「おばあさんのお耳はどうしてそんなに大きいの?」
「お前の声がよおく聞こえるようにだよ」
「おばあさんのお目めはどうしてそんなに大きいの?」
「お前をよおく見えるようにだよ」
「おばあさんのお口はどうしてそんなに大きいの?」
「それはね……お前を食べるためだよ!」
そんな声の掛け合いで有名な童話、赤ずきん。
今回の案件はそんな赤ずきんを無事に家に送り届けること……ではない。
「今回皆さんに見つけてもらいたい村には『人柱』の風習が残っています。その風習は村に古くから言い伝えられる禍神……我々が言う所のオブリビオンを鎮めるために行なっているそうなんですが、その村がこの森のどこかにあります」
そう言ってルウ・アイゼルネ(飄々とした仲介役・f11945)はサムライエンパイアの一地域を描いた特大の地図をテーブル上に広げて、麓にある村の表記を指でなぞった。
「で、この村に問題の村へ毎日食料を届けにいく係の村人がいるんですが……その村人の子供がお花畑に遊びに行ったり虫を追いかけたりで道を外れて、それを追いかけた所で出くわしたならず者に襲われてしまいます。それを食い止めて、問題の村まで無事に行ってもらうのがまず一点」
そこからルウは森の中へ指を動かし、くるりと円を描く。
「次に人柱となる人物を特定し、その人を攫ってもらいます」
まさかの宣言に聞いていた猟兵達が一斉にルウの顔を見やる。しかしルウは一切表情を変えずに続けた。
「人柱がいなければオブリビオンは怒って贄を求めて我々が戦いやすい村の中央まで出てくるでしょう。そこを猟兵総出で一気に叩きます。……そしてこれも肝心なのですが、戦っている間にこっそり人柱を元の場所に戻して『人柱を立てていても神が関係なく村に降りてきた』という状況を作り出します」
オブリビオンは関わりの深い者しか滅ぼすことは出来ず、しばらくすると復活してしまう。
ならば、どこにいるかも分からない関係が深い者を探し出して出撃してもらうよりも、被害者となる村人達にそのオブリビオンが発生してしまう環境が整っている場所から出て行ってもらう方が長期的には楽である、とルウは判断したのだ。
ちなみにその村の人々の移住を受け入れる村の検討、というか交渉は済んでいるため心配は無用だそうだ。
「赤ずきんは危険な目にあって猟師に怒られますが、村人の方々にはオブリビオンに驚かされて、この危険な場所から退去していただきます。くれぐれも被害が出ないように立ち回ってください」
平岡祐樹
世の中はアリスラビリンスで大盛り上がりですが、自分はサムライエンパイアで童話世界にご案内いたします、平岡です。
第三弾の今回は村人をこっそり追いかけて未開の村の場所を割り出し、そこで悪意を振りまく禍神を討伐していただきます。
村人を上手く転がして、ルウの立てたガバガバ作戦を見事遂行することは出来るでしょうか?
第1章 冒険
『魑魅魍魎の森』
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POW : 危機的状況での食いしばり、体力を問われるモノ等
SPD : 連続戦闘や森への迅速な侵入、他速度を問われる行動
WIZ : 多数の敵を避ける、罠を仕掛けて防備を厚くする等
👑11
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ロルフ・ロートケプヒェン
赤ずきんが赤ずきんを探す!……って、なんとも言えねぇ絵面だな!まあいっか!
このダークセイヴァー産赤ずきんが、ここは一肌脱ぐぜ!
自分で言うのもなんだけど、このずきんは森の中じゃあ、結構目立つ
だから、抜足差足忍び足でそおっと、そーっとだな
それと、村人の足跡を見失わないように、しっかり【黄金月の瞳】で探すぞ【情報収集、追跡】
それから、森の動物にも、それらしい人間を見なかったか確認だ【コミュ力、動物と話す】
危険な動物や、赤ずきんを狙う不届きものがいたら、がいたら、こっそり退治
悪いな、ちょっとそこで眠ってておくれ【マヒ攻撃】
っていうか、あの子に近づくんじゃねぇぞ!【恐怖を与える】
※プレ外の言動など大歓迎
「赤ずきんが赤ずきんを探す! ……って、なんとも言えねぇ絵面だな! まあいっか! このダークセイヴァー産赤ずきんが、ここは一肌脱ぐぜ!」
といいつつも、ロルフ・ロートケプヒェン(赤ずきんクン・f08008)には1つ不安があった。
ロルフや今回のターゲットである子供のしている赤い頭巾は本人の予想通り、暗い森の中では結構目立つ。
その余裕が父親が一瞬見失ってしまう原因にもなってしまうらしいが、まだ見失っていない現状で追いかけるのは非常にリスキーな行動だった。
そのため抜足差足忍び足でそおっと、音を立てないようにこそこそとその後を追っていった。
動物を使っていないためそこまで速くない村人の足跡は中々見失うことはない。しかしそれは平地だった場合の話である。
隠れながら進むためにとてつもなく急勾配な崖などを登らなければいけない時はどうしても視線を切らなければならない。
しかしロルフは近くにいたリスや鳥に声をかけ、村人の現在地の把握を続けることが出来た。
そうして再び村人達の姿をしっかりと月のように輝く瞳で葉っぱ越しに見つけ出していると明後日の方向からガサガサと葉っぱを動かす音が聴こえてきた。
そこから飛び出してきたのはとてつもなく巨大なクワガタの化け物だった。
「悪いな、ちょっとそこで眠ってておくれ」
半円状の刃に塗られていた麻痺毒がクワガタの外殻を砕き、中の柔らかい肉に染み渡る。
岩をも砕きそうな巨大なアゴを使うことなく、クワガタは地面に落ちてひっくり返った。
「っていうか、あの子に近づくんじゃねぇぞ!」
ロルフの威圧によって近くにいた何かの気配が一斉に引いていく。
大人の方の村人はクワガタが出した物音に振り返っていたが、特に何も出てこないことに安堵して、子供の手を引きながら坂道を登っていく。
「……っと、いけねぇ。周りにばっか構って見失わねぇようにしねぇとな」
先ほどの威圧で関係ない動物まで逃げてしまったことを察したロルフは申し訳なさそうな表情を浮かべつつ、足を踏み出した。
成功
🔵🔵🔴
黒鵺・瑞樹
【SPD】
うん、理には適ってるけど…いいのかその作戦で。
とにかく、迷子の子供をまず探すって事だな。
子供の足だから、とは侮らないが、さすがに悪い足場や背が隠れるほどの藪の中は通らないだろう…と思いたい。
どのあたりで道から外れたか【第六感】【野生の勘】で検討を付ける。森の中では【聞き耳】も活用して調査。
時には木に【ジャンプ】【空翔】で上がって、俯瞰して探してみる。
多少の獣には【殺気】でおかえり願うが、向かってくるのはしょうがないので倒す。
ならず者たちに出くわしたら、子供があればかばいながら。
いないのであれば遠慮なく叩きのめして…番所に突き出した方がいいのか?
