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私は母。神の子を宿した母。
十月十日この子を守れと命令された。
命令されずとも分かる。
この子こそ逃げる意味。戦う意味。生きる意味。
だから誰にも邪魔はさせない。
必ずこの子を守りきらなくては……。
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「集合お疲れ様。皆のお陰で安倍晴明が行おうとしている計画が判明したんだ。今回はそれの阻止をしてほしい」
グリモア猟兵のレン・デイドリーム(白昼夢の影法師・f13030)は猟兵達が集合するとすぐさま説明を開始していく。
「皆には安倍晴明の研究施設から逃走したオブリビオンの討伐を行って欲しい。そのオブリビオンは『偽神降臨の邪法』というものを施されていて……胎内に神の子を宿しているんだ」
突拍子もない話に面食らった者もいるかもしれない。しかしレンは構わず話を続ける。
「『偽神降臨の邪法』は、人為的にオブリビオンフォーミュラを産み出すための実験で……これが成功してしまえば『偽神』と呼ばれる強力なオブリビオンが誕生してしまうらしいんだ」
邪法を施されたオブリビオンは『胎内に自魔軍将の力やコルテスが持ち込んだ神の力を宿らせ、その胎内で神を育て、10月10日後に出産する』という特性を得ている。
そのため、猟兵達が奥羽地方の水晶屍人を掃討した後にすぐさま施設を脱出。出産まで隠れ潜むために行動中とのことだ。
問題のオブリビオン達がこの世界の全土へ移動するより早く撃破して欲しいというのが今回の依頼の主旨である。
「オブリビオンは『胎内に宿った神の子』が何より大切だと思うように調整されているようだ。だからもし敵を発見出来たら逃げ出さないように工夫してほしい。最も皆で囲めばわざわざ見逃さないようにすれば大丈夫だとは思うけど……」
更にレンは画像の資料を指し示す。そこには討伐対象のオブリビオンが描かれていた。
「今回お願いしたいのは『水珠姫』というオブリビオンだ。水に関する能力を持っているみたいだから、上手く対応して戦って欲しい」
オブリビオンは邪法を施されており思想が変わっている以外の変化はない。
とにかく逃がさないように気をつけて討伐する事が大切だ。
「オブリビオンが潜んでいるのは施設跡近くの森だ。戦闘の支障になるものは何もないよ。思う存分戦ってきてね」
そう言いつつ現場付近の地図も猟兵達へと渡された。
「信長との決戦そのものよりは緊急性が薄いけれど、サムライエンパイアの今後のためにも依頼を成功させて欲しい」
そう言ってレンは猟兵達へと笑顔を向ける。
「オブリビオンを神の子ごと倒す。罪悪感を抱いてしまう人もいるかもしれないけど……オブリビオン自体も思想を歪められている。放っておく方が残酷じゃないかな。それじゃ、改めてよろしくお願いするね」
ささかまかまだ
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このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
1フラグメントで完結し、「エンパイアウォー」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。
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こんにちは、ささかまかまだです。
安倍晴明の遺した悪趣味な計画を阻止しましょう。
内容は「『水珠姫』とのボス戦」となっております。
オブリビオンは戦闘中も隙あらば逃げ出そうとするのでそこはご注意を。
今回は戦争シナリオですので、青丸の数がオーバーキル気味になりそうな時等はプレイングを却下させていただく場合がございます。ご了承下さい。
また戦争の詳細ページ、マスターページ等も適宜確認していただければと思います。
それでは今回もよろしくお願いいたします。
第1章 ボス戦
『水珠姫『みたまひめ』』
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POW : 水は方円の器に随わず、絶えず変化し続ける
自身の肉体を【変幻自在の水の体】に変え、レベルmまで伸びる強い伸縮性と、任意の速度で戻る弾力性を付与する。
SPD : 水泡は無に帰する、されど衣を濡らす
レベル×5体の、小型の戦闘用【の触れた対象を濡らし重くする水泡】を召喚し戦わせる。程々の強さを持つが、一撃で消滅する。
WIZ : 古川に水絶えず、水神様の怒りは収まることを知らず
【自身がかつて鎮めた水害の再現】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
👑11
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高柳・零
POW
また、とんでもない事を…。オブリビオンすら改造するとは、安倍晴明とは何者なんでしょうね…。
「その実験、止めさせてもらいますよ」
水珠姫の前に立ち塞がって宣言します。
「体が水になるんですか。厄介ですね」
