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ホラー・ホラー・テラーナイト

#UDCアース #呪詛型UDC


●Commercial Message
 タップダンスを踊る獣人。
 小さな小人がくるくると回り、人魚は空中で舞い歌う。
 恐竜が大きな口を開けば、レールを駆けるコースターが勢いを増して水面へと飛び込んだ。
 華やかな悲鳴がわっと生まれて、人々の表情に笑みが満ち満ち。
 様々な物語をモチーフとした大型テーマパークは、今日も賑わいを見せている。

 そして、夜の帳が一度落とされれば――。
 ゾンビに、おばけに、モンスターが襲いかかる!
 ホラー・ホラー・テラーナイト開催中!

●Horror Horror Terror Night
 顔のモニタでテーマパークのCMを流し終えたテレビウム、――ケビ・ピオシュ(テレビウムのUDCメカニック・f00041)がその場で立ちあがり。
「やあ、皆よく集まってくれたね」
 モニタに瞳とカイゼル髭を映し出すと、小さくハットをずらして軽い会釈を一つ。
「今回君達にはね、UDCアースのテーマパークで楽しく遊んできてもらいたいのだよ」
 勿論、ただ遊んで来て欲しい訳ではないがね、と前置きしたケビは語りだす。

 空に星が瞬き出す時間に始まる、ホラー・ホラー・テラーナイトという体験型アトラクション。
 テーマパークのそこかしこにゾンビやモンスター、おばけに扮装したスタッフが現れ。皆を驚かせるという催しなのだが――。

「そこに、本物がでてきてしまうそうなのだよ」

 それは、君の知っている死者かもしれない。
 それは、君の全く知らぬ化物かもしれない。
 しかしそれらは全て、過去より滲み出た残滓なのであろう。

「……とりあえずソレ自体が人を襲い出す事はまだ無いようだ、人を驚かせはするかもしれないけれどね」
 しかし、それらは人々を襲わぬ訳では無い。明確な意志を持って動き出すのは、テラーナイトが終わる21時を過ぎてからだ、とケビは言う。
「テラーナイトが終えるまでに、君達には原因の排除をお願いしたいのだよ」
 テーマパーク内のどこかに怪異の原因、――UDCは潜んでいる。
 幾つもいると予測されるソレを探し出して、倒してきておくれと彼はモニタを瞬かせ。

「そう、そう。本物――怪異達は、テーマパークを楽しんでいる者たちに特に惹かれてやってくるそうだ。力いっぱい楽しんできておくれ。そうすれば怪異の原因……UDCも寄ってきてくれるかもしれないよ」
 もう一度お辞儀をしたケビは、皆の顔を見渡すとこつんと床を杖で叩いた。
 皆を転移させる光が、その場に満ち溢れ――。
「ああ、どうしても怖いモノが苦手な者は遊ぶだけ遊んで帰ってきてもらっても構わないよ。……楽しかった、という感情自体がUDCを呼び出すトリガーになるからね」
 モニタの上で、彼は微笑むように瞳を細めた。
「それでは、武運を祈っているよ」


絲上ゆいこ
 いつもお世話になっております、こんにちは。
 テーマパークに行くのも大好き絲上・ゆいこ(しじょう・-)です。

●一章について
 お昼です。
 様々な物語をテーマとしたテーマパークをめちゃくちゃ楽しんで頂くターンです。
 版権が関わるモノはマスタリングされますが、大体遊園地にありそうなモノは何でもあると思って下さい。
 乗り物も、パレードも、舞台も、ショーも。
 お酒も食べ物もお土産も充実した、大型テーマパークです。
 ただし、お酒は二十歳を超えてからですよ!

 フラグメントに縛られず、色々していただけると幸いです。
 また。はちゃめちゃに楽しんで頂くと二章以降に、怪異を発見しやすくなるボーナスが付きます。

●二章について
 幽霊、ゾンビ、怪物と出会いながら、テーマパーク内を探索を行います。
 人間のスタッフの可能性もあるので暴力はご遠慮下さい。
 『本物』は過去から滲み出したモノなので、知っている死人もいるかもしれないですし。全く知らない化物の可能性もあります。

 パニックホラー探索にするも、しっとりとした恐怖を感じる探索にするも全てプレイング次第です。

●迷子防止のおまじない
 ・冒頭に「お相手のキャラクター名(または愛称)とID」または「共通のグループ名」の明記をお願いします。
 ・グループ名等は文字数が苦しい場合、無理に括弧で囲わなくても大丈夫ですよ!

●その他
 ・プレイングが白紙、迷惑行為、指定が一方通行、同行者のID(共通のグループ名)が書かれていない場合は描写できない場合があります。

 それでは夏のちょっとひんやりするプレイング、お待ちしております!
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第1章 日常 『遊園地へ行こう!』

POW   :    王道の絶叫マシーンに挑戦!

SPD   :    ついつい買っちゃうショップ巡り

WIZ   :    パレードやショーを見に行く

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渦雷・ユキテル
【凜々閃々】
神様と夜昂さんと遊園地満喫しちゃいます
わ、あの絶叫マシン乗ってみたーい
スリルを安全に味わえる機会なんてそうありませんよ、行きましょ!

並ぶ間もきゃぴきゃぴお喋り
もしかしてお二人ともこういうの苦手だったりします?
無理は禁物ですけど案外大したこと――
あっこれ思ってたよりダッッッメ

☆女子力がギリギリ崩れないレベルの低音絶叫
(抜ける魂)

ごめんなさーいと手を合わせ
誘った手前少し心配だったりも
神様ちょっと顔色悪くないですか?夜昂さんふらふらしてません?
あたしは……えーと、はい。楽しかったです!
でも次はもう少しゆっくりしたのにしましょう(遠い目)

※好奇心全振りイマドキJK(男)
※アドリブ等々大歓迎


鳳仙寺・夜昂
【凜々閃々】

遊園地か……まともに行った覚えないな……
(周囲をきょろきょろ)……こう見てみると、わりと大人向けな雰囲気もあるのな。

神(キラス)とユキテルに着いていく。
皆大体何やんだろ。やっぱ乗り物に乗んのかな。

えっ、あれ乗んのか……?
お、おう。大丈夫だけど。多分。
でも結構エグそうじゃねえのあの角度。(小声)
じゃあ……まあ、並ぶか……。

……。

酔った。(ぐったりする)
足元ふらつくけど、人数分飲み物買いに行っとく。あいつら俺より死にそう。

その辺でゆっくり休みながら、買ったお茶飲んだり。
でもまあ、
今まであんまり友達と遊びに行く、ってことなかったから
楽しい、と思う。


※お好きに料理してください


キラス・レスケール
【凜々閃々】

敵をおびき寄せるためとはいえ折角の機会だ
楽しむとしようではないか(キャラクターグッズを全身に装備する)(聖者由来の光がぴかぴかする)

ユキテル、夜昂。行きたいところはあるか?
ふむふむどこ──(絶叫マシンを見る)(聖者由来の光が薄暗くなる)(全身が小さく震える)
…なんだ、問題ないぞ
お前が乗りたいというのならば付き合わせてもらおう。案ずるな、俺様は神だ。何も問題は──

(乗り終えて顔色が悪い神)
…大丈夫だ、俺様は神だか……お前達大丈夫か!?
不死の俺様より二人が大事だ、力を振り絞り【生まれながらの光】をだな、この身を捧げてでもお前達を救ってやるぞうっぷ

※自信満々の俺様神様
※好きにしてください


逢月・故
やあ、すごいね
オレたちの世界は世界そのものが狂ったオモチャ箱みたいなものだけど、此処は随分と整然とした作為あるオモチャ箱だ
いいね、うちより安心感はある
お客サマがどれだけ楽しめるか、どれだけ安全かを考えて造られた場所なんだねぇ
なら、尚のこと、余計なトラブルはお呼びじゃないな

さぁて、と
こういう場所初めてなんだよね、どうするのがセオリーなんだろ?
好奇心旺盛な黒兎は興味津々、人の流れにほいほいついて行く
だって、人が多い場所はつまり人気ってことだろう?

辿り着く絶叫マシン
高い場所から一気に落ちて途中で一回転
あはは!やあやあこれは良いなぁ楽しいね!
もっとスピード出してくれても良いよ!
終わるのが名残惜しいなぁ


月山・カムイ
ほう、これが……遊園地というものですか
以前に廃墟となった遊園地に行った事はありますが、本当はコレほどまでに華やかで賑やかなものなのですね

遊園地になど遊びに来たことはなく、戦いに明け暮れていた為こういうのを見るのは初めて
物珍しそうに辺りを探索する
楽しんでいる親子連れや友人達と回っている人達、カップルなんかもいそうですね
なんとも楽しそうで、独りで眺めている自分が少し寂しいとも思えてしまいますね

折角ですから、私も少し楽しんでみますか
確かジェットコースターとやらがあるらしいですし、一度試してみるのもよさそうですね
どれ程のスピードとスリルがあるのか、楽しみですねぇ


クーナ・セラフィン
夏と言えば怖いものが定番と聞いてるけどなんでテーマパークでもやるのかなー。
楽しさと怖さのコントラスト?多様なニーズにお応え?
まー、明るい内は目一杯楽しもうにゃー?

まずは絶叫マシーン!…身長制限の壁には勝てなかったよ…
他のを楽しむ時間が増えたと前向きに、ショーでも見に行くかにゃー。
ファンタジックなショーとかこの世界のは興味深くて面白いにゃー。
ファンタジーな世界出身的にこういう発想になるのかーとか。
一つ見終えたら次へごー。
陽が落ちるまで時間が限られてるんだし楽しまなきゃ損だしね。
…ヒーローショー?どんなものかにゃー。

数時間後、子供に混じってドハマりしている猫の姿があったとか。

※アドリブ絡み等お任せ



●夢の世界へようこそ!
「ほう。これが……遊園地というものですか」
 ぐるりと張り巡らされた、コースターのレール。
 ふかふかとした御伽話の主人公達が手を振れば、動物の耳を模した帽子やカチューシャを身に着けた子ども達がそちらへと駆けて行く。
 あまいポップコーンの香り、風船を売る物語の住人めいたキャスト。
 物語の街並みを再現したお土産屋さん、花が溢れたカート。
 人々の波が思い思いの場所へと向かってさざめいている。

 以前、廃墟となった遊園地には行った事があった。
 しかし今日、月山・カムイ(絶影・f01363)が訪れた先は今現在も営業しているテーマパークだ。
「……本当はコレほどまでに華やかで賑やかなものなのですね」
 戦いと修行に明け暮れる生活を送ってきたカムイにとって、この様な遊びを楽しむだけの場所に訪れる事は初めての経験であった。
 手をつないで歩く親子達、お揃いの服を来た女の子達、仲睦まじそうに地図を覗き込む男女。
 その評定は皆楽しそうに笑顔で溢れている。
 なんだかこうやってカムイが一人でこの場所に立っている事が、少し寂しく感じてしまう。
「……――」
 圧倒されたかのように造られた街並みを見上げたカムイが立ち尽くす横を、黒い兎耳が追い越してゆく。
「やあ、すごいね」
 ぐるりと周りを見渡しながら歩む逢月・故(ひとりぼっちのワンダーランド・f19541)は、場内にぴたりと溶け込んでいる自前の黒い兎耳を歩みに跳ねて呟いた。
 楽しそうな悲鳴が、空中に張り巡らされたレールを駆けるカートから響く。
 ――不思議の国とも少し似た『造られた』世界。自らが居た世界での悲鳴とは、全く種類の違う悲鳴。
 ココは世界そのものが狂った玩具箱のようなアリスラビリンスと比べ、随分と整然とした作為あるオモチャ箱のようだ。
「……いいね、うちより安心感はある」
 この施設はお客様がどれだけ楽しめるか、どれだけ安全かを考えて造られた場所なのだろう。
「なら、尚のこと、余計なトラブルはお呼びじゃないな」
 肩を竦めてからヒョコとハットをかぶり直した故は、瞳を細めて小さく笑みを作って独りごちた。
「さぁて、と。こういう場所初めてなんだよね、どうするのがセオリーなんだろ?」
 もう一度ぐうるりと回りを見渡した故は、歩みゆく人々の流れに身を委ねる事に決めた。
 ――だって、人が多い場所はつまり人気ってことだろう?
 そんな人々の流れの中。
「……こう見てみると、わりと大人向けな雰囲気もあるのな」
 落ち着き無く周りを見渡しながら進む、鳳仙寺・夜昂(仰星・f16389)の姿。
 テーマパークなんて、子供だましの施設ばかりだと思っていたけれど。
 テーマパークに訪れた記憶なんて殆ど在りやしない夜昂は、悠悠と先を歩む渦雷・ユキテル(さいわい・f16385)と、頭にめちゃくちゃ可愛いキャラを模したカチューシャを装着したキラス・レスケール(†神†・f16415)の背を追う事で精一杯。
「うむ。敵をおびき寄せるためとはいえ折角の機会だ。楽しむとしようではないか」
 よく見ればキラスは首から高い方のスーベニアポップコーンケースを首に掛け、首にはキャラクタータオル。無闇に聖者由来の光をぴかぴか発する彼は二人へと顔を向けて。
「所でユキテル、夜昂。行きたいところはあるか?」
「あ、アレ! あたし、アレに乗ってみたーい!」
 本日はネイルもお伽噺仕様。
 耳付きの大きな青いリボンカチューシャを揺らしたユキテルが、へにゃっと笑って指差す先。
「えっ、アレ……?」
「ふむふむ、良いぞ! どれ――」
 夜昂が怪訝そうに瞳を細めて。視線の先を確認した途端ぴっかぴかに光っていたキラルの光が、切れかけた電球を無理矢理使っているお風呂位暗くなる。
「ね。スリルを安全に味わえる機会なんてそうありませんよ、行きましょ!」
 二人の表情とは裏腹。
 ぴかぴか笑顔で両手を広げてジェットコースターを示すユキテルに。
「お、おう」
「う、ううううううむうむむむむ、よ、よよよよよよよよいぞ、お、おおお前がの、ののの乗りたいというのならばばばば、つ、つきあわわわわわせても、もももらおう」
 夜昂がこめかみを小さく掻きながら答えると、キラルは紐を引っ張ると震えるおもちゃ位小刻みに振動しながら頷く。ブブブ。
「……もしかしてお二人ともこういうの苦手だったりします?」
 ユキテルがリスのように小さく首を傾げて尋ねると、二人は一瞬顔を見合わせ。
「大丈夫だけど。……多分。……神、本当に大丈夫か?」
「う、うむうむうむ。だだだ大丈夫だだだだ。ももももも問題ないぞ」
「じゃあ……まあ、並ぶか……」
 キラルが小刻みな振動を持続してはいるが、三人はジェットコースターの列へと飲み込まれて行き――。
「……折角ですから、私も少し楽しんでみますか」
 そこへ歩いてきたカムイも、最後尾へと飛び込んでゆく。
 一番人気だと言われるこのジェットコースター。
 ここでどれ程のスピードが楽しめるのだろうか?
 娯楽としてのスリルを味わうのは初めてだ。
「――楽しみですねぇ」
 一人、カムイは肩を竦めて瞳を細めた。

「えーっ、身長制限ー?」
 ジェットコースターの施設前に張り出された身長表。その表の前に立つまでもなく、自らの身長がその制限に引っかかる事が理解できてしまう。
 だってクーナ・セラフィン(雪華の騎士猫・f10280)は、ケットシー。
 ケットシーの身長は高くとも、50cmに至る事すら珍しいものだ。
 身長制限の壁には勝てなかったよ。
「……まー、他のを楽しむ時間が増えたよねー」
 折角訪れたのだ、目一杯楽しまなきゃ勿体無い。
 しかし夏といえば怖いものが定番とは言うが、どうしてこんなにファンシーで楽しげなテーマパークでもやるのかにゃー。
 とは思いつつも、ジェットコースターなんて絶叫マシンとまで呼ばれるようなモノもあるのだ。楽しければなんでもアリなのだろう。
「ショーでも見に行ってみるかにゃー? わ、ファンタジックなショー? へえー」
 自らの知っている『ファンタジー』と、『ファンタジー』が日常で無い世界の創作としてのファンタジー。
 この世界の『ファンタジー』はどんなモノ飛び出してくるのか、とても楽しみだと。
 人波の中、クーナはパンフレット片手にショーゾーンに向かって歩き出す。

 がた、がた、がた。
 コースターのレールを上へ、上へと登るライド。
 男三人横並び、どんどん空が近くなる。
 レールに備え付けられたチェーンリフトが車両を巻き上げているのが、足元から伝わる振動で理解ができる。
 この小刻み揺れる振動と近づく空が、また恐怖を煽るよう。
「神様、本当に平気ですか?」
 並んでいる内に随分と落ち着いたようで、振動はいい加減収まったキラスへと、ユキテルは首を傾ぐ。
「……なんだ、問題ないぞ」
 蚊の鳴くようなキラスの返事に。
「でも結構エグそうじゃねえの? あの角度……」
 絞り出すような小声で呟いた夜昂が、安全バーをぎゅっと握りしめる。
「案ずるな、俺様は神だ。そう! 何も問題は無い!」
 キラスが大きく頷き。瞳を細めたユキテルが口を開いた。
「無理は禁物ですけれどー……。でも、案外大した事――」
 その瞬間。
「……え」
 ライドがレールの最高高度に達した。
 瞬間、世界が加速する。
 浮遊感。
 加速感。
 浮足立つとは、まさにこの事。
「……、……! ……!!」
「あっこれ、思ってたよりーーー……ッ!」
 奥歯をぎゅっと噛み締めたまま、目を見開く夜昂。
 心の女子力が崩壊しない程度の低音の悲鳴がユキテルから漏れる。
 キラスに弱々しい光が灯り――。
「あはは! やあやあこれは良いなぁ楽しいねええええ!」
 ぐうるりと一回転するライドに、故が心より楽しそうな笑い声を上げた。
「あははははは! やあやあこれは良いなぁ、楽しいねえ!」
 内蔵ごと外へと放り出されそうな程の引力。
 それは一瞬にも感じられるし、一生続くかのようにも感じられる、あっと言う間の体験。
 ああ――。
 もっとスピードをあげてくれたって良いのに!
 最後のカーブを過ぎてコトコトと小さな音を立てて減速しだすライドに、故は心より残念な気持ちを感じていた。終わるのが本当に名残惜しい。
 もう一度乗ろうかな、でもあの列をもう一度並ぶのはね。

 ちなみにジェットコースターは、夏場かつ後方の座席のほうがよりGがかかって怖いそうですよ。
「あの……神様……、神様?」
 ユキテルの慌てた声。
 キラスは何か白目になっているけれど、多分大丈夫だよ。
 神だし。

 ジェットコースターの出口。
 まだ少しくらくらする頭を抑えて、細く息を吐いたカムイ。
 普通に生きていれば――いいや、戦いの中ですら感じた事が無い程、重力に弄ばれた感覚。
「ジェットコースターとは、こんな感じなのですね……」
 手をぐっぱ、ぐっぱ。
 感覚を確かめるように、カムイは手を握っては開き。
「わー、ごめんなさーい!」
 手を合わせて、あわあわと謝罪を重ねるユキテル。
「神様、顔色悪くないですか? 夜昂さんも、ふらふらしてません?」
 自分で思っていた以上の動きをしたジェットコースターに、顔色がまあまあ悪くなってしまった二人を誘ったユキテルとしては申し訳ない気持ちと心配な気持ちが入り交じる。
「だだだ、……大丈夫だ、俺様は神だか……」
「……酔った」
 ふらふら口を押さえる夜昂に、ぷるぷる小さく震えていたキラスがシャキっとピカっとした。
 これは――【聖なる光】が命中した対象を高速治療するが、自身は疲労する生まれながらの光の光だ!
「大丈夫か!? 不死の俺様より二人が大事だ!! この身を捧げてでもお前たちを救っ、うっ」
 ぷぇ。
 カエルの鳴き出す時みたいな変な声を出して、口を押さえるキラス。
「……飲み物買ってくる」
 自分より死にそうなキラスを見かねて、夜昂が販売カートの方へと歩き出し。
「つ、次はもう少しゆっくりしたのにしましょうね……」
 遠い目をしつつユキテルは、よぼよぼのキラスに肩を抱かせて一緒にベンチへと座る。
 でも、まあ。――こんな有様だけれど。
 くるり、と振り向いた夜昂はユキテルと視線を交わし。
「……でも、まあ。楽しかったな」
 こんな風に、友達と遊ぶ事なんてなかったから、と。夜昂は内心言葉を付け加えて。
「……えーと、はい。――楽しかったです!」
「……うむ」
 ジェットコースターに誘ってしまった事を、すこし後悔しかけていたけれど。
 ユキテルはぴかぴかの笑顔で大きく頷いて、キラスもなんとか頷いた。
 今日という日は、まだ始まったばかり!

 所変わって、ショーゾーン。
 光が駆けて、ビームの演出と成り。撒き散らされる水が、ショーに華を添える。
 こちらはヒーローがヴィランと戦うショーのクライマックスだ。
「うにゃーっ、がんばれーっ、がんばれーっ!」
 子ども達に混ざって、はちゃめちゃにヒーローを応援するクーナの姿があったとか、なんとか。
 絶対後でこのヒーローのグッズ買っちゃお!

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

隣・人
アドリブ歓迎
絡み大歓迎
「遊園地。隣人ちゃんは遊園地で遊ぶ天才なのですよ。何故かと言いますと数ある遊園地のコーヒーカップをぶん回してきたメイドさんだからです。なので此処でもコーヒーカップを全力で回しますよ!!!あ。言っておきますが隣人ちゃんの三半規管は豆腐よりも脆いです!!でも回ります。楽しいので!!!」
コーヒーカップ全力で回し続けてみた『動画』を配信し、いいねを稼ぐ事で更に回転
ひたすらコーヒーカップに乗ります。夜まで
たとえ『しばらくお待ちください』に陥っても回します
回転こそが至高なのです
「あーはっはっはっはっ!!!」


シナコ・ジョルジュ
「いいの?どんなに遊んでもいいのー!?」
「うれしい!シナコ、テーマパークって初めてなの!」
ゲートをくぐったらカチューシャ販売に一直線。

「このカチューシャすごい!お耳がはやせるのね!シナコもつけるー!」
「あれはなあに?チュロス?おいしそう!たべるー!」
「あの乗り物すっごーい!ぐるって回るのね?シナコも乗るー!」
目についたものを片っ端から次々楽しんでいく。

「……なあに?すっごくたくさん人が集まってるのね?なにがあるの?」
「……パレード?それって、すてきなもの?シナコも、見るー!シナコいちばんうしろでいいよ。飛んで見るね。」

「……ふわぁ、いっぱいあそんでねむくなっちゃった……楽しかったぁ」


エンティ・シェア
賑やかな場所はいいものだね
ぶらぶらしているだけでも楽しい
こういう所では園内のキャラクターに即したアイテムを身につけるのが作法なのだろう?
浮かれた雰囲気の帽子でもあれば購入して装着しよう
その後はとりあえず一回りして、あまり早くない乗り物に乗ってみたいね
園内を巡るトロッコのような物だとなおいい
はは、ぐるぐる回ってばかりだが、それがいい

私はね、テーマパークそのものよりも、それを楽しんでいる人々を楽しみたいんだ
皆瞳をキラキラさせて、大人も子供も童心に満ちていて
笑い合う姿や聞こえてくる声そのものがショーのようだ

小腹を満たしてパレードを眺めて
怖いものが待っているそうだが、泣いてしまう子が居ないといいねぇ


フリル・インレアン
ふわぁ、遊園地、とっても楽しみですね。
思い切り楽しみましょうね。
って、アヒルさん、何を見ているんですか?
チラシですか?
ふえぇ、私にも見せてくださいよ。

フリルのガジェット『アヒルさん』は今回のグリモアベースでのブリーフィングにフリルを参加させず、日中はテーマパークを楽しみ、その後UDCと戦闘することだけを伝えました。
怖がりなフリルが夜のイベントを知って日中のテーマパークを楽しめないことに対する親心から隠したのか、夜のイベントが開催され心の準備ができてないフリルが思いきり恐怖するのを見たい悪戯心から隠したのか分かりませんが、フリルに夜のイベントがあることを知られない様にせわしなく飛び回るのでした。


千波・せら
にぎやか……。
色んな人がいるね。

わくわくどきどき。こんなに人がいるのは初めて。
みんな、何を待っているんだろう?
一緒になってまってみよう
隣の人がたべているポップコーンも美味しそう
あとで買いに行ってみようかな。

待っていたら大きな音とともに大行進!
着飾った人が沢山出てきた
楽しそうな踊りにこっちまで踊りたくなってきた
みんな楽しそうでいいね
きゃっきゃはしゃいで手を振って
これはパレードっていうんだ…!

パレードは楽しい、パレードはわくわくする!
それにみんなが笑顔になってて
パレード、大好きかも。
となりの人と一緒にはしゃげたらはしゃぎたいな
楽しいことは一緒に楽しみたいもんね


マクベス・メインクーン
グラナトさん(f16720)と
遊園地デートだ~♪
個人的には夜のホラーアトラクションの方が楽しみだけど
昼間は昼間で楽しもうぜっ!

ライド系もいいけど
グラナトさんとはパレード観たいなっ
ああいうのキャストさんのダンスとか
めっちゃカッコいいなって思うし!
衣装とか装飾も綺麗だしな~♪

パレード終わったらショッピングだな
さっき見たメインマスコットのぬいぐるみを買いたいな
男女ペアのぬいぐるみがあればそれで
せっかくだしグラナトさんの館に置こう?
一緒にデートした記念、グラナトさんの館にいっぱい残そうぜ♪


グラナト・ラガルティハ
マクベス(f15930)と。
マクベスに誘われてテーマパークにきたがマクベスが楽しそうにしているしそれだけで来て良かったと思えるな。

本命は夜のホラーアトラクションのようだが先ずは昼を楽しむか。

パレードか…こういうものもあるのだな踊りや演技を交えて歩くのなかなか技術が必要だろうし見ていて飽きぬな。

さて次はショッピングだが。
あぁ、先程のパレードにもいたマスコットだな。なるほどペアがいるのかそれならペアで買わないとな。
…館にお前と買ったものが増えるのはこそばゆくもあるが。嬉しいものだな…。


ユキ・スノーバー
遊園地来たーっ♪
身長が足りないから、ジェットコースターとか、ゴーカート系が無理なのが残念だけど
観覧車とか、コーヒーカップとか大丈夫だから楽しむよー!

まずは観覧車っ
ゆっくり高くなっていくんだけど、眺めが良過ぎてぴょんぴょんしたくなるけど我慢我慢…
色んなものが小さくて沢山見れるの、凄いなぁ…!(モニターきらきら)
どのアトラクションが人気か見えるかな?

次は目星つけてたコーヒーカップ!
ハンドルくるくる~って回すの、こうっ!(ていていてーい、と勢いよく)
わ、わ、わっ…(目が渦巻き)
これ止まらなかったらどうしよー?!(カップにもたれ掛け)
降りたらあっちこっち、そっち…どっち?状態なんだよ~っ(ぐるぐるん)



 竜の尾がゆらゆら、歩き方から彼の感情が伝わってくる様だ。
 ゆうえんちでーと!
 うきうき、わくわく。
 先行していたマクベス・メインクーン(ツッコミを宿命づけられた少年・f15930)がくるりと振り返って、グラナト・ラガルティハ(火炎纏う蠍の神・f16720)の腕を引いた。
「グラナトさん! なぁなぁ、どれから乗る? やっぱお化け屋敷とか、ジェットコースターとか……、あっ、オレポップコーンも食べたいなー!」
「あぁ。しかし俺は誘われた身だ、マクベスの行きたい場所で良いぞ」
 切れ長の金瞳を眩しそうに細めたグラナトは、大きな三つ編みを揺らしてマクベスを見やり。
 マクベスが楽しそうにしている様子を見るだけで、それだけで来て良かったと思える。
「そうだなぁ……」
 ふ、と小さく鼻を鳴らして笑ったように息を零したグラナトに。
 マクベスはんー、と少しだけ考えた様子。
 本命は夜のホラーアトラクションなのだ。
 それでも、昼は昼で楽しみたい気持ちはたっぷりだ。
 だって、今日は折角のデートなのだから。
「じゃあ、まずはポップコーンを買ってから、あのカートに乗ろうぜっ!」
「あぁ、では行こうか」
 今日は何味にしようかな?
 キャラメルコーン? 塩? 限定の味はオレンジマーマレードだって!

「にぎやか……。色んな人がいるね」
 ぽつり、と呟いた千波・せら(Clione・f20106)の視線の先。
 楽しげに談笑する二人が、ポップコーンを食べている。
 甘い匂い。
 美味しそうだな、後で買いに行ってみようかな?
 高鳴る胸を、きゅっと掌で抑え込む。
 わくわくどきどき。
 だって、こんなに人がいるのは初めてなのだから。
 ながーい列。
 シートを引いて座っている人だっている。
 一体みんな、何を待っているんだろう?
 一体なにが、始まるのかな?
「……一緒になってまってみようかな?」
 だって、こんなにたくさんの人が待つのなら、きっと素敵な事が起こるに違いがない。
 青空みたいな色の瞳奥に、期待の色を揺らして。
 せらは人混みの中を、じっと立ち尽くす。

 ここは観覧車のゴンドラの中。
 全てがミニチュアみたいに見える高さ。
「わーーーーっ! すごい、すごーい!」
 ゴンドラの床がガラスになっているので、身長が低くたって眺めはバッチリだ。
 夏だと言うのにふかふかのコートに身を包んだテレビウムのユキ・スノーバー(しろくま・f06201)は、ぴょんぴょんしたくなっちゃう気持ちをぎゅっと抑え込んで、幾つかのエリアに分かれてお話の中の町を再現する街並みに目を奪われる。
 あちらはお伽噺。
 あちらは有名なヒーロー。
 あちらはファンタジー。
 あちらは――。
「あっ、あそこ! 人がいっぱいーっ、人気のアトラクションなのかな? それともパレードかなーっ?」
 そわそわ。
 綺麗、すてき、楽しそう、たのしみ!
 街並みを眺めているだけで、気持ちがワクワクしてきたユキは、やっぱりぴょんぴょんしたくなっちゃう!
 きらきらモニターを輝かせ、一瞬ぎゅっと目を瞑って。
 けれど、我慢、我慢。
 キャストさんが暴れちゃだめだよーって、言ってたもんね!

 わくわく、そわそわ。
 きらびやかなお伽噺を再現した街並みに、高鳴る胸。
「いいの? どんなに遊んでもいいのー!?」
 うれしい! と胸の前できゅっと手を握りしめ。
 朱色の髪と羽根がふわふわ。ぴょんぴょん跳ねて喜んでいたシナコ・ジョルジュ(運び屋ジョルジュ・f03779)がまず訪れた先はグッズ売り場だ。
 ずらりと並ぶグッズ売り場の中でも、特にシナコの目を引いたものは――。
 帽子にヘアバンド、カチューシャにサングラス。フード付きタオルにヘアピンに耳付きヘアクリップ。
 お話の登場人物へとなりきれる、被り物達だった。
「わーーっ、お耳がはやせるのね! すてき、すてき! シナコもつけるー!」
 どれにしようかな、一番可愛いのが良いな!
 こっちの角も素敵!
 シナコはううん、と悩んで、外へと視線を――。
「あ! あれはなあに? ……チュロス……? おいしそう! たべるーっ!」
 次の瞬間には、他の素敵なものに目を奪われてしまうシナコなのであった。
 いちばんお気にいりのカチューシャを頭につけて、今日のシナコはかわいい猫!

「ふわぁ、とってもとっても楽しみですね」
 大きな帽子に買ったばかりの獣耳のバッジを装着したフリル・インレアン(大きな帽子の物語はまだ終わらない・f19557)は、ワクワクとガジェットのアヒルさんを見上げて。
「どこから行きましょうか、……アヒルさんはどこに行きたいですか?」
 銀髪を揺らして微笑む彼女に、はたはたとはためくアヒルさんはチラシを見つめるばかり。
「……ってアヒルさん、何を見ているんですか? ふえぇ、私にも見せてくださいよー……」
 ――実はチラシの内容はホラー・ホラー・テラーナイトについてなのだが。
「もうっ。アヒルさんがそんな事をするなら、わたしだって考えがありますよー」
 いつの間にか風に攫われて飛んでいってしまったチラシにむーっと頬を膨らせたフリルは、空中を飛んでいたアヒルさんを抱きかかえ。
「楽しいアトラクションに連れ回しちゃいますー」
 まずはあの可愛いカートから!
 わくわくと駆けてゆくフリルは、未だ知らない。
 今日の戦いの舞台が、ホラー・ホラー・テラーナイトである事を。

 賑やかな場所は、ぶらぶらしているだけで楽しいもの。
 先程買ったばかりのリスの耳がぴょーんと伸びる、浮かれきった可愛い帽子を被ったエンティ・シェア(欠片・f00526)は園内をぐうるりと一周する、移動手段兼アトラクションといった風情のトロッコに乗車していた。
 トコトコとゆっくりと道を走る、トロッコの足は決して早くは無い。
 それに加速したり水に突っ込んだりと、別段そのような楽しいことが起こるわけでは無い。
 可愛い装飾がなされたトロッコは、園内をぐるぐる回るばかり。
 だがエンティのとっては、それこそが『楽しい事』であった。
「やぁ、いい景色だ」
 エンティはテーマパークそのものよりも、それを楽しんでいる人々を楽しみたいのだ。
 皆、瞳をキラキラさせて。
 大人も子供も童心に満ちていて。
 笑い合う姿や聞こえてくる声そのものがショーのようだ。
 だからこそゆっくりと園内を走るトロッコは周りを良く観察するにはもってこいで、エンティにとってはとても都合の良い乗り物であった。
「しかし、……そろそろ小腹が空いてきたね」
 エンティは肩を竦めて考える。
 なんたって、食べ物を出すお店だって沢山沢山あったのだから。

「遊園地――」
 茶の髪を揺らして隣・人(六六六番外・f13161)は、胸の前で拳をぐぐっと握りしめる。
 これは何度目の周回であっただろうか?
 比較的行列の少ないこのアトラクション。
「隣人ちゃんは遊園地で遊ぶ天才なのですよ。何故かと言いますと数ある遊園地のコーヒーカップをぶん回してきたメイドさんだからです! なーのーでー、此処でもコーヒーカップを全力で回しますよ!!!」
 独りごちるには少しばかり大きすぎる声音。
 大丈夫、彼女は今撮影用ドローンに話しかけているのだ。
「あ。言っておきますが隣人ちゃんの三半規管は豆腐よりも脆いです!!でも回ります。楽しいので!!!」
 人は全力で動画を全国配信中。
 あっ、いいね沢山下さいね!
 隣人ちゃんはいいねも大好きなので!
 いいねが貰えると楽しいので!
 コーヒーカップに乗り込み、コーヒーカップが動き出した瞬間――。
「あーはっはっはっはっ!!!」
 彼女はコーヒーカップの真ん中のハンドルを全力で回す。
 視聴者の応援を力に変えて、全力で、全力で。
 もう夜までココにいるつもりです。
 たとえ『しばらくお待ちください』に陥っても回します。
 だって、――回転こそが至高なのだから!
「わっ、わっ、わ~~っ!?」
 ぐるぐるまわる。
 ぐるぐるまわる。
 小さな身体でハンドルを勢いよく回した所、ハンドルに振り回されるユキ。
 モニタに表示される目が、ぐるぐる渦巻き。
 こ、これ止まらなかったらどうしようーっ!?
「あははははははははははははは!!」
 横の人はとっても楽しそうだけれど、わーっ、わーっ。
 ようやく止まったカップから降りる、モニタがバッテン目になってしまったユキも。
「隣人ちゃんは、もう一回ぶんまわしますよー!」
 ドローンに向かって元気に宣言しつつも、ぐるぐる目になってしまった彼女も。
 ふらふら、あっち、こっち。
 こっちはどっち?

 人混み、人の波、大行列。
「……なあに? すっごくたくさん人が集まってるのね? なにがあるの?」
 シナコが首を傾げて覗き込む。
「おや、素敵なパレードが始まるようだよ」
 ぐるぐるのポテトを齧るエンティが、顔を上げて。
「……パレード? それって、すてきなもの? シナコも、見るー!」
 はた、と羽根をはためかせて、シナコは高く高く飛び上がって。
 その視線の先に広がったのは、きらきらぴかぴか大行進!
 響き渡る、軽快な音楽。
 行進の一番前をリードする大きなカートの上には、きらびやかなダンサー達が笑顔で踊る。
 お伽噺の主人公が、ステップ、ターン、バク転!
 歌う、踊る、ぱぁんと舞い散る紙吹雪!
「わぁ……!」
 せらが感嘆に声を漏らす。
 皆が待っていたのは、コレだったのだ!
 楽しそうな音楽に、着飾った人々の見事な踊り。 
 みーんな楽しそうな笑顔。
 口々に素敵なパレードだ、なんて。
「これはパレードっていうんだね……!」
 瞳を輝かせて、せらは呟く。
 皆と一緒に、きゃっきゃとはしゃいで、手を振って。シナコも高く飛んだまま、きゃっきゃと手を振る。
 ああパレードは楽しい、パレードはわくわく!
 皆が笑顔になってて、なんだかしあわせな気持ち。
 パレード、大好きかも。
 せらは両頬を抑えて、気持ちのどきどきを抑え込むよう。
「うわー、あのダンスめっちゃカッコいいな! グラナトさん、あれ!」
 グラナトの服を引いて、歓声を洩らしたマクベス。
「……こういうものもあるのだな。踊りや演技を交えて歩くのはなかなか技術が必要だろうにな」
 きっと凄い練習量なのだろうと深く感動したように感嘆の息を洩らしたグラナトに、うんうん、とマクベスは頷いて。
「衣装とか装飾も綺麗だし、すっごいな~♪」
「ああ、見ていて飽きぬな」
 二人ならんで、眺めるパレード。
「――……」
 さてさて今の時間には、笑顔あふれるパレードだが。
 エンティは口元にへりついた笑みを深めて、小さくゆるゆると首を振る。
 ――夜には怖いものが待っているそうだが、泣いてしまう子が居ないといいねぇ。

 パレードが終えると、すっと引いてゆく人の波。
 そんな中、二人並んだグラナトとマクベスの姿。
「ねぇグラナトさん、オレさっき見たマスコットのぬいぐるみを買いたいなー!」
「あぁ、先程のパレードのマスコットだな。……なるほど、あのマスコットはペアがいるのか」
 マクベスの提案に、グラナトはそれならばペアで買わないといけないなと頷いて。
「へへっ! 一緒にデートした記念をさ。これからいっぱい、いーっぱいグラナトさんの館に残そうぜ~♪」
「……館にお前と買ったものが増えるのは、少しばかりこそばゆくもあるが。……――嬉しいものだな」
 小さく鼻を鳴らして笑ったグラナトに、マクベスはぴっかぴかの笑顔で応える。
 二人並んで、進む先はお土産屋さん。
 これからも、たくさん、たくさんデートをして。
 いっぱい、いっぱい二人の記念を作って行きたいな。

 ベンチに座って、ポップコーンケースをぎゅっと抱きしめて。くわわ、とあくびを噛み殺すシナコ。
「……ふわぁ。いっぱいあそんだらねむくなってきちゃった……、でもとてもすてきで楽しかったぁ」
 まだまだ陽は高いけれど。
 木陰に吹く風は心地が良い。
 すこうし休憩、ひとやすみ。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

逢坂・宵
ザッフィーロ君(f06826)と

遊園地です、ね
この世界の遊園地にきみと来るのは初めてでしょうか
お化け屋敷に興味があるんです?と首を傾げつつ

ザッフィーロ君はどれに乗りたいですか……
っと、僕あれがいいです、くるくる回るカップ型の乗り物!
コーヒーカップというんですか?
ええと、これを回せば座席が回るんですよね……
わーっ、すごい!あはは、ザッフィーロ君目を回していませんか?
ふふ、さしものきみでも目を回しましたか

観覧車、とても高いですね……
ふふ、さすがに僕たちの宿までは見えませんか
星が見えなくとも、この空の向こうには星がありますよ
そうですね、夜にまたここへ来ましょう
今日でなくとも、またいつか


ザッフィーロ・アドラツィオーネ
宵f02925と
遊園地か…!
アースの遊園地に共に来るのは確か初めてだな
こちらの世界のお化け屋敷は怖い物が多いと聞くが…
…なんだ。楽しめる乗り物を楽しむか…!

俺はてれびでみた観覧車という物を乗ってみたいが先ずはこのコーヒーカップからだな
ん?中央のこれを回せば良いのか…と
ちょ、ちょっと待て宵…!?回し過ぎではないか!?
降りた後くらと視界が回ればついぞ宵の肩に手を置きつつも平静を装ってみよう

観覧車では遠ざかる建物や家々を興味深げに眺めよう
俺らの宿はあの方角の筈だが…解らんな
夜ならば星々に近づけたのだろうが…とふと空を眺めつつ、又夜に乗ってみんかと声を投げてみよう
機会ならば幾らでもあるだろうからな


アステル・サダルスウド
友人の吾聞君(f00374)と!

昔、一度だけおかあさんと移動遊園地を見た事があるし
別の依頼で寄った事ならあるけれど
遊ぶのは初めて!

吾聞君、今日の作戦はゲームっぽく言うとこれだね!
『ガンガンいこうぜ』!
めいっぱい遊びつくそう!おー!

依頼で見かけてから気になってたんだよね、ジェットコースター
うん、あの恐竜すごく楽しそう!
身長制限も今なら余裕でクリアだね!

目いっぱい楽しむなら前の席がベストかな
時に吾聞君、乗る時の作法とかあるのかい?
怖くても前を向くだね!了解!
ポジティブは得意さ!

遠くの景色も楽しみだし、思い切り叫ぶなんて始めてでわくわくしちゃうな
うん、行こう吾聞君!
ここにいる誰よりも楽しんじゃおう!


影守・吾聞
友達のテル(f04598)と!

移動遊園地かぁ、俺もそれ見てみたいなぁ
俺もここまで大規模なテーマパークは初めてかも!
乗り物もキャラクターも独特で面白いね

うんうん!
『ガンガンいこうぜ』一択だよね
テル、今日は一緒に思いっきり遊ぼ!おー!

ジェットコースターだね
それじゃ、あの恐竜の口から出てくるやつに乗ろっか!
えっと身長制限…は流石に大丈夫か
小さい時に俺、引っかかったことあるんだよね

そうそう、前の席の方が風が気持ちいいんだ
んー、作法というか楽しみ方だけど
ちょっと怖くても、下見ないで前向くこと!

昇ってく時には遠くの景色を楽しめるし
降りるときには思いっきり叫べるからね

あとは楽しんだもの勝ち!
さ、行こうテル!



 これまでも幾度も様々な場所で逢瀬は重ねてきたが。
「この世界の遊園地に、きみと来るのは初めてでしょうか?」
 パンフレットを片手に、パークを進む人々を見やる逢坂・宵(天廻アストロラーベ・f02925)はザッフィーロ・アドラツィオーネ(赦しの指輪・f06826)へと首を傾ぎ。
「ああ。アースの遊園地に共に来るのは、確か初めてだな」
 二人での外出は、いつでもどこでもわくわくするもので。
 しかし、過るのは夜の事。
 今日の仕事はホラーナイト。
「……こちらの世界のお化け屋敷は怖い物が多いと聞くが…」
 宵の持つパンフレットを覗き込みながら、ザッフィーロがぽろりと漏らした言葉。
「……おや、お化け屋敷に興味があるんです?」
「い、いや。そういう訳では……、楽しめる乗り物を楽しむとするか……!」
 首を傾いだ宵に、左右に首を振るザッフィーロ。
 そうですか、とそのまま宵は反対側に首を傾ぐ。
「では、ザッフィーロ君はどの乗り物が……」
「俺はてれびでみた観覧車という物を乗ってみたいな、とても遠くまで風景を見れるそうだ」
「……っと!」
 マップから顔を上げた宵は、何かを見つけた様子。
 黒曜の髪を揺らして指差す先は。
「僕、あれがいいです。くるくる回るカップ型の乗り物! ……コーヒーカップというんですか?」
「ん。では、先ずはこのコーヒーカップからにするか」
 他の人気アトラクションに比べれば、並ぶ人々も少ないコーヒーカップ。
 すぐにカップへと辿り着けた二人は、向かい合う形でカップの中へと腰掛ける。
 キャラクターの可愛い声で、注意事項と、楽しんでねと言う旨の放送が流れる中――。
「ええと、これを回せば座席が回るんですよね……」
「ん? これか?」
 きゅっとハンドルを握りしめた宵。ザッフィーロがそれに合わせて手を添える。
 そして動き出したカップに合わせて――。
 ぎゅるんっ!
 力いっぱい回転させる宵!
 彼の覚悟は決まっているぞ!
「ちょ、ちょっと待て宵…!? ちょ、ちょっと回し過ぎではないか!?」
「わーっ、すごい! あはは、早いですねー」
 可愛い音楽に乗せて、高速回転するカップ。
「――ふふ、ザッフィーロ君、目を回していませんか?」
「だ、だだ、大丈夫だ!」
 ぐる、ぐる、ぐる、ぐる。
 二人を載せて、世界は回る。
 しかし世界は周り続ける訳でも無い。
 音楽が止まれば、カップの回転も止まる。
 アトラクションが止まった事を確認してから。立ち上がろうとしたザッフィーロが鑪を踏み。
「さしものきみでも目を回しましたか?」
 ふふ、と笑う宵。
 その肩に手を置いて、平然とした顔で首を振るザッフィーロ。
「……いいや」
 足取りはすこうしばかりふらついているが、平静を装ってみよう。
「……そうですか」
 笑いを堪えるように肩を貸す宵は、勿論気がついているけれど。

「吾聞君、今日の作戦はゲームっぽく言うとこれだね! ――『ガンガンいこうぜ』!」
 アステル・サダルスウド(星影のオルゴール・f04598)は二つに括ったウェーブヘアをぴょんと跳ねさせて、ぴっかぴか笑顔。
「うんうん! 勿論、『ガンガンいこうぜ』一択だよねー」
 頷いた影守・吾聞(先を読む獣・f00374)の爬虫類の尾も、楽しげにゆうらりゆらり。
 ゲーマーとして、作戦名は大切なのだ。
 コクコク頷きながらアステルは、エメラルドの瞳を少しだけ過去に瞳を揺らす。
「昔、一度だけおかあさんと移動遊園地を見た事があるし、別の依頼で寄った事はあるけれど……、こうやって遊園地で遊ぶのは初めてだよ」
「へえー、移動遊園地かぁ。俺もそれ、一度見てみたいなぁ……」
 でも、俺もここまで大規模なテーマパークは初めてかも、と吾聞は笑って。
「って訳で、テル! 今日は一緒に思いっきり遊ぼ!」
「ああ! めいっぱい遊びつくそう!」
 おーっ!
 声を合わせ。二人は拳をを突き上げてから、同時にハイタッチ!
 マップへと視線を戻すと、アステルはマップをぴっと指差す。
「僕前の依頼で見かけてから、ジェットコースターが気になってたんだよねー」
「よし、ジェットコースターだね。それじゃ、あの恐竜の口から出てくるやつに乗ろっか!」
「うん、あの恐竜すごく楽しそう!」
 こっくり頷くアステルは、場所を確認。早速二人はアトラクションへと向かって歩み出す。
「そういえばさー。小さい時に俺、ああいうのの身長制限に引っかかったことあるんだよねー」
「ふふ、身長制限も今なら余裕でクリアだね!」
 キマイラフューチャーのアトラクションにも身長制限はあるものなのだ。
 吾聞の呟きに、アステルは本当に楽しそうに笑みを返す。
「でも吾聞君はジェットコースターに乗った事があるんだね。作法とかあるのかい?」
「そうだねえ。……作法というか楽しみ方だけど。速さを楽しむなら後ろの方の席だけれど……、前の席の方が風が気持ちいいんだ」
 あとひとつ、と吾聞はアステルの瞳を覗き込んで。
「ちょっと怖くても、下を見ないで前を向くこと!」
 昇ってく時には遠くの景色を楽しめるし、降りるときには思いっきり叫べるからね。なんて。
 人波を掻き分けながら、話す吾聞の獣の耳はゆうらゆら。
「怖くても前を向く、だね。了解! ふふふ、ポジティブは得意さ!」
 満面の笑みで応えたアステルは、胸の前でぎゅっと掌を握りしめて。
「わああ、でも遠くの景色も楽しみだし、思い切り叫ぶなんて始めてでわくわくしちゃうなっ!」
「その意気、その意気。あとは楽しんだもの勝ちだよ!」
 へへ、と笑った吾聞はアステルへと振り向いて。
「さ、行こうテル!」
「うん、行こう吾聞君! ――ここにいる誰よりも楽しんじゃおう!」
 ふわふわ揺れるアステルのスカート。
 楽しげに揺れる吾聞の爬虫類の尾。
 友人達は更に談笑を重ねながら、アトラクション列の最後尾へと向かうのだ。
 今日という日を、最高に楽しい一日にしようと心に決めて!

「――とても高いですね」
「俺らの宿はあの方角の筈だが……、こうも遠いと解らんな」
 観覧車のゴンドラに揺られる宵とザッフィーロ。
「ふふ、さすがに僕たちの宿までは見えませんか」
 宵が応え、見下ろす窓の外。
 足元へと広がる街並みは、まるでミニチュアドールのようにも見えた。
 地上が遠ざかると言うことは、空に近づくという事だ。
 青空に浮かぶ、白い雲。
 それは、それは、とても綺麗だけれども。
「夜ならば、星々にも近づけたのだろうが……」
「――星が見えなくとも、この空の向こうには星がありますよ」
 ふ、と空を見上げたザッフィーロの呟きに、愛おしそうに瞳を細めて言葉を重ねた宵。
「そうか、……それでも。なぁ、また――夜にも乗ってみんか?」
「ええ、そうですね。また、ここへ夜にも訪れましょう」
 宵は言葉を次ぐ。
 ――今日で無くとも、またいつか、と。
 こっくりとザッフィーロは頷いて。
「……ああ。機会ならば、幾らでもあるだろうからな」
 二人でこの空の下を歩んでいれば、機会なんて何度でも。
 旧き天図盤と、赦しの指輪は空を見上げる。
 その向こうにある星々を見透かすかのように。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

キリ・ガルウィング
ラローシャ(f14029)と
仕事だ
UDCアースなら組織員には庭みてェなもんだろ

……有給……?
出勤じゃねェのかよ
つーか休み取ったなら休めよ何で仕事してんだよ
わかっちゃいたが
馬鹿だろ

…甘くねェ方
あと珈琲
俺は(ジェットコースター)
つき(コーヒーカップ)
あう(ゴーカート)
だけ(ゴンドラ)
だッ!(ジェットコースタースゴクハヤイ)
…あれだけは乗らねェ
(メリーゴーランド)
それもいらねェ
(耳)
大人しく飯でも食ってろ
落ち着きのねェ奴だ
…楽しいならまぁ、悪かねェが
仕事としてな

一服に煙を蒸す
ああ、ここは
厭な匂いがする
腐った過去の、死の匂い

(基本喫煙所に居る様な男
今日はポメラニアンの散歩する飼い主じみて)


チェイザレッザ・ラローシャ
キリ(f03828)と行くわ
本物の化け物、死者が出る。ですって
ここはシャーマンに死霊術士なあたし達の出番じゃない?

まーその為にはまず楽しまないといけないみたいだから!
有給取って来たわよ!さあ行きましょ行きましょ!

持ち物はデスペラードにしまってレッツゴー!
あ、ポップコーンとチュロスならどっちがいい?

よーし!じゃあBBQ味!あと珈琲ね!
あとは(耳つける)
とにかく(アトラクション巡る)
たのしみ(高速コーヒーカップ)
ましょー!(ジェットコースター両手離し)

はー!たのしー!ほんとたのしー!
ふふ、やっぱキリ誘ってよかった

(そりゃ仕事で来ることもできたけどね。
友達と遊園地なんて仕事として来たくないもの!!)



 カメラ目線でだぶるぴーす。
 チェイザレッザ・ラローシャ(落霞紅・f14029)が、びしーっと何かにポーズをキメる。
「本物の化け物、死者が出る――ですって! ここはシャーマンに死霊術士なあたし達の出番じゃない?」
「……おう。まあ仕事だからな……」
 肩を竦めるキリ・ガルウィング(葬呑・f03828)は、ぶっきらぼうに相槌を打ち。
「それに、UDCアースなら組織員には庭みてェなもんだろ?」
「まー! その為にはまず楽しまないといけないみたいだから! 有給取って来たわよ! さあ行きましょ行きましょ!」
 訊いた言葉には返事は別段無いが、聞き捨てならない情報は含まれていた。
「……有給……?」
 片眉を上げて、瞳を細めるキリ。
「出勤じゃねェのかよ。つーか休み取ったなら休めよ。何で仕事してんだよ。わかっちゃいたが馬鹿だろ?」
 くまさんカチューシャを装備しつつ、怒涛のツッコミにも負けないチェイザレッザはトテモツヨイ!
「はー、キリにはこんな素敵なカチューシャも似合っちゃうのね、可愛い~」
「いらねェ」
 すげなくキリに犬耳カチューシャを突っ返されるが予想はしていた様で、チェイザレッザは悪戯げに笑うだけ。
 めげる様子も無く、小さなくじらのような姿を持つUDC――デスペラードの口へと荷物を突っ込んだ。
 便利は四次元空間はとっても便利。
 悠々と歩みだしたチェイザレッザが足を止めて振り返る。
「あ、キリ。ポップコーンとチュロスならどっちがいい?」
「……甘くねェ方。あと珈琲」
「よーし! じゃあBBQ味! あと珈琲ね!」
 勿論ケースはスーベニアポップコーンケースだ。白鯨の形のケースは口がぱかぱか開いてなかなかキュート。
 キリに渡す珈琲だって、特別仕様のスーベニアドリンクボトルだ。
 かわいいキャラクターが抱きついた形の形の本体に、開け締めのできるストローとストラップがついている。
「……」
 それは目一杯楽しむには、必要経費! とっても可愛いキャラクターのドリンクボトルを手渡されてはちゃめちゃに怪訝な表情を浮かべるキリ。
 でもコレ、中身は珈琲なんだよなあ。
 頼んだモノの手前、突っ返すこともできずにボトルを握りしめるキリ。

「あとはー!」
 ぐうるり回るジェットコースター。
 両手を上げて笑うチェイザレッザ。
「……俺は」
 激しい重力に、キリが握りしめる安全バー。
「とにかくー!」
 くるくる回るコーヒーカップ。
 ハンドルをめちゃくちゃな速度で回すチェイザレッザ。
「つきあう……」
 めちゃくちゃな速度に三半規管をめちゃくちゃにされるキリ。
「たのしみー!」
 花をモチーフにした可愛いカートを爆走するチェイザレッザ。
 ドリフト、煽り、パッシング。
「だけ……」
 可愛いカートに乗っているというのに、めちゃくちゃチェイザレッザに煽られるキリ。
 避けようとした瞬間旋回するカート。
「ましょー!」
「……だッ!」
 何周目だろう、このジェットコースター?
 幾つ目だろう、このジェットコースター?
 手を離して歓声を上げるチェイザレッザ。
 難しい顔で激しい重力に、安全バーを握りしめるキリ。
 ――……。
 何故今日はこんなにも、落ち着きのないポメラニアンの散歩の様になっているんだ?

 水上をゆうらりゆらり。
 自分で漕ぐゴンドラのオールを握りしめたチェイザレッザは、メリーゴーランドを指さして。
「あ、アレも後で乗りましょ!」
「……あれだけは、絶対乗らねェ……」
「そー?」
 くすくすと笑うチェイザレッザに、肩を竦めるキリ。
「全く、落ち着きのねェ奴だ」
「はー、だってたのしーものー。ほんとたのしー!」
 ポップコーンを食べながら本当に楽しげに笑うチェイザレッザに、キリは珈琲を一口啜って口の中を潤す。
 水面をきらきらと照り返す太陽の光。
 お伽噺のような街並みを通り抜けるゴンドラの上、一瞬の静かな時間。
「……ふふ、やっぱキリ誘ってよかった」
「……楽しいならまぁ、悪かねェが」
 仕事としてな、と付け加えるキリに、今度はチェイザレッザが肩を竦める。
 ――そりゃあ、仕事で来ることもできたけれど。
 友達と遊園地なんて、仕事としては絶対絶対来たくない。
 今楽しい時間を過ごせているのは、仕事を置いて本当に心置きなく遊んでいるからだ。
「……」
 水上なら注意される事もないだろうか。
 キリはちりと火を灯し、一服に煙を蒸す。
 ――ああ、ここはこんなに明るいというのに。
 厭な匂いがする。
 何処かにUDC共は、既に潜んでいるのだろう。
 ――腐った過去の、死の匂いだ。
 揺れる煙は、空へと解け消えて。
 ゆうらりゆらり、ゴンドラはゆっくりと水上を進む。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

アラン・サリュドュロワ
マリークロード(f19286)と
アレンジ歓迎

毎日が祝祭のような園内で
下見ならそれに見合った恰好をと
売店で連れと共に衣服その他を見繕ったが

……何というか、少々照れるな

店員に勧められるままにつけたキャラ耳カチューシャ
気恥ずかしいが、連れの声に気を取り直す

ああ、いいぞ。どの建物だ?
…おい、悲鳴と轟音が聞こえるがあれはいいのか?
なあマリー?ちょっと待て…!