この辺聞いてなかったな。
「うん、理には適ってるけど……いいのかその作戦で」
一連の流れを聞いた黒鵺・瑞樹(辰星月影写す・f17491)は冷めた目線で発案者の顔を見て呟いた。
「とにかく、迷子の子供をまず探すって事だな」
そして森に入った瑞樹が見つけたのは、山肌から湧き出している水を水筒の中に入れている大人の姿だった。
しかしそのそばに問題の赤頭巾の子供の姿はない。
子供がはぐれたことに気づいていたらあそこで呑気に水を汲んでいるわけがない。ならば僅かな待ち時間の間にどこかへ足を伸ばした可能性が高い。
子供の足だから、とは侮らないが、さすがに悪い足場や背が隠れるほどの藪の中は通らないだろう……と考えた瑞樹は聞き耳をそばだて、木に【空翔】で上がって、俯瞰して探してみる。
すると湧き水が流れた先に出来た小さな水溜まりの近くにしゃがみ込み、そこで泳いでいる小さな魚を眺めている赤頭巾がすぐに見つかった。
この程度の距離なら父親もすぐに見つけることが出来るだろう。
そう、太い木の枝に飛び降りながら辺りを眺めていると、北東の方角からボロボロの鎧を着た男がふらふらとこちらへと向かってきているのが見えた。
「あれがならず者か」
空中を音もなく跳び続け、ならず者の後ろに着地する。
「あなた、何をしているんです?」
そう問われた男は意味のない雄叫びをあげながら瑞樹に斬りかかる。しかし瑞樹は体をそらすだけでその一撃を躱すと刃が黒い大振りなナイフでその上半身を守る鎧を切り裂いた。
致命傷にならない程度に手加減したつもりだったが、鎧をいとも容易く壊された男は胸を押さえながら何歩も後退する。
そして両手を広げると、胸についた小さな切り傷が中からせり出すように一気に開き、そこから巨大な芋虫が姿を現して瑞樹に飛びかかってきた。
瑞樹は反射的に芋虫の頭を真っ二つに斬る。すると男は恍惚とした表情を浮かべながら芋虫と共に塵と化した。
「番所に突き出した方がいいのか聞いてなかったが……消えるのならばその必要はなさそうだな」
だが普通のならず者なら体から巨大な虫が飛び出してくることはあり得ない。
異様な状況に薄ら寒さを感じながら瑞樹は合流した親子の会話を背に本体を仕舞った。
成功
🔵🔵🔴
月隠・望月
オブリビオンに生贄を捧げる風習……そんなことを続けていたら、奴らがのさばる。早くやめさせないといけない
そのためにもまずは村人と子供を助けないと、ね
【式鬼・鴉】を召喚して、子供を追跡、させる。あの鴉とは五感を共有している、ので、子供とその周囲の状況を知ることができるだろう
わたし自身は子供から少し離れて、木の陰などにに隠れながら後を追おう
この後『ならず者に襲われる』ということは、子供が道を外れたときに近くにならず者がいる、はず。できれば、先にならず者をどうにかしておきたい
ならず者が一般人なら説得して去ってもらいたい(【恫喝】【殺気】)、けど、オブリビオンに類するものなら叩き斬っておきたい、ね
「オブリビオンに生贄を捧げる風習……そんなことを続けていたら、奴らがのさばる。早くやめさせないといけない。そのためにもまずは村人と子供を助けないと、ね」
月隠・望月(天賦の環・f04188)は静かに闘志を燃やしつつ、陰陽呪符を天にかざした。
『行って』
まるで風にさらわれたかのように望月の手から離れた呪符はただの長方形から黒い3本足の鴉に姿を変えた。
鴉は複雑に絡み合っている枝と枝の間を通り抜けながら先を行く親子の後を追う。
鴉の視界も共有している望月は、親子や鴉から見えない位置で、木の陰などにに隠れながら後を追う。
この後『ならず者に襲われる』ということは、子供が道を外れたときに近くにならず者と出くわすはず。
ならば自分から外れた道を先行して、子供と会う前にならず者をどうにかしよう……という考えだった。
「父上ー、まだ見えないのー?」
「ああ、まだまだ先だぞー」
代わり映えしない景色に飽き飽きした様子の子供の声が鴉越しに聞こえてくる中、望月は崖上から下を微動だにせずに見続ける男を見つけた。
「そこの御仁、何をなさっている?」
男の見つめる先に親子が通るであろう道がある以上、望月はやや殺気を発しつつ話しかける。
すると男は高笑いすると刀を抜き払って、望月に斬りかかってきた。
力任せ極まりない攻撃に、望月は一歩後ろに下がって軽く避けると素早く腰に差していた刀を抜いてガラ空きになった男の胴体を一閃する。
深く斬られた男の体から赤い血は全く出ず、その代わりに大量のミミズが傷口から這い出てきた。
ボトボトと音を立てて落ちるそれに望月は舌打ちすると刀を両手で構えて念を込め、もう一度男の体を斬り飛ばした。
初撃とは違い、体を真っ二つにされた男の体はミミズに変わることなくボロボロに崩れ落ちていく。
「……この森、どうやら一筋縄ではいかなそうですね」
刀を収めた望月の耳に、鴉越しではない子供の声が聞こえてくる。望月は目を見開くと音を立てないように近くの木の幹の影に姿を隠した。
成功
🔵🔵🔴
ナザール・ウフラムル
【SPD】
……結構な力技だよな。つうか、多分浚う段階で「クリスタライズ」かそれに準ずるUCか技能持ちが居たほうが楽だよな、これ……。似たようなことはできるけどよ。
大気を圧縮して屈折率を変えての【迷彩】で親子からは隠れつつ、「グローツラングの瞳」で強化した【視力】と【第六感】で察知して危険な存在を随時排除。風の【属性攻撃】を加減して使って消音もするぞ。
人間っぽいのは……、どうすっかな。まあ、気絶させりゃいいか。とりあえず。(顎を狙って脳震盪で気絶させる気満々)(人外のものだった場合は容赦なく【暗殺】する気も満々)
「……結構な力技だよな。つうか、多分浚う段階で【クリスタライズ】かそれに準ずるUCか技能持ちが居たほうが楽だよな、これ……」
ルウから伝えられた作戦が書かれた紙を確認したナザール・ウフラムル(草原を渡る風・f20047)は唸りながら顔を上げた。
「まぁ、似たようなことはできるけどよ」
そう呟いたナザールの姿は森の中に溶け込んで消えた。
精霊術を行使することで大気を圧縮し、屈折率を変えて隠れたのである。
さらにグローツラングの瞳によって強化された視力と第六感で危険な存在を感知し、風の属性攻撃を加減して使って消音まですれば立派な隠密状態の完成である。
そうしてまるで山の中だと思えないほどの軽い足取りで駆け上がっていったナザールの視線の先に1人の男が先を歩いているのが見えた。
男は山の中にも関わらず、武器も荷物も何も持っておらず山の中では動きにくい袴姿だった。
「人間っぽいのは……、どうすっかな。まあ、気絶させりゃいいか。とりあえず」
男を脳震盪で気絶させる気満々でナザールは迷彩状態を維持したまま歩調を早め、あっという間に男の懐に忍び込んでその顎を下から抉り飛ばした。
すると男の頭はまるで首の骨が無いかのごとく180度を超える角度まで折れた。
「えっ」
人間離れした動きに一瞬不意を突かれてしまうと、男は首をおかしな方向に向けたまま袴の下から現れた蟷螂のような鎌が突き出した腕をその場でめちゃくちゃに振り回した。
ナザールは咄嗟にザイーツを具現化し、鎌を受け止めると男を蹴り飛ばして距離を取り、助走をつけて胸ごと頭部を貫いた。
「擬態してる系のオブリビオンかな、厄介な……」
黒い塵と化していく男を一瞥したナザールは今度見かけたら気絶させるのではなく、容赦なく殺しにかかることを心に決めつつ、音もなく次の刺客を潰しに移動した。
苦戦
🔵🔴🔴
篁・綾
SPD分野で。
まず、餌で【誘惑】し【おびき寄せ】、【動物と話す】で通り道の動物に【情報収集】を。
【聞き耳、第六感】で女の子を探しながら、狐の姿で森の中を走って行きましょう。
女の子を見つけたら様子を見つつ、周囲にならず者がいるようなら人型になり、先回りして叩きに行くわ。
「退けばよし。手向かい致せば斬って捨てるわ。」
数が多いならUCを使用。刀一本を除いた武器と周囲に存在している無機物、無機化合物(酸素とか)を花びらに変え、【範囲攻撃、鎧無視攻撃、2回攻撃】で容赦なく叩くわ。
…森の中とはいえ、些か物騒過ぎるわね、ここは。
時勢の問題なのかしら…
叩いた後は狐の姿で彼女を追いつつ護衛するわ。
「そこの子、ちょっと話があるのだけど」
声をかけられた幼い猪が振り向くと、そこには長い黒髪に狐の耳を生やした少女、篁・綾(幽世の門に咲く桜・f02755)の姿があった。