全身をオーラで覆い、一点集中する攻撃は盾で受け、覆い被さるような攻撃は見切りで避けたりオーラで耐えたりします。
味方が居れば庇います。
物理的に斬ったり殴ったりは効果が薄そうなので、衝撃波で水の体を吹き飛ばします。
それでもダメなら、天斬りの出番です。2回攻撃で使い、一撃目はフェイントにして二撃目を確実に当てます。
「天斬りは『何でも斬れる』んですよ。例え水でも…ね」
アドリブ、絡み歓迎です。
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オブリビオンが潜むという森に集まった猟兵達。
彼らが目にしたのは虚ろな瞳をした水珠姫の姿だった。
「また、とんでもない事を……」
どうにも様子のおかしい敵を見て、高柳・零(テレビウムのパラディン・f03921)は悲しげに呟く。
オブリビオンすら改造するとは。安倍晴明とは何者だったのだろうか。
既に彼は骸の海へと沈んだが、その存在がこの世界に悪影響を残したのは間違いのない事実。
ならば少しでもその影響を消し去らなければ。
「その実験、止めさせてもらいますよ」
零は水珠姫の前へと姿を晒し堂々と宣言する。
猟兵の姿を確認した事で姫の表情は一変。怯えと怒りを纏った目で零を睨んだ。
「実験? 違う、この子は私が守る……!」
水珠姫はすぐさま身体を変幻自在の水へと変化させ、勢いよく飛び上がった。
そして敢えて零の方へ一直線に。勢いのまま彼を押しのけ逃げるつもりだ。
「体が水になるんですか。厄介ですね」
だが零も全力で受け止める姿勢を取った。前方に天霧の盾を構え、まずは水珠姫の体当たりを受け止めて。
そして零はそのままバスターソードを勢いよく振り下ろす!
水の身体には刃を直接当てても効果は薄いだろう。それなら衝撃波で吹き飛ばせばいい。
刃から生じた衝撃波は水珠姫の身体を弾き、近くに生えていた木へと直撃させる!
しかし彼女の身体は未だに水の塊のまま。衝撃波では効果が薄かったのだろうか。
姫はそのまま森の奥へと逃げ出そうとしている。ならばより確実な手段で切り裂かなくては。
「逃しません! 天に変わって悪を斬る!」
今度は剣に『天斬り』の力を纏わせ、再び水と化した姫へと振るう零。
しかしそれも姫の素早い動きに翻弄され、あっさり外した……ように見えた。
だが零の刃は止まらない。
先程の攻撃はフェイント、本命は二撃目の方だ。
「天斬りは『何でも斬れる』んですよ。例え水でも……ね」
その言葉の通り、予想外の角度から振るわれたバスターソードは見事に姫の身体を切り裂く!
彼女の身体は元の姿へと戻り、すぐさま身体を守るような姿勢を取った。
だがその目に宿った怒りの色は消えてはいない。
その様子を見た零は、再び強く剣と盾を握り直すのであった。
大成功
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幽草・くらら
相手はオブリビオン、母と子とか考えちゃいけません……
本来出産は幸せの最中のイベントだとかそんな事を考えたらダメです、多分戦えなくなります。
という事で後ろ向きですけど【覚悟】は決まりました。
一切の情けとか容赦無く確実にオブリビオンを……殺します。
UCによる強化形態に変身、ブラシに【騎乗】しての【ダッシュ】で彼我の距離を詰めます。
敵がどのUCを使っても【空中戦】への移行しつつすれ違い様に凍結の魔力を込めた塗料による【範囲攻撃】を仕掛け、それを継続して行います。
連携でもなんでも、とにかく隙を作ったら急接近しブラシをお腹に押し当てての魔力弾を狙います。
多分、戦いが終わったら耐えられなくなります……
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敵の潜む森へと辿り着いた幽草・くらら(現代のウィッチ・クラフター・f18256)の表情は暗いものであった。
今回の討伐対象は偽神を宿した女性のオブリビオン。
普通の女子高生だったくららには荷が重い相手だろう。
しかし相手はオブリビオン。身体に宿すのは本当の子供ではなく、敵も望んで母になった訳ではない。
本来出産は幸せの最中のイベントだとか、そういうくららにとっての当たり前を背負っていては戦えない。
「一切の情けとか容赦無く確実にオブリビオンを……殺します」
後ろ向きだが覚悟は決まった。
それと同時に猟兵と戦う水珠姫の姿も見える。
ならば自分も戦いに加わろう。
「"想像出来る事は全て現実である"──!」
詠唱と共に『魔女変身・突撃形態』へと姿を変えたくららは愛用のブラシに跨ると、全力で加速し姫の元へと迫った。
「猟兵……来ないで!」
水珠姫も猟兵の接近に気付き、自身を中心に凄まじい水流を発生させ始めた。
かつての水害を再現した水の流れ……くららはその上空を必死に飛び、ひたすらに敵との距離を詰めていく。
「逃しません……!」
水流が止むまでは相手の足止めに集中しなければ。
くららはブラシの先端に魔力を籠めて、氷の塗料を作り出す。
そして水流とは逆方向に空を飛び、塗料を姫の周りへと散布しはじめた。
最初は塗料ごと水に流されてしまったが、量が積み重なれば次第に水流も氷に覆われ始めていく。
攻撃するなら今しかない。
くららは『ミクスト・メディア』に指示を出し、一気に姫へと接近する!
