寛永三方ヶ原の戦い~蘇りし最強軍団を討ち砕け
●三方ヶ原の戦い再び-徳川家因縁の地で血戦を
「サムライエンパイアで、第六天魔王の軍が、戦国時代最強武将が一、武田信玄公を蘇らせて配下に加えようとしている。」
グリモア猟兵館野・敬輔の言に、猟兵たちは耳を疑った。
「既に配下たる武田二十四将は蘇ってしまっているが、信玄公が蘇るまでにはまだ時間がある。そこで二十四将を討ち取り、復活を阻止してほしい。頼めるだろうか。」
頭を下げる敬輔に、猟兵らはそれぞれの想いを胸に頷いた。
「決戦の地は遠江国の北西部に位置する三方ヶ原。かつて将軍家の祖、神君家康公が織田軍と連合で武田軍と激突し、手痛い敗北を喫した地だ」
地図を広げながら説明する敬輔。オブリビオンとして蘇った武田軍が、かつての敵方である織田軍に与するために軍を集結させているのは、今が徳川の治世と知ってのことなのだろうか。
「現在、将軍家の号令で全国から侍達が集まっているが、『甲斐の虎』とも称され、かつて将軍家の祖を打ち負かした戦国武将の復活の一報に、侍達は完全に腰が引けてしまっている。まずは彼らを鼓舞し、戦えるような状態にしてほしい」
徳川軍は家柄だけで武士となった者も多い上、神君家康公を負かした敵との戦いとあって、練度も士気も不足している状態。彼らの士気を高め、戦が行えるようにしなければならない。
「戦線が整ったら、侍たちが武田軍の侍を押さえている間に皆が切り込み、敵将を守る直属護衛部隊を蹴散らしてくれ」
直属護衛部隊は黒き殺戮者の集団だが、オブリビオンのため、猟兵達だけで相手をすることになる。突破すればいよいよ敵将との対決だ。
「皆が相手することになる肝心の敵将なんだが……武田二十四将の誰からしい。ただ、誰かまでは僕のグリモアは語ってくれなかった」
正体は現地で確認するしかないが、オブリビオンとして蘇った最強軍団のひとりであることは確かだ。激戦は相違ない。
「ここで阻止に失敗したら、第六天魔王軍に強大なオブリビオンの軍隊が加わることになる。それだけは何としてでも避けなければならない。」
――失敗はおそらく、サムライエンパイアの滅亡につながりかねないから。
「だから……苦しい戦いになるけど、皆に運命を託す。どうか、頼む。」
頭を深く下げた敬輔はグリモアを展開し、転送ゲートを開いて猟兵らを送り出した。
北瀬沙希
北瀬沙希(きたせ・さき)と申します。
よろしくお願い致します。
儀式魔術【Q】の成功により、信玄公復活の企てを察知しました。
皆様には、三方ヶ原で武田二十四将の一を討ち取って頂き、その企てを阻止していただきます。
判定はやや厳し目です。
なお、本シナリオは情勢に密接したシナリオのため、各章成功数に到達した時点でそれ以後に届いたプレイングは却下させていただきます。あらかじめご承知おき下さいませ。
●本シナリオの扱いについて
本シナリオは全体依頼「【Q】寛永三方ヶ原の戦い」の1シナリオです。
従いまして、本シナリオの結果は「【Q】寛永三方ヶ原の戦い」全体の結果に大きく影響します。
7月30日までに成功で完結したシナリオ数が10本以上の場合、信玄公の復活は阻止できます。さらに成功数が多ければ、いずれ訪れるサムライエンパイアでの「戦争」において大きく有利になります。
逆に全体での成功数が少ない場合、まず間違いなく大変なことになります。心してかかってください。
●本シナリオの構造
冒険→集団戦→ボス戦です。
第1章では「甲斐の虎」復活に怯える武将たちを鼓舞していただきます。
第2章は黒き殺戮者との集団戦です。
第3章はボス戦です。武田二十四将の一であることは確かですが、詳細不明。
●プレイングの受付について
各章冒頭に導入文を挿入後、受付を開始致します。
それでは、皆様のプレイングをお待ちしております。
第1章 冒険
『三方ヶ原の徳川軍』
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POW : 陣頭に立って力を見せつける事で、徳川軍の戦意を高揚させます
SPD : 兵士一人一人への細やかな配慮や事前準備によって、士気を上昇させます
WIZ : 演説や説得によって、徳川軍のやる気を引き出します
👑7
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴
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●三方ヶ原・徳川軍の陣にて
三方ヶ原に転送された猟兵たちは、陣を一目見て士気の低さを悟った。
「あの武田を相手に勝てるのか……?」
「かつて神君家康公の軍を破った武田軍相手では……勝ち目なんぞない」
「将軍様の命では戦うしかないが……大戦なんぞ初めてだ」
「鍛錬以外で刀を振るったことなぞないぞ……?」
戦う前から弱音を吐く侍が続出しているが、そもそも実戦経験のある侍がこの場にはほぼいない。しかも過去に徳川・織田連合軍を破った武田軍の旗印が戦場にはためいている。弱音を吐くな、と言う方が無理だろう。
幸い、猟兵たちは天下自在符を所持しているため、陣内を自由に歩ける。
ならばまずは、侍達の士気を高めるところから始めよう。
――この戦いは、将軍家にとっても、猟兵たちにとっても負けられないのだから。
※誤字訂正(7/23 2:40)
×陣内 → ○陣中
(大変失礼いたしました。なお、判定への影響は一切ありません)
神城・瞬
ふむ、まず戦に立ち向かう為の士気向上が必要ですか。
戦争が初めてなら尻込みするのも納得出来ますが、今回は頑張って頂かねば。
僕は戦の準備をしている侍の皆さんの休息する所に行きますね。お疲れ様です、と労をねぎらい、「まずは手を休めて一曲どうですか」と勧め、リュートをつま弾いて清光のベネディクトゥスを聞かせます。「皆さんと僕達が力を併せればきっと勝てます。皆さんに加護の祝福を」ここから進む道は間違っていない。心を込めて呼びかけます。
●リュートと共に静かに鼓舞を
(「ふむ、まず戦に立ち向かう為の士気向上が必要ですか」)
神城・瞬(清光の月・f06558)は、戦の準備している侍の休息場に向かっていた。
「準備、お疲れ様です」
「ああ、貴殿は……猟兵とやらか」
瞬の挨拶にやや老齢の侍が反応するが、その声には明らかに濃い疲労が宿っている。近くで働く他の侍たちに目をやると、兵糧の準備をしつつもやはり何かに対する『怯え』を露わにしていた。
「見ての通り、相手が伝説に語り継がれる武田二十四将なものだから、若者達は皆意気消沈してな……」
瞬に説明する老齢の侍の声にも怯えが宿っている。おそらく、武田二十四将の強さを目の当たりにしたか、それともかつて三方ヶ原に立った先祖から耳にしていたか。
「実戦経験は如何ほど?」
ほぼ確認に近いが、瞬が老齢の侍に問う。
「皆、関ヶ原の後に生まれた、と言えばお分かりいただけるだろうか」
「なるほど」
つまり、皆実戦はこの戦が初めて、ということだ。
(「戦争が初めてなら尻込みするのも納得出来ますが、今回は彼らに頑張って頂かねばいけません」)
状況を把握した瞬は少し考え、目の前の侍に提案する。
「ちょっと、皆さんを集めていただいてよろしいでしょうか?」
老齢の侍の命で集められた侍たちの表情は、一様に落ち込んでいた。
「皆さん、準備お疲れ様です。まずは手を休めて、一曲どうですか?」
瞬はリュートをつま弾き、【清光のベネディクトゥス】を奏でる。見慣れぬ楽器と音に最初は戸惑っていた侍たちだが、静かな落ち着いたメロディに耳を澄ますと徐々に穏やかな表情を見せ始める。
「皆さんが怯え、尻込みするのもわかります。戦は初めてでしょうから。」
リュートの演奏に合わせて、瞬は穏やかに静かに語りかける。
「ですが、皆さんと僕たちが力を合わせればきっと勝てます」
――ここから進む道は間違っていませんから
瞬はポロン、とひと弾きしてリュートの演奏を止めると、侍達の顔から怯えは消え去っていた。
「間違っていない……そうか」
「ええ、皆さんに加護の祝福を」
「ありがとう。我々は猟兵たちに協力しよう」
瞬の訴えが心に響いた若い侍たちの顔は、戦場に向かう覚悟を決めたか少し引き締まっていた。
成功
🔵🔵🔴
四軒屋・綴
……嘘も方便、だな、一席ぶって気力だけでも……
という訳で手近な兵達と会話ッ!今日も暑いなッ!
「……ところで、こいつをみたことがあるか?天下自在符というらしいんだがな。」
「俺達はこれを見せれば何処にでも入れる、将軍様のお墨付きでな。」
「……そう、あの時にはなかった物だ、そしてあの時には居なかった俺達がここにいる。」
「何故将軍様が『戦え』と命じられたのか。」
ここだなッ!豪快に変身ッ!そして左手で帽子の鍔を抑えつつ右手で二本指の指差し確認ポーズを決めるッ!
「答えは簡単ッ!『戦えば必ず勝てる』からだッ!!」
「鍛練しか経験がない?結構じゃあないかッ!荒くれ兵法の時代遅れを餅にして食ってやろうッ!」
●一席ぶって戦意高揚?
