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【誰歓】たそがれうた

ロキ・バロックヒート 2021年4月3日


うたをうたっている
だれが?わたしが?それともきみ?

どこかなつかしくていとおしい
でもね、うたのことばもいみもしらないの
――は、しってる?

あなたは、きみは、わたしは、だれ――

***

UDCアース、夕暮れ時
大都会のビルの屋上

https://tw6.jp/scenario/show?scenario_id=32196
https://tw6.jp/scenario/show?scenario_id=30487
その後のこと

***

どなたでも歓迎1:1RP
楽しい話にはならないかも
どうなるかわからない為強制終了も有り得るかも
だらだらとひとりで続ける可能性もあり
一週間の音沙汰なし、もしくはキリの良いところか6月末にて〆




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ロキ・バロックヒート 2021年4月3日
(今日はやけに、夕焼けの陽が強く鮮やかに照らしている。ビルの屋上に居るそれの彩さえも掻き消す程に)(喉だけ震わす柔らかいうたは、はるか下の者たちに届きやしない。光る羽根がはらはらと落ちて、地に着く前に消えてゆく。一般人はそれに気付きもしない。道を急ぐ雑踏は、何事もないように巡るのだ)
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檪・朱希 2021年4月3日
(何となく、鮮やかな夕焼けの空が目に止まった。その強い輝きに、思わず手を翳して遮るほど。)

……? 歌……?
(周りの『音』が響くのを、自分の聞こえすぎる耳が捉えた気がして……その優しいような、儚いようなうたに惹かれて、『音』の居場所を探そうと耳を澄ましてみる……)
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ロキ・バロックヒート 2021年4月4日
(『音』は君のはるか上だった。幾つかの店が突っ込まれたビルの、その上)(誘うかのような甘く囁くこえは、子どもが遊びを強請るいろに似ている。ただ、単語を拾ったとて、ひとつたりとも現代の言葉のどれとも当てはまらない、おとの羅列)
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檪・朱希 2021年4月5日
……空から、聞こえる?
(言葉の意味は理解……出来なかった。けれど、とても心惹かれる『音』で……)

もう少し、近くで聞いたら……分かるかな?
(青の蝶と橙の蝶、そして櫟の木が描かれたタロットカードに触れる。
ふわりと宙に浮いたかと思うと、導かれるように……『音』の方へ飛ぼうとして)

……うん、大丈夫だと思う。誰かと遊びたいような『音』がしてるだけだから。
(心配そうに、傍らに舞う橙の蝶と青の蝶。守護霊である二人に安心させるように一声かけてから、改めて『音』響く空へと舞い上がってみる)
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ロキ・バロックヒート 2021年4月7日
(ビルの上、オレンジ色に染まる光“そのもの”が在った。淡く輝く、翼が生えたヒトの様相。纏う白い衣の中、黒い首枷だけが不釣り合いな)(黄昏空に舞う姿を、捉えたか否か)――――、(うたが、止んだ)
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檪・朱希 2021年4月7日
(視線の先に、淡く輝く光。よく見ると、翼のある人……天使、なのだろうか? と考えながら、『音』を辿って光の方へと近づいていき……)

『音』が、聞こえなくなった……?
(歌っていたのだろううたが聞こえなくなり、一瞬その場に留まりそうになる。
……が、やはり近づいてみようと、空を飛び続けてみることにした)
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ロキ・バロックヒート 2021年4月11日
(音が途切れたのは、なんてことはない。近付く存在に気付いたから。己を“みつけてくれた”ひとに)(やがて蜜彩の瞳とかち合うだろう。君を捉え、覗き込む双眸と。ひとらしい輪郭は保たれていて、口元が弧を描いた。笑っている)
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檪・朱希 2021年4月11日
(かなり近付いて、相手の姿が見えてきた。蜂蜜のような色の瞳がこちらを見て、どうやら笑っているみたいだ。その笑みに、自分も微笑みを返して)

あの……さっきの歌は、あなたが……歌っていたのかな?
……とても、素敵な旋律だったよ。言葉は、分からなかったけれど……もっと聞いていたくなるような気がして。
(あなたに聞こえるように、届くようにと話しかけてみる)
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ロキ・バロックヒート 2021年4月11日
(歳の頃は十つほど。伸び切らない四肢は男女の境どちらも越えぬ。足を揺らして、ひらりひらりと、小さな手が手招いていた。もっと近くへ、と)

