【日々徒然:9】神無月、紅葉に鹿
境・花世 2019年10月6日
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釣瓶落としの夕日を雁渡が転がして、
世界はたちまちのうちに昏くなる。
しんと凪いだ薄闇のどこかから、
呦呦と聞こえた声は鹿だったろうか。
さみしいと鳴いたのは、あるいは、
――己だったのかもしれないと。
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短文雑談。RP推奨。
前後の流れは気にせずどうぞ。
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境・花世 2019年10月6日
(日が沈めば風は頬につめたく、誰言うともなく縁側の戸は閉められた。柱のそこここに飾られた紅葉の枝ばかりが秋の風情を告げている)
境・花世 2019年10月6日
――そんなわけで、今夜はみんなで百物語をします。
雛月・朔 2019年10月6日
えらく唐突ですね…、ろうそくも準備しますか?(普段の明るい調子とは打って変わって真面目な雰囲気の花世さんから発せられた催し事の内容を意外に感じた)
オルハ・オランシュ 2019年10月6日
えっ、何?百物語……?ろうそくを用意しないと話せない物語なの?(普段とはどこか異なる雰囲気。楽しい話ではないのだろうけれど、初めて聞く言葉だ。とても想像がつきそうにない)
リル・ルリ 2019年10月6日
ひゃく、ものがたり?というのはどんなもの?朔がろうそく、といっているから、火を使うものがたり?(こてり、小首を傾げ)
ベスティア・クローヴェル 2019年10月8日
百物語…。屋敷の本で読んだことがあるな。確か、蝋燭を100本つけて、一人ずつ怖い話をしていく。ひとつ話が終わるごとに蝋燭の火を消していって、100本の蝋燭全てが消えた時、本物の怪物が現れる、だっけ。
蘭・七結 2019年10月9日
ひゃくものがたり。百ものロウソクが室内を灯すだなんて、なんだか幻想的に感じるわ。(小首を傾げつつ、物語の説明を聴取する。) ふふ。その怪異は、百のお話に引き寄せられるのかしら。
境・花世 2019年10月11日
そうそう、ベティの言ってくれたとおり。ご近所のちよちゃんに教えてもらったところによると、十月は神さまが遠くにお出かけしてる月なんだって。だから、今のうちなら怪異も出やすいんじゃないかと。(至極まじめな顔。何やらいそいそと赤い蝋燭を並べはじめた) 百本……はたいへんだから、人数分の十本でいいかなあ。みんな猟兵だし、怖い話のひとつくらいは持ってるよね。ね?
イア・エエングラ 2019年10月13日
わあ、(両の手合わせて楽し気に面々を見回した)ひゃくものがたり。皆々お話し終えたなら、一体何が出てくるかしら。かみさまの、お留守の間に悪戯っ子ねえ。十でも沢山には、なるかしら、こわいおはなし。
こわいおはなし、(あったかしら、と傾げつつ、赤い蝋燭へと一本、青い火を灯した)
レイッツァ・ウルヒリン 2019年10月13日
百物語! 皆が持ってるゾっとする話を聞きたいな。何が出るかは語ってみてのお楽しみ、僕そういうの大好きだ。ふふふ、心霊体験ならいっぱいあるよ。何から話そうか迷っちゃうくらいに。神様が、お留守……お家の守りはどうなるんだろ……(こてん、首を傾げて)
リル・ルリ 2019年10月14日
10月はかみさまがお留守なんだ。留守番を、僕らがしなきやね。こわいおはなし……こわい……(ヨルをぎゅうと抱きしめ)皆がいるから大丈夫だ。ふふ、おばけの、こわいはなし。僕もお話できるように、まとめる
雛月・朔 2019年10月15日
(目の前に並べられたろうそくを見た後、首をひねる)皆さん乗り気ですね…。怖い話…いざ話すとなるとなかなか出てこないものですね。なにかあったかなぁ…。
