシュで接近し、真正面から仕掛ける零時。
「バカめ! 今までのはただのビームだ! ―――そして、これから撃つのが本気の本気!避けれるもんなら…避けてみやがれ!!!」
全力で放たれた魔力の矛先は当然、目。
「くっ――! 正攻法とはやるじゃねえか、少年!」
ドラムスティックを振りかぶるセミドラマー、それをすかさずパルが受ける。パルが援護射撃をする間にセミドラマーから離れた零時は、接近した時と同じようにダッシュで距離を取った。
というのも、晴夜が良い具合に接近していたからだ。
「やあ、ありがとうございます。とても助かります」
晴夜が告げると同時に、セミドラマーがけたたましい音を放ち始めた。
「ミ゛ンミ゛ンミ゛ンミ゛ン――夏が~終わる~死ぬ――ミ゛ンミ゛ンミ゛ンミ゛ン――死んだら~どうなる~――ミ゛ンミ゛ンミ゛ンミ゛ン――わからない~死んだことも~」
ドゥンドゥンジャカジャカバーンバーンドーン!
ひとりバンドが奏でる音楽に、晴夜は妖刀悪食を水平に構える。
「本当にクソうるさいですね……私は繊細なんですよ」
暗色の怨念を頭身に纏わせ、呪詛を伴う衝撃波を放つ。衝撃波はセミドラマーの腹部に当たり、一時的とはいえその鳴き声と歌声を黙らせることに成功した。
「ミ゛ッ!?」
「攻撃力が多少減ってしまったようですが、問題ないでしょう」
力を溜め、一気にセミドラマーに迫る晴夜。妖刀の先端をずぶり、セミドラマーの目に突き入れる。
「ついでのオマケです、今日の私はとても気分がいいので」
と、いつもの無表情で傷を抉る晴夜。さらにはセミドラマーの腹を踏みつける。特に理由はない。
「さあて、そろそろ静かに――」
「ミ゛ミ゛ミ゛ミ゛ミ゛ミ゛ミ゛ミ゛、ミ゛、ミ゛ミ゛……」
「いや瀕死でもうるさいな、オイ」
晴夜はため息をつき、妖刀を引き抜いた。
「ふむ、なかなかにしぶといようですね」
投擲しても当たる距離には来たが、まだ攻撃には移らないクロトだ。速度を活かした攻撃をするのならばやはり目への刺突であろう、と思案してナイフを振りかぶる。彼の口元だけが、音にならない「フェイントですよ」の言葉を紡ぐ。
ナイフは振り抜かれ、同時に鋼糸が舞った。鋼糸は脚を絡げ、セミドラマーの動きを阻害する。
「これでオレを倒す気か? そいつは無理だ、なぜなら鎧が――」
「そう、如何なる“物理攻撃”をも防ぐその鎧は――体力を削ぐことのない、タダの全力の足止めを“解いて”くれますかね?」
セミドラマーの表情は解らないが、『しまった』という心情であるのはいとも容易く読み取れた。
「ッし、ありがとな!」
すかさず、クーガーが一歩踏み込んだ。狙いは当然、
「お前の――目ッ!」
力を籠めた拳には、何も装着されていない。けれどクーガーの拳は視認できないほどのスピードでセミドラマーに迫り、目を潰さんばかりの勢いで叩き込まれる。
「……拳もいいモンだろ?」
クーガーの拳は、しっかりとセミドラマーの目に命中していた。
一方、カウンターのように繰り出されていたセミドラマーのドラムスティックはクーガーの脇腹をかすめていた。
「……ああ、拳もなかなかにロックンロールだったぜ!」
他の手でドラムセットを叩くセミドラマーの音は、精彩を欠き始めている。
ロックンローラーなセミのドラマーに残された時間は、そう多くなさそうだ。
大成功
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セツナ・アネモネ
【喫茶タムタム】のみんなと。
【POW】
隙間を狙う……とは言っても、セミの目を撃ち抜くのはちょっと無理があるかも。
まぁ……撃ってればそのうち当たるでしょ、たぶん。
『銃の舞』でセミドラマーのどこでもいいから撃ちまくるとするよ。
ダンスはそんなに得意じゃないけど……こっちの舞なら得意だよ。派手に踊ろうじゃない!
ただでさえ短いセミの寿命でずーっとリズムを刻んでたんだ、コイツはロックに生命を捧げたんだね……
枯井戸・マックス
●喫茶タムタムで参加
「いいビートだ!さあ皆でセッションと行こうじゃないか!
星辰の導きによりて疾く為したまえ……召喚!白羊宮・ラリホーンサックス」
ゾディアックアーマーを使用
羊角の兜、羊毛をあしらった全身鎧、牡羊座の紋章が刻まれたサックスを召喚装備
セミドラマーのビートにのせて眠り属性の音波を放つ。【属性攻撃、催眠術】
しかし魔術攻撃に気取られないよう演奏する曲目はロックに
(大したBPMだ、こりゃ振り落とされかねん。だがここで負けたら世のサックスに憧れる少年達に申し訳がたたん!)