――うた、
(きょとりと瞬いた)(さっき、あなた、うた、すてき、せんりつ、ことば、)(ひとつずつ単語を摘まんで空っぽな籠に集めて)

うた、すてき、きく。
(首を傾げている。理解しているのかいないのか、疑問符のイントネーションではないけれど。君に確かめるよう)
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檪・朱希 2021年4月11日
(見た目は10歳くらいだろうか? 招かれるまま、もっと近づいていく。可能なら、隣に座れるくらい……だろうか)

(聞こえてきた言葉は、全て単語……一気に話しすぎて、ちゃんと伝わっただろうか? 少し、理解が追いつかなかったかもしれない?)
うん、歌、だね。
あなたの歌、素敵だった。もっと、聞きたい。
(今度はゆっくり、伝えてみる)
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ロキ・バロックヒート 2021年4月13日
(促すような素振りはないけれど、座るなら拒みはしないだろう。近付けば喜色はいっぱいに。ただ、君に触れる前に、手を引っ込めた)

もっと、
(君の言葉を拾っている。言葉を拾って、けれどその意味は識っているかのように聞く。伝わったことを示すよう頷いて、小さな口を開いて。
――うたが、零れ始めた)
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ロキ・バロックヒート 2021年4月13日
(さっきと同じうただけれど、ひとつのフレーズが繰り返し、繰り返し、何度も。君を見ている。笑っている。立てた人差し指の先が己と君を行ったり来たり。

――いっしょに、うたって、

そう、言っているかのよう)
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檪・朱希 2021年4月14日
(近付くと、嬉しそうな様子のあなたに、そっ、と隣に座る。触れたそうにするその手を重ねられるように、自分の手を差し出してみる)

うん、聞きたい。
(頷くあなたに、歌い始めるあなたに……微笑みながら見守って)
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檪・朱希 2021年4月14日
(繰り返されるフレーズと、あなたの素振りが一瞬、分からなかったが)
もしかして……一緒に?

(一緒に歌ってと、そう言われた気がして……)

──♪

(あなたと同じうたを、同じ旋律を紡いでいく)
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ロキ・バロックヒート 2021年4月29日
(茫と光を纏う手が、魚かなにかみたいに跳ねる。その手に触れるのを厭うたかと思えば――ちょっと驚いただけ。そろりそろりと伸ばした手が、君の手と重なる)

(そのとき、世界が染まった)
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ロキ・バロックヒート 2021年4月29日
(橙色から藍色へ。夜の帳が降りかけていたUDCアースの街並みが、白む。
眩いほどの光に満たされて、君と私の、輪郭すらも曖昧になって消える)

(気付くだろう。
ビルのはるか下の忙しさ、冷えていく風、カラスが告げる声。
その『音』すらも――ここにはないと)
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ロキ・バロックヒート 2021年4月29日
(世界の煩わしいものが消えて、解けて、失われて――在るのは、うただけ)

――きみは、だれ?
――きみは、なぁに?
――きみは、

(うたっているのに、重なり合うよう、誰そ彼と問う声――否、思念のような言葉。

想えばそれに応えられるだろう。そんな不思議な確信が、君には過ぎる)
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檪・朱希 2021年4月29日
(手と、手が、重なって──)

(夕闇に満ちていたはずの景色が、自分とあなたが、白く白く、光に満ちていく──)

(そして何よりも。うた以外、『音』が、消えていく……)
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檪・朱希 2021年4月29日
(問われる誰何。何故かは分からない、けれど……想い浮かべれば、伝わると確信していて)

(──問われれば、自分の名前を。
初めはイチイの木から名付けられ、助けてくれた人からもう一つ貰って、定まった……今の名前を。)

(そして、想った。自分に語りかけてくる、あなたは誰だろう? と……)
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ロキ・バロックヒート 2021年5月3日
(コンクリートの冷たさも感じず、風もそよとも頬に触れぬ。ここだけ、白く切り取られてしまったような)

――イチイ、アカネ、
アカネ、

(うたに揺らぐ、鈴を震わせる声。名を口の中転がせて、確かめる)