天下自在符を見せて陣中に入った猟兵たちの中に、四軒屋・綴(大騒動蒸煙活劇・f08164)の姿があった。
「今日も暑いなッ!」
「ああ……全く暑いな」
綴は手近な若い侍に会話を持ちかけるが、若い侍の表情はあからさまに不機嫌。暑いから仕方ない。
「ところで、こいつを見たことがあるか?」
綴は天下自在符を取出し若い侍に見せると、若い侍は軽く頷く。
「俺達はこれを見せれば何処にでも入れる。将軍様のお墨付きでな」
「……そうか。我々より貴様等のほうが将軍様の信を得ているということか」
綴は言葉に詰まる。天下自在符の威光の前では皆ひれ伏すのだが、今は言葉選びが良くなかったのかもしれない。
「我々は将軍様の命には逆らえぬ、だが、貴様らは命がなくとも自由に動ける。……全く」
明らかに不機嫌な表情を見せる侍に、綴は必死に思考を巡らし、取り繕うように言の葉を紡いだ。
「これは『あの時』……大敗を喫した時にはなかった物だ。」
「何が言いたい?」
「そして、あの時には居なかった俺達がここにいる」
かつて神君家康公が大敗を喫した時に「なかった」もの……天下自在符と猟兵が「ある」からこそ、勝ち目があるということなのだろう。
「何故将軍様が『戦え』と命じられたのか」
綴は【蒸騎構築】で蒸気機関車を思わせる武装を纏い、変身すると、左手で帽子の鍔を押さえつつ、右手で日本指の指差し確認ポーズを極めつつ、きっぱりと宣言。
「答えは簡単ッ! 『戦えば必ず勝てる』からだッ!!」
必ず勝てるという保証はないが、嘘も方便。綴は侍が呆気にとられるのを見て勢いで押し切ろうとする。
「鍛練しか経験がない? 結構じゃあないかッ!! 荒くれ兵法の時代遅れを餅にして食ってやろうッ!!」
「学んだ兵法が時代遅れだと……っ!!」
この時代、侍も趣味で兵法を学ぶことがある。綴の言葉は明らかに地雷を踏み抜いていたが、目の前の若い侍の瞳には理不尽に貶められたことに対する憤怒が宿っていた。
「ならば、我々の学んだ兵法が時代遅れでないことを証明してやろう!!」
猟兵らに目にモノ見せてやるとばかりにいきがる若い侍を見て、綴は冷や汗をかきつつ内心胸をなで下ろしていた。言葉選びは裏目に出てしまったが、若い侍の戦意は引きだせたようだ。
苦戦
🔵🔴🔴
薄荷・千夜子
不安になる気持ちもわかります。
戦国の世も終わり、戦慣れしていない方もおられるでしょう。
私たちも、大事なこの地を守るため全力を尽くしましょう。
ですが、そのためにも皆様の力が必要なのです。
UCを使用して巫女服へと衣装を変え、[操花術具:神楽鈴蘭]をシャンと鳴らし【楽器演奏】【鼓舞】で神楽舞による士気向上を。
可能であれば【破魔】の力で清浄な空気も作りながら。
大丈夫です、皆様と共に向かうのは歴戦の兵です。
我々に任せてください。
そして、その背を押すように少しだけ力を貸してください。
できることをやって頂ければいいのです。
どうか、一緒に戦って頂けないでしょうか。
●巫女装束で舞い鳴らし、心を掴め
他の猟兵がリュートを奏でたり言葉で鼓舞している頃、別の場では薄荷・千夜子(鷹匠・f17474)が壮年の侍たちを集めていた。
「皆様が不安になる気持ちもわかります。戦国の世も終わり、戦慣れしていない方もおられるでしょうから」
関ヶ原の戦い以後、20年以上大規模な野戦は行われていない。藩の若い侍たちに実戦経験はなく、藩の重鎮たる壮年の侍たちですら実戦経験があやふやなものとなりつつある。そこに降って沸いた滅亡したはずの武田家との大戦だ。これで不安にならないわけがない。
――だからこそ、千夜子は彼らの不安に寄り添い、言葉を尽くす。
「私たちも、大事なこの地を守るため全力を尽くしましょう」
「あなた達も、か?」
「はい」
信玄公の復活を阻みたいのは猟兵も侍たちも同じだと、千夜子は静かに訴える。
「ですが、そのためにも皆様の力が必要なのです」
【干渉術式:聖装花憐】で巫女装束姿に変わると、侍達の視線が千夜子に注がれる。
――シャン
千夜子が手にした操花術具:神楽鈴蘭が、静かに打ち鳴らされる。
その音を合図に、千夜子は静かに彼らの無事を祈願するための神楽舞を踊り始めた。
「おお……」
「美しい……」
千夜子の舞は、侍達に忘れかけていた勇気を思い出させるとともに、周囲の空気を浄化し清浄なものへと変化させていく。それがまた、侍達に心の安寧を齎し、恐怖を和らげていくが、彼らの瞳からは未だ不安が消えない。
「大丈夫です、皆様とともに向かうのは歴戦の兵です。我々に任せて下さい」
侍達の表情が変化するのを見て、千夜子が舞いながら言葉でさらに押す。
「我々の背を押すように、少しだけ力を貸して下さい」
――皆様が、できることをやって頂ければ良いのです
無理をせず、出来ることをやる。それが猟兵の力になる。
静かにそう訴える千夜子の声は、侍達の心に沁み渡り、戦意を取り戻させた。
「どうか、我々と一緒に戦っていただけないでしょうか。」
舞を終え、巫女装束姿のまま頭を下げる千夜子に、侍達は凛とした表情を取り戻し、少し張りの出た声で応える。
「あなたがそこまで言うなら、我らは我らのできることに力を尽くそう」
「ありがとうございます」
戦意を取り戻した壮年の侍たちを前に、千夜子は再び頭を下げ、感謝の意を表した。
大成功
🔵🔵🔵
真宮・奏
徳川家康公を敗走させた名将、武田信玄公。最強ともいえる軍相手では弱音を吐くのも当然ですね。
しかし、今こそ立ち上がり、力を併せて脅威を退ける時です。私なりのやり方で、侍の皆さんを元気づけて見せます!!
侍の皆さんに集まって頂き、精一杯声を上げます。「強敵ですが、皆さんと私達猟兵が力併せれば、きっと勝てます!!自分の力を、私達を信じてください!!」絢爛のクレドで鼓舞し、士気を高めます。侍の方達がよければ、手をつないで安心して貰うのもいいですね。
●明るく元気に士気を上げて
真宮・奏(絢爛の星・f03210)は陣中を歩き回っているうちに、武具が納められている場を通りがかる。中を覗いてみるとちょうど侍たちが武具の手入れを行っていたが、皆一様に動きが鈍く、目も虚ろになっていた。
「この戦に何の意味があるのだ……」
「刀や槍の手入れをしたところで、相手はあの武田。勝ち目などないではないか」
耳を澄ますと、聞こえてくるのは侍たちの弱音だった。
(「徳川家康公を敗走させた名将、武田信玄公。最強と言える軍相手では弱音を吐くのも当然ですね」)
神君を完膚なきまでに敗走せしめたかつての敵将相手に、士気も練度も劣っている自分たちが勝てるわけがないとの彼らの思い込みが、周囲の空気すら澱ませている。これではいけない。
(「私なりのやり方で、侍の皆さんを元気づけて見せます!!」)
奏は気合を入れると、足を踏み入れた。
「お邪魔します!」
「元気な娘さんだの……どこの者か?」
奏が天下自在符を見せ、猟兵であることを説明すると、侍達は納得したかのように頷く。
「皆さんを元気づけるために来ました!」
「元気づける、って……」
「勝てない戦を前に、どう元気を出せと?」
「武田軍は強敵ですが、皆さんと私達猟兵が力を合わせれば、きっと勝てます!」
奏は【絢爛のクレド】で踊りながら声を張り上げ、侍を鼓舞する。
「自分の力を、私達を信じて下さい!!」
軽やかなタップとステップを織り交ぜた躍動感ある踊りが侍達の目を惹きつけるとともに、彼らの萎えかけていた心を奮い立たせ勇気を与えた。
(「手を繋いで安心してもらうのも良いのかもしれませんが、この時代は確か握手の習慣がありませんね」)
握手は明治期以降に欧米の習慣が輸入されて定着したもの。武器封じのために求めることもあるため、悪い意味に捕らえられないためにも提案せず控えた。だが侍達の目に光が戻っているため、そこまでせずとも大丈夫そうだ。
奏のパフォーマンスと声による鼓舞で、侍達の士気は十分高まった。
「今こそ立ち上がり、力を合わせて脅威を退ける時です!」
「オオオーーーッ!!」
「皆さんと私達猟兵で力を合わせて、武田軍を討ち破りましょう!!」
「オオオオオーーッ!!」
奏の呼びかけに、侍達は鬨の声を挙げて応えた。
成功
🔵🔵🔴
真宮・響
流石に武田軍相手では尻込みするかね。
でも今戦わないとサムライエンパイアは間違いなく危機に陥る。
発破をかけてやろうかね。奏、瞬、今回は各自別行動だ。戦は何が起こるか分からない。1人になってもやっていけるようにしないとね。
アタシは陣内の真ん中に陣取って、赤熱する槍を高々と上げ、「アンタ達!!今こそ腹据えて戦う時だ!!アタシはこの槍に誓って勝利を齎すことを誓うよ!!」と宣言。高らかに赫灼のグロリアを歌い上げて鼓舞。大丈夫、勝利の栄光は必ず実現する!!共に行こう!!