一瞬で姫の懐へと入り込み、ブラシの先端を姫の身体へと押し付けて。
その場所は、水珠姫の腹部。
手が震えた。罪悪感が募ってきた。それでも覚悟は決めている。
「……行きます!」
叫びと共に全力の魔力弾が放たれた!
生み出された衝撃は姫の身体を弾き飛ばし、彼女の身体に着実なダメージを与える。
攻撃としては大成功だ。しかしくららの手は震えたまま。
だが戦意は衰えていない。せめてこの戦いが終わるまでは、しっかり立っていたい。
その気持ちがくららの事を奮い立たせていた。
大成功
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無銘・サカガミ
…「神」?
今、「神」と言ったか?
いいだろう。相手が何だろうと構わん。「逆神」の名に於いて…仇なす「神」に情けも容赦もしない。
水泡を出して足止めか?だが無意味だ。
灼髪…俺の髪が延々と伸び、文字通り「燃える」呪い。
熱いことこの上ないが、同時にそれは武器となる。
伸び続ける燃えた髪を振り回し、泡ごと水珠姫を蒸発させるかのごとく迫り襲いかかる。
その様は正しく荒れ狂う炎の暴風雨…もっとも、俺も俺で熱さと戦う事になるがな。
とはいえ、高速移動もなければ追い付くのはそう難しくはあるまい。その「神」ごと消し去ってやるよ…!
…ああ、髪はやがて元通りに戻る。
終わった後、当分は頭の痛みに悶えるだろうがな…。
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猟兵達の攻撃を受け、水珠姫は腹部を押さえ蹲っていた。
「神の子は、私が守らないと……」
その言葉に反応したのは無銘・サカガミ(「神」に抗うもの・f02636)だ。
「……『神』? 今、『神』と言ったか?」
サカガミが思い出すのは自身の故郷を滅ぼした化物の存在。あれも確か、自らを神だと名乗っていた。
姫が宿すのは恐らくそのような存在。ならばそれが生まれるような事は決して許せはしない。
「いいだろう。相手が何だろうと構わん。『逆神』の名に於いて……仇なす『神』に情けも容赦もしない」
その宣言通りにサカガミは走った。目指す方向には水珠姫。
震えながら身を起こした姫は手元に無数の水泡を生み出すと、サカガミへ向けて一気に放出し始めた。足止めのための術だろう。
「水泡を出して足止めか? だが無意味だ」
嘲るように、拒絶するようにサカガミは言い放つ。それと同時に彼の髪が伸び始め、次第に熱を帯び始めた。
「あぁっつ……が、あぁぁぁぁああ!」
その熱――八百万の呪い『灼髪』はサカガミ自身も傷付けるが、それ以上に相手を焦がす武器となる。
サカガミは燃え盛る髪を振り乱し、ひたすら姫の方へと走る。
髪に触れた水泡は一瞬で蒸発し、彼の身体を濡らす事はない。
姫も慌てて逃げ出そうとしたがもう遅い。荒れ狂う炎の暴風雨を前に、身を守るように屈み込む事しか出来ていない。
「その『神』ごと消し去ってやるよ……!」
身体を焦がす熱を身に纏い、サカガミは一気に姫へと迫る!