これだけ演奏したんだ
元より相手は老い先短い身、曲が終わる頃には二度と目覚めない眠りに落ちていることだろうな
アドリブ大歓迎
チトセ・シロガネ
【喫茶タムタム】のみんなと行動ネ!
【POW】
ノリノリのユーだネ!ボクもロックは大好きネ!
だから、相手が寿命を削って弱るように動くネ!
ボクも音楽にあてられてダンスを踊るネ。
心揺さぶるほどビートッ!魂削るドラムさばきッ!フゥー!!
テンション上がってきたよ!!
UC【光輝幻影】で両腕を電気に変異させてパフォーマンスでエアギターをしつつセミのユーについていくヨ!
速さは電気の特性と早業で対抗ネ。
あまりのテンションに勢い余って目にヒジをぶつけるアクシデントがあるかもだけど、ユーの魂が燃え尽きるまでビートを刻んでいくネ!
あれ?……なんだか弱ってきてナイ?
ロックは寿命にも効くって聞いたんだけどナァ……。
蝶ヶ崎・羊
【喫茶タムタム】の方と参加します
なんて荒々しい音楽でしょう…しかし、これでも歌を武器とする身としては、負けてなんていれません
音楽にあわせてワタシもロックを歌いましょう
『では、命を燃やすようなロックを始めましょう!!』
音による攻撃でも目にダメージを与えられるかもしれない…声に【衝撃波】をまぜて歌います(【鎧無視攻撃】も付与)
また、マックスさんの魔術攻撃がバレないように荒々しく、ダイナミックに歌います
此方が劣性ならばUC発動
文字通り命を削りながら【歌唱】と言う武器を振るいましょう
(流石にこのままでは押し負ける…ならば!)
『とても素晴らしい…ロックンロールでした』
仮面の男、枯井戸・マックス(マスターピーベリー・f03382)は、足の先でリズムを取っていた。セミドラマーの自由自在なリズムに遅れることなく先行くことなく、的確に同じタイミングで。
蝶ヶ崎・羊(罪歌の歌箱・f01975)は、セミドラマーの鳴らす荒々しい音楽を聞いて息を呑んだ。
「これは……負けていられませんね」
そう、羊も歌を武器とする身だ。セミドラマーの音に圧倒されるわけにはいかない。
「ノリノリのユーだネ! ボクもロックは大好きネ!」
はしゃぐチトセ・シロガネ(チトセ・ザ・スターライト・f01698)は、セミドラマーの奏でる音に合わせて気ままに手足を動かす。
「心揺さぶるほどビートッ! 魂削るドラムさばきッ! フゥー!!」
そんなご機嫌なチトセに対し、セミドラマーのビートは留まるところを知らずに加速してゆく。
それがいったん止まった時、マックスは数度の拍手を送った。
「いいビートだ!」
「オレのビートについてくるたぁ、アンタらやるな!」
「お前さんだって――と、褒め合っていても仕方が無い。さあ、皆でセッションと行こうじゃないか!」
「ええ、命を燃やすようなロックを始めましょう!!」
頷く羊。仲間の準備は万端だ。
マックスは指を鳴らし、ユーベルコードを発動する。
「星辰の導きによりて疾く為したまえ……召喚! 白羊宮・ラリホーンサックス」
とたん、マックスの体に鎧が装着される。頭には羊角の兜、胴から足先にかけては羊毛をあしらった全身鎧。しかし何より目を惹くのは、牡羊座の紋章が刻まれたサックスだ。
「サックスと来たか! このビートはどうだ!」
セミドラマーの刻む256ビート、対してマックスはサックスを吹き鳴らす。ロックなビートを引き立て、時にはリードし、サックスの旋律は、セミドラマーのハートに火を点けたらしい。
(「ほう! 大したBPMだ、こりゃ振り落とされかねん。だが――」)
マウスピースに吹き込む息が、不規則になる――が。
(「ここで負けたら世のサックスに憧れる少年達に申し訳がたたん!」)
あらんかぎりの息を音へと変えて、マックスはサックスを吹き続ける。
仲間の攻撃を見ながら、ダンピールの女は少しばかり迷っていた。
「うーん……隙間、かあ……」
手にしたS&Kに視線を落としたセツナ・アネモネ(記憶の果て・f04236)は、少し困り語だ。
鎧の隙間である目を撃ち抜くのは、少し無理がありそうだ。しかし、その程度の状況で攻撃を諦めるセツナではない。
「ユー、行けそう?」
「ああ、大丈夫だよ。――撃ってればそのうち当たるでしょ、たぶん」
チトセの問いに銃をひらり見せて、まずは一発。ドラムセットに当たって跳ね返るが、セツナは射撃を続ける。
「ダンスはそんなに得意じゃないけど……こっちの舞なら得意だよ。派手に踊ろうじゃない!」