●赤き槍を反撃の狼煙として掲げよ
真宮・響(赫灼の炎・f00434)は、いつも行動を共にする家族とはあえて別行動をとっていた。
『戦は何が起こるか分からない。1人になってもやっていけるようにしないとね』
響は2人の子と別れ、陣中をくまなく歩き。不安と諦観の空気が蔓延しているのを肌で感じ取る。
「もう我々はおしまいだ……」
「二十四将が蘇っただけでも、我らに勝ち目は全くない……しかし白旗を上げることもできぬ」
(「流石に武田軍相手では尻込みするかね」)
方々から聞こえる侍達の諦めの入った声を耳にしても響は苦笑すら浮かべない。彼らの知識と士気、練度では尻込みしてもやむを得まい。
「だが、先程から回っているのは……猟兵ではないか?」
話している侍のひとりが、歩いている響を指差す。響もそれに気づき、彼らの元へと歩み寄った。
「ああ、アタシは猟兵だよ」
「少し……発破をかけてもらえないだろうか」
「というと?」
「我々だけでは勝ち目はないと思っていたが、貴殿らがここにいるのなら話は異なる。上様に信を置かれ、侍達だけでは収められなかった事を収めてきた貴殿らがいるなら……」
この侍は猟兵の存在を、そして猟兵がサムライエンパイア各地の怪異や魑魅魍魎などを退治して回っていることを知っているようだ。おそらく、猟兵の存在に勝ち筋を見出しているのだろう。
「貴殿らも武田軍と戦うために来たのだろう?」
「ああ、そうだね」
「なら、貴殿らの存在を知らしめ、鼓舞してほしい」
「わかったよ」
響ももともと鼓舞するつもりで来ていただけに願ってもない提案。迷わず受けた。
「アンタ達!! 今こそ腹据えて戦う時だ!!」
陣の中央に集められた侍等を前に、赤熱するブレイズランスを片手に大声を張り上げる響。
「今戦わないと、この国は間違いなく危機に陥る。だから戦おう!」
「あんたも戦ってくれるんだろうな?」
「ああ。アタシはこの槍に誓って、勝利を齎すことを誓うよ!! 先へ進む者達に栄光あれ!!」
ブレイズランスを高々と天に突き出し、侍等を鼓舞する歌、【赫灼のグロリア】を高らかに歌い上げる響の姿に、侍達は心の底から高揚感が沸きあがるのを感じていた。
「本当に……勝てるのか」
「大丈夫、勝利の栄光は必ず実現する!! 共に行こう!!」
力強い笑みを浮かべ、力いっぱい断言する響に、侍達が共感する。
「おお!! あんたについていくよ!!」
「力が沸いてくる……これなら戦えそうだ!」
『おおおおおおーっ!!』
戦女神の如く鼓舞する響を見た侍達の鬨の声は陣中にこだまし、少しずつ陣中の空気を変えつつあった。
成功
🔵🔵🔴
御剣・刀也
POW行動
やれやれ。完全に腰が引けてるな
これじゃあ勝てるもんも勝てんわ。
先陣で仁王立ちになると声を張り上げる
「お前らぁぁぁ!!逃げたいかぁぁぁ!!逃げたい奴は逃げろ!!俺は止めん!!だが、お前たちの後ろにはお前たちの家族、愛する妻、女、その他戦えない大勢の民がいる。お前たちはそいつらを守る力を持ってる!!俺もそうだ!!俺一人の力で必ず勝たせるなんて大きなことは言えない!!だが、お前たちの力も貸してくれれば、必ず俺たちが敵将の首を取ってやる!!俺もお前たちも、この大空に生まれた星の一つ!生きがいある戦場を与えられ、生きがいある命を使う場所を与えられた!そう思って、この合戦を楽しもうぜ!」
●出陣前に大声で最後の鼓舞を
猟兵たちが陣中の各所で鼓舞して回ったおかげで、士気は上がりつつある。
ならば、出陣前にもうひと押し。そう考えて整列した侍らの前に仁王立ちになったのは、御剣・刀也(真紅の荒獅子・f00225)だった。
整列した侍等の表情は、それぞれ。他の猟兵達が鼓舞して回ったとはいえ、直接鼓舞されていない侍もまだ相当数おり、一様に腰が引けている彼らを見て刀也はそっとため息をつく。
(「やれやれ。まだ腰が引けてるやつもいるな。」)
中には生きて帰れぬと思い込んでいるのか泣きそうな顔をする者もいるが、相手が最強騎馬隊を擁する武田軍では一概に責められまい。
(「これじゃあ勝てるもんも勝てんわ」)
刀也は心の中で再度ため息をつき肩を竦めた後、大きく深呼吸をする。
そして、突然大声を張り上げた。
「お前らぁぁぁ!! 逃げたいかぁぁぁ!! 逃げたい奴は逃げろ!! 俺は止めん!!」
泣き顔の侍や腰が引けていた侍らが、刀也の大声に肩をびくっと震わせて驚く。驚かなかった侍等も突然の「逃げろ」との叫びに一様に驚き、困惑する。しかし刀也がそう叫んだ真意は別の所にあった。
「だが、お前たちの後ろにはお前たちの家族、愛する妻、女、その他戦えない大勢の民がいる。お前たちはそいつらを守る力を持ってる!! 俺もそうだ!!」
侍達が逃げたなら戦えない民たちに多数犠牲が出ると、刀也は大声で説く。困惑から一転、手にする刀や槍の意味を知った侍等の間に、少しずつある決意が宿り始める。
――それは「未来ある者たちを守るために」戦うという決意。
「俺一人の力で必ず勝たせるなんて大きなことは言えない!! だが、お前たちの力も貸してくれれば、必ず俺たちが敵将の首を取ってやる!!」
――俺達猟兵とお前たち、力を合わせれば必ず勝てるから。
「俺もお前たちも、この大空に生まれた星の一つ! 生きがいある戦場を与えられ、生きがいある命を使う場所を与えられた! そう思って、この合戦を楽しもうぜ!」
『オオオオオオオオオーーーッ!!』
「そうだ、楽しもうぜ!!」
「あんたについていくからよ!!」
拳を振り上げ力説する刀也に、侍達の間から大歓声が上がった。中には戦いを「楽しめる」程の経験を積んでいる刀也に羨望の眼差しを向ける侍もいる。刀也の鼓舞は十分以上の効果を上げていたのだ。
●出陣
かくして、出陣の時が訪れる。
「皆の者、時は来た。出陣じゃ!」
『エイ、エイ、オーーーーーーッ!!』
鬨の声と共に、侍達が刀や槍を天に突き出す。
そして、同じく猟兵達も各々の得物を、拳を天に突き出していた。
双方の意がひとつとなった今、打倒武田二十四将に向け、出陣する。
――寛永三方ヶ原の戦い、開戦!!
大成功
🔵🔵🔵
第2章 集団戦
『血肉に飢えた黒き殺戮者・禍鬼』
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POW : 伽日良の鐵
【サソリのようにうねる尻尾(毒属性)】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
SPD : 欲欲欲
【血肉を求める渇望】の感情を爆発させる事により、感情の強さに比例して、自身の身体サイズと戦闘能力が増大する。
WIZ : 鳴神一閃
【全身から生じる紫色に光る霆(麻痺属性)】を放ち、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。
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●直属護衛部隊を蹴散らし、血路を開け!
猟兵らに鼓舞された侍達は、程なくして突撃する武田軍の侍と激突する。
たちまち四方八方で乱戦状態となるが、猟兵らの周囲にいた侍たちが率先して武田軍の侍と斬り結び、猟兵らの通路を確保した。
「ここは我々で抑える!」
「貴殿らは早く将の首を取って下され!!」
練度の差を士気で補いながら、必死に猟兵らの道を確保する侍達に、猟兵たちは敬意を表しながらうなずく。
「ああ、行ってくるよ!」
「くれぐれも無理はしないでください……!」
侍等の声を背に、猟兵らは戦場をひた走った。
剣戟鳴り響く戦場を駆け抜け、敵将の姿が見える……と思われたその時。
「グゥルアァァァァァァァ!!」
猟兵らの行く手を血肉に飢えた黒き殺戮者・禍鬼(マガツミ)の集団が遮った。おそらくこれがグリモア猟兵の語っていた「直属護衛部隊」だろう。
冷徹非道で、弱き者から棍棒で殴りつける習性を持つ悪鬼が、敵将に害なす者を排除すべく猟兵らを囲もうとする。
突破を図るべく、猟兵たちは得物を構えた。
薄荷・千夜子
せっかく、兵の方々が奮い立ってくれたのです
今度は我々がそれに応えねばなりませんね!
UC『彗翔一閃』を使用
巨大化した相棒の鷹に騎乗
徳川の旗を掲げ、道を切り開いてくれた兵への【鼓舞】、一緒に闘っているのが見えるよう【空中戦】を主軸にして行動します
他の猟兵の方々の援護にもなれば
「この戦、勝つのは我々です!!」
彗、一緒に頑張りましょうね
軽く頭を一撫でして敵を見据えます
【先制攻撃】で[飛星流克]で放つ矢に雷の【呪詛】を纏わせ【属性攻撃:雷】【麻痺攻撃】による【援護射撃】
これだけでは決め手はかけるでしょうが、どんどん動きは鈍くなりますよ
我々は一人ではない、その力を見せましょう
●相棒と共に、味方には鼓舞を、敵には雷霆を
薄荷・千夜子は、思うところがあって禍鬼と接敵した猟兵たちから少し後方にいた。
(「せっかく、兵の方々が奮い立ってくれたのです」)
今度は我々がそれに応えねばなりませんね! と改めて気合を入れる。
(「彗、力を貸して」)
千夜子は【彗翔一閃】で相棒の鷹、彗を巨大化。相棒の頭を軽くひと撫でしてからその背に飛び乗る。
「彗、一緒に頑張りましょうね」