同族と思いきや、まさかの人間に話しかけられた猪は慌てて距離を取ろうとする。しかし綾が持っていたカバンから取り出した物を眼にした瞬間、釘付けになった。
「別に害する気はないわ。2、3個質問に答えてくれれば」
そう言って微笑む綾の手に握られた好物に、陥落するのはそう遠くない話だった。
「さて、私も探すとしますか」
猪と別れた綾はその場で1回宙返りをすると黒い毛皮の狐の姿になり、親子に不審に思われないようにその近くを歩いていく。
猪によると、この森には入るとどこまで歩いても走っても元の場所に戻ってしまう不思議な場所があるという。おそらくそこが場所が不明だという謎の村がある場所だろう。
そしてもう一つ気になるのは不審な動きを見せる昆虫の群れ。その昆虫は同族以外の生物の死体に卵を植え付け、その身体を乗っ取りつつ、変質させていくらしい。
「……森の中とはいえ、些か物騒過ぎるわね、ここは。時勢の問題なのかしら……」
綾は何かに気づくと道を外れ、人間の姿を取る。その先には虚ろな目をした男達の姿があった。
綾の姿に気づいた男達は緩慢な動作で刀を抜く。
「退けばよし。手向かい致せば斬って捨てるわ」
綾も刀を抜いて警告するが、男達は変な唸り声を上げるのみで一切引こうとしない。その応対に綾は一息つくと、眼を瞑った。
『うなり、うなり 荒ぶ春告の風よ 冬の帳を打ち払うように 闇夜の空を薄紅に染めよ』
周りにある落ち葉や石、さらには空気までが桜の花びらへと変わる。
突然の環境の変化に男達は喉を搔きむしりながら、花びらの中で血塗れになって倒れていく。
そんな男達の耳から逃げるように這い出てきた小さな芋虫が花びらの餌食になったのを見届けた綾は再び狐の姿になり、遅れた分を取り戻すべく来た道を戻った。
成功
🔵🔵🔴
紅狼・ノア
(木の上から)
うーん、大丈夫かなこの作戦?(ちょい不安)
えっと今回のお守りする子は…おっあの子かぁ
あの子の見張りは【影の獣達】3匹に任せよう
別々の方向から見守りずつ周囲を警戒ね
僕は【第六感・野生の勘・聞き耳】をフル活動、森の動物達に怪しい物や人物がなかったか【動物と話す・情報収集】する
影の獣達が周囲に異変を感知し1匹がその場所に向かう、僕もそっちに素早く向かうよ
ならず者が現れた時、隠れながら普通の人が敵かを確認
てか確認するほどじゃないね…普通、人の体から虫のような匂いしないもんね
音無に素早く【暗殺・忍び足】
数が居れば【部位破壊】で動きを封じ一撃で仕留める
(戦ってる間も影の獣達が追跡している)
シホ・エーデルワイス
アドリブ&味方と連携歓迎
ならず者って
人ではなくオブリビオン!?
今まで食料を届けに行った村人は無事だったのかしら?
それとも今回は特別?
あと
ルウさんの作戦に私の救園は使えるかしら?
親子の尾行は魔力を身にまとった
<迷彩で目立たない姿になり空中浮遊で木等に隠れて追跡>
<第六感と聞き耳>で警戒し
ならず者がいれば声をかけ
生者なら峰打ちし
<催眠術>で森から避難するよう暗示をかける
死者なら【華霞】と<破魔>で浄化
あと
聞いていた話よりもオブリビオンが多そうですので
<優しさで動物と話す事で森の状況について情報収集>
どうもルウさんの情報以外にも何か大事な事がありそうな…
一筋縄では行かない気がするのは考え過ぎかしら?
「ならず者って人ではなくオブリビオン!?」
仲間から次々ともたらされる情報にシホ・エーデルワイス(捧げるもの・f03442)は目をひんむいていた。
「今まで食料を届けに行った村人は無事だったのかしら? それとも今回は特別? どうもルウさんの情報以外にも何か大事な事がありそうな……。こちらでも調べましょう」
迷彩技能で目立たない姿になったシホは空中浮遊で枝を折らないようにジャンプしながら先を進む。そんな時、小さな雛鳥が落下していくのが目に入った。
「危ない!」
跳ねる角度を変えて、咄嗟に雛の真下に飛び込み、骨が折れないように優しくキャッチする。着地してから手の中を覗き込むと雛はピーピー楽しそうに鳴いていた。
その様子にほっと一息ついていると、子供を拐われたと勘違いした親鳥が飛びかかってきた。
「い、痛いです……」
シホが痛そうにしつつも全く反撃してこないのを見て親鳥は不思議そうに攻勢を弱めていく。
落ち着いていく親鳥にむけてシホは頭を下げた。
「お騒がせして申し訳ありません。この子を巣に戻してあげたいのですが、どちらにお住まいですか?」
シホと雛の顔を交互に見た親鳥は一旦口を開きかけた後、何かに思い当たった様子で口をつぐむ。その動きを見落とさなかったシホはカマをかけてみた。
「大丈夫です、私たちはあの虫の仲間ではありませんから」
すると親鳥はまるで「付いてこい」と言わんばかりに首を右に2、3回振って飛び立つ。シホは再び足に力を込めてその後を追った。
「うーん、大丈夫かなこの作戦?」
その頃、同じく現地に住む動物から色々と話を聞いた結果、グリモア猟兵でも全体像を把握しきれていなさそうだと判断し、心配そうな顔をして大きな枝の上に座り込む紅狼・ノア(捨て子だった人狼・f18562)は何かに気付くと目を細めた。
「えっと今回のお守りする子は……おっあの子かぁ」
ノアが呼び出した【影の獣達】が捉えたのは目の前を通った何かを追いかけて、子供が足を速める姿だった。
「あっ、ねぇねぇ今ウサギさんがいたよ!」
「おい、あんまり先に行くと……」
親が慌てて声をかけるが、子供が岩肌の見える道を通り越した所で下にあった大木が異様な音をたてて揺れ始める。
その動きを不審に思い、ノアが獣の内の1体の視線を向けると根元を角を使って掘り起こそうとする、異様なまでに巨大なカブトムシの姿が見つかった。
「うわ、見るからに虫じゃないかー!」
人型をしてないダイレクトな姿に全身に鳥肌をたてつつも、ノアは木を倒される前にトドメを刺すべく音を立てないように山肌を走る。
「させるか、死ねっ!」
そしてあっという間に肉薄すると木の根と土の間に挟み込んである角を一撃でへし折った。
慌てて子供を追いかける親が道を横切った所で、カブトムシはノアを無視してその後を追おうとしたが容赦なく蹴り飛ばされひっくり返る。
「苦手でも、やる時はやるんだよ!」
柔らかい腹の部分にダガーを突き刺すと、緑色の血液が漏れ出す。
涙目になりながらもさらにダガーを突き刺すとカブトムシの体はグチャグチャに溶けていった。
「ううっ、せめて他の人みたく人型で出て来て欲しかったよ……」
人の姿から虫の姿に戻る時だけ目をつぶって耐えようと思っていたノアはそう言って念入りに虫の体液が付いてしまったダガーの刃を拭った。
「そこの虫さん、何をしてらっしゃいますか?」
一方、分断させた所に襲いかかろうと隠れていたならず者の前にはシホが立ち塞がっていた。
「か弱い子供を狙うなんて……許されません! 『咲き誇って! 私のエーデルワイス!』」
先程の鳥から「問題の虫達は理由は分からないが、子供を狙ってくる」ことを教えられていたシホは怒りで体を震わせながら剣を引き抜く。
すると抜かれた刃が銀色の星型の花びらへと変貌し、ならず者達を包み込む。
痛覚も聴覚も視覚も奪われていきながら体を崩れさせていく、虫に乗っ取られてしまった哀れな人々に向けてシホが祈りを捧げる中、何も知らないまま親子は目的地の前にたどり着くのであった。
成功
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第2章 冒険
『柱の家は』
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POW : 力づくで村人から聞き出す
SPD : 村人の行動を観察する
WIZ : 伝承や村の記録を元に調べる
👑11
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「よし、着いたぞ」
そう言って親が懐から謎の石を取り出すと、森だった風景が歪んで行き一つの村へと変わっていく。
おそらく呪術などで野生の動物が襲いかかってこないようにするための措置だろう。
目の前で変わった景色に子供が目を輝かせる中、親はその手を取って中へと入っていく。
その後ろをこっそり付いて行っていた猟兵達は石による呪術の解除が切れる前に、気づかれないようにコソコソと村への侵入を果たしていった。
シホ・エーデルワイス
アドリブ&味方と連携歓迎
結界で外敵から守られているとはいえ
こんな危険な森に隠れ住むなんて
村人達は移住を選べるかしら?