己で操縦不可能な乗物を何故楽しめるのだ
振り回されグロッキーになりながらも
普段はあまり見せない子供らしい笑顔を見ると
致し方ないという気持ちが沸く

本物ではないのが残念だが――では、姫様

どうぞ、と軽く肘を差し出して
今ばかりは、この夢の楽しさを共有しよう


マリークロード・バトルゥール
アラン(f19285)を伴に

訪れた遊園地は生来見て来た何とも違う光景だった
娯楽の為に造られた国には幸せが詰まっていた

うふふ、流石わたくしの騎士。よく似合っているわ
揃いの耳を生やした仮初の伴を隣に案内を指さす

アラン、彼方が気になるわ
絶叫マシーンと銘打つ内容は不明だが人気ならば体験すべきだ
大丈夫、彼らは文字通り叫んでいるだけです
そういうものなのです、多分

その次は回転木馬へ。――アランは馬がお好きでしょう?
何故か覇気の無い連れの好きそうなモノを選んで伺う
差し出された腕と言葉に目を向け思考する

本物の姫ならば、

穏やかに微笑んでは腕を絡めて「早くいきましょ」と急かす
ああ、仕事の前に満喫し尽くさなければ


セツナ・クラルス
…あのさあ
当然のようにオレ、呼び出されてるけど
別にオマエ一人で遊園地行ってもいいんだぜ
普段の黒衣に兎耳付きカチューシャをつけて
はしゃいでる別人格の様子に呆れて
屈託ないにも程があるだろ
なんかガキの子守してる気になってきた…
つぅか、
アイツが動くたびに耳もぴこぴこ動くのがめっちゃ気になる…

うん?何か気になるのあった?
回転木馬に乗りたい?オレと?
馬鹿じゃねぇの恥ずかしいし絶対イヤだ
は?馬に乗るか、兎耳をつけるかどっちか選べって?
馬鹿じゃねえのどっちもイヤだよ

いつものごとく振り回されながらも
なんだかんだで楽しんでいる様子
…は?馬にもっかい乗りたいって?
馬鹿じゃねえの一人で行って来い
ちゃんと見ててやるから



 娯楽の為に造られた国には、祝祭のような幸せが溢れていた。
 それは二人の生まれ育ったアックス&ウィザーズにて、生来見て来た何とも違う光景だ。
 郷に入っては郷に従え。
 この国の作法で、そしてドレスコードでもある可愛い浮かれカチューシャ。
「……何というか、少々照れるな」
 店員に薦められるがままにアラン・サリュドュロワ(王国の鍵・f19285)とマリークロード・バトルゥール(夜啼き鶯・f19286)は、共に猫の耳モチーフのカチューシャを頭に乗せていた。
「うふふ、流石わたくしの騎士。よく似合っているわ」
「……マリーそう言うならば、まあ……」
 マリークロードが上品に口元を覆って笑み、アランは背筋をぴっと引き締めて頷いた。
 柔らかく頷き返したマリークロードは、はたと顔を上げ。
「あら。アラン、彼方が気になるわ」
「ああ、いいぞ。どの建物だ?」
 指差す先には長蛇の列。
 『絶叫マシーン』と銘打つアトラクションの内容は不明だが、あれ程の列を生み出す程人気ならば体験すべきだとマリークロードは頷く。
「……おい、悲鳴と轟音が聞こえるが、あれはいいのか? ……緊急事態か何かでは無いのか?」
「大丈夫、彼らは文字通り叫んでいるだけです」
 ゆるゆると首を左右に振れば、マリークロードの金糸の髪が揺れる。
 全く、皆は文字通りの事をしているだけだと言うのに。
 アランってば、わたくしをいつもこども扱いして。
 スッと歩みだすマリークロードの背へと手を伸ばすアラン。
 しかし姫が歩みを止めることは無い。
「なあマリー? ……ちょっと待て……!」
「そういうものなのです、多分」
 さっさと歩いていってしまう、自らの幼馴染――の姫の影武者。
 仕方ないなあ、と肩を竦めたアランは彼の背を追って、長蛇の列の最後尾へと並ぶのであった。

 例えば。
 例えば、だ。
 自らと同じ顔の男が、兎耳をつけてはしゃいでいる姿を見せられた時。
 人はどの様な顔をするだろうか?
「……あのさぁ、当然のようにオレを呼び出してるけど、別にオマエ一人で行ってもいいんだぜ……?」
 はい、答えはコレでーす。
 セツナ・クラルス(つみとるもの・f07060)の別人格、ゼロは呆れきった様子で片眉を上げて。
「ふふふ、そんなに照れないでおくれ、私の愛し仔よ。共に歩もうと言っただろう?」
「オマエ、本当にそういう所キモいよな……」
「そんなひどい、……しかし、本心じゃないのだろう?」
「ノーコメント」
「ゼロは照れ屋さんだねえ」
 頭を抱えるゼロ。
 はー、なんだか子守をしているような気持ちにすらなってきたな。
「って、オイ。何処に行くつもりだよオマエ」
 兎耳を揺らしながら、何かを見つけた様子で歩いてゆくセツナの背。
「いやあ、ゼロと一緒にメリーゴーランドに乗りたいと思ってね」
「は? 馬鹿じゃねぇの?? 恥ずかしいし、絶対乗らねえよ」
「では、この兎耳を付けるか、一緒にメリーゴーランドに乗るかを選んでもらえるかい?」
「バカじゃねえの???? どっちもイヤだけど????」
「どんな姿でもゼロは可愛……」
 凍てつくような視線に貫かれ、仕方がないなあと歩みだす自らの主人格の背。
「ちゃんと見ててやるから、……さっさと行って来いよ」
 肩を竦めて、ゼロはセツナを見送る。
 くうるりくるり、回るメリーゴーランドは大きな大きなオルゴールのようにも見えて。
「……綺麗だな」
 セツナも振り回されつつも、なんだかんだでゼロも楽しめている様子だ。
 白馬も、馬車も、音楽に乗って、アン・ドゥ・トロワ。

「……何故、己で操縦不可能な乗物を何故楽しめるのだ……?」
「ふふふ、楽しかったですね」
 絶叫マシンに引っ掻き回された、アランの三半規管はもうめちゃくちゃ。くすくすと本当に楽しげに笑うマリークロード。
 ――それだけ酷い目にあったとしても。
 姫として――姫の影武者として振る舞う普段では、あまり見る事の出来ないマリークロードの子どもらしい笑顔を見ると、致し方ないという気持ちがアランの中に宿ってしまう。
 肩を竦めるアランの前を歩んでいたマリークロードが、ふっと指差す先。
 馬たちがくるりくるり踊る、メリーゴーランド。
 マリークロードは紫瞳を揺らして、アランを伺うように。
「――アランは、馬がお好きでしょう?」
 何故か前のアトラクションに乗ってから顔色が悪く、覇気の無いアランの好きそうなモノ。
 少しでも元気になればよいのだけれど。
「……そうだな、本物の馬ではない事は残念だが――」
 すっと肘を差し出したアランは、姫君へ忠実なる騎士の表情を浮かべ。
「では」

 マリークロードは、瞬きを一つ。
 わたくしが――本物の姫ならば。

 綺麗な足取りは、高潔たる血筋が見えるかのよう。
 悠然と微笑んで差し出された肘へと腕を絡めたマリークロードの笑みは、先程までの子どもらしさは一欠片も見えない。
「早くいきましょうか」
「――ええ、姫様」
 アランを急かす言葉も、優美な色。

 ――今ばかりは。
 この楽しい夢を、一緒に見ていたいと願う。
 なんたって仕事が始まる前に、全てを満喫し尽くさなければならないのだから!

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

月舘・夜彦
倫太郎殿(f07291)と参加

遊園地は話だけで実際に行った事はありませんでしたので
どのような所なのか興味があります

各施設については倫太郎殿に紹介して貰います
なるほど、悲鳴を上げてしまいそうな所へ自ら向かうとは
此の世界には精神修行が出来る所があるようで関心します
早速挑戦してみましょう

身長の制限は問題ないので、邪魔にならぬよう髪は纏めて
じぇっとこーすたーの上に来たら会話は控える、ですね

あの速さ、馬に乗る時とは比べ物になりません
最初は驚きましたが、風を切るような感覚は初めてです
なかなかに面白いものですね

次は、私はあの大きな輪……観覧車に乗ってみたいです
あそこから見える景色はきっと綺麗でしょう


篝・倫太郎
夜彦(f01521)と

遊園地なんて、物凄い久し振りだわ、俺
本日遊園地デビューの夜彦と同じくらい新鮮に満喫できそうだ

まずはジェットコースター!
いこーぜ?こっちこっち
はぐれねぇように夜彦の腕掴んで引っ張ってく

これなーこの焦らす感じー
あ、昇り切ったら喋らない方がいーぜ?
舌噛むといけねぇか、ら!(急降下)

急降下からのループやコークスクリュー
天地が目まぐるしく入れ替わる

終わった後の夜彦の感想に思わず笑い
確かに、馬とは速度全然違うもんなぁ
あはは!ハマったか?

よっしゃ、次はあんたが気になったのに行こう!

ん!観覧車な?
俺もココのは初めてだし綺麗だったらいーな

日が暮れるまで、今日はトコトン遊び尽くそうぜ!夜彦



「……なるほど、悲鳴を上げてしまいそうな所に自ら向かうとは。此の世界には精神修行が出来る所があるようで関心します」
 楽しげな絶叫が響くコースターは、もう目前。
 月舘・夜彦(宵待ノ簪・f01521)がその長い藍髪を一つに纏めながら、生真面目に呟き。
「あはは、あんたは真面目だなぁ。そうだ、精神修行だよ」
 初めてテーマパークに来ると言う夜彦にレクチャーするような気持ちと。
 物凄く久しぶりのテーマパークと言うことで、新鮮に満喫できそうだという気持ち。
 二つの気持ちを綯い交ぜに。楽しげに笑った篝・倫太郎(災禍狩り・f07291)は短く刈り込んだ萌黄髪を揺らして、急くように夜彦の腕を引いてジェットコースターのカートへと乗り込んで行く。
 キャストに安全バーを引かれ、しっかりとロックされている事を確認。
 空へ空へと登るレールからは、コトコトとチェーンリフトの音が鈍く響く。
「……これなー、この焦らす感じー。たまんねぇよなぁ」
 こと、こと、こと。
 カートの先には空しかもう見えぬ程。
「焦らされながら恐怖を訪れる瞬間を耐え忍ぶ……、なるほど。覚悟を括って待つと言う事は精神修行として有効でしょうね。心構えを確りとしていれば――……」
「あ、昇り切ったら喋らない方がいーぜ?」
 あくまでも生真面目な夜彦の言葉に、倫太郎が一言付け加え。
 爽やかな風が二人の間を通り抜ければ、眩い太陽が真上に見えた。
「解りました、じぇっとこーすたーの上に来たら会話は控える、ですね」
「そう、舌噛むといけねぇか、――らッ!」
 倫太郎が言葉を終えるが早いか、リフトの音が止まり。
 間髪を入れず訪れるのは、内臓が浮くような浮遊感と叩き込まれるような風圧だ。
 足がふわっと浮く感覚。これは急降下から訪れたループへの道のり。
 世界がひっくり返って、次はレール側に叩き込まれるような重力を感じる。
 何度も天地の入れ替わる世界。
 その速度は、夜彦のこれまで乗った乗り物の何より早いと断言出来るであろう。
 時間にすれば、一瞬の出来事。
 それでも、それでも――。
 こと、こと、こと。
 回転と急降下。
 二人の身体を上下左右、色々な方向揺さぶりきったカートは、入場口へとゆっくりと戻りゆく。
「……倫太郎殿」
「ん?」
「これは凄い乗り物ですね。――あの速さ、馬に乗る時とは比べ物になりません」
 ほう、と吐息を零した夜彦の瞬きの回数は、いつもより早い。
「最初は驚きましたが、このような風を切るような感覚は初めてです。……なかなかに面白いものですね」
 口調こそ丁寧ではあるが、夜彦の語気には静かな興奮が感じ取れ。
 倫太郎は琥珀の瞳の奥を共感の色へと楽しげに揺らして、大きな声で笑った。
「あはは! ハマったか? 確かに、馬とは速度全然違うもんなぁ」
 薦めたモノを楽しんでもらえれば、なんだかこっちまで嬉しくなるものだ。
 擽ったげに肩を擡げた倫太郎は、夜彦と視線を交わして。
 安全バーが上がりきれば、先に降りて夜彦へと腕を伸ばした。
「よっしゃ、次はあんたが気になったのに行こう!」
「そうですね……。私はあの大きな輪……、先程上からもよく見えた観覧車に乗ってみたいです」
 ぎゅっと倫太郎の手を掴んで、夜彦はカートから降りながら。
 彼のちょうど真後ろに位置する大きな輪に眩しそうに瞳を細める。
「……あそこから見える景色はきっと綺麗でしょうから」
「ん、観覧車な? 俺もココのは初めてだし綺麗だったらいーなァ」
 よし、行くぞと。
 彼の手を引いたまま、出口へと歩き出す倫太郎。
「今日は日が暮れるまで、トコトン遊び尽くそうぜ!」
「そうですね、……お供させて頂きましょう」
 笑みを掌で覆って、夜彦は頷く。
 陽はまだまだ高い。
 青空の元、高所から眺める景色は、彼らの瞳にどのように映るのだろうか。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

オルハ・オランシュ
ヨハン(f05367)と

見て見て!色んなエリアがあるよ!
どれもUDCアースで人気の物語なんだろうね

ヨハンと一緒にテーマパーク
それだけで心は弾んで

ね、ここ気になる!
食事もエンターテイメントも満喫できちゃうみたい
彼を連れて入った先は、手品師の物語を基にしたショーレストラン
ステージで、時には目の前で次々披露される手品は魔法のようで
ドリンクの色さえ変える手腕に感動の声を上げる
凄い……!どうやったら真似できるんだろう
ヨハンならわかる?

ショーはもう終盤
観るのに夢中でほとんど手をつけずにいたご飯を慌てて食べる
ほら、ヨハンも食べよう!
この後もたくさん楽しむんだもの
エネルギーチャージしなきゃね!


ヨハン・グレイン
オルハさん/f00497 と

そうですね、色々ありますね
……いつもなら溜息吐いて付き合ってるところですけど

楽しそうな様子を見れば、自然と笑みも浮かぶ
はぐれないように手を取ってから、彼女の行きたいところへと

食事とエンターテイメント……
別々の方がいいのでは?
どちらも落ち着けない気しかしないんですが

こういうところに来るのは初めてで、わりと戸惑う
何故食べながら見なければならないんだ……どっちかにしろよ……
さすがに彼女には言わないが
はぁ。え。すみません、見ていませんでした

自分とは逆に殆ど食べていなかった彼女を見れば
やはり別々の方がいいのでは? と思う訳だが
……まぁ、いいか
ゆっくり落ち着いて食べてくださいね



「ね、ここ気になる!」
 オルハ・オランシュ(アトリア・f00497)がマップを指差し。桃色の交じる金髪より伸びた獣耳をぴいんと立てて、はにかむ笑顔はとてもとても楽しげ。
「食事もエンターテイメントも満喫できちゃうみたい!」
 彼女の言う通り。
 マップの説明には『手品師の物語を基にしたショーレストラン、手品を楽しみながら楽しいお食事を』と記されている。
「……なるほど」
 しばしの沈黙の後に。
 なんとか言葉を吐き出したヨハン・グレイン(闇揺・f05367)。
 食事とエンターテイメント。
 どう考えたって別々の方がいいのでは?
 どちらも落ち着かないし、どちらにも集中出来る気がしない。
 ぴかぴか笑顔の彼女を見れば、まあそんな事も言い出しづらいのだけれど。
「別々の方がいいのでは? どちらも落ち着けない気しかしないんですが」
 あっ、言うんだ。
 しかし、未だ彼女の笑顔には慣れない。
 笑わないで欲しい。
 可愛い笑顔を向けてくれるな。
 困るだろう。
 それは言わないけれど。偉い。
 言わなかったぞ。偉い。
「えー……?」
「まぁいいでしょう、行きましょうか」
 少しだけ唇を尖らせたオルハの手を握って、ヨハンはさっさと歩き出す。
「……わっ」
 突然手を握られれば、どうしたってドキドキしてしまう。
 手を引かれながら、オルハはすこうし慌てて。
 彼は時々、こういう事をしてくるから本当にずるい。
 ……それを伝えたってずるいと言われるような事はしていない、と言われるだけなのだけれど。
 でも、ずるいなあ。

 ――薄暗く、幾つものカーテンが天井より架かった店内。
 そしてソレはステージの上で、食事の配膳時に。
 次々と披露される手品は、魔法なんて無い世界なのにまるで魔法のよう!
「凄い、凄い!」
 眼の前でドリンクの色が変わった瞬間、オルハは驚きに瞳に星を宿して。ぱちぱちと拍手を重ねながら、畳んでいた黒い翼を跳ねさせて喜びを全身で表して喜んだ。
 ……それはそうとして、ヨハンは戸惑っていた。
 この様なショーを見ながらの食事が初めてだったことは、勿論だが。
 この状況に合理性が全く見いだせないでいた事が、一番の理由であった。
 どうしてだろうか。何故食べながら、手品を見なければならないんだ?
 ……どっちかにしろよ……、落ち着かない事この上ない。
 怪訝な表情のまま。
 複雑な心中を抱えるヨハンは、チキンステーキの上へと指先から注がれるソースに片眉を跳ねる。
 ああ、本当に全く持って落ち着かない店だ。
 そこにオルハが獣耳をぴんと立てたまま、ヨハンの顔を覗き込んで。
「ねえ、今の本当に魔法みたいだったね! どうやったら真似できるんだろう……? ヨハンならわかる?」
「はぁ。え? ……すみません、見ていませんでした」
 ヨハンは手品をすごく凝視していたように見えていたが、完全に上の空だったのであろう。
 しかし。
「わ、わわわ! 鳩! 鳩がでてきたよ! 見てたっ!?」
 素直に謝ったヨハンを尻目に、オルハはもう次の手品に夢中であった。
 結局。ショーを観る事に夢中で、終盤に至るまでほとんど手をつけずにいたオルハが食事を慌てて口へと運ぶ様を見ていると、やはりショーと食事は別々の方が効率もいいのでは? なんて、ヨハンは思う訳なのだが……。
「ほら、ヨハンもこっちの揚げ物も美味しいよ。――この後もたくさん楽しむんだもの。エネルギーチャージしなきゃね!」
 本当に美味しいと思って勧めているのであろう。
 はにかんだオルハが、あーん、なんて食事を一口ヨハンへと差し出せば。
 ――そんな顔で、差し出されてしまったら。
「……まぁ、いいか。ゆっくり落ち着いて食べましょうね」
 ぱくり、と一口。
 彼女の楽しそうな表情に、ヨハンの無愛想な表情筋だって溜息と共に綻んでしまうのだ。
「うん! ねえ、次はどんなエリアに行く? どれのエリアもUDCアースで人気の物語なんだろうね!」
「そうですね、……オルハさんは何処に行きたいのですか?」
「えへへ、実はね――」
 食事を終えれば二人は手品の物語から次の賑やかな物語へと、渡り歩くのであろう。
 ――決してはぐれないように、その手をぎゅっと握って。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

月待・楪
氷月(f16824)と
(アレンジetc歓迎)

楽しもうってことで…いつもの装備はロッカーでいいな?
一応最低限武器は持つとして…
おー、ちゃんと濡れても透けそーにねェ色の半袖パーカーにしてきた

氷月、濡れるジェットコースター乗ろうぜ
ほらあの山から落ちてるやつ
夏だし濡れたところで乾くだろーけど
着替えもロッカーに入れてあるし覚悟決めろよ?
ジェットコースターの後はスプラッシュって書いてあるパレードだろ?
その後は水掛けのあるショーな
水掛かるエリアに座ろーぜ

っはは!
あー、濡れた濡れた
やばい、すげェおもしれー
って眼鏡見えてねーだろそれ
あー…ひづ、腹へらね?
賛成、飯とタオルな
…青春か
お前とならそーいうのもアリだな


氷月・望
楪(f16731)と
アドリブ等歓迎

楪との遊園地デート!テンアゲ待ったなし!
とりあえず、最低限の武器だけ持っておくかなー
一旦、いつもの服とかは一緒にロッカーに預けておくよ

うんうん、濡れても透けないね……楪、グッジョブ
俺も適当に選んだ濡れても透けない感じの服装で挑んじゃうよ?
って……ずぶ濡れジェットコースターに、ずぶ濡れ必至パレード
その後にずぶ濡れショーとか、どんだけ濡れるんだよー!やべぇ、楽しそう!

やっべ、伊達眼鏡着けてたら全然見えねぇの
楪の髪もぺったんこじゃん、ははっ……!あー、楽しい
腹も減るケド、食い物ついでにタオルも買おっか?
……デートはデートだケド、なんか青春も感じちゃうなーなんて?


シアン・ルー
チガヤ(f04538)と一緒に行動します

遊園地……知識としては知っていますが、来るのは初めてです。
何事も傾向の把握と対策が大事です。予習はばっちり、抜かりはありません。(付箋びっしり貼った市販のガイドブック)
行きましょう。ビールはグッと飲んでくださいグッと。はやく。(手をぐいぐい引っ張って)
混雑を予測して待ち時間を最小限に抑えるルートを8通り考えてきました。

ジェットコースターやフリーフォールですね。知ってます。
ヘリからの降下作戦だってしたことがあるわたしですよ。安全バーがついてる遊具など余裕です余ゆうひゃあああああ!!
……身体が固定されていると逆に怖かったです。ジーザス。


チガヤ・シフレット
シアン・ルー(f00616)と遊園地でデートだな!

ホラーナイトになるようだが、その前に目一杯楽しむとするか!
お、ビールとかもあるみたいだぞー?
昼間っから飲めるなんて良いよなぁ。
これも仕事仕事。シアンもどーだ?
っとと、未成年だったな!

おぉ、準備は万端だな!
よっしゃ、張り切っていこうか!(グッとビールを飲み干し)

絶叫系とかが私は好きなんだっ。
あんまりシアンは動じる感じがしないが、こういうのはどうかねぇ?(自分は大はしゃぎ)
シアンは良い声だったなぁ。可愛いぞぉ(ニマニマ

あぁー、飲んだ後にぐるぐる回ったりしたら、楽しくてふらふらになるなぁ

さーて、次は何が良い!?
はっはっはっ、もっと行くぞー!



 いつもの装備はロッカーの中。
 最低限の武器と、濡れてもシャツが透けない程度に上着も羽織っておこう。
「イェェーイ! テンアゲ待ったなし!」
 テンション高めの氷月・望(夢幻への反抗・f16824)が月待・楪(Villan・Twilight・f16731)の手を握ったままぴょんと飛び跳ね。
「ったく、ひづ。楽しみなのは解るがはしゃぎすぎて転ぶんじゃねーぞ?」
 あの猫助みたいによ、なんて軽口を叩く楪も、内心とても楽しみなのであろう。
 片手でマップを見る彼の視線は、まるで得物を狙うハンターだ。
「転けねェーよ! 大体転けたらゆーくんも道連れだろ?」
 けらけらと笑う望に楪は肩を竦めた次の瞬間、鋭く睨めつけていたマップ上の一つのアトラクションに目を留めた。
「おー、よし。折角濡れても良い服で来たんだ。氷月、この水に濡れるジェットコースターに乗ろうぜ」
 楪が指差したアトラクションは、山の中をぐるぐると走り回り最終的に滝のように流れる水の中に引かれたレールが、下へとたっぷりと張られた池へと飛び込むコースターだ。
 それは考えるまでも無く、防水対策をしなければびっしゃびしゃになる以外のルートが無い事が解るアトラクション。
 望は楪の指差すマップと、現物の山を二度見比べて。
「いやァ、はは……、いいねえ!」
「夏だし濡れたところで乾くだろーけど、……覚悟決めろよ?」
 ジェットコースターの後はスプラッシュって書いてあるパレード。その後は水掛けのあるショーで、水掛かるエリアに座ろーぜ、なんて。
 悪戯げに口端を擡げながら楪は、ビシャビシャスケジュールをつらつらと口に。
「成程、ずぶ濡れジェットコースターに、ずぶ濡れ必至パレード……、その後にずぶ濡れショーとか、どんだけ濡れるんだよー! やべぇ、楽しそう!」
 臨む所、と望が破顔すると、満足気に楪も瞳を細めた。
「おー、じゃあ行くぞ」
「おお! 行くぞーッ!」
 テンションはテンアゲなのだろう。
 望がコックリ頷くと、二人は手をつないだまま歩き出す。
 まずは、あの山を目指して!

 弾ける泡。
 昼間っから暑い屋外で冷えたビールが飲める幸せ。
「いやー、昼間っから飲めるなんて良いよなぁ、シアンもどーだ?」
 ぐーっと大きなカップを煽ったチガヤ・シフレット(バッドメタル・f04538)は、ぷはーッ、と幸せな吐息を吐き出す。おねーさんおさけくさーい。
「っとぉ、未成年だったな、はっはっは!」
「チガヤ、ビールはグッと飲んでくださいグッと。はやく。急ぐべきです」
 テーマパークに訪れる事は初めてだ。だからこそ、シアン・ルー(千武・f00616)は下調べを抜かり無く行った。
 予習はとっても大切。
 付箋がびっちりと挟まった最近発売されたばかりだと言うのに、読み込まれてしまい過ぎてすっかりくたびれてしまった最新バージョンの市販テーマパークガイドブックを片手に。
 彼女はチガヤの瞳をじっと覗き込みながら、ぐいぐいと腕を引っ張る。
「何事も傾向の把握と対策が大事です。予習はばっちり、抜かりはありません。――わたしは今日混雑を予測して、待ち時間を最小限に抑えるルートを8通り考えてきました」
 そのルートの何れも、ビールをのんびり飲んでいる暇は無い。
「おぉー、準備は万端だな! よっしゃ、張り切っていこうか!」
 からからと笑うチガヤは、シアンに引っ張られるがままに。
「絶叫系とかが、私は好きだなっ!」
「解りました。ジェットコースターやフリーフォールですね。知ってます、そのルートならばこちらの道ですね」
「……しかし、あんまりシアンは動じる感じがしないが、絶叫系とははどうなのねぇ?」
 シアンに道案内をされながら、ニマニマ笑うチガヤにシアンは瞬きを二つ。
 瞳に睫毛の影を落として、こともなげに。
「ヘリからの降下作戦だってしたことがあるわたしですよ。安全バーがついてる遊具など余裕です」
「くっくっくっ、そうかそうか。じゃあ行くとするかぁ!」
 チガヤはなんだかとっても悪い笑み。
 そんな遊具に予習済のシアンが動じる訳ないのにと、彼女はチガヤの腕を引き道程を急ぐ。

 ばっしゃああああんっ!
 爆ぜるように、二人の上へと降りかかる水。
「っはは! やっべぇ、すげェおもしれー」
「うへー、びっしゃびしゃー! どんだけ濡らすんだよー」
「って水滴でその眼鏡、なにも見えてねぇーだろ」
「おー、実は伊達眼鏡なのに今何も見えてねー、ぶぁっ!」
 楽しげに笑い合う楪と望。しかしショーも待ってくれない。
 喋っている途中にも降り注ぐ水に、二人はまた顔を見合わせて弾けるように笑った。
「ぷはっ、そんなコト言ってる楪の髪もぺったんこじゃん! ……あー、楽しいな!」
「コレだけ水を掛けられたら、笑うしかないよな」
 未だに笑いながら、楪は顔に掛かった水を掌で小さく拭って。
「あー……、そういやひづ。腹へらね?」
「おー、腹も減ったケド、……食い物ついでにタオルも買おっか?」
「賛成。飯とタオルな」
 ロッカーの中に着替えが在るとは言え、なかなかのずぶ濡れ具合。
 満場一致で、ショーが終えたら買い物に行く事は確定だ。
「でさぁ……、ゆーくん。なんかさぁ、……デートはデートだケド、なんか青春も感じちゃうなー」
 なんて? と、赤色が灰色の瞳を覗き込み。
「――青春か」
 ……ははっ。
 その視線が交わされた瞬間、二人は同時にまた吹き出して笑い――。
「……お前とならそーいうのもアリだな」
 楪が言葉を重ねた、その時。
 ばしゃん!
 大量の水が再び弾けて、二人は更に濡れ鼠と化すのであった。

 所変わって、ジェットコースターの最高高度地点。
 安全バーで、ライドへと固定されたシアンとチガヤの身体。
 まあ安全バーがある時点で、ヘリから落下するより怖い訳なんて無いのだけれど。
「余」
 シアンが侮った様子で小さく吐息を零し、両手を上げたチガヤは安全バーに全てを委ねる。
「ゆ、――うひゃあああああ!! ぁぁぁあああぁあああああ!」
「はーっはっはっはっ!」
 はちゃめちゃに響くシアンの悲鳴と、チガヤの笑い声。

 後にシアンはこう語る事と成る。

「……身体が固定されていると逆に怖かったです。ジーザス。」
「おぉ、おぉ。良い声だったなぁ、シアン。可愛いぞォ」
「…………」
 表情は変わらぬが、むむむと。
 チガヤへ恨みがましく、赤い瞳を揺らすシアン。
 それを知ってか知らずか、チガヤは更に楽しそうに笑ってシアンへと手を伸ばした。
「さーて、次は何が良い!? はっはっはっ、もっと行くぞー!」
 飲んだ後にジェットコースターに回されて、楽しく酔いも回ってふらふら。
 そんなチガヤの手をぎゅっと握ったシアンは、小さく頷いて。
「はい、では。次のルートへと急ぎましょう」
 まだまだ、シアンの考えたルートはたっぷり。
 冒険仲間の冒険は、陽が落ちるまで続くのだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

リゲル・ロータリオ
【とろケモ】
・意気込み
遊園地が初めてのメルトちゃんに力いっぱい楽しんでもらえるようにエスコート
人が多いとぶつかったりするかもっすね、その辺も要注意っす
・行き先
一頻り乗り物を楽しんだあと、休憩がてらグッズ売り場でショッピング

さっき乗ったやつもすごいスピードで面白かったっすよね♪
(きょろきょろ店内を見回し)…あ、これメルトちゃんに似合いそうっすね。ほら!(キャラクターグッズの耳付きカチューシャを着けてあげる)
うんうん、やっぱり似合うっすね。俺とお揃いっすねー

…さって、お会計済ませたらまたどっか行ってみるっす?
時間はまだまだあるっすからね、バリバリ遊ぶっすよー!

※典型的なノリのキマイラ
※アドリブ歓迎


メルト・プティング
【とろケモ】

遊園地!知識では知っていますが初めて来たのです!
お仕事の一環ということを忘れちゃいそうなくらい楽しい!
こんなステキな所に誘ってくれたリゲルさんにはとっても感謝、ですねっ。

わぁ、お土産さんも色々あって目移りしちゃいますよ!
え?耳付きカチューシャ?ボクにですか?
遊園地のプロたるリゲルさんのオススメ、これはつけないわけにはいきません!
どうです?似合います?
まぁボクはカワイイので、当然似合ってるとは思うのですけれど!

リゲルさんもなんかつけ耳や尻尾…って、自前のありますよね。
じゃぁじゃぁ、この星型の変…もとい!面白いサングラスとか!どうでしょう!
つけてみてくださいよぅ!

※アドリブ、絡み歓迎



「知識では知っていましたが……こんなに楽しいのですね!」
 もう、お仕事の一貫だという事を忘れてしまいそうな程、と。
 ゴーグルの下でぴかぴかと宝石のように瞳を輝かせるメルト・プティング(夢見る電脳タール・f00394)はお伽噺の街並みを悠々と歩み。
「こんなステキな所に誘ってくれたリゲルさんにはとっても感謝、ですねっ」
「うんうん、メルトちゃんが楽しいならなによりっすよー。さっき乗ったやつもすごいスピードで面白かったっすよねー♪」
 彼女をエスコートするリゲル・ロータリオ(飛び立て羽ばたけどこまでも・f06447)も、彼女が楽しんでいる事を感じる事ができてニッコニコだ。
 なんたって彼女がテーマパークへと訪れる事が初めてだと聞いて、リゲルは彼女が力いっぱい楽しんでもらえるように沢山沢山案を練ってきたのだから。
 一通りアトラクションを回れるように、時間管理は完璧に。
 休憩も適時挟めるように、今は休憩がてらのショッピングだ。
「わぁー、お土産屋さんもお話がモチーフなんですね、見ているだけで楽しくて目移りしちゃいますよ! ……あっ、見て下さい! 先程のヒーローのお饅頭ですよ!」
「おお、美味しそうっスね! ……あ」
「え? どうされましたか、リゲルさん?」
「――これ、メルトちゃんに似合いそうっすねー。……ほら!」
 リゲルが手に取ったのは、獣耳のカチューシャだ。
 振り向いたメルトの頭に、着けてあげると――。
「……遊園地のプロたるリゲルさんのオススメ、これはつけないわけにはいきませんね!」
 ぐぐっと拳を握りしめて、カワイイ横ピJKポーズをキメるメルト。
 JKはこういう場では浮かれきる生物なので、今メルトは最高にJKをしていると言えよう。
「どうです? 似合います? ――まぁボクはカワイイので、当然似合ってるとは思うのですけれど!」
「……うんうん、やっぱり似合うっすね。俺とお揃いっすねー」
 褒められれば、ふふふ、と楽しげに笑ったメルトの笑顔はやっぱりぴかぴか。
 備え付けられた鏡を覗き込めば。
「ああ。本当です、お揃いですねー」
 そこでメルトは思いついた様に商品棚に向き直って、沢山のカチューシャや帽子が立ち並ぶ棚の吟味を始める。
 ……ええと。
「じゃあじゃあ、リゲルさんも何かつけ耳……」
 彼を見る。
 獣耳どころか、角まである。
 なんて贅沢。
「……尻尾……」
 いいえ!
 ながーい尻尾に、なんなら翼まである!
 マー!
 キマイラったらなんて贅沢なんでしょう!
「……自前のがありますね」
「実はあるんすよー」
 後頭部を軽く掻いて、リゲルは困ったように笑い。
「じゃぁじゃぁ、この星型の変……もとい! 面白いサングラスとか! どうでしょう! つけてみてくださいよぅ!」
「ええっ!? この変な……もとい、面白いサングラスを!?」
 と言いつつも、メルトにお願いされると弱いリゲル。
 妙に大きな星型のサングラスを身につければ、もう、浮かれきったテーマパークボーイそのものだ。
「ふふふっ! 良く似合うじゃないですか、リゲルさん」
「えーっ、本気っスかメルトちゃん!?」
 笑うメルトに、驚くリゲル。

 お会計を済ませたら、次は何処に行こうか?
 まだまだ夜まで時間はあるのだから、パレードだって、ショーだって見に行こう。
 初めてのテーマパークを、彼女がめいっぱい楽しんで貰えるように!

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

誘名・櫻宵
🌸リル/f10762
アドリブ歓迎

リル
遊園地に大はしゃぎね
可愛いから写真撮っちゃう!
まずはあそこで―
待ってリィ!

人魚のコースター?可憐だわ
…人形とか見てる余裕なかったしなんで最後水の中に突っ込むのよ死ぬかと思ったわ
桜が散る位の衝撃
リィが楽しそうだからOK

翼竜ライド?空ならまぁ
…砲丸投げの球の気分だったわ!
リィが喜んでるからOK

エッ垂直に落ちるの?!
アリスだからだいじょ…ばなかった
魂抜けそう
リィが満面の笑みだからOK

もしかして絶叫系好き?
実は絶叫系は得意ではないなんて言えない
一休み
次は次はと瞳煌めかせる彼を見る
大変可愛く愛おしいくそれだけで遊園地に感謝するほどよ
楽しいわ

でもそろそろ写真も撮らせて


リル・ルリ
■櫻宵/f02768
アドリブ歓迎

櫻!櫻!あれに乗ろう
写真は、あと!
全てが目新しくて楽しくて大はしゃぎ
櫻の手を引っ張る

まず人魚のこーすたー
海の中を駆け回ってどーんってなってバジャーってなるんだ
水中でない海の中だから大丈夫
歌もお人形も可愛くて楽しかった

次はあれ
翼竜に座りお空をぶんぶん振り回される
あはは!風が気持ちいいし景色も綺麗
楽しいね
遠くへ飛ばされそうだ

次はあれ!
アリスが兎の穴に落ちるやつ
真っ逆さまに落ちるんだ
ぐるぐる不思議な世界へ真っ逆さま
目が回りそうで楽しかったね

ふふ、勢いがいいのは好きだ
じゅーすを飲みながら一休み
櫻と一緒なのが1番嬉しい
次はあっち!

写真も撮りながらいこう
一緒に楽しみたいから


誘七・一華
🌺 フレズローゼ/f01174
アドリブ歓迎

今日も変わらぬ一日が始まると思っていた
兄貴への引け目が何かで唯一俺に優しい母様に背をおされ
兎娘に連れ出され夢のような場所

遊んでいいのか?
フレズ!
初めてでもお前には負けないからな
我ながら子供らしい

コーヒーカップをぐるぐる回されれば張り合って回し返し
一緒に目が回った
馬は兄貴は乗れるけど俺は―劣等感も吹き飛ぶメリーゴーランド
ジェットコースターは風をきって最高だ
気がつくと笑ってる俺がいて
満面の笑みを返すフレズがいる
楽しいってこういう事か
お前こそついてこいよ!

チェロスを食べながら午後の予定だ
計画的に全部制覇する!
褒められるのも嬉しくて得意になる
当たり前だろ!


フレズローゼ・クォレクロニカ
🍓一華くん(f13339)
アドリブ歓迎!

一華くーん!
豪勢なお屋敷から怪盗のように一華くんを攫いだした
ボクのがお姉さんだからリードする!
初めてなんでしょ?

不思議の国エリアは夢がいっぱい
コーヒーカップをギュンギュン回して
超速いメリーゴーランドにのり
キノコトランポリンもキメて
ジェットコースターだ!
ボクはこんなんじゃ終わらない
ついてこれる?

作戦会議
チェロスを食べながら真剣に計画を練る一華くんの横顔はやっぱり櫻宵に似てる
(…弟か。龍の一族の中で羅刹…苦労してそう)
だから今日は羽目を外して楽しんで欲しい
計画的ですごいね一華くん!
当然のように褒めれば喜びすぎなくらい得意げで微笑ましい

よーし!遊び倒すぞー!



 いつもと変わらない朝。
 いつもと変わらない家。
 この屋敷の中で唯一、自らに優しい母と挨拶を交わし。
 俺は廊下を歩む。
 あの優しさはきっと家を出ていった――『あいつ』への引け目なのだろう。
 肚の底に溜まった言いしれぬ感情を吐き出すように、俺は息を吐いた。
 今日も『誘七家宗家の次期当主』としての一日が始まる。
 艶やかな黒髪を撫で付け、窓の外を見やる。
 そこには、あまい蜂蜜を抱く薄紅色。
「――……一華くーん!」
「……フレズ!?」
 そうして訪れたのは、夢のような――否、夢の国。
「……遊んで、いいのか?」
 誘七・一華(牡丹一華・f13339)は茫洋たる王国を目前に、フレズローゼ・クォレクロニカ(夜明けの国のクォレジーナ・f01174)を見上げて、確かめるように呟いた。
「勿論! ……初めてなんでしょ? ボクがリードしてあげよう!」
「む。……初めてでも、お前には負けないからな」
 なにせボクのがお姉さんだもん、と小さく胸を張ったフレズローゼに。ぱっと瞳の奥に対抗心を揺らした一華。
 口をついて出てきた言葉に、自分の事ながら子どもっぽかったか、と肩を竦めて。
「そうだね、じゃあ競争だ!」
 笑って、走り出すフレズローゼ。
「は? 先に走り出すなんてズルいぞ!?」
 そうして二人は駆け出す、目指すは不思議な国のエリアへ!

「櫻、櫻! 僕、あれに乗りたい!」
 あっ、でも次はあっちのも、乗りたいし。ええと、どれから乗ろうかな?
 大はしゃぎしながら、アトラクションを指差すリル・ルリ(想愛アクアリウム・f10762)の姿。
「うふふ、大はしゃぎね」 
 ――ああ、はしゃぐ姿までなんて可愛い子なのかしら。
 そんな彼の姿を永遠に留め置く事に使命感すら感じ、カメラを構える誘名・櫻宵(屠櫻・f02768)。
「ダメ、ダメ、写真は、あと!」
「わっ……待って、リィ!」
 初めての場所、初めて見るもの! 全部全部楽しみで、楽しくて。
 櫻宵の手を引いて、空中を駆けるように泳ぎだしたリルに引かれて櫻宵も駆け出す。
 まずは人魚のコースターだ。
「ま、可憐で素敵ね」
 人魚の歌声に誘われ進む二人を待ち受けるモノは――。

 一方。
 高速回転するコーヒーカップの上。
「……負けないからな!」
「ふふふ、早い、早いよ一華くん! ボクも負けないぞ!」
 一華とフレズローゼは、競うようにコーヒーカップのハンドルを回し合っていた。
 高速回転する世界。
 お、おおおおおれは、ま、まままけない!
 ぐるぐる、三半規管の先を超えて行こう。

 未だ少し興奮気味のリルは拳をぎゅっと握って、熱っぽい口調で語る。
「海の中をぐるっと駆け回って、どーんでバジャーで、楽しかった!」
「……死ぬかと思ったわ」
 歌も踊る人形も何もかも速さに攫われて見ている余裕なんて無かった。
 しかも最後水の中に突っ込むなんて。
 なんて恐ろしい乗り物なのかしら、とぶるると背を震わせる櫻宵。角の桜花弁だってしおっしおだ。
「それに歌もお人形も、すごく可愛かった!」
 しかし。
 リルのぴっかぴかの笑顔を見れば、櫻宵だって笑み栄ゆ。
「ええ、ええ。そうねぇ」
 リルが楽しそうだからオッケ~。

 一華はメリーゴーランドの白馬の上に跨って。
 その後ろへ、フレズローゼは横座り。一匹の馬に乗馬する二人。
「うわあっ!? 何だこれ……、本物より早いんじゃないか!?」
「なかなかエスコートが上手じゃないか、一華くん。この馬達の中で一番の速さじゃないかい?」
「……そうかもな!」
 本物の馬には、乗れないけれど。
 ――いやあのカマ野郎は乗れるらしいけれど。
 そんな下らない劣等感すら、吹っ飛ぶ速度で回転する世界。
 なんだか、とても眩しく光る。

「次は……翼竜ライド? 空ならまぁ……」
 櫻宵の上手なフラグ立て。リルと二人翼竜に跨がり――。
「あはは! 風が気持ちいいし、景色も綺麗! 櫻、凄いね! 楽しいね!」
 リルの弾んだ声。
「そ、そそそうねぇええ」
 砲丸投げの玉にでもされたような気分だわ!
 底知れぬ浮遊感に、きゅっと内股気味になる櫻宵。
 飛ばされないように安全バーをギュッと握りしめたまま、ぐるんぐるん回る世界。
 リルの笑顔が、とても眩しい。
 目が回りそう。
 でも、リルが喜んでるからオッケ~~!!

 きのこのトランポリンはふうわふわ。
「うわっ、思ったより高く跳ねるんだな!」
 ぽよん、と跳ねた感覚に、目を見開いた一華。
「うさぎは跳ねる事だって得意なんだ! 付いてこれるかな?」
「――俺の方が、高く飛んでみせるっ!」
「うふふふー、うさぎのボクに勝てるかな?」
 笑みに眉開けるフレズローゼに一華は挑み顔。
 もっと高く、もっと上に!

 ウサギの穴に落ちる少女はあなた。――不思議な国へ、ようこそ!
 安全バーを降ろされながら、リルが櫻宵を見上げ。
「これ、真っ逆さまに落ちるんだって」
「……えっ、垂直に落ち……?」
 櫻宵が言葉を紡ぎきる前に、穴へと落ち始める二人。
「わーーっ、ぐるぐる回るんだ! すごい! すごい!」
「……! ……!?」
 不思議な不思議なウサギの穴。壁には時計に、櫛に――。
 ファンシーな見た目に反して凄い動きをするライド。
 大喜びのリルの横で、何も言えなくなって奥歯を噛みしめる事しか出来ない櫻宵。
 角の桜の花はもうしおしお。
 これこのまま魂を持っていかれたりしないかしら?
 あっ、でもでも。リルが満面の笑みだしオッケ~~~~!!!!

 世界がぐるんと回転する、浮遊感、疾走感。
 悩みだって吹っ飛んでしまいそうな、心地よさ!
「いえーーーいっ」
「……うおおお、凄いな!」
 ジェットコースターのライドの上。フレズローゼも一華も思いっきり叫ぶ、叫ぶ。
 それは、楽しいという感情なのだろう。
 気がつけば、自然と頬を綻ばせていた一華。
 横を見れば、フレズローゼだって笑っている。
 ――楽しいってこういう事か。
「――まだまだ終わらないよ。一華くん、付いてこれる?」
「お前こそついてこいよな!」
 カシャリ!と小さな音と共に、ジェットコースターのライドフォトカメラが二人の笑顔を捉えた。

 備え付けのカフェテーブルの一角。
「……ふう、一気に乗ったわねぇ」
「全部、全部、楽しくて凄いね!」
 青い瞳を宝石のように煌めかせて微笑むリルがジュースを一口。
 つめたい、あまい。
 ジュースにもフルーツがたっぷり入っていてキラキラで宝石箱のよう。
 これも美味しくて、とっても楽しい。
 でも、今日楽しいのはそれだけじゃない。
 櫻宵と一緒に過ごせるのが、一番うれしくて、楽しい!
「そうね、素敵だったわ……」
 そんなリルの言葉に顔を上げ。
 櫻宵は、彼と視線を交わす。それは――ずっと、聞きたかったコト。
「ねえ、リィ。……あなたってもしかして、速く動くアトラクションが……好きなのかしら?」
「ふふ、勢いがいいのは好きだよ。とても気持ち良いよね」
 同意を示すように、蕩けそうな笑顔で櫻宵を見上げるリル。
「……ふふ、そうなのね」
 ああ、櫻宵は告白する機会を失ってしまった。
 実は絶叫系は得意では無い、なんて今更言えない。
「……ねえ、櫻。次はどこに行こうか?」
「そうね、あたしはこっちのショーも気になるけれど……、王子様は何がお好みかしら?」
「ボクはー……」
 かしゃり、と。
 思い出したかのように、マップを指さしながら瞳を輝かせるリルを写真に収めて櫻宵は笑う。
 リルと過ごせるだけで、櫻宵は最高に楽しいのだから。
 彼が可愛くて、愛おしくて。
 それだけでもココに来れた事を、感謝してしまいそうだ。
 写真にも、心にも、沢山思い出を残して行こう。

「さて、俺達はさっきこのショーを見ただろ? だから皆がこのショーの次回の部を見ている間はこちらのアトラクションが空くだろうから――」
 チェロスを齧りながら、午後の予定の作戦会議。
 計画的に全部制覇するにはどうすればよいのか。
 真剣な表情で一華はマップとにらめっこ。
 そんな彼の横顔は。――やはり櫻宵に似ている。
 家を勘当された櫻宵の――弟。『誘七家宗家の次期当主』。
 龍の一族の中で、たった一人の羅刹。
 ああ、……苦労をしているのだろう。
 フレズローゼには想像ができる、想像は出来るがそれを肩代わりしてあげる事は出来ない。
 それは、彼のモノだから。
 だから今日は羽目を外して楽しんで欲しい、なんて。それは彼女の祈りで、エゴなのかもしれない。
「フレズ! ……と、いう計画でどうだ?」
 ぱ、っと顔を上げたフレズローゼはこっくり頷いて。
「おお、計画的ですごいね一華くん!」
「当たり前だろ!」
 胸を張って、得意げな表情で一華は喜び。
 なんだかその様子がくすぐったくて、微笑ましくて。フレズローゼも破顔一笑する。
「よーし! 遊び倒すぞー!」
「おう!」
 まだまだ、夜まで時間はたっぷり。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

柊・雄鷹
ハレちゃんと!(f00145)
おぉー遊園地や!ハレちゃん、遊び尽くすでっ!!
まずは何から行こか…軽いジョブにホラーハウスとか、どや?
え、なんでそんなに必死なんワロタ

チュロスもポップコーンもアイスも後で!良いやん!!
胃袋心配される歳やないし!!!
ワイ絶叫系乗りたい、乗りたい乗りたい!!
ハレちゃん絶叫系行こっ!!
あかんのならしゃーない、先にホラーハウスに…
マジかよハレちゃん、必死すぎてワロタ

やっぱりこう言うんは最前線で乗るに限るな!
ハレちゃん、ホラー系はあかんでも絶叫系は行けるんか?
あっ、はい…毎回必死すぎて笑う、逆に笑う
おっ!順番が来たみたいやで、乗ろかー!!


夏目・晴夜
ユタカさん(f00985)

これは目移りしますね…!
やはりまずは食べ物……は?頭おかしんですか?
何故こんな華やかで楽しそうな場所に来たというのに、
わざわざ暗くて、照明控えめで、如何にも薄暗そうな施設に入ろうとするんですか
いや別に必死じゃないですし

まずは胃に食べ物を入れるべきです
チュロスとかポップコーンくらいの揚げ物だったらオッサンの胃にも優しいかと
もしくは暑いからアイス

えー、絶叫系ですか
ユタカさんと違って私はクールなので絶叫しないんですよね
いやもうわかりましたよ、はいはい絶叫系行きますよ

ホラー系も絶叫系も平気です
このハレルヤに怖いものなど皆無です
勘違いかまして笑ってないで、さっさと乗ってください


浮舟・航
【メアさん(f14587)と】
遊園地、一人ではなかなか入れません
いい機会です。絵の資料をたくさん撮っておかないと…
メアさん、ウキウキで何を……置いていきますよ

へえ、乗りたいものですか?何でしょ、
ジェッ……(スゥーッ)(顔が青くなる音)

いえいえ、大丈夫ですよ
(苦手とか言ったら僕のキャラ的にカッコ悪いし…)
あのジェットコースターって死ぬやつですか?死なないやつ?
死なないやつか、じゃあなんとか…

たぶんって言いました?

~事後~

死ぬやつだったじゃないですか…
まさか後ろに回転するとは
じゃあお言葉に甘えて、肩かしてください
ちょっとカッコ悪いですね

(でも、楽しそうだし良かったな)

はい、行きま……(伏せたまま)


メア・ナイトメア
【浮舟さま(f04260)と】

ふふん、ふふん
まさか浮舟さまから遊園地でーとにお誘い頂けるとは!
素直じゃありませんねえ浮舟さま。やんやん
……あ、ごめんなさい、置いてかないで

さて遊園地に来たら当機、乗りたいものがあるのです
そう、ジェットコースターです!
後で全部回るとはいえ、まずは気分よく風になりましょう!

あれ、どうしました浮舟さま。顔色が悪いですが
死なないか? ええ、死にませんとも
たぶん

……ま、まさか浮舟さまがこんなになるとは
休憩所で休んでいきましょう。えーと、肩なら貸しますとも。
……ふふ。いえ、その有り様を笑ったわけではなく
ええ、なんだか……楽しくて

ほら、行きますよ浮舟さ(つまずく)ああぁぁ……



「これは……、目移りしますね……!」
 表情筋の動きはイマイチだが、灰の耳をぴんと跳ね。ぐるりと周りを見渡した夏目・晴夜(不夜狼・f00145)。
「おぉーっっ、遊園地や! ハレちゃん、遊び尽くすでーっ!!」
 その横で彼とは裏腹、ぴかぴか華やかな笑顔。
 発達しきった表情筋で笑む柊・雄鷹(sky jumper・f00985)が、握った拳を突き上げて大きな声で宣言を。
「まずは何から行こかー?」
「はいはい。ではまずは食べも」「あ! 軽ーいジョブにホラーハウスとか、どやろか?」
 いつもながらうるさいな奴だなあ、って雰囲気を醸し出しながら。晴夜がマップに視線を落とした瞬間。
 被せるように雄鷹が指示した先は、おどろおどろしいエリアの一番ど真ん中。
 それは迷宮ホラーハウスと銘打たれたアトラクション。
「は? 頭おかしいんですか?」
 一瞬で氷点下まで冷え切る晴夜の瞳。
「何故、こんな華やかで楽しそうな場所に来たというのに、わざわざ暗くて、照明控えめで、如何にも薄暗そうな施設に入ろうとするんですか? その上迷路なんでしょう、人生だけじゃなくて道にまで迷いたいとか正気ですか? 大丈夫です?」
 あまりに滑やかに動く晴夜の唇から紡がれる、早口気味の暴言と拒否の言葉。
「え、なんでそんなに必死なん? ワロタ」
「いや別に必死じゃないですし」
 瞳をいやらしい笑みに歪めた雄鷹が、口元を抑えて鼻を鳴らし。
「それよりも、まずは胃に食べ物を入れるべきです」
 晴夜はそれを一蹴して、マップを指差す。
「チュロスとかポップコーンくらいの揚げ物だったら、油物が辛くなってきただろうオッサンの胃にも優しいかと思いますが?」
 あ、暑いからアイスも良いですね、なんて。晴夜の示す先は、カフェエリア。
 拳を握って、ぶんぶんと首を振る雄鷹。
「チュロスも! ポップコーンも!! アイスも!!! 後で!!!! 良いやん!!!!! 大体ワイ、胃袋心配される歳やないし!!!!!!」
 雄鷹は大きな子どものように、両手を上へと突き上げて。大きな翼をばっさばさ。
「ワイ、絶叫系乗りたいー、乗りたい乗りたい!! 乗りたーい!! ハレちゃん絶叫系行こっ!!」
「えー……、ユタカさんと違って私はクールなので絶叫しないんですよね」
 うるさいうえに場所までとるなあ、って雰囲気を醸し出す晴夜が冷ややかに言い放ち。
「……あかんのならしゃーない、先にホラーハウスに……」
「いやもうわかりましたよ、はいはいはいはい。はいはい、絶叫系行きますよ」
「マジかよハレちゃん、必死すぎてワロタ」
「いや別に必死じゃないですし」
 食い気味に言葉を重ねた晴夜に、雄鷹はニッコリ。
 いつもの目付きで雄鷹を一瞥した晴夜は、肩を竦めて歩き出す。
「いやあー、ハレちゃん待ってや~! 置いてかんといて!」
 慌てて雄鷹もその背を追って、歩き出す。

 敢えて通行人が入るように、そびえ立つ城を見上げ。
 スマートフォンを構えて、撮影ボタンをタップ。
 写真データが保存された旨が通知された液晶画面をスワイプする浮舟・航(未だ神域に至らず・f04260)。
 遊園地なんて、なかなか一人で来る機会も無い。
 資料を沢山確保できそうだ、と振り返った航の後ろ。
「ふんふんふーん、ふんふんふーん」
 深い深い深淵にも似た色を湛えた瞳を輝かせて、メア・ナイトメア(リアクト・f14587)はご機嫌な鼻歌に合わせてくるりくるりとその場で回って周りを見渡している。
 眼鏡の下で、玲瓏と冱える空色の瞳に落ちる睫毛の影。瞬きを二度重ねた航は、首を小さく傾げて。
「メアさん、随分とウキウキですね」
「いえいえ! まさか浮舟さまから、遊園地でーとにお誘い頂けるとは! 前回はでーとではないと否定されてしまいましたし、今度こそ!」
 今回も工具セットだってバッチリ完備。
 人形めいた笑顔で、工具セットを航へと見せつけた。
「……ソレはしまってくださいね、追い出されちゃいますから」
「アレ、アレ? 素直じゃありませんねえ、浮舟さま!」
 やんやんと身体を揺すったメアに、片眉を上げた航は踵を返し。
「……置いていきますよ」
「……あ、ごめんなさい、待って下さい。当機を置いて行かないで」
 慌てて工具セットを閉まったメアは、航の横へと駆け足で追いつく。
「……さて、さてさて! 遊園地に来たならば! 当機、乗りたいものがありまして!」
「へえ、乗りたいものですか? 何でしょうか」
「そう、ジェットコースターです!」
「ジェッ……」
 理解できた故に変な声が漏れる。
 一瞬で深海みたいな色になった航の顔。
 なんなら、足取りだって一瞬でガッタガタだ。
「ええ、ええ! 後で全部回るとはいえ、まずは気分よく風になりましょう! ……と、あれ、どうしました? ……浮舟さま、顔色が悪いですが……?」
「いえいえ、大丈夫ですよ……」
 本気で心配した様子で航を支えようとしたメアに、航は小さく手と首を振ってしゃんと立ち上がり。
 なにより――苦手だなんて言ったら、キャラ的に格好がつかないし。
 浅い呼吸を繰り返してメアと視線を交わしせば、真剣な表情で言葉を紡いだ。
「あの、あのジェットコースターって死ぬやつですか? 死なないやつですか?」
 絶賛、混乱デバフ発動中。
「え? 死ぬジェットコースター? ええ、ええ! 死にませんとも!」
 当機は日々この様な場所の職員が、アトラクションの安全管理に心を砕いている事もわかっています! と力強く頷いたメア。
「たぶん」
「……死なないやつか。うん、じゃあなんとか……」
 はた、と顔を上げる航。
「……今たぶんって言いました?」
「はて?」

 ジェットコースターの乗り口は高所にある。
 1、と表記された番号の上に立つ雄鷹と晴夜の姿。
「やっぱり、こう言うんは最前線で乗るに限るなー! 一番前に行けてラッキーやったな!」
 からからと笑う雄鷹は、遠くに聞こえる楽しげな絶叫に瞳を細めて。
「しっかし。ハレちゃん、ホラー系はあかんでも絶叫系は行けるんか?」
「ホラー系も絶叫系も平気です。このハレルヤに怖いものなど皆無ですので」
「毎回必死すぎてワロタ。逆にワロタ」
 素気なく晴夜は瞳を細めて。
 こらえきれない様子で口元を掌で覆う雄鷹に、晴夜の人を射殺せる視線。
 そんな二人の前へと、レールの上を滑ってジェットコースターのライドが到着する。
「勘違いかまして笑ってないで、さっさと乗ってください」
 係員がテキパキと安全柵を開けば、嘆息しながら晴夜は顎をしゃくって促すように。
「あっ、はい……、よっし! 乗ろかー!!」
「さっきから、そう言ってるじゃないですか」
 凸凹相棒達は横並び。安全バーが下がり――。

「死ぬやつだったじゃないですか……」
「……ああああ、ま、まさか浮舟さまがこんなになるとは……大丈夫ですか?」
 航の言葉に、メアは大げさに嘆き悲しむ。
「まさか人が死ぬジェットコースターが実在していましたなんて……!」
 後ろに回転して、なんなら宙返りだってさせられた。
 メアは殺人コースターに乗ってた結果無事死亡した航へと肩を貸して、二人は休憩所に急ぎ足。
 は、と細く息を吐いた航は、地面を見やって。
「……ちょっとカッコ悪いですね」
「いえ、……ふふ」
 メアより漏れた小さな笑い声。
 顔を伏せたまま、航は視線だけでメアの表情を窺う。
「――いいえ、いえ。その有り様を笑ったわけではなく」
 その言葉は、何処か柔らかく響く言葉だ。
「ええ、なんだか……その、楽しくて」
「……そう、ですか」
 その表情は、航にはいつもよりも楽しそうにすら見えて。
 身体の心地悪さとは裏腹、航の心は軽くなるよう。
 ――楽しそうだし、良かった。
 顔を上げたメアは、まっすぐと前を向いて。
「はい、では! 急ぎましょう、浮舟さ」
「はい、行き」
 何も無い所に躓く機能も搭載されてますよ、当機。
 ずべしゃ。
 まあまあな勢いで、地面へと二人は突っ伏した。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

境・花世
綾(f01786)と

きみの眸がきらきらするのを、
説明なんて上の空で堪能
可愛、ウウン、なんでもないよ

ちいさな銀河鉄道に乗り込んで、
宙の果てへと向かうふたり旅
線路を進むたびに現れる新しい頁を
子どもみたいにわくわく一緒に捲ってく

……まるで、夢みたいだなあ

ほっぺたを抓ろうとした指先に、
綾のくれた星が確かにふれるから
現にしてもいいんだと嬉しくなる
きらめく世界、隣のうつくしいひとへ
お返しに蠍の火が燃える硝子玉を

旅路の終りは眩いばかりのひかりの方へ
終わるのが勿体ないくらいだ、
連れてきてくれてありが――

っぴゃ!?