千夜子と彗は侍から借りた旗印を手に、空へと舞いあがった。
「この戦、勝つのは我々です!」
千夜子と彗は、まず侍達の上空を旋回しながら、旗印を侍からも良く見えるように掲げ、良く通る声で鼓舞する。
「我々は独りではない。その力を見せましょう!」
「おおおおおっ!!」
「巫女様じゃ……巫女様が我々を見守っておる!!」
上空の旗印と千夜子に気が付いた侍たちから歓声が上がる。
「上様のためにも、負けられる戦! 諦めぬ!」
「貴様らを猟兵たちのところへは行かせぬぞ
……!!」
千夜子の鼓舞で武田軍の侍と斬り結んでいる侍達の士気がさらに上がり、少しずつ武田軍の侍を押し返し始めていた。それでも個々の練度に圧倒的な差がある故、今は高まった士気で練度の差をかろうじて埋めている状態だ。
(「早く敵将の元へたどり着かないといけませんね」)
一通り侍等を鼓舞した後、千夜子は禍鬼の集団の上空へ向かった。
「彗、お願い!」
千夜子は禍鬼の上空に辿り着くと、相棒の頭を再度ひと撫でし、禍鬼の集団の頭上を特定の軌道を描くように飛ばせながら、彗の脚に装備した鷹用の射撃武器・飛星流克から雷の呪詛が込められた矢を放つ。
「ギアア!!」
「ガ、ガアアア?」
突然頭上から降ってきた雷の矢に貫かれた禍鬼の身体が、雷に打たれたかのように硬直する。中にはそのまま麻痺したかのように動きを止める禍鬼の姿もあった。
「グラアアアアア!!」
上空にいる鷹と少女に気が付いた数体ほどの禍鬼が、鷹と少女の肉を喰らいたいために身体サイズと身体能力を増大させるが、彗は素早く急上昇し、禍鬼の魔の手を逃れる。
(「これだけでは決め手に欠けるでしょうが、どんどん動きは鈍くなりますよ」)
千夜子は禍鬼の手の届かない程の高さから、ひたすら雷の矢を撃ち続ける。身体サイズを増大させた禍鬼には簡単には効かないが、数本も打ち込めばさすがに動きも鈍り始めていた。
千夜子の先制攻撃は、禍鬼たちを確実に弱らせ、殲滅への足掛かりを作る。
――これは、大戦果に値する援護攻撃だ。
大成功
🔵🔵🔵
七草・華癒
連携、アドリブ歓迎
ほんと、人の子っていうのは現金だよね。
言葉一つでこうも頼もしくなっちゃって。
言葉の神としては守らないわけにもいかないよね。
といってもボクは今力がないただの子どもだ・・・
怖くて仕方ないよ、震えが止まらない・・・
なんてね。相手がどういう判断で来るか知らないけど、
弱いものから狙うならそう演じて囮でもやってみようかなって。
失敗すれば遠くから札を投げて攻撃するけど、
成功して寄ってきたならUCの札を地面に叩きつけてかわいい怨霊達を呼ぶよ。
この怨霊たちは敵を掴んで止めてくれる、
そのうちに今度は強化した能力で敵の攻撃を避けつつ、
札を直接当てに行ったり味方に倒してもらうよ。
さて、どうなるかな。
●言葉の神は、現身と言の葉で囮を演じる
(「ほんと、人の子っていうのは現金だよね」)
言葉一つでこうも頼もしくなっちゃって、とひそかに肩を竦めるのは、言葉の神、七草・華癒(いまはおさなきのろいのことば・f19055)だった。本当は悪口、暴言を司る神なのだが、戦場では時と場合によっては悪口も暴言も十分武器になる。
(「言葉の神としては守らないわけにもいかないよね」)
そのために、まずは己のやれることをやろう。
「ひっ……鬼?」
禍鬼を目撃し肩を細かく震わせ、恐怖と怯えを瞳に浮かべながら蹲る華癒に、禍鬼が数体接近する。
「グガガガガ……」
「ギヒヒヒヒ……」
(「うぅ、ボクは今、力がないただの子どもだ……」)
戦場に「か弱い子供」がいるのはあまりにも不自然なのだが、欲に塗れ、好物に心奪われている禍鬼たちは、不自然なことにすら気づかない。
「グシシシシシ……」
鬼に怯え震える華癒の姿を見て、禍鬼が数体、棍棒を片手にじりじりとにじり寄る。禍鬼にとって人が絶望に塗れて浮かべる表情は好物そのもの。相手がか弱い子供なら尚更だ。
「グッシッシッシ……」
「ひっ……やめてよ……っ!!」
華癒の顎に手をかけ、怯えるあまり顔面蒼白になった顔を覗き込み、嗜虐的な笑みを浮かべて禍鬼が棍棒を振り上げる。目をつむる華癒、さらに笑みを濃くする禍鬼。
「なーんてね!!」
禍鬼が棍棒を振り上げきった瞬間、華癒の顔が、絶望に染まった表情から一瞬で無邪気な笑顔へと変化した。
「ガア?」
禍鬼が急激な変化に驚き動きを止めた直後、華癒の【引きずり込む手、引き留める手】で生成した札が周囲の地面に叩きつけられた。
「グア!?」
禍鬼たちが華癒から離れようとするも時すでに遅し。敵の存在を否定する呪詛と怨念を宿した札から湧いた無数の怨霊達の手が禍鬼たちの足を強く握りしめ、足止めする。
「ガアアッ!!」
「わーい騙されたー!」
華癒の怯え震える姿は、禍鬼たちに「弱い」者であるとアピールするための演技。禍鬼の性格や特性を分析し、己の容姿と演技で騙したことで、かなりの数の禍鬼を足止めすることに成功した。
華癒は明後日の方向に振り下ろされた棍棒を避けると、怨霊達の手が蠢く地面を走って禍鬼たちから離れる。
「鬼さんこちら! あれ、鬼さんだっけ?」
「グラアアアアアアア!!」
禍鬼の全身から生じる紫色に光る霆を、怨霊の効果で強化された身体能力を駆使して避けながら、華癒は再び札を投擲。今度は禍鬼に直接命中し、呪詛と怨念が直接流し込まれた禍鬼は全身を大きく硬直させた後、地面に頽れた。
雷の呪詛と怨霊による足止めで、禍鬼の集団はかなり弱っている。
――あとは、直接叩いて斬って殲滅するのみ。
成功
🔵🔵🔴
御剣・刀也
は。お前らが何者かなんてどうでもいいぜ
どけよ。俺は勝たせてやるって約束したんだ
その邪魔をするなら神だろうが仏だろうが斬って捨てる!
伽日良の鐵で尻尾で攻撃してきたら、第六感、見切り、残像で避けて懐に飛び込んで捨て身の一撃で斬り捨てるか、伸びた尻尾をたたっ斬る
欲欲欲で大きさと戦闘能力が増大したら、勇気で恐れることなく飛び込んで第六感、見切り、残像で攻撃を受け流すか避けるかして懐に入って捨て身の一撃で斬り捨てる
鳴神一閃は日本刀を投げて避雷針変わりにしてそのすきに懐に履いてグラップルで戦闘する
「戦場では俺は死人。死人は死を恐れない。来いよ。てめぇら如きで足踏みする程、俺は退屈してねぇんだ!」
●たとえ相手が神仏であっても
「は、お前らが何者かなんてどうでもいいぜ」
雷と呪詛で弱らされた黒き殺戮者の群れを見ても、御剣・刀也の闘志は衰えない。
「グゥルゥゥゥゥゥ……」
人語は解するのか、禍鬼は刀也の声に怒るような仕草を見せるが、刀也はどこ吹く風。
「てめぇら、どけよ」
刀也は不屈の獅子の如く煌めく日本刀、獅子吼を右手に持ち、空いた左手を大仰に振って道を開けろと威嚇するも、禍鬼は聞く耳を持たない。むしろ棍棒や尻尾で刀也を叩き潰すべくじりじりと迫る。
「俺はあいつらに勝たせてやるって約束したんだ」
待ち構える刀也がその胸に秘めるは、陣中で交わした徳川軍の侍との約定。
――力を貸してくれるなら敵将の首を取る、と約束したから
「その邪魔をするなら……」
徐々に接近する禍鬼を鋭い眼光持つ瞳で見据え、獅子吼の刃先を先頭の禍鬼に突き付け、力強く宣言。
――神だろうが仏だろうが斬って捨てる!!
明らかに殺意を持って振り回される蠍の尻尾を、刀也は冷静に軌道を見切って避けた後、袈裟斬りでその先端を斬り飛ばす。尻尾が無差別に他の禍鬼をも巻き込んでいる間に懐に飛び込み、胴を逆袈裟で一息に斬って捨てた。
「戦場では俺は死人。死人は死を恐れない」
胸元に収まっている六文銭がチリン、と音を立てるのを気にも留めずに、刀也の血肉を求める渇望を具現化させて身体サイズと戦闘能力を増大させた禍鬼の1体の懐に一気に飛び込み、唐竹割りで一息に両断。
だがそれでも恐れを知らぬ禍鬼の集団は、蝕む呪詛で動きが緩慢になってもなお、刀也を叩き潰すべく接近を続ける。
――弱者ではなく強者を狙うのは、殺戮者としての本能か
「てめぇら、まとめて来いよ」
途切れることない禍鬼の群れを、むしろ歓迎するとばかりに贄の笑みを浮かべる刀也。
「てめぇらごときで足踏みする程……」
――俺は退屈してねぇんだ!!
刀也は目の前に迫った禍鬼に相討ち覚悟の捨て身の一撃を胴に叩き込み、両断。
直後、刀也の胴を別の禍鬼が振り回した蠍の尻尾が強く打ち据えるも、刀也の顔から贄の笑みが途切れることはなく、むしろさらに深く踏み込んで尻尾ごと胴を斬り飛ばした。
敵中で刀を縦横無尽に振る刀也の姿は、まさに『修羅』の一言に尽きる。
結果、かなりの数の禍鬼が、刀也の獅子吼の前に地に伏していた。
――だが、まだ猟兵を足止めする程の数は、残っているようだ。
成功
🔵🔵🔴
四軒屋・綴
《アドリブ絡み改変歓迎》
やれやれ、後で菓子折でも持って謝りに行かねばなるまいが……
それも鬼退治を済ませてからだなッ!
先ずもって警戒すべきは紫の霆、すなわち雷電ッ!
ならば【メカニック】と【防具改造】【オーラ防御】を活用ッ!自身の装備の導電率を下げ纏うオーラの導電率を上げることで雷撃を誘導し散らして無効化ッ!
【一斉発射】で牽制しつつ近づいてくる敵の一撃をユーベルコードで弾き【ダッシュ】ッ!懐に潜り込み【グラップル】ッ!喉元を掴み【怪力】【属性攻撃】【衝撃波】を乗せて地面に叩きつけるッ!