他所者は警戒されるでしょう
猟兵の違和感を与えない能力と<催眠術、念動力、迷彩、目立たない>で
村人が私を認識できない様にしつつ
村の規模や家屋の配置
生活状況や雰囲気を<情報収集>
話を聞けそうな人がいれば
<コミュ力、催眠術>で村人に成りすまして尋ねます
最終目標は人柱の居場所ですが
村人と禍神の距離感(他の村と変わらないや洗脳されているなど)
も気になります
得た情報は仲間と共有します
最大の目的は詳細な情報を調べるのに必要な取っ掛かりを把握する事です
その為
怪しまれ、警戒されない様
慎重に探ります
「結界で外敵から守られているとはいえこんな危険な森に隠れ住むなんて……」
内から見れば普通の森なのに、その森からやってくる獣はまるで酔っぱらっているかのように反対の方へと歩いていく。
当然ここまで見てきた害虫や害獣は入って来ないため、生活するにはもってこいの環境ではあるのだろう。……人柱の犠牲の元に成り立っていることを除けば。
「他所者は警戒されるでしょうから……」
猟兵には別世界からの来訪者だったとしても現地民に違和感を与えない能力がある。
しかしシホは要心深く催眠術、念動力、迷彩、目立たない、といった自分が出来るありとあらゆる相手を騙す技能を人気の無い納屋の中でこっそり自分に施してから村の中心部へ入っていった。
乾拭き屋根の日本家屋が建ち並ぶ村の規模は山奥に作られているとは思えないほど大きく、山の斜面に沿って作られている耕作地も非常に広い。またすれ違う住民の顔色や体つきも悪くはない……むしろこの世界では良い方である。
オブリビオンと見られる神様に対しては戦に敗れて落ちぶれた先祖を守ってくれた有難いお方として大切に扱っており、人柱もその神に感謝を捧げるための必要不可欠な儀式だと信じて疑う様子を全く見せていない。
ルウは「他の村の者が毎日食料を届けにいく」などと言っていたが、話を聞けた住人はそもそも他の村の住人が毎日のようにこの村に来ていること自体知らなかった。
シホは礼を言いつつも、疑いの眼差しをかけられていることを察して速攻で催眠術をかけて忘れさせた。
「神や人柱の存在は知っていても、他の村の方が食糧を持ってくださっていることは知らない……。どういうことでしょう」
「しかし、この時期に子供連れて来るなんて、おめーは命知らずだな?」
ますます訳が分からなくなってきた時、前を通りかかった家から大きな笑い声が聞こえてきた。つい足を止めると目の前を先程まで尾行していた女の子を含めた子供の一団が楽しそうに笑いながら出ていく。
何かがありそうだと恐る恐る覗き込むと父親が家主と見られる老人に笑われていた。
「いみゃーの時期は、人柱の残りカス目当てで子分どもが寄ってくりゅーんだが、子供は連れてきちゃあダーじゃ。おにゃで子供はきゃつらに取って2番目のご馳走なんやから」
訛りが入りすぎていて一部は分からなかったが、少なくとも森の中でオブリビオンが活性化していたのは人柱の肉が森の外に出るからだということは何となく察せられた。
恐らく今までの村人が無事だったのは「オブリビオンが活性化していない時期だったから」「子供を連れて来て無かったから」だというのは分かった。
しかしなぜ人柱がオブリビオンにとって最高のご馳走なのか、そして人柱は普段どこにいるのかまでは2人の会話から出てくることはなかった。
成功
🔵🔵🔴
黒鵺・瑞樹
アドリブ可・連携OK
目くらましの石か、面白そう。欲しいかも。
まずは隠れられる場所を探して潜む。
使われていない家屋があればまだいいけど、出来れば村をそれなりに視認できる場所があるとなおいい。
【存在感】を消し【目立たない】ように潜む。
近場の音は【聞き耳】で、暗くなったら【暗視】で【情報収取】。
村長もしくはそれに準じそうな人が見つかったらUC水月で追跡、柱の家を探す。追跡の時も影だからと過信せず【目立たない】ようにする。
もし不審に思われたら即座に解除、隠れる事に徹する。
得た情報は他猟兵と共有する。
「目くらましの石か、面白そう。欲しいかも」
瑞樹は親が持っていた呪術の切り替えが出来る石に想いを馳せながらも、普段はお祭りで叩く太鼓を設置するための櫓の中に潜んでいた。
日常生活では入る必要がない建物かつ村で一番高いこの建物は、バレないように住民の多い中心部を見張るには非常に相性が良かった。
櫓を囲う壁から少しだけ頭を出し、注意深く辺りを観察していると、2人がかりで何かが入った籠のついた棒を肩にかけて運ぶ、白装束をまとった者達の姿が見えた。
『行け!』
あからさまに他の村人と違う服装に違和感を覚えた瑞樹はすぐに【水月】を走らせる。
瑞樹の影はすれ違う村人の視界の死角を縫うように静かに走り、ゆっくりと歩いている白装束達の背後につく。
影だからだと過信せず、極めて慎重に追跡していった先には古びた井戸が横にある納屋があった。
「ハシラ様、昼のお食事でございます」
籠を地面に下ろした白装束のうちの1人が納屋の扉を静かに叩く。
返事の後、忙しげに板を踏む音がしてから開かれた扉から、お腹を大きくさせた女性が顔を出した。
「毎度毎度申し訳ございません」
「いえ、ハシラ様のおかげで我々はこの暮らしが出来ているので」
白装束は籠の中からおひつや竹籠を取り出し、申し訳なさそうにしている女性の脇を通って納屋の中へと入って行く。
そして開かれた中には山やこの村の中では絶対取れないであろう海苔や見覚えのない野菜がふんだんに使われている食事がしっかりと入っていた。
「……夫は住んでいないのか?」
家族で住んでいるにはあまりにも少ない量に瑞樹は1人分だと推測する。
話し振りから察するに白装束の者達はハシラ様と呼ばれている女性の世話役だろうが、村の重要人物が住むにはあまりにもこの場所は辺鄙過ぎる。
なにより「ハシラ様」という呼び名。
「……『人柱』様か?」
探している者の存在が瑞樹の脳裏によぎったのは当然のことだった。
成功
🔵🔵🔴
紅狼・ノア
村に無事潜入できた!(念のためフードを被る)
さでと次は人柱を探すんだよねぇ…どう探そう…
まぁ村人の行動でも観察しますか
おっと、あそこに団子屋があるじゃないか!あそこで食いながら観察しょう【野生の勘・第六感・情報収集・聞き耳】
さで人柱に関係しそうな人物が居たら【影の獣達】で追跡し話を盗み聞きする(一人じゃなく複数人を追跡)
ある程度、情報が集まったら僕自身も動きますか…
伝承や記録を調べてみるか(獣達の追跡はそのまんま続行)
建物に侵入する際【忍び足・目立たない・鍵開け】多分厳重な所だろうからね
調べるものは調べたし村の中をブラブラとしながら探してみるかな
途中で仲間と会ったら情報交換だね
「さてと次は人柱を探すんだよねぇ……どう探そう……」
3本目の団子に手を伸ばしたノアはフード越しに人柱としてオブリビオンに捧げられ、命を落とそうとしている者がいるとは思えないほど平和な光景を眺めていた。
「人1人で村を守ってくださるなんて、なんて気前の良い神様だろうか」
「ハシラ様、いい体だったのにな」
しかし村の中を探らせている獣から報告されるのは醜い人間の内面を浮き彫りにさせたような会話ばかりで、ノアは気分を悪くしながら口の中で竹串をへし折った。
「ご馳走さま、ここに置いてくよー」