びしょ濡れの顔を見合わせて、
しまらないなあと思わず吹き出す
だけどやっぱり、夢よりも楽しいんだ


都槻・綾
f11024/かよさん

人工の星燈る洞窟内
天の川に見立てた水路をミニ列車が走る銀河鉄道

最後は急斜面を下るそうですよ

入口で渡された透明シートを掲げ
水除け用に被れと言うことらしい、と
説明する口調も眼差しも
きっと星々に負けず輝いている

線路をゆったり走るひと時は
両岸の竜胆に触れてみたり
水に浮かぶ星飾りを掬って
かよさんへと差し出したり

急流のときは
周囲に瞬く流星の軌跡に
感心の声を上げたり

旅路の先に見るのは
終点を知らせる一点の光
速度を増した列車が
瞬く間に陽光の中へと飛び込んで――

あ、

短い声を上げると同時
盛大に浴びた水飛沫

シートの存在をすっかり忘れて
二人揃ってずぶ濡れに

一拍の後、
顔を見合わせ
弾けるように笑いあう



 人工の空にどこまでも、冱え渡る星々。
 天の川に見立てられた水路の中すらも、透き通るような銀河が泳ぐ鉄道。
 列車はことこと、ゆっくりと進む。
「最後は急斜面を下るそうですよ」
 入り口で渡された透明シートは、その水除けに被れと言う事の様ですよ、と。
 揺蕩う作り物の星々にも負けぬ程、その翠を快味の煌きを抱いた都槻・綾(夜宵の森・f01786)は、境・花世(*葬・f11024)を見やって言葉を重ね。
「うん、うん」
 返事を重ねる花世はどこか上の空。
 それはアトラクションの煌きに見惚れている訳では無く。
 翠の中に揺れる星々の煌きに、心を奪われてだ。
「可愛……」
「――はて?」
「ウウン、なんでもないよ」
 思わず漏れかけた言葉を飲み込んで、花世は小さく首を振る。
 あぶない、あぶない。

 周りを見渡せば、流れる星々の中にお話が広がっている。
 咲き誇る竜胆に綾が手を伸ばせば、
 あおい琴の星、よだかの星。
 たくさんの星々。青やだいだい、あらゆる光が散りばめられた十字。
 伝統とシグナルの灯りを飲み込んで、どこまでも進む列車。
「……まるで、夢みたいだなあ」
「おや、夢ではありませんよ」
 夢で無い事を確認しようと、花世が頬へと指先を寄せると。
 綾はさやりと笑って流れる星を一つ掬いあげ、彼女へと差し出した。
 一瞬瞳をどんぐりみたいに大きく揺らして、未だ夢の中に居るような色を宿したまま花世は微笑む。
「うん。ありがと、綾」
 頬を抓まずとも、この星が教えてくれる。
 この宙の旅を、現にして良いのだと。
 淡く瞳を細めて笑み湛える綾へと、綾がお礼に掬い上げたのは真っ赤なうつくしいさそりの火が燃える硝子玉。
 どこまでもどこまでも進む列車は、流星に飲み込まれる。
 それは大きな暗の中だと言うのに、ぴかぴかと輝く宝石のように様々な色にあふれていた。
「……これは、圧巻ですね」
「わあ、きれい……!」
 二人が息を飲んで、瞳を見開く。
 ああ、このままどこまでもどこまでも、一緒に進んで行ければいいのに。
「……終わるのが勿体無いくらいだ、連れてきてくれて――」
 そのまま、花世の言葉が紡ぎきられる事は無い。

 ――速度を増した列車は眩い白光に飲み込まれ、そして大きな水音が響いた。
「あ、」「っぴゃ!?」
 水飛沫が盛大に列車を形どったライドの上へと巻き上がる。
 二人はすっかり、濡れ鼠だ。
 顔を見合わせて、瞬きを一つ、二つ。
 そして、弾けるように笑った。
「ふふふ、……シートを被る事も忘れてすっかりと魅入ってしまいましたね」
 手にシートを持ったまま、綾が肩を竦めて。
「あは、はははっ、もー、もう。しまらないなあ!」
 掌で顔の水滴を拭った花世は、ふるふると顔を揺すり。
 逆の手できゅっと握りしめる、星飾り。

 ああ、しまらないけれど――だけどやっぱり、夢よりもずっと楽しいんだ。

 硝子玉の中で、さそりの火はゆらゆらと揺れ燃える。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

冴島・類
※黒羽君(f10471)と

おつとめ前なのに
ちょっとわくわくするね

人の子のような幼い頃があった訳ではないけど
彼等が友と遊ぶ様には興味があったんだ
既に似たよな場に来たことあるらしい
経験者の黒羽君にこぼし
君は、どんなのが気になる?
賑やかな園内にきょろり

あ、あれ
こーひーかっぷ、だね
恐怖体験は後で怪異が待ってるし
今は楽しいの乗ろう

流れだす音楽
回り出すかっぷ
おお……すごい!
景色が早いねえ
慣れてきたら黒羽君の様子見て
にこー
スピードあっぷ、してみる?

かき混ぜられてる紅茶の気持ち…

はっ、遊びすぎてしまった
柱に寄りかかってるのみて
ごめんごめん
少し休憩しようか

で、回復したら
ぽっぷこーんとやらも食べに行ってみよう


華折・黒羽
類さん(f13398)と

口にしたように楽しみといった表情を見せる彼を見て
次いで見上げるてーまぱーく

以前に乗ったことのあるじぇっとこーすたーという乗り物は
事前に苦手だと打ち明けていた為かそれ以外を提案され安堵の息を吐き
その優しさに感謝しながら頷いた

恐る恐ると乗り込む大きな茶器
こーひーかっぷ、というらしい
中央の器具を回せば同じ方向にその茶器も回る

不思議な体験に物珍しそうに視線巡らせ
慣れてきた頃に彼に浮かんだ笑顔
軽率に了承し

─後に、後悔する

降りた後、世界がぐるぐると回り続け
足元はふらりふらり
適当な柱に寄り掛かりながらも
ぽっぷこーんという単語にはぴくり耳動かした

……回復、したら

旺盛な食欲は健在のようだ



 賑わいを目に耳に。
 遠くを見渡すように、額に当てた掌。
「おつとめ前なのに、ちょっとわくわくするね」
 冴島・類(公孫樹・f13398)には行き交う子ども達のような幼い時期があった訳では無いが、彼らが友と遊ぶ様は繰り返し『見ていた』。
「黒羽君は、似たような場所に来たことあるのですよね?」
 漆黒の毛並みを携えた獣人――華折・黒羽(掬折・f10471)は、その問いにこっくりと頷き。
「はい。一度だけ、ですけれど」
 パークマップを片手に二人目的を持たずに歩きながら、周りをぐるりと見渡す類。
 人の姿と成ってから日の浅い彼の目に映る風景は、どれも初めてのものばかり。
「成る程、経験者として黒羽君は気になるものはある?」
「そう、ですね……」
 大きなお城、ポップな屋根のお土産屋さん。
 可愛いカートの上から漂う、ポップコーンの甘い匂いが鼻を擽る。
 頭の上に張り巡らされたレールを辿って、ジェットコースターに乗る人々の楽しそうな声が通り抜けて行き、黒羽がギクリと上を見上げた。
「あ! あれ。たしか……こーひーかっぷ、と言うやつだね」
 以前遊園地に訪れた際に、ジェットコースターに乗って黒羽が散々な目を見たことは事前に聞いていた。
 ジェットコースターを見ただけで肩を跳ねた彼に、類は小さく笑んで。
 だからこそ、少し先に見える大きなコーヒーカップを指差した。
「恐怖体験は後で怪異が待ってるしさ、今は楽しいのに乗ろうよ」
「……はい、いいですね」
 類の気遣いに安堵の息を洩らして、黒羽は再びこっくりと頷き。
 二人は大きなコーヒーカップへと向かい、歩き出した。

 人気アトラクションに比べれば、ずうっと行列は短く。
 すぐに乗る事の出来たコーヒーカップに、二人は向かい合う形で腰掛けて。
 音楽に合わせて、緩やかにカップは回転を始める。
「おお……、すごい! 景色が早いねえ」
 くるくる流れ行く世界に、笑みを綻ばせた類。
「へえ、面白いものですね」
 自らが動かずとも回る世界は、どこか不思議な感覚。
 ハンドルを手に取って回してみれば、同じ方向に乗っているカップも回る。
 くるくる、くるくる。
 キョトキョト周りを見渡して。警戒に無意識に毛並みを膨らませて閉まっていた黒羽も、段々慣れてきたのであろう。
 徐々にその不思議な感覚に身を委ね始め――。
 そんな彼に類がニッコリと微笑んだ。
「ねえ、スピードあっぷ、……してみる?」
 すぴーどあっぷ。
 早くなると言う事だろうか?
 しかし――この様子ならば、きっと平気であろうと。
「なるほど……、良いですよ」

 ――そして黒羽はその軽率な返事を、深く後悔する事となる。

 かき混ぜられた紅茶どころか、ホイップクリームになってしまったような気持ち。
 足元はふらふら、世界はぐるぐる。
 レシピは簡単、カップを数分かき混ぜるだけ。
 それだけで柱へと向かって顔から突っ伏し寄り掛かり、普段の4倍くらい静かな黒羽の完成だ。
 もうダメ。
「わー、ごめんごめん! 少し休憩しようか」
 遊びすぎてしまった、と類が手を合わせて謝罪を一つ。
 少しだけ困ったように、顎に掌を当てて。
 思い当たったのは、ジェットコースターに乗る前の事。
「……少し休憩して……、黒羽君が回復したら、ぽっぷこーんとやらも食べに行ってみようよ」
 彼がポップコーンのカートを、少し気にしていた事を思い出したのだ。
 その言葉に、機敏な動きでぴん、と耳を跳ねた黒羽。
「……回復、したら」
 ぐるぐる回る世界の中でも、彼の旺盛な食欲は健在のようで。
「じゃあ、決まりだね!」
 類が瞳を細めて、頷いた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

揺歌語・なびき
【空】
ゆーえんちだよ~(きゃっきゃ
久しぶりだなぁ、幽子さんは初めて?
楽しめるといいねぇ

まずは売店でお買い物
みんな、耳つける?んーとじゃあおれ…あ
自前の狼耳+圧倒的ふわふわ熊耳が我ながらじわじわくる
同じく自前を出しっぱなさつまさんや常盤さんとお揃い!

ジェットコースターって乗ったことないんだよねぇ
でもそんな高いとこまでは…
結構高いねぇ…しかも回転するんだこれ…
やっぱなしというのは…あ、常盤さんうきうきしてる!
コノハさん手を離して…くれない…

うっ乗っちゃった
もう降りられな…うわすごい速いなにこれびゃああ(絶叫
幽子さんハンカチ貸して…(涙を拭く

降り口で買える写真
おれすごい顔してそ…また絶叫系なの!?


コノハ・ライゼ
【空】のミンナと

ゆーえんち!
初めてじゃないケド遊園地ビギナーだからヨロシクねぇセンパイ方!

へえへえ付け耳!じゃあオレうさぎサンね
オレってばか弱いからぁ
あっはなびきちゃんは狼に熊なのにナンだか和むねぇ
ジンノは妙にはまってるし幽ちゃんは強カワイイ!
たぬちゃんのソレは……自前?

動物様ご一行で念願のジェットコースターへ
足の重いなびきちゃんの手を引いて最前列へゴー
やだ幽ちゃん、こんな楽しい拷問癖になっちゃうじゃナイ
ミンナに倣って両手上げ、裏声で歓声上げてみたりで降りるまでハイテンション
あ、写真あるンだ?記念に買ってこ!

アッチのアトラクション(絶叫系)も面白そう
夜イベも控えてるし、まだまだ楽しめそうだねぇ


神埜・常盤
【空】の皆と

遊園地は何度訪れてもワクワクするねェ
男子達は燥ぎ過ぎて逸れ無いように
幽君は……心配なさそうなので、脚元に気を付けてくれ給え

オヤ、皆で耳を着けるのかね?
僕は狼の耳を選ぼうか……あァ、なびき君とお揃いだ
色んな動物が居るねェ、其々似合っているとも

ジェットコォスタァ……あのトロッコみたいなヤツかね
愉しそうだ、乗ろう!乗ろう!

高所から見渡す眺めは壮観だなァ
安全バーから両手離し、重力に引かれ落ち行くのも愉快爽快
……まァ、本気の叫び声も聞こえるが

写真かァ、コノ君の店に飾ったら良いンじゃないかね
折角の思い出だ、僕も1枚買い求めるとも
夜も何か催しが有るのだろう?
今のうちに菓子の土産でも買っておこうか


絢辻・幽子
【空】
これが、ゆーえんち。楽しみで浮足立っちゃうけど
っふふ、足元には気をつけるわあ
そんなご機嫌のテンションのままで、売店で耳を物色
(かぽっと、鹿耳を装着。角つき)
耳on耳なふたりの様子に肩がぷるぷるしちゃいそ
ときちゃんはぽいし、コノちゃんは意外。みーんなかわい。

ひゅーんてしてごーっとしているそれを見て
新しい拷問器具のよう、なぁんて。思ってないわよ?

ふふふ、高い高ーい
ほうほう、両手を上にするの?
叫び声をBGMに自分もひゃーとかきゃーとか言ってみたり
新体験な高揚感に目も覚めちゃうわね、これ

写真私も1枚くださいなー
……なびきちゃん、ハンカチいります?

あ、アイスとか食べたいかも。夜も楽しみねえ。


火狸・さつま
【空】
わぁわぁ!みんなで!ゆーえんちー!(ばんざい)

おみみー!幽サン、何に、する?
コノうさちゃん…にあう…
常盤、おーかみさん…なびきちゃんと、お揃い!
俺、も、お揃いする!まぁるい耳…熊さん!
購入して、かぽっ!と装着
…ン?え?なに?札ついてる?
狸?コレ狸さんの、お耳、な、の???


じぇっと!こすたー!(わぁい)
乗ろう乗ろう!びゅーん!ってするの!楽しそう!
わーわー高ぁい!眺め!良い!ね!!
両手ばんざーいして、落ちるんだって!
ひゃぁーーいっ♪
あ!あっちに見えてるヤツにも!のりたい!な!
落下しつつ余裕で周囲きょろきょろ!
ぅわあぁあ!ぐるぐるーvV

楽しい!もっと乗りたい!!
写真?買う買うー!!
お土産も!



 狐耳をぴょっこり揺らし。
「わぁわぁ! みんなで! ゆーえんちー!」
 火狸・さつま(タヌキツネ・f03797)両手を上げて、ばんざーい。
「ゆーえんちだよ~」
 久しぶりだなぁ、と。灰緑に揺れるこちらの耳は狼耳。
 困ったような眉は下げたまま、くすくすと笑う揺歌語・なびき(春怨・f02050)も調子を合わせて。
「これが……ゆーえんち」
 こちらのお揃いは困ったような眉の角度だ。
 狐尾を揺らして、ゆうらりゆらり。絢辻・幽子(幽々・f04449)も調子を合わせたのか、どうなのか。のんびりと囁く。
「オレは初めてじゃないケド。遊園地ビギナーだからヨロシクねぇ、センパイ方!」
 楽しげに笑うコノハ・ライゼ(空々・f03130)が、皆の前でくるりと振り返り。
 こっくり頷いて応じたなびきは、幽子を見やってそういえばと瞬きを一つ。
「幽子さんは初めてだったよねぇ、……楽しめるといいねぇ」
「えぇ、楽しみで浮足だっちゃうわねぇ」
 なぁんて、と幽子は冗句めいた彩で相槌一つ。
「それは……、脚元に気を付けてくれ給え」
 インバネスを翻して歩む神埜・常盤(宵色ガイヤルド・f04783)は口角を上げて、彼女と同色の言。
「ふっふ、足元には気をつけるわあ」
 戯けて頷く幽子から視線を上げ、はしゃぐ男達を見やった常盤は肩を竦めた。
「あァ、君達。遊園地にワクワクするのも解るがね、燥ぎ過ぎて逸れ無いように気をつけてくれ給えよ」
 と、言われた端から……。
「おみみー!」
 物販カートに盛大に駆けてゆくさつま、自称遊園地ビギナーのコノハもその後に続き。
 彼らの眺めるカートに並ぶは、キャラクターなりきりカチューシャだ。
「へえへえ、良いモン見っけたねぇ。じゃあオレうさぎサンね」
 オレってばか弱いウサちゃんだからぁ、なんて戯けるコノハに真剣な表情を向けるさつま。
「コノうさちゃん……、に、似合う……!」
 これは夢の国へのパスポートのようなもので、力いっぱいはしゃぐには必須アイテムと言えよう!
「ふむ、皆が着けるのならば、僕も選ぼうかな」
「そうねぇ」
「んーと……じゃあおれは……」
 彼らを追って来た皆も、思い思いにカチューシャを手に。
 何にしようかな。どれにしようかな。どれも素敵に見えて、さつまは迷ってしまう。
「……ね。幽サン、何に、する?」
 困った時は人の意見も参考にと、横に立つ幽子を見やって。
「わたしは、こーれ」
 さつまの問いに、角の付いた鹿の耳を装着した幽子。
「おっ、強カワイイ~!」
 コノハがへらっと笑って、良いネ良いネと、うさちゃん
「……あァ、これはなびき君とお揃いだね」
「……んっふ……」
 狼の耳を選んだ常盤が顔を上げると、なびきが鏡を覗きながら笑っていた。
 自前の狼耳の前に、フワッフワの熊耳を並べて。
 オニーサン、今獣耳が4つもありますよ。
「常盤、おーかみさん……なびきちゃんと、お揃い! ……俺、も、お揃いする!」
 決めたと、さつまはその場でお会計。
 まあるいふわふわの可愛い耳を、その場で装着し――。
「……たぬちゃんのソレは……自前?」
 コノハが首を傾ぐ。
「え?」
 鏡を覗き込んださつまは、目をぱちくり。
 レシートも覗き込んで。
 アレ?
「……ン? え? なに? 狸? コレ狸さんの、お耳、な、の???」
「色んな動物が居るねェ、其々似合っているとも」
 タヌキタヌキとか、オオカミクマとか新種っぽいのも含めて色んな動物が大集合だ。
「ふふー、みーんなかわい」
 肩を竦めて、幽子が笑い。
 ――そして、遠くから響き渡る悲鳴に顔を上げた。
 幽子は瞳をぱちくり。
 悲鳴だけを残して凄い勢いで駆けぬけて行ったモノの正体――、それは頭上に張り巡らされたレールを駆けるジェットコースターだ。
「わ!」
 狐の方の耳をぴょんと立てて、さつまが瞳をきらきらと瞬かせた。
「じぇっと! こすたー! 乗ろう乗ろう! びゅーん! ってするの! 楽しそう!」
「ふむ、そうだね――愉しそうだ、乗ろう! 乗ろう!」
 狼の常盤が大きく同意に頷いて、少しばかり見渡せば乗り場はすぐそこだ。
 ……うーーん。
 うーんと眉を寄せて、なびきより響く深い深い逡巡のうめき声。
「ジェットコースターって乗ったことないんだよねぇ……」
 だって結構高い場所にあるよね、……でもそんな高いとこまでは行ったりしない……?
 悩むなびきの掌を、きゅっと掴むモノ。
「よーし、行こ行こ!」
「あっ」
 強制的に歩み始めさせられたなびきの狼耳は、ぺったんこ。
 でも大丈夫、その前には熊の耳がぴんと立っているからね。
「……なんだか新しい拷問器具のよう、なぁんて。――思ってないわよ?」
「やぁだ幽ちゃん、こんな楽しそうな拷問、癖になっちゃうじゃナイ」
 楽しげ呟いた幽子に、なびきの掌をぎゅっと握ったままのコノハが更に楽しげに応える。
 なびきの困り眉は、困りに困りきっていた。

「わーわー高ぁい! 眺め! 良い! ね!!」
「もうすぐ乗れるンだ、楽しみだねぇ」
 はしゃぐさつまと、コノハの声。
「……」
 行列の間も、コノハにぎゅっと握りしめられたままだったなびきの掌。
 最前列まで引っ張られてきてしまったなびきは、今やもうライドカートが来る事を待つしかできない。
 ワッ、よくみたら回転までしてる。
 後ろをちらちらと見やって、避難先を目で探すなびき。
 ええと、――今からやっぱなしなんて、ダメかなあ?
「――高所から見渡す眺めは壮観だなァ」
「ふふふ、そうね、高い高ーい」
 そんななびきの耳に飛び込んできたのは、楽しげに呟く常盤と幽子の声。
 …あ~~、常盤さんも幽子さんもうきうきしてる~~、逃げられないなあこれ~~!
 程なくして目前へと移動してきたライドカート。
 安全柵が上がれば――。
「うっ……乗っちゃった。もう降りられない……」
 すでに死にそうななびきにも、安全バーは優しくロックをしてくれる。
 大丈夫、安全バーがあるから大丈夫。
 安全バーをぎゅっと抱きしめるように握るなびき。
 そんな彼の横で――。
「じぇっとこすたーはね! 両手ばんざーいして、落ちるんだって!」
「手を上げるのかね?」
「ほうほう、両手を上にするのが作法なのね」
「お、じゃあオレも両手上げおこ!」
 地獄みたいな相談をする皆を、信じられないものを見る顔でなびきは聞いていた。
 えっ、正気?
 動き出したライドカート。
 えっ、待って。本気?

 ことこととゆっくりとレールを駆け上がっていたカートが、最高地点に達した瞬間。
 身体が浮き上がるような感覚と共に、一気にレールを滑り落ちるカート。
 駆け抜ける風、浮く身体。
 カーブに差し掛かればカートに押し付けられ、世界が回る。
 いやァ、愉快爽快。
 楽しげに口角を擡げた常盤が周りを見やれば。
「ひゃぁーーいっ♪」
「いえーーーーい!」
「きゃーーっ、きゃーーっ」
 楽しげな悲鳴を上げる皆。
 ――そして。
「うわすごい速いなにこれびゃあぁああああああああああ!!!」
 安全バーを指先が食い込む程握りしめて、本気の絶叫をパーク内に響き渡らせるなびきの姿。
 ――うん、まァ。少しばかり本気の叫び声も聞こえるが。
 愉快爽快には違いあるまい。

 ジェットコースター、出口通路。
「楽しい! もっかい乗りたーい!!」
 まだまだ興奮冷めやらぬ様子のさつまは、両手をぐぐっと擡げ。
「……なびきちゃん、ハンカチいります?」
「……幽子さん、貸して……」
 しくしくと無くなびきに幽子はハンカチを手渡して、ほうと息を吐いた。
「しっかしなかなか新体験な高揚感に、目も覚めちゃったわねぇ」
「あ」
 先行していたコノハが振り向いて、皆に手を振り振り。
「さっきのヤツの乗ってる時の写真もあるンだって、記念に買ってこ!」
「成程、写真かァ。コノ君の店に飾ったら良いンじゃないかね?」
 折角の思い出だ、僕も1枚買い求めるとも、と常盤も続く。
「私も1枚くださいなー」「買う買うー!」「おれすごい顔してそう……」
 例え骸の海の過去を合わせたって、世界の中で一度だけの今を切り取った写真は皆楽しそうに笑みを浮かべ、――否、一つだけ訂正するのならば。一人だけ苦しそうだったけれど。
 しかし、皆で来なければ、作れなかった思い出だ。
「つぎは、あっちのアトラクションも面白そうだよねェ」
「うん! さっき見て、楽しそう、だった!」
「えっ!? また絶叫系じゃない!?」
 コノハの指差す先に、同意するタヌキツネに、肩を跳ねるオオカミクマ。
 そんな彼らの様子に、肩を竦めて常盤は笑い。
「――夜も何か催しが有るのだろう? 今のうちに菓子の土産でも買っておくのも良いンじゃないかね?」
「あ、アイスとか食べたいかもー」
 ちらりと見えるカフェエリアに視線を向けた幽子が手をあげて。

 言ってる事はバラバラでも、楽しいという気持ちはきっと一つ。
「まだまだ楽しめそうだねぇ」
 ――コノハは笑う。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

シャルファ・ルイエ
【花虎さん(f01877)と】

こちらの遊園地って初めてです。
流石に邪魔になりそうですし、今日は羽根は仕舞って行きますね。

花虎さん花虎さん、あれ、あれに乗りましょう。(腕を組んでぐいぐいしつつ)
ジェットコースター?って平気ですか?怖いのみたいですし、苦手なら諦めますけど……。
あっ向こうの揺れる船も気になります。
あっあっあの回るブランコみたいなのも……!
……駄目ですか?(しょんぼり)

じゃあ、あの回るティーカップとかどうでしょう?見た目が可愛いです!
メリーゴーランド?
わ、あれもきらきらしてて可愛いです。はい、両方で!
パレードも後で見に行きましょうね。せっかくですし、たくさん一緒に楽しみましょう。


斎部・花虎
【シャルファ(f04245)と】

誰かと行く遊園地なんて初めてだ
シャルファの結ってくれたおさげを揺らして漫ろ歩く

物語秘める園内を忙しなく見回しながら、組んだ腕を引かれ
良いぞ、シャルファ。何に乗…、
(そっと首を左右にふるふるする)(袖を掴んでふるふるする)
あれはきっと…駄目な気がする
あの…、高くなかったり激しく動いたりしなさそうなのにしないか

…そんな顔をしても駄目だ(唇をきゅってする)
じゃあ、ふたりで踊るティーカップへ

途中で目を奪われるのは、綺羅びやかなメリーゴーランド
お姫様の乗り物みたいな馬に馬車
…シャルファ、シャルファ、あれが良い
ティーカップと両方乗ろう
きらきらのパレードは最後のとっておきだ



 エリアごとにいろんな物語が詰まったパークは、歩いているだけでもとても楽しい。
 結ってもらったおさげをゆうらゆら、パーク内の物語を読み解くように。
 シャルファ・ルイエ(謳う小鳥・f04245)と腕を組んで、周りを見渡しながら歩く斎部・花虎(ヤーアブルニー・f01877)。
「……あ」
 ふ、と足を留めたシャルファは、花虎の腕をぐいと引いて。
「ねえ花虎さん花虎さん、あれ、あれに乗りましょう!」
「ん。良いぞ、シャルファ。何に乗」
 何の気なしに頷いた花虎は、シャルファの指差す先を見て、冴えた海色の瞳を見開いて硬直した。
「ジェットコースター? って平気ですか? その、怖いのみたいですし、苦手なら諦めますけど……」
 シャルファの誘いに、絶望色に染まった瞳を揺らし。
 左右に首をふるふる振る花虎。
「あの……えっと……あれはきっと…駄目な気がする」
「そう、……ですか……、あっ。でも、向こうの揺れる船も気になります!」
 ギロチンみたいに揺れる海賊船。
 シャルファの指差す先は花虎にとっての、処刑へと片道切符みたいだ。
 花虎はシャルファの袖を掴んでふるふるする。
「あっ、あっ……。あの回るブランコみたいなのも……」
「えっ……あっ……」
 想像しただけで震える恐怖に耐えるように、ぷるぷるする花虎。
 困ったように、本当に困ったように眉を寄せて。
「あの……、高くなかったり激しく動いたりしなさそうなのにしないか……?」
「……駄目ですか?」
 シャルファは空色の瞳に睫毛の影を落として、肩を落とし――。
「……そんな顔をしたって、駄目なものは駄目だ」
 きゅっと唇を噛んで苦しげに言葉を紡ぐ花虎は、未だにぷるぷるしている。
「……じゃあ、あの回るティーカップとかどうでしょう?」
「……それなら、行けるとおもう」
「じゃあ、ティーカップにしましょうか」
 ほう、とシャルファは微笑んで、花虎もやっと固まってしまっていた表情を和らげて。
 やっと相談が纏まった二人は、ティーカップへと向かって歩き出す。
 ゆらゆら揺れる、おさげとツインテールに纏めたウェーブヘア。
 そこに。
「……あ……」
 次に足を留めたのは、花虎であった。
「……シャルファ、シャルファ、あれ」
「……わ、きらきらしてて、可愛いですね」
 くるくるまわる、大きなオルゴールのようなアトラクション。
 柔らかな音楽が鳴り響き。
 お姫様の乗り物みたいな馬車に、きらきらと装飾された馬達が踊る。
 ――メリーゴーランドに二人は目を奪われ。
「シャルファ、……ティーカップの後に乗ろう」
「ふふ、では両方乗りましょう」
 口元を掌で隠して楽しげに笑うシャルファに、花虎もきらきらと瞳を輝かせて頷いて。
「パレードも後で見に行きましょうね」
「うん、きらきらのパレードは最後のとっておきだ」
 ならば、まずはティーカップから。
 友達と二人で楽しむテーマパークでの時間は始まったばかりなのだから。
 再び腕を組んで、二人は歩き出す。
 たくさん、たくさん、今日という日を楽しむ為に。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ジゼル・スノーデン
【灯火岬】で参加する

あそぶぞ!おー!

わたしはパレードが見たいんだ。ぱれーど、しってるけど。見たことない。賑やかで綺麗なのがいっぱい通るのだろう?
そうか、笑顔になる。うん、にこにこだな。
あ、待って!
まず、甘いポップコーンを買おう。さっきからとってもいい匂いなんだ。

綴が動物の耳をつけるならわたしもつけよう。何があるだろう?
似合うもの、探してみよう。綴は、この子鹿の耳なんてどうだ。ぴょこんとしててかわいい
うん、似合ってるぞ!髪の色ともバッチリだ

わたしは、うさぎか。
ふふ、動くと星の飾りが鳴るな
うれしい(くるくるり

え、絶叫マシーン?ふふふ、わたしがそう簡単に絶叫するはずが…
ふにゃあああ!?(絶叫


櫛橋・綴
【灯火岬】

たくさん遊んでいいと聞いて
瞳をキラッと瞬かせてエンジョイする気満々

ジゼルはパレード初めて?
仮装した人たちが踊ったり歌ったり…
見ているとこっちも楽しくなって、笑顔になるんだ
俺もポップコーン食べたい
別々の味にしてシェアしよ?

ケモミミカチューシャつけてみたい、と
選んでもらった小鹿耳
可愛すぎない?俺がつけて大丈夫?
…どう似合う?って少し照れながら言ってみる

ジゼルには定番だけどうさぎ耳なんてどうだろう
水色のカチューシャを選んで
片方の耳には星の装飾とリボンがついて可愛らしい

あのジェットコースター行ってみようよ
ジゼルは絶叫系は…
…おお、いい叫びっぷり~
絶叫する彼女の隣で、あははっ!と楽しく笑って



 たっぷり遊んで良いと聞いて訪れた二人は、今日は全力でエンジョイする構え。
「今日はたーっぷり遊ぶぞー!」
 おー! と声を合わせたのは、ジゼル・スノーデン(ハルシオン・f02633)と櫛橋・綴(真鍮撥条・f00747)だ。

「そういえば、わたしはパレードが見てみたいんだ」
 まだ見たことがないから、とぎゅっとパンフレットを握りしめるジゼルに。
「ん、ジゼルはパレードを見るのは初めてなの?」
「そう、知ってるけど、見たことが無い。――賑やかで綺麗なのがいっぱい通るのだろう?」
 未だ見ぬ賑やかで綺麗なソレを想像して、ジゼルはきゅっと拳を握りしめる。
「そうそう。仮装した人たちが踊ったり歌ったり……見ているとこっちも楽しくなって、笑顔になるんだ」
 昔見たパレードを思い出したのだろうか。
 なんだか擽ったそうに笑う綴に。
「そうか、笑顔になる。……うん、にこにこだな」
 ジゼルも彼の表情を見て、そうだな、と納得をして。
「あ、待って!」
 歩きだそうとした綴に、制止をかけたジゼル。
「まずは、……甘いポップコーンを買おう!」
 先程から漂う甘い香りは、耐え難き誘惑だ。
「うん、俺もポップコーン食べたかった所! 別々の味にしてシェアしよ?」
「そうだな、たくさんの味が食べれて、それはお得だ」
 へにゃっと笑ったジゼルと綴は。改めて一緒に歩き出し。
 ポップコーンの販売カートへと向かう途中。
 赤い瞳を瞬かせて、あ、と今度は綴が呟いた。
「――そうだ、俺、こういう所で一度ケモミミカチューシャを着けてみたかったんだよね」
「うん? 動物の耳のカチューシャか?」
「そう、こういうテーマパークでは皆着けるものなんだよ」
「ならば、わたしもつけよう」
「あははっ、きっと似合うよー」

 数分後。
 ポップコーンの甘い香りを携えて、ジゼルと綴はグッズ売り場に訪れていた。
「……これなんてどうだ? ぴょこんとしててかわいいぞ」
 ジゼルが綴へと差し出したのは、子鹿の耳のカチューシャ。
 綴はソレを受け取ったが良いが、瞬きを一度重ねて。
「……え。可愛すぎない? 俺がつけて大丈夫?」
「うん、大丈夫だ、つけてみろ」
 自分で着けたいと言ったけれど、実際着けるとなると少し照れてしまうもので。
 ぴょんと跳ねる耳を、えいやっと綴は頭へと装着。
「…どう似合う?」
「うん、似合ってるぞ! 髪の色ともバッチリだ!」
 照れる綴の姿に、ジゼルも太鼓判。
 はにかんだように笑った綴は、選んでもらったお礼にと。ジゼルへ星とリボンで装飾された水色うさぎ耳のカチューシャを着けてやる。
「む。わたしは、うさぎか」
「うん、耳がぴょっこりしてて可愛いよ」
 綴の言葉に、その場でジゼルはくるくると回って。
 ぴょこぴょこする耳。しゃら、しゃら、星が綺麗な音をたてる。
「……ふふ。動くと星飾りが鳴るな、これはうれしい」
 子鹿とうさぎは二人並んで、くすくす笑い。
「綴、この後はどうする?」
「そうだね、……あのジェットコースター行ってみようよ!」
 綴の提案に、ふうん、とパンフレットへと視線を落とすジゼル。
 説明文を読み込み――。
「へえ、……絶叫マシーンとも言うのか? ……ふふふ、わたしがそう簡単に絶叫するはずが無いだろう」
「じゃあ、決まりだね!」
 ジゼルは何かに対して無駄に、自信に溢れた笑みを浮かべているが――。えっ、そんなにフラグを立てて大丈夫ですか?

「ふにゃぁあああああぁああああっ!?!?!?!?」
「あははははっ、いい叫びっぷり~!」
 その後は、見事にフラグを回収したジゼルの姿が見られたそうな。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

三条・姿見
誘いを受け、エイリアンツアーズの一員として行動しよう。
…こういった場所は初めてでな。
「夢の国」とも謳われると聞いたが、まさしく…
やはりヒトとは侮れない

作法に倣い、皆と存分に楽しむとしよう。
首にはタオルとドリンクホルダー、顔には大きなサングラス
ジャケットの下にはテーマパークのTシャツを。
このブレスレットは…光るのか。では、そのように

絶叫マシン、受けて立とう。「絶叫」と銘打たれているが
そこまでのものだろうか…
(降車後)
…い、いかんな、声も出なかった…動悸がまだ…

道中パレードに足を止める。誰も皆、幸せそうだ。
人々の希望とは…このような場所にもあるのだろう

二人称:名前(時々苗字。短く呼びやすい方)+氏


須辿・臨
【エイリアンツアーズ】

遊園地初めてなんで楽しみっす!
揃って初めての人が多いんで、初心で楽しめそうっすね。

オレは角があるんでカチューシャ以外。
光る腕輪とか、シャツとか、メガネとか。
皆さんお似合いっすよ!

ポップコーンのバケツ、凝ってて可愛いっすよね。
オレも別味買ってるんで、こっちもどうぞっす!

絶叫マシン、バイクと比べてどっちがスリルあるんすかね?
(とか思いながら乗車)
いやー楽しかったっすね!
作法だって聴いたんで、メッチャクチャ叫んだっすよ。
もう一回、オレも行くっすよ!

華やかなパレードの空気とか、世界観を感じる建物とか。
平和な非日常感って大事っすよね。

あ、写真とるならキャラクターも探そうっすよ!


榛名・深冬
【エイリアンツアーズ】

ここが、遊園地
思わずぼーっと眺めてしまう
燈に引っ張られ我に返る
初めての遊園地、楽しまないと

白衣の変わりに可愛い薄手のパーカーを羽織り
日除け代わりに耳付きフードを被る
燈に可愛い髪飾りを尻尾につけて
わたしも腕につけお揃いに

ジェットコースター?
どんな感じのものでしょうか…
ありがたくポップコーン貰いながら思いを馳せ
実際乗るといつもは出さない大声で叫ぶ
とっても楽しかったです
げっそりしてる燈を撫で満足げににっこり
え、もう1回?わたしも乗りたいです!

写真はこの場の雰囲気や皆さんのお陰か
自然といつもより笑顔で

アドリブ・絡み歓迎
感情が先輩=苗字+先輩
感情が同僚=苗字+さん
ヨシュカくん


ニオク・イグズヴィ
【エイリアンツアーズ】の皆と
はるばる来たぜ遊園地!
俺みたいなイカツイのが大手を振って歩けるって最高
とはいえ女性や子供を怖がらせないようにだけはしとこ

とりあえず俺はキャラクターの動物耳が付いたタイプの帽子でも被ろうかな
あとはサングラスかけてロゴマークプリントのTシャツ
喰いもんはホットドックとか食いたいな
後はタピオカドリンクとかチュロスとか?
良ければシェアしようぜ

『絶叫』マシーンね
普段スリルと日常の俺ら猟兵にとってはどんなもんかな
まぁ話のタネにでも……

なんじゃこりゃあああああ!

割とこういうの俺は好きだな!
俺もう一回乗ってきてもいいかな!?✨✨
童心に返るってこういう事言うんだ

※アドリブ・絡み歓迎


パウル・ブラフマン
【エイリンツアーズ】の皆と参加!

やってきました社員旅行in遊園地~♪
オレも遊園地初体験だしマジわくわくしかないよね!
【コミュ力】を駆使して
グッズからフードまで網羅しちゃうぞ☆
キャラモチーフの帽子とゴーグル装備で
テンションぶちあがりだぜ!!

まずアレいってみよう、ジェットコースター!
列に並んでる最中に小腹が空いた時用に
ポップコーン(ストラップ付)を買っておこっと♪皆もどうぞっ☆
落下時はキャッキャしながら手離しバンザイ。
Glanzの運転で豪速も急降下も慣れてるけど
座ったまま振り回されるのは新鮮で面白かったよ!

暗くなる前にお城の前で記念写真撮ろうよ!
あっキャラ発見!すみませ~ん♪

※絡み&アドリブ大歓迎


ヨシュカ・グナイゼナウ
【エイリアンツアーズ】
名前の前半+さま
深冬さま
アドリブ絡み歓迎


はじめての遊園地

…!(言葉を失う)す、ごいですね!お話の世界みたい
お店も色々あるのですね。このカチューシャはここのキャラクターを模したものでしょうか?
ブレスレットも光って面白いですね。マスコットのストラップもかわいい…
(装備中)

はい!じぇっとこーすたー、乗ります!
並んでいる間に、パウルさまから頂いたポップコーンを。美味しいです、ありがとうございます
遂に順番が、身長制限?大丈夫でした(ほっ)

(乗車終了)

頭とか目とかぐるぐるします…でも、とっても楽しい!(キラキラ)
?三条さまご気分でも?



お城の前で皆さまと記念撮影。お城まであるなんて!


スナッチ・ベット
【エイリアンツアーズ】の皆と社員旅行
ということで、テーマパークの案内ならツアコンの僕に任せろー

予め、皆が行きたい場所を下見
チケットを人数分購入したり
待ち時間など考慮して、アトラクションやショップを巡るルートを作成
既にサングラスやタオルといったオリジナルグッズを身に着けているのは皆に自慢するためです
ふふふ、いいでしょ?中央広場のショップで見つけたんだー
きっとヨシュカくんや深冬さんにも似合うよ
あとね、限定のタピオカドリンクがあるんだって
あれれ、タコくん(f04694)はどこ??
同じサムエン出身の臨くんも姿見さんもすごい馴染んでて感激です
記念撮影は(表情筋が死滅してるけど)皆と笑って
はい、チーズ📷



 人々の行き交う造られた『物語の街』に。
「ここが、遊園地……」
「す、ごいですね……! お話の世界みたい……!」
 圧倒されたかように息を飲んだ、榛名・深冬(冬眠る隠者・f14238)とヨシュカ・グナイゼナウ(一つ星・f10678)は瞳を見開いて。

「やってきました! 旅行会社エイリアンツアーズ社員旅行! in遊園地~♪」
 やたらとテンションの高い平社員兼運転手のパウル・ブラフマン(Devilfish・f04694)は、キャラモチーフの帽子をゴーグル装備でキメッキメ。
 皆に向かってカッチョイポーズをバッチリ決めて。
「イエーイ、テンションぶちあがりだぜ!! オレも遊園地初体験だしマジわくわくしかないよねー!」
 今日は触手の具合だってニョロニョロ、超お元気です。

 旅行会社エイリアンツアーズとは。
 スペースシップワールドに母体を持つ、様々な星へのパッケージツアーを扱う旅行会社である。
 近年、謎のパトロンの出資の元猟兵向けのパッケージツアーを取り扱うようになったそうなのだか――。
 本日はお仕事だけどお仕事じゃない。
 猟兵のお仕事がてらの社員旅行なのです。

 そしてそしてテーマパークデビューという皆様も多い、この社員旅行。
 ばっちり一日楽しむためには――。
「ということで、テーマパークの案内なら僕に任せろー」
 表情こそ酷くテンションがローだが、サングラスにキャラクタータオルと浮かれた装備のスナッチ・ベット(Vulpes et uva・f03519)は、『エイリアンツアーズ』と記された三角旗を掲げて、元気に宣言。
 そう。
 スナッチはツアコンとして、待ち時間など考慮してアトラクションやショップを巡るルートを作成し。
 勿論チケットの手配や、行き先の下見だってバッチリだ。
 なんたって、狐だけにツアコンもできてしまう。狐だけに。コンコン。

 鋭い眼光、黒い黒い肌、圧迫感すら与える高身長。
 そんな威圧感のある見た目だって、猟兵に与えられた世界の加護さえあれば。
「いやー、俺みたいなイカツイのが大手を振って歩けるって最高だなー」
 とはいえ女性や子供を怖がらせないようにだけはするけどさ。と。
 楽しげに笑ったニオク・イグズヴィ(コインの裏面・f00312)は、その切れ長の瞳を笑みに変えて。
「……つーか、なんでパウルもスナッチも既にそんな出来上がった装備なんだよ」
「🐙的にカッコEと思ったからね!」
「ふふふ、いいでしょ? 勿論、自慢する為だよ。中央広場のショップで見つけたんだー」
 🐙的にカッコイイポーズを決めて応じたパウルに、きっと皆にも似合うよと笑うスナッチ。
「あとね、限定のタピオカドリンクがあるんだって」
「へえー、タピオカ……っすか?」
 須辿・臨(風見鶏・f12047)がコックリ頷いて中央広場の方を見やり。
「お、あの店っスかね? 二人だけ自慢させておく訳にはいかないっすよねえー」
「お店も色々あるのですね……」
 あの装備はキャラクターを模したモノでしょうか、と首を傾ぐヨシュカの横で、ふむ、と頷いた三条・姿見(鏡面仕上げ・f07852)。
「……しかし、『夢の国』とも謳われると聞いたが、まさしく、だな」
 ぐるりと周りを見渡せば、物語を再現した町中はUDCアースの中にあって、別のファンタジー世界にすら見える。
 やはりヒトとは侮れないモノだ。
「おっし! 俺もソレ買いに行くぜ」
「おー! 行くっす!」
「うむ、作法ならば俺も行こう」
 皆がワイワイ移動を始めるが、未だ呆然と立ち尽くしていた深冬のパーカーの裾をぐい、と引いた赤い小龍。
「あ……、燈」
 はた、と我に返った深冬は息を呑んで。
 ――初めての遊園地、楽しまないと!
 早足で、皆の背を追う。

 そんなこんなで、社員旅行御一行。
 それぞれ思い思い、テーマパーク装備完了です。
「さーてさて! じゃ、まずアレいってみよう、ジェットコースター!」
「はい! じぇっとこーすたー、乗ります!」
 スーベニアポップコーンケースを首に追加したパウルの一言に、ヨシュカは元気なお返事。
「あ、でも途中で何か摘めるモンもうちょっと買っていこうぜ、ホットドックとか食いたいなー」
 タピオカドリンクとかチュロスとかもあるんだろ? シェアしようぜー、なんてニオクは手をあげて。
 彼の装備は動物耳の付いた可愛い帽子。
 それに、切れ長の瞳を覆うキャラクターサングラスに、テーマパークのロゴマークプリントのTシャツだ。
 そう、彼もまた完全なる浮かれテーマパークボーイと化していた。
「そのポップコーンのバケツも凝ってて可愛いっすよねー」
 俺も別の味を買おうかなー、と。
 答えた臨も光る腕輪に、ニオクとお揃いサングラス。キャラクターモチーフのシャツが眩しく輝く。
「いいですね、並んでいる間に食べられるもの、買いたいです!」
 マスコットストラップとブレスレットだけで控えめながら、ヨシュカも可愛くテーマパーク仕様にドレスアップ。
 おっと、髪留めもキャラクター仕様になっていました。
「それはそうと、ジェットコースターってどんな感じのものなのでしょうか……?」
 薄手のパーカーの耳付きフードを被った深冬が、心配そうに首を傾ぐ。
 そんな彼女が腕に巻いた可愛い髪飾りは、燈の尻尾とお揃いだ。
「絶叫マシーンと呼ばれるアトラクションだよ」
「ビューンッ、シューッ! って感じですっごいらしいよ!」
 スナッチとパウルが口々に答え。
「――よし、絶叫マシン、受けて立とう」
 真剣な顔で頷いた姿見が首にかけるはキャラクタータオルにドリンクホルダー。
 漆黒の瞳を覆う大きなサングラスに、ジャケットの下にはテーマパークのTシャツ。
「しかし『絶叫』と銘打たれているが、そこまでのものだろうか…?」
 光るブレスレッドまで装着済みの彼は、息を呑み、すこうしばかり考え込んだ様子。
「絶叫マシン、バイクと比べてどっちがスリルあるんすかねー?」
 臨がへらへらと笑って首を傾いで。
「ま、普段スリルと日常の俺ら猟兵にとってはどんなモンかな?」
 話のタネ位にはなるでしょ、とニオクが肩を竦めた。

「な、なんじゃこりゃああぁああああああッッ!」
「あははは、あはははは!」
「……っ、………!!!」
「ひゃああああああああ!?!」
「きゃ、きゃーーっ、きゃーーー!」
「ワー」
「イエーイ、サイコーーーーー!」


「座ったまま振り回されるのも、新鮮で面白かったーー!」
 Glanzの運転で豪速も急降下も慣れているけれど、ソレとは全く違った動きだ。
 パウロは興奮冷めやらぬ様子で、触手もニョロニョロ。
「あのジェットコースターは絶対に皆に楽しんでもらいたかったけれど、本当に良いアトラクションだったね」
 スナッチも頷き、頷き。
「いやー楽しかったっすね! 作法だって聴いたんで、メッチャクチャ叫んだっすよー!」
 パウロと同じく同じく興奮冷めやらぬ様子の臨が、手を上げて。
「はー……、とっても、とっても楽しかったです!」
 普段ださないような大声を、たっぷりと出したらとってもスッキリ。
 ゲッソリした燈を撫で満足げに撫でながら、深冬は満足気にニッコリ。
「まぁ話のタネにでも……、なんていったけどさ! 楽しかったな!? 割とこういうの俺は好きだな!!」
 童心に返るってこういう事を言うのだろうか。
 ニオクもうっきうきで頷き、頷き。
 深冬がわあ、と歓声を上げると燈がわたがたと慌てて腕の中で身を捩った。
「俺、もう一回乗ってきてもいいかな!?」
「もう一回? オレも、オレも行くっすよ!」
「え、もう1回? いいですねー、わたしも乗りたいです!」
 ニオクの提案に、ぴかぴか笑顔で臨と深冬も大賛成。
「頭とか目とかぐるぐるしましたけれど……でも、とっても楽しかったですね!」
 ヨシュカも満足気に頷くきながら、皆の後ろをついていくが。
 そんな皆の更に後ろを、ふらふらと歩く姿見。
「……い、いかんな、声も出なかった……、動悸がまだ……」
「……? 三条さまご気分でも?」
 胸をきゅっと抑える姿見に、ヨシュカは首を傾ぎ。
「……いいや、大丈夫……大丈夫だ……」
「そう……ですか?」
 こんなに小さな彼に心配させてはいけないと、姿見はいつものようにキリリと生真面目な表情でヨシュカを見た。
 うんうん、ジェットコースターってそうなるよね。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​


「……おや」
「……?」
 姿見とヨシュカは、遠くより響く不思議な音に顔を上げた。
 ――段々近づいてくるそれは、地面を震して軽快なビートを刻む大きな大きなリズムだ。
「時間ピッタリ、ですね」
「おおーっ、あれがパレード!?」
 スナッチが満足気に時計を見やり、パウルは遠くを見るように掌を掲げる。

 パレードカートのてっぺんで御伽話の主人公がヒロインと並んで、華麗なダンス。
 ステップを踏んで、くうるりとまわって。
 ヒロインに軽い口づけを一つ。
 照れたようにわたわたとその場で跳ねてから、両頬を抑えたヒロインに合わせて色とりどりの紙吹雪が弾けた。
 二人を祝福するかのような、鐘が鳴り響き――。

 姿見は、息を飲む。
「……」
 見物人達も、踊るダンサー達も、お伽噺の主人公達も。そして、自分達も。
 この場に居る、全ての人々が――。
「誰も皆、幸せそうだ」
「……そうですね」
 眩しそうに瞳を眇めた姿見の呟きに、ヨシュカもこっくり、同意に頷き。
「こういう平和な非日常感って、すごく素敵で、すごく大事っすよねえ」
 通り過ぎて行くパレード見送りながら、臨が沁沁と言葉を零す。
 ……華やかなパレードの空気、ここではない世界観を感じる建物。
 その全てが、心地良くて。
 その全ては、平和が無ければ決して紡がれはしないモノ。
 ――きっと人々の希望とは、このような場所にもあるのだろう。

「あ!」
 はっ、と思い出したようにパウルが顔を上げて、皆へお知らせするように手を大きく振った。
「暗くなる前にお城の前で記念写真も撮ろうよ!」
「え、お城まであるのですか?」
 びっくりした様子のヨシュカは、どんぐりみたいに金瞳を大きく見開いて。
 そう、近すぎて気づかなかったけれど。
 ジェットコースターの出口の横は、実はお城の真横。
「写真とるならキャラクターも探そうっすよ~!」
 なんて、臨の提案にぐるっと周りを見渡したパウルは。
「オッケー、……お、早速発見しちゃったぜ、ラッキー!」
 すみませ~ん♪ と、速やかにキャラクターへと駆けて行き。
「この角度ですかね……」
 スナッチはこんな事もあろうかと、三脚だってばっちり用意済みだ。
 だって、ツアコンですからね。コンコン。

 ぎゅっともっと集まって、角度を調整して。
 笑って、笑って。
「おっし、皆、準備はできたか?」
 ニオクが皆をぐうるり見渡せば、キャラクターを真ん中に皆しっかりとポーズを取って、準備万端。
「……ん」
 燈を抱いた深冬も、口端を擡げて柔らかく笑む。
 その表情は、普段よりもずうと、ずうと柔らかいもので。
 ――スナッチもまあ、表情筋は死滅してるけど笑っているのだろう。
 多分。

「はい、チーーズ!」
 パウルの声掛けで、カシャリとカメラのシャッターが切られた。
 それは仲間達との不思議で楽しい時間を、留める魔法のようなもの。
 いつまでも、いつまでも、ここで過ごした気持ちが蘇る、素敵な魔法。
蜂月・玻璃也
耀子(f12822)と

どうしても苦手なんだよな、仕事中に遊ぶのって……
まあ、だからといって部下に堅苦しいことは言いたくないし……
せめて俺だけでも、気を引き締めておこう
耳って必要か?
いや……念には念を入れておかないとな……そう、仕事だから!

とりあえずファストパス買ってきたぞ

あ、待て待て
チュロス買うならこの先のエリアに限定味がある

あそこにキャラクターのモチーフがあるの知ってたか?

耀子、あそこあそこ!
写真撮ってやるからキャラクターの隣並んでくれ!
えっと、報告書用の写真をな? 

はあ、一体何回乗るんだよジェットコースター……
あと5回だけだぞ


え、このテーマパークに来たことあるのかって?
いや、10回くらいだ


花剣・耀子
室長(f14366)と。

お仕事よ。ええ。お仕事なの。

マスコットの耳を模したカチューシャを付け
首からポップコーンのバスケットを提げて、
右手にチュロス、左手にタピオカソーダを装備。
制服よ。女子高生だもの。

お仕事です。
浮かれてなんていないわ。いないもの。
ほら、室長もちゃんと耳付けて。
楽しんでいる感を出さないと駄目よ。

矢張りジェットコースターは外せないと思うの。
全部回って良い? 良いわね。
何周する?