境・花世 2019年10月17日
(日はもうすっかりと暮れて、障子越しに夜の闇がひたひたと押し寄せている。一本、また一本と分けられていく青い火はゆうらりと揺らめいて、まるで鬼火のようにも見える)
境・花世 2019年10月17日
あは、わるいこの留守番だけどね? 神さまのいない隙に、見てはいけないものを見ようと、してるんだから。(笑いをふくんでささやく声が淡い闇に融けて、落ちる) それじゃあわたしからいこうかな。そう、わたしが初めてエンパイアにきたときの話。
境・花世 2019年10月17日
――冬も終わりの時期だったと思う。花はほとんど咲いていなくて、融け残った雪が木の根元に残っているような季節。わたしは仕事帰りに江戸の外れを歩いていて、突然、満開の桜に行き会ったんだ。狂い咲きの薄紅は奇妙にうつくしくて、だけど近づいても幻じゃなかった。その根元にはね、赤い糸が落ちていたんだ。気になって拾い上げたら、それは片端が地面に埋まっているらしかった。試しに引いてみたらするすると伸びて、引っ張っても引っ張っても延々と出てきてね。きりがないからもうやめようと手を離した瞬間――小指に巻き付いて、結ばれて、千切れなくなった。
境・花世 2019年10月17日
けれどそのままそこにいるわけにもいかないし、背を向けて歩き出したら、糸だけずうっと伸びてついてくるんだ。ずるずる引きずったまま歩いて、そのうちこの屋敷に辿り着いて今に至るわけなんだけど。あとで聞いたら、その桜の下では昔から何度となく恋人たちが心中したらしい。あれはきっと、かれらを結んだ運命の赤い糸だったんだねえ。花吹雪の中だったから、顔がよく見えずにわたしを誰かと間違えたにちがいない。
境・花世 2019年10月17日
糸はいったいどうなったかって? あは、それはご想像にお任せしようか。(浅く笑って掲げた小指に赤い糸が見えたのは、揺らめく灯が見せた幻だったろうか。ともあれひとつの話が語られて、ふぅとひとつ目の灯が吹き消された) さ、さ、次、誰でも、どうぞ。
ベスティア・クローヴェル 2019年10月18日
それじゃ、二番手を貰おうかな。怖い話というには弱いかもしれないけれど。
ベスティア・クローヴェル 2019年10月18日
私が住んでる廃墟のお話。その日は依頼を片付けて、家に戻ったのは夜遅く。ダークセイヴァーは常夜の世界とはいえ、その日は月も隠れていていつも以上に真っ暗だった。当然電気なんて存在しないし、ランタンのオイルも丁度切らしていてね。仕方がないから手探りで自室に戻ろうとしたんだ。そしたら、誰かが私の右手を引っ張るんだよね。周囲に人の気配もしないし、匂いもない。だけれど、私の手を引っ張る何かがいる。……ただ、不思議と怖くはなかった。
ベスティア・クローヴェル 2019年10月18日
手を引かれるまま歩いて行ったら、廊下の突き当りで引っ張られる感覚が消えてね。「なんだろう」って思いながら壁に触れたら、そこが隠し扉になっていたんだ。で、扉の向こう側を覗き込んだら沢山の人骨の山があった。――元々、私の住んでいる廃墟はとある領主のもので、例に漏れず残虐非道なやつだった。倒した時に犠牲者は弔ったのだけれど、隠し部屋があるのは予想外で流石に驚いた。きっと、自分たちも弔って欲しくて道案内をしてくれたのかなって。ただまぁ、翌日から他に隠し部屋がないか探し回る事になって、とても大変だった……。
ベスティア・クローヴェル 2019年10月18日
私の話はこれでおしまい。…思い返してみると、ホラー要素が人骨の山くらいしかなかったな。さ、次は誰が話す?
縁城・陽 2019年10月18日
(部屋の奥の襖ががたり、と揺れ。そっと顔を出す)……怖ぇ話とかやめとこーぜ?な?(眠っていたのか、片手には枕。身を守るように襖をしっかりと握ったまま)……オレはへーきだけどな!