灼熱はサカガミと姫の双方を焦がす。
振り乱した髪に撃たれた姫は、身体を地面へと思い切り跳ね飛ばされた。
サカガミも頭を抑え、吹き飛んだ姫の……その身体を睨みつける。
髪はそのうち元に戻る。痛みも暫くすれば引いていく。
それでも、呪いは消えない。
「まだだ……お前の宿す『神』のような存在は……許せはしない……!」
その再生産を防ぐべく、サカガミは再び呪いで身を焦がしつつ敵へと向かっていくのであった。
大成功
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ロシオ・サントス
SPD
アドリブ連携歓迎
オブリビオンとはいえ、アンタみたいなのを見過ごせないよ
アンタの腹の中にあるもの…あたしに言わせりゃそいつは癌だ
愛すべき子供じゃあない!
だから特効薬を持ってきたのさ…受け取りな、魂のリズム!響けビート!
UCであたしの本体(ギター)を複製する
あたし自身は【武器改造】で頑丈にした宇宙バイクに【騎乗】、水泡に気を付けて走りながら複製体を【運搬】、ばら撒いていくよ
十分な範囲に配置できたら【歌唱】開始だ!
複製体も歌に合わせて【楽器演奏】開始、一斉に【衝撃波】を放たせる!
どうせ水泡は脆いから、本体のついでに攻撃すれば【掃除】できると思う、多分
どうだ、これがあたしの【パフォーマンス】だ!
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猟兵達からの度重なる攻撃にいよいよ水珠姫も限界を迎えようとしていた。
だが彼女の戦意は衰えていない。今も逃げ出すチャンスを伺っている。
そんな彼女の元へ、バイクに乗った女性が姿を現した。
「オブリビオンとはいえ、アンタみたいなのを見過ごせないよ」
その女性、ロシオ・サントス(アンプ・イット・アップ・f13894)は水珠姫へ憐れむような視線を向けていた。
「アンタの腹の中にあるもの……あたしに言わせりゃそいつは癌だ。愛すべき子供じゃあない!」
姫が怒りに任せて何かを言い返そうとしてきたが、ロシオは気にせずヴァリアブル・リュートを奏でる。
きっと姫に言葉は届かない。それなら魂の音をぶつけるだけだ。
「だから特効薬を持ってきたのさ……受け取りな、魂のリズム! 響けビート!」
リュートの音が強くなると同時にロシオの周囲に大量のクラシックギターが生み出されていく。
それらを後ろに引き連れて、ロシオは思い切りバイクを吹かした。
そして全速力で駆け出すと、次々にギターを周囲へ配置していく。
「うるさい……うるさい!!」
姫も抵抗するように水泡を呼び出し、彼女の周囲へと展開し始めた。
ロシオは進路を塞ぐ水泡達を器用にすり抜け、それでいてスピードを落とさずにバイクを走らせる。
水泡が配置したギターを落とすより早く準備を終えなければ。
ロシオは必死にハンドルを握りしめ、がむしゃらに森を駆けた。
「よし……これでいける……! 届け、魂のビート!」
ギターの設置が終わったのなら、今度は再びリュートを掲げ……配置したギターと共に大合奏を奏でる!
そこから生み出される衝撃波は次々に水泡を潰し、姫の身体も大きく震わせる。
姫の苦痛の叫びも聞こえた。だが演奏を止める訳にはいかない。このままでは姫はずっと呪縛に囚われたままだから。
「せめてアンタの魂だけでも……これがあたしのパフォーマンスだ!」
曲のクライマックスと共に全ての水泡は弾け、姫も地面に倒れ伏す。
そして彼女の身体も泡となり、体内に宿した存在ごと弾けて消える。
その瞬間の彼女の目は、どこか安心したような色を宿していた。
戦闘が終わった後、猟兵達は様々な思いを抱えて帰路へとついた。
この戦いがそれぞれに何を遺したのかは分からない。
だが、サムライエンパイアの未来のための行動となった事だけは確実だった。
大成功
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最終結果:成功
完成日:2019年08月25日
宿敵
『水珠姫『みたまひめ』』
を撃破!
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