ノーマルと限定のチュロス二刀流でマップ確認。
マスコットと写真も撮らなきゃ。
室長も一緒に撮って貰いましょう。

案外手慣れているわね……。
10回って多い方ではないかしら。

夜までに沢山遊、――もとい、備えましょう。



 どうしても、どうしても苦手ではあるのだ。
 仕事中に遊ぶ、と言う事は。
 ――例えそれが、仕事だとしても。
 だからといって部下に、堅苦しい事も言いたくは無い。
 だからこそ、だからこそ。
 念には念を入れて。

 自分だけでも気を引き締めて行こうと蜂月・玻璃也(Bubblegum・f14366)は、ヘアピンで固定できるフェネックの耳を慎重に取り付ける。

 そう、今日は『仕事』なのだから。

 彼の横に立つ制服姿の少女は、リカオンの耳を模したカチューシャを被った花剣・耀子(Tempest・f12822)だ。
 彼女の装備は、首から白鯨の形を模したスーベニアポップコーンケースを下げて、左手にはタピオカソーダ。
 ああ、右手がまだ足りていない。
「……後は、チュロスが必要ね」
 なんたって、今日は『仕事』なのだから。
 きちんと備えは必要だ。
 二人はひとつも浮かれてなんかいやしない。

「あ、待て待て。チュロスを買うのなら、この先のエリアに今季限定のホワイトストロベリー味がある。そこでならこの耳を着けていると、モチーフキャラクターのステッカーもサービスでついてくる。――スーベニアマグカップ入りの宝石ゼリーもあるようだが、それは俺が買う事にしよう」
 耀子の言葉に。
 付箋がみっちりと貼り付けられたガイドマップ片手に、特有の早口で返事を重ねた玻璃也は、それはそれは真剣な表情で。
「そうね、どうせならステッカーも欲しいわ。……それで、アトラクションの周り方はどうしようかしら?」
 冴え冴えとした青瞳を揺らした、耀子はタピオカソーダを啜って応じる。
 啜る度にズボロンズボロンと、口の中に飛び込んでくるタピオカの感覚が楽しい。
「――矢張り、ジェットコースターは外せないと思うの。ここのコースター系って……」
「ああ、急流すべり系をもジェットコースターとして換算するのならば、子ども向けのモノも合わせれば5つある。とりあえず制覇をしたいだけならば、俺が買ってきたファストパスがある分以外はどれも30分も並ばないだろうな」
 フェネックの耳を揺らして歩む、玻璃也の表情は本当に、そう、まさに、そりゃあ、真剣そのもの。
 彼の背に付いて歩く耀子は神妙に、そして慎重に言葉を選び。
「勿論、全部回るわ。良いわね。……それで、ファストパスは各何枚づつあるのかしら?」
「……二人で分けて各アトラクション3枚づつという所だ」
 耀子が嘆息を一つ。
 ああ、あと2周づつは乗りたい所だ。
 浮かれているわけではない、お仕事なので。
「――足りないわね、大きなショーの合間を狙って並びましょうか?」
「はあ、一体何回乗るつもりなんだよ……」
 片眉を跳ねて瞳を眇めながらも、慣れた手付きで玻璃也はスマホをタップ、スワイプ。
「……それでも並ぶ所は並んでしまうだろう。実は裏技があってな。スマホアプリで会員登録をしていると、無料のファストチケットがチケット番号を登録する事で一枚取ることができるんだ」
 実はもう確保終わっている、と言う彼に。
 耀子は少しだけ感情を滲ませて、その青い瞳を揺らす。 
「ふうん、案外手慣れているわね――、……何回くらい来た事があるのかしら?」
「え? そんなに来た事はないぞ、せいぜい10回程度だ」
「それは、……多い方では無いかしら?」
 多いよね?
 首を傾いで。
「あ! 耀子」
 答えの代わりに、上がった声。
 そうして玻璃也が指差した先には、キャラクターの影を地へと落とす電灯が立っていた。
「あそこあそこ! あそこにあんなモノがある事は知っていたか?」
「初めて知ったわ、……ねえ、やっぱり手慣れているわよね?」
「いいや……。年パスを買う程、今の所暇が無いからな……」
「そう、大変ね」
 素気なく答える耀子に、お前たちのせいでもあるんだけどなァ~って顔をする玻璃也。
 それでも仕事なのですぐに気を取り直して、スマートフォンの時計を見やり。
「ああ、そうだ。そろそろグリーティングフォトの時間だな。チュロスを買ったら、……えっと報告書用の写真をな、……少し、な?」
「ふうん、マスコットと写真が撮れるサービスよね? なら、室長も一緒に撮ってもらいましょ」
 そちらのほうが、『報告書用』ならば良いでしょう、と耀子はカフェエリアに向かう足を止める事も無く。
「……そうか、そうだよな。報告書だしな、仕方ないよなあ」
 うんうん、仕方ない、と何度も頷く玻璃也を一瞥した耀子は肩を竦めて。
「そうね。……夜までに沢山遊――、もとい、備えましょう」
 備えあれば憂い無し、と言うだろう。
 備え――、まずは今季限定のホワイトストロベリー味のチュロスを手に入れるべく。
 土蜘蛛の二人は、おとぎの街の先を急ぐ。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

鹿忍・由紀
ハルカ(f14669)と

男二人だとおかしいの?
初めて踏み入れる遊園地
表情は変わらずとも
楽しげな雰囲気につられて周囲を見渡して
今回は楽しむのも仕事の内だもんね
なんて淡々と言いつつ園内パンフレットを眺める

ハルカは普段からこういうとこ来てるのかな
これ乗っとくべきみたいなオススメとかある?
待ち時間は雑談や次に乗るアトラクションの相談をするうちに自分達の番
指示通りに安全バーを下ろして物珍しそうにバーを触って確認
安全なんだよね、本当に

焦らすように登るコースター
ちょっと心臓に悪そうだなぁ、これ
急下降時は口を開くが悲鳴はあげず強ばる表情

…なかなか、悪くなかった
気怠げな満更でもない声色
無表情のままに次も乗り気で


遙々・ハルカ
よしのりサン(f05760)と

野郎二人てどーなんだろね
いつもと変わらぬ横顔を見上げ
いやこの人多分結構興味あんな?
まいっか、ジェットコースター乗ろ~ぜ
絶叫系網羅する勢いで行こ

こーいうの久しぶりだわ
同級生とかデートでしか来ねェ~もん
デートだとほぼ相手に合わせるしさァ
前言通り絶叫系を勧めまくりつつ

うわ、待ち時間あんま感じなかったのも久々
楽し気にコースターへ乗り込む
エ~駄目だよ~よしのりサン
この世に百パーは無ェ~から
ニヤニヤ顔
急降下時は完全に大笑いタイプ

隣から声がしなかったので降りた後で顔を覗き込み
…アハ
そんじゃ~次もヤベーの行こっか?
平和なのでもいーけど~
メリーゴーランドに乗る彼を撮影する気満々で



 魔法使いの街、があればきっとこんな感じなのであろう。
 道端に立つ、二人の男達。

 跳ねた黒髪に一房の薄紅色。ピアスとヘアピンまみれの頭にちょいと眼鏡を引っ掛けて。
「こゆトコに来るのにさァ、野郎二人てどーなんだろね?」
 遙々・ハルカ(DeaDmansDancE・f14669)は、自らが口にした言葉だと言うのに、その内容には興味があるようには見えぬゆるーい笑みを、口元にへりつけたまま。
「男二人だとおかしいの?」
 鹿忍・由紀(余計者・f05760)は一度周りをぐうるり見渡して。
 空色の眸に長い睫毛の影を落としていつもと変わらぬ気だるげな表情。その視線をハルカへと向けて言葉こそ口にはしたが、返答にもあまり興味は無いのであろう。
「でも今回は、楽しむのも仕事の内だもんね」
 パンフレットをじっと眺めながらその場に立ち尽くしていた。
 そんないつもの変わらぬ彼の横顔をみながら。ハルカは瞬きを二度重ね。
「……」
 ……いやァ、表情筋こそあまり活動はしていないケド、この人考えて見れば、さっきからパンフレットガン見じゃん。
 多分、こりゃァ、結構、うん?
 実は、はちゃめちゃに興味あんな??
 まァ~興味が無いよりは、あったほうが仕事もスムーズであろう、と。ハルカは肩を一度竦め。
「ジェットコースター乗ろ~、絶叫系網羅する勢いで行こ~ぜ」
「ふーん……まあ、目的も無く立ちっぱなしも疲れるし。取り敢えず行こうか」
 ポケットに手を突っ込んだハルカと、パンフレットのマップを見る由紀は、歩調を合わせる事も無くマイペースに歩み始めた。

 ジェットコースターの待ち列は、そこそこ長く。
 他愛の無い会話を重ねる二人。
 表情こそ大きくは変わっては居ないが、やはり興味があるのだろう。
 幾度も眺めるパンフレットから、ふと顔を上げた由紀はハルカへと視線を合わせて。
「そういえば、ハルカは普段からこういうとこ来てるの?」
「んーにゃァ、こーいうの久しぶりだわ。同級生とか、デートでしか来ねェ~もん」
 ハルカは手をひらひら、無い無い、の動き。
 その手の動きを視線だけで追った由紀は、ふうんと鼻を鳴らして。
「デートだとほぼ相手に合わせるしさァ~」
 納得したかのように手の動きから視線を外した由紀は、歓声に近い悲鳴を上げるライドカートが駆け抜ける様を見やった。
「なるほど。でも割と来た事がありそうだね。それなら、これ乗っとくべきみたいなオススメとかある?」
「アハ、そ~だなァ、やっぱ、絶叫系じゃね?」
 平和な娯楽で死に近づいて叫ぶなんて、平和っしょ、なんて笑うハルカに。
「へぇ、じゃあ次もハルカのオススメに行こうか」
「アハ、平和なのでもいーけどォ?」
 由紀が瞳を眇めた所で、レールの上に張り巡らされたリフトが音を立てて。
「……って、うわ、もう搭乗じゃん。……時間あんま感じなかったのも久々だなァ」
 程なく滑り込んで来たライドカートが目前に止まり。
 安全柵をキャストが上げれば、搭乗準備は完了だ。
 指示通りに深く腰掛け安全バーを下ろした由紀は、物珍しそうにバーを触って確認するかのように。
「……安全なんだよね、本当に」
 ハルカへ視線を合わせる事も無く呟いた。
「エェ~、駄目だよォ~よしのりサン。この世に百パーは無ェ~からさ」
 搭乗目前で眼鏡を取り上げられているハルカは、人を誂っている今が世界で一番楽しいですって感じの笑みを浮かべて。はちゃめちゃに意地悪な言葉を重ね。
 こと、こと、こと。
 その間もリフトは文句一つ言わずに、大空へと向かって。急角度にそびえ立つレールに沿って、ライドカートを持ち上げてゆく。
 それはまるで、焦らすような速度でもあり。
「ちょっと心臓に悪そうだなぁ、これ……」
「にっひっひ」
 でしょぉ、と言わんばかりに由紀の言葉にハルカは笑うだけ。
 そしてカートが最高高度に達した、その瞬間。

「………! ……!? ……!!」
「うはっ、あ、あははははははァっ!!」
 ぽかんと口を開けた由紀は言葉も漏らす事も出来ずに、表情を強張らせる。

 尻が浮くような、身体が持って行かれるかと思うほどの浮遊感。
 安全バー一つで身体が支えられている事がありありと理解出来る。
 ぐるんと世界が回れば身体が逆に座席に押し付けられて。
 世界を飲み込む速度、風、重力。
 それは一瞬の出来事のでも、ずうっと続くかのようにも感じられ――。

 ……こと、こと、こと。
 リフトがカートを押し上げる音。
 先程までの勢いが嘘かのように、終える時はとても静かにジェットコースターは終了する。
 全く声を漏らすことの無くアトラクションを終えた由紀の顔を、ハルカがそっと覗き込めば。
「……なかなか、悪くなかった」
 ――気怠げではあるが、しかし満更でもない声音で由紀は感想を零した。
「……アハ、そんじゃ~次もヤベーの行こっか? あ、平和なのでもいーけど~」
 ハルカは、へりついたいつもの軽薄な笑みで。
 今日は平和なの、――メリーゴーランドに乗る由紀を撮影したい気持ちだってたっぷりだからね。

 安全バーが上がり、二人は立ち上がる。
 次の、『ヤベーの』に向かって。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 冒険 『お化けかそれともホンモノか!?』

POW   :    来客者の一人として偵察してみる

SPD   :    イベントスタッフに混ざって調査してみる

WIZ   :    裏口からUDC組織の動きを探る

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

●黄昏過ぎて、暮れ六つ
 西の空で赤と藍が交じる頃。
 遠くの空に星々が、幾つも瞬き出す。
 昼と夜の移り変わる時間は誰も彼も闇に顔が飲まれて、誰そ彼と。
 ホラー・ホラー・テラーナイトエリアが柵によって示され、モンスター達の現れない平和なゾーンと隔離される。

 まだこの柵を並べるキャストたちも、お客達も。
 彼らは知らない。
 今日ばかりは、この柵が何の意味も為さなくなって居る事を。
 その事を知っているのは、猟兵達だけなのだから。

 今宵現れる化物は、誰そ彼。
 どこにでも現れて、どこにも居ない。

 それは、
 君の知っている人かも知れない。
 君の知らないモノかも知れない。
 それでもそれは、
 今はただの、過去の幻影であろう。

 探せ、探せ。
 この変異の原因を。
●ホラー・ホラー・テラーナイト
リル・ルリ
■櫻宵/f02768
アドリブ歓迎

うわー?!
櫻の悲鳴の方に驚く
さ、櫻!
そんなにくっついたら泳ぎにくい
頼ってもらえて嬉しいけど
おばけは陰陽師な君の専門分野だろ?
斬ったり殴ったりはだめだからな
いざとなったら僕が歌うよ
子守唄
お化けでも寝かせてみせる
…ひゃあ!!
なんでもない
安心して

…本当は怖いけど

死したものが現れるなら
僕には現れて欲しくない人がいる
(黒髪の羅刹の女。君が殺したかつての恋人。会いたくない

化物はどこから来るのかな
集まってる場所とか怪しい道具とか

――

目を見開いて身体が震え
黒燕尾服に黒髪
挑発的に笑う吸血鬼

座長……?
私の歌姫―幻聴か

瞳塞ぐ体温に優しい声
櫻宵がいる
怖くない

君だけみてるよ
だから、大丈夫


誘名・櫻宵
🌸リル/f10762
アドリブ歓迎

きゃー!!
化け物よー!!
怖いわリィ!
か弱い桜の乙女らしくリィにぴっとり
え?陰陽師?陰陽師だわ!
負ける気がしない
斬ったらダメなんでしょ?ダメ、守って!
化物に女子みたいな声をあげる
怖いのを我慢して守ろうとするリィが愛おしい
密やかに笑い
腕組んじゃお

変異の原因ね
怪しい御札とか呪物とかある可能性もあるわ
人の入れない部屋のどこかとか
「呪華」の蝶を化物の影に潜ませて探るわ
ちょ人魂?!
滲むように現れたのは
黒の燕尾服に黒髪に赤い瞳の吸血鬼
リルが露骨に震える

座長
あたしの人魚を奴隷にしてた男
許せないわ
妬けるわ
あんなの見ないで
怖くないわ
リィの瞳を塞ぎ抱きしめる
あたしだけ見てればいいの


篝・倫太郎
たっぷり日中のテーマパーク堪能した後は
お仕事タイム
ガンバリマス、ヨ?

柵の向こうもこっちも
人の少なそうな如何にも、な場所を
聞き耳と第六感を使いつつものんびり歩いて回る

誰そ彼、か――
知ってる人……故人で思い当たるのは居ねぇから
ま、『怪異』だよなぁ、遭遇するなら

前述の技能でキャストなのか怪異なのか区別しながら
遭遇した場所や遭遇回数を覚えて移動

っ!っくりした……!
遭遇したらそんな感じで驚いとくし
怪異との遭遇回数が増えたり
誘うように移動したりしたら素直について行っとく

誰そ彼に誘われる……とか
中々ねぇもんな

あ、ゾンビだったら逃げるわ
別に怖くはねぇけど、なんかこう、汚れそうだし……

怖くは!ないから!な?!


フリル・インレアン
はふぅ、アヒルさん、とても楽しかったですね。
もう、こんな時間ですね。
ところで今日のお仕事は何なのですか?
私も猟兵になったのですから、ちゃんと覚えていましたよ。

・・・ふ、ふえぇ、こんなのなんて聞いてないですよー。
遊園地に現れるUDCさんだから、もっと可愛らしいUDCさんだと思ってたのにー。

ふえぇ、私を食べてもおいしくないですよ。



 ちらちらと疎らに星々が瞬く帳の落ちた空は都会の光に照らされて、帳が落ちて尚薄明るく。
 人々の笑いさざめく園内は、より賑わいを増したようにも感じられる。
 ホラー・ホラー・テラーナイト。
 人々の恐怖を、娯楽へと変える夜。
 手足の長い不思議な人。
 傷ついたメイクを施された、薄汚れた服を纏った者。
 ギョロリと強調された目玉が、彼を捉えれば。
「きゃーっっ!! 化け物よー!!」
「えっ!? うわーっ!?」
 響いた悲鳴は、何処か白々しくも響く。
 か細い……、か弱い……。……野太くはない。
 甲高い声音を上げて、リルにぴったりと身体を寄せた『櫻宵の悲鳴』にリルは肩を跳ね上げ。
「怖いわリィ……! なんて恐ろしい場所なのかしら」
「さ、櫻……、そんなにくっついたら泳ぎにくい……」
 そりゃあ、頼ってもらえれば嬉しいけれど。
 ふるると首を揺すったリルは、撓垂れ掛かる櫻宵の顔をみて。
 顔が近い。
 もう! こんなに近づいたら、……どきどきしてしまうだろ。
「お、おばけは陰陽師な君の専門分野だろ?」
「え? あたしが陰陽師……? アラ! 陰陽師だわ!?」
 慌てたリルの言葉を噛み砕く様に二度呟いた後、少しだけ考え直すように言葉を重ねる櫻宵。
 うん、でも。
「負ける気はしないけれど……、斬ったらダメなんでしょ? ダメ、守って!」
 秒速で結論を出した彼は、飛び込んで来て目の前で止まったゾンビにきゃあ、なんて、か弱い悲鳴を上げて。
「え……、そうか、……そうだな」
 リルとしては、本当は本当は怖いけれど。
「斬ったり殴ったりはだめだから。――いざとなったら、僕が歌って櫻を護る!」
「ふふ、リィなんて頼もしいのかしら……!」
 きゅっと小さく拳を握りしめたリルは尾を跳ねさせて、前を睨めつける。
 おばけでも、ゾンビでも、化け物でも。
 寝かしつけて見せよう、僕の櫻の為ならば。
「……ひゃあっ!!?」
 その瞬間。姿を表した狼男に、リルはびくーんと肩を跳ねてからぷるぷるぷると首を振って。
「……櫻、……櫻宵! なんでもないから、安心して!」
 息を呑んでそうろっと泳ぎだした彼の腕に、腕を絡めて櫻宵は忍び笑い。
 怖いのを我慢して、守ろうとしてくれる彼が愛おしくて、可愛くて。
「……櫻宵」
 次に洩らした声は真剣な色。
 リルは櫻宵へと向き直る。
 あれは、あの気配は。
 人にあらざるモノ。
 それは今日、彼達がただ遊びに来ただけではない証拠。
 ぞ、と肌を粟立てたリルが櫻宵をきゅ、っと抱き寄せて囁いた。
「それにしても……アレはどこから来るのかな?」
「変異の原因ね。怪しい御札とか呪物とか……、人の入れない部屋の何処かにある可能性もあるわね」
 おいで。ぞ、と櫻宵の影がさざめき、黒い蝶が翅をはためかせて。
 ふらふらと歩く、過去の滲み出したモノの影へとその蝶は潜り込み――。
「これで、何か探る事ができれば良いのだけれど」
 細く息を吐いた櫻宵の横で、リルはその過去から目を離すことが出来ない。
 今回は、知らない何かであった。
 でも、でも。
 ――死したものが現れるなら。
 リルには現れてほしくない「モノ」がいる。
 君がかつて、命を奪った彼女。
 君がかつて愛したであろう、羅刹の女。
 ――ああ、けして、けして、会いたくはない。
 それは、リルにとって――。

「さてさて、お仕事タイムガンバリマス、ヨっと」
 できるだけ人気の少ない場所を選んで、倫太郎は周りに聞き耳を立てる。
 驚いたような悲鳴、語らう恋人たちの甘い声、きゃあきゃあ騒ぐ楽しげな声音。
 ぐうるりと周りを見渡してから倫太郎は、ひょいと茂みを越えて先へ、先へ。
 勘がコッチだと言っている気がするもので。
「……ん?」
 勝手に鎖をくぐって、頭を上げると。
 ぞ、と背が震えた。
 この感覚は。
 ひゅ、っと息を飲んだ倫太郎は、目を大きく見開いて。
 揺れる瞳、一瞬で沸いた血が血管を破裂させそうな程身体を跳ねさせて、すうっと頭を冷やす。
「っ! くり、した……、……アイツは流石に『人』じゃないよなぁ……」
 胸を撫で下ろして、細く息を吐く。
 異様に大きな目がこちらを見ている。歪な細い手足が枯れ木のように揺れている。
 血走った瞳は、恨みがましげただただこちらを見下ろすだけ。
 今は、アイツが何もしないと倫太郎は知っているけれど。
「……はー、いや、怖くはねェんだけど……、そりゃびっくりするだろ?」
 誰かに言い訳するように独りごちる。
 アレで、見かけたのは何匹目だろうか。
 スタッフ専用口に近づいた方が、『奴ら』の数が多いように感じられる。
 そこに、背後に生まれた気配。
 ねち、ねち、ねち。
 こちらへ向かってくる、粘着質な足音。
 倫太郎はまた目を見開いて、早足で歩き出す。
 うわ、ちょっと待って、いや、怖くねェけど。
 待て、待て待て待て。
 多分あれはメイクでは無い。
 本物ゾンビが何故か、彼を追いかけて来ていた。
 いや、怖くは、全く怖くないのだ。
 怖くは! ないけれど!
 なんか汚れそうだし、イヤだよな、なあ、ねえ!
 いやなんで来るの??????
 倫太郎は早足で逃げる。
 追いかけるゾンビ。
 襲ってこないっていってたじゃん?????!!?
 いや襲われてはねぇけど、怖くもねぇけど!
 意外と足はええなゾンビ!?
 倫太郎は真顔で突き進む。
 いや、なんか、汚れそうだし……。

「はふぅ、アヒルさん……とても、とても楽しかったですけれど」
 ぷるぷる、と震えるフリルはガジェットたるアヒルをぎゅっと抱きしめて。
「……ふ、ふえぇぇ、こんなのなんて聞いてないですよー……!」
 聞いてないですもの。
 聞いてないですもの!
 ぺったりと座り込んだフリルは、スタッフゾンビの皆様に見つめられていた。
 遊園地に現れるUDCさんって聞いていたから、もっと可愛らしいUDCさんだとおもっていたのに!
 こんなの聞いてないです、こんなの聞いていないですよ!
「ふえぇ、私を食べてもおいしくないですよー……!」
 ぷるぷると震えるフリル。
 抱きしめるアヒルさんはどうにもこうにも助けてはくれない。
 そもそも、眺めているゾンビさんたちはUDCでは無くてスタッフゾンビさんだ。
 それでも怖いものは怖いですし、……猟兵のお仕事ってこんなに厳しいものなのですね。
 フリルはぷるぷると震える。
 ふぇぇ、助けて。
 勇気を振り絞ってフリルは立ち上がる。
 だって、フリルだって猟兵なんだもの。
 一目散に彼女は走り出し――。
「ふぇええっ!?」
 そして、走り抜けた先に『本物』が居た。
 ぼう、と立ち尽くす白い肌の女。
 ソレは何も語りはせぬが、感覚で理解ができる。
 これは、先程のような者とはまた別のモノだと。
 ぴゃっと髪を跳ねさせて、フリルは踵を返して走って逃げ出す。
 猟兵のお仕事ってこんなに厳しいものなのですね。

 ゾンビから逃げ切った倫太郎は、瞳を眇めて囁いた。
「……誰そ彼、か――」
 薄萌葱色の後頭部をガリと掻くと、ぬるい風が汗を舐めるように吹き抜ける。
 ゆら、ゆら、揺れる青白い手。
 彼を誘うように、裸足の女が手を振っていた。
 ばさばさの長い黒髪はお世辞にも魅力的とは言い難かったが、肩を竦めて倫太郎はその誘いに乗る事とした。
 ――なんたって向こうからお呼び出しだなんて、願ってもない事。
「誰そ彼に誘われる……とか、なかなかねぇもんな」
 倫太郎は先へ、先へ、その手の方へ――。

「――っ!?」
「え」
 じわ、と世界が滲んだ。
 櫻宵とリルの前へと現れるは、黒の燕尾服の男。
 撫で付けた黒髪に、赤い瞳。
 リルがびくんと身体を跳ねたまま、硬直する。
 ――わたしの、うたひめ。
 現か幻か、声が聞こえた気がした。
 それは、それは。
「座長……?」
 リルの絞り出すような声に反応するかのように、燃えるような血色の瞳を揺らして燕尾服の男は笑った。
 誘うような、煽るようなその笑みは。
 あの時と、あの頃と、おなじ形。
 過るは、『享楽の匣舟』。
「……座長?」
 櫻宵はリルの瞳をそっと塞ぎ、抱きしめる。
 あんなもの怖くないわ、怖くないわ、愛しい子。
「――あんなの見ないで、リィはあたしだけ見てればいいのよ」
 アレが話に聞いた彼だとすれば、アレは櫻宵の人魚を閉じ込め、見世物としていた男だ。
 ああ、そんな事。
 許せない、許せない、許せない。
 ――この子にこんな顔をさせるなんて、なんて。――妬けるのかしら。
 許せない、許せない、許せないわ。
 瞳を覆われれば、伝わるのは彼の体温と、諭すよな包むよな優しい言葉だけ。
 リルは一人では無い。
 櫻宵がいる、櫻がいるのだ。
 なら、もう、……もう怖くない。
「……君だけみてるよ、櫻。だから、大丈夫」
「……ええ、リィ」
 櫻宵は凍りついてしまったリルの身体をその身で溶かそうとするかのように、ぎゅうと抱き寄せる。
 ――あたし以外、見なくていいの。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

グラナト・ラガルティハ
マクベス(f15930)と。
あぁ、これからが楽しみにしていた時間か。
モンスターも幽霊も俺にとってはそれ程縁遠いものではなかったからな怖いとは思わないし思えないな。

あぁ、でも確かにこの夜は死者が紛れ込んでいる。

見覚えのある神官服を着た男
巫女服姿の娘。
大きな犬の姿の神獣。
どれも遠い昔のことすぎてこれは流石に幻だろうが。

ん、マクベスの知り合いでも見つけたか?
そうか…よかったな。
大事な者であったのならこの様な形でも嬉しいものだろう?


マクベス・メインクーン
グラナトさん(f16720)と
さぁて、こっからが本番だなっ!
どんなモンスターがいるのかワクワクするな~っ
いやまぁ原因もちゃんと探すけどさ

グラナトさんってホラーは平気?
まぁ神だから平気そうだけど
怖がりだったらそれはそれで面白いけどな~
あ、あそこいるモンスター凄い特殊メイク!
めっちゃ強そうじゃね?

あれ…あそこに立ってる黒髪に赤い服の人…
……兄ちゃん?
オレが昔憧れてた兄ちゃんに似てる…
ねぇ、グラナトさんっ!
あそこにいる人……あれ?
居なくなってる…
……幻影でも、また会いたかったな…


エンティ・シェア
本格的に楽しい時間の始まりだね
また園内をうろうろしていよう
ただし今度は、昼間にいっとう賑わった所を中心に
楽しむ者が多い場所に、惹かれているかもしれないからね

人手は多い方がいいか
もう一人を召喚して、こちらには真面目に調査をさせよう
変わった事があれば報告しに戻っておいで
私は、そうだね…
キャストだか本物だか知れないモンスター殿と、戯れよう
暴力はいけないからね、手を取って、くるり踊ってまた遊ぼうと別れてを繰り返そう
本物っぽいものがいれば、その周辺にもいないか探して
寄り集まっている場所があれば、ちょっと覗きに行ってみようか
楽しそうだからね。私も混ぜておくれ、って

一人で泣いている子がいれば、力になろう



 昼間により賑わいを見せていた場所を中心に、エンティはゆっくり園を歩む。
 ホラー・ホラー・テラーナイトエリア外に現れた化け物達は、必要以上に客たちに怯えられて遠巻きにされているようだ。
 楽しむ者が多かった場所に惹かれて現れているのであろうか?
 それとも関係無いのだろうか。
 その辺りは、きっともう一人の『自分』が調査をしてくれているだろう。
 変わった事があれば、報告をするように伝えたのだから。
 また現れた『彼ら』。
 ぎょろぎょろと瞳を揺り動かす大きな二足歩行の獣の手を取って、エンティはつないだ両手で輪を作り、両手を揺らしてから片手を離し。
 繋いだままの手をくぐってくうるりと回って、軽いステップを。
 揺れる揺れる、赤い毛と獣の尾。
「またね」
 ひらひら、手を振ってエンティはまた歩き出す。
 二足歩行の獣はそれに答える事も無く、ぼんやりと彼を見ている。
 本物だろうが、キャストだろうが。
 楽しく遊ぼう、楽しく踊ろう。
 泣いている子がいるのならば、力となろう。
 笑っている子がいるのならば、一緒に笑おう。
 楽しい楽しいお祭を、楽しむように。
 エンティは口元に笑みを貼り付けたまま、パーク内を自由に歩き回る。

 金の瞳の視線はまっすぐに人波を射抜く。
「――ああ。確かにこの夜は、死者が紛れ込んでいるようだな」
 人の作った怪物。
 人であった怪物。
 幾つもの気配を感じて、グラナトは瞳を少し眇めて。
「ん? グラナトさんってホラーは平気なタイプ?」
 神だから平気そうだけど、と、きゅっと帽子をかぶり直すマクベス。
「ああ」
 彼の言葉に小さく頷いたグラナトは。スタッフのゾンビが茂みより飛び出てこようが、一切動じた様子も気にした様子も無く。
「モンスターも幽霊も、俺にとってはそれ程縁遠いものではなかったからな。――怖いとは思わないし思えないな」
「怖がりだったらそれはそれで面白かったのにな~」
 けらけらと軽く笑うマクベスが、空色の瞳を瞬かせて尾をぴーんと張った。
 手をぶんぶん振り、振り。
「あ! あそこにいるモンスターすっごい特殊メイクだな!? めっちゃ強そうじゃね?」
「……ふむ」
 マクベスが指差したのは、大きな犬の姿の神獣だ。
 その横に侍る巫女服姿の娘に、見覚えのある神官服を着た男。
 ――あれは本物かもしれないが、ただの幻かもしれない。
 記憶を擽る疼痛に、肩を竦めるグラナト。
「本当だな。全く、凄いものだ」
 滲む過去とは、別の『世界』のモノも見せるのであろうか。
「――……あ」
 その瞬間。
 目を見開いたマクベスはグラナトの服裾を握りしめて、歩みを止めた。
 彼の瞳の中で揺れるのは、黒髪に赤い服の男の姿。
「どうした、マクベス?」
「……兄ちゃん……?」
「――知り合いでも見つけたか?」
 こっくりと頷いて、マクベスは黒髪の男を指差す。
「ねぇ、グラナトさんっ、あそこにいる人……!」
 その彼が、ゆっくりと振り向く。……それは乾ききって風に遊ばれて崩れ落ちる、砂の城のように。
「――あれ……」
 マクベスの視界から溶け消える男。
「いなく、なった?」
 どんぐりのように目を見開いたままマクベスは、グラナトの掌を握り――。
「……幻影でも、また会いたかったな……」
「そうか。大事な者であったのなら、このような形でほんの少しだとしても見れて良かっただろう?」
「……そうかも、しれないけど……」
 明らかにテンションの下がってしまったマクベスの掌をきゅっと握り返し。
 グラナトは逆の手でそろりと彼の頭を撫でる。
「……、……」
「……落ち着いたか?」
「うん……」
 帽子の中で、ぺったりとしてしまったマクベスのネコの耳。
 そわそわ、マクベスゆれる尾。
 不意打ちにそういうのは、本当にズルい。

 すこしだけ、人の輪を離れた場所。
 ぽつん、と立ち尽くすゾンビ達の姿。
 この肌の粟立つ感じは、『人』では有り得ない感覚だ。
 エンティは楽しげに歩み寄ると、首をひょいと突っ込んで。
「おや。何だいとても楽しそうじゃないか、――私も混ぜておくれ」
 彼らの中心にある『モノ』を、見た。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

アステル・サダルスウド
友人の吾聞君(f00374)と手分けして調査!
後で合流するよ

『コミュ力』『礼儀作法』『言いくるめ』を活用し周囲の人から『情報収集』
――ねえ、怪しいものを見なかった?
え?いっぱいいる?
違うよ
実はね、この中に本物が潜んでいるのかもしれないんだ…内緒だよ?

怪しい者を見かけたら【栗鼠探偵の迷推理】発動
『動物使い』『動物と話す』を活かして対象を追跡
僕は少し離れた場所から追うよ


あの人、どこかで
いや、でもそんなはず…
「……おかあさん?」
思わず声に出ちゃったから慌てて隠れるよ
そんな訳ないのに
だっておかあさんは、もういないんだから

って目の前に吾聞君が!びっくりした!
吾聞君…尻尾もふもふしていい?
癒しが欲しいかも


影守・吾聞
友達のテル(f04598)と手分けして調査
また後で合流するよ!

人混みの方はテルに任せて
俺はスタッフオンリーな場所に『忍び足』
『暗視』『聴き耳』も駆使して身を隠し
『野生の勘』も頼りに『情報収集』

怪しい奴がいたら『追跡』
開かない扉があれば『鍵開け』
証拠足り得る物を見つけたら『撮影』しとくね

それにしても
こんなとこにもお化けはいるのか

ん?あの白髪の幽霊、角がある
それに俺とそっくりな尻尾も
もしかしてご先祖様、とか?
化けて出たってわけじゃないと思うけど

テル、大丈夫かな
一通り調査は終えたし
【キマイラの翼】で合流しよう

テル、何か変わったことあった?
ん?うん、いくらでももふって!

情報交換はテルが落ち着いたら、ね


アラン・サリュドュロワ
【POW】
マリークロード(f19286)と

要するに度胸試しか
従業員もいるなら片端から斬りかかるわけにはいかないな
ジゼル、と槍を手乗り竜に戻し肩の上へ
君なら敏いこともあるだろう、頼むぞ
─早速俺たちの頭の上が気になるようだな…

基本は通常通り演出を楽しむ
見付けたら斬る、以上
わざと騒ぐマリーを突然出てくる系等からかばいながら進む

マリーは幽霊は信じているのか?
へえ、意味か
面白い考え方だ、未知を人は恐怖するからな
この区画もわざと見通しが悪いように出来ているようだ

俺か?怖いかどうか…先程から驚きはしているのだが
ただ興味はある─肉体の無いものを斬れるのかと
なるべく斬れそうな怪物であると悩まずに済むので助かるよ


マリークロード・バトルゥール
アラン(f19285)を伴に

わたくしも客として楽しみながら探りを入れましょう
聞き耳を立て異音や異変が無いか、周囲を常に探って進む
勿論、存分に楽しみながら!
仰々しい見目にきゃあきゃあ声上げわざとらしくアランに縋る
楽しんだほど敵の目を惹き易いのならばこれもひとつの作戦でしょう?
第六感を頼りに騎士の手を引いて、よりエリアの奥へと進んでいく

問に少しだけ考えてから背筋を伸ばし
そう、そうですね……わたくしは幽霊を信じますわ
異なる存在な以上怖いと感じる方もいるでしょう
ですが彼らにも其処に有る意味があると考えれば――恐怖も消えます
うふふ、わたくしの騎士は頼もしいわ
怪物は怪物らしくして頂けると良いのですけれどね



 抜き足差し足忍び足。
 獣耳をアンテナのようにぴんと張った吾聞は、関係者以外立ち入り禁止の施設へと潜り込んでいた。
 UDCが勝手に現れて異変を起こす事もあるが、何かが原因という事も十分に考えられる。
 その原因は、見える所にあるとは限りはしない。
 ピックセットを鍵穴に差し込んだ吾聞は、確かな解錠の感覚に瞳を眇めて。
「……ッッ!」
 目の前にぼうと立ち尽くしていた巨大な白い怪異に息を呑んだ。
 視線だけが合う。
 それでも大声を出すわけにはいかない。
 だって吾聞は今、本来入ってはいけない所に忍び込んでいるのだから。
「……それにしても、こんなとこにもお化けはいるんだねー」
 ぴこぴこと耳を揺らして、周りを見渡す吾聞。
 スタッフ達も知らない『何か』が大量に潜り込んでいる事態に、に大わらわの様子であった。
 そりゃあそうだろう、予定していない所に現れる化け物。
 スタッフでは無い、怪異達。それらは夢溢れる国に歪に混ざり――。
「……ん?」
 吾聞はふと足を止めて尾を警戒に揺らすと、ぼんやりと遠くを眺めながら立ち尽くす『怪異』を見やった。
 そのモノは、白髪に角、たてがみに爬虫類の尾。
 その尾は、吾聞のモノにもよく似ている気がする。
「……なんだか俺に似てる気がするなぁ、もしかしてご先祖様、とか?」
 肩を竦めて、ううんと首を傾ぐ。
 別段、化けて出られる用事も無いはずだけれど。怪異は別の世界の過去も、滲み出ているのであろうか。
「……」
 ふ、と。
 友達の顔が頭に過った。
「……テル、大丈夫かな?」
 心配になると、不安は膨れ上がるもの。
 そろそろ一通り調査は終えたし、合流してみても良い頃だろう。
 吾聞は、身体に力を漲らせて――。

 華やかな声が響く人混みの中。
 二つに括った銀の髪、ふうわりと青いスカートを揺らして。
 けらけらと笑う男子高生達に、アステルは首を柔らかに傾ぎ、尋ねた。
「――ねえ、怪しいものを見なかった?」
「ええー、何何、君ナンパー? 怪しいものならいっぱーい居るじゃん? 俺とかさァ」
 首を左右に振ったアステルは、彼らの顔を見やって。
「んー、今日は違うかなー。それにね。……今日は、この怪しいおばけ達の中に本物が潜んでいるかもしれないんだ、……内緒だけどね?」
 ふふふと笑い、踵を返したアステルは首を傾いだ。
「えー、なにそれ、やっぱナンパじゃん? 怖いなら一緒に行く?」
「だいじょーぶっ、僕は怖くないからねっ!」
 そっかあ、またねえなんて笑いながら男子高生達が手を振れば、アステルも手を振り返し。
 なかなかお話をしやすい人達ではあったけれど。
 しかし、うーん、不発だったかあ。
「……わっ!?」
 そこに飛び出してきたゾンビに、アステルは声を上げる。
 ……怖く無くても、びっくりはするもんね!
「……!」
 更にその奥。
 感じる『異様な気配』。
 慌てて探偵のシマリス君を呼び出したアステルは、彼をその気配へと駆けさせて。
 そこで、目をまんまるにして動きを止めてしまう。
 感じた気配は、確かにこの世界に生きる者とは全く別の気配。
 でも、その背中は。
 その、髪型は。
 その、背丈は。
「……おかあ、さん?」
 思わず呟いてしまった言葉。
 言葉を発してしまった事実に数秒遅れで気が付いたアステルは、慌てて人混みの中に紛れ隠れる。
 駆けて行ったシマリス君は上手に追跡してくれているようだ。
 リンクした感覚で伝わるソレに、小さく頷いた。
 深呼吸、深呼吸。
 そう……あれが、おかあさんの訳は無いのに。
 あれが、おかあさんの訳があって良いはずないのに。
 あの事件で、おかあさんは。
 ――おかあさんは、もういないのだから。
 ふるる、とアステルは首を揺する。
 現実を確かめるように。

 やれやれと肩を竦めたアランは槍を手乗り竜へと戻して肩の上へと収め、竜へと声をかける。
 ――ジゼル、頼んだぞ。君ならば敏い事もあるだろうから。
 そして見渡すは、ゾンビや幽霊に扮装したキャスト達がそこかしこをゆらゆらと歩き回る、ホラー・ホラー・テラーナイトのエリア内。
 扮するキャスト達の姿は、まさに迫真。
 本当に怪我をしているかのような血のりに、おどろおどろしく施された特殊メイク。
「要するに度胸試し、という訳だな」
「きゃあっ!」
 そこへ現れた、血に塗れた白いワンピースのキャストに。
 わざとらしいまでに華やかな悲鳴を上げたマリークロードは、ぎゅっとアランに縋り付いた。
 その場を楽しんでいる者に特に怪異達が惹かれて来るというのならば、存分に楽しむ必要があるだろう。
 そう。
 楽しむ事は、マリークロードの作戦でもある。
 だからこそ騎士の手を引いて、より奥へ奥へとマリークロードは勘のままに歩んで行く。
「――そういえば、マリーは幽霊は信じているのか?」
 飛び出してきたゾンビから、マリークロードを引き寄せながら。
 ふと思いついたように、アランはぽつりと口を開いた。
 彼の問いに、マリークロードは瞬きを一つ。少し考えるように上を見てから、背をきゅっと伸ばして口を開いた。
「そう。……そうですね、わたくしは幽霊を信じますわ」
「……ふむ?」
「幽霊と呼ばれる存在が自らとは異なる存在である以上、怖いと感じる方もいるでしょう?」
 紫の瞳を揺らして、マリークロードは言葉を次ぐ。
 言葉を選ぶように、丁寧に丁寧に。
「ですが、彼らにも其処に有る意味があると考えれば、――恐怖も消えます」
「へえ、意味か。……面白い考え方だ、未知を人は恐怖するからな」
 瞳を瞬かせて頷いたアランは、この区画もわざと見通しが悪いように出来ているようだ、と付け足して。
 彼女の選ぶ道を護衛するように、見通しの悪い道をまっすぐに歩む。
 おどろおどろしい装飾に、壁が光に化粧された薄暗い曲がり角。
「わたくしの頼もしい騎士さんは、幽霊を信じられているのかしら?」
 誂うように笑ったマリークロードは、アランを見上げて。
 角を曲がった所にぼうと立ち尽くしていた亡霊を、アランは一瞥してから。
「俺か? ……怖いかどうかは置いておいて。先程から驚きはしているのだが」
 顎先に指を触れて、ぴいたりの言葉を見つけたかのようにアランは声を紡いだ。
「ただ興味はあるな―─肉体の無いものを斬れるのかと」
 だから、今回もなるべく斬れそうな怪物であると悩まずに済むので助かるよ、と首を揺すったアランに。
「うふふ、わたくしの騎士は頼もしいわ」
 その腕に腕を絡め直したマリークロードが、ふふふ、と笑った。
「……怪物は怪物らしくして頂けると良いのですけれどね」
 そうばかりに行かないのが、この世界のUDCの常でもあるのだが。
 さて、さて。
 どの様な怪物が今回は飛び出してくるのであろうか。
 仮初の姫と、その騎士は、先へ、先へと。

 ティロティロティロリン。
「テル、何か変わったことあった?」
「わっ……吾聞君!」
 謎の効果音と共に現れた吾聞に、アステルは目を一度丸くして。
「……吾聞君……尻尾もふもふしていい?」
 既にその尾のたてがみをふかふかと撫で回しながら、ぽつりと尋ねた。
「ん? いいよー、うん、いくらでももふって!」
「ありがとうーっ」
 ああ、癒やされる。
 了承を取ると動じ――いや、それよりも先にたてがみをもふもふし始めているアステルに、吾聞は目をぱちぱち。
 多分、きっと、何かがあったのだろう、とは想像がつく。
 ……情報交換はアステルが落ち着くまで、待とう。
 彼がこの尾で元気になってくれるのなら、いくらでも待てるのだから。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

鳳仙寺・夜昂
【凜々閃々】

遊園地そのものがお化け屋敷、みたいなもんなのかね。
扮装の方も凝ってるから、どれがスタッフでどれが本物かなんか分かんねえな。

3人で原因探しにふらふらしつつ、ふと視界の隅に留まった人影がいたりして。
4年前に突然いなくなってしまった人。唯一の家族だった人。
……母さん?

後ろめたくて立ち止まっ…
はァ!?はっ……はぁあ!!??
分かった!分かったから!ちょっと黙ってろ!!!

(小さく頷く)
母さんが死んでから、褒められるような生き方なんて出来なかった。したかったけど、無理だった。
同じところに行けるとも思ってなかった。ただ楽になりたかっただけで。
折れるまで2年。立ち直るまで2年。
……今は大丈夫。多分。


渦雷・ユキテル
【凜々閃々】
やーん、ゾンビにお化け
本物混ざってます?
周囲と動きの合わない人をUCで探り

家族や亡くした人を想う気持ちは自分には分かりません
だけど胸に何か閊えたままじゃ苦しいのは知ってるから
夜昂さん、
「お話したい事がひとつでもあるなら吐き出したほうがいいです。
ちゃんと息しなきゃ陸で溺れちゃいますよ」
自分の喉、軽く絞めて舌をちろり

大丈夫。さあ、ほら。


……あたしの大事な人はきっと生きてる。そんな言葉は胸の中
だって17歳の女の子は楽しさで形作られてるものなんですから!
振り向き「もうひと仕事残ってますよ」と二人に笑い
神様の惚気ステキでしたねえ。いいなー

※テンション幅あります。今回はしっとり
アドリブ等大歓迎


キラス・レスケール
凜々閃々

中々凝った催しだな
だが案ずるな、例え本物が出てきたとしても恐れる必要はない
お前達に傷一つ負わせんよ

どうした、夜昂
…そうか、あれは夜昂の
よし、俺様はあの婦人と少し話をしてくるぞ。その間に伝えたい言葉を形にしておくとよい

母であれば子の成長が気にならないという事もあるまい
夜昂の事を語って聞かせ立派に成長したことを伝えよう
夜昂は面倒見がよい、料理が美味い、友になれて嬉しく思うしそういえば先日
……む、どうした夜昂。おお、伝えたい言葉が纏まったのだな。ではこの場を譲るとしよう

想いを伝える夜昂を満足げに見やりつつ、ユキテルへの想いも後程語ることを約束しよう

※友達が大切な俺様神様
※諸々ご自由にどうぞ



 ざわめく人々の群れ。
 金髪を靡かせたユキテルはぐるっと周りを見渡して、周囲と動きの合わない人を探るように。
「やーん、ゾンビにお化けがたくさんじゃないですかー」
 本当に本物混ざってます? なんて。
 スタッフの動きはやたらと洗礼されているもので、不気味な動きが板についている。
 それに扮装やメイクもとても凝ったモノで、正直全部本物だと言われても頷いてしまうような出来だ。
「ふむ、中々凝った催しだな」
「遊園地そのものがお化け屋敷、みたいなもんなのかね?」
 感心したように顎に手を当てて頷くキラスに、夜昂が翠色の瞳を眇めて。
「――だが案ずるな! 例え本物が出てきたとしても恐れる必要はない。神である! 俺様に! 任せておけ! お前達には傷一つ負わせはせん!」
 キラスが神ムーブで、カッコイイことを言いながら無闇にピカピカと輝く。
 無駄な輝きにまぶしいなー、なんて更に夜昂は瞳を眇めて。
 ユキテルはわーすごーい、なんて勢いよく彼の言葉を流す。
「……と、……?」
「どうした、夜昂?」
 そんな中。
 視界の隅に留まった人影に、夜昂はふと足を止めて『しまう』。
 彼の足を止めたのは、何よりも後ろめたさ。
 それは、4年前に突然居なくなってしまった人。
 唯一の、家族だった人。
「……母さん?」
「え?」
「……そうか、あれは夜昂の……」
 思わず漏れてしまった小さな小さな囁き声に。夜昂の視界の先へと、目を向けるキラスとユキテル。
 ウム、と頷いたキラスは――。
「よし。……俺様はあの婦人と少し話をしてくるぞ! その間に伝えたい言葉を形にしておくとよい!」
「はァ!? はっ……はぁあ!!?? いや、いやいやいやいやちょっと待て待て! 待て!」
「……母であれば、子の成長が気にならないという事もあるまい。夜昂の事を語って聞かせ、立派に成長したことを伝えようでは無いか!」
 輝きを増すキラス。
 んなーーーって顔をする夜昂。
「夜昂は面倒見がよい、料理が美味い、友になれて嬉しく思うし、そういえば先日魔法少女にだって」
「んなああああああああああ!!!! ああああああ!!! あああああ!!! 分かった! 分かったから! おい、神!!!!! ちょっと黙ってろ!!!!!!」
 いや、マジで勘弁して。
 マジで。
 無闇な光に照らされて頭を抱えた夜昂は、縋るようにキラスを引き止めて。
 そんなじゃれ合いにくすくす、と笑みを零したユキテルは、赤い瞳をくりくりと瞬かせた。
 ああ、家族や亡くした人を想う気持ちは、ユキテルには分からない。
 だって、ユキテルはそんな思いを抱えた事が無いのだから。
 それでも、それでも。胸に何か閊えたままでは、苦しい事は知っている。
「――夜昂さん」
「あぁ!?」
 キラスを引き止めるのに必死な夜昂は、まあまあな勢いでユキテルに振り返り。
「……お話したい事がひとつでもあるなら、吐き出したほうがいいです。……ちゃんと息しなきゃ陸で溺れちゃいますよ?」
 赤い赤い舌をちろりと覗かせたユキテルは、自らの首を軽く絞めて。
 溺れてしまえば、こうなってしまう。
 伝える事は怖いかも知れない。
 でも、――大丈夫。
 さあ、ほら。
「……はァ、もー……分かった、分かったよ」
 観念したかのように、肩を下げて二人を見やった夜昂に。
「おお、夜昂。伝えたい言葉が纏まったのだな。それでは仕方あるまい、この場は譲るとしよう」
「はーい、頑張ってくださいねー」
 キラスが満足気に腕を組んで頷き、ユキテルはひらひらと手を降る。
「でも神様の惚気ステキでしたねえ。いいなー」
「そうだそうだ、ユキテル。お前への想いもきちんと語るとしよう。俺様はお前の事も――」
「いえ、自分にはそういうの結構でーす」
「む、恥ずかしがらなくて良いのだぞ!?」
 わいわい騒ぐ二人を背に、夜昂は『彼女』へと歩を進める。
「……なぁ、母さん」
 声をかけられて振り向いた彼女は、目をまん丸に。
 その言葉に返事はないけれど。
 夜昂は彼女と確りと視線を交わして、言葉を次いだ。
「――母さんが死んでから、褒められるような生き方なんて出来なかった」
 したかったけど、無理だった。
「同じところに行けるとも思ってなかった。……ただ楽になりたかっただけで」
 その言葉は祈りにも似て。
 彼女はただじっと、不思議そうも見える表情で夜昂の顔を見ている。
「折れるまで2年。立ち直るまで2年。――……今は大丈夫。多分」
 滲み出た過去は、過去にあったそのものでは有り得ない。
 しかし、その残滓は確かに過去の形を持っている。
 だから、あんまり心配しないでくれ、と。夜昂は告げ――。

「――うむ、流石俺様は神だからな、説得力も凄い。また人を救ってしまったな」
「神様、流石ですねー」
 想いを伝えている様子の彼の背を、満足気に見やるキラスの横でユキテルがうんうんと頷き。
 ……あたしの大事な人はきっと生きてる。
 ユキテルにとって大切な言葉は、胸の中にしまったまま。
 くるりと振り向いたユキテルは、かわいいかわいい女の子の顔でへんにゃりと笑う。
「二人共、まーだもうひと仕事残ってますよー」
 だって17歳の『女の子』は楽しさで形作られてるものだから。
 そんな湿っぽい感情、見せている暇はないのだ。
 だって今日は、チュロスだって、ポップコーンだって、ジェラートだって、まだ食べて無いものね。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

誘七・一華
🌺 フレズローゼ/f01174
アドリブ歓迎

うわ?!な、なんか叫び声が聞こえたな
こ、怖くない!勘違いするなよ
俺は陰陽師だ
こういう怪異は俺の十八番
安心しろよフレズ
怖がってそうだから手を繋いでやる
フレズは年上でも女の子だ
俺がしっかり守らないと

怪異なら原因の物がある筈
探そうぜ!
そのトランプ、ほんとに大丈夫なのか?
一緒に怖くなんてないさと歌っていれば
ゾンビや人魂やろくろ首が飛び出してきても怖くない
怖くないからな!

ふと見遣れば佇む女の霊
黒髪に赤い瞳、俺と同じ白い角にアネモネを飾った和服羅刹の女
大丈夫だ、悪意は感じない
ただ見てるだけ
…何だろう
初めて見るのに懐かしい?

消えた
驚きすぎだろ!可愛いとこあるじゃん


フレズローゼ・クォレクロニカ
🍓一華くん(f13339)
アドリブ歓迎!

ねぇなんか怖い雰囲気なんだ…ぼ、ボクあまり得意じゃない
な、何?!
ボクのがお姉ちゃんなのに!
一華くんが頼もしく見える
陰陽師なんだもんね!

手を繋いでれば大丈夫!
どんなお化けが出てきても心強いんだ
きゃっきゃと声を上げながら、ゾンビもお化けもかわして行く
この悲鳴は楽しくて上げてる悲鳴だからね!

怪異の原因を探すんだね
TRUMP TRUMPで呼び出したトランプ兵達にも手伝って貰おう
お化けが溢れ出てるとことかさ!
一華くんが入れば大丈夫さ!

なんか見てる
あれ?あの人って確か……(前、櫻宵の部屋に姿絵が

え!消えた!
やだ!幽霊やだよもう!
可愛いとこあるんじゃなくて可愛いの!


柊・雄鷹
ほら、ハレちゃん(f00145)の大好きなホラータイムやで
えぇ?もしかしてハレちゃん怖いんですぅ?
いやー、天下の晴夜さまがホラー苦手だなんてそんな
はいはい、冗談やって!そないに怒らんでも良ぇやん
ニッキーくんが掲げてるランプで明るすぎるくらい…
…なぁ、ニッキーくんワイのこと威嚇してない?気のせい??

ほな張り切って捜査と行こかー
しっかしパーク内、おばけばっかりで大迫力やな!!
ん?ワイの後ろ…え、なんやねん、気になるやん!!
待って…ホンマになんかおるん?怖っ、振り向けへんやん!
何がおるんかだけ教えて!!えっ、ハレちゃん?ハレちゃん!!
ワイを置いていかんといて!可哀想でしょ!!!


