《炉辺談話》足跡
ユーヴァ・イラスキ 2019年8月11日
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『工事中につき、関係者以外立ち入り禁止』
――そんな立て看板があった。
ここは王宮で、私は王族。
私のお父様の代からは“新しい王族”ということで、
新しい王宮を作ってるって聞いたけど――
だったら私は入ってもいいでしょ?
だって私は、姫だもの。
当然のようにチェーンを乗り越えて、
すたすたと奥へ進もうとしたけれど――妙な感覚。
何時もは足を痛めるように固い、灰色の地面が、
今日に限って沼地のように柔らかくて――
私の体重が軽くなかったら、底無しに沈んでいったかも。
そう思ったら、怖くなって――私は逃げるように自分の部屋へ帰った。
後で名前を知ったその“コンクリート”には、
幼い私が付けた薄い足跡が、いつまでも残っている。
王宮が完成した後も――
革命で王宮が焼け落ちた後も――
その足跡の主が国を逃げ去った後も――
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