「古きを温め、新しきを知る。」
「これが今を生きる、俺達の『兵法』だッ!!」
「嘘を誠にせねば怒られるのでなッ!」
●嘘を誠に、温故知新を糧に
(「やれやれ、後で菓子折でも持って謝りに行かねばなるまいが……」)
四軒屋・綴の脳裏に浮かぶのは、鼓舞のためとはいえ、怒らせてしまった若い侍の顔。
「それも鬼退治を済ませてからだなッ!」
今は目の前の鬼退治が先だ、と綴は気合を入れ直し、禍鬼の集団を観察した。
綴がまず警戒したのは鳴神一閃……範囲内の敵のみを追尾し打ち据える紫色に光る霆。
たとえ猟兵でも、撃たれれば一時的に身体が麻痺し、その間に棍棒や尻尾で蹂躙されるだろう。ましてや綴が身に纏う鎧は具現化プログラムで実体化したもの故、雷に打たれれば電圧上昇による過負荷でプログラムがバグを起こし、鎧ごと消滅しかねない。まずこれを如何にして無力化するか。
綴は手早く具現化プログラムを調整し自身の装備の導電率を下げ、纏う蒸気のオーラの導電率を上げ、雷撃を誘導しようと試みる。
「グオオオオオオオ!」
禍鬼の雄叫びとともに霆が四方八方へと放たれ、周囲の猟兵達だけを的確に狙い撃つ。綴も例外なく狙われるが、そのほとんどは狙い通り蒸気のオーラに吸い込まれ、鎧に辿り着く前に散らされた。だが全てを散らすとはいかず、1本だけが綴の右肩の蒸気機関車型ユニットを掠め、具現化プログラムにわずかなエラーを生じさせた。
(「危ない危ない……ッ」)
煙突が一撃で破壊されなかっただけ僥倖。綴はすぐさまプログラムを修正し元に戻すと、両肩の煙突を90度回転させそのまま銃口に変化させ、一斉に煙のような弾を発射しながら接近する禍鬼を牽制する。それでも接近する禍鬼に対しては、両腕に装着した蒸気機関車型装備を向けた。
「炉・勁・列・車ッ!」
綴の両腕から『発車』する伝統的人型超機械が禍鬼に命中し、大きくよろめかせたところで、ダッシュで急接近。懐に潜り込み格闘……プロレスを仕掛ける。
「古きを温め、新しきを知る」
怯んでいる禍鬼の喉元を掴み、怪力を発揮して宙に釣りあげる。
「これが今を生きる、俺達の『兵法』だッ!!」
そしてそのまま、力任せに地面に叩き付けた。
――嘘を誠にせねば怒られるのでなッ!!
あの場での約定を違えぬとの想いを込めた強烈な投げ技は、投げられた禍鬼の命脈を断ち、さらに高熱を帯びた衝撃波で周囲の禍鬼をもなぎ倒していた。
●敵将、登場セリ
猟兵等が気が付けば、動いている禍鬼はいなくなっていた。
これで直属護衛部隊は全滅だ。
猟兵達が目配せしあい、敵将の元へ向かおうとした、その時。
――新たな気配が、戦場を包んだ。
成功
🔵🔵🔴
第3章 ボス戦
『戦国武将』
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POW : 合戦具足
無機物と合体し、自身の身長の2倍のロボに変形する。特に【自分の城の一部もしくは武者鎧】と合体した時に最大の効果を発揮する。
SPD : 乱世斬
【日本刀による衝撃波を伴う斬撃】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
WIZ : 戦国兵団
【自分に従う兵士達】の霊を召喚する。これは【火縄銃】や【弓矢】で攻撃する能力を持つ。
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●登場、春日虎綱……またの名を高坂昌信
「禍鬼らの気配が消え失せたかと思えば……貴殿らは只の侍ではないな」
どこからともなく響く声に、猟兵らはこれまでにない威圧感を感じ取る。
――ザッ、ザッ、ザッ、ザッ
足音と共に、威圧感はますます強まる。
やがて、火縄銃や弓矢を構えた兵士たちの霊の大群と共に、武田家の家紋「武田菱」の旗印を背にした武将が姿を現した。
「なるほど、徳川も我らに対抗できる兵を囲っておったか。」
姿を現したオブリビオン武将は、猟兵らを見下ろす。
「貴殿らは信玄公の復活を阻止しに来たのだろう。あの徳川の考えそうなことよ」
武将はかかかっと高らかに笑い、しかしすぐに笑みを消した。
「しかし、信玄公の復活は我らの悲願でもある。故に我は逃げはせぬ」
逃げはしない?
その言葉に、一部の猟兵が違和感を覚える。
「一騎打ちを望む者がいればそれに応えよう。一斉にかかってきても構わぬ」
日本刀を抜き放ち、猟兵らに突き付けるその姿は、歴戦の侍そのもの。
「我の名は、春日虎綱……またの名を高坂昌信」
その名を聞いた一部の猟兵から、驚きの声が上がった。
『甲陽軍鑑』の原著者「高坂弾正」として、信玄公・勝頼公の頃の武田四天王が一として、その名が伝わる武将。
百姓の出ながら信玄公に登用され、対上杉軍の最前線を任されるほどの信を置かれ、史実の三方ヶ原でも武田軍の撤退時に殿を務めたと伝わる武将。
――その逸話故、「逃げ弾正」としての渾名を持つ武将でもある。
その武将が今、オブリビオンとして蘇り、猟兵らの目の前にいる。
ならば、ここで討たねばなるまい。
さあ、猟兵達よ。
武田二十四将が一、高坂昌信を討ち取り、信玄公の復活を阻止せよ。
――それこそが、サムライエンパイアの危機を救う術なのだから。
*マスターからのお断り
本シナリオでは、原則として「高坂昌信」表記で統一させていただきますことを、あらかじめお断りしておきます。ご理解ご了承よろしくお願い致します。
パラス・アテナ
逃げ弾正、か
戦場で撤退戦が上手いってのは、最高の褒め言葉だよ
そのコツをご教授いただきたいところだが、死んで蘇った以上アタシの敵だ
骸の海へお還り
二回攻撃、鎧無視攻撃を併用して攻撃
敵の得物は日本刀。通常攻撃を当てるには近づいてくるだろうさ
【合戦具足】で身体が二倍になったらチャンスだ
攻撃を第六感と見切りで回避して
カウンターの要領で昌信の懐に潜り込む
関節に威力重視の【一斉射撃】
零距離射撃と鎧無視攻撃を併用
具足の隙を集中的に狙い撃って動きを鈍らせる
攻撃後態勢を整える前に離脱
距離を取って再び攻撃
アンタの主がいくら高名で高潔な武将でもね
この世界をオブリビオンにくれてやる訳にはいかないんだ
悪く思わないでおくれ
●最高の褒め言葉には最高の銃弾を
最初に姿を見せた猟兵、パラス・アテナ(都市防衛の死神・f10709)は、昌信の渾名「逃げ弾正」に聞き覚えがあった。
「戦場で撤退戦が上手いってのは、最高の褒め言葉だよ」
「お館様が病に伏した後のことは貴殿らにも伝わっておるのか」
「記録に残させたのは存命中のアンタだよ」
苦笑い気味に呟くパラスだが、すぐ表情を引き締める。
「そのコツをご教授いただきたいところだが、死んで蘇った以上アタシの敵だ」
「ならば、貴殿は我の敵でもあるな」
「そうだね。骸の海へお帰り」
オブリビオンと化した以上は相容れない存在。パラスは二丁拳銃を抜き放った。
昌信の主な得物は日本刀。通常攻撃を当てるには近づかねばならない。パラスはそれを逆手に取り、二丁拳銃でひたすら具足の厚い部分を狙い撃ち、油断させる。一見無駄に見えるが、具足は銃で撃たれることを想定した造りではない故、生身は只では済まないはず。
「珍妙な武器を振り回しおって」
「まあ、アンタにとっては珍妙だろうよ」
昌信は倒れ伏す侍らに視線を向ける。徳川軍の侍と斬り結び、その命を断たれた侍だ。
「……侍たちよ、よく耐えた。その武具、我が借り受けよう!」
昌信は【合戦具足】で地に伏した武田軍の侍らの刀を、槍を、そして具足を取り込み、瞬く間に身長の2倍ほどのロボに変形する。
「……ロボ化するアンタも珍妙だね」
どう見ても南蛮渡来の技術にしか見えないそれに、呆れたように呟くパラス。
「これで珍妙なのはお相子様ではなかろうか?」
昌信は巨大化した日本刀を無造作に振り下ろし、パラスを両断しようとするが、パラスはかろうじて軌道を読み避ける。標的を見失った日本刀は地面を深く抉り、土埃が周囲に立ち込めた。
しかしそれこそがパラスが狙っていた好機。避けた勢いでカウンターの如く土埃を切り裂きながら昌信の懐に潜り込み、具足の隙間に二丁拳銃を捻じ込んだ。
「アンタの主がいくら高名で高潔な武将でもね、この世界をオブリビオンにくれてやる訳にはいかないんだ」
――悪く思わないでおくれ
威力重視の【一斉射撃】で立て続けに発射された銃弾が、零距離から昌信の右膝の関節を撃ち抜く。
「ぐおおおおっ!!」
激痛に咆える昌信から悠々と距離を取ったパラスは、再び二丁拳銃を構え、意識的に関節部を狙って撃ち抜いていった。
成功
🔵🔵🔴
真宮・奏
響母さんと瞬兄さんに合流することも考えましたが・・・(戦場を見て)無理そうですね。高坂昌信程の強者、連携もそう簡単にやらせて貰えないでしょうから。
敵の攻撃は強力無比、トリニティ・エンハンスで防御力を高めた上で【オーラ防御】【盾受け】【武器受け】で防御を固め、戦国兵団の攻撃に備えて【拠点防御】も。攻撃の被害を減らしながら、乱世斬の攻撃範囲外から【属性攻撃】【二回攻撃】【衝撃波】【範囲攻撃】で攻撃していきます。近づかれてしまったら、【シールドバッシュ】で押し返し、もし傍に危ない猟兵さんがいたら【かばう】ことも視野にいれます。
●味方の矛にも盾にもなりし者
(「母さんと兄さんに合流することも考えましたが……無理そうですね」)
他の家族より一足先に昌信の姿を視認していた真宮・奏は、乱戦と化しつつある戦場の様子を見て母と兄との合流を断念した。
(「高坂昌信程の強者だと、私達家族の連携もそう簡単にやらせてもらえないでしょうから」)
単独で戦うことはあまりないのだが、今はそうも言っていられない。陣中でかけられた母の言葉を胸に覚悟を決め、昌信の前に身を晒した。
他の猟兵と一太刀交えた様子を見て、昌信の攻撃が強力無比であることを悟った奏は、まずは【トリニティ・エンハンス】でオーラに炎と水、風の属性を付与し、さらにエレメンタル・シールドとブレイズセイバーを手に守りを固める。
「徳川は女子まで戦場に引っ張り出すのか?」
奏が女性であることに気がついた昌信が驚くが、奏は毅然と言い返す。
「無理やり引っ張り出されたわけではないです!」
「そうじゃろうな。なら……」
――等しく我が刀の洗礼を受けるのみよ!