夏目・晴夜
ユタカさん(f00985)

はい凄いですねー楽しみですねー
別に怖くないですし、ホラーも苦手じゃないですし
……私は!暗いのが!少しだけ!ほんの少しだけ怖いんです!
知ってんでしょうが、惚けやがってクソが

ニッキーくんは戦闘用の巨大からくり人形ですよ?威嚇なんかの為に出しません
私が常に持っているランプをニッキーくんに高く掲げさせて街灯代わりにする為に、
あと私がムカつく度にユタカさんへ『愛の無知』をくらわす為に出したんです
つまり実用の為ですね

ほら、早く怪異の原因とやらを探りますよ
少し明るくして調査しやすくしてあげたんですから
見辛い暗がりの所とか、ユタカさんの後ろとか
如何にもヤバそうな所を探って回りましょう



「ほーら、ハレちゃんの大好きなホラータイムやで~」
「はい凄いですねー楽しみですねー」
 世界一いやらしい笑みをひったひたに湛えた雄鷹。
 世界一冷ややかな視線でソレを一瞥する晴夜。

 歪な動物の頭部の上で動物の耳をぴょこぴょこと揺らす半裸の巨漢――、からくり人形のニッキーくんが晴夜の生命線たる灯火を掲げて。
 おどろおどろしげなBGMが流れる青や紫の仄暗いライトアップの為された道を、二人とランプを掲げた人形は歩み行く。
「えぇっ? もしかしてハレちゃん怖いんですぅ?」
「別に怖くないですし、ホラーも苦手じゃないですし」
 掌で口を覆って、プークスクスの構えの雄鷹。
「いやぁ~~! 天下の晴夜さまがホラー苦手だなんてそんな……」
「……私は! 暗いのが! 少しだけ! ほんの少しだけ怖いんです!」
 帽子をぐっと被り直して、ついに声を荒げる晴夜。
 ああもう、存在がうるさい男め。
 そう、晴夜は暗闇が苦手だ。眠るときですら照明を欠かせぬ程。
 雄鷹はその事を知らぬ仲でも無い。
 知ってるだろうに、トボけやがってクソボケカスが。
 表情こそ大きく変化は無いが、晴夜の紫瞳の温度はツンドラ気候も同然。
「はいはい、冗談やってー! もー、そないに怒らんでも良ぇやん」
 へらへらと笑いながら、雄鷹はまあまあと手を揺り動かして。
「大体、ニッキーくんが掲げてるランプでこの辺りは明るすぎるくら……」
 そこで、ふ、とランプを見上げた雄鷹は、豊かすぎた表情筋が一瞬で固まった。
 ……、えー、ええー……?
 まさか、まさかね?
「……なぁ、いや、気の所為ならええんやけど、……いや、その、なんて言うか……。もしかしてなんやけど……、ニッキーくんワイのこと威嚇してへん? 気のせい?? 気の所為やんな???」
 煌々と灯りを掲げる巨漢人形が、そう、こちらに向かって腕を掲げているような気がして。
「……はァ? 自意識過剰じゃないですか? 思春期の少年か何か気取りですか?」
 盛大に肩を竦めた晴夜は、雄鷹を冷たい冷たい視線で見やるばかり。
「……ニッキーくんは戦闘用の人形ですよ? ユタカさんへの威嚇なんかの為に出したりしません。私が常に持っているランプを街灯代わりにする為に出てきて貰ったのですよ」
「せやんな、せやんな? 気の所為やんなあ……」
 ほう、と胸を撫で下ろした雄鷹に、興味を無くしたのように視線を反らした晴夜は更に言葉を次いで。
「あと私がムカつく度にユタカさんへ愛の無知を喰らわせる為に出したんです。つまり実用の為ですね」
「エッ!?!?!?!? やっぱ威嚇してるやんなソレ!?!?!!? エッ!!?!?! 威嚇してへん!?!?!?!?!」
 きゃーっと腕を掲げる雄鷹。
 巨大なからくり人形は、片腕にはランプを。
 片腕はいつでも豪腕を暴力のままに振り下ろせるように。
「ほら、早く怪異の原因とやらを探りますよ、少し明るくして調査しやすくしてあげたんですから。馬車馬のように働いて下さい、ユタカさん」
 じゃれて遊んでいる暇は無いと、晴夜は嘆息一つ。
「あ、えっ……せやな、せやな。 ほな張り切って捜査と行こかー」
 気を取り直した様子で大きな羽根を一度広げて、たたみ直した雄鷹は改めて周りを見渡した。
 ニッキーくんだって勿論、迫力で言えば負けてはいないのだが――。
「しっかしパーク内、おばけばっかりで大迫力やな!!」
「そうですね、でもこの辺りはキャストばかりのようです。……見辛い暗がりの所とか」
 ニッキーくんを操る糸をくん、と引き絞る晴夜も周りを見渡し。
――雄鷹とひたりと視線が合った。
「ユタカさんの後ろとか、如何にもヤバそうな所を探って回りましょう」
「ん!? 今……、ワイの後ろって、………え、なんやねん、気になるやん!!?」
 そのままふい、と晴夜に視線を反らされてしまえば。
 えっ、何、何か居る?
 後ろ?
 え???
「待って……ホンマになんかおるん?」
「……」
 何も語らず、晴夜はどんどん道を歩んで行く。
 ……えっ!?!?!
「怖っ、振り向けへんやん!? ちょっ、何がおるんかだけ教えて!! えっ、ハレちゃん?ハレちゃん!!
 ワイを置いていかんといて! 可哀想でしょ!!!」
 ハレちゃわわわわん!!
 情けない声をあげて一気に半泣きになった雄鷹は、慌てて晴夜の背を追い――。

 抜き足、差し足。
「……ね、ねぇ、こういう雰囲気、ボク、じつはあまり得意じゃなくて……」
 なぜか自然と忍び足のようになってしまったフレズローゼは、唇に拳を寄せて。
 ……わゎわゎん……。
 そこに遠吠えの様に薄く響いた声に、びくんと一華は肩を跳ねた。
「……うわっ!? い、今なんか叫び声が聞こえたような……?」
「わ、わわわっ、な、何? 何だい!?」
 一華の声に連鎖するように驚いたフレズローゼが垂れたウサギの耳をぴゃっと跳ねて、彼の服裾をぎゅっと握りしめると、その様子に一華はきゅっと息を呑む。
 そして、ふるると顔を揺すり。
「――こ、怖くない! 勘違いするなよ、俺は陰陽師だ!」
 このような怪異は、一華の専門分野――謂わば十八番である。
 きりと唇を引き絞った一華は、服を握りしめるフレズローゼの掌をとった。
 ――フレズローゼは年上だ。
 でも、女の子だ。女の子は護らなければいけない。
 それは、男として当然の事だと一華は思う。
「安心しろよフレズ。怖いなら、俺が手を繋いでやる」
 ぎゅ、と繋いだ掌は温かく。
 まっすぐと金瞳を見据える桃色の視線は、フレズローゼのほうがずっと年上だと言うのに、不思議と彼が頼もしく見える色に揺れていた。
 ……まだ小さいなんて、思っていた彼もちゃんと陰陽師なんだ。
 フレズローゼは、ほうと息を吐いて。
「――手を繋いでれば大丈夫! どんなお化けが出てきても平気さ!」
「ああ、それに、怪異なら原因の物がある筈だ」
 それが物なのか、者なのかは分からぬが。
 一華は少し考え込むように、顎先に指を寄せ。そんな彼の横で、フレズローゼはぴっかぴかに笑った。
「ふふふーん! なら、トランプ兵達にも手伝ってもらおう!」
 絵筆に魔力を籠めて横へと振るえば、立ち並ぶ女王陛下に忠実なるトランプの兵隊達!
 響き渡ったフレズローゼの号令に、彼らも一斉に捜索へと進みいでたる。
「……そのトランプ兵達、ほんとに大丈夫なのか?」
「一華くんがいれば、百人力。ばっちり大丈夫なのさ!」
 それに二人で手を握っていれば、おばけなんてなあんにも怖くない。
「……そうか、そうだな」
「そうさ、そうなのさ!」
 意気揚々と。再び暗い路を歩み出した二人は、おばけなんて怖くないと高らかに歌い歩く。
 例え、ゾンビが飛び出してきたとしても。
 おばけが飛び出してきたとしても。
「ひゃっ!」「わっ……!」
 ふるる、と視線を交わし合って。
「フレズ、大丈夫か!?」
「大丈夫っ、これは楽しくてあげた声だからね!」
 二人一緒なら、大丈夫。
 ……大丈夫だってば!
 こ、怖くないからな!

「――……うん?」
 何故だろうか。
 何だろうか、この感覚は。
 一華は一人の女に目を奪われて、はたと足を止めた。
 黒い髪。
 赤い瞳。
 一華と同じ白黒曜の角に、アネモネを揺らした和装の女。
 その女は――恐らく羅刹であろうと、一華は思う。
 何故だろう、目が離せない。
「……あれ、一華くん?」
 どうしたの、とフレズローゼは彼の視線の先を目線で追い。
 目を見開いた。
 ――あれは。
「いや……、悪意を感じる訳じゃないんだ」
 ただ、こちらを見ているだけ。
 何だろうか、初めて見る女の筈だ。
 初めて見る女の筈なのに。
「……、懐かし、い?」
 自らの肚奥から沸いた感情に、一華は首を傾ぐ。
 ぱちり、と視線が交わされた瞬間。
 その女は掻き消え――。
「えっ!? 消えた! ……やだー!! 幽霊じゃないか! もう!」
「……驚きすぎだろ!」
 大げさに飛び跳ねるフレズローゼの様子に、おかしげに笑う一華は肩を竦めて。
「可愛いとこあるじゃん?」
「可愛いとこあるんじゃなくて、ボクは可愛いの!」
 ぷりぷりと言うフレズローゼに、また一華は笑った。
「分かった分かった、可愛いフレズ。行こうか」
「もう、仕方ないなあ!」
 再び手を繋いで、二人は足並み揃えて進み出す。

 しかし。
 一度だけ、フレズローゼは後ろを振り返る。
 ――あの人って、確か。
 櫻宵の部屋に姿絵の在った――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

千波・せら
お化け……。
うん、お化けは平気なんだ。
平気なんだけど一般の人がいるってちょっと怖いな…。
ひとまず、観察してみようかな。
きゃーって怖がるふりをして逃げよう。

人の少ない場所でクリスタライズを使って自分の身体を透明に。
スタッフ専用のエリアとか侵入できないかな。
透明になってるけど、お化けに紛れ込むってちょっとドキドキするね。

うーん、中々見分けがつかないかも。
なにかヒントになるものがあれば……あっ…!
見たこともない化け物がいる……恐竜のような…。
あれはさすがにスタッフが変装したお化けじゃないよね?

海の中にいる怪物って聞いたことがあるけど
まさかこんな形で見ることが出来るなんて。


ジゼル・スノーデン
【灯火岬】

楽しい時間は過ぎるのが早いな

夜闇に包まれても人混みは変わらなさそうだから、提案
「綴、手をつながないか?」
迷子になってしまっては偵察もない
けれど闇に顔を隠した人の森を歩くのは、少しだけ心細いんだ

迷子にならないようしつつ、周囲のざわめきにも耳を傾けよう
そうしながら夜のパレードに

あ、ライトを買おう!青く光るのがいい。首から下げれば、目印にもなる
きらきらぴかぴか。周囲を見れば、同じように光ってる
不思議な光景だな

昼とはまた違う、光にあふれたパレードの列に、違和感はないだろうか

「懐中時計……?」
手をつないだまま、綴についていく
過去の何かに、彼は出会ったのだろうか
きっと忘れがたい、誰かに


櫛橋・綴
【灯火岬】

もうこんな時間
薄暗くなってきた空を見つめて

ジゼルの声にどうしたの、と首傾げて
…ああ、なるほど。
「…離れ離れになっちゃったら大変だ」
優しく、だけどしっかりと手を握る
だいじょうぶ俺がいるよ

星がきらきら瞬き出す頃に始まる夜のパレード
ライトいいな、俺も買おっと。
選んだのは瞳と同じ赤い色
同じように首元に
本当に不思議な景色だね。でも、とても綺麗だと思う

パレードに紛れ込む人ならざる者はいないだろうか
喧噪、人影、ゆらめく数多の光と―…
カチリ、と耳元で秒針の音が聞こえた気がした

…今なにかいた気がした
すれ違った、の方が正しいのだろうか
懐中時計を持った黒い影
知らないモノのはずなのに
何故か妙に気になったんだ



 おばけは、おばけは平気なのだけれども。
 でも、一般の人がいると言う事は少し怖く思える。
 もし、間違えて攻撃してしまったら。
 もし、おばけが何かの拍子に一般の人を攻撃してしまったら。
 華やかな悲鳴が響く大きな通りを人の流れに沿ってゆっくりと進みながら、せらは周りを見渡す。
 しろーい顔をした幽霊の扮装に、大きな鋏に血のりをたっぷりとつけた人形の扮装。
 楽しむことは、怪異を呼ぶこと。
「……きゃーっ!」
 どこか楽しげに悲鳴をあげたせらは、一目散に駆け出した。
 怖がっている振りして、逃げてしまおう。

 ――楽しい時間は過ぎるのが早いもので。
 夜闇の中、暗いライティング。
 しかし通り掛かる人々の数は増えてすらいるようにすら感じる。
「綴」
 ジゼルは一度掌を眺めて、彼女の呼びかけに綴は顔を上げて首を傾ぐ。
「どうしたの?」
「手をつながないか?」
 迷子になってしまっては偵察もない、とジゼルは手を伸ばして。
 ああ、なるほど。
 一瞬瞳を瞬かせた綴は、その言葉に得心して子鹿の耳を揺らし頷いた。
「そうだね、離れ離れになっちゃったら大変だ」
「それに、――闇に顔を隠した人の森を歩くのは、少しだけ心細いんだ」
 翠瞳を揺らすジゼルの言葉に、綴はきゅっとその掌に力を籠めて。
「――だいじょうぶ、俺がいるよ」
「うん、ありがとう綴」
 視線を合わせた二人は、小さく笑いあった。
 迷子にならぬように、手を繋いで歩こう。
 こわーい道のりでも大丈夫。
 なんたって、目指す先の夜のパレードは、明るくてぴかぴかなのだから。
 歌い、踊り、光が瞬く。
 きらびやかなカートは、夜の中で尚ぴかぴかと輝いて。
 光溢れるパレードの中に、違和感を探すジゼルは――。
 ぱ、と瞳を輝かせてカートを指差した。
「……あ! 綴、綴! ライトを買おう、青く光るのがいい」
 きらきらぴかぴか。
 周囲を見れば、同じようにライトを手に、首にパレードを眺める人々。
 ジゼルはコレを首から下げれば、目印になるだろうと笑って。
「いいね、俺も買おう。……俺はこっちにしようかなー」
 綴が選んだのは、あかーい光。
 皆が並んで光を眺めて、光を下げて。
 なんだかとても、不思議な光景だ。
「……不思議だけれど、綺麗だね」
「うん、そうだな。不思議だけれど、綺麗だ」
 喧騒の中、二人は光を見上げて立ち尽くし。

 カチリ、と耳元で秒針の音が響いた気がした。

 赤い目を見開いた綴は、周りを見渡して――。
「……何だ、綴?」
「……今、何か居た気がした」
 いいや、すれ違った、と表現する方が正しいのかも知れない。
 懐中時計を持った、黒い影。
 二人は手をつないだまま、何かを追うように歩き出す。
 綴の言葉にジゼルは、まばたきを二度。
「……懐中、時計?」
「うん、……あんなモノ、知らない筈なのに」
 なぜだか綴の胸は、ざわめき騒ぐのだ。

 過去より滲み出した『何か』に彼は出会ったのだろうか?
 それは、きっと。
 忘れがたい『誰か』、なのかもしれない。
 きらきら光るパレードの中。
 青と赤の光は、ゆらゆら進む。

 スタッフ専用エリアに、自らの身体を透明にしてせらは忍び込んでいた。
 透明になって紛れ込むせらは、まるですこしだけ自分もお化けになったような気持ち。
 ひっそり、こっそり。
 頭が裂けているのに、普通にお水を飲むゾンビ。
 キグルミの頭を横に置いて、汗を拭う怪物。
 バックヤードでお休みするおばけたちは、人間をひしひしと感じさせて少し面白い。
 じっと立っていると、なかなか見分けがつかないものだけれども――。
「……あ」
 せらが思わず零した、小さな小さな声。
 見たことも無いような、『化け物』
 あれは流石に、変装できる姿ではないだろう。
 せらは透明になった腕を自分で抱きしめるように撫でると、少しだけ緊張している自分を自覚した。

 大きな、大きな、恐竜のようなその姿。
 その姿は、あまりに過去を嘆くようで。
 その姿は、あまりに雄大で。
 地上には、あまりにふさわしく無いように見えた。

 せらは直感する。
 この大きな生物だったモノは、海に住んでいたのであろうと。
 小さく喉を鳴らして、せらは息を飲む。
 ――海の中にいる怪物って、聞いたことはあるけれど。
 まさか、こんな形で見ることができるだなんて。
 ああ、なんて、大きいのだろう。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ザッフィーロ・アドラツィオーネ
宵f02925と

宵と手を繋ぎながら共に遊園地を巡る
園内を照らす茜の色は本当に美しいな
…死者や過去の残滓を呼ぶとは思えぬ程に

俺が見る幻影はきっと肉を得る前、傍で見守り続けた黒髪の女性の後ろ姿か
若い頃の美しい姿に思わず追いかけてしまいかけるも繋いだ手指に気付けば冷静さを取戻そう

貴方を虐げ殺した貴方の孫は赦せぬながらも
未だ暗い感情を抱いてしまうその子孫を俺は赦しても良いのだろうか
そうずっと、尋ねたかった
だが…幻影故答え等ないのだろうな
…ああ。俺が居る場所は己が感じる侭行動して良いのだとそう導をくれたお前故に
…迷い惑う時はお前が手を引いてくれるのだろう?

その後は後を追い原因を突き止められればとそう思う


逢坂・宵
ザッフィーロ君(f06826)と

いまは亡き死者や過去の残滓を呼び起こす生者の生命の紡ぎ糸が引き金になるとは
何とも興味深いと申しますか……複雑ですね

薄暗い夜闇の帳の向こう
見慣れた黒い羽織姿の壮年の背中が見えたなら
思わず視線を向けるでしょう
あなたが冷たかった理由も
あなたが僕を敬遠していた理由も
すべて知ってしまったからこそ、その背を目で追わざるを得ないでしょう

けれど手は伸ばさない
僕の居場所はこの手を握る人のところにあるのですから
ザッフィーロ君が幻影を見ている様子であればつなぐ手に力を込めて引き止めましょう
大丈夫、きみの居場所はここです
答えというのは、自分で見つけ出すものです……
さぁ、行きましょう


月山・カムイ
おばけの湧く大元を探す、となると一苦労ですが……まぁ、見つかることなく自由に探し求める手段、はありますか
では、裏側の探索と参りましょうか

影の追跡者の召喚を行い、モンスター達の発生源を探す
キャストの人達が居るバックヤードに忍び込ませ、キャストではない本物のモンスターを探す
注目するのはその動き
ゾンビ等死したモノや、人の形をしていない存在の場合、どうしても動きに不自然さが出るはずです
そうした部分からモンスターを炙り出す

向かってる先がどこになるのか、などを確認して可能なら他の猟兵と情報共有を行う
お客達のところへ行く前に片付けたほうがいいでしょうかね?



 怪異の大元を探す、となれば一苦労であろう。
 なんたって、パークは広い。
 しかも、怪異の現れている先が一つだとは限りはしない。
 もしかすると、湧き出した怪異事態が怪異を呼び出している可能性だってある。

 カムイは、ゆるりと首を降ると影をとん、と叩いて。
「――見つかることなく自由に探し求める手段、はありますか」
 さあ、裏側の捜索と参りましょう。
 力を分け与えられて駆ける影は、カムイと五感を共有している。
 キャストの影に潜んでバックヤードへと潜り込んだ影は、キャストを追跡しながら。
 異形の気配を探って、周りをぐうるりと見渡す。
 バックヤードで過ごすキャスト達は、人としての動きをしている者も多い。
 その中で、尚怪物として過ごす者を。
 その中で、尚動かぬ者を。
 カムイは影を通して探り――。

 そして、気が付いた。
 化け物達は、確かに潜り込んではいる。
 潜り込んではいるが、その場を動かぬ者も多い。
 動き回っている者も、意味のある動きとは思えぬ動きをしていた。
 ――単純に怪異の数が多い中心点を探るべきだろうか?

 バックヤードにてキャストを追跡する影は、尚も奥へ、奥へと――。

 遠くに見える星々。
 茜を飲み込んだ藍色。
 空の色は、このように眩しい場所ですら美しき移り変わりを見せる。
 逢魔が時に攫われぬよう。
「――この空の元で、死者や過去の残滓が呼び覚まされるとはな」
 宵の掌を確りと繋ぎ止める、ザッフィーロの掌。
 ザッフィーロは藍の髪を小さく揺らして、細く細く囁き。同意に頷いた宵も、空を見上げるその瞳を細めた。
「――今は亡き死者や、過去の残滓を呼び起こす引き金が、生者の生命の紡ぎ糸とは……」
 空の色に飲み込まれそうな、御伽の街の中。
「何とも興味深いと申しますか……、複雑ですね」
 人混みに溶け込む宵の言葉。
 彼らは二人、手を繋いで歩む。
 はぐれないよう、はなれないよう。

 テーマパークの薄い夜闇に、ひっそりと佇む背が見えた。
「……」
 声に出す事も無く、宵はきゅっと息を潜める。
 ああ、あの背は。あの見慣れた背は。
 それは壮年の黒い羽織姿。
 どうしても視線がその背を追ってしまう事を、宵は止められない。
 それは。
 あなたが冷たかった理由も。
 あなたが僕を敬遠していた理由も。
 ――すべて知ってしまったからこそ、その背を目で追わざるを得ない。
 しかし、宵がその手を背へと伸ばす事は無い。
 握った掌、なぞる指先。
 今の宵の居場所は、この掌を握る者の横にあるのだから。
 自らの視線を断ち切るように、宵はザッフィーロの横顔を見やる。
 その彼は、目を大きく見開いて――。
「ザッフィーロ君」
 今にも駆け出しそうな表情をしていたザッフィーロの掌を、宵は柔らかく握りしめて引き止める。
「――大丈夫、きみの居場所はここですよ」
 彼の言葉に、は、と小さく肩を跳ねて。
 宵によって繋ぎ止められたザッフィーロは、高鳴る鼓動を抑え込むように、ほうと息を吐いた。
「……ああ」
 見かけてしまったのは。
 見つけてしまったのは。
 この身体を得る前に、傍で見守り続けたあの黒髪の女性の後姿。
 あの若く、美しい姿を。
「俺が居る場所は己が感じる侭行動して良いのだと、……お前は導きをくれたな」
 ザッフィーロの指先に籠もる力。宵は、ただそれに応えるように。
「ええ」
「――ならば、俺が迷い惑う時はお前が手を引いてくれるのだろう?」
 宵は、甘く柔く笑んで。
「勿論」
 まっすぐに視線を交わして、頷いた。
 小さく顔を左右に振って、ザッフィーロは絞り出すように言葉を次ぐ。
「――俺はただ、ずっと尋ねたかった」
 ――アレに何かを尋ねようとも、アレは本物ではない。
 過去が滲み出した、よく似た別のモノだという事くらい、ザッフィーロだって理解をしている。
 しかし、しかし。
 貴方を虐げ殺した貴方の孫は、赦せぬながらも。
 未だ暗い感情を抱いてしまうその子孫を、俺は赦しても良いのだろうかと。
 尋ねて、みたかったのだ。
「……答えというのは、自分で見つけ出すものです」
 迷い子のように、瞳揺らすザッフィーロを宵は確りと見つめ返して。
 だから、迷うならば、一緒に迷いましょう。
 交わした視線に、ザッフィーロは頷いて前を向いた。
 その瞳に、もう迷いは見えない。
「……行こう、アイツを追うんだ」
 今度は尋ねる為では無い。怪異の原因を見つけるが、為だ。
「ええ、君となら何処へでも」
 く、と笑んだ宵。
 彼らは二人、手を繋いで歩む。
 はぐれないよう、はなれないよう。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

須辿・臨
【エイリアンツアーズ】
今度は度胸試しっすかね?
はは、皆さんの装いが派手で、目立つっすね。
誘き寄せに丁度いいと思うっす。
ゲストとして、ホラーナイトも楽しませて貰おうっす。

オレは素直に参加して、囮になろうかと。
うわーびっくりした!とか、積極的にビビる風を装って、相手の反応を見るっす。
相手が人間ならそれっぽい満足感が見て取れるんじゃないっすかね?
ゾンビメイク、よく出来てるっすね。

ところでオレ、実はあんまり怖いもんないんすよねー
食い物が怖い!って思ったら出るんすかね?
チュロスとか。

もし本物見つけたら、声を出してこっちに寄せるっす。
わー出た!みたいなシンプルなのを合図に。
斬って倒せるなら楽なんすけどね。


三条・姿見
引き続きエイリアンツアーズの皆と共に、ゲストとして調査を。
サングラスを外し、夜を見据える。この光る腕輪は…このままで。
はぐれないための良い目印にもなるだろう

まずは本来のイベントに近い様子を見ておきたい。
先にエリアの中を散策し、モンスターに扮したキャストを確認しておこう。
特殊メイクの出来は興味深いものだが…今は依頼を優先したい

ヒトの身体の動きであれば、これまで幾度も目にしてきた。
明らかに人間のそれではないものや、異様な気配を放つもの…
手掛かりはきっと無数に

明確な異物はこちらへ注意を引き付ける。
万一の際、一般人に悪い思い出を残さないよう注意を払おう。
よくできた作りものだと言葉を添えてフォローしたい


ヨシュカ・グナイゼナウ
引き続き【エイリアンツアーズ】の皆さまと
アドリブ等歓迎

スタッフ…は無理なのでゲストとして探索。『本物』に出会えるかもしれないという好奇心は少し抑えて
【暗視】も可能なこの硝子の眼球で、誰そ彼の闇を見渡して。『迷子』にならないように気をつけて
きらきら腕輪は道しるべ

普通のゲストの様にホラーホラーテラーナイトを楽しむ風にして、キャストの皆さまと接触しながら【情報収集】
ここのゾンビさんは走るタイプじゃないのですね。それにしても良く出来てます

接触していけば異物は明確に分かる筈。キャストさんとの違いを【見切り】、『本物』が判明したら、
近くのエイツアクルーにそれとなく知らせましょう。情報は共有すべきです


榛名・深冬
【エイリアンツアーズ】
ゲストとして参加

ホラーという事は怖いもの、なんですよね?
普段色んなものと戦っていますし、
わたし達ならきっと大丈夫でしょう

と思ったら大間違いでした
キャストの特殊メイクや場の雰囲気に青ざめる
悲鳴を上げる余裕すらなく引き攣った声を上げつつ
心配そうな燈を苦しくない程度にぎゅっと抱え
怖がってばかりもいられないので
電脳眼鏡型ゴーグル起動、あと機械鳥を飛ばして【情報収集】
明らかに人とは違うおかしな行動を取る者等を
【暗視】【視力】の機能も使ってくまなく探します

気づいた事は情報共有
変な者を見つけたら皆さんで協力して対処します

呼び方
感情が先輩=苗字+先輩
感情が同僚=苗字+さん
ヨシュカくん


ニオク・イグズヴィ
引き続き【エイリアンツアーズ】の皆と
日が暮れて薄暗くなってくると、やっぱり雰囲気も変わってくるな
誰そ彼時っていうのかね、確かに変なモンが混じっていてもおかしくない

とりあえず、俺はバイトスタッフに扮して情報集めるか
多分、予備のスタッフTシャツとか事務所かどこかにあるだろ
鍵がかかってても、シーフだしその辺はちょちょいっとね

新人バイトのふりをして休憩所なんかで噂話を集める
どんな小さな事も聞き逃さない
目玉アトラクションだし、多分いろんな情報が集まっているだろうから
良い話も、悪い話も
休憩中にパウルへ携帯端末で経過報告を

ある程度情報を集めたら皆の所に戻る
今後の対策も相談しよう
※アドリブ、絡みOK


パウル・ブラフマン
【POW】
【エイリンツアーズ】の皆と参加♪
引き続き調査も頑張るぞい☆(ゴーグルライトを点灯)

オレもゲストとしてイベントに参戦。
やっぱ人気イベントだけあって夜になってもすごい人だね!
合流したユキくんに肩の上乗る?とお誘いを。
別行動のニオくん(f00312)とも携帯電話で連絡を取り合いたいな。

【コミュ力】を駆使して
『リアル過ぎるモンスター』を見た一般人ゲストさんに
フランクに声掛けをし、【情報収集】をしてみるよ☆
明らかに人外の動きをしている個体を発見したら
エイツアクルーで囲んで被害防止を試み…
ヒェッ!?倒せないおばけさんめっちゃ怖くね!?
NO戦闘安全第一。後でたっぷり遊ぼうぜ。

※絡み&アドリブ大歓迎


ユキ・スノーバー
【エイリアンツアーズ】の皆と合流っ!
パウルさんの提案に、高い所から見るの楽しみでノリノリでちょこんとお邪魔しまーすっ。
頭上注意しつつ、死角を補うように周囲を警戒
…驚いて頭ぺとって触っちゃうかもだけど、視界は塞がないように気を付けるよー
驚くのは表情に留める、よー…(ふるふるマナーモード)

一般のゲストさんに声かける時は、怯えてる感じなら怖くないよーって落ち着かせてからお話聞きたいなっ。
もし何かの拍子に怪我してるとかあったら、生まれながらの光で手当てするね。
万が一本物と接触しそうとかヤバそうな感じの場合は
画面を矢印表示にしたり、×印や砂嵐でなるべく自然に小道具を装って
一般の方の安全誘導優先で動くよー



 皆の腕できらきらひかる腕輪は道標。皆を迷いから護る、アリアドネの糸。
 ――と、いっても。
 エイリアンツアーズ面々の浮かれた装いは派手で、ゲスト達の中でもある程度は目立っているのだが。
 さてさてこれからはじまるのは、『度胸試し』のお時間だ。

 あまりに恐ろしいものを見てしまったと、きゃいきゃい話す女性二人組へと。
 軽い足取りで向かう、触手付き足。
「ええっ、そんな怖いクリーチャーが!? すっげえすっげえ! どこで見たンすか? おおお、ありがとう! ゼヒゼヒみにいくっす!👍✨ おねーさん達ありがとでっす~!🐙✨✨」
 巧みな話術で、一瞬で盛り上がる会話。
 明るく言葉を重ねた後、女性達と彼は手を振りあって――。

「アイスショップの方で鬼怖いおばけさん目撃だって! しっかし、やっぱ人気イベントだけあって夜になってもすごい人だねー!」
 皆の方へと戻ってきたパウルの明るい声。
「うんうん、いつもよりねーたかい所から見ると、もっともーっとよく見えてすごーい!」
 そんな彼の肩にちょこんとおすわりしたユキは、きょときょとまんまるな瞳で周りを見渡し元気なお返事だ。
 そこに。
「……わあ」
 ヨシュカの金色に揺れるまんまるい硝子の眼球は、誰そ彼の闇中でもようく見える。
 目をぱちくり、ヨシュカはソレと視線を交わし。
 これは、これは――。
「!!」
「えっ、なになにユキくん! ――ヒョェッ!?」
 気が付いてしまったユキは目を驚きにまんまるくして、パウルの頭にぺとっと抱きつき恐怖マナーモード。ふるふるふる。
 重ねてパウルが驚きの声を上げ。
「ん、どうしたっす、……か……。うわーっ、びっくりしたー!」
 声に振り向いた臨も、彼と視線を交わすゾンビに翠色の瞳をまんまるにして驚いて『みせた』。
「っっ!?」
 深冬は思わず小竜を抱きしめ、ぴゃっと肩を跳ね。顔を青ざめさせて、ふるふる左右に顔を振る。
 これはきっと本当。

 ゆら、ゆら。
 恐ろしげなメイクはされているものの。
 ライトの下で揺らめいたゾンビの瞳に宿るのは、人を驚かせたという確かな満足感と生気だ。
 ゆっくりと踵を返して、別のゲストを驚かせに行く『偽物』のゾンビ。

 臨は遠くを見るように、額に掌を当ててソレを見送り。
「……いやー良く出来てるっすねえ」
「確かに、実に興味深い」
 サングラスを外して頭上にあげた姿見は、あのような傷口をメイクだけで作れるとは凄い技術だとゾンビの背をしげしげと見つめる。
「本当です。それにしても、ここのゾンビさんは走るタイプじゃないのですね」
 『本物』で無かった事に少しだけ細めた瞳に、白い睫毛の影を落としてヨシュカはその背を見送った。
 ――『本物』なら、少しだけ捕まえてみたかったな、なんて。
 ……ああ、でも、ゾンビよりは――。

「……ふ・普段色んなものと戦っていますし、大丈夫だと思ったのですけれど……」
 思った以上に大丈夫じゃなかった。ホラーという事は、怖いものだったのだ。
 怖いものは怖いという事を再認識した深冬は、ふるふると頭を抱える。
 だって怖いものって怖いんだよ。
 でも怖がっているだけでは、お仕事は終わらないものだ。
 心配そうに瞳を揺らす燈を胸に抱いて、深呼吸。
 深冬は眼鏡型の電脳ゴーグルに指先を当て、――電脳、起動。
 暗視、視界補助機能起動。
 情報収集モード『視界内の異様な行動を取る者を検索、告知』。
 お仕事モードにスイッチを入れて、小鳥型のドローンを深冬は空に放つ。
 ……怖いものは怖いですけれど。
「――終わらせなければ、終わりませんからね……」
 囁く彼女の横で、ホットフードのカートに長蛇の列が生まれている様を見やった臨。
 あまーい匂いが、近くを歩いているだけでふわふわ漂う。
「怖いものがでてきてくれるなら、チュロスが怖い! って思ったら出たりしないっすかねー」
 観察の為に怖がるフリをしてはみるが、実は臨にはあまり怖いものはない。
 それよりチュロスが食べたい。
 あ、スモークチキンもいいなあ。
「うえへへへ、ならオレは何を怖がっちゃおーかなぁー? バイブスの上がる音楽? うえーっ、楽しい事とかパねぇー🐙✨」
「じゃあぼくはねー、ゆき山みたいなパフェがこわいよー!」
 パウルが戯けて、へらへら笑い。ユキがパウルの上で手をてちてち。
「お、じゃあオレは……」
 のんびりと会話を重ねながら。
 造られた異形達をすり抜けて、エイリアンツアーズの社員旅行御一行は進む、進む。

 少しばかり『お借り』した道化めいたパーク清掃衣装に身を包んだニオクは、バックヤードのベンチに腰掛けて空を見上げていた。
 空色は藍。
 ちらほらと見える星々は、パークのきらびやかさにも負けず輝いてはいるが。
「誰そ彼時っていうのかね」
 日暮れの雰囲気は、いくらここが夢の国と謳われていようがやはりどこか不気味に思えた。
 ――人々の中に何か変なモノが混ざり込んでいてもおかしくないような。
 休憩するキャスト達や、これからパーク内で仕事を始めるキャスト達。

 口々に彼らが話す声に、ニオクは聞き耳を立て――。

 『お腹空いたー』
 『ホラーエリア外に怪物が居るとか聞いたんだけど……』
 『ゲスト達のクオリティの高いコスプレではないのか?』
 『なんか居るみたい、今の所苦情は来ていないけど時間の問題じゃない?』
 『え、そんなに沢山いるの?』
 『ネットとかでそういう集まりあるって話あったっけ……?』
 『コスプレ禁止にしたくないから、ルールは守って欲しいなあ……』
 『揺らめいて消えた、って言ってなかった?』
 『今日、蒸し暑いよねー』
 『平日にしては今日、ゲストも多めだよなー』
 『え? 足がめちゃくちゃ早い化け物のコスプレ?』
 『声をかけても反応が無いらしいよ』

「……ふぅん、やっぱりな」
 ニオクも想像していた通り、キャスト間でも噂になっているようだ。
 それはそうだろう。
 異質な何かが、突然大量に現れたのだから。
 歩いているスタッフ達の中にも、よくよく見れば『人ならざるもの』が幾匹も紛れ込んでいる事にニオクも気づいてはいた。
 モップを片手に、ニオクは立ち上がる。
 その逆の手には携帯電話を。
 トゥルル、トゥルル、トゥルル。
「――パウル。聞こえるか?」

「はいはーい! もしもしニオくん、きっこえてるよぉ☆」
 夜闇に負けぬ灯りの灯った、人々の行き交う大きな通り。
「……うん、うん、そっかそっかぁ。うん☆ じゃあまた後でね!」
 きっちり3コールで携帯電話を耳に当てたパウルは何度か言葉を重ねると、通話終了ボタンを押し――。
「ニオクさんの方はどうだったー?」
「やっぱり、向こうの方でも噂になってるみたい! こっちもさっきからちょくちょく見かけるもんね……!」
 頭の上のユキがパウルの頭をたっしとして尋ねると、パウルがキャラモチーフゴーグルのライトをぴかりと光らせた。
「……ッ!!」
 つられてそちらを向いてしまい、燈を抱きしめて声にならない声を上げる深冬。
 きゃーっと目をまん丸にしたユキ。ふるふるふる。マナーモードは継続中。
「わあ」
 幽霊を捕まえてみたいという気持ちと『本物』に会えている、という好奇心を何とか抑え込んで。
 ヨシュカは、驚きの声と共にぱちぱちとまばたきを。
「……いやでも、やっぱおばけさんめっちゃめっちゃ怖くね!?」
 自分で光に照らし出しておいて、パウルがぶんぶんと首を振る。
 ついでに触手もニョッロニョロ。

 ぼうっと立ち尽くすだけのソレは、光を当てられても反応は無い。
 しかし、頭に刺さった斧と血はまさに本物のようであった。

 否、本物なのだろう。

 異様な気配を放つ者。肌の粟立つ程の違和感。
 その光に照らされたモノは、『本物』だろうと、猟兵達には一目で理解できる。

 ――斬って倒す事ができれば、楽なのであろうが。
 警戒の気配を放つ姿見は、鋭く周りを見渡し嘆息を洩らした。
 明らかに夜が深まるにつれて、その『異様な気配』はドンドン色濃くこのようなモノも増えてきている。
 あまりの本物のような姿に、動揺する一般人の声音が耳に入れば――。
「――いやあ、よく出来た作りものだな!」
 巻き込まれただけの者たちが、必要以上に怖がらぬように。
 今日という日が、悪い思い出とならぬように。
 声を程々に張り上げて、姿見は周りへと宣言するように言った。
「本当に、そのメイク凄いっすねー」
 同意にうんうんと頷いた臨は、周りをちらりと見渡して。
 この『本物』からは敵意が一つも感じられない。
 ただそこに呼び出されて意志も中身も無く、立っているだけの木偶のような印象だ。
 ――だからこそ、本物なのであろう。
 今は敵意を感じずとも、いつ動き出すかはわからない。
 増えてきた怪異達に、エイリアンツアーズの面々は警戒を深めながら。
「……歩み行く者達がいるな」
「お☆ ホントだ~!」
「三条さんよく気づいたねー! すっごーい!」
 足を止めている怪異にも警戒は怠らず、ふらふらと歩む怪異を追って歩き出す。

「あ、ニオクさん」
「よう。にしても、すごい数だな」
「っすよねぇ、よくぽこぽこ湧くもんっすよー」
「……どうしてただ驚かせてくるものって、こんなに怖いのでしょうね……」

 今は安全第一。
 心置きなく遊ぶのはまた、ぜーんぶ終わってから!

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ヨハン・グレイン
オルハさん/f00497 と

人間のスタッフと間違えないよう、気を付けなければ
暴力は禁止されているし……面倒だな
そもそも探索というか、歩き回るのは好きではないんですけどね

乗り気の無さが足取りに表れ、
彼女から一・二歩後ろを歩きつつ

幽霊であれば影が無いなど区別つくんじゃないですか?
怪物はあからさまに人のサイズでないなら分かりそうですけど……
ゾンビはどうでしょうね。特殊メイクの技術はすごそうですし
困っている風に話しかけて反応があればスタッフかも

彼女に近づく者がいれば間に入る
スタッフであれば触れないでしょうけど……万一もありますし

……苦手なら後ろにさがってください
こういう時には頼って欲しいものですから


オルハ・オランシュ
ヨハン(f05367)と

私覚えてるよ
エントランスで貰ったパークガイドに、何人分かは写真載ってたよね
全く同じ見た目なら絶対スタッフだと思う
うん、影の有無もよく見ておこうか

そう、覚えてる
あの可愛いメイドゾンビはスタッフなんだって
ヨハンには断固近付けさせない
それにしてもリアルだね
特殊メイクって凄い!

なんて遠巻きに見ていれば、静かに近寄る影には気付けず
けれど驚く間もなく彼が守ってくれる
……ほっとするな

複数体で行動してるのもパフォーマー寄りのスタッフに思えるよね
単独行動中のを重点的にチェックしようか

わっ……!?
大きな声で驚かされるの、怖くて苦手
でもよく見てみないと……
う、うん
ありがとう……頼らせてくれて



 夜の帳の落ちたホラーゾーンを歩む、人々の群れ。
 金色に淡い桃を抱いた髪に落ちる、夜藍色。
 オルハは獣の耳をぴょんと伸ばして、ヨハンへとパークガイドを開いて見せた。
「ねえヨハン。エントランスで貰ったパークガイドに、扮装したスタッフの写真が載ってたよね」
 私覚えてるよ、なんて。
 全く同じ見た目なら絶対スタッフだと思う、と写真を指差すオルハ。
 顔を寄せてガイドを覗き込んでいたヨハンも瞳を眇め。
「そうですね、人間のスタッフと間違えないよう、気を付けなければいけませんしね。……もしかして、幽霊であれば影が無いなど区別つくんじゃないですか? ……怪物はあからさまに人のサイズでないなら分かりそうですけど……」
 過去より滲み出たという事は、一種のオブリビオンなのであろうが。
 しかし亡霊として本物だというのならば、何か普通とは違う見た目があるかもしれない。
 ああ、クソ。暴力を禁止されているのは、実に面倒だ。
 そもそも歩き回る事自体がヨハンは好きでは無いというのに、どうして探索なんて歩き回る行為をさせられるのだろう。
 いいや、それが仕事だとは理解している。この暑い中、沢山の人々の群れを掻き分けて歩くことに乗り気になれないだけだ。
 考えるだけでうんざりしてきたヨハンの足取りは、歩むオルハの二歩後ろ。
「うん、じゃあ影の有無もよく見ておこうか」
 仕事だけれども、どこか楽しげに頷いた彼女は。テンションの低いヨハンとは裏腹……いや彼は大体いつも低いが。
 オルハとしては彼と出かけられるだけで嬉しくなってしまうものだから、歩く事は余り苦にはならない。
「ゾンビの見分けは……どうでしょうね、パークガイドによると相当多そうですけれど。……特殊メイクの技術はすごそうですし」
「そうだねー。歩いているゾンビ達も、みーんな本当にリアルで凄い!」
 そう言ってオルハが軽く周りを見渡すだけで、スタッフらしきゾンビは沢山沢山。
 このパークにどのくらい、ゾンビはいるのだろうか?
「まぁ、困っている風に話しかけて反応があればスタッフかもしれませんね」
 眼鏡のブリッジに手を触れて、眼鏡を治すヨハン。
「ゾンビのスタッフは会話も禁止されてるかも知れないけれど……」
 ちらり、と横目であるゾンビのスタッフを見やるオルハ。
 そう、オルハは覚えている。覚えていた。
 あそこに立っている、可愛いメイドゾンビはスタッフだと。
「……なんですか?」
「えっ、あっちの方が怪しいなー……なんて!」
「はぁ。何、どういう勘です?」
 訝しむヨハンの視界に可愛いメイドゾンビが入らぬように、つつつと立ち位置を変えるオルハ。
 断固近付けさせない。
 断固近づいてはいけない。
 ……ヨハンがあの子を可愛い、なんて言ったりしたら。
 オルハは。
「…………」
 む、っと唇を引き絞って、立ち止まった彼女の後ろに迫る影。
「……オルハさん」
「――わっ!?」
 ぐっと腕を引いてオルハを抱き寄せるヨハン。
 そのまま彼は、背に迫ったゾンビとの間に割り入って彼女を護るように立ち回る。
 ――怪異は人を今の時間帯は襲わないとは聞いていた。しかし、万一という事もあるもので。
 そのままヨハンの藍色の瞳とゾンビの視線が交わされ――。

 そのゾンビは、スタッフだったのであろう。
 ゾンビも大きく口を開いたまま、そのままぴたりと動きを止めてから。踵を返して、次の得物を狙い出す。
 ゾンビが離れてゆけばヨハンはいつもの仏頂面で、オルハをぱっと押しのけたのだけれど。
 オルハはなんだか、なんだか。
 ……とても、ほっとしてしまった。
 それは何かあれば、彼は一番にオルハを護ってくれるという事。
 それは彼が――。
 ほっとしたあとは、なんだか嬉しくなってしまってオルハはくすくすと笑う。
「ね、複数体で行動してるのもパフォーマー寄りのスタッフに思えるよね。単独行動中のを重点的にチェックしようか?」
「良いですけれど……、何を笑ってい、」
「……わっ!?!?」
 その瞬間。
 巨体のきぐるみフランケンシュタインが大きな手でハンドクラップ一つ。
 ぴょんと身体を跳ねて驚くオルハは、大きな声や音で驚かされる事が苦手なのだ。
 もう一度彼女を抱き寄せたヨハンは、細く息を吐いて。
「……苦手なら俺の後ろに下がっていてください」
「え、でも、よく見てみないと……」
「……言わないと解らないようですから、言いますけれど。――こういう時には頼って欲しいものですから、下がっていて下さい」
「……う、うん」
 後ろ手に差し出される掌。
 ヨハンの言葉に頷くしかできなくなったオルハは、瞬きをひとつ、ふたつ重ねて。
「……えっと、その、……ヨハン、ありがとう。……頼らせてくれて」
「……いいえ、疲れたら言ってくださいね」
 俺のほうが先に疲れそう、とは今日は言わない。
 オルハはその手を取り、その指先をしっかりと握りしめる。

 二人は進む、くらーい夜道を。
 こわーい、おばけ溢れる夜道を。
 でも、きっと、大丈夫。
 ふたりで歩くこの道なら。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

シアン・ルー
チガヤ(f04538)と一緒に行動します
【SPD】
ヴァンパイアの格好をしていきましょう。定番ですからね

見分け方ですが、手当たり次第に叩くのは当然NGです。正規のスタッフもいるのですから、怪我人が出てアトラクション中止になったら申し訳ありません
怪しい人がいたら「気合い入ってますね」みたいにこっそり軽く話しかけてみてはどうでしょうスタッフ同士のやりとりのように
本物の怪異なら人間のような受け答えはしないはず
それにスタッフお客さんに関わらずアタックしてくるかもしれません
そういうときに静かに排除しましょう。【暗視】【暗殺】です
お客さんに過度に接触するモンスターも怪しいのでフォローするていで排除しましょう


チガヤ・シフレット
シアン(f00616)と怪異探しと行くかぁ。

【SPD】
スタッフに混ざってうろうろしてみるか。ちょいと酒臭いけど、なんか怪物っぽくすればいけるか?
フランケンシュタインの怪物とかそんな……にしては、ちょっと最新機械っぽ過ぎるか?

さてさて、いったいどれが怪異で。
むむ、普通の人間と区別が、シアン、わかるか?
手当たり次第に殴っちゃダメなんだよな?
そうかそうか、声かけたりすりゃいいわけだな。
ったく、ほんとわかりやすく襲い掛かってきてくれりゃいいのになぁ?
数が多すぎると厄介だが、ちょっとずつやっていくか。

面倒な奴はサクッと静かに排除。
逆に泳がせても大丈夫な奴は追ってみるのもアリか。
黒幕に行きあたるかもだ


斎部・花虎
【シャルファ(f04245)と】

生憎と怪物の手合と対峙するのは慣れているんだ
シャルファ、怖いならおれの背中に隠れていろ
小さな背でも目隠しくらいにはなるだろ
…あれ、本物じゃないか?(向こうを指さしつつ)(悪戯心)

でもこうやって声を上げて、化物も人間も境界無くいられると云うのは
それはそれで愉しい事だと、おれは思う

ふと、通り過ぎる間際
見間違えようもない顔を見掛けた気がして足を止める
おれと同じ顔したおまえの姿
あの日炎に消えた筈のおまえの顔

振り返れども、きっとそこにあるのは有り触れた普通の化物
…いや、なんでもない、――なんでもないよ

いひゃい
…指が離れたならば小さく笑う
ごめんな、有難う


シャルファ・ルイエ
【花虎さん(f01877)と】

とりあえず、《第六感》で人ではなさそうなものに気を付けておきます。
邪神や幽霊なら以前にも見たことがあるので大丈夫なんですけど、ゾンビなんかはちょっと苦手かもしれません……。
腐ってたりスプラッターだったりするのはあんまり……!(首をふるふるする)
っ、怖い訳じゃないです苦手なだけです!!(背中におでこをくっつけてぐりぐりもする)

ハロウィンなんかはそうですよね。
誰かに被害が出るようなものでなければ、そんな夜も楽しそうです。


――花虎さん?誰か、


……なんでもない顔じゃないですけど、なんでもないことにしておきます。

でもちょっと寂しいので、ほっぺたを柔らかくむにってします。



 少しばかり漂う、酒を呑んだ者特有の甘い匂い。
 破れたシャツに、ダメージジーンズ。
 頭にボルトをくっつけて、ロボットアームめいた関節を見せつけるように。
「さてさて、いったいどれが怪異で普通の人間か。シアン、区別はつくか?」
 ――すこうしばかり新しい部品が多いようだけれど。
 今のチガヤはフランケンシュタインの怪物、という設定だ。
「手当り次第に殴っちゃダメなんだよなぁ……」
「そうですね、手当たり次第に叩くのは当然NGです」
 こちらはヴァンパイアめいた黒いマントに身を包み、中に見えるは黒のモーニングコート。
 使い魔代わりに頭にパンダのぬいぐるみを載せたチガヤは、人差し指を立てて。

「正規のスタッフもいるのですから、怪我人が出てアトラクション中止になったら申し訳ありません」
 ちゃんと予習をしてきたのでシアンに抜かりはない。
「怪しい人がいたらスタッフのように振る舞って、『気合い入ってますね』みたいにこっそり軽く話しかけてみてはどうでしょう?」
 ――本物の怪異ならば、人のようには答えられないのではないだろうかと。
 赤い瞳をぼんやりと揺らしたシアンは、チガヤを見上げて提案一つ。
「そうか、そうか。声をかけたりすりゃぁいいわけだな!」
 ぱん、と手を叩いて得心した様子で頷くチガヤ。
「――ったく、わかりやすく襲いかかってきてくれりゃいいのになぁ?」
「いいえ、そうなるとお客さん達に必ず被害が及ぶでしょう。――この人数ですから」
 シアンが腕を広げて示す通り。
 イベント期間中という事もあり、流石テーマパークと言わざる得ない盛況の見える大通り。
 その行き交う皆々の表情は、驚く顔も笑う顔も等しく楽しさが浮かべている様に見える。
「……はー、そうだな、ちょっと厄介だが。今すぐ襲いかかる事が無いってのは少し安心かもなぁ」
 倒す自信が無い訳ではない。
 しかし、この人数の中で暴れられて全員守れる自信はチガヤには無かった。
 後頭部をガリ、と掻き、遠く見える城を見上げたチガヤ。
「――黒幕をとっとと見つけなきゃなぁ」
 ヒーローってのは大変なもんだな、なんて桃色の髪を揺らして。
「ええ、サーチアンドデストロイです。――被害を出すこと無く、勝ちに行きましょう」
 パンダを揺らして頷いたシアンは、チガヤは先へと歩き出す。
 ちらほらと、『本物の怪異』の気配を感じながら。

「こうやって声を上げて、化物も人間も境界無くいられると云うのは、それはそれで愉しい事だな」
「ハロウィンなんかはそうですよね、楽しいだけのイベントならこういう夜も楽しそ……」
 きゃあ、と響いた楽しげな悲鳴。
 花虎の言葉に頷いていたシャルファは、そのまま言葉を言い切る事無く、肩を跳ねる。
 その目線の先は、ゾンビが飛び出してきて女の人達を驚かせている姿だ。
 正確にはそのゾンビの姿、だろうか。
 ゾンビの顔は、メイクだろうとは言え裂けて肉と歯が飛び出しているように見える。
「……邪神や幽霊なら以前にも見た事がありますし、大丈夫だと思うのですけれど……」
 ふるふる、シャルファは眉を寄せて首を揺する。
 ゾンビはどうだろう、腐っていたり、千切れていたり、裂けていたりして――ちょっと苦手かもしれない。
 そんなシャルファの前へと、花虎はすっと歩み出て。
「シャルファ、怖いならおれの背中に隠れていろ」
 花虎の生家は、異形退治を生業とする旧い家。
 悍ましき日々の中、彼女は粛々と育ってきた。
 だからこそ。
 異形、怪物の手合に対峙する事ならば慣れている。
 彼女より少し小さな背でも、目隠し程度にはなるだろうと。
「っ! ち、違いますっ! 怖い訳じゃないです! 苦手なだけですーっっ!」
 小走りで花虎の背へと追いつくと、シャルファは苦情を伝えるかのよう。
「っ、ととと!?」
 そこで、突然足を止めた花虎の背にシャルファは顔をぶつけてしまう。
 振り返った花虎は、すっと先を指差し――。
「――あのゾンビ、もしかして本物じゃないか?」
「え、えええーっ!?」
 その指先に立っているのは、どうみてもただの銅像だ。
 口元だけ悪戯げに歪めた花虎に、シャルファは彼女の背中を額でぐりぐり。
「……な、なにも居ないじゃないですかっ、花虎さんっ! ねえっ!」
 また、からかって!
 ふ、と肩を竦めた花虎はこともなげ。
「不思議だな、おれの見間違えのようだ」
 そして再び歩みだした彼女は――、すぐに再び足を止めて振り返る。
 今度は悪戯の為では無い。
 ――見間違えようもない、あの顔を見た気がして。
 それは花虎と同じ顔をした、あの姿。
 それは見間違える訳もない、あの日炎に消えたはずの『おまえ』の顔。
 しかし、振り返った先に在ったのはただの『本物』だ。
 ゆうらりゆらり、どこか儚げに揺れて。
 言葉無く立ち尽くす亡霊。

「――花虎さん? 誰か……」
「……いや、なんでもない、――なんでもないよ」
 振り返り告げる花虎の表情は、とても、とても。
 そんな顔をされてしまえば、シャルファは言葉を次ぐ事はできなくなってしまう。
 ……ああ、きっと。
 彼女は『見てはいけないモノ』見てしまったのであろう。

「……なんでもない顔じゃないですけど、なんでもないことにしておきます」
 それはなんでもないけれど、少し寂しい。
 シャルファは一気に言い切ると、花虎の頬をむいーっと柔く引っ張り。
「いひゃい……」
「痛くしてるんですー」
 ぱ、と手を離したシャルファに、瞳を細めた花虎は小さく小さく笑んで。
「……ごめんな、有難う」
「いいえ、なんでもないですからね」
「……うん、なんでもない」
 二人は交わした視線に頷きあって、歩き出す。
 その怪異の原因を、探るべく。

 まるで二人を誘うように、まるで二人を迷わせるかのよう。
 ――歩むにつれて、怪異は増えてゆく。
 それはパークの行き止まりほど近く、一番奥。
「なあ、シアン」
「はい、チガヤさん」
「あれは……」
「奇遇ですね、わたしも同じ事を考えています」
 きっと、あれは――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

境・花世
綾(f01786)と

化物なんて日常茶飯事だよ
全然怖くないと笑って踏み出す先
唐突に上から降る屍に仰天

うわあぁ!?

蝉のように綾に張りついて、
早鐘打つ鼓動が鎮まるまで暫し
いい匂いがする、なんて想う余裕が出来たら
精一杯きりっとした表情をつくって
今のはちょっと驚いただけだよと嘯く

でも、綾が怖いならつないでてあげる

あたたかなきみの手に引かれ
闇の特に濃い場所を暗視して歩く
此の世に幻影を映すもの
或いは滲み出る亀裂のような何か――
綾は、何か感じる?