たとえそこが鎧に覆われた箇所であっても、関係ない。セツナは遠慮も躊躇もなく撃ちまくる。持ち込んだ銃器、その銃口が連続で火を噴き、薬莢が排出される。
対して、セミドラマーは256ビートを刻み始める。放たれた弾丸のいくつかを、ドラムセットを叩きながら回避するセミドラマーであるが、彼の体は見て解るほどに細ってきている。途中、弾丸を目に受けても、刻むリズムは止まらない。
「まったく、見上げた根性だね」
ふっと笑うセツナの弾丸も、もちろん止まらない。
響き渡る、セミドラマーの寿命を削るビート。狙い通りの行動に、チトセの目が輝いた。そして彼女のダンスはいっそうノリノリになる。
「よっし、テンション上がったところで“トッテオキ”見せてあげるヨ!」
両腕を電気に変異させたチトセの腕が、何かをかき鳴らす。
「! それは……エアギターじゃねえか
!?!?!?! なんてこった、まさかエアギターに出会えるとは、オレはとんだ幸運を掴んじまったらしいな……」
「ユーはエアギター見るの初めてネ? 見せてあげるヨ、ボクのパフォーマンス!」
「言うじゃねえか、オレのスピードについて来れるか!?」
並の者なら太刀打ちできないスピードなのだが、チトセはいとも容易く追いついた。電気の特性と早業を駆使すれば、256ビートにだって対抗できるのだ。
セミドラマーとチトセの視線が、交差する。
(「言うだけあって、やるじゃねえか
……!」)
セミドラマーがそう言った気がしたから、チトセはにやりと笑ってエアギターを弾き続ける。
一方の羊は、ロックなボーカルに衝撃波を混ぜ、音を届けていた。
それはマックスが音波による攻撃を仕掛けやすくなるよう、サックスの音をかき消さんばかりの音量と荒々しさだ。
セミドラマーがドラムセットごと揺れるが、鎧のせいでダメージは与えられていないようだ。しかも、セミドラマーのリズムは羊が思っていたよりも過激だ。
(「流石にこのままでは押し負ける……ならば!」)
「邪悪なる皇太子よ…黒き湖から我が歌を頼りに、我が身に顕現したまえ」
黄衣の王が紡ぐ言葉と音は、セミドラマーのビートと同じように命を削る代物。だというのに、羊は歌唱を止めない。
「フッフゥー!! 盛り上がって行くヨー!! ユーの魂が燃え尽きるまで! ……あいたっ」
テンションの上がりすぎにより目に肘がぶつかったが、チトセの演奏もまだまだ止まらない。
「な、なんだ……『視』える! 聞こえないはずの音が『視』えるぞ!?」
「次に生まれてくる時は、エアギター担当をお勧めするネ!」
と、セミドラマーを見たチトセは気付いた。
「みんな、見て見て。なんだか弱ってきてナイ? おかしいナァ、ロックは寿命にも効くって聞いたんだけどナァ……」
不思議そうに首を傾げるチトセの言葉に小さく笑ったマックスは、今が打って出る時だと判断した。現在の羊の歌唱ならば、魔術攻撃に気付かれることはなさそうだ。
マックスが、サックスの音に魔術を織り込ませる。
そうしてセミドラマーに到達した催眠音波は、彼の意識を奪い始める。ビートの速度が、落ちて行く。
好機は、これ以上ないくらい完璧に作り上げられた。
そこでアネモネの放った弾丸がセミドラマーの右目を、次いで左目を撃ち抜いた。
セミドラマーの演奏が止み、同時に喫茶タムタムの面々も演奏の手を止めた。
「――やったか? 何にせよこれだけ演奏したんだ、相手もそろそろ……」
サックスを降ろしたマックスが、様子をうかがう。
「そう、ですね。それにしても……とても素晴らしい……ロックンロールでした」
羊が拍手をする中、セミドラマーはサムズアップならぬドラムスティックアップをする。
それを見て、セツナは銃を下ろした。
「……ただでさえ短いセミの寿命でずーっとリズムを刻んでたんだ」
静かに頷き、続ける。
「コイツはロックに生命を捧げたんだね……」
だから、セミドラマーはここで倒れても後悔はないのだろう、きっと。
セミドラマーを覆っていた鎧が消え、続けてセミドラマー自身も消滅してゆく。
「ユー、来世はちゃんとエアギター担当になるネ! ……あっ、みんな空を見るネ!」
チトセが、モニュメントバレーの空を指さす。
そこにセミドラマーの顔がわずかな間だけ浮かんだかと思うと、ゆっくりと消えて行った――ように、見えた。
大成功
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