団子の乗っていた皿に銭を置き、長椅子から立ち上がったノアはとある場所へと足を向けた。
「そろそろか?」
「はい、これ以上待ってしまえば産まれてしまうでしょう。そうなればしばらく使えなくなります」
「……それはいかんな。明日辺りにお伺いをたてるか」
「かしこまりました。では他の村の者にしばらく持ってくる品の量を減らしてもらうよう通達いたします」
移動中にも入ってくる情報にノアの進みが自然と速くなっていく。
そしてノアがたどり着いたのは村の子供達が通う寺子屋だった。
「歴史、歴史……あった」
休憩時間なのかそもそも授業が終わった後なのか、人の姿が全く無い教室に忍び込んだノアは机の中にあったお目当の冊子を取り出してページをめくる。
そこにはかつてこの森の近くで戦が起きた時に敗者となってしまった武将とその配下がこの地に落ち延び、村を作るまでの伝説が記されていた。
臨月を迎えていた武将の妻はこれ以上自分を庇っていれば夫やその家臣達が追手に捕まり殺されてしまうと思い、神に祈りながら投身自殺をした。
妻の決死の行動に嘆き悲しみながら逃げる武将達の元に追手が現れると神が現れ軍勢を叩きのめして追い返した。
その翌年、逃げ切った先である開拓したての慣れない場所での農業で苦戦していると神が再び現れ、別の足軽の妻を襲い食らっていった。
すると村の周りで野生の動物が次々と罠にかかり、萎びていた作物はぐんぐんと育ち大量の実りをつけた。
このことから武将達は神に毎年女性を1人捧げ、全ての始まりである武将の妻の冥福を祈りつつ神に感謝を伝えている……と締めくくられていた。
「……お母さんを犠牲に、か。子供の時点で常識のごとく教えられてるとはね」
冊子を閉じたノアの眉間には深い皺が刻まれていた。
成功
🔵🔵🔴
篁・綾
SPD分野で
…ああいう仕組みね。呪術で無理矢理壊したりしないでよかったわ。
【空中戦】を駆使して高い場所に登り、周囲の様子を観察するわ。
柱の子を自由にさせておくにせよ、軟禁しておくにせよ、不自然な人の配置や動きは出てくるはずだし。
一刻も観察していれば、見張りのついている家はわかるはず。
…嫌な慣れよね。自分の経験則とはいえ。
場所がわかったら、その子と話をしに行きましょうか。
高い場所から狐になって忍び込みましょう。
あとは、【コミュ力】を駆使して話をしてみましょうか。
私達であれば、貴方も、この村の人達も助けることができる。
…人柱にならない明日を選ぶことができる。
…望むなら、手を伸ばして(指定UCを使用
月隠・望月
引き続き【式鬼・鴉】で上空からの偵察を続け、わたし自身は村の人に見つからないよう建物の影などに隠れる
村人同士の会話を盗み聞きして人柱に関する情報を集めながら、人柱がいそうな場所を探そう。人柱なら、儀式的な装飾がされている場所にいる、はず
人柱を見つけられたら話しかけてみよう。可能なら協力してもらった方が効率がよい
『あなたも人柱として死ぬのは不本意、なのでは? それに、あなたが死んでも根本的な解決には、ならない。また次の人柱が選ばれる、だけ』
『わたしたちが禍神を、倒す。そうすれば誰も死なずに済む。協力して欲しい』
と人柱の方を説得して攫われてもらいたい。説得が無理なら、力尽くで攫うしかない、けど
シホ・エーデルワイス
アドリブ&味方と連携歓迎
笑っていた…
私達がいなければあの親子は死んでいたかもしれないのに
自分達の安寧の為
犠牲になった人を残りカス呼ばわりだなんて
まるでゴミ扱い…
価値観が違い過ぎます…
私達は村人の目を覚ませるかしら?
引続き<催眠術、念動力、迷彩、目立たない>で隠れつつ
人柱を知っていそうな先の老人を中心に
村での役割や行動範囲を<情報収集>
一部の村人のみが知る暗部も知っているはず
時間が無ければ<コミュ力と催眠術>で尋問
人柱に会えたら<コミュ力と優しさ>で助けに来たと説明
もし
死の覚悟をしていたり村を気にしたりするなら
村人も救う気だと伝える
保護は【救園】へ匿う事を提案
透明になる方法があったら良いのですが
「というわけさ。しばらくは少なめでお願いするわ」
「分かりました、じゃあ塩の量は半分くらいに……」
「いや、神様に捧ぎゅー分もあるから3分の2くらいで」
老人と護衛対象の父親の商談が進む中、シホは物陰だ打ちひしがれていた。
私達がいなければあの親子は死んでいたかもしれないのに。
自分達の安寧の為に犠牲になった人の遺体を残りカス呼ばわりするなんて。
「価値観が違い過ぎます……」
思わず小声で呟いてしまったシホの頭上を一羽のカラスが通り過ぎていく。
怪しまれないように飛び回り、村人同士の会話を盗み聞きして人柱に関する情報を集め、人柱がいる場所を見つけ出したカラスは無事に主人の腕の上に着地した。
「人柱なら、儀式的な装飾がされている場所にいると思ったけど……案外普通の家だったか」
村の人の目に入らないように家屋の裏手に隠れていた望月は目を細めながらカラスが嘴を向けた方へと歩いていく。
その姿を木の上から眺めていた綾は嘲笑を浮かべていた。
「……嫌な慣れよね。自分の経験則とはいえ」
人柱を自由にさせておくにせよ、軟禁しておくにせよ、不自然な人の配置や動きは出てくる。
一刻も観察していれば、同じような生活を送らされていた綾がそれを見つけ出すことは容易であった。
自分のいる木の近くに望月が来た所で綾は狐の姿になって飛び降りる。
人間の物よりも柔らかい筋肉と肉球による衝撃の緩和でひらりと着地した綾はすぐに人型の姿に戻った。
目の前に突然落ちてきた狐に驚いた望月は目を見張りながらも息を吐いた。
「……綾殿であったか」
「ごめんなさいね、驚かせたみたい」
「いや、大丈夫だ」
申し訳なさそうに手を合わせる綾に望月は気にしないようにと首と手をゆっくりと振った。
「綾殿は、どうするおつもりか?」
「……望月さんがいるなら私は狐に化けて、裏から忍び込んで、別の人や出口がいないかどうか確認するわ。逃げられたり気づかれたら大変なことになる」
「じゃあ、わたしも、見張りつける」
乗っていたカラスが左腕から離れて再び村の方へと飛び立っていく。
「村の人、来たら、知らせてくれる」
屋根と壁との間にある小さな隙間から家の中に黒い狐が滑り込んだのを見届けてから望月はハシラ様のいる納屋の扉を叩いた。
「御免」
「はい……何か忘れ物でも……」
叩かれたことに応じて扉を開けたハシラ様は初めて見る望月の姿に思わず固まった。
「ええっと……どちら様ですか?」
「わたし、あなたを助けに来た」
望月が何を言っているのか分からない、という表情でハシラ様が固まる中、人の姿に戻った綾が後ろから話しかける。
「私達であれば、貴方も、この村の人達も助けることができる。……人柱にならない明日を選ぶことができる」
「あなたも人柱として死ぬのは不本意、なのでは?」
「いえ、このお役目は滅多になれないものなので……最期まできちんとお務めを果たしたいと思っております」
突如現れたように見える綾に驚き、背中を扉の側面に当てつつもハシラ様は明確な意志を持って2人の提案を否定する。
「あなたが死んでも根本的な解決には、ならない。また次の人柱が選ばれる、だけ」
「それが私達にとっての当たり前ですので……」