不思議にざわめく闇のなか
子どものようにゆらゆら手を揺らせば
どうしてかきみが笑っているから

怖くないよ、ほんとうだよ
化物が来たらきみを守るんだ
だから、……手を離したらだめ


都槻・綾
f11024/かよさん

では
頼りにしていますね

自信に満ちた彼女の姿に
笑い返して共に探索へ

唐突に降り来たる屍
同時に傍らのひとの柔らかさを受け止めて

伝わる彼女の鼓動と
強がりな様子が大層愛らしく
吹き出しそうになるのを堪え乍ら

…えぇ、そう
少し怖いかもしれないですね

自身は怪異に慄くことは無いけれど
繋いだ温もりで
彼女が安心しますように、とは口に出さずの胸の裡

身に着けた依り代はヒトガタの霊符
異形が介在する折に
違和を報せてくれるもの

空気を騒めかせる微かな気配を逃さぬよう
第六感を研ぎ澄まして闇を往く

集中すればする程に
暗がりに惹き込まれそうになる意識を
揺らぐ手が現へと繋いでくれるから

ふくふく笑って
確りと指を結び直す



 普段より戦いの最中に身を置いているの猟兵ならば、怪異など日常茶飯事であろう。
「ねえ綾、こんなの全然怖くないからね」
「では、頼りにしていますね」
 ホラー・ホラー・テラーナイトゾーンへ足を踏み入れる綾は、昂然たる口ぶり。
 上品に笑み返した綾は彼女と並び、いざ――。

 その瞬間。
 唐突に、上からゾンビが振ってきた。
 否、振ってきたのは等身大のゾンビの人形であったのだが。
「うわあぁっ!?」
 ぴゃっと肩を跳ねた花世は、先程の威勢はどこへやら。
 驚きに胸の外へと心臓が飛び出したかと思う程、高く打たれる鼓動。
 後ろに飛び退いた花世を綾が抱きとめれば、そのまま綾はセミの如く彼へと張り付いたまま。
 ひたりと押し付けられた身体が、早鐘を打つ音が聞こえるかのよう。
「い、……今のは」
 綾の『本体』は香炉だ。だからとも言えぬだろうが、彼はとてもいい匂いがする。
 ――なんて考えられる様になった頃に、やっと花世は口を開いて。
「ちょっと驚いただけだよ」
 未だ彼に張り付いたまま、キリリと表情を作る彼女。
 紡いだのは、精一杯の強がりの言葉。
「――でも綾が怖いなら、手を繋いでてあげても良いよ」
「……えぇ、そうですね」
 そんな花世の言葉に、綾は零れそうになった笑みを指先で覆って掬い、肩を竦め。
「確かに、……確かに、少し怖いかもしれないですね」
 先程落ちてきた人形に驚いた様子が無かった綾の様子を考えれば、それは詭弁である事は明らかだ。
 ――彼女の不安が少しでも無くなりますように、彼女が安心して歩けますように。
 伸ばされた掌は、綾の掌よりも大きな長く綺麗な指先。
 それは、花世にとっての暗夜の灯だ。
 その掌を掴み返せば、しっかりと握りしめて。
 二人は再び歩みだす。

 人の身で怪異に成りきって、夜をさざめかせる人々。
 或いは闇の中に潜む『何か』、夜をさざめかせる人ならざるもの。
 歩むパーク内には、違和感は確かに在った。
 綾の身につけた依り代――ヒトガタの霊符は、その気配達に今は敵意が無い事を告げている。
「――綾は、何か感じる?」
「そう、ですね……」
 しかし集中すればするほど闇は意識を喰らい、惹き込もうとするかのよう。
 何処かから、笑い声が聞こえた。
 鞠をつく子どもたちの声。
 それは、今、本当に在るモノなのだろうか?
 それとも。
 綾は瞳を眇め――。
「……綾?」
 そこで。
 きゅっと握りしめられた掌の熱に、はたと綾は顔を上げ。
「……ふ」
 思わず綾は吹き出して、ふくふくと笑みを零す。
「……? 綾?」
「いいえ、有難うございます、かよさん」
 ああ、この掌は揺らぐ夜を現に繋ぐ魔法の手だ、と綾は笑う。

 花世は首を訝しげに傾ぎ、瞬きを二つ。
 しかしそれでも、思う事は一つ。
 手を繋いでいれば、怖くない。
 それは、ほんとう。
 だからわたしは、――化物がきたら化物から君を守るんだ。
 だから、だから。
「――手を離したらだめ」
「……えぇ、解りました」
 言葉を口に。
 笑み栄ゆかんばせを、小さく傾けて。
 綾は承知を一つ。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

チェイザレッザ・ラローシャ
キリ(f03828)と一緒に
さぁって、遊んだし少しは頑張りましょうか

でもねぇ、本物と一般人なんてどう見分ければいいのかしら
臭いで嗅ぎ分けるとかできない?え、できるの?
……ああなるほど、そういうのね
なら、目はあたしがやるわ。鼻は任せるわね

軽く腕に傷を作って血より眷属を召喚
私に代わり飛びなさい、お前たち
……さて、と、少し集中するから何かあったら肩でも叩いて
見えるものは様々
キリの言った条件を参考に分類しながら
ひたすらに『本物』を探すわ

……はあ。でも本物ねぇ
そういえば日本だとこの時期にお盆あるんだっけ?
帰ってきたがってたのかしらねぇ……
ま、迷惑な連中には速やかにお帰りいただかないと
誰であろうと、ね


キリ・ガルウィング
ラローシャ(f14029)と
漸く仕事らしくなってきたか

滲み出た過去の残影を追う
これだけの人数に聞き回るなんざまどろっこしい
探すなら呪詛の匂い、死の匂い
否、それより簡単なことがあるな
生き物の匂いを排除する
そうでないものを辿る
例えば、そう。よくある話だ
影が無い、とかな
…便利なことで
見つけたら言えよ

練り歩く異形の代品は
それだけ見れば可愛らしいとも言える
害なく嚇かすだけ、傷を負う者も命を奪われる者もいない
だと言うのに

知らぬ怪異なら睥睨するだけ
知る影ならば
──首に揺れるドッグタグの持ち主
死んだ友か、顔も朧な母親か
それとも父代わりだった獄の監守か
誰であろうが。腐った過去だ



「さぁって。思いっきり遊んだし、少しは頑張りましょうか?」
「ああ」
 満喫しきった装備のまま、チェイザレッザはキリを見上げ。やれやれと肩を竦めた彼は、漸く仕事らしくなってきたかと周りを見渡した。
「でもねぇ、本物と一般人なんてどう見分ければいいのかしら……? キリは狼だって言ってたわよね。こういうのって嗅覚で嗅ぎ分けたり。……」
「そうだな、――出来るぞ」
「え、できるの?」
 菫色の切れ長の瞳で行き交う人々を睨め付けるように一瞥したキリは、顎をしゃくるように。
 全ての人々に聞いて回る、なんて馬鹿馬鹿しい事はやっていられない。
「――呪詛の匂い、死の匂い。……いいや、生き物の匂いを排除すりゃァ良い。逆だ、『そうでないもの』を辿る
ンだ。例えば、――影が無い、とかな」
「……ああなるほど、そういうのね」
 『人ならざるもの』の違和感を見つければ良いと得心したチェイザレッザは、唇に親指を寄せ。口を開けば覗く、獣とも人ともまた違う細く伸びた牙。
「なら、目はあたしがやるわ。鼻は任せるわね」
 親指の先へと牙を押し当てると柔らかい皮膚を裂いて、赤い赤い鮮血は指先へとぷくりと玉を生む。
「――私に代わり飛びなさい、お前たち」
 チェイザレッザが軽く円を描くように腕を振れば、血の盟約により喚ばれた眷属。蝙蝠達が一気に闇に溶け、空を駆け征き――。
「……さて、と。じゃ、あたしは少し集中するから何かあったら肩でも叩いてくれるかしら?」
「ふぅん、――……便利なことで。見つけたら言えよ」
「はいはい、りょーうかい」
 軽く応えたチェイザレッザだが。
 今飛び立ったばかりの数多の蝙蝠達全てと、彼女の五感は共有されている。
 その全てに集中するとなれば、便利なだけでは無くとんでもない集中力を必要とするだろう。
 彼女はひたすらに『違和感を持つ本物』を探り――。
 キリは鼻を小さく鳴らして、改めて周りを睨めつけた。
 周りを練り歩く、『偽物』の異形達は、それだけを見れば可愛らしいとも言える。
 害なく嚇かすだけ、傷を負う者も命を奪われる者もいない、ただの楽しいだけのお祭りだ。
 しかしそこに、『本物』が混じれば話は別だ。

 ――呪詛の匂い、死の匂い。
 確かにこの場に『本物』は存在する。
 しかも、一つ、二つではない。
 いくつも、いくつも。
 異形共を睥睨して舌打ちを一つ、片眉を跳ねるキリ。
 嫌なものを見つけてしまった。
 あれは過去。
 腐った過去だ。
 ──それは、首に揺れるドッグタグの持ち主。
 死んだ友か、顔も朧な母親だっただろうか。
 それとも、父代わりだった獄の監守だろうか。
 一瞬姿を認め、直ぐに人混みに溶け込んだその面影だけでは、確信が持てぬ。
 ――いいや、あの影が、ソレだと認めたく無いだけで。本当は分かっているのかもしれない。 
 キリの肚の中に重苦しいモノだけを残して、ソレは再び見える事は無い。
 ああ。
 ――誰であろうが、腐った過去だ。

 蝙蝠の視界に幾つも『本物』らしき姿を捉え、その数に嘆息するチェイザレッザ。
「……はあー、でも本物ねぇ……」
 そう言えば、日本でいう死者の弔いのお祭り――盆はこの時期だっただろうか。
 ……帰ってきたがってたのかしら?
 チェイザレッザは瞳を眇めたまま。
 左右に何度か首を揺すり、彼女はもうひと頑張りと集中を重ねる。

「ま、迷惑な連中には速やかにお帰りいただかないと行けないわねえ」
 それが、誰であろうと。
 それが、どの様な過去から滲み出てきたモノであろうと。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

冴島・類
※黒羽君(f10471)と

死者が隣に潜むかも
底冷えする話ですね

見知った者なら
何度も送るのは…さみしい、けれど

呟くのは一瞬
思考する黒羽君の静かすぎる様を見て
空気を切り替え
そうだ、と懐から彼に日々此幸を手渡し

破魔の魔力を込めた鏡の破片なんだ
君の野生の六感が妖しいと思ったものを写してごらん?
きっと、人とは違って写る

僕は、君ほど感は鋭くないが
本体が鏡な分、目が似たようなものだし
魔力集中して探索狙おうか

後は…楽しんでいるものに寄ってくるそうだから
追いかけっこのふりでもしてみるかい?
彼らも付いてくるかもしれないよ
パーク流れる音楽を鼻歌で紡いで誘う

遊びの延長ではなく
誰そ彼の時間
彷徨い出でる影を、連れ出す為に


華折・黒羽
類さん(f13398)と

見知った影には出来る事なら会いたくない
気持ちは隠して

見てしまったら
視線は外す事出来ず
手を伸ばしてしまうだろうから

…どうやって見分けましょう

努めて平静に
見分ける術は未習得
頼れるものあるとすれば己の野生の勘くらい

悩んでいれば手渡された袋
中を見れば鏡がひとつ
なるほど、と

ありがとうございます、使ってみます

託された破魔の力
万が一にも無くしてしまわぬ様大事にその手に
楽しく、の提案には頷くも

…?
俺達が鬼事をするんですか?

此方が死者に追いかけられるわけで無く
…楽しんでいる様見えればそれでいいのか
わからないが
誘き出せるのであれば少し
その提案に付き合ってみよう

─類さんの背を、追い掛けて



 夜色に染まった御伽の街の中。
 過去より滲み出てきた死者が、この人波の中に潜んでいるかもしれない。
 ソレは今も、隣に潜んでいるかもしれない。
「――見知った者なら、何度も送るのは……さみしい、けれど」
 底冷えする話、と類はぽつりと呟いて。
 思い返すは、あの繰り返し短い生の行く末を見送る日々。
 ――焼け落ちた沢山の縁。
 気づけば全て、手遅れであった。

「……そうですね」
 黒羽は同意の言葉を口に。
 見知った影には出来る事なら会いたくない、なんて気持ちは胸中にしまったまま。
 そのまま黒羽のなぞる思考は――もし、見知った者と会ってしまったらなんて想像ばかり。
 そうなってしまった時、黒羽は視線を外す事が出来るだろうか。
 黒羽は、手を伸ばさずにいられるだろうか。
 その毛並みが水に濡れてしまった時のように。
 黒羽はふるる、と首を揺すって思考を切り替えんと。
「……――」
 努めて平静に。
 努めて冷静に。
 ――本物を見分ける術は無いのだから。
 ならば、頼れるものは己の勘だけだろうか。
「しかし、どうやって見分けましょうか?」

 ……変なことを言ってしまっただろうか? いや、まあまあ変なことをいってしまったかもしれない。
 あまりに静かに口を開いた黒羽にどこか違和感を覚えた類は、その場の空気を入れ替えるように。
 少し明るい口調で彼へと語りかけて。
「あ、そうだ」
 懐から取り出したのは、臙脂の御守袋。
 ソレを解き開ければ、小さな鏡が転がり出てきた。
「これはね、破魔の魔力を込めた鏡の破片なんだ。――妖しいと思ったものを写してごらんよ」
 きっと、それは、人と違って映るだろうから、これで見分ける術にもなるだろう、と。
 小さな鏡を黒羽へと手渡して、類は瞳を細めて笑って見せた。
「……なるほど。ありがとうございます、使ってみます」
「ボクは君ほど勘は鋭くないけれど、本体が鏡だからね。同じ様に探れるから、気兼ねなく使ってよ」
 翠色に揺れる瞳を指差して首を傾げた類に、黒羽は小さく頷いて。
「後は……、楽しんでいるものに寄ってくるそうだから追いかけっこのふりでもしてみるかい?」
「……? ……俺達が鬼事を?」
「そう! 彼らも付いてくるかもしれないよ?」
 くすくすと笑った類はぴょんと跳ねて、その見た目の齢通りのように。
 昼間から幾度も耳にした音楽を、鼻歌で紡げば、ぽーんと駆けはじめた。
 それは、人混みの中で突然遊びだした子ども達にも見えるだろうか。

「……それで彼らが、誘き出せるのであれば……」
 しかし。
 死者と鬼ごっこするで無く、類と黒羽が鬼ごっこをするのかと。
 ぱちぱち青い瞳を黒羽は瞬かせて。
 その作戦が成功するかは分からぬが、彼が言うのならばと。
 烏の羽翼を大きく広げて、漆黒の毛並みを風に揺らして。
 黒羽は類を追って、駆け出した。

 ああ、ああ、彼は誰時。
 鬼さん、こちら、手のなる方へ。
 おいで、おいでよ、誰そ彼の影。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

花剣・耀子
室長(f14366)と

そうね、光源は大切だわ。
剣の代わりに、ぴかぴか光る魔法のステッキを携えて探索。

写真は撮らなくて良いわ。
こんな状況だもの。要らないものが映るかも知れないし、
……、
(室長の首根っこを引っ張って留める)
何があるか判らないから、不用意に近付かないでよね。

まだ斬らないわよ。
斬らないから、あんまり離れないで頂戴。

今の室長に仕事意識があるかというと、……うぅん。
良いと思いますよ。
あたしは生きてるヒトの方が好きだもの。
楽しそうにしているなら、尚更ね。

ほら、気を散らさない。
ちゃんと前を見て頂戴。
怪異が発生しているなら、その原因は必ずあるのよ。
違和感を感じる化物を、呪詛を辿ってゆきましょう。


蜂月・玻璃也
耀子(f12822)と

耀子!探索に明かりが必要かと思って、光るブレスレット買ってきたぞ。
記録用にゾンビの仮想してるスタッフさんに写真撮ってもらおうぜ……ぐえっ
(首根っこ掴んで止められる)
なるほど、確かにな。
あのスタッフさんちょっと臭うしな。

耀子こそ、うっかり斬ったら駄目だぞ。
お前だとその剣でも斬れそうで怖いからな……
とりあえずあっちの方調べに行こう。

……なあ、俺たち十分楽しめてるかな?
耀子はともかく、俺は仕事意識があって固かったと思うんだよ……
あ、エリア外でパレードやってる。
あっちも見に行きたかったなあ。

ん、了解。
時間が経つにつれて呪詛も強まってる気がする。
ここからは、本当に引き締めないとな。



 ホラー・ホラー・テラーナイトエリアへと駆けてくる、浮かれきった装備の男。
「耀子、耀子! 探索に明かりが必要かと思って、光るブレスレット買ってきたぞ!」
 ぴかぴか輝く腕輪、走る度に揺れるフェネックの耳。
 それは24歳児の蜂月・玻璃也くんの姿だ。
「そうね、光源は大切だわ」
 駆け込んできた玻璃也へと見せつけるように、リカオンの耳をぴょいっと跳ねさせて。
 普段携えている得物の代わりに、ぴかぴか光る魔法のステッキを耀子は構えて見せた。

 道なりに歩む人々の中に溶け込む、ゾンビや異形の化物達。
 冷静に見れば異様な光景ではあるが、この場所では夏の恒例行事と化してきている風景でもある。
「あ。耀子、あっちの記録用にゾンビの扮装をしてるスタッフさんに写真撮っ」
 カメラを片手に玻璃也は、ぱっと瞳の奥を明るく揺らし。
「写真は撮らなくて良いわ」
 ばっさりと否定する耀子。
「こんな状況だもの。要らないものが映るかも知れないし……」
 別に微笑む玻璃也がウザかっただけでは無く、ちゃあんと正当な理由だって耀子には在る。
 ならば、と玻璃也は鞄の中を漁り始め――。
「じゃあせめて、いっし――ぐえっ!?」
「……室長。何があるか判らないから、不用意に怪しいモノに近づかないでくれるかしら」
 何かを引っ掴むとゾンビのスタッフへと踵を返そうとした彼の首根っこを、耀子は的確に捉えた。
 うろちょろしないで欲しいという気持ちが、冷たく揺れる青にありありと揺れに揺れる。
「げほ、……げほっ。……なるほど、確かに、あのスタッフさんちょっと臭うしな……」
「……そういう話でも無いのだけれど」
 そういう話でも無いのですけれども、止められたので良しとしましょう。
「――そんな事を言う耀子こそ、うっかり斬ったら駄目だぞ?」
 むむ、と眉を寄せて食い下がる玻璃也。
 やれやれ、と耀子は肩を竦め。
「まだ斬らないわよ、大体こんな綺麗なだけの光る杖で何かも斬れる訳ないでしょう?」
「いや……、お前だとその杖でも斬れそうで怖いからな……」
「流石に……流石に無理だと思うわ」
 多分。
 きっと。
 そう思う。
 ……試してみようかしら?
 別に浮かれてなんかいないけれど、実証実験もお仕事だろう。
 ……これで何か斬れたら魔法少女みがでてくるかもしれないけれど。

 とりあえずあっちの方から調べてみようという玻璃也の提案。
 却下する理由も無い耀子は、彼が散歩に浮かれきった少しばかりおつむの強くない犬のように離れてゆかぬように、彼の背を見ながら二歩後ろを付き歩む。
「……なあ、俺たち十分楽しめてるかな?」
 そこで突然、玻璃也は独白のように呟いた。
「突然どうしたの?」
 おつむの強くない犬のようには一応まだ離れていってはいないが、変な事を言い出す物だ。
 耀子は瞳をぱちくりと。
「耀子は流石に現役女子高生だしさ、楽しめていた様に見えたけれど。……俺は仕事意識があって固かったと思うんだよな……」
「今の室長に仕事意識があるかというと、……うぅん」
 この姿にタグ付けするとしたら、#最高の夏 #夢の国で #楽しい休日 #浮かれポンチ位であろうか。
 ……今の彼から仕事意識が見えるかというと――。そんな残酷な言葉、耀子は告げる事は出来ない。
 彼女はふ、と口元をほんの少しだけ緩めて。
「――良いと思いますよ、あたしは生きてるヒトの方が好きだもの」
 楽しそうにしているなら、尚更ね。
 言葉を告げ終えたか、告げ終えないか。
 ぱっと顔を上げた玻璃也は、あーっと声を上げて。
「耀子! 見ろ、エリア外でパレードやってる! あー、ミスった。あっちも見に行きたかったなあー、先向こうを回れば良かったなぁ……」
 嘆息した耀子は、いつもの顔。
「もう。ほら、気を散らさない。ちゃんと前を見て頂戴」
 ふるふると顔を揺すれば、長い黒髪も揺れる。
 まっすぐに前を見据えて耀子は室長に喝を入れ直すかのように、首を傾いで。
「怪異が発生しているなら、その原因は必ずあるものよ、流石に室長でもこの『呪詛』の流れは感じているでしょう?」
「……ああ。時間が経つにつれて呪詛も強まってる気がする」
 やっとの事でお仕事の顔が出来た玻璃也も、フェネックの耳を揺らして頷いた。
 ――ここからは、本当に引き締めないとな。
 なんて。

 辿る、辿る。
 辿った先に居る『モノ』は?

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

鹿忍・由紀
ハルカ(f14669)と

あーあ、遊んでばかりもいられないか
視て探すって言ってもなぁ
手出し出来ないなら見つけたところでって感じだね
ハルカは何か見つかりそう?
こういうの得意でしょ
死人に興味なく
引かれるままに歩み出す

遊園地のワクワク感が抜けきらず
まるでこれもアトラクションかのように
表情は変えぬままついていく
ああ、ハルカ、前見て歩かなくちゃ
で、今のは“どっち”だった?
今度は指差す方へと視線を向けて
んー…違いがあんまり分かんない

腰掛けて、やれやれと一息
知ってるような、知らないような
いちいち昔の事は覚えてないんだよね
ハルカは、探すほど会いたい人がいるんだね
気怠く喋りつつ限定ドリンクの誘いにはノリ気で
…行く


遙々・ハルカ
よしのりサン(f05760)と

ホラーの時間始まり始まり~てか
退治しちゃダメなんだっけ?
じゃ~視て探すしかねェ~な
両手で丸を作って覗き込む仕草
それも過去なら知ってる顔がいるかもしんねーワケでしょ
ちょっと探してみよ~ぜ、死人をさ
笑って袖を引く

ご機嫌な散歩の足取り
ぶつかったゾンビ顔のスタッフを見てげらげらと笑い
青白い顔の女と写真撮影をする客を指差す
アレはね~本物
ごちゃごちゃで面白ェ~な

暫く歩き回った後ベンチに腰掛け
あーあー疲れたな~、よしのりサン知ってる死人いた?
オレ見つかんなくてさあ~
顔は覚えてんだから、見たらわかるハズなんだけど
…会いたい、てのはどーかな
はーあ
テラーナイト限定ドリンク買いに行く?


クーナ・セラフィン
ヒーローはいい文明にゃー…はっ。
気付けばもう闇の住人の時間帯、この中にいるホンモノだけをどうにかみつけださないとね。
悪を見つけかっこよくずばーんとやるのも騎士のお仕事…何か混ざってる?(熱気まだ残ってる)

基本はにゃーにゃー騒ぎつつ駆けまわって本物探し。
騒いでる方が役の人もUDCも気合が乗るかもだし?
名状し難い形状の怪物か!と思ったら普通の人の気配を感じたり、
あーこれどうみても人入ってるなーと思ってたらそうでもなかったり節穴気味。
だって猫だしにゃー。怖さのツボがきっと違うんだにゃーとか冗談めかしつつ。
…実際オブリビオン自体幽霊みたいなものだから感覚鈍ってるのかもしれないね?

※アドリブ絡み等お任せ



「ホラーの時間、始まり始まりぃ~、ってか」
 へらへらと笑うハルカが、ホラーゾーンの柵の中へと足を踏み入れ。
 遊んでばかりもいられないか、と。
 由紀は肩を竦めて、歩調は彼の背の二歩後ろ。
 特に急ぐ様子も無く、彼らはゆっくり歩み始める。

 街並みを再現した壁に映し出される映像はおどろおどろしく。
 ギイギイと何かが軋む音、スピーカーから漏れる音声の悲鳴。
 薄暗いBGMに合わせて、化け物たちが客の間をすり抜けて闊歩する。
 そこかしこで上がる楽しげな声は、恐怖を娯楽として捉えた響きだ。

 猫背気味に身体を竦めたハルカは、ポケットに手を入れたまま。
「……んー、退治しちゃダメなんだっけ? じゃ~視て探すしかねェ~なァ~」
 戯けるような足取りで軸足でくるりと振り返ると、ポケットから手を引き抜き。両手で丸を作って、覗き込む仕草で由紀を見た。
「そ。……視て探すって、言ってもなぁ。 ――手出し出来ないなら見つけたところでって感じだよね」
 顎に手を当てて周りを見渡す由紀には、『本物』と『偽物』の違いはよく解りはしないけれど。
 沢山集まっている所に何かあったりするのであろうか。
「まァ~、それも過去なら知ってる顔がいるかもしんねーワケでしょ? ちょっと探してみよ~ぜ、死人をさァ」
 にんまり笑って由紀の袖を引いたハルカは、ご機嫌な足取り。
 ちょっとばかり不気味な通りをお散歩しようぜ、と。
「ふーん、……まあ良いけどさ」
 対する由紀は、別段死人には興味は無い様子。
 ハルカが引く袖に引かれるがままに、靴音を響かせる。
「それより、ハルカはこういうの得意でしょ。何か見つけた?」
「あァ~、そうね」
 由紀へと顔を向けたまま。ハルカがそのまま足を踏み出すと、目の前でじっとしていたゾンビとぶつかってしまい。
「あァ~、ゴメンね、大丈夫?」
 ハルカは謝りながらゾンビへと掌を合わせると、その後ろの光景に視線のピントを合わせてしまい。
 思わず吹き出してげらげらと笑いだすと、もう一度ゴメン、と、再び歩き出した。
「ヒェ~、ゾンビとぶつかっちゃったよォ」
「ハルカ、前見て歩かなくちゃダメだよ」
 笑って肩を竦めたハルカをぼんやりとした口調で嗜めた由紀が、次ぐ言葉は声のトーンを落として。
 突然笑い出した、という事は。
「……で、今のは『どっち』だった?」
 彼とトーンを合わせて、小声で応じるハルカは今度こそしっかり前を見て歩く。
「ん~と、サッキのはただの人間のオジサン。んで、」
 その後ろ、――青白い顔の女と写真撮影をする客を指差して。
「アレがね~、本物。いやァ、ごちゃごちゃで面白ェ~な」
「……んー、違いがあんまり分かんないなぁ」
「うはは、じゃァ、もっちょい探してみよ~」
 頷く由紀とハルカは、ホラーゾーンの中を更に進む。

「にゃあ、にゃあ! ヒーローは良い文明にゃー!」
 ヒーローショーを楽しみに楽しんでしまったクーナは、ヒーローグッズを身に着けてぶんぶんきらきら。
 光るし音が鳴る剣はすごく格好良い。
「……はっ!」
 そうだ、そうだった。
 今日はお仕事に来たのであった。
 キリリと口元を引き絞ったクーナは、羽根付き帽子をきゅっと被り直す。
「――この中にいるホンモノだけをどうにかみつけださないとね」
 クーナは行き交う人々達をまっすぐに見やって、光る剣を構えて――。
「悪を見つけかっこよくずばーんとやるのも騎士のお仕事……、ずばっと解決にゃー!」
 普段のキャラよりも少しばかりテンションが高くなってしまっているのは、光る剣のせいかもしれない。
 振りかざしてポーズをとると、シャーン! と格好良い音を剣が立てた。
 うーん決まった、かっこ良い~!
 そうと決まれば、クーナは人々の群れへと駆けてゆく。
 敵を探し出して倒し皆の平和を護る事は、紛れもなく騎士のお仕事なのだから。

 ホラーゾーンをぐるりと歩き回った二人は、やれやれとベンチに腰掛け。
「あーあー疲れたな~、よしのりサンは知ってる死人いた?」
 指折り数えれば、結構なる数の怪異とすれ違った。
 しかし彼らは別段何をするでなく、基本的にはぼうっと立っているだけであった。
 ハルカの問いかけに、由紀は青の視線をココではない遠くへと向け。
「知ってるような、知らないような。……いちいち昔の事は覚えてないんだよね」
「ふーん、オレはさァ、見つかんなくてさあ~」
 顔は覚えてんだから、見たらわかるハズなんだけど、と言葉を重ねたハルカ。
 そちらへと視線だけ向けた由紀は、淡々と彼の言う事実だけを確認するかのように。
「ハルカは、探すほど会いたい人がいるんだね」
「……会いたい、てのはどーかなァ」
 はーあ、なんて大げさに溜息を吐き出してから。
 ハルカは思い出したかのようにぴょんと立ち上がる。
「そういやさァ、テラーナイト限定ドリンクがあんだって。よしのりサン、買いに行く?」
「……行く」
 気だるげな表情ながらに、由紀の立ち上がる速度は早い。
 怪異が集まっている事は確認出来た。
 飲み物でも呑んで休憩したら、もう少し歩き回る必要があるだろう。
 二人は歩調を合わせる事もなく、マイペースに歩いて行く。

 そんな二人とすれ違いざま、にゃにゃにゃ! と目を丸くしたのはクーナだ。
 ベンチの更に、奥の奥。
 街並みを再現した壁と壁の小さな隙間。
 思えば、怪物か、と思えば普通の人だったり。
 どうみてもきぐるみのおばけ! と思っていればよくよく見てみれば透けていたり。
 幽霊みたいなオブリビオン達に感覚が狂わされっぱなしのクーナだったが――。
 いやー、でも私猫だしにゃー。
 怖さのツボが人間達と違ってもしかたないにゃー。
 にゃー。
 閑話休題。
「ぜったい、ぜったい、これって原因だよねぇ」
 こくり、と喉を鳴らして。
 クーナが見上げたモノは――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

氷月・望
楪(f16731)と
アドリブ等歓迎、ホラー系は全然平気

着替え終わったら
楪と一緒に、一度柵の向こう側へ
まぁまぁ、ぐるーっと一回りしてみるのもアリじゃね?
まだ柵の向こう側に入るのが無理そうなら
普通にジェットコースター乗りつつ、探索に切り替えるかな

準備中のスタッフから話を聞けないか試す
【コミュ力】【催眠術】【言いくるめ】【情報収集】フル活用!

何か怪しい影が見えれば
サイバーアイ『Invader』で映像記録を試みるぜ
……楪、目ェ閉じてろ(抱き抱えつつ、柵の向こうへ向かおうと)
楪の為ならナビもだし、足にでも何でもなるっての
俺は幽霊なんざ見慣れてるし、絶対に振り切る
俺がいるから大丈夫だって……ゆず、行くぜ


月待・楪
氷月(f16824)と
(アレンジetc歓迎/倒せないオバケやゴーストは怖い)

?なんだよ、氷月
着替えたし今度は夜景ついでに普通のジェットコースター乗るんじゃねェの?
なんで柵の方に来てんだよ
何かの探索しながら遊ばなきゃいけねーんだろ?
これ、セーフティエリアの柵だし
こっちにあんのなんざ刺激足りねェだろうが

ったく、こんなとこに出て来るワケねーと思うんだが…
とりあえずスタッフ相手に話しかけて【情報収集】してみるか…
あと【聞き耳】で噂話とかねーか
怪しいとこがあれば【撮影】して
(うっかりお化けを撮影)
ッー!?
ひ、ひづき…!
(思わずしがみついて目を閉じる)
…望、ナビ、ん、ん、わかってる、から
おう、頼んだ…!



 水で濡れてしまった服から、いつもの服へと着替えて。
 夕闇に飲まれた世界を二人歩く。
 この夢の国は陽が陰ってきて尚、人々が減ったようには思えない。
 それは毎年恒例のホラーイベントの影響もあるのであろう。
 二人の行き先は――。
「……? なんだよ、氷月」
 件のホラーゾーンの方向へと向かう望に、楪は訝しげな表情。
「今度は夜景ついでに普通のジェットコースターに乗るんじゃねェの?」
 これからもっと遊ぼうと言う時に、何故こんなにつまらなさそうな方へと向かっているのだろうか。
 こんなに人が溢れた場所で作り物のおばけを見るよりは、速度の出る乗り物のほうが絶対に『楽しめる』筈だ。
「――こっちにあんのなんざ刺激足りねェだろうが」
 楽しむ必要があるのならばこっちよりも、絶対アトラクション方面を巡るほうが良いだろう、と。
 灰色の瞳を眇めて尋ねる楪に、両肩を上げた望はどこか楽しげに応じ。
「まぁまぁ、ぐるーっと一回りしてみるのもアリじゃね? ほら、情報収集にもなるだろうしさ」
 近くに居たキャストに手を上げて、望は人懐っこく笑ってみせた。
「すみませーん、オネーサン! ココに本物の幽霊が出るって本当ですかー?」
 冗談っぽく尋ねる望に、キャストはきり、と真面目な表情を浮かべ。
「……どこでそれをお聞きになられたのですか? 昔この場所にあったお屋敷にはある富豪が住まわれて居たのですが――」
 それは、ホラー・ホラー・テラーナイトのカバーストーリーだ。
 キャストとしては100点満点の対応であるが、望の聞きたい話はそこでは無い。
 赤瞳を怪しげに揺らして、望はもう一度尋ねる。
「……ここに、本物の幽霊が出るって、本当ですか?」
 ゆら、ゆら、揺れる瞳。どこか虚ろにキャストの瞳が蕩け――。
「……用意していないはずの化物が出てきた、とキャスト達が――」
 ぱん、と望が両手を叩くと、キャストがはっと頭をあげた。
「んじゃ、オネーサン、アリガトー!」
 今何が起こったのか解らない様子でしきりに首をかしげるキャストに手を振って踵を返し、望と楪はホラーゾーンへと向かうが為に歩き出す。
「……ってー訳で、なーんか居る事は確実みたいだなー」
「ったく……、そうだな。向こうの客の会話にも聞き耳を立てていたが、そんな話をしてたな」
「じゃ、行こうか楪」
 頷きつつも楪は内心少しだけ、複雑な心境。
 情報集めだとは理解しているが、してはいるのだが――彼の話す様は、まるで。
 歩みだした途端。
 人気の無い建物の影で、何かが揺れた気がした。
 二人は同時にそちらへと振り向き――。
「!」
「……ッッ!?」
 驚きに目を見開いた彼らは、言葉を失い息を呑む。
 それは、どうみても人である理由の無いモノ。
 だって、それには、首が無かったのだから。
 裂けた肉からは、てらてらと血が止めどなく滴り続けている。
 普通に遊びに来た者達ならば、今日この様な場所で出逢ったコレを作り物だと思うだろう。
 しかし、彼ら二人は『猟兵』だ。
 目の前のモノが、現在を生きる者か否か位、感覚で理解をしてしまう。
「……っ!」
 じり、と後ずさった楪。
 襲いかかってくる事の無いと言われていたソレは、自らの意志を持ってこちらへと確実に歩いてきているように見えた。
 襲うつもりは無いのかも知れない。
 ただ、歩いてきているだけなのかもしれない。
 怪異達を惹き付ける必要がある、と言われていた。ならば、今倒してはいけないのであろう。
「ひ、ひづき……っ」
 楪は何とか言葉を絞り出すと、望にしがみつくように。
 倒して良いのなら、倒せるのならば、怖くはないというのに。
「……楪、目ェ閉じてろ」
 望の言葉に従う事しか出来ず、ぎゅっと瞳を閉じて、彼にしがみついたまま。
 でも、これでは、これでは!
「……望、ナビ……!」
「楪の為ならナビもだし、足にでも何でもなるっての」
「……おう」
 ゆら、ゆら。
 歩む首なし幽霊は二人の方へ、二人の方へ。
「幽霊なんざ見慣れてるし、絶対に振り切る――ゆず、しっかり捕まってろな」
「……頼んだ!」
 完全に人気の無い所までコイツを連れて行った上で、振り切るしかあるまい。
「行くぜ」
 ――俺がいるから大丈夫と楪の身体を抱き抱えた望は、一気に地を蹴って駆け出した。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

絢辻・幽子
【空】
……あぁ、私のお家に帰ってきた気持ち。
冗談だけど。

そうそ、そのお耳が頼りよー
はい、どんどん行きましょー行きましょー。
うきうき尻尾ぱたぱた、前へ前へ。
っふふ。ほら、後ろからそっと近づかれるより前からの方が
身構えられるでしょ?

驚かしには素直にきゃー、こわぁい
なんて言ってみたり。
怖がりさんの様子はふふふと楽しむ方向で。

あ、暗くて怖いなら、狐火差し入れしますよ
……ほぉら、
(前髪を顔の前へとさらりさらり、隙間からにぃっこり)
なぁんて。ここに就職しようかしら。
あ、撮れました?私たち、綺麗?

暗い所にいるのなら、影かしら暗闇とか
何かしらねぇ。


揺歌語・なびき
【空】
ねぇね、なんでおれとさつまさんが先頭?
怖がりは真ん中って決まってなかった?
UDCなら怖くないんだけどさぁ

自分の耳と尻尾が伏せてるのが自覚できる
うぅ、作り物ってわかってる方が怖いんだよねぇ
ああほらもうスタッフさんもこわ…ぎゃああつめたっ!
ぺとってぺとってした今!店長!?
そういう悪ふざけは駄目なんだからね!これはお仕事だよ!(びええ

何か出てもUDCどうせUDC…でもそれ以外は殴り禁止…
言い聞かせるもお化けにやっぱり悲鳴
ちゃんと隅とか観察するけど
ああもうすごくやだぁ

常盤さんなんでそんな楽しそうなの
動画撮ってUDCじゃないのが映ったらどうするの!

後ろ?
え(振り返る
ぎゃああああ(背後に佇む幽子さん


神埜・常盤
【空】

デジカメを片手に装備
撮影しながら皆の後ろを歩こう
大丈夫さ、さつま君
いざという時は破魔の護符で祓ってあげよう

夜の散歩は楽しいなァ
然も本物の百鬼夜行を体験できるなんて
怪異や妖怪の類を見逃しては勿体ない
さつま君となびき君の耳を頼りしていよう
何か気づいた事あれば教えてくれ給え!

コノ君はお茶目だなァ
にしても良い驚き振りだねェ、君たち
僕もスタッフに驚かされた時は吃驚した振りをしよう

写真? いやいや、コレはビデオだよ
この方が賑やかな雰囲気もよく伝わるし
面白いモノを撮るならやっぱり動画じゃないと
あァ、幽君もバッチリ撮れているとも
「2人とも」キレイキレイ

暗くて人気の少ないところにも
一応目を光らせておこうか


コノハ・ライゼ
【空】

お待ちかね!
ホラなびきちゃんにたぬちゃん、前へドーゾ♪
だってそのお耳でしっかり不審な音を拾って貰わないと
ナンて言いつつ、ぺそりと伏せる耳尻尾が可愛いなあ、なんて和む
あ、ジンノそれ後で見せてネ!

隙をついてたぬちゃん、なびきちゃんの首筋を同時に
冷たいペットボトルでそっと撫でたりして
あら、熱心だから飲み物差し入れようかと思ってぇ
あっはジンノ、幽ちゃんの熱演もばっちし撮れた?
幽ちゃんが二人写ってたりして!

スタッフの演技にはきゃーきゃー歓声上げてノったりしつつ
さり気にしっかり見分けて怪しい動きはカメラで追ってもらうヨ
ヒトかUDCか……それ以外か、ナンてネ
さあさあ、ヒトでない匂いはドコからだろうネ?


火狸・さつま
【空】

え?え?この中、行く、の???
き、聞いて無…(幽霊とか、苦手…!きらい!)

先頭?!(ひぇ)
常盤…
助け求める眼差し
う?ぅう……わ、わかた!
ま、まかして…!
オバケさんは足が、ない、から!すぐ!わかる!!
こわく、ない!よ…!(きりっ)

『勇気』振り絞り『暗視・視力』自慢の目で索敵
『情報収集』もしつつ『第六感・野生の勘』
ピンときたなら『追跡』
可能なら手に『破魔』纏わせタッチ
本物からの悪戯には『カウンター・破魔』のぱんち!



こ、こヤぁあああーーん!!!!!
響き渡る狐の鳴き声!
ぶわり逆立つ毛並み!
思わず雷火発動しそうになったのを堪え振り向けば
…あ?え?こ、コノ?!

ひぇ!幽サンまで?!


…敵、身内に在り?!



 夕闇が深まる、ホラーエリアの前。
 おどろおどろしいBGMに混じって、ワイワイと上がる悲鳴や楽しげな会話。
 柵で囲まれた中は幾つかの道と成っており、そこにキャスト扮するゾンビやおばけ、怪物達は犇めいているそうだ。
「夜の散歩は楽しいなァ、心が踊るようだよ」
 液晶が煌々と光を湛えるデジタルカメラを調整する常盤は、狼耳をぴんと立てたまま。
 なんといったって、今から見る偽物の百鬼夜行には本物が混ざっているらしいのだ。
 そんな貴重なシーン、見逃す手があるだろうか?
 否、無い。
「……あぁ、私のお家に帰ってきた気持ち」
 唇に掌を寄せて、困り眉の幽子はいかにもおかしいと言った様子で忍び笑い。
 勿論、冗談だけれども。
「え? え? この中、行く、の??? え……え? き、聞いて無……」
 おろおろ。
 たぬきめいた狐の耳をぺたんと倒して、おどろおどろしいBGMを耳に入れぬように。
 周りを見渡すさつまの目線は、えっ、マジで? 本気? みたいな動きを続けている。
「さあてさて、お待ちかね!」
 この状況に笑顔を浮かべているのは、幽子と常盤だけでは無い。
 掌をぱっと掲げたコノハと目がぱっちり合ったのは――。
「ホラなびきちゃんにたぬちゃん、前へドーゾ♪」
「えっ」「先頭?!」
 なびきの柔く垂れた瞳に驚きが宿り、挙動不審となっていたさつまがぴゃっと肩を跳ねて大きな尾を落ち着き無く揺らす、揺らす。
「ねぇね、なんでおれとさつまさんが先頭? 怖がりは真ん中って決まってなかった?」
 ぺったりと耳と尾を伏せたなびきが、苦情めいた口調で尋ねる。
 いや、ほら、UDCなら怖くないんだけどさぁ。
 ホント、ホント。
 UDCならねェ!
「だって、そのお耳でしっかり不審な音を拾って貰わないと、オレ達じゃ解らないかもしれナイものネー」
 なんて言いつつ、伏せた二人の耳と尻尾が可愛いなあ、なんてコノハはくすくす笑い。
「そうそ、そのお耳が頼りよー」
 尻尾は出せど、耳は出さない。幽子がくすくす笑って同意を重ねる。
「常盤……」
 さつまの救いを求めるような声と、視線。
 デジカメの調整を終えた常盤はその小さな声に、得心したように頷いて。
 ぱっと耳を立てたさつま。
「大丈夫さ、さつま君、しっかりと撮影をしておこう。二人の耳は頼りにしているよ、何か気づいた事あれば教えてくれ給え!」
 完全に理解している笑顔で常盤は飄々と言葉を紡ぎ。
 ぱっと耳が倒れるさつま。
「どうして常盤さん、そんな楽しそうなの? 写真撮ってUDCじゃないのが映ったらどうするの!」
「写真? いやいや、コレはビデオだよ」
 この方が賑やかな雰囲気もよく伝わるし、『面白いモノ』を撮るならやっぱり動画じゃないと。とは常盤の言。
「あ、ジンノ、それ後で見せてネ!」
 コノハの追撃。この二人完全に解ってやっているのでタチが悪い。
「えっ、えっ……」
 なびきが悲しげな瞳を悲しみに揺らした。味方がいない。
「う? ぅう……わ、わかた!」
「うぅ、作り物ってわかってる方が怖いんだよねぇ……」
 逃げ場所を失いおずおずと前へと向かったさつまに、諦めた様子でしずしずと先頭に立つなびき。
「あらー、でも本物もいるらしいし、怖さは半分だネ?」
「いざという時は護符で祓ってあげるさ」
「え、えぇー……」
 全然怖さの減らない情報で応援するコノハと常盤。
 幽子が耳の倒れきった二人の背を押して。
「はい、どんどん行きましょー行きましょー」
「ま、まかして…! オバケさんは足が、ない、から! すぐ! わかる!!」 
 勇気を振り絞って、獣耳を立てたさつまは周りを見渡し、警戒モード。
 こわく、ない! よ…! なんてキリリと唇を引き絞ったさつま。顔はとても良い。
「何か出てもUDCどうせUDC、でもそれ以外は殴っちゃいけない……、でも全部UDC、UDC……」
 ぶつぶつと自分に言い聞かせるなびきはいまいち振り切れていない様子。
 こちらの獣耳は倒れたまま。
「っふふ。ほら、後ろからそっと近づかれるより前からの方が身構えられるでしょ? さあ、さあ、どんどん行きましょ」
 楽しげに尻尾を揺らす幽子は、二人の直ぐ後ろを歩み――。
 その瞬間。
 転がり込んでくるゾンビ。
「ビャーーーーーーーーーーーーッ!?」
「キャーーーーーーーーーーーーッ!!」
 逆立つ毛並み。
 さつまとなびきが同時に叫んだ。
「きゃー、こわーい」
「きゃー、こわーい」
 コノハと幽子は全く同じ反応で、もう明らかに前の二人を楽しんでいるとしか思えない笑顔に満ち満ちている。
 常盤もデジカメでその様子を撮影しながら、うんうんと頷いて。
「あーっ、あーっ、なに!? お、おどろい、た!?」
「あぁああ……、もうすごくやだ、スタッフさんがすでにこわい……」
 ぷるぷる耳を揺らしたさつまとなびきが、ゾンビを避けて道端へと寄った途端。
 その首筋にコノハが、冷たいペットボトルでそっと差し出した。
「こ、こヤぁあああーーん!!!!!??」
「……ぎゃあああああぁぁつ!? つめたっ! えっ!? 今ぺとって、ぺとってした今!?」
 入り口から15mで既に満身創痍のさつまとなびきはコノハの悪戯に同時に振り向き――。
「……あえ、え?? え? こ、コノ???」
「えっ!? 店長!?!?!」
「あら、熱心だから飲み物差し入れようかと思ってぇ」
 ニッコリ笑うコノハに、複雑な表情を浮かべた。
「そういう悪ふざけは駄目なんだからね!? これはお仕事だよ!」
 びえ。なんならなびきは既に涙目。
 常盤がめちゃくちゃ意地悪な笑顔でうんうんと満足気に瞳を眇め。
「いやァ、コノ君はお茶目だなァ。……にしても良い驚き振りだねェ、君たち」
「あ、暗くて怖いなら、狐火差し入れしますよ」
 幽子がゆうらりゆらりいつもの顔で、コノハに苦情を言う彼らの背後へと近づき――。
「おや、なびき君、さつま君――」
「後ろ後ろ~」
 常盤の言葉を次いでジュースを二人に押し付けたコノハが指先で後ろを示した。
「え?」
「……ほぉら、」
 二人の背後には、佇む幽子。
 幽霊のようにゆらゆらと佇むその姿は、狐火にちらちらと照らされ。
 前髪を顔の前へと流せばさらりさらり、その隙間からにぃっこり微笑み、ライラックが怪しく揺れる。
「ギャアアアアアアアッ!!」
「ひぇええ、幽サンまで?!」
 びええ、助けて。
 叫びっぱなしの二人の様子に、くつくつと幽子は笑って。
「たーのしい。……ここに就職しようかしら?
 その様子に大受けしたコノハは笑いすぎて出てきた涙を拭い。
「あっは、……ジンノ、今の幽ちゃんの熱演もばっちし撮れた? もしかして幽ちゃんが二人写ってたりして!」
「あ、私たち、綺麗に撮れてます?」
「あァ、幽君もバッチリ撮れているとも、『2人とも』とてもキレイさ」
 じゃれるコノハと、幽子と、常盤。
「もうやだぁ……」
 ふるふるぷるぷるするなびき。
 やっとここで、さつまは気づいたのだ。
「……敵、身内に在り?!」
 その通りでーす。
 胸を押さえて笑いをやっとおさめたコノハは、大きく肩で息を洩らしてから。
「さあさあ、ヒトでない匂いはドコからだろうネ?」
 暗闇に潜む怪異を探し、ぐうるり周りを見渡した。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 集団戦 『棄テラレシ可能性』

POW   :    未来捕食
戦闘中に食べた【敵対者の血肉】の量と質に応じて【醜怪な姿へと成長を遂げ】、戦闘力が増加する。戦闘終了後解除される。
SPD   :    現在汚染
【周辺同位体の寿命】を代償に自身の装備武器の封印を解いて【恐怖と絶望に塗れた腐敗性瘴気】に変化させ、殺傷力を増す。
WIZ   :    過去顕現
【悍ましさや痛(悼)ましさ】の感情を与える事に成功した対象に、召喚した【対象の喪った存在の幻影】から、高命中力の【憎悪を感染させる精神波】を飛ばす。
👑11
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●ここにいるということ、或いは、ここにいたということ
 ぼんやり立ち尽くす怪異、動き出す怪異。様々な怪異が現れていた。
 しかし、動き出している怪異には特徴があった。

 『何か』が近くに現れると、そちらに向かうのだ。
 歩いてゆく怪異、走ってゆく怪異を追った猟兵達は、その『何か』を目撃した事であろう。

 それは『可能性』。
 死してこの時間より喪われ、過去と成った彼らの『可能性』。
 叶う事無き、『棄テラレシ可能性』だ。
 猟兵であればコレらは倒すべきものである、という事が見れば一瞬で理解できる。

 可能性たちは、時間が立つにつれてその数を増やし行く。
 その数は恐らく――パーク内に現れた怪異と同数だと推測はできた。

 怪異達が自らの可能性を手に入れた時――。怪異らは、人を襲うようになるのだ。
 そして自らの可能性を失った時――、怪異らはこの場に居る事が出来なくなるであろう。

 小さな可能性が、ゆらゆら揺れる。
 その一匹一匹の可能性は小さく、戦闘能力もほぼ無いに等しい。
 猟兵達が戦闘を仕掛ければ、反撃を行うだろうが、
 仕掛けなければ、可能性たちはその場で揺れるだけ。

 パーク内のあらゆる場所で、可能性は空中でふわふわと揺れている。
 可能性達は待っているのだ、怪異達が自らの可能性を手に入れるその時を。
アステル・サダルスウド
友人の吾聞君(f00374)と
吾聞君の尻尾で元気が出たから、さっきの怪しい存在を追う
集まってくる者達に不気味さを感じるけど
でも、確かめたい

「おかあさん!」
おかあさんは人間だったから、魂っていうのが残っているのかな
もしそうなら…憎んでいる?恨んでいるの?
僕だって憎い、許せないよ
だから見ていて
力をつけて…復讐の為の、あいつを殺す為の力を…

…って明るい?
青白い炎に周りを見回すと、友達のお月様みたいに優しい金の瞳
助けてくれてありがとう吾聞君
よく考えたら優しいおかあさんがこんな事する訳ないや
幻は【姫桐草の詩】で散らしてしまおう!

吾聞君、おかあさんとの楽しい思い出もいっぱいあるんだよ
だから…いつか聞いてね


影守・吾聞
友達のテル(f04598)と

テルが見たっていう怪しい奴を一緒に追うよ
“何か”の数がどんどん増えてく
まずいね、タイムリミットは21時だ
それまでに倒しきらないと…テル?

友達の様子がおかしい
いつも笑顔の彼はそこにはいなくて
必死で怪異に話しかけてる

テルが何を抱えてるのか、俺は知らないけど…
【悪魔の灯火】で集まってる“可能性”も怪異も
幻影ごと全部焼き払ってやる!

俺も敵の影響、受けてるのかな?
でも俺が憎むとしたら…友達を惑わすお前らを、だよ!

ね、テル
俺にはね、テルのおかあさんは見えないんだ
だから、いつか教えてよ
おかあさんがどんな人だったかとか、楽しい思い出とか
こんな戦場でじゃなくて、お菓子でも食べながらさ



 アステルが見たと言う怪しい影を追って、駆ける二人。
 直接見える訳では無いが、ぞわぞわと肚の奥が落ち着かない感覚。
 『何か』の数が増えている感覚。
 タイムリミットまで時間はまだ有るとは言え、気持ちは急く。
「まずいね、どんどん増えてる感じがするよね、タイムリミットまでに倒しきらないと」
 ぽーんと跳ねた吾聞が、アステルに問いかけ。
「……テル?」
 横を駆ける彼からは、何も返事が無い。
 瞬間。
 訝しげに首を傾げた吾聞をすり抜けて、アステルが駆け出す。
「え、テル!?」
 その先に居るのは、――UDC棄テラレシ可能性だ。
 赤黒い影がゆうらり揺れて。

「……」
 友達の呼びかけが、何処かすごく遠くから聞こえた気がした。
 でも、今は、それよりも、目の前に現れた――。
 おかあさん。おかあさん、おかあさん。
 でも、あれがおかあさんの訳は無いのに。
 あれがおかあさんの訳があって良いはずないのに。
 ――おかあさんは、もういないのに。
 頭では解っているのに、それでも、それでも。――どうしても、確かめたくて。
「――おかあさん!」
 ねえ、おかあさん。
 おかあさんは僕とは違って人間だったから、魂っていうのが残っているのかな?
 もしそうなら。
「……おかあさんは、あいつを……、あいつを、憎んでいる? 恨んでいるの?」
 アステルは『おかあさん』を引き止めて、必死に語りかける。
 頷きもしないその『おかあさん』に向かって、大きな緑瞳を強い感情に揺らして服をギュッと握りしめ。
 ――にくい、わ。とても。
 にくい、にくい、にくい、にくい。
 アステル、愛しい愛しいアステル。
 助けて、助けて、助けて。
 とても、にくいの、苦しいの、悔しいの、恨んでいるの。
 口を開かぬ『おかあさん』から聞こえる、『おかあさん』の声。
 ああ、やっぱり、やっぱり、やっぱりそうなんだ。
 そうなんだ!
「僕だって憎い、――許せないよ。……だから見ていて。あいつを、殺す為の――……」
 ぞっと、アステルを襲う戦慄。
 『おかあさん』をアステルが見上げると、煌々と青白い光に照らされていた。
 アステルは目を見開いて、慌てて飛び退り――。

「テル!」
 吾聞は叫ぶ。
「テルが何を抱えてるのか、俺は知らないけど……」
 吾聞にはアステルの見ているモノは見えてはいない。
 いつも笑顔のアステルが、あそこまで増悪に顔を歪めるのならば。
 彼の表情が、あそこまで曇るのならば。
 彼が、今、苦しんでいるのならば。
「テルを苦しめる幻影なら、丸ごと全部焼き払ってやる!」
 ――吾聞の心にも何かを憎む心が燃えている。
 でも、それは、それは。
「この憎しみは……友達を惑わすお前らに対して、だよ! ――火よ灯れ!」
 それは可能性も、怪異も、憎しみも、全て焼き払う青白き鬼火。
 悪魔の灯火!

「……吾聞、君!」
 鬼火に焼かれた可能性が蕩け消え、『おかあさん』が掻き消える。
 振り向いた吾聞の金色の瞳は、まんまるのお月さまみたいに優しい瞳。
 アステルはきゅっと息を呑んで、下唇を噛み締めた。
「……よく考えたら、優しいお母さんがあんな事いう訳、ないや」
 そしてアステルはぎゅっとスカートを握りしめて、前を向いた。
 もう、惑わされはしない。
「――悪い敵は倒しちゃおう! いこう、吾聞君!」
「うん、テル、合わせてね!」
「任せてくれたまえ!」
 いつもの笑顔を取り戻したアステルは姫桐草の花弁を舞い上げて、青白い炎が爆ぜ映える。

 ――吾聞にはアステルの見ていたモノはなあんにも見えていない。
 それでも、それでも。
 そんなに苦しい顔をする思い出ばかりじゃなかった筈だ。
 だから、いつか教えてよ。
 こんな戦場なんかじゃなくて、お菓子でも食べながら。
 テルのおかあさんがどんな人だったかとか、楽しい思い出とかさ。
 いつか、いつか。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

鳳仙寺・夜昂
【凜々閃々】

怪異の可能性。得るか失うか。
手に入れさせる訳にはいかねえだろ。
怪異が、……母さんがいるべき場所はここじゃない。
人を襲うなんて絶対させない。

神とユキテルの動きも気にしつつ、
【月影】で『可能性』の拘束を試みる。

――俺が何をした。母さんが何をした。
何で死ななければならなかった。

どんなに悼んでも、憎むことは疲れる。
今も昔も、人を憎む余裕はなかった。
憎めたら、復讐を望めれば楽だったんだろうか。
今は、尚更出来ないけどな。
【カウンター】【グラップル】で殴る。

神もユキテルも頑丈だよな。いろんな意味で。
俺もそうありたいもんだが、鍛えてどうにかなるもんかな……。


※いい感じにしてやってください


渦雷・ユキテル
【凜々閃々】
この子何もしてこないんですね。待ってるんでしょうか
可能性を手に入れた怪異がどう変わるのか興味ありますけど、
夜昂さん困らせてまで見たいかって言うとノーなんで。倒します

怪異から少しでも遠ざけるようにと力込め、電撃纏った回し蹴り
ユーベルコードに【マヒ攻撃】も重ねて動き鈍らせれば攻撃当て易くなるかな

動きの見える攻撃は極力【見切り】で回避後、
隙を見て【零距離射撃】で銃弾をお見舞いしてあげます
痛ましさは【激痛耐性】あるんでよく分かりません。悍ましさは……どうでしょ

頑丈?まさかー(可能性をげしげしバチバチ)あらら、蹴りすぎちゃった
あ、神様のそれ便利そうですね?助かりました!

※アドリブ等々大歓迎


キラス・レスケール
【凜々閃々】
眠りについている者をわざわざ起こす必要もないだろう
世界の破滅を願う存在になってしまうなど、彼らはそんな事を望んではおらんだろうからな
──再び眠らせてやるのが、彼らの救いになると俺様は信じているのだ

夜昂はカウンター主体で戦うのは知っているからな
今回はユキテルを護るように立ち回り、『†光の鉾†』を展開させ迎撃していくぞ
何やら禍々しい気配を感じるが、【呪詛耐性】で耐えてみせよう
貴様らを悼む気持ちは確かにある。が、俺様が憎む者はここには居ないのだからな

…む? そうだろう便利であろう
二人とも大切な友だ、俺様が必ず護るから安心するといい

※ちょっとシリアスな俺様神様
※委細お任せいたします



 ただ立ち尽くす『母さん』。
 時折瞬きを重ね、それは何かを待つようにも見えて。
 首を傾いだユキテルは周りを見渡す。
「この子何もしてこないんですね。待ってるんでしょうか」
 居心地の悪い違和感の揺らぎ、それは誰かの『可能性』が揺らぎなのであろう。
 ――可能性を手に入れた怪異がどう変わるのかは少しだけ興味深いが……、しかし別段それは、夜昂を困らせてまで見たいモノでも無い。
「倒しましょう」
 短く宣言したユキテルは狩りを始めるべく自動拳銃に指を添えて、身を低く構えた。
「ああ、眠りについている者をわざわざ起こす必要もないだろう」
 ぼんやりと何かを待つ怪異達を背に、ユキテルを護る様に立ったキラスがこくりと頷いた。
 心做しか、彼の無闇に眩しい後光が強くなっている気がする。
「世界の破滅を願う存在になってしまうなど、彼らはそんな事を望んではおらんだろうからな」
 紫水晶の瞳を夜昂に向けると、キラスは屹然と言い放ち。
 呼応するかのように夜昂が、影を強く踏んだ。
「失った可能性はもう、戻っちゃ来ないんだ。――手に入れさせる訳にはいかねえだろ」
「そうだな。──再び眠らせてやる事が、彼らの救いになると俺様も思うのだ」
 応じるキラスの背に輝くは、鉾。
 夜昂が影を踏みこんで背後へと跳ぶと同時に、弾けるように影が膨らんで幾つもの帯と化した。
 怪異が、――母さんがいるべき場所はここじゃない。
 ……あの人に人を襲わせるなんて、絶対させてたまるものか!
 一直線に『可能性』へと向かう影。
「いっきますよー」
 それを合図にユキテルが一気に踏み込み。
 少しでも『母さん』から離れて貰えるように。
 少しでも『母さん』に可能性が近づかぬように。
 円を描く形で雷光が爆ぜる蹴りを叩き込んで、強襲を仕掛けた。
 可能性が攻撃を仕掛けられた、その瞬間。
 どうどうと吹き抜ける悍ましい気配が、可能性より膨れ上がった。
 それはぬるい風に似た、禍々しいモノ。
 キラスが眉を小さく顰め――。ユキテルがセットした髪が崩れる事を厭うて頭を抑えた。

 そして夜昂は一人、奥歯を噛み締める。
 ああ。
 ――俺が何をした。母さんが何をした。
 何で、何で、何で、死ななければならなかった?