イア・エエングラ 2019年10月20日
やあ、ベティは随分、百物語に困らなさそうなところに、おすまいの。(こわいこわいとそっと口元手で覆い、襖の音に視線を遣った)おや、陽起きてしまったの。おや、こわいお話、大丈夫?(赤い糸を引っかけては来なかった、と笑って、)そしたら、僕が。
イア・エエングラ 2019年10月20日
僕の棲むのは今は古い工房跡なのだけれど、――今はすっかり人の絶えてしまって、継ぐ人も無くなったから僕が譲ってもらったお家でねえ。さてダークセイヴァーの夜霧を越えてなお明るい月の深更、ふと音がするから起き出したの。
雨の音でもなければ風の音でもない、ぽしゃんと何か跳ねる音。
はて寝る前に何かひっくり返したかしらと寝台の戸を開いたら、一番大きなお部屋が僕の足首を沈めるほどの、水浸し。
慌てて見渡したところでわけの見つかる筈も、ないでしょう?
やあ、僕も困ってしまってねえ。途方に暮れていたらひとつ、尾の影をみたのよう。すい、と玄関口の方へといって、……そのまま消えてしまったかしら。そんで僕はどしよもないから眠ってしまったのだけれど、きちんと朝起きたら水は引いていてねえ。
イア・エエングラ 2019年10月20日
最後の職人さんは、そいえば溺死のよにしてみつかったのだったかしら。お陰で買い手もつかなくてねえ。用向きはさて僕は知れないけれど、まだ作りかけの指輪はあそこにおいて、あるからまた来るかしら。
おしまい、(完成させないとこのまま僕も水浸しだろうかと、笑いながらもそうっと吹き消した)
境・花世 2019年10月21日
(みっつの灯が落ちた室内はほんのりと昏さを増して、影になった紅葉はまるで亡霊の手のひらのよう。障子の向こうから風がひそやかに鳴く音がする)
境・花世 2019年10月21日
あは、こわかったら耳をふさいでいてもいいよ、陽。だけど何が起こるかはちゃんと見てるといい――これを逃したらもう逢えないモノがくるかもしれないから、ね?(なにせ今年の神無月は一度きりだとたのしげに笑う) ベティも、イアも、いい栖を持ってるなあ。かれらがいるような場所は大抵しずかで誰にも邪魔されないし、生きてる悪いものは近寄らないんだ。
亀甲・桐葉 2019年10月27日
(戸の影、また別の襖からそろりと顔を覗かせて。盗み聞きでもしていたのだろうか、ふるりと肩が少しだけ揺れた)
……島根県、この世界での隠岐のほうでは、神在月と、よぶそうで。お留守の間に何か起きては、と思うと少々、少々だけ、怖い気もします。とはいえ、簡易の儀式みたいなので…………早めに話して、隅で震えることにしますね。
(いそいそ、残った蝋燭を前に座って、ずうずうしく話し始めるおんな。余程この空気感が怖いらしい。)
亀甲・桐葉 2019年10月27日
私は、猟兵になる前の記憶がありません。
それだというのに、初夏の時節に不思議な夢を見た日がありました。
容姿もはっきり覚えてないのに、確かに幼いころのわたし。
顔もまったく覚えていないのに、確かに、在りし日の母と。
おおきなおおきな冷蔵庫……倉庫のようなそこで、私は木を切っていました。
気付けば切っていたその板材を切り終わって、わたしが切っていたのは、
――自分の、あしでした。
まずは土踏まずを目印にしてまんなかで。
それから、くるぶしの下を、のこぎりで。
だというのに、何故だか痛くも痒くもありません。
凍ったましゅまろを斬るように、さくさくどんどん切れていきます。
血も出ないそれを腕いっぱいに抱えて、母の待つ台所へ、ふらふらとけんけん、ぱ。
母はそれを、角切りにして。シチューの中に、入れました。
亀甲・桐葉 2019年10月27日