会話が堂々巡りに陥りつつある中、砂を踏みしめる音が聞こえてくる。
カラスからの報告が無いことから味方だとは分かりつつも念のため望月が振り返るとそこには真顔のシホが歩いていた。
「綾さん、望月さん。いらっしゃってましたか」
綾と望月に話しかけた所でシホの表情がようやく緩む。
「これから何人か来そう?」
「はい。少なくとも夜鵺さんはこの場所を把握されているので、そこから話が回ってくるかと。……私は村長さんから教えていただきましたが」
綾はその言葉の裏に薄ら寒い物を感じたが、ここではあえて追及しなかった。
シホの言葉から、今自分に意味わからないことを喋ってきているこの一団が自分の身内から詳しいことを教えられていることを知ったハシラ様は思わず狼狽えた。
「あ、あなた方は一体、何者なのですか⁉︎」
「私達はこの村の人々を助けに来ました。……神に搾取される仮初めの平和から」
改めてシホが今までの2人と同じことを言うと、ハシラ様は眉間に皺を寄せた。
「神に、搾取?」
「死の覚悟をしていたり村を気にしたりするなら、村人も救います。……今は受け入れられないかもしれませんが」
「神を愚弄するなんて、ふざけないでください! いい加減にしないと……」
そんな時、望月の手刀が声を荒げようとしたハシラ様の首を捉えた。
「実力行使、避けたかったけど……」
「いえ、いいタイミングだったと思う。あれ以上話しても多分騒がれるだけ」
崩れ落ちたハシラ様の体を受け止めた望月が申し訳なさそうに言うのを綾は讃える。
その一方で、本当に私達はこの村の人々の目を覚ますことが出来るのだろうか……シホの脳裏に不安がよぎっていた。
大成功
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第3章 ボス戦
『常世神『トコヨノカミ』』
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POW : 猪突猛進
単純で重い【巨体から繰り出される体当たり】の一撃を叩きつける。直撃地点の周辺地形は破壊される。
SPD : 脱皮転生
【脱皮をする 】事で【無数の翅で飛び回る飛翔形態】に変身し、スピードと反応速度が爆発的に増大する。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
WIZ : 大量発生
自身からレベルm半径内の無機物を【 数多に蠢く蟲の群れ】に変換し、操作する。解除すると無機物は元に戻る。
👑11
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意識を失ったハシラ様を異空間に放り込んだ猟兵達には、ある重大な任務が待ち構える。
それは神が現れるまでハシラ様がいなくなったことを村人に気づかれずに躱し切ること。そして村人達に「神を否定する」ことを納得させること。
神を、オブリビオンを殺すだけでは留まらない難題が猟兵達を待ち構えていた。
黒鵺・瑞樹
アドリブ連携OK
人柱の女性の方はみんなに任せるとして。
ちゃっちゃと「神」とやらが現れてはくれんかね。
派手に戦えばこっちに目が来る。そうしたら少なくとも人柱の人を戻すのも多少は楽になるとは思うんだが。
現れたら危機感を煽る様にあえて村人に聞こえるように言う。
これが神様か。
どうした?生贄だけでは足りなくなったか?
すべてを喰いたいか?
右手に胡、左手に黒鵺(本体:ナイフ)の二刀流。
真の姿(瞳が金色)に。
【暗殺】のUC剣刃一閃で攻撃、ヒットしたら【傷口をえぐる】でダメージ増を狙う。
相手の攻撃は【第六感】【見切り】【野生の勘】で何が何でも回避。
村人を巻き込まないようにしつつも一撃離脱を繰り返す。
「ちゃっちゃと『神』とやらが現れてはくれんかね」
日が傾いて人通りが無くなってもなお、瑞樹は相変わらず櫓の中で大欠伸を浮かべて寝転んでいた。
「こうまで暇だとは思わなかったな……誰か差し入れでも……」
そう言いかけた時に、先程夕餉を持った白装束の者達が坂道を登っていったのを思い返し、その彼らが昼餉の時よりも遅いのに気付く。
そして体を起き上げると同時に木が次々と倒れていく音が外から聞こえてきた。
「来たか!」
どことなく嬉しそうな声音で櫓から顔を出すと人柱がいるはずの家の方向からおぞましい見た目の存在が降りてきていた。
臀部を蛍のように発光させ、巨大なカブトムシの幼虫2体に担がれ、体から様々な甲虫の脚を生やし、乳房は蜂の腹のような形で、背中から蝉の羽を生やした、長い髪の女。
「あんなもんでも神様呼ばわりされんのか……。偶然っつーもんは末恐ろしいもんだな」
ノアが教科書から仕入れた伝説は単なる偶然の産物。だからこそ、この不毛な連鎖は絶たれなければならないと瑞樹は木製の階段から飛び降りた。
「どうした? 生贄だけでは足りなくなったか? すべてを喰いたくなったか?」
進行方向に立ちながら挑発してみるが、神は一心不乱に突っ込んでくるだけ。
話すだけ無駄と、右手に胡、左手に自身の本体を持って構えた瑞樹の目はまるで獲物に反応しているかのように、夜の闇の中で金色に輝いた。
その光に反応したのか、神は虫の鳴き声や羽音がいくつも混じったような声を上げて走る速度を速めた。
しかし頭部は人の形でも虫ほどの知力しか無いのか動きは幼虫にお任せなのか、あまりに直線過ぎて簡単に避けれてしまう。
横にも大きければ縦にも長い神に向かって瑞樹は容赦なく両の刃を突き立てる。すると大量の体液と一緒に虫の死骸が傷口から噴き出してきた。
それでもなお、神は一切止まらずに村の中心部へと進んで行く。
「痛みも感じてないのか⁉︎」
村人は出来るだけ巻き込みたくないと、被ったら何が起きるかわからない体液を避けつつ、瑞樹はひたすら神に刃を差し入れ続けた。
成功
🔵🔵🔴
シホ・エーデルワイス
アドリブ&味方と連携歓迎
●綾さんと
お腹に詰め物を入れ人柱に<変装>
妊婦の真似は<医術>と依頼でお産に立会った経験を活用
人柱の腹の中は人の子とは限らない事も考慮
村人との接触時は<コミュ力と第六感で相手の反応に注意しつつ
催眠術>で怪しまれない様に暗示をかける
疲れたので少し休みます
等と言って不要な会話をしない様に注意
敵が現れ
綾さんが人柱を戻したら
桜の花弁に紛れ変装を解き
<迷彩と目立たない>で隠れる
万一
敵が私の変装に気付かず
喰らいに来たら
私を襲わせ【贖罪】で喰えない所を村人に見せて
神が人柱を受け取らなかった様に見せる
儀式等で身に危険があった時も【贖罪】
【祝音】で味方の回復を優先
蟲の群れは【華霞】で迎撃
篁・綾
シホさん(f03442)に連携
屋根裏に潜んで様子をみましょう。
状況を見、必要であれば指定UCでフォローを。
…確認に来る人なら、何事もなくいる人柱がお望みでしょうけど。
人柱が覚醒めて出てきてしまった場合も指定UCで幻に包んでおきましょう。
…彼女が望むものはなにかしら。
事が起きるまで彼女が目覚めなければ、【優しく】部屋に戻し、打って出ましょう。
書き置きをしたため、入り口にはつかえ棒はするけど。
あちらが動いたら、指定UCで刀一本を除き桜にし突撃。
さあ禍津神、お前の望む物は何?