 どれだけ悼もうとも、憎む事はこんなに疲れるというのに。
 この風は、こんなにも感情を逆撫でる。
 ――今も昔も、人を憎む余裕はなかった。
 憎めたら、復讐を望めれば、――楽だったんだろうか?
 割れそうな程噛み締めた歯。
 憎い、憎い、憎い。
「今は、尚更出来ないけど、なっ!」
 憎い、憎い、憎い気持ちはある。
 しかしそれを人に向ける心の余裕すら、今も無いのだ。
 一瞬怯んだ身体を踏み堪え。
 軋む心を噛み締めて、可能性に向かって踏み込んだ夜昂は上半身を捻って。その勢い全てを、可能性へと叩き込み――。
「夜昂さん、頭すこし下げてくださーい」
 そこへのんびりとしたユキテルの声掛けが響き、半ば反射的に夜昂は頭を下げた。
 そして一秒後に、先程まで頭の在った位置を銃弾がすり抜けて行く。
 夜昂の背後へと迫っていた可能性が抉り飛ばされた。
「ありが――」
「おっと、夜昂! まだ安心するには早いぞ」
 キラスの鋭い声。
 ふらふらと身体を起こそうとした可能性達に、叩き込まれたのは光る鉾。
 腕を組んだまま、キラスはふ、と鼻を鳴らして。
「あ、神様のそれ便利ですねー!」
「ああ! そうだろう、便利であろう!」
 ユキテルとキラスが褒め合う横、肩を竦める夜昂。
 恐らく先程の感情の高ぶりは精神攻撃だったのであろう、はずなのに。
「……神もユキテルも頑丈だよな。いろんな意味で」
「えっ? あたしが頑丈?? そんな、まっさかー!」
 地面を抉らんばかりの勢い。めちゃくちゃ元気に可能性を踏み潰してるユキテル。
「……あらら? 蹴りすぎちゃった……」
 いや抉ってましたね。
 だめですよ、ユキテルさん。遊園地の歩道抉っちゃ。
「うむ、うむ、確かに俺様は頑丈だからな!」
 キラスはなんか無駄にピカピカしなおして、鼻高々で頷く。
 肩を竦めた夜昂は、もう苦笑としか言えぬ表情を浮かべるしか無くなってしまう。
「俺もそうありたいもんだが、鍛えてどうにかなるもんかな……」
 言いながらも彼は、更に現れた可能性へと低く構えて。
 キラスはゆるゆると首を振った。
 ――キラスにも、悼む気持ちは確かにある。
 しかし、キラスが憎む者は今ここには居ない。
 だから、攻撃を受け付けなかっただけなのであろう。
「例え今は耐えきれぬとしても、二人とも大切な友だ。――今は俺様が必ず護るから安心するが良い」
 いつかは夜昂も大丈夫になる日を信じているように、キラスは言葉を紡ぐと。
 光り輝く鉾を幾つも、背後へと生み出し――。
 大丈夫、大丈夫。
 俺様は知っている、お前の心が意外と強い事を。
 だから、大丈夫だ。
 ユキテルがぶんぶんと手を振って、お知らせお知らせ。
「神様、夜昂さん、追加いーっぱい来ましたよー!」
「ああ!」
「……こいつら一体何匹いるんだよ……」
 既にうんざりした様子で呟く夜昂。
 影が爆ぜて、紫電が弾け――。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

グラナト・ラガルティハ
マクベス(f15930)と。
可能性など山のようにある。
だが、いずれの可能性も過去のものならばやはり無かったものにしか出来ないだろう…。

火葬か…そうだな、ならば派手に送ってやろう。
【封印を解く】で神の力を限定解除。
【高速詠唱】でUC【柘榴炎】【属性攻撃】炎で強化。さらにマクベスが起こした風の力で威力を高める。
この炎が可能性たちを送ってくれるだろう。

捕食して力をあげるならば捕食される前に打ち払う。炎の神鞭に【属性攻撃】炎を乗せて攻撃。

これでお前たちの可能性は消えた。
骸の海に還えるといい。


マクベス・メインクーン
グラナトさん(f16720)と
可能性か…
捨てられた可能性ってことは
生きてたかもしれない可能性ってのも
含まれんのかね…
どっちにしろ倒さなきゃ行けないんだけどさ

火葬と行こうぜ
グラナトさんの炎に風の【全力魔法】を乗せて
火力を上げて合体させ【範囲攻撃】で燃やしにいく
攻撃には【フェイント】で回避しつつ近づいてきたら
魔装銃で【零距離射撃】で炎【属性攻撃】の弾丸をお見舞いする

UCを使用されたら
自分を庇って死んだヒーローだった兄ちゃんの幻影が見える
一瞬怯みはするが幻影なのはさっき見て分かってんだよっ
【オーラ防御】で魔力の壁を作って精神波をガード
UCで一気に残った奴らを攻撃して燃やし尽くすぜ

アドリブ歓迎



 可能性。
 例えば、彼と出会わなかった可能性だってあるだろう。
 例えば、彼がここに来なかった可能性だってあるだろう。

「……捨てられた可能性ってことは、生きていたかもしれない可能性ってのも含まれんのかねぇ」
 ふわふわと浮く可能性を目の前にして、マクベスが魔装銃を構えて囁き。
「可能性など、それこそ山のようにあるだろう。生きていた可能性も、勿論な」
 マクベスと背中合わせ、神鞭を撓らせてグラナトが応じた。
「――だが。いずれの可能性も過去のものならば、やはり無かったものにしか出来ないだろう。それは選ばれなかった可能性だ」
「……どっちにしろ倒さなきゃ行けないのは解ってるけれどさ。……少しだけ考えちゃったんだよ」
 眉を寄せて呟くマクベスの表情は、グラナトには見えはしない。
「そうか」
 しかしマクベスが先程見たという幻影を想像しているであろう事は、想像に難くはない事であった。
 距離を詰める可能性を睨めつけ、グラナトは自らの力を『限定解除』する。
 それは、背に立つ彼の為に。
「大事な者を『可能性』等という甘い言葉で弄ばせる訳には行かぬな」
「……うん! よーし、グラナトさん火葬と行こうぜ!」
 ふ、と鼻を鳴らしてグラナトはきっと笑ったのであろう。
「良いぞ、ならば、派手に送ってやるとしよう」

 今起こっている事。
 彼と彼は出会った。
 彼は彼とここに、今訪れている。
 それは、幾つもの可能性を否定して選ばれた、ただ一つだ。

 一斉に襲いかかってきた可能性に向かい、グラナトは幾つもの神の炎を生み出し展開した神の力を煌々と明く燃やして。
 合わせてマクベスが大きく掲げた腕を振り下ろすと、風の魔力が嵐を呼び放つ。
「いっけえ!」
 吠える呼気。
 混ざる魔力は炎の嵐と化して可能性達へと食らいつき、風に巻き上げられた可能性達を燃え上がらせる。
 その瞬間、どう、と流れる風に似た感覚。
 それこそ背を震わせるほどの悍ましい悪寒が、二人の身体を貫いた。

 揺れる、揺れる。
 マクベスの視界に揺れる、その姿。
 マクベスを庇って、その命を散らしたヒーロー。
 マクベスの、大切な――兄の姿。
 ぎり、と奥歯を噛み締めて――。

「……マクベス」
 グラナトが一瞬で脂汗を吹き出した彼へと声をかけて、眉を跳ねると同時に。
 振り向き放った神鞭が、炎を纏って可能性を打ち据え弾くと。
 マクベスを蝕む痛みが遠のき、理性が、感覚が戻ってくる。
「――さっきみて、それが幻影なのは解ってんだよッ!」
 怖気を断ち切るようにマクベスが腕を真一文字に振るうと、防御壁が生み出され。
 そのままとーんとバックステップを踏んで、ぎゅっと銃を握りしめた。
「……」
 気づけば横に、グラナトが立っていた。
 それは、マクベスを護るように、庇うように。
 喉を鳴らしてこくりと頷いたマクベスは小さな竜――サラマンダーに念を籠める。

「お前達の可能性は、これで潰えた」
「ひっどい幻影みせやがって、――喰らえッ!」
 そのまま炎の精霊の力を両の銃に籠めて。
 マクベスは真っ直ぐに敵を見据えて銃を打ち放ち。
 重ねて踏み込んだグラナトの振り抜いた鞭は、弾に貫かれた可能性達を地へと叩き込む!
「――骸の海に還るが良い」

 ぞろ、と炎に巻かれた可能性達は、地に落ちたまま。
 風に攫われて、砂のように溶け消え行く。
 全ての可能性を炎に喰らわれ、ただ骸の海へと落ちてゆく。
 はじめから、そんな可能性なんてなかったかのように。
 マクベスは、瞳を細めて――。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

チガヤ・シフレット
シアン(f00616)と参加だ

ハッハァ、ふらふらゆらゆらしてる可能性ってやつが悪さしてたってことかぁ?
また妙なもんが出たわけだが……ほっとくわけにはいかねぇか。可能性ってのは良いようで悪いこともあるからなぁ。

大した力もないってんならサッと撃ち抜いてあと腐れなく、だな。
手脚の兵装から銃器を起動。なるべくパークが騒ぎにならないように、的確に撃ち抜いて倒していくか。
「シアン、静かに確実に。……って私が苦手なやつだな、仕方ない。さっとやって、最後にパレードでも見て遊んで帰ろうか」

「ハッハッハ、笑顔であの世へ! 未練やら可能性やら残しちゃいかんな!」


シアン・ルー
チガヤ(f04538)と一緒に行動します

ようやくオブリビオンのお出ましですか。
しかしそれ自体はあまり好戦的ともいえない様子。機雷除去という気分です。
「サイレントキルはむしろわたしの方が得意です。チガヤ、静かにかつ、流れ弾でパークを傷つけないようにしてください」
「パレード開始まで残り時間……少し急ぎます」

棄てられた可能性。観測されなかったルート。
未練がましいというのです。
そんなものに、いまを生きるものの足を引っ張られては困ります。
『人獅子殺法』で確実に破壊します。



 棄てられた可能性。
 観測されなかったルート。
 そんなモノが『選ばれた』ルートに現れるという事自体が、未練がましいものだ。
 ぱちぱちと瞬きを重ねて、シアンが見上げる先。
 揺れる、揺れる、小さな可能性達。
「ようやくオブリビオンのお出ましですが……」
「ハッハァ、こーのふらふらゆらゆらしてる『可能性』ってやつが悪さしてたってことかぁ?」
 それらはこちらから仕掛けなければ、彼怪異に向かって行くのみの様子だが――。
「それでもまあ、ほっとくわけにはいかねぇか。時間が立つと爆発するんだろう?」
 チガヤはチキとサイバーアイを輝かせて、どこか楽しげに好戦的に笑い。
 握った掌を、ぱっと開いて見せる。
「はい、そうですね。あまり好戦的とも言えない様子ですが、……地雷除去みたいなものです」
 頷くシアン。
 怪異と繋がった可能性達は、人を襲うようになる。
 『選ばれなかった可能性』の一つのルート。
 ああ、馬鹿らしい。
「ふうん、じゃ、さっさとおっ始めようか」
 可能性ってのは、良いようで悪い事もあるからなぁ、なんて。
 チガヤは兵装よりバッドメタルを起動する。
 無数の兵器から選ばれたのは、すらりとした印象の銃器だ。
 それらをフランケンシュタインは両手に構えて。ちき、と敵を認めたサイバーアイが青く輝き、腕を振り抜きざまに引き金を引いた。
 ぱすんっ。
 サプレッサーが最低限まで抑え込んだ発射音と閃光は、人混みの声音に紛れ。
「ま。大した力もないってんなら、サッと撃ち抜いてあと腐れなく、だな?」
 鈍い音を立てて弾けた弾は、浮かぶ可能性を地へと一瞬で縫い留め。そのままタイルを打ち砕くと、どろりと可能性が溶け消えた。
「いいえチガヤ、――サイレントキルはむしろわたしの方が得意です」
 チガヤの言葉に小さく首を振って、シアンが余り袖より覗かせたのは巨大な鉤爪だ。
 言う間に弾のように跳ねた彼女は、可能性達を次々に爪に捉え貫き、地へと叩き落とした。
「と、いう訳で、チガヤ。ソレを撃つのならば、静かに。かつ流れ弾でパークを傷つけないようにしてください」
「……静かに確実に、……ってぇ、確かに私が苦手なやつだなぁ」
 既にタイルを打ち砕いているチガヤはハハハと笑って両肩を竦めて、まあどうにかなるだろって顔。
 地に落ちた可能性を踏み砕きながら、シアンがやれやれと小さく首を揺すった。
「まぁ、苦手だからといってやらない訳にもいかないしなぁ。――仕方ないな、さっとやって最後にパレードでも見て遊んで帰ろうか」
「はい。わたしの考えてきたルートも、その様になっています」
 こっくり頷いたシアンとチガヤは、増えた敵の気配に同時に踵を返し。
 引き絞るように腕を振り抜いたシアンが、音もなく可能性を叩き潰し。
 銃口を向けられた事に気づいた可能性が、大きく口を開いた瞬間。その口へと直接銃口を突っ込んでゼロ距離で弾を叩き込むチガヤ。
「ハッハッハ、笑顔であの世へ! 未練やら可能性やら残しちゃいかんな!」
「そういう格好をつけたセリフは良いですから、はやくしてくださいチガヤ。はやく」
「あぁー、解った解った!」
 パレードまでに、全部片付けなければシアンの考えたルートはおじゃんとなってしまう。
 そんな可能性、許せる訳もあるまい。
 そのようなルートは、しっかりと潰さねばならないのだ。
「チガヤ、――パレード開始まで残り時間が余り有りません……少し急ぎましょう」
「はいはい、了解」
 桃色のフランケンシュタインと、銀色の吸血鬼はパークを駆ける。
 物々しい『仮装』の武器を携えて。
 選ばれなかったルートを、潰すが為に。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

千波・せら
不思議な物を見た。
夢のような時間だったなぁ。
まだまだドキドキしてるけど。

あれ?ゆらゆらとゆれる何かが沢山。
ゆらゆらとしていてこれは……?
これが目的の子かな。
危害は加えなさそうだけどやらなきゃいけないよね。

試しに片手に小さな雷属性の雨粒を生み出して投げてみるよ。
今日の天気は雷時々槍のような雷が降るでしょう。
高い所の皆様はご注意ください。
仕掛けたらこっちに来ちゃって…。
ああ、うん、やらなきゃね。

今日はとっても不思議な時間を沢山ありがとう。
君もすごく不思議で興味深いよ。
他にもふわふわはいっぱい。
皆と協力してふわふわ退治をしたいな。

まだまだ夢を見ているみたい。
そろそろ現実に戻らなきゃ。
戻れるかな。


エンティ・シェア
可能性、ね。あったかもしれないものだと言うけれど
無いものは、仕方がないだろう
大人しくお休み
今日は、素敵で楽しい一日なんだ
遊びに来ているだけの子達を怯えさせた罪は、重い

ぬいぐるみ二匹をお供にまた園内を回るよ
目についた可能性は彼らに処理をしてもらおう
私は眺め歩くだけ
生憎と悍ましさや痛ましさなどを感じることもないし、喪った存在などもとんと思い浮かばない
ましてや憎悪など
楽しい毎日を享受して生きる私にそのような感情は無縁だ
だから、眺めていくよ
君達の恐怖や絶望も、醜怪な姿も、全部、眺めて
綺麗に、掃除をして
ここを帰る頃には忘れるとしよう

泣いている子がいれば…
いや、泣いてなくても、必要があれば手は貸そうか



 ふしぎな、ふしぎなものを見た。
 それは、夢のような時間で。
 それが、過去から滲み出た変貌したものだとしても。
 まだドキドキ高鳴る胸の鼓動は、本物なのだ。
 きゅっと胸を押さえて、せらは――。
「……あれ?」
 ゆら、ゆら。
 歩む先に揺れる何かが浮いている。
 それは鳥の子にも、タツノオトシゴにも似て。
 沢山、沢山ゆれるソレは――。
「これが、目的の子かな? ……今の所危害は加えなさそうだけれど、やらなきゃいけないよね」
「やぁ、そうだね、きっとこれが目的の――可能性だろう」
 せらの疑問に応えるかのように。
 黒熊のぬいぐるみと、白兎のぬいぐるみを侍らせたエンティが、どこか芝居じみた動きで礼を一つ。
「……可能性?」
「そうさ、ははは、もう無いものだと言うのに。仕方がないよねえ」
「失われた、可能性?」
「あぁ、その通り。あったかもしれないものだとは言うけれど、失われたものさ」
「……ふうん……?」
 せらは首を傾ぐが、その瞬間ぬいぐるみが可能性に駆け走り。
 戦闘が始まった事を悟ってぱちぱちと空色を瞬かせたせらは、ぴりりと雷光弾ける雨粒を投げ込む。
 ――今日のお天気は雷時々槍のような雷が降るでしょう。
 高い所の皆様、とくにぷかぷか浮いているような皆様はご注意ください。
「わ……、仕掛けたらこっちに来ちゃうんだ」
「そのようだね、――おいき」
 エンティの指示に従うように、一気に跳ねた二体のぬいぐるみ達。
 その殺気に応じるように、怖気の走る風を駆けさせた可能性。
 痛ましさ、悼ましさ、悍ましさ。
 せらがきょとんと首を傾げて、エンティはただただ笑った。
「残念だね、可能性達。――生憎と私は悍ましさや痛ましさなどを感じることもないし、喪った存在などもとんと思い浮かばない。ましてや、憎悪など」
 踊るぬいぐるみ達は、可能性を齧り、与し、屠り。
 エンティはははは、と楽しそうに笑いを重ねる。
「楽しい毎日を享受して生きる私にそのような感情は無縁だ。君達の恐怖や絶望も、醜怪な姿も、全部、眺めて――」
 綺麗に、綺麗に、掃除をして。
「ここを帰る頃には忘れるとしよう」
「君は、わすれんぼうなの?」
「ははは。或いはそうかも知れないね。うん、なるほどね。そちらのほうがいつだって新鮮な心地で過ごせるだろう」
 エンティの嘯く声音。背後から迫ってきた可能性を掻い潜って、雨粒を放り投げたせらが首を傾ぐ。
 雨粒を食らったばちん、と大きな音を立てて電撃が爆ぜて。
「面白い考えだね。ちょっと不思議で……、あ、この子達もとっても不思議。ふわふわしてて、沢山いて……、何かを探していたのかな?」
 せらはまだまだ、夢をみているみたいな瞳でゆらゆら跳ねて、雫を弾く。
 ぬいぐるみと踊る事は、せらにとって楽しい事。
 痛ましさ、悼ましさ、悍ましさ。
 貫いた感情に、せらはどれ一つ反応ができなかった。
 だって、まだまだ夢を見ているみたいなんだもの。
 でも、そろそろ現実に戻らなきゃいけないかな。
 ……戻れるかなあ?
 パレードと花火が終わるまでは、まだ夢の中でもいいのかな。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

月山・カムイ
嗚呼、これらが選ばれなかった可能性、ですか
世界に選ばれず、喪われて骸の海に還ったはずのもの
……まさに、過去からの復讐そのもの、という事なのでしょうかね?

ならば、その廃棄された存在は、再利用させていただきますよ……私自身の力として、ね

敵の現れた現場へ急行して、殺戮捕食態へと姿を変えた絶影を振るい、その存在を喰らう
恐怖や絶望を与える呪詛など、斬り捨てて弾き返せばいい
醜怪な姿に姿を変えようと、それは所詮ただの断末魔でしょう?

この世界に、貴方達の居場所は悪いですが、ありません
今は骸の海へと還り、新たに生まれる世界でその可能性を試しなさい

現れ出た全ての可能性を屠る勢いで、次々と絶ち切って喰らっていく


篝・倫太郎
可能性、しかも廃棄されたモノ、か……
人を襲うようになるってんなら、倒さねぇとな

あのゾンビが実際にアレで人襲うとかやべーもんよ……
や、ゾンビ自体は怖くねぇけどあのスピードは脅威だぜ
マジ、冗談抜きで!追われた俺は知ってるんだ(真剣)

つー訳で遠慮なく

拘束術使用
攻撃の届く範囲の敵全てを鎖で攻撃
それと同時に衝撃波を乗せた華焔刀で先制攻撃でなぎ払い
刃先返して2回攻撃で範囲攻撃

敵の攻撃は見切りと残像で回避
回避出来ない場合はオーラ防御で防いで咄嗟の一撃
攻撃を相殺出来りゃラッキー

可能性、は過去の為にある訳じゃねぇよ
今を生きてる奴だけに許されたもんだ
例え選ばれない、廃棄されるモノだとしても

だから、骸の海に還んな


フリル・インレアン
ふえぇぇぇぇ、私を食べても美味しくないですよ。
だから、食べようとしないでください。

サイコキネシスで近付かれないように押し戻したり、投げ飛ばしたりします(本人は無我夢中で)。



「ふえぇぇぇぇ、私を食べても美味しくないですよおー!」
 無我夢中。
 サイキックエナジーを幾つも放ち、フリルはふるふると首を揺する。
 フリルが無我夢中で押し戻したり投げ飛ばしたりする度に、攻撃をされたと理解した可能性達が、彼女を彼女の思惑とは裏腹に追い詰めて行く。
 そこへと駆け込んで来た、黒い人影。
「――嗚呼、これらが選ばれなかった可能性、ですか」
 一気に踏み込んで可能性たちへと肉薄した黒い人影――カムイは、握りしめた小太刀を異形を喰らうが為の形へと変えて。
 上半身を捻って勢いを籠めた一撃を真一文字に叩き込んで、可能性を喰らい絶つ。
 選ばれなかった可能性。
 世界に選ばれず、喪われて骸の海に還ったはずのもの。
 それは正史には成り得ぬ過去の選択。これらは、――過去からの復讐そのものなのかもしれない。
 うっそりと敵達を見下ろすカムイに――。
「ふぇ、あ、ありがとうございます……っ!」
 ふるふると座り込んだまま、礼を言うフリル。
 小さく左右に首を振ったカムイは、瞳を細めてフリルへを起こすように腕を伸ばした。
「立って――、構えて下さい。今の攻撃で更に集まってきたようです」
 ふつふつと増える気配。
 囲まれていることは明白であった。
 低く構えたカムイは周りを睨めつけ――フリルが今にも泣き出しそうな表情でひゃっと肩を跳ね上げた。
「ふぇ、ええええっ!? ほ、ほんとですか!?」
「はい。守りきれるとは私も断言は出来ませんが――、来ましたよ!」
 逆手に構えた小太刀を下から上へと振り抜いて、大きく口を開いた可能性を切り裂くカムイ。
 ヒュイ、と音を立てて真っ二つに裂かれた可能性は潰れ、落ちる。
 ――恐怖や絶望を与える呪詛など、斬り捨てて弾き返せばいい。
 例えソレが醜怪な姿に姿を変えようと、それは所詮ただの断末魔だ。
 姿を表した可能性達の数は多い。
 それだけ怪異が現れている証拠でも有るのだが――。
 全て倒さぬ事には、どうにも成らぬ。
「ひゃ、ああああ、多い、多くないですか!? た、食べないでくださいーーっ」
 フリルは涙目で叫びながら。自らに食らいつかんと大口を開いた可能性を、必死でサイキックエナジーを叩き込む事でなんとか押し返して、自らの身をギリギリで守り。
「おっと、こっちにも沢山溜まってるみたいだなァ」
 そこへ飛び込んできた、大柄な人影――。
 しゃら、と見えない鎖を振り放った倫太郎は、にっと笑って艾色の髪を風に揺らした。
「当たらないように、屈んでくれよー!」
 カムイとフリルを囲む災い――可能性達を縛り付けた見えぬ鎖を引き絞り。
 一気に踏み込んだ倫太郎が黒に朱が映える薙刀を、重心を落として振り払って撃ち込み。
 切り替えしてつけた反動で、敵達をすくい上げるように薙ぎ払う!
「わっ、わあぁっ!?」
 アヒルさんをぎゅっと抱きしめて、倫太郎の言う通りに身を屈めたフリル。
「ありがとうございます、大分一気に削れました、ね!」
 逆に大きく地を蹴ってカムイは、大きく跳ね飛んだ!
 鋭く吐いた呼気は、裂帛の気合と。
 倫太郎の連撃に怯んだ敵達の頭上を越えて敵群の後ろへと降り立ったカムイは、素早く振りかぶって大きく口を開いた敵群を円を描くように蹴りを叩き込み、弾き飛ばす。
「――この世界に、貴方達の居場所は悪いですが、ありません」
「そうそう。可能性は過去の為にある訳じゃねぇよ、今を生きてる奴だけに許されたもんだ!」
 瞳を細めて、顔を左右に小さく振る倫太郎。
 それが、例え。選ばれず、廃棄されるモノだとしても。
 選ばれなかった事を嘆く事はあれど、それが『選択された現実』に成り得る事は無い。
 もし。
 もしだ。
 ――失われた可能性が、もし選ばれた時。
 どうなるかを、倫太郎は既に知っていた。理解をしていた。
 先程出会ったばさばさとした長い黒髪の女――『怪異』が、可能性を食らった瞬間。
「怪異と可能性が融合すると、めちゃくちゃ足が早くなるンだよな……」
 や、マジで。
 ゾンビ自体はそこまで怖くねェけど、あのスピードで来られたらマジで怖い。
 脅威でしかない。
 いやホント、マジで怖い。冗談抜きで。
 倫太郎は知ってる。
 だって追われたから。
 2連続で追われたから。
 さっきなんか、追われたから!!!!!!!
 倫太郎はぎゅっと薙刀を握りしめて、かの邪智暴虐のゾンビ共を除かねば成らぬと、改めて決意をする。
 いやマジでめちゃくちゃ怖いし。
「ふぇっ!?」
 倫太郎の呟きに、フリルは甲高い声音を洩らして更に恐怖する。
 見た目だけで既に怖いのにめちゃくちゃ足が早いとかもう泣くしか無い。
 ただただふるふると震えるフリル。
 アヒルさんは、ぷかぷかと浮いたまま。
 ただただ、彼女を見下ろすだけ。
「だから、骸の海に還んな」
 文字通り薙ぎ払われた可能性達へと、上段から叩き落とす形で倫太郎は衝撃波を叩きこめば。
 潰れた可能性達が、ぞろりと砂のように溶け消え行き――。
「……ええ。骸の海へと還り、新たに生まれる世界でその可能性を試しなさい」
 ――そして廃棄された存在は、カムイ自身と力として。『喰らわせてもらおう』。
 重ねて小太刀で敵を貫き喰らうと、カムイは更に敵達を睨めつけ、構えた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

ヨハン・グレイン
オルハさん/f00497 と

なるほど……、
手を出さなければ何かしてくることも無い
と言っても放っておけば人を襲う怪異を作り出してしまうと

見付け次第潰していくしかないのでしょうね
近寄るのは容易そうですし、手早く行きましょうか

闇雲に探すよりは移動する怪異を追った方がいいですかね
近くに怪異が見付けられなければ空中にも注意を払いながら移動して

潜在的な力や意義を可能性と言うのなら
この可能性は不要だな
存在を許すつもりもない

『蠢闇黒』から闇を喚び、<呪詛>と<全力魔法>で一息に握り潰す
対複数の時はオルハさんの援護に回る
攻撃ではなく防御のために力を使おう


オルハ・オランシュ
ヨハン(f05367)と

放っておくわけにはいかないよ
可能性を潰すって、言葉だけだと酷な気もするけど
人に害を為す可能性は棄てなきゃいけないもの

なるほど、さすがヨハン。冴えてる!
怪異が誘導してくれるようなものだね
空中にも注意を払うなら私に任せておいて
飛べば高くから周囲を見回すことだってできるしね

彼の言葉には頷いて
私だって同じ考えだよ
過去に沈めてあげなきゃ

怪異が手に入れちゃう前にさくっと片をつけよう
単体を相手取る時は威力重視で【2回攻撃】
複数なら効率重視で【範囲攻撃】
ヨハンに攻撃が届かないよう、攻めの手を緩めない
攻撃は最大の防御、ってね

どれだけ待っても無意味だよ
可能性も怪異も、ここで潰えるんだから


クーナ・セラフィン
あれが原因だろうけど数が多いにゃー。
それだけここに多くの可能性があるってことなんだろうけども。
可能性はあくまで可能性、恐ろしい可能性は一夜の夢の彼方へお引き取り願わないと。
このカッコいい剣もいいけれど、戦いは使い慣れたこっちで。
でも最後にキメる位なら…?

可能なら他の猟兵と連携し一匹ずつ確実に倒していく。
UCを使用し風の魔力中心に攻撃力重視強化。
華麗にジャンプして空中で揺れている可能性を突撃槍で攻撃。
喰らいついてくる敵がいるなら躱してカウンターで串刺しに。
周囲に建物があるならその地形を利用して奇襲、回避等に使えるといいんだけど。
恐怖の夜は恐怖のまま、惨劇になんてさせないよ。

※アドリブ絡み等お任せ



 夜に染まった空。
 人混みの中を歩き始めた怪異を前に、ヨハンは眼鏡の奥で瞳を眇め。
「なるほど……、原因たる『可能性』は手を出さなければ何かしてくることも無い。――と言っても放っておけば人を襲う怪異を作り出してしまうという訳ですか」
「そんなの、放っておくわけにはいかないよね」
 何処かで増えゆく可能性の気配に、オルハの背筋がぞわぞわと心地の悪い感覚を訴えている。
「……そうですね。見付け次第、潰していくしかないのでしょう」
 眼鏡を引いて、位置を戻したヨハンの言葉に、オルハは頷いて応じる。
 ――可能性を潰すという言葉。
 響きで言えばとても褒められた響きでは無いが、人に害を為す可能性は棄てなければいけないものだ。
「幸い近寄るのは容易そうですし、手早く行きましょう」
 指先で銀指輪をなぞり言葉を重ねたヨハンは、歩き出した怪異の背を追って歩き出す。
「……闇雲に探すよりは移動する怪異を追った方が良さそうですね」
「あ! なるほどー、さすがヨハン。冴えてる!」
 この歩きだした怪異を追えば、自ずと可能性へとたどり着くと言う事だ。
 ぽん、と手を叩いたオルハはヨハンと一緒に怪異の背を追い――。
「うにゃー、何、何、この数ー!」
 ぷかぷかと空中に蠢く可能性。
 鳥の仔にも、タツノオトシゴにもにたその姿が蠢いている姿は――。
「――それだけここに多くの『可能性』があるってことなんだろうけれども」
 ぞわわと灰色の全身の毛を一度逆立てたクーナは、光る剣は腰へと携え、収納。
 そして愛用の銀槍を構えなおして、きりりと可能性達を睨めつけて決めポーズを取った。
「可能性はあくまで可能性、恐ろしい可能性は一夜の夢の彼方へお引き取り願わないとにゃ!」
 地を蹴って弾むように一気に跳躍したクーナは、風の魔力を纏い。空中で揺れる可能性へと槍を突き立てた!
 攻撃をされた可能性は、驚くほどあっさりと砂の如く溶け消え。
 同時に。
 ありとあらゆるおぞましい感覚が綯い交ぜになった視線がクーナに一斉に向けられた。
「……にゃっ!?」
 灰色の毛を再び逆立てて、クーナは居心地の悪さに目を丸くする。
 彼女は今、この一帯に存在する大量の『可能性』全てに敵と認識されたのだ。
 そして可能性達は、一斉に彼女へ向かって飛びかかる!
「にゃーっ、そういうのはちょっと困るよねぇ!」
 槍と腕をガードに交差させて、敵達の攻撃を獣の身軽さで横っ飛びで避けるクーナ。
 そこへ植え込みから飛び出してきたのは、怪異。――ゾンビの方だ!
「ニャーーーーッ!?」
 驚きの声を上げたクーナが、遠心力を載せた槍で半円を描き、力任せに怪異をぶち殴り。
「見つけたよ、ヨハン!」
 同時に風切り音と、少女の声が鋭く響いた。
 黒い翼を広げて上からかっ飛んで来たオルハは、風を飲み込むように一気に加速して三叉槍を突き出して、敵群を突刺し薙ぎ払い。
「大きな声を出さずとも、見えていますよ」
 遅れて植え込みを飛び越えて、前へと腕を差し出したヨハンが敵群を睨めつける。
 彼の銀指輪の先より蕩け広がる闇は、夜の闇よりも尚濃い闇色。
「潜在的な力や意義を可能性と言うのなら、この可能性は不要だな。……存在を許すつもりもない」
「ねえ君達、どれだけ待っても無意味だよ。可能性も怪異も、全部ここで潰えるんだから!」
 可能性達の群れに闇が食らいつけば、空を飛んできた勢いを地に齧りつくように殺したオルハが急制動から反転。踏み込みから弾かれた玉の様に三叉槍を可能性達へと突き立てる。
「――そうだね」
 槍の石づきでゾンビを突いて引き剥がしたクーナが、改めて槍を構え直して纏う風は、怪異も可能性も喰らう刃のよう。
「恐怖の夜は恐怖のまま惨劇になんてさせないよ!」
 にゃにゃんと宣言したクーナの腰で、ヒーローの剣が呼応するようにぴかぴかと光った。
 ……勢いでスイッチがたまたま押されただけなのだけれど。
「広がれ」
 眼鏡の奥より敵を睨めつけたヨハンは、オルハを護るように闇を大きく展開する。
 ――万が一にでも彼女の可能性が、選ばれなかった可能性等という馬鹿馬鹿しいものに壊されないように。
「攻撃は最大の防御、って言うでしょっ!」
 オルハは前線へと一気に飛び出し、三叉槍を叩き込む。
 ――万が一にでも彼の可能性が、選ばれなかった可能性等という馬鹿馬鹿しいものに傷つけられないように。

 過去に選ばれず達消えた可能性は、すべて過去に沈め帰してみせよう。
 喰らわれた可能性が溶け消えれば、膝より崩れ落ちる怪異も同時に溶け消えた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

リル・ルリ
■櫻宵/f02768
アドリブ歓迎

大丈夫、座長はもういない
櫻宵がいるから怖くない
過去は過去
君の手を握り深呼吸

可能性というのはなんにだってあると僕は信じてる
そうあってほしいと

でも
座長がここに戻る可能性は君がいれば大丈夫
あの女が君の所に戻る可能性だけは
その可能性だけは叶ってほしくない
こんな僕は醜いだろうか

過去の僕を君にしられたくない
あの人に戻ってきてほしくないのは
過去に君に愛されて、僕には永遠叶えられない可能性を平然と叶えられるあの女に妬けるからに決まってる
脚があって、女で――

怪異が可能性を手に入れる前に
骸の海に返そうよ
静かに歌うのは「春の歌」
柔く優しく夏の夜に潰す

叶わない可能性、なんて
つらいだけだ


誘名・櫻宵
🌸リル/f10762
アドリブ歓迎

あら、これが元凶?
漂ってるだけだけど、そうね
あの忌まわしい座長が蘇る可能性なんていうのは斬り壊しておくに限るわ
あたしの可愛い人魚が連れていかれては嫌だもの

リィ、大丈夫よ
どんな可能性が戻ろうとも、殺してしまえばいいのよ
何度でも殺してあげる
消し去ってあげるわ
あなたを苦しめる可能性なんて
だから安心して

リィはヤキモチ妬きだから
気にしてるんでしょう
サクヤ、あの女の事
リルはリルだからいいのよ

あなたの不安事、なぎ払い斬り裂くわ
反撃は躱して「絶華」で散らしてあげる
リィを安心させる方が大事だから
今の方が大事だから、もしも、なんて可能性はいらないの

夏の夜の夢のように
骸に帰りなさい



 夜に負けぬパークの灯り。
 ぬるい風に吹かれてふわふわと漂う、鳥の仔にもタツノオトシゴにも似た可能性を前に。
「……あら、これが元凶?」
 しゃらりと簪を揺らして首を傾いだ櫻宵の後ろで、リルが鰭で空中をかいて頷いた
「そうみたい」
「漂っているだけみたいだけど、……そうね」
 すらりと太刀の柄へと手を添えた櫻宵が、瞳を冷ややかに細めた。
「あの忌まわしい座長が蘇る可能性なんていうのは斬り壊しておくに限るわ」
 あたしの可愛い人魚が連れていかれては嫌だもの、と。
 ・櫻宵の言葉に首を振ったリルは、櫻宵の太刀へと添えた手とは逆の掌を握りしめる。
 薄紅を見上げる空色の瞳。
「大丈夫、座長はもういない。……櫻宵がいるから怖くない」
 握りしめるリルの掌は酷く冷たく。その心中を察するように、櫻宵は柔らかくその掌を撫でるように握り返してやる。
「リィ、大丈夫よ。どんな可能性が戻ろうとも、殺してしまえばいいのよ。何度でも殺してあげる」
 ぜんぶ、ぜんぶ、消し去ってあげる。
 ――あなたを苦しめる可能性なんて。
「だから、……安心してね、リィ」
 その言葉は酷く物騒ではあったが、柔らかくリルの鼓膜を震わせる。
 リルはただ、こっくりと頷いて喉を鳴らして。
「君がいれば、座長はここには絶対戻ってこないよ。……大丈夫」
 ああ、でも。
 でも。
 可能性というのはなんにだってあるとリルは信じている。
 それが、良い事であれ、悪い事であれ。
 それでも、それでも。
 そうあってほしいと祈るのだ。

 ――過去の自分を櫻宵に知られたくない。
 そして、もう一つ、もう一つの『可能性』。
 ――あの女が櫻宵の元へと戻る可能性だけは、絶対に叶わないで欲しいと願うのだ。
 あの女に戻ってきて欲しくない。
 過去に櫻宵に愛されて。
 女で。
 脚があって。
 ――リルには永久に、永遠に叶えられない可能性を平然と叶えていたあの女には、絶対に、絶対にあいたくない。

 ああ、櫻宵はこんなリルをどう思うだろうか。
 醜く思うだろうか。
 それとも――。

 熱の戻らぬリルの指先を引いて、櫻宵はその指先を唇へと寄せる。
 はた、と空色が見開かれて。

 こんな場所だ、こんな事件だ。
 リルが気にしている事は、櫻宵だってなんとなく理解している。
 団長の事、――あの女、サクヤの事。
 リルはヤキモチ妬きの人魚だ。だからこそ、気にしているのであろう。
 手の甲へと口づけ落とした櫻宵は、リルにウィンク一つ。

「リル。……リルは、リルだからいいのよ」
「……さ、くら」
 リルは鰭の先をぴぴぴと揺らして、もう一度頷いた。
 すらりと太刀を抜いた櫻宵は今度こそ敵――可能性を睨めつけて。

「あなたの不安ごと、ぜんぶなぎ払ってあげるわ」
「うん。怪異たちが可能性を手に入れる前に、ぜんぶ骸の海に返そう」

 リルが静かに唇に載せたのは、春の歌だ。
 暖かな風に蕾が綻ぶ様に、水泡に舞う桜吹雪。
 その戦慄に載せて、鈍く照り返す銀を一文字に薙いだ櫻宵。
「――夏の夜の夢のように、骸に帰りなさい」
 今の方が大事だから、もしも、なんて可能性はいらない。
 元より戦闘力の低い可能性達は一瞬で、砂の如く溶け消えて。

 リルの柔らかな歌声は、帰宅を告げる優しい響き。
 せめて最後は、優しく見送ろう。
 ――叶わない可能性、なんて、つらいだけなのだから。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ザッフィーロ・アドラツィオーネ
宵f02925と

有り得たかもしれぬ可能性…か
俺も宵とあの丘で出会わなければ未だ迷いの中に居ただろう
故に…未だ迷いの中に居る俺もあの中に紛れて居るのやもしれん
だが大事な相手は隣に居るから、な
俺の背はお前に預けよう
その分前方からお前に向かう攻撃は全て防いで見せる故に、任せておけ

戦闘時は前に躍り出『先制攻撃』
宵への攻撃は『盾受』にて『かば』いつつメイスでの『2回攻撃』
そして【狼達の饗宴】にて止めを刺して行こう
一体づつは弱いと言うが…憎悪を移す物は厄介だからな
懐の守り刀の『破魔』にて退けながら幻影には対抗を

もし宵が憎悪に捉われかけた場合は宵、と名を呼び意識を俺に向けさせよう
…あれは過去だ。そうだろう?


逢坂・宵
ザッフィーロ君(f06826)と

あり得たかもしれない未来の、その可能性の集合体ということなのでしょうか
僕も、彼に出会わなかった可能性を思えば
きっと今でも僕は殻の中にいたのでしょう
彼らにいたましさを覚えるかもしれませんが
やはり幻影は幻影、可能性は可能性にしかすぎないのです

ザッフィーロ君、好きに暴れてきてください
背中は僕が守りますから

ザッフィーロ君の活動に合わせつつ
「属性攻撃」「高速詠唱」「範囲攻撃」を活用して
【サモン・メテオライト】を使用し一体ずつ確実に可能性を潰していきましょう

時折何かの影を彼らに見るかもしれませんが
愛おしい伴侶の声で我に返り
確かなその手を握りたい



 揺らぐ敵達は、在り得たかも知れない未来の『可能性』の集合体なのであろう。
 選ばれなかった未来、選ばれなかった可能性。

 例えば。
 ザッフィーロと宵があの丘で宵と出会わなければ。

 ――ザッフィーロはきっと、未だ迷いの中に囚われていたであろう。
 ――宵は未だに殻の中から、這い出る事は出来なかったであろう。

「……あの可能性共の中には、未だ迷いの中に居る俺も紛れて居るのやもしれんな」
「しかし、幻影は幻影、可能性は可能性にしかすぎませんよ」
 そこに痛ましさをおぼえど、選ばれなかったものは、選ばれなかった故にそこには無いものだ。
 どこか自嘲気味に囁いたザッフィーロの言葉に、宵は魔導書を開き。
 ザッフィーロはそうだな、と頷いて星の名を持つメイスを握りしめた。

 そのような可能性は既に喪われているのだ。
 二人は大切な人と出会い、救われた。
 選ばれた可能性は、『運命』と名を変えるのであろう。
 大切な相手は、今隣に居る。

「宵、俺の背はお前に預けよう」
 だからこそ、ザッフィーロは笑みを口に宵へと背を預ける。
「はい、ザッフィーロ君。好きに暴れてきてください」
 だからこそ、宵は柔らかく笑んで応えて彼の背を護る。

 一気に可能性達の前へと躍り出たザッフィーロは、地を強く踏み込んで上半身を捻ると思い切りメイスを叩き込んだ。
 一斉に可能性達が振り返り、二人を敵と認識した様子でこちらを睨めつけた。
 その瞬間、怖気に似た感覚が宵を襲う。
 それは殺気では無い、憎しみや悲しみを綯い交ぜにした心地の悪い感覚だ。
 ザッフィーロはその感覚を、逆手で握りしめた破魔宿す守り刀を擡げ裂くが――。
 一瞬でも悼ましさを感じた宵は、一気に意識を囚われてしまう。

 ああ。
 ゆらぐ、ゆらぐ。

 影。
 それは、過去の幸せな。
 宵を創った彼の影。
 それは、過去の。
 宵を美術品として飾り付ける影。
 それは、――。

「宵!」
「……っ!」
 それは、愛おしい声。
 はっと目を見開いた目を見開いた宵は、息を吹き返すように大きく息を吸って。
「それは、過去だ。……そうだろう?」
「……は、い……っ!」
 そして一度強く握りしめられた掌に、宵は魔導書を魔力になぞる。
 増幅されて膨れ上がる魔力。可能性達へと叩き込まれるのは、小さな流星群だ。
「すみません、好きに暴れて良いと言いましたのに――」
「良い。これから暴れさせて貰うからな」
 く、と唇を笑みに擡げたザッフィーロに、宵もつられたように笑って。
「一体づつは弱いと言うが……、憎悪を移す物は厄介だ。一気に征くぞ」
「ええ、お任せを」
 ザッフィーロより、獣の炎が膨れ上がり。
 魔力に流れる星が、可能性達を喰らい燃やす。

 選ばれなかった可能性が、選ばれた『運命』に負ける訳は無い。
 愛おしき運命は、隣に在るのだから。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

月待・楪
氷月(f16824)と

…氷月、もう…蜂の巣にしても、いいんだよな?

攻撃が通じる…
撃って殺せるお化けは殺す…!
【EasterLily】でハンドガンを
【念動力】で操って
【暗視・クイックドロウ・2回攻撃・部位破壊・傷口をえぐる・零距離射撃】…何でもいい使える限りの技能で
棄てられた可能性だろうが
何だろうがぶっ倒す!
引き金を引くのが愉しくて、たまんねェ…のに
氷月が…俺の前で変なモンに引っ張られてんのが腹立って
手持ちの銃のグリップでおもいっきり脇腹をぶん殴りにかかる

氷月、帰る前に土産屋寄って帰ろうぜ
ん、そうだな…キーホルダーとかか?
つかしばらく夜の遊園地には近寄りたくねェ…
あー…お前とホテルからなら、いい


氷月・望
楪(f16731)と
アドリブ等歓迎

誘き寄せは大丈夫そう、かな
蜂の巣オッケー、好きに暴れても大丈夫
アレは撃って殺せるお化けだし、ね?

いつもより派手に暴れる、楪のフォローに
憎悪を感染させる精神波とか
今のDarlingに向けないでくれないかなー?
【目立たない】様に立ち回り、楪と精神波の間に立とうと試みる
コレ以上ハイになった楪なんて、俺だけの特権デースってね?

喪失の幻影、燃え尽きる自分
そんなの悪夢で散々見てきたし、今はそんなに怖くねェ
残念だったな、楪がブッ飛ばして……ちょっ、ゆず!?マジで痛いからね!?

お疲れ様、楪
菓子とかもだケド、何かペアの買っとく?
……ナイトパレードをホテルから眺める、ってのも嫌?



「……氷月、もう、……もう、……蜂の巣にしても、いいんだよな?」
「オッケー、好きに暴れて大丈夫だよ、――アレは撃って殺せるお化けだし、ね?」
「攻撃が通じる……、撃って、殺せる……! 撃って殺せる……お化けは殺す……!」
 何故か運ばれていた方の楪の方が、息も絶え絶え。
 なんなら片言になりつつある。
 望の許しを得れば――。
 楪は、ゆっくりと灰瞳を見開いた。

 ぷかぷかと浮く可能性達。
 可能性に向かって駆けてゆく怪異達。
 低い声を洩らした楪は、きっと笑っていたのであろう。
「――なァにが、棄てられた可能性だ。何だろうがぶっ倒してやるよ!」
 楪が上半身を擡げると同時に、小石やどこかから飛んできたパレードの紙吹雪が浮き。
 それは空中で黒く捻れ、幾つもの銃と化す。
「撃って殺せるモンは、殺すッッ!」
 彼の周りをぐうるり囲んだ何丁もの銃がその引き金を一斉に引かれ、先程まで追いかけてきていた怪異を、可能性達を穿ち、貫き、爆ぜさせる。
 彼を敵と認識した可能性達が一斉に、思念を放ち――。
「あー、ダメダメ。ウチのDarling、今そういうの受け付けて無いんですよねー」
 楪の背よりひょいと姿を表した望が、ガードの腕を上げて。
「――コレ以上ハイになった楪なんて、俺だけの特権デースって、ね?」
 割り入れば、全ての思念をその身で庇い受ける。
 背筋に直接氷柱を差し込まれ、怖気、吐き気、この世の全てのおぞましさをめちゃくちゃにミキサーにかけて流し込まれるような感覚。
「……っ、く、」
 ゆらぎ、ゆれる。見える。
 影、影。
 あれは。
 喪失の幻影。
 炎。
 誰かが、泣いてる。
 オレが、焼ける。
 妹に、似た――。
 何度も何度も何度も何度も、繰り返し見た夢。
 何度も何度も何度も何度も、燃やされる夢を見た。
 奥歯をぎりりと噛み締めた望は、口端を擡げて笑みを作る。
「――そんなの、さんっ、ざん……、見てきたンだよ!」
 怖くねえ、と顔を上げた望は――。
「残念だったな、楪がブッ飛ばして……――げ、ほっ……!?」
 脇腹へと走る熱い熱い痛みに、身を悶えさせる。
 その一撃を叩き込んだのは、たった今変わりにぶっ飛ばしてくれると宣言されていたばかりの楪だ。
「ちょおっ、……ゆ、ゆず! マジで、マジで痛いからね!?」
 望の脇腹へと刳りこんだ銃底を掌の中で弄んで握り込み直すと、ひどくおもしろくなさげに舌打ちを一つ。
 空中を駆ける銃達の引き金を更に引いた。
 ああ、クソ。面白くない。
 こんなに引き金を引くのは、愉しくて愉しくて、たまんねェのに。
 ――氷月が俺の前で、変なモノに引っ張られる事が、酷く腹立たしい。
「うるせェ。――全部、ぶっ倒れろ!」
 身体を巡るサイキックの力を全て叩き込むように、引き金を引く、弾を放つ。
 抉る、潰す、殺す。
 全部殺す、――だから、俺は、ヴィランで良い。

「ほいっと、お疲れ様、楪」
 まあまあ荒れてしまったパークの歩道。
 これ誰が直すんだろうな……、UDC組織の皆さんいつもお世話になっております。
 望が楪の首筋に、自販機で買ってきたばかりの冷たいお茶を押し当てると、楪は瞳を眇め。
「サンキュ。そーいや氷月。全部終わったら帰る前に土産屋寄って帰らねえ?」
「んじゃ、菓子とかもだケド、何かペアのトカ買っとく? ゆーくん」
 へらへらと笑う望に、楪は小さく頷いて。
「ん、そうだな……キーホルダーとか、か?」
「アクセサリーとかもあるみたいだし、色々見に行ってみようぜー」
「良いが、……あー……、しばらく夜の遊園地には近寄りたくねェなァ」
 倒せないほうのおばけを思い出して肩を小さく上げた楪に、望は眼鏡の奥で瞳を細めて首を傾げる。
 それはどこか猫のように、悪戯げな表情で。
「んじゃ……ナイトパレードをホテルから眺める、ってのも嫌?」
「……あー……、お前とホテルからなら、いい」
 二人は歩き出す。
 全ての『撃って殺せるおばけ』を倒した後の相談をしながら。
 もう少しだけ、戦いは続くのであろう。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

シャルファ・ルイエ
その可能性が、人を襲う方向へ向くものなら放ってはおけません。見つけたものから一掃していきます。

《先制攻撃》で敵の反撃前に終わらせられるのが一番ですけど……。

もし向かって来るものが居たらお願いしますね、花虎さん。

近くに集まっている可能性を《高速詠唱、範囲攻撃》の【鈴蘭の嵐】で攻撃します。
《全力魔法》も使って、出来れば一撃で終わらせられる様に。

花吹雪なら、イベントの一環みたいに見えますよね?

覚えている限りで身近に喪った人は居ませんし、もしも誰かが出てきても、それが誰なのかきっとわたしには分かりませんから。
反撃が来たって、平気ですよ。

わたしだって、過去より今居る花虎さんに何かある方が悲しいですから!


斎部・花虎
【シャルファ(f04245)と】

可能性で在ると云うなら摘める筈だ
摘み取ろう、それが害を成す前に

任せておけ、シャルファ
おまえに害が及ぶ前に、おれが叩き伏せるよ

シャルファの攻撃で撃ち漏らすものを仕留めに征く
擦り抜けてシャルファに向かう者あらば、そちらを優先的に処理

――さあ血を喰らえ、熾きろ甕星
ブラッド・ガイストにて強化した武器で以て一匹一匹、一つ撃てば散る様に
…花吹雪には似合わぬ血腥さしかおれには無いが
きっとそれすら、シャルファの美しい花が隠してくれるさ

いいや、反撃が来たって平気ではない
おれの心が乱れる故に
おまえに何かが在っては悲しいからな
…だから、そうならない様に立ち回るんだ



 ――さあ血を喰らえ、熾きろ甕星。
 腕を覆う縛霊手。
 白の毛並みを編み込んだお下げ。
 花虎は、人混みの中に揺れる可能性を、貫き爆ぜた。
 幾つも揺らめく可能性達が一斉にこちらへと視線を向けた事が感覚で解る。
「そうだ、こっちだ」
 敵と認識をしてくれれば、可能性達は追ってくる。
 人混みを掻き分ければ、小さな身をまろばせるように花虎は駆ける。
 すこし開けたスタッフ入り口へとつながる行き止まりまで駆け込めば、一瞬で蕾を綻ばせた鈴蘭の花弁が、ちらちらと雨のように流れ散る。
「――行きますよ!」
 シャルファの声かけで、舞い上がる鈴蘭の花弁の嵐。
 それは花虎に引かれて集まってきた可能性達を一気に貫き裂く、美しくも恐ろしい嵐だ。

 ――花吹雪なら、イベントの一環みたいに見えますよね?
 それは、戦い始める前にシャルファの言った言葉だ。
 花虎の腕を覆う甕星の喰らった痕は、花吹雪にはとても似合わぬ血腥さだろう。
 しかし、シャルファの美しい花が全て覆い隠してくれる筈だと。

「……!」
 シャルファが青空色の瞳を見開いて、杖をガードに上げる。
「シャルファ」
 花虎は、喰らいつかんと大口を開いた可能性達を跳び躱し。
 跳び躱した可能性達を喰らうよりも、何よりも優先するべき事。
 シャルファへとその長細い嘴に似た口を向ける、可能性へと一気に地を蹴った。
 踏み込みからの跳躍。
 可能性の顔面に足裏を叩き込み、間髪を入れず上体をねじ倒して旋転をすることで勢いを蹴りへと転化すると、跳ね上がった可能性を喰らう甕星。
 そんな花虎を追ってきた可能性達が一斉に彼女に喰らいつき――。
「だめ、です……っ!」
 シャルファの花弁が間に合った。
 巻き上がる鈴蘭が花虎にまとわりつく敵を切り裂き、骸の海へと叩き返す。
「ありがとうございます、花虎さん……、で、でも。覚えている限りで身近に喪った人は居ませんし、もしも誰かが出てきても、それが誰なのかきっとわたしには分かりませんから。わたしは反撃が来たって、――平気ですよ」
 それよりも、花虎が無理をして怪我をするほうが、ずっとシャルファは苦しい。
 しかし、花虎はふるふると顔を振って。
「いいや、反撃が来たって平気ではない」
「え」
「……おれの心が乱れる故に、おまえに何かが在っては悲しいからな。……だから、そうならない様に立ち回るんだ」
「わ、わたしだって、過去よりも、今居る花虎さんに何かある方が悲しいですから!」
 もう、とシャルファが髪を跳ねて。
 花虎がむむ、と碧翠の眸でそっとシャルファを見た。

 二人共、思うことは同じなのだ。
 ならば、出来ることは一つ。
「……よし、一撃で倒そう」
「それしかありませんね」
 こっくりと頷いた二人は、更に向かい来る可能性達に向き直る。

 ――可能性で在る限り、摘み取る事が出来る筈だ。
 それが、害を成す前に。
 そう、それが友であれば、余計。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ジゼル・スノーデン
【灯火岬】
綴とともに影を追いかけて

ゆらゆらするそれは、可能性というには、おぞましさに満ちていて

そうだな、止まった時間は動かない
失われたものは、どんなに嘆いて戻り戻せない
大切なものであれば、きっと、なおさらに

かつてに、出会った誰かの影が可能性を拾う前に倒すとしよう

「りんごりんご。わたしの心臓」
歯車を捧げて、オールを構える。
綴が引き寄せた敵を、片っ端から殴る。連携する。
……すごいな、綴。器用だな!

精神波は「覚悟」と「勇気」で憎悪に負けない

目につくやつらを一通り、潰して回る


そうだ!お土産のクッキーを買わなくちゃ!
閉園まで、まだ時間はある?急いで、買いに行かなくちゃと。再び綴の手をとって走る


櫛橋・綴
【灯火岬】

見て、ジゼル
気持ち悪いのたくさんいる
見渡せばゆらゆら揺れる可能性達

よくわかんないけど潰せばいいんだよね
喪った、止まった時間は動くことはないんだから
巻き戻ることも、ね

フック付ワイヤーでくるりと巻き付け引き寄せ
煮るなり焼くなり、オールで殴るなりお好きなように!とジゼルと連携
戦い慣れしてないんだけど案外いけるね!

ユーベルコードも使用して
【全力魔法】氷属性の風で敵の体力と動きを封じて

【覚悟】【呪詛耐性】負の感情に屈してしまわないように
嘗ての主との変わらない思いも願いも此処にある…
それに隣には頼もしい彼女がいるのだから…!

…あ、そういえばお土産買ってない!
ジゼルと手を繋いで夜の遊園地を駆けて



「見て、ジゼル。気持ち悪いのがたくさんいるよ」
 綴の言う通り。
 気がつけば鳥の仔にも、海の生き物にも見える可能性達はパーク内に蔓延していた。
 それは可能性というよりは、おぞましいもの。
 悪意、諦め、悲しみ、苦しみ。
 綯い交ぜになった感情が可能性達の中に揺らいでいる事が、強く強く感じられる。
「よくわかんないけど……、潰せばいいんだよね?」
 喪った、止まった時間は動くことはない。――勿論、巻き戻ることもだ。
 尋ねる綴に、ジゼルはこっくりと頷いて。
「そうだな。かつてに出会った誰かの影が、可能性を拾う前に倒すとしよう」
 止まった時間は動かない。
 失われたものは、どんなに嘆いて戻り戻せないものだ。
 ――大切なものであれば、きっと、なおさらに。

 揺れる、揺れる可能性達。
 選ばれなかった可能性は、選ばれた可能性を恨むものなのだろうか。
 それとも、或いは。

「――りんご、りんご。私の心臓」
 零れ落ちた歯車に魔力を載せて。
 ジゼルの構えるオール状の――魔法のオールを掲げたジゼルはぱちりとオールに歯車をはめ込んだ。
 魔法が揺らぎ、歯車がきしきしと回りだす。
「よい、しょっ!」
 綴が可能性へと投げつけたフックが、器用に引っかかり。一気に引き絞れば一本釣り。
 引き寄せられた可能性を、オールを構えてぐんと腕を引き絞ったジゼルが叩き潰す。
「すごいな綴、器用だな!」
 ジゼルの褒め言葉に唇を持ち上げて笑った綴は、少しだけ照れくさそうに赤い瞳を揺らして。
 更に次の敵を一本釣り。
「戦いはまだ慣れないけれど、案外いけるものだね!」
「うん、すごいぞ綴、とても筋が良いようだ」
 大きな魚だって上手に釣れそうだな、と釣り上げられた可能性を片っ端から叩き潰すジゼル。
 なぜか、どこかUDCアースやエンパイアで行われているという餅つきに似た風景。

 当然、敵だってやられっぱなしで在るわけでも無く。
 敵と認識した彼らにその悍ましき思念を向ける。
 ――失われたものは、どんなに嘆いても取り戻せないものだと言うのに。
「!」
 目を見開いた綴。
 覚悟はしていた、しかし、向けられた負の感情は痛く、悼む。
 しかし、しかし。
 嘗ての主との変わらない思いも、願いも、全てはここにある。
 それに、――隣には、頼もしい友達だっているのだから!
 ぎゅっと掌を握りしめて、綴は氷の魔力を腕に宿す。
「ジゼル!」
「ああ、綴!」
 綴の解き放つ氷嵐。合わせてこくりと頷いたジゼルが、弾かれた玉のように駆け出した。
 悼ましさを、憎悪を、悪意を。膨れ上がらせる可能性に向かって、ジゼルは大きくオールを振りかぶった!
「……そんなものに、わたしは負けないっ!」
 ばちんと叩き込んだオールは、可能性をさらりと砂と化して――。

 ……あ。
「……綴。わたしは大切なことをひとつ思い出した」
「えっ、何かな、ジゼル?」
「まだ、お土産のクッキーを買っていない!」
「あっ、本当だ、そういえばお土産買ってない!」
 まだ時間はあるだろうか。
 二人は手を取ると、慌てて駆けてゆく。
 どれだけ非日常の中にあっても、お土産は大切なのだから。
 急いで、急いで。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ニオク・イグズヴィ
引き続き【エイリアンツアーズ】の皆と

・SPD
パウルの駆るエレクトリカル仕様のGlanzに、ヨシュカと一緒にタンデムライド
テンションぶち上げていくぜおらぁ!
瘴気も恐怖も絶望も! あらゆる悪夢を振り払う突風になってやろうぜ

フライクーゲルで『可能性』達を一体ずつ狙い撃ち(スナイパー)
可能ならば【2回攻撃】で【傷口をえぐる】
撃ち漏らしなんかがないように、確実にな

誰だって可能性を手にする権利はあるだろうさ
けど、それが誰か何かを害する『可能性』ってんなら、そんなモンはクソくらえだ
……少なくとも俺は、そんなもん望んじゃいねぇ
だから、一匹残らず、駆逐していくぞ


須辿・臨
【エイリアンツアーズ】
棄てられし可能性っすか。
うーん、オレ、別になんも喪ってないっすからねえ。
どんな可能性みせてくれるんすかね?
例えば喰いそびれたアレとかソレとか?チュロスとか?
それなら望むところっすよ!