――わたし、
わたしは、かみさま
(名はない。でも、本来ならそれでも良かったはずだから)
アカネ、ねがい、いのり、ある?
(先程よりは少しずつ、言葉が増え。発音も君に通りやすいものになっていく)
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檪・朱希 2021年5月3日
(かみさま……神様。
さっきの、天使のような女の子が……かみさまなのだろうか。そんな考えが過ぎったり、思えば守護霊二人の『音』も聞こえないことに……僅かに不安になったけれども、)

願いや、祈り……
(あなたの問に、意識が向く。少し思案して……思い浮かべるのは)

私の、願い……
(一瞬思ったのは、自分の異能である、"蝶"のこと。今は、自分の負の感情を糧に成長して、いずれは破滅を齎すとされるこの"蝶"を助けて、共存したいということだけれど……)

……私の願いは、
(同じくらい、強く願うのは──)

出会った人達や、これから出会う人達と、たくさん……沢山、思い出を作れますように、かな。
(いつか、全て忘れてしまう時が来る可能性があると、教えてくれた人がいるから。
だから、今を……幸せな時間を、幸せな思い出を大切にしたい、と。)
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ロキ・バロックヒート 2021年5月5日
(願いを聞いて、祈りを聴いて。ゆるやかにうたの旋律が変わる。
太陽が沈むように、翳る)

――かなしく、ないの?
おこって、ないの?

(運命に、使命に、必然に)
(君を取り巻く、すべてのものに)
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檪・朱希 2021年5月5日
(沈みこんでいく『音』。翳っていく旋律は、まるで悲しい想いを現しているような、そんな気がして。)

……悲しい時も、あったよ。
(悪魔と言われて、村の人達から疎外され、助けを求めても助けてはくれない日々。母は悪魔を産んだ人として亡くなっていて、その影響で、父も狂ってしまって。)

辛くて、苦しくて、
(父親代わりの人に助けられるも、異能を得る、その引き換えと言わんばかりに、目の前で殺されてしまって。)

嫌な『音』ばかり聞こえてきて……消えたい、と何度も思ったよ。
私の見えている世界が、嘘だったらいいのに……何もかも消えてしまえば、と、そう思うこともあった。
(耳の良さを利用されて、嘘をつく人達が目の前で殺されていく。道具として使われる日々が続いて、遂には心を閉ざしていた)
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檪・朱希 2021年5月5日
……でも、今は違うかな。
(助けられて、猟兵になって)

世界を渡れるようになって、自分の知らない事をたくさん知ることが出来た。
まだ、苦手な『音』はあるけれど……色々な人と出会って、話して、楽しいと思えるように、なった。
(賑やかな『音』、静かな海のような『音』、華やかで綺麗な『音』、星が瞬くような明るい『音』、春風の吹く温かい『音』……)

だから、今は悲しくないし、怒ってない、かな。
(そんな『音』を──この手で消したく、ないから)
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ロキ・バロックヒート 2021年5月11日
(君の守護霊たちの代わりにはなれないけれど、そっと寄り添う気配が在る。語られる哀しみと苦しみに寄り添い、そっと慰める。けれどきみを慮るようで、ただ憐れんでいるだけかもしれなくて)
(『でも、』と続く言葉から――重なるうたは、少しずつ、きみと外れて、掛け違えてゆく)

(きみの想う『音』は、しゃらりしゃらりと煌いて、神様から離れてひとつに成ってゆく)

そう、
きみは――もう、救われて、いる。

――――、

(うたが、不意に途切れた)
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ロキ・バロックヒート 2021年5月11日
(答えに正解は無く、ただ、きみはすでに前に進んでいただけ。それこそ、神様の手が必要がないぐらいに)

もっとはやく、出会っていたら。
きみは、救いを願った?