横一文字に振り抜かれた日本刀から凄まじい勢いの衝撃波が発生し、周囲の猟兵を無差別に襲う。それは攻撃範囲外から風の衝撃波で周囲の兵ごと昌信を攻撃しようと考えていた奏も例外ではない。咄嗟にエレメンタル・シールドで散らすも、それだけで腕がビリビリと震えた。
(「衝撃波の攻撃範囲が広すぎます
……!」)
立て続けに飛び交う日本刀からの衝撃波を、奏も負けじと風の衝撃波で相殺するも、他方で巻き込まれた他の猟兵がバランスを崩し、転倒するのを見て咄嗟にかばいに入る。しかし、他の猟兵をかばうことに気を取られ、いつしか昌信の接近を許してしまっていた。
「娘よ、護りに入るなら先に崩させてもらおう」
周囲の武具を寄せ集め合体ロボと化した昌信の、強烈な日本刀の袈裟斬りが奏を襲う。とっさにブレイズセイバーで受けて刃先を逸らそうとするも、ロボ化して重量を増した日本刀のそれを完全には逸らせず、刃が奏の胴を深く斬り裂いた。
「その傷ではもはや庇うこともできまい」
「それでも、ここで退けません!」
奏も痛みをこらえてエレメンタル・シールドを昌信に叩きつけて距離を取り、再びにらみ合う。
――まだ、戦いは始まったばかりなのだ。
苦戦
🔵🔴🔴
神城・瞬
(戦場の様子を見て)これは、母さんと奏との合流は無理ですね。敵は高坂昌信、連携を破る技量は充分あるでしょう。
敵の得意間合いに敢えて入って特することはなにも無し、僕は遠距離攻撃に徹します。月読の同胞に護りを任せて、【高速詠唱】【全力魔法】【二回攻撃】で【誘導弾】を【範囲攻撃】で撃ちます。【鎧無視攻撃】【マヒ攻撃】【目潰し】【武器落とし】【部位破壊】で戦国兵団の動きを制限し、あわよくば、敵将の勢いも制限する事も視野に。余裕があれば、味方の攻撃に【援護射撃】します。
●月読の同胞と兵士霊との総力戦
(「これでは、母さんと義妹との合流は無理ですね」)
戦場を一目見渡し、神城・瞬も義妹と同様の結論に達していた。無理に合流して3人で連携して戦ったとしても、高坂昌信程の名将なら連携を破る技量は充分あるであろう、と。
(「しかし、あの日本刀は脅威の一言です」)
対策はないだろうかと思索を巡らそうとしたその時、見覚えのある猟兵が巨大な日本刀で袈裟斬りにされる姿が目に入った。
「あれは
……!!」
瞬は目を見開き怒りに身を震わせ、駆けてゆく。
瞬が見た昌信は立て続けに猟兵を退けたものの、膝に痛打を受けているのか火縄銃や弓矢を持った兵に一時的に守りを固めさせていた。仮に鉛玉や矢を掻い潜って無理やり突破したとしても、自ら相手の得意な間合いに飛び込むだけだ。
(「敵の得意な間合いに敢えて入って得することは何も無いでしょう」)
ならば遠距離からの攻撃に徹するのみ。瞬は【月読の同胞】で剣や弓を持った月読の紋を付けた戦士を多数召喚し、守りを任せる。そしてギリギリ届きそうな間合いから立て続けに氷の誘導弾を広範囲にばら撒き、兵士の霊たちを悉く凍らせ、得物を凍結させた。
「ぬぅっ、妖術使いか! 姿を見せい!」
具足の一部を凍らせられたことで瞬の存在に気づいた昌信の一喝が飛ぶ。
「そちらが刀なら、私は氷で攻めるだけです。しかし……」
瞬は冷ややかな目をしながらあえて身を晒し、昌信を睨みつける。
「……お前、先程義妹を斬ってくれたな」
――それは、大切な義妹を袈裟切りにしたことへの怒り
「あの娘か」
「ああ、オレから仕返しだ」
瞬の静かな怒りと共に六花の杖から放たれた周囲の空気を絶対零度にまで下げる程の氷の誘導弾が次々と昌信を直撃し、具足の隙間に飛び込んだ氷の欠片が関節と言う関節を悉く凍りつかせ、動きを鈍らせていく。
「ぬぬぅっ、面妖な!!」
昌信は兵士の霊を壁とすべく呼び寄せようとするが、瞬が召喚した月読の戦士にしっかりと抑え込まれている。飛び道具の数の差で一見すると月読の戦士が不利に見えるが、瞬の援護射撃で兵士の霊の動きも鈍っているため、両者互角。
「これがオレの戦い方だ」
そして、瞬の誘導弾は兵士の霊の壁すら避けて敵将のみを狙うことも難しくない。
――三度放たれた氷の誘導弾は、昌信の具足の隙間を狙い撃ち、直接生身を凍らせ始めていた。
成功
🔵🔵🔴
御剣・刀也
高坂昌信!
天武古砕流後継者御剣刀也!推して参る!
いざ尋常に勝負!
合戦具足で巨大化したら足首などを攻撃して倒れてきたら頭を狙って捨て身の一撃で斬り捨てる
乱世斬は第六感、見切り、残像を駆使して避けて近づいて、捨て身の一撃で斬り捨てる
火縄銃や弓矢を持った霊を召喚されたら火縄銃は残しておくと面倒なので先に片づける
相手は逃げ弾正と呼ばれる程機を見るに敏だと思うので、僅かな変化も見逃さない
相手が背中を見せようとしたら前に先回りして、その道を塞ぐ
「戦場では俺は死人。死人は死を恐れない。あんたもそうだろう?さぁ、武田の猛将よ、正々堂々尋常に勝負!」
●いざ尋常に、刀で勝負!
具足の隙間に入り込んだ氷を全て砕いた昌信の前に、新たな猟兵が姿を見せる。
「珍妙な武器と妖術使いが続いたが……ようやく楽しめそうだ」
猟兵の腰に履く日本刀が目に入り、目を細めて喜ぶ昌信の前に姿を現したのは、御剣・刀也。
「高坂昌信!」
大きく誰何の声をあげる刀也に、昌信はにかっと笑い、応える。
「いかにも! 貴殿も名乗るがいい!」
「ああ。天武古砕流後継者、御剣刀也! 推して参る!」
刀也は獅子吼をすらりと抜き放ち、正眼の構えを取る。
――いざ尋常に、勝負!!
周囲の無機物を寄せ集めロボと化す昌信に、刀也は真正面から突撃。
「それこそ剣士よ!」
昌信も愚直に奇をてらわず、ただ只管真っ直ぐに日本刀を縦一文字に振り下ろすが、刀也は無為に受けようとせず見切って躱し、足首を狙って斬りつけ、転倒させる。
「覚悟!」
間髪入れず反撃覚悟の捨て身の【雲耀の太刀】。持て得る力を振り絞った上段からの一撃が、ロボと化した頭を両断し、ロボ化を解除させた。
「ぬぬぅ、やりおるな」
「戦場では俺は死人。死人は死を恐れない」
てめぇもオブリビオンと化した以上そうだろう? との刀也の問いかけに、立ちあがった昌信は踵を返し、後退しようとする。
「今死したら御館様の復活はかなわぬ……」
「逃がさねえ!」
逃走阻止のために素早く昌信の前に先回りした刀也の目に入ったのは……音速の如く真横に振り抜かれた昌信の日本刀。
「……などと抜かして御館様に禍を招く貴殿らを残して引くとでも思うたか!!」
衝撃波で刀也にたたらを踏ませた後、返す刀で胴を二分しかねない斬撃。だが刀也は残像を身代りに紙一重で斬撃から逃れ、そのまま一気に獅子吼を大上段から振り下ろす。
「武田の猛将よ、正々堂々尋常に勝負!」
「望むところよ!」
昌信の日本刀が刀也の獅子吼を受け止め、そのまま鍔迫り合いに持ち込む。双方の気迫に戦場全体が静まり返り、息が詰まるような錯覚すら覚えさせる。
無限に等しい一瞬の攻防の末、刀也の獅子吼が押し込み、そして跳ね上がり、昌信の日本刀を宙へと撥ね飛ばした。
――この勝負、刀也に軍配あり。
「貴殿のような良き剣士と巡り合えたなら、おぶりびおんと化したのも悪くはなかったの」
「俺は存命中の昌信公とやってみたかったぜ」
ヒトとしての昌信と刀也の勝負が実現していたらどうなっていたか……それは歴史の「if」に委ねよう。
成功
🔵🔵🔴
四軒屋・綴
『逃げ弾正』、殿を任せられる程の信頼、それを勝ち得る武略、なるほど大物のご登場だ、一戦願おうかッ!
まずは踏み込むッ!武器は『モックズブッパ』ッ!射撃と共に突撃ッ!立ち塞がるなら【武器受け】ッ!そして変形から【属性攻撃】【衝撃波】を乗せた斬撃ッ!どうにしろ狙いは本丸だ、火縄も弓も後にしてもらおうッ!
狙いが分かれば相手も黙ってはいないだろう、隊列を組ませ壁としてくるか……その時が勝負ッ!ユーベルコード発動、跳ね上がる石礫に紛れ【怪力】を足に込め再度跳躍ッ!雑兵を飛び越え牽制に礫を拳で弾き飛ばしつつ武将に右ストレートだッ!
「流石にオブリビオンとなれば鬼に金棒だなッ!ただでさえ強敵だと言うのにッ!」
●本丸を案内する先は何処?