花びらで【目潰し】しつつ【範囲攻撃、鎧無視攻撃、マヒ攻撃、衝撃波】等で攻撃
【残像、見切り】で回避
【オーラ防御・激痛耐性】で防御
「なぜ、神がここにまで来ているのだ⁉︎」
木が次々と倒れる音に年老いた神官とみられる男が慌てた様子で大きな社殿から出て来る。
その視線の先には巨大な虫の集合体が山から下りてくる姿が遠目からでもしっかりと視認出来ていた。
「ハシラはきちんといたはずだろう、一体何が起きておる!」
神官が怒鳴り散らす中、石段を白装束の男達が慌てた様子で駆け上がってきた。
「た、ただ今戻りました!」
「貴様、一体何が起きておるのだ! 説明せい!」
「そ、それが……」
話は一刻前に遡る。
いつも通りに夕餉を届けに来た男達は扉を叩いていた。
「ハシラ様、夜のお食事でございます」
「開けてください」
普段なら自分から開けに来るハシラ様がこちらに頼んできたことに違和感を覚えながらも男は扉を開けた。
すると布団にくるまっているハシラ様の姿が奥に見えた。
「ごめんなさい……疲れたので少し横になっています……」
昼とは打って変わって、どこか息苦しそうな様子のハシラ様の様子に男達は心配そうに顔を見合わせる。
「これは……」
「ひょっとして、あれか……?」
そして何かに思い当たると顔色を青くさせた。
「すぐに住職をお呼びいたします!」
そう言って男の片割れが外に出ようとする。しかし天井裏から何かが倒れる音にその足を止めた。
「なんだ?」
直後に地面が大きく揺れ、音を立てて屋根が外からめくられていく。
そして季節外れの桜の花びらが舞う中、夜空が丸見えとなった上部から女の顔が室内を覗いた。
「か、神さま……」
屋根が軋んだ所で慌てて外に出ていた男達は声を絞り出してその場で膝をついて祈りを捧げる。
神は全身を納屋の中に沈みこませると、全く動けない様子のハシラ様の柔らかそうな体に人間の物を連想させる歯を突き立てた。
咀嚼音がしばらくした後、神が頭を上げる。その顔には一切血糊がついていなかった。
「え?」
男達が呆気に取られる中、神は男達に視線を向けると虫の鳴き声と羽音を混ぜたような声で吠えて襲いかかってきたが、その間に黒い影が立ち塞がった。
「『望め、望め 己が夢を 心の求む泡沫のように消ゆ幻を 微睡みの中で探し求めよ』。……さあ禍津神、お前の望む物は何?」
飛び散らかった木材が桜の花びらへと変わって神の行く手を阻む中、綾が刀を翻して背中の甲殻ごと神を斬り払う。
襲いかかることはあってもかかられたことはない神は絶叫し、体を振り回す。
そんな大乱闘が真横で起きているにもかかわらず、男達の視点はある一点に集中されていた。
「ハシラ様が、食べられてない……⁉︎」
半壊した納屋で気を失っているハシラ様にも布団にも傷は一つもついていない。……つまり神がハシラ様を拒絶したことを意味していた。
しかし神は現に自分達を狙ってきた。……つまり神はハシラ様以外の生贄を要求してきたことになる。
「は、早く住職に伝えねば……!」
驚愕の状況に男達が体勢を崩しながら坂道を走っていくのを見届けた所で、壁の影に隠れていたシホは目をつぶりながら祈りを天に捧げた。
『主よ、この方にどうか慈悲と祝福をお与え下さい』
シホの身から放たれる光を受け取った綾の動きがさらに俊敏となり、壊したばかりの神の傷口から這い出てきた大量の虫達を一気に斬り払う。
神は一吠えすると、凄まじい速度で行く手にある木を薙ぎ払いながら下山しにかかった。
綾は咄嗟に足代わりになっている幼虫に斬りつけたがその一発では止めきれず、突破を許してしまった。
「大丈夫ですか⁉︎」
「大丈夫……。しかし視界を塞いでたのにしっかりと人里の方に行ったわね。……どこまで食に強欲なのかしら」
撥ねられたように見えた綾に駆け寄ってきたシホに、綾は裾を叩きながら無事であることを知らせる。
強がりではないその言葉にホッとしながらも、シホは気になっていたことを率直に尋ねた。
「あの……さっきの天井からの音って」
「うん、【乱桜ノ庭】から出て来られた。……でもすぐに眠らせたのと神が来てくれたおかげで誤魔化せた」
幻の中で幸せそうに眠るハシラ様の寝顔を確認した綾は一筆認めると屋根だった木材を突っかえさせて、外から納屋の入り口を塞いだ。
「さて、私達も下山しようか」
「そうですね、次は村の方々を守る番です」
シホは今回の戦闘では出番の無かった銃に全弾入っていることを確認して、綾の言葉に頷いた。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
宮落・ライア
The戦闘要員
(こんな村、村人ごと潰してしまって良いんじゃないか?)
神と呼ばれてる物を潰せば目覚めるかねー。
ま、あれを潰すのが先決だし、どっちにしろ分かることか。
さぁ!(例え偽物でも)神と呼ばれているんだろう!
神様退治の時間だ化け物。暴れた神が討伐されることなんて良くあるだろう?
足?芋虫破壊狙い
だってあれ片方でも壊せば逃げるに逃げれないじゃん?