(きみの『音』だけが鳴る世界で、声だけが問う)
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檪・朱希 2021年5月11日
(悲しいことに、辛いことに寄り添ってくれる気配に嬉しさが灯り。
前へ進む言葉と共に、徐々に、徐々にうたが、聞こえなくなっていった。代わりに響くのは、大好きな『音』の数々。)

もっと、早くに……?
(あの辛くて苦しい時に、もしもあなたと出会っていたら。
世界が暗闇にしか見えていない、黒い欠片ばかりの自分の思い出ばかりなら……)

……願った、かもしれない。でも、私だけ、救われていいのかなって、思ったかも。
救われるなら……私が生まれた事で苦しんだ人達も、救われて欲しいと思ったから……。
(自分が生まれて亡くなった母、母を失い苦悩しただろう父、自分が力を得た時に殺された大切な人……そんな人達の事を思い浮かべる。)
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ロキ・バロックヒート 2021年5月20日
(過去には往けない。けれど、過ぎったそれは救うに値するもの。
しゃらり鳴るきらめく『音』に、どうしても哀しい音も付き纏うから。
なにもかも、拭い去られた訳ではないのなら、)

――だいじょうぶ。みんな救われるよ。
きみだけじゃない。
きみの願う者たち、みんな。
みんな、あまねくすべて――きみが、願えば。
(こえに甘さが混じる。慰め、誘い、ついと引くように)

きみが苦しめたわけじゃないのに。
でも――そう思う世界ごと、救えてしまえるなら、そう願うのなら、
(この手を取る?)
(まるで遊びに誘うかのよう。その通りにしてしまえば――この白い世界から落っこちてしまうかもしれない。そんな予感があった)
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檪・朱希 2021年5月21日
(──私が願えば、みんな、救われる……?)

わた、しは……

(あなたのこえに、思考がふらりと揺らぐ。引き寄せられるように、誘われるように、あなたの手を──)
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檪・朱希 2021年5月21日
──あうっ……あ……!!
(バチィッ! と弾けるような痛みが右首筋のあたりに走るような感覚。かと思えば、その痛みが広がる。
痛みに耐える反面、自身とと違う"何か"が広がる気がした。その"何か"があなたに語りかけるだろう)

世界を救うのに、お前の手は借りない。

──え……?

このくだらない世界は、"私"が破滅を齎して消す。そうすることが唯一の救いだから。
かみさまだか何だか知らないけれど、余計なことをしないで。

──ち、違う……私じゃ、無い! 言葉が勝手に……!
(あなたの誘いを断るか迷っていた為、かえって良かったのかもしれないが、それはそれ、これはこれであるのだ)

(朱希の意思とは異なる拒絶の意思が、あなたに反発するだろう)
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ロキ・バロックヒート 2021年5月27日
(――ぱちん。こちらもなにかが弾けた。君の拒絶が引き起こしたしては、シャボン玉の如く淡いものだったけれど)

(それは笑っていた。宣戦布告のようなそれを聞いても、尚。
くすくすと笑いを零す姿は、もう、まっさらな天使のものではない)

ああ――なにか面白いものが“居る”んだね、君。
いいよ。そのつもりなら、視ているから。

(どんな風に救うのか。
違う、と云う君にすら紡ぐ声音は、少しずつ低く、甘く。絡み付くように)
(伸ばした手も失せて、気配が遠くなる。白んだ世界が、暗転かなにかのように、暗くなっていく)
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ロキ・バロックヒート 2021年5月27日
(気付けば、UDCアースの陽は落ちていた)

(遠く、車のクラクションの『音』
誰かが家路を急ぐ『音』
歩道が青信号を示す『音』
歩く、走る、喋る――)

(日常に戻った世界が、君に『音』を奏でていた)
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檪・朱希 2021年5月30日
(笑う声、笑う『音』は、かみさまと違うような。混乱する中で、しっかり捉えることは難しい)

──え……あ……!

(何も言葉を紡げないまま、あなたの気配も、自分の意識も遠くなって──)
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檪・朱希 2021年5月30日
──っ!
(気付けば、夜の街並みに包まれた、いつものUDCアースがそこにあった。いつもの、日常……)

……、ぅ……。
『朱希! 大丈夫か!?』
『なっ……"蝶"の気が膨れ上がっている!? 燿、手伝え! 今ならまだ間に合う! 場所を変えるぞ!』
『え、なんで……お、おう……!』
(傷跡が酷く痛んで、段々と視界も、『音』も澱んで聞こえてくる)

(守護霊二人が人の形になり、雪が先導、燿が朱希を抱える形で……三人はその場を後にするだろう)
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ロキ・バロックヒート 2021年6月5日
(昏がりとなった世界で、そっと嗤う気配がある)

(破滅に触れた君の『音』は、これからどんないろを奏でるのだろう)

(――ああ、とっても楽しみ!)

【〆】
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