(「『逃げ弾正』、殿を任せられる程の信頼、それを勝ち得る武略」)
「なるほど大物の御登場だ、一戦願おうかッ!!」
日本刀を拾った昌信の前に、効果音がつきそうな格好いいポーズと共に現れたのは、四軒屋・綴だった。
「……今度は何奴?」
見慣れぬ蒸気機関車姿の装甲を目にし、思わず目を点にする昌信。この時代には蒸気機関車は影も形もないので、この反応は仕方あるまい。綴も脱力しそうになるが、めげずにポーズをとり自己紹介。
「勇蒸連結ッ! ジョウキングッ!!」
「ならばじょうきんぐとやら、来るが良い!」
多数の兵士の霊を召喚しながら、昌信は綴を挑発する。まずこの大量の兵士の霊をどうにかしないことには本丸までたどり着けない。
「ならばまずは……踏み込むッ!!」
綴はAIを宿した大型ライフル・蒸射煙斬モックズブッパを右手に持ち、突撃しながら次々と火縄銃を持つ兵士を撃ち抜いていく。しかし撃ち抜いた傍から新たな兵士が綴の行く手を遮り、火縄銃で応戦。綴の装甲に少なくない傷を生み出す。
(「どうにしろ狙いは本丸のみ」)
「火縄も弓も後にしてもらおうッ!」
綴りは一瞬でモックズブッパをソードモードに変形させ、高熱を帯びた衝撃波を乗せた斬撃を繰り出し、一気に兵士をなぎ払い、最短距離を進もうとする。
「成程、我のみを狙うか」
しかし、綴の狙いを易々と許す程、昌信も甘くない。
「兵士たちよ、隊列を組み、壁になるのじゃ」
兵士の霊が隊列を組み、昌信と綴との間に幾重もの壁を作る。これを全て射撃と斬撃のみで蹴散らし、本丸に辿り着くのはなかなか骨が折れる。
――だがそれこそが、綴が待っていた勝負の時。
「試式特急拳弐式ッ! 遥場特急ッ!」
綴は【特急爆装・遥場特急】を発動。己の身体を新幹線フォームに変化して跳躍し、まずは最前列の壁に拳を叩き込む。着地時の衝撃で石礫が舞い上がるが、それに紛れて足に力を籠め、再度空高く跳躍し、一気に全ての兵士の壁を飛び越えた。
「なぬっ!!」
歴戦の武将とは言え、壁を全て跳躍で飛び越えられるのはさすがに予想していない。綴が牽制がてら拳で弾き飛ばした礫はなんとか腕で払いのけるものの、続く拳は躱せなかった
――ゴシャアアアアアアッ!!
礫を追尾するが如き綴の渾身の右ストレートが昌信の顔面を綺麗に捕らえ、轟音と共に身体を地面にめり込ませていた。
成功
🔵🔵🔴
ローゼマリー・ランケ
【システィ・マリス教団として参加】
同旅団の皆と掛け合いながら、
連携して戦う。
アレンジや遊び歓迎
主人格のロミィとして参加
「ワルゼロムさん、徳川さんから幾らか頂いたんデスカ?」
「……ロミィ、目の前の敵に集中なさいな」
「フゥーム、敵は単独デスネ。ベルの出番は無さそうデース!」
「死人を生き返ラセル?自然の摂理に背くと、大抵の場合はロクな結果にナリマセンので阻止シマース!」
【力溜め】しつつ近づき、【グラップル】【騎乗】【クライミング】を併用して相手の身を登って【怪力】【鎧砕き】【捨て身攻撃】のUCを敵にに叩き込む。投げ技はお任せ。
攻撃されたら【武器受け】で対処
ラウラ・クラリモンド
★{システィ・マリス教団として参加する。参加メンバーと連携して戦闘を行う。メンバー同士の絡み希望}
「武田四天王の一人、高坂昌信殿と戦えるのは光栄です。」と言いながら、『高坂昌信』の前に立ちふさがります。
【WIZ】で攻撃します。
【フェイント】や【カウンター】を織り交ぜながら、【属性攻撃】の【全力魔法】の【鎧無視攻撃】の【死女の恋】で『高坂昌信』を【2回攻撃】します。相手の攻撃に関しては【残像】で、ダメージの軽減を試みます。
「あ、一つ聞いておきたいことが。『武田信玄』殿からラブレターを貰った時は、うれしかったのですか?。」
アドリブや他の方との絡み等は、お任せします。
ワルゼロム・ワルゼー
システィ・マリス教団として参加する
参加メンバーと連携して戦闘を行う
メンバー同士の絡み希望
かの高坂弾正と相対できるとは、光栄の極みよな
一騎打ちもよかろうが、彼の者は既にオブリビオン、決して舐めてはかかれん
教団メンバーと協力し、連携して敵の力を削ぐぞ
『布教は数こそ力なれば』、人形たちに爆弾を投げさせ、爆煙を持って敵の視界を塞ごう
メンバーがさらに攻撃を加える中、側面あるいは背面に回り、
【呪詛】【高速詠唱】闇の【属性攻撃】で敵の急所を狙っていこうか
味方のメンバーが攻撃を受けそうなら、武器を狙って敵の狙いを反らそう
いかに弾正殿が相手であろうと、我が団員を危険にさらすわけにはいかんのでな…
白石・明日香
【システィ・マリス教団で参加】他の方との絡みやアドリブは大歓迎です。
高坂弾正か・・・・許せんな。武田四天王ともあろうものがそんなモブい立ち絵姿なのが許せん!専用の立ち絵を用意してから出直して来い!
というわけで教団のみんなと連携して突撃。真っ先に突撃して皆に害が及ばぬようにモブ弾正の周囲にある無機物を片端から薙ぎ払っておく。モブが変形したら残像を展開してかく乱しつつ、具足とか鎧の出っ張りを「踏みつけ」て駆け上がり「鎧無視」して面隠しの目の隙間に「目潰し」よろしく攻撃を叩き込む。攻撃後はモブの背後を駆け降りるように離脱。やられるまで繰り返す。
●4対1で正々堂々勝負しろ!
猟兵らが次々と一騎打ちを選択する中、あえて集団戦を挑んだのは【システィ・マリス教団】の4人。もっとも、当の高坂昌信が陥没した地面から必死に身を起こそうとしているのは……前の猟兵の仕業なので気にしないでほしい。
「かの高坂弾正と相対できるとは、光栄の極みよな」
名将を目の当たりにしてワルゼロム・ワルゼー(枢機卿・f03745)は感動と高揚感を隠せない。例え相手がオブリビオンであっても、名を知られた将との勝負は胸が高鳴るものだ。
「武田四天王の一人、高坂昌信殿と戦えるのは光栄です」
同じく敬意を表しているのはラウラ・クラリモンド(ダンピールのマジックナイト・f06253)。
「フゥーム、敵は単独デスネ。ベルの出番は無さそうデース!」
一方、敵がたった1人であることに少々落胆気味なのが、多重人格者のローゼマリー・ランケ(ヴァイスティーガー&シュバルツシュランゲ・f01147)。副人格のベルトーシカの出番がなさそうなことに申し訳なさすら感じている。
「……明日香殿?」
「教祖、ああ、いや……何でもない」
他方、白石・明日香(十字卿の末裔・f00254)は肩をわなわなと震わせながら怒っているようだが、言いたいことだけはかろうじて口の中に押し込み、声に出さないでおく。
(「高坂弾正か……許せんな。武田四天王ともあろうものがそんなモブい立ち絵姿なのが許せん!」)
……それを本気で口に出したらグリモア猟兵が怒りますので、念のため。それは方々に失礼ですよ?
「一騎打ちもよかろうが、彼の者は既にオブリビオン、決して舐めてはかかれん」
教団の教祖として、冷静に昌信の強さを分析するワルゼロム。
「教団メンバーと連携して……」
「なら、オレが真っ先に斬り込む!!」
ワルゼロムが指示を出し切る前に、明日香が真っ先に周囲の無機物を排除しながら昌信に突撃した。
「あっ、明日香さん……」
「仕方ないですネー」
ラウラが肩を竦め、ローゼマリーが諦めたかのように力を溜めながら待機。
「単騎突撃とは、また愚かな輩がいるものよ」
昌信が明日香の無謀さを鼻で笑い、無機物を吸収してロボ化するとともに多数の兵士の霊を召喚し始めたのを見て、ラウラが考え込む。
「これは明日香さんへの支援がいりますね」
ラウラがゆったりと火刀と氷剣を無数の薔薇の花びらに変換しながら【死女の恋】の発動準備。
「いや、あの兵士たちを排除するなら、我の支援の方がよかろう」
【布教は数こそ力なれば】で190体の小型の教祖さま人形を召喚したワルゼロムが、爆弾を抱えた人形に命じて兵士の霊に突撃させる。
「さぁ、お仕事の時間であるぞ、我が分身ども。給料が欲しければ、キリキリ働くが良い!」
人形たちは給料が欲しいのか、それともワルゼロムの命に忠実なのか、とにかく爆弾を抱えて兵士の霊の集団に突撃。兵士の霊も突撃する人形に火縄銃や矢を浴びせるが、その瞬間抱えた爆弾が爆発。大量の煙が戦場を覆った。
「幻の快楽を得て、紅き闇に落ちよ」
煙で兵士の霊が悉くラウラたちを見失った隙にラウラが距離を詰め、【死女の恋】の薔薇の花びらを全て昌信に集中させる。
「ま、また面妖な技を
……!!」
煙の向こうから薔薇の花びらが殺到し、昌信の全身に貼りついてひたすら幻の快楽を流し込み続け、体力と気力を削る。しかし昌信は花びらが流れて来た向きから、術者であるラウラのいる方角を大よそ把握していた。
「あの方向に敵がおる!!」
火縄銃を持つ兵士の霊に指示を出し、ラウラに向けて一斉に発砲させる。煙を突き抜ける鉛玉にラウラは咄嗟に反応できず、ある程度は残像を囮に躱したものの、数発程躱し切れずに手足が撃ち抜かれた。
「ラウラ殿!」
兵士の霊がいるらしき場に闇の呪詛を撃ち込みつつ、ラウラの身を案じるワルゼロム。
「大丈夫です!」
(「この状況では、『武田信玄』殿からラブレターを貰った時はうれしかったのかどうかは聞けませんね……」)
是非聞きたいと思って用意してきた質問をぐっと頭の片隅に追いやり、ラウラは薔薇の花びらの制御を続けた。ちなみにそのラブレター、宛名の「春日」姓が後に書き加えられたものである可能性があるため、本当に信玄公から昌信に宛てられた手紙かどうかは懐疑的だとの見方があるそうです。
明日香も煙に紛れながら具足や鎧の出っ張りを頼りにひたすら登り、ようやく面隠しまでたどり着いていた。そして唯一開いている目の隙間に妖刀・全てを食らうクルースニクを突き立て、目潰しを試みる。