……私はここで起きたけれど、しばらく足の痺れと震えが戻りませんでした。さむくてさむくてたまらなかったけれど、暖かいご飯を食べれる気は、しませんでした。あのシチューは、……どこに行ったんでしょうね。
……きちんと、こわい話になってましたでしょうか。
真偽のほどはみなさんにお任せします。私も記憶がおぼろげですから。……ご不快でしたら、ごめんなさいね。
(では、と口添え、ふぅと灯ったあおい火を消す。もいくつ消すと、真暗闇、)(そろりと部屋の隅へ歩んで行って、持参していた毛布をかぶった。)
蘭・七結 2019年10月30日
神在月。いく柱もの神さまが集って、会合をされるのかしら。……まあ。皆さん、摩訶不思議な体験をされているのね。引き込まれてしまいそうだわ。……それでは、次はわたしの番。わたしの住む世界の、お話をしましょう。(揺らぐ灯火を手に取り、そうと睫毛の影を落として。)
蘭・七結 2019年10月30日
お話の舞台は、園主を失ったバラの園。
主人なき後もまるで誰かが手入れを続けているかのように、何時の日も美しい白バラを咲かせていたわ。
その景色を“恐ろしい”と感じた周辺住民の人々は、好んで近寄ることはなかったようだけれど……そのバラ園へと、好奇心のままに足を運んだ青年がいたの。
蘭・七結 2019年10月30日
その青年は、変哲のない一般人だった。
けれど、彼は白バラを染め上げる『魔法』を持っていた。……宿ってしまった、が正しいかしら。不思議、不思議ね。
彼が一輪の花に触れるとその一輪はあかく色付いて……熱が伝染をしてゆくように、全体があかいバラへと変化をしたそう。
その美しさに魅せられてしまった青年は、なにかに取り憑かれたかのように、明くる日も明くる日もバラ園へと通い、通いつめて………
ある日突然、姿を消してしまったわ。
蘭・七結 2019年10月30日
通う道中に不幸に遭ってしまったのか、何が起こったのかは、わからないけれど。――鮮烈な恋慕を煩ったバラの妖に、攫われてしまったのかもしれないわ。(ふう、と灯を吹き消して。消えゆく僅かな一瞬、灯火は鮮烈なあか色を宿していた。) ……これで、わたしのお話はおしまい。そのバラたちは今も、白い姿をして次の誰かを待ちわびているそう、よ。
イア・エエングラ 2019年11月3日
わあ、(ひとつ、ふたつ、火が消えるだけで蟠る夜が部屋に満ちていく。葉の囁きが枝の揺れるのが、足音のように忍び寄る。こつり、物音に瞬いてからこわいねえ、と呟いた)そしたらその続きは、おとうさんが召し上がるかしら、いいえ、いいえ、桐葉は醒めて良かったねえ。空になったら歩けたかきっときっとわからないもの。(貰った足の、足音かしら、傾げて)僕もお花は、好きだけれど。真っ赤な薔薇にはぞ、とするよな色香があるものな。白い薔薇から目のはなれないくらい惹かれるときは、――やあ、そうなってからでは遅いのかしら。でも少しだけ、(羨ましいと呟いた)
境・花世 2019年11月5日
(百ならぬ十物語の部屋はもうすっかりと暗く昏くなって、互いの顔さえもよく見えない。怯えふるえる肩を、たのしげに笑う唇を、不思議そうにまたたく睫毛を、ふいにぬるい風がさわりと撫でて吹き抜ける。すべての灯が、揺らいで、消えた)
境・花世 2019年11月5日
え、……あれ、戸の締め方が甘かったかな。ごめんね、折角だけど灯をいちど全部つけ直そう。(毛ほども動じていなさそうな声が闇にひびいて、ぽうとふたたび蝋燭に火が点いてゆく)(一、二、三――順繰りに――四、五、六――見知った顔が浮かびあがって――七、八、九――最初と同じ数が――十、)
境・花世 2019年11月5日
(最後に十一つ目が、ゆらりと灯った)