一瞬突進を受け止めてやろうとか思ったけど、あれの脅威を村人に理解させなきゃいけないんだっけなーって思い出して単純な突進だし避ける。
【自己証明】で強化し【ジャンプ・怪力・鎧砕き・衝撃波・グラウンドクラッシャー】を片方の芋虫に叩きつける。
「こんな村、村人ごと潰してしまって良いんじゃないか?」
他の猟兵から回ってきた情報を整理した宮落・ライア(ノゾム者・f05053)は思わず目を細めてそう呟いた。
「神と呼ばれてる物を潰せば目覚めるかねー。ま、あれを潰すのが先決だし、どっちにしろ分かることか」
腰かけていた石から降りた宮落はどんどん姿が近づいてくる神に向かって笑ってみせた。
「さぁ! 神と呼ばれているんだろう! 神様退治の時間だ化け物。暴れた神が討伐されることなんて良くあるだろう?」
宮落の挑発の意味が分かったのか、瑞樹を振り切ったばかりの神は咆哮するとカーブを描いて宮落の方へと進行方向を変える。
こちらに近づいて来たのを視認した宮落は巨大な両手剣を構えた。
「そうそうこっちこっち……どんどん来い……!」
まるで赤子に呼びかけるように神が来るのをギリギリまで待った宮落は……斬りつけずに神の突進を避けた。
凄まじい音を立てて塀を突き破った突進はその奥にある民家にまで達し、木材や石材が吹き飛んだ。
「いやぁぁぁぁっ⁉︎」
「な、何だ⁉︎」
「か、神さま⁉︎ 何でここに⁉︎」
中にいる住人の悲鳴が上がる中、神は全く痛がる素振りも見せず近くで腰を抜かしていた女性に鋭く尖った爪を突き刺そうと近づける。
「おっと、つまみ食いはダメだよ?」
しかしその前に宮落が割り込んだ。
『負けられない! 死ぬことも止まることも認められない! 私は託された! 選ばれたんだから!』
違えられぬ期待、内に響き続ける祈り、強く狂気に近い決意を宿した宮落からこの村の住人ごと村を潰した方が良いのではないか……という考えが抜け落ちる。
そうして代わりに生まれたのは目の前にいる神を潰す、という意思のみだった。
助走をつけて飛んだ宮落が振り下ろした大剣が右足代わりの芋虫の顔面を叩き潰す。
完全にひしゃげた芋虫の頭から大剣が離れたと同時に噴き出した体液を、その場にいた村人達は呆然とした顔で浴びていた。
成功
🔵🔵🔴
月隠・望月
この村のヒトの考えは、よくわからない。だが、ともあれ、あのオブリビオンを倒さなくては、ね
わたしは奴の隙を見て(【見切り】【第六感】)、【剣刃一閃】で斬りつけよう。敵の急所はヒトの頭部のような部分、だろうか。可能なら狙いたい
村人に攻撃が向くようであれば【かばう】。その際、敵の攻撃は刀で受け止めよう(【武器受け】)
周りに村人がいたら呼びかけを行おう
「あれは有り難い神、ではない。ただの化物に過ぎない。現に、生贄を捧げても、このように村を襲っている。奴に義は、ない。村人の生き死にすら、奴の気まぐれで決まる、だろう」
命が惜しければ他の地に移るのが賢明である、と
……騙しているようで悪い、けどね。しかたない
右の芋虫を殺されてもなお、左の芋虫が上の神と呼ばれている部分と右の芋虫の死骸を引きずって爆走し、大量の家々に激突する。
その音や衝撃に村人達は悲鳴を上げ、安全な所を求めて境内へと逃げ込んでいた。
そこで部下から「住職」と呼ばれていた神官は安心させるために大声で呼びかけていた。
「大丈夫です、これは神の気まぐれでございます! 一通り暴れれば満足されて、すぐにハシラ様を食べにお戻りになるでしょう!」
「戻らないよ」
そんな中、一人の静かな声が住職の声を遮った。住職が怒りのこもった目で睨みつけた先には望月の姿があった。
「あれは有り難い神、ではない。ただの化物に過ぎない。現に、生贄を捧げても、このように村を襲っている。奴に義は、ない。村人の生き死にすら、奴の気まぐれで決まる、だろう」
「何をおっしゃっているのですか! 神は確かにハシラ様を召し上がっておりません! しかしまだ……」
「食べようと、口にした、のに、吐いたと、聞いている」
望月の証言に周りで聞いていた村人たちが目をひん剥き囁き合う。
「どういうこと? あの子を食べたい、ってお告げであったはずじゃ?」
「ハシラ様の所には行かずに直接ここに来たんじゃないのか?」
「住職、どういうことですか! 俺の妹は神に選ばれたのではないのですか!」
騒ぎはどんどん大きくなっていくが、村人から出るのは「ハシラ様は別の者だったのではないか」という疑問だけ。
その風習自体を疑う者がいなかった事実に望月は気が遠くなりつつ、騒がしい境内を去って長い石段を下りていった。
「この村のヒトの考えは、よくわからない。だが、ともあれ、あのオブリビオンを倒さなくては、ね」
脚の遅い子供や老人を庇うように進む村人を狙って神が口を開いて薙ぎ払うように体を回しながら突進を仕掛ける。
しかし万全の状態から程遠い今の状態は、望月にとっては止まっているも同然だった。
『剣刃一閃』
人間の女性の形をしていた顔がパックリと割れ、そこから大量の虫が這い出ようとしてくる。
その異様さと悪臭に望月は思わず眉を顰めた。
成功
🔵🔵🔴
シホ・エーデルワイス
アドリブ&味方と連携歓迎
ルウさんが提示した状況は作り出せました
あとは…
私達が村人から安息の地を奪う事は
完全に正当化できないでしょう
もっとも
力を付けた神が森の外へ出ない保証は無く
そもそも神が村を襲った以上
最後まで騙し切ります
村人を<鼓舞しかばうや手をつなぐで救助活動>
避難完了後は【祝音】で味方の回復を優先
攻撃の余裕があれば
蟲の群れや翅を【華霞】で迎撃
戦後
仲間と協力し医術と【祝音】で負傷者を手当てし
コミュ力で説得&内心罪悪感を抱きつつ移住を手伝う
天下自在符を見せ
私達は皆さんの崇める神が村を滅ぼす予知を聞き駆けつけました
神は皆さんを滅ぼす為にいずれ復活します
心苦しいですが皆さんには移住をお勧めします
『主よ、この方にどうか慈悲と祝福をお与え下さい』
シホの祈りによる光が疲れ果てた村人達を包み込んでいく。
突然シホが発光したことと自分の体が楽になったことに、近くにいた村人は信じられない物をみるような目で見たが、シホは全く気にせずに大声を発した。
「もうすぐ境内です、頑張って上がってください!」
攻撃役に回った猟兵達の活躍でシホが村に着く頃には神の体は半壊していた。
しかしその傷口からは大量の蟲が湧き出て、顔も真っ二つにされているにもかかわらず、傷を新たな口にでもしたかのごとく開いたり閉じたりしていた。
神が咆哮を上げると好き勝手に這いずっていた蟲達が一斉に境内に繋がる道に方向を転換する。
それらの道を遮るように立っていたシホは銃を構えて叫んだ。
『咲き誇って!私のエーデルワイス!』
銃から放たれた弾丸が何十何百の花びらへと変わり、蟲達の体を包み込んで消滅させていく。
何もいなくなった道をゆっくりと踏みしめるように進んだシホはにっこりと笑っているように見える神の傷の中心に銃口をねじ込んだ。
「In the name of the Father, and of the Son, and of the Holy Spirit, Amen.」
住職と呼ばれていた男が息も絶え絶えに石段を下りてきた時、神の体は風に吹かれた砂山のように崩れさろうとしていた。
「そんな、我々の神が……。なんて、なんてことを……」
銃を下ろしたシホは一息つくと周りにいた猟兵達が何も言わずに周りに集まってくる。
「私達は皆さんの崇める神が村を滅ぼす予知を聞き駆けつけました」
そして徳川幕府から受け取った天下自在符を見せた。
「ふ、ふざけるな! あんたらは、徳川は、我々の神を伴天連と同じように潰すつもりなのだろう!」
住職はそう涙を流しながら喚き散らす。その想いは同じく神に祈りを捧げている者として理解は出来た。
「確かに皆さまから安息の地を奪った事は完全に正当化はできません。しかし神が森の外へ出ない保証も女性一人食べるだけでずっと満足している保証が無い以上、こうしなければなりませんでした」
それでも、何かを守るためには何かを犠牲にしなければならないのが世の常である。
周りにあった畑や家は神とその眷属によってズタボロになっている。もし貯えがあったとしても冬が来るまでに全ての建物を立て直すのは不可能に近い。
気持ちは反対の方が多くても、村人は移住するしかないだろう。
「神は皆さんを滅ぼす為にいずれ復活します。心苦しいですが皆さんには移住をお勧めします」
騙すなら最初から最後まで騙し切る。シホは伝えられた予知内容を一部偽りつつ、住職に凛として言い放った。
猟兵は人々を守るために戦い続ける。それが自分や相手を一時不幸に落とすことになるとしても。
猟兵達は複雑な思いと大量の荷物を抱えながら、恨めしそうに生まれ故郷を旅立つ村人達の背中を見つめていた。
成功
🔵🔵🔴