「ぐあああああああ!!」
片目を潰された痛みで絶叫する昌信が、背中を伝って退避しようとした明日香を捕まえ、そのまま豪快に地面に叩きつける。
「明日香殿!!」
「ぐっ……やっちまった……か……」
そのまま意識を失う明日香を、ワルゼロムが闇の呪詛で昌信を牽制しつつ引きずり、退避。
(「いかに弾正殿が相手であろうと、我が団員を危険にさらすわけにはいかんのでな……」)
教団の教祖として、そして何より旅団の団長として、団員を守るという決意を胸に、ワルゼロムはさらに闇の魔法で急所を狙い、ラウラとローゼマリーを支援。
そのローゼマリーはどこにいるかと言うと。
(「死人を生き返ラセル?自然の摂理に背くと、大抵の場合はロクな結果にナリマセンので阻止シマース!」)
明日香の突撃とワルゼロムによる煙幕を囮に、さらに力を溜めつつ昌信の『背後』からそっと近づいていた。
(「木登りならぬ鎧登りとか、楽しそうデース!」)
目の前にそびえる巨体に、畏怖するどころか興奮すら覚えるローゼマリーだが。
(『……ロミィ、目の前の敵に集中なさいな』)
(「オーゥ、ベル、その通りデスネー!」)
服人格のベルトーシカに諭され、落ち着いて背後から具足と鎧をつたいながら登るローゼマリー。正面からはラウラとワルゼロムによる薔薇の花びらと闇の呪詛による攻撃が続いているため、昌信に気づかれることなく、肩まで登り切る。
「いつの間に登り切っておる!?」
「コレが私のフェイバリット! 名付けて、ロミィ・スペシャル!」
ローゼマリーは【超即興連続攻撃】で至近距離から全力で鎧目がけて音速の拳の連打を叩き込み、鎧に大きなヒビを入れた。
「小癪なあ!」
明日香と同じようにローゼマリーも手に捕まりかけるが、拳で払って自ら地に落下し、上手く着地した。
やがて、ローゼマリーとワルゼロム、ラウラの目の前で、昌信の鎧のヒビが大きくなり、ついに砕け散る。
「お主ら……よくぞここまで!」
右目を潰され、鎧を砕かれた昌信が吼える。それは対等に渡り合える相手と出会えた換気か、それとも信玄公復活を阻まれようとしている怒りか。
「煙が残っている間に撤退するぞ!」
「そうね。あとは他の猟兵に託しましょう」
「ここが潮時デスネー」
未だ倒れたままの明日香をローゼマリーが抱え、ワルゼロムがラウラに肩を貸し、【システィ・マリス教団】の一員は煙に紛れて撤退した。
――決着を、後続の仲間に託して。
成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴
真宮・響
奏と瞬と一緒に動くことも考えたが、高坂昌信程の名将、パターン化した攻撃は見切られる恐れがある。それに、各自戦場にいただろうから合流する暇もなさそうだしね。
迂闊に間合いに入られると斬られそうだ。【目立たない】【残像】で戦国兵団の攻撃を避けつつ、乱世斬に当らないように間合いと位置取りを離す。もし避けきれなくて飛び道具が当たりそうな時は【槍投げ】【範囲攻撃】で迎撃を試み、間合い取りが上手くいかなくて乱世斬を受けそうな時は【武器受け】【カウンター】で対処。敵が合戦具足を使うようならチャンスだ。敵に向かって爆炎槍をぶん投げるよ!!
●燃え盛る槍で具足を撃ち抜け
真宮・響は、戦場では常に子供2人と共に行動するが、今回は思うところもあり、あえて家族と別行動を取っていた。
(……家族と一緒に動くことも考えたが、高坂昌信程の名将、パターン化した攻撃は見切られる恐れがある」)
そもそも各自が戦場で各自の働きをしている以上、合流する暇もなかっただろう。子供たちはどうしているだろうか。心配だが今は敵将の元へ向かうしかない。
響が目にした昌信は、片目を潰され、さらに胴鎧が消えていた。足元に散乱する欠片を見るに、おそらく胴鎧は別の猟兵が砕いたのだろう。
「赤い槍、そして女子……徳川の将を鼓舞していたのは貴殿か」
片目だけで響の手にするブレイズランスを見つめ、どこか納得したかのように頷く昌信。
「女子を斬るのは好かぬが、貴殿が沈むところを見せれば徳川の士気にも関わろう」
響の赤い槍は遠くから見ても目立つ。猟兵と昌信の戦いは双方の侍らも注目しているはずだ。
――響が鼓舞した徳川の侍も、武将も、例外ではない。
(「だったら尚更、倒れられないね……」)
響はぐっとブレイズランスを握り締め、行動に移る。
響が気を配ったのは、迂闊に昌信の乱世斬の間合いに入らぬよう、兵の霊たちから目立たぬようすること。
しかし、横一文字に薙がれる日本刀から発せられる衝撃波と斬撃は、響の予想を大きく超えて広範囲に届いていた。それをかろうじて槍を投げて相殺し、時には槍で威力を殺しながらさらに間合いを測る。
いくら広範囲に届く衝撃波でも、おのずと限度はあるはず。その限界を、響は後退しながらじっと見極める。
「逃げるだけでは何もできぬぞ?」
昌信の嘲笑を身体に受けながらも、響はひたすら躱し、好機を待つ。
何度も何度も衝撃波を受けると、細かい負傷が蓄積していくが、それでも痛みを噛み殺し、ただ待つ。
何度目かの乱世斬。それは周囲の空間を薙ぎ、斬り裂く。
だが、今の響の居場所までは……届かない。
それこそが、響が待っていた好機。
――ただ1度の、一瞬の攻撃チャンス。
「さあ、ぶっ飛ばすよ!! 逃げるんじゃないよ!!」
高らかに宣告した後攻撃に転じた響は、神経を研ぎ澄まして良く昌信を見据え、【爆炎槍】を投擲。優に2000m以上は届くその槍を、比較的至近距離……それでも100m以上離れてはいたが……から投げ、命中させる。直後、槍が大爆発を起こした。
「き、貴殿……見事!!」
大爆発に巻き込まれた昌信は、兜と面隠しを除き、具足を全て失っていた。おそらくそう長くは立っていられまい。
――しかし、面隠しの奥に潜む瞳は、まだ闘志に満ちている。
さあ、次は最後の戦。
高坂昌信に引導を渡し、信玄公復活を阻止せよ。
成功
🔵🔵🔴
薄荷・千夜子
武田信玄、良き武将であったとしても、現在を生きる我々とは相容れぬ者
復活は阻止させて頂きます
強敵と相対するのであれば全力でいくしかありませんね
[操花術具:神楽鈴蘭]をシャン、と鳴らしUC『操花術式:花神鈴嵐』を使用
術具を鈴蘭の花弁に変えて、高坂昌信と配下を含め一斉に攻撃
【全力魔法】【破魔】【属性魔法:炎】で破魔の白い花弁と一緒に浄化の赤い炎も舞わせましょう
近付いてくる敵には花嵐による【吹き飛ばし】を
「もう貴方方の生きる時代ではないのです。骸の海へとお帰り下さいませ」
●鈴蘭の花の元、安らかに眠れ
爆発音を聞き駆け付けた薄荷・千夜子が見たのは、兜と面隠し以外の具足を全て失い、満身創痍になっている昌信の姿だった。
「あなたが、高坂昌信公……武田四天王のひとり」
「左様。貴殿は……」
「薄荷・千夜子と言います」
「……良き名じゃな」
赤き面隠しの奥にある顔が、如何なる表情をし、如何なる感情を見せているかは、千夜子には分からない。だがひとつだけ、猟兵として昌信に言えることがある。
「武田信玄、良き武将であったとしても。現在を生きる我々とは相容れぬ者」
――信玄公の復活は、徳川治世に禍を齎すから
「信玄公の復活は、阻止させていただきます」
静かに宣告する千夜子に、昌信はただ、頷くのみ。
「左様か。なら……」
――我は最後の抵抗を見せるのみ。
面隠しの奥に宿す闘志は衰えを知らず、日本刀を構え兵士の霊を召喚する昌信を見て、千夜子も操花術具:神楽鈴蘭をシャン、と鳴らす。
(「強敵と相対するのであれば、全力でいくしかありませんね」)
たとえ相手が満身創痍でも、手は抜かない。それが侍に、武将に対する礼儀だと思うから。
「咲き乱れて、破魔の鈴」
千夜子は【操花術式:花神鈴嵐】で操花術具:神楽鈴蘭を破魔の力を持つ鈴蘭の花弁に変え、昌信と兵士の霊をまとめて攻撃。兵士たちは花弁に宿った破魔の力で現世との繋がりを断たれ、次々と消滅していく。
「巫女の術か」
「はい。戦巫女の術です」
「……美しいな」
千夜子は鈴蘭の花弁に、さらに浄化の赤い炎を纏わせる。
「昌信公、そして信玄公。この時代はもう貴方方の生きる時代ではないのです」
だから、どうか。
――骸の海へとお帰り下さいませ。
千夜子の最後の願いを込めた、浄化の赤い炎を纏った鈴蘭の花弁が、昌信を覆う。
それは高らかに赤炎をあげ、オブリビオンとしての昌信の最後の力を全て奪い尽くした。
「ああ、御館様……」
燃え盛る炎の中、面隠しがパキッと音を立て、割れる。
素顔を晒した昌信は天を仰ぎ、ただ一つだけ心残りを思い浮かべる。
「高坂昌信……いえ、春日虎綱」
――お役目を果たせず、申し訳ございませぬ
それを最後に、赤炎はその威力を弱め、やがて消え失せる。
千夜子はそれを、言の葉を紡ぐこともせず、唯じっと見守っていた。
炎が消えた時には、武田二十四将が一、高坂昌信の姿は既になかった。
――高坂昌信、撃破。
●「第六天魔王軍」への手がかり
昌信が消滅した後、千夜子はその場で操花術具:神楽鈴蘭をシャン、と鳴らしながら、地面に目を落とす。
すると、昌信が立っていた場所に巻物が落ちていることに気がついた。
千夜子が巻物を屈んで拾い上げ、何気なく眺め……
……表に記されている文字に目を見張った。
――『第六天魔軍将図』
「これは!?」
「信長軍の
……!!」
千夜子を始めとする猟兵らが一様にどよめく。
そして、慎重に開け……さらに驚きが深まる。
手に入れた図に記されていた、信長軍に集う『偉人武将軍団』の名。
それは――。
大成功
🔵🔵🔵