エレクトリカル……らしいんで。
オレも派手に行くっすよ。光る腕輪とか、全開のまま。
先陣を切って駆け抜けて、相手の攻撃を誘うっすね。

程々に集めたら、サイキックブラストでばちばちーっと動きを止めるっすかね。
さあ、パレード本体の突撃っすよー!
今日のGlanzはいつもに増して格好良いっすね!
列から零れた可能性を確実に斬っていくっす。

ん、叶う可能性は明るいヤツがいいっすねー。
そんなわけでお還りっすよ。


榛名・深冬
【エイリアンツアーズ】

チュロス、知らない食べ物です
終わったら食べたいです

全体を見渡せる様交戦する皆さんとは距離を取る
電脳眼鏡型ゴーグルを起動【暗視】【視力】強化で敵の位置を把握
UCで召喚したドローン…今回はブラフマン先輩のGlanzに合わせ
LEDライトで飾ったエレクトリカルモード仕様…を
電子キーボードを【早業】で叩き操作し攻撃
光るドローンは目立つので皆さんに敵の場所を知らせたり囮にもなるかと

小竜形態の燈はわたしの傍にきた敵の対処
火を吹き【属性攻撃】数が多い場合は【範囲攻撃】で薙ぎ払う

誰かを傷つける可能性なら、何度だって棄ててみせます

呼び方
感情が先輩=苗字+先輩
感情が同僚=苗字+さん
ヨシュカくん


三条・姿見
引き続きエイリアンツアーズの皆と共に。

賑やかだな。だが、この一帯…
全てがオブリビオンによる、顔を持たないまやかしだ。
いずれ害になる可能性なら、見逃す道理はないだろう。
ここで速やかに断ち落とす。

光の軌跡は夜の闇にもよく映える。…歩き親しんだ道が別物のようだな。
パウルたちが乗るGlanzの進行ルートを確認次第、高台を駆けて先回り。
程良い場所を見極めて降り立ち、敵影が通路の外に漏れないように
【鋼糸】で周辺の封鎖を試みる。“パレード”の客は多いに越したことはない

歪み膨れて抵抗する気概のあるものは、俺自らが食い止めよう。
抜刀し【封切】を解放。瘴気を黒煙で遮って【2回攻撃】を叩き込む

※二人称:名前呼び捨て


ヨシュカ・グナイゼナウ
【エイリアンツアーズ】のみなさまと
名前前半+さま
深冬さま
【SPD】

チュロス!遊園地といえばチュロスが定番。識っています、調べたので。帰る前に食べたいな
着信音と響く銃声は始まりの合図。ごめんね、あなたたちはもう終わっているの。だからさよなら

パウルさまのglanzにニオクさまと同乗。何度乗せて頂いてもワクワクします。LEDの軌跡は彗星の様に尾を引いて
音楽まで鳴っていますね!(本格的!)(?)

【暗視】と【視力】を併用し、袖口から取り出すは七つの千本。『可能性』を狙って、汚染が発動する前に【UC七哲】で妨害を。
撃ちこぼした『可能性』が有れば、良く【見切り】開闢で【串刺し】です


パウル・ブラフマン
【SPD】
【エイリアンツアーズ】の皆と参戦!

非通知表示の着信。
通話を押せば、オレと瓜二つの声で
『兄貴まだ出先?酒買って待ってるんだけど』。
悪ィ、オレ弟いないんだわ。
まだチュロス食ってねーし、お前はおとなしく寝てな。
携帯電話ごと『可能性』の1体をKrakeで撃ち抜いたら
いつものスマイルをエイツアの皆に向けよう。

よっしゃ、UC発動!
いくよGlanz―エレクトリカルモード☆(虹色のLEDライトデコ仕様)
そしてヨシュカくんとニオくんを後部座席にご招待♪
陽気なミュージックを流しながら
猛スピードでブチあげるのがエイツア流パレード。
皆と連携しながら
近場の個体からKrakeで狙撃してくよ☆

※絡み&アドリブ歓迎


ユキ・スノーバー
【エイリアンツアーズ】の皆と!
終わったらチュロス食べるお楽しみの為にも、無事解決しないとねっ!
キラキラ仕様のGlanzにわくわくしつつ、エイツアパレードの始まりはじまりーっ!
華吹雪で足元スケート状態にして『可能性』に急接近して一撃をお見舞いなんだよーっ!
…形を得て、脅威にならなければ良かったのに、なんて思わないよ?
今この世界はあるべき人達の物だもんっ!
音楽に合わせてくるり、きらきら。吹雪は明かりじゃないけど魔法みたいな演出には良いかなって。
楽しくて幸せになれる場所に悲劇は似合わないから、怪異は絶対逃がさないよーっ!
ドローンの明かりを確認しつつ、撃ち漏らしが発生しないようにカバーしつつ行動するね



 揺れる、揺れる。
 失われた、棄てられた可能性達は揺り籠に揺られる幼子のように、自らを抱きしめて空中にぷかぷかと浮いていた。
 棄てられた海の生き物のようにも、鳥のようにも見える赤黒い『可能性』。
 歩み寄るモノは、過去に自らの可能性を失ってしまった者たちばかり。
「――賑やかだな」
 刀の柄に掌を添えた姿見は目の前の光景を射止めるように、その瞳を向けて。
 しかしこの一帯に集まった何者か達は、全てオブリビオンによる『何者』か達だ。
「棄てられし可能性――なんて言うっすけれど、うぅん……俺、別になーんも喪ってないっすからねー。どんな可能性見せてくれるんすかね?」
 肩に燃えるような朱の刀の峰を預けて、とんとん、と二度跳ねさせる臨はあっけらかんと言い放ち、あ、と何時ものように笑む。
「喰いそびれたアレとか、ソレとか、チュロスとか。食べられる可能性だとすれば望む所っすね!」
 小竜を抱いた、深冬は首を傾ぎ。
「……うん? 知らない食べ物ですね」
「チュロスと言えば遊園地といえばと謳われる程の菓子です。識っています、調べたので」
 カリカリサクサク、それは美味しいものなのだとヨシュカは識っている。
 調べましたから。
 そこに再び鳴り響いたのは、パウルの携帯電話だ。
 液晶に表示されている文字列は『非通知設定』だ。
 きっちり3コールで携帯電話を耳に当てたパウルは――。
『……兄貴、まだ出先? 酒かって待ってるんだけど、いつ』
「悪ィ、オレ弟いないんだわ」
 自らと同じ声質、自らと瓜二つの声を響かせたスピーカーに食い気味で言葉を重ねた。
 まだ何事かを喋っている携帯電話を放り投げると、青い触手を撓らせてアームドフォートの照準を合わせるとただ貫いた。
「まだオレもチュロス食ってねーし、お前はおとなしく寝てな」
 低い声音。
 一つの可能性ごと、携帯電話を穿ったパウルは犬歯を剥き出して楽しげに笑い。
 白銀に艶やかな蒼き光線を抱く宇宙バイクへと跨って皆へと顔を上げた。
「いくよGlanz――! エレクトリカルモードッ☆」
 エンジン音を鈍く唸らせて光り輝き出したGlanzは、虹色にデコデコピカピカ。
「よっしパウル、行くか!」
「――ごめんね、あなたたちはもう終わっているの。だからさよならしなければ、いけません」
 銃声を始まりの合図にGlanzの後部座席へと腰掛けたニオクとヨシュカが、それぞれ獲物を手に敵を真っ直ぐに見やった。
「ああ、いずれ害になる可能性なら、見逃す道理はないだろう」
「はーい! 終わったらチュロス食べるお楽しみの為にも、無事解決しないとねーっ!」
 身を低く構える姿見に、ユキがぴょーんと跳ねてがんばるよっっとアイスピックを掲げる。
 陽気なビートを刻むミュージック。
 ――七色の光を宿したバイクを中心に。これから始まるのはエイリアンツアーズのエレクトリック・パレードだ。
「オラッ! テンションぶち上げていくぜ! ――瘴気も恐怖も絶望も! あらゆる悪夢を振り払う突風になってやろう!」
「了解っすー、派手に行くっすよ!」
 古めかしい銃のセイフティを解除したニオクが陽気に叫べば、朱色の刃を掲げた臨が地を蹴って。
 先陣を切って真っ直ぐに駆け出した。
 瞬間パウルの跨ったGlanzが猛スピードで唸りを上げて、軌跡は虹の流星を生む。
「エイツアパレードの始まりはじまりーっ!」
 高く高く跳ねたユキが、きゃーっと可愛い顔で宣言する!

 破砕音を立てて弾の雨が舞う。
「随分と多いねー」
「薄い弾幕じゃぁ意味がねぇな、全部俺達で掃除してしまうくらいぶっ放してやるか」
「おっ☆ 景気がいいね!✨✨  ――なら、もうブレーキは踏まねえぜ!」
 猛スピードで駆ける宇宙バイクに跨ったパウルとニオクの放つ玉は、向かい来る可能性達を威嚇し、道を拓く光の軌跡だ。
「何度乗せて頂いてもワクワクするものですね」
 ぐんぐん風をきって陽気なやり取り、ビートでリズムを刻む車体の上で、袖口より取り出した七つの千本を構えるヨシュカ。
 いくら狙おうが、これだけの数がいれば取りこぼしだって出てくる。
 その為にヨシュカはココに座っているのだ。金色の瞳を眇めて、可能性に向かって――。
 猛スピードで駆けるバイクの上でも関係は無い。
 ヨシュカは人形だ。
 だからこそ確りと先を見据える事だって出来る。
 指先だけで軽く投げ飛ばしたように見える千枚は、正確に可能性を貫き抉る。

 道を切り拓くバイクの生む、光の軌跡は夜の闇にもよく映える。
 先程まで歩んできた道がそれこそ、別物のように。
 戦闘開始と共に、手頃な建物の上へと駆け上った姿見と深冬は、そのバイクの軌道を眺め見極める。
「……『パレード』の客が迷わぬようにな、導きは必要であろう?」
 お客様達が迷わぬように、鋼糸を引き絞り『道』を姿見は生み出し。
「招かれざる客という感じはありますけれどね……」
 立ち上げた電脳眼鏡型ゴーグルで回りの状況を演算する深冬は、姿見の言葉にキーボードの上で跳ねる指を止めること無く両肩を軽く上げて見せた。
 彼女が操作するのは、LEDライトで飾った光るドローンだ。
 先導して弾を吐き出すバイクには劣るが、十分可能性達の目を惹きつけられてはいるだろう。
 そこに、きゅ、と低い声音を零す燈。
「おや、招かれざる客がこちらにも来てしまったか」
 その気配に鋼糸を握りしめたまま、刀の柄へと掌を添える姿見。
 いくつかの可能性達が、二人を一匹へと喰らいつき――。
 深冬はそちらへと意識を向ける事も無く、キーボードを叩き続ける。
 だって、それはもう演算を終えた結果だ。
「――こちらは、パレード関係者意外は立ち入りを禁止されている」
 ごう、と火を吹いた燈が可能性達を散らし、黒煙が揺れたと思えば銀色が駆けて。
 次の瞬間には姿見の刃は鞘へと収めら、すべての可能性が地へと落ちていた。
「速やかに断ち落とさせていただこう」
「はい、――誰かを傷つける可能性なら、何度だって棄ててしまうべきですからね」
 相槌を打った深冬は、更にドローンを駆けさせる。

 涼やかな冷気は地に霜を落とし、滑るべき道を作り出す。
「えーいっ!」
 可能性達に、文字通り滑りこんで。
 一気にぽーんとはね飛んだユキは、大口を開いた可能性の口へとアイスピックを叩き込み。
 重ねて旋転から刃を放ち、可能性達を『誘導』する臨がユキを受け止めた。
 軽い彼の身体を肩へと休めさせると、体中を巡るサイキックを膨れ上がらせ――。
「さあさあ、お客さん達、行列の位置はそこっすよ!」
 交わした両掌から爆ぜる閃光、同時に地を蹴り上げて臨はバックステップを踏み。
 大きな音を立てて流し込まれた電流に、可能性達はその動きをその場に繋ぎ止められる。
「――特等席でパレードをご覧あれっすー!」
「いっちゃえーっ!」
 ぴかぴかと光るドローンもきらびやかに。
 臨がパレードの解説をする道化のように笑って宣言すると、ユキがわーっと両手を上げて。
 七色の流星が、足を止めた可能性達へと纏めてその車体を叩き込んだ。
「今日のGlanzはいつもに増して格好良いっすね!」
 ユキは臨の肩より舞い降りると、くるりきらきら、吹雪を舞い散らせ。
 楽しくて幸せになれる場所に悲劇は似合わないから。
 せめて、楽しく綺麗に送ってあげよう。
 ――それでもそれでも形を得た事を。
 形を得たことで、脅威にならなければ良かったのに、なんて思いはしない。
 形を得た事は何よりの幸福で、それは絶対に否定の出来ない事だ。
 それでも、今この世界は今この世界にあるべき人達の物だから。
「さあて、あともう少しっすね! チュロスの為にみんな、お還り願うっす!」
 どうせ叶える可能性ならば、明るく楽しい方が良い。
 そう、チュロスを皆で食べるくらい、明るくて楽しい方が。
「おーっ!」
 にんまり笑った臨に、ユキも大きく頷いた。

 響く音は、心地よく腹の奥から響くビート。
 エイリアンツアーズのエレクトリック・パレードの目玉。虹色のGlanzの上に揺られたヨシュカは千本を狙いすまして、敵を串刺し。
「もう少しでしょうか?」
 骸の海に叩き返され、敵達の量は随分と減り。残党を丁寧に潰しながらヨシュカは、夜に生まれる虹色の軌跡を見やった。
「ああ、大分減ったみてえだな」
 ライフルを構えるニオクは、随分と減った敵に瞳を眇める。
 誰だって、誰だって、可能性を手にする権利はあるものだ。
 しかし、それが誰かを、何かを。
 害する『可能性』というのならば、ニオクはきっぱりと断言できよう。
 そんなモンはクソくらえだ、と。
 ……少なくともニオクは、そんな事を望んではいない。望みはしない。
 そのためにも、そんな下らない可能性はココで全て潰しておく必要がある、と。
「うっし、この調子で一匹残らず、駆逐していくぞ」
「ああ、任せろ。……失われた可能性なんざ、総て――奪い尽くしてやろう!」
 パウルが指先を跳ねさせると、更にBPMの上がるリズム。
 まだまだ、パレードは終わりはしない。
 光るドローン、跳ねるリズム、虹色に駈けるバイクに、舞う様に戦う社員たち。

 ――まだまだ、スピードを上げて!

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

キリ・ガルウィング
ラローシャ(f14029)と
可能性というものは
時にそれ自体が絶望になり得る
それが存在してしまうから、縋る
最初から何も無ければ諦められるのに

ラローシャが焦ってるのを眼だけで見る
ンなご大層なモン使うまでもねェだろ
ああ全く、何を
「何を見た」なんて訊く気もない
ただ『誰か』の『何か』が溢れている此処に
吐き気がする

見たくねェなら瞑ってろよ
ラローシャの眼を手で塞いでやって
代わりに伸ばす己の影
そこから突き出る無数の黒剣が可能性を十字架にかける
…俺は
残影が残穢になるのを、見たくはない
焼け爛れた母親の、友の、父代わりのそれは
疾うの昔に潰えた命
別れはあの時告げたから要らない

…ああ、そうかよ
感情篭めずに煙と吐く、声


チェイザレッザ・ラローシャ
キリ(f03828)と

とにかく早く片付けましょう
さっき見つけたなかで一番近くて誰も向かってないやつに向かうわ
何が来たって平気でしょ?
あたしがついてるから大丈夫!
じゃあ血統覚醒でもしてさくっと……だめ?

見つけてそこで、形を変える何かを見る
平気なことなんてなかった
あれは病気で痩せ細って、弱り続けてそのまま死んだ、母さんの

ああ!くそ!くそ!
私の前に!その顔で立つな!
その人を!穢すな!!

目を塞がれて、落ち着いて
戦っている音を聴いて

そうね、でも、目を背けられないわ
あんな可能性、拒んでやる
注ぐ眼差しに呪いを籠めて
キリの攻撃が当たるよう援護するわ
私の、目を、見なさい


……ありがと、キリ
いてくれて、よかった



 ――可能性というものは、時にそれ自体が絶望になり得る。
 可能性が存在して『しまった』からこそ、縋ってしまう。
 始めから、何も知らなければ。
 最初から、何も無ければ諦める事だってできるだろうに。

 揺れる可能性を前にチェイザレッザは、分厚い眼鏡の奥で瞳を眇めて。
「とにかく、ぱぱっとさっさと片付けちゃいましょうか! ――何が来たって平気でしょ?」
 あたしがついてるから大丈夫、なんて笑う彼女から滲む感情。
 キリは眉を跳ねて、その感情を追う様に彼女を見やり。
「じゃあ血統覚醒でもしてさくっと――」
「ンなご大層なモン使うまでもねェだろ」
 聞いた話では寿命を削ってまで、倒す強敵では無い。
 何かに急いた様子のチェイザレッザの言葉へ被せるように、キリは言葉を紡ぎ。
 ああ、全く、この女は一体何を焦っているのだろうか。
「……だめかぁ、じゃあ――」
 敵意に反応したのであろう、チェイザレッザの青い瞳と可能性の濁った視線が交わされた。
 その瞬間。
 チェイザレッザは吐き気に耐えるように首を両掌で抑え、吹き出た脂汗にその身を竦ませた。

 揺れる、揺れる。
 揺れる影。
 あれは、骨ばった掌。
 骨ばった腕。
 病にその身体を痩けさせて、病にその体力を奪われて。
 そして、そのまま、命を喪った。
 チェイザレッザの、母の、顔。

 ぞぞっと一瞬で粟立った肌。
 引きつった喉が、漏らすは破裂せんばかりの大声だ。
「――ああああああ! くそ! くそッ! 私の前に――その顔で立つな! その人を、穢すなッッッ!!!」
 眼鏡の奥で見開かれた瞳が、狂気に敵意に歪む。
 そ、とその瞳へと被されたのは大きな掌だ。

 キリは、彼女が何を見たなんて訊く気はさらさら無い。
 しかし、ただ。
 『誰か』の『何か』が溢れている此処には唾棄すべき感情を覚えるのだ。

「……見たくねェなら瞑ってろ」
 そして眇めた右目。
 左目が怪しく光を宿せば、影が黒の刃と化して爆ぜ伸びた。
 貫くは、棄てられた可能性。
 叶わなかった、可能性。
 十字架に架けられた可能性は一瞬でその身を砂と変えて、さらりと溶け消えて。
 キリとチェイザレッザを完全に敵と認識した、可能性達がこちらを一斉に振り返った。

「――そうね。でも、目を背けられないの」
「そうか」
 ゆっくりと彼の掌を除けると、チェイザレッザは可能性達を自ら睨めつけた。
 碧の奥に魔が揺れる。
 力を宿したその瞳は――、全てを呪い、魅了する力。
 あんな可能性、拒んでやる。
 あんな可能性、棄ててやる。
 キリより駆け奔る影の刃を確実なモノとするために、チェイザレッザは可能性達を睨め付ける。
「――私の、目を、見なさい!」

 彼女が無理をしている、とキリは脳の何処かで思いはするが止めはしない。
 それが彼女の望みならば。
 ――キリは、残影が残穢になるのを、見たくはない。
 焼け爛れた母親の、友の、父代わりのそれは、疾うの昔に潰えた命だ。
 しかし、――別れはあの時告げた。
 だからもう、必要は無い事だ。

 冷ややかな冴えた瞳で敵へと動けめく影を刃と重ねるキリ。
「……ありがと、キリ」
 ぽつり、とチェイザレッザは呟く。
 いてくれて、よかった、と。
 煙管より揺れる煙、肺いっぱいにそれを呑んだキリは肩も眉も跳ねる事無く。
「……ああ、そうかよ」
 感情を篭めず、ただ煙と声を吐き出した。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

都槻・綾
f11024/かよさん

研ぎ澄ます第六感は
昏々たる闇を見つける為
そして
捨て身で駆けがちな彼女を
いち早く護る為

ほら
危難を省みないのだから
困ったひとですねぇ

躊躇いなく飛び込む姿へと淡く笑いつつ
死角を補うように背を合わせる
触れ合う温度は、いのちの証

出逢いは
私達が掴み取った路ですよ
だから、

――進む先を、閉ざさせはしません

艶やかに舞う花嵐の中を
迷わず惑わず真っ直ぐに
敵を喰らいに駆け抜ける鳥の羽搏きは
高速詠唱で紡いだ鳥葬の術
揺らぐいとまさえ与えず、二回攻撃を畳み掛ける

拓けた視界は星瞬く宵の遊園地
お疲れ様です、と声を掛けるより先
再び感じた体温も
柔い身の重さも
ささめく笑い声も
温かかったから
釣られて笑みが咲き綻ぶ


境・花世
綾(f01786)と

行こう、と声にする前に
同じ速度で駆け出す足音
わたしの眸で、きみの勘で、
敵の色濃く揺蕩う中心を探り当て
迷いもせずに踏み入りながら

背を合わせれば衣越しにきみの体温
ねえ綾、違う世界に生まれたわたしたち
どうして出逢ったんだろうね

きっと運命じゃない、ただの結果に過ぎない
けれどこの掌に掴んだちっぽけな可能性が
きみに繋がったというのなら

――それ以外は全部、裁断する!

鋭く翻す扇から散る花びらは、
残酷なほど容易く敵を切裂いていく
幻影も憎悪も何も移りはしない
斃すだけ、あの海へ還すだけ

薄れゆくのを見ながら軽く背を預ければ
きみはやっぱりあったかいから
小さな笑い声を、闇の底にほろりと零す



 夜よりも深い闇。
 昏々たる可能性を、視線の先に認めれば。
 花世が行こうと声にする前に、同じ速度で駆け出す足音。
 それは常より、捨て身で駆けゆく彼女を、いち早く護るが為。

 ほら、いつものように。
 武器を蕩けさせて薄紅の花弁と化して、彼女はもう飛び込んでいる。
「――本当に危難を省みないのだから、困ったひとですねぇ」
 状況にそぐわぬ、ふくとした笑みを淡く浮かべ。
 綾は花世の死角を補う形で背を合わせる。

 敵意に二人を睨め付ける可能性達は、一斉に鎌首を擡げ。
 背に感じる、衣越しの体温に花世は、彼と同じく状況にそぐわぬ笑みを浮かべた。
「ねえ綾、――違う世界に生まれたわたしたちって、どうして出逢ったんだろうね」
 嵐のように巻き上がる風は花弁を秘めて。
 睨め付ける棄てられた可能性達の首を跳ね、木の属性纏う鳥が駆ければ、硬い翼が敵を打つ。
「出逢いは私達が掴み取った路ですよ」
 不思議なことなど一つも無いかのように、言葉を紡ぐ綾は更に鳥を侍らせて。
 棄てられた可能性は、運命に成りえぬただの『可能性』であった。
 紡いだ路は、選んだ路は。
 自らで掴んだちっぽけな可能性は。
 全て手繰り寄せて、つなげて、握って。

 きみへとつながる、ちっぽけな可能性を繋いで。
 掴み取った路となれば、それは最早、自ら達の選んだ、運命ともなろう。

 だからこそ。
「――それ以外は全部、裁断する!」
「――進む先を、閉ざさせはしません!」
 花世が鋭く扇を翻せば、艶やかに舞う花弁の嵐。
 風を縫って火の鳥がおおきく風を切って真っ直ぐに可能性達を啄み打つ。
 それは鳥による弔い。
 鳥達による、失われた可能性を送る葬儀だ。
 土の鳥が鋭い嘴で可能性を貫き。

 失われた可能性達は決して強くはない。
 たやすく切り裂かれてゆく、在り得た可能性。

 ――そこには、幻影も憎悪も何も移りはしない。
 ただ斃すだけ、ただあの海へ還すだけ。

 可能性の群れが砂のごとく溶け消えれれば、綾は眉を下げて。
 口を開こうとした瞬間に、背に感じた温かい体温。
 綾の背へと、花世が預けるその背。
「きみはやっぱり、あったかいから」
 都会の中で、うっすら瞬く星を見上げて。
 小さな笑い声を花世は漏らす。
 その背があまりに暖かくて、柔らかくて。
 くつ、と喉を鳴らして綾は釣られるように笑みを綻ばせてしまう。

 ああ、本当だ。
 こんなに、選ばれた可能性は、あたたかい。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

冴島・類
※黒羽君(f10471)と

見つけた繋がる明日を、待つもの
可能性、か…
舌に乗せれば
胸を掻き毟られそうな言葉に、口を噤み

黒羽君の途切れた問いに
今日様子が少しおかしかったのは
それかと感じ取る

もしも、あの時と
心に根付いた誰か
若しくは何か

つい、と隣へ
力をお抜き、と背をたたき
腰の刀を抜き

あるよ、何度も
変えられるなら
己も要らぬとさえ

言葉と裏腹に、笑い
刀に降ろす破魔の力

失われた者の明日願う本能
それを断つことは痛い

氷の花向ける彼が無防備になる間
舞で軽減し、側で庇い
幻と頭を侵食する波は
こちらで受けれるよう、守る

でも
それが、今生きる子や
側の君を傷つける者に成るなら
痛くとも、断つよ

だから
迷いと不安があろうと
大丈夫だと


華折・黒羽
類(f13398)さんと

類さん…これ…

浮かぶ『何か』と怪異が起こす現象目の当たりにし
頭の中で理解すれば纏う屠の影を剣と成して

可能性
自身も何度巡らせた事だろう
目を背けたくなる程の過去を思い出しては
もしもあの時
と何度思ったか知れない
今でも

類さんは、“もしも”って考えた事…

言いかけて首を振る
今は目の前の敵に集中しよう
背を叩かれれば「…はい」と返し
ひとつ、深呼吸

─花雨は、白姫

対象と指定したのは『可能性』
この手で其れを潰えさせる事につきりと胸が鳴いた
せめて白姫の涙によって浄化されるようにと

屠が手元にない内は
四肢もって対峙
背には類さんがついていてくれる

けれど俺も
痛みを思い大丈夫と笑うこの人を守れるようにと



「類さん……、これ……」
 浮かぶ何かを取り込んだ怪異が、虚ろな瞳に光を宿して黒羽を睨め付け。
 その視線に宿る敵意に、纏った屠の影を黒い黒い剣と成す。
「――これが、」
 見つけた繋がる明日を待つもの。
 これが、可能性だというのならば。
 舌に乗せてしまえば、胸を掻き毟られそうな言葉に下唇を噛み締めて、言葉を噤む類。
 同じく喉を鳴らして、得てしまった棄てられた可能性。
 『在り得なかった可能性』と黒羽は対峙する。

  ――可能性。
 その光とも言える闇に、自身も身体を何度焦がし、何度巡らせた事だろうか。
 目を背けたくなる程の過去を思い出しては、もしもあの時と何度思った事だろうか。
 それは、今でも。
 ずっと、ずっと。

 漆黒の毛並みを揺らして、大きな羽根翼をきゅっと畳んだ黒羽は刃を構えながら。
「……類さんは、『もしも』って考えた事……」
 黒羽はふるると黄の髪紐を揺らし、首を振った。
 いいや、今はそのようなことを問うている場合ではない。
 目の前の敵に集中すべき時であろう。
 黒羽が紡いでしまった言葉は帰る事は無いが、せめて次ぐ言葉は噛み殺して。

 紡がれなかった言葉に、類は片眉を跳ねて。
 彼の今日の様子の違和感への解と成した。

 彼は未だに囚われているのであろう。
 もしも、あの時と。
 心根に結びつく誰かに、若しくは何かに。

「……力をお抜きよ」
 とん、と黒羽の肩を叩いた類。
 その言葉で、彼の心根全てが開放されるとは思っていない。
 それでも掛けねば成らぬ言葉はあるのだ。
「……はい」
 刃を構えて、敵を睨めつけたまま黒羽は頷いた。
 短剣を引き絞るように構えた類が、その唇に笑みを宿した。
 それは酷く場違いにも見えるが、とても優しい笑みで。
「もしも、か。――あるよ、何度も」
 しゃらと舞う足取り。
「変えられるなら己も要らないと思う位、何度でも」
 彼の言葉は、笑みにはそぐわないのであろう。
 しかし、類は笑った。

 失われた者の明日は来ない。
 しかし、それでもそれを願ってしまうことは最早、本能なのであろう。
 本能を断つ事は、身を斬られる程痛い事だ。
 だから、だから。
 もしも、を願ってしまう。
「迷う事も、不安も、僕にもあるよ。でも、――黒羽には護るべきものがあるよね?」
 だから、大丈夫だと。
 類は笑った。

「行こう、歪な願いを断ち切る為に」
「――、はい!」
 もしも、が今を生きる者や、横で頷いた彼を傷つけるのならば。
 どれほど痛くとも、断たねば成らぬ。

「―─花雨は、白姫」
 冴えた色の花弁を散らし、黒剣が氷の花弁と化す。
 せっかく得た可能性を潰す事は、つきりと胸が痛みはすれど。
 ――せめて、この白姫の涙で浄化されるようにと、黒羽は祈る。
 襲いかかる『可能性』を得たゾンビを、逆袈裟に掛けさせた類の短剣が衝撃波を持って床へと転がし。
 吹き荒れる氷の花弁は、ほたりほたりと涙を流す姫のように敵を包む。

 大丈夫、大丈夫。
 黒羽は大丈夫だ。
 その背を、類が護ってくれるから。

 けれどいつかは。
 痛みを思い大丈夫と笑うこの人を、守れるようにと。
 黒羽は願ってしまうのだ。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

遙々・ハルカ
よしのりサン(f05760)と

はァ~気付けばめっちゃいんじゃんビビった
アッハ、よしのりサンもっと遊びたかったんだ?
まー気が向いたときまた来りゃいーんじゃね
適当なことを言いながら天使ちゃんを喚び出し

自分は欠伸をしながら殆ど飼霊任せ
泥になって落ちるモノ達を眺め
…ンなのオレらが関知することじゃねェ~でしょ
死んでんだぜ、幽霊て
大人しく死んでろっつー
まァお祓いくらいはするよ、天使ちゃんがね
ぴーすさいん

お、舐めプ怒られたの?
オレは嫌で~す
押し付けにノーと言える猟兵のポーズ
なんか触りたくねーよアレ
目を細め向こう側を見る
事故死した母の幻
ただ笑い、指先を向ける
可能性が泥になるように
常の調子でバイバイと手を振って


鹿忍・由紀
ハルカ(f14669)と

ふーん、アレが原因か
さっさと片付ければもうちょっと遊べるかと思ったけど
あの数だと厳しそうだね、残念
気怠げに話しながらUDCと適当な距離を取る

影から複数のダガーを錬成
撃ち抜くよう放って作業的に片付ける
他人の可能性を奪うことになるなら
幽霊達から怨まれちゃうかな?
またお祓いを頼まなくちゃいけなくなるかもね
そう言えど感傷は微塵もない

すり抜けて反撃してきた敵から負う擦り傷
あー、ちょっとナメ過ぎてたか
意外とガッツあるんだね
血を得て成長する敵の様子を眺めながら
ハルカ、アレと遊んでみる?
しれっと面倒事を押し付けようとして失敗
触りたくないってのは同感
気に留めず自分の標的へ影の雨を降らせて



「ふーん、アレが原因か」
「はァ~、気付けばめっちゃいんじゃ~ん。ビビるわぁー」
 揺らぐ可能性達を前に、由紀とハルカは並んで肩を竦める。
 人混みの中に、広場に。
 行き交う人々は違和感を覚えてはいないようだが、大量の可能性達が紛れ込んでいる。
「……さっさと片付ければ、もうちょっと遊べるかと思ったけど。あの数だと厳しそうだね、残念」
 常の表情を崩すこと無く空色の瞳に睫毛の影を落とした由紀を、ハルカは斜め下から見上げるように。
「アッハ、えー。なになにぃ? よしのりサンもっと遊びたかったんだァ?」
 楽しかったもんねぇ、なんて軽薄な笑みを張り付かせたまま笑うハルカ。
 敵達よりすこうし距離を置きながら、腕を前へと付き出すと由紀へと視線だけを向けた。
「まー気が向いたときまた来りゃいーんじゃね? いつだって来れるっしょ~」
 腕へとぐるりと渦巻いた歪な白い影。
 呼び出された『天使ちゃん』は、汚れたその身を包む帯を保つように、汚泥に溶ける翼をはためかせて。
 ハルカの後ろで可能性達を瞳無き表情で見下ろした。
「そうだね、また来ようか」
 言葉だけ聞けば、本当にそう思っているようには一つも思えぬ由紀の相槌。
 闇夜に溶ける影に生えたダガーの柄を、影より引き抜き頷いた。

 その身に力が無いからこそ、敵意には敏感なのであろう。
 由紀が投げつけた影の刃が、一体の可能性を貫いた瞬間に可能性達は一斉に二人へと襲いかかる。

 引き抜く、投げる。
 貫く、倒す。
 由紀より雨のように叩き込まれる影の刃の中。
 一度小さく身を屈めた天使が、その汚れた帯と翼で可能性を捉え、喰らう。
 どろり、と汚泥と化してこぼれ落ちる『選ばれなかった可能性』たち。

 一度大きく伸び。
 ぱき、ぱきと背が音を立てた。
 首を左右にふって、ぐっと固くなった筋肉をほぐすように。
 欠伸をくわわと洩らしたハルカは、大きく開いた口を隠すことも無く、欠伸に溢れた雫を人差し指で拭う。
「がーんばれ~」
「……でも、他人の可能性を奪うことになるなら、俺達幽霊達から怨まれちゃうかな」
 距離を取った敵達は、こちらが手を休めぬ限りは辿り着く事も無く。
 由紀が感情伴わぬ軽口を口にすれば、ハルカが腕の筋をぐぐっと伸ばしながら、もう一度欠伸をした。
「……ふぁー……、ンーなのオレらが関知することじゃねェ~でしょ」
 欠伸の合間に紡ぐ言葉は、普段以上に間延びしたもの。
「大体さァ、死んでんだぜ、幽霊て。大人しく死んでろっつー」
「死んだ後に何かをされるなら、またお祓いを頼まなくちゃいけなくなるかもね」
 空の色をした瞳で、更に軽口重ねる由紀に感傷の色なんて、微塵もないけれど。
 ひゃは、と笑ったハルカがそっかそっかと、ピースをキメた。
「まァ~、そーなったらお祓いくらいはするよ、天使ちゃんがね」
 汚泥を撒き散らし、汚泥に濡れる天使は、前線で可能性を喰らうばかり。
 由紀が、影へと刃を放つその手を止めて肩を竦めた。
「そっか」
 そこへ、少しだけ手薄になった弾幕の合間を縫ってすり抜けてきた『可能性』。
 瞳を眇めて、影の刃を逆手に駈けるが由紀の腕へと喰らいつき――
「あー、ちょっとナメ過ぎてたか。……意外とガッツあるんだね」
「お、舐めプ怒られたの? いっけないんだァー」
 肉を、血を喰らえばその身を捻れさせて成長する可能性。
 その様子は酷く歪で、棄てられた筈のものを無理に生かす居心地の悪さがぞわぞわと肌を粟立たせる。
「ねえハルカ。アレと遊んでみる?
「オレは嫌で~す」
 しれっと膨れ上がった敵をハルカへと押し付けようと由紀。
 しかしハルカはノーと言える猟兵。
 腕でバッテンを創って拒否。
「なんか触りたくねーもん、コレ」
「確かに、触りたくないっていうのは同感だな」
 押し付けに失敗した敵へと、バックステップで距離を取った由紀は次は油断なく。
 切り返すように踏み込んで、引き抜いた影の刃でその素っ首を弾き飛ばす。
 歪な鳥の仔のような首が地へと転がり、骸の海へと溶け消えて。
 細めた瞳、ハルカはその向こう側を見た。
 触りたくねェんだよなぁ。

 その視線の先に揺らぐのは、母の幻影。
 過去に、事故で喪ったハルカの母親。

 いつもの笑みでハルカはただ笑い、天使ちゃんにお願いを一つ。
 指先を向ける。
 その可能性が、泥と溶け消えるように。
 ――常のように、ゆるくゆるく。
 バイバイ、と手を振って。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

花剣・耀子
室長(f14366)と

注文が多いわ。
時間を掛けて良い相手でもないでしょう。
「極力」ね、はい。

つまり、状況に拠っては躊躇しなくて良いということね。
室長が一緒だと予算がなんとかなるからやり易いわ。
あたしよりも室長が泣き落とした方が早いじゃない。

一般人が紛れていないのは幸いね。
敵の殲滅、室長の命、優先すべきはそれくらい。
なるべく喰われないよう、先に斬り果たしましょう。

視界内の“可能性”に白刃を向けて、半数は室長に任せながら進むわ。
ただ在るだけの可能性なんて、意味が無い。
掴んだものが未来なのよ。
動かないおまえたちは、ここで散りなさい。

……、随分と前向きになったこと。
それじゃあ、お土産は経費でお願いね。


蜂月・玻璃也
耀子(f12822)と

《クサナギ》の解放を許可する
今日一番のはしゃぎっぷりを見せてやれ!
…あーでも、試作機は「極力」使うな?!

おい、その認識はおかしい!
俺がいたって「ない」予算は「ない」んだぞ!?

俺自信もガジェットガンを抜いて、目につく限りの「可能性」を連射で潰していく
耀子の機動性に対して、射程でなんとか食らいつく!

可能性、か……そりゃ多いわけだよな
もしあのとき、もし誰かが、もしそうじゃなかったら……
ちょっと前の俺だって、「もし」を思わない日はなかったくらいだ

だけど、もう違うから
今怖いのは、「もしお土産を買って帰らなかったら」の未来だな!

経費で落ちるわけないだろ
また俺のポケットマネーだよ畜生!



 前向きな感情に、怪異と可能性は擦り寄り、這い寄る。
 土蜘蛛の二人の前へと現れた多数の可能性達は、いびつな鳥の雛のような体をゆらゆらと揺らしている。
 その姿はどこか、玉子から孵る事も無く、煮殺された雛のようにも見えて。
 ――否、選ばれなかった可能性というのはそういう物なのかもしれない。

「《クサナギ》の解放を許可する」
 フェネックの耳を揺らす玻璃也が、腕をまっすぐに差し出して凛と宣言する。
「今日一番のはしゃぎっぷりを見せてやれ、耀子! ……あーでも、試作機は『極力』使うなよ!?」
 自らも黒と金で彩られたシューターガジェットを抜きながら、注釈をいくつも重ね。深い海の色をした瞳に、冴えた色を揺らめかせて耀子は肩をそばだてた。
「注文が多いわ。『極力』気を付けはするけれど……――時間を掛けて良い相手でもないでしょう?」
 彼女の言葉に潜む意味は、『極力』――つまり、状況に拠っては躊躇しなくて良いという事だと理解したという事であった。
 タイムリミットのある敵。
 怪異が自らの、棄てられた可能性を掴んでしまえば一般人を襲うかもしれないという状況。
 ――そう、『状況』によっては。
「室長が一緒だと予算がなんとかなるからやり易いわね」
 刃に血管のように筋の浮いたチェーンソーを片手に、補助機構を探る
耀子。どれにしようかな。
「ちょっ、おい!? その認識はおかしいだろ! 俺がいたって『ない』予算は『ない』んだぞ!?」
「それを生むのが室長の手腕でしょう? それに、あたしが申請するより室長が泣き落とした方が早いじゃない」
 言うが早いか。機械剣を作動させた耀子は小さな振動を宥め賺すように逆の掌を添えて、可能性達へと跳躍した。
「……っ、話は終わってないぞ!」
 一瞬で可能性の群れの只中にその身を晒した耀子は、その首を撫斬りに機械刃を叩き込み。
 その背を視線で追った玻璃也も、一瞬遅れてガジェットガンの引き金を引いた。
 とにかく数が多い、正確に当てるよりも、とにかく連射を。
 身軽に跳ね避ける耀子へと、くちばしを大きく開けて飛び込んでゆく可能性へと弾を叩き込み。
 スウェーで弾と可能性を避けきった耀子は、一斉に飛びかかってくる可能性に対してその身をギリギリまで晒して、引き付け。敵が一塊となった瞬間に半歩引いて攻撃を交わし、勢い余って地へと飛び込む可能性達を円を描くように真っ二つに裂く。

 ああ、この中に一般人が紛れていなかった事は幸いだ。
 きっと勢い余って殴り倒してしまっていた事だろう。
 ――敵の殲滅、室長の命。
 優先すべき事はその程度だ。
 最前線を駆ける彼女の血肉を喰らい、膨れ上がる可能性に刃を叩き落とし、巻かれた包帯の上に鮮血が滲むのを感じる。
「――ただ在るだけの可能性なんて、意味が無いわ。掴んだものが未来なのよ」
「そりゃ、可能性なんて星の数ほど在るだろうさ」
 の独り言めいた呟きに、玻璃也は引き金を引き絞りながら瞳を細める。
 これは、攻撃を受けているのであろう。
 だって、『在るわけない可能性』が見えているのだから。
 ぷかぷかと揺れるシャボン玉。
 あれは、――お姉ちゃんの姿だ。
 頭痛がする、吐き気がする、怖気がする。瞳を眇める。
 もし、あのとき。
 もし、誰かが。
 もし、そうでなければ。
 その可能性は『掴めて』いたのであろうか。
 がむしゃらに叩き込んだ弾が、玻璃也へと攻撃を仕掛けていた可能性を潰したのであろう。
 ぱちんとシャボン玉が弾けるようにその姿は掻き消え――。

 もう、今は違う。
 少し前の『もし』を思い続けていた玻璃也とは、変わったのだ。
 
「動かないおまえたちは、ここで散りなさい」
「――今、俺が一番怖い可能性は、『もしお土産を買って帰らなかったら』の未来くらいの、もんだッ!」

 白刃が可能性を切り裂き、毒を宿した弾が爆ぜ――。
 その場に存在するのは、土蜘蛛の二人だけ。
「……、随分と前向きになったこと。――それじゃあ、お土産は経費でお願いね」
 土蜘蛛には、意外とお土産を待つ者も多いのだ。
 夜色の髪をかきあげて口端を擡げた耀子に、玻璃也は左右に首を振って応える。
「……バカ、経費で落ちるわけないだろ」
 あとはもう、もちろん室長のポケットマネーでお土産を買うだけだ。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

コノハ・ライゼ
【空】

あら、今までのドレよりもお化けっぽいわネ、ナンて焚きつけつつ
暴走させとくのもナンだし一緒に攻撃するわねぇ

【黒電】で影狐達を呼び出して敵へ嗾けるヨ
さあ、この場に在る全ての可能性を喰らい尽しておいで
一撃で倒せぬなら『2回攻撃』でもう一度送り出そう

敵の動きを予測し『見切り』、攻撃は『オーラ防御』で凌いで
血肉の一片たりとも与えるものですか

惑わされる子がいるなら名を呼び、攻撃からは『かばう』ヨ
ほら帰っておいで、夜はまだこれから

ふふふ、足があったり攻撃の通じるお化けだっているかもねぇ
なんせ世界は広いンだもの
楽しかったケド、オバケで遊ぶのはそろそろオシマイにしましょ
ビデオ鑑賞も待ってるし!

(5名予定)


絢辻・幽子
【空】
鳥……あ、あれね、タツノオトシゴにそっくり
どこのオバケかしらねぇ、どちらにせよ悪い子は倒さなきゃね。

『ロープワーク』『地形の利用』で繭絲を張り巡らせて
仲間の範囲攻撃で取りこぼしたものは
まとめて縛ってフォックスファイアで燃やせばいいのよ、えぇそうよ。
……あぁ、あなたたちは実体があるのねぇ、残念
本物じゃないのなら興味はないわぁ。
逃げる子には壱の子のハグをあげましょうね、逃げちゃだめよ。

んー、残念だけど私はあなたたちみたいな子には
悼みとかは持たないのよねぇ
もうちょっと私基準で可愛らしい子なら考えるけど

え。あらやだ
せめて、幽ちゃん綺麗に映ってるか確認してから燃やして
なぁんて。


火狸・さつま
【空】
ね、あし、ない!
足が、ない!よ!!
浮いてる…!!
もう、あれ、オバケさん!だよ、ね!?
ひゃー!

『早業・先制攻撃』!
『破魔』の聖『属性攻撃』!
たぁん!と勢いよく足踏み鳴らし【燐火】の『全力魔法・範囲攻撃』
続けて『2回攻撃』<雷火>の雷撃も『範囲攻撃』でガンガン落とす

…?
あ、あれ?
今回、も、攻撃、通る…?
攻撃通じるなら、オバケさんじゃ、ない、ね…?
なぁんだー!安心!!!!!!!
一気に御機嫌
UDCなら怖くないね、と
意気揚々、<彩霞>に炎纏わせ『属性攻撃』

見切りでするりと躱し
オーラ防御で防ぎ
激痛耐性で凌ぐ


そだ、あのビデオ燃やさなきゃ…
きっと変なの映ってる!
見たら、呪われる、かも!

手強い…(仲間が)


神埜・常盤
【空】

此れは此れは、餓鬼のような鳥のような
……ウン、お化けだねェ
さつま君はやる気満々のようだ、手伝うとも

お前達が悪いモノなら退治しなければねェ
管狐を召喚して破魔の炎で範囲攻撃
さァ九堕よ、此の地に集う不浄を祓え

九堕が頑張ってくれている間、僕は仲間のサポートを
破魔の護符を広範囲に投擲し、マヒ攻撃で敵の足止め
これで仲間が少しでも攻撃し易くなれば良いなァ

僕は彼等を悼みもしなければ、哀れにも思わない
怪異に向ける情など何処かに忘れたようだ
もし幻影相手に戦い難そうな子がいれば
其の隙を縫うように立ち回り
暗殺技能活かして接近、影縫で本体を串刺しに

オヤ、燃やしてしまうのかね
良い思い出になると思ったんだけどなァ


揺歌語・なびき
【空】
ひ、足がな…タツノオトシゴ!?
海の底にでも連れてかれる!?
びくつきながら手鞠を敵陣にばら撒き

いやあれ、やっぱタツノオトシゴだよね
ていうか皆の攻撃当たって…UDCじゃん(ハッ

なら、怖がる必要はないよねぇ(ぶるり、余裕とり戻し
瘴気を吸わぬよう自身の勘で躱し

味方の危機には手鞠に仕込んだ鋼糸で絡めとり敵を盾に

【第六感、野生の勘、見切り、敵を盾にする】

複製の寿命を減らしてでも、自分の殺傷力をあげたいか
ま、こっちは距離をとるから無意味なんだけどねぇ

はい、じゃあ一気にトばしてやるよ
にっこり笑んでタイミング合わせ手鞠を爆破

【罠使い、目立たない、鎧無視攻撃、串刺し】

うん、ビデオは燃やそう、賛成(真顔



 彩らるネオンが、夜闇をぴかぴかと照らす中。
 自らを抱きしめるように、赤黒い歪な可能性が空中に浮かんでいた。
「ね、あし、ない! 足が、ない! よ!!」
「ひっ……えっ、ホントだ……、足が、足がな……!?」
 狸の耳の後ろの本物の狸の――否。狐の耳をぴーんと立てて、さつまはふるふる首を振り。
 つられたようになびきも狼の耳が警戒にピンと立ててぴぴぴと揺らして、恐怖に肌を粟立たせる。
「ねえこれ、ねえ!? 浮いてる…!! 浮いてるよ!? もう、あれ、オバケさん! だよ、ね!?」
「此れは此れは、餓鬼のような鳥のような……ウン、お化けだねェ」
 人の悪い笑みを貼り付けた常盤が、さつまの言葉に同意を示せば。
「あらー、そうネー。たしかに今までのドレよりもお化けっぽいわネ」
 無闇に優しい瞳のコノハも悪戯げに唇を歪めて、うんうんと同意に頷いた。
「鳥……? あ、あれの事? ……タツノオトシゴにそっくりねぇ」
 可能性を探してきょときょとと首を降った幽子が、気づきに瞳を瞬かせると、びくーんと跳ねるなびき。
 今の彼は、何を言われても超反応できる素晴らしい玩――、反応速度を持ち合わせている。
「えっ、何コレ何これ!? タツノオトシゴ!? 海の底にでも連れて行くつもり!?」
 やや涙目になりつつ、殺られる前に殺るの精神でいくつもの手鞠を叩き込み始めたなびきに合わせて、ビャーッってなったさつまも、ビャーーッと必要以上に跳ねて、驚いた猫のように後退をした。
「や、やだーーーー!!! やっぱり、オバケさん、なの!?」
 バックステップで着地した瞬間に、破魔の加護を宿す狐を模した狐火を一気に叩き込み――。爆ぜる雷撃。
「どこのオバケかしらねぇー……、海か空か。どこのオバケかは解らないけれど、どちらにせよ悪い子は倒さなきゃね」
「そうだねェ、悪いモノなら退治しなければ」
 ビビリーズの先制攻撃に、猟兵達を敵とみなした可能性達がその鎌首を擡げれば、幽子と常盤が同時にその攻撃をバックステップで蹴り飛び躱し。
 常盤が掲げるは、竹筒。
 幽子が引き絞るは、赤い赤い繭絲。
「さァ、九堕よ。脱す―此の地に集う不浄を祓い給え!」
「ふふふー、まとめて縛っちゃえば、動きづらくもなるでしょうー?」
 幽子の鋼糸が張り巡らされ、火の加護を纏った管狐が駆け跳ねる。
 燃える、散る、火花を散らして可能性が燃えて征く。
「アラー、みーんな頑張っちゃってるわネー」
 口元を覆って上品に笑ったコノハは、大口を開いてかっ飛んできた可能性を、ひょいと身を屈めるだけで避け。
「少しアタシも頑張っちゃおうかしら。――お出で。この場に在る全ての可能性を喰らい尽しておいで!」
 重ねてコノハが呼び出したのは、影の狐達だ
 黒い稲妻を纏って駆ける小さな影の狐が、戦場と化したパーク内を駆け抜ける。

 炎に管狐、影に、かわいいきつね達がどんどん出てくる。
 高らかに啼いたかわいいきつね達は見た目に反して鋭く戦場を駆け走り、主達の命のままに可能性達を燃やし、焦がし、爆ぜさせる。

「……やっぱあれ、タツノオトシゴだよね」
 そこまで言葉を紡いで、はた、と気がついたなびきが顔を跳ね上げ。
 あれ、あれあれ、もしかして。
 コレって。
「っていうか皆の攻撃当たって……? えっ、UDCじゃん!」
 天啓を得た。
 一度ぶるると顔を揺すって、植え込みの縁を蹴り上げると可能性の攻撃をなびきは飛び避けた。
「おや、気づいてしまったかい?」
 破魔の護符に加護を宿す常盤の呟き。
「……? あ、あれ?」
 さつまも瞬きを重ねて、ぴぴぴと耳を揺らした。
「ほんと、だ。……今回、も、攻撃、通る……?」
「そうだよー、攻撃が通るよー」
 なびきのゆるーい相槌、さつまは蛮刀を逆手に握り、敵をまっすぐに見やる。
 そう!
「攻撃が通じるなら、オバケさんじゃ、ない、ね……? なぁんだー!!!! 安心!!!!!!!」
「そうだよ!!!!!!!!!!!!! UDC!!!!!!!!!!!!」
 ビビリーズは一気にテンションを上げる。
 殴り倒せるUDCならば、ビビる必要は一つも無いのだ。
 蛮刀に炎を宿したさつまが、逆袈裟に刃を翳し。
「――そうと決まれば、一気にトばしてやるよ」
 へにゃ、と笑んだなびきが投げつけた手鞠が、可能性を巻き込んで大きく破裂した。
「……あぁ、ガッカリだわ。あなたたちは実体があるのねぇ、……本当に残念」
 幽子が困ったように下がった眉を寄せて、ほうと息を吐いた。
 なあんだ、なんだ。
 本物じゃないのなら、興味はない。
 素体のままの球体関節人形。
 幽子は、なにもない虚ろな眼孔に、虚だけを宿した人形の絲をきゅっと引き絞る。
「残念だけれど、逃げるなら壱の子がハグをあげましょう、逃げちゃだめよー」
 しかし、逃げずとも逃すつもりはないのだけれど。
 かくんと可能性を掴んだ壱の子の胸の中で、狐火が煌々と燃え上がる。
「エー? でも、足があったり攻撃の通じるお化けだっているかもしれないヨ。 ――なんせ世界は広いンだもの」
「なんで、そういう、こというの!?!!?」
「こいつはUDCでしょ!?!?!!?」
 ふふふ、と不敵に笑ったコノハに、ビビリーズは同時に叫びツッコミを入れる。
 彼らを悼む者はこの場にはいない。
 哀れに思う者もいない。
 怪異に向ける情なんて、とっくに失ってしまったのだ。

「楽しかったケド、オバケで遊ぶのはそろそろオシマイにしましょ?」
 コノハの言葉に、影の狐が一気に可能性達へと食らいつく。
 燃える、爆ぜる、棄てられた可能性は、もう一度躯の海に棄ててしまおう。
 選ばれた可能性を掴むだけで、人生なんて精一杯なのだから。
 あとにはなあんにも残らない。
 選ばれなかった可能性は、そこになあんにも残さない。

 その場の可能性を全て潰した猟兵達。
 コノハが振り向くと再び悪戯げな笑みを唇に乗せて。
「さってと、おつかれサマ~。ふふふ、この後はお楽しみのビデオ鑑賞の時間だネ」
 瞳を見開いたさつまが、必死にわたわた手を上げて、下げて。
 落ち着かない様子で大きな尾をばたばた揺らす。
「あ! そだ……、あのビデオ燃やさなきゃ! きっと変なの映ってる! ――見たら、呪われる、かも!」
「うんうん、ビデオは燃やそう。賛成」
 必死の主張を行う彼の横で、真顔で賛成を重ねたのはなびきだ。
 あんなもの見たら目が潰れるに違いない。
 あとめちゃくちゃ呪われるだろうし。
「オヤ、燃やしてしまうのかね? ……良い思い出になると思ったんだけどなァ」
 常磐が心底残念そうな口ぶりで言えば、ビビリーズは少しだけ口ごもる。
 当然彼の表情も口ぶりも作ったものではあるが、思い出なんて言われてしまうと少しだけ心も痛くなるものだ。
「え。あらやだ、呪いにも興味はあるけれど……、せめて、幽ちゃんが綺麗に映ってるか確認してから燃やして欲しいわぁ」
 なぁんて、と笑った幽子にさつまはふるると顔を揺すった。
 えー……。
 それって結局見てない?
「……手強い……」
 ムムムとつぶやくさつま。
 なによりも、仲間たちが。

 パーク内の、そこかしこに感じていた違和感がどんどん薄れてゆく。
 猟兵達の活躍により、パークのUDCが倒されているのであろう。
 そこに――。
 城を背景に、大きな花火が空に弾けた。
 空に咲く大輪の華。
 それは閉園時間前、本日最後のショーだ。
 重ねていくつもの火の雨が空に舞い――。

 花火が終える頃には、この場所はいつもどおりの『夢の国』へと戻っているのであろう。
 悪い魔法が解けて、夢の魔法が掛かるようにと。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年08月02日


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#UDCアース
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#呪詛型UDC


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種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
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 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

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※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

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※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


挿絵イラスト